JP2024514306A - 混合モードクロマトグラフィーによる抗体の精製 - Google Patents

混合モードクロマトグラフィーによる抗体の精製 Download PDF

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Abstract

本明細書では、フロースルーモードで動作するイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)を使用して抗体を製造又は精製するための方法であって、抗体が親水性抗体であり、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で抗体がMM HIC/IEXクロマトグラフィー材料に適用される、方法が報告される。

Description

本発明は、抗体精製の分野にある。特に、本発明は、イオン交換及び疎水性相互作用官能性を有する混合モード(すなわち、マルチモーダル)クロマトグラフィー材料を使用して、抗体をフロースルーモードで処理する、親水性抗体の製造又は精製のための方法に関する。特に、方法は、混合モードクロマトグラフィー材料に適用される溶液中のアンチカオトロピック塩の使用を含む。
発明の背景
モノクローナル抗体は、治療製品の非常に成功したクラスであることが証明されている。これらの組換え生物医薬タンパク質がヒト患者への投与に許容されるためには、製造及び精製プロセスから生じる不純物並びに生成物に関連する不純物が最終生物学的生成物から除去されることが重要である。プロセス成分としては、培養培地タンパク質、免疫グロブリン親和性リガンド、ウイルス、内毒素、DNA、及び宿主細胞タンパク質(HCP)が挙げられる。生成物に関連するさらなる不純物としては、不完全に組み立てられた抗体又は断片のような低分子量(LMW)不純物が挙げられる。更に、二量体、三量体、多量体又は一般的な凝集体のような高分子量(HMW)不純物もまた、薬学的抗体の製造において生じ得る。
タンパク質凝集の現象は、抗体の品質、安全性、及び有効性を損なう共通の問題であり、製造プロセスの様々な工程で起こり得る。凝集はバイオ医薬品の生物学的活性に影響を及ぼす可能性があるため、原薬及び最終製剤中の凝集体レベルは、分子の品質属性を評価する際の重要な因子である。単量体タンパク質の活性と比較した凝集体の生物学的活性の差は、タンパク質ベースの薬物の効力を著しく損なう可能性がある。
精製中、クロマトグラフィーは、典型的には、凝集物又はHMW除去に主に寄与する工程である。特定のクロマトグラフィー材料及び動作様式の選択は、全体的なプロセス精製トレインとの適合性及び適合性、並びに生産性、収率及び製品品質の適切なバランスによって導かれるべきである。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーは、治療用抗体の製造における第1の精製工程として使用されることが多い。生成物凝集体は、生成物のモノマー形態と同様にクロマトグラフィーリガンドに結合する可能性があるため、この精製工程は通常、凝集体を除去できないか、又はほとんど除去できない。イオン(アニオン及びカチオン)交換クロマトグラフィーの使用は、抗体モノマーを二量体及びLMW種から分離するために生産規模で有用であることが実証されている。国際公開第99/62936号は、イオン交換クロマトグラフィーの使用による凝集体からのモノマーの分離を報告している。凝集体及びHCP等の不純物の両方の除去に主に使用されてきた疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)によって、疎水性の違いに基づいて抗体モノマーを凝集体から分離することが可能である(Lu,Y.et al.,2009,Curr Pharm Biotechnol 10(4):427-433(非特許文献1))。抗体の疎水性は凝集と共に増加し、これは、理論的にも実際的にも有意であるという事実である(Suda,E.J.et al.,2009,J Chromatogr A 1216(27):5256-5264(非特許文献2))。更に、混合モード又はマルチモーダルクロマトグラフィーは、抗体精製及び凝集体除去に広く使用されている。例えば、Gagnon et al.(2009,Curr Pharm Biotechnol 10(4):434-439)(非特許文献3)は、電荷疎水性混合モードクロマトグラフィーによる凝集体除去を報告している。また、Gao et al.(2013,Journal of Chromatography A,1294 70-75)(非特許文献4)は、混合モードクロマトグラフィーを使用した会合凝集体からの抗体モノマーの分離を記載している。
HMW又は凝集物のような生成物関連不純物の低減に加えて、HCP又はウイルス粒子のようなプロセス関連不純物も精製中に除去される必要がある。ウイルス混入は、哺乳動物細胞株に由来するバイオテクノロジー産物を使用する潜在的なリスクである。したがって、潜在的なウイルス混入に関するこれらの製品の安全性の保証を提供するために、規制当局は、内因性及び外因性ウイルスを除去する精製プロセスの能力を評価するウイルスクリアランス研究を必要とする。ウイルス混入の除去のために、ウイルスフィルタ及び低pH不活性化が使用されることが多いが、アニオン交換クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィープロセスも有用であり得る(Ajayi et al.,2022,Current Research in Biotechnology 4:190-202(非特許文献5))。
一般に、特にHMW不純物からの抗体モノマーの精製並びに様々なクロマトグラフィー材料によるウイルスの除去におけるこれらの進歩にもかかわらず、抗体の更に高い純度及び品質を達成するために精製設定を改善する必要性及び余地が依然として存在する。
Lu,Y.et al.,2009,Curr Pharm Biotechnol 10(4):427-433 Suda,E.J.et al.,2009,J Chromatogr A 1216(27):5256-5264 Gagnon et al.(2009,Curr Pharm Biotechnol 10(4):434-439) Gao et al.(2013,Journal of Chromatography A,1294 70-75) Ajayi et al.,2022,Current Research in Biotechnology 4:190-202
本明細書では、アンチカオトロピック塩の存在下でイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料を用いた親水性抗体を精製するための方法又は製造するための方法を報告する。
本発明は、少なくとも部分的には、親水性抗体及びHMWを含む負荷溶液が、少なくとも1つのアンチカオトロピック塩の存在下、フロースルー(FT)モードで、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(mixed mode chromatography material that comprises ion exchange functional groups and hydrophobic interaction functional groups;MM HIC/IEX)によって精製される場合、抗体関連高分子量不純物(HMW)を首尾よく減少させることができるという予想外の知見に基づく。本発明の好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、クロマトグラフィー材料、負荷溶液及び任意の洗浄/すすぎ溶液を平衡化するために使用される平衡化(緩衝液)に存在する。製造及び/又は精製、すなわちHMWの減少は、アンチカオトロピック塩の存在下で親水性抗体に対して実施することができるが、その効果は疎水性抗体又はカオトロピック塩の存在下では達成することができないことが見出された。
更に、本発明は、少なくとも部分的に、親水性抗体及びウイルス不純物を含む負荷溶液が、少なくとも1つのアンチカオトロピック塩の存在下、フロースルー(FT)モードでイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)によって精製される場合、ウイルス又はウイルス様粒子(例えば、RVLP)による混入、すなわちウイルス不純物含有量もまた首尾よく低減され得るという予想外の発見に基づく。本発明の好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、クロマトグラフィー材料、負荷溶液及び任意の洗浄/すすぎ溶液を平衡化するために使用される平衡化(緩衝液)において存在する。製造及び/又は精製、すなわちウイルス不純物含有量の減少は、アンチカオトロピック塩の存在下で親水性抗体に対して実施することができるが、その効果は疎水性抗体には存在しないことが分かった。
したがって、本発明の一態様は、フロースルーモードで動作する、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)を使用して(/によって)、抗体を製造するための方法であって、
a)抗体が親水性抗体であり、
b)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用される、
方法である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、方法は、以下の工程:
c)任意に、すすぎ溶液が適用される工程、
d)抗体が、b)のフロースルーにおいて、又は任意にb)及びc)のフロースルーにおいて、回収される工程
を更に含み、
それによって、フロースルーモードで動作するMM HIC/IEXを使用して抗体を製造する。
本発明による別の態様は、フロースルーモードで動作する、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)を使用して(によって)、抗体を精製するための方法であって、
a)抗体が親水性抗体であり、
b)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
それによって抗体を精製する、方法である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(同じ)アンチカオトロピック塩を含む緩衝液でコンディショニング/平衡化されている。好ましい一実施形態において、MM HIC/IEXをコンディショニング/平衡化するために使用される緩衝液は、工程b)の溶液の緩衝液でもある。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物及び/又は少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物がフロースルーから回収され、
- それによって、抗体関連HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物及び少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物がフロースルーから回収され、
- それによって、抗体関連HMW不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された抗体組成物をフロースルーから回収し、
- それにより、抗体関連HMW不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体関連(HMW)不純物含有量は、工程b)でMM HIC/IEXに適用される溶液と比較して低減される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体関連(HMW)不純物含有量は、アンチカオトロピック塩を本質的に含まない溶液と比較して、及び/又は疎水性抗体を含む溶液と比較して、低減される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、ウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- ウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物をフロースルーから回収し、
- それにより、ウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、ウイルス不純物含有量は、工程b)でMM HIC/IEXに適用された溶液と比較して低減される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、ウイルス不純物含有量は、アンチカオトロピック塩を本質的に含まない溶液と比較して、及び/又は疎水性抗体を含む溶液と比較して、低減される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、親水性抗体は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料上で、(同じHIC材料上及び同じ操作条件下で)リツキシマブと同等以下の保持時間を有する抗体である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を含有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとして以下の構造(-(OCHCHOH)を有するポリエーテル基を含有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフ(HIC)材料は、ポリメタクリレート基材/マトリックスを含む。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を含有し、100nmの平均孔径及び10μmの粒径を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、TSKgel(登録商標)Ether-5PWクロマトグラフィー材料である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、HICクロマトグラフィー材料での保持時間は、(他の実施形態のいずれか1つの)HICクロマトグラフィー材料を使用して、カラム長75mm、内径7.5mm、溶出緩衝液勾配8.8ml/分の流速で決定され、抗体は1mg/mlの濃度でクロマトグラフィー材料に適用される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、1.285~4.183×10E3 dyn*g*cm-1*mol-1の範囲の及びこれを含むモル表面張力増分を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、塩化物、硫酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩又はフッ化物からなる群から選択される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、(NHSO、NaSO、KSO、NaCl及びKClからなる群から選択される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~120mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、10mM~900mM(及びこれを含む)の濃度を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXへの負荷量は、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質10g(10g/L)以上である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXへの負荷量は、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質10g(10g/L)~クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質650g(650g/L)である(及びこれを含む)。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXへの負荷量は、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質15g(15g/L)~クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質350g(350g/L)である(及びこれを含む)。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、4.0~9.0(及びこれを含む)のpH値を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、HMW不純物は、285kDa以上の分子量を有する不純物である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、HMW不純物は、抗体の少なくとも二量体、三量体、又は任意の多量体である不純物である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、アニオン交換官能基又はカチオン交換官能基を含む。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、強いアニオン交換官能基を含む。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)adhere ImpRes、Capto(商標)Adhere 又はNuvia aPrime4Aである。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、弱いカチオン交換官能基を含む。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)MMC、又はCapto(商標)MMC ImpResである。
発明の詳細な説明
本明細書では、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料を使用し、負荷溶液(本明細書では「負荷物」とも呼ばれる)においてアンチカオトロピック塩を使用して、親水性抗体を精製又は製造するための方法が報告される。
本発明は、少なくとも部分的には、親水性抗体及びHMWを含む負荷物が、フロースルー(FT)モードでイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)によって精製され、クロマトグラフィーの開始前に負荷溶液に含まれる少なくとも1つのアンチカオトロピック塩が存在する場合、抗体関連高分子量不純物(HMW)を首尾よく減少させることができるという予想外の知見に基づく。
より詳細には、驚くべきことに、精製される抗体が親水性抗体であり、アンチカオトロピック塩が存在する場合、HMWの含有量をより有意に減少させ得ることが見出された。対照的に、疎水性抗体が精製されている場合、HMW減少に関するアンチカオトロピック塩の添加の有意な効果は観察され得ない。
本発明は更に、少なくとも部分的に、その効果が塩モル濃度自体の増加に起因しないという知見に基づいている。この場合も、アンチカオトロピック塩の塩モル濃度を増加させると、親水性抗体に対するプラスの効果を観察することができたが、この効果は疎水性抗体では観察することができなかった。
本発明は、少なくとも部分的には、カオトロピック塩について改善されたHMW減少を示すことができなかったという知見に更に基づく。
第1の実験セット(パートI)では、一定の導電率でのHMW不純物減少に対する抗体疎水性の影響が示された。
フロースルー(FT)ランは、ロボットシステム上でCapto(商標)adhere ImpRes Robocolumns(商標)(RC)を用いて行った。5つのアンチカオトロピック(ac)塩を使用した:NaSO、NaCl、(NHSO、KCl、及びKSO。これらを、異なるフォーマット及び特異性の7つのモノクローナル抗体(mab)と組み合わせて使用した。FTを収集し、純度をSE-HPLCによって分析した。負荷物にアンチカオトロピック塩を添加することによって達成されたHMW減少を、同じ緩衝液、すなわち同じ導電率であるがアンチカオトロピック塩を含有しないで達成されたHMW減少と比較した。親水性mab、すなわち材料及び方法の項目10(MM-10)に従ってHICクロマトグラフィーで決定された保持時間がリツキシマブの保持時間よりも短いmab(保持時間mab≦保持時間リツキシマブ)についてのみ、アンチカオトロピック塩の非存在下で同じ導電率を有する負荷物と比較して、負荷物へのアンチカオトロピック塩の添加によって改善されたHMW除去が達成されたことが見出された。これとは対照的に、疎水性mab(保持時間mab>保持時間リツキシマブ)については、アンチカオトロピック塩の添加による有利な効果は観察されなかったことが見出された。
複数の親水性抗体について、同じ導電率でアンチカオトロピック塩を含まないトリス/酢酸塩緩衝液中の負荷溶液と比較して、アンチカオトロピック塩を負荷溶液に添加するとHMW減少が改善されることが見出された(図1~図4を参照;黒塗りの円)。負荷物中にアンチカオトロピック塩が存在すると、MM HIC/IEX上の親水性mabのHMW減少が改善されることが分かった。
これとは対照的に、疎水性抗体の場合、アンチカオトロピック塩を含有する負荷物及びアンチカオトロピック塩を含まない負荷物では、HMW減少は改善されなかった(図5~図7参照)。
プールのHMW除去を計算するために、傾向線を導入した。FTプールのHMW除去を、例示的な親水性mab(図8A;mab2)及び例示的な疎水性mab(図8B;mab7)について示す。mab2では、総負荷量150g/LでのプールHMW除去値は、硫酸アンモニウムを負荷物に添加した場合に35%から89%に増加した(図9Aを参照)。550g/Lの総負荷について、プールHMW除去値は、負荷物への(NHSOの添加により17%から47%に増加した。これとは対照的に、アンチカオトロピック塩を含む及び含まないmab7のプールHMW値は類似していた。この疎水性mabについて、プールHMW除去値は、アンチカオトロピック塩の添加によって有意に改善されなかった(図9Bを参照)。
異なるpH値(実施例1:pH8;実施例2:pH6)でも同じ効果が見られる。親水性mabsについて、アンチカオトロピック塩を負荷溶液に添加すると、HMW減少が有意に改善されることが分かった(図10~図13を参照)。これとは対照的に、疎水性mabsでは、アンチカオトロピック塩を含有する負荷及びアンチカオトロピック塩を含まない負荷のHMW減少は同程度であった(図14~図16を参照)。
同じ効果は、異なる導電率(実施例1/2:20mS/cm);実施例3:10mS/cm)に見ることができる(図17(A及びB)及び18(A及びB)を参照)。親水性mabのためのアンチカオトロピック塩の存在は、FT画分のHMW減少を改善することが見出された。疎水性mabでは、アンチカオトロピック塩を負荷物に添加した場合、HMW減少の改善は観察されなかった。アンチカオトロピック塩を負荷物に添加することによる親水性mabの改善されたHMW減少の効果は、pHが上昇するにつれてより顕著であることが見出された。
第2の実験セットでは、HMW除去に対するアンチカオトロピック塩モル濃度の影響が示されている。
HMW減少に対する異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩の効果を示すために、RC実験及びKp(分配係数)スクリーンを行った。最大500mMの塩のモル濃度が使用されている。種々の塩、NaSO、NaCl、(NHSO、KCl及びKSOをpH8.0で試験した。塩モル濃度の増加は、親水性抗体調製物のFT画分中のHMWの除去を改善し得ることが見出されている(図19~図23を参照)。
更に、Kpスクリーンは、広範囲のpH値及び塩モル濃度について、HMW減少に対する塩モル濃度の効果を示した(Capto(商標)adhere ImpRes樹脂/クロマトグラフィー材料を使用した実施例5及び実施例6を参照)。3つのmab、2つの親水性mab及び1つの疎水性mabを使用した。調査したpH範囲はpH5.5~8.0であり、モル濃度範囲は10~800mMであった。Kpスクリーンは、HMW減少に関してRCデータを確認した。親水性mabの場合、塩モル濃度の増加はHMW減少の改善をもたらしたが、疎水性mabのHMW減少は、アンチカオトロピック塩モル濃度を増加させることによって改善されないことが分かった(図24及び図25を参照)。予想されるように、カオトロピック塩の使用は、塩のモル濃度の増加に伴うHMW減少の改善を示さなかった(図26及び図27を参照)。
更に、Kpスクリーンを、pH4~9のpH範囲及び最大約900mMの塩モル濃度で行った(実施例6を参照)。これらのKpスクリーン内で、2組の緩衝液を比較した:アンチカオトロピック塩NaSOを含有する1つの緩衝液及びアンチカオトロピック塩を含まない1つの緩衝液(図28を参照)。
より詳細には、塩モル濃度(及び導電率)を増加させる効果を、親水性mab(実施例4;mab2)を用いてpH8で5つのアンチカオトロピック塩について試験した。アンチカオトロピック塩は、硫酸ナトリウム(結果については図19を参照)、塩化ナトリウム(結果については図20を参照)、硫酸アンモニウム(結果については図21を参照)、塩化カリウム(結果については図22を参照)及び硫酸カリウム(結果については図23を参照)であった。各FT画分について達成されたHMW除去値を、増加する総負荷量に対してプロットした。一般に、総負荷量の増加に伴うHMW除去値の増加が観察された。アンチカオトロピック塩を親水性mabに添加することによって、FT画分のHMWレベルの減少が達成され得ることが見出された。試験した全てのアンチカオトロピック塩について、改善されたHMW減少が見られた。
更に、塩モル濃度を増加させる効果を、5.5~8.0のpH範囲及び800mMまでの塩モル濃度でKpスクリーンを使用して、3つのmab(親水性及び疎水性)及び4つの塩、(NHSO、KCl、Gua/HCl及び尿素について検証した(実施例を5参照)。カオトロピック塩(Gua/HCl及び尿素)は、疎水性相互作用が弱まるとHMW減少を示すように選択された。
mabの疎水性に応じて、HMW除去の差が見られた。親水性mab(mab2;A及びmab4;B)では、アンチカオトロピック塩(硫酸アンモニウム、図24A及び図24B、並びにKCl、図25A及び図25B)の添加、最大70~80%のHMW減少が達成されることが見出された。疎水性mab(mab6;C)について、硫酸アンモニウムの存在下でのHMW減少は、モル濃度によってほとんど影響されなかった。KClでは、疎水性mab6のHMW減少は、KClモル濃度の増加と共に更に減少した。図24C及び図25Cは、疎水性mab6について、アンチカオトロピック塩のモル濃度を増加させることによってHMW除去が改善されなかったことを示す。
HMW減少に対するカオトロピック塩の効果を決定するために、Gua/HCl(図26を参照)及び尿素(図27を参照)を使用した。HMW減少の改善は、親水性及び疎水性mabについての塩モル濃度の増加と共に観察されなかった。
要約すると、アンチカオトロピック塩を負荷溶液に添加すると、HMW減少が親水性mabで改善されることが分かった。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の添加によって改善されたHMW減少は観察できなかった。更に、カオトロピック塩の添加では、改善されたHMW減少を得ることができなかった。
実施例6の結果は、アンチカオトロピック塩の添加が、親水性mab(mab2)のFT画分中のHMW除去を改善したことを示す。NaSOモル濃度の増加(図28Aを参照)は、最大80%の改善されたHMW減少を示した。NaSOを含むmab2のコンタープロットは、硫酸アンモニウムを含むものと同様であった(図24Aを参照)。それとは対照的に、トリス/酢酸塩モル濃度の増加(図28Bを参照)はHMW減少に有意な影響を及ぼさなかった。アンチカオトロピック塩を添加しないと、モル濃度の増加に伴うHMW減少の改善は観察されなかった。
第3の実験セット(パートIII)では、異なるクロマトグラフィー樹脂を使用した。
実施例7では、5.5~8.0のpH範囲及び10~800mMの塩モル濃度において親水性mab(mab2)を含む負荷物のHMW減少を調査した。3つの異なる混合モードアニオン交換(MMAEX)樹脂を使用した:Capto(商標)adhere ImpRes、Capto(商標)adhere 及びNuvia aPrime親水性mabを含む負荷溶液にアンチカオトロピック塩を添加した場合、3つ全てのクロマトグラフィー材料が改善されたHMW減少を示したことが分かった。
実施例8は、MMAEX樹脂、アニオン交換(AEX)樹脂、HIC樹脂、及び親水性及び疎水性mabを有する混合モードカチオン交換(MMCEX)樹脂について行われたKpスクリーンを要約する。使用したpH範囲はpH4.0~9.0であり、使用した塩濃度は5~850mMであった。親水性mabのフロースルー試料は、両方のイオン混合モード樹脂(MMAEX及びMMCEX)について塩モル濃度の増加に伴って改善されたHMW減少を示すことが分かった。MMAEX樹脂上の疎水性mab HMW減少とは対照的に、塩のモル濃度とは無関係であった。MMCEX樹脂の場合、疎水性mabのHMW減少は、塩モル濃度を500mM NaSO未満に増加させることによって改善されなかった。シングルモード樹脂Q Sepharose FF(AEX)では、HMW減少に対する有利な効果は、親水性mabについても疎水性mabについても観察されなかった。Phenyl Sepharose 6 FF(高sub)(HIC)については、HMW減少に対する塩モル濃度の増加のプラスの効果が親水性mabについて見出されたが、(混合モード樹脂とは対照的に)疎水性mabについても見出された。
より詳細には、mab2を異なる混合モード樹脂と共に実施例7で使用した。アニオン交換及び疎水性相互作用を有する3つの混合モード樹脂を使用した。Capto(商標)adhere ImpResフロースルーコンタープロットを図29A~図32A(A系列)に示し、Capto(商標)adhereのコンタープロットを図29B~図32B(B系列)に示し、Nuvia aPrime のコンタープロットを図29C~図32C(C系列)に示す。2つのアンチカオトロピック塩、(NHSO(図29を参照)及びKCl(図30を参照)、並びに2つのカオトロピック塩、Gua/HCl(図31を参照)及び尿素(図32を参照)を試験した。
一般に、全ての塩について、Capto(商標)adhere、Nuvia aPrime及びCapto(商標)adhere ImpResのコンタープロットが同等の結果を示すことが見出された。(NHSO及びKClのモル濃度が増加するにつれて、3つの混合モード樹脂は全て、改善されたHMW減少を示した。全てのコンタープロットは良好な比較性を示した。カオトロピック塩については、それぞれの塩の添加によるHMW減少の改善は観察されなかった。
要約すると、改善されたHMW減少は、様々なMMAEX樹脂で達成することができる。
実施例8では、1つの親水性mab(mab2)及び1つの疎水性mab(mab6)を異なる樹脂タイプ:混合モードアニオン交換樹脂(Capto(商標)adhere ImpRes)、アニオン交換樹脂(Q Sepharose FF)、疎水性樹脂(Phenyl Sepharose 6 FF)及び混合モードカチオン交換樹脂(Capto(商標)MMC ImpRes)と組み合わせて使用した。
AEX樹脂Q Sepharose FFについては、HMW減少に対するアンチカオトロピック塩の効果は観察されなかった(図34参照)。樹脂Phenyl Sepharose 6FF(高sub)については、親水性のmabと疎水性のmabの両方が、NaSO濃度の増加に伴って改善されたHMW減少を示した(図35を参照)。したがって、シングルモード樹脂Q Sepharose FF及びPhenyl Sepharose 6 FF(高sub)について、親水性及び疎水性mabについて達成可能なHMW減少は同等であった。
これとは対照的に、混合モードの樹脂では、親水性及び疎水性mabのHMW減少は異なっていた。MMAEX樹脂は、アンチカオトロピック塩を負荷物に添加した場合に、親水性mab2のHMW除去の改善を示した(図33Aを参照)。疎水性mab6について、HMW除去は、試験したpH及びモル濃度範囲にわたってほぼ一定であった(図33Bを参照)。したがって、親水性mabについてのみ、混合モードアニオン交換樹脂上の塩モル濃度を増加させることによってHMW減少が増強されることが見出された。図36は、Capto(商標)MMC ImpRes樹脂のHMW除去値を示す。親水性mabでは、NaSOモル濃度を0~800mMの範囲で20%から80%まで増加させると、HMW減少が増強された。これとは対照的に、疎水性mabのHMW減少は、塩モル濃度を500mMまで増加させることによって影響を受けなかった。mab6では、FT試料の改善されたHMW減少は、500mMを超えるモル濃度でのみ観察された。500mM未満では、HMW減少は少なく(10%未満)、塩モル濃度とは無関係であった。
この理論に束縛されるものではないが、実施例8は、アンチカオトロピック塩の添加による親水性mabのHMW減少の改善が、イオン性及び疎水性相互作用の組み合わせに起因し得ることを示す(疎水性相互作用単独についてはそうではない)。イオン性混合モード樹脂、Capto(商標)adhere ImpRes(アニオン性部分及び疎水性部分を有する)及びCapto(商標)MMC ImpRes(カチオン性部分及び疎水性部分を有する)の両方について、塩モル濃度の増加と共にHMW減少の改善が達成されたが、親水性mabについてのみであった。
この方法はまた、自由にスケーラブルである(パートIV;実施例9及び10を参照)。
スケールアップ結果は、パートII及びIIIのより小さな体積の系で達成された結果を確認した。
より詳細には、実施例9では、9mS/cmの同じ導電率であるが、NaSO(40mM及び20mM)のモル濃度が異なる2つの負荷量のmab2を調製した。より高いNaSOモル濃度を有する負荷物のFT画分は、より低いNaSOモル濃度を有する負荷物と比較してより高いメインピーク値をもたらした(図37を参照)。これは、より高いNaSOモル濃度(導電率ではなく)が、負荷導電率が同じであるため、HMW除去を促進したことを示す。
実施例10は、pH7及びpH8のHMW減少に対するNaSOモル濃度の効果を示した。FT画分のメインピーク値は、pH7(図39を参照)及びpH8(図38を参照)でNaSOモル濃度の増加と共に増加した。FTプールを、pH8での画分の平均メインピーク値を用いて計算した(図40を参照)。pH 8の場合、メインピーク値は、60mMのNaSOを含有する負荷(12mS/cmの導電率)で96.96%(NaSOなし、5mS/cmの導電率)から99.09%まで増加した。
第5の実験セットでは、ウイルス除去/RVLP除去に対するアンチカオトロピック塩モル濃度の影響が示されている。
Kp(分配係数)スクリーンを実施して、ウイルス汚染物質の減少に対する異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩の効果を示した。mab疎水性及びアンチカオトロピック塩の存在の効果は、pH5.0~8.0のpH範囲で2つの親水性及び2つの疎水性mabを用いて示された。実施例11では、最大400mMの塩モル濃度を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを調査した。実施例12では、トリスモル濃度を増加させ、導電率を増加させるが、アンチカオトロピック塩を欠くトリス/酢酸塩緩衝液を使用した。
mabの疎水性及びアンチカオトロピック塩の存在に応じて、異なるRNA減少値(ウイルス汚染物質減少の代理測定値であるRVLP減少の代理)を測定した。
要約すると、アンチカオトロピック塩を負荷溶液に添加すると、ウイルス汚染物質の減少が親水性mabで改善されることが分かった。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の添加によってウイルス汚染物質の改善された減少は観察されなかった。
したがって、本発明は、少なくとも部分的には、親水性抗体及びHMWを含む負荷溶液が、フロースルー(FT)モードでイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)によって精製され、クロマトグラフィーの開始前に負荷溶液に含まれる少なくとも1つのアンチカオトロピック塩が存在する場合、抗体関連高分子量不純物(HMW)を首尾よく減少させることができるという予想外の知見に基づく。
更に、本発明は、少なくとも部分的には、親水性抗体及びウイルス汚染物質を含む負荷物が、フロースルー(FT)モードでイオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基(MM HIC/IEX)を含む混合モードクロマトグラフィー材料によって精製され、クロマトグラフィーの開始前に負荷溶液に含まれた少なくとも1つのアンチカオトロピック塩が存在する場合に、ウイルス汚染物質を首尾よく減少させることができるという予想外の発見に基づく。
より詳細には、驚くべきことに、精製される抗体が親水性抗体であり、アンチカオトロピック塩が存在する場合、ウイルス汚染物質の含有量をより有意に減少させ得ることが見出された。対照的に、疎水性抗体が精製されている場合、ウイルス汚染物質の減少に関するアンチカオトロピック塩の添加の有意な効果は観察され得ない。
本発明は更に、少なくとも部分的に、その効果が塩モル濃度自体の増加に起因しないという知見に基づいている。この場合も、親水性抗体に対するプラス効果は、一定の塩モル濃度のアンチカオトロピック塩で観察することができたが、この効果は疎水性抗体では観察することができなかった。
したがって、本発明による一態様は、フロースルーモードで動作する、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)を使用して(/によって)、抗体を製造するための方法であって、
a)抗体が親水性抗体であり、
b)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXクロマトグラフィー材料に適用される、方法である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、方法は、以下の工程:
c)任意に、すすぎ溶液が適用される工程、
d)抗体が、b)のフロースルーにおいて、又は任意にb)及びc)のフロースルーにおいて、回収される工程
を更に含み、
それによって、フロースルーモードで動作するMM HIC/IEXを使用して抗体を製造する。
本発明による別の態様は、フロースルーモードで動作する、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モード/マルチモーダルクロマトグラフィー材料(MM HIC/IEX)を使用して(によって)、抗体を精製するための方法であって、
a)抗体が親水性抗体であり、
b)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXクロマトグラフィー材料に適用され、
それによって抗体を精製する、方法である。
定義及び実施形態
本明細書で使用される「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成されたモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を包含する。抗体断片並びに融合ポリペプチドは、それらがFc領域を有する限り、この定義に包含される。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書で抗体と互換的に使用される。
抗体は、種々の構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子であり、それらの構造は全て免疫グロブリン折り畳みに基づく。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖を有する。各重鎖及び軽鎖はそれ自体、「定常」(C)領域及び「可変」(V)領域を含む。V領域が抗体の抗原結合特異性を決定する一方で、C領域は、構造的支持を提供し、免疫エフェクタとの非抗原特異的相互作用において機能する。抗体又は抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性は、抗体が特定の抗原に特異的に結合する能力である。
抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴によって決定される。可変性は、可変ドメインの110アミノ酸長にわたって均等に分布していない。代わりに、V領域は、各々9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度に可変性の短い領域によって分離されている、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸長部からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用する4つのFRを含み、これらは、3つの超可変領域により連結され、これらは、βシート構造を連結し、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接近して保持されており、他方の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への寄与等の種々のエフェクタ機能を呈する。
各V領域は、典型的には、3つの相補性決定領域(各々が「超可変ループ」を含む「CDR」)、及び4つのフレームワーク領域を含む。したがって、特定の所望の抗原に対して実質的な親和性で結合するために必要とされる最小の構造単位である抗体結合部位は、典型的には、3つのCDRと、適切な立体構造でCDRを保持し、提示するためにそれらの間に散在する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域とを含む。古典的な4鎖抗体は、VHドメイン及びVLドメインによって協働して決定される抗原結合部位を有する。ラクダ抗体及びサメ抗体等の特定の抗体は、軽鎖を欠き、重鎖のみによって形成される結合部位に依存する。
「可変」という用語は、可変ドメインの特定の部分の配列が抗体間で広く異なり、且つ各特定の抗体の特定の抗原に対する結合及び特異性において使用されるという事実を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体にわたって均等に分布していない。これは、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方において超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、主にβシート構成を採用する4つのFRを含み、これらは、3つの超可変領域により連結され、これらは、βシート構造を連結し、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する。各鎖内の超可変領域は、FRによって共に近接近して保持されており、他方の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への寄与等の種々のエフェクタ機能を呈する。
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VLのおよそ24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)残基の周辺、並びにVHのおよそ31~35B(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)残基の周辺(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、及び/又は「超可変ループ」からのそれらの残基(例えば、VLの残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)、並びにVHの26~32(H1)、52A~55(H2)及び96~101(H3)(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))を含み得る。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体又は半抗体との関連での「ヒンジ領域」は、概して、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの伸長と定義される(Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖内S-S結合を形成する最初及び最後のシステイン残基を同じ位置に入れることによってIgG1配列と整列し得る。
Fc領域の「下部ヒンジ領域」は、通常、ヒンジ領域のすぐC末端にある残基の伸展、すなわち、Fc領域の残基233~239と定義される。本出願の前は、FcγR結合は、概して、IgG Fc領域の下部ヒンジ領域におけるアミノ酸残基に起因するものであった。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、IgGの残基約231から約340まで延びる。CH2ドメインは、他のドメインと密接に対になっていないという点で特有である。むしろ、2つのN結合分岐状炭水化物鎖がインタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に介在する。炭水化物がドメイン-ドメイン対合の代替を提供し、CH2ドメインを安定させるのに役立ち得ることが推測されている。Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985).
「CH3ドメイン」は、Fc領域におけるC末端からCH2ドメインまで(すなわち、IgGのアミノ酸残基約341からアミノ酸残基約447)の残基の伸展を含む。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共に全L鎖、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、概して、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる数個の残基を有する点でFab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインの1つ又は複数のシステイン残基が、遊離チオール基を持つFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元々、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成されたものであった。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つの超可変領域が相互作用してVH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するのは、この構成においてである。まとめると、6つの超可変領域は、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえも、抗原を認識してそれに結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性が低い。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端における少数の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が少なくとも1つの遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元来、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明らかに異なる型のうちの1つに割り当て得る。
抗体は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当て得る。インタクトな抗体には5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかは、更に、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分けられてもよい。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。
本明細書で使用される「半抗体」という用語は、一価の抗原結合ポリペプチドを指す。特定の実施形態において、半抗体は、VH/VL単位及び任意に免疫グロブリン定常ドメインの少なくとも一部を含む。特定の実施形態において、半抗体は、1つの免疫グロブリン軽鎖に関連する1つの免疫グロブリン重鎖、又はその抗原結合断片を含む。特定の実施形態において、半抗体は、単一特異的であり、すなわち、単一の抗原又はエピトープに結合する。当業者であれば、半抗体が、例えばラクダ科に由来する単一の可変ドメインからなる抗原結合ドメインを有し得ることを容易に理解するであろう。
「VH/VL単位」という用語は、少なくとも1つのVH HVRと少なくとも1つのVL HVRとを含む抗体の抗原結合領域を指す。特定の実施形態において、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVH HVRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は3つ全てのVL HVRとを含む。特定の実施形態において、VH/VL単位は、フレームワーク領域(FR)の少なくとも一部を更に含む。いくつかの実施形態において、VH/VL単位は、3つのVH HVRと3つのVL HVRとを含む。いくつかの実施形態において、VH/VL単位は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つ全てのVH FRと、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つ全てのVL FRとを含む。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つ若しくはそれ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、又は2つ若しくはそれ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体等)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VL単位は、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VL単位は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。そのような多重特異性抗体には、完全長抗体、2つ以上のVLドメイン及びVHドメインを有する抗体が含まれるが、これらに限定されない。重鎖定常領域の少なくとも一部及び/又は軽鎖定常領域の少なくとも一部を更に含むVH/VL単位は、「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施形態において、半抗体は、単一の重鎖可変領域の少なくとも一部及び単一の軽鎖可変領域の少なくとも一部を含む。いくつかのそのような実施形態において、2つの半抗体を含み、且つ2つの抗原に結合する二重特異性抗体は、第1の抗原又は第1のエピトープに結合するが、第2の抗原又は第2のエピトープには結合しない第1の半抗体、及び第2の抗原又は第2のエピトープに結合するが、第1の抗原又は第1のエピトープには結合しない第2の半抗体を含む。いくつかの実施形態において、半抗体は、第2の半抗体との分子内ジスルフィド結合を形成するのに十分な重鎖可変領域の部分を含む。いくつかの実施形態において、半抗体は、例えば、相補的ホール変異又はノブ変異を含む第2の半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ変異又はホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、以下で更に論じられる。
「二重特異性抗体」は、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができるか、又は2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体である。二重特異性抗体はまた、本明細書において、「二重特異性」を有するもの、又は「二重特異性」であるとも称される。別途指示されない限り、二重特異性抗体によって結合される抗原が二重特異性抗体名で列記される順序は無作為である。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体は、2つの半抗体を含み、各半抗体は、単一の重鎖可変領域及び単一の軽鎖可変領域を含み、第1の半抗体は、第1の抗原に結合し、第2の抗原には結合せず、第2の半抗体は、第2の抗原に結合し、第1の抗原には結合しない。
本明細書で使用される「ノブ・イントゥ・ホール」又は「KiH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する接触面で一方のポリペプチド中に隆起(ノブ)を導入し、他方のポリペプチド中に空洞(ホール)を導入することによって、インビトロ又はインビボでの対合を指向する技術を指す。例えば、KiHは、抗体のFc:Fc結合接触面、CL:CH1接触面、又はVH/VL接触面に導入されている(例えば、米国特許出願公開第2011/0287009号、同第2007/0178552号、国際公開第96/027011号、国際公開第98/050431号、及びZhu et al.,1997,Protein Science6:781-788を参照)。いくつかの実施形態において、KiHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖の対合が一緒にもたらされる。例えば、それらのFc領域内にKiHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインを更に含み得るか、又は類似の若しくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインを更に含み得る。KiH技術を使用して、2つの異なる受容体細胞外ドメインを一緒に、又は異なる標的認識配列(例えば、アフィボディ(affibody)、ペプチボディ(peptibody)、及び他のFc融合物を含む)を含む任意の他のポリペプチド配列を対合することもできる。
本明細書で使用される「ノブ突然変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面で隆起(ノブ)をポリペプチドに導入する突然変異を指す。いくつかの実施形態において、他方のポリペプチドは、ホール変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、同第8,216,805号を参照。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
本明細書で使用される「ホール突然変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面で空洞(ホール)をポリペプチドに導入する突然変異を指す。いくつかの実施形態において、他方のポリペプチドは、ノブ変異を有する(例えば、米国特許第5,731,168号、同第5,807,706号、同第5,821,333号、同第7,695,936号、同第8,216,805号を参照。これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に援用される)。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、モノクローナル抗体の産生中に生じ得る想定される変異体を除いて、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合し、かかる変異体は、一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンによって汚染されない点でも有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本明細書で提供される方法に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler et al.,Nature 256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよく、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離され得る。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来するか又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれらが所望の生物学的活性を呈する限りはそのような抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル、又はカニクイザル等の旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる(米国特許第5,693,780号)。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の超可変領域の残基を、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類の超可変領域の残基で置き換えた抗体である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基に置き換えられる。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、上述のFR置換(複数可)を除いて、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、且つFRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリンの定常領域、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。
特定の実施形態において、二重特異性抗体は、以下
ドメイン交換された1+1二重特異性抗体(CrossMab)
(第1のFab断片を含む第1の軽鎖と第1重鎖との対、並びに第2のFab断片を含む第2の軽鎖と第2重鎖との対を含む二重特異性完全長IgG抗体であって、
第1のFab断片において、
a)CH1及びCLドメインのみが、互いに置き換えられているか(すなわち、第1のFab断片の軽鎖はVL及びCH1ドメインを含み、第1のFab断片の重鎖はVH及びCLドメインを含む)、
b)VH及びVLドメインのみが、互いに置き換えられているか(すなわち、第1のFab断片の軽鎖はVH及びCLドメインを含み、第1のFab断片の重鎖はVL及びCH1ドメインを含む)、又は
c)CH1及びCLドメイン並びにVH及びVLドメインが、互いに置き換えられており(すなわち、第1のFab断片の軽鎖はVHドメイン及びCH1ドメインを含み、第1のFab断片の重鎖はVLドメイン及びCLドメインを含む)、
第2のFab断片が、VL及びCLドメインを含む軽鎖と、VH及びCH1ドメインを含む重鎖とを含み、
第1の重鎖及び第2の重鎖が、両方ともCH3ドメインを含み、両方のCH3ドメインが、第1の重鎖及び第2の重鎖のヘテロ二量体化を支援するために、それぞれのアミノ酸置換によって相補的に操作されている(好ましい一実施形態において、1つのCH3ドメインはノブ変異を含み、それぞれの他のCH3ドメインはホール変異を含む)、二重特異性完全長IgG抗体);
C末端融合2+1二重特異性抗体(2+1Cフォーマット)
(二重特異性完全長IgG抗体であって、
a)全長抗体軽鎖と全長抗体重鎖のそれぞれ2対を含む1つの全長抗体であって、全長重鎖と全長軽鎖のそれぞれの対により形成される結合部位が、第1の抗原に特異的に結合する、1つの全長抗体と、
b)1つのさらなる結合ドメイン、例えば受容体リガンドであって、さらなる結合ドメインが完全長抗体の1つの重鎖のC末端に融合されている、1つのさらなる結合ドメインと、を含む、二重特異性完全長IgG抗体);
N末端Fabドメイン挿入2+1二重特異性抗体(2+1 Nフォーマット;TCB)
(ドメイン交換を伴うさらなる重鎖N末端結合部位を有する二重特異性完全長抗体であって、
- 第1及び第2のFab断片であって、第1及び第2のFab断片の各結合部位が第1の抗原に特異的に結合する、第1及び第2のFab断片と、
- 第3のFab断片であって、第3のFab断片の結合部位が第2の抗原に特異的に結合し、第3のFab断片が、可変軽鎖ドメイン(VL)及び可変重鎖ドメイン(VH)が互いに置き換えられるようなドメインクロスオーバーを含む、第3のFab断片と、
- 第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域と、を含み、
第1のFab断片及び第2のFab断片は、それぞれ、重鎖断片及び全長軽鎖を含み、
第1のFab断片の重鎖断片のC末端は、第1のFc領域ポリペプチドのN末端に融合されており、
第2のFab断片の重鎖断片のC末端は、第3のFab断片の可変軽鎖ドメインのN末端に融合されており、第3のFab断片のCH1ドメインのC末端は、第2のFc領域ポリペプチドのN末端に融合されている、二重特異性完全長抗体)
からなる二重特異性抗体の群から選択される。
本明細書で使用される「ドメインクロスオーバー」という用語は、抗体重鎖VH-CH1断片とその対応する同族の抗体軽鎖とのペアにおいて、すなわち抗体Fab(断片抗原結合)において、少なくとも1つの重鎖ドメインが、対応する軽鎖ドメインによって置換されている、若しくはその逆、という点について、ドメイン配列が天然型の抗体の配列から逸脱していることを意味する。ドメインクロスオーバーは、一般的に3種類あり、(i)CH1及びCLドメインのクロスオーバーであって、軽鎖中のドメインクロスオーバーによってVL-CH1ドメイン配列がもたらされ、重鎖断片中のドメインクロスオーバーによってVH-CLドメイン配列(又はVH-CL-ヒンジ-CH2-CH3ドメイン配列を有する完全長抗体重鎖)がもたらされるもの、(ii)VH及びVLドメインのドメインクロスオーバーであって、軽鎖中のドメインクロスオーバーによってVH-CLドメイン配列がもたらされ、重鎖断片中のドメインクロスオーバーによってVL-CH1ドメイン配列がもたらされるもの、並びに(iii)完全な軽鎖(VL-CL)及び完全なVH-CH1重鎖断片のドメインクロスオーバー(「Fabクロスオーバー」)であって、ドメインクロスオーバーによってVH-CH1ドメイン配列を有する軽鎖がもたらされ、ドメインクロスオーバーによってVL-CLドメイン配列を有する重鎖断片がもたらされるもの(上述の全てのドメイン配列は、N末端からC末端への方向で示されている)がある。
本明細書で使用される場合、対応する重鎖ドメイン及び軽鎖ドメインに関して「互いに置き換えられた」という用語は、上述のドメインクロスオーバーを指す。そのため、CH1及びCLドメインが「互いに置き換えられた」場合、この用語は、項目(i)の下で言及されたドメインクロスオーバー、並びに結果として生じる重鎖及び軽鎖ドメイン配列を指す。したがって、VH及びVLが「互いに置き換えられた」場合、この用語は、項目(ii)の下で言及されたドメインクロスオーバーを指し、またCH1及びCLドメインが「互いに置き換えられ」、且つVH及びVLドメインが「互いに置き換えられた」場合、該用語は、項目(iii)の下で言及されたドメインクロスオーバーを指す。
特定の実施形態において、Fc領域含有ポリペプチド又は抗体は、二重特異性抗体又はFc融合タンパク質である。
本発明による方法では、親水性mab(保持時間mab≦保持時間リツキシマブ)についてのみ、アンチカオトロピック塩の非存在下で同じ導電率を有する負荷溶液と比較して、負荷溶液へのアンチカオトロピック塩の添加によって改善されたHMW除去が達成されることが示された。これとは対照的に、疎水性mab(保持時間mab>保持時間リツキシマブ)では、アンチカオトロピック塩の添加によるプラスの影響は観察されなかった。
本発明による「親水性抗体」という用語は、同じHICカラム及び同じクロマトグラフィー条件下でのリツキシマブのHIC保持時間以下の疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムでの保持時間を有する抗体を示す。同様に、本発明による「疎水性抗体」は、同じHICカラム及び同じクロマトグラフィー条件下でのリツキシマブのHIC保持時間よりも長い疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムでの保持時間を有する抗体を示す。言い換えれば、保持時間≦保持時間リツキシマブを有するman、すなわち、リツキシマブと同じ又はより短い保持時間を有するmabは、親水性であると定義され、保持時間>保持時間リツキシマブを有するmab、すなわち、リツキシマブの保持時間よりも長い保持時間を有するmabは、疎水性であると定義される。
保持時間を決定するための方法は、材料及び方法のセクションのポイント10に記載されている。この方法で決定されたmabの保持時間は、19分~41分の範囲であった。mabの保持時間の概要を表MM-1に示す。リツキシマブの保持時間は、親水性及び疎水性mabを定義するためのカットポイントであることが分かった。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、親水性抗体は、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料上で、(同じHIC材料上及び同じ操作条件下で)リツキシマブと同等以下の保持時間を有する抗体である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を含有する。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとして以下の構造(-(OCHCHOH)を有するポリエーテル基を含有する。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフ(HIC)材料は、ポリメタクリレート基材/マトリックスを含む。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を含有し、100nmの平均孔径及び10μmの粒径を有する。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料は、TSKgel(登録商標)Ether-5PWクロマトグラフィー材料である。上記態様の好ましい一実施形態及び他の実施形態において、HICクロマトグラフィー材料での保持時間は、(上記の他の5つの実施形態のいずれか1つの)HICクロマトグラフィー材料を使用して、カラム長75mm、内径7.5mm、溶出緩衝液勾配8.8ml/分の流速で決定され、抗体は1mg/mlの濃度でクロマトグラフィー材料に適用される。
当業者は、所与の抗体の溶出のための緩衝液勾配を決定する方法を知っている。適切な溶出緩衝液勾配は、本明細書において、材料及び方法のセクションのポイント10(保持時間及び疎水性の決定)、特にポイント10.8に記載されている。
本明細書で互換的に使用される「ローディング密度」又は「ローディング容量」又は「負荷密度」又は「負荷容量」又は「負荷量」は、ある体積のクロマトグラフィー材料、例えばリットルと接触させる抗体又はタンパク質の量、例えばグラムを指す。いくつかの例では、ローディング密度は、g/Lで表される。
上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料(すなわち、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料)の負荷量は、10g/L以上、すなわち、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質10g(10g/L)以上である。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、15g/L以上である。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、20g/L以上である。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、30g/L以上である。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は40g/L以上である。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は50g/L以上である。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料(すなわち、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料)の負荷量は、10g/L~650g/Lであり(及びこれを含み)、すなわち、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質10g(10g/L)~クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質650g(650g/L)である。上記態様の特定の実施形態及び上記態様の他の実施形態並びに他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、30g/L~600g/Lである(及びこれを含む)。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、50g/L~500g/Lである(及びこれを含む)。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、50g/L~400g/Lである(及びこれを含む)。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXクロマトグラフィー材料の負荷量は、15g/L~350g/Lである(及びこれを含む)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「塩」への言及は、複数の、例えば1~3、又は1~2のそのような塩を含む。同様に、「a」(又は「an」)、「1つ以上の」及び「少なくとも1つの」という用語も、本明細書において交換可能に使用され得る。
「約」という用語は、その後の値が正確な値ではなく、値の+/-10%、又は値の+/-5%、又は値の+/-2%、又は値の+/-1%である範囲の中心点であることを示す。値がパーセンテージで与えられる相対値である場合、「約」という用語はまた、その後の値が正確な値ではなく、値の+/-10%、又は値の+/-5%、又は値の+/-2%、又は値の+/-1%である範囲の中心点であり、それによって範囲の上限が100%の値を超えることができないことを示す。
「細胞」又は「宿主細胞」という用語は、例えば異種ポリペプチドをコードする核酸がトランスフェクトされ得る又はトランスフェクトされる細胞を指す。「細胞」という用語は、核酸の発現及びプラスミドの増殖を含むコードされたポリペプチドの産生に使用される原核細胞と、核酸の発現及びコードされたポリペプチドの産生に使用される真核細胞の両方を含む。一実施形態において、真核細胞は哺乳動物細胞である。一実施形態において、哺乳動物細胞はCHO細胞であり、任意にCHO K1細胞(ATCC CCL-61又はDSM ACC 110)、又はCHO DG44細胞(CHO-DHFR[-]としても知られている、DSM ACC 126)、又はCHO XL99細胞、CHO-T細胞(例えば、Morgan,D.,et al.,Biochemistry 26(1987)2959-2963を参照)、又はCHO-S細胞、又はSuper-CHO細胞(Pak,S.C.O.,et al.Cytotechnology 22(1996)139-146)である。これらの細胞が無血清培地中又は懸濁液中での増殖に適合されていない場合、本方法での使用前に適合を行うべきである。本明細書で使用される場合、発現「細胞」には、対象細胞及びその子孫が含まれる。そのため、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という語は、移入又は継代の回数にかかわらず初代対象細胞及びそれ由来の培養物を含む。また、全ての子孫は、意図的な、又は想定外の変異に起因して、DNA含量において厳密に同一でない場合があることが理解される。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫が含まれる。
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリンの結合パートナーへの結合に直接関与しないが、様々なエフェクタ機能を示す免疫グロブリンの部分を表す。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは以下のクラスに分けられる:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM。これらのクラスのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のIgG、又はIgA1及びIgA2のIgAに更に分けられる。免疫グロブリンが属するクラスによれば、免疫グロブリンの重鎖定常領域は、それぞれα(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)、及びμ(IgM)と呼ばれる。
「Fc領域」という用語は、本明細書では、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域断片を定義するために使用される。該用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域とを含む。一実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)又はグリシン-リジンジペプチド(Gly446-Lys447)は、それぞれ存在しても存在しなくてもよい。ナンバリングはKabat EUインデックスに従う。
免疫グロブリンの「Fc領域」は、当業者に周知の用語であり、完全長免疫グロブリンのパパイン切断に基づいて定義される。
本明細書に記載される抗体は常にFc領域を含有するため、本明細書に報告される抗体はFc領域含有ポリペプチド又は抗体である。
「(抗体の)定常領域」という用語は、本明細書では、可変ドメインを除く免疫グロブリン重鎖の部分を定義するために使用される。
「抗体関連高分子量(HMW)不純物」という用語は、ほぼ二量体(製造又は精製されている同じ所望の抗体/標的分子モノマー)の分子量又はより高分子量を有する不純物を指す。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、約250kDa以上の分子量を有する。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、約285kDa以上の分子量を有する。特定の実施形態において、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、約300kDa以上の分子量を有する。好ましい実施形態において、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、所望の抗体/標的分子の少なくとも二量体、三量体、又は任意の多量体である。したがって、特定の実施形態において、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、ほぼ同じ抗体の二量体の分子量又はより高分子量を有する不純物である。更に、それは、所望の抗体/標的分子の断片(半抗体のような)も含み得る。例えば、抗体関連高分子量(HMW)不純物は、標的抗体の二量体又は三量体+断片である。
HMW不純物を測定する方法は当該技術分野で公知であり、例えば国際公開第2011/150110号に記載されている。そのような方法としては、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)及び液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)が挙げられる。
HMW不純物は、実施例のセクションに記載されるように決定され得る。
「ウイルス不純物」又は「ウイルス不純物含有量」という用語は、ウイルス又はウイルス粒子による不純物を指す。実用上及び安全上の理由から、ウイルス不純物混入は、実際のウイルス/ウイルス不純物の代用としてレトロウイルス様粒子(RVLP)を用いて分析される。RVLPは、RNA含有量の決定によって(例えば、定量的逆転写酵素(RT)PCRによって)決定することができる。
上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物及び/又は少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物がフロースルーから回収され、
- それによって、抗体関連HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物及び少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物がフロースルーから回収され、
- それによって、抗体関連HMW不純物含有量が低減された及びウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つの抗体関連HMW不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- 抗体関連HMW不純物含有量が低減された抗体組成物をフロースルーから回収し、
- それにより、抗体関連HMW不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される。
態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体関連(HMW)不純物含有量は、工程b)でMM HIC/IEXに適用される溶液と比較して低減される。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、抗体関連(HMW)不純物含有量は、アンチカオトロピック塩を本質的に含まない溶液と比較して、及び/又は疎水性抗体を含む溶液と比較して、低減される。
上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、
- 方法は、ウイルス不純物含有量/ウイルス不純物が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
- 抗体と、少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、抗体がMM HIC/IEXに適用され、
- ウイルス不純物含有量/ウイルス不純物が低減された抗体組成物をフロースルーから回収し、
- それにより、ウイルス不純物含有量/ウイルス不純物が低減された抗体組成物が製造される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、ウイルス不純物含有量/ウイルス不純物は、工程b)でMM HIC/IEXに適用された溶液と比較して低減される。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、ウイルス不純物含有量/ウイルス不純物は、アンチカオトロピック塩を本質的に含まない溶液と比較して、及び/又は疎水性抗体を含む溶液と比較して、低減される。
本明細書で使用される場合、「混合モードクロマトグラフィー」又は「混合モードクロマトグラフィー材料」又は「MM HIC/IEX」という用語は、疎水性相互作用(HIC)官能性/部分及びイオン交換(IEX)官能性/部分を含む混合モード又はマルチモーダル(MM)クロマトグラフィー材料を指す(「混合モード」及び「マルチモーダル」という用語は互換的に使用することができる)。言い換えれば、混合モードクロマトグラフィー材料は、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む。したがって、それは、1つのクロマトグラフィー材料中に少なくとも2つの官能性を併せ持つ。MMIEXクロマトグラフィー材料は、他の官能性、例えば水素結合相互作用を更に含み得る。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、疎水性相互作用官能基に加えて、アニオン交換官能基又はカチオン交換官能基(イオン交換官能基として)を含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、アニオン交換官能基(イオン交換官能基として)を含む。次いで、この材料は、主にアニオン交換(AEX)及び疎水性相互作用官能性(HIC)を併せ持つ。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、強アニオン交換官能基を含む(すなわち、マルチモーダル強アニオン交換クロマトグラフィー材料である)。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(官能基として)帯電した窒素原子及び環構造を含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(イオン交換官能基として)四級アミンを含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(イオン交換官能基として)四級アミン及び(マトリックスとして)高度に架橋されたアガロースを含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(官能基として)N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン及び(マトリックスとして)高度に架橋されたアガロースを含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)adhere ImpRes、Capto(商標)Adhere又はNuvia aPrime4Aである。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)adhere ImpRes、又はCapto(商標)Adhereである。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(イオン交換官能基として)カチオン交換官能基を含む。次いで、この材料は、主にカチオン交換(CEX)官能性及び疎水性相互作用(HIC)官能性を組み合わせる。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、弱カチオン交換官能基を含む(すなわち、マルチモーダル弱カチオン交換クロマトグラフィー材料である)。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(イオン交換官能基として)弱カチオン交換官能基及び(マトリックスとして)高度に架橋されたアガロースを含む。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、(イオン交換官能基として)N-ベンゾイルホモシステイン及び(マトリックスとして)高架橋アガロースを含む。上記の態様の好ましい一実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)MMC又はCapto(商標)MMC ImpResである。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、MM HIC/IEXは、Capto(商標)MMC ImpResである。
「アンチカオトロピック塩」(又はコモトロピック塩)という用語は、タンパク質立体配座をより水に溶けにくくすることができる化学的化合物を指す。アンチカオトロピック剤は、水-水相互作用の安定性及び構造に寄与する非共有結合力によって媒介される分子内相互作用を妨害することによって、系のエントロピーを減少させる。アンチカオトロピック塩は、典型的には、水分子を有利に相互作用させ、これはまた、高分子中の分子間相互作用を安定化させる。アンチカオトロピック塩は、イオン性及び/又は非イオン性であり得る。そのようなアンチカオトロピック剤の例としては、NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaCl等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の態様の特定の実施形態及び本明細書に報告される他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、塩化物、硫酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩又はフッ化物からなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、塩化物、硫酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は酢酸塩からなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、塩化物又は硫酸塩からなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)又はカリウム(K)を含む塩化物、硫酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩又はフッ化物からなる群から選択される。上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。
好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩はナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)又はカリウム(K)を含む塩化物、硫酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又は酢酸塩からなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩はナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)又はカリウム(K)を含む、塩化物又は硫酸塩からなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩はナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、ナトリウム(Na)、アンモニウム(NH4)又はカリウム(K)を含む、塩化物又は硫酸塩からなる群から選択される。好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩はナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩である。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、(NHSO、NaSO、KSO、NaCl、KCl及びCaClからなる群から選択される。上記態様の好ましい実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、(NHSO、NaSO、KSO、NaCl及びKClからなる群から選択される。一実施形態において、アンチカオトロピック塩は、(NHSO、NaSO、及びKSOからなる群から選択される。好ましい一実施形態において、アンチカオトロピック塩はNaSOである。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、アンチカオトロピック塩は、1.285~4.183×10E3 dyn*g*cm-1*mol-1の範囲の及びこれを含むモル表面張力増分を有する。好ましい実施形態において、アンチカオトロピック塩は、1.3~3.0×10E3dyn*g*cm-1*mol-1の範囲の及びこれを含むモル表面張力増分を有する。更に好ましい実施形態において、アンチカオトロピック塩は、1.46~2.86×10E3dyn*g*cm-1*mol-1の範囲の及びこれを含むモル表面張力増分を有する。
当業者は、モル表面張力の増分を決定する方法を知っている。この点に関する情報は、例えば、Laurel M.Pegram and M.Thomas Record,Jr.,J.Phys.Chem.B 2007,111,5411-5417、及びJan-Christer Janson;Hydrophobic Interaction Chromatography,p.170,table 6.2に見出すことができる。
「フロースルー」、「フロースルーモード(flowtrough mode)」、「フロースルーモードで動作される」という用語又は同様の表現は、目的のタンパク質又は抗体がクロマトグラフィー材料に有意に結合しないようにクロマトグラフィーの条件(例えば、pH、緩衝液の含有量及び濃度、導電率等)が選択されるようにクロマトグラフィーを実施又は動作させる方法を指す。代わりに、目的のタンパク質又は抗体がクロマトグラフィー材料を通って流れる。本質的に全く結合が起こらないため、(結合溶出操作モードの場合のように)目的のタンパク質又は抗体をクロマトグラフィー材料から放出するために溶出が行われる必要もない。クロマトグラフィーカラム内に残っている残留タンパク質又は目的の抗体を回収するために、目的のタンパク質又は抗体を含む溶液をクロマトグラフィー材料に完全にローディングした(すなわち、目的のタンパク質を適用した)後に、(例えば、平衡化緩衝液又は同様の溶液を用いて)クロマトグラフィー材料をすすぐ追加の工程を行うことが有益であり得る。したがって、クロマトグラフィー材料が「フロースルーモードで動作される」場合、これは、目的の抗体/タンパク質を含む精製又は製造される溶液を適用する工程;目的の抗体/タンパク質をクロマトグラフィー材料に流す工程(及びそれにより、目的の抗体/タンパク質を不純物から分離することによって目的の抗体/タンパク質を精製する工程);及びフロースルー(画分)中の目的の抗体/タンパク質を回収する工程を含む。任意に、すすぎ工程を実施することができる。
当業者は、フロースルーモードで動作するためにクロマトグラフィー条件をどのように選択しなければならないかを知っている。例えば、フロースルー条件を達成するために、当業者は、分子のpI(等電点)に応じて、目的の分子がクロマトグラフィー材料に有意に結合しないようにpHを選択しなければならないことを理解している。pHが分子のpIより低い場合、分子は正に帯電しており、アニオン交換官能基を有する混合モードクロマトグラフィー材料に有意に結合しない。一方、pHが分子のpIよりも高い場合、分子は負に帯電しており、カチオン交換官能基を有する混合モードクロマトグラフィー材料に有意に結合しない。
当業者は、クロマトグラフィー条件がpHの値によって影響され得ることを知っている。上記のように、pH値の選択は、分子のpI及び達成されるべき条件に大きく依存する。
全ての態様の一実施形態において、抗体及び(工程bの)アンチカオトロピック塩を含む溶液は、4.0以上のpH値を有する。全ての態様の一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、4.5以上のpH値を有する。全ての態様の一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.0以上のpH値を有する。全ての態様の一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.5以上のpH値を有する。好ましい一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、6.0以上のpH値を有する。全ての態様の一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、7.0以上のpH値を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、3.5~9.5のpH値を有する。好ましい一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、4.0~9.0のpH値を有する。一実施形態において、(工程bの)抗体をアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.0~8.5のpH値を有する。好ましい一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.5~8.5のpH値を有する。一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.5~8.0のpH値を有する。一実施形態において、(工程bの)抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5.0~8.0のpH値を有する。
当業者は、クロマトグラフィー条件が導電率条件によって影響され得ることを知っている。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5mS/cm以上の導電率を有する。好ましい一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~120mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~100mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~80mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~60mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~50mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、0.5~30mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。好ましい一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、4~25mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、10~20mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。特に、一実施形態におけるウイルス不純物の除去に関して、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、5~25mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、8~22mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、10~20mS/cm(及びこれを含む)の導電率を有する。
上記態様の特定の実施形態及び他の実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、5mM以上のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。好ましい一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、10mM以上のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、20mM以上のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、5mM~1000mM(及びこれを含む)のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。好ましい一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、10mM~900mM(及びこれを含む)のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中、アンチカオトロピック塩は、15mM~850mMのアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。特にウイルス不純物の除去に関して、一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、50mM~400mM(及びこれを含む)のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、50mM~300mM(及びこれを含む)のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。一実施形態において、抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液は、50mM~250mM(及びこれを含む)のアンチカオトロピック塩のモル濃度を有する。
アンチカオトロピック塩は、MM HIC/IEXにロードされた溶液に添加することができ、及び/又はMM HIC/IEXの前に実施された方法工程からMM HIC/IEXにロードされた溶液中に存在し得ることが理解される。例えば、アンチカオトロピック塩は、先のクロマトグラフィー工程で溶液中に存在していた可能性がある。
以下の実施例及び図は、本発明の理解を助けるために提供されており、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示されている。本発明の趣旨から逸脱することなく、示された手順に修正を加えることができると理解される。
pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab1の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab4の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab5の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、1.5Mトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab8の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RC上での親水性mab2のフロースループールについてのHMW除去[%]を計算するための、負荷条件20mS/cmの導電率での1.5Mトリス/酢酸塩、pH8、及び20mS/cmの導電率での負荷条件70mMトリス/酢酸塩、100mM(NHSO4、pH8についての傾向線の図2への導入。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RC上での疎水性mab7のフロースループールについてのHMW除去[%]を計算するための、負荷条件20mS/cmの導電率での1.5Mトリス/酢酸塩、pH8、及び20mS/cmの導電率での負荷条件70mMトリス/酢酸塩、100mM(NHSO4、pH8についての傾向線の図6への導入。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで図8Aに導入された傾向線を使用した、20mS/cmの導電率での1.5Mトリス/酢酸塩、pH8の負荷条件、及び20mS/cmの導電率での70mMトリス/酢酸塩、100mM(NHSO、pH8の負荷条件についての親水性mab2のフロースループールについての計算されたHMW除去[%]の比較。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで図8Bに導入された傾向線を使用した、20mS/cmの導電率での1.5Mトリス/酢酸塩、pH8の負荷条件、及び20mS/cmの導電率での70mMトリス/酢酸塩、100mM(NHSO、pH8の負荷条件についての疎水性mab7のフロースループールについての計算されたHMW除去[%]の比較。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の親水性mab1の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の親水性mab2の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の親水性mab4の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の親水性mab5の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の疎水性mab6の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の疎水性mab7の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び20mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO又はKClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、1.0Mトリス/クエン酸塩緩衝液中の疎水性mab8の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び10mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、300mMトリス/クエン酸塩緩衝液中の親水性mab2の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH6及び10mS/cmの負荷伝導率の負荷条件場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/クエン酸塩緩衝液と比較した、300mMトリス/クエン酸塩緩衝液中の疎水性mab7の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び10mS/cmの伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、400mMトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 pH8及び10mS/cmの伝導率の負荷条件の場合の、MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCでの、フロースルーモードでのアンチカオトロピック塩NaSO、KCl、(NHSO、KSO又はNaClを含有する70mMトリス/酢酸塩緩衝液と比較した、400mMトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7の総負荷量[mgタンパク質/mLクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩NaSOを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩NaClを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩(NHSOを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩KClを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpRes RCで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩KSOを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab4のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大650mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab4のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab4のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab4のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたロボットフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量で、最大1000mMのモル濃度までトリスモル濃度を増加させるトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhereを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Nuvia aPrimeを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere を用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Nuvia aPrimeを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩KClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhereを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Nuvia aPrimeを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩Gua/HClを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhereを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Nuvia aPrimeを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するカオトロピック塩尿素を含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.5~pH8.0で最大650mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩(NHSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 AEXクロマトグラフィー媒体Q Sepharose FFを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大800mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 AEXクロマトグラフィー媒体Q Sepharose FFを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大450mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 HICクロマトグラフィー媒体Phenyl Sepharose 6 FFを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大650mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 HICクロマトグラフィー媒体Phenyl Sepharose 6 FFを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大650mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMCEX Capto(商標)MMC ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大800mMのモル濃度及び75gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 MMCEX Capto(商標)MMC ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH4.0~pH9.0で最大650mMのモル濃度及び75gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩NaSOを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab6のフロースルー試料のHMW除去値[%]。 実験室規模のMMAEX Capto(商標)adhere ImpResカラムで、異なるモル濃度のNaSO(40mMのNaSOと比較して20mM)を含有するpH8及び9mS/cmの導電率での2つの負荷による親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 実験室規模のCapto(商標)adhere ImpResカラムで、70mMのトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩NaSOを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 実験室規模のMMAEX Capto(商標)adhere ImpResカラムで、70mMのトリス/酢酸塩、pH7及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩NaSOを含有する負荷条件での親水性mab2の総負荷量[gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体]の増加に伴うフロースルー画分のメインピーク値[%]。 プールのメインピーク値は、実験室規模のMMAEX Capto(商標)adhere ImpResカラムで、70mMのTトリス/酢酸塩、pH8及び異なるモル濃度のアンチカオトロピック塩salt NaSOを含有する負荷条件で、150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷量での親水性mab2の画分の平均メインピーク値を使用して計算した。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大400mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab1のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大400mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大400mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大400mMのモル濃度及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab9のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大34mS/cmの導電率及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab1のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大34mS/cmの導電率及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大34mS/cmの導電率及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0で最大34mS/cmの導電率及び150gタンパク質/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを含有するトリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab9のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量でトリスモル濃度を最大1100mMまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab1のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量でトリスモル濃度を最大1100mMまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量でトリスモル濃度を最大1100mMまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量でトリスモル濃度を最大1100mMまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab9のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量で導電率を最大19mS/cmまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab1のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量で導電率を最大19mS/cmまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の親水性mab2のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量で導電率を最大19mS/cmまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab7のフロースルー試料のRNA対数減少。 MMAEX Capto(商標)adhere ImpResを用いたフィルタプレート実験を使用して、pH5.0~pH8.0及び150gprotein/Lクロマトグラフィー媒体の負荷容量で導電率を最大19mS/cmまで増加させた、トリス/酢酸塩緩衝液中の疎水性mab9のフロースルー試料のRNA対数減少。
実施例部分
材料及び方法
1.タンパク質
本明細書で使用される分子は、チャイニーズハムスター卵巣細胞で産生されたヒト化IgG1モノクローナル抗体(mab)であった。混合モードクロマトグラフィーカラムをロードするために使用した出発材料は、アフィニティークロマトグラフィーカラム溶出液(「アフィニティーカラムプール」と表記する)であった。分子は、標準的なIgG様mab及び複合抗体フォーマット、例えば二重特異性CrossMabフォーマット、結合リガンドを含有するmab(2+1 Cフォーマット)及びT細胞結合mab(2+1 Nフォーマット;TCB)を包含した。分子のpIは8.0~9.4の範囲内であった。
RVLP除去試験のために、混合モードクロマトグラフィーカラムにロードするために使用した出発物質は、第2のカラムクロマトグラフィー溶出液(すなわち、アフィニティークロマトグラフィー及びその後の第2のクロマトグラフィーラン後の溶出液;「第2のカラムプール」と表記する)であった。第2のクロマトグラフィーランは、例えば、カチオン交換クロマトグラフィー材料(例えばmab9の場合のように)、アニオン交換クロマトグラフィー材料、又は混合モードアニオン交換クロマトグラフィー材料(例えばmab1、mab2又はmab7の場合のように)等の混合モードクロマトグラフィー材料で行われ得る。
保持時間を決定するための方法は、材料及び方法の項目10において以下に記載される。この方法で決定されたmabの保持時間は、19分~41分の範囲であった。mabの保持時間の概要を表1に示す。リツキシマブの保持時間は、親水性及び疎水性mabを定義するためのカットポイントであることが分かった。保持時間≦保持時間リツキシマブを有する、すなわち、リツキシマブと同じ又はより短い保持時間を有するMabは、親水性であると定義され、保持時間>保持時間リツキシマブを有する、すなわち、より長い保持時間を有するMabは、疎水性であると定義される。
(表MM-1)Mab及び保持時間
Figure 2024514306000001
2.化学物質
HPO、KHPO、KCl、NaHPOx2HO、NaHPOxHO、エタノール、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、酢酸、クエン酸、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、グアニジニウム/塩酸塩、尿素、NaOHは、以下に列挙する製造業者から購入し、製造業者によって提供たままで使用した。
Merck KGaA:KHPO、KHPO、KCl、NaHPOx2HO、NaHPOxHO、エタノール、酢酸、クエン酸、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化グアニジニウム、尿素、NaOH
ANGUS Chemie GmbH:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
Sigma Aldrich及びMerck KGaA:硫酸アンモニウム
Thermo Fisher Scientific GmbH:硫酸カリウム
3.Robocolumn(RC)
Robocolumns(商標)(RC)を、Repligen GmbH(レーベンスブルク、ドイツ国)から購入した:
- Capto(商標)adhere ImpRes;PN 01100408R;200μL
4.クロマトグラフィー樹脂
以下のクロマトグラフィー樹脂を本明細書で使用した:
- Capto(商標)adhere ImpRes(Cytiva(旧GE Healthcare)、ウプサラ、スウェーデン国)
- Capto(商標)adhere(Cytiva(旧GE Healthcare))
- Nuvia aPrime 4A(Bio-Rad Laboratories,Inc.、米国)
- Q Sepharose FF(Cytiva(旧GE Healthcare))
- フェニルセファロース6 FF(高sub)(Cytiva(旧GE Healthcare))
- Capto(商標)MMC ImpRes(Cytiva(旧GE Healthcare))
5.ロボット実験装置
- フィルタプレート:PALL;AcroPrep Advance 96ウェル、1mL、0.45μm、REF 8184
- MTP UVプレート:UVマイクロタイタープレート、Thermo Scientific
6.負荷調製のための材料
- 遠心分離:Heraeus Multifig 3 S-R;ロータ:75006445
- Amicon超遠心分離フィルタ(Merck Millipore、Ultracel-30K)
- Slide-A-Lyzer透析カセット(Thermo Scientific、20 000-30 000 MWCO)
- Minisartシリンジフィルタ(Sartorius Minisart High Flow、0.22μm)
7.ロボットシステム
7.1.Tecan Freedom EVO 150
RCランを実行するために、Tecan Freedom EVO 150(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)液体操作システム(LHS)を使用した。EVO150は、一方の液体処理アーム(LiHa)及び一方の偏心グリッパ、RC用のアトールブリッジ及びInfinite M200 NanoQuantプレートリーダ(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)を備えていた。LHSを、ソフトウェアFreedom EVOware(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)によって制御した。プレートリーダを制御するために使用したソフトウェアは、Magellan(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)であった。プラットフォームには、更に、96ウェル収集プレート(マイクロタイタープレート)の保管用のTe-Stack(商標)、並びにプレート搬送及び画分収集用のTe-Slide(商標)が装備された。LiHaは、10μL~1000μLの体積を処理することができ、1000μLの希釈シリンジを備えていた。LiHaは、8つの固定ステンレス鋼針を備えた8つの別々に制御可能なチャネルからなっていた。全てのRCランを、Capto(商標)adhere ImpRes樹脂を用いて行った。カラム寸法は、長さ1cm×直径0.5 cm、ベッド体積は200μLであった。
7.2.Hamilton Microlab STARlet
本明細書で使用されるフィルタプレートの調製には、Hamilton Microlab STARletロボットを使用した。ロボッター(roboter)は、8つの1000μLピペットチャネル及びシェーカーを備えていた。樹脂の50%スラリー水溶液(v/v)を生成し、シェーカー上のガラスバイアルに入れた。LiHaには、シェーカーからフィルタプレートに樹脂を移すための1000μLの先端(切断)の広い穴を装備した。ウェルあたり50μLの樹脂を含むフィルタプレートを製造した。保管液は水であった。
7.3.Tecan Freedom EVO 200
Tecan Freedom EVO 200(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)液体操作システムを使用して、本明細書で使用する負荷プレート及び緩衝液プレートを調製し、ランを行った。Tecan Freedom EVO 200は、一方の液体処理アーム(LiHa)、一方の偏心グリッパ、Te-Shake(商標)、マイクロプレートの保管用Te-Stack(商標)、プレート搬送用Te-Slide(商標)、及びInfinite M200プレートリーダ(Tecan Deutschalnd GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)を備えていた。更に、遠心分離機(Rotanta 46RSC、ヘティヒ、ドイツ国)を作業台に組み込み、インキュベーション後に上清を除去した。LiHaは、10μL~1000μLの体積を処理することができ、1000μLの希釈シリンジを備え、8つの固定ステンレス鋼ピペットチップを備えた8つの別々に制御可能なチャネルからなっていた。Tecanロボットを、ソフトウェアEvowareによって制御した。プレートリーダを制御するために使用したソフトウェアは、Magellanであった。
8.タンパク質純度の決定
モノマー含有量及び高分子量種に関するタンパク質純度を、HPLCシステム(Thermo Fisher)を使用したサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)によって決定した。溶出液として0.2M KHPO/KHPO、0.25M KCl、pH7.0を使用して、0.5~1.0ml/分の流速でTSK-Gel G3000SWXL(7.8×300mm;5μm)カラム(TOSOH Bioscience、P/N 08541)でタンパク質分離を行った。
以下の条件を使用した:
波長280nm
アイソクラティック;30分
カラム温度:25℃
試料温度:10℃
適用量:150μgタンパク質
9.タンパク質濃度の決定
9.1.キュベットを用いた決定
タンパク質濃度を、Spectramax Plus(Molecular Devices、ミュンヘン、ドイツ国)を使用してUV分光法によって決定した。測定をキュベットで実行した。タンパク質試料を水で希釈した。ランベルト・ベールの法則から導かれる以下の等式1に従って濃度を決定した:
(A280-A320)=ε・c・d (1)
A 吸光度、c タンパク質濃度[mg/ml]、ε 吸光係数[ml/(mg*cm)]、d 経路長[cm]。
9.2.マイクロプレートを用いた決定
タンパク質濃度を、Infiniteプレートリーダ(Tecan Deutschland GmbH、クライルスハイム、ドイツ国)を使用するUV分光法によって決定した。測定をマイクロプレートで実行した。タンパク質試料を水で希釈した。等式(1)に従って濃度を決定した。
経路長dを、以下の等式2を用いて計算した。
Figure 2024514306000002
=0.159OD/cm(アプリケーションノートTECANに対応;文書番号N129013 02)。
10.保持時間及び疎水性の決定
10.1.機器
- データ収集システムが統合されたHPLC装置;Dionex(現在はThermo Fisher Scientific)
- 0.2μmメンブレンフィルタ;例えば、Pall Life Sciences Supor(登録商標)-200、カタログ番号60301
- Tosoh Bioscience、TSKgel(登録商標)Ether-5PW HPLCカラム、10μm、7.5mm×75mm、カタログ番号0008641、すなわち内径2mm、カラム長75mm及び粒径10μmの疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム。カラムは、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を有するポリメタクリレート基材(マトリックス)を有する。
10.2.作業溶液:
- 溶出液A:pH7.0に調整した1.5M(NHSOを含む25mMリン酸Na緩衝液
-溶出液B:pH7.0に調整した25mMリン酸Na緩衝液
10.3.疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)標準
標準的な調製のため、リツキシマブを適切な希釈緩衝液で1mg/mlに希釈する。20μl(=20μg)のHIC標準を注入する。リツキシマブのピークは、32分に近いランタイムで現れる、すなわち、32分に近い保持時間を有する。
10.4.試料
試料を1mg/mlの濃度に希釈する。試料が既に1mg/mlの濃度である場合、希釈は不要である。20μl(=20μg)の1mg/ml溶液を注入する。
10.5.ブランク
20μlの希釈緩衝液を注入した。
10.6.新しいカラムのコンディショニング
カラムを超純水中に提供した。最初のランの前に、新しいカラムを以下のように調製した:
1)カラムを周囲温度で溶出液Bに移し、最低40分以内にフローを0.0ml/分から0.8ml/分までゆっくりと増加させ、その後、安定なベースラインに達するまで(通常60分後)、カラムを溶出液Bにより0.8ml/分で洗浄した。
2)勾配ラン:20分以内に0%溶出液Aから100%溶出液Aまで直線勾配を実行し、その後、安定なベースラインに達するまで(通常60分後)カラムを溶出液Aで洗浄した。
3)飽和:利用可能な標準を注入し、10.8に従って処理し、3つの連続するクロマトグラムがピーク形態、高さ及び面積に関して同一になるまで複数回行った。その後、カラムを使用した。
10.7.使用済みカラムのコンディショニング
マウント後、カラムを周囲温度で超純水で洗浄した。フローを、最小40分以内で0.0ml/分から0.8 ml/分までゆっくりと増加させた。その後、安定したベースラインに達するまでカラムを溶出液Aで0.8ml/分で洗浄した。その後、カラムを使用した。
10.8.作業条件及び配列レイアウト
任意のシーケンスの前に、1×溶出液Aを注入し、続いて20μlの0.1M NaOHを注入し、溶出液Aをもう1回注入した。
以下の作業条件を使用した:
流量:0.8ml/分
勾配:
Figure 2024514306000003
最大圧力:22バール
波長:214nm(更に220nm及び280nmを記録)
注入タンパク質:20μg
カラム温度:40℃±2℃
オートサンプラ内の温度:10℃±4℃
HIC標準及び試料を以下の順序で測定した:
1.溶出液A
2.20μl 0.1M NaOH
3.溶出液A
4.HIC/参照
5.ブランク(希釈緩衝液)
6.試料1~n
7+n ブランク(希釈緩衝液)
保持時間をピーク最大で決定した。
リツキシマブと同時又はリツキシマブの前に溶出する(保持時間が短い)Mabは親水性であることが分かっている(保持時間mab≦保持時間リツキシマブ)が、リツキシマブの後に溶出する(保持時間が長い)Mabは疎水性であることが判明している(保持時間mab>保持時間リツキシマブ)。
11.RNA濃度の測定
RVLPの除去を決定するために、試料中のRNA濃度を代表的な平均値として決定する。
自動RNA分析は、FLOW PCRセットアップシステム(Roche Diagnostics Gmbh)を介して実施される。システムは3つのモジュールからなる。FLOW PCR SETUP機器(Roche Diagnostics GmbH、注文番号07101996001)、MagNA Pure 96機器(Roche Diagnostics GmbH、注文番号06541089001)及びLightCycler(登録商標)480機器(Roche Diagnostics GmbH、注文番号05015278001)。RNA含有量の決定は、製造業者の操作マニュアルに従って行われる。簡潔には、RNAを、MagNA Pure 96機器を使用して単離する。DNAseで処理した後、プローブをLightCycler(登録商標)480機器で測定して、PCR技術(定量RT PCR)によってRNAを定量する。したがって、RNAは、逆転写(RT)によって最初にcDNAに変換される。次いで、cDNAをPCR反応で増幅し、標準曲線との比較によって濃度を定量する。その後、結果をRNA含有量に変換する。
実施例の概要
実施例セクションは、以下の4つの部分に細分することができる。
パートI:一定の導電率での高分子量(HMW)不純物低減に対するmab疎水性の影響
フロースルー(FT)ランを、ロボットシステム(Tecan Freedom 150)上でCapto(商標)adhere ImpRes RC(Repligen)を用いて行った。最大5つのアンチカオトロピック(ac)塩、(NaSO、NaCl、(NHSO、KCl、KSO)を選択した。7つのmabのFTを収集し、純度をSE-HPLCによって分析した。負荷にアンチカオトロピック塩を添加することによって達成されたHMW減少を、アンチカオトロピック塩を含有しない同じ導電率のトリス/酢酸塩緩衝液(pH8)、適宜にトリス/クエン酸緩衝液(pH6)で測定されたHMW減少と比較した。親水性mab(保持時間mab≦保持時間リツキシマブ)についてのみ、アンチカオトロピック塩の非存在下で同じ導電率を有する負荷材料と比較して、負荷材料へのアンチカオトロピック塩の添加によって改善されたHMW減少が達成されることが示された。これとは対照的に、疎水性mab(保持時間mab>保持時間リツキシマブ)では、アンチカオトロピック塩の添加によるプラスの影響は観察されなかった。
表MM-2は、パートIの実施例を要約する。
(表MM-2)パートI-実施例
Figure 2024514306000004
パートII:HMW除去に対するアンチカオトロピック塩モル濃度の影響
第2の実験部分では、HMW減少に対するアンチカオトロピック塩の異なるモル濃度の影響を調査するために、RC実験及びKp(分配係数)スクリーンを行った。実施例4では、親水性mabをCapto(商標)adhere ImpRes RCに500mMまでのモル濃度範囲で負荷した。種々の塩、NaSO、NaCl、(NHSO、KCl及びKSOをpH8.0で調査した。塩モル濃度の増加は、FT画分中のHMWの減少を改善し得ることが示された。
これらのRCランに加えて、Kpスクリーンを実行して、Capto(商標)adhere ImpRes樹脂/クロマトグラフィー材料を使用して、より広範囲のpH及びモル濃度についてHMW減少に対する塩モル濃度の影響を示した(実施例5及び実施例6)。実施例5については、3つのmab、2つの親水性mab及び1つの疎水性mabを選択した。Kpスクリーンについて、調査したpH範囲はpH5.5~8.0であり、モル濃度範囲10~800mMであった。KpスクリーンHMW減少は、RCデータを確認した。親水性mabの場合、塩モル濃度の増加はHMW減少の改善をもたらしたが、疎水性mabのHMW減少は、アンチカオトロピック塩モル濃度を増加させることによって改善されないことが示された。アンチカオトロピック塩の必要性を強調するために、カオトロピック塩を更に調査した。カオトロピック塩を使用したコンタープロットは、塩モル濃度の増加に伴うHMW減少の改善を示さなかった。
実施例6では、mab2及びスクリーニング範囲のpH4~9及び最大約900mMのモル濃度でKpスクリーンを実施した。これらのKpスクリーン内で、2組の緩衝液を比較した:アンチカオトロピック塩NaSOを含有する1つの緩衝液及びアンチカオトロピック塩を含まない1つの緩衝液(トリス/酢酸緩衝液のみ)。
表MM-3は、パートIIの実施例を要約する。
(表MM-3)パートII-実施例
Figure 2024514306000005
パートIII:HMW除去と他の樹脂との比較
第3の部分は、2つの実施例からなる。実施例7では、5.5~8.0のpH範囲及び10~800mMの塩モル濃度における親水性mabのHMW除去を調査した。この実施例では、以下の混合モードアニオン交換(MMAEX)樹脂を比較した:Capto(商標)adhere ImpRes、Capto(商標)adhere 及びNuvia aPrime親水性mabを含む負荷溶液にアンチカオトロピック塩を添加した場合、3つ全ての樹脂が改善されたHMW減少を示した。
実施例8は、MMAEX、アニオン交換(AEX)樹脂、HIC樹脂、及び1つの親水性mab及び1つの疎水性mabを有する混合モードカチオン交換(MMCEX)樹脂のKpスクリーンを要約する。調査したpH範囲は、pH4.0~9.0及び5~850mMの塩であった。親水性mabのフロースルー試料は、両方のイオン混合モード樹脂(MMAEX及びMMCEX)について、塩モル濃度の増加に伴う改善されたHMW減少を示した。MMAEX樹脂上の疎水性mab HMW減少とは対照的に、調査した塩モル濃度の範囲にわたって一定であった。MMCEX樹脂の場合、疎水性mabのHMW減少は、塩モル濃度を500mM NaSO未満に増加させることによって改善されなかった。シングルモード樹脂Q Sepharose FF(AEX)では、HMW減少に対するプラスの効果は、親水性mabについても疎水性mabについても観察されなかった。Phenyl Sepharose 6FF(高sub)(HIC)について、HMW減少に対する塩モル濃度の増加の正の影響を、親水性mab及び疎水性mabについて測定した。
表MM-4は、パートIIIの実施例を示す。
(表MM-4)パートIII-実施例
Figure 2024514306000006
パートIV:AKTAカラムのランのアップスケーリング
第4の部分のスケールアップランについては、AKTAシステムでNaSO及びmab2を用いて行った。ここでは、50μLのKpスクリーン樹脂体積及び200μLのRC体積から6.8mLのカラム体積へのアップスケーリングを、Capto(商標)adhere ImpRes樹脂を用いて行った。実施例9は、同じ導電率であるが異なるNaSOモル濃度での2回のランに対するFT画分のメインピーク値を示す。両方の負荷の導電率は同等であったが、NaSOのより高いモル濃度を含む負荷のHMW減少は著しく良好であった。実施例10では、異なるNaSOモル濃度(及び異なる導電率)を有するpH7及びpH8でのランを記載した。改善されたHMW減少は、塩モル濃度の増加に伴って決定された。これらの実験室規模の結果は、パートII及びIIIのロボットシステムで達成された結果を確認した。
表MM-5は、パートIVの実施例を示す。
(表MM-5)パートIV-実施例
Figure 2024514306000007
パートV:RVLP(レトロウイルス様粒子)の除去
生成物関連不純物(HMW等)の除去に加えて、MMクロマトグラフィー樹脂上の抗体の精製におけるアンチカオトロピック塩の使用がレトロウイルス様粒子(RVLP)の除去の効果も有するかどうかも調べた。
この点に関して、2つのKpスクリーンを実施した(実施例11及び実施例12)。
Kpスクリーン:RVLP除去に対するアンチカオトロピック塩及びmab疎水性の影響
RVLP減少に対するアンチカオトロピック塩及び最大疎水性の影響を調べるために、Kp(分配係数)スクリーンを行った。(RNA含有)RVLPの濃度を、定量的RT PCRによるRNAの濃度の定量によって測定した。これらのKpスクリーン内で、2組の緩衝液を比較した:アンチカオトロピック塩NaSO(実施例11)を含有する1つの緩衝液及びアンチカオトロピック塩を含まない1つの緩衝液(トリス/酢酸緩衝液のみ)(実施例12)。更に、2つの親水性mab(mab1及びmab2)及び2つの疎水性mab(mab7及びmab9)の4つのmabを選択した。クロマトグラフィー樹脂は、Capto(商標)adhere ImpResであった。
実施例11については、調査したpH範囲はpH5.0~8.0であり、モル濃度範囲は25~400mM NaSO(3~34mS/cmの導電率範囲に対応する)であった。親水性mabについて、疎水性mabと比較して改善されたRVLP減少が示された(図41及び図42)。mab2では、5ログステップのRVLP除去が200mM NaSO(17mS/cm)の塩モル濃度まで観察された。アンチカオトロピック塩を使用した親水性mabの改善されたRVLP除去を強調するために、アンチカオトロピック塩を含まないトリス/酢酸塩緩衝液を更に調査した(実施例12)。実施例12については、調査したpH範囲はpH5.0~8.0であり、モル濃度範囲は25~1100mMのトリス/酢酸塩(1~19mS/cmの導電率範囲に対応する)であった。アンチカオトロピック塩を欠くコンタープロットは、改善されたRVLP減少を示さず、親水性mabについても疎水性mabについても示さなかった(図43及び図44)。
使用される用語の用語集:
参照/緩衝液のみ:いかなるアンチカオトロピック塩も含まないが、同じ導電率を有する
負荷:組成に依存せずに負荷される溶液
LF:RCの負荷画分
総負荷体積:350gタンパク質/L樹脂を適用するのに必要な体積
総負荷量:全ての適用されたそれぞれの負荷画分に適用された抗体の量の合計
負荷量:最良適合線によるHMW除去の計算に使用される
HMW値:フロースルー画分中の分析的に決定されたHMW含有量
HMW除去値:単一負荷画分について計算されたHMW除去
HMW除去:最良適合線に基づく計算されたHMW除去
プールHMW除去値:単一画分に適用された総負荷量に対して得られた計算されたHMW除去
単一プール負荷量:それぞれの計算されたプールHMW除去値の単一画分に負荷された抗体の理論量
FT:フロースルー画分
RC:Robocolum(商標)
RCラン:Robocolum(商標)ラン
CV:カラム容積
実施例
パートI:一定の導電率での高分子量(HMW)不純物低減に対するmab疎水性の影響
実施例1
Robocolumn(商標)は、pH8及び20mS/cmの負荷で実行する。
pH8及び20mS/cmの導電率で4つの親水性mab及び3つの疎水性mabを用いてロボット操作を行った。ランからランまで、以下のアンチカオトロピック塩:塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム及び硫酸カリウムを添加することによって緩衝液条件を変化させた。各ランについて、7つ全てのmabを並行して調査した。
緩衝液
それぞれの平衡化緩衝液のpH値及び導電率を以下の表X-1.1aに要約する。緩衝液(酢酸)の各酸を添加してpH値をそれぞれ調整した。導電率は、溶液の全ての成分を組み合わせた後に決定した。緩衝液1.5Mトリス/酢酸塩、pH8は、「参照」条件、すなわち、いかなるアンチカオトロピック塩も含まないが同じ導電率を有する(「緩衝液のみ」)。
(表X-1.1a)RCランのための緩衝液条件は、pH8及び20mS/cmである。
Figure 2024514306000008
出発物質の濃縮及び抗体溶液の緩衝液交換
抗体溶液(mabs)を、それぞれの緩衝液に匹敵するpH及び導電率に調整した。これを達成するために、それぞれのアフィニティーカラム溶出プールをそれぞれの緩衝液(例えば70mMトリス/酢酸塩、125mM NaSO、pH8まで;表X-1.1 aを参照)に緩衝液交換し、Amicon Ultra Centrifugal Filtersを使用して濃縮した。遠心分離後、mabを約20g/Lの濃度に希釈し、pH及び導電率を決定した。負荷される溶液(「負荷」)を0.2μm滅菌フィルタでフィルタにかけ、タンパク質濃度を決定した。この手順を全てのRobocolumn(商標)ラン(RCラン)について行った。
負荷
負荷物のpH値、導電率及び抗体濃度を以下の表X-1.1bに要約する。
(表X-1.1b)負荷pH、導電率及びRC-ランの濃度はpH8及び20mS/cmである。範囲は、異なる抗体を含む負荷に基づく。
Figure 2024514306000009
実施例1の全ての実験について、負荷物のpH範囲はpH8.0±0.2の範囲内であった。負荷の導電率は、平衡化緩衝液の導電率から±2.0mS/cm変化した。負荷物のタンパク質濃度は14.5~25.5g/Lであった。
以下では、例示的なRCランの説明が提供される。負荷物を調製するための緩衝液が異なる(上記の表X-1.1a及びbを参照)ことを除いて、全てのRCランを同様に行った。例えば、緩衝液(70mMトリス/酢酸塩、125mM NaSO、pH8)を使用する負荷の場合、pHはpH8.04~8.07の範囲であり、これは、平衡化緩衝液中の7つの異なるmabの負荷が、緩衝液交換及び濃縮後にこのpH範囲にあったことを意味する。
以下の表X-1.2は、70mMトリス/酢酸塩、125mM NaSO、pH8、フロースルーモードにおける種々の抗体についてのRCランのための個々の負荷の特性を示す:
(表X-1.2)実施例1-70 mMトリス/酢酸塩、125mM NaSO、pH 8中の負荷。
Figure 2024514306000010
これらの負荷を、異なるCapto adhere ImpRes RCに個別に適用した。
クロマトグラフィー
RCランをTecan Freedom Evo 150で行った。RCを最初に、抗体を含まない10CVの緩衝液(例えば、70mMトリス/酢酸塩、125mM NaSO、pH8)で平衡化した(pH及び伝導度の調整)。その後、各RCを、200μLの負荷画分(LF)に350gタンパク質/L樹脂まで段階的にロードし、フロースルーを200μLのフロースルー画分(FT画分)に収集した。350gタンパク質/L樹脂を適用した後、抗体を含まない8カラム容量(CV)の緩衝液をカラムに適用して、再生前のカラムから残留未結合材料を洗浄した。負荷後の洗浄物は収集しなかった。
全てのRCランの流量は18CV/時間であり、これは3.3分の滞留時間に相当する。洗浄後、RCを再生及び保管した。
(表X-1.3)実施例1-例示的なクロマトグラフィー工程。
Figure 2024514306000011
以下の表X-1.4は、負荷濃度及び体積を要約する。
(表X-1.4)実施例1-表X-1.3のスキームを使用したRCランで使用される負荷濃度及び体積。
Figure 2024514306000012
Tecan Freedom Evo 150による負荷画分のピペッティングは、一度のジョイントRCランの全ての荷重が同時に完了するモードで実行された。したがって、負荷を適用するための開始点は、負荷中の抗体濃度に応じて変化した。より高い濃度の負荷、例えばmab5は、必要な総負荷体積(及びそれによる負荷工程)をより低くし、負荷工程の後の開始をもたらした。各負荷工程について、それぞれのフロースルー画分(FT)を収集した。したがって、各ランについて、異なる数の200μLの画分をそれぞれ適用し、収集し、分析した(mab8について最大20の画分)。
以下の表X-1.5は、各負荷工程後の増加する総負荷量[g/L]を示す。最大20回の連続負荷ステップの後、350gタンパク質/L樹脂の総負荷量を各RCに適用した。
(表X-1.5a)実施例1-表X-1.3及びX-1.4のスキームを使用したランの総負荷量[g/L]に応じた負荷工程。
Figure 2024514306000013
分析
(表X-1.5b)選択されたFT画分のSE-HPLC分析。
Figure 2024514306000014
(表X-1.5c)HMW除去値。
Figure 2024514306000015
HMW除去値は、以下の式1を用いて計算した。
HMW除去値(%)=100-HMW画分/HMW負荷×100%(1)
HMW画分=フロースルー(FT)画分で決定されたHMW値[%]、
HMW負荷=それぞれの負荷[%]で決定されたHMW値[%]。
負荷工程10におけるmab2のHMW除去値の計算の例:
負荷工程10において、それぞれのFT画分の決定されたHMW値は1.66%であった。負荷のHMW値は9.97%であった。これを式1に適用する
HMW除去値=100-1.66/9.97×100%=83.35%
その結果、mab2の負荷画分10について83.35%のHMW除去値が得られた。
分析
HMW値又はメインピーク値又はHMW除去値のいずれかを抗体の総負荷量に対してプロットした。
図1~図7は、pH8.0及び20mS/cmの導電率で異なるアンチカオトロピック塩を用いた調査したmabのFT画分について決定されたHMW除去値を示す。x軸は総負荷量に対応し、y軸はそれぞれのFT画分について決定されるHMW除去値に対応する。
表X-1.5cのHMV除去値は、それぞれの負荷工程で得られた実際のHMW除去、すなわち対応する負荷画分を示す。しかしながら、プールHMW除去値は、実際の大規模プロセスをより厳密に反映する。このプールHMW除去値は、単一画分で適用された場合の総負荷量に対して得られたHMW除去である。プールHMW除去値を、表X-1.5cのデータの対数最良適合線に基づいて、150g/L、250g/L、350g/L、450g/L及び550g/Lの単一のプール負荷量について計算した。
この手順を、mab2について以下に例示的に説明する。
図2は、mab2に対する各FT画分のHMW除去値を示す。表X-1.1の異なる緩衝液について得られた結果をこのグラフに表示する。mab2の単一のプール負荷量についてのプールHMW除去値を計算するために、最初に、各緩衝液のHMW除去についての対数最良適合線を決定した。mab2に対するこれらの最良適合傾向線の追加を図8Aに示す。第2に、2つの最良適合傾向線の等式を用いて、HMW除去を、25~550g/Lの範囲内の5g/L及び25g/L増分の負荷量について計算した。
例えば、単一のプール負荷量、例えば150g/LのプールHMW除去値を計算するために、平均は、計算された各HMW除去値≦150g/LのHMW除去に基づいて計算された。少ない負荷量(5~50g/L)では、計算の結果、非論理的HMW除去が100%超となったため、HMW除去を100%に設定した。表X-1.6は、計算されたHMW除去を示す。
(表X-1.6)実施例1-HMW除去値及びプールHMW除去値の計算。
Figure 2024514306000016
更に、これらの計算を1つの疎水性mab(mab7)について行った。図8Bは、mab7のそれぞれの最良適合線及び等式を示す。
図9A+Bでは、単一プール負荷量のHMW除去をmab2(図9A)及びmab7(図9B)について示す。
実施例1の概要:
親水性mab(mab1、mab2、mab4、mab5)では、同じ導電率でアンチカオトロピック塩を含まない負荷物と比較して、アンチカオトロピック塩を負荷物に添加した場合、HMW値がより良好に低下した。これを図1~図4に示す。負荷の導電率は同等であった(全て約20mS/cm)。負荷中にアンチカオトロピック塩が存在すると、負荷伝導率は変化しなかったが、親水性mabのHMW減少が増強された。
これとは対照的に、疎水性mab(mab6、mab7、mab8)については、HMW値の低下は、アンチカオトロピック塩を含有する負荷についても、アンチカオトロピック塩を含まない負荷についても同様であった(図5~図7を参照)。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の添加は、アンチカオトロピック塩を含まない負荷と比較してHMW値の低下に関して有利な効果を示さなかった。
FTプールのHMW除去を計算するために、傾向線を導入した。図8A+Bでは、FTプールのHMW除去をmab2(図8A)及びmab7(図8B)について示す。例えば、mab2では、負荷量150g/LでのHMW減少は、硫酸アンモニウムが負荷に存在する場合に35%から89%に増加したことが分かる(図9Aを参照)。550g/Lの負荷量では、HMW減少は、(NHSOの存在下で17%から47%に増加した。これとは対照的に、驚くべきことに、アンチカオトロピック塩の存在下並びに非存在下におけるmab7のHMW減少は類似していた。したがって、疎水性mab7について、HMW減少は、アンチカオトロピック塩の添加によって改善されなかった(図9Bを参照)。
実施例2
Robocolumn(商標)は、pH6及び20mS/cmの負荷で実行する。
RCランは、2つのアンチカオトロピック塩、すなわちNaSO及びKClの非存在下並びに存在下でトリス/クエン酸緩衝液を使用してpH6及び導電率20mS/cmで7mabsで実施した。それぞれの参照は、アンチカオトロピック塩の非存在下で同じ導電率を有する1.0Mトリス/クエン酸塩、pH6中の負荷であった。
図10~図16は、pH6.0及び20mS/cmの導電率でNaSO及びKClを含有する負荷に対する各FT画分のHMW除去値を示す。x軸には総負荷量が表示される。
実施例2の概要:
親水性mabsについて、同じ導電率でアンチカオトロピック塩を含まない同じ緩衝液中の負荷と比較して、アンチカオトロピック塩を負荷に添加した場合、HMW減少は有意に改善された(図10~図13を参照)。これとは対照的に、驚くべきことに、疎水性mabsでは、アンチカオトロピック塩を含有する負荷及びアンチカオトロピック塩を含まない負荷のHMW減少は同程度であった(図14~図16を参照)。
実施例3
Robocolumn(商標)は、pH6又は8及び10mS/cmの負荷で実行する。
RCランは、緩衝液中のアンチカオトロピック塩の存在下及び非存在下(すなわち、アンチカオトロピック塩なし)で、1つの親水性mab及び1つの疎水性mabを用いて行った。両方の場合において、負荷の導電率は同一であった(10mS/cm)。これらの実験を、pH6及びpH8で実施した。最大350gタンパク質/L樹脂をRCに負荷した。5つのアンチカオトロピック塩の効果を分析した。400mMのトリス/酢酸塩(pH8)を含む負荷量及び300mMのトリス/クエン酸塩(pH6)を含むがアンチカオトロピック塩を含まない負荷量を用いたランが、それぞれ参照である。
図17A及び図17Bは、親水性mab2(図17A)及び疎水性mab7(図17B)について、pH6及び導電率10mS/cmでのFT画分のHMW除去値を示す。図18は、pH8及び10mS/cmの導電率でのFT画分のHMW除去値を示す。図18Aは親水性mab2についての結果を示し、図18Bは疎水性mab7についての結果を示す。
実施例3の概要:
図17及び図18は、それぞれpH6及びpH8で10mS/cmの導電率でのmab2及びmab7の総負荷量に応じた各FT画分のHMW除去値を示す。アンチカオトロピック塩の存在下で、親水性mabを含む負荷のHMW減少は、アンチカオトロピック塩を含まない参照ランと比較してFT画分で増加することが分かる。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の存在下でHMW減少の増加は観察されなかった。
パートII:HMW減少に対するアンチカオトロピック塩モル濃度の影響
実施例4
Robocolumn(商標)は、pH8のmab2で実行する。
0~500mMの範囲のアンチカオトロピック塩濃度を有するpH8でのmab2含有負荷によるRCランを実施した。使用したRCランの手順は、実施例1で既に詳細に概説されている。以下の塩を使用した:NaSO、NaCl、(NHSO、KCl、KSO。フロースルー(FT)画分を収集し、分析した。
図19~図23は、異なるアンチカオトロピック塩についてのpH8でのmab2についてのFT画分のHMW値を示す。
実施例4の概要:
実施例4では、親水性mab2を有するpH8での5つのアンチカオトロピック塩について、アンチカオトロピック塩モル濃度(及び導電率)の増加の影響を調査した。以下のアンチカオトロピック塩を使用した:硫酸ナトリウム(図19を参照)、塩化ナトリウム(図20を参照)、硫酸アンモニウム(図21を参照)、塩化カリウム(図22を参照)及び硫酸カリウム(図23を参照)。各FT画分のHMW値[%]を総負荷量に対してプロットした。親水性mabを含む負荷物にアンチカオトロピック塩を添加することによって、FT画分中のHMW値の減少が達成された。調査した全てのアンチカオトロピック塩について、HMW減少の増加が見られた。
塩モル濃度を増加させる効果は、Kpスクリーンを使用して、3つのmab(親水性及び疎水性)及び4つの塩(NHSO、KCl、Gua/HCl及び尿素についても見られた(実施例5を参照)。
実施例5
Kpスクリーン(pH 5.5~8.0)
Kpスクリーンの方法論は、この例で詳細に説明される。
mab溶液の調製
抗体含有溶液をAmicon Ultra Centrifugal Filtersで濃縮し、Slide-A-Lyzer Dialysis Cassetteを用いて緩衝液を10mM トリス/酢酸塩、pH6.5に交換した。タンパク質濃度は67g/L~89g/Lの範囲であった。Kpスクリーンの総負荷量は150g/Lであった。負荷物を0.2μmのフィルタにかけ、タンパク質含有量を決定した(OD280~320)。
フィルタプレートの作製
水中のCapto(商標)adhere ImpRes樹脂の50%スラリーを、遠心分離機を使用して迅速な沈降のためにチューブ内で製造した。次いで、樹脂をHamilton Microlab STARletロボットに置いたシェーカーに移した。フィルタプレートのウェルごとに、50μLの樹脂Capto(商標)adhere ImpResを添加した。
緩衝液の調製
緩衝液プレート及び負荷プレートの調製のために、以下の材料を使用した:
- 高塩緩衝液;
- 低塩緩衝液;
- 10mMトリス/酢酸塩、pH6.5(0.6mS/cm);
- 適切な濃度の10mMトリス/酢酸塩、pH6.5中のタンパク質原液;
- ストリップ緩衝液。
Kpスクリーンのため、高塩緩衝液並びに低塩緩衝液を使用して、ロボットシステム(Tecan Freedom EVO 200)によって緩衝液プレート及び負荷プレートを製造した。高塩原液及び低塩原液は、トリス及び必要量の塩を秤量することによって調製した。次いで、pHを酢酸で調整した。
表X-2.1及びX-2.2は、平衡化プレート及び負荷プレートを調製するために使用した低塩緩衝液及び高塩緩衝液を要約する。
(表X-2.1)実施例5-Kpスクリーン用低塩緩衝液
Figure 2024514306000017
(表X-2.2)実施例5-Kpスクリーン用高塩緩衝液
Figure 2024514306000018
負荷プレート及び平衡化プレートを、表X-2.3に示すようにロボットによってピペッティングした。4つの塩のモル濃度は、10mMから約800mMまでの範囲であった。
(表X-2.3)実施例5-KpScreenのプレートレイアウト
Figure 2024514306000019
濃縮タンパク質原液を、ロボットによって負荷プレートにピペッティングした。各ウェル条件のpH及び導電率のシフトを無視するために、タンパク質原液は、10mMトリス/酢酸塩、pH6.5で、ピペッティング体積を最小化するために高タンパク質濃度で利用可能であった。
Kpスクリーンの実行
Kpスクリーンの総負荷量を150g/Lに設定し、各75g/Lの2つのローディング工程に分割した。
Kpスクリーン方法は以下の工程からなった:
- 保管緩衝液の除去;
- 平衡化1+2:300μLの平衡化緩衝液の移動、シェーカー(1100rpm)での5分間のインキュベーション、及び平衡化緩衝液を除去するための遠心分離(2,500rpm、600秒);
- ローディング1+2:300μLの負荷物を移し、シェーカー上で60分間インキュベートし(1100rpm)、遠心分離してFTプレート上にFT(2,500rpm、600秒)を収集する。
- ストリップ1+2:300μLのストリップ緩衝液を移し、シェーカー(1100rpm)上で5分間インキュベートし、遠心分離してストリップ緩衝液を除去する(2,500rpm、600秒)。
FTプレートのSE-HPLC分析を行った。
HMW除去を以下のように計算した:
HMW除去(%)=100-HMWウェル/HMW負荷物×100%
HMWウェルは、FTプレートのウェルで測定されたHMW値[%]であり、HMW負荷物は、タンパク質原液のHMWレベル[%]である。
負荷プレート及びFTプレートのタンパク質濃度を、Infinite M200プレートリーダを使用して決定した。
図24~図27は、3つのmab及び2つのアンチカオトロピック塩、(NHSO及びKCl、並びに2つのカオトロピック塩、Gua/HCl及び尿素についてのFT試料のHMW除去値[%]を示す。図24A、図25A、図26A及び図27Aは、親水性mab2のHMW除去値を示し、図24B、図25B、図26B及び図27Bは、親水性mab4のHMW除去値を示す。疎水性mab6のHMW除去値を図24C、図25C、図26C及び図27Cに示す。
HMW減少に対する(NHSOの効果を図24に示し、KClの効果を図25に示す。HMW減少に対する二つのカオトロピック塩の効果を図26(Gua/HCl)及び図27(尿素)に示す。
実施例5の概要:
pH5.5~8.0のpH範囲及び800mMまでの塩モル濃度において、2つの親水性mab及び1つの疎水性mabを有する4つの塩(2つのアンチカオトロピック塩及び2つのカオトロピック塩)による効果が示された。カオトロピック塩(Gua/HCl及び尿素)を選択して、疎水性相互作用が弱まった場合のHMW減少を決定した。
mabの疎水性に応じて、HMW減少の差が観察された。親水性mab(mab2及びmab4)の場合、アンチカオトロピック塩(硫酸アンモニウム、図24、及びKCl、図25)の添加は、HMW減少を70~80%まで増加させた。疎水性mab6について、硫酸アンモニウムの存在下でのHMW減少は70~80%の範囲であり、硫酸アンモニウムのモル濃度によってほとんど影響を受けなかった。KClでは、疎水性mab6のHMW減少は、KClモル濃度の増加と共に減少した。図24C及び図25Cは、疎水性mab6について、アンチカオトロピック塩のモル濃度を増加させることによってHMW減少が改善されなかったことを示した。
Gua/HCl(図26)及び尿素(図27)は、親水性又は疎水性の両方のmabについて塩モル濃度を増加させてもHMW除去の改善が観察されないことを示した。
要約すると、アンチカオトロピック塩の存在下で親水性mabのHMW減少が改善された。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の存在下で改善されたHMW減少は見られなかった。更に、カオトロピック塩の存在下では、改善されたHMW減少は得られなかった。
実施例6
mab2(pH4~9)を用いたKpスクリーン
1つの親水性mab(mab2)及び2つの緩衝系i)(10~850)mM NaSOを含む25mMトリス/酢酸塩及びii)(25~975)mMトリス/酢酸塩を用いたKpスクリーンのために、以下の原液を調製した(表X-2.4を参照):
(表X-2.4)実施例6-Kpスクリーン用の低塩緩衝液及び高塩緩衝液
Figure 2024514306000020
総負荷量は150g/Lであり、2つの負荷工程に分割した。
緩衝液条件:2つの緩衝系を表X-2.5に示すように調査した:
- 25mMトリス/酢酸塩+(10~850)mMNaSO(pH4.0~9.0);NaSOモル濃度:10、75、150、225、300、450、650、850mM
- 25~975mMトリス/酢酸塩(pH4.0~9.0);トリスモル濃度:25、100、175、250、350、500、750、975mM
(表X-2.5)実施例6-プレートレイアウトKpスクリーン
Figure 2024514306000021
図28は、NaSO(図28A)及びトリス/酢酸塩(図28B)の存在下でのmab2についてのフロースルーのコンタープロットを示す。
実施例6の概要:
実施例6は、アンチカオトロピック塩の存在下で、mab2含有負荷のHMW減少が増加することを示す。NaSOモル濃度の増加(図28Aを参照)は、最大80%の改善されたHMW減少をもたらした。NaSOを含むmab2のコンタープロットは、硫酸アンモニウムを含むものと同様であった(図24Aを参照)。それとは対照的に、トリス/酢酸塩モル濃度の増加(図28Bを参照)はHMW減少に有意な影響を及ぼさなかった。トリス/酢酸塩の場合、HMW減少はpHの変化に対してより応答性であった。アンチカオトロピック塩を添加しないと、モル濃度の増加に伴うHMW減少の改善は観察されなかった。
パートIII:HMW除去と他の樹脂/クロマトグラフィー材料との比較
実施例7
混合モードAEX樹脂を含むKpスクリーン
親水性mab(mab2)及び以下の混合モードAEX樹脂を含む負荷のHMW減少を決定した:Capto(商標)adhere ImpRes、Capto(商標)adhere 及びNuvia aPrime 4A。これら3つの樹脂は、アニオン性部分及び疎水性部分を示す。
実施例5に対応してKpスクリーンを実行した。
図29~図32は、3つの混合モード樹脂及び4つの塩(2つのアンチカオトロピック、2つのカオトロピック)についてのコンタープロットを示す。
実施例7の概要:
この実施例では、アニオン交換及び疎水性相互作用を有する3つの混合モード樹脂のHMW減少を比較した。Capto(商標)adhere ImpResフロースルーコンタープロット(図29A、図30A、図31A及び図32A)、Capto(商標)adhereフロースルーコンタープロット(図29B、図30B、図31B及び図32B)及びNuvia aPrimeフロースルーコンタープロット(図29C、30C、31C及び32C)を生成した。2つのアンチカオトロピック塩、(NHSO(図29)及びKCl(図30)、並びに2つのカオトロピック塩、Gua/HCl(図31)及び尿素(図32)を調査した。
一般に、全ての塩について、Capto(商標)adhere、Nuvia aPrime及びCapto(商標)adhere ImpResのコンタープロットは同等の効果を示した。(NHSO及びKClのモル濃度が増加するにつれて、3つの混合モード樹脂は全て、改善されたHMW減少を示した。Capto(商標)adhere、Nuvia aPrime及びCapto(商標)adhere ImpResコンタープロットは、良好な比較可能性を示した。カオトロピック塩については、3つの樹脂で改善されたHMW減少は観察されなかった。
実施例8
MMAEX、AEX、HIC、MMCEX樹脂を用いたKpスクリーン
1つの親水性mab及び1つの疎水性mabのコンタープロットは、以下の樹脂を用いて決定した:
- 混合モードアニオン交換樹脂(Capto(商標)adhere ImpRes)(MMAEX);
- アニオン交換樹脂(Q Sepharose FF)(AEX);
- 疎水性樹脂(フェニルセファロース6 FF(高sub))(HIC);
- 混合モードカチオン交換樹脂(Capto(商標)MMC ImpRes)(MMCEX)。
樹脂の総負荷量は、Capto(商標)MMC ImpResを除いて150g/Lであり、総負荷量は75g/Lであった。
実施例5に対応してKpスクリーンを実行した。
Q Sepharose FF、Phenyl Sepharose 6 FF(高sub)及びCapto(商標)MMC ImpResのKpスクリーンには、NaSO緩衝系を使用した:25mMトリス/酢酸塩+(5~850)mM NaSO。以下の原液を調製した(X-3.1を参照):
(表X-3.1)実施例8-低塩緩衝液及び高塩緩衝液
Figure 2024514306000022
表X-3.2に示すように、以下のNaSO含有緩衝液を調査した:
-25mMトリス/酢酸塩+(5~850)mMNaSO(pH4.0~9.0);NaSOモル濃度:10、75、150、225、300、450、650、850mM
(表X-3.2)実施例8-Kpスクリーンのプレートレイアウト
Figure 2024514306000023
図33~図36は、4つの樹脂の親水性mab2(図「A」)及び疎水性mab6(図「B」)のコンタープロットを示す。図33及び図36は、混合モード樹脂Capto(商標)adhere ImpRes(図33)及びCapto(商標)MMC ImpRes(図36)のHMW減少を示す。図34及び図35は、アニオン交換樹脂であるシングルモード樹脂Q Sepharose 6FF(図34)及び疎水性樹脂であるPhenyl Sepharose 6FF(高sub)(図35)のHMW減少を示す。
実施例8の概要:
1つの親水性mab(mab2)及び1つの疎水性mab(mab6)を用いて、以下の樹脂:混合モードアニオン交換樹脂(Capto(商標)adhere ImpRes)、アニオン交換樹脂(Q Sepharose FF)、疎水性樹脂(Phenyl Sepharose 6 FF)及び混合モードカチオン交換樹脂(Capto(商標)MMC ImpRes)のフロースルーにおけるHMW減少を決定した。
AEX樹脂Q Sepharose FFについては、両方のmabについてHMW減少に関するアンチカオトロピック塩の効果は観察されなかった(図34)。図35に、樹脂フェニルセファロース6FF(高sub)のコンタープロットを示す。親水性mab及び疎水性mabの両方が、NaSOモル濃度の増加に伴って改善されたHMW減少を示した。シングルモード樹脂Q Sepharose FF及びPhenyl Sepharose 6FF(高sub)に関して、親水性及び疎水性mabのHMW減少は同等であった。
これとは対照的に、混合モードの樹脂では、親水性及び疎水性mabのHMW減少は異なっていた。MMAEX樹脂は、アンチカオトロピック塩の存在下でmab2の改善されたHMW減少を示した(図33A)。mab6について、HMW減少は、調査したpH及びモル濃度範囲にわたって極めて一定であった(図33B)。親水性mabについてのみ、HMW減少は、混合モードアニオン交換樹脂上の塩モル濃度に応じて増加した。図36は、Capto(商標)MMC ImpRes樹脂で得られたHMW減少を示す。親水性mabについて、HMW減少は、NaSOモル濃度が20%から80%までの0~800mMの範囲で増加するにつれて増加した。これとは対照的に、疎水性mabのHMW減少は、塩モル濃度を500mMまで増加させることによってほとんど影響を受けなかった。mab6については、FT試料の改善されたHMW減少が観察されたが、500mM以上のモル濃度についてのみであった。500mM未満では、HMW減少は少なく(10%未満)、塩モル濃度とはほとんど無関係であった。
アンチカオトロピック塩の添加による親水性mabのHMW減少の増加は、イオン性相互作用と疎水性相互作用の組み合わせに起因し得ることが示されている。イオン性混合モード樹脂、Capto(商標)adhere ImpRes(アニオン性部分及び疎水性部分を有する)及びCapto(商標)MMC ImpRes(カチオン性部分及び疎水性部分を有する)の両方について、塩モル濃度の増加と共にHMW減少の増加が達成されたが、親水性mabについてのみであった。
パートIV:AKTAカラムのラン
実施例9
同じ導電率及び異なるNaSOモル濃度でのラン
2つの負荷物を、同じ導電率であるが異なるモル濃度のNaSOで調製した。
負荷1及び負荷2は、mab2の同じアフィニティークロマトグラフィープール(カラム1プール)を用いて調製した。
負荷1:mab2の1カラムプールを1.5Mトリス塩基でpH8.0に調整し、深層濾過にかけ、次いで1M NaSO溶液を用いて導電率を9mS/cmに調整した。次いで、負荷をCapto(商標)adhere ImpResカラムに加えた。負荷物1の導電率は9mS/cmであり、NaSOモル濃度は39mMであった。
負荷2:mab2のカラム1プールを1.5Mトリス-塩基でpH8.0に調整し、深層濾過にかけ、次いで酢酸でpHをpH5.6に調整し、続いて1.5MトリスでpH 8.0に再調整した。その後、1M NaSO溶液を用いて導電率を9mS/cmに調整し、溶液をカラムに適用した。負荷2の導電率は9mS/cmであり、NaSOモル濃度は19mMであった。
表X-4.1は、負荷調整を要約する。
(表X-4.1)実施例9-負荷調整
Figure 2024514306000024
実施例9で使用した緩衝液を表X-4.2に列挙する。
(表X-4.2)実施例9-緩衝液
Figure 2024514306000025
Capto(商標)adhere ImpResカラムのカラム体積は6.84mLであり、カラム直径は0.66cmであった。70mMトリス/酢酸塩、40mM NaSO、pH8でカラムを平衡化した後、負荷をカラムに適用した。負荷容量は約150g/lであり、流量は150cm/時であった。Capto(商標)adhere ImpRes FTを分画した。画分のタンパク質濃度を測定し、SE-HPLCを行った。
図37は、9mS/cmの導電率についてのFT画分のメインピーク値に対するNaSOモル濃度の影響を示す。
実施例9の概要:
9mS/cmの同じ導電率であるが、異なるモル濃度のNaSO(約40mM及び約20mM)を用いて、2つの負荷量のmab2を調製した。より高いNaSOモル濃度を有する負荷物のFT画分は、より低いNaSOモル濃度を有する負荷物と比較してより高いメインピーク値を有した(図37を参照)。これは、負荷伝導率が等しいため、NaSOモル濃度が高いほどHMW除去が向上したことを示している。
実施例10
異なるNaSOモル濃度及び導電率でのラン
塩モル濃度(及び導電率)の増加の影響をmab2を用いて決定した。Capto(商標)adhere ImpResカラム(カラム体積=6.84mL;d=0.66cm)で、異なるNaSOモル濃度及び導電率で、pH7及びpH8でカラムランを行った。FTを分画し、負荷容量は約150g/Lであった。
クロマトグラフィー条件を表X-4.3に示す。
(表X-4.3)実施例10-クロマトグラフィー工程
Figure 2024514306000026
(表X-4.4)実施例10-緩衝液
Figure 2024514306000027
1.5Mトリス及び1M NaSO(表X-4.5を参照)で調整した後、以下の負荷を得た:
(表X-4.5)実施例10-負荷条件
Figure 2024514306000028
図38は、pH8で総負荷量が進行する各画分のメインピーク値を示す。NaSOモル濃度を0mMから60mMに増加させると、FT画分のメインピーク値が改善された。
図39は、pH7で総負荷量が進行する各画分のメインピーク値を示す。pH 7での曲線は、NaSOモル濃度の34mM(9mS/cm)から55mM(12mS/cm)へのわずかな増加でさえも、FT画分のメインピーク値に対してプラスの効果を有したことを示している。Kpスクリーン及びRCデータに対応して、pH7のFT画分のメインピーク値はpH8と比較して低かった。
プールを以下の方法で計算した:
プールのメインピーク値は、画分の平均メインピーク値を使用して計算した。洗浄画分(負荷工程後)はFTプールに含まれなかった。表X-4.6は、ラン条件及びメインピーク値を要約する。
(表X-4.6)実施例10-FTプールのラン条件及びメインピーク値
Figure 2024514306000029
図40は、FTプールの計算されたメインピークを示す。メインピーク値は、60mMのNaSOを負荷物に添加することによって約97%(NaSOを含まない)から約99%に増加した。
実施例10の概要:
pH7及びpH8のHMW除去に対するNaSOモル濃度の効果が示されている。これらのデータは、ロボットシステムで得られたデータを裏付ける。FT画分のメインピーク値は、pH7(図39を参照)及びpH8(図38を参照)でNaSOモル濃度の増加と共に上昇した。FTプールを、pH8での画分の平均メインピーク値を用いて計算した(図40を参照)。pH8では、60mMのNaSOを含有する負荷(導電率12mS/cm)により、メインピーク値を、96.96%(NaSOを含まない;導電率5mS/cm)から99.09%まで増加させた。
実施例11及び実施例12
Kpスクリーン:RVLP除去に対するアンチカオトロピック塩及びmab疎水性の影響
Kpスクリーン(pH5.0~8.0)
RVLP除去に関連するKpスクリーンの方法論は、この例で詳細に説明される。
mab溶液の調製
抗体含有溶液(列2のプール)をAmicon Ultra Centrifugal Filtersで濃縮し、緩衝液を10mMトリス/酢酸塩、pH6.5に交換し、Amicon Ultra Centrifugal Filtersで濃縮した。タンパク質濃度は61g/L~72g/Lの範囲であった。Kpスクリーンの総負荷量は150g/Lであった。負荷物を0.2μmのフィルタにかけ、タンパク質含有量を決定した(OD280~320)。
フィルタプレートの作製
水中のCapto(商標)adhere ImpRes樹脂の50%スラリーを、遠心分離機を使用して迅速な沈降のためにチューブ内で製造した。次いで、樹脂をHamilton Microlab STARletロボットに置いたシェーカーに移した。フィルタプレートのウェルごとに、50μLの樹脂Capto(商標)adhere ImpResを添加した。
緩衝液の調製
緩衝液プレート及び負荷プレートの調製のために、以下の材料を使用した:
- 高塩緩衝液;
- 低塩緩衝液;
- 10mMトリス/酢酸塩、pH6.5(0.6mS/cm);
- 適切な濃度の10mMトリス/酢酸塩、pH6.5中のタンパク質原液;
- ストリップ緩衝液。
Kpスクリーンのため、高塩緩衝液並びに低塩緩衝液を使用して、ロボットシステム(Tecan Freedom EVO 200)によって緩衝液プレート及び負荷プレートを製造した。高塩原液及び低塩原液は、トリス及び必要量の塩を秤量することによって調製した。次いで、pHを酢酸で調整した。
表X-5.1及びX-5.2に、実施例11の平衡化プレート及び負荷プレートを調製するために使用した低塩緩衝液及び高塩緩衝液を要約する。
(表X-5.1)実施例11-Kpスクリーン用低塩緩衝液
Figure 2024514306000030
(表X-5.2)実施例11-Kpスクリーン用高塩緩衝液
Figure 2024514306000031
表X-5.3及びX-5.4に、実施例12の平衡化プレート及び負荷プレートを調製するために使用した低塩緩衝液及び高塩緩衝液を要約する。
(表X-5.3)実施例12-Kpスクリーン用低塩緩衝液
Figure 2024514306000032
(表X-5.4)実施例12-Kpスクリーン用高塩緩衝液
Figure 2024514306000033
高塩緩衝液及び低塩緩衝液をピペッティングする前に、10μlのRVLP原液を実施例11及び12のロボットによって負荷プレートの各ウェルにピペッティングした。負荷プレート及び平衡化プレートを、表X-5.5に示すようにロボットによってピペッティングした。実施例11では、硫酸ナトリウムのモル濃度は、25mM~400mMまでの範囲であった。
(表X-5.5)実施例11-KpScreenのプレートレイアウト
Figure 2024514306000034
実施例12では、負荷プレート及び平衡化プレートを表X-5.6に示すようにロボットによってピペッティングした。例えば、実施例12では、トリスのモル濃度は、25mMから1100mMまでの範囲であった。
(表X-5.6)実施例12-KpScreenのプレートレイアウト
Figure 2024514306000035
実施例11及び12では、濃縮タンパク質原液をロボットによって負荷プレートにピペッティングした。各ウェル条件のpH及び導電率のシフトを無視するために、タンパク質原液は、10mMトリス/酢酸塩、pH6.5で、ピペッティング体積を最小化するために高タンパク質濃度で利用可能であった。
Kpスクリーンの実行
Kpスクリーンの総負荷量を150g/Lに設定し、各75g/Lの2つのローディング工程に分割した。
Kpスクリーン方法は以下の工程からなった:
- 保管緩衝液の除去;
- 平衡化1+2:300μLの平衡化緩衝液の移動、シェーカー(1100rpm)での5分間のインキュベーション、及び平衡化緩衝液を除去するための遠心分離(2,500rpm、600秒);
- ローディング1+2:300μLの負荷物を移し、シェーカー上で60分間インキュベートし(1100rpm)、遠心分離してFTプレート上にFT(2,500rpm、600秒)を収集する。
- ストリップ1+2:300μLのストリップ緩衝液を移し、シェーカー(1100rpm)上で5分間インキュベートし、遠心分離してストリップ緩衝液を除去する(2,500rpm、600秒)。
RNA分析をFTプレートに対して行った。
以下のようにRNA濃度を用いてRVLP除去(RNA対数減少)を計算した:
RNA対数減少=Log(RNA濃度負荷/RNA濃度ウェル
RNA濃度負荷は、負荷プレートの選択されたウェルで測定された平均RNA濃度[コピー/μL]である。実施例11では、負荷ウェルの平均RNA濃度は182357[コピー/μL]であった。実施例12では、負荷ウェルの平均RNA濃度は84250[コピー/μL]であった。
RNA濃縮ウェルは、実施例11及び12についてFTプレートの各ウェルで測定されたRNA濃度[コピー/μL]である。
図41A~図41Dは、硫酸ナトリウムモル濃度の増加に伴う4つのmab及びアンチカオトロピック塩NaSOについてのFT試料のRNA対数減少を示す。図41A及び図41Bは、親水性mab1(図41A)及びmab2(図41B)のRNA対数減少を示す。図41C及び図41Dは、疎水性mab7(図41C)及びmab9(図41D)についてのRNA対数減少を示す。
図42A~図42Dは、導電率の増加に伴う4つのmab及びアンチカオトロピック塩NaSOについてのFT試料のRNA対数減少を示す。図42A及び図42Bは、親水性mab1(図42A)及びmab2(図42B)のRNA対数減少を示す。図42C及び図42Dは、疎水性mab7(図42C)及びmab9(図42D)のRNA対数減少を示す。
図43A~図43Dは、トリスモル濃度の増加に伴うアンチカオトロピック塩を含まないトリス/酢酸塩緩衝液中の4つのmabについてのFT試料のRNA対数減少を示す。図43A及び図43Bは、親水性mab1(図43A)及びmab2(図43B)のRNA対数減少を示す。図43C及び図43Dは、疎水性mab7(図43C)及びmab9(図43D)のRNA対数減少を示す。
図44A~図44Dは、導電率の増加に伴うアンチカオトロピック塩を含まないトリス/酢酸塩緩衝液中の4つのmabに対するFT試料のRNA対数減少を示す。図44A及び図44Bは、親水性mab1(図44A)及びmab2(図44B)のRNA対数減少を示す。図44C及び図44Dは、疎水性mab7(図44C)及びmab9(図44D)についてのRNA対数減少を示す。
実施例11及び実施例12の概要:
mab疎水性及びアンチカオトロピック塩の存在の効果は、pH5.0~8.0のpH範囲で2つの親水性及び2つの疎水性mabを用いて示された。実施例11(図41及び図42)では、400mMまでの塩モル濃度を有するアンチカオトロピック塩硫酸ナトリウムを調査した。実施例12(図43及び図44)では、トリスモル濃度を増加させ、導電率を増加させるが、アンチカオトロピック塩を欠くトリス/酢酸塩緩衝液を使用した。
mabの疎水性及びアンチカオトロピック塩の存在に応じて、異なるRNA減少値を測定した。
実施例12(アンチカオトロピック塩なし)について、調査したmabは、mab疎水性とは無関係に、低いトリス/酢酸塩モル濃度100mM未満(3mS/cm未満の導電率に対応する)に対してのみ4~5のRNA対数減少範囲を示す(親水性mabと疎水性mabとの間に有意差はない)。親水性mab1及びmab2については、塩モル濃度25mM未満(導電率1.5mS/cm未満)についてのみ、4~5の対数減少値が測定された。
実施例12とは対照的に、NaSOの存在下で親水性mabについてRNA減少の改善が観察された(実施例11)。親水性mab1では、4~5のRNA対数減少範囲が、pH5で100mM NaSOの塩モル濃度まで観察され、これは9.4mS/cm未満の導電率に相当する。pH8では、4~5の対数減少値が、40mM未満のモル濃度について測定された(4mS/cmの導電率に対応する)。親水性mab2の場合、4~5のRNA対数減少範囲が225mMの塩モル濃度まで観察され、これは19mS/cm未満の導電率に相当する。疎水性mabについては、アンチカオトロピック塩の存在下でRNA減少の有意な増加は観察されなかった。

Claims (15)

  1. フロースルーモードで動作する、イオン交換官能基及び疎水性相互作用官能基を含む混合モードクロマトグラフィー材料(mixed mode chromatography material that comprises ion exchange functional groups and hydrophobic interaction functional groups;MM HIC/IEX)を使用して(によって)、抗体を製造するための方法であって、
    a)前記抗体が親水性抗体であり、
    b)前記抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液中で、前記抗体が前記MM HIC/IEXに適用される、
    前記方法。
  2. 以下の工程:
    c)任意に、すすぎ溶液が適用される工程、
    d)前記抗体が、b)のフロースルーにおいて、又は任意にb)及びc)のフロースルーにおいて、回収される工程
    を更に含み、
    それによって、フロースルーモードで動作するMM HIC/IEXを使用して前記抗体を製造する、請求項1に記載の方法。
  3. - 前記方法が、抗体関連高分子量(HMW)不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物を製造するためのものであり、
    - 前記抗体と、少なくとも1つのHMW不純物及び/又は少なくとも1つのウイルス不純物と、アンチカオトロピック塩とを含む溶液中で、前記抗体が前記MM HIC/IEXに適用され、
    - HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された前記抗体組成物がフロースルーから回収され、
    - それによって、HMW不純物含有量が低減された及び/又はウイルス不純物含有量が低減された抗体組成物が製造される、
    請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記HMW不純物含有量及び/又は前記ウイルス不純物含有量が、工程b)において前記MM HIC/IEXに適用された前記溶液と比較して低減される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記HMW不純物含有量及び/又は前記ウイルス不純物含有量が、アンチカオトロピック塩を本質的に含まない溶液と比較して、及び/又は疎水性抗体を含む溶液と比較して、低減される、請求項3又は4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記親水性抗体が、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)材料上でリツキシマブと同等以下の保持時間を有する抗体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記HIC材料が、リガンドとしてポリエーテル基(エチルエーテル基)を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記アンチカオトロピック塩が、1.285~4.183×10E3 dyn*g*cm-1*mol-1の範囲の及びこれを含むモル表面張力増分を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記アンチカオトロピック塩が、(NHSO、NaSO、KSO、NaCl及びKClからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程bの前記抗体及びアンチカオトロピック塩を含む前記溶液が、0.5~120mS/cmの導電率を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記抗体及びアンチカオトロピック塩を含む溶液において、前記アンチカオトロピック塩が、10mM~900mMの濃度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記MM HIC/IEXへの負荷量が、クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質15g(15g/L)~クロマトグラフィー材料1リットル当たりタンパク質350g(350g/L)である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記抗体及びアンチカオトロピック塩を含む前記溶液が、4.0~9.0のpH値を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記HMW不純物が、285kDa以上の分子量を有する不純物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記MM HIC/IEXが、
    i)アニオン交換官能基若しくはカチオン交換官能基、又は
    ii)強アニオン交換官能基、又は
    iii)弱カチオン交換官能基
    を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
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