JP2024097004A - 陰性症状および障害を処置するため、神経可塑性を増大するため、ならびに神経保護を促進するためのロルペリドンの使用 - Google Patents

陰性症状および障害を処置するため、神経可塑性を増大するため、ならびに神経保護を促進するためのロルペリドンの使用 Download PDF

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レミ・アンリ・ルスリンガー
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Abstract

【課題】対象において、陰性症状および障害(例えば、自閉症障害、弱視、パーソナリティ障害、外傷性脳損傷)を処置する、ならびに神経可塑性を増大するおよび神経保護を促進する方法を提供する。
【解決手段】治療有効量の下記構造式を有するロルペリドン
Figure 2024097004000037

または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与することを含む方法である。
【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2018年8月21日出願の米国仮出願第62/720,667号、および2019年4月9日出願の米国仮出願第62/831,535号への優先権および上記出願の利益を主張する。
本出願は、それを必要とする対象において、陰性症状および障害(例えば、自閉症障害、弱視、パーソナリティ障害、外傷性脳損傷)を処置する、ならびに神経可塑性を増大するおよび神経保護を促進する方法に使用するための、ロルペリドン、すなわち化合物(I)、ならびにその塩、溶媒和物、医薬組成物および剤形の使用に関する。
脳由来神経栄養因子(BDNF)は、神経連絡の形成および機能において重要な役割を果たす、ニューロトロフィンと呼ばれるタンパク質のファミリーのメンバーである。BDNFは、脳において、最も広範囲に分布しているニューロトロフィンであり、神経新生、神経可塑性、神経保護、シナプス調節、学習および記憶に関係している(BDNF and schizophrenia: from neurodevelopment to neuronal plasticity, learning and memory, R. Nieto et al, Frontiers in Psychiatry, June 2013, Volume 4 Article 45)。統合失調症(Childhood trauma interacted with BDNF Val66Met influence schizophrenic symptoms, Xiao-Jiao Bi et al, Medicine. 97(13):e0160, MAR 2018)および他の脳障害における関与も記載されている(Giacobbo et al. Molecular Neurobiology https://doi.org/10.1007/s12035-018-1283-6, published online 17-August-2018)。
新たな証拠は、BDNFと中枢神経系の障害の間のリンクを指摘するものである。BDNF遺伝子のエピジェネティックな変化は、統合失調症の病態生理学に関連していることが示されており、統合失調症の患者において、脳の前頭皮質および海馬にBDNFの発現量の低下が確認されている(Effects of Antipsychotic Drugs on the Epigenetic Modification of Brain-Derived Neurotrophic Factor Gene Expression in the Hippocampi of Chronic Restraint Stress Rats, M. K. Seo et al., Neural Plasticity, Volume 2018, Article ID 2682037, 10 pages)。
研究者は、正常レベル未満のBDNFは、脳の発達の変化および神経可塑性の異常およびシナプス機能に寄与することによって、統合失調症の病因に影響を及ぼし得ると考えている。これらの障害により、統合失調症の患者における、脳内でのある特定の形態学的特徴および神経化学的特徴を説明することができる(BDNF and schizophrenia: from neurodevelopment to neuronal plasticity, learning and memory, R. Nieto et al, Frontiers in Psychiatry, June 2013, Volume 4 Article 45)。
さらに、BDNF遺伝子における機能的多形性は、統合失調症および双極性障害を含めた精神病の発症において、環境因子と相互作用していることが観察されている(Xiao-Jiao Bi et al, Medicine. 97(13): e0160, March, 2018)。さらなる検討により、統合失調症患者において、BDNFのレベルが一層高いことと認知機能の改善および神経心理学的機能の改善との間に関係性があることが見出されている。BDNFは、TrkB-T1シグナル伝達による細胞死から星状膠細胞を保護する、抗酸化作用を発揮する、および星状膠細胞からの神経保護因子の放出を誘導することが示されている[BDNF (Brain-Derived Neurotrophic Factor) serum levels in schizophrenic patients with cognitive deficits, (N, Utami et al., “BDNF (brain-derived neurotrophic factor) serum levels in schizophrenic patients with cognitive deficits”, doi: 10.1088/1755-1315/125/1/012181)]。
したがって、BDNFは、脳の発達および可塑性において重要な役割を果たしており、いくつかの精神障害に広範囲に関与している。BDNF遺伝子のエピジェネティックな変化は、統合失調症の病態生理学に関連していることが示されており、統合失調症の患者において、脳の前頭皮質および海馬にBDNFの発現量の低下が確認されている。
ロルペリドン塩酸塩、すなわち化合物(I)は、統合失調症患者において陰性症状を処置するために、Minerva Neurosciences,Inc.(Waltham、MA)によって開発されている。化合物(I)は、5-ヒドロキシトリプタミン-2A(5-HT2A)およびシグマ2に対して、ならびに一層低い親和性レベルで、α1-アドレナリン受容体に対して等しい効力の親和性を有する薬物候補である。化合物(I)は、ドーパミン作動性、ムスカリン性、コリン作動性およびヒスタミン作動性受容体に対して親和性を示さない。化合物(I)は、錐体外路症状、鎮静剤による鎮静作用、プロラクチンの増加および体重増加のようないくつかの副作用に関与することが知られている、直接的なドーパミン作動性シナプス後遮断作用を有さない。
本出願の一態様は、対象における少なくとも1つの陰性症状を処置または低減する方法であって、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000001
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を対象に投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、化合物(I)の投与は、対象における、最初の陽性症状の徴候前に開始される。
一実施形態では、化合物(I)の投与は、対象における、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、陽性症状は、幻覚、思い込み、支離滅裂な思考、運動障害または離人症である。
一実施形態では、陰性症状は、無快感症、情動鈍麻、情緒的離脱、融通性の貧困さ、受動性/意欲低下による社会的離脱、抽象的思考困難、自発性もしくは会話の流れの欠如または枠にはまった思考である。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における弱視を処置または低減する方法であって、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000002
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を対象に投与することを含む方法に関する。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における自閉症障害を処置する方法であって、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000003
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を対象に投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、自閉症障害は、古典的な自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、特定不能の広汎性発達障害、脆弱X染色体症候群またはそれらの組合せである。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの方法であって、化合物(I)の投与により、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物の投与を受けない対象と比べて、対象における神経可塑性が増大する方法に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの方法であって、化合物(I)の投与により、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物の投与を受けない対象と比べて、対象における神経保護または神経再生が促進される方法に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの方法であって、治療有効量の化合物(I)が、対象に、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間またはそれより長い間、1日1回または1日2回、投与される方法に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの方法であって、対象が、抗精神病薬の投与も受ける、方法に関する。一実施形態では、抗精神病薬は、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンからなる群から選択される定型抗精神病薬である。一実施形態では、抗精神病薬は、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セリチンドール(Seritindole)、ゾテピンおよびペロスピロンからなる群から選択される、非定型抗精神病薬である。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの方法であって、対象が、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11歳未満である方法に関する。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における神経可塑性を増大する方法であって、有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000004
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を対象に投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、神経細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000005
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む、それを必要とする対象における神経保護を促進する方法であって、前記接触が、前記接触の非存在下で起こる神経細胞死に比べて神経細胞死を予防するもしくは遅延させるか、または前記接触が、神経細胞成長を刺激することによって、神経再生を促進する、方法に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、細胞における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量を増加させる方法であって、細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000006
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む方法に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロ(in vitro)である。
一実施形態では、接触は、インビボ(in vivo)である。
本出願の一態様は、細胞におけるグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)の発現量を増加させる方法であって、細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000007
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む方法に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロである。
一実施形態では、接触は、インビボである。
本出願の一態様は、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000008
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を、それを必要とする対象に投与することを含む、対象における障害を処置または低減する方法であって、障害が、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症およびトゥレット症候群からなる群から選択される方法に関する。
本出願の一態様は、対象における、少なくとも1つの陰性症状の処置または低減に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000009
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、化合物(I)の使用は、対象における、最初の陽性症状の徴候前に開始される。
一実施形態では、化合物(I)の使用は、対象における、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、陽性症状は、幻覚、思い込み、支離滅裂な思考、運動障害または離人症である。
一実施形態では、陰性症状は、無快感症、情動鈍麻、情緒的離脱、融通性の貧困さ、受動性/意欲低下による社会的離脱、抽象的思考困難、自発性もしくは会話の流れの欠如または枠にはまった思考である。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、弱視に罹患している対象における、弱視の処置または低減に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000010
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
本出願の一態様は、自閉症障害に罹患している対象における、自閉症障害の処置に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000011
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。一実施形態では、自閉症障害は、古典的な自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、特定不能の広汎性発達障害、脆弱X染色体症候群またはそれらの組合せである。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、化合物(I)の使用により、化合物(I)が使用されない対象と比べて、対象における神経可塑性が増大する使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、化合物(I)の使用により、化合物(I)が使用されない対象と比べて、対象における神経保護または神経再生が促進される使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、治療有効量の化合物(I)が、対象に、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間またはそれより長い間、1日1回または1日2回、投与される使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、対象が、抗精神病薬の投与も受ける、使用に関する。一実施形態では、抗精神病薬は、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンからなる群から選択される定型抗精神病薬である。一実施形態では、抗精神病薬は、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セリチンドール、ゾテピンおよびペロスピロンからなる群から選択される、非定型抗精神病薬である。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、対象が、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11歳未満である使用に関する。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における神経可塑性の増大に使用するための、有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000012
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、それを必要とする対象において、神経細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000013
を接触させることを含む、神経保護の促進に使用するためであって、前記接触が、前記接触の非存在下で起こる神経細胞死に比べて神経細胞死を予防するもしくは遅延させるか、または前記接触が、神経細胞成長を刺激することによって、神経再生を促進する、神経保護の促進に使用するための、有効量の化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000014
を接触させることを含む、細胞における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量の増加に使用するための、有効量の化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロである。
一実施形態では、接触は、インビボである。
本出願の一態様は、細胞に有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000015
を接触させることを含む、細胞におけるグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)の発現量の増加に使用するための、有効量の化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロである。
一実施形態では、接触は、インビボである。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症およびトゥレット症候群からなる群から選択される障害の処置または低減に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000016
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
本出願の一態様は、対象における、少なくとも1つの陰性症状を処置または低減する医薬の製造において使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000017
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、医薬の使用は、対象における、最初の陽性症状の徴候前に開始される。
一実施形態では、医薬の使用は、対象における、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、陽性症状は、幻覚、思い込み、支離滅裂な思考、運動障害または離人症である。
一実施形態では、陰性症状は、無快感症、情動鈍麻、情緒的離脱、融通性の貧困さ、受動性/意欲低下による社会的離脱、抽象的思考困難、自発性もしくは会話の流れの欠如または枠にはまった思考である。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、弱視に罹患している対象における、弱視を処置または低減する医薬の製造に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000018
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
本出願の一態様は、自閉症障害に罹患している対象における、自閉症障害を処置する医薬の製造に使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000019
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。一実施形態では、自閉症障害は、古典的な自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、特定不能の広汎性発達障害、脆弱X染色体症候群またはそれらの組合せである。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、医薬の使用により、該医薬が使用されない対象と比べて、対象における神経可塑性が増大する使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、医薬の使用により、該医薬が使用されない対象と比べて、対象における神経保護または神経再生が促進される使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、医薬が、対象に、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間またはそれより長い間、1日1回または1日2回、投与される使用に関する。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、対象が、抗精神病薬の投与も受ける、使用に関する。一実施形態では、抗精神病薬は、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンからなる群から選択される定型抗精神病薬である。一実施形態では、抗精神病薬は、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セリチンドール、ゾテピンおよびペロスピロンからなる群から選択される、非定型抗精神病薬である。
本出願のさらなる態様は、本明細書において開示されているいずれかの使用であって、対象が、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11歳未満である使用に関する。
本出願の一態様は、それを必要とする対象における、神経可塑性を増大する医薬の製造において使用するための、有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000020
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、それを必要とする対象において、神経細胞に有効量の医薬を接触させることを含む神経保護の促進であって、前記接触が、前記接触の非存在下で起こる神経細胞死に比べて神経細胞死を予防するもしくは遅延させるか、または前記接触が、神経細胞成長を刺激することによって、神経再生を促進する、上記神経保護の促進のための医薬の製造において使用するための、有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000021
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、対象は統合失調症である。
一実施形態では、対象は非統合失調症である。
一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
本出願の一態様は、細胞において、細胞に有効量の医薬を接触させることを含む脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量を増加させるための医薬の製造において使用するための、化合物(I)
Figure 2024097004000022
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロである。
一実施形態では、接触は、インビボである。
本出願の一態様は、細胞において、細胞に有効量の医薬を接触させることを含むグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)の発現量を増加させるための医薬の製造において使用するための、化合物(I)
Figure 2024097004000023
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
一実施形態では、接触は、インビトロである。
一実施形態では、接触は、インビボである。
本出願の一態様は、それを必要とする対象において、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症およびトゥレット症候群からなる群から選択される障害を処置または低減する医薬の製造において使用するための、治療有効量の化合物(I)
Figure 2024097004000024
または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。
インシチュ(in situ)のELISAによって測定される、一次ラット星状膠細胞によるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。データは、pg/mLで表される[平均値±平均値の標準誤差(sem);p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;一元配置分散分析、その後のDunnettの検定]。 インシチュのELISAによって測定される、一次海馬ニューロンによるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。データは、pg/mLで表される(平均値±標準誤差;p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;一元配置分散分析、その後のDunnettの検定)。 インシチュのELISAによって測定される、一次ラット星状膠細胞によるGDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。データは、pg/mLで表される(平均値±標準誤差;p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;一元配置分散分析、その後のDunnettの検定)。 qPCRによって測定される、星状膠細胞によるBDNF発現量に及ぼす化合物(I)の効果。データは、対照の条件と比較した倍率変化(FC)で表される(平均値±標準誤差;p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;一元配置分散分析、その後のDunnettの検定)。GA=酢酸グラチラマー。
脳において最も広範囲に分布しているニューロトロフィンのメンバーであるBDNFは、神経新生、神経可塑性、神経保護、シナプス調節、学習および記憶に関係している。統合失調症およびいくつかの他の神経精神障害の病態生理学において、BDNFの調節異常が記載されている。第2b相臨床検討からの結果より、化合物(I)のどちらの試験用量(32mgおよび64mg)でも、統合失調症の陰性症状の改善に、プラセボよりも統計学的に有意な利益があることが示されている。本発明者らの結果は、化合物(I)が、星状膠細胞および海馬ニューロンによるBDNF放出量、ならびに星状膠細胞によるGDNF放出量を増加させることを示している。さらに、化合物(I)は、試験用量において、ヒトに観察される薬物濃度と同様の薬物濃度において、BDNFの発現量を増加させることができる。したがって、BDNFおよびGDNFに及ぼす化合物(I)の効果は、特に、セロトニン作動性5-HT2Aおよびシグマ2経路に対する化合物(I)によって標的される既知の神経伝達経路に加えて、この化合物が、統合失調症および非統合失調症の対象における疾患修飾、神経保護、神経可塑性の改善および陰性症状の処置に対する、ならびに他の疾患および障害の処置において、可能性を有し得ることを示唆している。
化合物(I)の作用様式の理解は、その臨床的利益の背後にある神経生物学を解明することができる可能性がある。その分子の結合プロファイルは、5-HT2A受容体(K7.5nmol/L)およびシグマ2受容体(K8.2nmol/L)に対して強力な親和性を示し、シグマ1受容体(K254nmol/L)に対しては30倍の選択性である。さらに、アルファ1-アドレナリン作動性受容体(K14.4nmol/L)に対して大きな親和性がある。有力な仮説により、ある神経系回路における機能低下が、統合失調症および特に陰性症状の病因の根底にあるシナプス可塑性の欠如の一因となり得ることが示唆される。
したがって、BDNFおよびGDNFに及ぼす化合物(I)の効果は、化合物(I)によって標的される既知の神経伝達経路、特に、セロトニン作動性5HT2Aおよびシグマ-2経路の他に、この化合物が、疾患修飾および神経可塑性の改善に可能性を有し得ることを示唆している。
中枢神経系(CNS)障害を処置するための考えられる戦略として、シグマ受容体に対する2つの既知のサブタイプがシグマ1(Sig1R)およびシグマ2(Sig2R)である、上記のシグマ受容体をモジュレートすることは、最近になってようやく探索された(Sahlholm, K. et al. “The dopamine stabilizers ACR16 and (-)-OSU6162 display nanomolar affinities at the σ-1 receptor.” Mol. Psychiatry. (2013); 18(1): 12-4)。シグマ受容体サブタイプのどちらも、CNSにおいて発現され、様々なリガンドおよび生物学的プロファイルに対するそれらの親和性に基づいて、互いに区別される。最近にクローニングされ(Alon, A. et al, “Identification of the gene that codes for the sigma 2 receptor” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. Jul 3;114(27):7160-7165, 2017)、膜貫通タンパク質97(TMEM97)として特定されたSig2Rは、細胞増殖、サイトゾルカルシウムの調節、コレステロールの輸送およびホメオスタシスに関与している。Sig2Rは、長期間、がんに関連し、アルツハイマー病、統合失調症、不安症、疼痛およびニーマンピック病を含めた、様々なCNS障害に関連する細胞過程に次第に関与するようになっている。
ロルペリドン、ロルペリドン塩酸塩、MIN-101とも呼ばれ、依然はCYR-101およびMT-210として知られている化合物(I)が、統合失調症患者における陰性症状を処置するために、Minerva Neurosciences,Inc.(Waltham、MA)によって開発されている(その全体が参照により組み込まれている、米国特許第9,732,059号を参照されたい)。化合物(I)は、化学名1H-イソインドール-1-オン、2-[[1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4-ピペリジニル]メチル]-2,3-ジヒドロ-、塩酸塩、水和物(1:1:2)を有する。遊離塩基の構造は、以下である:
Figure 2024097004000025
それらの全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第9,458,130号、同第9,730,920号および同第10,258,614号に開示されている通り、化合物(I)により処置された患者において、QTの長期化が観察されており、化合物(I)の血漿レベルに、より詳細には、BFB-520として特定されている代謝産物に関係しているように思われる。これらの特許は、化合物(I)の投与によって誘導されるQTの長期化は、それぞれ80ng/mLおよび12ng/mL未満となる化合物(I)およびBFB-520の最大血漿中濃度(Cmax)を実現する、放出調節(MR)製剤でこの薬剤を投与することによって短縮され得ることを開示している。
US2016/0354357は、化合物(I)を投与することを含む、シグマ-2受容体媒介性障害を処置する方法を開示している。
本明細書における化合物(I)に対する参考文献はすべて、特に示さない限り、すべての薬学的に許容される塩および/またはすべての溶媒和物(例えば、塩酸塩二水和物)、ならびにそれらの代替的物理形態を含む。本明細書において列挙されている用量はすべて、特に示さない限り、組成物中の薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物(例えば、塩酸塩二水和物)、または任意の賦形剤の分子量ではなく、366.43g/モルである化合物(I)の遊離塩基の分子量に基づく。
%w/w基準で表示されている、本明細書に記載されている経口剤形の構成成分の量はすべて、特に示さない限り、経口剤形の総重量を指す。
「約X」などの量的表現の部分としての用語「約」は、Xより10%高いまたは低い任意の値を含み、Xー10%とX+10%との間に収まる任意の数値をやはり含む。したがって、例えば、約40gの重量は、36~44gの間の重量を含む。
「投与」とは、化合物(I)またはその剤形などの薬剤を対象に導入することを指す。関連用語「投与すること」および「の投与」(および、文法的等価)とは、医療専門家によってまたは対象による自己投与によって対象に投与され得る直接投与、および/または本明細書に記載されている剤形などの薬物を処方する動作となり得る間接投与の両方を指す。例えば、患者に薬物を自己投与するよう指示する、かつ/または患者に薬物の処方箋を提供する医師が、患者に薬物を投与している。
「BNSS」は、簡易陰性症状評価尺度である。
本明細書において記載されているまたは特許請求されている、特定の剤形、組成物、使用、方法またはプロセスに適用される、「含むこと(comprising)」または「含む(comprises)」は、剤形、組成物、使用、方法またはプロセスが特定の記載または請求項において列挙されている要素のすべてを含むが、他の要素を除外するものではないことを意味する。「実質的になる(consists essentially of)」および「実質的になる(consisting essentially of)」は、記載されているまたは特許請求されている、組成物、剤形、方法、使用またはプロセスが、該組成物、剤形、方法、使用またはプロセスの列挙されている物理的特性、薬理学的特性、薬物動態特性または治療作用に実質的に影響を及ぼさない他の物質または工程を除外しないことを意味する。「からなる」および「からなる」は、他の成分および実質的な方法またはプロセス工程の重要ではない要素を超えるものを除外することを意味する。
本開示の経口剤形に関する「制御放出」または「CR」は、本明細書で使用する場合、化合物(I)は、経口投与後に放出が起こる時機および場所、ならびに/または特定の期間にわたる特定の放出速度を含むことができる、所定のプロファイルに従い剤形から放出されることを意味する。
本開示の経口剤形に関する「制御放出薬剤」とは、本明細書で使用する場合、剤形からの化合物(I)の放出をモジュレートする、1種または複数の物質または材料を指す。制御放出薬剤は、ポリマー材料、トリグリセリド、トリグリセリドの誘導体、脂肪酸および脂肪酸の塩、タルク、ホウ酸およびコロイド状シリカなどの有機もしくは無機の天然または合成材料とすることができる。
「CYP2D6アレル」とは、一般集団に存在し、通常、3種のカテゴリー:活性型(機能的);活性低下型(部分活性または機能低下)および不活性型(非機能的)のうちの1つに分類される、CYP2D6遺伝子の命名されている100種を超える型の1つを指す。
活性型CYP2D6アレルには、1、2、2A、33、35、39、48および53が含まれる。
活性低下型CYP2D6アレルには、9、10、17、29、41、49、50、54、55、59、69および72が含まれる。
不活性型CYP2D6アレルには、3、4、5(欠失)、6、7、8、11、12、13、14A、14B、15、18、19、20、21、38、40、42、44、56、56A、56Bおよび68が含まれる。
対象に適用される「CYP2D6高活性型(Extensive Metabolizer)(EM)遺伝子型」は、対象が、正常と考えられるCYP2D6の代謝活性をもたらすCYP2D6を有することを意味する。CYP2D6 EM遺伝子型には、(a)2種の活性型CYP2D6アレル、(b)1種が活性型および1種は活性低下型CYP2D6アレル、ならびに(c)1種が活性型および1種が不活性型CYP2D6アレルという組合せが含まれる。
対象に適用される「CYP2D6中活性型(IM)遺伝子型」は、対象が、CYP2D6代謝活性の低下をもたらす、CYP2D6遺伝子型を有することを意味する。CYP2D6 IM遺伝子型には、(a)1種が不活型および1種が活性低下型CYP2D6アレル、ならびに(c)2種が活性低下型CYP2D6アレルという組合せが含まれる。
対象に適用される「CYP2D6 PM遺伝子型」は、対象が、CYP2D6低活性型遺伝子型に対して陽性試験結果を有し、したがって、CYP2D6活性を有さない可能性が高いことを意味する。CYP2D6 PM遺伝子型は、2種の不活性型アレルである。
対象に適用される「CYP2D6 UM遺伝子型」は、対象が、CYP2D6超高活性型遺伝子型に対して陽性試験結果を有し、したがって、平均より高いCYP2D6活性を有する可能性が高いことを意味する。CYP2D6 UM遺伝子型は、3種以上の活性型アレルである。
本開示の剤形に関する「腸溶コーティング」とは、本明細書で使用する場合、化合物(I)を含むコアを取り囲むpH依存性材料であって、胃の酸性環境では実質的に無傷のままであるが、腸のpH環境で溶解する、上記のpH依存性材料を指す。
一実施形態では、本開示の剤形において、充填剤は、マイクロクリスタリンセルロース、ラクトース一水和物、スクロース、グルコースおよびソルビトールからなる群から選択される。
「流動促進剤」とは、本明細書で使用する場合、粒子間凝集力を低下させることによる、紛体流動を促進するために使用される物質を指す。一実施形態では、本開示の剤形において、流動促進剤は、無水コロイド状シリカ、デンプンおよびタルクからなる群から選択される。
「滑沢剤」とは、本明細書で使用する場合、本開示の剤形の調製に使用される機器において、成分が一緒に付着するおよび/または凝集するのを防止する物質を指す。一実施形態では、本開示の剤形において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステリックアシッド(steric acid)および植物性ステアリンからなる群から選択される。
対象を記載するために使用される「絶食条件」または「絶食状態」は、対象が、化合物(I)またはその剤形を投与する時間などの、目的の時間点前の少なくとも4時間、食事をしていないことを意味する。実施形態では、絶食状態にある対象は、化合物(I)またはその剤形を投与する、6、8、10または12時間の少なくともいずれかの間、食事をしていない。
本明細書で対象を記載するために使用される「摂食条件」または「摂食状態」は、対象が、化合物(I)またはその剤形を投与する時間などの、目的の時間点前の4時間未満に、食事をしたことを意味する。実施形態では、摂食状態にある対象は、化合物(I)またはその剤形を投与する、3、2、1または0.5時間前の少なくともいずれかの間、食事をしていない。
本明細書に記載されているCR経口剤形に適用される「胃耐性」または「GR」は、対象の胃内での化合物(I)の放出量が、剤形中の化合物(I)の総量の5%、2.5%、1%または0.5%を超えることがないことを意味する。
「MIN-101」は、化合物(I)またはロルペリドン塩酸塩、すなわち、1H-イソインドール-1-オン、2-[[1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4-ピペリジニル]メチル]-2,3-ジヒドロ-、塩酸塩、水和物(1:1:2)に対するコード名であり、代替名が、2-{1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]ピペリジン-4-イルメチル}-2,3-ジヒドロイソインドール-1-オン塩酸塩二水和物である。
「経口剤形」とは、本明細書で使用する場合、錠剤またはカプセル剤などの、経口投与に好適な、特定の形状に製剤化された、活性成分として、指定量(用量)の化合物(I)または薬学的に許容されるその塩および/もしくは溶媒和物、ならびに不活性構成成分(賦形剤)を含有する医薬製品を指す。一実施形態では、本組成物は、刻み目を入れることができる錠剤の形態にある。
化合物(I)に関する「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用する場合、化合物(I)の塩形態、および存在する1種または複数の水分子を含む塩形態の水和物を意味する。このような塩および水和物形態は、化合物(I)の生物活性を保持しており、生物学的に望ましくないことがないか、または望ましくないものではなく、すなわち、あるとしても最小限の毒性学的作用しか示さない。実施形態では、化合物(I)の薬学的に許容される塩は、1つのHCl分子および2つの水分子を有する、すなわち、1H-イソインドール-1-オン、2-[[1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4-ピペリジニル]メチル]-2,3-ジヒドロ-、塩酸塩、水和物(1:1:2)を有する。
「PANSS」は、陽性および陰性症状評価尺度である。
「薬物動態パラメータ」は、目的の化合物の薬物動態特性を記載する測定値または特徴を意味する。本明細書において使用されるPKパラメータは、以下に定義されている。
「AUC」は、目的の化合物への曝露の尺度である、血漿濃度-時間曲線下の合計面積であり、単回用量後または定常状態時における、濃度-時間曲線の積分値である。AUCは、ng・H/mL(ngxH/mL)の単位で表される。
「AUC(0-4H)」は、単回用量の投与後、0時間~4時間のAUCを意味する。
「AUC(0-24H)」は、単回用量の投与後、0時間~24時間のAUCを意味する。
「AUClast」は、時間0から最後の定量可能な濃度(Clast)までのAUCを意味する。
「AUC(0-tau)」は、投与間隔の0時間から終了時までのAUCを意味する。
「Cmax」は、化合物を含む組成物のある用量の投与後、化合物(I)などの指定化合物の観察される最大(ピーク)血漿中濃度を意味する。実施形態では、Cmaxは、組成物の2回以上の用量後に測定される。実施形態では、Cmaxは、指定化合物が定常状態に到達すると測定される。
「Cmin」は、化合物を含む組成物のある用量の投与後、化合物(I)などの指定化合物の観察される最小血漿中濃度を意味する。実施形態では、Cmaxは、組成物の2回以上の用量後に測定される。実施形態では、Cmaxは、指定化合物が定常状態に到達すると測定される。
「Css」は、定常状態における濃度を意味する。
「Cave」は、経時的なAUC比である平均濃度を意味する。
「C」は、化合物を含む組成物のある用量の投与後、任意の時間Tにおける、化合物(I)などの指定化合物の血漿中濃度を意味する。
「Cp(last)」は、指定化合物に関するアッセイのための一連の血液試料のうちの最後に採集した時間に関連する、最後の測定されたCを意味する。
「Cp(T)」は、指定時間におけるCを意味する。すなわち、Cp(4H)およびCp(12H)は、それぞれ、4時間および24時間時のCである。
「H」は、時間を意味する。
「PK」は、薬物動態である。
「定常状態」は、化合物(I)などの目的の指定化合物の吸収速度が、化合物の排出速度に等しいことを意味する。
「統合失調症の」対象とは、統合失調症と診断された、または統合失調症に罹患している対象を指す。一実施形態では、統合失調症の対象はまた、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
「非統合失調症の」対象とは、統合失調症と診断されていない、および/または統合失調症に罹患していない対象を指す。一実施形態では、非統合失調症の対象は、やはり、陰性症状に罹患している。一実施形態では、非統合失調症の対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、非統合失調症の対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している。
「タウ」は、投与間隔(H)を意味する。例えば、1日1回の投与の場合、タウは24時間である。
maxは、化合物を含む組成物の単回用量の投与後、および第2の用量の投与前に、指定した治療用化合物の最大(またはピーク)血漿中濃度または血清中濃度となるまでの時間を意味する。
maxは、最大吸収速度(mg/H)を意味する。
化合物(I)または薬学的なその塩および/または溶媒和物を含む剤形の治療的使用に関する、「治療有効量」は、本明細書で使用する場合、指定した疾患、疾患症状[例えば、陰性症状)、障害または状態を処置する、好転する、または予防するために、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために十分な遊離塩基(化合物(I)]の量を意味する。その効果は、当分野において公知の任意のアッセイ方法によって検出することができる。特定の対象に対する有効量は、対象の体重、サイズおよび健康、状態の性質および程度、ならびに追加の治療剤が対象に投与されるかどうかに依存し得る。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技量および判断の範囲内にある型通りの実験によって決定することができる。
「有効量」とは、化合物(I)、またはその塩、水和物もしくは医薬組成物に関連して使用される場合、神経可塑性または神経保護の改善を促進するための有効な量を指す。
1つまたは複数の指定した疾患症状に関連する、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、「処置(treatmnt)」および類似用語は、指定した症状のうちの1つまたは複数を改善する目的で患者を管理およびケアすることを含むものとし、ある投与頻度で、および1つまたは複数の症状の発病を予防する、1つもしくは複数の症状の頻度、強度または重症度を軽減する、さらなる症状の発症を遅延させるまたは回避するのに十分な処置期間、化合物(I)その組成物またはそれらの剤形を投与すること、あるいはこれらの処置目的の任意の組合せを含む。実施形態では、化合物(I)、その組成物またはそれらの剤形による処置の効果は、ベースライン時(例えば、処置前)と少なくとも1つの処置期間の後での、対象の症状の重症度を比較することによって評価される。実施形態では、処置期間は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、または少なくとも12週間またはそれ超である。実施形態では、処置されることになる症状は、統合失調症患者または非統合失調症患者における少なくとも1つの陰性症状であり、剤形は、32mgの化合物(I)を含み、投与頻度は、1日1回であり、処置期間は、少なくとも8週間である。
化合物(I)は、関連する科学文献から、または本分野における標準参照教書から得ることができる通り、保護基の使用を含めた、標準合成法、ならびに有機分子の調製、および官能基の変換、および操作に関する手順を使用して合成することができる。いずれか1つまたはいくつかの情報源に限定されないが、有機合成の認識されている参照教書には、Smith, M. B.; March, J. March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th ed., John Wiley & Sons: New York, 2001, and Greene, T. W.; Wuts, P.G. M. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd; John Wiley & Sons: New York, 1999が含まれる。化合物(I)を調製するための方法は、その全内容が参照により組み込まれている、米国特許第7,166,617号に記載されている。
実施形態では、本明細書における方法のいずれかにおいて使用される化合物(I)の原薬形態は、分子式C2223FN、HCl、2HOおよび分子量438.92を有する、化学名1H-イソインドール-1-オン、2-[[1-[2-(4-フルオロフェニル)-2-オキソエチル]-4-ピペリジニル]メチル]-2,3-ジヒドロ-、塩酸塩、水和物(1:1:2)を有する化合物(I)の塩酸塩の二水和物である。指定量の遊離塩基に等価なこの原薬の量は、化合物(I)の指定量に1.2を乗算することにより算出することができる。すなわち、この原薬38.4mgが、化合物(I)の遊離塩基32.0mgと等価である。
「a」および「an」という冠詞は、本開示において、冠詞の文法上の目的語の1つ、または1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として「要素(an element)」は、1つの要素、または1つより多い要素を意味する。
用語「および/または」は、本開示において、特に示さない限り、「および」または「または」のどちらか一方を意味するために使用される。
用語「異性体」とは、同じ組成および分子量を有するが、物理的性質および/または化学的性質の異なる、塩および/または化合物を指す。構造上の差異は、構成(幾何異性体)にあることがあるか、または偏光面を回転させる能力(立体異性体)にあることがある。立体異性体に関すると、化合物(I)の塩は、1個または複数の不斉炭素原子を有することがあり、ラセミ体、ラセミ体の混合物として、および個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとして生じることがある。
本開示はまた、有効量の化合物(I)の開示されている塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を含む。代表的な「薬学的に許容される塩」としては、例えば、酢酸塩、アムソネート(amsonate)(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾネート(benzonate)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート(estolate)、エシル酸塩、フメレート(fumerate)、フィウナレート(fiunarate)、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マグネシウム、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、エインボネート(einbonate)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジドおよび吉草酸塩などの水溶性および水不溶性塩が挙げられる。
用語「患者」および「対象」は、本明細書において互換的に使用され、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはサル、チンパンジー、ヒヒもしくはアカゲザルなどの非ヒト霊長類を指す。
一実施形態では、対象は、ヒトである。
一実施形態では、対象は、50歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、40歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、30歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、25歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、21歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、18歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、15歳未満のヒトである。
一実施形態では、対象は、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11または10歳未満のヒトである。
用語「担体」は、本開示において使用される場合、担体、賦形剤および希釈剤を包含し、対象の1つの器官または身体の一部から別の器官または身体の一部まで、医薬剤を運搬または輸送することに関与する、液状もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入物質などの、材料、組成物または媒体を意味する。
対象に関する用語「処置すること」とは、対象の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。処置することには、障害の治癒、改善、または少なくとも部分的な好転が含まれる。例えば、処置することは、統合失調症の対象における、少なくとも1つの陰性症状の治癒または改善を含む。例えば、処置することは、非統合失調症の対象における、少なくとも1つの陰性症状の治癒または改善を含む。例えば、処置することは、本明細書において開示されている疾患または障害の1つに罹患している非統合失調症の対象における、少なくとも1つの陰性症状の治癒または改善を含む。例えば、弱視の場合、障害は、弱視の眼における視力の改善により処置され得る。自閉症に関すると、障害は、過敏症、無気力および過活動、不適切なアイコンタクトおよび不適切な発話のうちの1つまたは複数の症状を低減することにより処置され得る。
用語「障害」は、本開示では、特に示さない限り、疾患、状態または疾病という用語を意味するために使用され、これらと互換的に使用される。
用語「投与する」、「投与すること」または「投与」は、本開示において使用される場合、対象への、化合物(I)、またはその塩、水和物、組成物もしくは剤形を直接投与するか、または対象の身体内に等価な量の活性塩を形成することができる、対象への化合物(I)のプロドラッグ誘導体もしくはアナログ、またはその塩、水和物、組成物もしくは剤形を投与するかのどちらか一方を指す。
「非定型抗精神病薬」には、非限定的に、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セリチンドール、ゾテピンおよびペロスピロンが含まれる。
「定型抗精神病薬」には、非限定的に、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンが含まれる。
本明細書において開示されている方法のいずれかにおいて、化合物(I)と組み合わせて有用な薬剤の他の例には、非限定的に、フロオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、デュロキセチン、ブプロピオンが含まれる。
本明細書に記載されている方法および使用のいずれかのための、化合物(I)、化合物(I)を含む組成物、または化合物(I)を含む剤形の投与量は、選択した投与量に影響を及ぼす他の要因の中で、薬剤、レジピエント対象の年齢、体重および臨床状態、ならびに治療を行う臨床医もしくは医師の経験および判断に応じて様々となる。
治療有効量の化合物(I)は、最大で30日またはそれより長い日数の間、1日にわたり1回または複数回、投与され得、次いで、1日以上の化合物(I)を投与しない日が続く。このタイプの処置スケジュール、すなわち連続した日数で化合物(I)を投与し、次いで、連続した日数で化合物(I)を投与しないことを、処置サイクルと呼ぶことができる。処置サイクルは、所期の感情(affect)を実現するために必要な回数と同じだけ繰り返され得る。
一実施形態では、化合物(I)の治療有効量は、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、30日間の連続した日数の間に、毎日、1回、2回、3回、4回もしくはそれより多い回数、または2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間またはそれより長い間、毎日、1回、2回、3回、4回もしくはそれより多い回数、投与される、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495または500mgである。
一実施形態では、治療有効量の化合物(I)は、1日1回または2回、長期間(すなわち、無期限)、投与される。
化合物(I)の投与量はまた、1日あたり約0.01mg/kg~約1日あたり約3000mg/kgの範囲となり得る。態様では、投与は、1日あたり約1mg/kg~約1日あたり約1000mg/kgの範囲となり得る。態様では、用量は、単一用量、分割用量または連続用量の、約0.1mg/日~約50g/日;約0.1mg/日~約25g/日;約0.1mg/日~約10g/日;約0.1mg~約3g/日;または約0,1mg~約1g/日の範囲にあろう(この用量は、患者の体重kg、身体の表面積m、および年齢歳に関して調節され得る)。医薬剤の有効量は、臨床医または他の認定された監視者が分かる、客観的に特定可能な改善を実現する量である。
本明細書で使用する場合、「有効な方法の投与量」という用語は、対象または細胞において、所望の生物学的作用を生じるための化合物(I)の量を指す。
治療有効量の化合物(I)は、細胞培養アッセイ、または動物モデル、通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌまたはブタのどちらか一方において最初に推定され得る。動物モデルはまた、好適な濃度範囲および投与経路を決定するために使用されてもよい。次に、このような情報は、ヒトにおいて、投与を行うために有用な用量および経路を決定するために使用されてもよい。治療的/予防的有効性および毒性、例えば、ED50(集団の50%に治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に致死に至る用量)が、細胞培養物または実験動物における標準医薬手順により決定され得る。毒性作用と治療作用との間の用量比が、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性および投与経路に応じて、この範囲内で様々となり得る。
投与量および投与は、化合物(I)の十分なレベルをもたらすよう、または所望の効果を維持するよう調節される。考慮され得る因子には、疾患状態の重症度、対象の全体的な健康、対象の年齢、体重および性別、食事、投与時間および頻度、併用薬物、応答感受性、ならびに治療に対する耐容性/応答が含まれる。長期間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3~4日毎に、毎週、または2週間毎に1回、投与されてもよい。
化合物(I)を含む医薬組成物は、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、ドラジェ作製、微粒子化、乳化、カプセル封入、捕捉または凍結乾燥というプロセスによる、一般に公知の方法で製造され得る。医薬組成物は、化合物(I)の薬学的に使用され得る調製物への加工を容易にする、賦形剤および/または補助剤を含む1種または複数の薬学的に許容される担体を使用する、慣用的な方法で製剤化され得る。当然ながら、適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
注射可能な使用に好適な医薬組成物には、滅菌水溶液剤(水溶性の場合)または分散液剤、および注射用滅菌溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌散剤が含まれる。静脈内投与の場合、好適な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は滅菌でなければならず、容易なシリンジ注入性が認められる程度の流体であるべきである。組成物は、製造および保管の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の混入作用から保護しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体とすることができる。適切な流動性は、分散液の場合、必要な粒子サイズを維持することにより、例えばレシチンなどのコーティング剤の使用により、および界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって実現することができる。多くの例では、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含ませることにより引き起こすことができる。
注射用滅菌溶液は、適切な溶媒中で、必要量の化合物(I)に上で列挙した1種の成分または成分の組合せ物を配合し、次いで、必要に応じてフィルター殺菌することにより調製することができる。一般に、分散液は、基礎分散媒体、および上で列挙されているものから必要とされる他の成分を含有する滅菌媒体に活性剤または化合物を配合することにより調製される。注射用滅菌溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、活性成分の粉末および任意のさらなる所望の成分を予め滅菌ろ過されたその溶液から得る真空乾燥法および凍結乾燥法である。
経口組成物は、不活性希釈剤、または可食性の薬学的に許容される担体を一般に含む。それらは、ゼラチンカプセルに入れることができるか、または錠剤に圧縮することができる。経口による治療的投与の目的のため、化合物(I)は、賦形剤と共に配合されて、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物は、口内洗浄液として使用するための流体担体を使用して調製することもでき、この場合、流体担体中の薬剤または化合物は、経口施用され、クチュクチュして吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合可能な結合剤および/またはアジュバント物質が、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分または類似の性質の化合物のいずれか:マイクロクリスタリンセルロース、ガムトラガカントまたはゼラチンなどの結合剤、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲルまたはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ着香料などの着香剤を含有することができる。
吸入による投与の場合、薬剤または化合物は、好適な噴射剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含有する加圧容器もしくはディスペンサ、またはネブライザーからのエアゾールスプレーの形態でデリバリーされる。
全身投与はまた、経粘膜または経皮手段によるものとすることができる。経粘膜または経皮投与の場合、浸透させるための障壁に適切な浸透剤は、製剤中で使用される。このような浸透剤は、一般に、当分野で公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、洗剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、点鼻薬または坐剤の使用によって行うことができる。経皮投与に関すると、活性剤または化合物は、一般に当分野で公知の軟膏剤、膏薬、ゲル剤またはクリーム剤に製剤化される。
一態様では、化合物(I)は、インプラントおよびマイクロカプセル封入デリバリーシステムを含めた放出制御製剤などの、身体からの迅速な排出から薬剤または化合物を保護する薬学的に許容される担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤を調製する方法は、当業者に明白であろう。材料は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染細胞を標的とするリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されている通り、当業者に公知の方法に準拠して調製することができる。
投与の容易さおよび投与量の均質性の理由で、経口または非経口組成物を投与単位形態に製剤化することがとりわけ有利である。投与単位形態とは、本明細書で使用する場合、処置される対象に対する単位投与量として好適な、物理的に個別の単位を指す。各単位は、必要な医薬用担体と連携して所望の治療効果を生じるよう計算された、所定量の活性剤または化合物を含有する。用途の単位投与形態に関する規格は、化合物(I)の特有の特徴および実現される特定の治療作用によって決定付けられて、これらに直接依存する。
実施形態では、化合物(I)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、US2019/0038561に記載されている、胃耐性の制御放出剤形のいずれかで投与される。
本医薬組成物は、例えば、定型または非定型抗精神病薬を含めた、本明細書に記載されている薬剤または化合物のいずれかと共に、化合物(I)を共製剤化することを含むことができる。
本医薬組成物は、容器、パックまたはディスペンサ中に、投与のための指示書と共に含まれ得る。
開示されている塩を利用する投与量レジメンは、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別および医療状態、処置される状態の重症度、投与経路、患者の腎機能または肝機能、および使用される特定の開示されている塩を含めた、様々な因子に従い選択される。当業者の医師または獣医師は、状態の進行を予防する、反撃する、または抑止するために必要な薬物の有効量を容易に決め、処方することができる。
化合物(I)の投与の例示的な様式には、経口、鼻腔、非経口、経皮、皮下、膣、口腔、直腸または局所投与様式などの、全身性または局所投与が含まれる。一実施形態では、化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物は、経口投与される。
例示的な医薬組成物は、化合物(I)の塩、および薬学的に許容される担体(a)希釈剤、例えば、精製水、水素化植物油または部分水素化植物油またはそれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油などのトリグリセリド油、EPAもしくはDHAまたはそれらのエステルもしくはトリグリセリド、またはそれらの混合物、オメガ-3脂肪酸もしくはその誘導体などの魚油、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸,そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコール;錠剤の場合、さらにc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、グルコースまたはベータ-ラクトース、トウモロコシ甘味料などの天然糖、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、ワックスおよび/またはポリビニルピロリドンなどの天然ならびに合成ガム、所望の場合、d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起泡性混合物、e)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤、f)Tween 80、Labrasol、HPMC、DOSS、caproyl909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex355、gelucire、ビタミンE TGPSもしくは他の許容される乳化剤などの乳化剤または分散剤;ならびに/またはg)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400および/またはPEG200などの塩の吸収を増大させる作用剤などを含む錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
化合物(I)、またはその塩もしくは水和物から医薬組成物を調製する場合、不活性な薬学的に許容される担体は、固体または液体のどちらか一方とすることができる。固体形態の調製物には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が含まれる。散剤および錠剤は、約5~約95%の活性成分を含んでもよい。好適な固体担体は、当分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に好適な固形剤形として使用することができる。様々な組成物のための製造の薬学的に許容される担体および方法の例は、A. Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, (1990), Mack Publishing Co., Easton, Paに見出すことができる。
液状形態の調製物には、溶液、懸濁液およびエマルションが含まれる。例えば、非経口注射剤の場合、水または水-プロピレングリコール溶液、または経口用溶液剤、懸濁液剤およびエマルション剤の場合、甘味剤および乳白剤の添加。液状形態の調製物は、経鼻内投与向けの溶液を含んでもよい。
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶出、分散などによって調製することができる。例えば、開示されている塩は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒に溶解する、またはこれらを混合し、それにより、注射可能な等張性溶液または懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子、または血清タンパク質などのタンパク質を使用して、開示化合物を溶解することができる。
親(parental)の注射投与は一般に、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入に使用される。注射剤は、液状溶液剤もしくは懸濁液剤のいずれか一方として慣用的な形態で、または注射前に液体に溶解するのに好適な固体形態で調製することができる。
吸入に好適なエアゾール調製物は、粉末形態中の溶液および固体を含むことができ、これは、不活性圧縮ガス、例えば窒素などの薬学的に許容される担体と組み合わされ得る。
同様に、使用直前に変換して、経口投与または非経口投与向けの液状形態の調製物にするよう意図されている固体形態の調製物が含まれる。このような液状形態は、溶液剤、懸濁液剤およびエマルション剤を含む。
所期の投与様式に応じて、本開示組成物は、例えば、時として、単位投与量の、慣用的な医薬実務に一致する注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、時間放出カプセル剤、エリキシル剤、チンキ剤、エマルション剤、シロップ剤、散剤、液体剤、懸濁液剤などの固形、半固形または液状剤形とすることができる。同様に、それらはまた、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内向け形態で投与することができ、すべてが、医薬品技術の当業者に周知の形態を使用する。
医薬組成物は、それぞれ、慣用的な混合法、造粒法またはコーティング法に準拠して調製することができ、本医薬組成物は、重量または容量基準で、開示される塩を約0.1%~約99%、約5%~約90%または約1%~約20%含有することができる。
例および結果の要約
星状膠細胞の一次培養物は、新生ラットの大脳皮質から得て、McCarthyら、1980年によって記載されている通りに培養した。
コンフルエント時に、星状膠細胞を、30分間、ポリ-D-リシンにより、および30,000細胞/ウェルの密度で抗BDNFモノクローナル抗体を4℃で一晩、予めコーティングした、96ウェルNunc MaxiSorp表面ポリスチレンフラットボトムイムノプレートでプレート培養した。この手順は、(BalkowiecおよびKatz、2002年)および(Malikら、2014年、Suら、2012)によって記載されている通りに行った。細胞は、参照化合物としての1μMの試験化合物であるプリドピジンおよび3nM~1μMの範囲の濃度の化合物(I)と共に、またはこれを使用しないで5日間、インキュベートした。薬物処置の終了時に、細胞をTBST[20mM Tris-HCl(pH7.6)、150mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween20]により注意深く、洗浄した。次に、プレートをポリクローナル抗ヒトBDNF抗体と共に一晩、インキュベートし、BDNFを定量した。
海馬ニューロンの一次培養物を、BalkowiecおよびKatz(2002年)により記載されている通り、新生ラット(Wistarラット)から得た。海馬ニューロンを、30分間、ポリ-D-リシンにより、70,000細胞/ウェルの密度の抗BDNFモノクローナル抗体を4℃で一晩、予めコーティングした、96ウェルNunc MaxiSorp表面ポリスチレンフラットボトムイムノプレートでプレート培養した。この手順は、(BalkowiecおよびKatz、2002年)および(Malikら、2014年、Suら、2012年)によって記載されている通りに行った。細胞は、参照化合物としての1μMの試験化合物であるプリドピジンおよび3nM~1μMの範囲の濃度の化合物(I)と共に、またはこれらを使用しないで3日間、インキュベートした。薬物処置の終了時に、細胞をTBST[20mM Tris-HCl(pH7.6)、150mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween20]により注意深く、洗浄した。次に、プレートをポリクローナル抗ヒトBDNF抗体と共に一晩、インキュベートし、BDNFを定量した。この条件では、3日間の培養後、海馬ニューロンの培養物は、5%未満の星状膠細胞を含有する。
リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によるBDNF発現量の分析のため、ポリ-D-リシンで予めコーティングした24ウェルプレートに星状膠細胞を播種した。培養して1日後、化合物を含有する新しい無血清培地を、37℃で5日間の間に加えた。インキュベート時間の終了時に、全RNA含有物を抽出し、逆転写を行った。発現量レベルは、ΔCt方法を使用して算出し、この場合、同一試料では、目的のmRNAの発現量レベルは、2-ΔCTにより与えられ、ΔCT=CT標的mRNA-CT参照mRNA(Gapdh)である。
化合物(I)は、星状膠細胞および海馬ニューロンにおいて、BDNFの放出量および発現量、ならびにグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)の放出量を増加することによる神経栄養効果および神経保護効果を有することが見出された。
星状膠細胞によるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果は、用量依存的であり、300nMの用量により、対照に比べて、29.5%というBDNF放出量の最大増加率が生じた。化合物(I)を300nMで投与した後のBDNFの放出レベルは、1μmの本検討に使用した参照分子であるプリドピジンによって示された効果よりも大きかった。(実施例1を参照されたい)。プリドピジンは、ハンチントン病に対し現在、開発中である(Pridopidine activates neuroprotective pathways impaired in Huntington’s Disease, M. Geva et al, Human Molecular Genetics, 2016, Volume 25 Number 18, doi:10.1093/hmg/ddw238)。
海馬ニューロンによるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果は、用量依存的であり、300nMの用量により、対照に比べて、27.5%というBDNF放出量の最大増加率が生じた。化合物(I)を300nMで投与した後のBDNFの放出レベルは、1μmのプリドピジンによって示された効果よりも大きかった。(実施例2を参照されたい)。
星状膠細胞によるGDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果は、用量依存的であり、300nMの用量により、対照に比べて、20.8%というGDNF放出量の最大増加率が生じた。化合物(I)を300nMで投与した後のGDNFの放出レベルは、1μmの本検討に使用した参照分子であるデクスメデトミジンによって示された効果よりも大きかった。(実施例3を参照されたい)。
ラット星状膠細胞におけるBDNF発現量に及ぼす化合物(I)の効果は、U字用量応答パターンを示し、3nMの用量により、対照に比べて、81%というBDNF発現量の最大増加率が生じた。酢酸グラチラマーは、25μg/mLの用量として、10%の増加しかしなかった。(実施例4を参照されたい)。
本発明者らの結果は、化合物(I)が、星状膠細胞および海馬ニューロンによるBDNF放出量、ならびに星状膠細胞によるGDNF放出量を増加させることを示している。さらに、化合物(I)は、試験用量において、ヒトに観察される薬物濃度と同様の薬物濃度において、BDNFの発現量を増大させることができる。第2b相検討の間に観察された臨床結果を含めたこれらの知見は、化合物(I)は、統合失調症および他の精神障害の全過程を変化させる可能性があることを示唆している。さらに、BDNFおよびGDNFに及ぼす化合物(I)の効果は、特にセロトニン作動性5-HT2Aおよびシグマ2経路に対する化合物(I)によって標的される既知の神経伝達経路に加えて、化合物(I)が、疾患修飾および神経可塑性の改善に対する可能性を有し得ることを示唆する。
陰性症状
陰性症状は、一般に、正常機能の低下を指し、5つの主なサブドメイン:情動鈍麻(感情の平坦化、無愛想)、失語症(会話量の貧困)、無動機(意思の喪失)、無快感症(喜びを体験または期待する能力の低下)および非社交性(社会的離脱)を含む。陰性症状は、十分に立証されており、徹底的に検討された統合失調症の様相であるが、このクラスの症状は、例えば、アルツハイマー病および他の認知症、特に、前頭側頭型認知症(FTD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、双極性障害(BPD)、大うつ病性障害(MOD)、パーキンソン病、側頭葉てんかん、脳卒中および外傷性脳損傷(TBI)を含めた、他の障害を有する患者において特定されている(例えば、Boone et al, J. of Internat. Neuropsycol. Soc., 2003, Vol 9, pages 698-709, Bastiaansen, J. et al., J. Autism Dev. Disord. 2011, Vol 41:1256-1266, Getz, K. et al., Am. J. Psychiatry 2002, Vol 159:644-651; Winograd-Gurvich, C. et al., Brain Res. Bulletin, 2006, Vol. 70:312-321; Galynker et al., Neuropsychiatry Neuropsychol. Behav. Neurol. 2000, Vol 13:171-176; Galynker I, et al., J. Nerv. Ment. Dis 1997, Vol 185:616-621; Chaudhury, S., et al., Indian J. of Neurotrauma 2005, Vol 2:13-21; Ameen, S et al., German J. of Psychiatry 2007を参照されたい)。
実際に、一般に、陰性症状は、精神疾患に一般的であることが提唱された(Herbener and Harrow, Schizophrenia Bulletin 2001, Vol. 27:527-537)。
さらに、いくつかの集団検討の報告により、一般集団の20~22%の間のものが、1つまたは複数の陰性症状を有していること、および陰性症状を有する対象の大部分は、臨床的に診断された精神障害を示さないと結論付けされている(Werbeloff, N. et al., PLoS ONE 2015, Vol 10: e0119852; Barrantes-Vidal, N., et al., Schizophr. Res. 2010, Vol 122:219-225)。
一実施形態では、陰性症状は、無快感症、情動鈍麻、情緒的離脱、融通性の貧困さ、受動性/意欲低下による社会的離脱、抽象的思考困難、自発性もしくは会話の流れの欠如または枠にはまった思考である。
陽性症状は、正常に感じられない何らかの存在を呈するが、陰性症状は、そうでなければ予期される思考および行動がないことを反映し、したがって正常な機能の低下もしくは喪失、または正常な行動の喪失または欠如を反映する。
本出願の一態様は、対象における少なくとも1つの陰性症状を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。
一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。
一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、陰性症状の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、陰性症状の処置を必要とする対象は、非統合失調症である。
一実施形態では、陰性症状の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、陰性症状の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
陰性症状は、陰性症状の5つの主要なサブドメイン:情動鈍麻、失語症、無動機、無快感症および非社交性の1つである。各サブドメインの核心的な特徴が、以下に記載されている。
情動鈍麻(感情の平坦化、無愛想)は、音調(韻律)、顔つき、手ぶりおよび体の動きを含めた、声によるおよび声によらないコミュニケーションの様式を介して現れる感情的表現の強度および範囲の低下を特徴とする。
失語症(会話量の貧困)は、発話量の低下、自発語の低下および流ちょうな会話の喪失を特徴とする。
無動機(意思の喪失)は、とりわけ、必要なことおよび努力(認識または身体)および重要な組織化の場合の、仕事、学習、スポーツ、個人衛生および日常業務のような目標指向性行動の開始および維持の欠陥、ならびにこのような活動を行う意欲の欠如を特徴とする。このサブドメインは、無関心およびエネルギーの欠乏に関係する。
無快感症(喜びを体験または期待する能力の低下)は、褒美、娯楽または他の楽しい経験(「欲求」)が、体験自体を味わうこと(「好み」)よりもむしろ顕著にかつ一貫して損なわれる(予期的快感消失)ことを楽しみにしていることを特徴とする(自己充足的無快感症(consummatory anhedonia))。
非社交性(社会的離脱)は、家族および友人のような他者との社会的相互作用への関心、意欲および感謝の低下、何らかの身体的問題とは無関係の親密な(性的)関係への関心の喪失を特徴とし、子供にとっては、他の子供と遊ぶことへの興味の喪失を含むことができる。
本出願の一態様は、対象における情動鈍麻、感情の平坦化または無愛想を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、情動鈍麻、感情の平坦化または無愛想の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、情動鈍麻、感情の平坦化または無愛想の処置を必要とする対象は非統合失調症である。
一実施形態では、情動鈍麻、感情の平坦化または無愛想の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、情動鈍麻、感情の平坦化または無愛想の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
本出願の一態様は、対象における失語症を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、失語症の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、失語症の処置を必要とする対象は、非統合失調症である。
一実施形態では、失語症の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、失語症の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
本出願の一態様は、対象における無動機を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、無動機の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、無動機の処置を必要とする対象は、非統合失調症である。
一実施形態では、無動機の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、無動機の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
本出願の一態様は、対象における無快感症を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、無快感症の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、無快感症の処置を必要とする対象は、非統合失調症である。
一実施形態では、無快感症の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、無快感症の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
本出願の一態様は、対象における非社交性を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、それらの組成物、またはそれらの剤形を投与することを含む方法である。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候前に開始される。一実施形態では、化合物(I)の投与は、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される。
一実施形態では、非社交性の処置を必要とする対象は、統合失調症である。
一実施形態では、非社交性の処置を必要とする対象は、非統合失調症である。
一実施形態では、非社交性の処置を必要とする対象は、精神障害と診断されていない。
一実施形態では、非社交性の処置を必要とする対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
陰性症状の重症度、およびこれらの症状の悪化または改善は、当分野で公知の様々な医療的評価尺度のいずれかによって評価されてもよい。例えば、陽性および陰性症状評価尺度(PANSS)、ならびに陰性症状を評価するための評価尺度(SANS)。PANSSの詳細説明は、参照により本明細書に組み込まれている、US2019/0216793に含まれている。
陽性症状
本明細書において開示されているものを含めた、統合失調症および他の精神障害および神経障害の陽性症状は、通常、存在するべきではない、意識の何かの経験を含み得る。例えば、幻覚および妄想は、通常、体験するはずのない、知覚または信仰を呈する。幻覚および妄想に加えて、統合失調症を有する患者は、多くの場合、その思考の論理プロセスの混乱を特徴とする。具体的には、精神的に異常な思考プロセスは、特徴として、ルーズである、まとまりがない、非論理的である、または奇妙である。思考プロセスにおけるこのような混乱は、やはりまとまりがなく奇妙である行動の観察可能なパターンを生むことが多い。陽性症状を含む思考内容およびプロセスの深刻な混乱は、統合失調症および他の精神障害および神経障害の最も認識可能で顕著な特徴であることが多い。
一実施形態では、本明細書において称される陽性症状は、幻覚、思い込み、支離滅裂な思考、運動障害または離人症を含む。一実施形態では、陽性症状に罹患している対象は、統合失調症である。一実施形態では、陽性症状に罹患している対象は、非統合失調症である。一実施形態では、陽性症状に罹患している対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、陽性症状に罹患している対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群にも罹患している。
陽性症状の重症度、およびこれらの症状の悪化または改善は、当分野で公知の様々な医療的評価尺度のいずれかによって評価されてもよい。例えば、陽性および陰性症状評価尺度(PANSS)、ならびに陽性症状を評価するための評価尺度(SANS)。PANSSの詳細説明は、参照により本明細書に組み込まれている、US2019/0216793に含まれている。
神経可塑性
神経可塑性(脳の可塑性または皮質の可塑性とも呼ばれる)は、神経系が、その構造、機能および連結を再編成することによって、内因性もしくは外因性刺激を変化させる、またはこれらに応答する能力である。神経可塑性は、学習および記憶の根底にある細胞機構であると考えられている(Harnessing neuroplasticity for clinical applications. Cramer, S. C. et al. Brain. 2011; 134 (Pt. 6): 1591-609)。神経可塑性は、神経新生の根底にある過程であり、学習および記憶過程において極めて重要な役割を果たしている。神経科学において最も関心の高い研究領域の一部である、学習および記憶、ならびに不安症、うつ病、アロディニア、神経障害性疼痛および薬物乱用における、神経可塑性応答の根底にある分子機構および細胞機構に関する検討が行われている(Enciu, A. M. et al. BMC Neurology 2011, 11: 75; Caroni, P. et al. Nat Rev Neurosci 2012, 13(7): 478-90; Carlson, P. J. et al. NeuroRx 2006, 3(1): 22-41; Disner, S. G. et al. Nat Rev Neurosci 2011, 12(8): 467-77; Latremoliere, A. and Woolf, C. J. J Pain 2009, 10(9): 895-26; Madsen, H. B. et al. Front. Mol. Neurosci. 2012, 5: 99)。BDNFは、双極性障害における神経可塑性のメディエータとしての役割を果たすことも実証されている(Grande, I. et al. Psychiatry Investig. 2010; 7(4): 243-250)。
神経可塑性変化は、アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症;アンジェルマン症候群;アスペルガー症候群;自閉性障害;双極性障害;脳損傷;クロイツフェルト-ヤコブ病;うつ病;ダウン症候群;てんかん;脆弱X染色体症候群;フリードライヒ運動失調症(Friedrich’s ataxia);前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症;ハンチントン病;レビー小体病;多発性硬化症;多系統萎縮症;パーキンソン病;ピック病;心的外傷後ストレス障害;プリオン病;レット症候群;統合失調症;球脊髄性筋萎縮症;脊髄損傷;脊髄小脳失調症;脳卒中;核上性麻痺;進行性および結節性硬化症などの多数の様々な疾患において観察されている。
現在、本明細書において開示されている疾患の処置において、中程度のまたはわずかな利益しか実現されていないため、異なる細胞経路およびシナプス経路の分子操作による神経可塑性を向上させる薬物療法が必要とされている。
化合物(I)は、ラット星状膠細胞および培養脳海馬ニューロンにおいて、用量依存的に、BDNFおよびGDNFの放出量を有意に向上させることが本明細書において示されている。化合物(I)はまた、ラット星状膠細胞において、BDNF発現量を増強することもやはり示されている。この活性により、化合物(I)は、記憶の固定および学習の強化において、ならびに例えば、本明細書において開示されている疾患のいずれかを含めた、認知障害に関連する疾患および/または障害において有用な神経可塑性促進剤としての有望な候補になる。
本出願の一態様は、それを必要とする対象において、神経可塑性を促進または増大するための方法における、化合物(I)、その組成物またはそれらの剤形の使用である。一実施形態では、対象は統合失調症である。一実施形態では、対象は非統合失調症である。一実施形態では、対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
神経保護
神経保護は、ニューロンの構造および/または機能の相対的な保存である。(Casson et al. Clinical and Experimental Ophthalmology, 2012, 40(4): 350-57)。
化合物(I)は、ラット星状膠細胞および培養脳海馬ニューロンにおいて、用量依存的に、BDNFおよびGDNFの放出量を有意に増加させることが本明細書において示されている。化合物(I)はまた、ラット星状膠細胞において、BDNFの発現量を増強することもやはり示されている。この活性により、化合物(I)は、記憶の固定および学習の強化において、ならびに例えば、本明細書において開示されている疾患のいずれかを含めた、認知障害に関連する疾患および/または障害において有用な神経保護促進剤としての有望な候補になる。
本出願の一態様は、それを必要とする対象において、神経保護を促進するための方法における、化合物(I)、その組成物またはそれらの剤形の使用である。一実施形態では、本方法は、化合物(I)に神経細胞を接触させることを含み、前記接触は、前記接触の非存在下で起こる神経細胞死に比べて、神経細胞死を予防するまたは遅延させる。一実施形態では、この接触は、神経細胞成長の刺激により神経再生を促進する。一実施形態では、対象は統合失調症である。一実施形態では、対象は非統合失調症である。一実施形態では、対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、対象は、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群に罹患している。
本明細書で使用する場合、用語「神経保護を促進する」とは、神経細胞死(壊死、アポトーシスまたはその他)が、例えば、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物が存在しない場合に比べて、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物の存在下で、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ超[最大で100%(完全保護)でありこれを含む]で、防止されるかまたは低下する。一実施形態では、神経細胞死は、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物が存在しない場合に比べて、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物の存在下では、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍またはそれ超に低下する。
一実施形態では、用語「神経保護を促進する」とはまた、神経細胞成長、軸索伸長、ニューロンの増殖または機能的組織化が、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物が存在しない場合に比べて、化合物(I)、またはその塩、溶媒和物もしくは組成物の存在下で、例えば、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍またはそれ超を含む、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ超で向上する状態を指す。
神経保護、例えば、神経細胞死、神経突起伸長の効果は、当分野で公知の任意のアッセイによって、または参照により本明細書に組み込まれている米国特許第10,286,032号に記載されている通りに評価することができる。
学習および記憶障害
化合物(I)は、ラット星状膠細胞および培養脳海馬ニューロンにおいて、用量依存的に、BDNFおよびGDNFの放出量を有意に増加させることが本明細書において示されている。化合物(I)は、ラット星状膠細胞において、BDNF発現量を増強することもやはり示されている。この活性により、化合物(I)は、記憶の固定および学習の強化のため、ならびに例えば、神経系疾患の処置、および/または認知障害、特に学習および記憶障害に関連する発達上、行動上および/または精神障害の処置を含めた、認知障害に関連する疾患および/または障害の処置に使用するための有望な候補になる。このような疾患および/または障害の非限定例は、ダウン症候群、アンジェルマン症候群、レット症候群、自閉性障害、脆弱X染色体障害、アスペルガー症候群、うつ病、双極性障害、統合失調症、脳認知症、心的外傷後ストレス障害、ピック病および睡眠障害、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症およびフリードライヒ運動失調症、神経障害(neuropathic)、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、自閉性障害、ダウン症候群、脆弱X染色体症候群およびレット症候群である。
弱視
弱視は、視力の発達期間の間に、片方の眼が視力の正常なレベルに発達しなかった視覚系の状態である。弱視は、斜視(strabismic)である[斜視(squint)を有する]、または不同視(こうして、両眼が異なる屈折誤差を有し、片方の眼の焦点が定まらない状態のままとなる)または両方の組合せ(混合型弱視)を有する対象に起こり得る。弱視はまた、刺激剥奪(例えば、白内障を有する結果として)から起こることもある。弱視に起因する視力の弱さは、根本的な状態が処置された場合でさえも、必ずしも解決しない。
弱視は、小児期の一般的な状態であり、恐らく、集団の2~3%もの数に影響を及ぼし、処置しないで放置すると成人期にまで持ち越す恐れがある。大部分の人は、弱視のまま生活することができるが、恐らく、両眼機能が低下しているかまたは両眼機能がないと思われ、これは、飛行機の操縦または電車の運転などのある特定の複雑な作業を行う能力は損なう恐れがある。さらに、その「正常な」眼を損傷している片眼が弱視の人は、実際に、盲目になる恐れがある。
人の視野は、末梢視力および中枢視力に分けることができる。弱視では、末梢の視力は正常であるが、高い空間周波数を有する刺激の検出に対する感受性の低下を伴う、中枢視力の欠陥があり、これは、視野の低下、および視覚感度の低下した中心領域(暗点)の存在に反映される。
化合物(I)は、ラット星状膠細胞および培養脳海馬ニューロンにおいて、用量依存的に、BDNFおよびGDNFの放出量を有意に増加させることが本明細書において示されている。化合物(I)はまた、ラット星状膠細胞において、BDNF発現量を増強することもやはり示されている。この活性により、化合物(I)は、弱視の処置に対する有望な候補となる。
一態様では、それを必要とする対象における弱視を処置する方法であって、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、またはそれらの組成物もしくは剤形を投与することを含む方法に関する。一実施形態では、対象は、やはり統合失調症である。一実施形態では、対象は非統合失調症である。一実施形態では、対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、対象は、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群にも罹患している。
自閉症障害
自閉症障害は、遺伝性障害と理解されている重症な神経行動学的症候群であるが、環境因子が、少なくとも一部の自閉症障害に寄与していると考えられている。自閉症障害は、通常、知覚、認知、実行機能および運動制御において、大きな欠損を引き起こす。これらの作用は、自閉症のタイプ間で異なるが、言語および社会的技能の異常が、自閉症障害のタイプ全体にわたり一般的(pervasive)である。
自閉症障害の根本的な機構は、十分に理解されていないが、自閉症は、恐らくは、細胞死を伴わない長期間にわたるニューロン活性の向上に伴う、興奮と抑制の比のバランス異常を引き起こすことによって、ニューロン系を混乱させるという仮説が支持されている。例えば、脆弱X染色体症候群は、X染色体上のFMR1遺伝子の非翻訳領域の突然変異から発生する自閉症障害のタイプである。この遺伝子は、正常な神経の発達に必要なタンパク質をコードし、この突然変異が、このタンパク質の発現を妨げる。
化合物(I)は、ラット星状膠細胞および培養脳海馬ニューロンにおいて、用量依存的に、BDNFおよびGDNFの放出量を有意に増加させることが本明細書において示されている。化合物(I)はまた、ラット星状膠細胞において、BDNFの発現量を増強することもやはり示されている。この活性により、化合物(I)は、自閉症障害の処置に対する有望な候補となる。
一態様では、本出願は、それを必要とする対象における自閉症障害を処置する方法であって、治療有効量の化合物(I)、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物、またはそれらの組成物もしくは剤形を投与することを含む方法に関する。
一実施形態では、自閉症障害は、古典的な自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、特定不能の広汎性発達障害、脆弱X染色体症候群、およびそれらの組合せである。一実施形態では、対象は、やはり統合失調症である。一実施形態では、対象は非統合失調症である。一実施形態では、対象は、精神障害と診断されていない。一実施形態では、対象は、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群にも罹患している。
本開示は、以下の実施例および合成スキームによってさらに例示され、これらは、本明細書において記載されている特定の手順に対する範囲または趣旨において、このような開示を限定するものと解釈されるべきではない。実施例は、ある特定の実施形態を例示するために提示されていること、およびこれにより本開示の範囲に対する限定が意図されているわけではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にそれら自体を示唆し得る様々な他の実施形態、修正および同等物に頼らなければならない可能性があることをさらに理解されたい。
ラット星状膠細胞によるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。
実験プロトコル - 一次星状膠細胞に及ぼすインシチュELISA
ラットの星状膠細胞の一次培養物
ラット混合グリア細胞は、McCarthyらによって記載されている通り培養した。一次ラットグリア細胞は、新生Wistarラット(1日)の皮質から調製した。手短に述べると、マウス皮質の髄膜および血管を取り除き、2%ペニシリン-ストレプトマイシン(PS;PanBiotech、参照番号P06-07100、バッチ2110917)および1%のウシ血清アルブミン(BSA;PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ、9610717)を含有するLeibovitzの氷冷培地(L15;PanBiotech、参照番号P04-27055、バッチ4511117)に37℃で10分間、置いた。組織は、37℃で10分間、0.25%トリプシン-EDTA(PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ8970318)を用いて解離させた。次に、細胞をデオキシリボヌクレアーゼI(0.1mg/mL Panbiotech、参照番号:P60-37780100、バッチ:H140508)の存在下、37℃で15分間の補助的なインキュベートに供した。次に、細胞をペレット化し(1200rpmで5分間)、10% FCS[Thermo Fisher Scientific company(Fischer)、参照番号10270106、バッチ41A0940K]、1mMのNa/ピルビン酸(PanBiotech、参照番号:P04-43100、バッチ3470914)を補給したDMEM(PanBiotech、参照番号P04-03600、バッチ8420517)を添加することによって、トリプシン処理を停止した。細胞懸濁液を機械的に解離させて、40μMの直径のナイロン製メッシュ(BD Falcon、参照番号:352340)に通してろ過した。
1200rpm/分で10分間、遠心分離することによって細胞を採集し、培養培地に再懸濁して、次に、培養フラスコ(Dominique Dutscher、参照番号:690175)においてプレート培養した。細胞を1.25x10細胞/cmの密度で播種し、5%CO中、37℃で培養した。媒体を1週間あたり3回、換えた。
コンフルエント時に、星状膠細胞を、30分間、ポリ-D-リシン(Sigma-Aldrich, Inc.、参照番号:P7886、バッチ:SLBS8705)により、および4℃で一晩、30,000細胞/ウェルの密度の抗BDNFモノクローナル抗体により予めコーティングされている、96ウェルNunc MaxiSorp表面ポリスチレンフラットボトムイムノプレートでプレート培養した。(Balkowiec and Katz "Cellular Mechanisms Regulating Activity-Dependent Release of Native Brain-Derived Neurotrophic Factor from Hippocampal Neurons” J. Neuroscience (2002) 22(23): 10399-10407; Malik M., et al. “The Effects of Sigma-1 Receptor Selective Ligands on Muscarinic Receptor Antagonist Induced Cognitive Deficits in Mice” Br J of Pharmacology, (2015) 172(10):2519-31; Su, C. et al. “Progesterone increases the release of brain-derived neurotrophic factor from glia via progesterone receptor membrane component 1 (Pgrmc1)-dependent ERK5 signaling”, Endocrinology (2012) 153(9):4389-4400)。培養培地と共に2時間、インキュベートし、ELISA洗液のいかなる残留物も除去して、インキュベートでプレートへの細胞接着を確実にした後、細胞を以下の条件下でインキュベートした:
・ 対照媒体と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 1μM、300nM、100nM、30nMおよび10nMにおいて、化合物(I)と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 1μMのプリドピジンと共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
薬物処置の終了時に、細胞をTBST[20mM Tris-HCl(pH7.6)、150mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween20]により注意深く、洗浄した。次に、プレートをポリクローナル抗ヒトBDNF抗体と共に一晩、インキュベートした。特異的に結合したポリクローナル抗体の量は、発色性基質(TMB試薬;Promega Corporation)に曝露されると、試料中に存在するBDNFの量に比例して色調が変化する。450nmにおいて吸光度を測定することにより色調強度を定量した。濃度0~500pg/mLの範囲のBDNF標準品を、海馬ニューロンと同じ媒体で並行ウェルに加えた。
結果
培養した星状膠細胞に基づいたインシチュELISA試験により、プリドピジンは、54pg/mLという対照条件のBDNFレベルと比べて、BDNF放出量が22%増加することが示された(p<0.001)。
化合物(I)の効果は、最初の5回の用量にわたり用量依存的であり、300nMの用量では、対照と比べると29.5%となるBDNF放出量の最大増加率が生じた(p<0.001)。化合物(I)の他の用量の結果は、以下のBDNF放出量の増加率:1μMの場合、16.9%、100nMの場合、18.9%、30nMの場合、17.1%、10nMの場合、16.2%(すべて、p<0.001)を示した。3nMの化合物の濃度では、6.8%の増加率(p<0.05)が観察された。要約に関して、図1および表1を参照されたい。
表1.星状膠細胞によるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果(対照条件の%増加率として表す)
Figure 2024097004000026
一次海馬ニューロンにおけるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。
実験プロトコル - 一次海馬ニューロンに関するインシチュELISA
海馬ニューロン培養物
ラットの海馬ニューロンをBalkowiecおよびKatz(2002年)によって記載されている通りに培養した。新生ラット(Wistarラット、JANVIER LABS)に低体温によって深く麻酔にかけて、頭部を切断した。Leibovitzの氷冷培地(L15、Panbiotech、参照番号P04-27055、バッチ:4511117)中、各脳から海馬を迅速かつ無菌で切除し、次いで髄膜を除去し、小片へと細かく切った。次に、37℃において20分間、海馬の組織をトリプシン処理(トリプシンEDTA IX;PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ9610717)によって消化させた。DNAアーゼI、グレードII(0.1mg/ml Panbiotech、参照番号:P60-37780100、バッチ:H140508)および10%のウシ胎児血清(FCS、lnvitrogen、参照番号:10270-098、バッチ41A0940K)を含有するDMEM(Panbiotech、参照番号P04-03600、バッチ:8420517)を添加することによって、その反応を停止した。細胞は、10mlのピペットにより3回、通して機械的に解離させた。次に、細胞を4℃で10分間、515x gで遠心分離にかけた。上清を廃棄し、2%のB27(lnvitrogen、参照番号17504-044、バッチ:11530536)、2mMのL-グルタミン(PanBiotech、参照番号P04-80100、バッチ:8440517)、2%のPS溶液および5ng/mlのヒト組換え塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF、PeproTech, Inc.、参照番号:100-18B、バッチ:021608 C2216)を補給したNeurobasal(Nb、lnvitrogen、参照番号21103049、バッチ1921829)からなる規定培養培地にペレットの細胞を再懸濁させた。生存細胞は、トリバンブルー色素排除試験を使用して、Neubauerサイトメータで計数した。
海馬ニューロンを、30分間、ポリ-D-リシン(Sigma-Aldrich, Inc.、参照番号:P7886、バッチ:SLBS8705)により、4℃で一晩、70000細胞/ウェルの密度で抗BDNFモノクローナル抗体により予めコーティングした、96ウェルNunc MaxiSorp表面ポリスチレンフラットボトムイムノプレートでプレート培養した。この手順は、(BalkowiecおよびKatz、2002年)および(Malikら、2014年;Suら、2012年)によって記載されている通りに行った。培養培地と共に2時間、インキュベートし、ELISA洗液のいかなる残留物も除去して、インキュベートでプレートへの細胞接着を確実にした後、細胞を以下の条件下でインキュベートした:
・ 対照媒体と共に3日間、海馬ニューロンをインキュベートする。
・ 1μM、300nM、100nM、30nMおよび10nMにおいて、化合物(I)と共に3日間、海馬ニューロンをインキュベートする。
・ 1μMのプリドピジンと共に3日間、海馬ニューロンをインキュベートする。
薬物処置の終了時に、細胞をTBST(20mM Tris-HCI(pH7.6)、150mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween20)により注意深く、洗浄した。次に、プレートをポリクローナル抗ヒトBDNF抗体と共に一晩、インキュベートした。次に、特異的に結合したポリクローナル抗体の量を抗IgY-ホースラディッシュペルオキシダーゼ三次抗体の使用により検出し、この抗体は、発色性基質(TMB試薬;Promega Corporation)に曝露されると、試料中に存在するBDNFの量に比例して色調が変化する。450nmにおいて吸光度を測定することにより色調強度を定量した。(この条件では、3日間の培養後、海馬ニューロン培養物は、5%未満の星状膠細胞を含有する)。濃度0~500pg/mlの範囲のBDNF標準品を、海馬ニューロンと同じ媒体で並行ウェルに加えた。
結果
培養した海馬ニューロンに基づいたインシチュELISA試験により、プリドピジンとのインキュベート後のBDNF放出量は、178pg/mLという対照条件のBDNFレベルに比べて、18.4%のBDNF放出量の増加率をもたらすことが示された(p<0.001)。このアッセイでは、化合物(I)の効果は、最初の5回の用量にわたり用量依存的であり、300nMでは、対照と比べると27.5%となるBDNF放出量の最大増加率でプラトーに到達した(p<0.001)。化合物(I)の他の用量の結果は、以下のBDNF放出量の増加率:1mMの場合、24.3%(p<0.001)、100nMの場合、14.9%(p<0.001)、30nMの場合、11.0%を示した(p<0.05)。10nMおよび3nMの用量の化合物(I)は、BDNF放出量の統計学的に有意な増加率を示さなかった。要約に関して、図2および表2を参照されたい。
表2.海馬ニューロンによるBDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果(対照条件の%増加率として表す)
Figure 2024097004000027
星状膠細胞におけるGDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果。
実験プロトコル - 一次星状膠細胞に及ぼすインシチュELISA
ラットの星状膠細胞の一次培養物
ラット混合グリア細胞は、McCarthyらによって記載されている通り培養した。一次ラットグリア細胞は、新生Wistarラット(1日)の皮質から調製した。手短に述べると、マウス皮質の髄膜および血管を取り除き、2%ペニシリン-ストレプトマイシン(PS;PanBiotech、参照番号P06-07100、バッチ2110917)および1%のウシ血清アルブミン(BSA;PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ、9610717)を含有するLeibovitzの氷冷培地(L15;PanBiotech、参照番号P04-27055、バッチ4511117)に37℃で10分間、置いた。組織は、37℃で10分間、0.25%トリプシン-EDTA(PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ8970318)を用いて解離させた。次に、細胞をデオキシリボヌクレアーゼI(0.1mg/mL Panbiotech、参照番号P60-37780100、バッチ:H140508)の存在下、37℃で15分間の補助的なインキュベートに供した。次に、細胞をペレット化し(1200rpmで5分間)、10% FCS(Thermo Fisher Scientific company、参照番号10270106、バッチ41A0940K)、1mMのNa/ピルビン酸(PanBiotech、参照番号:P04-43100、バッチ3470914)を補給したDMEM(PanBiotech、参照番号P04-03600、バッチ8420517)を添加することによって、トリプシン処理を停止した。細胞懸濁液を機械的に解離させて、40μMの直径のナイロン製メッシュ(BD Falcon、参照番号:352340)に通してろ過した。
1200rpm/分で10分間、遠心分離することによって細胞を採集し、培養培地に再懸濁して、次に、培養フラスコ(Dominique Dutscher、参照番号:690175)においてプレート培養した。細胞を1.25x10細胞/cmの密度で播種し、5%CO中、37℃で培養した。媒体を1週間あたり3回、換えた。
コンフルエント時に、星状膠細胞を、30分間、ポリ-D-リシン(Sigma-Aldrich, Inc.、参照番号:P7886、バッチ:SLBS8705)により、および4℃で一晩、30,000細胞/ウェルの密度で抗GDNFモノクローナル抗体により予めコーティングした、96ウェルNunc MaxiSorp表面ポリスチレンフラットボトムイムノプレートでプレート培養した。培養培地と共に2時間、インキュベートし、ELISA洗液のいかなる残留物も除去して、インキュベートでプレートへの細胞接着を確実にした後、細胞を以下の条件下でインキュベートした:
・ 対照媒体と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 1μM、300nM、100nM、30nMおよび10nMにおいて、化合物(I)と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 1mMのデクスメデトミジンと共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
薬物処置の終了時に、細胞をTBST[20mM Tris- HCl(pH7,6)、150mM NaClおよび0.05%(vol/vol)Tween20]により注意深く、洗浄した。次に、プレートをポリクローナル抗ヒトGDNF抗体と共に一晩、インキュベートした。特異的に結合したポリクローナル抗体の量は、発色性基質(TMB試薬;Promega Corporation)に曝露されると、試料中に存在するGDNFの量に比例して色調が変化する。450nmにおいて吸光度を測定することにより色調強度を定量した。濃度0~500pg/mLの範囲のGDNF標準品を、海馬ニューロンと同じ媒体で並行ウェルに加えた。
結果
培養した星状膠細胞に基づいたインシチュELISA試験により、デクスメデトミジンは、262.3pg/mLという対照条件のGDNFレベルと比べて、GDNF放出量が15.8%向上することが示された(p<0.001)。このアッセイにおいて、化合物(I)の効果は、最初の5回の用量にわたり用量依存的であり、300nMの用量では、対照と比べると20.8%となるGDNF放出量の最大増加率が生じた(p<0.001)。化合物(I)の他の用量の結果は、以下のGDNF放出量の増加率:1μMの場合、17.5%、100nMの場合、14.8%、30nMの場合、14.2%、10nMの場合、13.8%(すべて、p<0.001)を示した。3nMの化合物(I)の用量において、11.4%となるGDNF放出量の増加率が観察された(p<0.001)。要約に関して、図3および表3を参照されたい。
表3.星状膠細胞によるGDNF放出量に及ぼす化合物(I)の効果(対照条件の%増加率として表す)
Figure 2024097004000028
ラットの星状膠細胞におけるBDNF発現量に及ぼす化合物(I)の効果。
実験プロトコル
ラットの星状膠細胞の一次培養物 - ラット混合グリア細胞は、McCarthyら、1980年によって記載されている通り培養した。一次ラットグリア細胞は、新生Wistarラット(1日)の皮質から調製した。手短に述べると、マウス皮質の髄膜および血管を取り除き、2%のペニシリン-ストレプトマイシン(PS;PanBiotech、参照番号P06-07100、バッチ2110917)および1%のウシ血清アルブミン(BSA;PanBiotech、参照番号P06-1391100、バッチH171006)を含有するLeibovitzの氷冷培地(L15;PanBiotech、参照番号P04-27055、バッチ4511117)に置いた。組織は、37℃で10分間、0.25%トリプシン-EDTA(PanBiotech、参照番号P10-023100、バッチ8970318)を用いて解離させた。次に、細胞をデオキシリボヌクレアーゼI(0.1mg/ml Panbiotech、参照番号:P60-37780100、バッチ:H170706)の存在下、37℃で15分間の補助的なインキュベートに供した。次に、細胞をペレット化し(1200rpmで5分間)、10% FCS(Thermo Fisher Scientific company、参照番号10270106、バッチ42G2068K)、1mMのNa/ピルビン酸(PanBiotech、参照番号:P04-43100、バッチ:3470914)および2%PSを補給したDMEM(Panbiotech、参照番号P04-03600、バッチ5181217)を添加することによって、トリプシン処理を停止した。細胞懸濁液を機械的に解離させて、40μmの直径のナイロン製メッシュ(BD Falcon、参照番号:352340)に通してろ過した。1200rpm/分で10分間、遠心分離することによって細胞を採集し、培養培地に再懸濁して、次に、培養フラスコ(Dominique Dutscher、参照番号:690175)においてプレート培養した。細胞を1.25x10細胞/cmの密度で播種し、5%CO中、37℃で培養した。媒体を1週間あたり3回、換えた。
リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるBDNF発現量の分析:ポリ-D-リシン(Sigma-Aldrich, Inc.、参照番号P7886、バッチ:SLBQ9797V)により予めコーティングした24ウェルプレートに星状膠細胞を播種した。培養して1日後、化合物を含有する新しい無血清培地を、37℃で5日間の間に加えた。インキュベート時間の終了時に、媒体を除去し、nucleo spin RNS XS(MACHEREY‐NAGEL GmbH & Co. KG;20μL/ウェル)キットを使用して全RNA含有物を抽出した。6ウェル/条件を行った。Nanodrop2000分光光度計(Life Technologies ThermoFisher Scientific、Villebon sur Yvette、フランス)を使用して、RNA濃度を求めた。
high capacity RNA-to-cDNA mix(Institute of Applied Biotechnologies)を使用して、500ngのRNAに逆転写を行った。qPCRは、Applied Biotechnologyから購入した、以下のプライマーを使用して12.5ngのcDNAに行った。
qPCR反応に関しては、キットのTaqMan(商標)Fast Universal PCR Master Mix(2X)を使用した。以下の容量を使用した:mix:10uL、酵素:4uL、oligo:それぞれ1uL、cDNA:5uL(12,5ng)。様々な化合物と濃度の間で比較を行うため、発現レベルは、ΔCt方法を使用して算出し、この場合、同一試料では、目的のmRNAの発現レベルは、2-ΔCTにより与えられ、ΔCT=CT標的mRNA-CT参照mRNA(Gapdh)である。GAまたは未知化合物により処置した培養物の場合、ΔΔCt方法に従い、相対発現レベルを求め、この場合、目的のmRNAの発現レベルは、2-ΔΔCTにより与えられ、ΔΔCT=処置培養物のΔCt-未処置培養物のΔCtである。
以下の条件を行った:
・ 対照媒体と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 0.3nM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nMにおいて、化合物(I)と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
・ 参照化合物[酢酸グラチラマー、25μg/mL、(Reickら、2016年)、AvaChem Scientific、参照番号3822、バッチCS1701]と共に5日間、星状膠細胞をインキュベートする。
結果
10nM、3nMおよび1nMの化合物(I)により、統計学的に有意に、星状膠細胞によってBDNF発現量が増加した(対照条件に比較すると、**,p<0.01、Fc:10nMでは1.71、***,p<0.001 Fc:3nMでは1.81および,p<0.05 Fc:1nMでは1.55)。対照的に、酢酸グラチラマーは、効果がない(ns、p>0.05)。要約に関して、図4および表4を参照されたい。
表4.星状膠細胞におけるBDNF発現量に及ぼす化合物(I)の効果(対照条件の%増加率として表す)
Figure 2024097004000029
培養した星状膠細胞に基づいたqPCR試験により、酢酸グラチラマーは、対照条件と比較して、BDNF発現量を10%向上させることが示された。このアッセイにおいて、化合物(I)の効果は、逆U字型用量-応答パターンを示し、3nMの用量では、対照と比べて81%となるBDNF発現量の最大増加率が生じた(p<0.001)。化合物(I)の他の用量の結果は、以下のBDNF発現量の増加率:100nMの場合、5%、30nMの場合、31%、10nMの場合、71%(p<0.01)、1nMの場合、55%(p<0.05)を示し、0.3nMは、26%の増加率を有した。
これらの結果は、化合物(I)が、星状膠細胞によってBDNF発現量を増強することが可能であることを実証している。極大効率は、3nMにおいて観察される。
化合物(I)は、試験用量において、ヒトに観察される薬物濃度と同様の薬物濃度において、BDNFの発現量を増強する。したがって、BDNFおよびGDNFに及ぼす化合物(I)の効果は、特に、セロトニン作動性5-HT2Aおよびシグマ2経路に対する、化合物(I)によって標的される既知の神経伝達経路に加えて、この化合物が、疾患修飾および神経可塑性の改善に対する可能性を有し得ることを示唆している。
等価物
当業者であれば、型通りの実験だけを使用して、本明細書において具体的に記載されている特定の実施形態に対する多数の等価物を理解するか、または解明することができよう。このような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されことが意図される。
本開示の方法は、ある特定の好ましい実施形態を参照することによって、本明細書に記載されている。しかし、本明細書に説明されている本開示に基づいて、好ましい実施形態に関する特定の変形形態が、当業者に明白となるので、本開示は、好ましい実施形態に限定されるとみなされるべきではない。
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語はすべて、この開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書および特許請求の範囲において、単数形は、文脈が特に明白に示さない限り、複数を含む。
本開示の説明の少なくとも一部は、本開示の明確な理解に関連する要素に焦点を合わせるように簡略化されているが、明確にするために、当業者が認識している他の要素の排除もまた、本開示の一部を含むことができることを理解されたい。しかし、このような要素は当分野で周知であるので、およびそれらは必ずしも本開示の一層良好な理解を容易にするわけではないので、このような要素の説明は本明細書において提供されていない。
さらに、方法が本明細書において記載されている工程の特定の順序に依存しない限り、請求項に列挙された工程の特定の順序は、その請求項に対する制限として解釈されるべきではない。
本明細書において引用されている特許、特許出願、参照文献および刊行物はすべて、これらの全体に説明されているかのごとく、参照により十分かつ完全に組み込まれている。このような文書は、本開示に対する先行技術と認められるものではない。

Claims (32)

  1. 対象における少なくとも1つの陰性症状を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000030
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与することを含む方法。
  2. 化合物(I)の投与が、対象における、最初の陽性症状の徴候前に開始される、請求項1に記載の方法。
  3. 化合物(I)の投与が、対象における、最初の陽性症状の徴候と同時に開始される、請求項1に記載の方法。
  4. 陽性症状が、幻覚、思い込み、支離滅裂な思考、運動障害または離人症である、請求項2または3に記載の方法。
  5. 陰性症状が、無快感症、情動鈍麻、情緒的離脱、融通性の貧困さ、受動性/意欲低下による社会的離脱、抽象的思考困難、自発性もしくは会話の流れの欠如または枠にはまった思考である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 対象が統合失調症である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 対象が非統合失調症である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 対象が、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. それを必要とする対象における弱視を処置または低減する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000031
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与することを含む方法。
  10. それを必要とする対象における自閉症障害を処置する方法であって、対象に、治療有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000032
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与することを含む方法。
  11. 自閉症障害が、古典的な自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット症候群、特定不能の広汎性発達障害、脆弱X染色体症候群またはそれらの組合せである、請求項10に記載の方法。
  12. 化合物(I)の投与により、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物の投与を受けない対象と比べて、対象における神経可塑性が増大する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 化合物(I)の投与により、化合物(I)または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物の投与を受けない対象と比べて、対象における神経保護または神経再生が促進される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 治療有効量の化合物(I)が、対象に、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間またはそれより長い間、1日1回または1日2回、投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 対象が、抗精神病薬も投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 抗精神病薬が、ハロペリドール、ロキサピン、チオリダジン、モリンドン、チオチキセン、フルフェナジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジンおよびクロルプロマジンからなる群から選択される定型抗精神病薬である、請求項15に記載の方法。
  17. 抗精神病薬が、リスペリドン、オランザピン、クロザピン、クエチアピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、セリチンドール、ゾテピンおよびペロスピロンからなる群から選択される非定型抗精神病薬である、請求項15に記載の方法。
  18. 対象が、50、40、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12または11歳未満である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. それを必要とする対象における神経可塑性を増大する方法であって、対象に、有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000033
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を投与することを含む方法。
  20. 対象が統合失調症である、請求項19に記載の方法。
  21. 対象が非統合失調症である、請求項19に記載の方法。
  22. 対象が、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 神経細胞に有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000034
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む、それを必要とする対象における神経保護を促進する方法であって、前記接触が、前記接触の非存在下で起こる神経細胞死に比べて神経細胞死を予防するもしくは遅延させるか、または前記接触が、神経細胞成長を刺激することによって、神経再生を促進する、方法。
  24. 対象が統合失調症である、請求項23に記載の方法。
  25. 対象が非統合失調症である、請求項23に記載の方法。
  26. 対象が、弱視、自閉症障害、精神遅滞、器質性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、統合失調感情障害、統合失調症様障害、スキゾイドパーソナリティ障害、心的外傷後ストレス障害、統合失調型パーソナリティ障害、妄想性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、回避性パーソナリティ障害、身体表現性障害、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安性障害、分離不安障害、反応性愛着障害、パニック障害、離人性障害、現実感喪失障害、恐怖症、適応障害、情動障害、月経前不快気分障害、場面緘黙症、強迫性パーソナリティ障害、外傷性脳損傷、(神経遮断薬誘発性)欠失症候群、クモ膜嚢胞、双極性障害、カタレプシー、脳炎、ハンチントン病、感染(例えば、髄膜炎)、ロックイン症候群、偏頭痛、多発性硬化症、脊髄症またはトゥレット症候群からなる群から選択される障害に罹患している、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 細胞に有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000035
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む、細胞における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量を増加させる方法。
  28. 接触がインビトロである、請求項27に記載の方法。
  29. 接触がインビボである、請求項27に記載の方法。
  30. 細胞に有効量の化合物(I)
    Figure 2024097004000036
    または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物を接触させることを含む、細胞におけるグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)の発現量を増加させる方法。
  31. 接触がインビトロである、請求項30に記載の方法。
  32. 接触がインビボである、請求項30に記載の方法。
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