JP2024504140A - ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法 - Google Patents

ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法 Download PDF

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Abstract

ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法であって、ファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するステップと、第1パラメータを所定パラメータと比較するステップであり、第1パラメータと前記所定パラメータとの間の差がファスナ締結工具の状態を表すステップと、比較に基づいて調整を計算するステップであり、調整はファスナ締結工具の第1特性及び/又はファスナ締結工具の第2特性に対するものであり、工具の状態を補償するよう構成されているステップと、上記調整をファスナ締結工具に適用するステップとを含む方法。

Description

本発明は、ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法に関する。特に、本発明は、ファスナ締結工具を調整して工具の状態を補償する方法に関する。
ファスナをワーク(例えばシート材料)に挿入するための様々なファスナ締結工具及び方法が知られている。例えば、セルフピアスリベット工具は、ワークを予め穿孔も打ち抜きもせずにワークにファスナを挿入するために用いることができる。既知のセルフピアスリベット工具はパンチを含み、これを作動させて、リベットをワークへ向けてワークに打ち込むことができる。ワークは、通常はダイ上で支持され、ダイへ向けてパンチが駆動される。パンチをダイへ向けて駆動することにより、リベット締結力又はリベット締結エネルギーがリベットに与えられる。リベットがワークと接触すると、リベット締結力又はエネルギーは、ワークへのリベットの挿入を助ける。
ワークに挿入されたリベットは、ワーク同士を接合することができるので継手又はリベット継手と称し得る。リベットのタイプ、ダイのタイプ、及びリベット締結力の量等の変数が、継手の特性に影響する。継手の特性は、継手の性能に影響する可能性があり、通常は、特定の継手に最適な性能を与える変数の1つ又は複数の最適な組み合わせがある。変数は、通常は接合される材料に応じて選択される。
最適な継手の場合、リベットは、リベット頭部がワークの上面と比べて特定の高さになるように挿入され、ここで、特定の高さは通常はゼロである(すなわち、リベット頭部が上面と面一である)。
最適でない継手では、リベットはワークに十分に挿入されていない場合があり、したがってリベット頭部はワークの上面から盛り上がる。すなわち、リベット頭部は、ワークの表面よりも上の高さにある。このような最適でない継手は、プラウド又はオーバーフラッシュと称し得る。オーバーフラッシュ継手は、用いるリベット、ダイ、及びワークの組み合わせに対してリベット締結エネルギーが小さすぎる場合に起こり得る。
別の最適でない継手では、リベットがワークに挿入されすぎる場合があり、リベット頭部はワークに深く打ち込まれすぎることになる。すなわち、リベット頭部は、ワークの表面よりも下の高さにある。このような最適でない継手をインデント又はアンダーフラッシュと称し得る。アンダーフラッシュ継手は、用いるリベット、ダイ、及びワークの組み合わせに対してリベット締結エネルギーが大きすぎる場合に起こり得る。
アンダーフラッシュ継手及びオーバーフラッシュ継手の両方が、通常は締付けプロセスの性能損失に関連し、したがってリベットの挿入中に用いられるリベット締結力を正確に制御することが望ましい場合がある。
既知のセルフピアスリベット工具は、電動モータを用いてパンチを駆動する。このようなリベット工具は、電気モータにより実質的に一定の角速度で維持される工具アセンブリと共に1つ又は複数のフライホイール又は他の慣性質量を通常は含む。工具アセンブリの慣性により、リベット挿入前にエネルギーを工具アセンブリに蓄積することができる。工具アセンブリの回転運動は、往復直線運動に変換され得る。蓄積された慣性エネルギーの一部を直線運動の形態でパンチに伝達することにより、パンチは、工具アセンブリのスピン方向に応じてダイに対して接近又は離反するよう駆動され得る。このタイプの工具を、慣性リベットセッタと称し得る。
慣性リベットセッタを用いると、リベットに供給可能なエネルギー量は、フライホイールの慣性、工具の線形運動量、及びモータが与えるトルクからの寄与を受ける。リベットに供給可能なエネルギー量は、工具内の摩擦損失により減少し得る。摩擦損失は、工具の状態に応じて変わり得る。状態は、例えば、温度、使用年数、ファスナ特性、ワーク特性、工具の以前の使用状況、潤滑特性(例えば、潤滑量、潤滑温度)その他を含み得る。
工具は「低温」状態にあり得る。工具が低温なのは、所望の動作温度未満の温度にある場合であり得る。工具が低温なのは、挿入サイクルが最近実行されていない場合であり得る。工具が低温なのは、例えば潤滑が最適でない温度(例えば低温)にあることにより、又は工具が新しい、摩耗した、又は損傷した部品/コンポーネントと共に用いられる等の他の要因により、内部摩擦が大きい場合でもある。
代替として、工具は「高温」状態であり得る。工具が高温なのは、所望の動作温度にある場合であり得る。工具が高温なのは、十分な挿入サイクルが最近、例えば直近15分以内に実行された場合であり得る。工具が高温状態なのは、例えば潤滑が最適な温度(例えば高温)にあることにより、又は工具が新しくない、摩耗していない、又は損傷していない部品/コンポーネントと共に用いられる等の他の要因により、内部摩擦が小さい場合でもある。
代替として、工具は「中温」であり得る。中温の工具は、「低温」状態と「高温」状態との間であり得る。
低温及び/又は中温の工具は、高温の工具と比べて大きな内部摩擦を受ける場合がある。内部摩擦の増加は、潤滑の粘度変化及び/又は工具内の潤滑の移動及び場所、並びに内部コンポーネント状態の変化に起因し得る。このように、低温又は中温の工具と比べて必要な駆動力が小さいので、高温の工具を作動させることが有益である。しかしながら、例えば工具が初期使用時には低温なので、低温又は中温の工具を用いる必要がある。このような場合、摩擦損失を補償することが有益であり得る。
本明細書に記載の第1実施例によれば、ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法であって、ファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するステップと、第1パラメータを所定パラメータと比較するステップであり、第1パラメータと所定パラメータとの間の差がファスナ締結工具の状態を表すステップと、比較に基づいて調整を計算するステップであり、調整はファスナ締結工具の第1特性及び/又はファスナ締結工具の第2特性に対するものであり、工具の状態を補償するよう構成されているステップと、上記調整をファスナ締結工具に適用するステップとを含む方法が提供される。
ファスナ締結工具の性能は、工具の状態、例えば工具が低温、中温、又は高温である場合に変わり得る。この方法を用いることにより、工具の性能のばらつきを補償することができる。特に、第1パラメータを測定してそれを所定パラメータと比較することにより、損失を間接的に求めることができる。したがって、それに対する計算及び調整の適用から補償方法が得られる。このような補償方法は、工具の性能を向上させるのが有益であり得る。
所定パラメータは理論値、ファスナ締結工具の前の挿入サイクルで測定された経験値、同じ挿入サイクルの初期に測定された経験値、又はそれらの組み合わせであり得る。所定パラメータは、予想パラメータであり得る。所定パラメータは、第1特性に関連するパラメータであり得る。第1パラメータは、第1特性が実質的に一定である時点に測定され得る。
状態は、ファスナ締結工具又はそのコンポーネントの温度、使用年数、使用履歴、及び潤滑状態の1つ又は複数を表し得る。
温度は、最適な動作温度と比べた現在の温度を含み得る。使用年数は、製造からの経過時間又は保守事象、例えば較正又は整備からの経過時間を含み得る。使用履歴は、工具の以前の使用状況、例えば工具により実行された以前のファスナ挿入の数及び/又は工具により実行された直近の挿入からの時間を含み得る。潤滑状態は、潤滑の温度、潤滑の化学組成、潤滑年数、潤滑量、潤滑の場所又は分布を含み得る。ファスナ締結工具のコンポーネントは、工具自体及び/又は工具により締め付けられるワークのコンポーネント部品を含み得る。
第1特性は、ファスナ締結工具のモータのトルク又はファスナ締結工具の締結部の速度の一方であり得る。モータのトルクは、モータ速度又はモータに与えられる電気刺激として測定され且つ/又は表され得る。締結部は、例えばパンチ、ファスナ、工具のセッタを含み得る。締結部自体の速度ではなく、工具の締結部内又は締結部上のファスナの速度が測定され得る。
第2特性は、ファスナ締結工具のモータのトルク又はファスナ締結工具の締結部の速度の他方であり得る。モータのトルクは、モータ速度又はモータに与えられる電気刺激として測定され且つ/又は表され得る。締結部は、例えばパンチ、ファスナ、工具のセッタを含み得る。締結部自体の速度ではなく、工具の締結部内又は締結部上のファスナの速度が測定され得る。
第1パラメータの測定は、第2特性が所定の第2パラメータにあるときに実行され得る。第2パラメータは、第2特性に関連し得る。
第1特性がモータのトルクである場合、第1パラメータの測定は、締結部の速度が所定速度にあるときに実行され得る。代替として、第1特性が締結部の速度である場合、第1パラメータの測定は、モータのトルクが所定のモータトルクにあるときに実行され得る。
本方法はさらに、調整済みのファスナ締結工具でファスナを挿入させるステップを含み得る。ファスナ締結工具は、調整の適用後に調整済みのファスナ締結工具と称し得る。
測定は、第1ファスナ挿入サイクル中に実行することができ、調整は、第1ファスナ挿入サイクル中に適用することができる。単一の挿入サイクル中に測定し、計算し、調整し、且つ当該調整を適用することにより、ファスナの挿入前に工具の状態を補償することができる。
測定は、第1ファスナ挿入サイクル中に実行することができ、調整は、第2ファスナ挿入サイクル中に適用される。調整は、第1パラメータの測定が上記第2ファスナ挿入サイクル中に実行されていない間に第2ファスナ挿入サイクル中に適用することができる。調整は、さらなるファスナ挿入サイクル中に適用されてもよく、例えば調整は、10サイクル又は20サイクルにわたって適用することができる。
本方法はさらに、ファスナ締結工具の状態を判定するステップを含み得る。例えば、状態は、第1パラメータと所定パラメータとの差に基づいて推定され得る。
調整は、状態が所定の状態を満たす場合にのみ適用することができる。調整は、状態が最適でない場合にのみ適用することができる。例えば、工具状態が低温又は中温である間に複数の挿入サイクルに調整を適用することができ、工具状態が高温とみなされると調整を停止することができる。
比較は、1つ又は複数の記憶されたパラメータにさらに基づくことができ、1つ又は複数の記憶されたパラメータは、第1パラメータの測定前に測定されたファスナ締結工具に関連するパラメータに対応する。記憶されたパラメータは、ファスナ締結工具の記憶装置に記憶され得る。
本方法は、反復的に実行されてフィードバックループを形成することができる。
第1パラメータの複数の測定を行うことができる。複数の測定値を平均化して単一の測定値が出される。測定値の平均化は、モータの1回転で起こる測定で行われ得る。平均化は、例えば測定時のモータの回転内のその位置に基づいて、且つ/又は信頼値に基づいて重み付けされ得る。信頼値は、第1パラメータの測定された1つ又は複数の測定値と第1パラメータの以前の測定値及び/又は第1パラメータに関連する理論値との比較に基づき得る。ファスナ締結工具のモータが所定の向きにあるときに、複数の第1測定の各測定を行うことができる。
複数の測定は、第1特性及び/又は第2特性が実質的に一定であるときに行われ得る。例えば、第1特性が工具の速度である場合、速度が実質的に一定であるときに、例えばセッタが一定の速度で前進中に測定が行われ得る。例えば、第1特性がモータトルクである場合、トルクが実質的に一定であるときに測定が行われ得る。なお、用語「実質的に一定」は、第1特性及び/又は第2特性に関連する僅かな振動及び/又はノイズ及び/又はドリフトを許すことを意図し、このような振動により特性は「一定でない」ものとはならない。
複数の測定に関連する第1パラメータは、平均化され得る。平均化は、工具のモータの回転時間に依存し得る。
調整は、ファスナ締結工具のモータに与えられる電気刺激を増加させる命令を含み得る。調整を適用するステップは、ファスナ締結工具のデータ処理システムに上記命令を提供するステップを含み得る。
本方法はさらに、ファスナ締結工具の状態に基づく警告を与えるステップを含み得る。警告は、工具の検査及び/又は修理の要求の指示を含み得る。警告は、閾値を超える状態に応答して与えることができる。警告は、工具の他の特性が許容範囲内にあるにもかかわらず工具の状態が閾値を超えた結果として、例えば工具が理論上は最適な動作温度で動作しているにもかかわらず工具状態が最適でない場合に与えることができる。
本明細書に記載の第2実施例によれば、ファスナ締結工具であって、ファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するよう動作可能なセンサと、第1パラメータを所定パラメータと比較するステップであり、第1パラメータと所定パラメータとの間の差がファスナ締結工具の状態を表すステップ、比較に基づいて調整を計算するステップであり、調整はファスナ締結工具の第1特性及び/又はファスナ締結工具の第2特性に対するものであり、工具の状態を補償するよう構成されているステップ、及びファスナ締結工具に調整を含む命令を提供するステップを実行する手段を含むデータ処理システムと、上記調整を工具に適用する手段とを備えたファスナ締結工具が提供される。
本明細書に記載の第3実施例によれば、ファスナ締結工具のデータ処理システムにより実行されると、工具に第1実施例のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
本明細書には、ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法であって、ファスナ締結工具の第1挿入サイクルでファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するステップと、第1パラメータを所定パラメータと比較するステップと、比較に基づいて調整を計算するステップと、上記調整をファスナ締結工具に適用するステップと、第1挿入サイクルで調整されたファスナ締結工具でファスナを挿入させるステップとを含むコンピュータ実装方法も記載される。
次に、添付図面を参照して本発明を純粋に例として説明する。
例示的なファスナ締結工具の長手方向概略断面図である。 第1タイプの挿入サイクル中のモータトルクとセッタ速度との間の簡略化した関係を示す。 第2タイプの挿入サイクル中のモータトルクとセッタ速度との間の簡略化した関係を示す。 例示的な補償方法を示す。 サイクル内補償方法を用いた工具の例示的な挿入サイクルのモータトルク及びセッタ速度を示す。 例示的な補償方法を示す。 例示的な補償方法を示す。 例示的な補償方法を示す。 パラメータ値の記憶に用いる例示的なテーブルを示す。 計算された調整値の信頼度の向上に用いる方法を示す。 例示的な補償方法を示す。 補償方法を用いないファスナ締結工具からのデータを示す。 補償方法を用いるファスナ締結工具からのデータを示す。 ファスナ締結工具からの生データ及び平滑化データを示す。 ファスナ締結工具からの生データ及び平滑化データを示す。 平均化方法を示す。
本発明を、ファスナ締結工具に関して説明する。セルフピアスリベットを締結するタイプのセルフピアスリベット締結機で用いる例示的なファスナ締結工具について特に説明する。例えば、セルフピアスリベット締結工具は、自動車のフレーム及び/又はパネル等の車体の製造のために、様々な厚さのワーク及びプレートで用いることができる。しかしながら、本発明はそれに限定されず、本明細書に記載の構成を他のファスナ締結工具及び他の品目の製造に用いるファスナ締結工具にも適用可能であることが理解されよう。さらに、特にリベットに適してはいるが、本発明は他のファスナ、例えばねじ、釘、及びスタッドにも適用可能であり得ることが理解されよう。
例示的なファスナ締結工具2を図1に概略的に示す。ファスナ締結工具は、本明細書では単に工具と称し得る。工具2は、リベット挿入中に工具が発生する力に反発するダイ6を保持する従来のCフレーム1に取り付けられる。ファスナ締結工具は、多くの異なる向きに従って作業域内で必要な場所に移動して位置決めされることができるようにロボットシステムに組み込まれることが多い。これを達成するために、工具2はCフレームに取り付けられ、Cフレームはさらにロボットシステムに取り付けられる。
工具2を用いて、工具2のノーズ部22とCフレーム1の工具2に対向する側でCフレームに装着されたダイ6との間に配置されたワーク(図示せず)にリベット5が挿入される。本明細書では、ワークに関して、例えばワークに向かって又はワークから離れて移動するといった方向用語を用いる場合がある。この方向用語は、通常動作時の所定位置の、すなわち工具2のノーズ部22とダイ6との間に配置されたワークに関するものと解釈すべきである。
工具2は、リニアアクチュエータアセンブリ3を駆動するよう動作可能な駆動アセンブリ4を備える。駆動アセンブリ4は、電気モータ10を含む。モータ10の出力軸11が、通常は、例えば無端歯付ベルト12及び駆動プーリ(図示せず)を介してリニアアクチュエータアセンブリ3に並列接続される。リニアアクチュエータアセンブリ3は、モータ出力軸11の回転運動を工具2のプランジャ16に接続された細長い出力軸15の往復直線運動に変換する。
工具2は、データ処理サブシステムを組み込んだ制御システム(図示せず)に接続される。データ処理システムは、工具のコンポーネントに命令を提供するよう動作可能である。例えば、データ処理システムは、電気モータ10の速度を変える命令を提供するよう動作可能であり得る。データ処理システムは、サーボコントローラを含み得る。データ処理システムはさらに、工具2の1つ又は複数の部分に関連するパラメータを記憶するよう動作可能なメモリを含み得る。例えば、データ処理システムを用いて、電気モータ10の速度及び/又は工具2の状態に関する履歴データを記憶することができる。
工具2は、ハウジング20を備え、その中にクランプ管21が摺動可能に配置される。ノーズ部22は、クランプ管21の端に設けられる。ノーズ部22は、クランプ管21と同軸上に配置され、リベット5をワークに誘導することができるリベット送り通路23を有する。リベット5は、プランジャ16により担持されたパンチ24により送り通路23を通って移動する。パンチ24及びプランジャ16は、クランプ管21及び送り通路23内で往復軸方向運動するよう配置され、リニアアクチュエータアセンブリ3の出力軸15により駆動される。出力軸15、プランジャ16、及びパンチ24を合わせてセッタと称し得る。
出力軸15の直線運動は、プランジャ16及びパンチ24を工具2のハウジング20に対して且つワークへ向けて移動させる。この運動は、ノーズ部22の端面がワークに接触してクランプ管21のさらなる前進が防止されるまで続く。出力軸15が伸長し続けると、セッタがクランプ管21及びノーズ部22に対して移動する。挿入されるリベット5は、送り通路23内を駆動されてワークに接触する。セッタがさらに前進すると、リベット5がワークに打ち込まれる。
単一のファスナの挿入を挿入サイクルと称し得る。挿入サイクル中に、工具2は初期位置で始まり、リベット送り通路23を通してリベット5をワークへ向けて移動させてリベット5をワークに打ち込んでから最終位置へ移動するという動作を実行する。すなわち、本明細書に記載の挿入サイクルは、リベット5の締結に必要な工具2の全ての動きを含み、リベット5は、挿入サイクルの一部の間にワークに物理的に打ち込まれるにすぎない。
リベット5は、リベット速度でワークへ向けて前進させられる。リベット速度は、挿入サイクル内の様々な時間及び/又は位置で異なり得る。リベット速度は、セッタの速度により設定される。したがって、ワークへの前進中のリベット速度をセッタ速度と称し得る。セッタ速度は、工具2の締結部(すなわちセッタ)の速度とみなすことができる。
工具2は、セッタ速度及び/又はリベット速度が挿入サイクル中に測定され得るように速度を測定する手段を備える。例えば、工具2は、速度エンコーダ(図示せず)等の速度を測定可能な少なくとも1つのセンサを備え得る。速度は、直接又は間接的に測定することができる。すなわち、工具2は、セッタ及び/又はリベットの変位(変位は速度に時間を掛けたもの)を測定する手段を備え得る。測定された速度、時間、及び/又は変位データから、リベット及び/又はセッタ加速度を計算することもできる。測定されたデータは、データ処理システムに供給される。
リベットは、ワークへの接触前に所要締結速度に達するように加速され得る。所要締結速度は所与の挿入サイクルに最適なリベット挿入力を提供するよう選択され得る。所要締結速度は、挿入サイクルの1つ又は複数の特性を最適化するよう選択される。例えば、所要締結速度は、所与の挿入サイクルに最適なリベット挿入力を提供するよう選択され得る。所要締結速度は、ファスナの特性(例えば、材料、直径、長さ)及び/又はワークの特性(例えば、厚さ、材料)に応じて選択され得る。
挿入後、リベット速度はワークに対して事実上ゼロである。リベットが挿入されたら、モータ出力軸の回転方向は、次のリベットの挿入に備えてセッタを後退させるように反転される。
サーボ制御システムは、適当なコンピュータプログラムの制御下で動作するモータ用のサーボコントローラを含む。プログラムは、サーボコントローラにモータのトルクを制御する命令を出すよう動作する。例えば、命令は、位置プロファイル又は速度プロファイルに基づいて位置又は速度の変化を経時的に引き起こすことができる。モータの動きを制御することにより、リベット速度、したがって位置も制御することができる。概して、所与の時間にわたるトルクが大きいほど、小さなトルクと比べて大きな速度にリベットが加速されるか又は大きな速度でリベットが維持される。
図2Aは、様々なセッタ状態(低温、中温、及び高温)での第1タイプの挿入サイクルのモータトルクとセッタ速度との間の簡略化した関係を示す。挿入サイクルは、前進加速200、実速度加速206、リベット挿入208、後退加速210、実速度後退212、及び後退減速214という複数のフェーズに関して記載することができる。
前進加速200。セッタは初期位置で始まる。初期位置は、ホーム位置と称する、工具をワークから可能な限り遠い距離(例えば、工具が許容する移動限界)に後退させた位置であり得る。初期位置は、ホーム位置とワークとの間にあり得るが、所要締結速度に到達可能であるようにワークから十分に離れているべきである。
モータ10は、工具2をワークへ向けて所与の速度で所要締結速度に加速させるよう命令される。加速中、加速度を維持するのに必要なモータトルク量は、工具2の状態、例えば工具2が低温か中温か高温かに応じて変わる。図2Aに見られるように、低温の工具は、中温又は高温の工具と比べて所与の加速度を提供するのに(すなわち、所与の時間でセッタを所要締結速度に加速させるのに)より大きな加速トルクを必要とし得る。
実速度前進206。所要締結速度に達したら、モータトルクは、セッタを所要締結速度で維持可能な値に低減される。実速度前進206中のトルクは、コーストトルクと称し得る。コーストトルクは、工具に存在する抵抗(例えば摩擦)による損失を克服するために与えられる。必要なコーストトルクの要求値は、工具の状態、例えば工具が低温か中温か高温かに応じて変わり得る。図2Aに見られるように、低温の工具は、中温又は高温の工具と比べて所要締結速度を維持するのにより大きなコーストトルクを必要とする。
前進加速200の開始前に、リベット5がセッタのパンチ24の下に装填され、したがってノーズピース22と共に所要締結速度に加速される。ノーズピース22がワークと接触したら、リベット5はパンチ24により駆動され続け、リベット5がワークに達するまでノーズピース22を通って進む。
リベット挿入208。リベットは、所要締結速度で進みながらワークに接触し、その時点で急激に減速してワークに挿入され始める。リベット減速は、セッタを減速させる。リベットの挿入中に締結速度を維持するために、モータトルクを急激に増加させて付加トルクを与える。付加トルクは、トルク限界とも称し得る所定の最大値に制限される。セッタ減速及び付加トルクの組み合わせは、リベットに与えられる挿入力に寄与し、これによりリベットがワークに挿入される。トルク限界は、所望の挿入力に応じて選択され得る。例えば、より大きな挿入力を与えるために、又は締結速度の上昇に応答して、より大きなトルク限界を選択することができる。
図2Aに示す例示的な挿入サイクル中に、トルク限界は、工具の状況、例えば工具が低温か中温か高温かに基づいて調整される。この例では、トルク限界は、中温又は高温の工具と比べて低温の工具では大きい。
リベット挿入208中に、リベットは、実質的にゼロ速度に減速するまでワークに挿入され続ける。この段階で、セッタは、対応して実質的にゼロ速度に減速されている。
後退加速210。モータトルクの方向を反転させて、セッタを逆方向に加速させ、すなわちセッタをワークから離れて後退させる。セッタは、後退速度に加速される。前進加速200と同様に、加速の維持に必要なモータトルクは、工具の状態、例えば工具が低温か中温か高温かに応じて変わり得る。
実速度後退212。後退速度に達したら、モータトルクは、セッタを後退速度で維持可能な値に低減され得る。実速度前進206と同様に、後退速度の維持に必要なトルクの値は、工具の状態、例えば工具が低温か中温か高温かに応じて変わり得る。
後退減速214。実速度後退212の後に、工具は停止(ゼロ速度)まで減速される。減速は、モータトルクの方向の反転により行われる。後退減速214フェーズが開始される時間及び/又は工具位置は、後退速度、減速度、及び所望の最終位置に基づいて選択される。最終位置は、ホーム位置を含むホーム位置と次の挿入サイクルを開始できるワークからの最小距離との間の空間内の点である。最終位置を終了位置と称し得る。
前進加速200及び後退加速210と同様に、必要な減速度に達するのに必要なモータトルクは、工具の状態、例えば工具が低温か中温か高温かに応じて変わり得る。
図2Bは、様々なセッタ状態(低温、中温、及び高温)での第2タイプの挿入サイクルのモータトルクとセッタ速度との間の簡略化した関係を示す。挿入サイクルは、前進加速200、fly-across space(FAS)202、FAS減速204、実速度加速206、リベット挿入208、後退加速210、実速度後退212、及び後退減速214という複数のフェーズに関して記載することができる。第2タイプの挿入サイクルは、FASタイプと称し得る。FASタイプ挿入サイクルは、サイクルタイムを短縮するために用いられる。FASタイプ挿入サイクルは、選択された所要締結速度が工具により達成可能な最大速度の数分の一である工具及び挿入サイクルに特に役立つ。例えば、所要締結速度が100mm/sだが、工具が400mm/sの運動速度に達し得る場合、FASタイプ挿入サイクルを用いてサイクルタイムを短縮することができる。
図2Bに示すFASタイプサイクルの実速度前進206、リベット挿入208、後退加速210、実速度後退212、及び後退減速214のフェーズは、図2Aの対応した名称及び番号のフェーズと同等である。変更下前進加速フェーズ200とfly-across space(FAS)202及びFAS減速204の追加フェーズとについて以下で説明する。
前進加速200。セッタは、上述のように初期位置で始まる。モータ10は、工具2を所与のFAS速度でワークへ向けて加速させるよう命令される。
FAS202。FAS速度に達したら、モータトルクは、セッタをFAS速度で維持可能な値に低減される。FAS速度は、所要締結速度よりも速い。FAS202フェーズ中にFAS速度を維持するのに必要なトルクは、FASトルクと称し得る。FASフェーズは、高速前進フェーズとも称し得る。モータトルク及び工具状態に関する上記説明のように、必要なFASトルクは、工具状態に応じて変わり得る。
FAS減速204。初期位置とワークとの間の位置で速度変化が開始され、これにより工具が所要締結速度に減速される。FAS減速204フェーズで工具を減速させるのに必要なトルクは、FAS減速トルクと称し得る。モータトルク及び工具状態に関する上記説明のように、必要なFAS減速トルクは、工具状態に応じて変わり得る。
他のタイプの挿入サイクルも可能であり、本明細書に記載の補償方法は、2つの図示の挿入サイクルタイプに限定されない。例えば、FAS速度が所要締結速度よりも大きいFASフェーズ202ではなく、セッタ速度が所要締結速度よりも小さいフェーズを挿入サイクルが有していてもよい。
図2A及び図2Bでは、モータトルク及びセッタ速度の大きさは一定の縮尺で示されていない。特に、加速フェーズ(前進加速200、FAS減速204、後退加速210、後退減速214)中のモータトルクは、勾配を有するように図示されている。これは説明のためにすぎず、使用時には、使用中のモータトルクの勾配は小さい(すなわち、モータトルクは、加速フェーズ中に実質的に一定である)。
図2A及び図2Bを参照すると、所与のリベット加速度及び/又は速度の達成に必要なモータトルクは、工具の状態に少なくとも部分的に依存する。すなわち、工具の状態に少なくとも部分的に依存する工具の性能ばらつきがある。補償方法は、このばらつきを補償するために提供され得る。このような補償方法は、工具の状態とは関係なく所望の速度(例えば、実速度前進206中の所要締結速度)の提供を可能にする。本明細書において、いくつかの補償方法を説明する。
図3は、例示的な補償方法300を示す。図3に示す方法300は、ステップ302において工具の特性に関連するパラメータを測定すること、ステップ304において実測パラメータを所定パラメータ値と比較すること、ステップ306において比較に基づいて調整を計算すること、及びステップ309において調整を工具に適用することを含む。
より詳細には、補償方法300を用いて、工具の特性に関連するパラメータが測定される(302)。測定されたパラメータは、本明細書では実測パラメータ又は第1パラメータと称し得る。実測パラメータは、特性を表す値を含み、したがってパラメータ値、第1パラメータ値、又は実測パラメータ値と称し得る。実測パラメータに関連する特性は、本明細書では第1特性と称し得る。第1パラメータは、工具の動きを表すものとすることができ、例えば、モータの速度又はトルクであってもよく、又は工具のセッタの速度、又はその中のリベットの速度であってもよい。
ステップ302における測定は、実測パラメータに関連する特性が実質的に一定であるときに実行される。特性が実質的に一定のときに測定することにより、より正確な測定値を得ることができる。測定ステップ中に1回の測定を行ってもよく、又は測定ステップ中に複数回の測定を行ってもよい。追加として、以下でさらに詳細に説明するように、さらなる測定ステップが行われ得る。説明のために、行われ得る測定ステップ702a~702d、712a~712dを図2A及び図2Bに示し、これらを以下でさらに詳細に説明する。
ステップ302における測定後に、ステップ304において、実測パラメータが所定パラメータ値と比較される。ステップ304における比較は、実測パラメータと所定パラメータ値との間の差の判定を含み得る。第1パラメータと所定パラメータとの間の差は、例えば工具における損失に起因する工具の状態を表す。比較により、実測パラメータが所定パラメータ値よりも小さいと判定される場合がある。例えば、所定パラメータ値が所要締結速度であってもよく、実測速度が所要締結速度よりも小さいと判定される場合がある。したがって、この比較は、工具の最適でない(例えば、低温又は中温)状態を表す。代替として、所定パラメータ値が予想速度であってもよく、実測速度が予想速度よりも小さいと判定される場合がある。この場合も、この比較は工具の最適でない(例えば、低温又は中温)状態を表す。
ステップ304における実測パラメータ値と所定パラメータ値との比較後に、方法は、ステップ306において調整を計算することを含む。調整は、ステップ304における比較に基づく。計算される調整は、工具の特性に対する調整である。特に、調整は、工具の状態を補償するよう構成されるので、工具を最適でない状態にもかかわらず最適に近い性能にすることができる。例えば、実測速度が所要締結速度よりも小さいか又は予想速度よりも小さい上記例の場合、所要締結速度に達する(又は近付く)ようにセッタ速度を大きくする工具に対する調整が計算され得る。調整は、第1特性とは異なる工具の第2特性に対する調整であり得る。第1及び第2特性が通常は相互依存している、例えばモータトルク及びセッタ速度であることを理解されたい。
最後に、方法300は、ステップ309において、ステップ306で求められた調整を工具に適用することを含む。ステップ309における調整の適用は、例えば、モータに与えられる電気刺激を増加させる命令をデータ処理システムに提供することにより、モータトルク及びセッタ速度を大きくすることを含み得る。工具のトルクを瞬時に変えることにより、迅速な調整をもたらすことができる。
比較方法300は、速度ベースの補償及び/又はトルクベースの補償に用いることができる。
速度ベースの補償では、工具はある速度(例えば、FAS速度又は所要締結速度)に加速されてその速度で(例えばコーストトルクで)維持される。所望の速度の達成及び/又は維持に必要なトルクは、測定ステップ302において測定され、その後の調整の計算及び適用に用いられる。例えば、実測トルクを予想コーストトルクと比較することができる。予想コーストトルクは、工具を所望の速度に加速させると予想されたトルク量である。予想コーストトルクは、以前の挿入サイクルからの測定値から導出することができ且つ/又は例えば理論計算により計算することができる。速度ベースの補償では、例えば実速度前進フェーズ206又はFASフェーズ202中に速度が実質的に一定であるときに、測定ステップ302を実行することが有益である。
トルクベースの補償では、工具は、適用トルクを用いて最初に加速される。適用トルクは、特定の加速度を用いて工具を特定の所定速度(例えば所要締結速度)に加速させてその速度で維持すると予想されるトルクである。工具における損失に起因して、特定の速度は、特定の所定速度を維持するために予想トルクよりも大きなトルクを必要とし得る。トルクベースの補償を用いて、適用トルクを与えられた工具により達成且つ/又は維持された速度が測定されて所定速度と比較され、実測速度に基づいて調整が計算及び実行され得る。例えば、最適な(例えば面一の)継手を達成するために、より大きなトルク限界が必要であると判定される場合がある。トルクベースの補償では、トルクが実質的に一定であるときに測定ステップ302を実行することが有益である。トルクは、通常は実質的に1フェーズ内にあり、フェーズ間で不連続に変わるので、1フェーズ内の任意の時点で測定が行われ得る。
第1タイプの補償方法は、単一の挿入サイクル中に用いることができ、したがってサイクル内補償と称する。上記方法300は、サイクル内補償方法として用いることができ、測定ステップ302が第1挿入サイクル中に実行され、同じ第1挿入サイクル中に適用ステップ309において調整が工具に適用される。
図4は、例示的な低温又は中温の工具の速度ベースの補償の達成に用いられるサイクル内補償方法の使用を示す。図4は、図3の補償方法300に従ってサイクル内補償方法を用いた工具の例示的な挿入サイクルのモータトルク及びセッタ速度を示す。
図4に示す挿入サイクルは、図2Bに示すものと同様であり、同じ特徴にはそれに応じて番号を付してある。しかしながら、図4に示す挿入サイクルにおいて、FASフェーズ202では、(セッタ速度が所要締結速度よりも大きいのとは対照的に)セッタ速度は所要締結速度よりも小さい。
図4の挿入サイクルは、工具が測定速度(測定速度は所要締結速度よりも小さい)に加速される前進加速フェーズ200と、工具が測定速度で維持されるFASフェーズ202と、工具が所要締結速度に加速されるFAS加速フェーズ204と、工具が所要締結速度で維持される実速度前進フェーズ206とを有する。FAS加速フェーズ204が上述のFAS減速フェーズと同等だが負の減速度を有することを理解されたい。
FASフェーズ202中に実行される測定ステップ302において、測定速度の維持に必要なトルクが測定される。実測トルクは、比較ステップ304において予測トルクと比較される。図4に示す例では、比較により、測定速度の維持に必要なトルクが予想よりも大きかったと判定され、したがって工具における損失(例えば摩擦損失)の作用を補償するために最終セッタ速度を大きくする必要がある。
したがって、調整が計算されて適用される。特に、調整は、FAS加速フェーズ204中にモータ10を用いて工具に提供される加速度である。この加速度により、トルクが大きくなり、ひいてはセッタ速度が大きくなる。
理想的には(すなわち、十分に計算され適用された調整の場合)、実速度前進フェーズ206中のセッタ速度は、所要締結速度に実質的に等しい。ステップ309において適用される調整は、所要締結速度よりも大きくても小さくてもよく、それぞれオーバーシュート又はアンダーシュートと称する。オーバーシュート310は、図4で見ることができ、工具は所要締結速度よりもわずかに大きな速度に加速される。締結速度の変化を制御することにより、オーバーシュート及び/又はアンダーシュートの影響を低減する方法を、以下でさらに詳細に説明する。
本明細書に記載の補償方法は、工具、例えば低温又は中温の工具の較正に用いる場合に特に有益であり得る。このような較正は、最適でない状態を有する工具を補償し、工具の最適でない状態にもかかわらず所与の挿入サイクルに必要なリベット挿入力をもたらす締結速度の達成に役立つことができる。したがって、内部損失に起因する工具の力及びエネルギーの変化は、速度変化により工具の機械的な慣性を調整する補償方法を用いて補償される。
図5は、別の例示的な補償方法を示す。特に、この補償方法は、較正に用いることができ、較正補償又は較正と称し得る。補償方法500は、ステップ502において工具2の特性に関連するパラメータを測定すること、ステップ504において実測パラメータを所定パラメータ値と比較すること、ステップ506において比較に基づいて調整を計算すること、ステップ507において工具の状態を判定すること、及びステップ508において較正補償を実行するか否かを判定することを含む。ステップ508において較正を実行すると判定された場合、方法500は、ステップ509において調整を工具2に適用する。ステップ508において較正を実行しないと判定された場合、処理はステップ502に戻る。ステップ508における判定を用いて、工具2が較正補償を必要とするような状態か否かが判定され、較正が必要な場合、ステップ506において計算された調整がステップ509において適用される。
ステップ508における判定は、工具2が低温か中温か高温かの判定を含み得る。このような判定は状態判定と称し得る。状態判定は、工具2の温度を測定することにより実行され得る。例えば、温度測定手段(図示せず)を工具2に設けることができ、データ処理システムは、温度測定手段から温度を受信又は取得することができる。代替として又は追加として、状態判定は、工具2の最後の挿入サイクルからの時間を測定、計算、又は受信することにより実行されてもよい。追加として又は代替として、状態判定は、ステップ504において実行された、すなわち実測パラメータと所定パラメータ値との比較に基づく比較を用いてもよい。当業者には明らかなように、例えば工具2の全体的な使用年数に関連するような他の状態判定も可能である。
判定された状態が所定の基準を満たす場合、処理はステップ508からステップ509へ移ることができる。ステップ508における判定では、ステップ507において判定された状態を所定の最適状態閾値と比較することができる。例えば、所定の最適状態閾値は、所定の時間、例えば15分であるよう選択され得る。その後、最後の挿入サイクルの実行からの時間が所定の時間、例えば15分を超える場合、工具が「低温」又は「中温」であり較正が望まれると判定され得る。
判定ステップ507は、ステップ502における測定、ステップ504における比較、及びステップ506における調整の計算の後に起こるように図示されている。しかしながら、ステップ507における判定は、プロセス中の任意の他の時点で行われてもよい。例えば、調整の計算前に工具の状態を判定して、例えばデータ処理システムに対する計算負荷を低減することが有益であり得る。
上述の補償方法は、工具2の通常動作中に(例えば、リベットの挿入中に)実行され得る。補償方法は、工具2にリベットがない状態の較正にも用いることができる。例えば、工具が低温であると判定されると1回又は複数回の「ダミー」ランを実行することができる。1回のダミーランを、リベットの挿入前の工具2の1回の較正として実行することができる。代替として、複数回のダミーランを実行してもよく、それらのランのそれぞれで補償方法を用いてもよい。それぞれ補償方法と共に複数回のダミーランを実行する場合、実測パラメータと所定パラメータ値との間の差、したがって補正は、通常は連続するダミーラン毎に小さくなるはずである。適用された補正が閾値よりも小さい場合に工具が「高温」でありリベットを挿入可能であるとみなされるような閾値が選択され得る。複数回のダミーランを用いることにより、実測データに基づいて、工具を加熱して正確に使用の準備をすることができる。
好ましくは、単一の測定ステップ(例えば、ステップ302、502)中に複数回の測定が行われる。単一の測定ステップ中に複数回の連続した測定を行うことにより、より正確な調整を計算することができる。さらに、単一の測定ステップ中に複数回の測定を行うことにより、(例えば、工具の性能のばらつき及び/又は測定手段に関連するランダム誤差に起因する)実測パラメータの誤差の影響を低減することができる。
単一の測定ステップ中に複数回の測定が行われる場合、これらの測定値を処理して単一の実測パラメータを提供することができる。例えば、実測パラメータは、複数の測定値の平均を含み得る。単一の測定ステップ中に複数回の測定を行う場合、許容差を導入して後続の測定間の安定性を確保してもよい。すなわち、一連の測定値のうち単一の測定値が所望の範囲外(例えば、締結速度と比べて±3mm/sの誤差マージン外にある実測速度)にある場合、その単一の測定値又は一連の測定値全体を将来の計算から省いてもよい。代替として、一連の測定値のうち単一の測定値が所望の範囲外(例えば、平均コーストトルクと比べて5%の誤差マージン外)にある場合、その一連の測定を停止し且つ再開してもよい。このように、実質的に一定且つ/又は確実な測定のみを用いて調整が計算される。
複数回の測定が行われる場合、各測定値に重み付けを行うことができる。重み付けは、信頼値とも称し得る。信頼値は、実測パラメータ値が理論パラメータ値にどの程度一致するかを表す。所与の工具及び挿入サイクルタイプのパラメータ間の近似関係は論理的に既知であり得るか、又はユースケースに基づいて経験的に導かれ得るので、式を用いて論理値を計算することができる。
方程式1は、特定の工具及び特定の挿入サイクルタイプの論理コーストトルク値Cの計算に用いられる例示的な式を示す。この方程式は、例えばユースケースに基づいて経験的に導かれ得る。
実測コーストトルクを理論トルクCと比較することにより、信頼値を確認することができる。パラメータを複数回測定することにより、実測パラメータ値毎に信頼値を計算することができる。加重平均を複数の測定値について計算することができ、各測定値にその対応する信頼値で重み付けすることができる。
いくつかの例では、1つ又は複数の測定値の信頼値が所定の信頼閾値を超えない限り、調整は適用されない。他の例では、調整は、信頼閾値の1つ又は複数の大きさに基づいて重み付けされ得る。
場合によっては、挿入サイクルのフェーズ、例えば実速度前進フェーズ206内で最大限の数の測定を行うことが有益であり得る。例えば、持続時間が2.5秒で1測定当たりの持続時間が25msである実速度前進フェーズ206では、実速度前進フェーズ中に100回の測定が実行され得る。このように、実速度前進フェーズ206中に、時間ペナルティなしで測定を実行することができる。測定数が多いほど、より正確な調整を計算することができる。代替として、測定数を最大限の数未満に減らすことが有益であり得る。例えば、測定数を減らすと、計算要件が減り且つ/又は不安定な場合に測定を停止して再開することができるのが有利であり得る。6回以上の測定を含む測定ステップが、1回の測定よりも効果的な調整を計算し適用するのに十分なデータを提供することが分かった。しかしながら、測定を任意の回数、例えば1回、20回、又は200回行うことができる。
図3~図5を参照して上述した例示的な方法では、現在の挿入サイクル中に行われた測定に基づいて調整が計算され、その調整が現在の挿入サイクルに適用される。すなわち、調整は、パラメータが測定されたのと同じ挿入サイクルに適用される。
図6は、パラメータが測定されたものとは異なる挿入サイクルに調整が適用される、別の例示的な補償方法600を示す。方法600は、ステップ602において第1挿入サイクルXで工具2の特性に関連するパラメータを測定すること、ステップ604において実測パラメータを所定パラメータ値と比較すること、ステップ606において比較に基づいて調整を計算すること、ステップ607において例えばサーボコントローラのメモリに調整を記憶すること、及び609において第2挿入サイクルY中に工具に調整を適用することを含む。同じ調整が単一の第2挿入サイクルで適用されてもよく、又は複数の挿入サイクルで、例えば次の20サイクルで、又は特定の期間で、例えば次の30分間で適用されてもよい。
方法600はさらに、測定ステップ602において2つ以上のパラメータを測定することを含み得る。例えば、図6に方法600の任意ステップとして示すように、ステップ602の第1測定はさらに、ステップ602aにおいて工具2の特性に関連する第1パラメータを測定すること、及びステップ602bにおいて工具2の特性に関連する第2パラメータを測定することを含み得る。第1及び第2パラメータは、工具2の同じ特性に関連し得る。方法600は2つのパラメータに限定されず、任意の数の測定を実行することができる。
図6において、第1挿入サイクルXで測定が行われ、第2測定サイクルY中に適用される。測定は、第2挿入サイクルYでさらに行われてもよい。第2挿入サイクルYで行われたこのような測定は、続いて、調整を計算するために、第1挿入サイクルXで行われた測定及び/又は所定値と比較することができる。
図7は、第1挿入サイクルX及び第2挿入サイクルYの両方で測定が行われる別の例示的な補償方法700を示す。方法700は、第1挿入サイクルXで、ステップ702aにおいて工具2の特性に関連する第1パラメータを測定すること、ステップ704においてルックアップを実行して第1パラメータの予想値を返すこと、ステップ702bにおいて第2パラメータを測定すること、ステップ706において予想値との第2パラメータの比較に基づいて調整を計算すること、及びステップ709において第1挿入サイクルX中に計算に基づく調整を適用することを含む。
第2パラメータを測定するステップ702b、予想値との第2パラメータの比較に基づいて調整を計算するステップ706、及び調整を適用するステップ709は、例えば実速度前進フェーズ206中にシステムが一定の速度である間に複数回繰り返され得る。すなわち、このようなフェーズ中に複数の測定、計算、したがって補正を行うことができることで、工具に適用される補償のより高度な制御が可能になる。したがって、第1調整が過補正につながる(例えば、図4に示すサイクルの例を用いると、速度が所要締結速度よりも大きくなる)場合、次の1つ又は複数の調整を適用してパラメータをさらに補正する(例えば、速度を所要締結速度に減らす)ことができる。
第1挿入サイクルXが完了すると、1つ又は複数の実測パラメータ及び/又は計算された調整値が、ルックアップテーブル(すなわち、補償方法700のステップ704中にアクセスされたルックアップテーブル)に記憶され得る。更新されたルックアップテーブルは、続いて第2挿入サイクルYの補償方法711のルックアップステップ714中にアクセスされる。
第2挿入サイクルYの補償方法711は、第1挿入サイクルXの補償方法700と略同等とみなすことができ、第2挿入サイクルYで、ステップ712aにおいて工具の特性に関連する第1パラメータを測定すること、ステップ714においてルックアップを実行して第1パラメータの予想値を返すこと、ステップ712bにおいて第2パラメータを測定すること、ステップ716において予想値との第2パラメータの比較に基づいて調整を計算すること、及びステップ719において第2挿入サイクルY中に計算に基づく調整を適用することを含む。第2挿入サイクルYが完了すると、1つ又は複数の実測パラメータ及び/又は計算された調整値が、ルックアップテーブル(すなわち、補償方法711のステップ714中にアクセスされたルックアップテーブル)に記憶され得る。更新されたルックアップテーブルは、続いて後続のサイクル中にアクセスされる。
よって、各挿入サイクルが、将来の挿入サイクルでの調整の計算において記憶され用いられ得る測定値を提供して、フィードバックループを形成することができる。すなわち、前の挿入サイクルで測定され記憶されたパラメータは、現在又は将来の挿入サイクルで測定されたパラメータと比較され得る所定値とみなすことができる。例えば、実測値が、所定値とみなされる予想値と比較され得る。記憶値(すなわち、記憶されたパラメータ)を用いて、上記比較に基づく工具に関連する以前の値に基づいて工具の状態を監視(及び調整)することができる。記憶値をさらに返して、調整の計算で用いることができる。
2つの挿入サイクルX、Yを図7に示す。しかしながら、追加の挿入サイクルが図示の挿入サイクルX、Yの前又は後にあり得ることを理解されたい。したがって、記憶値は、次の挿入サイクルでの比較及び/又は計算ステップに寄与し得る。これに対応して、前の(但し図示せず)挿入サイクルからの記憶値は、挿入サイクルXでの比較及び/又は計算ステップ704、706に寄与し得る。これらのプロセスを、図7に点線矢印で示す。
このようなフィードバックループにおける調整の計算は、(図4を参照して上述したような)オーバーシュートの影響を低減するのが有益である。有利なのは、以前の挿入周期からデータをサンプリングすることにより、より正確で確実な調整を適用することができることである。
次に、上記方法700、711の使用を図2A及び図2Bに示す挿入サイクルを参照して説明する。
図2Aは、挿入サイクル中に測定を行う例示的なスキームを説明する。特に、測定を行うスキームは、2つの測定ステップ702a、702bを含む上述の方法700を含む。図2Aは、前進加速フェーズ200中に行われる1回の測定を含む測定ステップ702aと、実速度前進フェーズ206中に行われる複数回の測定を含む別の測定ステップ702bとを示す。
第1及び第2測定ステップ702a、702bにおいて測定されるパラメータは、それぞれ加速トルクA及びコーストトルクCである。有益なのは、加速トルクAが実質的に一定である前進加速フェーズ200中に、加速トルクAが測定されることである。有益なのは、コーストトルクCが実質的に一定である実速度前進フェーズ206中に、コーストトルクCが測定されることである。第2測定ステップ702bは、コーストトルクCを8回測定すること、すなわち個別測定を8回行うことを含む。単一の測定ステップにおいて複数回の測定を行う上述の利点を実現するために、複数回の測定を行うことに関して上述した安定化及び平均化プロセスが実行される。
図2Aに関して示す測定は、第1挿入サイクルX中に行われ得る。第1挿入サイクルXの第1及び第2測定ステップ702a、702b中に測定されたパラメータを、それぞれ第1測定パラメータ及び第2測定パラメータと称し得る。
追加の挿入サイクル、例えば第2挿入サイクルYも実行することができる。第2挿入サイクルYは、図2Aには示されていないが、第1挿入サイクルXと略同等とみなすことができる。第2挿入サイクルY中に、第1及び第2測定ステップ712a、712bを実行し、この場合もそれぞれ加速トルクA及びコーストトルクCを測定することができる。第2挿入サイクルYの第1及び第2測定ステップ712a、712bにおいて測定されたパラメータを、第3パラメータ及び第4パラメータと称し得る。第1及び第3パラメータは、加速トルクAである。第2及び第4パラメータは、コーストトルクCである。挿入サイクルで測定された各実測加速トルクAは、同じ挿入サイクルで測定された対応するコーストトルクCを有する。
上記方法700、711は、記憶ステップ710、710を有する。すなわち、第1、第2、第3、及び/又は第4パラメータを記憶することができる。例えば、これらは、工具2に関連するコンピュータ記憶装置に記憶され得る。加速トルクA及びコーストトルクCは、テーブル、例えばルックアップテーブルに記憶され得るが、任意の適当なデータ構造を用いることができることが分かる。記憶されたデータは、続いてさらなる挿入サイクルで用いられ、例えばルックアップステップで返され、調整の計算に用いられ得る。
図2Bは、別の挿入サイクル中、特にFASタイプの挿入サイクル中に測定を行う例示的なスキームを示す。測定を行うスキームは、方法700を参照して上述したものと同様だが、追加の測定ステップを含む。図2Bは、前進加速フェーズ200中に行われる1回の測定を含む第1測定ステップ702aと、FASフェーズ202中に行われる複数回の測定を含む第2測定ステップ702bと、FAS減速フェーズ204中に行われる1回の測定を含む第3測定ステップ702cと、実速度前進フェーズ206中に行われる複数回の測定を含む第4測定ステップ702dとを示す。
第1、第2、第3、及び第4測定ステップ702a、702b、702c、702dで測定されたパラメータは、加速トルク、FASトルク、FAS減速トルク、及びコーストトルクである。有益なのは、それぞれトルクが実質的に一定である前進加速フェーズ200及びFAS減速フェーズ204中に、加速トルク及びAFS減速トルクが測定されることである。有益なのは、それぞれトルクが実質的に一定であるFASフェーズ202及び実速度前進フェーズ206中に、FASトルク及びコーストトルクが測定されることである。第2測定ステップ702bは、FASトルクを3回測定すること、すなわち3回の個別測定を行うことを含む。第4測定ステップ702dは、コーストトルクを4回測定すること、すなわち4回の個別測定を行うことを含む。単一の測定ステップにおいて複数回の測定を行う上記利点を実現するために、複数回の測定を行うことに関して上述した安定化及び平均化プロセスが実行される。
図2Bに関して示す測定は、第1挿入サイクルX中に行われ得る。第1挿入サイクルXの第1、第2、第3、及び図4測定ステップ702a、702b、702c、702d中に測定されたパラメータを、それぞれ第1、第2、第3、及び第4測定パラメータと称し得る。
追加の挿入サイクル、例えば第2挿入サイクルYを実行してもよい。第2挿入サイクルYは、図2Bには示されていないが、第1挿入サイクルXと略同等とみなすことができる。第2挿入サイクルY中に、第1、第2、第3、及び第4測定ステップ712a、712b、712c、712dを実行することができる。第2挿入サイクルYの測定ステップ712a、712b、712c、712dにおいて測定されたパラメータを、第5、第6、第7、及び第8パラメータと称し得る。
上記方法700、711は、記憶ステップ710、720を含む。すなわち、第1、第2、第3、第4、第4、第6、第7、及び/又は第8パラメータを記憶することができる。例えば、これらは、工具2に関連するコンピュータ記憶装置に記憶され得る。パラメータは、テーブル、例えばルックアップテーブルに記憶され得るが、任意の適当なデータ構造を用いることができることが分かる。記憶されたデータは、続いてさらなる挿入サイクルで用いられ、例えばルックアップステップで返され、調整の計算に用いられ得る。
図8は、パラメータ値の記憶に用いることができる例示的なテーブル800を示す。特に、例示的なテーブル800は、第1、第2、第3、及び第4パラメータを記憶するが、同様のテーブルを用いて異なるパラメータを記憶してもよいことを理解されたい。テーブルは、工具及び/又は挿入サイクルの特定の特性802、例えば工具番号、リベット締結速度、加速度、挿入サイクルタイプ等に関連する。したがって、例示的なテーブル800と同様の形態だが工具の特定の特性に応じて異なるデータを記憶する複数の他のテーブル(すなわち、テーブルの集合)があり得る。例えば、例示的なテーブル800は、100mm/sの締結速度で動作する第1工具に関連し得るが、第2テーブルは、150mm/sの締結速度で動作する第1工具に関連し得る。各テーブルは、テーブル番号Tを有し得る。
使用の際(すなわち、工具で挿入サイクル、例えば図2Aに示す挿入サイクルを実行する場合)、前進加速フェーズ200中に加速トルクAの測定が行われる。前進加速フェーズ200中の特定の時点で、例えば特定のセッタ速度に達するか又はセッタが特定の距離を進むと、モータトルクがサンプリングされ、加速トルク値(A)が計算される。加速トルクがサンプリングされたら、実測加速トルクAが対応するテーブル(すなわち、工具の特定の特性に対応するテーブル)にインデックスとして入力される。対応するテーブルは、テーブルの集合の検索により求めることができる。テーブルの集合から求められたテーブルは、テーブルの集合の他のテーブルと比べて工具の特定の特性に最も適合するテーブルであり得る。
図8に示すもの等のテーブル800を用いることで、実測加速トルクから予想コーストトルクを経験的に求める方法が得られる。例えば、第1パラメータの以前の実測値及び第2パラメータの対応する(すなわち、同じ挿入サイクルで測定された)実測値を記憶することにより、2つのパラメータ間の経験的関係を求めることができる。特に、本明細書に記載のテーブル800の例を用いて、加速トルクとコーストトルクとの間の経験的関係を求めることができる。しかしながら、パラメータの選択に応じて、異なるパラメータ、例えばFASトルク及び加速トルク、コーストトルク及びトルク限界等の間の関係を求めることができる。
各テーブルは、データを記憶することができるN個の列又は「スロット」を含む。図8のテーブル800は、0~N-1の番号のスロットを有する。テーブルが、例えば64個のスロット(すなわち、N=64)を有していてもよい。図8のテーブル800は、データ記憶場所に実測パラメータ値(この例では、第2パラメータコーストトルクC)を記憶するよう配置される。各データ記憶場所は、それが位置する列(すなわち、スロット)に対応するスロット番号を有する。各スロットは整数である。
各テーブルは、第1スロット(すなわち、スロット番号ゼロ(0))に関連する第1記憶パラメータ及び最終スロット(すなわち、スロット番号(N-1))に関連する第1記憶パラメータを記憶するよう配置された2つの追加の記憶場所を有する。図8において、第1記憶パラメータは、工具の特定の特性802を与えられた工具に関連する加速トルクAの最小値を表す最小加速トルクAminである。最小加速トルクAminは、予測されてもよく、又は以前の実測値に基づいてもよい。図8において、最終記憶パラメータは、工具の特定の特性802を与えられた工具に関連する加速トルクAの最大値を表す最大加速トルクAmaxである。最大加速トルクAmaxは、予測されてもよく、又は以前の実測値に基づいてもよい。
よって、テーブル800は、第2パラメータ(すなわち、コーストトルクC)の値と、第1パラメータ(すなわち、加速トルクA)の最小値及び最大値とを記憶する。コーストトルク値Cは、必要な場合に使用及び呼出しできるように順序付けられる。コーストトルク値Cは、スロット番号を各コーストトルク値Cに割り当てて、その割当てスロットにコーストトルク値Cを記憶することにより順序付けられる。スロット番号は、コーストトルク値Cに関連する(すなわち、同じ挿入サイクルで測定された)加速トルク値A、及び加速トルク値Aとテーブル800に記憶された最大及び最小加速トルク値Amax、Aminとの比較に基づいて割り当てられる。図8において、テーブル800は、スロット0の最初加速トルクAminに関連するコーストトルク値Cから、スロットN-1の最大加速トルクAmaxに関連するコーストトルク値Cまで順序付けられる。
テーブル800は、記憶プロセス(例えば、記憶ステップ710、720)で用いられ得る。テーブル800は、値がテーブル800から選択され得るルックアッププロセス(例えば、ルックアップステップ704、714)でも用いられ得る。ルックアッププロセスでは、選択された値はテーブル800から出力され、計算ステップ(例えば、計算ステップ706、716)に用いることができる。値がテーブル800から出力として返されるので、ルックアップステップ又はルックアッププロセス、例えばルックアップステップ704、714は、リターンプロセス又はテーブルリターンと称し得る。
図2A及び図2Bに示す例示的な挿入サイクルを参照すると、リベットがワークに接触する時点まで、リベットサイクルを通して、例えば測定ステップ702、702bにおいて多くの測定を行うことができる。続いて、実測値を用いて、工具の特性に対する調整を計算し適用することができる。初期加速フェーズ200中に測定ステップ702aにおいて行われた初期測定を用いて、ルックアッププロセスにより予想コーストトルク値が生成され、実速度前進フェーズ206中に測定ステップ702bで行われた測定が、予想コーストトルク値と比較される。当該比較に基づいて調整が計算される。
記憶及びルックアッププロセスを、以下でより詳細に説明する。
テーブル記憶
テーブル800は、最初は空であり得る(すなわち、テーブル800は値を保持しなくてもよい)。代替として、テーブル800は、所定値、例えば同様の工具及び/又は計算からの予想コーストトルクC値が入力され得る。新たな挿入サイクル毎に、例えば第1挿入サイクルYについて、テーブルに新たな実測パラメータ値が入力される。
第1パラメータ(すなわち、加速トルク値A)は、例えば挿入サイクルYの測定ステップ702aにおいて測定されると、スロット番号を割り当てられる。スロット番号は、実測加速トルクAをテーブルの最大及び/又は最小加速トルクAmax、Aminの記憶値と比較することにより決定され得る。例えば、下記の方程式2は、実測加速トルク値Aと前に測定された最小及び最大加速トルクAmin、Amaxとの関係を用いて最も近いスロット番号を決定する。スロット番号は、整数値Sを用いて示される。整数値を取る前の方程式2での0.5の加算(「INT」演算)により、計算で浮動小数点計算に最も近い整数が確実に選択される。
方程式2が、範囲ゼロ(0)~(N-1)内の整数値Sを計算する場合、実測加速トルクAに整数値Sに等しいスロット番号が割り当てられる。
スロット番号が範囲0~(N-1)外にある場合、データテーブル範囲が調整される。
計算された整数値Sがゼロ(0)未満の場合、実測加速トルクAが前の実測最小加速トルクAminよりも小さいことを示す。したがって、計算された整数値がゼロ(0)以下の場合、実測加速トルクAにゼロ(0)に等しいスロット番号が割り当てられる。実測加速トルクAは、前に記憶された最小加速トルクAminを上書きするようにテーブル800に記憶される(すなわち、最小加速トルクAminは実測加速トルクAに等しく設定される)。記憶された最小加速トルクAminを実測加速トルクAで単に上書きするのではなく、オフセットを用いる方程式3を用いて最小加速トルクAminを設定してもよい。オフセットは、実測加速トルクAと比べて小さな値であり、これを用いて、最小加速トルクAminの変化が僅かな場合のスロット番号の再計算の繰返しが防止される。
例えば、加速トルク限界が100%~150%であり、5%のオフセットが用いられ、実測トルクが95%であれば、限界は90%~150%に変更される。
計算された整数値Sが(N-1)よりも大きい場合、実測加速トルクAが前の実測最大加速トルクAmaxよりも大きいことを示す。したがって、計算された整数値が(N-1)以上の場合、実測加速トルクAに(N-1)に等しいスロット番号が割り当てられる。実測加速トルクAは、前に記憶された最大加速トルクAmaxを上書きするようにテーブル800に記憶される(すなわち、最大加速トルクAmaxは実測加速トルクAに等しく設定される)。記憶された最大加速トルクAmaxを実測加速トルクAで単に上書きするのではなく、オフセットを用いる方程式4を用いて最大加速トルクAmaxを設定してもよい。オフセットは、実測加速トルクAと比べて小さな値であり、これを用いて、最大加速トルクAmaxの変化が僅かな場合のスロット番号の再計算の繰返しが防止される。
最小及び/又は最大加速トルクAmin、Amaxの再計算後に、新たな加速トルク範囲に基づいてスロット番号Sが計算される。スロット1~N-1に記憶された任意の値を、例えば変化を考慮して、続いてより大きな値のスロット又はより小さな値のスロットにシフトさせることができる。
その後、例えば挿入サイクルXの測定ステップ702bにおいて第2パラメータ(すなわち、コーストトルクC)が測定されると、実測加速トルクAに指定されたのと同じスロット番号がこれに割り当てられる。例えば、方程式2を用いて決定されたスロット番号SがS=15である場合、実測第2パラメータにもスロット番号S=15が割り当てられる。
テーブル800の決定されたスロット(例えば、スロット番号S=15)が空である場合、コーストトルクCが未変更で空のスロットに挿入される。スロットに値、例えば前の測定値又は初期化された所定値が既に存在する場合、その値を上書きして、例えば値の最新テーブルを維持してもよく、又は新たな値、例えば前の実測値及び/又は初期化された所定値及び新たな実測値に基づいて計算された新たな値を計算して、決定されたスロットに挿入してもよい。
このプロセスは、特定の挿入サイクルタイプの複数回の反復のために、特定の特性802を有する工具に関連する実測コーストトルク値Cを記憶するように追加の挿入サイクル(例えば、Y等)で繰り返すことができる。挿入サイクルが実行されるたびに、加速トルクAが測定され、スロット番号が計算され、コーストトルクCが測定され、コーストトルクC(又はそれに基づいて計算された値)がテーブル800の計算されたスロット番号に加えられる。例えば、計算されたスロット番号が56である場合、コーストトルクCはテーブル800のスロット56に加えられる。したがって、テーブル1は、以前の挿入サイクル中に測定された一連の順序付けされたコーストトルク値Cを示すようになる。
対応するテーブルが存在しない挿入サイクルを工具が実行することがあり得ることに留意されたい(例えば、工具及び挿入サイクルの特定の特性に関連するテーブルが存在しない場合)。テーブルが存在しない場合、新たなテーブルが作成され得る。新たなテーブルのスロットの1つ又は複数が空であってもよく、又は所定値で初期化されてもよい。例えば、新たなテーブルは、推定最大及び/又は最小加速トルクAmax、Aminを含み得る。推定最大及び/又は最小加速トルクAmax、Aminは、新たなテーブルに関連するものと同様の特定の特性を有する既存のテーブルの最大及び/又は最小トルクAmax、Aminを用いて計算され得る。代替として、推定最大及び/又は最小加速トルクAmax、Aminは、実測加速トルク(A)からのオフセットに基づいて計算され得る。
さらに、テーブル800に記憶された値を元の形式で記憶してもよく、又は処理(例えば、正規化)後に記憶してもよいことに留意されたい。
テーブルリターン
例えば上記方法を用いた入力後に、テーブル800は、以前の挿入サイクル中に測定された一連の順序付けされたコーストトルク値Cを含む。したがって、テーブル800からの値を返して、実測値と戻り値との比較で用いることができ、これを続いて調整の計算に用いることができる。例えば図2A、図7、及び図8を参照して説明したように、本明細書では第2挿入サイクルYを参照してリターンプロセスを説明する。
第3パラメータ(すなわち、加速トルクA)は、例えば挿入サイクルYの測定ステップ712aにおいて測定されると、スロット番号を割り当てられる。スロット番号は、加速トルクAを該当するテーブル800に記憶された最大及び/又は最小加速トルクAmax、Aminの記憶値と比較することにより決定され得る。例えば、方程式2を用いて、整数値Sによりスロット番号を決定することができる。
割り当てられたスロット番号に基づいて、例えばルックアップステップ714において、テーブル800は予想コーストトルクCを出力としてリターンプロセスに返す。予想コーストトルクCは、テーブル800のスロットに記憶されたコーストトルク値又はそこから導出された値を含む。すなわち、予想コーストトルクCに対するスロット番号は、測定ステップ712a中に測定された実測加速トルクA(すなわち、第3パラメータ)が下限と上限との間(すなわち、最大及び最小加速トルクAmax、Amin間)のどこにあるかに基づいて計算される。予想コーストトルク(C)は、方程式5を用いてテーブル800から返され得る。
スロット番号Sが範囲ゼロ(0)~(N-1)内にあると計算された場合、実測加速トルクAに、整数値Sに等しいスロット番号が割り当てられ、そのスロットに記憶されたコーストトルクがそれに従って返される。
予想コーストトルク値がゼロ又は別のヌル値の場合、そのスロットにデータが存在しないことを示す。例えば、これは、十分に類似する挿入サイクルが実行されていないことを示し得る。この場合、予想コーストトルクCが、このテーブル800又は同様の特定の特性に関連する別のテーブルで、他の記憶されたコーストトルク値Cを含む計算に基づいて返され得る。予想コーストトルクCは、方程式6を用いて特定の工具アセンブリについて導かれたコーストトルク式を用いて計算することができる。
スロット番号Sがゼロ(0)~(N-1)の範囲外にあると計算された場合、テーブルは、(テーブル記憶に関して上述したように)新たな制限に合わせて変更される。予想コーストトルクCを続いて推定することができる。
スロット番号Sがゼロ(0)未満と計算された場合、これは、実測加速トルクAが前の実測最小加速トルクAminよりも小さいことを示す。したがって、整数値がゼロ(0)未満の場合、記憶されたコーストトルク値Cは予想コーストトルクCとして返され得る。代替として、スロットゼロ(0)の記憶されたコーストトルク値Cを含む計算に基づいて、予想コーストトルクCが返されてもよい。例えば、計算は、スロットゼロ(0)の記憶されたコーストトルク値Cからオフセットを引いたものを含み得る。オフセットは、計算された整数値Sの大きさに基づいて重み付けされ得る。
これに対応して、スロット番号Sが(N-1)よりも大きいと計算された場合、これは、実測加速トルクAが前の実測最大加速トルクAmaxよりも大きいことを示す。したがって、整数値が(N-1)よりも大きい場合、スロット(N-1)の記憶されたコーストトルク値Cが予想コーストトルクCとして返され得る。代替として、スロット(N-1)の記憶されたコーストトルク値Cを含む計算に基づいて、予想コーストトルクCが返されてもよい。例えば、計算は、スロット(N-1)の記憶されたコーストトルク値Cにオフセットを足したものを含み得る。オフセットは、計算された整数値Sの大きさに基づいて重み付けされ得る。
返された予想コーストトルクCは、記憶された形式で返されてもよく、又は返される前に(又はその一部として)さらに処理されてもよい。例えば、記憶前に値が正規化された場合、これが返される前に非正規化され得る。追加として又は代替として、コーストトルク値が隣接するスロットの値で補間されてもよい。
予想コーストトルクCがテーブル800から返された後に、これを用いて(例えば、ステップ716において)調整を計算することができる。ステップ712bにおいて、第4パラメータが測定される。この例では、第4パラメータはコーストトルクCである。実測コーストトルクCとルックアップステップにおいて返された予想コーストトルクCとの間の差は、測定時の工具の状態を示す。この実測コーストトルクCが予想コーストトルクCとどのように異なるかを用いて、特定の打鋲サイクル中に必要な補償量を決定することができる。例えば、実測コーストトルクCと予想コーストトルクCとの間の差に基づいて、調整が計算され得る。
調整は、例えば、モータに与えられる電気刺激を増加させる命令をデータ処理システムに提供することにより、所望のコーストトルクとより合致する値までコーストトルクを大きくすることを含み得る。調整は、予想コーストトルクCと所望のコーストトルクとの間の差に応じて計算され得る。計算された調整を、続いて(例えば、ステップ719において)工具に適用することができる。調整は、モータに与えられる調整された電気刺激であり得る。このように、前の挿入サイクルで測定されたパラメータを用いて、現在の挿入サイクルで調整を計算し適用することができる。有益なのは、これにより、以前の同様の挿入サイクルで収集されたデータに基づいて工具が損失を補償することができることで、効果的且つ正確な調整につながることである。
好ましくは、測定ステップ712aで測定された加速トルクA及び測定ステップ712bで測定された実測コーストトルクCもテーブルに記憶されるので、これらを将来の挿入サイクルで(例えば、テーブル800を並べ替えるために且つ/又は返されるために)用いることができる。
このタイプの比較方法は、「測定専用」モード(すなわち、値が各サイクルで測定されてテーブルに記憶される)で機能し得る。代替として、この比較方法は、「調整専用」モード(すなわち、調整が以前の記憶値に基づいて適用されるが、新たな測定は記憶されない)で機能し得る。
代替として、測定及び調整の両方が単一のサイクルで用いられる。すなわち、複数の第1サイクルで測定が行われて記憶される。これらの測定値は、第1サイクルで調整を計算し適用するために第1サイクルで用いられ、第2サイクルで調整を計算及び適用するために第2サイクルでの使用のためにも記憶される。同様に、第2サイクルで行われた測定は、第2サイクルで調整を適用するために第2サイクルで用いられることができ、別のサイクルで調整を計算し適用するために別のサイクルでの使用のためにも記憶される。このタイプの比較方法は、実測に基づいて損失を補償する一定フィードバックシステムを提供するのが有益である。
図9は、測定値の信頼度を向上させることにより、計算された調整値の信頼度を向上させるために用いることができる方法を示す。特に、単一の測定ステップにおいて複数回の測定を行う場合に、この方法を用いて、サンプリングされた測定値の信頼度を高めることができる。特に、図9は、1回の測定を含む第1測定ステップ702a、712aが前進加速フェーズ200中に実行され、複数回の測定を含む第2測定ステップ702b、712bが実速度前進フェーズ206中に実行される、挿入サイクルの一部を示す。
第2測定ステップ702b、712bの個々の測定をサンプルとして用いて、実速度前進フェーズ206内の異なる時間/距離中のコーストトルクCがサンプリングされる。第2測定ステップ702b、712bの各測定後に、サンプリング向上が実行される。
第2測定ステップ702b、712bの各測定に信頼度が割り振られる。(例えば、テーブル800から返された)予想コーストトルクと特定の実測コーストトルク値との間に高い相関関係がある場合、特定の測定値により高い信頼度が与えられる。代替として又は追加として、以前の実測トルク値(例えば、第2測定ステップ702b、712bで先に測定されたコーストトルク値)と特定の実測コーストトルク値との間に高い相関関係がある場合、特定の測定値により高い信頼度が与えられてもよい。代替として又は追加として、新しい(すなわちより最近の)測定値ほど、古い測定値、例えば以前の挿入サイクルの測定値と比べて高い信頼値を与えられてもよい。
コーストトルクの加重平均値CMAが、第2測定ステップ702b、712bにおいてサンプリングされた全てのコーストトルクデータからの加重平均から計算される。コーストトルクの加重平均値CMAは、第2測定ステップ702b、712bにおける各測定後に更新される。各測定は、その信頼値及び後続のコーストトルク測定毎の信頼値に基づいて重み付けされる。加重平均コーストトルクCMAは、方程式7を用いて計算することができる。
予想コーストトルクCを平均コーストトルクCMA及びサンプル毎の実測コーストトルクと比較すると、工具における損失(例えば、セッタ状態に起因する)を推定することができる。このような推定値を用いて、実速度前進フェーズ206中に工具に与えられるコーストトルクを変更することができる。例えば、コーストトルクは、方程式8を用いて、初期コーストトルクC(すなわち、サンプリングステップにおいて測定されたコーストトルク値)から更新クランプ限界Cに更新することができる。Kは、補償係数であり、例えば1~1.25の範囲にあり得る。
クランプトルクを適用する方法に起因して、トルクの測定とトルクへの調整の適用との間には無視できる程度の遅延があるので、同じ挿入サイクル内で補償を実行することができる。
このプロセスを複数回実行して、トルクを反復的に向上させることができる。例えば、図9では、コーストトルクが8回調整されるようにプロセスが8回実行され、最終的に最終コーストトルクCに達する。最終コーストトルクCは、複数回の調整が行われたことにより以前のコーストトルク値よりも高い信頼値を有する。すなわち、最終コーストトルクは、サンプリング向上の実行により最初の実測コーストトルクよりも予想コーストトルクに近くなる。
その後、第1測定ステップ702aにおいて測定された以前の実測加速トルクAに基づいて、コーストトルクの平均値CMAがテーブル(例えば、テーブル800)の割当てスロット番号に挿入され得る。
リベットサイクルの終わりに、この最終的に計算された平均コーストトルクCMAは、前に計算されたスロット位置でトルクテーブルに記憶される。スロットが既にコーストトルク値Cを含んでいる場合、平均コーストトルクCMAは、単純なN点移動平均nRAによりスロットに組み込むことができる。n点移動平均は、平均値n(例えば、8であり得る)を用いて方程式9で表すことができる。
上記サンプリング向上の変形形態を用いることができ、これは、以下で説明するようなインテリジェントに平滑化された移動平均を含み得る。このようなサンプリング向上は、サンプリングされたデータの信頼性を向上させると共にサンプリング誤差を最小化するために提供される。
図10は、例示的な補償方法1000を示す。例示的な補償方法は、上述の方法及びプロセスの多くを組み込んだものである。
第1ステップ1001において、前進加速フェーズ中に新たなトルク読み値(すなわち、加速トルク)が測定される。
第2ステップ1002において、現在の工具及び挿入サイクル(例えば、現在の工具タイプ、所要挿入速度(速さ)、及び加速度)に対応するテーブルが存在するか否かについて判定が行われる。
第2ステップ1002においてテーブルが存在すると判定された場合、第3ステップ1003において、当該テーブルのデータスロットが計算される。データスロット、例えばスロット番号Sは、上述のように計算することができる。
第4ステップ1004において、計算されたデータスロットに記憶されたデータがあるか否かについて判定が行われる。例えば、データは、前の挿入サイクル中に記憶されている場合がある。
データが存在する場合、第5ステップ1005において、当該データは、予想コーストトルク値としてテーブルから返される。
第2ステップ1002においてテーブルが存在しないと判定された場合、方法は第6ステップ1006にスキップする。第6ステップ1006において、予想トルク方程式、例えば方程式6に基づき得る予想トルク値が返される。
第7ステップ1007において、実速度前進フェーズ中に新たなトルク読み値(すなわち、コーストトルク)が測定される。
第8ステップ1008において、新たなトルク読み値は、予想コーストトルクと比較される。比較を用いて、工具における損失を補償するためのコーストトルクに対する調整値が生成される。すなわち、調整は、適用すべき計算された補償である。
第9ステップ1009において、補償が工具に適用される。
第10ステップ1010において、挿入(すなわち、ワークへのファスナの挿入)が完了しているか否かについて判定が行われる。この判定は、時間、セッタ、及び/又はリベットの場所の測定、又は任意の他の方法に基づいて実行することができる。
挿入が不完全な場合、第7~第10ステップ1007~1010が繰り返される。これらの方法ステップ1007~1010を繰り返すことにより、工具を反復的に補償することができ、それにより全体補償をより正確にすることができる。
挿入が完了している場合、方法は第11ステップ1011に進む。
第11ステップ1011において、テーブルが使用中か否かについて判定が行われる。判定は、第2ステップ1002から呼び出すことができる。
テーブルが使用中である場合、第12ステップ1012において、当該テーブルの予想トルク値が新たな実測コーストトルク値を用いて更新される。上述のように、新たな実測コーストトルク値が前の予想トルク値を上書きしてもよく、又は新たな値が生成されて、例えばnRAを用いて新たな値及び前の値に基づいてテーブルに挿入されてもよい。
第11ステップ1011においてテーブルが使用中でないと判定された場合、方法は第13ステップ1013に進み、空テーブルが利用可能か否かについて判定が行われる。すなわち、上記テーブルを記憶しているコンピュータの記憶容量に応じて、所定数のテーブルが使用中であり得る。
空テーブルが利用可能である場合、第14ステップ1014において、新たな実測コーストトルク値が挿入された新たなテーブルが作成される。
空テーブルが利用可能でない場合、プロセスは1016において終了する。空テーブルが存在ないことは、十分なデータが追加されており、この段階ではデータがさらに必要ではないことを示し得る。代替として、より多くの記憶が必要であることが示される場合がある。
例えば第12又は第14ステップ1012、1014におけるテーブルへの値の記憶後にも、プロセスは1016において終了する。この時点で、別の挿入サイクルで、例えば予想トルク値がテーブルから返される第5ステップ1005中に、値は将来の挿入サイクルで返されることができる。
図11a及び図11bは、本明細書に記載の方法1000を用いた実際の工具からの例示的なデータを示す。
補償方法1000の効果を図11A及び図11Bに示す。図11Aは、補償方法を用いない既知の工具からのデータを示す。図11Bは、上述のような補償方法1000を用いる同様の工具からのデータを示す。データは、工具のウォームアップ時の実測コーストトルク値及び実測終了位置値を同じスケールで示す。終了位置は、工具の制御精度の尺度として用いられ得る。理想的なプロセスでは、第1サイクルの終了位置は、工具の状態に関係なく次のサイクルの終了位置と一致すべきである。終了位置のばらつきは、損失が効果的に補償されずに締結力/エネルギーが変わったことを示し得る。
図11A及び図11Bから分かるのは、補償方法を用いない場合、終了位置は工具の加温中に約0.8mm変わり得ることである。本明細書に記載の補償方法を用いると、このばらつきが0.05mmに減る。この終了位置ばらつきの低減は、損失が大きく補償されたことを示す。
インテリジェントに平滑化された移動平均
平滑化をさらに用いて、測定の信頼性、したがって調整の信頼性及び精度を改善することができる。単一の測定ステップにおいて、例えば上述の第2測定ステップ702b、712bにおいて複数回の測定が行われる場合に、平滑化が特に有用である。各測定が実行されると移動平均(加重又は非加重)を求めることができ、以下に説明するように当該平均を平滑化することができる。
例えば前進加速と実速度前進フェーズとの間の不連続なトルク変化等の打鋲フェーズの変化に起因して、パラメータのステップ変化が起きた後に、平滑化移動平均sRAは通常はリセットされる。リセットされると、カウント数Mが1にリセットされる。カウントMは、新たな測定Jが行われるたびに反復的に増加する。カウントMは、1から所望の平滑化係数Fに増やされる(Fは、平滑化期間であり、例えば24であり得る)。平滑化移動平均sRAは、方程式10及び11を用いて、前の移動平均sRAMM-1から各測定Jが行われた後の更新移動平均sRAに反復的に更新される。
図12は、FASタイプ挿入サイクルを作動させる実際の工具からのデータを示す。特に、平滑化トルクデータ120が、生データ122及び単純移動平均124と比較して図示されている。セッタ速度126も参照のために示す。
サンプリング及び/又は平滑化のさらなる向上が、パラメータ値の周期的変化の効果を低減するために特に有用であり得る。例えば、モータの周期性により、実測トルクデータは、通常はモータ回転サイクルのどこで測定が実行されるかに応じて周期的に変わる。このような振動的なデータからのサンプリングはサンプリング誤差を招き得る。この振動は、例えば200mm/s未満の低セッタ速度に特に見られる。
実測トルクデータの変動が図12及び図13に見られる。図13は、図12に示すものとはモータ振動周期及びセッタ速度が異なる、FASタイプ挿入サイクルを作動させる実際の工具からのデータを示す。特に、振動周期及びセッタ速度は、実測トルクが約5mmのセッタ移動毎に振動するようなものである。5mmは、ローラねじのリードを5mmで工具とモータとの間のギア比を1:1とした場合のモータ及び工具の回転毎に進む距離に対応する。生データ132及び平滑化移動平均データ130の両方で振動が明らかであることが分かる。セッタ速度136も参照のために示す。
より安定した読み値を計算するために、インテリジェント平滑化移動平均プロセスを用いることができる。特に、平滑化移動平均は、モータの回転に依存して計算される。平均化は、特定のモータ回転内で生じるモータトルク測定値の単純な数値合計をモータ回転内で行われた測定数で割ったものであり得る。
図13に示す第1例では、特定のモータ回転内の測定値が、モータ回転中の同じ時点で平均化される。この場合、そのモータ回転中に行われた全ての測定を考慮して、測定値がモータ回転毎に平均化される。
すなわち、5mmのセッタ移動毎に測定値が平均化される(ローラねじのリードを5mmで工具とモータとの間のギア比を1:1とした場合)。5mmのセッタ移動毎に計算された平均化サンプル138を図13に示す。このインテリジェント平滑化移動平均方法は、生データ132及び単純平滑化移動平均データ130の両方と比べて平均化された測定値のジッタを減らすことが分かる。
各回転中に実行される測定数は、達成可能な測定レート及び/又は瞬間工具速度に応じて変わり得る。モータ1回転当たり15~50測定の測定レートを用いることができる。モータ1回転当たりの測定数は、Mrevで示され得る。
図13に示す例は、各モータ回転を平均化するが、モータ回転中の同じ時点で連続していない回転を平均化することにより同様の効果が得られるであろうことを理解されたい。例えば、1回転置きに平均をとることができる。
代替的な平均化方法では、モータ回転の数分の一fが選択され、モータがその1回転のうち上記数分の一fを回転した後に測定値が合計される。すなわち、f×Mrev回の測定毎に測定値が合計される。得られる合計値を合計部分測定値と称し得る。f×Mrev回の測定の各集合を位置間隔と称し得る。モータが1回転する間に、1/f個の合計部分測定値が生成される。
モータが1回転した(且つ1/f個の合計部分測定値が生成された)後に、各合計部分測定値の和を総測定数Mrevで割ったものに基づいて平均測定値が計算される。平均は、その後、モータが回転する回転の数分の一f毎に更新され、したがって更新平均値と称し得る。更新平均値は、前の1/f個の合計部分測定値の和に基づく。このように、平均値がモータ1回転中に複数回(すなわち、1/f回)更新されることにより、各回転で1回だけ平均化するのと比べて追加のデータ点を得ることができる。各更新平均値はオフセットしているが、モータ1回転からの測定値を組み込むことにより、ジッタ及び/又は振動を除去する。このような追加のデータ点により、より正確な補償を提供することが可能であり得る。例えば、追加のデータ点は、コーストトルクが短距離だけしか達成されないサイクルで特に有益であり得る。
特定の例では、数分の一f=1/4が選択され得る。数分の一f=1/4は、モータ回転の1/4(例えば、ローラねじのリードを5mmで工具とモータとの間のギア比を1:1とした場合は1.25mm)に相当する。この場合、モータ回転の1/4毎に、すなわち位置間隔(Mrev/4測定)毎に測定値が合計される。すなわち、Mrev/4測定の第1集合が合計されて、第1合計部分測定値が生成される。その後、Mrev/4測定の第2集合が合計されて、第2合計部分測定値が生成される。Mrev/4測定の第3及び第4集合の測定及び合計の後に、第3及び第4合計部分測定値が対応する方法で生成される。第1、第2、第3、第4合計部分測定値に基づいて、第1平均値が計算される。その後、Mrev/4測定の第5集合が合計されて、第5合計部分測定値が生成され、第2、第3、第4、及び第5合計部分測定値に基づいて、第2平均値(更新平均値に対応)が計算される。第2平均値は、モータ1回転の1/4だけ第1平均値からオフセットしているが、モータ1回転からの測定値を組み込む。
追加として又は代替として、特定の測定が前の測定と同じ位置間隔内にある場合、特定の測定の全体がその位置間隔に割り当てられる。測定が第1位置間隔と第2位置間隔との間の境界にまたがる場合、その測定の一部は、第1位置間隔に関連する前のデータセットに当てはめられ、残りは第2位置間隔に関連する新たなデータセットに割り当てられる。各位置間隔に配分される測定の量は、前の測定から工具が進んだ距離に基づく。前のデータセットは、合計部分測定値を生成するために合計される第1位置間隔内の測定値に対応し、新たなデータセットは、別の合計部分測定値を生成するために合計される第2位置間隔内の測定値に対応する。
この代替的な平均化方法は、図14を参照して説明され、Trq1及びTrq3は、モータ1回転中のモータの位置にそれぞれ対応するPos1及びPos3で得られた測定値である。Pos3は、モータ回転の第1位置間隔と第2位置間隔との間の境界の位置である。すなわち、Pos1及びPos3はそれぞれPos2の両側に位置するので、Pos2、Pos1、及びPos3は、それぞれ異なる位置間隔に位置する。すなわち、Trq1及びTrq3はそれぞれ異なる位置間隔で測定される。
この方法は、第1位置間隔と第2位置間隔との間の境界の位置Pos2におけるトルクTrq2の値の推定を含む。短い移動距離にわたってトルク曲線が直線に近似し得るとすれば、点Pos2におけるTrq2の値は、方程式12に従って計算することができる。
前のデータセットに追加される測定値の部分(End Torque Adder)は、方程式13に従って計算することができる。新たなデータセットに追加される測定値の部分(Start Torque Adder)は、方程式14に従って計算することができる。
実測トルクの補正部分を該当するデータセットに加えることにより、データにおける誤差を最小化することができる。工具の速度が大きくなり、且つ/又は位置間隔当たりのサンプル数が減るので、特にこれが言える。
データセットの測定数(又はその一部)に対応するカウントが保たれ得る。カウントは、続いて平均計算で用いることができる。カウントは、データセットの測定値の和並びにデータセットに割り当てられた各測定値のパーセンテージの和を含み得る。例えば、パーセンテージ100は、完全な測定がデータセットに追加されることに対応し、100未満のパーセンテージは、測定値の一部が第1データセットに追加され、一部が第2データセットに追加されることに対応する。位置間隔境界付近で生じる測定値については、前のデータセットに割り当てられた測定値のパーセンテージ(Sample Count AdderEnd)を方程式15に従って計算することができ、新たなデータセットに割り当てられた測定値のパーセンテージ(Sample Count AdderStart)を方程式16に従って計算することができる。
これらのパーセンテージは、前のデータセットのカウントに追加することができるか、又は新たなデータセットの新たなカウントを用意するために用いることができる。
したがって、特定の位置間隔にわたる平均トルクを、方程式17に従って計算することができ、式中、測定値は位置間隔中に取得されたトルク測定値(境界付近で行われた測定の一部を含む)に対応し、サンプルカウント加算器は、例えば方程式15及び16に従って計算された、維持された全てのパーセンテージの和を含む。
位置間隔境界付近の又は位置間隔境界にまたがる測定値を考慮して、例えばモータ関連トルク変動により生じた誤差を減らすことにより、より正確なデータを得ることができる。この方法は、サンプリングされたデータの一貫性に基づいて測定値の重み付けを調整する、他の平均化方法と並行して用いることができる。
コーストトルクを参照して上述したが、インテリジェント平滑化移動平均方法を他のパラメータ、例えば加速トルクに用いることもできる。単一測定又は単純な平均化の代わりに、インテリジェント平滑化移動平均方法の出力結果を用いる(例えば、上述のテーブルに入力する)ことができる。追加として又は代替として、例えば上述のように加速トルク対コーストトルクルックアップテーブルで用いるために加重平均を計算しながら、出力結果を以前の値の追加検証として用いてもよい。
コーストトルク又はセッタ速度の返し及び/又は予測及び/又は調整に上記で言及したが、本明細書に記載の方法を工具の他の特性に関して用いてもよい。例えば、クランプ限界及び/又は減速トルクを調整することが有益であり得る。上記例では、前進加速及び実速度前進フェーズ200、202で特に適用された調整について説明したが、他のフェーズ中に調整を適用してもよい。例えば、リベット挿入フェーズ204中にトルク限界に対して調整が行われ得る。リベット挿入フェーズ204中のこの調整は、他のフェーズ中に測定された実測パラメータ、例えば実速度前進フェーズ206中のコーストトルクの測定に基づいて計算され得る。
セッタ速度、加速トルク、又はコーストトルクの測定に言及したが、他の実施態様において、他のパラメータを(すなわち、工具の他の特性に関して)測定してもよい。好ましくは、工具の特性は、(例えば、セッタ又はリベットの)速度及び/又はモータトルクを含む。これらの特性と他の特性とは、様々なパラメータを用いて測定され得ることを理解されたい。例えば、リベットの速度が直接測定されてもよく、又は間接的に(例えば、速度及び/又は加速度及び/又は変位及び/又は位置の測定により)推論されてもよい。例えば、モータトルクが直接測定されてもよく、又は間接的に(例えば、モータ速度又はモータに与えられる電気刺激、すなわち電流、速度、電力等の測定により)推論されてもよい。これに対応して、所定パラメータ値も同様であり得る。当業者には分かるように、工具の様々な特徴間の相互関係により、所定パラメータ値が実測パラメータと同じパラメータに関する必要はないことに留意されたい。
工具の状態を説明するために「温かさ」に関する用語を用いたが、工具の状態は温度に限定されないことを理解されたい。工具は、最適でない状態(低温と称し得る)から最適な状態(高温と称し得る)に及ぶ状態を有し得る。工具の状態の判定は、工具がどの程度最適に近い性能であるかの判定であり得る。状態は、例えば摩擦に起因する工具のエネルギー損失量を表し得る。概して、特定の工具設計が、その通常の動作温度ウィンドウ内での動作時に予想トルク読み値を達成する。工具がその動作温度に関係なく大幅な追加補償を必要とし続ける場合、工具の物理的検査又は他の保守を要求する警告が生成され得る。物理的検査は、コンポーネント摩耗及び潤滑品質の検査であり得る。このような警告は、工具が特定の特性で、例えば許容温度帯で動作しているとき、且つ/又は最小の動作時間及び/又は挿入サイクル数後に工具の状態が状態閾値を超えているという判定に応答して与えられてもよい。このような警告は、計算された調整又は補償が状態閾値、例えば工具に適用され得る最大調整を規定する閾値を超えていることに応答して与えられてもよい。このような警告は、例えば工具の状態が複数サイクルで最適でないままである場合に、工具の状態が特定のサイクル数で状態閾値を超えているという判定に応じて与えられてもよい。
ファスナ締結工具のモータに言及する場合、工具は、追加として又は代替としてアクチュエータを備え得る。本明細書中のシステム及び方法は、モータ及び/又はアクチュエータを有する工具に適用することができる。モータの回転に言及する場合、これは、アクチュエータの回転にも当てはまるとみなすことができる。
本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ又は複数のプロセッサにより読取り及び実行され得る機械可読媒体に記憶された命令としても実施され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)により読取り可能な形態で情報を記憶又は伝送する任意の機構を含み得る。例えば、機械可読媒体は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)その他を含み得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、特定のアクションを実行するものとして本明細書に記載される場合がある。しかしながら、このような記載が単に便宜的なものであり、このようなアクションが実際にはコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスがファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行することから生じ、その際にアクチュエータ又は他のデバイスに物理世界と相互作用させることができることが分かる。
本発明の特定の実施形態を上述したが、本発明が記載のもの以外の方法で実践され得ることが分かる。上記説明は説明を意図したものであり限定を意図したものではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく記載の本発明に変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。

Claims (19)

  1. ファスナ締結工具を調整するコンピュータ実装方法であって、
    前記ファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するステップと、
    前記第1パラメータを所定パラメータと比較するステップであり、前記第1パラメータと前記所定パラメータとの間の差が前記ファスナ締結工具の状態を表すステップと、
    前記比較に基づいて調整を計算するステップであり、該調整は前記ファスナ締結工具の前記第1特性及び/又は前記ファスナ締結工具の第2特性に対するものであり、前記工具の前記状態を補償するよう構成されているステップと、
    前記調整を前記ファスナ締結工具に適用するステップと
    を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記状態は、前記ファスナ締結工具又はそのコンポーネントの温度、使用年数、使用履歴、及び潤滑の1つ又は複数を表す方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法において、前記第1特性は、前記ファスナ締結工具のモータのトルク又は前記ファスナ締結工具の締結部の速度の一方である方法。
  4. 請求項3に記載の方法において、前記第2特性は、前記ファスナ締結工具のモータのトルク又は前記ファスナ締結工具の締結部の速度の他方である方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、前記第1パラメータの測定は、前記第2特性が所定の第2パラメータにあるときに実行される方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の方法において、調整済みのファスナ締結工具でファスナを挿入させるステップをさらに含む方法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、前記測定するステップは、第1ファスナ挿入サイクル中に実行され、前記調整は、前記第1ファスナ挿入サイクル中に適用される方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、前記測定するステップは、第1ファスナ挿入サイクル中に実行され、前記調整は、第2ファスナ挿入サイクル中に適用される方法。
  9. 本請求項1~8のいずれか1項に記載の方法において、前記ファスナ締結工具の前記状態を判定するステップをさらに含む方法。
  10. 請求項9に記載の方法において、前記調整は、前記状態が所定の状態を満たす場合にのみ適用される方法。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の方法において、前記比較は、前記ファスナ締結工具の記憶装置に記憶された1つ又は複数の記憶されたパラメータにさらに基づき、該1つ又は複数の記憶されたパラメータは、前記第1パラメータの測定前に測定された前記ファスナ締結工具に関連するパラメータに対応する方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、反復的に実行されてフィードバックループを形成す方法。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の方法において、前記第1パラメータの複数の測定が行われる方法。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載の方法において、前記複数の測定は、前記第1特性及び/又は前記第2特性が実質的に一定であるときに行われる方法。
  15. 請求項13又は14に記載の方法において、前記複数の測定に関連する前記第1パラメータは平均化される方法。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の方法において、前記調整は、前記ファスナ締結工具のモータに与えられる電気刺激を増加させる命令を含む方法。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の方法において、前記ファスナ締結工具の前記状態に基づく警告を与えるステップをさらに含む方法。
  18. ファスナ締結工具であって、
    該ファスナ締結工具の第1特性に関連する第1パラメータを測定するよう動作可能なセンサと、
    データ処理システムであり、
    前記第1パラメータを所定パラメータと比較するステップであり、前記第1パラメータと前記所定パラメータとの間の差が前記ファスナ締結工具の状態を表すステップ、
    前記比較に基づいて調整を計算するステップであり、該調整は前記ファスナ締結工具の前記第1特性及び/又は前記ファスナ締結工具の第2特性に対するものであり、前記工具の状態を補償するよう構成されているステップ、及び
    前記ファスナ締結工具に前記調整を含む命令を提供するステップ
    を実行する手段を含むデータ処理システムと、
    前記調整を前記工具に適用する手段と
    を備えたファスナ締結工具。
  19. ファスナ締結工具のデータ処理システムにより実行されると、前記工具に請求項1~17のいずれか1項に記載のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
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