JP2508424B2 - 強磁性共鳴装置 - Google Patents

強磁性共鳴装置

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JP2508424B2 JP61155624A JP15562486A JP2508424B2 JP 2508424 B2 JP2508424 B2 JP 2508424B2 JP 61155624 A JP61155624 A JP 61155624A JP 15562486 A JP15562486 A JP 15562486A JP 2508424 B2 JP2508424 B2 JP 2508424B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、特にYIG(イットリウム・鉄・ガーネッ
ト)のフェリ磁性共鳴を利用した例えばマイクロ波フィ
ルタ、マイクロ波発振器等に適用して好適な強磁性共鳴
装置に関わる。
〔発明の概要〕
本発明は、YIG薄膜強磁性共鳴素子の主面を(100)面
に特定することによって共鳴周波数の下限値を極限値に
まで低下させることを可能にする。
〔従来の技術〕
従来、YIGのフェリ磁性共鳴を利用したフィルタ、発
振器等のマイクロ波装置の磁気共鳴素子としては、YIG
のバルク単結晶から加工した球状試料を用いるのが一般
的であった。しかしながら、球状試料の共鳴周波数の下
限は、反磁界の影響により比較的高いものであり、例え
ば、その飽和磁化が1800G(ガウス)の無置換YIGでは、
1680MHzであって、UHF帯まで動作するマイクロ波装置を
実現することができなかった。一方、YIGのFe3+イオン
の一部をGa3+などの非磁性イオンで置換することによっ
てその飽和磁化を小さくして共鳴周波数の下限を下げる
ことは可能であるが、この場合、その置換量を余り多く
すると共鳴半値幅ΔHが増大し装置の特性劣化を招く。
これに対し、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネ
ット基板上)にYIG薄膜を液相エピタキシー(以下LPEと
いう)によって成長させ、これをフォトリソグラフィに
よって所要のパターンの円形或いは矩形等に加工し、こ
のフェリ磁性共鳴を利用して同様のマイクロ波装置を構
成するものが提案された。このような構成によるマイク
ロ波装置は、マイクロストリップライン等を伝送線路と
してマイクロ波集積回路(以下MICと略称する)として
作製することができるので、直流バイアス磁界を印加す
るための磁気回路への実装が容易になる。また、LPEと
フォトリソグラフィを用いてその製造を行うことから量
産性にすぐれている。更に薄膜素子であるがために、球
状素子である場合に比し共鳴周波数の下限を格段に小さ
くできる特徴がある。しかしながらこのYIG薄膜素子に
よる磁気共鳴装置において、その共鳴周波数の下限をそ
の極限までに小さくすることについての具体的構成につ
いての究明は、未だ報告をみないところである。
上述したようにYIG薄膜磁気共鳴素子において、その
共鳴周波数の下限を極限まで小さくする構成の確立は未
だなされていないが、この下限を極低周波数まで下げる
には、YIG薄膜素子と伝送線路との結合を強くしてこの
共振器の外部Q値を充分に小さくするようにする。これ
は、低周波になると、YIG共振器の無負荷Q値が小さく
なるため、反射形で用いるときには反射振幅を、また透
過形で用いるときには透過振幅をある程度大きくするに
は外部Q値が充分に小さいことが必要だからである。
第10図は従来のYIG薄膜型の帯域通過フィルタの、そ
のYIG薄膜共振素子部分の構造を示したものである。す
なわち、この構成では、アルミナ等の誘電体基板(1)
の一方の主面(第1主面という)に接地導体(2)が被
着形成されると共に、他方の主面(第2の主面という)
に、互いに平行な第1及び第2のマイクロストリップラ
イン、すなわち、入力及び出力伝送線路(3)及び
(4)が被着形成され、両ストリップライン(3)及び
(4)の夫々の端部が接地導体(2)に夫々第1及び第
2の接地導体(5)及び(6)によって接続される。そ
して、基板(1)の第2の主面上に、この第1及び第2
のマイクロストリップライン(3)及び(4)と夫々電
磁的に結合して第1及び第2のYIG薄膜素子(7)及び
(8)の磁気共鳴素子が配置される。これらYIG薄膜素
子(7)及び(8)は、GGG基板(9)の1主面に前述
した薄膜形成技術によってYIG薄膜を形成し、これを例
えば選択的にエッチング技術、すなわちフォトリソグラ
フィによって例えば円形にパターン化して構成する。ま
た、GGG基板(9)の他の面には、第1及び第2の磁気
共鳴素子、すなわち第1及び第2のYIG薄膜素子(7)
及び(8)間を電磁的に結合する第3のマイクロストリ
ップライン、すなわち結合用伝送線路(10)が被着形成
され、その両端が第3及び第4の接続導体(11)及び
(12)によって接地導体(2)に接続される。
ところが、このような構成による場合、そのマイクロ
ストリップラインとYIG薄膜素子との結合が余り強くな
らないため、低周波数動作に必要な程度まで、外部Q値
を小さくすることができない。例えば、直径2.5mm、膜
厚25μmのYIG薄膜素子(7)及び(8)の場合、これ
らYIG薄膜素子(7)及び(8)と入出力各伝送線路
(3)及び(4)との結合による外部Q値をQe1、YIG薄
膜素子(7)及び(8)と結合用線路(10)との結合に
よる外部Q値をQe2としたとき、Qe1は200,Qe2は250であ
った。そして、この構造において、その外部Q値を更に
小さくするには、YIG薄膜素子(7)及び(8)の体積
を大きくする必要があるが、各伝送線路となるマイクロ
ストリップライン幅に比べて素子(7)及び(8)の直
径を余り大きくするとスプリアス特性が劣化する問題が
生じ、膜厚を厚くして行くと共鳴周波数が高くなってし
まうという問題点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、YIG薄膜素子を磁気共鳴素子とする強磁性
共鳴装置においてそのYIG薄膜素子の体積を大とするこ
となく、外部Q値を減少させると共に、効果的に共鳴周
波数の下限周波数ωminをその極限値、もしくはその近
傍に選定することができるようにすることにより、極低
周波動作を可能にするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、非磁性基板、例えばGGG基板上に、主面が
(100)面のYIG薄膜による強磁性共鳴素子を設け、この
YIG薄膜素子に結合される伝送線路と、磁界印加手段と
を具備した構成とする。
〔作用〕
上述の(100)面を主面とするYIG薄膜共鳴素子によれ
ば、共鳴周波数の下限ωminの低減化をはかることがで
きる。
以下、これについて詳細に説明する。
フェリ磁性単結晶の共鳴周波数の下限ωminは、反磁
界と異方性磁界の2つの要因で決まるため、下限ωmin
を極限にまで小さくするには両要因について考慮しなけ
ればならない。
まず、反磁界について考察する。簡単のために回転楕
円体の試料についてみる。今、この試料を、直流磁界Ho
内に試料の軸方向にこの磁界Hoが掛るように配置したと
すると、この場合の内部直流磁界Hiは、 Hi=Ho−Nz・4πMs ‥‥(1) となる。ここで、Nzは軸方向の反磁界係数、4πMsは
飽和磁化である。一方、この試料における共鳴周波数ω
は、キッテル(Kittel)の式で次のように与えられる。
ω=γ{Ho−(Nz−NT)4πMs} ‥‥(2) ここで、γは磁気回転比、NTは横方向の反磁界係数で
ある。そして、上記(1)及び(2)式によれば、 ω=γ(Hi+NT・4πMs) ‥‥(3) となる。ここで、試料の磁化が飽和していないと単磁
区構成にならないので磁気共鳴損失は、急激に増大す
る。そこで、試料が飽和する条件として内部直流磁界Hi
>0の条件が必要である。(3)式より、試料を飽和さ
せるに必要な内部磁界を無視したとしても共鳴周波数
は、次の値以下にはならない。
ωmin=γNT・4πMs) ‥‥(4) 因みに、YIGの球体による共鳴素子の場合、 であるから、下限周波数は飽和磁化が1800Gの無置換YIG
で1680MHz(γ=2.8MHz/Oeとして)であり、3価のFeイ
オンFe3+の一部を、3価の非磁性GaイオンGa3+で置換し
て飽和磁化を600Gに下げても560MHzに過ぎない。
一方、円板のYIG薄膜ディスクについてみると、この
場合は形状が完全な回転楕円体ではなく、内部直流磁界
が不均一であるため上述した場合とは様子が異なってく
る。つまり、静磁モード理論(Y.Ikusawa and K.Abe;
“Resonant Modes of Magnetostatic Waves in a Norma
lly magnetized Disk",Japan Applied physics 48,3001
(1977)参照)から求まる共鳴周波数は、キッテルの上
記(2)式と同様に表わすことができる。ここで、Nz−
NTは、薄膜ディスクのアスベクト比(薄厚/直径)によ
って決る値である。一方、内部直流磁界Hiは、ディスク
中心で最小となり、この値を、 Hi=Ho−Nz′・4πMs) ‥‥(5) と表わせば、Nz′はディスク中心の実効的な反磁界係
数となる。(2)式及び(5)式より、共鳴周波数の下
限ωminは、 ωmin=γ{Nz′−(Nz−NT)}4πMs =γNT′4πMs ‥‥(6) で表わされる。第6図はNT′のアスペクト比σに対す
る依存性を示し、第7図は4πMsを1800Gとしたときの
γNT′4πMsの値を示したものである。γNT′4πMsの
代表的な値としてσ=1×10-2(直径2mm、膜厚20μ
m)で63MHz,σ=2×10-2で125MHzとなる。これらの値
は、先のYIG球の場合に比し、格段に小さくなってい
る。
次に異方性磁界の効果についてみる。
LPEによるYIG薄膜の磁気異方性には、結晶磁気異方性
と一軸磁気異方性の2種類が存在し、これらの影響によ
り、(100)結晶面を主面とするYIG薄膜及び(111)結
晶面を主面とするYIG薄膜の条件は、次式のように表わ
される(J.Smit and H.P.Wijn.“Ferrites",chap.6,Joh
n Wiley & Sons,Inc,New York,1959及びJ.O.Artman,
“Microwave Resonance Relations in Anisotropic tro
pic Single Crystal ferrites,“Proc.IRE,44,1284,195
6参照)。
ここで、K1は、1次の結晶磁気立方異方性定数でYIGで
は負の値をとる。また、KuはバルクのYIGには無い薄膜
固有の一軸異方性定数であり、LPEによるYIG薄膜とその
GGG基板との格子定数の不整合によって生じる磁歪異方
性Ksと、YIG薄膜の一様でない結晶成長に伴う成長誘導
磁気異方性KGとからなるが、実際上は、KGは小さいの
で、これを無視すると、磁歪異方性係数だけが問題とな
る。そして無置換YIGの格子定数はGGG基板の格子定数よ
りも小さく、且つ、磁歪定数λ111,λ100は共に負であ
るから、Ksは正の値をとる。これに対し、YIGのY3+イオ
ンの一部をLa3+イオンで置換することによりYIG膜とGGG
基板との格子定数整合をとることが可能で、これにより
Ks、すなわち、Kuをほぼ0(零)にすることができる。
つまり、(100)膜の垂直共鳴は、(7)式より、周
波数が0から立ち上ることが可能である。そして、(11
1)膜の垂直共鳴の下限周波数ωminは、Ku=0とするこ
とによって|K1|/Ms=40Oeとすると149MHzとなる。
以上のことについて、整理すると、YIG薄膜ディスク
の垂直共鳴の周波数下限ωminは、 (100)面を主面とする場合は、 ωmin=γNT′4πMs ‥‥(9) (111)面を主面とする場合は、 となる。
そして本発明によれば、YIG薄膜素子を(100)面の膜
とするものであるが、磁歪異方性及び成長誘導磁気異方
性を充分小さくすることによって一軸異方性定数Kuを1
次の立方異方性定数K1の絶対値以下にすることにより前
記(9)式が成立でき、更にそのアスペクト比を第6図
から5×10-2以下とするときは、横方向の反磁界係数
NT′を小さく抑えることができ、周波数下限ωminを極
限値に迄下げることができることになる。
また、YIGとして例えばFe3+イオンの一部をGa3+イオ
ンのような非磁性イオンで置換して飽和磁化4πMsを低
下させれば(9)式よりωminの低減化をはかることが
できる。
尚、因みに、本発明においては、一次の立方異方性定
数K1が負のYIG薄膜構成によった場合であるが、K1が正
の場合には、垂直共鳴の条件は、 となり、この場合は、(11)及び(12)式からわかるよ
うに(111)膜を用いてKuを 以下に抑えることによりωminの低減化がはかられる。
また、上述したように本発明によれば、共鳴周波数の
下限値ωminを小さくできたことで無負荷Q値を高める
ことができる。第8図は、無負荷Q値Quの周波数変化を
示すもので、この図から明らかなようにQuは周波数ωに
比例し、ωminで0になり、次式で表わすことができ
る。
Qu=(ω−ωmin)/γΔH ‥‥(13) そして、本発明では、ωminを非常に小さくすること
が可能であるので、(13)式からわかるように、同じ周
波数で比べたとき無負荷Q値が高くなり特性向上がはか
られる。この効果は特に1GHz以下の低周波で顕著であ
る。
また、このYIG薄膜素子による強磁性共鳴装置におい
て、その外部Q値Qeを小さくすれば、その動作周波数が
極低周波数までに可能となる。このことについて説明す
る。まず、YIG同調発振器のように反射形で用いる場合
についてみる。今、YIG共鳴素子の無負荷Q値Qu、外部
Q値をQe、共鳴周波数をωoとすると、反射係数S
11は、次式で表わされる。
(15)式からわかるように、ωがωoから充分に離れた
ときの反射係数は−1であり、ω=ωoでの反射係数
は、 となる。Qu>Qeのとき、YIG共鳴素子はオーバーカップ
ルド状態になり、反射係数は、ωo付近で大きなループ
を描く。一方(13)式から明らかなように、極低周波数
ではQuの値は小さな値になるため、Qu>Qeが成立するに
は、Qeの値は極めて小さくしなければならない。次に帯
域通過フィルタのように透過形で用いる場合についてみ
る。1段の帯域通過フィルタの透過係数S21は、次式で
表わされる。
簡単化のためにQe1=Qe2とおいて次式を得る。
(17)式からわかるように、ωがωoから充分に離れた
ときの透過係数は0であり、ω=ωoでの透過係数は、 となる。したがって、極低周波数ではQuの値が小さくな
る分、Qeの値も充分小さくしなければ、ω=ωoにおけ
る透過振幅をある程度大きくすることはできない。言い
換えれば、外部Q値Qeを充分小さくすれば動作周波数を
極低周波まで下げることができる。
〔実施例〕
直径2.5mm、膜厚50μmの(100)面を主面とするYIG
薄膜ディスクを作製し、その膜厚方向に対する外部直流
磁界を変化させた場合の垂直共鳴周波数の測定結果を第
9図に白丸印をもってプロットした。この共鳴周波数下
限140MHzであった。尚、比較のために直径2.5mm、膜厚5
0μmの(111)面を主面とするYIG薄膜ディスクを作製
して同様の第9図に黒丸印をもってプロットした。この
場合の共鳴周波数下限は270MHzであった。これら共鳴周
波数下限値は、前記(9)式、及び(10)式から求めら
れる理論値の125MHz,274MHzと良く一致している。第9
図の実線曲線は、この理論値曲線であり、4πMs=1800
G,K1=−5.7×103erg/m3,Ku=0.7×103erg/cm3(但し、
このKuは(100)面の膜に対してのみ)の値を用いた。
この例ではKu<|K1|の条件が満足されていることがわ
かる。
次に、第1図及び第2図を参照して本発明を、2段の
YIG薄膜型の帯域通過フィルタに適用する場合の一例を
説明する。図中(19)は、その装置本体で、(20)は、
この装置本体(19)に直流バイアス磁界を印加するバイ
アス磁界印加手段を示す。
この例では、その伝送系をいわゆるサスペンデッド・
サブストレイト・ストリップライン構成とした場合で、
装置本体(19)は、第1の導体(21)と、第2の導体
(22)との間に、第1及び第2の円板状YIG薄膜素子(2
3)及び(24)を有する非磁性GGG基板(25)と、一方の
面に第1及び第2のストリップライン(26)及び(27)
すなわち入力及び出力ストリップラインが形成され、他
方の面に第3の結合用のストリップライン(28)が形成
された誘電体基板(29)とを重ね合せて挟み込んだ構成
とされている。
ストリップライン(26)及び(27)は、第2の導体
(22)側に片寄ってこれと比較的近接するように配置さ
れて、この第2の導体(22)との間の高周波磁界の磁力
綿密度が高められるようになされている。そしてこの間
にストリップライン(26)及び(27)と接触してYIG薄
膜素子(23)及び(24)を配置してその結合を強める構
造としている。
第1及び第2のYIG薄膜素子(23)及び(24)は、非
磁性GGG基板(25)の、誘電体基板(29)と対向する側
の面に、その膜面が(100)結晶面とされたYIG薄膜を全
面的にLPEによって育成し、その後フォトリソグラフィ
技術によって不要部分をエッチング除去することによっ
て所要の寸法形状と配置関係をもって同時に形成し得
る。
誘電体基板(29)は、例えばアルミナなどのセラミッ
ク基板によって構成し、YIG薄膜素子(23)及び(24)
と対向する側の面に、これら素子(23)及び(24)と夫
々対接する位置に第1及び第2のストリップライン(2
6)及び(27)が被着形成される。また、基板(29)の
他方の面に両ストリップライン(26)及び(27)を横切
って対向するように第3のマイクロストリップライン
(28)が被着形成される。第1及び第2のマイクロスト
リップライン(26)及び(27)の例えば互いに反対側の
各端部(26a)及び(27a)と第3のマイクロストリップ
ライン(28)の両端(28a)及び(28b)は夫々接地端と
して、基板(25)及び(29)を、第1及び第2の導体
(21)及び(22)間に挟み込んだ状態で、これら導体
(21)または(22)と接触するようになされる。
第1の導体(21)の下面には比較的深い凹部(30)が
設けられ、第1及び第2のYIG薄膜素子(23)及び(2
4)と、第1及び第2のストリップライン(26)及び(2
7)の素子(23)及び(24)との電磁結合部と、第3の
ストリップライン(28)の第1及び第2のストリップラ
イン(26)及び(27)の結合部に対向する部分において
比較的大なる空間が生じるようになされる。
第2の導体(22)の上面には、両基板(25)及び(2
9)とが重ね合されて収容配置される比較的浅い凹部(3
1)が設けられ、YIG薄膜素子(23)及び(24)及びスト
リップライン(26)及び(27)との対向部と導体(22)
とが所要の比較的小なる間隔を保持することができるよ
うに、凹部(31)の底面の側縁部にスペーサ(32)が配
置される。
そして、第3のマイクロストリップライン(28)の両
端(28a)及び(28b)による接地端が第1の導体(21)
の下面(21a)に当接し、第1及び第2のマイクロスト
リップライン(26)及び(27)の各一端(26a)及び(2
7a)による接地端に第2の導体(22)の例えば凹部(3
1)内に設けた台部(22a)が当接するようになす。
バイアス磁界印加手段(20)は、例えば装置本体(1
9)を挟んで相対向する中央磁極(41A)及び(42A)を
有する対の壺型コア(41)及び(42)が、装置本体(1
9)を包囲するように配置される。そして、両中央磁極
(41A)(42A)の少なくとも一方に線輪(43)が巻装さ
れてこれに通電がなされることによって中央磁極(41
A)及び(42A)間に直流バイアス磁界が発生するように
なされ、通電電流の選定によって直流バイアス磁界の強
さを変化することができるようになされている。
このような構成によれば、上述したように、YIG薄膜
素子(23)及び(24)と、入出力ストリップライン(2
6)及び(27)との磁界結合が強められることによっ
て、外部Q値Qeを充分小となすことができ、これによっ
て動作周波数を低い周波数にまで下げることができる。
例えば上述の構成において、YIG薄膜素子(23)及び(2
4)を直径2.5mm、膜厚を25μmとする場合、入出力スト
リップライン(26)及び(27)とYIG薄膜素子(23)及
び(24)との結合による外部Q値Qe1は70、結合用スト
リップライン(28)とYIG薄膜素子(23)及び(24)と
の結合による外部Q値Qe2は325となる。そして、この場
合のフィルタ特性の測定結果を第3図に示す。第3図に
おいて曲線(61)は挿入損失、(62)は反射損失、(6
3)は3dB帯域幅の特性を示す。これより明らかなように
この構成によるフィルタ装置は、400MHzから2GHzまでの
周波数範囲で動作することのできる周波数可変のYIG帯
域通過フィルタが実現される。
また、このような構成において、更に外部Q値Qeを、
より低める構成とすることができる。この場合の一例を
第4図に示す。この場合、第1図及び第2図で説明した
と同様の構成をとるが、特に非磁性GGG基板(25)のYIG
薄膜素子(23)及び(24)を有する側とは反対側の面、
すなわち第2の導体(22)と対向する側の面に、少なく
ともYIG薄膜素子(23)及び(24)と対向する部分を含
んで、例えばほぼ全面的に導体層(50)を被着する。こ
の導体層(50)は、第1及び第2の導体(21)及び(2
2)と電気的に接続されない浮いた状態とされる。尚、
第4図において第1図と対応する部分には同一符号を付
して重複説明を省略する。
第5図はこの場合の周波数フィルタ特性の測定結果を
示し、同図中曲線(64)は挿入損失、(65)は反射損
失、(66)は3dB帯域幅の各特性を示す。この場合、第
3図の特性に比較して挿入損失については第1図及び第
2図の構造のものがもともと低損失であることによって
大きな差はみられないものの3dB帯域幅については5MHz
程度大となっている。これは、第4図の構成の場合、外
部Q値が、より低められていることに因る効果にほかな
らない。
尚、上述した例は、サスペンデッド・サブストレイト
・ストリップライン構成とした場合であるが、これにお
いて第1の導体(21)が誘電体基板(29)から充分離間
した極限としての開放形のサスペンデッドサブストレイ
トストリップライン構成とすることもできるし、インバ
ーテッドマイクロストリップライン等の構成を採ること
もできるものである。
〔発明の効果〕
上述したように本発明によれば、極低周波から動作が
可能なYIG薄膜型の強磁性共鳴装置を実現できるもので
あり、更に、その共鳴周波数下限を充分低めることがで
きることによって同じ周波数において比べるとき、無負
荷Q値が高くなる分、特性の向上がはかられるものであ
り、特に1GHz以下の低周波でその効果が顕著となる。
また、上述した第1図及び第2図で、更に第4図で説
明した構成の場合のように、装置本体(19)が導体(2
1)及び(22)によって囲んだ構成とするときは、その
シールド効果によって、この本体(19)をバイアス磁界
印加手段(20)の磁気回路の磁極(41A)(42A)間のギ
ャップ内に実装したときアイソレーション劣化などによ
る特性変化を回避することができる。また、同様の上述
の例において、ストリップラインを誘電体基板(29)に
構成するときは、非磁性基板(25)に対するYIG薄膜素
子(23)(24)の形成工程とは独立にストリップライン
の形成を行うことができることによって製造プロセスの
簡易化、歩留りの向上がはかられるなどの利益もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明装置の一例の断面図、第2図はその装置
本体の分解斜視図、第3図はそのフィタ特性の測定曲線
図、第4図は本発明装置の他の例の断面図、第5図はそ
のフィルタ特性の測定曲線図、第6図及び第7図は本発
明の説明に供するNT′及びγNT′4πMsとアスペクト比
σとの夫々の関係を示す曲線図、第8図は共鳴周波数と
無負荷Q値の関係を示す図、第9図は外部磁界と共鳴周
波数との関係を示す図、第10図は従来装置の斜視図であ
る。 (19)は強磁性共鳴装置の装置本体、(20)はバイアス
磁界印加手段、(23)及び(24)はYIG薄膜素子、(2
5)は非磁性基板、(26)〜(28)はマイクロストリッ
プライン、(29)は誘電体基板である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新倉 かな子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−65502(JP,A) Proc.IRE,Vol.44, 1956,PP.1284−1293 小西,「フェライトを用いた最近のマ イクロ波回路技術」,電子通信学会,昭 和48年 太田,「磁気工学の基礎▲II▼」, 共立出版 昭和48年

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)非磁性基板上に主面が(100)面と
    なるように形成されたYIG薄膜素子と、 (b)上記YIG薄膜素子に結合される伝送線路と、 (c)磁界印加手段とを有してなることを特徴とする強
    磁性共鳴装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Proc.IRE,Vol.44,1956,PP.1284−1293
太田,「磁気工学の基礎▲II▼」,共立出版昭和48年
小西,「フェライトを用いた最近のマイクロ波回路技術」,電子通信学会,昭和48年

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