JP2024519807A - 嚥下障害を有する個体の安全な嚥下を促進する安定な増粘剤及び栄養製品、並びにその作製方法及び使用方法 - Google Patents

嚥下障害を有する個体の安全な嚥下を促進する安定な増粘剤及び栄養製品、並びにその作製方法及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、安定な栄養製品、栄養組成物への希釈用に配合された増粘剤、栄養製品の使用、栄養製品を作製する方法、栄養製品の物理的安定性を、特に栄養製品のレオロジー特性、具体的には「凝集」特性に関して増強する方法、及び関連するシステムに関する。液体形態で摂取され、β-グルカンを含有する栄養製品の物理的安定性は、特にレオロジー特性、具体的には凝集特性に関して、栄養製品中の微生物の増殖を低減及び/若しくは防止すること、並びに/又は栄養製品中の酵素を不活性化すること、並びに/又は栄養製品中のβ-グルカンの加水分解を防止することによって増強され得る。【選択図】なし

Description

[背景技術]
[0001]本開示は、栄養組成物への希釈用に配合された安定な増粘剤、当該増粘剤を含む栄養製品、栄養製品の使用、栄養製品を作製する方法、栄養製品の物理的安定性を、特に栄養製品のレオロジー特性、具体的には「凝集」特性に関して増強する方法、及び関連するシステムに関する。
[0002]嚥下障害は、嚥下が困難な症状に対する医学的用語である。嚥下障害は、固形物又は液体(すなわち、栄養製品)を口腔から胃に送り込むのが難しいことを想起させる感覚であり得る。
[0003]口腔内での栄養製品の処理及び嚥下の間、剪断力により栄養製品の粘度は変化する。ほとんどの場合、栄養製品に作用する剪断力及び剪断速度(例えば、咀嚼力)が増加すると、栄養製品の粘度が低下する。嚥下障害を有する個体は、多くの場合、増粘した栄養製品を必要とする。栄養製品の増粘は、具体的には製品の剪断粘度を増加するためにデンプン又はガム増粘剤などの増粘剤を添加することによりなされる。増粘した栄養製品は、嚥下障害を有する個体の口腔から胃への通過中に栄養製品が誤嚥されてしまう傾向を減じる。
[0004]嚥下障害を有する個体は、栄養製品が、咳、吹き出し、又は更には窒息を起こすこと、したがって増粘した栄養製品であれば嚥下障害を有する個体でも安全に嚥下可能であることを認識し得る。増粘剤の添加は、食塊の制御及び嚥下のタイミングを改善すると考えられているが、添加により得られる粘度では、嚥下に普段よりも労力が必要とされるため、嚥下障害を有する個体に嫌われる。更に、増粘剤は、高レベルの粘度を有する残留物を残し、望ましくない官能特性をもたらす。嚥下障害患者は、高粘度を示す液体製品ではなく、実際の粘度の低い液体(a real thin liquid)の官能特性を尚も有する液体を期待するため、このような現象は、液体及び飲料の場合に特に関連する。更に、単に剪断粘度を増加させて増粘された栄養製品は、通常、唾液により食塊に対し典型的に提供される凝集性を欠く。口腔の唾液は弾性を有し、高い伸長粘度を有し、食塊形成において重要な役割を果たし、咀嚼された粒子の食塊凝集性を増強する。
[0005]嚥下障害は、3種類の主要な型:口腔咽頭嚥下障害、食道嚥下障害、及び機能性嚥下障害に分類される。
[0006]口腔咽頭嚥下障害は、概して投薬により治療することができない。口腔咽頭嚥下障害は全年齢で個体に悪影響を及ぼすが、高齢者に一層多く見られる。世界中で、50歳より高齢のおよそ2200万人が口腔咽頭嚥下障害に罹患している。口腔咽頭嚥下障害は、急性事象、例えば、脳卒中、脳損傷、又は口腔がん若しくは咽頭がんの手術の結果であることが多い。加えて、放射線療法及び化学療法は、筋肉を弱らせ、嚥下反射の生理機能及び神経支配に関わる神経に障害を生じることがある。また、パーキンソン病などの進行性神経筋疾患を有する個体でも口腔咽頭嚥下障害は一般的であり、嚥下を開始することを次第に難しく感じるようになる。口腔咽頭嚥下障害の代表的な原因としては、神経性疾病(脳幹腫瘍、頭部外傷、脳卒中、脳性麻痺、ギラン-バレー症候群、ハンチントン病、多発性硬化症、ポリオ、ポリオ後症候群、遅発性ジスキネジー、代謝性脳症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、認知症)、感染性疾病(ジフテリア、ボツリヌス中毒、ライム病、梅毒、粘膜炎[ヘルペス、サイトメガロウイルス、カンジダなど])、自己免疫疾病(狼瘡、強皮症、シェーグレン症候群)、代謝性疾病(アミロイド症、カッシング症候群、甲状腺中毒症、ウィルソン病)、筋障害性疾病(結合組織病、皮膚筋炎、重症筋無力症、筋硬直性ジストロフィー、眼咽頭型ジストロフィー、多発性筋炎、サルコイドーシス、腫瘍随伴症候群、炎症性筋疾患)、医原性疾病(薬剤副作用[例えば、化学療法、神経弛緩薬など]、術後筋肉又は神経原性、放射線療法、腐食[錠剤による傷害、意図的])、及び構造上の疾病(輪状咽頭筋圧痕、ツェンカー憩室、頸部ウエブ、中咽頭腫瘍、骨増殖体、及び骨格異常、先天的なもの[口蓋裂、憩室、嚢状部など])に関するものが挙げられる。
[0007]食道嚥下障害は全年齢の個体に影響を及ぼし得る。食道嚥下障害は、通常は投薬により治療可能であり、嚥下障害のさほど深刻でない形態と考えられている。食道嚥下障害は、粘膜疾患、縦隔疾患、又は神経筋疾患の結果であることが多い。粘膜(内在性)疾患は、様々な状態(例えば、胃食道逆流症に続く消化性狭窄、食道リング及びウエブ[例えば、鉄欠乏性嚥下障害又はプランマー・ヴィンソン症候群]、食道腫瘍、化学的傷害[例えば、腐食性物質の摂取(caustic ingestion)、錠剤による食道炎、静脈瘤に対する硬化療法]、放射線傷害、感染性食道炎、及び好酸球性食道炎)に関連する炎症、線維形成、又は新形成を通じて、内腔を狭める。縦隔(外来性)疾患は、様々な状態(腫瘍[例えば、肺がん、リンパ腫]、感染症[例えば、結核、ヒストプラスマ症]、及び心血管系[心耳拡張、及び血管圧迫])に関連する直接浸潤又はリンパ節拡大によって、食道を閉塞する。神経筋疾患は、一般に様々な状態(アカラシア[突発性とシャガス病関連の両方]、強皮症、他の運動障害、及び手術の帰結[すなわち、胃底皺襞形成術後、及び逆流防止介入後])に付随して、食道の平滑筋及びその神経支配を冒し、蠕動運動若しくは下部食道括約筋の弛緩、又はその両方を中断させる場合がある。管腔内異物を有する個体は、一般に急性食道嚥下障害に罹患する。
[0008]機能性嚥下障害は、嚥下障害に関係する器質的原因が全く見られない一部の患者において定義される。
[0009]通常、嚥下障害は診断されない。嚥下障害は、主に嚥下障害を有する個体の健康及び医療費に影響する。重度の嚥下障害を有する個体は、嚥下直後に、口から胃への栄養製品の送り込みに障害を感じる。地域社会において生活を営んでいる場合、嚥下障害を有する個体が症状を自覚し、医師による診察を受ける可能性がある。施設に入居している場合、医療従事者が、症状を観察し、あるいは嚥下障害を有する個体又はその家族から嚥下機能不全を示唆する説明を聞き、嚥下障害を有する個体に専門家による診断を勧める場合がある。対応に当たる医療従事者間で、嚥下機能不全に関する一般的な認識度が低いため、嚥下障害は診断されず、治療されないことが多い。しかし、嚥下専門家(例えば、言語病理学者)への紹介を通すことで、患者を臨床的に評価することができ、嚥下障害診断を決定することができる。
[0010]対応に当たる医療従事者間で、嚥下機能不全に関する一般的な認識度は低い。多くの人々(特に高齢者)は、嚥下機能不全の診断を受けず、かつ治療を受けずにいる。一因には、対応に当たる地域ケア従事者(例えば、一般開業医/老年病専門医、訪問看護師、理学療法士など)が、通常、状態を検査しないということがある。嚥下機能不全の重症度を認識している場合でも、一般に、従事者はエビデンスベースの検査手法を用いない。
[0011]嚥下障害の重症度は、(i)栄養製品を安全に嚥下するのがやや困難である(自覚がある)、から、(ii)誤嚥又は窒息の顕著なリスクを伴わずに栄養製品を嚥下することができない、及び(iii)栄養製品の嚥下が完全に不能である、まで様々であり得る。栄養製品の適切な嚥下が不能であることは、栄養製品の食塊が小塊に分解されて、嚥下プロセス中に気道に入り込む恐れのあること又は口腔咽頭及び/若しくは食道管に望ましくない残留物を残し得ることに起因し得る(例えば、誤嚥)。ある程度の食塊がまとまって肺に進入した場合、患者は肺内に堆積した栄養製品で窒息する恐れがある。誤嚥した栄養製品が少量であったとしても気管支肺炎感染症が生じる恐れがあり、また慢性誤嚥では気管支拡張症が生じる恐れがあり、場合によっては喘息を引き起こす恐れもある。嚥下効率は、咽頭内の残留物の量に関連している。
[0012]不顕性誤嚥は、高齢者の間で一般的な状態であり、嚥下された物質が咳を伴わずに声帯の下を通過することを指す。人々は、重症度の低い嚥下機能不全を、自主的な食事制限により補う場合もある。老化の過程そのものが、高血圧又は骨関節炎などの慢性疾患と関係し、高齢者の臨床未満の嚥下障害の素因となり、肺炎、脱水、栄養不良及び関連する合併症などの臨床上の合併症が生じるまで、診断されず、治療されない可能性がある。
[0013]嚥下障害及び誤嚥は、生活の質、罹患率及び死亡率に影響を与える。施設ケアを受けている嚥下障害者及び誤嚥者の12ヶ月死亡率は高い(45%)。したがって、嚥下障害の診断及び早期管理がなされないことによる臨床的帰結による経済的負担は著しい。
[0014]上述のとおり、肺炎は、嚥下障害の一般的な臨床的帰結である。肺炎は、緊急入院及び救急外来受診を必要とすることがある。誤嚥が原因で肺炎を発症した場合、現行の診療実施の結果として、必ずしも「誤嚥性肺炎」の鑑別診断が示されるとは限らない。近年の米国保健医療実態調査によれば、肺炎を原因としての退院は100万件を超え、更に392,000件が誤嚥性肺炎によるものであった。一般的な肺炎を主診断として受けた個体は、平均して入院期間が6日であり、18,000ドル超の入院診療費用を負う。誤嚥性肺炎では、平均して入院期間が8日であることから、入院診療費用は更に高額になると予測される。肺炎は、嚥下障害を有する個体にとって生命に関わり、3ヶ月以内に死亡する確率は約50%である(van der Steen et al.(2002))。加えて、肺炎などの急性侵襲により、高齢者の健康の悪循環が始まることが多い。侵襲は、摂食不良及び不活動を伴い、栄養不良、起こり得る免疫系機能の低下、機能低下、及び虚弱をもたらす。個別の介入(例えば、口腔衛生の促進、正常な嚥下の回復の援助、又は嚥下に安全な食塊の補強)は、反復性肺炎(不顕性誤嚥を含む、口腔咽頭内容物の誤嚥による)のリスクがある者又は反復性肺炎に罹患している者にとって、有益であろう。嚥下の安全性は、誤嚥性肺炎に関連し、咽頭侵入誤嚥スケール(Penetration-Aspiration Scale、PAS)又はRosenbekスケールで定量化される。
[0015]肺炎と同様に、脱水は、死亡につながるおそれのある嚥下障害の臨床的合併症である。脱水は、神経変性疾患に罹患している(したがって、嚥下機能不全を有する可能性が高い)入院者に一般的な共存症である。アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症の状態は、米国において年間約400,000件の退院を占め、これらの患者のうち最大15%が脱水にかかる。脱水を主診断とした場合、平均して入院期間は4日となり、入院診療費用は11,000ドルを超える。但し、脱水は、嚥下障害の臨床上回避可能な合併症である。
[0016]栄養不良及び関連する合併症(例えば、[尿路]感染症、褥瘡、嚥下障害の重症化[食品の選択肢の更なる制限、経管栄養、及び/又は経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)による管配置の必要性、並びに生活の質の低下]、脱水、機能低下及び関連する帰結[転倒、認知症、虚弱、移動能力の低下、及び自律性の低下])は、嚥下機能不全によって、食品及び液体に対する窒息の不安、摂取速度の低下、並びに食品の選択の自主的制限が引き起こされるときに生じる可能性がある。回復されなければ、生理的予備能が減少するにつれて、正常な嚥下を容易にするのを助ける筋肉が弱まるため、不適切な栄養摂取により嚥下障害が悪化する。栄養不良では、感染症のリスクは3倍超になる。感染症は、神経変性疾患者(よって、食事が十分でなくなる恐れがある慢性的な嚥下機能不全を有する可能性が高い)によく見られる。アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症の状態は、米国において年間約400,000件の退院を占め、これらの患者のうち最大32%が尿路感染症にかかる。
[0017]栄養不良は、患者の回復と密接に関わっている。栄養不良の患者は、入院期間が長くなり、再入院する可能性も高く、入院診療費用もより高額になる。栄養不良を主診断とした場合、平均して入院期間は8日となり、入院診療費用はおよそ22,000ドルとなる。更に、栄養不良は、意図しない体重減少並びに筋肉及び体力の顕著な減少をもたらし、最終的には移動能力及び自己管理能力を損なわせる。機能低下により、介護者の負担は一般により重くなり、私的介護者、次いで公的介護者、更には施設収容が必要となる。しかしながら、栄養不良は、嚥下障害の臨床上回避可能な合併症である。
[0018]神経変性状態(例えば、アルツハイマー病)を有する者では、意図せぬ体重減少(栄養不良の指標となる)が、認知機能の低下に先行する。加えて、身体活動は、健全な認知を安定化するのに役立ち得る。したがって、神経変性状態を有する者に十分な栄養を確保させることで、定期的な運動療法に参加する体力と持久力を持つように支援することと、意図しない体重減少、筋消耗、身体機能及び認知機能の低下、虚弱、認知症、並びに介護者の負担の漸増を防ぐこととが重要である。
[0019]転倒及びそれに伴う負傷は、機能の低下を伴う神経変性状態を有する高齢者にとって特に懸念事項である。転倒は、高齢者の負傷死亡の主因である。更に、近年、米国では、高齢者の転倒による負傷での緊急処置室への搬送は180万件超にものぼった。直接医療費は、年単位では、致死性の転倒による負傷については総計1億7900万ドル、非致死性の転倒による負傷については総計193億ドルである。2008年の10月に米国の病院で導入されたパフォーマンス・イニシアチブ(performance initiative)による大規模な不払いが影響し、高齢者向け医療保険制度は、もはや病院に対し、入院中の転倒及びそれに伴う負傷についての治療費を支払わなくなった。病院は、病院での看護中に転倒及び腰部骨折にあった高齢患者ごとに、約50,000ドルもの損失を負うことになる。この新しいクオリティ・イニシアチブ(quality initiative)は、転倒は回避可能な医療過誤であるとする前提に基づく。言い換えれば、高齢者の転倒及びそれに伴う負傷(例えば、骨折)の予防には栄養学的な介入が有効であることから、医学的な栄養療法を含むエビデンスベースの診療を行うことにより、転倒は合理的に予防可能なものとなる。
[0020]咀嚼及び嚥下困難は、褥瘡の発生のリスク因子として認識されている。褥瘡は、エビデンスベースの診療を行うことにより(栄養状態が不充分であるときに褥瘡は生じやすいため、栄養管理を含む)合理的に予防可能となる、回避可能な医療過誤であると考えられる。褥瘡は、ヘルスケア業務においてかなりの負担である。2006年の米国の病院では、322,946件もの医療過誤が褥瘡の発生に関係した。段階に応じ、褥瘡の平均治療費は、約1,100ドル(褥瘡のフェーズII)~約10,000ドル(褥瘡のフェーズIII及びIV)の範囲である。したがって、褥瘡の発生に伴う医療過誤の症例の推定治療費は、1年あたり3億2300万ドル~32億ドルである。2008年の10月に米国の病院で導入されたパフォーマンス・イニシアチブ(performance initiative)による大規模な不払いが影響し、高齢者向け医療保険制度は、もはや病院に対し、入院中に生じる褥瘡の治療費(最大で年間32億ドル)を支払わなくなった。褥瘡は、ある程度は栄養摂取を保証することにより合理的に予防可能である。更に、特殊処方した栄養補助食品の使用を含む、個別の介入は、褥瘡の発症後に見込まれる治癒時間を低減する助けとなる。
[0021]上述のようなこれらの状態は、これらの状態を有する個体の社会的孤立をもたらし得る。社会的孤立とは、個体と社会との接触が完全又はほぼ完全に欠如した状態である。いかなる年齢の個体においても問題であり得るが、症状は年齢群ごとに異なり得る。嚥下障害を有する個体は、多くの場合、経管栄養を受ける必要があり及び/又はPEG配置を必要とし、したがって、長期間にわたって家庭若しくはケア施設及び/又は病院に留まる必要があり得る。彼らは、十分な嚥下能力の欠如により、一般的なウェル・ビーイングと関係する栄養製品の心理社会的な側面を体験することができず、これは非常にネガティブな心理的及び/又は感情的な影響をもたらし得る。これらの個体は、家族、知人、又は友人との交流を制限する、又は全く交流しないという傾向があり得、並びに/あるいは彼らの身体的な隔離及び/又はネガティブな心理的状態及び/若しくは情動状態のために、交流の機会が生じる場合であっても他の人間とのいかなる接触も頑なに回避する傾向があり得る。そして、社会的孤立は、孤独感、その他の不安、又はネガティブな自尊心を更にもたらす可能性があり、それは個体のネガティブな心理的状態及び/又は情動状態を更に悪化させる。
[0022]米国の長期療養施設では、ケアの質の基準は、監督機関による頻繁な調査によって守られている。調査員は、現実的に又は潜在的に傷害/死亡を生じるエビデンスを見つけると、その施設をコンプライアンス外のものとしてみなす。ペナルティの範囲には、罰金、強制閉鎖、並びに訴訟及び示談金が含まれる。Tag F325(栄養)調査では、計画外の顕著な体重変化、不十分な食品/流体摂取、想定に満たない創傷治癒、指定通りの治療食提供における不備、機能低下、及び流体/電解質不均衡を、規準を満たさない栄養療法を提供しているエビデンスとしてみなす。Tag F314(褥瘡)調査では、施設は、不可避だと判断されない限り、褥瘡のない状態で収容した入居者に褥瘡を負わせないようにしなければならないと要求している。更に、褥瘡を有する入居者に対しては、治癒促進、感染症予防、及び新規褥瘡発生の予防のため、必要な治療及びサービスを提供するように要求している。
[0023]したがって、嚥下障害の有病率及び嚥下障害に関係して生じ得る合併症、並びにこれらに関係する医療費を考慮すると、嚥下障害を有する個体における栄養製品塊の更に安全な嚥下を促進する栄養製品を提供することは、有益であり得る。このような栄養製品は、大勢の、そして増加している嚥下障害を有する個体の生活を改善し得る。個別の介入(例えば、口腔衛生の促進、正常な嚥下の回復援助、又は嚥下に安全な食塊の補強)により、個体に対し、経管栄養を受けさせるのではなく及び/又はPEG配置を要求するのではなく、食物を口から食べさせることができ、嚥下能力が十分でないことから生じる可能性のある負の結果を防ぎながら、一般的なウェル・ビーイングと関係する栄養製品の心理社会的な側面を体験させることができる。嚥下障害を有する個体による栄養製品の摂取における改善はまた、そのような個体による、より多様な栄養製品の安全で快適な嚥下も可能にし得、ひいてはその個体を全体としてより健康な状態へと導き、健康に関係するそれ以上の機能低下を予防し得る。したがって、前述の欠点を克服すること、並びに個体により摂食されたときに、唾液が栄養製品の食塊にもたらす自然な凝集性を提供すること、が求められている。
[0024]更に、高分子量β-グルカンなどの市販製品は、時間の経過とともに分解し得る。β-グルテンの分解は、製品の凝集性に影響を与え、及び/又は市販製品の保存可能期間を短縮する。凝集性が損なわれると、製品は嚥下障害を有する個体に適さなくなる。
[発明の概要]
[0025]本開示は、安定な栄養製品、栄養組成物への希釈用に配合された増粘剤、栄養製品の使用、栄養製品を作製する方法、栄養製品の物理的安定性を、特に栄養製品のレオロジー特性、具体的には「凝集」特性に関して増強する方法、及び関連するシステムに関する。
[0026]第1の態様では、本開示は、液体形態で摂取される栄養製品の物理的安定性を、特にレオロジー特性、具体的には凝集特性に関して増強する方法であって、栄養製品がβ-グルカンを含有し、方法が、栄養製品中のβ-グルカンの分解を防止するステップ、栄養製品中のβ-グルカンの分解を低減するステップ、栄養製品の粘度及び/もしくは緩和時間を維持するステップ、又は、栄養製品の粘度及び/又は緩和時間の低減速度を減少させるステップ、のうちの少なくとも1つを含む、方法を提供する。方法は、栄養製品中の微生物の増殖を低減及び/又は防止するステップ、栄養製品中の酵素を不活性化するステップ、又は栄養製品中のβ-グルカンの加水分解を防止するステップ、のうちの少なくとも1つを含むことができる。
[0027]本方法は、Na2HPO4、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を栄養製品に添加するステップ、栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱するステップ、栄養製品のpHを約3~約7に調節するステップ、並びにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される処理を含んでもよい。
[0028]一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。
[0029]別の態様では、本開示は、β-グルカンを含む栄養製品中のβ-グルカンの分解を防止する方法であって、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を栄養製品に添加すること、栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される処理を含む、方法を提供する。
[0030]別の態様では、本開示は、栄養製品を作製する方法であって、β-グルカンを含む増粘剤を希釈剤で希釈することによって栄養製品を調製するステップと;Na2HPO4、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を栄養製品に添加すること、栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される処理に栄養製品を供するステップと、を含む方法を提供する。
[0031]別の態様では、本開示は、β-グルカンと、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤と、を含む栄養製品を提供する。
[0032]更なる態様では、栄養製品は、嚥下機能障害の予防、緩和、及び/又は補いを、それを必要とする患者において行うために使用される。
[0033]更なる態様では、栄養製品は、栄養製品の嚥下の安全性及び/又は効率の促進を、それを必要とする患者において行うために使用される。
[0034]更なる態様では、栄養製品は、栄養製品の嚥下中の誤嚥リスクの軽減を、それを必要とする患者において行うために使用される。
[0035]別の態様では、本開示は、β-グルカンと、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む安定化剤と、を含む増粘剤を提供する。
[0036]別の態様では、本開示は、嚥下障害を有する個体に投与するための安定で均質な単相飲料の製造システムであって、β-グルカンを含む増粘剤を収容する第1の容器と、Na2HPO4、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む安定化剤を収容する第2の容器と上記容器に接続され、第1の予め定められた量にほぼ等しい第1の量の増粘剤と、第2の予め定められた量にほぼ等しい第2の量の安定化剤とを分注するように構成された、計量装置と、を備える、システムを提供する。
[0037]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、嚥下障害を有する個体において口当たりの良い栄養製品の食塊のより安全でより効果的な嚥下を促進することである。
[0038]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、栄養製品の凝集性を維持し、その結果、栄養製品の使用期限を延長することである。本発明者らは、例えば、微生物、酵素分解、温度、UHT条件、pHなどのいくつかの要因が、高分子量β-グルカンを含有する、嚥下障害を有する個体のための製品の凝集性の安定に経時的に影響を及ぼし得ることを発見した。これらの要因は、単独で又は組み合わせにより、β-グルカンの分解、したがってβ-グルカンの分子量(MW)に影響を及ぼし、ひいてはβ-グルカンを含有する製品の凝集性に影響を及ぼす。例えば、滅菌製品は、通常、非滅菌製品よりも長くその凝集性を維持する。超高温処理(UHT)による処理は、通常、滅菌のために使用され、したがって、凝集性を破壊するほど高温でない限り、製品を安定化するために使用することができる。製造中の剪断応力などの機械的応力もまた、β-グルカンの長い分子鎖を切断して凝集性を破壊し得ることから、低剪断装置を使用することが望ましい。pHレベル(酸性度のレベル)及び酵素もまた、β-グルカンの安定性に影響を及ぼし得る。酵素活性も(滅菌後でも)、長鎖を切断し得る。例えばプロテアーゼの使用によって、変性させて酵素を阻害することは、β-グルカンの安定性を改善し得る。
[0039]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、大勢の、そして有病者数の増加している嚥下障害を有する個体の生活を改善することである。
[0040]本開示によって提供される1つ以上の実施形態のなお別の利点は、個別の介入(例えば、口腔衛生の促進、正常な嚥下の回復補助、又は嚥下に安全な食塊の補強)を支援することであり、この介入によって、個体に対し、経管栄養を受けさせるのではなく及び/又はPEG配置を要求するのではなく、食物を口から食べさせることができ、嚥下能力が十分でないことから生じる可能性のある負の結果を防ぎながら、一般的なウェル・ビーイングと関係する栄養製品の心理社会的な側面を体験させることができ、したがって、社会的孤立を防ぐことができる。
[0041]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、嚥下障害を有する個体による栄養製品の摂取を改善し、したがってそのような個体による、多様な栄養製品の安全で快適な嚥下を可能にし、ひいてはその個体を最終的により健康な状態へと導き、健康に関係するそれ以上の機能低下を予防し得ることである。
[0042]更に、本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、唾液が、典型的には、個体によって摂取されたときに栄養製品の食塊に提供する、自然な凝集性を提供することである。本開示の1つ以上の実施形態は、唾液よりも優れた凝集性を提供し得る。
[0043]更に、本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、食塊の侵入及び誤嚥を防止するよう栄養製品のレオロジー特性を変更することである。
[0044]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、栄養製品が口腔内で産生される唾液に類似した凝集性を有し、したがって嚥下障害を有する個体に、より自然な感覚を提供することである。
[0045]本開示によって提供される1つ以上の実施形態のなお別の利点は、本開示によって提供される1つ以上の実施形態が、嚥下障害を有する個体の口腔内に残留物を残さないことから、従来の増粘剤に由来する増粘された感覚のない栄養製品であることである。この利点は、その粘度の低い液体特性を維持することが意図される液体製品に特に関連する。
[0046]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、栄養製品が既知の増粘された栄養製品より優れた官能特性を有することである。
[0047]更に、本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、嚥下プロセス中に気道に入り込む恐れのある又は口腔咽頭及び/若しくは食道管に望ましくない残留物を残し得る小塊への分解を防止する、改善された食塊凝集性である。
[0048]更に、本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、嚥下障害を有する個体が嚥下に要する力を低減することである。
[0049]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、嚥下障害患者の口腔咽頭及び/又は食道管における残留物の蓄積のリスクが低減されることである。
[0050]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、凝集性を増加させること、並びに、嚥下障害を有する個体に対して、その個体がより広範な食品製品及び飲料製品を安全かつ快適に嚥下することを可能にすることによって、例えば、食塊のまとまり(「凝集性」)を改善し、したがって、嚥下障害を有する個体に、自身がより広範囲の製品を摂取することができるという自信を与えることによって、栄養摂取を改善すること、である。
[0051]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の更に別の利点は、嚥下能力及び効率が改善され、したがって、肺への誤嚥のリスクを低減することにより安全性が改善されることである。
[0052]更に、本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、食事介助からの独立性がより大きいこと及び/又は食事摂取中の食事介助に費やす時間が短縮されることである。
[0053]更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
表に掲載する試料の、異なる時間及び異なる温度(冷蔵及び周囲温度)における粘度及び緩和時間を示す。 表に掲載する試料の、異なる時間及び異なる温度(冷蔵及び周囲温度)における粘度及び緩和時間を示す。 表に掲載する試料の、異なる時間及び異なる温度(冷蔵及び周囲温度)における粘度及び緩和時間を示す。 FIG.1の試料の写真である。 異なる時間及び温度における微生物に対する効果の調査のために調製された、異なる保存料を含む試料の表である。 対照実験における微生物培養物を示す。 アジ化ナトリウム(NaN)の存在下での微生物培養物を示す。 ソルビン酸カリウムの存在下での微生物培養物を示す。 安息香酸ナトリウムの存在下での微生物培養物を示す。 アジ化ナトリウム及びソルビン酸カリウムを含有するオート麦抽出物の2週間後の曳糸性を示す。 微生物に対する効果を調査した酸の一覧である。 クエン酸(pH3.5)の存在下での微生物培養物を示す。 酒石酸(pH2.6)の存在下での微生物培養物を示す。 ソルビン酸カリウム及びクエン酸の存在下での微生物培養物を示す。 ソルビン酸カリウム及び酒石酸の存在下での微生物培養物を示す。 安息香酸ナトリウム及びクエン酸の存在下での微生物培養物を示す。 安息香酸ナトリウム及び酒石酸の存在下での微生物培養物を示す。 試料の曳糸性を示す:1:NaN3、14日後;2:2%オート麦抽出物、室温で14日後;及び3:2%オート麦抽出物、4℃。 (a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で2週間後(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃で2週間後(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 標準β-グルカン試料の保持時間を示す。 図36の試料の分子量を示す。 (a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で2週間後、分子量=1749846(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃で2週間後、分子量=1106623(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 β-グルカンとNaHPO添加剤由来のH+との間の反応を示す。 使用した試料及びそのpH値の一覧を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN含有、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN含有、時間=30日、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=30日、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=30日について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 NaHPOを含有する試料の凝集性を示す:I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN含有、時間=35日;II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=35日;及びIII.2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=35日。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.01%、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.05%、時間=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.10%、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.01%26日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃NaN+チオスルフェート 0.05%26日後(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.10%26日後(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 チオスルフェートを含有する溶液の凝集性を示す:I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN、30日後;II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.01%、26日後;III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.05%、26日後;IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.10%、26日後。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで20時間、N下(上図)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで20時間、O(下図)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、rpmなし、48時間(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで48時間、N下(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで48時間、O(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で21日後、rpmなし、N下(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で21日後、rpmなし、O下(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01% t=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10% t=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20% t=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01%10日後、(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10%10日後(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20%10日後について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 プロテアーゼを含有する溶液の凝集性を示す:I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN10日後;II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01%、10日後;III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10%、10日後;IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20%、10日後。 グルカナーゼ温度活性プロファイルを示す。 グルカナーゼpH活性プロファイルを示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+25℃ ホールド時間=15分、t=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃ ホールド時間=15分、t=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃ ホールド時間=15分、t=0(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃ ホールド時間=15分、t=0(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+25℃ 10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃ 10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃ 10日後(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃ 10日後(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 溶液の凝集性を示す:I.2%オート麦抽出物25℃、NaN+25℃で15日後;II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃、15日後;III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃、15日後;IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃、15日後。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+5秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+10秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+2×15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+5秒のマイクロ波加熱700W、10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+10秒のマイクロ波加熱700W、10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+2×15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 溶液の凝集性を示す:I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+5秒のマイクロ波加熱、15日後;II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+10秒のマイクロ波加熱、15日後;III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+15秒のマイクロ波加熱、15日後。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、5秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、10秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。 (a)2%オート麦抽出物、25℃、5秒のマイクロ波加熱700W、10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、10秒のマイクロ波加熱700W、10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0098]本明細書に記載の、本開示による様々な態様及び実施形態は、本発明を作製及び使用する特定の方法を例示するものであり、特許請求の範囲及び詳細な説明と共に考慮するにあたり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の態様及び実施形態に由来する特徴を、本発明の同じ又は異なる態様及び実施形態に由来する更なる特徴と組み合わせてもよいことも理解されたい。
[0099]発明を実施するための形態及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの」(「a」、「an」及び「the」)には、別段の指示が文脈上明確にない限り、複数の参照物も含まれる。例えば、「原材料(an ingredient)」又は「方法(a method)」と言及する際は、複数の、そのような「原材料」又は「方法」が含まれる。「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」又は「Y」又は「X及びY」と解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」又は「Y」又は「X及びYの両方」と解釈されるべきである。同様に、単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、排他的ではなく他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本開示により提供される実施形態は、本明細書で具体的に開示されない任意の要素を含まない場合がある。したがって、用語「含む(comprising)」を用いて規定される実施形態の開示は、開示される構成要素「から本質的になる」、及び「からなる」実施形態の開示でもある。「から本質的に構成される」とは、実施形態又はその構成要素が、個別に特定された構成要素を50重量%超、好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも75重量%、より好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも85重量%、最も好ましくは個別に特定された構成要素を少なくとも95重量%、例えば、個別に特定された構成要素を少なくとも99重量%含むことを意味する。
[0100]記載の全ての範囲は、この範囲内に含まれる全ての数値、整数、又は分数を包含することを意図する。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。本明細書で使用するとき、重量%は、参照される組成物の総重量に対する特定の構成成分の重量を指す。
[0101]一態様では、栄養製品の物理的安定性は、特にレオロジー特性、具体的には凝集特性に関して、栄養製品中の微生物の増殖を低減及び/若しくは防止すること、並びに/又は栄養製品中の酵素を不活性化すること、並びに/又は栄養製品中のβ-グルカンの加水分解を防止することによって増強され得る。栄養製品は、β-グルカンを含有してもよい。栄養製品は、液体形態で摂取されてもよい。
[0102]安定化剤を栄養製品に添加してもよい。安定化剤は、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、安定化剤は、NaHPOを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。プロテアーゼが栄養製品に添加される場合、添加されるプロテアーゼの濃度は、栄養製品の0.2重量%未満であり得る。別の実施形態では、安定化剤は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸を含んでもよい。更に別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。
[0103]栄養製品は、約30℃~約100℃、例えば、約40℃~約90℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃の温度に加熱されてもよい。
[0104]栄養製品の熱処理は、マイクロ波加熱又は任意の他の適切な熱処理によって行うことができる。
[0105]一実施形態では、酒石酸を栄養製品に添加してもよく、栄養製品をマイクロ波加熱などの熱処理に供してもよい。
[0106]一実施形態では、アジ化ナトリウムを栄養製品に添加してもよく、栄養製品をマイクロ波加熱などの熱処理に供してもよい。
[0107]栄養製品をマイクロ波加熱で処理する場合、マイクロ波加熱は、約1秒~1分、例えば、約1~約30秒、約5~約25秒、約5~約20秒、約5~約15秒、又は約10秒であり得る。
[0108]栄養製品のpHを、約3~約7、例えば、約3~約6.5、約3.5~約6、約4~約5.5、約4.5~約5、約3~約4、約4~約5、約5~約6、約6~約7、約3、約4、約5、約6、及び約7に調節することができる。
[0109]更なる態様では、β-グルカンを含む栄養製品中のβ-グルカンの分解は、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を栄養製品に添加すること;並びに/又は栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること;並びに/又は栄養製品のpHを約3~約7に調節することなどの処理によって防止され得る。
[0110]一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、安定化剤は、NaHPOを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。プロテアーゼが栄養製品に添加される場合、添加されるプロテアーゼの濃度は、栄養製品の0.2重量%未満であり得る。別の実施形態では、安定化剤は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸を含んでもよい。更に別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。
[0111]栄養製品は、約30℃~約100℃、例えば、約40℃~約90℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃の温度に加熱されてもよい。
[0112]栄養製品の熱処理は、マイクロ波加熱又は任意の他の適切な熱処理によって行うことができる。
[0113]一実施形態では、酒石酸を栄養製品に添加してもよく、栄養製品をマイクロ波加熱などの熱処理に供してもよい。
[0114]一実施形態では、アジ化ナトリウムを栄養製品に添加してもよく、栄養製品をマイクロ波加熱などの熱処理に供してもよい。
[0115]栄養製品をマイクロ波加熱で処理する場合、マイクロ波加熱は、約1秒~1分間、例えば、約1~約30秒間、約5~約25秒間、約5~約20秒間、約5~約15秒間、又は約10秒間であり得る。
[0116]栄養製品のpHを、約3~約7、例えば、約3~約6.5、約3.5~約6、約4~約5.5、約4.5~約5、約3~約4、約4~約5、約5~約6、約6~約7、約3、約4、約5、約6、及び約7に調節することができる。
[0117]更なる態様では、栄養製品を作製する方法は、β-グルカンを含む増粘剤を希釈剤で希釈して、栄養製品とすることを含み得る。
[0118]いくつかの実施形態では、本方法は、安定化剤を栄養製品に添加することを更に含んでもよい。安定化剤は、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、安定化剤は、NaHPOを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。プロテアーゼが栄養製品に添加される場合、添加されるプロテアーゼの濃度は、栄養製品の0.2重量%未満であり得る。別の実施形態では、安定化剤は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸を含んでもよい。更に別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。
[0119]いくつかの実施形態では、方法は、栄養製品を加熱するステップを更に含んでもよい。加熱は、栄養製品中の微生物を変性させることができ、その結果、β-グルカンの分解を防止し、栄養製品の凝集性を保持させることができる。栄養製品は、好ましくは急速に、約30℃~約100℃、例えば、約40℃~約90℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃の温度に加熱され得る。
[0120]いくつかの実施形態では、栄養製品を、マイクロ波加熱などの熱処理に、例えば、約1秒~1分間、例えば、約1~約30秒間、約5~約25秒間、約5~約20秒間、約5~約15秒間、又は約10秒間供することができる。
[0121]いくつかの実施形態では、本方法は、NaNを添加するステップ又は栄養製品をマイクロ波加熱するステップのうちの少なくとも1つ、好ましくはアジ化ナトリウムを添加するステップ及び栄養製品をマイクロ波加熱するステップ(例えば約10秒間)の両方を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は、酒石酸を添加するステップ又は栄養製品を加熱するステップのうちの少なくとも1つ、好ましくは、酒石酸を添加するステップ又は栄養製品を加熱するステップの両方(例えば、約30℃~約100℃、例えば、約40℃~約90℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃の温度への加熱)を含むことができる。
[0122]いくつかの実施形態では、本方法は、栄養製品のpHを、例えば、約3~約7、好ましくは約4~約7又は約5~約7、より好ましくは約6~約7、更により好ましくは約7に調節するステップを更に含み得る。塩基性培地は、酵素を不活性化し、β-グルカンの加水分解を防止することができる。
[0123]別の更なる態様では、栄養製品は、β-グルカンと、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤と、を含み得る。一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、安定化剤は、β-グルカンの分解を防止できるNaHPOを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。プロテアーゼの使用はまた、酵素分解を通してβ-グルカンの所望の安定性を改善することができる。安定化剤がプロテアーゼを含む場合、プロテアーゼの濃度は栄養製品の0.2重量%未満であってもよい。別の実施形態では、安定化剤は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸を含んでもよい。安定化剤は、NaHPO又はグルカナーゼのうちの少なくとも1つを含むことができる。更に別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。
[0124]栄養製品は、約3~約7、好ましくは約4~約7又は約5~約7、より好ましくは約6~約7、更により好ましくは約7のpHを有し得る。
[0125]更なる態様では、増粘剤は、β-グルカン及び添加剤を含み得る。添加剤及びβ-グルカンは、最大約1:1、例えば、約10:1~約1:1の重量比を有し得る。添加剤は、タンパク質及び/又はガム及び/又は安定化剤を含み得る。増粘剤は、希釈剤で希釈して栄養製品を形成するように製剤化される。一実施形態では、安定化剤は、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、安定化剤は、NaHPOを含んでもよい。別の実施形態では、安定化剤は、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含んでもよい。安定化剤がプロテアーゼを含む場合、プロテアーゼの濃度は栄養製品の0.2重量%未満であってもよい。別の実施形態では、安定化剤は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸を含んでもよい。更に別の実施形態では、安定化剤は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸を含んでもよい。安定化剤は、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む。
[0126]増粘剤は、電力又は粉末の液体濃縮物であり得る。本明細書で使用するとき、「粉末」は、投与前に希釈されるように配合された固体である。更にこの点に関して、本明細書に開示される粉末は、液体希釈剤、好ましくは水などの別の原材料の添加後にのみ投与される。「液体濃縮物」は、投与前に希釈されるように製剤化される液体である。更にこの点に関して、本明細書に開示される液体濃縮物は、例えば液体希釈剤、好ましくは水などの別の原材料の添加後にのみ投与される。
[0127]本明細書で使用するとき、用語「栄養製品」は、嚥下障害を有する個体による経口投与用の栄養組成物を指す。栄養製品は、嚥下障害を有する個体の、栄養補給、水分補給、又は1食以上の食事一式(full meal)の代替としてみなされる。栄養製品はまた、任意の数の任意選択の原材料(例えば、栄養製品が作製される液体濃縮物に対する追加の原材料)を含むことも理解される。好適な任意選択の原材料の非限定的な例としては、例えば、1つ以上の酸味料、追加の増粘剤、pH調節用緩衝剤若しくはpH調節剤、キレート剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香料、ミネラル類、浸透剤、製薬上許容されるキャリア、保存料、安定化剤、糖、甘味料、調質剤、及び/又はビタミン類などの従来の食品添加物が挙げられる。任意選択の原材料は、任意の好適な量で添加することができる。好ましくは、液体濃縮物は、水を含む均質な単相の液体であり、好ましくは、栄養製品は、水を含む均質な単相飲料である。しかしながら、本開示は、栄養製品の特定の実施形態に限定されない。更に、本開示は、液体濃縮物が再構成される希釈剤の特定の実施形態に限定されず、希釈剤は、動物又はヒトによる摂取に好適な任意の液体であり得る。
[0128]「レディ・トゥ・ドリンク」飲料又は「RTD」飲料は、液体を更に追加せずとも摂取することのできる液体形態の飲料である。好ましくは、RTD飲料は無菌である。「経口栄養補助食品」又は「ONS」は、少なくとも1つの主要栄養素及び/又は少なくとも1つの微量栄養素を含む組成物であり、例えば、滅菌液、半固体又は粉末の形態であり、食品によるものなどの他の栄養摂取を補うことを意図する組成物である。市販のONS製品の非限定的な例としては、例えば、MERITENE(登録商標)、BOOST(登録商標)、NUTREN(登録商標)、SUSTAGEN(登録商標)、RESOURCE(登録商標)、及びCLINUTREN(登録商標)が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「単位剤形」は、ヒト及び動物対象に対する投与量の単位として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、規定量の本明細書に開示される組成物を、所望の効果をもたらすのに十分な量で、好ましくは製薬上許容される希釈剤、キャリア、又は媒体と共に含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及びホスト体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。一実施形態では、単位剤形は、ディスペンサによって分注される、又はパウチなどの容器内に収容される、予め決められた量の液体濃縮物であり得る。
[0129]用語「個体」は、栄養製品から利益を得ることのできる、任意のヒト、動物、哺乳類、又は嚥下障害を有する個体を指す。動物としては哺乳動物が挙げられるがこれに限定されないことは理解されたい。哺乳動物としては、限定はされないが、齧歯類、水生哺乳類、家庭用動物(イヌ及びネコなど)、家畜(ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなど)、並びにヒトが挙げられる。
[0130]本明細書で使用するとき、「有効量」とは、欠乏を予防する、個体の疾患又は医学的状態を治療する、あるいはより一般的には、症状を軽減させる、疾患の進行を管理する、又は個体に対して栄養学的、生理学的若しくは医学的利益を提供する、量である。相対用語「促進」、「改善」、「増加」、「増進/増強」などは、増粘剤を含まないがその他は同一である栄養製品と比較した、本明細書に開示される増粘剤を含む栄養製品の効果を指す。
[0131]本明細書で使用するとき、β-グルカンは、(1→3)、(1→4)-β-グルコシド結合により連結されたD-グルコピラノースモノマーのホモ多糖を指す。β-グルカンは、植物又は微生物を材料資源として、例えば、オーツ麦又は大麦から、例えば、Lazaridou et al.の‘A comparative study on structure-function relations of mixed-linkage(1→3),(1→4)linearβ-D-glucans’in Food Hydrocolloids,18(2004),837-855に記載の方法などの当業者に既知の方法により誘導することができる。β-グルカンは、約1,200,000Daを超える、例えば、約1,200,000Da~約2,500,000Da,好ましくは、約1,200,000Da~約1,500,000Da、約1,200,000Da~約1,800,000Da、約1,200,000Da~約1,900,000Da、約1,200,000Da~約2,000,000Da、より好ましくは、約1,500,000Da~約1,800,000Da、約1,500,000Da~約1,900,000Da、約1,500,000Da~約2,000,000Da、約1,500,000Da~約2,100,000Da、更により好ましくは、約1,800,000Da~約1,900,000Da、約1,800,000Da~約2,000,000Da、約1,800,000Da~約2,100,000Da、約1,900,000Da~約2,000,000Da、約1,900,000Da~約2,500,000Da、約2,000,000Da~約2,500,000Daの分子量(MW)を有し得る。それらの緩和時間によって測定するとき、約1,200,000Da~約1,600,000DaのMWを有するβ-グルカンは、非凝集性であり得、約1,800,000Da~約2,500,000DaのMWを有するβ-グルカンは、凝集性であり得る。
[0132]増粘剤は、β-グルカンに加えて、コンニャクマンナン、タラガム、ローカストビーンガム、グアーガム、フェヌグリークガム、タマリンドガム、カッシアガム、アカシアガム、ガムガッチ、ペクチン、セルロース、トラガカントガム、カラヤガム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるガム;並びに/又はサボテン粘液、サイリウム粘液、ゼニアオイ粘液、アマニ粘液、ウスベニタチアオイ粘液、ヘラオオバコ粘液、モウズイカ粘液、エイランタイ(cetraria)粘液、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される植物由来粘質物を含み得る。
[0133]いくつかの実施形態では、液体栄養製品は、最大1%、好ましくは約0.2%~約0.75%、例えば、約0.2%~約0.3%、約0.2%~約0.5%、約0.3%~約0.5%、約0.3%~約0.75%、約0.5%~約0.75%、及び約0.75%の総固形分を有し得る。本明細書で使用するとき、総固形分は、粉末の100%乾燥物(水分なし)を想定することによって測定される。例えば、約0.03gの乾燥粉末(水分なし)を、約4グラムの水に溶解することによって得られる液体は、約0.75%の総固形分を有するであろう。
[0134]本明細書で使用するとき、特徴的な「食塊」は、嚥下に備えて口腔内で形成される、栄養製品の任意のまとまりを含む。食塊は、任意の形状、サイズ、組成物及び/又はテクスチャーであってもよく、したがって液体であってもよい。
[0135]剪断流は、平行な平板が、互いに平行である方向に移動する溶液の流れである。剪断粘度は測定可能なレオロジー特性である。剪断粘度は、多くの場合粘度と称され、印加された剪断応力に対する物質の作用を表す。換言すれば、剪断応力は、流体の表面に対し横断方向又は水平方向に加えられた「応力」(単位面積あたりの力)の、流体内を下に動くときの流体の速度変化(「速度勾配」)に対する比率である。栄養製品の剪断粘度は、製品に適用する剪断速度を正確に制御しつつ剪断応力を測定することができる、又はその逆も可能である、任意の方法によって測定することができる。多くの場合、使用されるのは、一般に、流体に特定の応力場又は変形を課し、結果として生じる変形又は応力を監視するレオメーターである。これらの器具は、定常流又は振動流、及び剪断で動作し得る。標準方法には、同心円筒型粘度計、円錐平板型粘度計、及び平行平板型粘度計の使用が含まれる。
[0136]物質の別のレオロジー特性には、伸長粘度がある。伸長流は、伸長に抵抗し、圧縮又は引っ張りを受けながらコイル構造に戻る溶液の挙動である。伸長粘度は、液体をその流動方向に伸長させるのに必要とされる応力の、伸長速度に対する比率である。伸長粘度係数は、剪断粘度から単純に計算又は推定することのできない、高分子の特性評価に広く使用される。
[0137]伸長粘度は、多くの場合、伸長応力を印加するレオメーターの一例である、キャピラリー破断式伸長粘度計(CaBER)を使用して特定される緩和時間によって測定される。栄養製品の緩和時間を測定するために本明細書で実施されたCaBER試験においては、平行で垂直に並べた、共に直径6mmを有する2枚の円形の金属表面の間に、上記製品の液滴を配置する。次いで、金属表面は、50msの時間間隔において急速に直線的に分離される。この広げる動作で形成されたフィラメントは、その後、界面張力の作用下で細くなる/収縮する(thinning)。この収縮プロセスを、その中間点でフィラメント径を測定するデジタルカメラ及び/又はレーザーシートを使用して定量的に追跡する。CaBER試験における緩和時間は、収縮プロセス中のフィラメント径の自然対数を正規化し、時間に対してプロットし、この曲線の直線部の勾配(dln(D/D)/d)を特定することによって求められ、式中、Dはフィラメント径、Dは時間0におけるフィラメント径、tはフィラメント収縮経過時間である。次いで、この文脈における緩和時間を、この傾きの逆数にマイナス3分の1(-1/3)をかけたもの、すなわち、-1/(3dln(D/D)/d)と定義する。
[0138]栄養製品又はその食塊の粘着性又は凝集性は、栄養製品又はその食塊が、口腔内及び嚥下プロセスを通して結合して一緒になる能力である。これは、緩和時間の代用であり、緩和時間に直接関連する栄養製品又はその食塊の「曳糸性」によって測定され得る。本栄養製品において、緩和時間は、それぞれ20℃の温度で、10ms~2000ms、好ましくは20ms~1000ms、同様に好ましくは50ms~450ms、100ms~2000ms、100ms~450ms、より好ましくは400ms~2000ms、400ms~450msであることが好ましい。
[0139]更に、好ましい実施形態では、栄養製品のフィラメント径は、CaBER試験中に、時間に対して線形的減少を下回って減少し、好ましくは指数関数的に減少する。フィラメント径は、デジタルカメラ及び/又はレーザーシート測定装置を使用して測定され得る。
[0140]いくつかの実施形態では、栄養製品は、増粘剤を溶解するための希釈剤を更に含み得る。希釈剤は、水、乳、水と追加の少なくとも1つの成分を更に含む飲料、液体経口栄養補助食品(ONS)、又は食品製品のうちの1つ以上であり得る。希釈剤中の増粘剤の希釈は、栄養製品が希釈剤及び増粘剤を本質的に含むか、又はそれらを含むように、栄養製品を直接形成する。いくつかの実施形態では、希釈剤中の増粘剤の希釈は、水溶液を形成し、その後、少なくとも1つの他の経口投与可能な組成物に水溶液を添加して、栄養製品が、希釈剤、増粘剤、及び少なくとも1つの他の経口投与可能な組成物を本質的に含むか、又はそれらを含むように、栄養製品を形成する。いくつかの実施形態では、栄養製品は、レディ・トゥ・ドリンク飲料である。
[0141]いくつかの実施形態では、栄養製品は、(i)栄養補給、(ii)水分補給、及び(ii)1食以上の十分な食事の代替のうちの少なくとも1つを達成するために、嚥下障害を有する個体への栄養製品の投与に有効な量の増粘成分を含む単位剤形である。
[0142]栄養製品は、タンパク質、脂肪、繊維、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、アミノ酸、脂肪酸、植物性栄養素、酸化防止剤、及び/又はこれらの組み合わせのうち1つ以上を更に含み得る。
[0143]タンパク質は、乳性タンパク質、植物性タンパク質、若しくは動物性タンパク質、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。乳性タンパク質としては、例えば、カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウムを含む全ての形態)、カゼイン加水分解物、乳清(例えば、濃縮物、単離物、脱塩物を含む全ての形態)、乳清加水分解物、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質単離物が挙げられる。植物性タンパク質としては、例えば、大豆タンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)、エンドウマメタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)、キャノーラタンパク質(例えば、濃縮物及び単離物を含む全ての形態)、市販品としては小麦及び分画小麦タンパク質、トウモロコシ及びゼインを含むその画分、米、オート麦、ジャガイモ、落花生、グリーンピース粉末、サヤエンドウ粉末である他の植物タンパク質、並びに腎臓形の豆(beans)、レンズマメ(lentils)、及び豆類(pulses)由来の任意のタンパク質が挙げられる。動物性タンパク質は、牛肉、鶏肉、魚、ラム、海産食品、又はこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、タンパク質は、米タンパク質又はレンズマメタンパク質のうちの少なくとも1つである。
[0144]脂肪は、植物性脂肪(例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、菜種油、ヘーゼルナッツ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油、キャノーラ油、及びレシチンなど)、動物性脂肪(例えば、乳脂肪)、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
[0145]繊維は、可溶性繊維及び不溶性繊維の混合物を含有し得る繊維ブレンドであってもよい。可溶性繊維としては、例えば、フラクトオリゴ糖、アカシアガム、及びイヌリンなどを挙げることができる。不溶性繊維としては、例えば、エンドウマメ外皮の繊維を挙げることができる。
[0146]炭水化物は、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固体、マルトデキストリン、変性デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
[0147]栄養製品は、次のプレバイオティクス:アカシアガム、αグルカン、アラビノガラクタン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーガム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース(lactoneotetraose)、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、ミルクオリゴ糖、部分加水分解グアーガム、ペクチンオリゴ糖(pecticoligosaccharide)、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、大豆オリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はそれらの加水分解物、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。プレバイオティクスは、選択的に腸内の有益細菌の生育を促進する、又は病原細菌の生育若しくは粘膜付着を阻害する食物物質である。プレバイオティクスは、胃及び/若しくは上部腸管では不活性化されず、又は摂取した個体の胃腸管で吸収されないものの、胃腸管内の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵される。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson and Marcel B.Roberfroid,Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics,J.Nutr.1995 125:1401-1412によって定義されている。
[0148]栄養製品は、少なくとも1つのプロバイオティクスを含むことができる。プロバイオティクスは、食品用微生物(半生菌、又は弱毒化菌、及び/又は非複製菌を含む生菌)、代謝産物、微生物細胞調製物又は微生物細胞成分であり、投与されたときに宿主に対して健康上の利益を与えることができ、より詳細には、プロバイオティクスは、腸内微生物バランスを改善し、宿主の健康又はウェル・ビーイングに対する効果をもたらすことによって宿主に有益な影響を及ぼすものである。Salminen S,Ouwehand A.Benno Y.et al.,Probiotics:how should they be defined?,Trends Food Sci.Technol.1999:10,107-10を参照されたい。一般に、これらのプロバイオティクスは、腸管内の病原性細菌の生育及び/又は代謝を阻害する、又はそれらに影響を与えると考えられている。プロバイオティクスはまた、宿主の免疫機能も活性化させ得る。プロバイオティクスとしては、アエロコッカス(Aerococcus)、アスペルギルス(Aspergillus)、バシラス(Bacillus)、バクテロイデス(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、カンジダ(Candida)、クロストリジウム(Clostridium)、デバロマイセス(Debaromyces)、エンテロコッカス(Enterococcus)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)、メリソコッカス(Melissococcus)、マイクロコッカス(Micrococcus)、ムコール(Mucor)、オエノコッカス(Oenococcus)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ペニシリウム(Penicillium)、ペプトストレプトコッカス(Peptostrepococcus)、ピキア(Pichia)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、シュードカテニュレイタム(Pseudocatenulatum)、リゾプス(Rhizopus)、サッカロミセス(Saccharomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、トルロプシス(Torulopsis)、ワイセラ(Weissella)、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
[0149]栄養製品はシンバイオティクスを含んでもよい。シンバイオティクスは、プレバイオティクス(前述のうちの少なくとも1種)と、プロバイオティクス(前述のうちの少なくとも1種)の両方を含む補給剤であり、協調的に作用して腸の微生物叢を改善する。
[0150]栄養製品は、次のアミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、シトルリン、システイン、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンのうちの少なくとも1種のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
[0151]更なる実施形態では、栄養製品は、少なくとも1つの脂肪酸又はこれらの任意の組み合わせ、例えば、α-リノレン酸(「ALA」)、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)、及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)などのω-3脂肪酸を含むことができる。脂肪酸は、魚油、オキアミ、鶏肉、卵、植物原料、藻類及び/又はナッツ原料、例えば、亜麻仁、クルミ、アーモンドに由来し得る。
[0152]栄養製品は、少なくとも1つの植物性栄養素を含むことができる。植物性栄養素は、フラバノイド、連結フェノール化合物、ポリフェノール化合物、テルペノイド、アルカノイド、又は硫黄含有化合物のうちの少なくとも1つであり得る。植物性栄養素は、多くの食品に見られる非栄養性化合物である。植物性栄養素は、基本的な栄養以外の健康上の利益を有する機能性食品であり、植物源から得られる健康増進化合物である。植物性栄養素は、1つ以上の健康上の利益を使用者に付与する、植物によって産生される任意の化学物質を指す。適切な植物性栄養素の非限定的な例としては、
[0153]i)モノフェノール(例えば、アピオール、カルノソール、カルバクロール、ジラピオール、ローズマリノールなど);フラボノール(例えば、クエルセチン、フィンゲロール(fingerol)、ケンペロール、ミリセチン、ルチン、イソラムネチンなど)、フラバノン(例えば、フェスペリジン(fesperidin)、ナリンゲニン、シリビン、エリオジクチオールなど)、フラボン(例えば、アピゲニン、タンゲレチン、ルテオリンなど)、フラバン-3-オール(例えば、カテキン、(+)-カテキン、(+)-ガロカテキン、(-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピガロカテキンガラート(EGCG)、(-)-エピカテキン3-ガラート、テアフラビン、テアフラビン-3-ガラート、テアフラビン-3’-ガラート、テアフラビン-3,3’-ジガラート、テアルビジンなど)、アントシアニン(フラボナール(flavonal))及びアントシアニジン(例えば、ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペツニジンなど)、イソフラボン(植物エストロゲン)(例えば、ダイゼイン(ホルモノネチン)、ゲニステイン(ビオカニンA)、グリシテインなど)、ジヒドロフラボノール、カルコン、クメスタン(植物エストロゲン)、及びクメストロール、を含む、フラボノイド(ポリフェノール);フェノール酸(例えば、エラグ酸、没食子酸、タンニン酸、バニリン、クルクミンなど);ヒドロキシ桂皮酸(例えば、カフェ酸、クロロゲン酸、桂皮酸、フェルラ酸、クマリンなど);リグナン(植物エストロゲン)、シリマリン、セコイソラリシレシノール、ピノレシノール、及びラリシレシノール);チロソールエステル(例えば、チロソール、ヒドロキシチロソール、オレオカンタール、オレウロペインなど);スチルベノイド(例えば、レスベラトロール、プテロスチルベン、ピセアタンノールなど)及びプニカラギン、を含む、フェノール化合物、
[0154]ii)カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、δ-カロテン、リコピン、ニューロスポレン、フィトフルエン、フィトエンなど)及びキサントフィル(例えば、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン(aeaxanthin)、アスタキサンチン、ルテイン、ルビキサンチン)を含むカロテノイド(テトラテルペノイド);モノテルペン(例えば、リモネン、ペリリルアルコールなど);サポニン;フィトステロール(例えば、カンペステロール、βシトステロール、γシトステロール、スチグマステロールなど)、トコフェロール(ビタミンE)、並びにγ-3、γ-6、及びγ-9脂肪酸(例えば、γ-リノレン酸など)を含む脂質;トリテルペノイド(例えば、オレアノール酸、ウルソール酸、ベツリン酸、モロン酸など)を含む、テルペン(イソプレノイド)、
[0155]iii)βシアニン(例えば、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、ネオベタニン);及びβキサンチン(非糖鎖付加型)(例えば、インジカキサンチン、及びブルガキサンチンなど)を含むベタレイン、
[0156]iv)例えば、ジチオールチオン(dithiolthione)(イソチオシアネート)(例えば、スルフォラファンなど);及びチオスルホナート(アリウム化合物)(例えば、アリルメチルトリスルフィド、及びジアリルスルフィドなど)、インドール、例えば、インドール-3-カルビノールを含むグルコシノレート;スルフォラファン;3,3’-ジインドリルメタン;シニグリン;アリシン;アリイン;アリルイソチオシアネート;ピペリン;syn-プロパンチアール-S-オキシドを含む、オルガノスルフィド、
[0157]v)例えば、プロテアーゼ阻害剤を含む、タンパク質阻害剤、
[0158]vi)シュウ酸、フィチン酸(イノシトール六リン酸);酒石酸;及びアナカルジン酸を含む、他の有機酸、
が挙げられる。
[0159]栄養製品は、少なくとも1つの酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤は、他の分子の酸化を遅らせること又は防止することができる分子である。酸化防止剤は、アスタキサンチン、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオンゴジ(クコ)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー(lactowolfberry)、リグナン、ルテイン、リコピン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つであってもよい。
[0160]栄養製品は、好ましくは投与可能な形態、例えば経口投与可能な形態である。投与可能な形態は、医薬製剤、栄養製剤、ダイエタリーサプリメント、機能性食品、及び飲料製品、又はこれらの任意の組み合わせのうちのいずれかであってよい。
[0161]ミネラルなどの任意選択的な原材料としては、ホウ素、カルシウム、クロミウム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレニウム、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
[0162]ビタミンなどの任意選択的な原材料としては、通常、身体の発育及び活動に必要な量のビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又は塩酸ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(各種コバラミン;ビタミンサプリメントでは、通常、シアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、及びビオチン)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
[0163]更なる態様では、栄養製品は、嚥下機能障害を予防する、及び/又は緩和する、及び/又は補うために、かかる治療を必要としている患者に使用される。本明細書で使用するとき、用語「予防する」、「予防」、「緩和する」、及び「補う」、及び「補い」には、抑止的又は予防的治療(標的とする病的状態又は障害を予防する及び/又はその発症を遅らせる治療)と、診断された病的状態又は障害の進行を遅らせる、その症状を軽減する、及び/又はその進行を停止させる治療手段を含む治療又は疾患修飾療法/補い療法(compensation treatment)と、疾患に罹患する危険性がある患者、又は疾患に罹患した疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態を有すると診断された患者の治療が含まれる。この用語は、必ずしも完治するまで対象が治療されることを意味するものではない。用語「予防する」、「予防」、「緩和する」、及び「補う」、及び「補い」はまた、疾患を有さないが、窒素不均衡又は筋力低下などの不健康な状態を生じやすい可能性のある個体における健康の維持及び/又は促進を指す。用語「予防する」、「予防」、「緩和する」、及び「補う」、及び「補い」はまた、1つ以上の主たる予防手段又は治療手段の相乗作用、又はそうでない場合は増進/増強を含むことも意図している。用語「予防する」、「予防」、「緩和する」、及び「補う」、及び「補い」は更に、疾患若しくは状態の食事療法、又は疾患若しくは状態の発症予防(prophylaxis)若しくは予防(prevention)のための食事療法を含むことも意図している。
[0164]更なる態様では、栄養製品は、栄養製品の嚥下安全性及び/又は嚥下効率を促進するために、それを必要としている患者に使用される。
[0165]更なる態様では、栄養製品は、栄養製品の嚥下中の誤嚥リスクの軽減のために、それを必要としている患者に使用される。
[0166]過度の応力(製造中の剪断)は、β-グルカンの長い分子鎖を切断して栄養製品の凝集性を破壊し得る。本明細書に記載の方法は、好ましくは、本明細書に記載のように、全ての原材料を混合し、栄養製品を処理するために、低剪断装置を使用する。
[0167]典型的には、十分な量の増粘剤が、好適な混合容器内で希釈剤と混合される。好ましい混合容器は、好適に混合されることが望ましい増粘剤及び希釈剤の量を収容するサイズを有する容器を含むことができる。容器は、任意選択的に、カバー、特定の形状、バッフル、及び/又は熱ジャケットを任意に含み得る市販サイズのタンクであり得る。他の好適な有用な混合容器としては、飲料カップ、ボウル、開放又は閉鎖され得る家庭用容器、並びにキッチントップミキサーシステム、並びに好適に混合される希釈剤及び増粘剤の量を収容することができる任意の好適なサイズの容器が挙げられる。
[0168]必要又は所望に応じて、酸、塩基、酸性化剤(acidulate)、キレート剤、香料、着色剤、ビタミン、ミネラル類、甘味料、不溶性食品、及び/又は保存料などの微量成分を、調製中の任意の適切な時点で増粘剤及び希釈剤混合物に組み込むことができる。このような微量成分は、好ましくは微量及び低濃度、すなわち、増粘には実質的に関連しない量で存在する。
[0169]例示的な実施形態では、使用される特定の混和機器及び材料の適切な取り扱いに応じて、栄養製品を混和するための時間は、約2分~約180分、好ましくは約5分~約60分であるが、所望又は必要に応じてより長時間及び短時間を用いることができる。
[0170]栄養製品の包装は、嚥下障害に苦しんでいる人に有効な粘度を届ける限り、重要ではない。例示的には、包装は、トート、ビン、ホイルパウチ、バケツ、バッグ、又はシリンジなどであってもよい。所望であれば、増粘剤の使用は、飲料ディスペンサ又は容器内の増粘飲料のインライン混合及び調製を容易にすることができる。このようなシステムは、増粘飲料を分注する計量装置及びインライン混合システムを含むことができる。好ましくは、システムは、スイッチを入れるだけで増粘又は非増粘飲料を分注するように設計される。
[0171]一態様では、増粘剤は、液体食品に有効である。例えば、有効量の増粘剤は、乳、ヒト母乳、牛乳、ソーダ、コーヒー、茶、ジュース(レモン、シトラス、オレンジ、リンゴ)、アルコール(ビール、ワイン、又は約20%未満のアルコールを有する混合飲料)、栄養補助食品、それらの混合物など又はスープ、肉汁、又は食品ピューレなどのうちの1つから例示的に選択される液体食品と混合され得る。本明細書で使用するとき、用語「ジュース」には、ピューレ、オレンジジュース、野菜ジュース、及びリンゴジュースを含む果汁の、漉したもの及び漉していないもの、濃縮したもの及び搾りたてのものが含まれる。
[0172]増粘剤と液体食品とを効果的に混合するための好適な容器の非限定的な例としては、飲料カップ、コーヒーカップ、ボウル、頂部を開放若しくは閉鎖され得る家庭用容器、キッチンブレンダー、キッチントップミキサーシステム、及び混合される材料を収容することができる任意の好適なサイズの容器が挙げられる。混合を実施するのに好適な器具の非限定的な例としては、フォーク、スプーン、ナイフ、ハンドミキサー、キッチンブレンダー、キッチントップミキサー、泡立て器、及び任意の他の適切な撹拌装置が挙げられる。特に好適な混合容器は、液体食品及び増粘剤を一緒に収容して振とうすることを可能にするために、容器に取り付けることができる蓋又はカバーを有する。
[0173]例示的なプロセスでは、混合物で使用される増粘剤の量は、嚥下障害に苦しんでいる人が効果的に嚥下することによって摂取可能である増粘された液体食品を提供する量である。
[0174]別の利点は、本明細書に開示されている栄養製品は、精神的な判断力(mental judgment)に障害のある人の前で摂食したり、放置したりするのがより安全であることである。栄養製品の摂取は、窒息の危険性を呈さない。乾燥粉末を溶解前に口に入れること及び/又は嚥下しようとすることは、精神的な判断力が低下している患者に危険を与える可能性がある。多くの施設では、開封した粉末容器(open containers of powder)がテーブル上若しくは部屋に残される、又は個々のサイズの包みがトレー上に提供される。介護者が何かに気を取られていると、ハンチントン舞踏病患者などの衝動的な摂食者は、すぐに乾燥粉末を摂取しようとする可能性があり、重大な危険を孕んでいる。本明細書に開示される栄養製品は、再構成及び/又は完全に水和され、したがって、かかる問題はない。
[0175]本明細書に開示される増粘剤は、十分に、完全に、及び総合的に水和されてエンドユーザーに提供され、出荷時の沈降若しくは分離を最小限に抑えることができる、又は回避することができる。好ましくは、密度は経時的に変化せず、製品は安定である。結果として、そのような実施形態では、同じ容量の増粘剤は、増粘剤が容器の上部又は底部からのものであるかどうかにかかわらず、液体食品を同じレベルの粘度に増粘させるであろう。増粘剤によって増粘された液体食品は、好ましくは、調製後に増粘し続けない。増粘剤は、栄養製品中で既に水和させておくことができ、したがって、流体環境に対する何らかの懸念、及びその水和時間への影響が最小化又は排除される。
[0176]バリウム嚥下試験変法又は嚥下造影検査(VFSS)として一般的に知られている放射線技術を、診断のため、及び嚥下障害に苦しんでいる患者に対する増粘食での治療勧告を作成するために使用することができる。現在、病院又は養護施設又はモバイル診断ユニットは、独自の方法で試験溶液を調製する。これらの溶液の粘度については、ほとんど標準化されていない。診断を受けた患者に実際に提供される食事調製物を被験調製物と同じ粘度のものとすることを確保するための手段は存在しない。
[0177]本明細書に開示される増粘剤組成物は、バリウム嚥下試験変法中に調製された粘度を、食品サービス及び/又はベッドサイド及び/又は家庭で調製されるものにつなげる機会を提供することができる。本明細書に開示される増粘剤組成物は、異なる液体食品における最終的な粘度の変動性を低減し、したがって混合技術のばらつきを低減することができる。凝集及び混合時間の因子を排除することで、バリウム嚥下試験変法中に起こるものと、実際にフードサービス及び/又は病床及び/又は家庭での摂取時に起こるものとの間のばらつきを低減することができる。
[0178]嚥下障害の別の一般的な診断技術は、嚥下内視鏡検査(FEES)である。この技術では、患者の鼻腔を通して内視鏡を喉に挿入して、患者の嚥下機能を直接観察する。一態様では、本明細書に開示される増粘剤は、この評価技術で使用される試験調製物を増粘するために使用され得る。
[0179]本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、本方法は、患者における嚥下障害の重症度のレベルを識別するステップと、患者における嚥下障害の重症度のレベルに基づいて、希釈するための増粘剤の量を選択するステップであって、増粘剤の量は、各々が様々なレベルの嚥下障害の重症度に対応する複数の予め決められた量から選択される、ステップとを含む。非限定的な例として、増粘剤は、計量ポンプに取り付けられた容器内に提供され得る。計量ポンプの1つのポンプは、軽度の嚥下障害を有する個体に適した予め決められた量の増粘剤を分注することができ、計量ポンプの2つのポンプは、中程度の嚥下障害を有する個体に適した予め決められた量の増粘剤を分配することができ、計量ポンプの3つのポンプは、重度の嚥下障害を有する個体に適した予め決められた量の増粘剤を分配することができる。
[0180]別の態様では、本開示は、嚥下障害を有する個体に投与するための均質な単相飲料の製造システムであって、β-グルカンを含む増粘剤を収容する第1の容器と、Na2HPO4、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む安定化剤を収容する第2の容器と、上記容器に接続され、第1の予め定められた量にほぼ等しい第1の量の増粘剤と、第2の予め定められた量にほぼ等しい第2の量の安定化剤とを分注するように構成された、計量装置と、を備える、システムを提供する。システムは、増粘剤を栄養製品に混合するように構成された静的インラインミキサー及び/又は均質な単相飲料を分注するように構成されたノズルを更に備えることができる。
[0182]以下の非限定的な実施例は、本開示によって提供される1つ以上の実施形態を支持する実験例である。
[0183]実施例1:粘度及び緩和時間の経時変化
[0184]FIG.1は、異なる時間及び異なる温度(冷蔵及び周囲温度)における試料の粘度及び緩和時間を示す。
[0185]試験番号35996.003:対照2%OatWell28(OW28)
[0186]試験番号35996.004:1.8%OW28とAvicel
[0187]試験番号35996.005:1.5%OW28とAvicel及びグアーガム
[0188]試験番号35996.006:1.5%OW28とAvicel及びローカストビーン
[0189]試験番号35996.007:1.8%OW28とAvicel-最初にガムを添加
[0190]結果は、粘度が時間とともに減少することを示す。周囲条件下では、1ヶ月後には、ほとんどの試料の伸長が低下する。冷蔵状態では、2ヶ月後には、凝集はほとんどなくなる。凝集及び粘度は、冷蔵条件でわずかに長い間維持されるが、なおも分解している。
[0191]実施例2:OatWell28溶液の凝集力及び粘度に対するpHの影響
[0192]いくつかのpH目標値のための試料の処方は以下の通りである。
Figure 2024519807000001
[0193]混合手順:
[0194]500mLのRO水を加える。
[0195]クエン酸ナトリウム及びクエン酸を、サーモミキサーへの水に加え、撹拌する。
[0196]サーモミキサーで水を60℃に加熱する。
[0197]温度が60℃になったら、10gのOatWell28を加える。
[0198]例えば、サーモミキサーを休止させて撹拌器及び側面をこすることによって、全ての原材料を確実に水中にいれる。
[0199]30分間混合する。
[0200]遠心分離する。
[0201]サーモミックス抽出物をビーカーに注ぐ。
[0202]遠心管(centrifuge tubs)に充填する前に、必ずスプーンで撹拌する。
[0203]20分間遠心分離する(5000rcf、6Gで20分間)。及び
[0204]遠心管をデカントする。
[0205]官能性:
[0206]図2は、全ての試料の写真である。写真に示されるように、極端な色差はなかったが、試料が酸性になるにつれてわずかな色変化がある。pH3の試料は、黄色/橙色がわずかに強い色相を有する。他の3つの試料は、無視できる差を有する。この結果は、pHが4未満のときに、色変化のリスクがより高いことを示す。
[0207]更に、pH3の試料は、オート麦臭に加えてフルーティ/酸性/薬品タイプの臭いを有していた。臭いは、pH5及びpH4、並びに試料が高温のときにも検出されたが、一旦冷却されると、ノートはオート麦/パスタ臭のみが検出可能であった。
[0208]試料の分析:
[0209]遠心分離した試料を、CaBERで測定する前に室温にした(2時間保存した)。CaBER緩和時間を、CaBER装置を用いて計算した。粘度を、Anton Paar及び平行板を用いて測定した。粘度は50-1秒の剪断速度で測定した。pHメーターを使用してpHを測定した。
Figure 2024519807000002
[0210]実施例3:緩衝剤なしで塩酸を使用したpH試験
[0211]混合手順:
[0212]500mLのRO水を加える。
[0213]pH目標値まで塩酸を加え、撹拌する。
[0214]サーモミキサーで水を60℃に加熱する。
[0215]温度が60℃になったら、10gのOatWell28を加える。
[0216]例えば、サーモミキサーを休止させて撹拌器及び側面をこすることによって、全ての原材料を確実に水中にいれる。
[0217]30分間混合する。
[0218]混合の終了時にpHをチェックする。
[0219]遠心分離:
[0220]サーモミキサー抽出物をビーカーに注ぐ。
[0221]遠心分管(centrifuge tubs)に充填する前に、必ずスプーンで撹拌する。
[0222]20分間遠心分離する(5000rcf、6Gで20分間)。
[0223]試料の分析:
[0224]遠心分離した試料を、CaBERで測定する前に室温にした(2時間保存した)。CaBER緩和時間を、CaBER装置を用いて計算した。粘度を、Anton Paar及び平行板を用いて測定した。粘度は50-1秒の剪断速度で測定した。pHメーターを使用してpHを測定した。
Figure 2024519807000003
[0225]結果は、中性条件が、低粘度、凝集特性にとって好ましいことを示している。
[0226]実施例4:凝集特性の劣化における微生物の役割-(分子量に対する影響)
[0227]劣化の原因を特定するために、本発明者らは、図3の表に従って微生物の役割を調査した。図4~図8は、異なる時間及び異なる温度における微生物培養物を示す。
[0228]図3は、対照実験における微生物培養物を示す。対照試料では、45℃で1週間後に、微生物活性は認められなかった。高温が微生物を死滅させた可能性がある。
[0229]図5は、アジ化ナトリウム(NaN)の存在下での微生物培養物を示す。アジ化ナトリウムは、時間0において全ての微生物を死滅させる。1週間後でさえ、培養物に微生物活性は認められない。
[0230]図6は、ソルビン酸カリウムの存在下での微生物培養物を示す。ソルビン酸カリウムは45℃でt=0において全ての微生物を死滅させるが、25℃では、微生物の増殖を防止することができない。
[0231]図7は、安息香酸ナトリウムの存在下での微生物培養物を示す。これらの培養物は、安息香酸ナトリウムが4℃及び45℃の両方で微生物活性を妨げるが、25℃では微生物の増殖が防止されないことを示す。
[0232]図8は、アジ化ナトリウム及びソルビン酸カリウムを含有するオート麦抽出物の2週間後の曳糸性を示す。
[0233]試料1:NaN、4℃
[0234]試料2:NaN、25℃
[0235]試料3:NaN、45℃
[0236]試料4:ソルビン酸カリウム、4℃
[0237]試料5:ソルビン酸カリウム、25℃
[0238]試料6:ソルビン酸カリウム、45℃
[0239]アジ化ナトリウム及びソルビン酸カリウムを含有するオート麦抽出物の2週間後の曳糸性を調査した。アジ化ナトリウムを含有する試料は、凝集性を維持した。25℃では、ソルビン酸カリウムを含む試料は、いかなる曳糸性も示さなかった。結果は、微生物活性が、凝集挙動の劣化の最も有効な原因の1つであることを示す。
[0240]凝集挙動に対する酸の役割を特定するために、図9に示すように、異なる濃度を有する異なる酸の溶液を調製した。クエン酸、コハク酸、没食子酸、イタコン酸、L-(+)-酒石酸、L-グルタミン酸、スルファミン酸、L-ヒスチジン、フマル酸、ラクトビオン酸、サリチル酸、シュウ酸、及びリンゴ酸を、それぞれ1.00%、0.50%、0.10%、及び0.05%の濃度で使用した。テクスチャーアナライザーを使用して、試料の凝集挙動を調査した。クエン酸及び酒石酸は曳糸性を低減しなかった。
[0241]図10は、クエン酸(pH3.5)の存在下での微生物培養物を示す。
[0242]図11は、酒石酸(pH2.6)の存在下での微生物培養物を示す。高温及び酒石酸は、微生物活性を低減し得ると思われる。
[0243]図12は、ソルビン酸カリウム及びクエン酸の存在下での微生物培養物を示す。ソルビン酸カリウム及びクエン酸は、微生物活性を妨げることができないと思われる。
[0244]図13は、ソルビン酸カリウム及び酒石酸の存在下での微生物培養物を示す。ソルビン酸カリウム及び酒石酸は、微生物活性を低減し得ると思われる。
[0245]図14は、安息香酸ナトリウム及びクエン酸の存在下での微生物培養物を示す。この組み合わせは微生物活性を制御し得ると思われる。
[0246]図15は、安息香酸ナトリウム及び酒石酸の存在下での微生物培養物を示す。この組み合わせは微生物活性を制御し得ると思われる。
[0247]図16は、試料の曳糸性を示す。
[0248]1:NaN、14日後
[0249]2:2%オート麦抽出物、室温で14日後
[0250]3:2%オート麦抽出物、4℃
[0251]アジ化ナトリウムを含有するオート麦抽出物の曳糸性を、室温で保存した2%オート麦抽出物及び4℃で保存した2%オート麦抽出物と比較した:アジ化ナトリウムは凝集性を維持し、凝集性は4℃で保存した2%オート麦抽出物と同じである。室温で保存した2%オート麦抽出物は、いかなる凝集性も有さなかった。
[0252]図17は、(a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で2週間後(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃で2週間後(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0253]図18は、標準β-グルカン試料の保持時間を示す。
[0254]図19は、試料の分子量を示す。
[0255]図20は、(a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で2週間後、分子量=1749846(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃で2週間後、分子量=1106623(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。NaNは、いかなる細菌活性も防止し、図に示されるように、その分子量は保存料を含まないオート麦抽出物よりもはるかに高い。また、NaN溶液は、室温で2週間後でも曳糸性を維持することが示された。
[0256]実施例5:β-グルカンの酸加水分解
[0257]β-グルカンの酸加水分解を防ぐために、NaHPOを添加剤として使用した。図39は、β-グルカンとNaHPO添加剤由来のH+との間の反応を示す。
[0258]図22は、使用した試料及びそのpH値のリストを示す。NaHPOを添加することにより、pHを弱塩基性まで上昇させることができる。
[0259]図23は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN含有、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0260]図24は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN含有、時間=30日、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=30日、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=30日について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。影付き部分は、NaHPOの存在がβ-グルカン分解を防止できることを示す。
[0261]図25は、NaHPOを含有する試料の凝集性を示す。
[0262]I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN、時間=35日
[0263]II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.01%含有、時間=35日
[0264]III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN及びNaHPO 0.1%含有、時間=35日
[0265]35日後、試料II及び試料IIIは、NaNのみを有する試料Iと比較して、より高い凝集性を有する。
[0266]実施例6:チオスルフェートの効果
[0267]図26は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.01%、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.05%、時間=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.10%、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0268]図27は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+チオスルフェート 0.01%、26日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+チオスルフェート 0.05%、26日後(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+チオスルフェート 0.10%、26日後(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。より低い濃度のチオスルフェートを含有する試料は、より安定であると思われる。テクスチャーアナライザーを用いても同様の結果が得られた。
[0269]図28は、チオスルフェートを含有する溶液の凝集性を示す。
[0270]I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN、30日後
[0271]II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.01%、26日後
[0272]III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.05%、26日後
[0273]IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+チオスルフェート 0.10%、26日後。
[0274]試料Iの方が、30日後でもなお良好な凝集性を有することから、チオスルフェートの使用はグルカンの安定性を改善しなかった。
[0275]実施例7:β-グルカンの分子量に対するN及びOの効果
[0276]図29は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで20時間、N下(上図)、及び(b)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで20時間、O(下図)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0277]図30は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、rpmなし、48時間(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで48時間、N下(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、500rpmで48時間、O(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。結果は、O雰囲気下のβ-グルカンが、N雰囲気下のβ-グルカンよりも安定であることを示す。
[0278]実施例8:NaNの存在下でのβ-グルカンの分子量に対するN及びOの効果
[0279]図31は、(a)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で21日後、rpmなし、N下(青線)、及び(b)2%オート麦抽出物、NaN含有、25℃で21日後、rpmなし、O下(赤線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。Oの存在下では、より高い分子量を有するグルカンの部分が、他よりも多い。
[0280]実施例9:分子量に対するNaN及びプロテアーゼの両方の使用の効果
[0281]図32は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01%t=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10%t=0(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20%t=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0282]図33は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01%10日後、(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10%10日後(赤線)、及び(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20%10日後について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。プロテアーゼの濃度の増加は、より多くの分解をもたらしたことがわる。
[0283]図34は、プロテアーゼを含有する溶液の凝集性を示す。
[0284]I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN、10日後
[0285]II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.01%、10日後;
[0286]III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.10%、10日後;
[0287]IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+プロテアーゼ 0.20%、10日後。
[0288]NaNのみを有する溶液と比較して、他の溶液はより高い凝集性を有する。試料は、プロテアーゼの濃度が低いほど、高い凝集性を有する。プロテアーゼの使用は、酵素の変性によってβ-グルカンの所望の安定性を改善することができる。
[0289]実施例10:グルカナーゼ酵素活性
[0290]図35は、グルカナーゼ温度活性プロファイルを示す。図36は、グルカナーゼpH活性プロファイルを示す。
[0291]グルカナーゼの酵素活性は、40℃~75℃の温度範囲で有効であり、最適性能は60℃である。グルカナーゼの活性のためのpH範囲は約3.5~6.5であり、最適性能となるのはpH5.5である。また、NaHPOの使用は、pHを増加させること、及び酵素活性を防止することができた。
[0292]実施例11:酵素の不活性化に対する温度の役割
[0293]図37は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+25℃ ホールド時間=15分、t=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃ ホールド時間=15分、t=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃ ホールド時間=15分、t=0(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃ ホールド時間=15分、t=0(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0294]図38は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+25℃ 10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃ 10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃ 10日後(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃ 10日後(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。時間=0と比較した分解のパターンは異なる。この違いは、温度が酵素活性に影響を及ぼすことを意味する。
[0295]図39は、溶液の凝集性を示す。
[0296]I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+25℃、15日後
[0297]II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+80℃、15日後
[0298]III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+90℃、15日後
[0299]IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN+100℃、15日後。
[0300]概して、15日後に全ての加熱試料がより良好な凝集性を示すことから、この結果は、加熱がβ-グルカンの安定性を改善できたことを示す。
[0301]実施例12:酵素の不活性化に対する温度の役割:NaN含有時のマイクロ波加熱
[0302]望ましくないβ-グルカン脱重合酵素は、高温で変性され得る。しかしながら、熱による変性は瞬間的なプロセスではなく、酵素反応は高温で容易に加速される。したがって、できるだけ迅速に変性温度に到達すべきである。
[0303]図40は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+5秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+10秒間のマイクロ波加熱700W、時間=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN+2×15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0304]図41は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+5秒のマイクロ波加熱700W、10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+10秒のマイクロ波加熱700W、10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(緑線)、及び(d)2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+2×15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(ピンク線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。分解のパターンは異なる。この違いは、温度が酵素活性に影響を及ぼすことを意味する。
[0305]図42は、溶液の凝集性を示す。
[0306]I.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+5秒のマイクロ波加熱、15日後
[0307]II.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+10秒のマイクロ波加熱、15日後
[0308]III.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+15秒のマイクロ波加熱、15日後
[0309]IV.2%オート麦抽出物、25℃、NaN3+2×15秒のマイクロ波加熱、15日後。
[0310]結果は、10秒のマイクロ波加熱が最善の結果であったことを示す。
[0311]実施例13:酵素の不活性化に対する温度の役割:NaNなしのマイクロ波加熱
[0312]図43は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、5秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、10秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、15秒のマイクロ波加熱700W、時間=0(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。
[0313]図44は、(a)2%オート麦抽出物、25℃、5秒のマイクロ波加熱700W、10日後(青線)、(b)2%オート麦抽出物、25℃、10秒のマイクロ波加熱700W、10日後(赤線)、(c)2%オート麦抽出物、25℃、15秒のマイクロ波加熱700W、10日後(緑線)について、サイズ排除クロマトグラフィーを使用した保持時間を示す。10日後、試料は凝集性を示さなかった。
[0314]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。

Claims (57)

  1. 液体形態で摂取される栄養製品の物理的安定性を、特にレオロジー特性、具体的には凝集特性に関して増強する方法であって、前記栄養製品がβ-グルカンを含有し、前記方法が、
    前記栄養製品中の前記β-グルカンの分解を防止するステップ、
    前記栄養製品中の前記β-グルカンの分解を低減するステップ、
    前記栄養製品の粘度及び/もしくは緩和時間を維持するステップ、又は
    前記栄養製品の前記粘度及び/又は前記緩和時間の低減速度を減少させるステップ、
    のうちの少なくとも1つを含む、方法。
  2. 液体形態で摂取される栄養製品中の微生物の増殖を低減及び/若しくは防止する、酵素を不活性化する、並びに/又はβ-グルカンの加水分解を防止する方法であって、前記栄養製品がβ-グルカンを含有し、前記方法が、
    前記栄養製品中の前記β-グルカンの分解を防止するステップ、
    前記栄養製品中の前記β-グルカンの分解を低減するステップ、
    前記栄養製品の粘度及び/もしくは緩和時間を維持するステップ、又は
    前記栄養製品の前記粘度及び/又は前記緩和時間の低減速度を減少させるステップ、
    のうちの少なくとも1つを含む、方法。
  3. NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記安定化剤が、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記安定化剤が、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
  6. プロテアーゼの濃度が、前記栄養製品の0.2重量%未満である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記安定化剤が、NaHPOを含む、請求項3に記載の方法。
  8. 前記安定化剤が、安息香酸ナトリウムとクエン酸とを含む、請求項3に記載の方法。
  9. 前記安定化剤が、ソルビン酸カリウムと酒石酸とを含む、請求項3に記載の方法。
  10. 酒石酸を添加するステップと、前記栄養製品を加熱するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
  11. 前記栄養製品をマイクロ波加熱するステップを含む、請求項3に記載の方法。
  12. アジ化ナトリウムを添加するステップと、前記栄養製品をマイクロ波加熱するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
  13. 前記栄養製品を約10秒間マイクロ波加熱するステップを含む、請求項3に記載の方法。
  14. 前記栄養製品のpHを約6~約7に調節するステップを含む、請求項3に記載の方法。
  15. β-グルカンを含む栄養製品中の前記β-グルカンの分解を防止する方法であって、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理を含む、方法。
  16. 前記安定化剤が、NaHPO又はアジ化ナトリウムの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記安定化剤が、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
  18. プロテアーゼの濃度が、前記栄養製品の0.2重量%未満である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記安定化剤が、NaHPOを含む、請求項15に記載の方法。
  20. 前記安定化剤が、安息香酸ナトリウムとクエン酸とを含む、請求項15に記載の方法。
  21. 前記安定化剤が、ソルビン酸カリウムと酒石酸とを含む、請求項15に記載の方法。
  22. 酒石酸を添加するステップと、前記栄養製品を加熱するステップとを含む、請求項15に記載の方法。
  23. 前記栄養製品をマイクロ波加熱するステップを含む、請求項15に記載の方法。
  24. NaNを添加するステップと、前記栄養製品をマイクロ波加熱するステップとを含む、請求項15に記載の方法。
  25. 前記栄養製品を約10秒間マイクロ波加熱するステップを含む、請求項15に記載の方法。
  26. 前記栄養製品のpHを約6~約7に調節するステップを含む、請求項15に記載の方法。
  27. 栄養製品の作製方法であって、
    β-グルカンを含む増粘剤を希釈剤で希釈することによって前記栄養製品を調製するステップと、
    前記栄養製品を、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理に供するステップと、
    を含む、方法。
  28. 前記安定化剤が、NaHPO又はアジ化ナトリウムの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記安定化剤が、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
  30. プロテアーゼの濃度が、前記栄養製品の0.2重量%未満である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記安定化剤が、NaHPOを含む、請求項27に記載の方法。
  32. 前記安定化剤が、安息香酸ナトリウムとクエン酸とを含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記安定化剤が、ソルビン酸カリウムと酒石酸とを含む、請求項27に記載の方法。
  34. 酒石酸を添加するステップ又は前記栄養製品を加熱するステップのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項27に記載の方法。
  35. NaNを添加するステップ又は前記栄養製品をマイクロ波加熱するステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
  36. 前記栄養製品を約10秒間マイクロ波加熱するステップを含む、請求項27に記載の方法。
  37. 前記栄養製品のpHを約6~約7に調節するステップを含む、請求項27に記載の方法。
  38. β-グルカンと、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤と、を含む、栄養製品。
  39. 前記安定化剤が、NaHPO又はアジ化ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の栄養製品。
  40. 前記安定化剤が、アジ化ナトリウム又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の栄養製品。
  41. プロテアーゼの濃度が、前記栄養製品の0.2重量%未満である、請求項40に記載の栄養製品。
  42. 前記安定化剤が、NaHPOを含む、請求項38に記載の栄養製品。
  43. 前記安定化剤が、安息香酸ナトリウムとクエン酸とを含む、請求項38に記載の栄養製品。
  44. 前記安定化剤が、ソルビン酸カリウムと酒石酸とを含む、請求項38に記載の栄養製品。
  45. 前記栄養製品が、約3~約7のpHを有する、請求項38に記載の栄養製品。
  46. 前記栄養製品が、約6~約7のpHを有する、請求項38に記載の栄養製品。
  47. タンパク質、脂肪、繊維、炭水化物、プレバイオティクス、プロバイオティクス、アミノ酸、脂肪酸、植物性栄養素、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を更に含む、請求項38に記載の栄養製品。
  48. 前記栄養製品が、医薬製剤、栄養製剤、ダイエタリーサプリメント、機能性食品及び飲料製品、並びにレディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料からなる群から選択される投与可能な形態である、請求項38に記載の栄養製品。
  49. β-グルカンと、NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む安定化剤と、を含む増粘剤。
  50. 前記添加剤が、タンパク質又は炭水化物のうちの少なくとも1つを含む、請求項49に記載の増粘剤。
  51. 前記増粘剤が、再構成若しくは希釈される粉末若しくは濃縮ゲル、又はRTDである、請求項49に記載の増粘剤。
  52. 嚥下機能障害の予防、緩和、及び/又は補いを必要とする患者において、嚥下機能障害を予防する、緩和する、及び/又は補う方法であって、
    β-グルカンを含む増粘剤を含む栄養製品を用意するステップと、
    前記栄養製品を、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理に供するステップと、
    前記栄養製品を前記患者に経口投与するステップと、
    を含む、方法。
  53. 嚥下の安全性及び/又は効率の促進を必要とする患者において、嚥下の安全性及び/又は効率を促進する方法であって、
    β-グルカンを含む増粘剤を含む栄養製品を用意するステップと、
    前記栄養製品を、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理に供するステップと、
    前記栄養製品を前記患者に経口投与するステップと、
    を含む、方法。
  54. 栄養製品の嚥下中の誤嚥リスクを軽減する必要がある患者において、栄養製品の嚥下中の誤嚥リスクを軽減する方法であって、前記栄養製品が、β-グルカンを含む増粘剤を含み、前記方法が、
    前記栄養製品を、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、塩酸、酒石酸、プロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される安定化剤を前記栄養製品に添加すること、
    前記栄養製品を約30℃~約100℃の温度に加熱すること、
    前記栄養製品のpHを約3~約7に調節すること、並びに
    これらの組み合わせ、
    からなる群から選択される処理に供するステップと、
    前記栄養製品を前記患者に経口投与するステップと、
    を含む、方法。
  55. 嚥下障害を有する個体に投与するための安定で均質な単相飲料を製造するためのシステムであって、
    β-グルカンを含む増粘剤を収容する第1の容器と、
    NaHPO、アジ化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又はプロテアーゼのうちの少なくとも1つを含む安定化剤を収容する第2の容器と、
    前記容器に接続され、第1の予め定められた量にほぼ等しい第1の量の前記増粘剤と、第2の予め定められた量にほぼ等しい第2の量の前記安定化剤とを分注するように構成された、計量装置と、
    を備える、システム。
  56. 前記増粘剤と前記安定化剤とを前記栄養製品に混合するように構成された静的インラインミキサーを更に備える、請求項55に記載のシステム。
  57. 前記均質な単相飲料を分注するように構成されたノズルを更に備える、請求項55に記載のシステム。

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