JP2024513559A - 新規なDARPinベースのCD70エンゲージャー - Google Patents

新規なDARPinベースのCD70エンゲージャー Download PDF

Info

Publication number
JP2024513559A
JP2024513559A JP2023561342A JP2023561342A JP2024513559A JP 2024513559 A JP2024513559 A JP 2024513559A JP 2023561342 A JP2023561342 A JP 2023561342A JP 2023561342 A JP2023561342 A JP 2023561342A JP 2024513559 A JP2024513559 A JP 2024513559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ankyrin repeat
binding
protein
recombinant
binding protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023561342A
Other languages
English (en)
Inventor
クリスティアン ライヒェン
ニーナ レシュケ
ベルント シュレーレス
Original Assignee
モレキュラー パートナーズ アクチェンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by モレキュラー パートナーズ アクチェンゲゼルシャフト filed Critical モレキュラー パートナーズ アクチェンゲゼルシャフト
Publication of JP2024513559A publication Critical patent/JP2024513559A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2875Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the NGF/TNF superfamily, e.g. CD70, CD95L, CD153, CD154
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2803Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the immunoglobulin superfamily
    • C07K16/2809Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the immunoglobulin superfamily against the T-cell receptor (TcR)-CD3 complex
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/94Stability, e.g. half-life, pH, temperature or enzyme-resistance
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2318/00Antibody mimetics or scaffolds
    • C07K2318/20Antigen-binding scaffold molecules wherein the scaffold is not an immunoglobulin variable region or antibody mimetics

Abstract

本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有する、組換え結合タンパク質に関する。加えて、本発明は、そのような組換え結合タンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物の、癌、例えば急性骨髄性白血病(AML)などの疾患を処置又は診断するための方法における、ヒトを含む哺乳動物での使用に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮出願第63/172,973号、2021年4月9日に出願された米国仮出願第63/173,186号、及び2021年12月9日に出願された米国仮出願第63/265,181号に対する優先権の利益を主張するものである。これら特許出願の開示は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有する、組換え結合タンパク質に関する。加えて、本発明は、そのような組換え結合タンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物の、癌、例えば急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)などの疾患を処置又は診断するための方法における、ヒトを含む哺乳動物での使用に関する。
急性骨髄性白血病(AML)は、急速な細胞増殖、侵攻性の臨床経過、及び一般的に高い死亡率を特徴とする、不均一かつ複雑な悪性疾患である。処置に対する抵抗性は、AML関連死の未だに主要な原因である(Winer&Stone,Ther Adv Hematol;2019;10)。化学療法を用いる標準的なプロトコルは、依然として世界的に適用される主要な治療アプローチであるが、免疫療法における近年の進歩は、化学療法抵抗性AMLに対して有効な治療選択肢を提供している。そのような免疫療法アプローチには、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、及びキメラ抗原受容体発現T細胞(chimeric antigen receptor-expressing T cell、CAR-T細胞)が含まれる。
CD70はAML芽細胞のおよそ86~100%に発現しているため、CD70は、癌、特にAMLの処置に魅力的な標的である(Perna et al.,Cancer Cell,32(4),2017,506-519)。CD70はまた、白血病幹細胞に対して高度に特異的である。現在、CD70を標的とするモノクローナル抗体(クサツズマブ)が臨床試験中である。第I相試験では有望な結果が示されたが、第II相試験で示された有効性は期待外れのものであった(https://www.evaluate.com/vantage/articles/news/snippets/argenxs-cusatuzumab-culminates-disappointmentを参照されたい)。既存の多くの抗体療法と同様に、その潜在的な安全性プロファイルについての懸念も存在している(https://www.clinicaltrialsarena.com/comment/argenxs-cusatuzumab-in-previously-untreated-aml-draws-varied-expert-forecasts/を参照されたい)。更に、抗体が標的とする腫瘍表面マーカーのダウンレギュレーションは、抗体療法に対する腫瘍の抵抗性をもたらし得る。
CAR-T細胞療法とは、リンパ系悪性腫瘍の管理に強く影響してきたアプローチである。この技術をAMLにも適用することに大きな関心が寄せられているが、実際には、これは困難であることが証明されている。モノクローナル抗体に関して、CD70は、AMLにおけるCAR-T細胞療法のための最も有望な標的の1つであると考えられている。
AMLとは、多くの点で癌療法の課題及び現在利用可能な癌療法の欠点(有効性の低さ及び問題のある副作用プロファイルなど)を例示する癌の一種である。AMLについては、高い死亡率による医学的必要性が高いままであり、再発性又は難治性AMLの処置は、未だに治療が困難である。
したがって、有益な特性を有する新たなCD70特異的結合タンパク質が依然として必要とされている。そのような結合タンパク質は、癌、例えばAMLなどの疾患を処置及び特徴付けるための治療的及び診断的アプローチに有用であり得る。特に、癌細胞上のCD70を特異的に標的とするのに役立つことができ、かつ例えば1つ以上の結合部分などの他の機能的部分と容易に組み合わせることもできる、新たなCD70特異的結合タンパク質が必要とされている。
本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有する、組換え結合タンパク質に関する。加えて、本発明は、そのような組換え結合タンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物の、癌、例えば急性骨髄性白血病(AML)などの疾患を処置又は診断するための方法における、ヒトを含む哺乳動物での使用に関する。
本発明の組換え結合タンパク質は、腫瘍関連抗原(tumor-associated antigen、TAA)CD70に特異的に結合するか、又はそれを標的とする。本発明のそのような結合タンパク質は、新たな治療剤又は診断剤を生成するためのツール又はビルディングブロックとして役立ち得る。CD70特異的アンキリン反復ドメインが1つの分子中で1つ以上の他の機能的部分と組み合わされている組換え結合タンパク質もまた本明細書に開示される。そのような他の機能的部分としては、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分、半減期延長部分、別の腫瘍関連抗原に対して結合特異性を有する結合部分、及び/又は細胞毒性剤が挙げられる。したがって、CD70に対して結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質は、現在の治療法と比較して改善された毒性プロファイル及び/又は治療濃度域を提供し得る新規な治療分子の生成に有用である。
本明細書で提供される開示に基づいて、当業者は、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができるだろう。そのような等価物は、以下の実施形態(E)によって包含されることが意図される。
1.第1の実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質に関する。
2.第2の実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
3.第3の実施形態では、本発明は、当該アンキリン反復ドメインが、PBS中で、約150nM未満の解離定数(KD)でヒトCD70と結合する、実施形態1又は2に記載の組換え結合タンパク質に関する。
4.第4の実施形態では、本発明は、当該アンキリン反復ドメインが、約0.2nM~約500nMの範囲のEC50でヒトCD70と結合する、前述の実施形態のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
5.第5の実施形態では、本発明は、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分を更に含む、前述の実施形態のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
6.第6の実施形態では、本発明は、当該免疫細胞がT細胞であり、免疫細胞上に発現する当該標的がCD3である、実施形態5に記載の組換え結合タンパク質に関する。
7.第7の実施形態では、本発明は、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する当該結合部分がアンキリン反復ドメインである、実施形態5又は6に記載の組換え結合タンパク質に関する。
8.第8の実施形態では、本発明は、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する当該結合部分が、ヒトCD3に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである、実施形態5~7のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
9.第9の実施形態では、本発明は、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する当該結合部分が、ヒトCD3に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、ヒトCD3に対して結合特異性を有する当該アンキリン反復ドメインが、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態5~7のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
10.第10の実施形態では、本発明は、ヒトCD3に対して結合特異性を有する当該アンキリン反復ドメインが、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態9に記載の組換え結合タンパク質に関する。
11.第11の実施形態では、本発明は、ヒトCD70に対して結合特異性を有する当該アンキリン反復ドメインと、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する当該結合部分とが、ペプチドリンカーによって共有結合している、実施形態5~10のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
12.第12の実施形態では、本発明は、当該ペプチドリンカーが、プロリン-トレオニンリッチペプチドリンカーである、実施形態11に記載の組換え結合タンパク質に関する。
13.第13の実施形態では、本発明は、当該ペプチドリンカーのアミノ酸配列が、1~50アミノ酸の長さを有する、実施形態11又は12に記載の組換え結合タンパク質に関する。
14.第14の実施形態では、本発明は、当該結合タンパク質が、半減期延長部分を更に含む、前述の実施形態のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
15.第15の実施形態では、本発明は、当該半減期延長部分が、ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである、実施形態14に記載の組換え結合タンパク質に関する。
16.第16の実施形態では、本発明は、ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する当該アンキリン反復ドメインが、配列番号52~54のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態15に記載の組換え結合タンパク質に関する。
17.第17の実施形態では、本発明は、ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する当該アンキリン反復ドメインが、配列番号52~54のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態15又は16に記載の組換え結合タンパク質に関する。
18.第18の実施形態では、本発明は、当該結合タンパク質が、腫瘍細胞において発現する標的に対して結合特異性を有する少なくとも1つの結合部分を更に含み、腫瘍細胞において発現する当該標的がヒトCD70とは異なる、前述の実施形態のいずれかに記載の組換え結合タンパク質に関する。
19.第19の実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかに記載の組換え結合タンパク質をコードする、核酸に関する。
20.第20の実施形態では、本発明は、実施形態1~18のいずれかに記載の組換え結合タンパク質又は実施形態19に記載の核酸と、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物に関する。
21.第21の実施形態では、本発明は、ヒト患者の腫瘍組織における免疫細胞活性化の方法であって、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組換え結合タンパク質、実施形態19に記載の核酸、又は実施形態20に記載の医薬組成物を当該患者に投与する工程を含む、方法に関する。
22.第22の実施形態では、本発明は、当該免疫細胞がT細胞である、実施形態21に記載の方法に関する。
22a.実施形態22aでは、本発明は、当該免疫細胞がナチュラルキラー(Natural Killer、NK)細胞である、実施形態21に記載の方法に関する。
23.第23の実施形態では、本発明は、医学的状態を処置する方法であって、医学的状態の処置を必要とする患者に、治療有効量の実施形態1~18のいずれか1つに記載の組換え結合タンパク質、実施形態19に記載の核酸、又は実施形態20に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法に関する。
24.第24の実施形態では、本発明は、当該医学的状態が癌である、実施形態23に記載の方法に関する。
25.第25の実施形態では、本発明は、当該医学的状態が液性腫瘍を特徴とする癌である、実施形態23に記載の方法に関する。
26.第26の実施形態では、本発明は、当該医学的状態が白血病である、実施形態23に記載の方法に関する。
27.第27の実施形態では、本発明は、当該医学的状態が急性骨髄性白血病である、実施形態23に記載の方法に関する。
28.第28の実施形態では、本発明は、療法に使用するための、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組換え結合タンパク質、実施形態19に記載の核酸、又は実施形態20に記載の医薬組成物に関する。
29.第29の実施形態では、本発明は、癌の処置に使用するための、任意選択で液性腫瘍を特徴とする癌の処置に使用するための、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組換え結合タンパク質、実施形態19に記載の核酸、又は実施形態20に記載の医薬組成物に関する。
30.第30の実施形態では、本発明は、当該癌が白血病であり、任意選択で当該癌が急性骨髄性白血病である、実施形態29に記載の使用のための組換え結合タンパク質、又は核酸、又は医薬組成物に関する。
ヒトCD70に結合するDARPin(登録商標)タンパク質#24の表面プラズモン共鳴(SPR)分析。様々な濃度の精製されたアンキリン反復タンパク質を、オンレート及びオフレート測定のためにヒトCD70が固定化されたGLCチップに適用した。得られたSPRトレースを使用して、アンキリン反復タンパク質のCD70への結合を分析及び決定した。RU、共鳴単位;s、時間(秒)。 本発明の例示的な結合タンパク質のCD70発現腫瘍細胞への結合。DARPin(登録商標)タンパク質#2、DARPin(登録商標)タンパク質#9、DARPin(登録商標)タンパク質#24、及びDARPin(登録商標)タンパク質25の濃度依存性結合曲線を示す。 活性化マーカーCD25を測定することによって決定された短期T細胞活性化。汎エフェクターT細胞及びMolm-13標的細胞を、5:1のE:T比でインキュベートし、T細胞活性化を、示された分子の段階希釈物の存在下での24時間の共培養後に、FACSによって評価した。活性化したT細胞を、生存CD8+/CD25+細胞としてゲーティングした。選択されたアンキリン反復タンパク質である、DARPin(登録商標)タンパク質#28、DARPin(登録商標)タンパク質#29、DARPin(登録商標)タンパク質#26、及びDARPin(登録商標)タンパク質#27によって誘導されたT細胞活性化を示す。 LDH放出を測定する細胞毒性アッセイによって評価された腫瘍細胞殺傷。汎エフェクターT細胞及びMolm-13標的細胞を、5:1のE:T比でインキュベートし、腫瘍細胞殺傷を、示された分子の段階希釈物の存在下での24時間の共培養後に、FACSによって評価した。選択されたアンキリン反復タンパク質である、DARPin(登録商標)タンパク質#28、DARPin(登録商標)タンパク質#29、DARPin(登録商標)タンパク質#26、及びDARPin(登録商標)タンパク質#27によって誘発されたT細胞による腫瘍細胞殺傷を示す。 ELISAによる、競合剤としてのDARPin(登録商標)タンパク質#2又はmAb ARGX-110類似体の存在下又は非存在下での、プレートに固定化された異なるCD70結合分子のヒトCD70標的への結合。ビオチン化ヒトCD70標的を競合剤(DARPin(登録商標)タンパク質#2又はARGX-110類似体)と共に又はそれなしでプレインキュベートした後、抗ストレプトアビジン-POD検出剤を使用して、固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2(図5A)、CD27(図5B)、又はARGX-110類似体(図5C)への結合を決定した。CD70への競合結合は、試験した全ての分子、すなわち、DARPin(登録商標)タンパク質#2、CD27、及びARGX-110類似体で観察された。 ELISAによる、競合剤としてのDARPin(登録商標)タンパク質#2又はmAb ARGX-110類似体の存在下又は非存在下での、プレートに固定化された異なるCD70結合分子のヒトCD70標的への結合。ビオチン化ヒトCD70標的を競合剤(DARPin(登録商標)タンパク質#2又はARGX-110類似体)と共に又はそれなしでプレインキュベートした後、抗ストレプトアビジン-POD検出剤を使用して、固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2(図5A)、CD27(図5B)、又はARGX-110類似体(図5C)への結合を決定した。CD70への競合結合は、試験した全ての分子、すなわち、DARPin(登録商標)タンパク質#2、CD27、及びARGX-110類似体で観察された。 ELISAによる、競合剤としてのDARPin(登録商標)タンパク質#2又はmAb ARGX-110類似体の存在下又は非存在下での、プレートに固定化された異なるCD70結合分子のヒトCD70標的への結合。ビオチン化ヒトCD70標的を競合剤(DARPin(登録商標)タンパク質#2又はARGX-110類似体)と共に又はそれなしでプレインキュベートした後、抗ストレプトアビジン-POD検出剤を使用して、固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2(図5A)、CD27(図5B)、又はARGX-110類似体(図5C)への結合を決定した。CD70への競合結合は、試験した全ての分子、すなわち、DARPin(登録商標)タンパク質#2、CD27、及びARGX-110類似体で観察された。 図6A:hPBMCを腹腔内注射し、hPBMC注射の2日後、MOLM-13腫瘍細胞を皮下に異種移植し、PBS 1×(黒丸)、又は0.5mg/kgのマルチドメインフォーマットのDARPin(登録商標)タンパク質#24(黒四角)で処置したマウス(ドナー当たりn=5マウス/2人のhPBMCドナーを使用)における経時的な腫瘍増殖。腫瘍細胞異種移植後4日目に処置を開始した。データを平均+SEMで表示する。図6B:図6Aに記載したマウスにおける腫瘍細胞異種移植後17日目の腫瘍体積の評価。 図6A:hPBMCを腹腔内注射し、hPBMC注射の2日後、MOLM-13腫瘍細胞を皮下に異種移植し、PBS 1×(黒丸)、又は0.5mg/kgのマルチドメインフォーマットのDARPin(登録商標)タンパク質#24(黒四角)で処置したマウス(ドナー当たりn=5マウス/2人のhPBMCドナーを使用)における経時的な腫瘍増殖。腫瘍細胞異種移植後4日目に処置を開始した。データを平均+SEMで表示する。図6B:図6Aに記載したマウスにおける腫瘍細胞異種移植後17日目の腫瘍体積の評価。 野生型又はCD70ノックアウトMolm-13腫瘍細胞を使用したマルチドメインフォーマットのDARPin(登録商標)タンパク質#24の効力滴定曲線(T細胞活性化)。EC50値をpMで示す。
本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有する、組換え結合タンパク質に関する。加えて、本発明は、そのような組換え結合タンパク質をコードする核酸、そのようなタンパク質又は核酸を含む医薬組成物、及びそのような結合タンパク質、核酸、又は医薬組成物の、癌、例えば急性骨髄性白血病(AML)などの疾患を処置又は診断するための方法における、ヒトを含む哺乳動物での使用に関する。
アンキリン反復ドメイン
設計アンキリン反復モチーフ又はモジュールを含む、記載される組換え結合タンパク質又はその結合ドメインは、本明細書においてDARPin(登録商標)タンパク質とも称される(Stumpp et al.,Curr Opin Drug Discov Devel.10(2):153-9(2007)、及びBinz et al.,Nature Biotech.22(5):575-582(2004)を参照されたい)。DARPin(登録商標)タンパク質は、標的タンパク質に対して高い特異性及び高い結合親和性を有する抗体模倣物と見なすことができる。一般に、DARPin(登録商標)タンパク質は、少なくとも1つのアンキリン反復ドメイン、例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上のアンキリン反復ドメインを含む。
本明細書に記載のアンキリン反復ドメインは、概して、構造を提供するコア足場、及び標的に結合する標的結合残基を含む。構造コアは、保存されたアミノ酸残基を含み、標的結合表面は、標的に応じて異なるアミノ酸残基を含む。
設計アンキリン反復タンパク質ライブラリー(国際公開第2002/020565号、Binz et al.,Nat.Biotechnol.22,575-582,2004、Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008)は、高い親和性でそれらの標的に結合する標的特異的設計アンキリン反復ドメインの選択に使用することができる。次に、そのような標的特異的設計アンキリン反復ドメインを、疾患を処置するための組換え結合タンパク質の価値ある成分として使用することができる。設計アンキリン反復タンパク質は、モノクローナル抗体の限界を克服する可能性を有する結合分子の一種であり、したがって新規な治療アプローチを可能にする。そのようなアンキリン反復タンパク質は、単一の設計アンキリン反復ドメインを含んでもよく、又は同じ若しくは異なる標的特異性を有する2つ以上の設計アンキリン反復ドメインの組み合わせを含んでもよい(Stumpp et al.,Drug Discov.Today 13,695-701,2008、米国特許第9,458,211号)。単一の設計アンキリン反復ドメインのみを含むアンキリン反復タンパク質は、高い親和性及び特異性で所与の標的タンパク質と結合するように選択され得る小タンパク質(14kDa)である。これらの特徴、及び2つ以上の設計アンキリン反復ドメインを組み合わせて1つのタンパク質にできることは、設計アンキリン反復タンパク質を、理想的なアゴニスト、アンタゴニスト及び/又は阻害薬候補にする。更に、そのようなアンキリン反復タンパク質は、様々なエフェクター機能、例えば細胞毒性剤又は半減期延長剤を担持し、完全に新しい薬物フォーマットを可能にするように操作することができる。
設計アンキリン反復タンパク質はまた、モノクローナル抗体では容易にアクセスできないエピトープを標的とし得る。記載される設計アンキリン反復タンパク質の更なる利点は、それらが概して免疫原性が低く、オフターゲット効果を有さないか又はわずかに有することである。DARPin(登録商標)候補はまた、迅速、低コスト、かつ高収率で製造され、4℃で最大数年間保管可能であるなど、好ましい開発特性を示す。まとめると、設計アンキリン反復タンパク質は、既存の抗体薬を凌ぐ可能性を有する次世代のタンパク質治療薬の一例である。
DARPin(登録商標)は、Molecular Partners AG,Switzerland所有の商標である。
上述したように、CD70は、特定の癌、特にAMLの処置に魅力的な治療標的である。本明細書に記載の組換え結合タンパク質は、ヒトCD70に特異的に結合するアンキリン反復ドメイン及びアンキリン反復モジュールを含む。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個、最大8個、最大7個、最大6個、最大5個、最大4個、最大3個、最大2個、又は最大1個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号24~45及び73~77からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質に関する。
別の実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
更なる実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号1と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号2と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号3と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号4と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号5と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号6と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号7と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号8と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号9と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号10と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号11と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号12と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号71と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号72と、少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
更なる実施形態では、本発明は、アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、当該アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、当該アンキリン反復ドメインが、配列番号1~12及び71~72からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
更なる態様では、本発明は、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する少なくとも1つの結合部分を更に含む、上記の組換え結合タンパク質に関する。一実施形態では、当該免疫細胞はT細胞である。別の実施形態では、当該免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。本発明に使用するための、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分の例としては、抗体、代替足場、及びポリペプチドが挙げられる。
抗体は、抗体又は免疫グロブリン分子に由来する抗原結合ドメインを含む任意のポリペプチド又はタンパク質を含む。抗原結合ドメインは、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、及び単一ドメイン抗体、例えば、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)、及び例えば、ヒト又はラクダ科動物起源の可変ドメイン(VHH)に由来し得る。いくつかの例では、抗原結合ドメインが、結合部分が最終的に使用されるのと同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトにおける使用の場合、本明細書に記載の結合部分の抗原結合ドメインが、ヒト又はヒト化抗原結合ドメインを含むことが有益であり得る。抗体は、当該技術分野で周知の技法を用いて得ることができる。
一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、抗体である。
一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、ラクダ科ナノボディーである。ラクダ科ナノボディー(ラクダ科単一ドメイン抗体又はVHHとしても知られる)は、ラマ、ラクダ、及びアルパカなどの哺乳動物のラクダ科に由来する。他の抗体とは異なり、ラクダ科抗体は軽鎖を欠き、2つの同一の重鎖から構成される。ラクダ科抗体は、典型的には、概ね15kDaの範囲の比較的低い分子量を有する。
一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、サメ抗体ドメインである。ラクダ科ナノボディーと同様に、サメ抗体ドメインも軽鎖を欠いている。
抗原(薬物分子など)と結合することができ、抗体又は免疫グロブリン分子に由来しない結合ドメインを含む任意のポリペプチド又はタンパク質を、代替足場は含む。代替足場の結合ドメインは、様々な異なるポリペプチド又はタンパク質構造を含んでもよく、又はそれに由来してもよい。代替足場としては、アドネクチン(モノボディー)、アフィボディー、アフィリン、アフィマー及びアプタマー、アフィチン、アルファボディー、アンチカリン、アルマジロ反復タンパク質ベースの足場、アトリマー、アビマー、アンキリン反復タンパク質ベースの足場(例えば、DARPin(登録商標)タンパク質)、フィノマー、ノッチン、並びにクニッツドメインペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。代替足場は、例えば、Yu et al.,Annu Rev Anal Chem(Palo Alto Calif).2017 June 12;10(1):293-320.doi:10.1146/annurevanchem-061516-045205に記載されている。
一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、代替足場である。一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、アドネクチン、モノボディー、アフィボディー、アフィリン、アフィマー、アプタマー、アフィチン、アルファボディー、アンチカリン、反復タンパク質ドメイン、アルマジロ反復ドメイン、アトリマー、アビマー、アンキリン反復ドメイン、フィノマー、ノッチン、クニッツドメイン、又はT細胞受容体(T cell receptor、TCR)に由来するか又はそれらに関連する抗原結合ドメインを含む。
アドネクチンは、元々はヒトフィブロネクチンIII型タンパク質の10番目の細胞外ドメイン(10Fn3)に由来する。フィブロネクチンIII型ドメインは、それら自体で互いをパッキングしてタンパク質のコアを形成する2つのベータシートの間に分布している7又は8個のベータ鎖を有し、更に、ベータ鎖を互いに接続し、溶媒曝露されるループ(CDRに類似)を含有する。ベータシートサンドイッチの各縁部には少なくとも3つのそのようなループが存在し、縁部は、ベータ鎖の方向に垂直なタンパク質の境界である(米国特許第6,818,418号を参照されたい)。この構造のために、この非抗体足場は、抗体の抗原結合特性の性質及び親和性に類似した抗原結合特性を模倣する。これらの足場は、インビボでの抗体の親和性成熟のプロセスに類似するインビトロでのループランダム化及びシャッフリング手法において使用することができる。
アフィボディー親和性リガンドは、細菌Staphylococcus aureus由来の表面タンパク質であるプロテインAのIgG結合ドメインのうちの1つの足場に基づく3ヘリックスバンドルから構成される。この足場ドメインは58個のアミノ酸からなり、そのうちの13個をランダム化して、多数のリガンドバリアントを有するアフィボディーライブラリーを作製する(例えば、米国特許第5,831,012号を参照されたい)。アフィボディー分子は抗体を模倣しているが、抗体の場合の概ね150kDaと比較してかなり小さく、概ね6kDaの分子量を有する。サイズの違いにもかかわらず、アフィボディー分子の結合部位は抗体の結合部位と類似性を有する。
アフィリンは、構造的にヒトユビキチンに由来する(歴史的にはガンマ-Bクリスタリンにも由来する)合成抗体模倣物である。アフィリンは、主にベータシート構造及び約20kDaの総分子質量を有する2つの同一のドメインからなる。それらは、修飾に好適ないくつかの表面露出したアミノ酸を含有する。アフィリンは、抗原に対する親和性及び特異性において抗体に似ているが、構造においては似ていない。
アフィマーは、ペプチドアプタマーの一種であり、SQT(Stefin A quadruple mutant-Tracy)(ステフィンA四重変異体-トレイシー)として知られる構造を有する。アプタマー及びアフィマーは、結合ペプチドのN末端及びC末端の両方が不活性な足場に埋め込まれた、構造を拘束するための不活性で剛性のあるタンパク質足場を有する、親和性結合を担う短いペプチドである。
アフィチンは、特異的結合親和性を得るように操作されたDNA結合タンパク質Sac7dのバリアントである。Sac7dは、元々は超好熱菌古細菌Sulfolobus acidocaldariusに由来し、DNAと結合してその熱変性を防止する。アフィチンは、商業的にはNanofitinとして知られている。
アルファボディーは、様々な抗原に結合するように操作された小さな(およそ10kDa)タンパク質であり、したがって抗体模倣物である。アルファボディー足場は、コイルドコイル構造に基づいてコンピュータで設計される。標準的なアルファボディー足場は、グリシン/セリンリッチリンカーを介して接続された、各々4つのヘプタッド反復(7残基のストレッチ)から構成される3つのαヘリックスを含有する。標準的なヘプタッド配列は、「IAAIQKQ」である。アルファボディーの細胞外及び細胞内タンパク質を標的とする能力は、それらの高い結合親和性と組み合わせて、抗体では到達することができない標的にそれらが結合することを可能にし得る。
アンチカリンは、リポカリンに見出される強固で保存的なβバレル構造を有する結合タンパク質の群である。リポカリンは、シグナル伝達分子などの様々な生物学的分子の認識、貯蔵、及び輸送を担う1つのペプチド鎖(150~190アミノ酸)を含む細胞外タンパク質の一種である。
アルマジロ反復タンパク質ベースの足場は、真核生物において豊富であり、広範な生物学的プロセス、特に核輸送に関連するプロセスに関与する。アルマジロ反復タンパク質ベースの足場は、通常、3~5個の内部反復及び2個のキャッピングエレメントからなる。それらはまた、タンデム伸長スーパーヘリックス構造を有し、これは、伸長された立体構造で対応するペプチドリガンドと結合することが可能である。
アトリマーは、3つの同一の単位からなるC型レクチンのファミリーに属する、テトラネクチンとして知られるトリマー血漿タンパク質に由来する足場である。テトラネクチン内のC型レクチンドメイン(C-type lectin domain、CTLD)の構造は、標的化分子との相互作用を媒介する5つの柔軟なループを有する。
アビマーは、HER3などの天然のAドメイン含有タンパク質に由来し、アミノ酸リンカーを介して結合されたいくつかの異なる「Aドメイン」モノマー(2~10)からなる。例えば、米国特許出願公開第2004/0175756号、同第2005/0053973号、同第2005/0048512号、及び同第2006/0008844号に記載される方法を使用して、標的抗原に結合することができるアビマーを作製することができる。
フィノマーは、ヒトFynチロシンキナーゼのSrc相同ドメイン3(SH3)のアミノ酸83~145から進化させた小さな球状タンパク質(およそ7kDa)である。フィノマーは、その高い熱安定性、システインを含まない足場、及びヒト起源のために魅力的な結合分子であり、潜在的な免疫原性を低減する。
システインノットミニタンパク質としても知られているノッチンは、典型的には、3つの逆平行βシートと、システインノットを作り出すジスルフィド結合によって縛られた拘束ループと、を含む30アミノ酸長のタンパク質である。このジスルフィド結合が高い熱安定性を与え、ノッチンを魅力的な抗体模倣物にしている。
クニッツドメインペプチド又はクニッツドメイン阻害剤は、構造フレームワークを不安定化することなく変異され得る3つのジスルフィド結合及び3つのループを有する約60個のアミノ酸を含有する不規則な二次構造を有するプロテアーゼ阻害剤の一種である。
一実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、T細胞受容体(TCR)に由来する抗原結合ドメインを含むポリペプチド又はタンパク質である。
好ましい実施形態では、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分は、アンキリン反復ドメインである。
当該免疫細胞上に発現する標的の性質には特に制限はない。一実施形態では、標的はT細胞である免疫細胞上に発現し、当該免疫細胞上に発現する標的はCD3である。
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個、最大8個、最大7個、最大6個、最大5個、最大4個、最大3個、最大2個、又は最大1個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、CD3、より好ましくはヒトCD3に対して結合特異性を有する、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
別の実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個、最大8個、最大7個、最大6個、最大5個、最大4個、最大3個、最大2個、又は最大1個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
更なる実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号24~45及び73~77からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
別の実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個、最大8個、最大7個、最大6個、最大5個、最大4個、最大3個、最大2個、又は最大1個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
別の実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号24~45及び73~77からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
別の好ましい実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、CD3、より好ましくはヒトCD3に対して結合特異性を有する、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
別の実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも約85%の配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも約85%の配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
更なる実施形態では、本発明は、(i)第1のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD70に対して結合特異性を有し、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)第2のアンキリン反復ドメインであって、ヒトCD3に対して結合特異性を有し、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質に関する。
本発明は更に、(i)ヒトCD70に対して結合特異性を有する第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)ヒトCD3に対して結合特異性を有する第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質であって、配列番号13~23及び78~81のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、例えば、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
一実施形態では、本発明は、(i)ヒトCD70に対して結合特異性を有する第1のアンキリン反復ドメインと、(ii)ヒトCD3に対して結合特異性を有する第2のアンキリン反復ドメインと、を含む組換え結合タンパク質であって、配列番号13~23及び78~81のいずれか1つと少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質に関する。
半減期延長部分
「半減期延長部分」は、半減期延長部分を有さない同じタンパク質と比較して、本明細書に記載の組換え結合タンパク質のインビボでの血清半減期を延長する。半減期延長部分の例としては、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(glutathione S transferase、GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリンドメイン、マルトース結合タンパク質(maltose binding protein、MBP)、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)結合ドメイン、又はポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組換え結合タンパク質は、本明細書では「血清アルブミン結合ドメイン」とも称される、血清アルブミン(例えば、好ましくはヒト血清アルブミン)と特異的に結合するアンキリン反復ドメインを含む。本明細書に記載の組換え結合タンパク質はまた、2つ以上の血清アルブミン結合ドメイン、例えば、2つ又は3つの血清アルブミン結合ドメインを含んでもよい。したがって、本明細書に記載の組換え結合タンパク質は、第1及び第2の血清アルブミン結合ドメイン、又は第1、第2、及び第3の血清アルブミン結合ドメインを含んでもよい。以下に提供される実施形態は、そのような第1の血清アルブミン結合ドメイン、第2の血清アルブミン結合ドメイン、及び/又は第3の血清アルブミン結合ドメインを記載する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の半減期延長部分は、配列番号52~54のいずれか1つと少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、血清アルブミン特異的アンキリン反復ドメインを含む。例示的な実施形態では、本明細書に記載の半減期延長部分は、配列番号52~54のいずれか1つと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、本明細書に記載の半減期延長部分は、配列番号53と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態では、本明細書に記載の半減期延長部分は、配列番号53と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、血清アルブミン結合ドメインは、本発明の組換え結合タンパク質のN末端に位置する。いくつかの実施形態では、2つ以上の血清アルブミン結合ドメインが好ましい。いくつかの実施形態では、2つの血清アルブミン結合ドメインは、本発明の組換え結合タンパク質のN末端に位置する。
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、免疫グロブリンドメインを含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンドメインは、Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、既知の重鎖アイソタイプであるIgG(γ)、IgM(μ)、IgD(δ)、IgE(ε)、又はIgA(α)のいずれか1つに由来する。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、既知の重鎖アイソタイプ又はサブタイプであるIgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)、IgG4(γ4)、IgA1(α1)、IgA2(α2)のいずれか1つに由来する。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインである。
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、Fcドメインの中断されていない天然配列(すなわち、野生型配列)を含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンFcドメインは、変更された生物学的活性をもたらすバリアントFcドメインを含む。例えば、少なくとも1つの点変異又は欠失は、エフェクター活性を低減又は排除するために(例えば、国際公開第2005/063815号)、及び/又は組換え結合タンパク質の産生中に均質性を増加させるために、Fcドメインに導入されてもよい。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1のFcドメインであり、以下のエフェクターヌル置換:L234A、L235A、及びG237A(Eu番号付け)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトIgG1のC末端位置に位置するリジン(すなわち、Eu番号付けによるK447)を含まない。リジンを含まないことは、組換え結合タンパク質の産生中に均質性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、C末端位置に位置するリジン(K447、Eu番号付け)を含む。
腫瘍関連抗原に対して結合特異性を有する更なる結合部分
更なる態様では、本発明は、CD70とは異なる腫瘍関連抗原(TAA)に対して結合特異性を有する少なくとも1つの結合部分を更に含む、上記の組換え結合タンパク質に関する。一実施形態では、CD70とは異なる当該1つ以上のTAAは、同じ癌に由来する細胞においてCD70と共発現するTAAである。更なる実施形態では、CD70とは異なる当該1つ以上のTAAは、液性腫瘍を特徴とする癌においてCD70と共発現するTAAである。好ましい実施形態では、CD70とは異なる当該1つ以上のTAAは、白血病においてCD70と共発現するTAA、例えば、AML癌細胞によってCD70と共発現されるTAAである。本発明に使用するための、CD70とは異なる腫瘍関連抗原(TAA)に対して結合特異性を有する結合部分の例としては、抗体、代替足場、及びポリペプチドが挙げられる。AML癌細胞において発現するTAAを含む多くのTAAが当該技術分野で既知である。
置換
いくつかの実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質の任意のアンキリン反復モジュールにおいて、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の置換が行われる。いくつかの実施形態では、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、5個以下の置換が行われる。いくつかの実施形態では、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、4個以下の置換が行われる。いくつかの実施形態では、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、3個以下の置換が行われる。いくつかの実施形態では、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、2個以下の置換が行われる。いくつかの実施形態では、配列番号24~45及び73~77の配列に対して、1個以下の置換が行われる。
いくつかの実施形態では、本発明の組換え結合タンパク質の任意のアンキリン反復ドメインのアミノ酸配列の15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、又は7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列の10%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列の8%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列の6%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列の4%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列の2%以下が、配列番号1~12及び71~72の配列に対して置換によって変更される。
いくつかの態様では、結合剤に対して行われるアミノ酸置換は、KD値を、非置換結合剤のKD値と比較して、約1000倍を超えて、約100倍を超えて、又は約10倍を超えては変化させない。例えば、いくつかの態様では、アミノ酸置換は、KD値を、配列番号1~12、24~45、及び71~77の配列のいずれかを含む結合剤のCD70に対するKD値と比較して、約1000倍を超えて、約300倍を超えて、約100倍を超えて、約50倍を超えて、約25倍を超えて、約10倍を超えて、又は約5倍を超えては変化させない。
特定の実施形態では、置換は、表1に記載の保存的置換である。特定の実施形態では、置換は、アンキリン反復ドメインの構造コア残基外、例えば、アルファヘリックスを接続するベータループ内で行われる。
Figure 2024513559000002
特定の実施形態では、置換は、アンキリン反復ドメインの構造コア残基内で行われる。他の実施形態では、置換は、アンキリン反復ドメインの構造コア残基外で行われる。例えば、アンキリンドメインは、コンセンサス配列:xDxxGxTPLHLAxxxGxxxlVxVLLxxGADVNA(配列番号62)(式中、「x」は、任意のアミノ酸(好ましくはシステイン、グリシン、又はプロリンではない)を表す)、又はxDxxGxTPLHLAAxxGHLEIVEVLLKzGADVNA(配列番号63)(式中、「x」は、任意のアミノ酸(好ましくはシステイン、グリシン、又はプロリンではない)を表し、「z」は、アスパラギン、ヒスチジン、又はチロシンからなる群から選択される)を含んでもよい。一実施形態では、置換は、「x」として指定されている残基に対して行われる。別の実施形態では、置換は、「x」として指定されていない残基に対して行われる。
加えて、本発明の組換え結合タンパク質の任意のアンキリン反復ドメインの最後から2番目の位置は、「A」若しくは「L」であり得、かつ/又は最後の位置は、「A」若しくは「N」であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、各アンキリン反復ドメインは、配列番号1~12、52~59、及び71~72のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、任意選択で、最後から2番目の位置のAはLで置換されており、かつ/若しくは最後の位置のAはNで置換されているか、又は任意選択で、最後から2番目の位置のLはAで置換されており、かつ/若しくは最後の位置のNはAで置換されている。例示的な実施形態では、各アンキリン反復ドメインは、配列番号1~12、52~58、及び71~72のいずれか1つと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、任意選択で、最後から2番目の位置のAはLで置換されており、かつ/又は最後の位置のAはNで置換されている。更に、本発明の結合タンパク質に含まれる任意のアンキリン反復ドメインの配列は、任意選択で、そのN末端にG、S、又はGSを含み得る(以下を参照されたい)。
加えて、本発明の組換え結合タンパク質に含まれる各アンキリン反復ドメインは、任意選択で、そのN末端に「G」、「S」、又は「GS」配列を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、各アンキリン反復ドメインは、配列番号1~12、52~59、及び71~72のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含み、更にそのN末端にGS含むか(例えば、配列番号61及び64にあるように)、又はGSの代わりにG若しくはSのみを含む。
結合親和性
特定の実施形態では、組換え結合タンパク質とその標的(すなわち、ヒトCD70)との間の親和性は、KDを単位として記載される。例示的な実施形態では、KDは、約10-1M以下、約10-2M以下、約10-3M以下、約10-4M以下、約10-5M以下、約10-6M以下、約10-7M以下、約10-8M以下、約10-9M以下、約10-10M以下、約10-11M以下、約10-12M以下、約10-13M以下、約10-14M以下、約10-5M~約10-15M、約10-6M~約10-15M、約10-7M~約10-15M、約10-8M~約10-15M、約10-9M~約10-15M、約10-10M~約10-15M、約10-5M~約10-14M、約10-6M~約10-14M、約10-7M~約10-14M、約10-8M~約10-14M、約10-9M~約10-14M、約10-10M~約10-14M、約10-5M~約10-13M、約10-6M~約10-13M、約10-7M~約10-13M、約10-8M~約10-13M、約10-9M~約10-13M、約10-10M~約10-13M、約10-5M~約10-12M、約10-6M~約10-12M、約10-7M~約10-12M、約10-8M~約10-12M、約10-9M~約10-12M、約10-10M~約10-12M、約10-5M~約10-11M、約10-6M~約10-11M、約10-7M~約10-11M、約10-8M~約10-11M、約10-9M~約10-11M、約10-10M~約10-11M、約10-5M~約10-10M、約10-6M~約10-10M、約10-7M~約10-10M、約10-8M~約10-10M、約10-9M~約10-10M、約10-5M~約10-9M、約10-6M~約10-9M、約10-7M~約10-9M、又は約10-8M~約10-9Mである。
例示的な実施形態では、組換え結合タンパク質は、約150nM、約100nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、約10nM、約5nM、約2nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM、約10pM、又は約1pM以下のKD値でヒトCD70と結合する。例示的な一実施形態では、組換え結合タンパク質は、100nM以下のKD値でCD70と結合する。別の例示的な実施形態では、組換え結合タンパク質は、10nM以下のKD値でCD70と結合する。
一態様では、組換え結合タンパク質は、約500、約400、約300、約200、約150、約100、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約15、約10、約7、約5、約3、約1、約0.5、又は約0.1nM未満のEC50でヒトCD70と結合する。したがって、一態様では、当該結合タンパク質は、約500nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約400nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約300nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約200nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約100nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約70nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約60nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約50nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約40nM未満のEC50でT細胞上のヒトCD70と結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約30nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約20nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約15nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約10nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約7nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約5nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約3nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約1nM未満のEC50でCD70に結合する;別の態様では、当該結合タンパク質は、約0.5nM未満のEC50でCD70に結合する;更なる態様では、当該結合タンパク質は、約0.1nM未満のEC50でCD70に結合する。
追加のポリペプチド
一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は、ポリペプチドタグを更に含む。ポリペプチドタグとは、ポリペプチド/タンパク質に結合されたアミノ酸配列であり、ここで、当該アミノ酸配列は、当該ポリペプチド/タンパク質の精製、検出、若しくは標的化に有用であるか、又は、当該アミノ酸配列は、ポリペプチド/タンパク質の物理化学的挙動を改善するか、又は、当該アミノ酸配列はエフェクター機能を有する。組換え結合タンパク質の個々のポリペプチドタグは、組換え結合タンパク質の他の部位に、直接又はペプチドリンカーを介して接続されてもよい。ポリペプチドタグは全て当該技術分野で周知であり、当業者には十分に利用可能である。ポリペプチドタグの例は、当該ポリペプチド/タンパク質の検出を可能にする、小ポリペプチド配列、例えば、Hisタグ、HAタグ、mycタグ、FLAGタグ、若しくはStrepタグ、又は酵素(例えばアルカリホスファターゼ)などのポリペプチド、あるいは標的化に使用できるポリペプチド(免疫グロブリン又はそのフラグメントなど)及び/又はエフェクター分子として使用できるポリペプチドである。
一態様では、本発明の組換え結合タンパク質は、ペプチドリンカーを更に含む。ペプチドリンカーとは、例えば、2つのタンパク質ドメイン、ポリペプチドタグとタンパク質ドメイン、タンパク質ドメインと非タンパク質化合物若しくはポリエチレングリコールなどのポリマー、タンパク質ドメインと生物学的に活性な分子、タンパク質ドメインとローカライザ、又は2つの配列タグを、結合させることができるアミノ酸配列である。ペプチドリンカーは、当業者に既知である。例の一覧は、国際公開第2002/020565号の明細書に提供されている。一態様では、本発明に使用するためのペプチドリンカーは、1~50アミノ酸の長さを有する。別の態様では、本発明に使用するためのペプチドリンカーは、約5~約40アミノ酸の長さを有する。別の態様では、本発明に使用するためのペプチドリンカーは、約10~約30アミノ酸の長さを有する。
ペプチドリンカーの具体例は、可変長のグリシン-セリンリンカー及びプロリン-トレオニンリッチリンカーである。本発明の文脈において、プロリン-トレオニンリッチリンカーは、そのアミノ酸配列中に少なくとも約20%のプロリン残基及び少なくとも約20%のトレオニン残基を含む。グリシン-セリンリンカーの例は、アミノ酸配列GS及び配列番号67のアミノ酸配列であり、プロリン-トレオニンリッチリンカーの例は、配列番号65及び66のアミノ酸配列である。
N末端及びC末端キャッピング配列
本明細書に開示される組換え結合タンパク質のアンキリン反復ドメインは、N末端又はC末端キャッピング配列を含んでもよい。キャッピング配列とは、アンキリン反復配列モチーフのN末端又はC末端に融合された追加のポリペプチド配列を指し、当該キャッピング配列は、アンキリン反復配列モチーフとの厳密な三次相互作用(すなわち、三次構造相互作用)を形成し、それによって、側面のアンキリン反復ドメインの疎水性コアが溶媒に曝露しないように遮蔽するキャップを提供する。
N末端及び/又はC末端キャッピング配列は、キャッピング単位、又は反復単位に隣接する天然に存在する反復タンパク質中に見出される他の構造単位に由来してもよい。キャッピング配列の例は、国際公開第2002/020565号及び同第2012/069655号、米国特許出願公開第2013/0296221号、並びにInterlandi et al.,J Mol Biol.2008 Jan 18;375(3):837-54に記載されている。N末端アンキリンキャッピングモジュール(すなわち、N末端キャッピング反復)の例としては、配列番号46~47及び69~70が挙げられ、アンキリンC末端キャッピングモジュール(すなわち、C末端キャッピング反復)の例としては、配列番号48~51が挙げられる。
核酸及び方法
別の態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。一態様では、本発明は、本発明の組換えタンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸に関する。更に、本発明は、本発明のいずれかの核酸を含むベクターに関する。核酸は、当業者に周知である。実施例において、核酸は、本発明の設計アンキリン反復ドメイン又は組換え結合タンパク質を、大腸菌で産生するために使用した。
組成物、使用、及び処置方法
一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計アンキリン反復ドメイン、並びに/又は本発明の組換え結合タンパク質及び/若しくは設計アンキリン反復ドメインをコードする核酸と、任意選択で、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物に関する。
一態様では、本発明は、組換え結合タンパク質又は本発明の組換え結合タンパク質をコードする核酸と、任意選択で、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物に関する。
薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤は当業者に既知であり、以下でより詳細に説明する。
医薬組成物は、組換え結合タンパク質及び/若しくは設計アンキリン反復ドメイン、並びに/又は核酸、好ましくは、本明細書に記載の組換え結合タンパク質及び/又は核酸と、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に記載の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と、を含む。
当業者に既知の、好適な担体、希釈剤、賦形剤、又は安定剤としては、例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液、固定油、オレイン酸エチル、5%デキストロース生理食塩水、等張性及び化学的安定性を高める物質、緩衝液、並びに防腐剤が挙げられる。他の好適な担体としては、それ自体が、組成物を投与される個体にとって有害な抗体の産生を誘導しない任意の担体、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、及びアミノ酸コポリマーが挙げられる。医薬組成物はまた、抗癌剤若しくは抗血管新生剤、又は更なる生物活性化合物などの追加の活性剤を含む、合剤であってもよい。インビボ投与に使用される組成物は、無菌でなくてはならないか又は滅菌されていなくてはならない。これは、滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に達成される。
一態様では、医薬組成物は、本明細書に記載の少なくとも1つの組換え結合タンパク質と、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤、リン酸緩衝液などの緩衝液、及びスクロースなどの糖と、を含む。一態様では、そのような組成物は、上記の組換え結合タンパク質とPBSとを含む。
別の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるT細胞の腫瘍局所的活性化の方法であって、本発明の組換えタンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物を当該哺乳動物に投与する工程を含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、医学的状態を処置する方法であって、医学的状態の処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、医学的状態を処置する方法であって、医学的状態の処置を必要とする患者に、治療有効量の、疾患関連抗原に対して結合特異性を有する結合剤を更に含む本発明の組換え結合タンパク質、当該組換え結合タンパク質をコードする核酸、又は当該結合タンパク質を含む医薬組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。
一態様では、本発明は、疾患の処置に使用するための、本発明による医薬組成物、組換え結合タンパク質、又は核酸に関する。その目的のため、本発明による医薬組成物、核酸、又は組換え結合タンパク質は、これらを必要とする患者に、治療有効量で投与される。投与としては、局所投与、経口投与、及び非経口投与を挙げることができる。典型的な投与経路は非経口投与である。非経口投与では、本発明の医薬組成物は、上記で定義したような薬学的に許容される賦形剤と共に、溶液、懸濁液、又はエマルションなどの単位用量の注射剤形で配合され得る。用量及び投与方法は、処置される個体及び疾患に依存し得る。
更に、上述の医薬組成物、核酸又は組換えタンパク質のいずれも、障害の処置に使用するためのものと見なされる。
一態様では、本明細書に記載の当該組換え結合タンパク質又はそのような他の医薬組成物は、静脈内投与される。非経口用途の場合、組換え結合タンパク質又は当該医薬組成物は、ボーラス注入として又は緩徐な点滴注入により、治療有効量で注射することができる。
一態様では、本発明は、疾患の処置のための医薬品としての、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物の使用に関する。一態様では、本発明は、医薬品の製造のための、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物の使用に関する。一態様では、本発明は、疾患の処置のための医薬品の製造のための、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物の使用に関する。一態様では、本発明は、疾患の処置のための医薬品を製造するための方法であって、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物が、医薬品の有効成分である、方法に関する。一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物を使用する、疾患の処置方法に関する。
一態様では、本発明は更に、医学的状態の処置を必要とする対象の医学的状態を処置するための、そのような組換え結合タンパク質の使用を提供する。
本明細書で使用される場合、当該医学的状態又は疾患は、癌、好ましくは液性腫瘍、より好ましくは白血病、更により好ましくは急性骨髄性白血病(AML)である。
本発明の組換え結合タンパク質、本発明の核酸、又は本発明の医薬組成物はまた、当該技術分野で既知の1つ以上の他の療法と併用することができる。用語「と併用」は、本明細書で使用される場合、所与の投与計画の下で実施される共投与を指すものとする。これには、異なる化合物の同時投与及び異なる化合物の時間を変えた投与が含まれる(例えば、化合物Aを1回投与し、かつ化合物Bをその後に数回投与する、若しくはその逆、又は、両化合物を同時に投与し、かつ2つのうちの1つを後の段階でまた投与する)。
一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質を含むキットに関する。一態様では、本発明は、本発明の組換え結合タンパク質をコードする核酸を含むキットに関する。一態様では、本発明は、本発明の医薬組成物を含むキットに関する。一態様では、本発明は、本発明の組換えタンパク質、及び/又は本発明の核酸、及び/又は本発明の医薬組成物を含むキットに関する。一態様では、本発明は、本発明のCD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号1~12及び71~72を含む組換えタンパク質、並びに/又はCD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号1~12及び71~72を含む組換えタンパク質をコードする核酸、並びに/又はCD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメイン、例えば、配列番号1~12及び71~72を含む組換えタンパク質を含む医薬組成物を含むキットに関する。一態様では、本発明は、配列番号1~45及び71~81のアミノ酸配列のいずれか1つを含む組換えタンパク質、並びに/又は当該組換えタンパク質をコードする核酸、並びに/又は組換えタンパク質を含む医薬組成物を含むキットに関する。
一態様では、本発明は、本発明の組換えタンパク質を産生する方法に関する。一態様では、本発明は、組換え結合タンパク質、例えば、配列番号1~45及び71~81のいずれか1つのアミノ酸配列を含む組換えタンパク質を産生する方法であって、(i)当該組換え結合タンパク質を好適な宿主細胞(例えば、細菌)中で発現させる工程と、(ii)当該組換え結合タンパク質を(例えば、クロマトグラフィーを使用して)精製する工程と、を含む、方法に関する。当該方法は追加の工程を含んでもよい。本発明の組換え結合タンパク質のこのような産生方法は、実施例1に記載される。
本発明は、実施例に記載の特定の態様に制限されない。本明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、添付の配列表に開示されているいくつかのアミノ酸配列、核酸配列、及び配列番号を参照する。
定義
本明細書で別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。概して、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸化学に関連して使用される命名法と、それらの技法とは、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。
用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、特に明記しない限り、非限定的用語として解釈されるべきである。本発明の態様がある特徴を「含む」と記載されている場合、態様がその特徴「からなる」か又は「から本質的になる」も企図されている。本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示を意味する文言(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をよりよく説明することを意図するものであり、別段の特許請求がない限り、本開示の範囲に制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素を本開示の実施に不可欠なものとして示すものとして解釈されるべきではない。実施されている例、又は別途指示がある場合を除き、本明細書で使用される成分又は反応条件の量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって、その用語が当業者によって解釈されるように、修飾されると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「約」は、特に明記しない限り、所与の数値の±10%に相当する。
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各別個の値及び各エンドポイントを個々に指す簡略法として役立つことを単に意図しており、各別個の値及びエンドポイントは、本明細書において個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
本発明の文脈において、用語「タンパク質」とは、ポリペプチドを含む分子を指し、ポリペプチドの少なくとも一部は、単一のポリペプチド鎖内及び/又は複数のポリペプチド鎖間において二次、三次、及び/又は四次構造を形成することによって、定義された三次元配列を有するか、又は獲得することができる。タンパク質が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、個々のポリペプチド鎖は、非共有結合又は共有結合により、例えば、2つのポリペプチド間のジスルフィド結合により、結合され得る。二次及び/又は三次構造を形成することによって定義された三次元配列を個別に有するか、又は獲得することができるタンパク質の一部は、「タンパク質ドメイン」と呼ばれる。そのようなタンパク質ドメインは、当業者に周知である。
組換えタンパク質及び組換えポリペプチドなどで使用される用語「組換え」とは、当該タンパク質又はポリペプチドが、当業者に周知の組換えDNA技術の使用によって産生されることを意味する。例えば、ポリペプチドをコードする組換えDNA分子(例えば遺伝子合成によって産生される)を細菌発現プラスミド(例えばpQE30、QIAgen)、酵母発現プラスミド、哺乳動物発現プラスミド、若しくは植物発現プラスミド、又はインビトロ発現を可能にするDNAにクローニングすることができる。例えば、そのような組換え細菌発現プラスミドを適切な細菌(例えば、大腸菌)に挿入すると、これらの細菌は、この組換えDNAによってコードされたポリペプチドを産生することができる。それに応じて産生されたポリペプチド又はタンパク質は、組換えポリペプチド又は組換えタンパク質と呼ばれる。
本発明の文脈において、用語「結合タンパク質」とは、結合ドメインを含むタンパク質を指す。結合タンパク質はまた、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の結合ドメインを含んでもよい。好ましくは、当該結合タンパク質は、組換え結合タンパク質である。本発明の結合タンパク質は、CD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む。
更に、任意のそのような結合タンパク質は、当業者に周知の追加のポリペプチド(例えば、ポリペプチドタグ、ペプチドリンカー、結合特異性を有する他のタンパク質ドメインへの融合、サイトカイン、ホルモン、又はアンタゴニストなど)、又は化学修飾(ポリエチレングリコール、毒素(例えば、免疫原からのDM1)、小分子、抗生物質などへのカップリングなど)を含み得る。本発明の結合タンパク質は、ローカライザ分子を含んでもよい。
用語「結合ドメイン」とは、標的に対して結合特異性を示すタンパク質ドメインを意味する。好ましくは、当該結合ドメインは、組換え結合ドメインである。
本明細書で使用される場合、用語「標的」とは、核酸分子、ポリペプチド若しくはタンパク質、炭水化物、又は任意の他の天然に存在する分子などの個々の分子(そのような個々の分子の任意の一部を含む)、又はそのような分子の2つ以上の複合体、又は細胞全体若しくは組織試料、又は任意の非天然化合物を指す。好ましくは、標的はCD70である。より好ましくは、標的はヒトCD70である。
本発明の文脈において、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって結合された、複数、すなわち2つ以上のアミノ酸の鎖からなる分子に関する。好ましくは、ポリペプチドは、ペプチド結合によって結合された8個超のアミノ酸からなる。用語「ポリペプチド」にはまた、システインのS-S架橋によって結合されたアミノ酸の複数の鎖も含まれる。ポリペプチドは、当業者に周知である。
国際公開第2002/020565号及びForrer et al.,2003(Forrer,P.,Stumpp,M.T.,Binz,H.K.,Plueckthun,A.,2003.FEBS Letters 539,2-6)には、反復タンパク質の特徴及び反復ドメインの特徴、技法、及び用途の一般的な説明が含まれる。用語「反復タンパク質」とは、1つ以上の反復ドメインを含むタンパク質を指す。好ましくは、反復タンパク質は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの反復ドメインを含む。更に、当該反復タンパク質は、追加の非反復タンパク質ドメイン、ポリペプチドタグ、及び/又はペプチドリンカーを含んでもよい。反復ドメインは、結合ドメインであり得る。
用語「反復ドメイン」とは、構造単位として2つ以上の連続する反復モジュールを含むタンパク質ドメインを指し、当該反復モジュールは、構造相同性及び配列相同性を有する。好ましくは、反復ドメインは、N末端及び/又はC末端キャッピングモジュールを更に含む。明確にするために、キャッピングモジュールは、反復モジュールであり得る。そのような反復ドメイン、反復モジュール、及びキャッピングモジュール、配列モチーフ、並びに構造的相同性及び配列相同性は、アンキリン反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、ロイシンリッチ反復ドメイン(国際公開第2002/020565号)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Main,E.R.,Xiong,Y.,Cocco,M.J.,D’Andrea,L.,Regan,L.,Structure 11(5),497-508,2003)、及びアルマジロ反復ドメイン(国際公開第2009/040338号)の実施例から、当業者に周知である。そのような反復ドメインが反復されるアミノ酸配列を含むタンパク質とは異なることは、当業者には更に周知であり、反復されるアミノ酸配列は全て、個々のドメイン(例えば、フィブロネクチンのFN3ドメイン)を形成することができる。
用語「アンキリン反復ドメイン」とは、構造単位として2つ以上の連続するアンキリン反復モジュールを含む反復ドメインを指す。アンキリン反復ドメインは、標準的な組換えDNA技術を使用して、任意選択で半減期延長ドメインと共に、より大きなアンキリン反復タンパク質にモジュール式に組み立てられてもよい(例えば、Forrer,P.,et al.,FEBS letters 539,2-6,2003、国際公開第2002/020565号、国際公開第2016/156596号、国際公開第2018/054971号を参照されたい)。
設計反復タンパク質及び設計反復ドメインなどで使用される用語「設計」とは、そのような反復タンパク質及び反復ドメインがそれぞれ人工的であり、自然界には存在しないという特性を指す。本発明の結合タンパク質は、設計反復タンパク質であり、これらは少なくとも1つの設計アンキリン反復ドメインを含む。好ましくは、設計反復ドメインは、設計アンキリン反復ドメインである。
用語「標的相互作用残基」とは、標的との直接的な相互作用に寄与する反復モジュールのアミノ酸残基を指す。
用語「フレームワーク残基」とは、反復モジュールのアミノ酸残基を指し、これは、フォールディングトポロジーに寄与する、すなわち、当該反復モジュールのフォールディングに寄与するか、又は隣接モジュールとの相互作用に寄与する。そのような寄与は、反復モジュール内の他の残基との相互作用、又はαヘリックス若しくはβシートに見られるポリペプチド骨格構造への影響、又は直鎖ポリペプチド若しくはループを形成するアミノ酸ストレッチへの関与であってもよい。そのようなフレームワーク及び標的相互作用残基は、X線結晶解析、NMR及び/若しくはCD分光法などの物理化学的方法によって得られる構造データの分析によって、又は構造生物学及び/若しくはバイオインフォマティクスにおいて当業者に周知の既知の関連する構造情報と比較することによって同定され得る。
用語「反復モジュール」とは、元々は天然に存在する反復タンパク質の反復単位に由来する、設計反復ドメインの反復されたアミノ酸配列及び構造単位を指す。反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、天然に存在する反復タンパク質のファミリー又はサブファミリー、例えば、アンキリン反復タンパク質ファミリーの1つ以上の反復単位に由来する。更に、反復ドメインに含まれる各反復モジュールは、例えば、実施例1に記載されるように、標的上で選択された反復ドメインから得られ、同じ標的特異性を有する相同反復モジュールから推定される「反復配列モチーフ」を含み得る。
したがって、用語「アンキリン反復モジュール」とは、元々は天然に存在するアンキリン反復タンパク質の反復単位に由来する反復モジュールを指す。アンキリン反復タンパク質は、当業者に周知である。設計アンキリン反復タンパク質は、以前に記載されており、例えば、国際公開第2002/020565号、同第2010/060748号、同第2011/135067号、同第2012/069654号、同第2012/069655号、同第2014/001442号、同第2014/191574号、同第2014/083208号、同第2016/156596号、及び同第2018/054971号を参照されたく、これらは全て、それらの全体が参照により組み込まれる。典型的には、アンキリン反復モジュールは、ループによって分離された2つのアルファヘリックスを形成する約31~33個のアミノ酸残基を含む。
反復モジュールは、標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリー内でランダム化されていないアミノ酸残基を有する位置(「非ランダム化位置」)及び標的特異的反復ドメインを選択する目的で、ライブラリー内でランダム化されたアミノ酸残基を有する位置(「ランダム化位置」)を含み得る。非ランダム化位置は、フレームワーク残基を含む。ランダム化位置は、標的相互作用残基を含む。「ランダム化された」とは、反復モジュールのあるアミノ酸位置で2つ以上のアミノ酸が許可されたこと、例えば、通常の20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかが許可されたか、又はシステイン以外のアミノ酸、若しくはグリシン、システイン、及びプロリン以外のアミノ酸などの、20個の天然に存在するアミノ酸のほとんどが許可されたことを意味する。
用語「反復配列モチーフ」とは、1つ以上の反復モジュールから推定されるアミノ酸配列を指す。好ましくは、当該反復モジュールは、同じ標的に対して結合特異性を有する反復ドメインに由来する。そのような反復配列モチーフは、フレームワーク残基位置及び標的相互作用残基位置を含む。当該フレームワーク残基位置は、反復モジュールのフレームワーク残基の位置に対応する。同様に、当該標的相互作用残基位置は、反復モジュールの標的相互作用残基の位置に対応する。反復配列モチーフは、非ランダム化位置及びランダム化位置を含む。
用語「反復単位」とは、1つ以上の天然に存在するタンパク質の配列モチーフを含むアミノ酸配列を指し、当該「反復単位」は複数のコピーに見出され、タンパク質のフォールディングを決定する全ての当該モチーフに共通の定義されたフォールディングトポロジーを示す。そのような反復単位の例としては、ロイシンリッチ反復単位、アンキリン反復単位、アルマジロ反復単位、テトラトリコペプチド反復単位、HEAT反復単位、及びロイシンリッチバリアント反復単位が挙げられる。
用語「標的に対して結合特異性を有する」、「標的に特異的に結合する」、「高い特異性で標的に結合する」、「標的に特異的な」、「標的特異性」、又は「特異的に結合する」などは、結合タンパク質又は結合ドメインが、大腸菌マルトース結合タンパク質(MBP)などの非関連タンパク質に結合するよりも、PBS中で、標的に、より低い解離定数で結合する(すなわち、より高い親和性で結合する)ことを意味する。好ましくは、標的に対するPBS中での解離定数(「KD」)は、MBPに対する対応する解離定数の、少なくとも10-2倍、より好ましくは少なくとも10-3倍、より好ましくは少なくとも10-4倍、又はより好ましくは少なくとも10-5倍である。タンパク質-タンパク質相互作用の解離定数を決定する方法、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく技術(例えば、SPR平衡分析)又は等温滴定熱量測定(isothermal titration calorimetry、ITC)は、当業者に周知である。特定のタンパク質-タンパク質相互作用のKDの測定値は、異なる条件下(例えば、塩濃度、pH)で測定された場合、変動し得る。したがって、KD値の測定は、好ましくは、タンパク質の標準化溶液及びPBSなどの標準化緩衝液を使用して実施される。CD70に対して結合特異性を有する本発明の組換え結合タンパク質の解離定数(KD)の典型的かつ好ましい決定は、表面プラズモン共鳴(SPR)分析を使用して実施される。様々なアッセイ形式を使用して、目的の薬物分子と特異的に結合する結合部分を選択又は特徴付けることができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、BIAcore(商標)(GE Healthcare,Piscataway,NJ)、蛍光活性化細胞選別(fluorescence-activated cell sorting、FACS)、Octet(商標)(ForteBio,Inc.,Menlo Park,CA)及びウエスタンブロット分析は、標的薬物分子に特異的に結合する結合部分を同定するために使用され得る多くのアッセイの一部である。典型的には、特異的又は選択的結合は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドシグナルの10倍超となる。より具体的には、結合剤は、平衡解離定数(KD)値が<1μM、例えば、<500nM、<100nM、<10nM、<1nM、<100pM、又は<10pMである場合、標的と「特異的に結合する」と言われる。
用語「結合剤」又は「結合部分」とは、標的分子と特異的に結合することができる任意の分子を指す。結合剤としては、例えば、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、ペプチド(例えば、Williams et al.,J Biol Chem 266:5182-5190(1991))、代替足場、抗体模擬体、反復タンパク質、例えば、設計アンキリン反復タンパク質、受容体タンパク質、及び標的分子の任意の他の天然に存在する相互作用パートナーが挙げられ、天然タンパク質と、例えば、非天然残基を含むように、及び/又は天然残基を欠くように修飾又は遺伝子操作されたタンパク質と、を含むことができる。
用語「PBS」とは、137mM NaCl、10mMリン酸塩及び2.7mM KClを含み、pHが7.4であるリン酸緩衝水溶液を意味する。
好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期は、哺乳動物、より好ましくはマウス及び/又はカニクイザル、より好ましくはカニクイザルで評価する。好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期をマウスで測定する場合、評価は、注射後最大48時間までのデータを考慮して実施する。より好ましくは、マウスにおける終末相半減期の評価は、24時間~48時間で計算される。好ましくは、クリアランス、及び/又は曝露、及び/又は終末相半減期をカニクイザルで測定する場合、評価は、注射後最大7日目までのデータを考慮して実施する。より好ましくは、カニクイザルにおける終末相半減期の評価は、1日目~5日目で計算される。当業者は、標的媒介クリアランスなどの効果を更に特定し、終末相半減期を計算する場合、それらを考慮することができる。本発明の組換え結合タンパク質などの薬物の用語「終末相半減期」とは、偽平衡に達した後、哺乳動物に適用した薬物の血漿中濃度の半分に達するのに必要な時間を指す(例えば、マウスでは24時間~48時間で計算され、又はカニクイザルでは1日目~5日目で計算される)。終末相半減期は、哺乳動物に投与された薬物の用量の半分を排泄するのに必要な時間とは定義されない。終末相半減期という用語は、当業者に周知である。好ましくは、薬物動態の比較は、任意の用量、より好ましくは等用量(すなわち、同じmg/kg用量)又は等モル用量(すなわち、同じmol/kg用量)、より好ましくは等モル投与量(すなわち、同じmol/kg用量)で行う。当業者であれば、動物での同等及び/又は等モルの投与は、少なくとも約20%、より好ましくは約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%の実験的な用量のばらつきを伴うことを理解する。好ましくは、薬物動態の測定に用いられる用量は、約0.001~約1000mg/kg、より好ましくは約0.01~約100mg/kg、より好ましくは約0.1~約50mg/kg、より好ましくは約0.5~約10mg/kgから選択される。
用語「CD3」又は「分化抗原群3」とは、3つの対(εγ、εδ、ζζ)として集合するイプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びゼータ(ζ)の4つの異なるポリペプチド鎖から構成される多量体タンパク質複合体を指す。CD3複合体は、T細胞受容体と非共有結合するT細胞共受容体として機能する。それは、任意の形態のCD3、並びにCD3の活性の少なくとも一部を保持するそのバリアント、アイソフォーム、及び種相同体を指し得る。したがって、本明細書に定義及び開示される結合タンパク質はまた、ヒト以外の種由来のCD3と結合してもよい。他の場合では、結合タンパク質は、ヒトCD3に対して完全に特異的であってもよく、種又は他のタイプの交差反応性を示さなくてもよい。ヒトCD3への具体的な言及などによる異なる指示がない限り、CD3は、全ての哺乳動物種、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、及びウシの天然配列CD3を含む。ヒトCD3ガンマ、デルタ及びゼータ鎖のアミノ酸配列は、それぞれNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)参照配列NP_000064.1、NP_000723.1、及びNP_932170.1に示されている。
本明細書で使用される場合、用語「CD3発現細胞」とは、細胞傷害性T細胞(CD8+T細胞)及びヘルパーT細胞(CD4+T細胞)などのT細胞を含むがこれらに限定されない、細胞表面上にCD3(分化抗原群3)を発現する任意の細胞を指す。
用語「CD70」とは、CD27のリガンドとして機能するサイトカインであるCD70抗原を指す。CD70-CD27経路は、特に抗ウイルス応答の間、T細胞免疫の生成及び維持において重要な役割を果たす。ヒトCD70(hCD70)のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)参照番号P32970に示されている。
用語「T細胞の腫瘍局所的活性化」とは、T細胞が、非腫瘍組織と比較して、腫瘍組織において優先的に活性化されることを意味する。
更に、用語「ペプチド」にはまた、例えばグリコシル化によって修飾されたペプチドと、各々4~600アミノ酸長の長さの、例えばインスリン及び免疫グロブリンなどの、例えばジスルフィド結合によって架橋された2つ以上のポリペプチド鎖を含むタンパク質と、が包含される。用語「化学又は生化学剤」とは、レシピエントに投与され得る任意の天然に存在するか又は合成の化合物を含むことが意図される。好ましい態様では、ローカライザは、標的特異的アンキリン反復ドメインである。
用語「医学的状態」(又は障害若しくは疾患)には、自己免疫障害、炎症性障害、網膜症(特に増殖性網膜症)、神経変性障害、感染症、代謝性疾患、及び新生物疾患が含まれる。本明細書に記載の組換え結合タンパク質のいずれかを、そのような障害、特に、新生物疾患などの障害の処置のための医薬品の調製に使用することができる。「医学的状態」は、不適切な細胞増殖を特徴とするものである場合がある。医学的状態は、過剰増殖状態である場合がある。本発明は、特に、医学的状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明の組換え結合タンパク質又は当該医薬組成物を投与する工程を含む、方法に関する。好ましい態様では、当該医学的状態は、新生物疾患である。用語「新生物疾患」とは、本明細書で使用される場合、急速に増殖する細胞増殖又は新生物を特徴とする、細胞又は組織の異常な状態(state or condition)を指す。一態様では、当該医学的状態は、悪性新生物疾患である。一態様では、当該医学的状態は、癌、好ましくは白血病、より好ましくは急性骨髄性白血病である。用語「治療有効量」とは、患者に対して所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。
用語「抗体」とは、インタクトな抗体分子だけでなく、免疫原結合能力を保持する抗体分子の任意のフラグメント及びバリアントも意味する。そのようなフラグメント及びバリアントもまた、当該技術分野で周知であり、インビトロ及びインビボの両方で常時使用されている。したがって、用語「抗体」には、インタクトな免疫グロブリン分子、抗体フラグメント、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、及び単鎖V領域フラグメント(scFv)など、二重特異性抗体、キメラ抗体、抗体融合ポリペプチド、並びに非従来型抗体が包含される。
用語「癌」及び「癌性」は、本明細書では、典型的には、制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は記載するために使用される。癌には、固形腫瘍及び液性腫瘍、並びに原発性腫瘍及び転移が包含される。「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。固形腫瘍は、典型的には、腫瘍間質も含む。癌の例としては、原発性及び転移性癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病、並びに任意の他の上皮及びリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、脳癌、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、明細胞腎臓癌、頭頸部扁平上皮癌腫、肺腺癌腫、肺扁平上皮癌腫、悪性黒色腫、非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer、NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌腫、小細胞肺癌(small-cell lung cancer、SCLC)、三重陰性乳癌、急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia、CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫(Hodgkin’s lymphoma、HL)、マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma、MCL)、多発性骨髄腫(multiple myeloma、MM)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome、MDS)、非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)、頭頸部の扁平上皮癌腫(Squamous Cell Carcinoma of the Head and Neck、SCCHN)、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia、CML)、小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma、SLL)、悪性中皮腫、結腸直腸癌、又は胃癌が挙げられる。
以下に開示の出発物質及び試薬は、当業者に既知であり、市販されている、及び/又は周知の技法を用いて調製することができる。
材料
化学物質はSigma-Aldrich(USA)より購入した。オリゴヌクレオチドはMicrosynth(Switzerland)より購入した。特に明記しない限り、DNAポリメラーゼ、制限酵素、及び緩衝液は、New England Biolabs(USA)又はFermentas/Thermo Fisher Scientific(USA)より購入した。誘導性大腸菌発現株、例えば、大腸菌XL1-blue(Stratagene,USA)又はBL21(Novagen,USA)を、クローニング及びタンパク質産生に使用した。
分子生物学
特に明記しない限り、方法は、既知のプロトコルに従って実施される(例えば、Sambrook J.,Fritsch E.F.and Maniatis T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1989),New Yorkを参照されたい)。
設計アンキリン反復タンパク質ライブラリー
設計アンキリン反復タンパク質ライブラリーを作製する方法は、例えば、米国特許第7,417,130号、Binz et al.,J.Mol.Biol.332,489-503,2003、Binz et al.,2004(上記引用)に記載されている。このような方法により、ランダム化アンキリン反復モジュール及び/又はランダム化キャッピングモジュールを有する、設計アンキリン反復タンパク質ライブラリーを構築することができる。したがって、例えば、そのようなライブラリーは、固定化N末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号46、69、又は70のN末端キャッピングモジュール)、又はランダム化N末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号47による)、及び固定化C末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号48、49、又は50のC末端キャッピングモジュール)、又はランダム化C末端キャッピングモジュール(例えば、配列番号51による)に基づいて組み立てられ得る。好ましくは、そのようなライブラリーは、反復又はキャッピングモジュールのランダム化位置にアミノ酸C、G、M、N(G残基の前)及びPのいずれも有することがないように組み立てられる。
更に、そのようなライブラリー内のそのようなランダム化モジュールは、ランダム化アミノ酸位置を有する追加のポリペプチドループ挿入を含んでもよい。そのようなポリペプチドループ挿入の例は、抗体又はデノボ作製ペプチドライブラリーの補体決定領域(complement determining region、CDR)ループライブラリーである。例えば、そのようなループ挿入は、ガイダンスとして、ヒトリボヌクレアーゼLのN末端アンキリン反復ドメインの構造を用いて設計され得る(Tanaka,N.,Nakanishi,M,Kusakabe,Y,Goto,Y.,Kitade,Y,Nakamura,K.T.,EMBO J..23(30),3929-3938,2004)。10個のアミノ酸が2つのアンキリン反復の境界近くに存在するベータターンに挿入されているこのアンキリン反復ドメインと同様に、アンキリン反復タンパク質ライブラリーは、アンキリン反復ドメインの1つ以上のベータターンに挿入された可変長(例えば1~20アミノ酸)のランダム化ループ(固定化及びランダム化位置を有する)を含有し得る。アンキリン反復タンパク質ライブラリーの任意のそのようなN末端キャッピングモジュールは、好ましくはRILLAA、RILLKA、又はRELLKAモチーフを有し(例えば、配列番号1、2、及び9の19~24位に存在)、アンキリン反復タンパク質ライブラリーの任意のそのようなC末端キャッピングモジュールは、好ましくはKLN、KLA、又はKAAモチーフを有する(例えば、配列番号1の最後の3個のアミノ酸に存在)。配列番号46、69、及び70は、RILLAA、RILLKA、又はRELLKAモチーフを含むN末端キャッピングモジュールの例を提供し、配列番号48~50は、KLN、KLA、又はKAAモチーフを含むC末端キャッピングモジュールの例を提供する。
そのようなアンキリン反復タンパク質ライブラリーの設計は、標的と相互作用するアンキリン反復ドメインの既知の構造によって誘導され得る。タンパク質構造データバンク(Protein Data Bank、PDB)の固有受託コード又は識別コード(PDB-ID)によって識別される、そのような構造の例は、1WDY、3V31、3V30、3V2X、3V2O、3UXG、3TWQ-3TWX、1N11、1S70、及び2ZGDである。
N2C及びN3C設計アンキリン反復タンパク質ライブラリーなどの、設計アンキリン反復タンパク質ライブラリーの例は、記載されている(米国特許第7,417,130号、Binz et al.2003,(上記引用)、Binz et al.2004(上記引用))。N2C及びN3Cにおける数字は、N末端キャッピングモジュールとC末端キャッピングモジュールとの間に存在するランダム化反復モジュールの数を説明している。
反復単位及びモジュール内の位置を定義するために使用される命名法は、アンキリン反復モジュール及びアンキリン反復単位の境界が1アミノ酸位置シフトするという修正を加えた、Binz et al.2004(上記引用)に基づく。例えば、Binz et al.2004(上記引用)のアンキリン反復モジュールの1位は、本開示のアンキリン反復モジュールの2位に対応し、結果として、Binz et al.2004(上記引用)のアンキリン反復モジュールの33位は、本開示の以下のアンキリン反復モジュールの1位に相当する。
実施例1:CD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む結合タンパク質の選択
リボソームディスプレイ(Hanes,J.and Plueckthun,A.,PNAS 94,4937-42,1997)を用いて、ヒトCD70(hCD70)に対して結合特異性を有する多くのアンキリン反復タンパク質を、Binz et al.2004(上記引用)によって記載されているのと同様のDARPin(登録商標)ライブラリーから選択した。選択したクローンの組換えヒトCD70標的に対する結合を、粗抽出物ホモジニアス時間分解蛍光測定(Homogeneous Time Resolved Fluorescence、HTRF)によって評価し、数百のhCD70特異的結合タンパク質が成功裏に選択されたことが示された。例えば、配列番号1~12のアンキリン反復ドメインは、hCD70に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインを含む選択された結合タンパク質のアミノ酸配列を構成する。配列番号24~45は、hCD70に対して結合特異性を有する選択された結合タンパク質のアンキリン反復モジュールを構成する。
リボソームディスプレイによるCD70特異的アンキリン反復タンパク質の選択
hCD70特異的アンキリン反復タンパク質の選択は、標的タンパク質としてのヒトCD70のビオチン化細胞外ドメイン(配列番号60)、上記のアンキリン反復タンパク質のライブラリー、及び確立されたプロトコルを用いる、リボソームディスプレイ(Hanes and Plueckthun(上記引用))によって実施した(例えば、Zahnd,C.,Amstutz,P.and Plueckthun,A.,Nat.Methods 4,69-79,2007を参照されたい)。CD70標的(ACROBiosystems)は、C末端Fcタグを含有し、5倍過剰のビオチンを用いて化学的にビオチン化した。合計4ラウンドの標準リボソーム選択を採用し、ラウンド1からラウンド4まで、漸減する標的濃度及び漸増する洗浄ストリンジェンシーを使用して、選択圧を増加させた(Binz et al.2004(上記引用))。ストレプトアビジン及びニュートラアビジンビーズを使用することによって、各ラウンドにおいて選択解除戦略を適用した。各選択ラウンド後の逆転写(reverse transcription、RT)-PCRサイクルの数は、結合剤の富化のために、収率に合わせて調整して、45から28に一定に減少させた。
高親和性CD70特異的アンキリン反復タンパク質を富化するために、標準リボソームディスプレイ選択(上記)の第4ラウンドからの出力を、選択ストリンジェンシーを増加させたオフレート選択ラウンドに供した(Zahnd,2007(上記引用))。最後の標準選択ラウンドを、オフレート選択ラウンドの後に実施して、オフレート選択された結合タンパク質を増幅及び回収した。ラウンド5及び6では、RT-PCRサイクルの数は、それぞれ30及び35であった。
選択されたクローンは、粗抽出物HTRFによって示されるようにヒトCD70に特異的に結合する
溶液中でhCD70に特異的に結合する個々の選択されたアンキリン反復タンパク質を、標準的なプロトコルを用いて、アンキリン反復タンパク質発現大腸菌細胞の粗抽出物を使用するホモジニアス時間分解蛍光測定(HTRF)アッセイによって同定した。リボソームディスプレイによって選択されたアンキリン反復タンパク質クローンを、pQE30(Qiagen)発現ベクター(pMPDV25)の誘導体にクローニングし、大腸菌XL1-Blue(Stratagene)に形質転換し、LB-寒天(1%グルコース及び50μg/mlのアンピシリンを含有)上に播種し、次いで、37℃で一晩インキュベートした。単一のコロニーをピッキングして、160μlの成長培地(1%グルコース及び50μg/mlのアンピシリンを含有するTB)を含有する96ウェルプレートに入れ(単一のウェル中に各クローン)、800rpmで振盪しながら37℃で一晩インキュベートした。50μg/mlのアンピシリンを含有する150μlの新鮮なTB培地に、新しい96ウェルプレート中の8.5μlの一晩培養物を播種した。37℃及び700rpmで120分間インキュベートした後、発現をIPTG(最終濃度0.5mM)で誘導し、4時間続けた。細胞を採取し、ペレットを-20℃で一晩凍結した後、8μlのB-PERII(Thermo Scientific)中に再懸濁し、振盪(900rpm)しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、160μlのPBSを添加し、細胞片を遠心分離によって除去した(3220gで15分間)。
溶解した各クローンの抽出物を、PBSTB(0.1%Tween20(登録商標)及び0.2%(w/v)BSA、pH7.4を補充したPBS)への1:2000希釈物(最終濃度)として、2nM(最終濃度)ビオチン化hCD70、1:400(最終濃度)の抗strep-Tb HTRF抗体-FRETドナーコンジュゲート(Cisbio)、及び1:400(最終濃度)の抗6His-D2抗体FRET受容体コンジュゲート(Cisbio)と一緒に、384ウェルプレートのウェルへ適用し、RTで60分間インキュベートした。340nmの励起波長及び665±10nmの発光フィルタを使用して、Tecan M1000でHTRFを読み取った。そのような粗細胞抽出物HTRFによる数百のクローンのスクリーニングは、hCD70に対して特異性を有するアンキリン反復ドメインを明らかにした。hCD70に特異的に結合する選択されたアンキリン反復ドメインのアミノ酸配列は、配列番号1~12:
DARPin(登録商標)タンパク質#1(配列番号1)、
DARPin(登録商標)タンパク質#2(配列番号2)、
DARPin(登録商標)タンパク質#3(配列番号3)、
DARPin(登録商標)タンパク質#4(配列番号4)、
DARPin(登録商標)タンパク質#5(配列番号5)、
DARPin(登録商標)タンパク質#6(配列番号6)、
DARPin(登録商標)タンパク質#7(配列番号7)、
DARPin(登録商標)タンパク質#8(配列番号8)、
DARPin(登録商標)タンパク質#9(配列番号9)、
DARPin(登録商標)タンパク質#10(配列番号10)、
DARPin(登録商標)タンパク質#11(配列番号11)、及び
DARPin(登録商標)タンパク質#12(配列番号12)に提供されている。
これらのDARPin(登録商標)タンパク質は、任意選択で、それらのN末端にG、S、又はGS配列を更に含む。
hCD70に対して結合特異性を有する追加のアンキリン反復タンパク質の操作
配列番号2及び5を、それぞれ配列番号1及び4の配列に基づいて操作した。表面電荷を変化させるために、両方の配列を改変した。両方のN末端キャッピングモジュールにおいて、RILLAAモチーフをRILLKAで置き換え、アスパラギン酸(15位)をロイシンで置き換えた。更に、配列番号1のC末端キャッピングモジュールを、セリン(112位)をグリシンで置き換え、グルタミン酸(114位)をグルタミンで置き換えて改変した。
CD70特異的アンキリン反復タンパク質の発現
更なる分析のために、上記のような粗細胞抽出物HTRFにおいて特異的ヒトCD70結合を示す選択されたクローンを、精製しやすいようにそれらのN末端にHisタグ(配列番号82)を融合させて大腸菌細胞において発現させた。発現したタンパク質を、それらのHisタグを標準的なプロトコルに従って使用して精製した。0.11mlの静置一晩培養物(TB、1%グルコース、50mg/lのアンピシリン、37℃)を使用して、96ディープウェルプレート中の0.99mlの培養物(TB、50mg/lのアンピシリン、37℃)に接種した。37℃(700rpm)で2時間インキュベートした後、培養物を0.5mM IPTGで誘導し、振盪(900rpm)しながら37℃で6時間インキュベートした。細胞を採取し、ペレットを-20℃で一晩凍結した後、DNAase I(200ユニット/ml)及びリゾチーム(0.4mg/ml)を補充した50μlのB-PERII(Thermo Scientific)中に再懸濁し、振盪(900rpm)しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、60μlの低塩リン酸ナトリウム緩衝液を添加し、細胞片を遠心分離によって除去した(3220gで15分間)。合計で、8つの個々の発現をプールした後、細胞片を遠心分離によって除去した(3,200g、60分間、4℃)。MultiScreenフィルタプレート(Millipore)を用いて上清を濾過した後、96ウェルThermo HisPurコバルトスピンプレートを用いて精製し、96ウェルThermo Zebaスピン脱塩プレートを用いてPBS中でタンパク質溶液を再緩衝化した。精製されたタンパク質は、Agilent 1200 HPLCシステム上で標準Sephadex 150/5カラムを使用して、PBS中で可溶性及び単量体であった。
hCD70に対して結合特異性を有する親和性成熟アンキリン反復タンパク質の生成
最初に同定されたCD70特異的結合タンパク質の更なる開発において、標的タンパク質に対して親和性が非常に高い、かつ/又は標的タンパク質からのオフレートが非常に低い結合ドメインを、親和性成熟を用いて生成した。2つの最初に同定された結合タンパク質(「親」結合タンパク質DARPin(登録商標)タンパク質#2及びDARPin(登録商標)タンパク質#9)を、親和性成熟の適切な出発点として選択した。親和性成熟手順は、出発点として使用されるアンキリン反復ドメインの各ランダム化位置の飽和変異誘発を伴った。親和性成熟手順によって生成された配列を、競合HTRFによってより低いオフレートについてスクリーニングした。簡単に説明すると、N末端Hisタグ(配列番号82)を含有するアンキリン反復タンパク質の粗抽出物をビオチン化標的と共にインキュベートした後、過剰の非タグ化親CD70特異的結合タンパク質を添加し、HTRFシグナルを経時的に測定した。親クローンと比較して高いHTRFシグナルに基づいて同定された有益な変異を、タンパク質操作によって結合タンパク質において組み合わせた。このようにして、親タンパク質DARPin(登録商標)タンパク質#2(配列番号2)及びDARPin(登録商標)タンパク質#9(配列番号9)をそれぞれ起源とする親和性成熟DARPin(登録商標)タンパク質#24(配列番号71)及びDARPin(登録商標)タンパク質#25(配列番号72)を生成した。
次いで、そのような親和性成熟CD70特異的結合ドメインを、pQE30(Qiagen)発現ベクターの誘導体にサブクローニングして、N末端Hisタグ(配列番号82)、続いてCD70特異的結合ドメイン(配列番号71又は72)、ペプチドリンカー(配列番号65)、及びC末端CD3特異的結合ドメイン(配列番号57)をコードする発現構築物を得た。T細胞エンゲージャーフォーマットのこれらの構築物を大腸菌細胞において発現させ、標準的なプロトコルに従ってそれらのHisタグを用いて精製した。タンパク質を、健常ドナーPBMCから単離した初代T細胞をエフェクター細胞(E)として、Molm-13-N1腫瘍細胞を標的細胞(T)として用いた(5:1のE:T比)アッセイで、用量依存的インビトロT細胞活性化及び腫瘍細胞殺傷について試験した。共培養物のアッセイインキュベーションを48時間実施し、フローサイトメトリー及びLDH放出による分析を行った。DARPin(登録商標)タンパク質#24(配列番号71)及びDARPin(登録商標)タンパク質#25(配列番号72)は、それらの親結合タンパク質と比較してEC50値がそれぞれおよそ7倍及び31倍の改善を示し、分析用サイズ排除クロマトグラフィーによって測定された単量体性は95%超を示した。更なる工程において、CD70特異的結合タンパク質であるDARPin(登録商標)タンパク質#24(配列番号71)及びDARPin(登録商標)タンパク質#25(配列番号72)を、N末端Hisタグ(配列番号82)をコードするpQE30(Qiagen)発現ベクターの誘導体にサブクローニングし、大腸菌において一価の設計アンキリン反復タンパク質として発現させ、標準的なプロトコルに従って精製及び特徴付けた。
実施例2:表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるヒトCD70に対して結合特異性を有する組換えアンキリン反復タンパク質の解離定数(KD)の決定
組換えヒトCD70標的に対する精製されたアンキリン反復タンパク質の結合親和性を、ProteOn XPR36装置(BioRad)を用いて分析し、当業者に既知の標準的な手順に従って測定を行った。
Bio.CD70をNLCチップ上に固定化し、アンキリン反復タンパク質を100nMの開始濃度での滴定として適用し、次いで1.2nMまで滴定した。シグナルを、L1及びA6のPBST処理された対照レーンに対して二重参照した。分析物注入を120秒間行い、続いて解離を1500秒間行った。この研究で得られたKD値を表2aにまとめる。
Figure 2024513559000003
更に、組換えヒトCD70標的に対する2つの更なる精製されたアンキリン反復タンパク質の結合親和性を測定し、DARPinタンパク質#2、#3、#5~#12について上記の手順で分析した。簡単に説明すると、ニュートラアビジンをGLCチップ(BioRad)上に5300RUのレベルまでプレコートした。第2の工程において、bio.hCD70を510RUのレベルまで固定化した。DARPinタンパク質#24及びDARPinタンパク質#25のbio.hCD70への結合を、100、40、16、6.4、及び2.6nMの段階希釈でDARPin(登録商標)分子を注入することによって測定した。全ての記載された測定について、100μl/分の一定流を用いて、120秒の会合及び1200秒の解離を適用した。CD70標的を、4M MgCl2を30秒間適用して再生した。シグナルをインタースポット及び泳動用緩衝液(PBST:0.005%Tween20(登録商標)を含有するPBS pH7.4)処理された対照レーンA6に対して二重参照した。1:1ラングミュアモデルをフィッティングに使用した。この研究で得られたKD値を表2bにまとめる。
Figure 2024513559000004
図1は、DARPin(登録商標)タンパク質#24(配列番号71)のSPR分析を示す。
実施例3:雌BALB/cマウスにおけるCD70特異的アンキリン反復タンパク質の薬物動態分析
本発明のCD70特異的アンキリン反復ドメインが、治療剤の開発に有用となる適切な血清半減期をインビボで有し得るかどうかを決定するために、DARPin(登録商標)タンパク質#2、DARPin(登録商標)タンパク質#9、DARPin(登録商標)タンパク質#24、及びDARPin(登録商標)タンパク質#25の薬物動態プロファイルを、マウスで分析する。そのために、DARPin構築物を上記のようにpQE30(Qiagen)発現ベクターの誘導体にサブクローニングし、発現させて、N末端Hisタグ(例えば配列番号82)、続いて半減期延長のためのヒト血清アルブミン(HSA)結合アンキリン反復ドメイン(例えば配列番号53)、ペプチドリンカー(例えば配列番号65)、及びC末端にCD70特異的結合ドメインの1つをコードする発現構築物を得る。
インビボ投与及び試料採取
上記のヒト血清アルブミン特異的アンキリン反復ドメイン(配列番号53)を用いてフォーマットされたDARPin(登録商標)タンパク質#2、DARPin(登録商標)タンパク質#9、DARPin(登録商標)タンパク質#24、及びDARPin(登録商標)タンパク質#25を、各アンキリン反復融合タンパク質について、6匹のマウスの尾静脈に単回静脈内ボーラス注射として投与する。目標用量レベルは、5mL/kgの適用容量で1mg/kgである。アンキリン反復融合タンパク質を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中に配合する。
マウスを、等しい数の動物を有する2つの群に分割する。各マウスから4つの血清試料を採取する。薬物動態調査のための血液試料を、化合物投与の5分、4時間、24時間、48時間、76時間、96時間、及び168時間後に伏在静脈から採取する。血液を室温に維持して凝固させ、続いて遠心分離し、血清を採取する。
血清試料中のアンキリン反復タンパク質を測定するためのELISAによる生物分析
1ウェル当たり100μlのPBS中10nMポリクローナルヤギ抗ウサギIgG抗体(Ab18)を、NUNC Maxisorb ELISAプレートに4℃で一晩コーティングした。1ウェル当たり300μlのPBST(0.1%Tween20を補充したPBS)で5回洗浄した後、0.25%カゼインを補充した300μlのPBST(PBST-C)を用いてHeidolph Titramax 1000振盪器(450rpm)で室温(room temperature、RT)で1時間ウェルをブロックする。プレートを上記のように洗浄する。100μlのPBST-C中5nmol/Lウサギ抗DARPin(登録商標)1-1-1抗体を添加し、プレートを軌道振盪(450rpm)しながらRT(22℃)で1時間インキュベートする。プレートを上記のように洗浄する。
100μlの希釈した血清試料(1:5の希釈工程で1:20~1:312500)又はアンキリン反復タンパク質標準曲線試料(1:3の希釈工程で0及び50~0.0008nmol/L)を、450rpmで振盪しながらRTで2時間適用する。プレートを上記のように洗浄する。
次いで、ウェルを100μlのマウス抗RGS-His-HRP IgG(Ab06、PBST-C中1:2000)と共にインキュベートし、RT、450rpmで1時間インキュベートする。プレートを上記のように洗浄する。100μl/ウェルのTMB基質溶液を5分間使用してELISAを発色させ、100μlの1mol/L H2SO4を添加することにより停止させる。450nmでの吸光度と620nmでの吸光度との差を計算する。試料は、2つの異なるプレートで、二連で測定する。
薬物動態分析
薬物動態データ分析を、Phoenix 64,Pharsight,North Carolinaの一部としてWinNonlinプログラムのバージョン7.0を使用して、Molecular Partnersで行う。静脈内ボーラス注射を介して投与された動物の平均濃度-時間データに基づく薬物動態パラメータの計算を、ノンコンパートメント分析(NCAモデル200-202、IVボーラス、線形台形線形補間)を用いて行う。例えば、以下の薬物動態パラメータを計算する。
AUCinf、AUClast、AUC_%extrapol、Cmax、Tmax、Cl_pred、Vss_pred、t1/2。
最大血清濃度(Cmax)及びそれらの発生時間(Tmax)は、血清濃度-時間プロファイルから直接得られる。血清濃度-時間曲線下面積(AUCinf)は、最後のサンプリング点(Tlast)までの線形台形公式及び終末相の単一指数関数的減少を仮定した無限大までの外挿によって決定する。無限大までの外挿は、Clast/λzを使用して実行され、ここで、λzは、対数線形回帰によって推定された終末速度定数を示し、Clastは、終末対数線形回帰によってTlastで推定された濃度を示す。総血清クリアランス(Cl_pred)及び見かけの終末相半減期は、以下のように計算される。Cl_pred=i.v.用量/AUCinf及びt1/2=ln2/λz。定常状態分布容積Vssは、Vss=i.v.用量・AUMCinf/(AUCinf)2によって決定される。AUMCinfは、AUCinfの計算について記載したのと同じ外挿手順を使用して、無限大まで外挿された薬物濃度-時間曲線の1次モーメント下の総面積を示す。nmol/L用量で与えられた濃度に基づいてPKパラメータを計算するために、mg/kgとして与えられた値を、アンキリン反復タンパク質の分子量を使用してnmol/kgに変換する。表3は、上記のヒト血清アルブミン特異的アンキリン反復ドメインを用いてフォーマットされた、本発明のアンキリン反復タンパク質であるDARPin(登録商標)タンパク質#2、DARPin(登録商標)タンパク質#9、DARPin(登録商標)タンパク質#24、及びDARPin(登録商標)タンパク質#25のおよその予測半減期を示す。
Figure 2024513559000005
結論として、本発明のCD70特異的アンキリン反復ドメインを、半減期延長部分、例えば血清アルブミン特異的結合ドメインなどと組み合わせることで、それらが治療剤の開発に有用となる適切な血清半減期をインビボで達成することができる。
実施例4:本発明のアンキリン反復タンパク質のCD70発現腫瘍細胞への結合の決定
本発明の結合タンパク質の、細胞の表面上に発現するCD70への結合を、蛍光活性化細胞選別(FACS)フローサイトメトリーによって分析した。この目的のために、CD70発現腫瘍細胞(Molm-13 N1)を96ウェルプレートに1ウェル当たり100,000細胞で播種した。DARPinタンパク質#2、DARPinタンパク質#9、DARPinタンパク質#24、及びDARPinタンパク質#25を、2000nMから開始して1:5の希釈比で滴定した。腫瘍細胞を、希釈したDARPinタンパク質で再懸濁し、4℃で60分間インキュベートした。アッセイは、2%ウシ胎児血清を含み、ヒト血清アルブミン(HSA)を含まないPBS中で行った。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した後、DARPin(登録商標)タンパク質特異的腫瘍細胞結合を、非標識一次抗ウサギDARPin(登録商標)抗体(抗ウサギ1-1-1抗体、CePower)を2μg/mlで添加することによって検出した。続いて4℃で少なくとも30分間のインキュベーション工程を行った。その後、細胞をPBSで洗浄し、Alexa Fluor 488抗体(ThermoFisher)で標識した二次ヤギ抗ウサギ抗体を2μg/mlで添加した。同じインキュベーション条件を適用した。最後に、細胞を2回洗浄し、Cytofix固定緩衝液(BD Biosciences)中に室温(RT)で15分間再懸濁した。Alexa Fluor 488 DARPin(登録商標)タンパク質標識腫瘍細胞の蛍光強度中央値(Median fluorescence intensity、MFI)を、分析にFlowJoソフトウェア、データプロットにGraphPad Prism8を使用してAttune NXT(ThermoFisher)によって測定した。図2は、DARPin(登録商標)タンパク質#2、DARPin(登録商標)タンパク質#9、DARPin(登録商標)タンパク質#24、及びDARPin(登録商標)タンパク質25のCD70発現腫瘍細胞への結合曲線を示す。表4は、EC50値で表した、4つの例示的なアンキリン反復タンパク質の、細胞上に発現するCD70への結合を定量化したものを示す。
Figure 2024513559000006
結論として、本発明のCD70特異的結合タンパク質は、約500nM以下のEC50で細胞の表面上に発現するCD70に結合する。
実施例5:標的特異的短期T細胞活性化アッセイを用いた、T細胞エンゲージャーフォーマットにおける本発明のCD70特異的アンキリン反復タンパク質の特異性及び効力の評価
上述の本発明の例示的なCD70特異的アンキリン反復タンパク質の特異性及び効力を、CD8+T細胞上の活性化マーカーとしてCD25を測定するFACSによるインビトロ短期T細胞活性化アッセイにおいて評価した。試験したタンパク質であるDARPinタンパク質#2、DARPinタンパク質#9、DARPinタンパク質#24、及びDARPinタンパク質#25を、二重特異性T細胞エンゲージャーフォーマットで評価した。このようなT細胞エンゲージャータンパク質は、言及したCD70特異的アンキリン反復ドメインに加えてCD3特異的結合ドメイン(配列番号57)を含み、それぞれDARPinタンパク質#28、DARPinタンパク質#29、DARPinタンパク質#26、及びDARPinタンパク質#27として示される。
したがって、1ウェル当たり100,000個の精製された汎エフェクターT細胞及び20,000個のMolm-13標的細胞を、600μMヒト血清アルブミンの存在下で、37℃で48時間、選択されたDARPinタンパク質の段階希釈物と2連で共インキュベートした(E:T比5:1)。48時間後、細胞を洗浄し、1:1,000のLive/Dead Green(Thermo Fisher)、1:400のマウス抗ヒトCD8 Pacific Blue(BD)、及び1:100のマウス抗ヒトCD25 PerCP-Cy5.5(eBiosciences)抗体を用いて4℃で30分間染色した。洗浄及び固定後、細胞をAttune NxT(ThermoFisher)機で分析した。T細胞活性化を、Live/Dead陰性及びCD8+ゲートT細胞上のCD25+細胞を測定することによって評価した。FlowJoソフトウェアを用いてFACSデータを分析し、GraphPad Prism8(3-PL-フィット)を用いてデータをプロットした。図3は、活性化マーカーCD25によって測定される、DARPinタンパク質#28、DARPinタンパク質#29、DARPinタンパク質#26、及びDARPinタンパク質#27によって誘発される短期T細胞活性化を示す。T細胞エンゲージャーフォーマットにおける試験した本発明のCD70特異的結合タンパク質の全ては、腫瘍細胞上に発現するCD70に結合し、T細胞を活性化することができた。
実施例6:標的特異的短期腫瘍細胞殺傷アッセイを用いた、T細胞エンゲージャーフォーマットにおける本発明のCD70特異的アンキリン反復タンパク質の特異性及び効力の評価
T細胞エンゲージャーフォーマットにおける、本発明のCD70特異的アンキリン反復タンパク質であるDARPinタンパク質#2、DARPinタンパク質#9、DARPinタンパク質#24、及びDARPinタンパク質#25(すなわち、それぞれDARPinタンパク質#28、DARPinタンパク質#29、DARPinタンパク質#26、及びDARPinタンパク質#27)の特異性及び効力はまた、LDH放出を測定するインビトロ短期細胞毒性アッセイを使用して評価した。この目的のために、1ウェル当たり100,000個の精製された汎エフェクターT細胞及び20,000個のMolm-13標的細胞を、600μMヒト血清アルブミンの存在下で、37℃で48時間、記載のT細胞エンゲージャータンパク質の段階希釈物と2連で共インキュベートした(E:T比5:1)。48時間のインキュベーション後、細胞を遠心沈降し、各ウェルの100μlの上清を、製造業者のプロトコルに従ってLDH放出について分析した(LDH検出キット、Roche Applied Science、30分間のインキュベーション)。吸光度を、TECAN infinite M1000Proリーダーによって492nm-620nmで測定した。OD値を、GraphPad Prism8を使用してプロットした。
図4は、DARPinタンパク質#28、DARPinタンパク質#29、DARPinタンパク質#26、及びDARPinタンパク質#27によって誘発された腫瘍細胞殺傷を示す。T細胞エンゲージャーフォーマットにおける試験した本発明のCD70特異的結合タンパク質の全ては、腫瘍細胞上に発現するCD70に結合し、腫瘍細胞を殺傷するT細胞を活性化することができた。
実施例7:本発明のCD70特異的結合タンパク質が結合するCD70エピトープの決定
本発明のCD70特異的アンキリン反復タンパク質が結合するCD70エピトープを、ベンチマークの対照分子ARGX-110類似体(CD70特異的抗体、Evitriaから購入)及び可溶性形態の天然CD70結合受容体CD27(CD27-Fc、AMD1218071、R&D Systemsから購入)に対する競合ELISAを使用して調査した。
ヒトCD70への結合について、CD70特異的結合タンパク質であるDARPin(登録商標)タンパク質#2とヒトCD27(CD70の受容体)及び抗CD70抗体であるARGX-110類似体との競合を、競合ELISAによって評価した。第1の設定では、DARPin(登録商標)タンパク質#2をマイクロプレート上に固定化した。ビオチン化標的(BiohCD70-Fc-三量体、ACRO Biosystemsによって提供された)及び競合分子の1つをおよそ2時間プレインキュベートした後、ビオチン化標的の固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2への結合を、ペルオキシダーゼに共有結合したストレプトアビジンを介して直接測定した。第2及び第3の設定では、CD27-Fc又はARGX-110類似体のいずれかをマイクロプレート上に固定化し、同様の競合ELISAを行った。
簡潔に述べると、Nunc MaxiSorp 96ウェルプレートを、10nMのDARPin(登録商標)タンパク質#2、CD27-Fc又は5nM ARGX-110類似体で一晩コーティングした。ELISAプレートを3回洗浄し、PBSTC(0.1%(v/v)Tween20(登録商標)及び0.25%カゼインを含有するPBS)を用いて450rpmで2時間15分にわたってブロックした。一方、DARPin(登録商標)タンパク質#2 1000nM及び500nM ARGX-110を、20nMのbio.hCD70と1:1の比でRTで2時間プレインキュベートした。競合剤を含まないBio.hCD70を陽性対照として含めた。次いで、プレインキュベートした試料を、コーティングしたMaxiSorpプレートに添加し、RT及び450rpmで30分間インキュベートした。プレートをPBSTで3回洗浄した後、ストレプトアビジン-POD抗体(Roche、カタログ番号11 089 153 001)で標的を検出した。検出のために、新たに調製したTMB緩衝液(30mMクエン酸緩衝液pH4.1、5%(v/v)TMB溶液(Carl Roth GmbH製)及び0.16% H2O2)を添加し、反応を1M H2SO4で停止させた。Sunriseマイクロプレートリーダー(Tecan)を使用して、吸光度をOD450で測定し、OD620に対して参照した。データは、緩衝液(PBS)値を差し引くことによって分析した。分析にはGraphPad Prismを使用した。
ヒトCD70標的を50倍モル過剰のDARPin(登録商標)タンパク質#2(陽性競合対照)又は25倍モル過剰のARGX-110類似抗体と共にプレインキュベートした場合、DARPin(登録商標)タンパク質#2及びARGX-110類似体の両方が、プレートに固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2のhCD70標的への結合と効率的に競合することができ、それによって、プレートに固定化されたDARPin(登録商標)タンパク質#2のhCD70への結合をベースラインレベルまで低下させた(図5A)。同様に、hCD70標的への結合についての効率的な競合が、設定2及び3、すなわちプレートに固定化されたCD27(図5B)又はプレートに固定化されたARGX-110類似体(図5C)において観察された。
結論として、試験した全てのCD70結合分子(DARPin(登録商標)タンパク質#2、CD27、及びARGX-110)は、CD70への結合について互いに競合し、これらがCD70上の同じ又は重複するエピトープに結合し得ることを示した。
実施例8:PBMCヒト化マウス及びMOLM-13腫瘍モデルにおけるDARPin(登録商標)タンパク質#24を含む例示的なマルチドメインTCE結合タンパク質のインビボでの有効性評価
ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する2つのアンキリン反復ドメイン、すなわち、それぞれ腫瘍関連抗原1(TAA1)及び腫瘍関連抗原2(TAA2)に対して結合特異性を有する2つのアンキリン反復ドメイン、並びにCD3に対して結合特異性を有する1つのアンキリン反復ドメインを更に含むマルチドメインT細胞エンゲージャー結合タンパク質でフォーマットされたDARPin(登録商標)タンパク質#24を、腫瘍細胞株MOLM-13を有する末梢血単核細胞(PBMC)ヒト化マウスモデルにおいて試験した。インビボ実験を、6~9週齢の雌免疫不全NXGマウス(Janvier Labsによって提供された)において実施した。マウスを、標準的な齧歯類マイクロアイソレーターケージ内の標準化環境条件下(20±1℃の室温、50±10%の相対湿度及び12時間の明暗サイクル)で維持した。マウスに、放射線照射食品及び床敷並びに0.22um濾過飲料水を与えた。全ての実験は、スイス動物保護法に従って州及び連邦の獣医学当局からの認可を受けて行った。
癌細胞の異種移植の2日前に、hPBMC(2人の異なるドナーのバフィーコートから調製した5×106個のPBMC)をマウスに腹腔内注射した。MOLM-13細胞を、マウスの右側腹部の皮下に(s.c.)異種移植した。2人のhPBMCドナーを使用した。処置は、癌細胞移植の4日後から静脈内(i.v.)注射した。処置は以下のように施した:
マルチドメインTCEフォーマットのDARPin(登録商標)タンパク質#24又はビヒクルを、0.5mg/kgで、2週間、週に3回i.v.投与した。
腫瘍サイズをキャリパー測定によって評価した。腫瘍体積は、以下の式を用いて計算した:腫瘍体積(mm3)=0.5×長さ×幅2
図6(A~B)に見られるように、マルチドメインTCEフォーマットのDARPin(登録商標)タンパク質#24は、実験の全期間にわたって(図6A)、及び最初の注射の17日後に(図6B)、腫瘍増殖及び腫瘍体積の阻害に関して良好な有効性を示した。
実施例9:ヒト汎T細胞と共培養したMOLM13野生型及びMOLM13 CRISPR CD70ノックアウト(Knock-Out、KO)標的細胞を用いた、DARPin(登録商標)タンパク#24を含む例示的なマルチドメインTCE結合タンパク質のインビトロでの有効性評価
ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する2つのアンキリン反復ドメイン、すなわち、それぞれ腫瘍関連抗原1(TAA1)及び腫瘍関連抗原2(TAA2)に対して結合特異性を有する2つのアンキリン反復ドメイン、並びにCD3に対して結合特異性を有する1つのアンキリン反復ドメインを更に含むマルチドメインT細胞エンゲージャー結合タンパク質でフォーマットされたDARPin(登録商標)タンパク質#24を、CD8+T細胞上のCD25活性化マーカーを測定するFACSによるインビトロ短期T細胞活性化アッセイにおいて試験した。このアッセイでは、汎T細胞を標的細胞と共培養し、標的細胞は、(1)CD70、TAA1、及びTAA2の野生型標的発現を有するMolm-13腫瘍細胞、又は(2)CRISPRノックアウト(KO)技術によってCD70(TAA1及びTAA2ではなく)の発現が排除されたMolm-13腫瘍細胞のいずれかであった(図7)。
この目的のために、1ウェル当たり100,000個の精製された汎エフェクターT細胞及び20,000個の標的細胞を、20μMヒト血清アルブミンの存在下で、37℃で48時間、マルチドメインT細胞エンゲージャー結合タンパク質の段階希釈物と2連で共インキュベートした(E:T比5:1)。48時間後、細胞を洗浄し、1:1,000のLive/Dead Green(Thermo Fisher)、1:400のマウス抗ヒトCD8 Pacific Blue(BD)、及び1:100のマウス抗ヒトCD25 PerCP-Cy5.5(eBiosciences)抗体を用いて4℃で30分間染色した。洗浄及び固定後、細胞をFACS Canto II(BD)機で分析した。T細胞活性化を、Live/Dead陰性及びCD8+ゲートT細胞上のCD25+細胞を測定することによって評価した。FlowJoソフトウェアを用いてFACSデータを分析し、GraphPad Prism8(3-PL-フィット)を用いてデータをプロットした。
結果は、DARPin(登録商標)タンパク質#24を含む例示的なマルチドメインT細胞エンゲージャー結合タンパク質が、野生型発現を有するMolm-13腫瘍細胞の存在下でT細胞を強力に活性化できたことを実証する(図7、曲線1;DARPin(登録商標)タンパク質#24 TCEについてのEC50値:5.71pM)。結果は、Molm-13腫瘍細胞におけるCD70の発現が排除された場合、T細胞の活性化が有意に低減されたことを更に実証する(図7、曲線2;DARPin(登録商標)タンパク質#24 TCEについてのEC50値:20.70pM)。これは、DARPin(登録商標)タンパク質#24が、例示的なマルチドメインT細胞エンゲージャー結合タンパク質の状態において機能的であり、標的細胞上のCD70に特異的に結合する能力によって多重特異性T細胞エンゲージャータンパク質の全体的な効力に有意に寄与したという証拠を提供する。
本明細書は、明細書内で引用された参考文献の教示に照らして最も十分に理解される。本明細書内の態様は、本発明の態様の例示を提供し、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の態様が本発明に包含されることを容易に認識する。本開示で引用された全ての刊行物、特許、及びGenBank配列は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。参照により組み込まれる資料が本明細書と矛盾するか、又は一致しない場合には、本明細書が、任意のそのような資料に優先する。本明細書における任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを認めるものではない。
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の態様に対する多くの等価物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
配列
Figure 2024513559000007
Figure 2024513559000008
Figure 2024513559000009
Figure 2024513559000010
Figure 2024513559000011
Figure 2024513559000012

Claims (30)

  1. アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、前記アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、前記アンキリン反復ドメインが、(1)配列番号24~45及び73~77、並びに(2)配列番号24~45及び73~77のいずれかにおける最大9個のアミノ酸が別のアミノ酸によって置換されている配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアンキリン反復モジュールを含む、組換え結合タンパク質。
  2. アンキリン反復ドメインを含む組換え結合タンパク質であって、前記アンキリン反復ドメインがヒトCD70に対して結合特異性を有し、前記アンキリン反復ドメインが、配列番号1~12及び71~72のいずれか1つと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換え結合タンパク質。
  3. 前記アンキリン反復ドメインが、PBS中で、約150nM未満の解離定数(KD)でヒトCD70と結合する、請求項1又は2に記載の組換え結合タンパク質。
  4. 前記アンキリン反復ドメインが、約0.2~約500nMの範囲のEC50でヒトCD70と結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  5. 免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する結合部分を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  6. 前記免疫細胞がT細胞であり、免疫細胞上に発現する前記標的がCD3である、請求項5に記載の組換え結合タンパク質。
  7. 免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する前記結合部分がアンキリン反復ドメインである、請求項5又は6に記載の組換え結合タンパク質。
  8. 免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する前記結合部分が、ヒトCD3に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである、請求項5~7のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  9. 免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する前記結合部分が、ヒトCD3に対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインであり、ヒトCD3に対して結合特異性を有する前記アンキリン反復ドメインが、配列番号55~59のいずれか1つと少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  10. ヒトCD3に対して結合特異性を有する前記アンキリン反復ドメインが、配列番号55~59のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の組換え結合タンパク質。
  11. ヒトCD70に対して結合特異性を有する前記アンキリン反復ドメインと、免疫細胞上に発現する標的に対して結合特異性を有する前記結合部分とが、ペプチドリンカーによって共有結合している、請求項5~10のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  12. 前記ペプチドリンカーが、プロリン-トレオニンリッチペプチドリンカーである、請求項11に記載の組換え結合タンパク質。
  13. 前記ペプチドリンカーのアミノ酸配列が、1~50アミノ酸の長さを有する、請求項11又は12に記載の組換え結合タンパク質。
  14. 前記結合タンパク質が、半減期延長部分を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  15. 前記半減期延長部分が、ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有するアンキリン反復ドメインである、請求項14に記載の組換え結合タンパク質。
  16. ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する前記アンキリン反復ドメインが、配列番号52~54のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の組換え結合タンパク質。
  17. ヒト血清アルブミンに対して結合特異性を有する前記アンキリン反復ドメインが、配列番号52~54のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項15又は16に記載の組換え結合タンパク質。
  18. 前記結合タンパク質が、腫瘍細胞において発現する標的に対して結合特異性を有する少なくとも1つの結合部分を更に含み、腫瘍細胞において発現する前記標的がヒトCD70とは異なる、請求項1~17のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質。
  19. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質をコードする、核酸。
  20. 請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質又は請求項19に記載の核酸と、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物。
  21. ヒト患者の腫瘍組織における免疫細胞活性化の方法であって、請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質、請求項19に記載の核酸、又は請求項20に記載の医薬組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
  22. 前記免疫細胞がT細胞である、請求項21に記載の方法。
  23. 医学的状態を処置する方法であって、医学的状態の処置を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質、請求項19に記載の核酸、又は請求項20に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
  24. 前記医学的状態が癌である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記医学的状態が液性腫瘍を特徴とする癌である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記医学的状態が白血病である、請求項23に記載の方法。
  27. 前記医学的状態が急性骨髄性白血病である、請求項23に記載の方法。
  28. 療法に使用するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質、請求項19に記載の核酸、又は請求項20に記載の医薬組成物。
  29. 癌の処置に使用するための、任意選択で液性腫瘍を特徴とする癌の処置に使用するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の組換え結合タンパク質、請求項19に記載の核酸、又は請求項20に記載の医薬組成物。
  30. 前記癌が白血病であり、任意選択で前記癌が急性骨髄性白血病である、請求項29に記載の使用のための組換え結合タンパク質、又は核酸、又は医薬組成物。
JP2023561342A 2021-04-09 2022-04-07 新規なDARPinベースのCD70エンゲージャー Pending JP2024513559A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US202163173186P 2021-04-09 2021-04-09
US202163172973P 2021-04-09 2021-04-09
US63/172,973 2021-04-09
US63/173,186 2021-04-09
US202163265181P 2021-12-09 2021-12-09
US63/265,181 2021-12-09
PCT/IB2022/053275 WO2022215032A1 (en) 2021-04-09 2022-04-07 Novel darpin based cd70 engagers

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024513559A true JP2024513559A (ja) 2024-03-26

Family

ID=81386901

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023561342A Pending JP2024513559A (ja) 2021-04-09 2022-04-07 新規なDARPinベースのCD70エンゲージャー

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP4319883A1 (ja)
JP (1) JP2024513559A (ja)
KR (1) KR20230169182A (ja)
AU (1) AU2022252985A1 (ja)
BR (1) BR112023020685A2 (ja)
CA (1) CA3214020A1 (ja)
WO (1) WO2022215032A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022190016A1 (en) 2021-03-09 2022-09-15 Molecular Partners Ag Novel darpin based multi-specific t-cell engagers

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112020015641A2 (pt) * 2018-02-01 2021-01-05 Pfizer Inc. Anticorpos específicos para cd70 e seus usos

Also Published As

Publication number Publication date
BR112023020685A2 (pt) 2023-12-12
WO2022215032A1 (en) 2022-10-13
KR20230169182A (ko) 2023-12-15
EP4319883A1 (en) 2024-02-14
AU2022252985A1 (en) 2023-11-16
CA3214020A1 (en) 2022-10-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6976335B2 (ja) 組み換え結合タンパク質及びその使用
CA2892747C (en) Binding proteins comprising at least two repeat domains against her2.
US20190010248A1 (en) Anti-cancer fusion polypeptide
TWI825086B (zh) Her3抗原結合分子
JP2018511327A (ja) 血清アルブミンに対する結合特異性を有する設計アンキリンリピートドメイン
US20220242973A1 (en) Recombinant fap binding proteins and their use
JP2023554379A (ja) 組換えcd3結合タンパク質及びそれらの使用
JP2024513559A (ja) 新規なDARPinベースのCD70エンゲージャー
US20240150475A1 (en) Novel darpin based cd123 engagers
JP2024508969A (ja) 新規のDARPinに基づくCD33エンゲージャ
US11834504B2 (en) DARPin based multi-specific t-cell engagers
CN117242100A (zh) 基于DARPin的新型CD70接合物
CN117255803A (zh) 基于DARPin的新型CD33接合物
CN117177996A (zh) 基于DARPin的新型CD123接合物
CN116802213A (zh) 重组cd3结合蛋白及其用途