JP2511878Y2 - 樹脂シ―ト搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、スタンパブルシート等の樹脂シートを加
熱炉で加熱した後、プレス成形装置の上下金型間に供給
するために使用される樹脂シート搬送装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕 スタンパブルシートは熱可塑性樹脂（一般にポリプロ
ピレン）をベースマトリックスとしてガラス長繊維マッ
ト等で補強した積層シートである。

従来のスタンパブルシートは、プレス成形前に加熱し
て軟化させると、シートが膨らんだり、シート表面がガ
ラス繊維で毛羽立つ現象が起き、その材料特性上、プレ
ス成形の素材に使用できるものではなかった。

最近、曲げ、絞り成形等のプレス加工、それも大きい
サイズの加工が可能なスタンパブルシートが開発され市
場に出まわりつつある。

従来、小型サイズのスタンパブルシートについては、
加熱装置とスタンピングプレス間のシート搬送を作業者
が手作業で行うか、成形プレス装置の上下金型間まで前
後進可能なキャリッジの下部に払出しパイプと、この払
出しパイプに囲まれた突刺し片とを互いに独立して上下
動可能に垂設し、突刺し片でシートを突き刺して搬送
し、払出しパイプで下金型上にシートを押し付けながら
突刺し片を抜いて供給するか、或いは、成形プレス装置
に向かい前後進可能なキャリッジの前部に、昇降可能な
昇降フレームを介して、キャリッジ移動方向に開閉可能
な一対の櫛形パレットハーフを設け、閉じた櫛形パレッ
トハーフ上にシートを載せて成形プレス装置の上下金型
間に搬送し、櫛形パレットハーフを開いてシートを下金
型上に供給していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

手作業による搬送方式では、大型サイズのスタンパブ
ルシートに対応し難いという欠点がある。突き刺しによ
る搬送方式では、プレス成形時に成形品に突刺し疵が残
るという欠点がある。櫛形パレットによる搬送方式で
は、設備が複雑で高価になると共に、設備の大型化なく
しては大型サイズのスタンパブルシートに対応し難いと
いう欠点があり、大型サイズのスタンパブルシートにつ
いては前記従来の搬送方式の延長で対応できなかった。
このため、大型サイズのスタンパブルシートについてそ
のプレス加工法と共に、加熱炉から成形プレス装置の上
下金型間への自動供給を可能とする樹脂シート搬送装置
の開発が望まれていた。

〔考案の目的〕

この考案は前記課題を解決するためになしたもので、
樹脂シートのサイズにかかわらず、加熱により軟らかく
なった樹脂シートを確実に支持しながら成形プレス装置
の上下金型間に搬入して下金型上に供給できるようにす
ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案に係る樹脂シート搬送装置は、図面に示すよ
うに、成形プレス装置３に向かい前後進可能で、樹脂シ
ートＭを載置支持して該装置３の上下金型24、25間に挿
入可能なローラテーブル４と、前記樹脂シートＭの先端
部をクランプ支持するクランパー32を有し、成形プレス
装置３に向かい前後進可能で、前記クランパー32を成形
プレス装置３の上下金型24、25間を通過した位置まで移
動可能なクランプキャリッジ26とを設けたことを特徴と
しており、かかる構成によって前記目的を達成するもの
である。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を第１図〜第７図を参照し
て説明する。

図中１は架台で、加熱炉２と成形プレス装置３との間
に設置されている。

４はローラテーブルで、加熱炉２から成形プレス装置
３へのシート移動方向に沿う多数本のガイドレール５を
架台１上に並設し、各ガイドレール５にガイドローラ６
を介して移動フレーム７を移動可能に取り付け、全ての
移動フレーム７の下部にブラケット12を固設して連結ロ
ッド８を介し一体に連結している。各移動フレーム７の
上部に、シート移動方向に沿って成形プレス装置３側に
延在するローラ支持フレーム９を固設し、このローラ支
持フレーム９の長手方向に間隔をおいてテーブルローラ
10を回転可能に取り付けている。

11はテーブル移動装置で、架台１の幅方向中央に関し
て対称な位置にある２本の移動フレーム７にブラケット
12を介してピン13（連結ロッド８を共用しても良い）に
よりリンク14の一端を連結し、このリンク14の他端にピ
ン15により一端が連結されたリンク16の他端をブラケッ
ト17を介してピン18により架台１の下部に枢着してい
る。前記２本の移動フレーム７の下部に連結されて並設
されたリンク14にクレビス19を介してピン20によりシリ
ンダ21の一端を連結し、このシリンダ21の他端をブラケ
ット22を介してピン23により架台１に枢着している。そ
して、シリンダ21によりリンク機構を介して移動フレー
ム７をシート移動方向に沿い移動させることによりロー
ラテーブル４を成形プレス装置３に向かって前後進可能
で、樹脂シートＭを載置支持して該装置３の上下金型2
4、25間に挿入可能となっている。

26はクランプキャリッジで、ローラテーブル４の両側
に位置するように架台１上にシート移動方向に沿うガイ
ドレール27を並設し、各ガイドレール27にガイドローラ
28を介して移動フレーム29を移動可能に取り付け、ロー
ラテーブル４を跨いで前記移動フレーム29間にクランプ
支持フレーム30を架設している。このクランプ支持フレ
ーム30の下部に前記テーブルローラ10の列間に位置する
ように間隔をおいてクランプ取付フレーム31を垂設して
いる。

32はクランパーで、前記各クランプ取付フレーム31に
シート移動方向に間隔をおいて一対の軸33を軸受34を介
して回転可能に取り付け、一方の軸33にカップリング35
を介してモータ36を連結し、かつ、双方の軸33に互いに
噛み合うギア37を装着している。また、クランプ取付フ
レーム31より下方、かつシート移動方向の加熱炉２側で
閉じるように前記軸33の他端部にクランプアーム38A、3
8Bの一端部を装着し、これらクランプアーム38A、38Bの
他端部に、閉じ時、水平になって上下に対向する掴持部
39を形成している。そして、各クランプ取付フレーム31
毎に設けたモータ36によりクランプアーム38Aを回転さ
せ、かつ、このクランプアーム38Aとギア機構を介し連
動してクランプアーム38Bを反対方向に回転させること
によりクランパー32を開閉可能で、閉じ時、掴持部39を
クランプ取付フレーム31より下方、かつシート移動方向
の加熱炉２側に配置してローラテーブル４上の樹脂シー
トＭの先端部をクランプ支持可能、また開き時、掴持部
39を樹脂シートクランプ位置より上方に退避可能となっ
ている。

40はキャリッジ移動装置で、前記ガイドレール27の両
端部にスプロケット41を回転可能に取り付け、これらの
スプロケット41間に、移動フレーム29に両端を連結され
たチェーン42を掛け回すと共に、一方のスプロケット41
の軸に駆動装置43を接続している。そして、駆動装置43
によりチェーン・スプロケット機構を介してクランプキ
ャリッジ26をシート移動方向に沿い移動させることによ
って各クランパー32を成形プレス装置３に向かって前後
進可能で、前進時、該装置３の上下金型24、25を通過し
た位置まで移動可能となっている。

尚、この実施例では、２本のシリンダ21によりリンク
機構を介しローラテーブル４をガイドレール５に沿って
移動させる例について説明したが、第８図に示すように
架台１に２本のシリンダチューブ44をシリンダ取付台45
を介してシート移動方向に沿わせて並設すると共に、前
記シリンダチューブ44に夫々移動可能に取り付けられた
スライダ46と、全移動フレーム７を一体に連結する連結
ロッド８とをシート移動方向でフローティングジョイン
ト47を介し連結し、シリンダチューブ44とスライダ46か
らなる２本のロッドレスシリンダ48によりローラテーブ
ル４をガイドレール５に沿って移動させるようにしても
良い。このテーブル移動装置11′を使用すると、前記テ
ーブル移動装置11に比べて、装置高さが低くなり、か
つ、ローラテーブル４の移動速度が安定すると共に、シ
リンダの駆動力を小さくできるという利点が得られる。
また、図示しないが、前記ロッドレスシリンダ48の代わ
りに、クランプキャリッジ移動装置と同様にチェーン・
スプロケット駆動方式とすることも同様の効果が得られ
る。

また、各クランパー32をモータ36により個別に駆動す
る例について説明したが、第９図〜第11図に示すよう
に、各クランパー32毎に設けられた軸33を同軸かつ一体
に連結した一本物のスプライン軸33′を一対使用し、該
スプライン軸33′に互いに対応させて間隔をおき摺動部
材49A、49Bを係合させ、該摺動部材49A、49Bを連結材50
で連結している。そして、摺動部材49A、49Bはスプライ
ン軸33′の両端部に固設された軸受59間で軸方向に移動
可能に設けている。摺動部材49Aにはクランプアーム38A
を設け、摺動部材49Bには取付アーム51を設け、この取
付アーム51先端部に直角に貫通させたクランプ軸52の一
端に抜止め部53を設け、他端に押圧部54を設け、前記ク
ランプ軸52に巻き回させて押圧部54と前記取付アーム51
との間にスプリング55を介装し、クランパー32′を構成
している。更に、スプライン軸33′のクランパー32′間
に円筒状の係合部材56を取り付け、この係合部材56及び
軸受57を介して前記クランプ取付フレーム31にスプライ
ン軸33′の中間部を支持している。各クランパー32′は
モータ36により一体に駆動されることになるが、一方の
クランプアーム38Aの掴持部39に対して他方のクランプ
アームを構成するクランプ軸52先端部の押圧部54をスプ
リング55により押圧するようにしているから、樹脂シー
トＭの先端部に撓み、厚みのバラツキ、一体軸33の捩じ
れ等があっても、クランプ力はばらつかず、また、樹脂
シートＭのクランプ時、必要最小限のクランプ力が確保
可能である。

次に、ローラテーブル４及びクランプキャリッジ26を
加熱炉２の出口前に配置した状態（スタート状態）にお
いて加熱炉２により加熱された樹脂シートＭを受け、こ
の樹脂シートＭを成形プレス装置３の上下金型24、25間
へ供給する手順を説明する。

加熱炉２内に設けたコンベヤ58で炉外に樹脂シートＭ
の先端部を一定量だけ搬出させる（定寸搬出）。搬出さ
れた樹脂シートＭの先端部はローラテーブル４上に支持
される。

各クランパー32毎にモータ36でクランプアーム38A、3
8Bを閉じ方向（掴持部39の接近方向）に回転させる。各
クランパー32でクランプアーム38A、38Bの掴持部39間に
樹脂シートＭの先端部がクランプ支持されることにな
り、樹脂シートＭの先端部に撓み、厚みのバラツキがあ
っても充分に対応可能である。

キャリッジ移動装置40（駆動装置43）でクランプキャ
リッジ26を成形プレス装置３側に前進させ、その際、ク
ランプキャリッジ26の移動と同期させて加熱炉２内のコ
ンベヤ58も作動させる。樹脂シートＭは先端部をクラン
パー32によりクランプ牽引され、かつ、コンベヤ44、ロ
ーラテーブル４上に支持されながら炉外に搬出されるこ
とになり、ローラテーブル４上に載置支持された状態を
維持する。

テーブル移動装置11（シリンダ21）でローラテーブル
４を成形プレス装置３側に前進させると共に、ローラテ
ーブル４の移動と同期してキャリッジ移動装置40（駆動
装置43）でクランプキャリッジ26を成形プレス装置３側
に前進させる。樹脂シートＭはローラテーブル４上に載
置支持された状態で成形プレス装置３の上下金型24、25
間に挿入され、かつクランプキャリッジ26のクランパー
32は成形プレス装置３の上下金型24、25を通過した位置
に配置されている。

テーブル移動装置11（シリンダ21）でローラテーブル
４を加熱炉２の出口前のスタート位置まで後退させる。
樹脂シートＭの先端部はクランパー32によりクランプ支
持されており、樹脂シートＭは後退しないから、ローラ
テーブル４は樹脂シートＭの下面にテーブルローラ10で
転接しながら後退し、樹脂シートＭは成形プレス装置３
の上下金型24、25間への挿入位置を保持する。そして、
テーブルローラ10による支持がなくなった時点で樹脂シ
ートＭは下金型25上に載置される（シート供給完了）。

モータ36でクランパー32のクランプアーム38A、38Bを
開き方向（掴持部39の離間方向）に回転させる。樹脂シ
ートＭの先端部はアンクランプされる。

キャリッジ移動装置40（駆動装置43）でクランプキャ
リッジ26を加熱炉２の出口前のスタート位置まで後退さ
せる。

上記手順〜の手順を繰り返す。

〔考案の効果〕

以上の通り、この考案は、加熱により軟らかくなった
樹脂シートをローラテーブルにより支持しながら成形プ
レス装置の上下金型間に搬入した後、クランプキャリッ
ジでのクランパーによる先端クランプでその搬入位置を
保持しながらローラテーブルを後退させ、かつ、クラン
パーの解放で樹脂シートを成形プレス装置の下金型上に
供給し、しかる後、クランプキャリッジを後退させると
いうシーケンシャルな自動化供給動作が可能となり、樹
脂シート供給作業の能率向上が図れる。また、樹脂シー
トを載置支持するローラテーブルと、クランパーで樹脂
シートの先端部をクランプ支持するクランプキャリッジ
との併用で樹脂シートのサイズ制限が少なくなり、大型
サイズの樹脂シートについても充分使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を全体的に示す平面図、第
２図、第３図は第１図の拡大したＣ〜線、Ｄ〜線に沿う
正面図、第４図、第５図は第３図のＥ〜線、Ｆ〜線に沿
う左側面図、第６図は第３図のＧ部分の拡大詳細図、第
７図は第６図のＨ〜線に沿う左側断面図、第８図は第３
図に示したものとは異なる他のテーブル移動装置を示す
正面図、第９図は第６図に示したものとは異なる他のク
ランパーを示す右側断面図、第10図は第６図に対応した
第９図のＩ〜線に沿う断面図、第11図は第９図のＪ〜線
に沿う断面図である。 Ｍ……樹脂シート、１……架台、２……加熱炉、３……
成形プレス装置、４……ローラテーブル、５……ガイド
レール、６……ガイドローラ、７……移動フレーム、８
……連結ロッド、９……ローラ支持フレーム、10……テ
ーブルローラ、11、11′……テーブル移動装置、12、1
7、22……ブラケット、13、15、18、20、23……ピン、1
4、16……リンク、19……クレビス、21……シリンダ、2
4、25……金型、26……クランプキャリッジ、27……ガ
イドレール、28……ガイドローラ、29……移動フレー
ム、30……クランプ支持フレーム、31……クランプ取付
フレーム、32、32′……クランパー、33……軸、33′…
…スプライン軸、34……軸受、35……カップリング、36
……モータ、37……ギア、38A、38B、38B′……クラン
プアーム、39……掴持部、40……キャリッジ移動装置、
41……スプロケット、42……チェーン、43……駆動装
置、44……シリンダチューブ、45……シリンダ取付台、
46……スライダ、47……フローティングジョイント、48
……ロッドレスシリンダ、49A、49B……摺動部材、50…
…連結材、51……取付アーム、52……クランプ軸、53…
…抜止め、54……押圧部、55……スプリング.56……係
合部材、57、59……軸受．

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】成形プレス装置に向かい前後進可能で、樹
   脂シートを載置支持して該装置の上下金型間に挿入可能
   なローラテーブルと、前記樹脂シートの先端部をクラン
   プ支持するクランパーを有し、成形プレス装置に向かい
   前後進可能で、前記クランパーを成形プレス装置の上下
   金型間を通過した位置まで移動可能なクランプキャリッ
   ジとを設けたことを特徴とする樹脂シート搬送装置。