JP2024516363A - リボシクリブ及びアムセネストラントを含む組み合わせ - Google Patents

リボシクリブ及びアムセネストラントを含む組み合わせ Download PDF

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Abstract

リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩との組み合わせ、上記組み合わせを含有する医薬組成物、及びその治療上の使用、特に乳がんを含むがんの処置のための使用が、本明細書において提供される。

Description

リボシクリブとアムセネストラント(amcenestrant)との組み合わせ、上記組み合わせを含有する医薬組成物、及び特にがんの処置のための、上記組み合わせ及び医薬組成物の治療上の使用が本明細書において提供される。
エストロゲン受容体α(ESR1)は、乳腺腫瘍の大部分において発現され、それらがエストロゲンの分裂促進的作用に応答することを可能にする。
アムセネストラント、化合物6-(2,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[(3S)-1-(3-フルオロプロピル)ピロリジン-3-イル]オキシフェニル]-8,9-ジヒドロ-7H-ベンゾ[7]アヌレン-2-カルボン酸についてのINN名(その研究コードSAR439859によっても知られる)は、エストロゲン受容体アンタゴニストであり、そしてエストロゲン受容体のプロテアソーム分解を促進する選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)である。この化合物は特許文献1において開示される:
Figure 2024516363000001
リボシクリブ(INN名)、又は7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-[[5-(1-ピペラジニル)-2-ピリジニル]アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドは、以下の式:
Figure 2024516363000002
のCDK4/6阻害剤である。
コハク酸塩形態のリボシクリブ(ブタン二酸と形成される塩)は市販薬(商品名KISQALI(R))であり、以下の式:
Figure 2024516363000003
を参照のこと。
KISQALI(R)は:
‐ 初期の内分泌ベースの治療として、ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性の進行型、もしくは転移性乳がんを有する閉経前/閉経期前後もしくは閉経後の女性の処置のためのアロマターゼ阻害剤;又は
‐ 初期の内分泌ベースの治療として、又は内分泌療法での疾患進行後の、HR陽性、HER2陰性進行型、又は転移性乳がんを有する閉経後の女性の処置のためのフルベストラント
と組み合わせて表示される。
特許出願WO2017/140669
新しい抗腫瘍処置を見出す必要が常にある。今や本明細書において、アムセネストラントのリボシクリブとの組み合わせが、各々の活性成分単独と比較して相乗効果を伴い、良好な忍容性であり、有意な抗腫瘍有効性を実証し、そして腫瘍停滞を誘導するということが示される。
アムセネストラントとリボシクリブとを含む組み合わせが本明細書において提供される。
本明細書において提供される組み合わせにおいて、アムセネストラントは、双性イオンの形態(すなわち、酸性基及び塩基性基を有する全体として中性の分子)だけでなく、酸又は塩基との付加塩の形態でも存在し得る。このような付加塩は、上記組み合わせにおいて使用され得る。また、リボシクリブは、塩の形態で、より詳細には薬学的に許容しうる塩の形態で、特にコハク酸塩の形態で存在し得る。従って、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩とを含む組み合わせが、本明細書において提供される。
一実施形態において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩の、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩との組み合わせは、治療的相乗作用を示す。その治療効果が、組み合わせのいずれかの活性薬剤単独の累積効果と比較して優れている場合に、組み合わせは治療的相乗作用を示す。
別の実施形態において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は経口投与される。
薬剤としてのその使用のための、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩との組み合わせもまた本明細書において提供される。
アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩、さらに少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物もまた本明細書において提供される。
賦形剤は、当業者に公知の通常の賦形剤から選択される。より詳細には、賦形剤は、どのような形態でも(液体液剤、分散液剤、又は懸濁剤、錠剤、カプセル剤、又は同様のもの)、経口投与にために有用なものから選択される。
別の実施形態において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は、同時に、別々に、又は一定期間の間隔を空けて(連続投与)投与され得る。従って、本明細書において提供される組み合わせ及び医薬組成物は、単一の単位投薬量中の構成要素の物理的結合により得られるものだけに限定されず、同時でも、一定期間にわたって連続的でもよい(「間隔を空けて」又は「広がって」)とも呼ばれる)別々の投与を可能にするものにも限定される。
(i) アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤とを含む第1の医薬組成物;
(ii) リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤とを含む第2の医薬組成物;
を含む医薬キットもまた本明細書において提供され、ここで第1の医薬組成物及び第2の医薬組成物は、別々の区画にあり、かつ独立して投与されるよう意図されており、それぞれの投与は、他方に関して同時であるか又は時間間隔を空けられる(連続的)。
上に記載される組み合わせ、医薬組成物、及び医薬キットにおいて、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は、処置される病理及びそれを投与しようとする患者の状態を考慮して適合される有効な用量で有利に存在する。特に、リボシクリブについて、KISQALI表示により成人患者について推奨される用量は、1日に1回経口摂取される600mg(リボシクリブ遊離塩基として表される)である。
がんの処置における使用のための、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を含む組み合わせ、さらには上記の医薬組成物及び医薬キットもまた本明細書において提供される。
リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩との同時投与によるがんの処置における使用のための、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩もまた本明細書において提供される。
アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩との同時投与によるがんの処置における使用のための、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩もまた本明細書において提供される。
同時投与は、活性成分の各々に関して、別々であるか、同時であるか又は時間間隔を空けられた(連続的)、それを必要とする患者への活性成分の投与として、本明細書において理解される。
いくつかの実施形態において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は、治療有効量で投与される。「治療有効量」は、疾患を処置するために患者に投与される場合に、疾患のためのそのような処置に影響を与えるために十分である、活性成分又は活性成分の組み合わせの量を意味する。「治療有効量」は、疾患及びその重症度、処置しようとする対象の年齢、体重などによって変わる。
いくつかの実施形態において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は、治療的相乗作用を示す量で投与される。
別の実施形態において、がんはホルモン依存性がんである。
別の実施形態において、がんはエストロゲン受容体依存性がんであり、特にがんはエストロゲン受容体α依存性がんである。
治療有効量のアムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及び治療有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、上に示される病態、特に乳がんを処置する方法も本明細書において提供される。
上に記載される医薬組成物または医薬キットを、それを必要とする対象に投与することを含む、上に示される病態、特に乳がんを処置する方法も本明細書において提供される。
上に記載される組み合わせを、それを必要とする対象に投与することを含む、上に示される病態、特に乳がんを処置する方法も本明細書において提供される。
アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を、それを必要とする対象に同時投与することを含む、上に示される病態、特に乳がんを処置する方法も本明細書において提供される。上記方法において、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩は、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、別々に、同時に、又は時間間隔を空けて投与される。
リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩、及びアムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を、それを必要とする対象に同時投与することを含む、上に示される病態、特に乳がんを処置する方法も本明細書において提供される。上記方法において、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩は、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、別々に、同時に、又は時間間隔を空けて投与される。
治療有効量のアムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を、治療有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを処置する方法も本明細書において提供される。
化合物アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を用いた治療を受けている患者に、有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む、該患者においてがんを処置する方法も本明細書において提供される。
化合物アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を用いた安定処置を受けている患者に、治療有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む、該患者においてがんを処置する方法も本明細書において提供される。
治療有効量の化合物リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを処置する方法も本明細書において提供され、ここで該患者は、アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩を用いた治療も受けている。
上に記載される方法の実施形態において、対象は哺乳動物である。別の実施形態において、対象はヒトである。
上に示される病態、特に乳がんを処置する際に有用な薬剤の製造のための、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、リボシクリブ、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩とを含む組み合わせも本明細書において提供される。
リボシクリブ又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩との同時投与により、上に示される病態、特に乳がんを処置する際に有用な薬剤の製造における、アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩の使用も本明細書において提供される。
アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩との同時投与により、上に示される病態、特に乳がんを処置する際に有用である薬剤の製造における、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩の使用も本明細書において提供される。
- 包装材料;
- 上で定義される組み合わせ、医薬組成物、又は医薬キット;及び
- 上記組み合わせ、医薬組成物、又は医薬キットががんの処置のために患者に投与されることを示す、上記包装材料内に含まれるラベル又は添付文書
を含む、製品、パッケージ、又は投与単位も本明細書において提供される。
以下の実施例は、マウスにおける乳がん細胞株異種移植に対する、アムセネストラント、リボシクリブコハク酸塩、及びそれらの組み合わせを用いて得られた薬理結果を示す。
雌性ヌードマウスにおける皮下乳がん細胞株異種移植に対する、リボシクリブと組み合わせたアムセネストラントの有効性の評価
本研究において、リボシクリブコハク酸塩(本明細書以下の実験項では、簡潔さのために単に「リボシクリブ」と呼ばれる)と組み合わせたアムセネストラントの抗腫瘍有効性を、雌性ヌードマウスにおける皮下MCF7-Y537Sヒト乳がん細胞株異種移植に対して22日間の処置の後に調べた。
処置された群は、アムセネストラント20mg/kg単独、リボシクリブ100mg/kg単独(質量はリボシクリブ遊離塩基形態に基づいて表される)、及びアムセネストラントとリボシクリブとの同じ用量及び投与計画での組み合わせを含んでいた。
22日間、アムセネストラントを1日に2回(BID)経口投与し、そしてリボシクリブを1日に1回(QD)経口投与した。抗腫瘍有効性を腫瘍体積測定により評価した。
1: 実験手順
1-1: 動物、細胞株、化合物
雌性BALB/cヌードマウスを、Shanghai Sino-British SIPPR/BK Laboratory Animal Co.、LTD (Shanghai、CHINA)から入手した。試験登録の前少なくとも4日間、動物を順化させた。マウスは6~8週齢であり、体重は処置開始時に18グラムと24グラムとの間であった。WuXi AppTecの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)により承認されたガイドラインにまとめられた条件下で国際実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)のガイダンスに従って、これらの動物を飼育した。
親MCF7細胞を、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC(R) HTB-22TM)から入手した。MCF7-Y537S(ESR1)細胞株は、Sanofi Biology Discovery Groupにより生成されたER.Y537Sバリアントを発現するMCF7細胞であった。部位特異的変異誘発(Toy W.ら、Cancer Discovery、2017、7、277-287)によりY537S変異がESR1構築物(GenBank NM_000125.3)に導入された。この構築物をMCF7細胞においてトランスフェクトし、エストラジオールの存在しない場合のそれらの増殖について選択した。MCF-Y537Sは、ERα(エストロゲン受容体アルファ)にエストロゲン非依存性活性を与えるESR1変異であり、内分泌抵抗性疾患に寄与する(Robinson D.R.ら、Nat Genet.、2013、45 (12)、1446-1451)。10%ウシ胎仔血清(FBS)、ヒトインスリンを添加したイーグル最小必須培地(EMEM)中で5%CO、37℃で細胞を増殖させた。これらの細胞を0.25%トリプシンEDTA中で収集し、そしてリン酸緩衝化食塩水(PBS)により洗浄し、そして75%マトリゲルを含むPBSに再懸濁した。これらの細胞(マウスあたり20×10細胞)を、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下(SC)移植した。
MCF7-Y537S腫瘍が樹立された場合、腫瘍を断片移植のために腫瘍ストックとして取っておいた。皮下への断片組織移植により腫瘍を連続的に増殖させた。断片腫瘍組織を、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下移植した。28匹のマウスをこの実験に割り当てた。
リボシクリブ(製造者:Sanofi;ロット番号:VAC.DLE20.41.1;コハク酸塩)を、水中40%SBE-β-CD (スルホブチルエーテル β-シクロデキストリン)(pH 3)中に配合した。
経口投与のためのアムセネストラント及びリボシクリブの投薬体積: 10 ml/kg。
用量:上記体積で、アムセネストラント20mg/kg及びリボシクリブ100mg/kg。
リボシクリブの濃度は、本明細書においてその遊離塩基形態に基づいて表される。
1-2: 試験設計、評価項目
実験に必要な動物(及び余分)をプールし、そしてMCF7-Y537S腫瘍断片組織を移植した。0日目に(移植の20日後)、マウスをプールし、そして無作為に処置群及び対照群に分配し(群あたり7匹のマウス)、ここで各群についての腫瘍体積中央値は173mmであった。アムセネストラント及びリボシクリブの処置を0日目に開始した。22日間、アムセネストラントを20mg/kg BID(8時間空けて)で経口投与し、そしてリボシクリブを100mg/kg QDで経口投与した。動物体重を毎日評価した。
投薬量はmg/kgで表され、動物ごとの毎日の体重に基づく。ビヒクルで処置された動物を対照として使用した。マウスを有害臨床応答について毎日検査した。実験の終了まで個々のマウスの体重を毎日量った。病的状態又は体重減少≧20%が観察された場合にはマウスを安楽死させる。最終的な屠殺まで週に2回ノギスで腫瘍を測定した。腫瘍サイズが約2000mmに達した場合、又は動物の健康問題(腫瘍の40%の面積が潰瘍化)があった場合、動物を安楽死させ、そして死亡日を記録した。固形腫瘍体積を2次元腫瘍測定から見積もり、そして以下の等式に従って計算した:
Figure 2024516363000004
毒性評価項目:
特定の状況下で体重減少または動物死亡が薬物に関連しないとみなすことができなければ、個々のマウスについて連続3日の間15%体重減少、1日の間に20%体重減少、又は10%もしくはそれ以上の薬物関連死のいずれかを生じた投薬量を過剰に毒性の投薬量とみなした。例としては、経管栄養の誤りのような動物取り扱いの問題、対照群またはビヒクル処置群において観察され得る体重減少をもたらす腫瘍誘導悪液質のような腫瘍モデル関連の問題、及び過剰な腫瘍潰瘍化が挙げられる。薬物に関連しない死亡または重大な体重減少を有していたマウスは、毒性とはみなされず、統計分析から除外された。動物体重は腫瘍体積を含んでいた。
有効性評価項目:
主要有効性評価項目は、処置群と対照群との間のベースラインからの腫瘍体積変化の中央値の比(ΔT/ΔC)により要約されるベースラインからの腫瘍体積変化を含む。特定の観察日における腫瘍体積から最初の処置の日(進行度診断日)における腫瘍体積を引くことにより、処置(T)群及び対照(C)群の各々についての腫瘍体積の変化を、それぞれの日の各動物について計算した。ΔT中央値を処置群について計算し、そしてΔC中央値を対照群について計算した。比ΔT/ΔCを計算してパーセンテージとして表した:
Figure 2024516363000005
ΔT/ΔC≦40%は治療的に活性とみなされ、ΔT/ΔC=0%は腫瘍停滞とみなされ、そしてΔT/ΔC<0%は腫瘍退縮(非常に活性)とみなされる。ΔT/ΔC>40%は治療的に不活性とみなされる。
腫瘍退縮パーセントは、試験が開始されたときのその体積と比較して、特定の観察日に処置群における腫瘍体積減少の%(パーセンテージ)と定義される。特定の時点(t)で、かつ各動物について、退縮パーセンテージは以下の式:
Figure 2024516363000006
を使用して計算される。
次いで、所定の日の群についての退縮パーセント中央値を、その群における各動物について計算された個々の退縮%値の中央値をとることにより計算した。退縮パーセント中央値が群の活性の代表的なものではなかった場合を除いて、計算の日はΔT/ΔCが計算された日によって決定された。この場合、この日は退縮パーセント中央値が最大であった最初の日によって決定された。
1-3: 統計分析
因子処置及び日(繰り返し)を用いた二元配置分散分析(ANOVA)を、ベースラインからの腫瘍体積変化に対して行った。続いて、0~22日目に毎日、全ての処置群を対照群と比較するため、及び組み合わせに含まれる用量のそれぞれの単一の薬剤に対して組み合わせを比較するために、多重度についてのボンフェローニ-ホルム補正を用いてコントラスト分析を行った。
図面において、各群の中央値及び中央絶対偏差(MAD)は、各測定日について表される。
表において、各群の中央値及び正規化MAD(nMAD=1.4826*MAD)は、各測定日について報告される。
ベースラインからの腫瘍体積変化を、特定の観察日における腫瘍体積から最初の処置の日(0日目)における腫瘍体積を引くことにより、各動物及び各日について計算した。
全ての統計分析は、SASバージョン9.2ソフトウェアを使用して行われた。5%未満の確率(p<0.05)を有意とみなした。
2: 結果
22日間、アムセネストラント 20mg/kg BID、リボシクリブ 100mg/kg QD、及びこれらの用量及び投与計画でのアムセネストラントとリボシクリブとの組み合わせは良好な忍容性であり、そして有意な体重減少はこの試験において観察されなかった。
20mg/kg BIDの用量で22日間のアムセネストラントは、22日目にΔT/ΔC値47%(p=0.9411)であり、腫瘍増殖に対する統計的に有意な抗腫瘍効果を有していなかった。100mg/kg QDの用量で22日間のリボシクリブは、22日目にΔT/ΔC値40%(p=0.9411)であり、統計的に有意な抗腫瘍有効性を誘導しなかった。アムセネストラントについてBID及びリボシクリブについてQDと同じ投与計画を用いてアムセネストラント 20mg/kgをリボシクリブ 100mg/kgと組み合わせた場合、この組み合わせ処置は、22日目にΔT/ΔC値10%(p<0.0001)であり、統計的に有意な抗腫瘍有効性(腫瘍停滞)を示した。統計分析は、22日目のアムセネストラントまたはリボシクリブいずれかの単独と比較した場合(p<0.0001又は0.0012)、この組み合わせ効果は有意に異なるということを示した。
詳細な結果を以下の表1~3、さらに図1及び2に示す。
図1: ヌードマウスにおける皮下ヒト乳がん細胞株MCF7-Y537S異種移植に対する、リボシクリブと組み合わせたアムセネストラントの抗腫瘍活性:腫瘍体積進化。曲線は、各群についての各日の中央値+又は-MAD(中央絶対偏差)を表す。 図2: ヌードマウスにおける皮下ヒト乳がん細胞株MCF7-Y537S異種移植に対する、リボシクリブと組み合わせたアムセネストラントの抗腫瘍活性:22日目におけるベースラインからの腫瘍体積変化。点は22日目のベースラインからの個々の腫瘍体積変化を表し、バーは中央値に相当する。
この実験から、我々は、ヌードマウスにおけるMCF7-Y537Sヒト乳がん細胞株異種移植モデルにおける1日に1回のCDK4/6阻害剤リボシクリブ 100mg/kgと組み合わせた1日に2回のアムセネストラント 20mg/kgが、単一の薬剤単独に優る有意な抗腫瘍有効性を誘導し、そして腫瘍増殖阻害及び腫瘍停滞を誘導したと結論づけた。
Figure 2024516363000007
Figure 2024516363000008
Figure 2024516363000009

Claims (17)

  1. アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩とを含む組み合わせ。
  2. 治療上の相乗作用を示す、請求項1に記載の組み合わせ。
  3. がんの処置における使用のための、請求項1又は請求項2に記載の組み合わせ。
  4. がんは乳がんである、請求項3に記載の組み合わせ。
  5. アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩、及びリボシクリブは、別々に、同時に、又は一定期間の間隔を空けて投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組み合わせ。
  6. アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤とを含む、医薬組成物。
  7. がんの処置における使用のための、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. がんは乳がんである、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. リボシクリブ又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩との同時投与によるがんの処置における使用のための、アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩。
  10. リボシクリブ又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、別々に、同時に、又は時間間隔を空けて投与される、請求項9に記載のがんの処置における使用のための化合物。
  11. アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩との同時投与によるがんの処置における使用のための、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩。
  12. アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩と、別々に、同時に、又は時間間隔を空けて投与される、請求項11に記載のがんの処置における使用のための、リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩。
  13. (i) アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤とを含む第1の医薬組成物;
    (ii) リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と、少なくとも1つの薬学的に許容しうる賦形剤とを含む第2の医薬組成物;
    を含む医薬キットであって、ここで第1の医薬組成物及び第2の医薬組成物は、別々の区画にあり、かつ独立して投与されるよう意図されており、それぞれの投与は、他方に関して同時であるか又は時間間隔を空けられる、上記医薬キット。
  14. 治療有効量のアムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を、治療有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを処置する方法。
  15. 化合物アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を用いて治療中の患者においてがんを処置する方法であって、有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を該患者に投与することを含む、上記方法。
  16. 化合物アムセネストラント、又はその薬学的に許容しうる塩を用いた安定処置を受けている患者においてがんを処置する方法であって、治療有効量のリボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を該患者に投与することを含む、上記方法。
  17. 治療有効量の化合物リボシクリブ、又はリボシクリブコハク酸塩のようなその薬学的に許容しうる塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを処置する方法であって、ここで該患者は、アムセネストラント又はその薬学的に許容しうる塩を用いた治療も受けている、上記方法。
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