JP2024111473A - 圧縮機の取付構造および圧縮機 - Google Patents

圧縮機の取付構造および圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の振動に伴って生じる圧縮機構の振動を抑制する。【解決手段】圧縮機10の取付構造30は、ハウジング11に設けられるとともに取付面100aに固定される複数の取付足20を備え、圧縮機10の重心C1を含み、且つ、回転軸の軸方向Aに対して直交する面を仮想面VPとし、仮想面VPから圧縮機構に向かう方向を第1方向A1とし、仮想面VPから圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向A2とすると、仮想面VPは、第1方向A1に位置する取付足20と第2方向A2に位置する取付足20との間に位置し、仮想面VPと取付足20との回転軸の軸方向Aにおける間隔の長さDと、取付足20の剛性と、を乗算した値を乗算値とすると、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値の合計は、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値の合計よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、圧縮機の取付構造および圧縮機に関する。
特許文献1には、圧縮機を車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造が記載されている。特許文献1に記載された取付構造は、複数の取付足を備える。複数の取付足は、圧縮機に設けられるとともに車両の取付面に固定される。圧縮機としては、例えば、回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で回転軸と共に回転することによって流体を圧縮するものが知られている。
特開2017-44313号公報
車両の振動に伴って、車両から圧縮機に振動が伝達することで、圧縮機が振動することがある。このとき、圧縮機構が大きく振動すると、圧縮機構にて衝突が生じるため好ましくない。そのため、車両の振動に伴って生じる圧縮機構の振動を抑制することが望まれていた。
上記課題を解決する圧縮機の取付構造は、回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される複数の取付足を備え、前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、前記仮想面は、前記第1方向に位置する前記取付足と前記第2方向に位置する前記取付足との間に位置し、前記仮想面と前記取付足との前記回転軸の軸方向における間隔の長さと、前記取付足の剛性と、を乗算した値を乗算値とすると、前記仮想面よりも前記第1方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計は、前記仮想面よりも前記第2方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計よりも大きいことを特徴とする。
上記課題を解決する圧縮機の取付構造は、回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される取付足を備え、前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、前記取付足は前記仮想面よりも前記第1方向にのみ位置することを特徴とする。
上記の各構成によれば、ハウジングにおける取付足が配置された位置で回転軸の直交方向に加振された際、ハウジングの第一共振周波数の振動モードの節が第1方向側に存在することになる。そのため、圧縮機のうち、仮想面よりも第1方向に位置する取付足が設けられた部分での振動が抑制される。したがって、車両の振動に伴って生じる圧縮機構の振動を抑制できる。
圧縮機の取付構造において、前記圧縮機は、前記回転軸を支持する気体軸受を備え、前記圧縮機構はインペラを含んでもよい。
上記構成によれば、ハウジングのシュラウド面とインペラとの間に形成されるチップクリアランスの寸法が小さいために、圧縮機構が大きく振動するとインペラがハウジングに衝突しやすい。こうした場合でも、車両の振動に伴って生じる圧縮機構の振動を抑制することで、インペラがハウジングに衝突することを抑制できる。
上記課題を解決する圧縮機は、上記の取付構造によって前記車両の前記取付面に取り付けられ、前記回転軸を支持する軸受を備え、前記流体は冷媒であることを特徴とする。
上記構成によれば、圧縮機によって圧縮される流体として冷媒を採用している。冷媒はエアよりも負荷密度が高いため、仮に圧縮機によって圧縮される流体としてエアを採用する場合と比較して、ハウジングへの加振の作用時に回転軸が軸受に衝突しにくくなる。その一方で、ハウジングへの加振の作用時に回転軸が軸受に衝突しないことで懸念される圧縮機構の振動については、圧縮機の取付構造を採用することで抑制できる。
この発明によれば、車両の振動に伴って生じる圧縮機構の振動を抑制できる。
実施形態における圧縮機および圧縮機の取付構造を示す模式図である。 実施形態における圧縮機を示す模式図である。 圧縮機の一部を示す断面図である。 加振周波数と絶対加速度とを示すグラフである。 加振周波数と絶対加速度とを示すグラフである。 加振周波数と絶対加速度とを示すグラフである。 比較例としての加振周波数と絶対加速度とを示すグラフである。 比較例としての加振周波数と絶対加速度とを示すグラフである。 変更例における圧縮機および圧縮機の取付構造を示す模式図である。 変更例における圧縮機を示す模式図である。
以下、圧縮機の取付構造および圧縮機を具体化した実施形態を図面にしたがって説明する。なお、本実施形態の圧縮機は、電動圧縮機である。本実施形態の圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
<圧縮機>
図1に示すように、圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、円筒状である。ハウジング11は、金属製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11の軸線mが延びる方向を軸方向Aとする。ハウジング11は、軸方向Aに分割可能とした複数のハウジング構成体によって構成されていてもよい。
図2に示すように、圧縮機10は、回転軸12と、圧縮機構13と、電動モータ14と、軸受15と、を備えている。圧縮機構13は、圧縮部13aを含む。ハウジング11は、回転軸12と、圧縮部13aと、電動モータ14と、軸受15と、を収容している。
図3に示すように、ハウジング11は、シュラウド面11bを備えている。シュラウド面11bは、円錐台形状である。シュラウド面11bで囲まれた空間に圧縮部13aは位置している。
図1及び図2に示すように、回転軸12は、ハウジング11の軸線mと同方向に延びる。すなわち、軸方向Aは回転軸12の軸方向に相当する。回転軸12の軸線である回転軸線Lは、軸方向Aに延びる。回転軸12は、例えば、軸方向Aに延びる円筒状である。軸方向Aにおいて、回転軸12の一端を第1端12aとし、回転軸12の他端を第2端12bとする。第2端12bは、第1端12aとは反対側の回転軸12の端部である。軸方向Aのうち、圧縮機10の重心C1から第1端12aに向かう方向を第1方向A1とし、圧縮機10の重心C1から第2端12bに向かう方向を第2方向A2とする。本実施形態における圧縮機10の重心C1は、回転軸12上に位置する。
図2及び図3に示すように、圧縮機構13は、回転軸12の軸方向Aにおける端部としての第1端12aに設けられている。圧縮機構13は、第2端12bには設けられていない。本実施形態における圧縮部13aはインペラである。すなわち、圧縮機構13はインペラを含む。圧縮部13aは、円錐台形状である。圧縮部13aは、ハウジング11のシュラウド面11bによって覆われている。圧縮部13aは、シュラウド面11bから離れている。これにより、圧縮部13aとシュラウド面11bとの間にはチップクリアランス11cが形成されている。回転軸12が回転すると、圧縮部13aは回転軸12と一体的に回転する。
図2に示すように、電動モータ14は、回転軸12に取り付けられている。電動モータ14は、不図示のインバータから電力が供給されることにより駆動する。電動モータ14の駆動に伴って、回転軸12が回転する。
本実施形態における圧縮機10は、軸受15を2つ備える。2つの軸受15は、回転軸12をラジアル方向から支持するラジアル軸受である。ラジアル方向は、回転軸12の径方向である。2つの軸受15のうち、一方を第1軸受15aともいい、他方を第2軸受15bともいう。第1軸受15aは、回転軸12のうち、第1端12aと電動モータ14が設けられた部分との間を支持している。第2軸受15bは、回転軸12のうち、電動モータ14が設けられた部分と第2端12bとの間を支持している。本実施形態における圧縮機10の重心C1は、軸方向Aにおける2つの軸受15の間に位置する。2つの軸受15は、ハウジング11に固定されている。2つの軸受15は、回転軸12をハウジング11に対して回転可能に支持する。
軸受15は、気体軸受である。すなわち、圧縮機10は、回転軸12を支持する気体軸受としての軸受15を備える。気体軸受としての軸受15は、回転軸12の回転数が所定の回転数に到達するまでは、回転軸12が軸受15に接触する。そして、回転軸12の回転数が所定の回転数に到達したとき、回転軸12と軸受15との間には、回転軸12の回転により引き込まれた空気により空気膜が形成される。回転軸12と軸受15との間に形成される空気膜の動圧により回転軸12が浮上する。このため、回転軸12の回転数が所定の回転数に到達すると、軸受15は、回転軸12に接触することなく空気膜により回転軸12を支持する。軸受15として気体軸受を採用することによって、回転軸12とハウジング11とが接触することを抑制できる。
圧縮機10において、圧縮機構13がハウジング11の内部で回転軸12と共に回転することによって流体を圧縮する。本実施形態の流体は冷媒である。圧縮機構13は、電動モータ14の駆動に伴い、ハウジング11内に吸入された冷媒を圧縮する。
図1に示すように、ハウジング11は、複数の取付足20を備えている。言い換えると、複数の取付足20は、ハウジング11に設けられている。本実施形態における取付足20は、圧縮機10に2つ設けられている。実施形態では、2つの取付足20を複数の取付足20ともいう。2つの取付足20は、軸方向Aにおいて互いに離れている。2つの取付足20のうち、一方を第1取付足21ともいい、他方を第2取付足22ともいう。第1取付足21は第2取付足22に対して第1方向A1に離れている。
複数の取付足20は、例えば、ハウジング11の一部である。複数の取付足20は、例えば円柱状である。複数の取付足20は、ハウジング11の外周面11aから突出している。複数の取付足20は、全て同じ方向に延びている。
<圧縮機の取付構造>
圧縮機10は、取付構造30によって車両100の取付面100aに取り付けられている。言い換えると、圧縮機10の取付構造30は、圧縮機10を車両100の取付面100aに取り付けるためのものである。取付面100aは、例えば、車両100を構成するフレーム101の一部分である。
取付構造30は、複数の取付足20を備えている。複数の取付足20は、第1取付部20aと、第2取付部20bと、を含む。
第1取付部20aは、ハウジング11と一体とされることでハウジング11に設けられている。第1取付部20aは、ハウジング11に対して付け替え不能である。第1取付部20aは、金属部材からなる。本実施形態における第1取付部20aは、圧縮機10のハウジング11の外周面11aから延びている。第1取付部20aは、例えば、ハウジング11の外周面11aから取付面100aに向けて延びる円柱状である。
第2取付部20bは、第1取付部20aに対して付け替え可能に設けられている。第2取付部20bは、弾性部材からなる。弾性部材は、例えば、ゴム部材や、弾性変形可能な樹脂部材であるウレタン材などによって形成されている。第2取付部20bは、例えば、第1取付部20aのハウジング11の外周面11aとは反対側の端部から取付面100aに向けて延びる円柱状である。第2取付部20bは、取付面100aにボルト締結等によって固定されている。これにより、複数の取付足20は、取付面100aに固定されている。なお、本実施形態において、複数の取付足20が取り付けられる取付面100aは、同一の平面である。
図2に示すように、第1取付足21は、ハウジング11のうち、第1軸受15aよりも第1方向A1側の回転軸12を覆う部分に設けられている。第2取付足22は、ハウジング11のうち、圧縮部13aを囲む部分よりも第2方向A2側にある。第1取付足21及び第2取付足22の両方が、ハウジング11のうち、圧縮部13aを囲む部分よりも第2方向A2側にあってもよい。
図1に示すように、圧縮機10の重心C1から回転軸12の軸方向Aに対して直交する一方向に延びる仮想的な線を仮想線VLとする。圧縮機10の重心C1を含み、且つ、回転軸12の軸方向Aに対して直交する面を仮想面VPとする。仮想線VLは仮想面VP上で延びる。仮想面VPから圧縮機構13に向かう方向は、圧縮機10の重心C1から第1端12aに向かう方向と同方向である。仮想面VPから圧縮機構13とは反対側に向かう方向は、圧縮機10の重心C1から第2端12bに向かう方向と同方向である。すなわち、仮想面VPから圧縮機構13に向かう方向を第1方向A1とし、仮想面VPから圧縮機構13とは反対側に向かう方向を第2方向A2とする。
仮想面VPは、第1方向A1に位置する取付足20と第2方向A2に位置する取付足20との間に位置する。複数の取付足20のうち、少なくとも1つの取付足20は仮想面VPよりも第1方向A1に位置し、少なくとも1つの取付足20は仮想面VPよりも第2方向A2に位置する。本実施形態においては、第1取付足21が仮想面VPよりも第1方向A1に位置し、第2取付足22が仮想面VPよりも第2方向A2に位置する。
仮想面VPと取付足20との回転軸12の軸方向Aにおける間隔の長さDと、取付足20の剛性Rと、を乗算した値を乗算値Vとする。なお、間隔の長さDは、取付面100aへの取付足20の取付位置と仮想面VPとの間隔の最短の長さである。剛性Rは、N/mの単位で表される値であって、取付足20の形状や材質などによって取付足20に固有に設定された値である。剛性Rは、仮想線VLの延びる方向における成分である。なお、仮想線VLの延びる方向における成分は、取付足20を介して車両100から圧縮機10に作用する加振方向である。
本実施形態において、仮想面VPと第1取付足21との間隔の長さDを第1間隔D1ともいう。仮想面VPと第2取付足22との間隔の長さDを第2間隔D2ともいう。仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値Vの合計は、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値Vの合計よりも大きい。本実施形態においては、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20は第1取付足21であり、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20は第2取付足22である。そのため、本実施形態においては、第1取付足21の乗算値Vは第2取付足22の乗算値Vよりも大きい関係にある。なお、第1取付足21の乗算値Vを第1乗算値V1ともいい、第2取付足22の乗算値Vを第2乗算値V2ともいう。
本実施形態において、第1間隔D1と第2間隔D2とは同じ長さである。なお、第1間隔D1が第2間隔D2より大きくてもよいし、第2間隔D2が第1間隔D1より大きくてもよい。
仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の剛性Rの合計が、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の剛性Rの合計よりも大きい。本実施形態においては、第1取付足21の剛性Rが第2取付足22の剛性Rよりも大きい関係にある。これは、第2取付足22よりも剛性Rの大きい取付足20を第1取付足21として採用することで、上記の剛性Rの大小関係に設定できる。例えば、所望の剛性Rを実現可能な第2取付部20bを取付足20に採用することによって、取付足20の剛性Rの大小を調整可能である。なお、第1取付足21の剛性Rを第1剛性R1ともいい、第2取付足22の剛性Rを第2剛性R2ともいう。
<データの比較>
次に、第1剛性R1と第2剛性R2との大小関係と、第1間隔D1と第2間隔D2との大小関係と、を変更した複数のパターンについて、加振周波数(Hz)と絶対加速度(m/s)とを実験によって取得した。その結果を図4~図8のグラフに示す。
図4~図8に示すグラフにおいて、横軸は加振周波数を示し、縦軸は絶対加速度を示す。第1取付足21の数値の軌跡を破線で示す。第2取付足22の数値の軌跡を一点鎖線で示す。圧縮部13aの数値の軌跡を実線で示す。
<第1乗算値V1が第2乗算値V2より大きい場合>
図4は、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも大きく、第1剛性R1が第2剛性R2よりも大きく、第1間隔D1と第2間隔D2とが同じ大きさである場合でのグラフである。この場合では、第1取付足21の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数よりも低い加振周波数において、第2取付足22の絶対加速度のピークを示している。圧縮部13aの数値の軌跡は、第1取付足21と同様の軌跡を示す。そのため、車両100の振動に伴って、第1取付足21よりも先に第2取付足22が大きく振動することになる。これにより、圧縮機10のうち、第2取付足22が設けられた部分が大きく振動する一方で、第1取付足21が設けられた部分での振動が抑制される。これにより、圧縮部13aの振動を抑制できる。
図5は、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも大きく、第1剛性R1と第2剛性R2とが同じ大きさであり、第1間隔D1が第2間隔D2よりも大きい場合でのグラフである。この場合では、第1取付足21の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数と、第2取付足22の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数とが、ほぼ同じ値を示している。圧縮部13aの数値の軌跡は、第1取付足21と同様の軌跡を示す。そのため、車両100の振動に伴って、第1取付足21と第2取付足22とがほぼ同じタイミングから振動するが、第2取付足22は第1取付足21よりも大きく振動することになる。これにより、圧縮機10のうち、第2取付足22が設けられた部分が大きく振動する一方で、第1取付足21が設けられた部分での振動が抑制される。これにより、圧縮部13aの振動を抑制できる。
図6は、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも大きく、第1剛性R1が第2剛性R2よりも大きく、第1間隔D1が第2間隔D2よりも大きい場合でのグラフである。この場合では、第1取付足21の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数よりも低い加振周波数において、第2取付足22の絶対加速度のピークを示している。圧縮部13aの数値の軌跡は、第1取付足21と同様の軌跡を示す。そのため、車両100の振動に伴って、第1取付足21よりも先に第2取付足22が大きく振動することになる。これにより、圧縮機10のうち、第2取付足22が設けられた部分が大きく振動する一方で、第1取付足21が設けられた部分での振動が抑制される。これにより、圧縮部13aの振動を抑制できる。
<第1乗算値V1が第2乗算値V2より小さい場合>
図7及び図8に示すグラフは、第1乗算値V1が第2乗算値V2より小さい場合の各値を示している。そのため、図7及び図8が示すグラフは、実施形態とは異なる場合であって、実施形態と比較するための比較例である。
図7は、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも小さく、第1剛性R1が第2剛性R2よりも小さく、第1間隔D1と第2間隔D2とが同じ大きさである場合でのグラフである。この場合では、第2取付足22の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数よりも低い加振周波数において、第1取付足21の絶対加速度のピークを示している。圧縮部13aの数値の軌跡は、第1取付足21と同様の軌跡を示す。そのため、車両100の振動に伴って、第2取付足22よりも先に第1取付足21が大きく振動することになる。これにより、圧縮機10のうち、第1取付足21が設けられた部分が大きく振動する一方で、第2取付足22が設けられた部分での振動が抑制される。
図8は、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも小さく、第1剛性R1と第2剛性R2とが同じ大きさであり、第1間隔D1が第2間隔D2よりも小さい場合でのグラフである。この場合では、第1取付足21の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数と、第2取付足22の絶対加速度がピークを示すときの加振周波数とが、ほぼ同じ値を示している。圧縮部13aの数値の軌跡は、第1取付足21と同様の軌跡を示す。そのため、車両100の振動に伴って、第1取付足21と第2取付足22とがほぼ同じタイミングから振動するが、第1取付足21は第2取付足22よりも大きく振動することになる。これにより、圧縮機10のうち、第1取付足21が設けられた部分が大きく振動する一方で、第2取付足22が設けられた部分での振動が抑制される。
したがって、図4~図8に示したグラフから、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも大きい場合には、第1乗算値V1が第2乗算値V2よりも小さい場合よりも、圧縮機構13の振動を抑制できることが示された。これにより、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値Vの合計が、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値Vの合計よりも大きい関係にあれば、圧縮機構13の振動を抑制できることが示された。
[実施形態の作用および効果]
実施形態の作用および効果について説明する。
(1)仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値Vの合計は、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値Vの合計よりも大きい。そのため、ハウジング11における取付足20が配置された位置で回転軸12の直交方向に加振された際、ハウジング11の第一共振周波数の振動モードの節が第1方向A1側に存在することになる。これにより、圧縮機10のうち、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20が設けられた部分での振動が抑制される。したがって、車両100の振動に伴って生じる圧縮機構13の振動を抑制できる。
(2)圧縮機10は、回転軸12を支持する気体軸受としての軸受15を備える。圧縮機構13はインペラとしての圧縮部13aを含んでいる。この場合、ハウジング11のシュラウド面11bと圧縮部13aとの間に形成されるチップクリアランス11cの寸法が小さいために、圧縮機構13が大きく振動すると圧縮部13aがハウジング11に衝突しやすい。こうした場合でも、車両100の振動に伴って生じる圧縮機構13の振動を抑制することで、圧縮部13aがハウジング11に衝突することを抑制できる。
(3)圧縮機10は、取付構造30によって車両100の取付面100aに取り付けられている。圧縮機10は、回転軸12を支持する軸受15を備える。圧縮機10によって圧縮される流体として冷媒を採用している。冷媒はエアよりも負荷密度が高いため、仮に圧縮機10によって圧縮される流体としてエアを採用する場合と比較して、ハウジング11への加振の作用時に回転軸12が軸受15に衝突しにくくなる。その一方で、ハウジング11への加振の作用時に回転軸12が軸受15に衝突しないことで懸念される圧縮機構13の振動については、圧縮機10の取付構造30を採用することで抑制できる。
(4)仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の剛性Rの合計が、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の剛性Rの合計よりも大きい。ハウジング11の形状によって、ハウジング11への取付足20の設ける箇所に制約が生じる場合、仮想面VPと取付足20との間隔の長さDを調整しにくい。こうした場合でも、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の剛性Rの合計が、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の剛性Rの合計よりも大きくなるように、取付足20の剛性Rを調整することで、取付足20の乗算値Vを調整できる。したがって、ハウジング11への取付足20の設ける箇所に制約が生じる場合であっても、車両100の振動に伴って生じる圧縮機構13の振動を抑制できる。
(5)複数の取付足20は、ハウジング11と一体とされることでハウジング11に設けられ且つ金属部材からなる第1取付部20aと、第1取付部20aに対して付け替え可能に設けられ且つ弾性部材からなる第2取付部20bと、を含む。そのため、取付足20の剛性Rの調整を、第1取付部20aに対して第2取付部20bを付け替えることで行うことができる。したがって、ハウジング11と一体化された第1取付部20aを取り換えることにより取付足20の剛性Rを調整する場合よりも、取付足20の剛性Rの調整作業を簡略化できる。
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 図9及び図10に示す圧縮機10の取付構造30を採用してもよい。この場合の取付足20は、仮想面VPよりも第1方向A1にのみ位置する。なお、図9及び図10では、仮想面VPよりも第1方向A1に1つの取付足20のみ有する取付構造30を例示しているが、取付構造30は、仮想面VPよりも第1方向A1に複数の取付足20を有するものであってもよい。この場合においても、ハウジング11における取付足20が配置された位置で回転軸12の直交方向に加振された際、ハウジング11の第一共振周波数の振動モードの節が第1方向A1側に存在することになる。これにより、圧縮機10のうち、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20が設けられた部分での振動が抑制される。したがって、車両100の振動に伴って生じる圧縮機構13の振動を抑制できる。
○ 複数の取付足20は、第1取付部20aと第2取付部20bとを含むものに限らない。例えば、複数の取付足20は、その全体が第1取付部20aとしての金属部材から構成されていてもよい。複数の取付足20は、その全体が第2取付部20bとしての弾性部材から構成されていてもよい。複数の取付足20のうち、少なくとも1つの取付足20が、その他の取付足20と構成部材が異なっていてもよい。
○ 実施形態において、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の剛性Rの合計は、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の剛性Rの合計以下であってもよい。この場合は、仮想面VPと取付足20との間隔の長さDを取付足20ごとに調整する。これにより、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値Vの合計が、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値Vの合計よりも大きくなっていれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
○ 実施形態において、圧縮機10の取付構造30は、3つ以上の取付足20を備えてもよい。この場合も、複数の取付足20のうち、少なくとも1つの取付足20は仮想面VPよりも第1方向A1に位置し、少なくとも1つの取付足20は仮想面VPよりも第2方向A2に位置する。さらに、仮想面VPよりも第1方向A1に位置する取付足20の乗算値Vの合計は、仮想面VPよりも第2方向A2に位置する取付足20の乗算値Vの合計よりも大きい。これによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
○ 取付構造30が複数の取付足20を備える場合、複数の取付足20が固定される取付面100aは同一の平面に限らない。また、複数の取付足20のうち、少なくとも1つの取付足20とその他の少なくとも1つの取付足20とで固定される取付面100aの延びる方向が異なってもよい。この場合、ハウジング11から取付面100aに向けて延びる取付足20の軸線方向が取付足20毎で異なってもよい。
○ 軸受15は気体軸受に限らない。例えば、軸受15は、転がり軸受であってもよい。
○ 圧縮機構13は、圧縮部13aとしてインペラを含むものに限らない。例えば、圧縮機10は、ピストン式やスクロール型などであってもよい。
○ 圧縮機10は、車両空調装置に用いられていたが、これに限らない。圧縮機10は、冷媒を圧縮するものであればよく、圧縮機10の用途は適宜変更可能である。
○ 圧縮機10は、流体としての空気を圧縮機構13により圧縮するものであってもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[態様1]
回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される複数の取付足を備え、前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、前記仮想面は、前記第1方向に位置する前記取付足と前記第2方向に位置する前記取付足との間に位置し、前記仮想面と前記取付足との前記回転軸の軸方向における間隔の長さと、前記取付足の剛性と、を乗算した値を乗算値とすると、前記仮想面よりも前記第1方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計は、前記仮想面よりも前記第2方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計よりも大きいことを特徴とする圧縮機の取付構造。
[態様2]
回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される取付足を備え、前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、前記取付足は前記仮想面よりも前記第1方向にのみ位置することを特徴とする圧縮機の取付構造。
[態様3]
前記圧縮機は、前記回転軸を支持する気体軸受を備え、前記圧縮機構はインペラを含む[態様1]又は[態様2]に記載の圧縮機の取付構造。
[態様4]
[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の取付構造によって前記車両の前記取付面に取り付けられ、前記回転軸を支持する軸受を備え、前記流体は冷媒であることを特徴とする圧縮機。
A…軸方向、A1…第1方向、A2…第2方向、C1…重心、D…間隔の長さ、R…剛性、V…乗算値、VP…仮想面、10…圧縮機、11…ハウジング、12…回転軸、12a…端部としての第1端、13…圧縮機構、15…軸受、20…取付足、30…取付構造、100…車両、100a…取付面。

Claims (4)

  1. 回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、
    前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される複数の取付足を備え、
    前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、
    前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、
    前記仮想面は、前記第1方向に位置する前記取付足と前記第2方向に位置する前記取付足との間に位置し、
    前記仮想面と前記取付足との前記回転軸の軸方向における間隔の長さと、前記取付足の剛性と、を乗算した値を乗算値とすると、
    前記仮想面よりも前記第1方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計は、前記仮想面よりも前記第2方向に位置する前記取付足の前記乗算値の合計よりも大きいことを特徴とする圧縮機の取付構造。
  2. 回転軸の軸方向における端部に設けられた圧縮機構がハウジングの内部で前記回転軸と共に回転することによって流体を圧縮する圧縮機を、車両の取付面に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、
    前記ハウジングに設けられるとともに前記取付面に固定される取付足を備え、
    前記圧縮機の重心を含み、且つ、前記回転軸の軸方向に対して直交する面を仮想面とし、
    前記仮想面から前記圧縮機構に向かう方向を第1方向とし、前記仮想面から前記圧縮機構とは反対側に向かう方向を第2方向とすると、
    前記取付足は前記仮想面よりも前記第1方向にのみ位置することを特徴とする圧縮機の取付構造。
  3. 前記圧縮機は、前記回転軸を支持する気体軸受を備え、
    前記圧縮機構はインペラを含む請求項1又は請求項2に記載の圧縮機の取付構造。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の取付構造によって前記車両の前記取付面に取り付けられ、前記回転軸を支持する軸受を備え、前記流体は冷媒であることを特徴とする圧縮機。
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