JP2024127852A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低トルクの要請に応えるとともに、泥水等の異物の侵入を抑制することができる密封装置を提供する。【解決手段】相対的に回転する外側部材及び内側部材間に形成された環状空間Sを密封する密封装置10であって、前記外側部材の内周面2dに嵌合される第1部材11と、前記内側部材の外周面4bに嵌合される第2部材12とを備え、前記第1部材は、第1円筒部111と第1円輪部112とを備え、前記第2部材は、第2円筒部121と第2円輪部122と第3円筒部123とを備え、前記第1円筒部又は前記外側部材と前記第3円筒部とが隙間を介して対向して設けられた第1ラビリンスシールR1と、前記第1円輪部と前記第2円輪部とが隙間を介して対向して設けられた第2ラビリンスシールR2とを備え、前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールは連通している。【選択図】図2
Description
本発明は、相対的に回転する外側部材及び内側部材間に形成された環状空間を密封する密封装置に関する。
例えば、自動車等の車輪の軸受装置には、外部からの泥水やダスト等の異物の侵入を抑制するために、上述のような外側部材と内側部材との間に密封装置が装着されている。このような密封装置では、芯体部材に設けられたシールリップがスリンガ部材に接触することで、外部から侵入してきた泥水等の異物が軸受装置の内部に侵入することを抑制している。
下記特許文献1では、スリンガ部材に接触するシールリップと、内側部材に接触するシールリップとを備えている。また、下記特許文献2では、スリンガ部材に接触するシールリップを備えている。そして、特許文献1及び特許文献2では、他の部材に接触するシールリップに加え、密封装置内にラビリンスシールを設けることで泥水等の異物の侵入をより抑制している。
ところで、特許文献1及び特許文献2のようにシールリップがスリンガ部材等の他の部材に接触している密封装置では、軸受装置の回転によってシールリップと他の部材との摺動によりトルクが発生してしまうため、低燃費の実現を目的として低トルクの要請がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低トルクの要請に応えるとともに、泥水等の異物の侵入を抑制することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の密封装置の構成1は、相対的に回転する外側部材及び内側部材間に形成された環状空間を密封する密封装置であって、前記外側部材の内周面に嵌合される第1部材と、前記内側部材の外周面に嵌合される第2部材とを備え、前記第1部材は、前記外側部材の前記内周面に嵌合される第1円筒部と、該第1円筒部の軸方向の端部から径方向の内側に延びる第1円輪部とを備え、前記第2部材は、前記内側部材の前記外周面に嵌合される第2円筒部と、該第2円筒部の軸方向の端部から径方向の外側に延びて前記第1円輪部に対向する第2円輪部と、該第2円輪部の径方向の外側の端部から軸方向の前記第1部材側とは反対側に延びる第3円筒部とを備え、前記第1円筒部又は前記外側部材と前記第3円筒部とが隙間を介して対向して設けられた第1ラビリンスシールと、前記第1円輪部と前記第2円輪部とが隙間を介して対向して設けられた第2ラビリンスシールとを備え、前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールは連通していることを特徴とする。
以下の実施の形態の記載により、本発明に係る密封装置は、以下の従属的構成を備えていてもよいことが開示される。
<構成2>
構成1において、前記第1ラビリンスシールの径方向の寸法は、前記第2ラビリンスシールの軸方向の寸法よりも大きくてもよい。
<構成3>
構成1又は構成2において、前記第2部材は、前記第3円筒部よりも軸方向の外側に位置し、径方向の外側に延びて前記外側部材の軸方向の外側の面と対向する第3円輪部をさらに備え、前記第3円輪部の軸方向の内側の面と前記外側部材の軸方向の外側の面とが隙間を介して対向して設けられた第3ラビリンスシールを備え、該第3ラビリンスシールは前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールに連通してもよい。
<構成4>
構成1乃至構成3のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、前記第1円輪部に軸方向の外側に突出する弾性体製の突起が設けられており、前記突起の突出寸法は、前記第2ラビリンスシールの隙間寸法よりも小さくてもよい。
<構成5>
構成1乃至構成4のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、径方向の内側に延出して他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップを備えてもよい。
<構成6>
構成1乃至構成5のいずれか1つにおいて、前記第1円筒部の前記内周面と、前記第3円筒部の前記外周面と、前記第1円輪部の前記軸方向の外側の面と、前記第2円輪部の前記軸方向の内側の面とが撥水加工されてもよい。
<構成7>
構成1乃至構成6のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、前記外側部材の軸方向の外側の面に沿って延び前記第1円筒部の軸方向における外側の端部から径方向の外側に延びる第4円輪部をさらに備えてもよい。
<構成8>
構成7において、前記第1部材は、前記第4円輪部の径方向の外側の端部から軸方向に延出する第4円筒部をさらに備えてもよい。
<構成9>
構成8において、前記外側部材は回転側部材であり、前記第4円輪部もしくは前記第4円筒部に回転情報を検出するための磁気エンコーダが固着されてもよい。
<構成2>
構成1において、前記第1ラビリンスシールの径方向の寸法は、前記第2ラビリンスシールの軸方向の寸法よりも大きくてもよい。
<構成3>
構成1又は構成2において、前記第2部材は、前記第3円筒部よりも軸方向の外側に位置し、径方向の外側に延びて前記外側部材の軸方向の外側の面と対向する第3円輪部をさらに備え、前記第3円輪部の軸方向の内側の面と前記外側部材の軸方向の外側の面とが隙間を介して対向して設けられた第3ラビリンスシールを備え、該第3ラビリンスシールは前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールに連通してもよい。
<構成4>
構成1乃至構成3のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、前記第1円輪部に軸方向の外側に突出する弾性体製の突起が設けられており、前記突起の突出寸法は、前記第2ラビリンスシールの隙間寸法よりも小さくてもよい。
<構成5>
構成1乃至構成4のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、径方向の内側に延出して他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップを備えてもよい。
<構成6>
構成1乃至構成5のいずれか1つにおいて、前記第1円筒部の前記内周面と、前記第3円筒部の前記外周面と、前記第1円輪部の前記軸方向の外側の面と、前記第2円輪部の前記軸方向の内側の面とが撥水加工されてもよい。
<構成7>
構成1乃至構成6のいずれか1つにおいて、前記第1部材は、前記外側部材の軸方向の外側の面に沿って延び前記第1円筒部の軸方向における外側の端部から径方向の外側に延びる第4円輪部をさらに備えてもよい。
<構成8>
構成7において、前記第1部材は、前記第4円輪部の径方向の外側の端部から軸方向に延出する第4円筒部をさらに備えてもよい。
<構成9>
構成8において、前記外側部材は回転側部材であり、前記第4円輪部もしくは前記第4円筒部に回転情報を検出するための磁気エンコーダが固着されてもよい。
本発明の密封装置は上述した構成とされるため、低トルクの要請に応えるとともに、泥水等の異物の侵入を抑制することができる。
以下、本実施形態における密封装置について図面を参照しながら説明する。なお、一部の図には他図に付している詳細な符号の一部を省略している。また、以下において、各図面の紙面上において右側を軸方向の外側である車体側、その反対方向を軸方向の内側である車輪側とする。
密封装置10は、相対的に回転する外側部材(2)及び内側部材(4)間に形成された環状空間Sを密封する。密封装置10は、外側部材(2)の内周面2dに嵌合される第1部材11と、内側部材(4)の外周面4bに嵌合される第2部材12とを備える。第1部材11は、外側部材(2)の内周面2dに嵌合される第1円筒部111と、第1円筒部111の軸方向の端部から径方向の内側に延びる第1円輪部112とを備える。第2部材12は、内側部材(4)の外周面4bに嵌合される第2円筒部121と、第2円筒部121の軸方向の端部から径方向の外側に延びて第1円輪部112に対向する第2円輪部122とを備える。さらに第2部材12は、第2円輪部122の径方向の外側の端部から軸方向の第1部材11側とは反対側に延びる第3円筒部123を備える。密封装置10は、第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を備えている。第1ラビリンスシールR1は、第1円筒部111又は外側部材(2)と第3円筒部123とが隙間を介して対向して設けられている。第2ラビリンスシールR2は、第1円輪部112と第2円輪部122とが隙間を介して対向して設けられている。第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2は連通している。
以下、詳しく説明する。まず、図1、図2を参照しながら、第1実施形態に係る密封装置10について説明する。
以下、詳しく説明する。まず、図1、図2を参照しながら、第1実施形態に係る密封装置10について説明する。
<軸受装置>
図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、大略的に、上述の外側部材に相当する外輪2と、上述の内側部材に相当する内輪5と、外輪2と内輪5との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。内輪5は、ハブ輪3と内輪部材4とで回転部材として構成され、内輪部材4はハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる。ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの脱落が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能な回転部材とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、環状空間Sが形成される。環状空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向の外側に延出するよう形成されたハブフランジ32とを有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。
図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、大略的に、上述の外側部材に相当する外輪2と、上述の内側部材に相当する内輪5と、外輪2と内輪5との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。内輪5は、ハブ輪3と内輪部材4とで回転部材として構成され、内輪部材4はハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる。ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの脱落が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能な回転部材とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、環状空間Sが形成される。環状空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向の外側に延出するよう形成されたハブフランジ32とを有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。
環状空間Sの軸方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4(内輪5)との間、及び、外輪2とハブ輪3との間には、密封装置10,20が環状空間Sの軸方向に沿った両端部に装着される。密封装置10,20が環状空間Sを密封することで、環状空間S内への泥水等の浸入や環状空間S内に充填されている潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が抑制される。
<第1実施形態>
図2は、図1のX部を拡大した部分断面図であり、図2には、第1実施形態に係る密封装置10を示している。密封装置10は、外輪2と内輪部材4(内輪5)との間に形成された環状空間S内の車体側に装着される。次に、密封装置10を構成する各部材について説明する。
図2は、図1のX部を拡大した部分断面図であり、図2には、第1実施形態に係る密封装置10を示している。密封装置10は、外輪2と内輪部材4(内輪5)との間に形成された環状空間S内の車体側に装着される。次に、密封装置10を構成する各部材について説明する。
まず、密封装置10を構成する部材の一つである第1部材11について説明する。
第1部材11は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成され図2に示すように片側の断面が略逆L字形状の円筒形とされる。第1部材11は、外輪2の内周面2dに嵌合される第1円筒部111と、第1円筒部111の車輪側の端部111aから径方向の内側に延びる第1円輪部112とを備える。第1円筒部111の外周面111cにおける車体側には、径方向の内側に段落ち形成された凹部111eが設けられている。
第1部材11は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成され図2に示すように片側の断面が略逆L字形状の円筒形とされる。第1部材11は、外輪2の内周面2dに嵌合される第1円筒部111と、第1円筒部111の車輪側の端部111aから径方向の内側に延びる第1円輪部112とを備える。第1円筒部111の外周面111cにおける車体側には、径方向の内側に段落ち形成された凹部111eが設けられている。
第1部材11は、第1円筒部111の内周面111d及び第1円輪部112の車体側の面112bを覆うゴム等の弾性材からなる弾性部113を備えている。弾性部113は、第1円筒部111の内周面111dを覆う第1被覆部113Aと、第1円輪部112の車体側の面112bを覆う第2被覆部113Bとを備える。本実施形態では、第1円筒部111の内周面111dを覆う第1被覆部113Aの内周面113dが、後述する第3円筒部123の外周面123cと隙間を介して対向している。言い換えれば、第1円筒部111と、第3円筒部123とは、隙間を介して対向している。また、第1円輪部112の車体側の面112bを覆う第2被覆部113Bの車体側の面113bが、後述する第2円輪部122の車輪側の面122aと隙間を介して対向している。言い換えれば、第1円輪部112と第2円輪部122とが、隙間を介して対向している。
そして、弾性部113は、第1被覆部113Aの一部が第1円筒部111の凹部111eに至っており、凹部111eに至った部分には、径方向の外側に隆起する環状突部114が形成されている。環状突部114が外輪2の内周面2dと凹部111eとの間に圧縮状態で介在することによって、外輪2と第1円筒部111との間から泥水等の異物が侵入することを抑制することができる。さらに弾性部113は、第2被覆部113Bの一部が第1円輪部112の車輪側の面112aの一部を覆って形成されていることで、凹部111eに至っている部分と協働して弾性部113が第1部材11から剥離することが抑制される。
次に、第2部材12について説明する。
第2部材12は、第1部材11と同様にSPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されており、図2に示すように片側の断面が略逆C字形状の円筒形とされる。第2部材12は、内輪部材4の外周面4bに嵌合される第2円筒部121と、第2円筒部121の車輪側(第1部材11の第1円輪部112側)の端部121aから径方向の外側に延びる第2円輪部122とを備える。さらに第2部材12は、第2円輪部122の径方向の外側の端部122cから軸方向に延びる第3円筒部123を備える。本実施形態では、第1部材11は第2部材12よりも車輪側に配されているので、第3円筒部123は、第2円輪部122の径方向の外側の端部122cから軸方向において第1部材11とは反対側である車体側に延びて形成されている。
第2部材12は、第1部材11と同様にSPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されており、図2に示すように片側の断面が略逆C字形状の円筒形とされる。第2部材12は、内輪部材4の外周面4bに嵌合される第2円筒部121と、第2円筒部121の車輪側(第1部材11の第1円輪部112側)の端部121aから径方向の外側に延びる第2円輪部122とを備える。さらに第2部材12は、第2円輪部122の径方向の外側の端部122cから軸方向に延びる第3円筒部123を備える。本実施形態では、第1部材11は第2部材12よりも車輪側に配されているので、第3円筒部123は、第2円輪部122の径方向の外側の端部122cから軸方向において第1部材11とは反対側である車体側に延びて形成されている。
本実施形態の密封装置10は、弾性部113の第1被覆部113Aの内周面113dと第3円筒部123の外周面123cとが隙間を介して対向して設けられた第1ラビリンスシールR1を備える。また、密封装置10は、弾性部113の第2被覆部113Bの車体側の面113bと第2円輪部122の車輪側の面122aとが隙間を介して対向して設けられた第2ラビリンスシールR2を備える。第1部材11及び第2部材12は互いに非接触に配されており、第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2は連通して構成されている。
第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2よりも大きく形成されることが望ましい。また、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1及び第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、それぞれ0.2mm~1mmの大きさで形成されるのが望ましい。第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、弾性部113の第1被覆部113Aの内径と第3円筒部123の外径の差分を、2で除した値である。第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、弾性部113の第2被覆部113Bの車体側の面113bと第2円輪部122の車輪側の面122aとの間の軸方向の隙間の寸法である。第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2と第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1の比としては、例えば、1:5~3:4の範囲内にあることが考えられる。
密封装置10では、軸受装置1の回転速度が高いほど、泥水等の異物に働く遠心力が高まって吐き出し効果が高くなる。また、密封装置10では、第2ラビリンスシールR2の軸方向の断面積、すなわち軸方向の寸法d2が小さいほど、軸受装置1の回転時において径方向外側を指向する圧力が高まって異物の吐き出し効果が高くなる。このことは、P=F/Aの式から導くことができる(Pは圧力、Fは力(遠心力)、AはR2を軸方向に沿って切断した断面積を表す)。
第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2が、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1よりも小さく、0.2mm~1mmの大きさで形成されていれば、泥水等の異物を吐き出す効果が高まる。つまり、第2ラビリンスシールR2にまで侵入した泥水等の異物は、第2ラビリンスシールR2と第1ラビリンスシールR1の接続部分に達するまでは大きな圧力が作用し、その後は、径方向外側を指向する圧力が緩和されることで、第1ラビリンスシールR1に沿って排出され易くなる。第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1及び第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2が0.2mm未満だと、外力や軸受装置1の歪み等によって第1部材11と第2部材12とが接触してしまうおそれがある。また、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2が1mmを超えてしまうと、圧力が小さくなって十分な吐き出し効果が発揮されないおそれがある。
また、第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を含むラビリンスシール全体の縦断面形状が屈折して形成されていることによってラビリンスシール全体の経路が複雑になる。これにより、泥水等の異物が密封装置10に侵入したとしても第2ラビリンスシールR2を通過せずに密封装置10内に留まりやすくなる。泥水等の異物が密封装置10内に留まることによって、泥水等の異物は軸受装置1の回転に伴い発生する遠心力によって密封装置10の外部に吐き出され易くなる。
また、図2の破線Cは、第1被覆部113Aの内周面113dと、第3円筒部123の外周面123cと、第2被覆部113Bの車体側の面113bと、第2円輪部122の車輪側の面122aとが撥水加工されていることを示している。これらの部材は第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を構成する部材であり、ラビリンスシールを構成する部材に撥水加工が施されていることで、泥水等の水分を含む異物を排出する効果が高まる。なお、撥水加工を施す方法は特に限定されず、コーティング剤等によるコーティングや、微細加工技術等による部材の表面加工によって施される形態が例示される。また、弾性部113は、全体が撥水ゴムで形成されてもよく、二色成形等により第2部材12側の部分が撥水ゴムで形成されてもよい。
このように、密封装置10は、第1円筒部111と第3円筒部123との間に軸方向に延びる第1ラビリンスシールR1と、第1円輪部112と第2円輪部122との間に第1ラビリンスシールR1に連通して径方向に延びる第2ラビリンスシールR2とを備える。そのため、密封装置10は、軸受装置1の回転に伴い発生する遠心力によって外部から侵入した泥水等の異物を外部に排出して異物の侵入を抑制することができる。また、第1部材11と第2部材12とは非接触に構成されているため、密封装置10の低トルク化を図ることができる。また、従来の密封装置のように他方の部材に摺接して泥水等の異物の侵入を抑制するシールリップを備えていないので、低トルク化を図るだけではなく、弾性材料の量やコストを従来のものより削減することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る密封装置10Aについて、図3を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
次に、第2実施形態に係る密封装置10Aについて、図3を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図3に示す密封装置10Aは、第1円筒部111及び第1円輪部112を備えた第1部材11と、第2円筒部121、第2円輪部122及び第3円筒部123を備えた第2部材12とを備えている点は第1実施形態と同様である。図3に示す第1部材11では、第1円輪部112に軸方向の外側に突出する弾性体製の突起115が設けられている点、径方向の内側に延出して他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップ116を備える点が、第1実施形態と異なる点である。また、第2部材12は、磁気エンコーダ13を備えている点が第1実施形態とは異なる。
なお、第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2は、第1部材11がグリースリップ116を備えているため第1実施形態のものより短くなっているが、第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1よりは長く形成されている。また、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1及び第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、第1実施形態と略同様に形成されるのが望ましい。
第1部材11は、第1円筒部111の内周側及び第1円輪部112の車体側を覆う弾性部113を備えている点も第1実施形態と同様である。そして、弾性部113は、第1円筒部111の内周面111dを覆う第1被覆部113Aと、第1円輪部112の車体側の面112bを覆う第2被覆部113Bとを備えている点も第1実施形態と同等である。第2被覆部113Bの車体側の面113bには、軸方向の外側(第2部材12の第2円輪部122側)に突出する弾性体製の突起115が上下方向に間隔をあけて複数(本実施形態では2つ)形成されている。つまり、本実施形態では第2被覆部113Bの車体側の面113bに突起115が形成されていることによって、第1部材11は、第1円輪部112に軸方向の外側に突出する弾性体製の突起115が設けられている。突起115の突出寸法は、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2よりも小さく形成されている。
突起115の突出寸法は第2ラビリンスシールR2の寸法d2よりも小さい。そのため、第1部材11と第2部材12とが所定の位置関係を維持している間は、突起115は第2部材12に対して非接触である。そして、第1部材11や第2部材12が外力等によって変位(位置ずれ)した場合、第1円輪部112と第2円輪部122との全面の接触(べたあたり)が突起115によって抑制される。つまり、第1部材11と第2部材12とが所定の位置関係よりも近接しても、突起115だけが第2円輪部122に接触するので、トルクの大幅な増加が抑制される。
また、突起115は、その縦断面形状が三角形状となっている。突起115は、第2被覆部113Bの車体側の面113bから略垂直に突出した外周面115aと、外周面115aの下方に隣接し、径方向の内側から外側にかけて車体側に傾斜した傾斜面115bとを備える。突起115の傾斜面115bは、車体側に向かうにつれて拡径する。これにより、第2被覆部113Bの車体側の面113bを伝って第2ラビリンスシールR2内に侵入した泥水等の異物は、突起115の外周面115aによってそれ以上の侵入が抑制される。また、突起115を通過した泥水等の異物は、軸受装置1の回転に伴い発生する遠心力によって外部に排出される際に、第2円輪部122の車輪側の面122aや突起115の傾斜面115bに沿って外部に排出される。そのため、第1円輪部112に突起115が設けられていても、突起115より奥に侵入した異物が外部に排出されることを突起115の存在により阻害されることが抑えられる。また、第1部材11と第2部材12とを1組として重ねて収容する場合、突起115の先端が第2部材12に当接することで、第1部材11の弾性部113に接触する面積を減少させ、弾性部113と第2部材12とが吸着することを抑制できる。したがって、第1部材11及び第2部材12を収容した状態から、軸受装置1に取り付ける際、容易に第1部材11と第2部材12とを分離することができ、取り付け作業に支障が生じることを回避できる。
また、第1部材11は、弾性部113の第2被覆部113Bの径方向の内側の端部から径方向の内側に延出して、内輪部材4や第2部材12等の他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップ116を備えている。グリースリップ116は、車輪側に傾斜するとともに径方向の内側に延出して内輪部材4の外周面4bに近接している。第1部材11がグリースリップ116を備えていることによって、環状空間S内に充填されたグリースが密封装置10A内に侵入することが抑制される。また、グリースリップ116は、内輪部材4や第2部材12等の他の部材に非接触なので、グリースリップ116によってトルクが増大することはない。
次に第2部材12について説明する。第2部材12は、第2円筒部121、第2円輪部122及び第3円筒部123を備えている点は、第1実施形態と同様である。第2部材12の車体側には、車体に設けられた磁気センサ14と対峙するように配された磁性ゴム製の磁気エンコーダ13が設けられている。磁気エンコーダ13は、第2円筒部121の車体側の端部121bと外周面121cの全面及び第2円輪部122の車体側の面122bの大部分を覆うように形成されている。磁気エンコーダ13は、N極とS極とが周方向に交互に連続して着磁されており、車体に設けられた磁気センサ14と協働して、車輪の回転速度や向き等を検出することができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、図4を参照しながら図3の第2実施形態の変形例である密封装置10A’について説明する。なお、第2実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
次に、図4を参照しながら図3の第2実施形態の変形例である密封装置10A’について説明する。なお、第2実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
図4の密封装置10A’は、第1部材11の構成は図3のものと略同様であり、第2部材12の構成の一部が図3とは異なっている。図4の第2部材12は、第2円筒部121、第2円輪部122、第3円筒部123に加え、第3円筒部123よりも車体側に位置し、径方向の外側に延びて外輪2の車体側の面2bと対向する第3円輪部124をさらに備える。そして、密封装置10A’は、第3円輪部124の車輪側の面124aと外輪2の車体側の面2bとが隙間を介して対向して設けられた、軸方向に延びる第3ラビリンスシールR3を備える。この第3ラビリンスシールR3は第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2に連通している。
より詳しく説明すると、第3円輪部124は、第3円筒部123の車体側の端部123bから径方向の外側に延びて形成されている。第3円輪部124は、径方向の外側の端部124cが外輪2の外周面2cと径方向において略同位置に至る寸法で形成されている。
第1円筒部111の車体側の端部111bは弾性部113の第1被覆部113Aで覆われており、弾性部113の第1被覆部113Aにおいて、第1円筒部111の車体側を覆う部分は、車体側の端部113eである。外輪2の車体側の面2b及び第1被覆部113Aの車体側の端部113eに対して第3円輪部124の車輪側の面124aが隙間を介して対向することで、第3ラビリンスシールR3が設けられる。言い換えれば、第1円筒部111及び外輪2と第3円輪部124とが、隙間を介して対向している。第3ラビリンスシールR3の径方向の寸法L3は、第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1及び第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2よりも短く形成されているが、これに限定されることはない。第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1及び第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2は、環状空間S内の密封装置10A’が嵌合されるスペースの大きさによっては第3ラビリンスシールR3の径方向の寸法L3よりも小さく形成されることが考えられる。また、第3ラビリンスシールR3の径方向の寸法L3は、外輪2の厚みの寸法によっては第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1及び第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2よりも大きく形成されることが考えられる。また、第3ラビリンスシールR3の軸方向の寸法d3は、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1と略同じ寸法で形成されているが、これに限定されることはない。第3ラビリンスシールR3の軸方向の寸法d3は、0.2mm~1.0mmの寸法の範囲内において、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1と異なる寸法で形成されてもよい。
第2部材12に第3円輪部124が設けられていることによって、外輪2の車体側の面2bに泥水等の異物が直接かかることが抑制される。また、第3ラビリンスシールR3が形成されることによって、ラビリンスシール全体の経路の形状がより複雑になるとともに、ラビリンスシール全体がより長くなるので、泥水等の異物の侵入がより抑制される。
<第3実施形態>
次に、図5を参照しながら、第3実施形態に係る密封装置10Bについて説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
次に、図5を参照しながら、第3実施形態に係る密封装置10Bについて説明する。なお、第1実施形態と共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
第1部材11及び第2部材12は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されている点は、第1実施形態と同様であるが、その片側の縦断面形状が異なっている。第1部材11は、簡単に説明すると図2の第1部材11を左右反転させたような形状となっており、第1円輪部112の車輪側に第1円筒部111が配されている。
第1円筒部111は、軸方向に延びて形成されており、外輪2の内周面2dに嵌合される。第1円筒部111の外周面111cにおける車輪側には、径方向の内側に段落ち形成された凹部111eが設けられている。そして、第1円筒部111は、その車体側の端部111bから径方向の内側に延びる第1円輪部112を備えている。
また、第1部材11の車輪側には弾性部113が設けられており、第1円筒部111の内周側と第1円輪部112の車輪側とを覆っている。そして、弾性部113は、その一部が第1円筒部111の凹部111eに至っており、凹部111eに至った部分には、径方向の外側に隆起する環状突部114が形成されている。さらに、第1円輪部112の車体側の面112bは、その径方向の一部が弾性部113の一部によって覆われていることで、弾性部113が第1部材11から剥離することが抑制される。この第1円輪部112の車体側の面112bを覆っている弾性部113の部分が、第1円輪部112の車体側の面112bから突出する、縦断面形状が略矩形状の突起115である。なお、本実施形態では、第1円輪部112の車体側において弾性部113に覆われていない面が、第1円輪部112の車体側の面112bである。
また、第1部材11は、弾性部113の径方向の内側の端部から径方向の内側に延出して、内輪部材4や第2部材12等の他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップ116を備えている。グリースリップ116は、車輪側に傾斜するとともに径方向の内側に延出して内輪部材4の外周面4bに近接している。
次に第2部材12について説明する。第2部材12は、簡単に説明すると、第2円筒部121と第3円筒部123とが径方向に対向していない点で、片側の縦断面形状が略C字状である第1実施形態及び第2実施形態のものとは異なっている。
第2円筒部121は、内輪部材4の外周面4bに嵌合され、外周面121cの車輪側の一部が第1円輪部112と対向するように配されている。また、第2部材12は、第2円筒部121の車体側の端部121bから径方向の外側に延びた第2円輪部122と、第2円輪部122の径方向の外側の端部から車体側に延びた第3円筒部123とを備えている。
第1、第2実施形態とは異なり、図5の軸方向に延びる第1ラビリンスシールR1は、第3円筒部123の外周面123cと外輪2の内周面2dとが隙間を介して対向して形成されている。そして、密封装置10Bは、第2円輪部122の車輪側の面122aと第1円輪部112の車体側の面112bとが隙間を介して対向するように設けられている。そして、第2円輪部122の車輪側の面122aと第1円輪部112の車体側の面112bとの間に、径方向に延びる第2ラビリンスシールR2が設けられている。第2ラビリンスシールR2は、第1ラビリンスシールR1と連通して設けられている。本実施形態の第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、第1実施形態と同様に、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2よりも大きく、0.2mm~1mmの間で形成されるのが望ましい。また、第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1は、第1実施形態と同様に、第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2よりも小さく形成されている。
このように、第1ラビリンスシールR1が外輪2と第3円筒部123との間に形成される構成であっても、密封装置10Bは、泥水等の異物の侵入を抑制するとともに、密封装置10B内に侵入した異物を排出することができる。また、第1部材11及び第2部材12は互いに非接触に構成されているので、密封装置10Bの低トルク化を図ることができる。
以上、説明した密封装置10,10A,10A’,10Bの構成は、他の密封装置が有する構成を備えるものでもよく、上述した構成や図示したものに限定されることはない。図3,4の密封装置10A,10A’の説明では、撥水加工について説明していないが、図2の密封装置10と同様に第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を構成する各部材の表面に撥水加工が施されてもよい。また、図5の場合には、密封装置10Bの第3円筒部123の外周面123cと、第1円輪部112の車体側の面112bと、第2円輪部122の車輪側の面122aとに加えて、外輪2の内周面2dに撥水加工が施されてもよい。なお、上述した各密封装置10,10A,10A’,10Bには、第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を構成する部材に撥水加工が施されていない構成であってもよい。
また、各ラビリンスシールの寸法や、ラビリンスシール同士の寸法の大小関係は、上述したものに限定されることはない。また、上述した各実施形態の密封装置は、環状空間Sの車輪側の端部に装着される密封装置20として適用されてもよい。その場合は、密封装置が環状空間Sの車体側の端部に装着される場合とは左右反転させて、環状空間Sの車輪側の端部に装着させればよい。
<第4実施形態及び第5実施形態>
次に、外側部材が回転側部材である転がり軸受に装着される第4実施形態及び第5実施形態に係る密封装置について、図6及び図6のY部の拡大図である図7~図10を参照しながら説明する。以下の各実施形態では、先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、その説明を省略または簡略に説明する。各実施形態では、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
次に、外側部材が回転側部材である転がり軸受に装着される第4実施形態及び第5実施形態に係る密封装置について、図6及び図6のY部の拡大図である図7~図10を参照しながら説明する。以下の各実施形態では、先に説明した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、その説明を省略または簡略に説明する。各実施形態では、先に説明した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
<車両用軸受装置>
図6は、第4実施形態に係る密封装置10C及び第5実施形態に係る密封装置10Dが装着される転がり軸受50を有する車両用軸受装置100の一例として、トラックやバス等の重量のある車両に使用される全浮動式とした車軸40(アクスルシャフト)によってホイールを駆動する軸受装置を示している。この車両用軸受装置100は、車軸40が挿通される車軸管44(アクスルハウジング)と、複数列(図例では2列)の円錐ころ53,53を有する転がり軸受50と、ハブ輪43とを備えている。ハブ輪43は車軸40のフランジ41にボルト42によって連結され、ハブ輪43にデファレンシャルギアの動力が伝達される。また、ハブ輪43には、ハブ輪43を回転自在に支持する転がり軸受50が内嵌されている。転がり軸受50は、外周面における車輪側がハブ輪43に内嵌され、外周面における車体側はハブ輪3に内嵌されていない状態となっている。
図6は、第4実施形態に係る密封装置10C及び第5実施形態に係る密封装置10Dが装着される転がり軸受50を有する車両用軸受装置100の一例として、トラックやバス等の重量のある車両に使用される全浮動式とした車軸40(アクスルシャフト)によってホイールを駆動する軸受装置を示している。この車両用軸受装置100は、車軸40が挿通される車軸管44(アクスルハウジング)と、複数列(図例では2列)の円錐ころ53,53を有する転がり軸受50と、ハブ輪43とを備えている。ハブ輪43は車軸40のフランジ41にボルト42によって連結され、ハブ輪43にデファレンシャルギアの動力が伝達される。また、ハブ輪43には、ハブ輪43を回転自在に支持する転がり軸受50が内嵌されている。転がり軸受50は、外周面における車輪側がハブ輪43に内嵌され、外周面における車体側はハブ輪3に内嵌されていない状態となっている。
転がり軸受50は、外輪51と、一対の内輪52A,52Bと、転動体として配される複数列の円錐ころ53,53と、円錐ころ53,53を保持する保持器54,54と、を有する。複数列の円錐ころ53,53が、保持器54,54に保持された状態で、外輪51の軌道面51a、内輪52A,52Bの軌道面52a,52aを転動可能に介装されている。外輪51と、一対の内輪52A,52Bと、円錐ころ53,53とは金属材からなる。外輪51と一対の内輪52A,52Bとの間には、全周に亘って環状空間S1が設けられている。転がり軸受50には、外輪51と車体側の内輪52Aとの間を密封する密封装置10Cと、外輪51と車輪側の内輪52Bとの間を密封する他の密封装置60とが装着される。これら密封装置10C及び密封装置60により、環状空間S1が密封される。
転がり軸受50は、ハブ輪43に内嵌されるとともに、車軸管44の外周面の一端部に形成された車軸管段差部45に外嵌される。具体的には、転がり軸受50は、車軸管44の一端部から車軸管段差部45の外周面45aに外嵌され、車体側の内輪52Aの車体側端面が車軸管段差部45の側壁面45bに突き当たるまで嵌入される。その状態で、車輪側の内輪52Bの車体側端面に当接した状態の環状の固定部材55が車軸管段差部45の外周面45aを締め付けるように固定される。図6に示すような全浮動式の場合、ホイールはハブ輪43と転がり軸受50によって、車軸管44に取り付けられている。これにより、自動車の荷重は、車軸管44で支えられるため車軸40へ加わる荷重を分散させることができ、車軸40はホイールに関係なく取り外すことが出来る構造になっている。よって、車軸40にねじれや亀裂の有無等を点検する際にはボルト42を外せば、車軸40を抜き出して取り外すことができる。また転がり軸受50を交換、点検する際には、ボルト42及び固定部材55を外せば、転がり軸受50を車軸管44から取り外せる構造となっている。
このような構造の車両用軸受装置100では、車両が旋回する際に働く遠心力等によって車軸40の外周と車軸管44の内周との隙間を伝って、デフオイルがフランジ41側に流れてくる。このため、転がり軸受50の内部空間へ転がり軸受50の車輪側からデフオイルが侵入しないように、他の密封装置60が転がり軸受50の車輪側の端部に設けられている。密封装置10C,60は、転がり軸受50の軸受内部に封入されたグリースの外部漏出を抑制するように機能する。また、車体側に設けられた密封装置10Cは、外部からの泥水等の侵入も抑制するように機能する。
<第4実施形態>
図7は、転がり軸受50の車体側の端部に装着される第4実施形態に係る密封装置10Cを模式的に示している。この密封装置10Cは、第1部材11Aの構成が先の例と異なっている。
第1部材11Aは、図7に示すように、第1部材11Aの表面を覆って固着されるようなゴム等の弾性材からなる先の例のような弾性部を備えていない構成となっている。このような構成とすれば、弾性材料の量やコストをより効果的に削減できる。第1部材11Aは、外側部材の軸方向の外側の面(本実施形態では、外輪51の車体側の面51b)に沿って延び第1円筒部111の軸方向における外側の端部(本実施形態では車体側の端部)から径方向の外側に延びる第4円輪部117を備えている。第4円輪部117は、車体側の面117bが第2部材12の第3円筒部123よりも車体側に位置するように設けられている。また、第1部材11Aは、第4円輪部117の径方向の外側の端部から軸方向に延出する第4円筒部118を備えている。この第4円筒部118は、第4円輪部117の径方向の外側の端部から車輪側に延出しており、車輪側の端部が車輪側に向かうに従い外径側に傾斜している。第4円筒部118は、外輪51の外周面に外嵌され、第1円筒部111は、上記各例と同様に、外輪52の内周面に内嵌される。つまり、第1部材11Aは、第1円筒部111及び第4円筒部118のそれぞれが外輪51に嵌合することで、外輪51に固定される構成となっている。
図7は、転がり軸受50の車体側の端部に装着される第4実施形態に係る密封装置10Cを模式的に示している。この密封装置10Cは、第1部材11Aの構成が先の例と異なっている。
第1部材11Aは、図7に示すように、第1部材11Aの表面を覆って固着されるようなゴム等の弾性材からなる先の例のような弾性部を備えていない構成となっている。このような構成とすれば、弾性材料の量やコストをより効果的に削減できる。第1部材11Aは、外側部材の軸方向の外側の面(本実施形態では、外輪51の車体側の面51b)に沿って延び第1円筒部111の軸方向における外側の端部(本実施形態では車体側の端部)から径方向の外側に延びる第4円輪部117を備えている。第4円輪部117は、車体側の面117bが第2部材12の第3円筒部123よりも車体側に位置するように設けられている。また、第1部材11Aは、第4円輪部117の径方向の外側の端部から軸方向に延出する第4円筒部118を備えている。この第4円筒部118は、第4円輪部117の径方向の外側の端部から車輪側に延出しており、車輪側の端部が車輪側に向かうに従い外径側に傾斜している。第4円筒部118は、外輪51の外周面に外嵌され、第1円筒部111は、上記各例と同様に、外輪52の内周面に内嵌される。つまり、第1部材11Aは、第1円筒部111及び第4円筒部118のそれぞれが外輪51に嵌合することで、外輪51に固定される構成となっている。
外輪51の回転とともに第1部材11Aが回転するため、第1部材11Aに回転情報を検出するための磁気エンコーダ13Aが固着されている。本実施形態では、磁気エンコーダ13Aは、第4円筒部118に固着されている。より具体的には、磁気エンコーダ13Aは、第4円輪部117の車体側の面の外径側と、第4円筒部118の外周面及び車輪側の端部と、を覆うように固着されている。この磁気エンコーダ13Aは、外周面の軸方向の寸法が車体側の面の径方向の寸法よりも大とされており、外周面が転がり軸受50の外周側に設けられる磁気センサ14と対峙するように設けられる。第1部材11Aが外輪51に装着された状態で、磁気エンコーダ13Aは、外輪51の外周面に当接するように構成されてもよい。このような構成とすれば、磁気エンコーダ13Aは、外輪51の外周面を伝ってきた泥水等の異物をせき止める堰としての効果を奏する。
第1部材11Aの第1円筒部111の内周面111dと第2部材12の第3円筒部123の外周面123cとが隙間を介して径方向に対向しており、第1ラビリンスシールR1は、第1円筒部111の内周面111dと第3円筒部123の外周面123cとの間に設けられている。第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、第1円筒部111の内径と第3円筒部123の外径の差分を、2で除した値である。
第1部材11Aの第1円輪部112の車体側の面112bと第2部材12の第2円輪部122の車輪側の面122aとが隙間を介して軸方向に対向しており、第2ラビリンスシールR2は、第1円輪部112の車体側の面112bと第2円輪部122の車輪側の面122aとの間に設けられている。第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、第1円輪部112の車体側の面112bと第2円輪部122の車輪側の面122aとの間の寸法である。上記各例と同様に、密封装置10Cでは、外部空間から環状空間S1までが第1ラビリンスシールR1及び第2ラビリンスシールR2を通じて連通している。
第1ラビリンスシールR1の軸方向の寸法L1は、第3円筒部123の車体側の端面から第2円輪部122の車輪側の面までの寸法であるのは上記各例と同様である。一方、第2ラビリンスシールR2の径方向の寸法L2は、第3円筒部123の外周面123cから第1円輪部112の下端面までの寸法であり、第3円筒部123の外周面123cから弾性部113の第2被覆部113Bの下端部(第2被覆部113Bにおける第1円輪部112の下端部を覆う部分)の下端面までの寸法である上記各例と異なっている。
また、上記各例と同様に、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2よりも大きい構成が好ましい。また、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1及び第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、上記各例と略同様の大きさで設けられていてもよい。
上記構成とされた密封装置10Cは、外側部材である外輪51が回転する転がり軸受50に装着されても、上記各例と同様に、外輪51の回転に伴う遠心力によって泥水等の異物を外部に排出して異物の侵入を抑制できる。また、密封装置10Cは、他の部材に摺接するシールリップを備えていないので、上記各例と同様に、低トルク化を図ることができる。
また、上記各例と同様に、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1は、第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2よりも大きい構成が好ましい。また、第1ラビリンスシールR1の径方向の寸法d1及び第2ラビリンスシールR2の軸方向の寸法d2は、上記各例と略同様の大きさで設けられていてもよい。
上記構成とされた密封装置10Cは、外側部材である外輪51が回転する転がり軸受50に装着されても、上記各例と同様に、外輪51の回転に伴う遠心力によって泥水等の異物を外部に排出して異物の侵入を抑制できる。また、密封装置10Cは、他の部材に摺接するシールリップを備えていないので、上記各例と同様に、低トルク化を図ることができる。
<第1変形例>
図8は、第4実施形態の第1変形例に係る密封装置10Dを模式的に示している。この密封装置10Dは、第2部材12の構成が先の例と異なっている。
図8に示すように、第2部材12の第2円筒部121の内周面の車体側には、径方向の外側に凹んで形成された凹部121eが設けられている。第2部材12は、第2円筒部121及び第2円輪部122に固着された弾性部15を備えている。弾性部15は、第2円筒部121の車体側の端部121bと外周面121cの全面及び第2円輪部122の車体側の面122bの大部分を覆うように形成されている。また、弾性部15は、第2円筒部121の凹部121eの内周面を覆うように固着されており、弾性部15における凹部121eの内周面を覆う部位から第2円筒部121の内周面よりも内径側に突出して形成された環状突部151を備えている。この環状突部151は、内輪52Aの外周面と凹部121eとの間に圧縮状態で介在することによって、外輪52と第2円筒部121との間への泥水等の異物の侵入を抑制するように設けられている。
図8は、第4実施形態の第1変形例に係る密封装置10Dを模式的に示している。この密封装置10Dは、第2部材12の構成が先の例と異なっている。
図8に示すように、第2部材12の第2円筒部121の内周面の車体側には、径方向の外側に凹んで形成された凹部121eが設けられている。第2部材12は、第2円筒部121及び第2円輪部122に固着された弾性部15を備えている。弾性部15は、第2円筒部121の車体側の端部121bと外周面121cの全面及び第2円輪部122の車体側の面122bの大部分を覆うように形成されている。また、弾性部15は、第2円筒部121の凹部121eの内周面を覆うように固着されており、弾性部15における凹部121eの内周面を覆う部位から第2円筒部121の内周面よりも内径側に突出して形成された環状突部151を備えている。この環状突部151は、内輪52Aの外周面と凹部121eとの間に圧縮状態で介在することによって、外輪52と第2円筒部121との間への泥水等の異物の侵入を抑制するように設けられている。
<第2変形例>
図9は、第4実施形態の第2変形例に係る密封装置10Eを模式的に示している。この密封装置10Eでは、磁性ゴム製の弾性部113と磁気エンコーダ13Aとが一体に形成されている構成が先の例と異なっている。
図9に示すように、弾性部113は、第1部材11Aの車体側を概ね覆うように固着されている。また、弾性部113は、第1円輪部112よりも車体側に突出した磁性ゴム製の突起115と、径方向の内側に延出して、他の部材に非接触の磁性ゴム製のグリースリップ116とが設けられている。突起115及びグリースリップ116は、上記構成と略同様の効果を奏する。なお、磁気エンコーダ13Aは、外周面に代えて、車体側の面が磁気センサ14によって磁気変化が検出される被検出面として構成されてもよい。
図9は、第4実施形態の第2変形例に係る密封装置10Eを模式的に示している。この密封装置10Eでは、磁性ゴム製の弾性部113と磁気エンコーダ13Aとが一体に形成されている構成が先の例と異なっている。
図9に示すように、弾性部113は、第1部材11Aの車体側を概ね覆うように固着されている。また、弾性部113は、第1円輪部112よりも車体側に突出した磁性ゴム製の突起115と、径方向の内側に延出して、他の部材に非接触の磁性ゴム製のグリースリップ116とが設けられている。突起115及びグリースリップ116は、上記構成と略同様の効果を奏する。なお、磁気エンコーダ13Aは、外周面に代えて、車体側の面が磁気センサ14によって磁気変化が検出される被検出面として構成されてもよい。
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る密封装置10Fを模式的に示している。この密封装置10Fは、第1部材11Bの構成が先の例と異なっている。
図10に示すように、第1部材11Bは、第4円輪部117Aを備えており、第4実施形態とは異なり第4円筒部118を備えていない構成となっている。第4円輪部117Aは、車輪側の面における外径側の端部に、車体側に凹んだ凹部117aが設けられている。また、磁気エンコーダ13Bは、第4円輪部117Aに固着されており、第4円輪部117Aの車体側の面の周方向の全周に亘って形成されている。磁気エンコーダ13Bは、第4円輪部117Aの車体側の面を覆い、外径側の端部を回り込んで第4円輪部117Aの凹部117aに至っている。この磁気エンコーダ13Bは、軸方向の寸法よりも径方向の寸法が大とされており、平坦状の車体側の面が転がり軸受50よりも車体側に設けられる磁気センサ14と対峙するように設けられる。第1部材11Bは、第4円輪部117A及び磁気エンコーダ13Bが外輪51の車体側の面に接するように設けられる。また、磁気エンコーダ13Bの外径側の端部は、外輪51の外周面よりも外周側に突出するように設けられる。これにより、外輪51の外周面を伝ってきた泥水等の異物をせき止める堰としての効果を奏する。
図10は、第5実施形態に係る密封装置10Fを模式的に示している。この密封装置10Fは、第1部材11Bの構成が先の例と異なっている。
図10に示すように、第1部材11Bは、第4円輪部117Aを備えており、第4実施形態とは異なり第4円筒部118を備えていない構成となっている。第4円輪部117Aは、車輪側の面における外径側の端部に、車体側に凹んだ凹部117aが設けられている。また、磁気エンコーダ13Bは、第4円輪部117Aに固着されており、第4円輪部117Aの車体側の面の周方向の全周に亘って形成されている。磁気エンコーダ13Bは、第4円輪部117Aの車体側の面を覆い、外径側の端部を回り込んで第4円輪部117Aの凹部117aに至っている。この磁気エンコーダ13Bは、軸方向の寸法よりも径方向の寸法が大とされており、平坦状の車体側の面が転がり軸受50よりも車体側に設けられる磁気センサ14と対峙するように設けられる。第1部材11Bは、第4円輪部117A及び磁気エンコーダ13Bが外輪51の車体側の面に接するように設けられる。また、磁気エンコーダ13Bの外径側の端部は、外輪51の外周面よりも外周側に突出するように設けられる。これにより、外輪51の外周面を伝ってきた泥水等の異物をせき止める堰としての効果を奏する。
上記各実施形態において説明した互いに異なる構成を、適宜、必要に応じて変形し、組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりするようにしてもよい。例えば、第4実施形態及び第5実施形態では、第1ラビリンスシール及び第2ラビリンスシールを構成する第1部材及び第2部材の表面に撥水加工が施されていてもよい。また、第4実施形態の第2変形例では、弾性部が磁気エンコーダとは別体に設けられていてもよく、磁性ゴムではない弾性体製の弾性部が二色成形等により磁気エンコーダと一体に形成されていてもよい。
1 軸受装置
2 外輪(外側部材)
2d 内周面
3 ハブ輪(内側部材)
4 内輪部材(内側部材)
4b 外周面
5 内輪(内側部材)
51 外輪(外側部材)
52A,52B 内輪(内側部材)
10,10A~10F 密封装置
11,11A,11B 第1部材
111 第1円筒部
112 第1円輪部
115 突起
116 グリースリップ
117,117A 第4円輪部
118 第4円筒部
12 第2部材
121 第2円筒部
122 第2円輪部
123 第3円筒部
124 第3円輪部
13,13A,13B 磁気エンコーダ
R1 第1ラビリンスシール
L1 幅方向の寸法
d1 径方向の寸法
R2 第2ラビリンスシール
L2 径方向の寸法
d2 軸方向の寸法
R3 第3ラビリンスシール
L3 径方向の寸法
d3 軸方向の寸法
S,S1 環状空間
2 外輪(外側部材)
2d 内周面
3 ハブ輪(内側部材)
4 内輪部材(内側部材)
4b 外周面
5 内輪(内側部材)
51 外輪(外側部材)
52A,52B 内輪(内側部材)
10,10A~10F 密封装置
11,11A,11B 第1部材
111 第1円筒部
112 第1円輪部
115 突起
116 グリースリップ
117,117A 第4円輪部
118 第4円筒部
12 第2部材
121 第2円筒部
122 第2円輪部
123 第3円筒部
124 第3円輪部
13,13A,13B 磁気エンコーダ
R1 第1ラビリンスシール
L1 幅方向の寸法
d1 径方向の寸法
R2 第2ラビリンスシール
L2 径方向の寸法
d2 軸方向の寸法
R3 第3ラビリンスシール
L3 径方向の寸法
d3 軸方向の寸法
S,S1 環状空間
Claims (9)
- 相対的に回転する外側部材及び内側部材間に形成された環状空間を密封する密封装置であって、
前記外側部材の内周面に嵌合される第1部材と、前記内側部材の外周面に嵌合される第2部材とを備え、
前記第1部材は、前記外側部材の前記内周面に嵌合される第1円筒部と、該第1円筒部の軸方向の端部から径方向の内側に延びる第1円輪部とを備え、
前記第2部材は、前記内側部材の前記外周面に嵌合される第2円筒部と、該第2円筒部の軸方向の端部から径方向の外側に延びて前記第1円輪部に対向する第2円輪部と、該第2円輪部の径方向の外側の端部から軸方向の前記第1部材側とは反対側に延びる第3円筒部とを備え、
前記第1円筒部又は前記外側部材と前記第3円筒部とが隙間を介して対向して設けられた第1ラビリンスシールと、前記第1円輪部と前記第2円輪部とが隙間を介して対向して設けられた第2ラビリンスシールとを備え、前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールは連通していることを特徴とする密封装置。 - 請求項1において、
前記第1ラビリンスシールの径方向の寸法は、前記第2ラビリンスシールの軸方向の寸法よりも大きいことを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第2部材は、前記第3円筒部よりも軸方向の外側に位置し、径方向の外側に延びて前記外側部材の軸方向の外側の面と対向する第3円輪部をさらに備え、
前記第3円輪部の軸方向の内側の面と前記外側部材の軸方向の外側の面とが隙間を介して対向して設けられた第3ラビリンスシールを備え、該第3ラビリンスシールは前記第1ラビリンスシール及び前記第2ラビリンスシールに連通していることを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1部材は、前記第1円輪部に軸方向の外側に突出する弾性体製の突起が設けられており、
前記突起の突出寸法は、前記第2ラビリンスシールの隙間寸法よりも小さいことを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1部材は、径方向の内側に延出して他の部材に非接触の弾性体製のグリースリップを備えることを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1円筒部の前記内周面と、前記第3円筒部の前記外周面と、前記第1円輪部の前記軸方向の外側の面と、前記第2円輪部の前記軸方向の内側の面とが撥水加工されていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1部材は、前記外側部材の軸方向の外側の面に沿って延び前記第1円筒部の軸方向における外側の端部から径方向の外側に延びる第4円輪部をさらに備えることを特徴とする密封装置。 - 請求項7において、
前記第1部材は、前記第4円輪部の径方向の外側の端部から軸方向に延出する第4円筒部をさらに備えることを特徴とする密封装置。 - 請求項8において、
前記外側部材は回転側部材であり、
前記第4円輪部又は前記第4円筒部に回転情報を検出するための磁気エンコーダが固着されていることを特徴とする密封装置。
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---|---|---|---|
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JP2023034362 | 2023-03-07 |
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---|---|
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JP2024034580A Pending JP2024127852A (ja) | 2023-03-07 | 2024-03-07 | 密封装置 |
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