JP2505956Y2 - 折戸用ランナ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、折戸の上端または下端
に用いられるランナーに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、折戸のランナーは支軸を備えた支
持筒と、レールに沿って走行するガイド部材とから成
る。とりわけ、実公昭５８−２１９０４号公報に示され
ているような支軸およびガイド部材が上下動し、また支
持筒内にスプリングを内蔵して、動作時にあってはこの
スプリングの復元力によって支軸およびガイド部材を上
方向に押圧して、ガイド部材のレールからの脱落を防ぐ
構成が普及している。従来のこの構成では、レールから
外すとスプリングの復元力によって支軸およびガイド部
材が最大長、上方に突出し、これが常態となる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、こうした従来
の折戸用ランナーではガイドが常に最大長、上方に突出
しているために、建具の移動や吊りこみ時にガイド部材
や支軸を床や壁面に衝突させ易くなり、この結果破損や
作動不良の原因となることが多かった。さらに折戸の取
付け時においても、レールにランナーを挿入するとき、
ガイド部材を指やドライバーなどにて押し込みながら挿
入せねばならないという欠点があった。

【０００４】かかる欠点を解決するため、特開昭５４−
１３５４３９号公報において、スリーブとピン本体との
間に係合するフック及びガイドチップ縁部を設けた折戸
用ランナーが開示されている。しかし、フックがピン本
体の先端方向に突出形成されているため、ピンの収納時
に無駄な空間が形成されてしまい、フックとガイドチッ
プ縁部を雌雄係合させてもピン等の完全な収納ができな
かった。

【０００５】本考案は、このような課題や欠点を解決す
るためになされたもので、その目的は折戸の保管時や移
動、運搬時にガイド部材や支軸が損傷を受けることがな
く、さらにレールへの組み込み時及び取り外し時の作業
が極めて容易な折戸用ランナーを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この考案に係る折戸用ランナーは、支持筒および支持筒
内を軸方向に移動自在な支軸の上部に装着されたガイド
部材から成り、このガイド部材をスプリングで上方に押
上げている構成の折戸用ランナーにおいて、前記ガイド
部材の下端に略フック状の雄係合部材が設けられるとと
もに、前記支持筒の上端に上記ガイド部材を押上力に抗
して押し下げて回転したときに雄係合部材とロックされ
る雌係合部材が設けられ、雌係合部材は支持筒の上端に
ワッシャーを挟んで装着されたカバーのワッシャーが存
在していない部位を切欠した孔から成る構成を特徴とす
る。

【０００７】

【作用】ガイド部材を指先などでスプリングの押上力に
抗して押し下げて回転させた時に、ガイド部材の下端に
設けられた雄係合部材が支持筒の上端にワッシャーを挟
んで装着されたカバーのワッシャーが存在していない部
位を切欠して形成された雌係合部材としての孔を通過し
て支持筒とカバーとの間の空隙に挿入される。ここで雄
係合部材は略フック状に形成されているので、雌雄係合
部材がロックされ、ガイド部材は押下げロック状態のま
まとなる。斯る押下げロック状態のままで、レールへの
脱着がなされる。ノックダウン方式では、押下げロック
状態のままで梱包して運搬される。

【０００８】

【実施例】以下、この考案の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図１はこの考案の折戸用ランナーの全体構
成を示す斜視図である。この考案の折戸用ランナー１
は、ガイド部材２および支持筒３から成る。支持筒３か
ら伸びた上下動可能の支軸上部６ａの先端には、ガイド
部材２を回転自在に取り付ける。すなわちガイド部材２
は、図に示すαβ両方向へ容易に回転可能である。ガイ
ド部材２の下端には雄係合部材としてアングル２ａと突
起２ｂを複数個設ける。

【０００９】一方、支持筒３の上部にカバー４を装着す
る。カバー４には雌係合部材として孔４ａを複数個穿
つ。図示するように４個穿つことができる。孔４ａは広
開口部４ｂと、それに連なる狭開口部４ｃから成る。広
開口部４ｂはガイド部材２に設けたアングル２ａおよび
突起２ｂが自在に通過できるに相応な寸法と形状を有
し、狭開口部４ｃはアングル２ａがその中を自在に移動
できるに相応な寸法と形状を有するよう構成する。さら
に孔４ａは、降下したガイド部材２の下端のアングル２
ａおよび突起２ｂが広開口部４ｂを通過する位置に設け
る。

【００１０】つぎにランナー１の内部構成と動作を、図
１および図１のＩ〜Ｉ断面を示す図２，図３に基づき説
明する。

【００１１】図２及び図３において、支持筒３は円筒状
の中空のケーシング３ａを備える。ケーシング３ａの内
部には支軸上部６ａを有する支軸６が自在に上下動でき
るよう嵌合され、ケーシング３ａの上部には中央部に貫
通孔を有する上蓋３ｂ、さらに下部には下蓋３ｃを設け
る。支軸上部６ａはこの貫通孔を経て上方向に伸展す
る。支軸６下端と下蓋３ｃの間には復元力を有するスプ
リング５を配設する。

【００１２】上蓋３ｂには、支軸上部６ａを貫通させた
ワッシャー７を挾んでカバー４を装着する。ワッシャー
７の介在によって、上蓋３ｂとカバー４の間に空隙４ｄ
が形成される。

【００１３】支持筒３内の支軸６はスプリング５の復元
力によって支持筒３の底部から上方向に押され、支持筒
３の上方に昇り切った位置にあり、支軸上部６ａに装着
したガイド２も上方に昇り切った位置にある。

【００１４】この状態においてガイド部材２を指先など
にて押し下げ、ガイド２下端に設けたアングル２ａおよ
び突起２ｂが支持筒３上端に装着したカバー４に設けた
孔４ａの広開口部４ｂを通過して、孔４ａの下に拡がる
空隙４ｄに挿入される位置まで押し下げたのち、ガイド
部材２を若干回転（α方向）させると、アングル２ａは
孔４ａを横切って狭開口部４ｃへ移動する。

【００１５】ここで指先を放して押し下げ圧力を解放す
ると、ガイド部材２はスプリング５の復元力によって上
方向に復元しようとするが、狭開口部４ｃは狭い開口を
持つゆえ突起２ｂが狭開口部４ｃ周辺にぶつかり通過で
きず、ガイド部材２はこれ以上、上方向に移動できな
い。よってガイド部材２はこの位置でロックされる。

【００１６】アングル２ａのロックを解除するときは、
前記とは逆に、ガイド部材２を指先にて押えながら逆方
向に若干回転（β方向）させる。アングル２ａは狭開口
部４ｃの現在位置から、それに連なる広開口部４ｂへと
孔４ａを横切って戻り、突起２ｂも孔４ａの下に拡がる
空隙４ｄ内を移動して広開口部４ｂに戻る。

【００１７】ここで指先をはなすとスプリング５がガイ
ド部材２を上方に押上げるから、アングル２ａと突起口
２ｂは広開口部４ｂを通過して孔４ａを脱し、よってガ
イド部材２はスプリング５の復元力によって上昇する。

【００１８】図４及び図５はランナーを折戸に組み込ん
だ状態を示すものである。折戸２２はその一端の上下に
ランナー１を装着し、他端を蝶番２３にて他の折戸２２
と連結する。上部のランナー１Ａのガイド部材２は上部
レール２０の溝２４に挿入され、一方、下部レール２１
にはランナーが挿入されている。いずれか一方の上ラン
ナー１Ａ、１Ａに替えてピボットを用いてもよい。

【００１９】折戸の組み込み時には、上部のランナー１
Ａのガイド部材２をそれぞれ支持筒３の方向に押し戻し
てロックした状態で折戸２２を運搬搬入し、ついで折戸
２２を上部レール２０の然るべき位置に保持しつつ、上
部のランナー１Ａのガイド部材２をそれぞれ前記のよう
に指先などで押しながら若干回転させてロックを解除す
れば、上部のランナー１Ａのガイド２部材は上部レール
２０まで進展して溝に挿入される。このように、容易な
作業で折戸をレールに組み込むことが可能となる。

【００２０】また、折戸の取り外し時には、上部のラン
ナー１Ａのガイド部材２をそれぞれ支持筒３の方向に押
し戻してロックし、こののち折戸を移動させればよい。
このように、容易な作業で折戸を取り外すことが出来
る。

【００２１】カバー４に設けた孔４ａの数は、ガイド部
材２のアングル２ａおよび突起２ｂの数と同数か、ある
いはそれよりも多い構成とする。また、カバー４に設け
た孔４ａは、降下したガイド部材２の各アングル２ａお
よび突起２ｂを導入可能な位置に設けるものとする。

【００２２】本考案に係るランナーは、前記のような折
戸用に使用する以外にも、レールを走行するランナーを
有する引戸に適用可能である。戸の上端のほかに、下端
に埋設して下部ランナーとしても実施可能であるほか、
例えば商店のシャッターにみるように左右に設けた左レ
ール、右レールをランナーが走行して戸が上下動する場
合にも、有効に適用できる。

【００２３】

【考案の効果】以上説明したようにこの考案に係る折戸
用ランナーは、ガイド部材を押し下げたのちに、支持筒
の上端にワッシャーを挟んでカバーを装着することによ
って形成された空隙を利用してガイド部材を支持筒に押
下げ状態のままでロックすることができた。

【００２４】この結果、ガイド部材を押し下げ、ガイド
部材や支軸をコンパクトに収納し、無駄な空間のない状
態で折戸の保管、移動や運搬ができることから、ガイド
部材や支軸を床や壁面に衝突させることがなくなり、破
損や作動不良の発生を解消できる。また、折戸の取付け
時においても、レールにランナーを挿入するとき、ガイ
ド部材を指などにて押し込みながら挿入する必要がなく
なり、作業性を大幅に改善することが可能となる。さら
に、内部空隙を利用して雌雄係合させていることから、
外見上の美観を損なうこともない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る折戸用ランナーの全体構成の斜視
図である。

【図２】図１のＩ〜Ｉ断面図である。

【図３】図１のＩ〜Ｉ断面図でロック状態を示すもので
ある。

【図４】本考案に係る折戸用ランナーの折戸への組込状
態を説明する図である。

【図５】本考案に係る折戸用ランナーのレールへの組込
状態を説明する図である。

【符号の説明】

１ ランナー ２ ガイド部材 ２ａ アングル ２ｂ 突起 ３ 支持筒 ３ａ ケーシング ３ｂ 上蓋 ３ｃ 下蓋 ４ カバー ４ａ 孔 ４ｂ 切込部 ４ｃ 誘導路 ４ｄ 空隙 ５ スプリング ６ 支軸 ６ａ 支軸上部 ７ ワッシャー ２０ 上部レール ２１ 下部レール ２２ 折戸 ２３ 蝶番

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持筒および支持筒内を軸方向に移動自
   在な支軸の上部に装着されたガイド部材から成り、この
   ガイド部材をスプリングで上方に押上げている構成の折
   戸用ランナーにおいて、前記ガイド部材の下端に略フック状の雄係合部材が設け
   られるとともに、前記支持筒の上端に上記ガイド部材を
   押上力に抗して押し下げて回転したときに雄係合部材と
   ロックされる雌係合部材が設けられ、雌係合部材は支持
   筒の上端にワッシャーを挟んで装着されたカバーのワッ
   シャーが存在していない部位を切欠した孔から成 ること
   を特徴とする折戸用ランナー。