JP2024521167A - 選択的透過性環状繊維及びその使用方法 - Google Patents

選択的透過性環状繊維及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明の態様は、選択的透過性細胞が積み込まれた固体コア繊維構造を産生するための、及びデジタルファイル用の三次元(3D)生体構造を産生するためのシステム及び方法を含む。実施形態では、プリント繊維は、少なくとも1つの環状層に埋め込まれた生細胞を含むか、またはプリント繊維は、少なくとも1つの生体材料の固体コアを含む。組織繊維は、組織工学において合成組織構造として使用することができる。【選択図】図5E

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月24日に提出された米国仮出願第63/192,552号に対する優先権の利益を主張する。
本発明は、選択的透過性及び免疫防御性の固体コア繊維構造を作製するためのシステム及び方法、ならびにデジタルファイルからのそのような構造の3次元(3D)プリントに関する。いくつかの実施形態では、プリント繊維は生細胞を含む。
組織工学の技術は、無数の材料及び方法を使用して、生体の器官及び組織を模倣及び/または置き換えることができる実行可能な合成構造を作製することを長い間追求してきた。特に細胞封入は、直接的な組織移植とその結果として生じる生涯にわたる免疫抑制に代わる可能性のある方法として繰り返し研究されてきたが、依然として多くの課題が残されている。このアプローチの本質は、小分子(例えば、グルコース、酸素)及び所望の生体活性物質(例えば、分泌ペプチド/タンパク質)の十分な拡散を確保する一方で、免疫細胞、抗体、及び補体成分を効果的に排除することができる治療用細胞集団(例えば、膵島細胞)の周囲に半透膜を配置することである。De Vos et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014;67-68:15-34。しかしながら、重要なことに、グルコースと酸素はほぼ同じモル速度で消費されるが、後者は生理学的におよそ100倍少ない量である。Colton,Adv Drug Deliv Rev.2014;67-68:93-110。したがって、酸素の適切な通過は、一貫して、細胞封入デバイスの効果的な臨床設計における主要な制約の1つである。
球体でのマイクロカプセル化及び平面拡散チャンバでのマクロカプセル化を含む、様々なデバイスの形状が研究されている。ヒドロゲルビーズのマイクロカプセル化は、酸素輸送のためのより高い表面積対体積比を提供するが、移植後にビーズの沈降及び積み重ねが酸素欠乏を引き起こすことが報告されている。Vaithilingam et al. Rev Diabet Stud.2017;14(1):51-78. 逆に、平面型拡散チャンバは、小動物の研究においてある程度の有望性を示しているにもかかわらず、本質的に物質移動のための表面積が低いため、ヒト患者へのスケールアップにおいては大きな課題に悩まされている。Calafiore and Basta,Adv Drug Deliv Rev.(2014);67-68:84-92。これらすべてのアプローチの一般的な制約は、封入デバイスの細胞含有部分内の細胞の配置と酸素供給への影響を制御できないことである。したがって、世界中での数十年に渡る研究にもかかわらず、細胞封入の効果的な臨床応用は依然として実現していない(Orive et al.,Trends Pharmacol Sci.(2015);36:537-546)。
さらに、身体への移植によって、デバイスを排除することを意図して、デバイスに対して先天的及び適応的免疫系の両方によって統制された生物学的応答が誘起される。食作用を受けるには大きすぎると認識される病原体に対する細胞応答は、フィブロネクチンなどのECMタンパク質を過剰発現するマクロファージによって部分的に媒介され、さらには繊維芽細胞による繊維形成を促進する繊維形成促進因子も産生し、結果としてデバイスの周囲に繊維性カプセルが形成される。この繊維状カプセルは、特にそれらの意図した機能を実行するために栄養素及び酸素の流れにアクセスする必要がある治療用細胞集団を含む場合に、デバイスの機能を妨げ得る。移植するデバイスの直径を大きくすることは、この異物応答(FBR)とその結果として生じる繊維症の発症を低減するのに役立ち得るが(例えば、Watanabe et al.,Biomaterials(2020),doi.org/10.1016/j.biomaterials.2020.120162を参照のこと)、必要なサイズが大きくなることはまた、デバイス内の細胞の酸素欠乏及びアポトーシスを生じさせ得る。
したがって、免疫防御と栄養素の通過という相反する目的に適応し、FBR応答の軽減を支援し、合成構造を製造するための繊維間の一貫した堆積を可能にするために、設計と材料の両方の改善が依然として必要とされている。このように、免疫系の認識及び/またはそのような合成組織構造の破損を低減または回避する能力と、その分泌能力を損なうことなく、合成構造の細胞への酸素及び栄養素の十分な通過を確保する能力とのバランスが効果的にとれている合成組織構造が必要とされている。
本明細書に列挙されるすべての先行参考文献は、その全体が参照により援用される。
本発明は、固体コアと、固体コアを取り囲む1つ以上のシェル層とを含む、選択的に透過性のバイオプリント繊維を用いて、当技術分野における前述の複数の相反する目的を首尾よく解決し、固体コアの外側に生体材料、例えば、関心対象の生体活性物質を産生及び分泌する生細胞が放射状に配置される。実施形態では、繊維は、固体コアと少なくとも1つの外側シェル層との間にプリントされた少なくとも1つの環状層を含み、細胞は、少なくとも1つの環状層内に埋め込まれ、好ましくは、細胞は、少なくとも1つの環状層全体に均一に分散される。いくつかの実施形態では、細胞は、バイオプリント繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化されており、及び/または少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御的及び/または血管形成促進性である。本明細書で示されるように、固体コアの外側の少なくとも1つの環状層に埋め込まれた細胞集団を放射状に移動させることにより、細胞の生存率と機能の両方が向上し、分泌能力が増加し、従来のコア-シェル繊維よりも高い細胞負荷率が可能になる。
一態様によれば、固体コアと、生体適合性材料内に埋め込まれた少なくとも1つの生体材料を含む前記固体コアを包囲する少なくとも1つの環状層と、前記少なくとも1つの環状層を包囲する少なくとも1つの外側シェル層とを含む、バイオプリントされた選択的透過性繊維を提供する。実施形態では、少なくとも1つの外側シェル層は、架橋されたヒドロゲル材料を含む。実施形態では、少なくとも1つの生体材料は、少なくとも1つの環状層全体に均一に分散されている。実施形態では、生体材料は、繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化されている。実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御的及び/または血管形成促進性である。
好ましくは、生体材料は、関心対象の生体活性物質、例えば、治療用タンパク質もしくは核酸、または細胞外小胞を産生/分泌する細胞集団及び/または細胞由来細胞外小胞集団を含む。いくつかの例では、細胞集団は、膵臓、肝臓、甲状腺、副甲状腺、松果体、下垂体、胸腺、副腎、卵巣、精巣、腸内分泌細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、または関心対象の生体活性物質を分泌するように改変された細胞からなる群から選択される内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞を含む。いくつかの例では、細胞集団は、治療用タンパク質または核酸を含有するエキソソームの形態で細胞由来細胞外小胞を放出する。いくつかの例では、生体適合性材料は、アルギン酸塩、官能化アルギン酸塩、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル(GEL-MA)、絹、キトサン、セルロース、ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(POEGMA)、自己集合ペプチドヒドロゲル、及びそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギン酸塩、アルギン酸塩フラン、アルギン酸塩チオール、アルギン酸塩マレイミド、アルギン酸塩テトラジン、アルギン酸塩ノルボルネン、アルギン酸塩ヒドラジド、RGD-アルギン酸塩(アルギニン-グアニジン-アスパラギン酸塩)、YIGSR-アルギン酸塩(Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg)、及び共有結合クリックアルギン酸塩(例えば、2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド(DMAPS)-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維を補強する。例えば、固体コアは、繊維全体(例えば、本開示のコア-シェル繊維または環状繊維)を補強することができる。代表的な例として、補強された繊維は、環状層及び/または1つ以上の外側シェル層と比較してより高い引張強度及び/または弾性率を有するように選択されたコア材料から構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、前記固体コアは、非生分解性材料を含む。いくつかの例では、固体コアは、PEGDA及び他の官能化PEG、POEGMA、ポリビニルアルコール(PVA)アクリルアミド、GEL-MA、または官能化アルギン酸塩、例えば、共有結合による架橋可能な官能化アルギン酸塩を含む、またはそれらからなる群から選択されるポリマー材料を含む。官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートヒドラジド、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御的である。いくつかの例では、外側シェル層は、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEG、PEGDA、及び他の官能化PEG(4アームPEG-テトラ-アクリレート(PEGTA)及びPEFOAなどのマルチアームPEGアクリレート、ならびに他のPEG系材料)、POEGMA、ポリ-L-リジン(PLL)、メタクリル化ヒアルロン酸(HA)、チオール化ヒアルロン酸、トリアゾール、及びそれらの組み合わせから選択される免疫防御ヒドロゲル材料を含む。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩を含む。官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートヒドラジド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、アクリレート化された双性イオン性モノマーであるスルホベタイン・メタクリレート(SBMA)及び/またはPEGDAを含むか、またはさらに含む。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩またはPEG(例えば、アルギン酸マレイミドまたはPEG-マレイミド)を有する官能化ヒアルロン酸(例えばチオール化HA)を含むか、またはさらに含む。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の少なくとも1つの外側シェル層は、血管形成促進性である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの血管形成促進層は、免疫防御材料を含む少なくとも1つの外側シェル層の外側に配置されている。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの外側シェル層は、1つ以上の免疫防御材料に加えて、1つ以上の血管形成促進材料から構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の繊維は、血管形成促進材料から構成される少なくとも1つの外側シェル層を含み得るが、免疫防御シェル層を欠失していてもよい。血管新生促進材料は、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、ヒアルロン酸などを含むがこれらに限定されない生分解性材料を含み得る。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の直径は、約2.0mm~0.25mm、より好ましくは約0.7mm~約1.7mm、より好ましくは約1.5mm~0.45mm、最も好ましくは約1.1mm~0.7mmである。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の固体コアの直径は、約1.92mm~0.05mm、より好ましくは約1.1mm~0.41mm、または約0.030mm~約1.0mm、最も好ましくは約0.5mm~0.1mm、例えば約0.3mmである。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の外側シェル層の厚さは、約0.01mm~0.3mm、または約0.015mm~約0.5mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、または約0.05mm~0.125mmである。実施形態では、厚さは約0.150mmである。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の環状層の厚さは、約0.01mm~0.4mm、より好ましくは約0.025mm~0.3mm、より好ましくは約0.1mm~約0.3mm、最も好ましくは約0.05mm~0.2mmである。実施形態では、厚さは約0.2mmである。
別の態様では、選択的透過性環状繊維をバイオプリントする方法を提供し、この方法は、コアチャネルを介してコア材料、第1のシェルチャネルを介して第1の環状層材料及び任意選択で第2の環状層材料、及び第2のシェルチャネルを介して架橋性材料を、同軸マイクロ流体デバイスまたはマルチシェルプリントヘッドを介して分配し、その場合、第1または第2の環状層材料の一方は、生体材料を、好ましくは生体適合性材料中に含み、任意選択で、環状層材料が交互に分配されて、繊維の長さに沿って生体材料のセグメント/区画を形成する。いくつかの実施形態では、第1の環状層材料及び第2の環状層材料は、同じ生体親和性材料を含む。
別の態様によれば、繊維の長さに沿って生体適合性材料内にセグメント化/区画化された少なくとも1つの生体材料を含む固体コアと、架橋ヒドロゲル材料を含む前記固体コアを取り囲む少なくとも1つの外側シェル層とを含む、バイオプリントされた選択的透過性組織繊維を提供する。好ましくは、生体材料は、関心対象の生体活性物質、例えば、治療用タンパク質もしくは核酸、またはそれらを含む細胞小胞を産生/分泌する細胞集団を含む。いくつかの例では、細胞集団は、膵臓、肝臓、甲状腺、副甲状腺、松果体、下垂体、胸腺、副腎、卵巣、精巣、腸内分泌細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、または関心対象の生体活性物質を分泌するように改変された細胞からなる群から選択される内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞を含む。いくつかの例では、細胞集団は、治療用タンパク質または核酸を含有するエキソソームの形態で細胞由来細胞外小胞を放出する。いくつかの例では、生体適合性材料は、アルギン酸塩、官能化アルギン酸塩、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、PEG、PEGDA、及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、GEL-MA、絹、キトサン、セルロース、POEGMA、自己集合ペプチドヒドロゲル、及びそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートヒドラジド、RGD-アルギネート(アルギニン-グアニジン-アスパルテート)、YIGSR-アルギネート(Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg)、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。
いくつかの実施形態では、固体コアは、外側シェル層をインサイドアウトから架橋するための架橋剤をさらに含む。例えば、固体コアは、外側シェル材料を架橋可能な架橋剤を含んでいてもよいが、固体コアに対応する材料を異なるメカニズムによって架橋してもよい。代表的な例として、固体コアは、PEGDA+カルシウム+光開始剤を含んでいてもよく、一方、外側シェルは、アルギン酸塩を含んでいてもよい。コア内のカルシウムイオンは、アルギン酸塩系の外側シェルをインサイドアウトから架橋し得る。繊維が発光することにより、光開始剤の活性化、及びコアの架橋が生じ得る。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の外側シェル層は、免疫防御的及び/または血管形成促進性である。いくつかの例では、バイオプリントされた選択的透過性繊維は、免疫防御材料(複数可)から構成される免疫防御シェルを有し、これが次に血管形成促進性材料(複数可)から構成される血管形成促進性シェルによって包囲される。いくつかの例では、免疫防御材料は、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEG、PEGDA及び他の官能化PEG(PEGTA及びPEFOAなどのマルチアームPEGアクリレート、ならびに他のPEG系材料)、POEGMA、PLL、トリアゾール、ならびにこれらの組み合わせから選択される。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩を含む。官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートヒドラジド、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、アクリレート化された双性イオン性モノマー(SBMA)及び/またはPEGDAを含むか、またはさらに含む。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩またはPEG(例えば、アルギン酸マレイミドまたはPEG-マレイミド)を有する官能化ヒアルロン酸(例えばチオール化HA)を含むか、またはさらに含む。いくつかの例では、血管形成促進性材料は、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、ヒアルロン酸などから選択される。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の直径は、約2.0mm~0.2mm、より好ましくは約1.5mm~0.5mm、最も好ましくは約1.1mm~0.8mmである。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の固体コアの直径は、約1.98mm~0.18mm、より好ましくは約1.48mm~0.48mm、最も好ましくは約0.9mm~0.50mmである。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の外側シェル層の厚さは、約0.01mm~0.3mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、最も好ましくは約0.05mm~0.15mmである。
別の態様では、繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化された少なくとも1つの生体材料を含む固体コアを含む選択的透過性繊維のバイオプリント方法を提供する。一実施形態では、この方法は、生体材料を含む生体適合性材料を同軸マイクロ流体デバイスまたはマルチシェルプリントヘッドのコアチャネルに断続的に分配する一方、免疫防御架橋性材料を少なくとも1つのシェルチャネルに連続的に分配することを含み、その場合、コアのセグメント間の繊維をシェル材料が塞ぐ。別の実施形態では、この方法は、同軸マイクロ流体デバイスまたはマルチシェルプリントヘッドのコアチャネルを介して第1のコア材料と第2のコア材料を交互に分配する一方、少なくとも1つのシェルチャネルを介して免疫防御架橋性材料を継続的に分配することを含み、第1または第2のコア材料の一方は、生体材料を、好ましくは生体適合性材料中に含み、それによってコア材料が繊維の長さに沿って交互に生体材料のセグメント/区画を形成する。いくつかの実施形態では、第1のコア材料及び第2のコア材料は、同じ生体適合性材料を含む。実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御的及び/または血管形成促進性である。
いくつかの実施形態では、生体材料は、関心対象の生体活性物質、例えば、治療用タンパク質/ペプチド、核酸、または細胞外小胞を産生/分泌する細胞集団を含む。いくつかの例では、細胞集団は、膵臓、肝臓、甲状腺、副甲状腺、松果体、下垂体、胸腺、副腎、卵巣、精巣、腸内分泌細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、または関心対象の生体活性物質を分泌するように改変された細胞からなる群から選択される内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞を含む。いくつかの例では、細胞集団は、治療用タンパク質または核酸を含有するエキソソームの形態で細胞由来細胞外小胞を放出する。いくつかの例では、生体適合性材料は、アルギン酸塩、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、PEG、PEGDA、及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、GEL-MA、絹、キトサン、セルロース、POEGMA、自己集合ペプチドヒドロゲル、及び/または官能化アルギン酸塩から選択される。官能化アルギン酸塩の例としては、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートヒドラジド、RGD-アルギネート、YIGSR-アルギネート、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、バイオプリントされた選択的透過性繊維の少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御的及び/または血管形成促進性である。いくつかの実施形態では、免疫防御材料を含む外側シェル層は、次に、血管形成促進材料を含む外側シェル層によって包囲される。いくつかの例では、免疫防御材料は、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEG、PEGDA及び他の官能化PEG(PEGTA及びPEFOAなどのマルチアームPEGアクリレート、ならびに他のPEG系材料)、POEGMA、PLL、トリアゾール、ならびにこれらの組み合わせから選択される。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩を含む。官能化アルギン酸塩は、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートヒドラジド、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、アクリレート化された双性イオン性モノマー(SBMA)及び/またはPEGDAを含むか、またはさらに含む。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、官能化アルギン酸塩またはPEG(例えば、アルギン酸マレイミドまたはPEG-マレイミド)を有する官能化ヒアルロン酸(例えばチオール化HA)を含むか、またはさらに含む。いくつかの例では、血管形成促進性材料は、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、ヒアルロン酸などから選択される。
いくつかの実施形態では、この方法は、選択的透過性繊維をインサイドアウトから架橋するように、1種以上の架橋剤を、コアチャネルを通して生体適合性材料と同時に分配することをさらに含む。いくつかの実施形態では、選択的透過性組織繊維の製造方法は、選択的透過性繊維をアウトサイドインから架橋するように、シースチャネルを通して1つ以上の架橋材料を含む1つ以上のシース流体を分配することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、選択的透過性組織繊維の直径は、約2.0mm~0.2mm、より好ましくは約1.5mm~0.5mm、最も好ましくは約1.1mm~0.8mmである。
いくつかの実施形態では、前記固体コアの直径は、約1.98mm~0.18mm、より好ましくは約1.48mm~0.48mm、最も好ましくは約0.9mm~0.5mmである。
いくつかの実施形態では、前記免疫防御外側シェル層の厚さは、約0.01mm~0.3mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、最も好ましくは約0.05mm~0.15mmである。
別の態様では、関心対象の生物学的物質を産生/分泌するための方法を提供し、その方法は、1つ以上の前述のバイオプリントされた選択的透過性繊維を、それを必要とする患者を含むin vitroまたはin vivoで培養することを含み、選択的透過性繊維は、バイオプリント繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化された関心対象の生体活性物質を産生/分泌することができる生体材料を含み、及び/または前記繊維(複数可)の外側シェル層が免疫防御性である。
アルギン酸塩のメタクリル化のための反応スキームを示す。 双性イオン性モノマー(例えば、スルホベタイン・メタクリレート(SBMA))及びポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の化学構造を示し、また、ペンダント双性イオン基を有する架橋ヒドロゲルのネットワークを生じさせるSBMAとPEGDAとの光架橋を示す。 実施形態による、例示的な繊維アーキテクチャ及び繊維間接着をもたらす架橋戦略を示す。 実施形態による、クリックケミストリーを介してヒドロゲル材料を架橋可能な双性イオン性ポリマーの化学構造を示す。 開示される酸素輸送解析モデルのための繊維形状を示す。コア-シェル(A)繊維及びコア-環-シェル(D)繊維の代表的な例を示す。限定された繊維体積中に異なるサイズの多数の細胞(すなわち、膵島)を含有するこれらのアルギン酸塩繊維の形状を、膵島体積が平均細胞体積分率ε(C、F)で均一に分布している細胞領域(B、E)に単純化した。 開示される酸素輸送解析モデルのための繊維形状を示す。コア-シェル(A)繊維及びコア-環-シェル(D)繊維の代表的な例を示す。限定された繊維体積中に異なるサイズの多数の細胞(すなわち、膵島)を含有するこれらのアルギン酸塩繊維の形状を、膵島体積が平均細胞体積分率ε(C、F)で均一に分布している細胞領域(B、E)に単純化した。 開示される酸素輸送解析モデルのための繊維形状を示す。コア-シェル(A)繊維及びコア-環-シェル(D)繊維の代表的な例を示す。限定された繊維体積中に異なるサイズの多数の細胞(すなわち、膵島)を含有するこれらのアルギン酸塩繊維の形状を、膵島体積が平均細胞体積分率ε(C、F)で均一に分布している細胞領域(B、E)に単純化した。 開示される酸素輸送解析モデルのための繊維形状を示す。コア-シェル(A)繊維及びコア-環-シェル(D)繊維の代表的な例を示す。限定された繊維体積中に異なるサイズの多数の細胞(すなわち、膵島)を含有するこれらのアルギン酸塩繊維の形状を、膵島体積が平均細胞体積分率ε(C、F)で均一に分布している細胞領域(B、E)に単純化した。 開示される酸素輸送解析モデルのための繊維形状を示す。コア-シェル(A)繊維及びコア-環-シェル(D)繊維の代表的な例を示す。限定された繊維体積中に異なるサイズの多数の細胞(すなわち、膵島)を含有するこれらのアルギン酸塩繊維の形状を、膵島体積が平均細胞体積分率ε(C、F)で均一に分布している細胞領域(B、E)に単純化した。 開示された酸素輸送モデルの繊維断面を示す。酸素制限の非存在下(A、B)及び存在下(C、D)で示される、コア-シェル繊維(A、C)及びコア-環-シェル繊維(B、D)の模式的な断面図を示す。封入された材料を緑色で示し、酸素化された細胞層及び酸素化されていない細胞層を、それぞれ赤色及び灰色で示す。R、R、及びRで示される繊維の寸法は、繊維、細胞領域、及び無細胞コアの半径に対応する。繊維周囲の酸素分圧、及び細胞死滅時の酸素分圧を、P及びPによって示す。酸素制限が存在する場合には、無酸素細胞層の半径方向の境界(r)を繰り返し計算した。 開示されるインスリン分泌速度モデルの繊維断面を示す。酸素制限の非存在下(A、B)及び存在下(C、D)で示されるコア-シェル繊維(A、C)及びコア-環-シェル繊維(B、D)の断面を示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。R、R、及びRで示される繊維の寸法は、繊維、細胞領域、及び無細胞コアの半径に対応する。繊維周囲の酸素分圧、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧、及び細胞死滅時の酸素分圧を、P、P及びPによって示す。適用可能な場合には、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の半径方向境界(r)及び無酸素細胞層の半径方向境界(r)を繰り返し計算した。 完全酸素化及び最大インスリン分泌速度シナリオの繊維断面を示す。最大インスリン分泌速度を有する細胞領域(A、B)または完全に酸素化された細胞領域(C、D)になるように調整された細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル繊維(B、D、F)の断面図を示す。細胞体積分率を増加させると、完全酸素化された細胞領域の最大εを上回り、無酸素細胞層が形成される(E、F)。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。R、R、及びRで示される繊維の寸法は、繊維、細胞領域、及び無細胞コアの半径に対応する。繊維周囲の酸素分圧、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧、及び細胞死滅時の酸素分圧を、P、P及びPによって示す。適用可能な場合には、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の半径方向境界(r)及び無酸素細胞層の半径方向境界(r)を繰り返し計算した。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論酸素化を示す。式7~9(以下の実施例1を参照のこと)を解いて、様々なレベルの細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル(B、D)繊維についての酸素プロファイルを計算した。コア-シェル形状を有する繊維は、細胞領域のコアの半径が350-μmであり、コア-環-シェル繊維は、厚さ200μmの細胞領域で囲まれた非細胞コアの半径が150-μmであった。これらのパネルでは、橙色の破線は、準最大インスリン分泌量を有する細胞層の存在を示す。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論酸素化を示す。式7~9(以下の実施例1を参照のこと)を解いて、様々なレベルの細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル(B、D)繊維についての酸素プロファイルを計算した。コア-シェル形状を有する繊維は、細胞領域のコアの半径が350-μmであり、コア-環-シェル繊維は、厚さ200μmの細胞領域で囲まれた非細胞コアの半径が150-μmであった。これらのパネルでは、橙色の破線は、準最大インスリン分泌量を有する細胞層の存在を示す。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論酸素化を示す。式7~9(以下の実施例1を参照のこと)を解いて、様々なレベルの細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル(B、D)繊維についての酸素プロファイルを計算した。コア-シェル形状を有する繊維は、細胞領域のコアの半径が350-μmであり、コア-環-シェル繊維は、厚さ200μmの細胞領域で囲まれた非細胞コアの半径が150-μmであった。これらのパネルでは、橙色の破線は、準最大インスリン分泌量を有する細胞層の存在を示す。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論酸素化を示す。式7~9(以下の実施例1を参照のこと)を解いて、様々なレベルの細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル(B、D)繊維についての酸素プロファイルを計算した。コア-シェル形状を有する繊維は、細胞領域のコアの半径が350-μmであり、コア-環-シェル繊維は、厚さ200μmの細胞領域で囲まれた非細胞コアの半径が150-μmであった。これらのパネルでは、橙色の破線は、準最大インスリン分泌量を有する細胞層の存在を示す。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論酸素化を示す。式7~9(以下の実施例1を参照のこと)を解いて、様々なレベルの細胞体積分率εを有するコア-シェル繊維(A、C、E)及びコア-環-シェル(B、D)繊維についての酸素プロファイルを計算した。コア-シェル形状を有する繊維は、細胞領域のコアの半径が350-μmであり、コア-環-シェル繊維は、厚さ200μmの細胞領域で囲まれた非細胞コアの半径が150-μmであった。これらのパネルでは、橙色の破線は、準最大インスリン分泌量を有する細胞層の存在を示す。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論的インスリン分泌速度を示す。各繊維についての細胞負荷率(A)。同じ繊維について(B)、ならびに最大インスリン分泌速度が得られるように調整した様々な細胞領域厚さ及び細胞体積分率εを有するコア-環-シェル繊維について(C)の分泌能力。酸素プロファイルを式11~16(以下の実施例1を参照のこと)で使用して、繊維断面におけるインスリン分泌速度を推定した。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論的インスリン分泌速度を示す。各繊維についての細胞負荷率(A)。同じ繊維について(B)、ならびに最大インスリン分泌速度が得られるように調整した様々な細胞領域厚さ及び細胞体積分率εを有するコア-環-シェル繊維について(C)の分泌能力。酸素プロファイルを式11~16(以下の実施例1を参照のこと)で使用して、繊維断面におけるインスリン分泌速度を推定した。 40mmHgに曝露した150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の理論的インスリン分泌速度を示す。各繊維についての細胞負荷率(A)。同じ繊維について(B)、ならびに最大インスリン分泌速度が得られるように調整した様々な細胞領域厚さ及び細胞体積分率εを有するコア-環-シェル繊維について(C)の分泌能力。酸素プロファイルを式11~16(以下の実施例1を参照のこと)で使用して、繊維断面におけるインスリン分泌速度を推定した。 感度分析の結果を繊維断面に変換する際に使用するためのキーを示しており、図12A~図13Dと共に使用することに関連している。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 酸素輸送及びインスリン分泌速度モデルで使用するパラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する1mmのコア-環-シェル繊維について、細胞層の半径方向の境界をもたらす酸素プロファイルを取得し、一方、多様なモデルパラメータの値を文献から取得し、表2に示す。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。インプラント表面での酸素分圧P(A)、最大インスリン分泌速度に必要とされる酸素分圧P(B)、及び細胞が死に至る酸素分圧P(C)、細胞の最大酸素消費率Vmax(D)、細胞内の酸素の拡散係数(αD)細胞(E)、ならびにアルギン酸ヒドロゲルにおける(αD)及び(αD)c,2の平均(F)の値の増加/減少の影響。 繊維パラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する一方で様々な繊維パラメータを有する1mmコア-環-シェル繊維について、酸素プロファイル及びそれによって得られる細胞層の半径方向の境界を取得した。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。細胞体積分率ε(A)、一定のRを有するシェル厚さ(B)、一定の環面積
Figure 2024521167000002
を有する無細胞コア半径R(C)、及び一定の環厚さR-R(D)の増加/減少の影響。
繊維パラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する一方で様々な繊維パラメータを有する1mmコア-環-シェル繊維について、酸素プロファイル及びそれによって得られる細胞層の半径方向の境界を取得した。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。細胞体積分率ε(A)、一定のRを有するシェル厚さ(B)、一定の環面積
Figure 2024521167000003
を有する無細胞コア半径R(C)、及び一定の環厚さR-R(D)の増加/減少の影響。
繊維パラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する一方で様々な繊維パラメータを有する1mmコア-環-シェル繊維について、酸素プロファイル及びそれによって得られる細胞層の半径方向の境界を取得した。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。細胞体積分率ε(A)、一定のRを有するシェル厚さ(B)、一定の環面積
Figure 2024521167000004
を有する無細胞コア半径R(C)、及び一定の環厚さR-R(D)の増加/減少の影響。
繊維パラメータの感度分析を示す。細胞体積分率ε=22.4%(すべてのパネルの破線)を有する一方で様々な繊維パラメータを有する1mmコア-環-シェル繊維について、酸素プロファイル及びそれによって得られる細胞層の半径方向の境界を取得した。封入材料を緑色で示し、最大及び準最大インスリン分泌速度を有する細胞層をそれぞれ赤色及び橙色で示し、無酸素細胞層を灰色で示す。細胞体積分率ε(A)、一定のRを有するシェル厚さ(B)、一定の環面積
Figure 2024521167000005
を有する無細胞コア半径R(C)、及び一定の環厚さR-R(D)の増加/減少の影響。
本開示の解析モデルで使用される固体コア単一シェル繊維の実際の画像及び簡略化された形状を示す。 本開示の環状繊維についての簡略化された形状の異なる図を示す。 本開示の環状繊維のいくつかのモデルにおいて使用されるモデルパラメータに関する様々な仮定を有する表である。 球状及び円筒状の形状から構成されるデバイスの酸素プロファイリングモデルからの例示的な出力を示す。 図17Aに示す出力を取得するために使用するデバイスの寸法を示す。 球状及び円筒状の形状から構成されるデバイスからの出力(図17A)の上に重ねられた、本開示の環状デバイスについての酸素プロファイリングモデルからの例示的な出力を示す。 図18Aに示す環状デバイスについての酸素プロファイリングモデルからの出力を取得するために使用するデバイスの寸法を示す。 本開示の2つの他の環状デバイスについての酸素プロファイリングモデルからの例示的な出力を示す。 図19Aに示す環状デバイスについての酸素プロファイリングモデルからの出力を取得するために使用するデバイスの寸法を示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された酸素分圧(A、D、G)、及び様々な環状デバイスに関する半径方向距離の関数としてのモデル化された局所インスリン分泌(%最大値)(B、E、H)を示す。様々なデバイスのためのパラメータを、C、F、及びIに示す。 Cに示すパラメータを有する様々なデバイスについてのBの一般的な繊維構造に基づく、環・コア界面における外部シェル厚の関数としてのモデル化された酸素分圧(A)を示す。 Cに示すパラメータを有する様々なデバイスについてのBの一般的な繊維構造に基づく、環・コア界面における外部シェル厚の関数としてのモデル化された酸素分圧(A)を示す。 Cに示すパラメータを有する様々なデバイスについてのBの一般的な繊維構造に基づく、環・コア界面における外部シェル厚の関数としてのモデル化された酸素分圧(A)を示す。 本開示のO移動及びインスリン分泌速度モデルのシナリオを示す。最大インスリン分泌速度(図22A)、完全酸素化コア(図22B)、及び内部無酸素領域(図22C)の模式図を示す。 図22A~22Cに関して論じた解析モデルから導出されたコア-シェル繊維における酸素化及びインスリン分泌速度を示すグラフである。完全酸化層(黒)及びインスリン最大分泌速度を有する層(赤)の断面積への体積細胞分率(A)及びシェル厚(B)の影響を示す。Bの破線は、FITC-デキストラン繊維を示す。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 コア-シェル繊維からのFITC-デキストラン放出に対応するデータを示す。Aは、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストランを示す(n=3)。B~Eは、4kDa(B)、70kDa(C)、100kDa(D)、及び250kDa(E)についての実際の放出特性を示す。Fは、分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフである。 図22A~図23Bに関して論じたモデルパラメータの一時一事法による感度分析を示すグラフである。酸素化層上での膵島酸素消費速度の値(A)及びアルギン酸塩ヒドロゲル中の酸素の有効拡散率(B)における不確定性の効果を示す。 図22A~図23Bに関して論じたモデルパラメータの一時一事法による感度分析を示すグラフである。酸素化層上での膵島酸素消費速度の値(A)及びアルギン酸塩ヒドロゲル中の酸素の有効拡散率(B)における不確定性の効果を示す。 SLG100に対する双性イオン性アルギン酸塩の様々な比を有する、C/S繊維においてプリントされたMin6クラスタのおよそ1か月後のプリント後の引張強度及び機械的強度の減少率を示すグラフである。 図26Aに示したデータを取得するために使用する繊維の明視野画像である。 図26Aに示したデータを取得するために使用する繊維の明視野画像である。 図26Aに示したデータを取得するために使用する繊維の明視野画像である。 図26Aに示したデータを取得するために使用する繊維の明視野画像である。 コア中に1.5%SLG及び様々なシェル材料、具体的にはSLG100アルギン酸塩を含有するコアシェル(C/S繊維)について、24時間での初代ヒト膵島(PHI)の生死判定画像を示す。 コア中に1.5%SLG及び様々なシェル材料、具体的には高純度双性イオン性アルギン酸塩(UBC)を含有するコアシェル(C/S繊維)について、24時間での初代ヒト膵島(PHI)の生死判定画像を示す。 コア中に1.5%SLG及び様々なシェル材料、具体的には高純度双性イオン性アルギン酸塩(社内)を含有するコアシェル(C/S繊維)について、24時間での初代ヒト膵島(PHI)の生死判定画像を示す。 コア中に1.5%SLG及び様々なシェル材料、具体的にはDMAPS-Ald/ヒドラジドDMAPS-Hzdを含有するコアシェル(C/S繊維)について、24時間での初代ヒト膵島(PHI)の生死判定画像を示す。 プリント後7日目における、図27Aと同じ繊維のPHIの生死判定画像を示す。具体的には、シェル材料は、SLG100を含んでいた。 プリント後7日目における、図27Bと同じ繊維のPHIの生死判定画像を示す。具体的には、シェル材料は、高純度双性イオン性アルギン酸塩(UBC)を含んでいた。 プリント後7日目における、図27Cと同じ繊維のPHIの生死判定画像を示す。具体的には、シェル材料は、高純度双性イオン性アルギン酸塩(社内)を含んでいた。 プリント後7日目における、図27Dと同じ繊維のPHIの生死判定画像を示す。具体的には、シェル材料は、DMAPS-Ald/ヒドラジドDMAPS-Hzdを含んでいた。 架橋されたオンチップの特定の組成物から構成される繊維のF-F接着の評価を示す。 試験するパターン化構造の画像を示している。 図28Bのパターン化構造の繊維の高解像度画像を示している。 プリント後に架橋された特定の組成物から構成される繊維のF-F接着の評価を示す。 試験するパターン化構造の画像を示している。 図28Eのパターン化構造の繊維の高解像度画像を示している。 本明細書に開示するインサイドアウト(I-O)架橋法(G)及びアウトサイドイン(O-I)架橋によって架橋された繊維(H)と、I-O架橋法によって架橋された繊維(I)との比較を示す。 本明細書に開示するインサイドアウト(I-O)架橋法(G)及びアウトサイドイン(O-I)架橋によって架橋された繊維(H)と、I-O架橋法によって架橋された繊維(I)との比較を示す。 本明細書に開示するインサイドアウト(I-O)架橋法(G)及びアウトサイドイン(O-I)架橋によって架橋された繊維(H)と、I-O架橋法によって架橋された繊維(I)との比較を示す。 固体コア、単一シェル繊維(C/S)を健康なC57BL/6マウスに移植した、マウス由来の基礎cペプチド血漿レベルを示すグラフを示す。 PHI細胞を含み、様々な比の双性イオン性アルギン酸塩から構成されるC/S繊維を、免疫応答性糖尿病マウスへ移植した後の日数の関数としての血糖値を示すグラフである。 PHI細胞を含み、様々な比の双性イオン性アルギン酸塩から構成されるC/S繊維を、免疫応答性糖尿病マウスへ移植した後の日数の関数としての血糖値を示すグラフである。 PHI細胞を含み、様々な比の双性イオン性アルギン酸塩から構成されるC/S繊維を、免疫応答性糖尿病マウスへ移植した後の日数の関数としての血糖値を示すグラフである。 免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスにおけるバイオプリントC/Sヒト島繊維の移植後の腹腔内糖負荷試験後の血糖値を時間の関数として示すグラフである。 免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスにおけるバイオプリントC/Sヒト島繊維の移植後の腹腔内糖負荷試験後の血糖値を時間の関数として示すグラフである。 グルコース注入後のcペプチドレベルに関するバイオプリントC/Sヒト膵島繊維を移植した3つの代表的な免疫応答性糖尿病C57BL/6マウス由来のデータを示すグラフである。 グルコース注入後のcペプチドレベルに関するバイオプリントC/Sヒト膵島繊維を移植した3つの代表的な免疫応答性糖尿病C57BL/6マウス由来のデータを示すグラフである。 3つの代表的な免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスから回収されたバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の生死判定染色画像である。 3つの代表的な免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスから回収されたバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の生死判定染色画像である。 3つの代表的な免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスから回収されたバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の生死判定染色画像である。 免疫不全糖尿病マウスにおけるC/Sヒト膵島繊維の移植後の日の関数としてのグルコースレベルのグラフを示す。 免疫不全糖尿病マウスにおけるC/Sヒト膵島繊維の移植後の日の関数としてのグルコースレベルのグラフを示す。 免疫不全糖尿病マウスへのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の移植後36日目及び39日目(A~B)ならびに82日目及び85日目(C~D)に開始した糖負荷試験後の時間の関数としてのグルコースレベルを示すグラフを示す。 免疫不全糖尿病マウスへのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の移植後36日目及び39日目(A~B)ならびに82日目及び85日目(C~D)に開始した糖負荷試験後の時間の関数としてのグルコースレベルを示すグラフを示す。 免疫不全糖尿病マウスへのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の移植後36日目及び39日目(A~B)ならびに82日目及び85日目(C~D)に開始した糖負荷試験後の時間の関数としてのグルコースレベルを示すグラフを示す。 免疫不全糖尿病マウスへのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維の移植後36日目及び39日目(A~B)ならびに82日目及び85日目(C~D)に開始した糖負荷試験後の時間の関数としてのグルコースレベルを示すグラフを示す。 C/Sヒト膵島繊維を移植した免疫不全糖尿病マウスから得られた、移植前、移植後72日目及び移植後90日目(OGTT後)のcペプチド測定値を示すグラフである。 C/Sヒト膵島繊維を移植した免疫不全糖尿病マウスから得られた、移植前、移植後72日目及び移植後90日目(OGTT後)のcペプチド測定値を示すグラフである。 移植後72日目及び88日目に免疫不全糖尿病マウスから回収した繊維デバイス上で実施した生死判定染色を示す。 ヒト初代膵島の細胞凝集体を含有する環状層を有するプリントされた環状繊維を示す。 初代ヒト肝細胞(PHH)を含有する環状層を有する環状繊維の画像を示す。Bは、様々な層を画定するための参照円を含む。 本開示のコアシェル繊維と比較した、環状繊維の生存率及び機能性を示すデータを示す。プリント後の様々な時点でのコアシェル及び環状繊維の生死判定染色画像を示す。 本開示のコアシェル繊維と比較した、環状繊維の生存率及び機能性を示すデータを示す。環状繊維に対するコアシェル繊維の様々な時点におけるalamar blue蛍光強度を示すグラフである。 本開示のコアシェル繊維と比較した、環状繊維の生存率及び機能性を示すデータを示す。環状繊維に対するコアシェル繊維のアルブミン産生(ng/百万細胞/日)を示すグラフである。 本開示のコアシェル繊維と比較した、環状繊維の生存率及び機能性を示すデータを示す。環状繊維に対するコアシェル繊維の尿素産生(μg/百万細胞/日)を示すグラフである。 本開示の繊維のセグメント化に関する材料スイッチングの例を示す。本開示の一実施形態におけるコア-シェル繊維の図である。 本開示の繊維のセグメント化に関する材料スイッチングの例を示す。2つの異なるシェル材料を有する繊維を示す。 本開示の繊維のセグメント化に関する材料スイッチングの例を示す。2つの異なるコア材料を有する繊維を示す。
細胞を封入することによって、従来の細胞置換療法に伴う生涯にわたる免疫抑制の必要性を軽減または排除することができる。封入された細胞は、受動拡散によって酸素化され、通常は酸素濃度が比較的低い部位に移植されるため、細胞の生存率と機能を維持するには適切な酸素拡散を確保することが重要である。本発明では、多層の細胞を含む繊維を提供し、その場合、細胞含有層が、2つの無細胞層の間に狭窄され、すなわち、固体コアから環状層へと放射状に変位する。従来のコア-シェル繊維と比較した酸素移動モデリングに基づいて好ましい形状を提供し、感度分析により、モデルパラメータ及び繊維の寸法の変動が、封入された細胞の酸素プロファイル及びその分泌速度に及ぼす影響を示す。驚くべきことに、本明細書でさらに示すように、本発明はまた、封入された細胞の分泌能力を損なうことなく、及び/または封入された細胞の無酸素状態を誘発することなく、細胞負荷容量を増加させることができる。
本発明の態様は、固体、すなわち中空ではないコアと、コアを包囲する1つ以上のシェル層とを有する、バイオプリントされた選択的透過性繊維を含む組成物を含み、この繊維は、関心対象の生体活性物質、例えば、固体コアと外側シェル層の間の環状層に埋め込まれた治療用タンパク質または核酸を産生及び/または分泌することができる少なくとも1つの生体材料を含む。いくつかの実施形態では、生体材料は、繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化されている。いくつかの実施形態では、繊維の最も外側のシェルは、免疫防御性及び/または血管形成促進性であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの免疫防御層が環状層を包囲し、少なくとも1つの血管形成促進層が前記少なくとも1つの免疫防御層を包囲する。
いくつかの実施形態では、バイオプリント繊維のコアは、少なくとも1つの生体材料を含んでいてもよく、コアは、単一のシェル層によって包囲されていてもよい。そのような例では、単一のシェル層は、免疫防御ヒドロゲル材料及び/または血管形成促進性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コアは、少なくとも1つの生体材料を含んでいてもよく、コアは、免疫防御ヒドロゲル層によって包囲されていてもよく、これが次に血管形成促進層によって包囲される。
いくつかの実施形態では、バイオプリント繊維のコアは、生体材料を含んでいなくてもよく、コアは、複数のシェル層によって包囲されていてもよい。そのような例では、細胞層(すなわち環状層)を含む内部層は、例えば、コアと少なくとも1つの外側シェル層との間に挟まれていてもよい。そのような例では、少なくとも1つの外側シェル層は、免疫防御ヒドロゲル材料及び/または血管形成促進性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、環状層は、免疫防御層によって包囲されていてもよく、これが次に血管形成促進層によって包囲される。任意選択で、いくつかの実施形態では、コアは、強化のための、周囲の層に比べてより高い引張強度及び/または弾性率の材料を含まない場合がある。
本明細書に記載のさらなる実施形態では、(例えば、免疫エフェクター細胞による)繊維損傷または他の破裂が生じた場合に全体の細胞損失が低減されるように、繊維の長さに沿って生体適合性材料(複数可)をセグメント化/区画化してもよい。いくつかの実施形態では、バイオプリント繊維のコアは、関心対象の生体活性物質(複数可)を産生することができる少なくとも1つの生体材料を含む。いくつかの実施形態では、コアは生体材料を含まず、繊維はさらに、関心対象の生体活性物質を産生することができる少なくとも1つの生体材料を含むコアを包囲する少なくとも1つの内部環状層を含む。例えば、コアが生体材料を含む場合、コアは、繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化された少なくとも1つの生体材料を含み得る。例では、コアは連続的であってもよく、生体材料はセグメント化/区画化されていてもよい。環状層を含む実施形態では、環状層は連続的であってもよく、その中の生体材料はセグメント化/区画化されていてもよい。
定義:
本明細書を解釈する目的のために、以下の定義を適用するが、適当と認められる場合には、単数形で用いられる用語はその複数形も含み、逆もまた同様である。記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合には、下記に記載される定義が優先されるものとする。
本明細書中で「細胞」、「細胞株」、「細胞培養」または「細胞集団」または「細胞の集団」に言及する場合、用語「単離された」とは、生細胞、細胞株、細胞培養、細胞集団、または細胞の集団がin vitroで長期間にわたって培養できるように、細胞の供給源から実質的に分離されていることを指す。さらに、用語「単離する」とは、2つ以上の細胞群から1つ以上の細胞を物理的に選択することを指すために使用することができ、その場合、細胞は、細胞形態及び/または様々なマーカーの発現に基づいて選択される。
本明細書中で使用される用語「変位」とは、第1の材料または流体が、第2の材料または流体を所与の位置から移動させる能力を指す。例えば、いくつかの実施形態では、緩衝液は、投入材料を分注チャネル内の位置から(例えば分注チャネルの近位端から)変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、変位は、約1秒未満、例えば約900、800、700、600、500、400、300、200、または100ミリ秒以下で起こる瞬間的な変位である。
本明細書で使用される用語「固化」とは、堆積時にその形状忠実度及び構造的完全性を維持する材料の固体状態または半固体状態を指す。本明細書で使用される用語「形状忠実度」とは、材料が、著しく広がることなくその三次元形状を維持する能力を意味する。いくつかの実施形態では、固化材料は、約30秒以上、例えば約1、10、または30分以上、例えば約1、10、24、または48時間以上の期間にわたり、その三次元形状を維持する能力を有するものである。本明細書で使用される用語「構造的完全性」とは、材料が、破損または屈曲に抵抗しながら、自重を含む荷重下で結合状態を保つ能力を意味する。
いくつかの実施形態では、固化組成物は、約5、10、15、20、または25キロパスカル(kPa)より大きい、より好ましくは約30、40、50、60、70、80、または90kPaより大きい、さらにより好ましくは約100、110、120、または130kPaより大きい弾性率を有するものである。好ましい弾性率の範囲としては、約5、10、15、20、25、または50Paから、約80、100、120、または140kPaまでが挙げられる。主題の発明によれば、投入材料の弾性率は、投入材料の意図する機能に応じて、有利に変化させることができる。いくつかの実施形態では、細胞の成長及び移動を支援するために、より低い弾性率が使用され、他の実施形態では、はるかに高い弾性率が使用され得る。いくつかの実施形態では、弾性率は、繊維内の異なる層の間で変動し得る。例示的な実施形態では、繊維のコアは、比較的高い弾性率を有していてもよく、内部細胞層は、コアよりも低い弾性率を有していてもよく、外部シェルは、FBRを低減するためにさらに低くてもよい。
本明細書で使用される用語「ヒドロゲル」とは、水と、親水性であるポリマー鎖のネットワークまたは格子とを含む組成物を指す。
本明細書で使用される用語「シース流体」または「シース液」とは、材料が流体チャネルを通過する時に材料を包むまたは「シース」するために少なくとも部分的に使用される流体を指す。いくつかの実施形態では、シース流体は、水性溶媒、例えば水またはグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、シース流体は、化学架橋剤を含む。架橋剤の非限定的な例としては、二価カチオン(例えばCa2+、Ba2+、Sr2+など)、トロンビン、及び重曹などのpH調整化学物質が挙げられる。
本明細書で使用される用語「セグメント化/区画化」とは、本明細書に開示される繊維のコア層または細胞層に含まれる生体材料の不連続的な性質を指し、例えば、繊維の長さに沿った生体材料の堆積における意図的なギャップが存在する。そのようなセグメント/区画の間の間隔(例えば長さ)は、規則的であってもよく(例えば、生体材料の領域間のほぼ同じ間隔)、または間隔は異なっていてもよい。生体材料の領域は、いくつかの実施形態では、長さに関してほぼ同じであっても、または異なっていてもよい。繊維の長さに沿った異なるセグメント/区画内の細胞密度は、異なるセグメント/区画間で同じであっても異なっていてもよい。
本明細書で使用される用語「選択的透過性」とは、一部の分子またはイオンの通過を可能にする一方で他の分子またはイオンの通過を防止する、本開示の繊維のコア層及び/またはシェル層の性質を指す。いくつかの実施形態では、選択的透過性の性質は、より大きな分子種を排除するために、より小さな分子種の通過を可能にする。
本明細書で使用される用語「固体コア」とは、特定の材料(例えば、化学架橋剤によって架橋可能なヒドロゲル)から構成され、それによってコアが繊維の全長に沿って内腔を含まない、本開示の繊維のコアを指す。本開示の固体コアは特定の流体、分子及び/またはイオン種のコア全体の通過を可能にし得るため、この用語は、その長さに沿って完全に透過不可能なコアを指すことを意図するものではない。
本明細書で使用される用語「環状繊維」とは、固体コア、及び固体コアを包囲する1つ以上のシェル層から構成される繊維を指す。実施形態では、環状繊維のコアは、第1の内部シェル及び第2の外部シェルによって包囲されるが、より多くのシェル(例えば、3、4、5、またはそれ以上)を有する繊維が本開示の環状繊維の定義に含まれる。コアが第1の内部シェル及び第2の外部シェルによって包囲される実施形態では、第1の内部シェルは、生体材料、例えば細胞集団を含んでいてもよく、第2の外部シェルは、免疫防御層及び/または血管形成促進層を含んでいてもよい。コアを包囲する2つを上回るシェル層を有する実施形態では、コアを包囲する環状層は、生体材料を含んでいてもよく、免疫防御層は、環状層を包囲していてもよく、血管促進層は、免疫防御層を包囲していてもよい。実施形態では、生体材料は、生体材料を含む特定のシェル層(複数可)の長さに沿ってセグメント化/区画化される。
本明細書で使用する場合、用語「生体適合性材料」とは、細胞を含むがこれに限定されない生体材料が、前記生体適合性材料に組み込まれ、及び/または接触することができる材料を指し、前記生体適合性材料が1つ以上の機能(例えば、生体関連分子種の分泌、アゴニスト/受容体結合、シグナル伝達などを含むがこれらに限定されない細胞機能)を実行する生体材料の能力に対する有害作用を示さない。本明細書に開示される生体適合性材料の例としては、アルギン酸塩、官能化アルギン酸塩(例えば、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩)、コラーゲン、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、フィブリン、ゼラチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ヒアルロン酸(HA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGDA及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、ゼラチンメタクリロイル(GEL-MA)、絹、キトサン、セルロース、ポリオリゴ(エチレングリコール)メチルメタクリレートエーテル(POEGMA)、自己集合ペプチドヒドロゲル、またはそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「官能化アルギン酸塩」とは、本開示の繊維の製造において有利な1つ以上の特性を含むように化学的に修飾されたアルギン酸塩を指す。官能化アルギン酸塩の例としては、メタクリル化アルギネート、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、RGD-アルギネート、YIGSR-アルギネート、及び共有結合性クリックアルギネート(例えば、DMAPS-Ald及び/またはDMAPS-Hzdとブレンドされたアルギン酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「免疫防御性」とは、広義には、体内(例えば哺乳類体内)への繊維の埋込み時の繊維の免疫細胞侵入を含む、例えば、宿主免疫応答を低減、防止、または排除するのに役立つ本開示の繊維の設計態様を指す。いくつかの実施形態では、本開示の外側シェル層は、任意の細胞材料も含まなくてよい。いくつかの実施形態では、外側シェル層は、ヒドロゲル材料、例えば、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEG、PEDGA、マルチアームPEGアクリレート(PEGTA及びPEFOA)(及び他のPEG系材料)、POEGMA、メタクリレート化ヒアルロン酸、チオール化ヒアルロン酸、DMAPS-Ald、DMAPS-Hzd、ポリ-L-リジン(PLL)、トリアゾール(Qingsheng et al.,Biomaterials.2020;230:119640)、などのうちの1つ以上を含むヒドロゲル材料から構成されていてもよい。いくつかの例では、免疫防御ヒドロゲル材料は、例えば、官能化アルギン酸塩を含み得る。
本明細書で使用される用語「血管形成促進性」とは、広義で、本開示の繊維の中及び/または周りに血管を成長させることを促進する役割を果たす本開示の繊維の設計態様を指す。血管新生促進材料は、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、ヒアルロン酸(HA)などを含むがこれらに限定されない生分解性材料を含み得る。
本明細書で使用される用語「薬剤」とは、任意のタンパク質、核酸分子(化学的に修飾された核酸分子を含む)、抗体、小分子、有機化合物、無機化合物、または他の関心対象の分子を指す。薬剤は、生体関連物質、治療薬、診断薬、または医薬品を含み得る。治療薬または医薬品とは、単独でまたは追加の化合物と一緒に、本開示と一致する様式で対象に投与した場合に所望の応答を誘発する(例えば、治療効果または予防効果を誘発する)薬剤である。生体関連物質は、別の生物学的プロセスを支援する、例えば細胞の生存率を支援する物質である。
投入材料:
本発明の態様は、繊維構造をプリントするために使用され得る投入材料を含む。いくつかの実施形態では、投入材料は、ヒドロゲルを含む。ヒドロゲルの非限定的な例としては、アルギン酸塩、アガロース、コラーゲン、フィブリノーゲン、ゼラチン、キトサン、ヒアルロン酸系ゲル、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。様々な合成ヒドロゲルが知られており、本明細書で提供される系及び方法の実施形態で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲルは、プリントされる三次元構造の構造的基礎の少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、1種以上の細胞型の成長及び/または増殖を支援する能力を有し、1つ以上の細胞型は、ヒドロゲル内に分散され得るか、または三次元構成でプリントされた後にヒドロゲルに添加され得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、化学架橋剤により架橋可能である。例えば、アルギン酸塩を含むヒドロゲルは、二価カチオンの存在下で架橋可能であり得、キトサンを含むヒドロゲルは、トリポリリン酸ナトリウム(STP)などの多価アニオンを使用して架橋され得、フィブリノーゲンを含むヒドロゲルは、トロンビンなどの酵素の存在下で架橋可能であり得、コラーゲン、ゼラチン、アガロース、またはキトサンを含むヒドロゲルは、熱または塩基性溶液の存在下で架橋可能であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル繊維は、投入材料と混和性のある架橋剤材料に投入材料をさらして、投入材料から溶剤を抽出することで達成される沈殿反応により、生成され得る。沈殿反応を介して繊維を形成する投入材料の非限定的な例としては、コラーゲン及びポリ乳酸(PLA)が挙げられる。沈降媒介ヒドロゲル繊維形成を可能にする架橋材料の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)及びアルギン酸塩が挙げられる。ヒドロゲルの架橋により、ヒドロゲルの硬度が増加し、いくつかの実施形態では、固化したヒドロゲルの形成が可能となる。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、アルギン酸塩を含む。アルギン酸塩は、二価カチオンと接触すると、固化したコロイドゲル(高含水ゲルまたはヒドロゲル)を形成する。アルギン酸塩を含む投入材料により、固化したヒドロゲルを形成するために、任意の好適な二価カチオンが使用され得る。アルギン酸イオン親和性系列Cd2+>Ba2+>Cu2+>Ca2+>Ni2+>Co2+>Mn2+では、アルギン酸ゲルを形成するのに、Ca2+が最適な特徴を有し、最もよく使用される(Ouwerx,C.et al.,Polymer Gels and Networks,1998,6(5):393-408)。研究により、隣接するポリマー鎖上のポリGブロックによるCa2+イオンの協働的結合を介して、アルギン酸カルシウムゲル、いわゆる「エッグボックス」モデルが形成されることが示されている(ISP Alginates,Section 3:Algin-Manufacture and Structure,in Alginates:Products for Scientific Water Control, 2000,International Specialty Products:San Diego,pp.4-7)。Gリッチアルギン酸塩は、熱的に安定性があり、強いが脆いCaゲルを形成する傾向があり、一方、Mリッチアルギン酸塩は、熱的安定性が低く、より弱いがより弾性のあるゲルを形成する傾向がある。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、脱重合化アルギン酸塩を含む。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、フリーラジカル重合反応を使用して架橋可能であり、分子間に共有結合が生成される。フリーラジカルは、光重合開始剤を光(多くの場合紫外線)にさらすことにより生成され得るか、または、それぞれ開始剤及び触媒としてN,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)と組み合わせた過硫酸アンモニウム(APS)またはペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)などのフリーラジカルの化学源に、ヒドロゲル前駆体をさらすことにより生成され得る。光架橋性ヒドロゲルの非限定的な例としては、ゼラチンメタクリレート(GEL-MA)またはポリエチレン(グリコール)アクリレート系(PEG-アクリレート)ヒドロゲルなどのメタクリレート化ヒドロゲルが挙げられ、これらは、UV光にさらされた後にフリーラジカルの存在下で架橋できるため、及び細胞に対して不活性であるため、細胞生物学に使用される。ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG-DA)は、重合が室温で急速に発生し、必要なエネルギー投入が少なく、含水率が高く、弾性があり、様々な生体分子を含むようにカスタマイズできるため、組織工学においてスキャフォールドとして通常使用される。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、化学修飾アルギン酸塩を含む。実施例において、化学修飾アルギン酸塩は、本明細書では「Alg-MA」と称される、メタクリレート基で官能化されたアルギン酸塩を含む(図1)。いくつかの実施形態では、Alg-MAは、本明細書で「Alg-zw」と称される、双性イオン性アルギン酸塩とブレンドすることによって、免疫防御シェル層に使用することができる。Alg-MAは二重架橋能力を有するため、実施形態において、Alg-MAを、最初に、物理的架橋を介してAlg-zwと共にプリントしてもよい。次いで、プリントの際に繊維にさらに照射して、繊維間に共有架橋を誘導して、こうして繊維-繊維(F-F)接着を生じさせることができる。いくつかの実施形態では、化学修飾アルギン酸塩には、チオール化アルギン酸塩が含まれ得る。官能化アルギン酸塩の他の例としては、アルギン酸フラン、アルギン酸マレイミド、アルギン酸テトラジン、アルギン酸ノルボルネン、アルギン酸ヒドラジド、RGD-アルギン酸塩、及びYIGSR-アルギン酸塩が挙げられる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の合成成分を、ヒドロゲル材料に添加してもよい。合成成分は、F-F接着性及び/またはin vivo安定性を向上させるのに有用であり得る。実施例において、シェル材料は、アクリル化された双性イオン性モノマー(例えば、スルホベタイン・メタクリレート(SBMA)及び架橋剤(例えば、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を含み得る。そのような例では、双性イオン性モノマーとPEGDAとの光媒介架橋により、得られる架橋ポリマーマトリックス(図2)が超親水性となり、したがって異物応答(FBR)が生じにくくなり得る。例示的なプリント戦略及び架橋機構を、図3に例示的に示す。
いくつかの実施形態では、ヒドロゲル材料を、クリックケミストリーを介して架橋してもよい。例えば、双性イオン性モノマー及びアルデヒドモチーフ(例えば、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド(DMAPS)-アルデヒド、本明細書では「DMAPS-Ald」と称される)、ならびに双性イオン性モノマー及びヒドラジドモチーフ(例えば、DMAPS-ヒドラジド、本明細書では「DMAPS-Hzd」と称される)を含むコポリマーを使用してもよい。DMAPS-Ald(Zwitt Aとも称される)及びDMAPS-Hzd(Zwitt Hとも称される)の化学構造を図4に示す。アルデヒドは、ヒドラジドと容易に反応し、共有結合で架橋したヒドロゲルを形成する。ポリマー主鎖中に双性イオン性モノマーが存在するため、これらのポリマーは低いタンパク質結合特性を示し得る。実施形態では、これらのポリマーのうちの1つを、シェル内でアルギン酸塩とブレンドしてもよい。プリント後、この構造を、対向成分を含む溶液に浸漬すると、繊維間に共有結合によって架橋が生じ、F-F結合が生じる。
いくつかの実施形態では、投入材料は、非生分解性ポリマーを含み得る。実施例において、投入材料は、合成ポリマー、例えばポリ酢酸ビニル(PVA)であってよい。いくつかの実施形態では、投入材料は、ヒアルロン酸(HA)を含み得る。
いくつかの実施形態では、投入材料は、自己組織化ペプチドを含み得る。本明細書で論じられる自己組織化ペプチドとは、短いアミノ酸配列または繰り返しアミノ酸配列のモノマーを含み、それらが集合してナノ構造を形成する材料を指す。ペプチド集合体は、その形態、サイズ、及び反応性表面領域のアクセス性に応じて、特徴的な物理化学的及び生化学的活性を示す(Lee S et al.,Int J Mol Sci.(2019);23:5850;Yu Z,et al.,Curr.Pharm.Des.(2015);21:4342-4354;Kisiday J,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(2002);99:9996. doi:10.1073/pnas.142309999;Xing R,et al.,Biomacromolecules.(2017);18:3514-3523)。
以下の表1は、本開示に包含される生体材料のリストである。本開示の繊維及びその構築方法において、他の材料を使用してもよいことが理解されるべきである。表1には単なる投入材料だけでなく、以下でさらに詳細に説明する追加の材料も含まれている。
Figure 2024521167000006
Figure 2024521167000007
追加の成分:
本発明の実施形態による投入材料は、例えば、アルギン酸塩、ラミニン、フィブリン、ヒアルロン酸、ポリ(エチレン)グリコール系ゲル、ゼラチン、キトサン、アガロース、またはこれらの組み合わせを含む、生細胞の生存能力を支持する多種多様の天然ポリマーまたは合成ポリマーのうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、主題のバイオインク組成物は、生理学的に適合性があり、すなわち細胞の成長、細胞の分化、及び細胞間情報伝達を促進する。特定の実施形態では、投入材料は、1つ以上の生理学的マトリックス材料、またはこれらの組み合わせを含む。「生理学的マトリックス材料」は、天然の哺乳類組織に認められる生体材料を意味する。そのような生理学的マトリックス材料の非限定的な例としては、フィブロネクチン、トロンボスポンジン、グリコサミノグリカン(GAG)(例えばヒアルロン酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、またはケラチン硫酸)、デオキシリボ核酸(DNA)、接着糖タンパク質、及びコラーゲン(例えばコラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、コラーゲンVI、またはコラーゲンXVIII)が挙げられる。
治療用細胞集団
本発明の実施形態による投入材料には、幹細胞(例えば胚性幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞)、胚細胞、内胚葉細胞(例えば肺細胞、肝臓細胞、膵臓細胞、胃腸管細胞、もしくは尿生殖路細胞)、中胚葉細胞(例えば腎臓細胞、骨細胞、筋肉細胞、内皮細胞、もしくは心臓細胞)、外胚葉細胞(皮膚細胞、神経系細胞、脳下垂体細胞、もしくは眼細胞)、幹細胞由来細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の哺乳類細胞型が包含され得る。
例えば、投入材料には、膵臓(α、β、δ、ε、γ)、肝臓(肝細胞、Kuppfer細胞、星細胞、類洞細胞)、甲状腺(濾胞細胞)、松果体(松果体細胞)、下垂体腺(成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン分泌細胞、性腺刺激ホルモン分泌細胞、副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞、及び甲状腺刺激ホルモン産生細胞)、胸腺(胸腺細胞、胸腺上皮細胞、胸腺間質細胞)、副腎(皮質細胞、クロム親和細胞)、卵巣(顆粒膜細胞)、精巣(ライディッヒ細胞)、胃腸管(腸内分泌細胞-腸、胃、膵臓)を含む内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞、繊維芽細胞、軟骨細胞、半月板繊維軟骨細胞、骨髄間質(幹)細胞、胚性幹細胞、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞、分化幹細胞、組織由来細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、上皮細胞、内皮細胞、筋芽細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれる。
細胞は、ドナー(同種異系)またはレシピエント(自家)から入手され得る。特に、実施形態において、細胞を、ヒトまたは動物などの好適なドナーから、または細胞を移植する対象から取得することができる。哺乳類動物種には、ヒト、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、及びラットが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、細胞はヒト細胞である。別の実施形態では、細胞は、イヌ、ネコ、ウマ、サル、または任意の他の哺乳類などの動物に由来し得る。
いくつかの実施形態では、投入材料は、ヒト屍体膵島、幹細胞由来β細胞、異種膵島、及び単離されたヒトまたは異種β細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、治療用の細胞または細胞集団は、膵臓前駆細胞もしくは膵臓前駆細胞集団、またはPDX1陽性膵臓前駆細胞もしくは細胞集団、または内分泌前駆細胞もしくは細胞集団、またはポリもしくは単一ホルモン内分泌細胞及び/またはそれらの任意の組み合わせであり、それらの精製もしくは濃縮細胞もしくは細胞集団を含む。
いくつかの実施形態では、投入材料には、ヒト屍体肝細胞及び/または胆管細胞、幹細胞由来の肝細胞及び軟骨細胞、または異種肝細胞が含まれ得る。いくつかの実施形態では、治療用細胞または細胞集団は、繊維芽細胞、MSCを含む間葉系細胞を含むか、または含まない、肝細胞前駆細胞もしくは細胞集団である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生体材料は、1つ以上の内在性の生体活性物質(複数可)、例えば、インスリン、グルカゴン、グレリン、膵臓ポリペプチド、血管新生因子、成長因子、ホルモン、抗体、酵素、タンパク質、エキソソームなどを発現/分泌する、細胞集団を含む。本明細書で論じるように、内在性の生体活性物質は、細胞が生物学的な状況下で天然に産生する物質(例えば、グルコース濃度上昇に応じたインスリン放出)を含む。内在性の生体活性物質は、本開示に関して治療薬を構成することができる。
いくつかの実施形態では、投入材料は、特定の因子を分泌する遺伝子改変された細胞を含み得る。実施形態において、上述の細胞集団が、特定の因子を分泌する改変された細胞(例えば、遺伝子改変された細胞)を含み得ることは、本開示の範囲内である。細胞はまた、樹立細胞培養株由来の細胞であり得るか、または所望の遺伝子型もしくは表現型を得るために遺伝子改変及び/または遺伝子操作を受けた細胞であり得る。いくつかの実施形態では、組織片を使用することもでき、これは、同じ構造内にいくつかの異なる細胞型を提供し得る。
本開示に適用可能な遺伝子改変技術としては、組換えDNA(rDNA)技術(Stryjewska et al.,Pharmacologial Reports.2013;65:1075)、標的化ヌクレアーゼ(例えば、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、クリスパー関連ヌクレアーゼCas(CRISPR-Cas)などの使用に基づく細胞改変(Lim et al.,Nature Communications.2020;11:4043;Stoddard BL,Structure.2011;19(1):7-15;Gaj et al.,Trends Biotechnol.2013;31(7):397-405;Hsu et al.,Cell.2014;157(6):1262;Miller et al.,Nat Biotechnol.2010;29(2):143-148)、リコンビナーゼ系(例えば、Cre-Lox)を使用した部位特異的組換えの使用に基づく細胞改変(Osborn et al.,Mol Ther.2013;21(6):1151-1159;Hockemeyer et al.,Nat Biotechnol.2009;27(9):851-857;Uhde-Stone et al.,RNA.2014;20(6):948-955;Ho et al.,Nucleic Acids Res.2015;43(3):e17;Sengupta et al.,Journal of Biological Engineering.2017;11(45):1-9)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、細胞改変のために上述の技術のいくつかの組み合わせを用いてもよい。
本開示には、タンパク質、ペプチド、核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、siRNA、miRNA、核酸類似体)、ペプチド核酸、アプタマー、抗体またはその断片もしくは部分、抗原またはエピトープ、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、成長因子または組換え成長因子及びその断片及びバリアント、サイトカイン、酵素、抗生物質または抗菌化合物、抗炎症剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、小分子、薬物(例えば、薬物、色素、アミノ酸、ビタミン、抗酸化剤)、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の治療薬を産生可能な改変された細胞が包含される。
いくつかの例では、本開示の改変された細胞には、細胞外小胞(EV)、例えばエキソソーム及び微小胞を放出するように改変された細胞が含まれる。異なる細胞型は、異なるカーゴ(例えば、タンパク質、RNA、siRNAなど)を有するEVを産生し得、さらに、特定のカーゴを有するEVを産生するように特定の細胞型を遺伝子改変してもよいことが本開示の範囲内にある。EVが、例えば関心対象の組織へのエキソソーム媒介性送達を増強するための標的化技術を含むことは、さらに本開示の範囲内である。そのような技術は、例えば、エキソソームの固有の生物学と組み合わせて生体内挙動を駆動させることができる(Zeh et al.,PLOS One.2019;14(8):e0221679;Gurung et al.,American Society for Cell and Gene Therapy Poster Presentation,2020;Zickler and Andaloussi,Nature Biomedical Engineering.2020;4:9-11;Zipkin,Nature Biotechnology.2019;37(12):1395-1400;Wiklander et al.,Science Translational Medicine.2019;11(492):eeav8521;Gorgens et al.,J Extracell Vesicles.2019;8(1):1587567;Wiklander et al.,Front Immunol.2018;13(9):1326;Corso et al.,Scientific Reports.2017;7:11561;Cooper et al.,Mov Disord.2014;29(12):1476-85;Andaloussi et al.,Nature Reviews Drug Discovery.2013;12:347-357;Alvarez-Erviti et al.,Nature Biotechnology.2011;29:341-345;米国特許出願第2019/0167810号;米国特許出願第2020/0109183号) いくつかの実施形態では、EV自体を本開示の繊維の特定の層に組み込んでもよい(Kaiqi et al, Theranostics.2019;9(24):7403-7416)。
実施形態において、本開示の治療用細胞を、例えば本開示の組織繊維において、同種異系宿主に移植した場合に、移植部位における局所免疫抑制を提供するための少なくとも1つの機構を含むように改変してもよい。実施例において、細胞は、一連の導入遺伝子を含み得、各導入遺伝子は、細胞質性、膜結合性、または局所作用性であり、その機能が、抗原提示細胞の活性化及び機能を改善し、移植片を攻撃する白血球の活性または細胞溶解機能を改善し、移植細胞のマクロファージ細胞溶解機能及び食作用を改善し、移植片を攻撃する白血球にアポトーシスを誘発し、局所炎症性タンパク質を改善し、白血球媒介アポトーシスから保護することを含み得るがこれらに限定されない遺伝子産物をコードする(WO2018/227286;Harding et al.,BioRxiv.2019;DOI:10.1101/716571;Lanza et al.,Nature Reviews Immunology.2019;19:723-733l;Harding et al.,Cell Stem Cell.2020;27(2):198-199)。
実施形態において、本開示の治療用細胞を、細胞増殖に関する制御を行う方法で改変してもよい。一例として、細胞は、負の選択マーカー及び/または誘導性アクチベーターに基づく遺伝子発現系を含むように細胞分裂遺伝子座(CDL)で遺伝子改変してもよく、それによって、適切な誘導剤の添加または除去による遺伝子改変された細胞の増殖の許容、除去、及び/または抑制を制御することができる(WO2016/141480;Liang et al.,Nature.2018;563(7733):701-704)。
哺乳類細胞の適切な増殖条件は、当技術分野で周知である(Freshney,R.I.(2000)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique. Hoboken N.J.,John Wiley & Sons;Lanza et al. Principles of Tissue Engineering,Academic Press;2nd edition May 15,2000;及びLanza & Atala,Methods of Tissue Engineering Academic Press;1st edition October 2001)。細胞培養培地は一般に、必須栄養素、及び任意選択で、培養する細胞型(複数可)に応じて選択され得る成長因子、塩、ミネラル、ビタミンなどの追加要素を含む。細胞の増殖、分化、特定のタンパク質分泌などを向上させるために、特定の成分を選択してもよい。一般に、標準的な増殖培地には、110mg/Lのピルビン酸及びグルタミンを含み、10~20%のウシ胎仔血清(FBS)または仔ウシ血清が補充された低グルコースのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)が含まれ、100U/mlのペニシリンは、当技術分野で周知の他の様々な標準的培地と同様に適切である。増殖条件は、使用する哺乳類の細胞型及び所望する組織により異なる。
いくつかの実施形態では、細胞型特異的試薬は、該当する細胞型と共に使用する主題の投入材料において、有利に利用され得る。例えば、細胞外マトリックス(「ECM」)を、対象の組織から直接抽出し、次いで可溶化し、投入材料に組み込んで、プリントする組織のための組織特異的投入材料を生成することができる。そのようなECMは、患者の試料から容易に入手することができ、及び/またはzPredicta(rBone(商標)、zpredicta.com/home/productsにて入手可能)などの供給業者から入手可能である。
活性物質:
いくつかの態様では、本発明の実施形態は、プリント中に本開示の繊維に添加する少なくとも1種の活性物質、例えば、細胞の増殖及び/または分化を促進するのに役立つ生体関連物質を含み得る。そのような活性物質の非限定的な例として、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、BMP-2、BMP-4、BMP-6、BMP-12、BMP-13、塩基性繊維芽細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子-1、繊維芽細胞増殖因子-2、血小板由来増殖因子-AA、血小板由来増殖因子-BB、多血小板血漿、IGF-I、IGF-II、GDF-5、GDF-6、GDF-8、GDF-10、血管内皮細胞由増殖因子、プレイオトロフィン、エンドセリン、ニコチンアミド、グルカゴン様ペプチド-I、グルカゴン様ペプチド-II、副甲状腺ホルモン、テネイシン-C、トロポエラスチン、トロンビン由来ペプチド、ラミニン、細胞結合ドメインを含む生体ペプチド、及びヘパリン結合ドメインを含む生体ペプチド、治療薬、ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
追加の活性物質としては、タンパク質、ペプチド、核酸類似体、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸(DNA、RNA、siRNA、mRNA)、ペプチド核酸、アプタマー、抗体またはその断片もしくは部分、抗原またはエピトープ、ホルモン、抗ホルモン物質、成長因子または組換成長因子ならびにその断片及びバリアント、サイトカイン、酵素、抗生物質または抗菌化合物、抗炎症剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、毒素、プロドラッグ、小分子、薬物(例えば薬物、色素、アミノ酸、ビタミン、抗酸化剤)、あるいはこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
投入材料に含めるのに好適な抗炎症性因子及び抗繊維化因子の非限定的な例としては、ステロイド(デキサメタゾン)、ピルフェニドン、プロスタグランジンアゴニスト(ブタプロスト)、ラパマイシン、GW2580などが挙げられる。
投入材料に含めるのに好適な抗生物質の非限定的な例としては、アミノグリコシド(例えばネオマイシン)、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(例えばセファゾリン、セファクロル、セフジトレン、セフトビプロール)、グリコペプチド(例えばバンコマイシン)、マクロライド(例えばエリスロマイシン、アジスロマイシン)、モノバクタム、ペニシリン(例えばアモキシシリン、アンピシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン)、ポリペプチド(例えばバシトラシン、ポリミキシンB)、キノロン(例えばシプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、オフロキサシンなど)、スルホンアミド(例えばスルファサラジン、トリメトプリム、トリメトプリム-スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール))、テトラサイクリン(例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリンなど)、クロラムフェニコール、リンコマイシン、クリンダマイシン、エタンブトール、ムピロシン、メトロニダゾール、ピラジナミド、チアムフェニコール、リファンピシン、チアムフェニクル、ダプソン、クロファジミン、キヌプリスチン、メトロニダゾール、リネゾリド、イソニアジド、フォスフォマイシン、フシジン酸、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
抗体の非限定的な例としては、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴル、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ-CD3、ナタリズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、アルツモマブペンテテート、アルシツモマブ、アトリズマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベシレソマブ、ビシロマブ、カナキヌマブ、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、デノスマブ、エドレコロマブ、エフングマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファノレソマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、ラベツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オレゴボマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、スレソマブ、タカツズマブテトラキセタン、テフィバズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
本明細書に記載される投入材料における使用に好適な酵素の非限定的な例としては、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、アミロース、有機リン酸デヒドロゲナーゼ、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、グルコースオキシダーゼ、及びラッカーゼが挙げられる。
主題の投入材料と共に使用するのに好適な活性物質の非限定的な追加の例としては、細胞増殖培地、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地、ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、及び抗生物質;繊維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子、血管内皮増殖因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、インスリン様増殖因子、骨形態形成増殖因子、骨形態形成様タンパク質、形質転換増殖因子、神経増殖因子、及び関連タンパク質などの成長因子及び形態形成因子(増殖因子は当技術分野で公知であり、例えば、Rosen & Thies,CELLULAR & MOLECULAR BASIS BONE FORMATION & REPAIR(R.G.Landes Co.,Austin,Tex.,1995を参照のこと);エンドスタチン、及び他の天然由来タンパク質または遺伝子改変されたタンパク質などの抗血管新生タンパク質;多糖類、糖タンパク質、またはリポタンパク質;抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染剤、化学療法剤(すなわち抗がん剤)、拒絶反応抑制剤、鎮痛剤及び鎮痛剤の組み合わせ、抗炎症剤、ステロイド、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
プリントシステム:
好ましくは、本明細書に記載のバイオプリント組織繊維を、PCT/CA2014/050556、PCT/CA2018/050315、及びUSSN62/733,548に記載されているLOP(商標)技術を使用してプリントする(その開示は、参照により本明細書に明示的に援用される)。そこで詳述されているように、LOP(商標)バイオプリントシステムは複数の材料を切り替えることができるため、連続的にプリントを行いながら、血管壁の組成(細胞型及び生体材料組成)をチャネルの長さに沿って変更することができる。
例示的な実施形態では、プリントシステムは、分注チャネルを備えるプリントヘッドを含み、1つ以上の材料チャネル及びコアチャネルは、分注チャネルの近位端にて収束する。主題のプリントヘッドは、1つ以上の架橋可能な材料と同時に緩衝液及び/またはシース流体を分注するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、プリントヘッドは、分注チャネルを通る一定の質量流量を維持するように構成される。このようにして、主題のプリントヘッドは、1つ以上の投入材料(または1つ以上の投入材料の混合物)ならびに緩衝液及び/またはシース流体が、分注チャネルを通して円滑かつ連続的に流れることを促進するように構成される。その開示が参照により本明細書に明示的に援用されるWO2020/056517により詳細に記載されているように、主題のプリントヘッドの使用時、分注チャネルを流れる投入材料は、コアチャネルを流れる流体により内側から、及び/または下流のシース流体チャネルを流れるシース流体により外側から架橋され得る。
好ましい実施形態では、プリントヘッドは、近位端及び遠位端を有する分注チャネル、分注チャネルの遠位端に配置された分注オリフィス、分注チャネルの遠位端で分注チャネルと順次収束する1本以上のシェルチャネル(各シェルチャネルは、約20~90度の収束角度を有する)、分注チャネルの近位端で分注チャネルと収束するコアチャネル(コアチャネルは0度の収束角度を有する)、及び2本のシース流サブチャネルに分岐するシース流チャネルを備え、シース流サブチャネルは、シース流体交差点で分注チャネルと収束し、約30~60度、より好ましくは約40~50度、最も好ましくは約45度の収束角度を有する。
さらなる態様は、主題の繊維を調製するために主題のプリントヘッドと連動して作動するように構成されたプリントシステム及び関連構成要素を含む。いくつかの実施形態では、プリントシステムは、本明細書で説明される単一のプリントヘッドを備える。いくつかの実施形態では、プリントシステムは、複数のプリントヘッド、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の本明細書で説明される個別のプリントヘッドを備える。いくつかの実施形態では、プリントヘッドは、プリントシステムから流体的に隔離され、したがって、プリントプロセスに関わるすべての流体は、プリントヘッド内で隔離された状態に保たれ、プリントプロセス中にプリントシステムの受け面とのみ接触する(下記に説明)。いくつかの実施形態では、プリントヘッドは、プリントプロセスに関わる流体をプリントシステムの構成要素と接触させることなく、プリントシステムに動作可能に接続されるように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のプリントヘッドは、プリントプロセスの前、間、及び/または後に、プリントシステムからの取り外し、及び/またはプリントシステムへの追加を行うことができる。したがって、いくつかの実施形態では、主題のプリントヘッドは、主題のプリントシステムのモジュール式構成要素である。
いくつかの実施形態では、プリントシステムは、プリントヘッドの分注オリフィスから分注された材料の第1の層が堆積される受け面を備える。いくつかの実施形態では、受け面は固体材料を含む。いくつかの実施形態では、受け面は多孔質材料を含む。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質材料は、流体が多孔質材料を通過できるのに十分な多孔性を有する。いくつかの実施形態では、受け面は、略平面であり、これにより、分注された材料の第1の層を堆積させることができる平坦な表面が提供される。いくつかの実施形態では、受け面は、プリントする三次元構造に対応する形状を有し、これにより、非平面の第1の層を有する三次元構造のプリントが容易になる。
いくつかの実施形態では、受け面は、1つ以上の真空源から受け面に対し吸引を行うように構成された真空構成要素を備える。いくつかの実施形態では、受け面は、受け面に対し吸引を適用するように構成された1つ以上の真空チャネルを備える。いくつかの実施形態では、真空構成要素を備えた受け面は、プリントプロセスの実行の前、間、及び/または後に、受け面から過剰流体を吸引するように構成される。
いくつかの実施形態では、プリントシステムは、プリンタステージに対して、またはプリント材料を受け取るように適合された受け面に対して、プリントヘッドを移動させることにより、特定の幾何学形態を実現する。別の実施形態では、プリントシステムは、プリントヘッドに対して、プリンタステージまたは受け面を移動させることにより、特定の幾何学形態を実現する。特定の実施形態では、プリントシステムの少なくとも一部は、無菌環境(例えばバイオセーフティキャビネット(BSC)内)に維持される。いくつかの実施形態では、プリントシステムは、全体的に無菌環境内に適合するように構成される。
いくつかの実施形態では、プリントシステムは、プリントされる材料を受け取る表面を有するプリント台の上の三次元空間においてプリントヘッド及び分注オリフィスの位置を決定するための3本のアームを有する3Dモーター駆動ステージを備える。一実施形態では、3Dモーター駆動ステージ(すなわち位置決めユニット)は、プリントヘッドのオリフィスが下向きになるように、3Dモーター駆動ステージのz軸に沿って伸びる垂直アームの位置を決定するように制御され得る。モーター駆動ステージのx軸に沿って伸びる第1の水平アームは、不動のベースフラットフォームに固定される。モーター駆動ステージのy軸に沿って伸びる第2の水平アームは、第1の水平アームの長手方向及び第2の水平アームの長手方向が互いに対して直角となるように、第1の水平アームの上面に移動可能に結合される。アームに関して上記で使用される用語「垂直」及び「水平」は、プリントヘッドの動き方を説明することを意味し、必ずしもアーム自体の物理的配向を制限するものではないことが理解されよう。
いくつかの実施形態では、受け面は、プラットフォームの上部に配置され、プラットフォームは、第2の水平アームの上面に結合される。いくつかの実施形態では、3Dモーター駆動ステージアームは、3つの対応するモーターによりそれぞれ駆動され、コンピュータなどのプログラム可能な制御プロセッサにより制御される。好ましい実施形態では、プリントヘッド及び受け面は、3Dモーター駆動ステージによりデカルト座標系の3つの主軸全てに沿って一体的に移動可能であり、ステージの移動は、コンピュータソフトウェアを使用して定義される。本発明は、説明された位置決めシステムのみに限定されず、他の位置決めシステムも当技術分野では公知であることが理解されよう。プリントヘッド上の分注オリフィスから材料が分注される時、位置決めユニットは、ソフトウェアにより制御されたパターンで移動し、これにより、受け面上に分注された材料の第1の層が作成される。次に、分注された材料の追加の層が積み重ねられ、その結果、分注された材料の層の最終的な3D幾何学形態は通常、ソフトウェアにより提供された3D幾何学形態設計図の複製となる。3D設計図は、当技術分野で公知のように、一般的な3D CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアを使用して作成され得るか、またはデジタル画像から生成され得る。さらに、ソフトウェアにより生成される幾何学形態が、使用する特定の材料に関する情報を含む場合、本発明の一実施形態によれば、異なる幾何学的位置に特定の投入材料のタイプを割り当てることが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、プリントされる3D構造は、2つ以上の異なる投入材料を含むことができ、各投入材料は、異なる特性を有する(例えば各投入材料は、異なる細胞型、異なる細胞濃度、異なるECM組成などを有する)。
主題のプリントシステムの態様は、特定の繊維の平面または3D構造を形成するために、特定のパターンで特定の位置に主題の投入材料を堆積させることを促進するように構成されたソフトウェアプログラムを含む。そのような構造を作製するために、主題のプリントシステムは、主題の投入材料を、受け面上の正確な位置(二次元または三次元の位置)に堆積させる。いくつかの実施形態では、プリントシステムが材料を堆積させる位置は、ユーザ入力により定義され、コンピュータコードに変換される。いくつかの実施形態では、コンピュータコードは、特定のタスクを実行するように記述された、デジタル処理装置の中央処理装置(CPU)で実行可能な一連の命令を含む。いくつかの実施形態では、プリントされる繊維の寸法、ポンプ速度、プリントヘッド位置決めシステムの移動速度、及び架橋剤の強度または濃度を含むがこれらに限定されないプリントパラメータは、ユーザ入力により定義され、コンピュータコードに変換される。いくつかの実施形態では、プリントパラメータは、ユーザ入力により直接定義されずに、コンピュータコードにより他のパラメータ及び条件から導出される。
いくつかの実施形態では、プリントシステムが投入材料を堆積させる位置は、ユーザ入力により定義され、コンピュータコードに変換される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるデバイス、システム、及び方法はさらに、コンピュータ可読プログラムコードで符号化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体または記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、バイオプリンタ(もしくはその構成要素)またはバイオプリンタ(もしくはその構成要素)に接続されたコンピュータなど、デジタル処理装置の有形構成要素である。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は任意選択で、デジタル処理装置から取り外し可能である。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体としては、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、ソリッドステートメモリ、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、ならびにクラウドコンピューティングシステム及び/またはサービスなどが挙げられる。いくつかの事例では、プログラム及び命令は、記憶媒体上では、永久的、ほぼ永久的、半永久的、または非一時的に、符号化される。
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法は、ソフトウェア、サーバ、及びデータベースモジュールを含む。いくつかの実施形態では、「コンピュータモジュール」は、より大きなコンピュータシステムと相互作用するソフトウェア構成要素(コードセクションを含む)である。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュール(またはプログラムモジュール)は、1つ以上のファイルの形式で提供され、通常、より大きなソフトウェアシステム内の特定のタスクを処理する。
いくつかの実施形態では、モジュールは、1つ以上のソフトウェアシステムに含まれる。いくつかの実施形態では、モジュールは、1つ以上の他のモジュールと統合されて、1つ以上のソフトウェアシステムとなる。コンピュータモジュールは、任意選択でスタンドアローンのコードセクションであるか、または任意選択で個別に識別できないコードである。いくつかの実施形態では、モジュールは、単一のアプリケーション内に存在する。別の実施形態では、モジュールは、複数のアプリケーション内に存在する。いくつかの実施形態では、モジュールは、1台のマシン上でホストされる。いくつかの実施形態では、モジュールは、複数のマシン上でホストされる。いくつかの実施形態では、モジュールは、1つの場所で複数のマシン上でホストされる。いくつかの実施形態では、モジュールは、複数の場所で複数のマシン上でホストされる。本発明の実施形態によるコンピュータモジュールにより、エンドユーザは、コンピュータを使用して、本明細書で説明される方法の1つ以上の態様を実行することが可能となる。
いくつかの実施形態では、コンピュータモジュールは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備える。本明細書で使用される「グラフィカルユーザインターフェース」は、アプリケーションの入力及び出力の画像表現ならびにテキスト表現と、情報が格納される階層的または他のデータ構造とを使用するユーザ環境を意味する。いくつかの実施形態では、コンピュータモジュールは、表示画面を備える。さらなる実施形態では、コンピュータモジュールは、表示画面を介して、2次元GUIを提示する。いくつかの実施形態では、コンピュータモジュールは、表示画面を介して、仮想現実環境などの三次元GUIを提示する。いくつかの実施形態では、表示画面は、タッチスクリーンであり、インタラクティブGUIを提示する。
態様はまた、1つ以上のプリント繊維が好適な特性を確実に有するように、主題のプリントシステムの1つ以上のパラメータを監視及び/または調整するように構成された1つ以上の品質管理構成要素を含む。例えば、いくつかの実施形態では、堆積プロセスの進行が速すぎる場合、プリントされる繊維構造は、分注チャネル内に、または分注された後に分注チャネルの外側に、コイル状の構造を形成し始め得る。いくつかの実施形態では、品質管理構成要素は、カメラを備え、カメラは、プリントされる繊維構造の1つ以上の画像を収集することにより堆積プロセスを監視し、プリントされた繊維構造がコイル状の構造を形成したか否かを判定するように構成される。いくつかの実施形態では、品質管理構成要素は、プリントされた繊維構造によるコイル状構造の形成を減少または回避するために、堆積プロセスの1つ以上のパラメータを調節するように(例えば圧力を低下させる及び/または堆積速度を下げるように)構成される。
態様はさらに、1つ以上の流体リザーバを含み、流体リザーバは、流体を格納し、プリントシステムとリザーバとの流体連通を提供する1つ以上の流体チャネルを通してプリントシステム(例えばプリントヘッド)に流体を送達するように構成される。いくつかの実施形態では、プリントシステムは、流体チャネルと流体連通している1つ以上の流体リザーバを備える。いくつかの実施形態では、流体リザーバは、流体チャネルの投入オリフィスに接続される。いくつかの実施形態では、流体リザーバは、約100μL~約1Lの範囲の流体体積、例えば約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100mL、または例えば約150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、もしくは950mLの流体体積を保持するように構成される。
いくつかの実施形態では、プリントシステムは、1つ以上のリザーバに流体連結された圧力制御ユニットを備える。圧力制御ユニットは、プリントシステムを通して1つ以上の流体を移動させる力を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、圧力制御ユニットは、1つ以上の接続管を介して1つ以上の流体に空気圧を供給する。加えられた圧力は、流体をリザーバから押し出し、それぞれの流体チャネルを介してプリントヘッドへ送り込む。いくつかの実施形態では、代替的な手段を使用して、チャネルを通して流体を移動させることができる。例えば、一連の電子制御シリンジポンプを使用して、プリントヘッドを通して流体を移動させる力を提供することができる。
いくつかの実施形態では、プリントシステムは、材料を架橋するために、任意選択で光架橋性投入材料を露光させるための光モジュール(前述のような)を備える。本発明の実施形態による光モジュールは、プリントヘッドに統合され得るか、またはプリントシステムの構成要素であり得る。
追加の流体
本発明の態様は、1つ以上の緩衝液を含む。本発明の実施形態による緩衝液は、投入材料(例えばヒドロゲル)との混和性を有し、投入材料を架橋しない。いくつかの実施形態では、緩衝液は、水性溶媒を含む。緩衝液の非限定的な例としては、ポリビニルアルコール、水、グリセロール、プロピレングリコール、スクロース、ゼラチン、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
本発明の実施形態による緩衝液は、約1mPa・s~約5,000mPa・sの範囲の粘度、例えば約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,250、2,500、2,750、3,000、3,250、3,500、3,750、4,000、4,250、4,500、または4,750mPa・sの粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、緩衝液の粘度は、1つ以上の投入材料の粘度と一致するように調節され得る。
本発明の態様は、1つ以上のシース流体を含む。本発明の実施形態によるシース流体は、少なくとも部分的に、分注チャネルから分注される投入材料を包むかまたは「シース」するために使用することができる流体である。いくつかの実施形態では、シース流体は、水性溶媒を含む。シース流体の非限定的な例としては、ポリビニルアルコール、水、グリセロール、プロピレングリコール、スクロース、ゼラチン、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本発明の実施形態によるシース流体は、約1mPa・s~約5,000mPa・sの範囲の粘度、例えば約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,250、2,500、2,750、3,000、3,250、3,500、3,750、4,000、4,250、4,500、または4,750mPa・sの粘度を有し得る。いくつかの実施形態では、シース流体の粘度は、1つ以上の投入材料の粘度と一致するように調節され得る。
いくつかの実施形態では、シース流体は、化学架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、化学架橋剤は、二価カチオンを含む。二価カチオンの非限定的な例としては、Cd2+、Ba2+、Cu2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、またはMn2+が挙げられる。好ましい実施形態では、Ca2+を二価カチオンとして使用する。いくつかの実施形態では、シース流体中の二価カチオンの濃度は、約80mM~約140mMの範囲、例えば約90、100、110、120、または130mMである。
使用方法
本発明の態様は、線形繊維構造、1つ以上の繊維構造を含む平面構造、または平面構造の2つ以上の層を含む三次元(3D)構造をプリントする方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は最初に、プリントする平面または3D構造の設計図を提供することを含む。設計図は、市販のCADソフトウェアを使用して作製することができる。いくつかの実施形態では、設計図は、プリントする構造(複数可)内の特定の場所に割り当てる特定の材料に関する情報を含む(例えば複数の材料を含む異質構造の場合)。
方法の態様は、プリントヘッドが分注する1つ以上の投入材料を提供することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞型は、投入材料と適合性があり、任意選択で投入材料内に分注される。いくつかの実施形態では、シース流体は、プリントヘッド内での投入材料の動きを潤滑する潤滑剤として機能する。いくつかの実施形態では、シース流体は、ヒドロゲルがプリントヘッドから分注される前または分注されている間に、ヒドロゲルの少なくとも一部を固化する架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は、投入材料、例えば本開示の繊維のコアに対応する投入材料に含まれ得る。
方法の態様は、設計図を3Dプリンタに送信することを含む。いくつかの実施形態では、送信は、例えばプログラム可能な制御プロセッサにより実現され得る。いくつかの実施形態では、方法は、三次元空間におけるプリントヘッド及び受け面の相対的位置決めを制御し、同時に、プリントヘッドから投入材料及びいくつかの実施形態ではシース流体を、単独でまたは組み合わせて分注することを含む。いくつかの実施形態では、プリントヘッドから分注される材料を、シース流体が投入材料を包むように、同軸状に分注する。そのような同軸構成により、シース流体中の架橋剤は投入材料を固化することが可能となり、これにより、固化した繊維構造が生成され、プリントヘッドから分注される。
いくつかの実施形態では、方法は、分注された繊維構造の第1の層を受け面上に堆積させ(第1の層は、設計図により指定される繊維構造の構成を含む)、第1の層及び後続の層の上に後続の繊維構造を堆積させ、それにより、3D構造を作製するために設計図により指定される幾何学構成で、分注された繊維構造の層の上に層を堆積させる堆積ステップを繰り返すことを含む。
いくつかの実施形態では、複数の投入材料、例えば、少なくともいくつかが1つ以上の細胞型を含む複数のヒドロゲルを、制御された順序で堆積させ、それにより、堆積させる投入材料及び細胞型を、設計図により指定される幾何学構成で制御して配置することが可能となる。
いくつかの実施形態では、方法は、受け面から、及び任意選択で分注された繊維構造の表面から、過剰流体を除去することを含む。例えば、過剰流体の除去ステップは、プリントプロセス全体を通して連続的に行うことができ、それにより過剰流体は除去されるが、過剰流体は、除去ステップを行わなかった場合、設計図により提供される幾何学構成で分注された繊維構造を積層することを妨げ得る。あるいは、過剰流体の除去ステップは、1つ以上の堆積ステップと連続して、または同時に、プリントプロセス全体を通して断続的に行うことができる。いくつかの実施形態では、過剰流体の除去は、受け面から、及び任意選択で分注された繊維構造の表面から、流体を引き抜くことにより達成される。いくつかの実施形態では、過剰流体の除去は、流体の通過を可能にするサイズの細孔を有する受け面を通して過剰流体を引き抜くことにより、達成される。いくつかの実施形態では、過剰流体の除去は、分注オリフィスから分注された後に蒸発する流体を提供することにより達成される。
本発明の態様は、1つ以上の投入材料を含む3D構造を作製する方法を含む。3D構造は、対象における損傷組織または罹患組織の少なくとも一部を修復及び/または交換するのに利用される。
前述のように、Cd2+、Ba2+、Cu2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、またはMn2+を含むがこれらに限定されない任意の好適な二価カチオンを、化学架橋性投入材料を固化するために、主題の方法と併せて使用することができる。好ましい実施形態では、Ca2+を二価カチオンとして使用する。好ましい一実施形態では、化学架橋性投入材料を、Ca2+を含む溶液と接触させて、固化した繊維構造を形成する。いくつかの実施形態では、シース液中のCa2+の濃度は、約80mM~約140mMの範囲、例えば約90、100、110、120、または130mMである。
特定の実施形態では、投入材料は、約5秒未満で、例えば約4秒未満、約3秒未満、約2秒未満、または約1秒未満で、固化する。
本発明の態様は、ソフトウェアツールを使用して、パターン化された方法で1つ以上の投入材料を堆積させて、多層3D組織構造へと形成される固化構造の層を形成する方法を含む。いくつかの実施形態では、多層3D組織構造は、複数の哺乳類細胞を含む。利点として、主題の投入材料の成分(例えば哺乳類細胞型、細胞密度、マトリックス成分、活性物質)を調節することにより、主題の方法を使用して、多層3D組織構造を作成することができ、多層3D組織構造は、3次元空間内の任意の特定の位置に、正確に制御された組成を有する。よって、主題の方法は、複雑な三次元組織構造の生成を容易にする。
作成方法:
アウトサイドイン架橋
押出ベースのバイオプリント法は一般に、押し出される生体材料の種類に応じた様々な機構を使用して、堆積時に架橋されるヒドロゲル及び他の生体材料から形成される繊維の生成を含む。例えば、押し出された繊維を、繊維を固化させる架橋材料の浴にプリントする。次いで、繊維を、浴から、例えばマンドレルに捕集し、次いで、組織工学用途を含み得る様々な用途に使用してもよい。
対照的に、本明細書に開示されているようなマイクロ流体バイオプリンティングは、関心対象の材料を取り囲む共軸形式で架橋材料を共押出しし、それによって堆積直後にゲル化プロセスを開始させることができるため、液体浴内へプリントする必要性が低減される。本明細書で論じられるように、アルギン酸塩などの架橋可能な細胞適合性ヒドロゲルと生細胞とのマイクロ流体プリンティングは、細胞適合性濃度のCaClまたは他のカチオン性溶液を使用するカチオン性架橋によって可能になる。「アウトサイドイン」アプローチを使用して架橋を実行可能であることは、本開示の範囲内であり、その最も単純な形式では、プリントヘッド内のチャネルが、アルギン酸塩などの1つの材料流を架橋剤材料のシース内に取り囲むように指示する。本明細書で論じるように、層流の特性を利用して、中心コアを包囲するシェル材料の複数の層を有する多層コアシェル繊維を生成する、より複雑なマイクロ流体プリントヘッドアーキテクチャを開発することができる。アウトサイドイン架橋では、Ca2+イオンがシース材料からコアに拡散してアルギン酸塩を架橋し、それによって繊維の最外層はほぼ瞬時に凝固し、一方でコアは一定の時間をかけて凝固する。いくつかの例では、組織構築物を構築するためのアウトサイドイン架橋した繊維のパターン形成は、特に前の層上に堆積した繊維が前の層と効果的に融合せず、堆積中に繊維がスリップする場合には、困難になり得る。これにより、構造のパターン形成を正確かつ一貫して困難にし得る。とはいえ、実施形態において、本開示のデバイスを、少なくとも部分的に、アウトサイドイン架橋のプロセスによって作製してもよい。
インサイドアウト架橋
実施形態において、本開示のデバイスは、インサイドアウト架橋アプローチを介して作製することができる。インサイドアウト架橋アプローチでは、イオン性架橋剤(例えば、CaCl)は、アウトサイドインアプローチで使用する場合と同様の濃度で、固体コアを形成する投入材料と一緒に含まれ得る。例えば、コアを包囲する1つ以上のシェルはアルギン酸塩ベースであってもよく、イオンが非アルギン酸塩コアから外側に拡散する際、1つ以上のシェルをインサイドアウト架橋してもよい。そのような例では、外部シェルの最外表面が最後に架橋される。これにより、繊維がプリントヘッドから押し出される際に、繊維の外面が「粘着性」を維持し得る。これらの粘着性繊維が、同様に固化プロセスにある前の層上に堆積すると、隣接する繊維の外面が効果的に融合し得る。このようにして、本開示の繊維から形成される3Dマクロ構造の製造における制御は、個々の繊維をアウトサイドインアプローチを使用して架橋する類似の方法と比較して、改善され得る。
一例では、繊維デバイスのコアは、合成材料(例えば、PVA)を含んでいてもよく、コア材料は、1つ以上のシェル材料、例えば、環状層を含む内側シェル材料、及び免疫防御層を含む外側シェルによって包囲され得る。1つ以上のシェルは、例えばアルギン酸塩ベースであってもよい。この例では、PVAは、イオン性架橋剤(例えば、CaCl)によって影響を受けず、他の機構、例えば、光架橋によって架橋されるであろう。イオンがコアから外側に拡散すると、環状層材料が最初に架橋され、次いで外側シェルが架橋される。そのような例は、代表的かつ非限定的であることを意味する。
実施例において、繊維デバイスは、1つ以上のシェルに包囲された生体材料から構成されるコアを含む場合があり、そのうちの少なくとも1つは、免疫防御層及び/または血管形成層を含み得る。そのような例では、インサイドアウト架橋もまた、同様に実施してもよい。しかしながら、コアが合成材料を含む例とは対照的に、この例では、コアは、アルギン酸塩などの生体適合性材料を含むであろう。
単一コア、マルチシェル繊維デバイスの例では、コアを包囲するシェル層がそれぞれアルギン酸塩から構成される場合、インサイドアウト架橋を、単一のイオン架橋剤、例えばCaClを使用することによって実施してもよい。他の例では、複数の架橋剤は、インサイドアウト架橋アプロ―チで使用してもよい。代表的な例として、コアは合成ベースであってもよく、内側シェル(例えば、環状層)はアルギン酸塩ベースであってもよく、外側シェルはキトサンベースであってもよい。1つのイオン性架橋剤(例えばCaCl)を使用して、内部シェルをインサイドアウト架橋してもよく、一方で、別の架橋剤(例えば、トリポリリン酸ナトリウム(STP))を使用して外側シェルをインサイドアウト架橋してもよい。さらなる代表例として、コアは合成ベースであってもよく、内部シェルはアルギン酸塩ベースであってもよく、外側シェルは、Irgacure 2959またはLAPなどの好適な光開始剤を用いてPEGDAベースであってもよい。1つのイオン性架橋剤を使用して内部シェルをインサイドアウト架橋してもよく、一方、UVまたは可視光を使用して外側シェルを部分的に架橋してもよい。そのような例は、代表的であり、非限定的である。
半径方向の変位
本明細書の実施形態は、コア、コアを包囲する少なくとも1つの生体材料を含む少なくとも1つの環状層、及び少なくとも1つの環状層を包囲する少なくとも1つの外側の、好ましくは免疫防御シェル層から構成される環状繊維に関する。実施形態において、コアは、繊維全体に機械的強度を提供する強化ポリマーから構成される。いくつかの例では、コアを含むポリマーは非生分解性であるが、他の例では、コアを含むポリマーは、本開示の範囲を逸脱することなく、生分解性材料を含み得る。
実施形態において、強化ポリマーは、少なくとも1つの環状層に埋め込まれた生体材料を繊維構造全体の周囲に向かって半径方向に変位させる役割を果たす。この配置は、繊維を包囲する酸素への埋込み細胞のアクセスを向上させ、生体材料の生存率及び/または機能を維持するのに役立つ。実施形態において、本開示の環状繊維のコア直径範囲は、約1.9mm~0.1mm、より好ましくは約1.45mm~0.38mm、最も好ましくは約0.98mm~0.45mmである。いくつかの実施形態では、本開示の環状繊維のコア直径範囲は、約1.92mm~0.05mm、より好ましくは約1.1mm~0.41mm、または約0.030mm~約1.0mm、最も好ましくは約0.5mm~0.1mm、例えば約0.3mmである。
β膵島細胞の酸素消費速度を評価するin silico試験(実施例1、2、及び3を参照のこと)により、酸素による拡散にアクセスするために細胞を末梢化して生存率及び機能を維持するための最適なコアサイズに関するデータが提供されている。
環状繊維の実施形態では、生体材料(複数可)を収容する生体適合性ヒドロゲル(例えば、アルギン酸塩)を含む少なくとも1つの環状層がコアを包囲する。生体適合性ヒドロゲル材料は、選択された生体活性物質及び材料の通過を可能にするように選択的に透過性であるが(例えば、1型または2型糖尿病、グルコース、インスリン、及び酸素などの糖尿病の治療に使用されるデバイスの場合)、生体材料(複数可)自体(例えば、細胞、エキソソームなど)の通過を制限する。実施形態において、少なくとも環状層の厚さは、約0.01mm~0.3mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、最も好ましくは約0.05mm~0.125mmの範囲にある。いくつかの実施形態では、環状層の厚さは、約0.01mm~0.4mm、より好ましくは約0.025mm~0.3mm、より好ましくは約0.1mm~約0.3mm、最も好ましくは約0.05mm~0.2mmである。実施形態では、厚さは約0.2mmである。
環状繊維の実施形態では、少なくとも1つの環状層を包囲するのは、好ましくは免疫防御材料(例えば、双性イオン性修飾アルギン酸塩)から構成される少なくとも1つの外側シェルであり、これはまた、選択された薬剤及び材料の通過(例えば、糖尿病の治療に使用するデバイスではグルコース、インスリン、及び酸素の通過)を許容するが、免疫細胞の通過を制限するように選択的に透過性であり、したがって、T細胞、B細胞、及び他の免疫細胞に対する物理的障壁となり、封入された生体材料を、直接的な細胞媒介性の殺傷及び適応免疫系によるインプラント拒絶から保護し得る。実施形態において、繊維性FBRによるインプラント拒絶は、タンパク質結合を減少させ、ひいてはその後のマクロファージ、好中球、繊維芽細胞、及びFBRに関連する他の細胞型の結合及び活性化を減少させる、少なくとも1つの外部シェルにおける特別に修飾された材料(例えば、官能化アルギン酸塩)を使用することによって低減または回避することができる(Qingsheng et al.,Nature Communications.2019;10:5262)。
したがって、本明細書で論じるように、少なくとも1つの外側シェル層(例えば、生体材料を含む少なくとも1つの環状層と比較して外側に位置するシェル)は、宿主の適応免疫応答及び先天性免疫応答に対する免疫防御層として機能する一方で、依然として、酸素、栄養素、及び実施形態では、封入された生体材料(複数可)によって放出される治療薬(複数可)の拡散を可能にする。実施形態において、少なくとも1つの外部シェルの厚さ(例えば、複数の外部シェルの場合の合計厚さ)は、約50~200μmの範囲にあってもよい。いくつかの実施形態では、厚さは、約0.01mm~0.3mm、または約0.015mm~約0.5mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、または約0.05mm~0.125mmであり得る。実施形態では、厚さは約0.150mmである。より薄い外部シェルは、脆く、取扱い時に劣化しやすい場合がある。いくつかの実施形態では、本開示の環状繊維は、少なくとも1mmの全直径を有する。サイズ/直径が1mm未満の移植材料は、FBRを誘発する傾向があり、それに対応して移植材料を封入する繊維症が発症する(Watanabe et al.,Biomaterials.2020;255:120162)。
本明細書で論じるように、環状繊維のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの外側シェル層は、免疫原性材料及び/または血管形成促進材料を含む。例えば、環状層を包囲する外側シェル層は、免疫原性材料及び脈管形成促進材料の両方を含み得る。実施形態では、環状繊維は、生体材料を含む環状層を含み得、前記環状層は免疫防御シェル層によって包囲され、次に免疫防御シェル層が血管形成促進シェル層によって包囲される。いくつかの実施形態では、環状繊維は、免疫防御層によって包囲されていてもよく、血管形成促進層を含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、環状繊維は、血管形成促進層によって包囲されていてもよく、免疫防御層を含んでいなくてもよい。生体材料がコアに含まれる(したがって半径方向に変位しない)本開示のコア-シェル繊維についても、同様のロジックが当てはまる。そのようなコア-シェル繊維の場合、前記コアは、免疫防御材料及び/または血管形成促進材料を含む外側シェルによって包囲されていてもよい。実施形態では、コア-シェル繊維の前記コアは、免疫防御シェル層によって包囲されていてもよく、血管形成促進層を含んでいなくてもよい。実施形態では、コア-シェル繊維の前記コアは、血管形成促進層によって包囲されていてもよく、免疫防御シェル層を含んでいなくてもよい。
代表的な例として、血管形成促進層を含むことが望ましいが、必ずしも免疫防御層は含まないという状況があり得る。例としては、同系生体材料(すなわち、同系細胞)、遺伝子改変ステルス細胞を含有するか、または免疫抑制レジメンを受けている患者で使用するための繊維が挙げられる。
セグメント化/区画化
本明細書の実施形態はまた、本開示の組織繊維の1つ以上の層(例えば、コア-シェル繊維の場合にはコア及び/または外部層、環状繊維の場合にはコア及び/または内部シェル層及び/または外部シェル層)のセグメント化/区画化に関する。実施形態では、コア及び/またはシェル層の1つ以上のセグメント/区画は、生体材料(例えば、細胞)から構成されていてもよい。
区画サイジングは、組織繊維のサイズ(例えば、長さ及び/または直径)、繊維の種類(例えば、コア-シェル繊維、環状繊維)、組織繊維の生成プロセスで使用される材料の種類などを含むがこれらに限定されない、1つ以上の変数の関数であってもよい。いくつかの実施形態では、繊維は、生体材料を含む少なくとも2つのセグメント/区画から構成されていてもよく、少なくとも2つのセグメント/区画に隣接する他のセグメントは生体材料を含まない。例えば、コア-シェル型繊維の場合、生体材料を含む少なくとも2つのセグメントがコアに含まれ得る。別の例では、環状繊維の場合、生体材料を含む少なくとも2つのセグメントが環状層内に含まれ得る。実施形態では、生体材料を含むセグメント(複数可)は、生体材料を含まないセグメント(複数可)に比べて、より長い長さ(複数可)であってもよい。実施形態では、生体材料を含むセグメント(複数可)は、生体材料を含まないセグメント(複数可)に比べて長さの点で実質的に同様であり得る。実施形態では、特定の組織繊維のための生体材料を含むセグメント(複数可)は、同じ長さである必要はないが、異なるセグメントは異なる長さから構成されていてもよい。実施形態では、特定の組織の繊維のための生体材料を欠くセグメント(複数可)は、同じ長さである必要はないが、異なるセグメントは異なる長さから構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組織繊維における生体材料(例えば細胞)を含む区画/セグメント間の間隔は、1~5mm、例えば1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmの間隔であってもよい。
生体材料から構成されるセグメント/区画は、例えば特定の密度の細胞を含み得る。実施形態では、密度は、区画ごとに同じであっても、または異なっていてもよい。実施形態では、区画間の生体材料は、同じであっても異なっていてもよい。実施形態では、生体材料の密度を、特定の用途(例えば、糖尿病の治療)、細胞生存率決定因子、生体材料を含む材料(例えば、生体適合性材料)などのうちの1つ以上の関数として選択してもよい。一例として、生物学的濃度は、1mlあたり60,000~70,000膵島量(IEQ)、例えば65,000IEQ/mlを含み得る。他の生体材料(例えば、肝細胞)を、同様のまたは異なる密度で、本開示の組織繊維に使用してもよい。
実施形態では、生体材料を含む1つ以上のセグメント/区画に、例えば本開示の免疫防御材料を含むセグメントを隣接させてもよい。例えば、コアが生体材料を含む2つ以上のセグメントを含むコア-シェル繊維の場合、2つ以上のセグメントに、本明細書に開示される免疫防御材料を含む他のセグメントを隣接させてもよい。他の実施形態では、生体材料を含む2つ以上のセグメントに、本開示の範囲から逸脱することなく、例えば免疫防御材料を含まない他のセグメントを隣接させてもよい。同様の論理は、本開示の環状繊維にも当てはまる。例えば、環状繊維は、生体材料から構成される2つ以上のセグメント/区画から構成されていてもよく、2つ以上のセグメント/区画のそれぞれに、例えば本開示の免疫防御材料を組み込んだセグメントを隣接させてもよい。他の実施形態では、生体材料を含む2つ以上のセグメントに、本開示の範囲から逸脱することなく、例えば免疫防御材料を含まないセグメントを隣接させてもよい。
コーティング
バイオプリント繊維に1つ以上の所望の特性を付与する材料によるバイオプリント繊維のコーティングは、本開示の範囲内である。したがって、コーティングを用いて、最外部シェル層をバイオプリント繊維に加えることができる。バイオプリント繊維をコーティング材料中に浸すことによって、または他の方法でコーティング材料をバイオプリント繊維に塗布すること(例えば、プリントヘッドまたは他の分注手段(すなわち、ポンプ)などによってバイオプリント繊維上にコーティング材料を噴霧、分注すること)によって、バイオプリント繊維をコーティング材料でコーティングしてもよい。代表例として、バイオプリント繊維は、コア、環状層、及び免疫防御外側シェル層から構成される環状繊維を含み得る。血管形成促進層を、コーティングとして添加してもよく、例えばバイオプリント繊維を、血管形成促進材料、例えばポリメタクリル酸または他のポリマー材料でコーティングしてもよい。記載される方法におけるコーティング層の付加は、血管形成促進層に限定されず、例えば、血管形成促進材料及び免疫防御材料の両方から構成される最外層、または単に免疫防御材料を含み得ることを理解されたい。
本明細書において言及されるすべての特許及び特許公開は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
実施例1:封入細胞の半径方向の配置を制御するバイオプリント繊維の設計
本実施例は、細胞含有層が2つの無細胞層の間に狭窄される、すなわち、半径方向に変位して環を形成する、マクロ封入デバイスとしての多層アルギン酸塩繊維のバイオプリンティングに関する。これらの多層アルギン酸塩繊維の形状を、酸素移動モデリングに基づいて決定し、細胞含有層の半径方向の変位を伴わない二層繊維と比較した。感度分析を実施して、封入された細胞の酸素プロファイルとそのインスリン分泌速度に対するモデルパラメータと繊維寸法の変化の影響を調べた。示されるように、放射状に細胞層が配置された多層アルギン酸塩繊維の際立った特性は、準最大のインスリン分泌及び/または無酸素状態での細胞層の形成を防止する一方で、細胞負荷容量を増加させたことであった。
本実施例で論じるように、本発明者らは、酸素移動の解析モデリングを拡張して、3つのアルギン酸塩層繊維から構成される円筒形細胞(例えば、膵島)封入デバイスを解析し、そこでは、細胞層の半径方向の変位により、環状の細胞領域が生じた。本発明者らの理論モデルは、酸素制限の有無におけるインスリン分泌速度の割合の推定と、円筒形細胞封入デバイスにおける酸素消費と拡散に関する以前に発表された2つの解析ソリューションの要素を組み合わせた。封入体積あたりの細胞負荷率及びインスリン分泌能力を、2層の円筒形状と比較した。細胞型間で変動するかまたは不確定なパラメータ値の感度分析を行って、3層繊維のモデル化された設計に対するこの変動性の影響についての情報を提供した。プロセスのばらつきが細胞の酸素化及び分泌能力に与える影響についての情報を提供するために、3層繊維の設計パラメータの第2の感度分析を実施した。
酸素移動モデル
本実施例で論じるように、本発明者らは、酸素移動の解析モデリングを拡張して、3つのアルギン酸塩層繊維から構成される円筒形細胞封入デバイスを解析した。上述したように、本発明者らは、Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67及びIwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-85により提示される酸素質量移動モデル由来の要素を組み合わせた。どちらも、封入細胞による酸素の定常拡散とゼロ次消費を考慮している。前者は、封入デバイスの表面に繊維性細胞層または血管細胞層が形成された後の封入された細胞の酸素化を分析し、酸素制限による壊死細胞層の形成を調べた。Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67。逆に、後者のモデルでは、免疫防御膜によって包囲される完全酸素化された内部細胞層に焦点を当てた。Iwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-85 ここでは、封入体外での細胞の過剰増殖のない2層または3層のいずれかからなる繊維をモデル化し、この場合、細胞は、平均的な細胞体積分率で内部層全体に均一に分布している(図5A~5F)。この仮定は、Avgoustiniatosのモデルに存在していたが、Iwataのモデルには存在していなかった。したがって、2層繊維の断面は、封入体シェルで包囲された平均細胞体積分率のコア細胞領域によって表すことができる(図5A~5C)。同様に、中間層に細胞が均一に分布している3層繊維については、繊維断面は、両方とも封入体シェルによって包囲された封入体コアの周囲の環状細胞領域によって表すことができる(図5D~5F)。どちらの繊維断面でも、細胞領域の単位体積あたりの酸素消費速度は、
Figure 2024521167000008
式中、Vmaxは、単位体積あたりの細胞の最大酸素消費速度を示す。
上述したように、酸素消費のゼロ次反応速度論もまた、酸素の物質移動方程式を解析的に解くために、AvgoustiniatosとIwataによって仮定された(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67;Iwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-85)。また、Avgoustiniatosは後に有限差分法を使用して、円筒形状におけるMichaelis-Menten反応速度論で予測される酸素化細胞層の厚さがわずかに増加したことを報告したが、この細胞の破片は極めて低い酸素濃度にさらされており、インスリン分泌能力に寄与する可能性は低いと警告した(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001)。
Avgoustiniatos(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)、酸素の有効拡散係数αD(mol・cm-3・mmHg-1・s-1)は、それぞれの材料について酸素溶解係数αと酸素拡散係数Dの乗算から得られる。これには、酸素濃度から分圧への変換が組み込まれており、分配係数を使用する必要性を回避することによって界面での境界条件が簡素化される(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001)。分散した(d)相及び連続相(c)(例えば、水中のアルギン酸塩から構成される封入体、封入体の細胞から構成される細胞領域)から構成される繊維層kの酸素の有効拡散係数を、複合媒体に関するMaxwellの関係式を用いて計算する:
Figure 2024521167000009
式中、φは分散相の体積分率を表し、
Figure 2024521167000010
は分散相と連続相との間の改変された有効拡散係数の比率である。
ここからは、円筒形状に関してIwataが提示した解析ソリューションに従うが(Iwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-85)、繊維層は内側に標識されており、酸素制限がない場合にダミー変数として機能するRminを含む。したがって、層1は封入体シェルに対応し、層2は細胞領域に対応し、層3は封入体コアに対応する(存在する場合)。また、二層及び三層の繊維は、それぞれコア-シェル繊維及びコア-環-シェル繊維と呼ばれる。
繊維周囲の放射状拡散及び一定の酸素分圧Pは、種の保存方程式の解析ソリューションが可能であると仮定する。これらの条件を考慮すると、封入体シェルを通過する酸素の量は、細胞領域によって消費される酸素と均衡する:
Figure 2024521167000011
式中、酸素制限の非存在下において、コア-シェル繊維(図6A)の場合、Rmin=0であり、コア-環-シェル繊維(図6B)の場合、Rmin=Rである。逆に、無酸素の存在下において、両方の繊維についてRmin=rであり、式中、rは、半径方向距離に関して細胞領域における無酸素層の境界である(図6C、6D)。通常、rは未知であるため、その推定については、以下の「モデル化されたパラメータの感度分析」の節に記載する。シェルの表面における酸素分圧は、Pに等しい。この境界条件を式3に挿入すると、シェル(R≦r≦R)中の酸素分圧プロファイルが得られる。
Figure 2024521167000012
また、シェルと細胞領域との間の界面での酸素分圧pо(R)は、
Figure 2024521167000013
である。
細胞領域では、送達される酸素の量及び消費される酸素の量も均衡する:
Figure 2024521167000014
シェル-細胞領域界面での酸素分圧pо(R)は、式4から得ることができ、細胞領域(Rmin≦r≦R中の酸素分圧プロファイルは、以下である:
Figure 2024521167000015
細胞領域における無酸素の非存在または存在
Avgoustiniatosによって提示されるモデル(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci. 1997;831(1):145-67)は、細胞が無酸素状態となって死滅する臨界酸素分圧Pが存在することを前提としており、無酸素を有さない細胞領域は、pо(Rmin)≧Pを有する。この境界条件を、式7に挿入する:
Figure 2024521167000016
式中、コア-シェル繊維の場合、Rmin=0であり、コア-環-シェル繊維の場合、Rmin=Rである。無酸素の細胞領域において、pо(Rmin)=P及びRmin=rであり、式中、コアシェル繊維の場合、r>0であり、コア-環-シェル繊維の場合、r>rである。この境界条件を、式7に挿入する:
Figure 2024521167000017
式8を反復して解くと、完全に酸素化された細胞領域が確保される一連の繊維寸法(R、R、及びRで示される)または細胞体積分率((αD)及びqоに埋め込まれている)を見出すことができる。式8の右辺が負の値である場合、式9を用いて反復によってrを推定するべきである。
最後に、繊維の単位長さあたりの細胞負荷率は、以下のとおりである:
Figure 2024521167000018
式中、コア-シェル繊維では、Rmin=0であり、コア-環-シェル繊維では、Rmin=Rである。無酸素の存在下では、細胞領域における完全酸素化領域についてのみ、R=rを代入することにより、両方の繊維形状についての細胞負荷率を計算することができる。
インスリン分泌速度モデル
局所酸素分圧の関数としてのインスリン分泌速度のバイリニアモデル(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001;Johnson et al.,Chem Eng Sci.2009;64(22):4470-87)を使用して、繊維の単位長さあたりの正味のインスリン分泌速度を推定する。
第1のモデルの仮定は、局所酸素分圧Pを下回ると、細胞はインスリンを低速で分泌することを意味する。準最大インスリン分泌速度で得られる細胞層は、半径方向の境界rを有し、これは、P>Pであるため、無酸素が存在する場合であっても、両方の種類の繊維についてr≧Rminである。この境界条件を、式7に挿入する:
Figure 2024521167000019
式中、コア-シェル繊維(図7A)では、Rmin=0であり、完全に酸素化された細胞領域を有するコア-環-シェル繊維(図7B)では、Rmin=Rであり、一方、無酸素の存在下で、両方の繊維についてRmin=rである(図7C、7D)。この式の右辺がPを上回る値である場合、これは、r=Rminであり、準最大インスリン分泌速度の細胞層は存在しないことを意味する。
第2のモデルの仮定では、pо(r)<Pについて、以下を指定し:
Figure 2024521167000020
Figure 2024521167000021
について、以下を指定し:
Figure 2024521167000022
式中、fは、最大インスリン分泌速度の割合である。したがって、最大インスリン分泌速度を有する細胞層の断面積は、以下であり:
Figure 2024521167000023
一方、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の正味断面積は、以下であり:
Figure 2024521167000024
式中、コア-シェル繊維では、Rmin=0であり、完全に酸素化された細胞領域を有するコア-環-シェル繊維では、Rmin=Rであり、一方、無酸素の存在下では、両方の繊維についてRmin=rである。最後に、繊維の単位長さあたりの分泌能力は、以下のとおりである:
Figure 2024521167000025
モデルの実施
半径方向距離の関数としての酸素分圧及びインスリン分泌速度の割合の計算をMS Excelで実行した。Goal Seekを使用して、標的pо(Rmin)が与えられ、PまたはP、及び一定の繊維寸法に設定されたεについて、式8を解いた(式中、繊維直径は2Rであり、シェル厚さはR-Rであり、環状厚さはR-Rであり(該当する場合)、コア直径は2Rまたは2Rである)。あるいは、式8の右辺のサイズが負の値となる場合、同じpо(Rmin)標的、繊維寸法、及びεを式9に用いて、Goal Seekによってrを求めた。その後、別のGoal Seekによって式11からrを推定した。Visual Basicスクリプトを使用して、反復計算と式15の積分を自動化した。
モデルパラメータの選択
モデルパラメータの値は、文献から検索した(表2を参照のこと)。いくつかのパラメータ値にばらつきが認められたが、これらの大部分は、Avgoustiniatos、Colton及びその他によって行われたモデリング作業から得られた(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001;Johnson et al.,Chem Eng Sci.2009;64(22):4470-87)。しかしながら、本発明者らは、Pappas及び同僚らによって報告されたヒト膵島酸素消費速度の測定値(Papas et al.,PLoS One.2015;10(8):e0134428)及びヒト膵島細胞組成物の測定値(Pisania et al.,Lab Investig.2010;90(11):1661-75;Pisania et al.,Lab Investig.2010;90(11):1676-86)からVmaxを推定することを選択した。パラメータ値の変動性に対処するために、感度分析を一時一事法で実施したが、入力変数における変化の範囲は、文献に報告されている範囲をカバーしていた(以下の「モデル化パラメータの感度分析」と題する節を参照のこと)。
Figure 2024521167000026
結果
コア-シェル形状とコア-環-シェル形状の比較
同軸流フォーカシング繊維プリンティングでは、流速、材料粘度、及びプリントヘッド設計を操作することによって寸法を調整することができる。1~1.5mmの特徴部(例えば、微小球)が、より小さい微小球に比べてFBRが低減されていることが示されたため(Veiseh et al.,Nat Mater.2015 Jun;14(6):643-51)、1mm繊維に注目した。酸素欠乏状態を分析して、4%アルギン酸塩からなる150μmの免疫防御シェルと2%アルギン酸塩を有する細胞領域の両方を用いて、コア-シェル繊維とコア-環-シェル繊維を比較した。40mmHgの腹腔内酸素分圧に曝露したこれらの繊維のシミュレーションを行い、細胞体積分率(ε)を変化させて、細胞領域が完全に酸素化されたかまたは最大インスリン分泌速度を有する最大細胞負荷率を同定した(図8A~8D)。前者を超えて細胞体積分率を増加させると酸素制限が生じるため(図8E~8F)、この事例をコア-環-シェル繊維についてのみ、その細胞負荷率をコア-環-シェル繊維の細胞負荷率に一致させる際に検討した(下記を参照のこと)。
最初に、完全酸素化細胞領域について最大細胞体積分率を計算したが、すなわちシミュレーションは、0.1mmHgの最小酸素濃度を目標とした。図9Aに示すように、完全酸素化を受けるコア-シェル繊維細胞領域について、最大εは16.5%であった。これは、350μmの細胞領域半径の159μmに及ぶ準最大インスリン分泌速度を有する内部細胞層を含んでいた(図8Cにおいてオレンジ領域として図式化される)。コア-環-シェル形状において、半径150μmの無細胞コアを加え、それによって厚さ200-μmの細胞環が加わり、最大εは25.3%に増加し、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の厚さはわずか94μmであった(図9B)。全細胞が最大速度でインスリンを産生し、それによってそれらの細胞の有用性を最大化するために、追加のシミュレーションは、5.1mmHgの最小酸素濃度を目標とした(表2)。これにより、コア-シェル繊維の最大εが16.5%から14.6%に低下し(図9C)、コア-環-シェル繊維では25.4%から22.4%に低下した(図9D)。コア-シェル繊維の細胞体積分率を16.5%から18.4%に増加させると、細胞領域半径68μmに及ぶ無酸素細胞層が生じ、これを、準最大インスリン分泌速度を有する細胞の123-μm層で覆った(図9E)。
コア-環-シェル繊維における無細胞コアは、コアシェル繊維における49%と比較して、細胞領域面積を繊維面積の40%に制限した。しかしながら、細胞領域の半径方向の変位により、コア-シェル形状を有する繊維に比べて、細胞が酸素源の近くに本質的に配置され、その結果、最大インスリン分泌における細胞体積分率と細胞の割合の双方が増加した。例えば、最小酸素濃度が5.1mmHgを目標とした最大インスリン分泌速度を有する繊維では、細胞負荷率(式10を参照のこと)は、コア-シェルの場合は7.1%、コア-環-シェル形状の場合は9%であった(図10A)。これは、ごくわずかな増加のように見え得るが、コア-シェル繊維における後者の細胞負荷率を半径350-μmの細胞領域に一致させるには、εを18.4%に増加させる必要があったが、それにより、細胞領域面積の3.7%が無酸素状態になり、25.9%が最大未満のインスリン分泌になる。これらの細胞層のいずれも、in vivoでの損傷関連分子パターン(DAMP)を放出し、移植片障害を誘発することができた(Paredes-Juarez et al.,Sci Rep.2015;5(September):1-12)。
さらに、図10Bに示す通り、このコア-シェル繊維の分泌能力は、繊維面積のわずか7.4%であったが、一方、最大インスリン分泌を有するコア-環-シェル繊維の場合は9%であった(すなわち、その細胞負荷率に等しい)。完全に酸素化された細胞領域を有するコア-シェル繊維では、分泌能力は、繊維面積の7.3%であった。総じて、最高インスリン分泌速度を有する環状細胞領域は、コア-シェル繊維と比較した場合、分泌能力を少なくとも20%向上させた。興味深いことに、完全酸素化された細胞領域を有するコア-環-シェル繊維は、最大インスリン分泌速度に相当する細胞負荷よりも高い10.1%の細胞負荷率を有していたが(図10A)、細胞領域の面積の内側の37%が5.1mmHg未満の酸素濃度に曝露されたため(図9B)、その分泌能力は、繊維面積のわずか7.9%であった(図10B)。分泌能力が14%低下したことは、酸素化され得る細胞の最大数を封入することを目的とするのではなく、環状細胞領域に対して最大インスリン分泌を目標とすることの重要性を強調した。
150μmの免疫防御シェルを有する1mm繊維の場合、細胞体積分率を増加させると、コア-シェル繊維の分泌能力が微細に増加した。逆に、より高い細胞体積分率を有するコア-環-シェル繊維は、より低い分泌能力を有していた。しかしながら、これらの繊維の形状により、繊維半径及びシェルの厚さを一定に保ちながら環の厚さの調節が可能になった。したがって、様々な細胞領域の環の厚さが分泌能に及ぼす効果を検討した。これらのシミュレーションにおいて、細胞体積分率(ε)を調整して、細胞領域が最大インスリン分泌速度を有する最大細胞負荷率を同定した。図10Cに示すように、最大ε及び分泌能力は、環状細胞領域の厚さが増加するにつれて両方とも減少した。言い換えれば、細胞領域の半径方向の変位を減少させることにより、細胞が本質的に酸素源から遠くに、かつコア-シェル繊維の近くに配置される。他方で、より薄い環状細胞領域を有する繊維は、分泌能力の増加に加えて、内部に拡散する酸素を求めて競合する放射状に積層された細胞凝集体の発生を最小限に抑えることができる。膵島などのインスリン産生細胞凝集体の寸法及びサイズ分布(Tse et al.,Front Bioeng Biotechnol.2021;9:634403;Huang et al.,Cell Transplant.2018 Jul 28;27(7):1017-26;Schulz et al.,PLoS One.2012 Jan;7(5):e37004;Rezania et al.,Nat Biotechnol.2014;32(11):1121-33;Pagliuca et al.,Cell.2014;159(2):428-39)により、封入のための最小の環の厚さの下限が決定される。しかしながら、より小さな再凝集した膵島(Kojima et al.,Organogenesis.2014;10(2):225-30)を使用して、環状細胞領域の寸法のさらなる縮小の利点を使用し、影響を与えることができる。
コア-環-シェル繊維の感度分析
数学的モデルは、上記分析で使用されるようなモデルパラメータ値の不確定性及び真の変動性にもかかわらず、有用な予測を提供する。モデルがこのばらつきの結果を探索できる場合には、モデルはさらにより有用であり、この探索を、一時一事法で感度分析を実施して、表2に示すモデルパラメータの変動を探索することによって行った(図12A~図12F)。繊維パラメータ(細胞体積分率、シェルの厚さ、環の厚さ、及び無細胞コア直径)を変化させる一方で、同様の分析を実施して、プリント中に発生し得る様々な異なる繊維設計及び/または変動の範囲を評価した(図13A~図13D)。どちらの感度分析でも、図9Dのコア-環-シェル繊維をベースケースとして選択したが、これは、この繊維が、注入した全細胞の最大インスリン分泌速度を維持する一方で、最も高い細胞負荷率を有すると予測されたためであった。図11に示すように、これらの分析の結果を、x軸の周りに垂直に回転して繊維断面を形成することができる異なる繊維層の半径方向境界としてまとめた。
モデルパラメータの感度解析
第1の感度分析では、繊維(P)の表面での酸素分圧における不確定性に対処することから始めた。動物、非ヒト霊長類、及びヒトにおける様々な研究において、様々な酸素濃度が、腹腔内(及び他の移植部位)で報告及び/または測定されてきた(Safley et al.,Transplantation.2020;104(2):259-69;Papas et al.,Adv Drug Deliv Rev.2019;139:139-56)。したがって、分析範囲は3~100mmHgであり、血液中に見出される酸素分圧Pが含まれていた。前述のように、分析されたコア-環-繊維は、表面酸素分圧P=40mmHgに曝露された場合に、細胞領域全体で最大のインスリン分泌を示した。したがって、増加するPが、このベースケース値を超えると、繊維断面で発生する最小酸素分圧の同時上昇が生じた。逆に、図12Aに示すように、Pにおける中程度の減少でさえ、準最大のインスリン分泌速度を有する細胞層の形成及び急速な肥厚が生じた。この細胞層の膨張は、P≦34mmHgで、無酸素層の形成と共に減少した。最大インスリン分泌速度は、P≦15mmHgでは維持できなかった。
次に、最大インスリン分泌速度に必要な酸素分圧(P)及び細胞が死滅する時点(P)の不確定性について調べた。Pの値を、Avgoustiniatos(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001)によって、様々なバルク酸素濃度に曝露したイヌ及びマウス膵島のインスリン分泌測定値から推定した(Dionne et al.,Diabetes.1993;42(1):12-21)。しかしながら、Pの値はヒトの膵島では異なる場合があり、発明者らの知る限りでは、この圧力は直接測定されていない。したがって、Pについて分析した範囲は0.5~10mmHgであり、この場合、下限は、酸素に対する膵細胞のMichaelis-Menten定数に近く(Dionne et al.,Diabetes.1993;42(1):12-21)、上限は、分数インスリン分泌速度モデルの開発においてAvgoustiniatosによって以前に使用されていた(Avgoustiniatos ES,Massachusetts Institute of Technology;2001)。Pの値に関しては、肝細胞において低酸素細胞死を誘導するための臨界酸素分圧として決定した(Anundi and Groot,Am J Physiol.1989 Jul;257(1 Pt 1):G58-64。この研究は、ほとんどの細胞封入酸素移動モデルによって引用されているため、本発明者らは、Pの分析範囲として10倍の減少/増加(0.01~1mmHg)を使用することとした。P及びPの値の変化は、繊維断面で受ける最小酸素分圧に影響を及ぼさなかった。しかしながら、準最大インスリン分泌速度で細胞層は徐々に厚くなるが、P>5.1mmHgでは無酸素細胞層は観察されなかった(図12B)。このパターンは、P>0.1mmHgでも観察されたが、準最大インスリン分泌速度で細胞層の成長が著しく遅かった(図12C)。
近年、ヒト膵島及び他のインスリン産生細胞の酸素消費速度がTseらによって要約されている(Tse et al.,Front Bioeng Biotechnol.2021;9:634403)。したがって、これらの値(0.01~0.05mol・m・s-1)を、細胞の最大酸素消費速度(Vmax)の分析範囲として使用した。Vmaxの値の変動は、繊維断面で受ける最小酸素分圧とは逆比例していた。したがって、Vmax>0.014mol・m-3・s-1(ベースケース値)では、準最大インスリン分泌速度で細胞層が急速に肥厚した(図12D)。この細胞層の膨張により、無酸素が最初に発生した点であるVmax≧0.0165mol・m-3・s-1で傾きが変化した。これらの観察は、数ある特性の中でも特に、封入されたインスリン産生細胞は理想的には低い酸素消費速度を有するはずであるというDionneらの概念を反映している(Dione et al. In:Lanza RP,Chick WL,editors. Pancreatic Islet Transplantation:Vol III Immunoisolation of Pancreatic Islets. Austin,TX:R G Landes Co;1994. p.119-31;Wright and Pohajdak,Cell Transplant. 2001;10(2):125-43)。
細胞における酸素の効果的な拡散係数(αD)細胞については、Avgoustiniatos and Colton(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)は、その値が37℃における水中の酸素の拡散係数(D=2.78・10-5cm・s-1)と酸素溶解係数の積の1/3にほぼ等しいと仮定した(α=1.27・10-9mol・cm-3・mmHg-1)。逆に、Buchwald(Buchwald,Theor Biol Med Model.2009 Apr 16;6(1):5)は、D=3.0・10-5cm・s-1及びα=1.45・10-9mol・cm-3・mmHg-1を使用し、細胞内の酸素の拡散係数はD細胞=2.0・10-5cm・s-1であると仮定した。したがって、(αD)細胞について、分析範囲は0.35~4.5・10-14mol・cm-1・mmHg-1・s-1であり、下限値はAvgoustiniatos及びColtonによって使用された値(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)の10分の1であった一方で、上限は、Buchwaldによって使用されたDとα(Buchwald,Theor Biol Med Model.2009 Apr 16;6(1):5)の積であった。(αD)細胞の値を増加させると、繊維断面で発生する最小酸素分圧の同時上昇が生じた。(αD)細胞をベースケース値の10%まで減少させると、準最大インスリン分泌速度を有する70-μmの細胞層が形成された(図12E)。この中程度の影響は、細胞負荷率が繊維面積のわずか9%であることに起因していた。
シェル(αD)及び細胞領域(αD)c,2に使用するアルギン酸塩ヒドロゲル内の酸素の有効拡散係数を、Avgoustiniatos及びColtonによって提案された複合媒体のMaxwellの関係性(式2)を使用して計算した(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)。逆に、Dulong及びLegallaisは、Mackie-Mearesの式を使用して、アルギン酸塩ヒドロゲルにおける酸素の拡散係数に対するアルギン酸塩濃度の変化の影響を推定した(Dulong and Legallais,J Biomech Eng.2005 Dec 1;127(7):1054-61)。この報告書とBuchwaldの2つの報告書はすべて、1.2%及び3%アルギン酸塩ヒドロゲルにおける酸素の拡散係数の値として2.5・10-5cm・s-1を使用した。同じアルギン酸塩ヒドロゲルについて、D=2.78・10-5cm・s-1及びDアルギン酸塩=0、すなわちAvgoustiniatos及びColtonによって報告された値を使用した場合、方程式2から、それぞれ2.73及び2.66cm・s-1が得られた(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)。しかしながら、Buchwaldの報告ならびにDulong及びLegallaisの報告では、著者らは、アルギン酸塩ヒドロゲル中の酸素の溶解度係数について調整があったかどうかを特定しなかった。したがって、(αD)及び(αD)c,2のための分析範囲を決定するために、本発明者らは、(αD)細胞の場合と同じ分析範囲を使用することとした。(αD)細胞の値をベースケースの10%まで減少させることが中程度の影響を及ぼす一方で、(αD)及び(αD)c,2の値における同じ減少により、細胞領域の面積の79%に及ぶ無酸素細胞層が形成し、最大インスリン分泌速度を有する細胞層が存在しなくなる(図12F)。この有効拡散係数の影響の違いは、アルギン酸塩ヒドロゲルの含有量が繊維断面の細胞の含有量よりも高いことに起因していた。
分析したコア-環-シェル繊維は、5.1mmHgの最小酸素濃度を目標とすることによって、全細胞が最大速度でインスリンを産生することを目指した。しかしながら、感度分析では、Vmaxを増加させた場合、ならびにP、(αD)及び(αD)c,2を減少させた場合に、無酸素細胞層を含む繊維断面が観察された。将来の理論研究では、要因感度分析によってこれらの変数間の交互作用を調べることが提案されている。予備分析において、Vmax、(αD)及び(αD)c,2の値における同時的な±25%の変化が、繊維設計時に細胞体積分率を選択するための実際的な安全マージンであり得ることがわかった。この安全マージンを適用することは、Pが10mmHg減少するように繊維を設計することと等しかった。しかしながら、モデルパラメータ以外にも、繊維に沿った細胞負荷率の変動及び/または標的繊維層の寸法からの偏差など、in vivoでの封入デバイスの性能に影響を及ぼし得る他の要因が存在する。このため、そのような変動性を考慮して、異なる繊維設計の範囲を評価するために、第2の感度分析を実行した。
細胞負荷率及び繊維寸法の感度分析
この感度分析では、製造中に制御可能な主要な繊維の設計変数に焦点を当てた。最初に、細胞負荷率のばらつきの影響を検討し、それによって細胞領域において細胞体積分率εを調べた。εについて分析範囲は0~100%であったが、そのような高い細胞濃度でのバイオプリンティングの実現可能性はまだ試験されていない一方で、Iwata(Iwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-85)及びAvgoustiniatos(Avgoustiniatos and Colton,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-67)によって報告されたモデルは、両方とも同様のシナリオを検討した。εをベースケース値未満に減少させると、繊維断面で発生する最小酸素分圧が上昇した。図13Aに示すように、εを増加させると、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の形成及び急速な肥厚が生じた。この細胞層の膨張は、ε≧25.3%で、無酸素層の形成と共に減少した。これらの観察は、細胞領域の酸素消費速度qоと細胞領域内の酸素の実効拡散係数(αD)の両方に影響を与えるεに起因していた(式1及び2)。したがって、εの増加により、それぞれ、より高い、及びより低いqо及び(αD)の値が得られた。次に、一定の無細胞コア直径と環状細胞領域の厚さを維持する一方で、シェルの厚さを変化させた。分析範囲は15~350μmであったが、その場合、下限はベースケースのシェルの厚さの10分の1、上限は膵島マイクロ封入における免疫防御膜の厚さに相当していた(すなわち、500μmマイクロカプセルの中に150-μmの膵島)。したがって、ベースケースを除いて、繊維直径は≠1mmであった。シェルの厚さをベースケース値未満に減少させると、繊維断面で発生する最小酸素分圧が上昇した。図13Bに示すように、シェルの厚さを増加させると、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層の形成及び漸進的な肥厚が生じた。この細胞層の膨張速度は、シェルの厚さ≧207μmにおいて、無酸素層の形成と共に低下した。範囲の上限では、最大インスリン分泌速度を有する細胞は、細胞領域の35.3%のみを占め、一方、無酸素細胞は細胞領域の面積の15.5%を占めた。
一定の環状細胞面積及びシェル厚さを維持する一方で、無細胞コア半径の変動の影響を最初に検討した。したがって、ベースケースを除いて、環状細胞領域の厚さは≠200μmであった。分析範囲は、シェル厚さの場合と同じであり、15~350μmであった。無細胞コア半径がベースケース値を超えると、繊維断面で受ける最小酸素分圧が上昇した。図13Cに示すように、無細胞コア半径の減少により、環の厚さが徐々に増加し、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層が形成され、徐々に厚くなる。この細胞層の膨張速度は、無細胞コア半径≦97μmで無酸素層が形成されるにつれて低下した。範囲の下限では、最大インスリン分泌速度を有する細胞は、細胞領域の66.6%のみを占め、一方、無酸素細胞は細胞領域の面積の5.6%を占めた。
上記に続いて、一定の環状細胞の厚さを維持する一方で、無細胞コア半径を変化させた。したがって、ベースケースを除き、環状細胞領域の面積は≠3.14・10-2mmであった。無細胞コア半径がベースケース値を下回ると、繊維断面で受ける最小酸素分圧が上昇した。無細胞コア半径が増加することにより、環の厚さが漸進的に増加し、図13Dに示すように、環の厚さは徐々に増加し、準最大インスリン分泌速度を有する細胞層が形成し、徐々に肥厚し、無細胞コア半径≦310μmで無酸素細胞層が形成される。範囲の上限では、最大インスリン分泌速度を有する細胞は、細胞領域の55%のみを占め、一方、無酸素細胞は細胞領域の面積の1.3%を占めた。範囲の下限では、全細胞が最大インスリン分泌速度を有していたが、環状面積の減少により、細胞負荷率は9%から8.1%に減少した。
一定の環の厚さを維持すると、得られた繊維断面の細胞領域の面積が変化したため、無細胞コア半径の2つのバリエーションに差が生じた。次に、細胞の体積分率εが一定であるとすると、これらの変化は細胞負荷率に影響を及ぼす。逆に、細胞領域の面積を一定に維持する一方で無細胞コア半径を増加させても、細胞負荷率の増加は引き起こされなかった。
無酸素細胞層を有する繊維断面は、一定の環の厚さで、ε、シェルの厚さ、及び無細胞コア半径を増加させた場合、ならびに一定の環面積で無細胞コア半径を減少させた場合に観察された。繊維の寸法及びプリント中のεにおける変動は、本明細書で検討する範囲、すなわち、所望の繊維の寸法または細胞分布からの数十ミクロンの偏差よりもはるかに小さい可能性がある。しかしながら、繊維パラメータのばらつきを招く摂動は、完全に直交せず、交互作用を引き起こす可能性がある。例えば、環の収縮に関連するシェル厚さのわずかな変動でも、無細胞コアの寸法の変化を引き起こし得る。これらのバリエーションは依然として特徴決定されており、それらの交互作用を近い将来、要因感度分析によって調べるべきである。さらに、洗練された有限要素モデリングアプローチ(Dulong and Legallais,Biotechnol Bioeng.2007 Apr 1;96(5):990-8;Johnson et al.,Chem Eng Sci.2009;64(22):4470-87)を使用して、個々の細胞集合体の酸素化及び分泌能力に対する繊維設計の影響を研究することができるが、これは本発明者らの理論モデルを用いて計算することはできない。
本発明者らの観察を用いて、繊維設計の一般概念を導き出した:(i)シェルの厚さ及び環状細胞領域の面積の増加(無細胞コア半径の増加または環の肥厚に起因する)は、酸素制限の可能性を高め、(ii)無細胞コア半径の増加を伴う環状細胞領域の厚さの減少は、酸素制限の可能性を低下させる。in vitro実験が進行中であり、実験では、コア-環-シェル繊維に封入された細胞を、制御された酸素濃度に曝露し、細胞レベルでの酸素制限を蛍光プローブを使用して検出する。
結論
封入されたインスリン産生細胞への受動的拡散は、依然として開発すべき重要な選択肢であり、なぜなら、これにより、本質的に心配する必要がない糖尿病の回復がもたらされ、毎日の酸素補充の必要性、及びより複雑なデバイスを生涯にわたって使用することに伴うリスクが回避され得る。バイオプリントされたアルギン酸塩繊維は、マクロ封入デバイスと同様に回収できる可能性があり、マイクロカプセルと同等の細胞負荷率で封入することもできる(500-μmカプセル中の150-μm細胞凝集体に対して2.7%)。コア-環-シェル繊維内の細胞領域を半径方向に変位させることにより、コア-シェル繊維よりも高い封入細胞負荷率が可能になった。繊維パラメータの感度分析に基づいて、設計時の繊維寸法の選択を支援する戦略を提供した。さらに、本明細書で提示されるモデルは、コア-環-シェル繊維の細胞領域全体で最大インスリン分泌速度を目指すことによって、その分泌能力が損なわれることがないことを示した。本明細書において、この戦略が、酸素制限、及びその後の移植不全を誘発するDAMPなどの免疫原性因子の放出を回避するために使用してもよいことが認識される(Paredes-Juarez et al.,Sci Rep.2015;5(September):1-12)。
実施例2:環封入繊維のin silico分析
本実施例に示すように、モデリングを使用して、実験テスト用の繊維の寸法の信頼性のある推定を提供することができる。本実施例はさらに、環の設計が、固体コアの単一のシェルアーキテクチャ繊維タイプに対して、移植繊維の長さの合計を約1/2減少させ得ることを示す。この実施例はさらに、約1mmHgまでのO利用に基づく最大細胞負荷率、及びインスリン分泌との相関関係を示す。
酸素輸送を選択してモデル化したが、その理由は、少なくとも1)酸素が、例えばグルコースよりも溶解度が低いが、同様の速度で消費され、2)モデルが、例えば、拡散による膵島酸素化を封入し、3)例えば、インスリン分泌が酸素依存的であることによる。
図14A~14Bは、分析モデルに使用される簡略化された形状を示す。球面形状の実際の画像(図14A、左)を、球面形状の説明図(図14A、右)と共に示す。また、円筒形状の実際の画像(図14B、左)を、円筒形状の説明図(図14B、右)と共に示す。示されるように、各実施例のシェルは封入体を含み、一方、コアは細胞領域を含む。細胞領域内の細胞濃度は、細胞の体積を細胞領域の体積で除算し、100を掛けたものとして定義される。
図15A~15Bは、本開示の環状繊維についての簡略化された形状を示す。図15Aは、コア領域、環状領域、及びシェル領域を例示的に示す。細胞領域は環状領域内に含まれ、シェル領域及びコア領域は、封入体を含む。図15Bは、環状繊維の断面図を示しており、例示的にO(外部pO)の外部分圧を示し、モデル化において、pOは、コア領域で0より大きくなると仮定される。
環状繊維の酸素輸送をモデル化するために、球形及び円筒形の繊維タイプに使用される仮定と同じ仮定を使用した。具体的には、1)系が定常状態に達したこと、2)封入体及び細胞領域を通した半径方向の拡散が存在すること、3)酸素消費速度(OCR)が酸素濃度に依存しないこと、4)細胞領域が完全に酸素化されること、及び5)細胞分布が細胞領域内で均一であることを仮定した。モデルパラメータに関する他の仮定を、図16に示す表に示す。
酸素プロファイラ
使用したモデル入力は、様々な球形、円筒形、及び環形デバイスの寸法であった。このモデル化プロセスは、1μmステップの物質移動計算を含んでいた。モデル化手順の出力は、コアの中心から特定のデバイスの外部境界までの半径方向距離(r)の関数としての分圧であった。
球形及び円柱形の形状に対するモデル出力が図17Aに示されている。各分圧トレースについて、半径に関するシェル-コア界面の位置が示されている。図17Aのデータの生成に使用するデバイスの寸法が、図17Bに示されている。
図18Aには、環状デバイスの酸素プロファイルが、球形デバイス及び円筒デバイスの酸素プロファイルと重ね合わせて示されている。環-コア界面での分圧は26.3mmHgであった。図18Aには、環-コア界面及びシェル-環状界面の半径に関する位置が示されている。図18Aのデータの生成に使用するデバイスの寸法が、図18Bに示されている。本実施例では、円筒繊維及び環状繊維の両方における細胞領域が、17.7・10μmであった。他の環状領域の酸素プロファイルが図19Aに、対応するデバイスの寸法及び他の様々なパラメータ(図19B)と共に示されている。
酸素プロファイリング研究の結果は、環の厚さが増加するにつれて、環-コア界面でpOが減少することを示している。
インスリン分泌プロファイラ
使用したモデル入力は、酸素プロファイラモデル化手順で使用したデバイス寸法、及び酸素プロファイラモデル化手順で取得した酸素プロファイルであった。このモデル化プロセスは、入力を局所インスリン分泌に変換すること(正常に対する%として)を含んでいた。モデル化手順の出力は、半径方向距離の関数としてのインスリン分泌、及び正常なインスリン分泌を有する細胞領域の面積であった。図20Aには、第1の環状デバイスについての半径方向距離の関数としての酸素の分圧が示されており、第1のデバイスについての半径方向距離の関数としての局所インスリン分泌(最大値に対する%)が、図20Bに示されている。第1のデバイスの寸法及び関連パラメータが図20Cに示されている。
図20Dには、第2の環状デバイスについての半径方向距離の関数としての酸素の分圧が示されており、第2のデバイスについての半径方向距離の関数としての局所インスリン分泌(最大値に対する%)が、図20Eに示されている。第2のデバイスの寸法及び関連パラメータが図16Fに示されている。参考までに、第1のデバイス(図20A~20Cを参照のこと)に対応するデータも図20D~20Fに示されている。
図20Gには、第3の環状デバイスについての半径方向距離の関数としての酸素の分圧が示されており、第3のデバイスについての半径方向距離の関数としての局所インスリン分泌(最大値に対する%)が、図20Hに示されている。第3のデバイスの寸法及び関連パラメータを図20Iに示す。参考までに、第1のデバイス(図20A~20Cを参照のこと)及び第2のデバイス(図20D~20Fを参照のこと)に対応するデータも、図20G~図20Iに示されている。
図20A~20Iのデータは、最大インスリン分泌を有する面積が環の厚さの関数であり、第1のデバイスから第2のデバイスまで(環の厚さが25μmから55μmに増加する)最大インスリン分泌が増加したが、第2のデバイスから第3のデバイスまで、環の厚さが55μmから62μmに増加するにもかかわらず、最大インスリン分泌を有する面積が減少したことを示す。
環状構成ファインダ
本手順では、使用するモデル入力に、最大合計半径を含め、任意選択で環またはシェルの厚さを含めた。このモデル化プロセスは、細胞領域の最大面積、及び環-コア界面での目標pOとの最小差の探索を含んでいた。モデル化プロセスの出力には、最大の細胞領域またはインスリン分泌領域を有する環状構成の寸法が含まれていた。
図21Aは、シェルの厚さ(合計の半径(r)-細胞の半径(r)の関数としての、様々な環の厚さ(60μm、70μm、80μm)の環状デバイスの環-コア界面におけるpO(図21Bを参照のこと)を示す。図21Aにおける破線は、5.1mmHgを表す。2点(「i」及び「ii」で示す)が示されており、これらをさらに分析した。図21Cに着目すると、点「i」及び「ii」によって規定される各デバイスの寸法及び様々な出力パラメータが、特定の円筒デバイスの寸法及び様々な出力パラメータと共に示されている。このデータは、円筒デバイスと比較して、環状デバイスを使用することにより、最大インスリン分泌を有する面積を約2倍以上増加させることが可能であり、環状デバイスにおける最大インスリン分泌を有する面積が、コア半径、環の厚さ、及びシェルの厚さの関係性の関数であることを示している。
実施例3:固体コア、単一シェルアーキテクチャについての理論的な酸素輸送及びインスリン分泌速度、ならびにFITC-デキストラン放出研究
封入は、(他の細胞置換療法の中でも)β細胞置換療法のための重要な最終製造ステップである。アルギン酸塩ビーズ、繊維、及びスラブなどのデバイスは、例えば、インスリン、グルコース、及び酸素の輸送を可能にする一方で、封入された細胞を免疫拒絶から防御することを目的としている。従来の球形アルギン酸塩ビーズと比較して、バイオプリント繊維の免疫防御の重要な利点は、封入された細胞を、半透性の外部シェルによってデバイス表面から隔離されたコアに制限することができることである。封入された細胞はこのシェルによって防御され、受動的拡散によって酸素化されるため、封入され得る細胞の体積を制限するのは主に酸素輸送である。
本実施例の目的は、1)酸素輸送をモデル化して、完全に酸素化されたコア領域を有するコア-シェル繊維構成を設計し、2)インスリン分泌速度に対する局所酸素分圧の影響をシミュレートするためのバイリニアモデルを使用する糖尿病の治療への適用を最適化し、3)規定の分子範囲を有するFITC-デキストラン複合体を使用して十分に免疫防御的な(すなわちIgGを排除する)最小のシェル厚さを見出すことを含んでいた。
実施例1に関して上記で論じた様式と同様の様式で、腹腔内に移植した繊維の酸素化の計算は、公開された分析モデルに基づき(Iwata et al.,Artif Organs.2018;42(8):E168-E185;Avgoustiniatos et al.,Ann N Y Acad Sci.1997;831(1):145-167)、MS Excel及びVisual Basicスクリプトを使用して実行した。膵島酸素消費速度(qO2)、膵島内の酸素の有効拡散率(D)及びアルギン酸塩ヒドロゲル(D)、ならびに腹腔内酸素分圧の値は、すべて文献から取得した(Papas et al.,PLoS One.2015;10(8):e0134428;Safley et al.,Transplantation.2020;104(2):259-269)。インスリン分泌速度の推定値は、モデル(Johnson et al.,Chem Eng Sci.2009;64(22):4470-4487)に基づき、β細胞は、5.1mmHgを超える局所酸素分圧でその最大インスリン分泌速度を保持すると考えられる。
分析用酸素移動モデル
膵島負荷されたバイオプリント繊維の一例が、図5Aに示されている。図5Aに示すように、プリントされた繊維のコア内に、膵島が均一に分布していた。一定の細胞体積分率(X)を仮定することにより、コアの繊維形状を簡略化した(図5B~5C)。それに応じて、この層内の酸素の有効拡散率(D)及び消費速度(q’O2)を調整した:
Figure 2024521167000027
酸素を失い、及び/または準最大インスリン分泌を有するコア層を説明するために、半径方向距離(r及びr)に関するこれらの層の潜在的な境界を含めた。したがって、シェル及びコアを通る酸素の定常状態拡散及び反応速度をそれぞれ以下のように記述した:
Figure 2024521167000028
これらの方程式を、1)繊維周囲の酸素濃度が一定であり、2)半径方向の拡散のみであり(すなわち、軸方向の拡散は無視できる)、3)酸素消費のゼロ次速度論、及び4)図22A~22Cに示される境界条件のセットを使用して準最大インスリン分泌速度=pO(r)/5.1を仮定することによって反復的に解いた。
20%未満の細胞体積分率の負荷により、コア全体での最大インスリン分泌速度が得られ(図23A)、より薄いシェルを有する繊維ではコアの酸素化が向上した(図23B)。規定の分子量範囲のFITC-デキストラン複合体を使用して、十分に免疫防御的である(すなわち、IgGを排除する)最小のシェルの厚さを調べた。データは図24A~24Fに示されており、4種類の繊維の上清から回収したFITC-デキストラン(図24A~24E)、及び分子サイズの関数としての全デキストランの90%放出の時間を示すグラフ(図24F)が示されている。図24Fでは、デキストランの分子量を、公開文献に基づいて流体力学的半径に変換した(Schnell et al.,J Biomed Opt.2008;13(6):064037)。
モデル化されたパラメータの一時一事法による感度分析を実施した(図25A~25B)。酸素化層上での膵島酸素消費速度の値(図25A)及びアルギン酸塩ヒドロゲル中の酸素の有効拡散率(図25B)における不確定性の効果を示す。同様の分析を、膵島における酸素の有効酸素拡散率、及びβ細胞が最大インスリン分泌速度を保持する局所酸素分圧についても実施した(データは示さず)。前者は、一定の細胞体積分率を仮定することにより、酸素輸送に無視できる程度の影響しか与えなかった。後者は、コア酸素化に影響を与えなかった。
したがって、最大数の酸素化細胞を負荷すると、最大インスリン分泌速度を有する細胞の割合が低下し、酸素源からの分離(すなわち、シェルの厚さ)がコア酸素化及び繊維の封入能力に影響を与えることが分かった。また、半透性の外部シェル中のアルギン酸塩は、減少した厚さでIgGを排除するために修飾される必要がある場合があることも見出された。まとめると、本実施例は、酸素輸送の主要な推進要因である封入細胞の酸素吸収には、注意深い測定と検証が必要であることを示している。
実施例4:C/S繊維のin vitro試験
双性イオン性アルギン酸塩繊維の機械的強度
Min6クラスタを、示すように、異なる比率の双性イオン性アルギン酸塩とSLG100からなるシェルを備えたC/S繊維にプリントし、培地中で4日間培養し、次いでKrebs Ringer緩衝液中で28日間培養した(in vivo条件に近づけるため)。緩衝液を3日ごとに変更した。ブレンド中の双性イオン性アルギン酸塩の割合が高いほど、a)プリント後の機械的強度は高くなるが、b)プリントの1か月後に、より高い割合で機械的強度の低下が生じる(図26A)。図26B~26Eは、図26Aに示したデータに対応する繊維の明視野画像である。
様々な抗FBR材料からなるシェルでプリントされた繊維のPHI生存率試験
様々な抗FBR材料からなるシェルでプリントされたC/S繊維を、特定の抗FBR材料がヒトの原発性膵島(PHI)生存率を支持しているか否かに関して調べた。実験では、コアは常に1.5%のSLG100からなり、細胞の密度は30,000膵島量(IEQ)/mLであった。試験したシェル材料は、SLG100(対照)、高純度双性イオン性アルギン酸塩(McLachlan group,University of British Columbia)、高純度双性イオン性アルギン酸塩(社内合成)、及びDMAPS-AldまたはDMAPS-Hzd(Hoare Group、表1を参照のこと)を含む。試験した様々なシェル材料について、24時間でのPHIの代表的な生死判定画像が図27A~27Dに示されている。試験した様々なシェル材料について、7日目のPHIの代表的な生死判定画像が、図27E~27Hに示されている。試験したすべての条件は、プリントの7日後に高い生存率を示した。
F-F接着性の評価(最適化された製剤)
パターン構造をプリントして、最適化された配合物を使用して環状繊維のF-F接着性を評価した。繊維の架橋を、オンチップ(図28A~28C)及びプリント後(図28D~28F)の両方で調べた。図28Aは、オンチップ架橋試験で使用する繊維の断面図を示し、コア、内部シェル、及び外部シェルの構成要素の表示を含む。図28Dは、プリント後の架橋試験で使用する繊維の断面図を示し、コア、内部シェル、及び外部シェルの構成要素の表示を含む。オンチップ架橋実験において生成されたパターン化構造の画像が図28Bに示されており、図28Cは、図28Bに示されたパターンの繊維の高解像度画像を示す。プリント後の架橋実験において生成されたパターン化構造の画像が図28Eに示されており、図28Fは、図28Eに示されたパターンの繊維の高解像度画像を示す。高解像度画像で見て取れるように、プリントの忠実度は、オンチップで架橋した繊維では良好に見えるが、プリント直後に繊維がほどける。対照的に、プリント後の架橋実験ではプリントの忠実度はかなり低く見えたが、F-F密着性は維持された。
図28Gは、本明細書に開示されるインサイドアウト(I-O)架橋の例示的な図を示す。示されるように、コア内のカルシウムは、1つ以上の外側シェル層を架橋するために外向きに拡散する(ブロックの矢印を参照のこと)。I-O架橋繊維と比較して、アウトサイドイン(O-I)架橋された繊維のF-F接着性を評価するために、比較実験を行った。図28Hに示すように、O-I架橋された繊維は、I-O架橋された繊維(図28I)と比較して、F-F接着の低下を示した。O-I架橋された繊維及びI-O架橋された繊維(それぞれ図28H及び28I)の画像を、対応する繊維がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に存在する間に撮影した。示されるように、I-O架橋は、忠実度及び組織の完全性を向上させ得る。
実施例5:細胞ベースのアプローチ(MSC)及び/または低FBR、免疫防御外部シェル生体材料を用いた小動物モデルにおける繊維レベルでの免疫防御
健康な免疫応答性マウスへのPHI繊維の移植
様々な比率の双性イオン性アルギン酸塩から構成され、初代ヒト膵島(PHI)細胞を含む、固体コア、単一シェル繊維(C/S)を、健康なB6マウスに移植した。改良型経口グルコース負荷試験(OGTT)後、-3、7、及び14日目に血漿Cペプチドを測定し(図29)、グルコメーターを使用して血糖を測定した。このデータは、双性イオン性アルギン酸塩がFBRを低減し、繊維機能性を改善し得ることを示唆している。
免疫応答性糖尿病マウスへのPHI繊維の移植
様々な比率の双性イオン性アルギン酸塩から構成され、PHI細胞を含むC/S繊維を、免疫応答性糖尿病マウスに移植し、血糖を測定した。図30Aは、手術後の日数の関数として測定された血糖を示す。このデータは、双性イオン性の修飾がFBRの低減に役立ち得ることを示している。
STZ誘発糖尿病B6マウスにおける糖尿病の逆転におけるヒト膵島繊維の有効性
免疫応答性糖尿病C57BL/6マウスにおける正常血糖の回復に際してのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維(コア及び外部シェルにおいて未修飾アルギン酸塩)の有効性を調べた。高用量STZ(200mg)を腹腔内に単回注射することによって糖尿病を誘発した。糖尿病は、2×血糖値>30mmol/Lによって確認した。図31A~31Bは、長期レスポンダー(移植後32~36日目)における腹腔内耐糖能試験(IPGTT)後の血糖測定値を示す。生データは、図31Bに示されており、図31Bのデータから生成される平均データは、図31Aに示されている。実験のために、各マウスを6時間絶食させ、IP注射(移植後32~36日目)により2g/kgのグルコースを投与した。対照は、同一年齢の非糖尿病マウスであった。データは、バイオプリントヒト膵島組織インプラントが、グルコースボーラス後の血糖値の制御に有効であったことを示している。
回収した膵島含有繊維について、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)試験をex vivoで行った。注入後、約80日目に繊維を回収した。3つの代表的なマウスからのデータ(すなわち、前記マウスから回収した繊維)が、図32A~32Bに示されている。図32Aは、各代表的なマウスについての刺激指数を示し、図32Bは、濃度に対する全c-ペプチドの割合(%)を示す。図33A~33Cは、図32A~32Bに関して論じられた代表的なマウスから取り出された繊維デバイスの生死判定染色を示す。マウス#23の染色を図33Aに示し、マウス#25の染色を図33Bに示し、マウス#26の染色を図33Cに示す。外植後のGSISにより、マウス#26組織が最も高い機能を有していることが示された。画像は、特にマウス#25の組織の周囲に繊維性カプセルが多く存在することを示している。したがって、データは、FBRと機能喪失との間に何らかの相関性があることを示している。
STZ誘発糖尿病NSCマウスにおける糖尿病の逆転におけるヒト膵島繊維の有効性
免疫不全糖尿病マウスにおける正常血糖の回復に際してのバイオプリントC/Sヒト膵島繊維(コア及びシェルにおいて未修飾アルギン酸塩)の有効性を調べた。高用量のSTZを腹腔内に単回注射するか、または低用量のSTZを腹腔内に複数回注射することによって糖尿病を誘発した。糖尿病は、2X血糖値>30mmol/Lによって確認した。図34Bは、個々のマウスについて移植後の日数の関数としての個々のマウスの無作為グルコース値を示し、図34Aは、図34Bの個々のマウス由来の平均データを示す。このデータは、ほぼすべての動物において、最長80日間(ヒトIEQ 3000)まで血糖値が正常血糖に維持されていることを示している。
移植後36日目及び39日目(図35A~35B)、ならびに移植後82日目及び85日目(図35C~35D)に耐糖能試験を実施した。試験のために、各マウスを4時間絶食させ、経口摂取により2g/kgのグルコースを投与した。示された実験では、対照は、同じ老化マウス(C/Sデバイスを欠いている)であった。個々のマウス由来のデータが図35B及び35Dに示されており、平均データが図35A及び35Cに示されている。GSIS試験のために血漿も回収した。代表的なデータが図36A~36Bに示されている。図36Aは、注入前、注入後の72日間、及び注入後の90日間(OGTT後)の濃度の関数としての全c-ペプチドの割合(%)を示す。図36Bは、移植前、移植後の72日間、及び移植後の約90日間(OGTT後)のc-ペプチド濃度(pg/150k細胞)を示す。さらに、移植後72及び88日目に、NSGマウスから回収した繊維デバイスにおいて、生死判定染色を実施した。データは、図37に示されている。このデータは、プリントされた繊維の速度が天然組織に類似していることを示している。
実施例6:環状繊維のプリンティング
本実施例は、本開示の環状繊維の効果的な製造を示す。図38に示されるように、代表的な環状繊維は、内部コア、細胞含有層(すなわち、環状層)及び外部シェルを含む。細胞層は、初代ヒト膵島の凝集体を含む。本実施例は、ヒト初代膵島を伴う環状繊維を示しているが、本明細書で論じられているように他の細胞型も本開示の範囲内である。RX1(商標)バイオプリンタ(Aspect Biosystems,Vancouver,BC,Canada)で環状繊維をプリントしてもよい。米国仮特許出願第63/290595号に開示されているようなバイオプリンティングシステムで環状繊維をプリントしてもよい。
具体的には示されていないが、環状繊維を、本明細書に開示されているようにセグメント化/区画化することができる。例えば、環状繊維は環状層(すなわち細胞含有層)を含み得、その場合、生体材料(すなわち細胞)を、繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化する。生体材料の少なくとも2つのセグメントが存在し得るが、多数、例えば3、4、5、6、10、またはそれ以上を含ませることができる。簡潔に述べると、そのような繊維のプリント方法は、環状チャネルを生じさせる2つのチャネルを有するプリントヘッドを介して、細胞含有環状層材料と無細胞環状層材料との間で流れを切り替えることを含み得る。環状層の材料は、2つのチャネル間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図38に示した実施例では、外部シェルをバイオプリントしたが、具体的に図示されていないものの、いくつかの例では、コーティングによって外側シェルを本開示のバイオ繊維に追加してもよい(例えば、コーティング溶液に繊維を浸す、バイオプリント繊維にコーティング溶液を分注する、など)。一例として、血管形成促進材料、例えばポリメタクリル酸または他のポリマー材料で繊維をコーティングしてもよい。
実施例7:コア-シェル繊維と比較した、環状繊維における細胞の生存率及び機能研究
本実施例は、環状繊維の第1のシェルにおける初代肝細胞凝集体が、同じ外径の単一シェル繊維のコアに封入された初代肝細胞凝集体と比較して、in vitro培養において向上した生存率及び機能性を有することを示す。図39A~39Bは、無細胞ヒドロゲルコア、HepG2細胞クラスタを含有する内部シェル層、及び無細胞の外部シェル層から構成されるバイオプリント繊維の断面の例示的な画像を示す。図39Bは、図39Aと同じ画像を表すが、異なる層を明確に区分するためのマーキングが施されている。
材料及び方法
生死判定蛍光染色
カルセインAMは、大部分の真核細胞における細胞生存率を決定するために使用することができる細胞透過性色素である。カルセインAMは、インタクトな生細胞に容易に浸透する非蛍光性の親水性化合物である。生細胞内では、カルセインAMは、細胞内エステラーゼによるアセトキシメチルエステル加水分解後に、親水性で強力な緑色蛍光性のカルセインに変換される。細胞を、固定することなく生きたまま染色し、定量することができる。
ヨウ化プロピジウム(PI)は、赤色蛍光の核酸結合色素である。PIは生細胞に浸透しないため、これを集団中の死細胞の検出に使用することができる。
Hoechst33342は、DNAに強く結合する蛍光核染色薬である。Hoechst色素は細胞透過性であり、生細胞及び死細胞のDNAに結合することができる。Hoechst染色の有効性は、生細胞においてはこの色素が膜をより効率的に通過しないため、低くなる。
染色手順では、Hoechstの最終濃度は20μg/mL、カルセインAMの最終濃度は5.33μM、PIの最終濃度は15μg/mLであった。繊維を、色素を含有する媒体で覆われるように、24ウェルプレートに入れた。1本の繊維を死細胞用対照として選択し、この繊維については、培地を除去し、300μLの70%エタノールを加え、37℃及び5%COで30分間インキュベートして、死細胞用対照を死滅させた。残りの繊維に、300μLの色素混合物を加えた。被験繊維を、37℃及び5%のCO(光から保護)で30分間インキュベートした。Zeiss Axio Observer Microscope(Jana,Germany)を使用して組織を撮像した。Hoechst用の設定(励起385、発光465)、PI用の設定(励起567、発光572)、カルセインAM用の設定(励起475、発光509)。
AlamarBlueアッセイ
レサズリンの吸光度極大は605nm、レゾルフィンの吸光度極大は573nmである。蛍光または吸光度のいずれかを使用して結果を記録してよいが、蛍光の方がより感度が高いため、好ましい方法である。
レサズリンは、細胞に浸透することができ、細胞内で、おそらくいくつかの異なるレドックス酵素の作用の結果として、蛍光レゾルフィンに還元される。蛍光レゾルフィン色素は、細胞から外へ拡散し、周囲の培地に戻ることができる。急速に増殖する細胞から採取した培地は、レサズリンを還元しない。様々な肝細胞成分分画の能力を分析した結果、レサズリンがミトコンドリア酵素、サイトゾル酵素、及びミクロソーム酵素によって還元され得ることが示唆された。
レサズリンをレゾルフィンに還元する様々な細胞型の能力は、細胞株の代謝能力及び試薬とのインキュベーションの長さに応じて異なる。ほとんどの用途のために、1~4時間のインキュベーション期間は適切であるが、3D組織の場合、24時間~48時間が必要である。
AlamarBlueを10%の最終濃度(440μMの原液)に添加した。試料を所定の期間インキュベートした(2D培養では1~4時間、3D培養では24~48時間)。次いで培地を回収し、-20℃で保存した。アッセイを行うために、試料を取り出し、被験試料、陽性対照、及び陰性対照のアリコート(50μL)を96ウェル平底透明プレートに移した。プレートをプレートリーダーで読み取った。吸光度:570nm、参照600nm。蛍光(これは、より正確であるため好ましい):励起530~570nm、発光580~620nm)。結果を計算するために、実験試料及び対照試料から平均の関連するバックグラウンド対照を差し引いた。各試料について平均値をプロットした。レゾルフィンの濃度が高いほど、細胞の増殖が活発であることが示唆される。
アルブミン及び尿素産生アッセイ
アルブミン(Human Albumin ELISA Kit,カタログ番号:ab179887;Abcam,Cambridge,UK)及び尿素製造アッセイ(QuantiChrom(商標) Urea Assay Kit,カタログ番号:DIUR-100;BioAssay Systems,Hayward,CAQuantiChrom(商標) Urea Assay Kit,カタログ番号:DIUR-100;BioAssay Systems,Hayward,CA)を製造業者の指示に従って実施した。
結果
初代ヒト肝細胞(PHH)の生存率は、コア-シェル繊維と比較して環状繊維において向上することが示された。図40Aは、プリント後の1日目及び4日目のコアシェル及び環状繊維の生(カルセインAM)/死(ヨウ化プロピジウム)判定染色を示す。この画像は、環状繊維と比較して、コアシェル繊維において低い細胞生存率を示す。コアシェル繊維及び環状繊維における細胞の代謝健全性を、代謝的に活性な細胞を検出する非毒性試薬であるalamar blue(商標)(Thermo Fisher,Waltham,MA)を使用して定量化した。データは、図40Bに示されている。見て分かる通り、環状繊維における細胞の代謝健全性は、コアシェル繊維の細胞に比べて高かった。
さらに、環状繊維に対するコアシェル繊維における細胞の機能も調べた。環状繊維では、コアシェル繊維と比較してアルブミン産生が増加し(図40C)、環状繊維では、コアシェル繊維と比較してアンモニアの解毒化が増加した(図40D)。まとめると、図39A~40Dのデータは、環状繊維において、コアシェル繊維と比較して、細胞の生存率及び機能が向上することを示している。
実施例8:コア材料及び/またはシェル材料のセグメント化/区画化
本実施例は、本開示のコア-シェル繊維の生成中の材料のスイッチングを示す。この特定の実施例では、コア-シェル繊維を代表的な例として使用しているが、この概念は、他の繊維、例えば本開示の環状繊維に適用可能である。
図41Aは、本開示のコア-シェル繊維の例示的な図を示し、図中、コアは、第1のコア材料(コア材料A)及び第2のコア材料(コア材料B)から構成され、シェルは、第1のシェル材料(シェル材料A)及び第2のシェル材料(シェル材料B)から構成される。図41Aは例示することを意図したものに過ぎず、コアが任意の数の異なるセグメントを含み得、及び/または外部シェルが任意の数のセグメントを含み得ることが本開示の範囲内であることが理解されよう。いくつかの実施形態では、コアは少なくとも2つのセグメントを含み得るが、シェルは単一のセグメントから構成され得る。明示的に示されていないが、同様の論理が本開示の環状繊維に適用される。例えば、環状繊維は、1)任意の数のセグメントを有する固体コア、2)任意の数のセグメントを有する環状層、及び3)任意の数のセグメントを有する外側シェル層のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施の形態では、環状繊維の環状層はセグメント化され得るが、外側シェル及び/またはコアはセグメント化され得ない。環状層は、生体材料(すなわち細胞)を含み得る。
図41Bは、外側シェルが2つの異なる材料から構成されるコア-シェル繊維の実際の画像を示す。例示目的のために、第1の視覚的インジケータ及び第2の視覚的インジケータを、それぞれ第1の材料及び第2の材料に組み込み、それによって外部シェルにおける異なる材料を視覚化できるようにする。図41Bに認められるように、繊維は、2つの異なるシェル材料を含む。図41Bに示されているプロセスは、用途に応じて、単一の繊維内で任意の回数だけ繰り返すことができる。実施形態では、1つの材料が生体材料(例えば、細胞)を含んでいてもよく、一方、別の材料が生体材料を含んでいなくてもよい。
図41Cは、固体コアが2つの異なる材料から構成されるコア-シェル繊維の実際の画像を示す。図41Bに関して説明したものと同様に、図41Cに示したコア-シェル繊維の製造に使用したプロセスを、任意の回数だけ繰り返してもよい。実施形態では、1つの材料が生体材料(例えば、細胞)を含んでいてもよく、一方、別の材料が生体材料を含んでいなくてもよい。
明示的に示されていないが、材料のスイッチングプロセスは、コア及び外層の両方に(コア-シェル繊維の場合)、またはコア及び/または1つ以上の層(例えば、環状繊維の場合、環状層及び/または外部シェル層)に適用することができる。
上記の発明を、理解を明確にするために例示及び実施例を用いて詳細に説明してきたが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、これらにある変更及び修正を加え得ることは、当業者には容易に明らかである。
したがって、上記は本発明の原理を単に例示したものに過ぎない。当業者であれば、本明細書では明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができるであろうことが理解されよう。さらに、本明細書中に列挙したすべての実施例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理及び本技術を促進するために本発明者らが寄与する概念への読者の理解を支援することを意図したものであり、そのような具体的に列挙した実施例及び条件に限定されるものではないと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様及びそれらの特定の実施例を列挙する本明細書中のすべての記述は、その構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような均等物は、現在公知の均等物及び将来開発される均等物の両方、すなわち構造にかかわらず同じ機能を発揮するように開発された任意の要素を含むことが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示し、記載した例示的な態様に限定されることを意図してはいない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲により具体化される。

Claims (34)

  1. 固体コアと、架橋可能な生体適合性材料に埋め込まれた少なくとも1つの生体材料を含む前記固体コアを包囲する少なくとも1つの環状層と、前記少なくとも1つの環状層を包囲する少なくとも1つの外側シェル層とを含む、バイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  2. 前記固体コアが強化されており、好ましくは前記固体コアが非生分解性材料を含む、請求項1に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  3. 前記固体コアが、架橋可能な材料を含み、前記組織繊維が、インサイドアウトで架橋される、請求項1に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  4. 前記固体コアが、PVAを含むかまたはそれからなる群から選択される非生分解性ポリマー材料を含む、請求項2に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  5. 前記少なくとも1つの生体材料が、生体適合性材料中に細胞集団及び/または細胞由来の細胞外小胞集団を含む、請求項1に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  6. 前記少なくとも1つの生体材料が、前記少なくとも1つの環状層全体に均一に分散されており、好ましくは前記生体材料が、前記繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化されている、請求項5に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  7. 前記生体適合性材料が、アルギン酸塩、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、PEG、PEGDA、及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、GEL-MA、絹、キトサン、セルロース、POEGMA、自己集合ペプチド、及び/またはメタクリレート化アルギン酸塩、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートヒドラジド、DMAPS-Ald、DMAPS-Hzd、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能化アルギン酸塩から選択される、請求項1に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  8. 前記細胞集団が、膵臓、肝臓、甲状腺、松果体、下垂体、胸腺、副腎、卵巣、精巣、腸内分泌細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、または治療薬を分泌するように改変された細胞からなる群から選択される内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞を含む、請求項5に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  9. 前記細胞由来の細胞外小胞集団が、エキソソームを含む、請求項5に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  10. 前記少なくとも1つの外側シェル層が、免疫防御材料及び/または血管形成促進材料を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  11. 外部外側シェル層及び内部外側シェル層を含み、前記外部シェル層が、血管形成促進材料から構成され、前記内部外側シェル層が、免疫防御材料から構成される、請求項10に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  12. 前記免疫防御材料が、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEGDA、PEG、マルチアームPEGアクリレート、POEGMA、メタクリレート化ヒアルロン酸、チオール化ヒアルロン酸、PLL、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項10または請求項11に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  13. 前記免疫防御材料が、官能化アルギン酸塩を含む、請求項12に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  14. 前記免疫防御材料が、アクリル化された双性イオン性モノマー(SBMA)及びPEGDAを含むかまたはさらに含む、請求項11~13のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  15. 前記血管形成促進材料が、フィブリン、コラーゲン、メタクリル化コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、及びヒアルロン酸のうちの1つ以上を含む、請求項10~14のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  16. 前記繊維の直径が、約2.0mm~0.25mm、より好ましくは約1.5mm~0.45mm、最も好ましくは約1.1mm~0.7mmである、先行請求項のいずれかに記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  17. 前記コアの直径が、約1.92mm~0.05mm、より好ましくは約1.1mm~0.41mm、最も好ましくは約0.5mm~0.1mmである、請求項1~16のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  18. 前記少なくとも1つの環状層の厚さが、約0.01mm~0.4mm、より好ましくは約0.025mm~0.3mm、最も好ましくは約0.05mm~0.20mmである、請求項1~16のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  19. 前記少なくとも1つの外部シェル層の厚さが、約0.01mm~0.3mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、最も好ましくは約0.05mm~0.2mmである、請求項1~16のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  20. バイオプリントされた選択的透過性組織繊維であって、少なくとも1つの生体材料を含む固体コアであって、前記生体材料が前記繊維の長さに沿ってセグメント化/区画化されている前記固体コアと、架橋されたヒドロゲル材料を含む前記固体コアを包囲する少なくとも1つの外側シェル層とを含む、前記バイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  21. 前記少なくとも1つの生体材料が、生体適合性材料中に細胞集団を含む、請求項20に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  22. 前記生体適合性材料が、アルギン酸塩、コラーゲン-1、基底膜タンパク質、コラーゲン-4、コラーゲン-2、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、脱細胞化細胞外マトリックス、ヒアルロン酸、PEG、PEGDA、及び他の官能化PEG、フィブリン、ゼラチン、GEL-MA、絹、キトサン、セルロース、POEGMA、自己集合ペプチド、及び/またはメタクリレート化アルギン酸塩、アルギネートフラン、アルギネートチオール、アルギネートマレイミド、アルギネートテトラジン、アルギネートノルボルネン、アルギネートヒドラジド、DMAPS-Ald、DMAPS-Hzd、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能化アルギン酸塩から選択される、請求項21に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  23. 前記細胞集団が、膵臓、肝臓、甲状腺、副甲状腺、松果体、下垂体、胸腺、副腎、卵巣、精巣、腸内分泌細胞、幹細胞、幹細胞由来細胞、または治療薬を分泌するように改変された細胞からなる群から選択される内分泌腺及び外分泌腺由来の細胞を含む、請求項20~22のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  24. 前記細胞集団が、エキソソームを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  25. 前記少なくとも1つの外側シェル層が、免疫防御材料及び/または血管形成促進材料を含む、請求項20~24のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  26. 外部外側シェル層及び内部外側シェル層を含み、前記外部シェル層が、血管形成促進材料から構成され、前記内部外側シェル層が、免疫防御材料から構成される、請求項25に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  27. 前記免疫防御材料が、アルギン酸塩、キトサン、GEL-MA、PEGDA、PEG、マルチアームPEGアクリレート、POEGMA、メタクリレート化ヒアルロン酸、チオール化ヒアルロン酸、PLL、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項25または請求項26に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  28. 前記免疫防御材料が、官能化アルギン酸塩を含む、請求項27に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  29. 前記免疫防御材料が、アクリル化された双性イオン性モノマー(SBMA)及びPEGDAを含むかまたはさらに含む、請求項25~28のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  30. 前記血管形成促進材料が、フィブリン、コラーゲン、メタクリル化コラーゲン、ゼラチン、GEL-MA、脱細胞化細胞外マトリックス(dECM)、ポリメタクリル酸、RGD-アルギン酸塩、YIGSR-アルギン酸塩、及びヒアルロン酸のうちの1つ以上を含む、請求項25~29のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  31. 前記繊維の直径が、約2.0mm~0.2mm、より好ましくは約1.5mm~0.5mm、最も好ましくは約1.1mm~0.8mmである、請求項20~30のうちの1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  32. 前記固体コアの直径が、約1.98mm~0.18mm、より好ましくは約1.48mm~0.48mm、最も好ましくは約0.9mm~0.50mmである、請求項20~30のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  33. 前記少なくとも1つの外部シェル層の厚さが、約0.01mm~0.3mm、より好ましくは約0.025mm~0.2mm、最も好ましくは約0.05mm~0.15mmである、請求項20~30のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性組織繊維。
  34. 請求項1~33のいずれか1項に記載のバイオプリントされた選択的透過性繊維を、in vitroまたはin vivoで培養することを含む、関心対象の生体活性物質の産生/分泌方法であって、前記選択的透過性繊維が、前記関心対象の生体活性物質を産生/分泌することができる生体材料を含む、前記産生/分泌方法。
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