JP2523526B2 - 原子炉格納容器の圧力抑制構造 - Google Patents

原子炉格納容器の圧力抑制構造

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、原子力設備に関し、特に原子炉格納容器の
圧力抑制構造にかかわる。
〔従来の技術〕
第5図の如く、原子力設備の原子炉格納容器は、原子
炉圧力容器1と、この原子炉圧力容器1内と連なる原子
炉の系統設備が格納されるドライウエル4部と、このド
ライウエル4内と逆止弁9の付いたベント管8を通じて
連通するサプレンシヨンチエンバ5部とから成る。ドラ
イウエル4内とはダイヤフラムフロア7で隔離されたサ
プレンシヨンチエンバ5にはプール水6が入つている。
そして、原子炉圧力容器1やその容器内と連通する複数
の系統設備(配管設備等)に破断事故を生じて、ドライ
ウエル4内に蒸気が出ると、ドライウエル4内の圧力が
高くなるので、蒸気はドライウエル4内のガスを巻き込
んで、ベント管8を通り、次にプール水6で凝縮され
る。そして、サプレンシヨンチエンバ5内の圧力が大き
くなると、最終的には逆止弁9が開いてドライウエル4
内へ圧力がある程度にげて、ダイヤフラムフロア7に無
理な差圧力が作用するのを防いでいる。
このような従来の圧力抑制型原子炉格納容器は流出し
た蒸気はほとんどサプレツシヨンチエンバ5内で凝縮さ
れるので基本的に蒸気圧による圧力上昇はない。しかし
事故時には初期のドライウエル4内に存在していた非凝
縮ガスがベント管8を介してサプレツシヨンチエンバ5
の気相部に移行し、これが圧縮されて気相部の圧力を押
し上げるので結果としてドライウエル4内の圧力も上昇
するという機構になつている。第6図はこれらの現象を
グラフに示したものである。第6図からドライウエル4
内の圧力はサプレツシヨンチエンバ5内圧力の上昇と供
にある巾を保つて上昇してゆくことがわかる。この巾は
ベント管サブマージエンスとベント管圧損分であり、現
行圧力抑制型格納容器は1kg/cm2以下である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
圧力抑制型格納容器の最大圧力を低下させるポイント
はサプレツシヨンチエンバ気相部の容積を稼ぐか又は、
気相部に移行する非凝縮性ガスの量を少なくするかして
サプレツシヨン気相部圧力を低下させることである。し
かしサプレツシヨンチエンバ6内の気相部の容積を稼ぐ
ことは格納容器を大きくすることであり合理的でなく、
又、非凝縮性ガスの移行量を少なくすることはドライウ
エルを小さくすることであるがこれは、格納する機器に
より最小大きさがあるのでこれにも限度がある。
合理的に最大圧力を低下することは困難であつた。
第7図は加圧水型の格納容器を示したものである。加
圧水型格納容器は圧力抑制機能は持たず大型化によつて
圧力上昇を防止している。従つて圧力を低下するには更
に大型化するか、又は圧力抑制機能を付加する等の方法
がある。しかし、大型化は不経済、又、単に圧力抑制機
能を付加するだけではドライウエルが大型のため、多量
の非凝性ガスがサプレツシヨンチエンバ気相部に流入す
るので十分な大きさの気相部大きさを確保しなくてはな
らず、これも非合理的な方法であつた。
圧力抑制型原子炉格納容器は配管破断事故時ドライウ
エル内に流出した蒸気はサプレツシヨンチエンバ5内の
プール水6でほとんど凝縮されるので基本的に蒸気圧に
よる格納容器の圧力上昇はない、しかし事故時にはドラ
イウエル4内に流出した蒸気により初期からドライウエ
ル4内に存在していた非凝縮性ガスがベント管8を介し
てサプレツシヨンチエンバ5内の気相部に移行し、気相
部の圧力を押し上げるので、結果としてドライウエル4
内の圧力も上昇するという機構になつている。すなわ
ち、ドライウエル圧力は以下に示すようにサプレツシヨ
ンチエンバ気相部圧力にベント管サブマージエンス、及
びベント管配管圧損を加えた圧力になつていることによ
る。
PD=Ps+Psub+Pf PD:ドライウエル圧力 Ps:サブレシヨンチエンバ圧力 Psub:ベントサブマージエンス Pf:ベント管圧損 ここでドライウエル4内の圧力にとつて支配的な項は
サプレツシヨンチエンバ5内の圧力であるので圧力抑制
型原子炉格納容器の圧力上昇を抑えるポイントはサブレ
ツシヨンチエンバ5の圧力を低くすることである。この
為には (1) ドライウエル空間容積を小さく設計し、サプレ
シヨンチエンバ気相部に移行する非凝縮性ガスの量を少
なくする。
(2) サプレツシヨンチエンバ気相部容積を大きくす
る等の方法が考えられる。
しかし(1)についてはドライウエル4内に設置する
機器の関係上小さくするにも限度がある。又(2)につ
いては、格納容器を大きくすることになるので合理的設
計とは言えない。
そこで本発明の目的は、原子炉格納容器の最高使用圧
力を低くできる原子炉格納容器を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の基本構成は、「原子炉圧力容器と原子炉の系
統設備とを格納するドライウエルと、前記ドライウエル
内とベント管で連通するサプレンシヨンチエンバとから
成る原子炉格納容器において、前記ドライウエル内を複
数の小空間に隔離する仕切壁と、前記各小空間と前記サ
プレンシヨンチエンバとの間の連通路に設けられて止め
方向を前記ドライウエル側から前記サプレンシヨンチエ
ンバ側に設定した各逆止弁とを備えたことを特徴とした
原子炉格納容器の圧力抑制構造である。
〔作用〕
機器ごとに小空間に区分する隔壁は事故時、事故の影
響を事故の生じた機器のある小空間のみに限定する作用
がある。すなわち、流出蒸気による温度圧力の上昇及び
非凝縮性ガスのサプレツシヨンチエンバ気相部への移行
等は全て事故の生じた小空間のみに限定されるので、サ
プレツシヨンチエンバ気相部への非凝縮性ガスの移行量
を小さくすることができる。及び事故の生じてない他の
ドライウエル小空間をサブレツシヨンチエンバ気相部と
して利用できる。この利用形態は、サブレツシヨンチエ
ンバ気相部とドライウエル小空間を接続する逆止弁付開
口部が事故の生じたドライウエル小空間からサプレシヨ
ンチエンバ気相部に移行した非凝縮性ガスの一部を事故
の生じてないドライウエル小空間に導く役目をはたすこ
とで達成される。
〔実施例〕
以下に本発明の第1実施例を第1図,第2図に基づい
て説明する図は加圧水型原子炉格納容器に本発明を実施
した例を示したものである。
1は原子炉圧力容器、2は蒸気発生器、3は循環ポン
プを示す。4はこれらを格納する原子炉格納容器のドラ
イウエル、5はサプレツシヨンチエンバ6はサプレツシ
ヨンプール水を示す。7はドライウエル4とサプレツシ
ヨンチエンバ5の気相部を区分するダイヤフラムフロア
であり、ダイヤフラムフロア7を貫通して、ドライウエ
ル4とサプレンシヨンチエンバ5をつなぐベント管8が
設置してある。ベント管8にはサプレツシヨンチエンバ
5の気相部から、ドライウエル4に開口する逆止弁9が
付いている。
又ドライウエル4には内蔵されている蒸気発生器3、
循環ポンプ3を系統ごとに分割する為の仕切隔壁10が設
けるドライウエル4を第2図の如く4区画の小空間11に
分割している。ここでは、4基の蒸気発生器2を用いた
4系統設備を備えるので、各一系統が一区画に入るよう
に仕切隔壁10で互い隔離される。蒸気発生器2の1系統
の配管破断事故を仮定した場合、現象は以下のようにな
る。
事故の生じた蒸気発生器2のある小空間11に流出した
蒸気により、小空間11の圧力、温度は上昇する。この
時、他の事故の生じてない小空間11には隔壁10によりさ
えぎられているので圧力、温度上昇の影響はない。事故
の生じた小空間11内の非凝縮性ガス及び蒸気は上昇圧力
によりベント管8を介してサプレツシヨンプール水6に
導びかれ、蒸気はサプレツシヨンプール6内で凝縮し非
凝縮性ガスは次にサプレツシヨンチエンバ5気相部に移
行する。流入非凝縮性ガスによりサプレツシヨンチエン
バ5気相部の圧力が上昇し、ベント管8に設置した逆止
弁9の開放設定圧力以上に達すると、サプレツシヨンチ
エンバ5気相部内の非凝縮性ガスは更に逆止弁9開口部
を介して事故の生じてないドライウエル4内の小空間11
に移行する。これにより流出した蒸気は従来圧力抑制型
原子炉格納容器と同様にサプレツシヨンプール水6内で
凝縮し、非凝縮性ガスのサプレツシヨンチエンバ5気相
部への移行量を数分の1(本発明では蒸気発生器2は4
系統ある場合を示し、小空間11も4つに分割したので1/
4になる。)に低減し更に移行した非凝縮性ガスをサプ
レツシヨンチエンバ5気相部のみならず事故の生じてな
いドライウエル4内の小空間11にも分配するので大巾に
サプレツシヨンチエンバ5気相部の圧力を低下させるこ
とが可能となる。
なお、事故後に冷却水スプレイが作動し事故の生じた
小空間11圧力が低下した場合、まずサプレツシヨンチエ
ンバ気相部の非凝性ガスが逆止弁9開口部を介して戻
り、更に圧力が低下した場合は事故の生じてない小空間
11に移行した非凝縮性ガスがベント管8を介してサプレ
ツシヨンチエンバ気相部に戻り、これがまた逆止弁9開
口部を介して事故の生じた小空間11に戻る。
本発明の第1実施例では、加圧水型原子炉格納容器に
採用した場合について示している。圧力抑制型格納容器
としては現行沸騰水型原子炉に使われているが本発明で
は以下のような理由により加圧水型格納容器に採用した
方がその効果が大きいことによる。もちろん現行沸騰水
型原子炉圧力抑制型格納容器に採用しても効果はある。
(1) 加圧水型格納容器は蒸気発生器2など大型の機
器を多系統格納するためドライウエル4が非常に大型化
(沸騰水型格納容器ドライウエル容積の10倍以上)する
ため、単に圧力抑制型にしただけでは多量の非凝縮性ガ
スの流入に備え、サプレツシヨンチエンバ気相部5の容
積を十分確保しておく必要があり格納容器が更に大型に
なる。
(2) 蒸気発生器2など大型の機器が多系統あり、そ
れらが系統別にはつきり分離している仕切隔壁10で分割
する場合全て同一条件で分割することができ合理的であ
る。
次に現行加圧水型格納容器を圧力抑制型にし、更に本
発明を採用した場合の事故時の格納容器最大圧力につい
て検討してみる。ここではドライウエル4を4つの小空
間11に分割した。又、サプレツシヨンチエンバ気相部5
の容積は小空間11の容積を同じとする。この場合、ドラ
イウエル4内に初期に存在した非凝縮性ガスは事故時に
はサプレツシヨンチエンバ気相部と事故の生じていない
他のドライウエル4小空間11に移行し、そのトータルの
容積はドライウエル4内の容積と同じであるのでサプレ
ツシヨンチエンバ気相部5の圧力は非凝性ガスの圧縮効
果による圧力上昇は生じない。従つてドライウエル4の
圧力上昇にベント管8のベントサブマージエンス、及び
蒸気、非凝縮性ガスの混合物流出時の圧力損失のみが寄
与することになる。これらによる圧力上昇は現行沸騰水
型原子炉の圧力抑制型格納容器と同程度であるとすると
最大でも1kg/cm2である。すなわち、本発明によれば加
圧水型原子炉の配管破断事故時格納容器の大巾な大型化
なしに最大圧力を約1kg/cm2程度に抑えることができ
る。これは現行加圧水型格納容器最大圧力の1/3以下相
当である。
従来加圧水型格納容器は圧力抑制機構を持たないため
大型化によつて圧力を低減していたが本発明による圧力
抑制型格納容器によれば、従来圧力抑制型格納容器の設
計上のポイントであつたサプレツシヨンチエンバ気相部
の圧力を抑えることができるので格納容器の最大圧力を
を抑えることができる。
又、その他の効果として、ドライウエル4内に系統を
分割する隔壁10が設置されているため、これが機器の定
検時の遮蔽効果として期待できる。
第3図,第4図は本発明の第2実施例を示したもので
ある。本実施例では仕切隔壁10に弁12を設けたもので、
他は第1実施例と同じである。事故が終了すると一担事
故の生じてない小空間11に移行した非凝縮性ガスは再び
事故の生じた小空間11に戻つてくるがこの間の圧力バラ
ンスは完全ではなく、ベント管8のベレトサブマージエ
ンス+逆止弁の開放設定圧力分だけ事故が生じてない小
空間11の方が高くなつている。弁12はこれを解消するた
めに設けたものである。すなわち、事故終了後これを解
放すると事故の生じてない小空間11にあつた非凝性ガス
の一部が事故の生じた小空間11に流入しこれら小空間11
の間は圧力的にバランスし、仕切隔壁10等に無理な差圧
力が加わらない。
又、いずれの実施例でも、ドライブウエル4を小空間
11に隔離する仕切隔壁10はドライウエル4内の系統設備
の定検時に放射線等の遮蔽効果を生じ、安全である。
〔発明の効果〕
本発明によれば圧力抑制型の原子炉格納容器において
多系等設備を成す配管の破断等の事故時ドライウエルか
らサプレツシヨンチエンバ気相部への非凝縮性ガスの移
行量を低減でき、更にドライウエルの一部の空間をサプ
レツシヨンチエンバ気相部空間として利用することがで
きるのでサブレツシヨンチエンバ気相部圧力を低くする
ことができる。この為最高使用圧力の低い合理的な原子
炉格納容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例による原子炉格納容器の縮
断面図、第2図は第1図のA−A矢視断面図、第3図は
本発明の第2実施例による原子炉格納容器の縦断面図、
第4図は第3図のA−A矢視断面図、第5図は従来の沸
騰水型原子炉の格納容器の縦断面図、第6図は従来の格
納容器におけるドライウエルとサプレンシヨンチエンバ
内との事故時における各圧力と時間との関係を示したグ
ラフ図、第7図は従来の加圧水型原子炉の格納容器の縦
断面図である。 1……原子炉圧力容器、2……蒸気発生器、4……ドラ
イウエル、5……サプレンシヨンチエンバ、6……プー
ル水、7……ダイヤフラムフロア、8……ベント管、9
……逆止弁、10……仕切隔壁、11……小空間、12……
弁。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉圧力容器と原子炉の系統設備とを格
    納するドライウエルと、前記ドライウエル内とベント管
    で連通するサプレンシヨンチエンバとから成る原子炉格
    納容器において、前記ドライウエル内を複数の小空間に
    隔離する仕切壁と、前記各小空間と前記サプレンシヨン
    チエンバとの間の連通路に設けられて止め方向を前記ド
    ライウエル側から前記サプレンシヨンチエンバ側に設定
    した各逆止弁とを備えたことを特徴とした原子炉格納容
    器の圧力抑制構造。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲の第1項において、原子炉
    の各系統設備の間に仕切壁を設けて、各小空間に前記各
    系統設備を分散内蔵したことを特徴とした原子炉格納容
    器の圧力抑制構造。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲の第1項または第2項にお
    いて、各小空間の間を開閉弁を介して連通自在にしたこ
    とを特徴とした原子炉格納容器の圧力抑制構造。
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