JP2024523948A - イソチオシアネートと市販の殺真菌剤の混合物間の相乗効果 - Google Patents

イソチオシアネートと市販の殺真菌剤の混合物間の相乗効果 Download PDF

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Abstract

本発明は、イソチオシアネート誘導体及び市販の殺真菌剤の殺真菌混合物、及びこのような混合物を含む組成物及び殺真菌剤としてこのような混合物を使用するための方法に関する。
【選択図】

Description

本発明は、イソチオシアネート誘導体と市販の殺真菌剤の殺真菌混合物、及びこのような混合物を含む組成物ならびに殺真菌剤としてこのような混合物を使用するための方法に関する。
ヒトの人口は年々増加しており、2030年までには約86億人に到達する。高レベルの食糧生産を維持するために、農家は、1)高効率で、費用が手頃であるが、環境及びヒトの健康に対して負の影響を示す、化学殺虫剤;2)環境に対して有害な影響がないが、低効率(既存の化学殺虫剤と比較して、60%未満)で高コストである、生物学的殺虫剤、などの外部処理を使用しなければならない。このため、生物学的殺虫剤は多くの国にとって利用可能でなくなり、このことは、高効率で手頃なコストであり、かつ環境にやさしい、新規の有機的処理剤を開発し市場に導入する可能性を開く。
過去数十年に、いくつかの生物学的アプローチが、野外でB.シネレア(B.cinerea)を防御するために、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びトリコデルマ・ハルザニウム(Trichoderma harzanium)の適用が、開発されたが、これらは、それらの低い効率のため農業においてあまり使用されていない。
西欧の農業において、一般的に使用される生物学的予防殺真菌剤は、銅及び硫黄である。これらの殺真菌剤は、各降雨の後に再適用する必要があるため、適用には費用が嵩む。さらに、土壌中での高濃度のこれらの金属は、環境に負の影響を有する。
結果として、環境をより尊重すること、並びに真菌病原体に対する高効率の予防的処理により、これらの技術に対する代替物を提供することが非常に重要である。
植物真菌病原体は、毎年重大な食料喪失をもたらす、農業における脅威の1つである。真菌病原体の効率の良さは、自然におけるそれらの容易な拡散、宿主表面上の迅速な付着及び植物における浸透を促進する素早い芽管の発達に起因する。
植物は、一方で、真菌病原体、例えば屍体栄養性のものに対するいくつかの防御機序を発達させてきた:a)病原体浸透の防止;b)上昇されたレベルの活性酸素種;c)ジャスモン酸エステル、エチレン、サリチル酸及びアブシジン酸などの防御ホルモンの誘導。さらに、いくつかの植物は、植物表面で真菌の発達を防ぎ疾患形成を停止させる、対真菌毒性化合物を合成している。強力な抗真菌活性を持つ植物化合物の同定は、現在存在する化学的処理に取って代わる可能性があり得る、新規の生物学的殺真菌剤の開発につながり得る。
アブラナ目は、広く分布しかつ食料の供給源として使用される、経済的に重要な植物からなる。この植物群は、ユニークな一連の二次代謝産物-グルコシノレートを有することが示された。過去数十年で、グルコシノレート誘導体は、抗癌、抗炎症及び殺虫特性を有することが示された。
CAROLINE MUELLER:”Role of glucosinolates in plant invasiveness”,PHYTOCHEMISTRY REVIEWS, KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,DO,vol.8,no.1,28 October 2008(2008-10-28),227-242頁、XP019686442,ISSN:1572-980Xにおいて、多くの植物が新しい生息地へ故意に又は偶発的に導入されており、そこでそれらのいくつかが現在、自然の及び農業のエコシステムに対する大きな生態学的及び経済的な脅威を引き起こすことが開示されている。侵入性になる可能性は、植物の特徴に、並びに他の植物、微生物、草食動物又は花粉媒介者を含む、共生生物又は拮抗物として作用する他の生物との特異的な相互作用に依存し得る。侵入可能性はさらに、生息地における非生物的状態に依存する。それらのグルコシノレート-ミロシナーゼ防御系についてよく知られている、アブラナ科のいくつかの種は、侵略的な種である。なぜこれらの種が新しい領域にこれほどうまく定着できたのかを説明し得る様々な要因が、ここで概説される。具体的に強調されるのは、侵入能におけるグルコシノレート及びそれらの加水分解産物の役割である。。この特定の防御系は、植物-植物、植物-微生物及び植物-昆虫相互作用に特異的に関与する。殆どの研究は、アリアリア・ペチオラータ(Alliaria petiolata)及びブラッシカ(Brassica)spp.の侵入の成功の根底にある機序について行われており、その後ブニアス・オリエンタリス(Bunias orientalis)及びレピディウム・ドラバ(Lepidium draba)が続く。いくつかの例が、必ずしも侵略的とはみなされないが、それらの生物的環境を妨害するそれらの能力に関してよく調べられた植物に対しても、与えられる。各種について、おそらく、異なる植物の特徴の組み合わせが、競合能力を促進し、かつ多様な侵入性の表現型をもたらした。
国際公開第2018/204435A1号パンフレット(DOW AGROSCIENCES LLC [US])2018年11月8日(2018-11-08)は、式Iの化合物(S)-1,1-ビス(4-フルオロフェニル)プロパン-2-イル(3-アセトキシ-4-メトキシピコリノイル)-L-アラニナトと、テブコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェンコナゾール(difenconazole)、エポキシコナゾール、メフェントリフルコナゾール、ベンゾビンジフルピル、ペンチオピラド、フルキサピロキサド、ビキサフェン、フルオピラム、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、マンコゼブ及びクロロタロニルからなる群から選択される少なくとも1つの殺真菌剤の殺真菌的に有効な量を含有する殺真菌組成物を開示し、選択された真菌の相乗的な制御を提供する。
国際公開第2020/011750A1号パンフレット(UNIV LAUSANNE [CH])は、アブラナ目からの植物抽出物又は同様の化学構造を明らかにする分子由来の広範囲の抗真菌活性を有する生物学的殺真菌剤の分野に関する。特に、出願者らは驚くべきことに、広い活性スペクトルを有する効果的な抗真菌化合物としてスルホニル及びスルフィニル含有脂肪族グルコシノレート、それらの副産物及び合成類似体の組み合わせの新しい使用を提供した。
真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患の制御は、高い収穫効率の達成において非常に重要である。観葉植物、野菜、田畑、穀物及び果実作物に対する植物疾患損傷は、生産性の顕著な低下を引き起こし得、それにより消費者に対するコスト上昇を引き起こす。しばしば非常に破壊的であることに加えて、植物疾患は、制御が困難であり得、市販の殺真菌剤に対する耐性を生じさせ得る。殺真菌剤の組み合わせがしばしば、疾患制御を促進するため、制御スペクトルを広げるため、かつ耐性の発生を遅延させるために使用される。さらに、殺真菌剤のある種の稀な組み合わせは、商業的に重要なレベルの植物疾患制御を提供する相加的効果よりも高い(即ち相乗的な)効果を示す。特定の殺真菌剤の組み合わせの長所は、特定の植物種及び処理される植物疾患などの要因、及び植物が真菌植物病原体による感染の前に又は後に処理されるかに依存して変わることが、当技術分野で認められている。
従って、新しい有利な組み合わせが、特定の植物疾患制御のニーズを最もよく満たすための様々な選択肢を提供するために必要とされる。
発明の簡単な説明
本発明において、出願者らは、グルコシノレート誘導体、即ちイソチオシアネート(ITC)と市販の殺真菌剤の殺真菌混合物及びこのような混合物を含む相乗的組成物並びに殺真菌剤としてこのような混合物を使用するための方法を同定した。幅広い範囲の真菌病原体に対する強力な真菌毒性効果が、観察された。生成物のこの組み合わせは、新型の生物学的殺真菌剤として使用され得る。
本発明の目的の1つは、
(a)1-イソチオシアナト-8(メチルスルホニル)-オクタン(8MSOOH)及び1-イソチオシアナト-8-(メチルスルフィニル)-オクタン(8MSOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と、
(b)マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニル、亜リン酸及びその塩又はその混合物から選択される少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
を含む相乗的殺真菌組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、本発明の相乗的殺真菌組成物の殺真菌的に有効な量を、植物又はその一部に、又は植物種子に適用することを含む、真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するための方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、
(a)1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)及び1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と、
(b)植物での真菌病原体の予防又は処置における、マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニル、亜リン酸及びその塩又はその混合物から選択される少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
の組み合わせを含む相乗的組成物の使用を提供することである。
本発明の他の目的及び長所は、次の例示的な図面及び添付の特許請求の範囲を参照して進む、後に続く詳細な説明の検討から当業者に明らかになるであろう。
相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ペニシリウム・ジギタツム(Penicilium digitatum)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(ドジン、テブコナゾール及びクロロタロニル)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての単独での及び組み合わせた最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に対するITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(ピリメタニル、クロロタロニル及びテブコナゾール)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、アルテルナリア・ラディシナ(Alternaria radicina)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(ドジン、ピリメタニル及びテブコナゾール)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)及びボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(テブコナゾール及びドジン)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)及びリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(テブコナゾール及びクロロタロニル)のインビトロ真菌毒性活性(予防的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線は組み合わせ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(フルキシピロキサド、ドジン及びテブコナゾール)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(シプロジニル及びフルジオキソニル)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、フサリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticilloides)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(カプタン及びテブコナゾール)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、コレトトリクム・アクタツム(Colletotrichum acutatum)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(クロロタロニル)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、ペニシリウム・コムネ(Penicillium commune)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(テブコナゾール)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。 相乗性についての最低コンビネーションインデックス(combination index)を含む、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)に対する単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤(マンコゼブ及びドジン)のインビトロ真菌毒性活性(治療的)の結果。通常の線(normal line)は、ITCデータのフィットを表し、点線は殺真菌データのフィットを表し、太線はコンボ(殺真菌剤+ITC)データのフィットを表す。
本明細書中に記載のものと同様の又は同等の方法及び材料が、本発明の実施又は試験において使用され得るものの、適切な方法及び材料が、以下に記載される。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体において参照により組み込まれる。本明細書中で論じられる刊行物及び出願は、本願の提出日前のそれらの開示について専ら提供される。本明細書の如何なるものも、本発明が先行発明のおかげでそのような開示に先行する権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、材料、方法及び例は、単なる例示であり、限定ではないものとする。
矛盾する場合、定義を含め、本願が優先する。
別段定められない限り、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、本明細書中の主題が属する技術分野の熟練者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で使用される場合、次の定義が、本発明の理解を促すために与えられる。
本明細書中で使用される、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」又は「含有する(containing)」又はそのあらゆる他のバリエーションは、非排他的な包含をカバーすると意図され、含むという意味で、即ち1つ以上の特性又は構成成分の存在を許すという意味で使用される。例えば、エレメントのリストを含む、組成物、工程、方法は、それらのエレメントにのみ必ずしも限定されないが、このような組成物、工程、方法に明らかに挙げられないか又は固有ではない他のエレメントを含み得る。
さらに、明らかに反対の意が示されない限り、「又は」は、包含的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、状態A又はBは、以下の何れか1つによって満たされる:Aは真であり(又は存在し)、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在せず)及びBは真である(又は存在する)、A及びBの両方が真である(又は存在する)。
また、本発明のエレメント又は構成成分に先行する不定冠詞「a」及び「an」は、そのエレメント又は構成成分の例(即ち出現)の数に関して非制限的であると意図される。従って、「a」又は「an」は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、エレメント又は構成成分の単数形はまた、その数が単数であることが明らかに意図されない限り、複数も含む。
いくつかの例における「1つ又はそれより多く」、「少なくとも」、「しかし~に限定されない」又は他の同様の句などの広げる語及び句の存在は、より狭い場合が、そのような広げる句を欠き得る例において意図される又は要求されることを意味すると読まれるべきではない。
「真菌」は、外部からの食物を消化し、その細胞壁から直接栄養を吸収する真核生物である。殆どの真菌は、胞子により生殖し、菌糸と呼ばれる顕微鏡的な管状細胞から構成される体(葉状体)を有する。真菌は、動物のように従属栄養生物であり、他の生物からそれらの炭素及びエネルギーを得る。いくつかの真菌は、生きている宿主(植物又は動物)からそれらの栄養を得ており、生体栄養性と呼ばれ;他は、死んだ植物又は動物からそれらの栄養を得ており、腐生性と呼ばれる(雑菌、腐生菌)。いくつかの真菌は、生きている宿主に感染するが、それらの栄養を得るために宿主細胞を殺し;これらは屍体栄養性と呼ばれる。
本明細書中で「真菌病原体」とも呼ばれる「病原性真菌」は、植物、ヒト又は他の生物において疾患を引き起こす真菌である。およそ300種類の真菌が、ヒトにとって病原性であることが知られている。ヒトに対する真菌病原性の研究は、「医真菌学」と呼ばれる。真菌は真核性であるが、多くの病原性真菌は、微生物である。植物に対する真菌及び他の生物病原性の研究は、植物病態学と呼ばれる。
合計で全ての既知の植物疾患の70%を占める何千種類もの植物病原性真菌がある。植物病原性真菌は寄生生物であるが、全ての植物寄生真菌が病原体であるわけではない。植物寄生真菌は、生きている植物宿主から栄養を得るが、植物宿主は必ずしも何らかの症状を呈するわけではない。植物病原性真菌は、寄生生物であり、症状により特徴づけられる疾患を引き起こす。
「殺真菌剤」は、寄生性真菌又はそれらの胞子(真菌毒性として本明細書中で定義される)を死滅させるために使用される殺生物性の化学的な化合物又は生物有機体である。静真菌剤は、それらの増殖を阻害する。真菌は、農業において重篤な損傷を引き起こし得、収穫量、品質及び利益の重大な損失をもたらす。殺真菌剤は、動物又はヒトにおける真菌感染に対処するために農業及び医学の両方で使用される。真菌ではない卵菌を制御するために使用される化学物質もまた、殺真菌剤と呼ばれ、これは卵菌が植物に感染するために真菌と同じ機序を使用するからである。殺真菌剤は、接触性、トランスラミナー(translaminar)又は浸透移行性の何れかであり得る。接触性の殺真菌剤は、植物組織中に取り込まれず、噴霧物が沈着される植物のみを保護する。トランスラミナー(translaminar)殺真菌剤は、上方の噴霧された葉の面から下方の噴霧されていない面へ殺真菌剤を再分布させる。浸透移行性の殺真菌剤は、取り込まれ、木管を通じて再分布される。植物の全ての部分に移動する殺真菌剤はほとんどない。いくつかは、局所的に浸透移行性であり、いくつかは上向きに移動する。
「静真菌剤」は、真菌の増殖を阻害する(真菌を死滅させずに)抗真菌剤である。静真菌剤という用語は、名詞及び形容詞の両方として使用され得る。静真菌剤は、農業、食品工業、塗料工業及び医学において適用を有する。
「植物」は、望ましい及び望ましくない野生植物、栽培品種及び植物種(植物種又は植物育成者の権利により保護されるか又は保護されないかにかかわらない)などの全ての植物ならびに植物集団を意味する。栽培品種及び植物種は、倍加単数体、プロトプラスト融合、ランダム及び定方向変異誘発、分子若しくは遺伝子マーカーの使用によるか又は生物工学及び遺伝子工学的な方法によるなどの1つ以上のバイオテクノロジー的な方法により支援され得るか又は補充され得る、従来の繁殖及び育種方法により得られる植物であり得る。植物部分は、苗条、葉、蕾及び根などの全ての地上及び地下部分並びに植物の器官を意味し、それにより例えば葉、針葉、幹、枝、蕾、子実体、果実及び種子並びに根、球茎及び根茎が、挙げられる。穀物及び栄養性及び生殖性繁殖物質、例えば挿し木、球茎、根茎、匍匐根及び種子もまた、植物部分に属する。本開示及び特許請求の範囲で言及される場合、「植物」は、植物界のメンバー、特に、若い植物(例えば、苗へと発達する発芽種子)及び成熟した、生殖ステージ(例えば、花及び種子を生成する植物)を含む、全ての生活環での、種子植物(スペルマトプシダ(Spermatopsida))、を含む。植物の部分は、根、塊茎、球根及び球茎などの、増殖媒体(例えば土壌)の表面の下で一般的に増殖する屈地性のメンバー、及びまた葉(茎及び葉を含む)、花、果実及び種子などの、増殖媒体より上で成長するメンバーを含む。
本明細書中で言及される場合、単独で又は語の組み合わせの何れかで使用される、用語「苗」は、塊茎、球茎又は根茎などの栄養性繁殖単位の種子又は芽の胚から発生する若い植物を意味する。
亜リン酸及びその塩は、天然に見出されないが、環境全体で見出される一般的な物質に密接に関連する。有効成分は、標的真菌に対し直接的に毒性であり、また植物の防御機序の有効性を向上させると思われる。
当業者は、環境において及び生理的条件下で化学化合物の塩はそれらの対応する非塩形態と平衡状態にあるので、塩は非塩形態の生物学的有用性を共有することを認める。本混合物及び組成物を形成する化合物が酸性又は塩基性部分を含有する場合、多岐にわたる塩が形成され得、これらの塩は、真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するための本混合物及び組成物において有用である(即ち農業的に適切である)。化合物がアミン官能基などの塩基性部分を含有する場合、塩は、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4-トルエンスルホン酸又は吉草酸などの無機酸又は有機酸との酸付加塩を含む。化合物がカルボン酸などの酸性部分又はフェノールなどのアルコールを含有する場合、塩は、ピリジン、トリエチルアミン又はアンモニア又はアミド、ヒドリド、水酸化物又はナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム若しくはバリウムの炭酸塩などの有機塩基又は無機塩基とともに形成されるものを含む。
本発明の組成物は、植物において真菌毒性及び/又は静真菌性であり、野外での植物栽培に又はそのインビトロでの実行のために適用され得る。
「相乗効果」は、2つ又はそれを超える薬剤の合わされた作用がそれらの個々の効果の合計よりも大きい場合に起こると、一般的に認められる。言い換えると、相乗効果は、2つ又はそれを超える薬剤の合わされた作用が、単独で使用された場合の薬剤の性能に基づき予想され得たものよりも大きい場合に起こると言われる。
「イソチオシアネート」は、化学基-N=C=Sであり、イソシアネート基中の酸素を硫黄で置換することにより形成される。植物由来の多くの天然のイソチオシアネートは、グルコシノレートと呼ばれる代謝産物の酵素性変換により産生される。アリルイソチオシアネートなどの、これらの天然イソチオシアネートは、マスタード油としても知られる。人工イソチオシアネートである、フェニルイソチオシアネートは、エドマン分解におけるアミノ酸シーケンシングのために使用される。本発明に関連して、イソチオシアネート又はITCという用語は、1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)及び1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH)の混合物を表す。
本発明の1つの目的は、
(a)1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)及び1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と、
(b)マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニル、亜リン酸及びその塩又はその混合物から選択される選択される(selected from selected from)少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
を含む相乗的殺真菌組成物を提供することである。
好ましくは、構成成分(b)は、ピリメタニル、テブコナゾール、クロロタロニル、ドジン、シプロジニル、フルキサピロキサド、カプタン、マンコゼブ及びフルジオキソニルから選択される。
さらにより好ましくは、構成成分(b)は、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル及びドジンから選択される。
本発明の実施形態によれば、構成成分(a)は、50-50vol./volの1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン比で存在する。好ましくは、1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタンの比は、99/1vol./volである。
別の実施形態によれば、構成成分(a)、即ち1-イソチオシアナト-8-(メチルスルホニル)-オクタン(8MSOOH)及び1-イソチオシアナト-8-(メチルスルフィニル)-オクタン(8MSOH)の混合物は、上記2つの活性化合物の上記組み合わせの濃度において0.5~7%に相当する。好ましくは、上記2つの活性化合物の組み合わせの濃度において1~4%であり、最も好ましくは、上記2つの活性化合物の組み合わせの濃度において1~2%である。
本発明の実施形態によれば、相乗的殺真菌組成物は、界面活性剤、固体希釈剤及び/又は液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成成分をさらに含む。
さらに別の実施形態によれば、構成成分(a)対構成成分(b)の重量比は、1:5~3137:1である。
特に、構成成分(a)対ピリメタニルの重量比は、6:1~980:1である。
別の実施形態によれば、構成成分(a)対テブコナゾールの重量比は、2:1~2500:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対クロロタロニルの重量比は、1:5~880:1である。
別の実施形態によれば、構成成分(a)対ドジンの重量比は、1:1~103:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対マンコゼブの重量比は、1:1~10:1である。
またさらなる実施形態によれば、構成成分(a)対カプタンの重量比は、1:1~2:1である。
また別の実施形態によれば、構成成分(a)対シプロジニルの重量比は、22:1~207:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対フルジオキソニルの重量比は、398:1~3137:1である。
また別の実施形態によれば、構成成分(a)対フルキサピロキサドの重量比は、4:1~31:1である。
本発明の別の目的は、上で定められるような本発明の相乗的殺真菌組成物の殺真菌的に有効な量を植物又はその部分又は植物種子に適用することを含む、真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するための方法を提供することである。
好ましくは、真菌植物病原体は、フサリウム(Fusarium)spp.、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)、ボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ペニシリウム・ジギタツム(Penicillium digitatum) アルテルナリア・ラディシナ(Alternaria radicina)、フサリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticilloides)、ペニシリウム・コムネ(Penicillium commune)、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)、コレトトリクム・アクタツム(Colletotrichum acutatum)及びラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)からなる群から選択される。
本発明のまたさらなる目的は、植物での真菌病原体の予防又は処置において、
(a)1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)及び1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と、
(b)マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニル、亜リン酸及びその塩又はその混合物から選択される少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
の組み合わせを含む相乗的組成物の使用を提供することである。
本発明の実施形態によれば、構成成分(a)は、50-50vol./volの1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタンの比で存在する。好ましくは、1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタンの比は、99/1vol./volである。
本発明の別の実施形態によれば、相乗的組成物は、界面活性剤、固体希釈剤及び/又は液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成成分をさらに含む。
一実施形態によれば、構成成分(a)対構成成分(b)の重量比は、1:5~3137:1である。
特に、構成成分(a)対ピリメタニルの重量比は、6:1~980:1である。
別の実施形態によれば、構成成分(a)対テブコナゾールの重量比は、2:1~2500:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対クロロタロニルの重量比は、1:5~880:1である。
別の実施形態によれば、構成成分(a)対ドジンの重量比は、1:1~103:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対マンコゼブの重量比は、1:1~10:1である。
またさらなる実施形態によれば、構成成分(a)対カプタンの重量比は、1:1~2:1である。
さらに別の実施形態によれば、構成成分(a)対シプロジニルの重量比は、22:1~207:1である。
さらなる実施形態によれば、構成成分(a)対フルジオキソニルの重量比は、398:1~3137:1である。
さらに別の実施形態によれば、構成成分(a)対フルキサピロキサドの重量比は、4:1~31:1である。
相乗的殺真菌組成物は、構成成分(a)及び構成成分(b)が殺真菌的に有効な量で存在し、かつ構成成分(a)対構成成分(b)の重量比が1:5~3137:1であるものを含む。これらの組成物は、フサリウム(Fusarium)spp.、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)、ボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ペニシリウム・ジギタツム(Penicillium digitatum)アルテルナリア・ラディシナ(Alternaria radicina)、フサリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticilloides)、ペニシリウム・コムネ(Penicillium commune)、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)、コレトトリクム・アクタツム(Colletotrichum acutatum)及びラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するために特に有効である。
本発明の構成成分の混合物は一般に、担体として作用する、界面活性剤、固体希釈剤及び液体希釈剤、処方剤、賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成成分を伴う、組成物、即ち処方物中で殺真菌有効成分を提供するために使用される。処方物又は組成物成分は、有効成分の物理的特性、適用の方式及び、土壌タイプ、湿気及び温度などの環境的要因と一致するように選択される。
一実施形態によれば、構成成分(a)及び構成成分(b)ならびに1つ以上の他の生物学的に活性な化合物又は薬剤は、個別に処方され得、例えばタンク混合物として、適切な重量比で個別に適用され得るか、又は同時に適用され得る;又は(ii)構成成分(a)及び構成成分(b)ならびに/又は1つ以上の他の生物学的活性化合物又は薬剤は、適正な重量比で一緒に処方され得る。
好ましくは、本発明で使用しようとする担体又は希釈剤は、フィトロジックに(phytologically)許容できる。
本明細書中で使用される場合、用語「フィトロジックに(phytologically)許容できる」処方物は、種子、苗、植物細胞、植物又は花を含むが限定されない、その生活環の何れかの部分の間に植物の何れかの部分との使用のために一般に適用可能な、組成物、希釈剤、賦形剤及び/又は担体を指す。処方物は、農業の技術分野で標準的な手順、方法及び処方に従い調製され得る。本発明の教示に従い、農業及び/又は化学の技術分野の熟練者は、所望の組成物を容易に調製し得る。最も一般的に、本発明の殺真菌組成物は、そのままで又は本組成物の濃縮処方物から調製される水性又は非水性の懸濁液又はエマルションとして、保管される及び/又は適用されるように処方され得る。水溶性の、水性懸濁できる又は乳化できる処方物はまた、固形物(例えば水和剤)に変換され得るか又はそれとして処方され得、これは次に、最終処方物へと希釈され得る。ある特定の処方物において、本発明の相乗的殺真菌組成物はまた、増殖培地、例えば植物又は他のタイプの細胞の増殖のためのインビトロ培地中で、実験植物増殖培地中で、土壌中で、又は種子、苗、根、茎、柄、葉、花又は植物全体に対する噴霧のために、提供され得る。
これらのフィトロジックに(phytologically)許容できる処方物は、公知の方法で、例えば、任意選択で乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤である界面活性剤の使用とともに、液体溶媒、圧力下での液化ガス及び/又は固体担体である増量剤と本発明の相乗的殺真菌組成物を混合することにより、作製される。使用される増量剤が水である場合、例えば、補助的な溶媒として有機溶媒を使用することも可能である。基本的に、適切な液体溶媒は、芳香族、例えばキシレン、トルエン又はアルキルナフタレン、塩化芳香族化合物、又は塩化脂肪族炭化水素、例えばクロロベンゼン、クロロエチレン又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサン又はパラフィン、例えば石油分画、アルコール、例えばブタノール又はグリコール、及びそれらのエーテル及びエステル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強い極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド、或いは水を含む。液化ガス増量剤又は担体は、周囲温度で及び大気圧下で気体である液体、例えばブタン、プロパン、窒素及び二酸化炭素などのエアロゾル噴霧剤、を意味するとして理解されたい。適切な固体担体は:例えば、カオリン、粘度、タルク、白亜、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又は珪藻土などの粉砕された天然鉱物、及び微粉化シリカ、アルミナ及びケイ酸塩などの粉砕された合成鉱物である。顆粒のための適切な固体担体は:例えば破砕され分割された天然の岩石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石及び白雲石、又はさもなければ無機及び有機の粗挽き粉の合成の顆粒、及びおがくず、ココナツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコ柄などの有機物質の顆粒である。適切な乳化剤及び/又は泡形成剤は:例えば、非イオン性及び陰イオン性乳化剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えばアルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキル-スルホネート、アルキル硫酸塩、アリールスルホナート、或いはタンパク質加水分解物である。適切な分散剤は:例えば、リグニン-サルファイト廃棄リカー、メチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
本発明による相乗的殺真菌組成物は、エアロゾルディスペンサー、カプセル懸濁剤、コールドフォギング(cold fogging)濃縮物、粉剤、乳剤、水中油エマルション、油中水エマルション、カプセル化顆粒剤、細顆粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス(圧力下)、ガス生成品、顆粒、ホットフォギング(hot fogging)濃縮物、マクロ顆粒(macrogranule)、微粒剤、油分散性粉末、油混和性フロアブル剤、油混和性液体、ペースト、植物ロドレット(rodlet)、乾燥種子処理用粉末、殺虫剤でコートされた種子、液剤、可溶性粉末、種子処理用の溶液、懸濁濃縮液(フロアブル剤)、超微量(ULV)液体、超微量(ULV)懸濁液、水分散性顆粒又は錠剤、スラリー処理用の水分散性粉末、水溶性顆粒又は錠剤、種子処理用の水溶性粉末及び水和剤などの様々な形態で使用され得る。これらの組成物は、適切な装置、例えば噴霧又は散布装置などにより処理しようとする植物又は種子にすぐに適用できる組成物だけでなく、作物への適用前に希釈されなければならない濃縮された市販の組成物も含む。
本発明の好ましい実施形態では、相乗的殺真菌組成物は、超音波噴霧器により保管施設において果実及び野菜に特異的に適用され得る。超音波噴霧器は、水を非常に小さい液滴(<10um)に破壊するために超音波の音波を使用して高密度の冷たい霧(即ち沸騰する水に起因しない)として空気中にそれを噴霧する、装置である。超音波噴霧器及び系の例は、即ち次の米国特許:米国特許第4,042,016号明細書;米国特許第4,058,253号明細書;米国特許第4,118,945号明細書;米国特許第4,564,375号明細書;米国特許第4,667,465号明細書;米国特許第4,702,074号明細書;米国特許第4,731、990号明細書;米国特許第4,731,998号明細書;米国特許第4,773,846号明細書;米国特許第5,454,518号明細書;米国特許第6,854,661号明細書に記載されている。通常、超音波噴霧器は:一般に、本体の前面に出口がある軸方向穴を有する円柱状の本体;穴に連結されたガス供給部及び液体供給部;湾曲した凸面を有する前面の少なくとも一部、穴の出口を取り囲む平坦な中央の輪状の領域を有する前面;及び穴の出口端から離され反対側にある共振器、を含む。このような装置は、ビニールハウス中の湿度レベルを制御するために、気耕栽培において植物に栄養を送達するために、又はハウス中の最適な湿度レベルを生成するために一般的に使用される。
出願者らは、この技術が、保管施設において果実及び植物の鮮度の延長のために使用される生成物、例えば殺真菌剤、を適用するために使用され得ることを明らかにした。この技術は、それらの梱包のために、噴霧又は他の適用により適用される処理にアクセスできない果実及び野菜(即ち果実及び野菜が、例えば容器中で保管されるので、又は噴霧が果実及び野菜に損傷を与え得るので、容易に直接噴霧され得ない)を効果的に処理することを可能にする。
有用な処方物は、液体の及び固体の組成物の両方を含む。液体組成物は、溶液(乳剤を含む)、懸濁液、エマルション(マイクロエマルション及び/又はサスポエマルションを含む)などを含み、これらは任意選択的に、ゲルへと増粘され得る。水性液体組成物の一般的なタイプは、液剤、フロアブル剤、カプセル懸濁液、濃縮エマルション、マイクロエマルション及びサスポエマルションである。非水性液体組成物の一般的なタイプは、乳剤、マイクロ乳剤、分散性濃縮剤(dispersible concentrate)及びオイルディスパーションである。
固体組成物の一般的なタイプは、ダスト、粉末、顆粒、ペレット、プリル、芳香錠、錠剤、充填フィルム(filled film)(種子コーティングを含む)などであり、これらは、水分散性(「水和性」)又は水溶性であり得る。フィルム形成溶液又はフロアブル懸濁液から形成されるフィルム及びコーティングは、種子処理に特に有用である。有効成分は、(マイクロ)カプセル化され得、懸濁液又は固体処方へとさらに形成され得;或いは有効成分の処方物全体が、カプセル化(又は上塗り」)され得る。カプセル化は、有効成分の放出を制御し得るか又は遅延させ得る。乳化可能な顆粒は、乳剤処方及び乾燥顆粒処方の両方の長所を兼ね備える。高強度の組成物が、さらなる処方のための中間体として最初に使用される。
噴霧可能な処方物は一般的に、噴霧前に適切な媒体中で拡張される。このような液体及び固体処方物は、スプレー媒体、通常は水、中で容易に希釈されるように処方される。スプレー体積は、約1~数千リットル/ヘクタールの範囲であり得るが、より一般的には約10~数百リットル/ヘクタールの範囲である。スプレー可能な処方物は、水、又は空中散布又は地上散布による葉の処理用の又は植物の増殖培地への適用のための別の適切な媒体と、タンク混合され得る。液体の及び乾燥された処方物は、点滴かんがい系へと直接計り取られ得るか又は植え付けの間にあぜ溝へと計り取られ得る。液体の及び固体の処方物は、浸透移行性の取り込みを通じて、成長する根及び他の地中の植物部分及び/又は葉を保護するために、植え付け前に種子処理として作物及び他の所望の植物の種子上に適用され得る。
本処方物は一般的に、100重量パーセントまで増大する、当業者により知られる次のおおよその範囲内で有効成分、希釈剤及び界面活性剤の有効量を含有する。
本発明の相乗的殺真菌組成物は、いくつかの長所を示し、これらは、環境の、植物の、保管及び医学的な真菌病原体に対する真菌毒性及び/又は静真菌性の活性を明らかにする。
本発明で使用される相乗的殺真菌組成物は、保管施設において真菌病原体に感染した果実、野菜及び切り花に対し、最低1週間、有効期間を延長させと示された。使用される化合物(即ちITCの混合物)は、昆虫及びヒトに対し毒性でないと示された。本発明の組成物は、熟しつつある傷みやすい食物に対し特異的な効果を伴い容易に適用でき、追加の導入コストは不要である。本発明の相乗的殺真菌組成物は、保管会社(即ち梱包のコストを削減する)、林業、造園業者及び農家にとって関心対象である。
従って、本発明の相乗的殺真菌組成物は、植物において真菌毒性剤として及び/又は静真菌剤として使用されるものである。殺真菌剤として使用しようとする本発明の相乗的殺真菌組成物は、様々な植物又は植物の系統群(宿主)の処理において大きな有効性を示した。実際に、本発明の相乗的殺真菌組成物は、ナス目、バラ目、ブドウ目、イネ目などの目を含む、1400種超の農業的に重要な作物又は植物の処理において使用され得る。
本発明の相乗的殺真菌組成物は、種子、苗、植物細胞、植物又は花を含むが限定されない、その生活環の任意の部分の間に植物の任意の部分で使用され得る。
本発明によれば、全ての植物及び植物部分が、処理され得る。
本発明の相乗的殺真菌組成物により保護され得る植物の中で特に、次のような主要な農作物が挙げられ得る:トウモロコシ、ダイズ、綿、アブラナ科油糧種子、例えばブラッシカ・ナプス(Brassica napus)(例えキャノーラ)、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、B.ジュンセア(B.juncea)(例えばカラシナ)及びブラッシカ・カリナタ(Brassica carinata)、コメ、コムギ、テンサイ、サトウキビ、オート麦、ライ麦、オオムギ、アワ、ライコムギ、アマ、葛及び様々な植物分類群の様々な果実及び野菜、例えばロサセアエ(Rosaceae)sp.(例えばリンゴ及びナシなどのピップフルーツ(pip fruit)、それらだけでなく、アンズ、サクランボ、アーモンド及びモモなどの核果、イチゴなどの液果類)、リベシオイダエ(Ribesioidae)sp.、ジュグランダセアエ(Juglandaceae)sp.、ベツラセアエ(Betulaceae)sp.、アナカルディアセアエ(Anacardiaceae)sp.、ファガセアエ(Fagaceae)sp.、モラセアエ(Moraceae)sp.、オレアセアエ(Oleaceae)sp.、アクチニダセアエ(Actinidaceae)sp.、ラウラセアエ(Lauraceae)sp.、ムサセアエ(Musaceae)sp.(例えばバナナの木及び植栽)、ルビアセアエ(Rubiaceae)sp.(例えばコーヒー)、テアセアエ(Theaceae)sp.、ステルクリセアエ(Sterculiceae)sp.,ルタセアエ(Rutaceae)sp.(例えばレモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ソラナセアエ(Solanaceae)sp.(例えばトマト、ジャガイモ、トウガラシ、ナス)、リリアセアエ(Liliaceae)sp.、コンポジチアエ(Compositiae)sp.(例えばレタス、アーティチョーク及び根チコリを含むチコリ、エンダイブ又はコモンチコリ)、ウンベリフェラエ(Umbelliferae)sp.(例えばニンジン、パセリ、セロリ及びセルリアック)、ククルビタセアエ(Cucurbitaceae)sp.(例えばピクリングキュウリ(pickling cucumber)を含むキュウリ、スクアッシュ、スイカ、ヒョウタン及びメロン)、アリアセアエ(Alliaceae)sp.(例えばタマネギ及びリーキ)、クルシフェラエ(Cruciferae)sp.(例えば白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、チンゲンサイ、コールラビ、ダイコン、ホースラディッシュ、クレス、ハクサイ)、レグミノサエ(Leguminosae)sp.(例えばピーナツ、エンドウ及びビーンズビーンズ(beans beans)-インゲンマメ及びソラマメなど)、ケノポディアセアエ(Chenopodiaceae)sp.(例えばマンゴールド、スピナッチビート、ホウレンソウ、ビートルート)、マルバセアエ(Malvaceae)(例えばオクラ)、アスパラガセアエ(Asparagaceae)(例えばアスパラガス);園芸用及び森林作物;観葉植物及び切り花を含む花;草、即ちゴルフ場、芝生、並びにこれらの作物の遺伝子修飾された相同体。
例えば、本発明の相乗的殺真菌組成物は、田畑の作物、果樹及び野菜におけるうどん粉病、サビ病、べと病及び炭疽病などの一般的な真菌疾患を制御するために使用され得る。
さらに、本発明の相乗的殺真菌組成物は、耐性疾患の処置のために、主にコムギうどん粉病、イネイモチ病、稲麹病、メロンうどん粉病、トマトうどん粉病、リンゴサビ病、スイカ炭疽病及び花のうどん粉病の制御のために、使用され得る。その上、相乗的殺真菌組成物は、キュウリべと病、ブドウべと病、痂皮、炭疽及びスポテッドデフォリエーション(spotted defoliation)に対する非常に良好な制御効果を有する。
本発明の特定の実施形態では、本発明の相乗的殺真菌組成物は、真菌病原体、例えばバナナのパナマ病、アッシュ・ダイバック(ash dieback)により引き起こされる樹木の疾患の処置又は予防において使用される。
さらに、本発明の相乗的殺真菌組成物は、植物培養における分野で直接、また例えば植物培養における実施のためにインビトロでも使用され得る。
構成成分(b)と合わせた構成成分(a)の組成物は、農業的防御のさらにより広いスペクトルを与える複数の構成成分の殺虫剤を形成するために殺虫剤、殺線虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、除草剤解毒剤、昆虫脱皮阻害剤及び発根刺激薬などの成長調整物質、不妊化剤、情報物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン剤、採餌刺激薬、植物栄養物質、他の生物学的活性化合物又は昆虫病原性細菌、ウイルス又は真菌を含む、1つ以上の他の生物学的活性化合物又は薬剤とさらに混合され得る。従って、本発明はまた、構成成分(b)と合わせた構成成分(a)の混合物の殺真菌的に有効な量及び少なくとも1つのさらなる生物学的活性化合物又は薬剤の生物学的に有効な量を含みかつ界面活性剤、固体希釈剤又は液体希釈剤の少なくとも1つをさらに含み得る組成物にも関する。他の生物学的活性化合物又は薬剤はまた、界面活性剤、固体又は液体希釈剤の少なくとも1つを含む組成物において個別に処方され得る。本発明の組成物のために、1つ以上の他の生物学的活性化合物又は薬剤は、プレミックスを形成するために構成成分(a)と(b)の両方と一緒に処方され得るか、又は1つ以上の他の生物学的活性化合物又は薬剤は、構成成分(a)と(b)とは別個に処方され得、処方物は適用前に一緒に合わされるか(例えば噴霧タンク中で)、又は或いは連続して適用され得る。
構成成分(b)とともに構成成分(a)の組成物が一緒に処方され得るこのような生物学的活性化合物又は薬剤の例は、殺虫剤、例えばアバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アセトプロール、アルジカルブ、アミドフルメト、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス-メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ビストリフルロン、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、キノメチオナート、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロラントラニリプロール、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[[(1-メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、3-クロロ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、3-クロロ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-N-[4-シアノ-2-メチル-6-[[(1-メチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド、クロルピリフォス、クロルピリフォス-メチル、クロロベンジラート、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジコホル、ジエルドリン、ジエノクロル、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトキサゾール、フェナミホス、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、タウ-フルバリネート、フルフェネリム、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾクス、ヒドラメチルノン、イミシアホス、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メトフルトリン、モノクロトホス、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン、オキサミル、パラチオン、パラチオン-メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、プロフルトリン、プロパルギット、プロトリフェンブテ(protrifenbute)、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピリジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、スルプロフォス、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ-ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホン、トリフルムロン;殺線虫剤、例えばアルジカルブ、イミシアホス、オキサミル及びフェナミホス;殺菌剤、例えばストレプトマイシン;殺ダニ剤、例えばアミトラズ、キノメチオナート、クロロベンジラート、シエノピラフェン、シヘキサチン、ジコホル、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベン及びテブフェンピラド;及び次のものを含む生物学的製剤、昆虫病原性細菌、例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)亜種アイザワイ(aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)亜種クルスタキ(kurstaki)及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の被包型デルタ-内毒素(例えば、Cellcap、MPV、MPVII);昆虫病原性真菌、例えばグリーンムスカルジン(green muscardine)真菌;及びバキュロウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)、例えばHzNPV、AfNPVなどを含む昆虫病原性ウイルス;及び顆粒病ウイルス(GV)、例えばCpGVである。
本発明の混合物及びその組成物は、無脊椎動物害虫に対して毒性のタンパク質(バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタ-内毒素など)を発現するように遺伝子的に形質転換された植物に適用され得る。外因性に適用される本発明の殺真菌混合物の効果は、発現される毒性タンパク質と相乗的であり得る。
農業用保護剤(即ち殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、除草剤及び生物学的製剤)についての一般的な参考文献としては、The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003及びThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001が挙げられる。
これらの様々な混合パートナーの1つ以上が使用される実施形態について、構成成分(a)と構成成分(b)の混合物に対するこれらの様々な混合パートナー(合計で)の重量比は一般的に、1:100~3000:1である。注目すべきは、1:30~300:1(例えば1:1~30:1の範囲)の重量比である。これらのさらなる構成成分を含むことは、構成成分(a)と構成成分(b)の混合物により制御されるスペクトルを超えて制御される疾患のスペクトルを拡大し得ることは明らかである。
本発明の組成物は、植物疾患制御剤として有用である。本発明は従って、本発明の混合物又は上記混合物を含む殺真菌組成物の有効量を、保護される予定の植物又はその部分に、又は保護される予定の植物種子又は栄養繁殖単位に適用することを含む、真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するための方法をさらに含む。
植物疾患制御は通常、根、茎、葉、果実、種子、塊茎又は球根などの保護される予定の植物の部分に、又は保護される予定の植物が成長している媒体(土壌又は砂)に、感染前又は感染後の何れかで、一般的には処方された組成物として、本発明の混合物の有効量を適用することによって遂行される。混合物はまた、種子及び種子から発生する苗を保護するために、種子に適用され得る。混合物はまた、植物を処理するためにかんがい用水を通じて適用され得る。
本発明のこれらの混合物及び組成物の適用の比率は、環境の多くの要因により影響を受け得、実際の使用条件下で決定されるべきである。葉は通常、約1g/ha未満~約5,000g/haの有効成分の比率で処理される場合、保護され得る。種子及び苗は通常、種子が約0.1~約10g/キログラム種子の比率で処理される場合、保護され得;栄養繁殖単位(例えば、挿し木及び塊茎)は通常、繁殖単位が約0.1~約10g/キログラム繁殖単位の比率で処理される場合、保護され得る。
本発明の混合物及び/又は組成物は、担子菌、子嚢菌、卵菌及び不完全菌類のクラスにおいて広いスペクトルの真菌植物病原体により引き起こされる疾患の制御を提供する。それらは、広いスペクトルの植物疾患、次のものを含む作物の葉の病原体を制御することにおいて有効である:穀物作物、例えばコムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ、ライコムギ、コメ、トウモロコシ、ソルガム及びアワ;ツル作物、例えば食用及びワイン用ブドウ;農作物、例えば菜種(キャノーラ)、ヒマワリ;サトウダイコン、サトウキビ、ダイズ、ピーナツ(落花生)、タバコ、アルファファ(alfafa)、クローバー、ハギ属、三つ葉及びカラスノエンドウ;仁果類、例えばリンゴ、ナシ、クラブアップル(crabapple)、ビワ、メイホー(mayhaw)及びマルメロなど;核果、例えばモモ、サクランボ、プラム、アンズ、ネクタリン及びアーモンド;柑橘果実、例えばレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリン(タンジェリン)及びキンカン;根及び塊茎植物及び農作物(及びそれらの葉)、例えばアーティチョーク、レッドビート及びサトウダイコン、ニンジン、キャッサバ、ショウガ、チョウセンニンジン、ホースラディッシュ、パースニップ、ジャガイモ、ダイコン、ルタバガ、サツマイモ、カブ及びヤム;鱗茎菜類、例えばニンニク、リーク、タマネギ及びエシャロットなど;葉物野菜、例えばルッコラ(ロケット)、セロリ、セルリー、クレス、エンダイブ(エスカロール)、ウイキョウ、結球レタス及び葉レタス、パセリ、ラディッキオ(赤チコリ)、ルバーブ、ホウレンソウ及びスイスチャード;アブラナ属(コール)葉物野菜、例えばブロッコリー、ブロッコリーラーブ(ラピーニ)、芽キャベツ、キャベツ、チンゲンサイ、カリフラワー、コラード、ケール、コールラビ、カラシナ及び葉野菜;マメ科野菜(多肉植物又は乾燥)、例えばルーピン、マメ(ファセオルス(Phaseolus)spp.)(フィールドビーン、キドニービーン、ライマメ、白インゲンマメ、ピントビーンズ、サヤマメ、スナップビーンズ、テパリービーン及びワックスビーンを含む)、マメ(ビグナ(Vigna)spp.)(アズキ、アスパラガスビーン(asparagus bean)、ササゲ、キマメ、ジュウロクササゲ、カウピー、クロウダーピー(crowder pea)、モスビーン、ヤエナリ、ツルアズキ、サザンピー(southern pea)、ウルドビーン(urd bean)及びヤードナガササゲ(yardlong bean)を含む)、ソラマメ(空豆)、ヒヨコマメ(ガルバンゾー)、グアー、タチナタマメ、ラブラブビーン、レンズマメ及びエンドウ(ピスム(Pisum)spp.)(ドウォーフピー、食用サヤエンドウ(edible-podded pea)、イングリッシュピー、フィールドピー、ガーデンピー、グリーンピース、スノーピー、スナップエンドウ、キマメ及びダイズを含む);結実野菜、例えばナス、グランドチェリー(フィサリス(Physalis)spp.)、ペピーノ及びカラシ(パプリカ、チリペッパー、クッキングペッパー(cooking pepper)、ピメント、甘唐辛子;トマティーヨ及びトマトを含む);ウリ類の野菜、例えばハヤトウリ(果実)、冬瓜子(冬瓜)、シトロンメロン、キュウリ、ガーキン、食用ヒョウタン(ヒョウタン、ククッザ(cucuzza)、ヘチマ及びチャイニーズオクラを含む)、モモルディカ(Momordica)spp.(ニガウリ、ツルレイシ、苦瓜及びチャイニーズキューカンバー(Chinese cucumber)を含む)、マスクメロン(カンタロープ及びカボチャを含む)、夏及び冬カボチャ(バターナッツスクアッシュ、ヒョウタンノキ、フバードスクアッシュ(hubbard squash)、ドングリカボチャ、ソウメンカボチャを含む)及びスイカなど;液果類、例えばブラックベリー(ビングルベリー(bingle berry)、ボイゼンベリー、デューベリー、ローベリー(low berry)、マリオンベリー、オラリーベリー及びヤングベリーを含む)、ブルーベリー、クランベリー、カラント、エルダーベリー、グーズベリー、ハックルベリー、ローガンベリー、ラズベリー及びイチゴ;堅果類、例えばアーモンド、ビーチナッツ、ブラジルナッツ、バターナッツ、カシュー、クリ、チンカピングリ、ハシバミ(ヘーゼルナッツ)、ヒッコリーナッツ、マカダミアンナッツ、ピーカン及びクルミ;トロピカルフルーツ及び他の作物、例えばバナナ、プランテン、マンゴー、ココナツ、パパイヤ、グアバ、アボカド、ライチ、リュウゼツラン、コーヒー、カカオ、サトウキビ、油ヤシ、ゴマ、ゴム及びスパイス;繊維作物、例えば綿、亜麻及び大麻繊維;芝草(暖地型及び寒冷地型芝草を含む)、例えばベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、セントオーガスチングラス、トールフェスク及びバミューダグラス。
これらの病原体は、次のものを含む:卵菌、フィトフトラ病、例えばフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、フィトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma)、フィトフトラ・パラシティカ(Phytophthora parasitica)、フィトフトラ・シンナモミアンド(Phytophthora cinnamomiand)フィトフトラ・カプシシ(Phytophthora capsici)、ピチウム病、例えばピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、及びべと病菌科、例えばプラズモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、ペロノスポラ(Peronospora)spp.(ペロノスポラ・タバシナ(Peronospora tabacina)及びペロノスポラ・パラシチカ(Peronospora parasitica)を含む)、シュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)spp.(シュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)を含む)及びブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)などにおける疾患;次のものを含む子嚢菌、アルテルナリア病、例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)及びアルテルナリア・ブラッシカエ(Alternaria brassicae)、ギニャールディア病、例えばギニャールディア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)、ベンチュリア病、例えばベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)、セプトリア病、例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)及びセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)、ウドンコ病、例えばエリシフェ(Erysiphe)spp.(エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)及びエリシフェ・ポリゴニ(Erysiphe polygoni)を含む)、ウンシヌラ・ネカツル(Uncinula necatur)、セファエロテカ・フリゲナ(Sphaerotheca fuligena)及びポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、ボツリヌス病、例えばボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、モニリニア・フルクチコラ(Monilinia fructicola)、スクレロティニア病、例えばスクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)、ホモプシス・ビチコラ(Phomopsis viticola)、ヘルミントスポリウム病、例えばヘルミントスポリウム・トリチシ・レペンチス(Helminthosporium tritici repentis)、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)、炭疽病、例えばグロメレラオル・コレトトリクム(Glomerellaor Colletotrichum)spp.(コレトトリクム・グラミニコラ(Colletotrichum graminicola)及びコレトトリクム・オルビクラレ(Colletotrichum orbiculare)など)及びゲウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis);次のものを含む担子菌、プッチニア(Puccinia)spp.(プッチニア・レコンディタ(Puccinia recondita)、プッチニア・ストリイホルミス(Puccinia striiformis)、プッチニア・ホルデイ(Puccinia hordei)、プッチニア・グラミニス(Puccinia graminis)及びプッチニア・アラキディス(Puccinia arachidis)など)、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)及びファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)により引き起こされるサビ病;次のものを含む他の病原体、リゾクトニア(Rhizoctonia)spp.(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)及びリゾクトニア・オリザエ(Rhizoctonia oryzae)など);フサリウム病、例えばフサリウム・ロセウム(Fusarium roseum)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)及びフサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum);ベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae);スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii);リンコスポリウム・セカリス(Rynchosporium secalis);セルコスポリジウム・ペルソナツム(Cercosporidium personatum)、セルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachidicola)及びセルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola);ルトストロエミア・フロコッスム(Rutstroemia floccosum)(スクレロンチナ・ホモエオカルパ(Sclerontina homoeocarpa)としても知られる);及びこれらの病原体と近縁の他の属及び種。それらの殺真菌活性に加えて、本組成物又は組み合わせはまた、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)、キサントモナス・カムペストリス(Xanthomonas campestris)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)及び他の関連種などの細菌に対する活性も有する。
殺真菌剤の混合物は、個々の構成成分の活性に基づいて予想され得るよりも顕著に良好な疾患防御を提供し得る。この相乗性は、「全体の効果が独立に取り込まれる2つ(又はそれより多く)の効果の合計よりも大きいか又はより長いような、混合物の2つの構成成分の協同的な作用」として記載されている(Tames,P.M.L,Neth.J.Plant Pathology,(1964),70,73-80参照)。
相乗的な真菌毒性活性を次に、CompuSynソフトウェアを用いて推定した(Chou et al.2005、Chou 2006)。これは、殺真菌剤の組み合わせ、故に相乗性の存在、についてのコンビネーションインデックス(Combination Index)(CI)を決定するために使用された(CI<1;0.1~0.3の値は強い相乗性とみなされ、<0.1の値は非常に強い相乗性とみなされる;Chou 2008)。
特定の真菌疾患を防御するために特に有用である構成成分(a)及び構成成分(b)の割合を含む組成物が、本発明に従い提供される。これらの組成物は、フサリウム(Fusarium)spp.、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)、ボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ペニシリウム・ジギタツム(Penicillium digitatum)アルテルナリア・ラディシナ(Alternaria radicina)、フサリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticilloides)、ペニシリウム・コムネ(Penicillium commune)、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)、コレトトリクム・アクタツム(Colletotrichum acutatum)及びラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)を制御するために特に有用であるとみなされる。
本発明による処置において通常適用される相乗的殺真菌組成物の用量は一般に及び有利に、葉の処理における適用について10~800g/ha、好ましくは50~300g/haである。適用される殺真菌組成物の用量は一般に及び有利に、種子処理の場合、2~200g/100kg種子、好ましくは3~150g/100kg種子である。
本明細書中で示される用量は、本発明による処置方法の例示的な例として与えられることが明らかに理解される。当業者は、特に処理しようとする植物又は作物の性質に従い、どのように適用用量を順応させるかを知っているであろう。
当業者は、本明細書中に記載の発明が、具体的に記載されるもの以外のバリエーション及び改変を受け入れる余地があることを認めるであろう。本発明が、その精神又は不可欠な特徴から逸脱することなく、全てのこのようなバリエーション及び改変を含むことを理解されたい。本発明はまた、個々に又はまとめて、本願で参照されるか又は示される、段階、特性、組成物及び化合物の全て、及び上記段階又は特性のありとあらゆる組み合わせ又は任意の2つ以上も含む。本開示は従って、例示され限定ではない全ての態様とみなされるべきであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により示され、かつ等価性の意味及び範囲内に入る全ての変化は、その中に包含されると意図される。
前述の説明は、次の実施例を参照して、より完全に理解されよう。次の実施例において、全てのパーセンテージは、重量%である。さらに詳細に述べることなく、前述の説明を使用して当業者は、本発明をその最大の範囲まで利用し得ると考えられる。次の実施例は、従って、どのようなものであれ、如何なる方法でも単に説明的なものと解釈されるべきものであり、本開示の制限ではない。パーセンテージは、別段示される場合を除き、重量による。
実施例1:
出願者は、(i)2種類のイソチオシアネート分子(即ち、1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)と1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH)、8MSOH/8MSOOHの比は99/1vol./vol.;この混合物は、「ITC」と呼ばれる)及び(ii)農業において広く使用される様々な市販の殺真菌剤(「殺真菌剤」と呼ばれる;クロロタンロニル、ドジン、ピリメタニル、テブコナゾール)の混合物の間の相乗性を試験した。(i)及び(ii)の混合物を、「コンボ」と呼ぶ。
出願者らは、天然の有効成分(8MSOH/8MSOOH)と混合する合成殺真菌剤からなる発明者らのアプローチの多用途性を強調するために、農業における重要な損失に関与しかつ遺伝的に遠い、即ち異なる目及び属からの、5種類の異なる真菌病原体(表1参照)を選択した。
Figure 2024523948000001
実験を全て、治療的なケースと予防的なケースの間でわずかな相違を有して、同じように行った。48ウェルプレートにおいて、各ウェルを、180μLの体積の様々な濃度のITC、殺真菌剤又は両方の組み合わせで満たし、180μLのポテトデキストロース寒天(PDA)で満たした。3つのウェルを、よりよい精度のために濃度あたり使用した。ウェルの固化後に、増殖した真菌の2x2mmのプラグ(治療的な場合)又は20μLの胞子溶液(~1E5個の胞子/mL、予防の場合)の何れかを、各ウェルに置き、48ウェルプレートを、パラフィルムで密封した。制御された増殖チャンバー中20℃での温置7日後に、真菌増殖を測定し、EC50を、XLSTATにおいて4-パラメーターロジスティック回帰により計算した。
後に、真菌が増殖していない殺真菌剤の濃度(即ちEC50未満)を、決定した。出願者らは、ITC及び殺真菌剤の混合物でウェルを満たすことによって48ウェル実験を繰り返し;殺真菌剤濃度を、上で言及した決定された濃度で一定に維持し、ITC濃度を、変化させた。以前のように、真菌増殖を、温置7日後に測定した。コンボITC+殺真菌剤の相乗的特性を計算するために、Chou(2006)により記載されたコンビネーションインデックス(combination index)(CI)を、CompuSynソフトウェアを使用して計算した。
結論:結果は、組み合わせて使用した場合のITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤の間の相乗的効果を明らかに示した。強い相乗性が、0.170よりも低いコンビネーションインデックス(combination index)により示される(表2及び図1~5)。
Figure 2024523948000002
Figure 2024523948000003
Figure 2024523948000004
各組み合わせのITC:殺真菌剤についての最小及び最大の重量比を、次のように計算した。ITCの最小濃度を、コンボ(ITC+殺真菌剤)のEC50として選択し、最大濃度を、試験したITCの最大濃度として選択した。殺真菌濃度を所定の真菌について固定して維持しつつ、ITC濃度のみを変化させた。これらのモル濃度を、化合物の分子量で乗じて、質量濃度を得た。最終的に、重量比ITC:殺真菌剤を、最小及び最大のITC濃度の両方について、ITCの質量濃度を殺真菌剤の質量濃度で除することにより得た。
Figure 2024523948000005
各組み合わせのITC:殺真菌剤について最小及び最大の濃度比を、次のように計算した。ITCの最小濃度を、コンボ(ITC+殺真菌剤)のEC50として選択し、最大濃度を、試験したITCの最大濃度として選択した。殺真菌剤濃度を所定の真菌について固定して維持しつつ、ITC濃度のみを変化させた。濃度比ITC:殺真菌剤を、最小及び最大のITC濃度の両方について、ITCのモル濃度を殺真菌剤のモル濃度で除することにより得た。
Figure 2024523948000006
実施例2:
出願者らは、(i)8MSOH/8MSOOH 99/1vol./vol比での、2種類のイソチオシアネート分子(即ち1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン(8MSOH)及び1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン(8MSOOH);この混合物は「ITC」と呼ばれる)と(ii)農業で広く使用される様々な市販の殺真菌剤(「殺真菌剤」として本明細書中で言及される;カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキサピロキサド、クロロタロニル、ドジン、テブコナゾール、マンコゼブ)の混合物の間の相乗性を試験した。(i)及び(ii)の混合物を「コンボ」と呼んだ。
出願者らは、天然の有効成分(8MSOH/8MSOOH)と混合する合成殺真菌剤からなる発明者らのアプローチの多用途性を強調するために、農業における重要な損失に関与しかつ遺伝的に遠い、即ち異なる目及び属からの、5種類の異なる真菌病原体を選択した(表1参照)。
Figure 2024523948000007
実験を全て同じように行った。48ウェルプレートにおいて、各ウェルを、180μLの体積の様々な濃度のITC、殺真菌剤又は両方の組み合わせで満たし、180μLのポテトデキストロース寒天(PDA)で満たした。2つ又は3つのウェルを、よりよい精度のために1つの濃度あたり使用した。ウェルの固化後に、増殖した真菌の2x2mmのプラグを、各ウェルに置き、48ウェルプレートを、パラフィルムで密封した。室温での温置7日後に、真菌増殖を測定し、EC50を、XLSTATにおいて4-パラメーターロジスティック回帰により計算した。
後に、真菌が増殖していない殺真菌剤の濃度(即ちEC50未満)を、決定した。出願者らは、ITC及び殺真菌剤の混合物でウェルを満たすことによって48ウェル実験を繰り返し;殺真菌濃度を、上で言及した決定された濃度で一定に維持し、ITC濃度を、変化させた。以前のように、真菌増殖を、温置7日後に測定した。コンボITC+殺真菌剤の相乗的特性を計算するために、Chou(2006)により記載されたコンビネーションインデックス(combination index)(CI)を、CompuSynソフトウェアを使用して計算した。
結論:結果は、組み合わせて使用した場合のITC(8MSOH/8MSOOH)と合成殺真菌剤の間の相乗的効果を明らかに示した。強い相乗性が、0.170よりも低いコンビネーションインデックス(combination index)により示される(表7及び図6~11)。
Figure 2024523948000008
表7:治療において試験された真菌病原体、単独での及び組み合わせたITC(8MSOH/8MSOOH)及び合成殺真菌剤)のEC50、組み合わせて使用された固定合成殺真菌剤濃度、組み合わせて使用されたITCの濃度範囲及び相乗効果(最低コンビネーションインデックス(combination index);CI)。
Figure 2024523948000009
各組み合わせのITC:殺真菌剤について最小及び最大の重量比を、次のように計算した。ITCの最小濃度を、コンボ(ITC+殺真菌剤)のEC50として選択し、最大濃度を、試験したITCの最大濃度として選択した。殺真菌剤濃度を所定の真菌について固定して維持しつつ、ITC濃度のみを変化させた。これらのモル濃度を化合物の分子量により乗じて、質量濃度を得た。最終的に、重量比ITC:殺真菌剤を、最小及び最大のITC濃度の両方について、殺真菌剤の質量濃度でITCの質量濃度を除することにより得た。
Figure 2024523948000010
各組み合わせのITC:殺真菌剤について最小及び最大の濃度比を、次のように計算した。ITCの最小濃度を、コンボ(ITC+殺真菌剤)のEC50として選択し、最大濃度を、試験したITCの最大濃度として選択した。殺真菌濃度を所定の真菌について固定して維持しつつ、ITC濃度のみを変化させた。濃度比ITC:殺真菌剤を、最小及び最大のITC濃度の両方について、殺真菌剤のモル濃度でITCのモル濃度を除することにより得た。
Figure 2024523948000011
参考文献
Chou,T.C.,Martin,N.,2005.CompuSyn for drug combinations:PC software and user’s guide:A Computer Program for quantitation of synergism and antagonism in drug combinations,and the determination of IC50 and ED50 and LD50 values.ComboSyn Inc,Paramus,NJ..
Chou,T.C.,2006.Theoretical basis,experimental design,and computerized simulation of synergism and antagonism in drug combination studies.Pharmacol Rev.58,621-81.
Chou,T.C.,2008.Preclinical versus clinical drug combination studies.Leuk Lymph.49,2059-2080.
一実施形態によれば、構成成分(a)及び構成成分(b)ならびに1つ以上の他の生物学的に活性な化合物又は薬剤は、個別に処方され得、例えばタンク混合物として、適切な重量比で適用され得る;又は(ii)構成成分(a)及び構成成分(b)ならびに/又は1つ以上の他の生物学的活性化合物又は薬剤は、適正な重量比で一緒に処方され得る。

Claims (21)

  1. (a)1-イソチオシアナト-8(メチルスルホニル)-オクタン(8MSOOH)及び1-イソチオシアナト-8-(メチルスルフィニル)-オクタン(8MSOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と;
    (b)マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニル、亜リン酸及びその塩又はその混合物から選択される少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
    を含む相乗的殺真菌組成物。
  2. 構成成分(b)が、マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニルから選択される、請求項1に記載の相乗的殺真菌組成物。
  3. 構成成分(b)が、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル及びドジンから選択される、請求項2に記載の相乗的殺真菌組成物。
  4. 構成成分(a)が、99/1vol./volの1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタン比で存在する、請求項1~3の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  5. 界面活性剤、固体希釈剤及び/又は液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成成分をさらに含む、請求項1~4の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  6. 構成成分(a)対構成成分(b)の重量比が、1:5~3137:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  7. 前記構成成分(a)対ピリメタニルの重量比が、6:1~980:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  8. 構成成分(a)対テブコナゾールの重量比が、2:1~2500:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  9. 構成成分(a)対ドジンの重量比が、1:1~103:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  10. 構成成分(a)対マンコゼブの重量比が、1:1~10:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  11. 構成成分(a)対カプタンの重量比が、1:1~2:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  12. 構成成分(a)対シプロジニルの重量比が、22:1~207:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  13. 構成成分(a)対フルジオキソニルの重量比が、398:1~3137:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  14. 構成成分(a)対フルキサピロキサドの重量比が、4:1~31:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  15. 構成成分(a)対クロロタロニルの重量比が、1:5~880:1である、請求項1~5の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物。
  16. 請求項1~15の何れかに記載の相乗的殺真菌組成物の殺真菌的に有効な量を前記植物又はその一部に、又は前記植物種子に適用することを含む真菌植物病原体により引き起こされる植物疾患を制御するための方法。
  17. 前記真菌植物病原体が、フサリウム(Fusarium)spp.、ゲオトリクム・カンディドゥム(Geotrichum candidum)、ボツリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ペニシリウム・ジギタツム(Penicillium digitatum)アルテルナリア・ラディシナ(Alternaria radicina)、フサリウム・ベルティシロイデス(Fusarium verticilloides)、ペニシリウム・コムネ(Penicillium commune)、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)、コレトトリクム・アクタツム(Colletotrichum acutatum)及びラジオディプロディア・シュードテオブロマエ(Lasiodiplodia pseudotheobromae)からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 植物における真菌病原体の予防又は処置における、
    (a)1-イソチオシアナト-8(メチルスルホニル)-オクタン(8MSOOH)及び1-イソチオシアナト-8-(メチルスルフィニル)-オクタン(8MSOH)の混合物である少なくとも1つの構成成分と、
    (b)マンコゼブ、ドジン、クロロタロニル、テブコナゾール、カプタン、シプロジニル、フルジオキソニル、フルキシピロキサド及びピリメタニルから選択される少なくとも1つのさらなる合成殺真菌構成成分、
    の組み合わせを含む相乗的組成物の使用。
  19. 構成成分(a)が、99/1 vol./volの1-イソチオシアナトメチルスルフィニル-オクタン/1-イソチオシアナトメチルスルホニル-オクタンの比で存在する、請求項18に記載の相乗的組成物の使用。
  20. 界面活性剤、固体希釈剤及び/又は液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる構成成分をさらに含む、請求項18~19の何れかに記載の相乗的組成物の使用。
  21. 構成成分(a)対構成成分(b)の重量比が、1:5~3137:1である、請求項18~20の何れかに記載の相乗的組成物の使用。
JP2023581021A 2021-07-05 2022-07-04 イソチオシアネートと市販の殺真菌剤の混合物間の相乗効果 Pending JP2024523948A (ja)

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