JP2518335Y2 - 高圧滅菌器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本考案は、高圧滅菌器、特に被滅菌物の収納及び取り
出し方向を容易に変更し得る高圧滅菌器に関する。

b.従来の技術 従来、高圧滅菌器としては、第４図及び第５図に示し
た構造のものが存在する。

ここで、第４図に示したものは、一般に縦型高圧滅菌
器と呼ばれるものであり、図中101は本体ケース、102は
該本体ケース101に収納固定された上方に開口103を有す
る缶体である。該缶体102内には飽和蒸気あるいはエチ
レンオキサイドガスが充満され、缶体102内に収納され
た被滅菌物を滅菌処理する。104は上記缶体開口103を開
閉する開閉蓋であって、該開閉蓋104は支点105を中心と
して回動することにより、缶体開口103を開閉し、被滅
菌物の収納及び取り出しを行なう。

また、第５図に示したものは、横型高圧滅菌器であ
り、第４図と同一符号を付したものは同一のものであ
る。該横型高圧滅菌器においては、被滅菌物の収納及び
取り出しは横方向から行なうこととなる。

c.考案が解決しようとする課題 しかしながら、上述した縦型及び横型の高圧滅菌器
は、その被滅菌物の収納及び取り出し方向の相違から、
被滅菌物の種類により使い分けられているのが現状であ
り、例えば、フラスコ，シャーレ等の実験用ガラス器具
の滅菌、あるいは使用後の採血シリンジ，マイクロプレ
ート等のディスポ品の滅菌に際しては、上から出し入れ
できる縦型高圧滅菌器が適しており、また、ガーゼ，ほ
う帯，衛生マスク等の医療用布類、あるいはメス，はさ
み，鉗子等の手術用器具の滅菌に際しては、慎重な作業
が要求されること等から、横から出し入れ可能な横型高
圧滅菌器が使用されることが多い。

そのため、研究所，病院等によっては、上記両者のタ
イプの高圧滅菌器を準備する必要があり、設備費の高騰
を招く課題があった。

本考案は、上述した従来の高圧滅菌器が有する課題に
鑑みなされたもので、その目的は、被滅菌物の収納及び
取り出し方向を容易に変更し得る高圧滅菌器を提供する
ことにある。

d.課題を解決するための手段 本考案は、上記課題を解決するため、開閉蓋を有した
缶体内に被滅菌物を収納し、飽和蒸気あるいはエチレン
オキサイドガスによって上記缶体内に収納した被滅菌物
を滅菌処理する高圧滅菌器において、上記缶体の直径方
向に向けて、該缶体の側面に回転軸を設け、回転手段に
よって、該回転軸を中心にして該缶体を360°いずれの
角度にも回転し、かつ、該缶体を所定の角度に保持し得
るように構成した。

e.作用 本考案にかかる高圧滅菌器は、上述した如く被滅菌物
を収納する缶体を回転手段によって、360°いずれの角
度にも回転し、かつ、その所定の角度に保持し得るよう
に構成したため、一つの滅菌器によって従来の縦型及び
横型の高圧滅菌器を兼ねることができ、種々の被滅菌物
の滅菌に使用し得る高圧滅菌器を提供できる。

f.実施例 以下、本考案の実施例を、添付図面に従って詳細に説
明する。

ここで、第１図は本考案にかかる高圧滅菌器の正面
図、第２図は同側面図である。

図中１は保温及び断熱効果を有する本体ケース、２は
該本体ケース１に収納固定された有底円筒状の缶体であ
る。該缶体２の開口３は開閉蓋４によって開閉され、缶
体２内への被滅菌物の収納及び取り出しを可能としてい
る。開閉蓋４には断熱及び外観性の向上等を目的として
保護カバー５が設けられ、また、該開閉蓋４は締付ハン
ドル６を操作することにより、缶体２内が高圧となった
場合においても充分な密閉性を有する蓋体に設計されて
いる。

７は上記缶体２の底部に設けられた渦巻状の加熱ヒー
タであり、該加熱ヒータ７に通電することにより缶体２
内の底部に供給された水を蒸発させ、缶体２内を高圧蒸
気によって満す。また、８は缶体２の胴部に設置したＵ
字状の加熱ヒータであり、該加熱ヒータ８は缶体２を水
平状態に保持した場合の蒸気発生手段となる。上記加熱
ヒータ7,8は、回転対応スイッチ（図示せず）により缶
体２の状態に応じていずれかに通電されるように構成さ
れている。

９は上記缶体２内に収納配置された蒸気が通過する多
数の孔10を有する有底円筒状のスノコであり、該スノコ
９内に被滅菌物を収納することにより、被滅菌物が上記
加熱ヒータ7,8に接触したり、あるいは缶体２に設けら
れた空気抜き，安全弁のための孔11等を塞ぐのを防止し
ている。

12は缶体２内に蒸気あるいはエチレンオキサイドガス
を供給，排出するための配管であり、該配管12は後記す
る回転軸13に内蔵された配管14に連結されている。ま
た、15は操作パネルであって、該操作パネル15を操作す
ることにより、缶体２内に収納する被滅菌物の種類に応
じた滅菌条件に缶体２内を設定する。

16は回転手段であって、該回転手段16はハンドル17が
軸線上に直結されたウォーム18と、該ウォーム18と噛み
合うウォーム歯車19と、該ウォーム歯車19の回転を伝え
る缶体２の側壁に固定された上記回転軸13と、該回転軸
13を回動可能に支持する脚体20とから構成され、上記ハ
ンドル17を回転させることにより、缶体２を、該缶体２
を収納固定する本体ケース１と共に回転させる。

21は上記ウォーム歯車19と同軸上にその側壁に固定さ
れたつめ車であり、該つめ車21に電気的信号によってつ
め22を係合させ、缶体２を所定の状態で止める。

その他、23は缶体２内のドレンの排水口、24は開閉蓋
の取手、25は開閉蓋用のヒンヂである。また、26は回転
手段であるウォーム歯車19等を覆う保護カバーである。

つぎに、上述の如く構成された高圧滅菌器の使用方法
について説明する。

まず、滅菌したい被滅菌物の種類、例えば実験用ガラ
ス器具，ディスポ品等の場合においては、ハンドル17を
操作することにより第３図（ａ）に示した縦型の状態，
医療用布類，手術用器具等の慎重な作業が要求される被
滅菌物においては、出し入れが容易で、被滅菌物同士の
重りの少ない第３図（ｂ）に示した横型の状態に、各々
缶体２を回転させる。但し、缶体２の状態は、上記垂直
状態，水平状態に限らず、360°いずれの角度で使用す
ることも可能ではある。

つぎに、開閉蓋４を開放し、被滅菌物を缶体２内に収
納する。この際、スノコ９が取り外し可能である場合に
は、スノコ９に被滅菌物を収納した後、該スノコ９を缶
体２内に装填し、開閉蓋４を閉じる。

その後、加熱ヒータ7,8のいずれかに、回転対応スイ
ッチ（図示せず）により通電し、缶体２内に供給された
水を蒸発させ、缶体２内を高圧蒸気によって満す。ある
いは回転軸13に内蔵された配管14を介して、蒸気あるい
はエチレンオキサイドガスを缶体２内に供給し、缶体２
内を満す。高圧蒸気，エチレンオキサイドガスはスノコ
９に設けられた無数の孔10を通過し、内部に収納された
被滅菌物を滅菌処理する。

所定時間の滅菌処理後、加熱ヒータ7,8への通電ある
いは蒸気等の供給を止め、開閉蓋４を開放し、缶体２内
に収納した被滅菌物を取り出す。この際、ディスポ品等
の廃棄物にあっては、その破損等を考慮する必要がない
ことから、缶体２を更にハンドル17によって回転させ、
開口３が下方に向く状態とし、被滅菌物をその自重によ
って落下させても良い。

本考案にかかる高圧滅菌器は、上述の如き構成のもの
であるが、これは本考案の一実施例を示したものであっ
て、本考案は既述の実施例に限定されるものではなく、
本考案の技術的思想に基づいて、各種の変形及び変更が
可能である。

例えば、上記実施例においては、缶体２に設ける回転
手段16として、ハンドル17が軸線上に直結されたウォー
ム18と、該ウォーム18と噛み合うウォーム歯車19と、該
ウォーム歯車19の回転を伝える缶体２の側壁に固定され
た回転軸13とから主に構成したが、上記回転軸13にハン
ドル17を直結したきわめて簡単な構造のもの、あるいは
モータ及び減速器を更に上記構成に付加した複雑な構造
のもの等、缶体２を少なくとも垂直状態及び水平状態に
回転し得る構成のものであれば、既知の種々の回転手段
が採用できる。

また、高圧滅菌器は、開閉蓋４を有した缶体２内に被
滅菌物を収納し、飽和蒸気あるいはエチレンオキサイド
ガスによって上記缶体２内に収納した被滅菌物を滅菌処
理する構造のものであれば、上記実施例のものに何ら限
定されない。

g.考案の効果 本考案にかかる高圧滅菌器は、上述した如く被滅菌物
を収納する缶体を回転手段によって360°いずれの角度
にも回転し得るように構成したため、一つの滅菌器によ
って従来の縦型及び横型の高圧滅菌器を兼ねることがで
き、種々の被滅菌物の滅菌に使用し得る高圧滅菌器を提
供できる。また、被滅菌物の取り出し時に、缶体開口を
下方に向ければ被滅菌物がその自重によって落下し、取
り出し作業性も良好なものとなる。

そして、上記缶体を所定の角度に保持し得るように構
成したため、作業性の良好な任意の角度に保持したま
ま、高圧滅菌器を使用することができ、 さらに、実施例の如く、上記缶体の底部及び胴部に蒸
気を発生させる加熱ヒータを設け、該加熱ヒータを回転
対応式スイッチによる缶体が垂直状態にある場合は底部
に設けた加熱ヒータが、水平状態にある場合は胴部に設
けた加熱ヒータが各々作動するように構成すれば、高圧
滅菌器の空焚きの心配がなくなり、安全性が向上する。

また、上記缶体に蒸気あるいはエチレンオキサイドガ
スを導入する導管を連結した構造とすれば、360°いず
れの角度においても使用可能な高圧滅菌器を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図（ａ），（ｂ）は、本考案の実施例を示
したものであって、第１図は高圧滅菌器の正面図、第２
図は高圧滅菌器の側面図である。第３図（ａ），（ｂ）
は、各々高圧滅菌器を縦型及び横型にして使用した状態
を示す側面図である。 第４図及び第５図は、従来の高圧滅菌器を示したもので
あって、第４図は縦型高圧滅菌器の斜視図、第５図は横
型高圧滅菌器の斜視図である。 １……本体ケース、２……缶体、３……開口、４……開
閉蓋、7,8……加熱ヒータ、９……スノコ、12……蒸気
あるいはエチレンオキサイドガスの供給用配管、13……
回転軸、16……回転手段、17……ハンドル、18……ウォ
ーム、19……ウォーム歯車、20……脚体、21……つめ
車、22……つめ、23……排水口、26……保護カバー。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】開閉蓋を有した缶体内に被滅菌物を収納
   し、飽和蒸気あるいはエチレンオキサイドガスによって
   上記缶体内に収納した被滅菌物を滅菌処理する高圧滅菌
   器において、 上記缶体の直径方向に向けて、該缶体の側面に回転軸を
   設け、回転手段によって、該回転軸を中心にして該缶体
   を360°いずれの角度にも回転し、 かつ、該缶体を所定の角度に保持し得るように構成した
   ことを特徴とする高圧滅菌器。
2. 【請求項２】上記缶体の底部および胴部に飽和蒸気を発
   生させる加熱ヒータを設け、 該加熱ヒータを回転対応式スイッチにより缶体が垂直状
   態にある場合は底部に設けた加熱ヒータが、 水平状態にある場合は胴部に設けた加熱ヒータが各々作
   動するように構成したことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の高圧滅菌器。
3. 【請求項３】上記缶体に蒸気あるいはエチレンオキサイ
   ドガスを導入する導管を連結したことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の高圧滅菌器。