JP2024519060A - ソトラシブ投与レジメン - Google Patents

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Abstract

本明細書では、活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量でソトラシブを患者に投与することを含む方法が提供される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月18日に出願された米国仮特許出願第63/190,061号明細書の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ラット肉腫(RAS)癌原遺伝子は、非小細胞肺癌(NSCLC)及び結腸直腸癌(CRC)などの癌における腫瘍発生の発癌ドライバーとして同定されている。RASファミリーは、細胞の増殖及び生存の調節に関与するグアノシン三リン酸(GTP)アーゼを発現する3つの密接に関連する遺伝子からなる。RASタンパク質、カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)、Harveyラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(HRAS)、及び神経芽細胞腫RASウイルス癌遺伝子ホモログ(NRAS)は、コドン12、13、又は61で変異的に活性化されて、ヒト癌を引き起こす可能性がある。異なる腫瘍型は、RASの特定のアイソフォームにおける変異と関連し、KRASは、大部分の癌において最も高頻度に変異したアイソフォームである。ヒト癌におけるKRAS変異の役割は、何十年にもわたり知られているが、タンパク質は小分子による阻害が困難であるとみなされていたことを主な理由として、KRAS変異を特異的に標的化する抗癌療法は、最近まで順調に開発されていなかった。
本明細書では、活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量でソトラシブを患者に投与することを含む方法が提供される。
様々な実施形態では、ソトラシブは、1日1回投与される。様々な実施形態では、ソトラシブは、経口投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月間ソトラシブを投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月間ソトラシブを投与される。様々な実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月間ソトラシブを投与される。
様々な実施形態では、癌は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌である。様々な実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。様々な実施形態では、癌は、膵癌である。様々な実施形態では、癌は、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、消化管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。
被験者別の脳病変における腫瘍縮小を示す(治験責任医師によるRANO-BMの最良縮小のウォーターフォールプロット)。 1日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの1日1回の経口投与後の平均血漿中濃度時間プロファイルを示し、Nは、データポイント全体にわたる観察の数を示す。 8日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの1日1回の経口投与後の平均血漿中濃度時間プロファイルを示し、Nは、データポイント全体にわたる観察の数を示す。
本明細書では、活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量でソトラシブを患者に投与することを含む方法が提供される。
語句「活動性脳転移」は、本明細書で使用する場合、元の(原発性、非脳)腫瘍から脳に拡散した癌を指す。活動性脳転移は、頭蓋内病変の存在によって評価され得る。「転移(metastases)」は複数であるが、以下に示す基準の下で頭蓋内病変を1つのみ示す患者は、「活動性脳転移」を有する患者であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mm超の測定可能な頭蓋内病変を少なくとも1つ有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、5mm超10mm未満の測定可能な頭蓋内病変を少なくとも1つ有する。いくつかの実施形態では、活動性脳転移を有する患者は、10mm超の測定可能な頭蓋内病変を少なくとも1つ有する。患者がソトラシブの初回投与前(例えば、ソトラシブの初回投与の4週前)に1つ以上の頭蓋内病変を切除されているか、又は放射線療法を受けたことがあり、且つ以下の基準を全て満たす場合、その患者は活動性脳転移を有する患者とはみなされない:(a)グレード2以下の頭蓋内病変に起因する残存神経症状;(b)デキサメタゾンの安定用量を服用中(該当する場合);及び(c)30日以内に実施される追跡調査の磁気共鳴画像法(MRI)で、新たな頭蓋内病変の出現又は既存の頭蓋内病変の増殖が見られない。頭蓋内病変に起因するあらゆる神経症状のグレードの判定については、全体が参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
ソトラシブは、KRASG12C変異タンパク質を不可逆的に阻害する小分子である。ソトラシブはまた、AMG 510又は6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンとも称され、以下の構造を有する。
Figure 2024519060000002
ソトラシブは、12位の変異システインに隣接するKRASのP2ポケット及びヌクレオチド結合ポケットに結合する。阻害剤は、システイン残基を共有結合的に修飾し且つ不活性型のグアノシン二リン酸(GDP)に結合された立体構造でKRASG12Cをロックする、チオール反応性部分を含有する。これは、急速進行性線維肉腫(RAF)などのエフェクターとKRASとの相互作用を遮断することにより、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)のリン酸化を含む下流のシグナル伝達を妨げる(Cully and Downward,2008;Ostrem et al.,2013;Simanshu et al.,2017)。RNA干渉(RNAi)又は小分子阻害によるKRASの不活性化が、KRAS変異(KRAS G12C変異を含む)を有する腫瘍細胞株及び異種移植片における細胞増殖を阻害し且つアポトーシスを誘導することがこれまでに実証されている(Janes et al.,2018;McDonald et al.,2017;Xie et al.,2017;Ostrem and Shokat,2016;Patricelli et al.,2016)。ソトラシブによる試験では、これらのインビトロでの知見が確認され、KRAS G12C変異を有する細胞及び腫瘍の増殖の阻害及び退縮が同様に実証された(Canon et al.,2019)。
ソトラシブは、240mg~960mgの範囲の量で患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、960mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、480mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、240mgを1日1回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、480mgを1日2回患者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、240mgを1日2回患者に投与することを含む。
様々な実施形態では、ソトラシブは、経口投与される。様々な実施形態では、ソトラシブは、食事とともに投与される。様々な実施形態では、ソトラシブは、食事を伴わずに投与される。
様々な実施形態では、患者は、制酸剤による治療を更に必要とする。制酸剤としては、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、及び局所作用制酸薬が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、患者は、PPI又はH2RAによる治療を更に必要とする。例示的なPPIとしては、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、及びデクスランソプラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なH2RAとしては、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン、及びラフチジンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な局所作用制酸薬としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、制酸剤による治療を更に必要とする患者は、ソトラシブと組み合わせてプロトンポンプ阻害剤又はH2受容体アンタゴニストを投与されない。いくつかの実施形態では、ソトラシブは、局所作用制酸薬の約4時間前又は約10時間後に投与される。
様々な実施形態では、患者は、CYP3A4誘導剤による治療を更に必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない。例示的なCYP3A4誘導剤としては、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、及びトログリタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Flockhart DA,Drug Interactions:Cytochrome P450 Drug Interaction Table.Indiana University School of Medicine(2007),www.drug-interactions.medicine.iu.edu(2021年5月にアクセス)を参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない。例示的な強力なCYP3A4誘導剤としては、フェニトイン及びリファンピンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、www.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/drug-development-and-drug-interactions-table-substrates-inhibitors-and-inducers(2021年5月にアクセス)を参照されたい。
様々な実施形態では、患者は、CYP3A4基質による治療を更に必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない。例示的なCYP3A4基質としては、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、グリベック、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、及びジプラシドンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Flockhart DA,Drug Interactions:Cytochrome P450 Drug Interaction Table.Indiana University School of Medicine(2007),https://drug-interactions.medicine.iu.edu(2021年5月にアクセス)を参照されたい。
様々な実施形態では、患者は、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療を更に必要とする。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない。例示的なP-gp基質としては、ダビガトランエテキシラート、ジゴキシン、フェキソフェナジン、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、及びビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、www.fda.gov/drugs/drug-interactions-labeling/drug-development-and-drug-interactions-table-substrates-inhibitors-and-inducers(2021年5月にアクセス)を参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されず、P-gp基質は、狭い治療指数を有するP-gp基質である。狭い治療指数を有する例示的なP-gp基質としては、ジゴキシン、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、及びビンクリスチンが挙げられるが、これらに限定されない。
様々な実施形態では、患者は、本明細書で開示されるソトラシブの投与前にKRASG12C変異タンパク質を発現する1つ以上の細胞を有すると判定された癌を有する。KRASG12C変異タンパク質の判定は、本開示の他所に記載のとおりに評価され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法でソトラシブが投与される患者は、異なる抗癌療法、例えば、少なくとも1つ(例えば、1つ、又は2つ、又は3つ)の他の全身性癌療法でこれまでに治療されている。いくつかの実施形態では、患者は、1つの他の全身性癌療法でこれまでに治療されたため、ソトラシブ療法は第二選択療法である。いくつかの実施形態では、患者は、2つの他の全身性癌療法でこれまでに治療されたため、ソトラシブ療法は第三選択療法である。
いくつかの実施形態では、以前の全身性癌療法は、KRASG12C阻害剤による療法ではない。いくつかの実施形態では、KRASG12C阻害剤は、ソトラシブ、アダグラシブ、GDC-6036、D-1553、JDQ443、LY3484356、BI1823911、JAB-21822、RMC-6291、又はAPG-1842である。特定の実施形態では、KRASG12C阻害剤は、ソトラシブである。特定の実施形態では、KRASG12C阻害剤は、アダグラシブである。以前の全身性癌療法としては、化学療法及び免疫療法が挙げられるが、これらに限定されない。具体的に企図される以前の全身癌治療としては、抗PD1療法、抗PDL1療法、及びプラチナ系化学療法が挙げられる。抗PD1療法及び抗PDL1療法のいくつかの例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ(tisielizumab)、トリパリマブ、スパルタリズマブ(aspartalizumab)、ドスタルリマブ、レチファンリマブ、シンチリマブ(simtilimab)、ピディリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗PD1療法は、セミプリマブ、ドスタルリマブ、ペムブロリズマブ、又はニボルマブである。いくつかの実施形態では、抗PDL1療法は、アデブレリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、コシベリマブ、デュルバルマブ、エンバフォリマブ、エルフォンリリマブ(erfonrilimab)、ガリブリマブ(garivulimab)、ロダポリマブ、オプコリマブ(opucolimab)、スゲマリマブ、ソカゾリマブ、又はタギタンリマブ(tagitanlimab)である。いくつかの実施形態では、抗PDL1療法は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブである。プラチナ系化学療法のいくつかの例としては、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、ロバプラチン、四硝酸トリプラチン、ピコプラチン、ProLindac、及びアロプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、患者は、癌が、上皮増殖因子受容体遺伝子(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子(ALK)、及び/又はROS癌原遺伝子1(ROS1)において治療につながる発癌ドライバー変異を有すると同定された場合、標的療法である全身性癌療法をこれまでに施されている。EGFR変異に対する標的療法としては、セツキシマブ、パニツムマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、及びアファチニブが挙げられるが、これらに限定されない。ALK変異に対する標的療法としては、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブ、レポトレクチニブ、ブリガチニブ、アルコチニブ(alkotinib)、アレクチニブ、エンサルチニブ、及びセリチニブが挙げられるが、これらに限定されない。ROS1変異に対する標的療法としては、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ(entrecetinib)、エンサルチニブ、アルコチニブ、ブリガチニブ、タレトレクチニブ、カボザンチニブ、レポトレクチニブ、ロルラチニブ、及びセリチニブが挙げられるが、これらに限定されない。
様々な実施形態では、患者は5mm超の頭蓋内病変を有する。いくつかの実施形態では、患者は10mm超の頭蓋内病変を有する。
様々な実施形態では、患者は、0又は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを示す(例えば、Zubrod et al.,1960を参照されたい)。ステータス0は、完全に活動的であり、全ての疾患前の動作を制限なく行うことができることを示す。ステータス1は、身体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能であり、軽作業又は座業は行うことができることを示す。ステータス2は、歩行可能であり、自身の身の回りのことは全て可能であるが、作業は一切できず、日中の50%以上は起居していることを示す。ステータス3は、限られた自身の身の回りのことしかできず、日中の50%以上をベッド又は椅子で過ごすことを示す。ステータス4は、全く動くことができず、自身の身の回りのことは一切できず、完全にベッド又は椅子で過ごすことを示す。ステータス5は、死亡を示す。
有害事象
いくつかの実施形態では、本方法は、患者が初期1日総用量に対して有害事象を経験した場合にソトラシブの低減した1日総用量を投与することを含み、癌はKRAS G12C変異癌である。例えば、いくつかの実施形態では、初期1日用量はソトラシブ960mgであり、低減した1日総用量はソトラシブ480mgである。いくつかの実施形態では、初期1日用量はソトラシブ480mgであり、低減した1日総用量はソトラシブ240mgである。いくつかの実施形態では、本方法は、患者が低減した1日総用量に対して有害事象を経験する場合、ソトラシブの第2の低減した1日総用量を投与することを更に含む。
用語「有害事象又は(AE)」は、本明細書で使用する場合、医学的治療又は処置の使用と時間的に関連付けられる、任意の好ましくなく且つ意図されない徴候(臨床検査異常所見を含む)、症状、又は疾患であって、医学的治療又は処置に関連するとみなされ得るものを指す。
いくつかの実施形態では、有害事象は、肝毒性(例えば、肝臓酵素の上昇)、間質性肺疾患(ILD)/間質性肺炎、下痢、及び/又は悪心/嘔吐である。
肝毒性
いくつかの実施形態では、有害事象は、肝毒性である。用語「肝毒性」は、本明細書で使用する場合、患者が、ソトラシブ投与前に異常な臨床検査値ではなかったか又はソトラシブ投与後に測定されるものより低かった肝臓バイオマーカーのベースラインレベルを有していた場合に、肝臓バイオマーカー(例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び/又は総ビリルビン(TBL))の異常な臨床検査値を有する患者を指す。
血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)とも呼ばれるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、アラニンからα-ケトグルタル酸へのアミノ基の転移を触媒して、ピルビン酸及びグルタミン酸を生じさせる。肝臓が損傷されると、血中のALTレベルは、損傷又は壊死した肝細胞から血中へのALTの漏出に起因して上昇し得る。
血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT若しくはGOT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)とも呼ばれるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)は、アスパラギン酸からα-ケトグルタル酸へのアミノ基の転移を触媒して、オキサロ酢酸及びグルタミン酸を生じさせる。ASTは、肝損傷に応答して増加し得る。ASTの上昇はまた、赤血球、心筋、骨格筋、腎臓組織、及び脳組織を含む他の供給源に対する損傷から生じる可能性がある。AST対ALT比は、肝損傷のバイオマーカーとして使用され得る。
ビリルビンは、肝臓によって身体から排除されるヘムの異化産物である。肝細胞によるグルクロン酸へのビリルビンの抱合によって、身体から容易に排除される水溶性産物である直接ビリルビンが生成される。間接ビリルビンは、未抱合であり、直接ビリルビン及び間接ビリルビンの和が総ビリルビンとなる。総ビリルビンの上昇は、肝機能障害を示している可能性がある。
アルカリホスファターゼ(ALP)は、様々な分子からリン酸基を加水分解するものであり、肝臓の胆管を裏打ちする細胞に存在する。血漿中のALPレベルは、肝損傷に応答して上昇する可能性があり、パジェット病を有する成長期の小児及び高齢の患者においてより高い。しかしながら、ALPレベルの上昇は通常、胆樹疾患を反映している。
いくつかの実施形態では、患者は、肝臓バイオマーカーの上昇をもたらす障害に罹患していない。肝臓バイオマーカー(AST/ALT及び/又はTBL値など)の上昇と関連する障害としては、肝胆道疾患;ウイルス性肝炎(例えば、A/B/C/D/E型肝炎、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘、トキソプラズマ症、及びパルボウイルス);右心不全、低血圧、若しくは肝臓に対する低酸素(虚血を引き起こす)の何らかの原因;草本及び栄養補助食品、植物及びキノコを含む、肝毒性薬剤/薬物若しくは肝臓毒への曝露;障害性のグルクロン酸抱合を引き起こす遺伝性障害(例えば、ジルベール症候群、クリグラー・ナジャー症候群)及びビリルビングルクロン酸抱合を阻害する薬物(例えば、インジナビル、アタザナビル);α1-アンチトリプシン欠乏症;アルコール性肝炎;自己免疫性肝炎;ウィルソン病及びヘモクロマトーシス;脂肪性肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患;並びに/又は肝臓外の原因(例えば、横紋筋融解症、溶血)が挙げられるが、これらに限定されない。
ソトラシブ投与前に、患者のベースライン肝機能が、肝機能のバイオマーカーを測定する血液化学検査など、当該技術分野で公知の様々な手段によって評価され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の肝臓バイオマーカーをモニタリングすること、並びにAST及び/又はALTのレベルによって評価されるグレード2超の異常な肝機能を有する患者のソトラシブ投与を保留することを含む。そのような実施形態では、ソトラシブ投与は、患者のAST及び/又はALTレベルが、グレート1以下(ベースライン)に改善するまで休止される。
異常な肝機能に関する有害作用グレードは、表1に提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体が参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
Figure 2024519060000003
グレード0レベルは、正常範囲内(WNL)のバイオマーカーレベルによって特徴付けられる。「正常な」肝機能は、本明細書で使用する場合、グレード0の有害作用を指す。「異常な」肝機能は、本明細書で使用する場合、グレード1以上の有害作用を指す。
「グレード1の肝機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULN超且つULNの3倍以下のALT、AST、又はALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの1.5~3.0倍である。グレード1の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULN超且つULNの1.5倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの1.0倍超~1.5倍である。グレード1の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULN超且つULNの2.5倍以下のALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの2.0倍超~2.5倍である。
「グレード2の肝機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、正常上限(ULN)の3倍超且つ5倍以下のアラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、又はアルカリホスファターゼ(ALP)の上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの3.0倍超~5.0倍である。グレード2の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの1.5倍超且つ3倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの1.5倍超~3.0倍である。グレード2の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの2.5倍超且つ5倍以下のALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの2.5倍超~5.0倍である。
「グレード3の肝機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULNの5倍超且つ20倍以下のALT、AST、又はALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの5.0倍超~20.0倍である。グレード3の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの3倍超且つ10倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの3.0倍超~10倍である。
「グレード4の肝機能異常」は、ベースラインが正常であった場合、ULNの20倍超のALT、AST、又はALPの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの20倍超である。グレード4の肝機能異常はまた、ベースラインが正常であった場合、ULNの10倍超のビリルビンレベルの上昇を含む;ベースラインが異常であった場合、ベースラインの10.0倍超である。
肝機能の様々な指標に関するULNは、使用されるアッセイ、患者集団、及び指定されるバイオマーカーに関する値のそれぞれの臨床検査値正常範囲に依存するが、当業者によって容易に判定され得る。健常成人集団に関する正常範囲の例示的な値は、以下の表2に記載される。Cecil Textbook of Medicine,pp.2317-2341,W.B.Saunders & Co.(1985)を参照されたい。
Figure 2024519060000004
本明細書に記載のいずれかの方法では、ソトラシブの1日総用量は、患者のAST及び/又はALTレベルが、例えばグレード2又はグレード3レベルまで上昇するときに低減され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、その際、患者のベースラインAST及び/又はALTレベルは、グレード2未満又はグレード3未満のレベルであった。いくつかの実施形態では、ソトラシブの1日総用量は、患者のAST及び/又はALTレベルが、グレード1レベルまで上昇するときに低減され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、その際、患者のベースラインAST及び/又はALTレベルは、グレード1未満のレベルであった。
或いは、本明細書で開示される方法のいずれかでは、例えばグレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4レベルまで、(1)患者のAST及びビリルビンレベルが上昇するとき、又は(2)患者のAST若しくはALPレベルが上昇するとき、又は(3)患者のALT及びビリルビンレベルが上昇するとき、又は(4)患者のALT及びALPレベルが上昇するとき、又は(5)患者のビリルビン及びALPレベルが上昇するとき、ソトラシブの1日総用量が低減され(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)、その際、患者のベースラインAST、ビリルビン、ALP、及び/又はALTレベルは、それぞれグレード1未満、グレード2未満、グレード3未満、又はグレード4未満のレベルであった。或いは、本明細書で開示される方法のいずれかでは、肝機能の3つのバイオマーカー(例えば、ALT及びAST及びビリルビン、又はALT及びAST及びALP)が患者においてグレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4レベルまで上昇する場合があり、その際、患者のベースラインバイオマーカーレベルは、それぞれグレード1未満、グレード2未満、グレード3未満、又はグレード4未満のレベルであった。
いくつかの実施形態では、ソトラシブの1日総用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常上限(ULN)と比較して約3倍超である場合に低減される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。関連実施形態では、ALT及び/又はASTの異常なレベルは、正常上限(ULN)と比較して約3~約5倍の増大を超える(即ち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約3倍~約5倍の増大を超えるALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常上限(ULN)と比較して約2.5~約5倍の増大を超える(即ち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約2.5倍~約5倍の増大を超えるALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ビリルビンの異常なレベルは、正常上限(ULN)と比較して約1.5~約3倍の増大を超える(即ち、「グレード2の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード2の異常は、ベースラインと比較して約1.5倍~約3倍の増大を超えるビリルビンの異常なレベルである。
いくつかの実施形態では、ソトラシブの1日総用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常上限(ULN)と比較して約5倍超である場合に低減される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。いくつかの実施形態では、1日総用量は、ALT、AST、又はALPのレベルが正常上限(ULN)と比較して約5~約20倍の増大を超える(即ち、「グレード3の異常」である)場合に低減される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約5倍~約20倍の増大を超えるALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常上限(ULN)と比較して約5~約20倍の増大を超える(即ち、「グレード3の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約5倍~約20倍の増大を超えるALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、1日総用量は、ビリルビンのレベルが正常上限(ULN)と比較して約3~約10倍の増大を超える(即ち、「グレード3の異常」である)場合に低減される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード3の異常は、ベースラインと比較して約3倍~約10倍の増大を超えるビリルビンの異常なレベルである。
いくつかの実施形態では、ソトラシブの1日総用量は、ALT及び/又はASTのレベルが正常上限(ULN)と比較して約20倍超(即ち、「グレード4の異常」)である場合に低減される(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約20倍の増大を超えるALT及び/又はASTの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、ALPの異常なレベルは、正常上限(ULN)と比較して約20倍の増大を超える(即ち、「グレード4の異常」)。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約20倍の増大を超えるALPの異常なレベルである。いくつかの実施形態では、1日総用量は、ビリルビンのレベルが正常上限(ULN)と比較して約10倍の増大を超える(即ち、「グレード4の異常」である)場合に低減される。いくつかの実施形態では、患者が異常なベースラインを有する場合、グレード4の異常は、ベースラインと比較して約10倍の増大を超えるビリルビンの異常なレベルである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の肝臓バイオマーカーがグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの総用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を更に含む。
悪心/嘔吐
いくつかの実施形態では、有害事象は、悪心又は嘔吐である。いくつかの実施形態では、悪心/嘔吐は、適切な支持療法(例えば、制吐療法)にもかかわらず存在する。「悪心」は、本明細書で使用する場合、吐き気を催させる感覚及び/又は嘔吐衝動を特徴とする障害を指す。
悪心及び嘔吐に関する有害作用グレードは、表3に提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体が参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
Figure 2024519060000005
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者がグレード1以下又はベースラインに改善されるまで、グレード3超の悪心を有する患者のソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、患者がグレード1以下又はベースラインに改善されると、ソトラシブの低減した1日総用量(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)を患者に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、嘔吐がグレード1以下又はベースラインに改善されるまで、グレード3超の嘔吐を有する患者のソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、患者がグレード1以下又はベースラインに改善されると、ソトラシブの低減した1日総用量(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)を患者に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の悪心がグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの総用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を更に含む。
下痢
いくつかの実施形態では、有害事象は、下痢である。いくつかの実施形態では、下痢は、適切な支持療法(例えば、止瀉療法)にもかかわらず存在する。
下痢に関する有害作用グレードは、表4に提供される改訂版共通毒性基準(CTC)によって本明細書で定義される。全体が参照により本明細書に組み込まれる、National Cancer Instituteによって2017年11月27日に公開されたNational Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events v5.0(NCI CTCAE)を参照されたい。
Figure 2024519060000006
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者がグレード1以下又はベースラインに改善されるまで、グレード3超の下痢を有する患者のソトラシブ投与を保留することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、患者がグレード1以下又はベースラインに改善されると、ソトラシブの低減した1日総用量(例えば、960mgから480mg、又は480mgから240mg)を患者に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、患者の下痢がグレード1以下(例えば、ベースライン)まで改善されたとき、ソトラシブの総用量を増加させること(例えば、240mgから480mg、又は480mgから960mg)を更に含む。
間質性肺疾患
いくつかの実施形態では、有害事象は、間質性肺疾患(ILD)又は間質性肺炎である。ILD又は間質性肺炎が疑われる場合、いずれのグレードレベルでもソトラシブは保留される。ILD又は間質性肺炎が確認され、ILD又は間質性肺炎の他の原因が特定されない場合、ソトラシブは永久に中止される。
ソトラシブ療法に対する奏効
本明細書に開示される方法でソトラシブが投与された患者に関する奏効率又は結果は、患者が好適な期間にわたりソトラシブを服用した後に、いくつかの方法で測定され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、又は少なくとも23ヶ月間、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、又は24ヶ月間、ソトラシブ(1日1回、960mg、480mg、又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも1ヶ月間、ソトラシブ(1日1回、960mg、480mg、又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも3ヶ月間、ソトラシブ(1日1回、960mg、480mg、又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも6ヶ月間、ソトラシブ(1日1回、960mg、480mg、又は240mg)を投与される。
様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、又は少なくとも23ヶ月間、例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、又は24ヶ月間、ソトラシブ(1日2回、480mg又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも1ヶ月間、ソトラシブ(1日2回、480mg又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも3ヶ月間、ソトラシブ(1日2回、480mg又は240mg)を投与される。様々な実施形態では、患者は少なくとも6ヶ月間、ソトラシブ(1日2回、480mg又は240mg)を投与される。
患者は、RECIST 1.1プロトコル(Eisenhauer,et al.,2009)により判定される少なくとも安定(SD)によって測定されるように、ソトラシブ療法に奏効し得る。少なくとも安定とは、安定であるか、部分奏効(PR)を示したか、又は完全奏効(CR)を示したものである(即ち、「少なくともSD」=SD+PR+CR、疾患制御と称される場合が多い)。様々な実施形態では、安定は、部分奏効(PR)と認定するほど十分に縮小しておらず、進行(PD)と認定するほど十分に増大していない。様々な実施形態では、患者は、少なくとも部分奏効を示す(即ち、「少なくともPR」=PR+CR、客観的奏効と称される場合が多い)。
奏効は、腫瘍サイズの低下、腫瘍増殖の抑制又は低下、標的病変又は腫瘍病変の減少、無増悪期間の遅延、新規の腫瘍又は病変がないこと、新規腫瘍形成の減少、生存又は無増悪生存期間(PFS)の増加、及び転移がないことのうちの1つ以上によって測定され得る。様々な実施形態では、患者の疾患の進行は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、X線、超音波、又はそれらのいくつかの組み合わせを使用して患者を評価することにより、腫瘍サイズ、腫瘍病変、又は新規の腫瘍若しくは病変の形成を測定することによって評価され得る。
無増悪生存期間(PFS)は、RECIST 1.1プロトコルに記載されているように評価され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月のPFSを示す。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月のPFSを示す。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月のPFSを示す。
奏効は、神経腫瘍学脳転移における奏効評価(Response Assessment in Neuro-Oncology Brain Metastases)(RANO-BM)により評価される頭蓋内病変のサイズによっても測定され得る(Lin et al,2015)。RANO-BMは、固形癌の治療効果判定基準(RECIST)1.1(Eisenhauer et al,2009)及び高悪性度神経膠腫に対する奏効評価基準である神経腫瘍学における奏効評価(RANO)(Wen et al,2010)の拡張である。
頭蓋内無増悪生存期間(PFS)は、RANO-BMプロトコルに記載されているように評価され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1ヶ月の頭蓋内PFSを示す。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月の頭蓋内PFSを示す。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月の頭蓋内PFSを示す。
奏効を評価するための追加の手段は、以下の実施例に詳述されており、本明細書に開示される方法に概して適用され得る。
KRAS G12C癌
本明細書に記載の方法は、活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療することを含み、本方法は、癌を治療するのに有効な量でソトラシブを患者に投与することを含む。いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、以下に留意されたい:ソトラシブは、KRASG12Cを特異的且つ不可逆的に阻害する小分子である(Hong et al.,2020)。Hongらは、「[p]再臨床試験は、[ソトラシブ]が、KRASの重要な下流エフェクターである細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)のほぼ全ての検出可能なリン酸化を阻害し、KRAS p.G12C腫瘍を有するマウスにおいて永続的な完全腫瘍退縮をもたらすことを示した」と報告している(同書、またCanon et al.,2019、及びLanman et al.,2020も参照されたい)。したがって、様々な実施形態では、1日総用量240mgのソトラシブは、1つ以上の細胞がKRAS G12C変異タンパク質を発現する癌の治療に使用するために開示される。
ソトラシブは、非小細胞肺癌を有する被験者59名、結腸直腸癌を有する被験者42名、及び他の腫瘍型を有する被験者28名を含む、腫瘍組織に対する局所分子検査によって同定された、KRAS p.G12C変異を含む組織学的に確認された局所進行性又は転移性の癌を有する被験者129名による第1相用量漸増及び拡大試験で評価された(Hong et al.,2020,1208~1209頁)。Hongらは、非小細胞肺癌について88.1%、結腸直腸癌について73.8%、及び他の腫瘍型について75.0%の病勢コントロール率(95%CI)を報告している(Hong et al.,2020,1213頁,表3)。Hongらによって報告された安定(SD)又は部分奏効(PR)のいずれかを示す癌型は、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵癌、虫垂癌、子宮内膜癌、原発不明癌、膨大部癌、胃癌、小腸癌、副鼻腔癌、胆管癌、又は黒色腫であった(Hong et al.,2020,1212頁(図A)、並びに付録(59頁(図S5)及び63頁(図S6))。
KRAS G12C変異は、以下の表に示される改変頻度で発生する(Cerami et al.,2012;Gao et al.,2013)。例えば、表は、非小細胞肺癌を有する対象の11.6%が、1つ以上の細胞がKRAS G12C変異タンパク質を発現する癌を有することを示す。したがって、KRASG12Cに特異的且つ不可逆的に結合するソトラシブは、以下の表5に列挙される癌を含むがこれらに限定されない癌を有する対象の治療に有用である。
Figure 2024519060000007
様々な実施形態では、癌は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合癌型、膵癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、消化管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌であり、いくつかの具体的な実施形態では、転移性又は局所進行性且つ切除不能の非小細胞肺癌である。様々な実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膵癌である。
KRAS、STK11、KEAP1、EGFR、ALK、及び/又はROS1変異状態を検出する方法
本明細書に記載される癌におけるG12C、STK11、KEAP1、EGFR、ALK、及び/又はROS1変異の有無は、当該技術分野で公知の方法を使用して判定され得る。腫瘍又は癌が変異を含むか否かの判定は、例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、タンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、若しくは推定変異タンパク質の特徴を評価することにより、又は当該技術分野で公知である任意の他の好適な方法により行われ得る。野生型ヒトKRAS(Genbank受入番号BC010502に記載のヌクレオチド配列;Genbank受入番号AGC09594に記載のアミノ酸配列)、STK11(遺伝子ID:6794;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6794で利用可能;2020年1月にアクセス)、KEAP1(遺伝子ID:9817;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/9817で利用可能;2020年1月にアクセス)、EGFR(遺伝子ID:1956;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1956で利用可能;2021年3月にアクセス)、ALK(遺伝子ID:238;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/238で利用可能;2021年3月にアクセス)、及びROS1(遺伝子ID:6098;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6098で利用可能;2021年3月にアクセス)のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、当該技術分野で公知である。
変異を検出するための方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖DNA高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシークエンシング及び/又は次世代型シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型決定アッセイ、高分解能融解アッセイ、並びにマイクロアレイ解析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、試料は、リアルタイムPCRによってKRAS G12C変異などの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS G12C変異などの特定の変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在する場合、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、変異は、遺伝子における特定領域のダイレクトシークエンシング法を使用して同定される。この技法は、シークエンシングされた領域において起こり得る変異を全て同定する。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、シークエンシング、及び/又はアレイを使用して、挿入変異の有無を検出することができる。いくつかの実施形態では、方法としては、変異タンパク質に特異的な結合作用物質(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロッティング、並びにダイレクトペプチドシークエンシングを使用する変異体の検出が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングが変異検出に使用され、これは、1種以上の遺伝的バイオマーカーの検出の感受性の改善をもたらすいくつかのアンプリコンを含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、約60個のアンプリコン(例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70個のアンプリコン)を含み得る。いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、61個のアンプリコンを含み得る。マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約15bp~約1000bp(例えば、約25bp~約1000bp、約35bp~約1000bp、約50bp~約1000bp、約100bp~約1000bp、約250bp~約1000bp、約500bp~約1000bp、約750bp~約1000bp、約15bp~約750bp、約15bp~約500bp、約15bp~約300bp、約15bp~約200bp、約15bp~約100bp、約15bp~約80bp、約15bp~約75bp、約15bp~約50bp、約15bp~約40bp、約15bp~約30bp、約15bp~約20bp、約20bp~約100bp、約25bp~約50bp、又は約30bp~約40bp)の長さを有する核酸を含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約33bpの長さを有する核酸を含み得る。
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、シークエンシング技術(例えば、次世代シークエンシング技術)を使用して検出される。様々なシークエンシング技術が当該技術分野で公知である。例えば、セルフリーDNA中の血中循環腫瘍DNAの検出及び特徴付けのための方法が、他所に記載されている場合がある(例えば、Haber and Velculescu,2014を参照されたい)。そのような技法の非限定的な例としては、SafeSeqs(例えば、Kinde et al.,2011を参照されたい)、OnTarget(例えば、Forshew et al.,2012を参照されたい)、及びTamSeq(例えば、Thompson et al.,2012を参照されたい)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、変異検出に関して高感受性であることが知られている方法であるドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を使用して検出される。いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、鎖終結技法、ショットガン技法、合成によるシークエンシング法、微少流体技術を利用する方法、他の捕捉技術、又は試料中の少量のDNA(例えば、セルフリーDNA試料中のctDNA)の検出に有用な当該技術分野で公知の他のシークエンシング技法のいずれかを含むがこれらに限定されない、他のシークエンシング技術を使用して検出される。
いくつかの実施形態では、患者から得られる試料中に存在する1つ以上の変異の存在は、アレイに基づく方法を使用して検出される。例えば、セルフリーDNA中で遺伝子改変(例えば、1つ以上の遺伝子改変)を検出する工程は、DNAマイクロアレイを使用して実施される。いくつかの実施形態では、DNAマイクロアレイは、複数の癌細胞変異のうちの1つ以上を検出することができる。いくつかの実施形態では、セルフリーDNAは、遺伝子改変を検出する前に増幅される。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて使用され得るアレイに基づく方法の非限定的な例としては、相補的DNA(cDNA)マイクロアレイ(例えば、Kumar et al.2012;Laere et al.2009;Mackay et al.2003;Alizadeh et al.1996を参照されたい)、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(例えば、Kim et al.2006;Lodes et al.2009を参照されたい)、細菌人工染色体(BAC)クローンチップ(例えば、Chung et al.2004;Thomas et al.2005を参照されたい)、一塩基多型(SNP)マイクロアレイ(例えば、Mao et al.2007;Jasmine et al.2012を参照されたい)、マイクロアレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイ(アレイ-CGH)(例えば、Beers and Nederlof,2006;Pinkel et al.2005;Michels et al.2007を参照されたい)、分子反転プローブ(MIP)アッセイ(例えば、Wang et al.2012;Lin et al.2010を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態では、cDNAマイクロアレイは、Affymetrixマイクロアレイ(例えば、Irizarry 2003;Dalma-Weiszhausz et al.2006を参照されたい)、NimbleGenマイクロアレイ(例えば、Wei et al.2008;Albert et al.2007を参照されたい)、Agilentマイクロアレイ(例えば、Hughes et al.2001を参照されたい)、又はBeadArrayアレイ(例えば、Liu et al.2017を参照されたい)である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドマイクロアレイは、DNAタイリングアレイ(例えば、Mockler and Ecker,2005;Bertone et al.2006を参照されたい)である。他の好適なアレイに基づく方法は、当該技術分野で公知である。
腫瘍又は癌が変異を含むか否かを判定するための方法には、多様な試料を使用することができる。いくつかの実施形態では、試料は、腫瘍又は癌を有する患者から採取される。いくつかの実施形態では、試料は、新鮮な腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、凍結された腫瘍/癌試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、血中循環セルフリーDNA及び/又は血中循環腫瘍細胞(CTC)試料である。いくつかの実施形態では、試料は、細胞溶解物に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、DNA又はRNAに処理される。特定の実施形態では、試料は、切除、コア針生検(CNB)、細針吸引(FNA)、尿の収集、又は毛包の収集によって得られる。いくつかの実施形態では、全血又は脳脊髄液を使用する液体細胞診を使用して、変異状態が評価され得る。
様々な実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された検査を使用して、患者が、変異、例えば、KRASG12C変異癌を有するか否か、又はそのような患者から得られる腫瘍又は組織試料が変異を有する細胞を含有するか否かを判定する。いくつかの実施形態では、使用されるKRAS変異に関する検査は、therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキット(Qiagen)である。therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキットは、Rotor-Gene Q MDx 5plex HRM機器を使用するヒトKRAS癌遺伝子のコドン12及び13の7種の体細胞変異(G12A、G12D、G12R、G12C、G12S、G12V、及びG13D)の検出のためのリアルタイム定性PCRアッセイである。キットは、切除、CNB、又はFNAによって得られるNSCLC試料のFFPE試料から抽出されたDNAとの使用が意図される。STK11、KEAP1、EGFR、ALK、及び/又はROS1に関する変異検査は、24種の遺伝子を含む(NSCLCにおいて治療につながるものを含む)Resolution Bioscience Resolution ctDx Lung(商標)アッセイなどの市販の検査により実行され得る。組織試料は、Tempus xT 648パネルを使用して検査され得る。
いくつかの実施形態では、癌は、KRAS G12C変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、KEAP1の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型STK11を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型KEAP1を有すると同定されている。
様々な実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及び野生型KEAP1を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及び野生型KEAP1を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。
用語「機能喪失変異」は、本明細書で使用する場合、もはや野生型活性を示さない(例えば、野生型生物活性若しくは酵素活性が低減したか若しくは消失した)変異タンパク質の発現をもたらすか、もはや野生型活性を示さないタンパク質の断片のみの発現をもたらすか、又は野生型タンパク質の発現をもたらさない変異(例えば、置換、欠失、短縮化、又はフレームシフト変異)を指す。例えば、細胞においてSTK11遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、癌性細胞において、STK11タンパク質の発現の減少、STK11タンパク質の断片のみの発現、又は減衰した酵素活性を示すか若しくは酵素活性を示さない(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ酵素活性がない)STK11タンパク質の発現をもたらし得る。同様に、細胞においてKEAP1遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、細胞において、KEAP1タンパク質の発現の減少、KEAP1タンパク質の断片のみの発現、又は減衰した活性を示すか若しくは活性を示さない(例えば、赤血球系転写因子2関連転写因子2(NRF2)と相互作用すること若しくはそれを活性化することができない)KEAP1タンパク質の発現をもたらし得る。
PD-L1タンパク質発現を検出する方法
PD-L1発現は、当該技術分野で公知の方法によって判定され得る。例えば、PD-L1発現は、ペムブロリズマブによる治療に関するコンパニオン検査としてDako及びMerckによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)検査であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxを使用して検出され得る。これは、ヒト非小細胞肺癌組織などのFFPE試料においてPD-L1を検出するためのモノクローナルマウス抗PD-L1、クローン22C3 PD-L1、及びAutostainer Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する定性アッセイである。発現レベルは、腫瘍比率スコア(TPS)を使用して測定することができ、これは、任意の強度で部分的な又は完全な膜染色を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージを測定するものである。染色は、PD-L1発現を0%~100%で示すことができる。
PD-L1発現は、ニボルマブによる治療に関するコンパニオン検査としてDako及びBristol-Myers Squibbによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)検査であるPD-L1 IHC 28-8 pharmDxを使用しても検出され得る。この定性アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト癌組織においてPD-L1を検出するためのモノクローナルウサギ抗PD-L1、クローン28-8、及びAutostainer Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する。
PD-L1検出のための他の市販の検査としては、モノクローナルウサギ抗PD-L1クローンSP263を利用するVentana SP263アッセイ(AstraZenecaと共同でVentanaによって開発された)及びウサギモノクローナル抗PD-L1クローンSP142を使用するVentana SP142アッセイ(Genentech/Rocheと共同でVentanaによって開発された)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された検査を使用して、本明細書で開示される癌のPD-L1 TPSを判定する。様々な実施形態では、PD-L1 TPSは、免疫組織化学(IHC)検査を使用して判定される。いくつかの実施形態では、IHC検査は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx検査である。様々な実施形態では、IHC検査は、例えば、切除、CNB、又はFNAによって得られた試料を用いて実行した。
様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%未満又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以上のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%以下又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%超のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、前述の実施形態において引用される値のいずれかによって制限される範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。例えば、患者は、50%未満且つ1%以上、50%以下且つ1%超、50%以下且つ1%以上、又は50%未満且つ1%超の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。
様々な実施形態では、患者は、50%未満且つ1%以上の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、0%以上且つ1%未満の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%超且つ100%以下の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1%未満のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1~49%のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%以上(即ち、50%~100%)のPD-L1 TPSスコアを有する。
実施形態
1.活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、癌を治療するのに有効な量でソトラシブを患者に投与することを含む、方法。
2.960mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
3.480mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
4.240mgのソトラシブを1日1回患者に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
5.480mgのソトラシブを1日2回患者に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
6.240mgのソトラシブを1日2回患者に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
7.患者が、5mm超の頭蓋内病変を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.患者が、10mm超の頭蓋内病変を有する、実施形態7に記載の方法。
9.癌が、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合癌型、膵癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
10.癌が、非小細胞肺癌又は結腸直腸癌である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
11.患者が、制酸剤による治療を更に必要とする、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.制酸剤が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸薬である、実施形態11に記載の方法。
13.制酸剤が、局所作用制酸薬であり、ソトラシブが、局所作用制酸薬の約4時間前又は約10時間後に投与される、実施形態11又は実施形態12に記載の方法。
14.局所作用制酸薬が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、又は水酸化マグネシウムである、実施形態12又は実施形態13に記載の方法。
15.患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療を更に必要とする、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、実施形態15に記載の方法。
17.PPIが、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はデクスランソプラゾールである、実施形態12、15、及び16のいずれか1つに記載の方法。
18.H2RAが、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン、又はラフチジンである、実施形態12、15、及び16のいずれか1つに記載の方法。
19.患者が、CYP3A4誘導剤による治療を更に必要とする、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態19に記載の方法。
21.CYP3A4誘導剤が、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、又はトログリタゾンである、実施形態19又は20に記載の方法。
22.患者が、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない、実施形態19又は実施形態20に記載の方法。
23.強力なCYP3A4誘導剤が、フェニトイン又はリファンピンである、実施形態22に記載の方法。
24.患者が、CYP3A4基質による治療を更に必要とする、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない、実施形態24に記載の方法。
26.CYP3A4基質が、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、グリベック、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、又はジプラシドンである、実施形態24又は実施形態25に記載の方法。
27.患者が、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療を更に必要とする、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.患者が、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない、実施形態27に記載の方法。
29.P-gp基質が、エテキシラート、ジゴキシン、又はフェキソフェナジンである、実施形態27又は実施形態28に記載の方法。
30.患者が、ソトラシブ療法の開始前に少なくとも1つの他の全身性癌療法を受けていた、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.患者が、少なくとも2つの他の全身性癌療法を受けていた、実施形態30に記載の方法。
32.少なくとも1つの全身性癌療法が、抗PD-1免疫療法、抗PD-L1免疫療法、及びプラチナ系化学療法から選択される、実施形態30又は31に記載の方法。
33.患者が、(i)抗PD1療法若しくは抗PD-L1療法(禁忌でない限り)、又は(ii)プラチナ系化学療法、及び(iii)EGFR、ALK、又はROS1標的療法(癌がEGFR、ALK、又はROS1においても変異を示した場合)をこれまでに受けたことがある、実施形態30に記載の方法。
34.患者が、(i)抗PD1療法又は抗PD-L1療法(禁忌でない限り)、及び(ii)プラチナ系化学療法、及び(iii)EGFR、ALK、又はROS1標的療法(癌がEGFR、ALK、又はROS1においても変異を示した場合)をこれまでに受けたことがある、実施形態31に記載の方法。
35.患者が、0又は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを示す、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.患者が、少なくとも1ヶ月間ソトラシブを投与される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
37.患者が、少なくとも3ヶ月間ソトラシブを投与される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
38.患者が、少なくとも6ヶ月間ソトラシブを投与される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
39.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定した場合にソトラシブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定(SD)を示す、実施形態36~38のいずれか1つに記載の方法。
40.安定が、部分奏効(PR)と認定するほど十分に縮小しておらず、進行(PD)と認定するほど十分に増大していない、実施形態39に記載の方法。
41.患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定した場合にソトラシブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、実施形態36~38のいずれか1つに記載の方法。
42.部分奏効が、標的病変の径和の少なくとも30%の減少である、実施形態41に記載の方法。
43.患者が、少なくとも3ヶ月の無増悪生存期間(PFS)を示す、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
44.患者が、少なくとも6ヶ月のPFSを示す、実施形態43に記載の方法。
45.患者が、少なくとも3ヶ月の頭蓋内無増悪生存期間(PFS)を示す、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
46.患者が、少なくとも6ヶ月の頭蓋内PFSを示す、実施形態45に記載の方法。
47.患者が、RANO-BMによって評価される頭蓋内客観的奏効を示す、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.癌が、1~49%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
49.癌が、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
50.癌が、50~100%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
51.癌が、STK11変異を更に含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
52.癌が、KEAP1変異を更に含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
53.癌が、STK11野生型を更に含む、実施形態1~50及び52のいずれか1つに記載の方法。
54.癌が、KEAP1野生型を更に含む、実施形態1~51のいずれか1つに記載の方法。
実施例1-脳転移を伴う、KRAS p.G12C変異を有するNSCLCを有する患者におけるソトラシブ単剤療法
いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、以下に留意されたい:960mg QDのソトラシブは、試験20170543(CodeBreak100)下の試験条件下で安全且つ有効であることが示された。脳転移は非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者に多く見られ、患者の20%~50%に発生する(Offin et al 2019;Villano et al,2015)。それにもかかわらず、脳転移を有する患者は、機能状態の不良、毒性のリスク増加、予後が比較的不良であること、及び平均余命が比較的短いことに関する懸念により、臨床試験から除外されることが多い。活動性脳転移を有する患者は、試験20170543には含まれていなかった。しかしながら、ソトラシブによる治療は、腫瘍抗原を認識するT細胞の活性化を通じて抗腫瘍免疫応答を誘導する可能性がある(Canon et al,2019)。活性化T細胞が循環から脳へと浸潤すると、頭蓋内抗腫瘍活性がもたらされる可能性がある。これらのデータに基づくと、ソトラシブは、全身性疾患の制御と同様のメカニズムを通じて頭蓋内奏効をもたらし得る。
KRAS p.G12C変異型進行性NSCLC及び活動性脳転移を有する被験者における単剤療法としてのソトラシブの安全性及び有効性を評価するために、多施設無作為化非盲検試験が構成される。ソトラシブを、1日1回(QD、コホートA)又は1日2回(BID、コホートB)の投与のいずれかによる単剤療法としてモニタリングする。被験者およそ70名を登録し、ソトラシブが1日1回(コホートA)又は1日2回(コホートB)のいずれかで投与されるように無作為化する。パート1の登録被験者数は最大30名となる。パート2にはおよそ40名の被験者が登録される。
コホートAは、最大960mgのQD投与スケジュールでのソトラシブの安全性を評価する。コホートBは、最大480mg BIDのBID投与スケジュールでのソトラシブの安全性を評価する。
コホートAの用量レベルは以下のとおりである。
用量レベルA1:ソトラシブ960mg QD
用量レベルA-1:ソトラシブ480mg QD
用量レベルA-2:ソトラシブ240mg QD
コホートBの用量レベルは以下のとおりである。
用量レベルB1:ソトラシブ480mg BID
用量レベルB-1:ソトラシブ240mg BID
用量レベルB-2:ソトラシブ240mg QD
注:用量レベルB-2は、用量レベルA-2がまだ登録を開始していない場合にのみ探索する。
コホートA及びBを同時に登録する。パート1の用量探索は、被験者3~6名をコホートA用量レベルA1で治療し、被験者3~6名をコホートB用量レベルB1で治療することから開始する。試験の用量制限毒性(DLT)期間は21日間である。観察された安全性データに応じて、以下が行われる場合がある:(1)各コホート内での用量漸減、又は(2)特定の用量レベルへの最大10名までの評価可能な被験者の追加登録。
Figure 2024519060000008
Figure 2024519060000009
被験者組み入れ基準には、以下が含まれる。
少なくとも18歳の男性又は女性。
分子検査(国内の要件に従って実施)によって同定された、病理学的に立証されたKRAS p.G12C変異を有する転移性NSCLCで、活動性脳転移を伴うもの。被験者は、抗PD-1若しくは抗プログラム細胞死リガンド1(PD L1)免疫療法(禁忌でない限り)並びに/又はプラチナ系の併用化学療法及び標的療法(治療につながる発癌ドライバー変異(例えば、EGFR、ALK、及びROS1)が同定された場合)を受けていなければならない、或いは被験者が標準治療を拒否した場合。KRAS p.G12C変異は、NSCLCにおけるKRAS p.G12Cの検出用に承認された診断デバイスによって同定されるか、又は臨床検査室改善法(CLIA)が認定した検査室で実施されなければならない。
以下の基準を満たす転移性脳疾患:
- 少なくとも1つの10mm超の測定可能な頭蓋内病変;
- 5mm超10mm未満の測定可能な最大頭蓋内病変を有する被験者は、治験責任医師及びメディカルモニターとの合意に基づいて登録を許可することができる;
- CNS疾患が、少なくとも7日間、コルチコステロイドの安定用量又はコルチコステロイド無服用(非生理学的用量を除く)、及び非酵素誘導型抗てんかん薬の無服用又は安定用量の服用のいずれかで、無症候性である。コルチコステロイドの用量又は抗てんかん薬は、治験責任医師によって検討され、同意されなければならない;
- 全脳放射線療法又は切除後に増大する病変は、治験責任医師との合意に基づいて標的病変として許可することができる;
- 定位放射線手術後に増大する病変は、治験責任医師との合意に基づいて放射線壊死及び偽進行の可能性が低いと判定された場合にのみ、標的病変として許可することができる。
保管された腫瘍組織試料(5年以内に収集されたホルマリン固定、パラフィン包埋[FFPE]試料)を提供する意思があるか又は治療前の腫瘍生検を受ける意思がある被験者。利用可能な保管された組織を有さない被験者は、腫瘍生検が不可能である場合、治験責任医師及びメディカルモニターとの合意に基づいて、腫瘍生検を受けずに登録することが許可され得る。
米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスが1以下。
治験責任医師の見解による3ヶ月超の平均余命。
経口薬を服用する能力があり、治験薬に対する日々のアドヒアランスを記録する意思がある。
女性は470msec以下及び男性は450msec以下の補正QT間隔(QTc)(三連でのスクリーニングの平均に基づく)。
以下のとおりの適切な血液学的臨床検査評価:
- 絶対好中球数(ANC)が1.5×10/L以上
- 血小板数が100×10/L以上
- ヘモグロビンが9g/dL以上
以下のとおりの適切な腎臓臨床検査評価:腎疾患における食事の変更(Modification of Diet in Renal Disease)(MDRD)計算に基づく推算糸球体濾過量が60ml/分/1.73m以上
以下のとおりの適切な肝臓臨床検査評価:
- ASTがULNの2.5倍未満(肝転移が存在する場合、ULNの5倍以下)
- ALTがULNの2.5倍未満(肝転移が存在する場合、ULNの5倍以下)
- 総ビリルビン(BIL)がULNの1.5倍未満(立証されたジルベール症候群を有する被験者はULNの2.0倍未満又は間接BILレベルが肝臓外の原因での上昇を示唆する被験者はULNの3.0倍未満)
以下のとおりの適切な凝固臨床検査評価:プロトロンビン時間(PT)若しくは(活性化)部分トロンボプラスチン時間(PTT又はaPTT)がULNの1.5倍未満、又は予防的抗凝固療法を受けている場合には国際標準比(INR)が1.5未満若しくは目標範囲内。
除外基準には、以下が含まれる。
脊髄圧迫。
組み入れ基準によって定義される脳転移以外の転移性CNS疾患を有する患者。
既知の軟髄膜疾患を有する被験者。
血液悪性腫瘍の既往があるか又はそれが存在する(治療により治癒し、2年以上疾患のエビデンスがない場合を除く)。
以下の例外を除く、過去2年以内の他の悪性腫瘍の既往:
- 治癒目的で治療された悪性腫瘍であり、登録前の2年以上既知の活動性疾患が存在せず、治療医が再発のリスクが低いと考えるもの
- 疾患のエビデンスを有しない適切に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子
- 疾患のエビデンスを有しない適切に治療された子宮頸部上皮内癌
- 疾患のエビデンスを有しない適切に治療された非浸潤性乳管癌
- 前立腺癌のエビデンスを有しない前立腺上皮内新生物
- 適切に治療された尿路上皮乳頭非浸潤癌又は上皮内癌
試験1日目の6ヶ月以内の心筋梗塞、症候性うっ血性心不全(ニューヨーク心臓協会のクラスがII超)、不安定狭心症、又は薬物療法を必要とする心不整脈。
経口薬の服用を不能にする胃腸(GI)管疾患、吸収不良症候群、静脈内栄養補給の必要、コントロール不良の炎症性GI疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)。
首席治験医師及びメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は本剤若しくはその主要な活性代謝物の5半減期以内のいずれか長い方の既知のチトクロムP450(CYP)3A4感受性基質(治療域が狭い)又はP-gp基質の使用。
首席治験医師及びAmgenのメディカルモニターによる審査及び承認を受けていない、試験1日目前の14日以内又は5半減期以内(いずれか長い方)のCYP3A4の強力な誘導剤(セイヨウオトギリソウなどのハーブ系サプリメントを含む)の使用。
試験登録(1日目)の1週以内にIV抗生物質を必要とする活動性感染症。
以下の結果及び/又は基準に基づく肝炎感染のエビデンス:B型肝炎表面抗原(HepBsAg)陽性(慢性B型肝炎又は最近の急性B型肝炎を示す);B型肝炎コア抗体に対して陽性であるHepBsAg陰性(B型肝炎コア抗体検査はスクリーニングに必要ではないが、これがなされ、陽性である場合、B型肝炎表面抗体[抗HBs]検査が必要である。この状況において抗HBsが検出不能であることは、不明確な感染の可能性を示唆しており、除外する必要がある);C型肝炎ウイルス抗体陽性:PCRによるC型肝炎ウイルスRNAが必要である。C型肝炎ウイルスRNAが検出可能であることは、慢性C型肝炎を示唆する。
HIVに対する検査で陽性であることが既知である。
有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン5.0のグレード0若しくは1まで又は適格基準に規定されるレベルまで回復していないと定義される、以前の抗腫瘍療法による脱毛症を除く未回復の毒性(不可逆的であるとみなされる[6ヶ月を超えて存在し且つ安定であるものとして定義される]以前の抗腫瘍療法によるグレード2又は3の毒性、例えばイホスファミド関連タンパク尿は、それらが除外基準に記載されておらず且つ治験責任医師及び治験依頼者の両方による許可の合意が得られた場合に許可され得る)。
磁気共鳴画像法(MRI)スキャンのガドリニウム造影を受けることができない被験者。MRIが禁忌の場合、造影の有無にかかわらずコンピュータ断層撮影(CT)が許容される。
試験1日目の15日以内の抗腫瘍療法(化学療法、抗体療法、分子標的療法、レチノイド療法、ホルモン療法[乳癌を有する被験者を除く]、又は治験剤)。例外:試験1日目の14~28日以内に、以前のチロシンキナーゼ阻害剤単剤療法又は従来の化学療法を受けた被験者は適格である。
試験1日目の2週以内の治療的又は緩和的放射線療法。被験者は全ての放射線療法関連毒性から回復していなければならない。
現在、別の治験デバイス若しくは薬物試験に登録されているか、又は別の治験デバイス若しくは薬物試験の終了から28日未満であるか、又は他の治験剤の投与を受けている。
KRAS p.G12C阻害剤による以前の治療。
サイクル1の1日目の28日以内前の大きな外科的処置、又はサイクル1の1日目の7日以内前の試験に関連しない軽微な処置。いずれの場合も、被験者は治療を施される前に十分に回復しており、安定していなければならない。
別の治験デバイス若しくは薬物試験における治療を現在受けているか、又は別の治験デバイス若しくは薬物試験での治療終了から28日未満であること。本試験への参加と同時の他の治験処置は除外される。
女性被験者が、妊娠中であるか、授乳中であるか、又は治療中及びソトラシブの最終用量投与後から更に7日間、妊娠若しくは授乳を計画中である。
治療中及びソトラシブの最終用量後から更に7日間、1つの極めて有効な避妊方法を使用する意思がない妊娠可能な女性被験者。
血清妊娠検査によりスクリーニング時に妊娠検査陽性と評価された妊娠可能な女性被験者。
治療中及びソトラシブの最終用量後から更に7日間、禁欲(異性間性交を控える)を実践するか又は避妊を使用する意思がない、妊娠可能な女性パートナーを有する男性被験者。
治療中及びソトラシブの最終用量後から更に7日間、禁欲を実践するか又は避妊を使用する意思がない、妊娠中のパートナーを有する男性被験者。
ソトラシブによる治療中及びソトラシブの最終用量後から更に7日間、精子の提供を控える意思がない男性被験者。
被験者が、投与中に投与されることになる製品のいずれかに既知の感受性を有する。
被験者及び治験責任医師が知る限り、被験者が、治験実施計画書で要求される試験来院又は手順に参加することができないであろうこと。
治験責任医師の見解により、被験者が、書面によるインフォームドコンセントを行う被験者の能力及び/又は必要な全ての試験手順を遵守する被験者の能力を損なう可能性のある何らかの障害を有する。
試験期間中に除外される治療
本試験で除外される治療/処置には以下が含まれる。
化学療法、抗体療法、分子標的療法などの抗腫瘍療法
首席治験医師による審査及び承認を受けていない、治療指数が狭い既知のCYP3A4感受性基質又はP-gp基質。
首席治験医師による審査及び承認を受けていない強力なCYP3A4誘導剤。
毒性(例えば、免疫介在性有害事象)の管理、CNS疾患症状の管理以外の理由による全身性コルチコステロイド(プレドニゾン10mg以上又は当量)、及びこれまでにステロイドで治療された被験者に対するステロイドの非生理学的用量。
併用治療
乳癌耐性タンパク質(BCRP)基質は、ソトラシブと同時投与する場合、BCRP基質の血中循環濃度を上昇させる可能性があり、慎重に使用すべきである。
プロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール、パントプラゾールなど)又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、ラニチジンなど)とソトラシブとの同時投与は推奨されない。制酸剤による治療が必要な場合は、局所制酸薬投与の4時間前又は10時間後にソトラシブを服用すべきである。
用量及び投与
ソトラシブは、21日間の治療サイクルの間毎日(QD又はBID)経口投与され、治療休止日の予定はない。ソトラシブは、食事の有無にかかわらず投与することができる。被験者は、毎日ほぼ同じ時間にソトラシブの用量を(全ての錠剤を同時に)服用すべきである。また、ソトラシブの用量は、前日の用量に基づく目標時間よりも2時間を超えて早く服用すべきではない。ソトラシブの用量は、投与時間から6時間を超えて服用すべきではない。BID投与(12時間毎)の場合、被験者は、前日の用量に基づく予定投与時間から3時間が経過した場合、ソトラシブの飲み忘れた用量はスキップし、代わりに待機して処方どおりに次の用量を服用すべきである。ソトラシブの服用後に嘔吐した場合は、追加の用量を服用せず、代わりに待機して処方どおりに次の用量を服用する。
固形物の嚥下が困難な患者への投与:錠剤を砕かずに、室温の非炭酸水120mL(4オンス)に分散させる。他の液体は使用すべきではない。錠剤が小片へと分散するまで撹拌し(錠剤は完全には溶解しない)、直ちに又は2時間以内に飲用する。混合物の外観は、淡黄色から鮮黄色の範囲であり得る。錠剤分散液を嚥下する。錠剤の破片を噛んではならない。容器を別の120mL(4オンス)の水ですすぎ、飲用する。混合物が直ちに摂取されない場合は、錠剤が確実に分散するように混合物を再度撹拌する。
用量制限毒性
DLTウィンドウ(即ち、DLT評価可能期間)は、ソトラシブの最初の21日間となる。有害事象の等級付けは、CTCAEバージョン5.0に提供されたガイドラインに基づく。被験者が上記のDLTウィンドウを完了し、計画用量の80%以上のソトラシブを投与された場合、又はDLTウィンドウ中の任意の時点でDLTを経験した場合、被験者はDLT評価可能となる。被験者がDLT以外の理由でDLT評価可能期間の完了前に脱落した場合、被験者はDLT評価可能とはならない。
DLTは、DLT評価ウィンドウ中に発生し、且つソトラシブに関連する以下に列挙する基準を満たす任意の有害事象として定義される:
- 任意の治験薬の永久中止をもたらす有害事象
- グレード3以上の発熱性好中球減少症
- 任意の持続期間のグレード4の好中球減少症
- 7日超持続するグレード3の好中球減少症
- 7日超のグレード3の血小板減少症
- グレード2以上の出血を伴うグレード3の血小板減少症
- グレード4の血小板減少症
- グレード4の貧血
- グレード4以上の嘔吐又は下痢
- 最適な医学的支援にもかかわらず3日超持続するグレード3の嘔吐又はグレード3の下痢
- 最適な医学的支援にもかかわらず3日間以上持続するグレード3以上の悪心
- 最適な医学的管理にもかかわらず、5日超持続するグレード3のALT又はASTの上昇及び任意の持続期間のグレード4以上のALT又はASTの上昇
- グレード3以上のBIL上昇
- 以下の例外を除く、グレード3超の任意の他の有害事象:
- DLT適用除外:疲労
- DLT適用除外:無症候性のグレード3の電解質異常であって、72時間未満持続し、臨床的に複雑ではなく、自然回復するか又は医学的介入に応答するもの
- DLT適用除外:膵炎の症状又は臨床症状を伴わないグレード3のアミラーゼ又はリパーゼ
- DLT適用除外:臨床的に関連する若しくは患者に対して有害であるとは思われない、且つ/又は補充若しくは調節によって補正可能である、他の選択された臨床検査値異常(例えば、グレード3のリンパ球減少症、グレード3の低アルブミン血症)
Hy’s Law caseの基準(即ち、重度の薬物性肝障害[DILI])を満たす被験者は、DLTとみなされる。Hy’s Law caseは、AST又はALT値がULNの3倍以上であり、且つ血清TBLがULNの2倍超で胆汁うっ滞の徴候がなく、且つ観察された肝臓に関連する臨床検査値異常を説明する他の明確な代替的な理由がないものと定義される。
より低用量のコホートへの漸減の推奨は、ある用量レベルの全ての被験者に関する試験28日目までの利用可能な試験データに基づいて、投票権を有するDLRTメンバーの全会一致の合意に基づいてのみ行われる。
以下に、毒性管理のためのソトラシブの用量低減レベルを下表に示す。
Figure 2024519060000010
Figure 2024519060000011
以下の表に示すように、治験責任医師の見解により中止又は用量低減を必要とする毒性が発生した場合、ソトラシブを中止するか又は投与量を低減させる。240mgを下回る用量低減は許可されない。240mgを下回る用量低減を必要とする有害事象を経験した被験者は、ソトラシブ治療を永久に中止すべきである。
Figure 2024519060000012
ソトラシブに関する肝毒性ガイドライン:AST、ALT、又はアルカリホスファターゼ(ALP)の上昇を有する被験者の管理及びモニタリングのためのガイドラインを以下の表に示す。
Figure 2024519060000013
肝毒性による停止規則:異常な肝臓臨床検査値(即ち、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、総ビリルビン(TBL))及び/若しくは国際標準比(INR)並びに/又は肝炎の徴候/症状(下記のとおり)を有する被験者は、ソトラシブの保留又は永久中止に関する基準を満たし得る。
以下の中止及び/又は保留の規則は、肝臓バイオマーカー(TBL、INR、及びトランスアミナーゼ)における変化の別の原因が特定されていない被験者に適用される。AST/ALT及び/又はTBL値の上昇に関する重要な別の原因としては、肝胆道疾患;ウイルス性肝炎(例えば、A/B/C/D/E型肝炎、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘、トキソプラズマ症、及びパルボウイルス);右心不全、低血圧若しくは肝臓に対する低酸素(虚血を引き起こす)の何らかの原因;草本及び栄養補助食品、植物及びキノコを含む、肝毒性薬剤/薬物若しくは肝臓毒への曝露;障害性のグルクロン酸抱合を引き起こす遺伝性障害(例えば、ジルベール症候群、クリグラー・ナジャー症候群)及びビリルビングルクロン酸抱合を阻害する薬物(例えば、インジナビル、アタザナビル);α1-アンチトリプシン欠乏症;アルコール性肝炎;自己免疫性肝炎;ウィルソン病及びヘモクロマトーシス;脂肪性肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患;並びに/又は肝臓外の原因(例えば、横紋筋融解症、溶血)が挙げられるが、これらに限定されない。
以下の表10に記載するように、肝臓検査での障害(ALT、AST、ALP)及び/若しくはTBLの上昇に関する別の原因が発見され且つ/又は臨床検査値異常が正常若しくはベースラインに回復する場合、再負荷が考慮され得る。
Figure 2024519060000014
生検
全ての被験者は、医学的に実施可能である場合、任意の全身性病変において必須の腫瘍生検(NSCLCの場合はコア針/細針吸引)を受けなければならず、ソトラシブによる治療前と、治療開始後の2週目~5週目の間に1回入手しなければならない。スクリーニング時に新たな生検が医学的に実施可能でない場合は、FFPEブロック又は保管された腫瘍組織の未染色スライド(登録の5年以内に収集)で十分である。
任意の全身性病変における任意選択の腫瘍生検は、医学的に実施可能である場合、被験者が追加の同意に署名し、且つ別の抗癌療法を開始していない場合にのみ、治療終了時に実施すべきである。
有効性評価/放射線画像診断評価
疾患の程度は、RECIST 1.1(下記のとおり)及びRANO-BMに従って造影MRI/CTによって評価する。被験者の放射線曝露を軽減するために、可能な限り、可能である最小限の線量を利用すべきである。
スクリーニングスキャンは、登録前の28日以内に実施しなければならず、これをベースラインとして使用する。全ての後続のスキャンは、同じ造影剤を用いて、好ましくは同じスキャナ上でスクリーニング時と同じ様式で実施する。放射線学的評価には、胸部、腹部、及び骨盤のMRI/CT、並びに疾患の全ての他の既知の部位の評価を含めなければならない。
スクリーニング時に使用されるべきである同じ画像診断モダリティ、MRI磁場強度並びに静脈内及び経口造影剤を、全ての後続の評価に使用すべきである。肝臓特異的MRI造影剤は使用してはならない。潜在的な安全性の懸念を軽減するため、大環状ガドリニウム造影剤は、国立衛生研究所(National Health Institute)ガイドラインに従うことが推奨されるか、又はより厳格な場合は現地の基準に従う。
治療及び追跡調査の間、胸部、腹部、骨盤、及び疾患の全ての他の既知の部位の放射線画像診断は、最初の4回の奏効評価については治療サイクルに関係なく6±1週毎に実施する。4回(6週毎)の奏効評価の後、放射線画像診断及び腫瘍評価を、12±1週毎に実施する。脳の画像診断は、試験期間全体を通して6週間隔(±1週)で実施する。放射線画像診断及び腫瘍評価を、疾患進行、新たな抗癌治療の開始、死亡、同意の撤回まで、又は試験終了まで実施する。臨床的に必要な場合は、管理医師の裁量で画像診断をより頻繁に実施してもよい。放射線学的奏効(完全奏効[CR]、PR)は、奏効の最初の文書化の少なくとも4週後に連続スキャンの反復による確定を必要とし、不必要な処置を回避するために次の予定されたスキャンまで遅延させてもよい。
全ての被験者は、ソトラシブの初回用量前の28日以内に脳の造影MRIを実施しなければならない。その後、管理医の判断で臨床的に必要とされる場合、任意の時点で脳スキャンを実施してもよい。治験実施計画書上の全ての脳スキャンは、MRIが禁忌でない限りMRIである必要があり、続いて造影の有無を問わないCTが許容される。
治療終了(EOT)来院中の放射線画像診断評価は、RECIST 1.1ガイドライン及び/又はRANO-BMガイドラインに従う疾患進行以外の理由で治療を中止する被験者に対してのみ実施すべきである。
被験者の臨床管理のための疾患奏効の判定は、RECIST 1.1及びRANO-BM基準に従って臨床施設で評価する。スキャンは、保管用に、並びにRECIST 1.1及びRANO-BM基準を利用した独立した奏効評価のために、中央の画像診断中核検査室に提出する。探索的画像診断解析は中央で実施することができ、解析には、腫瘍体積測定、生存腫瘍測定、組織壊死率、及び病変テクスチャ解析(ラジオミクス)を含めることができる。
有効性解析
頭蓋内客観的奏効(RANO-BMに従う)を有する被験者の割合及び95%CIを、計画用量レベル別に表にする。病勢コントロール率を同様に集計する。
客観的奏効(RECIST 1.1に従う)を有する被験者の割合及び95%CIを、計画用量レベル別に表にする。病勢コントロール率を同様に集計する。
MTD及び/又はRP2Dで治療した全ての被験者について、カプラン・マイヤー法を使用して、1)奏効期間;2)頭蓋内放射線療法までの時間;3)頭蓋内無増悪生存期間(PFS);4)非頭蓋内PFS;5)全PFS、6)安定期間;及び7)試験治療の開始から何らかの原因による死亡イベントまでの期間として定義されるOS(例えば、1年のOS)について、イベントまでの時間曲線、イベントまでの時間の中央値、及びパーセンタイルを95%CIで推定する。奏効までの時間を、レスポンダーの非欠損サンプルサイズ(n)、平均値、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値別に集計する。
進行後に治療を継続する被験者の場合、最初の進行はORR/DOR及びPFS解析に使用し、最初の進行後の被験者の奏効は客観的奏効評価項目の評価には使用しない。
固形癌の治療効果判定基準バージョン1.1(RECIST 1.1)
定義
測定可能な病変
測定可能な腫瘍病変-少なくとも1方向で正確に測定でき、スライス厚が5mm以下のCT/MRIスキャンで最長径が10mm以上の境界明瞭な非リンパ節病変。スライス厚が5mmより大きいとき、測定可能な病変の最小サイズはスライス厚の2倍であるべきである。
リンパ節病変-リンパ節は、病理学的に腫大しており測定可能であるとみなされるものであり、リンパ節は、CT/MRI(スキャンスライス厚は5mm以下を推奨)によって評価した場合、短径が15mm以上でなければならない。ベースライン及び追跡調査時には短径のみを測定し、追跡する。節のサイズは通常、アキシャル面において2方向で報告する。これらの測定値のうちでより小さいものが短径(最長径に対して垂直)である。
放射線照射された病変-これまでに放射線照射された領域又は他の局所領域療法に供した領域に位置する腫瘍病変は、登録前に病変の進行が実証されていない限り、測定可能ではない。
測定不能な病変:小病変(CTスキャンスライス厚が5mm以下で、最長径が10mm未満であるもの、又は短径が10mm以上15mm未満である病的リンパ節)を含む他の全ての病変を測定不能であるとみなし、非標的病変として特徴付ける。
測定不能な病変の他の例としては、以下が挙げられる:以前に局所治療がなされた病変:これまでに放射線照射された領域又は他の局所領域療法に供した領域に位置する腫瘍病変は、病変の進行が実証されていない限り、測定可能であるとみなすべきではない;生検された病変;無条件に、小病変のクラスター、骨病変、及び炎症性乳房疾患は測定不能である。
測定の方法
病変の測定-選択した病変の最長径は、画像を取得した平面(アキシャル面)で測定すべきである。全ての測定値を取得し、メートル法表記で記録すべきである。全てのベースライン評価は、可能な限り治療開始に近い時期に、且つ試験1日目の4週以前に実施すべきである。
評価の方法-試験全体にわたって、同じ評価方法及び同じ手法を使用して、同定され且つ報告された各病変を特徴付けるべきである。
CT/MRI-造影CT又はMRIを使用して、全ての病変を評価すべきである。固形腫瘍における転移の最適な可視化及び測定は、一貫したIV造影剤の投与(用量及び速度)及びスキャンのタイミングを必要とする。CT及びMRIは、5mm厚以下の隣接スライスで実施すべきである。
「標的」及び「非標的」病変のベースラインでの文書化
標的病変-全ての浸潤臓器を代表する、1臓器当たり最大2つまでの病変及び合計で5つまでの病変である全ての測定可能な病変を、ベースライン時に標的病変として同定し、記録し、測定すべきである。
標的病変は、それらのサイズ(最長径を有する病変)及び正確な反復測定に対する適合性に基づいて選択すべきである。
病的リンパ節(15mm以上の短径を有する)を標的病変として同定することができる。他の全ての病的リンパ節(10mm以上15mm未満の短径を有するもの)は、非標的病変とみなすべきである。
全ての標的病変について、径和(非リンパ節病変では最長径、リンパ節病変では短径)を算出し、ベースライン径和として報告する。ベースライン径和は、客観的腫瘍奏効を特徴付けるための基準として使用する。
非標的病変-病的リンパ節を含む他の全ての病変(又は疾患の部位)は、非標的病変として同定すべきであり、またベースライン時に記録すべきである。これらの病変の測定は必要とされず、これらの病変を、試験全体を通して「あり」、「なし」、又は「明らかな増悪」として追跡すべきである。加えて、同じ臓器を冒す複数の非標的病変を症例報告書上の単独の項目として記録することが可能である(例えば、「複数の腫大骨盤リンパ節」又は「多発肝転移」)。
Figure 2024519060000015
Figure 2024519060000016
神経腫瘍学脳転移における奏効評価(RANO-BM)基準
本試験では、頭蓋内奏効の評価基準である神経腫瘍学脳転移における奏効評価(RANO-BM)(Lin et al,2015)を利用する。RANO-BMは、固形癌の治療効果判定基準(RECIST)1.1(Eisenhauer et al,2009)及び高悪性度神経膠腫に対する奏効評価基準である神経腫瘍学における奏効評価(RANO)(Wen et al,2010)の拡張である。
定義:
測定可能な中枢神経系(CNS)疾患は、少なくとも1方向で正確に測定でき、最小サイズが10mmであり、好ましくはスキップ0mmで間隔が5mm以下(理想的にはスキップ0mmで間隔が1.5mm以下)の2つ以上のアキシャルスライスで可視的である、造影CNS病変と定義される。
- CNS病変を測定可能であるとみなすには、測定面の最長径に対して垂直な径が少なくとも5mmであるべきである。
- 複数の測定可能なCNS病変がベースライン時に存在する場合、全てのCNS病変(最大5つまで)をベースライン時に記録及び測定すべきである。
- 5mm以上10mm未満のCNS病変を測定可能な疾患とみなす場合、CNS病変はスライス厚が1.5mm以下の磁気共鳴画像法(MRI)画像診断で測定すべきである。最長径が10mm未満のあらゆるCNS病変は、測定した最長径に最小で3mmの変化がない限り、ベースラインから変化していないとみなすべきである。
測定不能なCNS病変には、最長寸法が10mm未満の病変、再現性よく測定することができない境界を有する病変、硬膜転移、頭蓋骨転移、及び嚢胞のみの病変を含む、他の全てのCNS病変が含まれる。
測定の方法
病変の測定:選択した病変の最長径は、画像を取得した場所で測定すべきである。
評価の方法:ベースライン時及び試験全体にわたって、同じ評価方法及び同じ手法を使用して、同定され且つ報告された各病変を特徴付けるべきである。
MRI:ガドリニウム造影MRIを使用して、全てのCNS病変を評価すべきである。MRIが禁忌の場合、造影の有無にかかわらずコンピュータ断層撮影(CT)を実施することができる。
CNS標的病変に対する奏効評価
Figure 2024519060000017
融合した病変については、それらの間の平面が維持されている場合があり、それが各個別の病変の最大最長径を得るのに役立つ。病変が融合し、もはや分離不能である場合、この場合の最長径のベクトルは、融合した病変の最大最長径とすべきである。
以前のスキャンには存在しなかった新CNS病変は、明らかであり、且つ技術的又はスライスのばらつきに起因するものではないことが必要である。
非標的病変は、各X線検査評価により少なくとも定性的に評価すべきである。
Figure 2024519060000018
CNS区画及び非CNS区画は次のように別個に評価される。
Figure 2024519060000019
全無増悪生存期間の評価については、いずれか又は両方の区画で進行が発生した場合、無増悪生存期間の判定基準を満たすことになる。CNS進行を単独で発症した被験者は、局所療法(例えば、全脳放射線療法、定位放射線手術、又は手術)後に試験の継続に適格である場合がある。
総合効果の評価
最良総合効果は、試験治療の開始から治療の終了又は疾患進行/再発までに記録された最良効果である(治療開始以降に記録された最小の測定値をPDの基準とする)。
一般に、被験者の最良効果の決定は、標的疾患及び非標的疾患の両方の所見に依存し、新病変の出現も考慮に入れる。
Figure 2024519060000020
Figure 2024519060000021
Figure 2024519060000022
奏効評価に対する特記事項
リンパ節病変-標的病変として同定したリンパ節は、リンパ節が試験中に10mm未満に退縮する場合でさえ、短径の実測値を常に記録すべきである。CRと認定するには、各リンパ節は、完全な消失ではなく短径10mm未満に達しなければならない。リンパ節標的病変の短径の測定値を、標的病変の最長径測定値とともに合算し、特定の評価(時点)のための標的病変の径和を作成する。
「小さすぎて測定不能」となった標的病変-試験中、ベースライン時に記録した全ての病変(リンパ節及び非リンパ節)は、それぞれの後続の評価時にそれらの測定値を記録すべきである。病変が5mm未満になる場合、測定値の精度が低減する。したがって、5mm未満の病変は、「小さすぎて測定不能」とみなし、測定しない。この指示により、それらには5mmの既定の測定値を割り当てる。病変が完全に消失し、測定値を「0」と記録することができる場合を除いて、5mm未満の病変測定値を記録すべきではない。
新病変-用語「新病変」は常に、明確に腫瘍である新規の所見の存在を指す。腫瘍の可能性があるのみで、良性であり得る新規の所見(感染、炎症など)は、審査によりそれらが腫瘍であることが確実になるときまで、新病変として選択しない。
新病変が不確かである場合(例えばサイズが小さいため)、継続する療法及び追跡調査評価により、それが実際に新疾患となるか否かを明らかにすることになる。スキャンの反復によって新病変が明確に存在することを確定する場合、最初のスキャンの日付を使用して進行を申告すべきである。
ベースライン時にスキャンしなかった解剖学的位置において追跡調査試験で同定された病変は、新病変とみなされ、ベースラインから存在する標的病変又は非標的病変において認められ得るいずれの奏効にもかかわらず、疾患進行を示すことになる。
その時点で疾患進行の客観的なエビデンスを伴わずに治療の中止を必要とする健康状態の全体的な悪化を有する被験者を、「病状悪化」を有するものとして分類すべきである。治療の中止後でさえ、追加的な画像診断評価により客観的な進行を文書化するためのあらゆる努力を払うべきである。
ある状況下では、残存疾患を瘢痕又は正常組織と識別するのが困難な場合がある。完全奏効(CR)の評価がこの判定に依存するとき、残存病変を更に、フルオロデオキシグルコース-ポジトロン放出断層撮影(FDG-PET)若しくはPET/コンピュータ断層撮影(PET/CT)、又は場合により細針吸引/生検によって調査して、CR状態を確定することが推奨される。
確定測定/奏効期間
奏効確定-奏効が主要評価項目である非無作為化試験において、PR及びCRの確定は、同定された奏効が測定誤差の結果ではないことを確実にするために必要となる。
全奏効期間-全奏効期間は、CR/PRの測定基準を最初に満たした時点(最初に記録された方)から、再発又は進行が客観的に文書化された最初の日又は死亡のいずれか早い時点までを測定する。
安定期間-SDは、治療開始以降に記録された最小の測定値又は死亡のいずれか早い方を基準として、治療の開始から疾患進行の基準が満たされるまでを測定する。
ECOGパフォーマンス及びNYHA分類
Figure 2024519060000023
ニューヨーク心臓協会機能分類
クラスI 身体活動の制限なし。通常の身体活動で過度の疲労、動悸、又は呼吸困難が生じない。
クラスII 身体活動の軽度の制限。安静時には不快症状がないが、通常の身体活動で疲労、動悸、又は呼吸困難が生じる。
クラスIII 身体活動の顕著な制限。安静時には不快症状がないが、通常以下の活動で疲労、動悸、又は呼吸困難が生じる。
クラスIV いかなる身体活動を行うにも不快症状が伴う。心不全の症状は安静時でさえ現れる場合がある。いかなる身体活動を行っても不快症状が憎悪する。
予備データ:
2022年5月2日(「カットオフ日」)時点で、非小細胞肺癌及び活動性脳転移を有する被験者6名をコホートA(960mg QD)に登録した。被験者に最大36週間治療を行った。この治療は忍容性が良好であり、被験者1名がグレード3の低カリウム血症の用量制限毒性を含むソトラシブに関連するグレード3の事象を有する。カットオフ日の時点で、960mg QDの用量の有効性は被験者6名で評価可能であり、全ての被験者は治療を休止していた。予備的結果(最良の客観的奏効)を以下の表に示す。頭蓋内病変における腫瘍の縮小を被験者別に図1に示す。これらの予備的結果から示されるのは、960mg QDの用量が被験者6名のうち4名の頭蓋内病変の縮小をもたらすのに対し、頭蓋外の奏効から、被験者6名のうち5名が原発癌(即ち非小細胞肺癌)に対してSD又はPR奏効を示すことが示されることである。
Figure 2024519060000024
実施例2-960mg、360mg、180mg、及び240mgのソトラシブの薬物動態解析
予備的な薬物動態(PK)データは、180~960mg PO QDの範囲のソトラシブ(AMG 510)の用量を用いた、特定のKRAS p.G12C変異を有する進行性固形腫瘍を有する被験者に関して入手可能であった。1日目の曝露量に、180~960mg PO QDの用量関連性の増加が観察された。1日目に、曝露量の増加は用量比例よりも少なかった。8日間の複数回のPO QD投与による蓄積はなかった。8日目に、180~960mg PO QDの曝露量の変化は用量比例よりも少なかった。迅速な吸収が観察され、tmaxはPO投与後の1~2時間の間であった。図2は、1日目の180、360、720、又は960mgのソトラシブの経口投与後の平均血漿中濃度時間プロファイルを示す。図3は、8日間の1日1回の投与後(8日目)の濃度を示す。以下の表は、薬物動態パラメータを示しており、AUC0~24hは、投与後0~24時間までの濃度-時間曲線下面積であり;Cmaxは、投与間隔の間の最高血中濃度であり;t1/2,zは、終末消失半減期であり;tmaxは、Cmaxに到達するまでの時間である。報告するデータは、それぞれ中央値(範囲)及び算術平均(SD)として報告するtmax及びt1/2を除いて、幾何平均(算術CV%)として示している。値は、それぞれ小数点以下0桁及び2桁の有効数字まで報告するCV%及びtmaxを除いて、有効数字3桁まで報告する。
Figure 2024519060000025
実施例3-絶食下でのソトラシブと制酸剤との同時投与による禁忌
本第1相非盲検固定順序試験に、健常被験者14名を登録した。被験者に、1日目に960mgのソトラシブ、4~8日目に1日1回40mgのオメプラゾール、9日目に40mgのオメプラゾールに続いて960mgのソトラシブを投与した。全ての用量を絶食下で投与した。ソトラシブPK用の血液試料を、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで収集した。ソトラシブの血漿PKパラメータをノンコンパートメント法を使用して推定した。
ソトラシブとオメプラゾールの同時投与により、ソトラシブの最大血漿中濃度までの時間(tmax)が0.75時間遅延した。ソトラシブの平均終末半減期(t1/2)は、ソトラシブ単独投与と比較して、ソトラシブとオメプラゾールの同時投与後に同様であった。ソトラシブとオメプラゾールの同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)及びCmax(最大血漿中濃度)(それぞれ17000h*ng/mL及び3100ng/mL)は、ソトラシブ単独投与(それぞれ29300h*ng/mL及び7200ng/mL)と比較して低かった。ソトラシブは、健常被験者に40mgのオメプラゾールと同時投与したか又は単独で投与したとき、安全であり且つ忍容性が良好であった。
結果から、絶食状態におけるソトラシブとオメプラゾールの同時投与が、ソトラシブ単独投与と比較して、ソトラシブのAUCinfを42%及びCmaxを57%減少させることが示された。
実施例4-食後のソトラシブと制酸剤との同時投与による禁忌
これは、ソトラシブの曝露に対する制酸剤の影響を制限するための緩和戦略を探索するための第1相、非盲検、固定順序、クロスオーバー、単一施設試験であった。本試験は、食後に健常男性及び女性(合計で14名の被験者)において単独で及びファモチジン又はオメプラゾールと組み合わせて投与したソトラシブのPKを評価した。被験者に、1日目にソトラシブの単回投与、3日目にファモチジンの夕方投与(ソトラシブ投与の10時間前)、4日目にソトラシブの単回投与に続いて2時間後にファモチジンの更なる投与、6日目から10日目にオメプラゾールの毎日投与、並びに11日目にオメプラゾール及びソトラシブの両方の単回投与を行った。全てのソトラシブ投与を、標準的なカロリーの中脂肪食の消費後に行った。ソトラシブの血漿中濃度を特徴付けるため、所定の時点で血液を収集した。試験全体を通して、安全性及び忍容性のモニタリングを実施した。
合計15名の健常被験者(女性1名及び男性13名)を試験に登録した。被験者14名のうち13名が、全ての治療を受け、試験を完了した。
ソトラシブのAUCinf及びCmaxの幾何最小二乗平均比は、食後にファモチジンと同時投与したソトラシブとソトラシブ単独とを比較したとき、それぞれ0.622及び0.654であった。ソトラシブのAUCinf及びCmaxの幾何最小二乗平均比は、オメプラゾールと同時投与したソトラシブとソトラシブ単独とを比較したとき、それぞれ0.430及び0.349であった。960mgのソトラシブの用量は、健常被験者へと食後に40mgのファモチジン単回投与と同時投与し、40mgのオメプラゾールを毎日反復投与した後に、安全であり且つ忍容性が良好であった。
要約すると、食後のソトラシブの単回投与の10時間前及び2時間後に行うファモチジン(H2受容体アンタゴニスト)の単回投与の同時投与は、ソトラシブのCmaxを35%、AUCを38%減少させた。加えて、食後のオメプラゾール(PPI)の繰り返し投与とソトラシブの単回投与との同時投与は、ソトラシブのCmaxを65%、AUCを57%減少させた。
実施例5-ソトラシブと強力なCYP34A4誘導剤との同時投与による禁忌
本第1相非盲検固定順序試験に、健常被験者14名を登録した。各被験者に、1、3、及び18日目に960mgのソトラシブ、並びに3日目及び5~19日目に600mgのリファンピンを投与した。ソトラシブPK用の血液試料を、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで収集した。ソトラシブの血漿PKパラメータをノンコンパートメント法を使用して推定した。
結果:
ソトラシブとリファンピンの単回投与の同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)及びCmax(最大血漿中濃度)(それぞれ19600h*ng/mL及び5340ng/mL)は、ソトラシブ単独のもの(それぞれ25600h*ng/mL及び6350ng/mL)と同様であった。リファンピンの複数回投与とソトラシブとの同時投与後の幾何平均ソトラシブAUCinf及びCmax(それぞれ12400h*ng/mL及び4110ng/mL)は、ソトラシブ単独のもの(それぞれ25600h*ng/mL及び6350ng/mL)と比較して低かった。
ソトラシブは、健常被験者に600mgのリファンピンと同時投与したか又は単独で投与したとき、安全であり且つ忍容性が良好であった。リファンピンの単回投与は、ソトラシブのPKに対して臨床的に意味のある影響を及ぼさず、ソトラシブがOATP1B1の基質ではないことを示した。リファンピンの複数回投与は、ソトラシブのAUCinfを51%、Cmaxを35%減少させ、ソトラシブがCYP3A4基質であることを示しており、インビトロでのデータと一致した。
実施例6-ソトラシブとCYP34A基質との同時投与による禁忌
本第1相、非盲検、固定順序試験に、これまでに治療されていないNSCLCを有するX名の被験者を登録し、被験者には、-1日目に2mgのミダゾラムを単独で単回経口投与し、1日目から14日目に960mgのソトラシブを経口投与し、15日目に960mgのソトラシブの経口投与とほぼ同時に2mgのミダゾラムを単回経口投与した。ソトラシブPK用の血液試料を、投与前及びソトラシブ投与の48時間後まで収集した。ソトラシブの血漿PKパラメータをノンコンパートメント法を使用して推定した。
単回投与のミダゾラムの血漿PKデータを、ミダゾラムを単独投与し、14日間ソトラシブを毎日反復投与した後にソトラシブと同時投与でミダゾラムを投与した被験者5名から得た。結果から、ミダゾラムに対する曝露量が、ソトラシブを毎日反復投与した後にソトラシブと同時投与した場合に減少することが示された。ソトラシブとミダゾラム(高感度CYP3A4基質)との同時投与は、ミダゾラムのCmaxを48%、AUVを53%減少させた。
実施例7-ソトラシブとP-gp基質との同時投与による禁忌
本第1相非盲検固定順序試験に、健常被験者14名を登録した。各被験者に、1日目に0.5mgのジゴキシン及び7日目に960mgのソトラシブに続いて0.5mgのジゴキシンを投与した。ジゴキシンPK用の血液試料を、投与前及びジゴキシン投与の144時間後まで収集した。試料を、バリデート済みの高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法を使用して測定した。血漿PKパラメータをノンコンパートメント法を使用して推定した。試験全体を通して、安全性及び忍容性をモニタリングした。
ジゴキシンの最大血漿中濃度までの時間(tmax)の中央値及び平均終末半減期(t1/2)は、ジゴキシン単独のものと比較してジゴキシンとソトラシブとの同時投与後に同様であった。ジゴキシンとソトラシブとの同時投与後の幾何平均ジゴキシンAUCinf(ゼロ時から無限大までの曲線下面積)(40.3h*ng/mL)は、ジゴキシン単独のもの(33.2h*ng/mL)と同様であった。ジゴキシンとソトラシブとの同時投与後の幾何平均ジゴキシンCmax(最大血漿中濃度)(3.64ng/mL)は、ジゴキシン単独のもの(1.90ng/mL)と比較して高かった。0.5mgのジゴキシンの単回投与は、単独で投与したか又は960mgのソトラシブと同時投与したとき、安全であり且つ忍容性が良好であった。
結果から、ジゴキシンとソトラシブの単回投与との同時投与が、ジゴキシン単独と比較してジゴキシンAUCinf及びCmaxをそれぞれおよそ21%及び91%増加させることが示された。
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Claims (54)

  1. 活動性脳転移を有する患者におけるKRAS G12C変異を含む癌を治療する方法であって、前記癌を治療するのに有効な量でソトラシブを前記患者に投与することを含む、方法。
  2. 960mgのソトラシブを1日1回前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 480mgのソトラシブを1日1回前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 240mgのソトラシブを1日1回前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 480mgのソトラシブを1日2回前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 240mgのソトラシブを1日2回前記患者に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記患者が、5mm超の頭蓋内病変を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記患者が、10mm超の頭蓋内病変を有する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記癌が、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合癌型、膵癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記癌が、非小細胞肺癌又は結腸直腸癌である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記患者が、制酸剤による治療を更に必要とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記制酸剤が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2受容体アンタゴニスト(H2RA)、又は局所作用制酸薬である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記制酸剤が、局所作用制酸薬であり、ソトラシブが、前記局所作用制酸薬の約4時間前又は約10時間後に投与される、請求項11又は請求項12に記載の方法。
  14. 前記局所作用制酸薬が、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、又は水酸化マグネシウムである、請求項12又は請求項13に記載の方法。
  15. 前記患者が、プロトンポンプ阻害剤(PPI)又はH2受容体アンタゴニスト(H2RA)による治療を更に必要とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記患者が、ソトラシブと組み合わせてPPI又はH2RAを投与されない、請求項15に記載の方法。
  17. 前記PPIが、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、又はデクスランソプラゾールである、請求項12、15、及び16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記H2RAが、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、ロキサチジン、又はラフチジンである、請求項12、15、及び16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記患者が、CYP3A4誘導剤による治療を更に必要とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4誘導剤を投与されない、請求項19に記載の方法。
  21. 前記CYP3A4誘導剤が、バルビツレート、ブリガチニブ、カルバマゼピン、クロバザム、ダブラフェニブ、エファビレンツ、エラゴリクス、エンザルタミド、エスリカルバゼピン、グルココルチコイド、レテルモビル、ロルラチニブ、モダフィニル、ネビラピン、オリタバンシン、オクスカルバゼピン、ペランパネル、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピン、テロトリスタット、又はトログリタゾンである、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記患者が、ソトラシブと組み合わせて強力なCYP3A4誘導剤を投与されない、請求項19又は請求項20に記載の方法。
  23. 前記強力なCYP3A4誘導剤が、フェニトイン又はリファンピンである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記患者が、CYP3A4基質による治療を更に必要とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記患者が、ソトラシブと組み合わせてCYP3A4基質を投与されない、請求項24に記載の方法。
  26. 前記CYP3A4基質が、アベマシクリブ、アビラテロン、アカラブルチニブ、アレクチニブ、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アムロジピン、アピキサバン、アプレピタント、アリピプラゾール、アステミゾール、アトルバスタチン、アバナフィル、アキシチニブ、ボセプレビル、ボスチニブ、ブレクスピプラゾール、ブリガチニブ、ブスピロン、カフェルゴット、カフェイン、カルバマゼピン、カリプラジン、セリチニブ、セリバスタチン、クロルフェニラミン、シロスタゾール、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クロバザム、クロピドグレル、コビメチニブ、コカイン、コデイン、コルヒチン、コパンリシブ、クリゾチニブ、シクロスポリン、ダブラフェニブ、ダクラタスビル、ダプソン、デフラザコート、デキサメタゾン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジルチアゼム、ドセタキセル、ドルテグラビル、ドンペリドン、ドキセピン、エラゴリクス、エルバスビル/グラゾプレビル、エリグルスタット、エンザルタミド、エプレレノン、エリスロマイシン、エスシタロプラム、エソメプラゾール、エストラジオール、フェロジピン、フェンタニル、フィナステリド、フリバンセリン、グリベック、ハロペリドール、ヒドロコルチゾン、イブルチニブ、イデラリシブ、インダカテロール、インジナビル、イリノテカン、イサブコナゾニウム、イバブラジン、アイバカフトール、ランソプラゾール、レンバチニブ、レルカニジピン、リドカイン、リナグリプチン、ロバスタチン、マシテンタン、メサドン、ミダゾラム、ナルデメジン、ナロキセゴール、ナテグリニド、ネルフィナビル、ネラチニブ、ネツピタント/パロノセトロン、ネビラピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オラパリブ、オメプラゾール、オンダンセトロン、オシメルチニブ、オスペミフェン、パルボシクリブ、パノビノスタット、パントプラゾール、ペランパネル、ピマバンセリン、ピモジド、ポマリドミド、ポナチニブ、プロゲステロン、プロプラノロール、クエチアピン、キニジン、キニーネ、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リルピビリン、リスペリドン、リトナビル、リバーロキサバン、ロフルミラスト、ロラピタント、ロミデプシン、ルキソリチニブ、サルメテロール、サキナビル、セレキシパグ、シルデナフィル、シメプレビル、シンバスタチン、シロリムス、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、スボレキサント、タクロリムス(fk506)、タモキシフェン、タシメルテオン、タキソール、テラプレビル、テリスロマイシン、テルフェナジン、テストステロン、チカグレロル、トファシチニブ、トルバプタン、トーリセル、トラマドール、トラゾドン、バルベナジン、バンデタニブ、ベルパタスビル、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ベンラファキシン、ベラパミル、ビラゾドン、ビンクリスチン、ボラパクサール、ボリコナゾール、ザレプロン、又はジプラシドンである、請求項24又は請求項25に記載の方法。
  27. 前記患者が、P-糖タンパク質(P-gp)基質による治療を更に必要とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記患者が、ソトラシブと組み合わせてP-gp基質を投与されない、請求項27に記載の方法。
  29. 前記P-gp基質が、エテキシラート、ジゴキシン、又はフェキソフェナジンである、請求項27又は請求項28に記載の方法。
  30. 前記患者が、ソトラシブ療法の開始前に少なくとも1つの他の全身性癌療法を受けていた、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記患者が、少なくとも2つの他の全身性癌療法を受けていた、請求項30に記載の方法。
  32. 少なくとも1つの全身性癌療法が、抗PD-1免疫療法、抗PD-L1免疫療法、及びプラチナ系化学療法から選択される、請求項30又は31に記載の方法。
  33. 前記患者が、(i)抗PD1療法若しくは抗PD-L1療法(禁忌でない限り)、又は(ii)プラチナ系化学療法、及び(iii)EGFR、ALK、又はROS1標的療法(前記癌がEGFR、ALK、又はROS1においても変異を示した場合)をこれまでに受けたことがある、請求項30に記載の方法。
  34. 前記患者が、(i)抗PD1療法又は抗PD-L1療法(禁忌でない限り)、及び(ii)プラチナ系化学療法、及び(iii)EGFR、ALK、又はROS1標的療法(前記癌がEGFR、ALK、又はROS1においても変異を示した場合)をこれまでに受けたことがある、請求項31に記載の方法。
  35. 前記患者が、0又は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを示す、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記患者が、少なくとも1ヶ月間ソトラシブを投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記患者が、少なくとも3ヶ月間ソトラシブを投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記患者が、少なくとも6ヶ月間ソトラシブを投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定した場合にソトラシブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも安定(SD)を示す、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記安定が、部分奏効(PR)と認定するほど十分に縮小しておらず、進行(PD)と認定するほど十分に増大していない、請求項39に記載の方法。
  41. 前記患者が、RECIST 1.1プロトコルによって測定した場合にソトラシブ療法の1、3、又は6ヶ月後に少なくとも部分奏効(PR)を示す、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記部分奏効が、標的病変の径和の少なくとも30%の減少である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記患者が、少なくとも3ヶ月の無増悪生存期間(PFS)を示す、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記患者が、少なくとも6ヶ月のPFSを示す、請求項43に記載の方法。
  45. 前記患者が、少なくとも3ヶ月の頭蓋内無増悪生存期間(PFS)を示す、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記患者が、少なくとも6ヶ月の頭蓋内PFSを示す、請求項45に記載の方法。
  47. 前記患者が、RANO-BMによって評価される頭蓋内客観的奏効を示す、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記癌が、1~49%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記癌が、1%未満のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記癌が、50~100%のPD-L1腫瘍比率スコア(TPS)を示す、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記癌が、STK11変異を更に含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記癌が、KEAP1変異を更に含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記癌が、STK11野生型を更に含む、請求項1~50及び52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記癌が、KEAP1野生型を更に含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
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