JP2509324B2 - プラスチック光学部品成形用金型装置 - Google Patents

プラスチック光学部品成形用金型装置

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JP2509324B2 JP5609689A JP5609689A JP2509324B2 JP 2509324 B2 JP2509324 B2 JP 2509324B2 JP 5609689 A JP5609689 A JP 5609689A JP 5609689 A JP5609689 A JP 5609689A JP 2509324 B2 JP2509324 B2 JP 2509324B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、光ディスク,フレネルレンズ,回折格子な
どのように、表面に微細形状を有するプラスチック光学
部品の成形用金型装置に係り、特に、高信頼性のプラス
チック光学部品を容易に製造することができるプラスチ
ック光学部品成形用金型装置に関するものである。
[従来の技術] 表面に微細形状を有するプラスチック光学部品とし
て、たとえば、光ディスクがある。
従来、この種の光学部品を成形する場合、キャビティ
表面形状の成形品表面への転写性(以下、面転写性とい
う)を向上させる方法として、成形材料である熱可塑性
プラスチックの樹脂温度や、金型温度を上昇させるよう
にしたものが知られている。
なお、この種装置として関連するものには、たとえ
ば、“光ディスクプロセス技術の要点”(エレクトロエ
ッセンシャルズNo.5,日本工業技術センタ発行,沖野芳
弘監修,P103)がある。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術は、次のような問題点があった。
.樹脂温度の上昇は、成形材料が熱可塑性プラスチッ
クであるので、熱分解を生じ易い。したがって、フラッ
シュ,その他の不良が発生し、成形品の信頼性低下をも
たらすものであった。
.金型温度の上昇は、金型装置の冷却時間を長くする
ものであり、この結果として、生産性が低下し、成形品
が高価なものになった。
このように、従来技術は、信頼性および生産性に問題
があり、商業的製造への適用という点については配慮さ
れていなかった。
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、表面
に微細形状を有するプラスチック光学部品を、高信頼性
で且つ高能率に生産することができるプラスチック光学
部品成形用金型装置の提供を、その目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するための、本発明の係るプラスチッ
ク光学部品成形用金型装置の構成は、表面に微細形状を
有するプラスチック光学部品を成形するものであり、 型締めしたとき、前記光学部品とほぼ同一形状のキャ
ビティを形成する固定型と可動型とを具備し、前記キャ
ビティ内へ、溶融した熱可塑性プラスチックを充填し
て、プラスチック光学部品を成形するようにした金型装
置において、 キャビティ表面に、 (ただし、λは熱伝導率、cは比熱、γは比重)の値
が、 以下の材料製の皮膜を形成したものである。
さらに詳しくは、 の値が0.1(好ましくは0.04) 以下の材料、たとえば、蒸着用ガラスの皮膜(以下、瞬
間温度保持膜という)をキャビティ表面に形成すること
により、イ見掛けの金型温度を、実金型温度よりも上昇
させて、ロ成形品の面転写性を確保し、且つハ瞬間温度
保持膜を熱抵抗体として機能させるようにしたものであ
る。
なお、前記瞬間温度保持膜の厚さdを、(λ/λ
×1mm以下(ただし、λは、成形材料である熱可塑性
プラスチックの熱伝導率)にすれば、成形品の冷却時間
の増加は、ほとんどないものである。
[作用] 本発明者らは、成形品への面転写性に寄与する熱現象
について検討したところ、次のことが明らかになった。
すなわち、たとえば、ある種のポリメチルメタクリレ
ート樹脂についていえば、溶融した樹脂(樹脂温度240
℃)がキャビティ表面へ接触した瞬間から数10ms経過す
るまでが、成形品表層の凝固する瞬間的凝固プロセスで
あり、このプロセス中、前記表層の数μm〜数10μmの
温度が、所定の限界温度以上に停滞する場合には、好ま
しい面転写性が得られるが、これ以下になると、面転写
性が劣化する。
したがって、成形品表層の温度が、その樹脂に固有の
限界温度になっておれば、良好な面転写性を確保するこ
とができるものであり、樹脂温度を過剰に上昇させる必
要はない。
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであ
る。
いま、熱伝導率λ,比熱c1,比重γ,金型温度θ
のキャビティ内へ、熱伝導率λ,比熱C2,比重
δ,樹脂温度θの溶融プラスチックを充填したと
き、このプラスチックがキャビティ表面に接触した瞬間
の該表面の温度をθとすれば、 である。
θ:絶対温度表示の温度 そこで、キャビティ表面に、 の値(ただし、λは熱伝導率、Cは比熱、γは比重)が
0.1(さらに好ましくは、0.04) 以下の瞬間温度保持膜を形成することにより、イこの瞬
間温度保持膜の存在によって、成形品表層の温度θ′が
前記θよりも高くなり、すなわち見掛けの金型温度が
上昇し、ロ前記限界温度を確保することができるととも
に、ハ瞬間温度保持膜が熱抵抗体となって、金型温度の
上昇を防止することができる。
このようにして、面転写性を確保し、且つ金型装置の
冷却時間も短くてすむ。
なお、成形品の冷却時間は、その中心部までが取出温
度(通常、熱変形温度である)以下に冷却する時間、す
なわちアップセット時間tで近似することができる。
ただしD:成形品肉厚 θHOT:取出温度 θ:溶融プラスチック温度 θ:金型温度 α=λ/γC2(プラスチックの温度伝導率) この計算式の意味するところは、アップセット時間t
は、成形品の肉厚の2乗に比例し、温度伝導率に逆比例
するということである。
前述したように、瞬間温度保持膜は熱抵抗体として作
用するが、この熱抵抗体は、成形品の肉厚の増加に置換
することができる。商業的製造の立場からいえば、肉厚
増加を2mm以下に抑えると、この肉厚増加による、成形
品の冷却時間(≒t)の増加はほとんど問題にならない
ほど短いものである。成形品肉厚2mm以下相当の瞬間温
度保持膜の厚さdは、 d<(λ/λ)×1mm になる。何故ならば、成形品の冷却固化現象は、成形品
の表面現象であり、2mmの肉厚増加は片側で1mmの増加に
なるからである。
[実施例] 以下、本発明を、実施例によって図面を用いて説明す
る。
第1図は、本発明の一実施例に係るプラスチック光学
部品成形用金型装置を模式的に示す断面図、第2図は、
第1図に係る金型装置を使用する成形方法の成形工程を
示すフローチャートである。
この金型装置の概要を、第1図を用いて説明すると、
これは、表面に微細形状を有するプラスチック光学部品
を成形するものであり、 型締めしたとき、前記光学部品とほぼ同一形状のキャビ
ティ10を形成する固定型Aと可動型Bとを具備し、前記
キャビティ10内へ、溶融した熱可塑性プラスチックを充
填して、プラスチック光学部品を成形するようにした金
型装置において、 キャビティ10表面に、 (だたし、λは熱伝導率、cは比熱、γは比重)の値
が、 で、厚さ5μmの瞬間温度保持膜に係る蒸着用ガラス7,
17を形成した金型装置である。
以下、詳細に説明する。
Aは固定型であり、これは、取付板1と、温調液媒流
路5を穿設した架体2(鋼製)と、この架体2によって
保持され、表面に蒸着用ガラス7を形成したスタンパ6
(ニッケル製)と、固定型中心に嵌入された、スプルー
4を設けたスプルーブッシュ3とを有するものである。
一方、Bは、前記固定型Aに体して移動可能な可動型
であり、これは、取付板11と、温調液媒流路15を穿設し
た架体12(鋼製)と、この架体12によって保持され、表
面に、ピット形成突起18を有する蒸着用ガラス17を形成
したスタンパ16(ニッケル製)と、可動型中心に嵌入さ
れた、樹脂溜り14を設けたセンタ穴ポンチ13とを有する
ものである。
そして、型締めしたとき、前記固定型Aと可動型Bと
でキャビティ10と、 このキャビティ10へ、スプール4からの溶融プラスチ
ックを充填するためのゲート8とを形成し、 型開き時には、固定型Aと可動型Bとが、パーティン
グ9から分割するようになっている。
このように構成した金型装置を使用して、光ディスク
形成する成形方法の一例を、第1、2図を用いて説明す
る。
固定型A,可動型Bの温度を0℃に維持し、溶融したポ
リメチルメタクリレート(樹脂温度θ=240℃、 を、射出成形機(図示せず)から、スプルー4,ゲート8
を経て、キャビティ10内へ充填する。このとき、溶融し
たポリメチルメタクリレートは、スタンパ6,16表面の蒸
着用ガラス7,17へ順次接触しながらキャビティ10内へ充
填される。キャビティ10面へこの樹脂が接触した瞬間
の、キャビティ面の温度θ′(すなわち、蒸着用ガラ
スの温度)は、 すなわち、蒸着用ガラスの温度(66℃)が、金型温度
(0℃)よりも見掛け上、高温になって、成形品表層の
限界温度が確保される。このようにして、成形品へ面形
状が転写されると、冷却が始まり、成形品内部まで固化
したとき型開きし、その成形品が離型し、所望の光ディ
スクが得られる。
なお、必要に応じて、センタ穴ポンチ13によりゲート
切断を行なえばよい。
以上説明した実施例によれば、キャビティ表面に蒸着
用ガラス7,17を形成するようにしたので、成形品表層の
温度がキャビティ面の実金型温度よりも高くなり、樹脂
に熱分解を生ずることなく、瞬間凝固プロセスにおける
限界温度を確保するとともに、蒸着用ガラス7,17が熱抵
抗体となって、金型温度の上昇を防止することができ
る。
これを、この金型装置において蒸着用ガラスを形成し
ないもの、すなわち従来例と比較すると、本実施例にお
けると同一の面転写性を得るため(すなわち、θ′=
66℃とするため)には、溶融したポリメチルメタクリレ
ートの温度を270℃,金型温度を60℃にする必要があ
り、樹脂温度,金型温度とも本実施例の値よりも大き
い。すなわち、熱分解のおそれがあるとともに、金型装
置の冷却時間が長い。
次に、他の実施例を説明する。
第3図は、本発明の他の実施例に係るプラスチック光
学部品成形用金型装置の要部を示す断面図である。
この第3図において、12Aは、フレネルレンズ成形用
の可動型架体、17Aは、この可動型架体12Aの表面に形成
した蒸着用ガラス、10Aは、可動型と固定型(図示せ
ず)とによって形成されるキャビティである。
このように構成した金型装置を使用して、高信頼性の
あるフレネルレンズを、高能率で成形することができ
た。
なお、上記実施例においては、瞬間温度保持膜として
蒸着用ガラスを使用したが、瞬間温度保持膜の材料は蒸
着用ガラスに限るものではなく、δの値が 以下のものであればよく、 以下であれば、さらによい。この例として、酸化ジルコ
ン,炭化タングステン,酸化けい素などの無機物や、ウ
レタン、うるし等の有機物などを挙げることできる。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように本発明によれば、光ディス
ク,フレネルレンズ,回折格子などの光学部品に多用さ
れる表面微細形状を容易に転写することができるととも
に、金型装置の冷却時間が従来に比べて大幅に減少(た
とえば、半減)して生産性が向上する。また、溶融プラ
スチックの温度を低下させることもできるので、フラッ
シュ,やけ等の不良が発生することはなく、高信頼性の
プラスチック光学部品が得られる。
これを要するに、表面に微細形状を有するプラスチッ
ク光学部品を、高信頼性で高能率に生産することができ
るプラスチック光学部品成形用金型装置を提供すること
がてきる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係るプラスチック光学部
品成形用金型装置を模式的に示す断面図、第2図は、第
1図に係る金型装置に使用する成形方法の成形工程を示
すフローチャート、第3図は、本発明の他の実施例に係
るプラスチック光学部品成形用金型装置のキャビティ近
傍を示す断面図である。 7,17,17A……蒸着用ガラス、10,10A……キャビティ、A
……固定型、B……可動型、d……皮膜の厚さ。
フロントページの続き (72)発明者 野呂 良彦 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所家電研究所内 (72)発明者 高木 正雄 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所家電研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−260831(JP,A) 特開 昭63−251214(JP,A) 特開 昭61−31321(JP,A) 特開 昭64−49607(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に微細形状を有するプラスチック光学
    部品を成形するものであり、 型締めしたとき、前記光学部品とほぼ同一形状のキャビ
    ティを形成する固定型と可動型とを具備し、前記キャビ
    ティ内へ、溶融した熱可塑性プラスチックを充填して、
    プラスチック光学部品を成形するようにした金型装置に
    おいて、 キャビティ表面に、 (ただし、λは熱伝導率、cは比熱、γは比重)の値
    が、 以下の材料製の皮膜を形成したことを特徴とするプラス
    チック光学部品成形用金型装置。
  2. 【請求項2】皮膜の厚さdを、(λ/λ)×1mm以下
    (だたし、λは、成形材料である熱可塑性プラスチッ
    クの熱伝導率)にした ことを特徴とする請求項1記載のプラスチック光学部品
    成形用金型装置。
JP5609689A 1989-03-10 1989-03-10 プラスチック光学部品成形用金型装置 Expired - Lifetime JP2509324B2 (ja)

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