JP2026028362A - 食品用可塑性油中水型乳化組成物 - Google Patents

食品用可塑性油中水型乳化組成物

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Abstract

【課題】本発明は、実質的にトランス脂肪酸を含有せず、飽和脂肪酸量が少ない、可塑性油中水型乳化組成物において、適度な硬さを有する前記組成物の提供を課題とする。【解決手段】本願発明は、以下の特性(a)及び(b)を有する食品用可塑性油中水型乳化組成物を提供する。(a)油脂の軟化点が5℃以下である(b)5℃における最大荷重が25gf以上であるまた、本願発明は、さらに以下の特性(c)を有する上記食品用可塑性油中水型乳化組成物を提供する。(c)油脂中の飽和脂肪酸含量が15質量%以下である【選択図】なし

Description

本発明は、食品用可塑性油中水型乳化組成物に関する。
マーガリン類をはじめとする可塑性油中水型乳化組成物では、特有の口溶け感や可塑性を付与するため、通常は食用の固体脂が用いられる。従来、食用の固体脂源としては、動物性又は植物性の油脂を水素添加処理して得られる部分水素添加油脂が用いられていた。部分水素添加油脂は、油脂の不飽和脂肪酸残基の炭素間の二重結合に水素を付加することにより、二重結合を減らし、飽和脂肪酸残基の割合を高めることによって融点を上昇させた固体又は半固体状の油脂である。
部分水素添加油脂はその製造工程において、不飽和脂肪酸残基からトランス異性体(以下、トランス脂肪酸)が生成する。この副次的に生成するトランス脂肪酸は心血管疾患や脂質代謝異常などの種々の生活習慣病の発症リスクを上げるとされていることから、多くの国でトランス脂肪酸の表示規制とトランス脂肪酸残基を多く含む部分水素添加油脂の使用規制を設けている。
2018年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が部分水素添加油脂の一般に安全と認められる指標であるGRAS(Generally Recognized As Safe)認定を取り消したことを受け、最近では、固体脂源としての部分水素添加油脂の使用量が少なくなり、代替油脂としてエステル交換油脂の使用量が増えている。
植物油脂から調製されるエステル交換油脂の固体脂は、飽和脂肪酸に由来するため、部分水素添加油脂を用いた場合と同等の物性を付与するために必要な飽和脂肪酸量は多くなる傾向にある。しかし、飽和脂肪酸の多量摂取は、冠動脈性心疾患や脳卒中の発症リスクを上げるという報告が多数あり、飽和脂肪酸量の多い油脂は敬遠される。
そのため、トランス脂肪酸を実質的に含まず、飽和脂肪酸量の少ない食用可塑性油中水型乳化組成物を製造する技術の開発が望まれている。
トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸を低減化した可塑性油中水型乳化組成物として以下の技術が知られている。
特許文献1には、ワックスを含有する油中水型可塑性油脂組成物であって、該組成物中の油相が15~85重量%であり、かつ、ワックス含有量が0.01~5重量%である、油中水型可塑性油脂組成物に関する発明が開示されている。
特許文献2には、(a)ベヘン酸残基を1つ以上含有するトリグリセリドと、さらに(b)パルミチン酸結合型モノグリセリド脂肪酸エステル及び(c)ステアリン酸結合型モノグリセリド脂肪酸エステルの少なくとも一方と、を含むことを特徴とする油脂組成物が開示されている。
特許文献3には、飽和脂肪酸結合型モノグリセリンジ脂肪酸エステルと、飽和脂肪酸結合型ショ糖脂肪酸エステルと、を含み、前記飽和脂肪酸結合型モノグリセリンジ脂肪酸エステルと、前記飽和脂肪酸結合型ショ糖脂肪酸エステルと、の重量比が、前記飽和脂肪酸結合型モノグリセリンジ脂肪酸エステルを1とした時、前記飽和脂肪酸結合型ショ糖脂肪酸エステルが0.5以上7.5以下であり、前記飽和脂肪酸結合型モノグリセリンジ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基のうち、ステアリン酸が50mol%以上であることを特徴とするオイルオフ低減作用を有する組成物が開示されている。
特許文献4には、油脂成分を1~42重量%含み、かつ、部分水素添加油脂を含まない油中水型乳化油脂組成物であって、エステル交換油を1~5重量%、及び蝋を0.1~1重量%含み、前記油脂成分の全構成脂肪酸中、飽和脂肪酸が20重量%以下である、油中水型乳化油脂組成物が開示されている。
また、トランス脂肪酸含量を低減した可塑性油中水型乳化組成物として以下の技術が知られている。
特許文献5には、20℃で液体である油脂を30%以上含有し、且つ下記のA成分とB成分とを含有することを特徴とする可塑性油脂組成物が開示されている。
A成分:(i)ポリグリセリンの平均重合度が4以上であり、(ii)構成脂肪酸100%中、炭素数が16~18の飽和脂肪酸の含有量が80%以上であり、且つ(iii)エステル化率が60%以上のポリグリセリン脂肪酸エステル;
B成分:グリセリン脂肪酸エステルおよび/または極度硬化油
特許文献6には、油中水型乳化油脂組成物であって、前記油中水型乳化油脂組成物全体中、油脂含量が25~95重量%、水分含量が5~50重量%であり、前記油中水型乳化油脂組成物の油相中のHLBが2~6の乳化剤の含量が前記油中水型乳化油脂組成物全体中5重量%以下であり、前記油中水型乳化油脂組成物の水相中のHLBが7以上の乳化剤の含量が前記油中水型乳化油脂組成物全体中0.01~10重量%であり、前記油脂を構成する脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含量が5重量%以下であり、前記油脂のSFC(固体脂含量)が30℃で0.3~15.0%である、油中水型乳化油脂組成物が開示されている。
しかし、上記特許文献1~4に示す組成物は、ワックスや特定のトリグリセリド、飽和脂肪酸結合型モノグリセリンジ脂肪酸エステル及び飽和脂肪酸結合型ショ糖脂肪酸エステルを含むことをそれぞれ必須としている。
また、特許文献5に示す組成物は、油脂固化剤としてポリグリセリンを含むことを必須とし、特許文献6に示す組成物は、HLB7以上の乳化剤を含むことを必須としており、これらの組成物はトランス脂肪酸含量の低減を目的とするが、飽和脂肪酸含量をどの程度まで低減できるか不明である。
特開2022-14786号公報 特開2018-88863号公報 特許第6933882号公報 特開2019-154433号公報 特開2013-110975号公報 特開2023-137358号公報
本発明は、トランス脂肪酸を実質的に含有せず、飽和脂肪酸量の少ない、可塑性油中水型乳化組成物において、適度な硬さを有する前記組成物の提供を課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリドを0.1質量%以上含むことにより、低温で液状の、飽和脂肪酸源の少ない油脂を油相に用いた場合においても、適度な硬さを有する可塑性油中水型乳化組成物の調製が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
<1>
以下の特性(a)及び(b)を有する食品用可塑性油中水型乳化組成物。
(a)油脂の軟化点が5℃以下である
(b)5℃における最大荷重が25gf以上である
<2>
さらに以下の特性(c)を有する<1>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
(c)油脂中の飽和脂肪酸含量が15質量%以下である
<3>
炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリドを前記組成物の全質量基準で0.1質量%以上含む、<1>又は<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<4>
炭素数16~22の飽和脂肪酸モノグリセリドを前記組成物の全質量基準で0.01質量%以上含む、<3>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<5>
油分を前記組成物の全質量基準で20質量%以上70質量%以下含む、<1>又は<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<6>
前記(a)の油脂の軟化点が0℃以下である、<1>又は<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<7>
トランス脂肪酸を実質的に含まない、<1>又は<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<8>
前記(c)の油脂中の飽和脂肪酸量が12.5質量%以下である<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
<9>
ファットスプレッド用である、<1>又は<2>に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
本発明によれば、使用する油脂中の飽和脂肪酸含量及びトランス脂肪酸含量を低減しつつも、適度な硬さを有する食品用可塑性油中水型乳化組成物を提供することができる。特に、低温で液状の、飽和脂肪酸源の少ない油脂を油相に用いた場合においても、適度な硬さを有する前記組成物を提供することができる。さらには、ワックスや特定のトリグリセリド、ポリグリセリン、HLB7以上の乳化剤などを用いることなく適度な硬さを有する前記組成物を提供することができる。
本発明は、以下の(a)及び(b)の特性を有する食品用可塑性油中水型乳化組成物に関する。
(a)油脂の軟化点が5℃以下である。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物における油脂の軟化点(SPということがある)は、5℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下である。
本発明において、油脂の軟化点を所望の範囲となるように添加する油脂としては、特に種類は問わない。エステル交換油脂、極度硬化油などのほか、例えば、パーム油、ヤシ油なども用いることができる。
(b)5℃における最大荷重が25gf以上である。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物の5℃における最大荷重(以下、TAということがある)は、25gf以上であり、さらに好ましくは、80gf以上である。25gf以上であれば、冷蔵保存において一定の硬さを維持できるからである。5℃における最大荷重は、各商品の嗜好性に応じて所望の数値範囲を維持できればよく、例えばファットスプレッドの場合、25gf以上1500gf以下の範囲が挙げられる。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物の軟化点及び5℃における最大荷重は、不飽和脂肪酸モノグリセリドを一定量以上含んだ上で、飽和脂肪酸モノグリセリドの添加量、固体脂の添加量を調整することによりコントロールすることができる。
また、本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物は、さらに以下の(c)の特性を有することが好ましい。
(c)油脂中の飽和脂肪酸含量が15質量%以下である。
前記組成物において、油脂中の飽和脂肪酸量は、15質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、12.5質量%以下である。
(原材料)
本発明の可塑性油中水型乳化組成物に含まれる原材料について説明する。
前記組成物は、炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリドを含むことを特徴としている。前記組成物中の含量は乳化が安定的に行われる量であればよく、前記組成物の全質量基準で0.1質量%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは0.3質量%以上であり、よりいっそう好ましくは0.5質量%以上である。また、上限としては、1.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0質量%以下であり、よりいっそう好ましくは0.8質量%以下である。また、前記組成物中の含量の範囲としては0.1質量%以上1.5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.3質量%以上1.0質量%以下であり、よりいっそう好ましくは、0.5質量%以上0.8質量%以下である。
さらに、本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物は、前記炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリドに加えて、炭素数16~22の飽和脂肪酸モノグリセリドを含むことが好ましい。前記組成物中の含量は乳化が安定的に行われる量であればよく、前記組成物の全質量基準で0.01質量%以上含むことが好ましい。さらに好ましくは0.05質量%以上であり、よりいっそう好ましくは0.1質量%以上である。また、上限としては、1.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0質量%以下であり、よりいっそう好ましくは0.8質量%以下である。また、前記組成物中の含量の範囲としては0.01質量%以上1.5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.05質量%以上1.0質量%以下であり、よりいっそう好ましくは、0.05質量%以上0.8質量%以下である。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物に用いられる油脂の例としては、大豆油、コーン油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、キャノーラ油、米ぬか油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、菜種油、菜種白絞油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿花油、綿実油、落花生油、しそ油、ゴマ油、エゴマ油、ベニバナ油、高オレイン酸ベニバナ油、ぶどう種子油、ピーナッツ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、亜麻仁油、クルミ油、椿油、茶実油、カラシ油、米油、小麦麦芽油等、あるいはこれらのエステル交換油、分別油、極度硬化油等である。本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物には、このうちでも飽和脂肪酸源の少ない油脂が好ましく用いられ、さらには低温で液体の油脂が好ましく用いられる。
前記油脂から選択された油脂は、本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物の全質量基準で、油分量(油相の合計量)が20質量%以上70質量%以下となるように配合されればよく、25質量%以上60質量%以下がさらに好ましく、35質量%以上50質量%以下がさらにいっそう好ましい。
本発明によれば、飽和脂肪酸量が少なく、低温で液体の油脂を油相として用いた場合であっても適度な硬さを有する可塑性油中水型乳化組成物の調製が可能である。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物は、トランス脂肪酸を実質的に含まないことが好ましい。ここで「実質的に含まない」とは、前記組成物中0.3質量%未満であることをいう。
(その他の原材料)
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物には、さらに、必要に応じて、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸含有量の増加に影響しないものであれば他の原材料を適宜用いることができる。例えば、水、脱脂粉乳、食塩、塩化カリウム、ゼラチン、酸味料、甘味料、pH調整剤、香料、色素、ビタミン剤、イヌリン、カラギーナン、デキストリン、加工でんぷんのほか離水抑制のための保水素材等、可塑性油中水型乳化組成物に一般的に使用される原材料が例示される。
なお、本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物は、先行文献のようにワックスなどを含むことなく、トランス脂肪酸を実質的に含まず、飽和脂肪酸含量を低減しつつ、所望の硬さの可塑性油中水型乳化組成物を提供することができる。
(可塑性油中水型乳化組成物の製造方法)
次に、本発明の可塑性油中水型乳化組成物の製造方法について一例を説明する。
(イ)原材料の油脂(液体油、固体脂)をその融点以上、例えば40℃~85℃に加温し、ここに乳化剤(炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリド及び/又は炭素数16~22の飽和脂肪酸モノグリセリド)を添加溶解して油相を調製する。必要に応じて油相にグリセリン脂肪酸エステルやソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤や、βカロテン等の色素、油溶性ビタミンを添加することできる。
(ロ)約40℃~60℃の温湯に食塩、脱脂粉乳等の乳製品、デキストリンなどを添加溶解して水相を調製する。
(ハ)油相に水相を撹拌しながら一定速度で添加して乳化物を調製する。この時の油相の攪拌速度と水相の添加速度は可塑性油中水型乳化組成物の油分の量に応じて、均一な乳化物ができるよう適宜調整することができる。
(ニ)この乳化物に、必要に応じて、香料を添加し、50℃に維持した乳化物をコンビネーター、パーフェクター等の密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機により10℃まで急冷捏和して結晶化する。結晶化した乳化物をピンマシン等で混練することにより可塑性油中水型乳化組成物が得られる。
なお、(イ)、(ロ)工程については経時的制限はなく、どちらの工程を先に行ってもよく、また両工程を同時に行なってもよい。
本発明の食品用可塑性油中水型乳化組成物としてはマーガリン、スプレッド等が例示できる。
(試験方法)
本願明細書で規定する評価項目の試験方法を以下に示す。
(軟化点(SP)測定試験)
軟化点は、本願明細書中においてSPとも表記され、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の 2.2.4.3-2013に記載の軟化点(環球法)の測定方法に基づいて、試料の油脂の軟化点(SP)を測定できる。
(最大荷重(TA)測定試験)
最大荷重は、本願明細書中においてTAとも表記され、以下の試験方法により測定できる。試料を直径3cm、高さ1cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で静置保存した試料を、直径15mm、高さ25mmの円柱型プローブをとりつけたテクスチャーアナライザーにセットし、試料の高さの80%までプローブが貫入したときの最大荷重を測定する。
(飽和脂肪酸含有量の測定)
社団法人 日本油化学協会編、「基準油脂分析試験法」の2.4.2.2-2013に記載の脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)の測定方法に基づいて、試料中の飽和脂肪酸含量の質量%を測定できる。
(トランス脂肪酸含有量の測定)
社団法人 日本油化学協会編、「基準油脂分析試験法」の2.4.4.3-2013に記載のトランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)の測定方法に基づいて、試料中のトランス異性体の質量%を測定できる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.油中水型乳化油脂組成物の調製
表1、2に示すとおり、全質量が100kgとなるように、油相と水相を調製した。すなわち、油相は、油脂(液体油、固体脂)と炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリド(表中UMGと示す)及び/又は炭素数16~22の飽和脂肪酸モノグリセリド(表中SMGと示す)とを混合し、80℃で攪拌することにより調製した。表中、IEはエステル交換油脂を示す。
水相は、水とデキストリンとを混合し、80℃で攪拌することにより調製した。
140rpmで攪拌した50℃の油相に、20L/分で60℃の水相を添加することで油相と水相を乳化させ、得られた60℃の乳化物を、密閉型連続式掻き取りチューブ式冷却機にて10℃まで急冷捏和し、さらに10℃に保持したままピンマシンで混練した。混練した乳化物200gをプラスチック容器に充填することで可塑性油中水型乳化成物である実施例品1から実施例品28と、比較例品1から比較例品10(表1、表2)を得た。これらを5℃で保存した。
得られた実施例品のトランス脂肪酸含量は、いずれも可塑性油中水型乳化組成物の全質量基準で0.3g /100g以下であった。また、実施例品の飽和脂肪酸含量(表中SFAと示す)は、いずれも可塑性油中水型乳化組成物の全質量基準で15質量%未満であった。表中、油分量は、油相の合計量、すなわち、液体油、固体脂、乳化剤の合計量(質量%)を示す。
2.評価試験
2-1.油脂の軟化点(SP)測定試験
氷冷下でSP用の金属リングに試料を作製し、0℃~20℃で油脂のSPを測定した(n=4)。SPは、社団法人 日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の 2.2.4.3-2013に記載の軟化点(環球法)の測定方法に基づいて測定した。
SPの測定値が0℃以下である場合を「〇(0℃)」、5℃以下である場合を「〇(5℃)」、5℃より大きい場合を「×(>5℃)」とした。
2-2.最大荷重(TA)測定試験
試料を直径3cm、高さ1cmのガラスリングに詰め、10分間氷冷後、5℃で静置保存した試料を、直径15mm、高さ25mmの円柱型プローブをとりつけたテクスチャーアナライザーにセットし、試料の高さの80%までプローブが貫入したときの最大荷重を測定した(n=3)。
TA測定値(平均値)が25gf以上80gf未満の場合を「〇」、80gf以上の場合を「◎」、25gf未満の場合を「×」とした。
3.評価結果
結果を表1、2に示す。
(1)実施例及び比較例より、UMG(不飽和脂肪酸モノグリセリド)を全質量基準で0.1質量%以上含む可塑性油中水型乳化組成物は、油脂のSP(軟化点)は所望の範囲であり、また、前記組成物のTA(最大荷重)は所望の範囲であった。一方、UMGを含まないかあるいは0.1質量%未満の場合は(比較例1~5)、油脂のSPは所望の範囲内であったが、前記組成物のTAは25gf未満であった。また、UMGに加えてさらにSMG(飽和脂肪酸モノグリセリド)を0.01質量%以上含むことにより、可塑性油中水型乳化組成物のTAは低下せず、より良好な風味(口中で容易に分散する切れの良い風味)が得られることもわかった。例えば、実施例1と実施例10又は実施例11との比較では実施例10又は実施例11の方がTAが高く、実施例12と実施例13ではTAが同等であった。
また、比較例6~10の可塑性油中水型乳化組成物は、TAは所望の範囲内であるが、油脂のSPが5℃より大きく本発明の範囲を満たさないものである。
(2)本発明の可塑性油中水型乳化組成物は、組成物中に固体脂を含まない場合であってもUMGを全質量基準で0.1質量%以上含んでいれば、所望のTAを有することもわかった(実施例12~15)。より好ましくは、固体脂を含む方が、乳化物の構造が安定し、より硬い物性が得られた(実施例1~11,実施例16~28)。また、固体脂は、エステル交換油脂や極度硬化油に限定されることなく、パーム油やヤシ油など様々なものが使えることもわかった(実施例23,24,25)。
(3)油分量(油相の合計量)は、20質量%~70質量%まで幅広く含むことができることもわかった(実施例17~22)。したがって低油分タイプと高油分タイプの可塑性油中水型乳化組成物いずれも調整することができる。

Claims (9)

  1. 以下の特性(a)及び(b)を有する食品用可塑性油中水型乳化組成物。
    (a)油脂の軟化点が5℃以下である
    (b)5℃における最大荷重が25gf以上である
  2. さらに以下の特性(c)を有する請求項1に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
    (c)油脂中の飽和脂肪酸含量が15質量%以下である
  3. 炭素数16~22の不飽和脂肪酸モノグリセリドを前記組成物の全質量基準で0.1質量%以上含む、請求項1又は2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  4. 炭素数16~22の飽和脂肪酸モノグリセリドを前記組成物の全質量基準で0.01質量%以上含む、請求項3に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  5. 油分を前記組成物の全質量基準で20質量%以上70質量%以下含む、請求項1又は2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  6. 前記(a)の油脂の軟化点が0℃以下である、請求項1又は2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  7. トランス脂肪酸を実質的に含まない、請求項1又は2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  8. 前記(c)の油脂中の飽和脂肪酸量が12.5質量%以下である、請求項2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。
  9. ファットスプレッド用である、請求項1又は2に記載の食品用可塑性油中水型乳化組成物。


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