JP2508257B2 - 熱交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は例えば廃温水を利用し、路面等の融雪、除
氷、凍結防止などを行う熱交換装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

第４図は例えば実公昭58−38005号公報に開示された
従来の熱交換装置を示し、図において、（１）は貯湯槽
であり、廃温水等を留めている。（２）は貯湯槽（１）
内の温水が送水管（３）を通して流通する温水路であ
り、一般的に高所から低所に温水が流通するように配置
される。（４）は送水管（３）に配置され貯湯槽（１）
内の温水を温水路（２）に送水する送水ポンプ、（５）
は被加熱部であり、図は一例として路面（以下、路面と
称す）の場合を示している。（６）は一端側の受熱部
（6a）が温水路（２）内を流通する温水と熱的に接触さ
れ、他端側の放熱部（6b）が被加熱部である路面（５）
中に埋設されたヒートパイプであり、温水路（２）の長
手方向に複数本配設されており、ヒートパイプ（６）内
部に熱を輸送する作動流体例えば水、アルコール、フロ
ン、アンモニア等が封入されている。第５図は温水路
（２）の一例を示すものであり、ヒートパイプ（６）の
受熱部（6a）は溝形状をした温水路（２）の中に配置さ
れており、温水路（２）は路面（５）に併設された場合
を示している。

次に動作について説明する。被加熱部である路面
（５）の中にヒートパイプ（６）の放熱部（6b）を適当
な間隔を隔てて埋設し、温水路（２）の中にヒートパイ
プ（６）の受熱部（6a）を配置する。貯湯槽（１）内の
温水を送水ポンプ（４）により送水管（３）を通して温
水路（２）に流通させる。温水路（２）を流通する温水
によりヒートパイプ（６）の受熱部（6a）が加熱され、
ヒートパイプ（６）内の作業液体は蒸気化し温水の熱量
を蒸発潜熱として奪いヒートポンプ（６）内を通って放
熱部（6b）に移動する。ヒートパイプ（６）の放熱部
（6b）に移動した作動液体の蒸気は路面（５）の方が温
水より低い温度のため凝縮液化して路面（５）に凝縮潜
熱を放出する。液化した作動液体はヒートパイプ（６）
の内壁面を伝って受熱部（6a）に還流する。以上の動作
が自然的に繰り返されることにより、温水路（２）を流
通する温水の熱量を路面（５）に熱輸送し、路面（５）
を０℃以上に加熱することができ、路面（５）の融雪、
除氷、凍結防止などを行っている。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の熱交換装置は以上のように構成されているの
で、温水路（２）の上部が開放されているため液面から
の蒸発などによる放熱があると共に雨水、融雪水の温水
路（２）への侵入による温水温度の低下などがあり、熱
損失が大きく効率的な熱交換特性が得られなかった。ま
た、周囲の塵埃が温水路（２）に沈着し易く、熱源とし
て廃温水などを利用する場合は悪臭が発生するなどの非
衛生であるという問題点があった。また、道路が長手方
向に勾配がある場合は、各位置で温水路（２）内の水面
を略一定に保つために流量の制約が生じる問題点があっ
た。また、温水は温水路（２）内をただ単に流通させる
のみであり、温水を無駄に排水していた。

この発明は上記のような課題を解決するためになされ
たものであり、効率が良く信頼性の高い熱交換装置を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この発明に係る熱交換装置は、一端側が低所に他端側
が高所に配置され、温水源からの温水が一端側から流通
されて内部に充満され他端側から温水が排出される管路
体と、管路体に温水を送水するポンプと、一端側の受熱
部が管路体内を流通する温水と熱的に接触され、多端側
の放熱部が被加熱部に配置されるヒートパイプとを設け
たものである。

〔作 用〕

この発明における熱交換装置は、温水源からの温水を
ポンプにより管路体の一端側から管路体内に流通されて
温水が管路体内に充満し、その温水の熱量をヒートパイ
プにより被加熱部に熱輸送してその熱加熱部を加熱し、
管路体内の温水を管路体の他端側から排出する。

〔実施例〕

以下、この発明の一実施例を第１図に基づいて説明す
る。第１図は例えば温水源として温泉地等の廃湯を温水
源として利用して融雪、除氷、凍結防止などを行う熱交
換装置を示し、第１図において、（５）は被加熱部であ
る路面、（６）はヒートパイプ、（6a）は受熱部、（6
b）は放熱部、（７）は例えば温水源（図示せず）であ
る温泉地等の廃湯を貯留するタンク、（８）はタンク
（７）からの温水が送水管（９）を通して一端側（8a）
から流通されて内部に充満され他端側（8b）からその温
水が排出される管路体であり、この管路体（８）内の温
水と熱的に接触するようにヒートパイプ（６）の受熱部
（6a）がその管路体（８）内に配置されている。（10）
はフィルタ、（11）は送水管（９）に配設され、タンク
（７）内の温水を管路体（８）に送水するポンプであ
る。

次に動作について説明する。温水源からの温水はタン
ク（７）に貯留される。タンク（７）の内部に貯留され
た温水はポンプ（11）により送水管（９）を経て管路体
（８）の一端側（8a）から管路体（８）内に流通され、
温水が管路体（８）内に充満する。管路体（８）の内部
に配置されたヒートパイプ（６）の受熱部（6a）は管路
体（８）の内部に充満する温水と熱的に接触し、その温
水により加熱され、ヒートパイプ（６）内の作動液体は
蒸気化し、温水の熱量を蒸発潜熱として奪いヒートパイ
プ（６）内を通って路面（５）に埋設された放熱部（6
b）に移動する。ヒートパイプ（６）の放熱部（6b）に
移動した作動液体の蒸気は路面（５）の方が温水より低
い温度のため凝縮液化して路面（５）に凝縮潜熱を放出
する。液化した作動液体はヒートパイプ（６）の内壁面
を伝って受熱部（6a）に還流する。この動作は自然的に
繰り返され、これに伴い管路体（８）内の温水の熱量が
ヒートパイプ（６）により路面（５）に熱輸送され、温
水の温度が低下する。温度が低下した温水はオーバーフ
ロー的に管路体（８）の多端側（8b）から排出されると
同時にタンク（７）内の高い温度の温水が送水管（９）
を経て管路体（８）に流入され、管路体（８）内は常に
温水が充満される。以上のような動作の繰り返しによ
り、路面（５）は０℃以上に加熱され、路面（５）の融
雪、除氷、凍結防止などを行うようにしている。その結
果、管路体（８）の非開放により液面からの蒸発による
放熱がなくなると共に雨水、融雪水の侵入による温水温
度の低下もなく、熱損失を著しく小さなものとでき、効
率的な熱交換特性が得られる。また、温水源として廃温
水などを利用する場合に悪臭が発生することがなく衛生
的である。また、道路が長手方向に勾配がある場合に管
路体（８）内が温水で充満されているので各位置で一定
となり均一化が図れる。また、温水は無駄に排出するの
ではなく、温水を管路体（８）内に充満させて滞留さ
せ、温水の熱量の有効に利用してから排出するようにし
ており、温水を経済的且つ有効に使用することができ
る。

また、上記実施例ではポンプ（11）は連続的に運転さ
れる場合について述べたが、ポンプ（11）を間欠的に運
転するようにしてもよい。即ち、管路体（８）内に温水
が充満するとポンプ（11）を停止させて温水の送水を中
断し、管路体（８）の他端側（8b）から温水が排出され
ることなく管路体（８）内に温水を充満させて滞留さ
せ、ヒートパイプ（６）の熱輸送作用により管路体
（８）内の温水の温度がある程度下がった時点でポンプ
（11）を運転し、タンク（７）内の高い温度の温水を送
水して温度の下がった温水を管路体（８）の他端側（8
b）から排出させる。このような動作を間欠的に行うよ
うにしてもよい。

また、ポンプ（11）を温水の送水量の増減を自在に変
更できる可変ポンプとすれば、管路体（８）への温水の
送水量を任意に変更できる。特に、ポンプ（11）を間欠
的に運転する場合は、ポンプ（11）の送水量を急激に増
大させ、ある時間経過後、ポンプ（11）を定格運転させ
るように構成し、管路体（８）内の温度が下がった温水
とタンク（７）内の高い温度の温水と置換させるときに
効率良く置換させることができる。

また、第２図に示すように、管路体（８）内の温水の
温度を検出する温度検出器（12）と、温度検出器（12）
の検出信号が一定温度以下のときポンプ（11）を駆動す
ると共に温度検出器（12）の検出信号がある設定温度以
上のときポンプ（11）を停止する制御装置（13）を設け
たものであり、タンク（７）の内部に貯留された温水は
ポンプ（11）の起動により送水管（９）を経て管路体
（８）の一端側（8a）から管路体（８）内に流通され、
管路体（８）に充満された状態で余剰の温水は管路体
（８）の他端側（8b）から排出される。そして、管路体
（８）内の温水の温度が温度検出器（12）により検出さ
れる。制御装置（13）は温度検出器（12）からのある設
定温度以上の検出信号が入力されたときポンプ（11）を
停止させる。ポンプ（11）が停止されると温水は管路体
（８）内に充満した状態で滞留される。ところで、管路
体（８）の内部に配置されたヒートパイプ（６）の受熱
部（6a）は管路体（８）の内部に充満する温水と熱的に
接触し、その温水により加熱され、ヒートパイプ（６）
内の作動液体は蒸気化し温水の熱量を蒸発潜熱として奪
いヒートパイプ（６）内を通って路面（５）に埋設され
た放熱部（6b）に移動する。ヒートパイプ（６）の放熱
部（6b）に移動した作動液体の蒸気は路面（５）の方が
温水より低い温度のため凝縮液化して路面（５）に凝縮
潜熱を放出する。液化した作動液体は、ヒートパイプ
（６）の内壁面を伝って受熱部（6a）還流する。この動
作は自然的に繰り返され、これに伴い管路体（８）内の
温水に熱量がヒートパイプ（６）により路面（５）に熱
輸送され、温水の温度が低下する。一方、制御装置（1
3）は温度検出器（12）からの一定温度以下の検出信号
を入力したときポンプ（11）を駆動する。ポンプ（11）
を駆動するとタンク（７）内の高い温度の温水が送水管
（９）を経て管路体（８）内に流通され、その管路体
（８）内に滞留している温度の低下した温水が管路体
（８）の他端側（8b）から排出され、時間の経過に伴い
管路体（８）内の温水の温度が上昇する。そして制御装
置（13）は温度検出器（12）からのある設定温度以上の
検出信号を入力したときポンプ（11）を停止する。ポン
プ（11）を停止すると管路体（８）内に温水が再び充満
された状態で滞留される。以上のような動作の繰り返し
により、路面（５）は０℃以上に加熱され、路面（５）
の融雪、除氷、凍結防止などを行うようにしている。

また、第３図に示すように、ポンプ（11）の駆動時間
が所定時間に達するとポンプ（11）を停止させると共に
ポンプ（11）の停止時間が所定時間に達するとポンプ
（11）を駆動させる制御装置（14）を設けたものであ
り、タンク（７）内の内部に貯留された温水はポンプ
（11）の起動により送水管（９）を経て管路体（８）の
一端側（8a）から管路体（８）内に流通され、管路体
（８）内に充満され状態で余剰の温水は管路体（８）の
他端側（8b）から排出される。そして、ポンプ（11）の
駆動時間が所定時間に達すると制御装置（14）によりポ
ンプ（11）が停止され、温水は管路体（８）内に充満さ
れた状態で滞留する。ところで、管路体（８）の内部に
配置されたヒートパイプ（６）の受熱部（6a）は管路体
（８）の内部に充満する温水と熱的に接触し、その温水
により加熱され、ヒートパイプ（６）内の作動液体は蒸
気化し温水の熱量を蒸発潜熱として奪いヒートパイプ
（６）内を通って路面（５）に埋設された放熱部（6b）
に移動する。ヒートパイプ（６）の放熱部（6b）に移動
した作動液体の蒸気は路面（５）の方が温水より低い温
度のため凝縮液化して路面（５）に凝縮潜熱を放出す
る。液化した作動液体はヒートパイプ（６）の内壁面を
伝って受熱部（6a）に還流する。この動作は自然的に繰
り返され、これに伴い管路体（８）内の温水の熱量がヒ
ートパイプ（６）により路面（５）に熱輸送され、温水
の温度で低下する。また、一方、ポンプ（11）の停止時
間が所定時間に達すると制御装置（14）によりポンプ
（11）が駆動され、タンク（７）内の高い温度の温水が
送水管（９）を経て管路体（８）の一端側（8a）から管
路体（８）内に流通され、その管路体（８）内に滞留し
ている温度の低下した温水が管路体（８）の他端側（8
b）から排出される。ポンプ（11）の駆動時間が所定時
間に達すると制御装置（14）によりポンプ（11）を停止
させ、管路体（８）の内部に再び温水を充満させた状態
で滞留させる。以上のような動作の繰り返しにより、路
面（５）は０℃以上に加熱され、路面（５）の融雪、除
氷、凍結防止などを行うようにしている。また、ポンプ
（10）を駆動してからの時間及びポンプ（11）を停止し
てからの時間をそれぞれタイマーして各所定時間に達す
ると制御装置（14）によりポンプ（11）を駆動、停止さ
せるようにしてもよい。

尚、上記実施例では温水源からの温水をタンク（７）
に貯留し、そのタンク（７）から温水を管路体（８）に
流通させる場合について述べたが、タンク（７）を省略
して温水源から温水を管路体（８）に流通させるように
してもよい。

また、上記実施例では被加熱部が路面であり、その路
面の融雪、除氷、凍結防止などに適用した熱交換装置の
場合について述べたが、被加熱部を屋根としてその屋根
の融雪、除氷、凍結防止などにこの発明を適用し得るこ
とができ、上記実施例と同様の効果を奏する。

また、ヒートパイプの放熱部を工場、ビル、家屋の
床、天井、壁などのに配置し、暖房装置としてこの発明
を適用するようにしてもよい。

〔発明の効果〕

この発明は以上説明した通り、一端側が低所に他端側
が高所に配置され、温水源からの温水が一端側から流通
されて内部に充満され他端側から温水が排出される管路
体と、管路体に温水を送水するポンプと、一端側の受熱
部が管路体内を流通する温水と熱的に接触され、他端側
の放熱部が被加熱部に配置されるヒートパイプとを設
け、温水源からの温水をポンプにより管路体の一端側か
ら管路体内に流通されて温水が管路体内に充満し、その
温水の熱量をヒートパイプにより被加熱部に熱輸送して
その被加熱部を加熱し、管路体内の温水を管路体の他端
側から排出するようにしたので、熱損失を著しく小さな
ものとすることができ、効率が良く信頼性の高い熱交換
装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による熱交換装置を示す系
統図、第２図はこの発明の別の実施例による熱交換装置
を示す系統図、第３図はこの発明の別の実施例による熱
交換装置を示す系統図、第４図は従来の熱交換装置を示
す系統図、第５図は従来のヒートパイプの設置状態を示
す斜視図である。 図において、（５）は被加熱部、（６）はヒートパイ
プ、（７）はタンク、（８）は管路体、（10）はポン
プ、（12）は温度検出器、（13），（14）は制御装置で
ある。 尚、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端側が低所に他端側が高所に配置され、
   温水源からの温水が一端側から流通されて内部に充満さ
   れ他端側から温水が排出される管路体と、上記管路体に
   上記温水を送水するポンプと、一端側の受熱部が上記管
   路体内を流通する温水と熱的に接触され、他端側の放熱
   部が被加熱部に配置されるヒートパイプとを備えたこと
   を特徴とする熱交換装置。
2. 【請求項２】管路体内の温水の温度を検出する温度検出
   器と、上記温度検出器の検出信号が一定温度以下のとき
   上記ポンプを駆動すると共に上記温度検出器の検出信号
   がある設定温度以上のとき上記ポンプを停止する制御装
   置とを備えたことを特徴とする請求項（１）記載の熱交
   換装置。
3. 【請求項３】ポンプの駆動時間が所定時間に達すると上
   記ポンプを停止させると共に上記ポンプの停止時間が所
   定時間に達すると上記ポンプを駆動させる制御装置を備
   えたことを特徴とする請求項（１）記載の熱交換装置。