JP2024514204A - 再発寛解型多発性硬化症を治療するためのエリスロポエチン由来ペプチド - Google Patents

再発寛解型多発性硬化症を治療するためのエリスロポエチン由来ペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP2024514204A
JP2024514204A JP2023563213A JP2023563213A JP2024514204A JP 2024514204 A JP2024514204 A JP 2024514204A JP 2023563213 A JP2023563213 A JP 2023563213A JP 2023563213 A JP2023563213 A JP 2023563213A JP 2024514204 A JP2024514204 A JP 2024514204A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epo
derived peptide
treatment cycle
treatment
administering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023563213A
Other languages
English (en)
Inventor
ピーター シー ダウリング
ウェイ ル
Original Assignee
ザ ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ リプレゼンティド バイ ザ デパートメント オブ ヴェテランズ アフェアーズ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ リプレゼンティド バイ ザ デパートメント オブ ヴェテランズ アフェアーズ filed Critical ザ ユナイテッド ステイツ ガバメント アズ リプレゼンティド バイ ザ デパートメント オブ ヴェテランズ アフェアーズ
Publication of JP2024514204A publication Critical patent/JP2024514204A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/18Growth factors; Growth regulators
    • A61K38/1816Erythropoietin [EPO]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/475Growth factors; Growth regulators
    • C07K14/505Erythropoietin [EPO]

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

エリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果をもたらすために、有効量のEPO由来ペプチドで多発性硬化症を治療する投与レジメン及び方法が本明細書に記載される。投与レジメン及び方法は、治療サイクル、続いて休止期を含み、EPO由来ペプチドは、休止期中に投与されない。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月16日に出願された、米国仮特許出願第63/175,742号の利益を主張する。この以前に出願された出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する声明
本発明は、退役軍人省により授与された助成金番号TX001305の下で、及び国立衛生研究所により授与された助成金番号NS073526の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明において、特定の権利を有する。
配列表の援用
本出願は、サイズが12,288バイトであり、2022年3月24日に作成され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、ファイル名「37759_0378P1_Sequence_Listing.txt」を含む、本出願の出願と同時にEFS-Webを介して提出される配列表を含む。
全分子エリスロポエチン(EPO)の強力な有益な免疫調節及び抗炎症効果は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を含む様々な動物疾患モデルにおいて実証されているが、過剰な造血は、臨床用途におけるその使用を制限する。この動物モデルは、疾患病因を研究し、そのヒト対応物である多発性硬化症(MS)のための新しい療法を探求するために、多くの研究者によって広く使用されている。MSは、原因不明の障害であり、特徴的な症状、徴候、及び進行によって臨床的に定義され、脳、視神経、及び脊髄白質に影響を及ぼす炎症及び脱髄の散在する領域によって病理学的に定義される。MSの病因は、免疫媒介性炎症性脱髄プロセスを伴うと広く考えられている。MSのための治療法は存在しないが、新たな疾患修飾療法が必要とされる。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、投与レジメンが本明細書に開示される。
再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、投与レジメンが本明細書に開示される。
再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
補体成分C3を減少させる方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
治療を必要とする対象において、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、組成物が、炎症成分又は自己免疫成分を有する少なくとも1つの疾患、障害、又は状態からの少なくとも1つの症状を改善するのに有効である、方法が本明細書に開示される。
患者における多発性硬化症(MS)の治療のための医薬品の製造のためのエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの使用であって、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなる、使用が本明細書に開示される。
患者における多発性硬化症(MS)の治療のための医薬品の製造のためのエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの使用であって、治療が、EPO由来ペプチドの第1の治療サイクル、続いてEPO由来ペプチドの少なくとも1つの更なる治療サイクルを含み、各治療サイクルが、連続した日に適用される1~14回の用量を含み、1日用量が、>0及び≦10mgであり、各治療サイクルが、次の治療サイクルから少なくとも1~24ヶ月離れている、使用が本明細書に開示される。
本発明の組成物及び方法の他の特徴及び利点は、以下の説明、図面、及び特許請求の範囲に示されている。
GFAP-Luc/SJL EAEマウスにおけるGFAP mRNA及びルシフェラーゼの相対発現を示す。mRNAを、免疫化後0、7、及び14日目にSJL/J EAEマウス脳から抽出し、リアルタイムPCRを用いて定量化した。GFAP mRNAとルシフェラーゼとの間に強い相関が確認された。SJL/J EAEマウスは、7日目及び14日目にGFAP及びルシフェラーゼの増加した発現を示した(n=3、7日目に6~7倍増加、14日目に23~25倍増加)。 JM-4治療単相性MOG EAEマウスにおける臨床スコアを示す。MOG免疫化GFAP-Luc/C57マウスは、免疫化の11日後に有意な神経障害を発症した。9日目にJM-4(5μg IV 毎日12日間)での治療を開始した。JM-4治療MOG動物におけるピーク臨床スコアは、シャム治療MOG EAEマウスと比較して有意により低かった(n=8 JM-4治療、n=8 シャム治療、p<0.05)。 JM4での顕著なポジティブな治療効果はまた、臨床スコアと相関するGFAP-luc BLI評価によって見られることを示す。図3Aは、MOG誘発性EAEにおけるJM-4での治療後のインビボイメージングを示す。MOG誘発性EAE(下部パネル)を有するシャム治療GFAP-Luc/C57マウス(上部パネル)及びJM-4治療マウスを、21日にわたってBLIを使用して監視した。9日目にJM-4(5μg IV 毎日12日間)での治療を開始した。このJM-4治療動物は、治療後2日以内により低い脊髄ピーク強度、及び4日目までに脊髄シグナルの実質的な不在を示した(図3B、図3C)。GFAP-Luc/C57 MOG誘発性EAEマウスにおける前脳(図3B)及び脊髄(図3C)における生物発光の相対強度。 JM4での顕著なポジティブな治療効果はまた、臨床スコアと相関するGFAP-luc BLI評価によって見られることを示す。図3Bは、ピーク生物発光値が、前脳及び脊髄の両方において、JM-4治療GFAP-Luc/C57 EAEマウスにおいて有意により低かったことを示す(脳n=8、p<0.05、脊髄n=8、p<0.05)。GFAP-Luc/C57 MOG誘発性EAEマウスを、9日目に開始してJM-4(5μg IV毎日12日間)で治療した。相対強度を、左耳値と比較した病変における光子強度の比として測定した。 JM4での顕著なポジティブな治療効果はまた、臨床スコアと相関するGFAP-luc BLI評価によって見られることを示す。図3Cは、ピーク生物発光値が、前脳及び脊髄の両方において、JM-4治療GFAP-Luc/C57 EAEマウスにおいて有意により低かったことを示す(脳n=8、p<0.05、脊髄n=8、p<0.05)。GFAP-Luc/C57 MOG誘発性EAEマウスを、9日目に開始してJM-4(5μg IV毎日12日間)で治療した。相対強度を、左耳値と比較した病変における光子強度の比として測定した。 2匹の未治療GFAP-Luc/SJL再発寛解型EAEマウスにおけるBLI及び臨床スコアの縦断的評価を示す。黒色バーは、生物発光再燃を表す。図4Aは、初期臨床症状(14~22日目)後、マウスが28日目から73日目まで無症状のままであったことを示す(上部パネル)。強いBLI増強にもかかわらず、臨床相関はなかった(54~64日目)。対照的に、BLI増強の第3のエピソードは、重度麻痺を有する強い臨床再発に対応した(78~81日目)。 2匹の未治療GFAP-Luc/SJL再発寛解型EAEマウスにおけるBLI及び臨床スコアの縦断的評価を示す。黒色バーは、生物発光再燃を表す。図4Bは、第2の動物(下部パネル)において、BLIと臨床スコアリングとの間に相関が一貫して見られたことを示す。脳及び脊髄における増加したBLIシグナルは、3つの異なるエピソード(11~30日目、45~60日目、90~100日目)における増加した臨床欠損と関連付けられた。 長期PLP誘発性再発寛解型EAEにおける臨床スコアを示す。GFAP-luc/SJLマウスを、9日目に開始してJM-4(5μg IV)で12日間治療した。JM-4治療群における平均臨床スコアは、5ヶ月超にわたってシャム治療群と比較して顕著に低減したままであった(n=4 JM-4治療、n=5シャム治療、60日目以降のp<0.05)。 JM-4(5μg IV毎日12日間)で治療されたGFAP-Luc/SJL再発寛解型EAEマウスにおける脊髄生物発光の再燃に対するポジティブな治療効果を示す。疾患経過中のバックグラウンドにかけての脊髄生物発光シグナルのエピソードを計算した。JM-4治療は、シャム治療群における再燃と比較して、イメージング再燃の数を有意に減少させた(n=8 JM-4治療、n=7 シャム治療、p<0.05)。灰色バーは、標準誤差を表す(平均+/-SEMシャム治療10.29+/-2.447、JM-4治療4.0+/-1.018)。 JM-4が、SJL/J再発寛解型EAEマウスにおける脊髄脱髄及び軸索損傷に対して保護的であることを示す。図7Aは、シャム治療EAEマウスにおけるミエリン(左側パネル)のルクソールファストブルー染色が、JM-4治療動物と比較して、脊髄の腹側白質において顕著な脱髄及び空胞化を示すことを示す。JM-4治療マウスにおけるSMI-32染色軸索(右側パネル)は、シャム治療EAE対照マウスと比較して、腹側脊髄の周辺部(白質)を縁取る損傷した軸索の数の大幅な低減を示す。 JM-4が、SJL/J再発寛解型EAEマウスにおける脊髄脱髄及び軸索損傷に対して保護的であることを示す。図7Bは、JM4療法が血液脳関門の分解を減衰させることを示す。脊髄切片をマウスIgGについて染色して、血清漏出が発生したかを判定した。正常なマウス脊髄切片では、IgGは検出されない。対照的に、生理食塩水治療EAEマウスは、脊髄の白質に最も顕著に見られる増加した免疫反応性を示した。JM4での治療は、EAE髄におけるIgG免疫反応性の量を正常の近くまで大幅に低減した。 JM-4での治療がEAEマウスの脊髄における有意に低減したA1アストロサイト活性化をもたらすことを示す。図8Aは、正常マウスと比較したEAEマウスにおける補体成分C3の有意な上昇調節、及びEAEマウスにおけるJM-4での治療後のC3免疫反応性の有意な減少を示す定量的分析を示す(データは平均+/-s.e.mを表す)。 JM-4での治療がEAEマウスの脊髄における有意に低減したA1アストロサイト活性化をもたらすことを示す。図8Bは、JM-4治療EAEマウスの脊髄におけるGFAP(緑色)及びC3(赤色)の両方の免疫反応性の低減を示す免疫蛍光画像を示す。併合画像は、ほとんどのC3免疫反応性がGFAP陽性アストロサイト(黄色)で見出されることを示した(群当たりn=7、p<0.05、ANOVA、続いてEAEマウスとJM-4治療EAEマウスとの間のボンフェローニ比較)。
本明細書に記載される本開示の多くの修正及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有するこの開示が関連する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、本開示が開示される特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で採用されるが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
本発明の組成物及び方法を開示し、説明する前に、それらは、特に明記しない限り、特定の合成方法に限定されず、特に明記しない限り、特定の試薬(当然、変化し得るため)に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定することが意図されないことも理解されるべきである。本明細書に記載される方法及び材料と同様又は同等の任意の方法及び材料は、本開示の実施又は試験において使用され得るが、方法及び材料の例が、これより記載される。
更に、特に明記されない限り、本明細書に示される任意の方法が、そのステップが特定の順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは決して意図されないことが理解されるべきである。したがって、方法の請求項が、そのステップが従う順序を実際に列挙していないか、又は特許請求の範囲若しくは説明において、ステップが特定の順序に限定されるべきであると具体的に記述されない場合、いかなる点においても、順序が推論されることは決して意図されない。これは、ステップ又は操作フローの配置、文法的な構成若しくは句読点に由来する明白な意味、及び明細書に記載される態様の数若しくはタイプに関する論理事項を含む、解釈のための任意の可能な非明示的根拠について保持される。
本明細書で言及される全ての刊行物は、引用された刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前に専らそれらの開示のために提供されている。本明細書におけるいかなるものも、本開示が、先行開示のためにそのような公開に先行する権利を有さないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、本明細書で提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、独立して確認することができる。
定義
本明細書において及び特許請求の範囲において使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」の態様を含むことができる。「含む(comprising)」はまた、「含む(including)」を意味することができるが、これに限定されない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含み得る。したがって、例えば、「化合物(a compound)」への言及は、化合物の混合物を含み、「薬学的担体(a pharmaceutical carrier)」への言及は、2つ以上のこのような担体の混合物を含むなど。本明細書で使用される「又は」という用語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味し、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよく、又は生じなくてもよいことを意味し、この説明には、当該事象又は状況が生じる場合、及び生じない場合が含まれることを意味する。
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、本明細書に記載されるようにアッセイされる、対象からの組織又は臓器;細胞(対象内、対象から直接的に採取される、又は培養物中で維持される細胞、又は培養された細胞株からのもののいずれか);細胞溶解物(若しくは溶解物画分)又は細胞抽出物;又は細胞又は細胞材料(例えば、ポリペプチド又は核酸)から誘導される1つ以上の分子を含有する溶液を意味する。試料はまた、細胞又は細胞成分を含有する任意の体液又は排泄物(例えば、限定されないが、血液、尿、糞便、唾液、涙、胆汁)であってもよい。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、投与の標的、例えば、ヒトを指す。よって、開示される方法の対象は、哺乳動物、魚類、鳥類、爬虫類、又は両生類などの脊椎動物であり得る。「対象」という用語には、飼い慣らされた動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)も含まれる。いくつかの態様では、対象は、哺乳動物である。いくつかの態様では、対象は、ヒトである。この用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。したがって、成人、子供、青年期及び新生児の対象、並びに雌雄を問わない胎児が包含されることが意図される。
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、疾患又は障害に罹患している対象を指す。「患者」という用語は、ヒト及び獣医学的対象を含む。開示される方法のいくつかの態様では、「患者」は、例えば、投与ステップの前などに、多発性硬化症の治療の必要があると診断されている。
本明細書では、範囲は、「約」又は「およそ」ある特定の値から、及び/又は「約」又は「およそ」別の特定の値までのように表現され得る。そのような範囲が表される場合、更なる態様は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」又は「およそ」の使用により近似値として表される場合、特定の値が更なる態様を形成することを理解されたい。更に、範囲の各終点は、他の終点と関連して、及び他の終点とは独立して、両方とも重要であることが理解されよう。本明細書に開示されるいくつかの値が存在し、各値は、値自体に加えて、その特定の値を「約」として本明細書に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されることも理解されたい。例えば、10~15が開示される場合、11、12、13、及び14も開示される。
「阻害する」、「阻害すること」、及び「阻害」は、活性、応答、状態、疾患、又は他の生物学的パラメータを低減又は減少させることを意味する。これには、限定されないが、活性、応答、状態、又は疾患の完全な除去が含まれ得る。これには、例えば、天然又は対照レベルと比較して、活性、応答、状態、又は疾患の10%の阻害又は低減も含まれ得る。よって、いくつかの態様では、阻害又は低減は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の低減であり得る。いくつかの態様では、阻害又は低減は、天然又は対照レベルと比較して、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、又は90~100%である。いくつかの態様では、阻害又は低減は、天然又は対照レベルと比較して、0~25、25~50、50~75、又は75~100%である。
本明細書で使用される「調節する」、「調節すること」、及び「調節」は、活性又は機能又は数の変化を意味する。変化は、活性、機能、又は数の増加又は減少、増強、又は阻害であってもよい。
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、特定の疾患、障害、及び/又は状態を部分的又は完全に軽減するか、緩和するか、和らげるか、その発症を遅らせるか、その進行を阻害するか、若しくは遅延させるか、その重症度を低減するか、及び/又はその1つ以上の症状又は特徴の発生を低減することを指す。治療は、疾患、障害、及び/若しくは状態に関連する病的状態を発症するリスクを減少させる目的のために、疾患、障害、及び/若しくは状態の徴候を示さない対象、及び/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の初期徴候のみを示す対象に投与され得る。治療はまた、疾患、障害、及び/又は状態の症状の1つ以上の徴候を緩和するために、対象に投与することができる。例えば、疾患、障害、及び/又は状態は、多発性硬化症に関連し得る。
本明細書で使用される「アジュバント」という用語は、製剤、薬物、又は免疫剤の特徴、有効性、又は効力を改善する任意の成分を指す。
本明細書で使用される「投与する」という用語は、分配すること、供給すること、適用すること、与えること、割り当てること、又は寄与することを指す。「投与すること」又は「投与」という用語は、交換可能に使用され、インビボ投与、及びエクスビボでの直接的な組織への投与を含む。一般に、組成物は、経口、頬側、非経口、局所、吸入若しくは吸引によって(すなわち、口を通して若しくは鼻を通して)、又は直腸のいずれかで、所望に応じて従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する投与単位製剤中で全身投与され得るか、又はこれらに限定されないが、注射、移植(implantation)、移植(grafting)、局所適用、若しくは非経口などの手段によって局所投与され得る。本明細書で使用される「非経口」という用語は、例えば、皮下(すなわち、皮膚の下への注射)、筋肉内(すなわち、筋肉への注射)、静脈内(すなわち、静脈への注射)、髄腔内(すなわち、脊髄の周りの空間又は脳のくも膜の下への注射)、胸骨内注射又は注入技法を含む、注射(すなわち、注射による投与)による体内への導入を指す。非経口投与される組成物は、針、例えば、外科用針を使用して送達される。本明細書で使用される「外科用針」という用語は、流体(すなわち、流れることができる)組成物の選択された解剖学的構造への送達に適合された任意の針を指す。注射用調製物、例えば、無菌注射用水性又は油性懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化することができる。
追加の投与は、例えば、静脈内、心膜内、経口、インプラントを介して、経粘膜、経皮、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内、リンパ管内、腫瘍内、又は硬膜外で実施され得る。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間かけて実施することができる。
本明細書で使用される「担体」という用語は、天然又は合成の、有機又は無機成分を指し、活性成分を組み合わせて、生物に著しい刺激を引き起こさず、記載される発明の組成物の生物学的活性及び特性を無効化しない用途を促進する。担体は、治療される対象への投与に適したものにするために、十分に高い純度及び十分に低い毒性を有していなければならない。担体は、不活性であり得るか、又は薬学的利益、美容上の利益、若しくは両方を有し得る。
本明細書で使用される「接触させる」という用語は、接触している、又は直接的若しくは局所的近接性の状態(state)又は状態(condition)を指す。本明細書で使用される「接触させること(contacting)」という用語は、接触させること(bringing in contact又はputting in contact)を指す。組成物を、これらに限定されないが、臓器、組織、細胞、又は腫瘍などの、標的目標に接触させることは、当業者に知られる任意の投与手段によって生じ得る。
「EPO由来オリゴペプチド」、「エリスロポエチン(EPO)由来オリゴペプチド」、「EPO ABループペプチド」、及び「短EPOペプチド」という用語は、哺乳動物エリスロポエチン(EPO)の断片をコードする単離又は合成ペプチドを指すために交換可能に使用される。本明細書で使用される「オリゴペプチド」という用語は、ペプチド結合によって接続された少数(例えば、2~約30)のアミノ酸残基を含有する任意の分子を指す。本明細書で使用される「EPO由来オリゴペプチド」という用語は、通常はペプチドの一部ではない、追加の化学部分を含有する、哺乳動物エリスロポエチン(EPO)の断片をコードする単離又は合成ペプチドも含む。
本明細書で使用される「投与レジメン」は、少なくとも1つの治療サイクル、続いて少なくとも1つの休止期を指す。投与レジメンは、2つ以上の治療サイクル及び2つ以上の休止期を含むことができる。例えば、投与レジメンは、1週間の治療サイクル、続いて5ヶ月の休止期であり得る。別の例は、2週間の治療サイクル、続いて1年の休止期、次いで1週間の治療サイクル、続いて1年の休止期であり得る。
本明細書で使用される場合、「治療サイクル」という用語は、確立された期間にわたるEPO由来ペプチドの投与を指す。治療サイクルは、EPO由来ペプチドの幅広い投与量及びEPO由来ペプチドを投与するための異なる時間の長さを含む。例えば、治療サイクルは、3ヶ月の期間であり得、EPO由来ペプチドは、3ヶ月の期間にわたって1週間に2回投与することができる。
本明細書で使用される「用量」又は「投与量」は、特定の時間に服用される、EPO由来ペプチドなどの、治療剤の特定の量を指す。
本明細書で使用される場合、「有効量」は、所望の効果を提供するのに十分な量の組成物又はEPO由来ペプチドを意味することを意味する。例えば、有効量のEPO由来ペプチドは、治療効果を提供し、治療の離脱後に持続的な治療効果を提供する量であり得る。有効量のEPO由来ペプチドは、再発寛解型多発性硬化症を減少させること、脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減すること、補体成分C3を減少させること、及び/又は炎症成分若しくは自己免疫成分を有する少なくとも1つの疾患、障害、若しくは状態からの少なくとも1つの症状を改善することによって例示される利益を引き起こすことができる量、並びにEPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にする量である。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、及び一般的な状態、治療されている疾患(又は根底にある遺伝的欠陥)の重症度、使用される特定の化合物、その投与様式などに応じて、対象毎に変動するであろう。よって、正確な「有効量」を指定することは不可能である。しかしながら、適切な「有効量」は、日常的な実験のみを使用して当業者によって判定され得る。
本明細書で使用される場合、「持続的な治療効果」は、治療薬が離脱された後に持続する治療効果である。
本明細書で使用される「休止期」は、EPO由来ペプチドが投与されない期間を指す。
本明細書で使用される「ペプチド」は、任意のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子産物、発現産物、又はタンパク質を指す。ペプチドは、連続したアミノ酸からなる。「ペプチド」という用語は、天然に存在する又は合成分子を包含する。
本明細書で使用される場合、「治療する」とは、疾患若しくは状態の悪化を防止又は遅延させるため、又は疾患の効果を部分的若しくは完全に逆転させるために、多発性硬化症を有する、ヒト又は他の哺乳動物(例えば、動物モデル)などの、対象に、開示される組成物のうちの1つを投与することを意味する。
本明細書で使用される場合、「予防する」は、多発性硬化症を発症するために増加した感受性を有する対象が多発性硬化症を発症する可能性を最小限に抑えることを意味する。
本明細書に述べられる全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する技術分野の当業者のレベルの指標である。全ての刊行物及び特許出願は、各個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたときと同じ程度に、本明細書において参照により組み込まれる。
前述の発明は、理解の明確化の目的のために説明及び例によっていくつかの詳細が記載されているが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正を実施することができる。
投与レジメン
有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンが本明細書に開示される。投与レジメンの休止期は、EPO由来ペプチドが投与されない期間であり得る。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、投与レジメンが本明細書に開示される。有効量のEPO由来ペプチドは、持続的な治療効果をもたらすだけでなく、急性の有益な効果をもたらすのに十分な量でもある。よって、EPO由来ペプチドの効果は、治療サイクル中、治療サイクルの終了時、及び休止期中に測定及び観察することができる。持続的な治療効果は、薬物効果が消失した後でも見られる治療効果である。いくつかの態様では、治療サイクルは、有効量のEPO由来ペプチドを2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日間、毎日投与することを含むことができる。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを7~14日間、毎日投与することを含む、投与レジメンが本明細書に開示される。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを10~12日間、毎日投与することを含む、投与レジメンが本明細書に開示される。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、治療サイクルが、休止期後に第2の治療サイクルを更に含む、投与レジメンが本明細書に開示される。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、投与レジメンが本明細書に開示される。いくつかの態様では、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)は、アミノ末端を保護するアセチル基及びカルボキシル末端を保護するアミド基で末端保護される。
投与レジメンは、休止期後に第2の治療サイクルを更に含むことができる。第2の休止期は、第2の治療サイクル後に行われ得る。いくつかの態様では、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10の治療サイクルを投与することができ、各治療サイクルに休止期が続く。いくつかの態様では、投与レジメンは、無限の治療サイクルを含み、各々に休止期が続く。例えば、対象は、その寿命にわたる連続した治療サイクル、続いて休止期を伴う投与レジメンを処方され得る。
いくつかの態様では、第2の投与レジメンは、多発性硬化症又は他の神経学的欠損の1つ以上の症状の再発に基づいて処方することができる。第2の投与レジメンは、初期投与レジメンが投与された1、2、3、4、5ヶ月、又は5ヶ月超後に投与することができる。第2の投与レジメンは、初期投与レジメンと同じであり得るか、又は異なり得る。例えば、初期投与レジメンは、1週間の治療サイクル、続いて5ヶ月の休止期であり得る。5ヶ月の休止期の後、対象を試験することができ、1つ以上の症状又は1つ以上の神経学的欠損が進行しているか、又は重症度若しくは持続時間において悪化している場合、更なる1週間の治療サイクル、続いて休止期、又は2週間の治療サイクル、続いて休止期からなる第2の投与レジメンを処方することができる。EPO由来ペプチドの用量は、初期投与レジメンと任意の追加で処方された投与レジメンとの間で変動し得る。いくつかの態様では、多発性硬化症の1つ以上の症状は、視力喪失、疼痛、疲労、及び協調運動障害であり得る。いくつかの態様では、改善は、多発性硬化症の1つ以上の症状において、例えば、多発性硬化症の1つ以上の症状の重症度又は持続期間において観察され得る。
少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを1週間にわたって毎日投与することを含むか、又は治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドの2週間にわたる毎日の投与を含む、投与レジメンが本明細書に開示される。
治療サイクル
治療サイクルは、異なる投与量のEPO由来ペプチドの投与、及び異なる時点での投与を含むことができる。EPO由来ペプチドは、最大1ヶ月にわたって変動する量で投与することができる。いくつかの事例では、投与は、毎日最大1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって行われ得る。例えば、EPO由来ペプチドは、毎日1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日にわたって投与することができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、毎日1又は2週間にわたって投与することができる。
各治療サイクルの時間の長さは、投与量当たり投与されるEPO由来ペプチドの量に応じて変動し得る。治療サイクルは、EPO由来ペプチドの1日1回、2回、又は3回の投与を含むことができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、毎週投与することができる。いくつかの態様では、アポE模倣物は、2日毎に1回又は更には1週間に1回投与することができる。いくつかの例では、EPO由来ペプチドは、毎日1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日間投与することができる。例えば、治療サイクルは、EPO由来ペプチドを1日1回1週間にわたって又は毎日2週間にわたって投与することを含むことができる。よって、各治療サイクルは、投与についての確立された時間の長さ、及びその時間枠中の確立された投与スケジュールを含む。
いくつかの態様では、治療サイクル中に2つ以上のEPO由来ペプチドを投与することができる。2つ以上のEPO由来ペプチドは、一緒に又は別々の組成物に製剤化することができる。いくつかの事例では、1つ以上のEPO由来ペプチドは、1つ以上の他の治療剤、例えば、これらに限定されないが、クラドリビン、フマル酸ジメチル、フマル酸ジロキシメル、フィンゴリモド、フマル酸モノメチル、オザニモド、シポニモド、テリフルノミド、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、酢酸グラチラマー、ペグインターフェロンベータ-1a、アレムツズマブ、ミトキサントロン塩酸塩、ナタリズマブ、オファツムマブ、ポネシモド、及びオセレリズマブを含む、疾患修飾剤、抗炎症剤、抗けいれん剤、免疫修飾療法、又はステロイドと組み合わせて投与される。
休止期
開示される投与レジメンは、少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む。休止期は、EPO由来ペプチドが投与されない期間であり得、期間の長さは、変動し得る。休止期の長さは、治療サイクル中に投与されるEPO由来ペプチドの持続的な治療効果がどのくらい持続するかに依存する。いくつかの態様では、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月であり得る。いくつかの態様では、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年であり得る。例えば、休止期は、少なくとも1週間、2週間、3週間、又は4週間(1ヶ月)であり得る。
どれくらい休止期が持続するべきかを判定する1つの方法は、対象を試験又は評価して、対象における神経学的欠損の進行を判定することである。神経学的欠損が対象の障害を増加させるレベルまで進行した場合、対象は、第2の投与レジメンが処方され得る。神経学的欠損が安定しているか又は改善していた場合、休止期は、延長することができる。対象は、定期的に試験することができる。例えば、対象は、1、2、3、4、5、6、7日毎、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12週間毎、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、24、30、若しくは36ヶ月毎に試験することができる。
いくつかの態様では、休止期は、投与されるEPO由来ペプチドの用量及び治療サイクル中に達成される神経学的欠損の低減に応じて短縮又は延長することができる。例えば、休止期は、治療サイクル中のEPO由来ペプチドの用量が増加し、神経学的欠損が実質的に低減し、かつ/又は臨床的スコアリングシステムが実質的に改善される場合、延長することができる。休止期の長さはまた、治療サイクルの長さに基づいて変動することができる。例えば、対象が特定の用量のEPO由来ペプチドを1週間にわたって毎日受ける場合、休止期は、同じ用量のEPO由来ペプチドを2週間にわたって週1回受ける対象よりも短い場合がある。表2は、神経学的欠損を定量化するための臨床スコアリングシステムを提供する。いくつかの態様では、対象は、神経学的検査、総合障害度評価尺度(EDSS)を使用して、イメージング、及び時限25フィート歩行を介して評価することができる。例えば、神経学的欠損は、神経学的検査を使用して判定することができ、所見は、正常から逸脱する。
いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、休止期中に投与されないが、EPO由来ペプチド以外の多発性硬化症治療薬は、休止期中に投与することができる。
いくつかの態様では、EPO由来ペプチドの有益な効果は、治療サイクルが完了した後でも、依然として対象に存在し得る。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、治療サイクルが完了した後、対象においてもはや検出不能である。よって、長期治療効果は、残留EPO由来ペプチドからのものではない。
用量
EPO由来ペプチドの用量又は投与量は、これらに限定されないが、投与の経路、製剤、患者の状態/疾患の重症度、以前の治療、患者のサイズ、体重、表面積、年齢、及び性別、投与されている他の薬物、並びに他の疾患、障害、若しくは疾病の存在若しくは不在を含む患者の全体的な全般的な健康状態、治療サイクルの長さ、又は他の薬物がレジメンに含まれるかなどの、多くの因子に依存して変動し得、当業者によって判定され得る。患者に投与される薬学的組成物の特定の投与量は、様々な考慮事項(例えば、疾患、障害、又は状態の症状の重症度)、対象の年齢及び身体的特徴、並びに当業者に既知の他の考慮事項に依存するであろう。必要とされる投与量の変動が予想され得る。投与量レベルの変動は、最適化のための標準的な経験的経路を使用して調整することができる。投与量は、当業者に既知の臨床的アプローチを使用して確立することができる。本明細書に記載の組成物の投与は、単回又は複数回(例えば、2回、又は3回、4回、6回、8回、10回、20回、50回、100回、150回、又はそれより多く)であり得る。
有効投与量は、経験的に判定することができ、そのような判定を行うことは、当該技術の範囲内である。組成物の投与についての投与量範囲は、疾患が治療される所望の効果をもたらすのに十分な大きさのものである。例えば、投与量は、治療効果を提供し、治療(すなわち、EPO由来ペプチド)が離脱された後でさえ、持続的な治療効果を提供する又は可能にするのに有効な量であり得る。治療効果は、これらに限定されないが、脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減すること、補体成分C3を減少させること、上昇した単核細胞数を低減すること及び/又は正常に戻すこと、樹状細胞の数を減少させること、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-2、IL-6、TNF-アルファ、及びINF-ガンマ)を減少させること、Treg細胞を増殖させること、並びにTヘルパーTh17陽性細胞の数の低減することであり得る。治療効果は、神経炎症のマーカーによって測定することができる。治療効果は、放射線イメージング(例えば、CTスキャン、MRI(造影剤あり又はなし))、総合障害度評価尺度、生物発光イメージング、血清バイオマーカー、例えば、非リン酸化ニューロフィラメントタンパク質、神経学的検査、又は他の既知の方法によって測定することができる。
投与量は、有害な副作用、例えば、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などを引き起こすほどに大きいものであってはならない。投与量は、いずれかの禁忌の事象では、個々の医師によって調整することができる。投与量は、異なってもよく、1日又は数日間、1日1回以上の用量投与で投与することができる。ガイダンスは、所与のクラスの医薬品の適切な投与量についての文献に見出すことができる。
好適な投与量には、0.01mg/kg~10mg/kgの量が含まれるが、これらに限定されない。例えば、開示されるEPO由来ペプチドのうちの1つ以上を対象に投与することを伴う方法であって、EPO由来ペプチドが、約0.15mg/kg~約5mg/kgの量で投与される、方法が本明細書に開示される。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、約5、6、7、8、9、若しくは10mgの量、又はその間の任意の量で毎日投与することができる。
EPO由来ペプチド用量は、ボーラス注射として、又は1時間以上にわたる注入として投与することができる。
EPO由来ペプチド
エリスロポエチン(EPO)は、赤血球前駆細胞の増殖、生存、及び末端分化に関与する多面発現性サイトカインである(Bunn F.Erythropoietin.Cold Spring Harb Perspect Med 2013;3:a011619、及びMartinez F and Pallet N.Journal of the American Society of Nephrology 2014;9:1887-1889)。全分子EPOは、ベータ-アミロイド分解を防止することによって動物モデルにおいて虚血性毒性に対する神経保護を提供し、脳損傷を改善し、記憶を改善する(Lee ST,et al.Journal of Neurochemistry 2012;120:115-124、Shang YC,et al.Aging 2012;4:187-201、Li Q,et al.Life Sciences 2017;194:15-25、及びWei S,Luo C,Yu S,et al.Experimental Cell Research 2017;361:342-352)。神経炎症性障害のための新しい治療アプローチの開発におけるEPOの潜在的な治癒役割を考慮すると、そのメカニズム及びその下流効果をより明確に定義するための研究努力が進行中のままである(Maiese K,et al.Erythropoietin:New Directions for the Nervous System 2012;13:11102-11129)。
EPO由来ペプチドの例を表1に提供する。
Figure 2024514204000002
「エリスロポエチン」(EPO)という用語は、赤血球分化の調節及び循環赤血球量の生理学的レベルの維持に関与する主要なホルモンを指す。EPO分子は、成熟形態へと更に加工されるアミノ酸配列(配列番号10)MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGAPPRLICDSRVLERYLLEAKEAE NITTGCAEHCSLNENI TVPDTKVNFYAWKRMEVGQQAVEVWQGLALLSEA VLRGQALLVNSSQPWEPLQLHVDKAVSGLRSLTTLLRALGAQKEAISPPD AASAAPLRTI TADTFRKLFRVYSNFLRGKLKLYTGEACRTGDRを有する193アミノ酸ペプチドである。
EPO分子は、1)アミノ酸配列(配列番号11)MGVHECPAWLWLLLSLLSLPLGLPVLGを有する単一ペプチド(1~27位)と、2)アミノ酸配列(配列番号12)APPRLICDSRVLERYLLEAKEAENI TTGCAEHCSLNENITVPDTKVNFYA WKRMEVGQQAVEVWQGLALLS EAVLRGQALLVNS SQPWEPLQLHVDKAVS GLRSLTTLLRALGAQKEAI SPPDAASAAPLRTITADTFRKLFRVYSNFLR GKLKLYTGEACRTGDRを有する鎖(28~193位)と、3)アミノ酸配列TGDR(配列番号13)を有するプロペプチド(190~193位)と、4)プロペプチド(193位)(R)と、を含む。
「全EPO」及び「全EPO分子」という用語は、アミノ酸配列(配列番号14)APPRLICDSRVLERYLLEAKEAENI TTGCAEHCSLNENITVPNTKVNFYA WKRMEVGQQAVEVWQGLALLS EAVLRGQALLVNS SQPWEPLQLHVDLAVS GLRELTTLLRALGAQLEAISPPDAASAAPLATITANTERKLERVYSNALR GKLKLYTQEACRTGDとの実質的な同一性を有する、組換えEPOタンパク質の165アミノ酸ペプチドバックボーン(鎖)を指すために、本明細書で交換可能に使用される。このバックボーンは、Asp24、Asp38、及びAsp83に結合した3つのN結合炭水化物、並びにSer126に結合した1つのO結合炭水化物を含有する。(Browne,J K,et al.,Erythropoietin:gene cloning,protein structure,and biological properties.Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.51:693-702,1986を参照されたく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
治療方法
本明細書に開示される組成物、投与レジメン、及び方法は、多発性硬化症を有する対象の治療に有用であり得る。例えば、少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期について、有効量のEPO由来ペプチドを投与することによって、多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症を治療する方法、脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減する方法、補体成分C3を減少させる方法、及び/又は炎症成分若しくは自己免疫成分を有する疾患、障害、若しくは状態を治療する方法が本明細書に開示される。よって、開示される方法は、開示される投与レジメンのうちの1つ以上を使用してEPO由来ペプチドを投与することを含むことができる。よって、開示される治療サイクル又は休止期のいずれかは、開示される方法で使用することができる。本明細書に開示される方法は、治療薬の不在下であっても、長期治療効果を可能にすることができる。開示される方法は、有効量のEPO由来ペプチドの投与を含むことができる。EPO由来ペプチドの有効量は、EPO由来ペプチドが離脱された後に持続的な治療効果を可能にする量であり得る。
いくつかの態様では、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態は、認知症、急性脳血管損傷、急性脊髄損傷、急性外傷性脳損傷及び反復性軽度外傷性脳損傷、急性心血管損傷、関節炎、自己免疫疾患、脱髄疾患、脳卒中、多発性硬化症、神経損傷、並びに免疫媒介性炎症であり得る。
多発性硬化症を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなる。
再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなる。
再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
補体成分C3を減少させる方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されない、方法が本明細書に開示される。
治療を必要とする対象において、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、治療サイクルに休止期が続き、EPO由来ペプチドが、休止期中に投与されず、組成物が、炎症成分又は自己免疫成分を有する少なくとも1つの疾患、障害、又は状態からの少なくとも1つの症状を改善するのに有効である、方法が本明細書に開示される。いくつかの態様では、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態は、認知症、急性脳血管損傷、急性脊髄損傷、急性外傷性脳損傷及び反復性軽度外傷性脳損傷、急性心血管損傷、関節炎、自己免疫疾患、脱髄疾患、脳卒中、多発性硬化症、神経損傷、並びに免疫媒介性炎症であり得る。
開示されるEPO由来ペプチドのうちのいずれかは、開示される方法で使用することができる。例えば、EPO由来ペプチドは、GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1、JM-4)であり得、具体的には、EPO由来ペプチドは、アミノ末端にアセチル基及びカルボキシル末端にアミド基を有するJM-4ペプチドであり得る。
EPO由来ペプチドを使用する方法も本明細書に開示される。例えば、患者における多発性硬化症(MS)の治療のための医薬品の製造のためのエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの使用が本明細書に開示される。いくつかの態様では、治療は、EPO由来ペプチドの第1の治療サイクル、続いてEPO由来ペプチドの少なくとも1つの更なる治療サイクルを含むことができ、各治療サイクルは、連続した日に適用される1~14回の用量を含み、1日用量は、>0及び≦10mgであり、各治療サイクルは、次の治療サイクルから少なくとも1~24ヶ月離れている。いくつかの態様では、少なくとも1つの更なる治療サイクルは、第1の治療サイクル後少なくとも5ヶ月で投与することができる。いくつかの態様では、少なくとも1つの更なる治療サイクルは、第1の治療サイクルよりも短い期間にわたって同じ1日用量であり得る。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドの第1の治療サイクルは、5日間5、6、7、8、9、又は10mg/日の用量であり得る。いくつかの態様では、患者は、第1の治療サイクル後12ヶ月で、5日間6、7、8、9、又は10mg/日の用量でのEPO由来ペプチドの更なる治療サイクルで再治療することができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドの2つの初期治療サイクルに、再生されたMS活性の証拠に対してのみ、EPO由来ペプチドの第3以降の治療サイクルが続き得る。いくつかの態様では、第3以降の治療サイクルは、1週間5~10mg/日の用量であり得る。いくつかの態様では、再生されたMS活性の証拠は、臨床的手段によって診断することができる。いくつかの態様では、臨床的手段は、神経障害の再発又は進行からなる群から選択することができる。いくつかの態様では、再生されたMS活性の証拠は、脳又は脊髄の磁気共鳴イメージング(MRI)によって診断することができる。いくつかの態様では、MRIによって検出されるMS活性は、T1若しくはT2強調画像上での新しい脳若しくは脊髄病変の発生によって、又はそのような病変の病変ガドリニウム取り込み若しくは体積の増加によって示される。いくつかの態様では、繰り返しMRIは、EPO由来ペプチドの第3以降の治療サイクルが必要であるかを判定するために、EPO由来ペプチドの第2の治療サイクル後に固定間隔で実施される。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドの第3以降の治療サイクルは、疾患が臨床的に再出現する前に実施することができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、静脈内投与することができる。いくつかの態様では、MSは、再発型MSであり得る。いくつかの態様では、患者は、MSのための事前の療法を受けていた。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなる。
開示される治療方法は、対象に応じて異なる時間で行われ得る。具体的には、治療は、MS又は再発寛解型多発性硬化症に起因する高い障害又はその高い後遺障害リスクを有すると考えられる対象において行われ得る。いくつかの態様では、治療は、急性MS発作後に対象が安定した後に開始することができる。急性MS発作は、1つ以上の新しい症状又は古い症状の悪化をもたらすMSの増悪を含むことができる。いくつかの態様では、治療は、急性MS発作の直後、あるいは急性MS発作の2、4、6、8、10、12週間後、又は2、4、6、8、10、若しくは12ヶ月後に開始することができる。治療は、血液検査、腰椎穿刺、又はMRI後に開始することができる。いくつかの態様では、MRIは、1つ以上の(新しい)脳又は脊髄病変を明らかにし得る。MSのリスクが高いと考えられる対象は、中枢神経系における炎症及び損傷、周囲毒素への曝露、低ビタミンDレベル、喫煙、肥満、エプスタイン-バーウイルスでの以前の感染、遺伝的因子、及び女性であることをもたらし得る身体の免疫系による異常な応答を有する個体であり得る。高リスク対象では、治療を延長することができる。
いくつかの態様では、方法は、多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症、又は炎症成分若しくは自己免疫成分を有する疾患、障害、若しくは状態を有する対象(例えば、ヒト患者)を特定し、次いで対象に、本明細書に開示されるEPO由来ペプチドのうちの1つ以上を含む組成物を提供するステップを更に含むことができる。いくつかの態様では、対象は、多発性硬化症を有する。いくつかの態様では、対象は、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態を有し、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態は、認知症、急性脳血管損傷、急性脊髄損傷、急性外傷性脳損傷及び反復性軽度外傷性脳損傷、急性心血管損傷、関節炎、自己免疫疾患、脱髄疾患、脳卒中、多発性硬化症、神経損傷、並びに免疫媒介性炎症である。
治療サイクル。投与レジメンに関して本明細書に記載されるような、治療サイクルは、時間の長さにおいて変動することができる。いくつかの態様では、治療サイクルは、少なくとも1又は2週間であり得るが、最大1ヶ月持続し得る。いくつかの態様では、開示される方法は、有効量のEPO由来ペプチドの毎日1、2、3、又は4週間の投与を含む治療サイクルを有する。治療サイクルは、EPO由来ペプチドの毎日1週間又は毎日2週間の投与を含むことができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、毎日又は1日に複数回投与することができる。いくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、2週間毎に1回又は更には1ヶ月に1回投与することができる。いくつかの例では、EPO由来ペプチドは、毎日1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14日間投与することができる。各治療サイクルは、投与についての確立された時間の長さ、及びその時間枠中の確立された投与スケジュールを含むことができる。
方法は、休止期後に第2の治療サイクルを更に含むことができる。いくつかの態様では、第2の治療サイクルは、4週間の休止期後に投与することができる。いくつかの態様では、第2の治療サイクルは、初期治療サイクルの開始から少なくとも1年で投与することができる。
休止期。いくつかの態様では、投与レジメンに関して本明細書において以前に記載されるような、休止期は、少なくとも1週間であり得るが、数年にわたって持続し得る。EPO由来ペプチドは、休止期中に投与されない。
休止期の長さは、治療サイクル中に投与されるEPO由来ペプチドの持続的な治療効果がどのくらい持続するかに依存する。いくつかの態様では、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12ヶ月であり得る。いくつかの態様では、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年であり得る。例えば、休止期は、少なくとも1週間、2週間、3週間、又は4週間(1ヶ月)であり得る。
いくつかの態様では、休止期は、治療サイクル中に投与されるEPO由来ペプチドの用量に応じて減少又は延長することができる。例えば、治療サイクル中のEPO由来ペプチドの用量が増加した場合、休止期を延長することができる。休止期の長さはまた、治療サイクルの長さに基づいて変動することができる。例えば、対象が特定の用量のEPO由来ペプチドを1週間にわたって毎日受ける場合、休止期は、同じ用量のEPO由来ペプチドを2週間にわたって6ヶ月にわたって毎日受ける対象よりも短い場合がある。
EPO由来ペプチドは、休止期中に投与されないが、EPO由来ペプチド以外の多発性硬化症治療薬は、休止期中に投与することができる。EPO由来ペプチド以外の多発性硬化症治療薬は、多発性硬化症における使用について承認された任意の疾患修飾療法であり得る。
EAE動物モデル及び多発性硬化症
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、脳及び脊髄白質への急性損傷を伴う中枢神経系炎症性脱髄疾患である。この動物モデルは、疾患病因を研究し、そのヒト対応物である多発性硬化症(MS)のための新しい療法を探求するために、多くの研究者によって広く使用されている。MS及びEAEの両方の病因は、(1)ミエリン反応性T細胞の活性化、(2)ケモカイン及び接着分子の上方調節された発現、(3)CNS白質への限局性T細胞及びマクロファージ浸潤、並びに(4)脱髄及び軸索損傷及び神経機能の喪失を伴うと考えられる(Trapp.,B.et al.,J Neuroimmunol,98:49-56(1999))。EAE及びMSの両方において、ミエリンに存在する自己抗原に特異的な活性化Tリンパ球は、CNS炎症に、並びに末梢血白血球及び血漿タンパク質への血液脳関門の分解に関連しており、これは主に、CNSのミエリン豊富な白質領域に制限されている(Bettelli,E.,et al.,J Exp Med,197:1073-81(2003)、Crawford,M.P.,et al.,Blood 103(11):4222-31(2004)、Abdul-Maj id,K.B.,et al.,J Neuroimmunol,141:10-19(2003)、Battistini,L.,et al.,Blood,101:4775-82(2003))。
EAEは、完全フロイントアジュバント中で乳化された、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、及びミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)などの、ミエリンタンパク質からの免疫優性ペプチドでの免疫化、続いて特定のマウス株のための追加のアジュバントとしての百日咳毒素の注射によって、マウスなどの遺伝的に感受性のある動物において実験的に誘発することができる(Li,W.,et al.,Ann Neurol,56:767-77(2004))。疾患発症は、株毎に異なる。例えば、SJL/Jマウスでは、PLP又はMBPは、再発寛解型進行を誘発するが、MOGで免疫化されたC57BL/6マウスは、多くの場合、慢性形態の疾患を発症する。
多発性硬化症には、再発寛解型MS、二次進行性MS、原発性進行性MS、及び原発性再発型MSが含まれ得る。
送達
EPO由来ペプチド、及びEPO由来ペプチドを含む組成物が本明細書に開示される。治療有効量は、状態若しくは疾患の症状の完全な解消、状態若しくは疾患の症状の重症度の低減、又は状態若しくは疾患の症状の進行の遅延をもたらす、対象に投与される組成物の量であってもよい。本明細書に記載の方法はまた、投与を最適化するための監視ステップを含み得る。本明細書に記載の組成物は、予防的治療として、又は変性変化の進行を遅らせるか、若しくは遅延させるために、投与することができる。
本明細書に記載される組成物は、臨床疾患の発症を遅延、低減、又は好ましくは予防するのに十分な量で対象(例えば、ヒト患者)に投与することができる。したがって、いくつかの態様では、患者は、ヒト患者であり得る。治療用途において、組成物は、多発性硬化症、認知症、急性脳血管損傷、急性脊髄損傷、急性外傷性脳損傷及び反復性軽度外傷性脳損傷、急性心血管損傷、関節炎、自己免疫疾患、脱髄疾患、脳卒中、多発性硬化症、又は神経学的損傷及び免疫媒介性炎症を既に有するか、又はそれらと診断された対象(例えば、ヒト患者)に、徴候若しくは症状を少なくとも部分的に改善するか、又は状態の症状、その合併症、及び結果の進行を阻害する(好ましくは停止する)のに十分な量で投与することができる。これを達成するのに適切な量は、「治療有効量」として定義される。治療有効量の組成物(例えば、薬学的組成物)は、治癒を達成する量であり得るが、その結果は、達成することができるいくつかの中の1つのみである。記述されるように、治療有効量は、疾患、障害、若しくは状態の発症若しくは進行が遅延、妨害、若しくは予防されるか、あるいは疾患、障害、若しくは状態、又は疾患、障害、若しくは状態の症状が改善される治療を提供する量を含む。症状のうちの1つ以上は、あまり重度ではない場合がある。治療された個体において回復を加速させることができる。
本明細書に記載される方法では、EPO由来ペプチドの投与又は送達は、様々なメカニズムを介することができる。上に定義されるように、多発性硬化症を治療するための投与レジメン及びそれらの投与レジメンを使用する方法が本明細書に開示される。投与レジメン及び方法は、薬学的に許容される担体などの担体も含むことができる、本明細書に記載されるEPO由来ペプチドのうちのいずれか1つ以上を含有する組成物を含む。本明細書に開示されるEPO由来ペプチドと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物もまた本明細書に開示される。
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物は、修飾された治療用細胞の直接送達のために使用することができる。
開示されるEPO由来ペプチドは、溶液中又は懸濁液中にあり(例えば、微粒子、リポソーム、又は細胞に組み込まれ)得る。
任意の好適な投与経路は、開示される組成物に使用することができる。好適な投与経路は、例えば、局所、経腸、局所、全身、又は非経口を含むことができる。例えば、投与は、皮表、吸入、浣腸、結膜、点眼剤、点耳剤、肺胞、鼻腔、鼻腔内、経腸、経口、口腔、口腔内、経口腔、腸、直腸、直腸内、経直腸、注射、注入、静脈内、動脈内、筋肉内、脳内、脳室内、側脳室内、心臓内、皮下、骨内、皮内、髄腔内、腹腔内、嚢内、海綿体内、髄内、眼内、頭蓋内、経皮、経粘膜、経鼻、吸入、大槽内、硬膜外、硬膜周囲、硝子体内、などであり得る。開示される組成物は、任意の他の療法において、及び任意の他の療法とともに使用することができる。
本明細書に記載される組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。「薬学的に許容される」とは、当業者には周知の通り、活性成分のあらゆる分解を最小限に抑え、対象におけるあらゆる有害な副作用を最小限に抑えるように選択されるであろう材料又は担体を意味する。担体の例としては、ジミリストイルホスファチジル(DMPC)、リン酸緩衝生理食塩水、又は多胞リポソームが挙げられる。例えば、本発明では、PG:PC:コレステロール:ペプチド又はPC:ペプチドを担体として使用することができる。他の好適な薬学的に許容される担体及びそれらの製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995に記載される。典型的には、適切な量の薬学的に許容される塩は、製剤を等張性にするために製剤に使用される。薬学的に許容される担体の他の例としては、生理食塩水、リンゲル溶液、及びデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。溶液のpHは、約5~約8、又は約7~約7.5であり得る。更なる担体としては、組成物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性調製物が挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、ステント(血管形成手順中に血管に埋め込まれる)、リポソーム、又は微粒子の形態である。ある特定の担体が、例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度に応じて、より好ましくてもよいことは、当業者には明らかであろう。これらは、最も典型的には、生理的pHの滅菌水、生理食塩水、及び緩衝液などの溶液を含む、ヒトへの薬物投与のための標準的な担体である。
薬学的組成物は、本発明のポリペプチド、ペプチド、核酸、ベクターの意図された活性が損なわれない限り、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤なども含み得る。薬学的組成物は、(本発明の組成物に加えて)1つ以上の活性成分、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などを含み得る。薬学的組成物は、局所治療又は全身治療が所望されるかどうか、及び治療される領域に応じて、ある数の方式で投与され得る。
非経口投与の調製物には、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルジョンが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョン、又は懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、又は固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが含まれる。保存剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなども存在し得る。
経口投与のための組成物には、粉剤又は顆粒剤、水又は非水媒体中の懸濁液又は溶液、カプセル剤、サシェ剤、又は錠剤が含まれる。増粘剤、香料、希釈剤、乳化剤、分散助剤、又は結合剤が望ましい場合がある。組成物のうちのいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、及びフマル酸などの有機酸との反応によって、又は水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、並びにモノ、ジ、トリアルキル、及びアリールアミン、及び置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される薬学的に許容される酸又は塩基付加塩として潜在的に投与され得る。
典型的なペプチド製剤とは異なり、D型アミノ酸を含む本発明のペプチドは、胃酸などによるタンパク質分解に対する保護なしに、経口でも、投与することができる。それにもかかわらず、いくつかの態様では、ペプチド送達は、保護賦形剤の使用によって増強することができる。これは、典型的には、ポリペプチドを組成物と複合体化して、酸性及び酵素的加水分解に耐性にすることによって、又はポリペプチドをリポソームなどの適切に耐性のある担体にパッケージングすることによってのいずれかで達成される。経口送達のためのポリペプチドを保護する手段は、当該技術分野で周知である(例えば、治療剤の経口送達のための脂質組成物を記載する米国特許第5,391,377号を参照されたい)。
上昇した血清半減期は、徐放性タンパク質「パッケージング」システムの使用によって維持することができる。そのような徐放性システムは、当業者に周知である。いくつかの態様では、タンパク質及びペプチドのためのProLease生分解性ミクロスフェア送達システム(Tracy(1998) Biotechnol.Prog.,14:108、Johnson et al.(1996)Nature Med.2:795、Herbert et al.(1998),Pharmaceut.Res.15,357)他の薬剤あり又はなしで乾燥製剤として配合することができるポリマーマトリックス中に活性剤を含有する生分解性ポリマーミクロスフェアからなる乾燥粉末。
ProLeaseマイクロスフィア製造プロセスは、活性剤の完全性を維持しながら、高いカプセル化効率を達成するように特別に設計された。プロセスは、(i)安定化賦形剤で薬物溶液を噴霧凍結乾燥させることによるバルクから凍結乾燥薬物粒子の調製、(ii)薬物-ポリマー懸濁液の調製、続いて薬物粒子サイズを低減するための超音波処理又は均質化、(iii)液体窒素への噴霧化による凍結薬物-ポリマーミクロスフェアの製造、(iv)エタノールでのポリマー溶媒の抽出、並びに(v)最終的な乾燥粉末製品を製造するための濾過及び真空乾燥からなる。得られた粉末は、多孔質ポリマー粒子内に均一かつ厳密に分散される、活性剤の固体形態を含有する。プロセスで最も一般的に使用されるポリマー、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)は、生体適合性及び生分解性の両方である。
カプセル化は、低温(例えば、-40℃)で達成することができる。カプセル化中、タンパク質は、水の不在下で固体状態に維持され、よってタンパク質の水誘発性立体構造の移動性を最小限に抑え、反応物として水を含むタンパク質分解反応を防止し、タンパク質が変性を受け得る有機水性界面を回避する。好ましいプロセスは、ほとんどのタンパク質が不溶性である溶媒を使用し、よって高いカプセル化効率(例えば、95%超)をもたらす。
いくつかの態様では、溶液の1つ以上の成分は、「濃縮物」として、例えば、希釈のために準備された保存容器(例えば、予め測定された体積)中、又はある体積の水への添加のために準備された可溶性カプセル中で提供することができる。
前述の製剤及び投与方法は、例示的なものであり、限定的なものではないことが意図される。本明細書に提供される教示を使用して、他の好適な製剤及び投与様式を容易に考案することができることが理解されるであろう。
併用療法
開示される方法のいくつかの態様では、EPO由来ペプチドは、単独で、又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することができる。追加の治療剤は、治療される疾患又は症状に基づいて選択される。様々なクラスの好適な薬理学的薬剤及び薬物の説明は、Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,(11th Ed.,McGraw-Hill Publishing Co.)(2005)において見られ得る。例えば、EPO由来ペプチドを含有する薬学的組成物は、多発性硬化症を治療するための1つ以上の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。多発性硬化症を治療するための治療剤としては、これらに限定されないが、抗炎症剤、抗けいれん剤、免疫調節療法、ステロイド、及び疾患修飾薬物が挙げられる。疾患修飾薬物の例としては、これらに限定されないが、クラドリビン、フマル酸ジメチル、フマル酸ジロキシメル、フィンゴリモド、フマル酸モノメチル、オザニモド、シポニモド、テリフルノミド、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、酢酸グラチラマー、ペグインターフェロンベータ-1a、アレムツズマブ、ミトキサントロン塩酸塩、ナタリズマブ、オファツムマブ、ポネシモド、及びオセレリズマブが挙げられる。
併用療法は、投与レジメンの治療サイクル中にEPO由来ペプチド及び追加の治療剤を投与することを含むことができる。併用療法はまた、治療サイクル中にEPO由来ペプチド、及び休止期中に追加の治療剤を投与することを含むことができる。
薬学的組成物
本明細書に開示される組成物を含む、薬学的組成物が本明細書に開示される。いくつかの態様では、薬学的組成物は、本明細書に開示されるEPO由来ペプチドのうちのいずれかを含むことができる。例えば、表1に列挙されるEPO由来ペプチドのうちの1つ以上を含む薬学的組成物が本明細書に開示される。いくつかの態様では、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を更に含む。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的に許容される物質のための媒体として使用され得る溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝液、賦形剤、結合剤、潤滑剤、ゲル、界面活性剤を指す。薬学的に許容される担体は、脂質系又はポリマー系のコロイドであり得る。コロイドの例としては、リポソーム、ヒドロゲル、微粒子、ナノ粒子、及びミセルが挙げられる。組成物は、様々な投与経路のいずれかによる投与のために製剤化することができ、1つ以上の生理学的に許容される賦形剤を含んでいてもよく、これは投与経路に応じて様々であってもよい。本明細書に記載されるEPO由来ペプチド又は他の薬物のうちのいずれかは、薬学的組成物の形態で投与することができる。
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、「担体」又は「希釈剤」とも称され得るものを含む、任意の化合物又は物質を意味する。薬理学的及び生理学的に許容される組成物を調製することは、当該技術分野では日常的であると考えられ、したがって、当業者は、必要に応じて、多数の当局に指導を求めることができる。組成物はまた、追加の薬剤(例えば、防腐剤)を含み得る。
本明細書に開示される薬学的組成物は、経口投与又は非経口投与のために調製され得る。非経口投与のために調製される薬学的組成物としては、静脈内(又は動脈内)、筋肉内、皮下、髄腔内投与、経粘膜(例えば、鼻腔内)直接若しくは局所注射、経皮(例えば、局所)、又は腹腔内投与のために調製されるものが挙げられる。エアロゾル吸入も使用することができる。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であり得るか、又は例えば、連続ポンプによるものであり得る。いくつかの態様では、局所又は直接注射は、対流増強送達を介し得る。いくつかの態様では、組成物は、これらに限定されないが、水性担体、例えば、水、緩衝水、生理食塩水、緩衝生理食塩水(例えば、PBS)などを含む、許容される担体中で、本明細書に開示されるMSUT2阻害剤のうちのいずれかを溶解又は懸濁することを含む、非経口投与のために調製することができる。含まれる賦形剤のうちの1つ以上は、pH調節剤及び緩衝剤、張力調整剤、湿潤剤、洗剤などの生理学的状態に近似させるのを助けることができる。組成物が、固体成分(経口投与のためのものであり得る)を含む場合、賦形剤のうちの1つ以上は、結合剤又は充填剤として機能することができる(例えば、錠剤、カプセルなどの製剤化のために)。組成物が、皮膚又は粘膜表面への適用のために製剤化される場合、賦形剤のうちの1つ以上は、クリーム、軟膏などの製剤化のための溶媒又は乳化剤であり得る。
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物は、経口、筋肉内、静脈内、皮下、髄腔内、直接若しくは局所注射、鼻腔内、又は腹腔内投与のために製剤化される。
薬学的組成物は、滅菌されてもよく、従来の滅菌技術によって滅菌されてもよく、又は滅菌濾過されてもよい。水溶液は、そのまま使用するために包装されてもよく、又は本開示によって包含される凍結乾燥された凍結乾燥調製剤を、投与前に滅菌水性担体と合わせてもよい。薬学的組成物のpHは、典型的には、3~11(例えば、約5~9)、又は6~8(例えば、約7~8)であろう。固体形態で得られた組成物は、複数の単回投与単位で包装されてもよく、各々が所定量の上述の1つ以上の薬剤を含む(例えば、錠剤又はカプセルの密封された包装)。固体形態の組成物はまた、局所的に適用可能なクリーム又は軟膏のために設計された圧縮可能なチューブなど、柔軟な量のための容器で包装されてもよい。組成物はまた、粉末、エリキシル、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、坐剤、滅菌注射用溶液及び滅菌包装された粉末として製剤化してもよい。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」は、意図されるように(すなわち、適切なように)対象に投与される場合に、有害な反応(すなわち、有害反応、負の反応、又はアレルギー反応)を生じないか、又は引き起こさない分子及び組成物を意味する。
本明細書に開示される組成物は、対象に直接投与することができる。一般に、組成物は、それらの送達を促進するために、薬学的に許容される担体(例えば、生理食塩水又は緩衝食塩水溶液)中に懸濁させることができる。好適な送達ビヒクル(例えば、ポリマー微粒子又は移植可能なデバイス)中の組成物のカプセル化は、送達の効率を向上させ得る。いくつかの態様では、投与経路は、限定されないが、脳への直接注射を含む。このような投与は、手術なしで、又は手術とともに行うことができる。
キット
本明細書に記載されるキットは、上述の組成物(例えば、EPO由来ペプチドのうちの1つ以上)と、好適な説明書(例えば、オーディオ資料、ビジュアル資料、又はオーディオビジュアル資料として記載及び/又は提供されたもの)との任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの態様では、キットは、本明細書に開示されるいずれか1つの組成物を含む所定量の組成物を含む。キットは、説明書、滅菌流体、シリンジ、滅菌容器、送達デバイス、及び緩衝液、又は他の対照試薬のうちの1つ以上を更に含み得る。
実施例1:慢性再発型EAEに対する短期エリスロポエチンペプチドJM4療法の長期有益効果
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症(MS)の臨床症状に密接に類似する進行性麻痺をもたらす実験動物における中枢神経系(CNS)に影響を及ぼすT細胞媒介性自己免疫疾患である(Robinson A,et al.Handbook of Clinical Neurology 2014;122:173-89)。MSとの臨床的及び免疫病理学的類似性のために、EAEは、MSのための療法の開発において広く使用される動物モデルである(Robinson A,et al.Handbook of Clinical Neurology 2014;122:173-89)。パルス免疫再構築療法として知られる2つの新たに認識されたFDA承認MS療法、アレムツズマブ及びクラドリビンは、何年も持続し得る持続的な臨床及び放射線有益効果を誘発する短期治療コースに従う(Sorensen P and Sellebjerg F.Therapeutic Advances in Neurological Disorders 2019;12:1-16)。
短期ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)EAEマウスモデルにおける前臨床研究の結果は、炎症を起こしたCNS内でのグリア細胞主要組織適合性複合体(MHC)クラスII発現の弱さ、低減した単核細胞浸潤、及び下方調節における顕著な改善を実証することによって、EPOの強力な免疫調節効果を明らかにした(Yuan R,et al.PLoS ONE 2008;4:3)。全分子EPOは、EAEモデルにおいて治療上の有望性を示すが、赤血球量の上昇、心血管合併症、脳卒中、及び高血圧を含む毒性は、ヒト臨床診療でのその使用における関心を制限する(Dicato M.Oncologist 2008;3:11-15、Ehrenreich H,et al.Stroke 2009;40:e647-e656、及びCorwin H,et al.A.New England Journal of Medicine 2007;357:965-76)。全分子EPOによって誘発される副作用を回避するために、小さな副作用フリーEPO由来ペプチド、JM4が生成され、過剰な赤血球形成の原因となる活性なしに、症候性EAEマウスにおいて堅牢なEPO様組織保護特性を有することが見出された(Yuan R,et al.Neurotherapeutics 2015;12:850-861、及びWang B,et al.Neurotherapeutics 2016;2:418-427)。
全分子EPO及びJM4の両方でのEAEマウスの治療は、上昇した単核細胞数を正常まで低減し、樹状細胞を10倍減少させ、IL-2、IL-6、TNF-アルファ、及びINF-ガンマを含む炎症誘発性サイトカインを減少させることが見出された(Yuan R,et al.Neurotherapeutics 2015;12:850-861)。加えて、JM4ペプチドは、SJL/J EAEマウスにおいてTreg細胞を増殖させ、TヘルパーTh17陽性細胞を低減することが見出された(Yuan R,et al.Neurotherapeutics 2015;12:850-861)。これらの所見は、ミクログリア、アストロサイト、及びT細胞を伴う、先天性及び後天性免疫の両方に対する重大な効果を通した全分子EPOのそれに密接に類似する神経保護におけるJM4活性のメカニズムを示す。
生物発光イメージング(BLI)は、神経炎症を非侵襲的に監視し、疾患発症を予測し、疾患再燃を追跡するためにEAEにおいて利用され得る感度の高い定量的イメージングモダリティである(Luo J,et al.Journal of Neuroinflammation 2008;5:6)。BLIは、アルツハイマー病マウスモデルにおけるアミロイドベータ蓄積の進行を追跡するため、及びプリオン感染性を測定するための広範な臨床適用性を示している(Watts J,et al.PNAS 2011;108:2528-2533、及びTamguney G,et al.PNAS 2009;106:15002-15006)。以前の研究は、BLIを使用して、アストロサイト活性のための既知のマーカーであるグリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)発現を連続的に定量化し、トランスジェニックマウスモデルにおけるCNS神経炎症を追跡し、それによって炎症性疾患プロセスを監視するためのパラダイムとして機能していた(Luo J,et al.Journal of Neuroinflammation 2008;5:6、Hochgraefe K and Mandelkow EM.Molecular Neurobiology 2013;47:868-882、及びZhu L,et al.Neuroscience Letters 2004;367:210-212)。アストロサイト活性化は、EAE誘発のためのプロセスを反映する実用的なバイオマーカーであり、臨床症状の発症前に観察される(Brambilla R.Acta Neuropathology 2019;137:757-783)。上昇したGFAP発現は、再発寛解型EAEマウスにおける臨床症状の発症前に見られ、アストロサイト反応性は同様に、MS病変形成の初期段階で発生し、慢性的に持続する(Brambilla R.Acta Neuropathology 2019;137:757-783、及びAlvarez J,et al.Glia 2013;61:1939-58)。近年、A1及びA2と称される2つの異なるタイプの反応性アストロサイトが同定されている(Liddelow S,et al.Nature 2017;541:481-487、及びSmith M,et al.Brain Research 1983;264:241-53)。A1アストロサイトは、GFAPを過剰発現し、補体成分C3の上方調節された発現を提示し、MS及び神経変性障害において上方調節され(Li W,et al.Annals of Neurology 2004;56:767-77、及びSmith M,et al.Brain Research 1983;264:241-53)、それらはオリゴデンドロサイト及びニューロンの死をもたらす。対照的に、A2アストロサイトは、神経保護性であると考えられる(Liddelow S,et al.Nature 2017;541:481-487)。
本明細書に記載される結果は、JM4治療が、急性MOG単相性疾患において及び慢性再発寛解型プロテオリピドタンパク質(PLP)誘発性EAEマウスにおいて長期的に炎症効果を実質的に低減すること、並びにBLIが、EAEの臨床経過を追跡するための良好な方法論であることを示す。結果はまた、EAEマウスのCNSにおける増加したC3発現を実証し、JM4治療動物におけるC3発現の顕著な低減を示す。JM4での短期治療のこれらの持続的かつ長期的な臨床的利益は、新たに認識された免疫再構築多発性硬化症薬物、アレムツズマブ及びクラドリビンのそれに類似する。
方法。動物。雄FVB/N-Tg(GFAP-luc+/-)マウス(Xenogen Corp、Alameda、CA)を、Charles River Laboratories(Wilmington、MA)から購入されたアルビノC57BL/6J-Tyrc-2j又はSJL/Jマウスのいずれかと交配した。F1子孫を、製造業者のプロトコルに従ってPCRによって遺伝子型決定した。GFAP発現について陽性である8~10週齢の雌マウス(GFAP-luc/C57又はGFAP-Luc/SJL)を使用した。
ペプチド。ミエリン由来抗原タンパク質タンパク質ペプチドPLP139-151(HSLGKWLGHPDKF、配列番号15)又はMOG35-55(MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK、配列番号11)を、それぞれ、EAEの再発寛解型慢性及び単相性形態の誘発に使用した。非造血(EPO)由来短ペプチド断片、JM4(GCAEHCSLNENITVPDTKV、配列番号1)を療法に使用した。ペプチドは、United Biochemical Research、Inc.、WAから購入した。
EAEの誘発及び動物の臨床評価。活性EAEを標準的なプロトコルに従って誘発した(Smith M,et al.Brain Research 1983;264:241-53)。マウスを、0日目に、4mg/mLの殺滅M.tuberculosis H37Ra(Difco Laboratories、Detroit、MI)で補足された、等体積のフロイントアジュバント中のPLP139-151又はMOG35-55ペプチドのいずれかで構成される100μLのエマルジョンでの尾基部の両側での皮下注射によって免疫化した。抗原の初期用量は、SJL/Jマウスにおける再発型EAEを誘発するための100μgのPLPペプチド、又は急性単相性EAEの誘発のためのC57BL/6マウス当たり200μgのMOGペプチドであった。GFAP-Luc/SJL/Jマウスは、7日目に第2のPLP抗原免疫化を受けた。これらの免疫化の直後、マウスは、200μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(List Biological Laboratories、Campbell、CA)に希釈された200ngのBordetella pertussis毒素の静脈内(IV)注射を受けた。GFAP-Luc/C57BLマウスは、接種後2日目に、200ngのBordetella pertussis毒素の追加IV注射を受けた。動物は、疾病の急性期中は2人の盲検の独立した観察者によってEAEの臨床徴候について毎日計量及び評価され、その後の慢性期中は1週間に3回追跡された。単相性EAE MOG C57BL6モデルを28~30日間監視し、PLP SJL/J再発モデルを免疫化後6ヶ月近くにわたって追跡した。EAEマウスモデルにおける行動神経学的欠損を定量化するために使用される臨床スコアリングシステム(表2)は、以前に記載された(Aquino D,et al.Journal of Neurochemistry 1990;54:1398-404)。
Figure 2024514204000003

生物発光イメージング(BLI)。生物発光シグナルを、暗箱に取り付けられた冷却電荷結合素子(CCD)カメラを有するインビボイメージングシステム100(IVIS、Xenogen、Alameda、CA)を用いて定量化した。3匹の動物を同時に撮像した。マウスは、イメージングの2~3分前に1mg/kgのD-ルシフェリン(Xenogen)のIV注射を受け、イメージングのために気化イソフルランで直ちに麻酔した。イメージングシグナルは、LIVINGIMAGE Version 3.1(Xenogen)ソフトウェアを使用してステラジアン当たり平方センチメートル当たり秒当たりの光子(光子/s・cm2/sr)の単位で定量化し、2分かけて統合した。シグナル定量化のために、光子を、隣接する前脳の2.18cm2及び脊髄領域の5.27cm2に及ぶ「関心領域」(ROI)から得た。生物発光は、内因性対照として使用される、中枢神経系ROIからの総光子値対左耳上の等しいサイズの領域から得られた光子値の比として表された。急性EAEモデルでは、測定を典型的には1~2日毎に行い、連続した2日の測定値の平均を使用した。生物発光イメージングを、疾患発症後1日おきに、及び疾病のその後の慢性期中に毎週2回実施した。
JM4治療。JM4ペプチドを、2mg/mlまで蒸留水にまず溶解し、-80℃で保存した。使用直前に、ペプチド溶液を、PBSで5μg/200μlまで更に希釈した。治療は、脳又は脊髄のいずれかの生物発光シグナルがバックグラウンドよりも有意に高くなったとき(通常、免疫化の8~9日後及ぶ臨床徴候の発症前)に開始した。EAEマウスを、JM4治療及びシャム治療群に無作為に分けた。JM4治療EAE動物(群当たり4~10匹)を、10~12日間250μg/kgのPBS中のペプチドのIV JM4で毎日治療した。対照EAE動物を、同じ期間にわたってIV生理食塩水でシャム治療した。治療効果を評価するために、マウスは、BLI検査並びに臨床及び組織病理学的評価を受けた。
リアルタイムPCR。GFAPメッセージレベルとルシフェラーゼ発現との間の相関を検証するために、EAEマウス脳由来の総RNAを免疫化後の異なる時点で抽出した。2段階リアルタイムPCRを、SYBR-Green I Master Kit(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN、USA)を使用したABI 7700配列検出システム(PE Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)で行った。cDNAを、Trizol(Invitrogen)で抽出されたトータルRNAの2μgでSuperScript VILO(Invitrogen)を使用したRT-PCR(製造業者のプロトコル)を介して合成した。2μLの20倍希釈RT-PCR反応溶液を、リアルタイムPCR反応において試験した。GFAP転写物を増幅するために使用されるプライマーペアは、フォワード5’-ATGGTGATGCGGTTTTCTCTTC-3’(配列番号16)及びリバース5’-CACGAACGAGTCCCTAGAGC-3’(配列番号17)、並びにルシフェラーゼ転写物についてフォワード:5’-GCTTTTGGCGAAGAATGAAA-3’(配列番号18)及びリバース5’-CATTCCGCATACTGAGATTT-3’(配列番号19)であった。リアルタイムPCRを、25秒間94℃、25秒間60℃、及び45秒間72℃での40サイクルにわたって実行した。定量化は、PE Applied BiosystemsからのABI Prism 7700についてUser Bulletin #2に記載される相対標準曲線方法を使用して行った。HPRT1(ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1)転写物の産物を、内因性対照として使用した。標準曲線を、6段階希釈を使用して生成し、>0.99の相関スコアを各実行について観察した。試料を3通りに実行し、平均Ct値を分析に使用した。融解温度を解離曲線で研究し、PCR産物を1%アガロースゲル中での電気泳動によって検証した。
組織病理学。免疫化後の異なる時点でのCNS炎症及び脱髄を評価するために、JM4ペプチド治療群及びシャム治療群におけるEAEマウスを麻酔し、氷冷PBS、続いて4%パラホルムアルデヒドで左心室へと灌流した。脊髄及び脳を取り出した。次いで、組織をパラフィンに埋め込み、切片化し、ルクソールファストブルー/PASで染色して、脱髄の程度を判定した。脊髄の高頸部、胸部、及び低腰仙部領域からの5ミクロンのパラフィン切片を、同じスライド上に配置した。各スライドは、JM4治療EAE動物由来の対照正常脊髄切片、シャム治療EAE髄、及び脊髄切片を含有した。組織病理学的検査を盲検で行った。加えて、急性軸索損傷を評価するために、SMI-32抗神経フィラメントH免疫組織化学染色を完了した(Aquino D,et al.Journal of Neurochemistry 1990;54:1398-404)。簡潔には、5μmの切片を脱パラフィン化し、抗原賦活化溶液で処理し、非特異的結合を最小限に抑えるために正常ウマ血清でブロックした。切片をまず、PBS中で1:5,000に希釈されたマウスSMI-32抗体(Sternberger Monoclonals、Lutherville、MD)と4℃で一晩インキュベートした。2回の5分PBS洗浄後、切片を、ビオチン化ウマ抗マウスIgG(Vector Labs、Burlingame、CA)と、次いでホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)-アビジン複合体(Vector Labs)によって各30分間インキュベートした。切片をジアミノベンジジン四塩酸塩(Stable DAB、Invitrogen)と1~3分間反応させることによって、免疫染色を可視化した。余分なDABを蒸留水で洗浄することによって除去し、スライドを光学顕微鏡を使用して評価した。
脊髄(頸部から仙骨部まで6~7等分に切断)を凍結し、8μm厚断面で連続的に切断し、スライド上に収集し、次いで-20℃で10分間アセトン中で後固定した。切片を、90℃で10分間Target Unmasking Fluid(Pan Path)でまず処理し、2%正常ウマ血清中で10分間ブロックした。切片を、1:50のモノクローナルラット抗マウスC3補体(Abcam、AB11862)又は1:500のポリクローナルウサギ抗マウスGFAP(Dako Z0334GFAP)のいずれかと4℃で一晩インキュベートした。翌日、切片をPBS中で各10分間3回洗浄し、1:120の作業希釈でcy3又はcy2コンジュゲートヤギ抗マウス/ラット/ウサギIgG(Jackson ImmunResearch)と1時間インキュベートした。切片を、dH2O中で各10分間3回洗浄し、続いて蛍光顕微鏡イメージングを行った。
4倍又は10倍対物レンズを使用したProgRes MFクールデジタルカメラを装備したOlympus BX41蛍光顕微鏡(Center Valley、PA、USA)を使用して、免疫組織化学画像を得た。異なる脊髄レベルからの各切片の半分を、Image Pro 4.0画像分析ソフトウェア(BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ)を使用して、標識が一定の閾値を超えた構造における面積パーセントを測定することによって定量化した。
統計分析。データを、平均±SEMとして表す。BLI及び臨床スコアに対するJM4効果を比較するために、両側t検定を使用した。JM4の長期効果を、60日目以降の各対象の平均臨床スコアを使用することによって、再発型EAEモデルにおいて研究した。生物発光は、脊髄における発光強度が左耳と比較して0.5の閾値を超えた日数によって測定した。両側ログランク検定を使用して生存データを調査した。p<0.05の値は、有意とみなされた。
結果。GFAPとルシフェラーゼ発現との間の相関の検証。定量的リアルタイムPCRを使用して、GFAP-Luc/SJL EAEマウスモデルにおけるGFAP発現とルシフェラーゼ発現との間の相関を検証した。免疫化後0、7、及び14日でSJL/J EAEマウス脳からRNAを抽出し、2段階リアルタイムPCRを行った。GFAP及びルシフェラーゼの増加した発現は、7日目及び14日目に見られた(図1)。GFAPとルシフェラーゼ転写との間に強い相関(>98%)が確認された(r平方=0.9958)。
単相性及び再発寛解型EAEモデルにおける生物発光に対するJM4治療の効果。Luo et al.(Luo J,et al.Journal of Neuroinflammation 2008;5:6)は、GFAP-Luc C57BL/6j-Tyrc-2jアルビノマウスを使用して、MOG誘発性急性EAEを研究し、GFAP生物発光と臨床スコアとの間の密接な相関が使用されることを見出した。MOG誘発性単相性EAEに対するJM4の治療効果を調査するために、本明細書ではGFAP-Lucモデルを使用した。C57BL/6j-Tyrc-2jと交配されたFVB/N-Tg(GFAP-luc+/-)の雌F1子孫を、200μgのMOGで免疫化した。これらのマウスはその後、免疫後9日目に開始して12日間、JM4 250μg/kg IV又は0.9%生理食塩水IVでのシャム治療のいずれかを受けた。疾患発症及び重症度は、臨床神経学的スコアリングによって、及びGFAP-luc BLIによって評価された。単相性臨床経過は、シャム治療EAE群においてLuo et al.(Wang B,et al.Neurotherapeutics 2016;2:418-427)によって記載されるように観察された。マウスは、10±0.7日目に臨床徴候をまず発症し、14日目に最大平均臨床スコア3.7±0.4に達し、約2週間の疾患持続時間を有した。対照的に、JM4で治療されたEAE動物は、疾患経過の残り全体を通して12日目から臨床スコアの有意な低減を示し(図2)、最大平均臨床スコアは、2.25±0.3(p<0.05)まで低減した。
JM4での顕著なポジティブな治療効果はまた、臨床スコアと相関するGFAP-luc BLI評価によって見られた(図3)。MOG誘発性EAEモデルでは、最も早期に検出可能な生物発光シグナル(ROI/耳比≧0.4)が、免疫化後7日という早期に前脳にかけて確認された。有意なシグナルが9日までに動物の90%において検出され、最大値が11日目~16日目、典型的には臨床欠損の発症に2~3日先行して観察された。9日目に類似の生物発光スコアを有する動物を、JM4治療又はシャム治療EAE群にペアリングし、JM4治療を開始した。JM4治療MOG EAE群における疾患経過にわたる脳及び脊髄領域内のピーク生物発光測定値は、シャム治療群のものよりも有意に低いままであった(図3)。11~12日目のピーク疾患スコアからの3~4倍低減(11~17日目)が、シャム動物と比較してJM4治療で見られた。加えて、GFAP-lucシグナルは、シャム治療群と比較される場合、JM4治療動物において3~4日より早期にベースラインに戻った。
PLP誘発性再発寛解型EAEモデルに対するJM4治療の持続的効果。急性単相性MOG誘発性EAEマウスモデルにおけるJM4ペプチドの短期有益効果を定量化した後、慢性再発寛解型PLP抗原誘発性SJL/J EAEマウスに対する長期JM4治療効果を調査した。生物発光イメージングでGFAP-luc発現を監視することが、臨床検査よりもCNS神経炎症状態を判定するためのより感度が高く包括的な指標であり得るかを試験した。このため、GFAP-Luc(-/+)/FVBN(Xenogen)マウスをSJL/Jマウスと交配することによって、新たな発光GFAP-Luc/SJL/1 EAEモデルを作製した。
F1子孫SJL/J雌マウスを100μgのPLP139-151で初期免疫化し、ブースター免疫化を7日目に投与した。マウスを、最大6ヶ月にわたって臨床検査及びBLIイメージングによって評価した。PLP免疫化されたマウスの80パーセントは、EAEを発症し、5~6ヶ月の実験コース中に臨床スコアリングによって評価されるように少なくとも1つの再発を示した。第1の臨床徴候は免疫化の11±1.5日後に現れ、臨床スコアは14±2.4日でピークに達し、平均して急性ピークは7.5±3.8日継続した。バックグラウンドレベルを上回る生物発光シグナルは、動物の80%において9日で検出された。増加したシグナルは、まず前脳で見られ、その後、典型的には臨床症状の発症の1~2日前にピークに達する脊髄シグナルを伴い1~3日で脊髄に拡大した。脊髄における光子測定値の強度は、臨床スコアと強く相関した。PLP免疫化マウスの20パーセントでは、脳において臨床症状がないか又は増加した生物発光シグナルが見られず、これらのマウスを研究から取り除いた。明確な臨床再発の前に、動物は、その後、数日の経過にかけてバックグラウンドレベルに後退した、脊髄における生物発光シグナルの実質的な増加を示した。吻側前脳における生物発光強度増加に、疾患の臨床証拠が常に続くとは限らない(図4)。
9日目に新しい発光SJL/J EAEマウスモデルを特徴分析した後、マウス(各実験において4~6匹の動物)を2つの群に分け、一方をIV JM4ペプチド(5μg/日)の12日コースで治療し、他方をシャム治療した(0.9%生理食塩水IV)。臨床欠損を毎日スコア付けし、画像を急性期中に毎週2~3回撮影し、続いて7~10日毎に最大5ヶ月にわたって撮像した。JM4治療された再発寛解型マウスの長期臨床スコアは、5ヶ月超にわたってシャム治療されたEAEマウスよりも有意に低いままであった(図5)。JM4治療動物における臨床欠損は、疾患の急性期中にシャム治療動物よりも7日早く急速に改善した。JM4治療マウスについての平均臨床スコアは、130日にわたって1未満のままであったが、シャム治療群スコアは、同じ期間にわたって2を中心とした。JM4治療再発寛解型EAEマウスでは、脳又は脊髄のいずれかにおけるGFAP-luc発現及び疾患再燃の総数の両方は、シャム治療動物と比較して有意に減少した(図6)。JM4で治療されたSJL/J再発寛解型EAEマウスは、シャム治療された対照マウスと比較して、腹側脊髄を縁取る損傷した軸索の数の大幅な低減を示した(図7)。JM4での治療は、カプラン-マイヤープロットによって分析されるように、100日で再発寛解型SJL/Jマウスにおいて100%の生存をもたらし、シャム治療動物の50%が生存した。
MOG誘発性単相性EAEマウスにおけるC3発現によって表されるA1アストロサイト活性化は、JM-4治療によって減衰された。MOG誘発性EAEマウスは、免疫後9日目に開始して12日間、JM4 250μg/kg IV又は0.9%生理食塩水IVでのシャム治療のいずれかを受けた。EAEマウスのCNSにおけるA1アストロサイト活性化を示すために、A1アストロサイトのマーカーである補体成分C3についての免疫組織化学を行った。GFAPと共局在化するC3発現は、シャム治療された対照マウスと比較して免疫化24日後のC57BL MOG EAEマウスの脊髄において上方調節された。重要なことに、JM4での治療は、C3発現の有意な低減をもたらした(群当たりn=7、EAE 17.5+/-3.7対JM4治療8.3+/-1.9、p<0.05、ANOVA、続いてボンフェローニ比較)。これらの結果は、JM-4治療がEAEマウスにおいてA1アストロサイト活性化を50%を超えて減衰させたことを示す。例えば、図8を参照されたい。
考察.BLI/臨床研究は、急性MOG及び再発寛解型PLP SJL/J EAEマウスモデルの両方において、小EPO由来ペプチド、JM4の重大な免疫調節利益を実証する。両方のモデルにおいて、JM-4のポジティブな臨床及びイメージング治療効果は、全分子EPOに関連するネガティブな造血副作用なしに維持された。
経口及び注射可能疾患修飾療法を含む、RRMSのための従来の治療は、通常、療法の持続時間に限定される有益な効果を実証している。免疫再構築療法と呼ばれるMSの治療の新たに出現したクラスは、短い治療コースをはるかに超えて持続する顕著に延長された臨床的利益を示す。2つの免疫再構築化合物:アレムツズマブ及びクラドリビンが認識されており、これらの化合物は、MS患者における脳磁気共鳴イメージング(MRI)で見られるように、リンパ球、クラススイッチされた及びスイッチされていないメモリーB細胞を枯渇させ、再発率及びガドリニウム増強病変の低減をもたらす。両方の医薬品で、療法の長期臨床的利益は、多くの場合、積極的治療の時間後に数ヶ月~数年間保持される(Sorensen P and Sellebjerg F.Therapeutic Advances in Neurological Disorders 2019;12:1-16)。JM-4での短期療法が、BLIによって少なくとも5ヶ月間監視されるように、持続的な臨床的利益及びアストロサイト活性化の下方調節をもたらすというこれらの所見は、JM-4を、免疫再構築療法に類似した長く持続する利益を達成するための療法として提示する。
本明細書に記載される実験では、相対GFAP-luc発現は、EAEトランスジェニックマウスモデルにおいて経時的に増加することが確認され、神経炎症の有用なバイオマーカーとして、古典的なアストロサイトマーカーであるGFAPの以前に認識された概念を強化した(Luo J,et al.Journal of Neuroinflammation 2008;5:6)。これらの結果は、臨床症状及び炎症と同時に起こる増加したGFAP mRNAレベルを示す以前に研究された急性EAEモデルと類似していた(Smith M,et al.Brain Research 1983;264:241-53、Aquino D,et al.Journal of Neurochemistry 1990;54:1398-404、及びAquinno D,et al.Journal of Neurochemistry 1988;51:1085-1096)。再発寛解型SJL/J EAEマウスモデルでは、増強された生体発光異常が臨床欠損よりも頻繁に観察され、治療の効果を臨床症状の出現前に複数の時点で及びより高精度で非侵襲的に監視することをもたらした。これらの所見は、BLIが、多くの場合、マウスにおける臨床評価よりも感度が高いことを示す。同様に、BLIを使用した先行研究は、臨床神経学的障害の発症の5~7日前のEAE病変の早期検出を報告した(Luo J,et al.Journal of Neuroinflammation 2008;5:6)。
EAEマウスモデルにおける治療応答を監視するためのBLIの使用に類似して、MRIは、診断目的で及びMS患者における療法に対する疾患応答を監視するために利用されてきた。この現在の研究の所見と同様に、MRIで見られる急性MS病変は、多くの場合、臨床徴候及び症状に先行し得る(Barkhof F,et al.Brain 1997;120:2059-69、及びLincoln J,et al.Archives of Neurology 2009;66:412-4)。興味深いことに、本明細書に記載される結果は、吻側脳における生物発光強度増加に、疾患の臨床証拠が常に続くとは限らないことを示した。これらの所見は、MSにおいてよく認識された臨床放射線学的パラドックスを連想させ、MRIで見られる放射線病変負荷は、多くの場合、臨床障害の程度と相関しない(Barkhof F.Current Opinion in Neurology 2002;15:239-245、及びWuerfel J,et al.European Journal of Neuroscience 2007;26:190-198)。
予想されるように、BLIは、慢性寛解再発型EAEモデルにおける疾患状態の評価においてより大きな有用性を有するように見えた。生物発光シグナルの平均1日強度は、JM4群とシャム治療群との間で有意差はなかったが、GFAP発現がバックグラウンドを上回るJM-4治療動物における再燃の数は、シャム治療動物で見られたものよりも常に実質的に少なかった(図6)。このデータは、JM-4での10~12日の治療コースが、急性期での重度EAEの発症を停止し、慢性EAE動物における炎症再発の数を5ヶ月超にわたって顕著に低減することを示す。臨床スコアリングによって、JM4治療されたSJL/J動物の50%が5ヶ月の実験全体を通して無再発のままであり、シャム治療されたマウスの20%が無再発のままであった。特に、12日間のJM-4療法はSJL/J EAE動物の100%の生存をもたらし、シャム治療されたSJL/J EAE動物の半数は死亡した。
毒性A1アストロサイト表現型の存在は、GFAP陽性アストロサイト上のC3タンパク質の強い上方調節によって明らかにされるように、EAEマウスの脊髄において検出された。この結果は、MS及び他の神経変性障害において報告されたA1反応性アストロサイトの存在と一致している(Ponath G,et al.Frontiers in Immunology 2018;9:1-12、Colombo E and Farina C.Trends in Immunology 2016;37:608-620、及びLiddelow S and Barres B.Immunity 2017;46:957-966)。最も重要なことに、EAEマウスのJM-4治療は、免疫組織化学によって検出されるようなC3陽性A1アストロサイトの大幅な低減及びBLIによって検出されるGFAP-luc発現の低減をもたらす。これらの結果は、我々が以前に報告したように、T細胞及び炎症性サイトカインのサブセットの変化を含む末梢免疫系に対するその効果に加えて、JM-4治療によるCNSにおける免疫系に対する重大な効果を示す(Yuan R,et al.Neurotherapeutics 2015;12:850-861)。EAEマウスモデルの脳におけるアストロサイト型の更なる特徴分析は、EAEを治療するための有効な薬物の将来の開発のために必要である。
本明細書に記載されるように、7~14日持続するJM-4での短期治療パルスは、慢性再発型EAEマウスにおいて少なくとも5ヶ月持続する持続的かつ長期の臨床的利益をもたらすことが示された。よって、これらのデータは、JM-4の短いコースが、MS患者の治療において副作用なしに長期臨床的利益につながるであろうことを示す。

Claims (35)

  1. 少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、前記治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、投与レジメン。
  2. 前記治療サイクルが、有効量の前記EPO由来ペプチドを7~14日間、毎日投与することを含む、請求項1に記載の投与レジメン。
  3. 前記治療サイクルが、前記休止期後に第2の治療サイクルを更に含む、請求項1に記載の投与レジメン。
  4. 再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、前記方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、前記治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記治療サイクルに休止期が続き、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、方法。
  5. 前記休止期が、少なくとも5ヶ月である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記休止期後に第2の治療サイクルを更に含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記第2の治療サイクルが、前記休止期後に投与される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第2の治療サイクルが、初期治療サイクルの開始から1年で投与される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記休止期中に、前記EPO由来ペプチド以外の治療剤を投与することを更に含む、請求項4に記載の方法。
  10. 前記EPO由来ペプチドが、GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記EPO由来ペプチドが、アミノ末端を保護するアセチル基及びカルボキシル末端を保護するアミド基で末端保護される、請求項10に記載の投与レジメン。
  12. 少なくとも1つの治療サイクル、続いて休止期を含む、投与レジメンであって、前記治療サイクルが、有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、投与レジメン。
  13. 前記EPO由来ペプチドが、前記アミノ末端を保護するアセチル基及び前記カルボキシル末端を保護するアミド基で末端保護される、請求項12に記載の投与レジメン。
  14. 再発寛解型多発性硬化症を治療する方法であって、前記方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、前記治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、前記治療サイクルに休止期が続き、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、方法。
  15. 脊髄におけるA1アストロサイト活性化を低減する方法であって、前記方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、前記治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、前記治療サイクルに休止期が続き、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、方法。
  16. 補体成分C3を減少させる方法であって、前記方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、前記治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、前記治療サイクルに休止期が続き、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されない、方法。
  17. 治療を必要とする対象において、炎症成分又は自己免疫成分を有する疾患、障害、又は状態を治療する方法であって、前記方法が、対象に有効量のエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドを、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与することを含み、前記治療サイクルが、有効量のEPO由来ペプチドを投与して、前記EPO由来ペプチドの離脱後に持続的な治療効果を可能にすることを含み、前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなり、前記治療サイクルに休止期が続き、前記EPO由来ペプチドが、前記休止期中に投与されず、組成物が、炎症成分又は自己免疫成分を有する少なくとも1つの疾患、障害、又は状態からの少なくとも1つの症状を改善するのに有効である、方法。
  18. 炎症成分又は自己免疫成分を有する前記疾患、障害、又は状態が、認知症、急性脳血管損傷、急性脊髄損傷、急性外傷性脳損傷及び反復性軽度外傷性脳損傷、急性心血管損傷、関節炎、自己免疫疾患、脱髄疾患、脳卒中、多発性硬化症、神経損傷、並びに免疫媒介性炎症である、請求項17に記載の方法。
  19. 患者における多発性硬化症(MS)の治療のための医薬品の製造のためのエリスロポエチン(EPO)由来ペプチドの使用であって、前記治療が、前記EPO由来ペプチドの第1の治療サイクル、続いて前記EPO由来ペプチドの少なくとも1つの更なる治療サイクルを含み、各治療サイクルが、連続した日に適用される1~14回の用量を含み、1日用量が、>0及び≦10mgであり、各治療サイクルが、次の治療サイクルから少なくとも1~24ヶ月離れている、使用。
  20. 前記少なくとも1つの更なる治療サイクルが、前記第1の治療サイクルの少なくとも5ヶ月後に投与される、請求項19に記載の使用。
  21. 前記少なくとも1つの更なる治療サイクルが、前記第1の治療サイクルよりも短い期間にわたって同じ1日用量である、請求項19又は20に記載の使用。
  22. 前記EPO由来ペプチドの前記第1の治療サイクルが、5日間、5~10mg/日の用量である、請求項19~21のいずれか一項に記載の使用。
  23. 前記患者が、前記第1の治療サイクル後12ヶ月で、1週間、5μg/日の用量での前記EPO由来ペプチドの更なる治療サイクルで再治療される、請求項22に記載の使用。
  24. 前記EPO由来ペプチドの2つの初期治療サイクルに、再生されたMS活性の証拠に対してのみ、前記EPO由来ペプチドの第3以降の治療サイクルが続く、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
  25. 前記第3以降の治療サイクルが、1週間5~10mg/日の用量である、請求項24に記載の使用。
  26. 再生されたMS活性の証拠が、臨床的手段によって診断される、請求項24又は25に記載の使用。
  27. 前記臨床的手段が、神経障害の再発又は進行からなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
  28. 再生されたMS活性の証拠が、脳又は脊髄の磁気共鳴イメージング(MRI)によって診断される、請求項24又は25に記載の使用。
  29. MRIによって検出されるMS活性が、T1若しくはT2強調画像上での新しい脳若しくは脊髄病変の発生によって、又はそのような病変の体積の増加によって示される、請求項29に記載の使用。
  30. 繰り返しMRIが、前記EPO由来ペプチドの第3以降の治療サイクルが必要であるかを判定するために、前記EPO由来ペプチドの前記第2の治療サイクル後に固定間隔で実施される、請求項29又は31に記載の使用。
  31. 前記EPO由来ペプチドの前記第3以降の治療サイクルが、前記疾患が臨床的に再出現する前に実施される、請求項30に記載の使用。
  32. 前記EPO由来ペプチドが、静脈内に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
  33. 前記MSが、再発型MSである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
  34. 前記患者が、MSのための事前の療法を受けていた、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
  35. 前記EPO由来ペプチドが、アミノ酸配列GCAEHCSLNENITVPDTKV(配列番号1)からなる、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
JP2023563213A 2021-04-16 2022-04-14 再発寛解型多発性硬化症を治療するためのエリスロポエチン由来ペプチド Pending JP2024514204A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202163175742P 2021-04-16 2021-04-16
US63/175,742 2021-04-16
PCT/US2022/024785 WO2022221515A1 (en) 2021-04-16 2022-04-14 Erythropoietin-derived peptides for treating relapsing-remitting multiple sclerosis

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024514204A true JP2024514204A (ja) 2024-03-28

Family

ID=83640753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023563213A Pending JP2024514204A (ja) 2021-04-16 2022-04-14 再発寛解型多発性硬化症を治療するためのエリスロポエチン由来ペプチド

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP4322988A1 (ja)
JP (1) JP2024514204A (ja)
AU (1) AU2022258570A1 (ja)
WO (1) WO2022221515A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9585932B2 (en) * 2005-04-29 2017-03-07 Peter C. Dowling Use of EPO-derived peptide fragments for the treatment of neurodegenerative disorders
DE102006004008A1 (de) * 2006-01-27 2007-08-02 Hannelore Prof. Dr. Dr. Ehrenreich Verfahren zur Behandlung und/oder Prophylaxe von Multipler Sklerose, sowie Verwendung von Erythropoietin zur Herstellung eines Arzneimittels zur intermittierenden Behandlung und/oder intermittierenden Prophylaxe von Multipler Sklerose

Also Published As

Publication number Publication date
AU2022258570A1 (en) 2023-11-02
AU2022258570A9 (en) 2023-11-16
WO2022221515A1 (en) 2022-10-20
EP4322988A1 (en) 2024-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2377553A1 (en) Use of IL-1 antibodies for treating ophthalmic disorders
US11123405B2 (en) Long-acting GLP-1R agonist as a therapy of neurological and neurodegenerative conditions
US8771689B2 (en) Alpha B-crystallin as a therapy for ischemia or inflammation
JP2018065814A (ja) Herv−wエンベロープタンパク質発現関連疾患において再ミエリン化遮断を治療するための化合物
Zagon et al. Endogenous opioids in the etiology and treatment of multiple sclerosis
US20120315322A1 (en) Nanoparticle mediated gene therapy and therapeutic products for alzheimers
KR20230087499A (ko) 알츠하이머 질환 치료용 멀티에피토프 백신
TW201204360A (en) Treatment of multiple sclerosis with MASITINIB
US20230167189A1 (en) Treatment of Multiple Sclerosis with Anti-CD52 Antibodies
JP2024514204A (ja) 再発寛解型多発性硬化症を治療するためのエリスロポエチン由来ペプチド
Gadhave et al. Potential biomaterials and experimental animal models for inventing new drug delivery approaches in the neurodegenerative disorder: Multiple sclerosis
DE60129552T2 (de) E-selectin zur behandlung oder vorbeugung von schlaganfall
TW202323296A (zh) 組合療法
EP3813869B1 (en) Ccr5 inhibitor for use in treating a neuroinflammatory disorder that involves cerebral inflammation
CN114945387A (zh) 包含作为活性成分的Prox1抑制剂的用于预防或治疗视网膜神经变性疾病的药物组合物
RU2721282C2 (ru) Способ лечения рассеянного склероза (варианты)
Charlton et al. Recurrence of insulitis in the NOD mouse after early prolonged anti-CD4 monoclonal antibody treatment
Sorbera et al. Adalimumab
JP2020527132A (ja) ミエリン障害を治療するための組成物および方法
US20160311857A1 (en) Pten antagonist peptides and methods of using the same
EP3721896B1 (en) Epidermal growth factor (egf) and variants thereof for treating or preventing inflammatory demyelinating disorders
KR20230087495A (ko) 알츠하이머 질환을 치료하기 위한 β-아밀로이드 백신
JP2023549464A (ja) B細胞免疫寛容の誘導及びmIgM陽性発現B細胞リンパ腫の標的化における葉酸及び葉酸修飾の使用
Waubant et al. THERAPIES THAT TARGET CYTOKINES
EA043417B1 (ru) АГОНИСТ ДЛИТЕЛЬНОГО ДЕЙСТВИЯ GLP-1r КАК ТЕРАПИЯ ДЛЯ ЛЕЧЕНИЯ НЕВРОЛОГИЧЕСКИХ И НЕЙРОДЕГЕНЕРАТИВНЫХ ПАТОЛОГИЧЕСКИХ СОСТОЯНИЙ