JP2024529532A - 研磨工具、研磨システムおよび研磨方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、回転軸(RA1)を中心に回転可能に支持される工具本体(110)を備えて、眼鏡レンズ(L)を表面機械加工処理で研磨する研磨工具(100)に関する。工具本体(110)は、その軸方向第一端(101)で外側に露出する研磨面(130)を備える。ここで、研磨面(130)は、眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)を研磨するため、回転軸(RA1)に対して軸方向に凸状または凹状に膨出している。工具本体(110)はさらに、その中を軸方向に入口(142)から出口(141)まで延在して研磨面(130)に研磨剤を供給する流路(140)を備える。入口(142)は、回転軸(RA1)に対して軸方向第一端(101)とは反対側の軸方向第二端(102)に設けられる。出口(141)は、軸方向第一端(101)に設けられる。研磨面(130)は、出口(141)から出て研磨面(130)の周縁部まで径方向に延在する少なくとも一つの溝部(150)を備えて、研磨剤を研磨面(130)のあらゆる所に分配する。本発明は、研磨工具(100)を用いる表面機械加工処理で眼鏡レンズ(L)を研磨するシステム(200)および方法にも関する。【選択図】図10

Description

本発明は、眼鏡レンズを表面機械加工処理で研磨する研磨工具に関する。また、本発明は、当該研磨工具を用いるシステムおよび方法にも関する。
特注レンズの利点は、そうしたレンズの光学度数を局所的に変化させて、ある人の、視覚支援に関する実際のニーズにより正確に対応できることである。例えば、ある人は、近距離と遠距離の視力を改善するレンズを必要とする一方で、その中間の距離については視覚補正がほとんどもしくは全く必要ないことがあり得る。図2は、このような特性を備える特注レンズ (L) の例を示している。ここで、レンズ(L)は、前面(L2)および特別に機械加工された背面(L1)を有して示してある。背面 (L1) の輪郭は個別仕様の度数分布図に従っており、レンズ (L) の異なる区域には異なる処方値を容易に適用できる。例えば、下部区域(L13)は、レンズ(L)の他の区域よりも比較的多量の素材から成る。これによって、下部区域(L13)を通して見る人には、近くにある物体に対する視力を改善することができる。参考までに、図2に破線 (L15) を示してあるが、これは、局所的な度数変化のないレンズの背面 (L1) の輪郭を示している。
一般に、射出成形処理、一体成形処理、機械加工処理など、矯正レンズの様々な製造方法が存在する。通常、一体成形処理では、金型を使用して低度数から中度数の範囲の備蓄レンズを製造する。この処理で形成される光学面はすでに研磨されている。それに対して、機械加工処理では、「レンズ形成機」と呼ばれる機械によって個別に計算されたレンズが形成される。この処理では、局所的な度数変化と高品質を有する光学面を形成するために、特別な表面加工工具と、形状化工具と、研磨工具と、が必要となる。
前述したように、すべてのレンズ形成処理において重要な部分を占めるのは研磨工程であり、表面が粗いと光の散乱や鏡面反射などの望ましくない影響が発生するため、当該工程ではレンズ面の粗さが大幅に低減される。
図5および図6は、従来技術で知られている代表的な研磨処理を典型的に示している。これらの図において、レンズ(L)は、スピンドル(221)とレンズ保持部(222)とを備えたレンズ支持具(220)によって支持されている。レンズ(L)の研磨は、ソフトな研磨工具(510)と、外部ノズル(520)から供給される研磨液(521)(しばしば「スラリー」と呼ばれる)と、を用いて行われる。通常、研磨液(521)は、規定の粒径の研磨粒子を含む液体から成る。一般に、研磨には、圧力を加えたり加えなかったりして研磨対象の表面上に研磨粒子(グレイン)を集めることを伴う。これによって、表面の粗さの頂部を研磨して平坦化することができる。研磨工具(510)は、回転軸(矢印(513)で示す)を中心に回転し、リニアに移動可能である(矢印(512)で示す)。さらに、研磨工具(510)は、レンズ(L)と接触する表面に設けられたソフト塗装膜(515)で覆われている。研磨処理中にレンズ(L)はスピンドル(221)の回転軸(RA2)を中心に回転し、研磨工具(510)は自らの軸を中心に回転し、傾斜したりレンズ (L) の光学面(L1)上を横断したりすることができる。図6に示す研磨処理は、レンズ面(L1)とソフト塗装膜(515)との間に研磨液(521)が存在するのを依りどころにしている。また、研磨処理の有効性、品質管理、熱管理は、規定の厚さを有しつつレンズ面 (L1) とソフト塗装膜 (515) との間に形成され得る、研磨液(521) のフィルム によって決まることが判明した。
例えば、フィルムの厚さが厚すぎると、研磨液(521)の研磨粒子が研磨工具(510)に十分に接触しなくなってしまう。これによって、研磨工具(510)と各粒子との間(そしてその後、各粒子とレンズ光学面(L1)との間)の必要な機械的相互作用を行うことができなくなる。したがって、研磨処理の結果が不十分になり得る。それに比べて、フィルムの厚さが薄すぎると、レンズ(L)の表面と研磨工具(510)の表面とが互いに直接に接触して回転エネルギが表面研磨ではなく熱に変換される恐れがある。ただし、このせいで、レンズ(L)や研磨工具(510)が破損したり変形したりする恐れがある。また、研磨処理中に研磨液(521)によってレンズ(L)から熱が十分に取り去られず、熱過負荷によりレンズ(L)が変形または損傷する恐れがある。
従来技術では、これらの問題に対処する試みとして、異なる複数の方向から各可動部分に向けられてレンズ(L)および研磨工具(510)の方に大量の研磨液(521)を噴射する多数のノズル(520)を設けることで、十分な量の研磨液(521)がレンズ(L)と研磨工具(510)との間の隙間に確実に入るようにすることが行われた。ここで、研磨液(521)をノズル(520)から供給させる圧力も、ノズル(520)からの研磨液(521)の出を増加させるように調整された。しかしながら、これらの既知の解決策は、様々な理由で不利である。例えば、可動構成要素の回転速度が高いと、作業室内の研磨液(521)の分布が制御されなくなって、フィルム厚を制御できなくなる。結果的に、研磨処理には多量の研磨液(521)が必要となり、そのように構成された機械の保守時間および洗浄時間は増加する。また、研磨液(521)の必要な流量と全体量を確保するために大きなタンクと適切なポンプが必要となるため、機械のサイズも大きくする必要がある。さらに、研磨液(521)は、研磨処理中の十分な冷却を保証するために、ノズル(520)から放出される前に冷却器で冷却する必要がある。通常、研磨液(521)の温度は約14℃に保たれる。したがって、既知の従来技術の解決策による研磨処理の有効性、効率、および問題対処度合はそれぞれ低い。
したがって、本発明の目的は、前述した従来技術の欠点をそれぞれ克服する研磨工具、研磨システムおよび研磨方法を提供することである。ここで、本発明が特に目的とするのは、研磨処理全体を通じて、研磨対象のレンズと研磨工具との間の領域に研磨流体を十分に供給するのを保証することである。また、本発明の目的は、研磨処理中に十分な冷却を保証して完成レンズが実現し得る品質を向上させつつ、研磨処理に必要な研磨液の量を削減することである。
これらの目的および他の目的は、本明細書を読めば明らかとなり、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態について言及している。
本発明の第1の態様は、眼鏡レンズを表面機械加工処理で研磨する研磨工具に関する。前記研磨工具は、回転軸を中心に回転可能に支持される工具本体を備える。前記工具本体は、その軸方向第一端で外側に露出する研磨面を備える。前記研磨面は、前記眼鏡レンズの光学面を研磨するため、前記回転軸に対して軸方向に凸状または凹状に膨出している。前記工具本体はさらに、その中を軸方向に端から端まで延在する流路を備える。前記流路は、入口から出口まで延在して前記研磨面に研磨剤を供給する。(前記流路の)出口は、前記軸方向第一端に設けられる。(前記流路の)入口は、前記回転軸に対して前記軸方向第一端とは反対側の軸方向第二端に設けられる。前記研磨面は、前記出口から出て前記研磨面の周縁部まで径方向に延在する少なくとも一つの溝部を備えて、前記研磨剤を前記研磨面のあらゆる所に分配する。
換言すれば、眼鏡レンズの光学面から素材を除去して平滑化する処理に使用される工具を提供することができる。前記研磨工具は工具本体を備え、前記工具本体は、例えば、回転軸(例えば、それ自身の軸またはそれ自身からずれた位置にある軸)を中心に回転できるよう支持されるのに適して(構成されて)いる。前記工具本体は、軸方向第一端と、前記回転軸に対して前記軸方向第一端とは反対側の軸方向第二端と、を備える。前記軸方向第一端において、前記工具本体は、例えば、外側からアクセス可能な(外側に開いた)外側部(外層)などの研磨面を備える。前記研磨面は、前記眼鏡レンズの(典型的には湾曲した)光学面を研磨するのに適しており、例えば、前記工具本体から軸方向に突き出る、(回転軸に対して)凹状または凸状に湾曲した形状を形成している。前記工具本体は、研磨剤(例えば、液体、複数の固体および流体またはペーストの懸濁液)を前記研磨面に送達するための(内部)通路を備え、前記通路は入口から出口まで前記工具本体(または内部)で軸方向に延在する。前記出口は前記軸方向第一端に設けられ、前記研磨剤を前記研磨面上に放出するのに適している(構成されている)。前記研磨面は、例えば、カナル、通路、または窪みなどの少なくとも一つの溝部を備える。前記溝部は、前記出口から出て前記研磨面の周縁部まで(例えば、前記研磨面を一周するか取り囲む縁部まで)径方向に延在して、前記研磨剤を前記研磨面のあらゆる所に送達(および/または投与)する。前記溝部は、外側に開いているか、および/または、研磨中に前記レンズ面に面する側が開いているのが好ましい。
前記研磨面に出口および溝部を設けると同時に前記研磨工具を回転可能にすることで、前記研磨面のあらゆる所への前記研磨剤の均一な分配が容易になる。前記研磨剤は前記出口から直接に前記研磨面に入ることができ、そこで前記研磨剤は遠心力により前記溝部を通って前記研磨面の外縁まで飛ばされる。それによって、前記研磨剤は、必要な場所、すなわち前記研磨面、言い換えれば(例えば、前記レンズの光学面との機械的相互作用を開始することで)前記レンズの光学面の平滑化に効力を発揮する前記研磨工具の表面の上および前記研磨面のあらゆる所に直接に供給できるので、前記研磨剤をより効果的かつ効率的に使用できるようになる。例えば、全体のスラリー変位を大幅に低減することができるので、エネルギ量、研磨剤の消費量、廃水の発生量を大幅に削減できる。こうすれば、ポンプ、パイプ、タンクなどの機械的構成要素を大幅に小さく設計できる。また、この研磨工具を使用することで、全体的な保守時間および洗浄時間を短縮できる。さらに、前記研磨面が湾曲した形状なので、前記レンズ面の研磨効果と研磨効率が後押しされる。
また、研磨剤のフィルムを前記研磨面と研磨対象の前記レンズ面との間に確実に形成することができる。これによって、前記研磨工具の寿命が延びるだけでなく、前記研磨剤で前記レンズ面および前記研磨工具の確実な冷却も容易になり、前記研磨剤用に追加の冷却器を設ける必要がなくなる。ここで判明したのは、前記研磨剤が遠心力で前記研磨面からあまりにも早く取り去られるため、適切な厚さのフィルムの形成と、前記レンズに対する前記研磨工具の高速回転と、は両立しないであろうという従来技術の偏見を発明者らが何とか克服できたことである。
また、この研磨工具を使用すると、回転速度を高いレベルに維持しつつ、研磨処理の品質と結果を向上できることが判明した。非公開実験では、前記溝部を設けずに前記研磨面に一つ以上の出口を設けるだけでは、研磨精度が低下し、レンズ面が不規則になることが判明した。これは、図7と図8に典型的に示してある。当該非公開実験では、研磨面(615、625)が工具本体(611、621)の軸方向第一端で外側に露出し研磨面(615、625)が当該本体の回転軸に対して軸方向に凸状または凹状に膨出している工具本体(611、621)を有する別の回転可能な研磨工具(610、620)が、眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)を研磨するために使用された。工具本体(611、621)は、一つ(またはそれ以上)の入口(612、622)から工具本体(611、621)の中を軸方向に端から端まで延在する一つ以上の流路(614、624)をさらに備えた。入口(612、622)は、前記回転軸に対して軸方向第一端とは反対側の軸方向第二端に設けられた。流路(614、624)は、前記軸方向第一端に設けられて研磨面(615、625)に研磨剤(521)を供給する一つ以上の出口(613、623)まで延在していた。一つ以上の出口(613、623)は、(例えば、シャワーヘッドのように)研磨面(615、625)のあらゆる所に均一に分散されていた。例えば、図7は、当該実験で使用された、研磨面(615)の中央に配置された単一の出口(613)のみを有する研磨工具(610)の構成を示している。残念ながら、そのような研磨工具(610)を用いた非公開実験における研磨処理の品質と結果は満足のいくものではなかった。これは、研磨面(615)上に研磨剤(521)用の開口部(613)を設けただけでは、動作中に開口部(613)の周辺の領域での圧力が局所的に上昇するからである。続いて、研磨面(615)のうち開口部(613)の周辺の素材が局所的に変形し、研磨剤(521)で満たされた自由空間(FS)やポケットが形成されて、レンズ面 (L1) との研磨相互作用に何ら効力を発揮することができない、研磨面(615)の死角が生じる。図8は、当該実験で使用された研磨工具(620)の代替構成を典型的に示してある。ここで判明したのは、研磨面(625)に多数の分散した開口部(623)を設けてもやはりこの問題を克服できないどころか、多数の自由空間(FS)やポケットの形成につながることである。実験用で非公開のこれらの研磨工具(610、620)を本発明に係る研磨工具と比較すると、本発明が示唆するように溝部を追加で設けることで、自由空間やポケットの形成を避けて研磨面のあらゆる所に均一な厚さの研磨剤のフィルムを確立できるため、研磨処理の品質と均一性を高められることが判る。
好ましい実施形態によれば、前記溝部は主たる延在方向に沿って放射状に延在し得る。例えば、前記主たる延在方向は、前記溝部の開始点(例えば、前記出口)から前記溝部の終点(前記周縁部上の点)に向かう方向に(主として、すなわち、少なくとも50%、60%、70%、80%まで、またはそれ以上に)対応し得る方向であり得る。前記溝部は、径方向に同じ配向性を有する各方向に、終始、放射状に延在するのが好ましい。前記溝部は、(主たる延在方向に沿って)リニアに、直線状に、湾曲して、および/またはアーチ状に延在するのがより好ましく、波状またはジグザグ状に延在するのがさらにより好ましい。
これによって、前記研磨面のあらゆる所への前記研磨剤の流量と分配を特定の研磨用途に合わせることが可能になる。したがって、前記研磨剤のフィルムの厚さは、レンズの材質、回転速度、および/または使用される前記研磨剤などの個々の用途に合わせることができる。こうして、研磨結果および研磨効率をさらに向上させることができる。
さらに好ましい実施形態によれば、前記溝部は、様々な区間(または様々に構成された区間)を含んでもよい。例えば、前記溝部は、直線の区間、角のある区間、アーチ状の区間、および/または湾曲した区間を含んでもよい。
こうして、前記溝部に複数の異種の区間を設けることで、前記研磨剤の流速がそれぞれの区間の各々で異なるようにできる。これによって、前記研磨工具の設計は、遠心力または他の動的作用力の影響を考慮に入れることができる。
隣接する区間同士は、周方向に互いに反対方向に延在するのが好ましい。これらの区間は径方向に同じ配向性を有するのが好ましい。
隣接する区間(のみ)の延在方向を周方向に互い違いにすることで、前記研磨剤の流れを減速させることができるので、作業中に前記研磨面のあらゆる所で一定のフィルム厚を保証することができる。
前記隣接する区間は、アーチ状部分で互いに接続されるのが好ましく、このアーチ状部分が、前記隣接する区間同士の間に緩やかな移行部分を形成するのがより好ましい。例えば、前記溝部は、流路の前記開口部と湾曲した第二区間とを接続する直線状の第一区間と、前記第二区間から前記研磨面の周縁部まで直線的に(またはリニアに)延在する第三区間と、から成り得る。
前記溝部の異なる区間同士の間の移行部分でとがった縁部やとがった角部を避けることで、前記研磨剤に含まれる固形物(例えば、摩耗粒子や磨耗されたレンズ素材など)の蓄積を防ぐことができるので、前記研磨処理中に前記溝部が詰まる恐れを軽減することができる。
好ましい実施形態によれば、前記溝部は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの幅を有し得る。代替的または追加的に、前記溝部は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの深さを有し得る。
前記溝部の断面を上記の寸法にすることで、前記研磨面と前記レンズ面との間の研磨剤のフィルム厚に好都合になる。これによって、前記研磨処理の結果および品質を向上させることができる。
さらに好ましい実施形態によれば、前記研磨工具は複数の前記溝部を備え得る。前記溝部は放射状に広がっているのが好ましい。代替的または追加的に、複数の前記溝部は前記出口または前記回転軸を中心に(均一に)分布し得る。複数の前記溝部は、同じ、または少なくとも部分的にしか違わない形状および/または断面(主たる延在方向に沿って見たとき)を有するのが好ましい。前記断面は、三角形、長方形、円形、および/または任意の他の適切な形状であるのが好ましい。前記研磨工具(つまり一つ以上の前記溝部)は、動作すると前記研磨剤が前記回転方向に応じて異なって分配されるように構成されるのが好ましい。
前記研磨面に配向や構成が異なる多数の溝部を設けることで、研磨面とレンズ面との間の研磨剤のフィルム厚を調整し、前記研磨工具を特定の用途に合わせて最適化できる。したがって、前記研磨処理の品質を向上させることができる。
好ましい実施形態によれば、前記工具本体は層状構造から成り得るし、および/または一体的に提供されるのが好ましい異なる複数の構成要素から成り得る。
代替的または追加的に、前記異なる複数の構成要素(すなわち、以下に説明する基体部、保持部および研磨フィルム)は、接着によって互いに接続され得る。例えば、前記工具本体は、一つ以上の(異なる)部位、例えば、基体部、保持部および/または研磨フィルムから成り得る。前記(三つの)部位は、前述の順序で配置されるのが好ましい。
これによって、前記研磨工具を一つの装置として維持しつつ、前記研磨工具の各部位(各層)が異なる複数の素材で構成され、異なる複数の特性を有することができる。
前記工具本体は、自らの軸方向第一端を形成する研磨フィルムを備えるのが好ましい。前記研磨フィルムが前記研磨面を形成するのがより好ましい。前記研磨フィルムは、前記レンズの光学面に接触した状態になるように構成され得る。例えば、前記表面機械加工処理中に、前記研磨工具は前記研磨フィルムが前記レンズに押し付けられ得る。一般に、表面機械加工処理では、前記レンズと(前記研磨フィルムを有する)前記研磨工具とは、互いに反対方向に回転され得る。研磨フィルムと前記レンズの光学面との間に前記研磨剤を押し込むことで、二つの表面(例えば、レンズ/研磨フィルム)同士の間の相対運動により機械的摩耗が生じ得る。前記研磨フィルムは、前記出口および前記溝部を備えるのが好ましい。前記研磨フィルムは、0.5mm~2.5mmまたは0.8mm~2.0mmの範囲、または1.3mmの厚さを有するのが好ましい。前記研磨フィルムは、塗装膜として提供され得るし、および/またはプラスチック、例えばポリウレタンなどのソフト素材で作製され得る。前記研磨フィルムは、40ShA~90ShAの範囲の表面硬度を有するのが好ましい。ここで、単位「ShA」が付いた数値は、ショアA硬度計に関するものである。
これによって、前記研磨面に、素材の柔軟性、耐摩耗性、低粘着性など、レンズ面の研磨処理に必要な複数の特性を付与することができる。
例えば、前記研磨フィルムは、一般に「キャリア」と呼ばれる、従来技術の研磨工具の一部に相当し得る。ただし、これは単なる例に過ぎない。
代替的または追加的に、前記工具本体は、前記研磨工具を回転可能に支持する基体部を備え得る。前記基体部は、前記軸方向第二端を形成するか、および/または前記入口を備えるのが好ましい。例えば、前記基体部は、金属または硬質プラスチック、例えばナイロンなどの硬質素材で作製され得る。前記基体部は、50MPa~100MPaの引張強度を有するのが好ましい。前記基体部は、5mm~15mmの厚さ(すなわち、前記回転軸に沿った延在部分)を有するのがより好ましい。
前記基体部は、前記工具本体の他の部位と比べて比較的堅いのが好ましい。前記基体部は、硬質プラスチックまたは金属で作製され得る。
これによって、前記研磨工具に、自らを動作させるためのモータに結合可能な剛性基体部を設けることができる。また、前記研磨工具に、例えば、必要に応じて前記レンズ面に圧力を加える十分な剛性を付与することができる。
前記工具本体は、保持部をさらに備えるのが好ましい。前記保持部は、前記研磨フィルムおよび前記基体部のうち少なくとも一方に取り付けられ得る。前記保持部は、前記研磨フィルムと前記基体部との間に挟まれているのが好ましい。前記保持部は、前記眼鏡レンズの光学面に適合するために変形可能であり得る。例えば、前記保持部はプラスチック等のソフト素材で作製され得る。例えば、前記保持部をポリウレタンや、ネオプレン、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)などの独立気泡ゴム素材で作製することが考えられる。前記保持部は、2MPa~12MPaの範囲の弾性率を有るのが好ましい。前記保持部は、10mm~25mmの厚さ(すなわち、前記回転軸に沿った延在部)を有るのがより好ましい。前記保持部は、前記基体部と比べて比較的柔軟であり得る。前記保持部は層状構造を有するのが好ましい。例えば、前記保持部は異なる素材で作製され得る。代替的または追加的に、前記保持部は、同じ素材であるが素材構成(例えば、密度、空気透過性、孔径)が異なる複数の層から成り得る。
これによって、前記研磨工具が研磨剤を吸収するのを防止して前記基体部が腐食することから守るバリア層を前記研磨工具に設けることができる。また、剛性と柔軟性との割合がバランスの取れた素材でできた層を前記研磨工具に設けることで、前記研磨工具は、前記レンズ面に圧力を加える能力を維持しつつ、前記レンズ面の形状(曲率)に合わせることができる。
さらに好ましい実施形態によれば、前記流路は前記研磨工具の回転軸に沿って延在し得る。前記流路は前記回転軸と同軸であるのが好ましい。前記出口は前記研磨面の中心にあるのがより好ましい。代替的または追加的に、(今までのところ存在するもので言えば、)前記流路は、前記研磨フィルム、前記基体部、および前記保持部のうち少なくとも一つ、好ましくは各々を貫通し得る。前記流路は、0.1mm~100mmの範囲、好ましくは1.0mm~20mmの範囲、最も好ましくは10mmの直径を有するのが好ましい。前記工具本体(好ましくは(存在すれば)前記基体部)は、前記流路を研磨剤供給部と流体接続するポートを備えるのが好ましい。前記ポートは、前記研磨剤供給部を放射状に封止するガスケットを備え、前記研磨剤の漏れを防止するか、および/または、前記研磨剤が前記入口から前記流路に入ることだけができるようにするのがより好ましい。前記ポートは、例えばホース継ぎ手またはバルブであり得る。
これによって、前記研磨面への前記研磨剤の十分かつ安定した供給を保証することができる。さらに、前記研磨工具を研磨装置に取り外し可能に接続することができるので、異なる構成の複数の研磨工具を同じ研磨装置で使用することができる。したがって、この構成によって前記研磨工具の柔軟性と適用性とが向上する。
本発明の別の態様は、眼鏡レンズの少なくとも一つの光学面を研磨するシステムに関する。このシステムは、前記眼鏡レンズの光学面を処理する表面処理部を備える。ここで、前記表面処理部は、上述したような前記研磨工具を備える。さらに、前記表面処理部は、前記流路に前記研磨工具の入口を介して流体接続され前記研磨面の溝部(または複数の溝部)に前記流路および前記出口を介して研磨剤を供給する研磨剤供給部を備える。このシステムは、前記研磨処理中に前記眼鏡レンズを支持するレンズ支持部をさらに備える。このシステムはまた、前記研磨工具を前記回転軸を中心に回転させるのを少なくとも行うことで前記研磨工具と前記レンズ支持部との間で相対運動をさせて、前記光学面の研磨を可能にする駆動部を備える。
このシステムには、前記研磨工具について詳細に上述したすべての作用効果と恩恵が備わっている。また、上述のシステムを使用すれば、(図2に示すような)個別仕様の度数マップを有する高度に個別仕様化された眼鏡レンズを、必要な精度および品質で形成および研磨することができる。
好ましい実施形態によれば、前記相対運動は、それをさせるために前記研磨工具を前記レンズ支持部に対して相対的に傾けること、旋回させること、および/またはリニアに移動させることを含み得る。代替的または追加的に、前記駆動部は、前記レンズ支持部を(例えばスピンドルの)第二回転軸を中心に回転させて前記相対運動をさせるように調整し得る。代替的または追加的に、前記駆動部は、前記研磨工具を前記レンズ支持部に対して変位させて前記研磨工具と前記レンズ支持部(または好ましくは前記眼鏡レンズ(の光学面))との間に規定の距離を確保するように調整されるのが好ましい。前記距離は0.0マイクロメートル~0.5mmであるのが好ましい。前記距離の大きさは、前記研磨剤中の粒子の大きさで決まる(または、対応する)のが、より好ましい。ただし、前記駆動部が 前記研磨工具を前記レンズ支持部に対して変位させて、前記研磨工具と前記レンズ支持部(または、好ましくは前記眼鏡レンズ(の光学面))との間に隙間がなくなる(すなわち、距離がゼロに等しいか、場合によってはそれ以下になる)ように調整されるのが好ましいということも考えられる。例えば、前記研磨工具を前記レンズ面に接触または加圧接触させるようにすることが考えられる。
これによって、前記システムでは、前記レンズ面と前記研磨面との間に形成される研磨剤のフィルム厚を保証できるため、前記研磨工具の動きを高精度かつ柔軟に調整することができる。また、それぞれの可動システム構成要素の速度を低下させる必要がないので、研磨結果の品質を向上させつつ、研磨時間を維持したり短縮したりさえもできる。さらに、前記研磨工具と前記レンズ面との間に十分な量の研磨剤を送達する目的でポンプ、配管、またはタンクを大型化する必要がない。
別の実施形態によれば、前記システムは、前記駆動部による相対運動を制御するための制御部をさらに備え得る。前記制御部は、処理特性に基づいて前記相対運動を制御するのに適しているか、および/または、制御するように構成されるのが好ましい。前述の処理特性には、例えば、形成すべきレンズの種類、レンズの形状および/または厚さ、研磨工具の種類、および/または研磨剤の種類が含まれ得る。当然のことながら、別の処理特性も存在し得る。前記制御部は、前記光学面と前記研磨工具との間の相対回転速度を調整するように構成されるのが好ましい。代替的または追加的に、前記制御部は、前記研磨剤を前記研磨工具から供給するための圧力を調整するように構成され得るか、および/または、前記研磨剤の流量を調整するように構成され得る。
これによって、前記レンズ面と前記研磨面との間の前記フィルムの厚さを、前記レンズ面に対する前記研磨工具の相対位置および/または相対移動との相関関係において正確に調整することができる。したがって、過度の運動学的制約を受けることなく、高品質で研磨処理を完了することができる。
前記研磨剤は、(好ましくは水および/または冷却剤から成る)流体と、粒子の大きさが1~2マイクロメートルの範囲の固体(金属(例えばアルミニウム)、ダイヤモンド粉末、鉱物、シリコン、またはプラスチック)の粒子と、を含むのが好ましい。
これによって、前記レンズの面を高精度に平滑・平坦化することができるので、光が前記レンズを通って散乱することと鏡面反射とを低減できる。
好ましい実施形態によれば、前記研磨剤供給部は、(好ましくは前記基体部に設けられる、前記工具本体の)前記ポートを介して前記研磨工具に流体接続され得る。ここで、所定の、または前記ガスケットが前記研磨剤供給部を放射状に封止して、前記研磨剤の漏れを防止し前記研磨剤が前記入口からだけ前記流路に入ることができるようにし得る。前記研磨剤供給部は、前記研磨剤を供給するためのポンプおよびタンクを備えるのが好ましい。
これによって、前記研磨工具を前記表面処理部に迅速かつ確実に接続および取り外しできるため、高速な処理時間を実現できる。
本発明の別の態様は、眼鏡レンズの光学面を研磨する方法に関する。この方法は、上述したような研磨工具を有する表面処理システムを提供するステップを含む。代替的または追加的に、この方法は、上述した前記システムを提供するステップを含む。眼鏡レンズは、前記システム(前述した各システムのいずれか)のレンズ支持部に据え付けられる。前記研磨工具は前記眼鏡レンズに対して相対的に回転される。研磨剤が(前記研磨工具の)前記流路を通って研磨対象の前記眼鏡レンズの光学面に面する(前記研磨工具の)研磨面に送達されるので、前記研磨剤が、(前記研磨工具の)前記出口から前記溝部を通って径方向外側に送達されて、前記光学面を研磨するために前記研磨剤を研磨面のあらゆる所に分配することになる。
前記方法は、一つ以上の処理パラメータを調整することで、前記光学面と前記研磨面との間の前記研磨剤の層の厚さを(前記制御部を用いて)制御するステップをさらに含むのが好ましい。前記処理パラメータは、前記研磨剤の流量や供給圧力であり得る。前記処理パラメータは、(追加として)、前記研磨面と前記光学面との間の距離、前記レンズおよび前記研磨工具の各回転速度、および/または前記研磨工具の前記レンズに対する並進移動速度のうちの一つ以上であるのが好ましい。前記処理パラメータは、前記研磨工具および前記眼鏡レンズのうちいずれかまたは両方の回転速度に基づいて調整され得る。
このような構成の前記方法によれば、詳細に上述したすべての作用効果および恩恵を実現させることが可能である。また、前記研磨処理で形成される前記レンズの品質や精度を向上させることもできる。
本発明の別な態様は、研磨剤を用いて眼鏡レンズの光学面を研磨するための、上述の研磨工具の使用に関する。前記眼鏡レンズは累進レンズであるのが好ましい。
本発明の別の特徴、作用効果、および目的は、当業者が本発明の以下の各実施形態の詳細な説明を読み進めると同時に、各添付図と併用する際に、明らかになるであろう。明瞭性を高める等の理由で、図から参照符合を省略した場合であっても、対応する各特徴は依然として当該図面に存在し得る。
レンズの正面図と側面図を概略的に示している。 表面機械加工処理の終了時において、個別仕様化されたレンズの側面図を概略的に示している。 表面機械加工処理の開始時において、レンズがレンズ支持部に固定された状態の側面図を概略的に示している。 表面機械加工処理中において、レンズ支持部に固定され個別仕様化されるレンズの側面図を概略的に示している。 従来技術の表面機械加工処理でレンズ支持部に固定され研磨処理中の、個別仕様化されるレンズの側面図を概略的に示している。 従来技術の表面機械加工処理でレンズ支持部に固定され研磨処理中の、個別仕様化されるレンズの側面図を概略的に示している。 レンズ支持部に固定され個別仕様化されるレンズを研磨する研磨工具を検査するための実験装置の側面図を概略的に示している。 レンズ支持部に固定され個別仕様化されるレンズを研磨する研磨工具を検査するための実験装置の側面図を概略的に示している。 本発明に係る研磨工具の一実施形態の概略断面図である。 本発明に係る研磨工具の一実施形態の概略正面図である。 図9の研磨工具を備えた、本発明に係るシステムの一実施形態の概略図である。
図1は、表面機械加工処理の開始前のレンズLの輪郭の典型例を示す。図2は、表面機械加工処理の終了時において、個別仕様化されたレンズLの例を示している。図3および4は、レンズ形成処理の様々なステップを示している。図5および図6は、従来技術に存在する既知の問題を浮き彫りにしている。図7および図8は、各々、研磨処理に存在する問題を特定するための実験装置を示している。図9~11は、本発明の各実施形態の異なる図および態様を示している。
例えば、本発明の第一の態様は、表面機械加工処理において眼鏡レンズLを研磨する研磨工具100に関する。研磨工具100の各実施形態は、図7~9に典型的に示してある。
一般に、「レンズ」は、例えば、光の進路を屈折によって変えるように調整された任意の透過型光学素子として理解され得る。例えば、レンズLは、矯正レンズまたは処方レンズなどの眼科用レンズであり得る。図1および2は、レンズLの例を示している。レンズLは、二つの対向する光学(側)面L1、L2および周縁L3を有し得る。光学(側)面L1、L2は、凸状および/または凹状であり得る。典型的には、レンズLは、透明および/または半透明の素材、例えば、ポリカーボネートなどの眼鏡レンズ用のプラスチック素材、またはガラスで作製され得る。
表面機械加工処理では、典型的には、二つの光学面L1、L2のうちの一方のみが加工され、レンズLの二つの側面L1、L2のうちの他方はレンズ支持部220によって支持され得る。これは、図3~6および11に典型的に示してある。もちろん、表面機械加工処理ではレンズLの二つの側面L1、L2の一方または両方を処理し得る。
表面機械加工処理は、図1に典型的に示すレンズLのような、視力向上用途に最も適した前面L2はそのまま残され得るレンズブランクを選択することで開始され得る。それに比べて、レンズブランクLの背面L1は、図2に典型的に示したように、個別仕様化された(累進)レンズLを形成するために処理され得る。
表面機械加工処理は、典型的には、例えば、光学素子を形成する任意の表面仕上げステップまたは製造ステップを含み得て、それ(ら)には、例えば、クリビング(つまり、ミリング処理においてレンズブランクLの外径を小さくすること)、粗加工(つまり、光学面L1、L2のうちの一つをおおよその曲率と厚さに研削すること)、平滑化(つまり、光学面L1 、L2のうちの一つを正確な曲率と厚さに研削すること)、面取り(つまり、レンズLを眼鏡フレームの形状に合わせて切断すること)、および研磨(つまり、レンズLを滑らかにすること、正常に透過して鏡面反射を減らすこと)などが含まれる。ただし、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。
研磨工具100は、例えばそのような表面機械加工処理で使用されるのに適している(および構成されている)。さらに、研磨工具100は、眼鏡レンズを研磨するのに適している(および構成されている)ので、その結果として、研磨工具100は、眼鏡レンズに通常存在する曲率に追従したり、眼鏡レンズに使用される通常の素材を加工したりするのに適したものであり得る。
研磨工具100は、回転軸RA1を中心に回転可能に支持される工具本体110を備える。これは、図9および11に典型的に示してある。回転軸RA1は、工具本体110の本体軸または対称軸、および/または、研磨工具110からずれた軸であり得る。
工具本体110は、軸方向第一端101と、回転軸RA1に対して軸方向第一端101とは反対側に設けられた軸方向第二端102と、を備えている。工具本体110は、回転軸RA1に沿って(とともに)軸方向第一端101から軸方向第二端102まで(連続的に)延在するのが好ましい。図9と11はこれを典型的に示している。工具本体110は、円筒形状など、任意の形状または形態を有し得る。例えば、工具本体110は、回転軸RA1と同軸であり得る。
工具本体110は、例えば、層状構造および/または連続構造からなり得る。図9および11では、工具本体110が異なる複数の層で構成されるものとして典型的に示してある。工具本体110は、任意の数の層から成り得る。それぞれの層は、糊付けなどの接着剤によって、またはネジなどの機械的接続によって互いに結合され得る。ただし、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。
工具本体110は、軸方向第一端101において、外側に露出する研磨面130を備える。図11は、外側に露出した構成の研磨面130がどのようにして研磨工具100とレンズ面L1との間の相互作用を容易にすることができるかを典型的に示している。研磨面130は、レンズLの光学面L1、L2を研磨するために、回転軸RA1に対して軸方向に凸状または凹状に膨出している。例えば、レンズLの種類に応じて、例として収束レンズまたは発散レンズの場合、研磨面130は、外側に突出する(凸状)か、または内側に引っ込む(凹状)湾曲(丸い)形状を有し得る。図9および図11は、研磨面130が典型的に回転軸RA1に対して軸方向に凸状に膨らんだ状態を示している。研磨面130は、少なくとも光学面L1、L2と同等かそれ以上の曲率を有し得るように膨らんでいるのが好ましい。研磨面130は、サイズがレンズLの光学面L1、L 2 よりも小さいのがより好ましい。例えば、研磨面130は、光学面L 1、L2 の(全体)領域のうち1/50、1/20、1/10、1/8、1/5、または1/4を対象にし得る。研磨面130は、研磨工具100の(軸方向)端面を形成し得る。さらに、研磨面130は、軸方向第二端102から遠ざかる方向を向いた状態であり得る。研磨面130は、任意の形状または形態を有し得る。例えば、研磨面130は、回転軸RA1に沿って見ると、円形または楕円形であり得る。ただし、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。
研磨面130は、工具本体110の研磨フィルム113で形成されるのが好ましい。研磨フィルム113は、軸方向第一端101を形成し得る。研磨フィルム113は、工具本体110の複数の層のうちの一つであり得る。例えば、研磨フィルム113は、研磨処理でレンズLの光学面L1、L2に損傷を与えないように、ソフトな素材で作成され得る。例えば、研磨フィルム113はポリウレタンで作成され得る。もちろん、研磨フィルム113を形成するのに他の素材を使用することもできる。研磨フィルム113は、塗装膜またはフィルムとして提供され得る。研磨フィルム113は、0.5mm~2.5mmまたは0.8mm~2.0mmの範囲の、または1.3mmの厚さを有するのが好ましい。 研磨フィルム113は、図9に典型的に示したように、工具本体110から放射状に突出する突出縁部133を備え得る。これによって、研磨処理において光学面L1に侵入する際に当該光学面から過度の作用力が加わるのを回避できる。
工具本体110の軸方向第二端102は、基体部111で形成されるのが好ましい。基体部111は、工具本体110の複数の層の一つであり得る。基体部111は、研磨工具100を回転可能に、例えば、表面機械加工処理用のレンズ形成機の工具保持部に支持するのに適した(または構成された)ものであり得る。これは図11の概略図に典型的に示してある。このため、基体部111は、好ましくは硬い素材、例えば金属、またはナイロンのような硬質プラスチックで作製され得る。ただし、これは一例に過ぎず、他の素材を使用することも考えられる。
工具本体110は、研磨フィルム113と基体部111との間に配置され得る保持部112も備えるのが好ましい。保持部112は、工具本体110の複数の層のうちの一つであり得る。保持部112は、軸方向をレンズLの光学面L1、L2の外形に合わせられ得る。このため、保持部112は、圧力下で可逆的に変形できるように構成され得る。例えば、保持部112は、プラスチック、例えばネオプレン、EPDM、NBRのような独立気泡ゴム素材などのプラスチックで作製され得る。
工具本体110は、その中を軸方向に(回転軸RA1に沿って、または回転軸RA1と同軸に)端から端まで延在する流路140をさらに備える。ここで、流路140は、図9および11に典型的に示したように、研磨フィルム113、基体部111および保持部112をそれぞれ貫通し得る。流路140は、その延在方向に沿って一定の、もしくは段階的または連続的に増加/減少する直径を有し得る。流路140は、任意の形状または形態の断面、例えば、円形または長方形の断面を有するのが好ましい。流路140は、工具本体110の各部位の中に形成された通路で形成されるか、または、これらの通路の中を通って延在するチューブやホースを設けることで形成され得る。ただし、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。
流路140は、好ましくは研磨剤を流路140に供給するための入口142を備える。これは、図9および11に典型的に示してある。入口142は、軸方向第二端102に設けられている。基体部111は入口142を備えるのが好ましい。入口142は、例えば(工具本体110または)基体部111に開口として形成されるのがより好ましい。入口142は、流路140と同じかまたは異なる形状の断面を有し得る。流路140は、入口142に向かって、または入口142において径方向に拡張し得る。図9と11はこれを典型的に示している。
工具本体110(または基体部111)は、流路140を(図11に示したような)研磨剤供給部240に流体接続するためのポート143をさらに備え得る。これは、図9および11に典型例として示してある。ポート143は、弁、ホース継ぎ手、パイプまたはホースであり得る。ポート143は入口142と同じサイズを有するのが好ましい。ポート143は、入口142に取り外し可能に接続されるのがより好ましい。ポート143は入口142に圧入され得る。ポート143は、研磨剤供給部240(図11を参照)を放射状に封止するガスケット144を備えて、研磨剤の漏れを防止し研磨剤が入口142から流路140に入ることだけができるようにするのが好ましい。これは、図9および11に典型的に示してある。ガスケット144はゴム製であるか、および/またはOリングであり得る。ただし、これらは例に過ぎず、完全な列挙ではない。
流路140は、研磨面130に研磨剤(好ましくは入口142から供給される研磨剤)を供給する(好ましくは単一の)出口141をさらに備える。出口141は、軸方向第一端101に設けられる。出口141は(図9~11に典型的に示したように)研磨面130の中心に設けられるのが好ましい。出口141は回転軸RA1と同軸であるのが好ましい。ただし、出口141を別の位置に設けることも考えられる。例えば、出口141は、回転軸RA1(または研磨面130の中心)のすぐ周囲(例えば、半径<10mm)の部分に設けられ得る。研磨フィルム113は出口141を備えるのが好ましい。これは、図9~11に典型的に示してある。出口141は、任意の形状または形態を有し得る。例えば、出口141は、円形であり得るし、および/または軸方向第一端101に向けて直径が拡大したり縮小したりし得る。出口141は、ノズルまたはスロットルとして形成され(て同じ機能を提供す)るのが好ましい。出口141は、研磨面130の(外周によって区切られる)直径よりも大幅に小さい、すなわち、研磨面130の直径の1/100、1/80、1/50、1/20、1/10、1/8、または1/5の直径を有し得る。
研磨剤は、例えば、液体と固体粒子との混合物であり得る。この液体は、水および/または冷却剤から成り得る。固体粒子は、金属(例えば、酸化アルミニウム)、シリコン、またはプラスチックで作製され得る。固体粒子は、1~2マイクロメートルの範囲の粒径を有するのが好ましい。
研磨面130は、少なくとも一つの溝部150を備える。研磨フィルム113は溝部150を備えるのが好ましい。図9~11はこれを典型的に示している。
図10に典型的に示したように、研磨面130は、複数の前述した溝部150(すなわち、二つ以上の溝部150)を備え得る。以下の記載で「溝部150」に言及する場合、特に明記しない限り、それぞれの説明は「複数の溝部150」にも適用される。溝部150は、互いに同じ構成または異なる構成を有し得る。例えば、各溝部150は同一であり得るし、少なくとも部分的に異なる形状および/または断面を有し得る。
溝部150は、出口141から出て研磨面130の周縁部まで放射状に延在して研磨剤を研磨面130のあらゆる所に分配する。溝部150は、任意の形状または形態を有し得る。例えば、溝部150は、主たる延在方向に沿って放射状に延在し得る。ここで、溝部150は、その経路が径方向に出口141の方に戻らない(それどころか、溝部150が径方向外側に延在し続ける)ように延在し得る。溝部150は、リニアに、直線状に、湾曲して、および/またはアーチ状に延在し得る。
代替的または追加的に、図10に典型的に示したように、溝部150は波状またはジグザグ状に延在し得る。ここで、溝部150は、異なる複数の区間を含み得る。異なる複数の区間は、互いに接続されて研磨剤のための連続的な流路を形成し得る。隣接する区間はアーチ状部分によって互いに接続されるのが好ましい。接続部分、例えば、アーチ状部分は、それぞれの隣接区間同士の間に緩やかな移行部分を形成するのがより好ましい。これによって、溝部150内での連続的な流れを実現させることができ、詰まりを回避することができる。それぞれの区間(異なる区間のうちの一つ)は、直線状か、角があるか、アーチ状か、および/または湾曲しているのが好ましい。隣接する区間同士は、周方向に反対側に延在し得る。異なる複数の区間の例を図10に示してあり、溝部150は、出口141を湾曲した第二区間152に接続する直線状の第一区間151と、湾曲した第二区間152から研磨面130(研磨フィルム113)の外縁部まで直線状に延在する第三区間153と、を含むものとして典型的に示してある。溝部150が複数の分岐を有し得ること、および/または他の(隣接する)(複数の)溝部150に分岐し得ることもさらに考えられる。
溝部150は、主たる延在方向に沿って、および/または流れ方向に沿って見たときに、円形または長方形の断面を有し得る。溝部150は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの幅Wを有するのが好ましい(図10を参照)。代替的または追加的に、溝部150は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの深さTを有し得る(図9を参照)。
異なる複数の溝部150を、研磨面130上に放射状に広がるように設けるのが好ましい。代替的または追加的に、複数の溝部150が、出口141(または回転軸RA1)を中心に(均一に)分布するようにし得る。例えば、溝部150の配置および/または構成(例えば、周方向の配向、複数の湾曲した区間など)に基づいて、研磨工具100は、適切に動作するために、回転軸RA1を中心に一回転方向でのみ使用し得る。
本発明の別の態様は、眼鏡レンズLの光学面L1、L2の少なくとも一つを研磨するシステム200に関する。図11は、これを典型的に示している。
システム200は、眼鏡レンズLの光学面L1、L2を処理するための表面処理部210を備える。ここで、表面処理部210は、上述の研磨工具100を備える。例えば、表面処理部210が、図4に典型的に示したような、(矢印410、420で示したように)リニアに移動可能なカッター400を備え得ることも考えられる。
表面処理部210は、研磨剤供給部240をさらに備えて研磨面130に研磨剤を供給する。研磨剤供給部240は、(ポート143を通り)研磨工具100の入口142を介して流路140に流体接続され、出口141から(複数の)溝部150に研磨剤を供給する。上述のガスケット144は、接続部を放射状に封止して、研磨剤の漏れを防止し研磨剤が入口142からだけ流路140に入ることができるようにするのが好ましい。したがって、例えば、研磨剤は、研磨剤供給部240のポンプ241によって、研磨剤供給部240の容積タンク242からパイプ213を通ってポート143に、続いて入口142に注入され得る。研磨剤は、入口142から流路140を通って出口141まで、そして(複数の)溝部150まで流れ得る。例えば、研磨工具100を回転軸RA1を中心に回転させた状態では、研磨剤が研磨面130の外縁部に向かって径方向外側に押し出される。同時に存在する周方向の力が研磨剤を複数の溝部150から追い出すので、研磨剤が研磨面130(全体)のあらゆる所に分配される。複数の溝部150の各区間の構成が異なれば、研磨剤はそれぞれ異なる速度で流れることになり得る。具体的には、隣接する区間同士の緩やかな移行部分は、溝部150のうち出口141から径方向にさらに離れた部分を通って流れる研磨剤の流速を低下させるのに役立ち得る。これによって遠心加速度の影響を低減することができる。
システム200は、研磨処理中にレンズLを支持するための(図3~6に関連して前述した)レンズ支持部220をさらに備える。このために、レンズ支持部220は、レンズLに吸引力を加え得るレンズ保持部222を備え得る。また、レンズ支持部220は、(矢印223で示した)第二回転軸RA2を中心に回転するスピンドル221を備え得る。 図3~6および図11は、これを典型的に示している。
また、システム200は、研磨工具100とレンズ支持部220との間で相対運動をさせる駆動部も備える。ここで、前述の相対運動は、研磨工具100を回転軸RA1を中心に回転させることを少なくとも含み、光学面L1、L2を研磨工具100で研磨し易くする。これは、図11の矢印213で典型的に示してある。また、前述の相対運動は、それをさせるために、(図11の矢印211および212で示したように)研磨工具100をレンズ支持部220に対して相対的に傾けること、旋回すること、および/またはリニアに移動させることを含み得る。駆動部は、研磨工具100をレンズ支持部220に対して変位させ、それらの間に規定の距離を確保するように調整されるのが好ましい。
駆動部がスピンドル221を備える、および/またはスピンドル221を駆動することも考えられる。ここで、駆動部は、レンズ支持部220を第二回転軸RA2を中心に回転させて、(追加の)相対運動(例えば、矢印223)を生じさせるように調整されるのが好ましい。駆動部は表面処理部210の一部であり得るし、その逆でもよい。図11はこれを典型的に示している。
システム200は、駆動部および/または表面処理部210による相対運動を制御するための制御部230をさらに備え得る。制御部230は、レンズの種類、形状および厚さ、研磨工具の種類、研磨剤の種類などの処理特性に基づいてシステム200を制御し得る。ここで、制御部230は、光学面L1、L2と研磨工具100との間の相対回転速度を調整するように構成されるのが好ましい。代替的または追加的に、制御部230は、研磨剤を研磨工具100に供給するための圧力および/または(流路140を通る)研磨剤の流量を調整するように構成され得る。
本発明の別の態様は、(眼鏡)レンズLの光学面L1、L2のうち少なくとも一つを研磨する処理に関する。この処理において、上記のシステム200が提供される。あるいは、上記の研磨工具100を備えた別の表面処理システムを提供することも考えられる。
(眼鏡)レンズLは、前述の(または所定の)レンズ支持部220に固定される。研磨工具100はレンズLに対して相対的に回転する。研磨剤は、流路140を通って、研磨対象のレンズLの光学面L1、L2に面する研磨面130に供給される。例えば回転を通じて、研磨剤は出口141から複数の溝部150を通って径方向外側に送達されることで、研磨剤が、光学面L1、L2を研磨するために研磨面130のあらゆる所に分配される。
例えば、表面加工処理では、通常、レンズLおよび(研磨フィルム113を有する)研磨工具100は、互いに反対方向に相対的に回転され得る。研磨剤を流路140から複数の溝部150内に供給することで、研磨剤を研磨面130(研磨フィルム113)とレンズLの光学面L1、L2との間に移送する(絞り出す)ことができる。これによって、研磨剤に含まれる研磨粒子が二つの表面(例えば、光学面L1、L2と研磨面130)の間の相対運動によって移動させられるため、機械的研磨が行われる。例えば、研磨面130のあらゆる所に複数の溝部150を設ければ、研磨剤を均一に分配させることができるので有利であり得る。一般に、研磨剤を複数の溝部150(の進路)を通して誘導/送達することで、(溝部150内の進路の位置に応じて)周方向および径方向の加速度に対する研磨剤への影響度を制御し得る。これによって、研磨剤がどのように研磨面130のあらゆる所に移動するのか(つまり、出口141から分配されることに関していつどこで移動するのか)を制御することが可能になるため、研磨面130のあらゆる所への研磨剤の分配を改善し得る。
この処理は、研磨工具100および/または眼鏡レンズLの回転速度に基づいて研磨剤の流量および/または供給圧力を調整することで、研磨剤の光学面L1、L2と研磨面130との間の研磨剤の層(フィルム)の厚さを制御するステップをさらに含み得る。ただし、レンズLの所望の平滑度、または研磨剤の均一性および組成などの他のパラメータを(追加で)考慮することも考えられる。
本発明は、添付の特許請求の範囲に記載される限り、上記の各実施形態によって限定されない。上述した各実施形態のすべての特徴は、あらゆる可能なやり方で組み合わせることができるし、互換的に提供することができる。
例えば、工具本体110が、その中を端から端まで延在する複数の流路140を備え得ることも考えられる。複数の流路140は、一つ以上の入口142を一つ以上の出口141に接続し得る。例えば、複数の流路140の各々は、一つの入口142および一つの出口141に対応し得る。ただし、複数の流路140の各々は、同じ入口142と、研磨面130上に設けられ得る複数の出口141との間に延在し得る。複数の出口141の各々には、そこから出て径方向に研磨面130の周縁部まで延在する一つ以上の溝部150が設けられて、研磨剤を研磨面130のあらゆる所に分配し得る。例えば、複数の出口141は、研磨面130のあらゆる所に均一に分散され得る。例えば、図10に典型的に示した溝部150同士の間の隙間(よりも大きな隙間)に、追加の出口141および追加の溝150(図示せず)を設け得る。

Claims (15)

  1. 眼鏡レンズ(L)を表面機械加工処理で研磨する研磨工具(100)であって、前記研磨工具は、回転軸(RA1)を中心に回転可能に支持される工具本体(110)を備え、
    前記工具本体(110)は、その軸方向第一端(101)で外側に露出する研磨面(130)を備え、前記研磨面(130)は、前記眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)を研磨するため、前記回転軸(RA1)に対して軸方向に凸状または凹状に膨出していて、
    前記工具本体(110)は、その中を軸方向に、前記回転軸(RA1)に対して前記軸方向第一端(101)とは反対側の軸方向第二端(102)に設けられる入口(142)から、前記軸方向第一端(101)に設けられる出口(141)まで延在する流路(140)を備えて、前記研磨面(130)に研磨剤を供給し、
    前記研磨面(130)は、前記出口(141)から出て前記研磨面(130)の周縁部まで径方向に延在する少なくとも一つの溝部(150)を備えて、前記研磨剤を前記研磨面(130)のあらゆる所に分配する
    ことを特徴とする研磨工具(100)。
  2. 前記溝部(150)は、主たる延在方向に沿って放射状に、好ましくはリニアに、直線状に、湾曲して、および/またはアーチ状に、より好ましくは波状またはジグザグ状に延在する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の研磨工具(100)。
  3. 前記溝部(150)は、別の区間、好ましくは直線状の区間、角のある区間、アーチ状の区間、および/または湾曲した区間を含み、
    隣接する区間同士は、周方向に互いに反対方向に延在し、
    前記隣接する区間同士は、好ましくはアーチ状部分で互いに接続され、より好ましくは前記アーチ状部分が前記隣接する区間同士の間に緩やかな移行部分を形成している
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の研磨工具(100)。
  4. 前記溝部(150)は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの幅(W)を有し、および/または、
    前記溝部(150)は、0.1mm~1.0mm、または0.2mm~0.8mm、または0.4mm~0.6mmの範囲の、または0.5mmの深さ(T)を有する
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  5. 前記研磨工具(100)は複数の前記溝部(150)を備え、
    前記溝部(150)は、前記出口(141)または前記回転軸(RA1)を中心に、好ましくは放射状に広がり、および/または、好ましくは分布し、より好ましくは均一に分布し、
    前記溝部(150)は、好ましくは、同じ、または少なくとも部分的にしか違わない形状および/または断面を有する
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  6. 前記工具本体(110)は、自らの前記軸方向第一端(101)を形成する研磨フィルム(113)を備え、
    前記研磨フィルム(113)は、前記出口(141)および前記溝部(150)を備え、
    好ましくは、前記研磨フィルム(113)は、0.5mm~2.5mmまたは0.8mm~2.0mmの範囲、または1.3mmの厚さを有する
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  7. 前記工具本体(110)は、前記研磨工具(100)を回転可能に支持する基体部(111)を備え、
    前記基体部(111)は、好ましくは入口(142)を備え、
    好ましくは、前記工具本体(110)は、前記研磨フィルム(113)と前記基体部(111)との間に挟まれている保持部(112)をさらに備え、
    好ましくは、前記保持部(112)は、前記眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)に適合するために変形可能である
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  8. 前記流路(140)は、前記研磨工具(100)の回転軸(RA1)に沿って延在し、好ましくは、前記研磨フィルム(113)、前記基体部(111)、および前記保持部(112)がある場合にはそれらを貫通する
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  9. 前記工具本体(110)、好ましくは前記基体部(111)が存在すれば前記基体部(111)は、前記流路(140)を研磨剤供給部(240)と流体接続するポート(143)を備え、
    好ましくは、前記ポート(143)は、前記研磨剤供給部(240)を放射状に封止するガスケット(144)を備えて、前記研磨剤の漏れを防止し前記研磨剤が前記入口(142)から前記流路(140)に入ることだけができるようにする
    ことを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の研磨工具(100)。
  10. 眼鏡レンズ(L)の少なくとも一つの光学面(L1、L2)を研磨するシステム(200)であって、表面処理部(210)と、レンズ支持部(220)と、駆動部と、を備え、
    前記表面処理部(210)は、前記眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)を処理するためのものであって、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の前記研磨工具(100)と、前記研磨工具(100)の入口(142)を介して前記流路(140)に流体接続されて、前記研磨面(130)の溝部(150)または複数の溝部(150)に前記流路(140)および前記出口(141)を介して研磨剤を供給する研磨剤供給部(240)と、を備え、
    前記レンズ支持部(220)は、前記研磨処理中に前記眼鏡レンズ(L)を支持するためのものであって、
    前記駆動部は、前記研磨工具(100)を前記回転軸(RA1)を中心に回転させるのを少なくとも行なうことで前記研磨工具(100)と前記レンズ支持部(220)との間で相対運動をさせて、前記光学面(L1、L2)の研磨を可能にする
    ことを特徴とするシステム(200)。
  11. 前記相対運動は、それをさせるために前記研磨工具(100)を前記レンズ支持部(220)に対して相対的に傾けること、旋回させること、および/またはリニアに移動させることを含み、
    前記駆動部は、好ましくは、前記レンズ支持部(220)を第二回転軸(RA2)を中心に回転させて前記相対運動をさせるように調整され、および/または、
    前記駆動部は、好ましくは、前記研磨工具(100)を前記レンズ支持部(220)に対して変位させて前記研磨工具(100)と前記レンズ支持部(220)との間に規定の距離を確保するように調整される
    ことを特徴とする、請求項10に記載のシステム(200)。
  12. 前記眼鏡レンズ(L)の種類、前記眼鏡レンズ(L)の形状および厚さ、前記研磨工具(100)の種類、前記研磨剤の種類などの処理特性に基づいて前記駆動部による相対運動を制御するための前記制御部(230)をさらに備え、
    好ましくは、前記制御部(230)は、前記光学面(L1、L2)と前記研磨工具(100)との間の相対回転速度、および/または、前記研磨剤を前記研磨工具(100)に供給するための圧力、および/または、前記研磨剤の流量を調整するように構成される
    ことを特徴とする、請求項10または11に記載のシステム(200)。
  13. 前記研磨剤供給部(240)は、前記ポート(143)を介して前記研磨工具(100)に流体接続され、
    好ましくは、前記ガスケット(144)は、前記研磨剤供給部(240)を放射状に封止して、前記研磨剤の漏れを防止し前記研磨剤が前記入口(142)からだけ前記流路(140)に入ることができるようにする
    ことを特徴とする、請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載のシステム(200)。
  14. 眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)を研磨する方法であって、
    請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の研磨工具(100)を有する表面処理システム(200)、好ましくは、請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のシステム(200)を提供することと、
    眼鏡レンズ(L)を前記システム(200)のレンズ支持部(220)に据え付けることと、
    前記研磨工具(100)を前記眼鏡レンズ(L)に対して相対的に回転することと、
    研磨剤が前記出口(141)から前記溝部(150)を通って径方向外側に送達され、前記光学面(L1、L2)を研磨するために前記研磨剤が前記研磨面(130)のあらゆる所に分配されるように、前記研磨剤を前記流路(140)を通って、研磨対象の前記眼鏡レンズ(L)の光学面(L1、L2)に面する前記研磨面(130)に送達することと、を含む
    ことを特徴とする方法。
  15. 前記研磨工具(100)および/または前記眼鏡レンズ(L)の回転速度に基づいて、前記研磨剤の流量および/または供給圧力を調整することで、前記光学面(L1、L2)と前記研磨面(130)との間の前記研磨剤の層の厚さを制御することをさらに含む
    ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
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