JP2024511166A - 癌の標的療法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、腫瘍微小環境に従って患者および癌を層別化する、分類子、TMEパネル1を用いて、癌および癌患者を分類する方法を提供する。従って、医療判断は、特定のTME表現型クラスの存在/非存在によりガイドされる。また、提供されるのは、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、結腸直腸癌、または卵巣癌に罹患している対象、例えば、ヒト対象を治療する方法であり、該方法は、TMEパネル1分類子による癌のTMEの分類に応じて特定の療法を投与するステップを含む。また、提供されるのは、特定のタイプの癌、例えば、左または右結腸直腸癌またはdMMR結腸直腸癌のTMEパネル1分類に応じて患者に投与できる個別化治療である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本国際出願は、2021年3月25日出願の米国仮出願第63/166,167号、および2021年5月13日出願の米国仮出願第63/188,321号の優先権を主張し、これら両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
電子申請配列表の参照
電子申請配列表(ファイル名:4488_024PC01_Seqlisting_ST25.txt;サイズ:20,480バイト;および作成日:2022年3月11日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本開示は、遺伝子発現データを使用する診断パネルに基づいて、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌に罹患している癌患者を層別化し、支配的な腫瘍微小環境生物学、特定の療法による治療のために癌患者の亜集団を特定する方法、および腫瘍微小環境の特定の生物学を有する患者を治療するための個別療法に基づいて、患者を分類する方法に関する。
癌に罹患している個体を、生存のために最適な変化をもたらす治療レジメンに適合させる診断ツールはほとんど無く、大部分の患者に対し、臨床医は、最良の治療過程を示すと想定される正確なツールの恩恵なしに療法を選択しなければならない。
2015年に、6つの研究グループにわたる共同研究は、CRC患者を分類するためのコンセンサス分子サブタイプ(CMS)モデルをもたらした(Guinney et al.2015 Nat.Med.21:1350-1356)。CMSモデルは、6つの異なる分類スキームの合成で表現され、遺伝子発現データリターンに基づいて、4つの別個のサブタイプ:CMS群1~4を返す(一部の分類不可能患者と共に)。これらの4つの群は、追加の分子特徴の解析に基づいて、さらに注釈が付けられた:手短に説明すると、CMS1は免疫原性であり、MSI-Hを含む;CMS2は、WNT & MYC活性である;CMS3は、KRAS変異および代謝調節不全を含む;およびCMS4は、本質的に間質または血管新生である。CMS亜群は、概して、疾患の既知の病理学的特徴と一致し(Baran et al.2018 Gastroenterol.Res.11:264-273)、全生存期間(OS)および無進行生存(PFS)の予後である(Lenz et al.2019 J.Clin.Oncol.37:1876-1885)。それにもかかわらず、CMSが、ベバシズマブなどの標的療法に対する予測因子となることは立証されておらず、さらに、異なる試行間(例えば、CALBG/SWOG 80405とFIRE-3との間)でいくつかの期待に反する結果をもたらしている(Lenz et al.2019 J.Clin.Oncol.37:1876-1885;Stintzing et al.2019 Ann.Oncol.30:1796-1803)。従って、患者および臨床医は、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、または卵巣癌の正確な治療を手引する予測的診断ツールを未だ必要としている。
本開示は、癌に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、投与の前に、人工神経回路網(ANN)分類子を、対象から得た癌腫瘍試料由来の遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより決定され、癌腫瘍は、IS(免疫抑制)、A(血管新生)、IA(免疫活性)、ID(免疫砂漠)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられる。
癌に罹患しているヒト対象を治療する方法も提供され、該方法は、(i)ANN分類子を、対象から得られた癌腫瘍試料由来の遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップであって、癌腫瘍は、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられるステップ、およびTME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含む。
TME表現型クラス特異的療法による治療に好適する癌に罹患しているヒト対象を特定する方法も提供され、該方法は、ANN分類子を、対象から得られた癌腫瘍試料由来の遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップを含み、癌腫瘍は、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられ、割り当てられたTME表現型クラスは、癌を治療するためにTME表現型クラス特異的療法を投与できることを示す。いくつかの態様では、ANN分類子は、入力層、隠れ層、および出力層を含む。いくつかの態様では、入力層は、2~100個のノードを含む。
いくつかの態様では、入力層中の各ノードは、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の遺伝子に対応し、遺伝子パネルは、(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または(iv)図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)のいずれか、を含む。いくつかの態様では、試料は、腫瘍内組織を含む。いくつかの態様では、RNA発現レベルは、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、NanoString、WES、またはこれらの組み合わせ、などの次世代シークエンシング(NGS)を用いて決定される転写RNA発現レベルである。いくつかの態様では、隠れ層は2個のノードを含み、出力層は4個の出力ノードを含み、出力層中の4個の出力ノードのいずれか1個は、TME表現型クラスに対応し、4つのTME表現型クラスは、IA、IS、ID、およびAである。いくつかの態様では、方法は、ソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分析分類子をANNの出力に適用するステップさらに含み、ソフトマックス関数は、各TME表現型クラスに確率を割り当てる。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法は、IA、IS、IDまたはA TME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法は、チェックポイントモジュレーター療法を含む、IA TME表現型クラス特異的療法である。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、(i)GITR、OX-40、ICOS、4-1BBに対する抗体分子、またはそれらの組み合わせなどの刺激性免疫チェックポイント分子の活性化剤;(ii)RORγアゴニスト;または、(iii)PD-1に対する抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1に対する抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、CX-072、LY3300054、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L2に対する抗体、またはCTLA-4に対する抗体、などの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤を単独もしくはこれらを組み合わせて、またはTIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-β、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、またはCD86の阻害剤と組み合わせて、投与するステップを含む。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、(i)ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブまたはTSR-042からなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;または(iii)これらの組み合わせを投与するステップを含む。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法は、(1)チェックポイントモジュレーター療法および抗免疫抑制療法、および/または(2)抗血管新生療法を投与するステップを含む、ISクラスTME療法である。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤を投与するステップを含む。いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、(i)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-1に対する抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、これらの抗原結合部分、これらの組み合わせからなる群より選択されるPD-L1に対する抗体;(iii)PD-L2に対する抗体またはその抗原結合部分;(iv)イピリムマブおよび二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)から選択されるCTLA-4に対する抗体;または(v)これらの組み合わせである。
いくつかの態様では、抗血管新生療法は、(i)バリサクマブ、ベバシズマブ、ナビシキズマブ(抗DLL4/抗VEGF二重特異性)、ABL101(NOV1501)(抗DLL4/抗VEGF)、ABT165(抗DLL4/抗VEGF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される抗VEGF抗体;(ii)ラムシルマブを含む、抗VEGFR2抗体;または、(iii)これらの組み合わせ、を投与するステップを含む。いくつかの態様では、抗免疫抑制療法は、抗PS抗体、抗PS標的化抗体、β2糖タンパク質1に結合する抗体、PI3Kγの阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDOの阻害剤、TIMの阻害剤、LAG3の阻害剤、TGFβの阻害剤、CD47阻害剤、またはこれらの組み合わせを投与するステップを含み、(i)抗PS標的化抗体は、バビツキシマブ、またはβ2糖タンパク質1に結合する抗体であり;(ii)PI3Kγ阻害剤は、LY3023414(サモトリシブ)またはIPI-549であり;(iii)アデノシン経路阻害剤は、AB-928であり;(iv)TGFβ阻害剤は、LY2157299(ガルニセルチブ)またはTGFβR1阻害剤は、LY3200882であり;CD47阻害剤は、マグロリマブ(5F9)であり;および、(vi)CD47阻害剤はSIRPαを標的にする。
いくつかの態様では、抗免疫抑制療法は、TIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-βまたはその受容体の阻害剤、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80の阻害剤、CD86のアゴニストまたはこれらの組み合わせを投与するステップを含む。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法は、VEGF標的療法、アンジオポエチン1(Ang1)の阻害剤、アンジオポエチン2(Ang2)の阻害剤、DLL4の阻害剤、抗VEGFおよび抗DLL4の二重特異性、TKI阻害剤、抗FGF抗体、抗FGFR1抗体、抗FGFR2抗体、FGFR1を阻害する小分子、FGFR2を阻害する小分子、抗PLGF抗体、PLGF受容体に対する小分子、PLGF受容体に対する抗体、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体、抗VEGFD抗体、アフリベルセプトまたはziv-アフリベルセプトなどのVEGF/PLGF捕捉分子に対する抗体、抗DLL4抗体、γセクレターゼの阻害剤などの抗ノッチ療法、またはこれらの任意の組み合わせを投与するステップ、を含むA TME表現型クラス特異的療法である。
いくつかの態様では、TKI阻害剤は、カボザンチニブ、バンデタニブ、チボザニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、フルキンチニブ(fruquintinib)、パゾパニブ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様では、VEGF標的療法は、(i)バリサクマブ、ベバシズマブ、これらの抗原結合部分、またはこれらの組み合わせを含む抗VEGF抗体;(ii)ラムシルマブまたはその抗原結合部分を含む、抗VEGFR2抗体;または、(iii)これらの組み合わせを投与するステップを含む。
いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法は、エンドグリンおよび/またはアンジオポエチンを含むアンジオポエチン/TIE2標的療法を投与するステップを含む。いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法は、ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、ABT165、またはこれらの組み合わせを含むDLL4標的療法を投与するステップを含む。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法は、免疫応答を開始させる療法の投与と同時に、またはその後で、チェックポイントモジュレーター療法を投与するステップを含む、ID TME表現型クラス特異的療法である。いくつかの態様では、免疫応答を開始させる療法は、ワクチン、CAR-T、または新エピトープワクチンである。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含む。いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、もしくはTSR-042、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、(i)ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびTSR-042からなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;(iv)イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)である、抗CTLA-4抗体、または(iii)これらの組み合わせの投与を含む。
いくつかの態様では、方法は、(a)化学療法を投与するステップ;(b)手術を実施するステップ;(c)放射線療法を投与するステップ;または、(d)これらの任意の組み合わせ、をさらに含む。いくつかの態様では、癌は、再発性、難治性、転移性、dMMR、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、癌は、少なくとも1種の抗癌剤の投与を含む少なくとも1種の前治療後に難治性である。いくつかの態様では、癌は、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、結腸直腸癌、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌からなる群より選択される。いくつかの態様では、胃癌は、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌である。いくつかの態様では、乳癌は、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌である。いくつかの態様では、前立腺癌は、去勢抵抗性転移性前立腺癌である。いくつかの態様では、肝臓癌は、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌である。いくつかの態様では、頭頸部癌は、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌である。いくつかの態様では、結腸直腸癌は、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌である。いくつかの態様では、卵巣癌は、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌である。いくつかの態様では、神経膠腫は転移性神経膠腫である。いくつかの態様では、肺癌は、NSCLCである。
いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法の投与は、投与前の癌負荷量に比べて、癌負荷量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%減らす。いくつかの態様では、対象は、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月、または少なくとも約1、2、3、4、または5年間の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、対象は、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間安定を示す。いくつかの態様では、対象は、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間部分応答を示す。いくつかの態様では、対象は、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間完全奏功を示す。
いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法の投与は、TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の無増悪生存確率に比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%まで無増悪生存確率を改善する。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法の投与は、TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の全生存確率に比べて、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、または少なくとも約375%まで全生存確率を改善する。
また、提供されるのは、TME表現型クラスを、それを必要としている対象の癌に割り当てる方法であり、該方法は、(i)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられるステップ;および、(ii)ANN分類子を用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当てるステップであって、ANN分類子への入力は、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含むステップを含む。
また、提供されるのは、TME表現型クラスを、それを必要としている対象の癌に割り当てる方法であり、該方法は、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料は、TME表現型分類に割り当てられ、ANN分類子は、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを入力として用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当てるステップを含む。また、提供されるのは、TME表現型クラスを、それを必要としている対象の癌に割り当てる方法であり、該方法は、ANN分類子を用いて、対象の癌のTME表現型クラスを予測し、ANN分類子は、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより生成され、各試料は、TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てられる。いくつかの態様では、方法は、少なくとも1つの処理装置および少なくとも1つの記憶装置を含む、コンピューターシステムに実装され、少なくとも1つの記憶装置は、少なくとも1つの処理装置により実行されて、少なくとも1つの処理装置に機械学習モデルを実装させる命令を含む。いくつかの態様では、方法は、(i)ANN分類子コードをコンピューターシステムの記憶装置に入力するステップ;(ii)コンピューターシステムの記憶装置に、対象に対応する遺伝子パネル入力データを入力するステップであって、入力データがRNA発現レベルを含むステップ;(iii)ANN分類子コードを実行するステップ;または;(v)これらの任意の組み合わせをさらに含む。
また、提供されるのは、局所進行性、転移性胃癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、局所進行性、転移性胃癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、局所進行性、転移性胃癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、以前に未治療の胃癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、以前に未治療の胃癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、局所進行性/転移性HER2陰性乳癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、局所進行性/転移性HER2陰性乳癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、去勢抵抗性転移性前立腺癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、去勢抵抗性転移性前立腺癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、進行性、転移性肝細胞癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、進行性、転移性肝細胞癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、メラノーマの対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、メラノーマの対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、肝臓へ転移性の進行型結腸直腸癌の対象を、ID TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、ID TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、白金抵抗性または白金感受性再発性卵巣癌の対象を、IA、IS、またはA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA、IS、またはA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。
また、提供されるのは、白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌の対象を、IA、IS、またはA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IA、IS、またはA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、メラノーマの対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、転移性の結腸直腸癌の対象を、AまたはIS TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、AまたはIS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、神経膠腫または神経膠芽腫の対象を、ISまたはIA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、ISまたはIA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。また、提供されるのは、非小細胞肺癌の対象を、ISまたはIA TME表現型を用いて治療する方法であり、該方法は、ISまたはIA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられた。
本開示はまた、(i)表1の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含むキットを提供する。また、提供されるのは、(i)表1(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含む製品であり、製品はマイクロアレイを含む。
本開示は、下記を含むANN分類子を提供する:
(a)2~100個のノードを含む入力層であって、入力層中の各ノードは、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の遺伝子に対応し、遺伝子パネルは、(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または(iv)図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)のいずれか、を含む、入力層;
(b)2個のノードを含む隠れ層;および
(c)4個の出力ノードを含む出力層であって、出力層中の4個の出力ノードのいずれか1個が、TME表現型クラスに対応し、4つのTME表現型クラスは、IA、IS、ID、およびAであり、および場合により、ソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分析分類子をANNの出力に適用することをさらに含み、ソフトマックス関数は、各TME表現型クラスに確率を割り当てる、出力層。
本開示は、下記を投与するステップを含むチェックポイントモジュレーター療法を含むIA TME表現型クラス特異的療法を提供する:
(i)GITR、OX-40、ICOS、4-1BBに対する抗体分子、またはこれらの組み合わせなどの刺激性免疫チェックポイント分子の活性化剤;
(ii)RORγアゴニスト;
(iii)PD-1に対する抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1に対する抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、CX-072、LY3300054、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L2に対する抗体、またはCTLA-4に対する抗体、などの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の、単独もしくはこれらの組み合わせ、またはTIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-β、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、またはCD86の阻害剤との組み合わせ;または
(iv)これらの組み合わせ。
本開示は、ISクラスTME療法を提供し、該療法は、
(1)チェックポイントモジュレーター療法および抗免疫抑制療法、および/または
(2)抗血管新生療法、
を投与するステップを含み、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤を投与するステップを含み、該阻害性免疫チェックポイント分子は、
(i)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-1に対する抗体;
(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-L1に対する抗体;
(iii)PD-L2に対する抗体またはその抗原結合部分;
(iv)イピリムマブおよび二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)から選択されるCTLA-4に対する抗体;または
(v)これらの組み合わせ、を含み、
抗血管新生療法は、
(a)バリサクマブ、ベバシズマブ、ナビシキズマブ(抗DLL4/抗VEGF二重特異性)、ABL101(NOV1501)(抗DLL4/抗VEGF)、ABT165(抗DLL4/抗VEGF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される抗VEGF抗体;
(b)ラムシルマブを含む、抗VEGFR2抗体;または、
(c)これらの組み合わせ、を投与するステップを含み、
および抗免疫抑制療法は、
(a)抗PS抗体、抗PS標的化抗体、β2糖タンパク質1に結合する抗体、PI3Kγの阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDOの阻害剤、TIMの阻害剤、LAG3の阻害剤、TGFβの阻害剤、CD47阻害剤、またはこれらの組み合わせ(抗PS標的化抗体は、バビツキシマブ、またはβ2糖タンパク質1に結合する抗体であり;PI3Kγ阻害剤は、LY3023414(サモトリシブ)またはIPI-549であり;アデノシン経路阻害剤は、AB-928であり;TGFβ阻害剤は、LY2157299(ガルニセルチブ)またはTGFβR1阻害剤は、LY3200882であり;CD47阻害剤は、マグロリマブ(5F9)であり;および、CD47阻害剤はSIRPαを標的にする);
(b)TIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-βまたはその受容体の阻害剤、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80の阻害剤、CD86のアゴニストまたはこれらの組み合わせ;または
(c)これらの組み合わせ、を投与するステップを含む。
本開示は、下記を投与するステップを含むA TME表現型クラス特異的療法を提供する:
(i)VEGF標的療法、アンジオポエチン1(Ang1)の阻害剤、アンジオポエチン2(Ang2)の阻害剤、DLL4の阻害剤、抗VEGFおよび抗DLL4の二重特異性、TKI阻害剤、抗FGF抗体、抗FGFR1抗体、抗FGFR2抗体、FGFR1を阻害する小分子、FGFR2を阻害する小分子、抗PLGF抗体、PLGF受容体に対する小分子、PLGF受容体に対する抗体、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体、抗VEGFD抗体、アフリベルセプトまたはziv-アフリベルセプトなどのVEGF/PLGF捕捉分子に対する抗体、抗DLL4抗体、γセクレターゼの阻害剤などの抗ノッチ療法、またはこれらの任意の組み合わせであって、TKI阻害剤は、カボザンチニブ、バンデタニブ、チボザニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、フルキンチニブ(fruquintinib)、パゾパニブ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、VEGF標的療法は、(a)バリサクマブ、ベバシズマブ、これらの抗原結合部分、またはこれらの組み合わせを含む抗VEGF抗体;(b)ラムシルマブ、またはその抗原結合部分を含む抗VEGFR2抗体;または、(c)これらの組み合わせを投与するステップを含み;
(ii)エンドグリンおよび/またはアンジオポエチンを含むアンジオポエチン/TIE2標的療法;または
(iii)ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、ABT165、またはこれらの組み合わせを含むDLL4標的療法。
本開示は、免疫応答を開始させる療法の投与と同時に、またはその後に、チェックポイントモジュレーター療法を投与するステップを含む、ID TME表現型クラス特異的療法を提供し、チェックポイントモジュレーター療法は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせなどの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含み、免疫応答を開始させる療法は、ワクチン、CAR-T、または新エピトープワクチンであり、
(i)抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、もしくはTSR-042、またはこれらの抗原結合部分を含み;
(ii)抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含み;および
(iii)抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)、またはこれらの抗原結合部分を含む。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法は、(a)化学療法の投与;(b)手術の実施;(c)放射線療法の投与;または、(d)これらの任意の組み合わせと組み合わせられる。
いくつかの態様では、癌は、(i)局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌などの胃癌;(ii)局所進行性、三種陰性乳癌、または転移性のHER2陰性乳癌などの乳癌;(iii)去勢抵抗性転移性前立腺癌などの前立腺癌;(iv)進行型転移性の肝細胞癌などの肝臓癌;(v)再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌などの頭頸部癌;(vi)転移性メラノーマなどのメラノーマ;(vii)肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌などの結腸直腸癌;(viii)白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌などの卵巣癌;(ix)転移性神経膠腫などの神経膠腫;(x)非小細胞肺癌(NSCLC)などの肺癌;および(xi)神経膠芽腫からなる群より選択される。
いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法の投与は、(i)投与の前の癌負荷量に比べて、少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%までの癌負荷量の減少;(ii)TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月、または少なくとも約1、2、3、4または5年間の無増悪生存期間;(iii)TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の安定;(iv)TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の部分応答;(v)TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の完全奏功;(vi)TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の無増悪生存確率に比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%まで改善された無増悪生存確率;(vii)TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の全生存確率に比べて、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、または少なくとも約375%まで改善された全生存確率;または、(viii)これらの組み合わせをもたらす。
本開示は、治療を必要としている対象の癌に、TME表現型クラスを割り当てる方法を提供し、該方法は、
(i)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられ;および、ANN分類子を用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当て、ANN分類子への入力は、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含むステップ;または、
(ii)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられ;ANN分類子は、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを入力として用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当てるステップ;
(iii)ANN分類子を用いて、対象の癌のTME表現型クラスを予測するステップであって、ANN分類子は、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより生成され、各試料は、TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てられるステップを含む。
本開示は、癌の対象を、特定のTME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、
(i)癌は局所進行性、転移性胃癌であり、TME表現型はIA、A、またはISであり;
(ii)癌は未治療の胃癌であり、TME表現型はISまたはAであり;
(iii)癌は進行型/転移性HER2陰性乳癌であり、TME表現型はAまたはISであり;
(iv)癌は去勢抵抗性転移性前立腺癌であり、TME表現型はAまたはISであり;
(v)癌は進行型転移性肝細胞癌であり、TME表現型はIAまたはISであり;
(vi)癌は再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌であり、TME表現型はIAまたはISであり;
(vii)癌はメラノーマであり、TME表現型はIAまたはISであり;
(viii)癌は、肝臓へ転移性の進行型結腸直腸癌であり、TME表現型はIDであり;
(ix)癌は白金抵抗性または白金感受性再発性卵巣癌であり、TME表現型はIA、ISまたはAであり;
(x)癌は白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌であり、TME表現型はIA、ISまたはAであり;
(xi)癌は転移性結腸直腸癌であり、TME表現型はAまたはISであり;
(xii)癌は神経膠腫または神経膠芽腫であり、TME表現型はISまたはIAであり;または
(xiii)癌は非小細胞肺癌であり、TME表現型はISまたはIAであり;
TME表現型クラスは、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられ、ANN分類子は、
(a)2~100個のノードを含む入力層であって、入力層中の各ノードは、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の遺伝子に対応し、遺伝子パネルは、(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または(iv)図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)のいずれか、を含む、入力層;
(b)2個のノードを含む隠れ層;および
(c)4個の出力ノードを含む出力層であって、出力層中の4個の出力ノードのいずれか1個が、TME表現型クラスに対応し、4つのTME表現型クラスは、IA、IS、ID、およびAである、出力層を含み、
および、場合により、ANNの出力へのソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分析分類子をさらに含み、ソフトマックス関数は、各TME表現型クラスに確率を割り当てる。
TMEパネル1分類子により割り当てられた4つのTME(腫瘍微小環境)表現型クラスを示す。血管新生TME表現型クラス、A、は、高い血管新生および低い免疫シグネチャースコアを特徴とする。病理学的血管新生は、腫瘍増殖および転移を促進する。免疫抑制TME表現型クラス、IS、は、高い血管新生および高い免疫シグネチャースコアを特徴とする。免疫補体は、主に抑制性細胞からなる。免疫砂漠TME表現型クラス、ID、は、低い血管新生シグネチャースコアおよび低い免疫シグネチャースコアを特徴とする。免疫細胞は存在せず、脈管構造は機能的である。免疫活性TME表現型クラス、IA、は、低い血管新生および高い免疫シグネチャースコアを特徴とする。T細胞は、浸潤しているが、最適に機能しない可能性がある。 CITデータセットおよびWood-Hudson CRCデータセット中のTME表現型クラスの発生率を示す。CITデータセットは、早期(0~2)および後期(3~4)疾患に分かれ、93人の患者の89人がステージ3~4であったWood-Hudsonと比較された。各データサブセットに対し、血管新生(A)、免疫活性(IA)、免疫砂漠(ID)および免疫抑制(IS)として分類された患者の比率を集計した。TME表現型クラスは、凡例に従い色分けしている。 TMEパネル1分類子により分類された、ステージによる各TME表現型クラスの左側および右側CRC構成要素を示す。図2Aに示すデータサブセットは、腫瘍の側、左(遠位)または右(近位)に基づいてさらに分割され、TME表現型クラス比率は再集計された。 TMEパネル1分類子により分類したCITデータセット中の初期段階(0-2)の患者の無病生存期間(DFS)のカプランマイヤープロットである。各生存曲線は、凡例に示すように、TMEパネル1表現型クラスを表す。大文字のNは、患者の数、小文字のnは、死亡の数である。抗血管新生薬治療の非存在下では、A TME表現型クラスの腫瘍の患者は、最悪の予後を有し、IS TME表現型クラスの腫瘍の患者がそれに続いた。IA TME表現型クラスの患者は、最良の結果を有した。 TMEパネル1分類子により分類された後期ステージ(3-4)Wood-Hudson CRC患者の全生存期間(OS)のカプランマイヤープロットである。各生存曲線は、凡例に示すように、TMEパネル1表現型クラスを表す。大文字のNは、患者の数、小文字のnは、死亡の数である。抗血管新生薬治療の非存在下では、A TME表現型クラスの腫瘍の患者は最悪の予後を有し、最低の生存期間中央値を示し、IS TME表現型クラスの腫瘍の患者がそれに続いた。 図4B~4Fで示される潜在空間分析の根底にある血管新生および免疫軸のダイアグラムである。各患者は、免疫シグネチャー(X軸)および血管新生シグネチャー(Y軸)により定義されるTMEパネル1ランドスケープ上にプロットされた。 図4B~4E。TMEパネル1分類子による分類後のCMSクラス1~4の潜在空間プロットである。グレースケール等高線は、TMEパネル1分類子による特定のTME表現型分類の確率を表す確率帯である。 TMEパネル1分類子による分類後のCITデータセットの未分類患者の潜在空間プロットである。グレースケール等高線は、TMEパネル1分類子による特定のTME表現型分類の確率を表す確率帯である。 各CMS群内のCITデータセットのTME表現型クラス分布を示す。各CMS群に対して、各TMEクラスの患者の比率が凡例に従って網掛により示される。 各TME表現型クラス内のCITデータセットのCMS分布を示す。各TMEクラスに対して、各CMS群の患者の比率が凡例に従って網掛により示される。図5Aおよび5Bは、同じものであるが、逆の集計解析を表す。 図6Aおよび6B。CMS群中およびTME、または間質、表現型クラス中のDNAミスマッチ修復(dMMR)欠陥患者の発生率を示す。dMMR患者の約3/4は、CMS1(77%)により捕捉された(図6A)が、一方、96%のdMMR患者は、高免疫TME表現型(IA)および(IS)として分類された(図6B)。群およびクラスは、凡例に従って網掛されている。 本開示におけるTMEパネル1分類子の簡略化図を示す。TMEパネル1分類子は、遺伝子パネル(例えば、124個の遺伝子パネル、105個の遺伝子パネル、98個の遺伝子パネル、あるいは、87個の遺伝子パネル)中の各遺伝子に対応する入力を有する入力層、2個のニューロン(あるいは、3、4または5個のニューロン)を含む隠れ層、およびTME表現型クラス割り当て(即ち、間質表現型割り当て)に対応し得る出力層を含む。 本明細書で開示のTMEパネル1分類子の適用に基づくTME表現型クラス割り当て、ならびに各TME表現型クラスに割り当てられた治療クラスを示す表である。 遺伝子セット1~44中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット45~88中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット89~132中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット133~177中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット178~222中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット223~267中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 遺伝子セット268~282中の124遺伝子の存在(空セル)または非存在(中実セル)を示す。 ビドゥトリモド(vidutolimod)/CMP-001に対応する潜在空間プロットである。
本開示は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を、支配的な腫瘍微小環境生物学に基づいて遺伝子発現データを使って患者を分類する診断パネルに従って層別化する方法を提供する。Strand-Tibbitts et al.2020 Development of an RNA-based Diagnostic Platform Based on the Tumor Microenvironment Dominant Biology.SITC(2020)。図1を参照。
本明細書で開示の癌患者の層別化に使用されるTMEパネル1分類子(「TMEパネル1」)は、それぞれ、腫瘍の間質を支配する、血管新生および免疫生物学を表す2つの遺伝子シグネチャー:血管新生シグネチャーおよび免疫シグネチャーを学習した機械学習モデルを採用する。これらの生物学の組み合わせは、4つの異なる腫瘍微小環境(TME)、または間質の表現型クラス:血管新生(A)、免疫抑制(IS)、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)をもたらす。いくつかの態様では、用語「免疫砂漠」および「微小環境砂漠」は同じ意味で用いられる。TMEパネル1分類子は、患者の腫瘍試料からの遺伝子発現、例えば、RNA発現データに基づいて、患者をこれらの4つのTME表現型クラスの1つに割り当てる。これらのTME表現型クラスは、疾患ステージまたは人口統計とは関係なく、別個の予後リスクを与える。TMEパネル1分類子は、承認および治験薬を含む、抗血管新生薬およびチェックポイント阻害剤療法に対する結果を予測する。例えば、米国特許出願第17/089,234号を参照されたい。この特許文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
TMEパネル1は、個別の患者を特定のTME表現型クラスに分類する(潜在的)遺伝子発現パターンを学習する。TMEパネル1は、高次元データ(入力遺伝子セット中の全ての遺伝子の遺伝子発現)を低次元(潜在)空間中に圧縮する。TMEパネル1は、最初に訓練され、胃癌で検証された。2,000を超えるバイオバンクに預けられた患者試料の分析は、分類子が他の癌、例えば結腸直腸癌にも適用できることを示した。TMEパネル1は、癌患者、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を層別化して、治療結果を予測し、特異的療法の選択を手引できる。
いくつかの態様では、本開示は、特定のタイプの胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患している対象、例えば、ヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子による特定のTME表現型クラスの癌または患者の分類に応じて、特定の療法を投与するステップを含む。
また、提供されるのは、特定のタイプの胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の対象に投与できる個別化治療であり、癌または対象は、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子に従って、特定のTME表現型クラスに分類されているか、または特定のTME表現型クラスに分類される癌ではないことが特定されている。
本開示はまた、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される特定のタイプの癌に罹患している対象、例えば、ヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子による特定のTME表現型クラスの癌または患者の分類に応じて、特定の療法を投与するステップを含む。
また、提供されるのは、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される特定のタイプの癌の対象に投与できる個別化治療であり、癌または対象は、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子に従って、特定のTME表現型クラスに分類されているか、または特定のTME表現型クラスに分類される癌ではないことが決定されている。
本明細書で開示の方法および構成要素の適用は、癌患者、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を、1つまたは複数の特定のTME表現型クラスを標的にする作用機序を有するTME表現型クラス特異的療法に適合させることにより、臨床転帰を改善できる。
同様に、本明細書で開示の方法および構成要素の適用は、癌患者、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を、1つまたは複数の特定のTME表現型クラスを標的にする作用機序を有するTME表現型クラス特異的療法に適合させることにより、臨床転帰を改善できる。
支配的なTME表現型クラスは、方向性があり得るが、薬物、複数薬物、または臨床レジメンの作用機序の複雑さに基づいて、任意の特定の薬物のために変更できる。薬物または臨床レジメン(即ち、以下で開示の1種または複数のTME表現型クラス特異的療法)の組み合わせは、複数TME表現型クラスを、該当する場合、例えば、2つ以上のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陽性である、または主に1つのTME表現型クラスであるが、モデル、例えば、本明細書で開示のTMEパネル1分類子、の確率関数で認められるような別のTME表現型クラスの寄与が存在する腫瘍の患者に適用できる。従って、用語「主に」は、本明細書で開示のTME表現型クラスに適用される場合、患者または試料が特定のTME表現型クラス(例えば、IA)に対し陽性であるが、モデル、例えば、本明細書で開示のTMEパネル1分類子確率関数で認められるような、他のTME表現型クラス(例えば、IS、IDまたはA)またはこれらの組み合わせも、バイオマーカーシグナルに寄与することを示す。
開示ANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子の、当該技術分野において既知の他の分類子に対する利点は、例えば、臨床試験または臨床レジメンの一部である患者由来の試料を、いずれか他の現時点の患者データを参照することなく、特定のTME表現型クラスに割り当てできることである。従って、各TMEに対する確率を有する潜在的プロットの利用可能性は有用であるが、特定のTME表現型クラスを正確に割り当てる必要はない。
本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、明確な予測値がない結腸直腸癌の場合には、当該技術分野において既知のCMS(コンセンサス分子サブタイプ)などの分類子に対して、特に有利である。予後バイオマーカーは、治療に関係なく、疾患の経過を予告するために使用される。例えば、肝細胞癌(HCC)および高レベルのαフェトプロテイン(AFP)の患者は、療法に関係なく、さらに悪い結果を有する傾向があり、肥満症は、COVID-19患者の結果に対する既知の予後バイオマーカーである。入力データ(DNA、RNA、プロテオミクス)の教師なしのクラスタリングから生じたCMSサブタイプは、TME表現型クラスA、IA、IS、およびIDのように予測的ではない。血管新生シグネチャースコアおよび免疫シグネチャースコアを基準にして、TME表現型クラスまたは複数クラス内の腫瘍を分類するために使用される遺伝子セットは、腫瘍微小環境の生物学から経験的に開発され、従って、これらの遺伝子セットを用いて訓練されたANN法、例えば、TMEパネル1分類子は、有益な治療を予測する。
結腸直腸癌におけるCMS手法は、多くの癌生物学を扱う。Stintzingらは、結腸直腸癌でのセツキシマブとベバシズマブを区別しようと試みた。理由はこれら両方がそれぞれの臨床試験で野生型KRAS結腸直腸癌用に承認されたためである。Stintzing et al.(2019)Annals of Oncology 30:1796-1803。Stintzingに記載の試験、FIRE1、は、結論の出ないものであった。CMS4間葉系は間質浸潤、TGFB活性化、および血管新生に関連するので、抗血管新生療法は、これらの患者の一部にとって利益になるはずであるということになる。しかし、Stintzingらの試験では、ベバシズマブは、CMS3およびCMS4患者をセツキシマブほどは助けなかった。さらに、CMS2は、WNTおよびMYC活性化に関連するので、抗EGFRモノクローナル抗体セツキシマブを含むEGFR阻害剤は、これらの患者の一部にとって利益になるはずであるということになる。しかし、Stintzingらの試験では、CMS2患者は、セツキシマブからよりも抗血管新生薬ベバシズマブから多くの利益を得た。
本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、結腸直腸癌に限定されず、2つのシグネチャーにより表される2つの生物学を扱う。各シグネチャーの経験的に決定した遺伝子は、血管新生または免疫過程に関連する遺伝子を表すが、ANN法は、両方の隠れノードまたはニューロンに対する血管新生に関連する遺伝子(例えば、表1のもの)または免疫過程に関連する遺伝子(例えば、表2のもの)からの入力に依存する。さらに、分類子出力は、1つの隠れノードまたはニューロンを血管新生シグネチャースコアに対応する血管新生軸と呼び、他方を免疫シグネチャースコアに対応する免疫軸と呼ぶことにより単純化できる。図1を参照。
本開示ANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子の結腸直腸癌患者データへの適用は、TMEパネル1分類子が、CMSサブタイプより、例えば、結腸直腸癌患者における、特定のTME表現型クラスに属する腫瘍のベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))に対する応答を予測する、予知力において優れていることを示す。さらに、本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、左側および右側結腸直腸癌の間のTME差異を特定し、これは、左側および右側結腸直腸癌で観察される異なる表現型に適合するTME表現型クラス特異的療法の選択を可能にする。左側および右側結腸直腸癌の間のTME表現型の差異は、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))に対する応答の説明を提供し、これは、CMS分類に基づいて説明し得ない。ごく一般的には、左側結腸直腸癌は、より多くの血管新生間質表現型を有し、右側結腸直腸癌は、より多くの免疫間質表現型を有する。
本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、A TME表現型クラスを有する結腸直腸癌患者集団を、CMS4より効率的に捕捉でき、従って、より高い精度の適切な療法の選択を可能にし、より効率的な治療応答の予測器である。同様に、本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、それらがdMMRまたはMSI-Hでない場合であっても、チェックポイント阻害剤療法に好適であるIA TME表現型クラスを有する患者集団をより効率的におよび完全に捕捉できる。従って、本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、例えば、結腸直腸癌患者を、例えば、癌が転移性か否か、癌の位置(例えば、左側または右側)、または特定の分子バイオマーカーまたは特徴(例えば、MMR状態またはMSI-H状態)の存在または非存在に基づいて、特定の亜集団中で層別化でき、および個別化されたTME表現型クラス特異的療法を患者に、当該技術分野において既知の他の分類子より正確に、割り当てることができる。特定のTME表現型を有する特定の亜集団中の癌患者、例えば、結腸直腸癌の患者のこの層別化は、各利用可能な療法に対する治療応答をより正確に予測することを可能にし、好ましい結果の確率を最大化させる治療過程を臨床医が設計することを可能にする。
本開示の分類子の重要な利点は、それらは、臓器横断的であり、即ち、同じ腫瘍学予測プラットホームを複数のタイプの癌に適用できることである。他の異なるタイプの癌を分類するバイオマーカー系手法は、癌特異的バイオマーカーおよびプローブセット(例えば、各タイプの腫瘍細胞は、癌特異的である特定セットのRNAプローブが必要である)に依存するが、本発明の手法は、異なるタイプの癌に適用できる共通の遺伝子セット(「訓練セット」または「定義セット」と呼ばれる)の使用に基づいている。換言すれば、従来のバイオマーカー系腫瘍分類システムは、各癌型(例えば、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、など)に特異的と思われる多数のプローブが必要になる。従って、例えば、乳癌用の治療薬を選択するプローブセット(例えば、キット、アレイ、など中の)は、前立腺癌または肝臓癌用の治療薬を選択するために使用できない。対照的に、本件の方法は、癌細胞ではなく、腫瘍の間質、即ち、癌細胞を取り囲む細胞、脈管構造、など中で発現される独自開発の遺伝子セットに依存している。従って、本明細書で開示の機械学習に基づく人工知能プラットホームにより処理された後に、多数のタイプの癌のための好ましい治療薬または治療結果の予測を得ることができるRNA発現データを得るために、単一セットのRNAプローブ(例えば、キット、アレイ、など中の)を使用することが可能である。
用語
本開示がより容易に理解できるように、特定の用語が最初に定義される。本明細書で別義が明示的に提供される場合を除き、本開示で使用される場合、それぞれの次の用語は、以下に記載される意味を有するものとする。追加の定義は、本開示全体を通して記載される。
「投与」は、当業者に既知の種々の方法および送達系のいずれかを用いた、治療薬(例えば、モノクローナル抗体)を含む組成物の対象への物理的導入を意味する。好ましい投与経路には、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊椎または他の非経口投与経路が挙げられる。
語句の「非経口投与」は本明細書で使用される場合、腸内投与および局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、これには、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、結節内、病巣内、関節内、眼窩内、心臓内の、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、眼内、硝子体内、眼窩周囲、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボ電気穿孔が挙げられる。他の非注射経路には、経口、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経膣、直腸内、舌下または局所が挙げられる。また、例えば、投与は、1回、複数回、および/または1回または複数開の長期間実施できる。
「抗体」(Ab)は、限定されないが、抗原に特異的に結合する糖タンパク質免疫グロブリンを含むべきであり、およびスルフィド結合により相互に連接された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、またはその抗原結合部分を含む。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略称)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2、およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略称)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、Cを含む。VおよびV領域は、より保存されたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分できる。各VおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRを含み、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介できる。
免疫グロブリンは、限定されないが、IgA、分泌性IgA、IgGおよびIgMを含む、よく知られたアイソタイプのいずれかから誘導できる。IgGサブクラスもまた、当業者によく知られており、限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が挙げられる。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を意味する。
用語「抗体」は、例えば、モノクローナル抗体;キメラおよびヒト化抗体;ヒトまたは非ヒト抗体;全合成抗体;および単鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、ヒトでのその免疫原性を低減するために、組換え法によりヒト化できる。明示的に述べられない場合、および文脈により別義が示されない限り、用語「抗体」はまた、上述の免疫グロブリンのいずれかの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分も含み、一価および二価のフラグメントまたは部分、および単鎖抗体を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、天然起源抗体またはポリクローナル抗体を含まない。本明細書で使用される場合、「天然起源抗体」および「ポリクローナル抗体」という用語は、治療的介入、例えば、ワクチンにより誘導された免疫反応から生じた抗体を含まない。
「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に不含である抗体を意味する(例えば、VEGF-Aに特異的に結合する単離抗体は、VEGF-A以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に不含である)。しかし、VEGF-Aに特定的に結合する単離抗体(例えば、ベバシズマブ、またはその抗原結合部分)は、異なる種由来のVEGF-A分子などの他の抗原に対し交差反応性を有し得る。さらに、単離抗体は、他の細胞性物質および/または化学薬品を実質的に不含であり得る。
用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、単一分子組成物の抗体分子の非天然起源配合物、即ち、一次配列が実質的に同一で、特定のエピトープに対し単一結合特異性および親和性を示す抗体分子を意味する。モノクローナル抗体は、単離抗体の一例である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、遺伝子導入または当業者に既知の他の技術により生成できる。
「ヒト抗体」(HuMAb)は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である可変領域を有する抗体を意味する。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もまた、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含むことができる(例えば、インビトロランダムまたは部位特異的変異によりまたはインビボ体細胞変異により導入された変異)。しかし、本明細書で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフト化された抗体を含むことは意図されない。用語「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」は、同義に使用される。
「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体のCDR以外の一部、大部分または全部のアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸で置換されている抗体を意味する。ヒト化型の抗体の一態様では、CDR以外の一部、ほとんどまたは全てのアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置換されているが、一方、1つまたは複数のCDR内の一部、ほとんどまたは全てのアミノ酸は未変化である。アミノ酸の少ない付加、欠失、挿入、置換または修飾は、それらが特定の抗原に結合する抗体の能力を抑止しない限り、許容可能である。「ヒト化抗体」は、元の抗体のものに類似の抗原特異性を保持する。
「キメラ抗体」は、可変領域が1つの種に由来し、定常領域が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域がマウス抗体由来で、定常領域がヒト抗体由来である抗体を意味する。
本明細書で使用される場合、「二重特異的抗体」は、2つの抗原結合部位、第1の抗原またはエピトープに対する親和性を有する第1の結合部位および第1とは異なる第2の抗原またはエピトープに対する結合親和性を有する第2の結合部位、を含む抗体を意味する。
「抗抗原抗体」は、抗原に特異的に結合する抗体を意味する。例えば、抗VEGF-A抗体(例えば、ベバシズマブ、またはその抗原結合部分)は、VEGF-Aに特異的に結合する。
抗体の「抗原結合部分」(「抗原結合フラグメント」とも呼ばれる)は、完全長抗体により結合された抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントにより実施できることが示されている。抗体の用語「抗原結合部分」、例えば、本明細書で記載の抗VEGF-A抗体(例えば、ベバシズマブ、またはその抗原結合部分)に包含される結合フラグメントの例には、(i)V、V、LCおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント(パパイン切断由来のフラグメント)または類似の一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント(ペプシン切断由来のフラグメント)またはヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合される2つのFabフラグメントを含む類似の二価のフラグメント;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインからなるFvフラグメント;(v)VドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al.,(1989) Nature 341:544-546);(vi)単離された相補性決定領域(CDR)および(vii)場合により、合成リンカーにより連結できる2つ以上の単離CDRの組み合わせが挙げられる。さらに、Fvフラグメント、VおよびVの2つのドメインは、別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、組換え法を用いて、VおよびV領域が対になって一価分子を形成する、単一タンパク質鎖としての作製を可能にする合成リンカーにより連結できる(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423-426;およびHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照)。このような単鎖抗体はまた、抗体の用語「抗原結合部分」に包含されることも意図される。これらの抗体フラグメントは、当該技術分野で利用可能な技術を用いて得られ、フラグメントは、インタクト抗体と同様にして有用性でスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術により、またはインタクト免疫グロブリンの酵素的または化学的切断により産生できる。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特異的抗原に適用される場合、異なる結合特異性を有する他の結合部分を含む抗体分子も包含する。従って、一態様では、用語の抗体はまた、抗体薬物複合体(ADC)も包含する。別の態様では、用語の抗体は、多重特異的抗体、例えば、二重特異的抗体を包含する。従って、例えば、用語の抗VEGF-A抗体はまた、抗VEGF-A抗体またはその抗原結合部分を含むADCを包含し得る。同様に、用語の抗VEGF-A抗体は、VEGF-Aに特異的に結合できる抗原結合部分を含む二重特異的抗体を包含し得る。
「癌」は、身体中の異常な細胞の無制御増殖を特徴とする広範な種々の疾患群を意味する。無制御細胞分裂および増殖は、隣接組織を侵襲し、リンパ系または血流を介して身体の遠位部分に転移できる悪性腫瘍を形成する。いくつかの態様では、本明細書で開示の癌は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される。いくつかの態様では、癌は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)である。いくつかの態様では、癌は、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)である。いくつかの態様では、癌は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)である。いくつかの態様では、癌は、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)である。いくつかの態様では、癌は、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)である。いくつかの態様では、癌は、メラノーマ(例えば、転移性のメラノーマ)である。いくつかの態様では、癌は、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)である。いくつかの態様では、癌は、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)である。いくつかの態様では、癌は、神経膠腫(例えば、転移性の神経膠腫)である。いくつかの態様では、癌は、神経膠芽腫である。いくつかの実施形態では、癌は肺癌(例えば、NSCLC)である。
用語「腫瘍」は、固形癌を意味する。用語「癌腫」は、上皮由来の癌を意味する。
本明細書で使用される場合、「間質」という用語は、内皮細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、免疫細胞(リンパおよび骨髄細胞型を含む)、組織または臓器中またはそれら周辺に位置する、特に、腫瘍組織またはインビボで見つかる全腫瘍中またはそれらの周辺に位置する結合および/または支持組織を特徴とする支持または結合組織を含む全細胞混合物を意味する。間質構成成分は、細胞またはタンパク質の単一型もしくは単一種を特徴としなくてもよい。その代わりに、例えば、それらは、全臓器または腫瘍に伴ってインビボで観察されるような、全間質組織構成成分を特徴とする多様な分子バイオマーカー種を特徴とし得る。腫瘍増殖および伝播は癌細胞によってのみで決定されるのではなく、間質の用語に包含される、悪性の病変の非悪性成分によっても決定される。従って、いくつかの態様では、用語の間質は、腫瘍の非悪性成分を意味する。いくつかの態様では、用語の間質は、腫瘍の悪性成分、即ち、癌細胞をさらに含む。本開示のいくつかの態様では、用語の間質および腫瘍微小環境(TME)は、同義である。
本明細書で使用される場合、用語「CMS」は、結腸直腸癌のゲノミクスDNAおよびRNA分析における、遺伝子の自己クラスタリングに基づく結腸直腸癌の分類を意味する。Guinney et al.(2015)Nature Medicine 21:1350-6。分類は、CMSまたはコンセンサス分子サブタイプと呼ばれる4つの遺伝子クラスターを生ずる。「CMS1」は、MSI免疫と呼ばれ、MSI(マイクロサテライト不安定性)、CIMP(CpG島メチル化表現型)高、高頻度変異、BRAF変異、免疫浸潤および活性化、および再発後のより悪い生存を特徴とする。「CMS2」は、標準的と呼ばれ、SCNA(体細胞コピー数変化)高、ならびにWNTおよびMYC活性を特徴とする。「CMS3」は、代謝と呼ばれ、混合MSI状態、SCNA低、CIMP低、KRAS変異、および代謝調節解除を特徴とする。「CMS4」は、間葉系と呼ばれ、SCNA高、間質浸潤、TGFβ活性化、血管新生およびより悪い無再発および全生存期間を特徴とする。
本明細書で使用される場合、「MSI-H」という用語は、マイクロサテライト不安定性-高(MSH-高)を意味する。一般に、これは、正常数を超えるマイクロサテライトと呼ばれる遺伝子マーカーを有する癌細胞を表す。マイクロサテライトは、DNAの短い反復配列である。多数のマイクロサテライトを有する癌細胞は、細胞中でDNAが複製される場合起こる誤りを訂正する能力の欠陥を有し得る。マイクロサテライト不安定性は、結腸直腸癌、他のタイプの胃腸癌、および子宮内膜癌で最も頻繁に認められる。それは、例えば、乳癌、前立腺癌、膀胱癌、および甲状腺癌でも見つかる場合がある。
用語「dMMR」は、ミスマッチ修復の欠陥を意味する。MSI-H/dMMRは、細胞が分裂過程中にできた誤りを修復できない場合に起こり得る。
用語「免疫療法」は、疾患に罹患している、または疾患の再発に苦しむまたは再発を受ける危険がある対象の免疫応答を、誘導、強化、抑制あるいは変更することを含む方法による治療を意味する。対象の「治療(Treatment)」または「療法(therapy)」は、疾患に関連する発症、進行、発達、症状の重症度または再発、合併症または状態、または生化学的指標の回復、緩和、改善、抑制、遅延化または予防の目的で、対象に対し実施される任意のタイプの介入または処理、または対象に対する活性薬剤の投与を意味する。
本開示の文脈では、用語「免疫抑制された」または「免疫抑制」は、癌に対する免疫応答の状態を表す。癌に対する患者の免疫応答は、腫瘍微小環境中の免疫抑制細胞により抑制でき、その結果、癌に対する免疫系攻撃を遮断する、防止する、または漸減させる。免疫抑制療法では、目標は、(例えば、臓器移植の場合のように免疫抑制を起こさせることではなく)免疫系は癌を攻撃できるように、患者に特定の薬物を与えることにより、免疫抑制を緩和することである。
用語「小分子」は、約900ダルトン未満、または、約500ダルトン未満の分子量を有する有機化合物を意味する。この用語は、目的の薬理学的特性を有する薬剤を含み、経口摂取または注射により投与できる化合物を含む。この用語は、TGFβの活性を調節する有機化合物類、および/または免疫応答を高めるまたは抑制することに関連する他の分子を含む。
「VEGF-A」は、血管内皮細胞増殖因子A、血管透過性因子、VEGF、VPFまたはMVCD1としても知られ、PDGF/VEGF増殖因子ファミリーのメンバーである遺伝子またはその発現ポリペプチドを意味する。VEGF-Aは、ヘパリン結合タンパク質をコードする。それは、血管内皮細胞の増殖および移動を誘導する増殖因子であり、生理学的および病的血管新生の両方に不可欠である。マウスにおけるこの遺伝子の破壊は、異常な胚性血管形成を生じた。この遺伝子は、多くの既知の腫瘍中で発現上昇されており、その発現は、腫瘍ステージおよび進行と相関している。この遺伝子のバリアントが報告されており、限定されないが、糖尿病1の毛細血管合併症(MVCD1)およびアテローム性動脈硬化症に関連するアレルバリアント、異なるアイソフォームをコードする選択的スプライスによる転写物バリアント、上流非AUG(CUG)コドンからの選択的翻訳開始(追加のアイソフォームを生じる)、および停止コドンリードスルー機序を介して選択的インフレーム翻訳終結コドンの使用により生成されたC末端延長アイソフォーム(このアイソフォームは抗血管新生的である)が挙げられる。いくつかの態様では、用語のVEGF-Aは、Unipro Acc.No.P15692,NCBI Gene ID 7422、ならびにその相同体およびアイソフォームの配列を包含する。
「プログラム死1」(PD-1)は、CD28ファミリーに属する免疫抑制受容体を意味する。PD-1は、以前に活性化されたT細胞上で、インビボで主に発現され、2つのリガンド、PD-L1およびPD-L2に結合する。本明細書で使用される場合、用語「PD-1」は、ヒトPD-1(hPD-1)、バリアント、アイソフォーム、およびhPD-1の種ホモログ、および少なくとも1種のhPD-1と共通のエピトープを有する類似体を含む。完全なhPD-1配列は、ジェンバンク受入番号U64863で見つけることができる。
「プログラム死リガンド-1」(PD-L1)は、PD-1に結合時に、T細胞活性化およびサイトカイン分泌を下方調節する2つのPD-1のための細胞表面糖タンパク質リガンドの内の1つである(残りの1つは、PD-L2である)。本明細書で使用される場合、用語「PD-L1」は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、バリアント、アイソフォーム、およびhPD-L1の種ホモログ、および少なくとも1種のhPD-L1と共通のエピトープを有する類似体を含む。完全なhPD-L1配列は、ジェンバンク受入番号Q9NZQ7で見つけることができる。ヒトPD-L1タンパク質は、ヒトCD274遺伝子(NCBI遺伝子ID:29126)によりコードされている。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「対象」および「患者」という用語は、本明細書で同義に用いられる。用語「非ヒト動物」は、限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、成熟雄ヒツジ、ヤギ、水牛、バイソン、ラマ、シカ、他の大きな動物、ならびに子ウシおよび子羊を含むそれらの子供などの脊椎動物、およびマウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルなどの霊長類および他の実験動物が挙げられる。動物中では、哺乳動物が好ましく、最も好ましいのは、価値のあるおよび有用な動物、例えば、家庭内ペット、競走馬および直接的にヒト消費のために食物を産出する(例えば、肉)または間接的に産出する(例えば、ミルク)ために使用される動物であるが、実験動物も含まれる。特定の態様では、対象はヒトである。従って、本開示は、臨床、獣医学におよび研究用途に適用できる。
対象の「治療する(Treat)」、「治療すること(Treating)」、および「治療(Treatment)」は、疾患に関連する進行、発達、症状の重症度または再発、合併症、状態、または生化学的指標の回復、緩和、改善、抑制、遅延化もしくは予防または全生存期間向上の目的で、対象に対し実施される任意のタイプの介入または処理、または対象に対する活性薬剤の投与を意味する。治療は、疾患を有する対象であるか、または疾患を有さない対象(例えば、予防のため)であり得る。本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、および「治療(treatment)」という用語は、有効量または有効投与量の投与を意味する。
用語「有効量」または「有効投与量」は、目的の効果を達成するまたは少なくとも部分的に達成するのに十分な量として定義される。
薬物または治療薬の「治療有効量」または「治療有効投与量」は、単独でまたは別の治療薬と組み合わせて使用される場合、疾患の発症に対し対象を保護する、または病徴の重症度の低減、疾患の症状がない期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の苦痛による障害または身体障害の防止により明らかにされる疾患の退行を促進する薬物の任意の量である。
薬物の治療有効量または投与量には、「予防有効量」または「予防有効投与量」が含まれ、これは、単独でまたは別の治療薬と組み合わせて、疾患を発症する危険のある、または疾患を再発する危険のある対象に投与される場合、疾患の発症または再発を抑制する薬物の任意の量である。
加えて、本明細書で開示の治療に関する、用語「有効な」および「有効性」は、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性は、患者の癌の退行を促進する薬物の能力を意味する。生理学的安全性は、薬物の投与から生じる、毒性のレベル、または細胞、臓器および/または生物レベルでの他の有害な生理学的効果を意味する。
疾患退行、例えば、癌退行を促進する治療薬の能力は、臨床試験中のヒト被験者として、ヒトでの有効性を予測する動物モデルシステムで、またはインビトロで薬剤の活性をアッセイすることにより、などの当業者に既知の種々の方法を用いて評価できる。
例えば、「抗癌剤」またはこれらの組み合わせは、対象の癌の退行を促進する。いくつかの態様では、治療有効量の治療薬は、癌の除去の時点まで癌の退行を促進する。
本開示のいくつかの態様では、抗癌剤は、療法の組み合わせとして、例えば、(i)抗血管新生療法、例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF-A抗体、および(ii)チェックポイント阻害剤療法、例えば、PD-1またはPD-L1に対する抗体の投与を含む療法として投与される。
「癌退行の促進」は、有効量の薬物またはこれらの組み合わせ(単一治療用組成物として一緒に、または別々の組成物として別々の治療で、上記で考察のように投与される)の投与は、癌負荷量の減少、例えば、腫瘍増殖またはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの病徴の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度および持続期間の増加、または疾患の苦痛による障害または身体障害の防止をもたらすことを意味する。
これらの最終的な治療効果の測定にも関わらず、免疫療法薬物の評価はまた、免疫関連応答パターンを考慮に入れなくてはならない。治療薬の癌増殖、例えば、腫瘍増殖を抑制する能力は、本明細書で記載のアッセイおよび当該技術分野において既知の他のアッセイを用いて評価できる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物の細胞増殖を抑制する能力を試験することにより評価でき、このような抑制は、当業者に既知のアッセイによりインビトロで測定できる。
本明細書で使用される場合、「腫瘍」は、全ての新生細胞成長および増殖、ならびに全ての前癌および癌細胞および組織を意味する。いくつかの態様では、癌、例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、または卵巣癌は、再発性である。用語「再発性」は、治療後に、癌(例えば、結腸直腸癌)の寛解を得た対象で、癌細胞が再発した状況を意味する。いくつかの態様では、癌、例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、または卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌は、難治性である。本明細書で使用される場合、「難治性」または「抵抗性」という用語は、集中的な治療後であっても、対象が身体中に残留癌細胞を有する状況を意味する。いくつかの態様では、癌、例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌は、少なくとも1種の抗癌剤の投与を含む、少なくとも1回の前治療後に、難治性である。いくつかの態様では、癌、例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌は、転移性である。
「癌」または「癌組織」は、種々のステージの腫瘍を含み得る。特定の態様では、癌または腫瘍は、ステージ0であり、それにより、例えば、癌または腫瘍は、発生の極めて早期であり、転移していない。いくつかの態様では、癌または腫瘍は、ステージIであり、それにより、例えば、癌または腫瘍は、比較的小さいサイズであり、近くの組織中に伝播せず、転移していない。他の態様では、癌または腫瘍は、ステージIIであり、それにより、例えば、癌または腫瘍は、ステージ0またはステージIより大きく、隣接組織中に成長しているが、リンパ節への可能性があることを除いて、転移していない。他の態様では、癌または腫瘍は、ステージIVであり、それにより、例えば、癌または腫瘍は、転移している。ステージIVは、進行型または転移性癌とも呼ばれる。
本明細書で使用される場合、用語「生体試料」または「試料」は、対象から単離された生体物質を意味する。生体試料は、遺伝子発現の測定、例えば、核酸の塩基配列決定による測定に好適する任意の生体物質を含み得る。
生体試料は、例えば、癌組織などの任意の好適な生体組織であり得る。一態様では、試料は、腫瘍組織生検材料、例えば、ホルマリンン固定、パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または新しく凍結した腫瘍組織などである。別の態様では、腫瘍内試料が使用される。別の態様では、生体液は、腫瘍組織生検材料中に存在し得るが、生体試料は、それ自体生体液ではない。
いくつかの態様では、試料、例えば、生検材料(例えば、腫瘍生検材料、腫瘍周囲生検材料、またはこれらの組み合わせ)、組織切片は、原発腫瘍から取得できる。いくつかの態様では、試料、例えば、生検材料(例えば、腫瘍生検材料、腫瘍周囲生検材料、またはこれらの組み合わせ)、組織切片、または組織試料は、転移反応または転移腫瘍から取得できる。いくつかの態様では、試料、例えば、生検材料(例えば、腫瘍生検材料、腫瘍周囲生検材料、またはこれらの組み合わせ)、組織切片または組織試料は、元の診断部位以外の任意の別の部位から取得できる。
単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈が別義を明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。用語の「1つ(1種)(a)」(または「1つ(1種)(an)」)、ならびに用語「1つ(1種)または複数」および「少なくとも1つ(1種)」は、本明細書では、同義に使用できる。特定の態様では、用語「a」または「an」は「単一(single)」を意味する。特定の態様では、用語「a」または「an」は「2つ(2種)以上」または「複数」を意味する。
さらに、本明細書で使われる場合、「および/または(and/or)」は、その他のものを含むまたは含まない2つの指定された特徴または成分のそれぞれの特殊な開示として解釈されるべきである。従って、本明細書では、「Aおよび/またはB」などの表現で使用される用語の「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A(単独)、およびB(単独)」を含むことが意図されている。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの表現で使用される用語の「および/または」はそれぞれ次の態様を包含する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
「約(about)」、「~を基本的に含む(comprising essentially)」、または「~から基本的になる(consisting essentially of)」という用語は、当業者により定められた特定の値または組成に対する許容可能な誤差範囲内にあることを意味し、この許容可能な誤差範囲は、その値または組成が測定または決定される方法、すなわち、測定システムの制約に一部は依存するであろう。例えば、「約(about)」、「~を基本的に含む(comprising essentially)」、または「~から基本的になる(consisting essentially of)」は、当該技術分野における慣行に従って、1または1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約(about)」、「~を基本的に含む(comprising essentially)」、または「~から基本的になる(consisting essentially of)」は、最大10%の範囲を意味し得る。さらに、特に生体系または処理に対して、この用語は、その値の10倍、または最大5倍の値を意味し得る。特定の値が本明細書および特許請求の範囲で提供される場合、別に定める場合を除き、「約(about)」、「~を基本的に含む(comprising essentially)」、または「~から基本的になる(consisting essentially of)」は、その特定の値または組成に対する許容可能な誤差範囲内であると想定されるべきである。
本明細書で使用される場合、目的の1つまたは複数の値に適用される、「約(approximately)」という用語は、示した基準値に類似である値を意味する。特定の態様では、用語「約(approximately)」は、別に定める場合を除き、または別に文脈から明らかでない限り、示した基準値の両方向(より大きいまたはより小さい)で、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満以内に入る値の範囲を意味する(このような数字が、可能な値の100%を超えると思われる場合を除く)。
本明細書で記載のように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に断らない限り、示された範囲内の任意の整数の値および、必要に応じて、その端数(整数の10分の1および100分の1など)を含むものと理解されるべきである。
特に断らない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本開示が関連する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;およびthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、当業者に本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を提供する。
態様が用語の「含む(comprising)」と共に本明細書で記載される場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「から基本的になる(consisting essentially of)」の用語で記載される別の類似の態様も同様に提供されることは理解される。
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(Systeme International de Unites)(SI)で認証された形式で表示される。本明細書で提供される見出しは本開示の様々な態様を制限するものではなく、総じて本明細書において参照として用いられ得るものである。したがって、定義される用語は、本明細書を参照することによりさらに完全に定義される。
本明細書で使用される略語は、本開示の全体にわたり定義される。本開示の種々の態様は、次のサブセクションでさらに詳細に記載される。
I.TME表現型クラス特異的癌治療
本開示は、癌患者または癌腫瘍を特定の腫瘍微小環境(TME)表現型クラスに分類する方法を提供し、これは、特定の治療に対する癌患者の適格性を判定する、または特定の治療に対する治療応答を予測するために、療法選択を手引するために使用でき、癌は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される。
TMEは、間質としても知られ、内皮細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、線維芽細胞、免疫細胞(リンパおよび骨髄細胞型を含む)および腫瘍が内部に位置するその組織を特徴とする支持および/または結合組織、および/または腫瘍組織またはインビボで見つかる全腫瘍中またはそれら周辺に位置する結合および/または支持組織を含む腫瘍の非悪性成分を包含する。
本開示のTMEパネル1分類子は、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を、以下で考察されるように、疾患の高く評価された分子生物学的特性を反映するTME表現型クラスに分類できる。本開示のTMEパネル1分類子は、結腸直腸癌患者を、疾患の高く評価された分子生物学的特性、即ち、疾患ステージおよび腫瘍サイズの全体を通して血管新生および免疫過程に対する強化を反映するTME表現型クラスにうまく分類する。TMEパネル1は、結腸直腸癌中でTME表現型クラスの胃癌の場合と類似性の発生率を特定し、生存に対する類似性の示唆を有する。従って、TMEパネル1は、癌における無病および全生存期間、および癌の標的療法の結果を予測する予後である。結腸直腸癌に適用する場合、TMEパネル1は、コンセンサス分子サブタイプ(CMS)モデルの一般的注釈の免疫富化としてのCMS1および血管新生としてのCMS4と一致する。しかし、CMS群表記は、これらの生物学も、それらの相互作用も完全には捕捉していない。TMEパネル1は、特に、これらの支配的な生物学的過程を捕捉し、患者に対する標的療法の適切な対形成に関する、より多くのグラニュール予測を得るために開発された。
本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、人工神経回路網(ANN)を用いた機械学習により生成した予測モデルの適用に基づいている。いくつかの態様では、分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、訓練セットとしての集団ベース分類子に従って前処理された発現データ(例えば、RNA発現データ)を含む訓練セットを用いて生成される。米国特許出願第17/089.234号を参照されたい。この特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子の提供は、癌患者から得た試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子を含む遺伝子パネル、表3からの遺伝子セットおよび表4からの遺伝子セットを含む遺伝子パネル、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gで開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット))の発現レベル(例えば、mRNA発現レベル)を測定すること;および分類子を測定した発現レベルに適用することを含む。分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、患者の癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)を特定のTME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てる。
後で、対象の癌を特定のTME表現型クラス、またはこれらの組み合わせに割り当てた、本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子の出力は、同じTME表現型クラスに割り当てられた癌の治療に有効であることが他の対象で特定されている特定の治療または複数の治療、即ち、以下で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの選択および投与を手引するはずである。
本明細書で使用される場合、「腫瘍微小環境」および「TME」という用語は、例えば、血管、免疫細胞、内皮細胞、線維芽細胞、他の間質細胞、シグナル伝達分子、および細胞外マトリックスを含む、腫瘍細胞を取り囲む環境を意味する。いくつかの態様では、用語「間質サブタイプ」、「間質表現型」、およびその文法的変種は、用語「TME表現型」と同義に用いられる。本明細書で使用される場合、「TME表現型クラス」という用語は、対象の癌を特定のTME表現型に割り当てる本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の出力を意味する。
腫瘍細胞および周辺微小環境は、密接に関係し、常に相互作用する。一般に、腫瘍微小環境(例えば、間質表現型としても知られる)は、腫瘍および腫瘍環境の間質の任意の構造的および/または機能的特性を包含する。多数の非腫瘍細胞型、例えば、線維芽細胞関連癌腫、骨髄由来サプレッサー細胞、腫瘍関連マクロファージ、好中球、または腫瘍浸潤リンパ球がTME中に存在し得る。いくつかの態様では、特定のTMEの分類は、間質中に存在する細胞型の分析を含み得る。TMEはまた、例えば、異常な酸素化レベル、異常な血管透過性、または異常なレベルの特定のタンパク質、例えば、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、または糖タンパク質による特定の機能特性を特徴とし得る。
本開示ANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子の出力は、組み合わされたバイオマーカーであり、即ち、それは、シグネチャースコアの組み合わせ、即ち、血管新生シグネチャースコアおよび免疫シグネチャースコアの組み合わせに統合された別々のバイオマーカー由来のバイオマーカーである。
TME表現型クラス特異的療法の割り当て、非割り当て、中断、遮断または変更は、特定のTME表現型クラスの存在、非存在、重要性、または変化に基づき得る。例えば、対象が癌腫瘍、例えば、本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子により、IA TME表現型クラスに分類された胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍を有する場合、IA TME表現型クラス特異的療法が投与されるであろう。いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法の割り当ては、特定のTME表現型の非存在に基づいており、即ち、対象が本開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりIA TME表現型クラスに分類されない癌腫瘍を有する場合、IA TME表現型クラス特異的療法は、投与されないであろう。従って、TME表現型クラスに属するとしての患者または腫瘍の特定は、可能な治療オプションを破棄するために使用され得る。同様に、現在の療法と一致しないTME表現型クラスに属するとしての患者または患者からの腫瘍の特定は、例えば、追加の治療薬を含める、または排除することにより、療法の中止または除くまたは療法の変更のために使用され得る。例えば、患者または腫瘍TME表現型クラスと現在の療法との間のミスマッチの特定は、アジュバント療法を含めるために使用され得、患者のTME表現型分類に一致し得るTME表現型クラス治療が得られる。
いくつかの態様では、患者または癌試料のTME表現型クラスへの分類、およびTME表現型クラス特異的療法の患者または癌への割り当ては、二義的ではない。換言すれば、患者または癌試料は、2種以上のTME表現型クラスに対し、バイオマーカー陽性および/またはバイオマーカー陰性として分類することができ、2種以上のTME表現型クラス療法またはこれらの組み合わせは、その患者を治療するために使用できる。例えば、患者または癌試料の2つの異なるTME表現型クラスに対するバイオマーカー陽性としての分類は、患者または癌試料がバイオマーカー陽性であるTME表現型クラスに対応するTME表現型クラス特異的療法における薬理学的手法の組み合わせを含む治療を選択するために使用され得る。さらに、患者または癌試料が特定のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陰性である場合、このような知識を使用して、患者または癌試料がバイオマーカー陰性であるTME表現型クラスに対応するTME表現型クラス療法における特定の薬理学的手法を排除できる。従って、特定のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陽性として分類された特定のタイプの癌の治療に有用である薬物またはこれらの組み合わせ、治療またはこれらの組み合わせ、および/または臨床レジメンまたは組み合わせは、2種以上のバイオマーカー陽性シグナルを有する患者、即ち、2種以上のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陽性として分類された癌試料を有する患者を治療するために組み合わせることができる。
いくつかの態様では、薬物または臨床レジメンの作用機序に応じて、異なる分類パラメーター、例えば、異なる遺伝子パネルサブセット、異なる閾値、異なるANN構成、異なる活性化関数、または異なる処理後機能を使用して、異なるTME表現型クラスを得ることができ、これは、次に、適切なTME表現型クラス特異的療法を選択するために使用され得る。従って、薬物または臨床レジメンの作用機序に応じて、異なる分類パラメーター、例えば、異なる遺伝子パネルサブセット、本明細書で開示のANN分類子の異なる変種、例えば、TMEパネル1分類子を開発し得る。従って、各薬物または投薬レジメンは、臨床医、例えば、医師に、患者が治療のために選択されるべきか否か、治療が開始されるべきか否か、治療が停止されるべきか否か、または治療が変更されるべきか否か、を決定する情報を提供するために、異なる診断遺伝子パネルおよび異なって構成されたANN分類子を有し得る。
いくつかの態様では、臨床医は、患者のバイオマーカー状態の共変数を考慮し、MSI/MSS(マイクロサテライト不安定性/マイクロサテライト安定性-高)状態、EBV(エプスタイン・バールウィルス)状態、PD-1/PD-L1状態(CPS、即ち、合算した陽性スコアなど)、好中球-白血球比率(NLR)、dMMR状態、特定の分子バイオマーカー(例えば、KRAS、NRAS、BRAF)中の変異の存在または非存在、腫瘍部位(例えば、結腸直腸癌の場合の左腫瘍または右腫瘍)、腫瘍サイズ、腫瘍形状、体積に対する腫瘍表面の比率、侵襲性(例えば、乳癌の場合に、癌細胞がリンパ節中に存在するかどうか)、または前治療病歴などの交絡変数を有するTME表現型クラスの確率を合算できる。
いくつかの態様では、臨床医は、分類子からのバイナリー結果が与えられ、本明細書で記載のように治療する、または治療しない決定がなされる。一態様では、臨床医は、例えば、潜在空間上に重ね合わされた患者の癌分類結果のプロットが与えられ、確率閾値、または線形もしくは多項ロジスティック回帰分析で解釈される。
本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによる、IA TME表現型クラスへのdMMR腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤による治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IA TME表現型を有するdMMR癌の患者は、以降で開示のIA TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤を含む療法を投与できる。本開示は、dMMR癌を有する患者を、IA TME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を患者に投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がIA TME表現型を有するdMMR癌である場合、IA TME表現型クラス特異的療法を用いて治療するための患者を選択する方法である。
本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによるIS TME表現型クラスへのdMMR腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を組み合わせた治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IS TME表現型を有するdMMR癌の患者は、以降で開示のIS TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を含む併用療法を投与できる。本開示は、dMMR癌を有する患者を、IS TME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤の組み合わせた治療を患者に投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がIS TME表現型を有するdMMR癌である場合に、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を組み合わせた治療のための患者を選択する方法である。
本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによる、IA TME表現型クラスへのMSI-H腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤による治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IA TME表現型を有するMSI-H癌の患者は、以降で開示のIA TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤を含む療法を投与できる。本開示は、MSI-H癌を有する患者を、IA TME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を患者に投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がIA TME表現型を有するdMMR癌である場合、IA TME表現型クラス特異的療法を用いて治療するための患者を選択する方法である。
本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによるIS TME表現型クラスへのMSI-H腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を組み合わせた治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IS TME表現型を有するMSI-H癌の患者は、以降で開示のIS TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を含む併用療法を投与できる。本開示は、MSI-H癌を有する患者を、IS TME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤の組み合わせた治療を患者に投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がIS TME表現型を有するMSI-H癌である場合に、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を組み合わせた治療のための患者を選択する方法である。
癌の本明細書で開示の方法および構成要素を複数タイプ癌の治療のために用いて、例えば、特定の療法で治療するための患者を特定する、無病確率および全生存期間を予測する、または標的療法の結果を予測することができる。いくつかの態様では、癌は、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)である。
いくつかの態様では、本明細書で開示の方法および構成要素は、癌腫瘍のサイズを減少または縮小させるために、または癌腫瘍増殖の抑制を必要としている対象でその抑制を実施するために使用され、癌は、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)である。
転移腫瘍、例えば、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、結腸直腸癌、卵巣の、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌からの腫瘍の、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いた、AまたはIS TME表現型クラスへの分類は、血管新生阻害剤を用いた治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、AまたはIS TME表現型を有する転移性癌の患者は、以降で開示のA TME表現型クラス特異的療法から選択される血管新生阻害剤を含む療法を投与できる。本開示は、転移性癌を有する患者を、AまたはIS TME表現型を用いて治療する方法を提供し、該方法は、血管新生阻害剤を含む治療を患者に投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がAまたはIS TME表現型を有する転移性癌である場合に、血管新生阻害剤で治療するための患者を選択する方法である。
腫瘍、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍の、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによるIA TME表現型クラスへの分類は、チェックポイント阻害剤、例えば、ペムブロリズマブを、アジュバント療法として選択するために使用できる。本開示は、IA TME表現型を有する癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)を有する患者を治療する方法を提供し、該方法は、チェックポイント阻害剤、ペムブロリズマブをアジュバント療法として含む治療を投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がIA TME表現型を有する結腸直腸癌である場合に、チェックポイント阻害剤、例えば、ペムブロリズマブをアジュバント療法として含む治療のための患者を選択する方法である。腫瘍、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍の、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによるA TME表現型クラスへの分類は、抗血管新生療法、例えば、ベバシズマブをアジュバント療法として選択するために使用できる。本開示は、A TME表現型を有する癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)を有する患者を治療する方法を提供し、該方法は、抗血管新生療法、例えば、ベバシズマブをアジュバント療法として含む治療を投与するステップを含む。また提供されるのは、患者がA TME表現型を有する結腸直腸癌である場合に、抗血管新生療法、例えば、ペムブロリズマブをアジュバント療法として含む治療のための患者を選択する方法である。
胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍の、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いることによる支配的なTME表現型クラスを有するとしての分類は、例えば、支配的なTME表現型クラスに適合すると思われる以下で開示の療法を選択するために使用できる。本開示は、特定のTME表現型を有する胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。また、提供されるのは、患者が特定のTME表現型を有する胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者の場合、TME表現型クラス特異的治療による治療のための患者を選択する方法であり、TME表現型クラス特異的治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。
本開示は、局所進行性/転移性の胃癌の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、局所進行性/転移性の胃癌の患者由来の腫瘍試料をIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、局所進行性/転移性の胃癌の患者由来の腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、局所進行性/転移性の胃癌の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)を含むまたはそれからなる療法で治療できる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)、およびナビシキズマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)、およびバビツキシマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、A TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法および抗血管新生療法を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、A TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)、およびナビシキズマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)、およびバビツキシマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた局所進行性/転移性の胃癌の患者は、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)、およびナビシキズマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、以前に未治療の胃癌の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、以前に未治療の胃癌の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、以前に未治療の胃癌の患者由来の腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた以前に未治療の胃癌の患者は、化学療法および抗血管新生療法を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、A TME表現型クラスに割り当てられた以前に未治療の胃癌の患者は、化学療法および抗血管新生療法を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)の患者由来の腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、A TME表現型クラスに割り当てられた乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)の患者は、ナビシキズマブを含む併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)の患者は、ナビシキズマブを含む併用療法で治療できる。いくつかの態様では、ナビシキズマブを含む併用療法は、ナビシキズマブ+化学療法剤(例えば、ドセタキセルまたはカバジタキセル)を含むまたはこれらからなる。いくつかの態様では、ナビシキズマブを含む併用療法は、ナビシキズマブ+PARP阻害薬療法(例えば、ルカパリブまたはオラパリブ)を含むまたはこれらからなる。
本開示は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性の前立腺癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性の前立腺癌)の患者由来の腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性の前立腺癌)の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、A TME表現型クラスに割り当てられた前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性の前立腺癌)の患者は、ナビシキズマブを含む併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性の前立腺癌)の患者は、ナビシキズマブを含む併用療法で治療できる。いくつかの態様では、ナビシキズマブを含む併用療法は、ナビシキズマブ+化学療法剤(例えば、ドセタキセルまたはカバジタキセル)を含むまたはこれらからなる。いくつかの態様では、ナビシキズマブを含む併用療法は、ナビシキズマブ+PARP阻害薬療法(例えば、ルカパリブまたはオラパリブ)を含むまたはこれらからなる。
本開示は、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)の患者由来の腫瘍試料をIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられた肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)の患者は、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)の患者は、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)の患者由来の腫瘍試料をIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)の患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられた頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)の患者は、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた頭頸部癌(例えば、再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌)の患者は、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1療法)を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、メラノーマの患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、メラノーマの患者由来の腫瘍試料をIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、メラノーマの患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IA TME表現型クラスに割り当てられたメラノーマの患者は、バビツキシマブおよび放射線療法を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられたメラノーマの患者は、バビツキシマブおよび放射線療法を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)の患者由来の腫瘍試料をID TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ID TME表現型クラスに割り当てられた結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)の患者は、ナビシキズマブ、抗PD(L)1療法、およびデクチンアゴニストインプライムPGG、STINGアゴニストBMS-986301、またはNLRアゴニストBMS-986299などの自然免疫刺激剤、を含むまたはこれらからなる併用療法で治療できる。
本開示は、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)の患者由来の腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ISまたはA TME表現型クラスに割り当てられた卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)の患者は、PARP阻害薬(オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、など)+免疫チェックポイント阻害剤療法(例えば、抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)+ナビシキズマブを含むまたはこれらからなる併用療法で治療でき、卵巣癌のための非化学療法的治療オプションを示す。
本開示は、乳癌(例えば、白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、乳癌(例えば、白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌)の患者由来の腫瘍試料をIA、ISまたはA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IA、ISまたはA TME表現型クラスに割り当てられた乳癌(例えば、白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌)の患者は、PARP阻害薬、免疫チェックポイント阻害剤およびナビシキズマブで治療できる。
本開示は、メラノーマの患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、メラノーマの患者由来の腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられたメラノーマの患者は、免疫調節剤(ビドゥトリモドなど)およびCPI併用療法で治療できる。このクラスの追加の免疫調節剤の例は、ProMune CpG7909(PF3512676)、SD-101、1018 ISS,IMO-2123、リテニモド(Litenimod)、MIS416、コビトリモド(Cobitolimod)、インプライムPGG(オデチグルカン)、イミキモド、フィンゴリモド、チルソトリモド、およびBL-7040である。
本開示は、結腸直腸癌(例えば、転移性結腸直腸癌)の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、結腸直腸癌(例えば、転移性結腸直腸癌)の患者由来の腫瘍試料をAまたはIS TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、AまたはIS TME表現型クラスに割り当てられた結腸直腸癌(例えば、転移性結腸直腸癌)の患者は、化学療法剤(例えば、フォルフォックス、フォルフィリ、またはイリノテカン)と組み合わせた抗DLL4/抗VEGFアンタゴニストで治療できる。
本開示は、神経膠腫または神経膠芽腫の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、神経膠腫または神経膠芽腫の患者由来の腫瘍試料をISまたはIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、IS TME表現型クラスに割り当てられた神経膠腫または神経膠芽腫の患者は、バビツキシマブ、チェックポイント阻害剤、および放射線で治療できる。
本開示は、非小細胞肺癌の患者を特定のTME表現型クラスを用いて治療する方法を提供し、該方法は、TME表現型クラス特異的治療を患者に投与するステップを含み、治療は、特定のTME表現型クラスと適合する。いくつかの態様では、ANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)は、非小細胞肺癌の患者由来の腫瘍試料をISまたはIA TME表現型クラスに割り当てる。いくつかの態様では、ISまたはIA TME表現型クラスに割り当てられた神経膠腫または神経膠芽腫の患者は、チスレリズマブおよび化学療法の併用療法で治療できる。
本開示は、バイオマーカー陽性で、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)表現型からなる腫瘍を、抗PD-1もしくは抗PD-L1チェックポイント阻害剤(CPI)と、または抗VEGFアンタゴニストおよびCPIの二重特異的免疫グロブリンもしくは修飾免疫グロブリンと組み合わせて、ナビシキズマブ、ABT-165もしくはCTX-009などの抗DLL4/抗VEGFアンタゴニスト、またはベバシズマブ、ラムシルマブ、もしくはバリサクマブなどの抗VEGFアンタゴニストで治療する方法を提供する。
本開示は、疾患の進行を監視するための、特定の治療を選択するための、治療のための患者を選択するための、または治療を継続するか中断するかを決定するための方法を提供し、該方法は、(i)免疫砂漠(ID)患者を試験責任医師選択の標準治療化学療法剤および/またはワクチンで治療するステップであって、後者が、例えば、AST-301(pNGVL3-hICD)、NeoVax、Proscavax、個別化ワクチン、α-ラクトアルブミンワクチン、P10s-PADRE、OncoVax、PVX-410、Galinpepimut-S、GRT-C903/GRT-C904、KRASペプチドワクチン、pING-hHER3FL、GVAX、INCAGN01876、または遺伝的に操作されていない、生きた免疫細胞免疫療法(非限定的例はAlloStim)であるステップ、(ii)例えば、治療の2か月後に生検材料を採取するステップ、および(iii)患者のTMEパネル1状態を再評価するステップであって、IDからIAへの遷移状態の患者は、免疫療法で治療され、応答する、およびID群に残っている患者は、より効果のない、それらが応答しそうにない免疫療法または抗血管新生療法などの療法から逃れさせるステップを含む。
本開示はまた、事前に決められた無作為化比率または優先順位付与バイオマーカーを含む層別化戦略を提供する。いくつかの態様では、事前に決められた無作為化比率は、低発生率バイオマーカーを有する患者が、より低い発生率集団に対するサブスタディに割り当てられる可能性がより高い、逆発生率を使用する。いくつかの態様では、バイオマーカー優先順位付与手法は、バイオマーカー群をそれらの予測値に基づいて順位付けし、患者のバイオマーカープロファイルが最も高い予測値を有する治療群に患者を割り当てることを含む。いくつかの態様では、TME表現型またはバイオマーカー状態(即ち、IA、IS、ID、A、A+IA、A+IS、またはバイオマーカー陽性)は、他のバイオマーカーに対し優先順位を付与されるか、またはMSS状態またはPD-L1などの他のバイオマーカーを組み合わせて使用される。
本開示は、癌患者および/または癌またはそれらの患者由来の腫瘍試料を、組み合わされたバイオマーカー、例えば、遺伝子パネルに対応する遺伝子発現データセット由来のANN分類子の適用から得られたTME表現型決定に従って分類/層別化する方法を提供し、癌は、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)である。いくつかの態様では、ANN分類子は、TMEパネル1分類子である。
一態様では、本開示は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、投与の前に、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1が、対象から得られた腫瘍試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを含むデータセットに適用され、ANN分類子は、腫瘍試料をIA TME表現型クラスに割り当てる。
本開示はまた、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、(A)投与の前に、本明細書で開示のANN、例えば、TMEパネル1を介して、対象から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを測定することにより決定されたIA TME表現型を示す対象を特定するステップ;および(B)IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含む。
いくつかの態様では、IA TME表現型クラス特異的療法は、対象が追加のTME表現型に対しバイオマーカー陽性である場合には、追加の本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法と組み合わせて投与できる。
また提供されるのは、IA TME表現型クラス特異的療法で治療するのに好適する癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を特定する方法であり、該方法は、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を、対象由来の腫瘍から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルに適用するステップを含み、腫瘍のIA TME表現型クラスへの分類は、癌を治療するために、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与できることを示す。
いくつかの態様では、IA TME表現型クラス特異的療法は、チェックポイントモジュレーター療法を含む。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の活性化剤を投与するステップを含む。いくつかの態様では、刺激性免疫チェックポイント分子の活性化剤は、例えば、GITR(グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体、TNFRSF18)、OX-40(TNFRSF4、ACT35、CD134、IMD16、TXGP1L、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4、TNF受容体スーパーファミリーメンバー4)、ICOS(誘導性T細胞補助刺激分子)、4-1BB(TNFRSF9、CD137、CDw137、ILA、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9、TNF受容体スーパーファミリーメンバー9)に対する抗体分子、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、RORγ(RORC、NR1F3、RORG、RZR-GAMMA、RZRG、TOR、RAR関連オーファン受容体γ、IMD42、RAR関連オーファン受容体C)アゴニストの投与を含む。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤、調節物質、アゴニスト、またはアンタゴニストの投与を含む。本明細書で使用される場合、「調節物質」という用語は、直接または間接的に標的と相互作用し、生物学的または化学過程または機序に対し影響を与える分子を意味する。例えば、調節物質は生物学的または化学過程または機序を、増大させる、促進する、上方制御する、活性化する、抑制する、低減する、阻止する、防ぐ、遅らせる、脱感作する、不活性化する、下方制御する、などのことを行うことができる。従って、調節物質は、標的の「アゴニスト」または「アンタゴニスト」であり得る。用語の「アゴニスト」は、タンパク質、受容体、酵素、などの内在性リガンドの少なくとも一部の効果を高める化合物を意味する。用語の「アンタゴニスト」は、タンパク質、受容体、酵素、などの内在性リガンドの少なくとも一部の効果を抑制する化合物を意味する。
いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、例えば、PD-1に対する抗体(PDCD1、CD279、SLEB2、hPD-1、hPD-l、hSLE1、プログラム細胞死1)、例えば、シンティリマブチスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分、PD-L1に対するリガンド(CD274、B7-H、B7H1、PDCD1L1、PDCD1LG1、PDL1、CD274分子、プログラム細胞死リガンド1、hPD-L1)、PD-L2に対する抗体(PDCD1LG2、B7DC、Btdc、CD273、PDCD1L2、PDL2、bA574F11.2、プログラム細胞死1リガンド2)、CTLA-4に対する抗体(CTLA4、ALPS5、CD、CD152、CELIAC3、GRD4、GSE、IDDM12、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)、PD-L1、PD-L2、またはCTLA-4に対し少なくとも結合特異性を含む二重特異的抗体、これらの単独または組み合わせである。
いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、例えば、TIM-3(T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3)、LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)、BTLA(B-およびT-リンパ球アテニュエーター)、TIGIT(IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg抑制因子)、TGFβ(形質転換増殖因子β)またはその受容体、CD86(表面抗原分類86)アゴニスト、LAIR1(白血球関連免疫グロブリン様受容体1)、CD160(表面抗原分類160)、2B4(ナチュラルキラー細胞受容体2B4;表面抗原分類244)、GITR、OX40、4-1BB(CD137)、CD2(表面抗原分類2)、CD27(表面抗原分類27)、CDS(CDP-ジアシルグリセロールシンターゼ1)、ICAM-1(細胞間接着分子1)、LFA-1(リンパ球機能関連抗原1:CD11a/CD18)、ICOS(誘導性T細胞補助刺激分子;CD278)、CD30(表面抗原分類30)、CD40(表面抗原分類40)、BAFFR(B細胞活性化因子受容体)、HVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)、CD7(表面抗原分類7)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14;TNFSF14)、NKG2C(キラー細胞レクチン様受容体C2;KLRC2、CD159c)、SLAMF7(SLAMファミリーメンバー7)、NKp80(活性化共受容体NKp80;レクチン様受容体F1;KLRF1;キラー細胞レクチン様受容体F1)、またはこれらの任意の組み合わせの阻害剤、調節物質、アンタゴニストまたはアゴニストと組み合わせた上記開示抗体のいずれかである。
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、シンティリマブ、チスレリズマブ、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合に関し、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、シンティリマブ、またはチスレリズマブと交差競合するか、またはニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、シンティリマブ、またはチスレリズマブと同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合に関し、アベルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブと交差競合するか、またはアベルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブと同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、(i)抗PD-1抗体、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびセミプリマブからなる群より選択される抗体;(ii)抗PD-L1抗体、例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗体;(iii)これらの組み合わせの投与を含む。
一態様では、本開示は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、投与の前に、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1が、対象から得られた腫瘍試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを含むデータセットに適用され、ANN分類子は、腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。
一態様では、本開示は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、投与の前に、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1が、対象から得られた腫瘍試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを含むデータセットに適用され、ANN分類子は、腫瘍試料をIS TME表現型クラスに割り当てる。
本開示はまた、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、(A)投与の前に、本明細書で開示のANN、例えば、TMEパネル1を介して、対象から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを測定することにより決定されたIS TME表現型を示す対象を特定するステップ;および(B)IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含む。
いくつかの態様では、IS TME表現型クラス特異的療法は、対象が追加のTME表現型に対しバイオマーカー陽性である場合には、追加の本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法と組み合わせて投与できる。
また提供されるのは、IS TME表現型クラス特異的療法で治療するのに好適する胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患しているヒト対象を特定する方法であり、該方法は、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を、対象由来の腫瘍から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルに適用するステップを含み、腫瘍のIS TME表現型クラスへの分類は、癌を治療するために、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与できることを示す。
いくつかの態様では、IS TME表現型クラス特異的療法は、例えば、(1)チェックポイントモジュレーター療法および抗免疫抑制療法(例えば、ペムブロリズマブおよびバビツキシマブの投与を含む併用療法)、および/または(2)抗血管新生療法の投与を含む。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、例えば、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含む。いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、例えば、PD-1に対する抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせである。
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ(PDR001)、シンティリマブ、チスレリズマブ、もしくはゲプタノリマブ(CBT-501)、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合に関し、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、シンティリマブ、チスレリズマブ、またはCBT-501と交差競合するか、またはニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、シンティリマブ、チスレリズマブ、PDR001、またはCBT-501と同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合に関し、アベルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブと交差競合するか、またはアベルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブと同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、CTLA-4への結合に関し、イピリムマブと交差競合するか、またはイピリムマブと同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、例えば、(i)例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびセミプリマブからなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;または(iii)抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブ、または(iv)これらの組み合わせの投与を含む。
いくつかの態様では、抗血管新生療法は、例えば、バリサクマブ、ベバシズマブ、ナビシキズマブ(抗DLL4/抗VEGF二重特異的抗体)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)抗体を含む。いくつかの態様では、抗血管新生療法は、例えば、抗VEGFR抗体の投与を含む。いくつかの態様では、抗VEGFR抗体は、抗VEGFR2血管内皮細胞増殖因子受容体2抗体である。いくつかの態様では、抗VEGFR2抗体は、ラムシルマブを含む。いくつかの態様では、抗血管新生療法は、例えば、ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、またはジルパキマブ(ABT165)を含む。
いくつかの態様では、抗免疫抑制療法は、抗PS(ホスファチジルセリン)抗体、抗PS標的化抗体、β2糖タンパク質1に結合する抗体、PI3Kγ(ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート 3-キナーゼ触媒サブユニットγアイソフォーム)の阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDOの阻害剤、TIMの阻害剤、LAG3の阻害剤、TGFβの阻害剤、CD47阻害剤、またはこれらの組み合わせを投与するステップを含む。
いくつかの態様では、抗PS標的化抗体は、例えば、バビツキシマブ、1N11、またはβ2糖タンパク質1(β2GP1、またはApo-H)に結合する抗体である。いくつかの態様では、抗PS標的化抗体は、バビツキシマブである。いくつかの態様では、抗PS標的化抗体は、β2糖タンパク質1(β2GP1、またはApo-H)に結合する抗体である。いくつかの態様では、抗PS標的化抗体は、1N11である。例えば、Schad et al.(2020)J.Immunol.201(S1):170.5;Yin et al.(2009)Cancer Res.69(S9):5463;Zohar & Shoenfeld(2018)Immunotargets Ther.7:51-53を参照されたい。これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様では、PI3Kγ阻害剤は、例えば、LY3023414(サモトリシブ)またはIPI-549(エガネリシブ)である。いくつかの態様では、アデノシン経路阻害剤は、例えば、AB-928である。いくつかの態様では、TGFβ阻害剤は、例えば、LY2157299(ガルニセルチブ)またはTGFβR1阻害剤LY3200882である。いくつかの態様では、CD47阻害剤は、例えば、マグロリマブ(5F9)である。いくつかの態様では、CD47阻害剤は、SIRPαを標的にする。
いくつかの態様では、抗免疫抑制療法は、TIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-βまたはその受容体、CD86、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB(CD137)、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、ICOS(CD278)、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80の阻害剤の阻害剤、調節物質、アゴニストまたはアンタゴニスト、またはこれらの組み合わせの投与を含む。
一態様では、本開示は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、投与の前に、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1が、対象から得られた腫瘍試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを含むデータセットに適用され、ANN分類子は、腫瘍試料をA TME表現型クラスに割り当てる。
本開示はまた、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供し、該方法は、(A)投与の前に、本明細書で開示のANN、例えば、TMEパネル1を介して、対象から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルを測定することにより決定されたA TME表現型を示す対象を特定するステップ;および(B)A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含む。
いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法は、対象が追加のTME表現型に対しバイオマーカー陽性である場合には、追加の本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法と組み合わせて投与できる。
また提供されるのは、A TME表現型クラス特異的療法で治療するのに好適する胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患しているヒト対象を特定する方法であり、該方法は、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を、対象由来の腫瘍から得られた試料中の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)のRNA発現レベルに適用するステップを含み、腫瘍のA TME表現型クラスへの分類は、癌を治療するために、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与できることを示す。
いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法には、VEGF標的療法および他の抗血管新生薬、アンジオポエチン1および2(Ang1およびAng2)、DLL4(デルタ様標準的ノッチリガンド4)、抗VEGFおよび抗DLL4の二重特異性、フルキンチニブなどのTKI(チロシンキナーゼ阻害剤)、抗FGF(繊維芽細胞増殖因子)抗体、およびFGF受容体ファミリー(FGFR1およびFGFR2)を抑制する抗体または小分子; 抗PLGF(胎盤増殖因子)抗体および小分子ならびにPLGF受容体に対する抗体、抗VEGF-B(血管内皮細胞増殖因子B)抗体、抗VEGF-C(血管内皮細胞増殖因子C)抗体、抗VEGF-D(血管内皮細胞増殖因子D);アフリベルセプト、またはziv-アフリベルセプトなどのVEGF/PLGF捕捉分子に対する抗体;抗DLL4抗体またはγセクレターゼの阻害剤などの抗ノッチ療法が含まれる。いくつかの態様では、抗血管新生療法は、エンドグリンに対するアンタゴニスト、例えば、カロツキシマブ(TRC105)の投与を含む。
本明細書で使用される場合、「VEGF標的療法」という用語は、リガンドの標的化、即ち、VEGF-A(血管内皮細胞増殖因子A)、VEGF-B(血管内皮細胞増殖因子B)、VEGF-C(血管内皮細胞増殖因子C)、VEGF-D(血管内皮細胞増殖因子D)、またはPLGF(胎盤増殖因子);受容体、例えば、VEGFR1(血管内皮細胞増殖因子受容体1)、VEGFR2(血管内皮細胞増殖因子受容体2)、またはVEGFR3(血管内皮細胞増殖因子3);またはこれらの任意の組み合わせを標的化することを意味する。
いくつかの態様では、VEGF標的療法は、抗VEGF抗体またはその抗原結合部分の投与を含む。いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、例えば、バリサクマブ、ベバシズマブ、またはそれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ヒトVEGF-Aへの結合に関し、バリサクマブまたはベバシズマブと交差競合するか、またはバリサクマブまたはベバシズマブと同じエピトープに結合する。
いくつかの態様では、VEGF標的療法は、抗VEGFR抗体の投与を含む。いくつかの態様では、抗VEGFR抗体は、抗VEGFR2抗体である。いくつかの態様では、抗VEGFR2抗体は、ラムシルマブまたはその抗原結合部分を含む。
いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法は、アンジオポエチン/TIE2(TEK受容体チロシンキナーゼ;CDC202B)標的療法の投与を含む。いくつかの態様では、アンジオポエチン/TIE2標的療法は、エンドグリンおよび/またはアンジオポエチンの投与を含む。いくつかの態様では、A TME表現型クラス特異的療法は、DLL4標的療法の投与を含む。いくつかの態様では、DLL4標的療法は、ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、またはABT165の投与を含む。
上記で開示の全ての方法では、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の対象を治療する方法では、または胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌の対象を、TME表現型クラス特異的療法(TME表現型クラス特異的療法は、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を用いて癌TME表現型の1つまたは複数のTME表現型クラスへの分類に従って選択される)で治療するために選択する方法では、特異療法、例えば、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、効果的に癌を治療できる。
いくつかの態様では、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌の対象に対する本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、癌負荷量を減らす。
いくつかの態様では、結腸直腸癌の対象への本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、療法の投与の前の癌負荷量に比べて、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%まで癌負荷量を減らす。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、療法の初期投与後、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年、少なくとも約18か月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間をもたらす。
いくつかの態様では、TME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与後、対象は安定を示す。用語「安定」は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の存在の診断を意味するが、しかし、癌は、治療されており、安定な状態のまま、即ち、例えば、イメージングデータおよび/または最良の臨床的判断により判断して、進行性でない状態である。
用語「進行」は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の高活性の存在の診断を意味し、即ち、イメージングデータおよび/または最良の臨床的判断により判断して、治療されておらず、安定でない、または治療されていて、療法に応答していない、または治療されていて、活動性疾患が残っている癌である。
「安定」は、治療開始時(即ち、治療の前)の初期腫瘍体積に比べて、治療過程中の腫瘍体積の(一時的)腫瘍縮小/減少を包含し得る。この場合、「腫瘍縮小」は、治療の開始時(即ち、治療の前)の初期体積に比べて、治療時の腫瘍の体積の減少を意味し得る。例えば、100%未満(例えば、治療開始時の初期体積の約99%~約66%)の腫瘍体積は、「安定」を表し得る。
あるいは、「安定」は、治療開始時の初期(即ち、治療前の)腫瘍体積に比べて、治療過程中の(一時的)腫瘍増殖/腫瘍体積の増大を包含し得る。この場合、「腫瘍増殖」は、治療の開始時(即ち、治療の前)の初期体積に比べて、治療時の腫瘍の体積の増大を意味し得る。例えば、100%を超える(例えば、治療開始時の初期体積の約101%~約135%、好ましくは初期体積の約101%~約110%)の腫瘍体積は、「安定」を表し得る。
用語「安定」は、次の態様を含み得る。例えば、例えば、腫瘍体積が治療後収縮しない(即ち、腫瘍増殖が停止)または、例えば、治療の開始時は収縮するが、腫瘍が消滅するまで収縮を継続しない、即ち、腫瘍増殖は最初に逆転するが、腫瘍が、例えば、初期体積の65%未満になる前に、再び増殖する。
本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせに対する患者または腫瘍に関連して使用される場合、用語「応答」は、患者または腫瘍の「完全奏功(complete response)」または「部分応答」として表され得る。本明細書で使用される場合、用語「完全奏功」は、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせに応答して、全ての癌の徴候の消失を示し得る。用語「完全奏功」および用語「完全寛解(complete remission)」は同じ意味で使用できる。例えば、「完全奏功」は、腫瘍が消失するまでの継続した腫瘍の収縮(添付例に示すように)に反映され得る。例えば、治療開始時(即ち、治療前)の初期腫瘍体積(100%)に比べて、0%の腫瘍体積は、「完全奏功」を表し得る。
本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせによる治療は、「部分応答」(または部分寛解;例えば、腫瘍サイズ、または身体中の癌の広がりの減少)を生じ得る。「部分応答」は、治療開始時(即ち、治療の前)の初期腫瘍体積に比べて、治療過程中の腫瘍体積の(一時的)腫瘍縮小/減少を包含し得る。従って、いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与後、対象は部分応答を示す。他の態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与後、対象は完全奏功を示す。
用語「応答」は、「腫瘍収縮」を意味し得る。従って、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの、それを必要としている対象への投与は、体積の減少または腫瘍の収縮をもたらし得る。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与後、腫瘍は、治療前の腫瘍体積に比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%までサイズを低減できる。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与後、腫瘍の体積は、治療前の腫瘍の元の体積の、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%である。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、治療の前の腫瘍の増殖速度に比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%まで腫瘍の増殖速度を低減できる。
用語「応答」はまた、癌が転移した場合の腫瘍の数の減少も意味し得る。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、TME表現型を示さない対象、または本明細書で開示の特異療法、例えば、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで治療されない対象の無増悪生存確率に比べて、対象の無増悪生存確率を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約105%、少なくとも約110%、少なくとも約115%、少なくとも約120%、少なくとも約125%、少なくとも約130%、少なくとも約135%、少なくとも約140%、少なくとも約145%、または少なくとも約150%まで改善する。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせの投与は、TME表現型を示さない対象、または本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで治療されない対象の全生存確率に比べて、全生存確率を、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約125%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約175%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも約220%、少なくとも約225%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約275%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、少なくとも約300%、少なくとも約310%、少なくとも約320%、少なくとも約325%、少なくとも約330%、少なくとも約340%、少なくとも約350%、少なくとも約360%、少なくとも約370%、少なくとも約375%、少なくとも約380%、少なくとも約390%、または少なくとも約400%まで改善する。
本開示はまた、癌患者の腫瘍、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌の腫瘍を、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を介して、特定のTME表現型クラスに割り当てるのに使用するための、遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)を提供し、腫瘍の特定のTME表現型クラスまたはこれらの組み合わせへの割り当てまたは非割り当てが、(i)抗癌療法に好適するとして患者を特定するために;(ii)抗癌療法を受けている患者の予後を決定するために;(iii)患者に対する抗癌療法の投与を開始、中止、または変更するために;または(iv)これらの組み合わせのために、使用される。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、本明細書で開示の方法に従って、例えば、患者由来の結腸直腸癌を分類し(例えば、本明細書で開示のTME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに対し、腫瘍がバイオマーカー陽性であるか、またはバイオマーカー陰性であるかを判定するために)、その分類に基づいて特異的療法(例えば、本明細書で開示のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせ)を投与するために使用される。
本開示はまた、ANN分類子、例えば、TMEパネル1を介して、抗癌療法での治療に好適する癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患しているヒト対象を特定するために組み合わされたバイオマーカーを提供し、癌のTME表現型クラスは、対象から得られた試料の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)の遺伝子の発現レベル、例えば、mRNA発現レベルを測定することにより決定され、(a)割り当てられたTME表現型クラスがIAである場合は、療法は、IA TME表現型クラス特異的療法であり;(b)割り当てられたTME表現型がISである場合、療法は、IS TME表現型クラス特異的療法であり;(c)割り当てられたTME表現型がIDである場合、療法は、ID TME表現型クラス特異的療法であり;または(d)割り当てられたTME表現型がAである場合、療法は、A TME表現型クラス特異的療法である。
いくつかの態様では、例えば、対象が本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1を介して、本明細書で開示の2つ以上のTME表現型クラスに対して、バイオマーカー陽性またはバイオマーカー陰性として特定される場合、例えば、対象がIAおよびIS TME表現型クラスに対し、バイオマーカー陽性である場合、対象は、対象がバイオマーカー陽性であるTME表現型クラスに対応するTME表現型クラス特異的療法に対応する併用療法、例えば、IA TME表現型クラス特異的療法およびIS TME表現型クラス特異的療法を含む併用療法を投与され得る。
本開示はまた、治療を必要としているヒト対象の癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌を治療するための抗癌療法を提供し、対象は、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子を介して、対象から得られた試料の遺伝子パネル(例えば、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの1個の遺伝子、表3からの遺伝子セットを含む遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子セット、表5からの遺伝子パネル、または図9A~Gに開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む遺伝子パネル)の遺伝子の発現レベル、例えば、mRNA発現レベル発現レベルを測定することにより決定された特定のTME表現型を示すまたは示さないとして特定され、(a)割り当てられたTME表現型クラスがIAである場合は、療法は、IA TME表現型クラス特異的療法であり;(b)割り当てられたTME表現型クラスがISである場合、療法は、IS TME表現型クラス特異的療法であり;または(c)割り当てられたTME表現型クラスがAである場合、療法は、A TME表現型クラス特異的療法である。いくつかの態様では、患者が2つ以上のTME表現型クラスに対して、バイオマーカー陽性である場合、患者は、患者がバイオマーカー陽性であるTME表現型クラスのそれぞれに対応するTME表現型クラス特異的療法を組み合わせた療法を受けることができる。
いくつかの態様では、用語「投与」は、療法開始すること、療法を中断または中止すること、療法を一時的に中止すること、または療法を変更すること(例えば、投与の量または頻度を増やすこと、または併用療法でより多くの治療薬の一種を加えること)も含む。
いくつかの態様では、試料は、例えば、保健医療提供者(例えば、医師)または医療給付提供者により要求され得る、同じまたは異なる保健医療提供者(看護師、病院)、または臨床検査室により取得および/または処理でき、および処理後、結果は、元の保健医療提供者またはさらに別の保健医療提供者、医療給付提供者または患者に返送され得る。同様に、本明細書で開示のバイオマーカーの発現レベルの定量化;バイオマーカースコアまたはタンパク質発現レベル間の比較;バイオマーカーの非存在または存在の評価;特定の閾値に対するバイオマーカーレベルの決定;医療判断;またはこれらの組み合わせは、1人または複数の保健医療提供者、医療給付提供者、および/または臨床検査室により実施できる。
本明細書で使用される場合、「保健医療提供者」という用語は、生体、例えば、ヒト患者と直接やりとりするおよびそれらに投与する個人または機関を意味する。保健医療提供者の非限定的例には、医師、看護師、技術者、治療専門家、薬剤師、カウンセラー、代替医療従事者、医療施設、診療所、病院、救急室、医院、緊急医療センター、代替内科クリニック/施設、および一般医療、専門医療、外科的、および/または任意の他のタイプの治療、評価、維持、療法、薬物および/または助言を含む患者の健康状態の全ての、または任意の部分に関連する一般および/または専門治療、評価、維持、治療、薬物、および/または助言を提供する任意の他の団体が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「臨床検査室」という用語は、生体、例えば、ヒト由来の物質の検査または処理のための施設を意味する。処理の非限定的例には、例えば、生体、例えば、ヒトの健康の評価のための診断、予防、または何らかの疾患または障害の治療、または評価のための情報を提供する目的のための人体由来の物質の生物学的、生化学的、血清学的、化学的、免疫血液学的、血液学的、生物物理学的、細胞学的、病理学的、遺伝学的検査、または他の検査が含まれる。これらの検査はまた、試料を収集する、あるいは、取得する、調製する、生体、例えば、ヒトの身体中の、または生体、例えば、ヒトの身体から得た試料中の種々の物質の存在または非存在を、特定する、測定する、あるいは記述する手順も含み得る。
本明細書で使用される場合、「医療給付提供者」という用語は、医療給付、給付制度、健康保険、および/または医療費会計プログラムの1種または複数を患者に適用、提示、提供、全部または一部の支払い、またはその他の方法で患者に利用機会を与えることに関連する個々の当事者、組織、または団体を包含する。
いくつかの態様では、保健医療提供者は、癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌を治療するために、本明細書で開示の療法を投与することができ、または別の保健医療提供者にその投与を指示することができる。
保健医療提供者は、別の保健医療提供者または患者に次の行動を実行するための手段または指示を与えることができる:試料を取得する、試料を処理する、試料を提出する、試料を受け取る、試料を転送する、試料を分析または測定する、試料を定量化する、試料を分析/測定/定量化後に得た結果を提供する、試料を分析/測定/定量化後に得た結果を受け取る、1種または複数の試料を分析/測定/定量化後に得た結果を比較/スコア化する、1種または複数の試料からの比較/スコアを提供する、1種または複数の試料からの比較/スコアを得る、療法を投与する、療法の投与を開始する、療法の投与を中止する、療法の投与を継続する、療法の投与を一時的に中断する、投与される治療薬の量を増大させる、投与される治療薬の量を低減させる、一定量の治療薬の投与を継続する、治療薬の投与頻度を増大させる、治療薬の投与頻度を減少させる、治療薬に対する同じ投与頻度を維持する、少なくとも別の療法または治療薬により療法または治療薬を置き換える、療法または治療薬を少なくとも別の療法または追加の治療薬と組み合わせる。
いくつかの態様では、保健医療提供者は、例えば、試料の収集、試料の処理、試料の提出、試料の受領、試料の転送、試料の分析または測定、試料の定量化、試料を分析/測定/定量化後に得た結果の提供、試料を分析/測定/定量化後に得た結果の転送、1種または複数の試料を分析/測定/定量化後に得た結果の比較/スコア化、1種または複数の試料からの比較/スコアの転送、療法または治療薬の投与、療法または治療薬の投与の開始、療法または治療薬の投与の中止、療法または治療薬の投与の継続、療法または治療薬の投与の一時中断、投与される治療薬の量の増大、投与される治療薬の量の低減、一定量の治療薬の投与の継続、治療薬の投与頻度の増大、治療薬の投与頻度の低減、治療薬に対する同じ投与頻度の維持、少なくとも別の療法または治療薬により療法または治療薬の置き換え、または療法または治療薬を少なくとも別の療法または追加の治療薬との組み合わせを認定または否定できる。
加えて、保険医療提供者は、例えば、療法の処方を認定または否定、療法の適用範囲を認定または否定、療法コストの払い戻しを認定または否定、療法に対する適格性を決定または否定できる、等。
いくつかの態様では、臨床検査室は、例えば、癌腫瘍試料を収集または取得、試料を処理、試料の提出、試料の受領、試料の転送、試料の分析または測定、試料の定量化、試料を分析/測定/定量化後に得られた結果を提供、試料を分析/測定/定量化後に得られた結果を受領、1種または複数の試料を分析/測定/定量化後に得られた結果を比較/スコア化、1種または複数の試料からの比較/スコアを提供、1種または複数の試料からの比較/スコアの取得、または他の関連活動を実施でき、試料は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌由来である。
胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)患者または癌腫瘍の特定のTME表現型クラスまたは本明細書で開示のクラスへの割り当ては、患者の治療または治療のための患者の選択に加えて、他の治療または診断用途に対して適用できる。
例えば、治療の新しい方法を考案するために(例えば、患者を特定の療法のための、または臨床試験に参加のための候補として選択することにより)、治療薬の有効性を監視する方法に、または治療を調節する方法(例えば、処方、投与レジメン、または投与経路)に、適用できる。
本明細書で開示される方法は、少なくとも一部は、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用による、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)由来の対象腫瘍中の特定のTME表現型の存在または非存在の判定に基づいて、予防および/または治療の処方、開始、および/または変更などの追加のステップをさらに含み得る。
本開示はまた、本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用により特定された特定のTME表現型の腫瘍を有する結腸直腸癌患者を治療するかどうかを判定する方法を提供する。また提供されるのは、特定のタイプの結腸直腸癌(例えば、左結腸直腸癌、右結腸直腸癌、dMMR結腸直腸癌、MSI-H結腸直腸癌、または転移性の結腸直腸癌)と診断される患者を、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用により特定のTME表現型の存在および/または非存在に基づいて、本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで治療するための候補として選択する方法である。
本開示はまた、本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで癌患者、例えば、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用により特定された特定のTME表現型を有する胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を治療するかどうかを判定する方法を提供する。
また提供されるのは、特定のタイプの結腸直腸癌(例えば、左結腸直腸癌、右結腸直腸癌、dMMR結腸直腸癌、MSI-H結腸直腸癌、または転移性の結腸直腸癌)と診断される患者を、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用により特定のTME表現型の存在および/または非存在に基づいて、本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで治療するための候補として選択する方法である。
また提供されるのは、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される特定のタイプの癌と診断された患者を、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用により特定された特定のTME表現型の存在および/または非存在に基づいて、本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせで治療するための候補として選択する方法である。
一態様では、本明細書で開示される方法は、少なくとも一部は、分類子、例えば、TMEパネル1分類子の、腫瘍由来の試料から得られた本明細書で開示の遺伝子パネルに対するmRNA発現レベルへの適用に基づいて、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の対象中の癌腫瘍の特定のTME表現型クラスへの割り当てに基づいて、鑑別診断であってもよい診断を行うステップを含む。この診断は、患者診療記録に記録できる。例えば、種々の態様では、癌のTME表現型クラスの分類、以降で特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせによる治療が可能であるとしての患者の診断、または選択された治療は、診療記録に記録され得る。診療記録は、紙の形態であってよく、および/またはコンピューター可読媒体中に維持されてもよい。診療記録は、実験室、診療所、病院、健康維持機構、保険会社、および/または個人健康記録ウェブサイトにより維持できる。
いくつかの態様では、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子の適用に基づく、診断、TME分類、選択療法、などは、カード、着用品、および/または無線自動識別(RFID)タグなどの医療警報品上またはその中に記録できる。本明細書で使用される場合、「着用品」という用語は、対象身体に着用できる任意の物品で、限定されないが、タグ、ブレスレット、ネックレスまたは腕章が含まれる。
いくつかの態様では、試料は、医療専門家の指示に従って、試料中のバイオマーカーレベル(例えば、本明細書で開示の遺伝子パネルに対応するmRNAレベル)を測定するために、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の癌患者を治療または診断する(例えば、本明細書で記載の特定のアッセイを用いて)医療専門家により取得できる。
いくつかの態様では、アッセイを実施する臨床検査室は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)が本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせによる治療から恩恵を受けることができるかどうかに関し、本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子を適用することにより、患者の癌が特定のTME表現型クラスに属するとして分類されるかどうかに基づいて、癌患者保健医療提供者に助言できる。
いくつかの態様では、本明細書で開示、例えば、TMEパネル1分類子の分類子を適用することにより導かれるTME表現型分類の結果は、癌患者の保険が本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせをカバーするかどうかの判定のために、医療給付提供者に提出できる。いくつかの態様では、アッセイを実施する臨床検査室は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)が本明細書で開示の特定のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせによる治療から恩恵を受けることができるかどうかに関し、例えば、本明細書で開示のTMEパネル1分類子を用いて、癌のTME表現型分類に基づいて、癌患者保健医療提供者に助言できる。
上記および明細書を通して開示のチェックポイント阻害剤による治療は、ニボルマブ(PD-1)、ペムブロリズマブ(PD-1)、デュルバルマブ(PD-L1)、アテゾリズマブ(PD-L1)、ABBV-181(PD-1)、AMG404(PD-1)、BI754091(PD-1)、ドスタルリマブ(PD-1)、TSR-075(PD-1/LAG-3 二重特異的)、セトレリマブ(PD-1)、スパルタリズマブ(PD-1)、カムレリズマブ(PD-1)、ATA2271(PD-1)、CDX-527(PD-L1/CD27 二重特異的)、コシベリマブ(PD-L1)、CX-072(PD-1/PD-L1 プロボディ)、FS222(PD-L1/CD137 二重特異的)、FS118(PD-L1/LAG-3 二重特異的)、GEN1046(PD-L1/CD137 bi-specific)、JTX-4014(PD-1)、KY1043(PD-L1)、IMC-001(PD-L1)、TG-1501(PD-L1)、XmAb20717(PD-1/CTLA-4 二重特異的)、XmAb23104(PD-1/ICOS 二重特異的)、ゲノリムズマブ(PD-1)、APL-502(PD-L1)、カドニリマブ(PD-1/CTLA-4 二重特異的)、AK112(PD-1/VEGF 二重特異的)、ペンプリマブ(PD-1)、KN046(PD-L1/CTLA-4 二重特異的)、SHR-1316(PD-L1)、BI-1206(PD-1/FcyRIIB)、BI-1808(PD-1/TNFR2)、PM8001(PD-L1 二重特異的)、CDX-527(PD-L1/CD27 二重特異的)、IBI315(PD-1/HER2 二重特異的)、HBM9167(PD-L1)、HLX10(PD-1)、LAE005(PD-L1)、LZM009(PD-1)、YBL-013(PD-L1/CD3 二重特異的)、アベルマブ(PD-L1)、セミプリマブ(PD-1)、シンティリマブ(PD-1)、チスレリズマブ(PD-1)、トリパリマブ(PD-1)、バルスチリマブ(PD-1)、ジンベレリマブ(PD-1)、スゲマリマブ(PD-L1)、CS1003(PD-1)、GS-4224(PD-L1)、レチファンリマブ(PD-1)、テボテリマブ(PD-1/LAG-3 DART)、MGD019(PD-1/CTLA-4 DART)、M7824(PD-L1/TGFβ 二官能性)、ササンリマブ(PD-1)、エンバフォリマブ(PD-L1)、ABSK043、ACE1708(PD-L1)、AN4005(PD-1/PD-L1に対する小分子)、ALPN-202(PD-L1/CTLA-4 w/CD28 )、AVA004(PD-L1)、BN-101A(PD-L1)、プロルゴリマブ(PD-1)、BCD-217(PD-1/CTLA-4 二重特異的)、CCX-559(PD-L1)、CTX-8371(PD-1/PD-L1 二重特異的)、CB213(PD-1/LAG-3 二重特異的)、CA-170(PD-L1/VISTA)、CA-327(PD-L1/TIM-3)、オーリジーン(Aurigene)のPD-L1/TIGIT、GNR-051(PD-1)、GS19(PD-L1/TGF-βR2 二重標的化)、HX008、IGM-7354(PD-L1/IL-15 二重特異的)、IMGS-001(PD-1)、MVR-T3011(IL-12)、INCB-086550(PD-L1)、INCB106385(PD-1/A2A/A2B/CD73)、INBRX-105(PD-L1/CD137 四価二重特異的)、IBI322(PD-L1/CD46 組換え型)、IO103(PD-L1)、JS201(PD-1/TGF-β 二官能性)、KD033(PD-L1/IL-15 二官能性)、GT90008(PD-L1/TGF-β 二重特異的)、ソカゾリマブ(PD-L1)、MCLA-145(PD-L1/CD137)、MT-6402(PD-L1)、ND021(PD-L1/CD137/HSA 三重特異的)、OSE-279(PD-1/IL-7 二重特異的)、PH-762-ACT(PD-1)、PH-762-TME(PD-1)、PRS-344(PD-L1/CD137 二重特異的)、QL1604、RG6139(PD-1/LAG-3 二重特異的)、RG6279(PD-1 IL-2バリアント)、RG7769(PD-1/TIM-3 二重特異的)、SL-279252(PD-L1/OX40)、SCT-I10A、STI-A1014(PD-L1)、PSB205(PD-1/CTLA4 二官能性)、STM418(PD-1)、Sym021(PD-1)、MASCT-I(PD-1)、TC-510(PD-1)、MSB2311(PD-L1)、VG-161(PD-L1/IL-12/IL-15)、Y111(PD-L1/CD3 二重特異的)、XmAb20717(PD-1/CTLA-4 二重特異的)、XmAb23104(PD-1/ICOS 二重特異的)、YBL-013(PD-L1/CD3 二重特異的)、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される任意のチェックポイント阻害剤を含み得る。チェックポイント阻害剤の標的は、既知の場合、チェックポイント阻害剤の名称の後に括弧で示される。
II.ANN分類子:TMEパネル1分類子
いくつかの態様では、本開示は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)由来の腫瘍から得られた遺伝子発現試料をいくつかのTME表現型クラスに層別化(または分類)できる人工神経回路網(ANN)分類子を生成する方法を提供する。4つのTME表現型クラス(すなわち、間質サブタイプまたは表現型)の根底にある腫瘍生物学:上述したIA(免疫活性)、ID(免疫砂漠)、A(血管新生)およびIS(免疫抑制)は、ANNの適用により明らかにできる。いくつかの態様では、本明細書で開示の方法の適用は、腫瘍試料または患者を2つ以上の本明細書で開示のTME表現型クラスに分類でき、例えば、患者または試料は、2つ以上のTME表現型クラスに対するバイオマーカー対し陽性であり得る。
ANNは、本明細書で開示の遺伝子またはそれらのサブセットの遺伝子発現値を入力として取り込み(即ち、特徴)、発現パターンに基づいて主に血管新生発現、主に活性化免疫遺伝子発現、両者の混合物、またはこれらの発現パターンのいずれでもない、患者試料(即ち、患者)を特定する。これら4つの表現型タイプは、特定の種類の治療に対する応答を予測する。
本明細書で開示のANN分類子は、遺伝子パネルに対応する遺伝子発現データ、例えば、mRNA発現データが得られている一連の試料に対応するデータで訓練できる。例えば、訓練セットは、表1および表2、およびこれらの任意の組み合わせで示される遺伝子由来の発現データを含む。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、84、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100個の遺伝子を含む。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、100個を超える遺伝子を含む。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、表1および表2から選択される約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、または約90~約100個の遺伝子を含む。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、表3由来の遺伝子セットおよび表4由来の遺伝子セットを含む。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、表5から選択される遺伝子パネルである。いくつかの態様では、遺伝子パネルは、図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)である。
本開示の分類子は、分類子により使用される入力データ源としての特定の遺伝子パネルの選択に依存する。いくつかの態様では、本開示の遺伝子パネル中のそれぞれ1個の遺伝子は、「バイオマーカー」と呼ばれる。用語「遺伝子セット」および「遺伝子パネル」は、同じ意味で用いられる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、核酸バイオマーカーである。本明細書で使用される場合、用語「核酸バイオマーカー」は、それらが由来する対象または試料、例えば、組織、間質、細胞ライセート、および/またはそれらの成分を含む、例えば、腫瘍由来の試料中で検出できる(例えば、定量化できる)核酸(例えば、本明細書で開示の遺伝子パネル中の遺伝子)を意味する。いくつかの態様では、用語の核酸バイオマーカーは、それらが由来する対象または試料、例えば、組織、間質、細胞ライセート、および/またはそれらの成分を含む、例えば、腫瘍由来の試料中で検出できる(例えば、定量化できる)核酸(例えば、本明細書で開示の遺伝子パネル中の遺伝子)中の目的の特定の配列(例えば、核酸バリアントまたは一塩基多型)の存在または非存在を意味する。
核酸バイオマーカーの「レベル」は、いくつかの態様では、バイオマーカーの「発現レベル」、例えば、試料中の核酸バイオマーカーの核酸配列によりコードされるRNAまたはDNAのレベルを意味する。例えば、いくつかの態様では、表1または表2で開示される特定の遺伝子の発現レベルは、対象から得られた試料中に存在するこのような遺伝子をコードするmRNAの量を意味する。
いくつかの態様では、核酸バイオマーカー、例えば、RNAバイオマーカーの「レベル」は、下流の出力(例えば、標的分子の活性レベルまたは調節されている、例えば、核酸バイオマーカーまたは発現産物、例えば、それらのRNAまたはDNAにより、活性化または抑制されているエフェクター分子の発現レベル)を測定することにより決定できる。
いくつかの態様では、核酸バイオマーカーは、RNAバイオマーカーである。本明細書で使用される場合、「RNAバイオマーカー」は、目的の核酸バイオマーカーの核酸配列を含むRNA、例えば、表1または表2で開示の遺伝子をコードするRNAを意味する。
RNAバイオマーカーの「発現レベル」は、それが由来する対象または試料中に存在する目的の核酸配列を含む検出された量、例えば、核酸配列を含むDNA分子(例えば、対象または対象の癌のゲノム)から発現されたRNA分子の量を意味する。
いくつかの態様では、RNAバイオマーカーの発現レベルは、腫瘍間質試料中のRNAバイオマーカーの量である。いくつかの態様では、RNAバイオマーカーは、PCR(例えば、リアルタイムPCR)、シークエンシング(例えば、ディープシークエンシングまたは次世代シークエンシング、例えば、RNA-Seq)、もしくはマイクロアレイ発現プロファイリングまたはRNアーゼ保護を利用して、増幅、または増幅とRNA-Seqなどの新規定量化方法または他の方法と組み合わせる他の技術を用いて定量化される。
本明細書で開示される方法は、試料、例えば、対象由来の生体試料から選択される遺伝子パネルの発現レベルを測定するステップを含む。米国特許出願第17/089,234号を参照。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。バイオマーカーレベル(例えば、本開示の遺伝子パネルの発現レベル)は、本明細書で開示の1種または複数のバイオマーカー(例えば、RNAバイオマーカー)を含む、または含むと考えられる、対象または患者、由来の任意の組織試料または生検材料、例えば、対象の癌組織、腫瘍、および/または間質を含む、任意の生体試料で測定できる。組織試料源は、例えば、新鮮、凍結および/または保存された臓器、組織試料、生検材料、または吸引物由来の固体組織であり得る。いくつかの態様では、試料は、例えば、無細胞核酸(例えば、DNAまたはRNA)を含む無細胞試料である。試料は、いくつかの態様では、天然では組織とは本来混合されない、防腐剤、抗凝固剤、緩衝液、固定液、栄養素、抗生物質、などの化合物を含み得る。
いくつかの態様では、新鮮試料は、アーカイブ試料に好ましい。本明細書で使用される場合、用語「新鮮試料」、「非アーカイブ試料」およびその文法的変形は、所定の期間、例えば、対象から抽出後1週間になる前に処理(例えば、mRNA発現を測定するために)された試料(例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌からの腫瘍試料)を意味する。いくつかの態様では、新鮮試料は、凍結されていない。いくつかの態様では、新鮮試料は、固定されていない。いくつかの態様では、新鮮試料は、処理の前に、約2週間未満、約1週間未満、または6、5、4、3、または2日未満の間貯蔵されている。
本明細書で使用される場合、用語「アーカイブ試料」およびその文法的変形は、所定の期間、例えば、対象から抽出の1週間後に処理(例えば、RNAを測定するために)された試料(例えば、結腸直腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、卵巣癌、神経膠腫、神経膠芽腫、または肺癌からの腫瘍試料)を意味する。いくつかの態様では、アーカイブ試料は、凍結されていない。いくつかの態様では、アーカイブ試料は、固定されていない。いくつかの態様では、アーカイブ試料は、既知の診断および/または治療歴を有するいくつかの態様では、アーカイブ試料は、処理の前に、少なくとも1週間、少なくとも1か月、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1年間貯蔵されている。
いくつかの事例では、バイオマーカーレベルは、固定された腫瘍組織由来である。いくつかの態様では、試料は、凍結試料として、またはホルマリン-、ホルムアルデヒド-、またはパラホルムアルデヒド-固定パラフィン包埋(FFPE)組織調製物として保存される。例えば、試料は、マトリックス、例えば、FFPEブロックまたは凍結試料中に包埋できる。いくつかの態様では、試料は、例えば、組織生検検体または手術検体を含み得る。いくつかの態様では、試料は、患者から得られた細胞であるか、またはこれを含む。
いくつかの態様では、試料は、例えば、手術材料、または生検材料(例えば、最近の生検材料、最後の進行以来の最近の生検材料、または最後に失敗した療法以来の最近の生検材料)から取得できる。いくつかの態様では、生検材料は、以前の一連の療法由来のアーカイブ組織であり得る。いくつかの態様では、生検材料は、治療未経験の組織であり得る。いくつかの態様では、生体液は、試料として使用されない。
本明細書で記載の遺伝子パネル中の遺伝子の発現レベルは、当該技術分野の任意の方法を用いて決定できる。いくつかの態様では、RNA発現レベルは、シークエンシング法、例えば、次世代シークエンシング(NGS)を用いて決定される。いくつかの態様では、NGSは、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、NanoString、もしくはこれらの組み合わせ、またはRNAを測定する任意の技術である。いくつかの態様では、RNA測定法は、ヌクレアーゼ保護を含む。本明細書で記載の遺伝子パネル中の遺伝子の発現レベルを決定する具体的方法は、米国特許出願第17/089,234号中で詳述されている。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で開示のANN分類子では、試料(例えば、臨床試験由来試料)集団から取得した遺伝子パネル中の遺伝子の発現レベルおよび本明細書で開示の集団分類子に従って得られたそれらのTME表現型クラス(またはこれらの組み合わせ、即ち、試料は、単一のTME表現型クラスに対してバイオマーカー陽性として分類できるのみではなく、2つ以上のTME表現型クラスに対してバイオマーカー陽性としても分類できる)への割り当ては、ANNに対する訓練セットとして使用できる。機械学習過程は、モデル、例えば、ANNモデルをもたらし得る。その後、試験対象由来の試料から得た遺伝子パネルの遺伝子の発現レベルは、モデルに対する入力として使用され、このモデルは、対象の腫瘍を特定のTME表現型クラス(またはこれらの組み合わせ、即ち、試料は、単一のTME表現型クラスに対してバイオマーカー陽性として分類できるのみではなく、2つ以上のTME表現型クラスに対してバイオマーカー陽性としても分類できる)に分類し得る。
タンパク質の標準名称、別名、など、および本開示を通して使用される識別子により指定された遺伝子は、例えば、ジェネカード(Genecards)(www.genecards.org)またはユニプロット(Uniprot)(www.uniprot.org)を介して特定できる。
Figure 2024511166000001
Figure 2024511166000002

Figure 2024511166000003
Figure 2024511166000004
Figure 2024511166000005

Figure 2024511166000006
いくつかの態様では、本明細書で開示の訓練セットまたはANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネルは、ABCC9、ADAMTS4、AFAP1L2、AGR2、BACE1、BGN、BMP5、C11ORF9、CAPG、CAVIN2、CCL2、CCL3、CCL4、CD19、CD274、CD3E、CD4、CD79A、CD8B、COL4A2、COL8A1、COL8A2、CPXM2、CTLA4、CTSB、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL9、DUSP4、EBF1、ECM2、EDNRA、EIF5A、ELN、EPHA3、ETV5、FBLN5、FOLR2、GAD1、GNAS、GNB4、GUCY1A1、GZMB、HAVCR2、HEY2、HFE、HMOX1、HP、HSPB2、IDO1、IFNA2、IFNB1、IFNG、IGFBP3、IGLL5、IL1B、IQGAP3、ITGA9、ITPR1、JAM2、JAM3、KCNJ8、LAG3、LAMB2、LHFPL6、LTBP4、MEOX1、MEST、MGP、MMP12、MMP13、MST1、MT2A、MTA2、NAALAD2、NFATC1、NOV、OLFML2A、PCDH17、PDCD1、PDCD1LG2、PDE5A、PDGFRB、PEG3、PLA2G4A、PLAU、PLSCR2、PLXDC2、RAC2、REG4、RGS4、RGS5、RNF144A、RNH1、RRAS、RUNX1T1、SELP、SERPINE1、SERPINE2、SGIP1、SMARCA1、SPON1、SRSF6、STAB2、STEAP4、STRN3、TBX2、TEK、TGFB1、TGFB2、TIGIT、TIMP1、TLR9、TMEM204、TNFRSF18、TNFRSF4、TNFSF18、TRIM7、TTC28、USF1、UTRN、VSIR、およびZIC2を含む。いくつかの態様では、本明細書で開示の訓練セットまたはANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネルは、ABCC9、ADAMTS4、AFAP1L2、AGR2、BACE1、BGN、BMP5、C11ORF9、CAPG、CAVIN2、CCL2、CCL3、CCL4、CD19、CD274、CD3E、CD4、CD79A、CD8B、COL4A2、COL8A1、COL8A2、CPXM2、CTLA4、CTSB、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL9、DUSP4、EBF1、ECM2、EDNRA、EIF5A、ELN、EPHA3、ETV5、FBLN5、FOLR2、GAD1、GNAS、GNB4、GUCY1A1、GZMB、HAVCR2、HEY2、HFE、HMOX1、HP、HSPB2、IDO1、IFNA2、IFNB1、IFNG、IGFBP3、IGLL5、IL1B、IQGAP3、ITGA9、ITPR1、JAM2、JAM3、KCNJ8、LAG3、LAMB2、LHFPL6、LTBP4、MEOX1、MEST、MGP、MMP12、MMP13、MST1、MT2A、MTA2、NAALAD2、NFATC1、NOV、OLFML2A、PCDH17、PDCD1、PDCD1LG2、PDE5A、PDGFRB、PEG3、PLA2G4A、PLAU、PLSCR2、PLXDC2、RAC2、REG4、RGS4、RGS5、RNF144A、RNH1、RRAS、RUNX1T1、SELP、SERPINE1、SERPINE2、SGIP1、SMARCA1、SPON1、SRSF6、STAB2、STEAP4、STRN3、TBX2、TEK、TGFB1、TGFB2、TIGIT、TIMP1、TLR9、TMEM204、TNFRSF18、TNFRSF4、TNFSF18、TRIM7、TTC28、USF1、UTRN、VSIR、およびZIC2からなる。
いくつかの態様では、本明細書で開示の訓練セットまたはANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネルは、ABCC9、ADAMTS4、AFAP1L2、AGR2、BACE1、BGN、BMP5、C11ORF9、CAPG、CAVIN2、CCL2、CCL3、CCL4、CD19、CD274、CD3E、CD4、CD79A、CD8B、COL4A2、COL8A1、COL8A2、CPXM2、CTLA4、CTSB、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL9、DUSP4、EBF1、ECM2、EDNRA、EIF5A、ELN、EPHA3、ETV5、FBLN5、FOLR2、GAD1、GNAS、GNB4、GUCY1A1、GZMB、HAVCR2、HEY2、HFE、HMOX1、HP、HSPB2、IDO1、IFNA2、IFNB1、IFNG、IGFBP3、IGLL5、IL1B、IQGAP3、ITGA9、ITPR1、JAM2、JAM3、KCNJ8、LAG3、LAMB2、LHFPL6、LTBP4、MEOX1、MEST、MGP、MMP12、MMP13、MST1、MT2A、MTA2、NAALAD2、NFATC1、NOV、OLFML2A、PCDH17、PDCD1、PDCD1LG2、PDE5A、PDGFRB、PEG3、PLA2G4A、PLAU、PLSCR2、PLXDC2、RAC2、REG4、RGS4、RGS5、RNF144A、RNH1、RRAS、RUNX1T1、SELP、SERPINE1、SERPINE2、SGIP1、SMARCA1、SPON1、SRSF6、STAB2、STEAP4、STRN3、TBX2、TEK、TGFB1、TGFB2、TIGIT、TIMP1、TLR9、TMEM204、TNFRSF18、TNFRSF4、TNFSF18、TRIM7、TTC28、USF1、UTRN、VSIR、およびZIC2からなる群より選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、または124個の遺伝子を含む。
いくつかの態様では、本明細書で開示の訓練セットまたはANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネルは、ABCC9、ADAMTS4、AFAP1L2、AGR2、BACE1、BGN、BMP5、C11ORF9、CAPG、CAVIN2、CCL2、CCL3、CCL4、CD19、CD274、CD3E、CD4、CD79A、CD8B、COL4A2、COL8A1、COL8A2、CPXM2、CTLA4、CTSB、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL9、DUSP4、EBF1、ECM2、EDNRA、EIF5A、ELN、EPHA3、ETV5、FBLN5、FOLR2、GAD1、GNAS、GNB4、GUCY1A1、GZMB、HAVCR2、HEY2、HFE、HMOX1、HP、HSPB2、IDO1、IFNA2、IFNB1、IFNG、IGFBP3、IGLL5、IL1B、IQGAP3、ITGA9、ITPR1、JAM2、JAM3、KCNJ8、LAG3、LAMB2、LHFPL6、LTBP4、MEOX1、MEST、MGP、MMP12、MMP13、MST1、MT2A、MTA2、NAALAD2、NFATC1、NOV、OLFML2A、PCDH17、PDCD1、PDCD1LG2、PDE5A、PDGFRB、PEG3、PLA2G4A、PLAU、PLSCR2、PLXDC2、RAC2、REG4、RGS4、RGS5、RNF144A、RNH1、RRAS、RUNX1T1、SELP、SERPINE1、SERPINE2、SGIP1、SMARCA1、SPON1、SRSF6、STAB2、STEAP4、STRN3、TBX2、TEK、TGFB1、TGFB2、TIGIT、TIMP1、TLR9、TMEM204、TNFRSF18、TNFRSF4、TNFSF18、TRIM7、TTC28、USF1、UTRN、VSIR、およびZIC2からなる群より選択される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、または124個の遺伝子からなる。
いくつかの態様では、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1分類子は、下表で提供される遺伝子セットを用いて訓練された。
Figure 2024511166000007
Figure 2024511166000008
Figure 2024511166000009
Figure 2024511166000010
いくつかの態様では、訓練データセットは、各試料に対しさらなる変動要因、例えば、米国特許出願第17/089,234号で開示の集団ベース分類子による試料分類を含む。他の態様では、訓練データは、対象に投与された治療のタイプ、投与量、投与レジメン、投与経路、併用治療薬の存在あるいは非存在、療法に対する応答(例えば、完全奏功、部分応答または応答の欠如)、年齢、体重、性別、民族性、腫瘍サイズ、腫瘍ステージ、バイオマーカーの存在または非存在、などの試料に関するデータを含む。
いくつかの態様では、遺伝子パネル(例えば、本明細書で開示のANN分類子における血管新生シグネチャースコアまたは免疫シグネチャースコアを決定する遺伝子パネル、例えば、TMEパネル1、または訓練セットもしくは本明細書のANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネル)は、図9A~Gで開示の遺伝子セット中に存在する遺伝子を含む。いくつかの態様では、遺伝子パネル(例えば、本明細書で開示のANN分類子における血管新生シグネチャースコアまたは免疫シグネチャースコアを決定する遺伝子パネル、例えば、TMEパネル1、または訓練セットもしくは本明細書のANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネル)は、図9A~Gで開示の遺伝子セット中に存在する遺伝子からなる。いくつかの態様では、遺伝子パネル(例えば、本明細書で開示のANN分類子における血管新生シグネチャースコアまたは免疫シグネチャースコアを決定する遺伝子パネル、例えば、TMEパネル1、または訓練セットもしくは本明細書のANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネル)は、図9A~Gで開示の遺伝子セット中に存在する遺伝子を含まない。いくつかの態様では、遺伝子パネル(例えば、本明細書で開示のANN分類子における血管新生シグネチャースコアまたは免疫シグネチャースコアを決定する遺伝子パネル、例えば、TMEパネル1、または訓練セットもしくは本明細書のANN分類子へのモデル入力の一部として使用されるべき遺伝子パネル)は、図9A~Gで開示の遺伝子セット中に存在する遺伝子から構成されない。
いくつかの態様では、当業者に理解され得るように、p値、倍率変化、および変動係数を含む因子の組み合わせを基準にしてデータセットを訓練するために遺伝子を選択することは有益である。いくつかの態様では、1つまたは複数の選択基準の使用、およびそれに続く順位付けは、モデルへの入力のための遺伝子パネル中の上位2.5%、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、30%、40%、50%またはそれ超のランク付けされた遺伝子の選択を可能にする。従って、理解され得るように、表1および表2中の遺伝子中の全ての個別の特定された遺伝子または遺伝子のサブセットを選択し、予測モデルを生成に有用な遺伝子の組み合わせを特定するために、選択遺伝子の全ての可能な組み合わせを試験できる。組み合わせて試験する選択した個別の遺伝子の数を決定するために、および遺伝子の可能な組み合わせの数を選択するために、選択基準は、遺伝子データを得るために利用できるデータ資源および/またはモデルから生じた分類子を計算および評価するのに利用できるコンピューター資源に依存する。
いくつかの態様では、機械学習モデルの訓練の結果に基づくと、遺伝子は、ドライバー遺伝子であるように見える可能性がある。本明細書で使用される場合、「ドライバー遺伝子」という用語は、ドライバー遺伝子変異を含む遺伝子を意味する。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は、1種または複数の後天性変異、例えば、ドライバー遺伝子変異が原因となって、癌進行に関連し得る遺伝子である。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は、細胞の運命決定、細胞生存およびゲノム維持を含む1種または複数の細胞過程を調節できる。ドライバー遺伝子は、1種または複数のシグナル伝達経路、例えば、TGFβ経路、MAPK経路、STAT経路、PI3K経路、RAS経路、細胞周期経路、アポトーシス経路、ノッチ経路、ヘッジホッグ(HH)経路、APC経路、クロマチン修飾経路、転写調節経路、DNA損傷制御経路、またはこれらの組み合わせに関連し得る(例えば、調節できる)。例示的ドライバー遺伝子には、癌遺伝子および腫瘍抑制因子が挙げられる。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は、それが発生する細胞に対し、選択的増殖優位性を提供する。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は、それが発生する細胞に対し、増殖能力を提供し、例えば、細胞増殖、例えば、クローン増殖を可能にする。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は癌遺伝子である。いくつかの態様では、ドライバー遺伝子は癌抑制遺伝子(TSG)である。
遺伝子セット中のノイズの多い、低発現遺伝子の存在は、モデルの感度を低減させ得る。従って、いくつかの態様では、低発現遺伝子は、機械学習モデルから減量または選別(除去)できる。いくつかの態様では、低発現遺伝子フィルタリングは、遺伝子発現(例えば、RNAレベル)から計算された統計量に基づく。いくつかの態様では、低発現遺伝子フィルタリングは、例えば、遺伝子セット中の各遺伝子に対する生の読取り数の最小(min)、最大(max)、平均(mean)、分散(sd)、またはこれらの混合物に基づく。各遺伝子セットに対して、最適フィルタリング閾値を決定できる。いくつかの態様では、フィルタリング閾値は、遺伝子セット中の発現差異遺伝子の数を最大化するように最適化される。
ANN分類子は、その後、分類子の各試験対象を正確に判定する能力の判定により評価される。いくつかの態様では、モデルを誘導するために使用される訓練集団の対象は、モデルを使用するために使用される集団を試験する対象とは異なる。当業者には理解されるように、これは、間質の表現型形質の特徴付け(例えば、TME表現型クラス)が未知である対象を適切に特徴付けるそれらの能力に関して分類子を訓練するために使用される遺伝子セットの能力を予測することを可能にする。
数学的モデル(ANN)への入力であるデータは、評価される遺伝子、例えば、mRNAの産物に特有の発現レベルである任意のデータであり得る。本開示により有用な数学的モデルは、教師ありおよび/または教師なし学習技術を用いたものを含む。本開示のいくつかの態様では、選択された数学的モデルは、可能なバイオマーカーの組み合わせのそれぞれを評価するために、「訓練集団」と併せて、教師あり学習を使用する。
本明細書で開示される方法により生成された分類子(例えば、ANNモデル)は、未知のまたは試験対象を試験するために使用できる。一態様では、本明細書で特定されたANNにより生成されるモデルは、対象または癌試料が特定のTME表現型クラスに属するかどうかを検出できる。いくつかの態様では、ANNモデルは、対象が特定の療法に応答するかどうかを予測できる。他の態様では、ANNモデルは、特定の療法の投与のための対象を選択でき、または選択するために使用できる。
本開示の一態様では、各ANN分類子は、当業者に既知の方法を用いて、訓練集団の各対象を適切に特徴付けるその能力が評価される。例えば、交差検証、1つ取って置き交差検証(LOOCV)、n重交差検証、または標準統計学的方法を使ったジャックナイフ分析、を用いてANN分類子を評価できる。別の態様では、各ANN分類子は、分類子を生成するために使用されていない訓練集団のそれらの対象を適切に特徴付けるその能力が評価される。
いくつかの態様では、1つのデータセットを用いてANN分類子を訓練して、別の異なるデータセットに対してANN分類子を評価できる。従って、試験データセットは訓練データセットとは異なるので、交差検証の必要性はない。
一態様では、訓練集団の各対象を適切に特徴付ける分類子のその能力で評価するために使用される方法は、分類子の感度(TPF、真陽性率)および1-特異度(FPF、擬陽性率)を評価する方法である。一態様では、分類子を試験するために使用される方法は、受信者動作特性(「ROC」)であり、これは、生成されたモデル、例えば、ANNの適用から得られたモデルの結果の感度および特異性の両方を評価するためにいくつかのパラメーターを与える。
いくつかの態様では、訓練集団の各対象を適切に特徴付ける分類子のその能力で評価するために使用される測定基準は、分類精度(ACC)、受信者動作特性曲線下面積(AUC ROC)、感度(真陽性率、TPF)、特異度(真陰性率、TNF)、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)、またはこれらの任意の組み合わせを含む。特定の一態様では、訓練集団の各対象を適切に特徴付ける分類子のその能力で評価するために使用される測定基準は、分類精度(ACC)、受信者動作特性曲線下面積(AUC ROC)、感度(真陽性率、TFP)、特異度(真陰性率、TNF)、陽性的中率(PPV)、および陰性的中率(NPV)である。
いくつかの態様では、訓練セットは、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約160、少なくとも約170、少なくとも約180、少なくとも約190、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900、または少なくとも約1000人(あるいは匹)の参照集団を含む。
いくつかの態様では、本開示の遺伝子パネル中バイオマーカーのそれぞれに対し測定された発現、例えば、mRNAレベルは、ニューラルネットワークを訓練するために使用できる。ニューラルネットワークは、二段階回帰または分類モデルである。ニューラルネットワークは、二値または非二値であってよい。ニューラルネットワークは、出力ユニット層の重み層に接続された入力ユニット層(およびバイアス)を含む層状構造を有する。回帰のために、出力ユニットの層は通常、ただ1つの出力ユニットを含む。しかし、ニューラルネットワークは、複数の定量的応答をシームレスに取り扱うことができる。従って、ニューラルネットワークは、3つ以上の集団(即ち、3つ以上の表現型形質)、例えば、本明細書で開示の4つのTME表現型クラスの間で区別するバイオマーカーの特定を可能にするように適用できる。
1つの具体的例では、ニューラルネットワークは、特定のTME表現型に特異的であるこれらのバイオマーカーの組み合わせを特定するために、対象集団由来の試料セットに対する表1および表2中で開示のバイオマーカー遺伝子の産物、例えば、mRNAからの発現データを用いて訓練できる。ニューラルネットワークは、Duda et al.,2001,Pattern Classification,Second Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York;およびHastie et al.,2001,The Elements of Statistical Learning,Springer-Verlag,New Yorkに記載されている。
いくつかの態様では、本明細書で開示のANN分類子、例えば、TMEパネル1は、例えば、表1および2からの98または87個の遺伝子を有する単一入力層、2個のニューロンの単一隠れ層、および単一出力層中に4つの出力を含む逆伝播ニューラルネットワークを含む(例えば、Abdi,1994,”A neural network primer”,J.Biol System.2,247-283を参照)。本明細書で開示のTMEパネル1などのANN分類子は、EasyNN-Plusバージョン4.0gソフトウェアパッケージ(Neural Planner Software Inc.)、サイキット・ラーン(scikit-learn.org)、または任意の他の機械学習パッケージまたは当該技術分野において既知のプログラムを用いて組み込むことができる。
いくつかの態様では、ANN分類子は、フィードフォワードニューラルネットワークである。フィードフォワードニューラルネットワークは、人工ネットワークであり、入力と出力ノード間の接続はサイクルを形成しない。ANNの場合、本明細書で使用される用語「ノード」および「ニューロン」は同じ意味で用いられる。従って、それは、再帰型ニューラルネットワークとは異なる。このネットワークでは、情報は、入力ノードから、隠れノード(もしあれば)を通って、1つの方向:前方へ、出力ノードまで移動する。このネットワークでは、サイクルまたはループは存在しない。入力ノードを除いて、各ノードは、非線形活性化関数を使用するニューロンであり、これは、生体ニューロンの活動電位、または発火の頻度をモデル化するために開発された。
いくつかの態様では、ANN分類子は、単層パーセプトロンネットワークであり、これは、単層の出力ノードからなり、入力は、一連の重みを介して出力に直接に供給される。重みと入力の積の合計が各ノードで計算され、値がいくつかの閾値(通常0)を超える場合、ニューロンは発火し、活性化値(通常1)をとる。
いくつかの態様では、ANNは、多層パーセプトロン(MLP)である。このクラスのネットワークは、通常、フィードフォワード方式で相互接続された、多層の演算ユニットからなる。1つの層の各ニューロンは、引き続く層のニューロンに向けられた接続を有する。多くの用途では、これらのネットワークのユニットは、活性化関数、例えば、シグモイド関数を利用する。MLPは、少なくとも3つの層のノード:入力層、隠れ層および出力層を含む。
いくつかの態様では、活性化関数は、式y(v)=tanh(v)、即ち、-1~+1の範囲の双曲線正接で記述されるシグモイド関数である。いくつかの態様では、活性化関数は、式y(v)=(1+e-vi-1、即ち、tanh関数に形状的に類似であるが0~+1の範囲であるロジスティック関数である。これらの式では、yは、i番目のノード(ニューロン)の出力であり、vは、入力接続の重み付けした合計である。
いくつかの態様では、活性化関数は、正規化線形ユニット(ReLU)またはその変形種、例えば、ノイジーReLU、漏洩ReLU、パラメトリックReLU、または指数関数的LUである。いくつかの態様では、ReLUは、式f(x)=X=max(0,x)により定義され、式中、xは、ニューロンへの入力である。ReLU活性化関数は、双曲線正接またはロジスティックシグモイドに比べて、ディープニューラルネットワーク(DNN)のより良好な訓練を可能にする。DNNは、入力と出力層との間に多層を有するANNである。DNNは通常、フィードフォワードネットワークであり、データは、折り返しなしに、入力層から出力層へ流れる。DNNは、追加された抽象化層のために、過剰適合する傾向があり、これは、訓練データ中でそれらに希少依存性をモデル化可能にする。いくつかの態様では、活性化関数は、ソフトプラス、またはReLUの平滑近似であるスムーズ(smooth)ReLU関数であり、式f(x)=ln(1+e)により記述される。ソフトプラスの導関数は、ロジスティック関数である。
いくつかの態様では、ANNは、非線形的に活性化ノードの3つまたはそれを超える層(1つまたは複数の隠れ層を有する入力および出力層)を含むMLPである。その多層および非線形活性化は、線形パーセプトロンからMLPを区別する。それは、線形的に分離できないデータを区別できる。ANNは、完全に接続されるので、一層中の各ノードは、ある一定の重みwijで次の層の全てのノードと接続する。学習は、各データ片が処理された後で、予測結果に比べて出力中のエラーの量を基準にして、接続重みを変えることによりパーセプトロン中で起こる。これは、教師あり学習の一例であり、逆伝搬を介して実行される。
いくつかの態様では、ANNは、3層を有する。他の態様では、ANNは、3層超を有する。いくつかの態様では、ANNは、単一隠れ層を有する。他の態様では、ANNは、2つ以上の隠れ層を有する。
いくつかの態様では、入力層は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、または150個のニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は、70~100個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、70~80個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、80~90個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、90~100個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、70~75個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、75~80個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、80~85個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、85~90個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、90~95個のニューロンを含む。いくつかの態様では、入力層は、95~100個のニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は個、少なくとも約1個~少なくとも約5個、少なくとも約5個~少なくとも約10個、少なくとも約10個~少なくとも約15個、少なくとも約15個~少なくとも約20個、少なくとも約20個~少なくとも約25個、少なくとも約25個~少なくとも約30個、少なくとも約30個~少なくとも約35個、少なくとも約35個~少なくとも約40個、少なくとも約40個~少なくとも約45個、少なくとも約45個~少なくとも約50個、少なくとも約50個~少なくとも約55個、少なくとも約55個~少なくとも約60個、少なくとも約60個~少なくとも約65個、少なくとも約65個~少なくとも約70個、少なくとも約70個~少なくとも約75個、少なくとも約75個~少なくとも約80個、少なくとも約80個~少なくとも約85個、少なくとも約85個~少なくとも約90個、少なくとも約90個~少なくとも約95個、少なくとも約95個~少なくとも約100個、少なくとも約100個~少なくとも約105個、少なくとも約105個~少なくとも約110個、少なくとも約110個~少なくとも約115個、少なくとも約115個~少なくとも約120個、少なくとも約120個~少なくとも約125個、少なくとも約125個~少なくとも約130個、少なくとも約130個~少なくとも約135個、少なくとも約135個~少なくとも約140個、少なくとも約140個~少なくとも約145個、または少なくとも約145個~少なくとも約150個のニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は、少なくとも約1個~少なくとも約10個、少なくとも約10個~少なくとも約20個、少なくとも約20個~少なくとも約30個、少なくとも約30個~少なくとも約40個、少なくとも約40個~少なくとも約50個、少なくとも約50個~少なくとも約60個、少なくとも約60個~少なくとも約70個、少なくとも約70個~少なくとも約80個、少なくとも約80個~少なくとも約90個、少なくとも約90個~少なくとも約100個、少なくとも約100個~少なくとも約110個、少なくとも約110個~少なくとも約120個、少なくとも約120個~少なくとも約130個、少なくとも約130個~少なくとも約140個、または少なくとも約140個~少なくとも約150個のニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は、少なくとも約1個~少なくとも約20個、少なくとも約20個~少なくとも約40個、少なくとも約40個~少なくとも約60個、少なくとも約60個~少なくとも約80個、少なくとも約80個~少なくとも約100個、少なくとも約100個~少なくとも約120個、少なくとも約120個~少なくとも約140個、少なくとも約10個~少なくとも約30個、少なくとも約30個~少なくとも約50個、少なくとも約50個~少なくとも約70個、少なくとも約70個~少なくとも約90個、少なくとも約90個~少なくとも約110個、少なくとも約110個~少なくとも約130個、または少なくとも約130個~少なくとも約150個のニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は、約1個を超える、約5個を超える、約10個を超える、約15個を超える、約20個を超える、約25個を超える、約30個を超える、約35個を超える、約40個を超える、約45個を超える、約50個を超える、約55個を超える、約60個を超える、約65個を超える、約70個を超える、約75個を超える、約80個を超える、約85個を超える、約90個を超える、約95個を超える、約100個を超える、約105個を超える、約110個を超える、約115個を超える、約120個を超える、約125個を超える、約130個を超える、約135個を超える、約140個を超える、約145個を超える、または約150個を超えるニューロンを含む。
いくつかの態様では、入力層は、約1個未満、約5個未満、約10個未満、約15個未満、約20個未満、約25個未満、約30個未満、約35個未満、約40個未満、約45個未満、約50個未満、約55個未満、約60個未満、約65個未満、約70個未満、約75個未満、約80個未満、約85個未満、約90個未満、約95個未満、約100個未満、約105個未満、約110個未満、約115個未満、約120個未満、約125個未満、約130個未満、約135個未満、約140個未満、約145個未満、または約150個未満のニューロンを含む。いくつかの態様では、重みは、入力層中のそれぞれ1個のニューロンの入力に適用される。
いくつかの態様では、ANNは、単一隠れ層を含む。いくつかの実施形態では、ANNは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の隠れ層を含む。いくつかの実施形態では、単一隠れ層は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のニューロンを含む。いくつかの態様では、単一隠れ層は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のニューロンを含む。いくつかの態様では、単一隠れ層は、10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、または3個未満のニューロンを含む。いくつかの実施形態では、単一隠れ層は、2個のニューロンを含む。いくつかの実施形態では、単一隠れ層は、3個のニューロンを含む。いくつかの実施形態では、単一隠れ層は、4個のニューロンを含む。いくつかの実施形態では、単一隠れ層は、5個のニューロンを含む。いくつかの態様では、バイアスは、隠れ層中のニューロンに適用される。
いくつかの態様では、ANNは、異なるTME表現型に対応する出力層中に4個のニューロンを含む。いくつかの態様では、出力層中の4個のニューロンは、上記で開示4つのTME表現型クラス、即ち、IA(免疫活性)、IS(免疫抑制)、ID(免疫砂漠)、およびA(血管新生)に対応する。
いくつかの態様では、出力層の分類は、予測出力クラスに対する確率分布に正規化され、コンポーネントは、合計して1になるので、それらは、確率として解釈できる。
いくつかの態様では、出力層値の4つのTME表現型クラス(IA、ID、AおよびIS)への多重クラス分類は、ロジスティック回帰関数を適用することにより支援される。いくつかの態様では、出力層値の4つのTME表現型クラス(IA、ID、AおよびIS)への多重クラスTME分類は、ロジスティック回帰分類子、例えば、ソフトマックス関数を適用することにより支援される。ソフトマックスは、各クラスに対し、合計して1.0になる小数確率を割り当てる。いくつかの態様では、ソフトマックス関数などのロジスティック回帰分類子の使用は、より急速な訓練収束を支援する。いくつかの態様では、ロソフトマックス関数を含むジスティック回帰分類子は、出力層の直前のニューラルネットワーク層を介して組み込まれる。いくつかの態様では、出力層の直前のこのようなニューラルネットワーク層は、出力層と同じノード数を有する。
いくつかの態様では、使われる特定のデータセットに応じて、種々のカットオフがロジスティック回帰分類子(例えば、ソフトマックス関数)の結果に適用される(例えば、カットオフは、特定の対象集団、例えば、特定の療法に対応する集団の選択のために適用される)。従って、異なるカットオフセットに適用は、癌または患者を上記で開示の4つのTME表現型クラス、IA(免疫活性)、IS(免疫抑制)、ID(免疫砂漠)、またはA(血管新生)の内の1個のみに分類できるだけはなく、癌または患者を2つ以上の上記で開示のTME表現型クラスに分類する。従って、いくつかの態様では、癌または患者は、IA、IS、IDまたはA TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに対しバイオマーカー陽性であるとして分類できる。逆に、いくつかの態様では、癌または患者は、IA、IS、IDまたはA TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに対しバイオマーカー陰性であるとして分類できる。
いくつかの態様では、血管新生シグネチャーの全ての遺伝子、または遺伝子のサブセット、および免疫シグネチャーの全ての遺伝子、または遺伝子のサブセットは、各隠れ層に対するANNモデルで陽性または陰性遺伝子の重みを有する。
本開示のANNモデルの実際の挙動は、高次元データを圧縮形式で提示することである。圧縮データは、いわゆる潜在空間で目視により表すことができる。これの一般的な例は、二次元グラフ(X&Y軸)であり、各患者は、いくつかのベクトルXおよびベクトルYの値としてプロットされる。従って、潜在空間は、例えば、Zスコアまたは隠れニューロン値の投影像のいずれであっても、本開示の方法により生成されたシグネチャーの投影像である。いくつかの態様では、潜在空間は、三次元でプロットできる。
各患者の疾患スコア値(即ち、ANNモデルの確率結果)は、潜在空間中にプロットできる。経時的に、患者データは、蓄積できる、または疾患スコア化を含む患者データの後ろ向き分析結果は、基準プロットとして使用でき、その上に、当該患者のANN確率結果がプロットされる。
いくつかの態様では、潜在空間は、ANNモデルの隠れニューロンのプロットであり、これらのニューロンの全ての2方向組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、ANNモデルは、2つの隠れニューロン中に圧縮されたデータに基づいて4つのTME表現型クラスを予測し、潜在空間のこれらのニューロンのプロットは、4つの出力TME表現型クラスの投影像としても役立つ。いくつかの態様では、各患者のTME表現型クラス割り当ては、ニューロン1対ニューロン2潜在空間中で可視化される。
潜在空間投影像は、出力TME表現型割り当ての確率等高線を表示することにより強調され得る。このように、投影像は、対象が潜在空間中のどこに入るかのみならず、各TME表現型分類の信頼度も示すことができる。いくつかの態様では、臨床報告は、TME表現型クラスをバイオマーカーロジック、即ち、IA=陽性、またはIA+IS=陽性、として使用し、その後、臨床医にTME表現型割り当ての確率を報告でき、これは、もはや、モデルの出力である。潜在空間プロットはまた、決定境界からのその患者の距離を可視化し、エッジケースおよび例外評価時の臨床意思決定者を支援するためにも使用できる。
いくつかの態様では、TME表現型クラス間の境界は、デカルト軸(x=0、y=0)上にはなく、プロットの別の場所にある。
いくつかの態様では、第2のモデルは、ANNモデル潜在空間からバイオマーカー境界を学習できる。いくつかの態様では、その第2のモデルは、ロジスティック回帰モデルであり得る。いくつかの態様では、それは、任意の他の種類の回帰アルゴリズムまたは機械学習アルゴリズムであり得る。いくつかの態様では、ロジスティック回帰関数は、潜在空間に適用し得る。いくつかの態様では、TME表現型を組み合わせてバイオマーカー陽性クラス、即ち、IA+ISを定義する場合、個別の表現型割り当ての信頼度は、組み合わせたクラス割り当ての信頼度と同一ではない。ロジスティック回帰関数は、バイオマーカー陽性であることが何を意味するかを学習し、バイオマーカー陽性であることに関し、統計情報に直接に報告するために使用される。ロジスティック回帰関数は、実際の患者の結果データに基づいて、バイオマーカーの陽性/陰性決定境界を微調整するために使用できる。いくつかの態様では、ANNモデルの精度は、二次的モデルに従って潜在空間をスライシングすることにより改善できる。
いくつかの態様では、確率関数は、二次元でプロットでき、1つの軸は、シグナルが血管新生シグネチャーの遺伝子により支配される確率を表し、他の軸は、シグナルが免疫シグネチャーの遺伝子により支配される確率を表す。いくつかの態様では、血管新生および免疫機能に関与する遺伝子は、それぞれの確率関数に寄与する。潜在空間プロットの各象限は、間質表現型を表す。さらなる態様では、ロジスティック回帰を用いて閾値が適用される。いくつかの態様では、ロジスティック回帰は、線形または多項式であり得る。閾値を設定後、個別の患者結果は本明細書記載の方法により解析できる。
III.TME表現型クラス特異的療法
胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からのRNA発現データの解析は、特定の癌患者の亜集団が、上記で開示の方法により、IA(免疫活性)、IS(免疫抑制)、A(血管新生)、またはID(免疫砂漠)TME表現型クラス特異的療法で効果的に治療できることを示す。本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子を用いた、患者または癌腫瘍を4つのTME表現型クラスの1つへの割り当ては、特定の患者、例えば、左または右結腸直腸癌、ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)、またはMSI-H結腸直腸癌の患者の亜集団を治療するために、どの療法がより効果的かを予測するために使用できる。例えば、図8を参照のこと。
IA TME表現型クラスへのdMMRまたはMSI-H腫瘍、例えば、結腸直腸癌腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤による治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IA TME表現型を有するdMMRまたはMSI-H腫瘍、例えば、結腸直腸癌腫瘍の患者は、以下で開示のIA TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤を含む療法を投与されるであろう。IS TME表現型クラスへのdMMRまたはMSI-H腫瘍、例えば、結腸直腸癌腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤の組み合わせ治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、IS TME表現型を有するdMMRまたはMSI-H腫瘍、例えば、結腸直腸癌腫瘍の患者は、以下で開示のIS TME表現型クラス特異的療法から選択されるチェックポイント阻害剤およびホスファチジルセリン阻害剤を含む併用療法を投与されるであろう。AまたはIS TME表現型クラスへの転移腫瘍、例えば、転移性の結腸直腸腫瘍の分類は、血管新生阻害剤による治療での改善された臨床転帰と関連する。従って、AまたはIS TME表現型を有する転移性癌の患者は、以下で開示のA TME表現型クラス特異的療法から選択される血管新生阻害剤を含む療法を投与されるであろう。IA TME表現型クラスへの腫瘍の分類は、チェックポイント阻害剤、例えば、ペムブロリズマブをアジュバント療法として選択するために使用され得る。A TME表現型クラスへの腫瘍の分類は、抗血管新生療法を、例えば、アジュバント療法としてのベバシズマブと共に選択するために使用され得る。さらに、結腸直腸癌の場合では、左または右結腸直腸の腫瘍を主にTME表現型クラスを有するとしての分類は、例えば、支配的なTME表現型クラスに適合するはずの以下に記載の療法を選択するために使用し得る。
III.A:IA TME表現型クラス特異的療法
本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子(即ち、IAバイオマーカー陽性患者)によりIA(免疫活性)TME表現型クラスに分類される胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍のTMEなどの免疫活性が支配的なTMEは、抗PD-1(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)、抗PD-L1、または抗CTLA-4、またはRORγアゴニスト治療薬などの免疫チェックポイント阻害剤(CPI)に対して応答する可能性が高い。
チェックポイント阻害剤:いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する遮断抗体、例えば、ニボルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、ゲプタノリマブ(CBT-501)、パクミリマブ(CX-072)、ドスタルリマブ(TSR-042)、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびペムブロリズマブ;PD-L1に結合する遮断抗体、例えば、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ、ロダポリマブ(LY-3300054)、CX-188、およびアテゾリズマブ;またはCTLA-4に結合する遮断抗体、例えば、イピリムマブおよびトレメリムマブである。いくつかの態様では、1種または複数のこのような抗体の組み合わせも使用できる。
トレメリムマブ、ニボルマブ、デュルバルマブおよびアテゾリズマブは、例えば、米国特許第6,682,736号、同第8,008,449、同第8,779,108号および同第8,217,149号にそれぞれ記載されている。いくつかの態様では、アテゾリズマブは、CTLA-4、PD-1(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1に結合する別の遮断抗体、または任意のチェックポイント阻害剤に結合する二重特異性遮断抗体などの別の免疫チェックポイント抗体により置き換えできる。異なる遮断抗体の選択では、当業者は、好適な投与量および投与スケジュールを文献から知るであろう。抗CTLA-4抗体の好適な例は、米国特許第6,207,156号に記載のものである。抗PD-L1抗体の他の好適な例は、次の特許に記載のものである:米国特許第8,168,179号、これは、特に、化学療法併用を含む、PD-L1過剰発現癌のヒト抗PD-L1抗体による治療に関する;米国特許第9,402,899号、これは特に、キメラ、ヒト化およびヒト抗体を含むPD-L1に対する抗体による腫瘍の治療に関する;および米国特許第9,439,962号、これは特に、抗PD-L1抗体および化学療法による癌の治療に関する。
PD-L1に対するさらなる好適な抗体は、米国特許第7,943,743号、同第9,580,505号および同第9,580,507号、そのキット(米国特許第9,580,507号)および抗体をコードする核酸(米国特許第8,383,796号)に記載のものである。このような抗体は、PD-L1に結合し、参照抗体との結合を競合し;VHおよびVL遺伝子により規定される;または重鎖および軽鎖CDR3(米国特許第7,943,743号)、または重鎖CDR3(米国特許第8,383,796号)の所定の配列またはその保存的修飾により規定され;または参照抗体に対し90%もしくは95%の配列同一性を有する。これらの抗PD-L1抗体はまた、所定の定量的(結合親和性を含む)および定性的特性を有する抗体、免疫複合体および二重特異的抗体を含む。さらに含まれるのは、このような抗体、および単鎖フォーマットの抗体、および単離CDRのフォーマットの、免疫応答を高めている抗体を含む、所定の定量的(結合親和性を含む)および定性的特性を有する抗体の使用方法である。米国特許第9,102,725号にあるような免疫応答の強化は、癌の治療に使用できる。
PD-L1に対するさらに好適な抗体は、米国特許出願第2016/0009805号に記載のものであり、これは、所定のCDR配列の抗体および競合抗体を含む、PD-L1上の特定のエピトープに対する抗体;核酸、ベクター、宿主細胞、免疫複合体;検出、診断、予後であるおよびバイオマーカー法;および治療方法に関する。
イピリムマブを含む具体的な治療薬は、米国特許第7,605,238号;同第8,318,916号;同第8,784,815号;および同第8,017,114号で開示されている。トレメリムマブを含む治療薬は、例えば、米国特許第6,682,736号、同第7,109,003号、同第7,132,281号、同第7,411,057号、同第7,807,797号、同第7,824,679号、同第8,143,379号、同第8,491,895号、および同第8,883,984号で開示されている。ニボルマブによる治療は、例えば、米国特許第8,008,449号、同第8,779,105号、同第9,387,247号、同第9,492,539号、同第9,492,540号、同第8,728,474号、同第9,067,999号、同第9,073,994号、および同第7,595,048号で開示されている。ペムブロリズマブによる治療は、例えば、米国特許第8,354、509号、同第8,900、587号、および同第8,952,136号で開示されている。セミプリマブによる治療は、例えば、米国特許出願公開第20150203579A1号で開示されている。デュルバルマブによる治療は、例えば、米国特許第8,779,108号および同第9,493,565号で開示されている。アテゾリズマブを含む治療薬は、例えば、米国特許第8,217,149号で開示されている。CX-072による治療は、例えば、米国特許出願第15/069,622号で開示されている。LY30054による治療は、例えば、米国特許第10214586B2号で開示されている。PD-1とCTLA-4に対する抗体の組み合わせによる腫瘍の治療は、米国特許第9,084,776号、同第8,728,474号、同第9,067,999号および同第9,073,994号で開示されている。治療用量未満の用量およびPD-L1陰性腫瘍を含む、PD-1およびCTLA-4に対する抗体による腫瘍の治療は、米国特許第9,358,289号で開示されている。PD-L1およびCTLA-4に対する抗体による腫瘍の治療は、米国特許第9,393,301号および同第9,402,899号で開示されている。これらの全ての特許および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
特定の治療薬およびそれらが固形腫瘍の治療に承認されたかどうかは、下表中で識別される。
RORγアゴニスト治療薬:いくつかの態様では、RORγアゴニスト治療薬は、RORγ(レチノイド関連オーファン受容体γ)の小分子アゴニストであり、これは、核内ホルモン受容体ファミリーに属する。RORγは、胸腺リンパ球形成およびT細胞恒常性の間のアポトーシス制御で重要な役割を果たす。臨床開発における小分子アゴニストは、LYC-55716(cintirorgon)を含む。
チスレリズマブ
チスレリズマブ(BGB-A317)は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体である。それは、PD-1がリガンドPD-L1およびPD-L2に結合するのを妨げる(従って、それは、チェックポイント阻害剤である)。チスレリズマブは、固形癌、例えば、ホジキンリンパ腫(単独でまたは白金含有化学療法などのアジュバント療法と組み合わせて)、尿路上皮癌、NSCLC、または肝細胞癌の治療に使用できる。チスレリズマブに関連する配列を下表で提供する。本開示のいくつかの態様では、チスレリズマブまたはその抗原結合部分は、バビツキシマブと組み合わせて投与できる。
Figure 2024511166000012
シンティリマブ
シンティリマブ(TYVYT(登録商標))は、PD-1に対する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。それは、PD-1がリガンドPD-L1およびPD-L2に結合するのを妨げる(従って、それは、チェックポイント阻害剤である)。シンティリマブは、固形癌、例えば、ホジキンリンパ腫を、単独でまたはアジュバント療法と組み合わせて治療するために使用できる。シンティリマブに関連する配列を下表で提供する。本開示のいくつかの態様では、シンティリマブまたはその抗原結合部分は、バビツキシマブと組み合わせて投与できる。
Figure 2024511166000013
III.B:IS TME表現型クラス特異的療法
本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子(即ち、ISバイオマーカー陽性患者)によりIS(免疫抑制)TME表現型クラスに分類される胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの腫瘍のTMEなどの免疫抑制が優位なTMEは、免疫抑制を回復するホスファチジルセリン(抗-PS)および抗ホスファチジルセリン標的化治療薬、PI3Kγ阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDO、TIM、LAG3、TGFβ、およびCD47阻害剤などの薬物も一緒に投与されない限り、チェックポイント阻害剤に抵抗性であり得る。
バビツキシマブは、好ましい抗PS標的化治療薬である。この生物学を有する患者はまた、根底にある血管新生も有し、同様に、A TME表現型に対して使用されるものなどの抗血管新生薬から恩恵を受けることができる。
本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりIS TME表現型クラスに割り当てられた癌腫瘍の患者のための特定の治療薬は、ここで考察される。抗PSおよびPS標的化抗体としては、限定されないが、バビツキシマブ;LY3023414(サモトリシブ)、IPI-549などのPI3Kγ阻害剤;AB-928などのアデノシン経路阻害剤(アデノシン2aおよび2b受容体の経口アンタゴニスト);IDO阻害剤;抗TIM、TIM、TIM-3の両方;LAG3;LY2157299(ガルニセルチブ)などのTGFβ阻害剤;Forty Sevenのマグロリマブ(5F9)などのCD47阻害剤が挙げられる。
本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりIS TME表現型クラスに割り当てられた癌腫瘍の患者のための特定の治療薬には、さらに、(他の活性のなかで特に)樹状細胞上のCD155(表面抗原分類155)の誘発および腫瘍中のTregのサブセットの発現により免疫抑制性になる、抗TIGIT薬物も挙げられる。好ましい抗TIGIT抗体は、AB-154である。別の好ましい抗TIGIT抗体は、BGB-A1217(オシペルリマブ)である。抗アクチビンA治療薬は、アクチビンAはM2様腫瘍マクロファージの分化を促進し、NK細胞の生成を抑制するために有用である。抗BMP治療薬は、骨形成タンパク質(BMP)も同様に、M2様腫瘍マクロファージの分化を促進し、CTLおよびDCを抑制するために有用である。
本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりIS TME表現型クラスに割り当てられた癌腫瘍の患者のためのさらなる特定の治療薬としては、TAM(Tyro3、Axl、および Mer受容体)阻害剤またはTAM産物阻害剤;抗IL-10(インターロイキン)または抗IL-10R(インターロイキン-10受容体)(IL-10は免疫抑制性であるため);抗M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)アンタゴニズムは、TAMを枯渇させることが示されたので);抗CCL2(C-C モチーフケモカインリガンド2)または抗CCL2R(C-C モチーフケモカインリガンド2受容体)(これらの薬物による特定経路標的化は、骨髄細胞骨髄細胞を腫瘍に動員する);MERTK(チロシンプロテインキナーゼプロテインキナーゼMer)アンタゴニスト(この受容体チロシンキナーゼの抑制は、炎症促進性のTAM表現型を誘発し、腫瘍CD8細胞を増大させるので)がさらに挙げられる。
本明細書で開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりIS TME表現型クラスに割り当てられた癌腫瘍の患者のための他の治療薬には、STINGアゴニスト(インターフェロン遺伝子の刺激剤による細胞質ゾルのDNAセンシングは抗腫瘍CD8T細胞のDC刺激を高め、アゴニストはSTINGVAX(登録商標)の一部であるので);CCL3(C-Cモチーフケモカイン3)、CCL4(C-Cモチーフケモカイン4)、CCL5(C-Cモチーフケモカイン5)またはそれらに共通の受容体CCR5(C-Cモチーフケモカイン受容体5型)(これらのケモカインは、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の産物であり、制御性T細胞(Treg)上のCCR5を活性化するので);アルギナーゼ-1の阻害剤(アルギナーゼ-1はM2様TAMにより産生され、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の産生を減少させ、Tregの産生を増大させるため);CCR4(C-Cモチーフケモカイン受容体4型)に対する抗体はTregを枯渇させるために使用できる;CCL17(C-Cモチーフケモカイン17)またはCCL22(C-Cモチーフケモカイン22)に対する抗体は、Treg上のCCR4(C-Cモチーフケモカイン受容体4型)活性化を阻害できる;GITR(グルココルチコイド誘導TNFR関連タンパク質)に対する抗体は、Tregの枯渇化に使用できる;エンチノスタットなどの免疫遺伝子のエピジェネティックサイレンシングを逆転させるDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)またはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤が挙げられる。
前臨床モデルでは、ホスホジエステラーゼ-5、シルデナフィル、およびタダラフィルの阻害剤は、MDSC機能を顕著に阻害し、これは、IS TME表現型を有する結腸直腸癌腫瘍の患者に恩恵を与えることができる。MDSCを成熟樹状細胞(DC)およびマクロファージに分化させるために使用されるオールトランスレチノイン酸(ATRA)は、IS 表現型の患者に恩恵を与え得る。VEGFおよびc-kitシグナル伝達は、MDSCの生成に関与すると報告されている。転移性腎細胞癌患者のスニチニブ治療は、循環MDSCの数を減らすと報告されており、これは、IS TME表現型を有する結腸直腸癌腫瘍の患者に恩恵を与え得る。
IS TME表現型クラスに分類された癌腫瘍は、抗PD-1(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)、抗PD-L1、または抗CTLA-4などのチェックポイント阻害剤と組み合わせたバビツキシマブ治療の標的集団である。これは、本開示が、血管新生の存在下で起こる免疫応答は、免疫抑制の徴候を示し、バビツキシマブは免疫抑制された細胞に対し免疫活性を回復できることに言及しているためである。
単剤バビツキシマブが機能するためには、進行中の免疫応答は、免疫抑制の遮断が患者免疫応答の全潜在能力を開放するのに十分である程度にまで高度に活性である必要があったはずである。しかし、最も末期の癌患者は、かれらの免疫応答を維持する必要があり、およびバビツキシマブとチェックポイント阻害剤を組み合わせることが必要になる可能性がある。従って、本明細書で開示のIS TME表現型クラスは、いずれの結腸直腸癌患者がバビツキシマブおよびチェックポイント阻害剤に応答する可能性があるかを判定するために使用できる。
バビツキシマブ
バビツキシマブは、PS標的化抗体である。バビツキシマブのホスファチジルセリン(PS)への結合は、β2糖タンパク質1(β2GPI)血清タンパク質により媒介される。β2GPIはまた、アポリポタンパク質H(Apo-H)としても知られる。バビツキシマブは、乳癌、肝臓癌(肝細胞癌)、悪性黒色腫、結腸直腸癌、および前立腺癌のための臨床試験で使用されてきた。
いくつかの態様では、バビツキシマブは、本明細書で記載の方法に従って、対象、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、または卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)の患者に投与できる。バビツキシマブに関連する配列を下表で提供する。
Figure 2024511166000014
いくつかの態様では、バビツキシマブは、抗PD-1抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)と組み合わせて癌患者に投与される。いくつかの実施形態では、バビツキシマブは、ペムブロリズマブと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、バビツキシマブは、シンティリマブと組み合わせて投与される。いくつかの態様では、バビツキシマブは、チスレリズマブと組み合わせて投与される。
いくつかの態様では、バビツキシマブは、化学療法剤および免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)を含む併用療法として胃癌(例えば、局所進行性または転移性の胃癌)患者に投与される。
いくつかの態様では、バビツキシマブは、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)を含む併用療法として、肝臓癌(例えば、進行型転移性肝細胞癌)または頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)患者に投与される。
いくつかの態様では、バビツキシマブは、放射線を含む併用療法としてメラノーマの患者に投与される。
III.C:A TME表現型クラス特異的療法
血管新生活性が支配的な、A TME表現型クラスの場合、患者は、VEGF標的療法、DLL4標的療法、アンジオポエチン/TIE2標的療法、ナビシキズマブなどの抗VEGF/抗DLL4二重特異的抗体、およびバリサクマブ、ラムシルマブ、ベバシズマブなどの抗VEGFまたは抗VEGF受容体抗体に応答する可能性がある。
いくつかの態様では、抗DLL4および/または抗VEGF活性を有するものなどの抗血管新生作用を有する二重可変ドメイン免疫グロブリン分子、薬物、または療法は、例えば、TMEパネル1分類子を適用することにより、A TME表現型クラスに分類される癌の患者を治療するために選択できる。いくつかの態様では、二重可変ドメイン免疫グロブリン分子、薬物、または療法は、ジルパキマブ(ABT165)である。いくつかの態様では、抗DLL4および/または抗VEGF活性を有するものなどの抗血管新生効果を有する二重標的化タンパク質、薬物、または療法は、例えば、TMEパネル1分類子を適用することにより、A TME表現型を有すると特定された癌の患者を治療するために選択できる。いくつかの態様では、二重標的化タンパク質、薬物、または療法は、米国特許出願公開第2016/0159929号により教示されるように、ABL001(NOV1501、TR009)である。この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ベバシズマブ
商品名AVASTIN(登録商標)で販売されているベバシズマブは、いくつかのタイプの癌、例えば、結腸直腸癌、乳癌、または卵巣癌を治療するために使用される薬物である。ベバシズマブは、静脈中(静脈内)へのゆっくりした注入により投与される。ベバシズマブは、血管新生阻害剤として機能するモノクローナル抗体である。それは、血管内皮細胞増殖因子A(VEGF-A)を阻害することにより、新しい血管の増殖を遅らせることにより、換言すれば、抗VEGF療法として、機能するベバシズマブは、結腸直腸癌での使用に対し、標準化学療法治療と共に(ファーストライン治療として)使用するために、2004年に、米国で承認された。2006年には、それは、転移性の結腸直腸癌のセカンドラインのために、5-フルオロウラシルベース療法で承認された。それはまた、結腸直腸癌での使用のために、欧州医薬品庁(EMA)により承認された。ベバシズマブはまた、非転移性の結腸癌の人で、他の化学療法剤に対する追加として試験された。欧州連合では、フルオロピリミジン系化学療法剤と組み合わせたベバシズマブは、結腸または直腸の転移性癌腫の成人の治療に適応される。EUでは、パクリタキセルと組み合わせたベバシズマブは、転移性乳癌の成人のファーストライン治療に適応される。カペシタビンと組み合わせたベバシズマブは、タキサンまたはアントラサイクリンを含む他の化学療法オプションが適切であると見なされない、転移性乳癌の成人のファーストライン治療に適応される。
2018年には、米国食品医薬品局(FDA)は、初期外科手術後のステージIIIまたはIVの卵巣癌に対する化学療法と組み合わせたベバシズマブと、それに続く単剤ベバシズマブを承認した。承認は、カルボプラチンおよびパクリタキセルに対するベバシズマブの追加の研究に基づいた。無増悪生存期間は、13か月から18か月に増加した。EUでは、カルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせたベバシズマブは、進行型(世界産婦人科連合(FIGO)ステージIIIB、IIICおよびIV)上皮卵巣、卵管、または原発性腹膜癌の成人の最先端治療に適応される。カルボプラチンおよびゲムシタビンと組み合わせた、またはカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせたベバシズマブは、白金感受性上皮卵巣、卵管、または原発性腹膜癌の一回目の再発を有する、ベバシズマブまたは他のVEGF阻害剤またはVEGF受容体標的薬で前治療を受けていない、成人の治療に適応される。2020年の5月に、食品医薬品局は、オラパリブの表記を、進行型上皮卵巣、卵管、または原発性腹膜癌の、ファーストライン白金系化学療法に完全または部分応答しており、その癌が、有害なまたは有害性が疑わしいBRCA変異、および/またはゲノム不安定性により規定される相同組換え欠陥陽性状態に関連する、成人のファーストライン維持療法のために、ベバシズマブとの組み合わせを含むように拡大した。
ベバシズマブバイオ後続品:FDAおよび欧州連合は、Amgenのバイオ後続品(一般名ベバシズマブ-awwb、商品名Mvasi)を承認し、Zirabev(Pfizer)、Aybintio(Samsung Bioepis)、およびEquidacent(Centus Biotherapeutics)は、欧州連合での使用が承認された。2021年、1月28日に、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)は、結腸直腸癌の治療のための医薬品Alymsys(Mabxience Research)の、医薬品勧告、製造承認の認可の推奨を採択した。
Figure 2024511166000015
ナビシキズマブ
抗VEGF/抗DLL4二重特異的抗体であるナビシキズマブは、例えば、米国特許第9,376,488号、同第9,574,009号、および同第9,879,084号に詳細が記述されている。これらの特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
Figure 2024511166000016
いくつかの態様では、ナビシキズマブは、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、など)および免疫チェックポイント阻害剤、例えば、抗PD-1抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)をさらに含む併用療法として胃癌(例えば、局所進行性または転移性の胃癌)患者に投与される。
いくつかの態様では、ナビシキズマブは、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、など)またはPARP阻害剤(例えば、ルカパリブ、オラパリブ、など)をさらに含む併用療法として胃癌(例えば、局所進行性または転移性の胃癌)または前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)患者に投与される。
いくつかの態様では、ナビシキズマブは、抗PD(L)1療法、および自然免疫刺激剤(例えば、デクチンアゴニストインプライムPGG、STINGアゴニストBMS-986301、またはNLRアゴニストBMS-986299)をさらに含む併用療法として結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)の患者に投与される。
いくつかの態様では、ナビシキズマブは、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、など)+免疫チェックポイント阻害剤療法剤(例えば、抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)をさらに含む併用療法として、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)の患者に投与される。
バリサクマブ
抗VEGF-Aモノクローナル抗体であるバリサクマブは、例えば、米国特許第8,394,943号、同第9,421,256号、および同第8,034,905号に詳細が記述されている。これらの特許のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
Figure 2024511166000017
いくつかの態様では、バリサクマブは、第2の抗体、例えば、抗PD-1抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)と組み合わせて投与される。いくつかの態様では、バリサクマブは、化学療法剤、例えば、タキサン、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルと組み合わせて投与される。
いくつかの態様では、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、抗血管新生療法で使用される。TKIの例には、カボザンチニブ、バンデタニブ、チボザニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、フルキンチニブ(fruquintinib)およびパゾパニブが挙げられる。いくつかの態様では、c-MET阻害剤を使用できる。
特定の治療薬は、表13に含まれるような本明細書で開示のTMEクラス特異的療法の一部として投与できる。
Figure 2024511166000018
Figure 2024511166000019
Figure 2024511166000020
Figure 2024511166000021
Figure 2024511166000022
Figure 2024511166000023
III.D:ID TME表現型クラス特異的療法
いくつかの態様では、TMEは、免疫細胞の欠乏が支配的であるが、脈管構造は機能する。従って、このような癌腫瘍のTMEは、本開示の分類子、例えば、TMEパネル1分類子によりID(免疫砂漠)TME表現型クラス(即ち、IDバイオマーカー陽性患者)に分類できる。患者の試料中でこのTME表現型クラスが特定されると、腫瘍は、IDクラスTME療法で治療できる。
いくつかの態様では、IDクラスTME療法は、免疫応答を開始させる療法の投与と同時に、またはその後に、チェックポイントモジュレーター療法の投与を含む。いくつかの態様では、免疫応答を開始させる療法は、ワクチン、CAR-T、または新エピトープワクチンである。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含む。いくつかの態様では、阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1に対する抗体(例えば、シンティリマブ、チスレリズマブ、ペムブロリズマブ、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせである。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、もしくはTSR-042、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、またはTSR-042と、ヒトPD-1に対する結合に関し、交差競合する。いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、またはTSR-042と同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、またはデュルバルマブと、ヒトPD-L1への結合に関し、交差競合する。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054またはデュルバルマブと同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)、またはこれらの抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)と、ヒトCTLA-4への結合に関し、交差競合する。いくつかの態様では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)と同じエピトープに結合する。いくつかの態様では、チェックポイントモジュレーター療法は、(i)ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびTSR-042からなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;(iii)イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)である、抗CTLA-4抗体、または(iv)これらの組み合わせの投与を含む。
ID(免疫砂漠)表現型として分類された患者(即ち、IDバイオマーカー陽性患者)などの免疫活性のないTMEの場合、この生物学を有する患者は、チェックポイント阻害剤、抗血管新生薬または他のTME標的療法の単剤療法に応答しないと思われるので、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、またはRORγアゴニストを単剤療法として用いて治療するべきではない。この生物学を有する患者は、患者が後でチェックポイント阻害剤または他のTME標的療法の恩恵を受けることを可能にする免疫活性を誘導する療法で治療できる。これらの患者に対し免疫活性を誘導する可能性のある療法には、ワクチン、CAR-T、個別化されたワクチンを含む新エピトープワクチン、およびパターン認識受容体(PRR)TLRベース療法が挙げられる。
CAR-T療法は、患者のT細胞(1種の免疫系細胞)が実験室で癌を攻撃するように変えられる治療法である。T細胞は、患者の血液から採取される。その後、患者の癌細胞上の特定のタンパク質に結合する特殊な受容体のための遺伝子が実験室で加えられる。特殊な受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる。多数のCAR T-細胞が実験室で増殖され、注入により患者に投与される。CAR T細胞療法は、いくつかのタイプの癌の治療で研究されている。キメラ抗原受容体T細胞療法とも呼ばれる。いくつかの態様では、CAR-T療法は、IMM-3、アキシカブタゲンシロロイセル、AUTO、Immunotox、sparX/ARC-T療法、またはBCMA CAR-Tの投与を含む。
パターン認識受容体アゴニストクラス:トール様受容体(TLR)、ショウジョウバエ属Tollタンパク質の哺乳動物ホモログは、先天免疫の不可欠なパターン認識受容体(PRR)と見なされている。いくつかのTLRアゴニストは、寛容宿主免疫系を間接的に活性化して癌細胞を破壊することにより、強力な抗腫瘍活性を誘導することが明らかになった。従って、特定のTLRアゴニストは、癌を治療するために使用できる。複数のTLRアゴニストで、臨床適用が考慮されてきた。BCG(カルメット・ゲラン菌)-TLR2およびTLR4のアゴニスト-は、例えば、表在性膀胱癌または結腸直腸癌の治療に使用できる。TLR3(トール様受容体3)リガンドIPH-3102(IPH-31XX)は、例えば、乳癌を治療するために使用できる。TLR4(トール様受容体4)アゴニストモノホスホリルリピドA(MPL)は、例えば、結腸直腸癌の治療のために使用できる。いくつかの態様では、MPLは、HPV(ヒトパピローマウイルス)関連子宮頸癌の予防のためのアジュバントとしてのCERVARIX(商標)ワクチンと共に投与できる。いくつかの態様では、フラゲリン由来アゴニストCBLB502(エントリモド)は、進行型固形腫瘍を治療するために使用できる。
いくつかの態様では、TLRベース療法は、BCG(カルメット・ゲラン菌)、モノホスホリルリピドA(MPL)、エントリモド(CBLB502)、イミキモド(ALDARA(登録商標))、852A(小分子ssRNA)、IMOxine(CpG-ODN)、レフィトリモド(MGN1703)、dSLIM(登録商標)(ダブルステムループ免疫調節剤)、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)、PF3512676(CpG7909としても知られる;単独または化学療法剤と組み合わせて)、1018 ISS(単独または化学療法剤またはRITUXAN(登録商標)と組み合わせて)、SD-101、モトリモド(VTX-2337)、IMO-2055(IMOxine;EMD1201081)、チルソトリモド(IMO-2125)、DV281、CMP-001、またはCPG7907、VB-201、OPN-305、INNA-051、CBLB612、Ampligen、BO-102、Poly-ICLC、PrEP-001、YS-ON-001、ID-G100、ID-93、TARA-002、ALT-702、APR-003、BDB-001、BNT411、CV8102、DSP-0509、GS986、PRTX007、レシキモド、RG6115、RG7854、TRANSCON、Vesimune、ベサトリモド、モトリモド、SBT6050、SBT6290、SBT8230、Tallac/ALX、Cavrotilimod、EnanDIM、ヘプリサブ-B、Kappaproct、およびvidutolimodの投与を含む。
他のPRRのアゴニストはまた、自然免疫系を活性化することが予測され、それにより、適応免疫系を含む強固な抗癌応答を誘発し得る。従って、これらの薬剤は、Xerna TMEパネルにより定義されるID表現型腫瘍の治療に有益であろう。これらには、インプライムPGGなどのβグルカンを含むC型レクチン受容体(即ち、デクチン-1、デクチン-2、MINCLE)のアゴニスト;CV8102、MK4621、イナリギビル、BO-112などのレチノイン酸誘導性遺伝子様受容体(RIG-I)のアゴニスト;BMS-986299などのNOD様受容体のアゴニスト;およびADU-S100、BMS-986301、CRD-100、CRD-5500、E7766、exoSTING、GB492、GSK3745417、MAVU-104、MK-1454、NZ-STING、ONM-500、ONM-501、SB11285、SNX 281、SOMCL-18-202、STACT-TREX1、STI-001、SYNB1891、TAK676、TTI-10001、およびXMT-2056を含むcGAS-STING経路のアゴニストが挙げられる。
治療癌ワクチンは、抗腫瘍応答を誘発するために腫瘍抗原を用いる免疫系の特定の刺激に基づいている。いくつかの態様では、癌ワクチンは、例えば、IGV-001(IMVAX(商標))、ilixadencel、IMM-2、TG4010(MUC-1およびIL-2発現MVA)、TROVAX(登録商標)(胎生期癌遺伝子5T4発現MVA(MVA-5T4))、PROSTVAC(登録商標)(またはPSA-TRICOM(登録商標))(PSA発現MVA)、GVAX(登録商標)、recMAGE-A3(組換え黒色腫関連抗原3)タンパク質+AS15免疫賦活薬、GM-CSF+テモゾロミドを含むリンドペピムト、IMA901(10個の異なる合成腫瘍関連ペプチド)、テセモチド(L-BLP25)(MUC-1-由来リポペプチド)、DCベースワクチン(例えば、IL-12などのサイトカインを発現)、チロシナーゼ、gp100およびMART-1ペプチドから構成されるマルチエピトープワクチン、ペプチドワクチン(EGFRvIII、EphA2、Her2/neuペプチド)(単独またはベバシズマブと組み合わせて)、HSPPC-96(個別化ペプチドベースワクチン)(単独またはベバシズマブと組み合わせて)、INTUVAX(登録商標)(同種異系細胞ベース療法)(単独またはスニチニブと組み合わせて)、PF-06755990(ワクチン)(単独またはスニチニブおよび/またはトレメリムマブと組み合わせて)、NEOVAX(登録商標)(ネオ抗原ペプチド)(単独またはペムブロリズマブおよび/または放射線療法と組み合わせて)、臨床試験NCT02600949で使用されるペプチドワクチン(単独またはペムブロリズマブと組み合わせて)、DPX-Survivac(カプセル化ペプチド)(単独またはペムブロリズマブおよび/または化学療法剤、例えば、シクロホスファミドと組み合わせて)、pTVG-HP(PAP抗原をコードするDNAワクチン)(単独またはニボルマブおよび/またはCM-CSFと組み合わせて)、GVAX(登録商標)(GM-CSF分泌腫瘍細胞)(単独またはニボルマブおよび/または化学療法剤、例えば、シクロホスファミドと組み合わせて)、PROSTVAC(登録商標)(PSA発現ポックスウイルスベクター)(単独またはニボルマブと組み合わせて)、PROSTVAC(登録商標)(PSA発現ポックスウイルスベクター)(単独またはイピリムマブと組み合わせて)、GVAX(登録商標)(GM-CSF分泌腫瘍細胞)(単独またはニボルマブおよびイピリムマブと組み合わせて、およびCRS-207およびシクロホスファミドと組み合わせて)、樹状細胞ベースp53ワクチン(単独またはニボルマブおよびイピリムマブと組み合わせて)、ネオ抗原DNAワクチン(デュルバルマブと組み合わせて)、またはCDX-1401ワクチン(DEC-205/NY-ESO-1融合タンパク質)(単独またはアテゾリズマブおよび化学療法剤、例えば、グアデシタビンと組み合わせて)を含む。
抗体ベース免疫応答活性化剤はまた、特に、進行中の抗癌免疫応答のエビデンスを欠くID表現型腫瘍で、免疫応答を刺激するためも有用であり得る。これらは、バルリルマブおよびCDX-527などのCD27のアゴニスト抗体を含み得る。これらはまた、FS222、ABL503、INBRX-105、GEN1046、MCLA-145などの4-1BB(CD137)の抗体アゴニストも含み得る。これらはまた、CDX1140、セリクレルマブ、CP-870、893、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、ChiLob7/4などのCD40のアゴニストも含み得る。
IV.アジュバント療法
特定の療法で治療するために、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者を選択する方法、および同様に、本明細書で開示の治療の方法は、(i)追加の療法、例えば、化学療法、ホルモン療法、または放射線療法、の投与、(ii)手術、または(iii)これらの組み合わせも含み得る。いくつかの態様では、追加の(アジュバント)療法は、上記で開示のTME表現型クラス特異的療法の投与と同時にまたは順次に(投与の前または後で)投与できる。
アジュバント化学療法は、外科的に除去された癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からの微小転移疾患の増殖の防止に効果的である。研究により、フルオロウラシルは、マイクロサテライト安定性または低頻度マイクロサテライト不安定性を有する患者に対し効果的アジュバント化学療法であるが、高頻度マイクロサテライト不安定性を有する患者には効果的ではないことが示された。
1種または複数のアジュバント療法が、本明細書で記載のTME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせと組み合わせて使用される場合、それぞれの治療が別々に行われた場合に観察される効果の相加的な合算結果の必要性はない。少なくとも相加効果が通常好ましいが、単剤療法を超える何らかの増加した治療効果または恩恵(例えば、低減した副作用)は、貴重である。また、併用治療が相乗的効果を示すための特定の必要性はないが、これは、起こり得ることであり、好都合である。
「ネオアジュバント療法」は、主要な治療-通常は手術-の前に、腫瘍を縮小させる第1ステップとして投与され得る。ネオアジュバント療法の例には、例えば、化学療法および放射線療法が挙げられる。それは一種の誘導療法である。
特定の態様では、A TME表現型クラス療法は、化学療法剤、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルなどのタキサンと組み合わせて投与できる。いくつかの態様では、A TME表現型クラス療法は、VEGF標的療法および/またはDLL-4標的療法と組み合わせて、化学療法剤(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルなどのタキサン)を含めることができる。
化学療法は、標準治療として投与できる。従って、癌患者または患者の癌が、特定のTME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てられる(即ち、患者が1つまたは複数のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陽性である、および/または1種または複数のTME表現型クラスに対しバイオマーカー陰性である)場合、そのTME表現型クラスのための特異的療法またはこれらの組み合わせを標準治療化学療法に追加できる。
いくつかの態様では、癌は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される。
IV.A:化学療法
本明細書で記載のTME表現型クラス特異的療法は、1種または複数のアジュバント化学療法薬または薬物と組み合わせて、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者に投与できる。
用語「化学療法」は、細胞増殖および/または生存に作用する種々の治療法を意味する。治療は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、アントラサイクリン、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、およびモノクローナル抗体およびキナーゼ阻害剤などの他の抗腫瘍薬剤を含み得る。用語「ネオアジュバント化学療法」は、化学療法的および/または抗体薬のパネルからなる術前治療レジメンに関し、これは、原発腫瘍を縮小させることにより、局所療法(手術または放射線療法)の破壊性をより少なくする、またはその療法をより効果的にし、特定の薬剤に対する腫瘍のインビボ応答感受性の評価を可能にする。
化学療法剤は、増殖性腫瘍細胞を死滅させて、全体治療により形成される壊死領域を増大させる。従って、薬剤は、本開示の一次治療薬の作用を高めることができる。
癌治療に使用される化学療法剤は、それらの作用機序に応じて、いくつかのクループに分けることができる。いくつかの化学療法剤は、DNAおよびRNAに直接損傷を与える。DNAの複製を破壊することにより、このような化学療法剤は、複製を完全に停止するか、またはナンセンスDNAまたはRNAを産生する。このカテゴリーには、例えば、シスプラチン(PLATINOL(登録商標))、ダウノルビシン(CERUBIDINE(登録商標))、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))およびエトポシド(VEPESID(登録商標))が挙げられる。癌化学療法剤の別の群は、ヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの形成を妨害し、RNA合成および細胞複製を遮断する。このクラスの薬物の例には、メトトレキサート(ABITREXATE(登録商標))、メルカプトプリン(PURINETHOL(登録商標))、フルオロウラシル(ADRUCIL(登録商標))、およびヒドロキシ尿素(HYDREA(登録商標))が挙げられる。3番目の化学療法剤クラスは、紡錘体の合成または分解に作用し、結果として、細胞分裂を妨害する。このクラスの薬物の例には、ビンブラスチン(VELBAN(登録商標))、ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、およびパクリタキセル(TAXOL(登録商標))、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))などのタキサン(Taxane)が挙げられる。フォルフォックス(FOLFOX)(ロイコボリン「FOL」、フルオロウラシル(5-FU)「F」、およびオキサリプラチン(エロキサチン)「OX」、またはフォルフィリ(FOLFIRI)-(ロイコボリン「FOL」、フルオロウラシル(5-FU)「F」、およびイリノテカン(キャンプトサー)「IRI」)などの化学療法レジメンも、本明細書で開示の結腸直腸癌または別のタイプの癌の治療に使用される。
いくつかの態様では、本明細書で開示される方法には、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者のタキサン誘導体、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルによる治療が含まれる。いくつかの態様では、本明細書で開示される方法には、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者のアントラサイクリン誘導体、例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、またはアクラシノマイシンによる治療が含まれる。いくつかの態様では、本明細書で開示される方法には、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者のトポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、20-Sカンプトテシン、9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、または水溶性カンプトテシン類似体G1147211による治療が含まれる。これらおよび他の化学療法剤の任意の組み合わせによる治療が特に意図されている。
胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の患者は、腫瘍の外科的の除去の直後に化学療法を受けることができる。この手法は通常、アジュバント化学療法と呼ばれる。しかし、化学療法は、手術の前にも、いわゆるネオアジュバント化学療法として投与できる。
IV.B:放射線療法
本明細書で記載のTME表現型クラス特異的療法は、放射線療法と組み合わせて、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)を罹患している患者に投与し得る。
用語「放射線療法(radiation therapy)」および「放射線療法(radiotherapy)」は、原子または分子から電子を放出し、それにより、イオンを生成するのに十分な動力学的エネルギーを有する粒子を含む、電離放射線による癌の治療を意味する。この用語は、α粒子(ヘリウム核)、β粒子(電子)、およびプロトンなどの原子粒子により生成されるものなどの直接電離放射線、および光子(γおよびX線を含む)などの間接電離放射線による治療を含む。放射線療法に使用され得電離放射線の例には、高エネルギーX線、γ線照射、電子線、紫外線照射、マイクロ波、および光子ビームが挙げられる。放射性同位元素の腫瘍細胞への直接送達も意図されている。
ほとんどの患者は、腫瘍の手術による除去の直後に、放射線療法を受ける。この手法は通常、アジュバント放射線療法と呼ばれる。しかし、放射線療法は、手術の前にも、いわゆるネオアジュバント放射線療法として投与できる。
V.結腸直腸癌(CRC)
結腸直腸癌(CRC)は、3番目によくあるタイプの癌であり、その進行期は致命的である。治癒的手術は、初期疾患に対しては適切であるが、最大30%の患者が、2~5年内に再発を経験する(Fatemi et al.2015 Iran.J.Cancer Prev.8;Duineveld et al.2016 Ann.Fam.Med.14:215-220)。変異状態に応じた抗EGFR、抗血管新生薬、または患者がMSI-H/dMMRとわかっている場合のチェックポイント阻害剤などの特定の標的療法が、後期CRCに利用可能である。都合の悪いことに、再発性転移性疾患の個々を最適な治療レジメンに適合させる診断ツールはほとんど無く、大部分の患者に対し、臨床医は、最良の治療過程を示すと想定される正確なツールの恩恵なしに療法を選択しなければならない。
本明細書で開示の方法および構成要素を結腸直腸癌の治療のために用いて、例えば、特定の療法で治療するための患者を特定する、無病確率および全生存期間を予測する、または標的療法の結果を予測することができる。腸癌、結腸癌、または直腸癌としても知られる結腸直腸癌(CRC)は、結腸または直腸(大腸の一部)からの癌の発達である。「癌」は、身体中の異常な細胞の無制御増殖を特徴とする広範な種々の増殖性疾患群を意味する。無制御細胞分裂および増殖は、隣接組織を侵襲し、リンパ系または血流を介して身体の遠位部分に転移できる悪性腫瘍を形成する。
結腸直腸癌は、胃腸管の結腸または直腸の内側の上皮細胞由来の疾患であり、シグナル伝達活性を高めるWntシグナル伝達経路中の変異の結果であることが最も多い。変異は、遺伝性または後天性であり、腸陰窩幹細胞中に発生する可能性が最も高い。全ての結腸直腸で最もよくある変異遺伝子は、APCタンパク質を産生するAPC遺伝子である。APCタンパク質は、β-カテニンタンパク質の蓄積を防ぐ。APCが無いと、β-カテニンが高レベルに蓄積し、核中に位置を変え(移動し)、DNAに結合し、癌原遺伝子の転写を活性化する。これらの遺伝子は通常、幹細胞再生および分化に重要であるが、高レベルで不適切に発現すると、それらは癌の原因になり得る。APCは、大抵の結腸癌中で変異しているが、いくつかの癌は、それ自身の破壊を阻止するβ-カテニン(CTNNB1)中の変異のためにβ-カテニンを増大させているか、またはAXIN1、AXIN2、TCF7L2、またはNKD1などのAPCに類似した機能を有する他の遺伝子中で変異を有する。
細胞が癌性になるためには、Wntシグナル伝達経路中の欠陥に加えて、他の変異が起こらなければならない、TP53遺伝子により産生されるp53タンパク質は通常、細胞分裂を監視し、それらがWnt経路欠陥を有する場合、それらのプログラム死を誘導する。最終的に、TP53遺伝子中で変異を獲得した細胞は、良性上皮腫瘍から侵襲的上皮細胞癌に形質転換する。p53コード遺伝子は変異されない場合もあるが、BAXと呼ばれる別の保護タンパク質が代わりに変異される。
結腸直腸癌中で、通常不活性化されているプログラム細胞死に関与する他のタンパク質は、TGFβおよびDCC(結腸直腸癌中で欠失されている)である。TGFβは、結腸直腸癌の少なくとも半分で、不活性化変異を有する。TGFβは不活性化されていない場合もあるが、SMADと呼ばれる下流タンパク質が不活化される。DCCは通常、結腸直腸癌中で、染色体の欠失セグメントを有する。
全てのヒト遺伝子の約70%が、結腸直腸癌中で発現されており、他の形態の癌に比べて、わずか1%が結腸直腸癌中で発現増大している。いくつかの遺伝子は癌遺伝子であり、それらは、結腸直腸癌で過剰発現している。例えば、通常、増殖因子に応答して分裂する細胞を刺激するタンパク質KRAS、RAF、およびPI3Kをコードする遺伝子は、細胞増殖の過剰活性化をもたらす変異を獲得できる。変異の時系列順は、重要な場合がある。早すぎるAPC変異が起こると、一時KRAS変異は、多くの場合、自己制御過形成性または境界病変ではなく、癌に進行する。腫瘍抑制因子のPTENは、通常PI3Kを抑制するが、変異して、不活化される場合もある。
包括的、ゲノムスケール分析により、結腸直腸癌腫は、高頻度変異と非高頻度腫瘍型に分類できることが明らかになった。上記遺伝子に対し記載した発癌性および不活化変異に加えて、非高頻度変異試料はまた、変異したCTNNB1、FAM123B、SOX9、ATM、およびARID1Aも含む。別個の遺伝子イベントセットを介して進行して、高頻度変異腫瘍は、ACVR2A、TGFBR2、MSH3、MSH6、SLC9A9、TCF7L2、およびBRAFの変異型を示す。両腫瘍型全体にわたる、これらの遺伝子の間の共通のテーマは、WntおよびTGFβシグナル伝達経路中のそれらの関与であり、これは、結腸直腸癌における主役であるMYCの活性の増大をもたらす。
ミスマッチ修復(MMR)欠陥腫瘍は、比較的に多量のポリヌクレオチドタンデム型リピートを特徴とする。これは、MMRタンパク質中の欠陥に起因する-これは通常、エピジェネティックサイレンシングおよび/または遺伝性変異(例えば、リンチ症候群)に起因する。15~18%の結腸直腸癌腫瘍は、MMR欠陥を有し、3%はリンチ症候群により発症する。ミスマッチ修復システムの役割は、細胞内の遺伝物質の健全性を保護することである(即ち、エラー検出するおよび修正)。従って、MMRタンパク質は、遺伝子損傷の検出および修復不能につながり、さらなる発癌変異の発生および結腸直腸癌の進行を可能にする。
ポリープから癌への進行道筋は、結腸直腸癌病因の古典的モデルである。ポリープからがんへの道筋は、数年にわたる良性の腫瘍から結腸直腸癌への移行期を特徴付ける。ポリープからCRCへの道筋に関し中核をなすのは、遺伝子変異、エピジェネティックな変化および局所炎症変化である。ポリープからCRCの道筋は、特定の分子変化がどのようにして種々の癌サブタイプにつながるかを説明するための根底にあるフレームワークとして使用できる。
いくつかの態様では、本明細書で開示の方法および構成要素を用いて、それを必要としている対象の結腸直腸癌腫瘍のサイズを低減および縮小する、または結腸直腸癌腫瘍増殖を抑制するために使用される。
結腸直腸癌の治療のために使用できる薬剤には、例えば、セムスチン(メチルCCNU)、ラルチトレキセド(TOMUDEX(登録商標))、フルオロウラシル(5フルオロウラシル、5FU、フルオラシル、フルオロデオキシウリジン)(EFUDEX(登録商標)、CARAC(登録商標)、FLUOROPLEX(登録商標))、フロクスウリジン(プロドラッグ)(FUDR(登録商標))、ドキシフルリジン、マイトマイシン(マイトマイシンC)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、MEDAC(登録商標))、イリノテカン(CPT-11)、キャンプトサー、セツキシマブ(抗EGFR)(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(抗EGFR)(VECTIBIX(登録商標))、ベバシズマブ(抗VEGF)(AVASTIN(登録商標))、alloStim、AMP-224、アンプリジェン、アビシン、ColoAd1、CV-301、DCVax-Colon、ETBX-011、GI-4000、イムリジック、IMM-101、インプライム PGG、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、MelCancerVac、OncoVAX、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、Pexa-Vec、ピディリズマブ、PV-10、レブラミド、テセモチド、トレメリムマブ、TroVax、ビジルワクチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの態様では、転移性結腸直腸癌と診断された対象は、個別に、または遺伝子パネルの一部として、例えば、次世代シークエンシング(NGS)パネルの一部として、RAS(KRASおよびNRAS)および/またはBRAFなどの変異の遺伝子型解析されたそれらの腫瘍組織の試料を有する。いくつかの態様では、転移性結腸直腸腫瘍試料は、ユニバーサルミスマッチ修復(MMR)および/またはマイクロサテライト不安定性(MSI)が試験される。いくつかの態様では、転移性結腸直腸腫瘍試料は、例えば、免疫組織化学的検査、蛍光インサイツハイブリダイゼーションイ(FISH)、またはNGSによりHER2レベルが試験される。いくつかの態様では、転移性結腸直腸腫瘍試料は、対象腫瘍試料が野生型KRAS、NRAS、BRAF陽性である場合、さらに、NTRK融合の試験がなされる。いくつかの態様では、転移性結腸直腸腫瘍試料は、対象腫瘍試料がMMR欠陥(dMMR)/MSI-Hである場合、さらに、NTRK融合の試験がなされる。
いくつかの態様では、集中療法に適格であると判断された結腸直腸癌の対象は、(i)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を含むまたは含まない化学療法、(ii)対象の結腸直腸腫瘍試料がKRAS/NRAS野生型に陽性であると検査され、結腸直腸癌が左側腫瘍である場合、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))またはパニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))などの抗EGFR療法を含むまたは含まない化学療法、または(iii)対象の結腸直腸腫瘍試料がdMMR/MSI-H陽性であると検査された場合、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))単剤療法、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))単剤療法、またはニボルマブ(OPDIVO(登録商標))およびイピリムマブ(YERVOY(登録商標))の併用療法で治療できる。
いくつかの態様では、集中療法に適格であると判断されたが、上記で開示の内の1種の集中療法治療後に進行した結腸直腸癌の対象は、代替療法、例えば、(i)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を含むまたは含まない化学療法、(ii)対象の結腸直腸腫瘍試料がKRAS/NRAS野生型に陽性であると検査され、結腸直腸癌が左側腫瘍である場合、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))またはパニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))などの抗EGFR療法を含むまたは含まない化学療法、または(iii)レゴラフェニブ、または(iv)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を含むまたは含まない、トリフルリジン+チピラシル、で治療できる。いくつかの態様では、集中療法に適格であると判断されたが、上記で開示の1種の治療後に進行した結腸直腸癌対象が、dMMR/MSI-H結腸直腸癌陽性であると検査された場合、対象は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))単剤療法、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))単剤療法、またはニボルマブ(OPDIVO(登録商標))およびイピリムマブ(YERVOY(登録商標))の併用療法、で治療できる。いくつかの態様では、集中療法に適格であると判断されたが、上記で開示の1種の治療後に進行した結腸直腸癌対象が、HER2増幅状態ならびにRASおよびBRAF WTに陽性であると検査された場合、対象は、(i)ペルツズマブ(PERJETA(登録商標))またはラパチニブを含むトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、または(ii)トラスツズマブデルクステカン(ENHERTU(登録商標))で治療できる。
いくつかの態様では、集中療法に適格でないと見なされた結腸直腸癌の対象は、例えば、ベバシズマブを含むまたは含まないで、より強力でない化学療法で治療できる。いくつかの態様では、集中療法に適格でないと見なされた結腸直腸癌の、KRAS/NRAS野生型に陽性であると検査され、左側腫瘍である対象は、例えば、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))またはパニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))を含む抗EGFR療法で治療できる。いくつかの態様では、集中療法に適格でないと見なされ、MSI-H/dMMR陽性であると検査された対象は、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))単剤療法、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))単剤療法、またはニボルマブ(OPDIVO(登録商標))およびイピリムマブ(YERVOY(登録商標))の併用療法で治療できる。いくつかの態様では、集中療法に適格でないと見なされ、HER2増幅状態ならびにRASおよびBRAF WTに陽性であると検査された対象は、(i)ペルツズマブ(PERJETA(登録商標))またはラパチニブを含むトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、または(ii)トラスツズマブデルクステカン(ENHERTU(登録商標))で治療できる。
いくつかの態様では、集中療法に適格でないと見なされたが、上記で開示の1種の治療後に、進行した結腸直腸癌の対象の機能状態が、決定される。対象が機能状態の改善を経験した場合、対象が集中療法に適格であると見なされ、上記で開示の集中療法、即ち、(i)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))を含むまたは含まない化学療法、(ii)対象の結腸直腸腫瘍試料がKRAS/NRAS野生型に陽性であると検査され、結腸直腸癌が左側腫瘍である場合、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))またはパニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))などの抗EGFR療法を含むまたは含まない化学療法、または(iii)対象の結腸直腸腫瘍試料がdMMR/MSI-H陽性であると検査された場合、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))単剤療法、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))単剤療法、またはニボルマブ(OPDIVO(登録商標))およびイピリムマブ(YERVOY(登録商標))の併用療法、の一種を投与され得る。
VI.キットおよび製品
本開示はまた、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)患者から得られた試料からRNA発現データの取得を可能にするための試薬および説明書を含むキットおよび製品を提供する。このデータは、次に、腫瘍試料を1つまたは複数のTME表現型クラスに分類する本明細書で開示のTMEパネル1分類子への入力として使用され得る。従って、本開示は、(i)表1の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含むキットを提供する。また、提供されるのは、(i)表1の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含む製品であり、製品はマイクロアレイを含む。
いくつかの態様では、キットまたは製品は、(i)表3からの遺伝子バイオマーカーセット中の遺伝子をコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表4からの遺伝子バイオマーカーセット中の遺伝子をコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。
いくつかの態様では、キットまたは製品は、表5からの遺伝子パネル中の遺伝子をコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。
いくつかの態様では、キットまたは製品は、図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)中の遺伝子をコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。いくつかの態様では、本明細書で開示のキットは、癌患者のdMMRまたはMSI-H状態を判定するオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。いくつかの態様では、本明細書で開示のキットは、癌患者のBRAF変異状態を判定するオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。いくつかの態様では、本明細書で開示のキットは、CTNNB1、FAM123B、SOX9、ATM、ARID1A、ACVR2A、TGFBR2、MSH3、MSH6、SLC9A9、TCF7L2、BRAF、およびこれらの任意の組み合わせ中の変異の存在または非存在を判定するオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。キットはまた、本明細書で開示の癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)に特異的であるバイオマーカーを検出できるオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。
いくつかの態様では、本明細書で開示のキットは、癌患者から得た少なくとも1種の試料中の1種または複数のバイオマーカーのレベルを決定するためのオリゴヌクレオチドプローブを含み得、患者は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌に罹患している。
このようなキットおよび製品は、容器を含むことができ、それぞれ、該方法で使用される、例えば、1種または複数のオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書で開示のバイオマーカー遺伝子に対応するmRNAにハイブリッド形成できるオリゴヌクレオチド)、または抗体(即ち、本明細書で開示のバイオマーカー遺伝子のタンパク質発現産物を検出できる抗体)などの1種または複数の種々の試薬を(例えば、濃縮形態で)含む。
1種または複数のオリゴヌクレオチドまたは抗体、例えば、捕捉抗体、は、固体担体に既に取り付けた状態で提供できる。1種または複数のオリゴヌクレオチドまたは抗体は、検出可能標識に既に結合されて提供できる。
キットはまた、本明細書で提供される方法の実施を支援する試薬、緩衝液、および/または測定手段も提供できる。
いくつかの態様では、キットは、本明細書で開示のバイオマーカー遺伝子の遺伝子配列の部分配列にハイブリッド形成できる1種または複数の核酸プローブ(例えば、天然起源および/または化学的に修飾されたヌクレオチド単位を含むオリゴヌクレオチド)を含む。いくつかの態様では、本明細書で開示のバイオマーカー遺伝子の遺伝子配列の部分配列に、例えば、高い厳密性条件下でハイブリッド形成できる1種または複数の核酸プローブ(例えば、天然起源および/または化学的に修飾されたヌクレオチド単位を含むオリゴヌクレオチド)は、マイクロアレイ、例えば、マイクロアレイチップに取り付けられている。いくつかの態様では、マイクロアレイは、例えば、Affymetrix、Agilent、Applied Microarrays、Arrayjet、またはIlluminaマイクロアレイである。いくつかの態様では、アレイは、RNAマイクロアレイである。本開示により提供されるキットはまた、本明細書で開示される方法または患者の癌試料、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)から得られる試料を分類するためのそれらの実際の適用を説明するパンフレットまたは説明書を含み得る。キットに含まれる説明書は、包装材料に固定されてよく、または添付文書として含まれてもよい。説明書は通常、書き物または印刷物であるが、これらに限定されない。このような説明書を保存でき、それらを最終使用者に伝達する任意の媒体が意図されている。このような媒体には、限定されないが、電子保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学的媒体(例えば、CD ROM)、などが挙げられる。本明細書で使用される場合、「説明書」という用語は、説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含み得る。
いくつかの態様では、キットは、HTG Molecular Edge-Seqシークエンシングキットである。他の態様では、キットは、例えば、NovaSEq、NextSeqのための、HiSeq2500プラットホームのIlluminaシークエンシングキットである。
VII.コンパニオン診断システム
本明細書で開示される方法は、例えば、ウェブサーバーを介して、コンパニオン診断として提供して、潜在的治療選択肢に関して、臨床医または患者に知らせることができる。本明細書で開示される方法は、生体試料を収集、あるいは、取得し、分析方法を実施して、例えば、本明細書で開示のANN分類子(例えば、TMEパネル1分類子)を単独で、または他のバイオマーカーと組み合わせて適用して、患者の腫瘍からの試料をTMEクラスに分類するステップを含み、TMEクラス割り当て(例えば、特定の間質表現型、即ち、対象が間質表現型またはこれらの組み合わせに対しバイオマーカー陽性および/またはバイオマーカー陰性であるかどうか)に基づいて、患者に投与するための好適な治療(例えば、本明細書で開示のTMEクラス特異的療法またはこれらの組み合わせ)を提供できる。いくつかの態様では、癌は、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される。
本明細書記載の方法の少なくともいくつかの態様は、関連する計算、例えば、シグネチャースコアの計算の複雑さのために、ANNモデル(例えば、TMEパネル1分類子)に適用する入力データの前処理、ANNを訓練するための入力データの前処理、ANNの出力の後処理、ANNの訓練、またはこれらの任意の組み合わせは、コンピューターの使用により実行することができる。いくつかの態様では、コンピューターシステムは、バスを介して電気的に接続された、処理装置、入力装置、出力装置、記憶装置、コンピューター可読記憶媒体読み取り装置、通信システム、加速処理(例えば、DSPまたは専用プロセッサー)、およびメモリーを含むハードウェア要素を含む。コンピューター可読記憶媒体読み取り装置は、一時的におよび/またはより恒久的にコンピューター可読情報を収容するために、記憶装置、メモリーおよび/または任意の他のこのようなアクセス可能なシステムリソースを含み得る、コンピューター可読記憶媒体、リモート、ローカル、固定および/または取り外し可能な記憶装置+記憶媒体を包括的に表す組み合わせ、メモリー、などをさらに接続できる。
現在望ましいプロトコル、プロトコルバリエーション、プロトコルエクステンション、などをさらに設定できる1種または複数のサーバーを実装するために、単一構成を利用できる可能性がある。しかし、態様は、より特殊な適用要件に基づいて利用される可能性があることは当業者には明らかであろう。カスタマイズされたハードウェアも利用される可能性があり、および/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェアまたは両方に実装される可能性がある。さらに、ネットワーク入力/出力装置(図示せず)などの他のコンピューティングデバイスへの接続を採用可能であるが、有線、無線、モデム、および/または他のコンピューティングデバイスへの接続も利用可能である。
一態様では、システムは、入力データを1つまたは複数の処理装置に提供するための1つまたは複数の装置をさらに含む。システムは、ランク付けしたデータ要素のデータセットを保存するためのメモリーをさらに含む。別の態様では、入力データを提供する装置は、データ要素の特徴を検出するための検出器、例えば、蛍光プレートリーダー、質量分析計、または遺伝子チップリーダーなどを含む。
システムは、データベース管理システムをさらに含み得る。使用者の要求またはクエリーは、クエリーを処理して、訓練セットのデータベースから当該情報を抽出するデータベース管理システムにより理解される適切な言語でフォーマットできる。システムは、ネットワークサーバーおよび1人または複数のクライアントが接続するネットワークに接続可能である。ネットワークは、当該技術分野において既知のように、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)であり得る。好ましくは、サーバーは、使用者の要求を処理するために、コンピュータープログラム製品(例えば、ソフトウェア)を実行して、データベースデータにアクセルするために必要なハードウェアを含む。システムは、データ要素に関するデータ(例えば、発現値)をシステムに提供するために入力装置と通信できる。一態様では、入力装置は、例えば、質量分析計、遺伝子チップまたはアレイリーダー、などを含む、遺伝子発現プロファイリングシステムを含み得る。
いくつかの態様では、本明細書で開示のシステムは、クラウドベースサービスとして、部分的にまたは完全に実装できる。例えば、データベースなどのいくつかのコンポーネントのみがクラウドベースで、実行可能モジュールは、ローカルにインストールされ得る、またはシステムの全体がクラウドベースであり得る。用語「クラウドベースサービス」、またはより単純に、「クラウドサービス」は、クラウドを通して提供されるサービスのみでなく、クラウドの顧客がクラウドサービスプロバイダーと契約して、クラウドオンラインを介して提供されるサービスの形態を提供するサービスも意味する。クラウドサービスプロバイダーは、クラウドサービスを1人または複数のクラウド顧客にオンラインで届けるために、パブリッククラウド、プライベートクラウド、またはハイブリッドクラウドを管理する。用語のクラウドベースサービスは、クラウドを通して提供されるサービスのみでなく、クラウドにより提供されるサービスのオンライン送出のために、クラウドサービスプロバイダーと契約しているクラウドの顧客も意味する。
本明細書で記載のいくつかの態様は、コンピュータープログラム製品を含むように実装できる。コンピュータープログラム製品は、データベースを有するコンピューターのアプリケーションプログラムを実行させるために、媒体中に埋め込まれたコンピューター可読プログラムコードを有するコンピューター可読媒体を含み得る。本明細書で使用される場合、「コンピュータープログラム製品」は、任意の性質の物理的媒体(例えば、文字、電子、磁性、光学的、または他の方式の)に含まれる、およびコンピューターまたは他の自動化データ処理システムで使用され得る、自然またはプログラミング言語文の形態の構成された命令セットを意味する。このようなプログラミング言語文は、コンピューターまたはデータ処理システムにより実行されると、コンピューターまたはデータ処理システムに、文の特定の内容に従って行動させる。
コンピュータープログラム製品には、限定されないが、コンピューター可読媒体中に埋め込まれたプログラムソースおよびオブジェクトコードおよび/または試験またはデータライブラリーが挙げられる。さらに、コンピューターシステムまたは処理装置に予め選択された方式で実行させるコンピュータープログラム製品は、いくつかの形態で提供され得、限定されないが、オリジナルソース、アセンブリコード、オブジェクトコード、機械語、前述の暗号化または圧縮バージョンならびにいずれかまたは全ての等価物が含まれる。一態様では、コンピュータープログラム製品は、例えば、本明細書で開示のTMEパネル1などのANN分類子に従って、患者由来の腫瘍試料または腫瘍微小環境試料の分類に基づいて、特定の療法を投与するために本明細書で開示の治療、診断、予後、またはモニタリング方法を実装するために提供される。
コンピュータープログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムの処理装置により実行可能なプログラムコードを埋め込んだコンピューター可読媒体を含み、該プログラムコードは、下記を含む:
(a)対象由来の生体試料によるデータを取り出すコードであって、データが、生体試料中のバイオマーカー遺伝子(例えば、血管新生シグネチャーを導出するための表1からの遺伝子パネルおよび免疫シグネチャーを導出するための表2からの遺伝子パネル;または表3からの血管新生シグネチャー遺伝子パネルおよび表4からの免疫シグネチャー遺伝子パネル;表5で開示の遺伝子セット、またはTMEパネル1などのANNを訓練するために使用された図9A~Gで開示のいずれかの遺伝子パネル)に対応する発現レベルデータ(または他の方法で、発現レベル値から誘導されたデータ)を含む、コード (これらの値はまた、例えば、患者の現在の治療レジメンまたはその欠如に対応する値、と組み合わせることもできる);および、
(b)胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、および肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌の患者に、例えば、本明細書で開示のTMEパネル1分類子に従って患者の癌の、例えば、TME分類に基づいて、治療薬を投与するかどうかを示す分類法を実行するコード。
種々の態様が方法または装置として記載されてきたが、態様は、コンピューターに接続されたコード、例えば、コンピューターに常駐したコードまたはコンピューターによりアクセス可能なコードを介して実装できることを理解されたい。例えば、ソフトウェアおよびデータベースは、上述の多くの方法を実装するために利用され得る。従って、ハードウェアにより行われる態様に加えて、これらの態様は、本記載で開示の機能を可能にする、埋め込まれたコンピューター可読プログラムコードを有するコンピューター使用可能媒体から構成される製品の使用により実現されることにも留意されたい。従って、加えて、態様はまた、それらのプログラムコード手段の場合も、この特許により保護されると考えられることが望ましい。
さらに、いくつかの態様は、限定されないが、RAM、ROM、磁気媒体、光学媒体、または光磁気媒体を含む実質的に任意の種類のコンピューター可読記憶装置に保存できる。なおさらに一般的には、いくつかの態様は、限定されないが、汎用処理装置、マイクロコード、PLA、またはASIC上で実行されているソフトウェアを含むソフトウェアまたはハードウェア、またはこれらの任意の組み合わせに実装し得る。
いくつかの態様は、搬送波中に埋め込まれたコンピューターシグナル、ならびに、伝達媒体を通して伝播するシグナル(例えば、電気的および光学的)として実現し得ることも想定されている。従って、上記で考察した様々な種類の情報は、データ構造などの構造にフォーマットされ、伝達媒体を通して電気シグナルとして伝達またはコンピューター可読媒体に保存され得る。
VIII.追加の技術および試験
胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌であると疑われている患者または患者クラスに対する治療過程の診断および/または提案、選択、選定、推奨あるいは決定のための当該技術分野において既知の因子は、例えば、本明細書で開示される方法と組み合わせて用いることができる。従って、本明細書で開示される方法は、細胞学、組織学、超音波分析、MRI結果、CTスキャン結果、および癌特異的抗原測定などの追加の技術を含み得る。
疾患状態分類および/または治療法選定のための認定試験はまた、対象の癌の状態または結果を診断、予測、および/または監視にも使用できる。認定試験は、1種または複数の目的の標的配列の発現レベルを特徴付ける手段、および生体試料の疾患状態の分類のための試験の使用を推奨する政府の規制当局からの認定を含み得る。
いくつかの態様では、認定試験は、試験で特徴付けされる標的配列の発現の検出および/または定量に使用される増幅反応のための試薬を含み得る。事前の標的増幅が有るまたは無い場合に、標的配列発現の測定に使用するために、一連のプローブ核酸を使用できる。
試験は、疾患状態および/または結果の識別に使用するための試験を認定する権限を有する機関に提出することができる。試験で使用される標的配列の発現レベル検出結果および疾患状態および/または結果との相関は、その機関に提出できる。試験の診断および/または予後使用の認証を取得できる。
また、提供されるのは、本明細書で開示のいずれかの遺伝子セットの複数の正規化発現を含む発現レベルポートフォリオである。いくつかの態様では、遺伝子は、表1から選択される遺伝子セットである。いくつかの態様では、遺伝子は、表2から選択される遺伝子セットである。いくつかの態様では、遺伝子は、表1および表2から選択される遺伝子セットである。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表3で開示される遺伝子パネルから選択される。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表4で開示される遺伝子パネルから選択される。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表3および表4で開示される遺伝子パネルから選択される。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表5で開示される遺伝子セットから選択される。いくつかの態様では、遺伝子セットは、図9A~Gで開示される遺伝子セットのいずれかから選択される。
いくつかの態様では、遺伝子セットは、表1からの少なくとも1個の遺伝子および表2からの少なくとも1個の遺伝子を含む。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表3からの遺伝子パネルおよび表4からの遺伝子パネルを含む。いくつかの態様では、遺伝子セットは、表5からの遺伝子セットからなる。いくつかの態様では、遺伝子セットは、図9A~Gで開示される遺伝子セットのいずれかからなる。このようなポートフォリオは、本明細書記載の方法を実施して、個別の患者から、または患者群から発現レベルを得ることにより提供できる。発現レベルは、当該技術分野において既知の任意の方法により正規化でき、種々の態様で使用できる例示的正規化法には、ロバストマルチチップ平均法(RMA)、プローブ対数強度誤差推定(probe logarithmic intensity error estimation)(PLIER)、非線形フィット(NLFIT)分位ベースおよび非線形正規化、およびこれらの組み合わせが挙げられる。発現データに対するバックグラウンド補正も実施できる;バックグラウンド補正に有用な例示的技術には、メディアンポリッシュプローブモデリング(median polish probe modeling)およびスケッチ正規化(sketch-normalization)を用いて正規化された強度モードが含まれる。
いくつかの態様では、遺伝子パネル中の遺伝子の組み合わせによる訓練から得られたANN分類子が、既知の方法に比べて、改善された感度および特異性を示すように、本明細書で開示の遺伝子パネルまたは発現ポートフォリオに遺伝子を組み込みまたは除去できる。遺伝子パネルへの組み込むための遺伝子群を考慮する際に、発現測定値の小型標準偏差は、より大きな特異度と相関する。相関係数などの偏差の他の測定値もこの能力に使用できる。
本開示はまた、発現レベルが、対象の癌、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)の状態または結果を決定する、または個別化された、例えば、少なくとも約45%の特異度、少なくとも約50%の特異度、少なくとも約55%の特異度、少なくとも約60%の特異度、少なくとも約65%の特異度、少なくとも約70%の特異度、少なくとも約75%の特異度、少なくとも約80%の特異度、少なくとも約85%の特異度、少なくとも約90%の特異度、または少なくとも約95%の特異度を有するTME特異療法による癌患者の治療の有効性および/または結果を決定する場合の上記方法も包含する。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTMEパネル1分類子および、例えば、胃癌(例えば、局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌)、乳癌(例えば、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌)、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性転移性前立腺癌)、肝臓癌(例えば、進行型転移性の肝細胞癌などの肝細胞癌)、頭頸部癌(例えば、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、結腸直腸癌(例えば、肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌)、卵巣癌(例えば、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌)、神経膠腫(例えば、転移性神経膠腫)、神経膠芽腫、または肺癌(例えば、NSCLC)からなる群より選択される癌の状態または結果の診断、監視、および/または予測のためのその適用の正確さは、個別化された、例えば、TME特異療法による患者の癌の有効性および/または結果の予測に対して、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。
分類子の正確さは、95%の信頼区間(CI)により判定できる。一般に、分類子は、95%CIが1に重ならない場合に、良好な正確さを有すると考えられる。いくつかの態様では、分類子の95%CIは、少なくとも約1.08、少なくとも約1.10、少なくとも約1.12、少なくとも約1.14、少なくとも約1.15、少なくとも約1.16、少なくとも約1.17、少なくとも約1.18、少なくとも約1.19、少なくとも約1.20、少なくとも約1.21、少なくとも約1.22、少なくとも約1.23、少なくとも約1.24、少なくとも約1.25、少なくとも約1.26、少なくとも約1.27、少なくとも約1.28、少なくとも約1.29、少なくとも約1.30、少なくとも約1.31、少なくとも約1.32、少なくとも約1.33、少なくとも約1.34、または少なくとも約1.35またはそれ超である。分類子の95%CIは、少なくとも約1.14、少なくとも約1.15、少なくとも約1.16、少なくとも約1.20、少なくとも約1.21、少なくとも約1.26、または少なくとも約1.28であり得る。分類子の95%CIは、約1.75未満、約1.74未満、約1.73未満、約1.72未満、約1.71未満、約1.70未満、約1.69未満、約1.68未満、約1.67未満、約1.66未満、約1.65未満、約1.64未満、約1.63未満、約1.62未満、約1.61未満、約1.60未満、約1.59未満、約1.58未満、約1.57未満、約1.56未満、約1.55未満、約1.54未満、約1.53未満、約1.52未満、約1.51未満、約1.50未満であり得る。分類子の95%CIは、約1.61未満、約1.60未満、約1.59未満、約1.58未満、約1.56、1.55、または1.53未満であり得る。分類子の95%CIは、約1.10~1.70、約1.12~約1.68、約1.14~約1.62、約1.15~約1.61、約1.15~約1.59、約1.16~約1.160、約1.19~約1.55、約1.20~約1.54、約1.21~約1.53、約1.26~約1.63、約1.27~約1.61、または約1.28~約1.60であり得る。
いくつかの態様では、分類子の正確さは、95%CIの範囲の差異(例えば、95%CI間隔の高い値と低い値の差異)に依存する。通常、95%CI間隔の範囲の大きな差異を有する分類子は、より多くの変動を有し、95%CI間隔の範囲の小さい差異を有する分類子より正確さが低い。いくつかの態様では、95%CIの範囲の差異が約0.60未満、約0.55未満、約0.50未満、約0.49未満、約0.48未満、約0.47未満、約0.46未満、約0.45未満、約0.44未満、約0.43未満、約0.42未満、約0.41未満、約0.40未満、約0.39未満、約0.38未満、約0.37未満、約0.36未満、約0.35未満、約0.34未満、約0.33未満、約0.32未満、約0.31未満、約0.30未満、約0.29未満、約0.28未満、約0.27未満、約0.26未満、約0.25未満である場合、分類子は、より正確であると見なされる。分類子の95%CIの範囲の差異は、約0.48未満、約0.45未満、約0.44未満、約0.42未満、約0.40未満、約0.37未満、約0.35未満、約0.33未満、または約0.32未満であり得る。いくつかの態様では、分類子の95%CIの範囲の差異は、約0.25~約0.50、約0.27~約0.47、約0.30~約0.45である。
いくつかの態様では、TMEパネル1分類子の感度は、少なくとも約45%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約50%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約55%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約60%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約65%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約70%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約75%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約80%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約85%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約90%である。いくつかの態様では、感度は、少なくとも約95%である。
いくつかの態様では、TMEパネル1分類子からの出力は、臨床的に有意である。いくつかの態様では、分類子の臨床的有意性は、AUC値により判定される。臨床的に有意であるために、AUC値は、少なくとも約0.5、少なくとも約0.55、少なくとも約0.6、少なくとも約0.65、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、または少なくとも約0.95である。分類子の臨床的有意性は、パーセント正確さにより判定できる。例えば、分類子の正確さが、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約75%、少なくとも約77%、少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約94%、少なくとも約96%、または少なくとも約98%である場合、分類子は、臨床的に有意であると判定される。
他の態様では、TMEパネル1分類子の臨床的有意性は、倍率差異中央値(MDF)値により判定される。臨床的に有意であるために、MDF値は、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1.0、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.9、または少なくとも約2.0である。いくつかの態様では、MDF値は、1.1以上である。他の態様では、MDF値は、1.2以上である。代わりにまたは追加して、分類子またはバイオマーカーの臨床的有意性は、t検定P値により判定される。いくつかの態様では、臨床的に有意であるために、t検定P値は、約0.070未満、約0.065未満、約0.060未満、約0.055未満、約0.050未満、約0.045未満、約0.040未満、約0.035未満、約0.030未満、約0.025未満、約0.020未満、約0.015未満、約0.010未満、約0.005未満、約0.004、または約0.003未満である。t検定P値は、約0.050未満であり得る。あるいは、t検定P値は、約0.010未満である。
いくつかの態様では、TMEパネル1分類子の臨床的有意性は、臨床転帰により判定される。例えば、異なる臨床転帰は、分類子が臨床的に有意であるかどうかを判定し得るAUC値、MDF値、t検定P値、および正確さ値の異なる最小または最大閾値を有し得る。別の例では、t検定のP値が、約0.08未満、約0.07未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.04、約0.03未満、約0.02未満、約0.01未満、約0.005未満、約0.004未満、約0.003未満、約0.002未満、または約0.001未満である場合に、分類子は臨床的に有意であると見なされる。
いくつかの態様では、TMEパネル1分類子の性能は、オッズ比に基づく。分類子は、オッズ比が、少なくとも約1.30、少なくとも約1.31、少なくとも約1.32、少なくとも約1.33、少なくとも約1.34、少なくとも約1.35、少なくとも約1.36、少なくとも約1.37、少なくとも約1.38、少なくとも約1.39、少なくとも約1.40、少なくとも約1.41、少なくとも約1.42、少なくとも約1.43、少なくとも約1.44、少なくとも約1.45、少なくとも約1.46、少なくとも約1.47、少なくとも約1.48、少なくとも約1.49、少なくとも約1.50、少なくとも約1.52、少なくとも約1.55、少なくとも約1.57、少なくとも約1.60、少なくとも約1.62、少なくとも約1.65、少なくとも約1.67、少なくとも約1.70またはそれ超である場合、良好な性能を有するとみなされ得る。いくつかの態様では、分類子のオッズ比は、少なくとも約1.33である。
分類子の臨床的有意性は、単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、約0~約0.4であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、約0~約0.3であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、約0~約0.2であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、0.25以下、約0.22以下、約0.21以下、約0.20以下、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12以下、または約0.11以下であり得る。
TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析オッズ比P値(uvaORPval)は、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0~約1であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0~約0.9であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0~約0.8であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0.90以下、約0.88以下、約0.86以下、約0.84以下、約0.82以下、または約0.80以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0.78以下、約0.76以下、約0.74以下、約0.72以下、約0.70以下、約0.68以下、約0.66以下、約0.64以下、約0.62以下、約0.60以下、約0.58以下、約0.56以下、約0.54以下、約0.52以下、または約0.50以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0.48以下、約0.46以下、約0.44以下、約0.42以下、約0.40以下、約0.38以下、約0.36以下、約0.34以下、約0.32以下、約0.30以下、約0.28以下、約0.26以下、約0.25以下、約0.22以下、約0.21以下、約0.20以下、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12、または約0.11以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析オッズ比P値(mvaORPval)は、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、カプランマイヤーP値(KM P値)に基づき得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、約0~約0.8であり得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、約0~約0.7であり得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、約0.80以下、約0.78以下、約0.76以下、約0.74以下、約0.72以下、約0.70以下、約0.68以下、約0.66以下、約0.64以下、約0.62以下、約0.60以下、約0.58以下、約0.56以下、約0.54以下、約0.52以下、または約0.50以下であり得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、約0.48以下、約0.46以下、約0.44以下、約0.42以下、約0.40以下、約0.38以下、約0.36以下、約0.34以下、約0.32以下、約0.30以下、約0.28以下、約0.26以下、約0.25以下、約0.22以下、約0.21以下、約0.20以下、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12、または約0.11以下であり得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子のカプランマイヤーP値(KM P値)は、0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、生存AUC値(survAUC)に基づき得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約0~1であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約0~約0.9であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約1以下、約0.98以下、約0.96以下、約0.94以下、約0.92以下、約0.90以下、約0.88以下、約0.86以下、約0.84以下、約0.82以下、または約0.80以下であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約0.80以下、約0.78以下、約0.76以下、約0.74以下、約0.72以下、約0.70以下、約0.68以下、約0.66以下、約0.64以下、約0.62以下、約0.60以下、約0.58以下、約0.56以下、約0.54以下、約0.52以下、または約0.50以下であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約0.48以下、約0.46以下、約0.44以下、約0.42以下、約0.40以下、約0.38以下、約0.36以下、約0.34以下、約0.32以下、約0.30以下、約0.28以下、約0.26以下、約0.25以下、約0.22以下、約0.21以下、約0.20以下、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12、または約0.11以下であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の生存AUC値(survAUC)は、0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0~約0.4であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0~約0.3であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0.40以下、約0.38以下、約0.36以下、約0.34以下、または約0.32以下であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0.30以下、約0.29以下、約0.28以下、約0.27以下、約0.26以下、約0.25以下、約0.24以下、約0.23以下、約0.22以下、約0.21以下、または約0.20以下であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12以下、または約0.11以下であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の単変量解析ハザード比P値(uvaHRPval)は、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0~約1であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0~約0.9であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約1以下、約0.98以下、約0.96以下、約0.94以下、約0.92以下、約0.90以下、約0.88以下、約0.86以下、約0.84以下、約0.82以下、または約0.80以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.80以下、約0.78以下、約0.76以下、約0.74以下、約0.72以下、約0.70以下、約0.68以下、約0.66以下、約0.64以下、約0.62以下、約0.60以下、約0.58以下、約0.56以下、約0.54以下、約0.52以下、または約0.50以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.48以下、約0.46以下、約0.44以下、約0.42以下、約0.40以下、約0.38以下、約0.36以下、約0.34以下、約0.32以下、約0.30以下、約0.28以下、約0.26以下、約0.25以下、約0.22以下、約0.21以下、約0.20以下、約0.19以下、約0.18以下、約0.17以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12、または約0.11以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
分類子の臨床的有意性は、多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0~約0.60であり得る。TMEパネル1分類子の有意性は、多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0~約0.50であり得る。分類子の有意性は、多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)に基づき得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.50以下、約0.47以下、約0.45以下、約0.43以下、約0.40以下、約0.38以下、約0.35以下、約0.33以下、約0.30以下、約0.28以下、約0.25以下、約0.22以下、約0.20以下、約0.18以下、約0.16以下、約0.15以下、約0.14以下、約0.13以下、約0.12以下、約0.11以下、または約0.10以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.10以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下、約0.02以下、または約0.01以下であり得る。TMEパネル1分類子の多変量解析ハザード比P値(mvaHRPval)は、約0.01以下、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、約0.003以下、約0.002以下、または約0.001以下であり得る。
本明細書で開示のTMEパネル1分類子は、対象由来の試料の臨床的に意味のある分析を提供する点で、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)より優れている可能性がある。いくつかの態様では、TMEパネル1は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)に比べて、臨床転帰または状態をより正確に予測し得る。例えば、TMEパネル1は、転移性疾患をより正確に予測し得る。あるいは、TMEパネル1は、疾患の証拠のないことをより正確に予測し得る。いくつかの態様では、TMEパネル1は、疾患による死亡をより正確に予測し得る。TMEパネル1の性能は、AUC値、オッズ比、AUC値、オッズ比、95%CI、95%CIの範囲の差異、P値これらの任意の組み合わせに基づき得る。
本明細書で開示のTMEパネル1分類子の性能は、AUC値で判定でき、性能の改善は、TMEパネル1のAUC値と、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のAUC値の差異により判定され得る。いくつかの態様では、TMEパネル1のAUC値が現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のAUC値より、少なくとも約0.05だけ、少なくとも約0.06だけ、少なくとも約0.07だけ、少なくとも約0.08だけ、少なくとも約0.09だけ、少なくとも約0.10だけ、少なくとも約0.11だけ、少なくとも約0.12だけ、少なくとも約0.13だけ、少なくとも約0.14だけ、少なくとも約0.15だけ、少なくとも約0.16だけ、少なくとも約0.17だけ、少なくとも約0.18だけ、少なくとも約0.19だけ、少なくとも約0.20だけ、少なくとも約0.022だけ、少なくとも約0.25だけ、少なくとも約0.27だけ、少なくとも約0.30だけ、少なくとも約0.32だけ、少なくとも約0.35だけ、少なくとも約0.37だけ、少なくとも約0.40だけ、少なくとも約0.42だけ、少なくとも約0.45だけ、少なくとも約0.47、または少なくとも約0.50またはそれ超だけ大きい場合、TMEパネル1は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)より優れている。いくつかの態様では、本明細書のTMEパネル1分類子のAUC値は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のAUC値より少なくとも約0.10だけ大きい。いくつかの態様では、TMEパネル1分類子のAUC値は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のAUC値より少なくとも約0.13だけ大きい。いくつかの態様では、TMEパネル1分類子のAUC値は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のAUC値より少なくとも約0.18だけ大きい。
TMEパネル1の性能は、オッズ比で判定でき、性能の改善は、TMEパネル1のオッズ比と、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)のオッズ比との比較により判定できる。2つ以上の分類子の性能の比較は、通常、第2の分類子の(1-オッズ比)の絶対値に対する第1の分類子の(1-オッズ比)の絶対値の比較を基準にすることができる。通常、(1-オッズ比)のより大きい絶対値を有する分類子が、(1-オッズ比)のより小さい絶対値を有する分類子に比較して、より良好な性能を有すると見なすことができる。
いくつかの態様では、本明細書で開示のTMEパネル1分類子は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)より正確である。いくつかの態様では、TMEパネル1の95%CIの範囲の差異が、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)の95%CIの範囲の差異よりも、約0.70、約0.60、約0.50、約0.40、約0.30、約0.20、約0.15、約0.14、約0.13、約0.12、約0.10、約0.09、約0.08、約0.07、約0.06、約0.05、約0.04、約0.03、または約0.02倍小さい場合、TMEパネル1は、現在の分類子(例えば、CMS)より正確である。いくつかの態様では、TMEパネル1の95%CIの範囲の差異が、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)の95%CIの範囲の差異よりも、約0.20~約0.04倍小さい場合、TMEパネル1は、現在の分類子(例えば、結腸直腸癌に対するCMS)より正確である。
実施形態
以下のリストでは、実施形態は、Eと簡略化され、従って、E1~E82は、実施形態1~実施形態82を表す。
E1.癌に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、投与の前に、人工神経回路網(ANN)分類子を対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することによりTME表現型クラスが決定され、癌腫瘍が、IS(免疫抑制)、A(血管新生)、IA(免疫活性)、ID(免疫砂漠)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられる、方法。
E2.癌に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、
(i)ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップであって、癌腫瘍は、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられるステップ、および、
(ii)TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップ、を含む方法。
E3.TME表現型クラス特異的療法による治療に好適する癌に罹患しているヒト対象を特定する方法であって、ANN分類子を対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップを含み、癌腫瘍が、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられ、割り当てられたTME表現型クラスが、癌を治療するためにTME表現型クラス特異的療法を投与できることを示す、方法。
E4.ANN分類子が入力層、隠れ層、および出力層を含む、実施形態E1~E3のいずれか1つに記載の方法。
E5.入力層が2~100個のノードを含む、実施形態E4に記載の方法。
E6.入力層の各ノードが、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の遺伝子に対応し、遺伝子パネルが(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または図9A~Gで開示のいずれかの遺伝子パネル(遺伝子セット)を含む、実施形態E5に記載の方法。
E7.試料が腫瘍内組織を含む、実施形態E1~E6のいずれか1つに記載の方法。
E8.RNA発現レベルが、RNA-Seq、EdgeSeq、PCR、NanoString、WES、またはこれらの組み合わせなどの次世代シークエンシング(NGS)を用いて決定した転写RNA発現レベルである、実施形態E1~E7のいずれか1つに記載の方法。
E9.隠れ層が2個のノードを含み、出力層が4個の出力ノードを含み、出力層中の4個の出力ノードのそれぞれ1個が、TME表現型クラスに対応し、4つのTME表現型クラスが、IA、IS、ID、およびAである、実施形態E4~E8のいずれか1つに記載の方法。
E10.ソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分類子をANNの出力に適用するステップをさらに含み、ソフトマックス関数は、各TME表現型クラスに確率を割り当てる、実施形態E4~E9のいずれか1つに記載の方法。
E11.TME表現型クラス特異的療法が、IA、IS、IDまたはA TME表現型クラス特異的療法またはこれらの組み合わせである、実施形態E1~E10のいずれか1つに記載の方法。
E12.TME表現型クラス特異的療法が、チェックポイントモジュレーター療法を含むIA TME表現型クラス特異的療法である、実施形態E1~E11のいずれか1つに記載の方法。
E13.チェックポイントモジュレーター療法が、下記を投与するステップを含む、実施形態E12に記載の方法:
(i)GITR、OX-40、ICOS、4-1BBに対する抗体分子、またはこれらの組み合わせなどの刺激性免疫チェックポイント分子の活性化剤;
(ii)RORγアゴニスト;または、
(iii)PD-1に対する抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1に対する抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、CX-072、LY3300054、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L2に対する抗体、またはCTLA-4に対する抗体、などの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の、単独もしくはこれらの組み合わせ、またはTIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-β、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、またはCD86の阻害剤との組み合わせ。
E14.チェックポイントモジュレーター療法が、(i)ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブまたはTSR-042からなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;または(iii)これらの組み合わせ、を投与するステップを含む、実施形態E12に記載の方法。
E15.TME表現型クラス特異的療法が、(1)チェックポイントモジュレーター療法および抗免疫抑制療法、および/または(2)抗血管新生療法、を投与するステップを含むISクラスTME療法である、実施形態E1~E14のいずれか1つに記載の方法。
E16.チェックポイントモジュレーター療法が阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含む、実施形態E15に記載の方法。
E17.阻害性免疫チェックポイント分子が下記である、実施形態E16に記載の方法:
(i)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-1に対する抗体;
(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-L1に対する抗体;
(iii)PD-L2に対する抗体またはその抗原結合部分;
(iv)イピリムマブおよび二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)から選択されるCTLA-4に対する抗体;または
(v)これらの組み合わせ。
E18.抗血管新生療法が下記を含む、実施形態E15~E17のいずれか1つに記載の方法:
(i)バリサクマブ、ベバシズマブ、ナビシキズマブ(抗DLL4/抗VEGF二重特異性)、ABL101(NOV1501)(抗DLL4/抗VEGF)、ABT165(抗DLL4/抗VEGF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される抗VEGF抗体;
(ii)ラムシルマブを含む、抗VEGFR2抗体;または、
(iii)これらの組み合わせ。
E19.抗免疫抑制療法が、抗PS抗体、抗PS標的化抗体、β2糖タンパク質1に結合する抗体、PI3Kγの阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDOの阻害剤、TIMの阻害剤、LAG3の阻害剤、TGFβの阻害剤、CD47阻害剤、またはこれらの組み合わせを投与するステップを含み、
(i)抗PS標的化抗体は、バビツキシマブであるか、またはβ2糖タンパク質1に結合する抗体であり;
(ii)PI3Kγ阻害剤は、LY3023414(サモトリシブ)またはIPI-549であり;
(iii)アデノシン経路阻害剤は、AB-928であり;
(iv)TGFβ阻害剤はLY2157299(ガルニセルチブ)であるか、TGFβR1阻害剤はLY3200882であり;
(v)CD47阻害剤は、マグロリマブ(5F9)であり;および、
(vi)CD47阻害剤は、SIRPαを標的にする、実施形態E15~E18のいずれか1つに記載の方法。
E20.抗免疫抑制療法が、TIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGFβまたはその受容体の阻害剤、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80の阻害剤、CD86のアゴニストまたはこれらの組み合わせを投与するステップを含む、実施形態E15~E19のいずれか1つに記載の方法。
E21.TME表現型クラス特異的療法が、VEGF標的療法、アンジオポエチン1(Ang1)の阻害剤、アンジオポエチン2(Ang2)の阻害剤、DLL4の阻害剤、抗VEGFおよび抗DLL4の二重特異性、TKI阻害剤、抗FGF抗体、抗FGFR1抗体、抗FGFR2抗体、FGFR1を阻害する小分子、FGFR2を阻害する小分子、抗PLGF抗体、PLGF受容体に対する小分子、PLGF受容体に対する抗体、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体、抗VEGFD抗体、アフリベルセプトまたはziv-アフリベルセプトなどのVEGF/PLGF捕捉分子に対する抗体、抗DLL4抗体、γセクレターゼの阻害剤などの抗ノッチ療法、またはこれらの任意の組み合わせを投与するステップを含むA TME表現型クラス特異的療法である、実施形態E1~E20のいずれか1つに記載の方法。
E22.TKI阻害剤が、カボザンチニブ、バンデタニブ、チボザニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、フルキンチニブ(fruquintinib)、パゾパニブ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、実施形態E21に記載の方法。
E23.VEGF標的療法が、
(i)バリサクマブ、ベバシズマブ、これらの抗原結合部分、またはこれらの組み合わせを含む抗VEGF抗体;
(ii)ラムシルマブまたはその抗原結合部分を含む、抗VEGFR2抗体;または、
(iii)これらの組み合わせ、を投与するステップを含む、実施形態E21に記載の方法。
E24.A TME表現型クラス特異的療法が、エンドグリンおよび/またはアンジオポエチンを含むアンジオポエチン/TIE2標的療法を投与するステップを含む、実施形態E21~E23のいずれか1つに記載の方法。
E25.A TME表現型クラス特異的療法が、ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、ABT165、またはこれらの組み合わせを含むDLL4標的療法を投与するステップを含む、実施形態E21~E24のいずれか1つに記載の方法。
E26.TME表現型クラス特異的療法が、免疫応答を開始させる療法の投与と同時にまたはその後でチェックポイントモジュレーター療法を投与するステップを含むID TME表現型クラス特異的療法である、実施形態E1~E25のいずれか1つに記載の方法。
E27.免疫応答を開始させる療法が、ワクチン、CAR-T、または新エピトープワクチンである、実施形態E26に記載の方法。
E28.チェックポイントモジュレーター療法が阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含む、実施形態E26に記載の方法。
E29.阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせである、実施形態E28に記載の方法。
E30.抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、またはTSR-042、またはこれらの抗原結合部分を含む、実施形態E29に記載の方法。
E31.抗PD-L1抗体抗が、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、またはこれら抗原結合部分を含む、実施形態E29に記載の方法。
E32.抗CTLA-4抗体が、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)、またはこれらの抗原結合部分を含む、実施形態E29に記載の方法。
E33.チェックポイントモジュレーター療法が、(i)ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、およびTSR-042からなる群より選択される抗PD-1抗体;(ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、およびデュルバルマブからなる群より選択される抗PD-L1抗体;(iii)イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)である、抗CTLA-4抗体、または(iv)これらの組み合わせの投与を含む、実施形態E26に記載の方法。
E34.(a)化学療法を投与するステップ;
(b)手術を実施するステップ;
(c)放射線療法を投与するステップ;または
(d)これらの任意の組み合わせ、をさらに含む、実施形態E1~E33のいずれか1つに記載の方法。
E35.癌が再発性、難治性、転移性、dMMR、またはこれらの組み合わせである、実施形態E1~E34のいずれか1つに記載の方法。
E36.癌が、少なくとも1種の抗癌剤の投与を含む少なくとも1種の前治療後に難治性である、実施形態E27に記載の方法。
E37.癌が、胃癌、乳癌、前立腺癌、肝臓癌、頭頸部癌、メラノーマ、結腸直腸癌、卵巣癌、神経膠腫、肺癌、および神経膠芽腫からなる群より選択される、実施形態E1~E36のいずれか1つに記載の方法。
E38.胃癌が、局所進行性、転移性胃癌、または以前に未治療の胃癌である、実施形態E37に記載の方法。
E39.乳癌が、局所進行性または転移性のHER2陰性乳癌である、実施形態E37に記載の方法。
E40.前立腺癌が、去勢抵抗性転移性前立腺癌である、実施形態E37に記載の方法。
E41.肝臓癌が、進行型転移性肝細胞癌などの肝細胞癌である、実施形態E37に記載の方法。
E42.頭頸部癌が、再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌である、実施形態E37に記載の方法。
E43.結腸直腸癌が、肝臓に転移性の結腸直腸癌である、実施形態E37に記載の方法。
E44.卵巣癌が、白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌である、実施形態E37に記載の方法。
E45.神経膠腫が転移性神経膠腫である、実施形態E37に記載の方法。
E46.肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、実施形態E37に記載の方法。
E47.TME表現型クラス特異的療法の投与が、投与前の癌負荷量に比べて、癌負荷量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%減らす、実施形態E1~E46のいずれか1つに記載の方法。
E48.対象が、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月、または少なくとも約1、2、3、4、または5年間の無増悪生存期間を示す、実施形態E1~E47のいずれか1つに記載の方法。
E49.対象が、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間安定を示す、実施形態E1~E48のいずれか1つに記載の方法。
E50.対象が、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間部分応答を示す、実施形態E1~E49のいずれか1つに記載の方法。
E51.対象が、TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間完全奏功を示す、実施形態E1~E50のいずれか1つに記載の方法。
E52.TME表現型クラス特異的療法の投与が、TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の無増悪生存確率に比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%まで無増悪生存確率を改善する、実施形態E1~E50のいずれか1つに記載の方法。
E53.TME表現型クラス特異的療法の投与が、TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の全生存確率に比べて、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、または少なくとも約375%まで全生存確率を改善する、実施形態E1~E50のいずれか1つに記載の方法。
E54.TME表現型クラスを、治療を必要としている対象の癌に割り当てる方法であって、
(i)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられるステップ;および
(ii)ANN分類子を用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当てるステップであって、ANN分類子への入力が、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含むステップを含む、方法。
E55.TME表現型クラスを、それを必要としている対象の癌に割り当てる方法であって、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類に割り当てられ、ANN分類子は、対象由来の試験試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを入力として用いて、TME表現型クラスを対象の癌に割り当てるステップを含む、方法。
E56.TME表現型クラスを、それを必要としている対象の癌に割り当てる方法であって、ANN分類子を用いて、対象の癌のTME表現型クラスを予測ステップであって、ANN分類子が、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより生成され、各試料が、TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てられるステップを含む、方法。
E57.方法が、少なくとも1つの処理装置および少なくとも1つの記憶装置を含む、コンピューターシステムに実装され、少なくとも1つの記憶装置が、少なくとも1つの処理装置により実行されて、少なくとも1つの処理装置に機械学習モデルを実装させる命令を含む、実施形態E54~E56のいずれか1つに記載の方法。
E58.(i)コンピューターシステムの記憶装置にANN分類子コードを入力するステップ;
(ii)コンピューターシステムの記憶装置に、対象に対応する遺伝子パネル入力データを入力するステップであって、入力データがRNA発現レベルを含むステップ;
(iii)ANN分類子コードを実行するステップ;または、
(iv)これらの任意の組み合わせ、をさらに含む、実施形態E57に記載の方法。
E59.局所進行性、転移性胃癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E60.局所進行性、転移性胃癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であって、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E61.局所進行性、転移性胃癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E62.以前に未治療の胃癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E63.以前に未治療の胃癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であって、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E64.局所進行性/転移性HER2陰性乳癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であって、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E65.局所進行性/転移性HER2陰性乳癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E66.去勢抵抗性転移性前立腺癌の対象を、A TME表現型を用いて治療する方法であって、A TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E67.去勢抵抗性転移性前立腺癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E68.進行性、転移性肝細胞癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E69.進行性、転移性肝細胞癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E70.再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌の対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E71.再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌の対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E72.メラノーマの対象を、IA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E73.メラノーマの対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E74.肝臓へ転移性の進行型結腸直腸癌の対象を、ID TME表現型を用いて治療する方法であって、ID TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E75.白金抵抗性または白金感受性再発性卵巣癌の対象を、IA、IS、またはA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA、IS、またはA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E76.白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌の対象を、IA、IS、またはA TME表現型を用いて治療する方法であって、IA、IS、またはA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E77.メラノーマの対象を、IS TME表現型を用いて治療する方法であって、IS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E78.転移性の結腸直腸癌の対象を、AまたはIS TME表現型を用いて治療する方法であって、AまたはIS TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E79.神経膠腫または神経膠芽腫の対象を、ISまたはIA TME表現型を用いて治療する方法であって、ISまたはIA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E80.非小細胞肺癌の対象を、ISまたはIA TME表現型を用いて治療する方法であって、ISまたはIA TME表現型クラス特異的療法を対象に投与するステップを含み、TME表現型クラスが、ANN分類子を、対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられている、方法。
E81.(i)表1の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、を含むキット。
E82.(i)表1(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含み、マイクロアレイを含む、製品。
実施例
実施例1
TMEパネル1分類子
本開示の方法で使用される分類子は、少なくとも3つの層:入力層、隠れ層および出力層からなるフィードフォワード人工神経回路網(ANN)である。入力ノードを除いて、各ノードは、非線形活性化関数を使用するニューロンである。人工神経回路網は、訓練のために逆伝搬を利用する。
訓練セット:ACRG遺伝子発現データセットを訓練セットとして用いた。ACRG訓練セットは、298個の利用可能な試料から、235個の試料を含め、63個の試料はクラスラベルの決定境界の近くに位置すると特定されたため、これらの試料は、モデルの堅牢さに影響を与えるので、訓練セットに含めなかった。同様に含められたのは、98個の連続的な変数であり(表1の血管新生シグネチャー遺伝子パネルおよび表2の免疫シグネチャー遺伝子パネルで示される遺伝子のサブセットを含む98個の遺伝子パネル)、4つの標的クラス(A、IA、IS、およびID腫瘍微小環境)に対応する。各試料は、遺伝子パネル中の各遺伝子に対する値(例えば、mRNAレベル)および米国特許出願第17/089,234号で開示の、2つのシグネチャーに基づいて母集団法を用いて割り当てられた特定のクラスへのその分類に対する値を含んだ。この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ニューラル層構造:使用したANNは、入力層、および出力層、ならびに1つの隠れ層を含む、多層パーセプトロン(MLP)であった。入力層中の各ニューロンは、隠れ層中の2個のニューロンに接続され、隠れ層中のそれぞれのニューロンは、出力層中のそれぞれのニューロンに接続された。
訓練:訓練過程の目標は、ニューラルネットワークが訓練セットに対する予測エラーを最小化するように、隠れ層中の各入力に対する重みwiおよびバイアスbを特定することであった。図7を参照。図7に示すように、遺伝子パネル(X1・・)中の各遺伝子を隠れ層中の各ニューロンに対する入力として使用し、隠れ層に対するバイアスb値を、訓練過程を通して特定した。図7に示すように、各ニューロンからの出力は、各遺伝子発現レベル(x)、重み(w)、およびバイアス(b)の関数であった。
-1~1の範囲の双曲線正接活性化関数(tanh)を、本明細書で記載のANN分類子を生成するために使用した。
Figure 2024511166000024
式中、yは、i番目のノード(ニューロン)の出力であり、vは、入力接続の重み付けした合計であった。
上述のように、人工神経回路網分類子は、入力層中に遺伝子発現値(98個の遺伝子パネルに対応する)、隠れ層中に2つの間質シグネチャーの間の関連をコードする2個のニューロン、および4つの間質表現型の確率を予測する4個の出力を含んだ。図8参照。出力層値の4つのTME表現型クラス(IA、ID、AおよびIS)への多重クラス分類は、ソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分類子を適用することにより支援された。ソフトマックスは、各クラスに対し、合計して1.0になる小数確率を割り当てた。この追加の拘束は、訓練がより速く収束するのを支援した。ソフトマックスは、出力層の直前のニューラルネットワーク層を通して実装され、出力層と同じノード数を有した。
追加の精密化として、使用した特定のデータセットに応じて、種々のカットオフをソフトマックス関数の結果に適用した。
人工神経回路網分類子の検査により、訓練アルゴリズムは、実際に、血管新生シグネチャーおよび免疫シグネチャーの符号ベースルール(sign-based rule)である重みを学習したことが明らかとなった。表14を参照。ルールは、データの訓練から自動的に推論された。アルゴリズムは、隠れ層が2個のニューロンを含むことを除いて、血管新生シグネチャーおよび免疫シグネチャーについて何らの仮定も与えられなかった。各隠れニューロンに対し、血管新生シグネチャーおよび免疫シグネチャーからの遺伝子は、正または負の遺伝子重みにより少なくともある程度寄与したが、しかし、1つの隠れニューロンは、1つのシグネチャーがより優位であり、逆もまた同じである。
Figure 2024511166000025
ACRGデータセットに適合させた最終人工神経回路網モデルのパラメーターのリストを表15に示す。
Figure 2024511166000026
3種の異なる腫瘍型-結腸直腸、胃、および卵巣のそれぞれ、400人の患者の試料に対するRNAエクソームシークエンシング技術を用いて、1200個の患者試料配列に対するANNモデルの適用の結果、ならびに可能なTME表現型全体にわたる結果の一貫性は、本開示のANNモデルが腫瘍型に依存しないことを明らかにした。
ANNモデルを患者データ(n=704)に対して使用して、身体中の少なくとも17種の異なる起源からの腫瘍のTME表現型を遡及的に分類した(表16)。どの結果データも、分類との関連はなかったが、4種のTME表現型の分布は、RNAエクソーム技術により配列を決定した卵巣(n=392)、結腸直腸(n=370)、および胃癌(n=337)の試料である1,099個の試料の分析で分類した4種のTME表現型の分布と類似であった。
Figure 2024511166000027
ANNモデルのデータへの適用から得られた確率関数の投影図が潜在空間にプロットされ、疾患スコアグリフ(完全奏功、CR;部分応答、PR;安定、SD;進行、PD)で表された。潜在空間可視化は、サブタイプコールの確率を提供し、これは、医療判断を支援するバイオマーカー信頼度を医師に知らせるために使用され得る。
潜在空間図中で観察される湾曲輪郭線は、モデルの特徴量間の相互作用項のために生ずる。潜在空間プロットでは、特徴量は、血管新生シグネチャースコア(例えば、遺伝子活性化が内皮細胞シグネチャー活性化と相関するシグネチャー)および免疫シグネチャースコア(例えば、活性化が炎症性および免疫細胞シグネチャー活性化と相関するシグネチャー)であった。この場合、用語の相互作用は、1つの特徴量の予測に対する効果が他の特徴量の値に依存する、即ち、2つの特徴量の効果は加算的ではない状況を意味する。例えば、モデル中の加算的または減算的特徴量は、相互作用のないことを意味する;しかし、モデル中の積算的、除算的、または対形成的特徴量は、相互作用を意味する。
TME表現型(4つのクラス、4つのTMEに対応する)を予測するプロットは、湾曲輪郭線を有する。理由は、各単一TME表現型クラスに対し、根底にあるモデル(ニューロン)は、ロジスティック回帰と同等であるが、4つのTME表現型クラスの確率の繰り込みは、4つのロジスティック回帰に対して起こり、そのため、4つのTME表現型クラス確率の合計は、1に等しかったためである。これは、ソフトマックス関数を用いて実現され、これは、血管新生シグネチャースコアと免疫シグネチャースコアの間の相互作用が発生する場合である。従って、このモデルは、湾曲輪郭線を生成した。
実施例2
結腸癌データセット
CITフランスコンソーシアム結腸癌:CIT(Cartes d’Identite des Tumeurs;GSE39582;Marisa et al.(2013)PLOS Medicine 10(5):e1001453)は、1988年~2007年の間にフランスで治癒手術を受けたステージ1~4の結腸直腸癌CRCの患者由来の566個の原発腫瘍試料を含む公開データセットである。データセットは、RNA発現(マイクロアレイ)、CMS分類、KRAS、TP53、BRAF、MMR、およびCIN状態の変異状態を含む。さらに、無病期間(図3A)、全生存期間(図3B)、診断時のステージおよび原発腫瘍の部位がデータセットで利用可能であった。
CIT試験の患者は、手術を受けて腫瘍を除去し、これらの患者のDNAおよびRNAゲノミクスが分析され、4つのCMSタイプに分類された(Guinney et al.(2015)Nature Medicine 21:1350-6)。
公的に入手可能なCITデータ(RNA遺伝子発現)をダウンロードし、TMEパネル1 ANN分類子を用いて分析した。TMEパネル1により提供された血管新生シグネチャースコアおよび免疫シグネチャースコア(図4A)を用いて、潜在空間プロットを生成した(図4B、4C、4D、4Eおよび4F)。dMMR発生率を計算し、図6Aおよび図6Bに提供した。
外科治療試料からのゲノム分析情報を含むデータセットを有する利点は、結果データが治療薬の存在により影響を受けなかったことであった。従って、TMEパネル1分類子の適用により得られるTME表現型分類は、予後判定であった。
図5Aおよび5Bは、CMSおよびTMEパネル1によるCITの患者分布を比較している。図6Aは、各CMS群内のCITデータセットのTME表現型クラス分布を示す。各CMS群に対して、各TMEクラスの患者の比率が凡例に従って網掛により示される。図5Bは、各TME表現型クラス内のCITデータセットのCMS分布を示す。各TMEクラスに対して、各CMS群の患者の比率が凡例に従って網掛により示される。図5Aおよび5Bは、同じものであるが、逆の集計解析を表す。
Wood Hudson左および右CRC TME発生率:Wood Hudsonデータセットは、手術後の治療歴中のある時点でベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))で治療した転移性CRCの患者のWood Hudson癌研究所からの独自開発の93個の試料群である。RNA発現は、RNA-Seqにより測定され、各試料は、PD-L1について評価された。さらに、診断時の疾患のステージおよび原発腫瘍の部位がそのデータセットで利用可能であった。一般に、左側(遠位)結腸直腸癌は、下行結腸中で見つかり、右側(近位)結腸直腸癌は、上行結腸中で見つかる。
CRC患者由来のFFPE試料からのRNA発現レベルは、前処理され、TMEパネル1 ANN分類子を用いて分析された。TME表現型クラスAおよびIAの存在は、左(遠位)結腸直腸癌中よりも、右(近位)結腸直腸癌中で少なかった。
上記で示したように、全てのWood Hudson(WH)およびCIT試料は、TMEパネル1分類子を用いて4つのTME表現型クラスの内の1つに分類された(図1)。これにより、疾患ステージおよび左(遠位)または右(近位)腫瘍側による、各TME表現型クラスの発生率の作表が可能となった。CIT患者に対し、生存分析を実施し、TMEパネル1の予後能を評価した。初期段階(0~2)患者の無病生存期間(DFS)を評価し、手術から再発までの月数として推定し、後期(3~4)患者の全生存期間(OS)を再発から死亡までの時間として推定した。TMEパネル1分類子人工神経回路網の2つの隠れノードにより生成された潜在空間上にCIT患者をマッピングすることにより、CMSとTMEパネル1分類子の間の相関を調査した。このようにして、TME表現型クラスを各患者に割り当てたが、それらの全ては、既に、CMS群割り当てを有していた。
TMEパネル1は、胃癌では予後的であり、胃および卵巣癌では標的療法結果で予測的の両方であることが示された。Strand-Tibbitts et al.Working Towards Precision Medicine for the Tumor Microenvironment.SITC(2019);Strand-Tibbitts et al.(2020)Development of an RNA-based Diagnostic Platform Based on the Tumor Microenvironment Dominant Biology.SITC.ほぼ400結腸直腸癌患者試料の予備的分析は、TMEパネル1分類子が結腸直腸癌に好適することを示唆した。
この分析は、TMEパネル1分類子が結腸直腸癌に適用可能であるかどうかに直接に取り組んだ。結腸直腸癌は、例えば、左側(遠位)腫瘍起源対右側(近位)腫瘍起源、および疾患のステージに応じて、予後および腫瘍生物学における既知の差異を有する不均一な疾患である。CITおよびWHデータセットからの全ての患者は、TMEパネル1分類子により4つのTME表現型クラス:血管新生(A)、免疫抑制(IS)、免疫活性(IA)または免疫砂漠(ID)の内の1つに分類された。 各TME表現型クラス中の患者の発生率は、疾患ステージ(図2A)および腫瘍側(図2B)に基づいて作表された。
複数の対象が、ID TME表現型群中で観察され、これは、結腸直腸癌が「コールド」腫瘍微小環境を有するという考えと一致した。次の最も高い発生率のTME表現型はISであり、多くの患者が高い血管新生および高い免疫浸潤を有するが、これらの生物学の間の相互作用に対処できる療法を必要とすることを示す。さらに、CITステージ3~4表現型の発生率は、CITステージ0~2に対する類似よりも、93人中の89人が同様にステージ3~4であるWHにより類似した。患者を、腫瘍の側により左と右にさらにわける場合(図2B)、3つ全てのデータ群中で、左側は、より多くの血管新生(A)が見つかり、一方、右側は、より多くの免疫活性(IA)が見つかった。まとめると、これらの結果は、TMEパネル1分類は、疾患の生物学的属性を反映し、それは、独立したデータセット全体にわたり一般化可能であることを確証することを示す。
TMEパネル1は、結腸直腸生物学の基本的な態様を反復するので、次に、TME表現型クラスは、疾患を予後するかどうかを知るために評価した。CITデータセットからの患者の生存確率を分析した。高血管新生TME表現型クラス(A)および(IS)は、後期患者中で、より悪い再発までの無病生存期間、およびより悪い全生存期間を示した。早期および後期分析の両方で、免疫活性(IA)患者は、最良の予後であった。
結腸直腸癌に対して、多数の研究チームが予後および/または予測シグネチャーを提案し、これは、不均一な疾患で、別個の患者サブセットを有すると認めた。これらの努力の内で最も注目すできは、6つの支配的なCRC層別化モデルである、コンセンサス分子サブタイプ(CMS)である。CMSは、4つの患者群1~4、および5番目の「不確定な」キャッチオール(“indeterminant” catch-all)(本明細書では「IND」)を特徴付ける。TMEパネル1がどのようにCMSに関連するかを調査するために、CITデータセットからの患者をTMEパネル1アルゴリズムにより分類し、免疫X軸と血管新生Y軸により規定されるTMEモデルの潜在空間上に投影した(図4A)。各CMS群中の患者はその後、これらの生物学的軸を基準に、より具体的には、潜在空間象限により規定されるTME表現型を基準にして評価された。図4B~4Fを参照。
Guinneyら、2015(Guinney et al.(2015)Nature Medicine 21:1350-6)と一致して、CMS1の対象は、主に高い免疫(X軸上の正の値、上部中央パネル)であり、CMS4は、主に血管新生(Y軸上の正の値、底部右パネル)であった。CMS2は、4つ全ての象限で分布したが、IDに富み、一方、CMS3は、低い血管新生であった。CMS-不確定な患者は、全領域で観察されたが、ISが多かった。
免疫CMS1と血管新生CMS4との一貫性にもかかわらず、TMEパネル1は、患者の分子生物学的特性の観点で、より高い精度を提供する。例えば、高いTME血管新生スコアを有するかなりの数のCMS1患者が観察され、CMS4患者の多くは高いTME免疫スコアを有した。どのようにこれらの分類手法が患者生物学について異なる結論に至り得るかをより良く理解するために、患者の分布を、CMS群とTMEクラスの間で定量化した。
CMSのメタモデル合成とは異なり、TMEパネル1は、腫瘍微小環境の生物学を抽出するために、およびCRCだけのためではなく、全ての固形腫瘍のために構築された。パネルは、予測的であるように、即ち、それらの生物学に基づく分類がTME表現型を適切な療法と一致させるように、設計された。これは、胃および卵巣などの他の腫瘍型で検査される場合の症例になることが分かった(Strand-Tibbitts et al.(2020)Development of an RNA-based Diagnostic Platform Based on the Tumor Microenvironment Dominant Biology.SITC;Strand-Tibbitts et al.Working Towards Precision Medicine for the Tumor Microenvironment.SITC(2019))。この分析の目標は、TMEパネル1が、左および右側の癌などの既知のCRC生物学、およびCMSなどの以前の細分類化努力とどのように一致するかを理解することであった。下記に示す免疫および血管新生生物学の以前の分析との整合性が観察された:
(i)TME血管新生(A)クラスおよびCMS4の、特に、左側腫瘍における一致した濃縮
(ii)TME免疫活性(IA)クラスおよびCMS1の一致した濃縮
(iii)TME(A)およびCMS4、ならびにTME(IA)およびCMS1の類似の予後相関。
観察された差異は、CMS群全体にわたるTME表現型の構成要素および分布を大きく反映し、TMEパネルは、標準的なCMS定義以外の患者における免疫および血管新生シグナルを特定する。例えば、CITデータセットのこの分析では、(A)および(IA)クラスに割り当てられた患者は、単なるCMS4およびCMS1より広範に分布した。実際に、(A)患者の半分のみがCMS4であり、(IA)の半分がCMS1である。
dMMR/MSI-Hは、CMS1によりほとんど捕捉され、これは、CPIに対して最も検証されたCRC患者群である(30~50%応答)。 Andre et al.2020 N.Engl.J.Med.383:2207-2218.しかし、最近のHLA変異分析によるMSS集団の分析および免疫細胞浸潤試験は、CPI治療に好適する可能性のある別の20%のMSS CRCが存在することを示唆した。Giannakis et al.2016 Cell Rep.15:857-865.TME(A)とCMS4との間の関係に類似して、TME(IA)クラスは、41%のCMS1および、同時に、CMS2およびCMS3からのかなりの寄与から構成される。
TMEパネル1は、免疫抑制(IS)クラスを定義する。CRCは、「コールド」として特徴付けられるが、これは、免疫活性の欠如またはCPI活性を遮断する免疫抑制のためであり得る。注目すべきことに、CITデータセットのdMMR患者のほぼ半分は、TME(IS)として分類される(図6B)。骨髄標的化薬剤などの免疫抑制細胞およびサイトカインに焦点を当てた新たに出現した療法またはTIM3またはLAG3などの次世代免疫調節剤は、IS群を「温める」ことができ、CRCの免疫療法の機会をさらに高め得る。
実施例3
CITデータセットのdMMR患者の分析
腫瘍細胞中のミスマッチ修復(MMR)遺伝子の欠如は、短いタンデム反復(STR)または単純反復配列(SSR)としても知られる、マイクロサテライト(MS)配列の蓄積を生じ得る。dMMRとも称される、蓄積されるMS配列を有する患者は、高レベルのマイクロサテライト不安定性のためにMSI-高と呼ばれる。MSI-高/dMMRバイオマーカー(通常、PCRおよびキャピラリー電気泳動法、またはNGSシークエンシングにより分析される)。CITデータベース中の患者のMSI-高/dMMR状態は、Marisaらにより分析され(Marisa et al.(2013)PLOS Medicine 10(5):e1001453)、同じ患者のCMS分類は、Guinneyらにより特定され(Guinney et al.(2015)Nature Medicine 21:1350-6)、図6Aに示されている。
MSI-高/dMMR状態は、結腸直腸癌のチェックポイント阻害剤(CPI)療法のための承認されたバイオマーカーであるが、CPI治療に対し、30~50%の応答率に過ぎない。図6Aで分かるように、CITデータセットの77%のMSI-高/dMMR患者は、CMS1、MSI免疫群に存在し、残りは、他のCMS群に存在する。同じ分析がANN分類子(TMEパネル1)で実施された場合(図6B)、MSI-高/dMMR患者の96%がIAまたはIS TME表現型クラス内に入る。ANN分類子(TMEパネル1)で分類され、IA TME表現型クラスに存在すると判明する結腸直腸癌患者は、即ち、胃癌患者と同様に、CPIに対して最良の応答を有することが予測される。dMMRも、CMS1も、免疫抑制から免疫活性を区別できないので、TME表現型クラスIAをCPIのための予測器としての使用は、応答予測をさらに改善し得る。
実施例4
結腸直腸癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、ミスマッチ修復欠損(dMMR)の患者またはMSI-H患者のチェックポイント阻害剤使用における臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、結腸直腸癌腫瘍微小環境表現型が、dMMRまたはMSI-高状態の患者がチェックポイント阻害剤で治療される場合の臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析には、40個の結腸直腸癌腫瘍試料が含まれる。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)TME表現型がチェックポイント阻害治療に対する応答を高めることを示す。
dMMRまたはMSI-HのCRC患者は、適切な最前線療法で進行後、抗PD(L)1(即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のオプションを有する。抗PD(L)1チェックポイント阻害剤の使用は、dMMRまたはMSI-Hの進行型結腸直腸癌患者の無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長する。RNA遺伝子シグネチャーは、抗PD(L)1で治療の前に、生検試料から分析される。TME表現型は、ORR、および20週PFSと相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型のそれぞれに10人で、40人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。免疫活性(IA)患者では、抗PD(L)1療法の使用は、血管新生(A)、免疫抑制(IS)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。
Figure 2024511166000028
実施例5
結腸直腸癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、チェックポイントおよびホスファチジルセリン阻害剤の組み合わせで治療したミスマッチ修復欠損(dMMR)患者またはMSI-H進行型結腸直腸癌患者の臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、結腸直腸癌TME表現型が、dMMRまたはMSI-H状態の患者がチェックポイント阻害剤およびバビツキシマブの組み合わせで治療される場合の臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析には、40個の結腸直腸癌腫瘍試料が含まれる。データは、免疫活性(IA)および(IS)TME表現型がこの組み合わせで治療する患者の適切なコホートであることを示す。
抗PD-1チェックポイント阻害剤は、化学療法に比べて、dMMRまたはMSI-H状態の進行型結腸直腸癌(CRC)患者のPFSおよびOSを延長することが知られている。dMMRまたはMSI-HのCRC患者は、適切な最前線療法で進行後、抗PD(L)1療法のオプションを有する。患者は、TMEパネル1分類子などのANN方法により分類される。IS亜群中の一部の患者は、単剤療法とは同じにはならず、そのため、続けて、抗PD-1と組み合わせて、バビツキシマブなどのホスファチジルセリン(Phosphatidylserine)標的化抗体で治療されて、IS群の応答が改善され、CRCのための免疫療法治療パラダイムがさらに最適化される。RNA遺伝子シグネチャーは、抗PD-1で治療の前に、生検試料から分析される。TME表現型は、ORR、および20週PFSと相関している。割り当てられたTME表現型クラスは、どの患者が恩恵を受け、どの患者がそうでないかを予測する。4種のTME表現型のそれぞれに10人で、40人の患者が登録される。各腫瘍TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。IAまたはIS患者では、表18に示すように、バビツキシマブおよび抗PD(L)1の使用は、血管新生(A)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、利益が与えられる。
Figure 2024511166000029
実施例6
結腸直腸癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、抗血管新生療法で治療した転移性の結腸直腸癌患者の臨床応答と相関する
後ろ向きデータ分析は、患者が血管新生阻害剤を含む標的療法で治療される場合、結腸直腸癌TME表現型は臨床応答と相関することを示す。分析には、60個の結腸直腸癌腫瘍試料が含まれる。データは、血管新生(A)および免疫抑制(IS)表現型が、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)表現型に比べて、ベバシズマブなどの抗血管新生療法に最もよく応答することを示す。
化学療法と組み合わせたベバシズマブは、進行型結腸直腸癌の患者のPFSおよびOSを延長する(Snyder,2018)。以前に未治療の転移性の結腸直腸癌患者の奏効率(ORR)は、左側腫瘍で80%、右側腫瘍で83%と報告された。左または右側腫瘍の両方の腫瘍増殖停止時間(PFS)中央値および全生存期間(OS)は,それぞれ、13か月および37か月であった。
患者が血管新生阻害剤で治療される場合に、TME表現型が臨床転帰と相関するかどうかを試験するために、60人の結腸直腸癌患者(30人の左側、30人の右側)から収集されたアーカイブ組織からの腫瘍間質RNA遺伝子シグネチャーが、TMEパネル1分類子などのANN分類子を用いて分析された。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。AおよびIS患者では、ベバシズマブの使用は、IAおよびID TME表現型に分類された患者に比べて、利益を与え:AおよびIS患者では、PFSおよびOS中央値は、それぞれ、15か月および39か月にシフトする。IAおよびID患者の無増悪生存期間およびOSデータは、以前に採取した値と変わらない。全体として、AおよびIS TME表現型は、特に、血管新生阻害剤を用いて改善された臨床転帰と相関し、PFSに対して予測の有効性を有する。
実施例7
結腸直腸癌間質表現型は、ファーストラインナビシキズマブおよび化学療法に対する臨床応答と相関する
mCRCのためのセカンドライン治療標準治療は抗血管新生薬ラムシルマブ+化学療法的フォルフィリである。第2相単一アーム試験でのラムシルマブ+フォルフィリ対プラセボ+フォルフィリの比較は、58%ORR、11.5か月のPFSおよび20.4か月のOSをもたらした( Garcia-Carbanero,R.et al.2014.An Open-Label Phase II Study Evaluating the Safety and Efficacy of Ramucirumab combined with mFOLFOX-6 as First-Line Therapy for Metastatic Colorectal Cancer.The Oncologist,V.19,pp.350-1)。
間質表現型に基づいて患者を特定することにより、CRCでの抗血管新生療法の恩恵を示すために、臨床試験を実施する。RNA遺伝子シグネチャーは、ナビシキズマブおよび化学療法(例えば、フォルフォックス、フォルフィリ、など)で治療の前に、生検試料から分析される。間質表現型は、ORR、PFS、およびOSと相関する。分析には、ファーストライン設定でのナビシキズマブおよび化学療法で治療された40人の結腸直腸癌患者が含まれる。表19に示すように、データは、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)TME表現型に比べて、血管新生(A)および免疫抑制(IS)TME表現型が、ナビシキズマブおよび化学療法に対して最も高い応答性であることを示す。
Figure 2024511166000030
実施例8
抗VEGF療法第I相/II相試験
本実施例は、本開示による患者のTME表現型に基づいて、抗血管新生薬抗体(例えば、VEGFに特異的なモノクローナル抗体または抗DLL4モノクローナル抗体)および/または二重特異性抗体(例えば、抗VEGF/抗DLL4二重特異性ナビシキズマブ)と一緒に、活性を高めるためのVEGFに関連する1種の成分を単剤として、または化学療法などの標準治療と組み合わせて使用することに関する。
本実施例は、少なくとも2種の標準化学療法剤の事前レジメン後の結腸または直腸の難治性腺癌の患者における抗VEGF療法単独または標準治療と組み合わせた非盲検、第I相/II相試験を記載する(例えば、サードライン)。試験は、米国、欧州連合、およびアジアを含む、世界中の約10施設で実施される。試験の目的は、以前の結果に比べて、単剤療法抗VEGF治療または併用療法が安全で、臨床的に意味のある改善であるかどうかを知ることである。VEGF治療またはVEGFとの併用療法に対するバイオマーカー陽性亜群(AおよびIS)の予測的結果の可能性を含めることは、RUO(研究用使用のみ)シナリオにおいて臨床的に有意義である。
試験産物、投与量、および投与方法は、以下の通りで、臨床的プロトコルに従って静脈内(IV)注入として投与される。
最近の生検材料由来のホルマリン固定組織を、HTG Molecular Diagnostics(Tucson,Arizona,USA)、QIAGEN(Manchester,UK)、Exact Sciences(Madison,WI)、またはAlmac(Craigavon,Northern Ireland,UK)などのRNAシークエンシング会社により確立されたプロトコルに従って、RNA配列生成に使用する。TME表現型がAまたはISである患者は、抗VEGF治療または抗VEGF二重特異性または併用療法から恩恵を受けることになろう。
実施例9
抗VEGF療法第III相試験
本実施例は、少なくとも1種の標準化学療法(例えば、セカンドラインまたはサードライン)による事前レジメン後の結腸または直腸の難治性腺癌の患者での単独または標準治療と組み合わせた抗VEGF療法(例えば、VEGFに対して特異的なモノクローナル抗体または抗DLL4モノクローナル抗体、および/または二重特異性抗体,例えば、抗VEGF/抗DLL4二重特異性ナビシキズマブ)による以前の例の適応症の1つに対する、層別化ツール、即ち、IUO(試験責任医師使用のみ)として、本開示の方法を用いた第III相の主要な試験について記載する。
実施例10
局所進行性/転移性胃癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、免疫チェックポイント阻害剤および抗血管新生薬によるメンテナンス設定における臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者が初期化学療法後のメンテナンス設定での免疫チェックポイント阻害剤または抗血管新生療法で治療される場合、局所進行性または転移性の胃癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、4つの治療群(各群60人の患者)全体にわたる240人の患者由来の試料を含む。全ての患者は、ファーストライン化学療法を受け、安定またはより良好を達成した患者は、後続治療のために次の4つの治療群に無作為化される:1)調査監視のみ(療法の投与なし)、2)化学療法、3)免疫チェックポイント阻害剤、4)化学療法+抗血管新生薬。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。データは、この患者集団では、免疫活性(IA)TME表現型がチェックポイント阻害治療に対する応答および臨床的有用性を高めること、および血管新生(A)TME表現型が、化学療法+抗血管新生療法に対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
胃癌患者は、ファーストライン化学療法(例えば、白金/フルオロウラシル)に対する安定または応答後に、調査監視のみ、または続けて化学療法(例えば、カペシタビン)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)両方、または抗血管新生療法(例えば、抗VEGFまたは抗VEGFR2)と組み合わせた化学療法の投与に無作為化される。免疫チェックポイント阻害剤または化学療法および抗血管新生薬の組み合わせの使用は、化学療法または調査監視単独に比べて、進行型胃癌患者で、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を増大させる。TME表現型は、ORR、および12週PFS、および全生存期間と相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しい出現になるようにそれぞれの治療群に60人(治療群当り各表現型に15人)として240人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表20で示されるように、免疫活性(IA)患者は、免疫チェックポイント療法の使用により、血管新生(A)、免疫抑制(IS)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。表21で示されるように、血管新生(A)患者は、化学療法および抗血管新生療法の組み合わせの使用は、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。
Figure 2024511166000031

実施例11
以前に未治療の胃癌患者からの腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、抗血管新生薬によるメンテナンス設定における臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者が手術前後の設定で、化学療法単独または抗血管新生療法と組み合わせて治療される場合、局所進行性または転移性の胃癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの治療群(各群100人の患者)全体にわたる200人の患者由来の試料を含む。患者は、化学療法または化学療法と抗血管新生薬の組み合わせを手術の前に9週間、およびそれらの原発性胃腫瘍の外科的切除後、追加して9週間受ける。RNA遺伝子シグネチャーは、腫瘍切除試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。データは、バイオマーカー陽性血管新生TME表現型(AおよびIS)は、抗血管新生療法と組み合わせた化学療法に対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
胃癌患者は、化学療法(例えば、エピルビシン/シスプラチン/カペシタビンなど)または化学療法と抗血管新生療法(例えば、抗VEGFまたは抗VEGFR2)の組み合わせの9週術前/9週術後レジメンに無作為化される。化学療法および抗血管新生薬の使用は、化学療法単独に比べて、進行型胃癌患者で、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を増大させる。TME表現型は、手術前後のRECIST ORR、病理学的応答および全生存期間と相関し、ならびに、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように、それぞれの治療群に100人(治療群当り各表現型に25人)として、200人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表22で示されるように、血管新生(A)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性である腫瘍は、化学療法および抗血管新生療法の組み合わせの使用は、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスで表されるバイオマーカー陰性に分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。
実施例12
局所進行性/転移性胃癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤およびバビツキシマブによるファーストライン設定での臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者がファーストライン設定で、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤、およびバビツキシマブで治療される場合、局所進行性または転移性の胃癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの治療群(各群60人の患者)全体にわたる120人の患者由来の試料を含む。患者は、(i)化学療法および免疫チェックポイント阻害剤、または(ii)化学療法、免疫チェックポイント阻害剤、およびバビツキシマブを受けるように無作為化される。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)TME表現型が、化学療法、免疫チェックポイント阻害、およびバビツキシマブ治療からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
胃癌患者は、化学療法(即ち、カペシタビン、5-FU、シスプラチンなど)+免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のレジメン、または化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/バビツキシマブのレジメンを受けるように無作為化される。表23で示されるように、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/バビツキシマブの組み合わせは、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤単独のレジメンに比べて、進行型胃癌患者の奏効率(ORR)、6か月無増悪生存率(PFS)および全生存期間(OS)を増大させる。TME表現型は、ORR、および6か月PFS、および全生存期間(OS)と相関し、ならびに、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するようにそれぞれの治療群に60人(治療群当り各表現型に15人)として、120人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表24で示されるように、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)患者は、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/バビツキシマブレジメンの使用により、血管新生(A)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例13
局所進行性/転移性胃癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤およびナビシキズマブによるファーストライン設定での臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者がファーストライン設定で、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤、およびナビシキズマブで治療される場合、局所進行性または転移性の胃癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの治療群(各群60人の患者)全体にわたる120人の患者由来の試料を含む。患者は、(i)化学療法および免疫チェックポイント阻害剤、または(ii)化学療法、免疫チェックポイント阻害剤、およびナビシキズマブを受けるように無作為化される。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)TME表現型が、化学療法、免疫チェックポイント阻害、およびナビシキズマブ治療からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
胃癌患者は、化学療法(例えば、カペシタビン、5-FU、シスプラチンなど)+免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、例えば、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のレジメン、または化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブのレジメンを受けるように無作為化される。表25で示されるように、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブの組み合わせは、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤単独のレジメンに比べて、進行型結腸直腸癌患者の奏効率(ORR)、6か月無増悪生存率(PFS)および全生存期間(OS)を増大させる。TME表現型は、ORR、および6か月PFS、および全生存期間(OS)と相関し、ならびに、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するようにそれぞれの治療群に60人(治療群当り各表現型に15人)として、120人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表26で示されるように、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)患者は、化学療法/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブのレジメンの使用により、免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例14
局所進行性/転移性HER2陰性乳癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、ナビシキズマブ/化学療法またはナビシキズマブ/PARP阻害剤の組み合わせによるセカンドライン設定での臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者がセカンドライン設定で、ナビシキズマブ/化学療法またはナビシキズマブ/PARP阻害剤の組み合わせで治療される場合、局所進行性/転移性HER2陰性乳癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの治療群(各群60人の患者)全体にわたる120人の患者由来の試料を含む。患者は、ナビシキズマブ/化学療法(BRCA WTおよびホルモン受容体陽性)またはナビシキズマブ/PARP阻害剤(BRCA変異体またはER/PR/HER2に対し三種陰性)を受ける。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答および無増悪生存期間を追跡調査される。データは、免疫抑制(IS)および血管新生(A)TME表現型を含むバイオマーカー陽性群がナビシキズマブのレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
BRCA WT/ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳癌患者は、ナビシキズマブ+化学療法(例えば、カペシタビン、など)のレジメンを受ける。BRCA 変異体またはER/PR/HER2に対する三種陰性乳癌患者は、ナビシキズマブ+化学療法(例えば、ルカパリブ、オラパリブ、など)のレジメンを受ける。TME表現型は、ORR、およびPFSと相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するようにそれぞれの治療群に60人(治療群当り各表現型に15人)として、120人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表27および表28で示されるように、血管新生(A)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性腫瘍における、ナビシキズマブの組み合わせの使用は、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスで表されるバイオマーカー陰性に分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例15
去勢抵抗性転移性の前立腺癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、ナビシキズマブ/化学療法またはナビシキズマブ/PARP阻害剤の組み合わせによるサードライン設定での臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者がサードライン設定で、ナビシキズマブ/化学療法またはナビシキズマブ/PARP阻害剤の組み合わせで治療される場合、去勢抵抗性転移性の前立腺癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの治療群(各群40人の患者)全体にわたる80人の患者由来の試料を含む。患者は、ナビシキズマブ/化学療法(BRCA WT)またはナビシキズマブ/PARP阻害剤(BRCA変異体)を受ける。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。データは、免疫抑制(IS)および血管新生(A)TME表現型を含むバイオマーカー陽性群がナビシキズマブのレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
BRCA WT前立腺癌患者は、ナビシキズマブ+化学療法(例えば、ドセタキセル、カバジタキセル、など)のレジメンを受ける。BRCA変異体前立腺癌患者は、ナビシキズマブ+PARP阻害剤(例えば、ルカパリブ、オラパリブ、など)のレジメンを受ける。TME表現型は、ORR、PFSおよびOSと相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するようにそれぞれの治療群に40人(治療群当り各表現型に10人)として、80人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表29および表30で示されるように、血管新生(A)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性腫瘍における、ナビシキズマブの組み合わせの使用は、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスで表されるバイオマーカー陰性に分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例16
進行型転移性肝細胞癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤によるファーストライン設定での臨床応答と相関する
単一アーム第2相臨床試験を実施して、患者がファーストライン設定で、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、進行型転移性の肝細胞癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、28人の患者由来の試料を含む。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)TME表現型からなるバイオマーカー陽性腫瘍が、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
肝細胞癌患者は、バビツキシマブ+免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のレジメンを受ける。バビツキシマブ/免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせは、免疫チェックポイント阻害剤単独による以前のデータ(15%ORR、約40%6か月PFS、および17か月OS)に比べて、進行型肝細胞癌の患者の奏効率(ORR、約32%)、6か月無増悪生存率(6か月PFS、約57.2%)および全生存期間(OS、約20か月)を増大させる。TME表現型は、ORR、および6か月PFS、および全生存期間(OS)と相関し、ならびに、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように(各表現型に7人として)、28人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表31で示されるように、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性の患者は、バビツキシマブ/免疫チェックポイント阻害剤のレジメンの使用により、血管新生(A)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスからなるバイオマーカー陰性として分類される患者に比べて、恩恵が与えられる。
実施例17
再発性/転移性の頭頸部扁平上皮癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、免疫チェックポイント阻害剤に対して進行後のバビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤による臨床応答と相関する
単一アーム第2相臨床試験を実施して、患者が免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、など)に対して進行後に、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤で治療される場合、再発性/転移性の扁平上皮癌腫(HNSCC)腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、28人の患者由来の試料を含む。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答、無増悪生存期間、および全生存期間を追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)TME表現型からなるバイオマーカー陽性腫瘍が、バビツキシマブおよび免疫チェックポイント阻害剤からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
HNSCC患者は、バビツキシマブ+免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のレジメンを受ける。TME表現型は、ORR、PFS、および全生存期間(OS)と相関し、ならびに、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように(各表現型に7人として)、28人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表32で示されるように、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性患者は、血管新生(A)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスからなるバイオマーカー陰性として分類される患者に比べて、バビツキシマブ/免疫チェックポイント阻害剤のレジメンの使用により、恩恵が与えられる。
実施例18
メラノーマ腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、免疫チェックポイント阻害剤でネオアジュバント治療後のアジュバントバビツキシマブおよび放射線照射による臨床応答と相関する
単一アーム第2相臨床試験を実施して、患者がネオアジュバント免疫チェックポイント阻害剤治療およびステージ2bリンパ節の外科的切除後のアジュバントバビツキシマブおよび放射線照射で治療される場合、メラノーマ腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、20人の患者由来の試料を含む。RNA遺伝子シグネチャーは、外科的切除として取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、ORRを追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)TME表現型からなるバイオマーカー陽性腫瘍が、バビツキシマブおよび放射線照射からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す。
メラノーマ患者は、ネオアジュバント免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法コースを受け、それらのステージ2bリンパ節が切除される。放射線照射およびバビツキシマブは、アジュバント療法として投与される。切除腫瘍試料からのTME表現型は、ORRと相関する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように(各表現型に5人として)、20人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表33で示されるように、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)表現型により表されるバイオマーカー陽性患者は、血管新生(A)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスからなるバイオマーカー陰性として分類される患者に比べて、バビツキシマブ/放射線照射のレジメンの使用により恩恵が与えられる。
実施例19
肝臓転移性の進行型結腸直腸癌に対する腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、ナビシキズマブ、自然免疫活性化剤および免疫チェックポイント阻害剤の3剤併用療法からの臨床的有用性と相関する
第2相臨床試験を実施して、ナビシキズマブ、自然免疫活性化剤、およびPD-(L)1剤の3剤併用療法で治療された、肝臓転移性の進行型結腸直腸癌(mCRC)の患者における臨床的有用性を判定する。この設定では、レゴラフェニブまたはトリフルリジン(trifluridine)/チピラシル療法は、約2が月のPFS中央値(mPFS)および約7か月のOS中央値(mOS)を与える。データは、肝臓転移を有するサードラインまたはそれより高次(「3L+」)の、以前のベバシズマブ(bevacizumab)(AVASTIN(登録商標))および/またはEGFR標的療法に失敗し、MSS+(即ち、マイクロサテライト安定)である、mCRC患者の40%もの多くが、ID表現型を有し、標準化学療法的または免疫的手法から恩恵を受けることができないことを示している。分析には、肝臓転移性の病変のTME表現型をA、IA、ISまたはIDとして分類する将来を見越して定義された後ろ向き分析を有する60人の患者の登録が含まれる。
肝臓転移を有するMSS+進行型結腸直腸癌患者(3L+)は、ナビシキズマブ、抗PD(L)1療法、およびデクチンアゴニストインプライムPGG、STINGアゴニストBMS-986301、またはNLRアゴニストBMS-986299などの自然免疫刺激剤の3剤併用療法で治療される。ORR、mPFS、3か月PF、mOSおよび9か月OS率が全TME表現型にわたり評価される。表34は、前向き分析の結果を報告する。IDクラス患者は、3L+mCRCに対するレゴラフェニブまたはトリフルリジン/チピラシルによる標準治療よりも大きな臨床的有用性を受けた。
実施例20
白金抵抗性または白金感受性再発性卵巣癌腫瘍微小環境RNAシグネチャーは、PARP阻害剤、およびナビシキズマブによる臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者が、PARP阻害剤およびナビシキズマブで治療される場合に、PARPにナイーブな患者または以前にPARP阻害剤に対し進行した患者で、卵巣癌腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの異なるコホート(1つは、PARP阻害剤にナイーブな患者からなり、1つは、PARP抵抗性患者からなる)由来の試料を含む。それぞれのコホートからの40人の患者が2つの異なる治療群(各群20人の患者)に無作為化される。患者は、ナビシキズマブと組み合わせたPARP阻害剤もしくはPARP阻害剤単剤療法(PARPにナイーブなコホート)またはナビシキズマブと組み合わせたPARP阻害剤もしくはナビシキズマブ単剤療法(PARP抵抗性コホート)を受けるように無作為化される。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答を追跡調査される。データは、このPARPナイーブ患者およびPARP抵抗性患者では、抑制(IS)、および血管新生(A)TME表現型が、PARPナイーブ患者およびPARP抵抗性患者における、ナビシキズマブ単剤療法またはPARP阻害剤治療と組み合わせたレジメンに対する応答を高めることを示す。
卵巣癌患者は、PARP阻害剤(オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、など)+ナビシキズマブ、PARP単剤療法(PARPナイーブ)またはナビシキズマブ単剤療法レジメンを受けるように無作為化される。表35に示すように、PARPナイーブおよびPARP抵抗性コホートの両方で、PARP阻害剤/ナビシキズマブの組み合わせは、ナビシキズマブ単独に比べて、再発性卵巣癌の患者で奏効率が増大する。TME表現型は、ORRと相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように2つのコホートのそれぞれの治療群に20人(治療群当り各表現型に5人)として、80人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表36で示されるように、免疫抑制(IS)、血管新生(A)患者は、PARPi/ナビシキズマブのレジメンの使用により、免疫活性(IA)および免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例21
白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌微小環境RNAシグネチャーは、PARP阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤およびナビシキズマブによる臨床応答と相関する
臨床試験を実施して、患者が、白金系化学療法に対して再発後に、PARP阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、およびナビシキズマブで治療される場合、三種陰性乳癌(TNBC)腫瘍微小環境表現型が臨床応答と相関するかどうかを判定する。分析は、2つの異なるコホート(1つは、白金感受性患者からなり、1つは、白金抵抗性患者からなる)由来の試料を含む。それぞれのコホートからの40人の患者が2つの異なる治療群(各群20人の患者)に無作為化される。患者は、(i)PARP阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤、または(ii)PARP阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、およびナビシキズマブを受けるように無作為化される。RNA遺伝子シグネチャーは、治療の前に取得された腫瘍試料から分析され、TME表現型が特定される。患者は、臨床応答を追跡調査される。白金感受性および白金抵抗性患者の両コホートでは、データは、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)TME表現型が、PARP阻害剤、免疫チェックポイント阻害、およびナビシキズマブ治療からなるレジメンに対する応答を高めることを示す。
TNBC患者は、PARP阻害剤(オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、など)+免疫チェックポイント阻害剤(抗PD(L)1、即ち、PD-1またはPD-L1に対する阻害剤)療法のレジメン、またはPARP阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブのレジメンを受けるように無作為化される。表37に示すように、白金感受性および白金抵抗性コホートの両方で、PARP阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブの組み合わせは、PARP阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤単独のレジメンに比べて、TNBC患者の奏効率が増大する。TME表現型は、ORRと相関し、どの患者が恩恵を受け、どの患者が恩恵を受けないかを予測する。4種の間質表現型にわたり等しく出現するように2つのコホートの2つのコホートのそれぞれの治療群に20人(治療群当り各表現型に5人)として、80人の患者が登録される。各TME表現型間の相関が臨床転帰データに対して試験される。表38で示されるように、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)患者は、PARPi/免疫チェックポイント阻害剤/ナビシキズマブのレジメンの使用により、免疫砂漠(ID)TME表現型クラスに分類された患者に比べて、恩恵が与えられる。

実施例22
メラノーマにおけるビドゥトリモドおよびCPI併用療法
メラノーマの第1相臨床試験を行った。患者は難治性で、少なくとも1つのCPI標的療法のラインで進行した。コホートは、ビドゥトリモド、TLR9アゴニスト(CMP-001、Checkmate Pharmaceuticals、は、Cytos AgからのCyt003であった)およびペムブロリズマブの組み合わせを受け、前処理試料をコア針生検経由で採取し、RNA抽出のための処理の前に、FFPEスライドとして保存した。遡及的に、ANN法を介して、TMEパネル1コールを決定した(表39、表40、および図10)。
治療薬仮説は、CPIで重度に前治療されて、難治性の多くの患者は、免疫抑制されるTME(TMEコールISを有する)を有し、免疫応答の回復から恩恵を受けるであろう。免疫調節剤ビドゥトリモドは、自然免疫応答を開始し、IS患者の腫瘍微小環境の免疫成分を、応答できるように変えることができる。従って、IS群における免疫調節剤ビドゥトリモドおよびCPI併用療法は、最大の応答を有するであろう(表40)。このクラスの追加の免疫調節剤の例は、ProMune CpG7909(PF3512676)、SD-101、1018 ISS,IMO-2123、リテニモド(Litenimod)、MIS416、コビトリモド(Cobitolimod)、インプライムPGG(オデチグルカン)、イミキモド、フィンゴリモド、チルソトリモド、およびBL-7040である。

実施例23
転移性CRCにおけるフォルフォックス、フォルフィリ、またはイリノテカンと併用したDLL4およびVEGFアンタゴニスト
転移性CRCの臨床試験を、試験責任医師の選択によるイリノテカン、フォルフォックス、またはフォルフィリ、または標準治療である別の化学療法剤と組み合わせた抗DLL4/ナビシキズマブ、ABT-165、またはCTX-009などの抗VEGFアンタゴニストを用いて実施した。患者のTMEパネル1バイオマーカー状態に基づいて、AまたはIS患者、またはAまたはISであるTMEスコアに関しバイオマーカー陽性であると定義される患者、または潜在プロット中で血管新生軸の上側の患者は、化学療法剤と組み合わせた抗DLL4/抗VEGFアンタゴニストから最も高い臨床的恩恵を受け、ほとんどのIAまたはID患者は、進行すると予測され、従って、それらのTME群に適切な治療を受ける(表41)。
実施例24
神経膠腫および神経膠芽腫におけるバビツキシマブ、CPI、および放射線照射
臨床試験を実施して、放射線照射、ホスファチジルセリン(抗PS)標的化抗体バビツキシマブ、およびPD-(L)1などのチェックポイント阻害剤(CPI)、例えば、ペムブロリズマブまたはニボルマブの組み合わせにより転移性神経膠腫および神経膠芽腫を治療する。神経膠芽腫の外科的切除からの腫瘍組織試料のRNA配列を決定し、TME表現型を特定する。患者は、ORRを追跡調査される。この患者集団では、データは、免疫活性(IA)および免疫抑制(IS)TME表現型からなるバイオマーカー陽性腫瘍が、バビツキシマブ、チェックポイント阻害剤、および放射線照射からなるレジメンに対する応答および臨床的有用性を高めることを示す(表42)。
実施例25
抗血管新生およびチェックポイント阻害剤併用療法/バスケット試験
バスケット試験は、セカンド、サード、またはフォースライン、またはさらに高次の設定により固形腫瘍で開始される。固形腫瘍の外科的切除からの腫瘍組織試料のRNA配列を決定し、TME表現型を特定する。患者は、ORRを追跡調査される。データは、免疫活性(IA)、免疫抑制(IS)および血管新生(A)表現型からなるバイオマーカー陽性である腫瘍は、抗PD-1もしくは抗PD-L1チェックポイント阻害剤(CPI)と、または二重特異的免疫グロブリンもしくは抗VEGFアンタゴニストの修飾免疫グロブリンおよびCPIと組み合わせて、ナビシキズマブ、ABT-165、もしくはCTX-009、またはベバシズマブ、ラムシルマブ、もしくはバリサクマブなどの抗DLL4/抗VEGFアンタゴニストで治療される患者で応答および臨床的有用性が高められることを示す。
実施例26
免疫砂漠患者における腫瘍ワクチンおよび/または化学療法標準治療
結腸直腸癌、乳癌、三種陰性乳癌、前立腺癌、肝臓癌、メラノーマ、頭頸部癌、または胃癌(原発性腫瘍および転移性)の、1つまたは2つのラインの前治療に対し進行した患者に対するバスケット臨床試験が、進行後のTME状態に基づいて選択される。TMEパネル1状態が免疫砂漠(ID)である患者は、試験責任医師選択の標準治療化学療法剤および/またはワクチンで治療され、後者は、例えば、AST-301(pNGVL3-hICD)、NeoVax、Proscavax、個別化ワクチン、α-ラクトアルブミンワクチン、P10s-PADRE、OncoVax、PVX-410、Galinpepimut-S、GRT-C903/GRT-C904、KRASペプチドワクチン、pING-hHER3FL、GVAX、INCAGN01876、または遺伝的に操作されていない、生きた免疫細胞免疫療法(非限定的例はAlloStim)である。生検材料は、治療の2か月後に採取され、患者のTMEパネル1状態が再評価される。IDからIAの遷移状態の患者は、免疫療法で治療され、応答する。ID群中に残る患者は、応答する可能性のない、さらなる見込みのない療法、例えば、免疫療法または抗血管新生療法から免れる。
実施例27
マスタープロトコル下のバスケット試験または複合試験における層別化戦略
マスタープロトコル下の固形腫瘍のバスケット試験または複合試験では、患者は、事前に決められた無作為化比率などの手法を用いて、または優先順位付与バイオマーカーにより、治療群(即ち、サブスタディ)に割り当てられる。事前に決められた無作為化比率の例は、低発生率バイオマーカーを有する患者が、より低い発生率集団に対するサブスタディに割り当てられる可能性がより高い、逆発生率を使用する場合であろう。バイオマーカー優先順位付与手法の例は、試験責任医師が、バイオマーカー群をそれらの予測値に基づいて順位付けし、患者のバイオマーカープロファイルが最も高い予測値を有する治療群に患者を割り当てることである。TME表現型またはバイオマーカー状態(即ち、IA、IS、ID、A、A+IA、A+IS、またはバイオマーカー陽性)は、他のバイオマーカーに対し優先順位を付与されるか、またはMSS状態またはPD-L1などの他のバイオマーカーと組み合わせて使用される。
実施例28
選択進行型固形腫瘍の患者におけるナビシキズマブ単剤療法またはパクリタキセルもしくはイリノテカンとの併用療法の第2相多施設非盲検バスケット試験
信号発見第2相臨床試験の後ろ向き分析を行う。30人の患者由来の患者試料による、結腸直腸癌、三種陰性乳癌、胃癌、および卵巣癌の進行型固形腫瘍患者のナビシキズマブ単剤療法または化学療法剤パクリタキセルもしくはイリノテカンとの併用療法の第2相多施設非盲検バスケット試験。ナビシキズマブ単剤療法を受けたAおよびIS混合群の患者は、40%を超えるORRを有する。ナビシキズマブ単および化学療法剤を受けたAおよびIS混合群の患者は、50%を超えるORRを有する。
実施例29
NSCLC腫瘍微小環境シグネチャーは、チスレリズマブおよび化学療法剤による臨床応答に相関する
化学療法剤ペメトレキセドおよび白金薬剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)と組み合わせた抗PD-1チェックポイント阻害剤チスレリズマブを用いた非小細胞肺癌(NSCLC)の第3相臨床試験からの100個のRNAシグネチャーの後ろ向き分析がANN法を用いて実施される。後ろ向き分析(間質表現型への層別化をしない)の前に、PFSは、化学療法単独に比べて、チスレリズマブ+化学療法で優位に長期間であった(PFS中央値:7.6か月に対し9.7か月;ハザード比=0.645)(Lu et al.,2021,Journal of Thoracic Oncology,V.16,pp.1512-1522)。後ろ向きANN分析後に、バイオマーカー陽性群(IAまたはIS)は、チスレリズマブと化学療法の併用療法で、15.0か月のPFSを有することが示される。
発明の概要および要約セクションを除く、詳細説明セクションは、実施形態を解釈するために使用されることが意図されていることは理解されるべきである。発明の概要および要約セクションは、本発明の全てではなく、1つまたは複数の本発明により意図されている例示的実施形態を記載し得るものであり、従って、本発明および添付実施形態を多少なりとも限定する意図はない。
本発明は、特定機能の実施態様およびそれらの関連性を例示する機能的構成単位を使用してこれまで記載されてきた。これらの機能的構成単位の境界は、説明の便宜のために本明細書で適宜定義されている。別の境界は、特定の機能およびそれらの関連性が適切に実施される限り、定義できる。
前述の特定の実施形態の記載は、当該技術の範囲内の知識を適用することにより、他者が、過度の実験をすることなく、また本発明の一般的概念から逸脱することなく、様々な用途に向けてこのような特定の実施形態を容易に修正および/または適合させることができるという本発明の一般的性質を完全に明らかにしている。従って、このような適合および修正は、本明細書で提示された教示および手引きに基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲に入ることが意図されている。本明細書の用語または表現が教示および手引きを考慮して当業者により解釈され得るように、本明細書の表現または用語は、説明を目的とし、限定を目的とするものではないことを理解されたい。
本発明の広がりと範囲は、上述した例示的実施形態によって限定されるべきではなく、次の実施形態およびそれらの等価物によってのみ定められるべきものである。
本出願を通して引用され得る全ての参考文献(文献、特許、特許出願、およびウェブサイトを含む)の内容は、2021年3月25日に公的に入手可能な版のその中で引用された参考文献と同様に、目的に応じて、明示的にそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。データベース受入番号により特定されるタンパク質および核酸配列および当該データベース項目に含まれるその他の情報(例えば、特定のジェンバンク受入番号に該当するデータベース項目中の非配列関連内容)は、参照により組み込まれ、2021年3月25日に公的に入手可能な当該データベース公開に対応する。

Claims (17)

  1. 癌に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、TME表現型クラス特異的療法を前記対象に投与するステップを含み、前記投与の前に、人工神経回路網(ANN)分類子を前記対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することによりTME表現型クラスが決定され、前記癌腫瘍が、IS(免疫抑制)、A(血管新生)、IA(免疫活性)、ID(免疫砂漠)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられる、方法。
  2. 癌に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、
    (i)ANN分類子を、前記対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップであって、前記癌腫瘍が、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられるステップ、および、
    (ii)TME表現型クラス特異的療法を前記対象に投与するステップ、
    を含む方法。
  3. TME表現型クラス特異的療法による治療に好適する癌に罹患しているヒト対象を特定する方法であって、ANN分類子を前記対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用するステップを含み、前記癌腫瘍が、IS、A、IA、ID、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるTME表現型クラスに割り当てられ、前記割り当てられたTME表現型クラスが、癌を治療するためにTME表現型クラス特異的療法を投与できることを示す、方法。
  4. 前記ANN分類子が、
    (a)2~100個のノードを含む入力層であって、前記入力層中の各ノードは、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の遺伝子に対応し、前記遺伝子パネルが、(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または(iv)図9A~Gで開示の前記遺伝子パネル(遺伝子セット)のいずれか、を含む、前記入力層;
    (b)2個のノードを含む隠れ層;および
    (c)4個の出力ノードを含む出力層であって、前記出力層中の前記4個の出力ノードのいずれか1個が、TME表現型クラスに対応し、前記4つのTME表現型クラスは、IA、IS、ID、およびAである、前記出力層、を含み、
    および、場合により、ソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分析分類子を前記ANNの出力に適用することをさらに含み、前記ソフトマックス関数が、各TME表現型クラスに確率を割り当てる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記TME表現型クラス特異的療法は、
    (i)GITR、OX-40、ICOS、4-1BBに対する抗体分子、またはこれらの組み合わせなどの刺激性免疫チェックポイント分子の活性化剤;
    (ii)RORγアゴニスト;
    (iii)PD-1に対する抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042またはこれらの抗原結合部分)、PD-L1に対する抗体(例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、CX-072、LY3300054、またはこれらの抗原結合部分)、PD-L2に対する抗体、またはCTLA-4に対する抗体、などの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の、単独もしくはこれらの組み合わせ、またはTIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-β、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80、またはCD86の阻害剤との組み合わせ;または
    (iv)これらの組み合わせ、
    を投与するステップを含む、チェックポイントモジュレーター療法を含むIA TME表現型クラス特異的療法である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記TME表現型クラス特異的療法は、
    (1)チェックポイントモジュレーター療法および抗免疫抑制療法、および/または
    (2)抗血管新生療法、
    を投与するステップを含む、ISクラスTME療法であり、
    前記チェックポイントモジュレーター療法は、
    (i)ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、TSR-042、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-1に対する抗体;
    (ii)アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、これらの抗原結合部分、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるPD-L1に対する抗体;
    (iii)PD-L2に対する抗体またはその抗原結合部分;
    (iv)イピリムマブおよび二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)から選択されるCTLA-4に対する抗体;または
    (v)これらの組み合わせ、を含む阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤を投与するステップを含み、
    前記抗血管新生療法は、
    (a)バリサクマブ、ベバシズマブ、ナビシキズマブ(抗DLL4/抗VEGF二重特異性)、ABL101(NOV1501)(抗DLL4/抗VEGF)、ABT165(抗DLL4/抗VEGF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される抗VEGF抗体;
    (b)ラムシルマブを含む、抗VEGFR2抗体;または、
    (c)これらの組み合わせ、を投与するステップを含み、
    および前記抗免疫抑制療法は、
    (a)抗PS抗体、抗PS標的化抗体、β2糖タンパク質1に結合する抗体、PI3Kγの阻害剤、アデノシン経路阻害剤、IDOの阻害剤、TIMの阻害剤、LAG3の阻害剤、TGFβの阻害剤、CD47阻害剤、またはこれらの組み合わせ、を投与するステップであって、
    前記抗PS標的化抗体は、バビツキシマブであるか、またはβ2糖タンパク質1に結合する抗体であり;
    前記PI3Kγ阻害剤は、LY3023414(サモトリシブ)またはIPI-549であり;前記アデノシン経路阻害剤は、AB-928であり;前記TGFβ阻害剤は、LY2157299(ガルニセルチブ)または前記TGFβR1阻害剤は、LY3200882であり;前記CD47阻害剤は、マグロリマブ(5F9)であり;および、前記CD47阻害剤はSIRPαを標的にするステップ;
    (b)TIM-3、LAG-3、BTLA、TIGIT、VISTA、TGF-βまたはその受容体の阻害剤、LAIR1、CD160、2B4、GITR、OX40、4-1BB、CD2、CD27、CDS、ICAM-1、LFA-1、ICOS、CD30、CD40、BAFFR、HVEM、CD7、LIGHT、NKG2C、SLAMF7、NKp80の阻害剤、CD86のアゴニストまたはこれらの組み合わせ;または
    (c)これらの組み合わせ、を投与するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記TME表現型クラス特異的療法は、
    (i)VEGF標的療法、アンジオポエチン1(Ang1)の阻害剤、アンジオポエチン2(Ang2)の阻害剤、DLL4の阻害剤、抗VEGFおよび抗DLL4の二重特異性、TKI阻害剤、抗FGF抗体、抗FGFR1抗体、抗FGFR2抗体、FGFR1を阻害する小分子、FGFR2を阻害する小分子、抗PLGF抗体、PLGF受容体に対する小分子、PLGF受容体に対する抗体、抗VEGFB抗体、抗VEGFC抗体、抗VEGFD抗体、アフリベルセプトまたはziv-アフリベルセプトなどのVEGF/PLGF捕捉分子に対する抗体、抗DLL4抗体、γセクレターゼの阻害剤などの抗ノッチ療法、またはこれらの任意の組み合わせであって、TKI阻害剤は、カボザンチニブ、バンデタニブ、チボザニブ、アキシチニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、フルキンチニブ(fruquintinib)、パゾパニブ、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、前記VEGF標的療法は、(a)バリサクマブ、ベバシズマブ、これらの抗原結合部分、またはこれらの組み合わせを含む抗VEGF抗体;(b)ラムシルマブ、またはその抗原結合部分を含む抗VEGFR2抗体;または、(c)これらの組み合わせを投与するステップを含み;
    (ii)エンドグリンおよび/またはアンジオポエチンを含むアンジオポエチン/TIE2標的療法;または
    (iii)ナビシキズマブ、ABL101(NOV1501)、ABT165、またはこれらの組み合わせを含むDLL4標的療法を投与することを含む、A TME表現型クラス特異的療法である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記TME表現型クラス特異的療法は、
    免疫応答を開始させる療法の投与と同時に、またはその後に、チェックポイントモジュレーター療法を投与するステップを含む、ID TME表現型クラス特異的療法であり、前記チェックポイントモジュレーター療法が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4に対する抗体、またはこれらの組み合わせなどの阻害性免疫チェックポイント分子の阻害剤の投与を含み、免疫応答を開始させる前記療法が、ワクチン、CAR-T、または新エピトープワクチンであり、
    (i)前記抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、PDR001、CBT-501、CX-188、シンティリマブ、チスレリズマブ、もしくはTSR-042、またはこれらの抗原結合部分を含み;
    (ii)前記抗PD-L1抗体は、アベルマブ、アテゾリズマブ、CX-072、LY3300054、デュルバルマブ、またはこれらの抗原結合部分を含み;および
    (iii)前記抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたは二重特異的抗体XmAb20717(抗PD-1/抗CTLA-4)、またはこれらの抗原結合部分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  9. (a)化学療法を投与するステップ;(b)手術を実施するステップ;(c)放射線療法を投与するステップ;または、(d)これらの任意の組み合わせ、をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記癌が再発性、難治性、転移性、dMMR、またはこれらの組み合わせである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記癌が、
    (i)局所進行性、転移性の胃癌、または以前に未治療の胃癌などの胃癌;
    (ii)局所進行性、三種陰性乳癌、または転移性のHER2陰性乳癌などの乳癌;
    (iii)去勢抵抗性転移性前立腺癌などの前立腺癌;
    (iv)進行型転移性の肝細胞癌などの肝臓癌;
    (v)再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌などの頭頸部癌;
    (vi)転移性メラノーマなどのメラノーマ;
    (vii)肝臓に転移性の進行型結腸直腸癌などの結腸直腸癌;
    (viii)白金抵抗性卵巣癌または白金感受性再発性卵巣癌などの卵巣癌;
    (ix)転移性神経膠腫などの神経膠腫;
    (x)非小細胞肺癌(NSCLC)などの肺癌;および
    (xi)神経膠芽腫からなる群より選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  12. TME表現型クラス特異的療法の投与が、
    (i)前記投与前の癌負荷量に比べて、前記癌負荷量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、または50%の低減;
    (ii)前記TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月、または少なくとも約1、2、3、4、または5年間の無増悪生存期間;
    (iii)前記TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の安定;
    (iv)前記TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の部分応答;
    (v)前記TME表現型クラス特異的療法の最初の投与後、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約18か月、約2年、約3年、約4年、または約5年間の完全奏功;
    (vi)TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の無増悪生存確率に比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、または少なくとも約150%の無増悪生存確率の改善;
    (vii)TMEパネル-1などのANN分類子を用いて割り当てられたTME表現型クラス特異的療法を受けなかった対象の全生存確率に比べて、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約325%、少なくとも約350%、または少なくとも約375%の全生存確率の改善;または
    (viii)これらの組み合わせ、をもたらす、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. TME表現型クラスを、治療を必要としている対象の癌に割り当てる方法であって、
    (i)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられるステップ;および
    前記ANN分類子を用いて、TME表現型クラスを前記対象の癌に割り当てるステップであって、前記ANN分類子への入力が、前記対象由来の試験試料の前記遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含むステップ;または、
    (ii)複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより、ANN分類子を生成するステップであって、各試料が、TME表現型分類を割り当てられ;前記ANN分類子が、前記対象由来の試験試料の前記遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを入力として用いて、TME表現型クラスを前記対象の癌に割り当てるステップ;または、
    (iii)ANN分類子を用いて、前記対象の癌のTME表現型クラスを予測するステップであって、前記ANN分類子が、複数の対象由来の複数の試料の遺伝子パネル中の各遺伝子に対するRNA発現レベルを含む訓練セットでANNを訓練することにより生成され、各試料は、TME表現型クラスまたはこれらの組み合わせに割り当てられるステップ、を含む、方法。
  14. 前記方法が、少なくとも1つの処理装置および少なくとも1つの記憶装置を含む、コンピューターシステムに実装され、前記少なくとも1つの記憶装置は、前記少なくとも1つの処理装置により実行されて、前記少なくとも1つの処理装置に機械学習モデルを実装させる命令を含む、請求項13に記載の方法。
  15. (i)前記ANN分類子コードを前記コンピューターシステムの記憶装置に入力するステップ;(ii)前記コンピューターシステムの記憶装置に、前記対象に対応する前記遺伝子パネル入力データを入力するステップであって、前記入力データがRNA発現レベルを含むステップ;(iii)前記ANN分類子コードを実行するステップ;または;(v)これらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 癌の対象を、特定のTME表現型を用いて治療する方法であって、TME表現型クラス特異的療法を前記対象に投与するステップを含み、
    (i)前記癌は局所進行性、転移性胃癌であり、前記TME表現型はIA、A、またはISであり;
    (ii)前記癌は未治療の胃癌であり、前記TME表現型はISまたはAであり;
    (iii)前記癌は進行型/転移性HER2陰性乳癌であり、前記TME表現型はAまたはISであり;
    (iv)前記癌は去勢抵抗性転移性前立腺癌であり、前記TME表現型はAまたはISであり;
    (v)前記癌は進行型転移性肝細胞癌であり、前記TME表現型はIAまたはISであり;
    (vi)前記癌は再発性/転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記TME表現型はIAまたはISであり;
    (vii)前記癌はメラノーマであり、前記TME表現型はIAまたはISであり;
    (viii)前記癌は、肝臓へ転移性の進行型結腸直腸癌であり、前記TME表現型はIDであり;
    (ix)前記癌は白金抵抗性または白金感受性再発性卵巣癌であり、前記TME表現型はIA、ISまたはAであり;
    (x)前記癌は白金抵抗性または白金感受性再発性三種陰性乳癌であり、前記TME表現型はIA、ISまたはAであり;
    (xi)前記癌は転移性結腸直腸癌であり、前記TME表現型はAまたはISであり;
    (xii)前記癌は神経膠腫または神経膠芽腫であり、前記TME表現型はISまたはIAであり;または
    (xiii)前記癌は非小細胞肺癌であり、前記TME表現型はISまたはIAであり;
    前記TME表現型クラスは、ANN分類子を、前記対象由来の癌腫瘍試料からの遺伝子パネルから得た複数のRNA発現レベルに適用することにより割り当てられ、前記ANN分類子は、
    (a)2~100個のノードを含む入力層であって、前記入力層中の各ノードは、表1および表2で示される遺伝子から選択される遺伝子パネル中の前記遺伝子に対応し、前記遺伝子パネルは、(i)表1から選択される1~63個の遺伝子、および表2から選択される1~61個の遺伝子、(ii)表3および表4から選択される遺伝子を含む遺伝子パネル、(iii)表5の遺伝子パネル、または(iv)図9A~Gで開示の遺伝子パネル(遺伝子セット)のいずれか、を含む、前記入力層;
    (b)2個のノードを含む隠れ層;および
    (c)4個の出力ノードを含む出力層であって、前記出力層中の前記4個の出力ノードのいずれか1個が、TME表現型クラスに対応し、前記4つのTME表現型クラスは、IA、IS、ID、およびAである、前記出力層、を含み、
    および、場合により、前記ANNの出力へのソフトマックス関数を含むロジスティック回帰分析分類子をさらに含み、前記ソフトマックス関数は、各TME表現型クラスに確率を割り当てる、方法。
  17. (i)表1(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および(ii)表2(または図9A~9G)の遺伝子バイオマーカーをコードするRNAを特異的に検出できる複数のオリゴヌクレオチドプローブを含み、製品はマイクロアレイを含む、キットまたは製品。
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