JP2024517045A - リチウム硫黄電池用正極材及びこれを含むリチウム硫黄電池 - Google Patents

リチウム硫黄電池用正極材及びこれを含むリチウム硫黄電池 Download PDF

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Abstract

本発明は、リチウム硫黄電池の正極に使用するための炭素複合体及びその製造方法に関するもので、前記炭素複合体は、少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材と、遷移金属を含む少なくとも1つの触媒と、を含み、前記触媒は、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に位置することを特徴とする。

Description

本発明は、リチウム硫黄電池用正極材及びこれを含むリチウム硫黄電池に関する。
本出願は、2022年4月8日付け出願の韓国出願第2022-0044174号及び2022年10月27日付け出願の韓国出願第2022-0140744号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
リチウム硫黄電池は、S-S結合(sulfur‐sulfur bond)を有する硫黄系物質を正極活物質として用い、リチウム金属を負極活物質として用いる電池システムである。前記正極活物質の主材料である硫黄は、全世界的に資源量が豊かであり、毒性がなく、原子当たりの重量が低いという長所がある。
二次電池の応用領域が電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵装置(ESS)などに広がっていくに伴い、重量に対して相対的に低いエネルギー貯蔵密度(~250Wh/kg)を有するリチウムイオン二次電池に比べて、理論上、重量に対して高いエネルギー貯蔵密度(~2,600Wh/kg)を実現できるリチウム硫黄電池技術が脚光を浴びている。
リチウム硫黄電池は、放電時に負極活物質であるリチウムが電子を放出してリチウム陽イオンにイオン化されながら酸化されると共に、正極活物質である硫黄系物質が電子を受け入れながら還元される。ここで、硫黄系物質の還元反応により、前記S-S結合が2個の電子を受け入れて硫黄陰イオン形態に変換される。リチウムの酸化反応によって生成されたリチウム陽イオンは電解質を通じて正極に伝達され、これは硫黄系化合物の還元反応によって生成される硫黄陰イオンと結合して塩を形成する。具体的には、放電前の硫黄は環状のS構造を有しており、これは還元反応によってリチウムポリスルフィド(Lithium polysulfide、Li)に変換され、完全に還元されてリチウムスルフィド(LiS)が生成される。
このように正極活物質に使用される硫黄は不導体なので、電気化学反応で生成された電子の移動が難しく、充放電過程で発生するポリスルフィド(LiS)溶出問題及び硫黄とリチウムスルフィドの低い電気伝導性による電気化学反応の遅い動力学的活性によって電池寿命特性と速度特性が低下するという問題があった。
これと関連して、最近は電気化学的触媒として多く使われている白金(Pt)を使ってリチウム硫黄二次電池の充放電過程で硫黄の酸化還元反応の動力学的活性を向上させることで、リチウム硫黄二次電池の高性能化を実現するための研究が行われている。しかし、白金などの貴金属触媒は高価であるため商業化が難しい素材であるだけでなく、充放電過程で硫黄の酸化還元反応によって被毒の可能性があるため、リチウム硫黄二次電池の正極素材として活用することが容易ではないという問題がある。
また、原子利用率(Atomic utilization efficiency)を100%に近いレベルに高めて正極内部の触媒含量を最小化することにより、リチウム硫黄二次電池の高性能化を実現するために単原子触媒(Single atomic catalyst)物質についての研究が進められている。しかしながら、ほとんどの単原子触媒は、リチウムスルフィドとの吸着率が低く、これにより転換性能が低いため、依然としてリチウム硫黄二次電池の高性能化に対する効果が不十分であるのが現状である。そして、これにより、単原子触媒を粒子型(particle type)の触媒とともに用いる研究も進められたが、その場合は原子利用率が再度下がってしまうため、効果的ではない問題が依然として存在する。
そこで、リチウム硫黄二次電池の充放電時の電気化学反応の動力学的活性を向上させることができ、同時にコスト面で商業化に有利な正極素材に対する技術開発が引き続き求められている。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、前述した問題を解決し、リチウムポリスルフィドとの吸着力に優れ、硫黄の酸化/還元反応の動力学的活性を高めるための正極材を提供することである。
これにより、高性能のリチウム硫黄二次電池を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様の炭素複合体が提供される。
第1態様による炭素複合体は、
少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材と、1種以上の遷移金属を含む少なくとも1つの触媒と、を含み、前記触媒は、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に位置する。
第2態様によれば、第1態様において、
前記触媒に含まれる遷移金属と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、10nm以下であり得る。
第3態様によれば、第1態様または第2態様において、
前記触媒に含まれる遷移金属と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、2nm以下であり得る。
第4態様によれば、第1態様から第3態様のいずれか一態様において、
前記炭素複合体は、200m/g以上のBET比表面積を有し得る。
第5態様によれば、第1態様から第4態様のいずれか一態様において、
前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1つの非金属元素と、をさらに含み得る。
第6態様によれば、第1態様から第5態様のいずれか一態様において、
前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1つの非金属元素と、有機支持体と、をさらに含み得る。
第7態様によれば、第1態様から第6態様のいずれか一態様において、
前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む単原子触媒(single atom catalyst)を含み、前記1種以上の遷移金属が前記炭素複合体内に単一原子サイズで分散した形態を有し得る。
第8態様によれば、第1態様から第7態様のいずれか一態様において、
前記触媒に含まれる2種以上の遷移金属間の金属結合を含まなくてもよい。
第9態様によれば、第1態様から第8態様のいずれか一態様において、
前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む粒子を含み、前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~30nmであり得る。
第10態様によれば、第1態様から第9態様のいずれか一態様において、
前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む粒子を含み、前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~5倍であり得る。
第11態様によれば、第1態様から第10態様のいずれか一態様において、
前記遷移金属は、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルビジウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、ガラジウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらの2種以上を含み得る。
第12態様によれば、第1態様から第11態様のいずれか一態様において、
前記遷移金属は、鉄(Fe)を含み得る。
第13態様によれば、第1態様から第12態様のいずれか一態様において、
前記遷移金属は、鉄(Fe)を含み、前記炭素複合体に含まれる鉄の直径(D50)は、0.3nm~5nmであり得る。
第14態様によれば、第1態様から第13態様のいずれか一態様において、
前記触媒に含まれる1種以上の遷移金属に対する、前記多孔性炭素素材にドープされた硫黄のモル比は、0.5~8であり得る。
第15態様によれば、第1態様から第14態様のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの硫黄は、硫黄原子または硫黄化合物の形態でドープされたものであり得る。
第16態様によれば、第1態様から第15態様のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、構造内に、下記の式1による第1構造及び下記の式2による第2構造の少なくとも一方の構造を含み、前記第1構造と第2構造との比率は、第1構造/第2構造のモル比であって1以下であり得る。
[式1]
-C-SO-C-
[式2]
-C-S-C-
第17態様によれば、第16態様において、
前記第1構造/第2構造のモル比は、0.1~0.7であり得る。
第18態様によれば、第1態様から第17態様のいずれか一態様において、
前記炭素複合体の全気孔のうち、気孔直径が10nm未満の気孔の数をN(nano)とし、気孔直径が10nm以上の気孔の数をN(macro)とするとき、前記N(nano)に対するN(macro)の比率[N(macro)/N(nano)]は、1以上であり得る。
第19態様によれば、第1態様から第18態様のいずれか一態様において、
前記多孔性炭素素材のラマンピーク強度比(I/I比)は、1以下であり得る。
本発明の他の側面によれば、下記態様の炭素複合体の製造方法が提供される。
第20態様による炭素複合体の製造方法は、
(S1)多孔性炭素素材内の少なくとも1つの硫黄をドープするステップと、(S2)遷移金属含有前駆体溶液に前記(S1)ステップの結果物を含浸させた後、溶媒を除去するステップと、を含み、前記(S1)ステップは、硫黄ドープ前駆体と前記多孔性炭素素材とが接触した状態で熱処理するステップを含む。
第21態様によれば、第20態様において、
前記熱処理は、800℃~1,000℃の温度で行われ得る。
第22態様によれば、第20態様または第21態様において、
前記硫黄ドープ前駆体は、ジベンジルジスルフィド(DBDS、dibenzyldisulfide)、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na、sodium metabisulfite)、ピロ硫酸ナトリウム(Na、sodium pyrosulfate)、チオ硫酸ナトリウム(Na、sodium thiosulfate)、チオウレア(CHS、thiourea)、硫化ナトリウム(NaS、sodium sulfide)、チオシアン酸カリウム(KSCN、potassium thiocyanate)、ベンジルメルカプタン(CS、benzyl mercaptan)、ベンゾチオフェン(CS、benzothiophene)、ジベンゾチオフェン(C12S、dibenzohiophene)、またはこれらの混合物を含み得る。
第23態様によれば、第20態様から第22態様のいずれか一態様において、
前記(S2)ステップの遷移金属含有前駆体溶液は、有機溶媒と、非金属元素の前駆体化合物と、遷移金属の前駆体化合物と、を含み得る。
本発明のさらに他の側面によれば、下記態様の正極活物質、正極、リチウム硫黄電池及び電池が提供される。
第24態様によれば、
第1態様から第19態様のいずれか一態様による炭素複合体と、硫黄系化合物と、を含む正極活物質が提供される。
第25態様によれば、
第24態様による正極活物質を含む正極が提供される。
第26態様によれば、
正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、前記正極は、第25態様による正極であるリチウム硫黄電池が提供される。
第27態様によれば、
硫黄系化合物を含む正極活物質と、第1態様から第19態様のいずれか一態様による炭素複合体と、を備える正極が提供される。
第28態様によれば、
正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、前記正極は、第27態様による正極であるリチウム硫黄電池が提供される。
第29態様によれば、
正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、前記正極及び負極の少なくとも一方の電極は、第1態様から第19態様のいずれか一態様による炭素複合体を含む電池が提供される。
本発明の一態様による炭素複合体は、リチウムポリスルフィド(LiPS、Li、2≦x≦8)との吸着力に優れた効果がある。のみならず、前記炭素複合体は、リチウムポリスルフィドの転換反応に必須のイオン伝達及び電子伝達に有利な特性を有する。
また、前記炭素複合体は、硫黄の酸化/還元反応において、優れた動力学的活性を提供する効果がある。
さらに、前記炭素複合体は、触媒としての原子利用率を向上させる効果がある。
これにより、正極添加剤及び/又は正極活物質を担持する担持体として前記炭素複合体を適用したリチウム硫黄二次電池は、リチウムポリスルフィドの電解液への溶出を抑制し、硫黄の転換率を向上させることで、安定して高性能を実現する効果がある。
特に、本発明の一態様によるリチウム硫黄電池は、初期容量及び充放電サイクルによる容量維持率及び電池のエネルギー密度の面で優れている効果がある。
本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
リチウム硫黄二次電池の充放電の間、正極において本発明の一態様による炭素複合体が電気化学的触媒として機能することを示す様々な機能の模式図である。 本発明の一態様による炭素複合体及びそれを用いた正極の製造順序の模式図である。 XPS分析により得られた、本明細書の実施例1の炭素複合体内の硫黄原子(S)の2pスペクトルの結果を示すグラフである。 XPS分析により得られた、本明細書の実施例2の炭素複合体内の硫黄原子(S)の2pスペクトルの結果を示すグラフである。 ICP‐AES分析により得られた、本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)中のFe元素含量及び-SO/-S比率の測定結果を示すグラフである。 EDS分析により得られた、本明細書の実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)中のFe、O、N、C及びSの分布の分析結果を示す画像である。 SEM(左)及びTEM(右)により得られた、本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)の形状を示す画像である。 窒素物理吸着分析により得られた、本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)の気孔直径及び相対圧力の結果を示すグラフである。 STEMにより得られた、本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)の形状を示す画像である。 FT-EXAFSにより得られた、本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)、実施例2(FeNC-EEB-2)及びFe箔中のFe元素の結合を確認した結果を示すグラフである。 本明細書の比較例1(FeNC)、実施例1(FeNC-EEB-1)及び実施例2(FeNC-EEB-2)のFe K‐edge XANESの測定結果を示すグラフである。 本明細書のリチウム硫黄コイン型電池である比較例2(FeNC)、実施例3(FeNC-EEB-1)及び実施例4(FeNC-EEB-2)の駆動中に正極(cathode)及び負極(anode)の電流/電圧を測定して得られたターフェルプロットのグラフである。 本明細書の比較例2(FeNC)、実施例3(FeNC-EEB-1)及び実施例4(FeNC-EEB-2)の定電圧(2.05V)放電駆動の結果を示すグラフである。 本明細書の比較例2(FeNC)、実施例3(FeNC-EEB-1)及び実施例4(FeNC-EEB-2)の定電圧(2.35V)充電駆動の結果を示すグラフである。 本明細書の比較例2(FeNC)、実施例3(FeNC-EEB-1)及び実施例4(FeNC-EEB-2)の充放電性能の評価結果を示すグラフである。 本明細書の比較例2(FeNC)、実施例3(FeNC-EEB-1)及び実施例4(FeNC-EEB-2)の充放電200回サイクルの駆動を評価した結果を示すグラフである。 本明細書の実施例3(FeNC-EEB-1)における硫黄のローディング量及びE/S比率を変更した後、充放電100回サイクルの駆動を評価した結果を示すグラフである。 本明細書の比較例3及び実施例5の充放電性能を評価した結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。しかし、下記の内容によってのみ限定されるものではなく、必要に応じて各構成要素が様々に変形又は選択的に混用され得る。よって、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるものである。
本明細書において、ある構成がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するわけではなく、他の構成要素をさらに含み得るということを意味する。
本明細書において、「A及び/又はB」という記載は、「AまたはBまたはこれらの両方」を意味する。
本明細書で使用される特定の用語は、便宜のためのものであり、限定的なものではない。例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「内」及び「外」等の位置を示す用語は、絶対的な位置を示すものではなく、構成要素の相互間の相対的な位置や方向を示すために使われたり、参照されている図面における位置や方向を示したりすることができる。前記用語がこれら自体の他にも、これらを含む単語、その派生語及び類似の意味の単語を含む。
本発明の一側面によれば、リチウム硫黄二次電池の正極で電気化学的触媒として利用することができる炭素複合体が提供される。
図1は、リチウム硫黄二次電池の充放電の間、正極において本発明による炭素複合体が電気化学的触媒として機能することを示す様々な機能を模式化している。図1を参照すると、前記炭素複合体を、正極において電気化学的触媒として使用するので、リチウムポリスルフィド(LiまたはLiS 、x=8、6、4、2)を吸着して、電解液への溶出を抑制することができる。また、リチウムポリスルフィド間の転換反応に活性を示して迅速な転換を誘導し、リチウムスルフィド(LiS)の放出を防止することができる。
本発明の一側面による炭素複合体は、少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材、及び1種以上の遷移金属を含む少なくとも1つの触媒を含み、前記触媒は、前記硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に位置する。
本発明の一態様において、前記遷移金属を含む触媒は、前記硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方の位置に化学的及び/又は物理的に結合されていてもよい。
本発明の一態様において、前記触媒は、前記多孔性炭素素材の外部表面及び/又は気孔の内部表面に物理的に吸着されていてもよく、及び/又は触媒に含まれる元素と多孔性炭素素材の炭素との間の共有結合によって化学的に結合されていてもよい。
本発明の炭素複合体は、前記多孔性炭素素材の外部表面及び/又は気孔内部に存在する触媒に近接する位置に少なくとも1つの硫黄が存在している。このとき、本明細書において、前記「近接」する位置とは、前記触媒と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離が10nm以下である位置である。
本明細書において、前記最近接原子間距離とは、最も近い距離にある2つの原子同士の中心と中心の距離のことを言う。前記最近接原子間距離は、原子間距離を測定する公知の方法に従って測定される値を表すことができ、測定方法に特に限定されるものではない。例えば、前記最近接原子間距離は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)、電界放出型電子顕微鏡(FE‐SEM:field‐emission electron microscope)またはレーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定され得る。
本発明の一態様において、前記触媒と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、10nm以下であり得、具体的には5nm以下、より具体的には2nm以下、例えば1.5nm以下または1nm以下であり得る。
例えば、前記触媒と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、前記触媒に含まれる遷移金属元素と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離を表すことができる。
前記炭素複合体において、前記硫黄がドープされた位置は、電子交換可能な結合(Electron Exchangeable Binding、EEB)サイトとして作用することができる。また、前記硫黄は、前記触媒中の遷移金属との電子交換を介した(via)遷移金属の軌道(オービタル)レベルを調整することができる。例えば、前記触媒に遷移金属として鉄(Fe)が含まれる場合、前記硫黄は、鉄(Fe)との電子交換を介した(via)鉄のd軌道(オービタル)レベルを調整することができる。これにより、前記炭素複合体は、リチウムポリスルフィドの還元反応に対する動力学的活性を促進することができるが、本発明の機序はこれに制限されるものではない。
本発明において、前記遷移金属を含む触媒は、単独でもリチウム硫黄電池の正極に触媒として用いられ、リチウムポリスルフィドの還元反応に活性を付与することができる。しかし、本発明によれば、前記のような触媒が、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び/又は気孔の内部表面に位置することにより、リチウムポリスルフィドの吸着及び硫黄の酸化/還元反応の活性化をさらに向上させることができるといく効果を奏する。
本発明の一態様において、前記触媒は、触媒の活性成分として遷移金属を含み、硫黄の酸化/還元反応を媒介できるものであれば制限されずに含み得る。
本発明の他の態様において、前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1つの非金属元素と、をさらに含み得る。この際、前記触媒に存在する遷移金属及び/又は非金属元素は、前記多孔性炭素素材の炭素と物理的に吸着及び/又は化学的に結合され得る。
本発明のさらに他の態様において、前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1つの非金属元素と、有機支持体と、をさらに含み得る。前記触媒が、前記遷移金属及び前記非金属元素を担持するための有機支持体をさらに含む場合、前記遷移金属の分散性を改善することにより、本発明の一側面による炭素複合体の触媒利用率を向上させる効果を奏し得る。
本発明のさらに他の態様において、前記触媒は、有機支持体と、遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1つの非金属元素と、を含み、前記触媒は、有機支持体中の炭素と遷移金属との結合、前記炭素と非金属元素との結合、および前記遷移金属と前記非金属元素との結合を含み得る。
本発明の一態様において、前記触媒は、前記遷移金属原子間の結合により形成された金属粒子の形態の遷移金属を含み得るが、触媒の原子利用率の観点からみると、遷移金属原子の間に結合されずに単一原子として存在する遷移金属を含むことが好ましい。
これにより、本発明の一態様によれば、前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む単原子触媒を含み得る。これにより、前記触媒に含まれる1種以上の遷移金属は、前記炭素複合体内に単一原子サイズで分散した形態を有し得る。
本明細書において、前記「単原子触媒(single atom catalyst、SAC)」とは、触媒活性部位が原子単位で示される触媒であって、前記炭素複合体は、触媒として遷移金属を含む単原子触媒を含み得る。
本発明の一態様によれば、前記触媒は、構造内に遷移金属間の金属結合を含まなくてもよい。すなわち、前記触媒は、構造内に2種以上の遷移金属原子間の金属結合を介して形成された金属粒子を含まなくてもよい。具体的には、本発明の一態様による炭素複合体は、前記触媒に含まれる2種以上の遷移金属間の金属結合を含まない。
本発明の一態様において、前記遷移金属が多孔性炭素材料及び/又は有機支持体上に単一原子サイズで分散した形態で含まれることは、例えば、前記炭素複合体及び/又は触媒についての、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)または走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)などの顕微鏡観察によって確認され得る。
本発明の他の態様において、前記炭素複合体に含まれる触媒は、1種以上の遷移金属を含む粒子を含み得、このとき、前記粒子の平均直径(D50)は、例えば、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~30nmであり得る。具体的に、前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~5倍の直径を有するものであり得る。好ましくは、前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~3倍、さらに好ましくは、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍であり得る。すなわち、前記触媒は、前記遷移金属が前記炭素複合体内に単一原子サイズで分散した形態を有することが最も好ましい。
本発明の一態様において、前記触媒が2種以上の遷移金属間の金属結合を含まないことは、例えば、前記炭素複合体及び/又は前記触媒に対するX線回折(XRD)分析により確認され得る。
本発明の一態様において、前記触媒に含まれる遷移金属は、リチウム硫黄電池の正極における硫黄の酸化/還元反応に活性を発揮できるものであれば特に限定されないが、例えば、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルビジウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、ガラジウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらの2種以上であり得る。
本発明の他の態様において、前記触媒に含まれる遷移金属は、鉄(Fe)であり得る。
本発明の一態様において、公知の鉄(Fe)原子の直径は300pmであり、本発明の炭素複合体に含まれる触媒に鉄(Fe)が含まれる場合、炭素複合体に存在する遷移金属は、例えば、0.3nm~5nmの直径(D50)を有することが確認できる。例えば、前記炭素複合体に含まれる鉄の直径(D50)は、0.5nm~2nm、0.3nm~1.5nm、0.3nm~1nmまたは0.3nm~0.5nmであり得る。
本発明の一態様において、前記触媒内で遷移金属とリガンドを形成する非金属元素は、前記遷移金属の種類に応じて適宜選択され得、特に限定されるものではない。
本発明の他の態様において、前記触媒内で遷移金属とリガンドを形成する非金属元素は、例えば、水素(H)、ホウ素(B)、窒素(N)、酸素(O)、フッ素(F)、ネオン(Ne)、ケイ素(Si)、リン(P)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、またはこれらの2種以上であり得る。
本発明のさらに他の態様において、前記触媒が遷移金属として鉄(Fe)を含む場合、前記非金属元素として窒素(N)を含み得る。前記触媒は、前記鉄が窒素とリガンドを形成するとき、優れた触媒活性を発揮することが有利であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記触媒が、遷移金属として鉄(Fe)を含み、非金属元素として窒素(N)を含む場合、前記触媒は、一つの鉄(Fe)原子が鉄原子に近接する4つの窒素(N)原子と結合した構造を含み得る。前記触媒が、一つの鉄原子が近接する4つの窒素原子と結合した構造を含む場合、前記炭素複合体の活性安定性の面で有利な効果を奏することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
上述のように、前記触媒が、少なくとも1つの硫黄がドープされた炭素素材の外部表面及び/又は気孔の内部表面に位置しているので、本発明による炭素複合体は、硫黄の酸化/還元反応における触媒活性を向上させることができる。
本発明の一態様において、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、様々な炭素材質の前駆体を炭化させることで製造される多孔性炭素素材に少なくとも1つの硫黄がドープされたものであり得る。
前記様々な炭素材質の前駆体を炭化させることで製造される多孔性炭素素材は、当該技術分野で通常使用されるものであれば特に限定されない。例えば、前記多孔性炭素素材としては、グラファイト(graphite);グラフェン(graphene);還元グラフェンオキシド(reduced graphene oxide、rGO);デンカブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などのカーボンナノチューブ(CNT);グラファイトナノファイバー(GNF)、カーボンナノファイバー(CNF)、活性炭ファイバー(ACF)などの炭素繊維;天然黒鉛、人造黒鉛、膨脹黒鉛などの黒鉛及び活性炭;フラーレン;または炭素素材を活性化した活性炭素などが挙げられる。
本発明によれば、前記炭素複合体は、前記のような多孔性炭素素材に少なくとも1つの硫黄がドープされた構造を有する。
本発明において、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、多孔性炭素素材の少なくとも1つの炭素原子(C)が硫黄で置換された構造を有することを示す。
本発明の一態様において、前記多孔性炭素素材にドープされる硫黄の含量は、例えば、前記触媒に含まれる1種以上の遷移金属に対する、多孔性炭素素材にドープされた硫黄のモル比が0.5~8となる含量であり得る。具体的には、前記触媒に含まれる1種以上の遷移金属に対する、多孔性炭素素材にドープされた硫黄のモル比が0.5~5または1~3であり得る。前記遷移金属と硫黄とのモル比が上記の範囲であるとき、触媒活性の面で有利な効果を奏し得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
前記触媒内の遷移金属に対する、多孔性炭素素材にドープされた硫黄のモル比は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP‐MS:Inductively coupled plasma mass spectrometry)によって測定され得る。前記ドープされた硫黄の含有量が微量である場合、測定精度のために高解像度装置を使用することが有利であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記少なくとも1つの硫黄は、硫黄原子または硫黄化合物の形態でドープされ得る。
具体的に、前記硫黄が硫黄原子の形態でドープされるということは、前記多孔性炭素素材の構造内に、炭素原子が硫黄原子で置換されて-C-S-C-の構造が含まれることを示す。また、前記硫黄が硫黄化合物の形態でドープされるということは、前記多孔性炭素素材の構造内に、炭素原子が硫黄化合物で置換されて-C-SY-C-の構造(ここで、SYは硫黄化合物を表す)が含まれることを示す。
本発明の一態様において、前記硫黄化合物の形態は、例えば硫黄酸化物(SO、0.1≦x≦4)の形態を示し得る。
本発明の一態様において、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、硫黄が二酸化硫黄(SO)の形態でドープされた構造を含み得る。具体的に、前記硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、構造内に-C-SO-C-の構造を含み得る。
本発明の一態様において、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、構造内に下記の式1による第1構造及び/又は下記の式2による第2構造を含み得る。
[式1]
-C-SO-C-
[式2]
-C-S-C-
本発明の一態様において、前記炭素複合体内で前記少なくとも1つの硫黄が前記触媒に存在する遷移金属の軌道(オービタル)準位を調整することができ、例えば、前記硫黄がドープされた位置(すなわち、EEBサイト)と遷移金属との間で電子が移動することができる。
この際、遷移金属の種類に応じて前記遷移金属とEEBサイトの軌道(オービタル)準位の序列を決定し、前記遷移金属が電子供与体として機能し、前記EEBサイトが電子受容体として機能してもよく、または、前記遷移金属が電子受容体として機能し、前記EEBサイトが電子供与体として機能してもよい。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、触媒内に遷移金属として鉄(Fe)を含み、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の構造内に前記第1構造および第2構造を含み得る。このとき、前記1つの触媒内の遷移金属と配位結合可能な位置にある第1構造と第2構造との比率(第1構造/第2構造)に応じて、前記遷移金属とEEBサイトの電子供与体及び/又は電子受容体の役割が決定され得る。
本発明の一態様において、前記遷移金属とEEBサイトの電子供与体/受容体の関係は、それらの軌道(オービタル)準位の測定により確認できるが、本発明の機序はこれに限定されるものではない。
例えば、炭素複合体内で触媒活性を示す遷移金属の軌道(オービタル)準位が低い場合、電子(electron)は遷移金属からEEBサイトに移動(transfer)し、または、遷移金属の軌道(オービタル)準位が高い場合、電子はEEBサイトから遷移金属に移動する。
本発明の一態様において、前記第1構造/第2構造の比率が高ければ、-SOの鉄(Fe)のd軌道(オービタル)安定化により鉄のd軌道(オービタル)準位が低くなり、これにより電子が鉄からEEBサイトに移動する活性を有し得る。
本発明の他の態様において、前記第1構造/第2構造の比率が低ければ、前記安定化効果が低下するとともに、鉄のd軌道(オービタル)準位が高くなり、これにより電子がEEBサイトから鉄に移動する活性を有し得る。
本明細書において、前記第1構造/第2構造の比率は、例えば、モル比(molar ratio)を示すことができる。
これにより、本発明の一態様において、前記炭素複合体の触媒内の遷移金属が鉄(Fe)を含むとき、電子が前記EEBサイトから前記鉄(Fe)に移動することにより触媒活性がさらに向上できるので、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の構造内での前記第1構造および第2構造の比率(第1構造/第2構造の比率)は、好ましくは1以下であり得る。前記第1構造と第2構造との比率(第1構造/第2構造の比率)は、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または0.15以下であり得る。また、前記第1構造/第2構造の比率は、0.01以上、0.05以上、または0.1以上であり得る。例えば、前記第1構造/第2構造の比率は、0.01以上1以下、0.05以上0.8以下、0.10以上0.7以下、0.10以上0.5以下、または0.10以上0.2以下であり得るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の一側面による前記炭素複合体は、正極に使用されるとき、正極活物質の担持及び/又は前記炭素複合体内の触媒の担持のために多数の微細気孔を含む。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、外部表面及び内部に多数の微細気孔を含み、このとき、微細気孔は、その大きさに応じて、直径10nm未満のナノ気孔(nano pores)と、直径10nm以上のマクロ気孔(macro pores)とに分類できる。
本発明の一態様において、前記ナノ気孔の直径は10nm未満であって、具体的には、1~9.5nm、2~9nm、3~8nm、3.5~7nm、4~6nm、4~5nm、または4.0~4.5nmであり得る。
本発明の他の態様において、前記マクロ気孔の直径は、10nm以上であって、具体的には、10nm以上50nm以下、40nm以下、30nm以下、または20nm以下であり得る。より具体的に、前記マクロ気孔の直径は、10nm~19nm、10nm~18nm、12~18nm、13~17nmまたは14~15nmであり得る。
前記微細気孔の直径は、多孔性素材の気孔の直径を測定する、当業界における公知の方法によって測定され得、その測定方法は特に限定されるものではない。例えば、前記微細気孔の直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、電界放出型電子顕微鏡(FE‐SEM:field‐emission electron microscope)またはレーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定され得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、マクロ気孔の総数がナノ気孔の総数よりも多い場合に、活物質と混合されてリチウムポリスルフィドの転換反応の活性化の媒介にさらに有利な効果を奏し得る。
本発明の他の態様において、前記炭素複合体の全気孔のうち、気孔の直径が10nm未満の気孔の数をN(nano)とし、気孔の直径が10nm以上の気孔の数をN(macro)とするとき、N(nano)に対するN(macro)の比率はN(macro)/N(nano)の比率であって、1以上であり得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体の平均粒径(D50)は、例えば、0.5μm~200μm、0.5μm~200μm、1μm~150μm、または10μm~150μmであり得る。
本発明の一態様において、リチウム硫黄電池の有用性のために、前記炭素複合体のBET比表面積は、例えば、200m/g以上であり得るが、これに限定されるものではない。
具体的に、前記炭素複合体のBET比表面積は、上限が特に限定されるものではないが、例えば、200m/g以上、300m/g以上、400m/g以上、500m/g以上、600m/g以上、700m/g以上1,500m/g以下、1,000m/g以下、900m/g以下、800m/g以下、780m/g以下、750m/g以下であり得る。本発明による炭素複合体は、多数の微細気孔を含んでおり、これに担持される触媒は、単一原子サイズの遷移金属が多孔性炭素素材及び/又は有機支持体に分散した形態を有し得るので、比表面積が非常に大きいという長所がある。
前記BET比表面積は、BET法により測定され、BET比表面積を測定するための公知の方法に従って測定された値を示し得る。例えば、前記BET比表面積は、BEL Japan社製のBELSORP‐mino IIを用いて液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出された値であり得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体の気孔体積(pore volume)は、例えば1~10cm/gであり得る。具体的に、前記炭素複合体の気孔体積は、1~10cm/g、2~8cm/g、3~6cm/g、4~5cm/g、1~3cm/g、または1~2cm/gであり得るが、これらに限定されるものではない。
前記気孔体積は、例えば、液体窒素の吸着に基づいて得られるN等温線(isotherm)分析により計算および測定される値であり得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、ラマンピーク強度比(I/I比)が1以下であり得る。例えば、前記I/I比は、0.1~1、0.5~1、または0.8~1.0であり得る。前記I/I比が上記の範囲である場合、多孔性炭素材料に触媒の担持効率及び/又は硫黄ドープ効率の面で有利な効果を示すことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
前記ラマンピーク強度比は、ラマン分光法により得られる前記炭素複合体のスペクトルから得られるI及びI値により測定され得る。得られるスペクトルにおいて、Iは、結晶質部分のピーク(G‐peak、1573/cm)を意味し、Iは、非晶質部分のピーク(D‐peak、1309/cm)を意味する。したがって、このとき、I/Iの比値が小さいほど、低結晶性を有することを示す。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、炭素複合体の総重量に対する遷移金属の含量が、例えば1重量%~20重量%、具体的には1重量%~10重量%であり得る。前記遷移金属の含量が上記の範囲である場合、前記炭素複合体による優れた触媒効果を示しながらも、遷移金属を単一原子サイズでよく分散させて炭素複合体の比表面積を増加させる効果を示す面で有利であり得る。例えば、前記炭素複合体内の遷移金属の含量が上記の範囲を超える場合、前記炭素複合体は、遷移金属間の金属結合を形成し、金属粒子の形態の遷移金属を含み得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体は、炭素複合体の総重量に対する硫黄(S)の含量が、例えば0.1重量%~10重量%、具体的には1重量%~5重量%であり得る。前記硫黄の含量が上記の範囲である場合、前記遷移金属の触媒効率を高める効果を示す面で有利であり得る。
本発明の他の態様において、上記のように、前記炭素複合体は、遷移金属として鉄を含み得、前記触媒は、有機支持体上に鉄が単一原子サイズで分散しており、鉄が周辺の4個の窒素原子とリガンドを形成する形態を有し得る。すなわち、このような構造をFe-Nと表した場合、前記Fe-Nの周辺には多孔性炭素素材にドープされた硫黄が存在し、Fe-Nの鉄と配位結合を形成できる硫黄は、-C-SO-C-(第1構造)及び/又は-C-S-C-(第2構造)の構造で存在し得る。このとき、前記第1構造/第2構造の比率は、上述したように1以下であり得、具体的には0.1~0.7であり得る。前記炭素複合体内の硫黄の含量は、上述した比率を満たす範囲内で決定され得る。このとき、前記第1構造/第2構造の比率は、上述したようにモル比で示すことができる。
前記第1構造/第2構造の比率は、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、または0.15以下であり得る。また、前記第1構造/第2構造の比率は、例えば0.01以上、0.05以上、または0.1以上であり得る。例えば、前記第1構造/第2構造の比率は、0.01以上1以下、0.05以上、0.8以下、0.10以上0.7以下、0.10以上0.5以下、または0.10以上0.2以下であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
以上のような本発明の炭素複合体は、遷移金属を含む触媒の周辺において遷移金属と電子交換することができ、同時にリチウムポリスルフィドとの追加の結合部位(binding site)を提供できる硫黄が存在するため、リチウム硫黄電池の正極に使用されることにより、電池効率を高める役割を果たし得るが、本発明の機序はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様によれば、前記炭素複合体は、正極活物質である硫黄系化合物を担持する担持体であって、前記硫黄系化合物と追加的に複合化されて正極活物質として使用されたり、または、前記炭素複合体自体で導電材を代替して使用されたりできる。
特に、本発明の炭素複合体は、前記遷移金属が単一原子サイズで分散して炭素複合体の原子の利用率を大幅に向上させる効果を発揮し得るが、本発明の機序はこれに限定されるものではない。
本発明の他の側面は、上述した炭素複合体の製造方法を提供する。
本発明の他の側面による炭素複合体の製造方法は、(S1)多孔性炭素素材内の少なくとも1つの硫黄をドープするステップと、(S2)遷移金属含有前駆体溶液に前記(S1)ステップの結果物を含浸させた後、溶媒を除去するステップと、を含む。具体的に、前記(S1)ステップは、硫黄ドープ前駆体と前記多孔性炭素素材とが接触した状態で熱処理するステップを含む。
前記(S1)ステップは、多孔性炭素素材に硫黄をドープして前記触媒に対する電子交換可能な結合(EEB)部位を形成するためのステップである。
本発明の一態様において、前記(S1)ステップは、例えば、前記多孔性炭素素材に、硫黄ドープ前駆体を含む硫黄含有溶液を湿らせた後(impregnated)、熱処理することを含み得る。
本発明の一態様において、前記(S1)ステップは、例えば、前記多孔性炭素素材に硫黄含有溶液を湿らせた後(impregnated)、溶媒が蒸発するまで粉砕(grinding)し、熱処理することにより行われ得るが、本発明はこれに限定されるものではない。「」
本発明の一態様において、前記多孔性炭素素材に硫黄含有溶液を湿らせることは、例えば、多孔性炭素素材に硫黄含有溶液を含浸させるか、または硫黄含有溶液に多孔性炭素素材を浸漬することにより行われ得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記熱処理は、EEBサイトにおいて-C-SO-C-(第1構造)/-C-S-C-(第2構造)の低い比率を形成するために、例えば、800℃~1,000℃で行われ得る。
本発明の一態様において、前記熱処理は、2℃/分~10℃/分の範囲から選ばれる速度を一定に維持しながら昇温することを含み得る。
本発明の一態様において、前記熱処理は、5℃/分の速度で昇温しながら行われ得る。
本発明の一態様において、上記のように硫黄含有溶液に前記多孔性炭素素材を接触させた後、粉砕及び熱処理によって多孔性炭素内に硫黄を均一にドープすることにより、前記多孔性炭素内に均一なEEBが形成され、これにより後述する触媒は、遷移金属が単一原子サイズで均一に分散した形態を有し得るが、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。
前記硫黄含有溶液は、溶媒に硫黄ドープ前駆体を溶解させた溶液であり得、前記硫黄ドープ前駆体は、例えば、ジベンジルジスルフィド(DBDS、dibenzyldisulfide)、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na、sodium metabisulfite)、ピロ硫酸ナトリウム(Na、sodium pyrosulfate)、チオ硫酸ナトリウム(Na、sodium thiosulfate)、チオウレア(CHS、thiourea)、硫化ナトリウム(NaS、sodium sulfide)、チオシアン酸カリウム(KSCN、potassium thiocyanate)、ベンジルメルカプタン(CS、benzyl mercaptan)、ベンゾチオフェン(CS、benzothiophene)、ジベンゾチオフェン(C12S、dibenzohiophene)、またはこれらの混合物であり得る。前記溶媒は、硫黄ドープ前駆体に対する溶媒でありながら、多孔性炭素素材との濡れ性に優れた溶媒を適宜選択して用いることができ、特に限定されるものではない。
本発明の一態様によれば、前記硫黄ドープ前駆体の種類に応じて多孔性炭素素材に硫黄がドープされる形態及び構造が異なっている可能性がある。このとき、硫黄は、EEBサイトとしての役割を果たすので、前記遷移金属に電子を豊富に供給することができるという観点から、前記硫黄のドープは、エタノールなどのアルコール系溶媒に溶解したジベンジルジスルフィドを用いて行われ得る。
本発明の一態様によれば、前記硫黄のドープは、ジベンジルジスルフィドを用いて行われ得、このときに製造される炭素複合体内の-C-SO-C-(第1構造)/-C-S-C-(第2構造)の比率が0.1~0.5であり得る。
本発明の他の態様によれば、前記硫黄のドープは、亜硫酸ナトリウムを用いて行われたものであってよく、このときに製造される炭素複合体内の-C-SO-C-(第1構造)/-C-S-C-(第2構造)の比率が0.5~1であり得る。
前記(S2)ステップは、前記硫黄がドープされた多孔性炭素素材に担持される触媒を製造するための前駆体溶液を製造するステップを含み得る。
本発明の一態様において、前記遷移金属含有前駆体溶液は、触媒を製造するための前駆体溶液であり、有機溶媒と、遷移金属の前駆体化合物と、を含み得る。
本発明の一態様において、前記遷移金属含有前駆体溶液は、触媒を製造するための前駆体溶液であり、有機溶媒と、非金属元素の前駆体化合物と、遷移金属の前駆体化合物と、を含み得る。
本発明の一態様において、前記遷移金属の前駆体化合物は、例えば、遷移金属の酸化物、ハロゲン化物、酢化物、硝酸化物、硫酸化物、シアン化物、飽和もしくは不飽和の炭素鎖の脂肪酸塩もしくはホスホン酸塩、またはこれらの2種以上の混合物であり得る。
本発明の一態様において、前記遷移金属のハロゲン化物は、例えば、遷移金属のフッ素化物、遷移金属の塩化物、遷移金属の臭化物、または遷移金属のヨウ化物であり得る。
本発明の他の態様において、前記前駆体溶液は、三塩化鉄(FeCl)、フェロシン(ferrocene)、鉄アセチルアセトネート(iron acetylacetonate)、硝酸鉄(Iron Nitrate)、硫酸第一鉄(Ferrous sulfate)、フェリシアン化鉄カリウム(Potassium iron ferricyanide)、またはこれらの2種以上の混合物を含み得る。
本発明の一態様において、前記非金属元素の前駆体化合物は、少なくとも1つの非金属元素を含む有機化合物であり得る。
本発明の一態様において、前記少なくとも1つの非金属元素を含む有機化合物は、上述した非金属元素を含む化合物である。前記非金属元素は、例えば、窒素(N)であり得、前記窒素を含む有機化合物は、例えば、1,10‐フェナントロリン(phenanthroline)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリドーパミン(polydopamine)、メラミン(melamin)、カーボンナイトライド(carbon nitride、g‐CN、窒化炭素)、フェニレンジアミン(phenylenediamine)、またはこれらの2種以上の混合物であり得る。
本発明の一態様において、前記有機溶媒は、前記少なくとも1つの非金属元素を含む有機化合物および遷移金属のハロゲン化物に対する溶媒であり、適切に選択して使用でき、特に限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記前駆体溶液内の前記非金属元素の前駆体化合物と遷移金属のハロゲン化物とのモル比は、例えば、50:1~1:1、40:1~1:1、20:1~1:1、10:1~1:1、または5:1~1:1であり得るが、これに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記前駆体溶液内の前記非金属元素の前駆体化合物と遷移金属のハロゲン化物とのモル比は、例えば、4:1であり得る。
本発明の一態様において、前記(S2)ステップの前に遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップをさらに含み得る。このとき、遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップを、前記(S1)ステップと関連して任意の順序で行うことができる。例えば、(S1)ステップを行った後に前記遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップを行うか、前記遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップを行った後に前記(S1)ステップを行うか、又は前記(S1)ステップを行いながら、前記遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップを同時に行うことができる。このように、前記(S1)ステップと、遷移金属含有前駆体溶液を製造するステップとの実行順序は、特に限定されるものではない。
前記(S2)ステップは、(S1)で製造した少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に遷移金属を含む少なくとも1つの触媒を位置させるステップである。
このために、前記(S2)ステップは、前記遷移金属含有前駆体溶液に前記(S1)ステップの結果物を含浸させた後、溶媒を除去するステップを含む。
本発明の一態様において、前記(S2)ステップは、前記遷移金属含有前駆体溶液に前記(S1)ステップの結果物を含浸させた後、粉砕して乾燥させるステップを含み得る。前記乾燥は、例えば、70℃~100℃で行われ得るが、これに限定されるものではない。本発明の他の態様によれば、前記乾燥後に、例えば、800℃~1,000℃で熱処理するステップをさらに含み得る。
本発明の一態様において、前記(S2)ステップの後に、(S3)前記(S2)ステップから得られる結果物を室温で冷却した後、酸処理するステップをさらに含み得る。
以上のような方法によれば、少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材と、1種以上の遷移金属を含む少なくとも1つの触媒と、を含み、前記触媒が、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に位置する炭素複合体が製造され得る。
本発明のさらに他の側面によれば、上述した炭素複合体及び硫黄系化合物を含む正極活物質を含む正極が提供される。
前記正極は、上述した炭素複合体を正極活物質の担持体として用い、これを正極活物質である硫黄系化合物と混合して形成された複合体を正極活物質として含み得る。
本発明の一態様において、前記硫黄系化合物は、例えば、硫黄(S)、リチウムスルフィド(LiS)、リチウムポリスルフィド(Li、2≦x≦8)、ジスルフィド化合物、またはこれらの2種以上の混合物であり得るが、これらに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記炭素複合体及び硫黄系化合物は、炭素複合体内の硫黄の含量および硫黄系化合物の種類に応じて決定されるものであって、特に限定されるものではないが、例えば、前記炭素複合体及び前記硫黄系化合物は、1:9~9:1の含量比で混合され得る。具体的には、1:9~5:5、より具体的には2:8~4:6の含量比で混合され得る。
本発明の一態様において、前記正極活物質は、前記炭素複合体と硫黄系化合物とを混合した後、熱処理して形成され得る。前記熱処理は、例えば、130℃~180℃、具体的に150℃~160℃の温度で行われ得る。
本発明の一態様において、前記リチウム硫黄電池用正極は、炭素複合体及び硫黄系化合物を含む正極活物質に加えて、バインダーをさらに含み得る。前記バインダーは、リチウム硫黄電池の正極に使われるバインダーであれば特に限定されない。
本発明の他の態様において、前記リチウム硫黄電池用正極は、前記正極活物質及びバインダーに加えて、導電材、添加剤などをさらに含み得る。このとき、前記バインダー、導電材および添加剤としては、通常のものを用いることができるので、具体的な種類についての説明は省略する。
本発明のさらに他の態様において、前記リチウム硫黄電池用正極は、正極集電体を含み、前記正極活物質がバインダーとともに前記集電体の片面または両面に塗布された正極活物質層を含み得る。
このとき、前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に限定されない。
本発明の一態様において、前記炭素複合体を含む正極は、初期容量、サイクル安定性の面で優れた効果を発揮することができるが、本発明の効果はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記リチウム硫黄電池用正極は、例えば1.0mg/cm以上の硫黄(S)ローディング量を有し得る。例えば、前記リチウム硫黄電池用正極内の硫黄のローディング量は、1mg/cm以上、1.5mg/cm以上、2mg/cm以上、例えば、2mg/cm~10mg/cmでありながら駆動の安定性を示す効果を発揮することができる。
本発明のさらに他の側面によるリチウム硫黄電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、前記正極は、正極活物質として上記の炭素複合体及び硫黄系化合物を含む。
本発明の一態様において、前記負極、分離膜及び電解液は、本発明の目的を損なわない範囲内でリチウム硫黄電池に使用できるものであれば特に制限なく使用できるので、その具体的な種類についての説明は省略する。
本発明の一態様において、前記リチウム硫黄電池の外形は、例えば、コイン型、円筒型、パウチ型、または角型などであり得るが、特に限定されるものではない。また、前記リチウム硫黄電池は、小型デバイスの電源として使われる電池セルに使われるだけでなく、複数の電池セルを含む中大型電池モジュールの単位電池としても使われることができ、その使用形態に特に制限はない。
本発明の一態様において、前記炭素複合体を含む正極を用いたリチウム硫黄電池は、初期容量、サイクル安定性の面で優れているだけではなく、電池のエネルギー密度の面でも優れた効果を発揮できるが、本発明の効果はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記リチウム硫黄電池は、電極内の硫黄のローディング量を高め、電解液の量を減らすことで、エネルギー密度を顕著に向上させる効果を発揮できるが、本発明の効果はこれに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記リチウム硫黄電池は、10μL/mg以下の電解質/硫黄(E/S)の比率を有し得る。例えば、前記リチウム硫黄電池のE/S比率は、10μL/mg以下、8μL/mg以下、6μL/mg以下、4μL/mg以下、または2μL/mg以下であり得る。従来は、正極の活性が低いことからE/S比率を低下させるのに限界があったが、本発明は、E/S比率を安定的に低下させる効果を有するので、前記リチウム硫黄電池のE/S比率は上記の範囲を超える値になる場合があり、下限に制限がないことは当業者に自明であり、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の他の態様において、前記リチウム硫黄電池は、10μL/mAh以下の電解質/容量(E/C)の比率を有し得る。例えば、前記リチウム硫黄電池用電池のE/C比率が10μL/mAh以下、9μL/mAh以下、8μL/mAh以下、7μL/mAh以下、5μL/mAh、または4μL/mAh以下であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。前記リチウム硫黄電池の電解質/容量(E/C)の比率は、例えば、1μL/mAh以上であり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のさらに他の側面によれば、上述した炭素複合体を正極添加剤として含み、正極活物質として硫黄系化合物を含む正極が提供される。
本発明の一態様において、前記炭素複合体を担持体とし、硫黄系化合物と複合化して形成した正極活物質の形態で前記炭素複合体を正極に含む本発明の一側面とは別に、前記炭素複合体は、正極に導電材を代替する添加剤として含まれ得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体を正極添加剤として使用すると、電池の容量を向上させることができるだけでなく、リチウムポリスルフィドとの反応性の向上によって電池性能を向上させることができるという効果があり得る。
本発明の一態様において、前記炭素複合体が正極添加剤として使用されるとき、前記炭素複合体は、正極活物質層に含まれる正極活物質、バインダー及び炭素複合体の総重量に対して、1~25重量%、例えば、1~15重量%、または1~10重量%の含量で含まれ得るが、これに限定されるものではない。
本発明の一態様において、前記正極には、正極活物質としての硫黄系化合物、または通常の炭素担持体に前記硫黄系化合物を担持したものが使用できる。前記硫黄系化合物については、上述した側面による正極の構成を援用する。また、前記通常の炭素担持体は、例えば、カーボンナノチューなどであり得るが、これに限定されない。
本発明のさらに他の側面によれば、前述のように、炭素複合体を正極添加剤として使用する正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含むリチウム硫黄電池が提供される。
本発明のさらに他の側面によれば、前述のような炭素複合体を、正極及び負極の少なくとも一方の電極に含めた電池が提供される。このとき、電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み得、特にリチウム硫黄電池に限定されることはない。
この際、前記負極、分離膜、電解液、正極の炭素複合体以外の他の構成については、上述した側面による電池の構成を援用する。
図2aは、本発明の一態様により、多孔性炭素に少なくとも1つの硫黄をドープした後、遷移金属含有触媒を形成して炭素複合体を製造し、これを用いて硫黄系化合物と混合して正極活物質を製造するフローチャートの模式図を示す。
以下、本発明の一態様による炭素複合体の製造方法及びこれを用いた正極活物質の製造方法について、実施例を挙げて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範疇はこれらの実施例によって限定されるものではない。
製造例1.多孔性炭素素材(MSU-F-C)の合成
多孔性炭素素材は、下記のような工程により硬質鋳型法(ハードテンプレート法:hard template method)を用いて合成した。
まず、ポリ(エチレングリコール)‐ブロック‐ポリプロピレングリコール)‐ブロック‐ポリ(エチレングリコール)(P123、Mn:~5800g/mol、シグマアルドリッチ製)を、蒸留水(DI water)(160ml)および氷酢酸(99.8%、SAMCHUN Pure Chemical Co.,Ltd.)(4.58ml)に溶解させた。次に、メシチレン(メルクミリポア製:Merck Millipore)(9.26ml)を滴加し、1時間攪拌してP123溶液を製造した。
ケイ酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製:Sigma Aldrich)(15.5ml)を蒸留水(240ml)に溶解させてケイ酸ナトリウム溶液を製造した。製造されたケイ酸ナトリウム溶液を、上記で製造したP123溶液に添加し、5分間撹拌した後、撹拌せずに40℃で20時間保管した。その後、100℃のオーブンで24時間熟成させた。熟成した溶液を濾過し、蒸留水(200ml)とHCl溶液(35.0~37.0%、SAMCHUN Pure Chemical Co.,Ltd.)(5ml)との混合物に再び溶解させた。3時間後、前記溶液を再び濾過し、550℃で4時間焼成してメソ多孔性シリカ(MSU-F-SiO)を得た。
得られたメソ多孔性シリカをエタノールに均一に分散させ、AlCl・6HO(98%、関東化学株式会社)(0.21g)を混合して均一な混合物を得た。次に、得られた混合物を60℃のオーブンで乾燥させてエタノールを除去し、前記混合物を550℃で4時間焼成して、Al酸点が導入されたメソ多孔性シリカ(Al-MSU-F-SiO)を得た。
硬質鋳型としての前記Al-MSU-F-SiOに、炭素前駆体としてのフルフリルアルコール(シグマアルドリッチ製)を含浸させた後、Ar雰囲気下で850℃にて4時間熱処理した。室温に冷却した後、Al-MSU-F-SiO鋳型をHF溶液(JT baker製)でエッチングして、製造例1の多孔性炭素素材(MSU-F-C)を製造した。
実施例1.炭素複合体(FeNC-EEB-1)の製造
ステップ1.多孔性炭素素材内の硫黄のドープ(EEBサイトの形成)
ジベンジルジスルフィド(DBDS、98%)をエタノール(100ml)に溶解させて、DBDS溶液を製造した。
上記で製造した多孔性炭素素材(MSU-F-C)に前記DBDS溶液を均一に含浸させた後、エタノールが完全に蒸発するまで繰り返し粉砕(grinding)した。次に、DBDS含浸多孔性炭素(DBDS‐impregnated MSU-F-C)を80℃で1時間乾燥させた後、Ar雰囲気下で1時間900℃にて熱処理し、-SO/-Sのモル比が低いEEBサイトを形成した。
ステップ2.遷移金属触媒の導入
前記EEBサイトが形成された多孔性炭素の外部表面及び気孔の内部表面に遷移金属触媒を担持するために、FeCl・6HO(シグマアルドリッチ製)及びエタノール内の1,10-フェナントロリン(99%、シグマアルドリッチ製)を溶解して、遷移金属含有前駆体溶液を製造した。次に、前記前駆体溶液をEEBサイトが形成された多孔性炭素素材に浸漬した後、粉砕した。前記混合物を80℃で1時間乾燥させた後、Ar雰囲気下で900℃にて1時間熱処理した。室温に冷却した後、1M HClで撹拌して凝集したFe金属残留物を除去し、表題の炭素複合体(FeNC-EEB-1)を製造した。
実施例2.炭素複合体(FeNC-EEB-2)の製造
EEBサイトの形成のためにDBDSの代わりにNa(97%、シグマアルドリッチ製)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして炭素複合体(FeNC-EEB-2)を製造した。
比較例1.炭素複合体(FeNC)の製造
ステップ1を行わないことによりEEBサイトを形成せずに遷移金属触媒を導入することを除いては、実施例1と同様にして炭素複合体(FeNC)を製造した。
[硫黄のドープの確認]
X線分光法(XPS:X‐ray spectroscopy)(VG Scientific Escalab 250、Al Kα)を用いて実施例1及び実施例2の炭素複合体内の硫黄原子(S)の2pスペクトルを得、その結果をそれぞれ図2b(実施例1)及び図2c(実施例2)に示した。
図2b及び図2cによれば、実施例1及び実施例2のいずれも、多孔性炭素内に硫黄原子がドープされて形成される-C-S-C-構造内で-Sの特徴的な二つのピークである163.7eV(C-S-C 2p 3/2)及び164.9eV(C-S-C 2p 1/2)と、二酸化硫黄がドープされて形成される-C-SO-C-構造内で-SOの特徴的なピークである168.0eV(Oxidized S)とを示すことが確認された。
これにより、実施例1及び実施例2のいずれも、多孔性炭素内に硫黄がドープされた構造が含まれていることが確認された。
次に、実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体について、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP‐AES:inductively coupled plasama atomic emission spectroscopy)を用いてFe含量および-SO/-S構造のモル比を測定し、その結果を図2dに示した。
図2dによれば、実施例1及び実施例2のEEBサイトでの-SO/-Sモル比が異なることが確認された。具体的には、実施例1の-SO/-Sモル比は0.12であり、実施例2の-SO/-Sモル比は0.63であって、実施例1に比べて約5倍高いことが確認された。これは、実施例2の硫黄ドープのための前駆体であるNaが、DBDSに比べて酸素分率がさらに高く、このため高温でより安定して-SO種を形成するためであると推測された。
また、実施例1及び実施例2に係わるエネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy Dispersive Spectroscopy)によるマッピング画像を図3に示した。EDSによるマッピング画像は、高性能TEM(HR‐TEM; Titan cubed G2 60‐300)を用いたFe単一原子およびその他の成分の分布結果により得られた。図3によれば、実施例1及び実施例2のそれぞれのFe、N、C、SおよびO原子が粒子に沿って均一に分布していることが確認された。これにより、炭素複合体内に、遷移金属含有触媒と硫黄のドープによるEEBサイトが形成されたことが確認された。特に、図3によれば、実施例1及び実施例2の炭素複合体内でFe元素とS元素との最近接原子間距離が2nm以下に形成されたことが確認された。
[炭素複合体の構造分析]
次のような方法により、上記で製造した実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体の構造を確認した。
顕微鏡観察
実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体のそれぞれについて、SEM(S‐4800 field emission、株式会社日立製作所)及びTEM(G2 F30 S‐Twin、Tencai)を用いて得られた画像を図4に示した。図4において、FeNCは比較例1による炭素複合体、FeNC-EEB-1は実施例1による炭素複合体、FeNC-EEB-2は実施例2による炭素複合体をそれぞれ示し、各図において左の図はSEM画像を示し、右の図はTEM画像を示す。
気孔特性の分析
実施例1、実施例2および比較例1の炭素複合体のそれぞれについて、窒素物理吸着分析法により気孔直径(左)および相対圧力(右)を確認し、その結果を図5に示した。
具体的には、次のような方法により、前記製造された比較例及び実施例の比表面積及び気孔分析を行った。
まず、気孔内に物理吸着している水分などを除去するために、120℃で真空中にて一晩かけて被分析体を乾燥させる前処理を行った。次いで、77Kの液体窒素を、真空中で圧力が平衡化するまで被分析体の表面及び気孔に物理的に吸着させた。このとき、測定されて得られるN等温線(isotherm)に関してBET(Brunauer‐Emmett‐Teller:ブルナウアー・エメット・テラー)法を用いて多孔性素材の比表面積を計算した。さらに、得られたN等温線に基づいて、BJH(Barrett‐Joyner‐Halenda)法計算により気孔体積値を得た。
実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体のそれぞれの表面積、気孔直径及び気孔体積の測定結果を下記の表1に示した。
図5から分かるように、気孔直径を分析した結果、前記気孔直径の分布は、バイモーダル(bimodal)形態で現れた。下記の表1に、2つのピークのうち小径に現れるピークを第1気孔直径ピークとし、大径に現れるピークを第2気孔直径ピークとして示した。
図4、図5及び表1の結果によれば、実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体のそれぞれは、多孔性構造であって、BET比表面積が700m/g以上であり、4~5nm、10~15nmの気孔をそれぞれ含むことが確認された。
遷移金属の分布の確認
比較例1、実施例1及び実施例2のそれぞれに関して、高角度環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF‐STEM:high‐angle annular dark-field scanning transmission electron microscopy)を用いて得られた画像を、図6に示した。HAADF‐STEMによる画像は、高性能TEM(HR‐TEM;Titan cubed G2 60‐300)を用いてFe単一原子とその他の成分の分布結果により得られた。図6によれば、比較例1、実施例1及び実施例2において、遷移金属Feが多孔性炭素内に単一原子サイズで分散していることが確認された。
また、比較例1、実施例1および実施例2のフーリエ変換拡張X線吸収微細構造(FT‐EXAFS:Fourier‐transformed extended X‐ray absorption fine structure)の結果を、図7に示した。炭素複合体内に分布した鉄元素の化学的状態を鉄金属の化学的状態と比較するために、Fe箔についての評価結果をも図7に示した。
図7によれば、Fe箔ではFe-Fe金属結合(2.2Å)が確認されたのに対して、比較例1、実施例1および実施例2では、Fe-Fe金属結合は消失し、Fe-N(1.4Å)およびFe-C(2.4Å)ピークが新たに形成されたことが確認された。これにより、比較例1、実施例1および実施例2に存在する触媒(Fe-N-C)内には、Fe-Fe金属結合、すなわち、Fe金属粒子が含まれていないことが確認された。
[炭素複合体の触媒機能の確認]
前記実施例1、実施例2及び比較例1の炭素複合体について、Fe K‐edge XANES(X‐ray absorption near‐edge structure:X線吸収端近傍構造)分析法を用いて得られたグラフを、図8に示した。
図8の結果によれば、実施例1の白線強度(white line intensity)は比較例1よりも低く、実施例2の白線強度は比較例2よりも高いことが確認された。すなわち、実施例1は、低い-SO/-S比率を有し、Fe d‐band centerのアップシフト(upshift)を示し、それによってEEBサイトからFeに電子が移動する活性を有し得ることが確認された。
一方、実施例2は、高い-SO/-S比率を有し、Fe d‐band centerのダウンシフト(downshift)を示し、それによってFeからEEBサイトに電子が移動する活性を有し得ることが確認された。
これにより、触媒周辺に遷移金属と配位結合可能な硫黄のドープ構造、すなわち-SO/-Sの比率に応じて電子交換によって炭素複合体のd軌道(オービタル)準位を調整できることが確認された。
[リチウム-硫黄コイン型電池の製造]
上記で製造した炭素複合体の硫黄及びポリスルフィドの転換反応活性を確認するために、次のようにリチウム-硫黄コイン型電池を製造した。
実施例3
正極の製造
上記で製造した実施例1の炭素複合体(FeNC-EEB-1)30wt%と硫黄(硫黄粉末(sulfur powder)、シグマアルドリッチ製)70wt%とを混合し、155℃で8時間加熱して正極活物質を得た。
作動電極の製造のために、NMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)溶媒を用いて、前記で製造した正極活物質とバインダーとしてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とを重量比9:1で混合して正極スラリーを製造した。
製造された正極スラリーを炭素コーティングされたAl箔にコーティングし、次いで60℃で8時間乾燥させた。その後、電極を加圧し、コイン状に切断して正極を製造した。
電池の製造
正極、負極、及び正極と負極との間に分離膜を介在し、これを電解液とともにケースに入れて電池を製造した。
上記で製造した正極を正極として準備し、多孔性ポリプロピレン膜(Celgard 2400、Welcos Ltd)を分離膜として準備した。基準電極及び相対電極として、それぞれリチウム金属(厚さ200μm)を準備した。電解液としては、ジメトキシメタンと1,3-ジオキソラン(DME/DOL)とを体積比1:1で混合した溶媒(PANAX E‐TEC Co., Korea)に、電解質としての1.0M LiTFSI(ビス(トリフルオロメタン)スルホンアミドリチウム塩)および添加剤としての2.0wt%のLiNO(99.99%金属ベース、シグマアルドリッチ製)を含む溶液を用いた。
正極中の硫黄のローディング量は2.0mg/cmであり、電池のE/S比率は10μL/mgであった。
実施例4
正極の製造時に炭素複合体として実施例2(FeNC-EEB-2)を用いたことを除いては、実施例3と同様にして電池を製造した。
比較例2
正極の製造時に炭素複合体として比較例1(FeNC)を用いたことを除いては、実施例3と同様にして電池を製造した。
製造例2
正極の製造時に炭素複合体の代わりに製造例1の多孔性炭素素材(MSU-F-C)を用いたことを除いては、実施例3と同様にして電池を製造した。
[リチウム硫黄コイン型電池の性能評価]
上記で製造したリチウム硫黄コイン型電池を用いて、次のような方法でリチウムスルフィド(LiS)の酸化還元動力学活性を評価した。
まず、図9aは、硫黄の酸化還元動力学を評価するために得られたターフェルプロット(Tafel plots)を示す。図9aによれば、正極反応における実施例3のターフェルプロットは比較例2のそれより遥かに低いのに対し、実施例4のターフェルプロットは比較例2のそれよりも僅かに低いことが確認された。一方、負極反応において、実施例3及び実施例4は、いずれも比較例2よりも低いターフェルスロットを示し、これは、触媒の周辺のドープされた硫黄、すなわち、-SO/-S EEBサイトが硫黄の酸化還元動力学を向上させたことを立証している。
次に、実施例3及び実施例4の電池のリチウムスルフィドの核生成/分解挙動に対するEEBサイトによる硫黄の電気化学的動力学をより良く理解するために、定電圧分析を行い、その結果を図9b及び図9cに示した。図9b及び図9cでは、電極内の硫黄の重量に基づいて容量(capacity)を算出した。
図9bによれば,2.05Vの定電圧放電中の最大電流時間tは,それぞれ227s(実施例3),320s(実施例4),及び400s(比較例2)であった。前記t値が、下記の式のようにリチウムスルフィドの核生成密度(N)および成長速度(k)に大きく関連することを考慮すると、実施例3の電池におけるリチウムスルフィド核生成の向上により、より高いリチウムスルフィド核生成容量(213.3mAh/g)が誘導されることが確認された。次に、実施例4(196.8mAh/g)では、実施例3(213.3mAh/g)よりも容量がやや低いが、比較例2(185.3mAh/g)よりもさらに向上した容量特性を有することが確認された。
=(2πN)-0.5
図9cによれば、2.35Vの定電圧充電の間、実施例3は比較例2(t:468s、LiS分解容量(dissociation capacity):323.5mAh/g)よりも低いt(360s)および高いLiS分解容量(457.2mAh/g)を有することが確認された。また、実施例4は、比較例2に比べて高いt(489s)および高いLiS分解容量(381.5mAh/g)を有することが確認された。
これにより、(i)比較例2、実施例3及び4の結果を比較することにより、遷移金属含有触媒の周辺に硫黄のドープにより形成された-SO/-S EEBサイトを導入することで、触媒上でのリチウムスルフィドが関与する転換反応の動力学を改善できることが確認された。特に、(ii)低い-SO/-S比率を有するEEBサイト(実施例3)が、高い-SO/-S比率を有するEEBサイト(実施例4)よりも、触媒上でのリチウムスルフィドの核生成/分解反応を促進するのに効果的であることが確認された。
次に、比較例2、実施例3及び実施例4の電池の充放電性能を評価するために、比較例2、実施例3及び実施例4の電池について、0.2~3.0Cレートの電流密度(1Cレート~1675mA/g)および1.7~2.8V(vs.Li/Li)の電圧範囲で充-放電性能を評価し、その結果を図10に示した。
図10(a)には、0.2Cレートでの比較例2、実施例3及び実施例4の電池の初期電圧特性が示されている。これによれば、比較例2も触媒(FeNC)の存在によって高い初期放電容量(1125mAh/g)を有することが確認されるが、実施例3(1324mAh/g)および実施例4(1179mAh/g)の電池がより高い初期放電容量を有することが確認された。
図10(b)の結果には、比較群としてFeNC-EEB-1を用いたことに加え、製造例1による多孔性炭素(MSU-F-C)を用いて正極を製造した電池(製造例2)の結果が共に示されている。図10(b)の結果によれば、極性度(polarization degree)の場合も、実施例3(0.17V)および実施例4(0.185V)の電池が比較例2(0.205V)よりもさらに改善されたことが確認された。
図10(c)には、比較例2、実施例3及び実施例4の電池について、0.3~2.0Cレートの異なる電流密度で測定した放電容量比(rate capability)の測定結果が示されている。図10(c)の結果によれば、放電容量比の場合も、比較例2<実施例4<実施例3の順で測定され、実施例3の放電容量比の改善度が最も良いことが確認された。
図11は、0.2Cで200回の充放電を繰り返しながら測定した放電容量の測定結果を示すグラフである。図11によれば、比較例2の電池は、200サイクル後に864mAh/gの容量を示すのに対し、実施例4の電池は、比較例2と比較して約7%増加した925mAh/gの容量を示し、実施例3の電池は、実施例4と比較して約10%増加した1030mAh/gの容量を示すことが確認された。その結果、実施例3及び実施例4の電池は、200回の充放電サイクル繰り返しても高い容量維持率を示し、サイクル安定性が優れていることが確認された。
図12は、追加実験により、実施例3の正極の製造時に、硫黄のローディング量をそれぞれ1.5mg/cm、3.5mg/cm、5.0mg/cmに変更し、E/S比率を4.0μL/mgに調整し、0.1Cレートの条件下で充放電100回を繰り返した後、放電容量を測定した結果を示す。図12によれば、FeNC-EEB-1の炭素複合体を使用した場合、過酷な条件下でもリチウム硫黄電池の性能が優れていることが確認された。
以上の結果により、遷移金属含有触媒の周辺の硫黄のドープにより形成された-SO/-S EEBサイトを導入した触媒は、リチウム硫黄電池の高容量、サイクル安定性、放電容量比及び低極性に優れた効果を有することが確認された。
特に、-SO/-S比率の低いEEBサイトが導入された炭素複合体が、-SO/-S比率の高いEEBサイトを導入した炭素複合体よりも、リチウム硫黄電池の性能改善に効果的であることが確認された。これは、追加実験により、触媒周辺の-S構造が、-SO構造よりも、LiPSの結合エネルギー及びLiとLiSとの間の転換反応のエネルギー障壁を調整する機能が効果的であるからであることが確認された。
[電池の製造]
実施例5
正極の製造
カーボンナノチューブ(CNT、BET比表面積150~350m/g)25wt%に硫黄(硫黄粉末(sulfur powder)、シグマアルドリッチ製)75wt%を担持させて正極活物質を得た。
NMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)溶媒を用いて、上記で製造した正極活物質と、導電材としてのカーボンナノチューブ(CNT、BET比表面積150~350m/g)と、添加剤としての、上記で製造した実施例1の炭素複合体(FeNC-EEB-1)と、バインダーとしてのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)とを、それぞれ90:2.5:2.5:5の重量比で混合して正極スラリーを製造した。
製造された正極スラリーを、炭素コーティングされたAlホイルにコーティングした後、60℃で8時間乾燥させた。その後、電極を加圧し、コイン状に切断して正極を製造した。
電池の製造
上記で製造した正極を使用することを除いては、実施例3と同様にして電池を製造した。
正極中の硫黄のローディング量は3.5mg/cmであった。
比較例3
炭素複合体(FeNC-EEB-1)を混合せずに、前記正極活物質、前記導電材及び前記バインダーをそれぞれ90:5:5の重量比で混合して正極スラリーを製造することを除いては、実施例5と同様にして電池を製造した。
正極中の硫黄のローディング量は3.5mg/cmであった。
[電池の性能の評価]
実施例5及び比較例3の電池の充放電性能を評価するために、実施例5及び比較例3の電池について、0.1Cレートの電流密度および1.7~2.6V(vs.Li/Li)の電圧範囲で充放電性能を評価し、その結果を図13に示した。
図13には、0.1Cレートにおける実施例5および比較例3の電池の初期電圧特性が示されている。これによれば、実施例5において、正極添加剤として炭素複合体(FeNC-EEB-1)を用いることにより、初期放電容量が改善されるだけでなく、電池反応性をも向上できることが確認された。
これは、本発明による炭素複合体が、正極に使用される通常の導電材に比べて、リチウムポリスルフィドを吸着し、その転換反応を促進する触媒の役割を果たす触媒添加剤としての効果を有するからであると推測できるが、本発明の効果はこれに限定されるものではない。

Claims (29)

  1. 少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材と、
    1種以上の遷移金属を含む少なくとも1つの触媒と、
    を含み、
    前記触媒は、前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材の外部表面及び気孔の内部表面の少なくとも一方に位置する、炭素複合体。
  2. 前記触媒に含まれる遷移金属と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、10nm以下である、請求項1に記載の炭素複合体。
  3. 前記触媒に含まれる遷移金属と、前記多孔性炭素素材にドープされた少なくとも1つの硫黄との間の最近接原子間距離は、2nm以下である、請求項1に記載の炭素複合体。
  4. 前記炭素複合体は、200m/g以上のBET比表面積を有する、請求項1に記載の炭素複合体。
  5. 前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1種の非金属元素と、をさらに含む、請求項1に記載の炭素複合体。
  6. 前記触媒は、前記遷移金属と、前記遷移金属とリガンドを形成する少なくとも1種の非金属元素と、有機支持体と、をさらに含む、請求項1に記載の炭素複合体。
  7. 前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む単原子触媒を含み、
    前記1種以上の遷移金属が前記炭素複合体内に単一原子サイズで分散している、請求項1に記載の炭素複合体。
  8. 前記触媒に含まれる2種以上の遷移金属間に金属結合が含まれない、請求項1に記載の炭素複合体。
  9. 前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む粒子を含み、
    前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~30nmである、請求項1に記載の炭素複合体。
  10. 前記触媒は、1種以上の遷移金属を含む粒子を含み、
    前記粒子の平均直径(D50)は、前記遷移金属を構成する単一原子の直径の1倍~5倍である、請求項1に記載の炭素複合体。
  11. 前記遷移金属は、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルビジウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、セリウム(Ce)、ガラジウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはこれらのうちの2種以上である、請求項1に記載の炭素複合体。
  12. 前記遷移金属は、鉄(Fe)を含む、請求項1に記載の炭素複合体。
  13. 前記遷移金属は、鉄(Fe)を含み、
    前記炭素複合体に含まれる鉄の直径(D50)は、0.3nm~5nmである、請求項1に記載の炭素複合体。
  14. 前記触媒に含まれる1種以上の遷移金属に対する、前記多孔性炭素素材にドープされた硫黄のモル比は、0.5~8である、請求項1に記載の炭素複合体。
  15. 前記少なくとも1つの硫黄は、硫黄原子または硫黄化合物の形態でドープされている、請求項1に記載の炭素複合体。
  16. 前記少なくとも1つの硫黄がドープされた多孔性炭素素材は、構造内に、下記の式1による第1構造及び下記の式2による第2構造の少なくとも一方の構造を含み、
    前記第1構造と第2構造との比率は、第1構造/第2構造のモル比であって1以下であり、
    [式1]
    -C-SO-C-
    「式2」
    -C-S-C-
    である請求項1に記載の炭素複合体。
  17. 前記第1構造/前記第2構造のモル比は、0.1~0.7である、請求項16に記載の炭素複合体。
  18. 前記炭素複合体の全気孔のうち、気孔直径が10nm未満の気孔の数をN(nano)とし、気孔直径が10nm以上の気孔の数をN(macro)とするとき、
    前記N(nano)に対するN(macro)の比率[N(macro)/N(nano)]は、1以上である、請求項1に記載の炭素複合体。
  19. 前記多孔性炭素素材のラマンピーク強度比(I/I比)は、1以下である、請求項1に記載の炭素複合体。
  20. 請求項1に記載の炭素複合体の製造方法であって、
    (S1)多孔性炭素素材内の少なくとも1つの硫黄をドープするステップと、
    (S2)遷移金属含有前駆体溶液に前記(S1)のステップの結果物を含浸させた後、溶媒を除去するステップと、
    を含み、
    前記(S1)のステップは、硫黄ドープ前駆体と前記多孔性炭素素材とが接触した状態で熱処理するステップを含む、炭素複合体の製造方法。
  21. 前記熱処理は、800℃~1,000℃の温度で行われる、請求項20に記載の炭素複合体の製造方法。
  22. 前記硫黄ドープ前駆体は、ジベンジルジスルフィド(DBDS)、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na)、ピロ硫酸ナトリウム(Na)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、チオウレア(CHS)、硫化ナトリウム(NaS)、チオシアン酸カリウム(KSCN)、ベンジルメルカプタン(CS)、ベンゾチオフェン(CS)、ジベンゾチオフェン(C12S)、またはこれらの混合物を含む、請求項20に記載の炭素複合体の製造方法。
  23. 前記(S2)のステップの遷移金属含有前駆体溶液は、
    有機溶媒と、
    非金属元素の前駆体化合物と、
    遷移金属の前駆体化合物と、を含む、請求項20に記載の炭素複合体の製造方法。
  24. 請求項1から19のいずれか一項に記載の炭素複合体と、硫黄系化合物と、を含む正極活物質。
  25. 請求項24に記載の正極活物質を含む正極。
  26. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、
    前記正極は、請求項25に記載の正極である、リチウム硫黄電池。
  27. 硫黄系化合物を含む正極活物質と、請求項1から19のいずれか一項に記載の炭素複合体と、を備える正極。
  28. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、
    前記正極は、請求項27に記載の正極である、リチウム硫黄電池。
  29. 正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在する分離膜及び電解液を含み、
    前記正極及び前記負極の少なくとも一方の電極は、請求項1から19のいずれか一項に記載の炭素複合体を含む、電池。
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