JP2505940B2 - 部品の傾き検出方法 - Google Patents

部品の傾き検出方法

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JP2505940B2 JP3305138A JP30513891A JP2505940B2 JP 2505940 B2 JP2505940 B2 JP 2505940B2 JP 3305138 A JP3305138 A JP 3305138A JP 30513891 A JP30513891 A JP 30513891A JP 2505940 B2 JP2505940 B2 JP 2505940B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回路基板上の予め定め
た位置に回路素子等の部品を実装する際、当該回路基板
上に設置した部品の状態のうち特に傾き(傾斜角度)を
検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記の回路基板上の実装部品のよ
うに平面上に設置された物体の傾きを検出する方法とし
て、主軸(図形の長手方向)の角度による傾き検出が知
られている。これは2値画像の形状特徴を抽出する計算
手法の1つであり、図11に示すように、2値化された
部品の角度(部品の傾き)θを求めることができる。
【0003】すなわち、部品を設置した基板面を2次元
座標(i,j)で表わし、2値化された部品の形状を表わす
関数をf(i,j) 、部品f(i,j) の重心座標を(iG, jG)、
(p+q)次の重心まわりのセントラル・モーメントをMpq
とすると、
【0004】
【数1】
【0005】となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
傾き検出方法には次の問題点がある。
【0007】まず、2値化が前提となっているので、部
品の画像が2値化できない場合には適用できない。
【0008】また、部品の形状f(i,j) がきれいに2値
化されていないと正しい値が求められないので、基板上
に既に搭載されている部品の場合は、周辺のパターンの
影響や部品自身の濃淡のため、2値化によって部品の正
しい形状を得ることができない。部品が正方形の場合に
は主軸が定まらず、θを求めることができない。
【0009】i軸及びj軸方向のモーメントを用いてθ
を計算するので、2つのモーメントの間に差がないとθ
を求めることができない。
【0010】従って、本発明の目的は、基板に搭載され
ているために2値化によって形状が得られない部品や正
方形の部品であっても傾きを検出できる方法を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、回路基板上に
設置した部品の傾斜角度を検出する方法において、以下
のステップから成ることを特徴とする。
【0012】(a) 傾きを検出したい部品を含む画像を得
る。 (b) 前記画像の明るさを微分し、それによって得られた
グラジエントの方向を求める。
【0013】(c) −180 °〜+180 °の角度範囲で前記
グラジエントの方向のヒストグラムを作成する。
【0014】(d) 前記ヒストグラムを90°おきに重ね合
わせることにより、−45°〜+45°の範囲のヒストグラ
ムを作成する。
【0015】(e) 前記(d) で作成したヒストグラムをガ
ウス関数フィルタで平滑化する。 (f) 平滑化したヒストグラムにおいてノイズレベルより
上の部分の極大値の数が2以下になるまで(e) を繰り返
す。
【0016】(g) 極大値が1つの場合はその極大値をと
る角度、極大値が2つの場合は絶対値の大きい方の角度
を部品の傾きとする。
【0017】
【作用】初めにCCDカメラ等の撮像装置により、回路
基板上に実装された部品を含む濃淡画像が得られる。そ
して、この画像の濃淡(明るさ)を微分することによ
り、グラジエントの方向が求められる。ここで、グラジ
エントとは画像の明るさの微分であり、その方向は、濃
淡画像の明と暗の境界線に垂直で暗から明に向かうベク
トルの角度で表わされる。このグラジエントの方向(角
度)を横軸として、その方向のグラジエントをもつ画素
数をプロットすることにより、−180 °〜+180 °の角
度範囲でヒストグラムが作成される。
【0018】ここで対象とする画像には、略矩形の部品
があって水平成分と垂直成分の多いパターンが多く含ま
れているので、上記ヒストグラムは概略90°周期の分布
となる。それ故、上記ヒストグラムを90°おきに重ね合
わせることで−45°〜+45°の範囲のヒストグラムを作
成すると、90°おきに分布していた部品の方向が、より
はっきりする。更に、ガウス関数フィルタで平滑化する
ことにより、高周波成分が除去される。これをノイズレ
ベルより上の部分の極大値の数が2以下になるまで繰り
返すと、極大値が1つの場合にはその角度、極大値が2
つの場合には絶対値の大きい方の角度が、それぞれ部品
の傾きとして得られる。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の方法を実施するシステム構
成を示す。このシステムは、回路基板1上に実装された
部品2を含む濃淡画像を得るための撮像装置としてCC
Dカメラ3を備えると共に、このカメラ3から送られる
画像信号について後述の画像処理操作を行う処理手段と
してパーソナルコンピュータ4と、その処理動作や画像
データ等を表示するモニタ用CRT5とを備えている。
【0020】図2は、上記パソコン4で実行される本発
明方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0021】初めに、CCDカメラ3により、図3に示
すような濃淡画像が得られる(ステップST1)。この
画像は、回路基板1とその上に実装された部品2を含
む。
【0022】次に、この画像の濃淡(明るさ)を微分す
ることにより、グラジエント(gradient)の方向を求め
る(ステップST2)。グラジエントの方向は、図4に
示すように、濃淡画像の明と暗の境界線(検出対象の輪
郭)に垂直で、暗から明に向かうベクトルの角度θであ
る。これを対象画像の全画素について求め、角度を横軸
とし画素数を縦軸とする平面上にプロットする。例え
ば、角度が90°の位置ではグラジエントが90°となった
画素の数をプロットする。かくして、図5に示すような
±180 °の角度範囲のヒストグラムが得られる(ステッ
プST3)。
【0023】ここで対象とする画像には、上記のように
水平成分と垂直成分の多いパターンが多く含まれている
ので、ステップST3で得られたヒストグラムは、ほぼ
90°周期の分布となる。そこで、±45°及び±135 °の
折り返し点でヒストグラムを重ね合わせると、図6に示
すような角度範囲±45°のヒストグラムが作成される
(ステップST4)。これにより、90°おきに分布して
いた部品の方向が、よりはっきりする。
【0024】次に、図7に示すようなガウス関数フィル
タをかけること(フィルタリング)により、図8に示す
ようにピーク(極大値)が明らかになるヒストグラムを
作成する(ステップST5)。そして、このヒストグラ
ムでノイズレベルより上の部分の極大値の数が2以下に
なるまで、上記フィルタリングを繰り返す。すなわち、
ステップST5で得られたヒストグラムにおいて、ノイ
ズレベルより上の部分の極大値の数を数え、その数が2
以下か否かを判定し(ステップST6)、3以上であれ
ば、上記フィルタリングを繰り返すことにより、図9及
び図10に示すのように順次ピーク(極大値)がはっき
りしてくる。
【0025】極大値の数が2以下になったとき、極大値
が1つであればその極大値をとる角度を部品の傾きと
し、極大値が2つであれば絶対値の大きい方の角度を部
品の傾きとする(ステップST7)。図10に示した例
では、 0°に近いピークはパターンの水平又は垂直の成
分であるので、絶対値の大きい方の角度16°を部品の傾
きとする。
【0026】以上の手順により、図3に示すような画像
における部品の傾きが検出されるので、この検出結果に
基づき部品位置の修正等を行うことができる。
【0027】次に、上記の方法を実行するための演算処
理を詳細に説明する。
【0028】まず、グラジエントの角度xに対するヒス
トグラムf(x) を計算する。これは次式で表わされる。
【0029】 f(x) =Σwx …(3) x=−179 ,−178 ,…,180 Σwx :グラジエントの方向がxとなる画素の重みの総
和 ここで、画素の重みwは各画素のエッジの連続性評価値
によって決められる。「エッジの連続性」とは、注目し
ているエッジ点(グラジエントの強度が閾値以上の値を
持つ画素)のエッジの方向とそれに隣接するエッジ点の
エッジの方向が同じであることを意味する。
【0030】実施例の場合、部品の形状は四角形である
ため、f(x) は90°おきにピークが出る。そこで、f
(x) を90°おきに折畳んだヒストグラムh(x) [−45<
x≦45]を計算する。これは、次式で表わされる。
【0031】
【数2】
【0032】更に、h(x) を
【0033】
【数3】
【0034】と正規化する。この Gh(x)を、標準偏差σ
のガウス関数
【0035】
【数4】
【0036】でフィルタリングする。すなわち、フィル
タリングの結果を
【0037】
【数5】
【0038】と表わし、このH(x, σ) を
【0039】
【数6】
【0040】と正規化する。
【0041】(6) 式のガウス関数をフーリエ変換する
と、
【0042】
【数7】
【0043】となり、全角周波数の 99.87%が |w| <
3/σに入っている。従って、ガウス関数g(x, σ) で
Gh(x)をフィルタリングすることにより Gh(x)の高周波
成分が除去され、 Gh(x)が平滑化されることになる。
【0044】σを適切に選べば、部品が傾斜していない
場合には、基板部は水平、垂直の成分が多いことからx
=0に、θだけ傾斜している場合には、x=0及びx=
θにあるノイズレベル以上のピークが、GH(x, σ) に出
現する。
【0045】適切なσは事前に予測することが困難であ
るため、以下のようにσ=1のガウス関数g(x,1) で、
フィルタリング出力のノイズレベル以上のピークが2つ
以下になるまで繰返し平滑化を行う。
【0046】
【数8】
【0047】上式で、H(n)(x)はn回目のフィルタリン
グ結果、GH(n)(x)はH(n)(x)を0〜1の範囲に正規化し
たものである。
【0048】なお、ここではσ=1のガウス関数g(x,
1) でn回繰返しフィルタリングしているが、これは、
n個のg(x,1) の合成積をとったもので1度フィルタリ
ングすることと同等である。そこで、 g(n)(x,1)=g(x,1) * ・・・・ *g(x,1) …(10) をフーリエ変換すると、次の結果が得られる。
【0049】
【数9】
【0050】よって、σ=1のガウス関数でn回フィル
タリングすることは、σ=√n のガウス関数で1回フィ
ルタリングすることと同等である。つまり、σ=1,√
2 ,√3 ,2 ,√5 ,√6 ,・・・・・ のガウス関数で、元
のヒストグラム GH(0)(x) をフィルタリングしているこ
とになる。
【0051】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、画像の
グラジエントを求めてヒストグラムを作成し、それを平
滑化することで大局的な極大値を検出し、その値から目
的とする部品の傾斜角度を検出するようにしたので、2
値化不可能な部品や正方形の部品でも、基板面上での傾
きを検出できる。従って、電子部品に、文字や絵があっ
て2値化が難しいラベルが貼ってある場合には、そのラ
ベルの傾きを検査することにも、本発明の方法が利用で
きる。
【0052】また、撮像装置で得られた画像にノイズ
(画像の欠けなど)があっても、画像中の部品の傾きを
検出することができる。
【0053】更に、対象部品の輪郭がある程度得られれ
ば(中に穴があってもよい)、従来のように2値化した
画像でも、本発明の方法で部品の傾きを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するシステム構成図。
【図2】図1のシステムで実行される方法の処理手順を
示すフローチャート。
【図3】回路基板と実装部品の画像の一例を示す図。
【図4】濃淡画像中のグラジエントの方向を示す説明
図。
【図5】グラジエントの角度に対するヒストグラムの例
を示す図。
【図6】図5のヒストグラムを90°おきに重ね合わせる
ことにより得られた±45°の範囲のヒストグラムを示す
図。
【図7】図6のヒストグラムをフィルタリングするため
のガウス関数を示す図。
【図8】図6のヒストグラムをガウス関数でフィルタリ
ングして得られたヒストグラムを示す図。
【図9】図8のヒストグラムを更にガウス関数でフィル
タリングして得られたヒストグラムを示す図。
【図10】図9のヒストグラムを更にガウス関数でフィ
ルタリングして得られたヒストグラムを示す図。
【図11】座標平面において2値化された部品の傾きを
示す図。
【符号の説明】
1…回路基板、2…部品、3…CCDカメラ、4…パソ
コン、5…モニタ用CRT。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−132106(JP,A) 特開 平3−214008(JP,A) 特開 昭64−78105(JP,A) 特開 平2−98792(JP,A) 特開 平1−106186(JP,A) 特開 平3−65770(JP,A) 特開 昭61−77707(JP,A) 特開 平2−25704(JP,A) 特開 昭60−218011(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回路基板上に設置した部品の傾きを検出す
    る方法において、 (a) 傾きを検出したい部品の像を含む画像を得て、 (b) 前記画像の明るさを微分し、それによって得られた
    グラジエントの方向を求め、 (c) −180 °〜+180 °の角度範囲で前記グラジエント
    の方向のヒストグラムを作成し、 (d) 前記ヒストグラムを90°おきに重ね合わせることに
    より、−45°〜+45°の範囲のヒストグラムを作成し、 (e) 前記(d) で作成したヒストグラムをガウス関数フィ
    ルタで平滑化し、 (f) 平滑化したヒストグラムにおいてノイズレベルより
    上の部分の極大値の数が2以下になるまで(e) を繰り返
    し、 (g) 極大値が1つの場合はその極大値をとる角度、極大
    値が2つの場合は絶対値の大きい方の角度を部品の傾き
    とすることを特徴とする部品の傾き検出方法。
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