JP2511706B2 - リン酸エステル - Google Patents

リン酸エステル

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JP2511706B2 JP63324650A JP32465088A JP2511706B2 JP 2511706 B2 JP2511706 B2 JP 2511706B2 JP 63324650 A JP63324650 A JP 63324650A JP 32465088 A JP32465088 A JP 32465088A JP 2511706 B2 JP2511706 B2 JP 2511706B2
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    • C07F9/65502Heterocyclic compounds, e.g. containing phosphorus as a ring hetero atom having oxygen atoms, with or without sulfur, selenium, or tellurium atoms, as the only ring hetero atoms the oxygen atom being part of a three-membered ring
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なリン酸エステルに関し、さらに詳細に
は、次の一般式(I) 〔式中Zは次の基 (ここで、R1およびR2はそれぞれ水素原子または飽和も
しくは不飽和の炭素数5〜36の直鎖もしくは分岐鎖のア
シル基もしくはアルキル基もしくはアルケニル基を示
す。但し、R1およびR2の両方が水素原子であることはな
い)を示し、Mは水素原子もしくはアルカリ金属、アル
カリ土類金属、アンモニウム、アルキルアミンもしくは
アルカノールアミンを示す〕 で表わされるリン酸エステル及び一般式(II) (式中、Xはハロゲン原子を示し、Z、R1、R2及びMは
前記に同じ) で表わされるリン酸エステルに関する。
〔従来の技術〕
リン酸エステルは、現在、洗浄剤、繊維処理剤、乳化
剤、防錆剤、液体イオン交換体、または医薬品等として
幅広い分野で利用されている。
本発明者らは、このリン酸エステルの利用分野を広げ
るべく鋭意研究をおこない、先に次の式(III) で代表される分子内にグリシジル基を有する新規なリン
酸エステル及び簡単な操作によるその製造法を開発した
(特開昭62−249995号)。
この式(III)で代表されるリン酸エステルは、グリ
シジル基を有するので、アミノ酸、ペプチド、タンパク
質の修飾剤として有用であり、また、重合性基を有した
モノマーとして、あるいは高分子化合物の修飾剤として
利用され得るものであり、さらに従来、工業的に得るこ
とが困難であつた分子内に四級アンモニウム塩を有する
リン酸エステルを容易に合成することができる反応剤で
あるため極めて利用範囲の広い化合物である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記リン酸エステル(III)の一方の
置換基がアルキル基であるため、生体内にこれを代謝す
る加水分解酵素が存在せず、生体内で分解されにくいの
で、体内に残留蓄積する等生体親和性に問題があつた。
〔課題を解決するための手段〕
かかる実状において、本発明者らは更に鋭意研究を行
なつた結果、アルキル基を代えてグリセリン骨格を有す
る基を置換基として有する前記式(II)で表わされるリ
ン酸エステルと塩基性化合物とを反応させることにより
容易に前記式(I)で表わされるリン脂質にグリシジル
基を導入したリン酸ジエステルが合成出来ること並びに
このリン酸エステル(I)及びその誘導体は、生体内に
存在する酵素により容易に分解されることを見出し、本
発明を完成した。
従つて、本発明は新規な(I)式で表わされるリン酸
エステルを提供するものである。
また、本発明は(I)式で表わされるリン酸エステル
を合成するための中間体である(II)式で表わされる新
規なリン酸エステルを提供するものである。
本発明の(I)及び(II)式で表わされるリン酸エス
テルにおいて、R1およびR2で表わされる炭素数5〜36の
飽和または不飽和の直鎖もしくは分岐鎖のアシル基、ア
ルキル基もしくはアルケニル基としては、バレロイル、
カプロイル、エナンソイル、カプリロイル、ウンデシロ
イル、ラウロイル、トリデカノイル、ミリストイル、ペ
ンタデカノイル、パルミトイル、ヘプタデカノイル、ス
テアロイル、アラキロイル、ヘベニロイル、アクリロイ
ル、ピバロイル、ドデセノイル、ドコソイル、シンナモ
イル、イソバレリル、ヘキセノイル、ドデセノイル、ヘ
キサデセノイル、オクタデセノイル、オクタデカジエノ
イル、エイコサジエノイル、トリアコンタジエノイル、
テトラデカトリエノイル、ヘキサトリエノイル、オクタ
トリエノイル、ペンチル、ヘプチル、ヘキシル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラドデシル、ヘキ
サデシル、オクタデシル、ウンデシル、トリデシル、ミ
リスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステ
アリル、アラキル、ドコシル、テトラコシル、トリアコ
ンチル、2−エチルヘキシル、2−オクチルドデジル、
2−ウンデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタ
デシル、モノメチル分岐イソステアリル、ヘキセニル、
オクテニル、デセニル、ドデセニル、ヘキサデセニル、
オクタデセニル、テトラコセニル、トリアコンテニル基
等が挙げられる。
リン酸エステル(I)を合成するための中間体である
リン酸エステル(II)は、例えば次の反応式(A)によ
つて示される方法によつて製造する事が出来る。
反応式(A): (式中、Z、M、Xは前記に同じ) すなわち、グリセロホスフアチジン酸モノ塩(リン脂
質)(IV)とハロゲン置換エポキシ化合物(V)とを常
法に従い反応させることにより製造される。
上記反応において、一般式(IV)で表わされるグリセ
ロホスフアチジン酸モノ塩はジアシルエステル型、モノ
アシルエステル型(リゾ型)、モノアルケニルエーテル
型(プラスモローゲン型)、モノアルキルエーテル型、
モノアルキルエーテルモノアシル型、ジアルキルエーテ
ル型、シクロアルキリデン型のグリセロリン脂質のいず
れであつても良く、これらのリン脂質は公知の方法によ
つて天然物より抽出採取または合成して得たものを利用
出来る。化合物(IV)の対イオンとしてはナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム、アルキ
ルアミン、アルカノールアミン、等が挙げられるが、好
ましくはアルカリ金属、アンモニウムである。式(I)
の化合物としては、単独または混合物として用いても良
いし、また、R1及びR2としては、卵黄組成、大豆組成等
の天然由来の分布をそのまま用いても良いし、また、こ
れらが同一もしくは異なつていても良い。
上記反応に用いる溶媒としては、クロロホルム、ジク
ロルメタン、メタノール、テトラヒドロフラン、エタノ
ール等およびこれらの混合物が挙げることが出来る。反
応温度としては−30℃〜100℃の範囲で行なえばよい
が、得られた生成物が分解してしまうことを避けるた
め、低温の方が好ましく、特には−10℃〜70℃で反応を
行なうのが好ましい。
原料のリン脂質(IV)と反応させるハロゲン置換エポ
キシ化合物(V)としては、エピクロルヒドリン、エピ
ブロモヒドリン、エピアイオドヒドリン等が挙げられ、
単独あるいは混合物でも良い。ハロゲン置換エポキシ化
合物(V)の添加量は(IV)と等モルでも反応し目的物
(II)が得られるが、反応収率を上げるために2〜10倍
モル用いるのが好ましい。
本発明のリン酸エステル(I)は、例えば次の反応式
(B)によつて示される方法によつて製造することが出
来る。
反応式(B): (式中、Z、M、Xは前記に同じ。但し、M=水素原子
の場合には反応式中においてさらにもう1当量の塩基性
物質が必要) 加える塩基化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
また、添加する量は一般式(II)で示される化合物と少
なくとも等モル以上であり、通常は等モル量あるいは等
モルより幾分過剰量用いればよく、前記反応式に従い定
量的に反応する。
上記反応に用いる溶媒としては、水、エタノール、メ
タノール、クロロホルムなどを適当に組み合わせた混合
系が挙げられ、反応温度としては−15℃〜40℃の範囲で
行なえば良いが、0℃〜5℃で行なうのが好ましい。
本反応において反応時に塩が副生するが、本発明の化
合物を使用するにあたつてはその使用目的によつて反応
生成物をそのまま用いることも可能である。
なお、本発明の本反応のリン酸エステル(I)及び
(II)は上記方法のほか、酵素(ホスホリパーゼD)を
利用したトランスフオスフアチジレーシヨンによつても
合成可能である。
叙上の如くして得られる本発明化合物(I)及び(I
I)は、一般にはアルカリ金属塩であるが、これは必要
に応じ塩交換したり、あるいは塩を除去して酸型リン酸
エステル(式(I)及び(II)中、M=H)とすること
ができる。酸型リン酸エステルは、リン酸エステル
(I)又は(II)のモノ塩をクロロホルム、メタノー
ル、水等の適当な溶媒に溶かし、酸性水で処理すること
により容易に得られる。また、カルシウム等のアルカリ
土類金属塩はその酸型のリン酸エステル溶液にアルカリ
土類金属の塩化物等、例えば塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、を加えれば得られる。更に、本発明のリン酸
エステル(I)又は(II)のアンモニウム、アルキルア
ミン及びアルカノールアミン塩は反応原料にそれぞれ対
応するアンモニウム、アルキルアミン及びアルカノール
アミン塩を用いることにより得られるが、本発明のリン
酸エステル(I)、(II)の酸型(M=H)の化合物を
アンモニア水、トリエチルアミン、トリエタノールアミ
ン等で中和することによつても得ることが出来る。
〔発明の効果〕
本発明のリン酸エステル(I)は生体構成成分を基本
骨格とするため、これにより修飾されたアミノ酸、ペプ
チド、蛋白質は生体適合性が良く、食品、医薬等の幅広
い分野で応用し得る。また、本反応のリン酸エステル
(I)を用い、例えば次の反応式(C)に従つてアミン
化合物と反応させれば、従来工業的に得ることが困難で
あつた分子内に四級アンモニウム塩を有するリン脂質、
即ち親水性部分にリン酸酸性基とアミノ酸とを持ち合わ
せたベタイン構造を有する両親媒性化合物を容易に製造
することが出来る。
(式中、A、M及びZは前記と同様の基であることを示
し、R3、R4、R5は水素原子、あるいは有機基であること
を示す) また、本発明のリン酸エステル(I)を他の種々のア
ミノ化合物や、他の活性水素化合物等と反応させること
により種々の親水性基を持つたリン脂質に誘導されるも
のである。また、グリシジル基そのものの重合性、ある
いは高分子に対する反応性を利用して、高分子の分野に
おいてモノマーとしてあるいは高分子化合物の修飾剤と
して、さらには蛋白質の修飾剤としても利用され得るも
のである。
〔実施例〕
以下実施例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説
明する。
実施例1 ジパルミトイルホスフアチジルモノクロルヒドリン
(式(II)中、R1=R2=パルミトイル、X=塩素、M=
ナトリウムの化合物)の合成: 撹拌装置、温度計、冷却管及び滴下ロートを取り付け
た1の四つ口フラスコ(以下反応器と略す)にジパル
ミトイルホスフアチジン酸モノナトリウム塩(SIGMA社
製を精製したもの、純度98%以上、以下DPPA−Naと略
す)333mg(0.5mmol)、クロロホルム300ml及びメタノ
ール150mlを加え撹拌、溶解させた。その溶液を窒素雰
囲気下で還流温度まで加温した後、そこにエピクロルヒ
ドリン254mg(2.75mmol)を加えた。反応進行状況を薄
層クロマトグラフィー(TLC)で確認しながら還流温度
で撹拌を続け、原料のDPPA−Naの消失を確認して反応を
終了させた。その後、反応溶液を濃縮し、分取用TLCプ
レート(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノー
ル:25%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分解精製して
Rf=0.68の部分を分取することにより、ジパルミトイル
ホスフアチジルモノクロルヒドリン210mg(収率57.5
%)を得た。
得られたジパルミトイルホスフアチジルモノクロルヒ
ドリンについてNMR、IR、元素分析にて分析を行ない、
構造を確認した。以下にそのデータを示す。
1H−NMR(270MHz、日本電子社製);(CDCl3:CD3OD=
2:1、TMS基準、ppm): 0.82(t,6H、パルミトイル基(PAと略す)末端メチル) 1.25(s、56H、PAメチレン) 1.54(m、4H、PAカルボニルβメチレン) 2.25(m、4H、PAカルボニルαメチレン) 3.52(m、3H、POCH2(OH)、CH2CH(OH)CH2Cl) 3.80(m、2H、POCH2(OH)、CH2CH(OH)CH2Cl) 3.96(m、2H、ホスフアチジル基(PHと略す)1−メチ
レン) 4.18(m、1H、PH3−メチレン) 4.40(m、1H、PH3−メチレン) 5.23(m、1H、PH2−メチレン) 元素分析: IRスペクトル(第1図): 3300cm-1(PO−H) 2950、2880cm-1(C−H) 1760cm-1(C=0) 1492cm-1(C−H) 1240cm-1(P=0) 1120−1050cm-1(C−O−P−O) 実施例2 ジパルミトイルホスフアチジルプロペノールオキシド
(式(I)中、R1=R2=パルミトイル、M=ナトリウム
の化合物)の合成: 反応器に実施例1で合成したジパルミトイルホスフア
チジルモノクロルヒドリン200mg(0.266mmol)、クロロ
ホルム200ml及びエタノール50mlを加え撹拌、溶解させ
た。反応溶液を−10℃から0℃に冷却して、上記クロル
ヒドリンと等モルの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、
30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、分取用TL
C(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノール:25
%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分離精製してRf=
0.51の部分を分取することにより、目的物であるジパル
ミトイルホスフアチジルプロピレンオキシド152mg(収
率76%)を得た。
得られたジパルミトイルホスフアチジルプロペノール
オキシドについてNMR、IR、元素分析にて分析を行な
い、構造を確認した。以下にそのデータを示す。1 H−NMR(270MHz、日本電子社製);(CDCl3:CD3OD=2:
1、TMS基準、ppm): 0.82(t,6H、パルミトイル基(PAと略す)末端メチル) 1.25(s、56H、PAメチレン) 1.54(m、4H、PAカルボニルβメチレン) 2.25(m、4H、PAカルボニルαメチレン) 2.75(m、1H、グリシジル基末端メチレン) 2.84(m、1H、グリシジル基末端メチレン) 3.25(broud、1H、グリシジル基メチン) 3.6−4.0(m、4H、CH2OPOCH2) 3.96(m、2H、ホスフアチジル基(PHと略す)1−メチ
レン) 4.18(m、1H、PH3−メチレン) 4.40(m、1H、PH3−メチレン) 5.23(m、1H、PH2−メチレン) 元素分析: IRスペクトル(第2図): 3300cm-1(PO−H) 2950、2880cm-1(C−H) 1760cm-1(C=0) 1492cm-1(C−H) 1240cm-1(P=0) 1120−1050cm-1(C−O−P−O) 実施例3 大豆組成ホスフアチジルモノクロルヒドリン及び大豆組
成ホスフアジルプロペノールオキシドの合成: (i) 反応器に大豆ホスフアチジン酸モノナトリウム
塩(大豆から抽出したリン脂質を酵素(PHOSPHOLIPASE
−D)により加水分解したもの、以下大豆PA−Naと略
す)300mg(0.5mmol)、クロロホルム300ml及びメタノ
ール150mlを加え撹拌、溶解させた。その溶解を窒素雰
囲気下で還流温度まで加温した後、そこにエピクロルヒ
ドリン250mg(2.75mmol)を加えた。反応進行状況を薄
層クロマトグラフイー(TLC)で確認しながら還流温度
で撹拌を続け、原料の大豆PA−Naの消失を確認して反応
を終了させた。その後、反応溶液を濃縮し、分取用TLC
プレート(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノ
ール:25%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分解精製し
てRf=0.72〜0.64の部分を分取することにより、大豆組
成ホスフアチジルモノクロルヒドリン190mgを得た。
(ii) このようにして得た大豆組成ホスフアチジルモ
ノクロルヒドリン、クロロホルム200ml及びエタノール5
0mlを反応器に加え撹拌、溶解させた。反応溶液を−10
℃から0℃に冷却して、上記クロルヒドリンと等モルの
水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、30分間撹拌した。そ
の後、溶媒を減圧除去し、分取用TLC(シリカゲル、展
開液はクロロホルム:メタノール:25%アンモニア水:
水=50:20:2:1)で分解精製してRf=0.55〜0.49の部分
を分取することにより、目的物である大豆組成ホスフア
チジルプロペノールオキシド82mg得た。
得られた大豆組成ホスフアチジルプロペノールオキシ
ドについてNMRにて分析を行い、その構造を確認した。1 H−NMR(270MHz、日本電子社製);(CDCl3:CD3OD=2:
1、TMS基準、ppm): 0.82(t、6H、脂肪酸基(FAと略す)末端メチル) 1.25(s、54H、FAメチレン) 1.54(m、4H、FAカルボニルβメチレン) 2.05(m、2.2H、FAオレフインメチレン) 2.25(m、4H、FAカルボニルαメチレン) 2.75〜2.95(m、6.2H、グリシジル基末端メチレン、FA
オレフイン間メチレン) 3.25(broud、1H、グリシジル基メチン) 3.6〜4.0(m、4H、CH2OPOCH2) 3.96(m、2H、ホスフアチジル基(PHと略す)1−メチ
レン) 4.18(m、1H、PH3−メチレン) 4.40(m、1H、PH3−メチレン) 5.23(m、1H、PH2−メチレン) 5.33(m、6.3H、FAオレフイン) 実施例4 1−デカノイル−2−ペンタノイルグリセロ−3−ホス
フオプロペノールオキシド(式(I)中、R1=デカノイ
ル、R2=ペンタノイル、M=カリウムの化合物)の合
成: (i) 反応器に1−デカノイル−2−ペンタノイルグ
リセロ−3−リン酸モノカリウム塩300mg(0.695mmo
l)、クロロホルム300ml及びメタノール150mlを加え撹
拌、溶解させた。その溶液を窒素雰囲気下で還流温度ま
で加温した後、そこにエピクロルヒドリン275mg(2.97m
mol)を加えた。反応進行状況を薄層クロマトグラフイ
ー(TLC)で確認しながら還流温度で撹拌を続け、原料
の1−デカノイル−2−ペンタノイルグリセロ−3−リ
ン酸モノカリウム塩の消失を確認して反応を終了させ
た。その後、反応溶液を濃縮し、分取用TLCプレート
(シリカゲル、展開後はクロロホルム:メタノール:25
%アンモニア水:水=50:22:2:1)で分離精製してRf=
0.49〜0.43の部分を分取することにより、1−デカノイ
ル−2−ペンタノイルグリセロ−3−ホスフオモノクロ
ルヒドリン212mgを得た。
(ii) このようにして得た1−デカノイル−2−ペン
タノイルグリセロ−3−ホスフオモノクロルヒドリン、
クロロホルム200ml及びエタノール50mlを反応器に加え
撹拌、溶解させた。反応溶液を−10℃から0℃に冷却し
て、上記クロルヒドリンと等モルの水酸化ナトリウム水
溶液を滴下し、30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧除
去し、分取用TLC(シリカゲル、展開液はクロロホル
ム:メタノール:25%アンモニア水:水=50:22:2:1)で
分離精製してRf=0.55〜0.49の部分を分取することによ
り、目的物である1−デカノイル−2−ペンタノイルグ
リセロ−3−ホスフアチジルプロペノールオキシド130m
g(原料のホスフアチジン酸塩に対する収率39.5%、以
下の収率も同様)を得た。
元素分析: 実施例5 ジオクタデセルノイルグリセロ−3−ホスフオプロペノ
ールオキシド(式(I)中、R1=R2=オクタデセノイ
ル、M=モノエタノールアミンの化合物)の合成: (i) 反応器にジオクタデセノイルグリセロ−3−リ
ン酸モノエタノールアミン塩300mg(0.357mmol)、クロ
ロホルム300ml及びメタノール150mlを加え撹拌、溶解さ
せた。その溶液を窒素雰囲気下で還流温度まで加温した
後、そこにエピクロルヒドリン169mg(1.83mmol)を加
えた。反応進行状況を薄層クロマトグラフイー(TLC)
で確認しながら還流温度で撹拌を続け、原料のジオクタ
デセノイルグリセロ−3−リン酸モノエタノールアミン
酸の消失を確認して反応を終了させた。その後、反応溶
液を濃縮し、分取用TLCプレート(シリカゲル、展開後
はクロロホルム:メタノール:25%アンモニア水:水=5
0:20:2:1)で分離精製してRf=0.49〜0.43の部分を分取
することにより、ジオクタデセノイルグリセロ−3−ホ
スフオモノクロルヒドリン171mg(収率52.2%)を得
た。
(ii) このようにして得たジオクタデセノイルグリセ
ロ−3−ホスフオモノクロルヒドリン、クロロホルム20
0ml及びエタノール50mlを反応器に加え撹拌、溶解させ
た。反応溶液を−10℃から0℃に冷却して、上記クロル
ヒドリンと等モルの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、
30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、分取用TL
C(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノール:25
%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分離精製してRf=
0.40〜0.37の部分を分取することにより、目的物である
ジオクタデセルノイルグリセロ−3−ホスフアチジルプ
ロペノールオキシド60mg(収率19%)を得た。
元素分析: 実施例6 ジトリアコンテノイルグリセロ−2−ホスフオプロペノ
ールオキシド(式(I)中、R1=R2=トリアコンテノイ
ル、M=ナトリウムの化合物)の合成: (i) 反応器にジトリアコンテノイルグリセロ−2−
リン酸モノナトリウム塩300mg(0.278mmol)、クロロホ
ルム300ml及びメタノール150mlを加え撹拌、溶解させ
た。その溶液を窒素雰囲気下で還流温度まで加温した
後、そこにエピクロルヒドリン131mg(1.42mmol)を加
えた。反応進行状況を薄層クロマトグラフイー(TLC)
で確認しながら還流温度で撹拌を続け、原料のジトリア
コンテノイルグリセロ−2−リン酸モノナトリウム塩の
消失を確認して反応を終了させた。その後、反応溶液を
濃縮し、分取用TLCプレート(シリカゲル、展開液はク
ロロホルム:メタノール:25%アンモニア水:水=50:2
0:2:1)で分離精製してRf=0.65の部分を分取すること
により、ジトリアコンテノイルグリセロ−2−ホスフオ
モノクロルヒドリン155mg(収率48.2%)を得た。
(ii) このようにして得たジトリアコンテノイルグリ
セロ−2−ホスフオモノクロルヒドリン、クロロホルム
200ml及びエタノール50mlを反応器に加え撹拌、溶解さ
せた。反応溶液を−10℃から0℃に冷却して、上記クロ
ルヒドリンと等モルの水酸化ナトリウム水溶液を滴下
し、30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、分取
用TLC(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノー
ル:25%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分離精製して
Rf=0.54の部分を分取することにより、目的物であるジ
トリアコンテノイルグリセロ−2−ホスフオプロペノー
ルオキシド127mg(収率51.8%)を得た。
元素分析: 実施例7 ジオクタデシルグリセロ−3−ホスフオプロペノールオ
キシド(式(I)において、R1=R2オクタデシル、M=
ナトリウムの化合物)の合成: (i) 反応器にジオクタデシルグリセロ−3−リン酸
モノナトリウム塩250mg(0.351mmol)、クロロホルム30
0ml及びメタノール150mlを加え撹拌、溶解させた。その
溶液を窒素雰囲気下で還流温度まで加温した後、そこに
エピクロルヒドリン166mg(1.79mmol)を加えた。反応
進行状況を薄層クロマトグラフイー(TLC)で確認しな
がら還流温度で撹拌を続け、原料のジオクタデシルグリ
セロ−3−リン酸モノナトリウム塩の消失を確認して反
応を終了させた。その後、反応溶液を濃縮し、分取用TL
Cプレート(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタ
ノール:25%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分離精製
してRf=0.70の部分を分取することにより、ジオクタデ
シルグリセロ−3−ホスフオモノクロルヒドリン139mg
(収率50.0%)を得た。
(ii) このようにして得た、ジオクタデシルグリセロ
−3−ホスフオモノクロルヒドリン、クロロホルム200m
l及びエタノール50mlを反応器に加え撹拌、溶解させ
た。反応溶液を−10℃から0℃に冷却して、上記クロル
ヒドリンと等モルの水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、
30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧除去し、分取用TL
C(シリカゲル、展開液はクロロホルム:メタノール:25
%アンモニア水:水=50:20:2:1)で分離精製してRf=
0.54の部分を分取することにより、目的物であるジオク
タデシルグリセロ−3−ホスフオプロペノールオキシド
81mg(収率30.7%)を得た。
元素分析: 試験例1 酵素による分解性試験: 実施例3で得られた大豆組成ホスフアチジルモノクロ
ルヒドリン及び大豆組成ホスフアチジルプロペノールオ
キシドをそれぞれクロロホルムに溶かし、その溶液に25
0mMカルシウムイオンを含むpH7をリン酸緩衝溶液に溶か
したホスフオリパーゼA2(SIGMA社製)を加え、40℃で
6時間撹拌後、その原料の消失をTLCにて確認したとこ
ろ、いずれもその分解率は100%であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得たジパルミトイルホスフアチジ
ルモノクロルヒドリンの、第2図は実施例2で得たジパ
ルミトイルホスフアチジルプロペノールオキシドのIRス
ペクトルを示す図面である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 〔式中Zは次の基 (ここで、R1およびR2はそれぞれ水素原子または飽和も
    しくは不飽和の炭素数5〜36の直鎖もしくは分岐鎖のア
    シル基もしくはアルキル基もしくはアルケニル基を示
    す。但し、R1およびR2の両方が水素原子であることはな
    い)を示し、Mは水素原子もしくはアルカリ金属、アル
    カリ土類金属、アンモニウム、アルキルアミンもしくは
    アルカノールアミンを示す〕 で表わされるリン酸エステル。
  2. 【請求項2】一般式(II) 〔式中Zは次の基 (ここで、Xはハロゲン原子を、R1およびR2はそれぞれ
    水素原子または飽和もしくは不飽和の炭素数5〜36の直
    鎖もしくは分岐鎖のアシル基もしくはアルキル基もしく
    はアルケニル基を示す。但し、両方が水素原子であるこ
    とはない)を示し、Mは水素原子もしくはアルカリ金
    属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアミン
    もしくはアルカノールアミンを示す〕 で表わされるリン酸エステル。
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