JP2024091236A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂および下記の化学式で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む。
【化1】
ここで、Rは2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表し、nは3から25の範囲の整数である。
【選択図】なし


Description

本発明は、樹脂組成物に関するものである。
エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂およびビスマレイミド樹脂に基づく樹脂組成物システムは、その発展により、さまざまな産業分野で広く使用されている。しかし、技術の進歩に伴い、前述の樹脂組成物には改善が必要な問題(例えば、吸水性および誘電特性など)が依然として存在する。従って、改善されて競争力のあるエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂に基づく樹脂組成物システムの開発が、当業者にとって喫緊の目標となっている。
本発明は、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂に基づく樹脂組成物システムを提供し、該樹脂組成物システムは、ガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接の点でのその性能を効果的に改善し、それにより競争における優位性を提供することができる。
本発明は、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂および下記の化学式で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂組成物を提供する。ここで、Rは2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表し、nは3から25の範囲の整数である。
本発明の一実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対する前記エポキシ樹脂の重量比は、40重量%から60重量%の範囲である。
本発明の一実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対する前記ベンゾオキサジン樹脂の重量比は、20重量%から40重量%の範囲である。
本発明の一実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対する前記変性ポリフェニレンエーテル樹脂の重量比は、10重量%から40重量%の範囲である。
本発明の一実施形態において、前記ビスマレイミド樹脂はポリフェニルメタンマレイミド樹脂であり、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対する前記ポリフェニルメタンマレイミド樹脂の重量比は、0重量%から40重量%の範囲である。
本発明の一実施形態において、樹脂組成物はさらに、触媒、難燃剤、二酸化ケイ素、シロキサンカップリング剤、またはそれらの組み合わせを含む。
本発明の一実施形態において、前記触媒の使用量は、0.005phrから1phrの範囲である。
本発明の一実施形態において、前記難燃剤の使用量は、25phrから40phrの範囲である。
本発明の一実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対する前記二酸化ケイ素の重量比は、30重量%から60重量%の範囲である。
本発明の一実施形態において、前記シロキサンカップリング剤の使用量は、0.1phrから5phrの範囲である。
上記に基づいて、本発明においては、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂およびビスマレイミド樹脂に基づく樹脂組成物システムにおいて、架橋剤としてのエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂は、特定の構造式を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂と組み合わせられる。従って、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂の官能基と変性ポリフェニレンエーテル樹脂との相互作用によって所望の反応が得られ、よって、本発明の樹脂組成物は、ガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接の点での性能を効果的に改善することができ、このため競争における優位性を提供する。
本発明の実施形態について、以下に詳しく説明する。ただし、これらの実施形態は例示的であり、本発明はこれらに限定されない。
本明細書において、「一つの値からもう一つの値」の範囲を示す表現は、範囲内のすべての値を明細書に列挙することを避ける概要的な表現である。従って、特定の数値範囲の記述は、実際には数値範囲内の任意の数値および数値範囲内の任意の数値で区切られた小さな数値範囲の記述がなくともこれらを含むものである。
本実施形態において、樹脂組成物は、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂(BZ樹脂)、ビスマレイミド樹脂および下記化学式(1)により表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂を含む。ここで、Rは2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表し、nは3から25の範囲の整数である。
本発明において、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂およびビスマレイミド樹脂に基づく樹脂組成物システムでは、架橋剤としてのエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂は、特定の構造式を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂と組み合わせられる。従って、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂の官能基と変性ポリフェニレンエーテル樹脂との相互作用によって良好な反応性が得られ、よって、本発明の樹脂組成物は、ガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接の点での性能を効果的に改善することができ、このため競争における優位性を提供する。下記に、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂について詳しく説明する。
さらに、複数の樹脂構成システムの中で、本発明は、樹脂組成物のガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接などの複数の特性を効果的に改善することができるエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂系システムを明確に示す。これに基づき、本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂系システムの応用分野において、有益な効果を有することを明確に示す。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物は回路基板に応用されてよい。本発明の樹脂組成物で製造された回路基板は、誘電率が3.2~3.5であり、誘電正接が0.004未満であり、ガラス転移温度が240℃以上であり、熱膨張係数が20ppm/℃未満であり、剥離強度が4lb/in以上であり、吸水率が0.4%未満である。これは、本発明の樹脂組成物が低吸水率および低誘電特性を有する樹脂組成物であることを示している。例えば、5G通信の応用分野では、回路基板の高周波伝送の要求に応えるために、低吸水率および低誘電特性が求められる。しかし、既存のエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂構造システムには、高吸水率および高誘電特性といった問題がある。本発明は、変性ポリフェニレンエーテル樹脂をエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂と反応させることにより、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂構造システムの吸水率および誘電特性を効果的に低減させることができることを明確に示す。すなわち、本発明の樹脂組成物は、5G通信に応用された時、大幅に改善させた技術性能を有することができるが、本発明はこれに限定されない。
エポキシ樹脂とベンゾオキサジン樹脂
いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂は、異なる主骨格に応じてさまざまなタイプのエポキシ樹脂に分類することができる。例えば、さまざまなタイプのエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型のエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアルキルフェノール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキルクレゾール共重合ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格を含むエポキシ樹脂、フェンネル骨格を含むエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などの脂環式エポキシ樹脂に分類することができる。ベンゾオキサジン樹脂は、適切な市販のBZ樹脂であってよいが、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対するエポキシ樹脂の重量比は、40重量%から60重量%の範囲内であるが(例えば、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、または40重量%と60重量%の間の任意の数値)、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物中の樹脂の総重量に対するベンゾオキサジン樹脂の重量比は、20重量%から40重量%の範囲内である(例えば、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、または20重量%から40重量%の間の任意の数値)、本発明はこれに限定されない。
変性ポリフェニレンエーテル樹脂
変性ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、以下のステップを含む。この実施形態におけるステップの順序および実際の操作方法は、必要に応じて調整されてよく、本実施形態に限定されないことに注意されたい。
高分子量ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂材料が提供され、該高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、第一の数平均分子量(Mn)を有し、高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料の第一の数平均分子量(Mn)は18,000以上であり、20,000以上であることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、下記の化学式(1-1)により表される構造を有する。ここで、nは150から330の範囲の整数であり、165から248の範囲が好ましい。
いくつかの実施形態において、ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、ポリフェニレンオキシド(PPO)と呼ばれてよい。ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、優れた絶縁性、耐酸性と耐アルカリ性、優れた誘電率および低誘電正接を有する。従って、前記ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、より優れた電気特性を有し、高周波プリント回路基板の絶縁基板材料としてより適しているが、本発明はこれに限定されない。
高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料が提供された後、クラッキングプロセスが実行されて、高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料は第二の数平均分子量を有し且つビスフェノール官能基で変性された低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料(フェノール末端基を有する低分子PPEとも呼ばれる)を形成するようにクラッキングされる。第二の数平均分子量は、第一の数平均分子量(すなわち、クラッキング前の前記ポリフェニレンエーテル樹脂材料の数平均分子量)よりも小さい。ここで、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料の第二の数平均分子量(Mn)は12,000以下であり、10,000以下であることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
より具体的には、前記クラッキングプロセスは、過酸化物の存在下で、ビスフェノール(フェノール性材料)を第1の数平均分子量を有する高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料(すなわち、高分子量PPE)と反応させることを含み、高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料は、第一の数平均分子量よりも小さい第二の数平均分子量を有する低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料を形成するようにクラッキングされ、その低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の一方側がフェノール官能基で変性される。フェノール官能基の一般化学構造式(1-2)を下記に表す。ここで、Rは、2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表している。
例えば、下記の表2に示すように、Rは直接結合、メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、1-メチルプロピル、スルホン、またはフルオレンを含んでよく、nは3から25の間の整数であり、10から18の間が好ましい。いくつかの実施形態において、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料の数平均分子量(Mn)は、500g/molから5,000g/molの間であり、1,000g/molから3,000g/molの間が好ましく、1,500g/molから2,500g/molの間が特に好ましい。また、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料の重量平均分子量(Mw)は1,000g/molから10,000g/molの間であり、1,500g/molから5,000g/molの間が好ましく、2,500g/molから4,000g/molの間が特に好ましいが、本発明はそれに限定されない。
いくつかの実施形態において、ビスフェノール化合物は、4,4’-ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、4,4’-エチリデンビスフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、3,5,3’,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニルおよび2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンからなるグループから選ばれる少なくとも1つの材料である。ビスフェノール化合物の種類を下記の表1に示す。
上記のビスフェノール化合物の2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置する化学基を表2に示す。
いくつかの実施形態において、過酸化物の材料は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル過酸化物およびジクミル過酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つである。過酸化物の材料を下記の表3に示す。
クラッキングプロセスが実行された後、硝化プロセスが実行され、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料を硝化反応をさせ、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端がそれぞれニトロ官能基で変性される(末端ニトロ基を有するPPEとも呼ばれる)。ニトロ官能基の一般化学構造式(1‐3)は下記に表す。
より具体的には、硝化プロセスは、4-ハロニトロベンゼン材料をアルカリ環境で、クラッキングされてビスフェノール官能基で変性された低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料と反応させて、硝化反応を行うことを含み、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端がそれぞれニトロ官能基で変性される。硝化反応は、アルカリ環境で、4-ハロニトロベンゼン材料を低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料と反応させることによって行われ、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端は、負に帯電した酸素イオンを形成する。負に帯電した酸素イオンは、4-ハロニトロベンゼンを容易に攻撃して4-ハロニトロベンゼンからハロゲンを除去し、ニトロベンゼン官能基がさらに低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端をそれぞれ変性する。すなわち、上記の反応機構を通じて、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端は、それぞれニトロ官能基で変性されることができる。
いくつかの実施形態において、硝化プロセスは、ポリフェニレンエーテル樹脂材料をpH値が8から14の範囲(10から14の範囲が好ましい)のアルカリ環境で硝化反応をさせるが、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、4-ハロニトロベンゼン材料の一般化学構造式は下記の一般式であり、材料の種類を以下の表4に示す。ここで、Xはハロゲンであり、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)であることが好ましい。
硝化プロセスが実行された後、水素化プロセスが実行される。これにより、ポリマー鎖の両端にニトロ官能基を有する低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料が水素化され、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端がそれぞれアミノ官能基で変性される(末端アミノ基を有するPPEとも呼ばれる)。一般化学構造式(1‐4)を下記に表す。
より具体的には、水素化プロセスは、水素化溶剤をポリマー鎖の両端をそれぞれ変性するニトロ官能基を有する低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料と反応させて、水素化反応を行うことを含む。水素化溶剤の材料種類は、ジメチルアセトアミド(DMAC、CAS No.127-19-5)、テトラヒドロフラン(THF、CAS No.109-99-9)、トルエン(CAS No.108-88-3)およびイソプロパノール(CAS No.67-63-0)を含む材料群のうちの少なくとも1つから選ばれる。いくつかの実施形態において、水素化溶剤としてのジメチルアセトアミドの使用は、水素化プロセスが優れた水素化転換率(例えば、水素化転換率が99%以上)を達成することを可能とするが、本発明はこれに限定されない。水素化転換率を制御するパラメータには、(1)溶剤の選択および混合溶剤の比率、(2)触媒添加量、(3)水素化反応時間、(4)水素化反応温度および(5)水素化反応圧力が含まれることに注意されたい。水素化溶剤の材料種類を下記の表5に示す。
水素化プロセスが実行された後、合成プロセスが実行される。合成プロセスは、無水マレイン酸を、上記の水素化プロセスで形成されたポリマー鎖の両端がそれぞれアミノ官能基で変性された低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料(末端アミノ基を有するPPEとも呼ばれる)を無水マレイン酸と反応させることを含み、下記の一般化学構造式(1-5)を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂を合成する。ここで、Rは2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表し、nは3から25の範囲の整数であり、10から18の間が好ましい。
前記無水マレイン酸の化学式は以下の通りである。
より具体的には、合成プロセスにおいて、まず、ポリマー鎖の両端がそれぞれアミノ官能基で変性された低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料(末端アミノ基を有するPPEとも呼ばれる)が、無水マレイン酸と混合し、開環反応を行う。さらに、p-トルエンスルホン酸を脱水剤として更に添加し、これにより閉環反応を行い、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が合成される。上記のステップで得られた変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリマー鎖の両端にビスマレイミドがそれぞれ変性され、その化学構造が、ポリフェニレンエーテルを主鎖とし、ポリマー鎖の末端が高耐熱性の反応性基(すなわち、ビスマレイミド)に変性されている。これにより、合成された樹脂材料は比較的低い誘電率および誘電正接を有する。上記の一連の材料変性手順により、高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料が低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂材料にクラッキングされ、低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂材料の分子構造がビスフェノール官能基を有するように変性され、また低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂材料のポリマー鎖の両端がビスマレイミドで変性される。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物の樹脂の総重量に対する変性ポリフェニレンエーテル樹脂の重量比は、10重量%から40重量%の範囲であるが(例えば、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、40重量%、または10重量%と40重量%の間の任意の値)、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物は、下記の構造式(A)を有するポリフェニルメタンマレイミド樹脂(CAS番号:67784-74-1;例えば、ダイワ化学工業株式会社製のBMI-2300(商標名)など)をさらに含む。ここで、樹脂組成物の樹脂の総重量に対するポリフェニルメタンマレイミド樹脂の重量比は、0重量%から40重量%の範囲であるが(例えば、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、または0重量%と40重量%の間の任意の値)、本発明はこれに限定されない。ポリフェニルメタンマレイミド樹脂は、樹脂組成物から任意に除外されてもよい。言い換えると、変性ポリフェニレンエーテル樹脂の添加後に、ポリフェニルメタンマレイミド樹脂の使用量を減らすことができる。同様に、下記の構造式(B)を有するビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(CAS番号:105391-33-1;例えば、KI化学株式会社製のBMI-70(商標名)など)も、樹脂組成物から任意に除外されてよい。
いくつかの実施形態において、樹脂組成物は、触媒、難燃剤、二酸化ケイ素、シロキサンカップリング剤、またはそれらの組み合わせをさらに含み、触媒の使用量は0.005phrから1phrの範囲(例えば、0.005phr、0.01phr、0.05phr、0.1phr、0.5phr、1phr、または0.005phrと1phrの間の任意の値)、難燃剤の使用量は25phrから40phrの範囲(例えば、25phr、30phr、32phr、34phr、38phr、40phr、または25phrと40phrの間の任意の値)、二酸化ケイ素の重量比は30重量%から60重量%の範囲(例えば、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、または30重量%から60重量%の間の任意の値)、シロキサンカップリング剤の使用量は0.1phrから5phrの範囲(例えば、0.1phr、0.5phr、1phr、2phr、3phr、5phr、または0.1phrと5phrの間の任意の値)であるが、本発明はこれに限定されない。ここで、「phr」という単位は、樹脂組成物の樹脂の100重量部に対する他の材料の重量部として定義される。二酸化ケイ素の重量比は、樹脂組成物の樹脂の重量と難燃剤の重量を合わせたものに基づいており、樹脂組成物の樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミド樹脂などが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂およびビスマレイミド樹脂の熱硬化反応をより良く触媒するため、触媒は2-エチル4-メチルイミダゾール(2E4MZ;CAS:931-36-2;下記の構造式)であってよいが、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、難燃剤はハロゲンフリー難燃剤であり、具体例としてはリン系難燃剤であってよい。リン系難燃剤は、リン酸トリフェニル(TPP)、レゾルシノール二リン酸(RDP)、ビスフェノールAビス(ジフェニル)リン酸(BPAPP)、ビスフェノールAビス(ジメチル)リン酸(BBC)、レゾルシノール二リン酸(CR-733S)、レゾルシノール-ビス(ジ-2,6-ジメチルフェニルリン酸)(PX-200)といったリン酸エステルから選択されてよい。リン系難燃剤は、ポリビス(フェノキシ)ホスファゼン(SPB-100)といったホスファゼンから選択されてよい。リン系難燃剤は、メラミンリン酸(MPP)、メラミンシアヌレートといったアンモニウムポリリン酸から選択されてよい。リン系難燃剤は、DOPO(構造式(C)を有するなど)、DOPO-HQ(構造式(D)を有するなど)、ビスDOPO誘導体構造(構造式(E)を有するなど)といったDOPO難燃剤の1つ以上の組み合わせから選択されてよい。リン系難燃剤は、アルミニウム含有次亜リン酸(構造式(F)を有するなど)から選択されてよい。
いくつかの実施形態では、前記二酸化ケイ素(または実施例によっては「シリカ」と呼ばれる)は球状シリカであり、電気特性を低減させ、流動性およびゲル充填特性を維持するために、合成方法を用いて調製されることが好ましい。球状シリカは、アクリルまたはビニル表面修飾を有し、純度は99.0%以上であり、平均粒子径(D50)は約2.0μmから3.0μmであるが、本発明はこれに限定されない。
いくつかの実施形態において、シロキサンカップリング剤は、例えば、シロキサン化合物を含んでよいが、これに限定されない。また、回路基板内のガラス繊維クロスおよび粉末の適合性および架橋度を向上させるため、シロキサンカップリング剤は官能基の種類によって、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、ビニルシラン化合物、エステルシラン化合物、ヒドロキシルシラン化合物、イソシアネートシラン化合物、メチルアクリルオキシシラン化合物およびアクリルオキシシラン化合物に分類することがでるが、本発明はこれに限定されない。
本発明の樹脂組成物は、実際の設計要件に応じてプリプレグおよび銅箔基板(または実施例によっては「銅張積層板(CCL)」と呼ばれる)に加工されることができることに注意されたい。エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含む樹脂組成物システムが本発明の保護範囲に属する限り、上記の具体的な実装は、本発明の限定とはならない。
以下の実施例および比較例は、本発明の効果を示すために挙げられているが、本発明の保護範囲はこれらの例に限定されない。
各実施例および比較例での銅箔基板を以下の方法に基づいて評価した。
「ガラス転移温度(℃)」は、動的機械分析装置(DMA)を使用して検査される。
「吸水率(%)」は、試料を120℃、2atmの圧力鍋で120分間加熱する前後の試料の重量変化によって計算される。
「288℃はんだ耐熱性(秒)」は、試料を120℃、2atmの圧力鍋で120分間加熱した後、288℃のはんだ炉に試料を浸漬し、試料の破裂および剥離に必要な時間を記録することを示している。
「誘電率Dk」は、誘電体分析装置(モデルHP Agilent E4991A)を使用して、周波数10GHzで測定される。
「消散係数Df」(または、実施例によっては「誘電正接」と呼ばれる)は、誘電体分析装置(モデルHP Agilent E4991A)を使用して、周波数10GHzで測定される。
「熱膨張係数(CTE)」は、熱機械分析装置(TMA)で測定される。
「銅箔剥離強度(lb/in)」は、銅箔と回路キャリア間の剥離強度が測定される。
<実施例1から2および比較例1>
表6に示す各樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物のワニスを形成するためトルエンと混合した。このワニスを、室温でナンヤ・ファイバーグラスクロス(ナンヤ・プラスチックス・コーポレーションのクロスタイプ1078LD)に含浸させた。(含浸器内で)170℃で数分間乾燥させることで、樹脂含有量70重量%のプリプレグが得られた。最後に、2層の35μm厚の銅箔の間に4枚のプリプレグを層状に積み重ねた。25kg/cm2の圧力と85℃の温度で、20分間一定の温度を保った。次に、3℃/分の昇温速度で210℃まで加熱し、再び120分間一定の温度を保った。その後、温度をゆっくりと130℃まで冷却し、0.59mm厚の銅箔基板を得た。ここで、表6の変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、以下の手順で形成される:クラッキングされた低分子PPE(Mn=1,600)を、ジメチルアセトアミドの溶剤に配置して溶かし、炭酸カリウムとテトラフルオロニトロベンゼンを添加し、140℃まで加熱して8時間反応させ、室温まで冷却した。溶液をろ過して固形物を除去し、メタノール/水に沈殿させ、沈殿物である生成物(PPE-NO2)を得た。生成物(PPE-NO2)をジメチルアセトアミドの溶剤に入れ、90℃で8時間水素化させ、生成物PPE-NH2を得た。生成物PPE-NH2をトルエンに入れ、無水マレイン酸とp-トルエンスルホン酸を添加し、120℃まで加熱し、還流して8時間反応させ、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
調製した銅箔基板の物理的性質を試験した。結果を表6に示す。表6の実施例1~2および比較例1の結果を比較した後、以下の結論がえられた。比較例1と比較して、実施例1~2は、ガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接などの点で性能を効果的に改善することができる。
上記の回路基板を実施例として用いたが、本発明のエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂系システムの応用分野は回路基板の分野に限定されないことに注意されたい。例えば、当業者は、本発明の樹脂組成物を、吸水性および耐熱性のコーティング材料を要する他の関連分野に応用することができるため、これらの関連分野はすべて本発明の保護範囲に属する。
まとめると、本発明において、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂およびビスマレイミド樹脂に基づく樹脂組成物システムにおいて、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂は架橋剤として、特定の構造式を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂と組み合せられる。従って、エポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂の官能基と変性ポリフェニレンエーテル樹脂との相互作用によって所望の反応が得られ、よって、本発明の樹脂組成物は、ガラス転移温度、熱膨張係数、剥離強度、吸水率、耐熱性、誘電率および/または誘電正接の点での性能を効果的に改善することができ、競争における優位性を提供する。
本発明を上記の実施例で開示したが、これらの実施例は本発明を限定することを意図していない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、いくつかの変更および改変を行うことができる。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるべきである。
本発明の樹脂組成物は、回路基板基材に応用されてよい。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂と、
    ベンゾオキサジン樹脂と、
    ビスマレイミド樹脂と、
    下記の化学式で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂と
    を含み、
    Rは2つのヒドロキシフェニル官能基の間に位置するビスフェノール化合物の化学基を表し、nは3から25の範囲の整数である樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂の重量比は、前記樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、40重量%から60重量%の範囲である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ベンゾオキサジン樹脂の重量比は、前記樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、20重量%から40重量%の範囲である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記変性ポリフェニレンエーテル樹脂の重量比は、前記樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、10重量%から40重量%の範囲である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ビスマレイミド樹脂は、ポリフェニルメタンマレイミド樹脂であり、前記ポリフェニルメタンマレイミド樹脂重量比は、前記樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、0重量%から40重量%の範囲である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 触媒、難燃剤、二酸化ケイ素、シロキサンカップリング剤、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記触媒の使用量は、0.005phrから1phrの範囲である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記難燃剤の使用量は、25phrから40phrの範囲である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  9. 前記二酸化ケイ素の重量比は、前記樹脂組成物中の樹脂の総重量に対して、30重量%から60重量%の範囲である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  10. 前記シロキサンカップリング剤の使用量は、0.1phrから5phrの範囲である、請求項6に記載の樹脂組成物。

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