JP2520260B2 - 純粋なホウ酸の製法 - Google Patents

純粋なホウ酸の製法

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JP2520260B2 JP62182429A JP18242987A JP2520260B2 JP 2520260 B2 JP2520260 B2 JP 2520260B2 JP 62182429 A JP62182429 A JP 62182429A JP 18242987 A JP18242987 A JP 18242987A JP 2520260 B2 JP2520260 B2 JP 2520260B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、純粋なホウ酸の製法に係る。
ホウ酸は、工業界で広く使用されている生成物であ
る。
たとえば、ホウ素酸化物の製造、特にガラス、セラミ
ック、エナメルセクターの製法における有用な原料とな
っている。
化学生成物の多く(たとえば無機ホウ酸塩、リン酸ホ
ウ素、ふっ化ホウ酸塩及びホウ酸エステル、又はホウ素
第一鉄合金のような金属合金)は、ホウ酸から調製され
ている。他の使用は、ホウ酸の殺菌性及び殺真菌性を利
用するものである。さらに、ホウ酸はその中性子捕獲容
量の点から原子力プラントにおいて、安全部材として使
用されている。
ホウ酸は、ほとんど無機ホウ酸塩(例えばホウ酸ナト
リウム、ホウ酸カルシウム)から、できれば無機物の液
/液抽出を行なった後、硫酸水溶液で処理をして調製さ
れている。この公知の方法に関して、L.A.L.G.Watt著
「世界の鉱物と金属(World Minerals and Metals)」N
o.22,British Sulphur社,1973年,5〜12頁、及び米国特
許第2,969,275号、同第3,424,563号、同第3,479,294号
及び同第3,493,349号を引用する。
これらの方法では、不純なホウ酸が生成されるため、
その使用目的によって多かれ少なかれ、精製しなければ
ならない。通常、良好な純度のホウ酸が必要とされてお
り、少なくとも、原子力プラントにおける安全部材とし
て使用される場合には、非常に高純度でなければならな
い。
ホウ酸を精製するために、一般に、水溶液からホウ酸
を再結晶させる方法が使用される。
しかし、この方法には問題がある。すなわち、一方で
はホウ酸を必要程度まで精製できるが、他方、結晶化
(又は晶出)工程で排出される母液が、不純物が多いた
め全く再利用されずしかも汚染及びこれに含有される残
留ホウ酸の損失の点から流出液として排出してしまうに
は適していないことである。
そこで、不純ホウ酸を水性溶液から晶出せしめて精製
するにあたり、一方で、ホウ酸を完全に又はほぼ完全に
純粋な形で回収でき、他方、汚染された母液の排出を防
止又は実質的に防止できる不純ホウ酸の精製法が求めら
れている。
本発明による不純ホウ酸を精製する方法は、この要求
を満たすものである。本発明の方法は、 a)水性ビヒクルに不純なホウ酸を溶解して、不純なホ
ウ酸の水性溶液を調製し、 b)前記工程a)で調製した水性溶液から結晶化によっ
て純粋な結晶性ホウ酸を分離し、 c)前記工程b)での結晶化から排出された母液を、ま
ず強陽イオン交換樹脂、ついで弱陰イオン交換樹脂を通
過させて処理し、 d)前記工程c)で処理した母液を、前記工程a)での
不純なホウ酸を溶解させるための前記水性ビヒクルとし
て使用するため再循環する、 ことを特徴とする。
本発明の方法によって処理される不純ホウ酸は、99.9
重量%までの純度を有するものであり、不純物として硫
酸塩、マグネシウム、カルシウム及びナトリウムイオン
を含有する。
工程a) 本発明の方法に従って、前記不純ホウ酸を酸晶出工程
の母液(以下に記述する如くイオン交換樹脂で処理した
もの)でなる水性ビヒクルに溶解する。この晶出工程の
母液は、典型的には、ホウ酸を8重量%程度の濃度で含
有し、不純物を含有しない又はほぼ含有しないものであ
る。
典型的には、ホウ酸濃度が18〜22重量%である水性溶
液を調製する。この場合、温度88〜92℃で操作を行な
う。
この方法で調製された不純ホウ酸水性溶液を過し、
本発明の方法の工程b)で処理する 工程b) 断熱晶析装置において、真空下、工程a)における溶
解温度よりも低い温度(典型的には40℃程度)で工程
a)からの水性溶液からホウ酸を適宜に結晶化させる。
このようにして得られた母液中に結晶状ホウ酸を含有す
る懸濁液を濃縮し、濃縮生成物を常法に従って遠心分離
してホウ酸を分離する。
工程c) 本発明の方法に従って、工程b)での晶出から排出さ
れる母液を、強陽イオン交換樹脂、つづいて弱陰イオン
交換樹脂を連続して通過せしめて処理する。
この目的に適する強陽イオン交換樹脂は、ジビニルベ
ンゼンで架橋したポリスチレンマトリックスにスルホン
酸基を含有してなる固状樹脂であり、これらは、通常約
20〜約50メッシュの大きさの球状粒子として市販されて
いる。市販されている強陽イオン交換樹脂の例として
は、Rohm and Hass社のAmberlite IR−120、Chemical P
rocess社のDuolite C−25、Dow Chemical社のDowex 5
0、及びBayer社のLewatit S100がある。
一方、この目的に適する弱陰イオン交換樹脂は、メチ
ロール化合物とアミンとの間の縮合による固状生成物、
又はクロルメチル化し、第1級又は第2級アミン化合物
でアミノ化したスチレン共重合体である。
市販されている弱陰イオン交換樹脂の例としては、Ro
hm and Hass社のAmberlite IR−48、Amberlite IR−4
8、Amberlite IRA 94S、Chemical Process社のDuolite
A−7、Duolite A−14、及びDow Chemical社のDowex−
3がある。
これらの陰イオン交換樹脂も核状又は球状のものが使
用できる。
晶出工程の母液を最初に強陽イオン樹脂を通過せし
め、ついで弱陰イオン樹脂を通過せしめる。これら樹脂
は、長い管状装置に固定床として配置される。温度45〜
50℃、パーコレーション速度0.9〜1.1cm/秒で操作を行
なう。
この処理は、ホウ酸ではなく、晶出工程から排出され
た母液に含まれていた不純物を完全に又はほぼ完全に除
去するものである。
イオン交換樹脂は通常の酸又は塩基による処理で再生
される。
工程d) 前記工程c)で精製した後の晶出工程の母液は、典型
的には8重量%の濃度でホウ酸を含有し、不純物を全く
又は実質的に全く含有しない。従って、かかる母液を、
不純ホウ酸水性溶液を調製する前記工程a)へと再循環
できる。
本発明の方法を使用する場合、純粋なホウ酸を得るこ
とができる。純粋なホウ酸とは、99.99%を越える純度
及び100ppm以下の不純物含量を有するホウ酸を意味す
る。
さらに、本発明の方法では、ほぼ完全なホウ酸を回収
でき、汚染された母液の排出を回避できる。
以下にあげる実施例は本発明を説明するものである
が、その範囲を限定するものではない。
実施例 不純物として、鉄、ヒ素、カルシウム、マグネシウ
ム、ナトリウム、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、フッ化物
の各イオンを含有している純度99.9重量%の不純なホウ
酸を使用した。
この酸13kgを、精製し、再循環したホウ酸含量8重量
%の母液に溶解させた。この操作を90℃で処理を行な
い、含量18.6重量%でホウ酸を含有する水性溶液を得
た。
この溶液を、真空下、断熱晶析装置を使って処理し
た。ホウ酸の結晶化を行なうため、晶析装置内の温度を
約40℃に低下させた。
このようにして得られた懸濁液を濃縮し、そして濃縮
生成物を遠心分離してホウ酸を分離し、洗浄し、乾燥さ
せた。
この方法で、純度99.99%以上、不純物含量100ppm以
下のホウ酸12.9kgが得られた(収率99%)。
晶出工程からの母液を、最初に強陽イオン樹脂〔具体
的にはBayer社製LEWATIT S100(粒子サイズ0.3〜1.25m
m、総イオン交換容量約2.2eq/lを有するスルホン化ポリ
スチレン樹脂)〕の床を通過させ、ついで弱陰イオン樹
脂〔具体的にはRohm and Hass社製AMBERLITE IRA−94
(粒子サイズ16〜50メッシュ(米国基準)、総イオン交
換容量1.4eq/lを有する高多孔度の粒状樹脂)〕の床を
通過させた。
ガラスカラム内に固定床として配置した樹脂を使用
し、温度50℃、1cm/秒のパーコレーション速度で、母液
をカラムの底から上方に向けて流動させてパーコレーシ
ョンを行なった。
このようにして、不純物を実質的に含有しない精製さ
れた母液が得られ、不純ホウ酸の溶解工程へと再循環し
た。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不純なホウ酸の結晶化によって純粋なホウ
    酸を生成する方法において、 a)水性ビヒクルに不純なホウ酸を溶解して、不純なホ
    ウ酸の水性溶液を調製し、 b)前記工程a)で調製した水性溶液から結晶化によっ
    て純粋な結晶性ホウ酸を分離し、 c)前記工程b)での結晶化から排出された母液を、ま
    ず強陽イオン交換樹脂、ついで弱陰イオン交換樹脂を通
    過させて処理し、 d)前記工程c)で処理した母液を、前記工程a)での
    不純なホウ酸を溶解させるための前記水性ビヒクルとし
    て使用するため再循環する、 ことを特徴とする、純粋なホウ酸の製法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の製法におい
    て、前記工程a)での溶解を温度88〜92℃で行ない、ホ
    ウ酸18〜22重量%を含有する水性溶液を調製する、純粋
    なホウ酸の製法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の製法におい
    て、前記工程b)での結晶化を、断熱晶析装置におい
    て、温度40℃、真空下で行なう、純粋なホウ酸の製法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項に記載の製法におい
    て、前記工程c)で使用する強陽イオン交換樹脂が、ジ
    ビニルベンゼンで架橋したポリスチレンマトリックスに
    スルホン酸基を含有してなるものである、純粋なホウ酸
    の製法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項に記載の製法におい
    て、前記工程c)で使用する弱陰イオン交換樹脂が、メ
    チロール化合物とアミンとの間の縮合による固状生成
    物、又はクロルメチル化し、第1級又は第2級アミン化
    合物でアミノ化したスチレンの共重合体である、純粋な
    ホウ酸の製法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第1項に記載の製法におい
    て、工程c)を、固定床としたイオン交換樹脂を使用し
    て、結晶化からの排出母液のパーコレーション速度0.9
    〜1.1cm/秒、温度45〜50℃で行なう、純粋なホウ酸の製
    法。
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