JP2500353B2 - 凝集性微生物をリサイクルするアルコ―ルの連続生産方法 - Google Patents

凝集性微生物をリサイクルするアルコ―ルの連続生産方法

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JP2500353B2
JP2500353B2 JP5096500A JP9650093A JP2500353B2 JP 2500353 B2 JP2500353 B2 JP 2500353B2 JP 5096500 A JP5096500 A JP 5096500A JP 9650093 A JP9650093 A JP 9650093A JP 2500353 B2 JP2500353 B2 JP 2500353B2
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alcohol
bacterial cell
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久司 宮川
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TSUSHOSANGYOSHO KISO SANGYOKYOKUCHO
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、糖類を原料として凝
集性微生物をリサイクルするアルコールの連続生産方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコールを微生物により生産する場
合、発酵生産性を上げるためには発酵槽内の菌体濃度を
高濃度に維持し運転することが必要とされている。ま
た、アルコール発酵を行う場合に、発酵微生物は生成さ
れたアルコールによって発酵阻害及び増殖阻害を受ける
ためアルコール濃度が高くなると発酵槽内の生菌率及び
発酵活性が低下し、1段の発酵槽でアルコールを連続生
産するのは困難であることはよく知られているところで
ある。
【0003】この課題を解決するため、凝集性微生物を
用い第1段階で菌体増殖と低濃度のアルコール発酵を行
い、この増殖菌体を第2段階に連続的に供給し第1段階
より高濃度のアルコール生産を行うと共に、各段又は第
2段階の発酵槽に沈降槽を設け菌体液をリサイクルする
ことにより発酵槽内の菌体濃度を高濃度に保ちアルコー
ルの連続生産を行う方法(「アルコールハンドブック」
第150〜151ページ、J.FERMENT. BIOENG., Vol. 6
9, No.1, 39-45, 1990. VIII International Symposium
on Alcohol Fuels Nov. 13, '88 TOKYO, 3 (1988)) が
提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の方法では、凝集性微生物の凝集力が発酵状態によ
り大幅に変動した場合に沈降槽の菌体濃度勾配が変動し
沈降槽分離液中の菌体濃度の調節が困難となっている。
このため発酵槽内の菌体濃度を高濃度に保ち長時間連続
発酵を行うことは困難であった。
【0005】また、アルコールの連続発酵を行なう場合
に用いる原料は、糖蜜、穀類、ホエー等が用いられる。
これらの原料中には小石、砂等の固形物やカルシウム、
マグネシウム等の無機イオンが多量に含まれている。ま
た、これらの原料を用いてアルコール発酵を行うと発酵
中に発生する炭酸ガスと無機イオンが反応し、固形物が
発生する。
【0006】上述の従来の方法では、これらの固形物を
排出する手段がないため固形物が凝集性微生物と共に沈
降分離されエタノール発酵槽内に留まり配管の詰まりや
発酵槽の効率低下等様々な問題を引き起こす原因となっ
ている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段を提供することにある。本発明者等は
上記課題を解決するため鋭意検討した結果本発明に至っ
た。
【0008】本発明は、凝集性微生物をリサイクルする
アルコールの連続生産方法に関する。すなわち、本発明
は、糖類からアルコール発酵微生物として凝集性微生物
を用いてアルコールを連続生産するに当たり、菌体分離
装置を備えた攪拌型発酵槽を2段階に設けて直列結合
し、第1及び第2段階の発酵槽に設ける菌体分離装置
を、上部に希薄菌体液取り出しノズル、中間部に菌体液
リサイクルノズル、下部に固形物排出ノズルを有する沈
降槽とし、かつ希薄菌体液の取り出し及び/又は菌体液
リサイクルの各ノズルのレベル位置が調節可能であるア
ルコールの連続生産方法に関する。
【0009】さらに、菌体液リサイクル流量を調節可能
とし、菌体分離装置の希薄菌体液の菌体濃度を0〜30
g/l、リサイクルする菌体液の菌体濃度を50〜12
5g/lの範囲内とし発酵槽における菌体濃度が50g
/l以上であり、また、第1段階の発酵槽内の発酵性糖
濃度が50g/l以下及び第2段階の発酵槽内の発酵性
糖濃度が10g/l以下であることを特徴とするアルコ
ールの連続生産方法に関する。
【0010】この発明の方法において、アルコールの連
続発酵を行う場合に用いる糖類は、糖蜜、グルコース、
穀類、ホエー等が用いられる。
【0011】図1は、この発明の一実施態様を示すフロ
ーシートであり、1は第1段階の発酵槽、2は第2段階
の発酵槽、3は発酵槽1に設ける菌体分離装置である沈
降分離槽、4は発酵槽2に設ける菌体分離装置である沈
降分離槽である。図2は沈降分離槽3又は4の構成を示
す断面図である。図3、図4はそれぞれ沈降分離槽の異
なる構成を示す断面図である。沈降分離槽を以下単に沈
降槽と称す。
【0012】この発明の方法において、沈降槽は図2に
示すように凝集性微生物の凝集力の変化に対応し分離能
力を変更するため沈降槽の上部から下部に向かって次第
に沈降面積が小さくなる構造とし沈降槽内に菌体濃度勾
配を生じさせると共に、希薄菌体液及び/又は菌体液リ
サイクルノズル位置を上下に移動可能とし菌体濃度を調
節しつつ、固形物(原料中に含まれる無機物及び発酵中
に生じる炭酸カルシウム等の沈殿物)の排出を可能とし
た。ここで、図3に示したように沈降槽下部に取り出し
ノズルを設置してもよい。
【0013】また、発酵槽から菌体分離装置に送られる
発酵液中には通気された空気及び発酵により生じる炭酸
ガスを含むため菌体分離装置内に気液分離ゾーン(気相
部)を設けると共に分離された気体を廃棄するラインを
設けることが望ましい。
【0014】この発明の方法において、図4に示したよ
うに沈降槽側部にノズルを多数設置し、ノズルを切り替
えて使用することもできる。また、ノズル位置の調節は
手動で行うことも可能であるが発酵槽内に菌体濃度セン
サーを設置し、この値に基づき自動的に制御できること
が望ましい。
【0015】この発明の方法において、沈降槽内の分離
能力をより精度良く調節するために菌体液リサイクル量
を定量ポンプを用い調節することがより好ましい。
【0016】この発明の菌体分離装置において希薄菌体
液及び菌体液の菌体濃度はそれぞれ0〜30g/l及び
50〜125g/lで運転することが望ましい。希薄菌
体液の菌体濃度が30g/lを超えると第1段階の発酵
槽の菌体濃度が低下し、運転ができなくなる。また両方
の菌体分離装置の菌体液の菌体濃度が50g/l未満で
は第1段階の菌体濃度を高濃度に保持できなくなる。
【0017】さらに、菌体液の菌体濃度が125g/l
を超えると沈降槽内の分離効率が低下すると共に両方の
菌体分離装置の菌体液の粘度が急激に上昇し菌体液のリ
サイクルが困難となるためである。
【0018】この発明の方法において、アルコール発酵
に用いる凝集性微生物は、沈降槽を用いて菌体濃度が濃
縮できる酵母又は細菌を用いる。例えば、Saccharomyce
s cerevisiae属の凝集性酵母を用いることができる。
【0019】この発明の方法において、第1及び第2段
階の発酵槽は高濃度の菌体と糖類を十分に混合するため
攪拌装置を設置する。この攪拌装置の形式は、発酵槽内
の混合が十分に行われるものであればよいが、好ましく
はプロペラー、リボン翼等旋断力の小さい攪拌翼を備え
る方がよい。この旋断力が大きい場合においては菌体の
凝集性能に悪影響を及ぼす。すなわち菌体の沈降槽にお
いて菌体の沈降が不十分となり高菌体濃度が維持できな
くなる場合があるためである。
【0020】また、第1及び第2段階の発酵槽は菌体の
発酵活性を維持するために、酸素供給装置、pH調節装
置、温度制御装置を設置することができる。
【0021】酸素供給装置は、発酵槽に菌体発酵活性を
維持するため必要な酸素を供給可能であればどのような
形式でもよいが気体の分散を効率よく行うため、例えば
リングスパジャーを用いることができる。
【0022】温度制御装置は、それらの槽の内部の温度
を制御できる装置であればよく、例えば槽の外側に接し
て設置されたジャケットに温度の調整された水を流すこ
とによって行われる。
【0023】また、第1及び第2段階の発酵槽の発酵温
度は、菌の種類によって定まるが、それぞれ20から6
5℃、15から40℃である。通常は高温度においてよ
り強くアルコール発酵活性が阻害されるため、アルコー
ル発酵槽の温度を菌体増殖の温度より5から15℃低い
温度に制御することが望ましい。
【0024】pH制御装置はpH3〜7の範囲で制御で
きればよく、例えば酸及びアルカリ水溶液を発酵槽に添
加して行えばよい。pHの範囲が3〜7から外れると菌
体が増殖せず運転できない。なお、制御するpHは微生
物の種類により異なるが、例えば酵母ではpH5.0が
好ましい。
【0025】第1及び第2段階の発酵槽における菌体濃
度(乾燥菌体重量で示す。)は、50g/l以上好まし
くは50から120g/lの範囲内に維持することが望
ましい。これは、菌体濃度が高いほど発酵槽容積当たり
の生産性は高くなるが、菌体濃度が120g/l以上と
なる攪拌動力が大きくなると共に沈降槽における菌体の
分離効率の低下等が起こるためである。
【0026】また、第1段階の発酵槽内の残糖濃度は、
好ましくは50g/l以下、より好ましくは10g/l
以下であり、第2段階の発酵槽内の残糖濃度は、10g
/l以下であり、好ましくは2g/l以下である。残糖
濃度は発酵性糖のうち、残っている糖濃度をいう。この
濃度が高い場合には、沈降分離装置において発酵に伴い
発生する炭酸ガスにより菌体の沈降分離が不十分となり
発酵槽内の菌体濃度の減少を引き起こすのみならず、流
出する未発酵の糖が増加するためにアルコールの発酵収
率も低下する。
【0027】この発明において、第1段階の発酵槽のア
ルコール濃度は70g/l以下にするのが好ましい。7
0g/lを超えるとアルコールにより増殖阻害が大きく
なり、菌が死滅し菌体濃度が低下するのみならずアルコ
ール発酵阻害が起こり発酵速度が低下するためである。
また、第2段階の発酵槽においてはアルコール濃度70
g/l以上、好ましくは80〜150g/lに発酵させ
る。アルコール濃度は高い方がアルコールの精製及び排
水処理コストの面で経済性が増加するが高すぎると発酵
阻害により生産性が低下する。
【0028】この発明の方法において、各発酵槽からの
発酵排出ガス中のアルコールを回収するためにアルコー
ル回収装置、例えばコンデンサー又はスクラバー等を設
けて回収することもできる。
【0029】次に図面によりこの発明をさらに詳細に説
明する。
【0030】図1において、ライン11及び21から糖
類、ライン12及び22から酸素又は空気等を第1段階
の発酵槽1及び第2段階の発酵槽2にそれぞれ独立して
供給する。
【0031】なお、糖類の含有濃度及び供給速度は、発
酵槽1及び発酵槽2にそれぞれ独立して変更できる。ま
た、ライン21から発酵槽2に供給する糖類含有濃度は
高濃度のアルコールを生産するため200g/l以上が
よい。
【0032】さらに、ライン11及びライン21から、
酵母エキス、麦芽エキス、ポリペプトン、微量金属塩溶
液等の菌体増殖に必要な栄養液を第1段階の発酵槽及び
第2段階の発酵槽に加えることもできる。
【0033】発酵槽1及び発酵槽2は菌体増殖に必要な
酸素供給装置、温度制御装置、pH制御装置及び攪拌装
置を備えている。
【0034】また、その攪拌装置は高濃度の菌体と糖類
を十分に攪拌するための攪拌翼を備える。攪拌翼の形は
好ましくはプロペラー、リボン翼等旋断力の小さいもの
がよい。
【0035】なお、沈降槽3及び4の詳細を図2に示し
た。
【0036】沈降槽3及び4は、希薄菌体液及び菌体液
取り出しノズルを沈降槽上部から挿入すると共にフレキ
シブル配管と結合し、ノズル位置を上下に変更可能とし
た。また、沈降槽低部に固形物を取り出すノズルを設け
た。15,18,25,28は前記フレキシブル配管を
示す。なお、点線とその上下の矢印は配管が上下に移動
できることを示す。
【0037】さらに、これらのノズルにフレキシブル配
管を接続しラインを形成した。各ラインはチューブポン
プに接続し流量を調節可能とした。特に菌体液リサイク
ルラインの流量は菌体液の菌体濃度が125g/lを超
えないように菌体液の流量を調節した。
【0038】発酵槽1では、原料糖液がライン11を通
って連続的に供給され、ライン12から酸素又は空気が
連続的に供給される。
【0039】発酵槽1内の通気量、温度、pH、攪拌回
転数は凝集性微生物の最適値となるように、それぞれの
制御装置により調節される。
【0040】糖液は発酵槽1内の凝集性微生物によりア
ルコール及び炭酸ガスに発酵されると共に、凝集性微生
物は増殖する。なお、発酵ガスはライン13から排出さ
れる。
【0041】発酵槽1で発酵された発酵液はライン14
を通り沈降槽3に送られる。
【0042】発酵液は発酵により発生する炭酸ガス及び
通気された気体、菌体、固形物等が含まれるため沈降槽
3の上部に設けられた気液分離ゾーンで最初に気体が分
離され、この気体はライン19を通って取り出される。
【0043】一方、残った発酵液は、その中に含まれる
菌体及び固形物が沈降槽内で沈降し、希薄菌体液、菌体
液、固形物に分離されそれぞれのノズルから取り出され
る。
【0044】沈降槽3の上部より取り出された希薄菌体
液は、ライン18を通り、その全部が第2段階の発酵槽
2に送られる。
【0045】沈降槽3の中間部の菌体リサイクルノズル
から取り出された菌体液はライン15、ライン16を通
り、発酵槽1に返送されると共に、発酵槽2の発酵活性
が低下した場合、すなわち発酵槽内の残糖濃度が上昇し
た場合に菌体液の1部分はライン20を通って発酵槽2
に送ることもできる。
【0046】沈降槽3の底部から取り出された固形物は
ライン17,34を通って一定量が排出される。
【0047】発酵槽2では、凝集性微生物を用いアルコ
ール発酵を行うために好適となるように通気量、温度、
pH、攪拌回転数が調節される。
【0048】また、発酵槽2では、発酵槽1からライン
18を通り送られる希薄菌体液、ライン21からの糖液
及びライン22からの酸素又は空気が連続供給され、発
酵槽1に比較しより高濃度のアルコール発酵が行われ
る。発酵ガスは発酵槽1と同様にライン23を通って排
出される。
【0049】アルコール発酵終了液はライン24を通り
沈降槽4に送られ沈降槽3と同様に希薄菌体液、菌体
液、固形物に分離される。希薄菌体液は、ライン28を
経て製品としてアルコール分離濃縮工程に送られる。ア
ルコールの分離濃縮工程は通常蒸留が用いられる。
【0050】菌体液はライン25、ライン26を通り発
酵槽2に返送される。なお、必要によってはライン3
1、ライン16を通って引き抜き菌体を発酵槽1に送る
ことができる。
【0051】固形物は沈降槽3と同様にライン27,3
4を通って排出される。
【0052】また、ライン13,19,23及び29の
発酵ガスは共通のラインを通ってアルコール回収装置5
に送られる。発酵ガス中に含まれるアルコールはアルコ
ール回収装置5によりライン33から回収される。一
方、アルコール回収後の発酵ガスはライン32から排出
される。
【0053】さらに、発酵槽1及び発酵槽2内の糖濃度
は、50g/l以下好ましくは10g/l以下で運転す
る。
【0054】なお、発酵槽1及びアルコール発酵槽2の
発酵温度は、菌の種類によって定まるが、それぞれ20
から65℃、15から40℃である。通常は高温度にお
いてより強くアルコール発酵活性が阻害されるため、発
酵槽2の温度を発酵槽1の温度より5から15℃低い温
度に制御することが望ましい。
【0055】
【実施例】次に、この発明の方法を実施例及び比較例を
示して本発明の特徴をより具体的に説明するが。本発明
はこれに制限されることはない。
【0056】なお、実施例及び比較例の結果は、表1及
び表2にまとめて示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】 (実施例1)図1に示した装置を用いて連続アルコール
生産を実施した。
【0059】糖液として、糖蜜培地を使用した。
【0060】発酵培養液の組成は栄養源としてイースト
エキストラクト1g/l、マルトエキストラクト1g/
l、バクトペプトン2g/l、硫酸アンモニウム2.5
g/l、消泡剤としてアデカノールLG294(商品
名)を0.1ml/lとした。糖組成は、糖蜜を水で稀
釈し第1及び第2発酵槽用にそれぞれ150g/l、4
00g/lの発酵性糖濃度に調整した。
【0061】これらの発酵培地は120℃で15分間蒸
気滅菌しそれぞれの発酵槽に供給した。
【0062】凝集性微生物としてはSaccharomyces cere
visiae ATCC26603を用いた。
【0063】この凝集性微生物は、本発明による方法に
導入する前に常法による予備培養にかけられる。
【0064】この予備培養液を予め培地を投入し、殺菌
済の発酵槽1及び2に導入しそれぞれバッチ発酵を行い
菌体増殖を行った。
【0065】次に、それぞれの発酵槽に、糖濃度150
g/lの培地を連続供給し、菌体濃度が50g/lとな
るまで1槽連続発酵を行った。
【0066】菌体濃度が50g/lを超えた時点で、図
1に示したフローにラインを切り替えアルコール生産を
行った。
【0067】運転操作条件及び運転結果を以下に示す。
【0068】糖蜜培地はライン11を通し、発酵性糖濃
度150g/lとし、希釈率0.227h-1の流量で発
酵槽1に導入した。
【0069】酸素供給は空気を発酵槽に通気及び攪拌す
ることにより行った。通気量は0.1vvm、攪拌翼は
プロペラー型とし、回転数は100〜200rpmの範
囲で行った。
【0070】発酵温度は30℃で実施し、その際のpH
は、5.0になるように6Nの水酸化ナトリウム水溶液
を発酵槽に投入し制御した。
【0071】このとき、発酵槽1内の菌体濃度は乾燥重
量は50g/lから次第に増加し80〜90g/lとな
って落ち着いた。アルコール濃度は65〜70g/l、
残糖濃度は2g/l以下となった。
【0072】この発酵液を沈降分離槽3に導入し、この
希薄菌体液の全量を発酵槽2に送った。このときの希薄
菌体液中の菌体濃度は5〜15g/lとなるように取り
出しノズル位置を移動した。なお、菌体の凝集性が発酵
開始当初は非常に強かったため希薄菌体液取り出しノズ
ルを下げて運転を行った。その後凝集性が弱くなるにし
たがいノズル位置を上方に移動し運転を行った。
【0073】この結果、菌体液のリサイクルラインの菌
体濃度は100〜110g/lとなり安定した。なお、
菌体液の大部分は培地流量の約5倍の流量で発酵槽1に
返送し、その一部分は発酵槽2に送り発酵活性を維持の
ために用いた。
【0074】一方、固形物は一定期間毎に沈降槽の容積
の10%をライン17を通して排出した。
【0075】発酵槽2には糖濃度400g/lの糖蜜培
地を希釈率0.033h-1で供給した。酸素供給は空気
を用い供給速度0.1vvmとした。攪拌翼はプロペラ
ー型とし、回転数は100rpmとした。
【0076】沈降槽4から取り出す希薄菌体液中の菌体
濃度は0〜1g/lとなるように調節した。このとき菌
体液リサイクルラインの菌体濃度は80〜100g/l
となった。なお、菌体液流量は、ライン28の発酵終了
液流量の約4倍の流量とした。
【0077】固形物については沈降槽3と同様に一定期
間毎に沈降槽の容積の10%をライン27を通して排出
した。
【0078】発酵温度は30℃とした。この際のpHは
5.0に調節した。
【0079】このときの発酵槽2内の菌体濃度は70〜
90g/l、アルコール濃度は90〜95g/lと高濃
度に保持できた。また、残糖濃度は2g/l以下になっ
た。
【0080】なお、この試験における全発酵槽容積に対
する希釈率は0.108h-1となった。発酵生産性は約
10g、ETOH/l・hとなった。ただし、lは2つ
の発酵槽容積の和で示す。
【0081】以上の運転条件において、安定して150
0時間以上連続運転が可能であった。
【0082】(実施例2)実施例1と同様の発酵条件で
原料の糖蜜のみをグルコースに変えてアルコール生産を
行ったところ、実施例1と同様の生産が可能であった。
【0083】(比較例1)実施例1と同様の装置を用
い、同様の発酵条件で、アルコールの連続生産を実施し
た。ただし、2つの沈降槽の各取り出しレベルを固定し
運転を行ったところ、発酵初期から200時間は発酵槽
2内の菌体濃度は一定に保たれたが発酵が進み菌体の凝
集性が弱くなり、発酵槽2内の菌体濃度が次第に減少し
30g/lとなった。これに伴いアルコール濃度の低下
と残糖濃度の上昇が起こり安定運転ができなかった。
【0084】(比較例2)実施例1と同様の装置を用
い、沈降槽から固形物の定期的な排出を行わずに実施例
1と同様の操作条件で運転を行ったところ、発酵槽内の
固形物量が増大し、発酵活性が低下し500時間以上安
定運転を行うことができなかった。
【0085】
【発明の効果】この発明によれば、凝集性微生物の凝集
力の変動に合わせ菌体の沈降槽における分離能力を制御
することが可能となると共に、原料中に含まれる固形物
や発酵槽内で発生する固形物を発酵系外に排出可能とな
り、第1段階の発酵槽及び第2段階の発酵槽内の菌体濃
度を高濃度に安定して維持できる。
【0086】したがって、アルコール発酵を高速かつ収
率よく実施できるため従来の方法に比し、内容積を小型
化することができると共に、高アルコール濃度のアルコ
ール発酵を効率よく達成できるという優れた作用効果を
奏する。具体的にはこの発明により、第2段階の発酵槽
内の菌体濃度を70から90g/l、アルコール濃度は
約90〜95g/lに保持し発酵生産性が約10gET
OH/l・hで運転可能となった。また、残糖濃度は2
g/l以下になり発酵収率が向上した。そして、このよ
うな発酵条件下において、安定して1500時間以上連
続運転が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のアルコールの連続生産方法の一実施
態様を示すフローシートである。
【図2】図1における沈降槽3又は4の構成例を示す断
面図である。
【図3】図1における沈降槽3又は4の別の構成例を示
す断面図である。
【図4】図1における沈降槽3又は4の他の構成例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 発酵槽(第1段階の) 2 発酵槽(第2段階の) 3 沈降槽 4 沈降槽 5 アルコール回収装置 11,21 原料糖蜜ライン 12,22 Airライン 13,23 発酵ガス排出ライン 14,24 発酵終了液ライン 15,25 リサイクルライン 16,26 リサイクルライン 17,27 固形物排出ライン 18,28 希薄菌体液ライン 31 引抜き菌体ライン 32 放出ライン 33 アルコール回収液ライン 34 排出ライン

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖類からアルコール発酵微生物として凝
    集性微生物を用いてアルコールを連続生産するに当た
    り、菌体分離装置を備えた攪拌型発酵槽を2段階に設け
    て直列結合し、第1及び第2段階の発酵槽に設ける菌体
    分離装置を、上部に希薄菌体液取り出しノズル、中間部
    に菌体液リサイクルノズル、下部に固形物排出ノズルを
    有する沈降槽とし、かつ希薄菌体液の取り出し及び/又
    は菌体液リサイクルの各ノズルのレベル位置が調節可能
    であることを特徴とするアルコールの連続生産方法。
  2. 【請求項2】 菌体液リサイクル流量を調節可能とし、
    菌体分離装置の希薄菌体液の菌体濃度を0〜30g/
    l、リサイクルする菌体液の菌体濃度を50〜125g
    /lの範囲内とし発酵槽における菌体濃度が50g/l
    以上である請求項1記載のアルコールの連続生産方法。
  3. 【請求項3】 第1段階の発酵槽内の発酵性糖濃度が5
    0g/l以下及び第2段階の発酵槽内の発酵性糖濃度が
    10g/l以下である請求項1、又は2記載のアルコー
    ルの連続生産方法。
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