JP2511680B2 - 糸条の巻取機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高速で糸条を巻取る糸条の巻取機に関する。

〔従来の技術〕

従来のフリクションタイプの糸条巻取機として、フリ
クションローラとトラバース装置を互いに平行に突設さ
せ、該トラバース装置によって糸条を綾振り、該フリク
ションローラと接触して回転するボビンホルダに装着し
たボビン上に、パッケージを形成するようになしたもの
がある。

更にまた、従来のスピンドル駆動タイプの糸条巻取機
として、ボビンを装着するボビンホルダを具備したスピ
ンドルを駆動回転可能に設け、トラバース装置と平行に
突設したコンタクトローラをボビンホルダに装着したボ
ビンまたはその上に形成したパッケージに接触させて、
スピンドルの回転速度を所定速度に制御したり、パッケ
ージの巻き形状を整えたりするようにしたものがある。

これらの従来の糸条巻取機においては、糸条をトラバ
ースガイドで綾振る際の糸条の遅れ（即ち、フリーレン
グスによる糸条の遅れ）を小さくするためにフリーレン
グスを、可能な限り短くすることが好ましい。その結
果、フリクションコーラまたはコンタクトローラとトラ
バースガイドの間隙が小さく（通常1mmから2mmとな
る。）設定されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

そのため、糸掛け時に、サクションガン等の吸引装置
で糸条を吸引しながらフリクションローラまたはコンタ
クトローラとトラバースガイドの間隙に糸条を挿入する
際に、糸条がフリクションローラまたはコンタクトロー
ラに接触してフリクションローラまたはコンタクトロー
ラの表面に巻付いたり、糸条がトラバースガイドに接触
して切断されたりして、糸掛けができないという問題が
あった。特に、多エンド（１つのボビンホルダに多数の
ボビンを装着するもの）の場合、糸条が細い場合、巻取
り速度が高速の場合は、前記の問題が顕著に発生した。

〔発明の目的〕

そこで本発明は、糸掛け時に、トラバース装置のトラ
バースガイドを糸道から退避させることにより糸がフリ
クションローラまたはコンタクトローラやトラバースガ
イドに接触することを防止し、糸条がフリクションロー
ラまたはコンタクトローラに巻付いたり、切れたりする
ことを防止して、糸掛け性、作業性を向上させることを
目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は上記目的を、ボビンを保持するボビンホルダ
とスライドブロックとが相対移動可能に設けられ、該ス
ライドブロックにはボビンホルダに装着されたボビンに
接触するローラと糸条綾振り用トラバースガイドを具備
したトラバース装置とが互いに平行に突設されており、
糸条を該トラバース装置と該ローラとの間に通して該ト
ラバース装置によって綾振り、前記ローラと接触して回
転するボビンホルダに装着されたボビン上に、パッケー
ジを形成するようにした巻取装置において、前記ローラ
とトラバース装置との間隙に糸条を挿入する際には、糸
条綾振り用トラバースガイドが糸道から遠ざかるように
トラバースガイドを前記ローラに対して移動可能に設け
ていることを特徴とする糸条の巻取装置により達成す
る。

〔作用〕

本発明では、糸掛けの際に、糸を綾振るためのトラバ
ースガイドを糸道から退避させるので、フリクションロ
ーラまたはコンタクトローラとトラバース装置との間隙
が大きくなる。従って、糸条をフリクションローラまた
はコンタクトローラとトラバース装置の間隙に挿入する
際に、糸条がフリクションローラまたはコンタクトロー
ラやトラバースガイドに接触することがない。このた
め、糸条がフリクションローラまたはコンタクトローラ
の表面に巻付いたり、トラバースガイドに接触して切れ
ることが防止され、糸掛け性や作業性が向上する。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に基づいて説明する。

第１図〜第４図は本発明に係るフリクションタイプの
巻取装置の一実施例を示す図であり、第１図は巻取機の
糸掛け前の正面図である。第１図において、１は巻取
機、２は巻取機１の機枠である。

機枠２には、ターレットテーブル３が回動可能に取付
けられており、ターレットテーブル３には２本のボビン
ホルダ４、５が回転可能に突設されている。

ボビンホルダ４の上方には、スライドブロック８が上
下に移動可能に設けられている。スライドブロック８に
フレーム６が設けられ、フレーム６にフリクションロー
ラ７が回転自在に設けられている。

フリクションローラ７は、ボビンホルダ４、５または
それに巻きとられるパッケージ（図示せず）に接触して
回転する。フリクションローラ７の回転数を検出し、フ
リクションローラ７の回転数が所定の回転数になるよう
にボビンホルダ４または５の回転数を制御装置（図示せ
ず）によって制御するようになっている。

フリクションローラ７の側方には、スライドブロック
８から突設されたフレーム12に、フリクションローラ７
と平行してトラバース装置10が配設されている。糸条を
綾振るためのトラバースガイド９がトラバース装置10に
設けられている。

本実施例においては、トラバース装置10のケース13が
中心軸線の回りに揺動可能に取付けられ、ケース13にカ
ム11が回転可能に組込まれており、カム11は図示してい
ないモータによって駆動回転される。トラバースガイド
９は、カム11に形成された溝と係合してフリクションロ
ーラ７の軸方向に往復動する。

ケース13にピニオン13aが取付けられ、フレーム12に
取付けられたシリンダ14のピストンロッドに連結棒14a
を介してラック15が連結されている。ピニオン13aとラ
ック15とが噛合しており、シリンダ14を作動することに
より、ラック15、ピニオン13aを介してケース13が揺動
される。

機枠２から突設したフレーム17にアーム16が揺動可能
に取付けられ、糸掛け時に、シリンダ（図示せず）によ
って第１図で反時計方向へ回動される。

アーム16の先端部にはボビンホルダ４の軸方向に伸び
るバー18が取着され、バー18に糸ガイド19が取付けられ
ている。なお、糸ガイド19はボビンホルダ４に装着した
ボビン22に設けられた糸把持手段の位置に対応するよう
に配設されている。

糸外し板20は、糸掛け時または、自動糸切替え時にト
ラバースガイド９から糸条Ｙを外すためのものであり
（第３図参照）、糸外し板20は支点20aを中心に揺動自
在にカバー21に取付けられ、シリンダ（図示せず）によ
り揺動可能である。カバー21はフレーム12に蝶番21aを
中心に開閉自在に取付けられている。

バンチガイド23はフレーム６に揺動可能に支承され、
シリンダ（図示せず）により揺動される。

第２図は糸条Ｙをフリクションローラ７とトラバース
装置10との間隙に挿入する時の状態を示す巻取機の正面
図である。

ターレットテーブル３をモータ（図示せず）で時計方
向に回転し、第２図の位置、すなわちターレットテーブ
ル３の固定位置の手前、で停止させた後に、スライドブ
ロック８を下降させて、フリクションローラ７とボビン
ホルダ５に装着したボビン22とを接触させる。

アーム16を支点16aを中心に反時計方向に回動させ、
次いで、ボビンホルダ５とカム11をモータ（図示せず）
によって所定の回転数まで増速する。

糸条Ｙをサクションガン25により吸引しつつ、送りロ
ーラ（図示せず）および巻取機上方に配設した糸ガイド
（図示せず）に掛け、次に、フリクションローラ７とト
ラバース装置10との間隙に挿入し、その後、糸条Ｙを糸
ガイド19に掛けてサクションガン25を巻取機の下方に位
置させる。このときに、ケース13に取付けたトラバース
装置10の全長に亙って延在しているガイド24により、糸
条Ｙがケース13に接触しないようになっている。

次に、押し釦（図示せず）を押すと、第３図に示すよ
うに、糸外し板20が支点20aを中心にフリクションロー
ラ７の方へ揺動される。次に、シリンダ14を作動させ
て、シリンダ14のピストンロッドに止着した連結棒14a
を介してラック15を移動し、ピニオン13aとともにケー
ス13を反時計方向に回転して第３図の位置で固定させ
る。

バンチガイド23をトラバース装置10の方向へ揺動する
と、糸外し板20でフリクションローラ７の方へ押し出さ
れた糸条Ｙをトラバース装置10の方向へ押し、糸条Ｙを
トラバースガイド９と係合させる。トラバースガイド９
に把持された糸条Ｙはバンチガイド23に形成した溝23a
に運ばれ、該溝23aと糸ガイド19の間で糸条Ｙはボビン2
2′に形成した糸の把持手段に把持され、それと同時に
ターレットテーブル３が時計方向へ回転を始め、次い
で、バンチガイド23がシリンダ（図示せず）によってパ
ッケージの中心方向へ移動してボビン上にトランスファ
ーテイルが形成される。次いで、糸外し板20とバンチガ
イド23が元の位置へ復帰する。以後ボビン上に巻取りが
行われ、パッケージの巻き量が所定量になると公知の切
替え方法で糸条がボビンホルダ５から４に自動的に切替
えられる。

本実施例では、フリクションタイプの巻取機について
説明したが、本発明はスピンドル駆動タイプの巻取機に
も適用可能である。

また、本実施例では、トラバースガイド９を糸道から
退避させるためにケース13を回転させていた。しかし、
トラバースガイドが糸道から遠ざかるようにトラバース
ガイドをフリクションローラまたはコンタクトローラに
対して移動可能であれば、他の方法としてもよい。例え
ば、第５図のように支点31を中心に揺動可能な一対のア
ーム32間にトラバース装置10のケース13を取着して、ト
ラバースガイド９とともにケース13を支点31の回りに揺
動するようにしてもよい。更に、第６図のように、トラ
バース装置10のケース13をフリクションローラまたはコ
ンタクトローラ７から遠ざかるように、横方向へ移動可
能に設けてもよい。

以上の実施例では、自動巻取機について説明したが、
本発明は手動巻取機についても実施できる。

また、上記実施例では、スライドブロックが上昇した
時にケース13が糸道から退避するようにしたが、糸条を
フリクションローラまたはコンタクトローラとトラバー
ス装置の間隙に挿入するときのみ退避するようにしても
よい。また上記実施例では、パッケージの巻き太りによ
ってフリクションローラまたはコンタクトローラとトラ
バース装置が移動するようにしたが、本発明はボビンホ
ルダが移動するようにしてもよい。

更に、上記実施例ではスクロールカムに係合して往復
動するトラバースガイドを具備したトラバース装置につ
いて説明したが、複数のガイドを交互に回転または往復
動させて糸条を往復させるようにしたトラバース装置で
あってもよい。

〔発明の効果〕

本発明によれば、糸掛けの際に、糸道から糸を綾振る
ためのトラバースガイドを退避させるのでフリクション
ローラとトラバース装置との間隙が大きくでき、糸条を
フリクションローラとトラバース装置の間隙に挿入する
際に、糸条がフリクションローラやトラバースガイドに
接触することがない。このため糸条がフリクションロー
ラの表面に巻付いたりトラバースガイドに接触して切れ
ることが防止され、糸掛け性、作業性を向上することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本発明の一実施例を示す図であり、第
１図は糸掛け前の巻取機の正面図、第２図は糸条をフリ
クションローラとトラバース装置との間隙に挿入する時
の巻取機の正面図、第３図はトラバース装置のトラバー
スガイドを糸条を綾振る位置に回転した状態を示す巻取
機の正面図、第４図は糸条がトラバースガイドにより綾
振られボビン上にパッケージが形成される状態を示す巻
取機の正面図、第５図および第６図はそれぞれ本発明の
他の実施例を示す部分正面図である。 １……巻取機、２……機枠、３……ターレットテーブ
ル、４、５……ボビンホルダ、７……フリクションロー
ラ、９……トラバースガイド、10……トラバース装置、
13……ケース。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ボビンを保持するボビンホルダとスライド
   ブロックとが相対移動可能に設けられ、該スライドブロ
   ックにはボビンホルダに装着されたボビンに接触するロ
   ーラと糸条綾振り用トラバースガイドを具備したトラバ
   ース装置とが互いに平行に突設されており、糸条を該ト
   ラバース装置と該ローラとの間に通して該トラバース装
   置によって綾振り、前記ローラと接触して回転するボビ
   ンホルダに装着されたボビン上に、パッケージを形成す
   るようにした巻取装置において、前記ローラとトラバー
   ス装置との間隙に糸条を挿入する際には、糸条綾振り用
   トラバースガイドが糸道から遠ざかるようにトラバース
   ガイドを前記ローラに対して移動可能に設けていること
   を特徴とする糸条の巻取装置。