JP2516371Y2 - 筒形おむつ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は成人用使い捨ておむつ
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、成人用使い捨ておむつとしては、
乳幼児用のおむつを大形にしたものが知られており、下
腹部のほぼ全面を覆う大きさの前部パッドと臀部のほぼ
全面を覆う大きさの後部パッドとが前部パッド，後部パ
ッドの厚さより厚いものとして成形した股部パッドでつ
なげられているものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、従来の成人
用使い捨ておむつでは、股部パッドと前部パッドと後部
パッドとで排泄物の吸収を図る構造になっており、成人
の１日当りの尿の排出量が１．５〜２．０リットルであ
ることから鑑みても、特に就寝中に集中的に排泄がなさ
れた場合、股部パッドで吸収されず股部パッドからしみ
出た排泄物が前部パッドや後部パッドにまで達しておむ
つ全体を濡らすことが想定される。その場合、前部パッ
ドや後部パッドにしみた排泄物によってクライアントに
不快感を与えないとは言い難く、また、肌に付いた排泄
物によってかぶれたりする可能性があるという問題点が
あり、これらの問題点を解決することが課題となってい
た。

【０００４】

【考案の目的】そこでこの考案は、排出された尿や便を
下腹部側や臀部側にしみ込ませないようにすることで不
快感も少なく且つかぶれる心配のない筒形おむつを提供
することを目的としている。

【０００５】

【考案の構成】

【０００６】

【課題を解決するための手段】この考案に係わる筒形お
むつは排出された尿や便を下腹側や臀部側にしみ込ませ
ないようにするため、吸液性のある素材を用いて中央に
中空孔を有する状態にして渦巻形状に巻回した筒状イン
ナーと、撥液性があり且つ前記筒状インナーの外側を上
端側から下端側まで囲むとともに下端側において前記中
空孔を閉塞したアウターと、撥液性があり且つ筒状イン
ナーおよびアウターを収容しておくとともに前記筒状イ
ンナーの中空孔を所定位置に保持するホルダを備えたこ
とを特徴としており、より好ましい実施態様においてア
ウターの展開状態における上下方向の上端部分が筒状イ
ンナーの下端側外周寄りに固着されているとともに、ア
ウターの展開状態における中央部分が筒状インナーの中
空孔内で複数回捩止され、且つアウターの展開状態にお
ける下端部分が筒状インナーの上端側内周寄りに固着さ
れていることを特徴としている。

【０００７】

【考案の作用】この考案に係わる筒形おむつにおいて、
ホルダによって所定位置に保持された筒状インナーの中
空孔内に排出された尿は、下端側がアウターによって閉
塞され且つ外側もアウターによって囲まれた筒状インナ
ーにより吸収される。筒状インナーは渦巻形状に巻回さ
れた素材であるため、排出された排泄物の吸収が充分に
なされ、筒状インナーの外側のアウターおよびホルダに
よって、排泄物の外部へのしみ出しが阻止されることと
なる。

【０００８】

【実施例】図１ないし図７にはこの考案に係わる筒形お
むつの一実施例が示されている。

【０００９】図示する筒形おむつ１は主として筒状イン
ナー２、この筒状インナー２の外側を囲むアウター３、
筒状インナー２およびアウター３を入れるホルダ４とか
ら構成されている。

【００１０】筒状インナー２は、吸液性のある矩形の素
材からなり、円筒形状をなすように渦巻状に複数回巻回
されており、図２により明らかなように、中央にはほぼ
円形の内径を有する中空孔２ａが上端２ｂ（図中の上
側）から下端２ｃ（図中の下側）まで連通させて形成さ
れている。

【００１１】筒状インナー２は、吸液性のある素材が渦
巻状に複数回巻回されているので、中空孔２ａから外周
までは厚肉になっている。

【００１２】筒状インナー２の外側を囲むアウター３
は、撥液性がある筒状の薄いビニール材からなり、図２
により明らかなように、展開状態（図７参照）における
上端部分３ａは筒状インナー２の下端２ｃ側の外周寄り
全周に固着されている。また、アウター３の展開状態に
おける中間部分３ｂは筒状インナー２の中空孔２ａの下
端側においてこのアウター３が緊張するように捩り回さ
れたうえで係止された捩止部３ｃとなっている。そし
て、アウター３の前記中間部分３ｂから展開状態の上端
部分３ｄは筒状インナー２の外側を覆ったうえで筒状イ
ンナー２の上端２ｂ側の内周寄り全周に固着されてい
る。

【００１３】ここで、アウター３は展開状態における上
端部分３ａが筒状インナー２の下端２ｃ側の外周寄りに
固着されているとともに中間部分３ｂが中空孔２ａの下
端２ｃ側部分において捩止部３ｃで捩り回されたうえで
係止されているため、筒状インナー２の中空孔２ａの下
端側は水密が保持された状態で閉塞される。筒状インナ
ー２の上端２ｂ側はアウター３によって閉塞されないの
で、中空孔２ａの上端側は開放されている。

【００１４】アウター３を入れるホルダ４は、撥液性が
ある袋状の薄いビニール材からなり、図２により明らか
なように、図中の下方側は有底であり、図中の上方側は
開放されている。

【００１５】ホルダ４の下方側には、アウター３を取付
けた筒状インナー２の大きさよりもやや大きい収容部４
ａが備えられており、この収容部４ａ内には、中空孔２
ａが閉塞された筒状インナー２の下端２ｃ側を図２中の
下方側に向け、中空孔２ａが開放された筒状インナー２
の上端２ｂ側を図２中の上方側に向けた筒状インナー２
とアウター３とが入れられている。

【００１６】また、ホルダ４の上方側には、図１により
明らかなように、相対向する位置が収容部４ａに向けて
Ｕ字形状に切除されたおむつカバー係着部４ｂ、４ｃが
備えられている。おむつカバー係着部４ｂ、４ｃは収容
部４ａの上方側に夫々延出しているため、これらおむつ
カバー係着部４ｂ、４ｃは図示しないおむつカバーによ
ってクライアントの腹側、背中側にはさみ込まれること
により前記おむつカバーに係着される。

【００１７】おむつカバー係着部４ｂ、４ｃがおむつカ
バーに係着されることによって収容部４ａ内に入れた筒
状インナー２の中空孔２ａを上方側が開放し且つ下方側
が閉塞された位置で脱落不能に支持する。

【００１８】図４ないし図７にはこの考案に係わる筒形
おむつ１の作成手順が示されている。

【００１９】図４に示すように、矩形の紙製パッドであ
るインナー素材１０と、同一形状のビニール材であるア
ウター素材１１とを互いに一辺で固着したおむつ素材１
２を用い、インナー素材１０部分を図中の縦方向に三つ
折りにたたむ。

【００２０】このおむつ素材１２は市販のパッド形紙お
むつ（大きさ３０ｃｍ×６０ｃｍ、厚さ２〜３ｍｍ）の
ビニール材部分を６０ｃｍの一片を残して三方を切り開
くことによって容易に得られる。

【００２１】おむつ素材１２のインナー素材１０部分を
三つ折りにたたんで、図５に示すようにアウター素材１
１の上側に折りたたまれたインナー素材１０を備えた成
形体１３を得る。

【００２２】その次に、折りたたまれたインナー素材１
０とアウター素材１１とを図５中の後方側を内側にして
図５縦軸まわりに複数回巻回して図６に示す渦巻状の筒
状体１４を得る。

【００２３】このとき、筒状体１４のインナー素材１０
の中央に中空孔２ａが形成され、この中空孔２ａの図６
中の上方側は開放されているとともに中空孔２ａの図６
中の下方側は筒状に巻回されたアウター素材１１を介し
て開放されている。

【００２４】そこで、図７に示すように、筒状に巻回さ
れたアウター素材１１の上下方向の中央部分がインナー
素材１０の中空孔２ａの下端側において緊張するように
複数回捩り回して捩止部３ｃを形成する。アウター素材
１１のインナー素材１０側の上端はインナー素材１０に
固着されているため、インナー素材１０の中空孔２ａは
下端側がアウター素材１１の捩止部３ｃによって閉塞さ
れる。

【００２５】次いで、捩止部３ｃを形成したアウター素
材１１の図７中の下方側全周をインナー素材１０の外側
を囲むように図７中の上方側に引っ張り上げてから、ア
ウター素材１１の端部全周をインナー素材１０の上端に
おいて渦巻部分のあいだに挿入して固着する。

【００２６】これにより、図１に示すようにアウター３
に囲まれた筒状インナー２が得られる。

【００２７】一方、透明で薄いビニール材（外形３４ｃ
ｍ×２５ｃｍで透明ビニール１号）を袋状に成形したう
えで、その開放側部分の相対向する位置をＵ字形状に切
除することによって図１に示すホルダ４が得られる。

【００２８】そして、ホルダ４の収容部４ａに筒状イン
ナー２およびアウター３とを入れることによって筒状お
むつ１を得る。

【００２９】このような構造をなす筒状おむつ１を使用
するに際しては、男性の場合、就寝前に陰茎をホルダ４
の収容部４ａに入れられた筒状インナー２の中空孔２ａ
に挿し入れる。

【００３０】そして、ホルダ４のおむつカバー係着部４
ｂ、４ｃをクライアントの腹、背中に密着させながら、
ホルダ４の外側からおむつカバーを装着し、おむつカバ
ー係着部４ｂ、４ｃをクライアントの腹、背中とおむつ
カバーとではさみ込む。

【００３１】これにより、おむつカバー係着部４ｂ、４
ｃがおむつカバーに係着することで、ホルダ４に入れた
筒状インナー２の中空孔２ａ内に男性の陰茎を挿し入れ
た状態で筒状インナー２およびアウター３は保持され
る。陰茎が筒状インナー２の中空孔２ａ内に挿入される
ことで、排尿は中空孔２ａを介して筒状インナー２によ
り、排便は厚肉状の筒状インナー２により吸収されるも
のとなる。

【００３２】また、女性の場合も同様にして装着するこ
とによって排尿は中空孔２ａを介して筒状インナー２に
より、排便は厚肉状の筒状インナー２により吸収される
ものとなる。

【００３３】なお、この考案に係わる筒形おむつ１のホ
ルダ４に備えられたおむつカバー係着部４ｂ、４ｃには
むれ防止のため多数の小孔を設けたものを用いるのがよ
り好ましい。

【００３４】

【考案の効果】以上説明してきたように、この考案に係
わる筒形おむつは、ホルダによって所定位置に保持され
た筒状インナーの中空孔内に排出された排泄物を下端側
がアウターによって閉塞され且つ外側もアウターによっ
て囲まれた筒状インナーにより吸収するため、排泄物を
確実に筒状インナーにより吸収して下腹部側および臀部
側へのしみ出しを防ぐことができるので、クライアント
に対して不快感を与えることが少なく、また、排泄物の
付着によるかぶれの心配もなく、それによって安心して
就寝することができるという優れた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係わる筒形おむつの一実施例の外観
斜視説明図である。

【図２】図１に示した筒形おむつの縦断面図である。

【図３】図１に示した筒形おむつの横断面図である。

【図４】図１に示した筒形おむつの作成手順を説明する
おむつ素材の正面図である。

【図５】図１に示した筒形おむつの作成手順を説明する
成形体の正面図である。

【図６】図１に示した筒形おむつの作成手順を説明する
筒状体の正面図である。

【図７】図１に示した筒形おむつの作成手順を説明する
筒状インナーおよびアウターの正面図である。

【符号の説明】

１ 筒形おむつ ２ 筒状インナー ２ａ 中空孔 ２ｂ 上端 ２ｃ 下端 ３ アウター ４ ホルダ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸液性のある素材を用いて中央に中空孔
   を有する状態にして渦巻形状に巻回した筒状インナー
   と、 撥液性があり且つ前記筒状インナーの外側を上端側から
   下端側まで囲むとともに下端側において前記中空孔を閉
   塞したアウターと、 撥液性があり且つ筒状インナーおよびアウターを収容す
   るとともに前記筒状インナーの中空孔を所定位置に保持
   するホルダを備えたことを特徴とする筒形おむつ。
2. 【請求項２】 アウターの展開状態における上下方向の
   上端部分が筒状インナーの下端側外周寄りに固着されて
   いるとともに、アウターの展開状態における中央部分が
   筒状インナーの中空孔部分で複数回捩止され、且つアウ
   ターの展開状態における下端部分が筒状インナーの上端
   側内周寄りに固着されていることを特徴とする請求項１
   に記載の筒形おむつ。