JP2024509640A - 三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法および装置 - Google Patents

三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法および装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、三相電気モータ(10)のための転流間隔を提供する方法に関する。方法は、三相電気モータ(10)の動作のための初期転流間隔を提供することを含む。転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備える。方法は、三相電気モータ(10)の動作中に生じる動作電流(i)を特定することを更に含む。方法は、特定された動作電流(i)に応じて初期転流間隔を調整することを更に含む。転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,0との間の距離を動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整する。さらに、本発明は、ロータおよびステータを有する三相電気モータ(210)の磁化パラメータを決定する方法に関する。本発明はまた、制御駆動回路(3100)を有する三相電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定する方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法、三相電気モータのための制御ユニット、および三相電気モータに関する。また本発明は、三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法および装置に関する。本発明は、さらに、三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法、制御ユニット、および電気モータに関する。本発明は、したがって、特に、電気モータおよび電気モータの制御駆動の分野に関する。
三相電気モータの確実な動作のために、ロータ位置の検出が、特に電気モータがストール状態(Stillstand)または低速状態にあるときには、有利であることが多い。特に、ロータ位置を知ることは、正確で確実な転流に有利である。この目的のために、従来技術では多様な異なる方法が既知である。これらは、センサベースの方法とセンサレスの方法と、に分けることができる。センサベースの方法は、適切なセンサを必要とし、ハードウェアの労力および関連するコストが、センサレスの方法よりも高い、という欠点を有する。センサレスの方法は、典型的には、試験パルスまたは測定パルスを電気モータに供給することに基づいており、これが不所望なノイズをもたらす可能性がある。センサレスの方法は、電気モータのステータインダクタンスの位置依存性および電流依存性に基づく。多様なセンサレスの方法のタイプは、例えば、DE102019127051A1に記載されている。
ロータ位置を検出するためのセンサレスの方法の適用限界は、依然として研究開発の主題であり、多大な努力を払って実験的にのみ決定できることが多い。この場合に、誤った解釈にいたる可能性もある。この誤った解釈は、製品開発の後期段階になって初めてそうと明らかになるものであり、その後、対応する問題につながる、および/または、それらを排除するために多大な労力と高コストを必要とする。
電気モータまたはアプリケーションの特性を、シミュレーションで予測することは、原理的には便利であるが、電気モータの磁化パラメータを正確に知ることが必要であり、そのため、従来は容易に可能でなかった。この場合、磁化パラメータは、ロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkと、電気モータへの通電によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkとを含む。
従来、磁化パラメータ、特にkの決定は、実験的にのみ可能である。測定から直接に決定するための単純な構成は、特に全体的な構成における寄生抵抗の影響によって、これまでのところ、失敗している。パラメータkは、原理的には、モータの個々の巻線におけるインダクタンスLおよびLを測定することを介して、直接に決定可能である。しかしながら、通常は、モータの個々の巻線を直接に測定することはできない。この理由は、典型的に、三相電気モータの外側の3つの端子のみがアクセス可能なためである。内部で、モータは、スター接続またはデルタ接続のいずれかで接続されている。これによって、3つの巻線のうちの少なくとも2つにおける影響が重複し、直接的に計算することが、もはや不可能である。
初期ロータ位置を決定するセンサレスの方法は、典型的に、誘導性分圧器における、すなわち非通電相の接続部における電圧を測定することに基づく。しかしながら、これらは、場合によっては、確実な北検出/南検出が不可能であるという欠点を有する。これは、大電流モータの場合に特にあてはまる可能性がある。
転流間隔の間の確実な切り換えを達成するために、DE102019127051A1は、3つの相のうちの2相の各々の接続部に双極性パルス幅変調を適用し、所定の電圧閾値に達したときに次の転流間隔に切り換える方法を提案する。
DE102019127051A1
本発明の課題は、転流の信頼性を高めることができて、かつハードウェア要件を低く保つことができる、三相モータのための方法および制御ユニットを提供することである。
これらの課題は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法、制御ユニット、装置、および三相電気モータによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項および明細書において特定されている。
第1態様において、本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法に関する。方法は、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供することであって、その際、転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備えること、および、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)を特定すること、を含む。方法は、特定された動作電流(i)に応じて初期転流間隔を調整することを更に含み、その際、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整する。
更なる態様において、本発明は、三相電気モータのための制御ユニットに関する。制御ユニットは、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供するように設定されている。転流間隔は、切り換上限go,0および切り換え下限gu,0を備える。さらに、制御ユニットは、三相電気モータの動作中に生じる、または三相電気モータの動作のために備えられている、または使用される、動作電流iを特定するように設定されている。さらに、制御ユニットは、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流iの二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するように、特定された動作電流iに応じて初期転流間隔を調整するように設定されている。
更なる態様において、本発明は、本発明による制御ユニットを含む三相電気モータに関する。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータである。この電気モータは、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
転流間隔は、この場合、それを介して所定の転流が不変に維持される非通電相における逆測定された(ruckgemessene)電圧のための、値の範囲である。転流間隔は、この場合、三相電気モータのロータの、ステータに対する特定の回転角度範囲に対応することができる。しかしながら、直接的な比較可能性が与えられる必要はない。それぞれの転流間隔において、所定の転流を有するモータが他の転流の可能性と比較して最大効果、および/または最大トルクを発揮するように、転流が任意選択で選択される。電圧が非通電相においてそれぞれの転流間隔を離れる場合、可及的に最大のトルクおよび/または可及的に最大の効果を達成するために、転流間隔の変更が必要である、または有利である。転流の変化は、この場合、相の割り当て、および/または相における電流方向が変化すること、すなわち、どの2つの相が通電されるか、またはどの相が通電されないままであるか、を意味する。ロータがステータに対して回転する方向に応じて、転流間隔または通電される相の間の変更を、反対方向にすることができる。本開示の文脈において、対応して、転流間隔という用語は、電圧範囲を指すものとする。初期転流間隔は、この場合、本発明による方法によって動作電流に対してまだ調整されていなかった、または更なる調整に供されるべきである、転流間隔のための開始時のスタート値に対応する。
切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、(初期)転流間隔の終点を表す電圧値である。切り換え上限に対応する電圧に達する、および/またはそれを上回るとき、後続の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。切り換え下限に対応する電圧に達する、および/またはそれを下回る場合、前回の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、この場合、転流間隔の幅またはサイズを決定する。転流間隔の変位は、この場合、転流間隔の幅またはサイズの変化を伴うことなく、ロータの回転角度または関連する電圧に沿った転流間隔の中心点の変位を表すことができる。
動作電流は、三相電気モータのそれぞれの通電相がその動作の間に通電される電流、または電流強度である。動作電流は、この場合、特に、三相電気モータの負荷および/または応力に依存し得る。動作電流は、負荷電流とも称することができる。特に、動作電流は、非通電相の電圧に影響を及ぼし、ロータ回転角度の特定の際に、および/または転流間隔に、偏差(Abweichungen)を引き起こす可能性がある。
本発明は、転流間隔を提供する際に動作電流を影響変数として共に考慮することができ、対応して、転流間隔の理想的な転流間隔からの不所望な偏差を低減することができる、または完全に回避することさえできる、という利点を提供する。これによって、三相電気モータのための制御駆動の信頼性を高めることができるという利点が得られる。さらに、これは、高トルクを確実に達成できて、内部エネルギ損失を低減できるため、本発明によって提供される転流間隔で制御される三相電気モータを高い効率で動作させることができるという利点も提供する。加えて、本発明は、本発明によって提供される転流間隔によって、対応して制御される三相電気モータの動作の際に発生する騒音を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流の二乗でスケーリングして調整するため、および/または変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するため、の所定の関数パラメータ(Funktionsparameter)を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、所定の関数パラメータおよび既存の動作電流を使用した、調整された距離および/または調整された変位を計算することを含む。これは、所定の関数パラメータに基づいて、切り換え限界の間の距離および転流間隔の変位の調整を、単純なアルゴリズムを使用して実行できるという利点を提供し、対応して、調整された転流間隔を提供するためのハードウェアおよび/または計算労力が低く保たれ得るという利点を提供する。
任意選択で、異なる動作電流(i)のための複数の調整された転流間隔を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、提供されて調整された転流間隔のうちの1つを、既存の動作電流に基づいて選択することを含む。換言すると、複数の所定の転流間隔が提供される。次いで、優勢な動作電流に基づいて、それらから1つが選択される。例えば、1つまたは複数の値の範囲を、提供されて調整された転流間隔の各々に割り当てることができる。特定された動作電流が、1つの割り当てられた値の範囲、または複数の割り当てられた値の範囲にある場合、それぞれの調整された転流間隔をモータの動作のために使用することができる。動作電流が変化し、前の値の範囲外の値をとる場合、対応して異なる転流間隔を選択することができる。これは、その後、モータの更なる動作のために参照される。
任意選択で、方法は、所定の閾値を提供することを含む。その際、閾値のうちの1つに対応する動作電流(i)が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。例えば、特定された動作電流は所定の閾値と比較できる。それぞれの閾値に達する、または上回る、もしくは下回る際に、それぞれの閾値に関連する転流間隔を使用することができる。これは、容易な実装を可能にし、さらに、記憶されるデータの量も少ないという利点を提供する。データは、例えば、制御駆動のために制御ユニットの内部に記憶することができる、および/または外部から制御ユニットに転送することができる。
任意選択で、方法は、所定の閾値の内挿および/または外挿を用いて追加の閾値を決定することを含む。その際、決定された追加の閾値のうちの1つに対応する動作電流が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。換言すると、方法は、所定の閾値に基づいて更なる追加の閾値を生成するために、内挿および/または外挿を含むことができる。更なる追加の閾値は、次いで、動作電流に応じて転流間隔を選択するために参照することができる。これによって、特定された動作電流に対する転流間隔の、より細かい調整および割り当てが可能である。
任意選択で、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を、放物線の開きにしたがって、および頂点の任意選択の変位にしたがって、動作電流の二乗でスケーリングして調整する。換言すると、切り換え限界の間の距離の調整は、放物線の開きおよびy軸切片によって特徴付けられる放物線関数に基づいて実行される。放物線は、この場合、切り換え上限と切り換え下限(縦軸)の動作電流(横軸)に対する関数に対応する。平均フリーの測定パルス生成方法では、放物線は、以下に対して軸対称である。
頂点の垂直位置は、この場合、初期転流間隔が動作電流に依存して調整されない場合、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限が有するべき電圧差を提示する。しかしながら、平均値を用いるパルス生成方法では、対称軸もまた、変位され、以下の値に位置することができる。
この場合、放物線の頂点は、垂直軸上、すなわち、
ではなく、以下の値、
に変位される。これによって、転流間隔の切り換え上限と切り換え下限との間の距離を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、転流間隔の変位を、傾きおよび任意選択で直線のゼロオフセットにしたがって、動作電流で線形にスケーリングして調整する。この場合、直線は、転流間隔の平均値の変位の線形依存性を表す。これは、転流間隔が動作電流に応じて初期転流間隔に対して変位される電圧値を表す。平均フリーの測定パルス生成方法では、直線は座標原点を通過する。平均値を用いるパルス発生方法では、追加的に、ゼロオフセットも考慮しなければならない。これによって、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限の変位を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、初期転流間隔の切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、それぞれ、三相電気モータの誘導性分圧器における電圧の所定の電圧値に対応する、またはそれに基づく。任意選択の実施形態によれば、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0(初期)またはgo,iおよびgu,i(動作電流に適合される)は、それぞれ異なる測定時間に対する異なる電圧値からの電圧差の形態でキャプチャすることもできる。この場合、第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、それぞれの切り換え限界を決定する信頼性を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、方法は、三相電気モータに供給される供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することを更に含む。これは、転流間隔に対する供給電圧のいかなる影響も考慮に入れることができ、それから結果として生じる、最適な転流間隔からの転流間隔の偏差を低減または回避できるという利点を提供する。
任意選択で、供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することは、誘導性分圧器における電圧を、供給電圧の特定された電圧値へ正規化することを含む。分圧器は、この場合、任意選択で、モータの非通電相の接続部によって形成することができる。分圧器は、回転角度によるモータの第1および第2通電相の異なるインダクタンスによって発生する。誘導性分圧器における電圧は、この場合、転流間隔の切り換え上限および/または切り換え下限と比較される測定値としての役割を果たす。転流の変更は、その際、誘導性分圧器における電圧が切り換え限界のうちの1つに達したときに生じる。供給電圧の特定された電圧値での誘導性分圧器における電圧の正規化によって、分圧器における電圧が転流間隔の切り換え限界に対して不所望な変位に至る可能性のある影響を、低減または回避することができる。
任意選択の実施形態によれば、転流間隔の変位は、通電されたモータに対する転流間隔の変位に関連することができて、以下の数学的関係を満たすことができる。

この場合、指数oおよびuは、切り換え上限または切り換え下限を示す。指数iは、特定された動作電流(i)で、すなわち、それに対してそれぞれの切り換え限界が調整された負荷電流で、モータを動作させるための切り換え限界の割り当てを示す。一方、指数0は、通電されないモータのためのそれぞれの初期切り換え限界を示す。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、任意選択で以下の数学的法則を満たすことができる:
本発明の更なる課題は、磁化パラメータkおよびkを確実に、かつ任意選択で自動的に決定可能な方法および装置を提供することである。
更なる態様において、本発明は、したがって、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給することを含む。その際、電流パルスを供給することが測定期間にわたって行われる。方法は、測定期間の間、ロータをステータに対して電気的回転の少なくとも一部だけ回転させることを含む。その際、回転させることは、全測定期間にわたって均一に行われる。方法は、測定期間の間に三相電気モータの誘導性分圧器における電圧を測定すること、および、ロータのステータに対する所定の回転角度での測定された電圧の測定値を特定すること、を更に含む。さらに、方法は、磁化パラメータための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整することを含む。さらに、方法は、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの少なくとも1つまたは複数を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する装置に関する。装置は、三相電気モータに通電し、測定期間にわたって三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給する制御駆動ユニットを備える。装置は、ロータをステータに対して回転させる回転ユニットと、測定要素と、を更に備える。その際、装置は、ロータをステータに対して回転ユニットを用いて全測定期間の間、電気的回転で均一に回転させるように設定されている。測定要素は、測定期間の間、三相電気モータの誘導性分圧器において電圧を測定する。さらに、装置は、ロータのステータに対する所定の回転角度で測定要素を用いて測定された電圧の測定値を特定するように、ならびに磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧のシミュレーション値を計算するように、および電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整するように設定された、制御ユニットを含む。さらに、制御ユニットは、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの1つまたは複数を決定するように設定されている。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータであり、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
電流パルスは、特に、相のそれぞれの接続部に電圧パルスを印加することによって供給することができる。この場合、電流の方向には、印加された電圧の極性によって影響を及ぼすことができる。しかしながら、特に巻線または相のインダクタンスによって、電流の方向は、電圧パルスの極性に常に瞬時に従う必要はない。そのため、例えば、印加された電圧パルスの極性の急速な極性反転は、以前から存在する電流を低減させることができるが、電流の方向は反転されない。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間の電圧に対応することができる。電圧は、この場合、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、ロータ位置に依存する。
電圧の測定が所定の回転角度で行われるということは、測定された電圧の測定値が、ロータの少なくとも固定された回転角度で行われたものであることを意味する。この場合、所定の回転角度は、ロータの開始時の回転角度位置に対する、相対角度を表すことができる。例えば、所定の回転角度によって、所定の測定間隔を広げることができる。代替的または追加的に、所定の回転角度は、測定進行に依存することができる、または、測定された電圧が最小値または最大値または別の識別可能な値を有する角度に対応することができる。
電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、電圧のシミュレーション値を計算することは、この場合、電圧のシミュレーション値が測定された電圧値に可及的に正確に対応するように、シミュレーション値を最適化することを意味する。換言すると、シミュレーション値は、パラメータkおよびkの変動によって最適化される。
本発明は、磁化パラメータkおよびkを確実に特定することができるという利点を提供する。そのため、例えば、各モータタイプのための、および/または各々の個々のモータのための、磁化パラメータを、工場出荷時に決定することができる。このようにして特定されたパラメータを、モータの動作の間にロータ位置を確実に決定するために使用できる。したがって、本発明は、本発明にしたがって決定された磁化パラメータによって、確実な決定によって提供される磁化パラメータなしには適用不能であろうロータ位置をセンサレスで決定する方法が、可能になるという利点を提供する。これによって、本発明は、ロータ角度を確実に知ることを必要とするモータのためにも、追加的なコストを伴うロータ角度のセンサベースの決定に頼る必要がないという利点を提供する。
本発明は更に、磁化パラメータの決定が、部分的に、または完全に自動化され得るという利点を提供する。これによって、多数の電気モータの磁化パラメータのルーチン的な決定が可能である。例えば、このようにして、多数のモータの磁化パラメータを決定することができる。また、平均化によって計算された磁化パラメータは、それぞれの一連の電気モータに使用することができる。
任意選択で、誘導性分圧器における電圧を測定することは、第1電圧値と第2電圧値との間の電圧差を測定することを含む。第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、決定の信頼性を高めることができるという利点を提供する。特に、第1および第2の電圧値またはそれから生じる電流パルスに等しく影響を及ぼすそのような干渉の影響を、平均化することができる。その結果、磁化パラメータを決定するために使用される電圧差に影響が及ばない。特に、電圧差を使用することによって、ロータのステータに対する回転によって引き起こされる、そうでなければ測定された電圧にオーバーラップするモータ電圧を低減することができる。
任意選択で、電流パルスは、試験パルスとして構成されている。方法を、試験パルスを除いて三相電気モータが通電されない際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの1つまたは複数のロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。モータが通電されない際に方法を実施することによって、電気モータのインダクタンスに対する、特にロータ磁石の影響が特定される。これは、パラメータkによって特徴付けられる。
任意選択で、方法を、試験パルスに加えて三相電気モータが通電される際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの通電によってインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。これは、モータへの通電に起因するインダクタンスへの影響も、確実かつ容易に決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、三相電気モータを、通電の転流が測定期間にわたって不変に維持されるように通電する。換言すると、通電されたモータの転流が不変に維持される間に、ロータの回転角度が変化される。このようにして、通電に起因するインダクタンス変化に対するロータ回転角度の影響を、確実に特定できる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電される際に少なくとも1回実行する。その際、電流パルスは、ブロック転流パルスとして構成されている。これは、モータが通電される際に実行する方法のために、追加の測定パルスを提供する必要がないが、規則的な転流パルスを使用することができるという利点を提供する。これによって、測定の労力および/または複雑さを低減することができる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電されない際に少なくとも1回、および通電される際に少なくとも1回実行する。これは、磁化パラメータkおよびkの両方を確実に決定できるという利点を提供する。
任意選択で、方法を、交互に三相電気モータが通電されない際および通電される際に、反復的に実行する。その際、方法を実行する際に決定される磁化パラメータの少なくとも一部を、方法を後続で反復的に実行する際に、磁化パラメータのための所定の推定値として使用する。これは、磁化パラメータkおよびkの相互依存性も考慮に入れることができて、このようにして、両方の磁化パラメータの決定の精度の漸進的な改善を達成することができるという利点を提供する。そのため、例えば、方法の反復的な実施の際に進行する磁化パラメータkの仕様を、磁化パラメータkの更なる仕様において考慮することができて、逆もまた同様である。このようにして、両方の磁化パラメータの確実な決定を達成することができる。
任意選択で、このような回転角度を、それぞれの場合に測定される電圧が局所的な極大値および/または局所的な極小値を備える所定の回転角度として予め決定する。これは、最大値および/または最小値で測定された電圧の測定値に基づいて、磁化パラメータを特に確実に決定できるという利点を提供する。さらに、これは、これらの所定の回転角度に基づいて、少数の測定値または回転角度で磁化パラメータを決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、ロータをステータに対して回転させるための、電気的回転の少なくとも一部は、少なくとも90°を備え、測定された電圧が局所的な極小値を備える少なくとも1つの所定の回転角度を備え、測定された電圧が局所的な極大値を備える少なくとも1つの更なる所定の回転角度を備える。これは、回転角度を低減し、このようにして測定のための労力および持続時間を短縮する可能性を提供する。
任意選択で、所定の回転角度で測定された電圧に基づいて、電気的回転にわたる電圧の連続的な経過が決定可能であるように、所定の回転角度を予め決定する。これによって、測定された電圧が局所的な極小値または局所的な極大値を備える回転角度を、容易に特定可能である。これはまた、シミュレーション値の測定された値への調整を、より容易にするという点で、有利であり得る。
任意選択で、磁化パラメータのための所定の推定値を、三相電気モータの第1相および第2相のそれぞれのインダクタンスのための所定の数学的モデルを介して、シミュレーション値の計算に組み込む。特に、所定の数学的モデルは、例えば所定の数学的モデルを計算ユニットに記憶させることによって、シミュレーション値の計算を自動化する可能性を提供できる。
任意選択で、方法は、電流パルスを供給する前に、ロータをステータに対して所定の始動回転角度に事前位置決めすることを更に含む。これは、特に、測定の間にロータが回転される回転角度範囲が所望の範囲を含み、および/または所望の範囲で始まるという点で特に有利であり得る。そのため、例えば、所定の回転角度範囲内で局所的な極大値および/または極小値が生じる確率が最大になるように、回転角度範囲を最適化できる。さらに、これは、複数の異なる測定の比較可能性を達成させる、および/または増大させるという利点を提供することができる。任意選択で、事前位置決めすることは、機械的な強制位置決め、および/または始動回転角度に達するまで三相電気モータに電流を印加することによって、実行する。これは、事前位置決めを自動化する機会を提供する。
さらに、本発明の課題は、三相電気モータの、特に確実な南北検出をも可能にする、初期ロータ位置を確実に決定するための、ハードウェア要件が低い方法を提供することである。
したがって、更なる態様において、本発明は、制御駆動回路を有する三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、および、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において、誘導された電圧を特定すること、を含む。方法は更に、第1通電間隔において第1相および第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の、誘導電圧差を特定すること、を含む。さらに、方法は、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、本発明による方法を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定された制御ユニットに関する。
更なる態様において、本発明は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータに関する。その際、電気モータは、本発明による方法を用いて電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている。
電気モータは、ステータおよびロータを備える。特に、この電気モータは、3つの相または巻線を備える三相電気モータとして構成されてよい。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。「電気モータ」、および「モータ」という用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
ロータ位置は、ロータのステータに対する回転角度に対応する。ロータ位置を知ることは、モータを効率的に動作させるために、特にモータの確実な転流のために必要な場合がある。ロータの回転角度は、この場合、0°から360°の範囲内とすることができる。代替的に、ロータまたはロータ磁石の南北方向の決定と組み合わせて、0°~180°の範囲で回転角度の割り当てを行うことができる。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間で降下する電圧に対応することができる。電圧は、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、今度は、ロータ位置に依存する。
誘導電圧差を特定する際、第1通電間隔における第1相および第2相の通電によって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮することは、この場合、制御駆動回路における電圧変化の特定される誘導電圧差に対する影響が、特定または推定され、そして少なくとも部分的に補償されることを意味する。
本発明は、誘導電圧差を特定する際に可能性のある影響および/または測定誤差、および、そこから生じる、制御駆動回路における電圧変化に起因する初期ロータ位置の決定に対する影響および/または測定誤差を、低減または回避することができるという利点を提供する。したがって、不所望な測定誤差を低減または回避することができるため、これが、初期ロータ位置の決定の信頼性を改善することができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、制御駆動回路に引き起こされる電圧変化を考慮に入れて、初期ロータ位置を決定するために、追加のハードウェアが全く必要でないという利点を提供する。特に、本発明は、初期ロータ位置を決定するために別個のセンサを設ける必要がなく、したがって、三相電気モータおよび制御駆動回路のための製造コストを低く抑えることができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、低インダクタンスを有する電気モータ、特に高電流三相電気モータの場合に、初期ロータ位置を確実に決定可能であるという利点を提供する。従来の方法の場合、従来発生していた影響が、著しい測定誤差をもたらし、対応して、初期ロータ位置を決定する際に信頼性が大幅に低減されることになろう。したがって、本発明は、初期ロータ位置を決定する本発明による方法が、異なるタイプの三相電気モータにおいて普遍的な適用性を有するという利点を提供する。したがって、異なるタイプの三相電気モータのために必要とされる、制御ユニットおよび/または初期ロータ位置を決定するための方法のタイプの多様性を、わずかに保つことができる。
任意選択で、第1相および第2相に通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う。これによって、電流の変化の符号を、すなわち電流が通電間隔において上昇または下降するかを、確実に決定することができる。このようにして特定される電流の変化の符号は、次いで、ロータ位置の南北検出に使用することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化は、シャント電圧差に対応する。シャント電圧差は、第1相および/または第2相の相電流を測定するシャント抵抗の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生する。シャント電圧差は、任意選択で、誘導電圧差の特定の結果を歪め、対応して初期ロータ位置の決定の信頼性を低下させる可能性がある、誘導電圧差の不所望な変化の主な原因を表す場合がある。シャント電圧差は、任意選択で非常にわずかにすることができ、例えば、数ミリボルトの範囲にすることができる。多くの場合、誘導電圧差がシャント電圧差と比較して非常に大きく構成されている場合、初期ロータ位置を決定する際のシャント電圧差の影響は無視することができる。しかしながら、誘導電圧差が、シャント電圧差と較べて、非常にわずかである、または同じ程度の大きさでさえある場合、シャント電圧差は、特定された誘導電圧差に著しく不所望な影響を及ぼす可能性がある。これは、その後、初期ロータ位置の決定を歪める。しかしながら、誘導電圧差を特定する際にシャント電圧差を考慮に入れることによって、これらの不所望な影響を低減または回避することができる。
任意選択で、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含む。その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない。これは、それぞれのシャント電圧測定および誘導電圧測定が、可及的に互いに時間的に近接して実行され、対応してシャント電圧差および誘導電圧差もほぼ同じ時間間隔にわたって特定されるという利点を提供する。これによって、誘導電圧差または誘導電圧の測定の間に実際に優勢なシャント電圧差またはその都度優勢なシャント電圧に、可及的に近いシャント電圧差を考慮することを達成できる。これは、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差の影響の特に正確な補償を可能にする。
任意選択で、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。代替的または追加的に、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。これは、誘導電圧および/またはシャント電圧の測定時点の間の期間が、インダクタンスおよび/またはシャントを通る電流の著しい上昇または下降を達成し、対応して誘導電圧差を特定するために適した信号振幅を維持するために、十分長い、という利点を提供する。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、所定の、推定されたシャント電圧差の形態で考慮する。換言すると、任意選択の実施形態によるシャント電圧差の特定は、これらを測定するのではなく、推定することに限定することができる。したがって、この任意選択の代替的な実施形態は、シャント電圧またはシャント電圧差の測定または特定に代わって、これらを推定によって考慮する可能性を提供する。例えば、推定は、他の既知のパラメータおよび/または実験的に決定されて提供されたデータおよび/または経験的値に基づく、推定値の計算に基づくことができる。例えば、シャント電圧差は、以下の数学的関係を用いて推定することができる。
この場合、ΔUshuntはシャント電圧差、Uは供給電圧、Lは(同一であると仮定される)第1相または第2相のインダクタンス、ΔTは第1誘導電圧測定と第2誘導電圧測定との間の時間的な距離、およびRshuntはシャント抵抗のオーム抵抗を、示す。したがって、シャント電圧差のこのような推定は、シャント電圧差の特定または測定が必要とされず、したがってハードウェアおよび/または計算労力を低く保つことができる解決策を提供することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差に比例する値だけ低減させることによって考慮する。例えば、シャント電圧差に比例する値は、シャント電圧差自体の値を表すことができる。しかしながら、他の実施形態によれば、シャント電圧差の分数および/または倍数もこの目的のために使用することができる。誘導電圧差がシャント電圧差に比例する値だけ低減されることは、この場合、誘導電圧差とシャント電圧差との間の差が、初期ロータ位置を決定するために特定された誘導電圧差として使用されることを意味する。このようにして、特定された誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を低減することができる、または完全に除去することさえできる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差の半分の値だけ低減させることによって考慮する。これは、特に単純で確実な考慮の形態を提供する。シャント電圧の変化は、実質的に、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として、誘導性分圧器において測定された誘導電圧の変化に影響を与える。誘導性分圧器における分圧比は、今度は位置に依存する。そのため、正確な補償を行うために、分圧比を実際に測定し、測定された分圧比で除算されたシャント電圧差を、誘導電圧差から減算することができる。多くの実施形態において、誘導性分圧器における分圧比は、ロータの位置検出の間に測定されるので、追加の測定ステップなしでこれを実施することができる。しかしながら、必要な計算電力を単純化し最小化するために、1/2の固定分圧比を使用することができる。それによって、シャント電圧差の半分の値が誘導電圧差から減算される。使用中の多くの電気モータについて、誘導性分圧器の分圧比の位置依存性は、1%~10%の範囲内でしかない。したがって、1/2の分圧比は、シャント電圧差の有用な考慮の基礎として使用することができる極めて有用な近似を表すことができる。
任意選択で、初期ロータ位置を決定する方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することを含む。その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対である。ならびに、本法は、第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において誘導された電圧を特定することを含む。さらに、この任意選択の実施形態による方法は、第2通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、ならびに第1通電間隔および第2通電間隔において特定された誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む。これは、両方の通電間隔において等しく発生する干渉によって生じる測定誤差を排除できるという利点を提供する。これによって、初期ロータ位置の決定の信頼性を更に高めることができる。2つの反対の測定を使用することによって、ステータ材料のヒステリシス特性によって引き起こされ得る任意の不正確さを低減することができる。
任意選択で、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相に印加する。これは、依然として存在する磁化による任意の影響が、以前の測定および/または通電によって低減または排除され得るという利点を提供する。所定の期間は、この場合、任意選択で、100msを超えない。
上述および以下に説明される特徴および実施形態は、この場合、それぞれの場合に明示的に言及される組合せにおいて開示されるものとして見なされるだけでなく、他の技術的に意味のある組合せおよび実施形態においても、開示内容に含まれる。特に、本開示の個々の態様は、互いに組み合わせることができる。そのため、任意選択で、転流間隔を提供する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。代替的または追加的に、本開示の一態様による三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。本開示の一態様による転流間隔を提供する方法、および本開示の一態様による三相電動機の初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された、任意選択で三相電気モータの磁化パラメータを使用する三相電動機の制御駆動において実行することもできる。換言すると、本発明の個々の態様は、互いに組み合わせることができる、または互いに独立して使用することができる。
本発明の更なる詳細および利点を、図面を参照して、以下の実施例および好適な実施形態を用いて、より詳細に説明する。
任意選択の実施形態による制御ユニットを有する三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による、スター接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 任意選択の実施形態による、デルタ接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 例示的な初期転流間隔を示す図である。 逆測定された電圧差の複数の経過を示すグラフである。 誘導性分圧器において測定された電圧Uの経過を例示的にグラフ100において示す。 誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を、シミュレートされて磁化パラメータkに関して最適化された電圧の経過と比較して例示的に示すグラフである。 回転角度φに応じた誘導性分圧器における電圧の測定された経過をグラフ300において示す。 の決定のためのシミュレーション値と電圧の測定値との比較を示すグラフである 動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表すグラフ500および510を示す。 切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iとの間の距離の依存性を示すグラフである。 図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示すグラフである。 様々な供給電圧Uに対する図10からの切り換え限界の距離の放物曲線を示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図12からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図を示す。 デルタ接続における三相電気モータの概略図を示す。 電圧U、UおよびUの時間的経過、ならびに第2相2212.2を通る電流の経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図である。 デルタ接続における三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による電気モータおよび制御ユニットの概略図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御駆動回路の図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御回路の図である。 特定された誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の例示的な経過を示すグラフである。 第1相および第2相が通電される間の、経時的な第3非通電相における誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 シャント電圧の時間的経過を示すグラフである。 未補正の誘導電圧差の測定信号の、ロータの回転角度に対するシャント電圧差の半分の値との比較を示すグラフである。 南北検出のための、または初期ロータ位置決定のための差信号を例示的に示すグラフである。
以下の図面において、様々な実施形態における同じ、または類似の要素は、簡略化のために同じ参照番号で示される。
図1は、任意選択の実施形態による制御ユニット20を有する三相電気モータ10の概略図を示す。制御ユニット20は、この場合、三相電気モータ10と通信可能に接続され、三相電気モータ10を制御して電力を供給するように設定されている。
図2Aおよび2Bは、任意選択の実施形態による、スター接続(図2A)およびデルタ接続(図2B)の三相電気モータ10の概略図を例示的に示す。電気モータ10は、この場合、3つの異なる相12のための3つの接続部12.1、12.2、および12.3を備える。3つの相12.1、12.2、および12.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ10の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUは、3つの相の3つの接続部12.1、12.2、および12.3に存在することができ、これらはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部12.1、12.2、および12.3と接続されている。スター接続の場合(図2A)、他端は、スター接続のスターポイント14と接続されている。デルタ接続の場合(図2B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部12.1、12.2、または12.3と接続されている。
図3は、三相電気モータ10のステータに対するロータの回転角度φ(度)を介して高トルク発生(M、M、M)(任意の単位で)のために選択される例示的な初期転流間隔K、K、およびKを示す。転流間隔K~Kは、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0によって制限される。それぞれの転流間隔K~Kにおいて逆測定された、異なる極性を有する測定パルスについての2つの相互に連続する測定値間の電圧または電圧差は、この場合、それぞれの初期転流間隔K~Kの切り換え限界と比較される。測定された電圧U、U、またはUが切り換え限界go,0またはgu,0のうちの1つに達すると、転流が変化されて、電気モータの相への通電が切り換えられる。転流の切り換えは、この場合、優勢な回転角度φに照らして、電気モータのロータを最も高いトルクM、M、またはMで動作させる電気モータの2つの相が、それぞれ通電されるように行われる。
図4は、非通電相12.1、12.2、または12.3それぞれにおける逆測定された電圧差U、U、およびUの、回転角度φにわたる複数の経過を、他の2つの相それぞれに通電される動作電流iに応じて示す。この場合、それぞれの非通電相の電圧差U、U、Uの経過は、異なる動作電流iに対してプロットされている。動作電流iの値は、0と1500(任意の単位)との間である。示されたグラフに基づいて、動作電流iの強度が、それぞれの電圧差U、U、およびUの経過に影響を及ぼすことが認識可能である。したがって、高い動作電流は、振幅の変化をもたらし、また低い動作電流および非電通の場合と比較して非対称性が発生するため、電圧差U、U、およびUの角度経過の変化をもたらす。図示の例では、電圧差の振幅は、動作電流の増加とともに増加し、非対称性が増加する。この電圧差の値が転流間隔K、K、およびKの切り換え限界と比較され、この比較に基づいて転流が切り換えられた後、この種の偏差は、転流に、そして対応して電気モータの機能および効率に直接的な影響を及ぼす。
この種の偏差は、転流間隔を提供する本発明による方法によって、低減または回避することができる。以下に、動作電流を考慮して転流間隔を調整することを含む例示的な方法を説明する。しかしながら、本発明は、説明される例に限定されない。
転流間隔を調整するために、磁化パラメータkおよびkならびに個々の相の最大インダクタンスを知ることが有利である。なお、磁化パラメータkおよびkが既知でない場合には、例えば、以下の方法を用いて特定することができる。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ10の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。説明を示すために、電気モータ10の相12.1および12.2は、電気モータ10の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相12.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
まず、この方法によれば、三相電気モータ10の磁化パラメータkおよびkを、これらがまだ既知でない場合に、決定する。さらに、この方法は、それぞれの相12.1、12.2、および12.3の最大インダクタンスLmaxを、これらがまだ既知でない場合に決定することを含むことができる。いくつかの任意選択の実施形態によれば、個々の相の最大インダクタンスLmaxは同一であると仮定することができるため、単一相の最大インダクタンスLmaxのみを特定する必要がある。特に、Lmaxは、単一相の、または二相に対するインダクタンスを適切なスケーリングで同時に測定することによって特定できる。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器を表す第3相12.の接続部における電圧または電圧差Uが、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される、複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくとも、ロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器において回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ10が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ10の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ10の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相12.1または第2相12.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図5は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相12.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。例えば、kおよびkのための初期推定値として、k1 = 0およびk2 = 0を仮定することができる。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相12.1および第2相12.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相12.3において電圧U、または電圧差が測定される、上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相12.1または第2相12.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相12.1または第2相12.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相12.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相12.1および12.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(3)~(7)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される、測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のk1の初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。例えば、k2 = 0である。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図6は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図3(グラフ100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ100および200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電された状態で実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図7は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ300において示す。グラフ300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相12.1および第2相12.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図8に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ300は、図7に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。その際、以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される。磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図8から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。
既知の最大インダクタンスLmaxおよび既知のインダクタンスパラメータkおよびkで、その後、調整された転流間隔の更なる決定を行うことができる。この場合、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)が特定される。動作電流(i)は、例えば、対応する電流測定によって特定することができる、および/またはシミュレーションによって特定することができる。
動作電流に応じて転流間隔を調整することは、例えば、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iを新たに決定し、それらが、その後、最初の転流間隔の切り換え限界go,0およびgu,0に対する距離および変位を決定することを目的とすることができる。例えば、切り換え限界は、転流間隔が回転角度範囲φの60°をカバーし、電圧差U、U、またはUのゼロ交差が、転流間隔60°の、またはカバーされた回転角度範囲φの中央にあるように設定することができる。そこから得られる、特定された動作電流に応じて特定された切り換え限界go,iおよびgu,iは、その後、対応する動作電流iでの転流のために参照することができる。
さらに、誘導性分圧器における電圧または電圧差U、U、またはUは、式(3)~(7)で上述した微分方程式系を用いて、切り換え限界go,iおよびgu,iにおける動作電流(i)に応じて計算される。これは、例えば、数値的に行うことができる。動作電流(i)に応じて計算される電圧または電圧差U、U、またはUについての例示的な結果は、図9および10に示される。図9は、この場合、グラフ500および510を示す。グラフ500および510は、シミュレーションの結果(グラフ500)として、および回帰を用いた最適化(グラフ510)後の、動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表す。グラフ500および510は、非常に高い一致を示し、互いにほぼ重なり合っている。変位は、この場合直線的な経過を有し、対応して線形方程式で直線として描くことができる。
図示の例では、この直線は、約m = 0.15V/Aの傾きを有し、ゼロオフセットn = 0Vである。
電圧差に対応する切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の距離の依存性が、図10に示される。グラフ600はシミュレーション結果に対応する。グラフ610は回帰法を用いた最適化後の結果に対応する。この二次依存性は、以下の式にしたがって放物線として表すことができる。
この場合、ΔUは、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の電圧差を示す。パラメータaは放物線の開きを示し、iは、特に平均値を有する測定パルスの場合に必ずしもゼロである必要のない、初期転流間隔の動作電流を示し、パラメータbは頂点の変位を示す。グラフ610から、値a = 0.0062V/A2、i0 = 0およびb= 2.4Vが得られる。
特に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算の結果の、シミュレーション結果の計算からの偏差などを最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。代替的に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算結果の、測定値からの偏差を最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。
特定され、場合によっては最適化されたパラメータm、n、a、b、およびiを使用して、その後、初期転流間隔は、動作電流iに応じて調整することができる。例えば、パラメータm、n、a、b、およびiは、モータを制御駆動するために制御ユニットに転送され、動作電流iに基づいて転流間隔の適切な調整および変位を決定するために、制御ユニットによって使用され得る。代替的または追加的に、例えば、異なる動作電流のための調整された転流間隔が、予め定義され、例えばテーブルの形態で制御ユニットに記憶され、それによって制御ユニットが、動作電流iに応じて、対応して割り当てられて調整された転流間隔を選択し、適用することができる。
いくつかの実施形態によれば、電気モータが動作される供給電圧または動作電圧Uの変動および/または上下は、転流に、また対応して電気モータの動作および効率に影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態によれば、転流間隔の調整の際に、供給電圧Uの上下および/または変動の影響も考慮に入れることができる。
図11は、異なる動作電圧に対する図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示す。最小の傾きを有するカーブは6Vの供給電圧Uに対応し、最大の傾きを有するカーブは80Vの供給電圧Uに対応する。対応して、図12において、異なる供給電圧Uについての図10からの転流限界の距離の、関連する放物曲線を示す。最下の曲線は6Vの供給電圧Uに対応し、最上の曲線は80Vの供給電圧Uに対応する。これから、供給電圧Uも、または、初期転流間隔の基礎しくは動作電流iに基づいて調整される転流間隔の基礎である予想供給電圧値からの逸脱も、モータの動作および効率に著しい影響を及ぼす可能性があり、転流間隔の調整の際に供給電圧を考慮することが有利であり得ることを認識できる。
特に、供給電圧Uは、測定された電圧または電圧差U、U、またはUを、供給電圧に正規化し、対応して正規化された転流間隔の切り換え限界を有する転流間隔の選択のために正規化された電圧ΔUrelを使用することによって、考慮することができる。使用される電圧は、したがって、以下のように決定することができる。
供給電圧Uは、例えば、1つまたは複数の対応する電圧測定値によって決定することができる。例えば、供給電圧は、モータが始動されるときに測定することができる、および/またはモータの動作の間に規則的に、または不規則に測定することができる。さらに、これによって、異なる電圧を有するネットワークにおいて、モータおよび制御駆動を使用することがより容易になるという利点も提供される。例えば、その後、12V、24V、または48Vを有する車両の車載電気システムにおいて、モータを使用することができる。転流間隔は、それに応じて調整することができる。
図13および図14は、それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11または図12からのカーブに対応するカーブを示す。結果は、正規化によって、転流間隔の限界の変位および距離の供給電圧への依存性を著しく低減できることを示す。このようにして、モータの信頼性および効率、ならびにその制御駆動をさらに高めることができる。
図15Aおよび15Bは、スター接続(図15A)およびデルタ接続(図15B)における三相電気モータ210の概略図を例示的に示す。電気モータ210は、この場合、3つの異なる相212のための3つの接続部2212.1、2212.2、および2212.3を備える。3つの相212.1、212.2、および212.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ210の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部212.1、212.2、および212.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部212.1、212.2、および212.3と接続されている。スター接続の場合(図15A)、他端は、スター接続のスターポイント214と接続されている。デルタ接続の場合(図15B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部212.1、212.2、または212.3と接続されている。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ210の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。説明を示すために、電気モータ210の相212.1および212.2は、電気モータ210の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相212.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
図16において、時間tと比較した、電圧U、U、およびU、ならびに第2相212.2を通る電流の経過iL2の、例示的な時間的経過が示される。UおよびUを表す上の2つのグラフで認識可能であるように、第1相および第2相は、時間的に交互に電圧パルスを与えられる。その結果、対応して、第2相212.2において、交互に、上昇する電流パルスおよび降下する電流パルスが供給される(iL2、図16の最下のグラフ)。さらに、図16において、第3相における、または第3相212.3の接続部における電圧の時間的経過も、第3グラフにおいて示される。これは、電圧が第1相212.1または第2相212.2に印加されるかどうかに応じて、供給電圧Uの半分を上回る、または下回る交流値を仮定する。さらに、電圧Uのそれぞれの交番間隔において、その都度、期間中に変化する電流に起因する、総電圧Uに比べてその振幅が小さく構成される電圧上昇が認識される。
第2の相212.2を通る電流iL2は、鋸歯状の経過に従う。その傾きは、電流パルスの変更毎にその符号を変化させる。その都度電圧パルスが印加され、対応して電流強度iL2の傾きが維持されたままである時間間隔は、図16のグラフにおいてtと称される。
第3の、非通電相の電圧Uを測定する際には、第1相に電圧パルスが供給される時点の電圧Uと、第2相212.2に電圧パルスが供給される第2時点の電圧Uとの差が形成される、異なる時点に対する電圧の電圧差も評価することができる。したがって、電圧Uまたは上述の電圧差も、この方法を実施するために使用することができる。本開示の範囲内で、電圧Uに関する説明は、電圧差を使用する対応する説明も含む。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器のタップを表す第3相212.3の接続部における電圧または電圧差が、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくともロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器におい回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ210が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ210の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ210の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相212.1または第2相212.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される、または連続する測定の間にその都度少しずつ更に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図17は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相212.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ2100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ2100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度の分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相212.1および第2相212.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相212.3において電圧U、または電圧差が測定される上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相212.1または第2相212.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相212.1または第2相212.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相212.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相212.1および212.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(10)~(14)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のkの初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。代替的に、例えば、シミュレーションまたは最適化は、まず、k2 = 0で始める、および/または実行することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図18は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図17(グラフ2100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ2100および2200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電される際に実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図19は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ2300において示す。グラフ2300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相212.1および第2相212.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ2300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図20に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ2300は、図19に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ2400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される、磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図20から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。たとえば、第1初期値はk1 = k2= 0として選択できる、実行された各反復ステップの後、次いで、最後に決定された最適化された値を、それぞれの他のパラメータに対して使用できる。
図21Aおよび21Bは、任意選択の実施形態によるスター接続(図21A)およびデルタ接続(図21B)における三相電気モータ310の概略図を例示的に示す。電気モータ310は、この場合、3つの異なる相312のための3つの接続部312.1、312.2、および312.3を備える。3つの相312.1、312.2、および312.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗RM1、RM2、またはRM3と、によって特徴付けられる。電気モータ310の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部312.1、312.2、および312.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部312.1、312.2、および312.3と接続されている。スター接続の場合(図21A)、他端は、スター接続のスターポイント314と接続されている。デルタ接続の場合(図21B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部312.1、312.2、または312.3と接続されている。
図21Cは、互いに通信可能に接続されている制御ユニット320を有する電気モータ310を示す。制御ユニット320は、この場合、電気モータ310とは別個に構成され、電気モータ310に制御信号を供給するように、特に電気モータ310の転流を実行するように設定されている。さらに、制御ユニットは、電気モータ310の初期ロータ位置を決定するように設定されている。
図22Aは、三相電気モータ310のための従来の測定回路および制御駆動回路3100を示す。この場合、参照符号M~Mは、三相電気モータに3つまでのクロック電圧を印加するよう機能する電界効果トランジスタ(FET)を示す。OPV ICおよび抵抗R~Rの配置は、シャント抵抗Rの両端間の電圧降下を増幅し、制御ユニットが更に使用できるようにする増幅器ネットワークを表す。
抵抗R~R10は、この場合、抵抗分圧器として機能する。抵抗分圧器は、ロータ角度の初期位置を決定するために誘導性分圧器において測定される相電圧U、U、またはUを分圧する。これらは、その後、制御ユニットで利用可能にされる。
シャント抵抗Rは、個々の相電流、すなわち、三相電気モータのそれぞれの相に供給される、またはそこを流れる電流を測定するよう機能する。シャント抵抗Rの両端間で降下するシャント電圧は、典型的には、制御駆動回路内で降下する他の電圧と比較して小さく、例えば、2桁のミリボルト範囲であり得る。
図22Bは、三相電気モータ310のための更なる従来の測定回路および制御駆動回路3102を示す。これらは、複数のシャント抵抗、すなわち、シャント抵抗RおよびRを備える。これらは、各々が、三相電気モータの相のうちの1つに通電するためのFET MまたはMと、直列に接続されている。三相電気モータ310は3つの相を有する。しかしながら、モータ310の第3相電流は、他の2相でそれぞれ測定された電流からノードセットを介して計算することができるため、通常、このような構成では、それぞれに存在する相電流を決定するには2つのシャント抵抗RおよびRで十分である。そのような制御駆動回路3102では、誘導電圧差を特定する際に、シャント抵抗RおよびRの両方の両端の電圧降下を、任意選択で考慮することができる。シャント電圧差は、この場合、電流経路に実際にシャント抵抗RまたはRが存在するような通電間隔の間のみ、任意選択で考慮または補償される。これに対して、電流が外側の右側の経路、すなわちFET Mを介してグランドに放散されるような通電が行われる場合、このような場合には、補償は実行されない。対応して、シャント電圧差は、いくつかの通電間隔について考慮に入れることが適切であり得るが、これに対して、他の通電間隔については考慮に入れないことが適切であり得る。任意選択で、これは、信号を改善するために複数の通電間隔にわたって平均化する際にも考慮に入れることができる。
図22Aに示されるような、制御駆動回路を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、以下に説明され、その背景が説明される。
図23は、特定された電圧の例示的な経過を示す。ロータ位置または度の表示であるロータの回転角度(水平軸)に応じて、ステータに対するロータの全電気的回転にわたって、第1相および第2相が通電されるときに、この電圧が、三相電気モータ310の非通電の、第3相において誘導される。この場合、誘導電圧差は、垂直軸上にプロットされる。これは、第1相および第2相が、第1通電間隔の間に上昇する電流または降下する電流で通電される間に、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、第3の、通電されない相において、または誘導性分圧器において、誘導された電圧を特定することによって発生する。図23のグラフからは、誘導電圧差が、ロータ位置に著しく依存し、特にロータ位置に応じて符号が変更することを認識できる。これによって、三相電気モータ310の初期ロータ位置およびロータの南北方向を決定するために、誘導電圧差を特定することができる。ロータの極位置は、優勢な決定されるべきロータ位置における誘導電圧差を特定することによって生じる誘導電圧差の符号に基づいて、特定することができる。
図24において、電流に対するインダクタンスの依存性が低い三相電気モータ310について、ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の経過を例示的に示す。電流に対するインダクタンスの依存性が低いことによって、結果的に、誘導電圧差の経過がもはや符号の変更を有さず、対応して(更なる補正なしに)誘導電圧差の符号を決定することに基づいて、ロータの南北配向の確実な決定なしで、初期ロータ位置の決定がより可能である。図24から認識可能であるように、誘導電圧差の値は、約0.015Vから約0.07Vである。この場合、正の値のみを仮定する。これは、追加的に、いくつかのモータにおいて電圧差の振幅が更に低く、それによって、符号変化が生じない可能性が更に高まるという事実によって、更に補強することができる。
図24の誘導電圧差の経過は、図23の経過と定性的にほぼ対応し、偏差は主に垂直方向のオフセットで構成されているように見える。しかしながら、これは、これに基づいて、動作中に初期ロータ位置を確実には決定できないことにつながる。これは、初期ロータ位置を決定する際、誘導電圧差の平均値を形成することができないためである。そのためには、誘導電圧差を、全電気的回転にわたって、またはその少なくとも大部分にわたって、特定しなければならない。しかしながら、ロータがストール状態にあるとき、ロータ位置は当然変化しない。そのため、ロータがストール状態にあるときに、ロータの初期位置を決定するために、これが不可能である。
説明される実施形態によれば、変位の原因が考慮され、初期ロータ位置を決定するために誘導電圧差を特定する際の原因が考慮される。
図22Aによる制御駆動回路を使用する際、変位の原因は、初期ロータ位置を決定するために、三相電気モータ310の第1相および第2相が、第1通電間隔にわたって上昇する、または降下する電流で通電され、電流変化が次にシャント抵抗Rの両端間で降下する電圧の電圧変化をもたらすことである。この電圧降下は、第1通電間隔の間の2つの離間された誘導測定時点の間の特定される誘導電圧差に影響を与え、観察される変位につながる。特に、電流が第1相および第2相に通電される際に磁場をわずかに変化させるだけであり、対応してわずかな誘導電圧および誘導電圧差しかもたらさないような三相電気モータの場合、シャント電圧の電圧変化は、通電間隔における誘導測定時点に可及的に近い2つの離間されたシャント測定時点に対して、誘導電圧差と類似する特性またはサイズまたは振幅を有するシャント電圧差をもたらす可能性がある。このような場合、シャント抵抗の両端間で降下する電圧の電圧変化またはシャント電圧差は、誘導電圧差の変位に著しくつながる可能性があり、また特に、誘導電圧差の符号がロータ位置に応じてもはや変更されないことにつながる可能性もある。
図25において、第3の、非通電相における誘導電圧の経時的な経過が例示的に示される。一方、第1相および第2相は、上昇する電流で通電される。この場合、供給電圧は5Vである。約25μsの示される時間窓は、この場合、第3相における誘導電圧、すなわち誘導性分圧器における誘導電圧が約100mVだけ増加する例示的な通電間隔として見なすことができる。示される時間窓の開始および終了において、または例示的な通電間隔の、2つの誘導測定時点を設定すると、約100mVの誘導電圧差が得られる。
図26は、図25からの同じ時間窓に対して、シャント電圧の、すなわち、通電の際にシャント抵抗R(図22A)の両端間で降下する電圧の、時間的経過を示す。シャント電圧は、通電間隔にわたって約130mVだけ上昇する。したがって、通電間隔自体の開始と終了との間のシャント電圧差は、誘導電圧差よりも大きいことが認識可能である(図25)。シャント電圧またはシャント電圧差は、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として誘導性分圧器において測定された電圧変化に影響を与える。そのため、これによって、シャント電圧差が考慮されないままであると、誘導電圧差の誤差が生じやすい測定につながる。対応して、説明される実施形態によれば、シャント電圧差が、誘導電圧差を特定する際に考慮される。
任意選択の実施形態によれば、ロータ位置に依存する誘導性分圧器の分圧比を測定し、次いでシャント電圧差を測定された分圧比で割った値を、誘導電圧差から減算することによって、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差が考慮される。これによって、誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を正確に考慮して補償することが達成され得る、という利点が提供される。初期ロータ位置を決定する間に分圧比を誘導性分圧器において測定することができるため、いくつかの任意選択の実施形態において、これが追加の労力なしに可能である。
更なる任意選択の実施形態によれば、シャント電圧差は、異なる方法で誘導電圧差を特定する際に考慮される。この任意選択の実施形態によれば、2の固定分圧比が、補正または考慮のために、仮定または使用される。三相電気モータのロータ位置による分圧比の変動は、典型的には、全振幅の1%~10%の範囲に過ぎないため、これが有用な近似であると思われる。この近似によって、シャント電圧差を考慮に入れるために必要とされる計算能力を低減することができる。
図27は、図24にすでに示されているように、補償されていない、または補正されていない誘導電圧差3700の測定信号と、ロータの回転角度にわたるシャント電圧差3702の半分の値との比較を例示的に示す。この場合、半分にされたシャント電圧差3702は、電気的回転の半周期を有する周期成分を含むことが認識可能である。これは、上述のように、近似なしの完全な補償が使用された場合、省略される。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、結果として生じる残留誤差は、初期ロータ位置を決定する方法の信頼性にとって問題ではなく、したがって、固定分圧比に関する近似もまた、一貫して有用な結果をもたらすことができる
原理的には、南北検出のために3つの使用可能な間隔がある。任意選択の実施形態によれば、その中から用途に最も適した間隔、つまり、誘導性分圧器における信号すなわち誘導電圧差から、およびエラー信号すなわちシャント電圧差から、の差が最大である間隔を、常に選択できる。そのため、ゼロ交差の周りのこの差の挙動は、初期ロータ位置の決定には無関係である。
図28は、誘導電圧差3700およびシャント電圧差3702の差に対応する、南北検出または初期ロータ位置を決定するための、差信号を例示的に示す。図24に示される、初期ロータ位置の確実な決定には使用不能である(補正されていない)誘導電圧差の信号と比較と、図28の補正された信号は、優れた対称性を備え、確実なゼロ交差を有する優れた信号品質を備え、対応して初期ロータ位置の確実な決定に極めて良好に適している。
以下に、図22Aによる制御駆動回路を使用して初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、例示的に説明される。
まず、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電する。
更なるステップにおいて、次いで、通電間隔の間の第1誘導測定時点に対して、三相電気モータの非通電の第3相において、誘導電圧を特定する。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、制御駆動回路のシャント抵抗Rの両端間の電圧降下、すなわちシャント電圧降下と称される電圧降下を測定する。
電流の変化を引き起こすのに十分な時間、例えば1msが通電間隔の間に経過した後、第1通電間隔において、第2誘導測定時点に対して、誘導電圧の第2値を得る。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、シャント抵抗Rにわたるシャント電圧降下の第2回を測定する。
次いで、誘導電圧の第1測定値と第2測定値との間の差を特定し、制御駆動回路における電圧変化を考慮するために2つの測定されたシャント電圧降下の差の半分、すなわち半分にされたシャント電圧差を減算することによって、誘導電圧差を特定する。このようにして、補正された誘導電圧差を提供する。これは、初期ロータ位置の確実な決定に適している。対応して、制御回路に引き起こされる電圧変化を補正済みの、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することができる。
別の任意選択の実施形態によれば、半分にされたシャント電圧差の代わりに、誘導性分圧器の実際に測定された逆分圧比で乗算された、2つのシャント電圧からの差も使用することもできる。
補償のために参照される制御駆動回路における電圧降下を特定する更なる任意選択の可能性は、以下に基づく。すなわち、第1通電間隔において、誘導電圧または誘導電圧差のみを測定する。その後、更なる通電間隔において同一の電圧を新たに印加し、第1通電間隔において誘導電圧差を測定した対応する測定時点に対して、第2通電間隔においてシャント電圧差を測定する。これによって、ただ1つのアナログ‐デジタル変換器で、誘導電圧差およびシャント電圧差を特定する可能性が提供される。
更なる任意選択の可能性は、一般的な説明の部分で既に上述したように、シャント電圧差を推定することである。
信号を改善する更なる任意選択の可能性は、印加電圧が交互に反転され、この場合に特定された電圧差が、例えば合計および/または平均化される、複数の通電間隔の使用を含むことができる。この目的のために、例えば、誘導電圧差およびシャント電圧差を一緒に加算する、および/または平均化することができる。
説明された方法は、この場合、1つまたは複数のシャント抵抗の両端間の電圧降下から生じる誤差の補償に限定されない。むしろ、これらの、または類似の方法は、制御駆動回路からの任意の他の誤差および/または非対称性を、例えば正および負の供給電圧の後の半経路の間で補償するために使用することもできる。この目的のために、発生した誤差を測定できる、および/または、発生した誤差を、非対称性が既知である場合に、記載された推定と同様に計算することができる。
10 三相電気モータ
12 三相電気モータの相
12.1、12.2、12.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
14 スターポイント
20 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1相、第2相、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
o,0 初期転流間隔の切り換え上限
u,0 初期転流間隔の切り換え下限
o,i 調整された転流間隔の切り換え上限
u,i 調整された転流間隔の切り換え下限
100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
500、510、700 転流間隔の変位のグラフ
600、610 切り換え限界の距離のグラフ
210 三相電気モータ
212 三相電気モータの相
212.1、212.2、212.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
214 スターポイント
、U、U 第1、第2、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
2100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
2200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
2300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
2400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
310 三相電気モータ
312 三相電気モータの相
312.1、312.2、312.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
314 スターポイント
320 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
M1、RM2、RM3 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
~M 制御駆動回路の電界効果トランジスタ
(R) シャント抵抗
~R 電流測定用回路
~R10 抵抗分圧器のオーム抵抗
IC 電流測定用OPV
3100 制御駆動回路
3102 制御駆動回路
3700 誘導電圧差信号
3702 シャント電圧差信号
本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法、三相電気モータのための制御ユニット、および三相電気モータに関する。また本発明は、三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法および装置に関する。本発明は、さらに、三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法、制御ユニット、および電気モータに関する。本発明は、したがって、特に、電気モータおよび電気モータの制御駆動の分野に関する。
三相電気モータの確実な動作のために、ロータ位置の検出が、特に電気モータがストール状態(Stillstand)または低速状態にあるときには、有利であることが多い。特に、ロータ位置を知ることは、正確で確実な転流に有利である。この目的のために、従来技術では多様な異なる方法が既知である。これらは、センサベースの方法とセンサレスの方法と、に分けることができる。センサベースの方法は、適切なセンサを必要とし、ハードウェアの労力および関連するコストが、センサレスの方法よりも高い、という欠点を有する。センサレスの方法は、典型的には、試験パルスまたは測定パルスを電気モータに供給することに基づいており、これが不所望なノイズをもたらす可能性がある。センサレスの方法は、電気モータのステータインダクタンスの位置依存性および電流依存性に基づく。多様なセンサレスの方法のタイプは、例えば、DE102019127051A1に記載されている。
ロータ位置を検出するためのセンサレスの方法の適用限界は、依然として研究開発の主題であり、多大な努力を払って実験的にのみ決定できることが多い。この場合に、誤った解釈にいたる可能性もある。この誤った解釈は、製品開発の後期段階になって初めてそうと明らかになるものであり、その後、対応する問題につながる、および/または、それらを排除するために多大な労力と高コストを必要とする。
電気モータまたはアプリケーションの特性を、シミュレーションで予測することは、原理的には便利であるが、電気モータの磁化パラメータを正確に知ることが必要であり、そのため、従来は容易に可能でなかった。この場合、磁化パラメータは、ロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkと、電気モータへの通電によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkとを含む。
従来、磁化パラメータ、特にkの決定は、実験的にのみ可能である。測定から直接に決定するための単純な構成は、特に全体的な構成における寄生抵抗の影響によって、これまでのところ、失敗している。パラメータkは、原理的には、モータの個々の巻線におけるインダクタンスLおよびLを測定することを介して、直接に決定可能である。しかしながら、通常は、モータの個々の巻線を直接に測定することはできない。この理由は、典型的に、三相電気モータの外側の3つの端子のみがアクセス可能なためである。内部で、モータは、スター接続またはデルタ接続のいずれかで接続されている。これによって、3つの巻線のうちの少なくとも2つにおける影響が重複し、直接的に計算することが、もはや不可能である。
初期ロータ位置を決定するセンサレスの方法は、典型的に、誘導性分圧器における、すなわち非通電相の接続部における電圧を測定することに基づく。しかしながら、これらは、場合によっては、確実な北検出/南検出が不可能であるという欠点を有する。これは、大電流モータの場合に特にあてはまる可能性がある。
転流間隔の間の確実な切り換えを達成するために、DE102019127051A1は、3つの相のうちの2相の各々の接続部に双極性パルス幅変調を適用し、所定の電圧閾値に達したときに次の転流間隔に切り換える方法を提案する。
DE102016123707A1はモータの制御駆動装置を記載する。この場合、スターポイントと基準電位との間に存在する電圧には、受動的に切り換えられる相接続を介してアクセスできる。この場合、スターポイントにおいて形成される分圧器に本質的に影響を与えないように、受動的な相を流れる電流を避けるように注意すべきである。
WO2009/047217A2は、三つの相で電気機械を動作させる方法を記載する。この場合、ロータ位置を決定するために、誘導電圧の時間的経過の偏差が、パルス電圧の時間的経過に対して決定される。
DE102016123715A1は、制御装置を備える多相モータのための制御駆動装置を記載する。制御装置は、5つの相接続部のうちの4つの相接続部にパルス幅変調電圧パターンを印可し、その結果、多相モータの回転角度に依存する評価信号が第1相接続部において生成されるように、構成されている。制御装置は更に、評価信号から多相モータの回転角度および/または転流状態を決定するように設定されている。
DE10221385A1は、ブラシレスDCモータを始動する方法を記載する。この場合、巻線相における相電流は、測定シャントを用いて比較され、またコンパレータを用いて比較される。
DE10220077A1は、ブラシレスDCモータを始動する方法を記載する。
DE102019127051A1 DE102016123707A1 WO2009/047217A2 DE102016123715A1 DE10221385A1 DE10220077A1
本発明の課題は、転流の信頼性を高めることができて、かつハードウェア要件を低く保つことができる、三相モータのための方法および制御ユニットを提供することである。
これらの課題は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法、制御ユニット、装置、および三相電気モータによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項および明細書において特定されている。
第1態様において、本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法に関する。方法は、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供することであって、その際、転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備えること、および、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)を特定すること、を含む。方法は、特定された動作電流(i)に応じて初期転流間隔を調整することを更に含み、その際、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整する。
更なる態様において、本発明は、三相電気モータのための制御ユニットに関する。制御ユニットは、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供するように設定されている。転流間隔は、切り換上限go,0および切り換え下限gu,0を備える。さらに、制御ユニットは、三相電気モータの動作中に生じる、または三相電気モータの動作のために備えられている、または使用される、動作電流iを特定するように設定されている。さらに、制御ユニットは、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流iの二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するように、特定された動作電流iに応じて初期転流間隔を調整するように設定されている。
更なる態様において、本発明は、本発明による制御ユニットを含む三相電気モータに関する。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータである。この電気モータは、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
転流間隔は、この場合、それを介して所定の転流が不変に維持される非通電相における逆測定された(ruckgemessene)電圧のための、値の範囲である。転流間隔は、この場合、三相電気モータのロータの、ステータに対する特定の回転角度範囲に対応することができる。しかしながら、直接的な比較可能性が与えられる必要はない。それぞれの転流間隔において、所定の転流を有するモータが他の転流の可能性と比較して最大効果、および/または最大トルクを発揮するように、転流が任意選択で選択される。電圧が非通電相においてそれぞれの転流間隔を離れる場合、可及的に最大のトルクおよび/または可及的に最大の効果を達成するために、転流間隔の変更が必要である、または有利である。転流の変化は、この場合、相の割り当て、および/または相における電流方向が変化すること、すなわち、どの2つの相が通電されるか、またはどの相が通電されないままであるか、を意味する。ロータがステータに対して回転する方向に応じて、転流間隔または通電される相の間の変更を、反対方向にすることができる。本開示の文脈において、対応して、転流間隔という用語は、電圧範囲を指すものとする。初期転流間隔は、この場合、本発明による方法によって動作電流に対してまだ調整されていなかった、または更なる調整に供されるべきである、転流間隔のための開始時のスタート値に対応する。
切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、(初期)転流間隔の終点を表す電圧値である。切り換え上限に対応する電圧に達する、および/またはそれを上回るとき、後続の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。切り換え下限に対応する電圧に達する、および/またはそれを下回る場合、前回の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、この場合、転流間隔の幅またはサイズを決定する。転流間隔の変位は、この場合、転流間隔の幅またはサイズの変化を伴うことなく、ロータの回転角度または関連する電圧に沿った転流間隔の中心点の変位を表すことができる。
動作電流は、三相電気モータのそれぞれの通電相がその動作の間に通電される電流、または電流強度である。動作電流は、この場合、特に、三相電気モータの負荷および/または応力に依存し得る。動作電流は、負荷電流とも称することができる。特に、動作電流は、非通電相の電圧に影響を及ぼし、ロータ回転角度の特定の際に、および/または転流間隔に、偏差(Abweichungen)を引き起こす可能性がある。
本発明は、転流間隔を提供する際に動作電流を影響変数として共に考慮することができ、対応して、転流間隔の理想的な転流間隔からの不所望な偏差を低減することができる、または完全に回避することさえできる、という利点を提供する。これによって、三相電気モータのための制御駆動の信頼性を高めることができるという利点が得られる。さらに、これは、高トルクを確実に達成できて、内部エネルギ損失を低減できるため、本発明によって提供される転流間隔で制御される三相電気モータを高い効率で動作させることができるという利点も提供する。加えて、本発明は、本発明によって提供される転流間隔によって、対応して制御される三相電気モータの動作の際に発生する騒音を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流の二乗でスケーリングして調整するため、および/または変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するため、の所定の関数パラメータ(Funktionsparameter)を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、所定の関数パラメータおよび既存の動作電流を使用した、調整された距離および/または調整された変位を計算することを含む。これは、所定の関数パラメータに基づいて、切り換え限界の間の距離および転流間隔の変位の調整を、単純なアルゴリズムを使用して実行できるという利点を提供し、対応して、調整された転流間隔を提供するためのハードウェアおよび/または計算労力が低く保たれ得るという利点を提供する。
任意選択で、異なる動作電流(i)のための複数の調整された転流間隔を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、提供されて調整された転流間隔のうちの1つを、既存の動作電流に基づいて選択することを含む。換言すると、複数の所定の転流間隔が提供される。次いで、優勢な動作電流に基づいて、それらから1つが選択される。例えば、1つまたは複数の値の範囲を、提供されて調整された転流間隔の各々に割り当てることができる。特定された動作電流が、1つの割り当てられた値の範囲、または複数の割り当てられた値の範囲にある場合、それぞれの調整された転流間隔をモータの動作のために使用することができる。動作電流が変化し、前の値の範囲外の値をとる場合、対応して異なる転流間隔を選択することができる。これは、その後、モータの更なる動作のために参照される。
任意選択で、方法は、所定の閾値を提供することを含む。その際、閾値のうちの1つに対応する動作電流(i)が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。例えば、特定された動作電流は所定の閾値と比較できる。それぞれの閾値に達する、または上回る、もしくは下回る際に、それぞれの閾値に関連する転流間隔を使用することができる。これは、容易な実装を可能にし、さらに、記憶されるデータの量も少ないという利点を提供する。データは、例えば、制御駆動のために制御ユニットの内部に記憶することができる、および/または外部から制御ユニットに転送することができる。
任意選択で、方法は、所定の閾値の内挿および/または外挿を用いて追加の閾値を決定することを含む。その際、決定された追加の閾値のうちの1つに対応する動作電流が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。換言すると、方法は、所定の閾値に基づいて更なる追加の閾値を生成するために、内挿および/または外挿を含むことができる。更なる追加の閾値は、次いで、動作電流に応じて転流間隔を選択するために参照することができる。これによって、特定された動作電流に対する転流間隔の、より細かい調整および割り当てが可能である。
任意選択で、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を、放物線の開きにしたがって、および頂点の任意選択の変位にしたがって、動作電流の二乗でスケーリングして調整する。換言すると、切り換え限界の間の距離の調整は、放物線の開きおよびy軸切片によって特徴付けられる放物線関数に基づいて実行される。放物線は、この場合、切り換え上限と切り換え下限(縦軸)の動作電流(横軸)に対する関数に対応する。平均フリーの測定パルス生成方法では、放物線は、以下に対して軸対称である。
頂点の垂直位置は、この場合、初期転流間隔が動作電流に依存して調整されない場合、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限が有するべき電圧差を提示する。しかしながら、平均値を用いるパルス生成方法では、対称軸もまた、変位され、以下の値に位置することができる。
この場合、放物線の頂点は、垂直軸上、すなわち、
ではなく、以下の値、
に変位される。これによって、転流間隔の切り換え上限と切り換え下限との間の距離を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、転流間隔の変位を、傾きおよび任意選択で直線のゼロオフセットにしたがって、動作電流で線形にスケーリングして調整する。この場合、直線は、転流間隔の平均値の変位の線形依存性を表す。これは、転流間隔が動作電流に応じて初期転流間隔に対して変位される電圧値を表す。平均フリーの測定パルス生成方法では、直線は座標原点を通過する。平均値を用いるパルス発生方法では、追加的に、ゼロオフセットも考慮しなければならない。これによって、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限の変位を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、初期転流間隔の切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、それぞれ、三相電気モータの誘導性分圧器における電圧の所定の電圧値に対応する、またはそれに基づく。任意選択の実施形態によれば、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0(初期)またはgo,iおよびgu,i(動作電流に適合される)は、それぞれ異なる測定時間に対する異なる電圧値からの電圧差の形態でキャプチャすることもできる。この場合、第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、それぞれの切り換え限界を決定する信頼性を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、方法は、三相電気モータに供給される供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することを更に含む。これは、転流間隔に対する供給電圧のいかなる影響も考慮に入れることができ、それから結果として生じる、最適な転流間隔からの転流間隔の偏差を低減または回避できるという利点を提供する。
任意選択で、供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することは、誘導性分圧器における電圧を、供給電圧の特定された電圧値へ正規化することを含む。分圧器は、この場合、任意選択で、モータの非通電相の接続部によって形成することができる。分圧器は、回転角度によるモータの第1および第2通電相の異なるインダクタンスによって発生する。誘導性分圧器における電圧は、この場合、転流間隔の切り換え上限および/または切り換え下限と比較される測定値としての役割を果たす。転流の変更は、その際、誘導性分圧器における電圧が切り換え限界のうちの1つに達したときに生じる。供給電圧の特定された電圧値での誘導性分圧器における電圧の正規化によって、分圧器における電圧が転流間隔の切り換え限界に対して不所望な変位に至る可能性のある影響を、低減または回避することができる。
任意選択の実施形態によれば、転流間隔の変位は、通電されたモータに対する転流間隔の変位に関連することができて、以下の数学的関係を満たすことができる。
この場合、指数oおよびuは、切り換え上限または切り換え下限を示す。指数iは、特定された動作電流(i)で、すなわち、それに対してそれぞれの切り換え限界が調整された負荷電流で、モータを動作させるための切り換え限界の割り当てを示す。一方、指数0は、通電されないモータのためのそれぞれの初期切り換え限界を示す。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、任意選択で以下の数学的法則を満たすことができる:
本発明の更なる課題は、磁化パラメータkおよびkを確実に、かつ任意選択で自動的に決定可能な方法および装置を提供することである。
更なる態様において、本発明は、したがって、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給することを含む。その際、電流パルスを供給することが測定期間にわたって行われる。方法は、測定期間の間、ロータをステータに対して電気的回転の少なくとも一部だけ回転させることを含む。その際、回転させることは、全測定期間にわたって均一に行われる。方法は、測定期間の間に三相電気モータの誘導性分圧器における電圧を測定すること、および、ロータのステータに対する所定の回転角度での測定された電圧の測定値を特定すること、を更に含む。さらに、方法は、磁化パラメータための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整することを含む。さらに、方法は、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの少なくとも1つまたは複数を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する装置に関する。装置は、三相電気モータに通電し、測定期間にわたって三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給する制御駆動ユニットを備える。装置は、ロータをステータに対して回転させる回転ユニットと、測定要素と、を更に備える。その際、装置は、ロータをステータに対して回転ユニットを用いて全測定期間の間、電気的回転で均一に回転させるように設定されている。測定要素は、測定期間の間、三相電気モータの誘導性分圧器において電圧を測定する。さらに、装置は、ロータのステータに対する所定の回転角度で測定要素を用いて測定された電圧の測定値を特定するように、ならびに磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧のシミュレーション値を計算するように、および電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整するように設定された、制御ユニットを含む。さらに、制御ユニットは、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの1つまたは複数を決定するように設定されている。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータであり、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
電流パルスは、特に、相のそれぞれの接続部に電圧パルスを印加することによって供給することができる。この場合、電流の方向には、印加された電圧の極性によって影響を及ぼすことができる。しかしながら、特に巻線または相のインダクタンスによって、電流の方向は、電圧パルスの極性に常に瞬時に従う必要はない。そのため、例えば、印加された電圧パルスの極性の急速な極性反転は、以前から存在する電流を低減させることができるが、電流の方向は反転されない。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間の電圧に対応することができる。電圧は、この場合、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、ロータ位置に依存する。
電圧の測定が所定の回転角度で行われるということは、測定された電圧の測定値が、ロータの少なくとも固定された回転角度で行われたものであることを意味する。この場合、所定の回転角度は、ロータの開始時の回転角度位置に対する、相対角度を表すことができる。例えば、所定の回転角度によって、所定の測定間隔を広げることができる。代替的または追加的に、所定の回転角度は、測定進行に依存することができる、または、測定された電圧が最小値または最大値または別の識別可能な値を有する角度に対応することができる。
電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、電圧のシミュレーション値を計算することは、この場合、電圧のシミュレーション値が測定された電圧値に可及的に正確に対応するように、シミュレーション値を最適化することを意味する。換言すると、シミュレーション値は、パラメータkおよびkの変動によって最適化される。
本発明は、磁化パラメータkおよびkを確実に特定することができるという利点を提供する。そのため、例えば、各モータタイプのための、および/または各々の個々のモータのための、磁化パラメータを、工場出荷時に決定することができる。このようにして特定されたパラメータを、モータの動作の間にロータ位置を確実に決定するために使用できる。したがって、本発明は、本発明にしたがって決定された磁化パラメータによって、確実な決定によって提供される磁化パラメータなしには適用不能であろうロータ位置をセンサレスで決定する方法が、可能になるという利点を提供する。これによって、本発明は、ロータ角度を確実に知ることを必要とするモータのためにも、追加的なコストを伴うロータ角度のセンサベースの決定に頼る必要がないという利点を提供する。
本発明は更に、磁化パラメータの決定が、部分的に、または完全に自動化され得るという利点を提供する。これによって、多数の電気モータの磁化パラメータのルーチン的な決定が可能である。例えば、このようにして、多数のモータの磁化パラメータを決定することができる。また、平均化によって計算された磁化パラメータは、それぞれの一連の電気モータに使用することができる。
任意選択で、誘導性分圧器における電圧を測定することは、第1電圧値と第2電圧値との間の電圧差を測定することを含む。第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、決定の信頼性を高めることができるという利点を提供する。特に、第1および第2の電圧値またはそれから生じる電流パルスに等しく影響を及ぼすそのような干渉の影響を、平均化することができる。その結果、磁化パラメータを決定するために使用される電圧差に影響が及ばない。特に、電圧差を使用することによって、ロータのステータに対する回転によって引き起こされる、そうでなければ測定された電圧にオーバーラップするモータ電圧を低減することができる。
任意選択で、電流パルスは、試験パルスとして構成されている。方法を、試験パルスを除いて三相電気モータが通電されない際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの1つまたは複数のロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。モータが通電されない際に方法を実施することによって、電気モータのインダクタンスに対する、特にロータ磁石の影響が特定される。これは、パラメータkによって特徴付けられる。
任意選択で、方法を、試験パルスに加えて三相電気モータが通電される際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの通電によってインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。これは、モータへの通電に起因するインダクタンスへの影響も、確実かつ容易に決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、三相電気モータを、通電の転流が測定期間にわたって不変に維持されるように通電する。換言すると、通電されたモータの転流が不変に維持される間に、ロータの回転角度が変化される。このようにして、通電に起因するインダクタンス変化に対するロータ回転角度の影響を、確実に特定できる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電される際に少なくとも1回実行する。その際、電流パルスは、ブロック転流パルスとして構成されている。これは、モータが通電される際に実行する方法のために、追加の測定パルスを提供する必要がないが、規則的な転流パルスを使用することができるという利点を提供する。これによって、測定の労力および/または複雑さを低減することができる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電されない際に少なくとも1回、および通電される際に少なくとも1回実行する。これは、磁化パラメータkおよびkの両方を確実に決定できるという利点を提供する。
任意選択で、方法を、交互に三相電気モータが通電されない際および通電される際に、反復的に実行する。その際、方法を実行する際に決定される磁化パラメータの少なくとも一部を、方法を後続で反復的に実行する際に、磁化パラメータのための所定の推定値として使用する。これは、磁化パラメータkおよびkの相互依存性も考慮に入れることができて、このようにして、両方の磁化パラメータの決定の精度の漸進的な改善を達成することができるという利点を提供する。そのため、例えば、方法の反復的な実施の際に進行する磁化パラメータkの仕様を、磁化パラメータkの更なる仕様において考慮することができて、逆もまた同様である。このようにして、両方の磁化パラメータの確実な決定を達成することができる。
任意選択で、このような回転角度を、それぞれの場合に測定される電圧が局所的な極大値および/または局所的な極小値を備える所定の回転角度として予め決定する。これは、最大値および/または最小値で測定された電圧の測定値に基づいて、磁化パラメータを特に確実に決定できるという利点を提供する。さらに、これは、これらの所定の回転角度に基づいて、少数の測定値または回転角度で磁化パラメータを決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、ロータをステータに対して回転させるための、電気的回転の少なくとも一部は、少なくとも90°を備え、測定された電圧が局所的な極小値を備える少なくとも1つの所定の回転角度を備え、測定された電圧が局所的な極大値を備える少なくとも1つの更なる所定の回転角度を備える。これは、回転角度を低減し、このようにして測定のための労力および持続時間を短縮する可能性を提供する。
任意選択で、所定の回転角度で測定された電圧に基づいて、電気的回転にわたる電圧の連続的な経過が決定可能であるように、所定の回転角度を予め決定する。これによって、測定された電圧が局所的な極小値または局所的な極大値を備える回転角度を、容易に特定可能である。これはまた、シミュレーション値の測定された値への調整を、より容易にするという点で、有利であり得る。
任意選択で、磁化パラメータのための所定の推定値を、三相電気モータの第1相および第2相のそれぞれのインダクタンスのための所定の数学的モデルを介して、シミュレーション値の計算に組み込む。特に、所定の数学的モデルは、例えば所定の数学的モデルを計算ユニットに記憶させることによって、シミュレーション値の計算を自動化する可能性を提供できる。
任意選択で、方法は、電流パルスを供給する前に、ロータをステータに対して所定の始動回転角度に事前位置決めすることを更に含む。これは、特に、測定の間にロータが回転される回転角度範囲が所望の範囲を含み、および/または所望の範囲で始まるという点で特に有利であり得る。そのため、例えば、所定の回転角度範囲内で局所的な極大値および/または極小値が生じる確率が最大になるように、回転角度範囲を最適化できる。さらに、これは、複数の異なる測定の比較可能性を達成させる、および/または増大させるという利点を提供することができる。任意選択で、事前位置決めすることは、機械的な強制位置決め、および/または始動回転角度に達するまで三相電気モータに電流を印加することによって、実行する。これは、事前位置決めを自動化する機会を提供する。
さらに、本発明の課題は、三相電気モータの、特に確実な南北検出をも可能にする、初期ロータ位置を確実に決定するための、ハードウェア要件が低い方法を提供することである。
したがって、更なる態様において、本発明は、制御駆動回路を有する三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、および、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において、誘導された電圧を特定すること、を含む。方法は更に、第1通電間隔において第1相および第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の、誘導電圧差を特定すること、を含む。さらに、方法は、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、本発明による方法を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定された制御ユニットに関する。
更なる態様において、本発明は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータに関する。その際、電気モータは、本発明による方法を用いて電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている。
電気モータは、ステータおよびロータを備える。特に、この電気モータは、3つの相または巻線を備える三相電気モータとして構成されてよい。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。「電気モータ」、および「モータ」という用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
ロータ位置は、ロータのステータに対する回転角度に対応する。ロータ位置を知ることは、モータを効率的に動作させるために、特にモータの確実な転流のために必要な場合がある。ロータの回転角度は、この場合、0°から360°の範囲内とすることができる。代替的に、ロータまたはロータ磁石の南北方向の決定と組み合わせて、0°~180°の範囲で回転角度の割り当てを行うことができる。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間で降下する電圧に対応することができる。電圧は、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、今度は、ロータ位置に依存する。
誘導電圧差を特定する際、第1通電間隔における第1相および第2相の通電によって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮することは、この場合、制御駆動回路における電圧変化の特定される誘導電圧差に対する影響が、特定または推定され、そして少なくとも部分的に補償されることを意味する。
本発明は、誘導電圧差を特定する際に可能性のある影響および/または測定誤差、および、そこから生じる、制御駆動回路における電圧変化に起因する初期ロータ位置の決定に対する影響および/または測定誤差を、低減または回避することができるという利点を提供する。したがって、不所望な測定誤差を低減または回避することができるため、これが、初期ロータ位置の決定の信頼性を改善することができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、制御駆動回路に引き起こされる電圧変化を考慮に入れて、初期ロータ位置を決定するために、追加のハードウェアが全く必要でないという利点を提供する。特に、本発明は、初期ロータ位置を決定するために別個のセンサを設ける必要がなく、したがって、三相電気モータおよび制御駆動回路のための製造コストを低く抑えることができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、低インダクタンスを有する電気モータ、特に高電流三相電気モータの場合に、初期ロータ位置を確実に決定可能であるという利点を提供する。従来の方法の場合、従来発生していた影響が、著しい測定誤差をもたらし、対応して、初期ロータ位置を決定する際に信頼性が大幅に低減されることになろう。したがって、本発明は、初期ロータ位置を決定する本発明による方法が、異なるタイプの三相電気モータにおいて普遍的な適用性を有するという利点を提供する。したがって、異なるタイプの三相電気モータのために必要とされる、制御ユニットおよび/または初期ロータ位置を決定するための方法のタイプの多様性を、わずかに保つことができる。
任意選択で、第1相および第2相に通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う。これによって、電流の変化の符号を、すなわち電流が通電間隔において上昇または下降するかを、確実に決定することができる。このようにして特定される電流の変化の符号は、次いで、ロータ位置の南北検出に使用することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化は、シャント電圧差に対応する。シャント電圧差は、第1相および/または第2相の相電流を測定するシャント抵抗の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生する。シャント電圧差は、任意選択で、誘導電圧差の特定の結果を歪め、対応して初期ロータ位置の決定の信頼性を低下させる可能性がある、誘導電圧差の不所望な変化の主な原因を表す場合がある。シャント電圧差は、任意選択で非常にわずかにすることができ、例えば、数ミリボルトの範囲にすることができる。多くの場合、誘導電圧差がシャント電圧差と比較して非常に大きく構成されている場合、初期ロータ位置を決定する際のシャント電圧差の影響は無視することができる。しかしながら、誘導電圧差が、シャント電圧差と較べて、非常にわずかである、または同じ程度の大きさでさえある場合、シャント電圧差は、特定された誘導電圧差に著しく不所望な影響を及ぼす可能性がある。これは、その後、初期ロータ位置の決定を歪める。しかしながら、誘導電圧差を特定する際にシャント電圧差を考慮に入れることによって、これらの不所望な影響を低減または回避することができる。
任意選択で、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含む。その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない。これは、それぞれのシャント電圧測定および誘導電圧測定が、可及的に互いに時間的に近接して実行され、対応してシャント電圧差および誘導電圧差もほぼ同じ時間間隔にわたって特定されるという利点を提供する。これによって、誘導電圧差または誘導電圧の測定の間に実際に優勢なシャント電圧差またはその都度優勢なシャント電圧に、可及的に近いシャント電圧差を考慮することを達成できる。これは、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差の影響の特に正確な補償を可能にする。
任意選択で、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。代替的または追加的に、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。これは、誘導電圧および/またはシャント電圧の測定時点の間の期間が、インダクタンスおよび/またはシャントを通る電流の著しい上昇または下降を達成し、対応して誘導電圧差を特定するために適した信号振幅を維持するために、十分長い、という利点を提供する。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、所定の、推定されたシャント電圧差の形態で考慮する。換言すると、任意選択の実施形態によるシャント電圧差の特定は、これらを測定するのではなく、推定することに限定することができる。したがって、この任意選択の代替的な実施形態は、シャント電圧またはシャント電圧差の測定または特定に代わって、これらを推定によって考慮する可能性を提供する。例えば、推定は、他の既知のパラメータおよび/または実験的に決定されて提供されたデータおよび/または経験的値に基づく、推定値の計算に基づくことができる。例えば、シャント電圧差は、以下の数学的関係を用いて推定することができる。
この場合、ΔUshuntはシャント電圧差、Uは供給電圧、Lは(同一であると仮定される)第1相または第2相のインダクタンス、ΔTは第1誘導電圧測定と第2誘導電圧測定との間の時間的な距離、およびRshuntはシャント抵抗のオーム抵抗を、示す。したがって、シャント電圧差のこのような推定は、シャント電圧差の特定または測定が必要とされず、したがってハードウェアおよび/または計算労力を低く保つことができる解決策を提供することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差に比例する値だけ低減させることによって考慮する。例えば、シャント電圧差に比例する値は、シャント電圧差自体の値を表すことができる。しかしながら、他の実施形態によれば、シャント電圧差の分数および/または倍数もこの目的のために使用することができる。誘導電圧差がシャント電圧差に比例する値だけ低減されることは、この場合、誘導電圧差とシャント電圧差との間の差が、初期ロータ位置を決定するために特定された誘導電圧差として使用されることを意味する。このようにして、特定された誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を低減することができる、または完全に除去することさえできる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差の半分の値だけ低減させることによって考慮する。これは、特に単純で確実な考慮の形態を提供する。シャント電圧の変化は、実質的に、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として、誘導性分圧器において測定された誘導電圧の変化に影響を与える。誘導性分圧器における分圧比は、今度は位置に依存する。そのため、正確な補償を行うために、分圧比を実際に測定し、測定された分圧比で除算されたシャント電圧差を、誘導電圧差から減算することができる。多くの実施形態において、誘導性分圧器における分圧比は、ロータの位置検出の間に測定されるので、追加の測定ステップなしでこれを実施することができる。しかしながら、必要な計算電力を単純化し最小化するために、1/2の固定分圧比を使用することができる。それによって、シャント電圧差の半分の値が誘導電圧差から減算される。使用中の多くの電気モータについて、誘導性分圧器の分圧比の位置依存性は、1%~10%の範囲内でしかない。したがって、1/2の分圧比は、シャント電圧差の有用な考慮の基礎として使用することができる極めて有用な近似を表すことができる。
任意選択で、初期ロータ位置を決定する方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することを含む。その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対である。ならびに、本法は、第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において誘導された電圧を特定することを含む。さらに、この任意選択の実施形態による方法は、第2通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、ならびに第1通電間隔および第2通電間隔において特定された誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む。これは、両方の通電間隔において等しく発生する干渉によって生じる測定誤差を排除できるという利点を提供する。これによって、初期ロータ位置の決定の信頼性を更に高めることができる。2つの反対の測定を使用することによって、ステータ材料のヒステリシス特性によって引き起こされ得る任意の不正確さを低減することができる。
任意選択で、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相に印加する。これは、依然として存在する磁化による任意の影響が、以前の測定および/または通電によって低減または排除され得るという利点を提供する。所定の期間は、この場合、任意選択で、100msを超えない。
上述および以下に説明される特徴および実施形態は、この場合、それぞれの場合に明示的に言及される組合せにおいて開示されるものとして見なされるだけでなく、他の技術的に意味のある組合せおよび実施形態においても、開示内容に含まれる。特に、本開示の個々の態様は、互いに組み合わせることができる。そのため、任意選択で、転流間隔を提供する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。代替的または追加的に、本開示の一態様による三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。本開示の一態様による転流間隔を提供する方法、および本開示の一態様による三相電動機の初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された、任意選択で三相電気モータの磁化パラメータを使用する三相電動機の制御駆動において実行することもできる。換言すると、本発明の個々の態様は、互いに組み合わせることができる、または互いに独立して使用することができる。
本発明の更なる詳細および利点を、図面を参照して、以下の実施例および好適な実施形態を用いて、より詳細に説明する。
任意選択の実施形態による制御ユニットを有する三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による、スター接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 任意選択の実施形態による、デルタ接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 例示的な初期転流間隔を示す図である。 逆測定された電圧差の複数の経過を示すグラフである。 誘導性分圧器において測定された電圧Uの経過を例示的にグラフ100において示す。 誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を、シミュレートされて磁化パラメータkに関して最適化された電圧の経過と比較して例示的に示すグラフである。 回転角度φに応じた誘導性分圧器における電圧の測定された経過をグラフ300において示す。 の決定のためのシミュレーション値と電圧の測定値との比較を示すグラフである 動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表すグラフ500および510を示す。 切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iとの間の距離の依存性を示すグラフである。 図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示すグラフである。 様々な供給電圧Uに対する図10からの切り換え限界の距離の放物曲線を示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図12からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図を示す。 デルタ接続における三相電気モータの概略図を示す。 電圧U、UおよびUの時間的経過、ならびに第2相2212.2を通る電流の経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図である。 デルタ接続における三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による電気モータおよび制御ユニットの概略図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御駆動回路の図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御回路の図である。 特定された誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の例示的な経過を示すグラフである。 第1相および第2相が通電される間の、経時的な第3非通電相における誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 シャント電圧の時間的経過を示すグラフである。 未補正の誘導電圧差の測定信号の、ロータの回転角度に対するシャント電圧差の半分の値との比較を示すグラフである。 南北検出のための、または初期ロータ位置決定のための差信号を例示的に示すグラフである。
以下の図面において、様々な実施形態における同じ、または類似の要素は、簡略化のために同じ参照番号で示される。
図1は、任意選択の実施形態による制御ユニット20を有する三相電気モータ10の概略図を示す。制御ユニット20は、この場合、三相電気モータ10と通信可能に接続され、三相電気モータ10を制御して電力を供給するように設定されている。
図2Aおよび2Bは、任意選択の実施形態による、スター接続(図2A)およびデルタ接続(図2B)の三相電気モータ10の概略図を例示的に示す。電気モータ10は、この場合、3つの異なる相12のための3つの接続部12.1、12.2、および12.3を備える。3つの相12.1、12.2、および12.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ10の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUは、3つの相の3つの接続部12.1、12.2、および12.3に存在することができ、これらはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部12.1、12.2、および12.3と接続されている。スター接続の場合(図2A)、他端は、スター接続のスターポイント14と接続されている。デルタ接続の場合(図2B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部12.1、12.2、または12.3と接続されている。
図3は、三相電気モータ10のステータに対するロータの回転角度φ(度)を介して高トルク発生(M、M、M)(任意の単位で)のために選択される例示的な初期転流間隔K、K、およびKを示す。転流間隔K~Kは、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0によって制限される。それぞれの転流間隔K~Kにおいて逆測定された、異なる極性を有する測定パルスについての2つの相互に連続する測定値間の電圧または電圧差は、この場合、それぞれの初期転流間隔K~Kの切り換え限界と比較される。測定された電圧U、U、またはUが切り換え限界go,0またはgu,0のうちの1つに達すると、転流が変化されて、電気モータの相への通電が切り換えられる。転流の切り換えは、この場合、優勢な回転角度φに照らして、電気モータのロータを最も高いトルクM、M、またはMで動作させる電気モータの2つの相が、それぞれ通電されるように行われる。
図4は、非通電相12.1、12.2、または12.3それぞれにおける逆測定された電圧差U、U、およびUの、回転角度φにわたる複数の経過を、他の2つの相それぞれに通電される動作電流iに応じて示す。この場合、それぞれの非通電相の電圧差U、U、Uの経過は、異なる動作電流iに対してプロットされている。動作電流iの値は、0と1500(任意の単位)との間である。示されたグラフに基づいて、動作電流iの強度が、それぞれの電圧差U、U、およびUの経過に影響を及ぼすことが認識可能である。したがって、高い動作電流は、振幅の変化をもたらし、また低い動作電流および非電通の場合と比較して非対称性が発生するため、電圧差U、U、およびUの角度経過の変化をもたらす。図示の例では、電圧差の振幅は、動作電流の増加とともに増加し、非対称性が増加する。この電圧差の値が転流間隔K、K、およびKの切り換え限界と比較され、この比較に基づいて転流が切り換えられた後、この種の偏差は、転流に、そして対応して電気モータの機能および効率に直接的な影響を及ぼす。
この種の偏差は、転流間隔を提供する本発明による方法によって、低減または回避することができる。以下に、動作電流を考慮して転流間隔を調整することを含む例示的な方法を説明する。しかしながら、本発明は、説明される例に限定されない。
転流間隔を調整するために、磁化パラメータkおよびkならびに個々の相の最大インダクタンスを知ることが有利である。なお、磁化パラメータkおよびkが既知でない場合には、例えば、以下の方法を用いて特定することができる。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ10の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。説明を示すために、電気モータ10の相12.1および12.2は、電気モータ10の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相12.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
まず、この方法によれば、三相電気モータ10の磁化パラメータkおよびkを、これらがまだ既知でない場合に、決定する。さらに、この方法は、それぞれの相12.1、12.2、および12.3の最大インダクタンスLmaxを、これらがまだ既知でない場合に決定することを含むことができる。いくつかの任意選択の実施形態によれば、個々の相の最大インダクタンスLmaxは同一であると仮定することができるため、単一相の最大インダクタンスLmaxのみを特定する必要がある。特に、Lmaxは、単一相の、または二相に対するインダクタンスを適切なスケーリングで同時に測定することによって特定できる。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器を表す第3相12.の接続部における電圧または電圧差Uが、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される、複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくとも、ロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器において回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ10が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ10の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ10の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相12.1または第2相12.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図5は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相12.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。例えば、kおよびkのための初期推定値として、k1 = 0およびk2 = 0を仮定することができる。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相12.1および第2相12.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相12.3において電圧U、または電圧差が測定される、上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相12.1または第2相12.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相12.1または第2相12.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相12.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相12.1および12.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(3)~(7)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される、測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のk1の初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。例えば、k2 = 0である。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図6は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図3(グラフ100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ100および200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電された状態で実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図7は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ300において示す。グラフ300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相12.1および第2相12.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図8に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ300は、図7に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。その際、以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される。磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図8から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。
既知の最大インダクタンスLmaxおよび既知のインダクタンスパラメータkおよびkで、その後、調整された転流間隔の更なる決定を行うことができる。この場合、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)が特定される。動作電流(i)は、例えば、対応する電流測定によって特定することができる、および/またはシミュレーションによって特定することができる。
動作電流に応じて転流間隔を調整することは、例えば、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iを新たに決定し、それらが、その後、最初の転流間隔の切り換え限界go,0およびgu,0に対する距離および変位を決定することを目的とすることができる。例えば、切り換え限界は、転流間隔が回転角度範囲φの60°をカバーし、電圧差U、U、またはUのゼロ交差が、転流間隔60°の、またはカバーされた回転角度範囲φの中央にあるように設定することができる。そこから得られる、特定された動作電流に応じて特定された切り換え限界go,iおよびgu,iは、その後、対応する動作電流iでの転流のために参照することができる。
さらに、誘導性分圧器における電圧または電圧差U、U、またはUは、式(3)~(7)で上述した微分方程式系を用いて、切り換え限界go,iおよびgu,iにおける動作電流(i)に応じて計算される。これは、例えば、数値的に行うことができる。動作電流(i)に応じて計算される電圧または電圧差U、U、またはUについての例示的な結果は、図9および10に示される。図9は、この場合、グラフ500および510を示す。グラフ500および510は、シミュレーションの結果(グラフ500)として、および回帰を用いた最適化(グラフ510)後の、動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表す。グラフ500および510は、非常に高い一致を示し、互いにほぼ重なり合っている。変位は、この場合直線的な経過を有し、対応して線形方程式で直線として描くことができる。
図示の例では、この直線は、約m = 0.15V/Aの傾きを有し、ゼロオフセットn = 0Vである。
電圧差に対応する切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の距離の依存性が、図10に示される。グラフ600はシミュレーション結果に対応する。グラフ610は回帰法を用いた最適化後の結果に対応する。この二次依存性は、以下の式にしたがって放物線として表すことができる。
この場合、ΔUは、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の電圧差を示す。パラメータaは放物線の開きを示し、iは、特に平均値を有する測定パルスの場合に必ずしもゼロである必要のない、初期転流間隔の動作電流を示し、パラメータbは頂点の変位を示す。グラフ610から、値a = 0.0062V/A2、i0 = 0およびb= 2.4Vが得られる。
特に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算の結果の、シミュレーション結果の計算からの偏差などを最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。代替的に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算結果の、測定値からの偏差を最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。
特定され、場合によっては最適化されたパラメータm、n、a、b、およびiを使用して、その後、初期転流間隔は、動作電流iに応じて調整することができる。例えば、パラメータm、n、a、b、およびiは、モータを制御駆動するために制御ユニットに転送され、動作電流iに基づいて転流間隔の適切な調整および変位を決定するために、制御ユニットによって使用され得る。代替的または追加的に、例えば、異なる動作電流のための調整された転流間隔が、予め定義され、例えばテーブルの形態で制御ユニットに記憶され、それによって制御ユニットが、動作電流iに応じて、対応して割り当てられて調整された転流間隔を選択し、適用することができる。
いくつかの実施形態によれば、電気モータが動作される供給電圧または動作電圧Uの変動および/または上下は、転流に、また対応して電気モータの動作および効率に影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態によれば、転流間隔の調整の際に、供給電圧Uの上下および/または変動の影響も考慮に入れることができる。
図11は、異なる動作電圧に対する図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示す。最小の傾きを有するカーブは6Vの供給電圧Uに対応し、最大の傾きを有するカーブは80Vの供給電圧Uに対応する。対応して、図12において、異なる供給電圧Uについての図10からの転流限界の距離の、関連する放物曲線を示す。最下の曲線は6Vの供給電圧Uに対応し、最上の曲線は80Vの供給電圧Uに対応する。これから、供給電圧Uも、または、初期転流間隔の基礎しくは動作電流iに基づいて調整される転流間隔の基礎である予想供給電圧値からの逸脱も、モータの動作および効率に著しい影響を及ぼす可能性があり、転流間隔の調整の際に供給電圧を考慮することが有利であり得ることを認識できる。
特に、供給電圧Uは、測定された電圧または電圧差U、U、またはUを、供給電圧に正規化し、対応して正規化された転流間隔の切り換え限界を有する転流間隔の選択のために正規化された電圧ΔUrelを使用することによって、考慮することができる。使用される電圧は、したがって、以下のように決定することができる。
供給電圧Uは、例えば、1つまたは複数の対応する電圧測定値によって決定することができる。例えば、供給電圧は、モータが始動されるときに測定することができる、および/またはモータの動作の間に規則的に、または不規則に測定することができる。さらに、これによって、異なる電圧を有するネットワークにおいて、モータおよび制御駆動を使用することがより容易になるという利点も提供される。例えば、その後、12V、24V、または48Vを有する車両の車載電気システムにおいて、モータを使用することができる。転流間隔は、それに応じて調整することができる。
図13および図14は、それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11または図12からのカーブに対応するカーブを示す。結果は、正規化によって、転流間隔の限界の変位および距離の供給電圧への依存性を著しく低減できることを示す。このようにして、モータの信頼性および効率、ならびにその制御駆動をさらに高めることができる。
図15Aおよび15Bは、スター接続(図15A)およびデルタ接続(図15B)における三相電気モータ210の概略図を例示的に示す。電気モータ210は、この場合、3つの異なる相212のための3つの接続部2212.1、2212.2、および2212.3を備える。3つの相212.1、212.2、および212.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ210の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部212.1、212.2、および212.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部212.1、212.2、および212.3と接続されている。スター接続の場合(図15A)、他端は、スター接続のスターポイント214と接続されている。デルタ接続の場合(図15B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部212.1、212.2、または212.3と接続されている。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ210の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。説明を示すために、電気モータ210の相212.1および212.2は、電気モータ210の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相212.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
図16において、時間tと比較した、電圧U、U、およびU、ならびに第2相212.2を通る電流の経過iL2の、例示的な時間的経過が示される。UおよびUを表す上の2つのグラフで認識可能であるように、第1相および第2相は、時間的に交互に電圧パルスを与えられる。その結果、対応して、第2相212.2において、交互に、上昇する電流パルスおよび降下する電流パルスが供給される(iL2、図16の最下のグラフ)。さらに、図16において、第3相における、または第3相212.3の接続部における電圧の時間的経過も、第3グラフにおいて示される。これは、電圧が第1相212.1または第2相212.2に印加されるかどうかに応じて、供給電圧Uの半分を上回る、または下回る交流値を仮定する。さらに、電圧Uのそれぞれの交番間隔において、その都度、期間中に変化する電流に起因する、総電圧Uに比べてその振幅が小さく構成される電圧上昇が認識される。
第2の相212.2を通る電流iL2は、鋸歯状の経過に従う。その傾きは、電流パルスの変更毎にその符号を変化させる。その都度電圧パルスが印加され、対応して電流強度iL2の傾きが維持されたままである時間間隔は、図16のグラフにおいてtと称される。
第3の、非通電相の電圧Uを測定する際には、第1相に電圧パルスが供給される時点の電圧Uと、第2相212.2に電圧パルスが供給される第2時点の電圧Uとの差が形成される、異なる時点に対する電圧の電圧差も評価することができる。したがって、電圧Uまたは上述の電圧差も、この方法を実施するために使用することができる。本開示の範囲内で、電圧Uに関する説明は、電圧差を使用する対応する説明も含む。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器のタップを表す第3相212.3の接続部における電圧または電圧差が、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくともロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器におい回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ210が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ210の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ210の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相212.1または第2相212.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される、または連続する測定の間にその都度少しずつ更に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図17は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相212.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ2100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ2100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度の分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相212.1および第2相212.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相212.3において電圧U、または電圧差が測定される上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相212.1または第2相212.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相212.1または第2相212.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相212.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相212.1および212.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(10)~(14)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のkの初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。代替的に、例えば、シミュレーションまたは最適化は、まず、k2 = 0で始める、および/または実行することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図18は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図17(グラフ2100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ2100および2200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電される際に実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図19は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ2300において示す。グラフ2300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相212.1および第2相212.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ2300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図20に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ2300は、図19に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ2400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される、磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図20から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。たとえば、第1初期値はk1 = k2= 0として選択できる、実行された各反復ステップの後、次いで、最後に決定された最適化された値を、それぞれの他のパラメータに対して使用できる。
図21Aおよび21Bは、任意選択の実施形態によるスター接続(図21A)およびデルタ接続(図21B)における三相電気モータ310の概略図を例示的に示す。電気モータ310は、この場合、3つの異なる相312のための3つの接続部312.1、312.2、および312.3を備える。3つの相312.1、312.2、および312.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗RM1、RM2、またはRM3と、によって特徴付けられる。電気モータ310の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部312.1、312.2、および312.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部312.1、312.2、および312.3と接続されている。スター接続の場合(図21A)、他端は、スター接続のスターポイント314と接続されている。デルタ接続の場合(図21B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部312.1、312.2、または312.3と接続されている。
図21Cは、互いに通信可能に接続されている制御ユニット320を有する電気モータ310を示す。制御ユニット320は、この場合、電気モータ310とは別個に構成され、電気モータ310に制御信号を供給するように、特に電気モータ310の転流を実行するように設定されている。さらに、制御ユニットは、電気モータ310の初期ロータ位置を決定するように設定されている。
図22Aは、三相電気モータ310のための従来の測定回路および制御駆動回路3100を示す。この場合、参照符号M~Mは、三相電気モータに3つまでのクロック電圧を印加するよう機能する電界効果トランジスタ(FET)を示す。OPV ICおよび抵抗R~Rの配置は、シャント抵抗Rの両端間の電圧降下を増幅し、制御ユニットが更に使用できるようにする増幅器ネットワークを表す。
抵抗R~R10は、この場合、抵抗分圧器として機能する。抵抗分圧器は、ロータ角度の初期位置を決定するために誘導性分圧器において測定される相電圧U、U、またはUを分圧する。これらは、その後、制御ユニットで利用可能にされる。
シャント抵抗Rは、個々の相電流、すなわち、三相電気モータのそれぞれの相に供給される、またはそこを流れる電流を測定するよう機能する。シャント抵抗Rの両端間で降下するシャント電圧は、典型的には、制御駆動回路内で降下する他の電圧と比較して小さく、例えば、2桁のミリボルト範囲であり得る。
図22Bは、三相電気モータ310のための更なる従来の測定回路および制御駆動回路3102を示す。これらは、複数のシャント抵抗、すなわち、シャント抵抗RおよびRを備える。これらは、各々が、三相電気モータの相のうちの1つに通電するためのFET MまたはMと、直列に接続されている。三相電気モータ310は3つの相を有する。しかしながら、モータ310の第3相電流は、他の2相でそれぞれ測定された電流からノードセットを介して計算することができるため、通常、このような構成では、それぞれに存在する相電流を決定するには2つのシャント抵抗RおよびRで十分である。そのような制御駆動回路3102では、誘導電圧差を特定する際に、シャント抵抗RおよびRの両方の両端の電圧降下を、任意選択で考慮することができる。シャント電圧差は、この場合、電流経路に実際にシャント抵抗RまたはRが存在するような通電間隔の間のみ、任意選択で考慮または補償される。これに対して、電流が外側の右側の経路、すなわちFET Mを介してグランドに放散されるような通電が行われる場合、このような場合には、補償は実行されない。対応して、シャント電圧差は、いくつかの通電間隔について考慮に入れることが適切であり得るが、これに対して、他の通電間隔については考慮に入れないことが適切であり得る。任意選択で、これは、信号を改善するために複数の通電間隔にわたって平均化する際にも考慮に入れることができる。
図22Aに示されるような、制御駆動回路を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、以下に説明され、その背景が説明される。
図23は、特定された電圧の例示的な経過を示す。ロータ位置または度の表示であるロータの回転角度(水平軸)に応じて、ステータに対するロータの全電気的回転にわたって、第1相および第2相が通電されるときに、この電圧が、三相電気モータ310の非通電の、第3相において誘導される。この場合、誘導電圧差は、垂直軸上にプロットされる。これは、第1相および第2相が、第1通電間隔の間に上昇する電流または降下する電流で通電される間に、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、第3の、通電されない相において、または誘導性分圧器において、誘導された電圧を特定することによって発生する。図23のグラフからは、誘導電圧差が、ロータ位置に著しく依存し、特にロータ位置に応じて符号が変更することを認識できる。これによって、三相電気モータ310の初期ロータ位置およびロータの南北方向を決定するために、誘導電圧差を特定することができる。ロータの極位置は、優勢な決定されるべきロータ位置における誘導電圧差を特定することによって生じる誘導電圧差の符号に基づいて、特定することができる。
図24において、電流に対するインダクタンスの依存性が低い三相電気モータ310について、ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の経過を例示的に示す。電流に対するインダクタンスの依存性が低いことによって、結果的に、誘導電圧差の経過がもはや符号の変更を有さず、対応して(更なる補正なしに)誘導電圧差の符号を決定することに基づいて、ロータの南北配向の確実な決定なしで、初期ロータ位置の決定がより可能である。図24から認識可能であるように、誘導電圧差の値は、約0.015Vから約0.07Vである。この場合、正の値のみを仮定する。これは、追加的に、いくつかのモータにおいて電圧差の振幅が更に低く、それによって、符号変化が生じない可能性が更に高まるという事実によって、更に補強することができる。
図24の誘導電圧差の経過は、図23の経過と定性的にほぼ対応し、偏差は主に垂直方向のオフセットで構成されているように見える。しかしながら、これは、これに基づいて、動作中に初期ロータ位置を確実には決定できないことにつながる。これは、初期ロータ位置を決定する際、誘導電圧差の平均値を形成することができないためである。そのためには、誘導電圧差を、全電気的回転にわたって、またはその少なくとも大部分にわたって、特定しなければならない。しかしながら、ロータがストール状態にあるとき、ロータ位置は当然変化しない。そのため、ロータがストール状態にあるときに、ロータの初期位置を決定するために、これが不可能である。
説明される実施形態によれば、変位の原因が考慮され、初期ロータ位置を決定するために誘導電圧差を特定する際の原因が考慮される。
図22Aによる制御駆動回路を使用する際、変位の原因は、初期ロータ位置を決定するために、三相電気モータ310の第1相および第2相が、第1通電間隔にわたって上昇する、または降下する電流で通電され、電流変化が次にシャント抵抗Rの両端間で降下する電圧の電圧変化をもたらすことである。この電圧降下は、第1通電間隔の間の2つの離間された誘導測定時点の間の特定される誘導電圧差に影響を与え、観察される変位につながる。特に、電流が第1相および第2相に通電される際に磁場をわずかに変化させるだけであり、対応してわずかな誘導電圧および誘導電圧差しかもたらさないような三相電気モータの場合、シャント電圧の電圧変化は、通電間隔における誘導測定時点に可及的に近い2つの離間されたシャント測定時点に対して、誘導電圧差と類似する特性またはサイズまたは振幅を有するシャント電圧差をもたらす可能性がある。このような場合、シャント抵抗の両端間で降下する電圧の電圧変化またはシャント電圧差は、誘導電圧差の変位に著しくつながる可能性があり、また特に、誘導電圧差の符号がロータ位置に応じてもはや変更されないことにつながる可能性もある。
図25において、第3の、非通電相における誘導電圧の経時的な経過が例示的に示される。一方、第1相および第2相は、上昇する電流で通電される。この場合、供給電圧は5Vである。約25μsの示される時間窓は、この場合、第3相における誘導電圧、すなわち誘導性分圧器における誘導電圧が約100mVだけ増加する例示的な通電間隔として見なすことができる。示される時間窓の開始および終了において、または例示的な通電間隔の、2つの誘導測定時点を設定すると、約100mVの誘導電圧差が得られる。
図26は、図25からの同じ時間窓に対して、シャント電圧の、すなわち、通電の際にシャント抵抗R(図22A)の両端間で降下する電圧の、時間的経過を示す。シャント電圧は、通電間隔にわたって約130mVだけ上昇する。したがって、通電間隔自体の開始と終了との間のシャント電圧差は、誘導電圧差よりも大きいことが認識可能である(図25)。シャント電圧またはシャント電圧差は、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として誘導性分圧器において測定された電圧変化に影響を与える。そのため、これによって、シャント電圧差が考慮されないままであると、誘導電圧差の誤差が生じやすい測定につながる。対応して、説明される実施形態によれば、シャント電圧差が、誘導電圧差を特定する際に考慮される。
任意選択の実施形態によれば、ロータ位置に依存する誘導性分圧器の分圧比を測定し、次いでシャント電圧差を測定された分圧比で割った値を、誘導電圧差から減算することによって、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差が考慮される。これによって、誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を正確に考慮して補償することが達成され得る、という利点が提供される。初期ロータ位置を決定する間に分圧比を誘導性分圧器において測定することができるため、いくつかの任意選択の実施形態において、これが追加の労力なしに可能である。
更なる任意選択の実施形態によれば、シャント電圧差は、異なる方法で誘導電圧差を特定する際に考慮される。この任意選択の実施形態によれば、2の固定分圧比が、補正または考慮のために、仮定または使用される。三相電気モータのロータ位置による分圧比の変動は、典型的には、全振幅の1%~10%の範囲に過ぎないため、これが有用な近似であると思われる。この近似によって、シャント電圧差を考慮に入れるために必要とされる計算能力を低減することができる。
図27は、図24にすでに示されているように、補償されていない、または補正されていない誘導電圧差3700の測定信号と、ロータの回転角度にわたるシャント電圧差3702の半分の値との比較を例示的に示す。この場合、半分にされたシャント電圧差3702は、電気的回転の半周期を有する周期成分を含むことが認識可能である。これは、上述のように、近似なしの完全な補償が使用された場合、省略される。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、結果として生じる残留誤差は、初期ロータ位置を決定する方法の信頼性にとって問題ではなく、したがって、固定分圧比に関する近似もまた、一貫して有用な結果をもたらすことができる
原理的には、南北検出のために3つの使用可能な間隔がある。任意選択の実施形態によれば、その中から用途に最も適した間隔、つまり、誘導性分圧器における信号すなわち誘導電圧差から、およびエラー信号すなわちシャント電圧差から、の差が最大である間隔を、常に選択できる。そのため、ゼロ交差の周りのこの差の挙動は、初期ロータ位置の決定には無関係である。
図28は、誘導電圧差3700およびシャント電圧差3702の差に対応する、南北検出または初期ロータ位置を決定するための、差信号を例示的に示す。図24に示される、初期ロータ位置の確実な決定には使用不能である(補正されていない)誘導電圧差の信号と比較と、図28の補正された信号は、優れた対称性を備え、確実なゼロ交差を有する優れた信号品質を備え、対応して初期ロータ位置の確実な決定に極めて良好に適している。
以下に、図22Aによる制御駆動回路を使用して初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、例示的に説明される。
まず、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電する。
更なるステップにおいて、次いで、通電間隔の間の第1誘導測定時点に対して、三相電気モータの非通電の第3相において、誘導電圧を特定する。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、制御駆動回路のシャント抵抗Rの両端間の電圧降下、すなわちシャント電圧降下と称される電圧降下を測定する。
電流の変化を引き起こすのに十分な時間、例えば1msが通電間隔の間に経過した後、第1通電間隔において、第2誘導測定時点に対して、誘導電圧の第2値を得る。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、シャント抵抗Rにわたるシャント電圧降下の第2回を測定する。
次いで、誘導電圧の第1測定値と第2測定値との間の差を特定し、制御駆動回路における電圧変化を考慮するために2つの測定されたシャント電圧降下の差の半分、すなわち半分にされたシャント電圧差を減算することによって、誘導電圧差を特定する。このようにして、補正された誘導電圧差を提供する。これは、初期ロータ位置の確実な決定に適している。対応して、制御回路に引き起こされる電圧変化を補正済みの、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することができる。
別の任意選択の実施形態によれば、半分にされたシャント電圧差の代わりに、誘導性分圧器の実際に測定された逆分圧比で乗算された、2つのシャント電圧からの差も使用することもできる。
補償のために参照される制御駆動回路における電圧降下を特定する更なる任意選択の可能性は、以下に基づく。すなわち、第1通電間隔において、誘導電圧または誘導電圧差のみを測定する。その後、更なる通電間隔において同一の電圧を新たに印加し、第1通電間隔において誘導電圧差を測定した対応する測定時点に対して、第2通電間隔においてシャント電圧差を測定する。これによって、ただ1つのアナログ‐デジタル変換器で、誘導電圧差およびシャント電圧差を特定する可能性が提供される。
更なる任意選択の可能性は、一般的な説明の部分で既に上述したように、シャント電圧差を推定することである。
信号を改善する更なる任意選択の可能性は、印加電圧が交互に反転され、この場合に特定された電圧差が、例えば合計および/または平均化される、複数の通電間隔の使用を含むことができる。この目的のために、例えば、誘導電圧差およびシャント電圧差を一緒に加算する、および/または平均化することができる。
説明された方法は、この場合、1つまたは複数のシャント抵抗の両端間の電圧降下から生じる誤差の補償に限定されない。むしろ、これらの、または類似の方法は、制御駆動回路からの任意の他の誤差および/または非対称性を、例えば正および負の供給電圧の後の半経路の間で補償するために使用することもできる。この目的のために、発生した誤差を測定できる、および/または、発生した誤差を、非対称性が既知である場合に、記載された推定と同様に計算することができる。
10 三相電気モータ
12 三相電気モータの相
12.1、12.2、12.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
14 スターポイント
20 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1相、第2相、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
o,0 初期転流間隔の切り換え上限
u,0 初期転流間隔の切り換え下限
o,i 調整された転流間隔の切り換え上限
u,i 調整された転流間隔の切り換え下限
100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
500、510、700 転流間隔の変位のグラフ
600、610 切り換え限界の距離のグラフ
210 三相電気モータ
212 三相電気モータの相
212.1、212.2、212.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
214 スターポイント
、U、U 第1、第2、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
2100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
2200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
2300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
2400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
310 三相電気モータ
312 三相電気モータの相
312.1、312.2、312.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
314 スターポイント
320 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
M1、RM2、RM3 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
~M 制御駆動回路の電界効果トランジスタ
(R) シャント抵抗
~R 電流測定用回路
~R10 抵抗分圧器のオーム抵抗
IC 電流測定用OPV
3100 制御駆動回路
3102 制御駆動回路
3700 誘導電圧差信号
3702 シャント電圧差信号
本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法、三相電気モータのための制御ユニット、および三相電気モータに関する。また本発明は、三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法および装置に関する。本発明は、さらに、三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法、制御ユニット、および電気モータに関する。本発明は、したがって、特に、電気モータおよび電気モータの制御駆動の分野に関する。
三相電気モータの確実な動作のために、ロータ位置の検出が、特に電気モータがストール状態(Stillstand)または低速状態にあるときには、有利であることが多い。特に、ロータ位置を知ることは、正確で確実な転流に有利である。この目的のために、従来技術では多様な異なる方法が既知である。これらは、センサベースの方法とセンサレスの方法と、に分けることができる。センサベースの方法は、適切なセンサを必要とし、ハードウェアの労力および関連するコストが、センサレスの方法よりも高い、という欠点を有する。センサレスの方法は、典型的には、試験パルスまたは測定パルスを電気モータに供給することに基づいており、これが不所望なノイズをもたらす可能性がある。センサレスの方法は、電気モータのステータインダクタンスの位置依存性および電流依存性に基づく。多様なセンサレスの方法のタイプは、例えば、DE102019127051A1に記載されている。
ロータ位置を検出するためのセンサレスの方法の適用限界は、依然として研究開発の主題であり、多大な努力を払って実験的にのみ決定できることが多い。この場合に、誤った解釈にいたる可能性もある。この誤った解釈は、製品開発の後期段階になって初めてそうと明らかになるものであり、その後、対応する問題につながる、および/または、それらを排除するために多大な労力と高コストを必要とする。
電気モータまたはアプリケーションの特性を、シミュレーションで予測することは、原理的には便利であるが、電気モータの磁化パラメータを正確に知ることが必要であり、そのため、従来は容易に可能でなかった。この場合、磁化パラメータは、ロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkと、電気モータへの通電によるインダクタンス変動を特徴付けるパラメータkとを含む。
従来、磁化パラメータ、特にkの決定は、実験的にのみ可能である。測定から直接に決定するための単純な構成は、特に全体的な構成における寄生抵抗の影響によって、これまでのところ、失敗している。パラメータkは、原理的には、モータの個々の巻線におけるインダクタンスLおよびLを測定することを介して、直接に決定可能である。しかしながら、通常は、モータの個々の巻線を直接に測定することはできない。この理由は、典型的に、三相電気モータの外側の3つの端子のみがアクセス可能なためである。内部で、モータは、スター接続またはデルタ接続のいずれかで接続されている。これによって、3つの巻線のうちの少なくとも2つにおける影響が重複し、直接的に計算することが、もはや不可能である。
初期ロータ位置を決定するセンサレスの方法は、典型的に、誘導性分圧器における、すなわち非通電相の接続部における電圧を測定することに基づく。しかしながら、これらは、場合によっては、確実な北検出/南検出が不可能であるという欠点を有する。これは、大電流モータの場合に特にあてはまる可能性がある。
転流間隔の間の確実な切り換えを達成するために、DE102019127051A1は、3つの相のうちの2相の各々の接続部に双極性パルス幅変調を適用し、所定の電圧閾値に達したときに次の転流間隔に切り換える方法を提案する。
DE102016123707A1はモータの制御駆動装置を記載する。この場合、スターポイントと基準電位との間に存在する電圧には、受動的に切り換えられる相接続を介してアクセスできる。この場合、スターポイントにおいて形成される分圧器に本質的に影響を与えないように、受動的な相を流れる電流を避けるように注意すべきである。
WO2009/047217A2は、三つの相で電気機械を動作させる方法を記載する。この場合、ロータ位置を決定するために、誘導電圧の時間的経過の偏差が、パルス電圧の時間的経過に対して決定される。
DE102016123715A1は、制御装置を備える多相モータのための制御駆動装置を記載する。制御装置は、5つの相接続部のうちの4つの相接続部にパルス幅変調電圧パターンを印可し、その結果、多相モータの回転角度に依存する評価信号が第1相接続部において生成されるように、構成されている。制御装置は更に、評価信号から多相モータの回転角度および/または転流状態を決定するように設定されている。
DE10221385A1は、ブラシレスDCモータを始動する方法を記載する。この場合、巻線相における相電流は、測定シャントを用いて比較され、またコンパレータを用いて比較される。
DE10220077A1は、ブラシレスDCモータを始動する方法を記載する。
DE102019127051A1 DE102016123707A1 WO2009/047217A2 DE102016123715A1 DE10221385A1 DE10220077A1
本発明の課題は、転流の信頼性を高めることができて、かつハードウェア要件を低く保つことができる、三相モータのための方法および制御ユニットを提供することである。
これらの課題は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法、制御ユニット、装置、および三相電気モータによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項および明細書において特定されている。
第1態様において、本発明は、三相電気モータのための転流間隔を提供する方法に関する。方法は、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供することであって、その際、転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備えること、および、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)を特定すること、を含む。方法は、特定された動作電流(i)に応じて初期転流間隔を調整することを更に含み、その際、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整する。
更なる態様において、本発明は、三相電気モータのための制御ユニットに関する。制御ユニットは、三相電気モータの動作のための初期転流間隔を提供するように設定されている。転流間隔は、切り換上限go,0および切り換え下限gu,0を備える。さらに、制御ユニットは、三相電気モータの動作中に生じる、または三相電気モータの動作のために備えられている、または使用される、動作電流iを特定するように設定されている。さらに、制御ユニットは、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流iの二乗でスケーリングして調整する、および/または転流間隔の変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するように、特定された動作電流iに応じて初期転流間隔を調整するように設定されている。
更なる態様において、本発明は、本発明による制御ユニットを含む三相電気モータに関する。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータである。この電気モータは、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
転流間隔は、この場合、それを介して所定の転流が不変に維持される非通電相における逆測定された(ruckgemessene)電圧のための、値の範囲である。転流間隔は、この場合、三相電気モータのロータの、ステータに対する特定の回転角度範囲に対応することができる。しかしながら、直接的な比較可能性が与えられる必要はない。それぞれの転流間隔において、所定の転流を有するモータが他の転流の可能性と比較して最大効果、および/または最大トルクを発揮するように、転流が任意選択で選択される。電圧が非通電相においてそれぞれの転流間隔を離れる場合、可及的に最大のトルクおよび/または可及的に最大の効果を達成するために、転流間隔の変更が必要である、または有利である。転流の変化は、この場合、相の割り当て、および/または相における電流方向が変化すること、すなわち、どの2つの相が通電されるか、またはどの相が通電されないままであるか、を意味する。ロータがステータに対して回転する方向に応じて、転流間隔または通電される相の間の変更を、反対方向にすることができる。本開示の文脈において、対応して、転流間隔という用語は、電圧範囲を指すものとする。初期転流間隔は、この場合、本発明による方法によって動作電流に対してまだ調整されていなかった、または更なる調整に供されるべきである、転流間隔のための開始時のスタート値に対応する。
切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、(初期)転流間隔の終点を表す電圧値である。切り換え上限に対応する電圧に達する、および/またはそれを上回るとき、後続の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。切り換え下限に対応する電圧に達する、および/またはそれを下回る場合、前回の転流間隔への変更が必要であり得る、または有利であり得る。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、この場合、転流間隔の幅またはサイズを決定する。転流間隔の変位は、この場合、転流間隔の幅またはサイズの変化を伴うことなく、ロータの回転角度または関連する電圧に沿った転流間隔の中心点の変位を表すことができる。
動作電流は、三相電気モータのそれぞれの通電相がその動作の間に通電される電流、または電流強度である。動作電流は、この場合、特に、三相電気モータの負荷および/または応力に依存し得る。動作電流は、負荷電流とも称することができる。特に、動作電流は、非通電相の電圧に影響を及ぼし、ロータ回転角度の特定の際に、および/または転流間隔に、偏差(Abweichungen)を引き起こす可能性がある。
本発明は、転流間隔を提供する際に動作電流を影響変数として共に考慮することができ、対応して、転流間隔の理想的な転流間隔からの不所望な偏差を低減することができる、または完全に回避することさえできる、という利点を提供する。これによって、三相電気モータのための制御駆動の信頼性を高めることができるという利点が得られる。さらに、これは、高トルクを確実に達成できて、内部エネルギ損失を低減できるため、本発明によって提供される転流間隔で制御される三相電気モータを高い効率で動作させることができるという利点も提供する。加えて、本発明は、本発明によって提供される転流間隔によって、対応して制御される三相電気モータの動作の際に発生する騒音を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を動作電流の二乗でスケーリングして調整するため、および/または変位を動作電流で線形にスケーリングして調整するため、の所定の関数パラメータ(Funktionsparameter)を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、所定の関数パラメータおよび既存の動作電流を使用した、調整された距離および/または調整された変位を計算することを含む。これは、所定の関数パラメータに基づいて、切り換え限界の間の距離および転流間隔の変位の調整を、単純なアルゴリズムを使用して実行できるという利点を提供し、対応して、調整された転流間隔を提供するためのハードウェアおよび/または計算労力が低く保たれ得るという利点を提供する。
任意選択で、異なる動作電流(i)のための複数の調整された転流間隔を提供する。任意選択で、転流間隔を調整することは、提供されて調整された転流間隔のうちの1つを、既存の動作電流に基づいて選択することを含む。換言すると、複数の所定の転流間隔が提供される。次いで、優勢な動作電流に基づいて、それらから1つが選択される。例えば、1つまたは複数の値の範囲を、提供されて調整された転流間隔の各々に割り当てることができる。特定された動作電流が、1つの割り当てられた値の範囲、または複数の割り当てられた値の範囲にある場合、それぞれの調整された転流間隔をモータの動作のために使用することができる。動作電流が変化し、前の値の範囲外の値をとる場合、対応して異なる転流間隔を選択することができる。これは、その後、モータの更なる動作のために参照される。
任意選択で、方法は、所定の閾値を提供することを含む。その際、閾値のうちの1つに対応する動作電流(i)が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。例えば、特定された動作電流は所定の閾値と比較できる。それぞれの閾値に達する、または上回る、もしくは下回る際に、それぞれの閾値に関連する転流間隔を使用することができる。これは、容易な実装を可能にし、さらに、記憶されるデータの量も少ないという利点を提供する。データは、例えば、制御駆動のために制御ユニットの内部に記憶することができる、および/または外部から制御ユニットに転送することができる。
任意選択で、方法は、所定の閾値の内挿および/または外挿を用いて追加の閾値を決定することを含む。その際、決定された追加の閾値のうちの1つに対応する動作電流が存在する際に、転流間隔を調整することを行う。換言すると、方法は、所定の閾値に基づいて更なる追加の閾値を生成するために、内挿および/または外挿を含むことができる。更なる追加の閾値は、次いで、動作電流に応じて転流間隔を選択するために参照することができる。これによって、特定された動作電流に対する転流間隔の、より細かい調整および割り当てが可能である。
任意選択で、転流間隔の切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を、放物線の開きにしたがって、および頂点の任意選択の変位にしたがって、動作電流の二乗でスケーリングして調整する。換言すると、切り換え限界の間の距離の調整は、放物線の開きおよびy軸切片によって特徴付けられる放物線関数に基づいて実行される。放物線は、この場合、切り換え上限と切り換え下限(縦軸)の動作電流(横軸)に対する関数に対応する。平均フリーの測定パルス生成方法では、放物線は、以下に対して軸対称である。
頂点の垂直位置は、この場合、初期転流間隔が動作電流に依存して調整されない場合、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限が有するべき電圧差を提示する。しかしながら、平均値を用いるパルス生成方法では、対称軸もまた、変位され、以下の値に位置することができる。
この場合、放物線の頂点は、垂直軸上、すなわち、
ではなく、以下の値、
に変位される。これによって、転流間隔の切り換え上限と切り換え下限との間の距離を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、転流間隔の変位を、傾きおよび任意選択で直線のゼロオフセットにしたがって、動作電流で線形にスケーリングして調整する。この場合、直線は、転流間隔の平均値の変位の線形依存性を表す。これは、転流間隔が動作電流に応じて初期転流間隔に対して変位される電圧値を表す。平均フリーの測定パルス生成方法では、直線は座標原点を通過する。平均値を用いるパルス発生方法では、追加的に、ゼロオフセットも考慮しなければならない。これによって、転流間隔の切り換え上限および切り換え下限の変位を調整するための容易なパラメータ化が可能になる。
任意選択で、初期転流間隔の切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0は、それぞれ、三相電気モータの誘導性分圧器における電圧の所定の電圧値に対応する、またはそれに基づく。任意選択の実施形態によれば、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0(初期)またはgo,iおよびgu,i(動作電流に適合される)は、それぞれ異なる測定時間に対する異なる電圧値からの電圧差の形態でキャプチャすることもできる。この場合、第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成することができる。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、それぞれの切り換え限界を決定する信頼性を高めることができるという利点を提供する。
任意選択で、方法は、三相電気モータに供給される供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することを更に含む。これは、転流間隔に対する供給電圧のいかなる影響も考慮に入れることができ、それから結果として生じる、最適な転流間隔からの転流間隔の偏差を低減または回避できるという利点を提供する。
任意選択で、供給電圧の特定された電圧値に応じて、初期転流間隔を調整することは、誘導性分圧器における電圧を、供給電圧の特定された電圧値へ正規化することを含む。分圧器は、この場合、任意選択で、モータの非通電相の接続部によって形成することができる。分圧器は、回転角度によるモータの第1および第2通電相の異なるインダクタンスによって発生する。誘導性分圧器における電圧は、この場合、転流間隔の切り換え上限および/または切り換え下限と比較される測定値としての役割を果たす。転流の変更は、その際、誘導性分圧器における電圧が切り換え限界のうちの1つに達したときに生じる。供給電圧の特定された電圧値での誘導性分圧器における電圧の正規化によって、分圧器における電圧が転流間隔の切り換え限界に対して不所望な変位に至る可能性のある影響を、低減または回避することができる。
任意選択の実施形態によれば、転流間隔の変位は、通電されたモータに対する転流間隔の変位に関連することができて、以下の数学的関係を満たすことができる。
この場合、指数oおよびuは、切り換え上限または切り換え下限を示す。指数iは、特定された動作電流(i)で、すなわち、それに対してそれぞれの切り換え限界が調整された負荷電流で、モータを動作させるための切り換え限界の割り当てを示す。一方、指数0は、通電されないモータのためのそれぞれの初期切り換え限界を示す。
切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離は、任意選択で以下の数学的法則を満たすことができる:
本発明の更なる課題は、磁化パラメータkおよびkを確実に、かつ任意選択で自動的に決定可能な方法および装置を提供することである。
更なる態様において、本発明は、したがって、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給することを含む。その際、電流パルスを供給することが測定期間にわたって行われる。方法は、測定期間の間、ロータをステータに対して電気的回転の少なくとも一部だけ回転させることを含む。その際、回転させることは、全測定期間にわたって均一に行われる。方法は、測定期間の間に三相電気モータの誘導性分圧器における電圧を測定すること、および、ロータのステータに対する所定の回転角度での測定された電圧の測定値を特定すること、を更に含む。さらに、方法は、磁化パラメータための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整することを含む。さらに、方法は、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの少なくとも1つまたは複数を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、ロータおよびステータを有する三相電気モータの磁化パラメータを決定する装置に関する。装置は、三相電気モータに通電し、測定期間にわたって三相電気モータの第1相および第2相に電流パルスを供給する制御駆動ユニットを備える。装置は、ロータをステータに対して回転させる回転ユニットと、測定要素と、を更に備える。その際、装置は、ロータをステータに対して回転ユニットを用いて全測定期間の間、電気的回転で均一に回転させるように設定されている。測定要素は、測定期間の間、三相電気モータの誘導性分圧器において電圧を測定する。さらに、装置は、ロータのステータに対する所定の回転角度で測定要素を用いて測定された電圧の測定値を特定するように、ならびに磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧のシミュレーション値を計算するように、および電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整するように設定された、制御ユニットを含む。さらに、制御ユニットは、シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、磁化パラメータの推定値に基づいて、三相モータの磁化パラメータのうちの1つまたは複数を決定するように設定されている。
三相電気モータは、この場合、ステータおよびロータを有する電気モータであり、3つの相または3つの巻線を備える。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。三相電気モータ、電気モータ、およびモータという用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
電流パルスは、特に、相のそれぞれの接続部に電圧パルスを印加することによって供給することができる。この場合、電流の方向には、印加された電圧の極性によって影響を及ぼすことができる。しかしながら、特に巻線または相のインダクタンスによって、電流の方向は、電圧パルスの極性に常に瞬時に従う必要はない。そのため、例えば、印加された電圧パルスの極性の急速な極性反転は、以前から存在する電流を低減させることができるが、電流の方向は反転されない。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間の電圧に対応することができる。電圧は、この場合、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、ロータ位置に依存する。
電圧の測定が所定の回転角度で行われるということは、測定された電圧の測定値が、ロータの少なくとも固定された回転角度で行われたものであることを意味する。この場合、所定の回転角度は、ロータの開始時の回転角度位置に対する、相対角度を表すことができる。例えば、所定の回転角度によって、所定の測定間隔を広げることができる。代替的または追加的に、所定の回転角度は、測定進行に依存することができる、または、測定された電圧が最小値または最大値または別の識別可能な値を有する角度に対応することができる。
電圧のシミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、電圧のシミュレーション値を計算することは、この場合、電圧のシミュレーション値が測定された電圧値に可及的に正確に対応するように、シミュレーション値を最適化することを意味する。換言すると、シミュレーション値は、パラメータkおよびkの変動によって最適化される。
本発明は、磁化パラメータkおよびkを確実に特定することができるという利点を提供する。そのため、例えば、各モータタイプのための、および/または各々の個々のモータのための、磁化パラメータを、工場出荷時に決定することができる。このようにして特定されたパラメータを、モータの動作の間にロータ位置を確実に決定するために使用できる。したがって、本発明は、本発明にしたがって決定された磁化パラメータによって、確実な決定によって提供される磁化パラメータなしには適用不能であろうロータ位置をセンサレスで決定する方法が、可能になるという利点を提供する。これによって、本発明は、ロータ角度を確実に知ることを必要とするモータのためにも、追加的なコストを伴うロータ角度のセンサベースの決定に頼る必要がないという利点を提供する。
本発明は更に、磁化パラメータの決定が、部分的に、または完全に自動化され得るという利点を提供する。これによって、多数の電気モータの磁化パラメータのルーチン的な決定が可能である。例えば、このようにして、多数のモータの磁化パラメータを決定することができる。また、平均化によって計算された磁化パラメータは、それぞれの一連の電気モータに使用することができる。
任意選択で、誘導性分圧器における電圧を測定することは、第1電圧値と第2電圧値との間の電圧差を測定することを含む。第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される。これは、電圧差を使用することによって干渉の影響を低減することができるので、決定の信頼性を高めることができるという利点を提供する。特に、第1および第2の電圧値またはそれから生じる電流パルスに等しく影響を及ぼすそのような干渉の影響を、平均化することができる。その結果、磁化パラメータを決定するために使用される電圧差に影響が及ばない。特に、電圧差を使用することによって、ロータのステータに対する回転によって引き起こされる、そうでなければ測定された電圧にオーバーラップするモータ電圧を低減することができる。
任意選択で、電流パルスは、試験パルスとして構成されている。方法を、試験パルスを除いて三相電気モータが通電されない際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの1つまたは複数のロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。モータが通電されない際に方法を実施することによって、電気モータのインダクタンスに対する、特にロータ磁石の影響が特定される。これは、パラメータkによって特徴付けられる。
任意選択で、方法を、試験パルスに加えて三相電気モータが通電される際に、少なくとも1回実行する。その際、1つまたは複数の磁化パラメータを決定することは、三相電気モータの通電によってインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む。これは、モータへの通電に起因するインダクタンスへの影響も、確実かつ容易に決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、三相電気モータを、通電の転流が測定期間にわたって不変に維持されるように通電する。換言すると、通電されたモータの転流が不変に維持される間に、ロータの回転角度が変化される。このようにして、通電に起因するインダクタンス変化に対するロータ回転角度の影響を、確実に特定できる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電される際に少なくとも1回実行する。その際、電流パルスは、ブロック転流パルスとして構成されている。これは、モータが通電される際に実行する方法のために、追加の測定パルスを提供する必要がないが、規則的な転流パルスを使用することができるという利点を提供する。これによって、測定の労力および/または複雑さを低減することができる。
任意選択で、方法を、三相電気モータが通電されない際に少なくとも1回、および通電される際に少なくとも1回実行する。これは、磁化パラメータkおよびkの両方を確実に決定できるという利点を提供する。
任意選択で、方法を、交互に三相電気モータが通電されない際および通電される際に、反復的に実行する。その際、方法を実行する際に決定される磁化パラメータの少なくとも一部を、方法を後続で反復的に実行する際に、磁化パラメータのための所定の推定値として使用する。これは、磁化パラメータkおよびkの相互依存性も考慮に入れることができて、このようにして、両方の磁化パラメータの決定の精度の漸進的な改善を達成することができるという利点を提供する。そのため、例えば、方法の反復的な実施の際に進行する磁化パラメータkの仕様を、磁化パラメータkの更なる仕様において考慮することができて、逆もまた同様である。このようにして、両方の磁化パラメータの確実な決定を達成することができる。
任意選択で、このような回転角度を、それぞれの場合に測定される電圧が局所的な極大値および/または局所的な極小値を備える所定の回転角度として予め決定する。これは、最大値および/または最小値で測定された電圧の測定値に基づいて、磁化パラメータを特に確実に決定できるという利点を提供する。さらに、これは、これらの所定の回転角度に基づいて、少数の測定値または回転角度で磁化パラメータを決定できるという利点を提供する。任意選択で、この場合、ロータをステータに対して回転させるための、電気的回転の少なくとも一部は、少なくとも90°を備え、測定された電圧が局所的な極小値を備える少なくとも1つの所定の回転角度を備え、測定された電圧が局所的な極大値を備える少なくとも1つの更なる所定の回転角度を備える。これは、回転角度を低減し、このようにして測定のための労力および持続時間を短縮する可能性を提供する。
任意選択で、所定の回転角度で測定された電圧に基づいて、電気的回転にわたる電圧の連続的な経過が決定可能であるように、所定の回転角度を予め決定する。これによって、測定された電圧が局所的な極小値または局所的な極大値を備える回転角度を、容易に特定可能である。これはまた、シミュレーション値の測定された値への調整を、より容易にするという点で、有利であり得る。
任意選択で、磁化パラメータのための所定の推定値を、三相電気モータの第1相および第2相のそれぞれのインダクタンスのための所定の数学的モデルを介して、シミュレーション値の計算に組み込む。特に、所定の数学的モデルは、例えば所定の数学的モデルを計算ユニットに記憶させることによって、シミュレーション値の計算を自動化する可能性を提供できる。
任意選択で、方法は、電流パルスを供給する前に、ロータをステータに対して所定の始動回転角度に事前位置決めすることを更に含む。これは、特に、測定の間にロータが回転される回転角度範囲が所望の範囲を含み、および/または所望の範囲で始まるという点で特に有利であり得る。そのため、例えば、所定の回転角度範囲内で局所的な極大値および/または極小値が生じる確率が最大になるように、回転角度範囲を最適化できる。さらに、これは、複数の異なる測定の比較可能性を達成させる、および/または増大させるという利点を提供することができる。任意選択で、事前位置決めすることは、機械的な強制位置決め、および/または始動回転角度に達するまで三相電気モータに電流を印加することによって、実行する。これは、事前位置決めを自動化する機会を提供する。
さらに、本発明の課題は、三相電気モータの、特に確実な南北検出をも可能にする、初期ロータ位置を確実に決定するための、ハードウェア要件が低い方法を提供することである。
したがって、更なる態様において、本発明は、制御駆動回路を有する三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法に関する。方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、および、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において、誘導された電圧を特定すること、を含む。方法は更に、第1通電間隔において第1相および第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の、誘導電圧差を特定すること、を含む。さらに、方法は、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することを含む。
更なる態様において、本発明は、本発明による方法を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定された制御ユニットに関する。
更なる態様において、本発明は、ステータと、ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータに関する。その際、電気モータは、本発明による方法を用いて電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている。
電気モータは、ステータおよびロータを備える。特に、この電気モータは、3つの相または巻線を備える三相電気モータとして構成されてよい。これらの各々は、それ自体の接続部を介して通電可能である。巻線は、この場合、これらが少なくとも部分的に互いに重なるように、電気モータに配置することができる。例えば、電気モータの相は、デルタ接続またはスター接続で互いに接続することができる。「電気モータ」、および「モータ」という用語は、本開示の文中では同義語として使用される。
ロータ位置は、ロータのステータに対する回転角度に対応する。ロータ位置を知ることは、モータを効率的に動作させるために、特にモータの確実な転流のために必要な場合がある。ロータの回転角度は、この場合、0°から360°の範囲内とすることができる。代替的に、ロータまたはロータ磁石の南北方向の決定と組み合わせて、0°~180°の範囲で回転角度の割り当てを行うことができる。
誘導性分圧器は、特に、非通電相とグランドとの間で降下する電圧に対応することができる。電圧は、第1および第2通電相のインダクタンスLおよびLの比によって決定される。この比は、今度は、ロータ位置に依存する。
誘導電圧差を特定する際、第1通電間隔における第1相および第2相の通電によって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮することは、この場合、制御駆動回路における電圧変化の特定される誘導電圧差に対する影響が、特定または推定され、そして少なくとも部分的に補償されることを意味する。
本発明は、誘導電圧差を特定する際に可能性のある影響および/または測定誤差、および、そこから生じる、制御駆動回路における電圧変化に起因する初期ロータ位置の決定に対する影響および/または測定誤差を、低減または回避することができるという利点を提供する。したがって、不所望な測定誤差を低減または回避することができるため、これが、初期ロータ位置の決定の信頼性を改善することができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、制御駆動回路に引き起こされる電圧変化を考慮に入れて、初期ロータ位置を決定するために、追加のハードウェアが全く必要でないという利点を提供する。特に、本発明は、初期ロータ位置を決定するために別個のセンサを設ける必要がなく、したがって、三相電気モータおよび制御駆動回路のための製造コストを低く抑えることができるという利点を提供する。
さらに、本発明は、低インダクタンスを有する電気モータ、特に高電流三相電気モータの場合に、初期ロータ位置を確実に決定可能であるという利点を提供する。従来の方法の場合、従来発生していた影響が、著しい測定誤差をもたらし、対応して、初期ロータ位置を決定する際に信頼性が大幅に低減されることになろう。したがって、本発明は、初期ロータ位置を決定する本発明による方法が、異なるタイプの三相電気モータにおいて普遍的な適用性を有するという利点を提供する。したがって、異なるタイプの三相電気モータのために必要とされる、制御ユニットおよび/または初期ロータ位置を決定するための方法のタイプの多様性を、わずかに保つことができる。
任意選択で、第1相および第2相に通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う。これによって、電流の変化の符号を、すなわち電流が通電間隔において上昇または下降するかを、確実に決定することができる。このようにして特定される電流の変化の符号は、次いで、ロータ位置の南北検出に使用することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化は、シャント電圧差に対応する。シャント電圧差は、第1相および/または第2相の相電流を測定するシャント抵抗の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生する。シャント電圧差は、任意選択で、誘導電圧差の特定の結果を歪め、対応して初期ロータ位置の決定の信頼性を低下させる可能性がある、誘導電圧差の不所望な変化の主な原因を表す場合がある。シャント電圧差は、任意選択で非常にわずかにすることができ、例えば、数ミリボルトの範囲にすることができる。多くの場合、誘導電圧差がシャント電圧差と比較して非常に大きく構成されている場合、初期ロータ位置を決定する際のシャント電圧差の影響は無視することができる。しかしながら、誘導電圧差が、シャント電圧差と較べて、非常にわずかである、または同じ程度の大きさでさえある場合、シャント電圧差は、特定された誘導電圧差に著しく不所望な影響を及ぼす可能性がある。これは、その後、初期ロータ位置の決定を歪める。しかしながら、誘導電圧差を特定する際にシャント電圧差を考慮に入れることによって、これらの不所望な影響を低減または回避することができる。
任意選択で、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含む。その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない。これは、それぞれのシャント電圧測定および誘導電圧測定が、可及的に互いに時間的に近接して実行され、対応してシャント電圧差および誘導電圧差もほぼ同じ時間間隔にわたって特定されるという利点を提供する。これによって、誘導電圧差または誘導電圧の測定の間に実際に優勢なシャント電圧差またはその都度優勢なシャント電圧に、可及的に近いシャント電圧差を考慮することを達成できる。これは、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差の影響の特に正確な補償を可能にする。
任意選択で、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。代替的または追加的に、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている。これは、誘導電圧および/またはシャント電圧の測定時点の間の期間が、インダクタンスおよび/またはシャントを通る電流の著しい上昇または下降を達成し、対応して誘導電圧差を特定するために適した信号振幅を維持するために、十分長い、という利点を提供する。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、所定の、推定されたシャント電圧差の形態で考慮する。換言すると、任意選択の実施形態によるシャント電圧差の特定は、これらを測定するのではなく、推定することに限定することができる。したがって、この任意選択の代替的な実施形態は、シャント電圧またはシャント電圧差の測定または特定に代わって、これらを推定によって考慮する可能性を提供する。例えば、推定は、他の既知のパラメータおよび/または実験的に決定されて提供されたデータおよび/または経験的値に基づく、推定値の計算に基づくことができる。例えば、シャント電圧差は、以下の数学的関係を用いて推定することができる。
この場合、ΔUshuntはシャント電圧差、Uは供給電圧、Lは(同一であると仮定される)第1相または第2相のインダクタンス、ΔTは第1誘導電圧測定と第2誘導電圧測定との間の時間的な距離、およびRshuntはシャント抵抗のオーム抵抗を、示す。したがって、シャント電圧差のこのような推定は、シャント電圧差の特定または測定が必要とされず、したがってハードウェアおよび/または計算労力を低く保つことができる解決策を提供することができる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差に比例する値だけ低減させることによって考慮する。例えば、シャント電圧差に比例する値は、シャント電圧差自体の値を表すことができる。しかしながら、他の実施形態によれば、シャント電圧差の分数および/または倍数もこの目的のために使用することができる。誘導電圧差がシャント電圧差に比例する値だけ低減されることは、この場合、誘導電圧差とシャント電圧差との間の差が、初期ロータ位置を決定するために特定された誘導電圧差として使用されることを意味する。このようにして、特定された誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を低減することができる、または完全に除去することさえできる。
任意選択で、通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相における電圧変化を、誘導電圧差をシャント電圧差の半分の値だけ低減させることによって考慮する。これは、特に単純で確実な考慮の形態を提供する。シャント電圧の変化は、実質的に、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として、誘導性分圧器において測定された誘導電圧の変化に影響を与える。誘導性分圧器における分圧比は、今度は位置に依存する。そのため、正確な補償を行うために、分圧比を実際に測定し、測定された分圧比で除算されたシャント電圧差を、誘導電圧差から減算することができる。多くの実施形態において、誘導性分圧器における分圧比は、ロータの位置検出の間に測定されるので、追加の測定ステップなしでこれを実施することができる。しかしながら、必要な計算電力を単純化し最小化するために、1/2の固定分圧比を使用することができる。それによって、シャント電圧差の半分の値が誘導電圧差から減算される。使用中の多くの電気モータについて、誘導性分圧器の分圧比の位置依存性は、1%~10%の範囲内でしかない。したがって、1/2の分圧比は、シャント電圧差の有用な考慮の基礎として使用することができる極めて有用な近似を表すことができる。
任意選択で、初期ロータ位置を決定する方法は、三相電気モータの第1相および第2相を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することを含む。その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対である。ならびに、本法は、第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、三相電気モータの通電されない第3相において誘導された電圧を特定することを含む。さらに、この任意選択の実施形態による方法は、第2通電間隔において第1相および/または第2相に通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、ならびに第1通電間隔および第2通電間隔において特定された誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む。これは、両方の通電間隔において等しく発生する干渉によって生じる測定誤差を排除できるという利点を提供する。これによって、初期ロータ位置の決定の信頼性を更に高めることができる。2つの反対の測定を使用することによって、ステータ材料のヒステリシス特性によって引き起こされ得る任意の不正確さを低減することができる。
任意選択で、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相に印加する。これは、依然として存在する磁化による任意の影響が、以前の測定および/または通電によって低減または排除され得るという利点を提供する。所定の期間は、この場合、任意選択で、100msを超えない。
上述および以下に説明される特徴および実施形態は、この場合、それぞれの場合に明示的に言及される組合せにおいて開示されるものとして見なされるだけでなく、他の技術的に意味のある組合せおよび実施形態においても、開示内容に含まれる。特に、本開示の個々の態様は、互いに組み合わせることができる。そのため、任意選択で、転流間隔を提供する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。代替的または追加的に、本開示の一態様による三相電気モータの初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された磁化パラメータの使用を含むことができる。本開示の一態様による転流間隔を提供する方法、および本開示の一態様による三相電動機の初期ロータ位置を決定する方法は、本開示の更なる態様による方法にしたがって決定された、任意選択で三相電気モータの磁化パラメータを使用する三相電動機の制御駆動において実行することもできる。換言すると、本発明の個々の態様は、互いに組み合わせることができる、または互いに独立して使用することができる。
本発明の更なる詳細および利点を、図面を参照して、以下の実施例および好適な実施形態を用いて、より詳細に説明する。
任意選択の実施形態による制御ユニットを有する三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による、スター接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 任意選択の実施形態による、デルタ接続の三相電気モータの例示的な概略図である。 例示的な初期転流間隔を示す図である。 逆測定された電圧差の複数の経過を示すグラフである。 誘導性分圧器において測定された電圧Uの経過を例示的にグラフ100において示す。 誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を、シミュレートされて磁化パラメータkに関して最適化された電圧の経過と比較して例示的に示すグラフである。 回転角度φに応じた誘導性分圧器における電圧の測定された経過をグラフ300において示す。 の決定のためのシミュレーション値と電圧の測定値との比較を示すグラフである 動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表すグラフ500および510を示す。 切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iとの間の距離の依存性を示すグラフである。 図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示すグラフである。 様々な供給電圧Uに対する図10からの切り換え限界の距離の放物曲線を示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図12からのカーブに対応するカーブを示すグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図を示す。 デルタ接続における三相電気モータの概略図を示す。 電圧U、UおよびUの時間的経過、ならびに第2相2212.2を通る電流の経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 ステータに対するロータの回転角度に対する、測定およびシミュレーションされた電圧Uのグラフである。 スター接続における三相電気モータの概略図である。 デルタ接続における三相電気モータの概略図である。 任意選択の実施形態による電気モータおよび制御ユニットの概略図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御駆動回路の図である。 三相電気モータのための従来の測定回路および制御回路の図である。 特定された誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の例示的な経過を示すグラフである。 第1相および第2相が通電される間の、経時的な第3非通電相における誘導電圧の例示的な経過を示すグラフである。 シャント電圧の時間的経過を示すグラフである。 未補正の誘導電圧差の測定信号の、ロータの回転角度に対するシャント電圧差の半分の値との比較を示すグラフである。 南北検出のための、または初期ロータ位置決定のための差信号を例示的に示すグラフである。
以下の図面において、様々な実施形態における同じ、または類似の要素は、簡略化のために同じ参照番号で示される。
図1は、任意選択の実施形態による制御ユニット20を有する三相電気モータ10の概略図を示す。制御ユニット20は、この場合、三相電気モータ10と通信可能に接続され、三相電気モータ10を制御して電力を供給するように設定されている。
図2Aおよび2Bは、任意選択の実施形態による、スター接続(図2A)およびデルタ接続(図2B)の三相電気モータ10の概略図を例示的に示す。電気モータ10は、この場合、3つの異なる相12のための3つの接続部12.1、12.2、および12.3を備える。3つの相12.1、12.2、および12.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ10の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUは、3つの相の3つの接続部12.1、12.2、および12.3に存在することができ、これらはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部12.1、12.2、および12.3と接続されている。スター接続の場合(図2A)、他端は、スター接続のスターポイント14と接続されている。デルタ接続の場合(図2B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部12.1、12.2、または12.3と接続されている。
図3は、三相電気モータ10のステータに対するロータの回転角度φ(度)を介して高トルク発生(M、M、M)(任意の単位で)のために選択される例示的な初期転流間隔K、K、およびKを示す。転流間隔K~Kは、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0によって制限される。それぞれの転流間隔K~Kにおいて逆測定された、異なる極性を有する測定パルスについての2つの相互に連続する測定値間の電圧または電圧差は、この場合、それぞれの初期転流間隔K~Kの切り換え限界と比較される。測定された電圧U、U、またはUが切り換え限界go,0またはgu,0のうちの1つに達すると、転流が変化されて、電気モータの相への通電が切り換えられる。転流の切り換えは、この場合、優勢な回転角度φに照らして、電気モータのロータを最も高いトルクM、M、またはMで動作させる電気モータの2つの相が、それぞれ通電されるように行われる。
図4は、非通電相12.1、12.2、または12.3それぞれにおける逆測定された電圧差U、U、およびUの、回転角度φにわたる複数の経過を、他の2つの相それぞれに通電される動作電流iに応じて示す。この場合、それぞれの非通電相の電圧差U、U、Uの経過は、異なる動作電流iに対してプロットされている。動作電流iの値は、0と1500(任意の単位)との間である。示されたグラフに基づいて、動作電流iの強度が、それぞれの電圧差U、U、およびUの経過に影響を及ぼすことが認識可能である。したがって、高い動作電流は、振幅の変化をもたらし、また低い動作電流および非電通の場合と比較して非対称性が発生するため、電圧差U、U、およびUの角度経過の変化をもたらす。図示の例では、電圧差の振幅は、動作電流の増加とともに増加し、非対称性が増加する。この電圧差の値が転流間隔K、K、およびKの切り換え限界と比較され、この比較に基づいて転流が切り換えられた後、この種の偏差は、転流に、そして対応して電気モータの機能および効率に直接的な影響を及ぼす。
この種の偏差は、転流間隔を提供する本発明による方法によって、低減または回避することができる。以下に、動作電流を考慮して転流間隔を調整することを含む例示的な方法を説明する。しかしながら、本発明は、説明される例に限定されない。
転流間隔を調整するために、磁化パラメータkおよびkならびに個々の相の最大インダクタンスを知ることが有利である。なお、磁化パラメータkおよびkが既知でない場合には、例えば、以下の方法を用いて特定することができる。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ10の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。説明を示すために、電気モータ10の相12.1および12.2は、電気モータ10の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相12.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
まず、この方法によれば、三相電気モータ10の磁化パラメータkおよびkを、これらがまだ既知でない場合に、決定する。さらに、この方法は、それぞれの相12.1、12.2、および12.3の最大インダクタンスLmaxを、これらがまだ既知でない場合に決定することを含むことができる。いくつかの任意選択の実施形態によれば、個々の相の最大インダクタンスLmaxは同一であると仮定することができるため、単一相の最大インダクタンスLmaxのみを特定する必要がある。特に、Lmaxは、単一相の、または二相に対するインダクタンスを適切なスケーリングで同時に測定することによって特定できる。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器を表す第3相12.の接続部における電圧または電圧差Uが、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される、複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくとも、ロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器において回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ10が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ10の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ10の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相12.1または第2相12.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図5は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相12.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度での分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。例えば、kおよびkのための初期推定値として、k1 = 0およびk2 = 0を仮定することができる。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相12.1および第2相12.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相12.3において電圧U、または電圧差が測定される、上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相12.1または第2相12.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相12.1または第2相12.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相12.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相12.1および12.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(3)~(7)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される、測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のk1の初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。例えば、k2 = 0である。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図6は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図3(グラフ100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ100および200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電された状態で実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図7は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ300において示す。グラフ300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相12.1および第2相12.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図8に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ300は、図7に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。その際、以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される。磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図8から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。
既知の最大インダクタンスLmaxおよび既知のインダクタンスパラメータkおよびkで、その後、調整された転流間隔の更なる決定を行うことができる。この場合、三相電気モータの動作中に生じる動作電流(i)が特定される。動作電流(i)は、例えば、対応する電流測定によって特定することができる、および/またはシミュレーションによって特定することができる。
動作電流に応じて転流間隔を調整することは、例えば、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iを新たに決定し、それらが、その後、最初の転流間隔の切り換え限界go,0およびgu,0に対する距離および変位を決定することを目的とすることができる。例えば、切り換え限界は、転流間隔が回転角度範囲φの60°をカバーし、電圧差U、U、またはUのゼロ交差が、転流間隔60°の、またはカバーされた回転角度範囲φの中央にあるように設定することができる。そこから得られる、特定された動作電流に応じて特定された切り換え限界go,iおよびgu,iは、その後、対応する動作電流iでの転流のために参照することができる。
さらに、誘導性分圧器における電圧または電圧差U、U、またはUは、式(3)~(7)で上述した微分方程式系を用いて、切り換え限界go,iおよびgu,iにおける動作電流(i)に応じて計算される。これは、例えば、数値的に行うことができる。動作電流(i)に応じて計算される電圧または電圧差U、U、またはUについての例示的な結果は、図9および10に示される。図9は、この場合、グラフ500および510を示す。グラフ500および510は、シミュレーションの結果(グラフ500)として、および回帰を用いた最適化(グラフ510)後の、動作電流(i)での転流間隔の変位の線形依存性を表す。グラフ500および510は、非常に高い一致を示し、互いにほぼ重なり合っている。変位は、この場合直線的な経過を有し、対応して線形方程式で直線として描くことができる。
図示の例では、この直線は、約m = 0.15V/Aの傾きを有し、ゼロオフセットn = 0Vである。
電圧差に対応する切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の距離の依存性が、図10に示される。グラフ600はシミュレーション結果に対応する。グラフ610は回帰法を用いた最適化後の結果に対応する。この二次依存性は、以下の式にしたがって放物線として表すことができる。
この場合、ΔUは、切り換え上限go,iおよび切り換え下限gu,iの間の電圧差を示す。パラメータaは放物線の開きを示し、iは、特に平均値を有する測定パルスの場合に必ずしもゼロである必要のない、初期転流間隔の動作電流を示し、パラメータbは頂点の変位を示す。グラフ610から、値a = 0.0062V/A2、i0 = 0およびb= 2.4Vが得られる。
特に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算の結果の、シミュレーション結果の計算からの偏差などを最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。代替的に、パラメータm、n、a、b、およびiは、式(8)および式(9)からの計算結果の、測定値からの偏差を最小にするために、最適化法の範囲において最適化することができる。
特定され、場合によっては最適化されたパラメータm、n、a、b、およびiを使用して、その後、初期転流間隔は、動作電流iに応じて調整することができる。例えば、パラメータm、n、a、b、およびiは、モータを制御駆動するために制御ユニットに転送され、動作電流iに基づいて転流間隔の適切な調整および変位を決定するために、制御ユニットによって使用され得る。代替的または追加的に、例えば、異なる動作電流のための調整された転流間隔が、予め定義され、例えばテーブルの形態で制御ユニットに記憶され、それによって制御ユニットが、動作電流iに応じて、対応して割り当てられて調整された転流間隔を選択し、適用することができる。
いくつかの実施形態によれば、電気モータが動作される供給電圧または動作電圧Uの変動および/または上下は、転流に、また対応して電気モータの動作および効率に影響を及ぼすことができる。いくつかの実施形態によれば、転流間隔の調整の際に、供給電圧Uの上下および/または変動の影響も考慮に入れることができる。
図11は、異なる動作電圧に対する図9からの転流間隔の変位の依存性を、複数のカーブで示す。最小の傾きを有するカーブは6Vの供給電圧Uに対応し、最大の傾きを有するカーブは80Vの供給電圧Uに対応する。対応して、図12において、異なる供給電圧Uについての図10からの転流限界の距離の、関連する放物曲線を示す。最下の曲線は6Vの供給電圧Uに対応し、最上の曲線は80Vの供給電圧Uに対応する。これから、供給電圧Uも、または、初期転流間隔の基礎しくは動作電流iに基づいて調整される転流間隔の基礎である予想供給電圧値からの逸脱も、モータの動作および効率に著しい影響を及ぼす可能性があり、転流間隔の調整の際に供給電圧を考慮することが有利であり得ることを認識できる。
特に、供給電圧Uは、測定された電圧または電圧差U、U、またはUを、供給電圧に正規化し、対応して正規化された転流間隔の切り換え限界を有する転流間隔の選択のために正規化された電圧ΔUrelを使用することによって、考慮することができる。使用される電圧は、したがって、以下のように決定することができる。
供給電圧Uは、例えば、1つまたは複数の対応する電圧測定値によって決定することができる。例えば、供給電圧は、モータが始動されるときに測定することができる、および/またはモータの動作の間に規則的に、または不規則に測定することができる。さらに、これによって、異なる電圧を有するネットワークにおいて、モータおよび制御駆動を使用することがより容易になるという利点も提供される。例えば、その後、12V、24V、または48Vを有する車両の車載電気システムにおいて、モータを使用することができる。転流間隔は、それに応じて調整することができる。
図13および図14は、それぞれの電圧が供給電圧に対して正規化された後の、図11または図12からのカーブに対応するカーブを示す。結果は、正規化によって、転流間隔の限界の変位および距離の供給電圧への依存性を著しく低減できることを示す。このようにして、モータの信頼性および効率、ならびにその制御駆動をさらに高めることができる。
図15Aおよび15Bは、スター接続(図15A)およびデルタ接続(図15B)における三相電気モータ210の概略図を例示的に示す。電気モータ210は、この場合、3つの異なる相212のための3つの接続部2212.1、2212.2、および2212.3を備える。3つの相212.1、212.2、および212.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗R、R、またはRと、によって特徴付けられる。電気モータ210の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部212.1、212.2、および212.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部212.1、212.2、および212.3と接続されている。スター接続の場合(図15A)、他端は、スター接続のスターポイント214と接続されている。デルタ接続の場合(図15B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部212.1、212.2、または212.3と接続されている。
以下、任意選択の実施形態による電気モータ210の磁化パラメータを決定する方法について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。説明を示すために、電気モータ210の相212.1および212.2は、電気モータ210の第1相および第2相を表すべきである。これらの相には、方法にしたがって電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相は、相212.3によって形成される。しかしながら、割り当て、または順序は、所望に応じて異なるように選択することもできる。
図16において、時間tと比較した、電圧U、U、およびU、ならびに第2相212.2を通る電流の経過iL2の、例示的な時間的経過が示される。UおよびUを表す上の2つのグラフで認識可能であるように、第1相および第2相は、時間的に交互に電圧パルスを与えられる。その結果、対応して、第2相212.2において、交互に、上昇する電流パルスおよび降下する電流パルスが供給される(iL2、図16の最下のグラフ)。さらに、図16において、第3相における、または第3相212.3の接続部における電圧の時間的経過も、第3グラフにおいて示される。これは、電圧が第1相212.1または第2相212.2に印加されるかどうかに応じて、供給電圧Uの半分を上回る、または下回る交流値を仮定する。さらに、電圧Uのそれぞれの交番間隔において、その都度、期間中に変化する電流に起因する、総電圧Uに比べてその振幅が小さく構成される電圧上昇が認識される。
第2の相212.2を通る電流iL2は、鋸歯状の経過に従う。その傾きは、電流パルスの変更毎にその符号を変化させる。その都度電圧パルスが印加され、対応して電流強度iL2の傾きが維持されたままである時間間隔は、図16のグラフにおいてtと称される。
第3の、非通電相の電圧Uを測定する際には、第1相に電圧パルスが供給される時点の電圧Uと、第2相212.2に電圧パルスが供給される第2時点の電圧Uとの差が形成される、異なる時点に対する電圧の電圧差も評価することができる。したがって、電圧Uまたは上述の電圧差も、この方法を実施するために使用することができる。本開示の範囲内で、電圧Uに関する説明は、電圧差を使用する対応する説明も含む。
三相電気モータの磁化パラメータを決定するために、誘導性分圧器のタップを表す第3相212.3の接続部における電圧または電圧差が、測定期間にわたって測定される。この場合、測定期間の間に規則的または不規則な間隔で実行される複数の測定が行われる。測定期間の間、ロータも、ステータに対して、電気的回転の少なくとも一部だけ均一に回転される。この場合、少なくともロータがステータに対して複数の所定の回転角度のうちの1つをとるその都度、電圧が誘導性分圧器において測定されるように、測定期間の間に電圧が測定される。
回転は、この場合、カバーされる回転角度範囲において誘導性分圧器で測定された電圧値Uの、少なくとも最大値および少なくとも最小値が測定されるように、全電気的回転の少なくともそのような区間で行われる。任意選択で、測定は、はるかに小さい時間間隔または回転角度間隔で実行することができる。その結果、電圧Uの経過を、回転角度に応じて任意選択で再構成することができる。しかしながら、これは絶対に必要なわけではない。
磁化パラメータkを決定するために、モータが通電されない際、すなわち、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときに、電圧Uの測定が誘導性分圧器におい回転角度に応じて実行される。磁化パラメータkを決定するために、モータ210が通電された状態で対応する測定が実行される。その際、電流パルスに加えて、モータ210の転流通電も行われる。転流は、測定期間の間に不変に維持され、変化された回転角度に対して調整されない。両方の測定は、両方の磁化パラメータを反復プロセスの範囲で決定するために、複数回、特に交互に実行することができる。
次に、まず、磁化パラメータkの決定について説明する。この目的のために、電流パルスは、電気モータ210の制御駆動によって、測定期間にわたって周期的に繰り返して第1相212.1または第2相212.2に供給される。一方、ロータは、測定期間にわたってステータに対してゆっくりと均一に回転される、または連続する測定の間にその都度少しずつ更に回転される。回転は、ユーザによって手動で、または自動的に行うことができる。さらに、電流パルスが供給されるのと同時に、電圧Uの電圧値が誘導性分圧器において測定され、測定値が保存される。この場合、電圧Uの電圧値のみが、電圧Uが局所的な極小値または極大値を有する回転角度で記憶され、その後、それぞれの角度値に割り当てられれば十分とすることができる。代替的に、電圧値は、回転角度範囲にわたる電圧Uの経過を認識および/または再構成することができるように、より厳密にキャプチャすることができる。
図17は、誘導性分圧器における、すなわち、第3相212.3の接続部における、モータが通電されない際の回転角度φの経過にわたって、すなわち、磁化パラメータkを決定するために、磁化パラメータを決定するための電流パルスを生成する電圧パルスを除いてモータが通電されないときの、電圧Uの測定された経過を例示的にグラフ2100において示す。この場合、ステータに対するロータの回転角度は、横軸に0°~360°の角度でプロットされ、異なる極性を有する測定パルスにおける測定された電圧値の間の測定された電圧差は、縦軸にボルトでプロットされる。グラフ2100は、測定された電圧Uまたは電圧差が、約180°の周期性および約1.3Vの振幅を有する正弦的な経過を有し、正弦曲線がゼロ線の周りで振動することを示す。
さらに、方法は、磁化パラメータのための所定の推定値を使用して所定の回転角度の分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧のシミュレーション値の測定された電圧Uの測定値からの偏差が最小になるように、磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、を含む。
シミュレーション値は、この場合、所与の数学モデルを使用して計算される。例示的な数学的モデルについて以下で説明される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。数学的モデルは、第1相212.1および第2相212.2に電流パルスが供給され、一方第3の、非通電相212.3において電圧U、または電圧差が測定される上で既述の例の場合について説明される。数学的モデルは、以下の微分方程式系に基づく。
この場合、LおよびLは、三相電気モータの第1相212.1または第2相212.2のインダクタンスを示し、Uは供給電圧を示し、RおよびRは第1相212.1または第2相212.2のオーム抵抗を示し、tは時間を示し、Uは第3相212.3の接続部における測定された電圧または電圧差を示す。最大インダクタンスLmaxは、電気モータの全ての相について同じであると仮定され、例えば、個々の相についてのインダクタンス測定を用いて決定することができる。2つの相の空間的な重なり合いに起因してこれが容易には不可能である場合、2つの相212.1および212.2の最大インダクタンスも一緒に測定することができ、個々のインダクタンスの値Lmaxは、対応して縮小することによって決定することができる。回転角度φは、この場合、ステータに対するロータの回転角度である。パラメータkは、ロータ磁石によって引き起こされるインダクタンス変動を特徴付ける電流非依存性の磁化パラメータに対応する。kは、電流依存性の磁化パラメータに対応する。電流依存性の磁化パラメータは、それぞれの相への通電によるインダクタンス変動を特徴付ける。
上記の式(10)~(14)を用いて、その後、電圧Uのためのシミュレーション値を計算することができる。これは、測定期間の間のロータの所定の回転角度で予想される測定された電圧値に対応する。したがって、電圧値は、特に、電圧Uも測定された回転角度について計算される。次いで、これらの計算された電圧値を、測定された電圧の値と比較することができる。これに基づいて、次に、磁化パラメータkを変化させ、回帰法において最適化することができて、計算されたシミュレーション値への影響をチェックすることができる。モータが通電されない際のkの初期シミュレーションおよび最適化のために、まず、kの所与の初期値を仮定することができる。kが以前の測定において既に特定された、および/または最適化された場合、任意選択でこの値を使用することができる。代替的に、例えば、シミュレーションまたは最適化は、まず、k2 = 0で始める、および/または実行することができる。
このようにして、磁化パラメータkの最適化を実行することができる。これは、電圧の計算されたシミュレーション値の、対応する測定された電圧値からの偏差を最小にすることを目的とする。このようにしてシュミュレーションによって特定された偏差が最も小さい磁化パラメータkの値は、その後、実際の磁化パラメータkとして、測定された三相電気モータに割り当てること、および/またはパラメータkを決定するために使用することができる。
図18は、シミュレーションされて磁化パラメータkに関して最適化された回転角度φにわたる電圧Uの経過(グラフ200)と比較した、図17(グラフ2100)からの誘導性分圧器における電圧Uの測定された経過を例示的に示す。この場合、グラフ2100および2200は、わずかな偏差のみを有し、したがって、kの変動を用いて、シミュレーションの測定値への非常に正確な調整を達成できることを認識可能である。
その後、磁化パラメータkを決定するために、対応する方法のステップを実行することができる。磁化パラメータkを決定するための上記に示された方法とは異なり、方法のステップは、モータが通電される際に実行される。この場合、モータは、所与の不変に維持される転流で、定義された所与の電流で通電される。
図19は、回転角度φ(度)に応じた誘導性分圧器における電圧U(垂直軸、ボルト)の測定された経過をグラフ2300において示す。グラフ2300は、この場合、測定期間にわたってロータがステータに対してゆっくりと均等に回転されている間に、第1相212.1および第2相212.2に周期的に繰り返して供給される電流パルスを用いて引き起こされる電圧Uの経過に対応する。測定された電圧値Uは、次いで、メモリに記憶される。メモリは、電気モータの制御駆動に属する、または電気モータとは別個に構成することができる。グラフ2300においても、電圧Uが電気的回転にわたって局所的な極小値および極大値を有することが観察される。局所的な極小値および極大値は、磁化パラメータkを決定するために参照することができる。
磁化パラメータkを決定する際にも、対応するシミュレーション値が計算されて最適化され、図20に示される測定値と比較される。最適化は、磁化パラメータkの変動を用いて実行される。この場合、グラフ2300は、図19に既に示されている測定された電圧のグラフに対応する。グラフ2400は、シミュレーションされて最適化された電圧Uの経過に対応する。磁化パラメータkを最適化する際、kについて所定の値を仮定することができる。磁化パラメータkが以前の測定において既に決定および/または最適化された場合、この値も、磁化パラメータkを決定する際に任意選択で使用することができる。以前の反復ステップの結果が各反復ステップで使用される、磁化パラメータkおよびkの複数回の反復最適化によって、磁化パラメータkおよびkの決定の精度を向上させることができる。図20から認識可能であるように、磁化パラメータkを決定するためにも、シミュレートされた電圧値と測定された電圧値Uとの間の非常に良好な一致を達成することができる。たとえば、第1初期値はk1 = k2= 0として選択できる、実行された各反復ステップの後、次いで、最後に決定された最適化された値を、それぞれの他のパラメータに対して使用できる。
図21Aおよび21Bは、任意選択の実施形態によるスター接続(図21A)およびデルタ接続(図21B)における三相電気モータ310の概略図を例示的に示す。電気モータ310は、この場合、3つの異なる相312のための3つの接続部312.1、312.2、および312.3を備える。3つの相312.1、312.2、および312.3の各々は、例えば、関連するインダクタンスL、L、またはLと、関連するオーム抵抗RM1、RM2、またはRM3と、によって特徴付けられる。電気モータ310の供給電圧は、Uとマークされ、接地電位に対する電位差に対応する。相互に異なる電圧U、U、またはUが、3つの相の3つの接続部312.1、312.2、および312.3に存在することができ、これはまた、接地電位に対する電位差を表す。
3つの相の各々は、一端が関連する接続部312.1、312.2、および312.3と接続されている。スター接続の場合(図21A)、他端は、スター接続のスターポイント314と接続されている。デルタ接続の場合(図21B)、他端はそれぞれ、次の相の接続部312.1、312.2、または312.3と接続されている。
図21Cは、互いに通信可能に接続されている制御ユニット320を有する電気モータ310を示す。制御ユニット320は、この場合、電気モータ310とは別個に構成され、電気モータ310に制御信号を供給するように、特に電気モータ310の転流を実行するように設定されている。さらに、制御ユニットは、電気モータ310の初期ロータ位置を決定するように設定されている。
図22Aは、三相電気モータ310のための従来の測定回路および制御駆動回路3100を示す。この場合、参照符号M~Mは、三相電気モータに3つまでのクロック電圧を印加するよう機能する電界効果トランジスタ(FET)を示す。OPV ICおよび抵抗R~Rの配置は、シャント抵抗Rの両端間の電圧降下を増幅し、制御ユニットが更に使用できるようにする増幅器ネットワークを表す。
抵抗R~R10は、この場合、抵抗分圧器として機能する。抵抗分圧器は、ロータ角度の初期位置を決定するために誘導性分圧器において測定される相電圧U、U、またはUを分圧する。これらは、その後、制御ユニットで利用可能にされる。
シャント抵抗Rは、個々の相電流、すなわち、三相電気モータのそれぞれの相に供給される、またはそこを流れる電流を測定するよう機能する。シャント抵抗Rの両端間で降下するシャント電圧は、典型的には、制御駆動回路内で降下する他の電圧と比較して小さく、例えば、2桁のミリボルト範囲であり得る。
図22Bは、三相電気モータ310のための更なる従来の測定回路および制御駆動回路3102を示す。これらは、複数のシャント抵抗、すなわち、シャント抵抗RおよびRを備える。これらは、各々が、三相電気モータの相のうちの1つに通電するためのFET MまたはMと、直列に接続されている。三相電気モータ310は3つの相を有する。しかしながら、モータ310の第3相電流は、他の2相でそれぞれ測定された電流からノードセットを介して計算することができるため、通常、このような構成では、それぞれに存在する相電流を決定するには2つのシャント抵抗RおよびRで十分である。そのような制御駆動回路3102では、誘導電圧差を特定する際に、シャント抵抗RおよびRの両方の両端の電圧降下を、任意選択で考慮することができる。シャント電圧差は、この場合、電流経路に実際にシャント抵抗RまたはRが存在するような通電間隔の間のみ、任意選択で考慮または補償される。これに対して、電流が外側の右側の経路、すなわちFET Mを介してグランドに放散されるような通電が行われる場合、このような場合には、補償は実行されない。対応して、シャント電圧差は、いくつかの通電間隔について考慮に入れることが適切であり得るが、これに対して、他の通電間隔については考慮に入れないことが適切であり得る。任意選択で、これは、信号を改善するために複数の通電間隔にわたって平均化する際にも考慮に入れることができる。
図22Aに示されるような、制御駆動回路を用いて三相電気モータの初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、以下に説明され、その背景が説明される。
図23は、特定された電圧の例示的な経過を示す。ロータ位置または度の表示であるロータの回転角度(水平軸)に応じて、ステータに対するロータの全電気的回転にわたって、第1相および第2相が通電されるときに、この電圧が、三相電気モータ310の非通電の、第3相において誘導される。この場合、誘導電圧差は、垂直軸上にプロットされる。これは、第1相および第2相が、第1通電間隔の間に上昇する電流または降下する電流で通電される間に、第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、第3の、通電されない相において、または誘導性分圧器において、誘導された電圧を特定することによって発生する。図23のグラフからは、誘導電圧差が、ロータ位置に著しく依存し、特にロータ位置に応じて符号が変更することを認識できる。これによって、三相電気モータ310の初期ロータ位置およびロータの南北方向を決定するために、誘導電圧差を特定することができる。ロータの極位置は、優勢な決定されるべきロータ位置における誘導電圧差を特定することによって生じる誘導電圧差の符号に基づいて、特定することができる。
図24において、電流に対するインダクタンスの依存性が低い三相電気モータ310について、ステータに対するロータの全電気的回転にわたる誘導電圧差の経過を例示的に示す。電流に対するインダクタンスの依存性が低いことによって、結果的に、誘導電圧差の経過がもはや符号の変更を有さず、対応して(更なる補正なしに)誘導電圧差の符号を決定することに基づいて、ロータの南北配向の確実な決定なしで、初期ロータ位置の決定がより可能である。図24から認識可能であるように、誘導電圧差の値は、約0.015Vから約0.07Vである。この場合、正の値のみを仮定する。これは、追加的に、いくつかのモータにおいて電圧差の振幅が更に低く、それによって、符号変化が生じない可能性が更に高まるという事実によって、更に補強することができる。
図24の誘導電圧差の経過は、図23の経過と定性的にほぼ対応し、偏差は主に垂直方向のオフセットで構成されているように見える。しかしながら、これは、これに基づいて、動作中に初期ロータ位置を確実には決定できないことにつながる。これは、初期ロータ位置を決定する際、誘導電圧差の平均値を形成することができないためである。そのためには、誘導電圧差を、全電気的回転にわたって、またはその少なくとも大部分にわたって、特定しなければならない。しかしながら、ロータがストール状態にあるとき、ロータ位置は当然変化しない。そのため、ロータがストール状態にあるときに、ロータの初期位置を決定するために、これが不可能である。
説明される実施形態によれば、変位の原因が考慮され、初期ロータ位置を決定するために誘導電圧差を特定する際の原因が考慮される。
図22Aによる制御駆動回路を使用する際、変位の原因は、初期ロータ位置を決定するために、三相電気モータ310の第1相および第2相が、第1通電間隔にわたって上昇する、または降下する電流で通電され、電流変化が次にシャント抵抗Rの両端間で降下する電圧の電圧変化をもたらすことである。この電圧降下は、第1通電間隔の間の2つの離間された誘導測定時点の間の特定される誘導電圧差に影響を与え、観察される変位につながる。特に、電流が第1相および第2相に通電される際に磁場をわずかに変化させるだけであり、対応してわずかな誘導電圧および誘導電圧差しかもたらさないような三相電気モータの場合、シャント電圧の電圧変化は、通電間隔における誘導測定時点に可及的に近い2つの離間されたシャント測定時点に対して、誘導電圧差と類似する特性またはサイズまたは振幅を有するシャント電圧差をもたらす可能性がある。このような場合、シャント抵抗の両端間で降下する電圧の電圧変化またはシャント電圧差は、誘導電圧差の変位に著しくつながる可能性があり、また特に、誘導電圧差の符号がロータ位置に応じてもはや変更されないことにつながる可能性もある。
図25において、第3の、非通電相における誘導電圧の経時的な経過が例示的に示される。一方、第1相および第2相は、上昇する電流で通電される。この場合、供給電圧は5Vである。約25μsの示される時間窓は、この場合、第3相における誘導電圧、すなわち誘導性分圧器における誘導電圧が約100mVだけ増加する例示的な通電間隔として見なすことができる。示される時間窓の開始および終了において、または例示的な通電間隔の、2つの誘導測定時点を設定すると、約100mVの誘導電圧差が得られる。
図26は、図25からの同じ時間窓に対して、シャント電圧の、すなわち、通電の際にシャント抵抗R(図22A)の両端間で降下する電圧の、時間的経過を示す。シャント電圧は、通電間隔にわたって約130mVだけ上昇する。したがって、通電間隔自体の開始と終了との間のシャント電圧差は、誘導電圧差よりも大きいことが認識可能である(図25)。シャント電圧またはシャント電圧差は、誘導性分圧器の逆分圧比で分圧され、誤差として誘導性分圧器において測定された電圧変化に影響を与える。そのため、これによって、シャント電圧差が考慮されないままであると、誘導電圧差の誤差が生じやすい測定につながる。対応して、説明される実施形態によれば、シャント電圧差が、誘導電圧差を特定する際に考慮される。
任意選択の実施形態によれば、ロータ位置に依存する誘導性分圧器の分圧比を測定し、次いでシャント電圧差を測定された分圧比で割った値を、誘導電圧差から減算することによって、誘導電圧差を特定する際に、シャント電圧差が考慮される。これによって、誘導電圧差に対するシャント電圧差の影響を正確に考慮して補償することが達成され得る、という利点が提供される。初期ロータ位置を決定する間に分圧比を誘導性分圧器において測定することができるため、いくつかの任意選択の実施形態において、これが追加の労力なしに可能である。
更なる任意選択の実施形態によれば、シャント電圧差は、異なる方法で誘導電圧差を特定する際に考慮される。この任意選択の実施形態によれば、2の固定分圧比が、補正または考慮のために、仮定または使用される。三相電気モータのロータ位置による分圧比の変動は、典型的には、全振幅の1%~10%の範囲に過ぎないため、これが有用な近似であると思われる。この近似によって、シャント電圧差を考慮に入れるために必要とされる計算能力を低減することができる。
図27は、図24にすでに示されているように、補償されていない、または補正されていない誘導電圧差3700の測定信号と、ロータの回転角度にわたるシャント電圧差3702の半分の値との比較を例示的に示す。この場合、半分にされたシャント電圧差3702は、電気的回転の半周期を有する周期成分を含むことが認識可能である。これは、上述のように、近似なしの完全な補償が使用された場合、省略される。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、結果として生じる残留誤差は、初期ロータ位置を決定する方法の信頼性にとって問題ではなく、したがって、固定分圧比に関する近似もまた、一貫して有用な結果をもたらすことができる
原理的には、南北検出のために3つの使用可能な間隔がある。任意選択の実施形態によれば、その中から用途に最も適した間隔、つまり、誘導性分圧器における信号すなわち誘導電圧差から、およびエラー信号すなわちシャント電圧差から、の差が最大である間隔を、常に選択できる。そのため、ゼロ交差の周りのこの差の挙動は、初期ロータ位置の決定には無関係である。
図28は、誘導電圧差3700およびシャント電圧差3702の差に対応する、南北検出または初期ロータ位置を決定するための、差信号を例示的に示す。図24に示される、初期ロータ位置の確実な決定には使用不能である(補正されていない)誘導電圧差の信号と比較と、図28の補正された信号は、優れた対称性を備え、確実なゼロ交差を有する優れた信号品質を備え、対応して初期ロータ位置の確実な決定に極めて良好に適している。
以下に、図22Aによる制御駆動回路を使用して初期ロータ位置を決定する任意選択の実施形態による方法が、例示的に説明される。
まず、三相電気モータの第1相および第2相を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電する。
更なるステップにおいて、次いで、通電間隔の間の第1誘導測定時点に対して、三相電気モータの非通電の第3相において、誘導電圧を特定する。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、制御駆動回路のシャント抵抗Rの両端間の電圧降下、すなわちシャント電圧降下と称される電圧降下を測定する。
電流の変化を引き起こすのに十分な時間、例えば1msが通電間隔の間に経過した後、第1通電間隔において、第2誘導測定時点に対して、誘導電圧の第2値を得る。それと同時に、またはそれから可及的に短い時間間隔で、シャント抵抗Rにわたるシャント電圧降下の第2回を測定する。
次いで、誘導電圧の第1測定値と第2測定値との間の差を特定し、制御駆動回路における電圧変化を考慮するために2つの測定されたシャント電圧降下の差の半分、すなわち半分にされたシャント電圧差を減算することによって、誘導電圧差を特定する。このようにして、補正された誘導電圧差を提供する。これは、初期ロータ位置の確実な決定に適している。対応して、制御回路に引き起こされる電圧変化を補正済みの、特定された誘導電圧差に基づいて、初期ロータ位置を決定することができる。
別の任意選択の実施形態によれば、半分にされたシャント電圧差の代わりに、誘導性分圧器の実際に測定された逆分圧比で乗算された、2つのシャント電圧からの差も使用することもできる。
補償のために参照される制御駆動回路における電圧降下を特定する更なる任意選択の可能性は、以下に基づく。すなわち、第1通電間隔において、誘導電圧または誘導電圧差のみを測定する。その後、更なる通電間隔において同一の電圧を新たに印加し、第1通電間隔において誘導電圧差を測定した対応する測定時点に対して、第2通電間隔においてシャント電圧差を測定する。これによって、ただ1つのアナログ‐デジタル変換器で、誘導電圧差およびシャント電圧差を特定する可能性が提供される。
更なる任意選択の可能性は、一般的な説明の部分で既に上述したように、シャント電圧差を推定することである。
信号を改善する更なる任意選択の可能性は、印加電圧が交互に反転され、この場合に特定された電圧差が、例えば合計および/または平均化される、複数の通電間隔の使用を含むことができる。この目的のために、例えば、誘導電圧差およびシャント電圧差を一緒に加算する、および/または平均化することができる。
説明された方法は、この場合、1つまたは複数のシャント抵抗の両端間の電圧降下から生じる誤差の補償に限定されない。むしろ、これらの、または類似の方法は、制御駆動回路からの任意の他の誤差および/または非対称性を、例えば正および負の供給電圧の後の半経路の間で補償するために使用することもできる。この目的のために、発生した誤差を測定できる、および/または、発生した誤差を、非対称性が既知である場合に、記載された推定と同様に計算することができる。
本開示は、以下の主題を更に含む。
1.
制御駆動回路(3100)を有する三相電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定する方法であって、
前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、
第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相(312.3)において、誘導された電圧を特定すること、
第1通電間隔において第1相および第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相(312.3)において誘導された電圧の、誘導電圧差(3700)を、所定の、推定されたシャント電圧差の形態で特定すること、および、
特定された前記誘導電圧差(3700)に基づいて、前記初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
2.
主題1に記載の方法であって、前記通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う、方法。
3.
主題1または2に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における前記電圧変化は、シャント電圧差(3702)に対応し、前記シャント電圧差(3702)は、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の相電流を測定するシャント抵抗(R )の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生する、方法。
4.
主題3に記載の方法であって、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含み、その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない、方法。
5.
主題4に記載の方法であって、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間され、ならびに/または第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている、方法。
6.
主題1~5の何れか一項に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)に比例する値だけ低減させることによって考慮する、方法。
7.
主題1~6の何れか一項に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)の半分の値だけ低減させることによって考慮する、方法。
8.
主題1~7の何れか一項に記載の方法であって、
前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することであって、その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対であること、
第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相において誘導された電圧を特定すること、
第2通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、および、
第1通電間隔および第2通電間隔において特定された前記誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
9.
主題1~8の何れか一項に記載の方法であって、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相(312.1、312.2)に印加する、方法。
10.
主題9に記載の方法であって、前記所定の期間は、100msを超えない、方法。
11.
主題1~10の何れか一項に記載の方法を用いて電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定するように設定されている、制御ユニット(320)。
12.
ステータと、制御駆動回路(3100)と、前記ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータ(310)であって、その際、前記電気モータは、主題1~11の何れか一項に記載の方法を用いて前記電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている、電気モータ(310)。
13.
制御駆動回路(3100)を有する三相電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定する方法であって、
前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、
第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相(312.3)において、誘導された電圧を特定すること、
第1通電間隔において第1相および第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相(312.3)において誘導された電圧の、誘導電圧差(3700)を特定すること、であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における前記電圧変化は、シャント電圧差(3702)に対応し、前記シャント電圧差(3702)は、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の相電流を測定するシャント抵抗(R )の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生し、また、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)に比例する値だけ低減させることによって考慮し、および、
特定された前記誘導電圧差(3700)に基づいて、前記初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
14.
主題13に記載の方法であって、前記通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う、方法。
15.
主題13または14に記載の方法であって、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含み、その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない、方法。
16.
主題15に記載の方法であって、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間され、ならびに/または第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている、方法。
17.
主題13~16の何れか一項に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)の半分の値だけ低減させることによって考慮する、方法。
18.
主題13~17の何れか一項に記載の方法であって、
前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することであって、その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対であること、
第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相において誘導された電圧を特定すること、
第2通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、および、
第1通電間隔および第2通電間隔において特定された前記誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
19.
主題13~18の何れか一項に記載の方法であって、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相(312.1、312.2)に印加する、方法。
20.
主題19に記載の方法であって、前記所定の期間は、100msを超えない、方法。
21.
主題13~20の何れか一項に記載の方法を用いて電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定するように設定されている、制御ユニット(320)。
22.
ステータと、制御駆動回路(3100)と、前記ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータ(310)であって、その際、前記電気モータは、主題13~20の何れか一項に記載の方法を用いて前記電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている、電気モータ(310)。
23.
三相電気モータ(10)のための転流間隔を提供する方法であって、
前記三相電気モータ(10)の動作のための初期転流間隔を提供することであって、その際、前記転流間隔は、切り換え上限g o,0 および切り換え下限g u,0 を備えること、および、
前記三相電気モータ(10)の動作中に生じる動作電流(i)を特定すること、を含み、前記方法は、
特定された前記動作電流(i)に応じて前記初期転流間隔を調整することであって、その際、前記転流間隔の前記切り換え上限g o,i と切り換え下限g u,i との間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または前記転流間隔の変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整すること、を更に含むことを特徴とする、方法。
24.
主題23に記載の方法であって、前記切り換え上限g o, iと前記切り換え下限g u,i との間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整するため、および/または前記変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整するため、の所定の関数パラメータを提供し、前記転流間隔を前記調整することは、前記所定の関数パラメータおよび既存の動作電流を使用した、調整された距離および/または調整された変位を計算することを含む、方法。
25.
主題23または24に記載の方法であって、異なる動作電流(i)のための複数の調整された転流間隔を提供し、前記転流間隔を前記調整することは、提供されて調整された転流間隔のうちの1つを、既存の動作電流に基づいて選択することを含む、方法。
26.
主題23~25の何れか一項に記載の方法であって、所定の閾値を提供することを更に含み、その際、前記閾値のうちの1つに対応する動作電流(i)が存在する際に、前記転流間隔を前記調整することを行う、方法。
27.
主題26に記載の方法であって、前記所定の閾値の内挿および/または外挿を用いて追加の閾値を決定することを更に含み、その際、決定された前記追加の閾値のうちの1つに対応する動作電流が存在する際に、前記転流間隔を前記調整することを行う、方法。
28.
主題23~27の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の前記切り換え上限g o, iと前記切り換え下限g u,i との間の距離を、放物線の開きおよびy軸切片によって特徴付けられる放物線関数に基づいて、動作電流の二乗でスケーリングして調整する、前記開きにしたがって調整する、および任意選択で放物線の頂点の変位にしたがって調整する、方法。
29.
主題23~28の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の変位を、傾きおよび任意選択で直線のゼロオフセットにしたがって、動作電流で線形にスケーリングして調整し、その際、前記直線は、前記転流間隔の平均値の変位の線形依存性を表し、これは、前記転流間隔が動作電流に応じて初期転流間隔に対して変位される電圧値を表す、方法。
30.
主題23~29の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の前記切り換え上限g o,0 および前記切り換え下限g u,0 は、それぞれ、前記三相電気モータの誘導性分圧器における電圧の所定の電圧値に対応する、またはそれに基づく、方法。
31.
主題30に記載の方法であって、前記三相電気モータ(10)に供給される供給電圧U の特定された電圧値に応じて、前記初期転流間隔を調整することを更に含む、方法。
32.
主題31に記載の方法であって、前記供給電圧の前記特定された電圧値に応じて、前記初期転流間隔を前記調整することは、前記誘導性分圧器における電圧を、前記供給電圧U の前記特定された電圧値へ正規化することを含む、方法。
33.
三相電気モータ(10)のための制御ユニット(20)であって、前記制御ユニット(20)は、
前記三相電気モータ(10)の動作のための初期転流間隔を提供するように設定され、その際、前記転流間隔は、切り換え上限g o,0 および切り換え下限g u,0 を備え、
前記三相電気モータ(10)の動作中に生じる動作電流(i)を特定するように設定され、前記制御ユニット(20)は、
前記転流間隔の前記切り換え上限g o,i と前記切り換え下限g u,i との間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または前記転流間隔の変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整するように、特定された前記動作電流(i)に応じて前記初期転流間隔を調整するように更に設定されていることを特徴とする、制御ユニット(20)。
34.
主題33に記載の制御ユニット(20)を含む、三相電気モータ(10)。
35.
ロータおよびステータを有する三相電気モータ(210)の磁化パラメータを決定する方法であって、
前記三相電気モータ(210)の第1相および第2相(2212.1、2212.2)に電流パルスを供給することであって、その際、電流パルスを前記供給することが測定期間にわたって行われること、
前記測定期間の間、前記ロータを前記ステータに対して電気的回転の少なくとも一部だけ回転させることであって、その際、前記回転させることは、全測定期間にわたって均一に行われること、
前記測定期間の間に前記三相電気モータ(210)の誘導性分圧器における電圧(U )を測定すること、および、前記ロータの前記ステータに対する所定の回転角度(φ)での測定された電圧の測定値を特定すること、
前記磁化パラメータための所定の推定値を使用して前記所定の回転角度(φ)での前記分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧の前記シミュレーション値の測定された前記電圧(U )の測定値からの偏差が最小になるように、前記磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、ならびに、
前記シミュレーション値の測定された前記電圧(U )の前記測定値からの偏差が最小になるように調整された、前記磁化パラメータの前記推定値に基づいて、前記三相モータ(210)の前記磁化パラメータのうちの少なくとも1つまたは複数を決定すること、を含む方法。
36.
主題35に記載の方法であって、前記誘導性分圧器における電圧(U )を前記測定することは、第1電圧値と第2電圧値との間の電圧差を測定することを含み、その際、第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成され、第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される、方法。
37.
主題35または36に記載の方法であって、前記電流パルスは試験パルスとして構成され、前記方法を、前記試験パルスを除いて前記三相電気モータ(210)が通電されない際に、少なくとも1回実行し、その際、前記1つまたは複数の磁化パラメータを前記決定することは、前記三相電気モータ(210)の1つまたは複数のロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータk を決定することを含む、方法。
38.
主題37に記載の方法であって、前記方法を、前記試験パルスに加えて前記三相電気モータ(210)が通電される際に、少なくとも1回実行し、その際、前記1つまたは複数の磁化パラメータを前記決定することは、前記三相電気モータ(210)の通電によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータk を決定することを含む、方法。
39.
主題38に記載の方法であって、前記三相電気モータ(210)を、通電の転流が測定期間にわたって不変に維持されるように通電する、方法。
40.
主題35~39の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、前記三相電気モータ(210)が通電される際に少なくとも1回実行し、その際、前記電流パルスは、ブロック転流パルスとして構成されている、方法。
41.
主題35~40の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、前記三相電気モータ(210)が通電されない際に少なくとも1回、および通電される際に少なくとも1回実行する、方法。
42.
主題35~41の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、交互に前記三相電気モータ(210)が通電されない際および通電される際に、反復的に実行し、その際、前記方法を実行する際に決定される磁化パラメータの少なくとも一部を、前記方法を後続で反復的に実行する際に、磁化パラメータのための所定の推定値として使用する、方法。
43.
主題35~42の何れか一項に記載の方法であって、このような回転角度(φ)を、それぞれの場合に測定される電圧が局所的な極大値および/または局所的な極小値を備える所定の回転角度(φ)として予め決定する、方法。
44.
主題43に記載の方法であって、前記ロータを前記ステータに対して回転させるための、電気的回転の少なくとも一部は、少なくとも90°を備え、測定された電圧(U )が局所的な極小値を備える少なくとも1つの所定の回転角度(φ)を備え、測定された電圧(U )が局所的な極大値を備える少なくとも1つの更なる所定の回転角度(φ)を備える、方法。
45.
主題35~44の何れか一項に記載の方法であって、前記所定の回転角度で測定された電圧に基づいて、電気的回転にわたる電圧の連続的な経過が決定可能であるように、前記所定の回転角度を予め決定する、方法。
46.
主題35~45の何れか一項に記載の方法であって、前記磁化パラメータのための前記所定の推定値を、前記三相電気モータの第1相および第2相のそれぞれのインダクタンスのための所定の数学的モデルを介して、前記シミュレーション値の計算に組み込む、方法。
47.
主題35~46の何れか一項に記載の方法であって、電流パルスを供給する前に、前記ロータを前記ステータに対して所定の始動回転角度に事前位置決めすることを更に含む、方法。
48.
主題47に記載の方法であって、前記事前位置決めすることは、機械的な強制位置決め、および/または前記始動回転角度に達するまで前記三相電気モータに電流を印加することによって、実行する、方法。
49.
ロータおよびステータを有する三相電気モータ(210)の磁化パラメータを決定する装置であって、
前記三相電気モータ(210)に通電し、測定期間にわたって前記三相電気モータの第1相および第2相(2212.1、2212.2)に電流パルスを供給する制御駆動ユニットと、
前記ロータを前記ステータに対して回転させる回転ユニットであって、その際、前記装置は、前記ロータを前記ステータに対して前記回転ユニットを用いて全測定期間の間、電気的回転で均一に回転させるように設定されている、回転ユニットと、
前記測定期間の間、前記三相電気モータの誘導性分圧器において電圧を測定する、測定要素と、
制御ユニットと、を含み、その際、前記制御ユニットは、
前記ロータの前記ステータに対する所定の回転角度で前記測定要素を用いて測定された電圧(U )の測定値を特定するように設定され、
前記磁化パラメータのための所定の推定値を使用して前記所定の回転角度での前記分圧器における電圧のシミュレーション値を計算するように、および電圧の前記シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、前記磁化パラメータのための前記所定の推定値を調整するように設定され、
前記シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、前記磁化パラメータの前記推定値に基づいて、前記三相モータの前記磁化パラメータのうちの1つまたは複数を決定するように設定されている、装置。
10 三相電気モータ
12 三相電気モータの相
12.1、12.2、12.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
14 スターポイント
20 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1相、第2相、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
o,0 初期転流間隔の切り換え上限
u,0 初期転流間隔の切り換え下限
o,i 調整された転流間隔の切り換え上限
u,i 調整された転流間隔の切り換え下限
100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
500、510、700 転流間隔の変位のグラフ
600、610 切り換え限界の距離のグラフ
210 三相電気モータ
212 三相電気モータの相
212.1、212.2、212.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
214 スターポイント
、U、U 第1、第2、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
、R、R 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
2100 通電されない場合の測定された電圧差のグラフ
2200 通電されない場合のシュミュレートされた電圧差のグラフ
2300 通電される場合の測定された電圧差のグラフ
2400 通電される場合のシミュレートされた電圧差のグラフ
310 三相電気モータ
312 三相電気モータの相
312.1、312.2、312.3 三相電気モータの第1、第2、または第3相
314 スターポイント
320 制御ユニット
、U、U 第1相、第2相、または第3相の接続部における電圧
、L、L 第1、第2、または第3相のインダクタンス
M1、RM2、RM3 第1相、第2相、または第3相のオーム抵抗
L1、iL2、iL3 第1相、第2相、または第3相における電流
供給電圧
~M 制御駆動回路の電界効果トランジスタ
(R) シャント抵抗
~R 電流測定用回路
~R10 抵抗分圧器のオーム抵抗
IC 電流測定用OPV
3100 制御駆動回路
3102 制御駆動回路
3700 誘導電圧差信号
3702 シャント電圧差信号

Claims (40)

  1. 三相電気モータ(10)のための転流間隔を提供する方法であって、
    前記三相電気モータ(10)の動作のための初期転流間隔を提供することであって、その際、前記転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備えること、
    前記三相電気モータ(10)の動作中に生じる動作電流(i)を特定すること、および、
    特定された前記動作電流(i)に応じて前記初期転流間隔を調整することであって、その際、前記転流間隔の前記切り換え上限go,iと切り換え下限gu,iとの間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または前記転流間隔の変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整すること、を含む、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記切り換え上限go,iと前記切り換え下限gu,iとの間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整するため、および/または前記変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整するため、の所定の関数パラメータを提供し、前記転流間隔を前記調整することは、前記所定の関数パラメータおよび既存の動作電流を使用した、調整された距離および/または調整された変位を計算することを含む、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、異なる動作電流(i)のための複数の調整された転流間隔を提供し、前記転流間隔を前記調整することは、提供されて調整された転流間隔のうちの1つを、既存の動作電流に基づいて選択することを含む、方法。
  4. 請求項1~3の何れか一項に記載の方法であって、所定の閾値を提供することを更に含み、その際、前記閾値のうちの1つに対応する動作電流(i)が存在する際に、前記転流間隔を前記調整することを行う、方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記所定の閾値の内挿および/または外挿を用いて追加の閾値を決定することを更に含み、その際、決定された前記追加の閾値のうちの1つに対応する動作電流が存在する際に、前記転流間隔を前記調整することを行う、方法。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の前記切り換え上限go,iと前記切り換え下限gu,iとの間の距離を、開きにしたがって、および任意選択で頂点の変位にしたがって、動作電流の二乗でスケーリングして調整する、方法。
  7. 請求項1~6の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の変位を、傾きおよび任意選択で直線のゼロオフセットにしたがって、動作電流で線形にスケーリングして調整する、方法。
  8. 請求項1~7の何れか一項に記載の方法であって、前記転流間隔の前記切り換え上限go,0および前記切り換え下限gu,0は、それぞれ、前記三相電気モータの誘導性分圧器における電圧の所定の電圧値に対応する、またはそれに基づく、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記三相電気モータ(10)に供給される供給電圧Uの特定された電圧値に応じて、前記初期転流間隔を調整することを更に含む、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、前記供給電圧の前記特定された電圧値に応じて、前記初期転流間隔を前記調整することは、前記誘導性分圧器における電圧を、前記供給電圧Uの前記特定された電圧値へ正規化することを含む、方法。
  11. 三相電気モータ(10)のための制御ユニット(20)であって、前記制御ユニット(20)は、
    前記三相電気モータ(10)の動作のための初期転流間隔を提供するように設定され、その際、前記転流間隔は、切り換え上限go,0および切り換え下限gu,0を備え、
    前記三相電気モータ(10)の動作中に生じる動作電流(i)を特定するように設定され、
    前記転流間隔の前記切り換え上限go,iと前記切り換え下限gu,iとの間の距離を前記動作電流(i)の二乗でスケーリングして調整する、および/または前記転流間隔の変位を前記動作電流で線形にスケーリングして調整するように、特定された前記動作電流(i)に応じて前記初期転流間隔を調整するように設定されている、制御ユニット(20)。
  12. 請求項11に記載の制御ユニット(20)を含む、三相電気モータ(10)。
  13. ロータおよびステータを有する三相電気モータ(210)の磁化パラメータを決定する方法であって、
    前記三相電気モータ(210)の第1相および第2相(2212.1、2212.2)に電流パルスを供給することであって、その際、電流パルスを前記供給することが測定期間にわたって行われること、
    前記測定期間の間、前記ロータを前記ステータに対して電気的回転の少なくとも一部だけ回転させることであって、その際、前記回転させることは、全測定期間にわたって均一に行われること、
    前記測定期間の間に前記三相電気モータ(210)の誘導性分圧器における電圧(U)を測定すること、および、前記ロータの前記ステータに対する所定の回転角度(φ)での測定された電圧の測定値を特定すること、
    前記磁化パラメータための所定の推定値を使用して前記所定の回転角度(φ)での前記分圧器における電圧の、対応するシミュレーション値を計算すること、および、電圧の前記シミュレーション値の測定された前記電圧(U)の測定値からの偏差が最小になるように、前記磁化パラメータのための所定の推定値を調整すること、ならびに、
    前記シミュレーション値の測定された前記電圧(U)の前記測定値からの偏差が最小になるように調整された、前記磁化パラメータの前記推定値に基づいて、前記三相モータ(210)の前記磁化パラメータのうちの少なくとも1つまたは複数を決定すること、を含む方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、前記誘導性分圧器における電圧(U)を前記測定することは、第1電圧値と第2電圧値との間の電圧差を測定することを含み、その際、第1電圧値は、第1極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成され、第2電圧値は、第1極性とは反対の第2極性の電圧パルスを用いて電流パルスを供給することによって生成される、方法。
  15. 請求項13または14に記載の方法であって、前記電流パルスは試験パルスとして構成され、前記方法を、前記試験パルスを除いて前記三相電気モータ(210)が通電されない際に、少なくとも1回実行し、その際、前記1つまたは複数の磁化パラメータを前記決定することは、前記三相電気モータ(210)の1つまたは複数のロータ磁石によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む、方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、前記方法を、前記試験パルスに加えて前記三相電気モータ(210)が通電される際に、少なくとも1回実行し、その際、前記1つまたは複数の磁化パラメータを前記決定することは、前記三相電気モータ(210)の通電によるインダクタンス変動を特徴付ける磁化パラメータkを決定することを含む、方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、前記三相電気モータ(210)を、通電の転流が測定期間にわたって不変に維持されるように通電する、方法。
  18. 請求項13~17の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、前記三相電気モータ(210)が通電される際に少なくとも1回実行し、その際、前記電流パルスは、ブロック転流パルスとして構成されている、方法。
  19. 請求項13~18の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、前記三相電気モータ(210)が通電されない際に少なくとも1回、および通電される際に少なくとも1回実行する、方法。
  20. 請求項13~19の何れか一項に記載の方法であって、前記方法を、交互に前記三相電気モータ(210)が通電されない際および通電される際に、反復的に実行し、その際、前記方法を実行する際に決定される磁化パラメータの少なくとも一部を、前記方法を後続で反復的に実行する際に、磁化パラメータのための所定の推定値として使用する、方法。
  21. 請求項13~20の何れか一項に記載の方法であって、このような回転角度(φ)を、それぞれの場合に測定される電圧が局所的な極大値および/または局所的な極小値を備える所定の回転角度(φ)として予め決定する、方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記ロータを前記ステータに対して回転させるための、電気的回転の少なくとも一部は、少なくとも90°を備え、測定された電圧(U)が局所的な極小値を備える少なくとも1つの所定の回転角度(φ)を備え、測定された電圧(U)が局所的な極大値を備える少なくとも1つの更なる所定の回転角度(φ)を備える、方法。
  23. 請求項13~22の何れか一項に記載の方法であって、前記所定の回転角度で測定された電圧に基づいて、電気的回転にわたる電圧の連続的な経過が決定可能であるように、前記所定の回転角度を予め決定する、方法。
  24. 請求項13~23の何れか一項に記載の方法であって、前記磁化パラメータのための前記所定の推定値を、前記三相電気モータの第1相および第2相のそれぞれのインダクタンスのための所定の数学的モデルを介して、前記シミュレーション値の計算に組み込む、方法。
  25. 請求項13~24の何れか一項に記載の方法であって、電流パルスを供給する前に、前記ロータを前記ステータに対して所定の始動回転角度に事前位置決めすることを更に含む、方法。
  26. 請求項25に記載の方法であって、前記事前位置決めすることは、機械的な強制位置決め、および/または前記始動回転角度に達するまで前記三相電気モータに電流を印加することによって、実行する、方法。
  27. ロータおよびステータを有する三相電気モータ(210)の磁化パラメータを決定する装置であって、
    前記三相電気モータ(210)に通電し、測定期間にわたって前記三相電気モータの第1相および第2相(2212.1、2212.2)に電流パルスを供給する制御駆動ユニットと、
    前記ロータを前記ステータに対して回転させる回転ユニットであって、その際、前記装置は、前記ロータを前記ステータに対して前記回転ユニットを用いて全測定期間の間、電気的回転で均一に回転させるように設定されている、回転ユニットと、
    前記測定期間の間、前記三相電気モータの誘導性分圧器において電圧を測定する、測定要素と、
    制御ユニットと、を含み、その際、前記制御ユニットは、
    前記ロータの前記ステータに対する所定の回転角度で前記測定要素を用いて測定された電圧(U)の測定値を特定するように設定され、
    前記磁化パラメータのための所定の推定値を使用して前記所定の回転角度での前記分圧器における電圧のシミュレーション値を計算するように、および電圧の前記シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように、前記磁化パラメータのための前記所定の推定値を調整するように設定され、
    前記シミュレーション値の測定された電圧の測定値からの偏差が最小になるように調整された、前記磁化パラメータの前記推定値に基づいて、前記三相モータの前記磁化パラメータのうちの1つまたは複数を決定するように設定されている、装置。
  28. 制御駆動回路(3100)を有する三相電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定する方法であって、
    前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第1通電間隔にわたって上昇する、または下降する電流で通電すること、
    第1通電間隔の間に互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相(312.3)において、誘導された電圧を特定すること、
    第1通電間隔において第1相および第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における電圧変化を考慮に入れて、互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相(312.3)において誘導された電圧の、誘導電圧差(3700)を特定すること、および、
    特定された前記誘導電圧差(3700)に基づいて、前記初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、前記通電することを、電流が第1通電間隔において厳密に単調で、および任意選択で線形に、上昇または降下するように行う、方法。
  30. 請求項28または29に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の前記制御駆動回路(3100)における前記電圧変化は、シャント電圧差(3702)に対応し、前記シャント電圧差(3702)は、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の相電流を測定するシャント抵抗(R)の両端で降下する電圧において、2つの互いに離間されたシャント測定時点の間で発生する、方法。
  31. 請求項30に記載の方法であって、誘導測定時点は、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点を含み、シャント測定時点は、第1シャント測定時点および第2シャント測定時点を含み、その際、第1誘導測定時点は第1シャント測定時点から、および/または第2誘導測定時点は第2シャント測定時点から、5μsを超えて時間的に離間されない、方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、第1誘導測定時点および第2誘導測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間され、ならびに/または第1シャント測定時点および第2シャント測定時点は、少なくとも10μs、任意選択で少なくとも100μs、任意選択で少なくとも1ms互いに離間されている、方法。
  33. 請求項28または29に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、所定の、推定されたシャント電圧差の形態で考慮する、方法。
  34. 請求項30~33の何れか一項に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)に比例する値だけ低減させることによって考慮する、方法。
  35. 請求項30~34の何れか一項に記載の方法であって、通電間隔において第1相および/または第2相に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)における電圧変化を、前記誘導電圧差(3700)を前記シャント電圧差(3702)の半分の値だけ低減させることによって考慮する、方法。
  36. 請求項28~35の何れか一項に記載の方法であって、
    前記三相電気モータ(310)の第1相および第2相(312.1、312.2)を、第2通電間隔にわたって上昇または下降する電流で通電することであって、その際、通電のために印加される電圧の電圧方向は、第1通電間隔における通電のための電圧の電圧方向の反対であること、
    第2通電間隔の間の互いに時間的に離間された少なくとも2つの測定時点に対して、前記三相電気モータ(310)の通電されない第3相において誘導された電圧を特定すること、
    第2通電間隔において第1相および/または第2相(312.1、312.2)に前記通電することによって引き起こされる、第1相および/または第2相(312.1、312.2)の制御駆動回路における電圧変化を考慮して、第2通電間隔において互いに時間的に離間された2つの誘導測定時点の間に第3相において誘導された電圧の誘導電圧差を特定すること、および、
    第1通電間隔および第2通電間隔において特定された前記誘導電圧差に基づいて初期ロータ位置を決定すること、を含む、方法。
  37. 請求項28~36の何れか一項に記載の方法であって、第1通電間隔および/または第2通電間隔の前に、その都度所定の期間、通電のために印加される電圧とは反対の電圧を、第1相および第2相(312.1、312.2)に印加する、方法。
  38. 請求項37に記載の方法であって、前記所定の期間は、100msを超えない、方法。
  39. 先行する請求項の何れか一項に記載の方法を用いて電気モータ(310)の初期ロータ位置を決定するように設定されている、制御ユニット(320)。
  40. ステータと、制御駆動回路(3100)と、前記ステータに対して回転可能なロータと、を含む電気モータ(310)であって、その際、前記電気モータは、先行する請求項の何れか一項に記載の方法を用いて前記電気モータの初期ロータ位置を決定するように設定されている、電気モータ(310)。
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