JP2024512088A - フィブリルペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、8~20アミノ酸の配列からなるフィブリルペプチドであって、アミノ酸配列RTIFIISM又はそれと少なくとも75%同一の配列を含むフィブリルペプチドに関する。本発明はさらに、粒子に含まれるカーゴを宿主細胞に送達する方法であって、(a)前記宿主細胞を、前記粒子及び請求項1~8のいずれか1項に記載のフィブリルペプチドと接触させること、それによって、(b)前記カーゴを前記宿主細胞に送達することを含む、方法;並びにそれに関連する使用、キット及びデバイスに関する。【選択図】図1-1のA

Description

本発明は、8~20アミノ酸の配列からなるフィブリルペプチドであって、アミノ酸配列RTIFIISM又はそれと少なくとも75%同一の配列を含むフィブリルペプチドに関する。本発明はさらに、粒子に含まれるカーゴを宿主細胞に送達する方法であって、(a)前記宿主細胞を、前記粒子及び請求項1~8のいずれか1項に記載のフィブリルペプチドと接触させること、それによって、(b)前記カーゴを前記宿主細胞に送達することを含む、方法、並びにそれに関連する使用、キット及びデバイスに関する。
遺伝子技術の基本的な要件のひとつは、核酸を標的細胞に高効率で導入する能力である。この目的のために、多くの技術が開発されてきた。例えば、裸のDNA、又はウイルスなどのベクター系を導入する方法であり、中でもレトロウイルスは宿主細胞のスペクトルが広く、標的細胞のゲノムに安定して組み込まれることから広く用いられている。それでもなお、ウイルス又はウイルスベクターの感染をさらに改善することが頻繁に望まれている。この目的のために、例えばDEAE-デキストランのようなカチオン性ポリマー、RetroNectin(登録商標)のような組換えタンパク質、ペプチドベースのエンハンサーが使用されてきた。
ペプチド形質導入エンハンサーは、生分解性があり、サイズが小さいので特性解析が容易で、安価に製造できるという利点がある。硫酸プロタミンは、異なる魚種の精子に由来する高カチオン性ペプチドの混合物であり、カチオン性ポリマーと同様の方法でレトロウイルス感染を増強する。硫酸プロタミンは細胞毒性が低いので、ポリブレンの効果的な代替品である(Cornetta et al., J. Virol. Methods 1989, 23 (2), 187)。モノマーとしてのペプチドだけでなく、Vectofusin-1、精液由来のウイルス感染エンハンサー(SEVI)、及び増強因子C(EF-C)のようなナノフィブリル形成ペプチドも形質導入の増幅につながる。
Vectofusin-1は、pH依存的にα-ヘリカルナノフィブリルを形成する。培養液中で自発的に超分子構造に集合し、ウイルス粒子の共局在化をもたらす。その結果、標的細胞の細胞表面に沿ってウイルス粒子が沈降する(Majdoul et al., J. Biol. Chem. 2016, 291 (5), 2161)。SEVI及びEF-Cなどの他のペプチドは、βシートナノフィブリルを形成する。SEVIは、アミノ酸残基248~286を包含する前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)から生じるフィブリルの名称である。SEVIフィブリルの直径は5.3±0.1μm、長さは5~10μmである(Munch et al., Cell 2007, 131 (6), 1059)。これらのフィブリルは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ビリオンを捕捉し、標的細胞への付着を促進してウイルス感染を増強する。生理的濃度では、SEVIフィブリルは、例えばT細胞及びマクロファージなど様々な細胞へのHIV感染を増幅する。しかしこれらは、γ-RV及びLVによる造血細胞及び非造血細胞への遺伝子導入も増加させる。VSV-Gシュードタイプ化ウイルスベクターでも、この有益な効果が見られる(Wurm et al., J. Gene Med. 2010, 12 (2), 137)。しかし、39アミノ酸残基という比較的大きなペプチドを高価に製造することと、フィブリル形成に少なくとも2時間かかることが制限要因となっている。さらに、SEVIを長時間保存すると、増強活性の低い大きな凝集体が形成される可能性がある。EF-C(Protransduzin(登録商標)-A、EP 2 452 947 A1)及びProtransduzin(登録商標)-B(US 2016/0185820)は、HIV-1糖タンパク質gp120由来の両親媒性12アミノ酸ペプチドである。EF-Cは、直径3.4±1.1nm、長さ100~400nmの範囲、ハーフピッチ26±2nmのねじれを有するβアミロイドナノフィブリルを形成する。EF-Cナノフィブリルのモデルから、生理的pHではリジン側鎖が高密度の正電荷を持つ親水性表面を形成することが示されている(Yolamanova et al, Nat. Nanotechnol. 2013, 8 (2), 130)。
それにもかかわらず、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための改良された方法が引き続き必要とされている。
上記の問題は、独立請求項の特徴を有する化合物、方法、使用、キット、及びデバイスによって対処される。単独で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
従って、本発明は、8~20アミノ酸の配列からなるフィブリルペプチドであって、アミノ酸配列RTIFIISM又はそれと少なくとも75%同一の配列を含むフィブリルペプチドに関する。
一般に、本明細書中で用いられる用語は、当業者にとって通常の慣習的な意味が与えられるはずであり、別途示されない限り、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるものではない。下記で用いられる場合、用語「有する」、「含有する(comprise)」若しくは「含む(include)」又はそれらのいずれかの任意の文法的変形は、非排他的に用いられる。つまり、これらの用語は、これらの用語により導入される特徴以外に、さらなる特徴が本文脈中に記載される実体中に存在しない状況、及び1種以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を意味し得る。例として、表現「AはBを有する」、「AはBを含有する」及び「AはBを含む」は、B以外に、他の要素がAの中に存在しない状況(すなわち、Aが唯一かつ排他的にBからなる状況)及び、B以外に、1種以上のさらなる要素が実体Aの中に存在する(要素C、要素C及びD、又はさらなる要素など)状況の両方を意味し得る。また、当業者には理解されるように、表現「~を含有すること(comprising a)」及び「~を含有すること(comprising an)」は、好ましくは「1種以上の~を含有すること(comprising one or more)」を意味し、すなわち、「少なくとも1種の~を含有すること(comprising at least one)」と同等である。
さらに、下記で用いられる場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「最も好ましくは」、「特に」、「より詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」又は類似の用語は、さらなる可能性を制限することなく、任意選択的な特徴と共に用いられる。つまり、これらの用語により導入される特徴は任意選択的な特徴であり、特許請求の範囲を制限することは決して意図されない。本発明は、当業者が認識するだろうように、代替的な特徴を用いることにより実行されることができる。同様に、「一実施形態では」又は同様の表現により導入される特徴は、本発明のさらなる実施形態に関するいかなる制限も含まず、本発明の範囲に関するいかなる制限も含まず、かつそのような方法で導入される特徴と本発明の他の任意選択的又は非任意選択的な特徴とを組み合わせる可能性に関するいかなる制限も含まずに、任意選択的な特徴であることが意図される。
本明細書中で用いる場合、用語「標準条件」とは、別途明記されない場合、IUPAC標準環境温度及び圧力(SATP)条件、すなわち、好ましくは25℃の温度及び100kPaの絶対圧力に関し;また好ましくは、標準条件は、pH7を含む。さらに、別途示されない場合、用語「約」とは、関連分野で一般的に許容されている技術的精度を伴う、示された値に関し、好ましくは、示された値±20%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%に関する。さらに、用語「本質的には」とは、示される結果又は使用に対する影響を有する逸脱が存在しないこと、すなわち、考えられる逸脱が、示される結果の、±20%超、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%の逸脱を引き起こさないことを示す。つまり、「本質的に~からなる」とは、特定される構成成分を含むが、不純物として存在する物質、構成成分を提供するために用いられるプロセスの結果として存在する不可避の物質、及び本発明の技術的効果を達成する以外の目的のために添加される構成成分を除く、他の構成成分を除外することを意味する。例えば、「本質的に~からなる」との語句を用いて定義される組成物は、いずれかの公知の許容可能な添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。好ましくは、本質的に1組の構成成分からなる組成物は、5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満の特定されていない構成成分を含有するであろう。
2種の生物学的配列、好ましくはDNA、RNA、又はアミノ酸配列間の同一性の程度(例えば「同一性%」として表される)は、当技術分野で周知のアルゴリズムによって決定することができる。好ましくは、同一性の程度は、比較ウインドウにわたって2種の最適にアライメントされた配列を比較することにより決定され、このとき、比較ウインドウ中の配列の断片は、最適なアライメントのために比較される配列と比較して、付加又は欠失(例えば、ギャップ又はオーバーハング)を含む場合がある。パーセンテージは、両方の配列中に同一の残基が存在する位置の数を、好ましくはポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長にわたって、決定することにより、マッチする位置の数を取得し、比較ウインドウ中の位置の総数でマッチする位置の数を除算し、その結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを得ることにより算出される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith and Waterman (1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch (1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman (1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ実装により(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、及びTFASTA)、又は目視検査により、実行することができる。2種の配列が比較のために特定されていることを考慮すると、GAP及びBESTFITが、それらの最適なアライメント、つまり、同一性の程度を決定するために好ましく用いられる。好ましくは、ギャップウェイト(gap weight)に関して5.00及びギャップウェイトレングス(gap weight length)に関して0.30のデフォルト値が用いられる。本明細書中で言及される生物学的配列の文脈では、用語「本質的に同一な」とは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の同一性%値を示す。理解されるであろう通り、本質的に同一な、との用語は、100%同一性を含む。上記は、「本質的に相補的な」との用語に準用される。
生物学的高分子、好ましくはポリヌクレオチド又はポリペプチドの「断片」という用語は、本明細書において、示された配列、構造及び/又は機能を含むそれぞれの生物学的高分子の任意のサブ部分、好ましくはサブドメインに関する広い意味で使用される。従って、この用語は、生物学的高分子の実際の断片化によって生成されたサブパーツだけでなく、例えばin silicoのような抽象的な方法でそれぞれの生物学的高分子から誘導されたサブパーツも含む。したがって、本明細書で使用される場合、Fc又はFabフラグメントだけでなく、例えば一本鎖抗体、二重特異性抗体及びナノボディも免疫グロブリンの断片と呼ぶことができる。
本明細書中で特に別途示されない限り、特定される化合物、特に(ポリ)ペプチド及びポリヌクレオチドは、より大きな構造に含まれてもよく、例えば、互いに、キャリア分子、遅延剤、及び他の賦形剤に、共有結合又は非共有結合してもよい。特に、特定される通りの(ポリ)ペプチドは、さらなるペプチドを含む融合ポリペプチドに含まれてもよく、このペプチドは、例えば、精製及び/又は検出用のタグとして、リンカーとして、又は化合物のインビボ半減期を延長するのに役立ち得る。用語「検出可能なタグ」とは、融合ポリペプチドに付加されるか又は導入されるアミノ酸の伸長部(stretch)を意味し;好ましくは、タグは、本発明の融合ポリペプチドのC末端又はN末端に付加される。アミノ酸の該伸長部は、好ましくは、タグを特異的に認識する抗体による融合ポリペプチドの検出を可能にするか;又は好ましくは、キレート剤など、機能的コンホメーションの形成を可能にするか;又は好ましくは、例えば蛍光タグの場合、可視化を可能にする。好ましい検出可能なタグは、Mycタグ、FLAGタグ、6-Hisタグ、HAタグ、GSTタグ又は蛍光タンパク質タグ、例えばGFPタグである。これらのタグは、すべて当技術分野で周知である。融合ポリペプチドに含まれることが好ましい他のさらなるペプチドは、分泌のメディエーターとして、血液脳関門通過のメディエーターとして、細胞透過性ペプチドとして、及び/又は免疫刺激物質として役立ち得るさらなるアミノ酸又は他の改変を含む。ポリペプチドが融合され得るさらなるポリペプチド又はペプチドは、シグナル及び/若しくは輸送配列、又はリンカー配列である。しかし、好ましくは、(ポリ)ペプチド、特にフィブリルペプチドは、示されたアミノ酸からなる。
用語「ポリペプチド」とは、本明細書中で用いる場合、ペプチド結合によって互いに共有結合しているいくつかの、典型的には少なくとも20個のアミノ酸からなる分子を意味する。ペプチド結合によって共有結合した20個未満のアミノ酸からなる分子は、通常「ペプチド」と見なされる。
用語「フィブリルペプチド」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)又はそれと少なくとも75%同一の配列を含み(好ましくはそれからなり)、水溶液中でフィブリルを形成する性質を有する、ペプチドに関する。好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)又はそれと少なくとも85%同一の配列を含む、好ましくはそれからなる。好ましくは、フィブリルペプチドは、8~20アミノ酸、より好ましくは8~16アミノ酸、なおより好ましくは8~14アミノ酸、さらにより好ましくは8~12アミノ酸、最も好ましくは8~10アミノ酸の長さを有する。好ましくは、フィブリルペプチドは、カチオン性ペプチド、すなわち標準条件下、好ましくはpH7で正味正電荷を有する。好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1は正に帯電したアミノ酸、好ましくはR、K又はHであり、X2は任意のアミノ酸である)を含む、好ましくはそれからなる。より好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、Xは、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及びそれらの誘導体から選択される)を含む、好ましくはそれからなる。さらにより好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、好ましくは、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、又はそれからなる。より一層好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(X1及びX2は、本明細書中上で特定した通りである)を含む、又はそれからなる。さらにより好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列RTIFIISMX3X4(配列番号10)、RAIFIISMX3X4(配列番号11)、RTAFIISMX3X4(配列番号12)、RTIAIISMX3X4(配列番号13)、RTIFAISMX3X4(配列番号14)、RTIFIASMX3X4(配列番号15)、RTIFIIAMX3X4(配列番号16)、RTIFIISAX3X4(配列番号17)(式中、X3及びX4は任意のアミノ酸から独立に選択されるか、又はX3及び/若しくはX4は存在しない、好ましくは、X3が、Y、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及びそれらの誘導体、好ましくは負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、より好ましくは、X3がYである、並びに/あるいは、X4が、K、R、H、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、及びそれらの誘導体、好ましくは負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、より好ましくは、X4がKである)からなる。フィブリルペプチドは、好ましくは、アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)、RAIFIISM(配列番号18)、RTAFIISM(配列番号19)、RTIAIISM(配列番号20)、RTIFAISM(配列番号21)、RTIFIASM(配列番号22)、RTIFIIAM(配列番号23)、RTIFIISA(配列番号24)、RTIFIISMY(配列番号25)、RAIFIISMY(配列番号26)、RTAFIISMY(配列番号27)、RTIAIISMY(配列番号28)、RTIFAISMY(配列番号29)、RTIFIASMY(配列番号30)、RTIFIIAMY(配列番号31)、RTIFIISAY(配列番号32)、RTIFIISMA(配列番号33)、RTIFIISMYK(配列番号34)、RAIFIISMYK(配列番号35)、RTAFIISMYK(配列番号36)、RTIAIISMYK(配列番号37)、RTIFAISMYK(配列番号38)、RTIFIASMYK(配列番号39)、RTIFIIAMYK(配列番号40)、RTIFIISAYK(配列番号41)、RTIFIISMAK(配列番号42)、又はRTIFIISMYA(配列番号43)、より好ましくは、アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)、RAIFIISM(配列番号18)、RTAFIISM(配列番号19)、RTIAIISM(配列番号20)、RTIFAISM(配列番号21)、RTIFIASM(配列番号22)、RTIFIIAM(配列番号23)、RTIFIISA(配列番号24)、又はRTIFIISMYK(配列番号34)、好ましくはRTIFIISM(配列番号1)又はRTIFIISMYK(配列番号34)からなる。
好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、Xは、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及びそれらの誘導体から選択される)を含む、好ましくはそれからなる。さらにより好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、好ましくは、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、好ましくはそれからなる。さらにより好ましくは、フィブリルペプチドは、アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1及びX2は、本明細書中上で特定した通りである)を含む、好ましくはそれからなる。
好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号1、18~43、57~66、68~72、74、76、77、79~82、84~88、及び90~98からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、好ましくは、それからなる。さらなる好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号1、18~24、34、57~64、66、70、72、76、80、82、84~88、及び90~98からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。さらなる好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号1、18~24、34、57、58、60、61、62、70、72、80、84、85、86、87、88、90、91、92、93、94、95、96、97、及び98からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。さらなる好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号1、18~34、57、58、60、62、80、85、86、87、88、90、91、92、93、94、95、96、及び97からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。さらなる好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号1、34、57、60、62、85、86、90、91、92、93、96、及び97からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、好ましくはそれからなる。さらに好ましい実施形態において、フィブリルペプチドは、配列番号67、73、78、83及び89からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる、好ましくはそれを含むものではない。
アミノ酸の「誘導体」という用語は、本明細書において広義に使用され、アミノ基を含み、少なくとも1つのペプチド結合を介してペプチドに共有結合し得る、天然に存在する又は非天然に存在する、任意のあらゆる有機酸を含む。好ましくは、アミノ酸誘導体はα-アミノ酸であり、より好ましくはL-アミノ酸であり、さらにより好ましくはタンパク質を構成するアミノ酸(proteinogenic amino acid)である。より好ましくは、アミノ酸のアミノ酸誘導体は、直鎖アミノ酸、好ましくはホモアラニン、ノルバリン、又はノルロイシン;D-アミノ酸、好ましくはD-アラニン、D-ロイシン、又はD-イソロイシン;非α-アミノ酸、好ましくはβ-アラニン又はγ-アミノ酪酸;同じ化学基からの原子による原子の交換を含む誘導体、好ましくはセレノメチオニン;及び/又は天然に存在するアミノ酸誘導体、好ましくはヒプシンである。
フィブリルペプチドは、水溶液中でフィブリルを形成する活性を有し、用語「フィブリル」は、多数のフィブリルペプチドを含む、好ましくはフィブリルペプチドからなる任意の糸状構造又はフィラメントに関する;好ましくは、フィブリルはナノフィブリルであり、すなわち、2~20nmの直径、及び/又は100nm~10μmの長さ、好ましくは100nm~5μmの長さを有する。好ましくは、フィブリルペプチドの凝集は、水溶液中で自然に起こり、ここで水溶液とは、多くとも25%(v/v)、好ましくは多くとも15%(v/v)、より好ましくは多くとも10%(v/v)、さらに好ましくは多くとも5%(v/v)、最も好ましくは多くとも2%(v/v)の有機溶媒を含む溶液である。フィブリルを形成する活性を決定する方法は、当業者に公知であり、本明細書の実施例に示されている。好ましくは、フィブリルを形成する活性は、本明細書において実施例において特定されるように、チオフラビンT結合アッセイによって決定される。しかしながら、フィブリルを形成する活性は、透過型電子顕微鏡法(TEM)、コンゴレッド染色、転換率の測定、及び/又はフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によっても決定することができ、前記方法は、当該技術分野において公知である。
好ましくは、フィブリルペプチドはさらに、宿主細胞のウイルス感染を増強する生物学的活性を有する。前記生物学的活性を確立するためのアッセイは、当業者に公知であり、本明細書の実施例に示される。好ましくは、前記生物学的活性は、対照と比較してTZM-bl細胞におけるHIVの感染効率を決定することによって決定される;ここで、好ましくは、ウイルスtatタンパク質は、TZM-bl細胞においてHIV-1-LTRプロモーターの制御下でβ-ガラクトシダーゼレポーター遺伝子をトランス活性化する。ウイルス感染の増強は、対照と比較して、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、さらに好ましくは少なくとも10倍の感染率の増加を引き起こすことである。フィブリルペプチドは、ウイルス感染を増強するために、好ましくは0.01μg/mlから100μg/ml、より好ましくは0.05μg/mlから75μg/ml、さらに好ましくは0.1μg/mlから50μg/ml、さらにより好ましくは0.2μg/mlから30μg/ml、さらにより好ましくは0.5μg/mlから25μg/ml、最も好ましくは1μg/mlから20μg/mlの濃度で使用される。
好ましくは、フィブリルペプチドは低免疫原性である。用語「免疫原性」は、当業者に理解される。好ましくは、この用語は、対象の適応免疫系の応答の誘導に関し、より好ましくは、検出可能な応答に関し、最も好ましくは、対象において免疫応答の少なくとも1つの全身症状を引き起こす応答に関する。従って、用語「低免疫原性」は、本明細書で使用される場合、対象において免疫応答の少なくとも1つの全身症状を引き起こす応答を引き起こさない免疫応答に関し、より好ましくは、検出不可能な免疫応答に関する。従って、好ましくは、対象に0.1μgのフィブリルペプチド/kg体重を筋肉内投与した後、4週間後において、低免疫原性を有するペプチドの場合には、ペプチド特異的抗体及び/又はペプチド特異的T細胞は検出されない。
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物又は植物、好ましくは脊椎動物、より好ましくは哺乳動物、特にウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ及びヤギのような家畜、イヌ又はネコのような伴侶動物、あるいはラット、マウス又はモルモットのような実験動物に関する。最も好ましくは、対象はヒトである。
フィブリルペプチドは、当業者によって適切とみなされる任意の方法によって産生され得る。好ましくは、フィブリルペプチドは、適切な細胞、好ましくは細菌細胞又は酵母細胞、より好ましくは細菌細胞、最も好ましくは大腸菌細胞での過剰発現により産生される。また好ましくは、フィブリルペプチドは哺乳動物細胞、又は昆虫細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはCHO細胞で産生される。より好ましくは、フィブリルペプチドは、当該技術分野で公知の方法に従って化学合成により産生される。好ましくは、フィブリルペプチドは、合成後、例えばクロマトグラフィー、好ましくは逆相クロマトグラフィー、脱塩、及び/又はペプチド精製のための当該技術分野で慣用の他の方法によって精製される。
好ましくは、フィブリルペプチドは医薬組成物中に含まれる。「医薬」及び「医薬組成物」という用語は、原則として、当業者に公知である。本明細書で言及されるように、これらの用語は、フィブリルペプチドと、薬学的に活性な化合物としてのカーゴ又はその塩若しくはプロドラッグを含む粒子と、任意選択で、1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤(例えば薬学的に許容される担体など)などの1つ又は複数の他の成分とを含む任意の組成物に関する。「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、好ましくは、有害ではなく生物に投与される医薬組成物を調製するのに適した任意のあらゆる物質を含む。したがって、この用語には、所望の特定の投与剤形に適した、任意の溶媒、希釈剤、又は他のビヒクル、分散助剤若しくは懸濁助剤、表面活性剤、等張化剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢剤などが含まれる。薬学的に許容される賦形剤として機能し得る物質の例としては、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐薬ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤; アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;滅菌水;リンゲル液;緩衝食塩水;ブドウ糖溶液;マルトデキストリン溶液;エチルアルコール;及びリン酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的活性化合物は、液体又は乾燥形態で、例えば凍結乾燥形態で、医薬中に存在する。薬学的活性化合物は、医薬の活性成分又は薬物であり、好ましくは、慣用的な手順に従って薬物を標準的な医薬賦形剤と組み合わせることによって調製される慣用的な投与剤形で投与される。これらの手順は、適宜、所望の調製物への成分の混合、造粒、圧縮、及び/又は溶解を含み得る。許容される医薬担体又は希釈剤の形態及び特性は、それが組み合わされることになる活性成分の量、投与経路、及び他の周知の変動要素によって決定されることが理解されるであろう。賦形剤(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに対して有害でないという意味で、許容可能でなければならない。加えて、医薬組成物又は製剤はまた、他の担体、アジュバント、保存料、安定剤、界面活性剤、緩衝剤、及び/又は浸透圧調整用塩、乳化剤、甘味料、着色料、香料などが含まれる。好ましくは、医薬組成物中の化合物の量は、特定の化合物の他の適応症に通常採用される量である。その量は、例えば、本明細書で以下に特定するように、既知の因子に応じて広い範囲で変化し得る。しかしながら、当業者であれば、特に化合物に関する既存の投与量の推奨に基づいて、容易かつ日常的な方法で最適量を決定することができる。
本発明の医薬組成物の投与経路は、医薬組成物に使用又は含有される特定の化合物に依存し、公知の投与方法に従うものであり、例えば、吸入、注射又は静脈内による注入、非経口、局所、直腸、鼻腔、頬、膣、又は移植リザーバーを介して、又は徐放系によることができる。本明細書で使用される非経口的という用語は、静脈内、腹腔内、脳内、髄腔内、頭蓋内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、眼内、動脈内、皮下、及び皮内又は局所内注射又は注入技術を含む。好ましくは、化合物又は医薬組成物は、疾患又は障害を処置及び/又は予防する効果を達成するのに十分な濃度が達成されるように、すなわち有効濃度が達成されるように投与される。さらに、本組成物は、希釈剤、分散剤、及び界面活性剤をさらに添加することにより、溶液、懸濁液、乳剤などの吸入可能な剤形又は注射可能な剤形に製剤化することができる。さらに、本組成物は、当技術分野で公知の適切な方法を用いて、又はRemington's Pharmaceutical Science(最新版)、Mack Publishing Company, Easton Pa.に開示されている方法により、好適に製剤化することができる。
医薬組成物は、好ましくは、本明細書において上記で特定され、慣用的な手順に従って、活性化合物を標準的な薬学的に許容される賦形剤及び/又は担体と組み合わせることによって調製される慣用的な投与剤形で投与される。治療有効用量とは、本明細書中で言及される効果を提供する、医薬組成物中で用いられる活性化合物の量を意味する。化合物の治療有効性及び毒性は、細胞培養又は実験動物において標準的な製剤手順により、例えば、ED50(集団のうちの50%で治療上有効な用量)及びLD50(集団のうちの50%に対して致死性である用量)、又はIC50(50%阻害を生じる用量)により、決定することができる。治療効果と毒性作用との間の用量比が治療指数であり、これはLD50/ED50の比として表すことができる。投与レジメンは、好ましくは、臨床的因子に基づいて、好ましくは、上に記載した方法のうちのいずれか1つに従って、主治医により、決定されるであろう。医学分野では周知である通り、いずれか1名の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間及び経路、全身健康状態、及び同時に投与される他の薬物をはじめとする、多数の因子に依存し得る。経過は、定期的な評価によりモニタリングすることができる。典型的な用量は、例えば、1μg~1000mgの範囲内であり得るが;しかしながら、この例示的な範囲未満又はこの範囲を超える用量が、特に上述の因子を考慮して、想定される。一般的に、医薬組成物の定期投与としてのレジメンは、1日あたり1μgから100mg単位の範囲である必要がある。レジメンが持続点滴である場合、それはまた、それぞれ1分あたり1μg~1mg単位/kg体重の範囲である必要がある。好ましくは、医薬組成物は対象に1回投与される、すなわち、好ましくは、1回限りの治療として使用される。対象及び投与様式に応じて、物質投与の量は、広範囲で変わり、約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重を提供し得る。本明細書中で言及される医薬組成物及び製剤は、本明細書中に記載される疾患若しくは状態を処置又は改善又は予防するために、少なくとも1回投与される。しかしながら、該医薬組成物は、2回以上、例えば、2~50回、より好ましくは5~50回投与することができる。投与は、例えば点滴又は吸入として、1時間ごと、1日2~6回、毎日、隔日、3日ごと、毎週、隔週、又は毎月、好ましくは連続的に、1時間ごと、1日2~6回、又は毎日、行うことができる。好ましくは、投与は、意図された期間にわたり、対象の体内で有効濃度を維持するように調整される。経過は、定期的な評価によってモニターすることができる。好ましくは、化合物の投与量は、前記化合物の既知の適応症に従うが、他の投与量、特に高用量が想定され得る。
有利なことに、本発明のフィブリルペプチドは、ウイルス粒子のような特定の化合物と会合するフィブリルを形成し、それによって宿主細胞へのかかる粒子の取り込みを強く増強することが、本発明の基礎となる研究において見出された。フィブリルペプチドは宿主タンパク質、すなわち宿主、特にヒトが耐性を有するポリペプチドから誘導されるので、フィブリルペプチドは本質的に非免疫原性である。
上記で行なわれた定義は、下記に準用される。以下でさらに行なわれる追加の定義及び説明もまた、本明細書中に記載されるすべての実施形態に準用される。
本発明はさらに、粒子に含まれるカーゴを宿主細胞に送達する方法であって、
a)前記宿主細胞を、前記粒子及び本明細書中で特定されるフィブリルペプチドと接触させること、それによって、
b)前記カーゴを前記宿主細胞に送達すること
を含む方法に関する。
本発明の方法は、好ましくは、in vitro法である。しかし、この方法はin vivoでも使用できる。本方法が実験動物で実施される場合、実験動物は好ましくは犠牲にされる。さらに、本方法は、上記で明示したステップに加えて、ステップ(複数可)を含んでいてもよい。例えば、さらなるステップは、例えば、ステップa)のための宿主細胞の提供、又はステップb)で産生された細胞のさらなる使用に関連し得る。さらに、前記ステップの1つ以上は、自動化された装置によって実行又は補助されてもよい。
本明細書で使用される「カーゴ」という用語は、原則として、本明細書で以下に特定されるような粒子にパッケージングするのに適し、宿主細胞に送達することが望ましい、あらゆる化合物又は物質組成物に関する。したがって、カーゴは、好ましくは、化学化合物、好ましくは医薬化合物であるか又はそれからなる。より好ましくは、カーゴは、生物学的高分子、好ましくはポリヌクレオチドである。好ましくは、前記ポリヌクレオチドはウイルスゲノム又はその一部であり、より好ましくは、遺伝子改変ウイルスゲノム又はその一部である。したがって、カーゴは、標的細胞に送達されるべき導入遺伝子を含んでいてもよい。当業者には理解されるように、導入遺伝子は、ポリペプチド及び/又はRNAのための発現構築物、サイレンシング構築物、Casヌクレアーゼ及び/又はgRNA発現構築物、1つ以上のマーカー遺伝子、自殺遺伝子などのような、当業者によって適切とみなされる任意の核酸配列を含み得る。好ましくは、カーゴはキメラ抗原受容体(CAR)の発現構築物であり、好ましくは、宿主細胞はこの場合T細胞である。
用語「粒子」は、本明細書で使用される場合、細胞によって取り込まれるのに適切なサイズを有し、少なくとも1つのカーゴを含むか又は取り込むように適合された任意の粒子に関する。好ましくは、粒子はアニオン性粒子であり、すなわち標準条件下で負の正味表面電荷を有する。好ましくは、粒子は、1nm~1μm、好ましくは10nm~500nm、より好ましくは25nm~400nm、さらにより好ましくは50nm~300nm、最も好ましくは100nm~200nmのサイズを有し、ここで、好ましくは、サイズは平均直径として決定される。好ましくは、粒子は、少なくとも1つのポリペプチドを含む又はそれからなる外層を有する。したがって、粒子は、例えば、非エンベロープウイルス若しくはエンベロープウイルス、又はウイルス様粒子(VLP)であり得る。より好ましくは、粒子は脂質二重層を含む外層を有する;したがって、好ましくは、粒子は、リポソーム、例えば膜小胞又は人工リポソームである。好ましくは、粒子の脂質二重層は、脂質二重層と細胞膜との融合を媒介するために適合された少なくとも1つの融合原性(fusogenic)ポリペプチドを含む。好ましくは、前述の脂質二重層は宿主細胞由来であり;したがって、好ましくは、粒子はエンベロープウイルス又はそのVLP、好ましくはレトロウイルス、より好ましくはレンチウイルス、最も好ましくはヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はそれらのVLPである。また好ましくは、粒子は、エンベロープウイルス、レトロウイルス、レトロウイルス粒子、シュードタイプ化レトロウイルス粒子、レンチウイルス、レンチウイルス粒子、シュードタイプ化レンチウイルス粒子、VSV-G糖タンパク質シュードタイプ化レトロウイルス粒子及び/又はレンチウイルス粒子、GaLV糖タンパク質シュードタイプ化レトロウイルス粒子及び/又はレンチウイルス粒子、RD114糖タンパク質シュードタイプ化レトロウイルス粒子及び/又はレンチウイルス粒子、MLV糖タンパク質シュードタイプ化レトロウイルス粒子及び/又はレンチウイルス粒子、並びにスプーマウイルスからなるリストより選択される。当業者には理解されるように、粒子の成分は、細胞内部、すなわち細胞質、核、及び/又は別の細胞区画に到達する必要がない場合もある;好ましくは、カーゴを除く粒子の任意の成分は細胞内部に到達する必要さえないかもしれない。また、カーゴが部分的にしか送達されないこともあり、例えば融合ポリペプチドの一部のみが送達されることもある;また、所与の数の粒子のうち、そのカーゴを細胞に送達するのは一部分のみであることもある。特に、粒子がウイルス又はVLPであり、かつ/又はカーゴがポリヌクレオチドである場合、前記粒子の0.1%又はそれ以下しかカーゴを送達しない可能性がある。
本明細書中で用いる場合、用語「宿主細胞」は、好ましくは、本明細書の上で特定したような粒子を介してカーゴを受領することができる任意の細胞に関する。より好ましくは、宿主細胞は、カーゴポリヌクレオチドを受領し、好ましくは発現することが可能である。好ましくは、宿主細胞は、真核細胞、好ましくは酵母細胞、例えば、パン酵母の菌株の細胞であるか、又は動物細胞である。より好ましくは、宿主細胞は、昆虫細胞又は哺乳動物細胞、特にマウス又はラット細胞である。最も好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。好ましくは、宿主細胞は、免疫細胞、好ましくはT細胞、がん細胞、初代細胞、B細胞、B/T細胞ハイブリッド、造血前駆細胞、末梢血リンパ球、幹細胞様細胞、マクロファージ、CD34+細胞、又は細胞株であり、好ましくはヒト293T、HeLa、CEM-M7、TZM-bl、K562、HFF、及びNIH3T3細胞からなるリストから選択される。
本発明はさらに、疾患の処置に使用するための、本発明のフィブリルペプチドに関する。
本発明はまた、がん、遺伝性疾患及び/又は神経変性疾患の処置及び/又は予防に使用するための、本発明のフィブリルペプチドに関する。
用語「処置すること」及び「処置」とは、本明細書中で言及される疾患若しくは障害又はそれに付随する症状の、有意な程度までの改善を意味し;本明細書中で用いる場合、この用語は、疾患、障害、又はそれに付随する症状の悪化の予防を含む。本明細書中で用いる場合、該処置することには、本明細書中で言及される疾患又は障害に関する健康状態の完全な回復もまた含まれる。本明細書中でこの用語が用いられる場合、処置することとは、処置されるべきすべての対象で有効でなくてよいことが理解されるはずである。しかしながら、この用語は、好ましくは、本明細書中で言及される疾患又は障害に罹患した対象のうちの統計学的に有意な一部分を成功裏に処置できることを必要とするであろう。一部分が統計学的に有意であるか否かは、様々な周知の統計学的評価ツール、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン-ホイットニー検定などを用いて、当業者によりさらなる面倒なく決定されることができる。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。好ましくは、処置は、所与のコホート又は集団の対象のうちの少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%に対して有効であろう。
用語「予防すること」とは、対象において、特定の期間、本明細書中で言及される疾患又は障害に関して健康を保持することを意味する。該期間は、投与された薬物化合物の量及び本明細書中のどこかで論じられる対象の個人的因子に依存し得ることが理解されるであろう。予防は、本発明に係る化合物を用いて処置されるすべての対象で有効でなくてよいことも理解されるはずである。しかしながら、この用語は、好ましくは、コホート又は集団の対象のうちの統計学的に有意な一部分が、本明細書中で言及される疾患若しくは障害又はその付随する症状に罹患することから有効に防止されることを必要とする。好ましくは、この文脈では、通常、すなわち、本発明に従う予防的手段を用いずには、本明細書中で言及される通りの疾患又は障害を発症するであろう対象のコホート又は集団が企図される。一部分が統計学的に有意であるか否かは、本明細書中のどこかで論じられる様々な周知の統計学的評価ツールを用いて、当業者によりさらなる面倒なく決定されることができる。
用語「がん」は、本明細書中で用いる場合、一群の体細胞(「がん細胞」)による制御されない増殖を特徴とする、対象の疾患に関する。この制御されない増殖は、腫瘍形成を引き起こす可能性があり、周囲組織への侵入及び周囲組織の破壊(浸潤)並びに場合により体内の他の場所へのがん細胞の拡散(転移)を伴う可能性がある。好ましくは、がんという用語には再発も含まれる。つまり、好ましくは、がんは、非固形がん、固形がん、転移、及び/又はそれらの再発である。好ましくは、がんは、局所的又は全身的な免疫抑制を特徴とし、すなわち好ましくは、がんは、対象の免疫系によって認識されない。好ましくは、がん処置は、免疫療法、好ましくは細胞に基づく免疫療法を含む。用語「免疫療法」は、本明細書中で用いる場合、対象の免疫応答の調節によるがんの処置に関する。該調節は、例えばフィブリルペプチドで得られ、がん細胞を特異的に認識するCAR T細胞の投与によって、該免疫応答を誘導、増強、又は抑制することであり得る。用語「細胞に基づく免疫療法」は、免疫細胞、例えばT細胞、好ましくは腫瘍特異的NK細胞の、対象への適用を含むがん療法に関する。また好ましくは、がん処置は、外科手術、化学療法、及び放射線療法のうちの少なくとも1つをさらに含む。
本明細書で使用される「遺伝性疾患」という用語は、対象のゲノムにおける1つ若しくは複数の修飾、好ましくは変異、と因果関係のある疾患に関する。したがって、好ましくは、遺伝性疾患は、1つ若しくは複数のエピジェネティックな変化と因果関係があり、より好ましくは、1つ若しくは複数の遺伝子変異と因果関係がある。当然のことながら、遺伝性疾患の症状は、1つ若しくは複数の特定の組織及び/又は細胞型において、変異遺伝子の発現によって、及び/又は、遺伝子産物の正常な機能を提供する遺伝子の発現の欠如によって引き起こされることが多く、処置は、宿主細胞への疾患関連遺伝子の非変異型コピーの提供を含み得る。したがって、変異が疾患の一因となっている細胞のみを遺伝子改変することが好ましいかもしれない。好ましくは、遺伝性疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、血友病A/B、嚢胞性線維症、筋細管ミオパチー、糖原病、又は鎌状赤血球貧血であり、これらの原因及び症状は医学のテキストブックから当業者に知られている。
「神経変性疾患」という用語は、個体の末梢神経系及び/又は中枢神経系におけるニューロンの構造及び/又は機能の進行性喪失によって引き起こされる疾患に関する。好ましくは、神経変性疾患は、運動ニューロンの神経変性疾患及び/又は中枢神経系の神経変性疾患である。好ましくは、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、又は脊髄小脳失調症、好ましくは脊髄小脳失調症1型(SCA1)である。当然のことながら、多くの神経変性疾患は遺伝性疾患である。
本発明はまた、ワクチン接種に使用するための本発明のフィブリルペプチドに関する。好ましくは、フィブリルペプチドは、このような場合、抗原と非共有結合又は共有結合している。より好ましくは、フィブリルペプチドは、そのような場合、フィブリルペプチドと抗原性ペプチド又はポリペプチドとを含む融合ポリペプチド中に含まれ、ここで、抗原性ペプチド又はポリペプチドは、好ましくは、フィブリルペプチドのN末端及び/又はC末端に融合される。
本明細書中で用いる場合、用語「ワクチン接種」(vaccination)とは、好ましくは、本明細書中で特定される通りの化合物を投与して免疫応答を生起させることに関する。つまり、ワクチン接種は、対象において、免疫系を刺激し、かつ感染、がん、又は非自己抗原及び/若しくはネオ抗原の新規産生に関連する任意の他の疾患に対する免疫を確立又は改善する。好ましくは、ワクチン接種は、感染に対する免疫を確立又は改善することを可能にする。本発明に係るワクチンは、さらなる構成要素、例えば賦形剤、アジュバント、及び/又はさらなる抗原を含むことができることが理解されるはずである。当業者は、ワクチン接種が、ワクチン接種されたすべての対象で有意な免疫応答を生起するわけではない場合があることを理解するであろう。ワクチン接種が、ワクチン接種されたすべての対象で感染を予防するために有効であるわけではない場合があることもまた理解されるはずである。しかしながら、この用語は、好ましくは統計学的に有意な、コホート又は集団の対象のうちの一部分が、有効にワクチン接種されることを必要とする。一部分が統計学的に有意であるか否かは、本明細書の上で特定するような様々な周知の統計的評価ツールを用いて、当業者によりさらなる面倒なく決定されることができる。好ましくは、ワクチン接種は、対象において体液性免疫応答を誘導する、すなわち、好ましくは、ワクチンに含まれる抗原を認識する、好ましくは特異的に認識する抗体の産生を誘導する。「特異的に認識する」という用語は、当業者には、結合剤、例えば抗体、が特定の種の分子に特異的に結合する性質として理解されるが、同じ化学クラスの分子からの他の分子、例えばタンパク質は認識されないか、又は認識される程度がはるかに低い。また好ましくは、ワクチン接種は、対象において細胞性免疫応答、すなわち免疫細胞、好ましくはT細胞の活性化及び/又は増殖を誘導する。
本発明はまた、粒子に含まれるカーゴを細胞に送達するための、本発明に係るフィブリルペプチドの使用、好ましくはin vitroでの使用に関する。
さらに、本発明は、本発明に係るフィブリルペプチドを含む医薬組成物に関する。
本発明はさらに、本発明に係るフィブリルペプチドと、少なくとも1種の溶媒及び/又は希釈剤とを含むキットに関する。
用語「キット」とは、本明細書中で用いる場合、一緒に包装されてもよく又は一緒に包装されなくてもよい、上述の化合物、組成物、手段又は試薬の集合物を意味する。キットの構成要素は、別個のバイアルにより(すなわち、分離した部分のキットとして)含められてもよく、又は単一バイアル中で提供されてもよい。さらに、本発明のキットは、好ましくは、本明細書中の上で言及される方法又は使用の実行のために用いられることになることが理解されるはずである。好ましくは、上で言及される方法又は使用を実行するために、すべての構成要素がすぐに使える(ready-to-use)様式で提供されることが企図される。さらに、キットは、好ましくは、該方法又は使用を行なうための取扱い説明書を含む。取扱い説明書は、紙又は電子形式のユーザーマニュアルにより提供することができる。加えて、マニュアルは、本発明のキットを用いた投与に関する指示及び/又は投与量の指示を含むことができる。好ましくは、キットは、本明細書中に上記で特定される粒子、又は粒子の生成手段を含む。また好ましくは、キットはカーゴをさらに含む。
好ましくは、キットは、希釈剤及び/又は投与手段を含む。適切な希釈剤は、本明細書中上で記載されており;投与手段は、対象、細胞又は組織に化合物を投与するために好適なすべての手段である。好ましい投与方法は、それぞれの化合物について当業者に知られている方法である。投与手段は、化合物又は組成物の投与のための送達ユニット、及び投与まで該化合物又は組成物を保存するための保存ユニットを含むことができる。しかしながら、本発明の手段は、そのような実施形態では別個のデバイスとして現れることができ、かつ、好ましくは、該キット中に一緒に包装されていることもまた意図される。好ましい投与手段は、専門の技術者の特定の知識なしに適用できるものである。好ましい実施形態では、投与手段は、本発明の化合物又は組成物を含むシリンジ、より好ましくは針を有するシリンジである。別の好ましい実施形態では、投与手段は、化合物又は組成物を含む静脈内注入(IV)器具である。また別の好ましい実施形態では、投与手段は、本発明のフィブリルペプチドを含む吸入器であり、このとき、より好ましくは、該フィブリル化合物は、エアロゾルとしての投与のために製剤化される。
本発明はまた、本発明に係るフィブリルペプチドを含むデバイスに関する。
本明細書で使用される「デバイス」という用語は、本発明のフィブリルペプチド、特に医薬の投与を可能にするように、相互に動作可能なように連結された手段を少なくとも含む、手段のシステムに関するものである。したがって、デバイスは、好ましくは化合物又は組成物の投与に適合されている。化合物又は組成物を投与するための好ましい手段は、想定される投与様式に応じて異なり、当技術分野でよく知られている。手段をどのように動作可能なように連結するかは、デバイスに含まれる手段の種類に応じて異なる。好ましくは、手段は単一のデバイスで構成される。デバイスは、フィブリルペプチドを投与するための送達ユニット、及び、投与までフィブリルペプチドを保存するための保存ユニットを含むことができる。しかしながら、本発明の手段は、そのような実施形態において別々のデバイスとして出現してもよく、好ましくは、キットとして一緒に包装されていることも考えられる。当業者であれば、これ以上の説明なしに、手段をどのように連結するかを理解することができる。好ましいデバイスは、専門技術者の特別な知識なしに適用することができるものである。好ましくは、デバイスは、本発明の化合物又は組成物を含むシリンジ、より好ましくは針付きシリンジである。また好ましくは、デバイスは、化合物又は組成物を含む静脈内注入(IV)器具である。さらに好ましくは、デバイスは、肺若しくはその一部又は体腔を洗浄するための、化合物又は組成物を含む内視鏡デバイスである。好ましくは、デバイスは、宿主細胞へのフィブリルペプチドのin vitro投与のためのデバイスであり、より好ましくは、ピペッティングデバイス又はトランスフェクションデバイス、特に高スループット細胞処理デバイスである。
上記に鑑みて、以下の実施形態が、特に企図される:
実施形態1:8~20アミノ酸の配列からなるフィブリルペプチドであって、アミノ酸配列RTIFIISM又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む、フィブリルペプチド。
実施形態2:アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)又はそれと少なくとも85%同一の配列を含む、実施形態1に記載のフィブリルペプチド。
実施形態3:8~12アミノ酸、好ましくは8~10アミノ酸の長さを有する、実施形態1又は2に記載のフィブリルペプチド。
実施形態4:アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1は正に帯電したアミノ酸、好ましくはR、K又はHであり、X2は任意のアミノ酸である)を含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態5:アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、Xは、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及びそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態6:アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態7:アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態8:アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)を含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態9:アミノ酸配列RTIFIISMX3X4(配列番号10)、RAIFIISMX3X4(配列番号11)、RTAFIISMX3X4(配列番号12)、RTIAIISMX3X4(配列番号13)、RTIFAISMX3X4(配列番号14)、RTIFIASMX3X4(配列番号15)、RTIFIIAMX3X4(配列番号16)、RTIFIISAX3X4(配列番号17)(式中、X3及びX4は任意のアミノ酸から独立に選択されるか、又はX3及び/若しくはX4は存在しない)からなる、実施形態1から8のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態10:X3が、Y、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、R、H、K、及びそれらの誘導体、好ましくは負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、より好ましくは、X3がYである、実施形態1から9のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態11:X4が、K、R、H、A、V、L、I、M、F、T、W、G、S、T、N、Q、及びそれらの誘導体、好ましくは負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される、より好ましくは、X4がKである、実施形態1から10のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態12:前記誘導体が、直鎖アミノ酸、好ましくはホモアラニン、ノルバリン、若しくはノルロイシン;D-アミノ酸、好ましくはD-アラニン、D-ロイシン、若しくはD-イソロイシン;非アルファアミノ酸、好ましくはベータアラニン若しくはガンマアミノ酪酸;同じ化学基の原子での原子の交換を含む誘導体、好ましくはセレノメチオニン;及び/又はアミノ酸の天然に存在する誘導体、好ましくはヒプシンである、実施形態6から11のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態13:アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)、RAIFIISM(配列番号18)、RTAFIISM(配列番号19)、RTIAIISM(配列番号20)、RTIFAISM(配列番号21)、RTIFIASM(配列番号22)、RTIFIIAM(配列番号23)、RTIFIISA(配列番号24)、RTIFIISMY(配列番号25)、RAIFIISMY(配列番号26)、RTAFIISMY(配列番号27)、RTIAIISMY(配列番号28)、RTIFAISMY(配列番号29)、RTIFIASMY(配列番号30)、RTIFIIAMY(配列番号31)、RTIFIISAY(配列番号32)、RTIFIISMA(配列番号33)、RTIFIISMYK(配列番号34)、RAIFIISMYK(配列番号35)、RTAFIISMYK(配列番号36)、RTIAIISMYK(配列番号37)、RTIFAISMYK(配列番号38)、RTIFIASMYK(配列番号39)、RTIFIIAMYK(配列番号40)、RTIFIISAYK(配列番号41)、RTIFIISMAK(配列番号42)、又はRTIFIISMYA(配列番号43)からなる、実施形態1から12のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態14:アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)、RAIFIISM(配列番号18)、RTAFIISM(配列番号19)、RTIAIISM(配列番号20)、RTIFAISM(配列番号21)、RTIFIASM(配列番号22)、RTIFIIAM(配列番号23)、RTIFIISA(配列番号24)、又はRTIFIISMYK(配列番号34)、好ましくはRTIFIISM(配列番号1)又はRTIFIISMYK(配列番号34)からなる、実施形態1から13のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態15:フィブリルペプチドに含まれる全てのアミノ酸がL-アミノ酸である、実施形態1から14のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態16:フィブリルペプチドに含まれる全てのアミノ酸がアルファアミノ酸である、実施形態1から15のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態17:フィブリルペプチドに含まれる全てのアミノ酸がタンパク質を構成するアミノ酸(proteinogenic amino acid)である、実施形態1から16のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態18:低免疫原性を有する、好ましくは、哺乳動物、好ましくはヒトに対して非免疫原性である、実施形態1から17のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態19:粒子に含まれるカーゴを宿主細胞に送達する方法であって、
a)前記宿主細胞を、前記粒子及び実施形態1から19のいずれか1つに記載のフィブリルペプチドと接触させること、それによって、
b)前記カーゴを前記宿主細胞に送達すること
を含む、方法。
実施形態20:前記粒子が、ウイルス粒子、ウイルス様粒子、又はウイルスの少なくとも1つのポリペプチドを含むリポソームである、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:前記ウイルスがレトロウイルス、好ましくはヒト免疫不全ウイルスである、実施形態19又は20に記載の方法。
実施形態22:前記粒子に含まれる前記カーゴが、生物学的高分子又は医薬化合物である、実施形態19から21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23:前記粒子に含まれる前記カーゴが、ポリヌクレオチド、好ましくはウイルスゲノム又はその部分、より好ましくは遺伝子改変されたウイルスゲノム又はその部分である、実施形態19から22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24:前記宿主細胞が哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞である、実施形態19から23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25:前記宿主細胞が、T細胞、がん細胞、初代細胞、B細胞、B/T細胞ハイブリッド、造血前駆細胞、末梢血リンパ球、幹細胞様細胞、マクロファージ、CD34+細胞、又は、好ましくはヒト293T細胞、HeLa細胞、CEM-M7、TZM-bl、K562、HFF、及びNIH3T3からなるリストから選択される細胞株である、実施形態19から24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26:in vitroにおける方法である、実施形態19から25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27:疾患の処置における使用のための、実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態28:がん、遺伝性疾患、又は神経変性疾患の処置及び/又は予防における使用のための、実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド。
実施形態29:粒子に含まれるカーゴを細胞に送達するための、実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチドの使用、好ましくはin vitroにおける使用。
実施形態30:実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチドを含む医薬組成物。
実施形態31:実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチド並びに少なくとも1種の溶媒及び/又は希釈剤を含むキット。
実施形態32:実施形態1から18のいずれか1つに記載のフィブリルペプチドを含むデバイス。
本明細書に引用される全ての参考文献は、その開示内容全体及び本明細書において具体的に言及される開示内容に関して、参照によって本明細書に組み込まれる。
ヒトインターロイキン-18(IL-18)由来ペプチドはナノフィブリルを形成する。(A)IL-18に由来するペプチドの配列、物理的及び化学的パラメータを示す表。正に帯電したアミノ酸はイタリックで記載している。(B)RTで10分間インキュベートした、試験されたペプチド及びEF-C(Protransduzin(登録商標)-A)のThT蛍光。(C)RTで10分間インキュベートしたペプチドのゼータ電位。2つの独立した実験からの2連の平均値(±SD)を示す。 (D~J)EF-C(D)、RK-10(E~F)、RM-8(G~H)、RS-7(I)、及びFK-7(J)の透過型電子顕微鏡画像。ペプチドは、RTで10分間インキュベートした(D、E、G)か、又は90℃で30分間インキュベートし、その後一晩冷却した(F、H~J)。スケールバーは500nmを示す。a.u.、任意単位;AA、非晶質凝集体;F、フィブリル;MW、分子量;O、オリゴマー;RT、室温;SD、標準偏差;ThT、チオフラビンT。 IL-18ペプチドによって形成されたナノフィブリルは、細胞毒性を示すことなく、TZM-bl細胞のHIV-1感染を増強する。(A)R5向性HIV-1をペプチドで処理し、混合物を使用してTZM-bl細胞を感染させた。Tat誘導性β-ガラクトシダーゼ活性を3日後に測定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照に対して感染がn倍増強したことを示す。対照の絶対値はわずかに異なったが、決定的因子はn倍の増強である。3つの独立した実験からの3連の測定の平均値(±SEM)を示す。 (B)TZM-bl細胞を様々なペプチド濃度で処理した。MTTアッセイを3日後に実施した。全てのペプチド濃度について、平均をペプチドの非存在下の細胞の値で割ることによって、代謝活性を%で算出した。3つの独立した実験からの3連の測定の平均値(±SD)を示す。統計解析を、ダネットの多重比較検定を含む一元配置分散分析を使用して実施した。全ての濃度を対照(ペプチドを用いなかった細胞)と比較した。アスタリスクを付けていない濃度は、対照と有意には異ならない。*p≦0.05;RLU/s、相対発光量毎秒;SD、標準偏差;SEM、平均の標準誤差。 IL-18ペプチドによって形成されたナノフィブリルは、Jurkat細胞のGALV-γ-RV感染を増強する。GALV-γ-RVをペプチドで処理し、混合物を使用してJurkat細胞を感染させた。GFP陽性(GFP+)細胞をフローサイトメトリーによって2日後に決定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照の平均に対して感染がn倍増強したことを示す。対照の絶対値はわずかに異なったが、決定的因子はn倍の増強である。3つの独立した実験の平均値(±SD)を示す。GFP、緑色蛍光タンパク質。SD、標準偏差。 RM-8のFTIRスペクトル。プロットにおける値は、アミドI領域におけるスペクトルの最大値を指す。RM-8はRTで10分間インキュベートした。a.u.、任意単位。 アラニンスキャニングからのRM-8類似体は、正に帯電したナノフィブリルを形成する。(A)RM-8及びアラニンスキャニングからのその類似体(A1~8)並びにQH-9の配列、物理的及び化学的パラメータを示す表。正に帯電したアミノ酸はイタリックで記載している。アラニン(A)に変異させた残基は太字で記載している。 (B)アラニンスキャニング由来ペプチド、RM-8、QH-9及びEF-CのThT蛍光。(C)ペプチドのゼータ電位。2連の平均値(±SD)を示す。ペプチドは、RTで10分間インキュベートした。a.u.、任意単位。SD、標準偏差。 アラニンスキャニングからのRM-8類似体は、HIV-1及びGALV-γ-RV感染を増強する。(A)R5向性HIV-1をペプチドで処理し、混合物をTZM-bl細胞に添加した。Tat誘導性β-ガラクトシダーゼ活性を3日後に測定した。3連の測定の平均値(±SD)を示す。 (B)GALV-γ-RVをペプチドで処理し、混合物を使用してJurkat細胞を感染させた。GFP陽性(GFP+)細胞をフローサイトメトリーによって2日後に決定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照の平均に対して感染がn倍増強したことを示す。対照の絶対値はわずかに異なったが、決定的因子はn倍の増強である。GFP、緑色蛍光タンパク質;RLU/s、相対発光量毎秒;SD、標準偏差。 RM-8と形質導入エンハンサーVectofusin(登録商標)-1との増強活性及び細胞毒性の比較。(A)GALV-γ-RVをペプチドで処理し、混合物を使用してJurkat細胞を感染させた。GFP陽性(GFP+)細胞をフローサイトメトリーによって2日後に決定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照の平均に対して感染がn倍増強したことを示す。3つの独立した実験の平均値(±SD)を示す。(B)MTTアッセイ。 (C)CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイ。いずれのアッセイも、細胞のペプチド処理の2日後に実施した。全てのペプチド濃度について、平均をペプチドの非存在下の細胞の値で割ることによって、代謝活性を%で算出した。3つの独立した実験からの3連の測定の平均値(±SD)を示す。統計解析を、ダネットの多重比較検定を含む一元配置分散分析を使用して実施した。全ての濃度を対照(ペプチドを用いなかった細胞)と比較した。GFP、緑色蛍光タンパク質;ns、有意ではない;*p≦0.05;SD、標準偏差。 RM-8フィブリルは、Vectofusin(登録商標)-1よりも高い効率でHEK293T細胞へのレンチウイルス形質導入を増加する。(A)VSVの糖タンパク質でシュードタイプ化したレンチウイルスベクターをペプチドで処理し、混合物を使用してHEK293T細胞を感染させた。感染率を2日後に決定した。(B)修飾されたRD114/TRエンベロープ糖タンパク質でシュードタイプ化したレンチウイルスベクターをペプチドで処理し、混合物を使用してHEK293T細胞を感染させた。感染率を3日後に決定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照の平均に対して感染がn倍増強したことを示す。3つの独立した実験の平均値(±SD)を示す。SD、標準偏差。 RM-8フィブリルは10日間安定である。フィブリルは、凍結乾燥したペプチドをDMSOに10mg/mlまで溶解した後、PBSを添加して2mg/mlの最終濃度とすることによって生成した。フィブリルストックを室温(RT)及び37℃でインキュベートし、10分、1時間、24時間及び10日後に、逆相カラムを用いる超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)を使用する安定性アッセイを、Core Facility Functional Peptidomics(Ulm University)と共同で実施した。個別の実験の1つを示す。 RM-8ナノフィブリルはT細胞へのGALV-γ-RV形質導入を増強する。RM-8は、7日後に、Vectofusin(登録商標)-1よりも高い(A)、及び細胞毒性を示すことなくRetroNectinと同等(B)の形質導入効率を達成する。CD3+細胞のGFP発現は、フローサイトメトリーによって解析した。生存率は、トリパンブルー染色によって決定した。ヒトCD4+及びCD8+T細胞を2名のドナーのバフィーコートから単離した。示される形質導入エンハンサーをGALV-γ-RVと共にインキュベートし、次いでミックスを使用してT細胞に形質導入した。平均値(±SD)を示す。SD、標準偏差。 RM-8誘導体は、ナノフィブリルを形成し、Jurkat細胞へのGALV-γ-RV形質導入を増強する。(A、B)RTで10分間インキュベートした、試験されたペプチド及びEF-C(Protransduzin(登録商標)-A)のThT蛍光。 図11-1の続き。 (C、D)GALV-γ-RVをペプチドで処理し、混合物を使用してJurkat細胞を感染させた。GFP陽性(GFP+)細胞をフローサイトメトリーによって3日後に決定した。棒の上の数字は、ペプチドを用いなかった対照の平均に対して感染がn倍増強したことを示す。2つの独立した実験の平均値(±SD)を示す。 図11-3の続き。 (E、F)CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイ。アッセイは、細胞のペプチド処理の3日後に実施した。全てのペプチド濃度について、平均をペプチドの非存在下の細胞の値で割ることによって、代謝活性を%で算出した。1つの実験からの3連の測定の平均値(±SD)を示す。SD、標準偏差。ペプチド1~21(配列番号57~77、A、C、及びE)及びペプチド22~42(配列番号78~98、B、D、及びF)の結果を示す。 図11-5の続き。
以下の実施例は本発明を単に例示するものに過ぎない。それらは、どのようなものであれ、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
材料及び方法
HIV-1は、CCR5向性分子HIV-1クローンを含有するプラスミドであるpBRNL4.39-92TH14から作製した(Papkallaら、2002)。感染性HIV-1ストックは、リン酸カルシウムトランスフェクションによる293T細胞へのトランスフェクションによって調製し、TZM-bl細胞のHIV-1感染は、細胞のβ-ガラクトシダーゼ活性を検出することによって決定した。
レトロウイルスベクター(RV)は、E848 pCsGPpA-edを有するGFP発現マウス白血病ウイルス(MLV)ベクター及びテナガザル白血病ウイルス(GALV)に由来する糖タンパク質の同時トランスフェクションによって作製した。GFP陽性細胞はフローサイトメトリーによって決定した。
水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV-G)でシュードタイプ化したレンチウイルスベクター(LV)は、pSEW-luc2及びd8.9並びにVSVに由来する糖タンパク質の293T細胞への同時トランスフェクションによって生成した。
LVは、nefの代わりにルシフェラーゼをコードするenv欠失pBRHIV-1 NL4_3誘導体、及びMLV gpに由来する細胞質尾部を有するネコ白血病ウイルス(RD114)に由来するキメラエンベロープ糖タンパク質をコードするphCMV-RD114/TRの293T細胞への同時トランスフェクションによって生成した。
ペプチドは、KE Biochem Co.,Ltd(Shanghai City、China)によって合成され、純度は、Core Facility Functional Peptidomics(Ulm University)によって証明された。ペプチドをHFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)に溶かし、超音波洗浄機を使用して超音波処理した。ペプチドを-20℃で保存し、各実験のために、それらをDMSOに10mg/mlまで新たに溶解し、フィブリルを生成するために、ペプチドを2mg/ml又は1mg/mlとなるようにPBSに希釈し、室温(RT)で10分間インキュベートした。
凍結乾燥したRM-8及びその誘導体(ペプチド1~42)をDMSOに10mg/mlまで溶かし、4℃で保存した。各実験のために、それらをPBSに2mg/mlまで新たに溶かし、RTで10分間インキュベートした。
CAR T細胞様プロセスのために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、RosetteSep(商標)ヒトCD4+及びCD8+T細胞濃縮カクテル(STEMCELL Technologies)を製造業者のプロトコルに従って使用して、2名のドナーのバフィーコートから単離した。単離したT細胞を、Dynabeads(商標)ヒトT-アクチベーターCD3/CD28(Gibco(商標))を製造業者のプロトコルに従って使用して、10ng/mlのインターロイキン-2(IL-2)の存在下で3日間活性化した。3日後、磁石を使用して磁気Dynabeadsを除去し、T細胞を、9ng/mlのインターロイキン-7(IL-7)及び10ng/mlのインターロイキン-15(IL-15)の存在下で培養した。1日後、形質導入エンハンサーRM-8(50μg/ml)、Vectofusin(登録商標)-1(10μg/ml)、又はRetroNectin(20μg/ml)を使用して、T細胞にGALV-γ-RVを形質導入した。形質導入エンハンサーの濃度は、細胞上の濃度に対応し、RetroNectinの場合は、24ウェルプレートを予めコーティングするために使用した濃度に対応した。7日後、形質導入したT細胞をフローサイトメトリーによって解析した。
結果
インターロイキン-18由来ペプチドは正に帯電したナノフィブリルを形成する。
ヒトタンパク質インターロイキン-18(Q14116)をアミロイド予測ツールZipperDB、TANGO2.0及びPASTAによって解析するin silicoスクリーニング法によって、ヒトインターロイキン-18に由来するペプチドを同定した(図1A)。これらの内因性ペプチドがナノフィブリルを形成するかどうかを調査するために、新たに調製したペプチドを、アミロイドフィブリルに結合すると蛍光が増加するアミロイド特異的色素チオフラビンT(ThT)と共にインキュベートした。ThT蛍光スキャンは、DMSOストック(10mg/ml)をPBSに5倍(2mg/ml)に希釈することによって新たに調製したIL-18由来ペプチド及び室温(RT)での10分間のインキュベーションが明確なThTシグナルをもたらしたことを示した(図1B)。IL-18ペプチドがナノフィブリルを形成するというさらなる証拠は、陽性対照EF-Cに類似したフィブリル構造を示した透過型電子顕微鏡(TEM)解析によって得られた(図1D~J)。IL-18ペプチドが正に帯電したフィブリルを形成する能力を有するかどうかを決定するために、ゼータ電位を測定した。RK-10及びRM-8ナノフィブリルのみがEF-Cのような正のゼータ電位を示した(図1C)。
IL-18ペプチドによって形成されたナノフィブリルは、細胞毒性を示すことなく、HIV-1感染を増強する
HIV-1感染に対する効果を決定するために、CCR5向性HIV-1のストックを、プロウイルスDNAの293T細胞への一過性形質導入によって生成し、2日後に収穫した。HIV-1ストックを力価測定し、TZM-bl細胞の感染が最大の感染増強に達するために125の希釈倍率を選択した。HIV-1ウイルスを、段階希釈したIL-18ペプチドに添加し、混合物を使用して、レポーター遺伝子β-ガラクトシダーゼを含有するTZM-bl細胞をHIV-1-LTRプロモーターの制御下で感染させた(Weiら、2002)。Tat誘導性β-ガラクトシダーゼ活性を3日後に測定し、これは、RK-10、RM-8及び陽性対照EF-Cについてのみ、HIV-感染の用量依存性の増強を示した(図2A)。例えば、150μg/mlのRK-10、RM-8及びEF-Cでのウイルスの処理は、HIV-1感染を36~71倍増強したが、RS-12、RS-7及びFK-7は、弱い効果を示したか又は効果を示さなかった。生じ得る細胞毒性作用を解析するために、新たに溶解したペプチドをTZM-bl細胞と共に3日間インキュベートし、次いで代謝活性細胞による、黄色のMTTの紫色のホルマザン結晶への変換を測定することによって代謝活性を評価した。MTTアッセイは、いずれのIL-18ペプチドも細胞毒性ではなかったことを実証した(図2B)。
IL-18ペプチドフィブリルによって形成されたナノフィブリルはGALV-γ-RV感染を増強する
RM-8フィブリルが、CAR T細胞の作製のために現在使用されているγ-レトロウイルスベクター(γ-RV)(Schollerら、2012;Muulら、2003;Macphersonら、2005)の形質導入効率もまた増加させるかどうかを検討するために、テナガザル白血病ウイルスに由来する糖タンパク質でシュードタイプ化した、GFPをコードするRV(GALV-γ-RV)を生成した。段階希釈したペプチドをGALV-γ-RVと共にインキュベートし、Jurkat細胞にこのフィブリル混合物ミックスを感染させた。2日後、GFP発現をフローサイトメトリー解析によって決定した。RM-8、RK-10及びEF-Cフィブリルでの処理は、遺伝子送達率を対照における概ね1%から最大20~30%のGFP陽性細胞まで増強したが、他のペプチドは弱い増強活性のみを呈したことが認められた(図3)。
最短ペプチドRM-8の構造特性解析
8マーの内因性ペプチドであるRM-8は、HIV-1及びGALV-γ-RV感染に対してEF-Cに匹敵する増強活性を示した最短のIL-18ペプチドであった。RM-8フィブリルの二次構造を解析するために、減衰全反射フーリエ変換赤外(ATR-FTIR)分光測定をSiesteら、2021に従って実施した。したがって、RM-8を、DMSOストック(10mg/ml)をPBSに10倍(1mg/ml)に希釈することによって新たに調製し、RTで10分間インキュベートした。FTIRスペクトルは、高含量の分子間βシート構造の存在に特徴的な、およそ1632及び1676cm1におけるアミドI最大値によって支配された(図4)(Zandomeneghiら、2004)。天然の分子内二次要素の算出は、およそ75.9±3.4%のβシート含量という結果であった。さらに、前述のようにインキュベートしたRM-8の変換率(CR)を、Schillingら、2019に従って決定した。CRは、フィブリルを形成するペプチド単量体の量を測定する。RM-8は、97.0±2.6%という高いCRを示し、10分後の高いフィブリル化を実証した。
アラニンスキャニングからのRM-8類似体は、正に帯電したナノフィブリルを形成し、HIV-1及びGALV-γ-RV感染を増強する
RM-8における各アミノ酸の機能を、フィブリルを形成する能力及び感染を増強する能力に関して検討するために、アラニンスキャニングを実施した。したがって、RM-8の各残基をアラニンに変異させた(図5A)。RM-8類似体(A1~A8)に加えて、ペプチドQH-9を陰性対照として選択した。QH-9は、N末端の正のアミノ酸であるアルギニンを欠き、生理的pHにおいて負電荷となっているRM-8のバリアントである。RM-8類似体及びQH-9がナノフィブリルを形成するかどうかを検討するために、これらのペプチドのThTとの反応性を解析した。A4、A8及びQH-9を除くRM-8類似体について、ThTシグナルが検出された(図5B)。次に、ゼータ電位を決定した。予期されたように、A1及びQH-9はpI<7のために負のゼータ電位を示し、他のナノフィブリルは正のゼータ電位を示した(図5C)。
次に、RM-8類似体のHIV-1及びGALV-γ-RV感染に対する増強効果を調査した。したがって、HIV-1感染アッセイを上に記載したように実施した。アラニンスキャニングからのカチオン性ペプチドについて、HIV-1感染の濃度依存性の増強が測定された(図6A)。アニオン性ペプチドのA1及びQH-9は、最も高い濃度において感染をわずかに増幅した。
GALV-γ-RV粒子の濃度を、これまでの実験と比較して10倍増加して、GFP陽性細胞のより高い収率を達成した。EF-Cは、GFP陽性細胞の数を5.4%から72%まで、13倍増加させた(図6B)。RM-8では、感染の14倍の増加を観察することができ、これはおよそ76%のGFP陽性細胞を生じた。カチオン性RM-8類似体によって形成されたフィブリルもまた、RM-8と同様にGALV-γ-RVの遺伝子移入率を増加させた。アニオン性ペプチドのA1及びQH-9では、明確な感染増強は観察されなかった。
RM-8は、様々な糖タンパク質でシュードタイプ化したレンチウイルス及びレトロウイルスベクターの形質導入効率を増加させる
RM-8の形質導入増強に対する効果を、テナガザル白血病ウイルス(GALV)に由来する糖タンパク質、水疱性口内炎ウイルスに由来する糖タンパク質(VSV-G)、及びMLV gpに由来する細胞質尾部を有するネコ白血病ウイルス(RD114)に由来するキメラエンベロープ糖タンパク質(RD114/TR)を含む、遺伝子改変のために慣例的に使用されている異なるエンベロープを有するLV及びRVによる形質導入について解析した。加えて、これらのウイルス粒子に対するRM-8の増強活性を、T細胞の自動作製のためのMiltenyi BiotecのClin-iMACS Prodigy(登録商標)におけるT細胞形質導入プロセスに組み込まれたフィブリル形成性形質導入エンハンサーであるVectofusin(登録商標)-1(Radekら、2019)の増強活性と比較した。したがって、異なる糖タンパク質でシュードタイプ化した、GFPをコードするRV(図7A)及びルシフェラーゼをコードするLV(図8A、B)をペプチドと組み合わせ、標的細胞にそれらの混合物を感染させた。フローサイトメトリー解析は、3つ全てのペプチドについてGALV-γ-RVの同等の感染増強を明らかにし、GFP陽性細胞の数は約5%から60~69%まで増大した(図7A)。生じ得るペプチドの細胞毒性作用を決定するために、MTTアッセイ及びCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイを実施した。CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイは、細胞の生存率を、代謝的に活性な細胞の指標であるアデノシン三リン酸(ATP)の定量に基づいて測定するために使用することができる。いずれの細胞生存アッセイも、ペプチドのJurkat細胞に対する細胞毒性作用を明らかにしなかった(図7B、C)。しかしながら、一部の濃度において、代謝活性の有意な増加が観察された(図7C)。2日後に実施した、感染したHEK293T細胞のルシフェラーゼアッセイによって、RM-8及びEF-CはVSV-Gシュードタイプ化LVの形質導入率を増強したが、Vectofusin(登録商標)-1は増強活性を示さなかったことが実証された(図8A)。同様の結果はRD114/TR感染アッセイにおいても取得され、RM-8は、Vectofusin(登録商標)-1よりもはるかに高い遺伝子送達率を呈した(図8B)。異なる糖タンパク質を有する異なるレンチウイルス及びレトロウイルスベクターを用いて取得されたこれらのデータは、RM-8フィブリルが広範な増強活性を有することを示す。
RM-8ナノフィブリルは10日間安定である
適用中、医薬品の安定性は保証される必要があるため(Grassiら、2019)、本発明者らは、酸化に感受性のアミノ酸であるC末端メチオニンを含有するRM-8の安定性を超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によって解析した。その目的のために、RM-8ナノフィブリルを室温(RT)又は37℃で10分間、1時間、24時間又は10日間インキュベートし、続いてUPLC解析を行った。クロマトグラムは、各時点について同じ特異的ピークを示し(図9)、RM-8ナノフィブリルが経時的に安定であること、及びいずれのアミノ酸も副反応を受けないことを示した。
RM-8ナノフィブリルはヒトT細胞の形質導入をRetroNectinと同程度に効率的に増強する
RM-8ナノフィブリルをCAR T細胞様プロセスにおいて形質導入エンハンサーとして試験した。その目的のために、2名のドナーの活性化ヒトCD4+及びCD8+T細胞にGALV-γ-RVを形質導入した。形質導入したT細胞を7日間培養し、形質導入効率をフローサイトメトリーによって決定した。RM-8は、Vectofusin(登録商標)-1よりも効率的に形質導入率を増強し、この分野におけるゴールドスタンダードであるRetroNectinと同等の割合に達した一方で、細胞毒性を示さなかった(図10)。RM-8と対照的に、RetroNectinは、非常に高価であり、コーティング及び洗浄手順に時間がかかるため、適用が困難である。
RM-8誘導体は、ナノフィブリルを形成し、Jurkat細胞へのGALV-γ-RV形質導入を効率的に増強する
RM-8誘導体(ペプチド1~39、配列番号57~95)を、配列番号2~9(X1TIFIISM、RX2IFIISM、RTX2FIISM、RTIX2IISM、RTIFX2ISM、RTIFIX2SM、RTIFIIX2M、RTIFIISX2)に基づいて生成した。X1はKと置き換えた。X2はそれぞれ、I、P、G、T、K又はRと置き換えた。さらに、ヒトIL-18内に存在するRM-8のより長い2つの形態(ペプチド40、41;配列番号96及び97)を生成した。ペプチド42(配列番号98)は、2及び7位にRを含有するRM-8のバリアントである。全てのRM-8誘導体を以下の本明細書の表1に示す。
RM-8誘導体(ペプチド1~42)がナノフィブリルを形成するかどうかを検討するために、これらのペプチドのThTとの反応性を解析した。17、18、25及び26を除くRM-8誘導体について、ThTシグナルが検出された(図11A、B)。次に、RM-8誘導体のGALV-γ-RV感染に対する増強効果を調査した。その目的のために、段階希釈したペプチドをGALV-γ-RVと共に10分間インキュベートし、次いでこのミックスをJurkat細胞に添加した。3日後、フローサイトメトリーを使用して形質導入効率を決定した。大半のRM-8誘導体は、GFP+細胞の数を概ね2%から20%超まで増加させ、RM-8及びEF-Cと類似した活性を示した(図11C、D)。生じ得るペプチドの細胞毒性作用を決定するために、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイを実施した。その目的のために、Jurkat細胞を、希釈したペプチドと共に3日間インキュベートした。生存アッセイは、RM-8誘導体のJurkat細胞に対する細胞毒性作用を明らかにしなかった(図11E、F)。
文献:
Cornetta et al., J. Virol. Methods 1989, 23 (2), 187
Grassi et al., Amino Acids, 2019, 51, 1409-1431
Macpherson et al., J. Gene Med. 2005, 7 (5), 552-564.
Majdoul et al., J. Biol. Chem. 2016, 291 (5), 2161
Munch et al., Cell 2007, 131 (6), 1059
Muul et al., Blood 2003, 101 (7), 2563-2569
Papkalla et al., J. Virol. 2002, 76 (16), 8455-8459
Radek et al., Hum. Gene Ther. 2019, 30 (12), 1477-1493.
Schilling et al., Adv. Funct. Mater. 2019, 29, 1809112
Sieste et al., Adv. Funct. Mater. 2021, 2009382
Scholler et al., Sci. Transl. Med., 2012, 4 (132), 132ra53
Wei et al., Antimicrob. Agents Chemother. 2002, 46 (6), 1896-1905.
Wurm et al., J. Gene Med. 2010, 12 (2), 137
Yolamanova et al., Nat. Nanotechnol. 2013, 8 (2), 130
Zandomeneghi et al., Protein Sci., 2009, 13, 3314-3321
Figure 2024512088000002
Figure 2024512088000003

Claims (15)

  1. 8~20アミノ酸の配列からなるフィブリルペプチドであって、アミノ酸配列RTIFIISM(配列番号1)又はそれと少なくとも75%同一の配列を含む、フィブリルペプチド。
  2. アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1は正に帯電したアミノ酸、好ましくはR、K又はHであり、X2は任意のアミノ酸である)を含む、請求項1に記載のフィブリルペプチド。
  3. アミノ酸配列X1TIFIISM(配列番号2)、RX2IFIISM(配列番号3)、RTX2FIISM(配列番号4)、RTIX2IISM(配列番号5)、RTIFX2ISM(配列番号6)、RTIFIX2SM(配列番号7)、RTIFIIX2M(配列番号8)、又はRTIFIISX2(配列番号9)(式中、X1はR又はKであり、X2は、A、V、L、I、M、F、T、及び負に帯電していないそれらの誘導体からなるリストから選択される)を含む、請求項1又は2に記載のフィブリルペプチド。
  4. 前記誘導体が、直鎖アミノ酸、好ましくはホモアラニン、ノルバリン、若しくはノルロイシン;D-アミノ酸、好ましくはD-アラニン、D-ロイシン、若しくはD-イソロイシン;非アルファアミノ酸、好ましくはベータアラニン若しくはガンマアミノ酪酸;同じ化学基の原子での原子の交換を含む誘導体、好ましくはセレノメチオニン;及び/又はアミノ酸の天然に存在する誘導体、好ましくはヒプシンである、請求項3に記載のフィブリルペプチド。
  5. アミノ酸配列RTIFIISMX3X4、RAIFIISMX3X4、RTAFIISMX3X4、RTIAIISMX3X4、RTIFAISMX3X4、RTIFIASMX3X4、RTIFIIAMX3X4、RTIFIISAX3X4(式中、X3及びX4は任意のアミノ酸から独立に選択されるか、又はX3及び/若しくはX4は存在しない)からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド。
  6. アミノ酸配列RTIFIISM、RAIFIISM、RTAFIISM、RTIAIISM、RTIFAISM、RTIFIASM、RTIFIIAM、RTIFIISA、RTIFIISMY、RAIFIISMY、RTAFIISMY、RTIAIISMY、RTIFAISMY、RTIFIASMY、RTIFIIAMY、RTIFIISAY、RTIFIISMA、RTIFIISMYK、RAIFIISMYK、RTAFIISMYK、RTIAIISMYK、RTIFAISMYK、RTIFIASMYK、RTIFIIAMYK、RTIFIISAYK、RTIFIISMAK、又はRTIFIISMYAからなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド。
  7. アミノ酸配列RTIFIISM、RAIFIISM、RTAFIISM、RTIAIISM、RTIFAISM、RTIFIASM、RTIFIIAM、RTIFIISA、又はRTIFIISMYKからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド。
  8. 低免疫原性を有する、好ましくは、哺乳動物、好ましくはヒトに対して非免疫原性である、請求項1から7のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド。
  9. 粒子に含まれるカーゴを宿主細胞に送達する方法であって、
    a)前記宿主細胞を、前記粒子及び請求項1から8のいずれか一項に記載のフィブリルペプチドと接触させること、それによって、
    b)前記カーゴを前記宿主細胞に送達すること
    を含む、方法。
  10. 前記粒子が、ウイルス粒子、ウイルス様粒子、又はウイルスの少なくとも1つのポリペプチドを含むリポソームである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記粒子に含まれる前記カーゴが、生物学的高分子又は医薬化合物である、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 疾患の処置における使用のための、好ましくはがん、遺伝性疾患、及び/又は神経変性疾患の処置及び/又は予防における使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド。
  13. 粒子に含まれるカーゴを細胞に送達するための、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィブリルペプチドの使用、好ましくはin vitroにおける使用。
  14. 請求項1から8のいずれか一項に記載のフィブリルペプチド並びに少なくとも1種の溶媒及び/又は希釈剤を含むキット。
  15. 請求項1から8のいずれか一項に記載のフィブリルペプチドを含むデバイス。
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