JP2515012B2 - 吹き込み式鋳型造型機用エアベント装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、吹込み式造型機で使用される型に用いられ
る可変流路抵抗部材を備えたエアベント装置に関する。

（従来の技術） 型に形成されたキャビティ内に連結剤を被覆した砂を
圧縮空気と共に吹き込んで充填する場合、型にはその圧
縮空気の逃げ道としてキャビティに連通するエア通路が
設けられている。このエア通路は、空気だけを逃がし、
連結剤を被覆した砂の流出を防止するようにしてある。

さて、キャビティ内に連結剤を被覆した砂が充填され
ると続いて硬化ガスが送り込まれるのであるが、このガ
スは連結剤を被覆した砂に対して充分かつ均一にいきわ
たる必要がある。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、エア通路は、砂に対してはその流出を
防止することが出来るものの、気体（空気）に対しては
常に開放されているため、送り込まれた硬化ガスはエア
通路から流出してしまったり、特定のエア通路に向かっ
て流れることがあり、硬化ガスの充満の状態が悪くな
り、造型効率並びに鋳型の均質性やその他の性質が低下
するという問題があった。

そこで、本発明は、連結剤を被覆した砂の吹き込み時
の高圧な空気に対しては充分に開き、一方、硬化ガス充
填時の比較的低圧な硬化ガスに対しては閉鎖あるいは微
少開度により適切な流路抵抗を発生させて、硬化ガスを
有効に充満させると共に残留空気を排気することのので
きる可変流路抵抗部材を備えた、安価で有効性の高いエ
アベント装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明に係わる吹き込み式鋳型造型機用エアベント装
置は、吹き込み鋳型造型機の型に設けられる、キャビテ
ィに連通したエアベント通路に配備されるエアベント装
置において、前記エアベント通路に配置され、上流側に
連結剤を被覆した砂の流出を防止するエア抜き面を有す
る、筒状のエアベントキャップと、吹き込み時の高圧な
空気に対しては充分開き、硬化ガス充填時の低圧な硬化
ガスに対しては閉塞あるいは微少開度により流路抵抗を
発生させる、複数の可撓性の開閉バルブを有し、前記エ
アベントキャップの下流側に一体的に嵌着される可変流
路抵抗部材とを具備してなることを特徴とする。

（作用） 前記の如く構成したエアベント装置によれば、連結剤
を被覆した砂の吹き込み時の高圧な空気が作用すると、
エア抜き面によって砂の流出を防止する一方、可変流路
抵抗部材が充分開いてエアベント通路から空気を逃が
し、キャビティ内への砂の充填を促進する。また、硬化
ガス充填時の低圧な硬化ガスに対しては、閉塞あるいは
微少開度により流路抵抗を発生させ、キャビティ内を一
定の圧力になるまで維持し、キャビティ内に硬化ガスを
充満させる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

本発明のエアベント装置は、型３のエアベント通路４
内のエアベントキャップ１の下流側に可変流路抵抗部材
２を配設して構成されている。

型３は金型または木型等からなるもので、その内部に
は鋳型にほぼ合致したキャビティ６が形成され、このキ
ャビティ６と大気を連通するためのエアベント通路４が
所定位置に設けられている。

エアベントキャップ１は円筒形に形成され、上部（エ
アベント通路４の上流側の部分）1aには連結剤を被覆し
た砂の粒より小さい幅を有する複数のスリット７からな
るエア抜き面８が一体的に形成されている。ここで、ス
リット７の代わりにパンチング孔等を形成してもよく、
またエア抜き面８としてメッシュプレート等を用いるこ
ともできる。エアベントキャップ１の外周面には、エア
ベント通路４に挿入された時に強固に係合するためのロ
ーレット９が設けられている。また、下部1bには可変流
路抵抗部材２を取り付けるために外周が縮径された突出
部10が形成されている。

可変流路抵抗部材２は、可撓性を有するゴム等の材料
からなり、クラウン11を有する中空状の円筒形に形成さ
れ、このクラウン11には複数のバルブ12が一体的に形成
されている。すなわち、クラウン11をその中心から３方
向（第２図）、４方向（第３図）、もしくはそれ以上に
所定長さに切り込みを入れることによって複数個の可撓
性を有するバルブ12が形成される、これらのバルブ12
は、圧力が作用しない状態及び低圧力にあってはクラウ
ン11の密閉状態を保持し、圧力レベルが上昇するに従っ
て所定の開度に開く。この圧力に対するバルブ12の開度
は、クラウン11（可変流路抵抗部材２）の材質及びその
肉厚、バルブ12の数及び形状等の組み合わせにより選択
される。

そして、可変流路抵抗部材２は、エアベント通路４の
キャビティ６側端部に嵌着されたエアベントキャップ１
の突出部（エアベント通路４の下流側の部分）10に嵌着
されることにより、エアベント通路４内に設置される。

ここで、一例として、第７図に示す型３のエアベント
装置に使用される可変流路抵抗部材２についてその作用
を説明する。型３のキャビティ６の上部中央には開口部
13が設けられると共に、上部と下部にそれぞれ複数のエ
アベント通路４が設けられ、それぞれのエアベント通路
４のキャビティ６側端部には前述したエアベントキャッ
プ１と可変流路抵抗部材２とが取り付けられている。

先ず、連結剤を被覆した砂の吹込み時においては、エ
ア抜き面８により連結剤を被覆した砂の流出を防止しな
がら、該砂と共に圧送される圧縮空気を逃がし、該圧縮
空気の高圧力が可変流路抵抗部材２のバルブ12に作用
し、該バルブ12を十分開かせる。従って、圧縮空気はエ
ア抜き面８とバルブ12を通ってスムーズに排出され、連
結剤を被覆した砂の充填に支障を及ぼすことはない。一
方、連結剤を被覆した砂の封入後の硬化ガス充填時にお
いて、キャビティ６内の圧力が比較的低い場合は、バル
ブ12は閉鎖状態が維持され、硬化ガスが早く充満するよ
うになっている。次に、硬化ガスの充填に従ってキャビ
ティ６内の圧力が上昇すると、バルブ12はその圧力に対
応して微少開度から徐々に開き、残留空気の排出を行う
と共に、硬化ガスに適当な流れをもたらし、連結剤を被
覆した砂の隅々にまで硬化ガスが有効に行きわたるよう
にしている。

なお、前述の硬化ガスの有効な流れを形成するための
手段として、バルブの閉状態において若干リークをさせ
るための穴14が設けられた可変流路抵抗部材15（第４図
参照）を硬化ガスが送り込まれる開口部13から離れた位
置のエアベント通路４（第７図における下部）に設け、
バルブの閉状態において密閉となる可変流路抵抗部材２
を開口部13寄りのエアベント通路４（第７図における上
部）に設けることができる。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の吹き込み式鋳型造型機
用エアベント装置は、エアベント通路に配置され、上流
側に連結剤を被覆した砂の流出を防止するエア抜き面を
有する、筒状のエアベントキャップと、該エアベントキ
ャップの下流側に一体的に嵌着される可変流路抵抗部材
とを具備し、該可変流路抵抗部材が、連結剤を被覆した
砂の吹き込み時の圧縮空気による高圧が作用する場合、
大きな開口面積を提供して圧縮空気を逃がすため、連結
剤を被覆した砂の充填に支障を及ぼすことはない。一
方、硬化ガス充填時の比較的低圧の硬化ガスに対して
は、一定の圧力までは密閉状態を維持してその硬化ガス
のリークを防止し、その後の圧力の上昇に従って適切な
開度を提供することによって、残留空気の排出と硬化ガ
スを連結剤を被覆した砂の隅々まで有効に充満させるこ
とを促進することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のエアベント装置に使用される可変流
路抵抗部材とエアベントキャップの分解斜視図、第２図
は、３個のバルブを有する可変流路抵抗部材の上面図、
第３図は、４個のバルブを有する可変流路抵抗部材の上
面図、第４図は、穴が形成された可変流路抵抗部材の上
面図、第５図は、エアベントキャップの断面図、第６図
は、エアベントキャップと一体化された可変流路抵抗部
材のエアベント通路への挿入状態を示す一部断面図、第
７図は、本発明のエアベント装置が設けられた型の断面
図である。 １……エアベントキャップ、２……可変流路抵抗部材、
４……エアベント通路、12……バルブ、14……孔が形成
された可変流路抵抗部材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吹き込み鋳型造型機の型に設けられる、キ
   ャビティに連通したエアベント通路に配備されるエアベ
   ント装置において、 前記エアベント通路に配置され、上流側に連結剤を被覆
   した砂の流出を防止するエア抜き面を有する、筒状のエ
   アベントキャップと、 吹き込み時の高圧な空気に対しては充分開き、硬化ガス
   充填時の低圧な硬化ガスに対しては閉塞あるいは微少開
   度により流路抵抗を発生させる、複数の可撓性の開閉バ
   ルブを有し、前記エアベントキャップの下流側に一体的
   に嵌着される可変流路抵抗部材とを具備してなることを
   特徴とする吹き込み式鋳型造型機用エアベント装置。