JP2024524448A - ワークピースの機械加工における工具の偏位を補正する方法及びそのための機械工具 - Google Patents
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Abstract
本発明は、機械工具(1)を用いたワークピース(4)の機械加工における工具(2)の偏位を補正する方法に関し、a)E=R1/R2の式を参照して、工具半径R1とワークピース(4)の湾曲の半径R2との比率に基づいて、且つ/又は、b)E=L/LGの式を参照して、ワークピース(4)における円周方向の工具(2)の現在の係合長さLと、ワークピース(4)の直線部分(41)の機械加工における、ワークピース(4)における円周方向の工具(2)の係合長さLGとの比率に基づいて、機械工具(1)の制御部(10)は、工具(2)とワークピース(4)との間の接点(6)における係合状態の寸法Eに応じて、直線部分(41)及び湾曲部分(42,43)において異なるように、偏位の補正を調整する。
【選択図】 図1
【選択図】 図1
Description
本発明は、工具を用いたワークピースの機械加工における工具の偏位を補正する方法及び、この方法を実施するように構成される、高精度の機械加工のための機械工具に関する。
切断、切削及び研削機械での機械加工の成果における精度の需要が常に増加している。概して、ワークピースの機械加工には、スピンドルに工具を搭載し、これらの工具を機械加工プロセスのために回転させる。機械加工においては、切断プロセス力がワークピースと工具との間に生じる。上記の力は、切削又は研削工具の偏位を引き起こし、結果として、製造されたワークピースに望ましくない不正確さを引き起こす。この影響は、ワークピースの円周機械加工を行う機械加工作業や、比較的細いシャフトを特に有する工具の場合において、特に深刻となる。ここでは、工具の極めて大きな偏位や、それに応じた、完成品のワークピースにおける大きな寸法のずれが生じうる。
例えば、実験によって工具の偏位が判明した場合、工具のツールパスを偏位の寸法の分だけワークピースの方向に修正して、偏位を補正することができる。これは、ワークピースの直線部分の場合にはうまく機能する。しかしながら、例えば外半径及び内半径を有する円周機械加工の場合に非直線部分が出現した時点で、この補正によっても、ワークピースに対する機械加工の成果が不明確となってしまう。
このため、本発明は、簡易且つ費用効率の高い手法で実施でき、ワークピースの高精度の機械加工を可能とする、ワークピースの機械加工における工具の偏位を補正する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、本発明に係る方法を実施するように構成される機械工具を提供することを目的とする。
この目的は、請求項1の特徴を有する方法及び請求項15の特徴を有する機械工具によって達成される。従属請求項によって、各場合における本発明の好適な展開が開示される。
本発明に係る、請求項1の特徴を有する方法は、工具を用いたワークピースの機械加工における工具の偏位の、正確な補正が可能であるという利点を有する。工具は、好ましくは切削工具又は研削工具である。機械加工は機械工具によって実行され、機械工具の制御部により、工具とワークピースとの間の接点における係合状態の寸法Eに応じて、ワークピースの直線部分、内半径及び外半径において異なるように、偏位の補正を調整する。この場合、工具とワークピースとの間の接点は、ワークピース面に垂直な直線が工具の中心軸と交差する点として定義される。この場合、E=R1/R2の式を参照して、寸法Eは、ワークピースの湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率に基づいて決定され、且つ/又は、E=L/LGの式を参照して、ワークピースの直線部分の機械加工における、ワークピースにおける円周方向の工具の係合長さLGに対する、ワークピースにおける円周方向の工具の現在の係合長さLの比率に基づいて決定される。
こうして、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率に基づいて及び/又は直線の機械加工部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率に基づいて、補正を決定することができる。このように、本発明に係る方法は、その瞬間に、機械加工がワークピースの直線部分、内半径又は外半径において実行されているかを考慮する。
工具の偏位の補正は、制御部が、工具半径R1及び湾曲の半径R2並びに係合長さL及び直線部分における係合長さLGの両方に基づいて補正を考慮する場合、そして特に平均を得る場合に、特に良好に調整することができる。
特に好ましくは、制御部は、工具とワークピースとの間の相対速度FBの調節によって、機械加工における工具の偏位の補正を行うように構成される。すなわち、工具偏位の補正を、工具とワークピースとの間の相対速度を調節することによって行う。これは、制御部によって比較的簡易な手法で実現することができ、ワークピースの高精度の機械加工を可能とする。
好ましくは、ワークピースの外半径の機械加工における、接点の速度の修正値FBを算出し、
a)FB=FB0+FK・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)FB=FB0+FK・(1-E)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
a)FB=FB0+FK・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)FB=FB0+FK・(1-E)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
より好ましくは、ワークピースの内半径の機械加工における接点の速度について、修正値FBを算出し、
a)FB=FB0-FK・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)FB=FB0-FK・(E-1)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
a)FB=FB0-FK・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)FB=FB0-FK・(E-1)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、FB0は、直線部分における接点の速度の値であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
こうして、制御部は、好ましくは、外半径の場合には2つの算出方法により、そして同様に、内半径の場合にも2つの算出方法により、ワークピースと工具との間の相対速度FBの調節によって、工具の偏位の補正を算出するように構成される。好ましくは、外半径又は内半径の各場合において代替の算出方法の両方を実施して、工具の偏位に対する接点の速度を調節するようにすると、機械加工の精度を上げることができる。
特に好ましくは、制御部は、ツールパスの修正によって、機械加工における工具の偏位の補正を行うように構成される。
好ましくは、外半径の機械加工におけるツールパスの修正値Sを算出し、
a)S=SG-SR・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)S=SG-SR・(1-E)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
a)S=SG-SR・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)S=SG-SR・(1-E)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
より好ましくは、内半径の機械加工におけるツールパスの修正値Sを算出し、
a)S=SG+SR・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)S=SG+SR・(E-1)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
a)S=SG+SR・Ekの式を用いる場合、
湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数であり、且つ/又は
b)S=SG+SR・(E-1)kの式を用いる場合、
直線部分における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率としての寸法Eを含み、SGは、ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。
こうして、外半径の場合には2つの算出方法によって、そして内半径の場合にも同様に2つの算出方法によって、工具の偏位がある場合にツールパスの修正を実行することができる。精度を上げるために、外半径及び内半径の各場合において両方の算出方法を同時に実施することができ、特に平均を得ることができる。
特に好ましくは、本発明に係る方法は、ツールパスの修正と、工具とワークピースとの間の相対速度の修正とが組み合わせられた、偏位に対する補正値の算出の組み合わせを用いる。そして、特に高精度なワークピースの機械加工が可能となる。
工具とワークピースとの間の相対速度の調節を決定するための修正値及び/又はツールパスの修正は、好ましくは実験的に決定される。この場合、内半径及び外半径に対して、異なる第1及び第2修正定数を提供することもできる。
特に好ましくは、本発明に係る方法は、補正に際して、未だ機械加工されるワークピース面の進路を考慮する。この結果、特にワークピース面形状に変化がある場合、例えば直線部分から内半径若しくは外半径を有する部分へと、又は逆も同様に、或いは湾曲部分の曲率に変化がある場合、幾何学的に異なるワークピース面間の実際の遷移点に到達する前でも補正が可能であることから、特に高精度なワークピースの機械加工を実行することができる。こうして、例えば、直線部分から半径を有する部分への遷移から、ワークピースにおける遷移点に到達する前に、工具とワークピースとの間の相対速度及び/又はツールパスを調節することができる。この結果、ワークピースに形状変化がある場合の、遷移点における特に高精度な機械加工が可能となる。
本発明に係る方法は、特に好ましくは、外周及び内周の両方を機械加工する、ワークピースの円周機械加工の場合に実施される。本発明に係る方法は、球面の場合にも用いることができる。
また、より高い精度でのワークピースの均一な機械加工を可能とするために、制御部は、工具の軸方向における工具の長さを考慮して、且つ/又は工具シャフトの形状を考慮して、且つ/又はワークピースにおける工具の軸方向における工具の軸係合長さを考慮して、工具の偏位の補正を行うように構成される。
特に好ましくは、第1修正定数及び/又は第2修正定数は、特に直径、シャフト形状、裁断長等の工具形状、工具の種類、工具の切れ刃の品質、切れ刃の素材、特に研削工具の場合における粒度、ワークピースの過大部、ワークピースの回転速度、ワークピースと工具との間の接点の速度、及び/又はワークピースの素材に応じる。
好ましくは、修正定数FK、SR及びkは全ての式において同じである。
より好ましくは、制御部は、修正定数の値を記憶したメモリを備える。
特に好ましくは、制御部は、修正定数の学習システムによって、工具の偏位の補正を行うように構成される。この結果、工具の偏位の補正の精度を経時的に向上させることができる。
例えばワークピースの最終的な機械加工の前に、ワークピース(実際のワークピース)に未だ存在している過大部を測定することで、機械加工精度を更に上げることができる。過大部は、好ましくは、機械工具、又は或いは個別の測定機械におけるクランプで測定される。この場合、実際のワークピースにおいて除去される過大部は、概して前処理に依存する。しかしながら、前処理でも様々な工具偏位が生じうる。これらが補正されていないと、実際のワークピースの機械加工において過大部が一定でない場合がある。このため、実際のワークピースの最終的な機械加工の前に、実際にある過大部を測定することで、特に、ワークピースにおける各工具位置に対する現在の係合長さLを算出するように、測定した過大部を参考にすると、精度を大きく向上させることができる。好ましくは、ワークピースの過大部の厚さを、ワークピースにおける任意の数の点において測定し、特に、最終的な機械加工の前に完全に測定する。寸法Eが、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率として算出されると、速度についての第1修正定数FK及び/又はツールパスについての第1修正定数SR及び/又は第2修正定数kは、好ましくは、実際には除去される、ワークピースにおける過大部に応じて決定される。
特に好ましくは、本発明に係る方法は、工具の軸方向において高速なストロークを行う円筒状の研削工具を用いる研削方法において用いられる。上記の高速ストローク機械加工において、工具は、ワークピースに対して同時に、ワークピースの外形のみに沿って、ゆっくりと移動する。
工具の偏位を補正するためのツールパスの修正は、接点の相対速度の調節と比較して、ツールパスの修正が、ワークピースの機械加工の継続に対して極めて僅かな影響しかもたないという利点を有する。工具とワークピースとの間の相対速度が変化すると、機械加工時間が長引くことがある。
また、本発明は、本発明に係る方法を行うように構成される機械工具に関する。機械工具は、好ましくは、円筒状の研削工具を用いる高速ストローク機械加工のために構成される。
機械工具は、好ましくは、制御部と、機械工具内で用いられる全ての工具が、それらの個別のパラメータ及び修正定数と共に保存されるメモリとを備える。
全てのパラメータ及び修正定数を再び入力する必要がないように、各個別の工具について、各機械加工動作の際に、好ましくは、全てのパラメータ及び修正定数を特定した工具種類が定義される。そして、例えば、工具が摩耗して新しい工具への交換が必要な場合、新しい工具は、古い工具と同一となるように、すなわち、同じ工具ホルダ、同じ機械加工工具、同じ突出長さ等を有するように構成され、これにより、同じパラメータ及び修正定数を有する、先に摩耗した工具と同じ工具種類に割り当てることができる。こうして、好ましくは、機械工具内で用いられる一連の工具種類を定義することができる。
特に好ましくは、機械工具内の各工具及び/又は用いられる各工具種類について、工具の形状に応じた、ずれ補正のための係合状態の寸法Eの決定に関わるパラメータを、メモリ(工具データベース)に記憶する。更に、好ましくは、回転速度、除去される過大部、第1及び第2修正定数、ワークピース素材/ワークピース性質、及び/又は作業空間の温度といった、係合状態に関してより関連性のある全てのパラメータを記憶できる。
好ましくは、異なる機械加工プロセスについて、全てのパラメータ及び修正定数をコントローラ内に記憶する。1つの工具を用いる機械で2つの異なる機械加工プロセスを実施する場合、例えば、異なる素材から作られた、又は異なる過大部を有するワークピースの場合、対応するパラメータ及び修正定数を使って各機械加工プロセスを別々に用いることができるように、異なる機械加工プロセスに対して、パラメータ及び修正定数を別々にコントローラに記憶することができる。こうして、パラメータ及び修正定数は、様々な機械加工状況に応じて、工具に基づいてだけでなく、手法、むしろプロセスに応じた手法に基づいても記憶される。
好適な実施形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係る、本発明に係る方法を実施するように構成される機械工具の概略斜視図。
工具の偏位を誇張して示した、ワークピースと係合した工具の概略側面図。
ワークピースの直線部分に対する、ワークピースの機械加工の概略図。
図3の拡大部分図。
ワークピースの外半径に対する機械加工を示す、図3の拡大部分図。
ワークピースの内半径に対する機械加工の拡大部分図。
外半径に対するツールパスの修正による、工具の偏位の補正を示す概略図。
内半径に対するツールパスの修正による、工具の偏位の補正を示す概略図。
本発明の様々な実施形態を、図1~図8を参照しながら以下に詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明に係る方法を実施するように構成される機械工具1を概略的に示す。機械工具1は、ワークピース4の機械加工において工具2の偏位を補正するように構成された制御部10を備える。工具2は、工具ホルダ9によって、スピンドル3内に回転可能に挟着される。工具2は、この実施形態では研削ピンである。
図1は、本発明に係る方法を実施するように構成される機械工具1を概略的に示す。機械工具1は、ワークピース4の機械加工において工具2の偏位を補正するように構成された制御部10を備える。工具2は、工具ホルダ9によって、スピンドル3内に回転可能に挟着される。工具2は、この実施形態では研削ピンである。
図2は、ワークピース4における係合の際に生じうる工具2の偏位を、概略的に且つ誇張して示す。この場合、偏位5が、工具2の、その中心軸X-Xにおける典型的な鉛直配向からの、工具2の横方向への変位として定義される。
図3は、工具2を用いたワークピース4の機械加工を示す概略平面図である。この場合、図示のワークピースは、厚さDを有する過大部40を未だ有する。このように、図3は、ワークピースの実際の状態(実際のワークピース)を示す。工具2によって過大部40全体が除去されると、製造されるワークピース4(目標のワークピース)が達成される。
図3の工具2は工具半径R1を有する。目標のワークピース4は、直線部分41と、湾曲の半径R2を有した外半径を有する部分42とを備える。
図4は、ワークピース4の直線部分41に対する工具2の係合状態を概略的に示す。この場合、過大部40は、実際のワークピースから除去される。また、接点6を図4に示す。接点6は、鉛直線がワークピース面から工具2の中心軸X-Xを通って通過する、工具2がワークピース4に接触する点として定義される。
また、図4は、工具2とワークピース4の過大部40との間の現在の係合長さLを示す。この例では、ワークピース4に対する工具2の現在の係合長さLが、ワークピース4の直線部分41の機械加工における、ワークピース4の過大部40における円周方向の工具2の係合長さLGに対応することから、L=LGである。
また、図4は、制御部10によって、ワークピース4との係合における工具2の偏位に必要な補正をすでに実施した、ツールパス7を示す。図4では、ワークピース4の直線部分41が機械加工されていることから、ツールパス7は直線部分41に対して直線的且つ平行である。
図5は、ワークピース4の湾曲部分における、湾曲の半径R2を有する外半径42に対する工具2の係合を概略的に示す。この場合、接点6は、すでにワークピース4の湾曲部分上に位置している。
また、工具2とワークピース4の過大部40との間の現在の係合長さLを図5に示す。この場合、工具2は外半径42をすでに機械加工しており、直線部分41及び外半径42における過大部40の厚さDは同じであることから、示される現在の係合長さLは、直線部分41における、図4に示す係合長さLGよりも短い。
図6は、内半径R2を有する内半径43における機械加工状況を概略的に示す。この場合、接点6は、内半径43の領域内に位置する。また、現在の係合長さLを図6に概略的に示す。図6から分かるように、すでに内半径43が機械加工されていることにより、ここでも、直線部分41及び内半径43における過大部40の厚さDが同じであることから、現在の係合長さLは、直線部分41における、図4に示す係合長さLGよりも長い。
図4~図6では、各場合において、同じ工具2が同じ工具半径R1を有する様子を示し、各場合のこの工具は、同じ厚さDの過大部40を切削又は研削する。図4、図5及び図6の比較から直接的に明らかであるように、各場合の現在の係合長さLは、ワークピース4において機械加工される面の形状に応じる。内半径43の場合では、現在の係合長さLは、直線部分41における係合長さLGよりも長い(図6)。外半径42の機械加工の場合(図5)、現在の係合長さLは、直線部分41における係合長さLGよりも短い。従って、ワークピース4との係合の際に、変更させた工具2の偏位の補正を実行する必要がある。
図7は、外半径42に対する機械加工における工具2の偏位の補正を詳細に示す。この場合、参照符号7が、補正を含まないツールパスを一点鎖線で示す。参照符号7’が、補正を含むツールパスを誇張して示す。図7から分かるように、補正を含むツールパス7’の場合、工具2のツールパス7’は、直線部分41上と比べて、外半径42の領域内の方が修正が少ない。補正されたツールパス7’と補正されていないツールパス7との距離が、直線部分41上よりも外半径42の領域内の方が短い。この結果、外半径42の機械加工における工具2の偏位をより正確に補正することができる。
図7は、本発明に係る、外半径42に対するワークピース4の機械加工における工具の偏位2を補正する方法を、例として示す。ワークピース4は過大部40を未だ有するが、これは、過大部40を含まない所望の目標のワークピースを製造するために工具2によって除去される。工具2は、ワークピース4と係合し、所定のツールパス7’上を矢印Aの方向に移動する。
ワークピース4の所望の目標状態が外半径42上に製造されるのを防止するために、工具2の偏位の補正を実行する。この実施形態では、工具2の偏位の補正は、ツールパス7の修正によって実施されることを意図している。これは、下記のように基本的に2つの方法で実施でき、補正の種類を互いに組み合わせることもできる。このため、ツールパス7の修正には、
[数1] S=SG-SR・Ek
の式を用いてツールパスの修正値Sを算出し、ここでは、SGは、ワークピースの直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。そして、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態についての寸法Eの値が、外半径42の湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
[数1] S=SG-SR・Ek
の式を用いてツールパスの修正値Sを算出し、ここでは、SGは、ワークピースの直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。そして、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態についての寸法Eの値が、外半径42の湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
この数式1に係る補正を図7に示す。元のツールパス7及び工具2の偏位の補正を考慮したツールパス7’は、ワークピース4の直線部分41に対して平行に延在する。この場合、偏位の補正を含むツールパス7’は、ワークピース4のやや近くに延在する。しかしながら、外半径42の領域では、元のツールパス7と偏位の補正を含むツールパス7’との間の距離が変化する。
外半径42についてのツールパス7の修正値Sの算出についての2つ目の代替案を、
[数2] S=SG-SR・(1-E)k
の式を用いて算出でき、ここでは、SGは、ワークピース4の直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。この場合、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態についての寸法Eが、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって算出される:E=L/LG。
[数2] S=SG-SR・(1-E)k
の式を用いて算出でき、ここでは、SGは、ワークピース4の直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。この場合、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態についての寸法Eが、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって算出される:E=L/LG。
工具2の偏位の補正における精度を上げるために、上述した数式1及び数式2の両方を用いることができ、補正のために平均を得ることができる。
精度を更に上げるために、外半径42の機械加工の場合において、工具2とワークピース4との間の相対速度の調節による、工具2の偏位の補正を実施することができる。この場合、
[数3]FB=FB0+FK・Ek
の式を用いて接点6の速度FBを算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
[数3]FB=FB0+FK・Ek
の式を用いて接点6の速度FBを算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
或いは、又は更に、接点6の速度FBの算出について、
[数4] FB=FB0+FK・(1-E)k
の式を用いても算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって算出される:E=L/LG。
[数4] FB=FB0+FK・(1-E)k
の式を用いても算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって算出される:E=L/LG。
この場合、精度を上げるために、上述した数式3及び数式4の両方を組み合わせて、工具2の偏位を補正するための速度を調節するようにすることも可能である。
当然のことながら、接点6の速度FBについての2つの算出方法(数式3及び数式4)と、ツールパス7の修正についての2つの算出方法(数式1及び数式2)とは互いに組み合わせることができ、工具2とワークピース4との間の相対速度の調節及びツールパス7の修正によって、補正を同時に実施することができる。
こうして、接点6の相対速度の調節に関する2つの算出方法及び/又はツールパス7の修正についての2つの算出方法によって、外半径42における工具2の偏位の補正を実施することができ、算出方法のいかなる組み合わせも可能である。
図8は、ワークピース4の内半径43における、ワークピース4の機械加工における工具2の偏位の補正を概略的に示す。内半径43における偏位の補正の場合においても、基本的に、算出のために4つの異なる可能性が存在し、2つの算出方法が、偏位の補正のためのツールパス7の修正に関し、2つの算出方法が、接点6におけるワークピース4と工具2との間の相対速度の調節に関する。
内半径43の場合におけるツールパス7の修正には、
[数5] S=SG+SR・Ek
の式を用いてツールパス7の修正値Sを算出することにより、工具2の偏位の補正を算出でき、ここでは、SGは、直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。この場合、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態の寸法Eの値が、内半径の湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
[数5] S=SG+SR・Ek
の式を用いてツールパス7の修正値Sを算出することにより、工具2の偏位の補正を算出でき、ここでは、SGは、直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。この場合、工具2とワークピース4との間の接点6における係合状態の寸法Eの値が、内半径の湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって算出される:E=R1/R2。
図8は、数式5を用いた元のツールパス7の補正及び、その結果、内半径43におけるものと比較した、工具2の偏位の補正のための、誇張して描かれたツールパス7’を示す。ワークピース2の直線部分41において、2つのツールパス7,7’は互いに対して平行に延在し、直線部分41におけるツールパス7の修正値SGが示される。修正されたツールパス7’は、工具2の偏位を調整するために、内半径43の領域内における偏位の補正によってワークピース4に近付けられ、製造される目標のワークピース4の外形の修正が最終的に達成されるようにする。この場合、ツールパス7の修正は、数式5を用いて算出される。
或いは、又は更に、ツールパス7の修正は、
[数6] S=SG+SR・(E-1)k
の式を用いても算出でき、ここでは、SGは、直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率である:E=L/LG。
[数6] S=SG+SR・(E-1)k
の式を用いても算出でき、ここでは、SGは、直線部分41におけるツールパス7の修正値であり、SRは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率である:E=L/LG。
この場合、2つの算出方法(数式5及び数式6)の組み合わせ及び平均の取得によって、偏位の補正のためのツールパス7の修正を実行することも可能である。
或いは、内半径43の場合、工具2とワークピース4との間の相対速度の調節も実施することができる。この場合、
[数7] FB=FB0-FK・Ek
の式を用いて接点6の速度FBを算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって決定される:E=R1/R2。
[数7] FB=FB0-FK・Ek
の式を用いて接点6の速度FBを算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって決定される:E=R1/R2。
或いは、内半径の場合における接点6の速度FBの修正は、
[数8] FB=FB0-FK・(E-1)k
の式を用いて算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって決定される:E=L/LG。
[数8] FB=FB0-FK・(E-1)k
の式を用いて算出でき、ここでは、FB0は、直線部分41における接点6の速度であり、FKは第1修正定数であり、kは第2修正定数である。寸法Eは、直線部分41における係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって決定される:E=L/LG。
内半径43の場合における速度FBの調節の場合においても、数式7及び数式8の2つを互いに組み合わせることが可能である。また、内半径43における工具2の偏位の補正の場合、上述した数式5、数式6、数式7及び数式8のうちの2つ又は3つ又は4つ全ての組み合わせを実施することができる。
なお、図7及び図8について、寸法Eを算出する場合、内半径又は外半径であることに関わらず、ワークピース4の半径R2には正の値を用いることが好ましい。
なお、更に、第1修正定数FK及び第2修正定数kについて、内半径43及び外半径42の修正定数は異なってもよい。この結果、工具の偏位の補正において、より高い精度が達成される。
この点において、本発明によれば、ワークピース4の形状に応じた、特に直線部分41、内半径43、及び外半径42に応じた、ワークピース4の機械加工における工具2の偏位の補正を行うことが可能となる。この場合、ワークピース4の、湾曲の半径R2に対する工具半径R1の比率によって、及び/又は、ワークピース4の過大部40における円周方向の工具2の係合長さLGに対する現在の係合長さLの比率によって、補正を算出できる。そして、工具2とワークピース4との間の相対速度FBの調節及び/又はツールパス7の修正によって、修正を実施することができる。
例えば、いずれの式の修正定数も実験的に決定することができ、機械工具1の制御部10に記憶することができる。この場合、制御部10を学習システムとして構成することもでき、各機械加工動作によって、ワークピース4における係合の際の工具2の偏位をより良好に調整するように、修正定数の調節が可能となる。
また、個別の工具2及び/又は工具種類についての更なるパラメータを機械工具1の制御部10に記憶することができ、工具2の偏位の補正に用いることができる。例えば、いずれの修正定数も、工具形状、特にシャフトの長さ及び/又はシャフトの円錐性及び/又はシャフトの直径、工具2の種類、工具2の切断又は工具2の造粒の品質、ワークピース4の過大部の大きさ、工具2の回転速度、接点6の所望の速度、及び/又はワークピース4の素材に応じることができる。
制御部10は、ワークピース面が未だ機械加工されるワークピース4に関する工具2の機械加工方向における、ワークピース面の今後の進路を考慮するように構成することもできる。特に、直線部分41と湾曲部分42,43との間、又は変化する湾曲の半径R2を有する湾曲部分の間の、遷移点8における遷移領域を考慮することができる。
図5又は図7において、工具2のツールパス7に沿った移動を意図しており、この目的のために、式2を用いて修正されたツールパス7’を算出する場合、工具2とワークピース4との間の各接点6について、正確な現在の係合長さLを算出することができる。
特に図5から分かるように、現在の係合長さLは、接点6が遷移点8に達してすぐに変化するのではなく、現在の係合長さLは、すでに接点6が遷移点8に到達する直前から、接点6が遷移点8に到達するときまで連続的な変化を開始し、以下の直線部分41について値L=LGが設定される。
この状況は、工具2が直線部分41から外半径42内へと移動する際も同じである。現在の係合長さLは、すでに接点6が遷移点8に到達するよりも前に、接点6が遷移点8に到達するまでの間に縮小し始め、上記の長さは、外半径42における湾曲の半径R2に対して得られる値が想定される。この状況は、内半径における遷移において式2を明確に用いる場合も同様である。この動作は、パスの修正値が比較的小さい場合にもワークピースにマーキングを引き起こしうる、パスの修正における急な変化を生じさせないようにするために望ましい。
数式1又は数式5を参照し、工具2の半径R1及びワークピース4の湾曲の半径R2を用いて、修正されたツールパス7’を算出すると、制御部10における対応する平滑化によって、パス修正の連続的で段階的な変化を設けることができ、修正が、修正されたツールパス7’における遷移点8に飛躍するのを防止するようになっている。
過大部40は、必ずしもワークピース4のどの場所においても一定の厚さDを有さなくても良いため、機械加工の前に、ワークピース4の全ての場所において、過大部40の厚さDの測定を設けることが好ましい。これには、特に数式2、数式4、数式6又は数式8を用いた工具2の偏位の補正の算出において、測定した過大部40の厚さDに応じて、工具2とワークピース4との間の各接点6に対する現在の係合長さLを決定することができ、補正がより正確になるという利点がある。過大部40の厚さDに基づいて決定した現在の係合長さがL<LGであり、修正されたツールパス7’を算出する場合は、関連する修正定数を含む数式2が用いられ、こうして決定した現在の係合の長さがL>LG又はL=LGである場合は、関連する修正定数を含む数式6が用いられる。そして、式の選択は、外半径42又は内半径43であることに関わらなくなり、比率L/LGに基づく。
数式4又は数式8を参照する、現在の係合長さLに応じた手法で接点6の速度FBを算出する場合も同様である。この場合も、対応する式の選択は、L/LGの比率に基づいて決定される。
そしてLGは、直線部分41における現在の係合長さLではなく、ツールパス7の修正値SG又は接点6の速度FB0が工具2の偏位を最適に補正した、現在の係合長さLとなる。
本発明の上記の記載のほか、その補足的な開示のために、図1~図8における本発明の図示を明示的に参照する。
1 機械工具
2 工具
3 スピンドル
4 ワークピース
5 偏位
6 接点
7 ツールパス
7’ 偏位の補正を含むツールパス
8 遷移点
9 工具ホルダ
10 制御部
20 シャフト
40 過大部
41 直線部分
42 外半径
43 内半径
A 工具の移動方向
D 過大部の厚さ
FB 接点の速度
FB0 直線部分における接点の速度
FK 第1修正定数
k 第2修正定数
L 工具の係合長さ
LG 直線部分における工具の係合長さ
R1 工具半径
R2 ワークピースの湾曲の半径
S ツールパスの修正値
SG ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値
SR 第1修正定数
k 第2修正定数
X-X 工具の中心軸
2 工具
3 スピンドル
4 ワークピース
5 偏位
6 接点
7 ツールパス
7’ 偏位の補正を含むツールパス
8 遷移点
9 工具ホルダ
10 制御部
20 シャフト
40 過大部
41 直線部分
42 外半径
43 内半径
A 工具の移動方向
D 過大部の厚さ
FB 接点の速度
FB0 直線部分における接点の速度
FK 第1修正定数
k 第2修正定数
L 工具の係合長さ
LG 直線部分における工具の係合長さ
R1 工具半径
R2 ワークピースの湾曲の半径
S ツールパスの修正値
SG ワークピースの直線部分におけるツールパスの修正値
SR 第1修正定数
k 第2修正定数
X-X 工具の中心軸
Claims (15)
- 機械工具(1)を用いたワークピース(4)の機械加工における工具(2)の偏位を補正する方法であって、
a)E=R1/R2の式を参照して、工具半径R1と前記ワークピース(4)の湾曲の半径R2との比率に基づいて、
且つ/又は
b)E=L/LGの式を参照して、前記ワークピース(4)における円周方向の前記工具(2)の現在の係合長さLと、前記ワークピース(4)の直線部分(41)の機械加工における、前記ワークピース(4)における円周方向の前記工具(2)の係合長さLGとの比率に基づいて、
前記機械工具(1)の制御部(10)が、前記工具(2)と前記ワークピース(4)との間の接点(6)における係合状態の寸法Eに応じて、前記直線部分(41)及び湾曲部分(42,43)において異なるように、偏位の補正を調整する方法。 - 前記制御部(10)が、前記工具(2)と前記ワークピース(4)との間の相対速度FBの調節によって、機械加工における前記工具(2)の偏位の補正を行うように構成される、請求項1に記載の方法。
- 前記ワークピース(4)の外半径(42)の機械加工における、前記接点(6)の前記速度(FB)を、
a)前記湾曲の半径R2に対する前記工具半径R1の比率としての前記寸法Eを含み、FB0が、前記直線部分(41)における前記接点(6)の速度の値であり、FKが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、FB=FB0+FK・Ekの式を用いて、
且つ/又は
b)前記直線部分(41)における前記係合長さLGに対する前記現在の係合長さLの比率としての前記寸法Eを含み、FB0が、前記直線部分(41)における前記接点(6)の速度の値であり、FKが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、FB=FB0+FK・(1-E)kの式を用いて算出する、請求項2に記載の方法。 - 前記ワークピース(4)の内半径(43)の機械加工における、前記接点(6)の前記速度(FB)を、
a)前記湾曲の半径R2に対する前記工具半径R1の比率としての前記寸法Eを含み、FB0が、前記直線部分(41)における前記接点(6)の速度の値であり、FKが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、FB=FB0-FK・Ekの式を用いて、
且つ/又は
b)前記直線部分(41)における前記係合長さLGに対する前記現在の係合長さLの比率としての前記寸法Eを含み、FB0が、前記直線部分(41)における前記接点(6)の速度の値であり、FKが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、FB=FB0-FK・(E-1)kの式を用いて算出する、請求項2に記載の方法。 - 前記制御部(10)が、ツールパス(7)の修正によって、機械加工における前記工具(2)の偏位の補正を行うように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 外半径(42)の機械加工における、前記ツールパス(7)の修正値Sを、
a)前記湾曲の半径R2に対する前記工具半径R1の比率としての前記寸法Eを含み、SGが、前記ワークピース(4)の前記直線部分(41)における前記ツールパス(7)の修正値であり、SRが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、S=SG-SR・Ekの式を用いて、
且つ/又は
b)前記直線部分(41)における前記係合長さLGに対する前記現在の係合長さLの比率としての前記寸法Eを含み、SGが、前記ワークピース(4)の前記直線部分(41)における前記ツールパス(7)の修正値であり、SRが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、S=SG-SR・(1-E)kの式を用いて算出する、請求項5に記載の方法。 - 内半径(43)の機械加工における、前記ツールパス(7)の修正値Sを、
a)前記湾曲の半径R2に対する前記工具半径R1の比率としての前記寸法Eを含み、SGが、前記ワークピース(4)の前記直線部分(41)における前記ツールパスの修正値であり、SRが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、S=SG+SR・Ekの式を用いて、
且つ/又は
b)前記直線部分における前記係合長さLGに対する前記現在の係合長さLの比率としての前記寸法Eを含み、SGが、前記ワークピース(4)の前記直線部分(41)における前記ツールパス(7)の修正値であり、SRが第1修正定数であり、kが第2修正定数である、S=SG+SR・(E-1)kの式を用いて算出する、請求項5又は6に記載の方法。 - 前記制御部(10)が、前記工具(2)の偏位の補正において、前記工具(2)によって未だ機械加工されるワークピース面の進路を考慮するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記制御部(10)が、ワークピース面の形状が前記直線部分(41)から前記湾曲部分(42,43)及び逆も同様に変化する、又は前記湾曲部分(42,43)の曲率が変化する、遷移点(8)を決定するように構成され、補正において、前記接点(6)を通って前記遷移点(8)に到達する前に連続的変化を開始するように構成されることで、前記遷移点(8)において、前記遷移点(8)よりも後の部分についての速度FB及び/又は修正値Sに到達するように、且つ前記速度FB又は前記修正値Sにおける飛躍するような変化を防止するようになっている、請求項8に記載の方法。
- 前記制御部(10)が、更に、前記工具(2)の軸方向における前記工具(2)の長さを考慮して、前記工具(2)の偏位の補正を行うように、且つ/又は
前記工具(2)の工具シャフト(20)の形状を考慮して、前記工具(2)の偏位の補正を行うように、且つ/又は
前記工具(2)の軸方向における、前記ワークピース(4)における前記工具(2)の軸係合長さを考慮して、前記工具(2)の偏位の補正を行うように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。 - 修正定数が、前記工具(2)の種類、切れ刃の品質、前記工具(2)の素材及び粒度、前記ワークピース(4)の過大部(40)、前記工具(2)の回転速度、前記接点(6)の速度、及び/又は前記ワークピース(4)の素材に応じる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
- 前記制御部(10)が、修正定数の値が記憶され、特に前記制御部(10)の学習システムによって、修正定数の値が連続的に調節されるメモリを備える、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ワークピース(4)の過大部(40)の厚さDが、最終的な機械加工の前に、前記ワークピース(4)における任意の数の場所で測定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
- 寸法Eが、前記ワークピース(4)の前記湾曲の半径R2に対する前記工具半径R1の比率として算出された場合、前記制御部(10)が、偏位の補正の際に、過大部(40)の厚さDを考慮するように構成され、又は、前記制御部(10)が、前記工具(2)の前記現在の係合長さLを算出する際に、前記過大部(40)の前記厚さDを考慮するように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される機械工具(1)。
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