JP2024521932A - 網膜変性疾患における使用のためのピラゾロン化合物 - Google Patents

網膜変性疾患における使用のためのピラゾロン化合物 Download PDF

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本発明は、網膜変性疾患の予防及び/又は処置における、特に黄斑変性の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物に関する。本発明は、網膜変性疾患、好ましくは黄斑変性の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物、好ましくは局所眼科用組成物にも関する。
【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
本発明は、網膜変性疾患の予防及び/又は処置における、特に黄斑変性の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物に関する。
本発明は、網膜変性疾患、好ましくは黄斑変性の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物、好ましくは局所眼科用組成物にも関する。
[技術の現状]
網膜は、眼底に位置する透明な光感受性構造である。黄斑と呼ばれる網膜の中心部は、中心視覚及び色覚を担う光感受性細胞である錐体と呼ばれる多数の光受容体を含有する。黄斑を取り囲む網膜の周辺部は、より低光量に応答するが、色に対する感受性がない桿体と呼ばれる光受容体を含有する。桿体は、実際に低光量条件で視覚できるが、色を知覚できない。
網膜は様々な種類の病態に冒され得、冒された網膜部に応じて視覚に重篤な影響を及ぼし得る。
網膜を冒す一部の疾患は、変性疾患までさかのぼることができ、視力を著しく損ない、盲目に至ることがある。
黄斑変性は黄斑を冒す加齢多因子疾患である。黄斑変性は進行性疾患であり、50歳超の成人における不可逆的盲目の主因である。黄斑変性疾患は、65~74歳の群で8.5%~11%の範囲、75歳超で27%の有病率を有する。したがって、黄斑変性は加齢に関係し、したがって寿命の増加により世界人口にこれまでより広範な影響をいずれ与えることになる疾患である。
2つの異なる形態の加齢黄斑変性:乾燥型(非滲出性又は萎縮性)及び湿潤型(滲出性又は血管新生)が公知である。
加齢黄斑変性は全て乾燥型として始まり、次いで乾燥型加齢黄斑変性の約15%が湿潤型に発展する。
乾燥型の加齢黄斑変性は、典型的には暗点部として見える網膜色素上皮の変化の原因となる。網膜色素上皮は、桿体及び錐体の健康及び十分な機能の維持に必須の役割を果たす。錐体及び桿体からの老廃物の蓄積は、初期段階の加齢黄斑変性を特徴付ける黄色の斑点として見えるドルーゼンの形成をもたらし得る。
乾燥型は中心網膜の進行性の菲薄化を特徴とし、該中心網膜は毛細血管による栄養補給が不十分であり、萎縮し、黄斑部における萎縮性病変の形成をもたらす。網脈絡膜萎縮部(地図状萎縮と称される)は、乾燥型の加齢黄斑変性のより進行した症例で起こる。この緩慢な変性過程の長期的結果は、黄斑の機能障害であり、黄斑はもはや光インパルスを適切に収集できない。患者の大部分は、読書及び運転することが可能な十分な視覚を保持する。中枢盲(暗点)部は疾患の後期に通常生じ、時には重症になることがある。症状は一般に両側性である。
他方で、湿潤型黄斑変性は、黄斑に対応した脈絡膜からの異常な血管の成長(脈絡膜血管新生)を特徴とする。局所性黄斑浮腫又は出血は、黄斑部の上昇をもたらし得るか、又は局所的な網膜色素上皮剥離の原因となり得る。最終的に、未処置の血管新生は黄斑下円板状瘢痕(submacular disciform scar)の原因となる。
一般に、乾燥型より攻撃的な湿潤型黄斑変性は、血管の瘢痕化に起因する急速で重度の中心視覚喪失の原因となり得る。
湿潤型の加齢黄斑変性患者は通常数日又は数週間以内に急速な視覚機能喪失を示す。初期症状は一般に、暗点の存在又は変形視症(直線の湾曲)を特徴とする視覚的歪み、次に黄斑の中心付近又は黄斑の中心における新しい血管の形成である。これらの新たに形成された血管は、ほぼ例外なく脈絡膜(脈絡膜血管新生)に由来し、中心網膜を破壊する線維血管の瘢痕の形成の原因となる。湿潤型黄斑変性は通常一度に片眼を冒し、したがって黄斑変性の症状はしばしば片側性である。
周辺視覚及び色覚は一般に冒されないが、加齢黄斑変性が未処置で放置される場合、患者は患側の眼の法定盲人となり得る(視力<20/200)。
最も利用可能な処置は、湿潤型の血管新生黄斑変性を予防又は治癒することを目的とする。
しかし、現在までに乾燥型の確立された処置は依然として存在しない。
広範なドルーゼン、色素沈着の変化及び/又は地図状萎縮を有する患者は、少なくともルテイン又は他のビタミン、及び時には亜鉛又は他の栄養素を一般に含む抗酸化及びミネラルビタミンサプリメントを摂取することによって、進行型の加齢黄斑変性を発症するリスクを25%低減することができる。近年、オメガ3脂肪酸が乾燥型の加齢黄斑変性を患う患者に処方されており、抗酸化剤と共に市販の栄養サプリメントの中に含まれる。
片側性湿潤型の加齢黄斑変性患者は、片眼の視力喪失のリスクを低減するために、乾燥型に推奨される毎日の栄養サプリメントを摂取する必要がある。
湿潤型に使用される他の非解決型又はそうでなければ侵襲型の処置としては、例えばレーザー誘起熱光凝固、光線力学的療法、経瞳孔温熱療法、網膜下手術及び黄斑移動手術が挙げられる。
湿潤型の黄斑症の薬理学的処置の選択としては、血管内皮成長因子アンタゴニスト薬(抗VEGF)、例えばラニビズマブ、ベバシズマブ又はアフリベルセプトの硝子体内注射による周期的な投与が挙げられる。平均して6又は7回の硝子体内注射が処置の最初の1年間に施される。
更に、副腎皮質ステロイド薬、例えばトリアムシノロンも、やはり眼内注射によって抗VEGF薬と一緒に投与されることがある。
しかし、現在利用可能なほとんどの処置で採用される硝子体内投与方式は、幾つかの副作用を伴う。実際に、硝子体内注射は、眼内圧の上昇、頭痛、硝子体炎(眼の炎症)、硝子体剥離、網膜出血(眼の後方からの出血)、視覚的妨害及び眼痛をもたらし得る侵襲性投与経路である。最も危険な合併症は、頻繁には起こらないが(約1/1000)、疼痛及び発赤だけでなく、はるかに重篤な結果、例えば視力喪失から全盲をもたらし得る硝子体腔の感染による重篤な眼内炎症性病態である敗血症性眼内炎である。注射が繰り返される場合、リスクが累積され得ることも忘れてはならない。
したがって、加齢黄斑変性の長期処置のために、投与方法に関連した副作用を招くことなく予防及び/又は長期処置を可能にする、新しい非侵襲性の治療法を提供する必要があることが明らかである。
[発明の概要]
出願人は、現在の治療法、特に硝子体内投与を必要とする治療法の欠点及び副作用を伴わず、場合により有効性が同等又はより高い、網膜の変性病態、特に黄斑変性の予防及び/又は長期処置のための新しい治療法の提供の問題に取り組んだ。
出願人は、ピラゾロンクラスに属する化合物の投与に基づく新しい治療法が網膜変性病態、例えば黄斑変性の予防及び処置に有用であり得ることを驚くべきことに見出した。
したがって、本発明の第1の態様は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物である。
有利には、出願人は、ピラゾロンクラスに属する化合物では、ジピロン及びプロピフェナゾンが、黄斑変性の予防及び/又は処置に特に効果的であることを見出した。
特に出願人は、ピラゾロンクラスに属する化合物、好ましくはジピロン及びプロピフェナゾンが、両方の形態の黄斑変性、即ち乾燥老人性黄斑変性及び湿潤老人性黄斑変性の予防及び/又は処置を可能にすることを観察した。
本発明の別の態様は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症、好ましくは黄斑変性から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
好ましくは、本発明による医薬組成物は局所眼用の眼科用組成物である。
本発明の更なる態様は、局所眼用の眼科用組成物、局所眼用の眼科用組成物を含有する容器及びディスペンサーを含むキットであって、前記組成物が、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症、好ましくは黄斑変性から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのものである、キットである。
好ましくは、前記キット内の局所眼科用組成物は水溶液である。
本発明の別の態様は、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物及び/又は本発明による使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物を含む眼科用組成物を患者に投与するステップを含む、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される網膜変性疾患の予防及び/又は処置方法である。
本発明の最後の態様は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症、好ましくはその両方の形態の黄斑変性から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における同時、別個又は逐次使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せである。
[発明の詳細な説明]
本発明の一態様は、少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物である。特に、本発明による化合物は、黄斑変性の予防及び/又は処置に有用であることが証明された。
本発明による使用のためのピラゾロンは、以下の一般式(I)

(式中、
R1及びR2はH、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル、及び、OH、C1~C6アルコキシ、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル又はハロゲンで置換されていてもよいアリールから独立的に選択され;
R3は直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル及びOHから選択され;
R4はH、直鎖状又は分岐状C1~C8アルキル、直鎖状又は分岐状C2~C8アルケニル、-(CH1-4-CO-直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル基、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキルで又は-(CH(1-3)-SOH基で及びこれらの組合せで一置換又は二置換されているアミノ基、-NHCO-アリール又は-NHCO-ヘテロアリール基から選択される。)
で表されるピラゾール由来の化合物及びその薬学的に許容される塩である。
本記載において、用語アルキレンは、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する炭化水素鎖を示す。
本発明による使用のための好ましいピラゾロンは、
R1及びR2がH、直鎖状又は分岐状C1~C3アルキル、OHで置換されていてもよいフェニルから独立的に選択され;
R3が直鎖状又は分岐状C1~C3アルキル及びOHから選択され;
R4がH、直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル、直鎖状又は分岐状C2~C6アルケニル、-(CH(2-3)-CO-直鎖状又は分岐状C1~C4アルキル基、直鎖状若しくは分岐状C1~C3アルキルで、-(CH(1-2)-SOH基で及びこれらの組合せで一置換又は二置換されているアミノ基、-NHCO-窒素化ヘテロアリール基から選択される
式(I)の化合物並びにその薬学的に許容される塩である。
好ましい実施形態において、本発明による使用のためのピラゾロンは、
R1及びR2がH、直鎖状又は分岐状C1~C3アルキル、OHで置換されていてもよいフェニルから独立的に選択され;
R3が直鎖状又は分岐状C1~C3アルキルであり;
R4がH、直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル、直鎖状又は分岐状C2~C6アルケニル、-(CH(2-3)-CO-直鎖状又は分岐状C1~C4アルキル基、直鎖状若しくは分岐状C1~C3アルキルで、-(CH(1-3)-SOH基で及びこれらの組合せで一置換又は二置換されているアミノ基、-NHCO-窒素化ヘテロアリール基から選択される
式(I)の化合物並びにその薬学的に許容される塩である。
薬学的に許容される塩の例は、例えばアミン又はスルホン酸若しくはケトエノール酸等、塩基性基で酸性塩又は塩基性塩を形成することが可能な、式(I)のピラゾロンに酸又は塩基を添加することによって得られる塩である。
薬理学的に許容される酸付加塩は無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等で、又は有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸等で形成することができる。
薬学的に許容される塩基付加塩は無機塩基、例えばアンモニウム塩、並びに、薬学的に許容される周期表のI~XII欄の金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛及び銅の塩で、又は有機塩基、例えば第1級、第2級及び第3級アミン、天然の置換アミン若しくは環状アミンを含む置換アミン等で形成することができる。
好適な有機アミンの例としてはイソプロピルアミン、コリン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが挙げられる。
本発明による使用のための更により好ましいピラゾロンは、以下の表1に報告される式(I)の化合物である:

ピラゾロンクラスに属する薬物は、1950年代以降、ピラゾロンクラスに属する薬物の非ステロイド系抗炎症(NSAID)、解熱及び鎮痛作用により、硬直性脊椎炎の処置において、急性痛風において及び様々な種類の筋骨格の病態において使用されてきた。
ピラゾロンクラスに属する本発明による化合物は、アミノフェナゾン、ジピロン、フェナゾン、プロピフェナゾン、ニフェナゾン、フェニルブタゾン、ピラサノン(pyrasanone)、オキシフェニルブタゾン、ケブゾン、フェプラゾン、モフェブタゾン、トリブゾン及びこれらの混合物から好ましくは選択される。特に好ましい実施形態において、ピラゾロンクラスに属する化合物はジピロン、プロピフェナゾン及びこれらの混合物から選択される。
更により好ましい実施形態において、ピラゾロンクラスに属する化合物はジピロン、プロピフェナゾン及びこれらの混合物から選択され、前記網膜変性疾患は黄斑変性である。
一実施形態において、前記黄斑変性は乾燥老人性黄斑変性である。
別の実施形態において、前記黄斑変性は湿潤老人性黄斑変性である。
メタミゾール(商品名ノバルギナ(Novalgina)(登録商標))としても公知のジピロンは、以下の化学式:

を有する非ステロイド系鎮痛薬である。
ジピロンは、頭痛、発熱、歯痛、月経痛等に対する解熱剤及び鎮痛剤として一般に使用される。
例えばオプタリドン(Optalidon)(登録商標)又はサリドン(Saridon)(登録商標)の名称で他の活性成分と組み合わされて長い間市販されてきたイソプロピルアンチピリンとしても公知のプロピフェナゾンは同様の鎮痛及び解熱作用、並びに以下の化学式

を有するフェナゾン誘導体である。
出願人は、伝統的なシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、例えばインドメタシンではなくピラゾロン、特にジピロン及びプロピフェナゾンが、網膜変性疾患を低減することができることを有利には観察した(実験の項参照のこと)。
ジピロン及び/又はプロピフェナゾンから好ましくは選択される本発明による化合物は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患を予防及び/又は処置することができる。本発明による特に好ましい化合物、即ちジピロン及び/又はプロピフェナゾンは、その両方の形態の黄斑変性(乾燥老人性黄斑変性と湿潤老人性黄斑変性)の予防及び処置に効果的であり得る。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の化合物、好ましくはジピロン及び/又はプロピフェナゾンは、特定の種類の網膜変性疾患:その両方の形態の黄斑変性(乾燥老人性黄斑変性と湿潤老人性黄斑変性)を予防及び/又は処置することができる。したがって、特に好ましい実施形態において、本発明による化合物が処置することができる網膜変性疾患は、その両方の形態の黄斑変性である。黄斑変性は、黄斑症の大きなカテゴリーに該当する。本発明において、用語「黄斑変性」は、特定の種類の変性黄斑症を示すために使用される。
用語「黄斑症」は、黄斑と呼ばれる網膜の中心部分を冒す病態を指す。黄斑症は、後天性黄斑症、近視性黄斑症及び遺伝性黄斑症に分類することができる。
本発明の別の態様によれば、好ましくはジピロン及び/又はプロピフェナゾンから選択されるピラゾロンクラスに属する化合物は、近視性黄斑症の予防及び/又は処置に使用できる。
近視性黄斑症は変性又は病的近視を有する人において起こる。特に、近視性黄斑症を患う対象において、網膜は、眼球の伸長に適応できず、損傷を受ける。
病的近視において、黄斑出血は突然の視力低下、時には変形視症と共に起こり得る。
最も頻度の高い後天性黄斑症は加齢黄斑変性である。
黄斑変性は、中心視覚に関わる網膜の中心部分である黄斑の劣化を特徴とする疾患である。
黄斑変性の病態は、主に60歳超の個体で起こるため、しばしば加齢黄斑変性又は老人性黄斑変性と称される。実際に、多くの高齢者は、自然な老化の過程の一部として状態を発症する。
本発明において、表現「加齢黄斑変性」及び「老人性黄斑変性」はいずれも上術の網膜変性黄斑症を示す。
本発明によれば、ピラゾロンクラスに属する化合物は、黄斑変性の両方の形態、即ち乾燥老人性黄斑変性及び/又は湿潤老人性黄斑変性の予防及び/又は処置に有用であり得る。
実際に、本発明の化合物、特にジピロン及びプロピフェナゾンは、両方の形態の黄斑変性の代表的なマウスモデルにおいて、ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)の注射に起因する網膜上皮の酸化的損傷の低減における有効性を示した(例3を参照のこと)。本発明による化合物を試験するために実験が行われた黄斑変性のマウスモデルは、NaIOの静脈内投与によって得られた。Septojod(敗血症を処置するのに現在は使用されていない古い薬物)の代謝物であるNaIOは、前駆体薬物で処置した患者において観察された盲目に関与していると同定された。その後、ヨウ素酸ナトリウムが、脈絡膜の上方にあり、網膜の視覚細胞に栄養を与える色素細胞層である網膜色素上皮(RPE、網膜色素上皮から)細胞を選択的に損傷し、網膜色素上皮細胞において網膜の中心部から更に周辺部に広がるネクロトーシス現象を促進する(斑状RPE変性)ことが示された。
NaIOによる損傷は、その後光受容体にも広がり得、光受容体はアポトーシス機序により変性して死滅することが観察された。これらのデータに基づき、NaIOは、疾患、例えば加齢黄斑変性(AMD)の研究に重要な手段である。実際に、NaIOは、全身に投与された場合でも、酸化ストレスの生成を介して網膜色素上皮細胞及び光受容体に特異的な毒性作用を発揮することが観察された。
NaIOの注射によって得られる黄斑変性の動物モデルは、長年にわたり、一連の化学刊行物から有効とされており、NaIOで処置した動物において損傷が網膜の中心極で観察され、より高い用量のNaIOでは損傷が周辺部にも及び得ることを確立することを可能にした(Kiuchi、Current Eye Research 2002;Machalinska、Neurochemical Res.2010;Wang、Invest Ophthalmol Vis Sci 2014;Commentaries Neural Regeneration Research 2014;Hanus、Cell Death Disc 2016;Chowers、Invest Ophtalmol 2017及びKoh、Journal of Photochemistry & Photobiology、2019)。
NaIOで処置したマウスで生じた病的現象が後天性変性障害、例えば加齢黄斑変性、及び薬物、例えばクロロキン、チオリダジン又はクロルブロマジンによる中毒症による中毒性網膜症を患う患者において観察された特徴を呈することも観察された。
特に、Hanus(Cell Death Disc 2016)によれば、動物モデルにおいてNaIOにより誘発された網膜変性は、ヒトを冒す加齢黄斑変性に類似する少なくとも2つの特徴を示す。第1に、低用量はRPE層の細胞の不規則な喪失をもたらすことが観察された。第2に、RPE層の細胞の喪失が光受容体だけでなく、下層の脈絡毛細管層も冒すことが観察された。詳細には、マウスにおける100mg/kgのNaIOの投与後の網膜の形態学的検査は、色素脱失、膨化及び空胞化を示し、RPE層の壊死を示唆する。更に、同じ研究において、より高い投薬量のNaIOは、経時的に次第に菲薄化したRPE層の損傷の増加の原因となり、光受容体にも損傷を与えることが観察されたが、10mg/kgを下回る投薬量は、網膜に対する作用がほとんどないことが証明された。
より最近の研究(Koh、Journal of Photochemistry & Photobiology、2019)は、黄斑変性のモデルにおいて、NaIOに起因するRPEに特異的な毒性がヒトの加齢黄斑変性及び網膜色素変性症の遅発性作用を繰り返すことが確認された。
要約すると、黄斑変性に特有の実験動物におけるNaIOに起因する病理組織学的変化は、RPE層の不連続、光受容体の損傷及びマクロファージ(異質若しくは損傷細胞又は物質を貪食し、これらを破壊することが可能な組織単核細胞)の浸潤である。
モデルはヒトで観察された病理組織学的特色を全て呈し、したがって黄斑変性の有効なモデルである。
本発明の更なる態様は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのピラゾロンクラスに属する治療有効量の少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物、好ましくは眼科用組成物、より好ましくは局所眼用の眼科用組成物に関する。
本発明による使用のための医薬組成物において、式(I)のピラゾロンクラスに属する前記少なくとも1種の化合物は、アミノフェナゾン、ジピロン、フェナゾン、プロピフェナゾン、ニフェナゾン、フェニルブタゾン、ピラサノン、オキシフェニルブタゾン、ケブゾン、フェプラゾン、モフェブタゾン、トリブゾン及びこれらの混合物から選択される。
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物、好ましくは眼科用組成物は、ピラゾロンクラスに属する化合物としてジピロン及び/又はプロピフェナゾンを含む。
特に好ましい実施形態において、好ましい化合物としてジピロン及び/又はプロピフェナゾンを含む医薬組成物、好ましくは眼科用組成物は、黄斑変性、特に乾燥加齢黄斑変性又は湿潤加齢黄斑変性の予防及び/又は処置に使用される。
態様によれば、眼科用組成物は、ピラゾロンクラスに属する複数の化合物、好ましくは少なくとも2種の化合物を含み、ピラゾロンクラスに属する前記化合物はジピロン及びプロピフェナゾンから好ましくは選択される。
ピラゾロンクラスに属する化合物としてジピロン及び/又はプロピフェナゾンを好ましくは含む、本発明による医薬組成物、好ましくは眼科用組成物は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される網膜変性疾患の予防及び/又は処置に有利には使用できる。
好ましくは、前記網膜変性疾患は黄斑変性、特に乾燥老人性黄斑変性及び湿潤老人性黄斑変性である。
本発明による医薬組成物は、当該病態の予防又は処置に効果的な濃度を網膜レベルで達成するのに好適である限り、任意の投与経路により全身又は局所投与することができる。
好ましくは本発明による医薬組成物は、眼に内用又は外用投与するのに好適な眼科用組成物である。
実施形態によれば、本組成物は、例えば注射又は外科用インプラントによる後眼部への投与に好適な、特に網膜、強膜、後眼房、硝子体眼房、網膜下腔への又は眼の脈絡膜上部分への投与に好適な組成物である。
別の実施形態によれば、本組成物は、注射又は外科用インプラントによる前眼部への投与に好適な組成物である。
別のより好ましい実施形態において、本発明による組成物は、例えば角膜又は強膜の外面で下眼瞼嚢又は結膜円蓋に適用することによって眼に外用投与するのに好適な局所眼科用組成物である。
本発明による局所眼科用組成物は、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、軟膏、眼挿入物又は治療用コンタクトレンズの形態に製剤化することができる。例えば液滴又は点眼薬の形態での本発明の組成物の局所使用は、有利には、1つ又は複数の網膜疾患、好ましくは黄斑変性の非侵襲性の方法での処置を可能にし、黄斑変性の処置に現在一般に使用される硝子体内投与の不便さ及び副作用を回避することを可能にする。
更に、一般に、局所投与される薬物用量のごく一部しか効果的に吸収されないため、本発明によるピラゾロンクラスに属する化合物の可能性のある全身性副作用は最小限であることが予想されるということになる。
本発明による眼科用組成物は、眼科用製剤に一般に使用されるものから選択される1種又は複数の眼科的に許容される添加剤及び/又は賦形剤を含むことができる。
「眼科的に許容される賦形剤」は、眼に有害な影響を与えずに眼疾患又は状態を処置するために眼及び/又は瞼への医薬の投与を可能にする不活性な賦形剤である。一般に、賦形剤は、製品の経時的な保存に有利に働くだけでなく、賦形剤が含有される製品の有効性及び忍容性を高めることにも寄与する物質である。
前記眼科的に許容される添加剤又は賦形剤の例としては増粘剤、透過促進剤、緩衝化剤、オスモル濃度調節剤、抗酸化剤、防腐剤及び界面活性剤がある。
組成物の粘度及び結果的に薬物と眼表面の接触時間を増加させる機能を有する増粘剤は、セルロース誘導体、好ましくはヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース;ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニルアルコール、デキストラン、ゼラチン、グリセリン、ポリソルベート80及び他のゲル化剤から好ましくは選択される。
眼膜全体で薬物の透過性を高める機能を有する透過促進剤は、シクロデキストリン、キレート剤、コロナエーテル、胆汁酸及び胆汁塩から好ましくは選択される。
緩衝化剤は、生理的pH、好ましくは6~8にできるだけ近い組成物のpHを提供及び維持する機能を有する。この作用は、調製物の良好な忍容性を可能にするのに、及び調製物の有効性を維持するのに必須である。好ましい緩衝液はリン酸緩衝液であるが、眼科使用に好適である限り、所望の範囲内のpHを維持することが可能な他の緩衝液も含まれる。
オスモル濃度調節剤は、液体組成物を眼液と等張にすることが可能な塩である。好ましい塩は塩化ナトリウム(NaCl)であるが、他の生物学的に許容される塩、例えば塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)及び塩化マグネシウム(MgCl)並びにこれらの混合物、又は物質、例えばプロピレングリコール、グリセリン、デキストロース、デキストラン40及び70若しくは上記の緩衝物質も使用できる。
抗酸化剤は、大気中の酸素の作用によって生じる製品の劣化を予防するか又は遅延させる。抗酸化剤物質では、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸ナトリウムが最も一般に使用される。
防腐剤は、製品の開封後に起こり得る細菌の増殖を阻害する物質である。好適な防腐剤としては、例えば第4級アンモニア化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウム、塩酸ベンゼトニウム、クロロブタノール、EDTA、水銀防腐剤(例えばチメロサール)、フェニルエチルアルコール、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム及びソルビン酸が挙げられる。これらの薬剤の多くは、細菌の増殖を阻害することに加えて、角膜からの薬物の浸透に有利に働く界面活性化合物である。
界面活性剤は、組成物を安定させ、眼構造への活性成分の浸透に有利に働く機能を有する。界面活性剤の例はポリソルベート及びポロキサマーである。
一実施形態において、本発明による使用のための眼科用組成物は、例えば前眼部への局所投与のための点眼薬の形態の水性眼科用組成物である。前記実施形態による水性眼科用組成物は、組成物の成分の適当な濃度を達成するのに十分な量の水を含む。
好ましくは、液体、好ましくは水性眼科用組成物中、ピラゾロンクラスに属する化合物は、水性組成物の約0.0001%~約5%w/v、より好ましくは約0.01%~約1%w/v、更により好ましくは約0.1~約1%w/vの範囲の濃度で存在し得る。
本発明による使用のための眼科用組成物は、例えばピラゾロンクラスに属する治療有効量の少なくとも1種の化合物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、一及び二塩基リン酸ナトリウム及び眼科使用のための水を含むことができる。
一実施形態において、本発明による使用のための局所眼科用組成物、好ましくは液体組成物は、組成物、組成物を含有する容器及びディスペンサーを含むキットの一部であり得る。
特に、前記キットは、上記の局所眼用の眼科用組成物、局所眼用の眼科用組成物を含有する容器及びディスペンサーを含み、前記組成物は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症、好ましくは黄斑変性(乾燥加齢黄斑変性と湿潤加齢黄斑変性の両方)から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のためのものである。
好ましくは、前記キット内の局所眼科用組成物は水溶液である。
点眼薬の場合において、ディスペンサーは液滴ディスペンサーである。
別の実施形態において、本発明による使用のための医薬組成物、好ましくは眼科用組成物は、少なくとも1種の他の薬学的に活性な化合物を更に含むことができる。
好ましい実施形態において、本発明による使用のための医薬組成物、好ましくは眼科用組成物は、1種又は複数の血管内皮成長因子のアンタゴニスト薬(抗VEGF)及び/又は副腎皮質ステロイド薬を更に含むことができる。
本記載の更なる態様は、式(I)のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物、並びに/又はピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物及び1種若しくは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物、好ましくは眼科用組成物を対象に投与するステップを含む黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から好ましくは選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置方法にも関する。
好ましい実施形態において、前記網膜変性疾患は黄斑変性であり、ピラゾロンクラスに属する前記化合物はジピロン、プロピフェナゾン及びこれらの混合物から選択される。
黄斑変性の有効とされるマウスモデルで実行された実験(例1~3)において眼に使用された用量は、70kgの個体において約40mgのジピロン及び約28mgのプロピフェナゾンに相当する。
したがって、本発明による方法は、示唆的には、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物の投与1回あたり1~80mgを1日の総投与回数、例えば1~5回で局所眼投与するステップを含むことができる。
前述の疾患の処置又は予防における本発明による使用のための化合物の投与の実際の用量及びレジメンは、多くの因子、例えば投与経路又は処置を受ける個体の苦痛の程度に依存する。
これらの用量は一般に、全身性副作用の低減に関して疑う余地のない利点を有する、ヒトにおける全身投与のための鎮痛目的に使用される用量(ジピロンについては500~1000mg及びプロピフェナゾンについては125~286mg)よりはるかに低くてもよい。
代替的な実施形態において、方法は、網膜変性疾患、好ましくは黄斑変性の処置に一般に使用されている1種又は複数の薬物を、本発明による使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物又は眼科用組成物と組み合わせて投与するステップを含む。
網膜変性疾患の処置に一般に使用されている前記薬物は、血管内皮成長因子のアンタゴニスト薬(抗VEGF)及び/又は副腎皮質ステロイド薬から選択される。
特に好ましい実施形態において、方法は、ピラゾロンクラスに属する化合物としてジピロン及び/若しくはプロピフェナゾン、並びに/又はジピロン及び/若しくはプロピフェナゾンを含む組成物を網膜変性疾患の処置に一般に使用されている薬物、好ましくは血管内皮成長因子のアンタゴニスト薬(抗VEGF)及び/又は副腎皮質ステロイド薬と一緒に投与するステップを含む。
この実施形態において、黄斑変性の処置に現在使用されている前記薬物、好ましくは抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬は、ピラゾロンクラスに属する化合物及び/又は上記の眼科用組成物の投与前、投与中又は投与後投与することができる。
ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物を含む眼科用組成物と組み合わせて投与することができる黄斑変性の処置に現在使用されている抗VEGF薬の例としてはラニビズマブ、ベバシズマブ又はアフリベルセプトがある。
ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物を含む眼科用組成物と組み合わせて投与することができる黄斑変性の処置に現在使用されている副腎皮質ステロイド薬の例としてはコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、フルオシノニド、ハルシノニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びフルオコルトロンがある。
網膜変性疾患の予防及び/又は処置方法は、好ましくは前記網膜変性疾患が糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症から選択される場合、上に列挙した副腎皮質ステロイド薬の少なくとも1種の投与を含む。
別の実施形態において、上に定義した少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置方法は、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物並びに抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬及び/又は変性黄斑症の予防及び処置に潜在的に効果的である様々な作用機序を有する他の薬物、例えば遺伝子治療に基づくものであり、補体系の活性を調節することができる実験薬であるGT005から選択される少なくとも1種の薬物を含む組成物を対象に投与するステップを含む。
この実施形態において、網膜疾患、好ましくは黄斑変性の処置に現在使用されている薬物は本発明の組成物に含まれており、したがってピラゾロンクラスに属する化合物及び/又は前記化合物を含む組成物と共投与される。
最後の実施形態において、方法は、黄斑変性の処置に一般に使用されている1種又は複数のビタミンサプリメントを、本発明による使用のためのピラゾロンクラスに属する化合物又は眼科用組成物と組み合わせて投与するステップを含む。
特に、上記の方法に従って投与することができるサプリメントは、少なくともビタミンC及びビタミンE、ルテイン及びゼアキサンチン(2種のカロテノイド)、並びにポリフェノール、時には亜鉛又は他の栄養素を一般に含む、抗酸化及びミネラルサプリメントである。近年、オメガ3脂肪酸は、抗酸化剤と共に、乾燥型の加齢黄斑変性を患う患者に処方される市販の栄養サプリメントの中に含まれる。
本発明の最後の態様は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症、好ましくはその両方の形態の黄斑変性から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における同時、別個又は逐次使用のための、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せに関する。
好ましくは、本発明による使用のための組合せは、ピラゾロンクラスに属する化合物としてジピロン及び/又はプロピフェナゾンを含む。
好ましい実施形態において、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せは、黄斑変性、特に乾燥加齢黄斑変性及び湿潤加齢黄斑変性の予防及び/又は処置に使用される。
前記実施形態において、組合せはラニビズマブ、ベバシズマブ又はアフリベルセプトから選択される抗VEGF薬を含む。
前記実施形態において、組合せはコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、フルオシノニド、ハルシノニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びフルオコルトロンから選択される副腎皮質ステロイド薬を含む。
黄斑変性(乾燥加齢黄斑変性と湿潤加齢黄斑変性の両方)の予防及び/又は処置における使用のための組合せの特に好ましい実施形態において、ピラゾロンクラスに属する化合物はジピロン、プロピフェナゾン又はこれらの混合物である。
NaIO又はNaIOのビヒクル(V1)による処置、並びにジピロン(FN-001)、プロピフェナゾン(FN-002)若しくはインドメタシン(Ind)又はこれらのビヒクル(V2)による処置後のNaIO誘発黄斑変性モデルのマウスから4日目に採取した網膜のRPE層の免疫蛍光画像を示す図である。RPE65はRPE層を染色するために使用した抗体を示す。 図1Aの各パネルに示される文字は以下を示す: V1/V2:マウスに様々な薬物を溶解したビヒクル(V2)を投与する前後に、マウスにNaIOを溶解したビヒクル(V1)を与えた。様々な薬物を溶解したV2ビヒクルは、0.9%のNaCl中4%ジメチルスルホキシド(DMSO)、4%Tween80からなり、対照として使用した。これらのマウスは対照を構成した。 V2/NaIO:マウスに、黄斑変性を有するマウスを得るためのNaIOのビヒクル(V1)に溶解したNaIOの投与前後に、様々な薬物を溶解したビヒクル(V2)を投与した。 FN-001/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、ジピロン(FN-001)で処置した。 FN-002/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、プロピフェナゾン(FN-002)で処置した。 Ind/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、インドメタシン(Ind)で処置した。 図1Aに示す免疫蛍光実験の累積データを表すヒストグラムである。 NaIO又はNaIOのビヒクル(V1)による処置並びにジピロン(FN-001)、プロピフェナゾン(FN-002)若しくはインドメタシン(Ind)又はこれらのビヒクル(V2)による処置後のNaIO誘発黄斑変性モデルのマウスから4日目に採取した網膜の酸化ストレスバイオマーカーである4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)の免疫蛍光画像を示す図である。図2Aにおいて、「DAPI」(4’,6-ジアミジン-2-フェニルインドール)は、網膜上皮細胞の核を標識するために使用した有機色素を示し、「4-HNE」は、二次フルオロフォア標識抗体が結合する一次抗体に対する反応性種を示し、「MERGE」は、2つの染色、即ちDAPIで得られた染色と、4-HNEを認識する抗体で得られた染色の重ね合わせを示す。 図2Aの各パネルに示される文字は以下を示す: V1/V2:マウスがNaIOを溶解したビヒクル(V2)の投与を受ける前後に、マウスに様々な薬物を溶解したビヒクル(V1)を投与した。これらのマウスは対照を構成する。 V2/NaIO:マウスに、黄斑変性を有するマウスを得るためのNaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、様々な薬物を溶解したビヒクル(V2)を投与した。 FN-001/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、ジピロン(FN-001)で処置した。 FN-002/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、プロピフェナゾン(FN-002)で処置した。 Ind/NaIO:マウスを、NaIOのビヒクルに溶解したNaIOの投与前後に、インドメタシン(Ind)で処置した。 図2Aに示す免疫蛍光実験の累積データを表すヒストグラムである。
実施例1-黄斑変性のマウスモデル
本発明による使用のための化合物を試験するために、黄斑変性のマウスモデルを得た。
インビボ実験をイタリアの法規(Legislative Decree 26/2014)及び欧州規則で規定される指針(EU Directive 2010/63/EU)を順守して実施した。研究は、保健省によるプロトコルの承認(プロトコル番号687/2020-PR)後に行った。
有効な黄斑変性モデルを作成するために、NaIOの(後眼窩静脈からの)全身投与をCharles River社(Milan、Italy)により供給された生後5~8週、体重22~25gのC57BL/6J雄マウスで行った。合計30匹のマウスを使用して、下記の実験を行った。動物を温度及び湿度制御環境(12時間の暗/明サイクル、食餌及び水の自由な摂取)で保持した。実験を温度制御室(20~22℃)で8:00~20:00に実施した。実験の最後に、動物を50%O/50%COの混合物の1分間の吸入により安楽死させた。別段指定のない限り、研究で使用した化合物は全てMerck Life Science SRL(Milan、Italy)から購入した。
上記のように、NaIOの(後眼窩静脈からの)全身投与により得られたマウスモデルは黄斑変性のモデルである。実際に、投与の3日後、NaIOにより、ヒトの加齢黄斑変性で観察されたのと同様の特徴と共にマウスにおいて持続的な網膜損傷が誘発された。
マウスにおけるNaIOの投与が、酸化ストレスの最終的な指標として使用した反応性カルボニル種である4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)の染色の増加から明らかなように、RPE層の損傷(図1A)及び網膜レベルでの酸化ストレスの増加(図2A)の原因となったことが観察された。
実施例2-ジピロン、プロピフェナゾン、インドメタシン又はビヒクルの投与
黄斑変性に特有の網膜損傷の低減及び処置におけるピラゾロンクラスに属する好ましい化合物であるジピロン及びプロピフェナゾンの有効性を評価するために、黄斑変性のモデルをマウス5群に対する実験により開発した。マウスには、ジピロン、プロピフェナゾン、インドメタシン又はこれらのビヒクルを点眼薬により局所投与した。
シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬であるインドメタシンを、ジピロン及びプロピフェナゾンの投与に起因する作用との比較として使用した。
薬物ビヒクルは、0.9%NaCl中4%ジメチルスルホキシド(DMSO)、4%Tween80からなり、対照として使用した。
特に、6匹のマウス群(対照として使用)に、後眼窩静脈への注射の60分前にNaIO(1ml/kg)のビヒクル(V1)(NaCl、0.9%)を与え、その後薬物のビヒクル(V2)(0.9%NaCl中4%DMSO、4%Tween80)を含有する点眼薬(5μl)を点滴により1日3回与えた。別の24匹のマウスは、各6匹のマウス群で、後眼窩静脈への注射の60分前に、(1ml/kg)のNaIO(1%、20mg/kg)を受け、その後眼点滴(5μl)によりジピロン(16.65μg)、プロピフェナゾン(11.5μg)、インドメタシン(17.85μg)又はこれらのビヒクル(0.9%NaCl中4%DMSO、4%Tween80)を1日3回受けた。
マウス群ごとに、ジピロン、プロピフェナゾン、インドメタシン又はビヒクル(V2)の初回投与(1日目)をNaIO又はNaIOのビヒクル(V1)の注射の60分前に与え、第2及び第3の投与を、それぞれビヒクル(V1)又はNaIOの注射の6及び12時間後に与えた。ビヒクル(V1)又はNaIOの注射後2日間(2日目及び3日目)で、ジピロン、プロピフェナゾン、インドメタシン又はビヒクル(V2)を様々なマウス群に8:00、14:00及び20:00に投与した。
ビヒクル(V1)又はNaIOによる処置後4日目の9:00に、マウスを屠殺し(先に報告した通り)、眼球除去し、眼球をその後の損傷の分析のために処理した。
実施例3-網膜色素上皮損傷の評価
RPE(網膜色素上皮)の損傷を直接免疫蛍光法により評価した。RPEは、網膜の視覚細胞に栄養を与え、下層の脈絡膜及び上層の視覚網膜細胞に強固に付着した神経感覚網膜のすぐ外側の色素細胞層に相当する。
RPE層の染色強度を、V2/V1、V2/NaIO、ジピロン/NaIO、プロピフェナゾン/NaIO及びインドメタシン/NaIOで処置したマウス5群において、二次抗体(フルオロフォア標識、Alexa Fluor 488、#A28175、Thermo Fisher Scientific)が結合する一次抗体(RPE65、#ab13826、マウスモノクローナル、1:100、Abcam、Cambridge、UK)を使用して定量した。細胞核をDAPI有機色素(#ab228549、Abcam、Cambridge、UK)を使用して視覚化した。
図1Aは、V2/V1、V2/NaIO、ジピロン/NaIO、プロピフェナゾン/NaIO及びインドメタシン/NaIOで処置したマウス5群の4日目に採取した網膜において、一次抗体(RPE65)を用いて実施したRPE層の免疫蛍光染色の代表的な画像及び累積データを示す。データは、平均±SEMとして提示される。*p<0.05対veh;§p<0.05対NaIO。一元配置分散分析(ANOVA)検定及びボンフェローニ検定を用いた統計分析。
NaIOの注射を受けたマウスにおいて、48.0±2.9%(P<0.01対V1/V2)のRPE層の染色強度の低下が観察された。ジピロン及びプロピフェナゾン点眼薬による処置は、V2と比較してRPE層のNaIOにより誘発される損傷をそれぞれ87.8±7.8%(P<0.01)及び99.2±23.0%(P<0.01)統計的に有意に低下させた(図1A及び1B)。対照的に、インドメタシンは、RPE層の染色強度の5.7±14.9%の中程度の有意でない低下を誘発した(図1A及び1B)。
酸化ストレスのレベルも、酸化ストレスの最終的な指標である反応性カルボニル種である4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)の免疫蛍光強度を測定することにより網膜の厚さ全体にわたって評価した。
実施例4-網膜レベルでの酸化ストレスの評価
4-HNEのレベルを、V2/V1、V2/NaIO、ジピロン/NaIO、プロピフェナゾン/NaIO及びインドメタシン/NaIOで処置したマウス5群において、二次抗体(フルオロフォア標識、Alexa Fluor 594、#A A32742、Thermo Fisher Scientific)が結合する一次抗体(#ab48506、モノクローナルマウス[HNEJ-2]、1:40、Abcam、Cambridge、UK)を用いて定量した。
細胞核をDAPI有機色素(#ab228549、Abcam、Cambridge、UK)を用いて視覚化した。
NaIOの投与は、網膜組織全体で4-HNE免疫蛍光の187.5±12.8%(P<0.001対V1/V2)の増加を誘発した(図2A及び2B)。
ジピロン及びプロピフェナゾンによる処置は、網膜の4-HNEレベルを、それぞれ69.7±11.8%(P<0.001対V2)及び81.3±7.0%(P<0.001対V2)著しく低下させたが、インドメタシンによる処置は、4-HNEレベルの17.5±10.5%の中程度の有意でない低下をもたらした(図2A及び2B)。図2Aは、V2/V1、V2/NaIO、ジピロン/NaIO、プロピフェナゾン/NaIO及びインドメタシン/NaIOで処置したマウス5群において、二次抗体(フルオロフォア標識、Alexa Fluor 594、#A A32742、Thermo Fisher Scientific)が結合する一次抗体(#ab48506、モノクローナルマウス[HNEJ-2]、1:40、Abcam、Cambridge、UK)による酸化ストレスバイオマーカーである4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)の代表的な画像及び累積免疫蛍光染色データを示す。データは、平均±SEMとして提示される。*p<0.05対V1/V2;§p<0.05対V2/NaIO。一元配置分散分析(ANOVA)検定及びボンフェローニ検定を用いた統計分析。
したがって、ジピロン及びプロピフェナゾンが黄斑の光受容体機能の維持に根本的に重要であるRPE層の細胞のNaIO誘発損傷に対して保護作用があると実験的証拠から結論を出すことが可能である。
更に、ジピロン及びプロピフェナゾンがNaIO誘発性の4-HNEの増加から網膜を保護することが観察された。COX阻害剤(インドメタシン)は、RPE損傷又はNaIO誘発性の4-HNEの増加から保護できないことが証明された。

Claims (28)

  1. 少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のための、式(I)
    Figure 2024521932000005

    (式中、
    R1及びR2はH、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル、及び、OH、C1~C6アルコキシ、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキル又はハロゲンで置換されていてもよいアリールから独立的に選択され;
    R3は直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル及びOHから選択され;
    R4はH、直鎖状又は分岐状C1~C8アルキル、直鎖状又は分岐状C2~C8アルケニル、-(CH1-4-CO-直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル基、直鎖状若しくは分岐状C1~C6アルキルで又は-(CH(1-3)-SOH基で及びこれらの組合せで一置換又は二置換されているアミノ基、-NHCO-アリール又は-NHCO-ヘテロアリール基から選択される。)
    のピラゾロンクラスに属する化合物及びその薬学的に許容される塩。
  2. R1及びR2がH、直鎖状又は分岐状C1~C3アルキル、及び、OHで置換されていてもよいフェニルから独立的に選択され;
    R3が直鎖状又は分岐状C1~C3アルキル及びOHから選択され;
    R4がH、直鎖状又は分岐状C1~C6アルキル、直鎖状又は分岐状C2~C6アルケニル、-(CH(2-3)-CO-直鎖状又は分岐状C1~C4アルキル基、直鎖状若しくは分岐状C1~C3アルキルで、-(CH(1-2)-SOH基、及びこれらの組合せで一置換又は二置換されているアミノ基、-NHCO-窒素化ヘテロアリール基から選択される、
    請求項1に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物及びその薬学的に許容される塩。
  3. 前記化合物がアミノフェナゾン、ジピロン、フェナゾン、プロピフェナゾン、ニフェナゾン、フェニルブタゾン、ピラサノン(pyrasanone)、オキシフェニルブタゾン、ケブゾン、フェプラゾン、モフェブタゾン、トリブゾン及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  4. 前記網膜変性疾患が黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択され、好ましくは黄斑変性である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  5. 前記化合物がジピロン、プロピフェナゾン及びこれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  6. 前記化合物がジピロンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  7. 前記化合物がプロピフェナゾンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  8. 前記黄斑変性が乾燥老人性黄斑変性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  9. 前記黄斑変性が湿潤老人性黄斑変性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための式(I)のピラゾロンクラスに属する化合物。
  10. 少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における使用のための、請求項1~3のいずれか一項に記載のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であって、前記網膜変性疾患が黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から好ましくは選択される、医薬組成物。
  11. 前記網膜変性疾患が黄斑変性である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記黄斑変性が乾燥老人性黄斑変性である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
  13. 前記黄斑変性が湿潤老人性黄斑変性である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
  14. ピラゾロンクラスに属する前記化合物がジピロン、プロピフェナゾン及びこれらの混合物から選択される、請求項10~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. ピラゾロンクラスに属する前記化合物がジピロンである、請求項10~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  16. ピラゾロンクラスに属する前記化合物がプロピフェナゾンである、請求項10~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. 前記組成物が、ピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の眼科的に許容される賦形剤を含む眼科用組成物である、請求項10~16のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  18. 前記眼科用組成物が局所眼科用組成物、好ましくは水溶液である、請求項17に記載の使用のための医薬組成物。
  19. ピラゾロンクラスに属する化合物が、約0.0001%~約5%w/vの範囲の濃度で存在し得る、請求項18に記載の使用のための医薬組成物。
  20. ピラゾロンクラスに属する化合物が、約0.01%~約1%w/vの範囲の濃度で存在し得る、請求項19に記載の使用のための医薬組成物。
  21. ピラゾロンクラスに属する化合物が、水性組成物の約0.1~約1%w/vの範囲の濃度で存在し得る、請求項19又は20に記載の使用のための医薬組成物。
  22. 黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜剥離、中心性漿液性網脈絡膜症、高血圧性網膜症、黄斑円孔、黄斑パッカー、飛蚊症(浮遊物)及び近視性黄斑症から選択される少なくとも1つの網膜変性疾患の予防及び/又は処置における同時、別個又は逐次使用のためのピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せ。
  23. 前記網膜変性疾患が黄斑変性、特に湿潤老人性黄斑変性及び/又は乾燥老人性黄斑変性である、請求項22に記載のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せ。
  24. 前記抗VEGF薬がラニビズマブ、ベバシズマブ又はアフリベルセプトから選択される、請求項23に記載のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せ。
  25. 前記副腎皮質ステロイド薬がコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、モメタゾン、ブデソニド、フルオシノニド、ハルシノニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びフルオコルトロンから選択される、請求項23又は24に記載のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せ。
  26. ピラゾロンクラスに属する前記少なくとも1種の化合物がジピロン、プロピフェナゾン又はこれらの混合物から選択される、請求項22~25のいずれか一項に記載のピラゾロンクラスに属する少なくとも1種の化合物と抗VEGF薬及び/又は副腎皮質ステロイド薬の組合せ。
  27. 局所眼科用組成物、局所眼科用組成物を含有する容器及びディスペンサーを含むキットであって、前記局所眼科用組成物が請求項10に記載の使用のためのものである、キット。
  28. 前記局所眼科用組成物が好ましくは水溶液である、請求項27に記載のキット。
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