JP2024092965A - 塗装装置および塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂部品を粉体塗料で塗装するのに有効な技術を提供する。【解決手段】 実施形態1の塗装装置101は、熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品Wを塗装するものであり、樹脂部品Wに向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料Pを噴射する塗料噴射部11と、塗料噴射部11から噴射された粉体塗料Pと樹脂部品Wとを加熱媒体Hmである高温ガスを用いて相溶させる加熱部20と、を備えている。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂部品を塗装する技術に関する。
下記特許文献1には、車両のバンパーを塗装する技術が開示されている。この技術によれば、塗装ブース内でバンパーに吹き付け塗装が施される。吹き付け塗装工程では、プライマー塗装を吹き付けるプライマー塗装と、ベース塗料を吹き付けるベース塗装と、クリア塗料を吹き付けるクリア塗装と、焼き付けが順次行われるのが一般的である。この吹き付け塗装で使用する各塗料は溶剤を含有している。したがって、塗装ブース内の空間全体を昇温して樹脂部品を乾燥させる必要があり、このときの乾燥処理に多大なエネルギーを要する。また、塗料中の溶剤には、環境負荷物質の1つである揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)が含まれている。このため、揮発性有機化合物が作業環境や大気環境に与える影響を防ぐための設備を要する。
特開2007-237029号公報
溶剤を全く含有しない塗料として粉体塗料が知られている。ところが、この種の粉体塗料を使用した従来の塗装技術は、金属製の塗装対象を樹脂材料からなる粉体塗料で塗装するものであり、樹脂部品を粉体塗料で塗装する技術に単に適用することは難しい。金属製の塗装対象を粉体塗料で塗装する場合には、塗装対象に対する塗膜の密着性を確保するために、粉体塗料に比べて融点の高い塗装対象を高温状態まで加熱する必要がある。このため、塗装対象を加熱する高価な通電設備が必要になる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、樹脂部品を粉体塗料で塗装するのに有効な技術を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品を塗装する塗装装置であって、
前記樹脂部品に向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料を噴射する塗料噴射部と、
前記塗料噴射部から噴射された前記粉体塗料と前記樹脂部品とを加熱媒体を用いて相溶させる加熱部と、
を備える塗装装置、
にある。
本発明の別態様は、
熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品を塗装する塗装方法であって、
塗料噴射部から前記樹脂部品に向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料を噴射する噴射ステップと、
前記噴射ステップで前記塗料噴射部から噴射された前記粉体塗料と前記樹脂部品とを加熱媒体を用いて相溶させる加熱ステップと、
を有する塗装方法、
にある。
上述の各態様では、塗料噴射部から熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品に向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料が噴射される。このとき、樹脂部品と粉体塗料がいずれも熱可塑性樹脂を主剤とするものであるため、塗料噴射部から噴射された粉体塗料と樹脂部品とを加熱媒体を用いて相溶させることができる。すなわち、加熱媒体の加熱作用を利用して、粉体塗料と樹脂部品を共に溶融状態にして相溶させることができる。このとき、粉体塗料と樹脂部品を相溶させることで樹脂部品に対する塗膜の付着強度(樹脂部品の被塗装面と塗膜との間の界面強度)を高めることができる。
以上のごとく、上述の各態様によれば、樹脂部品を粉体塗料で塗装するのに有効な技術を提供することが可能になる。
実施形態1の塗装装置の模式図。 実施形態1の塗装方法のフローチャート。 実施形態2の塗装装置の模式図。 実施形態3の塗装装置の模式図。 実施形態4の塗装装置の模式図。 静電塗装時の模式図。 実施形態5の塗装装置の模式図。
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上述の態様の塗装装置または塗装方法において、前記粉体塗料は、熱可塑性の導電材料を含有するのが好ましい。これにより、樹脂部品の被塗装面に導電性を有する塗膜を形成させることができる。導電材料を樹脂部品の基材に直接混ぜ込んで樹脂部品の全体に導電性を発現させる従来工法に比べて、高価な導電材料の使用量が少なくて済むため、導電材料に要するコストを安価に抑えることができる。
上述の態様の塗装装置または塗装方法において、前記導電材料は、前記粉体塗料の主剤および前記樹脂部品の主剤と同種の熱可塑性樹脂からなるのが好ましい。これにより、粉体塗料により形成される塗膜の界面密着強度を高めることが可能になる。
上述の態様の塗装装置または塗装方法において、前記粉体塗料は、主剤である熱可塑性樹脂よりも融点が高い粒状材料を含有するのが好ましい。これにより、主剤と粒状材料との融点差を利用して粒状材料を元の形状まま塗膜表面に残すことができ、樹脂部品の意匠面に触感が変わるほどの凹凸形状を設けることが可能になる。
上述の態様の塗装装置において、前記加熱部は、前記塗料噴射部に前記加熱媒体として前記粉体塗料の融点以上の高温ガスを導入し、前記塗料噴射部は、前記加熱部から導入された前記高温ガスを利用して前記粉体塗料を加熱しつつ噴射し、前記高温ガスが保有する熱によって或いは前記高温ガスで加熱された前記粉体塗料が保有する熱によって前記樹脂部品が加熱されるように構成されているのが好ましい。この塗装装置によれば、粉体塗料の噴射及び加熱と樹脂部品の加熱の全てを、塗料噴射部に導入される高温ガスを利用して行うことができる。このため、塗装装置の構造を簡素化できる。
上述の態様の塗装装置は、前記塗料噴射部に前記粉体塗料を供給する塗料供給部を有し、前記塗料供給部は、前記塗料噴射部のうち前記粉体塗料を噴射口よりも上流側で溶融させないような接続部に接続されているのが好ましい。この塗装装置によれば、塗料噴射部に供給された粉体塗料が塗料噴射部の内部で溶融したのちに固化して詰まるのを抑制できる。このため、塗装装置の清掃やメンテナンスに要する工数を少なく抑えることができる。
上述の態様の塗装方法において、前記加熱ステップは、前記塗料噴射部に前記加熱媒体として前記粉体塗料の融点以上の高温ガスを導入し、前記塗料噴射部に導入された前記高温ガスを利用して前記粉体塗料を加熱しつつ噴射し、前記高温ガスが保有する熱によって或いは前記高温ガスで加熱された前記粉体塗料が保有する熱によって前記樹脂部品を加熱するステップであるのが好ましい。この塗装方法によれば、粉体塗料の噴射及び加熱と樹脂部品の加熱の全てを、塗料噴射部に導入される高温ガスを利用して行うことができる。このため、塗装処理を簡素化できる。
上述の態様の塗装装置または塗装方法において、前記樹脂部品の主剤と前記粉体塗料の主剤が同一であるのが好ましい。これにより、樹脂部品と粉体塗料の融点を概ね一致させることができ、プライマーを使用することなく、互いの密着性を確保することが可能になる。
以下、上述の態様の塗装装置および塗装方法の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1に示される実施形態1の塗装装置101は、樹脂部品Wを塗装するための装置である。樹脂部品Wは、熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂製の部品である。この樹脂部品Wが含有する各種成分のうち主な成分が熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、融点まで加熱されることによって柔らかくなる樹脂である。この樹脂部品Wは、例えば、車体の前後に取り付けられるバンパーとして使用される。なお、以下では、便宜上、加工前の樹脂部品Wのみならず、加工後の樹脂部品Wも、単に「樹脂部品W」と記載して説明する。
1.樹脂部品Wの性状
樹脂部品Wの主剤である熱可塑性樹脂として、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアセタール(POM)アクリル系樹脂(PMMA/MS)、酢酸セルロース(CA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET/PETP)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PU)、テフロン(登録商標)(PCTFE/PTFE/FEP/PFA/ETFE/PVDF)などが挙げられる。
2.塗装装置101の構造
図1に示されるように、実施形態1の塗装装置101は、塗装機10と熱供給装置20を備えている。塗装機10は、さらに塗料噴射部11とガス導入部12を備えている。この塗装機10は、作業者が手指で把持して操作可能な可搬式のものであっても良いし、或いは、ロボットアームに取り付けて使用されるものであっても良い。
塗装機10において、塗料噴射部11には塗料供給装置13が接続されており、ガス導入部12には熱供給装置20が接続されている。塗料供給装置13は、塗料噴射部11に粉体塗料Pを供給する塗料供給部である。
熱供給装置20は、ガス導入部12に加熱用の加熱媒体Hmを供給する加熱部である。本形態では、加熱媒体Hmとして高温ガスを使用している。この熱供給装置20は、塗装機10の塗料噴射部11から噴射された粉体塗料Pと樹脂部品Wとを高温ガスを用いて相溶させるためのものである。ここでいう「相溶」とは、2つの樹脂材料が互いに溶融状態で混ざり合う現象をいう。高温ガスは、粉体塗料Pの融点以上のガスである。このため、高温ガスで粉体塗料Pを加熱して溶融させることができる。
塗装機10の塗料噴射部11は、高温ガスのガス流れを利用して樹脂部品Wの被塗装面Waに向けて粉体塗料Pを噴射する機能を有する。このために、この塗料噴射部11の内部には、粉体塗料Pが高温ガスとともに流通可能な流通路(図示省略)が設けられており、この塗料噴射部11の下流部には噴射口11aが設けられている。ガス導入部12の内部には、熱供給装置20から供給された高温ガスを塗料噴射部11の内部の流通路に流すために流通路(図示省略)が設けられている。
熱供給装置20からガス導入部12に供給された高温ガスは、ガス導入部12から塗料噴射部11に導入されたのち、塗料噴射部11の噴射口11aを通じて噴射される。このとき、塗料噴射部11は、高温ガスを利用して粉体塗料Pを加熱しつつ噴射するように構成されている。すなわち、高温ガスが保有する熱が粉体塗料Pを加熱に利用され、高温ガスのガス流れが粉体塗料Pの噴射に利用される。
本構成によれば、樹脂部品Wの被塗装面Waは、高温ガス自体が保有する熱によって加熱され、或いは高温ガスで加熱された粉体塗料Pが保有する熱によって加熱される。これにより、樹脂部品Wの被塗装面Waが溶融する。このとき、粉体塗料Pと樹脂部品Wが共に溶融状態で接触して相溶する。このように熱供給装置20からガス導入部12に高温ガスを供給するのみで粉体塗料Pの噴射及び加熱と、樹脂部品Wの被塗装面Waの加熱の全てを行う構造は、塗装装置101の構造を簡素化するのに有効である。
なお、塗料供給装置13を塗料噴射部11の上流側やガス導入部12に接続すると、塗料供給装置13から供給された粉体塗料Pが塗料噴射部11の内部で高温ガスの熱で溶融したのちに固化して詰まることが想定される。そこで、本形態の塗装装置101では、塗料供給装置13は、塗装機10の塗料噴射部11のうち粉体塗料Pを噴射口11aよりも上流側で溶融させないような接続部11bに接続されているのが好ましい。例えば、塗料噴射部11の各部位のうち噴射口11aに近接した部位を接続部11bとすることができる。接続部11bの適宜に調整することで、塗料噴射部11の内部では高温ガスから受熱するものの粉体塗料Pの状態をその潜熱分によって融点を下回る未溶融状態に維持することができ、且つ、粉体塗料Pが噴射口11aから噴射したときに未溶融状態から溶融状態へと推移するように設定することができる。その結果、塗料噴射部11の内部で粉体塗料Pの詰まりが発生するのを抑制することができ、粉体塗料Pの詰まりを解消するための清掃やメンテナンスに要する工数を少なく抑えることができる。
3.粉体塗料Pの性状
粉体塗料Pは、樹脂部品Wと同様に、熱可塑性樹脂を主剤としたものである。すなわち、粉体塗料Pが含有する各種成分のうち主な成分が熱可塑性樹脂である。この粉体塗料Pには、熱可塑性樹脂以外の成分として、例えば顔料が含有されている。粉体塗料Pは、塗料供給装置13から塗料噴射部11に供給されるときには、予め粉砕処理がなされた微粉末塗料Paとされる。この微粉末塗料Paは、粉体塗料Pの一形態である。これに対して、粉体塗料Pは、塗料噴射部11の噴射口11aから噴射された後の状態では、高温ガスが保有する熱によって溶融して微粒化された微粒化塗料Pbとされる。この微粒化塗料Pbは、粉体塗料Pの一形態であり、樹脂部品Wの被塗装面Waに付着して塗膜Qを形成する。
なお、粉体塗料Pの主剤は、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂部品Wの主剤との関係で適宜に選定可能である。粉体塗料Pの主剤は、樹脂部品Wの主剤と同一であっても良いし、或いは互いに異なっていても良い。樹脂部品Wの主剤と粉体塗料Pの主剤が同一である場合には、樹脂部品Wと粉体塗料Pの融点を概ね一致させることができ、プライマーを使用することなく、互いの密着性を確保することが可能になる。
4.加熱媒体Hmの種類
加熱媒体Hmとして各種の媒体を使用できる。加熱媒体Hmが高温ガスである場合、例えば、加熱源(電熱ヒータなど)を利用して生成された熱風や過熱水蒸気、可燃性ガス(プロパン、水素など)から燃焼生成された燃焼ガス等を採用することができる。また、高温ガス以外に、例えばプラズマを加熱媒体Hmとして利用しても良い。
5.塗装方法
次に、図1及び図2を参照しつつ、実施形態1の塗装方法について説明する。
実施形態1の塗装方法は、熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品Wを塗装するためのものである。この塗装方法は、図2のフローチャートの各ステップを順次実行することによって達成される。必要に応じて、少なくとも1つのステップを複数のステップに分割しても良いし、或いは少なくとも1つのステップに別のステップを追加しても良い。
図2中の第1ステップS1は、塗装ブース(図示省略)内に樹脂部品Wをセットするステップである。図2中の第2ステップS2は、上記構成の塗装装置101(図1を参照)を使用して、塗料供給装置13から塗装機10の塗料噴射部11に粉体塗料Pを供給し、且つ、熱供給装置20から塗装機10のガス導入部12に高温ガスを供給するステップである。
第2ステップS2によれば、粉体塗料Pを高温ガスで加熱し、且つ、高温ガスのガス流れにしたがって粉体塗料Pを塗料噴射部11から樹脂部品Wに向けて噴射させることができる。塗料噴射部11から噴射された粉体塗料Pは、高温ガスが保有する熱によって加熱されて溶融し、溶融状態で樹脂部品Wの被塗装面Waに付着する。一方で、樹脂部品Wの被塗装面Waは、高温ガス或いは塗料噴射部11から噴射した粉体塗料Pが保有する熱によって加熱されて溶融する。そして、溶融状態の粉体塗料Pが溶融状態の被塗装面Waと相溶する。
このように、第2ステップS2は、塗料噴射部11の噴射口11aから樹脂部品Wに向けて粉体塗料Pを噴射する噴射ステップと、塗料噴射部の噴射口11aから噴射された粉体塗料Pと樹脂部品Wとを高温ガスを用いて相溶させる加熱ステップと、を並行して実行するステップである。噴射ステップ及び加熱ステップを並行して実行することで、粉体塗料Pの噴射及び加熱と、樹脂部品Wの被塗装面Waの加熱の全てを行うことができるため、塗装処理を簡素化できる。
図2中の第3ステップS3は、第2ステップS2で得られた樹脂部品Wを自然冷却によって冷却するステップである。この第3ステップS3によれば、樹脂部品Wの被塗装面Wa上で塗膜Qを固化して定着する。粉体塗料Pが溶剤を全く含有しないため、この第3ステップS3では、塗装ブース内の空間全体を昇温して樹脂部品Wを乾燥させる必要がなく、樹脂部品Wを単に冷却させることができれば足りる。
なお、樹脂部品Wがバンパーのような部品である場合には、第2ステップS2及び第3ステップS3を粉体ベース塗料について実施したのち、さらに粉体クリア塗料について繰り返し実施するのが好ましい。
図2中の第4ステップS4は、第3ステップS3で塗装した樹脂部品Wの外観品質をチェックするステップである。この第4ステップS4によれば、樹脂部品Wの被塗装面Wa上に形成された塗膜Qの状態などが適宜にチェックされる。
6.作用効果
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
実施形態1では、塗料噴射部11から熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品Wに向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料Pが高温ガスとともに噴射される。このとき、樹脂部品Wと粉体塗料Pがいずれも熱可塑性樹脂を主剤とするものであるため、塗料噴射部11から噴射された粉体塗料Pと樹脂部品Wとを高温ガスを用いて相溶させることができる。すなわち、高温ガスの加熱作用を利用して、粉体塗料Pと樹脂部品Wを共に溶融状態にして相溶させることができる。このとき、粉体塗料Pと樹脂部品Wを相溶させることで樹脂部品Wに対する塗膜Qの付着強度(樹脂部品Wの被塗装面Waと塗膜Qとの間の界面強度)を高めることができる。
従って、上述の実施形態1によれば、樹脂部品Wを粉体塗料Pで塗装するのに有効な技術を提供することが可能になる。
実施形態1によれば、溶剤を全く含有しない粉体塗料Pを使用するため、塗装ブース内の空間全体を昇温して樹脂部品Wを乾燥させる必要がない。このため、樹脂部品Wの乾燥処理に必要なエネルギーを削減できる。また、この粉体塗料Pは、環境負荷物質の1つである揮発性有機化合物(VOC)も含有しない。このため、揮発性有機化合物が作業環境や大気環境に与える影響を防ぐための設備を削減できる。また、実施形態1の塗装技術によれば、既知の塗装技術であるインモールド塗装で想定される成形不良(例えば、ウェルドラインなど)が発生することがない。
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、上述の実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図3に示されるように、実施形態2の塗装装置102は、実施形態1の塗装装置101の構造に対して、更に、熱供給装置20と同様の熱供給装置21を備えている。熱供給装置21は、樹脂部品Wの被塗装面Waを加熱媒体Hmで補助的に加熱する機能を有する。この塗装装置102のその他の構成は、実施形態1のものと同様である。
実施形態2によれば、熱供給装置20による加熱機能のみで樹脂部品Wの被塗装面Waを溶融状態まで加熱するのが難しいような場合に、熱供給装置20に加えて熱供給装置21を補助的に使用して樹脂部品Wの被塗装面Waを溶融状態まで加熱するのに有効である。その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
図4に示されるように、実施形態3の塗装装置103は、熱供給装置20を塗装機10のガス導入部12に代えて塗料噴射部11の噴射口11aまわりに接続し、且つ塗装機10のガス導入部12に熱供給装置20に代えてガス供給装置14を接続している点で、実施形態1の塗装装置101の構造と相違している。ガス供給装置14は、エアーなどの常温の噴射用ガスIgをガス導入部12に供給する機能を有する。この塗装装置103のその他の構成は、実施形態1のものと同様である。
実施形態3によれば、粉体塗料Pが噴射用ガスIgのガス流れにしたがって塗料噴射部11の噴射口11aから噴射される直前のタイミングでこの粉体塗料Pを熱供給装置20で加熱することができる。このため、粉体塗料Pが塗料噴射部11の内部で溶融するのを防ぐことができる。その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
なお、実施形態3に特に関連する変更例として、樹脂部品Wの被塗装面Waを補助的に加熱する熱供給装置21(図3を参照)を追加した構造を採用することができる。
(実施形態4)
図5に示される実施形態4の塗装装置104は、粉体塗料P’を使用して樹脂部品Wを塗装する装置である。また、実施形態4では、実施形態1の塗装方法(図2を参照)と同様の塗装方法が使用される。
粉体塗料P’は、熱可塑性の導電材料を含有するものである。導電材料の種類は特に限定されないが、一例としてオレフィン系樹脂材料を導電材料として使用できる。粉体塗料P’は、塗料供給装置13から塗料噴射部11に供給されたのち、ガス導入部12に供給された高温ガスで加熱された状態で、高温ガスのガス流れにしたがって噴射口11aから噴射される。このとき、高温ガスが保有する熱によって粉体塗料P’が溶融し微粒化されてなる微粒化塗料Pbが樹脂部品Wの被塗装面Waに付着し、導電性を有する塗膜Q’が形成される。例えば、塗膜Q’の膜厚dを数ミクロンから数十ミクロンとすることができる。
なお、熱可塑性の導電材料は、粉体塗料P’の主剤および樹脂部品Wの主剤と同種の熱可塑性樹脂からなるのが好ましい。導電材料と、粉体塗料P’の主剤と、樹脂部品Wの主剤と、が同種(同系列)の樹脂材料からなる。これにより、粉体塗料P’により形成される塗膜Q’の界面密着強度を高めることが可能になる。
本形態の塗膜Q’は、導電性を持つオレフィン系樹脂層であり、樹脂部品Wの意匠面に導電性が発現する。したがって、図6に示されるように、塗膜Q’を導電プライマー層(下地)として、既知の構造の塗装機10Aで静電塗装を行うことができる。塗装機10Aによれば、エアーの圧力を利用して噴射された塗料Rは、塗膜Q’の表面に付着して塗膜Raを形成する。これにより、塗装装置104を樹脂部品Wの静電塗装に適用することができる。
本形態によれば、塗料Rによる塗装前に塗膜Q’を設けることにより、樹脂部品Wに導電性が無い場合でも静電塗装を行うことができ、塗料Rの塗着効率を高めることができる。これにより、塗料Rの使用量を低減できる。また、塗膜Q’によって導電性を付与することで埃清掃性が向上するため、塗料Rによる塗装時に埃などの要因でブツ不良が生じるのを抑制することが可能になる。
本形態の工法は、塗膜Q’によって樹脂部品Wの意匠面に導電性を発現させるものであり、導電材料を樹脂部品Wの基材に直接混ぜ込んで樹脂部品Wの全体に導電性を発現させるような従来工法に比べて、高価な導電材料の使用量が少なくて済むという利点がある。したがって、導電材料に要するコストを安価に抑えることができる。また、従来工法において基材に異材である導電材料を混ぜ込むことにより生じる物性変化(例えば、剛性の低下など)を回避することができる。したがって、例えば、樹脂部品Wの剛性を確保するために厚みを増やす等の対策が不要である。
溶剤を含有する油性の導電プライマーを樹脂部品Wの被塗装面Waに予め塗布して静電塗装を行う場合には、塗布後の乾燥処理を必要とすること、この乾燥処理時に溶剤に由来の揮発性化合物及び二酸化炭素が発生することが問題になる。これに対して、本形態によれば、塗装前に導電プライマー層である塗膜Q’を設けることで、このような問題が全て解消できるという利点がある。すなわち、乾燥処理が不要であり、揮発性化合物及び二酸化炭素が発生しない。
本形態によれば、樹脂部品Wの裏面(意匠面を表面とした場合の裏面)にセンサ類を装着する場合、樹脂部品Wをアンテナとして利用することが可能になる。この場合、樹脂部品Wの意匠面の面積を大きくして広範囲に導電性を持たせるようにすれば、アンテナの受信性能を高めるのに有効である。また、樹脂部品Wに落雷時の放電性能(アース性能)を付与することが可能になる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。なお、必要に応じて、本形態の塗装装置104に、実施形態2の塗装装置102の構造や実施形態3の塗装装置103の構造を適用しても良い。
(実施形態5)
図7に示される実施形態5の塗装装置105は、粉体塗料P’’を使用して樹脂部品Wを塗装する装置である。また、実施形態5では、実施形態1の塗装方法(図2を参照)と同様の塗装方法が使用される。
粉体塗料P’’は、主剤である熱可塑性樹脂よりも融点が高い粒状材料Cを含有するものである。なお、図7では、説明の便宜上、粒状材料Cの大きさ及び数をデフォルメして表している。粒状材料Cの種類や形状は特に限定されないが、一例としてエラストマー(ゴム弾性を有する材料)やガラスビーズ等を粒状材料Cとして使用できる。
粉体塗料P’’は、塗料供給装置13から塗料噴射部11に供給されたのち、ガス導入部12に供給された高温ガスで加熱された状態で、高温ガスのガス流れにしたがって噴射口11aから噴射される。したがって、噴射口11aの口径は、粉体塗料P’’が詰まることなく安定して噴射できる程度に大きく設定されている。高温ガスの温度は、粉体塗料P’’の主剤の融点を上回り、且つ、粒状材料Cの融点を上回るように設定される。樹脂部品Wには、予めベースカラー層Bが設けられている。したがって、高温ガスが保有する熱によって粉体塗料P’’が溶融し微粒化されてなる微粒化塗料Pbが樹脂部品Wの被塗装面Wa(ベースカラー層B)に付着し、導電性を有する塗膜Q’’が形成される。
本形態の塗膜Q’’は、ベースカラー層Bに対するクリア層となる。この塗膜Q’’は、粉体塗料P’’の主剤と粒状材料Cとの融点差にしたがって形成されるものであり、主剤は溶融しているが粒状材料Cは元の形状を維持した状態で含むものである。塗装装置105を使用すれば、樹脂部品Wの意匠面に粒状材料Cを露出させることができ、触感が変わるほどの凹凸形状を樹脂部品Wの意匠面に設けることができる。
このような凹凸形状は、粒状材料Cの粒子径を、例えば、数百ミクロンから数ミリ程度までの範囲に設定することで実現できる。例えば、凹凸ピッチが指紋溝ピッチ(0.45ミリ程度のピッチ)の前後の値となるように凹凸形状を設定するのが好ましい。なお、粒状材料Cとして摩擦係数の大きい粒子を使用した場合には、しっとり感やグリップ感に優れた触感を実現でき、粒状材料Cとして粒子径の大きい軟質材を使用した場合には、ファーストタッチの柔らかさに優れた触感を実現できる。
本形態によれば、液体塗料を微粒化して霧化するような従来工法のようにノズル径(噴射口11aの口径)を絞る必要がなく、粒状材料Cを含有する粉体塗料P’’を噴射口11aから安定して噴射できるという利点がある。
なお、本形態では、樹脂部品Wに予め設けたベースカラー層Bを粉体塗料P’’で塗装する場合について例示したが、これに代えて、ベースカラー層Bを設けずに樹脂部品Wを粉体塗料P’’で塗装するようにしても良い。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。なお、必要に応じて、本形態の塗装装置105に、実施形態2の塗装装置102の構造や実施形態3の塗装装置103の構造を適用しても良い。
本発明は、上述の典型的な形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の形態では、塗装対象である樹脂部品Wが車両のバンパーである場合について例示したが、樹脂部品Wは、車両部品のうちバンパー以外の樹脂部品であっても良いし、或いは、車両以外の分野で使用される樹脂部品であっても良い。
11…塗料噴射部、 11a…噴射口、11b…接続部、 13…塗料供給装置(塗料供給部)、 20,21…熱供給装置(加熱部)、 101,102,103,104,105…塗装装置、 Hm…加熱媒体、 P,P’,P’’…粉体塗料、 Pa…微粉末塗料(粉体塗料)、 Pb…微粒化塗料(粉体塗料)、 S1~S4…塗装方法、 S3…第2ステップ(噴射ステップ、加熱ステップ)、 W…樹脂部品

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品を塗装する塗装装置であって、
    前記樹脂部品に向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料を噴射する塗料噴射部と、
    前記塗料噴射部から噴射された前記粉体塗料と前記樹脂部品とを加熱媒体を用いて相溶させる加熱部と、
    を備える塗装装置。
  2. 前記粉体塗料は、熱可塑性の導電材料を含有する、請求項1に記載の塗装装置。
  3. 前記導電材料は、前記粉体塗料の主剤および前記樹脂部品の主剤と同種の熱可塑性樹脂からなる、請求項2に記載の塗装装置。
  4. 前記粉体塗料は、主剤である熱可塑性樹脂よりも融点が高い粒状材料を含有する、請求項1に記載の塗装装置。
  5. 前記加熱部は、前記塗料噴射部に前記加熱媒体として前記粉体塗料の融点以上の高温ガスを導入し、前記塗料噴射部は、前記加熱部から導入された前記高温ガスのガス流れを利用して前記粉体塗料を加熱しつつ噴射し、前記高温ガスが保有する熱によって或いは前記高温ガスで加熱された前記粉体塗料が保有する熱によって前記樹脂部品が加熱されるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装装置。
  6. 前記塗料噴射部に前記粉体塗料を供給する塗料供給部を有し、前記塗料供給部は、前記塗料噴射部のうち前記粉体塗料を噴射口よりも上流側で溶融させないような接続部に接続されている、請求項5に記載の塗装装置。
  7. 前記樹脂部品の主剤と前記粉体塗料の主剤が同一である、請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装装置。
  8. 熱可塑性樹脂を主剤とした樹脂部品を塗装する塗装方法であって、
    塗料噴射部から前記樹脂部品に向けて熱可塑性樹脂を主剤とした粉体塗料を噴射する噴射ステップと、
    前記噴射ステップで前記塗料噴射部から噴射された前記粉体塗料と前記樹脂部品とを加熱媒体を用いて相溶させる加熱ステップと、
    を有する塗装方法。
  9. 前記粉体塗料は、熱可塑性の導電材料を含有する、請求項8に記載の塗装方法。
  10. 前記導電材料は、前記粉体塗料の主剤および前記樹脂部品の主剤と同種の熱可塑性樹脂からなる、請求項9に記載の塗装方法。
  11. 前記粉体塗料は、主剤である熱可塑性樹脂よりも融点が高い粒状材料を含有する、請求項8に記載の塗装方法。
  12. 前記加熱ステップは、前記塗料噴射部に前記加熱媒体として前記粉体塗料の融点以上の高温ガスを導入し、前記塗料噴射部に導入された前記高温ガスを利用して前記粉体塗料を加熱しつつ噴射し、前記高温ガスが保有する熱によって或いは前記高温ガスで加熱された前記粉体塗料が保有する熱によって前記樹脂部品を加熱するステップである、請求項8~11のいずれか一項に記載の塗装方法。
  13. 前記樹脂部品の主剤と前記粉体塗料の主剤が同一である、請求項8~11のいずれか一項に記載の塗装方法。
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