JP2024526234A - Myoc発現をサイレンシングするための組成物および方法 - Google Patents

Myoc発現をサイレンシングするための組成物および方法 Download PDF

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JP2024526234A JP2023580406A JP2023580406A JP2024526234A JP 2024526234 A JP2024526234 A JP 2024526234A JP 2023580406 A JP2023580406 A JP 2023580406A JP 2023580406 A JP2023580406 A JP 2023580406A JP 2024526234 A JP2024526234 A JP 2024526234A
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Abstract

本開示は、MYOCを標的とする二本鎖リボ核酸(dsRNA)組成物、およびかかるdsRNA組成物を使用してMYOCの発現を変化させる(例えば、阻害する)方法に関する。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、2021年6月28日に出願された米国特許仮出願第63/215,804号に対する優先権の利益、2021年12月8日に出願された米国特許仮出願第63/287,404号に対する優先権の利益、および2022年6月10日に出願された米国特許仮出願第63/351,033号に対する優先権の利益を主張する。先述の出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含んでおり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2022年6月22日に作成された先述のASCIIコピーは、A108868_1490WO_SL.txtという名称で、サイズは596,467バイトである。
本開示は、MYOCの発現の特異的阻害に関する。
緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))は、今日の高齢者における不可逆的な視力喪失の主な原因である。MYOCタンパク質のミスフォールディングは、小柱網細胞からのその分泌を閉塞し、眼圧の上昇をもたらし、これが次に、視神経を圧縮および損傷し、視覚情報を脳に送信するその能力を低下し、視覚喪失をもたらす。緑内障に対する新しい治療が必要である。
本開示は、MYOCの発現を調節するための方法およびiRNA組成物を記載する。特定の実施形態では、MYOCの発現は、MYOC特異的iRNAを使用して低減または阻害される。こうした阻害は、眼障害(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))などのMYOC発現に関連する障害の治療に有用であり得る。
したがって、細胞中または対象(例えば、ヒト対象などの哺乳動物中)などにおける、MYOCのRNA転写物のRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)媒介性切断をもたらす組成物および方法が本明細書に記載される。また、緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))などのMYOCの発現に関連する障害を治療するための組成物および方法も記載される。
本明細書に特徴付けられる組成物に含まれるiRNA(例えば、dsRNA)は、MYOC(例えば、ヒトMYOC)のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的である、領域、例えば、30ヌクレオチド以下、概して19~24ヌクレオチドの長さの領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)(本明細書では「MYOC特異的iRNA」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、MYOC mRNA転写物は、ヒトMYOC mRNA転写物、例えば、本明細書に記載の配列番号1などである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNA(例えば、dsRNA)は、ヒトMYOC mRNAの領域に実質的に相補的である領域を有するアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、ヒトMYOC mRNAは、配列NM_000261.2(配列番号1)を有する。NM_000261.2の配列もまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列番号1の逆相補は、本明細書の配列番号2として提供される。
一部の態様では、本開示は、ミオシリン(MYOC)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供し、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、アンチセンス鎖内の少なくとも15個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、センス鎖は、ヒトMYOCのコード鎖の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、およびアンチセンス鎖は、ヒトMYOCの非コード鎖の対応する部分の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
一部の態様では、本開示は、MYOCの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供し、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、アンチセンス鎖内の少なくとも15個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、アンチセンス鎖は、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
一部の態様では、本開示は、MYOCの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供し、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565804のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、二本鎖AD-1565804のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
一部の態様では、本開示は、MYOCの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を提供し、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565837のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、二本鎖AD-1565837のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
一部の態様では、本開示は、他の点では類似した未処理の細胞または組織と比較して、低減されたレベルのMYOC mRNAまたはMYOCタンパク質のレベルを含むヒト細胞または組織を提供し、随意に、細胞または組織は、遺伝子操作されておらず(例えば、細胞または組織が、一つ以上の天然に生じる変異を含み、例えば、MYOC変異)、随意に、レベルは、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%低減される。いくつかの実施形態では、ヒト細胞または組織は、小柱網組織、毛体様、網膜色素上皮(RPE)、網膜組織、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、光受容体細胞、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織である。
本開示はまた、一部の態様では、本明細書に記載のdsRNA剤を含有する細胞を提供する。
別の態様では、他の点では類似した未処理の細胞と比較して、低減されたレベルのMYOC mRNAまたはMYOCタンパク質のレベルを含む、ヒト眼細胞、例えば、(小柱網の細胞、毛体様の細胞、RPE細胞、網膜細胞、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、または光受容体細胞)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、レベルは、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%低減される。
一部の態様では、本開示はまた、本明細書に記載されるdsRNA剤を含む、MYOCをコードする遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物を提供する。
本開示はまた、一部の態様では、細胞におけるMYOCの発現を阻害する方法を提供し、方法は、
(a)細胞を、本明細書に記載のdsRNA剤、または本明細書に記載の医薬組成物と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞を、MYOCのmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間維持し、それによって細胞におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む。
本開示はまた、一部の態様では、細胞におけるMYOCの発現を阻害する方法を提供し、方法は、
(a)細胞を、本明細書に記載のdsRNA剤、または本明細書に記載の医薬組成物と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞を、MYOC mRNA、MYOCタンパク質、またはMYOC mRNAおよびタンパク質の両方のレベルを低減するのに十分な時間維持し、それによって細胞におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む。
本開示はまた、一部の態様では、眼細胞または組織におけるMYOCの発現を阻害する方法を提供し、方法は、
(a)細胞または組織を、MYOCに結合するdsRNA剤と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞または組織を、MYOC mRNA、MYOCタンパク質、またはMYOC mRNAおよびタンパク質の両方のレベルを低減するのに十分な時間維持し、それによって細胞または組織におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む。
本開示はまた、一部の態様では、MYOC関連障害と診断された対象を治療する方法を提供し、本明細書に記載のdsRNA剤または本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を対象に投与し、それにより障害を治療することを含む。
本明細書の態様のいずれか、例えば、上記の組成物および方法、本明細書の実施形態のいずれか(例えば、以下)が適用され得る。
いくつかの実施形態では、ヒトMYOCのコード鎖は、配列番号1の配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒトMYOCの非コード鎖は、配列番号2の配列を有する。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する一部の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも17個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する一部の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも19個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも21個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、センス鎖の部分は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つのセンス鎖内の部分である。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の部分は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つのアンチセンス鎖内の部分である。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤のセンス鎖は、少なくとも23個のヌクレオチドの長さ、例えば、23~30個のヌクレオチドの長さである。
いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖のうちの少なくとも一つは、一つ以上の親油性部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、dsRNA剤の二本鎖領域内の一つ以上の位置にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、リンカーまたは担体を介してコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分の親油性は、logKowによって測定され、0を超える。
いくつかの実施形態では、二本鎖RNAi剤の疎水性は、二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイにおける非結合画分で測定され、0.2を超える。いくつかの実施形態では、血漿タンパク質結合アッセイは、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイである。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、五個以下のセンス鎖ヌクレオチドおよび五個以下のアンチセンス鎖ヌクレオチドは、未修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、センス鎖のすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドは、修飾を含む。
いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも一つは、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシ-チミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、ヌクレオチドを含む非天然の塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、センス鎖ヌクレオチドのうちの五個以下、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドのうちの五個以下は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、アンロック核酸(UNA)、またはグリセロール核酸(GNA)以外の修飾を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNAは、センス鎖の連続する二つのヌクレオチドの間、またはアンチセンス鎖の連続する二つのヌクレオチドの間に、非ヌクレオチドスペーサー(随意に、非ヌクレオチドスペーサーは、C3-C6アルキルを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、各鎖は、30ヌクレオチド以下の長さである。いくつかの実施形態では、少なくとも一方の鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一方の鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一方の鎖が、2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、15~30ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、17~23ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、17~25ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、23~27ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、19~21ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、二本鎖領域は、21~23ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態では、各鎖が、19~30ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態では、各鎖が、19~23ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態では、各鎖が、21~23ヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態では、薬剤は、少なくとも一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の3’末端にある。いくつかの実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。いくつかの実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端にある。いくつかの実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。いくつかの実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
いくつかの実施形態では、一方の鎖の5’末端および3’末端の各々は、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。
いくつかの実施形態では、二本鎖のアンチセンス鎖の5’-末端の1位における塩基対は、AU塩基対である。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、合計21のヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、合計23のヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態では、一つ以上の親油性部分は、少なくとも一方の鎖上の一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、一つ以上の親油性部分は、リンカーまたは担体を介して少なくとも一方の鎖上の一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、内側位置は、少なくとも一方の鎖の各末端から末端の二つの位置を除く全ての位置を含む。いくつかの実施形態では、内側位置は、少なくとも一方の鎖の各末端から末端の三つの位置を除く全ての位置を含む。いくつかの実施形態では、内側位置は、センス鎖の切断部位領域を除く。いくつかの実施形態では、内側位置は、センス鎖の5’末端から数えて9~12位を除く全ての位置を含む。いくつかの実施形態では、内側位置は、センス鎖の3’末端から数えて11~13位を除く全ての位置を含む。いくつかの実施形態では、内側位置は、アンチセンス鎖の切断部位領域を除く。いくつかの実施形態では、内側位置は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて12~14位を除く全ての位置を含む。いくつかの実施形態では、内側位置は、3’末端から数えてセンス鎖上の11~13位と、5’末端から数えてアンチセンス鎖上の12~14位とを除く全ての位置を含む。
いくつかの実施形態では、一つ以上の親油性部分は、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の4~8位および13~18位ならびにアンチセンス鎖上の6~10位および15~18位からなる群から選択される一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、一つ以上の親油性部分は、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の5、6、7、15、および17位ならびにアンチセンス鎖上の15および17位からなる群から選択される一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、二本鎖領域における位置は、センス鎖の切断部位領域を除く。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドの長さであり、また親油性部分は、センス鎖の21位、20位、15位、1位、7位、6位もしくは2位またはアンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、センス鎖の21位、20位、15位、1位、または7位にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、センス鎖の21位、20位または15位にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、センス鎖の20位または15位にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、アンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、親油性部分は、センス鎖の5末端から数えて6位にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、脂肪族化合物、脂環式化合物、または多脂環式化合物である。いくつかの実施形態では、親油性部分は、脂質、コレステロール、レチノイン酸、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキサノール(geranyloxyhexyanol)、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸(O3-(oleoyl)cholenic acid)、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C4~C30炭化水素鎖と、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、スルホネート、ホスフェート、チオール、アジド、およびアルキンからなる群から選択される随意の官能基とを含有する。いくつかの実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C6~C18炭化水素鎖を含有する。いくつかの実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C16炭化水素鎖を含有する。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、内側位置または二本鎖領域において一つ以上のヌクレオチドに置き換わる担体を介してコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、担体は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される環式基であるか、またはセリノール骨格またはジエタノールアミン骨格系の非環式部分である。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖iRNAi剤にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、親油性部分または標的化リガンドは、DNA、RNA、ジスルフィド、アミド、およびガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、ガラクトース、マンノースの官能化された単糖またはオリゴ糖、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される生物切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、センス鎖の3’末端は、アミンを有する環状基であるエンドキャップを介して保護され、該環状基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、例えば、眼組織または肝組織を標的とする標的化リガンドをさらに含む。いくつかの実施形態では、眼組織は、小柱網組織、毛体様、網膜組織、網膜色素上皮(RPE)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管である。
いくつかの実施形態では、リガンドは、センス鎖にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端または5’末端にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、一つ以上のGalNAcコンジュゲートまたは一つ以上のGalNAc誘導体を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、一価、または二価、三価、または四価の分枝リンカーを介して結合した一つ以上のGalNAc複合体または一つ以上のGalNAc誘導体である。いくつかの実施形態では、リガンドは、以下のものである。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、以下の図に示すようにリガンドにコンジュゲートされ、
式中、Xは、OまたはSである。いくつかの実施形態では、Xは、Oである。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間結連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置いずれかの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置いずれかの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一、第二および第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置いずれかの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第三のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置いずれかの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、Sp立体配置で連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置の連結リン原子を有する、アンチセンス鎖の5’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、Rp立体配置またはSp立体配置いずれかの連結リン原子を有する、センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端キラル修飾と、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の5’末端のホスフェートまたはホスフェート模倣体をさらに含む。いくつかの実施形態では、ホスフェート模倣体は、5’-ビニルホスホネート(VP)である。
前述のdsRNA剤の様々な実施形態では、dsRNA剤は、MYOCをコードするmRNAのホットスポット領域を標的とする。
別の態様では、本発明は、ミオシリン(MYOC)mRNAのホットスポット領域を標的とするdsRNA剤を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞、例えば、ヒト細胞は、ヒト細胞を本明細書に記載のdsRNA剤と接触させることを含むプロセスによって産生された。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、dsRNA剤および脂質製剤を含む。
いくつかの実施形態では(例えば、本明細書に記載の方法の実施形態)、細胞は、対象内にある。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、MYOC mRNAのレベルは、少なくとも50%阻害される。いくつかの実施形態では、MYOCタンパク質のレベルは、少なくとも50%阻害される。いくつかの実施形態では、MYOCの発現は、少なくとも50%阻害される。いくつかの実施形態では、MYOCの発現を阻害することは、対象からの生体試料(例えば、水性眼液試料)中のMYOCタンパク質レベルを少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少させる。いくつかの実施形態では、MYOC遺伝子の発現を阻害することは、対象からの生体試料(例えば、水性眼液試料)中のMYOCmRNAレベルを少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少させる。
いくつかの実施形態では、対象は、MYOC関連障害と診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、MYOC関連障害に対する少なくとも一つの診断基準を満たす。いくつかの実施形態では、MYOC関連障害は、緑内障である。いくつかの実施形態では、MYOC関連障害は、原発性開放隅角緑内障(POAG)である。
いくつかの実施形態では、眼細胞または組織は、小柱網組織、毛体様、RPE、網膜組織、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、光受容体細胞、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織である。
いくつかの実施形態では、MYOC関連障害は、緑内障である。いくつかの実施形態では、緑内障は、眼圧の上昇によって引き起こされるか、またはそれと関連する。いくつかの実施形態では、緑内障原発性開放隅角緑内障(POAG))。
いくつかの実施形態では、治療することには、障害の少なくとも一つの兆候または症状の改善が含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの徴候または症状は、視神経損傷、視力喪失、視野狭窄、かすみ目、眼の痛みまたは存在、レベル、またはMYOC活性(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のうちの一つ以上の尺度を含む。
いくつかの実施形態では、基準レベルよりも高いMYOCのレベルは、対象が緑内障を有することを示す。いくつかの実施形態では、治療には、障害の進行の予防が含まれる。いくつかの実施形態では、治療は、(a)MYOCの発現もしくは活性を阻害もしくは低減すること、(b)ミスフォールドされたMYOCタンパク質のレベルを低減すること、(c)小柱網細胞死を低減すること、(d)眼圧を低減すること、または(e)視力を増加させること、のうちの一つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、治療は、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均30%の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均60%の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均90%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、治療後、対象は、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるように、dsRNAの単回投与後に少なくとも8週間のノックダウン期間を経験する。いくつかの実施形態では、治療は、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるように、dsRNAの単回投与後に少なくとも12週間のノックダウン期間をもたらす。いくつかの実施形態では、治療することは、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるように、dsRNAの単回投与後に少なくとも16週間のノックダウン期間をもたらす。
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
いくつかの実施形態では、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量で、dsRNA剤が対象に投与される。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、対象に眼内投与される。いくつかの実施形態では、眼内投与は、硝子体内投与、例えば、硝子体内注射、経強膜内投与、例えば、経強膜内注射、結膜下投与、例えば、結膜下注射、球後投与、例えば、球後注射、前房内投与、例えば、前房内注射、または網膜下投与、例えば、網膜下注射を含む。
いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、dsRNA剤は、対象に局所投与される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象におけるMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象におけるMYOCのレベルを測定することは、対象からの生体試料(例えば、水性眼液試料)におけるMYOCタンパク質のレベルを測定することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、血液検査、撮像検査、または水性眼液生検(例えば、房水タップ)を実施することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の対象においてMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のレベルをさらに測定する方法は、dsRNA剤または医薬組成物での治療の前に実施される。いくつかの実施形態では、対象が参照レベルよりも大きいMYOCレベルを有するとの判定により、dsRNA剤または医薬組成物が対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象におけるMYOCのレベルの測定は、dsRNA剤または医薬組成物を用いた治療後に実施される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、MYOC関連障害の治療または予防に適した療法を用いて対象を治療することをさらに含み、例えば、療法は、レーザー線維柱帯形成術、線維柱帯切除術、低侵襲性緑内障手術、または眼への排液管の配置を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、MYOC関連障害の治療または予防に好適な追加薬剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン、ベータブロッカー、アルファ-アドレナリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害剤、Rhoキナーゼ阻害剤、またはコリン作動薬、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、経口薬または点眼薬を含む。
本明細書において言及する全ての公開公報、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図は、本開示のいくつかの特徴を示す。
本特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも一つの図面が含まれる。カラー図面を含む本特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いにより、特許商標庁によって提供される。
図1Aは、AAV2.Y3F-SAM-g4で処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)についてのヒトMYOC siRNA AD-822899の効果を試験するための実験セットアップを示す。 図1Bは、AAV2.Y3F-SAM-g4で処置されたまたは何も処置されない(未治療の)Y437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)を示し、AAV2.Y3F-SAM-g4で処理されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNAまたは対照ルシフェラーゼsiRNAのいずれかで処置された。 図2Aは、LV-SAM-g4で処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)についてのヒトMYOC siRNA AD-822899、AD-1565804、AD-1565837、AD-1193175、およびAD-1565503の効果を試験するための実験セットアップを示す。 図2Bは、LV-SAM-g4またはPBSで処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)を示し、LV-SAM-g4で処置されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNA AD-822899、AD-1565804、AD-1565837、AD-1193175、またはAD-1565503で処置された。 図2Cは、LV-SAM-g4またはPBSで処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)におけるGapdhに対する、ヒトMYOC mRNA発現の割合を示すqPCRの結果を示し、LV-SAM-g4で処理されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNA AD-822899、AD-1565804、AD-1565837、AD-1193175、またはAD-1565503で処理された。 図2Dは、LV-SAM-g4またはPBSで処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)からの眼におけるヒトMYOC mRNA発現の割合を示すRNASCOPE(登録商標)分析を示し、LV-SAM-g4で処置されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837で処置された。 図3Aは、LV-SAM-g4で処置された、Y437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)についてのヒトMYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837の効果を試験するための実験セットアップを示す。 図3Bは、LV-SAM-g4またはPBSで処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)における眼圧(IOP)を示し、LV-SAM-g4で処置されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837で処置された。 図3Cは、LV-SAM-g4またはPBSで処置されたY437H変異を含むヒト化MYOC遺伝子座を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス、各対立遺伝子に対してホモ接合性)におけるGapdhに対する、ヒトMYOC mRNA発現の割合を示すqPCRの結果を示し、LV-SAM-g4で処置されたマウスはその後、ヒトMYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837で処置された。 図4は、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおけるAD-1565837二本鎖またはAD-1565804二本鎖のいずれかの投与後85日目における、PBSに対してTM中に残存するMYOCタンパク質の割合を示す。結果は、二つの異なるMYOC抗体、R&DおよびAbnovaについて示されている。 図5は、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおけるAD-1565837二本鎖またはAD-1565804二本鎖のいずれかの投与前、-35、22、50、および85日目の投与後に対する、房水中に残存するMYOCタンパク質の割合を示す。 図6Aは、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおけるAD-1565837二本鎖またはAD-1565804二本鎖のいずれかの投与後85日目における、PBSに対して硝子体液および毛体様中に残存するMYOCタンパク質の割合を示す。 図6Bは、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおけるAD-1565837二本鎖またはAD-1565804二本鎖のいずれかの投与後85日目における、PBSに対して虹彩および強膜中に残存するMYOCタンパク質の割合を示す。 図7は、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおけるAD-1565837二本鎖またはAD-1565804二本鎖のいずれかの投与後85日目における、PBSに対して房水中に残存するMYOC mRNAの割合を示す。
本開示の様々な実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。本開示の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
iRNAは、mRNAの配列特異的分解を、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスを介して司る。本明細書では、MYOCの発現を調節する(例えば、阻害する)ためのiRNAおよびそれらを使用する方法が記載される。また、緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))などのMYOCの発現に関連する障害の治療のための組成物および方法も記載される。
ヒトMYOCは、細胞接着、細胞マトリックス接着、細胞骨格組織化、および細胞遊走を含む異なるプロセスを制御するために、隣接する細胞におけるいくつかのシグナル伝達経路の活性化を調節する、およそ57kDaの分泌性糖タンパク質である。MYOCは、典型的には、網膜ならびに小柱網組織および毛体様などの房水調節に関与する構造を含む様々な組織によって発現および分泌される。異常なMYOCは、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG)と関連している。理論に束縛されることを望むものではないが、異常なMYOCは、例えば、結果的に眼圧の上昇をもたらす房水の排出を妨げることによって、緑内障の病因を悪化させ得る。
以下の説明は、どのようにiRNAを含有する組成物を作製および使用して、MYOCの発現を調節する(例えば、阻害する)か、ならびにMYOCの発現に関連する障害を治療するための組成物および方法を開示する。
一部の態様では、MYOC iRNAおよび薬学的に許容可能な担体を含有する医薬組成物、MYOCの発現を阻害するために組成物を使用する方法、およびMYOCの発現に関連する障害(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))を治療するために医薬組成物を使用する方法が本明細書に特徴付けられる。
I.定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語および語句の意味を以下に提供する。本明細書の他の部分における用語の使用と本セクションで提供される定義との間に明らかな不整合がある場合、本セクションの定義が優先するものとする。
数値または数値範囲を指す場合、「およそ」という用語は、参照される数または数値範囲が、実験変動性内(または統計実験誤差内)の近似であり、したがって、数または数値範囲は、例えば、記載された数または数値範囲の1%~15%で変化し得ることを意味する。
ある数字または連続する数字の前にある用語「以上」または「少なくとも」は、文脈から明白な場合、用語「少なくとも」に隣接する数字、および論理的に含まれ得るそれに続く全ての数字または整数を含むことが理解される。例えば、ある核酸分子内のヌクレオチドの数は、整数であるはずである。例えば、「20ヌクレオチドの核酸分子の少なくとも17ヌクレオチド」は、17、18、19、または20ヌクレオチドが、示された特性を有するということを意味する。連続する数字または範囲の前に「少なくとも」がある場合、「少なくとも」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
本明細書において使用する場合、「~以下」および「~以下」は、その語句に隣接する値、および文脈から論理的にゼロまでの論理的により小さい値または整数を含むものとして理解される。例えば、「2ヌクレオチド以下」の標的部位に対するミスマッチを有する二本鎖は、2、1、または0個のミスマッチを有する。連続する数字または範囲の前に「~以下」がある場合、「~以下」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
本明細書において使用する場合、「~未満」は、その語句に隣接する値を含まず、文脈から論理的なゼロまでのより小さい値または整数を含むものとして理解される。例えば、「3ヌクレオチド未満」の標的部位に対するミスマッチを有する二本鎖は、2、1、または0個のミスマッチを有する。連続する数字または範囲の前に「~未満」がある場合、「~未満」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
本明細書において使用する場合、「~超」は、その語句に隣接する値を含まず、文脈から論理的な無限大までのより大きい値または整数を含むものとして理解される。例えば、「3ヌクレオチド超」の標的部位に対するミスマッチを有する二本鎖は、4、5、または6以上個のミスマッチを有する。連続する数字または範囲の前に「~超」がある場合、「~超」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
本明細書で使用される場合、「最大10」の「最大」は、すなわち、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の、10を含む10までとして理解される。
本明細書に提供される範囲は、全ての個々の整数値および範囲内の全ての部分範囲を含むと理解される。
「活性化する」、「促進する」、「の発現を上方制御する」、「の発現を増加する」などの用語は、MYOC遺伝子を指す限りにおいて、本明細書では、MYOC遺伝子の発現の少なくとも部分的な活性化を指し、これは、第一の細胞または細胞群と実質的に同一であるが、そのように処理されていない第二の細胞または細胞群(対照細胞)と比較して、MYOC遺伝子がそこで転写され、MYOC遺伝子の発現が増加するようにそこで処理された第一の細胞または細胞群から単離され得るまたは第一の細胞または細胞群において検出され得るMYOC mRNAの量の増加によって示される。
いくつかの実施形態では、MYOC遺伝子の発現は、本明細書に記載されるiRNAの投与によって、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%活性化される。いくつかの実施形態では、MYOC遺伝子は、本開示に特徴付けられるiRNAの投与によって、少なくとも約60%、70%、または80%活性化される。いくつかの実施形態では、MYOC遺伝子の発現は、本明細書に記載されるiRNAの投与によって、少なくとも約85%、90%、または95%以上活性化される。いくつかの実施形態では、MYOC遺伝子発現は、本明細書に記載されるiRNAで処理された細胞において、未処理細胞における発現と比較して、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、またはそれ以上増加する。小さなdsRNAによる発現の活性化は、例えば、Li et al.,2006 Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.103:17337-42、ならびに米国特許出願公開第2007/0111963号および第2005/226848号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
「サイレンス」、「の発現を阻害する」、「の発現を下方制御する」、「の発現を抑制する」などいう用語は、MYOCを指す限り、本明細書では、例えば、MYOC mRNA発現、MYOCタンパク質発現、またはMYOC発現に機能的に連結された別のパラメータに基づいて評価される、MYOCの発現の少なくとも部分的な抑制を指す。例えば、MYOC発現の阻害は、対照と比較して、MYOCが転写され、MYOCの発現が阻害されるように処理された第一の細胞または細胞群において単離され得るか、または検出され得るMYOC mRNAの量の低減によって現れ得る。対照は、第二の細胞または細胞群がそのように処理されていないことを除いて(対照細胞)、第一の細胞または細胞群と実質的に同一の第二の細胞または細胞群であってもよい。阻害の程度は通常、対照レベルの割合として表され、例えば、
あるいは、阻害の程度は、MYOC発現に機能的に連結されたパラメータ、例えば、MYOC遺伝子によってコードされるタンパク質の量の低減の観点から与えられ得る。MYOC発現に機能的に連結されたパラメータの低減は、同様に、対照レベルの割合として表され得る。原則として、MYOCサイレンシングは、構成的にまたはゲノム工学によってのいずれか、および任意の適切なアッセイによって、MYOCを発現する任意の細胞で決定され得る。
例えば、特定の例では、MYOCの発現は、本明細書に開示されるiRNAの投与によって、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%抑制される。いくつかの実施形態では、MYOCは、本明細書に開示されるiRNAの投与によって、少なくとも約60%、65%、70%、75%、または80%抑制される。いくつかの実施形態では、MYOCは、本明細書に記載されるiRNAの投与によって、少なくとも約85%、90%、95%、98%、99%、またはそれ以上抑制される。
用語「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」は、標的配列に対して実質的に相補的である領域を含むiRNAの鎖、例えばdsRNAを指す。
本明細書において使用する場合、用語「相補性領域」は、本明細書において定義される、配列、例えば標的配列に対して実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性領域が、標的配列に対して完全に相補的でない場合、そのミスマッチは、分子の内側領域内または末端領域内にあり得る。いくつかの実施形態では、相補性領域は、0、1、または2個のミスマッチを含む。
用語「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」は、本明細書において使用する場合、用語を本明細書において規定しているアンチセンス鎖の領域に対して実質的に相補的である領域を含むiRNAの鎖を指す。
用語「平滑」または「平滑末端」は、dsRNAに関して本明細書において使用する場合、dsRNAの所定の末端において不対ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体が存在しない、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。dsRNAの一方の末端または両末端が、平滑であり得る。dsRNAの両末端が平滑である場合、dsRNAは、平滑末端であると言う。明瞭化のため、「平滑末端」のdsRNAは、両末端が平滑であるdsRNA、すなわち、分子のどちらの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないdsRNAである。ほとんどの場合、こうした分子は、その全長にわたって二本鎖となるであろう。
本明細書において使用する場合、特に別段に示さない限り、用語「相補的」は、第二のヌクレオチド配列との関連において第一のヌクレオチド配列を説明するために使用される場合には、当業者によって理解されることとなる、第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと特定の条件下においてハイブリダイズして二本鎖構造を形成する第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの能力を指す。こうした条件は、例えば、厳しい条件であってもよく、厳しい条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES pH6.4、1mMのEDTA、50°Cまたは70°Cで12~16時間、続いて洗浄することを含み得る。生物体内で遭遇し得るような生理学的に関連のある条件などの他の条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に応じて、二つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができる。
iRNA内、例えば本明細書において記載するdsRNA内の相補的配列は、一方または両方のヌクレオチド配列の全長にわたって第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに対する、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において、互いに対して「完全に相補的」であると称し得る。しかしながら、本明細書において、第一の配列が第二の配列に対して「実質的に相補的」であるという場合、この二つの配列は、完全に相補的であり得るか、またはそれらはその最終的な用途に、例えばRISC経路を経た遺伝子発現の阻害に最も関連した条件下でハイブリダイズする能力を維持しつつ、最大30塩基対の二本鎖についてのハイブリダイゼーションの際に、一つ以上であるが、概して5、4、3、または2以下である、ミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、二つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に一つ以上の一本鎖のオーバーハングを形成するように設計される場合には、かかるオーバーハングは、相補性の判定に関してミスマッチとはみなさないものとする。例えば、長さが21ヌクレオチドである一方のオリゴヌクレオチドと長さが23ヌクレオチドであるもう一方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAであって、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含むようなdsRNAは、依然として、本明細書において記載する目的に関しては「完全に相補的」と称し得る。
相補的配列は、本明細書において使用する場合、ハイブリダイズするそれらの能力に関する上記の要件を満たす限り、非ワトソン・クリック塩基対および/または非天然の修飾ヌクレオチドから形成された塩基対も含み得るか、または全体的にそれらから形成され得る。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、これらに限定されるわけではないが、G:Uのゆらぎ塩基対またはフーグスティーン型の塩基対が挙げられる。
本明細書における用語「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」は、それらの使用の文脈から理解されるであろうとおり、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間、またはiRNA剤のアンチセンス鎖と標的配列との間における塩基マッチングに関連して使用され得る。
本明細書において使用する場合、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に対して実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、目的のmRNA(例えば、MYOCタンパク質をコードするmRNA)の連続する部分に対して実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が、MYOCをコードするmRNAの中断されない部分に対して実質的に相補的である場合、MYOC mRNAの少なくとも一部に対して相補的である。「相補性」という用語は、第一の核酸と第二の核酸の核酸塩基との間の対合能力を指す。
本明細書で使用される場合、「相補性領域」という用語は、別の配列、例えば、dsRNAのセンス配列および対応するアンチセンス配列の領域、またはiRNAのアンチセンス鎖および標的配列、例えば、本明細書で定義されるMYOCヌクレオチド配列と実質的に相補的である一つのヌクレオチド配列剤の領域を指す。相補性領域が、標的配列に対して完全に相補的でない場合、そのミスマッチは、iRNAのアンチセンス鎖の内側領域内または末端領域内にあり得る。概して、最も許容できるミスマッチは、末端領域内、例えば、iRNAi剤の5’末端または3’末端の5、4、3、または2ヌクレオチドの範囲内にある。
本明細書で使用される場合、「接触すること」は、細胞に直接接触すること、ならびに細胞に間接的に接触することを含む。例えば、iRNAを含む組成物が対象に投与されるとき(例えば、眼内、局所、または静脈内に)、対象内の細胞と接触し得る。
iRNAに言及する場合、「細胞に導入すること」は、細胞への取り込みまたは吸収を促進するか、またはそれをもたらすことを意味する。iRNAの吸収または取込みは、自発性の拡散的もしくは活動的な細胞内プロセスを介して、または補助の薬剤もしくはデバイスによって、生じ得る。この用語の意味は、インビトロでの細胞に限定されず、iRNAはまた、「細胞に導入」されてもよく、細胞は生物の一部である。こうした例では、細胞への導入は、生物への送達を含む。例えば、インビボでの送達の場合、iRNAは、組織部位に注入され得るかまたは全身的に投与され得る。インビボ送達はまた、米国特許第5,032,401号および第5,607,677号、ならびに米国特許出願公開第2005/0281781号に記載されるものなどのβ-グルカン送達システムによるものであってもよく、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。インビトロでの細胞内への導入としては、当技術分野で公知の方法、例えばエレクトロポレーション法およびリポフェクション法などが挙げられる。さらなるアプローチは、本明細書の下記において説明されるか、または当技術分野で公知である。本明細書で使用される場合、「MYOC発現に関連する障害」、「MYOC発現に関連する疾患」、「MYOC発現に関連する病理学的プロセス」、「MYOC関連障害」、「MYOC関連疾患」などは、MYOC発現が変化する(例えば、基準レベル、例えば、非疾患対象に特徴的なレベルと比較して減少または増加する)任意の状態、障害、または疾患を含む。いくつかの実施形態では、MYOC発現は減少する。いくつかの実施形態では、MYOC発現は増加する。いくつかの実施形態では、MYOC発現の減少または増加は、対象からの組織試料(例えば、水性眼液試料)において検出可能である。減少または増加は、障害の発症前に同じ個体で観察されるレベルに対して、または障害を有しない他の個体に対して評価されてもよい。減少または増加は、身体の特定の器官、組織、または領域(例えば、眼)に限定され得る。MYOC関連障害としては、緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))が挙げられるが、これらに限定されない。
「緑内障」という用語は、本明細書で使用される場合、視神経への損傷によって引き起こされる、またはそれに関連する眼の任意の疾患を意味する。いくつかの実施形態では、緑内障は、眼圧の上昇に関連する。いくつかの実施形態では、緑内障は無症状である。他の実施形態では、緑内障は、一つ以上の症状、例えば、周辺視覚の喪失、視野狭窄、またはブラインドスポットを有する。本明細書に提供される方法を使用して治療可能な緑内障の非限定的な例は、原発性開放隅角緑内障(POAG)である。
本明細書で使用される場合、「二本鎖RNA」、「dsRNA」、または「siRNA」という用語は、標的RNAに対して「センス」および「アンチセンス」配向を有すると呼ばれる、二つの逆平行かつ実質的に相補的な核酸鎖を含むハイブリダイズされた二本鎖領域を有するRNA分子または分子の複合体を含むiRNAを指す。二本鎖領域は、例えば、RISC経路を介して所望の標的RNAの特定の分解を可能にする任意の長さとすることができるが、典型的には、9~36塩基対の長さ、例えば、15~30塩基対の長さの範囲である。9~36塩基対の二本鎖を考慮すると、二本鎖は、この範囲の任意の長さとすることができ、例えば9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36およびその間の任意の部分範囲を含み、15~30塩基対、15~26塩基対、15~23塩基対、15~22塩基対、15~21塩基対、15~20塩基対、15~19塩基対、15~18塩基対、15~17塩基対、18~30塩基対、18~26塩基対、18~23塩基対、18~22塩基対、18~21塩基対、18~20塩基対、19~30塩基対、19~26塩基対、19~23塩基対、19~22塩基対、19~21塩基対、19~20塩基対、20~30塩基対、20~26塩基対、20~25塩基対、20~24塩基対、20~23塩基対、20~22塩基対、20~21塩基対、21~30塩基対、21~26塩基対、21~25塩基対、21~24塩基対、21~23塩基対、または21~22塩基対を含むが、これらに限定されない。Dicerおよび類似の酵素を用いた処理によって細胞内で生成されたdsRNAは、概して19~22塩基対の長さの範囲内である。dsDNAの二本鎖領域の一方の鎖は、標的RNAの領域に実質的に相補的である配列を含む。二本鎖構造を形成する二本鎖は、少なくとも一つの自己相補領域を有する単一のRNA分子由来であってもよく、または二つ以上の別個のRNA分子から形成されてもよい。二本鎖領域が単一分子の二本鎖から形成される場合、分子は、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端ともう一方の鎖の5’末端との間の一本鎖のヌクレオチドによって分離された二本鎖領域(本明細書では「ヘアピンループ」と呼ばれる)を有し得る。ヘアピンループは、少なくとも一つの不対のヌクレオチドを含むことが可能で、いくつかの実施形態では、ヘアピンループは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23またはそれ以上の、不対のヌクレオチドを含み得る。dsRNAの実質的に相補的な二本の鎖が、別個のRNA分子で構成される場合、それら分子はその必要はないが、共有結合で結合することができる。いくつかの実施形態では、二本の鎖は、ヘアピンループ以外の手段によって共有結合され、接続構造はリンカーである。
いくつかの実施形態では、iRNA剤は、標的mRNAを阻害するために細胞または有機体に導入された「一本鎖siRNA」であり得る。いくつかの実施形態では、一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼ アルゴノート2に結合することができ、それは次いで、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、概して、15~30ヌクレオチドであり、随意に化学的に修飾されている。一本鎖siRNAの設計および試験は、米国特許第8,101,348号およびLima et al.,(2012)Cell 150:883-894に記載されており、それぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるアンチセンスヌクレオチド配列(例えば、表2Aまたは2Bに提供される配列)のいずれかは、本明細書に記載される一本鎖siRNAとして、および随意に、例えば、Lima et al.,(2012)Cell 150:883-894に記載される方法によって、例えば、本明細書に記載されるように化学修飾されて使用され得る。
いくつかの実施形態では、RNA干渉剤は、標的RNA配列と相互作用して標的RNAの切断を司る、一本鎖RNAを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、細胞内に導入された長い二本鎖RNAは、Dicerとして知られるIII型エンドヌクレアーゼによって、siRNAへと分解される(Sharp et al.,Genes Dev.2001,15:485)。DicerであるリボヌクレアーゼIII様酵素は、このdsRNAを、特徴的な二つの塩基の3’オーバーハングを有する19~23塩基対の低分子干渉RNAへとプロセシングする(Bernstein,et al.,(2001)Nature409:363)。その後siRNAは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、そこで一つ以上のヘリカーゼがsiRNA二本鎖を解き、それによって相補的アンチセンス鎖が標的認識を誘導することを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC内の一つ以上のエンドヌクレアーゼは、標的を切断してサイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、標的遺伝子のサイレンシングをもたらすためにRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNAに関する。
各「G」、「C」、「A」、「T」および「U」は概して、塩基としてのグアニン、シトシン、アデニン、チミジン、およびウラシルを含むヌクレオチドをそれぞれ表す。しかしながら、用語「デオキシリボヌクレオチド」または「リボヌクレオチド」、または「ヌクレオチド」はまた、以下においてより詳述されるような修飾ヌクレオチド、または代替置換部分も指し得ることは理解されよう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルは、そのような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく、他の部分で置換することができることを十分に認識している。例えば、限定するものではないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシンまたはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合することができる。したがって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含むヌクレオチドは、本開示において取り上げるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含むヌクレオチドで置換することができる。別の実施例では、オリゴヌクレオチド内の任意の場所にあるアデニンおよびシトシンも、標的mRNAと対合するG-Uゆらぎ塩基対を形成するために、それぞれグアニンおよびウラシルで置換することができる。そのような置換部分を含む配列は、本開示において取り上げる組成物および方法にとって好適である。
本明細書において使用する、用語「iRNA」、「RNAi」、「iRNA剤」、または「RNAi剤」または「RNAi分子」は、本明細書において用語が定義されるRNAを含有し、および例えば、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的切断を媒介する、薬剤を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNAは、例えば、細胞または哺乳動物における、MYOC発現の阻害をもたらす。MYOC発現の阻害は、MYOC mRNAのレベルの低減またはMYOCタンパク質のレベルの低減に基づいて評価され得る。
「リンカー」または「連結基」という用語は、化合物の二つの部分を接続する、例えば、化合物の二つの部分を共有結合で結合させる、有機部分を意味する。
用語「親油性」または「親油性部分」は、脂質に対して親和性を有する任意の化合物または化学部分を広く意味する。親油性部分の親油性を特徴付ける方法の一つは、オクタノール-水分配係数logKowによるものであり、この場合Kowは、平衡状態にある二相系のうちの水相の化学物質の濃度に対するオクタノール相の化学物質の濃度の比である。オクタノール-水分配係数は、物質の実験室測定される特性である。しかしながら、それは、第一原理または経験的方法を使用して算出される化学物質の構造成分に起因する係数を使用することによっても予想され得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Tetko et al.,J.Chem.Inf.Comput.Sci.41:1407-21(2001)を参照)。それは、水よりもむしろ非水性または油性環境を好む物質の傾向の熱力学的尺度(すなわち、その親水性/親油性バランス)をもたらす。原則として、化学物質は、そのlogKowが0を超える場合、性質が親油性である。典型的には、親油性部分は、1を超える、1.5を超える、2を超える、3を超える、4を超える、5を超える、または10を超える、logKowをもつ。例えば、6-アミノヘキサノールのlogKowは、例えばおよそ0.7であると予測される。同じ方法を使用することにより、N-(ヘキサン-6-オール)カルバミン酸コレステリルのlogKowは、10.7であると予測される。
分子の親油性は、分子が有する官能基に応じて変化し得る。例えば、親油性部分の末端にヒドロキシル基またはアミン基を付加することにより、親油性部分の分配係数(例えば、logKow)の値が増加または減少し得る。
あるいは、一つ以上の親油性部分にコンジュゲートされた二本鎖RNAi剤の疎水性は、そのタンパク質結合特性によって測定することができる。例えば、特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイの非結合画分は、二本鎖RNAi剤の相対的疎水性と正の相関があると判定することができ、それは二本鎖RNAi剤のサイレンシング活性と正の相関がある可能性がある。
いくつかの実施形態では、判定される血漿タンパク質結合アッセイは、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)である。この結合アッセイの例示的プロトコルは、例えば、国際出願PCT/US2019/031170号において詳細に説明される。結合アッセイにおけるsiRNAの非結合画分によって測定される二本鎖RNAi剤の疎水性は、増強されたsiRNAのインビボでの送達の場合では、0.15を超える、0.2を超える、0.25を超える、0.3を超える、0.35を超える、0.4を超える、0.45を超える、または0.5を超える。
したがって、親油性部分を二本鎖RNAi剤の内側位置にコンジュゲートすることにより、siRNAにおける増強されたインビボでの送達のために最適の疎水性がもたらされる。
用語「脂質ナノ粒子」または「LNP」は、薬学的に活性な分子を、例えば核酸分子、例えば、RNAi剤またはRNAi剤の転写元のプラスミドなどを、封入する脂質層を含む小胞である。LNPは、例えば米国特許第6,858,225号、第6,815,432号、8,158,601号、および第8,058,069号に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、用語「の発現を調節する」は、対照細胞における対応する遺伝子の発現と比較して、本明細書に記載のiRNA組成物で処理された細胞における遺伝子(例えば、MYOC遺伝子)発現の少なくとも部分的な「阻害」または部分的な「活性化」を意味する。対照細胞は、未処理細胞、または非標的化対照iRNAで処理された細胞を含む。
当業者は、「RNA分子」または「リボ核酸分子」という用語が、自然界で発現または見出されるRNA分子だけでなく、本明細書に記載される、または当技術分野で公知の一つ以上のリボヌクレオチド/リボヌクレオシド類似体または誘導体を含むRNAの類似体および誘導体も包含することを認識するであろう。厳密に言えば、「リボヌクレオシド」は、ヌクレオシド塩基およびリボース糖を含み、「リボヌクレオチド」は、一つ、二つ、または三つのリン酸部分またはその類似体(例えば、ホスホロチオエート)を有するリボヌクレオシドである。しかしながら、用語「リボヌクレオシド」および「リボヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、同等であると考えることができる。RNAは、例えば、以下に記載されるように、核酸塩基構造、リボース構造、またはリボース-リン酸骨格構造において、修飾され得る。しかしながら、リボヌクレオシド類似体または誘導体を含む分子は、二本鎖を形成する能力を保持しなければならない。非限定的な例として、RNA分子はまた、限定されないが、2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、5’ホスホロチオエート基を含むヌクレオシド、コレステリル誘導体またはドデカン酸ビスデシルアミド基に連結された末端ヌクレオシド、ロックヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、非環式ヌクレオシド、グリコールヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾ヌクレオシド、2’-アミノ修飾ヌクレオシド、2’-アルキル修飾ヌクレオシド、モルホリノヌクレオシド、ヌクレオシドを含むホスホルアミデートまたは非天然塩基、またはそれらの任意の組み合わせ、を含む少なくとも一つの修飾リボヌクレオシドを含み得る。その代わりに、または組み合わせて、RNA分子は、少なくとも二個の修飾リボヌクレオシド、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個またはそれ以上を、dsRNA分子の全長まで含み得る。修飾は、RNA分子中のこのような複数の修飾リボヌクレオシドの各々に対して同じである必要はない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物での使用が企図される修飾RNAは、必要とされる二本鎖構造を形成する能力を有し、例えば、RISC経路を介して標的RNAの特異的分解を許容または媒介するペプチド核酸(PNA)である。明確にするために、「iRNA」という用語は、天然に存在する二本鎖DNA分子または100%デオキシヌクレオシド含有DNA分子を包含しないことが理解される。
一部の態様では、修飾リボヌクレオシドは、デオキシリボヌクレオシドを含む。このような例では、iRNA剤は、例えば、デオキシヌクレオシドオーバーハングを含む一つ以上のデオキシヌクレオシド、またはdsRNAの二本鎖部分内の一つ以上のデオキシヌクレオシドを含み得る。特定の実施形態では、RNA分子は、例えば、一方または両方の鎖において、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%またはそれ以上(しかし100%ではない)のデオキシリボヌクレオシドの割合を含む。
本明細書において使用する場合、用語「ヌクレオチドオーバーハング」は、iRNA、例えばdsRNAの二本鎖構造から突出する少なくとも一つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方の鎖の3’末端が、もう一方の鎖の5’末端を越えて延びる場合、またはその逆の場合も同様に、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも一つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得、あるいは該オーバーハングは、少なくとも二つのヌクレオチド、少なくとも三つのヌクレオチド、少なくとも四つのヌクレオチド、または少なくとも五つのヌクレオチド、またはそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドなどを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたは該類似体からなり得る。オーバーハングは、センス鎖上、アンチセンス鎖上、またはそれらのいずれかの組合せ上にあり得る。さらに、あるオーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。
いくつかの実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10のヌクレオチドのオーバーハングを有する。いくつかの実施形態では、dsRNAのセンス鎖は、3’末端および/または5’末端に1~10のヌクレオチドのオーバーハングを有する。いくつかの実施形態では、オーバーハングにおけるヌクレオチドの一つ以上は、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、薬理学的有効量の治療剤(例えば、iRNA)および薬学的に許容可能な担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬理学的有効量」、「治療有効量」、または単に「有効量」は、意図される薬理学的、治療的、または予防的な結果をもたらすのに有効な薬剤(例えば、iRNA)の量を指す。例えば、MYOC発現に関連する障害(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))を治療する方法では、有効量は、障害に関連する一つ以上の症状を低減するのに有効な量(例えば、(a)MYOCの発現または活性を阻害または低減する、(b)ミスフォールドされたMYOCタンパク質のレベルを低減する、(c)小柱網細胞死を低減する、(d)眼圧を低減する、または(e)視力を増加させる、ために有効な量、を含む。例えば、疾患または障害に関連する測定可能なパラメータに少なくとも10%の低減があるときに、所与の臨床治療が効果的であるとみなされる場合、その疾患または障害の治療のための治療有効量の薬剤は、そのパラメータの少なくとも10%の低減を得るために必要な量である。例えば、MYOCを標的とするiRNAの治療有効量は、任意の測定可能な量、例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、MYOC mRNAのレベルまたはMYOCタンパク質のレベルを低減することができる。
「薬学的に許容可能な担体」という用語は、治療剤の投与のための担体を指す。こうした担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、ブドウ糖、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特に細胞培養培地を含まない。経口投与される薬剤については、薬学的に許容可能な担体には、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤などの薬学的に許容可能な担体が含まれるが、これらに限定されない。適切な不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、ならびにラクトースが含まれ、一方でトウモロコシデンプンおよびアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤は、デンプンおよびゼラチンを含んでもよく、一方、潤滑剤は、存在する場合、概してステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクである。必要に応じて、錠剤は、消化管における吸収を遅延させるために、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料でコーティングされてもよい。薬物製剤に含まれる薬剤は、本明細書において以下にさらに説明される。
本明細書において使用される場合、用語「SNALP」は、安定した核酸-脂質粒子を指す。SNALPは、iRNAまたはiRNAが転写されるプラスミドなどの核酸を含む、還元された水性内部をコーティングする脂質の小胞を表す。SNALPは、例えば、米国特許出願公開第2006/0240093号、第2007/0135372号、および国際公開第2009/082817号に記載されている。これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、SNALPは、SPLPである。本明細書で使用される場合、「SPLP」という用語は、脂質小胞内に封入されたプラスミドDNAを含む核酸脂質粒子を指す。
本明細書において使用する場合、用語「配列を含む鎖」は、標準的なヌクレオチドの用語体系を使用して言及される配列によって説明されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の方法に従って治療される「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、哺乳動物を含む。哺乳動物は、例えば、齧歯類(例えば、ラットまたはマウス)または霊長類(例えば、サル)であってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
「それを必要とする対象」は、MYOC発現、例えば、過剰発現に関連する障害(例えば、緑内障)を有する、有すると疑われる、または発症するリスクがある対象を含む。いくつかの実施形態では、対象は、MYOC発現または過剰発現に関連する障害を有するか、または有すると疑われる。いくつかの実施形態では、対象は、MYOC発現または過剰発現に関連する障害を発症するリスクがある。
本明細書において使用する場合、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、例えば、MYOCなどの、遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列における連続する部分を意味する。該配列の標的部分は、少なくとも、その部分またはその近傍においてiRNAが誘導する切断のための基質として機能するのに十分な長さとなるであろう。例えば、標的配列は、概して、9~36個のヌクレオチドの長さ、例えば、15~30個のヌクレオチドの長さであり、その間の全ての部分範囲を含む。非限定的な例として、標的配列は、15~30ヌクレオチド、15~26ヌクレオチド、15~23ヌクレオチド、15~22ヌクレオチド、15~21ヌクレオチド、15~20ヌクレオチド、15~19ヌクレオチド、15~18ヌクレオチド、15~17ヌクレオチド、18~30ヌクレオチド、18~26ヌクレオチド、18~23ヌクレオチド、18~22ヌクレオチド、18~21ヌクレオチド、18~20ヌクレオチド、19~30ヌクレオチド、19~26ヌクレオチド、19~23ヌクレオチド、19~22ヌクレオチド、19~21ヌクレオチド、19~20ヌクレオチド、20~30ヌクレオチド、20~26ヌクレオチド、20~25ヌクレオチド、20~24ヌクレオチド、20~23ヌクレオチド、20~22ヌクレオチド、20~21ヌクレオチド、21~30ヌクレオチド、21~26ヌクレオチド、21~25ヌクレオチド、21~24ヌクレオチド、21~23ヌクレオチド、または21~22ヌクレオチドであり得る。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」および「予防的有効」などの語句は、MYOC発現に関連する任意の障害または病理学的プロセス(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))の治療、予防、または管理において治療的利益を提供する量を指す。治療有効である特定の量は、例えば、障害または病理学的プロセスのタイプ、患者の病歴および年齢、障害または病理学的プロセス段階、ならびに他の療法の投与など、当技術分野で公知の因子に応じて変化し得る。
本開示の文脈では、「治療する」、「治療」などの用語は、MYOC発現に関連する障害に関連する少なくとも一つの症状を防止、遅延、緩和、もしくは緩和すること、またはかかる障害の進行もしくは予想される進行を遅らせるもしくは逆転させることを意味する。例えば、緑内障を治療するために採用されるとき、本明細書に特徴付けられる方法は、本明細書に記載されるように、緑内障の一つ以上の症状を低減または防止するように、または関連する状態のリスクまたは重症度を低減するように機能し得る。したがって、文脈が別途明確に示さない限り、「治療する」、「治療」などの用語は、予防、例えば、MYOC発現に関連する障害および/または障害の症状の予防を包含することが意図される。治療はまた、治療が行われない場合に予測される生存時間と比較して、生存時間を延ばすことも意味し得る。
疾患マーカーまたは症状の文脈において「低化させる」ことは、任意の減少、例えば、そのようなレベルの統計的または臨床的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%であり得る。減少は、そのような障害を有しない個体に対して正常範囲内として受け入れられるレベルまでの低下であり得る。
本明細書で使用される場合、「MYOC」は、mRNA(「MYOC mRNA」)に対応する「ミオシリン」、または対応するタンパク質(「MYOCタンパク質」)を指す。ヒトMYOC mRNA転写物の配列は、配列番号1に見出すことができる。
II.iRNA剤
MYOCの発現を調節する(例えば、阻害する)iRNA剤が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、iRNA剤は、細胞または哺乳動物におけるMYOCの発現を活性化する。
いくつかの実施形態では、iRNA剤は、細胞または対象(例えば、哺乳動物において例えば、ヒトにおいて)においてMYOCの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含み、該dsRNAは、MYOCの発現において形成されるmRNAの少なくとも一部と相補的である相補性領域を有するアンチセンス鎖を含み、該相補性領域は、概して19~24ヌクレオチドの長さである30ヌクレオチド以下の長さであり、および該dsRNAは、MYOCを発現する細胞と接触すると、MYOCの発現を、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、または50%阻害する。
MYOCの発現の調節(例えば、阻害)は、例えば、PCRもしくは分岐DNA(bDNA)ベースの方法によって、またはウェスタンブロットなどのタンパク質ベースの方法によってアッセイすることができる。COS細胞、ARPE-19細胞、hTERT RPE-1細胞、HeLa細胞、初代肝細胞、HepG2細胞、初代培養細胞、または対象からの生体試料などの細胞培養におけるMYOCの発現は、bDNAもしくはTaqManアッセイなどによりMYOC mRNAレベルを測定することによって、または例えばウェスタンブロットもしくはフローサイトメトリー技術を使用した免疫蛍光分析などによりタンパク質レベルを測定することによってアッセイすることができる。
dsRNAは、典型的には二本のRNA鎖を含み、それらは、dsRNAが使用されることとなる条件下において、ハイブリダイズして二本鎖構造を形成するのに十分に相補的である。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、典型的に、MYOCの発現中に形成されるmRNAの配列に由来する標的配列に対して、実質的に相補的であり、また概して完全に相補的である、相補性領域を含む。もう一方の鎖(センス鎖)は、典型的にアンチセンス鎖に対して相補的である領域を含むため、当該二本の鎖は、好適な条件下で組み合わされた場合に、ハイブリダイズして二本鎖構造を形成する。概して、二本鎖構造は、15~30塩基対、より一般的には18~25塩基対、さらにより一般的には19~24塩基対、最も一般的には19~21塩基対の長さである。同様に、標的配列に対する相補性領域は、15~30個、より一般的には18~25個、さらにより一般的には19~24個、最も一般的には19~21個のヌクレオチドの長さである。
いくつかの実施形態では、dsRNAは、15~20個のヌクレオチドの長さであり、他の実施形態では、dsRNAは、25~30個のヌクレオチドの長さである。当業者が認識することとなるように、切断のために標的とされるRNAの標的領域は、ほとんどの場合、より長いRNA分子の一部、多くの場合mRNA分子となることとなる。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi依存性切断(すなわち、RISC経路を経る切断)のための基質となるのに十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。9塩基対しか長さを持たない二本鎖dsRNAでも、いくつかの状況下では、RNAiによるRNA切断を媒介し得る。ほとんどの場合、標的は、少なくとも15個のヌクレオチドの長さ、例えば、15~30個のヌクレオチドの長さである。
当業者であれば、二本鎖領域が、dsRNAの主要な機能性部分であり、例えば約9~36塩基対、例えば15~30塩基対の二本鎖領域であることも認識するであろう。すなわち、いくつかの実施形態では、切断のために所望のRNAを標的とする、例えば、15~30塩基対の機能性二本鎖へとプロセシングされる限り、30超の塩基対の二本鎖領域を有するRNA分子またはRNA分子の複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、いくつかの実施形態では、よって、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、dsRNAは、天然に生じるmiRNAではない。いくつかの実施形態では、MYOC発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きなdsRNAの切断によって標的細胞内で生成されない。
本明細書において説明されるdsRNAは、一つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングをさらに含むことができる。dsRNAは、例えば、Biosearch、Applied Biosystems,Inc.などから市販されているような、例えば、自動DNA合成機を用いて、以下でさらに論じるように、当技術分野で公知の標準的な方法によって合成することができる。
いくつかの実施形態では、MYOCは、ヒトMYOCである。
特定の実施形態では、dsRNAは、表2Aまたは2Bに提供されるセンス配列から選択されるセンス配列を含むか、またはそのセンス配列からなるセンス鎖と、表2Aまたは2Bに提供されるアンチセンス配列から選択されるアンチセンス配列を含むか、またはそのアンチセンス配列なるアンチセンス鎖と、を含む。
一部の態様では、dsRNAは、少なくともセンスおよびアンチセンスヌクレオチド配列を含み、それによって、センス鎖は、表2Aまたは2Bに提供される配列から選択され、対応するアンチセンス鎖は、表2Aまたは2Bに提供される配列から選択される。
これらの態様では、二つの配列の一方は、二つの配列の他方に対して相補的であり、この場合、配列の一方は、MYOCの発現によって生じたmRNAの配列に対して実質的に相補的である。このように、dsRNAは、二つのオリゴヌクレオチドを含むこととなるが、一つのオリゴヌクレオチドは、センス鎖として記載され、第二のオリゴヌクレオチドは、対応するアンチセンス鎖として記載される。本明細書の他の箇所で説明され、また当技術分野で公知であるように、dsRNAの相補配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上に存在するのに対して、単一の核酸分子の自己相補領域として含有され得る。
当業者は、約20~23塩基対、例えば、具体的には21塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を導入する際に特に有効であるとして歓迎されてきたことを十分に意識している(Elbashir et al.,EMBO 2001,20:6877-6888)。しかしながら、他のものは、より短いまたはより長いRNA二本鎖構造も有効であり得ることを見出した。
上記に記載した実施形態では、表2Aまたは2Bにて提供するオリゴヌクレオチド配列の性質により、本明細書に記載するdsRNAは、最小でも19ヌクレオチドの長の少なくとも一つの鎖を含むことができる。表2Aまたは2B中の配列の一つを有するより短い二本鎖から、一方または両方の末端上の少数のヌクレオチドのみを差し引いたものが、上述したdsRNAと比較して同様に有効であろうことが合理的に予想できる。
いくつかの実施形態では、dsRNAは、表2Aまたは2Bの配列のうちの一つから少なくとも15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドの部分配列を有する。
いくつかの実施形態では、dsRNAは、表2Aまたは2Bに提供されるアンチセンス配列の少なくとも15、16、17、18、または19個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス配列、および表2Aまたは2Bに提供される対応するセンス配列の少なくとも15、16、17、18、または19個の連続するヌクレオチドを含むセンス配列を有する。
いくつかの実施形態では、dsRNAは、表2Aまたは2Bに提供されるアンチセンス配列の少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、または23個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス配列、および表2Aまたは2Bに提供される対応するセンス配列の少なくとも15、16、17、18、19、20、または21個の連続するヌクレオチドを含むセンス配列を含む。
一部のこうした実施形態では、dsRNAは、表2Aまたは2Bに提供される配列の一部のみを含むが、表2Aまたは2Bに提供される完全長配列を含むdsRNAと同様に、MYOC発現のレベルを阻害するのに等しく有効である。いくつかの実施形態では、dsRNAは、本明細書に開示される全配列を含むdsRNAと比較して、そのMYOCの発現レベルの阻害が、5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50%以下の阻害で異なる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNAは、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNAは、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むセンス鎖を含む。
ヒトMYOC mRNAは、本明細書にて提供される配列番号1の配列を有し得る。
ホモサピエンスミオシリン(MYOC)、mRNA
GAGCCAGCAAGGCCACCCATCCAGGCACCTCTCAGCACAGCAGAGCTTTCCAGAGGAAGCCTCACCAAGCCTCTGCAATGAGGTTCTTCTGTGCACGTTGCTGCAGCTTTGGGCCTGAGATGCCAGCTGTCCAGCTGCTGCTTCTGGCCTGCCTGGTGTGGGATGTGGGGGCCAGGACAGCTCAGCTCAGGAAGGCCAATGACCAGAGTGGCCGATGCCAGTATACCTTCAGTGTGGCCAGTCCCAATGAATCCAGCTGCCCAGAGCAGAGCCAGGCCATGTCAGTCATCCATAACTTACAGAGAGACAGCAGCACCCAACGCTTAGACCTGGAGGCCACCAAAGCTCGACTCAGCTCCCTGGAGAGCCTCCTCCACCAATTGACCTTGGACCAGGCTGCCAGGCCCCAGGAGACCCAGGAGGGGCTGCAGAGGGAGCTGGGCACCCTGAGGCGGGAGCGGGACCAGCTGGAAACCCAAACCAGAGAGTTGGAGACTGCCTACAGCAACCTCCTCCGAGACAAGTCAGTTCTGGAGGAAGAGAAGAAGCGACTAAGGCAAGAAAATGAGAATCTGGCCAGGAGGTTGGAAAGCAGCAGCCAGGAGGTAGCAAGGCTGAGAAGGGGCCAGTGTCCCCAGACCCGAGACACTGCTCGGGCTGTGCCACCAGGCTCCAGAGAAGTTTCTACGTGGAATTTGGACACTTTGGCCTTCCAGGAACTGAAGTCCGAGCTAACTGAAGTTCCTGCTTCCCGAATTTTGAAGGAGAGCCCATCTGGCTATCTCAGGAGTGGAGAGGGAGACACCGGATGTGGAGAACTAGTTTGGGTAGGAGAGCCTCTCACGCTGAGAACAGCAGAAACAATTACTGGCAAGTATGGTGTGTGGATGCGAGACCCCAAGCCCACCTACCCCTACACCCAGGAGACCACGTGGAGAATCGACACAGTTGGCACGGATGTCCGCCAGGTTTTTGAGTATGACCTCATCAGCCAGTTTATGCAGGGCTACCCTTCTAAGGTTCACATACTGCCTAGGCCACTGGAAAGCACGGGTGCTGTGGTGTACTCGGGGAGCCTCTATTTCCAGGGCGCTGAGTCCAGAACTGTCATAAGATATGAGCTGAATACCGAGACAGTGAAGGCTGAGAAGGAAATCCCTGGAGCTGGCTACCACGGACAGTTCCCGTATTCTTGGGGTGGCTACACGGACATTGACTTGGCTGTGGATGAAGCAGGCCTCTGGGTCATTTACAGCACCGATGAGGCCAAAGGTGCCATTGTCCTCTCCAAACTGAACCCAGAGAATCTGGAACTCGAACAAACCTGGGAGACAAACATCCGTAAGCAGTCAGTCGCCAATGCCTTCATCATCTGTGGCACCTTGTACACCGTCAGCAGCTACACCTCAGCAGATGCTACCGTCAACTTTGCTTATGACACAGGCACAGGTATCAGCAAGACCCTGACCATCCCATTCAAGAACCGCTATAAGTACAGCAGCATGATTGACTACAACCCCCTGGAGAAGAAGCTCTTTGCCTGGGACAACTTGAACATGGTCACTTATGACATCAAGCTCTCCAAGATGTGAAAAGCCTCCAAGCTGTACAGGCAATGGCAGAAGGAGATGCTCAGGGCTCCTGGGGGGAGCAGGCTGAAGGGAGAGCCAGCCAGCCAGGGCCCAGGCAGCTTTGACTGCTTTCCAAGTTTTCATTAATCCAGAAGGATGAACATGGTCACCATCTAACTATTCAGGAATTGTAGTCTGAGGGCGTAGACAATTTCATATAATAAATATCCTTTATCTTCTGTCAGCATTTATGGGATGTTTAATGACATAGTTCAAGTTTTCTTGTGATTTGGGGCAAAAGCTGTAAGGCATAATAGTTTCTTCCTGAAAACCATTGCTCTTGCATGTTACATGGTTACCACAAGCCACAATAAAAAGCATAACTTCTAAAGGAAGCAGAATAGCTCCTCTGGCCAGCATCGAATATAAGTAAGATGCATTTACTACAGTTGGCTTCTAATGCTTCAGATAGAATACAGTTGGGTCTCACATAACCCTTTACATTGTGAAATAAAATTTTCTTACCCAA(配列番号1)
配列番号1の逆相補は、本明細書にて配列番号2として提供される。
TTGGGTAAGAAAATTTTATTTCACAATGTAAAGGGTTATGTGAGACCCAACTGTATTCTATCTGAAGCATTAGAAGCCAACTGTAGTAAATGCATCTTACTTATATTCGATGCTGGCCAGAGGAGCTATTCTGCTTCCTTTAGAAGTTATGCTTTTTATTGTGGCTTGTGGTAACCATGTAACATGCAAGAGCAATGGTTTTCAGGAAGAAACTATTATGCCTTACAGCTTTTGCCCCAAATCACAAGAAAACTTGAACTATGTCATTAAACATCCCATAAATGCTGACAGAAGATAAAGGATATTTATTATATGAAATTGTCTACGCCCTCAGACTACAATTCCTGAATAGTTAGATGGTGACCATGTTCATCCTTCTGGATTAATGAAAACTTGGAAAGCAGTCAAAGCTGCCTGGGCCCTGGCTGGCTGGCTCTCCCTTCAGCCTGCTCCCCCCAGGAGCCCTGAGCATCTCCTTCTGCCATTGCCTGTACAGCTTGGAGGCTTTTCACATCTTGGAGAGCTTGATGTCATAAGTGACCATGTTCAAGTTGTCCCAGGCAAAGAGCTTCTTCTCCAGGGGGTTGTAGTCAATCATGCTGCTGTACTTATAGCGGTTCTTGAATGGGATGGTCAGGGTCTTGCTGATACCTGTGCCTGTGTCATAAGCAAAGTTGACGGTAGCATCTGCTGAGGTGTAGCTGCTGACGGTGTACAAGGTGCCACAGATGATGAAGGCATTGGCGACTGACTGCTTACGGATGTTTGTCTCCCAGGTTTGTTCGAGTTCCAGATTCTCTGGGTTCAGTTTGGAGAGGACAATGGCACCTTTGGCCTCATCGGTGCTGTAAATGACCCAGAGGCCTGCTTCATCCACAGCCAAGTCAATGTCCGTGTAGCCACCCCAAGAATACGGGAACTGTCCGTGGTAGCCAGCTCCAGGGATTTCCTTCTCAGCCTTCACTGTCTCGGTATTCAGCTCATATCTTATGACAGTTCTGGACTCAGCGCCCTGGAAATAGAGGCTCCCCGAGTACACCACAGCACCCGTGCTTTCCAGTGGCCTAGGCAGTATGTGAACCTTAGAAGGGTAGCCCTGCATAAACTGGCTGATGAGGTCATACTCAAAAACCTGGCGGACATCCGTGCCAACTGTGTCGATTCTCCACGTGGTCTCCTGGGTGTAGGGGTAGGTGGGCTTGGGGTCTCGCATCCACACACCATACTTGCCAGTAATTGTTTCTGCTGTTCTCAGCGTGAGAGGCTCTCCTACCCAAACTAGTTCTCCACATCCGGTGTCTCCCTCTCCACTCCTGAGATAGCCAGATGGGCTCTCCTTCAAAATTCGGGAAGCAGGAACTTCAGTTAGCTCGGACTTCAGTTCCTGGAAGGCCAAAGTGTCCAAATTCCACGTAGAAACTTCTCTGGAGCCTGGTGGCACAGCCCGAGCAGTGTCTCGGGTCTGGGGACACTGGCCCCTTCTCAGCCTTGCTACCTCCTGGCTGCTGCTTTCCAACCTCCTGGCCAGATTCTCATTTTCTTGCCTTAGTCGCTTCTTCTCTTCCTCCAGAACTGACTTGTCTCGGAGGAGGTTGCTGTAGGCAGTCTCCAACTCTCTGGTTTGGGTTTCCAGCTGGTCCCGCTCCCGCCTCAGGGTGCCCAGCTCCCTCTGCAGCCCCTCCTGGGTCTCCTGGGGCCTGGCAGCCTGGTCCAAGGTCAATTGGTGGAGGAGGCTCTCCAGGGAGCTGAGTCGAGCTTTGGTGGCCTCCAGGTCTAAGCGTTGGGTGCTGCTGTCTCTCTGTAAGTTATGGATGACTGACATGGCCTGGCTCTGCTCTGGGCAGCTGGATTCATTGGGACTGGCCACACTGAAGGTATACTGGCATCGGCCACTCTGGTCATTGGCCTTCCTGAGCTGAGCTGTCCTGGCCCCCACATCCCACACCAGGCAGGCCAGAAGCAGCAGCTGGACAGCTGGCATCTCAGGCCCAAAGCTGCAGCAACGTGCACAGAAGAACCTCATTGCAGAGGCTTGGTGAGGCTTCCTCTGGAAAGCTCTGCTGTGCTGAGAGGTGCCTGGATGGGTGGCCTTGCTGGCTC(配列番号2)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNAは、表2Aおよび2Bに提供される配列のうちの一つから少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含み、随意に、MYOCにおいて選択された配列に連続する領域から取られる追加のヌクレオチド配列に結合され得る。
標的配列の長さは概して15~30ヌクレオチドであるが、任意の所与の標的RNAの切断を方向付けるためのこの範囲の特定配列の適合性には幅広い変動がある。本明細書に記載される様々なソフトウェアパッケージおよびガイドラインは、任意の所与の遺伝子標的に対する最適な標的配列の識別のためのガイダンスを提供するが、所与のサイズ(非限定的な例として、21個のヌクレオチド)の「ウィンドウ」または「マスク」が、標的RNA配列上に文字通りまたは比喩的に(例えば、コンピューター内で、を含む)配置されて、標的配列として機能し得るサイズ範囲内の配列を識別する経験的アプローチも講じることができる。配列「ウィンドウ」を初期標的配列位置から一ヌクレオチドだけ上流または下流に漸進的に移動させることによって、選択された任意の所与の標的サイズに対して可能な配列の完全なセットが特定されるまで、次の潜在的な標的配列を特定することができる。このプロセスは、特定された配列の系統合成および試験(本明細書に記載されるか、または当該技術分野で公知のアッセイを使用して)と組み合わされて、最適に実行される配列を特定することにより、iRNA剤で標的化されたときに標的遺伝子発現の最良の阻害を媒介するRNA配列を特定することができる。したがって、阻害効率のさらなる最適化は、所与の配列の上流または下流に一ヌクレオチドだけ漸進的に「ウィンドウを歩くこと」により、同等またはより良好な阻害特性を有する配列を特定することによって達成され得ることが企図される。
さらに、例えば、表2Aおよび2Bで特定される任意の配列について、より長いまたはより短い配列を生成するためにヌクレオチドを系統的に追加または除去し、その点から標的RNAを上下に、より長いまたはより短いサイズのウィンドウを歩くことによって生成されるそれらおよび配列を試験することによって、さらなる最適化を達成できることが企図される。再び、このアプローチを、当該技術分野で公知または本明細書に記載される阻害アッセイにおけるそれらの標的配列に基づいて、iRNAの有効性を試験する新しい候補標的の生成に結合することは、阻害の効率のさらなる改善につながり得る。さらにまた、そのような最適化された配列は、発現阻害剤として分子をさらに最適化(例えば、血清安定性または循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜貫通送達の強化、特定の場所または細胞型の標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用の増加、エンドソームからの放出の増加、など)するために、例えば、本明細書に記載されるもしくは当該技術分野で公知の修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの追加または変更、または当該技術分野で既知であり、および/または本明細書で考察される他の修飾によって、調整され得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、未修飾または未コンジュゲートである表2BのiRNAを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のRNAi剤は、表2Aに提供されるヌクレオチド配列を有するが、表に示される一つ以上のリガンドまたは部分を欠く。リガンドまたは部分(例えば、親油性リガンドまたは部分)は、本願において提供される位置のいずれかに含まれ得る。
本明細書において記載するiRNAは、標的配列に対する一つ以上のミスマッチを含有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書において記載するiRNAは、3以下のミスマッチを含有する。いくつかの実施形態では、iRNAのアンチセンス鎖が標的配列に対するミスマッチを含む場合、ミスマッチの面積は、相補性領域の中心に位置しない。いくつかの実施形態では、iRNAのアンチセンス鎖が、標的配列に対してミスマッチを含有する場合、該ミスマッチは、相補性領域の5’末端または3’末端のいずれかから最後の5ヌクレオチドの範囲内にあるように制限することができる。例えば、23ヌクレオチドのiRNA剤の場合、MYOCの領域に対して相補的であるRNA鎖は、概して、中央の13ヌクレオチドの範囲内にいかなるミスマッチも含有しない。本明細書において記載する方法または当技術分野で公知の方法を使用することにより、標的配列に対してミスマッチを含有するiRNAが、MYOCの発現の阻害において効果的であるか否かを判定することができる。とりわけ、MYOC遺伝子における特定の相補性領域が、集団内での多型配列バリエーションを有することがわかっている場合には、MYOCの発現を阻害するミスマッチを有するiRNAの有効性を考慮することが重要である。
いくつかの実施形態では、dsRNAの少なくとも一つの端は、1~4、概して1または2のヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、それらの平滑末端対応物と比較して優れた阻害特性を有する。いくつかの実施形態では、iRNAのRNA(例えばdsRNA)は、安定性または他の有益な特徴を増強するように化学的に修飾される。本開示において特徴とされる核酸は、当技術分野で十分に確立された方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれる“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley&Sons,Inc.,New York,NY,USA、に記載されるものなどによって合成または修飾できる。修飾としては、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆方向結合など)3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆方向結合など)、(b)塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基、または伸長したレパートリーのパートナーと塩基対合する塩基での置換、塩基除去(脱塩基ヌクレオチド)またはコンジュゲートされた塩基、(c)糖修飾(例えば、2’位もしくは4’位における、もしくは非環式糖を有する)または糖の置換、ならびに(d)ホスホジエステル結合の修飾または置換を含む主鎖修飾、が挙げられる。本開示における有用なRNA化合物の具体例としては、これに限定されないが、修飾骨格を含有する、または非天然のヌクレオシド間連結を含有するRNAが挙げられる。修飾骨格を有するRNAとしては、中でも、骨格内にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的上、また時には当技術分野で言及されるように、それらのヌクレオシド間骨格内にリン原子を有さない修飾RNAもまた、オリゴヌクレオシドであるとみなされ得る。特定の実施形態では、修飾RNAは、そのヌクレオシド間主鎖内にリン原子を有するであろう。
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルのホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’-5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’-5’連結類似体、ならびに隣接するヌクレオシド単位の対が3’-5’から5’-3’または2’-5’から5’-2’で結合している反転した極性を有するもの)が挙げられる。種々の塩、混合塩および遊離酸の形態も含まれる。
上記のリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,195号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,316号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,625,050号、第6,028,188号、第6,124,445号、第6,160,109号、第6,169,170号、第6,172,209号、第6,239,265号、第6,277,603号、第6,326,199号、第6,346,614号、第6,444,423号、第6,531,590号、第6,534,639号、第6,608,035号、第6,683,167号、第6,858,715号、第6,867,294号、第6,878,805号、第7,015,315号、第7,041,816号、第7,273,933号、第7,321,029号、および米国特許第RE39464号が含まれ、それら各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
骨格内にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結、または一つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環のヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ連結を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびにN、O、SおよびCHの混合した構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,64,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、および第5,677,439号が挙げられ、このそれぞれの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
iRNAにおいて使用するのに好適であり、または企図される他のRNA模倣体において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間連結、すなわちその骨格、の両方が、新規の基と置換される。この塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。このようなオリゴマー化合物の一つ、優れたハイブリダイゼーション特性を有するとわかっているRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物においては、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格で、特にアミノエチルグリシン骨格で置換されている。核酸塩基が、保持されて、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号が挙げられ、それらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物のさらなる教示は、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に見出すことができる。
本開示において特徴づけられるいくつかの実施形態としては、ホスホロチオエート骨格をもつdsRNAおよびヘテロ原子骨格をもつオリゴヌクレオシドが挙げられ、特に上記で参照した米国特許第5,489,677号の、--CH--NH--CH-、--CH--N(CH)--O--CH--[(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる]、--CH--O--N(CH)--CH--、--CH--N(CH)--N(CH)--CH--、および--N(CH)--CH--CH--[天然のホスホジエステル骨格を--O--P--O--CH--として表す]、ならびに上記で参照した米国特許第5,602,240号のアミド骨格、が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書において取り上げるRNAは、上記で参照した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。
修飾RNAはまた、一つ以上の置換された糖部分を含み得る。本明細書において取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位に以下のうちの一つを含み得る:OH、F、O-、S-またはN-アルキル、O-、S-またはN-アルケニル、O-、S-またはN-アルキニル、またはO-アルキル-O-アルキルであって、式中アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換のC~C10アルキルまたはC~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾としては、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)]が挙げられ、式中nおよびmは、1から約10である。他の実施形態では、dsRNAは、2’位において以下のうちの一つを含む:C~C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、iRNAの薬物動態特性を改善するための基、またはiRNAの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。いくつかの実施形態では、修飾には、2’-メトキシエトキシ(2’-O--CHCHOCH、2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られる)(Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486-504)、すなわち、アルコキシ-アルコキシ基、が含まれる。別の例示的な修飾には、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’-DMAOEとしても知られる、O(CHON(CH基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野で2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’-O--CH--O--CH--N(CH、がある。
他の実施形態では、iRNA剤は、一つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)の非環式ヌクレオチド(またはヌクレオシド)を含む。特定の実施形態では、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方は、鎖当たり五個未満の非環式ヌクレオチド(例えば、鎖当たり四、三、二、または一個の非環式ヌクレオチド)を含む。一つ以上の非環式ヌクレオチドは、例えば、iRNA薬剤の、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、または両方の鎖の二本鎖領域;センス鎖もしくはアンチセンス鎖、または両方の鎖の5’末端、3’末端、5’末端および3’末端の両方、に見出すことができる。いくつかの実施形態では、一つ以上の非環式ヌクレオチドは、センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはその両方の1位~8位に存在する。いくつかの実施形態では、一つ以上の非環式ヌクレオチドは、アンチセンス鎖の5’-末端から4位~10位(例えば、6位~8位)でアンチセンス鎖に見られる。いくつかの実施形態では、一つ以上の非環式ヌクレオチドは、iRNA剤の一方または両方の3’末端オーバーハングに見られる。
本明細書で使用される場合、「非環式ヌクレオチド」または「非環式ヌクレオシド」という用語は、非環式糖、例えば、非環式リボースを有する任意のヌクレオチドまたはヌクレオシドを指す。例示的な非環式ヌクレオチドまたはヌクレオシドは、核酸塩基、例えば、天然核酸塩基または修飾核酸塩基(例えば、本明細書に記載される核酸塩基)を含み得る。特定の実施形態では、任意のリボース炭素(C1、C2、C3、C4またはC5)の間の結合は、独立して、または組み合わせて、ヌクレオチドに存在しない。いくつかの実施形態では、リボース環のC2-C3炭素間の結合は存在しない、例えば、非環式2’-3’-セコ-ヌクレオチドモノマー。他の実施形態では、C1-C2,C3-C4、またはC4-C5の間の結合は存在しない(例えば、1’-2’、3’-4’、または4’-5’-セコヌクレオチドモノマー)。例示的な非環式ヌクレオチドは、米国特許第8,314,227号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、非環式ヌクレオチドは、米国特許第8,314,227号の図1~2のモノマーD~Jのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、非環式ヌクレオチドは、以下のモノマーを含む:
塩基は、核酸塩基、例えば、天然核酸塩基または修飾核酸塩基(例えば、本明細書に記載される核酸塩基)である。
特定の実施形態では、非環式ヌクレオチドは、例えば、非環式ヌクレオチドを別の部分、例えばリガンド(例えば、GalNAc、コレステロールリガンド)、アルキル、ポリアミン、糖、ポリペプチドなどに結合することによって、修飾または誘導体化され得る。
他の実施形態では、iRNA剤は、一つ以上の非環式ヌクレオチドおよび一つ以上のLNA(例えば、本明細書に記載されるLNA)を含む。例えば、一つ以上の非環式ヌクレオチドおよび/または一つ以上のLNAは、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に存在し得る。一本鎖における非環式ヌクレオチドの数は、対向する鎖におけるLNAの数と同一であっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、二本鎖領域または3’オーバーハングに位置する五個未満のLNA(例えば、四、三、二、または一個のLNA)を含む。他の実施形態では、一つまたは二つのLNAは、センス鎖の二本鎖領域または3’オーバーハングに位置する。その代わりに、または組み合わせて、センス鎖および/またはアンチセンス鎖は、二本鎖領域または3’オーバーハング中に五個未満の非環式ヌクレオチド(例えば、四、三、二、または一個の非環式ヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、iRNA剤のセンス鎖は、センス鎖の3’オーバーハングに一つまたは二つのLNA、およびiRNA剤のアンチセンス鎖の二本鎖領域(例えば、アンチセンス鎖の5’末端から4位~10位(例えば、6位~8位))に一つまたは二つの非環式ヌクレオチドを含む。
他の実施形態では、iRNA剤中に一つ以上の非環式ヌクレオチド(単独で、または一つ以上のLNAに加えて)を含めることにより、iRNA分子の(i)オフターゲット効果の低減、(ii)RNAiにおけるパッセンジャー鎖関与の低減、(iii)その標的mRNAに対するガイド鎖の特異性の増加、(iv)マイクロRNAオフターゲット効果の低減、(v)安定性の増加、または(vi)分解に対する耐性の増加のうちの一つ以上(またはすべて)が生じる。
他の修飾としては、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-5アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)および2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。同様の修飾はまた、iRNAのRNA上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合dsRNA中の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位においてもなされ得る。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。こうした修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許として、これに限定されないが、米国特許第第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、および第5,700,920号が挙げられ、それらのうちいくつかは、本出願と共同所有され、それらそれぞれが、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
iRNAはまた、核酸塩基(当技術分野では単に「塩基」と称することも多い)の修飾または置換を含み得る。本明細書において使用する場合、「未修飾の」または「天然の」核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、他の合成核酸塩基および天然核酸塩基が挙げられ、例えば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換のアデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換のウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-ダアザアデニン(7-daazaadenine)ならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなどである。
さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008に開示されるもの、The Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,pages 858-859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613に開示されるもの、およびSanghvi,Y S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pages 289-302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993に開示されるもの、が挙げられる。これら核酸塩基のうちのいくつかは、本開示において取り上げるオリゴマー化合物の結合親和性を増大するのに特に有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6および0~6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸の二本鎖安定性を0.6~1.2℃高めることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,dsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278)、特に2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合には、さらに例示的な塩基置換である。
上述の修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基の一部の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されるものではないが、上述の米国特許第3,687,808号、ならびに米国特許第4,845,205号、第5,130,30号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,681,941号、第6,015,886号、第6,147,200号、第6,166,197号、第6,222,025号、第6,235,887号、第6,380,368号、第6,528,640号、第6,639,062号、第6,617,438号、第7,045,610号、第7,427,672号、および第7,495,088号が挙げられ、これらそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。第5,750,692号もまた参照により本明細書に組み込まれる。
iRNAのRNAはまた、一つ以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)二環式糖部分を含むように修飾され得る。「二環式糖」は、二個の原子を架橋することによって修飾されたフラノシル(furanosyl)環である。「二環式のヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の二つの炭素原子を接続し、それによって二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態では、架橋が、糖環の4’-炭素と2’-炭素を接続する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の薬剤は、一つ以上のロック核酸(LNA)(本明細書において「ロックヌクレオチド」とも呼ばれる)を含み得る。いくつかの実施形態では、ロック核酸は、リボース部分が、例えば、2’および4’炭素を接続する追加の架橋を含む、修飾リボース部分を有するヌクレオチドである。この構造は、3’-エンド構造立体配座内にリボースを効率的に「ロックする」。siRNAへのロック核酸の付加により、血清中のsiRNA安定性が増大し、熱安定性が増加し、オフターゲット効果が低減することが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833-843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。
本開示のポリヌクレオチドにおいて使用するための二環式ヌクレオシドの例として、制限するものではないが、4’と2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態では、本開示のアンチセンスポリヌクレオチド剤として、4’から2’への架橋を含む一つ以上の二環式ヌクレオシドが挙げられる。このような4’から2’架橋二環式ヌクレオシドの例としては、限定するものではないが、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2’;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束されたエチル」または「cEt」とも呼ばれる)および4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第第7,399,845号を参照)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,283号を参照)、4’-CH2-N(OCH3)-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,425号を参照)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、米国特許公開第2004/0171570号を参照)、4’-CH2-N(R)-O-2’であり、式中、Rは、H、C1-C12アルキル、または保護基である(例えば、米国特許第7,427,672号参照)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134参照)、および4’-CH2-C(=CH2)-2’(およびその類似体、例えば、米国特許第8,278,426号を参照)、が挙げられる。前述の各々の内容は、本明細書で提供する方法のために参照により本明細書に組み込まれる。ロック核酸の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:米国特許第6,268,490号、第6,670,461号、第6,794,499号、第6,998,484号、第7,053,207号、第7,084,125号、第7,399,845号、および第8,314,227号、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的なLNAとしては、2’,4’-Cメチレンビシクロヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Wengel et al.,PCT5国際公開第00/66604号および国際公開第99/14226号を参照)。
例えばα-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースをはじめとする一つ以上の立体化学的な糖立体配座を有する前述の二環式ヌクレオシドのいずれもが、調製可能である(国際公開第99/14226号を参照)。
本開示のRNAi剤をまた、一つ以上の拘束されたエチルヌクレオチドを含むように修飾できる。本明細書において使用される場合、「拘束されたエチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロック核酸である。いくつかの実施形態では、拘束されたエチルヌクレオチドは、S立体配座であり、本明細書において「S-cEt」と称する。
本開示のRNAi剤はまた、一つ以上の「立体配座制限ヌクレオチド」(「CRN」)を含み得る。CRNは、リボースのC2’およびC4’炭素を、またはリボースのC3’および-C5’炭素を接続するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定な立体配座にロックして、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増大する。リンカーは、酸素を安定性および親和性にとって最適な位置に配置するのに十分な長さのものであり、その結果、リボース環のパッカリングを少なくする。
上記のCRNのある特定のものの調製を教示する代表的な刊行物として、限定するものではないが、米国特許出願公開第2013/0190383および国際公開第2013/036868号が挙げられ、それらの各々の内容は、参照により本明細書に提供される方法のために本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示のRNAi剤は、UNA(アンロック核酸)ヌクレオチドである一つ以上のモノマーを含む。UNAは、アンロック非環式核酸であり、その糖の結合のいずれもが除去され、アンロック「糖」残基を形成する。一実施例では、UNAはまた、C1’-C4’間の結合が除去されているモノマーも包含する(すなわち、C1’炭素とC4’炭素との間の共有結合による炭素-酸素-炭素間結合)。別の例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’とC3’炭素との間の炭素-炭素の共有結合)が除去される(Nuc.Acids Symp.Series,52,133-134(2008)and Fluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039を参照)。
UNAの調製を教示する代表的な米国の刊行物として、限定するものではないが、米国特許第8,314,227号、および米国特許出願公開第2013/0096289号、第2013/0011922号、および第2011/0313020号が挙げられ、この各々の内容は、参照により本明細書に提供される方法のために本明細書に組み込まれる。
他の実施形態では、iRNA剤は、一つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上)のG-クランプヌクレオチドを含む。G-クランプヌクレオチドは、修飾シトシン類似体であり、修飾は、二本鎖内の相補的グアニンのワトソンクリック面およびフーグスティーン面の両方を水素結合する能力を付与する、例えば、Lin and Matteucci,1998,J.Am.Chem.Soc.,120、8531-8532を参照。オリゴヌクレオチド内の単一のG-クランプ類似体置換は、相補的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた場合、実質的に強化されたらせん状の熱安定性およびミスマッチ識別をもたらし得る。iRNA分子にかかるヌクレオチドを含めることにより、核酸標的、相補的配列、または鋳型鎖に対する親和性および特異性が強化され得る。
RNA分子の末端に対する安定化修飾として可能性があるものとしては、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-O-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-ホスフェート、逆位塩基(inverted base)dT(idT)およびその他などが挙げられ得る。この修飾の開示は、国際公開第2011/005861号に見出される。
本開示のRNAi剤の他の修飾としては、5’ホスフェートまたは5’ホスフェート模倣体、例えば、RNAi剤のアンチセンス鎖上の5’-末端ホスフェートまたはホスフェート模倣体が挙げられる。好適なホスフェート模倣体は、例えば、その内容が本明細書に提供される方法のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0157511号に開示されている。一実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドの5’-ホスフェートまたは5’-ホスフェート模倣体をさらに含む。別の実施形態では、二本鎖RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドの5’-ホスフェート模倣体をさらに含む。具体的な実施形態では、5’ホスフェート模倣体は、5’-ビニルホスホネート(5’-VP)である。一実施形態では、ホスフェート模倣体は、5’-シクロプロピルホスホネート(VP)である。いくつかの実施形態では、二本鎖iRNA剤のアンチセンス鎖の5’-末端は、5’-ビニルホスホネート(VP)を含有しない。
一実施形態では、修飾ヌクレオチドの少なくとも一つが、デオキシ-ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、例えばGgn、Cgn、TgnまたはAgn、2’ホスフェートを有するヌクレオチド、例えば、G2p、C2p、A2p、U2p、およびビニル-ホスホネートヌクレオチド、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。他の実施形態では、表5および6の二本鎖の各々は、本開示の別の二本鎖iRNA剤を提供するように特に修飾され得る。一実施例では、各センス二本鎖の3’末端は、3’末端L96リガンドを除去し、三個の3’末端ヌクレオチド間で二個のホスホジエステルヌクレオチド間結合をホスホロチオエートヌクレオチド間結合と交換することによって修飾され得る。すなわち、式:
5’-N1-… -Nn-2Nn-1NnL96 3’
のセンス配列の三つの3’末端ヌクレオチド(N)は、
5’-N1-… -Nn-2sNn-1sNn 3’、で置換され得る。
RNA標的は、その領域へのRNAi剤の結合によって誘導されるRNA干渉を介してRNA標的の切断を媒介するのに、RNA標的の他の領域よりも比較的影響を受けやすくまたは受容性が高い、標的RNAのヌクレオチド配列の領域またはスパンを有し得る。こうした「ホットスポット領域」(または単に「ホットスポット」)内のRNA干渉に対する受容性の増加は、その領域を標的とするiRNA剤が、標的RNAの他の領域を標的とするiRNA剤よりも、iRNA干渉の誘導において高い有効性を有する可能性が高いことを意味する。例えば、理論に束縛されるものではないが、標的RNAの標的領域へのアクセス可能性は、その領域を標的とするiRNA剤の有効性に影響を与え得、一部のホットスポット領域は、アクセス可能性が増加している。例えば、RNA標的(例えば、ホットスポット領域内またはその近傍)内に形成される二次構造は、iRNA剤が標的領域に結合し、RNA干渉を誘導する能力に影響を与え得る。
本発明の特定の態様によれば、iRNA剤は、標的RNAの任意の特定された部分(例えば、特定のエクソン)を含む、本明細書に記載の標的RNAのいずれかのホットスポット領域を標的とするように設計され得る。本明細書で使用される場合、ホットスポット領域は、RNAi剤を使用した標的化が、同じ標的RNAの他の領域の標的化と比較して、有効なサイレンシングを明らかにより高い可能性で提供する、標的RNA配列の約19~200、19~150、19~100、19~75、19~50、21~200、21~150、21~100、21~75、21~50、50~200、50~150、50~100、50~75、75~200、75~150、75~100、100~20、または100~150個のヌクレオチド領域を指し得る。本発明の特定の態様によれば、ホットスポット領域は、標的RNAの限定された領域、場合によっては、例えば、標的RNAの長さの半分未満、例えば、標的RNAの長さの約5%、10%、15%、20%、25%、または30%などを含む、標的の実質的に限定された領域を含み得る。逆に、ホットスポットが比較される他の領域は、標的RNAの長さの少なくとも過半を累積的に含み得る。例えば、他の領域は、標的RNAの長さの少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を累積的に含み得る。
標的RNAの比較領域は、インビトロまたはインビボスクリーニングアッセイから得られた有効性データを使用してホットスポットの特定について経験的に評価され得る。例えば、標的RNAに及ぶ様々な領域を標的とするRNAi剤は、各領域に結合する有効なiRNA剤の頻度(例えば、mRNA発現またはタンパク質発現によって測定される、標的遺伝子発現が阻害される量)について比較され得る。一般に、ホットスポットは、RNA標的の限定された領域に結合する複数の有効なRNAi剤のクラスタリングを観察することによって認識され得る。ホットスポットは、ホットスポットとして特定される標的領域の少なくとも約60%、例えば、領域の両端を含む領域の長さの約70%、約80%、約90%、または約95%以上(すなわち、領域の各末端のヌクレオチドを含む領域内のヌクレオチドの少なくとも約60%、70%、80%、90%、または95%以上がiRNA剤によって標的化された)に累積的に及ぶiRNA剤の有効性を観察することによって、十分に特徴付けられ得る。本発明のいくつかの態様によれば、領域にわたる少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の阻害(例えば、約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%以下のmRNAの残存)を示すiRNA剤は、有効であると特定され得る。
RNA領域の標的化に対する適合性はまた、定義されたサイズ(例えば、25、30、40、50、60、70、80、90、または100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200nts)の異なる領域にわたる阻害測定値の定量的比較を使用して評価され得る。例えば、阻害の平均レベルは、各領域について決定されてもよく、各領域の平均を比較してもよい。ホットスポット領域内の阻害の平均レベルは、評価されたすべての領域の平均よりも実質的に高くてもよい。いくつかの態様によれば、ホットスポット領域における阻害の平均レベルは、少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%高くてもよい。いくつかの態様によれば、ホットスポット領域における阻害の平均レベルは、平均の平均よりも、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0標準偏差が高くてもよい。阻害の平均レベルは、統計的に有意な(例えば、p<0.05)量だけ高くてもよい。いくつかの態様によれば、ホットスポット領域内の各阻害測定値は、閾値量(例えば、残留するmRNAの閾値量以下)を超えてもよい。いくつかの態様によれば、領域内の各阻害測定値は、すべての測定された領域にわたるすべての阻害測定値の平均よりも実質的に高くてもよい。例えば、ホットスポット領域における各阻害測定値は、すべての阻害測定値の平均よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%高くてもよい。いくつかの態様によれば、各阻害測定値は、全ての阻害測定値の平均よりも、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0標準偏差が高くてもよい。各阻害測定値は、すべての阻害測定値の平均よりも統計的に有意(例えば、p<0.05)な量だけ高くてもよい。ホットスポットを評価するための基準は、適合する上記の標準(例えば、少なくとも約第一の量の阻害の平均レベルであり、第一の量よりも小さい第二の量の閾値レベルを下回る阻害測定値を有しない)の様々な組み合わせを含み得る。
したがって、標的RNAのホットスポット領域を標的とする、本明細書に記載の特定の例示的なiRNA剤を含む任意のiRNA剤は、好ましくは、そのようなホットスポット領域を標的とすることが、ホットスポット領域ではない領域を標的とすることと比較して、堅牢な阻害応答を示す可能性が高いため、標的mRNAのRNA干渉を誘発するために選択され得ることが明示的に企図される。実質的に重複する(例えば、標的配列長さの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%)、または好ましくは完全にホットスポット領域内に存在する標的配列を標的とするRNAi剤は、ホットスポット領域を標的とするとみなされ得る。本発明のRNA標的のホットスポット領域は、本明細書に開示されるデータは、そのようなホットスポット領域の範囲が明示的に指定されているか否かにかかわらず、本明細書の他の箇所に記載される基準のいずれかを含む、有効なRNAi剤による標的化のより高い頻度を示す任意の領域を含み得る。
様々な実施形態では、本発明のdsRNA剤は、MYOCをコードするmRNAのホットスポット領域を標的とする。
III.iRNAモチーフ
本開示の特定の態様においては、本開示の二本鎖RNAi剤は、例えばその内容が本明細書で提供される方法のために参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/075035号において開示されるような化学修飾を有する薬剤を含む。本明細書および国際公開第2013/075035号において示されるように、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一修飾のうちの一つ以上のモチーフを、特に切断部位においてまたはその近傍において、RNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖に導入することによって、優れた結果が得られ得る。いくつかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、そうでなければ完全に修飾され得る。これらモチーフの導入は、存在する場合には、センス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンを中断する。RNAi剤は、随意に、例えばセンス鎖上の、親油性部分またはリガンドと、例えば、C16部分またはリガンドとコンジュゲートし得る。RNAi剤は、随意に、例えばアンチセンス鎖の一つ以上の残基において、(S)-グリコール核酸(GNA)修飾で修飾され得る。得られたRNAi剤は、優れた遺伝子サイレンシング活性を示す。
いくつかの実施形態では、センス鎖配列は、式(I):
5’np-Na-(XXX)i-Nb-YYY-Nb-(ZZZ)j-Na-nq3’(I)
で表され得、
式中、
iおよびjは各々独立に、0または1であり、
pおよびqは各々独立に、0~6であり、
各Naは独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表すものであって、各配列は少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各Nbは独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各npおよびnqは独立に、オーバーハングヌクレオチドを表すものであり、
式中、NbおよびYは、同一の修飾を有さず、ならびに
XXX、YYYおよびZZZは各々独立に、三つの連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つのモチーフを表す。いくつかの実施形態では、YYYは、すべて2’-F修飾ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態では、Naおよび/またはNbは、交互パターンの修飾を含む。
いくつかの実施形態では、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位またはその近傍において生じる。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じ得(例えば、6、7、8位、7、8、9位、8、9、10位、9、10、11位、10、11、12位、または11、12、13位において生じ得る)、この数字は、5’末端から、第1のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二本鎖領域内の第1の対合ヌクレオチドにおいて開始する。
いくつかの実施形態では、iは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjは両方1である。したがって、センス鎖は、以下の式、
5’np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’(Ib)、
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq3’(Ic)、または
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’(Id)、
で表され得る。
センス鎖が式(Ib)で表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が式(Ic)として表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が式(Id)で表される場合、各Nbは独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。いくつかの実施形態では、Nbは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Naは独立に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
X、YおよびZの各々は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
他の実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またセンス鎖は、式
5’n-N-YYY-N-n3’(Ia)、
で表され得る。
センス鎖が、式(Ia)で表される場合、各Nは独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
いくつかの実施形態では、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(Ie)、
5’n’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-Y’Y’Y’-N’-(X’X’X’)-N’-n’3’(Ie)、
で表され得、
式中、
kおよびlは各々独立に、0または1であり、
p’およびq’は各々独立に、0~6であり、
各Nb’は独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各Nb’は独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各n’およびn’は独立に、オーバーハングヌクレオチドを表し、
’およびY’は、同一の修飾を有さず、
および
X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は各々独立して、三個の連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾のうちの一つを表す。
いくつかの実施形態では、N’および/またはN’は、交互パターンの修飾を含む。
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の9、10、11位、10、11、12位、11、12、13位、12、13、14位、または13、14、15位において生じ得、この数字は、5’末端から、第1のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二本鎖領域内の第1の対合ヌクレオチドにおいて開始する。いくつかの実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、11、12、13位において生じる。
いくつかの実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’-Ome修飾ヌクレオチドである。
一実施形態では、kは1であり、lは0であるか、またはkは0であり、lは1であるか、または5kおよびlは両方とも1である。
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式、
5’n’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’n’3’(Ig)、
5’n’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-n’3’(Ih)、または
5’n’-N’-Z’Z’Z’-N’-Y’Y’Y’-N’-X’X’X’-N’-n’3’(Ii)、
で表され得る。
アンチセンス鎖が、式(Ig)で表される場合、Nb’は、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が式(Ii)で表される場合、各Nb’は独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。いくつかの実施形態では、Nbは、0、1、2、3、4、5、または6である。
他の実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またアンチセンス鎖は、式:
5’np’-Na’-Y’Y’Y’-Na’-nq’3’(If)、で表され得る。
アンチセンス鎖が式(If)として表される場合、各Na’は独立して、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’およびZ’の各々は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、LNA、HNA、CeNA、GNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシルまたは2’-フルオロで独立に修飾され得る。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立に修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’およびZ’は、特に2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾を表し得る。
いくつかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21ntである場合に、鎖の9、10および11位で生じるYYYモチーフを含有し得、この数字は5’末端から第1のヌクレオチドから開始するか、または随意に、この数字は5’末端から二本鎖領域内の第1の対合ヌクレオチドで開始し、またYは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてXXXモチーフまたはZZZモチーフをさらに含有し得、またXXXおよびZZZは各々独立に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、鎖の11、12、13位で生じるY’Y’Y’モチーフを含有し得、この数字は5’末端から第1のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は5’末端から二本鎖領域内の第1の対合ヌクレオチドで開始し、またY’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてX’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフをさらに含有し得、またX’X’X’およびZ’Z’Z’は各々独立に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
上記の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)のいずれか一つで表されるセンス鎖は、それぞれ式(If)、(Ig)、(Ih)、および(Ii)のいずれか一つで表されるアンチセンス鎖を伴う二本鎖を形成する。
したがって、本開示の方法において使用する特定のRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み得、その各鎖は、14~30ヌクレオチドを有し、RNAi二本鎖は、式(Ij):
センス:5’n-N-(XXX)i-N-YYY-N-(ZZZ)j-N-n3’
アンチセンス:3’n’-Na’-(X’X’X’)k-N’-Y’Y’Y’-N’-(Z’Z’Z’)-N’-n’5’、
で表され得、
(Ij)
式中、
i、j、kおよびlは各々独立に、0または1であり、
p、p’、qおよびq’は各々独立に、0~6であり、
各NおよびN’は独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各NおよびN’は独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
式中、
各n’、n、n’およびnは、それらの各々が、存在していても存在していなくてもよく、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し、および
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、およびZ’Z’Z’は各々独立して、三個の連続するヌクレオチド上の三つの同一の修飾の一つのモチーフを表す。
いくつかの実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またはiは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjは両方とも0であり、またはiおよびjは両方とも1である。いくつかの実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またはkは1であり、かつlは0であり、kは0であり、かつlは1であり、またはkおよびlは両方とも0であり、またはkおよびlは両方とも1である。
RNAi二本鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖の例示的な組合せは、以下の式:
5’n-N-YYY-N-n3’
3’n’-N’-Y’Y’Y’-N’n’5’
(Ik)
5’n-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’
3’n-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-Na’-nq’5’
(Il)
5’n-N-XXX-N-YYY-N-n3’
3’n-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-Na’-n’5’
(Im)
5’n-N-XXX-N-YYY-N-ZZZ-N-n3’
3’n-N’-X’X’X’-N’-Y’Y’Y’-N’-Z’Z’Z’-Na’-n’5’
(In)、
を含む。
RNAi剤が式(Ik)で表される場合、各Nは独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が式(II)で表される場合、各Nは独立に、1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が式(Im)で表される場合、各Nb、Nb’は独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が式(In)で表される場合、各N、N’は独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各N、N’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。N、N’、N、およびN’の各々は独立に、交互パターンの修飾を含む。
式(Ij)、(Ik)、(Il)、(Im)、および(In)の中のX、Y、およびZの各々は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
RNAi剤が式(Ij)、(Ik)、(Il)、(Im)、および(Im)で表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも一つが、Y’ヌクレオチドの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも二つのYヌクレオチドが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し、またはすべての三つのYヌクレオチドすべてが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が式(II)または(In)で表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも一つが、Z’ヌクレオチドの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも二つのZヌクレオチドが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し、またはすべての三つのZヌクレオチドすべてが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が式(Im)または(In)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも一つが、X’ヌクレオチドの一つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドの少なくとも二つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し、またはすべての三つのXヌクレオチドのすべてが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
いくつかの実施形態では、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、および/またはXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾とは異なる。
いくつかの実施形態では、RNAi剤が式(IIId)で表される場合には、Na修飾は、2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾である。いくつかの実施形態では、RNAi剤が式(In)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、またnp’>0および少なくとも一つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結する。いくつかの実施形態では、RNAi剤が式(In)で表される場合、Na修飾は2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0およびまた少なくとも一つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結され、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合した一つ以上の部分またはリガンド(例えば、一つ以上の親油性部分、随意に一つ以上のC16部分、または一つ以上のGalNAc部分)にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、RNAi剤が式(In)で表される場合、Na修飾は2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0およびまた少なくとも一つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結され、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合した一つ以上の部分またはリガンド(例えば、一つ以上の親油性部分、随意に一つ以上のC16部分、または一つ以上のGalNAc部分)にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、RNAi剤が式(IIIa)で表される場合、Na修飾は2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0およびまた少なくとも一つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結され、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合した一つ以上の部分またはリガンド(例えば、一つ以上の親油性部分、随意に一つ以上のC16部分、または一つ以上のGalNAc部分)にコンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、RNAi剤は、式(Ij)、(Ik)、(II)、(Im)、および(Im)で表される少なくとも二つの二本鎖を含有する多量体であり、該二本鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二本鎖の各々は、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的にし得、または二本鎖の各々は、二つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
いくつかの実施形態では、RNAi剤は、式(Ij)、(Ik)、(Il)、(Im)および(In)で表される三、四、五、六、またはそれ以上の二本鎖を含有する多量体であり、該二本鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二本鎖の各々は、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的にし得、または二本鎖の各々は、二つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
いくつかの実施形態では、式(Ij)、(Ik)、(Il)、(Im)および(In)で表される二つのRNAi剤は、5’末端で互いに連結され、また3’末端の一方または両方が、随意にリガンドにコンジュゲートされる。当該剤は各々、同一の遺伝子または二つの異なる遺伝子を標的とし得、または当該剤の各々は、二つの異なる標的部位において同一の遺伝子を標的にし得る。
種々の公開公報には、本開示の方法において使用され得る多量体RNAi剤が記載されている。当該公開公報としては、国際公開第2007/091269号、国際公開第2010/141511号、国際公開第2007/117686号、国際公開第2009/014887号、および国際公開第2011/031520号、および米国特許第7858769号が挙げられ、それらの各々の内容は参照により本明細書に提供される方法のために本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、本開示のRNAi剤は、GalNAcリガンドを含み得る。
以下により詳細に記載するように、RNAi剤への一つ以上の炭水化物部分のコンジュゲーションを含有するRNAi剤は、RNAi剤の一つ以上の特性を最適化できる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi剤の修飾サブユニットに結合させることとなる。例えば、dsRNA剤の一つ以上のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖を、別の部分で、例えば、炭水化物リガンドが結合する非炭水化物(好ましくは、環式の)の担体で置換することができる。リボヌクレオチドのサブユニットであって、該サブユニットリボース糖がそのように置換されているリボヌクレオチドサブユニットを、本明細書においては、リボース置換修飾サブユニット(PRMS)と称する。環式担体は、環状炭素系であり得、すなわち、すべての環原子が炭素原子であるか、または複素環系であり得、すなわち、一つ以上の環原子が例えば、窒素、酸素、硫黄であるヘテロ原子であり得る。環式担体は、単環式環系であり得、または二つ以上の環、例えば、縮合環、を含有し得る。環式担体は、完全に飽和の環系であり得、または一つ以上の二重結合を含有し得る。
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合し得る。担体は、(i)少なくとも一つの「骨格結合点」、好ましくは二つの「骨格結合点」と、(ii)少なくとも一つの「係留結合点」を含む。「骨格結合点」とは、本明細書で使用する場合、例えば、ヒドロキシル基である官能基を指し、または概して、リボ核酸の骨格、例えば、ホスフェート、もしくは例えば、硫黄含有である修飾ホスフェートの骨格である骨格内に担体を組み込むために利用可能であり好適である結合を指す。いくつかの実施形態における「係留結合点」(TAP)は、選択された部分を接続する環式担体の構成環原子、例えば、炭素原子またはヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子とは別の)を指す。この部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、および多糖であり得る。随意に、選択部分は、介在する係留によって環式担体に接続される。したがって環式担体は、しばしば、例えば、アミノ基である官能基を含む、または概して結合であって、構成する環への、例えば、リガンドである別の化学的実体の組み込みもしくは係留に適している結合を提供することとなる。
RNAi剤は、担体を介してリガンドにコンジュゲートされ得るものであり、担体は、環式基または非環式基であり得、好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリルおよびデカリン、好ましくは非環式の基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格から選択される。
特定の実施形態では、本開示の方法で使用するRNAi剤は、表2Aおよび2Bのいずれか一つに列記された剤の群から選択される剤である。これら剤は、リガンドをさらに含み得る。リガンドは、3’末端、5’末端、または両方の末端で、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖に結合できる。例えば、リガンドは、センス鎖、特に、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされ得る。
IV.iRNAコンジュゲート
本明細書に開示されるiRNA剤は、コンジュゲートの形態であり得る。コンジュゲートは、iRNA分子の任意の好適な位置に、例えば、センス鎖またはアンチセンス鎖の3’末端または5’末端に結合し得る。コンジュゲートは、随意にリンカーを介して結合される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のiRNA剤は、例えば、iRNAの活性、細胞分布、または細胞取り込みに影響を与える(例えば、強化する)ことによって機能性を付与し得る、一つ以上のリガンド、部分、またはコンジュゲートに化学的に連結される。こうした部分としては、これに限定されるものではないが、例えばコレステロール部分などである脂質部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acid.Sci.USA,1989,86:6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1994,4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール(beryl-S-tritylthiol)(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306-309、Manoharan et al.,Biorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533-538)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J,1991,10:1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49-54)、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229-237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923-937)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、ターゲティング、または寿命を変化させる。いくつかの実施形態では、リガンドは、例えば、このようなリガンドが存在しない種と比較した場合に、選択された標的に対する、例えば、分子、細胞または細胞型、例えば、細胞または臓器のコンパートメントなどのコンパートメント、組織、身体の器官または領域に対する、親和性の増強をもたらす。通常のリガンドは、二本鎖核酸において二本鎖対合に関与しない。
リガンドとしては、天然に存在する物質、例えばタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)またはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンまたはヒアルロン酸)または脂質を挙げることができる。リガンドはまた、組換えまたは合成分子、例えば合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド(L-lactide-co-glycolied))共重合体、ジビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸(poly(2-ethylacryllic acid))、N-イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはポリホスファジンであるポリアミノ酸が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣体ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩またはαヘリックスペプチドが挙げられる。
リガンドにはまた、ターゲティング基が含まれ得、例えば、細胞または組織ターゲティング剤であり、例えば、レクチンであり、例えば腎細胞など特定の細胞型に結合する糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、抗体である。ターゲティング基は、甲状腺刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤プロテインA、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣体であり得る。
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラーレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン(texaphyrin)、サフィリン(Sapphyrin))、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレンブタン酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRPまたはAPが挙げられる。
リガンドは、タンパク質、例えば糖タンパク質、またはペプチド、例えば共リガンド(co-ligand)に対して特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば眼細胞などの特定の細胞型に結合する抗体、であり得る。リガンドにはまた、ホルモンおよびホルモン受容体が含まれ得る。それらにはまた、非ペプチド種、例えば脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、コファクタ、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノースまたは多価フコース、が含まれ得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼのアクチベーター、またはNF-κBのアクチベーターであり得る。
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格系を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、微小線維および/または中間径線維を破壊することによって、細胞内へのiRNA剤の取り込みを増大し得る物質、例えば薬物であり得る。該薬物は、例えば、タキソン(taxon)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA(swinholide A)、インダノシン(indanocine)またはミオセルビン(myoservin)であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書において記載するiRNAに結合するリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として作用する。PKモジュレーターとしては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPKモジュレーターとしては、これに限定されないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することがわかっており、したがって骨格中に複数のホスホロチオエート連結を含む短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドもまた、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本開示に適している。さらに、血清成分(例えば、血清タンパク質)を結合するアプタマーもまた、本明細書において記載する実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに適している。
本開示のリガンドがコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドは、反応性官能性ペンダント側鎖を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成でき、例えば該ペンダント側鎖は該オリゴヌクレオチド(以下に記載される)上への連結分子の結合に由来するものなどである。この反応性オリゴヌクレオチドを、市販のリガンド、種々の保護基のいずれかを有する合成されたリガンド、またはそれに結合する連結部分を有するリガンドと、直接反応させてもよい。
本開示のコンジュゲートにおいて使用するオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に、ごく普通に作製できる。こうした合成のための機器は、例えばApplied Biosystems(Foster City,Calif.)をはじめとするいくつかのベンダーによって販売されている。当技術分野で公知の当該合成のための任意の他の手段を、追加的にまたは代替的に採用してもよい。例えばホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などである、他のオリゴヌクレオチドを調製する同様の技術を使用することも知られている。
本開示のリガンドがコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドおよびリガンド分子を保有する配列特異的な連結ヌクレオシドにおいて、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準ヌクレオチドまたはヌクレオシドの前駆体を利用する好適なDNAシンセサイザー、または連結部分を既に保有するヌクレオチドもしくはヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に保有するリガンドヌクレオチドもしくはリガンドヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、または非ヌクレオシドリガンド保有構成単位上において組み立てられ得る。
連結部分を既に保有するヌクレオチド-コンジュゲート前駆体を使用する場合には、典型的に、配列特異的に連結されるヌクレオシドの合成が完了してから、次いで、リガンド分子が連結部分と反応して、リガンドがコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドまたは連結ヌクレオシドは、市販の、オリゴヌクレオチド合成でごく普通に使用する標準ホスホラミダイトおよび非標準ホスホラミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートから誘導したホスホラミダイトを使用して、自動化シンセサイザーによって合成される。
A.親油性部分
特定の実施形態では、親油性部分は、脂肪族、環式、例えば脂環式、または多環式、例えば、多脂環式化合物、例えばステロイド(例えば、ステロール)または直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素である。親油性部分は一般に、環式または非環式であり得る炭化水素鎖を含み得る。炭化水素鎖は、様々な置換基、または酸素もしくは窒素原子などの一つ以上のヘテロ原子を含んでもよい。こうした親油性脂肪族部分には、飽和または不飽和C-C30炭化水素(例えば、C-C18炭化水素)、飽和または不飽和脂肪酸、ワックス(例えば、脂肪酸の一価アルコールエステルおよび脂肪酸ジアミド)、テルペン(例えば、C10テルペン、C15セスキテルペン、C20ジテルペン、C30トリテルペン、およびC40テトラテルペン)、ならびに他の多脂環式炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。例えば、親油性部分は、C-C30炭化水素鎖(例えば、C-C30アルキルまたはアルケニル)を含有してもよい。いくつかの実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C-C18炭化水素鎖(例えば、直鎖C-C18アルキルまたはアルケニル)を含有する。いくつかの実施形態では、親油性部分は、飽和または不飽和C16炭化水素鎖(例えば、直鎖C16アルキルまたはアルケニル)を含有する。
親油性部分は、親油性部分に既に存在する官能基を介して、またはヒドロキシ基(例えば、-CO-CH-OH)などのRNAi剤に導入される官能基を介して、当技術分野で公知の任意の方法によってRNAi剤に結合され得る。親油性部分に既に存在するか、またはRNAi剤に導入される官能基には、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、スルホネート、ホスフェート、チオール、アジド、およびアルキンが含まれるが、これらに限定されない。
RNAi剤と親油性部分のコンジュゲートは、例えば、ヒドロキシとアルキル基R-、アルカノイル基RCO-、または置換カルバモイル基RNHCO-との間のエーテルもしくはカルボン酸もしくはカルバモイルエステル結合の形成を介して生じ得る。アルキル基Rは、環式(例えば、シクロヘキシル)または非環式(例えば、直鎖または分枝鎖、および飽和または不飽和)であってもよい。アルキル基Rは、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、またはオクタデシル基などであってもよい。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物(例えば、アジド-アルキン環化付加からのトリアゾール)、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖RNAi剤にコンジュゲートされる。
別の実施形態では、親油性部分はステロイド、例えばステロールである。ステロイドは、ペルヒドロ-1,2-シクロペンタノフェナントレン環系を含有する多環式化合物である。ステロイドには、胆汁酸(例えば、コール酸、デオキシコール酸、およびデヒドロコール酸)、コルチゾン、ジゴキシゲニン、テステステロン、コレステロール、およびコルチゾンなどのカチオン性ステロイドが含まれるが、これらに限定されない。「コレステロール誘導体」は、例えば、置換基の置換、付加、または除去による、コレステロールに由来する化合物を指す。
別の実施形態では、親油性部分は芳香族部分である。この文脈では、「芳香族」という用語は、単芳香族および多芳香族炭化水素を広く指す。芳香族基としては、随意に置換されていてもよい、一から三個の芳香族環を含むC-C14アリール部分と、アルキル基に共有結合されたアリール基を含む「アラルキル」または「アリールアルキル」基であって、そのいずれも独立して、任意選択で置換されていてもよく、または非置換でもよい「アラルキル」または「アリールアルキル」基と、および「ヘテロアリール」基と、が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、5~14個の環原子、好ましくは5、6、9、または10個の環原子を有する基、環状配列で共有される6、10、または14πの電子を有する基、および炭素原子に加えて、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)からなる群から選択される一から約三個のヘテロ原子を有する基を指す。
本明細書で用いられる場合、「置換」アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基は、一から四個、好ましくは一から約三個、より好ましくは一つまたは二つの非水素置換基を有するものである。好適な置換基としては、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノ、およびウレイド基が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、アラルキル基、例えば、2-アリールプロパノイル部分である。アラルキル基の構造的特徴は、親油性部分がインビボで少なくとも一つのタンパク質に結合するように選択される。特定の実施形態では、アラルキル基の構造的特徴は、親油性部分が血清、血管、または細胞タンパク質に結合するように選択される。特定の実施形態では、アラルキル基の構造的特徴は、アルブミン、免疫グロブリン、リポタンパク質、α-2-マクログルブリン、またはα-1-糖タンパク質への結合を促進する。
特定の実施形態では、リガンドは、ナプロキセンまたはナプロキセンの構造誘導体である。ナプロキセンの合成手順は、米国特許第3,904,682号、および米国特許第4,009,197号に見出され、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ナプロキセンは、化学名(S)-6-メトキシ-α-メチル-2-ナフタレン酢酸を有し、構造は、
である。
特定の実施形態では、リガンドは、イブプロフェンまたはイブプロフェンの構造誘導体である。イブプロフェンの合成手順は、米国特許第3,228,831に見出すことができ、これは、本明細書に提供される方法のために参照により本明細書に組み込まれる。イブプロフェンの構造は、
である。
追加の例示的なアラルキル基は、米国特許第7,626,014号に示されており、これは、本明細書に提供される方法のために参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、好適な親油性部分は、脂質、コレステロール、レチノイン酸、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキサノール(geranyloxyhexyanol)、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸(O3-(oleoyl)cholenic acid)イブプロフェン、ナプロキセン、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンを含む。
特定の実施形態では、特に親油性部分が低親油性または疎水性を有する場合、二つ以上の親油性部分を二本鎖RNAi剤に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、二つ以上の親油性部分が、二本鎖RNAi剤の同じ鎖に組み込まれる。いくつかの実施形態では、二本鎖RNAi剤の同じ鎖は、一つ以上の組み込まれた親油性部分を有する。いくつかの実施形態では、二つ以上の親油性部分は、二本鎖RNAi剤の同じ位置(すなわち、同じ核酸塩基、同じ糖部分、または同じヌクレオチド間結合)に組み込まれる。これは、例えば、担体を介して二つ以上の親油性部分をコンジュゲートすること、または分岐リンカーを介して二つ以上の親油性部分をコンジュゲートすること、または一つ以上のリンカーを介して二つ以上の親油性部分を、親油性部分を連続的に連結する一つ以上のリンカーとコンジュゲートすることによって達成することができる。
親油性部分は、RNAi剤のリボ糖への直接結合を介してRNAi剤にコンジュゲートされ得る。あるいは、親油性部分は、リンカーまたは担体を介して二本鎖RNAi剤にコンジュゲートされてもよい。
特定の実施形態では、親油性部分は、一つ以上のリンカー(係留)を介してRNAi剤にコンジュゲートされ得る。
いくつかの実施形態では、親油性部分は、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物(例えば、アジド-アルキン環化付加からのトリアゾール)、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖RNAi剤にコンジュゲートされる。
B.脂質コンジュゲート
いくつかの実施形態では、リガンドは、脂質または脂質系分子である。このような脂質または脂質系分子は、通常、血清タンパク質を、例えばヒト血清アルブミン(HSA)を結合できる。HSA結合リガンドは、標的組織へのコンジュゲートの血管分布を可能にする。例えば、標的組織は眼とすることができる。HSAを結合可能な他の分子もまた、リガンドとして使用できる。例えば、ネプロキシン(neproxin)またはアスピリンを使用できる。脂質または脂質系リガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大できる、(b)標的細胞もしくは細胞膜内へのターゲティングもしくは輸送を増大できる、および/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用できる。
脂質系リガンドを使用して、コンジュゲートの標的組織への結合を調節、例えば、制御(例えば、阻害)することができる。例えば、より強力にHSAに結合する脂質または脂質系リガンドは、腎臓を標的とする可能性が低く、したがって身体から排除される可能性が低くなる。コンジュゲートが腎臓を標的とするように、あまり強力にHSAに結合しない脂質または脂質系リガンドを使用することができる。
いくつかの実施形態では、脂質系リガンドは、HSAを結合する。例えば、リガンドは、十分な親和性でHSAに結合でき、その結果、非腎臓組織へのコンジュゲートの分布が増強される。しかしながら、この親和性は、通常、HSA-リガンド間結合を元に戻すことができないほど強力ではない。
いくつかの実施形態では、脂質系リガンドは、HSAに弱く結合するか、または全く結合せず、その結果腎臓へのコンジュゲートの分布が増強される。脂質系リガンドの代わりに、または脂質系リガンドに加えて、腎臓細胞を標的とする他の部分も使用できる。
別の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖性細胞によって取り込まれる、例えば、ビタミンである部分である。これらは、例えば、悪性または非悪性種の、例えば、がん細胞の望まれない細胞増殖を特徴とする障害の治療に特に有用である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、EおよびKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、またはがん細胞に取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素が挙げられる。HSAおよび低密度リポタンパク(LDL)もまた挙げられる。
C.細胞透過剤
別の態様では、リガンドは、細胞透過剤、例えばヘリカル(helical)細胞透過剤などである。いくつかの実施形態では、該薬剤は、両親媒性である。例示的な剤としては、例えばtatまたはアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドがある。該薬剤がペプチドである場合、それは修飾可能であり、これにはぺプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチドまたは疑似ペプチド連結、およびD-アミノ酸の使用、が含まれる。ヘリカル(helical)剤は、通常、α-ヘリカル(helical)剤であり、親油性相および疎油性相を有し得る。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも称する)は、天然ペプチドと類似する規定された三次元構造にフォールディング可能な分子である。ペプチドおよびペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、細胞認識および吸収を増強することなどによって、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣体部分は、約5~50アミノ酸長であり得、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長である。
ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば、細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチドまたは疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束されたペプチドまたは架橋されたペプチドであり得る。別の選択肢としては、ペプチド部分は、疎水性の膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号3)を有するRFGFがある。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号4))も、標的化部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を横断してペプチド、オリゴヌクレオチドおよびタンパク質を含む大きな極性分子を運搬することができる、「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号5))およびDrosophila Antennapediaタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号6))からの配列は、送達ペプチドとして機能することができることがわかっている。ペプチドまたはペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリーまたは1ビーズ1化合物(one-bead-one-compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリー(Lam et al.,Nature,354:82-84,1991)から同定されるペプチドなど、DNAのランダム配列によってコードされ得る。通常、組み込まれたモノマー単位を介してdsRNA剤に係留されるペプチドまたはペプチド模倣体として、細胞ターゲティングペプチド、例えばアルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドまたはRGD模倣体などがある。ペプチド部分は、長さが、約5アミノ酸~約40アミノ酸の範囲であり得る。ペプチド部分は、例えば安定性を増大させるまたは立体配座特性を司るなどの構造的な修飾を有し得る。以下に記載する構造的な修飾のいずれもが利用可能である。
本開示の組成物および方法において使用するためのRGDペプチドは、直鎖状であっても環状であってもよく、また特定の組織へのターゲティングを促進するように修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化、されてもよい。RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣体は、D-アミノ酸ならびに合成RGD模倣体を含み得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分が使用可能である。いくつかの実施形態では、このリガンドのコンジュゲートは、PECAM-1またはVEGFを標的とする。
RGDペプチド部分を、特定の細胞種、例えば腫瘍細胞、例えば、内皮腫瘍細胞または乳がん腫瘍細胞、を標的とするために使用可能である(Zitzmann et al.,Cancer Res.,62:5139-43,2002)。RGDペプチドは、dsRNA剤の肺、腎臓、脾臓または肝臓を含むさまざまな他の組織の腫瘍へのターゲティングを促進できる(Aoki et al.,Cancer Gene Therapy 8:783-787,2001)。通常、RGDペプチドは、iRNA剤の腎臓へのターゲティングを促進することとなる。RGDペプチドは、直鎖状または環状であり得、また特定の組織へのターゲティングを促進するように修飾され得、例えば、グリコシル化またはメチル化され得る。例えばグリコシル化されたRGDペプチドは、αβを発現する腫瘍細胞にiRNA剤を送達可能である(Haubner et al.,Jour.Nucl.Med.,42:326-336,2001)。
「細胞透過ペプチド」は、細胞、例えば、バクテリアもしくは真菌細胞などである微生物細胞、または例えばヒト細胞などの哺乳動物細胞を、透過可能である。微生物細胞透過性ペプチドは、例えばα-ヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL-37またはセロピン(Ceropin)P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシンまたはバクテネシン(bactenecin))または一つもしくは二つの支配的なアミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39またはインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核移行シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41とSV40ラージT抗原のNLSとの融合ペプチドドメインに由来する、例えばMPGなどである二部分の両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717-2724,2003)。
D.炭水化物コンジュゲートおよびリガンド
本開示の組成物および方法のいくつかの実施形態では、iRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物をさらに含む。炭水化物とコンジュゲートされたiRNAは、本明細書に記載するように、核酸のインビボでの送達に有利であると同時にインビボでの治療的使用に適した組成物である。本明細書において使用する場合、「炭水化物」とは、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに少なくとも6個の炭素原子を有する一つ以上の単糖単位で構成されている炭水化物自体(直鎖状、分枝または環状であり得る)、またはその一部として、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに各々が少なくとも六個の炭素原子を有する一つ以上の単糖単位で構成されている炭水化物部分(直鎖状、分枝または環状であり得る)を有する化合物、のいずれかである化合物を指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖、および約4、5、6、7、8または9の単糖単位を含有するオリゴ糖)ならびに多糖、例えばデンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖類樹脂、が挙げられる。特定の単糖としては、C5、および上記の(例えば、C5、C6、C7またはC8)糖が挙げられ、二糖および三糖としては、二または三の単糖単位(例えば、C5、C6、C7またはC8)を有する糖が挙げられる。
特定の実施形態では、本開示の組成物および方法は、C16リガンドを含む。例示的な実施形態では、本開示のC16リガンドは、以下の構造を有し(ウラシル塩基について本明細書で以下に例示されるが、C16リガンドの結合は、任意の塩基(C、G、Aなど)を提示する、または本明細書に提示される任意の他の修飾を有するヌクレオチドについて企図される、ただし、2’リボ結合は保持される)、そのように修飾された残基内のリボの2’位で結合される。
上述のように、C16リガンド修飾残基は、そのように修飾された例示的な残基(ここではウラシル)の2’-リボ位に直鎖アルキルを提示する。
いくつかの実施形態では、本開示のRNAi剤の炭水化物コンジュゲートは、これに限定されないがPKモジュレーターまたは細胞透過ペプチドなどである、上記のような一つ以上のさらなるリガンドをさらに含む。
本開示において使用するのに適したさらなる炭水化物コンジュゲート(およびリンカー)としては、国際公開第2014/179620号および国際公開第2014/179627号に記載されるものが挙げられ、各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、本開示の組成物および方法は、本明細書において記載するRNAi剤のビニルホスホネート(VP)修飾を含む。例示的実施形態では、本開示のビニルホスホネートは、以下の構造を有する:
本開示のビニルホスホネートは、本開示のdsRNAのアンチセンスまたはセンス鎖のいずれかに結合し得る。特定の好ましい実施形態では、本開示のビニルホスホネートを、随意に、dsRNAのアンチセンス鎖の5’端で、dsRNAのアンチセンス鎖に結合させる。dsRNAi剤は、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’末端においてリン含有基を含み得る。5’末端リン含有基は、5’末端ホスフェート(5’-P)、5’末端ホスホロチオエート(5’-PS)、5’末端ホスホロジチオエート(5’-PS2)、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)、5’末端メチルホスホネート(MMePhos)、または5’-デオキシ-5’-C-マロニルであり得る。5’末端リン含有基が5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)である場合、5’-VPは、5’-E-VP異性体(すなわち、トランス-ビニルホスホネート、
5’-Z-VP異性体(すなわち、シス-ビニルホスホネート、
またはそれらの混合物のいずれかであり得る。
本開示の組成物および方法のためにビニルリン酸修飾も企図される。例示的ビニルホスフェート構造は以下の通りである。
いくつかの実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、単糖を含む。いくつかの実施形態では、単糖は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。一つ以上のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体を含むGalNAcコンジュゲートは、例えば米国特許第8,106,022号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、iRNAを特定の細胞に標的化するリガンドとして機能する。いくつかの実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、例えば、肝臓の細胞(例えば、肝細胞)のアシアロ糖タンパク質受容体のリガンドとして機能することによって、iRNAが肝臓の細胞を標的にする。
いくつかの実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、一つ以上のGalNAc誘導体を含む。GalNAc誘導体は、リンカーを介して、例えば、二価または三価の分枝リンカーを介して、結合させることができる。いくつかの実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、リンカーを介して、例えば、本明細書において記載するようなリンカーを介して、iRNA剤に(例えば、センス鎖の3’末端に)コンジュゲートされる。
いくつかの実施形態では、GalNAcコンジュゲートは、
式IIである。
いくつかの実施形態では、RNAi剤は、以下の概略図で示すようなリンカーを介して炭水化物コンジュゲートに結合し、式中Xは、OまたはSである。
いくつかの実施形態では、RNAi剤は、表1において規定され、以下に示す通り、L96にコンジュゲートする。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物および方法において使用するための炭水化物コンジュゲートは、以下からなる群から選択される:
本明細書において記載する実施形態において使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、これに限定されないが、
(式XXIII)が挙げられ、XまたはYのうち一方がオリゴヌクレオチドである場合は、もう一方が水素である。
いくつかの実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、これに限定されないがPKモジュレーターおよび/または細胞透過ペプチドなどである、上記のような一つ以上のさらなるリガンドをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のiRNAは、リンカーを通じて炭水化物にコンジュゲートされる。本開示の組成物および方法のリンカーを有するiRNA炭水化物コンジュゲートの限定されない例としては、これに限定されないが、
および
が挙げられ、XまたはYのうち一方がオリゴヌクレオチドである場合は、もう一方が水素である。
E.熱的不安定化修飾
特定の実施形態では、アンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~9位において)中に熱的不安定化修飾を組み込んで、オフターゲット遺伝子サイレンシングを低減または阻害することによって、dsRNA分子をRNA干渉のために最適化できる。アンチセンス鎖の5’末端から数えて最初の9ヌクレオチドの位置内にある二本鎖の少なくとも一つの熱的不安定化修飾を含むアンチセンス鎖を有するdsRNAが、オフターゲット遺伝子サイレンシング活性を低減したことを発見した。したがって、いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の5’領域の最初の9ヌクレオチドの位置内に、二本鎖の少なくとも一つ(例えば、一、二、三、四、五またはそれより多い)の熱的不安定化修飾を含む。いくつかの実施形態では、一つ以上の二本鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から2~9位、または好ましくは4~8位に位置する。いくつかのさらなる実施形態では、二本鎖の熱的不安定化修飾飾は、アンチセンス鎖の5’末端から6、7または8位に位置する。またいくつかのさらなる実施形態では、二本鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から7位に位置する。「熱的不安定化修飾」という用語は、そうした修飾を有していないdsRNAのTmよりも、より低い全体的な融解温度(Tm)(好ましくは一、二、三または四度低いTm、を有するdsRNAをもたらすこととなる修飾を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖の熱的不安定化修飾は、アンチセンス鎖の5’末端から2、3、4、5または9位に位置する。
熱的不安定化修飾としては、これらに限らないが、脱塩基修飾、対向する鎖における対向するヌクレオチドとのミスマッチ、および糖修飾、例えば、2’-デオキシ修飾または非環式ヌクレオチド、例えば、アンロック核酸(UNA)またはグリコール核酸(GNA)を挙げることができる。
例示的な脱塩基修飾としては、これに限定されないが、以下が挙げられる:
式中、R=H、Me、EtまたはOMe、R’=H、Me、EtまたはOMe、R”=H、Me、EtまたはOMe
式中、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基である。
例示的な糖修飾としては、これに限定されないが、以下が挙げられる:
式中、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基である。
いくつかの実施形態では、二本鎖の熱的不安定化修飾は、以下からなる群から選択される:
式中、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基であり、また各構造上のアスタリスクは、R、Sまたはラセミのいずれかを表す。
用語「非環式ヌクレオチド」は、非環式のリボース糖を有する任意のヌクレオチドを指し、例えば、リボース炭素間の結合(例えば、C1’-C2’、C2’-C3’、C3’-C4’、C4’-O4’、またはC1’-O4’)のいずれかが、存在しないか、またはリボース炭素もしくは酸素のうち少なくとも一つ(例えば、C1’、C2’、C3’、C4’、またはO4’)が独立に、もしくは組み合わせて、ヌクレオチドに存在しないものである。いくつかの実施形態では、非環式ヌクレオチドは、
であり、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基であり、RおよびRは、独立して、H、ハロゲン、ORまたはアルキルであり、またRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖である)。「UNA」という用語は、糖の結合のいずれかが除去されて、アンロック「糖」残基を形成する、非環式のアンロック核酸を指す。一実施例では、UNAはまた、C1’-C4’間の結合が除去されているモノマーを包含する(すなわち、C1’炭素とC4’炭素との間の炭素-酸素-炭素の共有結合)。別の実施例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’炭素とC3’炭素との間の炭素-炭素の共有結合)が除去される(Mikhailov et.al.,Tetrahedron Letters,26(17):2059(1985)、およびFluiter et al.,Mol.Biosyst.,10:1039(2009)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。非環式誘導体は、ワトソン-クリック対合に影響を及ぼすことなく、より大きな骨格柔軟性を与える。非環式ヌクレオチドは、2’-5’または3’-5’連結を介して連結され得る。
「GNA」という用語は、グリコール核酸を指し、これはDNAまたはRNAと類似のポリマーであるが、ホスホジエステル結合によって連結された反復するグリセロール単位から構成される点でその「骨格」の組成が異なる。
二本鎖の熱的不安定化修飾は、熱不安定化ヌクレオチドと、dsRNA二本鎖内の対向する鎖内の対向するヌクレオチドとの間のミスマッチ(すなわち、非相補的な塩基対)であり得る。例示的なミスマッチ塩基対としては、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、U:T、またはそれらの組み合わせが挙げられる。当技術分野で公知の他のミスマッチ塩基対合も本発明に従う。ミスマッチは、天然に存在するヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドのいずれかであるヌクレオチドの間に生じ得、すなわち、ミスマッチ塩基対合は、ヌクレオチドのリボース糖上の修飾とは独立してそれぞれのヌクレオチドに由来する核酸塩基間で生じ得る。特定の実施形態では、dsRNA分子は、2’-デオキシ核酸塩基であるミスマッチ対合内の少なくとも一つの核酸塩基を含有し、例えば、2’-デオキシ核酸塩基は、センス鎖内にある。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖のシード領域内の二本鎖の熱的不安定化修飾は、標的mRNA上の相補的塩基とのW-C H結合が損なわれたヌクレオチドを含み、例えば以下のものである。
脱塩基ヌクレオチド、非環式ヌクレオチド修飾(UNAおよびGNAを含む)およびミスマッチ修飾のより多くの例は、国際公開第2011/133876号に詳細に記載されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
熱的不安定化修飾はまた、対向し合う塩基と水素結合を形成する能力が低減または消失したユニバーサル塩基およびリン酸修飾を含み得る。
いくつかの実施形態では、二本鎖の熱的不安定化修飾には、非標準塩基を有するヌクレオチド、例えばこれに限定されないが、対向する鎖内の塩基と水素結合を形成する能力が損なわれた、または完全に消失した核酸塩基修飾が含まれる。これら核酸塩基修飾は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2010/0011895号に記載されるように、dsRNA二本鎖の中心領域の不安定化について評価されている。例示的な核酸塩基の修飾としては、以下がある。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖のシード領域内の二本鎖の熱的不安定化修飾としては、標的mRNA上の塩基と相補的である一つ以上のα-ヌクレオチドを含み、例えば以下がある:
式中、Rは、H、OH、OCH、F、NH、NHMe、NMeまたはO-アルキルである。
天然のホスホジエステル連結と比較して、dsRNA二本鎖の熱的安定性を低下させることがわかっている例示的なリン酸修飾としては以下のものがある:
R基のアルキルは、C-Cアルキルであり得る。R基の具体的なアルキルとしては、これに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。
当業者が認識することとなるように、核酸塩基の機能的役割が本開示のRNAi剤の特異性を規定しているということを考慮して、核酸塩基修飾は本明細書に記載するような種々の手法で、例えば、オフターゲット効果に対してオンターゲット効果を増強する目的のために、例えば、本開示のRNAi剤に不安定化修飾を導入することを実施することが可能であるが、利用可能であって、概して本開示のRNAi剤上に存在する修飾の範囲は、例えば、ポリリボヌクレオチドの糖基またはホスフェート骨格に対する修飾である非核酸塩基修飾に対してずっと大きい傾向がある。こうした修飾は、本開示の他の項でより詳細に記載するものであり、また本明細書において上記または他の場所で記載されるような天然の核酸塩基または修飾核酸塩基のいずれかを有する本開示のRNAi剤のために明確に企図される。
dsRNAはまた、熱的不安定化修飾を含むアンチセンス鎖に加えて、一つ以上の安定化修飾を含み得る。例えばdsRNAは、少なくとも二つ(例えば、二、三、四、五、六、七、八、九、十またはそれ以上)の安定化修飾を含み得る。限定するものではないが、安定化修飾は全て、一方の鎖内に存在し得る。いくつかの実施形態では、センスおよびアンチセンス鎖の両方が、少なくとも二つの安定化修飾を含む。安定化修飾は、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかのヌクレオチドで生じ得る。例えば、安定化修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上のどのヌクレオチド上でも生じ得、各安定化修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上で交互パターン内で生じ得、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互パターン内で両方の安定化修飾を含む。センス鎖上の安定化修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同一である場合も異なっている場合もあり、またセンス鎖上の安定化修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上の安定化修飾の交互パターンに対して相対的な移動がある場合がある。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、少なくとも二つ(例えば、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七、八、九、十またはそれ以上)の安定化修飾を含む。限定されるものではないが、アンチセンス鎖内の安定化修飾は、任意の位置に存在し得る。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端から2、6、8、9、14および16位に安定化修飾を含む。いくつかの他の実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端から2、6、14、および16位に安定化修飾を含む。さらにいくつかの他の実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端から2、14、および16位に安定化修飾を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾に隣接する少なくとも一つの安定化修飾を含む。例えば、安定化修飾は、不安定化修飾の5’末端または3’末端にある、すなわち、不安定化修飾の位置から-1位または+1位にある、ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾の5’末端および3’末端の各々にある、すなわち、不安定化修飾の位置から-1位および+1位にある、安定化修飾を含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾の3’末端にある、すなわち、不安定化修飾の位置から+1位および+2位にある、少なくとも二つの安定化修飾を含む。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、少なくとも二つ(例えば、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十またはそれ以上)の安定化修飾を含む。限定されるものではないが、センス鎖内の安定化修飾は、任意の位置に存在し得る。いくつかの実施形態では、センス鎖は、5’末端から7、10および11位に安定化修飾を含む。いくつかの他の実施形態では、センス鎖は、5’末端から7、9、10および11位に安定化修飾を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の11、12および15位に対して対向する位置または相補的な位置に安定化修飾を含む。いくつかの他の実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の11、12、13および15位に対して対向する位置または相補的な位置に安定化修飾を含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、二、三または四つの安定化修飾のブロックを含む。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖内の二本鎖の熱的不安定化修飾に対向する位置または相補的な位置に安定化修飾を含まない。
例示的な熱的安定化修飾としては、これに限定されないが、2’-フルオロ修飾が挙げられる。他の熱的安定化修飾としては、これに限定されないが、LNAが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNAは、少なくとも四つ(例えば、四、五、六、七、八、九、十またはそれ以上)の2’-フルオロヌクレオチドを含む。これに限定されないが、2’-フルオロヌクレオチドはすべて、一方の鎖内に存在し得る。いくつかの実施形態では、センスおよびアンチセンス鎖の両方が、少なくとも二つの2’-フルオロヌクレオチドを含む。2’-フルオロ修飾は、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかのヌクレオチド上で生じ得る。例えば、2’-フルオロ修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上のどのヌクレオチド上でも生じる得、各2’-フルオロ修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上の交互パターンにおいて生じ得、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、両方とも交互パターンにおいて2’-フルオロ修飾を含む。センス鎖上の2’-フルオロ修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同一である場合も異なっている場合もあり、またセンス鎖上の2’-フルオロ修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上の2’-フルオロ修飾の交互パターンに対して相対的な移動があり得る。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、少なくとも二つ(例えば、二、三、四、五、六、七、八、九、十またはそれ以上)の2’-フルオロヌクレオチドを含む。これに限定されるものではないが、アンチセンス鎖内の2’-フルオロ修飾は、任意の位置に存在し得る。いくつかの実施形態では、アンチセンスは、5’末端から2、6、8、9、14、および16位に2’-フルオロヌクレオチドを含む。いくつかの他の実施形態では、アンチセンスは、5’末端から2、6、14、および16位に2’-フルオロヌクレオチドを含む。さらにいくつかの他の実施形態では、アンチセンスは、5’末端から2、14および16位に2’-フルオロヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾に隣接する少なくとも一つの2’-フルオロヌクレオチドを含む。例えば、2’-フルオロヌクレオチドは、不安定化修飾の5’末端または3’末端にある、すなわち、不安定化修飾の位置から-1位または+1位の位置にある、ヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾の5’末端および3’末端の各々に、すなわち、不安定化修飾の位置から-1および+1位の位置に、2’-フルオロヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖は、不安定化修飾の3’末端に、すなわち、不安定化修飾の位置から+1および+2位に、少なくとも二つの2’-フルオロヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、少なくとも二つ(例えば、二つ、三、四、五、六、七、八、九、十またはそれ以上)の2’-フルオロヌクレオチドを含む。これに限定されるものではないが、センス鎖内の2’-フルオロ修飾は、任意の位置に存在し得る。いくつかの実施形態では、アンチセンスは、5’末端から7、10および11位に2’-フルオロヌクレオチドを含む。いくつかの他の実施形態では、センス鎖は、5’末端から7、9、10および11位に2’-フルオロヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の11、12および15位に対して対向する位置または相補的な位置に2’-フルオロヌクレオチドを含む。いくつかの他の実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖の5’末端から数えて、アンチセンス鎖の11、12、13および15位に対して対向する位置または相補的な位置に2’-フルオロヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、センス鎖は、二、三または四つの2’-フルオロヌクレオチドのブロックを含む。
いくつかの実施形態では、センス鎖は、アンチセンス鎖内の二本鎖の熱的不安定化修飾に対向する位置または相補的な位置に2’-フルオロヌクレオチドを含まない。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、21ヌクレオチド(nt)のセンス鎖と23ヌクレオチド(nt)のアンチセンスとを含み、該アンチセンス鎖は少なくとも一つの熱的不安定化ヌクレオチドを含有し、該少なくとも一つの熱的不安定化ヌクレオチドはアンチセンス鎖のシード領域(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~9位にある)内で生じるものであり、dsRNAの一方の末端が平滑である一方で他方の末端は2ntのオーバーハングを含み、またdsRNAは随意に、少なくとも一つ(例えば、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つすべて)の以下の特徴をさらに含むものである:(i)アンチセンスは、2、3、4、5または6つの2’-フルオロ修飾を含む、(ii)アンチセンスは、1、2、3、4または5つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む、(iii)センス鎖は、リガンドとコンジュゲートされる、(iv)センス鎖は、2、3、4または5つの2’-フルオロ修飾を含む、(v)センス鎖は、1、2、3、4または5つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む、(vi)dsRNAは、少なくとも四つの2’-フルオロ修飾を含む、および(vii)dsRNAは、アンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を含む。好ましくは、2ntのオーバーハングは、アンチセンスの3’末端にある。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖内のどのヌクレオチドも修飾され得る。各ヌクレオチドは、同一または異なる修飾で修飾され得、当該修飾としては、非連結ホスフェート酸素の一方もしくは両方の、または連結ホスフェート酸素の一つ以上のうちの一つ以上の変更、リボース糖の構成成分の変更、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの変更、ホスフェート部分の「脱リン酸化」リンカーでの大規模な置換、天然に存在する塩基の修飾または置換、およびリボースホスフェート骨格の置換または修飾が挙げられ得る。
核酸はサブユニットのポリマーであるので、修飾の多くは、核酸内で反復される位置で生じ、例えば、塩基またはホスフェート部分、またはホスフェート部分の非連結のOの修飾である。一部の場合においては、修飾は、核酸中の対象位置の全てにおいて生じることとなるが、多くの場合、生じることとならない。例として、修飾は、3’末端または5’末端の位置においてのみ生じ得、末端領域においてのみ生じ得、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチドにおいて生じ得る。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域または両方において生じ得る。修飾は、RNAの二本鎖領域においてのみ生じ得、またはRNAの一本鎖領域においてのみ生じ得る。例えば、非連結のOの位置でのホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端でのみ生じ得る、末端領域においてのみ、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置または最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチドにおいて生じ得る、または二本鎖および一本鎖領域において、特に末端において、生じ得る。5’末端をリン酸化することが可能である。
それにより、例えば、安定性を増強すること、オーバーハング内に特定の塩基を含めること、または一本鎖のオーバーハング内、例えば、5’オーバーハングもしくは3’オーバーハング内、または両オーバーハング内に、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代替物を含めることが可能であり得る。例えば、オーバーハング内にプリンヌクレオチドを含めることが望ましいものであり得る。いくつかの実施形態では、3’オーバーハングまたは5’オーバーハング内の塩基の全てまたは一部が、例えば、本明細書において記載する修飾で修飾され得る。修飾は、例えば、当技術分野で公知である修飾でのリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりに修飾された、デオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)または2’-O-メチルの使用、およびホスフェート基における修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾、を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、LNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシまたは2’-フルオロで独立に修飾される。これら鎖は、二つ以上の修飾を含有し得る。いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立に修飾される。これら修飾は、アンチセンス鎖内に存在する二本鎖の少なくとも一つの熱的不安定化修飾に付加されるということを理解されたい。
少なくとも二つの異なる修飾が、典型的には、センス鎖およびアンチセンス鎖上に存在する。それらの二つの修飾は、2’-デオキシ、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾、非環式ヌクレオチドなどであり得る。いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖は各々、2’-O-メチルまたは2’-デオキシから選択される、二つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)ヌクレオチド、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチル(2’-O-DMAEOE)ヌクレオチド、2’-O-アミノプロピル(2’-O-AP)ヌクレオチド、または2’-アラ-Fヌクレオチド(2’-ara-F nucleotide)で修飾される。ここでも、これら修飾は、アンチセンス鎖内に存在する二本鎖の少なくとも一つの熱的不安定化修飾に付加されるということを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、特にB1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、B4’領域における、交互パターンの修飾を含む。「交互モチーフ」または「交互パターン」という用語は、本明細書で使用する場合、一つ以上の修飾を有するモチーフを指し、各修飾は、一本の鎖の交互ヌクレオチド上で生じる。交互ヌクレオチドとは、一つ置きのヌクレオチド毎に一つまたは三つのヌクレオチド毎に一つまたは類似のパターンを指し得る。例えば、A、BおよびCが各々、ヌクレオチドに対する一タイプの修飾を表す場合、当該交互モチーフは、「ABABABABABAB…」、「AABBAABBAABB…」、「AABAABAABAAB…」、「AAABAAABAAAB…」、「AAABBBAAABBB…」または「ABCABCABCABC…」などであり得る。
交互モチーフ内に含有されるこのタイプの修飾は、同一である場合も、異なっている場合もある。例えば、A、B、C、Dが各々、ヌクレオチド上の一タイプの修飾を表す場合、交互パターンが、すなわち、一つ置きのヌクレオチド上の修飾が、同一であり得るが、センス鎖またはアンチセンス鎖の各々が、例えば「ABABAB…」、「ACACAC…」、「BDBDBD…」、または「CDCDCD…」などである交互モチーフの範囲内のいくつかの可能性のある修飾から選択され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、アンチセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンに対して相対的に移動されているセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンを含む。当該移動は、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なるように修飾された基に対応するようになされたものであり得、逆もまた同様である。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖内のアンチセンス鎖と対合される場合には、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’-3’から「ABABAB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二本鎖領域内の鎖の3’-5’から「BABABA」で開始し得る。別の例としては、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’-3’から「AABBAABB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二本鎖領域内の鎖の3’-5’から「BBAABBAA」で開始し得、その結果、センス鎖およびアンチセンス鎖間の修飾パターンの完全な移動または部分的な移動が存在する。
本開示のdsRNA分子は、少なくとも一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含み得る。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾は、鎖の任意の位置にあるセンス鎖またはアンチセンス鎖または両鎖のいずれかのヌクレオチド上で生じ得る。例えば、ヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上のどのヌクレオチドでも生じ得る、各ヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上で交互パターンで生じ得る、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互パターンで両方のヌクレオチド間連結修飾を含む。センス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同一または異なり得、またセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンに対して相対的な移動があり得る。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子は、オーバーハング領域内にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、二つのヌクレオチドを含むものであって、該二つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を有する二つのヌクレオチドを含む。ヌクレオチド間連結修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを二本鎖領域内の末端の対合されるヌクレオチドと連結させるようになされ得る。例えば、少なくとも2、3、4または全てのオーバーハングヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結によって連結され得、随意に、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドと隣接する対合したヌクレオチドと連結するさらなるホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が存在し得る。例えば、三つのヌクレオチドのうち二つがオーバーハングヌクレオチドであり、三番目が、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドであるような、末端の三つのヌクレオチド間に、少なくとも二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し得る。好ましくは、これら末端の三つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端にあり得る。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される二から十のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の1~10ブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該センス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むアンチセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される二つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される三つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される四つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される五つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される六つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、または8のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される七つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、または6のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される八つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、dsRNA分子のアンチセンス鎖は、1、2、3、または4のホスフェートヌクレオチド間連結によって分離される九つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の二つのブロックを含むものであり、このホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結の一つは、オリゴヌクレオチド配列内の任意の位置に配置され、また当該アンチセンス鎖は、ホスホロチオエート、メチルホスホネートおよびホスフェートのヌクレオチド間連結のいずれかの組み合わせを含むセンス鎖とまたはホスホロチオエートもしくはメチルホスホネートもしくはホスフェート連結のいずれかを含むアンチセンス鎖と対合する。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センスまたはアンチセンス鎖の末端の1~10位の範囲内に一つ以上のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチドが、センスまたはアンチセンス鎖の一方の末端または両末端においてホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を介して連結され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センスまたはアンチセンス鎖の各々の二本鎖の内側領域の1~10位の範囲内に一つ以上のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10のヌクレオチドが、センス鎖の5’末端から数えて二本鎖領域の8~16位にあるホスホロチオエートメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾を介して連結され得、当該dsRNA分子は、随意に、その末端の1~10位の範囲内に一つ以上のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に一から五つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一から五つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一から五つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の一から五つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つ、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1~5位の範囲内に二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内に一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と18~23位の範囲内の二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と20および21位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と20および21位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21および22位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21および22位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と22および23位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、センス鎖の(5’末端から数えて)1位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と21位における一つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾、ならびにアンチセンス鎖の(5’末端から数えて)1および2位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と23および23位における二つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、骨格キラル中心のパターンを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも5つのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも6つのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも7つのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも8つのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも9つのヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも10のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも11のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも12のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも13のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも14のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも15のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも16のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも17のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも18のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも19のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の8以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の7以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の6以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の5以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の4以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の3以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の2以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Rp立体配置の1以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない8以下のヌクレオチド間連結を含む(限定されない例として、ホスホジエステル)。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない7以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない6以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない5以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない4以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない3以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない2以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、キラルでない1以下のヌクレオチド間連結を含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも10のヌクレオチド間連結と、キラルでない8以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも11のヌクレオチド間連結と、キラルでない7以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも12のヌクレオチド間連結と、キラルでない6以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも13のヌクレオチド間連結と、キラルでない6以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも14のヌクレオチド間連結と、キラルでない5以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、骨格キラル中心の通常のパターンは、Sp立体配置の少なくとも15のヌクレオチド間連結と、キラルでない4以下のヌクレオチド間連結とを含む。いくつかの実施形態では、Sp立体配置のヌクレオチド間連結は、連続であってもよく、または連続でなくてもよい。いくつかの実施形態では、Rp立体配置のヌクレオチド間連結は、連続であってもよく、または連続でなくてもよい。いくつかの実施形態では、キラルでないヌクレオチド間連結は、連続であってもよく、または連続でなくてもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、立体化学ブロックであるブロックを含む。いくつかの実施形態では、ブロックは、ブロックの各ヌクレオチド間連結がRpである点でRpブロックである。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、Rpブロックである。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、Rpブロックである。いくつかの実施形態では、ブロックは、ブロックの各ヌクレオチド間連結がSpである点でSpブロックである。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、Spブロックである。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、Spブロックである。いくつかの実施形態では、提供されるオリゴヌクレオチドは、RpブロックおよびSpブロックの両方を含む。いくつかの実施形態では、提供されたオリゴヌクレオチドは、一つ以上のRpブロックを含むが、Spブロックを含まない。いくつかの実施形態では、提供されるオリゴヌクレオチドは、一つ以上のSpブロックを含むが、Rpブロックを含まない。いくつかの実施形態では、提供されるオリゴヌクレオチドは、一つ以上のPOブロックであって、各ヌクレオチド間連結が天然のホスフェート連結であるPOブロックを含む。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、各糖部分が2’-F修飾を含むSpブロックである5’-ブロックを含む。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、ヌクレオチド間連結の各々が修飾ヌクレオチド間連結であり、また各糖部分が2’-F修飾を含む、Spブロックである。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、ヌクレオチド間連結の各々がホスホロチオエート連結であり、また各糖部分が2’-F修飾を含む、Spブロックである。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、4以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、5以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、6以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、5’-ブロックは、7以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、各糖部分が2’-F修飾を含む、Spブロックである。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、ヌクレオチド間連結の各々が修飾ヌクレオチド間連結であり、また各糖部分が2’-F修飾を含む、Spブロックである。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、ヌクレオチド間連結の各々がホスホロチオエート連結であり、また各糖部分が2’-F修飾を含む、Spブロックである。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、4以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、5以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、6以上のヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、3’-ブロックは、7以上のヌクレオシド単位を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、ある領域内にあるタイプのヌクレオシドを含むか、またはオリゴヌクレオチドに、特定のタイプのヌクレオチド間連結が続くものであり、それは例えば、天然のホスフェート連結、修飾ヌクレオチド間連結、Rpキラルヌクレオチド間連結、Spキラルヌクレオチド間連結などである。いくつかの実施形態では、Aに、Spが続く。いくつかの実施形態では、Aに、Rpが続く。いくつかの実施形態では、Aに、天然のホスフェート連結(PO)が続く。いくつかの実施形態では、Uに、Spが続く。いくつかの実施形態では、Uに、Rpが続く。いくつかの実施形態では、Uに、天然のホスフェート連結(PO)が続く。いくつかの実施形態では、Cに、Spが続く。いくつかの実施形態では、Cに、Rpが続く。いくつかの実施形態では、Cに、天然のホスフェート連結(PO)が続く。いくつかの実施形態では、Gに、Spが続く。いくつかの実施形態では、Gに、Rpが続く。いくつかの実施形態では、Gに、天然のホスフェート連結(PO)が続く。いくつかの実施形態では、CおよびUに、Spが続く。いくつかの実施形態では、CおよびUに、Rpが続く。いくつかの実施形態では、CおよびUに、天然のホスフェート連結(PO)が続く。いくつかの実施形態では、AおよびGに、Spが続く。いくつかの実施形態では、AおよびGに、Rpが続く。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、標的との、二本鎖内のミスマッチ、またはそれらの組合せを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域または二本鎖領域内に生じ得る。塩基対は、解離または融解を促進するその傾向に基づいて格付けされ得る(例えば、特定の対合の会合または解離の自由エネルギーに基づくものであり、最も単純なアプローチとしては、個々の対ごとに対を調べることであるが、次に、隣接するまたは同様の分析も使用可能である)。解離の促進の点では、A:UはG:Cより好ましく、G:UはG:Cより好ましく、またI:CはG:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非標準の対合または標準以外の対合(本明細書において別の箇所に記載される)が、標準(A:T、A:U、G:C)の対合より好ましく、またユニバーサル塩基を含む対合が、標準の対合より好ましい。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、A:U、G:U、I:Cの群から独立に選択され得るアンチセンス鎖の5’末端から二本鎖領域内の最初の1、2、3、4または5塩基対、および例えば、非標準の対合または標準以外の対合またはユニバーサル塩基を含む対合であるミスマッチ対のうちの少なくとも一つを含み、二本鎖の5’末端においてアンチセンス鎖の解離を促進する。
いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖内の5’末端から二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、UおよびdTからなる群から選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端から二本鎖領域内の最初の1、2または3の塩基対のうち少なくとも一つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端から二本鎖領域内の最初の塩基対は、AU塩基対である。
一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドの任意の位置において、ジヌクレオチドのホスホジエステル(PO)、ホスホロチオエート(PS)またはホスホロジチオエート(PS2)連結の3’末端に、4’-修飾または5’-修飾のヌクレオチドを導入することで、ヌクレオチド間連結に対する立体効果を発揮させ得、それによってヌクレアーゼに対してそれを保護または安定化させるということがわかった。
いくつかの実施形態では、5’-修飾ヌクレオシドが、一本鎖または二本鎖のsiRNAの任意の位置において、ジヌクレオチドの3’末端に導入される。例えば、5’-アルキル化ヌクレオシドを、一本鎖または二本鎖のsiRNAの任意の位置において、ジヌクレオチドの3’末端に導入できる。リボース糖の5’位にあるアルキル基は、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体であり得る。例示的な5’-アルキル化ヌクレオシドとしては、5’-メチルヌクレオシドがある。5’-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、4’-修飾ヌクレオシドが、一本鎖または二本鎖のsiRNAの任意の位置において、ジヌクレオチドの3’末端に導入される。例えば、4’-アルキル化ヌクレオシドを、一本鎖または二本鎖のsiRNAの任意の位置において、ジヌクレオチドの3’末端に導入できる。リボース糖の4’位にあるアルキル基は、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体であり得る。例示的な4’-アルキル化ヌクレオシドとしては、4’-メチルヌクレオシドがある。4’-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。あるいは、4’-O-アルキル化ヌクレオシドを、一本鎖または二本鎖のsiRNAの任意の位置において、ジヌクレオチドの3’末端に導入できる。リボース糖の4’-O-アルキルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体であり得る。例示的な4’-O-アルキル化ヌクレオシドとしては、4’-O-メチルヌクレオシドが挙げられる。4’-O-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、5’-アルキル化ヌクレオシドが、dsRNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖の任意の位置において導入され、このような修飾は、dsRNAの効力を維持または向上させる。5’-アルキルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。例示的な5’-アルキル化ヌクレオシドとしては、5’-メチルヌクレオシドがある。5’-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、4’-アルキル化ヌクレオシドが、dsRNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖の任意の位置において導入され、このような修飾は、dsRNAの効力を維持または向上させる。4’-アルキルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。例示的な4’-アルキル化ヌクレオシドとしては、4’-メチルヌクレオシドがある。4’-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、4’-O-アルキル化ヌクレオシドは、dsRNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖の任意の位置において導入され、このような修飾は、dsRNAの効力を維持または向上させる。5’-アルキルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。例示的な4’-O-アルキル化ヌクレオシドとしては、4’-O-メチルヌクレオシドが挙げられる。4’-O-メチルは、ラセミ体またはキラル的に純粋なR異性体もしくはS異性体のいずれかであり得る。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、2’-5’連結(2’-H、2’-OHおよび2’-OMeを有し、またP=OまたはP=Sを有する)を含み得る。例えば、2’-5’連結修飾は、ヌクレアーゼ耐性を促進するために、もしくはセンスのアンチセンス鎖への結合を阻害するために使用可能であり、またはRISCによるセンス鎖の活性化を回避するためにセンス鎖の5’末端において使用可能である。
別の実施形態では、本開示のdsRNA分子は、L糖(例えば、2’-H、2’-OHおよび2’-OMeを有するLリボース、L-アラビノース)を含み得る。例えば、これらL糖修飾は、ヌクレアーゼ耐性を促進するために、もしくはセンス鎖のアンチセンス鎖への結合を阻害するために使用可能であり、またはRISCによるセンス鎖の活性化を回避するためにセンス鎖の5’末端において使用可能である。
種々の刊行物に多量体siRNAが記載されており、これらはすべて、本開示のdsRNAとともに使用できる。当該公開公報としては、国際公開第2007/091269号、米国特許第7858769号、国際公開第2010/141511号、国際公開第2007/117686号、国際公開第2009/014887号、および国際公開第2011/031520号が挙げられ、それら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNA分子は、5’リン酸化されるか、または5’プライム末端にホスホリル類似体を含む。5’-リン酸修飾は、RISC媒介性遺伝子サイレンシングと適合性がある修飾を含む。適切な修飾には、以下が含まれる。5’-一リン酸((HO)(O)P-O-5’)、5’-二リン酸((HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-三リン酸((HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-グアノシンキャップ(7-メチル化または非メチル化)(7m-G-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または未修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5’-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5’)、5’-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)(S)P-O-5’)、5’-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5’)、5’-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5’)、酸素/硫黄置換一リン酸、二リン酸および三リン酸(例えば、5’-アルファ-チオ三リン酸、5’-ガンマ-チオ三リン酸など)の任意の追加の組み合わせ、5’-ホスホルアミデート((HO)(O)P-NH-5’、(HO)(NH)(O)P-O-5’)、5’-アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-、5’-アルケニルホスホネート(すなわち、ビニル、置換ビニル)、(OH)(O)P-5’-CH2-)、5’-アルキルエーテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチルなど、例えば、RP(OH)(O)-O-5’-)。一例では、修飾は、dsRNA分子のアンチセンス鎖に配置され得る。
F.リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書において記載するコンジュゲートまたはリガンドを、切断可能である場合も切断可能でない場合もある種々のリンカーを用いてiRNAオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
典型的には、リンカーは、直接結合、または酸素もしくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなどのユニット、または原子の鎖であって、例えばこれに限定されるものではないが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘレロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘレロアリール(alkynylhereroaryl)など、を含み、一つ以上のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R8)、C(O)、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環によって中断または終結され得、式中、R8は、水素、アシル、脂肪族、または置換された脂肪族である。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1~24原子、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18原子、7~17、8~17、6~16、7~16、または8~16原子である。
いくつかの実施形態では、本開示のdsRNAは、式(XXXI)~(XXXIV)のいずれかで示される構造の群から選択される二価または三価の分枝リンカーにコンジュゲートされる:
であり、
式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5Bおよびq5Cは、出現ごとに独立に、0~20を表し、また繰り返し単位は、同一である場合も、異なる場合もあり、
2A、P2B、P3A、P3B、P4A、P4B、P5A、P5B、P5C、T2A、T2B、T3A、T3B、T4A、T4B、T4A、T5B、T5Cは、出現ごとに、独立して、存在しない、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH、CHNH、またはCHOであり、
2A、Q2B、Q3A、Q3B、Q4A、Q4B、Q5A、Q5B、Q5Cは、出現ごとに、独立して、存在しない、アルキレン、置換アルキレンであり、式中、一つ以上のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)のうち一つ以上によって中断または終結され得、
2A、R2B、R3A、R3B、R4A、R4B、R5A、R5B、R5Cは、出現ごとにそれぞれ独立に、存在しない、NH、O、S、CH、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R)C(O)、-C(O)-CH(R)-NH-、CO、CH=N-O、
またはヘテロシクリルであり、
2A、L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L5A、L5B、およびL5Cはリガンドを表し、すなわち、出現ごとに、それぞれ独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖であり、およびRはHまたはアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、標的遺伝子の発現を阻害するRNAi剤と共に使用するのに特に有用であり、例えば以下の式(XXXV):
、のものなどであり、式中、L5A、L5B、およびL5Cは、単糖、例えばGalNAc誘導体を表す。
GalNAc誘導体をコンジュゲートする二価および三価の分枝のリンカー基の例としては、これに限定されないが、式II、VII、XI、XおよびXIIIとして上記で列記した構造が挙げられる。
切断可能な連結基とは、細胞の外部で十分に安定であるが、標的細胞内に入ると、切断されて、リンカーが一緒に保持している二つの部分を放出する基である。いくつかの実施形態では、切断可能な連結基は、対象の血液中または第二の参照条件下(例えば、血液または血清中で見られる条件を模倣または表すように選択され得る)よりも、標的細胞中または第一の参照条件下(例えば、細胞内条件を模倣または表すように選択され得る)において、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、またはそれ以上、または少なくとも約100倍速い速度で切断される。
切断可能な連結基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位または分解性分子の存在、の影響を受け易い。概して切断剤は、血清または血液中においてよりも、細胞の内部で、より広範に広がっているかまたはより高いレベルもしくは活性で見られる。このような分解剤の例としては、特定の基質のために選択される、または基質特異性を有さない酸化還元剤、例えば還元によって酸化還元切断可能な連結基を分解できる、細胞中に存在する、例えば、メルカプタンなどの酸化酵素もしくは還元酵素または還元剤や、エステラーゼや、エンドソームまたは酸性環境を作出できる試薬、例えば、五以下のpHをもたらす試薬や、一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)およびホスファターゼとして作用することによって酸切断可能な連結基を加水分解もしくは分解できる酵素が挙げられる。
切断可能な連結基、例えばジスルフィド結合などは、pHの影響を受け易い場合がある。ヒト血清のpHは7.4であるが、平均細胞内pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲のより酸性のpHであり、またリソソームは、およそ5.0のさらにより酸性のpHである。一部のリンカーは、適切なpHで切断され、それによって細胞の内部でリガンドから、または細胞の所望のコンパートメント中に、カチオン性脂質を放出するものである、切断可能な連結基を有することとなる。
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な連結基を含み得る。リンカー中に組み込まれる切断可能な連結基の種類は、標的にする細胞に左右され得る。
概して、候補の切断可能な連結基の適合性は、分解剤が候補連結基を切断する能力(または条件)を試験することによって評価可能である。また、血液中で、または他の非標的組織と接触したときに、切断に抵抗する能力について候補の切断可能な連結基を試験することもまた望ましいであろう。したがって、第一および第二の条件の間での切断に対する相対的な感受性を決定することができるものであり、ここで第一の条件は、標的細胞において切断を示すように選択され、第二の条件は、他の組織または生物学的流体中で、例えば、血液もしくは血清中で、切断を示すように選択される。評価は、無細胞系において、細胞において、細胞培養液において、臓器または組織の培養液において、または動物全身において、実施され得る。無細胞条件または培養条件において最初の評価を行うことおよび動物全身におけるさらなる評価によって確認することが、有用であり得る。いくつかの実施形態では、有用な候補化合物は、血液または血清(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または約100倍速い速度で切断される。
i.酸化還元切断可能な連結基
いくつかの実施形態では、切断可能な連結基は、還元または酸化の際に切断される酸化還元切断可能な連結基である。還元的に切断可能な連結基の例としては、ジスルフィド連結基(-S-S-)が挙げられる。候補の切断可能な連結基が、適した「還元的に切断可能な連結基」であるか、または例えば、特定のiRNA部分および特定のターゲティング剤とともに使用するのに適しているか否かを決定するために、本明細書において記載する方法に目を向けることができる。例えば、細胞中であって、例えば、標的細胞中で観察されるであろう切断の速度を模倣する、当技術分野で公知の試薬を使用してジチオスレイトール(DTT)または他の還元剤とともにインキュベートすることによって、候補を評価することができる。候補はまた、血液または血清条件を模倣するように選択された条件下で評価することもできる。ある条件においては、候補化合物は、血液中で最大約10%切断される。他の実施形態では、有用な候補化合物は、血液中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または約100倍速い速度で分解される。候補化合物の切断の速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準酵素動態アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
ii.ホスフェート系の切断可能な連結基
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、ホスフェート系の切断可能な連結基を含む。ホスフェート系の切断可能な連結基は、ホスフェート基を分解または加水分解する試薬により切断される。細胞においてホスフェート基を切断する試薬の例としては、細胞中のホスファターゼなどの酵素がある。ホスフェート系連結基の例としては、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-がある。いくつかの実施形態では、ホスフェート系連結基としては、O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-がある。いくつかの実施形態では、ホスフェート系連結基は、-O-P(O)(OH)-O-である。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
iii.酸切断可能な連結基
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、酸切断可能な連結基を含む。酸切断可能な連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。いくつかの実施形態では、酸切断可能な連結基は、pHが約6.5以下である酸性環境(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0以下)において、または一般酸として作用できる酵素などの薬剤によって、切断される。細胞において、特定の低pHオルガネラ、例えばエンドソームおよびリソソームが、酸切断可能な連結基のための切断環境をもたらすことができる。酸切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、ヒドラゾン、エステルおよびアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。いくつかの実施形態では、エステルの酸素に結合している炭素(アルコキシ基)は、アリール基、置換アルキル基、または第三級アルキル基、例えばジメチルペンチルもしくはt-ブチルである。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
iv.エステル系切断可能な連結基
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、エステル系の切断可能な連結基を含む。エステル系の切断可能な連結基は、細胞においてエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステル系の切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステルの切断可能な連結基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
v.ペプチド系切断可能な連結基
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、ペプチド系の切断可能な連結基を含む。ペプチド系の切断可能な連結基は、細胞においてペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチド系の切断可能な連結基は、アミノ酸の間で形成されて、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドが得られるペプチド結合である。ペプチド系の切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキネレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸の間で形成されて、ペプチドおよびタンパク質が得られるアミド結合の特殊な型である。ペプチド系の切断基は、概して、アミノ酸の間で形成されてペプチドおよびタンパク質が得られるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、すべてのアミド官能基を含むものではない。ペプチド系の切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有するものであり、式中、RAおよびRBは、二つの隣接するアミノ酸のR基である。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241号、第5,391,723号、第5,416,203号、第5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928号、および第5,688,941号、第6,294,664号、第6,320,017号、第6,576,752号、第6,783,931号、第6,900,297号、第7,037,646号、第8,106,022号が挙げられ、この各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
所与の化合物におけるすべての位置が均一に修飾される必要はなく、実際には、先述の修飾のうち二つ以上が、単一の化合物内に、またはさらにiRNA内の単一のヌクレオシドにおいて組み込まれてもよい。本開示はまた、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
本開示の文脈における「キメラ」iRNA化合物または「キメラ」は、二つ以上の化学的に区別される領域を含有する、例えばdsRNAi剤などのiRNA化合物であり、そのそれぞれが少なくとも一つのモノマー単位、すなわちdsRNA化合物の場合にはヌクレオチド、により構成される。これらiRNAは、典型的には、少なくとも一つの領域であって、そこでRNAが、iRNAに対してヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞取り込みの増大および/または標的核酸に対する結合親和性の増大を付与するように修飾されるものである、少なくとも一つの領域を含有する。iRNAの追加的な領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAの複合型を切断可能である酵素のための基質として機能し得る。例として、リボヌクレアーゼHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、リボヌクレアーゼHの活性化が、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大きく増強する。結果的に、これに匹敵する結果は、しばしば、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、キメラdsRNAを使用する場合により短いiRNAで得ることができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、また必要に応じて、当技術分野で公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、ごく普通に検出可能である。
特定の例では、iRNAのRNAは、非リガンドの基によって修飾できる。iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強するために、いくつかの非リガンドの分子がiRNAにコンジュゲートされてきたので、当該コンジュゲーションを実施するための手順は、科学文献において利用可能である。こうした非リガンドの部分には、脂質部分、例えばコレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54-61、Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(hexyl-S-tritylthiol)(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)、が含まれてきた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は、上記で列記している。典型的なコンジュゲーションプロトコルは、配列の一つ以上の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を伴う。次いで、アミノ基が、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用してコンジュゲートされている分子と反応する。コンジュゲーション反応は、RNAがまだ固体支持部に結合している状態で、または溶液相でRNAが切断された後に実施され得る。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製によって、典型的には、純粋なコンジュゲートが得られる。
V.iRNAの送達
iRNAの送達を必要とする対象への送達は、多くの異なる方法で達成することができる。インビボでの送達は、iRNA、例えばdsRNA、を含む組成物を対象に投与することによって直接的に実施することができる。あるいは、送達は、iRNAをコードしてその発現を誘導する一つ以上のベクターを投与することによって間接的に実施することができる。これらの選択肢は、以下においてさらに説明される。
A.直接送達
概して、核酸分子を送達する任意の方法は、iRNAを用いた使用に適合させることができる(例えば、Akhtar S.and Julian RL.(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139-144および国際公開第94/02595号を参照、これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。しかしながら、インビボでのiRNA分子の成功裏な送達のために考慮すべき重要な三つのファクターとしては、(a)送達される分子の生物学的安定性、(2)非特異的な影響の防止、および(3)標的組織内での送達される分子の蓄積、が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば組織(非制限的な例として、眼)への直接注入もしくは移植または調製物の局所投与によって最小限に抑えることができる。処置部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大化して、さもなくば薬剤によって害され得るかまたは薬剤を分解し得る全身組織への薬剤の曝露を制限し、投与しようとするiRNA分子のより少ない投与総量を可能にする。いくつかの研究では、iRNAが局所的に投与された場合の遺伝子産物のノックダウンの成功が示されている。例えば、カニクイザルにおける硝子体内注射によるVEGF dsRNAの眼球内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132-138)およびマウスにおける網膜下への注入(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210-216)はいずれも、加齢黄斑変性症の実験モデルにおいて、新生血管形成を予防することを示した。加えて、マウスにおけるdsRNAの直接の腫瘍内注入が、腫瘍体積を減少させ(Pille,J.,et al(2005)Mol.Ther.11:267-274)、腫瘍を有するマウスの生存を長引かせることができる(Kim,WJ.,et al(2006)Mol.Ther.14:343-350;Li,S.,et al(2007)Mol.Ther.15:515-523)。RNA干渉は、直接注入によるCNSへの局所送達によって成功することがわかっており(Dorn,G.,et al.(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.,et al(2005)Gene Ther.12:59-66;Makimura,H.,et al(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al(2004)Neuroscience 129:521-528;Thakker,ER.,et al(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270-17275;Akaneya,Y.,et al(2005)J.Neurophysiol.93:594-602)、また肺に対しては鼻腔内投与によって成功することがわかっている(Howard,KA.,et al(2006)Mol.Ther.14:476-484;Zhang,X.,et al(2004)J.Biol.Chem.279:10677-10684;Bitko,V.,et al(2005)Nat.Med.11:50-55)。疾患の処置のためにiRNAを全身投与する場合、RNAを修飾するか、または代替として、薬物送達システムを使用して送達することができ、いずれの方法も、インビボでのエンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼによってdsRNAの急速な分解を防ぐように機能する。
RNAまたは医薬担体の修飾もまた、iRNA組成物の標的組織へのターゲティングを可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避させることができる。iRNA分子は、例えば、本明細書に記載される脂質または炭化水素基への化学的コンジュゲーションによって修飾され得る。そのようなコンジュゲートを使用して、iRNAを特定の細胞、例えば、肝細胞などの肝臓の細胞に標的化することができる。例えば、GalNAcコンジュゲートまたは脂質(例えば、LNP)製剤を使用して、iRNAを特定の細胞、例えば、肝細胞などの肝臓の細胞に標的化することができる。
iRNA分子はまた、細胞取り込みを増強し、分解を防ぐように、コレステロールなどの親油性基への化学的コンジュゲーションによって修飾することができる。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートされたApoBへと誘導されるiRNAは、マウスに全身的に注射されたところ、結果として肝臓および空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを生じた(Soutschek,J.,et al(2004)Nature 432:173-178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲーションは、前立腺がんのマウスモデルにおいて腫瘍の成長を阻害し、腫瘍縮小を媒介することが分かっている(McNamara,JO.,et al(2006)Nat.Biotechnol.24:1005-1015)。代替的な実施形態では、iRNAは、例えばナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達系などである薬剤送達システムを使用して送達可能である。正に荷電したカチオン性の送達系は、iRNA分子(負に荷電した)の結合を促進し、また負に荷電した細胞膜での相互作用も高め、それにより細胞によるiRNAの効率的な取込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合することも、iRNAを封入する小胞またはミセルを形成する(例えば、Kim SH.,et al(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照)ように誘導することも、可能である。小胞またはミセルの形成はさらに、全身投与したときのiRNAの分解を防止する。カチオン性のiRNA複合体を作製および投与する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、Sorensen,DR.,et al(2003)J.Mol.Biol 327:761-766;Verma,UN.,et al(2003)Clin.Cancer Res.9:1291-1300;Arnold,AS et al(2007)J.Hypertens.25:197-205を参照、これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、同上、Verma,UN,et al.,(2003)、同上)、オリゴフェクタミン、「固体核酸脂質粒子(solid nucleic acid lipid particle)」(Zimmermann,TS,et al.,(2006)Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien,PY,et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321-328;Pal,A,et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME,et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print、Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472-487)、およびポリアミドアミン(Tomalia,DA,et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61-67、Yoo,H.,et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799-1804)が挙げられる。いくつかの実施形態では、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンと複合体を形成する。投与の方法およびiRNAとシクロデキストリンとによる医薬組成物は、米国特許第7,427,605号に見出され、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
B.ベクターにコードされたiRNA
別の態様では、MYOCを標的とするiRNAは、DNAベクターまたはRNAベクターに挿入された転写ユニットから発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5-10;Skillern,A.,et al.による国際公開第00/22113号、Conradによる国際公開第00/22114号、およびConradによる米国特許第6,054,299号を参照)。発現は、使用される特定の構築物および標的組織または細胞型に応じて、一過性的(数時間から数週間ほど)または持続的(数週間から数か月またはそれ以上)であり得る。これら導入遺伝子は、直鎖状の構築物、環状プラスミド、または統合ベクターもしくは非統合ベクターであり得るウイルスベクターとして導入することができる。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継代されることを可能にするように構築することもできる(Gassmann,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。
iRNAの個々の鎖は、発現ベクター上のプロモーターから転写することができる。二つの別々の鎖が、例えば、dsRNAを生成するように発現される場合、二つの別々の発現ベクターを、標的細胞内に同時導入することができる(例えば、トランスフェクションまたは感染によって)。あるいは、dsRNAのそれぞれ個別の鎖を、それらのいずれもが同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写することができる。いくつかの実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステム-アンド-ループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列によって連結された逆方向リピートとして発現される。
iRNA発現ベクターは、典型的にはDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞に適合性がある発現ベクター、例えば脊椎動物細胞に対して適合性がある発現ベクターを使用することにより、本明細書において記載するiRNAの発現のための組換え構築物を産生することができる。真核細胞発現ベクターは、当該技術分野で周知であり、多数の商業的供給源から入手可能である。典型的には、かかるベクターは、所望の核酸セグメントの挿入のための便利な制限部位を含有する。iRNA発現ベクターの送達は、例えば静脈内または筋肉内投与によって、患者から取り出された標的細胞への投与とその後の患者への再導入によって、または所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段によって、全身的になされ得る。
iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、オリゴフェクタミン)または非カチオン性脂質系担体(例えば、Transit‐TKOTM)との複合体として標的細胞にトランスフェクトされ得る。一週間以上にわたって標的RNAの異なる領域を標的とするiRNA介在性ノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも、本開示によって企図される。宿主細胞へのベクターの成功裏な導入は、様々な公知の方法を使用して観察することができる。例えば、一過性トランスフェクションは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターを用いてシグナル伝達することができる。生体外での細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば、抗生物質および薬剤)に対する耐性をトランスフェクト細胞に提供するマーカーを使用して確保することができる。
本明細書において記載する方法および組成物と共に用いることができるウイルスベクターシステムとしては、これらに限定されるものではないが、(a)アデノウイルスベクター、(b)レトロウイルスベクター、例えばこれに限定されるものではないが、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなど、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純ヘルペスウイルスベクター、(e)SV40ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)ピコルナウイルスベクター、(i)ポックスウイルスベクター、例えばオルソポックスなどであり、例えば、ワクシニアウイルスベクターなど、またはトリポックスであり、例えば、カナリアポックスもしくは鶏痘など、ならびに(j)ヘルパー依存性アデノウイルスまたはガットレス(gutless)アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスもまた有利であり得る。異なるベクターは、細胞のゲノムの中に組み込まれるようになるかまたは組み込まれるようにならないであろう。当該構築物は、所望の場合、トランスフェクションのためのウイルス配列を含むことができる。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター内に、例えば、EPVベクターおよびEBVベクター内に、組み込まれ得る。iRNAの組換え発現のための構築物は、概して、標的細胞におけるiRNAの発現を確実にするために、調節要素を、例えばプロモーター、エンハンサーなどを、必要とするであろう。ベクターおよび構築物を検討するための他の態様を、以下にてさらに記述する。
iRNAの送達に有用なベクターには、所望の標的細胞または組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)が含まれる。調節要素は、構成的または調節/誘導的発現のいずれかを提供するように選択され得る。
iRNAの発現は、例えば、特定の生理学的調節因子、例えば、循環グルコースレベル、またはホルモンに感受性のある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節され得る(Docherty et al .,1994,FASEB J.8:20-24)。細胞または哺乳動物におけるdsRNA発現の制御に適した、かかる誘導性発現系としては、例えば、エクジソンによる調節、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量体化の化学誘導物質、およびイソプロピル-β-D1-チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節が挙げられる。当業者であれば、iRNA導入遺伝子の意図される使用に基づいて、適切な調節/プロモーター配列を選択することができるであろう。
特定の実施形態では、iRNAをコードする核酸配列を含有するウイルスベクターが使用され得る。例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581-599(1993)参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングおよび宿主細胞DNAへの統合に必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、一つ以上のベクターにクローニングされ、これは患者への核酸の送達を促進する。レトロウイルスベクターについてのより詳細を、例えば、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、mdr1遺伝子を造血幹細胞に送達するためのレトロウイルスベクターの使用を記載する、Boesen et al.,Biotherapy 6:291-302(1994)に見出すことができる。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参考文献は、以下のとおりである: Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644-651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467-1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129-141(1993);and Grossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110-114(1993)。使用が企図されるレンチウイルスベクターとしては、例えば、米国特許第6,143,520号、第5,665,557号、および第5,981,276号に記載されるHIVベースのベクターが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
アデノウイルスはまた、iRNAの送達における使用が企図される。アデノウイルスは、特に、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、軽度の疾患を引き起こす呼吸上皮に自然に感染する。アデノウイルスベースの送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという利点を有する。Kozarsky and Wilson,Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503(1993)は、アデノウイルスベースの遺伝子療法のレビューを提示している。Bout et al.,Human Gene Therapy 5:3-10(1994)は、アデノウイルスベクターを使用して、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移すことを示した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al.,Science 252:431-434(1991);Rosenfeld et al.,Cell 68:143-155(1992);Mastrangeli et al.,J.Clin Invest.91:225-234(1993);国際公開第94/12649号;and Wang,et al.,Gene Therapy 2:775-783(1995)に見出される。本開示で特徴づけられるiRNAを発現するための好適なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞に送達するための方法は、Xia H et al.(2002)、Nat.Biotech.20:1006-1010において記載される。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用も企図される(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289-300(1993);米国特許第5,436,146号)。いくつかの実施形態では、iRNAは、例えば、U6もしくはH1 RNAプロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組換えAAVベクターからの二つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本開示で特徴付けられるdsRNAを発現するための好適なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞に送達するための方法は、Samulski R et al.(1987)、J.Virol.61:3096-3101、Fisher K J et al.(1996),J.Virol.,70:520-532、Samulski R et al.(1989)、J.Virol.63:3822-3826、米国特許第5,252,479号、米国特許第5,139,941号、国際公開第94/13788号、および国際公開第93/24641号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
別の典型的なウイルスベクターは、ワクシニアウイルスなどのポックスウイルス、例えば、改変ウイルスアンカラ(MVA)またはNYVACなどの弱毒化ワクシニア、鶏ポックスまたはカナリアポックスなどのアビポックスである。
ウイルスベクターの指向性は、ベクターをエンベロープタンパク質または他のウイルス由来の表面抗原でシュードタイピングすることによって、または必要に応じて異なるウイルスキャプシドタンパク質を置換することによって、改変することができる。例えば、レンチウイルスベクターは、小胞性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどの表面タンパク質でシュードタイプ化することができる。AAVベクターは、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製することができ、例えば、Rabinowitz J E et al.(2002),J Virol 76:791-801参照、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
ベクターの医薬調製物は、許容可能な希釈剤中にベクターを含むことができ、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放性マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターから完全な状態で産生され、医薬調製物は、遺伝子送達システムを生成する一つ以上の細胞を含むことができる。
VI.iRNAを含有する医薬組成物
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書において説明されるようなiRNAを含有する医薬組成物、および医薬的に許容される担体を提供する。iRNAを含有する医薬組成物は、MYOC(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))の発現または活性に関連する疾患または障害を治療するのに有用である。こうした医薬組成物は、送達の態様に基づいて製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的送達、例えば、眼球内送達(例えば、硝子体内投与、例えば、硝子体内注射、経強膜内投与、例えば、経強膜内注射、結膜下投与、例えば、結膜下注射、球後投与、例えば、球後注射、前房内投与、例えば、前房内注射、または網膜下投与、例えば、網膜下注射)のために製剤化され得る。他の実施形態では、組成物は、局所送達のために製剤化され得る。別の実施例では、組成物は、非経口送達を介した、例えば静脈内(IV)の送達を介した、全身投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物(例えば、GalNAcコンジュゲートまたはLNP製剤を含む組成物)は、静脈内送達のために製剤化される。
本明細書で取り上げられる医薬組成物は、MYOCの発現を阻害するのに十分な投与量で投与される。概して、iRNAの適切な用量は、一日当たりレシピエントの体重一キログラム当たり0.01~200.0ミリグラムの範囲である。医薬組成物は、一日一回投与されてもよく、またはiRNAは、一日を通して適切な間隔で、二回、三回、またはそれ以上の部分用量として投与されてもよく、または徐放性製剤を介した連続注入もしくは送達を使用して投与されてもよい。その場合、各部分用量に含有されるiRNAは、一日の総投与量を達成するために、対応してより小さくなければならない。投与単位はまた、例えば、数日間にわたるiRNAの徐放性を提供する従来の徐放性製剤を使用して、数日間にわたる送達のために配合され得る。徐放性製剤は当該技術分野で周知であり、本開示の薬剤と併用できるものなど、特定の部位での薬剤の送達に特に有用である。この実施形態では、投与単位は、対応する一日用量の倍数を含む。
MYOCレベルに対する単回用量の効果は、後続用量が3、4、もしくは5日間以下の間隔で、または1、2、3、4、12、24、もしくは36週間以下の間隔で投与されるように、長期間持続し得る。
当業者は、これらに限定されるものではないが、疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の健康全般および/または年齢、および存在する他の疾患などの特定のファクターが、対象を効果的に治療するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。その上、治療有効量での組成物での対象の治療には、単回治療または一連の治療が含まれ得る。本開示に包含される個々のiRNAの有効投与量およびインビボ半減期の推定は、従来の方法論を使用して、または好適な動物モデルを使用したインビボ試験に基づいて行うことができる。
好適な動物モデル、例えば、マウスまたはカニクイザル、例えば、ヒトMYOCを発現する導入遺伝子を含有する動物を使用して、MYOC siRNAの治療有効用量および/または有効用量レジメン投与を決定することができる。
本開示はまた、本明細書で特徴付けられるiRNA化合物を含む医薬組成物および製剤を含む。本開示の医薬組成物は、局所処置または全身処置のどちらが所望されるか、および処置される領域に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所的(例えば、眼内注射による)、局所的(例えば、点眼液による)、または非経口であってもよい。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内の注射または注入、例えば、インプラントデバイスによる皮下への投与、または例えば、実質内、髄腔内、または脳室内の投与による頭蓋内への投与を含む。
局所投与用の医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、噴霧剤、溶液剤、および散剤を含み得る。従来の医薬担体、水性、粉末、または油状の基剤、増粘剤なども必要であり得、または望ましくあり得る。コーティングしたコンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤としては、本開示で取り上げるiRNAが、局所送達剤、例えば脂質、リポソーム、脂質酸、脂質酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤との混合物となっているものを含める。好適な脂質およびリポソームとしては、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロリホスファチジル(distearolyphosphatidyl)コリン)陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。本開示で特徴づけられるiRNAは、リポソーム内に封入されてもよく、またはリポソーム、特にカチオン性リポソームに対して複合体を形成してもよい。あるいは、iRNAは、脂質、特にカチオン性脂質と複合体化することができる。好適な脂肪酸およびエステルとしては、これに限定されるものではないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、1-モノカプリン酸グリセリル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはC1-20アルキルエステル(例えば、イソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド、またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。局所製剤は、米国特許第6,747,014号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
A.リポソーム製剤
マイクロエマルションに加えて、薬剤の製剤化に研究および使用されている多くの組織化された界面活性剤構造がある。これらには、単層、ミセル、二層、および小胞が含まれる。リポソームなどの小胞は、その特異性および薬剤送達の観点から提供される作用持続時間のために、大きな関心を引き付けた。本開示で使用される場合、「リポソーム」という用語は、球状二重層または二重層に配置された両親媒性脂質から構成される小胞を意味する。
リポソームは、親油性材料から形成された膜とおよび水性の内部とを有する単層または多層の小胞である。水性部分が、送達される組成物を含む。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、細胞壁と効率的に融合することができないが、インビボでマクロファージによって取り込まれる。
脂質小胞は、完全な無傷の哺乳動物の皮膚を通過するために、好適な経皮勾配の影響下において、それぞれが50nm未満の直径を有する一連の微細孔を通過しなければならない。したがって、高度に変形可能であり、かつこうした微細な細孔を通過することができるリポソームを使用することが望ましい。
リポソームのさらなる利点としては、天然のリン脂質から得られるリポソームが生体適合性および生分解性であること、リポソームは広範囲の水および脂溶性薬物を組み込むことができること、リポソームはそれらの内部コンパートメント内のカプセル化された薬剤を代謝および分解から保護することができること、が挙げられる(Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245)。リポソーム製剤の調製における重要な検討事項は、脂質表面の電荷、小胞のサイズ、およびリポソームの水の量である。
リポソームは、作用部位への活性成分の移送および送達に有用である。リポソーム膜は生物学的膜と構造的に類似しているため、リポソームが組織に塗布されると、リポソームは細胞膜と融合し始め、リポソームと細胞の融合が進行すると、リポソーム内容物は、活性剤が作用し得る細胞内に排出される。
リポソーム製剤は、多くの薬剤の送達様式として広範な調査の焦点となっている。局所投与については、リポソームが他の製剤よりもいくつかの利点を呈するという証拠が増加している。こうした利点としては、投与された薬物の高い体内吸収に関連する副作用の減少、所望の標的での投与された薬物の蓄積の増加、および多種多様な薬剤を皮膚に、親水的におよび疎水的に投与する能力が挙げられる。
いくつかの報告は、高分子量DNAを含む薬剤を皮膚に送達するリポソームの能力を詳述している。鎮痛剤、抗体、ホルモン、および高分子量DNAを含む化合物が皮膚に投与されている。適用の大部分が表皮上部の標的化をもたらした
リポソームは、二つの大きな種類に分類される。カチオン性リポソームは、正に帯電したリポソームであって、負に帯電したDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成するリポソームである。正に帯電したDNA/リポソーム複合体は、負に帯電した細胞表面に結合して、エンドソームに内在化される。エンドソーム内の酸性pHに起因して、リポソームは破裂して、その内容物を細胞質中へと放出する((Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980-985)。
pH感受性であるかまたは負に帯電しているリポソームは、DNAと複合体を形成するのではなく、DNAを捕捉する。核酸および脂質の両方が、同様の電荷であるため、複合体形成ではなく反発が生じる。それにもかかわらず、一部のDNAは、これらリポソームの水性内側部分内に捕捉される。チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを、培養液中の細胞単一層に送達するために、pH感受性リポソームが使用されてきた。外因性遺伝子の発現が、標的細胞において検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269-274)。
リポソーム組成物の主要なタイプの一つは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、概して、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成され、その一方で、アニオン性融合性リポソームは、主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)から形成され、例えば大豆PCおよび卵PCなどである。別のタイプは、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成される。
いくつかの研究では、リポソーム薬物製剤の皮膚への局所送達を評価した。インターフェロンを含有するリポソームのモルモット皮膚への適用は、皮膚ヘルペス疼痛の低減をもたらした一方で、他の手段(例えば、溶液として、またはエマルションとして)を介したインターフェロンの送達は効果がなかった(Weiner et al.,Journal of Drug Targeting,1992,2,405-410)。さらに、追加の研究では、リポソーム製剤の一部として投与されたインターフェロンの、水性系を使用したインターフェロンの投与に対する有効性を試験し、リポソーム製剤が水性投与よりも優れていると結論付けた(du Plessis et al.,Antiviral Research,1992,18,259-265)。
非イオン性リポソーム系は、特に非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系は、皮膚への薬物の送達におけるそれらの有用性を判定するためにも試験されてきた。Novasome(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)およびNovasome(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、マウスの皮膚の真皮中にシクロスポリンAを送達するために使用された。結果として、こうした非イオン性リポソーム系が、皮膚の異なる層中へのシクロスポリンAの蓄積を促進する際に有効であることが示された(Hu et al.S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4,6,466)。
リポソームはまた、「立体的に安定化した」リポソームも含み、当該用語は、本明細書において使用する場合、一つ以上の特化された脂質を含むリポソームであって、リポソームに組み込まれた場合に、結果として当該特化された脂質を欠くリポソームと比較して循環寿命の向上が生じるような一つ以上の特化された脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例としては、リポソームの小胞形成脂質部分が(A)例えばモノシアロガングリオシドGM1などの一つ以上の糖脂質を含むか、または(B)例えばポリエチレングリコール(PEG)部分などの一つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されているリポソームである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する立体的に安定化されたリポソームの場合、これら立体的に安定化されたリポソームの循環半減期の向上は、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みの減少に由来すると、当技術分野では考えられている(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。
一つ以上の糖脂質を含む様々なリポソームが、当技術分野で公知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド、およびホスファチジルイノシトールのリポソームの血液半減期を向上させる能力について報告した。これら知見は、Gabizon et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,(1988),85,:6949)によって解説された。Allen et al.による米国特許第4,837,028号および国際公開第88/04924号の両方では、(1)スフィンゴミエリンと(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルとを含むリポソームが開示されている。米国特許第5,543,152号(Webb et al.)では、スフィンゴミエリンを含むリポソームについて開示している。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームが、国際公開第97/13499号(Lim et al)において開示されている。
一つ以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム、およびその調製方法が当該技術分野で公知である。Sunamoto et al.(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1980,53,2778)は、PEG部分を含有する非イオン性洗剤である2C1215Gを含むリポソームを記載している。Illum et al.(FEBS Lett.,1984,167,79)は、ポリスチレン粒子を高分子グリコールで親水性被覆すると、血中半減期が著しく延長されることに気付いた。ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)のカルボン酸基の結合によって修飾された合成リン脂質は、Searrs(米国特許 第4,426,330号および第4,534,899号を参照されたい)により記述される。Klibanov et al.(FEBS Lett.,1990,268,235)は、PEGまたはステアリン酸PEGで誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが血液循環半減期の有意な増加を有することを実証する実験を記載している。Blume et al.(Biochimica et Biophysica Acta,1990,1029,91)は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)とPEGの組み合わせから形成される他のPEG誘導体化リン脂質、例えばDSPE-PEGに、このような観察を拡張した。その外部表面上に共有結合したPEG部分を有するリポソームは、Fisherの欧州特許第EP 0 445 131(B1)号および国際公開第90/04384号に記載されている。PEGで誘導体化された1~20モルパーセントのPEを含有するリポソーム組成物、およびその使用方法は、Woodle et al.(米国特許第5,013,556号および第5,356,633号)およびMartin et al.(米国特許第5,213,804号および欧州特許第0 496 813(B1)号)に記載されている。いくつかの他の脂質ポリマーコンジュゲートを含むリポソームは、国際公開第91/05545号および米国特許第5,225,212号( 両方ともMartin et al.)および国際公開第94/20073(Zalipsky et al.)に記載されている。PEG修飾セラミド脂質を含むリポソームは、国際公開第96/10391号(Choi et al)に記載されている。米国特許第5,540,935号(Makiaki et al.)および米国特許第5,556,948号(Tagawa et al.)は、その表面上の機能性部分でさらに誘導体化され得るPEG含有リポソームを記載している。
核酸を含む多数のリポソームが当該技術分野で公知である。Thierry et al.のWO 96/40062は、高分子量核酸をリポソームに封入するための方法を開示している。Tagawa et al.による米国特許第5,264,221号は、タンパク質結合リポソームを開示しており、かかるリポソームの内容物がdsRNAを含み得ると主張している。Rahman et al.による米国特許第5,665,710号は、リポソーム内にオリゴデオキシヌクレオチドを封入する特定の方法を記載している。Love et al.のWO97/04787は、raf遺伝子を標的とするdsRNAを含むリポソームを開示している。
トランスファーソームは、さらに別のタイプのリポソームであり、薬物送達ビヒクルの魅力的な候補である高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、高度に変形可能であるため、液滴より小さい孔を通って容易に通過することができる脂質滴として説明され得る。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応可能であり、例えば、それらは、自己最適化(皮膚における孔の形状に順応性のある)し、自己修復し、断片化することなくそれらの標的に頻繁に到達し、また多くの場合自己負荷的である。トランスファーソームを作製するために、表面エッジ活性化剤、通常は界面活性剤、を標準リポソーム組成物に加えることができる。トランスファーソームは、皮膚に血清アルブミンを送達するために使用されてきた。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介性送達は、血清アルブミンを含有する溶液の皮下注射と同じくらい有効であることが分かっている。
界面活性剤は、エマルション(マイクロエマルションを含む)およびリポソームなどの製剤において、広い応用が見出される。天然および合成の、多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類および格付けする最もよくある手法としては、親水性/親油性バランス(HLB)を使用するものがある。親水性基(「頭」としても知られる)の性質が、製剤中で使用される様々な界面活性剤を分類するのに最も有用な手段となる(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
界面活性剤分子がイオン化されない場合、それらは、非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品および化粧製品において広い応用が見出され、広範囲のpH値にわたって使用可能である。概して、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2から約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、非イオン性エステル、例えばエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシ化エステルが挙げられる。例えば脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコールおよびエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーなどである非イオン性のアルカノールアミドおよびエーテルもまた、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤のクラスの最も普及した要素である。
水に溶解または分散されたときに、界面活性剤分子が負電荷を保持する場合、界面活性剤は、アニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤としては、例えばセッケンなどであるカルボン酸エステル、アシル乳酸エステル、アミノ酸のアシルアミド、例えばアルキル硫酸エステルおよびエトキシ化アルキル硫酸エステルなどである硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホン酸エステルなどであるスルホン酸エステル、アシルイセチオン酸エステル、アシルタウリン酸塩、およびスルホコハク酸塩、およびリン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤のクラスの最も重要な要素は、アルキル硫酸エステルおよびセッケンである。
水に溶解または分散されたときに、界面活性剤分子が正電荷を保持する場合、界面活性剤は、カチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、このクラスの最も使用される要素である。
界面活性剤分子が、正電荷または負電荷のどちらかを保持する能力を有する場合、界面活性剤は、両性として分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタインおよびホスファチドが挙げられる。
薬品、製剤、およびエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
B.核酸脂質粒子
いくつかの実施形態では、本開示に特徴付けられるMYOC dsRNAは、脂質製剤中に完全に封入され、例えば、SPLP、pSPLP、SNALP、または他の核酸脂質粒子を形成する。SNALPおよびSPLPは、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を防ぐ脂質(例えば、PEG-脂質コンジュゲート)を含有する。SNALPおよびSPLPは、静脈(i.v.)注射後に循環寿命の延長を呈し、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)において蓄積するため、全身投与に極めて有用である。SPLPは、「pSPLP」を含み、それは国際公開第00/03683号に記載されるようなカプセル化された縮合剤-核酸複合体を含む。本開示の粒子は、典型的には、平均粒径が約50nm~約150nmであり、より典型的には約60nm~約130nm、より典型的には約70nm~約110nmであり、最も典型的には約70nm~約90nmであり、また実質的には無毒性である。加えて、核酸は、本開示の核酸-脂質粒子中に存在する場合、水溶液中において、ヌクレアーゼによる分解に対して抵抗性を有する。核酸-脂質粒子およびその調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号、第5,981,501号、第6,534,484号、第6,586,410号、第6,815,432号、および国際公開第96/40964号において開示されている。
いくつかの実施形態では、薬物に対する脂質の比(質量/質量比)(例えば、dsRNAに対する脂質の比)は、約1:1から約50:1、約1:1から約25:1、約3:1から約15:1、約4:1から約10:1、約5:1から約9:1、または約6:1から約9:1の範囲とすることとなる。
カチオン性脂質は、例えばN、N-ジオレイル-N、N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N、N-ジメチルアンモニウム臭化物(DDAB)、N-(I-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N-(I-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ(Dilinoleyoxy)-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノルール(Dilinoleoyl)-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノルール(Dilinoleoyl)-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノール酸-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノールオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノルール(Dilinoleoyl)-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、または3-(N、N-ジリノレイルアミノ(Dilinoleylamino))-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ(Dilinoleyloxo)-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)またはその類似体、(3aR,5s,6aS)-N、N-ジメチル-2,2-ジ((9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソル(dioxol)-5-アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチルアザンジイル)ジドデカン-2-オール(Tech G1)、またはその混合物であり得る。カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約20モル%~約50モル%、または約40モル%を含み得る。
いくつかの実施形態では、化合物2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソランを使用して、脂質-siRNAナノ粒子を調製することができる。2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソランの合成は、2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、脂質-siRNA粒子は、40%の2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン:10%DSPC:40%コレステロール:63.0±20nmの粒子サイズおよび0.027siRNA/脂質比を有する10%PEG-C-DOMG(モルパーセント)、を含む。
非カチオン性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはその混合物を、含むアニオン性脂質、または中性脂質であり得るが、これらに限定されない。非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約5モル%~約90モル%、約10モル%、またはコレステロールが含まれる場合、約58モル%であり得る。
粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、またはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、ポリエチレングリコール(PEG)脂質であってもよい。PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル(Ci)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(dimyristyloxypropyl)(Ci)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(Ci)、またはPEG-ジステアリルオキシプロピル(C])であり得る。粒子の凝集を防止するコンジュゲートされた脂質は、粒子中に存在する総脂質の0モル%~約20モル%、または約2モル%であってもよい。
いくつかの実施形態では、核酸脂質粒子は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約10モル%~約60モル%、または約48モル%のコレステロールをさらに含む。
いくつかの実施形態では、iRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化される。
LNP01
いくつかの実施形態では、リピドイドND98-4HCl(MW 1487)(参照により本明細書に組み込まれる3/26/2008にて出願の米国特許出願第12/056,230号を参照)、コレステロール(Sigma-Aldrich)、およびPEG-セラミドC16(Avanti Polar Lipids)を使用して、脂質-dsRNAナノ粒子(例えば、LNP01粒子)を調製することができる。エタノール中の各ストック溶液を以下のとおり調製することができる。ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG-セラミドC16、100mg/ml。次いで、ND98、コレステロール、およびPEG-セラミドC16ストック溶液を、例えば、42:48:10のモル比で組み合わせることができる。組み合わせた脂質溶液は、最終エタノール濃度が約35~45%であり、最終酢酸ナトリウム濃度が約100~300mMであるように、dsRNA水溶液(例えば、酢酸ナトリウムpH5)と混合することができる。脂質-dsRNAナノ粒子は、典型的には、混合時に自発的に形成される。望ましい粒子サイズ分布に応じて、得られたナノ粒子混合物は、例えば、Lipエクストルーダー(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレルエクストルーダーを使用して、ポリカーボネート膜(例えば、100nmカットオフ)を通して押し出され得る。一部の事例では、押出工程を省略することができる。エタノール除去と同時の緩衝液交換は、例えば、透析または接線流濾過によって達成され得る。緩衝液は、例えば、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、または約pH7.4でリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と交換することができる。
LNP01製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開第WO2008/042973号に記載されている。
さらなる例示的な脂質-dsRNA製剤が、下記の表で提供される
表4:例示的な脂質製剤
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン
DPPC:ジパルミトイルホスファチジルコリン
PEG-DMG:PEG-ジジミリストイルグリセロール(C14-PEG、またはPEG-C14)(平均分子量2000のPEG)
PEG-DSG:PEG-ジスチリルグリセロール(C18-PEG、またはPEG-C18)(平均分子量2000のPEG)
PEG-cDMA:PEG-カルバモイル-1,2-ジミリスチルオキシプロピルアミン(平均分子量2000のPEG)
製剤を含むSNALP(l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA))は、2009年4月15日に出願された国際公開第2009/127060号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
製剤を含むXTCは、例えば、2009年1月29日に出願された米国特許仮出願第61/148,366号、2009年3月2日に出願された米国特許仮出願第61/156,851号、2009年6月10日に出願された米国特許仮出願第61/185,712号、2009年7月24日に出願された米国特許仮出願第61/228,373号、2009年9月3日に出願された米国特許仮出願第61/239,686号、および2010年1月29日に出願された国際出願PCT/US2010/022614号に記載されており、それらは、参照により本明細書に組み込まれる。
製剤を含むMC3は、例えば、2009年9月22日に出願された米国特許仮出願第61/244,834号、2009年6月10日に出願された米国特許仮出願第61/185,800号、および2010年6月10日に出願された国際出願PCT/US10/28224号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
製剤を含むALNY-100は、例えば、2009年11月10日に出願された国際出願PCT/US09/63933号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
製剤を含むC12-200は、2009年5月5日に出願された米国特許仮出願第61/175,770号、および2010年5月5日に出願された国際出願PCT/US10/33777号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
C.カチオン性脂質の合成
本開示に特徴づけられる核酸脂質粒子に使用される化合物、例えば、カチオン性脂質などのいずれかは、公知の有機合成技術によって調製され得る。すべての置換基は、別段の示唆がない限り、以下に定義されるとおりである。
「アルキル」は、1~24個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状の非環式または環式の飽和脂肪族炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられ、一方で飽和分岐アルキルとしては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルなどが挙げられる。代表的な飽和環式アルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ、不飽和環式アルキルとしては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどが挙げられる。
「アルケニル」は、上記に定義される通り、隣接する炭素原子間に少なくとも一つの二重結合を含有するアルキルを意味する。アルケニルは、シスおよびトランス異性体の両方を含む。代表的な直鎖状および分岐状アルケニルとしては、エチレニル、プロピレニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。
「アルキニル」とは、上記で定義される通り、隣接する炭素間に少なくとも一つの三重結合を追加で含む任意のアルキルまたはアルケニルを意味する。代表的な直鎖状および分枝状アルキニルとしては、アセチルエニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-メチル-1ブチニルなどが挙げられる。
「アシル」とは、以下に定義されるように、結合点における炭素がオキソ基で置換されている、任意のアルキル、アルケニル、またはアルキニルを意味する。例えば、-C(=O)アルキル、-C(=O)アルケニル、および-C(=O)アルキニルは、アシル基である。
「複素環」は、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する、5~7員の単環、または7~10員の二環の複素環式環を意味し、窒素および硫黄ヘテロ原子は随意に酸化され得、窒素ヘテロ原子は随意に四級化され得、上記の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合される二環式環を含む。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されてもよい。複素環は、以下に定義されるヘテロアリールを含む。複素環としては、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizynyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
「随意に置換されるアルキル」、「随意に置換されるアルケニル」、「随意に置換されるアルキニル」、「随意に置換されるアシル」、および「随意に置換される複素環」という用語は、置換されたとき、少なくとも一つの水素原子が置換基で置換されることを意味する。オキソ置換基(=O)の場合、二つの水素原子が置換される。この点に関して、置換基としては、オキソ、ハロゲン、複素環、-CN、-OR、‐NR、‐NRC(=O)R ‐NRSO、‐C(=O)R、‐C(=O)OR、‐C(=O)NR、-SOおよび‐SONRが挙げられ、式中、nは0、1または2であり、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、かつ独立して水素、アルキルまたは複素環であり、ならびに先述のアルキルおよび複素環置換基の各々は、オキソ、ハロゲン、-OH、-CN、アルキル、-OR、複素環、‐NR、‐NRC(=O)R -NRSO、‐C(=O)R、‐C(=O)OR、‐C(=O)NR、-SOおよび‐SO NRのうちの一つ以上でさらに置換されてもよい。
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
いくつかの実施形態では、本開示に特徴付けられる方法は、保護基の使用を必要とし得る。保護基の方法論は、当業者に周知である(例えば、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,Green,T.W.et al.,Wiley-Interscience,New York City,1999を参照)。簡潔に述べると、本開示の文脈内の保護基は、官能基の望ましくない反応性を低減または除去する任意の基である。保護基は、特定の反応中にその反応性を隠すために官能基に添加され、次いで除去されて元の官能基を明らかにすることができる。いくつかの実施形態では、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の望ましくない反応性を低減または除去する任意の基である。保護基は、当該技術分野で周知の技術を使用して添加および除去することができる。
式Aの合成
いくつかの実施形態では、本開示で特徴づけられる核酸脂質粒子は、式A:
のカチオン性脂質を使用して製剤化され、
式中、R1およびR2は独立して、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、各々は随意に置換され得、R3およびR4は独立して、より低いアルキルであるか、またはR3およびR4は一緒になって、随意に置換された複素環式環を形成することができる。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、XTC(2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン)である。概して、上記の式Aの脂質は、以下の反応スキーム1または2によって作製されてもよく、すべての置換基は、別段の示唆がない限り、上記に定義したとおりである。
スキーム1
およびRが独立してアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、各々が随意に置換され得、RおよびRが独立して低いアルキルであるか、またはRおよびRが一緒になって、随意に置換された複素環を形成することができる脂質Aは、スキーム1に従って調製され得る。ケトン1および臭化物2は、当業者に公知の方法に従って購入または調製することができる。1および2の反応により、ケタール3が得られる。ケタール3をアミン4で処理すると、式Aの脂質が得られる。式Aの脂質は、式5の有機塩を有する対応するアンモニウム塩に変換することができ、式中、Xはハロゲン、水酸化物、ホスフェート、スルフェートなどから選択されるアニオン対イオンである。
スキーム2
あるいは、ケトン1出発材料は、スキーム2に従って調製することができる。グリニャール試薬6およびシアニド7は、当業者に公知の方法に従って購入または調製することができる。6および7の反応により、ケトン1が得られる。ケトン1から式Aの対応する脂質への変換は、スキーム1に記載されるとおりである。
MC3の合成
DLin-M-C3-DMA(例えば、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート)の調製は以下の通りである。ジクロロメタン(5mL)中の(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-オール(0.53g)、4-N,N-ジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.51g)、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(0.61g)および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.53g)の溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を希塩酸で洗浄し、続いて、希炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒をロトバップ上で除去した。残留物を、1~5%メタノール/ジクロロメタン溶出勾配を使用してシリカゲルカラム(20g)に通した。精製生成物を含む画分を合わせ、溶媒を除去して、無色の油(0.54g)を得た。
ALNY-100の合成
ケタール519[ALNY-100]の合成を、以下のスキーム3を使用して行った。
515の合成:
二首RBF(1L)中の200mlの無水THF中のLiAlH4(3.74g、0.09852mol)の撹拌懸濁液に、窒素雰囲気下で0 0Cで70mLのTHF中の514(10g、0.04926mol)の溶液を緩徐に添加した。完全に添加した後、反応混合物を室温まで加温し、次いで4時間加熱還流した。反応の進行をTLCによって観察した。反応の完了後(TLCによる)、混合物を0°Cに冷却し、飽和Na2SO4溶液を慎重に添加してクエンチした。反応混合物を室温で4時間撹拌し、濾過した。残渣をTHFでよく洗浄した。濾液および洗浄液を混合し、400mLのジオキサンおよび26mLの濃縮(conc.)HCIで希釈し、室温で20分間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去して、白色固体として515の塩酸塩を得た。収率:7.12g 1H-NMR(DMSO,400MHz):δ=9.34(ブロード,2H),5.68(s,2H),3.74(m,1H),2.66-2.60(m,2H),2.50-2.45(m,5H)。
516の合成:
250mLの二首RBF中の100mLの乾燥DCM中の化合物515の撹拌溶液に、NEt3(37.2mL、0.2669mol)を添加し、窒素雰囲気下で0°Cに冷却した。50mLの乾燥DCM中のN-(ベンジルオキシ-カルボニルオキシ)-スクシンイミド(20g、0.08007mol)を緩徐に添加した後、反応混合物を室温まで加温した。反応完了後(TLCにより2~3時間)、混合物を1N HCl溶液(1×100mL)および飽和NaHCO3溶液(1×50mL)で連続的に洗浄した。次いで、有機層を無水 Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて粗物質を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、516を粘着性の塊として得た。収量:11g(89%)。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):δ=7.36-7.27(m,5H),5.69(s,2H),5.12(s,2H),4.96(br.,1H)2.74(s,3H),2.60(m,2H),2.30-2.25(m,2H)。LC-MS[M+H]-232.3(96.94%)。
517Aおよび517Bの合成:
シクロペンテン516(5g、0.02164mol)を、単一首500mLのRBF中の220mLのアセトンおよび水(10:1)の溶液中に溶解させ、それにN-メチルモルホリン-N-オキシド(7.6g、0.06492mol)、続いて、4.2mLのOsO4(0.275g、0.00108mol)の7.6%のtert-ブタノール溶液を室温で添加した。反応が完了した後(約3時間)、固体Na2SO3を添加して混合物をクエンチし、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をDCM(300mL)で希釈し、水(2×100mL)、続いて飽和NaHCO3(1×50mL)溶液、水(1×30mL)、最後にブライン(1×50mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗材料のシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製により、ジアステレオマーの混合物を得、これを分取HPLCにより分離した。収量:-6g粗
517A-Peak-1(白色固体)、5.13g(96%)。1H-NMR(DMSO,400MHz):δ=7.39-7.31(m,5H),5.04(s,2H),4.78-4.73(m,1H),4.48-4.47(d,2H),3.94-3.93(m,2H),2.71(s,3H),1.72-1.67(m,4H)。LC-MS-[M+H]-266.3、[M+NH4+]-283.5存在、HPLC-97.86%。X線検査により立体化学が確認された。
518の合成:
化合物505の合成について記載した手順と類似の手順を使用して、化合物518(1.2g、41%)を無色の油として得た。1H-NMR(CDCl3, 400MHz):δ=7.35-7.33(m,4H),7.30-7.27(m,1H),5.37-5.27(m,8H),5.12(s,2H),4.75(m,1H),4.58-4.57(m,2H),2.78-2.74(m,7H),2.06-2.00(m,8H),1.96-1.91(m,2H),1.62(m,4H),1.48(m,2H),1.37-1.25(br m,36H),0.87(m,6H)。HPLC-98.65%。
化合物519の合成についての一般的手順:
ヘキサン(15mL)中の化合物518(1当量)の溶液を、THF(1M、2当量)中のLAHの氷冷溶液に滴下様式で添加した。完全添加後、混合物を0.5時間にわたって40Cで加熱し、次いで氷浴上で再び冷却した。混合物を飽和Na2SO4水溶液で慎重に加水分解し、次いでセライトを通して濾過し、油に還元した。カラムクロマトグラフィーは、純粋な519(1.3g、68%)を提供し、これを無色の油として得た。13C NMR=130.2, 130.1(x2),127.9(x3),112.3, 79.3, 64.4, 44.7, 38.3, 35.4, 31.5, 29.9(x2), 29.7, 29.6(x2), 29.5(x3), 29.3(x2),27.2(x3),25.6, 24.5, 23.3, 226, 14.1;エレクトロスプレーMS(+ve):C44H80NO2の分子量(M+H)+計算値654.6、実測値654.6。
標準的な方法または押出し成形のない方法のいずれかによって調製された製剤は、同様の様式で特徴付けられ得る。例えば、製剤は通常、目視検査によって特徴付けられる。これらは、凝集体または沈殿物を含まない、白っぽい半透明の溶液であるべきである。脂質ナノ粒子の粒子径および粒子径の分布は、例えば、Malvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,USA)を使用した光散乱によって測定することができる。粒子は、例えば40~100nmのサイズなど、約20~300nmであるべきである。粒子径の分布は、単峰性であるべきである。製剤中の総dsRNA濃度、ならびに閉じ込められた画分を、色素排除アッセイを使用して推定する。製剤化されたdsRNAの試料は、製剤破壊界面活性剤、例えば、0.5% Triton-X100の存在下または非存在下で、リボグリーン(Molecular Probes)などのRNA結合染料とインキュベートすることができる。製剤中の総dsRNAは、標準曲線に対する、界面活性剤を含有する試料からのシグナルによって決定することができる。閉じ込められた画分は、総dsRNA含有量から「遊離」dsRNA含有量(界面活性剤の非存在下でシグナルによって測定される)を減算することによって決定される。閉じ込められたdsRNAの割合は、典型的には>85%である。SNALP製剤の場合、粒子径は、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、および少なくとも120nmである。好適な範囲は、典型的には、少なくとも約50nm~少なくとも約110nm、少なくとも約60nm~少なくとも約100nm、または少なくとも約80nm~少なくとも約90nmである。
経口投与のための組成物および製剤には、粉末または顆粒、微粒子、ナノ粒子、水または非水性媒体中の懸濁剤または溶液、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤またはミニ錠剤が含まれる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤が、望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、経口製剤は、本開示において取り上げるdsRNAが一つ以上の浸透促進剤、界面活性剤、およびキレート化剤と共に投与される製剤である。好適な界面活性剤としては、脂肪酸および/またはエステルもしくはその塩、胆汁酸および/またはその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩としては、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸(glucholic acid)、グリコール酸(glycholic acid)、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウムおよびグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸としては、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン、ジラウリン、1-モノカプリン酸グリセリル、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリド、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。いくつかの実施形態では、浸透促進剤の組合せが用いられ、例えば、胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩である。例示的な組み合わせの一つには、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩がある。さらに、浸透促進剤としては、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが挙げられる。本開示において取り上げるdsRNAは、噴霧された乾燥粒子などの粒状形態で、経口で送達することができ、またはマイクロ粒子またはナノ粒子を形成するために複合体化することができる。dsRNA複合体化薬剤としては、ポリ-アミノ酸、ポリイミン、ポリアクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリオキシエタン、ポリアルキルシアノアクリレート、カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)およびデンプン、ポリアルキルシアノアクリレート、DEAE誘導ポリイミン、プルラン(pollulan)、セルロースおよびデンプンが挙げられる。好適な複合体化薬剤としては、キトサン、N-トリメチルキトサン、ポリ-L-リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p-アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE-メタクリレート、DEAE-ヘキシルアクリレート、DEAE-アクリルアミド、DEAE-アルブミン、およびDEAEデキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNAの経口製剤およびその調製は、米国特許第6,887,906号、米国特許出願公開第20030027780号、および米国特許第6,747,014号に詳細に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
非経口、実質内(脳内へ)、髄腔内、硝子体内、網膜下、経強膜内、結膜下、球後、前房内、脳室内、または肝内への投与のための組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤、例えばこれらに限定されるものではないが、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容可能な担体または賦形剤などを含むことができる滅菌水溶液を含むことができる。
本開示の医薬組成物は、これに限定されるものではないが、溶液、エマルション、およびリポソームを含有する製剤を含む。これら組成物は、予め形成した液体、自己乳化型固体、および自己乳化型半固体を含めるがこれらに限定されない様々な構成要素から生成され得る。
本開示において特徴づけられる医薬製剤は、単位剤形において簡便にもたらされ得、製薬産業において周知の従来技術に従って調製することができる。こうした技術としては、活性成分を医薬担体または賦形剤と会合させる工程を含む。概して、製剤は、有効成分を液体担体または微粉化された固体担体またはその両方と均一にかつ密接に混合し、次いで、必要であれば、生成物を成形することによって調製される。
本開示において特徴づけられる組成物は、例えば、これらに限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル剤、坐剤、および浣腸剤などの多くの可能な剤形のいずれかへと製剤化され得る。組成物は、水性媒体、非水性媒体、または混合媒体中の懸濁剤として製剤化することもできる。水性懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質を、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランなどをさらに含有し得る。懸濁剤はまた、安定剤を含有し得る。
D.さらなる製剤
i.エマルション
本開示の組成物は、エマルションとして調製および製剤化されてもよい。エマルションは、典型的には、一方の液体が、もう一方の液体中に分散した不均一系であり、通常直径0.1μmを超える液滴の形態である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに密に混合し分散した二つの不混和性液相を含む二相系である。概して、エマルションは、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかのものであり得る。水相が、細かく分かれて微細な液滴として大量の油相中に分散している場合、その結果として得られる組成物を、油中水型(w/o)エマルションと呼ぶ。あるいは、油相が、細かく分かれて微細な液滴として大量の水相中に分散している場合、その結果として得られる組成物を、水中油型(o/w)エマルションと呼ぶ。エマルションは、分散相と、水相、油相、または別個の相としてのそれ自体のいずれかの中に溶液として存在し得る活性薬物とに加えて、追加的な成分を含有し得る。乳化剤、安定剤、色素、および抗酸化剤などの医薬賦形剤も、必要に応じてエマルション中に存在していてもよい。医薬エマルションは、例えば、油中水中油型(o/w/o)および水中油中水型(w/o/w)エマルションの場合などで、二相以上で構成される多相エマルションでもあってもよい。こうした複合剤形によれば、多くの場合、単純な二相エマルションでは与えられない一定の利点がもたらされる。w/o/wエマルションは、o/wエマルションの個々の油滴が小水滴を封入する多相エマルションにより構成される。同様に、o/w/oエマルションは、連続油相中で安定化した水の小滴中に封入された油滴の系によりもたらされる。
エマルションは、熱力学的安定性がほとんどないかまたは全くないことが特徴である。多くの場合、エマルションの分散相または不連続相は、外部相または連続相中に良好に分散しており、乳化剤によって、または製剤の粘度によってこの形態で維持される。エマルション形態の軟膏基剤およびクリーム剤の場合と同様に、エマルションの相のいずれかは、半固体または固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段としては、該エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、以下の四つのカテゴリ、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、および微細分散固体、に大きく分類することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。
表面活性剤としても知られる合成界面活性剤は、エマルションの剤形において広い適用可能性が見出されており、文献において検討されてきている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照)。界面活性剤は、典型的には両親媒性であり、親水性部分および疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比は、親水性/親油性バランス(HLB)と命名されており、製剤の調製において界面活性剤を分類および選択する際の有益なツールである。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて以下の異なるクラス、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性に分類することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照)。
エマルション製剤において使用される天然の乳化剤としては、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン、およびアカシアが挙げられる。吸収基剤は、親水特性を有するため、それらは水を吸収してw/oエマルションを形成し、それでもなおそれらの半固体の稠度を維持することができるものであり、例えば無水ラノリンおよび親水ワセリンなどである。微粒子となった固体も、とりわけ界面活性剤との併用で、および粘性調製物として、良好な乳化剤として使用されている。これらとしては、例えば重金属水酸化物などである極性無機固体、非膨潤性粘土、例えばベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウムおよびコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなど、顔料、および非極性固体、例えば炭素またはトリステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。
非常に多様な非乳化材料もまた、エマルション製剤に含まれて、エマルションの特性に寄与する。これらとしては、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、湿潤剤、親水性コロイド、防腐剤、および抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
親水性コロイドまたはハイドロコロイドとしては、天然ゴムおよび合成ポリマー、例えば多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、カラヤガム、およびトラガント)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、および合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエステル、およびカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中で分散または膨潤して、コロイド状溶液を形成し、それが、分散相液滴の周囲に強力な界面膜を形成することと、外側相の粘度を増加させることとによって、エマルションを安定化する。
エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支援することができる多くの成分、例えば炭水化物、タンパク質、ステロールおよびホスファチドなどを含有し、これら製剤はしばしば、防腐剤を組み込んでいる。エマルション製剤に含まれる通常使用される防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が挙げられる。製剤の劣化を防止するために、通常、抗酸化剤もエマルション製剤に加えられる。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどであるフリーラジカル捕捉剤、またはアスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムなどである還元剤、ならびにクエン酸、酒石酸およびレシチンなどである酸化防止共力薬であり得る。
経皮、経口、および非経口経路によるエマルション製剤の適用ならびにそれらの製造方法は、文献において検討されてきている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、ならびに吸収およびバイオアベイラビリティの見地からの有効性を理由に、非常に広く使用されてきた(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。o/wエマルションとして通常は経口投与されている材料の中には、鉱油系の緩下剤、脂溶性ビタミン、および高脂肪栄養製剤がある。
本開示のいくつかの実施形態では、iRNAよび核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の、光学的等方性で熱力学的に安定した液体溶液である、水、油、および両親媒性物質の系として規定され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、はじめに油を界面活性剤水溶液に分散させ、次いで十分な量の第四の成分、概して中鎖のアルコール、を加えて透明な系を形成することによって調製される系である。したがって、マイクロエマルションはまた、表面活性分子の界面膜によって安定化される、二つの不混和性液体の熱力学的に安定で同位体的に透明な分散液として説明されてもいる(Leung and Shah,in: Controlled Release of Drugs: Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pages 185-215)。マイクロエマルションは、通常、油、水、界面活性剤、コサーファクタント、および電解質を含めた三から五の成分を組み合わせることによって調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)型または水中油(o/w)型のいずれであるかは、使用する油および界面活性剤の特性ならびに界面活性剤分子の極性の頭と炭化水素の尾との構造および幾何学的パッキングに依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
状態図を利用する現象学的アプローチが、広く研究されており、それはマイクロエマルションをどのようにして製剤化するかの包括的な知識を当業者に与えた(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、水不溶性薬物を、自発的に形成された熱力学的に安定な液滴の製剤中で可溶化するという利点を提供する。
マイクロエマルションの調製において使用される界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、単独での、またはコサーファクタントと組み合わせた、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テ トラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(decaglycerol monocaprate)(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオリエート(decaglycerol sequioleate)(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)が挙げられる。コサーファクタントは、通常、エタノール、1-プロパノールおよび1-ブタノールなどである単鎖アルコールであり、界面活性剤フィルムに浸透して、その結果界面活性剤分子の間で生じる空間を理由に乱れた膜が生じることによって、界面の流動性を増大させる働きをする。しかしながらマイクロエマルションは、コサーファクタントを用いずに調製することもでき、アルコールを含まない自己乳化性マイクロエマルション系は、当技術分野で公知である。水相は、典型的には、これらに限定されるものではないが、水、薬物の水溶液、グリセリン、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールの誘導体であり得る。油相としては、これらに限定されるものではないが、Captex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8~C12)モノ、ジ、およびトリグリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8~C10グリセリド、植物油およびシリコーン油が挙げられ得る。
マイクロエマルションは、薬物可溶化および薬物吸収の向上の見地から、特に興味深い。脂質系マイクロエマルション(o/wおよびw/oいずれも)は、薬物の経口バイオアベイラビリティを向上するために提案されてきたものであり、ペプチドが挙げられる(例えば、米国特許第6,191,105号、第7,063,860号、第7,070,802号、第7,157,099号、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385-1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照)。マイクロエマルションは、薬物の可溶化の向上、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤によって誘導される膜流動性および浸透性の変化に起因する薬物吸収の可能な増強、調製の容易さ、固体剤形よりも経口投与が容易であること、臨床効力の向上、および毒性の減少という利点をもたらす(例えば、米国特許第6,191,105号、第7,063,860号、第7,070,802号、第7,157,099号、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138-143を参照)。多くの場合、マイクロエマルションは、それらの成分が周囲温度において一緒にされたときに自然発生的に形成され得る。これは、熱的不安定性の薬物であるペプチドまたはiRNAを製剤化する場合に、特に有利であり得る。さらにマイクロエマルションは、美容および医薬的な用途の両方で、活性成分の経皮送達にとっても有効であるとされている。本開示のマイクロエマルション組成物および製剤は、胃腸管からのiRNAおよび核酸の全身吸収の増加を促進し、ならびにiRNAおよび核酸の局所的な細胞取り込みの向上することとなることが予想される。
本開示のマイクロエマルションは、製剤の性質を向上させるため、および本開示のiRNAおよび核酸の吸収を高めるために、追加の成分および添加剤、例えばモノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、および浸透促進剤なども含有することができる。本開示のマイクロエマルションにおいて使用される浸透促進剤は、五つの広いカテゴリ、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤のうちの一つに属するとして分類され得る(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらクラスのそれぞれは、上記で説明している。
ii.浸透促進剤
いくつかの実施形態では、本開示は、核酸の、特にiRNAの、動物の皮膚への効率的な送達を有効にするために、様々な浸透促進剤を採用する。大部分の薬物は、イオン化形態および非イオン化形態の両方で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性または親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断しようとする膜が、浸透促進剤で処理されていれば、非親油性薬剤であっても細胞膜を横断し得ることが分かっている。浸透促進剤はまた、非親油性薬剤が細胞膜を横断して拡散するのを補助することに加えて、親油性薬剤の透過性も高める。
浸透促進剤は、五つの広いカテゴリ、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤、のうちの一つに属するものとして分類することができる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)。浸透促進剤の上述のクラスのそれぞれについては、以下においてより詳細に説明される。
界面活性剤:本開示に関連して、界面活性剤(または「表面活性剤」)は、水溶液中に溶解されたとき、溶液の表面張力または水溶液と別の液体との間の界面張力を減少させ、結果として、粘膜を通過するiRNAの吸収を高める化学物質である。胆汁塩および脂肪酸に加えて、これら浸透促進剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン-20-セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)、および過フルオロ化合物エマルション、例えばFC-43など Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)、が挙げられる。
脂肪酸:浸透促進剤として作用する種々の脂肪酸およびそれらの誘導体としては、例えばオレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(N-デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸、トリカプリン酸、モノオレイン(1-モノオレオイル-rac-グリセリン)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、1-モノカプリン酸グリセリン、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、そのC1-20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル、およびt-ブチル)、およびそのモノ-グリセリドおよびジ-グリセリド(すなわち、オレイン酸塩、ラウホスフェート、カプホスフェート、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアホスフェート、リノール酸塩など)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651-654を参照)。
胆汁塩:胆汁の生理的役割としては、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の促進が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in: Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw-Hill,New York,1996,pp.934-935を参照)。様々な天然の胆汁塩、およびそれらの合成誘導体が、浸透促進剤としての役割を果たす。したがって、用語「胆汁塩」は、胆汁の天然に存在する成分のいずれか、ならびにそれらの合成誘導体のいずれかを包含する。適切な胆汁塩としては、例えばコール酸(またはその薬学的に許容可能なナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(glycholic acid)(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(POE)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In: Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages 782-783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579-583を参照)が挙げられる。
キレート剤:キレート剤は、本開示に関連して使用する場合、金属イオンとの複合体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、結果として粘膜を通るiRNAの吸収を高める化合物として定義され得る。本開示における浸透促進剤としての使用に関して、ほとんどの特徴的なDNAヌクレアーゼは、触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、結果としてキレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNASe阻害剤としても機能するさらなる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315-339)。好適なキレート剤としては、これらに限定されるものではないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチレートおよびホモバニレート)、コラーゲンのN-アシル誘導体、β-ジケトンのラウレス-9およびN-アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43-51を参照)。
非キレート非界面活性剤:本明細書で使用する場合、非キレート非界面活性剤である浸透促進剤は、キレート剤としてまたは界面活性剤として有意でない活性を示すが、それでもなお消化器粘膜を介したiRNAの吸収を増強する化合物として定義され得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33を参照)。この浸透促進剤の分類は、例えば不飽和環状尿素、1-アルキル-および1-アルケニルアザシクロ-アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92)、ならびに非ステロイド性抗炎症剤、例えばジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、およびフェニルブタゾンなど(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621-626)が挙げられる。
細胞レベルでのiRNAの取り込みを増強する薬剤も、本開示の医薬組成物および他の組成物に加えることができる。例えば、カチオン性脂質、例えばリポフェクチンなど(Junichi et al、米国特許第5,705,188号)、カチオン性グリセロール誘導体、およびポリカチオン性分子、例えばポリリジンなど(Lollo et al.、国際公開第97/30731号)も、dsRNAの細胞取り込みを増強することが知られている。市販のトランスフェクション試薬の例としては、例えば、とりわけ、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE-C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(商標)、Lipofectamine(商標)2000 CD(商標)、Lipofectamine(商標)(商標)、RNAiMAX(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X-tremeGENE Q2トランスフェクション試薬(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAPリポソームトランスフェクション試薬(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPERリポソームトランスフェクション試薬(Grenzacherstrasse,Switzerland)、またはFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)試薬(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)トランスフェクション試薬(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-20試薬(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-50試薬(Promega社;マディソン WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、Transpass D1トランスフェクション試薬(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invivogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTERトランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTERトランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2トランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、サイトフェクチントランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTERトランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)トランスフェクション試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、HiFect(商標)(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、が挙げられる。
投与された核酸の浸透を高めるために、他の薬剤が利用され得、他の薬剤としては、例えばグリコール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールなど、ピロール、例えば2-ピロールなど、アゾン、およびテルペン、例えばリモネンおよびメントンなどが挙げられる。
iii.担体
本開示の特定の組成物はまた、製剤中に担体化合物を組み込む。本明細書で使用される場合、「担体化合物」は、不活性(すなわち、それ自体は生物学的活性を有しない)であるが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解するか、または循環からのその除去を促進することによって、生物学的活性を有する核酸の生物学的利用能を減少させるインビボプロセスによって核酸として認識される、核酸またはその類似体を指すことができる。核酸と担体化合物との、通常は後者の物質が過剰である同時投与は、おそらくは共通受容体についての担体化合物と核酸との間の競合に起因して、肝臓、腎臓、または他の循環外貯蔵部に回収される核酸の量の大幅な減少をもたらし得る。例えば、肝組織における部分ホスホロチオエートdsRNAの回収は、ポリイノシン酸、デキストラン硫酸、ポリシチジン酸、または4-アセトアミド-4’イソチオシアノ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸と同時投与される場合に、低減され得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115-121;Takakura et al.,DsRNA & Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177-183)。
iv.賦形剤
担体化合物とは対照的に、医薬担体または賦形剤は、例えば、一つ以上の核酸を動物に送達するための、薬学的に許容可能な溶媒、懸濁剤またはその他の薬理学的に不活性なビヒクルを含む。賦形剤は、液体または固体であり得、また核酸および所定の医薬組成物を他の成分と併用される場合に、所望の体積、稠度などをもたらするように計画された投与の様式を念頭において選択される。典型的な医薬担体としては、これらに限定されるものではないが、結合剤(例えば、予めゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、ラクトースおよび他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート、またはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、硬化植物油、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
核酸と有害に反応しない、経口投与にとって好適な薬学的に許容可能な有機または無機の賦形剤も、本開示の組成物を製剤化するために使用することができる。好適な薬学的に許容可能な担体としては、これらに限定されるものではないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
核酸の局所投与用の製剤は、滅菌および非滅菌水溶液、アルコールなどの通常の溶媒中の非水溶液、または液体もしくは固体油基剤中の核酸の溶液を含み得る。溶液は、緩衝剤、希釈剤、および他の好適な添加剤も含有し得る。核酸と有害に反応しない、経口投与にとって好適な薬学的に許容可能な有機または無機の賦形剤を、使用することができる。
好適な薬学的に許容可能な賦形剤としては、これらに限定されるものではないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
v.他の成分
本開示の組成物は、医薬組成物中に従来見られる他の補助成分を、当技術分野において確立されたそれらの使用レベルにおいて、さらに含有し得る。したがって、例えば、組成物は、追加の適合性の、薬学的に活性な材料、例えば止痒剤、収斂剤、局部麻酔薬、もしくは抗炎症剤などを含有することができ、または本開示の組成物の様々な剤形を物理的に製剤化する際に有用な追加の材料、例えば色素、香味剤、防腐剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤、および安定剤などを含有することができる。ただし、そのような材料は、添加したときに本開示の組成物の成分の生物活性を過度に妨害すべきではない。製剤は、滅菌され、また所望により、例えば潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、香味剤、および/または芳香物質などである、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤と混合され得る。
水性懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質を、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランなどを含有し得る。懸濁剤はまた、安定剤を含有し得る。
いくつかの実施形態では、本開示において取り上げられる医薬組成物は、(a)一つ以上のRNAi化合物、および(b)非RNAi機序で機能する一つ以上の生物剤を含む。こうした生物剤の例としては、MYOCおよび少なくとも一つのMYOC結合パートナーとの相互作用を妨げる薬剤が挙げられる。
こうした化合物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的である用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効である用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数となり、LD50/ED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が典型的である。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒトにおける使用のための範囲の投与量を製剤化する際に使用することができる。本開示における本明細書において取り上げる組成物の投与量は、概して、ほとんど毒性がないかまたは毒性が全くないED50を含む循環濃度の範囲内である。投与量は、用いる剤形および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本開示において取り上げる方法で使用する任意の化合物に対して、最初に、細胞培養アッセイから治療有効用量を見積もることができる。細胞培養において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する被験化合物の濃度)を含む、化合物、または適切な場合には、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を達成する(例えば、ポリペプチドの濃度減少を達成する)ように、ある用量を動物モデルにおいて製剤化することができる。こうした情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって、測定することができる。
それらの投与に加えて、上述のように、本開示で特徴付けられるiRNAは、MYOC発現に関連する疾患または障害(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))の治療に有効な他の公知の薬剤と組み合わせて投与することができる。いずれにしても、投与する医師は、当技術分野で公知であるかまたは本明細書で記載した、有効性の標準的尺度を使用して観察された結果に基づいて、iRNA投与の量およびタイミングを調整することができる。
VII.MYOCの発現に関連する障害を治療する方法
本開示は、MYOC発現を阻害するための、および/またはMYOC発現に関連する疾患、障害、もしくは病理学的プロセス(例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))を治療するための、MYOCを標的とするiRNAの使用に関する。
一部の態様では、MYOCの発現に関連する障害の治療方法が提供され、方法は、本明細書に開示されるiRNA(例えば、dsRNA)を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、iRNAは、MYOC発現を阻害する(減少させる)。
いくつかの実施形態では、対象は、MYOC発現に関連する障害、例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG)のモデルとしての役割を果たす動物である。
A.緑内障
いくつかの実施形態では、MYOC発現に関連する障害は、緑内障である。本明細書に記述する方法を使用して治療可能な緑内障の非限定的な例は、原発性開放隅角緑内障(POAG)を含む。
緑内障の臨床的および病理学的特徴には、視力喪失、視力の減少(例えば、光およびぼやけの周りのハロ))、および眼からの房水の漏出の減少が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、緑内障を有する対象は、18歳未満である。いくつかの実施形態では、緑内障を有する対象は成人である。いくつかの実施形態では、緑内障を有する対象は、60歳超である。いくつかの実施形態では、対象は、参照レベルと比較して、MYOC mRNAまたはタンパク質のレベルが上昇している、または上昇していると特定される(例えば、参照レベルよりも大きいMYOCのレベル)。
いくつかの実施形態では、緑内障は、対象からの試料(例えば、水性眼液試料)の分析を使用して診断される。いくつかの実施形態では、試料は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、免疫組織化学検査、MYOCイムノアッセイ、電子顕微鏡、レーザー顕微解剖、および質量分析のうちの一つ以上から選択される方法を使用して分析される。いくつかの実施形態では、緑内障は、例えば、Goldmann 圧平眼圧計、中心角膜厚(CCT)の測定、自動静的閾値視野測定(例えば、ハンフリー視野分析)、ファン・ヘリック法、隅角鏡検査法、超音波生体顕微鏡検査および前部セグメント光干渉断層撮影(AS-OCT)、血管造影(例えば、蛍光眼底血管造影またはインドシアニングリーン蛍光管造影)、網膜電図記録法 超音波検査法、パキメトリ、光干渉断層撮影(OCT)、コンピューター断層撮影(CT)および磁気共鳴画像法(MRI)、眼圧測定法、色覚検査法、視野検査法、細隙灯検査法、検眼鏡検査法、および身体検査(例えば、視力の評価(例えば、眼底検査または光干渉断層撮影(OCT)による)などの、任意の適切な診断検査または技法を使用して診断される。。
B.併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるiRNA(例えば、dsRNA)は、MYOC発現に関連する障害(緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG))またはそのような障害の症状の治療に有効であることが知られている第二の療法(例えば、一つ以上の追加の療法)と組み合わせて投与される。iRNAは、第二の療法の前、後、または同時に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、iRNAは、第二の療法の前に投与される。いくつかの実施形態では、iRNAは、第二の療法の後に投与される。いくつかの実施形態では、iRNAは、第二の療法と同時に投与される。
第二の療法は、追加の治療剤であってもよい。iRNAおよび追加の治療剤は、同じ組成物中で組み合わせて投与することができ、または追加の治療剤は、別個の組成物の一部としても投与することができる。
いくつかの実施形態では、第二の療法は、障害または障害の症状を治療するのに有効な非iRNA治療剤である。
いくつかの実施形態では、iRNAは、療法と同時に投与される。
例示的な併用療法には、レーザー線維柱帯形成術、線維柱帯切除術、低侵襲性緑内障手術、眼への排液管の配置、経口薬または点眼薬が含まれるが、これらに限定されない。
投与量、経路、およびタイミング
対象(例えば、ヒト対象、例えば、患者)には、iRNAの治療量を投与することができる。治療量は、例えば、0.05~50mg/kgであり得る。
いくつかの実施形態では、iRNAは、標的器官、例えば、眼への送達のために製剤化される。
いくつかの実施形態では、iRNAは、脂質製剤、例えば、本明細書に記載されるLNP製剤として製剤化される。一部のこうした実施形態では、治療量は、0.05~5mg/kgのdsRNAである。いくつかの実施形態では、脂質製剤、例えば、LNP製剤は、静脈内投与される。
いくつかの実施形態では、iRNAは、例えば、本明細書に記載されるGalNAcコンジュゲートの形態である。一部のこうした実施形態では、治療量は、0.5~50mgのdsRNAである。いくつかの実施形態では、例えば、GalNAcコンジュゲートは、皮下投与される。
いくつかの実施形態では、投与は、例えば、毎日、隔週(すなわち、二週間ごと)など定期的に、一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月、四ヶ月、六ヶ月、またはそれ以上の間、繰り返される。初回治療レジメンの後、治療は、より少ない頻度で施与することができる。例えば、隔週で三ヶ月間の投与後、投与は月に一回、六ヶ月間、または一年、またはそれ以上の期間、繰り返すことができる。
いくつかの実施形態では、iRNA剤は、二回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、後続用量の数または量は、例えば、(a)MYOCの発現もしくは活性を阻害もしくは低減する、(b)ミスフォールドされたMYOCタンパク質のレベルを低減する、(c)小柱網細胞死を低減する、(d)眼圧を低減する、または(e)視力を増加させる、などの所望の効果の達成に依存する、または例えば、障害に関連する一つ以上の症状の低減もしくは予防などの治療的もしくは予防的効果の達成に依存する。
いくつかの実施形態では、iRNA剤は、スケジュールに従って投与される。例えば、iRNA剤は、週一回、週二回、週三回、週四回、または週五回投与されてもよい。いくつかの実施形態では、スケジュールは、規則的に間隔を置いた投与、例えば、毎時、四時間毎、六時間毎、八時間毎、十二時間毎、毎日、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、毎週、隔週、または毎月を含む。いくつかの実施形態では、iRNA剤は、所望の効果を達成するために必要な頻度で投与される。
いくつかの実施形態では、スケジュールは、薬剤が投与されないより長い期間が続く、密接に間隔を置いた投与を伴う。例えば、スケジュールは、比較的短い期間(例えば、約6時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約48時間毎、または約72時間毎)で投与され、その後、iRNA薬剤が投与されないより長い期間(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間)で投与される用量の初期セットを伴い得る。いくつかの実施形態では、iRNA剤は、最初は一時間毎に投与され、その後、より長い間隔(例えば、毎週、隔週、または毎月)で投与される。いくつかの実施形態では、iRNA剤は、最初は毎日投与され、その後、より長い間隔(例えば、毎週、隔週、または毎月)で投与される。特定の実施形態では、より長い間隔は、経時的に増加するか、または所望の効果の達成に基づいて決定される。
iRNAの全用量の投与の前に、患者は、より少ない用量で、例えば5%の注入用量で投与され、そして有害作用を、例えばアレルギー反応を、脂質のレベルや血圧の上昇について観察され得る。別の実施例では、患者は、望ましくない効果について監視され得る。
VIII.MYOCの発現を調節する方法
一部の態様では、本開示は、例えば、細胞、組織、または対象におけるMYOCの発現を調節する(例えば、阻害または活性化する)ための方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞または組織は、生体外、インビトロ、またはインビボである。いくつかの実施形態では、細胞または組織は、眼(例えば、小柱網組織、毛体様、網膜色素上皮(RPE)、網膜組織、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、光受容体細胞、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織)にある。いくつかの実施形態では、細胞または組織は、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)にある。いくつかの実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、本明細書に記載されるように、MYOC発現の発現に関連する障害のリスクがあるか、または障害があると診断される。
いくつかの実施形態では、方法は、細胞におけるMYOCの発現を減少させるのに有効な量で、細胞を本明細書に記載のiRNAと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、細胞をRNAi剤と接触させることは、細胞をインビトロでRNAi剤と接触させること、または細胞をインビボでRNAi剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、RNAi剤は、方法を実施する個人によって、細胞と物理的に接触するように置かれる、またはRNAi剤は、その後に細胞と接触することを可能にするまたは引き起すであろう状況に置かれ得る。細胞をインビトロで接触させることは、例えば、細胞をRNAi剤と共にインキュベートすることによって行われ得る。インビボで細胞を接触させることは、例えば、RNAi剤を細胞が位置する組織内またはその近くに注入することによって、またはRNAi剤を別の領域、例えば、眼組織に注入することによって行われてもよい。例えば、RNAi剤は、目的の部位にRNAi剤を向かわせるかまたはそうでなければ安定化させるリガンド、例えば、下記において説明され、例えば参照によりその全文が、親油性部分についての記載を含めて、本明細書に組み込まれる国際出願PCT/US2019/031170号においてさらに詳述される親油性部分、を含み得るかまたはそれにカップリングされ得る。インビトロおよびインビボでの接触方法の組合せもまた可能である。例えば、細胞をインビトロにおいてRNAi剤と接触させて、その後に対象に移してもよい。
MYOCの発現は、MYOC mRNA、MYOCタンパク質の発現レベル、またはMYOCの発現レベルに機能的に連結された別のパラメータのレベルに基づいて評価され得る。いくつかの実施形態では、MYOCの発現は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害される。いくつかの実施形態では、iRNAは、0.001~0.01nM、0.001~0.10nM、0.001~1.0nM、0.001~10nM、0.01~0.05nM、0.01~0.50nM、0.02~0.60nM、0.01~1.0nM、0.01~1.5nM、0.01~10nMの範囲内のIC50を有する。IC50値は、適切な制御値、例えば、非標的化iRNAのIC50に対して正規化され得る。
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載されるiRNAを細胞または組織に導入することと、MYOCのmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間、細胞または組織を維持し、それによって、細胞または組織におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む。
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載される組成物、例えば、MYOCに結合するiRNAを含む組成物を、標的MYOCの発現が、例えば、少なくとも二、三、四日、またはそれ以上、例えば、一週間、二週間、三週間、または四週間またはそれ以上など、長期間減少するように、哺乳動物に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MYOCの発現の減少は、第一の投与の1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、または24時間以内に検出可能である。
いくつかの実施形態では、方法は、標的MYOCの発現が、例えば、未処理の動物と比較して少なくとも10%増加するように、本明細書に記載の組成物を哺乳動物に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MYOCの活性化は、長期間、例えば、少なくとも二、三、四日またはそれ以上、例えば、一週間、二週間、三週間、四週間、またはそれ以上にわたって起こる。理論に束縛されることを望むものではないが、iRNAは、MYOC mRNA転写物を安定化させるか、ゲノム中のプロモーターと相互作用させるか、またはMYOC発現の阻害剤を阻害することによって、MYOC発現を活性化することができる。
本開示において特徴付けられる方法および組成物にとって有用なiRNAは、MYOCのRNA(一次またはプロセシングされた)を特異的に標的とする。iRNAを使用してMYOCの発現を阻害する組成物および方法は、本明細書の他の箇所で記載するように調製および実施され得る。
いくつかの実施形態では、方法は、iRNAを含有する組成物を投与することを含み、iRNAは、対象のMYOCのRNA転写物の少なくとも一部、例えば、治療される哺乳動物、例えば、ヒトに相補的であるヌクレオチド配列を含む。組成物は、眼(例えば、眼内)、局所、および静脈内投与を含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって投与され得る。
特定の実施形態では、組成物は、眼内で(例えば、硝子体内投与、例えば、硝子体内注射、経強膜内投与、例えば、経強膜内注射、結膜下投与、例えば、結膜下注射、球後投与、例えば、球後注射、前房内投与、例えば、前房内注射、または網膜下投与、例えば、網膜下注射によって)される。他の実施形態では、組成物は局所投与される。他の実施形態では、組成物は、静脈内への注入または注射によって投与される。
特定の実施形態では、組成物は、静脈内への注入または注射によって投与される。一部のこうした実施形態では、組成物は、静脈内注入用の脂質製剤化siRNA(例えば、LNP11製剤などのLNP製剤)を含む。
別段の定義がない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似または同等の方法および材料を、本開示において取り上げるiRNAおよび方法の実施または試験において使用できるが、適した方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及する全ての公開公報、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて、本明細書が統制することとなる。さらに、材料、方法および実施例は、単に例示的なものであり、限定することを意図するものではない。
具体的な実施形態
1.ミオシリン(MYOC)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、アンチセンス鎖内の少なくとも15個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、センス鎖は、ヒトMYOCのコード鎖の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、ヒトMYOCの非コード鎖の対応する部分の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、dsRNA剤。
2.ヒトMYOCのコード鎖が、配列番号1の配列を含む、実施形態1に記載のdsRNA剤。
3.ヒトMYOCの非コード鎖が、配列番号2の配列を含む、実施形態1または2に記載のdsRNA剤。
4.MYOCの発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、アンチセンス鎖内の少なくとも15個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、アンチセンス鎖は、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、dsRNA剤。
5.センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態4に記載のdsRNA剤。
5a.アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565804のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、二本鎖AD-1565804のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
5b.アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565837のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、二本鎖AD-1565837のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~5aのいずれか一つに記載のdsRNA剤。
6.dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも17個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~5bのいずれか一つに記載のdsRNA剤。
7.センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態6に記載のdsRNA剤。
8.dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも19個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
9.センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態8に記載のdsRNA剤。
10.dsRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、センス鎖がアンチセンス鎖中の少なくとも21個の連続するヌクレオチドに相補的であるように、配列番号2のヌクレオチド配列の一部の、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
11.センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列の対応する部分の、0、または1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態10に記載のdsRNA剤。
12.センス鎖の部分が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つのセンス鎖内の部分である、実施形態1~11のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
13.アンチセンス鎖の部分が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つのアンチセンス鎖内の部分である、実施形態1~12のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
14.アンチセンス鎖が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~13のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
15.センス鎖が、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~14のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
16.アンチセンス鎖が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~15のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
17.センス鎖が、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも17個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~16のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
18.アンチセンス鎖が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~17のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
19.センス鎖が、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも19個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~18のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
20.アンチセンス鎖が、表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~19のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
21.センス鎖が、アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのうちのいずれか一つに列記されるセンス配列と、0、1、2、または3つのミスマッチを有する少なくとも21個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、実施形態1~20のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
22.センス鎖が、少なくとも23個のヌクレオチドの長さ、例えば、23~30個のヌクレオチドの長さである、実施形態1~21のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
23.センス鎖およびアンチセンス鎖のうちの少なくとも一つが、一つ以上の親油性部分にコンジュゲートされる、実施形態1~22のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
24.親油性部分が、dsRNA剤の二本鎖領域における一つ以上の位置にコンジュゲートされる、実施形態23に記載のdsRNA剤。
25.親油性部分が、リンカーまたは担体を介してコンジュゲートされる、実施形態23または24に記載のdsRNA剤。
26.親油性部分の親油性が、logKowによって測定され、0を超える、実施形態23~25のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
27.二本鎖RNAi剤の血漿タンパク質結合アッセイにおける非結合画分で測定された二本鎖RNAi剤の疎水性が、0.2を超える、実施形態1~26のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
28.血漿タンパク質結合アッセイが、ヒト血清アルブミンタンパク質を使用する電気泳動移動度シフトアッセイである、実施形態27に記載のdsRNA剤。
29.dsRNA剤が、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、実施形態1~28のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
30.センス鎖のヌクレオチドの五個以下およびアンチセンス鎖のヌクレオチドの五個以下が、未修飾ヌクレオチドである、実施形態29に記載のdsRNA剤。
31.センス鎖のすべてのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、修飾を含む、実施形態29に記載のdsRNA剤。
32.修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシ-チミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、ヌクレオチドを含む非天然の塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、実施形態29~31のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
33.センス鎖ヌクレオチドのうちの五個以下、およびアンチセンス鎖のヌクレオチドのうちの五個以下が、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、アンロック核酸(UNA)、またはグリセロール核酸(GNA)以外の修飾を含む、実施形態29~31のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
34.センス鎖の連続する二つのヌクレオチドの間、またはアンチセンス鎖の連続する二つのヌクレオチドの間に、非ヌクレオチドスペーサー(随意に、非ヌクレオチドスペーサーは、C3-C6アルキルを含む)を含む、実施形態1~33のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
35.各鎖が、30ヌクレオチド以下の長さである、実施形態1~34のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
36.少なくとも一方の鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、実施形態1~35のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
37.少なくとも一方の鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、実施形態1~36のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
38.二本鎖領域が、15~30ヌクレオチド対の長さである、実施形態1~37のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
39.二本鎖領域が、17~23ヌクレオチド対の長さである、実施形態38に記載のdsRNA剤。
40.二本鎖領域が、17~25ヌクレオチド対の長さである、実施形態38に記載のdsRNA剤。
41.二本鎖領域が、23~27ヌクレオチド対の長さである、実施形態38に記載のdsRNA剤。
42.二本鎖領域が、19~21ヌクレオチド対の長さである、実施形態38に記載のdsRNA剤。
43.二本鎖領域が、21~23ヌクレオチド対の長さである、実施形態38に記載のdsRNA剤。
44.各鎖が、19~30ヌクレオチドを有する、実施形態1~43のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
45.各鎖が、19~23ヌクレオチドを有する、実施形態1~44のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
46.各鎖が、21~23ヌクレオチドを有する、実施形態1~45のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
47.薬剤が、少なくとも一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合を含む、実施形態1~46のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
48.ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合が、一方の鎖の3’末端にある、実施形態47に記載のdsRNA剤。
49.鎖が、アンチセンス鎖である、実施形態48に記載のdsRNA剤。
50.鎖が、センス鎖である、実施形態48に記載のdsRNA剤。
51.ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合が、一方の鎖の5’末端にある、実施形態47に記載のdsRNA剤。
52.鎖が、アンチセンス鎖である、実施形態51に記載のdsRNA剤。
53.鎖が、センス鎖である、実施形態51に記載のdsRNA剤。
54.一方の鎖の5’末端および3’末端の各々が、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を含む、実施形態47に記載のdsRNA剤。
55.鎖が、アンチセンス鎖である、実施形態54に記載のdsRNA剤。
56.二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端の1位における塩基対が、AU塩基対である、実施形態1~55のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
57.センス鎖は、合計21のヌクレオチドを有し、アンチセンス鎖は、合計23のヌクレオチドを有する、実施形態54に記載のdsRNA剤。
58.一つ以上の親油性部分が、少なくとも一方の鎖上の一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる、実施形態23~57のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
59.一つ以上の親油性部分が、リンカーまたは担体を介して、少なくとも一方の鎖上の一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる、実施形態58に記載のdsRNA剤。
60.内側位置が、少なくとも一方の鎖の各末端から末端の二つの位置を除く全ての位置を含む、実施形態59に記載のdsRNA剤。
61.内側位置が、少なくとも一方の鎖の各末端から末端の三つの位置を除く全ての位置を含む、実施形態59に記載のdsRNA剤。
62.内側位置が、センス鎖の切断部位領域を除く、実施形態59~61のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
63.内側位置が、センス鎖の5’末端から数えて9~12位を除く全ての位置を含む、実施形態62に記載のdsRNA剤。
64.内側位置が、センス鎖の3’末端から数えて11~13位を除く全ての位置を含む、実施形態62に記載のdsRNA剤。
65.内側位置が、アンチセンス鎖の切断部位領域を除く、実施形態59~61のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
66.内側位置が、アンチセンス鎖の5’末端から数えて12~14位を除く全ての位置を含む、実施形態65に記載のdsRNA剤。
67.内側位置が、3’末端から数えてセンス鎖上の11~13位および5’末端から数えてアンチセンス鎖上の12~14位を除く全ての位置を含む、実施形態59~61のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
68.一つ以上の親油性部分が、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の4~8位および13~18位ならびにアンチセンス鎖上の6~10位および15~18位からなる群から選択される一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる、実施形態23~67のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
69.一つ以上の親油性部分が、各鎖の5’末端から数えて、センス鎖上の5、6、7、15および17位ならびにアンチセンス鎖上の15および17位からなる群から選択される一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる、実施形態68に記載のdsRNA剤。
70.二本鎖領域における位置が、センス鎖の切断部位領域を除く、実施形態24に記載のdsRNA剤。
71.センス鎖は、21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は、23ヌクレオチドの長さであり、また親油性部分は、センス鎖の21位、20位、15位、1位、7位、6位もしくは2位、またはアンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる、実施形態23~70のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
72.親油性部分が、センス鎖の21位、20位、15位、1位、または7位にコンジュゲートされる、実施形態71に記載のdsRNA剤。
73.親油性部分が、センス鎖の21位、20位、または15位にコンジュゲートされる、実施形態71に記載のdsRNA剤。
74.親油性部分が、センス鎖の20位、または15位にコンジュゲートされる、実施形態71に記載のdsRNA剤。
75.親油性部分が、アンチセンス鎖の16位にコンジュゲートされる、実施形態71に記載のdsRNA剤。
76.親油性部分が、センス鎖の5’末端から数えて、6位にコンジュゲートされる、実施形態71に記載のdsRNA剤。
77.親油性部分が、脂肪族化合物、脂環式化合物、または多脂環式化合物である、実施形態23~76のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
78.親油性部分が、脂質、コレステロール、レチノイン酸、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキサノール、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンからなる群から選択される、実施形態77に記載のdsRNA剤。
79.親油性部分が、飽和または不飽和C4~C30炭化水素鎖と、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、スルホネート、ホスフェート、チオール、アジド、およびアルキンからなる群から選択される任意の官能基と、を含有する、実施形態78に記載のdsRNA剤。
80.親油性部分が、飽和または不飽和C6~C18炭化水素鎖を含有する、実施形態79に記載のdsRNA剤。
81.親油性部分が、飽和または不飽和C16炭化水素鎖を含有する、実施形態79に記載のdsRNA剤。
82.親油性部分が、内側位置または二本鎖領域における一つ以上のヌクレオチドに置き換わる担体を介してコンジュゲートされる、実施形態23~81のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
83.担体が、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される環式基であるか、またはセリノール骨格またはジエタノールアミン骨格系の非環式部分である、実施形態82に記載のdsRNA剤。
84.親油性部分が、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖iRNA剤にコンジュゲートされる、実施形態23~81のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
85.親油性部分が、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートされる、実施形態23~84のいずれか一つに記載の二本鎖iRNA剤。
86.親油性部分が、DNA、RNA、ジスルフィド、アミド、およびガラクトサミン、グルコサミン、グルコース、ガラクトース、マンノースの官能化された単糖またはオリゴ糖、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される生物切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされる、実施形態23~85のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
87.センス鎖の3’末端は、アミンを有する環状基であるエンドキャップを介して保護され、環状基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフラニル、およびデカリニルからなる群から選択される、実施形態23~86のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
88.例えば、眼組織または肝組織を標的とするリガンドなどの、標的化リガンドをさらに含む、実施形態23~87のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
89.リガンドが、センス鎖にコンジュゲートされる、実施形態88に記載のdsRNA剤。
90.リガンドが、センス鎖の3’末端または5’末端にコンジュゲートされる、実施形態88または89に記載のdsRNA剤。
91. リガンドが、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる、実施形態88または89に記載のdsRNA剤。
92. 眼組織が、小柱網組織、毛体様、網膜組織、網膜色素上皮(RPE)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管である、実施形態88~91のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
93.標的化リガンドが、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む、実施形態88~91のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
94. 標的化リガンドが、一つ以上のGalNAcコンジュゲートまたは一つ以上のもしくはGalNAc誘導体である、実施形態88~91のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
95.一つ以上のGalNAcコンジュゲートまたは一つ以上のGalNAc誘導体が、一価のリカー、または二価、三価、または四価の分枝リンカーを介して結合する、実施形態94に記載のdsRNA剤。
96.リガンドが、以下のものである、実施形態94に記載のdsRNA剤。
97.dsRNA剤が、以下の図に示すようにリガンドにコンジュゲートし、
式中、XOまたはSである、実施形態96に記載のdsRNA剤。
98.Xが、Oである、実施形態97に記載のdsRNA剤。
99.アンチセンス鎖の3’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がSp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置またはSp配置のいずれかである、末端のキラル修飾と、をさらに含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
100.アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がSp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置またはSp配置のいずれかである、末端のキラル修飾と、をさらに含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
101.アンチセンス鎖の3’末端における第一、第二および第三のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がSp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置またはSp配置のいずれかである、末端のキラル修飾と、をさらに含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
102.アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がSp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の3’末端における第三のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置またはSp配置のいずれかである、末端のキラル修飾と、をさらに含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
103.アンチセンス鎖の3’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がSp配置である、末端のキラル修飾と、
アンチセンス鎖の5’末端における第一および第二のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置である、末端のキラル修飾と、
センス鎖の5’末端における第一のヌクレオチド間連結において生じる末端のキラル修飾であって、連結リン原子がRp配置またはSp配置のいずれかである、末端のキラル修飾と、をさらに含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
104.アンチセンス鎖の5’末端においてホスフェートまたはホスフェート模倣体をさらに含む、実施形態1~103のいずれか一つに記載のdsRNA剤。
105.ホスフェート模倣体が、5’-ビニルホスホネート(VP)である、実施形態104に記載のdsRNA剤。
106.実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤を含有する、細胞。
107.例えば、他の点では類似した未処理の細胞と比較して、低減されたMYOC mRNAのレベルまたはMYOCタンパク質のレベルを含むヒト眼細胞(小柱網の細胞、毛体様の細胞、RPE細胞、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、または光受容体細胞)であって、随意に、レベルが、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%低減される、ヒト眼細胞。
108. ヒト細胞を実施形態1~94のいずれか一つに記載のdsRNA剤と接触させることを含むプロセスによって産生された、実施形態107に記載のヒト細胞。
109.実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤を含む、MYOCの発現を阻害する医薬組成物。
110.実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤と脂質製剤とを含む、医薬組成物。
111.細胞においてMYOCの発現を阻害する方法であって、方法が、
(a)細胞を、実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤、または実施形態109または110に記載の医薬組成物と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞を、MYOCのmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間維持し、それによって細胞におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む、方法。
112.細胞においてMYOCの発現を阻害する方法であって、方法が、
(a)細胞を、実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤、または実施形態109または110に記載の医薬組成物と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞を、MYOC mRNA、MYOCタンパク質、またはMYOC mRNAおよびタンパク質の両方のレベルを低減するのに十分な時間維持し、それによって細胞におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む、方法。
113.細胞が、対象内にある、実施形態111または112に記載の方法。
114.対象が、ヒトである、実施形態113に記載の方法。
115.MYOC mRNAのレベルが、少なくとも50%阻害される、実施形態111~114のいずれか一つに記載の方法。
116.MYOCタンパク質のレベルが、少なくとも50%阻害される、実施形態111~114のいずれか一つに記載の方法。
117.MYOCの発現を阻害することが、対象からの生体試料(例えば、水性眼液試料)中のMYOCタンパク質レベルを少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少させる、実施形態114~116に記載の方法。
118.対象が、MYOC関連障害、例えば、緑内障、例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG)と診断されている、実施形態114~117のいずれか一つに記載の方法。
119.眼細胞または組織においてMYOCの発現を阻害する方法であって、方法が、
(a)細胞または組織を、MYOCに結合するdsRNA剤と接触させることと、
(b)工程(a)で産生された細胞または組織を、MYOC mRNA、MYOCタンパク質、またはMYOC mRNAおよびタンパク質の両方のレベルを低減するのに十分な時間維持し、それによって細胞または組織におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む、方法。
120.眼細胞または組織が、小柱網組織、毛体様、RPE細胞、網膜組織、星状細胞、周皮細胞、ミュラー細胞、神経節細胞、内皮細胞、光受容体細胞、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織、を含む、実施形態119に記載の方法。
120a.対象における眼圧を低減する方法であって、治療有効量の実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤または実施形態109もしくは110に記載の医薬組成物を対象に投与し、それによって対象における眼圧を低減することを含む、方法。
120b.対象における眼圧の増加を制限するか、または一定の眼圧を維持する方法であって、治療有効量の実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤または実施形態109もしくは110に記載の医薬組成物を対象に投与し、それによって、対象における眼圧の増加を制限するか、または一定の眼圧を維持することを含む、方法。
121.MYOC関連障害を有する、または有すると診断された対象を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤または実施形態109もしくは110に記載の医薬組成物を対象に投与し、それによって、障害を治療することを含む、方法。
122.MYOC関連障害が、緑内障である、実施形態118または121に記載の方法。
122a.緑内障を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~105のいずれか一つに記載のdsRNA剤または実施形態109もしくは110に記載の医薬組成物を対象に投与し、それによって、緑内障を治療することを含む、方法。
123.緑内障が、原発性開放隅角緑内障(POAG)からなる群から選択される、実施形態122または122aに記載の方法。
124.治療することが、障害の少なくとも一つの兆候または症状の改善を含む、実施形態121~123のいずれか一つに記載の方法。
125.緑内障の少なくとも一つの徴候または症状が、視神経損傷、視力喪失、視野狭窄、かすみ目、眼の痛みまたは存在、レベル、またはMYOC活性(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のうちの一つ以上の尺度を含む、実施形態124に記載の方法。
126.治療することが、障害の進行の予防を含む、実施形態121~123のいずれか一つに記載の方法。
127.治療が、(a)MYOCの発現もしくは活性を阻害もしくは低減すること、(b)ミスフォールドされたMYOCタンパク質のレベルを低減すること、(c)小柱網細胞死を低減すること、(d)眼圧を低減すること、または(e)視力を増加させること、のうちの一つ以上を含む、実施形態124~126のいずれか一つに記載の方法。
128.治療が、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均30%の減少をもたらす、実施形態127に記載の方法。
129.治療が、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均60%の減少をもたらす、実施形態128に記載の方法。
130.治療が、小柱網組織、毛体様、網膜、RPE、網膜血管(例えば、内皮細胞および血管平滑筋細胞を含む)、または例えば、脈絡膜血管などの脈絡膜組織におけるMYOC mRNAのベースラインから少なくとも平均90%の減少をもたらす、実施形態129に記載の方法。
131.治療後、対象が、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるdsRNAの単回投与後に少なくとも8週間のノックダウン期間を経験する、実施形態124~129のいずれか一つに記載の方法。
132.治療が、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるdsRNAの単回投与後に少なくとも12週間のノックダウン期間をもたらす、実施形態131に記載の方法。
133.治療が、網膜におけるMYOCタンパク質によって評価されるdsRNAの単回投与後に少なくとも16週間のノックダウン期間をもたらす、実施形態132に記載の方法。
134.対象が、ヒトである、実施形態113~133のいずれか一つに記載の方法。
135.dsRNA剤が、約0.01mg/kg~約50mg/kgの用量で投与される、実施形態114~134のいずれか一つに記載の方法。
136.dsRNA剤が、対象に眼内、静脈内、または局所投与される、実施形態114~135のいずれか一つに記載の方法。
137.眼内投与が、硝子体内投与(例えば、硝子体内注射)、経強膜内投与(例えば、経強膜内注射)、結膜下投与(例えば、結膜下注射)、球後投与(例えば、球後注射)、前房内投与(例えば、前房内注射)、または網膜下投与(例えば、網膜下注射)を含む、実施形態136に記載の方法。
138.対象におけるMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のレベルを測定することをさらに含む、実施形態114~137のいずれか一つに記載の方法。
139.対象におけるMYOCのレベルを測定することが、対象からの生体試料(例えば、水性眼液試料)におけるMYOC遺伝子、MYOCタンパク質、またはMYOCmRNAのレベルを測定することを含む、実施形態138に記載の方法。
140.血液試験、撮像試験、または水性眼液生検を実施することをさらに含む、実施形態114~139のいずれか一つに記載の方法。
141.対象におけるMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のレベルの測定が、dsRNA剤または医薬組成物での治療の前に実施される、実施形態138~140のいずれか一つに記載の方法。
142.対象が参照レベルよりも大きいMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)レベルを有すると決定されると、dsRNA剤または医薬組成物が対象に投与される、実施形態141に記載の方法。
143.対象におけるMYOC(例えば、MYOC遺伝子、MYOC mRNA、またはMYOCタンパク質)のレベルの測定が、dsRNA剤または医薬組成物での治療の後に実施される、実施形態139~142のいずれか一つに記載の方法。
144.MYOC関連疾患の治療または予防に好適な追加的な薬剤および/または療法を対象に投与することをさらに含む、実施形態121~143のいずれか一つに記載の方法。
145.追加の薬剤および/または療法が、光線力学的療法、光凝固療法、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗MYOC剤、および/または硝子切除術のうちの一つ以上を含む、実施形態144に記載の方法。
実施例1.MYOC siRNA
本明細書に提供される核酸配列は、標準的な命名法を使用して表される。表1の略称を参照されたい。
表1.核酸配列の表現で使用されるヌクレオチドモノマーの略称。
これらのモノマーは、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に連結されることが理解されよう。
L96の化学構造は以下のとおりである。
実験方法
バイオインフォマティクス
転写物
ヒトMYOC、「ミオシリン」を標的とするsiRNAの四つのセット(ヒト:NCBI refseqID NM_000261.2;NCBI GeneID:4653)を作成した。ヒトNM_000261.2 REFSEQ mRNAは、長さが2100塩基である。オリゴの対を、バイオインフォマティクス法を使用して作成し、ランク付けし、オリゴの例示的な対を表2Aおよび表2Bに示す。修飾された配列を表2Aに示す。未修飾配列を表2Bに示す。
表2A:例示的なヒトMYOC siRNA修飾単鎖および二本鎖配列
1列目は二本鎖名を示し、二本鎖名称の十進点に続く数字はバッチ製造番号を指すに過ぎない。2列目は、センス配列の名称を示す。3列目は、4列目の配列の配列番号を示す。4列目は、本明細書に記載の二本鎖での使用に適したセンス鎖の修飾された配列を提供する。5列目は、アンチセンス配列名を示す。6列目は、7列目の配列の配列番号を示す。7列目は、本明細書に記載の二本鎖、例えば、表の同じ行にセンス配列を含む二本鎖での使用に適した修飾アンチセンス鎖の配列を提供する。8列目は、7列目のアンチセンス鎖に相補的である標的mRNA(NM_000261.2)中の位置を示す。9列目は、8列目の配列の配列番号を示す。
表2B:例示的なヒトMYOC siRNA未修飾単鎖および二本鎖配列
1列目は二本鎖名を示し、二本鎖名称の十進点に続く数字はバッチ製造番号を指すに過ぎない。2列目は、センス配列名を示す。3列目は、4列目の配列の配列番号を示す。4列目は、本明細書に記載の二本鎖での使用に適したセンス鎖の未修飾の配列を提供する。5列目は、4列目のセンス鎖の標的mRNA(NM_000261.2)における位置を提供する。6列目は、アンチセンス配列名を示す。7列目は、8列目の配列の配列番号を示す。8列目は、本明細書に記載の二本鎖での使用に適したアンチセンス鎖の配列を、化学修飾を特定することなしに、提供する。9列目は、8列目のアンチセンス鎖に相補的である標的mRNA(NM_000261.2)中の位置を示す。
実施例2.MYOC siRNAのインビトロスクリーニング
実験方法
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト小柱網細胞(HTMC)細胞トランスフェクション
HTMC細胞(ATCC)を、384ウェルプレートに、ウェル当たり4.9μlのOpti-MEMと0.1μlのRNAiMAX(Invitrogen,Carlsbad CA.カタログ番号13778-150)を、ウェル当たり5μlのsiRNA二本鎖に加えることにより、各siRNA二本鎖を4回複製して、トランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。約5×10個の細胞を含有する40μLのDMEM:F12倍地(ThermoFisher)をsiRNAトランスフェクション混合物に添加した。細胞を24時間インキュベートし、その後RNAの精製を行った。実験を、10nM、1nM、および0.1nMで実施した。
DYNABEADS mRNA単離キットを使用した全RNAの単離
DYNABEAD(Invitrogen、カタログ番号61012)を使用するBioTek-EL406プラットフォームの自動化プロトコルを使用し、RNAを単離した。簡潔には、細胞を含んだプレートに、70μlの溶解/結合バッファー、および3μlの磁性ビーズを含有する10μlの溶解バッファーを添加した。プレートを、電磁振とう機上で室温にて10分間インキュベートし、次いで磁性ビーズを捕捉して上清を除去した。次いでビーズに結合したRNAを、150μlの洗浄バッファーAで2回、洗浄バッファーBで一回洗浄した。次いでビーズを、150μlの溶出バッファーで洗浄し、再捕捉し、上清を除去した。
ABI High capacity cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA、カタログ番号#4368813)を用いたcDNA合成
一反応当たり、1μlの10×バッファー、0.4μlの25×dNTP、1μlの10×ランダムプライマー、0.5μlの逆転写酵素、0.5μlのリボヌクレアーゼ阻害剤および6.6μlのH2Oを含有するマスターミックス10μlを、上記で単離したRNAに加えた。プレートを密封し、混合し、電磁振とう機上で、室温で10分間インキュベートし、その後37℃で2時間インキュベートした。
リアルタイムPCR
2μlのcDNAおよび5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Roche、カタログ番号# 04887301001)を、384ウェルプレート(Roche社カタログ番号# 04887301001)において、1ウェル当たり、0.5μlのヒトGAPDH TaqManプローブ(4326317E)および0.5μlのMYOCヒトプローブのいずれかに添加した。リアルタイムPCRを、LightCycler480リアルタイムPCRシステム(Roche)にて実施した。各二本鎖を、少なくとも二回試験し、データを、非標的化対照siRNAでトランスフェクトされた細胞に対して正規化した。相対倍数変化を算出するために、ΔΔCt法を使用してリアルタイムデータを分析し、非標的化対照siRNAでトランスフェクトされた細胞を用いて実施されたアッセイに対して正規化した。
結果
例示的なヒトMYOC siRNAを用いたヒト小柱網細胞(HTMC)における複数回投与スクリーニングの結果を表3に示す(表2AのsiRNAに対応)。複数回投与実験は、10nM、1nM、および0.1nMの最終二本鎖濃度で実施され、データは、非標的化対照と比較して残存するパーセントメッセージとして表される。
以下の表3で評価した例示的なsiRNA二本鎖のうち、10nMの濃度で投与されたときに、HTMC細胞において、174個は、MYOCのノックダウン≧90%を達成し、347個は、MYOCのノックダウン≧70%を達成し、392個は、MYOCのノックダウン≧50%を達成し、424個は、MYOCのノックダウン≧20%を達成し、および433個は、MYOCのノックダウン≧10%を達成した。
以下の表3で評価した例示的なsiRNA二本鎖のうち、1nMの濃度で投与されたときに、HTMC細胞において、142個は、MYOCのノックダウン≧90%を達成し、341個は、MYOCのノックダウン≧70%を達成し、391個は、MYOCのノックダウン≧50%を達成し、424個は、MYOCのノックダウン≧20%を達成し、および431個は、MYOCのノックダウン≧10%を達成した。
以下の表3で評価した例示的なsiRNA二本鎖のうち、0.1nMの濃度で投与されたときに、HTMC細胞において、57個は、MYOCのノックダウン≧90%を達成し、277個は、MYOCのノックダウン≧70%を達成し、361個は、MYOCのノックダウン≧50%を達成し、416個は、MYOCのノックダウン≧20%を達成し、および425個は、MYOCのノックダウン≧10%を達成した。
以下の表3で評価した例示的なsiRNA二本鎖のうち、AD-1565448.1、AD-1193175.5、AD-1565798.1、AD-1565452.1、AD-1565453.1、AD-1565454.1、AD-1565456.1、AD-1565492.1、AD-1565493.1、AD-1565503.1、AD-1073418.5、AD-1565804.1、AD-1565806.1、AD-1244366.3、AD-1565589.1、AD-1565837.1、AD-1565624.1、AD-1565626.1が、HTMC細胞において、優れたMYOCのノックダウンを示した。
表3.例示的なヒトMYOC siRNAの一セットを含むMYOC内因性インビトロ複数回投与スクリーニング(二本鎖名称の十進点に続く数は、バッチ製造番号を指すに過ぎない)
実施例3.マウス緑内障モデルにおけるヒトMYOC siRNAの検証
ヒトMYOC siRNAをインビボで試験するために、Y437H変異を含むヒト化MYOC座位を含む相乗的活性化メディエーター(SAM)マウス(SAM-MYOCマウス)である緑内障マウスモデルを使用した。これらのマウスでは、MYOCプロモーターを標的とするSAMガイドRNA(SAM gRNA)を使用することにより、Y437H変異を含むヒト化MYOCの発現を増加させ、眼圧(IOP)の増加をもたらすことができる。SAM-MYOCマウスは、内因性Rosa26プロモーター(米国特許出願公開第2019/0284572号および国際公開第2019/183123号に記載、その各々は参照により本明細書に組み込まれる)によって駆動される一つの転写物として、ゲノムに組み込まれたdCas9相乗的活性化メディエーター(SAM)システム構成要素(dCas9-VP64およびMCP-p65-HSF1)を含むマウスを、Y437H変異を含むヒト化MYOC座位を含むマウスと交配させることによって生成された。これらのマウスでは、開始コドンから終止コドンまでのマウスMyoc配列を、対応するヒトMYOC配列で置換した。挿入されたヒトMYOC配列は、Y437H変異を含み、これは、IOPの上昇および緑内障の発症に関連する変異である。MYOCプロモーターを標的とするSAMガイドRNAをコードするAAV2.Y3Fまたはレンチウイルスの注射は、輪部リング(小柱網(TM)、虹彩、および毛体様(CB))におけるヒト化MYOC Y437H発現の増加をもたらし、これはIOPの増加と相関し、IOPの増加を伴う好適なMYOC疾患モデルとしてSAM-MYOCマウスを検証した(データは示さず)。
ヒトMYOCを標的とするsiRNAを試験して、SAM gRNAを用いた処置後にY437H変異を含むヒト化MYOC座位を含むSAMマウス(SAM-MYOCマウス)で観察される高い眼圧(IOP)を低下させることができるかを判定した。実験セットアップを図1Aに示す。SAM gRNAを0日目に前房内(IC)注射により投与し、ベースラインIOPを測定した。IOPを、その後五週間にわたって測定した。五週目に、MYOC siRNA AD-822899(1μL、15μg用量)を硝子体内(IVT)注射を介して投与し、IOPをその後の数週間にわたって様々な時点で測定した。(1)ナイーブ対照マウス、(2)ヒトMYOC siRNAで処置したSAM-gRNA処置マウス、および(3)ルシフェラーゼsiRNAで処置したSAM-gRNA処置マウスの三つの処置群があった。図1Bに示されるように、ヒトMYOC siRNAは、SAM gRNAで処置したSAM-MYOCマウスにおいてIOPを低下させ、siRNA注射後D7から開始してIOPをベースラインレベルに逆転させ、戻す一方で、ルシフェラーゼsiRNAはIOPに影響を及ぼさなかった。
次いで、ヒトMYOCを標的とするいくつかの追加のsiRNAを低用量で試験し、レンチウイルスSAM gRNAを用いた処置後にSAM-MYOCマウスで観察されたIOPを低下させることができるかどうかを判定した。マウスにSAM gRNAおよびsiRNAを両側に注射した。実験セットアップを図2Aに示す。SAM gRNAを0日目に前房内(IC)注射により投与し、ベースラインIOPを測定した。IOPを、その後五週間にわたって測定した。五週目に、MYOC siRNA AD-822899、AD-1565804、AD-1565837、AD-1193175、またはAD-1565503(1μL、7.5μg用量)を、硝子体内(IVT)注射を介して投与し、IOPを、その後の数週にわたって様々な時点で測定した。輪部リングにおけるmRNAノックダウンをqPCRによって試験し、RNASCOPE(登録商標)分析を行った。対照群には、ナイーブ対照マウス、PBS処置マウス、およびLV-SAM gRNA処置マウスが含まれた。図2Bに示されるように、各ヒトMYOC siRNAは、SAM gRNAで処置したSAM-MYOCマウスにおいてIOPを低下させ、siRNA注射直後にIOPを逆転させ、ベースラインレベルに戻した。図2Cに示されるように、各ヒトMYOC siRNAは、輪部リングからの試料中のqPCRによって測定されるLV-SAM-gRNA群と比較して、ヒトMYOC mRNA発現を減少させた。RNASCOPE(登録商標)分析により、siRNAがSAM-MYOCマウスにおいてヒトMYOC mRNAのノックダウンを媒介したことが確認された(図2D)。
次いで、ヒトMYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837をさらに低用量で試験し、レンチウイルスSAM-g4を用いた処置後にSAM-MYOCマウスにて観察されるIOPを低下させることができるかどうかを判定した。マウスにSAM gRNAおよびsiRNAを両側に注射した。実験セットアップを図3Aに示す。SAM-g4を0日目に前房内(IC)注射により投与し、ベースラインIOPを測定した。IOPを、その後五週間にわたって測定した。五週目に、MYOC siRNA AD-1565804またはAD-1565837(1μL、3.75μg用量または1.87μg用量)を、硝子体内(IVT)注射を介して投与し、IOPを、その後の数週にわたって様々な時点で測定した。輪部リングにおけるmRNAノックダウンをqPCRによって試験し、RNASCOPE(登録商標)分析を行った。対照群には、ナイーブ対照マウス、PBS処置マウス、およびLV-SAM-gRNA処置マウスが含まれた。図3Bに示されるように、各ヒトMYOC siRNAは、試験した各用量でSAM gRNAで処置したSAM-MYOCマウスにおいてIOPを低下させ、siRNA注射直後にIOPを反転させ、ベースラインレベルに戻した。図3Cに示されるように、各ヒトMYOC siRNAは、試験された各用量での輪部リングからの試料におけるqPCRによって測定されるLV-SAM gRNA群と比較して、ヒトMYOC mRNA発現を減少させた。
実施例4.非ヒト霊長類(NHP)緑内障モデルにおけるヒトMYOC siRNAの検証
MYOCを標的とするsiRNAを試験して、非ヒト霊長類(NHP)緑内障モデルで観察された高い眼圧(IOP)を低下させることができるかどうかを判定した。試験デザインを表4に示す。動物は、PBS対照または様々な用量の二本鎖AD-1565837または二本鎖AD-1565804を受けた。
OEおよび眼圧(IOP)を、試験前、3、8、15、29、および57日目に、ならびに12週目に一回測定した。網膜電図記録法(ERG)を、試験前、試験中(6週目)、および終了時(12週目)に行った。房水(AH)を、投与前、4週目、8週目、および終了時に収集した。終了時に、右眼から以下の眼サンプルを採取した:AH、硝子体液(VH)、角膜、虹彩、小柱網(TM)、毛体様(CB)、強膜(TMを含まない輪部リング)、網膜、および眼の後部セグメントに残っているすべての組織。投与前および終了時に血液を二回採取した。血液学的、凝固、および臨床化学的検査を血液サンプルに対して実施した。
組織を、病理組織のために終了時に採取した。これには、右目、視
神経組織および眼外組織および眼組織:脳、右(大脳半球);食道 、近位;胃、食道-胃接合部;まぶた、眼瞼結膜上部、右;まぶた、眼瞼結膜下部、右;心臓頂部;空腸;腎臓、右皮質;肝臓、右中葉;Lacrimal Gl、右;深い子宮頸部、リンパ節、右;下顎、リンパ節、右;座骨神経、右;筋肉、大腿直筋;筋肉、横隔膜;筋肉、眼球外(外側直筋および内側直筋、右);卵巣、右;下顎唾液腺、右;脊髄、頚部;脊髄、胸部;脊髄 腰部;甲状腺、右;舌;扁桃腺、右;気管;および子宮が含まれる。
表4:NHP DC選択研究設計
最高用量で処置された動物:両方の眼を病理組織学的読み出しで調べる。
TMにおけるMYOCタンパク質ノックダウンを、85日目に分析した。ノックダウン結果を図4に示す。TMにおけるMYOCタンパク質の約50%の低減がAD-1565837二本鎖で見られ、一方で最小限のノックダウンがAD-1565804二本鎖では観察された。房水中のMYOCタンパク質を、-35日目、22日目、50日目、および85日目(最終収集)で分析した。図5に示されるように、約50%のMYOCタンパク質ノックダウンが50日目に観察されたが、85日目には観察されなかった。硝子体液、虹彩、毛体様、および強膜におけるMYOCタンパク質ノックダウンを、85日目(最終収集)に分析した。結果を、硝子体液および毛体様について図6Aに、虹彩および強膜について図6Bに示す。85日目では、評価したいずれの二本鎖についても、MYOC mRNAにノックダウンは観察されなかった(図7)。

Claims (41)

  1. ミオシリン(MYOC)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、前記dsRNA剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、前記アンチセンス鎖は、表2Aおよび2Bのいずれか一つに列記されるアンチセンス配列のうちの一つと0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖は、前記アンチセンス配列に対応する表2Aおよび2Bのいずれか一つに列記されるセンス配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、dsRNA剤。
  2. 前記アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565804のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖は、二本鎖AD-1565804のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のdsRNA剤。
  3. 前記アンチセンス鎖は、二本鎖AD-1565837のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖は、二本鎖AD-1565837のセンス鎖ヌクレオチド配列と0、1、2、または3つのミスマッチを有する、少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のdsRNA剤。
  4. 前記センス鎖および前記アンチセンス鎖のうちの少なくとも一つが、一つ以上の親油性部分にコンジュゲートされる、請求項1~3のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  5. 前記親油性部分が、リンカーまたは担体を介してコンジュゲートされる、請求項4に記載のdsRNA剤。
  6. 一つ以上の親油性部分が、少なくとも一方の鎖上の一つ以上の内側位置にコンジュゲートされる、請求項4または5に記載のdsRNA剤。
  7. 前記センス鎖および前記アンチセンス鎖のうちの少なくとも一つが、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドまたはRGDペプチド模倣体の一つ以上にコンジュゲートされる、請求項1~3のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  8. 前記親油性部分が、脂肪族化合物、脂環式化合物、または多脂環式の化合物である、請求項4~6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  9. 前記親油性部分が、飽和または不飽和C16炭化水素鎖を含有する、請求項8に記載のdsRNA剤。
  10. 前記親油性部分が、前記内側位置または前記二本鎖領域において一つ以上のヌクレオチドを置換する担体を介してコンジュゲートされる、請求項4~6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  11. 前記親油性部分が、エーテル、チオエーテル、尿素、カーボネート、アミン、アミド、マレイミド-チオエーテル、ジスルフィド、ホスホジエステル、スルホンアミド連結、クリック反応の生成物、またはカルバメートを含有するリンカーを介して二本鎖iRNA剤にコンジュゲートされる、請求項4~6のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  12. 前記親油性部分が、核酸塩基、糖部分、またはヌクレオシド間連結にコンジュゲートされる、請求項4~6のいずれか一項に記載の二本鎖iRNA剤。
  13. 前記dsRNA剤が、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  14. 前記センス鎖のヌクレオチドの五個以下および前記アンチセンス鎖のヌクレオチドの五個以下が、未修飾ヌクレオチドである、請求項13に記載のdsRNA剤。
  15. 前記センス鎖のすべてのヌクレオチドおよび前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、修飾を含む、請求項13に記載のdsRNA剤。
  16. 前記修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも一つが、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシ-チミジン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、ヌクレオチドを含む非天然の塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項13~15のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  17. 少なくとも一方の鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  18. 前記二本鎖領域が、15~30ヌクレオチド対の長さである、請求項1~17のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  19. 前記二本鎖領域が、17~23ヌクレオチド対の長さである、請求項18に記載のdsRNA剤。
  20. 各鎖が、19~30ヌクレオチドを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  21. 前記剤が、少なくとも一つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  22. 例えば、眼組織を標的化するリガンドなどの標的化リガンドをさらに含む、請求項4~21のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  23. 前記眼組織が、小柱網組織、毛体様、網膜組織、網膜色素上皮(RPE)、または脈絡膜組織、例えば、脈絡膜血管である、請求項22に記載のdsRNA剤。
  24. 前記アンチセンス鎖の5’末端においてホスフェートまたはホスフェート模倣体をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のdsRNA剤。
  25. 前記ホスフェート模倣体が、5’-ビニルホスホネート(VP)である、請求項24に記載のdsRNA剤。
  26. 前記dsRNA剤が、MYOCをコードするmRNAのホットスポット領域を標的とする、請求項1~25のいずれか一項に記載のdsRNA。
  27. ミオシリン(MYOC)mRNAのホットスポット領域を標的とするdsRNA剤。
  28. 請求項1~27のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含有する細胞。
  29. 請求項1~27のいずれか一項に記載のdsRNA剤を含む、MYOCの発現を阻害するための医薬組成物。
  30. 細胞においてMYOCの発現を阻害する方法であって、前記方法が、
    (a)前記細胞を、請求項1~27のいずれか一項に記載のdsRNA剤、または請求項29に記載の医薬組成物と接触させることと、
    (b)工程(a)で産生された前記細胞を、MYOC mRNA、MYOCタンパク質、またはMYOC mRNAおよびタンパク質の両方のレベルを低減するのに十分な時間維持し、それによって前記細胞におけるMYOCの発現を阻害することと、を含む、方法。
  31. 前記細胞が、対象内にある、請求項30に記載の方法。
  32. 前記対象が、ヒトである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記対象が、MYOC関連障害、例えば、緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障(POAG)、閉塞隅角緑内障、先天性緑内障、および続発性緑内障)と診断されている、請求項32に記載の方法。
  34. MYOC関連障害と診断された対象を治療する方法であって、請求項1~27のいずれか一項に記載のdsRNA剤または請求項29に記載の医薬組成物の治療有効量を前記対象に投与し、それによって前記障害を治療することを含む、方法。
  35. 前記MYOC関連障害が、緑内障である、請求項34に記載の方法。
  36. 緑内障が、原発性開放隅角緑内障(POAG)である、請求項35に記載の方法。
  37. 治療することが、前記障害の少なくとも一つの兆候または症状の改善を含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記治療することが、(a)MYOCの発現もしくは活性を阻害もしくは低減すること、(b)ミスフォールドされたMYOCタンパク質のレベルを低減すること、(c)小柱網細胞死を低減すること、(d)眼圧を低減すること、または(e)視力を増加させること、を含む、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記dsRNA剤が、前記対象に眼内、静脈内、または局所投与される、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記眼内投与が、硝子体内投与(例えば、硝子体内注射)、経強膜内投与(例えば、経強膜内注射)、結膜下投与(例えば、結膜下注射)、球後投与(例えば、球後注射)、前房内投与(例えば、前房内注射)、または網膜下投与(例えば、網膜下注射)を含む、請求項39に記載の方法。
  41. MYOC関連障害の治療または予防に適した追加の薬剤または療法(例えば、レーザー線維柱帯形成術、線維柱帯切除術、低侵襲性緑内障手術、眼への排液管の配置、経口薬、または点眼薬)を前記対象に投与することをさらに含む、請求項31~40のいずれか一項に記載の方法。
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