JP2024518571A - 植物材料からタンパク質濃縮製品を調製するための改良された方法 - Google Patents

植物材料からタンパク質濃縮製品を調製するための改良された方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、油糧種子などの植物材料から、植物タンパク質単離物又はタンパク質-繊維配合物などのタンパク質濃縮製品を調製するためのプロセス、並びに前記プロセスによって得ることができるヒトの食品及び/又は動物の飼料における製品の使用に関する。特に、本明細書に提示されるプロセスは、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルと、最大5個の炭素原子を有するアルコールとからなる低沸点共沸混合物をベースとする溶媒を有利に利用し、この溶媒によって、有害なヘキサン系溶媒を使用する必要性が不要になるだけでなく、この溶媒は、本明細書に提示されるプロセスで使用される使用済みの溶媒及び/又は母液から容易に入手可能及び回収可能であるため、再利用サイクルを受けることができ、その結果、開示されたプロセスは極めてエネルギー効率が高く、大規模な工業生産に好適であり、環境に優しいものとなる。【選択図】 図1

Description

[発明の分野]
本発明は、油糧種子などの植物材料から、植物タンパク質単離物又はタンパク質-繊維配合物などのタンパク質濃縮製品を調製するためのプロセス、並びに前記プロセスによって得ることができるヒトの食品及び/又は動物の飼料における製品の使用に関する。特に、本明細書に提示されるプロセスは、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルと、最大5個の炭素原子を有するアルコールとからなる低沸点共沸混合物をベースとする溶媒を有利に利用し、この溶媒によって、有害なヘキサン系溶媒を使用する必要性が不要になるだけでなく、この溶媒は、本明細書に提示されるプロセスで使用される使用済みの溶媒及び/又は母液から容易に入手可能及び回収可能であるため、再利用サイクルを受けることができ、その結果、開示されたプロセスは極めてエネルギー効率が高く、大規模な工業生産に好適であり、環境に優しいものとなる。
[発明の背景]
環境に有害でなく、かつ経済的及び技術的観点から実現可能な方法によって製造された、十分な栄養品質の食品を、増加するヒトの人口に供給する喫緊の必要性がある。
栄養学の専門家の間には、タンパク質摂取に対するヒトのニーズは、動物起源からよりも植物材料からのタンパク質を消費することによってよりよく満たされる可能性があるという共通認識がある。しかし、植物材料起源のタンパク質に伴う固有の問題は、種子、豆果、果実及び穀物のような天然の発生の形態において、これらが通常、繊維、多糖、脂肪、脂質、微量栄養素、及びフェノール化合物、フィテート(phytates)などのような抗栄養因子を含む複雑なマトリックスに包埋されていることである。
食品又は動物飼料配合物中の成分として適用するためには、これらのタンパク質を原料から抽出し、精製された形態で単離するか、又は少なくとも食物植物繊維との消化可能な混合物として提供する必要がある。更に、多くの食品用途では、これらのタンパク質が溶解性、油脂との安定なエマルジョンを形成する能力、安定なゲル、発泡体などを形成する能力などの本来の機能特性を保持していることが重要である。
タンパク質に本来結合している不要な成分を除去するために、さまざまな精製及び分離技術が公知であり、現在使用されている。
典型的には、油糧種子及び大豆の場合、植物原料中に存在する脂肪、油及び脂質の一部は、押出成形又はコールドプレスなどの機械的手段によって原料から抽出され、油糧種子ケーキが生成され得る。或いは、前記脂肪、油及び脂質は、ヘキサンなどの無極性で親油性の溶媒中での抽出などの化学的手段によって抽出することができる。ヘキサン抽出が使用されるプロセスでは、典型的には、蒸気及び高温を使用して、意図的に設計された脱溶剤/トーストステップでミールから残留ヘキサンを除去する。
ヘキサン処理は原料から油を抽出する効率的な方法であり得るが、このような処理は非常にエネルギーを消費するだけでなく、天然タンパク質の部分的かつ不可逆的な変性並びに溶解性及び/又は脂質と安定なエマルジョンを形成する能力などの関連する機能的特性の損失が原因で、ミール中のタンパク質の品質に悪影響を与える場合がある。これに加えて、ヘキサンは有毒であり、環境に有害である。
タンパク質の変性を回避するために、近年、ヘキサンの使用を完全に放棄し、タンパク質の抽出プロセスを、油の一部を機械的に排出させた後の全脂肪種子又はコールドプレスケーキから開始する抽出プロトコールが設計されている。例えば、植物材料を、水性溶媒と有機溶媒の逐次的使用を包含する一連のステップに供してタンパク質単離物を得るプロセスが公知である。そのようなプロセスの1つは、例えば、国際公開第02/060273号に開示されており、国際公開第02/060273では、水を用いて撹拌装置を使用してヒマワリミールからタンパク質を抽出し、その後エタノールを使用して可溶性タンパク質を沈殿させることを教示する。別の例には、国際公開第2011/057407号が含まれ、国際公開第2011/057407号では、菜種/キャノーラからタンパク質濃縮物及び単離物を得る方法を開示し、水とのタンパク質混合物にエタノールを加え、水溶性タンパク質を溶液から沈殿させるプロセスを教示する。更なる例は、国際公開第2013/013949号によって提供されており、国際公開第2013/013949号では、オイルケーキからのタンパク質単離プロセスであって、(a)水溶液によりタンパク質を抽出するステップ、(b)濃縮するステップ、及び(c)メタノール、エタノール、及びアセトンなどの水混和性有機溶媒を加えてタンパク質沈殿物を得るステップを含む、プロセスが開示されている。この文献では、タンパク質の抽出は、水中の粗植物タンパク質源の懸濁液を提供し、その懸濁液を撹拌槽型反応器(STR)タイプの装置内で撹拌することによって実行する。次に、水と水混和性溶媒の混合物から沈殿物を乾燥させることにより、タンパク質の単離を達成する。
注目すべき非常に有利なプロセスは、NapiFeryn BioTech Sp. z o.o.、Polandにより出願された出願国際公開第2019011904号及び国際公開第2020016222号に開示されており、これらは、油糧種子、豆果、又はレンズ豆などの植物材料から、ヘキサンを含まない方法で、天然及び機能性タンパク質又は植物タンパク質-繊維製品をそれぞれうまく得るプロセスを教示している。開示された方法は、植物材料の有利な前処理、続いて水性溶媒を使用した穏やかで非破壊的な条件下での水溶性タンパク質の部分抽出方法、その後のいわゆる「一般に安全と認められている」(“Generally recognized as safe”)(GRAS)有機溶媒の新規な組み合わせを使用する固体残留物の精製によって目的を達成し、このプロセスで使用される最後の溶媒は、第3の溶媒の総重量に基づき、少なくとも90wt%の最大5個の炭素原子を有する無極性(非極性)で親油性の有機エステルを含み、前記有機エステルは、室温で第1の水性溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、第2のアルコール系溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、液相全体が別個の液相に分離しないように選択される。
国際公開第2019011904号及び国際公開第2020016222号の有利なプロセスは、ヘキサンなどの有毒溶媒を使用せずに望ましくない成分を除去する必要性にうまく対処し、エタノールと酢酸エチルの組み合わせの使用により高品質の植物タンパク質材料の精製が可能になるが、工業的実践におけるそれらの実施に対する大きな障壁の1つは、精製された形態、すなわち90%超の純度の酢酸エチルの回収コストが高いことである。
この高コストの主な理由は、酢酸エチル及び類似のエステルがアルコール、特にエタノールと共沸混合物を形成する傾向にあり、その共沸混合物を純粋な成分画分に分離するのは非常に困難なためである。系内に相当量の水が存在する場合、問題は更に複雑になり、植物などの生物材料が関与する回収及び単離プロセスの場合、これは実際に回避できない。水-エタノール-酢酸エチルという特定の3成分系は、エタノール-酢酸エチル又はエタノール水などの均一共沸物の形だけでなく、酢酸エチル-水などの異相共沸物の形で複数の共沸物を形成する能力を示す。
[発明の概要]
本開示は、国際公開第2019011904号及び国際公開第2020016222号に記載されているプロセスの実行の一部として得られる使用済みの溶媒(母液としても公知である)の処理中になされた予想外の偶然の経験的観察に基づく。すなわち、これらの使用済みの溶媒の典型的な組成は、菜種、大豆、ヒマワリ、亜麻などの油糧種子加工から得られる在来(indigenous)植物油などの植物由来材料に加えて、半分を超える酢酸エチル(w/wの質量分率で表される)と、実質的かつ同等量のエタノール及び水で構成されている。可能な3成分共沸物及び2成分共沸物に関する知識を備えた当業者は、この混合物が蒸留又は蒸発に供されるとき、得られる第1の低沸点共沸混合物は、かなりの量の水を含有するものであるはずであると予想するであろう。しかし、驚いたことに、10~50kPaの間の減圧下で使用済みの溶媒を蒸発させた後、実質的に水を含まない留出物を得たことが観察された。予想される挙動からのこの逸脱は、加工された植物材料からの植物由来成分の存在、及び/又はおそらくNaCl、KCl、CaClなどの塩の存在に起因する可能性があると推測される。
根底にある原因に関係なく、同様に驚くべきことは、前記回収された実質的に水を欠いた(すなわち、水が10%未満である)共沸混合物が、少なくとも90%純粋な、国際公開第2019011904号又は国際公開第2020016222号の無極性で親油性の有機エステル系溶媒を効率的に置き換えるのに十分に低極性で親油性であるという観察された効果であった。
これらの観察の結果、豆果、穀物、及び油糧種子由来のタンパク質単離物又はタンパク質-繊維混合物などのタンパク質含有製品の精製のための、驚くほどエネルギー効率が高く、拡張が容易な新しいプロセスが発見され、2つの主要なクラスの不純物、すなわちフェノール化合物及び脂質は、極性が低下する溶媒及び溶媒混合物のカスケードによってうまく除去することができ、第1の溶媒は実質的に水(少なくとも90%w/w)であり、第2の溶媒はアルコールを含有するが、最終の最も非極性である溶媒は、8:1~1:1の範囲の比率で混合された無極性で親油性の有機エステルとアルコールとの共沸混合物であり、最終混合物中の含水量は、液相全体が別個の液相に分離しないように選択される。
発見されたプロセスの利点の1つは、例えば酢酸エチル対エタノールの比率が8:1~1:1の範囲である酢酸エチルとエタノールを有し、含水量が10%w/w未満である混合物を、プロセス中に生成される使用済みの溶媒から比較的容易に回収することもできることである。これにより、有機溶媒を再循環又は回収できるという事実のため、プロセスの費用が更に削減され、プロセスから生じる潜在的に環境に有害な廃棄物も削減される。酢酸エチルとエタノールとの低水分共沸混合物の回収は、このような混合物の沸点が純粋な溶媒単独よりも低いため、例えば、流下膜式蒸発、ワイプ式膜蒸発、真空蒸発、蒸留、及び/又はそれらの組み合わせなどのような技術のいずれかによって、比較的低いエネルギー投入で有利に実行することができる。
更なる利点は、開示されたプロセスによって得られる最終タンパク質濃縮製品中に回収される植物タンパク質が、低レベルのフェノール/ポリフェノール化合物及び脂質不純物、並びに低レベルの残留溶媒を示すことである;すなわち、乾燥重量あたり1000ppm未満のエタノールと、乾燥重量あたり100ppm未満の酢酸エチルを含有することが測定された。更に、開示された加工から得られるタンパク質単離物及びタンパク質-繊維製品は、栄養価、溶解性、乳化能力、ゲル化特性などのタンパク質の本来の機能をほとんど保持しており、したがってこれらのタンパク質含有製品は、食品の機能性成分として使用するのに好適なものとなる。これら及び他の利点については、本明細書で更に説明する。
本開示の目的は、工業的に好適であるだけでなく、経済的にも実現可能な、栄養価の高い植物タンパク質濃縮製品の製造のための合理化されたプロセスを提供することである。本明細書で提示される方法は、これまでの既知の方法と比較して溶媒回収プロセスを根本的に簡素化し、一方で同時に、油糧種子、豆果、及びレンズ豆からなど、油、脂肪、及び/又は脂質を大量に含有する難易度の高い植物材料からでも、同様の高品質の植物タンパク質濃縮製品を提供することによってこれらの目的を達成する。
一般的な態様では、植物材料(1)から植物タンパク質濃縮製品(42、44)を調製するためのプロセスが提供され、前記植物材料(1)は、乾燥重量ベースで10~50wt%の間のタンパク質を含み、前記プロセスは:
a)植物材料(1)を粉砕又は細分して、固体ケーキ(2)を生成するステップ;
b)固体ケーキ(2)を、第1の溶媒の総重量に基づき少なくとも90wt%の水を含む水性の第1の溶媒で抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分の混合物を得るステップ;
c)第1の液体画分(11)を第1の固体画分(12)から分離するステップ;
d)第2の溶媒の総重量に基づき少なくとも50wt%の室温で水と混和性である1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む、アルコール性の第2の溶媒を加えるステップであって、
加えるステップは、第2の溶媒を第1の固体画分(12)に加えることを含むか、又は
第2の溶媒を加える前に、第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、加えるステップは、第2の溶媒を前記濃縮物(11b)に加えることを含む、ステップ;
e)ステップd)で第2の溶媒を加えることによって得られた混合物のいずれか1つを、第2の液体画分(21、23)と第2の固体画分(22、24)に分離するステップ;
f)ステップe)で得られた第2の固体画分(22、24)に第3の溶媒を加えるステップであって、前記第3の溶媒は、第3の溶媒の総重量に基づき、64~90wt%の間の、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルと、10~35wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコールとの共沸混合物を含み、有機エステルは、室温で第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、液相全体が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ;
g)ステップf)で得られた混合物を、共沸使用済みの溶媒(31、33)とも更に呼ばれる第3の液体画分(31、33)と、第3の固体画分(32、34)とに分離するステップ;
h)ステップg)で得られた第3の固体画分(32、34)を乾燥させて、植物タンパク質濃縮製品(42、44)を得るステップ
を含む。
特定の態様では、工業規模の量の植物材料を処理し、実験室規模を超えた量の最終の植物タンパク質濃縮製品を得ることができる方法が提供される。
なお更なる態様では、植物タンパク質濃縮製品は、本明細書に記載のプロセスによって得られるか、又は得ることができるように提供される。
最後に重要なことであるが、ヒトの食品及び/又は動物飼料の製造における本明細書に記載のプロセス及び製品の使用も提供される。
本開示の性質をよりよく理解するために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明が参照される。
開示された方法の可能な実施形態を概略的に示しており、植物材料(1)を最初に機械的に処理して(ステップa)、固体ケーキ(2)を生成する;次に、ケーキ(2)を、水性溶媒(「第1の溶媒」)を使用して穏やかで非破壊的な条件下で抽出し(ステップb)、その後、第1の液相(11)と第1の固相(12)に分別する(ステップc)。これらの相(11、12)は両方とも貴重な植物タンパク質の供給源であるため、これら両方は、少なくとも50%の炭素数1~5のアルコールを含む、アルコール溶媒(ステップd;「第2の溶媒」)を含む、極性が減少している溶媒及び分離サイクルによる逐次的処理を更に受けることができ、その後、分離(ステップe)し、画分(22、24)を含む得られた固相を、このようなアルコールと炭素数1~5の無極性親油性エステルとの共沸混合物を含む共沸溶媒(ステップf;「第3の溶媒」)で処理する。別のラウンドの分離(ステップg)の後、次に、得られた固相を含む画分(32、34)を乾燥することができ(ステップh)、植物タンパク質単離物(42)、又は植物タンパク質と繊維の混合物又は粉末(44)のような高品質の植物タンパク質濃縮製品(42、44)の製造につながる。 図1の概略図であり、共沸溶媒の再循環及び回収の有利な実施形態を追加的かつ概念的に示しており、植物タンパク質単離物(42)の製造経路における分別ステップg)からの使用済みの共沸溶媒(使用済みの第3の溶媒31)は、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路における分別ステップg)で再使用され、その後(使用済みの第3の溶媒33として)、これは蒸発器又は蒸留器などの溶媒回収プラント(SRP)ユニットで溶媒回収プロセス(破線)を経て、後で戻され、開示された方法の実施形態による後続の製造ラウンドで再利用される。或いは、植物タンパク質単離物(42)及び植物タンパク質及び繊維製品(44)の両方の製造経路からの使用済みの共沸溶媒(31、33)は、両方とも、溶媒回収プロセスのためにSRPユニットに直接送ることができる(示されていない実施形態)。 図2に示されるプロセスの実施形態を更に示しており、有利には、植物タンパク質単離物(42)の製造経路における分別ステップe)からの使用済みのアルコール溶媒(使用済みの第2の溶媒21)も、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路におけるアルコール分別ステップe)で、その後再利用することができる。当然のことながら、この後、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路内の使用済みのアルコール溶媒(使用済みの第2の溶媒23)は、更なるSRPユニット(示されていない実施形態)において溶媒回収プロセスを受けることもできる。 図1に示される方法の実施形態による一般的な実施形態を概略的に示し、乾燥ステップh)によっても使用済みの共沸溶媒の実質的な更なる部分(使用済みの第3の溶媒41及び43)が生成される可能性があることを更に概念的に示している。 使用済みの共沸溶媒のこれらの更なる部分(41、43)は、分別ステップg)からの使用済みの共沸溶媒(31、33)と一緒に、又はそれらから独立して、蒸発器又は蒸留器などのSRP内における溶媒回収プロセスを受け、次に、その後の植物タンパク質濃縮製品製造ラウンドのために本明細書に開示されるプロセスに戻されることによって再使用することができる実施形態を概略的に示す。当然のことながら、使用済みの共沸溶媒の再利用及び/又は回収スキームのこの又は他の実施形態は、図3に示すもののような、分別ステップe)における使用済みのアルコール溶媒の任意の再利用及び/又は回収スキームと独立して組み合わせることができる。 非常に有利な共沸溶媒の再利用及び回収スキームを含む、開示された方法の実施形態を概念的に示し、分別ステップg)からの使用済みの共沸溶媒(31)、及び植物タンパク質単離物(42)の製造経路で得られ、任意選択で植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路からも得られる、乾燥ステップh)からの使用済みの共沸溶媒の更なる部分(41、43)は、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路における分別ステップg)で再利用することができる。このようにして得られた使用済みの共沸溶媒(33)は次に溶媒回収プロセスのためにSRPに送られ、後で戻され、開示された方法に従って、その後の植物タンパク質濃縮製品の製造サイクルに再使用することができる。 大豆から得られるタンパク質単離物のプロセススキームを示す。 大豆から得られるタンパク質-繊維濃縮物のプロセススキームを示す。 DRCから得られるタンパク質単離物のプロセススキームを示す。 DRCから得られるタンパク質-繊維濃縮物のプロセススキームを示す。 大豆タンパク質単離物について測定された総タンパク質含有量を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された水分含有量を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された灰分を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された脂肪含有量を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された総フィテート含有量を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された総タンパク質含有量を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された水分含有量を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された脂肪含有量を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された灰分を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された総フィテート含有量を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された総フェノール含有量を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された分散度を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された窒素溶解度を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された乳化能力を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された発泡能力及び安定性を示す。 大豆タンパク質単離物について測定された最小ゲル化濃度を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された分散度を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された窒素溶解度を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された乳化能力を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された発泡能力及び安定性を示す。 DRCタンパク質単離物について測定された最小ゲル化濃度を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された総タンパク質含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された水分含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された食物繊維含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された脂肪含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された灰分を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された総フィテート含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された総フェノール含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された総タンパク質含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された水分含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された食物繊維含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された脂肪含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された灰分を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された総フィテート含有量を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された総フェノール含有量を示す。 大豆タンパク質-繊維濃縮物について測定された水及び油の吸収能力を示す。 DRCタンパク質-繊維濃縮物について測定された水及び油の吸収能力を示す。
定義及び略語
「共沸混合物」又は単純に「共沸物」という用語は、本明細書で使用される場合、単一の成分として一緒に動作する2つ以上の成分の混合物を意味し、したがって混合物は、単一の温度で完全に気化するか、又は完全に凝縮し、混合物が凝縮又は気化を受ける場合、後者は例えば蒸発を含み、又は、液相の成分の濃度は、気化相の成分の濃度と同じであり、同じままである。
「ミール」という用語は、本明細書で使用される場合、粉末形態の植物材料、例えば、小麦粉などを意味し、前記植物材料は、有機溶媒又は無機溶媒、例えば、ヘキサンなど、によるこれらの油及び脂質の抽出と、その後行われる蒸気でトースト処理することによる前記溶媒の除去により、実質的に油及び脂質を含まない。「無機溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、クラッキング、製油、及び/又は精留のプロセスによって石油又は瀝青炭のような化石堆積物由来の溶媒を指す。「植物材料」という用語は、本明細書で使用される場合、その従来の意味を有し、並びに、植物由来の材料を指し、野菜、果実、種子、豆果、及び穀物を包含する。「植物原材料」という用語は、本明細書で使用される場合、その従来の意味を有し、並びに、本開示の方法に従って処理することによって新しい有用な産物、例として、粗植物材料中に元来存在するタンパク質を含有するタンパク質単離物など、に変換することができる粗植物材料を指す。
「在来タンパク質」(indigenous protein)及び在来繊維」(indigenous fibre)という用語は、本明細書で使用される場合、天然タンパク質及び天然繊維を指す。その結果、最終的なタンパク質-繊維製品が、在来タンパク質及び在来繊維を含有する場合、このタンパク質及び繊維は、未処理の植物材料中に存在する天然タンパク質及び天然繊維と区別することができない。
「室温」という用語は、本明細書で使用される場合、18℃~25℃の間の温度である。
略語「GRAS溶媒」は、「一般に安全と認められる(Generally Regarded As Safe)」溶媒を意味し、産業界向けガイダンス(Guidance for Industry)、Q3C-表及びリスト、米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)、米国食品医薬品局医薬品評価研究センター(Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research(CDER))、生物学的製剤評価研究センター(Center for Biologics Evaluation and Research)(CBER)、2012年2月、ICH、改訂2によりクラス3に属する。これに関して、例えば、https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm073395.pdfを参照されたい。
略語「STR」は、「撹拌槽型反応器」を意味する。略語「ALSEOS」は、出願国際公開第2019011904号に開示されているように、「油糧種子の水性低剪断抽出(Aqueous Low Shear Extraction of Oil Seeds)」を意味する。略語、「CV」、「G」、「rpm」、「DW」、及び「NS」は、それぞれ、「カラム体積」、「重力」、「毎分回転数」、「乾燥重量」、及び「窒素溶解度」を意味する。
[発明の詳細な説明]
本明細書の開示の新規なプロセスの根底にある一般的な概念は、出願国際公開第2019011904号及び国際公開第2020016222号でそれぞれ開示されているように、植物タンパク質単離物(更に「タンパク質単離物」と呼ばれる)又は植物タンパク質及び植物繊維の混合物(更に「タンパク質-繊維製品」と呼ばれる)を製造するためのプロセスに対する工業的に有利な代替品の提供と考えることができる。
ここで開示された方法は、64~90wt%の間の最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルと、10~35wt%の間の1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む共沸混合物を含むか又はそのような共沸混合物である溶媒を、最大5個の炭素原子を有するそのような無極性で親油性の有機エステルの実質的に純粋(分析純度グレード)かつアルコール非含有溶液の代わりに第3の分離ステップに加える点で、前記2つの出願のいずれか1つに開示された方法とは異なっている。
したがって、第1の一般的な態様では、植物材料(1)から植物タンパク質濃縮製品(42、44)を調製するためのプロセスが提供され、前記植物材料(1)は、乾燥重量ベースで10~50wt%の間のタンパク質を含み、前記プロセスは:
a)植物材料(1)を粉砕又は細分して、固体ケーキ(2)を生成するステップ;
b)固体ケーキ(2)を、第1の溶媒の総重量に基づき少なくとも90wt%の水を含む水性の第1の溶媒で抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分の混合物を得るステップ;
c)第1の液体画分(11)を第1の固体画分(12)から分離するステップ;
d)第2の溶媒の総重量に基づき少なくとも50wt%の室温で水と混和性である1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む、アルコール性の第2の溶媒を加えるステップであって、
加えるステップは、第2の溶媒を第1の固体画分(12)に加えることを含むか、又は
第2の溶媒を加える前に、第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、加えるステップは、第2の溶媒を前記濃縮物(11b)に加えることを含む、ステップ;
e)ステップd)で第2の溶媒を加えることによって得られた混合物のいずれか1つを、第2の液体画分(21、23)と第2の固体画分(22、24)に分離するステップ;
f)ステップe)で得られた第2の固体画分(22、24)に第3の溶媒を加えるステップであって、前記第3の溶媒は、更に「有機エステル」とも呼ばれる、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルを含み、有機エステルは、室温で第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性であり、第2の溶媒と完全に混和性であり、第3の溶媒の量は、液相全体が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ;
g)ステップf)で得られた混合物を、使用済みの第3の溶媒(31、33)とも呼ばれる第3の液体画分(31、33)と、第3の固体画分(32、34)とに分離するステップ;
h)ステップg)で得られた第3の固体画分(32、34)を乾燥させて、植物タンパク質濃縮製品(42、44)を得るステップを含み、
第3の溶媒は、第3の溶媒の総重量に基づき、
64~90wt%の間の有機エステル、及び
10~35wt%の間の1~5個の炭素原子を有するアルコール、及び
10wt%未満、好ましくは5wt%未満の水
を含む共沸混合物を含むか又はそのような共沸混合物である。
このような一般的な方法の実施形態を、図1に概略的に示す。本明細書で使用される場合、64~90wt%の間の有機エステルと、10~35wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコールとを含む共沸混合物を含むか又はそのような共沸混合物である溶媒は、更に「有機エステルとアルコールとの共沸混合物」、又は単に「共沸溶媒」又は「第3の溶媒」とも呼ばれる。
国際公開第2019011904号又は国際公開第2020016222号の高純度有機エステル溶液の代わりに、有機エステルとアルコールの共沸混合物を使用する本開示の方法は、驚くべきことに、同一又は同等の品質の植物タンパク質濃縮製品を提供すると同時に、経済的に実行可能で環境に優しい方法で工業レベルの製造能力にスケールアップするのに多大な利点がある。
これは主に、(混合物の総重量に基づき)64~90wt%の間の、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルと、10~35wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコールと、10wt%未満の水を含む共沸混合物が、例えば、後続の(バッチ式製造における)又は連続プロセスラウンド間の蒸発などの気化による、単純な再循環、回収、及び/又はリサイクルが可能である程度に化学的に十分に安定であるという事実による。加えて、例えば、エタノール又はメタノールと酢酸エチル又は酢酸メチルのいずれかとの共沸混合物は、それぞれの成分単独よりも沸点が低くなり、例えば気化による共沸回収に必要なエネルギー量が更に削減される。当然のことながら、工業規模レベルでは、このようなエネルギー節約により、必要な溶媒回収ハードウェアのタイプ及び量に関連する費用だけでなく、稼働費用も大幅に削減することができる。
本明細書に開示されるプロセスは、国際公開第2019011904号又は国際公開第2020016222号に記載のプロセスによって得られるような製品の品質に少なくとも匹敵する、高品質の植物タンパク質濃縮製品を提供する。しかし、高純度有機エステル溶媒の大規模回収選択肢は複雑で費用がかかるため、後者のプロセスは主に研究開発目的に設けられるバッチ式製造などの小規模稼働に好適である。
逆に、安定で、再利用可能で、容易に回収可能な、有機エステルとアルコールとの共沸混合物を使用する、本明細書に提示される新しいプロセスは、大規模なバッチ式で有利に使用することができ、或いは更に有利には植物材料の連続処理で植物タンパク質濃縮製品の高製造量をもたらすことができる。共沸溶媒の選択が有利であるため、提示されたプロセスは、工業規模で展開される連続プロセスの一部として実行して、年間数千トンの植物タンパク質濃縮製品を供給することができ、おそらく1日24時間、週7日間稼働する可能性があり、典型的には、年間6,000時間を超える製造時間がかかる。
したがって、本開示の有利な態様では、プロセスで得られる植物タンパク質濃縮製品(42、44)の量が、バッチ式製造プロセスでの供給量として、固体ケーキ(2)又は植物材料(1)の処理バッチあたり、又は連続製造プロセスでの時間あたりの製造量として、少なくとも1kg、好ましくは少なくとも5kg、より好ましくは少なくとも10kg、より好ましくは少なくとも20kg、最も好ましくは100kg超に達するプロセスが提供される。
上述の態様と適合する別の実施形態では、プロセスにおいて抽出される固体ケーキ(2)の量が、バッチ式製造プロセスでの供給量として、固体ケーキ(2)バッチあたり、又は連続製造プロセスでの時間あたりの抽出量として、少なくとも10kg、好ましくは少なくとも20kg、より好ましくは少なくとも30kg、より好ましくは少なくとも40kg、より好ましくは少なくとも50kg、より好ましくは少なくとも100kg、より好ましくは少なくとも200kg、更により好ましくは少なくとも500kg、最も好ましくは少なくとも1000kg以上に達するプロセスが提供される。
上述の態様と適合する更なる実施形態では、プロセスにおいて粉砕又は細分される植物材料(1)の量が、バッチ式製造プロセスでの供給量として、植物材料(1)バッチあたり、又は連続製造プロセスでの時間あたりの粉砕又は細分量として、少なくとも10kg、好ましくは少なくとも20kg、より好ましくは少なくとも30kg、より好ましくは少なくとも40kg、より好ましくは少なくとも50kg、より好ましくは少なくとも100kg、より好ましくは少なくとも200kg、更により好ましくは少なくとも500kg、最も好ましくは少なくとも1000kg以上に達するプロセスが提供される。
共沸溶媒を再循環させる及び/又は回収する能力は、開示された方法によって達成可能な製造量の拡大に大きな影響を与えるため、図1に概略的に示される方法の有利な実施形態が図2に示され、このような共沸溶媒の再循環及び回収に関して考えられるスキームの一例が更に示される。この例では、タンパク質単離物(42)の製造経路における分別ステップg)からの、「使用済みの第3の溶媒31」として示される使用済みの共沸溶媒(31)は、タンパク質-繊維製品の製造経路(44)における分別ステップg)において直接再利用(又は再循環)される。タンパク質-繊維製品(44)の製造経路における分離ステップg)への使用済みの共沸溶媒(31)の直接添加は、実線で描かれた矢印を使用して概略的に示されている。
使用済みの共沸溶媒を、分離ステップg)で、或いは任意の固体画分洗浄ステップで直接再利用することは、前述の利用後、使用済みの共沸溶媒の内容物が64~90wt%の間の有機エステルと、10~35wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコールを依然として含むという特定の条件下で、使用済みの共沸溶媒が水であまりにも希釈されていない、及び/又は主に脂質又は脂肪タイプの植物材料由来の化合物で汚染されていない場合に可能である。これらの条件のいずれかが満たされない場合、そのような使用済みの共沸溶媒を、溶媒回収プラント(図2の「SRP」)又はSRPユニットに送り、例えば、気化を使用して、水及び/又は任意の植物材料由来の汚染物質の除去を含む共沸溶媒回収を行う。
このような使用済みの共沸溶媒の回収は、図2に破線で描かれた矢印で示されているように概略的に示されており、ここで、タンパク質-繊維製品(44)の製造経路における分離ステップg)から得られる、「使用済みの第3の溶媒33」として示される使用済みの共沸溶媒(33)は、SRPユニットに送られ、その後、開示されたプロセスのステップf)の一部として、未使用共沸溶媒を加えるための「即時使用」共沸溶媒プールに戻される。
当然のことながら、「即時使用」共沸溶媒プールは、回収された使用済みの溶媒に加えて、例えば、未使用の共沸溶媒又はその形成成分の溶液、例として、実質的に純粋な、高パーセント及び/又は実験室グレードの、1~5個の炭素原子を有するアルコールの有機エステル溶液と共に提供されてもよいし、例えば、それらで満たされていてもよいし、それらと共に濃縮されていてもよいし、又は更に定期的若しくは散発的にそれらが再充填又は補充されてもよい。当業者であれば、これが、溶媒を更に再使用するために回収する産業において、「パージ」と呼ばれる一般的な慣行を構成することを容易に理解するであろう。この慣行は、タンパク質処理プラントでは、最も効率的な溶媒回収プロセスであっても、例えば、流出、放出、分解などにより、溶媒の一部の損失が必然的に起こるという事実に由来している。これらの損失を補うために、未使用精製溶媒を回収溶媒のプールに加えることができる。回収された溶媒を未使用の若しくは精製された溶媒又はその成分と部分的に置換する別の考えられる理由は、回収された溶媒中に望ましくない不純物が蓄積することであり得る。本明細書に記載される一般的なパージの実践は、当然のことながら、本明細書に開示される方法の特定の実施形態に含めることができる。
植物材料由来の汚染物質の程度に加えて、使用済みの共沸溶媒中に持ち込まれた水の含有量は、使用済みの共沸溶媒を、開示されたプロセスの実施形態において直接再利用できるか、若しくは再循環できるかどうか、又は使用済みの共沸溶媒が共沸溶媒回収のためにSRPに送られるかどうかの重要な決定要因である。例えば、本方法によって最終的に得ることができるタンパク質-繊維製品(44)となる植物タンパク質は、一般に、同様に本方法によって得ることができるタンパク質単離物(42)中に存在するある特定の天然タンパク質よりも変性に対する感受性が低い。本方法のある特定の実施形態において、タンパク質-繊維製品(44)で得ることができる前者のタンパク質は、共沸溶媒、おそらく、(第3の溶媒の総重量に基づき)10wt%以下の水、好ましくは7wt%以下の水、より好ましくは5wt%以下の水、更により好ましくは2wt%以下、また更には1wt%以下の水を含む使用済みの共沸溶媒を使用して分離することができると推定される。
しかしながら、本発明の方法に従ってタンパク質単離物中で得ることができるある特定のタンパク質(42)は、無極性親油性溶媒を使用して抽出した場合に最も良好に保存され(D. Fukushima、1969、Denaturation of soy proteins by organic solventsを参照のこと)、したがって、64~90wt%の間の有機エステル、10~35wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコールを含み、水をできるだけ含まない共沸混合物である第3の溶媒を加えることにより利点が得られる。
したがって、更なる態様では、第3の溶媒が、第3の溶媒中の水の質量分率として表して、7wt%未満の水、好ましくは5wt%未満の水、より好ましくは2wt%未満の水、更により好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を更に含むプロセスが提供される。
開示されたプロセスの更に有利な実施形態では、共沸混合物は、共沸混合物中の有機エステルの質量分率として表して、65~85wt%の間の有機エステル、好ましくは70~84wt%の間の有機エステル、より好ましくは75~83wt%の間の有機エステル、更により好ましくは76~82.5wt%の間の有機エステル、最も好ましくは76.5~82.2wt%の間の有機エステルを含む。
有利な態様では、有機エステルは0.4未満の相対極性を有する。さまざまな溶媒の相対極性の値は、Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry, Wiley-VCH Publishers、第3版、2003年に開示されている。比較のために、水の相対極性は1である。
開示されたプロセスは最終的に、ヒトの食品、及び潜在的には動物の飼料に使用するための植物タンパク質濃縮製品を提供することを目的としているため、有機エステルの選択は、その機能性だけでなく、健康及び安全性の懸念によっても決まる。これらの制約のため、開示された方法の有利な実施形態では、1~5個の炭素原子を有するアルコールとの共沸混合物を形成する有機エステルは酢酸エチルであり、これは食品業界で一般的に使用される有機エステルであり、GRAS溶媒として認められている。
開示されたプロセスの更なる例では、共沸混合物は、共沸混合物中の1~5個の炭素原子を有するアルコールの質量分率として表して、12~32wt%の間の、1~5個の炭素原子を有するアルコール、好ましくは15~30wt%の間、より好ましくは17~27wt%の間、更により好ましくは18~25wt%の間、最も好ましくは19~22wt%の間である、及び有利には約20wt%である、1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む。
可能な実施形態では、1~5個の炭素原子を有するアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。有利には、1~5個の炭素原子を有するアルコールは、0.8~0.4の間の相対極性を有する。上記の好適な有機エステルの選択に関連して説明したのと同じ考察を考慮すると、主に健康及び安全上の懸念によって推進され、有利な実施形態では、1~5個の炭素原子を有するアルコールはエタノールであり、これは食品業界でも一般的に使用されており、GRAS溶媒として認められている。
上記と同様に、開示されたプロセスの更に有利な実施形態では、共沸混合物は酢酸エチル及びエタノールを含み、好ましくは、第3の溶媒の総重量に基づき、64~90wt%の間の酢酸エチル及び10~35wt%の間のエタノールを含む。更に特定の実施形態では、共沸混合物は、有利には、共沸混合物中の酢酸エチルの質量分率として表して、65~85wt%の間、好ましくは70~84wt%の間、より好ましくは75~83wt%の間、更により好ましくは76~82.5wt%の間、最も好ましくは76.5~82.2wt%の間の酢酸エチル、並びに共沸混合物中のエタノールの質量分率として表して、12~32wt%の間、好ましくは15~30wt%の間、より好ましくは17~27wt%の間、更により好ましくは18~25wt%の間、最も好ましくは19~22wt%の間、及び有利には約20wt%のエタノールを含み得る。
GRAS溶媒として認められている酢酸エチルとエタノールで構成される共沸溶媒を使用して、特に脂質が豊富な油糧種子を含むタンパク質含有植物材料から脂肪及び脂質の残留物を除去すると、開示されたプロセスでは、特にヘキサンを含む鉱油由来の有害な溶媒を使用する必要がなくなるという更なる利点がもたらされる。これはまた、ミールからヘキサンの残留物を除去するために業界で現在採用されている従来のステップを排除することを示唆しており、前記ステップには、典型的には、蒸気及び高温の使用が関与し、このステップはミール中に存在するタンパク質の抽出性及び機能性を著しく制限する。したがって、別の態様では、ヘキサンなどの6個以上の炭素原子を有する有機溶媒又は無機溶媒を使用せずに実行するプロセスが提供される。
使用される植物材料及びその内容物に応じて、共沸溶媒回収の図2に示されるものに代わる実施形態では、タンパク質単離物(42)及びタンパク質-繊維製品(44)の両方の製造経路からの使用済みの共沸溶媒(31、33)は、両方とも、溶媒回収プロセスのためにSRPユニットに直接送ることができる(示されていない実施形態)。
本明細書に開示される方法の異なる実施形態による使用済みの共沸溶媒の再循環及び/又は回収の選択された戦略とは独立して、前記方法はまた、使用済みの第2の(又はアルコール性)溶媒の再循環及び/又は回収を含んでもよい。その一例が図3に象徴的に示されており、ここでは、植物タンパク質単離物(42)の製造経路における分別ステップe)からの使用済みのアルコール溶媒(使用済みの第2の溶媒21)を、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路におけるアルコール分別ステップe)に直接加え、したがってそこで再利用することができる。当然のことながら、この後、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路内の使用済みのアルコール溶媒(使用済みの第2の溶媒23)は、更なるSRPユニット(示されていない)において溶媒回収プロセスを受けることもできる。
開示されたプロセスの更なる可能な実施形態では、本明細書では「使用済みの共沸溶媒の更なる部分」と更に呼ばれる、直接再利用可能、リサイクル可能、及び/又は回収可能な相当量の使用済みの共沸溶媒も、乾燥ステップh)の結果として製造することができ、これを図4に概略的に示す(使用済みの第3の溶媒41及び43)。
したがって、次の態様では、ステップh)における第3の固体画分(32、34)の乾燥は、使用済みの共沸溶媒の更なる部分(41、43)と更に呼ばれる、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)を生成する、プロセスが開示される。
説明したように、図5に概略的に示すような有利な実施形態では、使用済みの共沸溶媒の更なる部分(41、43)を、分別ステップg)からの使用済みの共沸溶媒(31、33)と一緒に、又はそれらから独立して、蒸発器又は蒸留器などのSRP内における溶媒回収プロセスを受けることによって、再使用することができる。この後、こうして回収された共沸溶媒は、開示されたプロセスによる後続の植物タンパク質濃縮製品の製造ラウンドにおけるステップf)の一部として未使用共沸溶媒を加えるための「即時使用」共沸溶媒プールに戻すことができる。
図5の実施形態よりもSRPの負荷が低い、代替の特に有利な共沸溶媒の再利用及び回収スキームを、図6に概略的に示す。この概略的な実施形態では、分別ステップg)からの使用済みの共沸溶媒(31)、及び植物タンパク質単離物(42)の製造経路で得られ、任意選択で植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路からも得られる、乾燥ステップh)からの使用済みの共沸溶媒の更なる部分(41、43)を、植物タンパク質及び繊維製品(44)の製造経路における分別ステップg)で再利用する。このようにして得られた使用済みの共沸溶媒(33)は次に溶媒回収プロセスのためにSRPに送られ、後で戻され、開示された方法に従って、その後の植物タンパク質濃縮製品の製造サイクルに再使用することができる。
したがって、更なる態様では、ステップf)で加えられる第3の溶媒の少なくとも一部が、使用済みの第3の溶媒(31、33)、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちのいずれか1つから回収されるプロセスが提供される。
上記の態様の好ましい実施形態では、ステップf)で加えられる第3の溶媒の一部が回収される、使用済みの第3の溶媒(31、33)、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちのいずれか1つは、使用済みの第3の溶媒又はそれらの組み合わせ(31、33、41、43)中の水の質量分率として表して、少なくとも5wt%の水、好ましくは少なくとも10wt%の水、場合により少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、又は少なくとも30wt%以上の水を含む、プロセスが提供される。
直前の2つの実施形態のうちの特定の実施形態では、ステップf)で加えられる第3の溶媒が、使用済みの第3の溶媒(31、33)、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちのいずれか1つから主に又は完全に回収されるプロセスが提供される。同様に、後者の考えられる特定の実施形態では、ステップf)で加えられる第3の溶媒が主に又は完全に回収される、使用済みの第3の溶媒(31、33)、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちのいずれか1つが、使用済みの第3の溶媒又はそれらの組み合わせ(31、33、41、43)中の水の質量分率として表して、少なくとも5wt%の水、好ましくは少なくとも10wt%の水、場合により少なくとも15wt%、少なくとも20wt%、少なくとも25wt%、又は少なくとも30wt%以上の水を含む、プロセスが提供される。
共沸溶媒の回収に関して、更に有利な態様では、第3の溶媒の回収が、200kPa以下、より好ましくは大気圧(1atmは101.325kPaに相当)以下の動作圧力を適用することを含み、好ましくは、動作圧力は20~50kPaの間(0.2~0.5bar)で構成される、プロセスが提供される。
更に有利な態様では、第3の溶媒の回収が、好ましくは回転式蒸発器、ワイプ式膜蒸発器(wiped-film evaporators)、かきとり式膜蒸発器(scraped-film evaporators)、流下膜式蒸発器(falling-film evaporators)、上昇膜式蒸発器(rising-film evaporators)、ショートパス蒸発器を含む群から選択され、好ましくは流下膜式蒸発器である、蒸発器の使用を含む、又は蒸発器を用いて実行される蒸発ステップを含むプロセスが提供される。別の有利な態様では、第3の溶媒の回収が機械的蒸気再圧縮(vapour recompression)を含むプロセスが提供され得る。
当然のことながら、使用済みの共沸溶媒の再利用及び/又は回収スキームの上記又は他の実施形態のいずれかは、図3に示すもののような、分別ステップe)における使用済みのアルコール溶媒の任意の再利用及び/又は回収スキームと独立して組み合わせることができる。
上記の概略的な例で説明及び示したように、有利な実施形態では、使用済みの溶媒、特に使用済みの共沸溶媒、例えばタンパク質単離物(42)の製造のための本明細書に開示されるプロセスで生成されるようなものは、本明細書に開示される植物タンパク質-繊維製品(44)の製造のためのプロセスにおいて、溶媒として、或いは、洗浄溶液として、有利に再循環又は再利用することができる。
これは、穏やかな水性抽出ステップb)及び分離ステップc)の後に得られる第1の固体画分(12)中に在来植物繊維と共に保持される植物タンパク質が、前記ステップの後、第1の液体画分(11)中に保持される天然水溶性植物タンパク質の実質的な部分としてそのような純粋な溶媒を必ずしも必要としないためである。特に、天然水溶性植物タンパク質の実質的な部分は、おそらく相分離から生じる剪断応力によって損傷又は変性を受けやすく、これは、所与の系において許容される水分制限を超えた場合に、本明細書に開示される方法の多溶媒系で起こる場合がある。
このため、有利な実施形態では、開示された方法のステップd)で加えられるアルコール性(又は第2の)溶媒の組成及び/又はステップf)で加えられる共沸(又は第3の)溶媒の組成は、好ましくは、タンパク質-繊維製品(44)製造経路中の対応する溶媒と比較して、タンパク質単離物(42)製造経路中に含まれる水の量が少ない。
したがって、有利な実施形態では、タンパク質単離物(42)製造経路中のステップd)で加えられるアルコール性(又は第2の)溶媒が、第2の溶媒中の水の質量分率として表して、7wt%未満の水、好ましくは5wt%未満の水、より好ましくは3若しくは2wt%未満の水を含み、及び/又はタンパク質単離物(42)製造経路中のステップf)で加えられる共沸(又は第3の)溶媒が、第3の溶媒中の水の質量分率として表して、2wt%未満の水、好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を含む、プロセスが提供される。
可能な実施形態では、開示されたプロセスによって得られるタンパク質濃縮製品が、タンパク質-繊維製品(44)であるプロセスが提供される。
代替的実施形態では、開示されたプロセスによって得られるタンパク質濃縮製品が、タンパク質単離物(42)であるプロセスが提供される。
上記2つの実施形態による有利な実施形態では、タンパク質-繊維製品(44)とタンパク質単離物(42)の両方がタンパク質濃縮製品として得られるプロセスが提供される。
提供される方法の特定の実施形態では、ステップd)における加えることは、第2の溶媒を第1の固体画分(12)に加えることを含み、ステップh)で得られた植物タンパク質濃縮製品(42、44)は、植物タンパク質及び在来繊維を含むタンパク質-繊維製品(44)であり、好ましくは、植物タンパク質及び在来繊維の総含有量は、タンパク質-繊維製品(44)の総乾燥重量に基づき、少なくとも30wt%である。
上記の実施形態に適用可能な更に有利な実施形態は、国際公開第2020016222号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、有利な実施形態では、第2の溶媒は、第2の溶媒の総重量に基づき、少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、より好ましくは少なくとも80wt%、最も好ましくは少なくとも90wt%の、室温で水と混和性である1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む。
別の特定の実施形態では、ステップh)で得られる植物タンパク質濃縮製品(42、44)が、タンパク質単離物の総乾燥重量に基づき、タンパク質含有量が、少なくとも90wt%、好ましくは少なくとも95wt%であるタンパク質単離物(42)であり、
ステップd)における加えることの前に、第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、前記濃縮物(11b)は、好ましくは、前記濃縮物(11b)の総重量に基づき50~90wt%の間の水と、前記濃縮物(11b)の総乾燥重量に基づき少なくとも40wt%のタンパク質含有量とを含み、加えることは、少なくとも90wt%のアルコールを含む第2の溶媒を前記濃縮物(11b)に加えることを含み;
ステップf)で加えられる第3の溶媒は、好ましくは2wt%未満の水、より好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を含み、好ましくはまた、
ステップe)で得られた第2の固体画分(22)のタンパク質含有量は、第2の固体画分(22)の総乾燥重量に基づき少なくとも60wt%であり;及び/又は
ステップg)で得られた第3の固体画分(32)のタンパク質含有量は、第3の固体画分(32)の総乾燥重量に基づき少なくとも90wt%である、プロセスが提供される。
本発明の方法の有利な実施形態では、ステップh)で得られる植物タンパク質濃縮製品がタンパク質単離物(42)であり、使用される植物材料(1)に応じて、ステップd)において、第1の液体画分(11)を、非タンパク質成分の少なくとも一部を除去するために1つ又は複数のダイアフィルトレーションステップに更に供し、及び/又は第1の液体画分(11)を、蒸発ステップに供することができる、プロセスを提供することができる。
参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019011904号に説明されているように、第1の固体画分(12)から分離した後、タンパク質単離物(42)の製造のために得られた第1の液体画分(11)を、任意選択で、例えば、自動洗浄フィルター若しくはデプスフィルター(depth filters)などの濾過装置を使用して、別の固液分離ステップに供してもよく、又は第1の液体画分を、第1の液相中に存在することがある固体微粉及び/又は脂質を除去する目的で、ディスクスタック遠心分離機又は同様の装置で遠心分離に供してもよい。
可能な実施形態では、第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、第1の水性溶媒(11a)を廃棄することは、好ましくは、限外濾過、蒸発、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、第1の液体画分(11)は、中空繊維タイプの濾過膜、セラミック膜、又はスパイラル型膜を備えたTFF装置において限外濾過に供することができ、前記濾過膜は、第1の液相に存在する、典型的には6~20kDのタンパク質性物質を保持するのに十分小さい開口サイズ(カットオフサイズ)を有し、一方、第1の液体画分中に存在するペプチド、多糖、オリゴ糖、糖、フェノール化合物、フィテート及び塩のような他の溶質対して透過性である。場合により、この限外濾過濃縮ステップの後、好ましくは、溶解しているか又は沈殿しているかのいずれかである少なくとも10wt%の固体を含む、第1の液体画分濃縮物(11b)を製造するために、真水による、又は塩を含み、任意選択により更なる添加剤を含む水溶液による、限外濾過保持液のダイアフィルトレーションステップを使用し、このような第1の液体画分濃縮物(11b)中のタンパク質含有量は、濃縮物の総乾燥重量に基づき、少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%であり、タンパク質濃縮物は、タンパク質濃縮物の総重量に基づき50~90wt%の水を含む。任意選択で、過剰な水(11a)を除去するために、第1の液体画分濃縮物(11b)を真空下で蒸発させてもよい。国際公開第2019011904号で説明されているように、当業者であれば、濾過、沈降、遠心分離などを含むいくつかの異なる好適な濃縮技術を、第1の液体画分(11)の異なる画分又は部分に適用することができること、更に、得られた濃縮製品を、その後プールして、最終的なタンパク質濃縮第1の液体画分濃縮物(11b)を形成することができ、これを、本明細書に提示される方法に従って更に処理して、タンパク質単離物(42)を製造することができることを理解しているであろう。
上記実施形態の有利な実施形態では、タンパク質単離物(42)は、乾燥物に基づき少なくとも70wt%の天然の植物系タンパク質を含み、好ましくは、1wt%未満の炭水化物、及び/又は0.2wt%未満のフェノール化合物を含み、及び/又は6個以上の炭素原子を有する有機溶媒若しくは無機溶媒を含まない。
有利な実施形態では、タンパク質-繊維製品(44)又はタンパク質単離物(42)のいずれかである、ステップh)の開示されたプロセスによって得られるタンパク質濃縮製品(42、44)中の共沸溶媒の残留量は、食品当局によって要求される許容レベルを下回っており、典型的には1000ppm未満、好ましくは100ppm未満、更により好ましくは30ppm未満である。
開示された方法の可能な実施形態の種々の態様は、使用される植物材料(1)の選択、特にその脂肪及び脂質、及び/又は繊維の含有量に依存し得る。植物材料(1)は、好ましくは、野菜、果物、種子、豆果、穀物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。可能な実施形態では、植物材料(1)は植物原材料であり、これは粗製の未処理の植物材料であることを意味する。植物材料(1)の例としては、菜種、キャノーラ、ヒマワリ、ベニバナ、又は綿実を含む油糧種子が挙げられる。代替例としては、大豆及び他の豆のような豆類(pulses)、豆果(legumes)、並びにヒヨコ豆、赤レンズ豆、緑レンズ豆、黄レンズ豆、及び茶レンズ豆などを含む豆(peas)が挙げられる。有利な実施形態では、植物材料(1)は、菜種、キャノーラ、ヒマワリの種、亜麻仁、ベニバナの種、綿実、及びそれらの組み合わせを含む油糧種子からなる群から選択され、植物材料は好ましくは菜種、大豆、又はヒマワリである。
植物原材料、例として、菜種、キャノーラ、ヒマワリ、ベニバナ、綿実などの油糧種子、大豆及び他の豆のような豆類、豆果並びにヒヨコ豆、赤レンズ豆、緑レンズ豆、黄レンズ豆、及び茶レンズ豆などの豆、は、それらの天然タンパク質含有量のかなりの割合が、アルブミン及び/又はグロブリンと呼ばれるタンパク質のクラスに属するという共通の特徴を共有し、すなわち、それらは、水並びに/或いはNH4+、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+のようなカチオン及び/又はCl、SO42-、SO32-、HSO3-のようなアニオンを含有する無機塩の水溶液に可溶性である。タンパク質以外に、これらの植物原材料には、典型的には、植物材料のタイプに応じてさまざまな割合で存在する他のタイプの化合物も含まれる。前記他の化合物は、典型的には、糖類(多糖、オリゴ糖、単糖)、デンプン、フィテート、フェノール化合物、繊維成分、非タンパク質窒素化合物などである。植物原材料中に存在し得る成分のうちの注目に値する異なるクラスの1つは、4~28個の範囲内の数の炭素原子を有する脂肪酸で構成された分子構造中に非極性部分を有するという共通の特徴によって特徴付けられる、脂質、例として、脂肪、油、リン脂質、糖脂質などを包含する。
当業者は、本発明の教示による処理の前に、種子全体、豆、又は穀物の形態の植物原材料を、前選択及び/又は乾燥分別、例えば、脱ぷ処理(すなわち、さや及び種子の外皮の除去)に供してもよいことを理解するであろう。そのような操作は、乾式分別によって除去することができる部分のタンパク質含有量が、タンパク質製品を得る目的で更なる処理に供される部分のタンパク質含有量よりも著しく低い場合に、特に有利であり得る。
したがって、一実施形態では、例えば、植物原材料が、種子全体、豆、又は穀物を含む場合に、ステップa)前の植物材料から、好ましくは脱ぷ処理、剥皮処理、乾式分別、又はそれらの組み合わせの好適な方法を使用して、被膜、樹皮、殻、外皮などの形態を有するタンパク質が乏しくリグニンが豊富な外層を、少なくとも部分的に枯渇させる、プロセスを提供することができる。
典型的には、油糧種子及び大豆の場合、植物原材料中に存在する脂肪、油及び脂質の一部は、押出成形又はコールドプレスなどの機械的手段によって植物原材料から抽出されて、油糧種子ケーキを生成し得るか、或いは前記脂肪、油、及び脂質を、化学的手段、例としてヘキサンなどの無極性で親油性の溶媒での抽出、によって抽出することができる。ヘキサン抽出が使用される従来のプロセスでは、典型的には、蒸気及び高温を使用して、意図的に設計された脱溶剤/トーストステップでミールから残留ヘキサンを除去する。そのような処理は、ミール中に存在するタンパク質の部分的かつ不可逆的な変性並びに溶解性及び/又は脂質と安定なエマルジョンを形成する能力などの関連する機能的特性の損失が原因で、ミール中のタンパク質の品質に悪影響を与える場合がある。
上記を考慮して、考えられる実施形態では、植物材料は、ステップa)の前に、機械的手段、好ましくはコールドプレスを使用して少なくとも部分的に脱脂処理される。好ましくは、機械的手段を使用する脱脂処理ステップにおいて、有機溶媒も無機溶媒も使用されない。また、好ましくは、植物原料は75℃を超える温度に加熱されない。
開示されたプロセスの利点は、植物原材料がかなりの量の脂肪、油及び/又は脂質を含有する場合に、特に顕著である。したがって、一実施形態では、植物原材料は、乾燥重量ベースで少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも10wt%、更により好ましくは少なくとも15wt%の脂肪、油及び脂質を含む。
示されているように、植物原材料の粉砕又は細分は、開示された方法のステップa)で実行する。このステップにより、抽出に使用される第1の水性溶媒中での植物材料の分散及び懸濁が容易になる。そうすることにより、粉砕又は細分された植物原材料(別名、固体ケーキ2)と、抽出のために使用された第1の溶媒との間の効果的な物質移動のための条件が容易となる。
一実施形態では、ステップb)の第1の溶媒は、水、又はNaCl、KCl、CaClなどの塩を含み、任意選択で更なる添加剤を含む水溶液である。
粉砕又は細分された植物原材料から第1の溶媒への水溶性成分の抽出は、懸濁又は分散された固相と、第1の溶媒の連続液相との間の物質移動を促進するために好適な任意の技術、例えば、
i)STRにおいて混合すること;
ii)充填床として固定化された、粉砕又は細分された植物原材料を、充填床を通って浸出する第1の溶媒と接触させること;
iii)粉砕又は細分された植物原材料を、上向きに流れる第1の溶媒に懸濁させることによって、植物原材料を接触させること;又は
iv)粉砕又は細分された植物原材料を、重力及び/又は遠心力の作用によって第1の溶媒中において沈降させることにより、材料を、第1の溶媒と接触させること、
によって達成することができる。
当業者は、粉砕又は細分された植物原材料を第1の溶媒と接触させる全てのこれらの手段及びメカニズムが、接触装置において発生する剪断の量によって特徴付けられる2つの異なるクラスに分割することができることを理解する。充填床、膨張床若しくは流動床におけるような、低剪断モードの操作において、又は重力沈降の際、接触装置における剪断力及び速度勾配は、粉砕又は細分された植物原材料の完全性が実質的に保持され、並びに粉砕又は細分された植物原材料と第1の溶媒との間の物質移動が、主に、粉砕又は細分された植物原材料から、停滞しているか又は穏やかに流れる第1の溶媒中への可溶性成分の拡散によって支配され、その一方で、繊維及び脂質のような非可溶性成分は、主にそのまま残され、固体マトリックス中に捕捉される。対照的に、STRのような高剪断モードの操作を使用する場合、特に撹拌機の付近では撹拌による剪断速度が100 1/秒を十分超える場合があり、撹拌装置によって発生する速度勾配及び/又は乱流の破壊的な効果のため、粉砕又は細分された植物原材料の完全性は通常保存されないであろう。実際、粉砕又は細分された植物原材料の粒子は、断片化を受け、その後、微粉及び脂質などの構成成分が液相に放出される場合がある。これらの微粉及び脂質の放出は、抽出ステップの更なる下流のプロセスに対する悪影響を及ぼす場合がある。高剪断装置におけるタンパク質及び脂質の共抽出は、タンパク質、脂質、固体微粉、及び抗栄養因子が、グリース様非晶質体に捕捉されるマイクロエマルジョンの形成を引き起こす場合があり、それは、処理装置に対して重大な問題を引き起こし、タンパク質の分別、精製、及び単離のプロセスを実行不可能にする場合がある。したがって、更なる実施形態では、ステップb)における水溶性成分の抽出は、低剪断条件下で実行される。
可能な実施形態では、ステップb)とステップc)との間で、ステップb)で得られた第1の固体画分と第1の液体画分との混合物中に存在する脂肪、油及び脂質の少なくとも一部を、好ましくは、遠心分離、濾過、又はそれらの組み合わせを使用して除去する方法が提供される。更に有利な実施形態では、ステップc)における第1の液体画分(11)の第1の固体画分(12)からの分離は、遠心分離、沈降、濾過及び/又はそれらの組み合わせから選択される技術を使用して実行する。
ステップd)における第2の溶媒を第1の液体画分濃縮物(11b)又は第1の固体画分(11)に加えると、液相の極性に影響を与え、タンパク質の溶解度が変化し、それによってタンパク質の沈殿が誘発される場合があり、及び/又はそれぞれ、タンパク質若しくはタンパク質-繊維マトリックスと、糖類、フェノール化合物及び/又はイソフラボンなどの他の成分及び不純物との間の相互作用の性質を、これらの不純物が、タンパク質又はタンパク質-繊維マトリックスそれぞれから解離することができ、後続の固液分離ステップで、それぞれタンパク質単離物又はタンパク質-繊維マトリックスから除去することができるような方法で変える場合もある。したがって、ステップd)における第2の溶媒の添加及び第1の溶媒の置換によって、それを行わなければタンパク質又はタンパク質-繊維マトリックスと会合する不純物からの効率的な単離及び/又は精製を容易にすることができ、これらの不純物は、タンパク質又はタンパク質-繊維マトリックスがそれぞれ、第1の(水性)溶媒中にある間は除去しにくい。
プロセスのステップd)で使用される第2の溶媒の量は、第1の溶媒中のタンパク質の濃度の程度、第1の溶媒と第2の溶媒の混合物中のタンパク質の溶解度、及び第2の溶媒に関する変性効果によって決まる。一実施形態では、アルコール性の第2の溶媒の量は、ステップb)で使用される第1の溶媒対ステップd)で使用される第2の溶媒の重量比が1:10~1:1の間、好ましくは1:3~2:3の間に達するような量である。
ステップd)でアルコール性の第2の溶媒を添加した後、主にタンパク質又はタンパク質-繊維が、沈殿した第2の固体画分(それぞれ22、24)として存在する混合物が生成され、糖類、フェノール化合物、イソフラボン及び他の不純物などの可溶性化合物は、使用済みのアルコール性の第2の溶媒(21、23)である液相中に見出される。脂肪及び脂質が存在する場合、主に固体画分(22、24)に会合する。
次に、固体画分(22、24)を、濾過、沈降、遠心分離及びそれらの組み合わせからなる群から選択される技術を使用して、ステップe)で混合物から単離して、第2の固体画分及び第2の液体画分を得ることができる。当業者によって理解されるように、第2の固体画分(22、24)は、プロセスにおいて使用された溶媒、例として、水及び水混和性アルコールなどの微量を含む。第2の固体画分は、プロセスの他のステップで除去されなかった脂肪及び脂質の残留物も含有する場合がある。
当業者は更に、第2の固体画分(22、24)の単離後、タンパク質生成物の純度を更に向上させるために、追加の洗浄ステップを使用することができ、これにより、アルコール性の第2の溶媒の未使用部分を第2の固体画分(22、24)に加え、その後、濾過、沈降、遠心分離及びそれらの組み合わせからなる群から選択される好適な固液分離ステップを行うことができることを理解するであろう。したがって、可能な実施形態では、ステップe)の後かつステップf)の前に、第2の固体画分(22、24)を、アルコール性の第2の溶媒を使用する追加の洗浄ステップに供し、続いて固液分離ステップに供されるプロセスが提供される。
次に、ステップf)で得られた固液混合物は、好ましくは、ステップg)において、濾過、沈降又は遠心分離を使用して、使用済みの共沸溶媒を含む第3の液体画分(31、33)と第3の固体画分(32、34)とに分離される。したがって、定型的な実施形態では、ステップe)又はg)のいずれかにおける分離が、濾過、沈降、遠心分離及びそれらの組み合わせからなる群から選択される技術を含む方法を提供することができる。
本明細書に開示される共沸性の第3の溶媒の作用による脂質及び他の無極性不純物の除去により、タンパク質又はタンパク質-繊維マトリックスの純度は更に改善される。当業者はまた、第3の固体画分(32、34)の単離後、純度を更に向上させるため、及び/又は第1及び第2の溶媒の残留物を更に除去するために、追加の洗浄ステップを使用でき、これにより、共沸性の第3の溶媒の未使用部分を第3の固体画分(32、34)に加え、その後、濾過、沈降、遠心分離及びそれらの組み合わせからなる群から選択される好適な固液分離ステップを行うことができることを理解するであろう。したがって、可能な実施形態では、ステップg)の後かつステップh)の前に、第3の固体画分(32、34)を、共沸性の第3の溶媒を使用する追加の洗浄ステップに供し、続いて固液分離ステップに供されるプロセスが提供される。当然のことながら、上述したような本開示の一般的な有利な原理に従って、有利である可能な実施形態では、洗浄ステップのいずれか1つで使用された共沸溶媒を直接再利用又はリサイクルすることもでき、或いは共沸溶媒回収用のSRPに送ることもできる。
最後に、それぞれ未乾燥タンパク質単離物又は未乾燥タンパク質-繊維製品のいずれかであり、まだ湿っている、及び/又は共沸性の第3溶媒に浸漬されている第3の固体画分(32、34)を、好ましくは、真空乾燥、接触乾燥、対流乾燥、噴霧乾燥、過熱蒸気乾燥、及び/又はそれらの組み合わせから選択される技術による、乾燥ステップh)に供する。乾燥ステップh)の後、最終の植物タンパク質濃縮製品が得られ、有利には、タンパク質含有量は、第4の固体画分の総乾燥重量に基づき、タンパク質単離物(42)について90wt%を超え、タンパク質-在来繊維含有量はタンパク質-繊維製品(44)について30wt%を超える。
特に、本明細書に開示されるプロセスは、高温又はpHの大きな変化などの極端な条件の使用を必要としない。むしろ逆に、開示されたプロセス全体を通じてタンパク質がさらされる温度は、好ましくは0~70℃の間、より好ましくは0~55℃の間、より好ましくは4~50℃の間、より好ましくは4~20℃の間、最も好ましくは10~20℃の間の範囲に維持され、一方、異なるpH値での洗浄ステップが場合により含まれることもあるが、pHは好ましくは4~8の範囲に維持され、これは、高い塩基性pHでの追加の洗浄ステップを含めることは、一部の用途、例えば、マトリックスの繊維状成分を無傷のまま残しながら、タンパク質及び脂質などの塩基性溶液に可溶な成分を洗い流す場合に役立つ可能性があるためである。
上述のように、植物タンパク質濃縮製品(42、44)を得るために開示されたプロセスは、特に溶媒の選択により食品での使用に最適化されている。したがって、重要な追加の態様では、ヒトの食品又は動物の飼料として注目される、消費用の植物タンパク質を得るための、本明細書に開示される方法及びその結果得られる植物タンパク質濃縮製品(42、44)の使用が本明細書に提示される。
本開示の基礎となる概念は、上で考察した異なる実施形態を参照して説明された。これらの実施形態は、当業者には周知の種々の修正及び代替形態が可能であることが認識されるであろう。
更に、本明細書及びその特許請求の範囲を適切に理解するために、「含む(to comprise)」という動詞及びその活用は、その単語に続く項目が含まれるが、特に言及されていない項目が除外されるものではないことを意味する非限定的な意味で使用されることを理解されたい。加えて、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、文脈上、要素が1つだけであることを明確に要求しない限り、要素が2つ以上存在する可能性を除外するものではない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
[実施例]
実施例1-菜種タンパク質単離物Raptein(商標)90の調製のためのプロセス
S-157及びS-159としてタグ付けされた2つの実験を実行し、得られたRPI(菜種タンパク質単離物)の試料の化学純度及び機能性を比較した。試料S-157 RPIを生成する実験では、回収された共沸物を、約76%w/wの酢酸エチル、<0.1%の水、任意の(ad limitum)エタノールの組成を有する第3の溶媒として使用した。
試料S-159RPIを生成する実験では、技術的純度(>96%)w/wの酢酸エチルを第3の溶媒として使用した。
共沸物の回収は、タンパク質単離物及びタンパク質-繊維製品の製造に使用された使用済みの溶媒から実行した。回収は、温度40℃、絶対圧140mbarの20L回転蒸発器(Heidolph)中で達成した。共沸物の回収に使用した使用済みの溶媒混合物の主成分は、酢酸エチル、エタノール、水、菜種由来の脂質、例として油及びリン脂質など、並びにプロセスで使用する塩:NaCl、CaClであった。
出発材料は、菜種加工会社から供給された。S-159の場合、ケーキは通常品質のコールドプレスされた菜種ケーキ(種皮/外皮が存在する)であり、S-157の場合、ケーキはコールドプレスされた菜種穀粒であり、種皮/外皮がなかった。
これら2つの実験の出発材料の組成を、以下に示す(%w/wDW、水分含有量を除く):
菜種タンパク質単離物を取得するプロセスのプロトコールは、試料S-159とS-157の両方で同様であり、以下で説明する。
抽出ステップ
6kgの菜種ケーキを、抽出媒体:0.9%NaCl、0.1%NaSO、0.1%E211、0.1%EtOH、任意の水中で懸濁させた。抽出ユニットは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019011904号に記載されている30L ALSEOS装置である。温度を15℃に、及び天然pH=5.8に維持した。2CV=約60Lの粗抽出物を、ALSEOSユニットへの出入りの流量約15L/時間で4時間の処理時間後に収集した。
清澄化ステップ
収集した粗抽出物を0.1N NaOHでpH=6.8にpH調整し、STR中で20分間インキュベートした後、抽出物を4000Gのバケット遠心分離機で固液分離して、上清相として清澄化抽出物を回収した。
[留意点:ALSEOS装置での抽出ステップは、6kgの菜種ケーキを80Lの抽出媒体に加え、穏やかに撹拌しながらスラリーを15℃、天然pH=5.8で4時間インキュベートすることにより、撹拌槽型反応器で再現することができ(アンカータイプ又はハイドロフォイルインペラ使用する懸濁直後の状態)、続いて、pH=6.8にpH調整し、続いて4000×Gでのバケット遠心分離機などの好適な技術を使用した固液分離ステップを行って、上清相として清澄化抽出物を回収する。]
UF/DFステップ
次に、清澄化抽出物を、透析媒体として脱塩水を使用し、10kDa(中空繊維、GE、UFP-10-E-8A)を使用するクロスフロー膜濾過ユニットでUF/DFステップに供した。ダイアフィルトレーション容積の量は、清澄化抽出物の元の容積の約2倍であった。導電率が7mS/cm未満に達した後、保持液を、最終保持液中の乾燥固体含有率が約5%になるまで濃縮した。
エタノールステップ
UF/DFステップからの濃縮UF保持液を、実験S-159ではエタノール(純度>92%w/w)で、実験S-157ではエタノール(純度>96%)で処理に供した。エタノール対UF保持液の比は、両方の実験において1.9:1(w/w)であった。エタノールの添加は、STR容器内で激しく撹拌しながら15分で完了した。温度を5℃に保持した。更なる15分間のインキュベーション時間の後、混合物を、4000×Gで20分間(分)バケット遠心分離機を使用する固液分離ステップに供した。湿潤したペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
酢酸エチル洗浄ステップ
エタノールステップからの湿潤したペレットを、酢酸エチル溶媒(溶媒3)と、比率(w/w)5:1、溶媒3:湿潤したペレット5:1で混合した。
試料(S-159)には、技術的品質(>96%w/w)の酢酸エチルを使用した。
試料(S-157)には、回収した共沸物(76%(v/v)酢酸エチル、<0.1%水、任意のエタノール)を使用した。
第3の溶媒の添加は、STR装置内で激しく撹拌しながら完了した。更なる15分間のインキュベーション時間の後、得られた混合物を、4000×Gで20分間バケット遠心分離機で固液分離ステップに供した。湿潤したペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
乾燥ステップ
酢酸エチル洗浄ステップから得られた湿潤したペレットを、以下を含む乾燥手順に供した:絶対圧400mbar、及び40℃の真空トレーチャンバ乾燥機内で、ケーキを水分含有量約1%まで乾燥させ、その後ケーキをグライディング/較正して40~150ミクロンの間のPSD(粒度分布)を取得し、その後、較正された粉末を、50mbarの真空チャンバ内で40℃にて48時間更に乾燥させた。
同じ手順を、試料S-157及びS-159に適用した。
得られた試料の化学組成及び機能性を分析した。
結果を以下の表1に示す。
結論
菜種タンパク質単離物の両方の試料は、化学純度などの重要な品質特性の必要なプロファイルを満たしており、機能特性の点で同等である。
実施例2-菜種タンパク質-繊維製品Raptein(商標)30の調製のためのプロセス
出発材料:
実験S-157及びS-159からの清澄化ステップ後のバケット遠心分離機での固液分離ステップ後のペレット相(湿潤したケーキ)を使用して、それぞれS-157 PFP及びS-159 PFPとしてタグ付けされた菜種タンパク質-繊維製品の試料を製造した。
塩洗浄ステップ
乾燥重量約15~20%を含有するペレットを、STR容器内で以下の条件で塩洗浄に供した:pH=4(0.1HClで調整)、温度約15℃、媒体 水中2%NaCl、比率5:1(w/w媒体:ペレット)、インキュベーション時間 穏やかな撹拌下で30分(懸濁直後の状態)。その後、混合物を、4000×Gで20分間、バケット遠心分離機で固液分離ステップに供した。ペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
アルコール洗浄ステップ
塩洗浄ステップから得られたペレット(湿潤したケーキ)を、純度(70%v/v、64%w/w)のエタノール、任意の水と混合した。エタノール:ペレットの比率5:1(w/w)。
穏やかに撹拌しながらSTR中で混合(懸濁直後の状態)、インキュベーション時間15分、温度約15℃。その後、混合物を、4000×Gで20分間、バケット遠心分離機で固液分離ステップに供した。ペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
第1の酢酸エチル洗浄ステップ
アルコール洗浄ステップからのペレットを第3の溶媒と混合した。S-159の場合、第3の溶媒は酢酸エチル(>96%w/w)であった。S-157の場合、酢酸エチル(76%v/v)とエタノールの回収された共沸物であった。この溶媒混合物中の水含有量は<0.1%であった。比率:5:1(第3の溶媒:ペレット)。
激しく撹拌しながらSTR中で混合、インキュベーション時間15分、温度約15℃。その後、混合物を、4000×Gで20分間、バケット遠心分離機で固液分離ステップに供した。ペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
第2の酢酸エチル洗浄ステップ
第1の酢酸エチル洗浄ステップからのペレットを第3の溶媒と混合した。S-159の場合、第3の溶媒は酢酸エチル(96%w/w)であった。S-157の場合、酢酸エチル(76%v/v)とエタノールの回収された共沸物であった。この溶媒混合物中の水含有量は<0.1%であった。比率:5:1(第3の溶媒:ペレット)。
激しく撹拌しながらSTR中で混合、インキュベーション時間15分、温度約15℃。その後、混合物を、4000×Gで20分間、バケット遠心分離機で固液分離ステップに供した。ペレットを更なる処理のために採取し、上清を廃棄した。
乾燥ステップ
第2の酢酸エチル洗浄ステップからの湿潤したペレットを、水分含有量が<1%(w/w)に達するまで、40℃、絶対圧400mbarの真空チャンバ乾燥機に入れた。その後、材料を粉砕機でグライディング/較正して、PSD(粒度分布)40~150ミクロンを達成した。その後、材料を40℃、絶対圧50mbarの真空チャンバ乾燥機に24時間入れた。
タンパク質-繊維製品の試料を分析し、化学組成及び機能性を比較した。
結果を表2に示す。
結論
菜種タンパク質-繊維製品の両方の試料は、化学純度などの重要な品質特性の必要な標的プロファイルを満たしており、機能特性の点で同等である。
実施例3-菜種/大豆タンパク質濃縮製品の製造のために回収された共沸混合物を使用したさまざまな溶媒組成でのパイロット実験及び化学純度などの前記製品の重要な品質特性の評価
目的及び実験セットアップ:
パイロット実験の主な目的は、溶媒の組成及び回収を大幅に簡素化したにもかかわらず、油糧種子、豆果、又はレンズ豆などからの油、脂肪、及び/又は脂質を大量に含有する難易度の高い植物材料からでも、高品質の植物タンパク質濃縮製品を得ることができることを更に実証することであった。
この目的を達成するために、酢酸エチル(EA)洗浄ステップに必要な5つの異なる溶媒組成を使用して実験を実施し、これらは全てタンパク質-繊維製品を得るために使用し、そのうちの4つはタンパク質単離製品を得るために使用した。実験は、2つの異なる原材料、すなわち、脱皮菜種ケーキ(DRC)及び大豆(必要に応じて、それぞれ菜種又は大豆タンパク質濃縮製品と更に呼ぶ)に対して同じ方法で実行した。次に、化学組成及び/又は機能特性に関する分析データは、本明細書に記載のプロセスに従って得られた菜種/大豆タンパク質濃縮製品を使用して、すなわち純粋な溶媒の代わりに回収された共沸混合物を使用して生成した。
酢酸エチルの回収
酢酸エチルの回収は、NapiFeryn BioTech Sp. z o.o., Polandの出願国際公開第2019011904号及び国際公開第2020016222号に開示されているように、タンパク質単離物及びタンパク質-繊維濃縮物の製造プロセスで最初に使用された使用済みの溶媒から実行した。回収は、温度40℃、絶対圧140mbarの20L回転蒸発器(Heidolph)中で実行した。共沸物の回収に使用した使用済みの溶媒混合物の主成分は、酢酸エチル、エタノール、水、菜種由来の脂質、例として油及びリン脂質など、並びにプロセスで使用する塩:(例えば、NaCl)であった。回収された溶媒(すなわち、20L Heidolph蒸発器からの軽質留出物)の平均組成を以下の表3に示す。
プロセスの詳細な説明
2つの主要なタンパク質製品:タンパク質単離物及びタンパク質-繊維濃縮物を、プロセスバッチ番号R-20、R-21で得た。
実施された実験は、EA(酢酸エチル)洗浄ステップで純粋な溶媒を共沸物に置き換えることを目的としていた。異なる溶媒組成を以下の表4に示した。
プロセスは、以下のプロセスの説明に従って実行した。
各プロセスの開始時に、原材料を調製した:R-20の場合は全脂大豆、R-21の場合は脱皮菜種ケーキ(DRC)をミリングして篩にかけ、RO水に塩を溶解して媒体を調製した。この溶液には、塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム及びエタノールが含まれていた。
1)大豆:R-20
プロセスは抽出ステップから始まり、原材料R-20を加え、希塩溶液(媒体)と穏やかに混合した。この段階で、原材料懸濁液を得た。スラリーの温度を6℃のレベルに制御し維持した。大豆スラリーからのタンパク質の抽出は24時間続いた。得られたRAE(抽出後の残留物)を遠心分離して3つの画分:脂肪(廃棄)、CE1(粗抽出物-単離物に加工)、及び穀粒(濃縮物の出発材料)、に分けた。
CEは、UF/DF(限外濾過及びダイアフィルトレーション)のために、クロスフロー濾過システムに向かう途中で1μmフィルターを通過した。濾過の第1のステップ中に前濃縮が行われ、その後、3つの異なるダイアフィルトレーション係数(酢酸緩衝液、0.9%NaCl、脱塩水)を使用して、ダイアフィルトレーションステップを実行した。その後、最終濃縮を行った。その結果、CEはほぼ4倍に濃縮され、そのダイアフィルトレーション係数は10に等しく、約10%(w/w)の固体含有量及び約5mS/cmの導電率が生じるUF保持液が得られた。
次に、UF保持液を、エタノール誘導沈殿(Ethanol Induced Precipitation)(EIP)に供した。このプロセスステップでは、より低い温度の保持液(<30℃)を使用し、その温度に達した後、タンパク質を沈殿させるために、混合しながら冷却したエタノール溶液(90%EtOH+10%H2O)を材料に徐々に加えた。
アルコールの体積は、UF/DF濃縮物の量及び最終濃度70%vol/vol=64%(w/w)の設定値によって決定した。タンパク質の変性を回避するために、エタノールの添加は、ゆっくりと行った。
およそ25分間混合した後(投与時間を含む)、得られたエタノール懸濁液を遠心分離機に供給した。SLSステップの後、2つの画分:タンパク質が豊富な残留物(更に処理された)と、約64%のエチルアルコールを含有する上清の母液1(ML1)(後で濃縮物のラインでのEtOH洗浄に使用)があった。
EIPステップからの固体残留物を4つの部分に分割し、続いてそれらのそれぞれを異なる溶媒と混合した:表4に列挙されている組成に従って、純粋な酢酸エチル又は異なる共沸物からの範囲である。
溶媒の体積は、タンパク質残留物の量によって決定した。次に、得られた懸濁液を遠心分離機に移し、そこで固体画分と液体画分に分離した。SLSステップの後、高脂肪含有量に関する材料の特性により、EAW(酢酸エチル洗浄)を繰り返した。得られたタンパク質が豊富なケーキを、乾燥段階(後述)に移し、液体画分を、溶媒回収手順(SRP)のために保存するか、濃縮物のラインで使用した。
タンパク質繊維濃縮物の製造は、抽出後残留物(RAE)から穀粒が得られたときに開始した。その後、穀粒は、エタノール(ML1)及び純粋な酢酸エチル又は共沸物を溶媒として使用して、4つの洗浄ステップを経た。第1の洗浄ステップはML1を利用し、これを穀粒と混合した。次に、得られた懸濁液を遠心分離機に移し、そこで固体画分と液体画分に分離した。その後、EtOH穀粒を5つの画分に分割し、それぞれを異なる溶媒:表4に列挙されている組成に従って、純粋な酢酸エチル又は共沸物、と混合した。次のステップは、単離物のEAWと同じ方式で実行した。SLSステップの後、材料の特性によりEAWを2回繰り返した(合計3回のEA洗浄)。過剰な脂質を除去するために、第2及び第3の酢酸エチル洗浄を実行した。得られたタンパク質-繊維が豊富なケーキを、乾燥段階に移し、液体画分を、SRPのために保存した。
2)脱皮菜種ケーキ(DRC):R-21
R-20に関しては、プロセスは抽出ステップから始まり、そこでは、原材料R-21を加え、希塩溶液(媒体)と穏やかに混合した。この段階で、原材料懸濁液を得た。スラリーの温度を6℃のレベルに制御し維持した。
DRCスラリーをALSEOSユニット(国際公開第2016093698号に記載)にポンプで送り込み、スラリーから粗抽出物を抽出するプロセスを開始した。処理中、塩溶液を絶えずALSEOSユニットに加え、粗抽出物を、撹拌槽型反応器に収集した。タンパク質の抽出は6時間続いた。
抽出ステップ(1CV=200Lを超える粗抽出物が収集された後)では、ALSEOSユニットからのRAEを、遠心分離機に供給し、ここで、混合物を、2つの画分-水系の上清(CE1と一緒にプールされたCE2)と穀粒(濃縮物に更に処理される)に分離した。
プールされた粗抽出物(CE1及びCE2)を、0.5M水酸化ナトリウムを加えてpHを6.8の値に調整した。抽出物を45℃に加熱し、その後、6.8の値へのpH調整を繰り返した。次のプロセスステップでは、ループ内の5μmフィルターを通過させ、その後クロスフロー濾過システムに向かう途中で1μmフィルターを通過させることによってCEを清澄化し、そこでCEは、UF/DF(限外濾過及びダイアフィルトレーション)に向けられた。濾過の第1のステップ中に前濃縮が行われ、その後、4つの異なるダイアフィルトレーション係数(酢酸緩衝液、2%NaCl、0.45%NaCl、脱塩水)を使用してダイアフィルトレーションを行い、その後最終濃縮を行った。その結果、CEはほぼ4倍に濃縮され、そのダイアフィルトレーション係数は42に等しく、約6%(w/w)の固体含有量及び約4mS/cmの導電率が生じるUF保持液が得られた。このUF保持液は、6.8の値に調整されたpHを有し、その後、残っているフィテートを除去するために遠心分離した。次に、タンパク質を含有する保持液上清を、エタノール誘導沈殿(EIP)に供した。このプロセスステップでは、より低い温度の保持液上清(<30℃)を必要とし、その温度に達した後、タンパク質を沈殿させるために、冷却したエタノール溶液(90%EtOH+10%H2O)を、絶えず混合した材料に加えた。アルコールの体積は、UF/DF濃縮物の量及び最終濃度70%vol/vol=64%(w/w)の設定値によって決定した。タンパク質の変性を回避するために、エタノールの添加は、ゆっくりと行った。
およそ25分間混合した後(投与時間を含む)、得られたエタノール懸濁液を遠心分離機に供給した。SLSステップの後、2つの画分:タンパク質が豊富な残留物(更に処理された)と、約64%のエチルアルコールを含有する上清の母液1(ML1)(後で濃縮物のラインでのEtOH洗浄に使用)があった。
EIPステップからの固体残留物を4つの部分に分割し、それぞれを異なる溶媒:表4に示す純粋な酢酸エチル又は共沸物と混合した。溶媒の体積は、タンパク質残留物の量によって決定した。次に、産出された懸濁液を遠心分離機に移し、そこで固体画分と液体画分に分離した。得られたタンパク質が豊富なケーキを、乾燥段階(後述)に移し、液体画分を、溶媒回収手順(SRP)のために保存するか、濃縮物のラインで使用した。
タンパク質繊維濃縮物の製造は、RAEから穀粒が得られたときに開始した。その後、穀粒は、塩溶液、エタノール(ML1)及び純粋な酢酸エチル又は共沸物を溶媒として使用して、5つの洗浄ステップを経た。最初に、穀粒を2回の塩洗浄ステップに供した。第1の洗浄ステップでは、穀粒を2%NaClと混合し、pH値を4.0に調整し、得られた懸濁液を遠心分離機で分離し、穀粒を含む画分と上清の2つの画分を得た。上清を廃棄し、穀粒を0.9%NaCl、pH=4.0で第2の塩洗浄に供した。次の洗浄ステップはML1を利用し、これを穀粒と混合した。次に、得られた懸濁液を遠心分離機に移し、そこで固体画分と液体画分に分離した。その後、EtOH穀粒を5つの画分に分割し、それぞれを異なる溶媒:純粋な酢酸エチル又は共沸物(表4による)と混合した。次のステップは、単離物のEAWと同じ方式で実行した。SLSステップの後、EAWを繰り返した(合計2回のEA洗浄)。過剰な脂質を除去するために、第2の酢酸エチル洗浄を実行した。得られたタンパク質-繊維が豊富なケーキを、乾燥段階に移し、液体画分を、SRPのために保存した。
3)固体の取り扱い:乾燥、ミリング、較正、包装(R-20、R-21)
RPI(タンパク質単離物)とRPC(タンパク質-繊維濃縮物)を、3つの乾燥段階に送った。
第1の乾燥ステップでは、溶媒の大部分を除去した。その後、残留溶媒を、加湿空気を使用して除去した。最終段階では、設定値の93%DWに達するまで製品を乾燥させた。
第1の乾燥ステップは、トレイ真空乾燥機内で真空下にて実行した。乾燥温度は60℃に相当し、圧力を140mbarに設定し、このプロセスの継続時間は材料の量に応じておよそ16~48時間であった。次のステップでは、材料をミリングし、篩にかけ、粒径が確実に150μm未満になるようにした。
第2の乾燥ステップは、乾燥媒体として前加湿した空気を使用し、残留溶媒を水蒸気で置換するように設計された。これを容易にするために、材料を水バブラーを備えた真空トレイ乾燥機に入れた。640~140mbarの圧力の変動により、半連続的な空気の流れが可能になった。温度を40℃に保持し、持続時間は、典型的には72時間であった。
最終の(第3の)乾燥ステップでは、圧力を800mbarに設定し、5時間かけて温度を60℃まで上昇させ、その後、更に5時間かけて圧力を40mbarに下げた。最後の2つのステップは、材料の湿度が設定値の5~7%w/wに確実に達するように指定された。最終製品を、更なる分析のためにサンプリングし、ラベル付きスタンドアップパウチ(Doypacks)に詰めた。
原材料の特性を以下の表5に示す。
結果
パイロット実験の結果を表6~12及び図7~46に示す。
結論
本明細書に提示される、異なる溶媒組成を用いたパイロット実験は、純粋な溶媒の代わりに回収された共沸物を使用して、有利な品質特性内で菜種/大豆タンパク質濃縮製品の効率的な製造を実証する。タンパク質製品を生成し、その組成及び機能の観点から分析した。結果に基づき、以下の結論が得られる:
1.各原材料(大豆、DRC)について、共沸物により得られた製品が7つ、純粋な溶媒により得られた製品が2つあり、次にそれらを1つの製品タイプ(タンパク質単離物又はタンパク質-繊維濃縮物)内で比較した。
2.タンパク質単離物(大豆、DRC)の全ての試料は、化学純度などの重要な品質特性に関する所望の要件を満たしており、機能特性の点で同等であった。
3.純度の低い溶媒(酢酸エチル含有量が70%を超える共沸物)の使用は、測定された製品の化学組成にもその機能にも大きな影響を与えなかった。したがって、続いて追加の研究を行って、工業規模の製造では純度の低い溶媒の使用が推奨され、コストの削減につながると結論付けることができる。これらの目的を達成することにより、これまでの既知の方法と比較して溶媒回収プロセスを根本的に簡素化し、同時に、同様の高品質の植物タンパク質濃縮製品を提供することができる。
4.更に、含水量の高い溶媒で洗浄したタンパク質-繊維製品(組成物5)は灰分レベルが低く、これはプラスの側面として認識されており、塩の溶解と相関している場合がある。
分析方法の説明
乾燥物含有量
試料(植物原材料の場合は2.0±0.5g、タンパク質単離物/濃縮物の場合は1.0±0.5g)を、105℃の温度で水分分析装置に置いた。水分含有量は、乾燥前後の試料重量の差から決定した。
タンパク質含有量
1)実施例3におけるタンパク質含有量は、AOAC公式法(AOAC Official Method)992.23(1992)に従って決定した。有機マトリックス中の総窒素含有量を決定するためのデュマ燃焼法。試料を、酸素雰囲気中で高温で燃焼し、換算係数(6.25)を使用して窒素をN2に定量的に変換し、タンパク質に変換する。
2)実施例1及び2におけるタンパク質含有量は、AOAC公式法2001.11(2005)に従ってケルダール法により決定した。換算係数6.25を使用して、タンパク質の量(重量%)を決定した。
灰分含有量
灰分分析(原材料、タンパク質単離物及び濃縮物における)は、WE152/2009に従って行った。試料1gを、550℃まで徐々に発煙させた。その後、試料を600℃のオーブンで焼却した。
脂肪含有量
脂肪含有量はワイブル・シュトルト法に従って決定した。試料(植物原材料及びタンパク質単離物/濃縮物)を、10%(v/v)HCl溶液で加水分解し、赤外線加熱システムを使用して300℃に加熱した。加水分解された試料を、抽出システムで石油エーテルを使用して抽出した。
脂肪含有量(X)を、以下の式に従ってwt%として計算した:

(式中、
aは、乾燥後の試料脂肪を含むガラス試料管の質量(g)である;
bは、乾燥後のガラス試料管の質量(g)である;及び
cは、試料の質量(g)である)。
フェノール含有量
分析は、Sigerら(2004);Szydlowska-Czerniakら(2010)に修正を加えたもの、に従って実行した。ある一定の量(菜種タンパク質単離物の場合は0.50±0.005g、菜種タンパク質-繊維製品の場合は0.25±0.005g)の脱脂(<1%w/w脂肪)試料を、オービタルシェーカー内の0.1%(v/v)酢酸を含有する70%(v/v)メタノール水溶液により、2段階抽出で抽出した。抽出の第1のステップは、室温にて450rpmで1時間実行した。次に、抽出物を、10%(v/v)トリクロロ酢酸(TCA)によりタンパク質から精製した。その後、抽出の第2のステップは、室温にて450rpmで0.5時間実行した。10,000xgで10分間遠心分離した後、上清1(抽出の第1の段階から)及び上清2(抽出の第2の段階から)を得た。上清をプールし、0.1%(v/v)酢酸を含有する70%(v/v)メタノール水溶液で最終容量10mLまで希釈し、孔径0.45μlのPTFEシリンジフィルターに通して濾過した。
ポリフェノール抽出物は、後述のように勾配条件を使用して、HPLC/UV-VISによって分析した。
フィテート含有量
フィテート含有量分析(原材料、タンパク質単離物及び濃縮物における)は、フィチン酸(総リン)アッセイキットMegazymeによるフィチン酸(フィテート)/総リンアッセイ手順K-PHYTY08/14に従って行った。
総繊維
総繊維量(原材料及びタンパク質濃縮物における)は、AOAC公式法30991.43、食品中の総繊維、可溶性及び不溶性食物繊維、酵素-重量法、MES-TRIS緩衝液(Total, soluble, and insoluble dietary fibre in foods, Enzymatic - gravimetric method, MES-TRIS buffer)、USA、1994に従って決定した。
タンパク質単離物の機能性試験のための方法
分散度
評価は以下のステップに従って実行した:タンパク質単離物(最終タンパク質濃度5%w/v)を150mlのビーカーに秤量する。10mlの脱イオン水を加える。電磁撹拌器を使用して、およそ500rpmで1時間撹拌する。デュマ法を使用して、分散タンパク質含有量を決定する(200μlを3回繰り返す)。
分散度を以下の式により計算する:

式中、溶液中のタンパク質濃度は、以下を意味する。
窒素溶解度(NS):
評価は以下のステップに従って実行した:タンパク質単離物(最終タンパク質濃度5%w/w)を150mlのビーカーに2連で秤量する。試験する溶媒10mlを各ビーカーに加える。粉末が完全に分散するまで試料を撹拌する。pHを所望の値に調整する(0.1M NaOH及び0.1M HCl)。室温で1時間撹拌する。その時間の最後に、200μLのアリコートを(ビーカーから直接)ピペットで取り、デュマ法を使用してタンパク質濃度を決定する。次に、ビーカーから1mLを微量遠心管に6回繰り返して移し、そのうちの3つを13,000rpmで10分間遠心分離する。遠心分離機から慎重に取り出し、上清の200μLアリコートをピペットで取り、タンパク質含有量を決定する(デュマ法)。残りの3回の繰り返しを水浴(85℃)に30分間入れる。試料を水浴から取り出し、5分間放置する。試料を13,000rpmで10分間遠心分離する。遠心分離機から慎重に取り出し、上清の200μLアリコートをピペットで取り、タンパク質含有量を決定する(デュマ法)。
窒素溶解度を、以下の式に従って計算する:
乳化能力(EC):
評価は以下のステップに従って実行した:タンパク質単離物(最終タンパク質濃度:1%w/w)を50ml遠心管に秤量する。水を加えて25gの試験溶液を得る。10秒間ボルテックスで混合する。室温で1時間450rpmで撹拌する。得られた溶液をビーカーに移し、その導電率を測定する。菜種油を用いて7200rpmで5分間均質化し、得られたエマルジョンの導電率を測定する。エマルジョンの導電率が急激に低下し、エマルジョンの反転が観察されるまで、均質化しながら油を徐々に加える。エマルジョン能力は、タンパク質1グラムあたりの均質化された油のグラム数として表す。
乳化能力(EC)は、Karaca A. C.ら、Food Research International;Emulsifying properties of chickpea, faba bean, lentil and pea proteins produced by isoelectric precipitation and salt extraction, 2011, 44, 2742~2750に修正を加えたものに従って分析した:ビーカー内:25g 1%溶液を使用した。
発泡能力(FC)及び発泡体安定性(FS)
評価は以下のステップに従って実行した:タンパク質単離物(最終タンパク質濃度:1%)をビーカーに秤量し、99mlの脱イオン水を加える。電磁撹拌器で5分間撹拌する。10000rpmで1分間均質化する。得られた発泡体をメスシリンダーに移し、発泡体の体積を読み取る。5分、15分、30分、60分、及び120分後の体積を読み取る。

=泡立て後の体積
=泡立て前の体積
=放置後の体積(5、15、30、60、及び120分
発泡能力(FC)及び発泡体安定性(FS)は、修正を加えたthe Khattab R.Y., Arntfield S.D.;Functional properties of raw and processed canola meal;LWT - Food Science and Technology 42 (2009) 1119~1124に従って分析した:1%溶液を作製した。
最小ゲル化濃度(LGC)
評価は以下のステップに従って実行した:適切な量の試料を秤量して、遠心管に所望の濃度を得る。30mlの脱イオン水を加える。数秒間ボルテックスする。試料を置いて10分間超音波洗浄する。450rpmで20分間撹拌する。得られた溶液の20mlを、遠心管に移す。試料を水浴にて80℃で1時間加熱する。冷水浴で10分間冷却する。その後、4℃で2時間冷却する。遠心管を逆さまにして1分間置き、試料がゲル化しているかどうかを確認する。上記の指示に従って、さまざまな濃度(1パーセンテージポイント間隔)を試験して、最小ゲル化濃度を見出す。
ゲル化は、修正を加えたKhattab R.Y., Arntfield S.D.;Functional properties of raw and processed canola meal;LWT - Food Science and Technology 42 (2009) 1119~1124に従って調査した:20mlを新しい管に移した。
タンパク質濃縮物の機能性試験のための方法
吸水及び吸油能力(WAC及びOAC)
評価は以下のステップに従って実行した:1gのタンパク質濃縮物を、50mlの遠心管に3連で秤量する。10gの脱イオン水又は菜種油を加え、試料を分散させるために数回振とうさせる。450rpmで1分間撹拌する。22℃、4000gで30分間遠心分離する。得られた上清を静かにデカントする。遠心管を逆さまにして10分間置き、残りの上清を流下させる。湿潤した沈降物を含む遠心管を秤量する。

A-空の遠心管の重量
B-検査試料の重量
E-湿潤した沈降物を含む遠心管の重量
引用文献:
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L.Campbell et al., Canola/Rapeseed Protein: Future Opportunities and Directions-Workshop Proceedings of IRC 2015, Plants 2016, 5, 17
Manashi Das Purkayastha et al., 2013, J. Agric. Food Chem., 2013, 61, 10746-10756; dx.doi.org/10.1021/jf403657c |
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J. Vioque et al., Journal of the American Oil Chemists’ Society, 2000, 77(4), 447 - 450
M. Garcia-Vaquero et al., Food Research International, 2017, 99(3), 971 - 978
A. Siger et al., Rosliny Oleiste - Oilseed Crops, 2004, XXV(1), 263-274

Claims (20)

  1. 植物材料(1)から植物タンパク質濃縮製品(42、44)を調製するためのプロセスであって、前記植物材料(1)は、乾燥重量ベースで10~50wt%の間のタンパク質を含み、
    a)植物材料(1)を粉砕又は細分して、固体ケーキ(2)を生成するステップ;
    b)前記固体ケーキ(2)を、第1の溶媒の総重量に基づき少なくとも90wt%の水を含む水性の前記第1の溶媒で抽出して、第1の固体画分と第1の液体画分の混合物を得るステップ;
    c)前記第1の液体画分(11)を前記第1の固体画分(12)から分離するステップ;
    d)第2の溶媒の総重量に基づき少なくとも50wt%の室温で水と混和性である1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む、アルコール性の第2の溶媒を加えるステップであって、
    前記加えるステップは、前記第2の溶媒を前記第1の固体画分(12)に加えることを含むか、又は
    前記第2の溶媒を加えるステップの前に、前記第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、前記加えるステップは、前記第2の溶媒を前記濃縮物(11b)に加えることを含む、ステップ;
    e)ステップd)で前記第2の溶媒を加えることによって得られた混合物のいずれか1つを、第2の液体画分(21、23)と第2の固体画分(22、24)とに分離するステップ;
    f)ステップe)で得られた前記第2の固体画分(22、24)に第3の溶媒を加えるステップであって、前記第3の溶媒は、最大5個の炭素原子を有する無極性で親油性の有機エステルを含み、前記無極性で親油性の有機エステルは、室温で前記第1の溶媒と少なくとも部分的に混和性で、かつ前記第2の溶媒と完全に混和性であり、前記第3の溶媒の量は、液相全体が別個の液相に分離しないように選択される、ステップ;
    g)ステップf)で得られた混合物を、使用済みの第3の溶媒(31、33)とも更に呼ばれる第3の液体画分(31、33)と、第3の固体画分(32、34)とに分離するステップ;
    h)ステップg)で得られた前記第3の固体画分(32、34)を乾燥させて、前記植物タンパク質濃縮製品(42、44)を得るステップ、を含み、
    前記第3の溶媒は、前記第3の溶媒の総重量に基づき、
    64~90wt%の間の前記有機エステル、
    10~35wt%の間の前記1~5個の炭素原子を有するアルコール、及び
    10wt%未満の水
    を含む共沸混合物を含むことを特徴とする、プロセス。
  2. 前記プロセスで得られる前記植物タンパク質濃縮製品(42、44)の量が、バッチ式製造プロセスでのバッチあたり、又は連続製造プロセスでの時間あたりの生産量として、少なくとも1kg、好ましくは少なくとも5kg、より好ましくは少なくとも10kg、より好ましくは少なくとも20kg、最も好ましくは100kg超に達する、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記プロセスにおいて抽出される前記固体ケーキ(2)の量が、バッチ式製造プロセスでのバッチあたり、又は連続製造プロセスでの時間あたりの抽出量として、少なくとも10kg、好ましくは少なくとも20kg、より好ましくは少なくとも30kg、より好ましくは少なくとも40kg、より好ましくは少なくとも50kg、より好ましくは少なくとも100kg、より好ましくは少なくとも200kg、更により好ましくは少なくとも500kg、最も好ましくは少なくとも1000kgに達する、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 前記共沸混合物が、前記共沸混合物中の前記有機エステルの質量分率として表して、65~85wt%の間の前記有機エステル、好ましくは70~84wt%の間の前記有機エステル、より好ましくは75~83wt%の間の前記有機エステル、更により好ましくは76~82.5wt%の間の前記有機エステル、最も好ましくは76.5~82.2wt%の間の前記有機エステルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. 前記有機エステルが酢酸エチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 前記共沸混合物が、前記共沸混合物中の前記1~5個の炭素原子を有するアルコールの質量分率として表して、12~32wt%の間、好ましくは15~30wt%の間、より好ましくは17~27wt%の間、より好ましくは18~25wt%の間、更により好ましくは19~22wt%の間、最も好ましくは約20wt%の、前記1~5個の炭素原子を有するアルコールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. 前記1~5個の炭素原子を有するアルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記1~5個の炭素原子を有するアルコールが、好ましくはエタノールである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記共沸混合物が、酢酸エチル及びエタノールを含み、好ましくは、前記第3の溶媒の総重量に基づき、64~90wt%の間の酢酸エチル及び10~35wt%の間のエタノールを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 前記第3の溶媒が、7wt%未満の水、好ましくは5wt%未満の水、より好ましくは2wt%未満の水、更により好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
  10. ステップh)における前記第3の固体画分(32、34)の前記乾燥が、使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)を生成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. ステップf)で加えられる前記第3の溶媒の少なくとも一部が、前記使用済みの第3の溶媒(31、33)、前記使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちのいずれか1つから回収される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
  12. ステップf)で加えられる前記第3の溶媒の一部が回収される、前記使用済みの第3の溶媒(31、33)、前記使用済みの第3の溶媒の更なる部分(41、43)、又はそれらの組み合わせのうちの前記いずれか1つが、少なくとも10wt%の水、好ましくは少なくとも15wt%の水、より好ましくは少なくとも20wt%の水、更により好ましくは少なくとも25wt%の水、場合により少なくとも30wt%の水を含む、請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記第3の溶媒の前記回収が、200kPa以下、より好ましくは大気圧以下の動作圧力を適用することを含み、好ましくは、前記動作圧力は20~50kPaの間で構成される、請求項11又は12に記載のプロセス。
  14. 前記第3の溶媒の前記回収が、好ましくは回転式蒸発器、ワイプ式膜蒸発器、かきとり式膜蒸発器、流下膜式蒸発器、上昇膜式蒸発器、ショートパス蒸発器を含む群から選択され、好ましくは流下膜式蒸発器である、蒸発器を含む、蒸発ステップを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. ヘキサンなどの6個以上の炭素原子を有する有機溶媒又は無機溶媒を使用せずに実行する、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. 前記植物材料が、菜種、キャノーラ、ヒマワリ、ベニバナ、及び綿実を含む油糧種子、大豆及び他の豆を含む豆類、豆果、並びに、ヒヨコ豆、赤レンズ豆、緑レンズ豆、黄レンズ豆、及び茶レンズ豆を含む豆、並びにそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. ステップd)における前記加えることが、前記第2の溶媒を前記第1の固体画分(12)に加えることを含み、ステップh)で得られた前記植物タンパク質濃縮製品(42、44)が、植物タンパク質及び在来繊維を含むタンパク質-繊維製品(44)であり、好ましくは、前記植物タンパク質及び在来繊維の総含有量が、前記タンパク質-繊維製品(44)の総乾燥重量に基づき、少なくとも30wt%である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. ステップh)で得られる前記植物タンパク質濃縮製品(42、44)が、タンパク質単離物(42)であり、前記タンパク質単離物の総乾燥重量に基づき、前記タンパク質含有量が、少なくとも90wt%、好ましくは少なくとも95wt%であり;
    ステップd)における前記加えることの前に、前記第1の液体画分(11)を濃縮して第1の液体画分タンパク質濃縮物(11b)を得て、前記濃縮物(11b)は、好ましくは、前記濃縮物(11b)の総重量に基づき50~90wt%の間の水と、前記濃縮物(11b)の総乾燥重量に基づき少なくとも40wt%のタンパク質含有量とを含み、前記加えることが、少なくとも90wt%の前記アルコールを含む前記第2の溶媒を前記濃縮物(11b)に加えることを含み;
    好ましくはまた、ステップf)で加えられる前記第3の溶媒が、好ましくは2wt%未満の水、より好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を含み、好ましくはまた、
    ステップe)で得られた前記第2の固体画分(22)の前記タンパク質含有量が、前記第2の固体画分(22)の総乾燥重量に基づき少なくとも60wt%であり;及び/又は
    ステップg)で得られた前記第3の固体画分(32)の前記タンパク質含有量が、前記第3の固体画分(32)の総乾燥重量に基づき少なくとも90wt%である、
    請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  19. 前記タンパク質単離物(42)が、乾燥物に基づき少なくとも70wt%の天然の植物系タンパク質を含み、好ましくは、1wt%未満の炭水化物、及び/又は0.2wt%未満のフェノール化合物を含み、及び/又は6個以上の炭素原子を有する有機溶媒若しくは無機溶媒を含まない、請求項18に記載のプロセス。
  20. 食品又は動物飼料用の植物タンパク質を得るための、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法の使用。
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