JP2024121130A - 眼科装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光源の出力光量の利用効率を上げるための新たな技術を提供する。【解決手段】眼科装置は、照明光学系と、受光光学系と、光路結合部材とを含む。照明光学系は、虹彩絞りと、照明絞りとを含み、光源からの光で被検眼を照明する。虹彩絞りは、被検眼の虹彩と光学的に略共役な虹彩共役位置に配置され、2つの開口が形成される。照明絞りは、被検眼の眼底と光学的に略共役な眼底共役位置に配置される。受光光学系は、被検眼からの戻り光を撮像素子に導く。光路結合部材は、照明光学系の光路と受光光学系の光路とを空間的に結合する。照明光学系は、光源からの光を第1照明光と第2照明光とに分岐し、第1照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第1照明光の像を形成し、第2照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第2照明光の像を形成し、第1照明光の像と第2照明光の像とを照明絞りにリレーする。【選択図】図2

Description

この発明は、眼科装置に関する。
近年、眼科装置を用いたスクリーニング検査が行われる。このような眼科装置は、自己検診への応用も期待されており、より一層の小型化、軽量化が望まれる。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、スリット状の光を用いて被検眼を照明し、その戻り光をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサで検出するように構成された眼科装置が開示されている。この眼科装置は、照明パターンと、CMOSイメージセンサにおける受光領域の移動タイミングとを調整することにより、簡素な構成で被検眼の画像を取得することが可能である。
米国特許第7831106号明細書 米国特許第8237835号明細書
このような眼科装置は、被検眼の虹彩(瞳孔)において、照明光としてのスリット状の光が通過する照明開口と撮影光としての被検眼からの戻り光が通過する受光開口(撮影開口)とが分離するように構成されることが望ましい。
更に、光学収差を抑制するためには、受光開口が光軸上に配置され、受光開口の周囲に1以上の照明開口が配置されることが望ましい。この場合、照明光は、被検眼の虹彩と光学的に略共役な位置に配置される虹彩絞りに光源からの光を照射することにより形成される。このような照明光で眼底等の観察部位を均一に照明するために、開口サイズが小さい虹彩絞りを光源の放射強度分布(光量分布、発光輝度分布)の変化が小さい領域の光で照射して照明光を形成する必要がある。
その結果、光源の出力光量の利用効率が低下し、観察部位を明るく照明するためにはより高輝度の光源(例えば、LED(Light-Emitting Diode)光源)が必要になる。
しかしながら、高輝度の光源は発熱量が大きく、空冷などの冷却機構を設ける必要が生じる。これは、装置の大型化や、空冷による装置内部でのダスト対策のための構成が複雑化し、コスト高を招く。従って、高輝度の光源を設けることなく、光源の出力光量の利用効率を上げるための新たな手法が望まれる。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、光源の出力光量の利用効率を上げるための新たな技術を提供することにある。
実施形態の1つの態様は、照明光学系と、受光光学系と、光路結合部材とを含む眼科装置である。照明光学系は、虹彩絞りと、照明絞りとを含み、光源からの光で被検眼を照明する。虹彩絞りは、被検眼の虹彩と光学的に略共役な虹彩共役位置に配置され、2つの開口が形成される。照明絞りは、被検眼の眼底と光学的に略共役な眼底共役位置に配置される。受光光学系は、被検眼からの戻り光を撮像素子に導く。光路結合部材は、虹彩共役位置における平面において戻り光が通過する受光開口の周囲に2つの開口の像が配置されるように照明光学系の光路と受光光学系の光路とを空間的に結合する。照明光学系は、分岐部材と、第1均一照明系と、第2均一照明系と、リレー光学系とを含み、照明絞りを通過した光で被検眼を照明する。分岐部材は、光源からの光を第1照明光と第2照明光とに分岐する。第1均一照明系は、第1照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第1照明光の像を形成する。第2均一照明系は、第2照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第2照明光の像を形成する。リレー光学系は、第1照明光の像と第2照明光の像とを照明絞りにリレーする。
この発明によれば、光源の出力光量の利用効率を上げるための新たな技術を提供することができる。
実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の光学系を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作を説明するための概略図である。 実施形態に係る眼科装置の制御系の構成例を示す概略図である。 実施形態に係る眼科装置の動作例のフロー図である。 実施形態の変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。 実施形態の変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す概略図である。
この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
実施形態に係る眼科装置は、スリット状の照明光を用いたスリットスキャン方式で被検眼の画像を取得することが可能である。具体的には、眼科装置は、光スキャナを用いて、照明光が照射されたスリット状の照射位置(照射範囲)を移動させながら被検眼の所定部位を照明し、1次元的に又は2次元的に受光素子が配列されたイメージセンサを用いて被検眼からの戻り光を受光する。戻り光の受光結果は、照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照明光の照射位置に対応した戻り光の受光位置における受光素子から読み出される。
眼科装置では、被検眼の虹彩(瞳孔)(又は、虹彩(瞳孔)と光学的に略共役な位置(虹彩(瞳孔)共役位置))において、スリット状の照明光が通過する照明開口と撮影光としての被検眼からの戻り光が通過する受光開口(撮影開口)とが分離するように構成される。受光系の光学収差を抑制するために、受光開口が光軸上に配置され、且つ、受光開口の周囲に1以上の照明開口が配置される。
眼科装置は、照明光学系と、受光光学系とを含む。照明光学系は、虹彩共役位置に配置された虹彩絞りと、被検眼の観察部位(例えば、眼底)と光学的に略共役な位置である眼底共役位置に配置された照明絞りとしてのスリットとを含む。虹彩絞りには、1以上の開口(例えば、2つの開口)が形成されている。照明光学系は、光源からの光で虹彩絞りを照射し、虹彩絞りに形成された開口を通過した照明光でスリットを照射することで、スリット状の照明光を形成する。受光光学系は、受光開口を通じて、照明光が照射された観察部位からの戻り光をイメージセンサにより受光する。
虹彩共役位置における平面には、虹彩絞りに形成された開口の像が形成される。眼科装置は、虹彩共役位置における平面(光軸に交差する平面)において、受光開口の周囲に、虹彩絞りに形成された1以上の開口の像が配置されるように照明光学系の光路と受光光学系の光路とを空間的に結合する。
虹彩絞りに2以上の開口が形成されている場合、照明光学系は、光源からの光を2以上の照明光に分岐し、分岐された2以上の照明光のそれぞれの光量分布を均一化して眼底共役位置に照明光の像を形成する。照明光学系は、2以上の照明光の像をスリットに形成された開口にリレーし、スリットを通過した光で被検眼の観察部位を照明する。
これにより、照明均一性を確保しつつ、照明開口(虹彩絞りに形成された開口の像)のサイズを大きくすることが可能になる。従って、高輝度の光源を用いることなく、照明開口のサイズを大きくして観察部位における開口数(Numerical Aperture:NA)を上げ、より鮮明な観察部位の観察が可能になる。
いくつかの実施形態では、観察部位は、前眼部、又は後眼部である。前眼部には、角膜、虹彩、水晶体、毛様体、チン小帯などがある。後眼部には、硝子体、眼底又はその近傍(網膜、脈絡膜、強膜など)などがある。
実施形態に係る眼科装置の制御方法は、実施形態に係る眼科装置においてプロセッサ(コンピュータ)により実行される処理を実現するための1以上のステップを含む。実施形態に係るプログラムは、プロセッサに実施形態に係る眼科装置の制御方法の各ステップを実行させる。実施形態に係る記録媒体は、実施形態に係るプログラムが記録された非一時的な記録媒体(記憶媒体)である。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
以下の実施形態では、虹彩絞りに2つの開口が形成され、観察部位が眼底であるものとする。また、被検眼の虹彩(瞳孔)と光学的に共役な位置又はその近傍を「虹彩(瞳孔)共役位置」と表記し、被検眼の眼底と光学的に共役な位置又はその近傍を「眼底共役位置」と表記する。以下の実施形態において、特に明記しない限り、虹彩共役位置は、瞳孔共役位置に置き換えてもよい。
以下、X方向は、対物レンズの光軸方向に直交する方向(左右方向)であり、Y方向は、対物レンズの光軸方向に直交する方向(上下方向)であるものとする。Z方向は、対物レンズの光軸方向であるものとする。
[光学系の構成]
図1~図3に、実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図1は、実施形態に係る眼科装置1の光学系の構成例を表す。図2は、YZ平面における図1の照明光学系20の光学系の構成を模式的に表したものである。図3は、XZ平面における図1の照明光学系20の光学系の構成を模式的に表したものである。図2及び図3では、コリメートレンズ11の図示が省略され、各位置において照明光の光量分布w0、w1a、w1b、w2、w2a、w2b、w3、w4が破線で模式的に図示されている。図1~図3において、同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図1に示すように、眼科装置1は、照明光学系20と、光スキャナ30と、投影光学系35と、撮影光学系40と、撮像装置50とを含む。いくつかの実施形態では、照明光学系20の外部に光源10が設けられる。いくつかの実施形態では、照明光学系20は、光スキャナ30、及び投影光学系35の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、撮影光学系40は、撮像装置50を含む。いくつかの実施形態では、投影光学系35又は照明光学系20は、光スキャナ30を含む。
(照明光学系20)
照明光学系20は、光源10からの光を用いてスリット状の照明光を生成し、生成された照明光を光スキャナ30に導く。
照明光学系20は、光源10と、コリメートレンズ11と、分岐プリズム12と、2以上の均一照明系と、コンデンサアレイ14と、リレーレンズ15と、虹彩絞り21と、リレーレンズ16と、コンデンサレンズ17と、照明絞りとしてのスリット22と、リレーレンズ系RL1とを含む。
2以上の均一照明系は、虹彩絞り21に形成される開口の数分の均一照明系を含む。この実施形態では、図5に示すように、虹彩絞り21には、照明光学系20の光軸Oを挟んでY方向(第1方向)に配列されるように2つの開口が形成される。従って、図1~図3に示すように、2以上の均一照明系は、第1均一照明系13Aと、第2均一照明系13Bとを含む。
(光源10)
光源10は、例えば、虹彩共役位置に配置される。光源10は、可視領域の光を発生する可視光源を含む。例えば、光源10は、420nm~700nmの波長範囲の中心波長を有する光を発生する。このような光源10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、ハロゲンランプ、又はキセノンランプを含む。いくつかの実施形態では、光源10は、白色光源又はRGBの各色成分の光を出力可能な光源を含む。いくつかの実施形態では、光源10は、赤外領域の光又は可視領域の光を切り換えて出力することが可能な光源を含む。
(コリメートレンズ11)
コリメートレンズ11は、光源10から出射された光を平行光束に変換する。コリメートレンズ11の焦点位置に光源10が配置され、光源10から出射された光を略平行光にして、分岐プリズム12に導く。
(分岐プリズム12)
分岐プリズム12は、コリメートレンズ11からの照明光束を2以上の照明光束に分岐し、分岐された2以上の照明光束のそれぞれを対応する均一照明系に導く。
この実施形態では、分岐プリズム12は、2分岐プリズムである。分岐プリズム12は、コリメートレンズ11からの照明光を2つの照明光(第1照明光、第2照明光)に分岐し、分岐された2つの照明光のそれぞれを対応する均一照明系に導く。具体的には、分岐プリズム12により分岐された2つの照明光の一方(第1照明光)は、第1均一照明系13Aに導かれ、分岐された2つの照明光の他方(第2照明光)は、第2均一照明系13Bに導かれる。
図4A、及び図4Bの分岐プリズム12の構成の概要を示す。
図4Aに示すように、分岐プリズム12の断面は、山型形状を有する。分岐プリズム12は、例えば、頂点側が光源10(コリメートレンズ11)に対向し、底面側が第1均一照明系13A、第2均一照明系13Bに対向するように配置される。
いくつかの実施形態では、分岐プリズム12の断面は、図4Bに示すように、2以上の山型形状がY方向に配列される。図4Bに示す分岐プリズム12のプリズム角が図4Aに示す分岐プリズム12のプリズム角と同じである場合、光束を偏向する角度が同じである。従って、図4Bに示す構成によれば、分岐プリズム12の位置に対する光源10の配置の精度をラフにすることが可能になる。
(第1均一照明系13A)
第1均一照明系13Aは、入射した照明光(第1照明光)の光量分布を均一化して眼底共役位置に、入射した照明光の像を形成する。
図2及び図3に示すように、第1均一照明系13Aは、レンズアレイ131A、132Aと、コンデンサレンズ133Aと、シリンダレンズ134とを含む。なお、シリンダレンズ134は、第1均一照明系13Aと第2均一照明系13Bとにより共用される。
レンズアレイ131A、132Aは、分岐プリズム12により分岐された照明光(第1照明光)に基づいて仮想的な2以上の照明光を生成する。レンズアレイ131A、132Aは、X方向及びY方向に2次元的に配列された2以上のレンズが一体的に構成された光学部材である。レンズアレイ131A、132Aは、分岐プリズム12により分岐された他方の照明光(第2照明光)の一部を用いて仮想的な2以上の照明光を生成してもよい。
コンデンサレンズ133Aは、レンズアレイ131A、132Aにより形成された仮想的な2以上の照明光をY方向に集光する(図2参照)。
シリンダレンズ134は、レンズアレイ131A、132A、131B、132Bにより形成された仮想的な2以上の照明光をX方向に集光する(図3参照)。
(第2均一照明系13B)
第2均一照明系13Bは、入射した照明光(第2照明光)の光量分布を均一化して眼底共役位置に、入射した照明光の像を形成する。いくつかの実施形態では、第2均一照明系13Bの構成は第1均一照明系13Aの構成と同様である。
具体的には、図2及び図3に示すように、第2均一照明系13Bは、レンズアレイ131B、132Bと、コンデンサレンズ133Bと、シリンダレンズ134とを含む。
レンズアレイ131B、132Bは、分岐プリズム12により分岐された照明光(第2照明光)に基づいて仮想的な2以上の照明光を生成する。レンズアレイ131B、132Bは、X方向及びY方向に2次元的に配列された2以上のレンズが一体的に構成された光学部材である。レンズアレイ131B、132Bは、分岐プリズム12により分岐された他方の照明光(第1照明光)の一部を用いて仮想的な2以上の照明光を生成してもよい。
コンデンサレンズ133Bは、レンズアレイ131B、132Bにより形成された仮想的な2以上の照明光をY方向に集光する(図2参照)。
シリンダレンズ134は、上記のように、レンズアレイ131A、132A、131B、132Bにより形成された仮想的な2以上の照明光をX方向に集光する(図3参照)。
レンズアレイ131A、131BをY方向にアレイ化することで一体的に形成することが可能である。同様に、レンズアレイ132A、132BをY方向にアレイ化することで一体的に形成することが可能である。また、一体的に形成されたレンズアレイ131A、131Bと、一体的に形成されたレンズアレイ132A、132Bとを、更に一体的に形成することが可能である。
コンデンサレンズ133A、133BをY方向にアレイ化することで一体的に形成することが可能である。
上記の構成において、光源10からの出力光(光量分布w0)は、分岐プリズム12により光量分布w1aを有する第1照明光と光量分布w1bを有する第2照明光とに分岐される。第1照明光が入射した第1均一照明系13Aと、第2照明光が入射した第2均一照明系13Bとにより、眼底共役位置Pにおいて、Y方向に光量分布w2a、w2bを有し、X方向に光量分布w2を有する照明光が形成される。
(コンデンサアレイ14、コンデンサレンズ17)
コンデンサアレイ14、及びコンデンサレンズ17は、照明光の像をリレーしてY方向(第1方向)に屈折することでスリット22(スリット22に形成された開口)に結像させるリレー光学系を構成する。具体的には、コンデンサアレイ14、及びコンデンサレンズ17は、第1均一照明系13Aにより形成された照明光(第1照明光)の像と第2均一照明系13Bにより形成された照明光(第2照明光)の像とをスリット22(スリット22に形成された開口)にリレーする。
コンデンサアレイ14は、2つのコンデンサレンズを含む。2つのコンデンサレンズの一方は、第1均一照明系13Aにより光量が均一化された照明光を、虹彩絞り21に形成された一方の開口(第1開口)を通過するように少なくともY方向(第1方向)に集光する。2つのコンデンサレンズの他方は、第2均一照明系13Bにより光量が均一化された照明光を、虹彩絞り21に形成された他方の開口(第2開口)を通過するように少なくともY方向に集光する。コンデンサアレイ14は、2つのコンデンサレンズをY方向にアレイ化することで一体的に形成された光学部材である。
コンデンサレンズ17は、虹彩絞り21に形成された開口を通過した照明光をY方向に屈折してスリット22に形成された開口に集光する。
(リレーレンズ15、リレーレンズ16)
リレーレンズ15、及びリレーレンズ16は、照明光の像をリレーしてX方向(第1方向に直交する第2方向)に屈折することでスリット22(スリット22に形成された開口)に結像させるリレー光学系を構成する。すなわち、リレーレンズ15、及びリレーレンズ16は、第1均一照明系13Aにより形成された照明光(第1照明光)の像と第2均一照明系13Bにより形成された照明光(第2照明光)の像とをスリット22(スリット22に形成された開口)にリレーする。
(虹彩絞り21)
虹彩絞り21(具体的には、後述の開口)は、被検眼Eの虹彩共役位置Qに配置されるように構成される。虹彩絞り21には、光軸Oから離れた位置に2つの開口が形成されている。
図5に、虹彩絞り21の構成の概要を示す。図5は、光軸Oの方向からみたときの図1~図3の虹彩絞り21の構成例を模式的に表す。
虹彩絞り21には、第1開口21Aと、第2開口21Bとが形成される。第1開口21A、第2開口21Bは、光軸Oの位置を通りスリット22の長手方向に対応した方向にのびる直線に対して線対称に形成される。第1開口21A、第2開口21Bのそれぞれは、弓形(circular segment)形状(三日月(crescent)形状)である。弓形は、円又は楕円の劣弧と、この劣弧の弦とで囲まれた領域である。例えば、弓形形状の弦の方向は、スリット22に形成される開口の長手方向に対応した方向に略平行である。
虹彩絞り21に形成された開口は、被検眼Eの虹彩における照明光の入射位置(入射形状)を規定する。例えば、図5に示すように第1開口21A、及び第2開口21Bを形成することにより、光軸Oに被検眼Eの瞳孔中心が配置されたとき、瞳孔中心から偏心した位置(具体的には、瞳孔中心を中心とする点対称の位置)から照明光を眼内に入射させることが可能である。
図2では、虹彩絞り21には、第1開口21A、及び第2開口21Bが形成されているが、実施形態は、虹彩絞り21に形成される開口の数に限定されるものではない。例えば、虹彩絞り21には、単一の開口又は3以上の開口が形成されていてもよい。例えば、虹彩絞り21には、光軸Oを中心とする円弧状に略等角度間隔で3以上の開口が形成される。これにより、3以上の入射位置から眼内にほぼ均等に照明光を入射させることが可能になる。
(スリット22)
図1に示すように、スリット22(具体的には、後述の開口)は、照明絞り、照明スリット又は眼底スリットとして、被検眼Eの眼底共役位置に配置されるように構成される。例えば、スリット22には、後述するイメージセンサ51からローリングシャッター方式で読み出されるライン方向(ロウ方向)に対応した方向に開口(スリット状開口)が形成されている。この実施形態では、スリット22には、長手方向がX方向であり、短手方向がY方向となるように長方形状の開口が形成されている。スリット22に形成された開口は、被検眼Eの眼底Efにおける照明光の照射パターンを規定する。
スリット22は、移動機構(後述の移動機構22D)により照明光学系20の光軸方向に移動可能である。移動機構は、後述の制御部100からの制御を受け、スリット22を光軸方向に移動する。例えば、制御部100は、被検眼Eの状態に応じて移動機構を制御する。これにより、被検眼Eの状態(具体的には、屈折度数、眼底Efの形状)に応じてスリット22の位置を移動することができる。
いくつかの実施形態では、図1に示す光源10、コリメートレンズ11、分岐プリズム12、第1均一照明系13A、第2均一照明系13B、コンデンサアレイ14、リレーレンズ15、虹彩絞り21、リレーレンズ16、コンデンサレンズ17、及びスリット22が光学ユニットに収容される。この光学ユニットは、照明光学系20の光軸方向に移動されるように構成される。これにより、上記の光学素子を一体的に照明光学系20の光軸方向に移動される。この場合、移動機構(後述の移動機構22D)は、後述の制御部100からの制御を受け、上記の光学ユニットを光軸方向に移動する。例えば、制御部100は、被検眼Eの状態に応じて移動機構を制御する。これにより、被検眼Eの状態(具体的には、屈折度数、眼底Efの形状)に応じて光学ユニットに含まれるスリット22の位置を移動することができる。
いくつかの実施形態では、スリット22は、被検眼Eの状態に応じて、光軸方向に移動されることなく開口の位置及び形状の少なくとも1つが変更されるように構成される。このようなスリット22の機能は、例えば液晶シャッターにより実現される。
<Y方向の光学的な関係>
照明光学系20では、図2に示す光学的な関係により、照明光がY方向に屈折されて、スリット22に形成された開口に導かれる。
レンズアレイ131A、131B(レンズアレイを構成する各レンズ)の焦点距離をfl1とし、レンズアレイ132A、132Bの焦点距離をfl2とする。このとき、レンズアレイ132Aは、レンズアレイ131Aの後側焦点位置に配置される。レンズアレイ132Bは、レンズアレイ131Bの後側焦点位置に配置される。焦点距離fl1は、焦点距離fl2と等しいことが望ましい。
また、照明光学系20の光軸Oを基準として光源10からの出力光の指向角(半値角)をθとし、光軸Oに対して分岐プリズム12により分岐された照明光の向きがなす角度をθとし、光軸Oに対してレンズアレイ131A、131Bに入射する照明光の入射角をθfl1とする。このとき、レンズアレイ131A、131BのNAであるsinθfl1は、sin(θ+θ)以上である(sinθfl1≧sin(θ+θ))ことが望ましい。
また、コンデンサレンズ133A、133Bの焦点距離をfc1とし、コンデンサアレイ14を構成する各コンデンサレンズの焦点距離をfc2とする。このとき、コンデンサレンズ133Aの前側焦点位置にレンズアレイ132Aが配置され、コンデンサレンズ133Bの前側焦点位置にレンズアレイ132Bが配置される。更に、コンデンサレンズ133Aの後側焦点位置に眼底共役位置Pが配置され、コンデンサレンズ133Bの後側焦点位置に眼底共役位置Pが配置される。
また、コンデンサアレイ14を構成する各コンデンサレンズの前側焦点位置には眼底共役位置Pが配置され、後側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21B(虹彩共役位置Q)が配置される。
更に、コンデンサレンズ17の焦点距離をfcとすると、コンデンサレンズ17の前側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21Bが配置され、後側焦点位置にはスリット22の開口が配置される。
<X方向の光学的な関係>
照明光学系20では、図3に示す光学的な関係により、照明光がX方向に屈折されて、スリット22に形成された開口に導かれる。
上記のように、レンズアレイ132Aは、レンズアレイ131Aの後側焦点位置に配置される。レンズアレイ132Bは、レンズアレイ131Bの後側焦点位置に配置される。
また、シリンダレンズ134の焦点距離をfcyとする。このとき、シリンダレンズ134の前側焦点位置にレンズアレイ132Bが配置される。更に、シリンダレンズ134の後側焦点位置に眼底共役位置Pが配置される。
また、リレーレンズ15の焦点距離をfr1とする。このとき、リレーレンズ15の前側焦点位置には眼底共役位置Pが配置され、後側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21B(虹彩共役位置Q)が配置される。
更に、リレーレンズ16の焦点距離をfr2とすると、リレーレンズ16の前側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21Bが配置され、後側焦点位置にはスリット22の開口が配置される。
(リレーレンズ系RL1)
図1に示すように、光スキャナ30とスリット22との間にリレーレンズ系RL1が配置されている。リレーレンズ系RL1は、1以上のレンズを含む。リレーレンズ系RL1の後側焦点位置が、被検眼Eの虹彩共役位置に配置される。
後述のように、被検眼Eの虹彩共役位置に配置された光スキャナ30が、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置又はその近傍に配置される。従って、被検眼Eの状態(屈折度数)に応じてスリット22が光軸方向に移動された場合でも、被検眼Eの状態にかかわらず、眼底Efに投影されるスリット像(スリット22に形成された開口を通過した光により形成される像)の大きさは変化しない。これは、スリット22が光軸方向に移動しても、眼底Efへのスリット像の投影倍率が変化しないことを意味する。
すなわち、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置(又はその近傍)に光スキャナ30を配置することにより、リレーレンズ系RL1、リレーレンズ41、44、及び対物レンズ46でバーダル光学系が構成される(図1参照)。
それにより、被検眼Eの状態(屈折度数など)にかかわらず、被検眼Eの視軸に対するスリット像の投影画角(投影倍率)(スリット22の長手方向及び短手方向)を一定にすることができる。その結果、被検眼Eの状態にかかわらずスリット像の大きさが変化しないため、光スキャナ30の偏向動作速度を一定にすることが可能になり、光スキャナ30の制御を簡素化することができる。
また、被検眼Eの状態(屈折度数など)にかかわらず、被検眼Eの視軸に対するスリット像の投影画角(投影倍率)が一定であるため、眼底Efにおけるスリット像の照度を一定にすることができる。
更に、眼科装置においてあらかじめ決められた撮影画角で画像を取得する場合に、上記のように投影倍率が一定であるため、所定の大きさのスリット像を取得するために設けられたスリット22の長手方向の長さにマージンを設ける必要がなくなる。
以上のような構成を有する照明光学系20において、コリメートレンズ11は、光源10から出射した光を平行光に変換する。分岐プリズム12は、コリメートレンズ11により平行光に変換された光を2つの照明光(第1照明光、第2照明光)に分岐する。2つの照明光の一方は第1均一照明系13Aに入射し、他方は第2均一照明系13Bに入射する。
第1均一照明系13Aにおいて、レンズアレイ131Aを構成する複数のレンズには、分岐プリズム12により分岐された照明光(第1照明光)が入射する。複数のレンズのそれぞれが、入射した照明光を屈折させてレンズアレイ132Aを構成する複数のレンズに導き、仮想的な2以上の照明光として屈折光を出射させる。レンズアレイ132Aを構成する複数のレンズから出射する複数の出射光は、互いに放射分布強度分布(光量分布)が異なる。レンズアレイ132Aからの出射光は、コンデンサレンズ133AによりY方向に集光し、シリンダレンズ134によりX方向に集光することで、互いに放射分布強度分布が異なる光が空間的に混合してX方向及びY方向に均一な光量分布を有する照明光として眼底共役位置Pに導かれる。
同様に、第2均一照明系13Bにおいて、レンズアレイ131Bを構成する複数のレンズには、分岐プリズム12により分岐された照明光(第2照明光)が入射する。複数のレンズのそれぞれが、入射した照明光を屈折させてレンズアレイ132Bを構成する複数のレンズに導き、仮想的な2以上の照明光として屈折光を出射させる。レンズアレイ132Bを構成する複数のレンズから出射する複数の出射光は、互いに放射分布強度分布が異なる。レンズアレイ132Bからの出射光は、コンデンサレンズ133BによりY方向に集光し、シリンダレンズ134によりX方向に集光することで、互いに放射分布強度分布が異なる光が空間的に混合してX方向及びY方向に均一な光量分布を有する照明光として眼底共役位置Pに導かれる。
コンデンサアレイ14を構成する2つのコンデンサレンズの一方は、第1均一照明系13Aにより形成された照明光を、虹彩絞り21に形成された第1開口21Aを通過するようにY方向に集光する。コンデンサアレイ14を構成する2つのコンデンサレンズの他方は、第2均一照明系13Bにより形成された照明光を、虹彩絞り21に形成された第2開口21Bを通過するようにY方向に集光する。リレーレンズ15は、コンデンサアレイ14を通過した照明光を、虹彩絞り21に形成された第1開口21A、第2開口21Bを通過するようにX方向に集光する。
リレーレンズ16は、虹彩絞り21に形成された第1開口21A、第2開口21Bを通過した照明光をX方向に屈折する。コンデンサレンズ17は、虹彩絞り21に形成された開口を通過した照明光をY方向に屈折してスリット22に形成された開口に集光する。
例えば、Y方向に光量分布w3を有し、X方向に光量分布w4を有する照明光が、スリット22に形成された開口に導かれる。いくつかの実施形態では、光量分布w4は光量分布w3と略等しい。
以上のように、スリット22に導かれた照明光は、スリット22に形成された開口を通過することによりスリット状の照明光として出力される。スリット状の照明光は、リレーレンズ系RL1を透過して、光スキャナ30に導かれる。
(光スキャナ30)
光スキャナ30は、被検眼Eの虹彩共役位置に配置される。光スキャナ30は、リレーレンズ系RL1を透過するスリット状の照明光(スリット22に形成された開口を通過したスリット状の光)を偏向する。具体的には、光スキャナ30は、被検眼Eの虹彩又はその近傍をスキャン中心位置として所定の偏向角度範囲内で偏向角度を変更しつつ、眼底Efの所定の照明範囲を順次に照明するためのスリット状の照明光を偏向し、投影光学系35に導く。光スキャナ30は、照明光を1次元的又は2次元的に偏向することが可能である。
1次元的に偏向する場合、光スキャナ30は、所定の偏向方向を基準に所定の偏向角度範囲で照明光を偏向するガルバノスキャナを含む。2次元的に偏向する場合、光スキャナ30は、第1ガルバノスキャナと、第2ガルバノスキャナとを含む。第1ガルバノスキャナは、照明光学系20の光軸に直交する水平方向に照明光の照射位置を移動するように照明光を偏向する。第2ガルバノスキャナは、照明光学系20の光軸に直交する垂直方向に照明光の照射位置を移動するように、第1ガルバノスキャナにより偏向された照明光を偏向する。光スキャナ30による照明光の照射位置を移動するスキャン態様としては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。
(投影光学系35)
投影光学系35は、光スキャナ30により偏向された照明光を被検眼Eの眼底Efに導く。実施形態では、投影光学系35は、後述の光路結合部材としての穴鏡45により撮影光学系40の光路と結合された光路を介して、光スキャナ30により偏向された照明光を眼底Efに導く。
投影光学系35は、リレーレンズ41、黒点板42、反射ミラー43、リレーレンズ44を含む。リレーレンズ41、44のそれぞれは、1以上のレンズを含む。
(黒点板42)
黒点板42は、対物レンズ46のレンズ表面又はその近傍と光学的に略共役な位置に配置される。これにより、対物レンズ46のレンズ表面からの反射光が光源10に導光されることを防ぐことができる。
このような投影光学系35では、光スキャナ30により偏向された照明光は、リレーレンズ41を透過し、黒点板42を通過し、反射ミラー43によりリレーレンズ44に向けて反射され、リレーレンズ44を透過し、穴鏡45に導かれる。
(撮影光学系40)
撮影光学系40は、投影光学系35を導かれてきた照明光を被検眼Eの眼底Efに導くと共に、眼底Efからの戻り光を撮像装置50に導く。
撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光の光路と、眼底Efからの戻り光の光路とが空間的に結合される。これらの光路を結合する光路結合部材として穴鏡45を用いることで、照明光とその戻り光とを瞳分割することが可能である。
撮影光学系40は、穴鏡45、対物レンズ46、合焦レンズ47、リレーレンズ48、及び結像レンズ49を含む。リレーレンズ48は、1以上のレンズを含む。
(穴鏡45)
穴鏡45には、撮影光学系40の光軸O1に配置される孔部が形成される。穴鏡45は、孔部が被検眼Eの虹彩共役位置に配置されるように構成される。穴鏡45は、孔部の周辺領域において、投影光学系35からの照明光を対物レンズ46に向けて反射する。このような穴鏡45は、撮影絞りとして機能する。
また、穴鏡45は、スリット22を通過した照明光の光路と眼底Efからの戻り光の光路とを空間的に結合(分離)する光路結合部材(光路分離部材)として機能する。
図6に、虹彩共役位置Qにおいて光軸に交差する平面上に形成される像を模式的に示す。図6は、例えば、虹彩共役位置Qに配置される穴鏡45の反射面において形成される像を模式的に表す。
光軸O1が通過するように配置される穴鏡45の孔部には、受光開口としての撮影開口SAが形成される。撮影開口SAには、被検眼Eからの戻り光が通過する。穴鏡45の孔部の周辺領域には、照明開口として、虹彩絞り21の第1開口21Aの像IA1と第2開口21Bの像IA2とが形成される。
すなわち、穴鏡45は、照明光学系20(投影光学系35)の光路と孔部を通過する光軸の方向に配置された撮影光学系40の光路とを空間的に結合すると共に、孔部の周辺領域において反射された照明光を眼底Efに導くように構成される。
(合焦レンズ47)
合焦レンズ47は、図示しない移動機構により撮影光学系40の光軸方向に移動可能である。移動機構は、後述の制御部100からの制御を受け、合焦レンズ47を光軸方向に移動する。これにより、被検眼Eの状態に応じて、穴鏡45の孔部を通過した被検眼Eからの戻り光を撮像装置50のイメージセンサ51の受光面に結像させることができる。
このような撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光は、穴鏡45に形成された孔部の周辺領域において対物レンズ46に向けて反射される。穴鏡45の周辺領域において反射された照明光は、対物レンズ46により屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efを照明する。
眼底Efからの戻り光は、対物レンズ46により屈折され、穴鏡45の孔部を通過し、合焦レンズ47を透過し、リレーレンズ48を透過し、結像レンズ49により撮像装置50のイメージセンサ51の受光面に結像される。
(撮像装置50)
撮像装置50は、撮影光学系40を通じて被検眼Eの眼底Efから導かれてきた戻り光を受光するイメージセンサ51を含む。撮像装置50は、後述の制御部100からの制御を受け、戻り光の受光結果の読み出し制御を行うことが可能である。
(イメージセンサ51)
イメージセンサ51は、ピクセル化された受光器としての機能を実現する。イメージセンサ51の受光面(検出面、撮像面)は、眼底Efと光学的に略共役な位置に配置可能である。
イメージセンサ51による受光結果は、後述の制御部100からの制御を受け、ローリングシャッター方式により読み出される。
このようなイメージセンサ51は、CMOSイメージセンサを含む。この場合、イメージセンサ51は、ロウ方向に配列された複数のピクセル(受光素子)群がカラム方向に配列された複数のピクセルを含む。具体的には、イメージセンサ51は、2次元的に配列された複数のピクセルと、複数の垂直信号線と、水平信号線とを含む。各ピクセルは、フォトダイオード(受光素子)と、キャパシタとを含む。複数の垂直信号線は、ロウ方向(水平方向)に直交するカラム方向(垂直方向)のピクセル群毎に設けられる。各垂直信号線は、受光結果に対応した電荷が蓄積されたピクセル群と選択的に電気的に接続される。水平信号線は、複数の垂直信号線と選択的に電気的に接続される。各ピクセルは、戻り光の受光結果に対応した電荷を蓄積し、蓄積された電荷は、例えばロウ方向のピクセル群毎に順次読み出される。例えば、ロウ方向のライン毎に、各ピクセルに蓄積された電荷に対応した電圧が垂直信号線に供給される。複数の垂直信号線は、選択的に水平信号線と電気的に接続される。垂直方向に順次に上記のロウ方向のライン毎の読み出し動作を行うことで、2次元的に配列された複数のピクセルの受光結果を読み出すことが可能である。
このようなイメージセンサ51に対してローリングシャッター方式で戻り光の受光結果を取り込む(読み出す)ことにより、ロウ方向に延びる所望の仮想的な開口形状に対応した受光像が取得される。このような制御については、例えば、米国特許第8237835号明細書等に開示されている。
図7に、実施形態に係る眼科装置1の動作説明図を示す。図7は、眼底Efに照射されるスリット状の照明光の照射範囲IPと、イメージセンサ51の受光面SRにおける仮想的な開口範囲OPとを模式的に表す。
例えば、後述の制御部100は、照明光学系20により形成されたスリット状の照明光を光スキャナ30を用いて偏向する。それにより、眼底Efにおいて、スリット状の照明光の照射範囲IPがスリット方向(例えば、ロウ方向、水平方向)と直交する方向(例えば、垂直方向)に順次に移動される。
イメージセンサ51の受光面SRでは、後述の制御部100によって読み出し対象のピクセルをライン単位で変更することによって、仮想的な開口範囲OPが設定される。開口範囲OPは、受光面SRにおける戻り光の受光範囲IP´又は受光範囲IP´より広い範囲であることが望ましい。後述の制御部100は、照明光の照射範囲IPの移動制御に同期して、開口範囲OPの移動制御を実行する。それにより、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成で、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することが可能である。
図8及び図9に、イメージセンサ51に対するローリングシャッター方式の制御タイミングの一例を模式的に示す。図8は、イメージセンサ51に対する読み出し制御のタイミングの一例を表す。図9は、照明光の照射範囲IP(受光範囲IP´)の移動制御タイミングを図8の読み出し制御タイミングに重畳させて表したものである。図8及び図9において、横軸はイメージセンサ51のロウ数、縦軸は時間を表す。
なお、図8及び図9では、説明の便宜上、イメージセンサ51のロウ数が1920であるものとして説明するが、実施形態に係る構成はロウ数に限定されるものではない。また、図9において、説明の便宜上、スリット状の照明光のスリット幅(ロウ方向の幅)が40ロウ分であるものとする。
ロウ方向の読み出し制御は、リセット制御と、露光制御と、電荷転送制御と、出力制御とを含む。リセット制御は、ロウ方向のピクセルに蓄積されている電荷の蓄積量を初期化する制御である。露光制御は、フォトダイオードに光を当てて、受光量に対応した電荷をキャパシタに蓄積させる制御である。電荷転送制御は、ピクセルに蓄積された電荷量を垂直信号線に転送する制御である。出力制御は、複数の垂直信号線に蓄積された電荷量を水平信号線を介して出力する制御である。すなわち、図8に示すように、ロウ方向のピクセルに蓄積された電荷量の読み出し時間Tは、リセット制御に要する時間Tr、露光制御に要する時間(露光時間)Te、電荷転送制御に要する時間Tc、出力制御に要する時間Toutの和である。
図8では、ロウ単位で読み出し開始タイミング(時間Tcの開始タイミング)をシフトさせることで、イメージセンサ51における所望の範囲のピクセルに蓄積された受光結果(電荷量)が取得される。例えば、図8に示すピクセル範囲が1フレーム分の画像である場合、フレームレートFRが一意に決まる。
この実施形態では、複数のロウ数分のスリット幅を有する照明光の眼底Efにおける照射位置を、眼底Efにおいてカラム方向に対応する方向に順次にシフトさせる。
例えば、図9に示すように、所定のシフト時間Δt毎に、照明光の眼底Efにおける照射位置をカラム方向に対応する方向にロウ単位でシフトさせる。シフト時間Δtは、イメージセンサ51におけるピクセルの露光時間Teを照明光のスリット幅(例えば、40)で分割することにより得られる(Δt=Te/40)。この照射位置の移動タイミングに同期させて、シフト時間Δt単位でロウ毎にピクセルの各ロウの読み出し開始タイミングを遅延させて開始させる。これにより、簡素な制御で、且つ、短時間に、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態では、イメージセンサ51は、1以上のラインセンサにより構成される。
スリット22は、実施形態に係る「照明絞り」の一例である。穴鏡45は、実施形態に係る「光路結合部材」の一例である。分岐プリズム12は、実施形態に係る「分岐部材」の一例である。レンズアレイ131A、132A、及び、レンズアレイ131B、132Bは、実施形態に係る「光学部材」の一例である。
[制御系の構成]
図10に、実施形態に係る眼科装置1の制御系(処理系)の構成例のブロック図を示す。
眼科装置1の制御系は、制御部100を中心に構成されている。なお、制御系の構成の少なくとも一部が眼科装置1に含まれていてもよい。
(制御部100)
制御部100は、眼科装置1の各部を制御する。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。主制御部101は、プロセッサを含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従って処理を実行することで、眼科装置1の各部の制御処理を実行する。
(主制御部101)
主制御部101は、照明光学系20の制御、光スキャナ30の制御、撮影光学系40の制御、撮像装置50の制御、及びデータ処理部200の制御を行う。
照明光学系20の制御には、光源10の制御、移動機構22Dの制御が含まれる。光源10の制御には、光源の点灯や消灯(又は光の波長領域)の切り換え、光源の光量の変更制御が含まれる。移動機構22Dは、スリット22(又は、上記の光学ユニット)を照明光学系20の光軸方向に移動する。主制御部101は、被検眼Eの状態に応じて移動機構22Dを制御することにより、被検眼Eの状態に対応した位置にスリット22を配置する。被検眼Eの状態として、眼底Efの形状、屈折度数、眼軸長などがある。屈折度数は、例えば、特開昭61-293430号公報又は特開2010-259495号公報に開示されているような公知の眼屈折力測定装置から取得可能である。眼軸長は、公知の眼軸長測定装置、又は光干渉断層計の測定値から取得可能である。
例えば、屈折度数に対して照明光学系20の光軸におけるスリット22の位置があらかじめ関連付けられた第1制御情報が記憶部102に記憶されている。主制御部101は、第1制御情報を参照して屈折度数に対応したスリット22の位置を特定し、特定された位置にスリット22が配置されるように移動機構22Dを制御する。
いくつかの実施形態では、スリット22の移動に伴い、スリット22に形成された開口を通過する光の光量分布の変化に対応して、主制御部101は、光源10の位置及び向きを変更する。
光スキャナ30の制御には、スキャン範囲(スキャン開始位置及びスキャン終了位置)及びスキャン速度の制御が含まれる。
撮影光学系40の制御には、移動機構47Dの制御が含まれる。移動機構47Dは、合焦レンズ47を撮影光学系40の光軸方向に移動する。主制御部101は、イメージセンサ51を用いて取得された画像の解析結果に基づいて移動機構47Dを制御することが可能である。また、主制御部101は、後述の操作部110を用いたユーザの操作内容に基づいて移動機構47Dを制御することが可能である。
撮像装置50の制御には、イメージセンサ51の制御(ローリングシャッター制御)が含まれる。イメージセンサ51の制御には、リセット制御、露光制御、電荷転送制御、出力制御などが含まれる。また、リセット制御に要する時間Tr、露光制御に要する時間(露光時間)Te、電荷転送制御に要する時間Tc、出力制御に要する時間Tout等を変更することが可能である。
データ処理部200の制御には、イメージセンサ51から取得された受光結果に対する各種の画像処理や解析処理が含まれる。画像処理には、受光結果に対するノイズ除去処理、受光結果に基づく受光像に描出された所定の部位を識別しやすくするための輝度補正処理がある。解析処理には、合焦状態の特定処理などがある。
データ処理部200は、主制御部101(制御部100)からの制御を受けてローリングシャッター方式によりイメージセンサ51から読み出された受光結果に基づいて、任意の開口範囲に対応した受光像を形成することが可能である。データ処理部200は、開口範囲に対応した受光像を順次に形成し、形成された複数の受光像から被検眼Eの画像を形成することが可能である。
データ処理部200は、プロセッサを含み、記憶部等に記憶されたプログラムに従って処理を行うことで、上記の機能を実現する。
(記憶部102)
記憶部102は、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。コンピュータプログラムには、眼科装置1を制御するための演算プログラムや制御プログラムが含まれる。
(操作部110)
操作部110は、操作デバイス又は入力デバイスを含む。操作部110には、眼科装置1に設けられたボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル、操作ノブ等)や、操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作部110は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
(表示部120)
表示部120は、データ処理部200により生成された被検眼Eの画像を表示させる。表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスを含んで構成される。また、表示部120は、眼科装置1の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、操作部110と表示部120は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部110は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部110に対する操作内容は、電気信号として制御部100に入力される。また、表示部120に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部110とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、表示部120及び操作部110の機能は、タッチスクリーンにより実現される。
(その他の構成)
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、更に、固視投影系を含む。例えば、固視投影系の光路は、図1に示す光学系の構成において、撮影光学系40の光路に結合される。固視投影系は、内部固視標又は外部固視標を被検眼Eに提示することが可能である。内部固視標を被検眼Eに提示する場合、固視投影系は、制御部100からの制御を受けて内部固視標を表示するLCDを含み、LCDから出力された固視光束を被検眼Eの眼底に投影する。LCDは、その画面上における固視標の表示位置を変更可能に構成されている。LCDにおける固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの眼底における固視標の投影位置を変更することが可能である。LCDにおける固視標の表示位置は、操作部110を用いることによりユーザが指定可能である。
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、アライメント系を含む。いくつかの実施形態では、アライメント系は、XYアライメント系と、Zアライメント系とを含む。XYアライメント系は、装置光学系(対物レンズ46)の光軸に交差する方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。Zアライメント系は、眼科装置1(対物レンズ46)の光軸の方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。
例えば、XYアライメント系は、被検眼Eに輝点(赤外領域又は近赤外領域の輝点)を投影する。データ処理部200は、輝点が投影された被検眼Eの前眼部画像を取得し、取得された前眼部画像に描出された輝点像とアライメント基準位置との変位を求める。制御部100は、求められた変位がキャンセルされるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向と交差する方向に相対的に移動させる。
例えば、Zアライメント系は、装置光学系の光軸から外れた位置から赤外領域又は近赤外領域のアライメント光を投影し、被検眼Eの前眼部で反射されたアライメント光を受光する。データ処理部200は、装置光学系に対する被検眼Eの距離に応じて変化するアライメント光の受光位置から、装置光学系に対する被検眼Eの距離を特定する。制御部100は、特定された距離が所望の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向に相対的に移動させる。
いくつかの実施形態では、アライメント系の機能は、装置光学系の光軸から外れた位置に配置された2以上の前眼部カメラにより実現される。例えば、特開2013-248376号公報に開示されているように、データ処理部200は、2以上の前眼部カメラで実質的に同時に取得された被検眼Eの前眼部画像を解析して、公知の三角法を用いて被検眼Eの3次元位置を特定する。制御部100は、装置光学系の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、かつ、被検眼Eに対する装置光学系の距離が所定の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを3次元的に相対的に移動させる。
[動作]
次に、眼科装置1の動作例について説明する。
図11に、実施形態に係る眼科装置1の動作例のフロー図を示す。記憶部102には、図11に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部101は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図11に示す処理を実行する。
ここでは、図示しないアライメント系により被検眼Eに対して装置光学系のアライメントが完了し、図示しない固視投影系により所望の固視位置に導くように被検眼Eの眼底に対して固視標が投影されているものとする。
(S1:屈折度数を取得)
まず、主制御部101は、外部の眼科測定装置又は電子カルテから被検眼Eの屈折度数を取得する。
例えば、主制御部101は、図示しない通信部を介して外部の眼科測定装置又は電子カルテから被検眼Eの屈折度数を取得する。
(S2:スリットの位置を変更)
次に、主制御部101は、ステップS1において取得された被検眼Eの屈折度数に応じて、照明光学系20の光軸におけるスリット22の位置を変更する。
具体的には、主制御部101は、記憶部102に記憶された第1制御情報を参照して屈折度数に対応したスリット22の位置を特定し、特定された位置にスリット22が配置されるように移動機構22Dを制御する。
(S3:照明光を照射)
次に、主制御部101は、照明光学系20によりスリット状の照明光を生成させ、光スキャナ30の偏向制御を開始させることにより、眼底Efにおける所望の照射範囲に対する照明光の照射を開始させる。照明光の照射が開始されると、上記のように、スリット状の照明光が所望の照射範囲内で順次に照射される。
(S4:受光結果を取得)
主制御部101は、上記のように、ステップS3において実行された眼底Efにおける照明光の照射範囲に対応したイメージセンサ51の開口範囲におけるピクセルの受光結果を取得する。
(S5:次の照射位置?)
主制御部101は、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定する。主制御部101は、順次に移動される照明光の照射範囲があらかじめ決められた眼底Efの撮影範囲を網羅したか否かを判定することにより、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定することが可能である。
次に照明光で照射すべき照射位置があると判定されたとき(S5:Y)、眼科装置1の動作はステップS3に移行する。次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S5:N)、眼科装置1の動作はステップS6に移行する。
(S6:画像を形成)
ステップS5において、次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S5:N)、主制御部101は、ステップS4において照明光の照射範囲を変更しつつ繰り返し取得された受光結果から被検眼Eの画像をデータ処理部200に形成させる。
例えば、データ処理部200は、ステップS3~ステップS5の処理の繰返し回数分の互いに照明光の照射範囲(イメージセンサ51の受光面SRにおける開口範囲)が異なる複数の受光結果を照射範囲の移動順序に基づいて合成する。それにより、眼底Efの1フレーム分の眼底画像が形成される。
いくつかの実施形態では、ステップS3では、隣接する照射範囲との重複領域が設けられるように設定された照射範囲に照明光が照射される。それにより、ステップS6では、互いの重複領域が重なるように画像を合成することで1フレーム分の眼底画像が形成される。
以上で、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
<変形例>
実施形態に係る眼科装置の構成は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、第1均一照明系13A、及び第2均一照明系13Bの少なくとも1つは、レンズアレイを用いて仮想的な2以上の照明光を生成することなく、出射端から均一の光量分布を有する光を出射するように構成された均一照明ユニットを含んでもよい。
均一照明ユニットは、非球面レンズを含むレンズ系、テーパー状の導光部材、円柱形状の導光部材、又は、多角柱形状の導光部材を含むホモジナイジングオプティクスを含む。以下、実施形態に係る均一照明ユニットは、多角柱形状の導光部材としてのロッドホモジナイザを含むものとする。
以下、実施形態の変形例に係る眼科装置の構成について、実施形態に係る眼科装置1の構成との相違点を中心に説明する。
図12、及び図13に、実施形態の変形例に係る眼科装置の照明光学系の構成例を示す。図12は、YZ平面における実施形態の変形例に係る照明光学系20の光学系の構成を模式的に表したものである。図13は、XZ平面における実施形態の変形例に係る照明光学系20の光学系の構成を模式的に表したものである。図12及び図13において、図2又は図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態の変形例に係る照明光学系20の構成が実施形態に係る照明光学系20の構成と異なる点は、第1均一照明系13Aと第2均一照明系13Bである。
第1均一照明系13Aは、コンデンサレンズ135Aと、ロッドホモジナイザ136Aとを含み、実施形態と同様に、入射した照明光(第1照明光)の光量分布を均一化して眼底共役位置に照明光の像を形成する。
図12及び図13に示すように、コンデンサレンズ135Aは、分岐プリズム12により分岐された照明光(第1照明光)を屈折させ、ロッドホモジナイザ136Aの入射端に集光させる。
ロッドホモジナイザ136Aは、入射端に入射した照明光を空間的に混合して均一化された光量分布w4aを有する出射光を出射し、眼底共役位置Pに照明光の像を形成する。
第2均一照明系13Bは、コンデンサレンズ135Bと、ロッドホモジナイザ136Bとを含み、実施形態と同様に、入射した照明光(第2照明光)の光量分布を均一化して眼底共役位置に照明光の像を形成する。
図12及び図13に示すように、コンデンサレンズ135Bは、分岐プリズム12により分岐された照明光(第2照明光)を屈折させ、ロッドホモジナイザ136Bの入射端に集光させる。
ロッドホモジナイザ136Bは、入射端に入射した照明光を空間的に混合して均一化された光量分布w4bを有する出射光を出射し、眼底共役位置Pに照明光の像を形成する。
コンデンサレンズ135A、135BをY方向にアレイ化することで一体的に形成することが可能である。
<Y方向の光学的な関係>
本変形例に係る照明光学系20では、図12に示す光学的な関係により、照明光がY方向に屈折されて、スリット22に形成された開口に導かれる。
コンデンサレンズ135A、135Bの焦点距離をfc3とすると、コンデンサレンズ135Aの後側焦点位置にロッドホモジナイザ136Aの入射端が配置される。ロッドホモジナイザ136Aの出射端は、眼底共役位置Pに配置される。また、コンデンサレンズ135Bの後側焦点位置にロッドホモジナイザ136Bの入射端が配置される。ロッドホモジナイザ136Bの出射端は、眼底共役位置Pに配置される。
また、照明光学系20の光軸Oを基準として光源10からの出力光の指向角(半値角)をθとし、光軸Oに対して分岐プリズム12により分岐された照明光の向きがなす角度をθとし、光軸Oに対してコンデンサレンズ135A、135Bに入射する照明光の入射角をθfcとする。このとき、コンデンサレンズ135A、135BのNAであるsinθfcは、sin(θ+θ)以上である(sinθfc≧sin(θ+θ))ことが望ましい。
また、コンデンサアレイ14を構成する各コンデンサレンズの焦点距離をfc4とする。このとき、コンデンサアレイ14を構成する各コンデンサレンズの前側焦点位置にはロッドホモジナイザ136A、136Bの出射端(眼底共役位置P)が配置され、後側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21B(虹彩共役位置Q)が配置される。
更に、コンデンサレンズ17の焦点距離をfc′とすると、コンデンサレンズ17の前側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21Bが配置され、後側焦点位置にはスリット22の開口が配置される。
<X方向の光学的な関係例>
また、本変形例に係る照明光学系20では、図13に示す光学的な関係により、照明光がX方向に屈折されて、スリット22に形成された開口に導かれる。
リレーレンズ15の焦点距離をfr1とする。このとき、リレーレンズ15の前側焦点位置にはロッドホモジナイザ136A、136Bの出射端(眼底共役位置P)が配置され、後側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21B(虹彩共役位置Q)が配置される。
更に、リレーレンズ16の焦点距離をfr2とすると、リレーレンズ16の前側焦点位置には虹彩絞り21の第1開口21A、第2開口21Bが配置され、後側焦点位置にはスリット22の開口が配置される。
上記のような構成を有する照明光学系20において、コリメートレンズ11は、光源10から出射した光を平行光に変換する。分岐プリズム12は、コリメートレンズ11により平行光に変換された光を2つの照明光(第1照明光、第2照明光)に分岐する。2つの照明光の一方は第1均一照明系13Aに入射し、他方は第2均一照明系13Bに入射する。
第1均一照明系13Aにおいて、コンデンサレンズ135Aには、分岐プリズム12により分岐された照明光(第1照明光)が入射する。コンデンサレンズ135Aは、入射した照明光をロッドホモジナイザ136Aの入射端に集光する。ロッドホモジナイザ136Aは、入射した照明光を空間的に混合して均一な光量分布w4aを有する出射光を、眼底共役位置Pに配置された出射端から出射する。
同様に、第2均一照明系13Bにおいて、コンデンサレンズ135Bには、分岐プリズム12により分岐された照明光(第2照明光)が入射する。コンデンサレンズ135Bは、入射した照明光をロッドホモジナイザ136Bの入射端に集光する。ロッドホモジナイザ136Bは、入射した照明光を空間的に混合して均一な光量分布w4bを有する出射光を、眼底共役位置Pに配置された出射端から出射する。
コンデンサアレイ14を構成する2つのコンデンサレンズの一方は、第1均一照明系13Aにより形成された照明光を、虹彩絞り21に形成された第1開口21Aを通過するようにY方向に集光する。コンデンサアレイ14を構成する2つのコンデンサレンズの他方は、第2均一照明系13Bにより形成された照明光を、虹彩絞り21に形成された第2開口21Bを通過するようにY方向に集光する。リレーレンズ15は、コンデンサアレイ14を通過した照明光を、虹彩絞り21に形成された第1開口21A、第2開口21Bを通過するようにX方向に集光する。
リレーレンズ16は、虹彩絞り21に形成された第1開口21A、第2開口21Bを通過した照明光をX方向に屈折する。コンデンサレンズ17は、リレーレンズ16を通過した照明光をY方向に屈折してスリット22に形成された開口に集光する。
例えば、Y方向に光量分布w3を有し、X方向に光量分布w4を有する照明光が、スリット22に形成された開口に導かれる。いくつかの実施形態では、光量分布w4は光量分布w3と略等しい。
以上のように、スリット22に導かれた照明光は、スリット22に形成された開口を通過することによりスリット状の照明光として出力される。スリット状の照明光は、リレーレンズ系RL1を透過して、光スキャナ30に導かれる。
ロッドホモジナイザ136A、136Bは、実施形態に係る「均一照明ユニット」の一例である。
[作用]
実施形態に係る眼科装置について説明する。
いくつかの実施形態の第1態様は、照明光学系(20)と、受光光学系(撮影光学系40)と、光路結合部材(穴鏡45)とを含む眼科装置(1)である。照明光学系は、虹彩絞り(21)と、照明絞り(スリット22)とを含み、光源(10)からの光で被検眼を照明する。虹彩絞りは、被検眼(E)の虹彩と光学的に略共役な虹彩共役位置(Q)に配置され、2つの開口(第1開口21A、第2開口21B)が形成されている。照明絞りは、被検眼の眼底(Ef)と光学的に略共役な眼底共役位置(P)に配置される。受光光学系は、被検眼からの戻り光を撮像素子(イメージセンサ51)に導く。光路結合部材は、虹彩共役位置における平面において戻り光が通過する受光開口(撮影開口SA)の周囲に2つの開口の像(IA1、IA2)が配置されるように照明光学系の光路と受光光学系の光路とを空間的に結合する。照明光学系は、分岐部材(分岐プリズム12)と、第1均一照明系(13A)と、第2均一照明系(13B)と、リレー光学系(コンデンサアレイ14、及びコンデンサレンズ17)とを含み、照明絞りを通過した光で被検眼を照明する。分岐部材は、光源からの光を第1照明光と第2照明光とに分岐する。第1均一照明系は、第1照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第1照明光の像を形成する。第2均一照明系は、第2照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に第2照明光の像を形成する。リレー光学系は、第1照明光の像と第2照明光の像とを照明絞りにリレーする。
このような態様によれば、照明均一性を確保しつつ、照明絞りのサイズ(照明開口のサイズ)を大きくすることが可能になる。従って、高輝度の光源を用いることなく、照明開口のサイズを大きくして観察部位におけるNAを上げ、より鮮明な観察部位の観察が可能になる。
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、上記の平面において受光開口と2つの開口とが第1方向(Y方向)に配列される場合に、第1均一照明系及び第2均一照明系のそれぞれは、光学部材(レンズアレイ131A、132A、又は、レンズアレイ131B、132B)と、コンデンサレンズ(コンデンサレンズ133A、又は、コンデンサレンズ133B)とを含む。光学部材は、分岐部材により分岐された照明光に基づいて仮想的な2以上の照明光を生成する。コンデンサレンズは、光学部材により形成された2以上の照明光を第1方向に集光する。
このような態様によれば、光学部材により照明光の光量分布を均一化することができるため、高輝度の光源を用いることなく、簡素な構成で、より鮮明な観察部位の観察が可能になる。
いくつかの実施形態の第3態様では、第2態様において、光学部材は、照明光の光軸に対して交差する2次元方向に複数のレンズが配列されたレンズアレイ(131A、132A、131B、132B)を含む。
このような態様によれば、装置の小型に寄与し、光学素子を高精度に配置させることが可能になる。
いくつかの実施形態の第4態様では、第2態様又は第3態様において、第1均一照明系におけるコンデンサレンズ(133A)と、第2均一照明系におけるコンデンサレンズ(133B)とが一体的に形成されている。
このような態様によれば、装置の小型に寄与し、光学素子を高精度に配置させることが可能になる。
いくつかの実施形態の第5態様では、第2態様又は第3態様において、リレー光学系は、虹彩絞りに形成された第1開口(21A)に集光するように第1照明光を少なくとも第1方向に集光するコンデンサレンズ(コンデンサアレイ14を構成するコンデンサレンズ)と、虹彩絞りに形成された第2開口(21B)に集光するように第2照明光を少なくとも第1方向に集光するコンデンサレンズ(コンデンサアレイ14を構成するコンデンサレンズ)と、第1開口を通過した第1照明光と第2開口を通過した第2照明光とを照明絞りに形成された開口に集光するコンデンサレンズ(17)と、を含む。
このような態様によれば、簡素な構成で、第1方向に照明光を集光して照明光の光量分布を均一化することが可能になる。
いくつかの実施形態の第6態様では、第5態様において、第1照明光を第1開口に集光するコンデンサレンズ(コンデンサアレイ14を構成するコンデンサレンズ)と第2照明光を第2開口に集光するコンデンサレンズ(コンデンサアレイ14を構成するコンデンサレンズ)とが一体的に形成されている。
このような態様によれば、装置の小型に寄与し、光学素子を高精度に配置させることが可能になる。
いくつかの実施形態の第7態様は、第2態様又は第3態様において、光学部材により形成された2以上の照明光を照明光学系の光軸及び第1方向に直交する第2方向(X方向)に集光するシリンダレンズ(134)を含む。
このような態様によれば、簡素な構成で、第2方向に照明光を集光して照明光の光量分布を均一化することが可能になる。
いくつかの実施形態の第8態様では、第1態様において、第1均一照明系及び第2均一照明系のそれぞれは、均一照明ユニット(ロッドホモジナイザ136A又はロッドホモジナイザ136B)と、コンデンサレンズ(コンデンサレンズ135A又はコンデンサレンズ135Bとを含む。均一照明ユニットは、出射端から均一な光量分布を有する光を出射するように構成される。コンデンサレンズは、分岐部材により分岐された照明光を均一照明ユニットの入射端に集光する。
このような態様によれば、均一照明ユニットを用いて照明均一性を確保しつつ、照明絞りのサイズ(照明開口のサイズ)を大きくすることが可能になる。従って、高輝度の光源を用いることなく、照明開口のサイズを大きくして観察部位におけるNAを上げ、より鮮明な観察部位の観察が可能になる。
いくつかの実施形態の第9態様では、第8態様において、均一照明ユニットは、非球面レンズを含むレンズ系、テーパー状の導光部材、円柱形状の導光部材、又は、多角柱形状の導光部材を含むホモジナイジングオプティクスを含む。
このような態様によれば、簡素な構成で、均一照明ユニットを用いて照明均一性を確保しつつ、より鮮明な観察部位の観察が可能になる。
いくつかの実施形態の第10態様では、第9態様において、第1均一照明系におけるコンデンサレンズ(135A)と、第2均一照明系におけるコンデンサレンズ(135B)とが一体的に形成されている。
このような態様によれば、装置の小型に寄与し、光学素子を高精度に配置させることが可能になる。
いくつかの実施形態の第11態様では、第1態様~第3態様、第8態様~第9態様のいずれかにおいて、虹彩絞りには、光軸を中心に弓形形状を有する2つの開口が形成されている。
このような態様によれば、瞳分割方式を実現しつつ、虹彩絞りに形成される開口のサイズを大きくして、被検眼の観察部位を照明する照明光の光量を大きくすることが可能になる。
以上に示された実施形態又はその変形例は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
上記の実施形態において、眼科装置は、例えば、眼軸長測定機能、眼圧測定機能、光干渉断層撮影(OCT)機能、超音波検査機能など、眼科分野において使用可能な任意の機能を有していてもよい。なお、眼軸長測定機能は、光干渉断層計等により実現される。また、眼軸長測定機能は、被検眼に光を投影し、当該被検眼に対する光学系のZ方向(前後方向)の位置を調整しつつ眼底からの戻り光を検出することにより、当該被検眼の眼軸長を測定するようにしてもよい。眼圧測定機能は、眼圧計等により実現される。OCT機能は、光干渉断層計等により実現される。超音波検査機能は、超音波診断装置等により実現される。また、このような機能のうち2つ以上を具備した装置(複合機)に対してこの発明を適用することも可能である。
いくつかの実施形態では、上記の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。このようなプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な非一時的な(non-transitory)任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD-ROM/DVD-RAM/DVD-ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
1 眼科装置
10 光源
12 分岐プリズム
13A 第1均一照明系
13B 第2均一照明系
14 コンデンサアレイ
17 コンデンサレンズ
20 照明光学系
21 虹彩絞り
22 スリット
30 光スキャナ
35 投影光学系
40 撮影光学系
45 穴鏡
46 対物レンズ
50 撮像装置
51 イメージセンサ
E 被検眼
Ef 眼底
RL1 リレーレンズ系

Claims (11)

  1. 被検眼の虹彩と光学的に略共役な虹彩共役位置に配置され2つの開口が形成された虹彩絞りと、前記被検眼の眼底と光学的に略共役な眼底共役位置に配置された照明絞りとを含み、光源からの光で前記被検眼を照明する照明光学系と、
    前記被検眼からの戻り光を撮像素子に導く受光光学系と、
    虹彩共役位置における平面において前記戻り光が通過する受光開口の周囲に前記2つの開口の像が配置されるように前記照明光学系の光路と前記受光光学系の光路とを空間的に結合する光路結合部材と、
    を含み、
    前記照明光学系は、
    前記光源からの光を第1照明光と第2照明光とに分岐する分岐部材と、
    前記第1照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に前記第1照明光の像を形成する第1均一照明系と、
    前記第2照明光の光量分布を均一化して眼底共役位置に前記第2照明光の像を形成する第2均一照明系と、
    前記第1照明光の像と前記第2照明光の像とを前記照明絞りにリレーするリレー光学系と、
    を含み、前記照明絞りを通過した光で前記被検眼を照明する、眼科装置。
  2. 前記平面において前記受光開口と前記2つの開口とが第1方向に配列される場合に、前記第1均一照明系及び前記第2均一照明系のそれぞれは、
    前記分岐部材により分岐された照明光に基づいて仮想的な2以上の照明光を生成する光学部材と、
    前記光学部材により形成された前記2以上の照明光を前記第1方向に集光するコンデンサレンズと、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記光学部材は、前記照明光の光軸に対して交差する2次元方向に複数のレンズが配列されたレンズアレイを含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記第1均一照明系におけるコンデンサレンズと、前記第2均一照明系におけるコンデンサレンズとが一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の眼科装置。
  5. 前記リレー光学系は、
    前記虹彩絞りに形成された第1開口に集光するように前記第1照明光を少なくとも前記第1方向に集光するコンデンサレンズと、
    前記虹彩絞りに形成された第2開口に集光するように前記第2照明光を少なくとも前記第1方向に集光するコンデンサレンズと、
    前記第1開口を通過した前記第1照明光と前記第2開口を通過した前記第2照明光とを前記照明絞りに形成された開口に集光するコンデンサレンズと、
    を含む
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の眼科装置。
  6. 前記第1照明光を前記第1開口に集光するコンデンサレンズと前記第2照明光を前記第2開口に集光するコンデンサレンズとが一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の眼科装置。
  7. 前記光学部材により形成された前記2以上の照明光を前記照明光学系の光軸及び前記第1方向に直交する第2方向に集光するシリンダレンズを含む
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の眼科装置。
  8. 前記第1均一照明系及び前記第2均一照明系のそれぞれは、
    出射端から均一な光量分布を有する光を出射するように構成された均一照明ユニットと、
    前記分岐部材により分岐された照明光を前記均一照明ユニットの入射端に集光するコンデンサレンズと、
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  9. 前記均一照明ユニットは、非球面レンズを含むレンズ系、テーパー状の導光部材、円柱形状の導光部材、又は、多角柱形状の導光部材を含むホモジナイジングオプティクスを含む
    ことを特徴とする請求項8に記載の眼科装置。
  10. 前記第1均一照明系におけるコンデンサレンズと、前記第2均一照明系におけるコンデンサレンズとが一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の眼科装置。
  11. 前記虹彩絞りには、光軸を中心に弓形形状を有する2つの開口が形成されている
    ことを特徴とする請求項1~請求項3、請求項8~請求項9のいずれか一項に記載の眼科装置。
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