JP2523861Y2

JP2523861Y2 - 加熱炉のスキッドマーク除去バーナ

Info

Publication number: JP2523861Y2
Application number: JP1990053246U
Authority: JP
Inventors: 基文上仲; 光博山本
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1990-05-22
Filing date: 1990-05-22
Publication date: 1997-01-29
Anticipated expiration: 2005-05-22
Also published as: JPH0413654U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）この考案は、加熱炉において鋼片を加熱する際に発生
するスキッドマークを消去するスキッドマーク除去バー
ナに関する。

（従来の技術）スラブ、ブルーム、ビレット等の鋼片は圧延の前に所
定温度まで加熱される。従来、鋼片は主にプッシャー式
加熱炉により加熱されていたが、強度のスキッドマーク
が生じて圧延材の品質を低下させたり圧延上のトラブル
を引き起こしたりする。そのため最近では、スキッドマ
ークの発生が少ないウォーキングビーム式加熱炉が使用
されるようになった。ウォーキングビーム式加熱炉は第
５図（ａ）（加熱炉の鋼片抽出側付近の縦断面図）及び
第５図（ｂ）（第５図（ａ）のＡ−Ａ矢視図）に示すよ
うに、炉体21、固定サポート22及び23、可動サポート24
などから構成されている。この炉では鋼片Ｓを固定サポ
ート22と可動サポート24（上昇→前進→下降→後退のサ
イクル運動をする）とで交互に支持し、白抜き矢印方向
に送りつつ加熱する。ところが固定サポート22は冷却水
で冷却されているために、それに接触していたａの部分
（第５図（ｂ）参照）は他の部分より温度が大きく低下
し、スキッドマークが発生する。このため鋼片進行方向
の固定サポートを横方向に位置を変えた固定サポート23
で支持する方法もとられるが、そうすると今度はｂの位
置にスキッドマークが発生する。ウォーキングビーム式
加熱炉では、スキッドマークの程度はプッシャー式加熱
炉のそれよりも軽度であるが、スキッドマークは存在す
る。

最近、省エネルギーと鋼材の高級化のために低温加熱
が指向されており、スキッドマークが存在するとその実
施が困難となるため、それを確実に除去できる装置や方
法の出現が望まれている。

そこでスキッドマークを加熱して除去する装置が特開
昭49−105709号公報や特開昭51−70110号公報などに提
案されている。前者は加熱炉の天井から加熱用バーナを
垂下させ、首振り運動をさせながらスキッドマークを加
熱するものである。しかし鋼片の上側からスキッドマー
クを加熱するために効果が小さい。そのうえバーナが炉
内の燃焼ガス流により著しい損傷を受けるという欠点が
ある。後者は加熱炉の炉床に設けたバーナの燃焼フレー
ムを直接スキッドマークに衝突させて加熱するものであ
る。しかし燃焼フレームはスキッドマークばかりでなく
スキッドを加熱して損傷させ、また鋼片を不要に加熱し
て酸化ロスを増加させるという問題がある。

本出願人は、上記装置のようにバーナをスキッドマー
クから離れた位置に設けるのではなく、バーナをスキッ
ドマークに近接させた装置を先に提案した（実開昭55−
58655号公報）。この装置は水冷ジャケットで保護した
バーナを炉床から鋼片の近くまで延在させ、スキッドマ
ークだけを加熱するようにしたものである。しかし加熱
炉の炉内では鋼片下面の加熱のためにサイドバーナが焚
かれており、スキッドマーク加熱用バーナはその燃焼炎
に曝されて損傷を受け、水漏れ事故を起こすという欠点
がある。またそのバーナは真上に向けて設置されるため
に落下スケールにより火口が閉塞されるという問題があ
る。

この問題を解消するため、本出願人らは上記実開昭55
−58655号公報記載の装置の改良装置として、第６図に
示すようなスキッドマーク加熱装置を提案した（実開昭
61−198259号公報、実開昭62−75060号公報）。この加
熱装置11は加熱炉の鋼片抽出側に設けられ、スキッドマ
ーク加熱用の燃焼ガスを発生させる燃焼装置12と燃焼ガ
スを炉内に導いてスキッドマークに吹きつける金属製ま
たはセラミックス製の導管13から構成されている。この
加熱装置11を用いればスキッドマークを確実に除去する
ことができる。しかし導管13は炉内雰囲気が1200〜1300
℃にも達する鋼片抽出側に設置され、しかも導管内には
1200℃以上の燃焼ガスが通過するため、導管が金属製の
場合には強度が低下して変形し、導管がセラミックスの
場合には加熱炉から鋼片を抽出するときに侵入する空気
により急冷されてヒートショックを受けて破損すること
がある。そのため導管寿命は金属製のもので約６か月、
セラミックス製のもので２〜３か月程度と短い。

（考案が解決しようとする課題）この考案の課題は、鋼片を加熱するときに発生するス
キッドマークを効果的に解消することができ、しかも長
い寿命を有するスキッドマーク除去バーナを提供するこ
とにある。

（課題を解決するための手段）前記先願考案の実開昭61−198259号公報及び実開昭62
−75060号公報記載の装置は、スキッドマークを効果的
に加熱して確実に除去できるという長所をもつが導管の
寿命が著しく短い。

この考案者らはスキッドマーク除去バーナの耐久性を
上げる方法について検討を重ねた結果、燃焼バーナと導
管を一体化して多重管構造のバーナとし、その外側に多
数の細孔を穿設した冷却気体を供給するための導管を配
置するとともに、これを耐火物で覆えばバーナの寿命が
著しく長くなることを見出した。

上記知見に基づくこの考案は「加熱炉の鋼片抽出側に
設置され被加熱材のスキッドマークを除去するバーナで
あって、このバーナは同心円状に配置された燃料ガスを
通す内管と、燃焼用空気を通す中管と、冷却気体を通す
外管とから構成され、中管は燃焼用空気の出口付近に空
気旋回羽根を有し、外管は先端が閉鎖され、外周に冷却
気体を噴出する複数個の細孔が穿設されており、その外
周面が耐火物で覆われていることを特徴とする加熱炉の
スキッドマーク除去バーナ」を要旨とする。

（作用）以下、この考案を図面に示す実施例に基づいて説明す
る。

第１図はこの考案のスキッドマーク除去バーナを設置
した加熱炉の鋼片抽出側付近の縦断面図、第２図はこの
考案のスキッドマーク除去バーナの軸方向の断面図、第
３図は第２図のＡ部の詳細図、第４図は第２図のＸ−Ｘ
矢視図、である。

第１図において、１はこの考案のスキッドマーク除去
バーナであり、21は炉体、23は固定サポート、24は可動
サポート、25は開閉扉、Ｓは鋼片であり、この考案のバ
ーナ１は図示するように加熱炉の鋼片抽出側の炉体21の
下部から炉内側に傾斜して配置される。

この考案のバーナ１は第２図に示すように燃料ガスが
通る内管２と、燃焼用空気が通る中管３と、冷却気体が
通る外管４とから構成され、これらが同心円状に配置さ
れている。

前記外管４はその先端部4aは閉鎖され、その外周には
第３図に示すように直径がおよそ１〜5mmの細孔５が一
定間隔で穿設されており、セラミックスの短繊維又は長
繊維等からできた耐火物６で覆われている。耐火物６は
外管４の外周面に円筒形のキャスタブル耐火物７で保護
された金物８例えば、アンカー金物、Ｙ鋲などにより取
付けられている。

中管３はその先端付近（燃焼用空気の出口付近）に空
気旋回羽根９が取付けられている。具体的には空気旋回
羽根９は中管３の先端付近で第４図に示すように中管３
と内管２との間に設けられている。

この考案の装置でスキッドマークを除去するときは、
内管２にコークス炉ガス等の燃焼ガスを、中管３に燃焼
用空気を供給するとともに外管４に例えば空気、窒素、
二酸化炭素等の冷却気体を供給する。燃焼用空気は中管
３の先端付近の旋回羽根９により旋回流となって噴出
し、内管２の先端から噴出する燃焼ガスと混ざりあって
燃焼ガスとなり、この燃焼ガスがスキッドマークに沿っ
て流れるため、スキッドマークは効果的に加熱され確実
に解消される。このとき、外管４に供給された冷却気体
は外周に穿設された細孔５を通って耐火物６内を流れ、
その全表面から炉内へと吹き出す。このため、内管２、
中管３および外管４は過度に温度が上昇しないので、強
度低下が起こらず、バーナ１が簡単に変形や焼損したり
することがない。仮に、温度が最も高くなる外管４が熱
や火炎により破損し、冷却気体が炉内に漏れても炉体や
操業に何ら影響を与えない。

この考案において、前記内管、中管および外管の材料
は炭素鋼でもよいが、これらの管がステンレス鋼等の高
合金鋼であれば耐熱性が一段と向上する。また、内管、
中管および外管を保護する耐火物は1200〜1400℃の温度
に耐えて、冷却気体が通過できるポーラス状のものであ
れば、前記のセラミックスの短繊維又は長繊維の耐火物
以外のものであってもよい。

（実施例）以下、実施例によりこの考案のスキッドマーク除去バ
ーナの効果を具体的に説明する。第２図に示す構造のバ
ーナを加熱能力300トン/hのウォーキングビーム式加熱
炉に第１図に示すように鋼片抽出側の炉体の下部から炉
内に傾斜させて設置し、厚さ:230mm、幅:1200mm、長さ:
9.6mのスラブに生じたスキッドマークを加熱し、バーナ
の寿命とスキッドマークの除去状態を調べた。

バーナの内管、中管および外管の材料はいずれもSUS
310 Sであり、内管の内径:36mm、肉厚:3.6mm、中管の内
径:53mm、肉厚:3.9mm、外管の内径:66mm、肉厚:5.2mm、
外管の外周には径5mmの孔が30mmピッチで等間隔で穿設
されており、外周面には厚さ50mmのセラミックス繊維の
断熱材が張られている。断熱材はバーナの軸方向に300m
mピッチで配置した厚さ70mmで幅100mmのキャスタブル耐
火物で取付けられている。

燃料ガスにはコークス炉ガスを用い、33Nm³/hで供給
して空燃比1.05で燃焼させるとともに冷却空気を100Nm³
/hで流した。この条件で24時間の試験操業を行った結
果、加熱炉の炉内温度が1200℃のとき、バーナ出口の燃
焼ガス温度は1500℃であり、外管の温度は400℃であっ
た。スラブのスキッドマーク部の温度を測定したとこ
ろ、スラブ本体の温度が1150℃のときにスキッドマーク
部はこれより約30℃低かった。そこでスキッドマーク部
をバーナの火炎範囲に置いて約２分間加熱したところ、
スキッドマーク部の温度は20℃上昇した。この試験操業
のあと上記バーナを10か月連続使用したが、バーナの変
形や損傷はほとんどなく長期使用に耐えることが確認さ
れた。

（考案の効果）この考案のスキッドマーク除去バーナは寿命が著しく
長く、スキッドマークを除去する効果も大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のスキッドマーク除去バーナを設置
した加熱炉の鋼片抽出側の縦断面図、第２図は、この考案のスキッドマーク除去バーナの軸方
向の断面図、第３図は、第２図のＡ部の詳細図、第４図は、第２図のＸ−Ｘ矢視図、第５図（ａ）は、ウオーキングビーム式加熱炉の鋼片抽
出側付近の構成及び鋼片の移動を説明するための図、第５図（ｂ）は、第５図（ａ）のＡ−Ａ矢視図、第６図は、本出願人が先に提案したスキッドマーク加熱
装置の概略断面図、である。１はスキッドマーク除去バーナ、２は内管、３は中管、
４は外管、4aは外管の先端部、５は細孔、６は耐火物、
７はキャスタブル耐火物、８は金物、９は空気旋回羽
根。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭56−72119（ＪＰ，Ａ) 特開平２−33508（ＪＰ，Ａ) 実開平２−54019（ＪＰ，Ｕ) 実開昭61−198259（ＪＰ，Ｕ)

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】加熱炉の鋼片抽出側に設置され被加熱材の
スキッドマークを除去するバーナであって、このバーナ
は同心円状に配置された燃料ガスを通す内管と、燃焼用
空気を通す中管と、冷却気体を通す外管とから構成さ
れ、中管は燃焼用空気の出口付近に空気旋回羽根を有
し、外管は先端が閉鎖され、外周に冷却気体を噴出する
複数個の細孔が穿設されており、その外周面が耐火物で
覆われていることを特徴とする加熱炉のスキッドマーク
除去バーナ。