JP2024511604A - 治療に使用するための組換えii型コラーゲン - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒトまたは動物の患者の軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための組換えII型コラーゲン、特に非変性組換えII型コラーゲンに関する。【選択図】なし

Description

以下の本発明は、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための組換えII型コラーゲンに関する。
コラーゲンは、哺乳類、鳥類および魚類などの動物に含まれる細胞外構造タンパク質である。これは、通常は結合組織内で特に細胞外マトリックスの構成要素として存在している。腱、靭帯、軟骨および骨には特にコラーゲンが多く含まれている。一方、コラーゲンは、天然では植物や単細胞生物には存在しない。
コラーゲンには、構造的にも機能的にも様々に異なる種類があり、特にその構造、機能および由来が異なる。コラーゲンを構成するポリペプチド鎖は、細胞内で小胞体のリボソームにて比較的大きな前駆体分子の形で個別に合成され、広範な反復配列(Gly-X-Y)nを有しており、ここで、XおよびYは、いずれのアミノ酸であってもよいが、通常はプロリンおよび4-ヒドロキシプロリンである。
これらの前駆体ポリペプチド鎖は、小胞体で翻訳後にヒドロキシル化され、ポリペプチド鎖のプロリン残基およびリジン残基にヒドロキシプロリン残基およびヒドロキシリジン残基が形成される。ヒドロキシル化は、細胞内でそれぞれ3本の前駆体ポリペプチド鎖から形成される右巻き三重らせん(プロコラーゲン)の隣接するコラーゲンポリペプチド鎖を安定化させる役割を果たす。
このようにして形成されたプロコラーゲンは、細胞内でグリコシル化され、グリコシル化された三重らせんの形態(トロポコラーゲン)で細胞から分泌され、その後、ペプチダーゼを介した末端残基の切断により成熟したコラーゲンが形成される。これがフィブリル化の過程で集まってコラーゲンフィブリルとなり、これがその後共有結合により架橋して、コラーゲン線維を形成する。
コラーゲンは、変性した、その場合にはゼラチンとも称されることがある形態や、その加水分解物の形態でもしばしば使用される。
コラーゲンペプチドを得るためにゼラチンまたはコラーゲンを加水分解プロセス、特に酵素加水分解に供すると、使用するコラーゲンの種類および由来、ならびに酵素の条件に応じて様々な組成および適用プロファイルのコラーゲン加水分解物を製造することができる。ただし、これらのコラーゲン加水分解物は、分子量が特定のサイズ範囲内に分布するペプチドの混合物である。このようなコラーゲン加水分解物を、例えば栄養補助食品や化粧用助剤として、特に骨、関節または結合組織に関連する疾患の予防および/または治療に使用することは、長い間知られている。
例えば国際公開第2012/065782号には、豚皮ゼラチンから得られたコラーゲン加水分解物が記載されている。この加水分解物は、肌細胞による細胞外マトリックスタンパク質の生合成を刺激する働きがあり、特に化粧用途に適している。国際公開第2012/117012号には、平均分子量が1500~8000Daのウシの結合組織層由来の酵素加水分解コラーゲンが開示されており、これは骨粗鬆症の予防および/または治療のためにプレバイオティクスと一緒に使用することができる。
多くの用途や消費者層では、動物材料から得られたコラーゲンやコラーゲン加水分解物の使用は有利であるが、特定の消費者層や用途特性では、そのようにして得られたコラーゲン加水分解物の使用が望ましくない場合もある。例えば、特定の消費者層は、例えばプロセス助剤などの健康に有害な微生物や薬剤による汚染や望ましくない免疫反応が懸念されることからにせよ、あるいは宗教的もしくは倫理的な動機からにせよ、動物材料から得られた原材料に対して根本的に批判的または否定的である。さらに、動物材料から得られるコラーゲン加水分解物を得るために使用される製造プロセスは、煩雑でかつ高コストの消化、精製および後処理工程を伴うことが多い。
このような背景から、バイオテクノロジーにより遺伝子組換え技術を用いてゼラチン、コラーゲン、コラーゲン加水分解物および個々のコラーゲンペプチドを製造する方法が開発されたのは当然のことである。
例えば国際公開第2006/052451号には、ヒトのプロリルヒドロキシラーゼをも発現するピキア・パストリス(Pichia pastoris)株における組換えIII型コラーゲンの製造が開示されている。国際公開第2005/012356号には、ヒトI型コラーゲンと、それぞれ完全にヒドロキシル化された、部分的にヒドロキシル化されたおよびヒドロキシル化されていない形態の50kDa、65kDaおよび100kDaのサイズの個々のコラーゲンペプチド種とからのゼラチンの製造が開示されている。Olsenら(Protein Expression and Purification, 2005, 40, pg. 346-357)は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)において、ヒトコラーゲンα1鎖から8.5kDaのコラーゲンペプチド種を組換え製造することを開示している。国際公開第01/34646号にも同様に個々の組換えゼラチン種の製造が開示されており、これらのゼラチン種は、それぞれが組換えによる製造経路により生じた所定の350kDaまでの分子量を有しており、ヒドロキシル化されていない、部分的にヒドロキシル化された、または完全にヒドロキシル化された形態で存在し得る。
II型コラーゲンは軟骨組織に特異的に生じるコラーゲンであり、そこに通常はα1鎖のホモ三量体の形態で存在する。組換えII型コラーゲンペプチドの製造、プロリル-4-ヒドロキシラーゼによるそのヒドロキシル化、その水素化、プロコラーゲンの形成、およびそれに付随する三重らせんの形成は、例えば米国特許第5,593,859号明細書に記載されている。
米国特許第5,399,347号明細書には、関節炎の治療のために天然由来の水溶性の高純度II型コラーゲンを経口投与することが記載されている。しかし、このコラーゲンの製造は非常に困難でコストがかかり、さらに特に微生物による汚染の影響を受けやすい。
米国特許第5,750,144号明細書、米国特許第5,645,851号明細書、米国特許第5,529,786号明細書および米国特許第5,637,321号明細書から、II型コラーゲンを含む動物組織含有組成物を提供し、これを関節リウマチの治療のために経口投与することが知られている。これらの文献には、特に、天然の動物源から得られた軟骨組織含有材料を使用し、そこから種々の化学的・物理的処理工程を経てII型コラーゲン含有組成物を得ることが開示されている。このようにして得られるII型コラーゲン含有組成物は、一方では非変性II型コラーゲンの存在により、他方では出発材料および単離工程に由来する多数の二次成分、特にタンパク質、抗原および塩の存在により特徴付けられる。これらの組成物の調製は、天然源から高度に精製されたII型コラーゲンを製造することに比べれば複雑な処理工程を必要としないが、天然源に由来するため、製造される調製物は出発材料ごとに異なる。加えて、組成物中に含まれるII型コラーゲンが変性されず、病原体による汚染が回避されることを、製造プロセスおよび加工プロセス全体を通じて保証する必要がある。
米国特許第7,083,820号明細書および欧州特許第1435906号明細書には、非変性II型コラーゲンを含む動物組織含有組成物を得るためのプロセスの使用が開示されており、その際、特定の処理工程により、微生物汚染物質が除去されると同時に、II型コラーゲンの本来の非変性形態も維持される。
国民の多くが健康、可動性および良好な体調を、それぞれ高齢になってもより一層求めるようになっていることも考慮すると、軟骨の健康の改善および/または維持や軟骨疾患の治療のための食品や栄養補助食品や医薬組成物には依然として大きな需要がある。
したがって、本発明は、上述の欠点を克服し、特に標準化され、確実性が高くかつ厳密に定められた形態で、より大工業的でかつ低コストの規模でも製造することができ、かつその生物学的有効性ゆえにヒトもしくは動物の身体の軟骨疾患を経口的に治療し、かつ/または軟骨の健康を維持する方法への使用に適しているII型コラーゲンを提供するという技術的課題に基づく。
本発明は、独立請求項の教示、特にまた本明細書の好ましい実施形態の教示および従属請求項の教示を提供することにより、その基礎となる技術的課題を解決するものである。
本発明は、ヒトまたは動物の患者の軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための組換えII型コラーゲンであって、特に非変性組換えII型コラーゲンに関する。
本発明は、組換えにより製造されたII型コラーゲンが、特に単離された形態でも、経口投与後に軟骨疾患を治療できるという驚くべき教示に基づいている。治療上有効なII型コラーゲン組成物の製造に先行技術において必要とされる材料および処理工程、特に、天然の動物軟骨組織の利用、およびこの出発組織中に存在するコラーゲンの天然性を保持するための特定の処理工程の使用が、使用されないかあるいは実施されず、さらに、出発材料中に存在する二次成分が、本発明により提供される組換えにより製造されたII型コラーゲン中には存在しないにもかかわらず、本発明の方法様式にしたがって組換えにより製造されたII型コラーゲンの生物学的有効性、特に驚くほど高い生物学的有効性を示すことができた。驚くべきことに、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、生物学的有効性、特に天然源から得られるII型コラーゲンが示すものと少なくとも同等の生物学的有効性を示すことができ、特に、改善された生物学的有効性さえも提供される。好ましい実施形態では、本発明は、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの高い生物学的有効性により、ヒトまたは動物の患者の軟骨疾患を非常に低い投与量、すなわち低濃度のII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドで治療することを可能にする。
特に好ましい実施形態では、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、免疫調節軟骨疾患、特に自己免疫疾患、特に多発性軟骨炎または関節リウマチの治療が可能である。
特に好ましい実施形態では、免疫調節軟骨疾患は、免疫不寛容を特徴とする疾患である。
本発明はまた、軟骨疾患の治療のための組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドに関し、その際、軟骨疾患は、炎症性および/または変形性軟骨疾患、特に関節リウマチまたは関節症であってよい。
本発明はまた、経口免疫寛容を誘導するための、特に、内因性コラーゲン、特に内因性II型コラーゲン、特に軟骨組織に存在する内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容を誘導するための組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドに関する。
本発明は特に、特にII型コラーゲンに対する免疫寛容の誘導によるII型コラーゲンに対する免疫不寛容の治療的処置方法または治療的予防方法に使用するための、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドおよび組換えII型コラーゲン含有組成物、特に組換えII型コラーゲンペプチド含有組成物に関する。
本発明はまた、II型コラーゲンに対する免疫寛容を誘導する方法に使用するための、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドであって、特に、投与によりII型コラーゲンに対する経口免疫寛容の誘導をもたらす組成物に関する。
したがって、本発明の教示は、標準化された方法で製造可能であり、その製造を工業的規模で実施することができ、天然出発材料に制限されることなく、高純度、高収率でコンタミネーションフリーで製造可能であり、特に、その高い生物学的有効性ゆえに低用量での使用が可能であることを特徴とする、軟骨疾患を経口的に治療するための、再現性のある、バイオテクノロジーにより製造可能な組換えII型コラーゲンを有利に提供する。
本発明により使用される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、経口投与後にヒトまたは動物の身体において発揮される生物学的有効性、特に免疫調節性および/または炎症調節性の生物学的有効性を特徴とする。特に好ましい実施形態では、この生物学的有効性は、特に、非変性形態、すなわちネイティブな形態で存在する組換えII型コラーゲンの全長について存在するが、好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンペプチドの形態で存在する短縮された長さのコラーゲンペプチドについても存在する。
好ましくは、本発明により提供されるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、免疫調節および/または経口免疫寛容の誘導が可能であり、特に、治療されたヒトまたは動物の身体において免疫応答および/または経口免疫寛容の誘導を引き起こす。
本発明により提供される組換えII型コラーゲンは、好ましくは、免疫グロブリンの合成を抑制する生物学的有効性および/または抗炎症生物学的有効性を発揮する。したがって、本発明によれば、炎症性サイトカインの減少および抗炎症性サイトカインの刺激を確認することができた。理論に束縛されるものではないが、本発明により提供される経口投与される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、完全にまたはほぼインタクトな状態で胃腸通過に耐え、免疫を調節する、特に免疫抑制細胞、特にパイエル板の細胞において、免疫調節反応および/またはサイトカイン調節反応および/またはシグナル伝達カスケードを引き起こし、これにより、軟骨、特に関節軟骨の領域における望ましくない免疫反応および炎症プロセスが低減されるか、または完全に阻止される。
したがって、損傷または変形した軟骨組織の中または上に存在する内因性II型コラーゲンまたはその断片が、自己免疫反応を誘発し得ることが知られており、この自己免疫反応は、軟骨において炎症、免疫グロブリンの形成ならびに変形および破壊プロセスを招き、これらが、さらなる軟骨の破壊や変形の一因となり、最終的に関節症、関節リウマチおよび類似の疾患の出現を引き起こす。本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの経口投与によって、このような望ましくない反応を引き起こす内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容が生じ、それにより軟骨疾患の治療が可能となるものと考えられる。
本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、好ましくは、治療されたヒトまたは動物の患者の細胞と、特にパイエル板の細胞と相互作用し、特に抗炎症性サイトカインの刺激および炎症性サイトカインの阻害、ならびに免疫グロブリンの阻害をもたらす能力を有する。
好ましくは、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、末梢血単球の免疫抑制性M2マクロファージへの分化を誘導する効果を示す。
もう1つの好ましい実施形態では、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、炎症性サイトカイン、特にTNFαおよびIFNγの合成の減少、ならびに/または抗炎症性サイトカイン、特にIL-10の合成の誘導をもたらす。
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、ナイーブCD4+T前駆細胞のサプレッサーT細胞への分化の刺激/誘導をもたらす。特に好ましくは、ナイーブCD4+T前駆細胞のサプレッサーT細胞への分化の刺激/誘導により、抗炎症性サイトカイン、好ましくはIL-10、IL-4および/またはTGF-βの放出の増加が生じる。
本発明の好ましい一実施形態では、本発明により提供される組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、軟骨細胞、特に関節軟骨細胞による炎症性サイトカイン、好ましくはIL-1β、TNFαおよび/またはIL-6の発現の減少を生じさせる。
本発明の特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンは、非変性形態、すなわちネイティブな形態で存在する。
本発明の特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンは、三重らせんの形態で存在する。
好ましい実施形態では、本発明は、組換えII型コラーゲンであって、II型コラーゲンペプチドの形態、すなわち一本鎖の形態で存在してもよいし、多本鎖、例えば二本鎖または三本鎖の形態で存在してもよく、これは本明細書において三重らせんの形態とも称され、特にII型プロコラーゲンまたは成熟II型コラーゲン、特にII型α1鎖のホモ三量体の形態で存在してもよい、組換えII型コラーゲンを提供する。
本発明による組換えII型コラーゲンが、一本鎖のII型コラーゲンペプチドとしてではなく、例えば三重らせんの形態で存在する場合、三重らせんの形態の組換えII型コラーゲンペプチドを構成する個々のコラーゲンペプチドの1つまたはすべてが、本発明によるものであってよい。特に、組換えII型コラーゲンペプチドに関する本教示に開示される実施形態は、そのような一本鎖のII型コラーゲンペプチドを1つ、2つまたは3つ有し、特に完全にこれらから構成され、特に本発明による組換えII型コラーゲンペプチドからなるII型コラーゲンにも適用される。
特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンは、ウシII型コラーゲン(IIB型コラーゲン)であってよい。
さらなる特に好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲンは、II型プロコラーゲンまたは成熟II型コラーゲンの形態で存在することができる。
さらなる特に好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲンは、三重らせんの形態、特に3つのII型α1鎖のホモ三量体の形態で存在することができる。
特に好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲンは、非変性形態で存在し、これは本明細書においてネイティブな形態とも称され、すなわち、組換えII型コラーゲンは、天然に存在する3次および4次タンパク質構造を有する。
特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンは、架橋または非架橋フィブリルの形態で存在することができる。
特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、全長コラーゲンペプチドであってよく、すなわち、天然に存在するII型コラーゲンペプチドの完全なアミノ酸配列を有することができる。
他の特に好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲンは、II型コラーゲンペプチドの形態で存在する。
特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、5~400kDa、特に10~390kDa、特に10~350kDa、特に10~300kDa、特に10~110kDa、特に40~110kDa、特に40~100kDa、特に11~105kDa、特に15~100kDa、特に20~99kDa、特に25~95kDa、特に30~95kDa、特に35~95kDaの範囲の分子量を有するII型コラーゲンペプチドであってよい。好ましくは、組換えII型コラーゲン、特にコラーゲンペプチドは、40~50kDaの範囲、特に45kDaの分子量を有する。
特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンペプチドは、三重らせんの形態で存在することができる。
特に好ましい実施形態では、本発明の組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、完全にもしくは部分的にヒドロキシル化されているか、完全にもしくは部分的にグリコシル化されているか、または完全にもしくは部分的にヒドロキシル化されかつグリコシル化されている。
特に好ましい実施形態では、本発明による組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されていないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。
もう1つの好ましい実施形態では、本発明による組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されているII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。
好ましくは、組換えII型コラーゲン、特に組換えにより製造されたII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されているプロリンおよび/またはヒドロキシル化されているリジンを有する。
好ましくは、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されていない、部分的にヒドロキシル化されている、または完全にヒドロキシル化されているII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、グリコシル化されている。好ましくは、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されている少なくとも1つのリジン上でグリコシル化されている。好ましくは、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドのヒドロキシル化されているリジンはすべてグリコシル化されている。
本発明の好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、アミノ酸修飾されておらず、特にヒドロキシル化されていない。特に好ましくは、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されたおよび/またはグリコシル化されたアミノ酸を有しない。
好ましくは、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、脊椎動物、特に魚類、両生類、爬虫類、鳥類および哺乳類、特にブタ、ヒツジ、ウシ、齧歯類、カンガルー、ウマまたは無脊椎動物、特にクラゲに由来するII型コラーゲン中に存在するアミノ酸配列、特にウシに由来するII型コラーゲン中に存在するアミノ酸配列を有する。
特に好ましくは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。好ましくは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
好ましくは、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在するII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列である。好ましくは、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列は、天然に存在しないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列である。好ましくは、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列は、遺伝子組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列である。
特に好ましくは、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、非ヒトコラーゲン、特に非ヒトII型コラーゲンペプチド中、好ましくは非ヒトII型コラーゲンのα1鎖中に存在するアミノ酸配列を有し、特にウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、魚または鳥のコラーゲン中に存在するアミノ酸配列を有し、特にウシのコラーゲン中に存在するアミノ酸配列を有する。
本発明の好ましい一実施形態では、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、コラゲナーゼ耐性を示し、特にヒトのコラゲナーゼによる消化に耐性を示す。
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、特に内因性コラーゲン、特に内因性II型コラーゲン、特に軟骨組織に存在する内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容を誘導することができる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、免疫グロブリンの合成を抑制することができる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、炎症性サイトカインの合成を抑制することができる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、抗炎症性サイトカインの合成を刺激することができる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、免疫グロブリンの合成を抑制し、炎症性サイトカインの合成を抑制し、かつ抗炎症性サイトカインの合成を刺激することができる。本発明の好ましい一実施形態によれば、ヒトまたは動物の患者の軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、5~400kDa、特に10~390kDa、特に10~350kDa、特に10~300kDa、特に10~110kDa、特に40~110kDa、特に40~100kDa、特に11~105kDa、特に15~100kDa、特に20~99kDa、特に25~95kDa、特に30~95kDa、特に35~95kDaの範囲の分子量を有する。好ましくは、組換えII型コラーゲンは、40~50kDaの範囲、特に45kDaの分子量を有する。
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、単独で、すなわち単離された形態で、すなわちさらなる物質なしで、本発明において提供される使用において用いられる。
本発明の好ましい実施形態では、本発明による組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、均質な調製物として存在し、特に、均一な分子量を有する単一の組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの均質な調製物として存在する。
本発明のもう1つの実施形態では、本発明による組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、本発明により提供される使用において生物学的有効性を示す唯一の物質として用いられる。
特に好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に少なくとも1つの組換えII型コラーゲンペプチドを含む組成物であって、少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に少なくとも1つの組換えII型コラーゲンペプチドならびに任意に製薬学的に許容されるおよび/または食品に適合する担体以外に、他の物質を含まない組成物に関する。
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に少なくとも1つの組換えII型コラーゲンペプチドを含む組成物は、ヒトまたは動物の体内への経口投与に適した剤形で存在する。
本発明はまた、軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための、本発明による少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に少なくとも1つの組換えII型コラーゲンペプチドと、製薬学的に許容されるおよび/または食品に適合する少なくとも1つの担体と、任意に少なくとも1つの添加物質または賦形剤とを含む組成物に関する。
したがって、本発明はまた、II型コラーゲン、特に内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容の誘導によるII型コラーゲン、特に内因性II型コラーゲンに対する免疫不寛容応答の治療的予防方法または治療的処置方法に使用するための組成物に関する。
本発明はまた、II型コラーゲン、特に内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容を誘導する方法に使用するための組成物であって、該組成物は、ヒトまたは動物の身体において経口免疫寛容の誘導をもたらす組成物に関する。
本発明はまた、II型コラーゲン、特に内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容の誘導に使用するための、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチド含有組成物、特に、医薬組成物もしくは栄養補助食品または食品もしくは嗜好品に関する。
本発明による経口投与用組成物は、特に、医薬組成物もしくは栄養補助食品または食品もしくは嗜好品であってよい。特に、本発明による組成物は、医薬組成物である。特に、本発明による組成物は、栄養補助食品である。
本発明は、特に、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドと、製薬学的に許容される少なくとも1つの担体とを含む医薬組成物であって、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための医薬組成物に関する。したがって、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを医薬組成物の形態で施与することを提供することができる。特に有利に、本発明による医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ剤、チュアブル錠剤、粉末剤、顆粒剤、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、カプセル剤、バイトカプセル剤、糖剤、香錠剤、押出成形物剤、液剤、懸濁剤、ゲル剤または軟膏剤の形態で施与される。
本発明の特に好ましい一実施形態では、本発明により使用されるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、持続的な腸内放出を可能にする剤形、特に持続放出カプセルで存在する。
特に好ましい実施形態では、本発明による組成物は、経口投与に適した形態で存在し、特に組換えII型コラーゲン1~60mg/日、特に5~50mg/日の用量での経口投与に適した形態で存在する。
本発明はさらに、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドと、食品に許容される少なくとも1つの担体とを含む栄養補助食品であって、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための栄養補助食品に関する。したがって、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを栄養補助食品の形態で施与することを提供することができる。特に有利に、本発明による栄養補助食品は、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、カプセル剤、バイトカプセル剤、錠剤、糖剤、香錠剤、サシェ、押出成形物剤、溶液剤、懸濁剤またはゲル剤として、例えばアンプル内で、顆粒剤または粉末剤として存在する。
本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを含む食品または嗜好品であって、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための食品または嗜好品も、本発明の主題である。好ましい一実施形態によれば、食品または嗜好品は、チョコレートバー、プロテインバー、シリアルバー、飲料調製用インスタントパウダー、牛乳、乳製品、例えばヨーグルト、ホエイもしくはクワルク、ならびに乳製品代替品、例えば豆乳、ライスミルク、アーモンドミルクおよびココナッツミルク、機能性食品または飲料、例えば清涼飲料水、フィットネス用飲料である。
本発明の好ましい一実施形態による組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが、組成物、特に医薬組成物、栄養補助食品または食品もしくは嗜好品の生物学的有効性を示す唯一の成分として使用されないことを条件として、これを、特に全般的な健康、特に軟骨の健康および/または持久力に良い影響を与える1つ以上の他の添加物質または賦形剤と組み合わせてもよい。本発明による好ましい賦形剤は、ビタミンC、各種ビタミンB、D、EおよびK、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、共役リノール酸、カフェインおよびその誘導体、ガラナ抽出物、ローズヒップ抽出物、緑茶抽出物、エピガロカテキンガレート、クレアチン、L-カルニチン、α-リポ酸、N-アセチルシステイン、NADH、D-リボース、アスパラギン酸マグネシウム、抗酸化物質、例えばアントシアン、カロチノイド、フラボノイド、レスベラトロール、グルタチオンおよびスーパーオキシドディスムターゼ、ミネラル物質、例えば鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレンおよびリン、ならびに他のタンパク質、加水分解物およびペプチド、例えばダイズタンパク質、コムギタンパク質およびホエイプロテインからなる群から選択される。
特に好ましい一実施形態では、本発明による組成物、特に医薬組成物、栄養補助食品または食品もしくは嗜好品が、賦形剤、例えば、コンドロチン、コンドロチン硫酸塩、ヒアルロン酸、アフラピン、ユニベスチン5-グロクシン、グルコサミン、グルコサミン硫酸塩および/またはメチルスルホニルメタン(MSM)を含むことを提供することができる。
もう1つの好ましい実施形態では、本発明による組成物、特に医薬組成物が、栄養補助食品または食品もしくは嗜好品、添加物質を含み、ここで、添加物質は、組換えにより製造されたコラーゲン加水分解物、天然源由来のコラーゲン加水分解物、組換えにより製造されたI型コラーゲン、天然源から得られたI型コラーゲンまたはそれらの組み合わせであってよいことを提供することができる。
本発明のさらなる好ましい実施形態では、本発明による生成物、特に医薬組成物、栄養補助食品または食品もしくは嗜好品は、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチド以外に、他のタンパク質またはペプチド、特に他のコラーゲンペプチドを含まない。
本発明はまた、軟骨疾患を治療、特に予防および/または治療する方法であって、治療目的に十分な量の本発明による少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを、任意に担体および任意に賦形剤または添加物質とともにヒトまたは動物の身体に経口投与する方法に関する。
本発明はまた、ヒトまたは動物の体内でII型コラーゲン、特に内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容を誘導する方法であって、該方法は、治療目的に十分な量の本発明による少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを、任意に担体および任意に賦形剤または添加物質を用いて投与することを含み、該投与を経口的に行う方法に関する。
本発明はまた、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドに対する免疫不寛容の治療的処置方法または治療的予防方法であって、該方法は、治療目的に十分な量の本発明による少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドを、任意に担体および任意に賦形剤または添加物質を用いて経口投与することを含む方法に関する。
本発明はまた、ヒトまたは動物の軟骨の健康を維持するための非治療的方法における組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの使用であって、該使用によれば、軟骨の健康を維持するのに十分な量の本発明による少なくとも1つの組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドが、任意に担体および任意に賦形剤または添加物質とともにヒトまたは動物の身体に経口投与される、使用に関する。本発明の特に好ましい実施形態では、ヒトまたは動物は、軟骨疾患を有していない。したがって、特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの経口投与を、軟骨疾患を有しておらず、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの投与により軟骨の健康を維持するヒトまたは動物に提供することができる。
さらに本発明は、本発明により使用可能な組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの製造方法であって、
a)少なくとも1つの発現カセットを有する発現系を提供する処理工程であって、発現カセットは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を有する処理工程と、
b)II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現を可能にする条件下で発現系を培養する処理工程と、
c)本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを回収する処理工程と
を含む方法に関する。
本発明により使用可能な組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの本発明により提供される製造方法は、特に、厳密に定められかつ組換えにより製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが得られ、該II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが特に、その生物学的有効性ゆえに、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法または軟骨の健康を維持するための方法に使用するのに適していることを特徴とする。
本発明により提供されるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、天然源から加水分解して得られるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドと比較して、その組換えによる製造様式ゆえに特に高い純度を示す。さらに、非常に多様な発現系で、工業的規模でも望ましくない汚染を伴うことなく当該II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを提供することができ、またこれと同時に、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、有利に生物学的有効性を示す。
組換えII型コラーゲンおよびその製造については、例えば米国特許第5,593,859号明細書に記載されている。この文献には、組換えII型コラーゲンペプチドの回収ならびに組換え細胞培養におけるプロコラーゲンの回収のためのヒドロキシル化および線維形成について開示されており、組換えII型コラーゲンおよび組換えII型コラーゲンペプチド、特にヒドロキシル化および三重らせんの形態のコラーゲンの製造に関して、本開示に完全に援用される。
好ましい実施形態では、有利にも、本発明により見出されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの生物学的有効性、ひいては、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法における使用への適合性は、さらなる加工工程を必要とせずに、本発明による方法から直接得られたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドにすでに生じている。よって、本発明によるヒドロキシル化されているII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドも、ヒドロキシル化されていないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドもいずれも、好ましい実施形態では生物学的有効性を示し、特に、天然源から得られたII型コラーゲンと少なくとも同等の生物学的有効性を示し、特に好ましくは、天然源から得られたII型コラーゲンよりも優れた生物学的有効性を示す。
この点で特に有利であるのは、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが、驚くべきことに、ヒドロキシル化されていない形態でも生物学的有効性を示し、好ましくは、天然源から得られたII型コラーゲンと同等の生物学的有効性を示し、特に好ましくは、天然源から得られたII型コラーゲンよりも優れた生物学的有効性を示すことである。
好ましくは、本発明によるヒドロキシル化されているII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドも、ヒドロキシル化されていないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドも、生物学的有効性を示し、好ましくは、天然源から得られたII型コラーゲンと少なくとも同等の生物学的有効性を示し、特に好ましくは、天然源から得られたII型コラーゲンよりも優れた生物学的有効性を示す。
好ましくは、工程a)で提供される発現系は、宿主細胞、特に原核細胞または真核細胞である。
好ましくは、発現系は、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、哺乳類細胞、昆虫細胞および植物細胞からなる群から選択される宿主細胞である。
好ましくは、発現系、特に宿主細胞は、細菌細胞、特に大腸菌(Escherichia coli)または枯草菌(Bacillus subtilis)の種の細菌細胞である。
もう1つの好ましい実施形態では、発現系、特に宿主細胞は、酵母細胞、特にサッカロミケス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)またはオガタエア・アングスタ(Ogataea angusta)(ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))、特にピキア・パストリス(Pichia pastoris)の種の酵母細胞である。
好ましくは、発現系、特に宿主細胞は、真菌細胞、特にクロコウジカビ(Aspergillus niger)の種の真菌細胞である。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、発現系、特に宿主細胞は、哺乳類細胞、特にCHO細胞、HeLa細胞またはHEK293細胞である。
好ましくは、発現系、特に宿主細胞は、昆虫細胞、特にSf-9、Sf-21またはTn-5細胞である。
好ましくは、発現系、特に宿主細胞は、植物細胞、特にトウモロコシ細胞またはタバコ細胞である。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、工程a)で提供される発現系は、発現されたコラーゲンペプチドのプロリン残基、リジン残基またはプロリン残基およびリジン残基をヒドロキシル化することができる宿主細胞である。好ましくは、工程a)で提供される発現系は、発現されたコラーゲンペプチドのプロリン残基、リジン残基またはプロリン残基およびリジン残基をヒドロキシル化することができる宿主細胞である。
好ましくは、工程a)で提供される発現系は、プロリルヒドロキシラーゼ活性および/またはリシルヒドロキシラーゼ活性を示す発現系である。好ましくは、工程a)で提供される発現系は、プロリルヒドロキシラーゼ活性および/またはリシルヒドロキシラーゼ活性を示す宿主細胞である。
好ましい一実施形態では、工程a)で提供される発現系は、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットを有する宿主細胞である。特に好ましくは、工程a)で提供される発現系は、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットを有する宿主細胞であり、したがって、処理工程c)において、イン・ビボでヒドロキシル化されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが回収される。
好ましい一実施形態では、工程a)で提供される発現系は、リシルヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットを有する宿主細胞である。特に好ましくは、工程a)で提供される発現系は、リシルヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットを有する宿主細胞であり、したがって、処理工程c)において、イン・ビボでヒドロキシル化されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが回収される。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、工程a)で提供される発現系は、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットと、リシルヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットとを有する宿主細胞である。特に好ましくは、工程a)で提供される発現系は、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットと、リシルヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現カセットとを有する宿主細胞であり、したがって、処理工程c)において、イン・ビボでヒドロキシル化されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが回収される。
本発明の好ましい一実施形態では、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含む。特に好ましくは、プロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、単量体プロリル-4-ヒドロキシラーゼ、特に配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するプロリル-4-ヒドロキシラーゼ、好ましくは配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるプロリル-4-ヒドロキシラーゼをコードする。
よって、本発明はまた、本発明により使用可能な組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの製造方法、特にイン・ビボでヒドロキシル化されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの製造方法であって、
a)少なくとも1つの発現カセットを有する発現系を提供する処理工程であって、発現カセットは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を有し、発現系は、発現されたコラーゲンペプチドのプロリン残基、リジン残基またはプロリン残基およびリジン残基をヒドロキシル化することができる処理工程と、
b)II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現およびヒドロキシル化を可能にする条件下で、発現系を培養する処理工程と、
c)本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチド、特にイン・ビボでヒドロキシル化されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを回収する処理工程と
を含む方法に関する。
したがって、前述の方法により、使用される細胞ベースの発現系に応じて、特定のパターンの翻訳後修飾、特にヒドロキシル化およびグリコシル化によって特徴付けられる、イン・ビボでヒドロキシル化された組換えにより製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを有利に得ることができる。このようにして、有利なことに、特に、直接、すなわち事後的な修飾を必要とすることなく、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための、望ましい生物学的有効性を示すII型コラーゲン、特に組換えにより製造されたII型コラーゲンペプチドを得ることができる。
好ましい実施形態では、本発明により製造されたイン・ビボでヒドロキシル化された組換えコラーゲンペプチドは、生物学的有効性を示す。本発明のもう1つの実施形態によれば、工程a)で提供される発現系は、発現されたコラーゲンペプチドのプロリン残基、リジン残基またはプロリン残基およびリジン残基のヒドロキシル化を生じさせることができない発現系であり、特に、工程a)で提供される発現系は、プロリルヒドロキシラーゼ活性およびリシルヒドロキシラーゼ活性を示さない。
したがって本発明は、本発明により使用可能な組換えコラーゲンペプチドの製造方法、特にヒドロキシル化されていないコラーゲンペプチドの製造方法であって、
a)少なくとも1つの発現カセットを有する発現系を提供する処理工程であって、発現カセットは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を有し、発現系は、発現されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドのプロリン残基、リジン残基またはプロリン残基およびリジン残基のヒドロキシル化を生じさせることができない処理工程と、
b)II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現を可能にする条件下で、発現系を培養する処理工程と、
c)本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチド、特にヒドロキシル化されていないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを回収する処理工程と
を含む方法を含む。
本発明の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つの発現カセットの少なくとも1つのヌクレオチド配列は、コドン最適化されており、すなわち、提供された発現系、特に提供された細胞ベースの発現系、特に提供された宿主細胞の翻訳系によって使用されないまたは優先的に使用されないヌクレオチド配列中のコドンが、提供された発現系、特に提供された細胞ベースの発現系、特に提供された宿主細胞の翻訳系によって優先的に使用されるコドンに置き換えられ、この置き換えによって、コードされるペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列が変化することはない。
本発明の好ましい一実施形態では、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、脊椎動物、特に哺乳類、例えばヒト、または非ヒト哺乳類、例えばウマ、カンガルー、齧歯類、ブタ、ヒツジまたはウシ、鳥類、例えばニワトリ、魚類、両生類、爬虫類または無脊椎動物、例えばクラゲのII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態では、工程a)で提供される発現カセットは、配列番号1に示される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
特に好ましくは、工程a)で提供される発現カセットは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
特に好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
本発明の好ましい一実施形態によれば、工程a)で提供される発現カセットは、配列番号3に示される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
特に好ましくは、工程a)で提供される発現カセットは、配列番号3に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
特に好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、配列番号4に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する。
好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、天然に存在するII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、天然に存在するII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドではない。好ましくは、ヌクレオチド配列によりコードされるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、遺伝子組換えコラーゲンペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つのヌクレオチド配列は、5~400kDa、特に10~390kDa、特に10~350kDa、特に10~300kDa、特に10~110kDa、特に40~110kDa、特に40~100kDa、特に11~105kDa、特に15~100kDa、特に20~99kDa、特に25~95kDa、特に30~95kDa、特に35~95kDa、特に40~50kDaの範囲、特に45kDaの分子量を有するII型コラーゲンペプチドをコードする。
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明による方法は、処理工程b)において、非変性の、すなわちネイティブなII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの形成を可能にする条件が選択されることを特徴とする。
本発明の特に好ましい実施形態では、本発明による方法は、処理工程b)において、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの三重らせんの形態の形成を可能にする条件が選択されることを特徴とする。
特に好ましい実施形態では、本発明による方法は、均一な分子量を有する特定のII型コラーゲンペプチドの均質でかつ単離された調製物の調製をもたらし得る。
特に好ましい実施形態では、本発明はまた、そのように製造された各々が均一な分子量を有するII型コラーゲンペプチドの単離された均質な調製物の混合物の提供を提供する。
本発明はまた、本発明による方法により製造された、任意に均質でかつ単離された状態の、均一な分子量を有するII型コラーゲンペプチドから、溶解、特に加水分解によって組換えコラーゲンペプチド加水分解物を提供することを提供する。本発明は、特に、本発明により提供されるヒトまたは動物の身体の軟骨疾患を経口的に治療するための、均一な分子量を有する均質でかつ単離されたII型コラーゲンペプチド、その混合物またはその加水分解物を提供することを提供する。
本発明によれば、本発明による方法は、処理工程b)またはc)に続いて、処理工程d)において、発現されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの溶解、特に加水分解により、組換えII型コラーゲンペプチド加水分解物を得ることを特徴とする。
本発明により処理工程d)により得られたII型コラーゲンペプチド加水分解物は、このII型コラーゲン加水分解物の形態で、または1つ以上のII型コラーゲンペプチドを単離した後に、有利にはその場合には均質でかつ単離された状態で、本発明による組換えII型コラーゲンペプチドとして使用することができる。
本発明の特に好ましい実施形態では、均質でかつ単離された状態のII型コラーゲンペプチドが互いに混合され、したがって組換えII型コラーゲンペプチドの混合物を構成することも提供することができる。
したがって、特に好ましい実施形態では、本発明はまた、均一な分子量を有する単離された均質な形態で存在する組換えII型コラーゲンペプチド、または組換えもしくは天然のII型コラーゲンペプチド、特に組換えII型コラーゲンペプチドとの混合物で存在する組換えII型コラーゲンペプチド、または組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの加水分解物で存在する組換えII型コラーゲンペプチドに関する。
本発明により使用可能な組換えII型コラーゲンペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば国際公開第93/07889号、米国特許出願公開第2006/0147501号明細書、米国特許第5,593,859号明細書または米国特許出願公開第2008/0081353号明細書に記載されているような、慣用的な方法で得ることができる。
本発明の好ましい一実施形態では、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための、本発明により使用可能な、有利に本発明による前述のいずれかの方法で製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、ヒドロキシル化されていない、部分的にヒドロキシル化されている、または完全にヒドロキシル化されているII型コラーゲンペプチドであり、好ましくはヒドロキシル化されていないII型コラーゲンペプチド、好ましくは部分的にヒドロキシル化されているII型コラーゲンペプチド、好ましくは完全にヒドロキシル化されているII型コラーゲンペプチドである。
本発明の好ましい一実施形態では、ヒトまたは動物の身体の軟骨疾患の治療的処置方法に使用するための、本発明により使用可能な、有利に前述のいずれかの方法で製造されたII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドは、グリコシル化されているコラーゲンペプチドである。好ましくは、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドはイン・ビボでグリコシル化されており、好ましくはエクス・ビボでグリコシル化されている。
本発明のもう1つの好ましい実施形態では、本発明により使用可能な、有利に本発明によるいずれかの方法で製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、グリコシル化されていないII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドである。
本発明によれば、「生物学的有効性」という用語は、好ましくは、本発明により使用可能なII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの、免疫系を調節する能力、特に免疫グロブリン、特にIgE、IgA、IgMおよび/またはIgGの合成を抑制する能力を意味すると理解される。
本発明によれば、「生物学的有効性」という用語は、好ましくは、本発明により使用可能なII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの、炎症性サイトカイン、特にTNFα、IL-6およびIFNγの形成および活性を抑制する能力、または抗炎症性サイトカイン、特にIL-4、IL-10およびTGF-β1の合成および活性を刺激する能力、特にその双方を意味するとも理解される。
本発明によれば、「生物学的有効性」という用語は、好ましくは、本発明により使用可能なII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドが、免疫を調節することができ、特に免疫グロブリン、特にIgE、IgA、IgMおよび/またはIgGの合成を抑制することができ、炎症性サイトカイン、特にTNFα、IL-6およびIFNγの形成を抑制することができ、かつ抗炎症性サイトカイン、特にIL-4、IL-10およびTGF-β1の合成を刺激することができることを意味すると理解される。
特に好ましい実施形態では、生物学的有効性は、特に、物質の免疫調節活性、特に刺激活性および抑制活性、ならびに抗炎症性サイトカインおよび炎症性サイトカインについて当業者に周知の検出方法によって決定される。特に、本発明の趣意での生物学的活性は、実施例2、実施例3、実施例4および/または実施例5による方法様式によって決定される。本発明によれば、「生物学的有効性」という用語は、好ましくは、本発明により使用可能なII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの経口免疫寛容を誘導する能力を意味するとも理解される。特に好ましい実施形態では、経口免疫寛容の存在は、物質の経口免疫寛容を誘導する能力を決定するための当業者に周知の検出方法によって決定され、特に実施例2、実施例3、実施例4および/または実施例5による方法様式によって決定される。
本発明の文脈において、炎症性サイトカインは、特にTNFα、IL-6およびIFN-γである。
本発明の文脈において、抗炎症性サイトカインは、特にIL-4、IL-10およびTGF-β1である。
本発明の文脈において、「抑制」という用語は、タンパク質の合成の部分的または完全な抑制を意味すると理解され、これは特に、タンパク質合成の減少もしくは阻害として、またはタンパク質に影響を及ぼすmRNA合成の減少もしくは阻害として現れ得る。
本発明の文脈において、「コラーゲン」という用語は、当該技術分野で慣用されているとおりに、特に例えば国際公開第01/34646号に定義されているように理解される。もう1つの好ましい実施形態では、「コラーゲン」という用語は、配列グリシン-プロリン、グリシン-4-ヒドロキシプロリンまたはグリシン-X-4-ヒドロキシプロリン、好ましくは反復モチーフ(Gly-X-Y)nを有するコラーゲン、タンパク質またはペプチドを意味すると理解され、ここで、XおよびYは、いずれのアミノ酸であってもよく、好ましくはプロリンおよび4-ヒドロキシプロリンである。特に好ましくは、「コラーゲン」という用語は、反復モチーフ(Gly-Pro-Y)nおよび/または(Gly-X-Hyp)mを有するペプチドを意味すると理解され、ここで、XおよびYは、いずれのアミノ酸であってもよい。
本発明による「II型コラーゲン」とは、前述にしたがって当該技術分野で慣用されているようなコラーゲンであり、ここでII型コラーゲンは、天然に存在するII型コラーゲンのアミノ酸配列、特に脊椎動物、特にブタ、ヒツジ、ウシ、齧歯類、ウマ、鳥類、魚類、爬虫類もしくは両生類または無脊椎動物、特にクラゲのII型コラーゲンのアミノ酸配列を有する。
II型コラーゲンは、本明細書において一本鎖コラーゲンペプチドとも称される単量体コラーゲンペプチドとして存在してもよいし、少なくとも2つ、特に3つのコラーゲンペプチドを有する二量体または三量体、特に三量体であって、特に同じ一本鎖コラーゲンペプチドから構成されるものとして存在してもよい。特に、II型コラーゲンは、三重らせんのII型コラーゲンペプチド、特にネイティブなII型コラーゲンとして存在することができる。
本発明において、「II型コラーゲンペプチド」という用語は、上述の定義によるII型コラーゲン中に存在するアミノ酸配列を有する一本鎖II型コラーゲンペプチドを意味すると理解され、その際、ペプチドは、オリゴペプチドまたはポリペプチドである。ここで、II型コラーゲンペプチドは、特に化学的に修飾された形態、特にヒドロキシル化および/またはグリコシル化された形態で存在していてもよいし、非修飾の状態であってもよい。
好ましくは、本発明により使用される組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、天然に存在するII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの配列改変体、特に機能保存配列改変体を有することができる。
したがって、「II型コラーゲン」とはまた、天然に存在するII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの機能保存配列改変体を意味するとも理解され、これは特に、これらが天然に存在するII型コラーゲンのアミノ酸配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも80%、特に少なくとも85%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%、特に少なくとも96%、特に少なくとも97%、特に少なくとも98%、特に少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する場合である。したがって、本発明によれば、II型コラーゲンは、組換えII型コラーゲンが、天然に存在するII型コラーゲン中に存在するアミノ酸配列を正確に有する場合、または天然に存在するII型コラーゲンに対する、特に、脊椎動物、特にブタ、ヒツジ、ウシ、齧歯類、カンガルー、ウマ、鳥類、爬虫類、両生類もしくは魚類もしくは無脊椎動物、特にクラゲに由来する天然に存在するII型コラーゲンに対するアミノ酸配列同一性が少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%である機能保存配列改変体が存在する場合、特に、ウシに由来する天然に存在するII型コラーゲンアミノ酸配列に対してこのアミノ酸同一性が存在する場合に存在する。
本発明の文脈において、アミノ酸配列同一性は、パラメーターBL50マトリックス(15:-5)、Open/ext:-12/-2で、Smith-Watermanアルゴリズム(SSE2, Michael Farrar, 2006, 7.2 November 2010)を使用して決定される。
本発明によれば、「機能保存配列改変体」という用語は、所与の、特に天然に存在するアミノ酸配列の改変、特に単一または複数のアミノ酸の置換、挿入および/または欠失であって、これにより所与のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列が得られるが、改変されたアミノ酸配列は、所与のアミノ酸配列に特徴的な機能、特にその生物学的有効性を保持しているものと理解される。
好ましくは、「機能保存配列改変体」とは、所与の、特に天然に存在するアミノ酸配列の改変体であって、所与のアミノ酸配列に特徴的な機能、特に生物学的有効性が、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは100%保持されるものを意味すると理解される。さらに好ましくは、本発明によれば、「機能保存配列改変体」とは、所与のアミノ酸配列の改変体であって、改変されたアミノ酸配列が、所与のアミノ酸配列に対して少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有するものを意味すると理解される。
特に好ましくは、本発明による配列改変体、特に「機能保存配列改変体」とは、所与の、特に天然に存在するアミノ酸配列の改変体であって、所定の化学的・物理的特性を有する1つ以上のアミノ酸を、それぞれ同一または類似の化学的・物理的特性を有する1つ以上のアミノ酸で置き換えたもの、特に、例えば非極性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、Ala、Val、Met、Leu、Ile、Pro、Trp、Phe)を、非極性の側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Ala、Val、Met、Leu、Ile、Pro、Trp、Phe)で置き換えたもの、極性の中性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Tyr、Thr、Gln、Gly、Ser、Cys、Asn)を、極性の中性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Tyr、Thr、Gln、Gly、Ser、Cys、Asn)で置き換えたもの、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Glu、Asp)を、酸性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Glu、Asp)で置き換えたもの、および/または塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、Lys、Arg、His)を、塩基性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Lys、Arg、His)で置き換えたものを意味すると理解される。この実施形態によれば、「機能保存配列改変体」では、所与のアミノ酸配列の化学的・物理的特性が変化しないか、またはわずかにしか変化しない。
もう1つの実施形態では、配列改変体、特に「機能保存配列改変体」が、所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列の少なくとも1つの非必須アミノ酸、特にAla、Asn、Asp、Glu、Serを、少なくとも1つの極めて特定のアミノ酸、特に少なくとも1つの必須アミノ酸、特にIle、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Val、His、Cys、Tyr、特に好ましくはTrpで置き換えたものであり、その際、所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列に特徴的な機能、特に生物学的有効性、特に本発明による生物学的有効性、特に実施例2、実施例3、実施例4および/または実施例5に示された実証の生物学的有効性が保持されることを提供することができる。
本発明によれば、配列改変体、特に「機能保存配列改変体」とは、所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列の改変体であって、所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列に、少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは少なくとも1つの必須アミノ酸、特にIle、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Val、His、Cys、Tyr、特に好ましくはTrpが挿入されており、その際、所与のアミノ酸配列、特に天然に存在するアミノ酸配列に特徴的な機能、特に本発明による生物学的有効性、特に実施例2、実施例3、実施例4および/または実施例5に示された実証による生物学的有効性が保持されるものも意味すると理解される。ここで、本発明によれば、少なくとも1つのアミノ酸、好ましくは少なくとも1つの必須アミノ酸、特にIle、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Val、His、Cys、Tyr、特に好ましくはTrpを、アミノ酸配列のN末端、C末端および/または内部に挿入することを提供することができる。
本発明の文脈において、「アミノ酸修飾」という用語は、II型コラーゲンペプチドの元のアミノ酸骨格、特に1つ以上のタンパク質生成アミノ酸を保持したまま、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの合成前、合成後、または合成中に場合により起こる1つ以上のアミノ酸の化学修飾を意味する。したがって、この用語は、本発明によるII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを合成するために化学修飾されたアミノ酸を使用することと、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの合成後または合成中にアミノ酸を化学修飾することとの双方を包含する。コラーゲンペプチドに典型的なアミノ酸修飾は、特にプロリン残基およびリジン残基のヒドロキシル化、ならびにヒドロキシル化されたリジン残基のグリコシル化である。しかし、本発明によれば、この用語には、リン酸化、N-グリコシル化、アセチル化、メチル化またはミリストイル化など、アミノ酸の他の化学修飾も包含される。
本発明の文脈において、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチド、あるいは組換えにより製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドとは、バイオテクノロジーによる発現系を用いた組換え製造により得られた組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドを意味すると理解される。本発明によれば、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドと、組換えにより製造されたII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドとは、天然源から得られたものではないという点で共通している。
本発明の特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドは、このII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドの均質な調製物の形態で存在し、特にこのような調製物は、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、特に少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%、好ましくは100重量%のII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドを含む。好ましい実施形態では、均質な調製物中には、所定の特定のサイズの、すなわち所定の分子量の、すなわち単一の分子種のII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドのみが存在する。本発明の好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドは、単離された形態で存在する。本発明の特に好ましい実施形態では、組換えII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドは、他のタンパク質またはペプチドを含まない状態で存在し、特に他の物質、例えば不純物を含まない状態で存在し、特に非タンパク質物質を含まず、塩を含まず、かつ/または他のタンパク質もしくはペプチドを含まない状態で存在する。
本発明において、「ゼラチン」という用語は、当該技術分野で慣用されているとおりに、特に例えば国際公開第01/34646号で定義されているように理解される。
本発明において、「組換えDNA」という用語は、遺伝子工学的手法によってイン・ビトロで製造された人工的に製造または操作されたDNA分子を意味する。好ましい実施形態では、組換えDNAは、起源の異なる生物の成分から構成されている。
本発明において、「発現カセット」という用語は、DNAセグメントであって、該セグメントにコードされている情報をRNA、特にmRNAに転写する役割を担い、かつ少なくとも1つのプロモーター、およびタンパク質をコードする1つのヌクレオチド配列、通常は少なくとも1つのプロモーター、タンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、および任意にターミネーターを有するものを意味すると理解される。
本発明の文脈において、「ヌクレオチド配列」とは、核酸、特に核酸鎖、特にDNAまたはRNA鎖のヌクレオチドの配列を意味すると理解される。したがって、「ヌクレオチド配列」とは、情報単位であると同時に、その情報を物理的に表現しているDNAまたはRNA鎖であると理解すべきである。
本発明の文脈において、「発現系」という用語は、対象となる制御されたタンパク質の生合成を行うことができる系を意味すると理解される。ここで、本発明によれば、「発現系」という用語には、タンパク質の生合成に必要な成分が細胞内に存在しない、すなわちタンパク質の生合成が細胞外で行われる無細胞発現系と、タンパク質の生合成が生細胞内で行われる細胞ベースの発現系との双方が含まれる。本発明において、無細胞発現系とは、好ましくは、大腸菌(E. coli)、昆虫細胞、コムギ胚芽、タバコ細胞または哺乳類細胞、特にCHO細胞またはウサギの網状赤血球からの溶解産物または抽出物で、タンパク質の生合成に必要な成分、特に翻訳系および転写系を有するものである。本発明によるいずれかの方法で無細胞発現系を使用する場合、「培養」という用語は「インキュベート」と同義である。
本発明において、「宿主細胞」とは、外来DNA、特に組換えDNAによってコードされるペプチドまたはタンパク質を発現することができる生細胞を意味すると理解される。
処理工程c)による「II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの回収」という用語は、本発明によれば、既知の単離法、例えば遠心分離法、特に分画遠心分離法および/または密度勾配遠心分離法、クロマトグラフィー法、特にゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーおよび/または高速液体クロマトグラフィー、電気泳動法、ろ過法および/または抽出法により、複数の成分を含む組成物からII型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチドを単離するための当業者に知られた方法を指し、多成分を含む組成物からの当該成分の濃縮および精製は、好ましくは複数の単離法を連続的に適用することによって達成することができる。必要に応じて、回収前、回収後または回収中にC末端および/またはN末端のプロコラーゲン断片を切断してコラーゲンを回収することができる。
処理工程b)の条件下で、好ましくは、発現されたII型コラーゲンペプチドの線維形成、化学修飾および分泌も行うことができる。
本発明によれば、「II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現を可能にする条件」とは、特に温度、圧力、時間、光、ならびに誘導剤および/または抑制剤の存在または非存在など、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現を活性化または増強する条件を意味すると理解される。好ましい一実施形態では、II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現は、高細胞密度発酵の範囲内で、特に高圧下、好ましくは高気圧下で行われる。II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現を可能にする具体的な条件は、当業者には知られており、使用される発現系および使用される発現カセット、特にその中に含まれるプロモーターに依存する。II型コラーゲン、特にII型コラーゲンペプチドの発現は、発現カセットの構造に応じて、構成的発現であっても誘導的発現であってもよい。
本発明の文脈において、「軟骨疾患」を経口的に治療するための治療方法とは、軟骨疾患を予防および/または治療する方法、特に軟骨疾患を治療する方法であって、組換えII型コラーゲンの投与を経口的に行う方法を意味すると理解される。
本発明の趣意における軟骨疾患とは、特に炎症性の、退行性のおよび/または自己免疫作用によって、特に過剰な免疫反応によって引き起こされる軟骨疾患であり、特に関節症および/または関節リウマチである。本発明において、軟骨疾患は、特に関節軟骨疾患であり、特に、足、膝、指、手首、股関節および脊椎の関節の関節軟骨疾患である。
本発明によれば、「軟骨疾患」を経口的に治療するための治療方法とは、好ましくは、内因性コラーゲン、特に内因性II型コラーゲン、特に軟骨組織中または軟骨組織上に存在する内因性II型コラーゲンに対する経口免疫寛容を誘導する方法を意味するとも理解される。
本発明の文脈において、「含む(umfassend)」および「有する(aufweisend)」という用語は、これらの用語によって明示的に対象となる要素に加えて、明示的に言及されていないそれ以外の要素が追加されてもよいことを意味すると理解される。本発明において、これらの用語は、明示的に言及された要素のみが対象となり、それ以外の要素が存在しないこととも理解される。この特定の実施形態では、「含む」および「有する」という用語の意味は、「からなる」という用語と同義である。さらに、「含む」および「有する」という用語は、明示的に言及された要素に加えて、言及されていないが機能的および質的に従属的な性質を有するそれ以外の要素も含む組成物も対象とする。この実施形態では、「含む」および「有する」という用語の意味は、「実質的に~からなる(im Wesentilichen hestehend aus)」という用語と同義である。
本発明において、小数点以下第1位および第2位または小数点以下第2位が示されていない場合には、これらの桁は0であるものとする。
本発明において、「および/または」という用語は、「および/または」という用語によって接続された群のすべての構成要素が、互いに代替的に、およびそれぞれ互いに累積的に任意の組み合わせで開示されていることを意味すると理解される。これは、「A、Bおよび/またはC」という表現について、これは以下の開示内容、すなわちa)AまたはBまたはC、またはb)(AおよびB)、またはc)(AおよびC)、またはd)(BおよびC)、またはe)(AおよびBおよびC)と理解されるべきであることを意味している。
さらなる好ましい実施形態は、従属請求項から明らかである。
以下、全般的な発明の思想を限定することなく、例示的な配列、図面および実施例を参照しながら本発明を説明する。
配列番号1は、ウシII型コラーゲン(CP90)のコードヌクレオチド配列(col2α1、3036塩基対)を表す。
配列番号2は、ウシII型コラーゲン(CP90)のアミノ酸配列(1012アミノ酸)を表す。
配列番号3は、ウシII型コラーゲン(col2α1)由来のコラーゲンペプチド(CP45)のコードヌクレオチド配列(1500塩基対)を表す。
配列番号4は、ウシII型コラーゲン由来のコラーゲンペプチド(CP45)のアミノ酸配列(500アミノ酸)を表す。
配列番号5は、N末端pOst1シグナル配列、6xHisタグおよびC末端ER保留配列HDELを有する、ミミウイルス由来の単量体プロリル-4-ヒドロキシラーゼ(P4H)のコードヌクレオチド配列を表す。
配列番号6は、ミミウイルス由来の配列番号5によりコードされる単量体プロリル-4-ヒドロキシラーゼ(P4H)のアミノ酸配列(254アミノ酸)を表す。
配列番号7は、プラスミドpAOXsec-ColII-1のヌクレオチド配列を表す。
配列番号8は、プラスミドpAOXsec-ColII-1 s.aのヌクレオチド配列を表す。
配列番号9は、プラスミドpAOX_Mimi-int 3.0のヌクレオチド配列を表す。
pAOXsec-ColII-1のプラスミドマップを示す図である。 pAOXsec-ColII-1 s.aのプラスミドマップを示す図である。 pAOX_Mimi-int 3.0のプラスミドマップを示す図である。
実施例1:組換えII型コラーゲンの製造
配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する、組換えにより製造されたヒドロキシル化された全長II型コラーゲン(CP90)を、プロリン残基をヒドロキシル化することができるピキア・パストリス(Pichia pastoris)株における配列番号1に示されるヌクレオチド配列を有する発現カセットの組換え発現によって得た。
さらに、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、II型コラーゲンベースの組換えにより製造されたヒドロキシル化コラーゲンペプチド(CP45)を、プロリン残基をヒドロキシル化することができるピキア・パストリス(Pichia pastoris)株における配列番号3に示されるヌクレオチド配列を有する発現カセットの組換え発現によって得た。
それぞれCP90またはCP45の組換え発現に使用したピキア・パストリス(Pichia pastoris)株は、ウシII型コラーゲン(CP90)のコードヌクレオチド配列またはウシII型コラーゲン(col2α1)由来のコラーゲンペプチド(CP45)のコードヌクレオチド配列を、組込みプラスミドpAOXsec-ColII-1(図1)またはpAOXsec-ColII-1 s.a(図2)を用いてゲノム統合することにより、またミミウイルス由来の単量体プロリル-4-ヒドロキシラーゼ(PH4)のコードヌクレオチド配列を、組込みプラスミドpAOX_Mimi-int 3.0(図3)を用いてゲノム統合することにより得られたものである。
実施例2:有効性の実証
A)組換えII型コラーゲンによる免疫およびサイトカイン調節作用
実施例1による組換えにより製造されたネイティブなII型コラーゲン(組換えにより製造された全長II型コラーゲン)の免疫調節効果を、市販の正常なマウスパイエル板M細胞(SCC142M、Sigma Aldrich、ドイツ)を用いて測定した。
M細胞を、免疫グロブリンの生成を促進するITES-ERDF培地で培養した。この培地に、10%のウシ胎児血清、10μg/mLのインスリン、20μg/mLのトランスフェリン、20μMのエタノールアミンおよび25nMのセレナイト(ITES)を添加した。細胞培養上清中の免疫グロブリンの合成を、IgE、IgA、IgMおよびIgGに対する特異的酵素結合免疫吸着アッセイで測定した。
さらに、炎症性サイトカイン(TNFα、IL-6、IFNγ)および抗炎症性サイトカイン(IL-4、IL-10、TGF-β1)の形成に対するコラーゲンペプチドの効果を、未処理の対照と比較して調べた。炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのRNA発現を、1~5日の培養期間後に試験した。
B)II型コラーゲンによるDBA/1マウスの免疫化および関節リウマチの誘発
10mgの組換えII型コラーゲンを2.5mLの0.01N酢酸溶液で希釈し、最終濃度4mg/mLのコラーゲン(ストック液)とした。反応容器を4℃で一晩回転させ、コラーゲンを完全に溶解させた。
コラーゲンストック液を0.01N酢酸に1:1(v/v)の割合で溶解させて、II型コラーゲンの作業溶液を調製した。完全フロイントアジュバント(CFA)を1:1(v/v)の割合でコラーゲン作業溶液に添加した。
8週齢の雄性DBA/1Jマウスに、20±2℃で12/12時間の明暗サイクルにて湿度55±10%で、標準的な実験用齧歯類飼料および水を自由摂取させた。
経口免疫寛容を、2週間の介入の一環として、2mg/mLの組換えにより製造されたネイティブなII型コラーゲン(100μgを0.05N酢酸に溶解)を1日おきに摂取させることで誘導し、プラセボ対照としての同量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と比較した。マウスに、その後の関節リウマチの誘発の前に、コラーゲンを6回連続投与した。
マウスに、リン酸緩衝生理食塩水中の100μLのケタミン・キシラジン溶液(1:100v/v、10mLのPBS中62.5mgのケタミン、0.625mgのキシラジン)の腹腔内注射により麻酔を施した。各マウスに、最終的なCFAコラーゲン溶液100μLを、尾の付け根から2cm前方の尾に、血管を通さないように皮下投与して、関節リウマチ(RA)を誘発した。
マウスのII型コラーゲンに対する免疫化を、3週間の維持期間後に注射を繰り返すことでブーストした。ブースト注射を尾の付け根により近い位置に行って、関節リウマチの発症を促進した。
C)評価
一次免疫化から2.5週間後に、関節炎の程度を週3回、最長12週間にわたって調べた。関節炎の重症度を、0~4の等級で評価した。
0=浮腫または腫脹なし、1=足および/または足首に限局した軽度の浮腫および紅斑、2=足首から足根骨にかけての軽度の浮腫および紅斑、3=足首から足根骨にかけての中程度の浮腫および紅斑、ならびに4=足首から脚全体にかけての浮腫および紅斑。
免疫化開始後3、5および7週目に各マウスから採取した血液サンプルを用いて、ELISA定量キットで免疫グロブリン濃度を検査した。IgG、IgE、IgMおよびIgAの形成を、415nmでの光学濃度を測定することにより測光法で定量した。
観察期間の終了後、マウスをと殺し、パイエル板M細胞を単離し、上記のようにITES-ERDF培地で培養した。
II型コラーゲンで免疫化したマウスM細胞およびPBS対照におけるサイトカインのRNA発現ならびに免疫グロブリンの合成を、上記のように測定した。
DBA/1Jマウスにおける細胞培養実験および免疫寛容試験を、ネイティブな組換えII型コラーゲンの三重らせん断片と切断された非らせん断片とを用いて繰り返して、内因性II型コラーゲンに対する免疫寛容の誘導に本来のコラーゲンのらせん構造が必要であるか否かを調べた。
D)結果
得られたデータは、マウスパイエル板細胞における組換えにより製造されたII型コラーゲンの有利な効果を示した。
正常なM細胞において、サイトカインのRNA発現プロファイルは、組換えにより製造されたII型コラーゲンの抗炎症効果を示した。さらに、正常なM細胞では、免疫グロブリンの合成が抑制された。
また、炎症性サイトカインの合成が抑制され、免疫化されたマウスM細胞でも、つまり関節リウマチに対する免疫化後でも抗炎症性サイトカインの合成が刺激されることを明らかにすることができた。さらに、マウス腸組織サンプルから単離したパイエル板で明らかにすることができたように、関節リウマチに対する免疫化後のパイエル板細胞での免疫グロブリンの合成が抑制された。
CFAによって誘発された関節リウマチは、プラセボ対照と比較して、組換えII型コラーゲンでの免疫化後のマウスのRAに罹患した足首の関節炎の程度が低いことによって示されるように、イン・ビボで減少した。
コラーゲンで免疫化されたマウスの血液サンプル中のIg濃度の減少が、これらの所見を裏付けている。
組換えネイティブII型コラーゲンの切断断片で得られたデータは、三重らせんおよび非らせん断片のどちらも、関節リウマチに対する免疫寛容を誘導するII型コラーゲンの誘導に十分であることを示唆している。
実施例3:有効性の実証
A)II型コラーゲンペプチドによる免疫およびサイトカインの調節
免疫調節効果に関する、実施例1にしたがって組換えにより製造されたII型コラーゲンペプチドCP90およびCP45の効果を、さらなる実験的アプローチで試験した。調査には、3H-Biomedical AB社(スウェーデン)から市販されているヒト末梢血単球(PBMC)を使用した。
まず、PBMC細胞を、マクロファージベース培地DXF(C-28057、PromoCell、ドイツ)中で、ヒトフィブロネクチン(C-43060、PromoCell、ドイツ)でコートした細胞培養フラスコにて培養した。培地に、これに付属するサプリメントミックス(C-28055のサプリメント、PromoCell、ドイツ)、ならびに1%アムホテリシンおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加した。接着単球の2b型または2c型免疫抑制マクロファージへの再分化を、4μg/mLの組換えII型コラーゲンの添加によって誘導した。細胞を、そのためにそれぞれ6日間にわたって組換えコラーゲンペプチドとともにインキュベートした。そのように活性化されたマクロファージを、次いで大腸菌由来の1μg/mLのリポ多糖(LPS、L6529、Merck、ドイツ)の添加によって極性化させた。その後、特異的細胞分化マーカー(CD)を用いて、生成したマクロファージの分化パターンを調べた。単球の炎症誘発性M1マクロファージへの分化、または免疫抑制性M2マクロファージへの分化を、特異的マーカーにより検出した。このために、M2表面マーカーCD86、CD14およびCD163をELISA(「酵素結合免疫吸着アッセイ」)で測定した。それぞれの検出を、CD86(850590096 Diaclone, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)、CD14(850780096 Diaclone, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)およびCD163(ELH-CD163 RayBiotech, Hoelzel Diagnostics)について、製造者の指示にしたがって正確に行った。炎症性M1マクロファージへの分化を除外するために、M1マクロファージマーカーCD86(850590096 Diaclone, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)およびCD80(EK0707 Boster PicoKine, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)を追加で調べた。
さらに、炎症性サイトカイン(TNFα、IFNγ)および抗炎症性サイトカイン(IL-10)の形成に対するII型コラーゲンペプチドの効果を培養上清で調べた。TNF(EK0525 Boster PicoKine, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)、IL-10(950060096, Diaclone, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)およびIFNγ(EK0373, Boster PicoKine, Hoelzel Diagnostics、ドイツ)を、製造者の指示にしたがってELISA法で測定した。
単球のM1またはM2マクロファージへの分化を、特定の分化培地(C-28055、PromoCell、ドイツ)および所定の培養添加物を用いて確認した。
実施例1にしたがって製造された平均分子量90kDaおよび45kDaのII型コラーゲンペプチドCP90およびCP45を試験に用いた。
得られたデータは、末梢血単球から免疫抑制性M2マクロファージへの分化に対する、使用したII型コラーゲンペプチドCP90およびCP45の統計的に有意な(p<0.05)有利な効果を示した。
分化したマクロファージ細胞において、試験したII型コラーゲンペプチドの全体的な抗炎症効果を、特定のサイトカインの合成プロファイルに基づいて実証することができた。したがって、炎症性サイトカインの合成は、統計的に有意に(p<0.05)減少し、抗炎症性IL-10の合成は、統計的に有意に(p<0.05)誘導された。
実施例4:ナイーブCD4+T前駆細胞の刺激
CP90またはCP45(実施例3)により単球をM2マクロファージに誘導した後、マクロファージベース培地DXF(C-28057、PromoCell、ドイツ)をT細胞培地(3H800-50-50、3H Biomedical AB、スウェーデン)に交換した。分化したM2マクロファージに、ナイーブCD4+T前駆細胞(3H31-k、3H Biomedical AB、スウェーデン)を加えた。ナイーブT前駆細胞と分化したM2マクロファージとの直接的な細胞間接触およびそのサイトカインカクテルにより、T前駆細胞は、制御性Tサプレッサー細胞に分化する。
特異的T細胞クローンの数を大幅に増やすために、ARTE(抗原反応性T細胞濃縮)法を用いて成熟Tサプレッサー細胞を濃縮した。この方法では、ビオチンやフィコエリトリンのような様々な色素と結合した細胞表面マーカー(CD)抗体で細胞を標識することにより、T細胞の仕様を決定する。特定のT細胞クローンタイプを濃縮するために、次いで、これらを、抗ビオチンおよび抗PE結合磁気マイクロビーズを用いて分離した。
その後、T細胞をフルオロクロム標識抗体で染色し、フローサイトメトリーで定量化した。Tサプレッサー細胞を、フォークヘッドボックスp3(FoxP3)およびCD25によって同定する。
組換えII型コラーゲンペプチドの補充は、分化したTサプレッサー細胞によるIL-10、IL-4およびTGF-βのような抗炎症性サイトカインの放出を統計的に有意に(p<0.05)増加させることを明らかにすることができた。
得られたデータはまた、免疫抑制性Tサプレッサー細胞の形成に対する、組換えにより製造されたII型コラーゲンペプチドCP90およびCP45の有意に有利な効果を示した。
実施例5:関節軟骨細胞における免疫抑制
ヒト関節軟骨細胞を、1%アムホテリシンおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンおよび10%仔ウシ血清を添加したHams-F12培地(HAM-12-A、Capricorn、ドイツ)で培養した。100%細胞コンフルエントに達した後、1μg/mlのリポ多糖(大腸菌、L6529、Merck、ドイツ)を添加することにより、軟骨細胞に炎症状態を誘導した。T細胞分化実験(実施例4参照)の細胞上清25μl/mlを加えることで、軟骨細胞における炎症を軽減させた。
軟骨細胞における炎症性サイトカイン(IL-1β、TNFαおよびIL-6)の発現が統計的に有意に減少したことから、試験したII型コラーゲンペプチドCP90の抗炎症効果をリアルタイムPCRによって明確に実証することができた。
同じ実験セットアップを用いた別の実験では、組換えにより製造された、より短いII型コラーゲンペプチド(CP45)の抗炎症効果について試験した。ここでも、CP90の試験と同様に、軟骨細胞における炎症性サイトカイン(IL-1β、TNFαおよびIL-6)の発現の統計的に有意な(p<0.05)減少を、CP45についても同様に実証することができた。したがって、II型コラーゲンベースのCP45についても、同様の抗炎症効果を示すことができた。
II型コラーゲンペプチドCP90とCP45との比較では、試験した両コラーゲンペプチドの抗炎症効果に関して、統計的に有意な差は見られなかった。
結論として、得られたデータは、免疫抑制性Tサプレッサー細胞における抗炎症性サイトカインの形成の統計的に有意な(p<0.05)増加による、組換えにより製造されたII型コラーゲンペプチドCP90およびCP45の有利な効果を示している。さらに、この結果は、II型コラーゲンまたはII型コラーゲンペプチド(CP90およびCP45)の経口適用による経口免疫寛容の誘導という意味での作用の根本原理を支持するものである。

Claims (21)

  1. ヒトまたは動物の患者の軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための組換えII型コラーゲン。
  2. 前記組換えII型コラーゲンは、ウシII型コラーゲンであり、好ましくは、配列番号2によって」示されるまたは配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むウシII型コラーゲンである、請求項1に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  3. 前記組換えII型コラーゲンは、II型プロコラーゲンまたは成熟II型コラーゲンの形態で存在する、請求項1または請求項2に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  4. 前記組換えII型コラーゲンは、三重らせんの形態で存在し、特にII型α1鎖のホモ三量体の形態で存在する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  5. 前記組換えII型コラーゲンは、架橋または非架橋フィブリルの形態で存在する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  6. 前記組換えII型コラーゲンは、II型コラーゲンペプチドの形態で存在する、請求項1または請求項2に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  7. 前記組換えII型コラーゲンペプチドは、35~95kDaの範囲の分子量を有する、請求項6に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  8. 前記組換えII型コラーゲンは、非変性の状態である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  9. 前記組換えII型コラーゲンは、完全にもしくは部分的にヒドロキシル化されているか、完全にもしくは部分的にグリコシル化されているか、または完全にもしくは部分的にヒドロキシル化されかつグリコシル化されている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  10. 前記組換えII型コラーゲンは、真核宿主細胞、特に酵母細胞、好ましくはピキア・パストリス(Pichia pastoris)または原核宿主細胞、特に大腸菌(E.coli)での発現によって製造されたものであり、特にヒドロキシル化された形態および/または融合ペプチドの形態である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  11. 前記組換えII型コラーゲンは、均一な分子量を有する単離された均質な形態での、II型コラーゲンペプチドの混合物での、または組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの加水分解物での組換えII型コラーゲンペプチドとして存在する、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  12. 前記II型コラーゲンは、脊椎動物、特にブタ、ヒツジ、ウシ、齧歯類、カンガルー、ウマ、鳥類、爬虫類、両生類もしくは魚類、または無脊椎動物、特にクラゲのII型コラーゲンである、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の使用するための組換えII型コラーゲン。
  13. 軟骨疾患は、免疫調節軟骨疾患であり、特に自己免疫疾患、特に多発性軟骨炎または関節リウマチである、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の使用のための組換えII型コラーゲン。
  14. 前記軟骨疾患は、炎症性または変形性軟骨疾患であり、特に関節症および/または関節リウマチである、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の使用のための組換えII型コラーゲン。
  15. 軟骨疾患を経口的に治療するための治療方法に使用するための、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組換えII型コラーゲンと、製薬学的に許容されるまたは食品に適合する少なくとも1つの担体と、任意に少なくとも1つの添加物質または賦形剤とを含む、組成物。
  16. 前記少なくとも1つの賦形剤は、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸、アフラピン、ユニベスチン、5-ロキシン、グルコサミン、グルコサミン硫酸塩またはメチルスルホニルメタン(MSM)である、請求項15に記載の使用するための組成物。
  17. 前記少なくとも1つの添加物質は、組換えにより製造されたコラーゲン加水分解物、天然源由来のコラーゲン加水分解物、組換えにより製造されたI型コラーゲン、天然源から得られたI型コラーゲンまたはそれらの組み合わせである、請求項15または請求項16に記載の使用するための組成物。
  18. 前記組成物は、錠剤、トローチ剤、チュアブル錠剤、粉末剤、顆粒剤、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、カプセル剤、バイトカプセル剤、糖剤、香錠剤、押出成形物剤、液剤、懸濁剤またはゲル剤の形態で存在する、請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  19. 前記組成物は、組換えII型コラーゲン1~60mg/日の用量での経口投与に適している、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  20. II型コラーゲンに対する免疫不寛容、特に免疫調節軟骨疾患の治療的処置方法または治療的予防方法に使用するための組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチド。
  21. ヒトまたは動物の軟骨の健康を維持するための経口投与に適した剤形における、組換えII型コラーゲン、特に組換えII型コラーゲンペプチドの使用。
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