JP2024523533A - 一酸化窒素の輸送および送達のためのシステム - Google Patents

一酸化窒素の輸送および送達のためのシステム Download PDF

Info

Publication number
JP2024523533A
JP2024523533A JP2023579395A JP2023579395A JP2024523533A JP 2024523533 A JP2024523533 A JP 2024523533A JP 2023579395 A JP2023579395 A JP 2023579395A JP 2023579395 A JP2023579395 A JP 2023579395A JP 2024523533 A JP2024523533 A JP 2024523533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitric oxide
acid
alpha
skin
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023579395A
Other languages
English (en)
Inventor
ティエヌシュ ラサフ,
Original Assignee
イエス2ノー ゲーエムベーハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イエス2ノー ゲーエムベーハー filed Critical イエス2ノー ゲーエムベーハー
Publication of JP2024523533A publication Critical patent/JP2024523533A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

本発明は、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中へ、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通って、一酸化窒素を輸送および/または送達するためのシステムを提供し、そのシステムは、α-ヒドロキシ酸(AHA)と、一酸化窒素(NO)が生成または放出される一酸化窒素供給源とを含む。本発明の第1の局面にしたがうシステムは、NOのための輸送送達システムとしてのα-ヒドロキシ酸(AHA)の使用を含む。そのAHAは、インサイチュで生成されたNOを捕捉してそのNOを皮膚深層へと輸送する(図1を参照のこと)。

Description

イエストゥーノー ゲーエムベーハー
ケーニッヒスアレー27、40212デュッセルドルフ
(発明の分野)
本発明は、医療目的のための局所適用に一般的には関連する。本発明は、体表面への適用における一酸化窒素の送達システムを提供する。特に、α-ヒドロキシ酸が一酸化窒素供給源と合わせられ、そのα-ヒドロキシ酸は、上皮層(例えば、皮膚および粘膜)の中へ入りそれを通る、一酸化窒素の輸送をもたらす。
(発明の背景)
一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞によって合成され放出される強力な血管拡張薬であり、血管局所抵抗および血流を調節することにおいて重要な役割を果たす(Palmer RM、Ferrige AG、Moncada S、Nitric oxide release accounts for the biological activity of endothelium-derived relaxing factor.、Nature、1987;327(6122):524~6)。哺乳動物細胞において、NOは、L-アルギニンの酵素的酸化によって、L-シトルリンとともに生成される。NOはまた、血小板および白血球の凝集および接着の両方の阻害、細胞増殖の阻害、スーパーオキシドラジカルの除去ならびに内皮層透過性の調節に関与する。さらに、NOはまた、皮膚障害(皮膚感染症、(自己)炎症性障害、および創傷治癒が挙げられる)の管理のための適用を有し得る、抗菌特性および免疫調節効果を保有することが示されている。創傷修復に対するNOの有利な効果は、血管新生、炎症、細胞増殖、マトリックス沈着、およびリモデリングに対するその機能的影響に向けられ得る(Minniti CP、Gorbach AM、Xu D、Hon YY、Delaney KM、Seidel Mら、Topical sodium nitrite for chronic leg ulcers in patients with sickle cell anaemia:a phase 1 dose-finding safety and tolerability trial.、Lancet Haematol、2014;1(3):e95-e103;Fang FC、Perspectives series:host/pathogen interactions、Mechanisms of nitric oxide-related antimicrobial activity.、J Clin Invest、1997;99(12):2818~25)。多くの皮膚科疾患がNO活性の変化と関連付けられてきたか、または多くの皮膚科疾患が、NOにより治療的に調節され得る炎症経路に関与し得る。したがって、局所NO処方物の開発が、皮膚科の分野において大きな影響を有し得る(del Rosso J、Kircik L、Spotlight on the Use of Nitric Oxide in Dermatology:What Is it? What Does it Do? Can It Become an Important Addition to the Therapeutic Armamentarium for Skin Disease?、J Drugs Dermatol、2017;16(1):s4-10)。
局所処方物におけるNOの生成のための種々のシステムが当該分野において記載されており、例えば、pH変化、特定の内因性酵素、ジアゼニウムジオレート、S-ニトロソチオール、およびNOドナーと組み合わせたビヒクル(例えば、ナノ粒子、ポリマー、デンドリマー、ミセルまたは脂質ベースのナノキャリア)へ曝露された際にNOを放出する、ニトラート/ニトライト/ニトロソ化合物である(Liang H、Nacharaju P、Friedman A、Friedman JM、Nitric oxide generating/releasing materials.、Future Sci OA、2015;1(1);Bryan NS、Nitric oxide enhancement strategies.、Future Sci/OA、2015;1(1):FSO48)。
これらのシステムのほとんどは成功しなかった。その理由は、有害な副産物の形成、アレルギー反応もしくは皮膚刺激を誘導すること、不便な適用方法、高価な生成プロセス(Adler BL、Friedman AJ、Nitric oxide therapy for dermatologic disease.、Future Sci OA、2015;1(1):FSO37)および/または不満足なNO送達(Oplander C、Romer A、Paunel-Gorgulu A、Fritsch T、van Faassen EE、Murtz Mら、Dermal application of nitric oxide in vivo:kinetics,biological responses,and therapeutic potential in humans.、Clin Pharmacol Ther、2012;91(6):1074~82)が挙げられる、種々の不利益をそれらのシステムが有するからである。
上記の不利益のうちのほとんどは、物質ごとに変化し、それらは材料を微調整することによって解消され得るが、その不満足なNO送達は、種々のNO生成物質のほとんどにとって、特に局所適用においては、主要な問題である。臨床的関心事のためには、NOドナーの必要な安定性および放出の特徴を提供して、それを対費用効果が高く使用しやすい有効で安全な局所治療剤にする、可能性のある薬物送達システムが、主に望まれるものである。
Adler BLら、Future Sci OA(2015)1(1):FSO37 Oplander Cら、Clin Pharmacol Ther(2012)91(6):1074~82
したがって、本発明は、標的部位へのNO送達を増強するためになんらかのNO生成物質において使用され実施され得る、独特な輸送送達システムを含む。
(発明の概要)
上記で説明されたとおり、一酸化窒素(NO)は、例えば、心血管系、免疫系、神経系、および皮膚のそれぞれにおける多くの生理機構および病態生理学的機構における重要な媒介物質である。後者の場合、NOの局所適用は、抗炎症特性、免疫調節特性、抗菌特性、および血管作用特性を有し得る。しかし、皮膚の表皮は天然の障壁を提示し、これは、皮膚深層(真皮、皮下組織)への、特に高量でのNOの浸透を阻害する。このことは、少量のNOでさえ皮膚に入るのを可能にするためには、非常に高い薬理学的局所NO濃度の適用を必要とする。
先行技術の欠点を克服するために、局所適用のための一酸化窒素(NO)のための新規で独特な輸送送達システムが提示される。それは、NOの皮膚浸透および皮膚深層へのNOの送達を確実にし、それは何らかのNO生成物質およびNO放出物質(例えば、それぞれ、標準(authentic)のNO溶液、有機ニトラート(モノニトラート、ジニトラート、トリニトラート)、酸性化ニトライトなど)に添加されて、標的部位に到達するNOの量を増強し得る。
第1の局面にしたがって、本発明は、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中へ、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通って、一酸化窒素を輸送および/または送達するためのシステムを提供し、このシステムは、α-ヒドロキシ酸および一酸化窒素供給源を含む。
本発明の第1の局面にしたがうシステムは、NOのための輸送送達システムとしてのα-ヒドロキシ酸(AHA)の使用を含む。そのAHAは、インサイチュで生成されたNOを捕捉してそのNOを皮膚深層へと輸送する(図1を参照のこと)。
第2の局面にしたがって、本発明は、医薬における使用のための第1の局面にしたがうシステムを提供する。
第3の局面にしたがって、本発明は、感染症、炎症、傷害、皮膚障害ならびに/あるいは血管障害(例えば、慢性炎症性皮膚疾患、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、乾癬、瘢痕、皺、擦過傷、熱傷、外傷、血腫、男性ホルモン性脱毛症(男性型脱毛症および女性型脱毛症)、眼瞼炎、レイノー症候群、細菌性皮膚・軟部組織感染症、末梢血管疾患、慢性静脈不全ならびに/あるいは虚血性血管炎により引き起こされる下肢潰瘍)の処置における使用のための第1の局面にしたがうシステムを提供する。
α-ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)は、皮膚の湿潤化および皮膚トルゴールを増加し、かつ表皮分化を正常化する。α-ヒドロキシ酸は、表皮の角質層における細胞間イオン結合に干渉し、結果として角質溶解および厚みの減少を誘導し、皮膚を通る拡散が複数の研究で示されている(Tang SC、Yang JH、Dual Effects of Alpha-Hydroxy Acids on the Skin.、Molecules、2018;23(4);Babilas P、Knie U、Abels C、Cosmetic and dermatologic use of alpha hydroxy acids.、J Dtsch Dermatol Ges、2012;10(7):488~91;Jiang M、Qureshi SA、Assessment of in vitro percutaneous absorption of glycolic acid through human skin sections using a flow-through diffusion cell system.、Journal of Dermatological Science、1998;18(3):181~188;Kraeling MEK、Bronaugh RL、In vitro percutaneous absorption of alpha hydroxy acids in human skin.、J Soc Cosmet Chem、1997;48:187~197;Van Scott EJ、Yu RJ、Hyperkeratinization,corneocyte cohesion,and alpha hydroxy acids.、Journal of the American Academy of Dermatology、1984;11(5):867~879)。本発明にしたがうシステムは、標的部位に到達するNOの量を増加するためにすべての種類の調製物において使用され得、他のNO生成処方物における有効性を増強してその乏しいNO送達を相殺する。
この目的のために使用され得る(特に低ナノ濃度からモル濃度までの)α-ヒドロキシ酸としては、乳酸、クエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、グリコール酸、酒石酸、およびリンゴ酸が挙げられるが、それらに限定はされない。本発明者らは、α-ヒドロキシ酸がNO局所適用物に添加された場合に、NO輸送が顕著に増加することを見出した。
本開示は、処方物への輸送送達システムの付加に関連し、これは皮膚に適用され得、皮膚科的目的または美容目的のために使用され得るが、その適用方法によって限定はされない。α-ヒドロキシ酸が添加された処方物は、(例えば、外傷もしくは疾患によって)損なわれた皮膚および損なわれていない(例えば、皺のある)皮膚における使用のために、特にすべての種類の皮膚包帯剤(パッチ、硬膏、バンド(banding)、パッド、圧迫ガーゼ、二つ折り片(folio)などが挙げられる)に適用され得る(が、これらに限定はされない)。その処方物は、皮膚包帯剤なしでゲルまたは水溶液としてさらに適用され得る。適用方法に依存して、その広範な適用の可能性は、ゼリー様から水溶液までの流動性の範囲を含む。
第4の局面にしたがって、第1の局面にしたがうシステムを含む包帯剤が、提供される。
第5の局面にしたがって、本発明は、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法を提供し、その方法は、
(i)一酸化窒素供給源とα-ヒドロキシ酸とを混合する工程、
(ii)その硝酸供給源を上皮層に適用する工程、
(iii)その硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
を含む。
第6の局面にしたがって、本発明は、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するためのα-ヒドロキシ酸の使用を提供する。本出願の他の目的、特徴、利点および局面は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から当業者には明らかになる。
図1:皮膚の表皮を通るNOの浸透またはその欠如の図示。本発明において記載される輸送体送達システムがなければ、NO分子は皮膚深層(真皮、皮下組織)に到達しない。その理由は、表皮が天然の障壁を提供するからである。その輸送体(α-ヒドロキシ酸)は、生成されたNOを、皮膚の表皮を通って標的部位へと運搬する((Creative Commons Attribution 3.0 Unported Licenseの下でライセンス化された)ServierによるServier Medical Artから適合させた)。
図2:ゲルAとゲルBとを混合することによって生成されたNOの量を示す、時間(秒)対NO濃度(十億分率、ppb)のグラフ。
図3:(A)輸送送達システムによるNO生成ゲルの適用の前(左)および8週間後(右)の患者の皮膚。(B)4週間後および8週間後の上記患者群におけるグローバルざ瘡グレーディングシステム(Global Acne Grading System)(GAGS)スコアの変化。
(発明の詳細な説明)
本明細書において開示される発明の種々の局面および実施形態は、以下においてまた説明されるとおり、当該分野に重要な寄与をなす。
(第1の局面にしたがうシステム)
第1の局面にしたがって、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達のためのシステムが提供され、そのシステムは、α-ヒドロキシ酸および一酸化窒素供給源を含む。
上記のとおり、α-ヒドロキシ酸は表皮浸透を増加させる。第1の局面にしたがって、α-ヒドロキシ酸は、深部組織層への一酸化窒素浸透を阻害するかまたは損なう上皮層を通って、一酸化窒素を輸送および送達するために使用される。特に、一酸化窒素は、一酸化窒素供給源から生成および/または放出される。一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の生成および/または放出は、酸性pHによって誘導され得る。そのpHは、一酸化窒素供給源への酸(例えば、α-ヒドロキシ酸または他の酸(例えば、硫酸))の添加によって調整され得る。NOの生成および/または放出が他の機構によって誘導される他の一酸化窒素供給源もまた、包含される。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、1つの組成物中にα-ヒドロキシ酸と一酸化窒素供給源とを含む、一成分システムであり得る。この実施形態にしたがって、そのシステムは、そのシステムが上皮層に適用されるまで一酸化窒素の生成および/または放出を防止するために、さらなる添加物および/または適切な一酸化窒素供給源を含み得る。
代替的実施形態にしたがって、そのシステムは、α-ヒドロキシ酸を含む第1の組成物と、一酸化窒素供給源と含む第2の組成物とを含む、二成分システムである。この実施形態にしたがって、その第1の組成物と第2の組成物とが接触した際に、一酸化窒素が生成および/または放出される。
本明細書において使用される場合、用語「上皮層」とは、身体(特にヒトの身体)の何らかの表面(外表面(例えば、皮膚)および内表面(例えば、粘膜)が挙げられる)を特に指す。上皮層は、一酸化窒素について減少した透過性によって一般的には特徴付けられる。一実施形態にしたがって、上皮層は皮膚の表皮である。一酸化窒素は、α-ヒドロキシ酸によって真皮および/または皮下組織(すなわち、皮膚深層)へ輸送および/または送達される。発明の概要において説明されたとおり、表皮は、天然の障壁を提示し、これは、皮膚深層(真皮および皮下組織)への一酸化窒素の浸透を阻害する。したがって、第1の局面にしたがうシステムは、表皮を通って特に真皮および/または皮下組織の中へと一酸化窒素を輸送および/または送達するために有利に使用され得る。代替的実施形態にしたがって、上皮層は粘膜である。その粘膜は、任意の粘膜(例えば、口腔粘膜、鼻腔粘膜、腸粘膜、または内臓の粘膜)によって提供され得る。一実施形態にしたがって、そのシステムは、多様な上皮層(上記の皮膚および粘膜が挙げられる)の中への、ならびに/あるいは多様な上皮層(上記の皮膚および粘膜が挙げられる)を通る、α-ヒドロキシ酸による一酸化窒素の輸送および送達を可能にする。
第1の局面にしたがうシステムの個々の特性および好ましい実施形態が、ここに詳細に記載される。
(α-ヒドロキシ酸)
第1の局面にしたがうシステムはα-ヒドロキシ酸を含む。一実施形態にしたがって、そのシステムは、1種または複数種のα-ヒドロキシ酸を含み得る。α-ヒドロキシ酸は、そのカルボキシル基に隣接する炭素原子上にヒドロキシル基を含み、α-ヒドロキシ酸は、(例えば、果実、サトウキビおよびミルク中で)天然に存在するものであってもよく、または合成のものであってもよい。
一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は一般式:
のものである。
特に、R1およびR2は、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルボニルからなる群より独立的に選択され、アルキル、アルケニルおよびアリールは、アルキル、アルケニル、アリール、ヒドロキシ、カルボキシおよびカルボニルのうちの1種または複数種で必要に応じて置換され得る。
アルキルは、C1アルキル~C5アルキル、特にC1アルキル~C3アルキルを特に指す。アルケニルは、C2アルケニル~C5アルケニル、特にC2アルケニル~C3アルケニルを特に指す。アリールはフェニルを特に指す。
一実施形態にしたがって、RはHであり、Rは以下の特徴のうちの1つを有する:
(i)RはHである(グリコール酸);
(ii)RはCHである(乳酸);
(iii)RはCである(リンゴ酸);
(iv)RはCである(マンデル酸);
(v)RはCである(酒石酸);または
(vi)RはCである(イソクエン酸)。
一実施形態にしたがって、RおよびRは両方ともCである(クエン酸)。
一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、1つの異性体(例えば、立体異性体または鏡像異性体)によって提供される。一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、異性体の組合せによって提供される。
一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸およびそれらの混合物からなる群より選択されるが、それらに限定はされない。グリコール酸は、α-ヒドロキシ酸の最小の分子サイスを有し、最大のバイオアベイラビリティおよび皮膚浸透を有することが知られている。有利な実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸はグリコール酸である。実施例によって示されるとおり、グリコール酸は、皮膚の表皮を通って皮膚深層へと一酸化窒素を輸送および送達するために適切なα-ヒドロキシ酸である。当業者は、第1の局面にしたがうシステムのために適切なα-ヒドロキシ酸を選択し得る。
(一酸化窒素供給源)
そのシステムは、一酸化窒素が生成および/または放出され得る一酸化窒素供給源をさらに含む。そのような一酸化窒素供給源は、亜硝酸HNOの塩(MNO 、この式において、Mは一価カチオンである)およびエステル(R-O-N=O、この式において、Rは有機ラジカルである)によって提供され得る。塩の例は、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)または亜硝酸カルシウム(Ca(NO)である。良好な生体適合性を示す臨床的局所処方物のために適切な一酸化窒素供給源は先行技術において周知であり、当業者は、本発明の第1の局面にしたがうシステムのために適切な一酸化窒素供給源を選択し得る。
一実施形態にしたがって、その一酸化窒素供給源は、標準の一酸化窒素、一酸化窒素溶液、有機ニトラートおよび無機ニトラート(例えば、モノニトラート、ジニトラートおよびトリニトラート)、酸性化ニトライト、窒素酸化物、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される。「酸性化ニトライト」とは、酸(α-ヒドロキシ酸が挙げられる)と反応して不安定な亜硝酸(HNO)になる何らかのニトライトを指し、この不安定な亜硝酸は分解して特に一酸化窒素(NO)になる。
NOが、その一酸化窒素供給源から生成および/または放出される。一実施形態にしたがって、これは、酸性pHによって達成され得る。例えば、二成分システムの第1の組成物のpHは(例えば、そのα-ヒドロキシ酸が原因で)酸性範囲にあり得、その第1の組成物と第2の組成物とが合わせられた場合に、その第2の組成物の一酸化窒素供給源から一酸化窒素が放出されるようになる。第1の組成物のpHは、混合されるべき第1の組成物と第2の組成物との比にしたがって、混合後に酸性範囲のpHを確実にするように調整され得、これは、一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の生成および放出をもたらす。実施例によって示されるとおり、酸性pHは、適切な一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の生成および放出をもたらす。
一実施形態にしたがって、その一酸化窒素供給源は、酸性化無機ニトライトである。好ましい実施形態にしたがって、その一酸化窒素供給源は亜硝酸ナトリウム(NaNO)である。実施例によって示されるとおり、亜硝酸ナトリウムは、生理的条件下での一酸化窒素の生成のために適切な一酸化窒素供給源である。
(システムのさらなる成分)
一実施形態にしたがって、そのシステムは、一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の放出を開始する活性化物質をさらに含む。そのような活性化物質は、酸性pHを提供し、結果として一酸化窒素供給源から一酸化窒素を生成および放出する、酸であり得る。一実施形態にしたがって、その活性化物質は、そのシステムのα-ヒドロキシ酸によって提供され得る。一実施形態にしたがって、その活性化物質は、α-ヒドロキシ酸とは異なる酸であり得る。さらなる実施形態にしたがって、2種またはそれよりも多い酸が、活性化物質としてそのシステムに含まれ得、必要に応じて、その2種またはそれよりも多い酸のうちの1種はα-ヒドロキシ酸である。実施例において示されるとおり、2種またはそれよりも多い酸(例えば、アスコルビン酸およびα-ヒドロキシ酸)が、そのシステムの一酸化窒素供給源の放出を開始する活性化物質を提供し得る。任意の活性化物質が、第1の局面にしたがうシステムの一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の放出を開始するために使用され得る。
一実施形態にしたがって、そのシステムは溶媒をさらに含む。適切な溶媒が当該分野において公知であり、例えば、非極性溶媒、極性非プロトン溶媒および極性プロトン溶媒、例えば、水、アルコール、ポリオールまたは多成分溶媒である。その溶媒はまた。2種またはそれよりも多い溶媒の混合物によって提供され得る。当業者は、望ましい処方物(ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレーが挙げられる)に依存して、良好な生体適合性および低い毒性を示す適切な溶媒を選択し得る。有利な実施形態にしたがって、その溶媒は水である。
一実施形態にしたがって、そのシステムは少なくとも1種の増粘剤をさらに含む。一実施形態にしたがって、その増粘剤はゲル化剤である。この実施形態にしたがって、その溶媒と増粘剤とは、種々の処方物(ゲル、クリーム、ローション、フォーム、およびスプレーが挙げられる)のための第1の局面にしたがうシステムの調製を提供する。したがって、そのシステムはすべての種類の処方物のために調製され得、それは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に適用され得る。増粘剤は天然のものであっても合成のものであってもよい。局所適用のために適切な種々の生体適合性増粘剤(ゲル化剤が挙げられる)が当該分野において公知であり、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエチレングリコール、セルロース由来増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、ゼラチン、キサンタンガム、およびヒアルロン酸である。したがって、当業者は、望ましい処方物に依存して、生体適合性および非毒性の任意の増粘剤ならびに/または溶媒と増粘剤との組合せを選択し得る。
一実施形態にしたがって、そのシステムはPAAを含む。
一実施形態にしたがって、そのシステムはヒアルロン酸を含む。有利な実施形態にしたがって、そのヒアルロン酸は種々の分子量のヒアルロン酸によって提供される。
一実施形態にしたがって、そのシステムは1種または複数種のさらなる皮膚浸透促進剤を含み得る。適切な皮膚浸透促進剤は十分に記載されており、例えば、ピロリドン、アルコール(例えば、エタノール)、アルカノール(例えば、デカノール)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド/DMSO)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アゾン(例えば、ラウロカプラム)、尿素、脂肪酸、界面活性剤、およびテルペンである。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、さらなる佐剤(例えば、皮膚刺激を減少または防止するための物質)を含み得る。
一実施形態にしたがって、そのシステムは1種または複数種のビタミンを含む。
有利な実施形態において、α-ヒドロキシ酸と一酸化窒素供給源と上記のさらなる成分との組合せは良好な生体適合性を示し、その組合せは、システムが適用される上皮層の刺激を減少または防止する。
(最終組成物)
一実施形態にしたがって、そのシステムは、α-ヒドロキシ酸と一酸化窒素供給源とを含む最終組成物を上皮層に形成するためのものである。
一実施形態にしたがって、その最終組成物は、粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液である。したがって、その最終組成物は、任意の処方物(例えば、ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレー)中で提供され得る。
一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、0.05%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)~15%(w/w)、より好ましくは1%(w/w)~10%(w/w)、最も好ましくは3%(w/w)~6%(w/w)の範囲にある濃度で最終組成物中に存在する。特定の実施形態において、そのα-ヒドロキシ酸は、少なくとも2.5%、特に、少なくとも3%の濃度で、最終組成物中に存在する。
一実施形態にしたがって、その最終組成物中の一酸化窒素供給源の濃度は、0.0001%(w/w)~1%(w/w)、好ましくは0.001%(w/w)~0.1%(w/w)、より好ましくは0.001%(w/w)~0.01%(w/w)の範囲にある。
その最終組成物のpH値は、特に1~7.4の範囲、特に3.5~6の範囲にあり得る。
(二成分システム)
特定の実施形態において、第1の局面のシステムは、α-ヒドロキシ酸を含む第1の組成物と、一酸化窒素供給源を含む第2の組成物とを含む、二成分システムである。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、
(a)第1の組成物(この第1の組成物はα-ヒドロキシ酸を含む);および
(b)第2の組成物(この第2の組成物は一酸化窒素供給源を含む)
を含む。
(第1の組成物)
一実施形態にしたがって、その二成分システムの第1の組成物は粘稠溶液または液体の溶液(例えば、水溶液)である。これは、そのシステムが処方物(例えば、ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレー)中で使用される場合に、特に有利である。
一実施形態にしたがって、その第1の組成物中のα-ヒドロキシ酸の濃度は、1%(w/w)~50%(w/w)、好ましくは3%(w/w)~20%(w/w)、より好ましくは5%(w/w)~10%(w/w)の範囲にある。特定の実施形態において、その第1の組成物中のα-ヒドロキシ酸の濃度は、少なくとも5%、特に、少なくとも6%である。これらの実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、好ましくはグリコール酸である。
一実施形態にしたがって、その第1の組成物はさらなる成分を含み得る。そのようなさらなる成分はシステムと合わせて上記されており、そのようなさらなる成分は二成分システムの第1の組成物中に有利に組み込まれ得る。
一実施形態にしたがって、その第1の組成物は、以下の成分のうちの1種または複数種をさらに含む:
(a)アスコルビン酸;
(b)少なくとも1種のヒアルロン酸(必要に応じて、このヒアルロン酸は、少なくとも1種の低分子量ヒアルロン酸および少なくとも1種の高分子量ヒアルロン酸によって提供される);
(c)1種または複数種のビタミンを含む組成物(好ましくは、この組成物は液体の溶液である);
(d)ポリアクリル酸;および/あるいは
(e)水。
一実施形態にしたがって、その第1の組成物は、上記のさらなる成分のすべてを含む。
一実施形態にしたがって、その少なくとも1種のヒアルロン酸は、少なくとも1種の低分子量ヒアルロン酸によって提供される。例えば、その低分子量ヒアルロン酸は20kDa~200kDaの範囲にある分子量を有し得、かつ/またはその高分子量ヒアルロン酸は500kDa~2000kDaの範囲にある分子量を有し得る。
一実施形態にしたがって、その1種または複数種のビタミンは、ビタミンA、ビタミンCおよびビタミンEを含む、組成物によって提供される。好ましくは、その組成物は液体の溶液である。
一実施形態にしたがって、その第1の組成物は、
(i)0.1%(w/w)~1.0%(w/w)、好ましくは0.3%(w/w)~0.5%(w/w)の範囲にある濃度のアスコルビン酸;
(ii)0.1%(w/w)~2%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)~1.5%(w/w)の範囲にある濃度の低分子量ヒアルロン酸、および0.001%(w/w)~1%(w/w)、好ましくは0.01%(w/w)~0.2%(w/w)の範囲にある濃度の高分子量ヒアルロン酸;
(iii)0.001%(w/w)~1%(w/w)、好ましくは0.01%(w/w)~0.2%(w/w)の範囲にある濃度の、ビタミンA、ビタミンCおよびビタミンEを含む液体の溶液;ならびに
(iv)1%(w/w)~10%(w/w)、好ましくは2%(w/w)~5%(w/w)の範囲にある濃度のポリアクリル酸
を含む、水溶液である。
(第2の組成物)
一実施形態にしたがって、その二成分システムの第2の組成物は粘稠溶液または液体の溶液(例えば、水溶液)である。これは、そのシステムが処方物(例えば、ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレー)中で使用される場合に、特に有利である。
一実施形態にしたがって、その第2の組成物中の一酸化窒素供給源の濃度は、0.0001%(w/w)~0.1%(w/w)、0.001%(w/w)~0.01%(w/w)、好ましくは0.002%(w/w)~0.005%(w/w)の範囲にあり、その一酸化窒素供給源は、好ましくは亜硝酸ナトリウム(NaNO)である。
一実施形態にしたがって、その第2の組成物はさらなる成分を含み得る。そのようなさらなる成分はシステムと合わせて上記されており、そのようなさらなる成分は、活性化物質を除いて二成分システムの第2の組成物中に有利に組み込まれ得る。特に、その第2の組成物は溶媒および増粘剤を含み得る。
一実施形態にしたがって、その第2の組成物は、以下の成分のうちの一方または両方をさらに含む:
(a)ポリアクリル酸;および/または
(b)水。
一実施形態にしたがって、その第2の組成物は、0.1%(w/w)~10%(w/w)、好ましくは0.5%(w/w)~2.5%(w/w)の範囲にある濃度のポリアクリル酸を含む。
実施例によって示されるとおり、そのような第2の組成物と上記の第1の組成物との組合せは、一酸化窒素の生成および放出をもたらし、その後、この一酸化窒素は、その第1の組成物中に含まれるα-ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸)によって、皮膚の表皮の中に入りその表皮を通って皮膚深層へと輸送および送達される。
本明細書において開示されるとおり、その第1の組成物と第2の組成物とが合わせられて一酸化窒素供給源から一酸化窒素を生成および放出し、その後、この一酸化窒素がα-ヒドロキシ酸によって種々の皮膚層を通りそれらの種々の皮膚層の中へ輸送および送達される。これは、例えば、その第1の組成物と第2の組成物とを上皮層(例えば、皮膚)上の同じ領域に局所適用することによって、達成される。あるいは、その第1の組成物と第2の組成物とが、上皮層での局所適用の前に混合される。特定の実施形態において、その第1の組成物は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、または2:1~1:2、より好ましくは1:1の間の範囲から選択される第1の組成物と第2の組成物との比で、第2の組成物と接触させられる。
(第1の局面にしたがうシステムのさらなる実施形態)
一実施形態にしたがって、そのシステムは粘稠溶液または液体の溶液である。これは、そのシステムが処方物(例えば、ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレー)中で使用される場合に、特に有利である。この実施形態にしたがって、一成分システムは、そのシステムが上皮層に適用されるまで一酸化窒素の生成、分解、および/または放出を防止するために、さらなる添加物を含み得る。例えば、一酸化窒素は、大気中に含まれる酸素と接触した際および/または皮膚と接触した際に、生成され得る。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、α-ヒドロキシ酸を含む第1の組成物と、一酸化窒素供給源を含む第2の組成物とを含み、この第1の組成物は粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液であり、この第2の組成物は粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液である。この実施形態は、そのシステムが上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に直接適用される場合に、特に好ましい。例えば、その第1の組成物は、α-ヒドロキシ酸を含む第1のゲルによって提供され、その第2の組成物は、一酸化窒素供給源を含む第2のゲルによって提供される。第1の組成物および第2の組成物の好ましい実施形態が本明細書中の他の箇所に記載されており、それはそれぞれの開示に参照される。その2つのゲルは、上皮層(例えば、皮膚または粘膜)上の同じ領域に適用され得、それによって接触させられる(すなわち、混合される)。接触の際に、一酸化窒素が、第2のゲルに含まれる一酸化窒素供給源から生成され、第1のゲルに含まれるα-ヒドロキシ酸によって捕捉される。一酸化窒素を運搬するα-ヒドロキシ酸は、その一酸化窒素を、上皮層を通って輸送し、その一酸化窒素を深部組織層(例えば、真皮および/または皮下組織)に送達する。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、
(a)第1の組成物(この第1の組成物は、上記第1の局面にしたがってα-ヒドロキシ酸と合わせて規定された少なくとも1種のα-ヒドロキシ酸を含み、
この第1の組成物は粘稠溶液または液体の溶液であり、好ましくはこの第1の組成物はゲルであり、
好ましくは、この第1の組成物中の少なくとも1種のα-ヒドロキシ酸はグリコール酸であり、この第1の組成物中のグリコール酸の濃度は1%(w/w)~20%(w/w)、5%(w/w)~15%(w/w)、好ましくは5%(w/w)~10%の範囲にある);ならびに
(b)第2の組成物(この第2の組成物は、上記第1の局面にしたがって一酸化窒素供給源と合わせて規定された少なくとも1種の一酸化窒素供給源を含み、この第1の組成物は粘稠溶液または液体の溶液であり、好ましくはこの第2の組成物はゲルであり、
好ましくは、この第2の組成物中の少なくとも1種の一酸化窒素供給源は亜硝酸ナトリウム(NaNO)であり、この第2の組成物中の亜硝酸ナトリウム(NaNO)の濃度は0.0001%(w/w)~0.1%(w/w)、0.001%(w/w)~0.01%(w/w)、好ましくは0.002%(w/w)~0.005%(w/w)の範囲にある)
を含む。
第1の局面にしたがう二成分システムの第1の組成物および第2の組成物は、使用まで別々に維持される。実施例によって示されるとおり、そのような二成分システムは、特に37℃にて生理的条件下で、その第1の組成物と第2の組成物との接触の際に一酸化窒素を生成および放出するために適切である。さらに、その二成分システムに含まれるα-ヒドロキシ酸は、その生成された一酸化窒素を、皮膚の表皮を通り、その中に入って皮膚深層へ輸送および送達し、このことは、尋常性ざ瘡の皮膚状態の改善によって実施例において実証されている。
第1の局面にしたがうシステムは、任意の適切な容器中で提供され得る。その二成分システムの第1の組成物および第2の組成物は、別々の容器中で、または同じ容器の別々の区画中で、提供され得る。例えば、そのシステムは、シリンジ、チューブまたはフラスコ中で保管され得る。したがって、そのシステムが二成分システムとして提供される場合、その第1の組成物および第2の組成物は各々、別々のシリンジ、チューブもしくはフラスコ中で、または2つの区画を有する1つのシリンジ、チューブもしくはフラスコ中で、提供され得る。これは、その第1の組成物および第2の組成物が粘稠溶液または液体の溶液として提供される場合に、特に有利であり得る。
特定の実施形態において、第1の局面にしたがうシステムは、包帯剤中で、または包帯剤の一部として、提供される。その二成分システムが包帯剤中で提供される場合、その包帯剤は2つの区画を有し得る。その包帯剤の2つの区画間の障壁は、その包帯剤が適用のために準備された場合(例えば、保護シートが除去された場合)に、その第1の組成物と第2の組成物とが混合され得るように破壊され得る。
その容器は、そのシステムが提供される処方物の種類にしたがって設計され得、すなわち、そのシステムは、局所投与のために任意の処方物または調製物(例えば、ゲル、クリーム、ローション、フォーム、またはスプレー)中に含まれ得る。その処方物はまた、局所適用前に溶媒中で再構成され得る、粉末または凍結乾燥物として提供され得る。
(医学的適用)
第2の局面にしたがって、医薬における使用のための第1の局面にしたがうシステムが、提供される。実施形態において、医薬は、ヒト用医薬および獣医学用医薬を含む。上記で説明されたとおり、一酸化窒素は、多くの生理的プロセスおよび病態生理学的プロセス(血管拡張、血小板および白血球の凝集および接着、細胞増殖、内皮層透過性、スーパーオキシドラジカルの除去、抗菌効果、免疫調節効果、ならびに創傷修復が挙げられる)に関与する。したがって、第1の局面にしたがうシステムは、一酸化窒素の提供ならびに標的部位へのその一酸化窒素の輸送および送達によって、そのようなプロセスを調節するために適切である。
第3の局面にしたがって、感染症、炎症、傷害、皮膚障害ならびに/あるいは血管障害(例えば、慢性炎症性皮膚疾患、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、乾癬、瘢痕、皺、擦過傷、熱傷、外傷、血腫、男性ホルモン性脱毛症(男性型脱毛症および女性型脱毛症)、眼瞼炎、レイノー症候群、細菌性皮膚・軟部組織感染症、末梢血管疾患、慢性静脈不全ならびに/あるいは虚血性血管炎により引き起こされる下肢潰瘍)の処置における使用のための第1の局面にしたがうシステムが、提供される。処置されるべき対象は、ヒトまたは動物、特にヒトであり得る。実施例によって示されるとおり、本発明のシステムは、ヒト皮膚障害(例えば、ざ瘡)の処置における使用のために特に適切である。したがって、そのシステムは、任意の哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタなど)の感染症、炎症、傷害、皮膚障害ならびに/あるいは血管障害の処置において使用され得る
一実施形態にしたがって、そのシステムは、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に局所投与される。この局面にしたがって、第1の局面にしたがうシステムは、上記の調節されるべき生理的プロセスもしくは病態生理学的プロセスの部位に位置する上皮層に局所的に投与または適用され得る。実施例によって示されるとおり、第1の局面にしたがうシステムは、ヒトの皮膚上での局所投与のために使用され得る。そのシステムは、上皮層上の標的領域に直接投与され得る。有利な実施形態にしたがって、そのシステムは、本明細書中の他の箇所に記載される粘稠溶液または液体の溶液である。二成分システムが使用される場合、その第1の組成物と第2の組成物とは任意の順序で投与され得、すなわち、その第1の組成物が上皮層のある領域にまず局所投与され、その後、その第2の組成物が同じ領域に投与されるか、またはその第2の組成物がまず投与され、その後、その第1の組成物が投与されるかのいずれかである。上皮層の領域にその2種の組成物を均一に分配して、両方の組成物の最適な混合および結果として最適な一酸化窒素生成を確実にすることが、有利である。結果的に、α-ヒドロキシ酸によって輸送および送達される一酸化窒素の量が最大化される。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、血管拡張を誘導し、血流を増加し、かつ/または血管新生を増加する。上記で説明されたとおり、一酸化窒素は、強力な血管拡張薬であり、血管局所抵抗を調節することにおいて重要な役割を果たし、この役割は、感染症、炎症、傷害、ならびに皮膚障害および血管障害の間にしばしば損なわれる。
一実施形態にしたがって、そのシステムは、皮膚および/または粘膜の包帯剤(例えば、パッチ、硬膏、バンド、パッド、圧迫ガーゼ、および二つ折り片)にまず適用され、その後、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に局所投与される。この実施形態は、包帯剤が標的部位の領域を覆う必要がある場合に、有利である。これは、出血が生じ、血液、膿および/またはリンパの吸収が必要とされる場合、あるいは標的領域が(例えば、傷害の場合に病原体から)保護される必要がある場合に当てはまり得る。
一実施形態にしたがって、上皮層でのそのシステムの局所投与の際に、一酸化窒素が生成および/または放出される。そのシステムの一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の生成および/または放出をもたらす適切な条件(例えば、酸性pH)は本明細書中の他の箇所に記載されており、それはそれぞれの開示に参照される。生成された一酸化窒素は、その後、本発明のシステムのα-ヒドロキシ酸によって捕捉され、上皮層の中へおよび/または上皮層を通って輸送され、深部組織層中の標的部位に送達される。
特定の実施形態において、医薬における使用は、
(i)必要に応じて、二成分システムが使用される場合は、その二成分システムの第1の組成物と第2の組成物とを混合する工程、
(ii)そのシステムを上皮層に適用する工程、ならびに
(iii)その硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
を含む。
上記の方法の工程は、任意の順序で実施され得る。上記の3つの工程は、特に互いのすぐ後または同時にさえ開始され、特に30分間以内、好ましくは5分間以内、より好ましくは1分間以内に開始される。特に、二成分システムが使用される場合、その硝酸供給源は、その第1の組成物と第2の組成物とを混合することによって、一酸化窒素を生成および/または放出するように活性化される。
(包帯剤)
第4の局面にしたがって、第1の局面にしたがうシステムを含む包帯剤が、提供される。上記で説明されたとおり、包帯剤は、体液(例えば、血液)を吸収するため、または上皮層上の標的領域を保護するために、使用され得る。
一実施形態にしたがって、その包帯剤は、パッチ、硬膏、バンド、パッド、圧迫ガーゼ、および二つ折り片からなる群より選択される。
特定の実施形態において、本明細書において記載される二成分システムは、包帯剤中で使用される。これらの実施形態において、そのシステムの2つの成分である第1の組成物および第2の組成物は、その包帯剤の別々の区画に存在し、対象の皮膚および/または粘膜にその包帯剤が適用された際、あるいはその適用のためにその包帯剤を準備する際にのみ、混合される。
(一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法および使用)
第5の局面にしたがって、本発明は、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法を提供し、その方法は、
(i)一酸化窒素供給源とα-ヒドロキシ酸とを混合する工程、
(ii)その硝酸供給源を上皮層に適用する工程、
(iii)その硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
を含む。
上皮層の中への、ならびに/あるいは上皮層を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達は、α-ヒドロキシ酸の存在によって、工程(i)を含まない同じ方法と比較して増強される。
上記の方法の工程は、任意の順序で実施され得る。上記工程を(i)、(ii)および(iii)の順序で実施することが好ましい。別の順序が使用される場合、この3つの工程は、特に互いのすぐ後または同時にさえ開始され、特に30分間以内、好ましくは5分間以内、より好ましくは1分間以内に開始される。
第6の局面にしたがって、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するためのα-ヒドロキシ酸の使用が、提供される。
本明細書において記載されるシステムの特徴、特性および実施形態は、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法ならびにα-ヒドロキシ酸の使用に、同様に適用される。
一実施形態にしたがって、そのα-ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。そのα-ヒドロキシ酸の好ましい実施形態は、本明細書中の他の箇所に記載されており、それはそれぞれの開示に参照される。
本明細書、項目および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」および「その(the)」は、そうではないことを文脈が明示しない限りは、複数の局面を含む。用語「含む(include)」、「有する(have)」、「含む(comprise)」およびそれらの変化形は、同義的に使用され、それらは非限定的として解釈される。さらなる成分および工程が存在し得る。本明細書全体にわたり、組成物が成分または材料を含むと記載される場合、そうではないと記載されない限りは、その組成物はまた、実施形態において、記載された成分もしくは材料の任意の組合せから本質的になり得るかまたはその任意の組合せからなり得ることが、さらに企図される。「本開示」および「本発明」などの言及は、本明細書において教示された単一または複数の局面を含む;などである。本明細書において教示される局面は、用語「発明」によって包含される。
本明細書において記載される好ましい実施形態を選択し組み合わせることが好ましく、好ましい実施形態のそれぞれの組合せから生じる具体的な主題もまた、本開示に属する。
(具体的な実施形態)
以下に、本発明の具体的な実施形態が記載される。
(実施形態1)
上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達のためのシステムであって、α-ヒドロキシ酸および一酸化窒素供給源を含む、システム。
(実施形態2)
上皮層が皮膚の表皮である、実施形態1に記載のシステム。
(実施形態3)
一酸化窒素が真皮および/または皮下組織中に輸送および/または送達される、実施形態2に記載の方法。
(実施形態4)
α-ヒドロキシ酸がグリコール酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態1~3のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態5)
α-ヒドロキシ酸がグリコール酸である、実施形態4に記載のシステム。
(実施形態6)
一酸化窒素供給源が、標準の一酸化窒素、一酸化窒素溶液、有機ニトラートおよび無機ニトラート(例えば、モノニトラート、ジニトラートおよびトリニトラート)、酸性化ニトライト、窒素酸化物、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態1~5のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態7)
一酸化窒素供給源が酸性化無機ニトライトである、実施形態6に記載のシステム。
(実施形態8)
一酸化窒素供給源が亜硝酸ナトリウム(NaNO)である、実施形態6または7に記載のシステム。
(実施形態9)
一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の放出を開始する活性化物質をさらに含む、実施形態1~8のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態10)
溶媒をさらに含み、増粘剤(例えば、ゲル化剤)を必要に応じてさらに含む、実施形態1~9のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態11)
α-ヒドロキシ酸と一酸化窒素供給源とを含む最終組成物を上皮層に形成するためのものである、実施形態1~10のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態12)
最終組成物が粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液である、実施形態11に記載のシステム。
(実施形態13)
α-ヒドロキシ酸が0.05%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%(w/w)~15%(w/w)、より好ましくは1%(w/w)~10%(w/w)、最も好ましくは3%(w/w)~6%(w/w)の範囲にある濃度で最終組成物中に存在する、実施形態11または12に記載のシステム。
(実施形態14)
α-ヒドロキシ酸が少なくとも2.5%の濃度で最終組成物中に存在する、実施形態11または12に記載のシステム。
(実施形態15)
α-ヒドロキシ酸が少なくとも3%の濃度で最終組成物中に存在する、実施形態11または12に記載のシステム。
(実施形態16)
最終組成物中の一酸化窒素供給源の濃度が0.0001%(w/w)~1%(w/w)、好ましくは0.001%(w/w)~0.1%(w/w)、より好ましくは0.001%(w/w)~0.01%(w/w)の範囲にある、実施形態11~15のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態17)
(a)α-ヒドロキシ酸を含む、第1の組成物;および
(b)一酸化窒素を含む、第2の組成物
を含む、実施形態1~16のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態18)
第1の組成物中のα-ヒドロキシ酸の濃度が1%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは5%(w/w)~15%(w/w)、より好ましくは5%(w/w)~10%(w/w)の範囲にある、実施形態17に記載のシステム。
(実施形態19)
第1の組成物中のα-ヒドロキシ酸の濃度が少なくとも5%である、実施形態17に記載のシステム。
(実施形態20)
第1の組成物中のα-ヒドロキシ酸の濃度が少なくとも6%である、実施形態17に記載のシステム。
(実施形態21)
α-ヒドロキシ酸がグリコール酸である、実施形態17~20のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態22)
第2の組成物中の一酸化窒素供給源の濃度が0.0001%(w/w)~0.1%(w/w)、0.001%(w/w)~0.01%(w/w)、好ましくは0.002%(w/w)~0.005%(w/w)の範囲にある、実施形態17~21のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態23)
一酸化窒素供給源が亜硝酸ナトリウム(NaNO)である、実施形態17~22のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態24)
第1の組成物が粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液であり、第2の組成物が粘稠溶液(例えば、ゲル)または液体の溶液である、実施形態17~23のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態25)
システム中の第1の組成物と第2の組成物とが、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、または2:1~1:2、より好ましくは1:1の範囲にある体積比を有する、実施形態17~24のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態26)
医薬における使用のための実施形態1~25のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態27)
感染症、炎症、傷害、皮膚障害ならびに/あるいは血管障害(例えば、慢性炎症性皮膚疾患、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、乾癬、瘢痕、皺、擦過傷、熱傷、外傷、血腫、男性ホルモン性脱毛症(男性型脱毛症および女性型脱毛症)、眼瞼炎、レイノー症候群、細菌性皮膚・軟部組織感染症、末梢血管疾患、慢性静脈不全ならびに/あるいは虚血性血管炎により引き起こされる下肢潰瘍)の処置における使用のための実施形態1~25のいずれか一実施形態に記載のシステム。
(実施形態28)
上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に局所投与される、実施形態26または27に記載の医薬における使用のためのシステム。
(実施形態29)
血管拡張を誘導し、血流を増加し、かつ/または血管新生を増加する、実施形態26~28のいずれか一実施形態に記載の医薬における使用のためのシステム。
(実施形態30)
皮膚および/または粘膜の包帯剤(例えば、パッチ、硬膏、バンド、パッド、圧迫ガーゼ、および二つ折り片)にまず適用され、その後、上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)に局所投与される、実施形態26~29のいずれか一実施形態に記載の医薬における使用のためのシステム。
(実施形態31)
システムが上皮層に局所投与された際に一酸化窒素が生成および/または放出される、実施形態26~30のいずれか一実施形態に記載の医薬における使用のためのシステム。
(実施形態32)
医薬における使用が、
(i)必要に応じて、二成分システムが使用される場合は、その二成分システムの第1の組成物と第2の組成物とを混合する工程、
(ii)そのシステムを上皮層に適用する工程、ならびに
(iii)その硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
を含む、実施形態26~31のいずれか一実施形態に記載の医薬における使用のためのシステム。
(実施形態33)
実施形態1~25のいずれか一実施形態に記載のシステムを含む包帯剤。
(実施形態34)
パッチ、硬膏、バンド、パッド、圧迫ガーゼ、および二つ折り片からなる群より選択される、実施形態33に記載の包帯剤。
(実施形態35)
上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法であって、
(i)一酸化窒素供給源とα-ヒドロキシ酸とを混合する工程、
(ii)その硝酸供給源を該上皮層に適用する工程、
(iii)その硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
を含む、方法。
(実施形態36)
実施形態2~25のいずれか一実施形態において規定された特徴のうちの1つまたは複数を有する、実施形態35に記載の方法。
(実施形態37)
上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)の中への、ならびに/あるいは上皮層(例えば、皮膚および/または粘膜)を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するためのα-ヒドロキシ酸の使用。
(実施形態38)
α-ヒドロキシ酸がグリコール酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態37に記載の使用。
(実施形態39)
実施形態2~25のいずれか一実施形態において規定された特徴のうちの1つまたは複数を有する、実施形態37または38に記載の使用。
(実施例)
以下の実施例は例示だけを目的とするものであり、以下の実施例は本発明を限定するとはいかなる様式でも解釈されるべきではないことが、理解されるべきである。
代表的に、本発明者らは、酸性化無機ニトライトを使用する二成分システム内での本発明の輸送送達システムの使用を本明細書において記載し、これは、局所適用におけるNOの生成について記載されている。
(実施例1:NOの局所放出のための酸性化ニトライトゲルの調製)
以下の非限定的実施例は、局所適用のための二成分システムにおける輸送送達システムの使用を示す。それは、適切なAHAとしてのグリコール酸、還元剤、顆粒化剤および浸透促進剤(ゲルA)と一酸化窒素供給源(ゲルB)とを含む、二成分ゲル(ゲルAおよびゲルB)である。ゲルAとゲルBとの混合後に、制御されたインサイチュNO生成が開始され、誘導されたAHAが、皮膚層を通って標的部位へとそのNOを輸送する。
その2つの成分であるゲルAとゲルB(AHAを含むAと、ニトライトを含むB)とを、個々に混合し、使用まで別々に維持した。
酸性ゲルを調製するために、50mlの脱イオン水を40℃に加熱した。0.21gのアスコルビン酸および4.5gのグリコール酸を添加し、アスコルビン酸が完全に溶解されるまでその溶液を2分間撹拌した。0.5gのヒアルロン酸(50kDa)および0.05gのヒアルロン酸(1500kDa)を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。次に、2gのポリアクリル酸(PAA)を添加し、PAAが完全にゲル化されるまで混合した。最後に、0.05gのビタミンA/C/E液を添加した(ビタミンAおよびビタミンEは水に不溶性であるので、水、ペンチレングリコール、レシチン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、酢酸トコフェロール、パルミチン酸レチニル、フィチン酸ナトリウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムからなる、可溶性活性複合体を使用した)。
ニトライトゲルを調製するために、0.055gの亜硝酸ナトリウムを50mlの脱イオン水に溶解し、完全に溶解するまで撹拌した。次に、0.7gのポリアクリル酸(PAA)を添加し、PAAが完全にゲル化されるまでその混合物を撹拌した。
調製後、ゲルAおよびゲルBを10ml容積のシリンジに充填し、注意深く閉鎖した。同じ量の両方のゲルを用いて、皮膚への適用を実行し、これは、適用された混合物中で1:1の比のゲルAおよびゲルBをもたらす。
(表1:組成物Aの成分)
(表2:組成物Bの成分)
(実施例2:活性化されたゲル形成のNO生成)
二成分ゲルのインビトロNO生成能力を、一酸化窒素化学発光検出器(CLD)を使用して調査した。1mlの両方の成分を気密反応チャンバに添加した。この反応チャンバは、不活性キャリアガスであるヘリウム(99.996% He;流量:124ml/分、圧力制御)のための入口ポート、および分析器へと導く出口ポートを含む。生理的環境を作製するために、この反応チャンバを37℃に加熱し、両方の成分の最適な混合を確実するために、磁気撹拌機を使用した。
結果としてこの反応から発生したNOを、オゾンベースの化学発光アッセイを使用して決定した。NOを、NO化学発光分析器(ANALYZER CLD 88 sp;Eco Physics)と直列の不活性ヘリウム気流で能動的にパージし、オゾンとの反応後の気相において定量した。供給されるOは過剰に存在し、反応条件を一定に維持し、放出された光の強度はNO濃度に正比例する。
(結果)
両方の成分の混合物は、NOの安定な生成をもたらし、それは検出上限である23.847ppb NOを超え、約60秒間の活性化時間の後で約15分間の定常期を生じた(図2)。NO生成は、減少するが、最初の適用の30分後に依然として検出可能であった。皮膚に適用した場合、7cm2の無傷の皮膚での測定は、同等のNO生成を示した。
(実施例3:NO生成ゲル中の輸送送達システムの尋常性ざ瘡に対する適用)
顔面尋常性ざ瘡は、思春期および成人において最も一般的な皮膚疾患であり、多因子病因の毛嚢脂腺部の原発性炎症性障害である。生理的範囲内で、NOは、濃度依存性のバイモーダル抗菌・免疫調節活性を有する。局所適用においてより高濃度を使用すると、NOは抗炎症特性および抗菌特性を示す。本輸送送達システムの使用は、皮膚層の中へのNOのより良好でより深部への輸送を可能にする。本輸送送達システムの使用は、代表的な患者例においてざ瘡疾患を改善した。
軽度~中程度の顔面尋常性ざ瘡に罹患している合計10人の継続患者を研究に登録した。その平均年齢は34.4歳であった。本輸送送達システムを、薄層中のゲル処方物中で皮膚上に毎日2回、連続8週間適用した。高解像度画像に基づいて、訓練した試験者によって臨床スコアを評価した。
(結果)
8週間の適用は、尋常性ざ瘡の臨床的改善を示した。適用は、中程度の尋常性ざ瘡において閉鎖面皰および開放面皰ならびに炎症性膿疱の量を減少し、よりきれいな皮膚のきめを生じた(図3A)。
グローバルざ瘡グレーディングシステム(Global Acne Grading System)(GAGS)スコアが、8週間の処置後に約50%減少した(図3B)。

Claims (16)

  1. 上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜の中への、ならびに/あるいは上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達のためのシステムであって、α-ヒドロキシ酸および一酸化窒素供給源を含む、システム。
  2. 前記上皮層が皮膚の表皮であり、前記一酸化窒素が真皮および/または皮下組織中に輸送および/または送達される、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記α-ヒドロキシ酸がグリコール酸、乳酸、クエン酸、イソクエン酸、クエン酸一水和物、マンデル酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロキシカプリル酸、ヒドロキシカプリン酸およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記一酸化窒素供給源が、標準の一酸化窒素、一酸化窒素溶液、有機ニトラートおよび無機ニトラート、例えば、モノニトラート、ジニトラートおよびトリニトラート、酸性化ニトライト、窒素酸化物、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
  5. 前記α-ヒドロキシ酸がグリコール酸であり、前記一酸化窒素供給源が亜硝酸ナトリウム(NaNO)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
  6. 前記一酸化窒素供給源からの一酸化窒素の放出を開始する活性化物質および溶媒をさらに含み、必要に応じて増粘剤、例えば、ゲル化剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
  7. 前記α-ヒドロキシ酸と前記一酸化窒素供給源とを含む最終組成物を前記上皮層に形成するためのものである、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
  8. 前記α-ヒドロキシ酸が0.05%(w/w)~20%(w/w)の範囲にある濃度で前記最終組成物中に存在し、前記最終組成物中の前記一酸化窒素供給源の濃度が0.0001%(w/w)~1%(w/w)の範囲にある、請求項7に記載のシステム。
  9. (a)前記α-ヒドロキシ酸を含む、第1の組成物;および
    (b)前記一酸化窒素を含む、第2の組成物
    を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
  10. 医薬における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
  11. 感染症、炎症、傷害、皮膚障害ならびに/あるいは血管障害、例えば、慢性炎症性皮膚疾患、ざ瘡、湿疹、神経皮膚炎、乾癬、瘢痕、皺、擦過傷、熱傷、外傷、血腫、男性ホルモン性脱毛症(男性型脱毛症および女性型脱毛症)、眼瞼炎、レイノー症候群、細菌性皮膚・軟部組織感染症、末梢血管疾患、慢性静脈不全ならびに/あるいは虚血性血管炎により引き起こされる下肢潰瘍の処置における使用のための請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
  12. 上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜に局所投与される、請求項10または11に記載の医薬における使用のためのシステム。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のシステムを含む包帯剤。
  14. パッチ、硬膏、バンド、パッド、圧迫ガーゼ、および二つ折り片からなる群より選択される、請求項13に記載の包帯剤。
  15. 上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜の中への、ならびに/あるいは上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するための方法であって、
    (i)一酸化窒素供給源とα-ヒドロキシ酸とを混合する工程、
    (ii)前記硝酸供給源を前記上皮層に適用する工程、および
    (iii)前記硝酸供給源を活性化させて、一酸化窒素を生成および/または放出させる工程
    を含む、方法。
  16. 上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜の中への、ならびに/あるいは上皮層、例えば、皮膚および/または粘膜を通る、一酸化窒素の輸送および/または送達を増強するためのα-ヒドロキシ酸の使用。
JP2023579395A 2021-07-02 2022-07-04 一酸化窒素の輸送および送達のためのシステム Pending JP2024523533A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP21183347.0 2021-07-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024523533A true JP2024523533A (ja) 2024-06-28

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2422132C2 (ru) Органогелевые составы для терапевтического применения
CN110520097B (zh) Mtor抑制剂的无水组合物及其使用方法
JP2008515911A (ja) 治療用のオルガノゲル調製物
US20130330244A1 (en) Compositions and methods for topical nitric oxide generation
JP2002531526A (ja) 無水状態の局所的皮膚調製剤
JP6259454B2 (ja) ジクロフェナク製剤
JP2002509867A (ja) 爪と皮膚の局所治療用酸性化組成物
JP2002515401A (ja) 有益な効果を奏するアルギニンの投薬
KR950003919B1 (ko) 국소용 메트로니다졸 제제의 제조방법
Vanić Phospholipid vesicles for enhanced drug delivery in dermatology
JP2021530463A (ja) mTOR阻害剤の無水組成物および使用方法
K Akomeah Topical dermatological drug delivery: quo vadis?
US8513225B2 (en) Composition and method for topical treatment of skin lesions
KR20180092286A (ko) 광 및 폴리카르복실산을 사용하여 피부 병태를 치료하기 위한 조성물 및 방법
JP2024523533A (ja) 一酸化窒素の輸送および送達のためのシステム
EP4362913A1 (en) System for transporting and delivering of nitric oxide
EP0001871B1 (en) An erythromycin compound, a process for preparing the compound and compositions containing the compound useful in the treatment of acne
EP2440179B1 (de) Zusammensetzungen auf basis von chitosan-oligosacchariden
JP2024507266A (ja) ヒドロゲル組成物、ならびに放射線によって引き起こされる皮膚損傷の予防および/または処置におけるその使用
CN109528693B (zh) 一种雷帕霉素巴布剂及其制备方法
JP2016513686A (ja) フルチカゾンの経皮製剤
KR20220066068A (ko) 활성 제제의 국소 전달을 위한 용매 전달 시스템
JP2022504779A (ja) 基底細胞癌および神経膠芽腫を治療する方法
JP2007332055A (ja) 皮膚外用剤
EP2883541B1 (en) Composition for topical use comprising hyaluronic acid