JP2024110074A - 作業車両 - Google Patents

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正利 吉村
興祐 松尾
聡 関野
浩志 歌代
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Abstract

【課題】粒度の異なる掘削対象物を掘削する場合であっても作業効率の向上が可能な作業車両を提供する。【解決手段】作業車両は、エンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、油圧ポンプからの作動油により動作する油圧シリンダと、油圧シリンダにより動かされる作業装置と、発電機の発電電力により駆動され走行装置を動作させる電動機と、油圧シリンダの圧力を検出する圧力センサと、エンジンの出力を作業装置と走行装置に配分するための出力配分比を演算し、演算された出力配分比に基づいて油圧ポンプ及び電動機を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、圧力センサの検出結果に基づいて、作業装置により掘削対象物の掘削を行っているときに作業装置に作用する反力の脈動の大きさを表す脈動値を演算し、演算された脈動値が大きいほど、作業装置の出力に対する走行装置の出力の比が大きくなるように、出力配分比を演算する。【選択図】図5

Description

本発明は、作業車両に関する。
車体を移動させるための走行装置と、土砂等を掘削するためのバケット及びリフトアームを有する作業装置とを備えた作業車両が知られている(特許文献1参照)。このような作業車両では、掘削した土砂等をダンプトラックなどの運搬車両へ運搬し、積み込む作業を行う。掘削、運搬、積込を含む一連の作業の効率は、作業車両の性能を示す一つの指標となる。作業車両による作業効率は、例えば、一連の作業において、単位時間当たりに運搬車両に積み込まれる運搬物(掘削物)の重量[ton/h]に相当する。つまり、作業効率は、その値が大きいほど短時間でより多くの物量を掘削、運搬できることを意味する。
特開2021-95710号公報
このような作業車両では、エンジンの動力(出力)を走行装置と作業装置に分配して掘削作業を行う。このとき、走行駆動力が小さく作業駆動力が大きすぎると、土砂にバケットを十分に貫入させることができなかったり、バケットに土砂が十分に入る前にバケットが持ち上げられたりするため、作業効率が低下する。一方、走行駆動力が大きく作業駆動力が小さすぎると、バケットを持ち上げるのに時間を要するため、作業効率が低下する。作業効率を向上するためには、走行駆動力と作業駆動力の動力配分(出力配分)を適切に行うことが有効である。
掘削対象物は、掘削場所によって粒度が異なる。このため、粒度の異なる掘削対象物の掘削作業において、走行駆動力と作業駆動力に対するエンジンの出力配分比を同じように設定してしまうと、作業効率が低下するおそれがある。例えば、粒度の大きい掘削対象物では、粒度の小さい掘削対象物に比べてバケットを貫入させにくく、大きな走行駆動力を要する。このため、粒度の小さい掘削対象物を掘削する場合の作業効率が良好であっても、粒度の大きい掘削物を掘削する場合の作業効率が悪化してしまうおそれがある。
本発明は、粒度の異なる掘削対象物を掘削する場合であっても作業効率の向上が可能な作業車両を提供することを目的とする。
本発明の一態様による作業車両は、車体に搭載されたエンジンと、前記エンジンにより駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される作動油により伸縮動作する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの伸縮動作に応じて動かされる作業装置と、前記作業装置に対し独立して駆動され前記車体を走行させる走行装置と、前記エンジンにより駆動されて発電する発電機と、前記発電機により発電された電力により駆動され前記走行装置を動作させる電動機と、前記油圧シリンダの圧力を検出する圧力センサと、前記電動機の回転速度を検出する速度センサと、前記電動機の電流を検出する電流センサと、前記エンジンの出力を前記作業装置と前記走行装置に配分するための出力配分比を演算し、演算された前記出力配分比に基づいて前記油圧ポンプ及び前記電動機を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記圧力センサ、前記速度センサ、及び前記電流センサの検出結果のうちの少なくとも一つに基づいて、前記作業装置により掘削対象物の掘削を行っているときに前記作業装置に作用する反力の脈動の大きさを表す脈動値を演算し、演算された前記脈動値が大きいほど、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が大きくなるように、前記出力配分比を演算する。
本発明によれば、粒度の異なる掘削対象物を掘削する場合であっても作業効率の向上が可能な作業車両を提供することができる。
図1は、ホイールローダの側面図である。 図2は、ホイールローダのシステム構成図である。 図3は、ホイールローダのV字掘削作業(Vシェープローディング)を説明するための図である。 図4は、掘削作業の動作の概要を説明する図である。 図5は、本実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。 図6は、掘削動作判定部の制御ブロック線図である。 図7は、バケットシリンダ圧の時間変化について示す模式図である。 図8は、粒度レベル判定部112cの制御ブロック線図である。 図9は、モータ速度(車速)の時間変化について示す模式図である。 図10は、掘削量レベル判定部の制御ブロック線図である。 図11は、本実施形態に係る掘削状態判定部による掘削状態判定処理について説明する図である。 図12は、変形例2に係る掘削状態判定部による掘削状態判定処理について説明する図である。 図13は、変形例3に係る制御装置の機能ブロック図である。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業車両について説明する。なお、本実施形態では、作業車両が電動駆動システムを備えたホイールローダである例について説明する。
図1は、ホイールローダ10の側面図である。図1に示すように、ホイールローダ(以下、単に車両とも記す)10は、車体8と、車体8の前方に取り付けられた多関節型の作業装置6と、を備える。車体8には、アーティキュレート操舵式(車体屈折式)を採用している。車体8は、左右に前輪7A(車輪7)を装着した前部車体(フロントフレーム)8Aと、左右に後輪7B(車輪7)を装着した後部車体(リアフレーム)8Bと、前部車体8Aと後部車体8Bとを連結するセンタージョイント13と、を備える。センタージョイント13の左右両側には、前部車体8Aと後部車体8Bとを連結するように、ステアリングシリンダ9が設けられている。
作業装置6は、前部車体8Aに取り付けられる。作業装置6は、アームシリンダ4と、アームシリンダ4の伸縮動作に応じて動かされるリフトアーム(以下、単にアームとも記す)2と、バケットシリンダ5と、バケットシリンダ5の伸縮動作に応じて動かされるバケット3と、を備えている。なお、アーム2とアームシリンダ4は前部車体8Aの左右に1つずつ設けられる。また、バケット3を作動させるためのリンク機構には、Zリンク式(ベルクランク式)のリンク機構が採用されている。当該リンク機構にはバケットシリンダ5が含まれる。
後部車体8B上には、前方に運転室12、後方にエンジン室16が搭載されている。運転室12内には、作業装置6のアームシリンダ4(アーム2)を操作するアーム操作装置144(図2参照)と、作業装置6のバケットシリンダ5(バケット3)を操作するバケット操作装置145(図2参照)と、車体8の前進(F)と後進(R)を切り替える前後進切替装置143(図2参照)と、車体8に加速を指示するためのアクセル操作装置141(図2参照)と、車体8に減速を指示するためのブレーキ操作装置142(図2参照)と、車体8の左右の進行方向を指示するためのステアリング操作装置(不図示)と、が設けられている。ステアリング操作装置が操作されると、ステアリングシリンダ9の伸縮駆動に伴って後部車体8Bと前部車体8Aが、センタージョイント13を中心にして屈折(旋回)する。
エンジン室16には、図2に示すエンジン(ENG)21、油圧ポンプ(PUMP)24、コントロールバルブ(C/V)25、発電機(GEN)22及び走行モータ(MOT)26等が収納されている。エンジン21は、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。
図2は、ホイールローダ10のシステム構成図である。図2に示すように、ホイールローダ10は、走行装置11の駆動部を電動化したシリーズハイブリッド式の作業車両である。ホイールローダ10の電動駆動システムは、エンジン21により発電機22を駆動して発電し、発電機22により発電された電力により走行モータ26を動作させ、走行モータ26により発生したトルクによって走行装置11を動作させるシステムである。
ホイールローダ10は、エンジン21と、車両の各部を制御する制御装置100と、エンジン21と機械的に接続された発電機22と、エンジン21に機械的に接続された油圧ポンプ24と、油圧ポンプ24から吐出される作動油によって駆動される油圧シリンダ(アームシリンダ4、バケットシリンダ5、及びステアリングシリンダ9)と、制御装置100から入力される発電電圧指令に基づいて発電機22の発電出力(発電パワー)を制御する発電インバータ(発電機用インバータ)23と、発電機22から供給される電力によって車体8を駆動する走行モータ26と、制御装置100から入力される走行駆動トルク指令に基づいて走行モータ26のトルクを制御する走行インバータ(走行モータ用インバータ)27と、走行モータ26によって駆動され車体8を走行させる走行装置11と、を備えている。作業装置6及び走行装置11は、エンジン21の出力トルク(動力)によって、互いに独立して駆動される。
前後進切替装置143は、前進(F)位置、ニュートラル(N)位置、後進(R)位置のいずれかに選択的に操作される前後進スイッチと、前後進スイッチの操作位置を検出する操作位置センサ143aと、を有する。操作位置センサ143aは、選択された操作位置に応じた前後進信号(FNR信号)を制御装置100に出力する。アクセル操作装置141は、アクセルペダルと、アクセルペダルの操作量(以下、アクセル操作量とも記す)を検出するアクセル操作量センサ141aと、を備えている。アクセル操作量センサ141aは、アクセルペダルの操作量(踏込量)を表すアクセル信号を制御装置100に出力する。ブレーキ操作装置142は、ブレーキペダルと、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量センサ142aと、を備えている。ブレーキ操作量センサ142aは、ブレーキペダルの操作量(踏込量)を表すブレーキ信号を制御装置100に出力する。
アーム操作装置144は、アーム操作レバーと、アーム操作レバーの操作量(以下、アーム操作量とも記す)を検出するアーム操作量センサ144aとを備える。バケット操作装置145は、バケット操作レバーと、バケット操作レバーの操作量(以下、バケット操作量とも記す)を検出するバケット操作量センサ145aとを備える。アーム操作量センサ144a、バケット操作量センサ145a、アクセル操作量センサ141a、及びブレーキ操作量センサ142aは、例えば、操作部材(操作レバーまたはペダル)の操作位置に応じた電圧を制御装置100に出力するポテンショメータである。
ホイールローダ10は、モータ速度センサ146を備えている。モータ速度センサ146は、例えばレゾルバであり、走行モータ26の回転速度(以下、モータ速度とも記す)を検出し、その検出結果を表すモータ速度信号を制御装置100に出力する。なお、モータ速度センサ146により検出されるモータ速度は、車速と一定の関係がある。このため、モータ速度センサ146により検出されたモータ速度は、車両の走行速度(車速)に変換可能である。つまり、モータ速度センサ146は、車速を検出する車速センサともいえる。
走行装置11は、4つの車輪7と、走行モータ26からの動力を車輪7に伝達する動力伝達装置と、を有する。動力伝達装置は、アクスル、デファレンシャル装置、プロペラシャフト等を含んで構成される。走行モータ26は、エンジン21が出力するトルクによって回転する発電機22で発電された電力により回転駆動され走行装置11を動作させる電動機である。
発電インバータ23及び走行インバータ27は、直流部(電力線)28によって接続されている。制御装置100は、直流部28のDC電圧を制御しながら、エンジン21で発電機22を駆動し、発電された電力により走行モータ26を駆動させる。発電インバータ23は、制御装置100からの発電電圧指令に基づき、発電機22から供給される電力を利用して直流部28のバス電圧を制御する。走行インバータ27は、制御装置100の走行駆動トルク指令に基づき、直流部28の電力を利用して走行モータ26を駆動させる。走行モータ26が駆動され、走行モータ26の動力が動力伝達装置を介して車輪7に伝達されると、ホイールローダ10が走行する。
油圧ポンプ24は、エンジン21及び発電機22と機械的に接続されており、エンジン21によって駆動されて作動流体としての作動油を吐出する。油圧ポンプ24は、斜板あるいは斜軸の傾転角を制御することにより、吐出容量を変更可能な可変容量型の油圧ポンプである。油圧ポンプ24の吐出容量は、図示しないレギュレータによって制御される。油圧ポンプ24から吐出される作動油は、コントロールバルブ25によって流量及び流通方向が制御される。コントロールバルブ25は、アーム操作装置144、バケット操作装置145及びステアリング操作装置の操作方向と操作量に基づいて制御される。コントロールバルブ25が制御されることにより、操作されている操作装置に対応する油圧シリンダ(アームシリンダ4、バケットシリンダ5、ステアリングシリンダ9)に作動油が供給され、油圧シリンダが駆動される。油圧シリンダ4,5,9は、エンジン21が出力するトルクによって回転する油圧ポンプ24から吐出される作動油(圧油)によって伸縮動作する。
アーム操作装置144が操作されると、アームシリンダ4の伸縮動作に応じてアーム2が上下方向に回動する。バケット操作装置145が操作されると、バケットシリンダ5の伸縮動作に応じてバケット3が上下方向に回動する。ステアリング操作装置が操作されると、ステアリングシリンダ9の伸縮駆動に伴って後部車体8Bと前部車体8Aが、センタージョイント13を中心にして屈折(旋回)する。
このように、本実施形態に係る電動駆動システムでは、エンジン21が出力するトルクによって発電機22が駆動され、発電機22で発生する電力によって走行モータ26が駆動される。このため、エンジン21の回転速度とは独立してトルク制御が可能である。すなわち、制御装置100は、走行装置11と作業装置6とを独立して制御することが可能である。
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等の処理装置101、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ102、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ103、入力インタフェース104、出力インタフェース105、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、制御装置100は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
不揮発性メモリ102には、各種演算が実行可能なプログラム、及び各種演算に用いられる閾値等のデータが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ102は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶装置(記憶媒体)である。処理装置101は、不揮発性メモリ102に記憶されたプログラムを揮発性メモリ103に展開して演算処理を実行する演算処理装置である。処理装置101は、プログラムに従って入力インタフェース104、不揮発性メモリ102及び揮発性メモリ103から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。
入力インタフェース104は、操作装置から入力された操作信号及びセンサから入力されたセンサ信号を処理装置101で演算可能なデータに変換する。制御装置100に入力される操作信号としては、アクセル操作量センサ141aによって検出されるアクセル操作量を表す信号、ブレーキ操作量センサ142aによって検出されるブレーキ操作量を表す信号、アーム操作量センサ144aによって検出されるアーム操作量を表す信号、バケット操作量センサ145aによって検出されるバケット操作量を表す信号、及び、操作位置センサ143aによって検出される前後進スイッチの操作位置を表す信号がある。
制御装置100に入力されるセンサ信号としては、車体8とアーム2とを連結する連結軸に設けられるアーム相対角センサ151によって検出される角度を表す信号、及び、アーム2とバケット3とを連結する連結軸に設けられるバケット相対角センサ152によって検出される角度を表す信号がある。アーム相対角センサ151は、車体8に対するアーム2の相対角(傾斜角)を検出し、検出結果を表す信号を制御装置100に出力するポテンショメータである。バケット相対角センサ152は、アーム2に対するバケット3の相対角を検出し、検出結果を表す信号を制御装置100に出力するポテンショメータである。地面(走行面)に対する車体8の角度は一定であるため、アーム相対角センサ151で検出される角度は、地面に対するアーム2の相対角(傾斜角)に相当する。アーム相対角センサ151及びバケット相対角センサ152は、作業装置6の姿勢を検出する姿勢センサとして機能する。
また、制御装置100に入力されるセンサ信号としては、モータ速度センサ146によって検出されるモータ速度を表す信号、バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)153によって検出されたバケットシリンダ5の圧力を表す信号、吐出圧センサ154によって検出される油圧ポンプ24の吐出圧を表す信号、及び電流センサ155によって検出された走行モータ26に流れる電流を表す信号がある。
出力インタフェース105は、処理装置101での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を制御対象の機器に出力する。制御対象の機器には、例えば、発電インバータ23、走行インバータ27、エンジン21を制御するエンジンコントローラ(不図示)、コントロールバルブ25を制御する電磁弁(不図示)、油圧ポンプ24の容量を制御するポンプコントローラ(不図示)等がある。
図3を参照して、ホイールローダ10により行われる作業の一例について説明する。図3は、ホイールローダ10のV字掘削作業(Vシェープローディング)を説明するための図である。図3に示すように、ホイールローダ10は、(第1動作)地山等の掘削対象物91に向かって前進し、(第2動作)掘削対象物91にバケット3を突入させ、バケット3及びアーム2を動作させることにより、掘削対象物91を掘削する掘削作業を行う。掘削作業の完了後、ホイールローダ10は、(第3動作)所定の位置まで後進して停止する。その後、ホイールローダ10は、(第4動作)バケット3を上昇させながら、ダンプトラック92に向かって前進し(ライズラン)、ダンプトラック92の手前の積込位置で停止する。そして、(第5動作)バケット3内の積荷(掘削物)をダンプトラック92の荷台に放土する積込作業を行う。積込作業が完了した後、ホイールローダ10は、(第6動作)所定の位置まで後進する。ホイールローダ10は、以上の説明のようにV字軌跡を描きながら(第1動作)~(第6動作)の一連の動作を繰り返し行う。なお、本明細書では、(第1動作)~(第6動作)の一連の動作をローダ作業とも記す。
ローダ作業は、ホイールローダ10の全作業時間の大部分を占める。そのため、ホイールローダ10の作業効率を向上させるためには、ローダ作業の効率を向上させることが有効である。なお、作業効率は、例えば、ローダ作業において、単位時間当たりに運搬車両に積み込まれる運搬物(掘削物)の重量[ton/h]に相当する。つまり、作業効率は、その値が大きいほど短時間でより多くの物量を掘削、運搬できることを意味する。
したがって、ローダ作業の作業効率を向上させるためには、バケット3に積み込む土砂等の量を増やすこと、あるいは、作業時の走行性能を向上させて、作業時間を短縮することが考えられる。ここで、掘削対象物91へバケット3を貫入させるための走行装置11の出力(牽引力、あるいは走行駆動力とも記す)と、掘削対象物91を掘り上げる力である作業装置6の出力(掘起力、あるいは作業駆動力とも記す)のバランスが悪いと、掘削作業の効率が低下してしまう。
図4は、掘削作業の動作の概要を説明する図である。図4に示すように、走行駆動力(牽引力)と作業駆動力(掘起力)の作用方向は、ほぼ90度の位相関係にあり、それぞれの力を制御することで掘削作業の性能が変化する。例えば、水平方向の牽引力が不足し、鉛直方向の掘起力が過剰である場合、掘削対象物91にバケット3を十分に貫入させることができなかったり、バケット3内に土砂が十分に入る前にバケット3が掘削対象物91の上まで持ち上げられたりするため、作業効率が低下する。一方、鉛直方向の掘起力が不足し、水平方向の牽引力が過剰である場合、バケット3を持ち上げるのに時間がかかってしまうため、作業効率が低下する。したがって、作業効率を向上するためには、エンジン21の出力(動力)を作業装置6と走行装置11に配分するための出力配分比を適切に設定する必要がある。
しかしながら、掘削対象物91の粒度は、掘削場所によって異なる。このため、ある粒度の掘削対象物91を想定してエンジン21の出力配分比を設定した場合、異なる粒度の掘削対象物91を掘削したときに、作業効率が低下してしまうことがある。そこで、本実施形態に係る制御装置100は、掘削対象物91の粒度に応じてエンジン21の出力配分比を設定する。具体的には、掘削対象物91の粒度が比較的大きく掘りにくい場合には、制御装置100は走行装置11への出力配分を大きくする。これにより、牽引力が大きくなり、バケット3を掘削対象物91に十分に食い込ませることができる。一方、掘削対象物91の粒度が比較的小さく掘りやすい場合には、制御装置100は作業装置6への出力配分を大きくする。これにより、掘起力が大きくなり、掘削速度を向上させることができる。
また、制御装置100は、バケット3により掘削され、バケット3に積み込まれた土砂等の掘削物の重量(以下、掘削量とも記す)も加味してエンジン21の出力配分比を設定する。具体的には、掘削量が大きい場合には、制御装置100は走行装置11の出力配分を大きくする。これにより、牽引力が大きくなり、大量の掘削物をバケット3に積み込む作業を良好に行うことができる。一方、掘削量が小さい場合には、制御装置100は作業装置6への出力配分を大きくする。これにより、掘起力が大きくなり、少量の掘削物を素早く掘り上げることができる。
以下、本実施形態に係る制御装置100によって実行される制御の主な内容について説明する。なお、本実施形態では、カメラなど新規にセンサ類を追加することなく、標準的なホイールローダ10が備えている各種センサの検出結果に基づき、掘削物の粒度及び掘削量に応じたエンジン21の出力配分制御が実行される。
図5は、制御装置100の機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置100は、不揮発性メモリ102に記憶されているプログラムを実行することにより、掘削動作判定部111、粒度演算部112、掘削量演算部113、掘削状態判定部114、出力配分演算部115、及び動力制御部116として機能する。
掘削動作判定部111は、アーム相対角センサ(姿勢センサ)151、バケット相対角センサ(姿勢センサ)152、バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)153、及びモータ速度センサ146の検出結果に基づいて、掘削対象物91に対して作業装置6による掘削動作が開始されたか否かを判定する。以下、図6を参照して、掘削動作判定部111により実行される掘削動作判定処理の内容について詳しく説明する。図6は、掘削動作判定部111の制御ブロック線図である。
掘削動作判定部111は、バケット角θが突入姿勢の角度範囲内にあるか否かを判定する(S101)。バケット角θは、基準面90(図1参照)からのバケット3の傾斜角度である。本実施形態では、基準面90は地面(走行面)と平行に設定される面である。バケット3の底面が基準面90に平行な状態では、バケット角(対地角)θは0[°]である。クラウド動作によりバケット3が回動すると、その回動に伴ってバケット角θは増加する。換言すれば、ダンプ動作によりバケット3が回動すると、その回動に伴ってバケット角θは減少する。バケット角θは、アーム相対角センサ151で検出された基準面90に対するアーム2の相対角及びバケット相対角センサ152で検出されたアーム2に対するバケット3の相対角に基づいて、制御装置100によって算出される。
突入姿勢の角度範囲は、例えば、バケット3の底面の対地角が、略水平であることを判定するために設定される。突入姿勢の角度範囲は、第1角度閾値θt1度以上第2角度閾値θt2度以下の角度範囲である。バケット3の底面が水平であるときの角度を0度としたとき、第1角度閾値θt1には0度以下の値が設定され、第2角度閾値θt2には0度以上の値が設定される。バケット角θの閾値判定処理(S101)は、作業装置6が、掘削対象物91への突入姿勢となっているか否かを判定する処理に相当する。
掘削動作判定部111は、バケットシリンダ圧センサ153により検出されるバケットシリンダ圧Pbが圧力閾値Pbt以上であるか否かを判定する(S102)。本実施形態では、バケット3を作動させるためのリンク機構として、Zリンク式のリンク機構が採用されている。このため、ホイールローダ10が掘削対象物91に突入すると、バケットシリンダ5のロッド側油室内の作動油の圧力(以下、ロッド圧とも記す)が上昇する。このため、バケットシリンダ圧の閾値判定処理(S102)では、ロッド圧をバケットシリンダ圧Pbとして、圧力閾値Pbtと比較する。シリンダ圧の閾値判定処理(S102)は、バケット3が掘削対象物91に貫入されることにより、掘削対象物91から作業装置6に反力が作用しているか否かを判定する処理に相当する。
掘削動作判定部111は、モータ速度センサ146により検出されたモータ速度Vmが、速度閾値Vmt以上であるか否かを判定する(S103)。速度閾値Vmtは、0よりも大きい値である。モータ速度Vmの閾値判定処理(S103)は、ホイールローダ10が前進しているか否かを判定する処理に相当する。
掘削動作判定部111は、モータ速度センサ146により検出されたモータ速度Vmの時間変化率を演算する(S104)。掘削動作判定部111は、モータ速度Vmの時間変化率Vrが変化率閾値Vrt以下であるか否かを判定する(S105)。変化率閾値Vrtは、負の値である。つまり、モータ速度Vmの時間変化率Vrの閾値判定処理(S105)は、ホイールローダ10が減速しているか否かを判定する処理に相当する。
角度閾値θt1,θt2、圧力閾値Pbt、速度閾値Vmt、及び変化率閾値Vrtは、実験等により予め定められ、不揮発性メモリ102に記憶されている。
掘削動作判定部111は、ホイールローダ10による掘削動作が開始されたか否かを判定する(S106)。掘削動作判定部111は、以下の(条件1)~(条件4)の全てが満たされた場合には、掘削動作が開始された(すなわち、ホイールローダ10が掘削対象物91に突入した)と判定し、掘削動作フラグをオンにする。掘削動作判定部111は、以下の(条件1)~(条件4)のうちの少なくとも一つが満たされていない場合には、掘削動作は開始されていない(すなわち、ホイールローダ10は掘削対象物91に突入していない)と判定し、掘削動作フラグを初期値であるオフのままとする。
(条件1)バケット角θが、第1角度閾値θt1以上第2角度閾値θt2以下である。
(条件2)バケットシリンダ圧Pbが、圧力閾値Pbt以上である。
(条件3)モータ速度Vmが速度閾値Vmt以上である。
(条件4)モータ速度Vmの時間変化率Vrが変化率閾値Vrt以下である。
掘削動作判定部111は、閾値判定処理(S101)~(S103),(S105)の結果に基づき、(条件1)~(条件4)のそれぞれが満たされているか否かを判定する。なお、図示しないが、掘削動作判定部111は、掘削動作フラグがオンにされた後、バケット角θが第2角度閾値θ2よりも大きい第3角度閾値θt3以上となった場合に、掘削動作は終了したと判定し、掘削動作フラグをオフにする。
図5、図7及び図8を参照して、粒度演算部112により実行される処理の内容について詳しく説明する。図5に示す粒度演算部112は、掘削動作判定部111により掘削動作が開始されたと判定された場合に、掘削対象物91の粒度の演算を行う。掘削対象物91の粒度は、作業装置6により掘削対象物91の掘削を行っているときに作業装置6に作用する反力の脈動(振動)の大きさと一定の関係がある。本実施形態に係る粒度演算部112は、作業装置6に作用する振動を、掘削対象物91にバケット3が当たる際の掘削反力として生じるバケットシリンダ圧Pbの脈動(変動)として検出し、その脈動(変動)に基づいて、掘削対象物91の粒度の演算を行う。
図7はバケットシリンダ圧Pbの時間変化について示す模式図である。図7に示すように、ホイールローダ10による掘削動作が開始されると、バケットシリンダ圧Pbが上昇する。掘削対象物91の粒度が小さい場合、粒度が大きい場合に比べて、ホイールローダ10は小さい抵抗で掘削対象物91を掘り込める。このため、図7の上図に示すように、バケットシリンダ圧Pbに脈動(変動)はほとんど生じない。一方、掘削対象物91の粒度が大きい場合、粒度が小さい場合に比べてバケットシリンダ5への反力がばらつく。このため、図7の下図に示すように、バケットシリンダ圧Pbに脈動(変動)が生じる。
本実施形態では、掘削動作中のバケットシリンダ圧Pbの脈動成分の含有量によって、掘削対象物91の粒度を判定する。バケットシリンダ圧Pbの脈動成分を抽出する際、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)などの周波数分析を実施することが考えられる。
しかしながら、本実施形態では、掘削動作が開始されたと判定されてから掘上動作が開始されるまでの短い時間(例えば、数秒程度)内で、粒度の判定を行う必要がある。このため、図5に示すように、本実施形態に係る粒度演算部112は、比較的短時間で処理可能なハイパスフィルタ112aを有している。なお、掘上動作の開始は、アーム2の上げ動作の開始に相当する。
ハイパスフィルタ112aは、カットオフ周波数よりも低い周波数成分を除去する。掘削動作中のバケットシリンダ圧Pbの脈動成分は、通常、数Hz程度である。このため、カットオフ周波数には、数Hzの脈動成分が通過する程度の値が採用される。
粒度演算部112は、作業装置6に作用する反力の脈動(変動)の大きさを表す脈動値Piとして、バケットシリンダ圧Pbの脈動成分の積分値を演算する積分処理部112bを有している。積分処理部112bは、ハイパスフィルタ112aによって抽出された脈動成分の積分値を脈動値Piとして演算する。積分処理部112bは、掘削動作の開始時点と掘上動作の開始時点との間の所定時間t0内において、ハイパスフィルタ112aにより抽出された脈動成分を積分する。本実施形態に係る積分処理部112bは、掘削動作が開始されたと判定された時点から予め定めた積分処理時間tp(tp≦t0)だけ、脈動成分を積分する。つまり、積分処理部112bは、掘削動作の初期段階(掘削対象物91への突入直後)において、脈動値Piを演算する。なお、この脈動成分は符号が負側になることがあるため、脈動成分の大きさを検知するためには、この抽出量を絶対値化するなどの処理が必要となる場合もある。
粒度演算部112は、掘削対象物91の粒度の大きさを表す粒度レベルを判定する粒度レベル判定部112cを有している。図8は、粒度レベル判定部112cの制御ブロック線図である。図8に示すように、粒度レベル判定部112cは、積分処理部112bにより演算された脈動値Piと、予め定められた脈動閾値Pitとに基づいて、現在掘削している掘削対象物91の粒度レベルを演算する。粒度レベル判定部112cは、積分処理部112bにより演算された脈動値Piが、脈動閾値Pit以上であるか否かを判定する。脈動閾値Pitは、掘削対象物91の粒度の大きさを表す複数の粒度レベルと脈動値Piとの関係を規定する規定データであり、実験等により予め定められ、不揮発性メモリ102に記憶されている。
粒度レベル判定部112cは、脈動値Piが脈動閾値Pit未満である場合には、掘削対象物91の粒度レベルは「小(第1粒度レベル)」と判定する。粒度レベル判定部112cは、脈動値Piが脈動閾値Pit以上である場合には、掘削対象物91の粒度レベルは「大(第1粒度レベルよりも大きい第2粒度レベル)」と判定する。
図5、図9及び図10を参照して、掘削量演算部113により実行される処理の内容について詳しく説明する。図5に示す掘削量演算部113は、掘削動作判定部111により掘削動作が開始されたと判定された場合に、掘削量の演算を行う。掘削量は、掘削対象物91に車両が突入したときの車速の減速度と一定の関係がある。本実施形態に係る掘削量演算部113は、掘削動作の開始からの車速の減速度に基づいて、掘削量の演算を行う。なお、判定に利用する車速は、可能な限り正確な情報を得ることが好ましい。このため、本実施形態では、車輪7を回転駆動している走行モータ26の回転速度(モータ速度)を活用する。
図9は、モータ速度(車速)の時間変化について示す模式図である。図9に示すように、ホイールローダ10が掘削対象物91に突入して掘削動作が開始されると、モータ速度Vmが減速する。掘削量が小さい場合、掘削量が大きい場合に比べて、モータ速度Vmの変化が小さい。一方、掘削量が大きい場合、掘削量が小さい場合に比べて、モータ速度Vmの変化が大きい。本実施形態では、この特性を活用して、掘削動作の初期段階(掘削対象物91への突入直後)のモータ速度の減速度に基づいて、掘削量を判定する。
図5に示すように、掘削量演算部113は、減速度演算部113a及び掘削量レベル判定部113bを有している。本実施形態に係る減速度演算部113aは、掘削動作が開始されたと判定された時点から予め定めた減速度処理時間td(td≦t0)経過後までのモータ速度Vmの低下量ΔVm(>0)を減速度処理時間tdで除することにより、走行モータ26の減速度Dを算出する(D=ΔVm/td,D>0)。なお、本実施形態において、減速度処理時間tdは、積分処理時間tpと同じである(td=tp)。
図10は、掘削量レベル判定部113bの制御ブロック線図である。図10に示すように、掘削量レベル判定部113bは、減速度演算部113aにより演算された減速度Dと、予め定められた減速度閾値Dtとに基づいて、掘削量レベルを演算する。掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが、減速度閾値Dt以上であるか否かを判定する。減速度閾値Dtは、作業装置6により掘削される掘削物の重量である掘削量の大きさを表す複数の掘削量レベルと減速度Dとの関係を規定する規定データであり、実験等により予め定められ、不揮発性メモリ102に記憶されている。
掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが減速度閾値Dt未満である場合には、掘削量レベルは「小(第1掘削量レベル)」と判定する。掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが減速度閾値Dt以上である場合には、掘削量レベルは「大(第1掘削量レベルよりも大きい第2掘削量レベル」と判定する。
図5及び図11を参照して、掘削状態判定部114による掘削状態判定処理について説明する。図11は、掘削状態判定部114による掘削状態判定処理について説明する図である。図5及び図11に示すように、掘削状態判定部114は、粒度レベル判定部112cで判定された粒度レベルと、掘削量レベル判定部113bで判定された掘削量レベルとに基づいて、ホイールローダ10による掘削状態が、軽掘削状態であるか、あるいは重掘削状態であるかを判定する。掘削状態判定部114は、粒度レベルが「小」であり、かつ、掘削量レベルが「小」である場合には、掘削状態が軽掘削状態であると判定する。掘削状態判定部114は、粒度レベルが「大」である場合、あるいは、掘削量レベルが「大」である場合には、掘削状態が重掘削状態であると判定する。重掘削状態とは、軽掘削状態よりも大きな走行駆動力を必要とする掘削状態である。
図5に示す出力配分演算部115は、掘削状態判定部114の判定結果に基づいて、エンジン21の出力を作業装置6と走行装置11に配分するための出力配分比を演算する。なお、本実施形態において、エンジン21の出力配分比は、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)に相当する。
出力配分演算部115は、粒度レベル判定部112cにより演算された粒度レベル、及び掘削量レベル判定部113bにより演算された掘削量レベルの双方に基づいて、エンジン21の出力配分比を演算する。
出力配分演算部115は、掘削状態が重掘削状態と判定された場合(粒度レベルが「大」と判定された場合、あるいは、掘削量レベルが「大」と判定された場合)には、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が1よりも大きくなるように、出力配分比を演算する。出力配分演算部115は、掘削状態が軽掘削状態と判定された場合(粒度レベルが「小」と判定され、かつ、掘削量レベルが「小」と判定された場合)には、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が1以下になるように、出力配分比を演算する。
本実施形態では、出力配分演算部115は、掘削状態が重掘削状態であると判定された場合には、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)を7:3に設定する。具体的には、出力配分演算部115は、走行駆動力の上限値の配分比率(百分率)ηcを70%に設定し、作業駆動力の上限値の配分比率(百分率)ηiを30%に設定する。なお、配分比率の数値は一例である。出力配分演算部115は、例えば、走行駆動力の上限値の配分比率ηcを60%に設定し、作業駆動力の上限値の配分比率ηiを40%に設定してもよい。このように、走行駆動力の上限値を作業駆動力の上限値よりも大きくすることにより、掘削対象物91の粒度が比較的大きい場合に、掘削対象物91に対してバケット3を深く貫入させることができる。また、大量の掘削物を効率的に掘削することができる。
また、出力配分演算部115は、掘削状態が軽掘削状態であると判定された場合には、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)を5:5に設定する。具体的には、出力配分演算部115は、走行駆動力の上限値の配分比率ηc及び作業駆動力の上限値の配分比率ηiをそれぞれ50%に設定する。なお、配分比率の数値は一例である。出力配分演算部115は、例えば、走行駆動力の上限値の配分比率ηcを40%に設定し、作業駆動力の上限値の配分比率ηiを60%に設定してもよい。このように、作業駆動力の上限値を走行駆動力の上限値以上とすることにより、掘削対象物91の粒度が比較的小さく、かつ、掘削量が比較的小さい場合に、掘削速度を向上することができる。
出力配分演算部115により演算された走行駆動力の上限値の配分比率ηc及び作業駆動力の上限値の配分比率ηiは、掘削動作フラグがオフになるまで保持される。掘削動作フラグがオフになると、出力配分演算部115は、走行駆動力の上限値の配分比率ηc及び作業駆動力の上限値の配分比率ηiを予め定めた基準値に設定する。
エンジン21の出力トルクは、作業装置6、走行装置11及び補機(不図示)によって消費される。作業装置6により消費されるトルクは、油圧ポンプ24の入力トルクに相当する。走行装置11によって消費されるトルクは、走行モータ26の出力トルクに相当する。
動力制御部116は、出力配分演算部115によって演算された配分比率ηc,ηi、エンジン出力トルクTe、作業要求トルクTi、走行要求トルクTc及び補機要求トルクTaに基づいて、作業駆動トルク指令及び走行駆動トルク指令を演算する。エンジン出力トルクTe、作業要求トルクTi、走行要求トルクTc、及び補機要求トルクTaは、制御装置100によって算出される。
エンジン出力トルクTeは、現在のエンジン回転速度において出力可能な最大トルクである。制御装置100は、不揮発性メモリ102に記憶されているエンジン出力トルクカーブを参照し、エンジン回転速度センサ147(図2参照)で検出されたエンジン回転速度に基づいてエンジン出力トルクTeを算出する。補機要求トルクTaは、発電機22によって発生した電力によって動作する複数の補機の動作状態に応じて算出される。
制御装置100は、アーム操作量、バケット操作量、アクセル操作量等に基づいて、エンジン回転速度の目標値(以下、目標速度とも記す)を設定する。制御装置100で設定された目標速度は、図示しないエンジンコントローラに出力される。エンジンコントローラは、エンジン回転速度センサ147で検出されるエンジン回転速度が、目標速度となるように燃料噴射装置(不図示)を制御する。なお、エンジン回転速度センサ147は、エンジンコントローラに接続されていてもよい。
制御装置100は、レバー操作量(アーム操作量、及びバケット操作量)に基づいて、作業要求トルクTiを算出する。不揮発性メモリ102には、ポンプ要求流量マップが記憶されている。制御装置100は、ポンプ要求流量マップを参照し、レバー操作量(レバー信号)に基づいて、ポンプ要求流量を決定する。ポンプ要求流量マップは、レバー操作量にポンプ要求流量が略比例するように設定されている。ポンプ要求流量は、レバー操作量が大きくなるほど大きくなる。なお、ポンプ要求流量マップは、アーム操作量に基づくマップと、バケット操作量に基づくマップとがあり、それぞれのマップで決定された流量のうち、大きい方がポンプ要求流量として決定される。
制御装置100は、ポンプ要求流量と吐出圧センサ154で検出された油圧ポンプ24の吐出圧に基づいて油圧要求動力を演算し、油圧要求動力とエンジン回転速度センサ147で検出されたエンジン21の回転速度に基づいて作業要求トルクTiを算出する。作業要求トルクTiは、レバー操作量が大きくなるほど大きくなる。
制御装置100は、モータ速度、及びアクセル操作量に基づいて、走行要求トルクTcを算出する。不揮発性メモリ102には、走行モータ26のトルクマップが記憶されている。このトルクマップは、アクセル信号に応じた複数のトルクカーブが記憶されている。トルクマップは、アクセル信号が大きくなるほど走行要求トルクTcが大きくなり、モータ速度が速くなるほど走行要求トルクTcが小さくなるように設定されている。制御装置100は、アクセル操作量に対応するトルクカーブを選択し、モータ速度に基づいて走行要求トルクTcを決定する。
動力制御部116は、エンジン出力トルクTeから補機要求トルクTaを差し引いた値である差分値ΔTeを算出する(ΔTe=Te-Ta)。動力制御部116は、出力配分演算部115で演算された走行駆動トルクの配分比率ηcに差分値ΔTeを乗じることにより、走行駆動トルクの上限値Tclを算出する。動力制御部116は、出力配分演算部115で演算された作業駆動トルクの配分比率ηiに差分値ΔTeを乗じることにより、作業駆動トルクの上限値Tilを算出する。
動力制御部116は、走行要求トルクTc及び走行駆動トルクの上限値Tclのうち小さい方を走行駆動トルクの目標値として決定し、その目標値に基づいて走行駆動トルク指令を出力する。動力制御部116は、作業要求トルクTi及び作業駆動トルクの上限値Tilのうち小さい方を作業駆動トルクの目標値として決定し、その目標値に基づいて作業駆動トルク指令を出力する。
走行駆動トルク指令は、走行インバータ27に出力される。走行インバータ27は、走行駆動トルク指令に基づいて走行モータ26のトルクを制御する。これにより、走行装置11が走行モータ26で発生する走行駆動力によって駆動される。作業駆動トルク指令は、図示しないポンプコントローラに出力される。ポンプコントローラは、作業駆動トルク指令及び油圧ポンプ24の吐出圧に基づいて、油圧ポンプ24の吐出容量(押しのけ容積)を制御するための制御信号を生成する。ポンプコントローラは、生成した制御信号を図示しないレギュレータに出力することにより、油圧ポンプ24の吐出容量を制御する。これにより、作業装置6が油圧シリンダ4,5で発生する作業駆動力によって駆動される。
このように、本実施形態に係る制御装置100は、掘削対象物91の粒度を表すパラメータとしての作業装置6に作用する反力の脈動(振動)の大きさを表す脈動値Pi(本実施形態では、バケットシリンダ圧の脈動の所定期間での積分値)を演算し、脈動値Piが大きいほど、走行駆動トルク(走行駆動力)の上限値を大きくするとともに作業駆動トルク(作業駆動力)の上限値を小さくする。
したがって、掘削作業において、例えば、オペレータがアクセル操作装置141をフル操作しつつ、アーム操作装置144及びバケット操作装置145をフル操作した場合には、走行駆動力と作業駆動力とが上限値に制御され、掘削対象物91の粒度及び掘削量に応じて走行駆動力と作業駆動力が適切に調整される。これにより、良好な掘削動作を実施することが可能となる。なお、上限値を超えるまでは、オペレータの操作量に応じた走行駆動力及び作業駆動力を発生させることができる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)制御装置100は、エンジン21の出力を作業装置6と走行装置11に配分するための出力配分比を演算し、演算された出力配分比に基づいて油圧ポンプ24及び走行モータ(電動機)26を制御する。制御装置100は、バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)153の検出結果に基づいて、作業装置6により掘削対象物91の掘削を行っているときに作業装置6に作用する反力の脈動の大きさを表す脈動値(バケットシリンダ圧Pbの脈動成分の積分値)Piを演算する。制御装置100は、演算された脈動値Piが大きいほど、作業装置6の出力(作業駆動力)に対する走行装置11の出力(走行駆動力)の比(ηc/ηi)が大きくなるように、出力配分比(ηc:ηi)を演算する。制御装置100は、演算された出力配分比(ηc:ηi)に基づいて油圧ポンプ24及び走行モータ(電動機)26を制御する。
脈動値Piは、掘削対象物91の粒度を表すパラメータであり、粒度が大きいほど脈動値Piが大きくなる。したがって、本実施形態では、掘削対象物91の粒度が大きくなるほど、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が大きくなるようにエンジン21の出力配分が制御される。これにより、粒度の異なる掘削対象物91を掘削する場合であっても作業効率の向上が可能なホイールローダ10を提供することができる。
(2)制御装置100は、モータ速度センサ(速度センサ)146の検出結果に基づいて、走行モータ26の減速度Dを演算する。制御装置100は、演算された減速度Dが大きいほど、作業装置6の出力(作業駆動力)に対する走行装置11の出力(走行駆動力)の比(ηc/ηi)が大きくなるように、出力配分比(ηc:ηi)を演算する。
減速度Dは、掘削量を表すパラメータであり、掘削量が大きいほど減速度Dが大きくなる。本実施形態では、掘削量が大きくなるほど、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が大きくなる。このため、掘削量が大きいときには走行駆動力(牽引力)が大きくなる。その結果、大量の掘削物をバケット3に積み込む作業を良好に行うことができる。また、掘削量が小さときには作業駆動力(掘起力)が大きくなる。その結果、少量の掘削物を素早く掘り上げることができる。
(3)制御装置100は、アーム相対角センサ(姿勢センサ)151、バケット相対角センサ(姿勢センサ)152、バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)153、及びモータ速度センサ(速度センサ)146の検出結果に基づいて、掘削対象物91に対して作業装置6による掘削動作が開始されたか否かを判定する。制御装置100は、掘削動作が開始されたと判定された場合に、脈動値Pi及び減速度Dに基づいて演算された出力配分比(ηc:ηi)に基づいて、油圧ポンプ24及び走行モータ26を制御する。この構成によれば、掘削動作が開始された場合に、掘削対象物91の粒度及び掘削量に適した出力配分比に応じて油圧ポンプ24及び走行モータ26が制御される。一方、掘削動作が開始される前の段階では、本実施形態で説明した出力配分比とは異なる出力配分比(基準値)で油圧ポンプ24及び走行モータ26を制御することができる。
(4)不揮発性メモリ(記憶装置)102には、掘削対象物91の粒度の大きさを表す複数の粒度レベルと脈動値Piとの関係を規定する脈動閾値Pitと、掘削量の大きさを表す複数の掘削量レベルと減速度Dとの関係を規定する減速度閾値Dtと、が記憶されている。制御装置100は、脈動閾値Pitと、演算された脈動値Piとに基づいて、粒度レベルを演算する。制御装置100は、減速度閾値Dtと、演算された減速度Dとに基づいて、掘削量レベルを演算する。制御装置100は、演算された粒度レベル及び掘削量レベルの双方に基づいて、エンジン21の出力配分比(ηc:ηi)を演算する。この構成によれば、複数に分類された粒度レベル及び掘削量レベルに応じて適切な出力配分比を演算することができる。本実施形態では、粒度レベル及び掘削量レベルは、それぞれ2段階に分類されている。これにより、制御装置100の演算負荷を低減しつつ、粒度レベル及び掘削量レベルに応じて牽引力及び掘起力が適切に調整され、作業効率を向上できる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
エンジン21の出力配分比、すなわち走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比は、上述した例に限定されない。走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比は、作業車両の種類、大きさ、作業車両の稼働場所に応じて適宜定められる。
<変形例2>
上記実施形態では、図11に示すように、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれが2段階に分類されている例について説明したが、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれは3段階以上に分類されていてもよい。
図12を参照して、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれが3段階に分類されている例について説明する。図12は、本実施形態の変形例2に係る掘削状態判定部114による掘削状態判定処理について説明する図である。本変形例では、図12に示すように、「小」「中」「大」の3段階に分類された粒度レベルと、「小」「中」「大」の3段階に分類された掘削量レベルに基づいて、掘削状態が判定される。
粒度レベル判定部112cは、脈動値Piが第1脈動閾値Pit1未満である場合には、掘削対象物91の粒度レベルは「小」と判定する。粒度レベル判定部112cは、脈動値Piが第1脈動閾値Pit1以上第2脈動閾値Pit2未満である場合には、掘削対象物91の粒度レベルは「中」と判定する。粒度レベル判定部112cは、脈動値Piが第2脈動閾値Pit2以上である場合には、掘削対象物91の粒度レベルは「大」と判定する。なお、第2脈動閾値Pit2は、第1脈動閾値Pit1よりも大きい(Pit2>Pit1)。
掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが第1減速度閾値Dt1未満である場合には、掘削量レベルは「小」と判定する。掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが第1減速度閾値Dt1以上第2減速度閾値Dt2未満である場合には、掘削量レベルは「中」と判定する。掘削量レベル判定部113bは、減速度Dが第2減速度閾値Dt2以上である場合には、掘削量レベルは「大」と判定する。なお、第2減速度閾値Dt2は、第1減速度閾値Dt1よりも大きい(Dt2>Dt1)。
掘削状態判定部114は、粒度レベルが「小」であり、かつ掘削量レベルが「小」である場合には、掘削状態が軽掘削状態であると判定する。掘削状態判定部114は、粒度レベル及び掘削量レベルの一方が「小」であり、かつ他方が「中」である場合、あるいは、粒度レベル及び掘削量レベルの双方が「中」である場合には、掘削状態が中掘削状態であると判定する。掘削状態判定部114は、粒度レベル及び掘削量レベルの少なくとも一方が「大」である場合には、掘削状態が重掘削状態であると判定する。
出力配分演算部115は、掘削状態が重掘削状態であると判定された場合には、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)を6:4に設定する。出力配分演算部115は、掘削状態が中掘削状態であると判定された場合には、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)を5:5に設定する。出力配分演算部115は、掘削状態が軽掘削状態であると判定された場合には、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比(割合)を4:6に設定する。
本変形例では、粒度レベル及び掘削量レベルの分類数が上記実施形態に比べて多いため、ホイールローダ10による作業効率の向上が見込める。
なお、上記実施形態では、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれが2段階に分類され、本変形例では、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれが3段階に分類される例について説明した。しかしながら、粒度レベル及び掘削量レベルのそれぞれは、4段階以上に分類されていてもよい。
<変形例3>
図13に示すように、ホイールローダ10は、脈動値Pi及び減速度Dに基づいて、出力配分比を演算するAUTOモード(第1制御モード)と、脈動値Pi及び減速度Dにかかわらず、出力配分比を演算するMANUALモード(第2制御モード)と、を手動で切り替え可能なモード切替操作装置である切替スイッチ358をさらに備えていてもよい。
また、ホイールローダ10は、出力配分比を任意に設定可能な操作装置である出力配分設定ダイヤル359を備えていてもよい。切替スイッチ358及び出力配分設定ダイヤル359は、運転室12内に設けられている。
切替スイッチ358は、操作位置として、AUTOモード位置とMANUALモード位置とを有する。切替スイッチ358は、AUTOモード位置に操作されている場合、AUTOモードが選択されていることを表す信号を制御装置300に出力する。この場合、制御装置300は、出力配分モードとしてAUTOモードを設定する。切替スイッチ358は、MANUALモード位置に操作されている場合、MANUALモードが選択されていることを表す信号を制御装置300に出力する。この場合、制御装置300は、出力配分モードとしてMANUALモードを設定する。
本変形例に係る出力配分設定ダイヤル359は、出力配分モードがMANUALモードに設定されているときに用いられる配分比率ηcを設定する。制御装置300は、出力配分設定ダイヤル359の操作位置に基づいて、走行駆動力の配分比率ηcを演算する。さらに、制御装置300は、作業駆動力の配分比率ηiを演算する。制御装置300は、100[%]から走行駆動力の配分比率ηc[%]を減じることにより、作業駆動力の配分比率ηiを算出する(100-ηc=ηi[%])。
このように、本変形例によれば、出力配分モードがMANUALモードに設定されている場合には、オペレータにより操作される出力配分設定ダイヤル359の操作位置に基づいて配分比率ηc,ηiが演算される。なお、出力配分モードがAUTOモードに設定されている場合には、上記実施形態で説明したように、脈動値Pi及び減速度Dに基づいて配分比率ηc,ηiが演算される。
このような変形例によれば、オペレータの意思によって、脈動値Pi及び減速度Dに基づく出力配分制御の機能を無効にすることができる。つまり、オペレータは、作業条件や作業環境に応じて、脈動値Pi及び減速度Dに基づく出力配分制御の機能の有効/無効を選択できる。
なお、切替スイッチ358は、AUTOモードにおいて、脈動値Pi及び減速度Dの双方に基づく出力配分制御を実行する第1AUTOモード、脈動値Piのみに基づく出力配分制御を実行する第2AUTOモード、及び減速度Dのみに基づく出力配分制御を実行する第3AUTOモードのいずれかに切替可能に構成されていてもよい。
<変形例4>
掘削動作の開始判定方法は、上記実施形態で説明した方法に限定されない。上記実施形態で説明した判定方法に代えて、ホイールローダ10の前方を監視するためのカメラ(撮影装置)で撮影された画像データに基づいて、掘削動作が開始されたか否かを判定してもよい。ホイールローダ10の前方を監視する赤外線センサで検出された情報に基づいて掘削動作が開始されたか否かを判定してもよい。しかしながら、カメラ及び赤外線センサは、オプションとして設けられることが多い。したがって、コストの低減を図るため、制御装置100は、標準的に装備されている姿勢センサ(アーム相対角センサ151及びバケット相対角センサ152)、圧力センサ(バケットシリンダ圧センサ153)、及び速度センサ(モータ速度センサ146)の検出結果のうちの少なくとも一つに基づいて、掘削対象物91に対して作業装置6による掘削動作が開始されたか否かを判定することが好ましい。
<変形例5>
上記実施形態では、掘削動作が開始されたと判定された後、バケット角θが第3角度閾値θt3以上となったときに、掘削動作が終了したと判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、掘削動作が開始されたと判定されてからの時間が、予め定めた所定時間(例えば、5秒程度)を経過した場合に、掘削動作が終了したと判定してもよい。
<変形例6>
上記実施形態に係るホイールローダ10は、オペレータの操作により作業装置6及び走行装置11が動作する。このため、上記実施形態では、走行駆動力の上限値と作業駆動力の上限値の比を脈動値Pi及び減速度Dに応じて調整していた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、ホイールローダ10は、自動運転制御により走行する構成であってもよい。この場合、制御装置100は、脈動値Pi及び減速度Dに基づいて、出力配分比を演算し、演算した出力配分比に基づいて走行駆動力の目標値及び作業駆動力の目標値を演算する。つまり、本変形例において、掘削動作が開始されると、エンジン21の出力配分比は、常に走行駆動力の目標値と作業駆動力の目標値の比(割合)に相当する。これにより、さらに作業効率の向上を図ることができる。
<変形例7>
上述したように、モータ速度と車速とは一定の関係がある。このため、モータ速度センサ146に代えて、車輪7の回転速度を検出する車輪速センサを採用してもよい。つまり、車輪速センサにより検出された車速に基づいて、掘削動作の開始判定、及び、掘削量の演算処理を行ってもよい。
<変形例8>
上記実施形態では、バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)153の検出結果に基づいて、脈動値Piを演算する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。作業装置6により掘削対象物91の掘削を行っているときに作業装置6に作用する反力の脈動は、モータ速度センサ146の検出結果や電流センサ155の検出結果にも表れる。したがって、制御装置100は、モータ速度センサ146、あるいは電流センサ155の検出結果に基づいて、脈動値Piを演算してもよい。制御装置100は、バケットシリンダ圧センサ153、モータ速度センサ146、及び電流センサ155の検出結果のうちの少なくとも一つに基づいて、脈動値Piを演算する構成であればよい。
<変形例9>
上記実施形態に係る制御装置100は、脈動値Pi及び減速度Dの双方に基づいて、エンジン21の出力配分比を演算する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。制御装置100は、脈動値Piが大きいほど、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が大きくなるように、出力配分比を演算する構成であればよい。なお、上記実施形態のように、減速度が大きいほど、作業装置6の出力に対する走行装置11の出力の比が大きくなるように、出力配分比を演算する機能を制御装置100が備えていることが好ましい。この機能をさらに備えていることにより、掘削量に応じた適切な出力配分で走行装置11及び作業装置6を動作させることができる。
<変形例10>
上記実施形態に係る制御装置100は、減速度Dに基づいて、掘削量レベルを判定する方法について説明した。しかしながら、掘削量レベルの判定方法は、これに限定されない。例えば、カメラ(撮影装置)で撮影されたバケット3に積み込まれた掘削物の画像データに基づいて、掘削量レベルを判定してもよい。
<変形例11>
上記実施形態で説明した発電機22は、図示しない蓄電装置からの電力によって電動機として動作する発電電動機であってもよい。
<変形例12>
制御装置100は、作業効率を演算し、直前の掘削作業において設定された出力配分比と、作業効率とを表示装置に表示させてもよい。
<変形例13>
上記実施形態で説明した制御装置100の機能は、それらの一部または全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。上述した実施形態及び変形例は本発明を理解し易く説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。なお、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
2…アーム、3…バケット、4…アームシリンダ(油圧シリンダ)、5…バケットシリンダ(油圧シリンダ)、6…作業装置、8…車体、10…ホイールローダ(作業車両)、11…走行装置、21…エンジン、22…発電機、23…発電インバータ、24…油圧ポンプ、25…コントロールバルブ、26…走行モータ(電動機)、27…走行インバータ、91…掘削対象物、100…制御装置、101…処理装置、102…不揮発性メモリ(記憶装置)、103…揮発性メモリ(記憶装置)、111…掘削動作判定部、112…粒度演算部、112a…ハイパスフィルタ、112b…積分処理部、112c…粒度レベル判定部、113…掘削量演算部、113a…減速度演算部、113b…掘削量レベル判定部、114…掘削状態判定部、115…出力配分演算部、116…動力制御部、144…アーム操作装置、144a…アーム操作量センサ、145…バケット操作装置、145a…バケット操作量センサ、146…モータ速度センサ(速度センサ)、151…アーム相対角センサ(姿勢センサ)、152…バケット相対角センサ(姿勢センサ)、153…バケットシリンダ圧センサ(圧力センサ)、155…電流センサ、300…制御装置、358…切替スイッチ(モード切替操作装置)、359…出力配分設定ダイヤル、D…減速度、Dt…減速度閾値、Dt1…第1減速度閾値、Dt2…第2減速度閾値、Pb…バケットシリンダ圧、Pbt…圧力閾値、Pi…脈動値、Pit…脈動閾値、Pit…第1脈動閾値、Pit2…第2脈動閾値、Vm…モータ速度、Vmt…速度閾値、θ…バケット角、θt1…第1角度閾値、θt2…第2角度閾値、θt3…第3角度閾値

Claims (9)

  1. 車体に搭載されたエンジンと、
    前記エンジンにより駆動される油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプから吐出される作動油により伸縮動作する油圧シリンダと、
    前記油圧シリンダの伸縮動作に応じて動かされる作業装置と、
    前記作業装置に対し独立して駆動され前記車体を走行させる走行装置と、
    前記エンジンにより駆動されて発電する発電機と、
    前記発電機により発電された電力により駆動され前記走行装置を動作させる電動機と、
    前記油圧シリンダの圧力を検出する圧力センサと、
    前記電動機の回転速度を検出する速度センサと、
    前記電動機の電流を検出する電流センサと、
    前記エンジンの出力を前記作業装置と前記走行装置に配分するための出力配分比を演算し、演算された前記出力配分比に基づいて前記油圧ポンプ及び前記電動機を制御する制御装置と、を備えた作業車両において、
    前記制御装置は、
    前記圧力センサ、前記速度センサ、及び前記電流センサの検出結果のうちの少なくとも一つに基づいて、前記作業装置により掘削対象物の掘削を行っているときに前記作業装置に作用する反力の脈動の大きさを表す脈動値を演算し、
    演算された前記脈動値が大きいほど、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が大きくなるように、前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記制御装置は、
    前記速度センサの検出結果に基づいて、前記電動機の減速度を演算し、
    演算された前記減速度が大きいほど、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が大きくなるように、前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  3. 請求項2に記載の作業車両において、
    前記作業装置の姿勢を検出する姿勢センサを備え、
    前記制御装置は、
    前記姿勢センサ、前記圧力センサ、及び前記速度センサの検出結果のうちの少なくとも一つに基づいて、前記掘削対象物に対して前記作業装置による掘削動作が開始されたか否かを判定し、
    前記掘削動作が開始されたと判定された場合に、前記脈動値及び前記減速度に基づいて演算された前記出力配分比に基づいて、前記油圧ポンプ及び前記電動機を制御する
    ことを特徴とする作業車両。
  4. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記掘削対象物の粒度の大きさを表す複数の粒度レベルと前記脈動値との関係を規定する脈動閾値が記憶される記憶装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記脈動閾値と、演算された前記脈動値とに基づいて、前記粒度レベルを演算し、
    演算された前記粒度レベルに基づいて前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  5. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記制御装置は、
    前記脈動値が予め定められた脈動閾値以上である場合には、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が1よりも大きくなるように、前記出力配分比を演算し、
    前記脈動値が前記脈動閾値未満である場合には、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が1以下になるように、前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  6. 請求項2に記載の作業車両において、
    前記制御装置は、
    掘削量の大きさを表す複数の掘削量レベルと前記減速度との関係を規定する減速度閾値が記憶される記憶装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記減速度閾値と、演算された前記減速度とに基づいて、前記掘削量レベルを演算し、
    演算された前記掘削量レベルに基づいて前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  7. 請求項2に記載の作業車両において、
    前記制御装置は、
    前記減速度が予め定められた減速度閾値以上である場合には、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が1よりも大きくなるように、前記出力配分比を演算し、
    前記減速度が前記減速度閾値未満である場合には、前記作業装置の出力に対する前記走行装置の出力の比が1以下になるように、前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  8. 請求項2に記載の作業車両において、
    前記掘削対象物の粒度の大きさを表す複数の粒度レベルと前記脈動値との関係を規定する脈動閾値と、掘削量の大きさを表す複数の掘削量レベルと前記減速度との関係を規定する減速度閾値と、が記憶される記憶装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記脈動閾値と、演算された前記脈動値とに基づいて、前記粒度レベルを演算し、
    前記減速度閾値と、演算された前記減速度とに基づいて、前記掘削量レベルを演算し、
    演算された前記粒度レベル及び前記掘削量レベルの双方に基づいて、前記出力配分比を演算する
    ことを特徴とする作業車両。
  9. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記脈動値に基づいて、前記出力配分比を演算する第1制御モードと、前記脈動値にかかわらず、前記出力配分比を演算する第2制御モードと、を手動で切り替え可能なモード切替操作装置をさらに備える
    ことを特徴とする作業車両。
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