JP2024517669A - アンジオポエチン-2に特異的に結合する抗体、またはその断片 - Google Patents

アンジオポエチン-2に特異的に結合する抗体、またはその断片 Download PDF

Info

Publication number
JP2024517669A
JP2024517669A JP2023565202A JP2023565202A JP2024517669A JP 2024517669 A JP2024517669 A JP 2024517669A JP 2023565202 A JP2023565202 A JP 2023565202A JP 2023565202 A JP2023565202 A JP 2023565202A JP 2024517669 A JP2024517669 A JP 2024517669A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
antibody
amino acid
acid sequence
antigen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023565202A
Other languages
English (en)
Inventor
ヨンイン キム
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Neortesbio Inc
Original Assignee
Neortesbio Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from KR1020220028751A external-priority patent/KR102459211B1/ko
Application filed by Neortesbio Inc filed Critical Neortesbio Inc
Publication of JP2024517669A publication Critical patent/JP2024517669A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/22Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against growth factors ; against growth regulators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/32Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency specific for a neo-epitope on a complex, e.g. antibody-antigen or ligand-receptor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/75Agonist effect on antigen

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、アンジオポエチン2(Ang2)に特異的に結合し、Tie2の活性化を誘導する抗体またはその抗原結合断片であって、(a)配列番号2、配列番号10、配列番号18、または配列番号26のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号3、配列番号11、配列番号19、または配列番号27のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号4、配列番号12、配列番号20、または配列番号28のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;(b)配列番号5、配列番号13、配列番号21、または配列番号29のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号6、配列番号14、配列番号22、または配列番号30のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号7、配列番号15、配列番号23、または配列番号31のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする抗Ang2抗体またはその抗原結合断片に関する。

Description

本発明は、新生血管形成誘導因子であるアンジオポエチン-2(Angiopoietin-2;Ang2)に特異的に結合し、Ang2と共にTie2受容体に結合する抗Ang2抗体またはその断片に関する。
アンジオポエチンタンパク質群は、血管の生成及び維持に重要な役割を行うタンパク質であって、4種のアンジオポエチン(Ang1、Ang2、Ang3、Ang4)が存在する。
アンジオポエチン-1は、Tie2受容体に結合し、血管の成熟、接着、移動及び生存に重要な役割をする。
反面、アンジオポエチン-2は、血管内皮細胞に存在する受容体Tie2に結合するが、拮抗的なリガンド(antagonistic ligand)として作用して、Tie2の作用物質(agonist)であるアンジオポエチン-1(Angiopoietin-1;Ang1)とTie2結合に対して競合することによって、Tie2による信号伝達を抑制する作用をする。このような作用メカニズムにより、VEGFの過発現又は炎症(inflammation)状態では血管内皮細胞が活性化され、血管透過性(vascular permeability)が増加するが、このとき、Ang1が血管内皮細胞の安定化を誘導し、血管透過性を減少させる反面、活性化された血管内皮細胞で増加したAng2はAng1と競合することによって、Ang1による血管内皮細胞の安定化を抑制する役割をする。したがって、Ang2は、VEGFが存在するとき、血管内皮細胞の安定性を維持するAng1-Tie2結合と、これを通じた信号伝達を阻害し、結果的に血管の新生血管形成を促進することによって、結果的に血管生成の増加、血管の不安定化、血管透過性の増加をもたらす。一方、Ang2は、Tie2受容体の非活性を誘導するアンタゴニスト(antagonist)としての役割以外に、リンパ管の形成及び維持を含むいくつかの特定の状況ではTie2受容体の活性を誘導する作用剤(agonist)の特性が報告されたことがあるため、アンタゴニストとしての機能と弱い作用剤の機能の両方を有し、状況によって様々な機能を行うものと見なされる。
新生血管の形成過程は、癌の成長に必須の要素であるため、前記のようなTie2依存的なAng2の機能を阻害して新生血管の形成を抑制することによって癌の追加的な成長を防ごうとする試みがあったが、これらは、ほとんどの場合、Ang2とTie2の結合を阻害してアンタゴニスト(antagonist)としての役割を防ぐ機能を有するものと知られている。Ang2のTie2に対する結合を妨げる抗体以外にも、Tie2受容体に直接結合してリン酸化及び活性化を誘導する組換えタンパク質や抗体も報告されたことがある。
最近は、Ang2に結合してTie2に共に結合することによって、Tie2クラスタリング(clustering)を通じてTie2のリン酸化及び活性化を行う抗体も報告されたことがあるが、これは、単純にAng2のアンタゴニストとしての役割を防ぐことに止まるものではなく、むしろ作用剤(agonist)として作用するようにすることによって、さらに効果的な血管正常化の可能性を提示したものである。
大韓民国公開特許第10-2020-0144536号
本発明の目的は、新生血管形成誘導因子であるAng2(Angiopoietin-2)に特異的に結合し、Ang2と共にTie2受容体に結合してTie2受容体の活性化を効果的に誘導する抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を提供することである。
本発明の他の目的は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分とする薬学組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、新生血管の形成、血管透過性の増加、及び/又は正常血管生成の減少と関連する疾病の治療用薬学組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分とする癌の予防又は治療用薬学組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を含む、Ang2の過発現と関連する疾病の診断用組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、前記抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸、前記核酸を含むベクター及び宿主細胞、これを用いた抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明は、アンジオポエチン2(Ang2)に特異的に結合し、Tie2の活性化を誘導する抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)配列番号2、配列番号10、配列番号18、または配列番号26のアミノ酸配列のCDRH1、
配列番号3、配列番号11、配列番号19、または配列番号27のアミノ酸配列のCDRH2、及び
配列番号4、配列番号12、配列番号20、または配列番号28のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
(b)配列番号5、配列番号13、配列番号21、または配列番号29のアミノ酸配列のCDRL1、
配列番号6、配列番号14、配列番号22、または配列番号30のアミノ酸配列のCDRL2、及び
配列番号7、配列番号15、配列番号23、または配列番号31のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を提供する。
本発明の一具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号3のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号4のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
(b)配列番号5のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号6のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号7のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことが好ましく、
本発明の他の具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号10のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号11のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号12のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
(b)配列番号13のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号14のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号15のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことが好ましいが、これに限定されない。
本発明の他の具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号18のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号19のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号20のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
(b)配列番号21のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号22のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号23のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことが好ましいが、これに限定されない。
本発明の更に他の具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号26のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号27のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号28のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
(b)配列番号29のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号30のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号31のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことが好ましいが、これに限定されない。
本発明の一具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8、配列番号16、配列番号24及び配列番号32からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変部位と、配列番号9、配列番号17、配列番号25及び配列番号33からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変部位とを含むことが好ましいが、これに限定されない。
本発明の一具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、マウス(murine)抗体、キメラ(chimeric)抗体、またはヒト化(humanized)抗体であることが好ましいが、これに限定されない。
本明細書で使用された「キメラ抗体(chimeric antibody)」は、可変領域配列が1つの種に由来し、及び不変領域配列が、可変領域配列がマウス抗体に由来し、不変領域配列がヒト抗体に由来した抗体のような、他の種に由来した抗体を含む。
本明細書で使用された用語「ヒト化抗体(humanized antibody)」は、マウスのような、他の哺乳類種の生殖細胞(germline)に由来したCDR配列がヒト構造形成領域にグラフトされた抗体を含む。更なる構造形成領域の変形は、更に他の哺乳類種の生殖細胞に由来したCDR配列内だけでなく、ヒト構造形成配列内でなされることもできる。
また、本発明は、前記本発明の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片をコードする分離された核酸を提供する。
本発明の一具現例において、前記抗体またはその抗原結合断片は、アンジオポエチン-2に特異的に結合し、Ang2と共にTie2受容体に結合することが好ましいが、これに限定されない。
本発明の一具現例において、前記抗原結合断片は、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’及びF(ab’)からなる群から選択されることが好ましいが、これに限定されない。
また、本発明は、前記本発明の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、Ang2の過発現、新生血管の形成、または血管透過性の増加と関連する疾病の予防又は治療のための薬学組成物を提供する。
本発明の一具現例において、
前記Ang2の過発現、新生血管の形成、または血管透過性の増加と関連する疾病は、癌、癌転移、炎症疾患、感染、心血管疾患、腎臓疾患、遺伝性出血性毛細血管拡張症、喘息、または浮腫であることが好ましいが、これに限定されない。
本発明の一具現例において、前記癌は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病を含むが、これらに限定されない。このような癌のさらに特定の例は、扁平細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平細胞腫を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃又は胃腸癌(胃腸癌と胃腸間質癌を含む)、膵臓癌、膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝細胞癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、大腸癌、直腸癌、子宮内膜や子宮癌、唾液腺癌腫、腎臓癌や腎臓細胞癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌腫及び様々な形態の頭頸部癌、黒色腫、表在性拡散黒色腫、悪性黒色腫、末端黒子黒色腫、結節性黒色腫だけでなく、B細胞リンパ腫(低級/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中級/濾胞性NHL;中級びまん性NHL;高級免疫芽球NHL;高級リンパ芽球NHL;高級小非分割細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ワルデンストレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球白血病;移植後リンパ増殖疾患(PTLD)だけでなく、母斑症、浮腫(脳腫瘍に関連するもののような)、メージュ症候群のような異常血管増殖を含むが、これらに限定されない癌である。
また、本発明は、前記本発明の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防又は治療のための薬学組成物を提供する。
本発明の一具現例において、前記正常血管生成の減少と関連する疾病は、心筋梗塞、狭心症、脳硬塞、脳卒中、バージャー病、無血管壊死、足部潰瘍、または勃起不全であることが好ましいが、これに限定されない。
また、本発明は、前記本発明の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、アルツハイマー疾患;リウマチ性関節炎、多発性硬化症、又は乾癬のような炎症性自己免疫疾患;老化関連黄斑変性(AMD)、糖尿黄斑浮腫(DME)、糖尿性網膜症(DR)、又は緑内障のような眼科疾患;またはコロナウイルス19のようなコロナウイルス感染疾患の予防又は治療のための薬学組成物を提供する。
また、本発明は、前記本発明の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を、放射線照射、化学療法剤、細胞毒性剤及び/又は免疫毒性剤と同時に、個別に、または順次に投与することを含む、癌治療に使用するための併用治療用組成物を提供する。
本発明の一具現例において、前記化学療法剤、細胞毒性剤及び/又は免疫毒性剤は、好ましくは、テモゾロミド、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、5-FU、ダカルバジン、プロカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イリノテカン、タキソール、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、グリベック、イレッサ、タルセバ及びネクサバール、ハーセプチン、ベバシズマブ、セツキシマブ、ニモツズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ及びZD6474(ZACTIMATM)、より好ましくは、テモゾロミド、シスプラチン、オキサリプラチン、ビンブラスチン、タキソール、ゲムシタビン、グリベック及びイレッサから選択される1つ以上であるが、これに限定されない。
以下、本発明を説明する。
特に定義されない限り、本発明で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
本発明は、Ang2に特異的に結合するが、Ang2とTie2受容体との結合を阻害せず、Ang2及びTie2受容体と共に複合体(抗体/Ang2/Tie2)をなす抗体が、Ang2と共にTie2受容体と結合して、Ang1のようにTie2受容体を活性化させてTie2下部信号伝達(downstream signaling)を誘導し、血管内皮細胞の安定化を誘導する二重作用(dual function)を有する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
また、Ang2と共にTie2受容体と結合して、Ang1のようにTie2受容体を活性化させる効果に加えて、癌細胞の成長及び/又は癌転移に関与する他のタンパク質、例えば、インテグリンとAng2との結合を阻害して、より増進された癌細胞成長阻害及び/又は癌転移抑制の効果を有し、Tie2が発現しない細胞においてもこのような効果を発揮できる抗Ang2抗体及びその医薬的用途が提供される。
本発明の一実施例において、上述した抗Ang2抗体の重鎖相補性決定部位、軽鎖相補性決定部位、またはこれらの組み合わせ;あるいは重鎖可変領域、軽鎖可変領域、またはこれらの組み合わせを含むポリペプチド分子が提供される。前記ポリペプチド分子は、抗体またはその抗原結合断片の作製だけでなく、Ang2に対する拮抗剤の前駆体又は構成成分として機能することができる。例えば、前記ポリペプチド分子は、Ang2抗原結合部位の役割をするものであってもよく、抗体と類似の構造を有するタンパク質骨格体(protein scaffold;例えば、ペプチボディー、ナノボディーなど)、二重特異抗体、多重特異抗体などの構成成分として含まれてもよい。
用語「拮抗剤(antagonist)」は、標的物(例えば、Ang2)の生物学的活性のうちの1つ以上を部分的に又は完全に遮断、抑制または中和させるすべての分子を含む概念として解釈される。
用語「ペプチボディー(peptide+antibody)」は、ペプチドと抗体のFc部分などの不変部位の全部又は一部が融合された融合タンパク質であって、前記ペプチドが抗原結合部位(重鎖及び/又は軽鎖CDRまたは可変領域)として作用して、抗体と類似の骨格及び機能を有するタンパク質を意味する。
用語「ナノボディー」は、単一ドメイン抗体(single-domain antibody)とも呼ばれ、抗体の単一可変ドメインをモノマー形態で含む抗体断片を意味し、完全な構造の抗体と類似に特定の抗原に対して選択的に結合する特性を有する。ナノボディーの分子量は、一般に約12kDa~約15kDa程度であって、完全な抗体(2つの重鎖と2つの軽鎖を含む)の一般的な分子量(約150kDa~約160kDa)と比較して非常に小さく、場合によってはFab断片やscFv断片よりも小さい。
用語「二重特異抗体」又は「多重特異抗体」は、2つ(二重特異抗体)またはそれ以上(多重特異抗体)の相異なる抗原を認識及び/又は結合するか、または同一の抗原の互いに異なる部位を認識及び/又は結合する抗体を意味するものであって、前記二重特異抗体又は多重特異抗体のうちの1つの抗原結合部位が前記ポリペプチドを含むものであってもよい。
具体例において、前記ポリペプチド分子は、配列番号2、配列番号10、配列番号18又は配列番号26のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号3、配列番号11、配列番号19又は配列番号27のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号4、配列番号12、配列番号20又は配列番号28のアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群から選択された1つ以上;
配列番号5、配列番号13、配列番号21又は配列番号29のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号6、配列番号14、配列番号22又は配列番号30のアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び配列番号7、配列番号15、配列番号23又は配列番号31のアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群から選択された1つ以上;またはこれらの組み合わせを含むものであってもよい。
具体例において、前記ポリペプチド分子は、配列番号8、配列番号16、配列番号24又は配列番号32のアミノ酸配列、配列番号9、配列番号17、配列番号25又は配列番号33のアミノ酸配列、またはこれらの組み合わせを含むものであってもよい。
「カバット(Kabat)番号」、「カバット(Kabat)定義」、「カバット(Kabat)ラベリング」という用語は、本明細書で互いに交換的に使用する。本発明の属する技術分野で認められるこれらの用語は、抗体の重鎖と軽鎖の可変領域や抗原結合部位の当該部位の他のアミノ酸残基よりさらに多様性を示す(即ち、高可変性の)アミノ酸残基に対するナンバリングシステムを指す(カバット(Kabat)など(1971)ニューヨーク科学学会年鑑(Ann.NY Acad,Sci)190:382-391、Kabat,E.A.など(1991)免疫学的に関心が持たれるタンパク質の配列、第5版、米国保健及び人的サービス部、米国国立保健院出版番号91-3242)。
上述したように、前記二重特異抗体又は多重特異抗体は、互いに異なる2種またはそれ以上の抗原に対するそれぞれの抗原結合部位を含むことで、2種以上またはそれ以上の抗原を同時に認識及び/又は結合する抗体であって、前記抗原結合部位のうちの1つは、上述したポリペプチド分子を含むものであってもよい。具体的に、前記Ang2抗原結合部位の役割をする前記ポリペプチド分子は、他の抗原に対する抗原結合部位と二量体又は多量体を形成して、二重特異抗体又は多重特異抗体を構成することができる。したがって、一具体例において、Ang2抗原結合部位として前記ポリペプチド分子を含む二重特異抗体又は多重特異抗体が提供される。
更に他の例において、上述したポリペプチド分子1つ以上又は前記ポリペプチド分子がリンカーによって繰り返して連結された反復体(以下、「第1ペプチド」)と、構造的機能を有するポリペプチド(以下、「第2ペプチド」;例えば、抗体(IgG、IgA、IgE、IgD、IgMなど)の重鎖又は軽鎖の不変部位、または抗体のFc断片)とを含むペプチド複合体を1つ以上(例えば、1~5個、または2~4個)含み、前記1つ以上のペプチド複合体が第2ペプチド(例えば、Fc断片)で結合されて多量体構造を有するタンパク質骨格体が提供される。
本発明において、抗体は、動物由来抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体を全て含む。所望の抗原を被免疫動物に免疫させて生産する動物由来抗体は、一般に治療目的でヒトに投与時に免疫拒絶反応が起こることがあり、このような免疫拒絶反応を抑制するために、キメラ抗体(chimeric antibody)が開発された。キメラ抗体は、遺伝工学的方法を用いて、抗-アイソタイプ(anti-isotype)反応の原因となる動物由来抗体の不変領域をヒト抗体の不変領域に置換したものである。キメラ抗体は、動物由来抗体に比べて抗-アイソタイプ反応において相当部分改善されたが、依然として動物由来のアミノ酸が可変領域に存在しており、潜在的な抗-イディオタイプ(anti-idiotypic)反応に対する副作用を内包している。このような副作用を改善するために開発されたものが、ヒト化抗体(humanized antibody)である。これは、キメラ抗体の可変領域のうちの抗原の結合に重要な役割をするCDR(complementaritiy determining regions)部位をヒト抗体骨格(framework)に移植して作製される。
ヒト化抗体を作製するためのCDR移植(grafting)技術において最も重要なのは、動物由来抗体のCDR部位を最もよく受け入れることができる最適化されたヒト抗体を選定することであり、このために、抗体データベースの活用、結晶構造(crystal structure)の分析、分子モデリング技術などが活用される。しかし、最適化されたヒト抗体骨格に動物由来抗体のCDR部位を移植しても、動物由来抗体の骨格に位置しながら抗原結合に影響を及ぼすアミノ酸が存在する場合があるため、抗原結合力が保存されない場合が相当数存在するので、抗原結合力を復元するための追加的な抗体工学技術の適用は必須であるといえる。
一具体例によれば、前記抗体は、マウス由来抗体、マウス-ヒトキメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体であってもよい。
本発明において、「抗体」とは、免疫系内で抗原の刺激によって作られる物質を意味するものであって、その種類は特に制限されない。抗体は、最近、疾病治療剤の用途に多く使用されている。抗体は、生体外だけでなく、生体内でも非常に安定しており、半減期が長いので、大量発現及び生産に有利である。また、抗体は、本質的にダイマー(dimer)構造を有するので、接着能(avidity)が非常に高い。
完全な抗体は、2個の全長(full length)軽鎖及び2個の全長重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖と二硫化結合で連結されている。抗体の不変領域は、重鎖不変領域と軽鎖不変領域とに分けられ、重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)及びイプシロン(ε)タイプを有し、サブクラスとして、ガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)及びアルファ2(α2)を有する。軽鎖の不変領域は、カッパ(κ)及びラムダ(λ)タイプを有する。
用語「重鎖(heavy chain)」は、抗原に特異性を付与するために十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVH及び3個の不変領域ドメインCH1、CH2及びCH3とヒンジ(hinge)を含む全長重鎖及びその断片を全て含む意味で解釈される。また、用語「軽鎖(light chain)」は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインVL及び不変領域ドメインCLを含む全長軽鎖及びその断片を全て含む意味で解釈される。
用語「CDR(complementarity determining region)」は、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の高可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する。重鎖及び軽鎖は、それぞれ3個のCDRを含むことができる(CDRH1、CDRH2、CDRH3、及びCDRL1、CDRL2、CDRL3)。前記CDRは、抗体が抗原又はエピトープに結合するにおいて主要な接触残基を提供することができる。一方、本明細書において、用語「特異的に結合」又は「特異的に認識」は、当業者に通常公知されている意味と同じものであって、抗原及び抗体が特異的に相互作用して免疫学的反応をすることを意味する。
本発明で提供される抗体の抗原結合断片は、前記相補性決定部位を1つ以上含む断片であり得る。
用語「抗原結合断片」は、免疫グロブリン全体の構造に対するその断片であって、抗原が結合できる部分を含むポリペプチドの一部を意味する。例えば、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’またはF(ab’)であってもよいが、これに限定されない。
前記抗原結合断片のうち、Fabは、軽鎖及び重鎖の可変領域、軽鎖の不変領域、及び重鎖の1番目の不変領域(CH1)を有する構造であって、1つの抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC-末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabと差がある。F(ab’)抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合をなしながら生成される。Fvは、重鎖可変部位及び軽鎖可変部位のみを有している最小の抗体片であって、Fv断片を生成する組換え技術は当業界に広く公知されている。二重鎖Fv(two-chain Fv)は、非共有結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されており、単鎖Fv(single-chain Fv)は、一般にペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と単鎖の可変領域が共有結合で連結されるか、またはC-末端で直接連結されているので、二重鎖Fvと同様に、ダイマーのような構造をなすことができる。前記リンカーは、1~100個、又は2~50個の任意のアミノ酸からなるペプチドリンカーであってもよく、当業界に適切な配列が知られている。前記抗原結合断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全抗体をパパインで制限切断すれば、Fabを得ることができ、ペブシンで切断すれば、F(ab’)断片を得ることができる)、遺伝子組換え技術を通じて作製することができる。
用語「ヒンジ領域(hinge region)」は、抗体の重鎖に含まれている領域であって、CH1領域とCH2領域との間に存在し、抗体内の抗原結合部位の柔軟性(flexibility)を提供する機能を有する領域を意味する。例えば、前記ヒンジは、ヒト抗体に由来したものであってもよく、具体的に、IgA、IgE、またはIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4に由来したものであってもよい。
動物由来抗体がキメラ化(chimerization)過程を経ると、動物由来のIgG1ヒンジはヒトIgG1ヒンジで置換されるが、動物由来のIgG1ヒンジは、ヒトIgG1ヒンジに比べてその長さが短く、2つの重鎖間の二硫化結合(disulfide bond)が3個から2個に減少し、ヒンジの硬直性(rigidity)が互いに異なる効果を示すようになる。したがって、ヒンジ領域の変形(modification)は、ヒト化抗体の抗原結合の効率性を増加させることができる。前記ヒンジ領域のアミノ酸配列を変形させるためのアミノ酸の欠失、付加または置換方法は当業者によく知られている。
抗Ang2抗体の可変部位を除いた部分は、ヒト抗体に由来した不変部位であり得、具体的に、IgA、IgE、またはIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4に由来した不変部位であってもよい。
抗Ang2抗体は単クローン抗体であり得る。単クローン抗体は、当業界に広く知られている方法の通りに製造することができる。例えば、ファージディスプレイ(phage display)技法を用いて製造されてもよい。または、抗Ang2抗体は、マウス単クローン抗体を用いて、Schwaberなどの論文に記載された方法によりマウス由来の単クローン抗体に製造され得る(Schwaber,J and Cohen,E.P.,“Human x Mouse Somatic Cell Hybrid Clones Secreting Immunoglobulins of Both Parental Types.” Nature,244(1973),444-447)。
一方、典型的なELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)フォーマットを用いて、Ang2との結合能に基づいて個別の単クローン抗体をスクリーニングすることができる。結合体に対して分子的相互作用を検定するための競合的ELISA(Competitive ELISA)のような機能性分析、または細胞ベース分析(cell-based assay)のような機能性分析を通じて阻害活性に対して検定することができる。その後、強い阻害活性に基づいて選択された単クローン抗体メンバーに対して、Ang2に対するそれぞれの親和度(Kd values)を検定する。
最終的に選択された抗体は、抗原結合部を除いた残りの部分がヒトの免疫グロブリン抗体化された抗体だけでなく、ヒト化抗体として製造して使用することができる。ヒト化抗体の製造方法は当業界によく知られている(Almagro,J.C.and Fransson,J.,“Humanization of antibodies.” Frontiers in Bioscience,13(2008),1619-1633)。
他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む新生血管形成の阻害のための薬学組成物を提供する。他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量を新生血管形成の阻害を必要とする患者に投与する段階を含む新生血管形成の阻害方法を提供する。前記新生血管形成の阻害方法は、前記投与する段階の前に、新生血管形成の阻害を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む血管透過性の減少のための薬学組成物を提供する。他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量を血管透過性の減少を必要とする患者に投与する段階を含む血管透過性の減少方法を提供する。前記血管透過性の減少方法は、前記投与する段階の前に、血管透過性の減少を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、Ang2の過発現、新生血管の形成、及び/又は血管透過性の増加と関連する疾病の予防及び/又は治療のための薬学組成物を提供する。他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量を、Ang2の過発現、新生血管の形成及び/又は血管透過性の増加と関連する疾病の予防及び/又は治療を必要とする患者に投与する段階を含む、Ang2の過発現、新生血管の形成及び/又は血管透過性の増加と関連する疾病の予防及び/又は治療方法を提供する。前記予防及び/又は治療方法は、前記投与する段階の前に、Ang2の過発現、新生血管の形成及び/又は血管透過性の増加と関連する疾病の予防及び/又は治療を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む正常血管生成の誘導のための薬学組成物を提供する。他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量を正常血管生成の誘導を必要とする患者に投与する段階を含む正常血管生成の増加方法を提供する。前記正常血管生成の増加方法は、前記投与する段階の前に、正常血管生成の誘導を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防及び/又は治療のための薬学組成物を提供する。他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量を、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防及び/又は治療を必要とする患者に投与する段階を含む、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防及び/又は治療方法を提供する。前記予防及び/又は治療方法は、前記投与する段階の前に、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防及び/又は治療を必要とする患者を確認する段階をさらに含むことができる。
他の例は、前記抗体またはその抗原結合断片を含む、新生血管の形成及び/又は血管透過性の増加及び/又は正常血管形成の減少と関連する疾病の診断用組成物を提供する。
前記薬学組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができ、前記担体は、薬物の製剤化に通常用いられるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどからなる群から選択された1種以上であってもよいが、これに限定されるものではない。前記薬学組成物はまた、薬学組成物の製造に通常用いられる希釈剤、賦形剤、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などからなる群から選択された1種以上をさらに含むことができる。
前記薬学組成物、あるいは前記抗体またはその抗原結合断片の薬学的有効量は、経口又は非経口で投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与及び直腸内投与などで投与することができる。経口投与時に、タンパク質又はペプチドは消化されるため、経口用組成物は、活性薬剤をコーティングしたり、胃での分解から保護されるように剤形化されてもよい。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動できる任意の装置によって投与されてもよい。
前記薬学組成物内の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の含有量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方され得る。例えば、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片の1日投与量は0.001~1000mg/kg、具体的に0.01~100mg/kg、より具体的に0.1~50mg/kgの範囲であってもよいが、これに制限されるものではない。前記1日投与量は、単位用量の形態で一つの製剤に製剤化されたり、適切に分量して製剤化されたり、多用量容器内に入れて製造されてもよい。前記「薬学的有効量」は、所望の薬理的効果を示すことができる有効成分の含量又は投与量を意味するものであり得、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食べ物、投与時間、投与間隔、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に定められ得る。
前記薬学的組成物は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液、シロップ剤または乳化液の形態であるか、エキス剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤などの形態に剤形化されてもよく、剤形化のために、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。
特に、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を含む薬学組成物は、抗体または抗原結合断片を含むので、免疫リポソームに剤形化され得る。抗体を含むリポソームは、当業界に広く知られている方法により製造され得る。前記免疫リポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びポリエチレングリコール-誘導体化されたホスファチジルエタノールアミンを含む脂質組成物であって、逆相蒸発法により製造され得る。例えば、抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を通じてリポソームに接合され得る。
一方、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片はAng2に特異的に結合するので、これを用いてAng2を検出することができ、これを通じて、Ang2の過発現の有無を確認することができる。したがって、本発明の更に他の例は、前記抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を含むAng2検出用組成物、及びAng2の過発現と関連する疾病の診断用組成物を提供する。
本発明は、Ang2を阻害すると同時に、Tie2受容体を活性化させて下流信号伝達を促進する抗体を提案することによって、Ang2による新生血管の形成を阻害し、血管透過性を減少させることができる新しい方法を提示する。また、本発明で提案される抗体は、癌以外の異常血管形成関連の疾患及び/又は血管透過性が増加して誘発される疾患の診断及び治療への応用可能性が期待される。前記抗体は、化学医薬品及びその他の抗癌治療剤との併用治療療法などに活用可能であり、Ang2に特異的な認知作用を用いて抗体断片(antibody fragment)、二重又は多重特異抗体(bi-又はmulti-specific antibody)、タンパク質骨格体(protein scaffold)などに使用可能であると期待される。
抗Ang2抗体がAng2と共に、HUVEC細胞においてAKTとERK 42/44をリン酸化させることを示すウエスタンブロット(western blot)の結果である。 抗Ang2抗体がAng2と共に、HUVEC細胞において抗体濃度依存的にAKTリン酸化を誘導することを示すELISAの結果である。グラフにおいて最も高い値を有する曲線から順にクローンを列挙すると、最も高いクローンが1D3、その次が2C8、その次が1A9、その次が1H10、そして、最も低い値を有するクローンが対照群である67クローンである。 抗Ang2抗体のヒトAng2とマウスAng2に対する結合親和度をELISAを通じて分析した。 抗Ang2抗体がAng2及びTie2と結合して複合体(complex)を形成することを示すELISAの結果である。 抗Ang2抗体2C8がAng2とTie2の結合を妨げないことを示すELISAの結果である。 抗Ang2抗体2C8がLLC肺癌細胞腫瘍モデルでの腫瘍の成長を抑制することを示す(error bar:standard error of mean)。 抗Ang2抗体2C8とシスプラチン(cisplatin)の併用投与がLLC肺癌細胞腫瘍モデルでのそれぞれの単独投与と比較して著しく優れた腫瘍成長抑制効能を有することを示す(error bar:standard error of mean)。 抗Ang2抗体2C8と5FUの併用投与がMC38大腸癌細胞腫瘍モデルでのそれぞれの単独投与と比較して著しく優れた腫瘍成長抑制効能を有することを示す(error bar:standard error of mean)。
以下では、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これは、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を制限しようとするものではない。以下に記載された実施例は、発明の本質的な要旨を逸脱しない範囲で変形できることは当業者にとって明らかである。
実施例1:抗Ang2抗体の製造及びスクリーニング
抗原としてヒトAng2(配列番号1)に特異的に結合する抗体をAbClon(大韓民国)社に注文依頼し、本発明の抗体の製造はKohler and Milstein,Eur.J.Immunol.6,511(1976)を参考にした。
要約すると、マウスにヒトAng2を抗原としてアジュバント(Sigma)と混合して2回注入した後、抗体の生成の有無をELISA法で確認した。2回免疫後、抗体の力価(1:5000)が増加し、免疫されたマウスから脾臓を摘出してBリンパ球を分離した後、sp2/0細胞と融合させた。融合された細胞をヒポキサンチン(hypoxanthine)、アミノプテリン(aminopterin)、チミジン(thymidine)が添加されている培地(HAT medium)で培養し、Bリンパ球とsp2/0細胞が融合された細胞(hybridoma)を選択的に選別した。得られたハイブリドーマ(hybridoma)細胞を段階希釈法(serial dilution method)を用いて陽性細胞と陰性細胞を分離する過程(cloning)を繰り返し、抗原に反応する抗体を産生する単一クローン細胞を製造した。
前記得られた抗体産生ハイブリドーマ細胞を10%(v/v)のFBSが含まれたDMEM(Dulbeco’s Modified Eagle’s Mediaum)で37℃、5%COの条件で培養した後、遠心分離を通じて抗体を産生する細胞を除去し、抗体が分泌された培養液を分離して、親和性カラム(Protein A/G agarose column,Protein A/G(GenDEPOT))を用いて抗体を純粋精製した。
実施例2:抗Ang2抗体によるTie2信号伝達(signaling)の活性化誘導のウエスタンブロット(Western blot)
Ang2は、血管内皮細胞に発現されたTie2受容体と結合して弱い作用剤又は拮抗剤として作用する。本発明で開発された抗Ang2抗体がAng2に結合してAng2-Tie2と複合体を形成することによって、Tie2受容体を活性化させて下部信号伝達を促進させる作用をするので、細胞ベース分析法を用いて抗Ang2抗体のTie2下部信号伝達に及ぼす影響を分析するために、ERKとAKTのリン酸化実験を行った。Tie2下部信号伝達の活性化の程度を比較するために、Ang2(Sino Biological)と他のAng2対照抗体(大韓民国特許公開第10-2015-0136031号)を共に処理したグループに対しても同じ試験を行った。
具体的に、HUVEC(Lonza)細胞(2×10個)をEGM-2(Lonza)培地を用いて37℃で培養した後、80~90%の培養密度(confluency)を示すと、0.5%のFBS基本培地(Lonza)に変え、37℃で16~24時間培養した。抗Ang2抗体60nMをAng2タンパク質(Sino Biological)40nMと混合して30分間置いた後、前記培養された細胞に処理し、10分間さらに培養した。比較のために、Ang2 40nM、及びAng2 40nM+抗Ang2対照抗体60nMをそれぞれ処理したグループを準備した。PBSを用いて前記細胞を洗浄した後、溶解バッファー(lysis buffer)(Biosesang(Ripa buffer)、0.15Mの塩化ナトリウム(Sodium chloride)、1%のTriton X-100、1%のデオキシコール酸ナトリウム(Sodium deoxycholate)、0.1%のSDS、50mMのTris-HCl、pH7.5、及び2mMのEDTA)を処理した後、13,000rpmで15分間遠心分離して上澄み液を回収し、細胞溶解物を得た。
細胞溶解物35μgに還元剤(reducing agent)が混合されたサンプルバッファー(Biosesang)を入れ、95℃で5分間煮沸した後、10%のトリス-グリシンゲルで電気泳動し、ニトロセルロース膜(GVS)に移動させた。Tie2受容体の下部信号伝達(downstream signaling)に関与するAkt、ERK 42/44のリン酸化の有無を確認するために、前記のブロット(blot)を5%(v/v)のスキムミルク(ソウル牛乳)が混合されたPBSTで1時間ブロッキング(blocking)した後、抗リン酸化Akt抗体(Cell signaling)、抗AKT抗体(Cell signaling)、抗リン酸化ERK 42/44抗体(Cell signaling)、抗ERK 42/44抗体(Santa cruz)を処理した。前記得られた結果を図1に示した。
図1に示されたように、1A9、1D3、2C8、1H10クローンが、陰性対照群と比較してAKT及びERKの活性化シグナルを示した。
実施例3:抗Ang2抗体によるTie2下部信号伝達(signaling)の活性化誘導のELISA
抗Ang2抗体のTie2下部信号伝達に及ぼす影響を定量的に分析するために、AKTのリン酸化レベルをELISAを通じて測定した。
HUVEC(Lonza)細胞(2×10個)をEGM-2(Lonza)培地を用いて37℃で培養した後、80~90%の培養密度(confluency)を示すと、0.5%のFBS基本培地(Lonza)に変え、37℃で16~24時間培養した。抗Ang2抗体60nMをAng2タンパク質(Sino Biological)40nMと混合して30分間置いた後、前記培養された細胞に処理し、10分間さらに培養した。比較のために、Ang2 40nM、及びAng2 40nM+抗Ang2対照抗体(h10D6-OPTI-67、US10934350)60nMをそれぞれ処理したグループを準備した。PBSを用いて前記細胞を洗浄した後、溶解バッファー(Biosesang)を処理した後、13,000rpmで15分間遠心分離して上澄み液を回収し、細胞溶解物を得た。
ELISAのために、96ウェルのps half areaプレート(Greiner bio-one)にPathScanRPhospho-Akt1(Ser473) Sandwich ELISA Antibody Pair(Cell signaling)の捕捉(capture)抗体を1:100に希釈して50μLを入れ、コーティングした。その後、PBST(0.05%(v/v)のTween-20が含まれたリン酸緩衝食塩水(Phosphate Buffer Saline))で前記プレートを4回洗った後、1%(v/v)のスキムミルク(skim milk)が含有されたPBSTで37℃で2時間ブロッキングした。その後、0.05%のTween-20が含まれたPBSTで前記プレートを4回洗った後、細胞溶解物を入れ、37℃で2時間、捕捉抗体にリン酸化されたAKTが結合するようにした。PBSTを用いてプレートを4回洗った後、1%のスキムミルクに1:1000に希釈した2次抗体を37℃で1時間結合させた後、PBSTで4回洗った。最後に、前記プレートに50μLのTMB基質(Kementec)を添加して10分間発色反応を誘導し、その後、Stop溶液50μLを添加して反応を中止させ、OD450値をプレートリーダー(BioTek)上で測定した。前記得られた結果を図2に示した。
図2に示されたように、本発明の単クローン抗体1A9、1D3、2C8、1H10が、既知の対照抗体と比較して著しく強いTie2下部信号(signal)の誘導が確認できた。
実施例4:マウス抗Ang2抗体の遺伝子クローニング
前記実施例1で得られたハイブリードマからAccuPrep Universal RNA extraction kit(Bioneer)を用いてRNAを分離した。そして、これを鋳型として、既存に公知された方法によってcDNAの合成及びクローニングを行った(Meyer Lなど、“A simplified workflow for monoclonal antibody sequencing” 2019,PLoS ONE)。cDNAの合成はSuperiorScript III cDNA Synthesis kit(Enzynomics)を用い、合成されたcDNAをPCR増幅して、TOPcloner Blunt core kit(Enzynomics)を用いてベクターにクローニングし、DNA塩基配列の分析を行って、各抗体のCDR、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする塩基配列とアミノ酸配列を得た(表1~表8)。
表1は、マウス抗Ang2抗体1A9のCDR配列
表2は、マウス抗Ang2抗体1A9の可変領域配列
表3は、マウス抗Ang2抗体2C8のCDR配列
表4は、マウス抗Ang2抗体2C8の可変領域配列
表5は、マウス抗Ang2抗体1D3のCDR配列
表6は、マウス抗Ang2抗体1D3の可変領域配列
表7は、マウス抗Ang2抗体1H10のCDR配列
表8は、マウス抗Ang2抗体1H10の可変領域配列
実施例5:抗Ang2抗体のヒトAng2又はマウスAng2への結合のELISA
抗Ang2抗体とヒトAng2又はマウスAng2との結合能を確認するためにELISAを行った。96-ウェルのMaxiSorpTMflat-bottomプレートを1μg/mLのヒトAng2(Sino Biological)又はマウスAng2(Acrobiosystemsl)でコーティングした。その後、PBST(0.05%(v/v)のTween-20が含まれたリン酸緩衝食塩水(Phosphate Buffer Saline))で前記プレートを5回洗った後、1%(v/v)のスキムミルク(skim milk)が含有されたPBSTで常温で2時間ブロッキングした。その後、0.05%のTween-20が含まれたPBSTで前記プレートを5回洗った後、300nMから3倍連続希釈した10種類の濃度の抗Ang2を入れ、常温で2時間結合させた。0.05%のTween-20のPBSTを用いてプレートを5回洗った後、1%のスキムミルクに1:3000に希釈したヤギ抗マウスIgG/HRP(Solarbio)を1時間結合させた後、PBSTで6回洗った。最後に、前記プレートに100μL(microliter)のTMB基質(Kementec)を添加して10分間発色反応を誘導し、その後、Stop溶液(2MのHSO)100μLを添加して反応を中止させ、OD450値をプレートリーダー(BioTek)上で測定した。前記得られた結果を図3に示した。
実施例6:抗Ang2抗体の抗体-Ang2-Tie2複合体の形成の確認のためのELISA
抗Ang2抗体とAng2 Tie2受容体との複合体が形成されるか否かを確認するためにELISAを行った。96-ウェルのMaxiSorpTMflat-bottomプレートを2μg/mlのTie2 ECD(Sino Biological)でコーティングした。その後、PBST(0.05%(v/v)のTween-20が含まれたリン酸緩衝食塩水(Phosphate Buffer Saline))で前記プレートを5回洗った後、1%(v/v)のスキムミルク(skim milk)が含有されたPBSTで常温で2時間ブロッキングした。その後、0.05%のTween-20が含まれたPBSTで前記プレートを5回洗った後、予め準備した抗Ang2抗体とAng2の複合体を入れ、常温で2時間Tie2に結合するようにした。抗Ang2抗体とAng2の複合体は、抗Ang2抗体を600nMの濃度で1%のスキムミルクに入れた後、1%のスキムミルクを使用して3倍連続希釈して10種類の濃度を製造し、Ang2を1%のスキムミルクに1μg/mL希釈した試料と1:1で混合して製造した。0.05%のTween-20のPBSTを用いてプレートを5回洗った後、1%のスキムミルクに1:3000に希釈したヤギ抗マウスIgG/HRP(Solarbio)を1時間結合させた後、PBSTで6回洗った。最後に、前記プレートに100μL(microliter)のTMB基質(Kementec)を添加して10分間発色反応を誘導し、その後、Stop溶液(2MのHSO)50μLを添加して反応を中止させ、OD450値をプレートリーダー(BioTek)上で測定した。前記得られた結果を図4に示した。
実施例7:Ang2-Tie2結合に対する抗Ang2抗体の競合(competition)ELISA
抗Ang2抗体を用いてAng2-Tie2結合競合(binding competition)ELISAを行った。より具体的に、96-ウェルのMaxiSorpTMflat-bottomプレートを4μg/mlのTie2 ECD(Sino Biological)でコーティングした。その後、PBST(0.05%(v/v)のTween-20が含まれたリン酸緩衝食塩水(Phosphate Buffer Saline))で前記プレートを5回洗った後、1%(v/v)のBSAが含有されたPBSTで常温で2時間ブロッキングした。その後、0.05%のTween-20が含まれたPBSTで前記プレートを5回洗った後、ビオチン標識されたヒトAng2と抗Ang2抗体の複合体、またはビオチン標識されたヒトAng2と標識されていないヒトAng2の混合物を入れ、常温で2時間、Tie2に結合するようにした。このとき、ビオチン標識されたヒトAng2は、ヒトAng2(>1mg/ml)10μlにModifier reagent 1μlを混合し、Biotin conjugation mixが入っているバイアル(vial)のキャップを除去し、Ang2-modifier solutionを入れて混合した後、常温で光を遮断して15分以上反応させた後、1μlのQuencher reagentを入れ、5分間反応させて製造した。抗Ang2抗体とビオチン標識されたAng2の複合体は、抗Ang2抗体を1.2μMの濃度で1%のBSAに入れた後、1%のBSAを使用して5倍連続希釈して10種類の濃度を製造した後、ビオチン標識されたヒトAng2を1%のBSAに1μg/mLで希釈した試料と1:1で混合して製造し、ビオチン標識されたヒトAng2と標識されていないヒトAng2の混合物は、Ang2を1%のBSAに1.2μMの濃度で1%のBSAに入れた後、1%のBSAを使用して5倍連続希釈して10種類の濃度を製造した後、ビオチン標識されたヒトAng2を1%のBSAに1μg/mLで希釈した試料と1:1で混合して製造した。0.05%のTween-20のPBSTを用いてプレートを5回洗った後、1%のBSAに1:10000に希釈したストレプトアビジンHRP(Abcam)を1時間結合させた後、PBSTで6回洗った。最後に、前記プレートに100μL(microliter)のTMB基質(Kementec)を添加して10分間発色反応を誘導し、その後、Stop溶液(2MのHSO)50μLを添加して反応を中止させ、OD450値をプレートリーダー(BioTek)上で測定した。前記得られた結果を図5に示した。
実施例8:抗Ang2抗体のマウス腫瘍モデルでの腫瘍成長抑制効果
抗Ang2抗体の腫瘍成長抑制効果を確認するためにマウス腫瘍モデルを使用した。腫瘍の大きさ(V)は、次のような式を用いて計算した:
V=Tumor volume(mm)=(length×width)/2
A.LLC肺癌細胞腫瘍モデル
抗Ang2抗体の腫瘍成長抑制効果を確認するために、マウス肺癌細胞株であるLLC(Lewis lung carcinoma、ATCC)細胞株を用いた肺癌syngeneicマウスモデルが用いられた。LLC細胞株は、10%のFBS(Gibco)が添加されたDMEM(Welgene)で培養した。LLC細胞(1×10 in 100μL of PBS+100μL matrigel)を同じ遺伝子型のC57BL/6マウス(中央実験動物)の皮下に接種した後、癌細胞接種日から7日、9日、11日、14日、16日目に抗Ang2抗体(2C8)を5mg/kgの用量で腹腔内注射し、腫瘍の大きさを測定した。
図6に示したように、抗Ang2抗体2C8が腫瘍の成長を阻害することを確認した。
抗Ang2抗体と既存の他の抗癌剤との併用投与の効果を確認するために、LLC肺癌モデルにおいてAng2抗体2C8とシスプラチン(cisplatin)の併用投与試験を行った。LLC細胞株は、10%のFBS(Gibco)が添加されたDMEM(Welgene)で培養した。LLC細胞(1×10 in 100μL of PBS)を同じ遺伝子型のC57BL/6マウス(オリエント)の皮下に接種した後、腫瘍の体積が50~100mmに達したとき、週3回で2週間、Ang2抗体を5mg/kgの用量で腹腔内投与した。シスプラチン(Sigma)は、5mg/kgの用量で1回投与した。実験は、Ig(control group)、2C8グループ、シスプラチングループ、及び2C8+シスプラチングループで行われた。
図7に示したように、抗Ang2抗体2C8とシスプラチンを併用投与する場合、対照群と比較して、腫瘍の成長を約48%抑制して、抗Ang2抗体や5FUの単独投与と比較して著しく有意な効能を示した。このような結果は、抗Ang2抗体が他の抗癌剤との併用投与を通じて、既存の抗癌剤単独治療よりもはるかに強力に癌成長を抑制できることを示す。
B.MC38大腸癌細胞成長モデル
抗Ang2抗体の大腸癌モデルでの腫瘍成長抑制効果及び5FU(5-fluorouracil)との併用投与の効果を確認するために、マウス大腸癌細胞株であるMC38細胞株を用いた大腸癌syngeneicマウスモデルが用いられた。MC38細胞株は、10%のFBS(Welgene)が添加されたDMEM(Welgene)で培養した。MC38細胞(1×10 in 100μL of PBS)を同じ遺伝子型のC57BL/6マウス(オリエント)の皮下に接種した後、腫瘍の体積が70~100mmに達したとき、3日間隔で計5回、Ang2抗体(2C8)を5mg/kgの用量で腹腔内投与した。5FUは、20mg/kgの用量で2回投与した。実験は、Ig(control group)、2C8グループ、5FU(Sigma)グループ、及び2C8+5FUグループで行われた。
図8に示したように、抗Ang2抗体2C8と5FUが単独で類似のレベルの腫瘍生長抑制効果を示し、それだけでなく、抗Ang2抗体2C8と5FUを併用投与する場合、対照群と比較して、腫瘍の成長を約58%抑制して、抗Ang2抗体や5FUの単独投与と比較して著しく有意な効能を示した。このような結果は、抗Ang2抗体が他の抗癌剤との併用投与を通じて、既存の抗癌剤単独治療よりもはるかに強力に癌成長を抑制できることを示す。

Claims (16)

  1. アンジオポエチン2(Ang2)に特異的に結合し、Tie2の活性化を誘導する抗体またはその抗原結合断片であって、
    (a)配列番号2、配列番号10、配列番号18、または配列番号26のアミノ酸配列のCDRH1、
    配列番号3、配列番号11、配列番号19、または配列番号27のアミノ酸配列のCDRH2、及び
    配列番号4、配列番号12、配列番号20、または配列番号28のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
    (b)配列番号5、配列番号13、配列番号21、または配列番号29のアミノ酸配列のCDRL1、
    配列番号6、配列番号14、配列番号22、または配列番号30のアミノ酸配列のCDRL2、及び
    配列番号7、配列番号15、配列番号23、または配列番号31のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする、抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  2. 前記抗体またはその抗原結合断片は、
    (a)配列番号2のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号3のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号4のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
    (b)配列番号5のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号6のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号7のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  3. 前記抗体またはその抗原結合断片は、
    (a)配列番号10のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号11のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号12のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
    (b)配列番号13のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号14のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号15のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  4. 前記抗体またはその抗原結合断片は、
    (a)配列番号18のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号19のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号20のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
    (b)配列番号21のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号22のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号23のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  5. 前記抗体またはその抗原結合断片は、
    (a)配列番号26のアミノ酸配列のCDRH1、配列番号27のアミノ酸配列のCDRH2、及び配列番号28のアミノ酸配列のCDRH3を含む重鎖相補性決定領域(CDR)と;
    (b)配列番号29のアミノ酸配列のCDRL1、配列番号30のアミノ酸配列のCDRL2、及び配列番号31のアミノ酸配列のCDRL3を含む軽鎖CDRと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  6. 前記抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8、配列番号16、配列番号24及び配列番号32からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変部位と、配列番号9、配列番号17、配列番号25及び配列番号33からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変部位とを含む、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  7. 前記抗体またはその抗原結合断片は、アンジオポエチン-2に特異的に結合し、Ang2と共にTie2受容体に結合する、請求項1に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片をコードする分離された核酸。
  9. 前記抗原結合断片は、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’及びF(ab’)からなる群から選択されるものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  10. 前記抗体またはその抗原結合断片は、マウス(murine)抗体、キメラ(chimeric)抗体、またはヒト化(humanized)抗体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片。
  11. 請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、Ang2の過発現、新生血管の形成、または血管透過性の増加と関連する疾病の予防又は治療のための薬学組成物。
  12. 前記Ang2の過発現、新生血管の形成、または血管透過性の増加と関連する疾病は、癌、癌転移、炎症疾患、感染、心血管疾患、腎臓疾患、遺伝性出血性毛細血管拡張症、喘息、または浮腫である、請求項11に記載の薬学組成物。
  13. 請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、正常血管生成の減少と関連する疾病の予防又は治療のための薬学組成物。
  14. 前記正常血管生成の減少と関連する疾病は、心筋梗塞、狭心症、脳硬塞、脳卒中、バージャー病、無血管壊死、足部潰瘍、または勃起不全である、請求項13に記載の薬学組成物。
  15. 請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を有効成分として含む、
    アルツハイマー疾患;
    リウマチ性関節炎、多発性硬化症、又は乾癬のような炎症性自己免疫疾患;
    老化関連黄斑変性(AMD)、糖尿黄斑浮腫(DME)、糖尿性網膜症(DR)、又は緑内障のような眼科疾患;または
    コロナウイルス19のようなコロナウイルス感染疾患の予防又は治療のための薬学組成物。
  16. 請求項1~7のいずれか一項に記載の抗Ang2抗体またはその抗原結合断片を、放射線照射、化学療法剤、細胞毒性剤及び/又は免疫毒性剤と同時に、個別に、または順次に投与することを含む、癌治療に使用するための併用治療用組成物。
JP2023565202A 2021-04-23 2022-03-10 アンジオポエチン-2に特異的に結合する抗体、またはその断片 Pending JP2024517669A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR20210052895 2021-04-23
KR10-2021-0052895 2021-04-23
KR10-2022-0028751 2022-03-07
KR1020220028751A KR102459211B1 (ko) 2021-04-23 2022-03-07 안지오포이에틴-2에 특이적으로 결합하는 항체, 또는 이의 단편
PCT/KR2022/003351 WO2022225182A1 (ko) 2021-04-23 2022-03-10 안지오포이에틴-2에 특이적으로 결합하는 항체, 또는 이의 단편

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024517669A true JP2024517669A (ja) 2024-04-23

Family

ID=83722936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023565202A Pending JP2024517669A (ja) 2021-04-23 2022-03-10 アンジオポエチン-2に特異的に結合する抗体、またはその断片

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP4328242A1 (ja)
JP (1) JP2024517669A (ja)
WO (1) WO2022225182A1 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JO2913B1 (en) * 2008-02-20 2015-09-15 امجين إنك, Antibodies directed towards angiopoietin-1 and angiopoietin-2 proteins and their uses
AU2012299195B9 (en) * 2011-08-19 2018-05-10 Regeneron Pharmaceuticals, Inc Anti-Tie2 antibodies uses thereof
KR102196450B1 (ko) * 2013-09-17 2020-12-30 삼성전자주식회사 Tie2와 결합을 유도하는 항 Ang2 항체를 포함하는 항암제
KR102349370B1 (ko) 2014-05-26 2022-01-10 삼성전자주식회사 인간화 또는 친화도 성숙된 항 앤지오포이에틴-2 항체 및 그의 용도
KR102497171B1 (ko) * 2018-02-20 2023-02-08 기초과학연구원 항-안지오포이에틴-2(Ang2) 항체 및 그의 용도
KR102312922B1 (ko) 2019-11-19 2021-10-13 삼성전자주식회사 Tie2와 결합을 유도하는 항 Ang2 항체

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022225182A1 (ko) 2022-10-27
EP4328242A1 (en) 2024-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6694850B2 (ja) c−MetのSEMAドメイン内のエピトープに特異的に結合する抗体
US9808507B2 (en) Anti-c-Met/anti-Ang2 bispecific antibody
JP6195565B2 (ja) 抗c−MET抗体およびその用途
US9359440B2 (en) Bispecific chimeric proteins comprising DARPins
US10934350B2 (en) Humanized or affinity-matured anti ang-2 antibody and uses thereof
US9505843B2 (en) Anti-Her3 scFV fragment and bispecific anti-c-Met/anti-Her3 antibodies comprising the same
US9902776B2 (en) Anti-EGFR antibody and anti-c-Met/anti-EGFR bispecific antibodies comprising the same
KR102196450B1 (ko) Tie2와 결합을 유도하는 항 Ang2 항체를 포함하는 항암제
US10246507B2 (en) Polypeptide, anti-VEGF antibody, and anti-c-Met/anti-VEGF bispecific antibodies comprising the same
US9657104B2 (en) Anti-c-Met/anti-EGFR bispecific antibodies
US10000569B2 (en) Anti-cMet/anti-EGFR/anti-HER3 multispecific antibodies and use thereof
KR102042174B1 (ko) 인간화 및 친화도 성숙된 항 c-Met 항체 및 그의 용도
US9499622B2 (en) Anti-EGFR/anti-HER2 bispecific antibodies with anti-EGFR DARPins
KR102106160B1 (ko) 항 Ang2 항체
JP2024517669A (ja) アンジオポエチン-2に特異的に結合する抗体、またはその断片
KR102459211B1 (ko) 안지오포이에틴-2에 특이적으로 결합하는 항체, 또는 이의 단편
KR20200144536A (ko) Tie2와 결합을 유도하는 항 Ang2 항체
KR20240040172A (ko) 안지오포이에틴-2의 에피토프 및 이에 결합하는 항체
CN117279940A (zh) 与血管生成素-2特异性结合的抗体或其片段
KR20150028087A (ko) 항 Ang2 항체를 포함하는 혈관누수 차단제
KR20230097598A (ko) 안지오포이에틴-2에 특이적으로 결합하는 항체, 또는 이의 단편
KR20230097590A (ko) 안지오포이에틴-2에 특이적으로 결합하는 항체, 또는 이의 단편
KR102195957B1 (ko) Tie2와 결합을 유도하는 항 Ang2 항체

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231020