JP2509919B2 - 車両用エンジンの点火時期制御方法 - Google Patents

車両用エンジンの点火時期制御方法

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JP2509919B2 JP61275405A JP27540586A JP2509919B2 JP 2509919 B2 JP2509919 B2 JP 2509919B2 JP 61275405 A JP61275405 A JP 61275405A JP 27540586 A JP27540586 A JP 27540586A JP 2509919 B2 JP2509919 B2 JP 2509919B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動二輪車等の車両用エンジンの点
火時期制御方法に関する。
〔従来技術〕
例えば2サイクルエンジンでは、新気の充填効率を高
めるため、掃気口の開口期間中に負圧の反射波を排気口
に作用させ、燃焼室からの排気の吸出しを促すととも
に、掃気口が閉じてから排気口が閉じるまでの期間中
に、排気口に正圧の反射波を作用させて、排気口から吹
き抜けた新気を燃焼室に押し戻すことが行なわれてい
る。
ところで、排気管内での排気圧の脈動を利用して新気
の充填効率を高める場合、その圧力反射波が排気口に戻
るタイミングは、排気管の管長や口径に大きく影響さ
れ、従来、この排気管の形状寸法は、エンジンの最大ト
ルクが得られる回転領域に合わせて設定されることが多
い。
ところが、最大トルク発生回転速度以上の高回転領域
を頻繁に使用する自動二輪車用のエンジンでは、高速走
行時に排気管が走行風を受けて冷却されるため、その回
転速度に最適な排気温度よりも実際の排気温度の方が低
くなってしまう。このため、排気の音速が低下して圧力
反射波が排気口に戻るタイミングが遅れ気味となり、エ
ンジン出力が低下する傾向にあった。
このようなことから、最近本出願人は、エンジン回転
速度が最大トルク発生回転速度以上の高回転領域に達し
た際に、点火時期を所定値よりも遅角させて排気管内の
排気温度を上昇させ、圧力反射波が排気口に戻るタイミ
ングを同調させるようにした点火時期制御方法を開発
し、既に特願昭60−211806号として出願を完了してい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが、例えば始動直後や雨中走行時のように、排
気管の温度が極端に低い場合には、その分、排気温度も
低くなるので、上記遅角によって排気温度を最適排気温
度にまで上昇させると、排気管内での排気温度の変化
幅、つまり温度勾配が大きくなり過ぎてしまう。この結
果、逆に排気管内での排気圧の脈動に乱れが生じ、上記
点火時期のもとでは、遅角量が大き過ぎて不整燃焼が生
じるといった問題がある。
本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、最大トルク発生回転速度以上の高回転領域におい
て、点火時期の遅角に伴う排気脈度の乱れを防止するこ
とができ、安定した運転を継続できる車両用エンジンの
点火時期制御方法の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンの回転
速度に対して最大のトルクが得られる最適な排気温度を
データとして予め記憶した手段と; 排気管内に突出されて、この排気管内を流れる実際の
排気の温度を検出するための第1の温度センサと;を備
えており、 エンジン運転中、このエンジン回転速度に最適な排気
温度を上記記憶データから読み出すとともに、この読み
出した最適排気温度と上記第1の温度センサを通じて検
出された実際の排気温度とを比較し、エンジン回転速度
が最大トルク発生回転速度以上の高回転領域に達した際
に、実際の排気温度が最適排気温度に近づくように点火
時期を遅角させる車両用エンジンの点火時期制御方法で
あって、 上記排気管の管壁に設置されて、この排気管の実際の
温度を検出するための第2の温度センサを有し、 エンジン運転中、その時のエンジン回転速度に最適な
排気温度を上記記憶データから読み出すとともに、この
読み出した最適排気温度と上記第2の温度センサを通じ
て検出された実際の排気管の温度とを比較し、 上記点火時期が遅角される最大トルク発生回転速度以
上の高回転領域において、上記最適排気温度と実際の排
気管の温度との差が予め設定された値を上回った時に、
上記点火時期の遅角量を減少させることを特徴としてい
る。
〔作用〕
このような制御方法によれば、最大トルク発生回転速
度以上の高回転領域において、実際の排気管の温度が極
端に低いような場合に、点火時期の遅角量を減少させる
ことができ、排気管内での排気温度の変化幅を少なく抑
えることができる。したがって、排気脈動の乱れが少な
くなり、不正燃焼を未然に防止することができる。
〔発明の実施例〕
以下本発明を、図面に示す一実施例にもとづいて説明
する。
第1図中符号1は自動二輪車用の2サイクルエンジ
ン、2はそのシリンダ、3は燃焼室であり、シリンダ2
の内面にはピストン4によって開閉される吸気口5、掃
気口6および排気口7が開口されている。排気口7には
排気管8が接続されており、この排気管8は排気下流側
に進むに従って通路断面積が拡大するとともに、再び縮
小する膨張室9を備えている。
そして、この膨張室9には、第1の温度センサ10が設
けられている。この第1の温度センサ10は、第1図に示
すように、排気管8の管壁を貫通して膨張室9内に突出
されており、この膨張室9内を流れる実際の排気の温度
を検出するようになっている。この温度センサ10から出
力される温度信号は、増幅器11を介して点火時期制御ユ
ニット12に入力され、さらに、この点火時期制御ユニッ
ト12には、実際のエンジン回転速度を検出する回転速度
検出器13からの回転信号が増幅器14を介して入力され
る。そして、この点火時期制御ユニット12は、第3図中
特性曲線Aで示すように、エンジン回転速度に対して最
大のトルクを得るのに最適な排気管8内の排気温度(以
下、最適排気温度と称する)を記憶しておく記憶手段を
備えており、この点火時期制御ユニット12から出力され
る点火時期信号は、点火装置15に入力される。
なお、第3図中、特性曲線Bは排気管8の冷却条件を
一定とした時のエンジン回転速度に対する排気温度の移
り変わりを示す。
また、第4図はエンジン回転速度と発生トルクとの関
係を示す特性図で、図中特性曲線CおよびDは、排気温
度が上記特性曲線AおよびBの条件の時に得られるトル
ク特性である。
さらに、上記排気管8の膨張室9には、第2の温度セ
ンサ16が設けられている。第2温度センサ16は、第1図
に示すように、膨張室9の管壁に設置されており、エン
ジン運転状態での実際の膨張室9の温度を検出するよう
になっている。この第2の温度センサ16から出力される
温度信号は、増幅器17を介して上記点火時期制御ユニッ
ト12に入力される。
次に、上述の如き2サイクルエンジン1の点火時期を
制御する方法について説明する。
いま2サイクルエンジン1が始動し、運転状態に入る
と、温度センサ10からの温度信号および回転速度検出器
13からの回転信号は、増幅器11,14で増幅された後、点
火時期制御ユニット12に入力される。また、この点火時
期制御ユニット12は入力された回転信号に対する最適肺
気温度を記憶データから読み出し、この読み出された最
適排気温度と入力された実際の排気温度とを比較して、
実際の排気温度が最適排気温度に近付くように点火時期
を設定し、この制御信号にもとづいて点火装置15を制御
する。
すなわち、エンジン回転速度が最大トルク発生回転速
度Nを上回った高回転領域において、第1の温度センサ
10を介して検出された実際の排気温度が第3図中特性曲
線Bで示すように、最適排気温度よりも低い場合には、
第2図中実線で示すように、点火時期を所定値より徐々
に遅角させていく。このように点火時期を遅角させる
と、燃焼室3内の火炎核が所定時期よりも遅れて発生す
るので、燃焼期間はピストン4が上死点に達した以降と
なり、その分、燃焼期間が長くなる。
このことにより、排気管8内の排気温度が点火時期固
定の時よりも高くなり、排気の音速が増加する。したが
って、排気の圧力反射波は最大トルク発生回転速度の時
と略同等のタイミングで排気口7に戻るので、新気の充
填効率を高めることができ、第4図中特性曲線Cで示す
ように、最大トルク発生回転速度以上の高回転領域での
トルクの落込みが少なくなり、高トルクのままで運転が
可能となる。
一方、点火時期制御ユニット12には、エンジン運転
中、第2の温度センサ16を介して実際の排気管8の温度
を示す温度信号も入力される。そのため、点火時期制御
ユニット12は、その時のエンジン回転速度に最適な排気
温度を上記記憶データから読み出し、この読み出した最
適排気温度と実際の排気管8の温度とを比較する。そし
て、エンジン回転速度が最大トルク発生回転速度以上の
高回転領域において、実際の排気管8の温度と最適排気
温度との温度差が予め設定された許容値を上回ると、点
火時期制御ユニット12は第2図中破線で示すように、点
火時期を逆に進角させ、遅角量を減少させる。
このように遅角量を減少させれば、燃焼期間が短くな
って排気温度が低くなるので、例えば雨中走行時のよう
に排気管8が通常よりも強く冷却されて、温度が極端に
低い場合であっても、従来に比べて排気管8内での排気
温度の変化幅、つまり温度勾配が小さくなる。このた
め、排気管8内での排気脈動の乱れが抑えられるから、
不整燃焼の発生を未然に防止することができ、高トルク
にて安定した運転が可能となる。
なお、4サイクルエンジンの場合は、排気弁と吸気弁
の開弁期間がオーバラップする時、つまりピストンが上
死点近くに達した際に、排気系からの負圧の反射波が排
気弁に達すれば、燃焼室内のガス交換が効率的に行われ
るので、本発明に係る点火時期制御方法は2サイクルエ
ンジンに限らず、4サイクルエンジンであっても同様に
実施可能である。
〔発明の効果〕
以上詳述した本発明によれば、最大トルク発生回転速
度以上の高回転領域において、排気管の温度が極端に低
い場合には、点火時期の遅角量が減少するから、排気管
内での排気温度の変化が小さくなり、排気脈動の乱れが
抑えられる。したがって、不正燃焼の発生を未然に防止
することができ、高回転領域においても高トルクのまま
安定した運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示し、第1図は2サイクルエ
ンジンの点火装置を概略的に示す構成図、第2図はエン
ジン回転速度に対する点火時期の進角(遅角)量を示す
特性図、第3図はエンジン回転速度に対する排気管内の
排気温度の関係を示す特性図、第4図はトルク特性図で
ある。 1……2サイクルエンジン、 8……排気管、 10……第1の温度センサ、 12……点火時期制御ユニット、 13……回転速度検出器、 15……点火装置、 16……第2の温度センサ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの回転速度に対して最大のトルク
    が得られる最適な排気温度をデータとして予め記憶した
    手段と; 排気管内に突出されて、この排気管内を流れる実際の排
    気の温度を検出するための第1の温度センサと;を備え
    ており、 エンジン運転中、このエンジン回転速度に最適な排気温
    度を上記記憶データから読み出すとともに、この読み出
    した最適排気温度と上記第1の温度センサを通じて検出
    された実際の排気温度とを比較し、エンジン回転速度が
    最大トルク発生回転速度以上の高回転領域に達した際
    に、実際の排気温度が最適排気温度に近づくように点火
    時期を遅角させる車両用エンジンの点火時期制御方法で
    あって、 上記排気管の管壁に設置されて、この排気管の実際の温
    度を検出するための第2の温度センサを有し、 エンジン運転中、その時のエンジン回転速度に最適な排
    気温度を上記記憶データから読み出すとともに、この読
    み出した最適排気温度と上記第2の温度センサを通じて
    検出された実際の排気管の温度とを比較し、 上記点火時期が遅角される最大トルク発生回転速度以上
    の高回転領域において、上記最適排気温度と実際の排気
    管の温度との差が予め設定された値を上回った時に、上
    記点火時期の遅角量を減少させることを特徴とする車両
    用エンジンの点火時期制御方法。
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