JP2024518712A - Kdm4阻害剤による癌の処置 - Google Patents

Kdm4阻害剤による癌の処置 Download PDF

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Abstract

癌の処置のための組成物および方法が、本明細書において提供される。前記組成物は、KDM4阻害剤を含む。【選択図】図1

Description

関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/173,219号;2021年10月5日に出願された米国仮特許出願第63/252,542号;および2022年1月10日に出願された米国仮特許出願第63/297,960号の利益を主張し、これらは全て参照によりそのまま本明細書に援用される。
[0002] 癌の処置のための組成物および方法が、本明細書において提供される。本明細書において開示される方法に適した癌のタイプは、結腸直腸癌、トリプルネガティブ乳癌、胃腺癌およびびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫を含むが、それらに限定されない。
[0003] 本明細書において開示される癌を処置する方法に有用な組成物は、本明細書に記載される複素環式KDM4阻害剤を含む。
[0004] 一態様は、それを必要とする癌患者において癌を処置する方法であって、次の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌(pancreatic cancer)、膵癌(pancreatic carcinoma)、乳癌またはT細胞急性リンパ芽球性白血病から選択される癌と診断されている本方法を提供する。
[0005] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍原性細胞集団を低減する方法であって、次の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:

[0006] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍開始細胞頻度を低減する方法であって、次の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:

[0007] 別の態様は、それを必要とする癌患者において癌幹細胞を阻害する方法であって、次の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
[0008] 図1は、強力な汎KDM4阻害剤である化合物1の生化学的活性を図説する。 [0009] 図2は、H3K9me3脱メチル化の可逆的かつ競合的阻害を図説する。H3K3me3脱メチル化の阻害は、時間分解蛍光ベースの(TR-FRET)LANCE(登録商標)検出を用いて、α-KGの存在下で様々な化合物1濃度で測定された。 [0010] 図3は、化合物1がS期における細胞周期停止を誘導することを図説する。化合物1は、用量依存的様式でS期の細胞の割合を増加させた。細胞周期分析は、MDA-MB-231細胞で、MultiCycle AV DNA分析ソフトウェアを用いて実施された。 [0011] 図4は、化合物1がヒト癌細胞株においてアポトーシスを誘導することを実証する。 [0012] 図5は、化合物1が癌細胞株の大規模なパネルにわたって強力な抗増殖活性を示すことを実証する。PDX/オルガノイドモデルのパネルにおける化合物1の評価は、胃癌における化合物1の感受性を確証し、MSI CRC対MSS CRCに対する感受性を示す。 [0013] 図6は、化合物1によるヒストン脱メチル化酵素の用量依存的阻害を図説する。左パネル:様々な濃度の化合物1に反応するアクチン(赤色バンド)およびH3K36me3(緑色バンド)に関する染色強度の変化を示す代表的な免疫ブロット。右パネル:化合物1の濃度(μM)に対するH3K36me3およびアクチンに関するバンド強度の正規化比(平均IC50±SD値-0.085±0.004μM)。 [0014] 図7は、腫瘍を化合物1で処理した際の腫瘍原性細胞の低減を図説する。化合物1は、腫瘍開始細胞(TIC)頻度を4.4倍低減した。 [0015] 図8は、複数の癌モデルにおける化合物1のインビボ有効性を図説する。 [0016] 図9は、SU60オルガノイドモデルにおける細胞増殖の阻害を図説する。 [0017] 図10 SU60患者由来結腸直腸癌異種移植片モデルにおける化合物1のインビボ有効性。 [0018] 図11 KYSE-150ヒト食道癌異種移植片モデルにおける化合物1の試験番号1におけるインビボ有効性。 [0019] 図12 KYSE-150ヒト食道癌異種移植片モデルにおける化合物1の試験番号2におけるインビボ有効性。 [0020] 図13 COH70患者由来トリプルネガティブ乳癌異種移植片モデルにおける化合物1のインビボ有効性。 [0021] 図14 GXA-3036胃腺癌患者由来異種移植片モデルにおける化合物1のインビボ有効性。 [0022] 図15 OCI-LY19ヒトびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおける化合物1のインビボ有効性。 [0023] 図16は、化合物1処置後の腫瘍原性細胞集団のフローサイトメトリー分析を図説する。 [0024] 図17は、化合物1処置後のインビボ腫瘍原性機能アッセイの結果を図説する。 [0025] 図18は、異なる結腸直腸癌細胞株における様々な経路の遺伝子の変異状態のヒートマップを図説する。それぞれのマイクロサテライト不安定性(MSI-H)、CpGアイランドメチレーター表現型(CIMP)およびMLH1メチル化状態ならびにこれらの細胞株の化合物1に対する感受性も示されている。 [0026] 図19は、研究された様々な結腸直腸癌細胞株のMSI-H状態およびそれぞれのMMR経路遺伝子変異を示すヒートマップを図説する。 [0027] 図20は、遺伝子PNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1がインビボでの化合物1による処置後に用量依存的な変化を示したことを図説する。 [0027] 図20は、遺伝子PNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1がインビボでの化合物1による処置後に用量依存的な変化を示したことを図説する。 [0028] 図21は、MDA-MB-231 TNBC細胞におけるChIP-seq分析がPNUTS(PPP1R10)プロモーターにおけるKDM4の占有を示すことを図説する。 [0029] 図22は、ビヒクル対照または化合物1で処理されたSU60異種移植片腫瘍からの単一細胞遺伝子発現分析(RT-qPCR)のヒートマップ表現を図説する。A)ビヒクル対照または化合物1で処理されたSU60異種移植片腫瘍からの単一細胞遺伝子発現分析(RT-qPCR)のヒートマップ表現。遺伝子発現レベルは、赤が高発現、緑が低発現、そして灰色が未発現で色分けされている。未熟および成熟細胞マーカーの遺伝子セットを用いた遺伝子発現の共有パターンに基づき、3つの細胞クラスターが同定された。ヒートマップの右端に、335個のビヒクル処置(青)および332個の化合物1処置(赤)された単一細胞の分布を赤/青のリボンで表示する。一番上のデンドログラムは、全ての細胞にわたって類似した発現パターンを有する遺伝子をクラスター化している。(Ct値での)遺伝子発現は、0を平均中心とし、標準偏差の2.5倍で割った。 B)このグラフは、各クラスター内のビヒクル処置および化合物1処置細胞の総数を表している。P値(フィッシャーの正確確率検定)がバーの一番上に表示されている。
参照による援用
[0030] 本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、本明細書において同定される特定の目的のために参照により本明細書に援用される。
特定の用語法
[0031] 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される際、単数形“a”、“and”および“the”は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の参照語を含む。従って、例えば“薬剤(an agent)”に対する言及は、複数のそのような薬剤を含み、“細胞(the cell)”に対する言及は、1つ以上の細胞(または複数の細胞)および当業者に既知のその均等物に対する言及を含む、等。本明細書において分子量のような物理的特性または化学式のような化学的特性に関して範囲が使用される場合、範囲およびその中の特定の態様の全ての組み合わせおよび下位の組み合わせが含まれることが意図される。数値または数値範囲に言及する場合の“約”という用語は、言及される数値または数値範囲が実験的変動性の範囲内(または統計的実験誤差の範囲内)の近似値であることを意味し、従って、数値または数値範囲は、ある場合には、記載される数値または数値範囲の1%~15%で変動するであろう。“含むこと(comprising)”という用語(および“含む(comprise)”または“含む(comprises)”または“有すること”または“含むこと(including)”のような関連用語)は、他の特定の態様、例えば本明細書に記載されるあらゆる物質組成物、組成物、方法またはプロセス等の一態様において、記載される特徴“からなる”または“から本質的になる”ことを除外することを意図するものではない。
[0032] 本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対の指定がない限り、以下の用語は下記に示される意味を有する。
[0033] 本明細書に開示される化合物は、ある態様において、異なる富化された同位体形態、例えばH、H、11C、13Cおよび/または14Cの含有率において富化された形態で使用される。一つの特定の態様において、化合物は、少なくとも1つの位置において重水素化されている。そのような重水素化された形態は、米国特許第5,846,514号および第6,334,997号において記載されている手順によって作製されることができる。米国特許第5,846,514号および第6,334,997号に記載されているように、重水素化は、代謝安定性および/または有効性を向上させ、そうして薬物の作用の持続時間を増加させることができる。
[0034] 別途記載しない限り、本明細書において描かれた構造は、1つ以上の同位体富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意図されている。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換または13C-もしくは14C-富化された炭素による炭素の置換を除く本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
[0035] 本開示の化合物は、場合により、そのような化合物を構成する1つ以上の原子において不自然な割合の原子同位体を含有する。例えば、化合物は、例えば重水素(H)、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)のような同位体で標識されることができる。H、11C、13C、14C、15C、12N、13N、15N、16N、16O、17O、14F、15F、16F、17F、18F、33S、34S、35S、36S、35Cl、37Cl、79Br、81Br、125Iによる同位体置換は、全て企図されている。ある態様において、18Fによる同位体置換が企図されている。本発明の化合物の全ての同位体バリエーションは、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含される。
[0036] 特定の態様において、本明細書において開示される化合物は、H原子の一部または全部がH原子で置き換えられている。重水素含有化合物に関する合成方法は、当該技術分野において既知であり、非限定的な例としてのみ以下の合成方法を含む。
[0037] 重水素置換化合物は、以下:Dean, Dennis C.; Editor. Recent Advances in the Synthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development. [Curr., Pharm. Des., 2000; 6(10)] 2000, 110 pp; George W.; Varma, Rajender S. The Synthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates, Tetrahedron, 1989, 45(21), 6601-21;およびEvans, E. Anthony. Synthesis of radiolabeled compounds, J. Radioanal. Chem., 1981, 64(1-2), 9-32に記載されているような様々な方法を用いて合成される。
[0038] 重水素化出発物質は、容易に入手可能であり、重水素含有化合物の合成を提供するために、本明細書に記載の合成方法に供される。多数の重水素含有試薬および基礎的要素が、Aldrich Chemical Co.のような化学物質の売り主から商業的に入手可能である。
[0039] ヨードメタン-d(CDI)のような求核置換反応での使用に適した重水素移動試薬は、容易に入手可能であり、求核置換反応条件下で重水素置換炭素原子を反応基質に移動させるために採用されることができる。CDIの使用は、例としてのみ、以下の反応スキームで図説されている。
[0040] 重水素移動試薬、例えば重水素化リチウムアルミニウム(LiAlD)は、還元条件下で重水素を反応基質に移動させるために利用される。LiAlDの使用は、例としてのみ、以下の反応スキームで図説されている。
[0041] 重水素ガスおよびパラジウム触媒は、例としてのみ以下の反応スキームにおいて図説されているように、不飽和炭素-炭素結合を還元し、アリール炭素-ハロゲン結合の還元的置換を実施するために利用される。
[0042] 一態様において、本明細書で開示される化合物は、1個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、2個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、3個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、4個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、5個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、6個の重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、6個より多い重水素原子を含有する。別の態様において、本明細書で開示される化合物は、重水素原子で完全に置換されており、交換不能なH水素原子を含有しない。一態様において、重水素の組み込みのレベルは、重水素化合成基礎的要素が出発物質として使用される合成方法によって決定される。
[0043] “医薬的に許容可能な塩”は、酸および塩基の付加塩の両方を含む。本明細書で記載される複素環式KDM4阻害剤の医薬的に許容可能な塩は、あらゆる全ての医薬的に適切な塩の形態を包含することが意図されている。本明細書で記載される化合物の好ましい医薬的に許容可能な塩類は、医薬的に許容可能な酸付加塩類および医薬的に許容可能な塩基付加塩類である。
[0044] “医薬的に許容可能な酸付加塩”は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではなく、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸等で形成される塩類を指す。また、有機酸、例えば脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等で形成される塩類も含まれ、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸等を含む。従って、例示的な塩類は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等を含む。また、アルギネート、グルコン酸塩およびガラクツロン酸塩のようなアミノ酸の塩類も企図される(例えばBerge S.M. et al., “Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Science, 66:1-19 (1997)を参照)。塩基性化合物の酸付加塩は、ある態様において、当業者が精通している方法および技法に従って塩を生成するのに十分な量の所望の酸と遊離塩基形態を接触させることによって調製される。
[0045] “医薬的に許容可能な塩基付加塩”は、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的または他の点で望ましくないものではない塩類を指す。これらの塩類は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の付加から調製される。医薬的に許容可能な塩基付加塩類は、ある態様において、金属またはアミン、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンを用いて形成される。無機塩基から得られる塩類は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等を含むが、それらに限定されない。有機塩基から得られる塩類は、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂の塩類を含むが、それらに限定されず、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N-メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等。上記のBerge et al.参照。
[0046] “医薬的に許容可能な溶媒和物”は、溶媒付加形態である物質組成物を指す。ある態様において、溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含有し、水、エタノール等のような医薬的に許容可能な溶媒を用いて作製する過程の間に形成される。水和物は、溶媒が水である場合に形成され、またはアルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書で記載される化合物の溶媒和物は、好都合には本明細書で記載される過程の間に調製または形成される。本明細書で提供される化合物は、場合により、溶媒和されていない形態ならびに溶媒和形態のどちらかで存在する。
[0047] 用語“対象”または“患者”は、哺乳類を包含する。哺乳類の例は、哺乳類クラスのあらゆるメンバー:ヒト、チンパンジーのような非ヒト霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;飼育動物、例えばウサギ、イヌおよびネコ;ラット、マウス、モルモットのようなげっ歯類を含む実験動物等を含むが、それらに限定されない。一側面において、哺乳動物はヒトである。
[0048] 本明細書で使用される場合、“処置”または“処置すること”または“緩和すること”または“改善すること”は、互換的に使用される。これらの用語は、療法的利益および/または予防的利益を含むがそれらに限定されない有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。“療法的利益”は、処置されている基礎となる障害の根絶または改善を意味する。また、療法的利益は、患者が依然として基礎となる障害に罹患しているにもかかわらず患者において改善が観察されるような、基礎となる障害と関係する生理学的症状の1つ以上の根絶または改善によっても達成される。予防的利益に関して、組成物は、ある態様において、特定の疾患を発現するリスクのある患者に、またはたとえこの疾患の診断がまだなされていなくても疾患の生理学的症状の1つ以上を報告する患者に投与される。用語“処置すること”は、本明細書で使用される場合、別途示されない限り、そのような用語が適用される障害もしくは病気またはそのような障害もしくは病気の1つ以上の症状を逆行させる、緩和する、その進行を阻害する、または予防することを意味する。ある態様において、用語“処置すること”は、その用語が適用される疾患または障害の進行を遅らせることまたは遅延させることを含む。加えて、ある態様において、用語“処置すること”は、その用語が適用される疾患または障害の結果もたらされる合併症の1つ以上に適用される。用語“処置”は、本明細書で用いられる場合、別途示されない限り、“処置すること”がすぐ上で定義されているように、処置する行為を指す。
[0049] 用語“腫瘍”または“癌”は、本明細書で使用される場合、別途明記されない限り、新生物性細胞増殖を指し、前癌性および癌性の細胞および組織を含む。腫瘍は、通常は病変またはしこりとして現れる。本明細書で使用される場合、腫瘍を“処置すること”は、疾患の1つ以上の症状、例えば腫瘍自体、腫瘍の脈管形成または疾患が特性付けられる他のパラメーターが、低減され、緩和され、阻害され、寛解状態に置かれ、または寛解状態に維持されることを意味する。腫瘍を“処置すること”は、腫瘍の1つ以上の特徴が処置によって除去され得るか、低減され得るか、または予防され得ることも意味する。そのような特徴の非限定的な例は、基底膜および近位細胞外マトリックスの制御されない分解、新しい機能する毛細血管への内皮細胞の移動、分裂および組織化、ならびにそのような機能する毛細血管の持続を含む。
[0050] “難治性”または“療法抵抗性”という用語は、患者が一度も療法に反応しなかったことを示す。
[0051] “再発した”または“療法後に再発した”という用語は、患者が、最初に療法に反応した後、後天的耐性および/または不耐性のために進行性の疾患を有することを示す。
[0052] “療法耐性”または“後天性療法耐性”という用語は、患者が、最初に療法に反応した後、療法に対する臨床的または分子的耐性のために進行性の疾患を有することを示す。後天的耐性は、療法の分子標的における耐性変異の出現または排出ポンプのような生理学的機能の発現における耐性変異の出現に起因し得る。
[0053] 句“療法上有効量”は、本明細書で使用される場合、研究者、獣医師、医師等が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出すであろう薬物または医薬的薬剤の量を指す。
[0054] “腫瘍原性”という用語は、腫瘍を形成することができるか、または腫瘍を形成する傾向がある細胞を示す。
[0055] “腫瘍原性細胞集団”という用語は、新生物性の特性を有し、腫瘍を形成することができる細胞の集団を示す。
[0056] “腫瘍開始細胞”または“癌幹細胞”という用語は、急速に分裂する腫瘍の大部分を構成する様々な分化した子孫を産生する細胞(単数または複数)を指す。
[0057] 本発明の他の側面、利点、および特徴は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
ヒストン脱メチル化酵素
[0058] クロマチンは、染色体を構成するDNAおよびタンパク質の複合体である。ヒストンはクロマチンの主要なタンパク質構成要素であり、DNAが巻きつく糸巻きとして働く。クロマチン構造の変化は、ヒストンタンパク質の共有結合修飾により、そして非ヒストン結合タンパク質により影響を受ける。様々な部位でヒストンを共有結合的に修飾し得るいくつかのクラスの酵素が知られている。
[0059] タンパク質は、リジンのアミノ基およびアルギニンのグアニジノ基上のメチル化により翻訳後修飾されることができ、またはアスパラギン酸、グルタミン酸上もしくはタンパク質のC末端上でカルボキシメチル化されることができる。翻訳後タンパク質のメチル化は、様々な細胞プロセス、例えばRNAプロセシング、受容体に媒介されるシグナル伝達および細胞分化に関与していることが示されてきた。翻訳後タンパク質のメチル化は、ヒストン上で起こることが広く知られており、そのような反応は、S-アデノシルメチオニン(SAM)からヒストンにメチル基を移動させるヒストンメチルトランスフェラーゼによって触媒されることが知られている。ヒストンのメチル化は、ヘテロクロマチン形成、X染色体の不活性化および転写制御を含む多様な生物学的プロセスに参加していることが知られている(Lachner et al., (2003) J. Cell Sci. 116:2117-2124; Margueron et al., (2005) Curr. Opin. Genet. Dev. 15:163-176)。
[0060] 一般に転写活性化と相関するアセチル化とは異なり、ヒストンのメチル化が転写活性化または抑制につながるかどうかは、メチル化の特定の部位およびメチル化の程度(例えば、特定のヒストンリジン残基がモノ、ジ、またはトリメチル化されているかどうか)に依存する。しかし、一般にH3K9、H3K27およびH4K20上のメチル化は、遺伝子サイレンシングに関連し、一方でH3K4、H3K36およびH3K79上のメチル化は一般に活発な遺伝子発現と関係する。加えて、H3K4のトリおよびジメチル化は、一般に活発に転写される遺伝子の転写開始部位をマークし、一方でH3K4のモノメチル化は、エンハンサー配列と関係する。
[0061] “脱メチル化酵素”または“タンパク質脱メチル化酵素”は、本明細書で言及される場合、アミノ酸側鎖から少なくとも1つのメチル基を除去する酵素を指す。一部の脱メチル化酵素は、ヒストンに作用し、例えばヒストンH3またはH4脱メチル化酵素として作用する。例えば、H3脱メチル化酵素は、H3K4、H3K9、H3K27、H3K36および/またはH3K79の1つ以上を脱メチル化することができる。あるいは、H4脱メチル化酵素は、ヒストンH4K20を脱メチル化することができる。脱メチル化酵素は、モノ、ジおよび/またはトリメチル化基質のいずれかを脱メチル化することができることが知られている。さらに、ヒストン脱メチル化酵素は、メチル化コアヒストン基質、モノヌクレオソーム基質、ジヌクレオソーム基質および/またはオリゴヌクレオソーム基質、ペプチド基質および/またはクロマチン(例えば細胞ベースのアッセイにおいて)に作用し得る。
[0062] 最初に発見されたリジン脱メチル化酵素は、リジン特異的脱メチル化酵素1(LSD1/KDM1)であり、それは、フラビンを補因子として用いてモノおよびジメチル化H3K4またはH3K9の両方を脱メチル化する。JumonjiC(JmjC)ドメイン含有ヒストン脱メチル化酵素の第2のクラスが予測され、ホルムアルデヒド遊離アッセイを用いてH3K36脱メチル化酵素が発見された時に確証され、それは、JmjCドメイン含有ヒストン脱メチル化酵素1(JHDM1/KDM2A)と命名された。
[0063] その後、さらに多くのJmjCドメイン含有タンパク質が同定され、それらは系統学的に7つのサブファミリーにクラスター化されることができる:JHDM1、JHDM2、JHDM3、JMJD2、JARID、PHF2/PHF8、UTX/UTY、およびJmjCドメインのみ。
JMJD2ファミリー
[0064] JMJD2ファミリーのタンパク質は、トリおよびジメチル化H3-K9を脱メチル化することが知られているヒストン脱メチル化酵素のファミリーであり、最初に同定されたヒストントリメチル脱メチル化酵素であった。特に、JMJD2ファミリーメンバーの異所性発現は、トリおよびジメチル化H3-K9のレベルを劇的に減少させる一方で、モノメチル化H3-K9のレベルを増加させ、それは、ヘテロクロマチンタンパク質1(HP1)を非局在化させ、インビボでヘテロクロマチンのレベルを全体的に低減することが見出された。jumonjiタンパク質のJMJD2サブファミリーのメンバーは、JMJD2CおよびそのホモログであるJMJD2A、JMJD2B、JMJD2DおよびJMJD2Eを含む。Jumonjiタンパク質のJMJD2サブファミリーに見られる共通の構造的特徴は、JmjN、JmjC、PHDおよびTdr配列を含む。
[0065] GASC1およびKDM4Cとしても知られているJMJD2Cは、トリメチル化H3K9およびH3K36を脱メチル化することが知られている。JMJD2Cによるヒストンの脱メチル化は、鉄およびα-ケトグルタレートに依存したヒドロキシル化反応を介して起こり、ここで、JMJD2Cによるα-ケトグルタレートの酸化的脱炭酸は、二酸化炭素、スクシネートおよびフェリルを生成し、フェリルは続いてリジンH3K9のメチル基をヒドロキシル化し、ホルムアルデヒドを放出する。JMJD2Cは、核内受容体PPARγによる脂肪生成の制御を調節することが知られており、胚性幹細胞における自己再生の制御に関与することが知られている。
[0066] KDM4ヒストンリジン脱メチル化酵素は、後成的な制御因子であり、複数の腫瘍型にわたる重要な発癌駆動因子である。KDM4ファミリーは、4つの主要なイソ型(KDM4A、B、C、D)から構成されており;全てが様々な癌における後成的な制御不全に関与していることが示されている(Zack et al., 2013)。KDM4は、ヒストンH3K9およびヒストンH3K36のメチルマークを除去することにより、転写が抑制されたクロマチン状態および活性なクロマチン状態の間の移行を制御している。KDM4はまた、胚性幹細胞の自己再生および誘導多能性幹細胞の生成にも必要である(Das et al. 2014; Kim et al. 2010; Loh et al. 2007; Wang et al. 2010)。KDM4の過剰発現は、より侵襲性の疾患およびより不良な臨床転帰に関連している(Jia et al. 2020; Bur et al. 2016; Soini et al. 2015)。KDM4イソ型間の機能的冗長性と交差活性が観察されており、1つのイソ型の選択的阻害は効果的でないようである(Agger et al. 2016; Pedersen et al. 2016)。
複素環式KDM4阻害剤
[0067] 本明細書で記載される複素環式KDM4阻害剤は、以下の構造および化学名3-({[(4R)-7-{メチル[4-(プロパン-2-イル)フェニル]アミノ}-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-4-イル]メチル}アミノ)ピリジン-4-カルボン酸を有する化合物1を指す:

[0068] 化合物1は、PCT特許公開国際公開第2015/200709号および関連特許出願および付与特許、例えば米国特許第9,242,968号に以前に開示されており、それらは参照によりそのまま援用される。化合物1は、KDM4の複数のアイソフォームを同時に標的とするKDM4の汎阻害剤である。本開示全体を通して、複素環式KDM4阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩類もしくは溶媒和物への言及がなされる場合、その言及は化合物1への言及である。
癌および処置の方法
[0069] 一態様において、酵素を本明細書で開示される化合物1と接触させることを含む、ヒストン脱メチル化酵素を阻害するための方法であって、ヒストン脱メチル化酵素がKDM4を含む方法が本明細書で記載される。特定の側面において、それを必要とする個体において癌を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される複素環式KDM4阻害剤を個体に投与することを含む方法が、本明細書で開示される。特定の側面において、癌を処置する際に使用するための、本明細書で記載される複素環式KDM4阻害剤が、本明細書で開示される。特定の側面において、癌を処置するための医薬品の調製における使用のための本明細書で記載される複素環式KDM4阻害剤が、本明細書で開示される。
[0070] 一態様は、それを必要とする癌患者において癌を処置する方法であって、次の構造を有する化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌、またはT細胞急性リンパ芽球性白血病ら選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0071] 別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がトリプルネガティブ乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性T細胞白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が多発性骨髄腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性骨髄性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸腺癌と診断されている、本方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵臓癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がT細胞急性リンパ芽球性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌、または気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0072] 別の態様は、癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、胃癌、胃印環腺癌、胃の腺癌または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0073] 別の態様は、癌患者が皮膚癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が中枢神経系癌、星細胞腫グレードIVまたは神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が骨癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌が、先行療法後の再発、先行療法への抵抗性または先行療法に対する後天的耐性である方法を提供する。
[0074] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍原性細胞集団を低減する方法であって、次の構造を有する化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
。別の態様は、腫瘍原性細胞の集団が約1.5倍~約100倍低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍原性細胞の集団が、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約6.0倍、約7.0倍、約8.0倍、約9.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍または約100倍低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍原性細胞の集団が約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、または約5.0倍低減する方法を提供する。別の態様は、癌患者が、結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌またはT細胞急性リンパ芽球性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がトリプルネガティブ乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性T細胞白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道扁平上皮癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が多発性骨髄腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性骨髄性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵臓癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がT細胞急性リンパ芽球性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌、または気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、胃癌、胃印鑑腺癌、胃の腺癌または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌、または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0075] 別の態様は、癌患者が皮膚癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、中枢神経系癌、星細胞腫グレードIVまたは神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が骨癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌が、先行治療後に再発したもの、先行療法に対して抵抗性のもの、または先行療法に対して後天的に耐性であるものである方法を提供する。
[0076] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍開始細胞頻度を低減する方法であって、次の構造を有する化合物、またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
。別の態様は、腫瘍開始細胞頻度が約1.5倍~約100倍低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍開始細胞頻度が約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約6.0倍、約7.0倍、約8.0倍、約9.0倍、または約10倍低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍開始細胞頻度が約100細胞に1個~約10,000細胞に1個の頻度に低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍開始細胞頻度が、約100細胞に1個、約200細胞に1個、約300細胞に1個、約400細胞に1個、約500細胞に1個、約600細胞に1個、約700細胞に1個、約800細胞に1個、約900細胞に1個、約1、000細胞に1個、約1,200細胞に1個、約1,400細胞に1個、約1,600細胞に1個、約1,800細胞に1個、約2,000細胞に1個、約3,000細胞に1個、約4,000細胞に1個、約5,000細胞に1個、約6,000細胞に1個、約7,000細胞に1個、約8,000細胞に1個、約9,000細胞に1個または約10,000細胞に1個の頻度まで低減する方法を提供する。別の態様は、腫瘍開始細胞頻度が、約200細胞に1個、約300細胞に1個、約400細胞に1個、約500細胞に1個、約600細胞に1個、約700細胞に1個、約800細胞に1個、約900細胞に1個、約1,000細胞に1個、または約1,200細胞に1個の頻度まで低減する方法を提供する。別の態様は、癌患者が、結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌、またはT細胞急性リンパ芽球性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がトリプルネガティブ乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性T細胞白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道扁平上皮癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が多発性骨髄腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性骨髄性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵臓癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がT細胞急性リンパ芽球性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌、または気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、胃癌、胃印鑑腺癌、胃の腺癌、または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌、または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0077] 別の態様は、癌患者が皮膚癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、中枢神経系癌、星細胞腫グレードIV、または神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が骨癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌が、先行療法後に再発し、先行療法に抵抗性、または先行療法に対して後天的耐性である方法を提供する。
[0078] 別の態様は、それを必要とする癌患者において癌幹細胞を阻害する方法であって、次の構造を有する化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を個体に投与することを含む方法を提供する:
。別の態様は、癌患者が、結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌またはT細胞急性リンパ芽球性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がトリプルネガティブ乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が胃腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性T細胞白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が食道扁平上皮癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が多発性骨髄腫と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が急性骨髄性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸腺癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が結腸直腸癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵臓癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が膵癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が乳癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者がT細胞急性リンパ芽球性白血病と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌、または気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法を提供する。
別の態様は、癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、胃癌、胃印鑑腺癌、胃の腺癌、または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌、または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。
[0079] 別の態様は、癌患者が皮膚癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、中枢神経系癌、星細胞腫グレードIVまたは神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が骨癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌患者が、腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法を提供する。別の態様は、癌が、先行療法後に再発したもの、先行療法に抵抗性のもの、または先行療法に後天的耐性であるものである方法を提供する。
マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の状態
[0080] マイクロサテライト(MS)は、ショートタンデムリピート(STR)または単純配列反復(SSR)とも呼ばれ、1~6ヌクレオチドの反復配列からなる(例えば、Garrido-Ramos (2017) Genes 8(9):230参照)。MSの分布特徴は、15~65ヌクレオチドの小さなサテライトDNAのタンデムリピートとは異なる。MSIの頻度によって、それは、3タイプに区別されることができる:高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)、低マイクロサテライト不安定性(MSI-L)およびマイクロサテライト安定性(MSS)(例えばLi, et al., (2020) Cancer Cell International 20:16参照)。腫瘍細胞におけるミスマッチ修復(MMR)遺伝子の欠損または複製修復の過程における欠陥のために、高マイクロサテライト不安定性の(MSI-H)腫瘍を有する患者は処置に対してより高い感受性を示し、免疫療法から利益を得る可能性がある。
[0081] 本明細書で提供される方法の特定の態様において、方法は、癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定することをさらに含む。本明細書で提供される方法の特定の態様において、方法は、さらに癌患者が高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)と診断されるかどうかを決定することを含む。
[0082] 本明細書で提供される方法の特定の態様では、癌患者は、高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を有すると決定されている。本明細書で提供される方法の特定の態様では、癌患者は、高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の癌を有すると診断されている。
[0083] 別の態様は、(a)癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定する工程、および(b)癌患者がMSI-H癌患者であると決定された場合、療法上有効量の化合物1、またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を癌患者に投与する工程を含む、それを必要とする癌患者において癌を処置する方法を提供する。一部の態様において、癌患者は、結腸直腸癌と診断されている。一部の態様において、癌患者は、MSI-H状態を有する結腸直腸癌と診断されている。
[0084] 別の態様は、MSI-H癌患者であると決定された患者に、療法上有効量の化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、それを必要とする癌患者において高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を有する癌を処置する方法を提供する。一部の態様において、癌患者は、結腸直腸癌と診断されている。
[0085] 別の態様は、高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)癌患者を処置する方法であって、療法上有効量の化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物をMSI-H癌患者であると決定された患者に投与することを含む方法を提供する。ある態様において、癌患者は結腸直腸癌と診断されている。
[0086] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍原性細胞集団を低減する方法であって、(a)癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定する工程、および(b)MSI-H癌患者であると決定された患者に、療法上有効量の化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む方法を提供する。ある態様において、癌患者は、結腸直腸癌と診断されている。ある態様において、癌患者は、MSI-H状態を有する結腸直腸癌と診断されている。
[0087] 別の態様は、それを必要とする癌患者において腫瘍開始細胞頻度を低減する方法であって、(a)癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定する工程、および(b)MSI-H癌患者であると決定された患者に療法上有効量の化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む方法を提供する。一部の態様において、癌患者は、結腸直腸癌と診断されている。ある態様において、癌患者は、MSI-H状態を有する結腸直腸癌と診断されている。
[0088] 別の態様は、それを必要とする癌患者において癌幹細胞を阻害する方法であって、(a)癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定する工程、および(b)MSI-H癌患者であると決定された患者に、療法上有効量の化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む方法を提供する。一部の態様において、癌患者は結腸直腸癌と診断されている。一部の態様において、癌患者は、MSI-H状態を有する結腸直腸癌と診断されている。
[0089] マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の状態は、次世代シーケンシング(NGS)、蛍光マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動(CE)、免疫組織化学(IHC)、単一分子分子反転プローブ(smMIP)、およびMSI計算(例えば、MANTIS)を含むがそれらに限定されない当業者に既知の方法を使用して検出または決定されることができる。一態様において、MSI-H状態は、次世代シーケンシング(NGS)によって決定される。別の態様において、MSI-H状態は、蛍光マルチプレックスPCRによって決定される。さらに別の態様において、MSI-H状態は、キャピラリー電気泳動(CE)によって決定される。さらに別の態様において、MSI-H状態は、免疫組織化学(IHC)によって決定される。さらに別の態様において、MSI-H状態は、単一分子分子反転プローブ(smMIP)によって決定される。さらに別の態様において、MSI-H状態は、MSI計算によって決定される。
[0090] 特定の態様において、MSI-Hは、BAT-25、BAT-26、D2S123、D5S346およびD17S250からなる群から選択される2つ以上の反復遺伝子座マイクロサテライトマーカーを有する。特定の態様において、癌患者は、癌患者がBAT-25、BAT-26、D2S123、D5S346およびD17S250からなる群より選択される2つ以上の反復遺伝子座マイクロサテライトマーカーを有すると決定される場合に、MSI-H状態を有すると決定される。
バイオマーカーおよびその使用方法
[0091] 本明細書で提供される方法は、部分的には、化合物処理の際の特定のバイオマーカーの検出可能な増加または減少が、所与の処置、例えば、以下の構造を有する化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物に応答する癌(例えば、結腸直腸癌)の細胞培養物およびオルガノイドにおいて観察され:
そしてこれらのバイオマーカーのレベルが処置に対する患者の応答性を予測するために使用され得るという所見に基づく。
[0092] “生物学的マーカー”または“バイオマーカー”は、その変化および/または検出が特定の生物学的状態を示す物質である。ある態様において、その指標は、所与の処置(例えば化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物)に対する疾患、例えば癌(例えば結腸直腸癌)の応答性である。
[0093] 実施例に記載され、図に示されるように、特定のタンパク質および/またはmRNAのレベルは、化合物1に応答して変化する。これらのバイオマーカーは、PNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1を含む。本明細書で提供されるバイオマーカーの各々は、それらの様々なイソ型、リン酸化形態、切断形態、修飾形態およびスプライシングバリアントを含む。一部の態様において、これらのバイオマーカーのイソ型、リン酸化形態、切断形態、修飾形態および/またはスプライシングバリアントのレベルは、化合物処置に応答して増加または減少し、従ってバイオマーカーのこれらのイソ型、リン酸化形態、切断形態、修飾形態および/またはスプライシングバリアントは患者の応答を予測するために使用され得る。
[0094] 一側面において、本明細書において、処置化合物に応答する可能性が高い癌を有する癌患者を同定する方法であって、以下の工程:(a)患者に処置化合物を投与し;(b)患者から試料を得て;(c)試料中のバイオマーカーのレベルを決定し;そして(d)試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの参照レベルと異なる場合、患者を処置化合物に応答する可能性が高いと診断する;を含み、処置化合物が、化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法を提供する。一態様において、バイオマーカーは、PNUTSである。
[0095] 別の側面において、本明細書において、処置化合物に応答する可能性が高い癌を有する癌患者を同定する方法であって、以下の工程:(a)患者から試料を得て;(b)試料に処置化合物を投与し:(c)試料中のバイオマーカーのレベルを決定し;そして(d)試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの参照レベルと異なる場合、患者を処置化合物に応答する可能性が高いと診断する;を含み、処置化合物が、化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法を提供する。一態様において、バイオマーカーは、PNUTSである。
[0096] 本明細書で提供される方法の一部の態様において、処置化合物を癌患者からの試料に投与することは、インビトロで実施される。他の態様において、処置化合物を癌を有する患者からの試料に投与することは、インビボで実施される。特定の態様において、試料は、細胞である。一態様において、細胞は、ある期間の間、例えば5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、もしくは55分、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24時間、または2、3、もしくはより多い日数、処置化合物と接触させられる。他の態様において、細胞は、別の癌患者から得られる。
[0097] ある態様において、患者の試料中のバイオマーカーのレベルは、バイオマーカーの参照レベルよりも高い。他の態様において、患者の試料中のバイオマーカーのレベルは、バイオマーカーの参照レベルよりも低い。
[0098] さらに別の側面において、癌患者の処置化合物に対する応答性を予測する方法であって、以下の工程:(a)処置化合物を患者に投与し;(b)患者から試料を得て:(c)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルを決定し;(d)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルが参照試料から得られたPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルと異なる場合、処置化合物による癌の処置に応答する可能性が高いと患者を診断する;を含み、処置化合物が化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法が、本明細書において提供される。一態様において、バイオマーカーはPNUTSである。
[0099] さらに別の側面において、本明細書において、癌患者の処置化合物に対する応答性を予測する方法であって、以下の工程:(a)患者から試料を得て;(b)試料に処置化合物を投与し;(c)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルを決定し;そして(d)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルが参照試料から得られたPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルと異なる場合、患者を処置化合物を用いた癌の処置に応答性である可能性が高いと診断する;を含み、処置化合物が化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法が提供される。一態様において、PNUTSのレベルが決定され、比較される。
[00100] さらに別の側面において、本明細書において、処置化合物による対象における癌の処置の有効性をモニタリングする方法であって、以下の工程:(a)患者に処置化合物を投与し;(b)患者から試料を得て;(c)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1、またはCECR1のレベルを決定し;(d)試料中のPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルが、参照試料から得られたPNUTS、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1、またはCECR1のレベルと異なる場合、処置化合物による癌の治療に反応する可能性が高いと患者を診断する:を含み、処置化合物が化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法が提供される。ある態様において、参照と比較したバイオマーカーのレベルの変化は、患者のがんを処置する際の処置化合物の有効性を示す。一態様において、バイオマーカーのレベルの増加は、患者における癌の処置における処置化合物の有効性を示す。別の態様において、バイオマーカーのレベルの低下は、患者における癌の治療における処置化合物の有効性を示す。一態様において、PNUTSのレベルが決定され、比較される。
[00101] 特定の態様において、癌患者が処置化合物に応答性である可能性が高いと診断された場合、本明細書に提供される方法は、療法上有効量の処置化合物を患者に投与することをさらに含む。
[00102] 別の側面において、以下の工程:(a)癌を有する患者から試料を得て;(b)試料中のバイオマーカーのレベルを決定し;(c)試料中のバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの参照レベルと異なる場合、患者を処置化合物に応答する可能性が高いと診断し;そして(d)療法上有効量の処置化合物を患者に投与する;を含み、処置化合物が、化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である方法が、本明細書において提供される。
[00103] ある態様において、患者の試料中のバイオマーカーのレベルは、バイオマーカーの参照レベルよりも高い。他の態様において、患者の試料中のバイオマーカーのレベルは、バイオマーカーの参照レベルよりも低い。
[00104] 本明細書で提供される様々な方法のある態様において、処置化合物が、処置化合物に応答する可能性が高い患者に投与される。また、本明細書において、癌に関して以前に処置されたが、標準療法に対して非応答性である患者、ならびに以前に処置されていない患者を処置する方法も提供される。本発明はまた、患者の年齢にかかわらず患者を処置する方法を包含するが、一部の疾患または障害は特定の年齢群においてより一般的である。本発明はさらに、問題の疾患または病気を処置しようとして手術を受けた患者、ならびに受けていない患者を処置する方法を包含する。癌を有する患者は不均一な臨床症状および様々な臨床転帰を有するので、患者に与えられる処置は彼の/彼女の予後に応じて変化し得る。熟練した臨床医は、過度の実験を行うことなく、特定の二次薬剤、手術のタイプおよび癌を有する個々の患者を処置するために効果的に使用されることができる非薬物ベースの標準療法のタイプを容易に決定することができるであろう。
[00105] 実施例に示されるように、特定のバイオマーカー、例えばPNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1のレベルは、化合物1処置に応答して変化する。従って、一部の態様において、バイオマーカーは、PNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1からなる群から選択される。一態様において、バイオマーカーは、PNUTS(PPP1R10)である。別の態様において、バイオマーカーは、ANK1である。さらに別の態様において、バイオマーカーはIBA57である。さらに別の態様において、バイオマーカーは、SOWAHDである。さらに別の態様において、バイオマーカーは、MF12-AS1である。さらに別の態様において、バイオマーカーは、CECR1である。
[00106] 本明細書で提供される様々な方法のある態様において、バイオマーカーは、PNUTS、ANK1またはIBA57であり、ここで、PNUTS、ANK1またはIBA57のレベルは、化合物1処置に応答して参照と比較して減少する。本明細書で提供される様々な方法のある態様において、バイオマーカーは、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1であり、SOWAHD、MF12-AS1またはCECR1のレベルは、化合物1処置に応答して参照と比較して増加する。
[00107] 特定の態様において、本明細書で提供される様々な方法は、対象または個体(例えば患者)由来の試料(例えば生物学的試料)を使用する。患者は、癌(例えば結腸直腸癌)を有する患者のような患者であり得る。患者は、男性または女性であり得、成人、子供または乳児であり得る。試料は、癌(例えば、結腸直腸癌)の活動期の間の時、または癌(例えば、結腸直腸癌)が不活性である時に分析されることができる。特定の態様において、患者から1つより多くの試料を得ることができる。
[00108] ある態様において、本方法で使用される試料は、生検(例えば腫瘍生検)を含む。生検は、あらゆる器官または組織、例えば皮膚、肝臓、肺、心臓、結腸、腎臓、骨髄、歯、リンパ節、毛髪、脾臓、脳、乳房または他の器官に由来し得る。当業者に既知のあらゆる生検技法、例えば、開放生検、閉鎖生検、コア生検、切開生検、切除生検、または細針吸引生検が、対象から試料を単離するために使用され得る。
[00109] 一態様において、本明細書で提供される方法で使用される試料は、患者が疾患または障害に関する処置を受ける前に、患者から得られる。別の態様において、試料は、患者が疾患または障害に関する処置を受けている間に患者から得られる。別の態様において、試料は、患者が疾患または障害に関する処置を受けた後に患者から得られる。様々な態様において、処置は、化合物1を患者に投与することを含む。
[00110] 特定の態様において、本明細書で提供される方法で使用される試料は、癌(例えば結腸直腸癌)細胞のような複数の細胞を含む。そのような細胞は、あらゆるタイプの細胞、例えば幹細胞、血液細胞(例えば末梢血単核球(PBMC))、リンパ球、B細胞、T細胞、単球、顆粒球、免疫細胞または癌細胞を含むことができる。
医薬組成物
[00111] 特定の態様において、本明細書に記載の複素環式KDM4阻害剤は、純粋な化学物質として投与される。他の態様において、本明細書に記載される複素環式KDM4阻害剤は、選択された投与経路および標準的な医薬的実践に基づいて選択される、医薬的に適切なまたは許容可能なキャリヤー(本明細書において、医薬的に適切なもしくは許容可能な賦形剤、生理学的に適切なもしくは許容可能な賦形剤、または生理学的に適切なもしくは許容可能なキャリヤーとも呼ばれる)と組み合わせられる。
[00112] 本明細書で記載される複素環式KDM4阻害剤またはその立体異性体、医薬的に許容可能な塩、水和物、もしくは溶媒和物を1以上の医薬的に許容可能なキャリヤーと一緒に含む医薬組成物が、本明細書において提供される。キャリヤー(単数または複数)(または賦形剤(単数または複数))は、キャリヤーが組成物の他の成分と適合性であり、組成物のレシピエント(すなわち、対象または患者)に有害でない場合、許容可能であるかまたは適切である。
[00113] 一態様は、本明細書に記載の複素環式KDM4阻害剤またはその立体異性体、医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物および医薬的に許容可能なキャリヤーを混合することを含む、医薬組成物を調製する方法を提供する。
[00114] 本明細書において、医薬組成物が経口投与される方法が提供される。適切な経口剤形は、例えば錠剤、丸剤、サシェ剤、または硬もしくは軟ゼラチン、メチルセルロースのカプセル、または消化管において容易に溶解する別の適切な材料のカプセルを含む。ある態様において、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等を含む適切な非毒性固体キャリヤーが使用される(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro, 第21版 Mack Pub. Co., Easton, PA(2005)参照)。
[00115] 本明細書において、医薬組成物が注射によって投与される方法が提供される。ある態様において、本明細書に記載の複素環式KDM4阻害剤またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、注射による投与のために配合される。ある場合において、注射配合物は、水性配合物である。ある場合において、注射配合物は、非水性配合物である。ある場合において、注射配合物は、ゴマ油等のような油ベースの配合物である。
[00116] 本明細書に記載の複素環式KDM4阻害剤、またはその立体異性体、医薬的に許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を含む組成物の用量は、対象または患者(例えばヒト)の状態に応じて異なる。ある態様において、そのような因子は、一般的な健康状態、年齢および他の因子を含む。医薬組成物は、処置(または予防)されるべき疾患に適切な様式で投与される。投与の適切な用量ならびに適切な期間および頻度は、患者の状態、患者の疾患のタイプおよび重症度、有効成分の特定の形態ならびに投与方法のような因子によって決定されるであろう。一般に、適切な用量および処置レジメンは、療法的および/または予防的利益(例えばより頻繁な完全寛解もしくは部分寛解、またはより長い無病および/もしくは全生存、または症状重症度の低下のような改善された臨床転帰)を提供するのに十分な量の組成物(単数または複数)を提供する。最適用量は、一般に実験モデルおよび/または臨床試験を用いて決定される。最適な用量は、患者の体重、重量または血液量に依存する。
実施例
[00117] これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、本明細書に提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
背景
[00118] ヒストンリジン脱メチル化酵素のKDM4ファミリーは、4つの主要なイソ型(KDM4A、B、C、D)からなり、その全てが、重要な発癌駆動因子として同定されている。それらは、後成的な調節因子として機能し、ヒストンH3K9およびヒストンH3K36上のメチルマークの除去を介して転写的に抑制されたクロマチン状態および活性なクロマチン状態の間の移行を制御する。KDM4イソ型は、様々な癌における後成的な調節不全において重要な役割を果たし、より侵襲性の疾患およびより不良な臨床転帰と関連している。機能的冗長性および交差活性が、KDM4ファミリーメンバーにわたって観察されており、1つのイソ型の選択的阻害は効果的でないようである。化合物1は、KDM4の複数のイソ型を同時に標的とするKDM4の汎阻害剤である。
実施例1:化合物1のKDM4阻害活性
[00119] 図1は、強力な汎KDM4阻害剤である化合物1の生化学的活性を図説する。図2は、H3K9me3脱メチル化の可逆的かつ競合的阻害を図説する。図3は、化合物1がS期において細胞周期停止を誘導することを図説する。図4は、化合物1がヒト癌細胞株においてアポトーシスを誘導することを実証する。PCT特許公開国際公開第2015/200709号および関連する特許出願および付与された特許、例えば米国特許第9,242,968号も参照、それらはそのまま参照により援用される。
実施例2a:化合物1は、細胞培養およびオルガノイドモデルにおいて細胞増殖を阻害する
[00120] 化合物1を、複数の癌細胞株および患者由来オルガノイドモデルにおけるインビトロ細胞増殖アッセイ(BrdUアッセイ、MTSアッセイ、またはCell Titer Glo(CTG)アッセイ)において評価して、最大半量阻害濃度(IC50)を決定した。
[00121] 生存度およびBrdUチミジン組み込みアッセイを、増殖培地中に細胞を播種したマルチウェルプレートで実施した。播種後、マルチウェルプレートを37℃の加湿したインキュベーターで24時間培養し、接着を促進した。アッセイは、陰性対照としてのDMSOまたは陽性対照としての≧100×IC50濃度の阻害剤パノビノスタットまたは系列希釈した化合物1のいずれかを添加することによって、個々の試験ウェルにおいて開始された。培養物を168時間インキュベートし、その後、各試験ウェル中の生存細胞の数またはチミジン組み込み量を、上記で示した方法によって評価した。読み出しは、EnVision(登録商標)マルチラベルリーダー(PerkinElmer、マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて実施し、結果を陰性対照のパーセントとして表した。対照値のパーセントを、対応する化合物1濃度に対してプロットし、相対IC50値を、阻害が最大の半分である濃度として、非線形回帰曲線から決定した。IC50決定の数が1を超えた細胞株に関して、IC50を平均IC50±SDとして表した。
[00122] 細胞増殖の化合物1阻害に関する最大半量阻害濃度(IC50)値を、9つの癌細胞株および1つの正常ヒト線維芽細胞株に関して決定した。表1に示されるように、IMR-90、正常ヒト線維芽細胞株、およびヒト乳癌株であるZR75-1を除いて、168時間の化合物1処置はパネルにわたって強力な抗増殖活性を示し、それは、固形癌細胞株および血液癌細胞株の両方を含んだ。化合物1は、8種の固形および血液癌細胞株:Jurkat、MDA-MB-231、KYSE-150、MM.1s、HL-60、HT-29、MCF-7およびLoucyに関して強力な抗増殖活性(<0.040μM)を示した。
[00123] 化合物1のコロニー形成の阻害および生存度に関するIC50値は、患者由来の結腸癌オルガノイドモデル:SU60、T002C、SU62、SU34、SU103、T035CおよびSU106、患者由来の膵臓癌オルガノイドモデルPA165F、PA0143F、T016PおよびT028P、ならびに患者由来の乳癌オルガノイドモデルFS53に関して決定された。
[00124] コロニー形成および生存度アッセイを、Matrigel層、所定のセットの成長因子を含有する培地およびWnt3A分泌マウス胚性線維芽細胞との共培養からなるインビトロ培養系を用いて、オルガノイドを播種したマルチウェルプレートにおいて実施した。アッセイは、陰性対照としてDMSOまたはまたは陽性対照として≧100×IC50濃度の阻害剤パノビノスタットまたは系列希釈した化合物1のいずれかを添加することによって開始された。培養物を168または144時間インキュベートし、その後、各試験ウェル中の生存オルガノイドの数を、2つの検出方法:CTGまたはカルセイン-AMでの染色、その後のイメージングおよびコロニー計数の1つを用いてそれぞれ評価した。化合物1で処理した細胞のコロニー数または生存度を、陰性対照のパーセントとして表した。対照値の集計された(Aggregated)パーセントを対応する化合物1濃度に対してプロットし、絶対IC50値を、阻害が対照の50%である濃度として非線形回帰曲線から決定した。
[00125] 表2に示されるように、化合物1処置は、結腸直腸癌モデルSU60、T002C、およびSU62に関してサブマイクロモル濃度の抗増殖活性を示し、IC50値<0.15Mをもたらした。化合物1処置はまた、PA165F膵臓癌モデルに関して強力な抗増殖活性を示し、IC50値<0.03Mをもたらした。SU34、SU103、T035CおよびSU106結腸直腸癌モデルならびに膵臓癌モデルPA143F、T016PおよびT028Pは、これらのコロニー形成および生存度アッセイにおいて、化合物1に反応せず、IC50値>10Mであった。化合物1処置後のFS53ヒト乳癌モデルに関して、13.6MのIC50値が決定された。2つのSU60アッセイにわたって集計されたデータに関する代表的な滴定曲線を構築し、図9として示した。
[00126] 図9に示されるように、対照のパーセント=陰性対照コロニー数に対して正規化された化合物1処置オルガノイドのコロニー数(パーセントとして表される);2つのSU60実験からの曲線を合わせたデータ;エラーバーは、2つの独立した実験に関する±SDである。コロニー形成阻害アッセイを、SU60オルガノイドを播種したマルチウェルプレートで実施した。培養物を168時間インキュベートし、その後カルセインAMで染色し、続いてイメージングおよびコロニー計数によりコロニー数を評価した。コロニー数を陰性対照のパーセントとして表し、集計された対照値のパーセントを対応する化合物1濃度に対してプロットした。非線形回帰を用いて曲線を当てはめた。
実施例2b:癌細胞株パネルにおける化合物1の評価
[00127] より大規模なスクリーニング研究において、化合物1を、異なる腫瘍型からの301の癌細胞株からなる広範な癌細胞株パネル(OncoPanel;HD Biosciences)にわたって評価した。
[00128] 2D細胞生存度阻害アッセイを、パネルからの細胞を播種したマルチウェルプレートで実施した。播種後、プレートを37℃の加湿インキュベーター中で一夜培養し、接着を促進した。アッセイは、ビヒクル対照としてのDMSO、ブランクとしての増殖培地または系列希釈した化合物1(1:3系列希釈で10μM~0.0005μM)のいずれかを添加することによって、個々のウェルにおいて開始された。培養物を168時間インキュベートし、その後、各試験ウェル中の生存細胞の数を、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存度アッセイを用いて評価した。発光読み出しを、EnVision(登録商標)マルチラベルリーダーを用いて実施し、化合物1の読み出しを、DMSO対照読み出しに対して正規化し、対照のパーセントとして表した。外れ値は、目視検査によってフラグアウトされた(flagged out)。対照のパーセントを、対応する化合物1濃度に対してプロットし、絶対IC50値を、4パラメーターロジスティック非線形回帰を用いて、阻害が対照の50%である濃度として決定した。最大阻害<50%に関して、絶対IC50は>10と報告された。EC50およびIC50に加えて、AUCを決定し、理論的な阻害なしに対応する面積(化合物用量範囲によって定義される矩形面積、およびyにおける0~100)に対して正規化した。Emaxは、化合物用量範囲でyの最小値として記録した。Emax>40の細胞株に関して、EC50を手動で10μMに設定した。R hclust関数で実施した正規化入力値および“Ward.D”法の間のユークリッド距離に基づく階層的クラスタリングアルゴリズムを用いて、化合物1の細胞効力データを可視化した。各細胞株に関する感受性/中程度/耐性コールを、得られたクラスター化デンドログラムを視覚的に検査することによって決定した。すべての分析はR Core Teamで行った。
[00129] 結果は、化合物1が癌細胞株の増殖を強力に阻害し、<500pM~>10μMの範囲の絶対IC50値で高度に選択的な効力プロファイルを示すことを実証した。301株のうち、209株は化合物1により1μM未満のIC50値で阻害されたが、89株は10μMより大きいIC50値で非感受性であった。表3は、全301細胞株に関する結果を提供する。
実施例3:異種移植片モデルにおける抗増殖活性の決定
[00130] 化合物1の療法的インビボ有効性を、SU60結腸直腸癌、KYSE-150食道癌、COH70トリプルネガティブ乳癌、GXA-3036胃腺癌およびOCI-LY19びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおいて評価した。全ての研究において、有効性は、対照動物および処置動物の間のTGI分析の日におけるパーセント腫瘍増殖阻害(TGI)、平均腫瘍増殖の差および正味腫瘍体積分布における差の統計学的評価に基づいて決定された。耐容性は、試験過程にわたる対照動物および処置動物の間の平均体重の差に基づいて評価された。
A.SU60患者由来結腸直腸癌異種移植片モデルにおける化合物1のインビボでの有効性
[00131] 50%ポリエチレングリコール400(PEG 400)および50% PBS(pH 9)で構成されたビヒクル中で遊離酸形態として経口投与された化合物1のインビボ療法的有効性および耐容性を、雌の非肥満糖尿病/重症複合免疫不全(NOD/SCID)ガンマ(NSG)マウスにおいて確立されたSU60 CRC PDXモデルにおいて評価した。各マウスに、Matrigelに懸濁させた2×106個のSU60腫瘍細胞(0.1ml)を腹腔中に皮下接種した。平均腫瘍サイズが約270mm3に達した時点で、試験動物を1群あたり8匹のマウスからなる6群に無作為化し、処置を開始した。対照マウスには、50% PEG 400および50% PBS(pH 9)ビヒクルPO QD ×7を与えた。処置マウスには、ビヒクルPO中の化合物1を、20または10mg/kg QD ×7で、20mg/kg QODで、23mg/kg 3オン/4オフで、または14mg/kg 5オン/2オフで与えた。TGIは、19日目に(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定した。処置動物対対照動物に関するTGI分析の日の平均正味腫瘍体積の差を、一元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くダネットの多重比較検定を用いて統計学的に評価した。調整されたp値が示されており、ここで、計算された確率(p)≦0.05が統計的に有意であると見なされた。個々の腫瘍を、カリパスを用いて週2回、二次元で測定し、mm3での腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5(l×w×h)(式中、l、wおよびhは、それぞれmmでの腫瘍長、幅および高さである)を用いて計算した;平均腫瘍体積±平均の標準誤差(SEM)を計算し、投与日数に対してプロットした(図10左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図10右パネル)。
[00132] 表4に示されるように、5つの化合物1レジメンは全て、処置動物対対照動物に関するTGI分析の日における平均正味腫瘍体積の差の統計的評価に基づいて、有意に有効であった(p<0.005)。20または10mg/kgの化合物1を1日1回、7日間(QD×7)投与すると、71%および48%の用量依存性TGIが得られた。最適な間欠的投与スケジュールを確認するために、QD×7、2日に1回(QOD)、3日間の1日1回の投与後4日間投与なしを試験終了まで反復(3オン/4オフ)、および5オン/2オフの4つの化合物1投与レジメンを同様の毎週投与レベル(69~70mg/kg/週)で試験した。3オン/4オフおよび5オン/2オフの間欠的スケジュールは、QD×7と同様の腫瘍増殖応答をもたらした(52%および42%対48%TGI)。QOD投与された20mg/kgの化合物1は、29%のTGIをもたらす最も有効性の低いレジメンであった。
[00133] 図10(左パネル)に示されるように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図10(右パネル)に示されるように、化合物1は、試験の経過にわたって名目上の平均体重変化で十分に耐容されたように見えた。
B.KYSE-150ヒト食道癌細胞株異種移植片モデルにおける化合物1のインビボ有効性
[00134] 試験番号1-10%のPEG400および90%の0.5%メチルセルロース(MC)で構成されるビヒクル中に懸濁されたリジン塩として経口投与された化合物1のインビボ療法的有効性および耐容性を、雌NSGマウスにおいて確立されたKYSE-150 ESCC CDXモデルにおいて評価した。表5に示されるように、3オン/4オフスケジュールで投与された5、15、または50mg/kg(遊離酸当量)の化合物4は、それぞれ19%、50%および72%の用量依存性TGIをもたらした。処置動物対対照動物に関するTGI分析の日の平均正味腫瘍体積の差は、15および50mg/kgでは化合物1に関して有意であったが(p<0.001)、5mg/kgでは有意でなかった(p>0.05)。図11(左パネル)に示すように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図11(右パネル)に示されるように、化合物1は、研究の過程にわたって名目上の平均体重増加で十分に耐容されたように見えた。各マウスに、PBSに懸濁した1×107個のKYSE-150腫瘍細胞(0.1ml)を右側腹部に皮下接種した。平均腫瘍サイズが約117mm3に達した時、試験動物を1群当たり9匹のマウスからなる4群に無作為化し、処置を開始した。対照マウスには、10%のPEG 400および90%の0.5% MCビヒクルをPO 3オン/4オフで与えた。処置マウスに、ビヒクル中に懸濁させた化合物1のリジン塩形態を、同じスケジュールで5、15、または50mg/kgで与えた。TGIを19日目に(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定した;処置動物対対照動物に関するTGI分析の日の平均正味腫瘍体積の差を、一元配置ANOVAを用いて統計的に評価し、続いてダネットの多重比較検定を行った;計算された確率(p)≦0.05が統計的に有意であると見なされた調整p値を示す。個々の腫瘍を、カリパスを用いて週2回、3次元で測定し、mm3での腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5(l×w×h)(式中、l、wおよびhは、それぞれ腫瘍の長さ、幅、および高さ(mm)である)を用いて計算し;平均腫瘍体積±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(右パネル)。
[00135] 研究#2-10%のPEG400および90%の0.5% MCで構成されるビヒクル中に懸濁されたリジン塩として経口投与された化合物1のインビボ療法有効性および耐容性を、雌NOD/SCIDマウスにおいて確立されたKYSE-150 ESCC CDXモデルにおいて評価した。各マウスに、50%Matrigelに懸濁した1×107個のKYSE-150腫瘍細胞(0.1ml)を右側腹部に皮下接種した。平均腫瘍サイズが約153mm3に達した時点で、試験動物を1群あたり8匹のマウスからなる4群に無作為化し、処置を開始した。対照マウスには、10%のPEG 400および90%の0.5% MCビヒクルPO QD×21を与えた。処置マウスには、ビヒクル中に懸濁させた化合物1のリジン塩形態を、同じスケジュールで10、15、または20mg/kgで与えた。TGIは、21日目に(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定された。個々の腫瘍を、カリパスを用いて週2回、二次元で測定し、mm3での腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5a×b2(式中、aおよびbはそれぞれ、mm単位の長および短腫瘍直径である)を用いて計算した;平均腫瘍体積±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図12左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図12右パネル)。
[00136] 処置動物対対照動物に関するTGI分析日の平均正味腫瘍体積の差を、一元配置ANOVAとそれに続くダネットの多重比較検定を用いて統計的に評価した。調整されたp値を示し、ここで、計算された確率(p)≦0.05が統計的に有意であると見なされる。
[00137] 表6に示されるように、QD×21スケジュールで投与された10、15または20mg/kg(遊離酸当量)の化合物1は、それぞれ54%、76%、および84%の用量依存性TGIをもたらした。処置動物対対照動物に関するTGI分析日の平均正味腫瘍体積の差は、有意であった(p<0.02)。
[00138] 図12(左パネル)に示されるように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図12(右パネル)に示されるように、化合物1処置動物は対照動物によって示される体重増加を経験しなかったが、試験の経過にわたって名目上の平均体重変化で十分に耐容されたように見えた。
C.COH70患者由来トリプルネガティブ乳癌異種移植片モデルにおける化合物1のインビボでの有効性
[00139] PBSビヒクル+2当量のNaOH(最終pH10)中の遊離酸形態として経口投与された化合物1のインビボ療法有効性および耐容性を、雌NSGマウスにおいて確立されたCOH70 TNBC PDXモデルを用いた用量範囲研究において評価した。各マウスに、Matrigel中で懸濁した2×106個のCOH70腫瘍細胞(0.2ml)を腹腔中に皮下接種した。平均腫瘍サイズが~107mm3に達した時、試験動物を1群あたり9匹のマウスからなる5群に無作為化し、処置を開始した。対照マウスには、PBS(pH 10)ビヒクルPO QD×36を与えた。処置マウスには、化合物1(PBS+2当量のNaOH、最終pH10中で溶解させた)POを50、40、25または12.5mg/kgのQD×36で与えた。TGIは、36日目に(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定した。個々の腫瘍を、カリパスを用いて2次元で週2回測定し、(mm3での)腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5(l×w×h)(式中、l、wおよびhは、それぞれ腫瘍長、幅、および高さ(mm)である)を用いて計算した。平均腫瘍体積±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(右パネル)。
[00140] TGI分析日の処置動物対対照動物に関する正味腫瘍体積の分布における差を、一元配置ANOVAとそれに続くダネットの多重比較検定を用いて統計学的に評価した;調整されたp値が示されており、ここで、計算された確率(p)≦0.05は、統計学的に有意であると見なされた;これらは、統計学的有意性の検定であり、群間の差の大きさの推定値を提供せず、それらは臨床的または生物学的有意性の尺度でもない。
[00141] 表7に示されるように、QD×36スケジュールで投与された12.5、20、40、または50mg/kgの化合物1は、処置動物対対照動物に関するTGI分析の日の平均正味腫瘍体積の差に基づいて、有意に有効であり(p<0.0001)、それぞれ57%、68%、86%および86%のTGIをもたらした。化合物1は、≧40mg/kgの用量でプラトーに達する腫瘍増殖の用量依存的阻害をもたらした。
[00142] 図13(左パネル)に示されるように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図13(右パネル)に示されるように、化合物1は、試験の経過にわたって、名目用量依存的平均体重変化(≦6.5%平均体重減少)で十分に耐容されたように見えた。
D.GXA-3036胃腺癌患者由来異種移植片モデルにおける化合物1のインビボでの有効性
[00143] 50mMリン酸緩衝液(pH 7.4)中の5%2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HPBCD)で構成されるビヒクル中に懸濁されたリジン塩形態として経口投与された化合物1のインビボでの有効性および耐容性を、アジア人起源の中程度に分化した腸型(Laurenの基準に基づく)PDXモデルである皮下胃腺癌GXA-3036を用いて、雌免疫不全NMRI-Foxn1nuマウスにおいて評価した。各マウスに、GXA-3036腫瘍断片(3~4mmのエッジ長)を右側腹部に皮下接種した。平均腫瘍サイズが約109mm3に達した時、試験動物を1群あたり8匹のマウスからなる5群に無作為化し、処置を開始した。対照マウスには、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)ビヒクル中5% HPBCDをPOで3オン/4オフで与えた。処置マウスは、ビヒクル中の化合物1リジン塩形態を、同じスケジュールで5、15、または50mg/kgで、または22.5mg/kg 2オン/5オフで与えられた。1匹の対照動物は、瀕死状態に分類され、17日目に安楽死させ、分析から打ち切った。個々の腫瘍を、カリパスを用いて2次元で週2回測定し、mm3での腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5a×b2(式中、aおよびbは、それぞれ、mmでの長径および短径である)を用いて計算した。平均腫瘍体積± SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図14左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図14右パネル)。
[00144] TGIは35日目および38日目に、(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定された。処置動物対対照動物に関するTGI分析日における正味腫瘍体積の中央値の差を、ノンパラメトリッククラスカル-ウォリス検定、続いてDunnの多重比較検定を用いて統計学的に評価した。報告された調整されたp値は、計算された確率(p)≦0.05が統計的に有意であると見なされたTGI分析の両日に関してである。
[00145] 表8に示されるように、3オン/4オフスケジュールで投与された5、15または50mg/kg(遊離酸当量)の化合物1は、35日目に52%、71%、および55%、ならびに38日目に43%、69%、および52%のそれぞれのTGIをもたらした。D38において5mg/kgの化合物1群によって示されたより低いTGIは、中央値をシフトさせた単一の動物に関する腫瘍体積の中程度の増加によるものであった。2オン/5オフスケジュールで投与された22.5mg/kg(遊離酸当量)の化合物1は、35日目および38日目にそれぞれ42%および41%のTGIをもたらした。処置動物対対照動物に関するTGI分析の両日における正味腫瘍体積の中央値の差は、15mg/kgの化合物1に関しては有意であったが(p=0.0007)、他の処置レジメンに関しては有意ではなかった(p>0.05)。
[00146] 図14(左パネル)に示すように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図14(右パネル)に示されるように、化合物1は、試験の経過にわたって、平均体重の変化がほとんどなく、十分に耐容されているように見えた。
E.OCI-LY19ヒトびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫異種移植片モデルにおける化合物1のインビボでの有効性
[00147] 0.5% MCビヒクル中に懸濁されたリジン塩形態として経口投与された化合物1のインビボでの有効性および耐容性を、再発時にびまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫(DLBCL)ステージ4Bの女性患者の骨髄から確立されたOCI-LY19腫瘍細胞を皮下接種した雌C.B-17重症複合免疫不全(scid)マウスにおいて評価した。各マウスに、50%マトリゲル中で懸濁した5×106個のOCI-LY19腫瘍細胞(0.1ml)を右側腹部に皮下接種した。平均腫瘍サイズが約165mm3に達した時点で、試験動物を1群あたり8匹のマウスからなる6群に無作為化し、処置を開始した。試験対照マウスは0.5%MCビヒクルPO QD 3オン/4オフを与えられ、陽性対照マウスはCHOP療法QD×5を与えられた。化合物1で処置したマウスには、ビヒクル中に懸濁した化合物1のリジン塩形態を5、15または50mg/kg QDで、または25mg/kg BIDで、3オン/4オフスケジュールで与えた。TGIは、21日目に(1-Diff処置/Diff対照)×100として決定した。個々の腫瘍を、示された日にカリパスを用いて二次元で測定し、mm3での腫瘍体積(TV)を、式:TV=0.5a×b2(式中、aおよびbは、それぞれ長および短腫瘍直径(mm)である)を用いて計算した。平均腫瘍体積± SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図15左パネル)。体重を週2回測定した。体重±SEMを計算し、投与日数に対してプロットした(図15右パネル)。処置動物対対照動物に関するTGI分析日の平均正味腫瘍体積の差を、一元配置ANOVAとそれに続くダネットの多重比較検定を用いて統計学的に評価した;調整されたp値を示し、ここで、計算された確率(p)≦0.05が統計学的に有意であると見なされた。
[00148] 表9に示すように、5、15、または50mg/kgの化合物1をQDで投与し、または25mg/kg(遊離酸当量)を1日2回(BID)、3オン/4オフスケジュールで投与すると、21日目に55%、83%、90%、および102%のそれぞれの用量依存性TGIが得られた。図15に示されるように、化合物1処置対対照動物に関するTGI分析の日における平均正味腫瘍体積の差は、有意であった(p<0.0001)。
[00149] 非ホジキンリンパ腫の処置において推奨されるゴールドスタンダードな第一線化学療法レジメンCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)を陽性対照として含めた。QD×5で投与されたCHOPは、21日目に108%のTGIをもたらし、8日以上連続して測定可能な腫瘍体積を示さなかった8匹の試験動物のうちの7匹において治癒的であるように見えた。
[00150] 図15(左パネル)に示すように、化合物1処置群における腫瘍増殖は、対照動物と比較して低減した。様々な化合物1処置群の間の腫瘍増殖の相対速度は、研究終了時に達成されたTGIと一致した。図15(右パネル)に示されているように、化合物1は、試験の経過にわたって平均体重の変化はほとんどなく、十分に耐容されているように見えた。
実施例4:化合物1での処置後の癌幹細胞特徴の決定
[00151] 腫瘍生成能力に影響を及ぼす化合物1の能力を、腫瘍原性細胞集団のフローサイトメトリー分析および機能的インビボ腫瘍原性アッセイ(限界希釈アッセイ)によって分析した。
[00152] 腫瘍原性細胞集団に対する化合物1の作用を評価するために、化合物1を用いてSU60異種移植片腫瘍を処置した。SU60細胞を移植したNSG雌マウス(各群7匹のマウス)に、化合物1を40mg/kg PO QD×21で投与した。最後の投与の翌日、各群からの平均サイズに最も近い3つの腫瘍を解離させ、単一細胞を用いて以下を実施した:1)腫瘍原性細胞集団のフローサイトメトリー分析、および2)機能的インビボ腫瘍原性アッセイ(限界希釈アッセイ)。
化合物1処理後の腫瘍原性細胞集団のフローサイトメトリー分析
[00153] 細胞集団中の腫瘍原性CD44High;EpCAM細胞の比率を、フローサイトメトリーによって定量化した。化合物1は、ビヒクル対照と比較して、腫瘍原性細胞(CD44High;EpCAM)の割合を2.5倍有意に低減した(図16参照)。3つのビヒクル処置腫瘍および3つの化合物1処置腫瘍から単離された単一細胞に対して実施されたフローサイトメトリー分析。P値は、対応のないスチューデントT検定を用いて決定された。
化合物1処理後の機能的インビボ腫瘍原性アッセイ
[00154] CRC腫瘍における腫瘍開始細胞(TIC)頻度に対する化合物1の作用を研究するために、我々は、化合物1またはビヒクルによる処置後のSU60異種移植片細胞の腫瘍形成能を評価した。投与終了時に、平均サイズに最も近い群あたり3匹の動物からのSU60解離細胞を、限界希釈様式でレシピエントNSGマウスに注射し、腫瘍体積を測定した。腫瘍形成に必要な細胞数は、化合物1処置群において低減した。TIC頻度の低減は4.4倍であった(図17、表10)。前駆細胞の分化は、この低減の潜在的な説明である。
実施例5:MSI-H状態を有する様々な結腸直腸癌細胞株の化合物1処置に対する感受性
[00155] 化合物1の有効性をさらに研究するために、興味のある特定の遺伝子を有する様々な結腸癌細胞株の化合物1に対する感受性を評価した。興味のあるこれらの特定の遺伝子は、遺伝子ミスマッチ修復、ベータ-カテニン、MAPK、PI3K、p53、TGFベータ、クロマチンリモデリングおよびヒストン修飾経路のような頻繁に変異した経路において見出される。図18は、これらの経路における遺伝子の変異状態のヒートマップを、それぞれのマイクロサテライト不安定性(MSI-H)、CpGアイランドメチル化因子表現型(CIMP)、およびMLH1メチル化状態と共に示し、ここで、細胞株は、化合物1に対するそれらの感受性によって分類される。
[00156] さらなる研究は、MSI-H状態を有する結腸直腸癌細胞株がマイクロサテライト安定性(MSS)である結腸直腸癌細胞株よりも化合物1に対して有意に高い感受性を有することを示した。13の結腸直腸癌PDXモデルおよび6の結腸直腸癌オルガノイドPDXモデルのパネルを、培養に基づく生存度阻害アッセイにおいて化合物1に対するそれらの感受性に関して試験した。研究した結腸直腸癌細胞株のMSI-H状態およびMMR経路遺伝子のそれぞれの突然変異を図19に示す。
[00157] 以下の表11に要約されるように、MSIとして特性付けられたPDXモデルの100%(5個のうち5個)が化合物1処理に対して感受性(IC50<1μM)であり、IC50は0.001~0.014μMの範囲であることが見出された。しかし、MSSとして特性付けられたPDXモデルの50%のみ(8個のうち4個)が化合物1処理に感受性であり、IC50は0.003~0.270μMの範囲であった。同様に、MSIとして特性付けられたオルガノイドモデルの100%(3つのうち3つ)は、化合物1処理に対して感受性であったが(IC50は0.022~0.149μMの範囲であった)、MSSとして特性付けられたオルガノイドモデルのいずれも(3つのうち0)、化合物1処理に対して感受性ではなかった(IC50は10μMを超えた)。
実施例6:化合物1処置と関係するバイオマーカーの同定
[00158] RNA-seqおよびChIP-seq分析を利用して、化合物1での処置の作用をモニターするための分子指標として潜在的な臨床薬力学(PD)バイオマーカーを同定した。
[00159] 実施されたRNA-seq分析において、化合物1処理によって2倍以上上方制御または下方制御された326個の遺伝子が最初に同定された。化合物1の試験用量は37.3mg/kgであり、それは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片モデルにおいて試験された最高用量であった。ChIP-seq分析において、65の遺伝子が、直接的なKDM4Cプロモーター占有を示すことが同定された。図20は、遺伝子PNUTS(PPP1R10)、ANK1、IBA57、SOWAHD、MF12-AS1およびCECR1が2.5mg/kg、5mg/kg、7.5mg/kg、15mg/kg、および50mg/kgのインビボでの化合物1による処置後に用量依存的変化を示したことを示す。図20はまた、PNUTS、ANK1、およびIBA57が化合物1処理の間に下方制御される一方で、SOWAHD、MF12-AS1、およびCECR1が上方制御されることも示す。
[00160] 24時間の化合物1処理は、PNUTS遺伝子発現の強力な阻害を示した。PNUTSの遺伝子発現に対する化合物1の阻害作用の研究において、MDA-MB-231細胞を24時間処理し、化合物1処理に応答したPNUTS mRNAの発現レベルをqPCRによって測定した。PNUTS mRNAの阻害を、DMSO処置対照と比較して化合物1処理後のPNUTS遺伝子発現の平均パーセント変化を計算することによって定量化し、IC50値を、阻害が最大の半分である濃度として計算した。IC50値は0.007μMであった。
[00161] さらに、MDA-MB-231細胞におけるChIP-seq分析は、H3K4me3によってマークされるPNUTS(PPP1R10)プロモーターにおけるKDM4占有を示す(図21)
実施例7:未成熟および成熟細胞マーカーの単細胞遺伝子発現分析
[00162] ビヒクル対照および化合物1で処理した試料を、未成熟結腸前駆細胞およびより成熟した細胞型を識別するように設計された遺伝子セットを用いた単一細胞転写プロファイリングによって特性付けた(Dalerba, 2011)。化合物1で処置した腫瘍は、KDM4C阻害の際に細胞充実性のシフトを示した(図22、パネルA)。階層的クラスタリング分析を用いて、未成熟および成熟細胞マーカーのサブセットの発現に基づく3つのクラスターを同定した。前駆細胞様細胞クラスターを、未成熟細胞マーカー(Lgr5、Notch1およびEzh2)の高発現および成熟細胞マーカー(Krt20、Ceacam1およびSpink4)の低発現の存在によって同定した。中間的前駆細胞様細胞は、Lgr5の高発現、しかしNotch1、Ezh2などの他の未成熟細胞マーカーの低発現の存在によって同定された。このクラスターはまた、前駆細胞様細胞よりも高いレベルで成熟細胞のいくつかのマーカーを発現したが、より低いレベルで細胞周期マーカーを発現し、これは、これらの細胞が前駆細胞様細胞よりも増殖性が低いことを示唆している(データは示されていない)。最後に、低レベルの未成熟細胞マーカー(Lgr5、Notch1、Ezh2)および高レベルの成熟細胞マーカー(Krt20/Ceacam1およびTff3/Dll1/Spink4)を発現する分化様細胞のクラスターを同定した。化合物1で処置した腫瘍は前駆細胞様細胞の割合の有意な低減(p=0.01)ならびに中間体様および分化様細胞の両方の数の増加を有したが、増加は有意ではなかった(p=0.07;図22、パネルB)。
実施例8:造血前駆細胞に対する化合物1の作用
[00163] 化合物1を、STEMCELL Technologies Inc.(バンクーバー、ブリティッシュコロンビア州、カナダ)でヒト骨髄由来の赤血球および骨髄造血前駆細胞の増殖に対するその作用に関して評価した。
[00164] 細胞を37℃で迅速にDNAse I中に解凍し、次いで2%ウシ胎児血清(IMDM+2%FBS)を含有する10mLのイスコフ改変ダルベッコ培地で希釈し、遠心分離(1200rpm、室温で10分間)により洗浄した。上清を廃棄し、細胞ペレットを既知量のIMDM + 2% FBS中に再懸濁した。有核細胞計数(3%氷酢酸)および生存度評価(トリパンブルー排除試験)を実施した。
[00165] 化合物1および陽性対照(パノビノスタット)をDMSOで希釈し、最終培地中で0.002μM~5μMの範囲の濃度で試験した。これらの希釈は、試験物質および対照物質に必要な適切な最終試験濃度(5、1.67、0.56、0.19、0.06、0.02、0.07および0.002μM)を提供した。
[00166] 試験物質および対照物質をヒト骨髄造血前駆細胞と共にインキュベートした。14日後、細胞コロニーを評価した。
[00167] それぞれの試験物質に関してコロニー増殖の50%および90%阻害(IC50およびIC90)の濃度を計算するために、GraphPad Prismを用いて試験物質濃度の対数対対照コロニー増殖の百分率をプロットした用量反応曲線を生成した。これらのデータポイントに当てはまる曲線を生成するために、対数(阻害剤)対反応-可変勾配(4つのパラメータ)式[Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^((LogIC50-X)HillSlope))]を使用した。被験物質および対照物質の両方に関するIC50およびIC90値は、曲線当てはめの内挿から導出した。GraphPad Prismによって報告されたIC50/90価が実際に試験された濃度の幅を超えた値である場合、この値が試験された最高濃度の4倍を超える場合、またはGraphPad PrismがIC50/90価を計算できない場合、(被験物質化合物1に関して)>5μMの表記が使用される。
[00168] 化合物1は、0.1%DMSOと比較して、正常ヒト骨髄由来の前駆細胞のコロニー形成に対して有意な作用を有しなかった(p >0.01)。下の表12に示されるように、赤血球および骨髄コロニー形成の抑制に関するIC50は5μMより大きかった。代表的な赤血球および骨髄由来コロニーを撮影した統計分析写真は、それらの形態(サイズおよび密度)が≧1.67μMの化合物1濃度でわずかに損なわれることを見出した。陽性対照であるパノビノスタットは、0.01μM未満のIC50値で赤血球および骨髄コロニー形成を阻害した。

Claims (60)

  1. それを必要とする癌患者において癌を処置する方法であって、療法上有効量の化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含み、該化合物が以下の構造:
    を有する方法。
  2. それを必要とする癌患者において腫瘍原性細胞集団を低減する方法であって、該患者に療法上有効量の化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与することを含み、該化合物が以下の構造:
    を有する方法。
  3. それを必要とする癌患者において腫瘍開始細胞頻度を低減する方法であって、療法上有効量の化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含み、該化合物が以下の構造:
    を有する方法。
  4. それを必要とする癌患者において癌幹細胞を阻害する方法であって、療法上有効量の化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含み、該化合物が以下の構造:
    を有する方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌およびT細胞急性リンパ芽球性白血病からなる群から選択される癌と診断されている方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、結腸直腸癌と診断されている方法。
  7. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、食道癌と診断されている方法。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、トリプルネガティブ乳癌と診断されている方法。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、胃癌と診断されている方法。
  10. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、リンパ腫と診断されている方法。
  11. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、胃腺癌と診断されている方法。
  12. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫と診断されている方法。
  13. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、急性T細胞白血病と診断されている方法。
  14. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、食道扁平上皮癌と診断されている方法。
  15. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、多発性骨髄腫と診断されている方法。
  16. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、急性骨髄性白血病と診断されている方法。
  17. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、結腸直腸腺癌と診断されている方法。
  18. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、結腸直腸癌と診断されている方法。
  19. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、膵臓癌と診断されている方法。
  20. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、膵癌と診断されている方法。
  21. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、乳癌と診断されている方法。
  22. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、T細胞急性リンパ芽球性白血病と診断されている方法。
  23. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌、または細気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法。
  24. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法。
  25. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法。
  26. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、胃癌、胃印鑑腺癌、胃の腺癌または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法。
  27. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法。
  28. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、皮膚癌と診断されている方法。
  29. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  30. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法。
  31. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  32. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、中枢神経系癌、星状細胞腫グレードIVまたは神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法。
  33. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、骨癌と診断されている方法。
  34. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法であって、該癌患者が、腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌、または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  35. 請求項1~34のいずれか1項に記載の方法であって、該癌が、先行療法後に再発したか、先行療法に抵抗性であるか、または先行療法に後天的耐性である方法。
  36. 請求項2および5~35のいずれか1項に記載の方法であって、該腫瘍原性細胞集団が、約1.5倍~約100倍低減する方法。
  37. 請求項36に記載の方法であって、該腫瘍原性細胞集団が、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約6.0倍、約7.0倍、約8.0倍、約9.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍または約100倍低減する方法。
  38. 請求項36に記載の方法であって、該腫瘍原性細胞集団が、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、または約5.0倍低減する方法。
  39. 請求項3および5~35のいずれか1項に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約1.5倍~約100倍低減する方法。
  40. 請求項39に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約6.0倍、約7.0倍、約8.0倍、約9.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍または約100倍低減する方法。
  41. 請求項39に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約1.5倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約6.0倍、約7.0倍、約8.0倍、約9.0倍または約10倍低減する方法。
  42. 請求項3および5~35のいずれか1項に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約100細胞に1個~約10,000細胞に1個の頻度まで低減する方法。
  43. 請求項42に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約100細胞に1個、約200細胞に1個、約300細胞に1個、約400細胞に1個、約500細胞に1個、約600細胞に1個、約700細胞に1個、約800細胞に1個、約900細胞に1個、約1,000細胞に1個、約1,200細胞に1個、約1,400細胞に1個、約1,600細胞に1個、約1,800細胞に1個、約2,000細胞に1個、約3,000細胞に1個、約4,000細胞に1個、約5,000細胞に1個、約6,000細胞に1個、約7,000細胞に1個、約8,000細胞に1個、約9,000細胞に1個または約10,000細胞に1個の頻度まで低減する方法。
  44. 請求項42に記載の方法であって、該腫瘍開始細胞頻度が、約200細胞に1個、約300細胞に1個、約400細胞に1個、約500細胞に1個、約600細胞に1個、約700細胞に1個、約800細胞に1個、約900細胞に1個、約1,000細胞に1個、または約1,200細胞に1個の頻度まで低減する方法。
  45. それを必要とする癌患者において癌を処置する方法であって、以下の工程を含み:
    (a)該癌患者の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を決定し、そして
    (b)該癌患者がMSI-H癌患者であると決定された場合、療法上有効量の化合物またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を該癌患者に投与し、該化合物が、次の構造:
    を有する方法。
  46. 癌を処置する方法であって、以下の工程:
    (a)癌を有する患者から試料を得て;
    (b)該試料中のバイオマーカーのレベルを決定し;
    (c)該試料中のバイオマーカーのレベルが該バイオマーカーの参照レベルと異なる場合、該患者を処置化合物に応答する可能性が高いと診断し;
    そして(d)療法上有効量の該処置化合物を該患者に投与する;
    を含み、該処置化合物が化合物1またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒和物であり;かつ
    該バイオマーカーがPNUTSである方法。
  47. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、結腸直腸癌、食道癌、トリプルネガティブ乳癌、胃癌、リンパ腫、胃腺癌、びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫、急性T細胞白血病、食道扁平上皮癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膵癌、乳癌およびT細胞急性リンパ芽球性白血病からなる群から選択される癌と診断されている方法。
  48. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、大細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺小細胞癌、肺大細胞癌または細気管支肺胞腺癌から選択される癌と診断されている方法。
  49. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、急性リンパ芽球性B細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、形質細胞骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、急性転化期慢性骨髄性白血病から選択される癌と診断されている方法。
  50. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、腸癌、腸腺癌、上部消化管の扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法。
  51. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、胃癌、胃印鑑腺癌、胃の腺癌または腺扁平上皮癌から選択される癌と診断されている方法。
  52. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、卵巣癌、卵巣類内膜癌、卵巣明細胞癌、卵巣腺癌、子宮内膜癌、子宮内膜腺癌、前立腺癌、または前立腺腺癌から選択される癌と診断されている方法。
  53. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、皮膚癌と診断されている方法。
  54. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、甲状腺癌または甲状腺濾胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  55. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、乳癌または乳管癌から選択される癌と診断されている方法。
  56. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、肝臓癌または肝細胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  57. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、中枢神経系癌、星状細胞腫グレードIVまたは神経膠肉腫から選択される癌と診断されている方法。
  58. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、骨癌と診断されている方法。
  59. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌患者が、腎臓癌、明細胞腎細胞癌、腎細胞癌、尿路癌、または尿路移行細胞癌から選択される癌と診断されている方法。
  60. 請求項33または34に記載の方法であって、該癌が、先行療法後に再発したか、先行療法に抵抗性であるか、または先行療法に後天的耐性である方法。
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