JP2024090877A - 感光性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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佑真 楜澤
敏明 福原
智美 高橋
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Abstract

【課題】 露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できる、感光性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【解決手段】(1)露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、上記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する場合において、感度を含む1つ以上の評価項目について基準値を取得する工程と、(2)上記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む測定用感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値を取得する工程と、(3)上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値に基づいて設定した感度の許容基準を満たすか否かを判定する工程などを含む感光性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物の製造方法に関する。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型の化学増幅法では、まず、露光部に含まれる光酸発生剤が、光照射により分解して酸を発生する。そして、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂が有するアルカリ不溶性の基をアルカリ可溶性の基に変化させる等して現像液に対する溶解性を変化させる。その後、例えば塩基性水溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。また、昨今では、極端紫外線(EUV光: Extreme Ultraviolet)及び電子線(EB:Electron Beam)を光源としたパターン形成方法も検討されつつある。
このような現状のもと、感光性樹脂組成物として、種々の構成が提案されているが、最近では、パターンの超微細化が達成できるものとして、露光により主鎖が分解又は切断する樹脂を含有する樹脂組成物が知られている。
例えば、特許文献1には、(A)イオン性化合物、及び(B)上記イオン性化合物におけるイオン性基と相互作用性する相互作用性基を有する繰り返し単位を有する繰り返し単位(b1)を有し、X線、電子線、又は極市街線の照射により主鎖が分解する樹脂を含有するポジ型レジスト組成物が記載されている。
特許文献2には、α位がハロゲン化されてなる所定の単量体単位と、水酸基を有する芳香族炭化水素基を有する所定の単量体単位とを含む主鎖切断型の重合体を含むレジスト組成物が記載されている。
国際公開第2021/153466号公報 特開2020-16699号公報
ところで、通常、感光性樹脂組成物の製造においては、感光性樹脂組成物の各成分の種類及び配合比が所定のものとなるように定められた製造手順が存在しており、感光性樹脂組成物の毎回の製造においては、上記製造手順に基づいて、感光性樹脂組成物の製造が為される。しかしながら、感光性樹脂組成物の実際の組成は、厳密には、各製造単位間で差が生じるものであり、そのような差は、感光性樹脂組成物の性能を変動させ得るものである。とりわけ、近年のパターンの超微細化(例えば、線幅20nm以下のラインアンドスペースパターンや孔径20nm以下のホールパターン等の製造)を踏まえると、パターン形成方法において設定された露光量にて露光を行った場合に、どの製造単位の感光性樹脂組成物を用いても所望のパターンが形成できることは、非常に重要な要件となっている。そのため、感光性樹脂組成物の各製造単位間における感度のわずかながらの変動も無視し難い傾向となっており、その変動を抑制できる手段は、感光性樹脂組成物の品質管理手段として、大変、有用である。
そこで、本発明は、露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できる、感光性樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
[1]
(1)露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、上記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する場合において、感度を含む1つ以上の評価項目について基準値を取得する工程と、
(2)上記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む測定用感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値を取得する工程と、
(3)上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値に基づいて設定した感度の許容基準を満たすか否かを判定する工程と、
(4)上記工程(3)で取得した感度の測定値が、上記感度の許容基準を満たさない場合に、下記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成し、上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする工程と、
(i)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂が1つである場合、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上と、を含む調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(ii)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂が2つ以上である場合、下記(a)及び(b)のいずれかを満たす調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(a) 露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む調整後感光性樹脂組成物C
(b) 露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる調整後感光性樹脂組成物C
(5)上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における感度について測定値を取得し、取得した感度の測定値が、上記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たすことを判定する工程
を有する感光性樹脂組成物の製造方法。
[2]
上記工程(1)で取得した感度の基準値をEopt-A、上記工程(2)で取得した感度の測定値をEopt-Bとしたとき、-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-B - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%)である場合を、上記工程(3)における感度の許容基準を満たすものとして判定する、[1]に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[3]
上記工程(1)における上記感度を含む1つ以上の評価項目が、現像液に対する溶解速度を含み、
上記工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、現像液に対する溶解速度であり、
上記工程(4)において取得した現像液に対する溶解速度についての測定値が、上記工程(1)において取得した現像液に対する溶解速度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、上記感光性樹脂膜Aの現像液に対する溶解速度S1Aと、上記感光性樹脂膜Cの現像液に対する溶解速度S1Cについて、100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内であることである、
[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[4]
上記「100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内である」が、-2.0(%)≦ 100 x (S1C - S1A)/S1A ≦ 2.0(%)を満たす、[3]に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[5]
上記工程(1)における上記感度を含む1つ以上の評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度を含み、
上記工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度であり、
上記工程(4)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての測定値が、上記工程(1)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、上記感光性樹脂膜Aのガラス転移温度の基準値S3Aと、感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の測定値S3Cについて、100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である、
[1]~[4]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[6]
上記「100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である」が、-0.5(%) ≦ 100 x (S3C - S3A)/S3A ≦ 0.5(%)を満たす、
[5]に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[7]
上記工程(3)において上記感度の許容基準を満たさない場合、上記工程(4)に記載の上記(i)及び(ii)(a)において、上記組成物Cが下記(C1)又は(C2)を満たす、[1]~[6]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
(C1) 上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値よりも小さい場合、上記組成物Cは、露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含まれる上記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも大きい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
(C2) 上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値よりも大きい場合、上記組成物Cは、露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含まれる上記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも小さい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
[8]
調整後組成物Cの全固形分中の上記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%が組成物Aの全固形分中の上記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%に対して、差が±0.3質量%以内である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[9]
上記感光性樹脂組成物A、B、及びCがイオン性化合物を含有し、上記露光により主鎖が分解する樹脂の少なくとも1つの樹脂が、イオン性化合物と相互作用する基を含む、[1]~[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
[10]
露光光源がEUV光である、[1]~[9]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できる、感光性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、本発明の趣旨に反しない限り、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
置換基は、特に断らない限り、1価の置換基が好ましい。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極端紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、及びX線等による露光のみならず、電子線(EB:Electron Beam)、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において表記される2価の基の結合方向は、特に断らない限り制限されない。例えば、「X-Y-Z」なる式で表される化合物中の、Yが-COO-である場合、Yは、-CO-O-であってもよく、-O-CO-であってもよい。また、上記化合物は「X-CO-O-Z」であってもよく「X-O-CO-Z」であってもよい。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
本明細書において酸解離定数(pKa)とは、水溶液中でのpKaを表し、具体的には、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求められる値である。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
一方で、pKaは、分子軌道計算法によっても求められる。この具体的な方法としては、熱力学サイクルに基づいて、水溶液中におけるH解離自由エネルギーを計算することで算出する手法が挙げられる。H解離自由エネルギーの計算方法については、例えばDFT(密度汎関数法)により計算することができるが、他にも様々な手法が文献等で報告されており、これに制限されるものではない。なお、DFTを実施できるソフトウェアは複数存在するが、例えば、Gaussian16が挙げられる。
本明細書中のpKaとは、上述した通り、ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を計算により求められる値を指すが、この手法によりpKaが算出できない場合には、DFT(密度汎関数法)に基づいてGaussian16により得られる値を採用するものとする。
また、本明細書中のpKaは、上述した通り「水溶液中でのpKa」を指すが、水溶液中でのpKaが算出できない場合には、「ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中でのpKa」を採用するものとする。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、固形分とは、感光性樹脂膜を形成する成分を意図し、溶剤は含まれない。また、感光性樹脂膜を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
[感光性樹脂組成物の製造方法]
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、
(1)露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、上記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する場合において、感度を含む1つ以上の評価項目について基準値を取得する工程と、
(2)上記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む測定用感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値を取得する工程と、
(3)上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値に基づいて設定した感度の許容基準を満たすか否かを判定する工程と、
(4)上記工程(3)で取得した感度の測定値が、上記感度の許容基準を満たさない場合に、下記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成し、上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする工程と、
(i)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂が1つである場合、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上と、を含む調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(ii)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂が2つ以上である場合、下記(a)及び(b)のいずれかを満たす調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(a) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む調整後感光性樹脂組成物C
(b) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる調整後感光性樹脂組成物C
(5)上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における感度について測定値を取得し、取得した感度の測定値が、上記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たすことを判定する工程
を有する感光性樹脂組成物の製造方法である。
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、上記構成により、露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できる。
この理由は、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
感光性樹脂組成物の品質管理手段として、感光性樹脂組成物が、特に、酸を利用した化学増幅型の組成物である場合には、感光性樹脂組成物の製造単位毎に、光酸発生剤と酸拡散制御剤の含有比率を調整することが考えられるが、本発明者らの検討の結果、上記調整方法により、上記した感光性樹脂組成物の各製造単位間における感度の変動を極めて抑制することは難しい。
これに対して、本発明の感光性樹脂組成物は、露光により主鎖が分解する樹脂を含んでおり、露光により樹脂の主鎖分解によりパターニングする材料となっている。このような感光性樹脂組成物においては、露光により主鎖が分解する樹脂についての調整が感度の変動に与える影響が大きく、上記(i)又は(ii)に基づいた調整を行うことにより、
感度の変動を極めて抑制しやすくなっているものと考えられる。
以下、まず、感光性樹脂組成物の製造方法について説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、上記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する場合において、感度を含む1つ以上の評価項目について基準値を取得する工程である。
露光により主鎖が分解する樹脂、露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aについては、後述する。
感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、上記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する方法については、特に限定されないが、例えば、後述の「パターン形成方法」に記載の方法を挙げることができる。
「感度を含む1つ以上の評価項目」とは、感度を含む評価項目であれば、特に限定されない。「感度を含む1つ以上の評価項目」にける感度以外の評価項目としては、特に限定されないが、例えば、LWR(line width roughness)、現像液に対する溶解速度、感光性樹脂膜のガラス転移温度等を挙げることができる。
<工程(2)>
工程(2)は、上記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む測定用感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値を取得する工程である。
上記測定用感光性樹脂組成物Bは、上記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む。
同じ化合物を含むとしても、製造ごと(たとえばロット間により)若干異なる場合がある。同じ化合物の成分とは、成分のロットの違いを表す。また樹脂について、同じ化合物とは、同じ繰り返し単位を有しており、かつ、数平均分子量、重量平均分子量、及び分散度からなる群から選択される少なくとも1つが異なるものを表す。
露光により主鎖が分解する樹脂、露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Bについては、後述する。
感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する方法については、特に限定されないが、例えば、後述の「パターン形成方法」に記載の方法を挙げることができる。
工程(2)で得られるパターンは、上記工程(1)における上記パターンと同種のパターンである。具体的には、工程(1)において使用される感光性樹脂膜Aの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)と、工程(2)において使用される感光性樹脂膜Bの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)が同じである。
工程(2)において、上記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値が取得される。
<工程(3)>
工程(3)は、上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値に基づいて設定した感度の許容基準を満たすか否かを判定する工程である。
上記工程(1)で取得した感度の基準値をEopt-A、上記工程(2)で取得した感度の測定値をEopt-Bとしたとき、-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-B - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%)である場合を、上記工程(3)における感度の許容基準を満たすものとして判定する。
工程(3)において、上記の「感度の許容基準」を満たす場合は、工程(4)、及び工程(5)は不要となる。
<工程(4)>
工程(4)は、上記工程(3)で取得した感度の測定値が、上記感度の許容基準を満たさない場合に、下記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成し、上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする工程である。
(i)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂の種類が1つである場合、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上と、を含む調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(ii)上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂の種類が2つ以上である場合、下記(a)及び(b)のいずれかを満たす調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(a) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む調整後感光性樹脂組成物C
(b) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる調整後感光性樹脂組成物C
上記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(i)では、上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂の種類が1つである場合、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上と、を含む調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂の種類が1つである場合、感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上を含むものであるが、感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bにおいて、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上を添加して作成していてもよい。また、感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bに含有される樹脂と、上記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上を含むように、別途作成してもよい。
(ii)では、上記組成物Bに含有される上記露光により主鎖が分解する樹脂が2つ以上である場合、下記(a)及び(b)のいずれかを満たす調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
(a) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む調整後感光性樹脂組成物C
(b) 上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる調整後感光性樹脂組成物C
上記(a)において、感光性樹脂組成物Cは、上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む。
感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bにおいて、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上を添加して作成してもよい。また、感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、上記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上を含むように、別途作成してもよい。
上記(b)において、感光性樹脂組成物Cは、上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる。
感光性樹脂組成物Cは、上記組成物Bにおいて、組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみのうちの少なくとも一つの樹脂を添加して作成していてもよい。また、感光性樹脂組成物Cは、上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、上記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なるように、別途作成してもよい。
なお、感光性樹脂組成物Bに含まれる樹脂以外の成分については、感光性樹脂組成物Cは、感光性樹脂組成物Bに含まれる樹脂以外の成分と同じ成分を含んでいても良く、含まなくても良い。
露光により主鎖が分解する樹脂、露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Cについては、後述する。
感光性樹脂組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する方法については、特に限定されないが、例えば、後述の「パターン形成方法」に記載の方法を挙げることができる。
工程(4)で得られるパターンは、上記工程(1)における上記パターンと同種のパターンである。具体的には、工程(1)において使用される感光性樹脂膜Aの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)と工程(4)において使用される感光性樹脂膜Cの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)が同じである。
工程(4)において、上記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成し、上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする。
上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目としては、感度を含む1つ以上の評価項目であれば特に限定されないが、例えば、感度、現像液に対する溶解速度、及び感光性樹脂膜のガラス転移温度からなる群から選択される1つを挙げることができる。
これらの中でも、現像液に対する溶解速度、及び感光性樹脂膜のガラス転移温度からなる群から選択される1つを好ましく挙げることができる。
好ましい一態様として、上記工程(1)における上記感度を含む1つ以上の評価項目が、現像液に対する溶解速度を含み、
上記工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、現像液に対する溶解速度であり、
上記工程(4)において取得した現像液に対する溶解速度についての測定値が、上記工程(1)において取得した現像液に対する溶解速度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、上記感光性樹脂膜Aの現像液に対する溶解速度S1Aと、上記感光性樹脂膜Cの現像液に対する溶解速度S1Cについて、100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内である。
現像液は特に限定されないが、後述の「パターン形成方法」で記載される現像液を適宜選択して使用することができる。
上記「100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内である」は、-2.0(%)≦ 100 x (S1C - S1A)/S1A ≦ 2.0(%)を満たすことが好ましい。
好ましい一態様として、上記工程(1)における上記感度を含む1つ以上の評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度を含み、
上記工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度であり、
上記工程(4)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての測定値が、上記工程(1)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、上記感光性樹脂膜Aのガラス転移温度の基準値S3Aと、感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の測定値S3Cについて、100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である。
上記「100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である」は、-0.5(%) ≦ 100 x (S3C - S3A)/S3A ≦ 0.5(%)を満たすことが好ましい。
<工程(5)>
工程(5)は、上記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、上記工程(1)における感度について測定値を取得し、取得した感度の測定値が、上記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たすことを判定する工程である。
感光性樹脂組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、上記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する方法については、特に限定されないが、例えば、後述の「パターン形成方法」に記載の方法を挙げることができる。
工程(5)で得られるパターンは、上記工程(1)における上記パターンと同種のパターンである。具体的には、工程(1)において使用される感光性樹脂膜Aの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)と工程(5)において使用される感光性樹脂膜Cの形成方法、パターン形成方法(露光、現像処理を含む)が同じである。
なお、工程(5)で得られるパターンは、上記工程(4)における上記パターンと同種のパターンである。
上記工程(1)で取得した感度の基準値をEopt-A、上記工程(5)で取得した感度の測定値をEopt-Cとしたとき、-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-C - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%)である場合を、上記工程(5)における感度の許容基準を満たすものとして判定する。
上記工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする。
上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、感光性樹脂膜の物性の観点、例えば、現像液に対する溶解速度、及び感光性樹脂膜のガラス転移温度からなる群から選択される1つであれば、上記工程(4)で取得した上記評価項目の測定値が、上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たす場合、工程(5)において取得した感度の測定値が、上記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たすことを判定することができることを本発明者は知見として得た。
また、上記工程(4)において、上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が感度である場合、工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにすることができれば、上記工程(5)において取得した感度の測定値は、上記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たす。
好ましい一態様として、上記工程(3)において上記感度の許容基準を満たさない場合、上記工程(4)に記載の上記(i)及び(ii)(a)において、上記組成物Cが下記(C1)又は(C2)を満たすことが好ましい。
(C1) 上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値よりも小さい場合、上記組成物Cは、上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含まれる上記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも大きい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
(C2) 上記工程(2)で取得した感度の測定値が、上記工程(1)で取得した感度の基準値よりも大きい場合、上記組成物Cは、上記露光により主鎖が分解する樹脂として、上記組成物Bに含まれる上記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも小さい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
上記構成とすることで、工程(4)において、上記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について上記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たし易くなると考えられる。
[感光性樹脂組成物]
上記の感光性樹脂組成物の製造方法における、感光性樹脂組成物A、感光性樹脂組成物B、及び感光性樹脂組成物Cを纏めて、「本発明の感光性樹脂組成物」、又は単に「感光性樹脂組成物」ともいう。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物の製造方法における感光性樹脂組成物に含まれる各種成分について説明する。
[樹脂]
感光性樹脂組成物は、露光により主鎖が分解する樹脂(以下、特定樹脂ともいう)を1つ以上含む。
樹脂は、露光により主鎖が分解する(主鎖が切断される)、いわゆる主鎖切断型ポリマーである。樹脂は、X線、電子線(EB:Electron Beam)又は極端紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)の照射により主鎖が分解する樹脂であることが好ましく、電子線又は極端紫外線の照射により主鎖が分解する樹脂であることがより好ましく、極端紫外線の照射により主鎖が分解する樹脂であることがさらに好ましい
露光光源としては、特に限定されないが、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極端紫外線、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等が挙げられる。
中でも、X線、電子線又はEUV光が好ましく、電子線又はEUV光がより好ましく、EUV光がさらに好ましい。
以下、特定樹脂の構造の好適な一態様を示す。
特定樹脂としては、一般式(1)で表される繰り返し単位を含む樹脂であるのが好ましく、一般式(1)で表される繰り返し単位と一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む樹脂であるのがより好ましい。
以下、一般式(1)で表される繰り返し単位、及び、一般式(2)で表される繰り返し単位について説明する。
<一般式(1)で表される繰り返し単位>
Figure 2024090877000001
一般式(1)中、Xは、ハロゲン原子を表す。Lは、-O-又は-NR-を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。R及びAは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。Rは、A又はRと互いに連結して環を形成してもよい。
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。Xで表されるハロゲン原子としては、なかでも、本発明の効果がより優れる点で、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
、R、及びAで表される有機基としては特に制限されず、例えば、下記有機基Wに例示する基が挙げられる。
(有機基W)
有機基Wは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基(アルキルカルボニル基又はアリールカルボニル基)、アシルオキシ基(アルキルカルボニルオキシ基又はアリールカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、スルホンアミド基、イミド基、アシルアミノ基、カルバモイル基、及びラクトン基等が挙げられる。
また、上述の各基は、可能な場合、更に置換基を有してもよい。例えば、置換基を有してもよいアルキル基も、有機基Wの一形態として含まれる。上記置換基としては特に制限されないが、例えば、上述の有機基Wとして示した各基のうちの1以上の基、ハロゲン原子、ニトロ基、1~3級のアミノ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びリン酸基等が挙げられる(以下、これらを「置換基T」という)。
また、有機基Wが有する炭素数は、例えば、1~20である。
また、有機基Wが有する水素原子以外の原子の数は、例えば、1~30である。
また、有機基Wにおいて例示されるアルキル基の炭素数としては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
アルキル基は、直鎖状、及び分岐鎖状のいずれであってもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、及びn-ヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基において、アルキル基が有してもよい置換基は特に制限されず、例えば、上述の置換基Tで例示される基等が挙げられる。
また、感光性樹脂組成物が含み得る後段部で説明するイオン性化合物(例えば、光分解型オニウム塩化合物等)との相互作用性がより向上して本発明の効果がより優れる点で、置換基として、例えば、ヒドロキシ基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基等)、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、及びスルホンアミド基等の後述のイオン性化合物と相互作用する基(以下、「相互作用性基」という。)を有するのも好ましい。
なお、上記フェノール性水酸基とは、芳香族環(芳香族炭化水素環及び芳香族複素環)の環員原子に置換した水酸基を意図する。上記アミド基としては特に制限されないが、例えば、-C(=O)-NHR(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。)が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるアルコキシ基(アルコキシ基を含む置換基(例えば、アルコキシカルボニルオキシ基)中のアルコキシ基部分も含む)におけるアルキル基部分、アラルキル基におけるアルキル基部分、アルキルカルボニル基におけるアルキル基部分、アルキルカルボニルオキシ基におけるアルキル基部分、アルキルチオ基におけるアルキル基部分、アルキルスルフィニル基におけるアルキル基部分、及びアルキルスルホニル基におけるアルキル基部分としては、上記アルキル基が好ましい。また、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、及び置換基を有してもよいアルキルスルホニル基において、アルコキシ基、アラルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、及びアルキルスルホニル基が有してもよい置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。上記シクロアルキル基の炭素数は5~20が好ましく、5~15がより好ましい。置換基を有してもよいシクロアルキル基において、シクロアルキル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるアルケニル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。上記アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましい。置換基を有してもよいアルケニル基において、アルケニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるシクロアルケニル基の炭素数は、5~20が好ましい。置換基を有してもよいシクロアルケニル基において、シクロアルケニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるアルキニル基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。上記アルキニル基の炭素数は、2~20が好ましい。置換基を有してもよいアルキニル基において、アルキニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるシクロアルキニル基の炭素数は、5~20が好ましい。置換基を有してもよいシクロアルキニル基において、シクロアルキニル基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるアリール基は、特段の断りがない限り、単環及び多環(例えば、2~6環等)のいずれであってもよい。
上記アリール基の環員原子の数は、6~15が好ましく、6~10がより好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、又は、アントリル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
置換基を有してもよいアリール基において、アリール基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
また、有機基Wにおいて例示される基のうち、アリール基を含む置換基(例えば、アリールオキシ基)中のアリール基部分についても、上記有機基Wにおいて例示されるアリール基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるヘテロアリール基は、特段の断りがない限り、単環及び多環(例えば、2~6環等)のいずれであってもよい。
ヘテロアリール基が環員原子として有するヘテロ原子の数は、例えば、1~10である。上記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子が挙げられる。
上記ヘテロアリール基の環員原子の数は、5~15が好ましい。
置換基を有してもよいヘテロアリール基において、ヘテロアリール基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるヘテロ環とは、ヘテロ原子を環員原子として含む環を意図し、特段の断りがない限り、芳香族複素環及び脂肪族複素環のいずれでもよく、単環及び多環(例えば、2~6環等)のいずれであってもよい。
ヘテロ環が環員原子として有するヘテロ原子の数は、例えば、1~10である。上記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子が挙げられる。
上記ヘテロ環の環員原子の数は、5~15が好ましい。
置換基を有してもよいヘテロ環において、ヘテロ環が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
有機基Wにおいて例示されるラクトン基としては、5~7員環のラクトン基が好ましく、ビシクロ構造若しくはスピロ構造を形成する形で5~7員環のラクトン環に他の環構造が縮環しているものがより好ましい。
置換基を有してもよいラクトン基において、ラクトン基が有してもよい置換基は、置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
及びRとしては、なかでも、水素原子が好ましい。
また、Aとしては、なかでも、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1種以上)を有する有機基を表すのが好ましく、ヨウ素原子を有する有機基を表すのが好ましい。なお、Aがハロゲン原子を有する有機基を表す場合、上記有機基は、ハロゲン原子以外の置換基を更に有してもよい。
は、A又はRと互いに連結して環を形成してもよい。
がA又はRと互いに連結して形成する環としては特に制限されず、単環及び多環のいずれであってもよい。上記環は、環員原子として、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等のヘテロ原子、並びに/又は、カルボニル炭素を含んでいてもよい。
上記環は、なかでも、5又は6員の脂環であるのが好ましい。
以下、一般式(1)で表される繰り返し単位を構成するモノマーの具体例を挙げるが、これに制限されない。
Figure 2024090877000002
また、以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これに制限されない。
Figure 2024090877000003
特定樹脂において、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量としては、全繰り返し単位に対して、10モル%以上であるのが好ましく、20モル%以上であるのがより好ましく、40モル%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、全繰り返し単位に対して、例えば、95モル%以下が好ましく、90モル%以下であるのがより好ましく、80モル%以下であるのが更に好ましく、60モル%以下であるのが特に好ましい。
なお、特定樹脂において、一般式(1)で表される繰り返し単位は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。2種以上含む場合は、その合計含有量が、上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
<一般式(2)で表される繰り返し単位>
Figure 2024090877000004
式(2)中、Yは、炭化水素基を表す。Aは、有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。Rは、Aと連結して環を形成しても良い。
Yで表される炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基等が挙げられる。
Yで表される直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、有機基Wとして例示されたアルキル基であるのが好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
Yで表されるシクロアルキル基としては、有機基Wとして例示されるシクロアルキル基であるのが好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
Yで表されるアリール基としては、有機基Wとして例示されたアリール基であるのが好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。
で表される有機基としては特に制限されないが、例えば、上述の有機基Wを挙げることができる。
で表される有機基としては特に制限されないが、例えば、-CH-が-O-、-CO-、及び、-NR-からなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい、置換基を有してもよい炭化水素基を表すのが好ましい。
上記Rは、水素原子又は有機基を表す。
上記置換基を有してもよい炭化水素基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状のいずれでもよい。)、置換基を有してもよいシクロアルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基(単環及び多環のいずれでもよい。)が挙げられる。
上記置換基を有してもよいアルキル基としては、有機基Wとして例示されたアルキル基であるのが好ましく、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
上記アルキル基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
上記置換基を有してもよいシクロアルキル基としては、有機基Wとして例示されたシクロアルキル基であるのが好ましく、置換基を有してもよい炭素数5~15のシクロアルキル基がより好ましい。
上記置換基を有してもよいアリール基としては、有機基Wとして例示されたアリール基であるのが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基がより好ましい。上記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
また、上記Rで表される有機基としては特に制限されず、例えば、上段部にて説明した有機基Wが挙げられる。
上記Aで表される-CH-が-O-、-CO-、及び、-NR-からなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい、置換基を有してもよい炭化水素基としては、特に制限されないが、例えば、置換基を有してもよい炭化水素基、-O-L-R、-NR、及び-CO-L-R等が挙げられる。
上記R~Rは、各々独立に、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。上記Lとしては、単結合又は-CO-を表す。上記Lとしては、-O-又は-NR-を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。
また、RとRが互いに結合して形成する環としては特に制限されず、単環及び多環のいずれであってもよい。上記環は、環員原子として、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等のヘテロ原子、並びに/又は、カルボニル炭素を含んでいてもよい。
上記環は、なかでも、5又は6員の脂環であるのが好ましい。
なお、上記Rで表される有機基としては特に制限されず、例えば、上段部にて説明した有機基Wが挙げられる。
上記Aとしては、なかでも、置換基としてハロゲン原子を有するのが好ましい。つまり、上記Aとしては、ハロゲン原子を有する有機基を表すのが好ましい。上記ハロゲン原子としては、なかでも、本発明の効果がより優れる点で、ヨウ素原子であるのが好ましい。
一般式(2)で表される繰り返し単位としては、なかでも、一般式(2)-1で表される繰り返し単位~一般式(2)-4で表される繰り返し単位からなる群から選ばれるいずれか1種以上の繰り返し単位を含むのが好ましく、一般式(2)-1で表される繰り返し単位を含むのがより好ましい。
以下、一般式(2)-1~一般式(2)-4で表される繰り返し単位について説明する。
Figure 2024090877000005
一般式(2)-1~一般式(2)-4中のYは、一般式(2)中のYと同義であり、好適態様も同じである。
一般式(2)-1中、Arは、置換基を有してもよいアリール基を表す。
上記置換基を有してもよいアリール基としては、有機基Wとして例示されたアリール基であるのが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基がより好ましい。上記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
Arとしては、置換基を有するアリール基を表し、且つ、置換基がハロゲン原子を含むのが好ましい。換言すると、Arとしては、ハロゲン原子を含む置換基を有するアリール基であるのが好ましい。Arとしては、なかでも、置換基を有するアリール基を表し、且つ、置換基がヨウ素原子を含むのが好ましい。
アリール基が置換基としてハロゲン原子を有する場合、ハロゲン原子の個数としては特に制限されないが、例えば、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
一般式(2)-2~一般式(2)-4中のR、R、R、及びRは、各々独立に、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。
上記R、R、R、及びRで表される置換基を有してもよい炭化水素基としては、置換基を有してもよいアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状のいずれでもよい。)、置換基を有してもよいアルキル基、及び置換基を有してもよいアリール基(単環及び多環のいずれでもよい。)が挙げられる。
上記置換基を有してもよいアルキル基としては、有機基Wとして例示されたアルキル基であるのが好ましく、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
上記置換基を有してもよいシクロアルキル基としては、有機基Wとして例示されたシクロアルキル基であるのが好ましく、置換基を有してもよい炭素数5~15のアルキル基がより好ましい。上記シクロアルキル基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
上記置換基を有してもよいアリール基としては、有機基Wとして例示されたアリール基であるのが好ましく、置換基を有してもよいフェニル基がより好ましい。上記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、有機基Wとして上述した置換基を有してもよいアルキル基における置換基と同様の例が挙げられる。
上記R及びRとしては、置換基を有する炭化水素基を表し、且つ、置換基がハロゲン原子を含むのが好ましい。換言すると、上記R及びRとしては、ハロゲン原子を含む置換基を有する炭化水素基であるのが好ましい。上記R及びRとしては、なかでも、置換基を有する炭化水素基を表し、且つ、置換基がヨウ素原子を含むのがより好ましい。
また、上記R及びRの少なくとも一方は、置換基を有する炭化水素基を表し、且つ、置換基がハロゲン原子を含むのが好ましい。換言すると、上記R及びRの少なくとも一方は、ハロゲン原子を含む置換基を有する炭化水素基であるのが好ましい。上記R及びRの少なくとも一方は、なかでも、置換基を有する炭化水素基を表し、且つ、置換基がヨウ素原子を含むのがより好ましい。
また、RとRは、互いに連結して環を形成してもよい。RとRが互いに結合して形成する環としては特に制限されず、単環及び多環のいずれであってもよい。上記環は、環員原子として、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子等のヘテロ原子、並びに/又は、カルボニル炭素を含んでいてもよい。
上記環は、なかでも、5又は6員の脂環であるのが好ましい。
一般式(2)-4中、Lは、-O-又は-NR-を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。
で表される有機基としては特に制限されず、例えば、上段部にて説明した有機基Wが挙げられる。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、α-メチルスチレン類、イソプロぺニルエーテル類、イソプロぺニルアミン類、及びメタクリル酸エステル類からなる群から選ばれる単量体に由来する繰り返し単位であるのも好ましい。
以下、一般式(2)で表される繰り返し単位を構成するモノマーの具体例を挙げるが、これに制限されない。
Figure 2024090877000006
また、以下に一般式(2)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、これに制限されない。
Figure 2024090877000007
特定樹脂において、一般式(2)で表される繰り返し単位の含有量としては、全繰り返し単位に対して、10モル%以上であるのが好ましく、20モル%以上であるのがより好ましく、40モル%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、全繰り返し単位に対して、90モル%以下であるのが好ましく、80モル%以下であるのがより好ましく、70モル%以下であるのが更に好ましく、60モル%以下であるのが特に好ましい。
なお、特定樹脂において、一般式(2)で表される繰り返し単位は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。2種以上含む場合は、その合計含有量が、上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
特定樹脂は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む共重合体であることが好ましい。特定樹脂は、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でも、交互共重合体でもよく、より望ましくは交互共重合体である。
特定樹脂において、上記一般式(1)で表される繰り返し単位と上記一般式(2)で表される繰り返し単位との合計の含有量は、全繰り返し単位に対して、90モル%以上であるのが好ましく、95モル%以上であるのがより好ましい。なお、上限値としては、100モル%以下が好ましい。
<その他の繰り返し単位>
特定樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲において、上述した繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
特定樹脂において、その他の繰り返し単位を含む場合の含有量としては、全繰り返し単位に対して、全繰り返し単位に対して、30モル%以下であるのが好ましく、15モル%以下であるのがより好ましい。
特定樹脂の数平均分子量は、2500以上であることが好ましく、5000以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。
特定樹脂の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましい。
また、特定樹脂の重量平均分子量は、200000以下が好ましく、150000以下がより好ましく、100000以下が更に好ましく、85000以下が特に好ましい。
上記重量平均分子量の値は、GPC法によりポリスチレン換算値として求められる値である。
特定樹脂の分散度(分子量分布)は、通常、1.0~3.0であり、1.0~2.0が好ましく、1.0~1.9がより好ましく、1.0~1.8が更に好ましい。分散度が上記範囲にある場合、解像度及びレジスト形状がより優れやすい。
特定樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。
本発明の感光性樹脂組成物において、特定樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対して、50.0質量%以上が好ましく、60.0質量%以上がより好ましく、70.0質量%以上が更に好ましい。また、上限値としては、100質量%以下であり、99.9質量%以下が好ましい。
また、特定樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
好ましい一態様として、上記感光性樹脂組成物Cの全固形分中の上記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%が上記感光性樹脂組成物Aの全固形分中の上記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%に対して、差が±0.3質量%以内であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、感度変動の抑制に加えて、LWRの変動についても抑えることができる。
本発明における露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できる。このように、感度変動を極めて抑制できることにより、ラフネス変動も抑制できるものと推察される。
<イオン性化合物>
感光性樹脂組成物は、イオン性化合物を含むのが好ましい。
イオン性化合物としては、露光により酸を発生するオニウム塩構造の化合物(光分解型オニウム塩化合物)であるのがより好ましい。
感光性樹脂組成物が光分解型オニウム塩化合物等のイオン性化合物を含む場合、未露光部分においては、上記の露光により主鎖が分解する樹脂は、上記樹脂中に含まれ得る相互作用性基を介してイオン性化合物と凝集し易い。一方で、露光を受けると、イオン性化合物と相互作用性基との解離や光分解型オニウム塩化合物の開裂が生じることにより、上記凝集構造が解除され得る。つまり、上記作用により感光性樹脂膜において未露光部と露光部にて溶解コントラストがより一層高まり、本発明の効果がより優れやすい。
なお、感光性樹脂組成物が光分解型オニウム塩化合物等のイオン性化合物を含む場合、感光性樹脂組成物が含む上記露光により主鎖が分解する樹脂は、相互作用性基を有しているのが好ましい。相互作用性基としては、上述した、ヒドロキシ基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基等)、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、及びスルホンアミド基等が挙げられる。
以下、光分解型オニウム塩化合物について説明する。
光分解型オニウム塩化合物とは、アニオン部位とカチオン部位とから構成される塩構造部位を少なくとも1つ有し、且つ露光により分解して酸(好ましくは有機酸)を発生する化合物であるのが好ましい。
光分解型オニウム塩化合物の上記塩構造部位は、露光によって分解し易く、且つ有機酸の生成性により優れる点で、なかでも、有機カチオン部位と求核性が著しく低い有機アニオン部位とから構成されているのが好ましい。
上記塩構造部位は、光分解型オニウム塩化合物における一部分であってもよいし、全体であってもよい。なお、上記塩構造部位が光分解型オニウム塩化合物における一部分である場合とは、例えば、後述する光分解型オニウム塩PG2の如く、2つ以上の塩構造部位が連結している構造等が該当する。
光分解型オニウム塩における塩構造部位の個数としては特に制限されないが、1~10が好ましく、1~6が好ましく、1~3が更に好ましい。
上述の露光の作用により光分解型オニウム塩化合物から発生する有機酸としては、例えば、スルホン酸(脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、及び、カンファースルホン酸等)、カルボン酸(脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、及び、アラルキルカルボン酸等)、カルボニルスルホニルイミド酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド酸、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチド酸等が挙げられる。
また、露光の作用により光分解型オニウム塩化合物から発生する有機酸は、酸基を2つ以上有する多価酸であってもよい。例えば、光分解型オニウム塩化合物が後述する光分解型オニウム塩化合物PG2である場合、光分解型オニウム塩化合物の露光による分解により生じる有機酸は、酸基を2つ以上有する多価酸となる。
光分解型オニウム塩化合物において、塩構造部位を構成するカチオン部位としては、有機カチオン部位であるのが好ましく、なかでも、後述する、式(ZaI)で表される有機カチオン(カチオン(ZaI))又は式(ZaII)で表される有機カチオン(カチオン(ZaII))が好ましい。
(光分解型オニウム塩化合物PG1)
光分解型オニウム塩化合物の好適態様の一例としては、「M」で表されるオニウム塩化合物であって、露光により有機酸を発生する化合物(以下「光分解型オニウム塩化合物PG1」ともいう)が挙げられる。
「M」で表される化合物において、Mは、有機カチオンを表し、Xは、有機アニオンを表す。
以下、光分解型オニウム塩化合物PG1について説明する。
光分解型オニウム塩化合物PG1中のMで表される有機カチオンとしては、式(ZaI)で表される有機カチオン(カチオン(ZaI))、式(ZaII)で表される有機カチオン(カチオン(ZaII))、又はアンモニウムカチオンが好ましい。
Figure 2024090877000008
上記式(ZaI)において、
201、R202、及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202、及びR203としての有機基の炭素数は、通常1~30であり、1~20が好ましい。また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基及びペンチレン基)、及び-CH-CH-O-CH-CH-が挙げられる。
式(ZaI)における有機カチオンの好適な態様としては、後述する、カチオン(ZaI-1)、カチオン(ZaI-2)、式(ZaI-3b)で表される有機カチオン(カチオン(ZaI-3b))、及び式(ZaI-4b)で表される有機カチオン(カチオン(ZaI-4b))が挙げられる。
まず、カチオン(ZaI-1)について説明する。
カチオン(ZaI-1)は、上記式(ZaI)のR201~R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムカチオンである。
アリールスルホニウムカチオンは、R201~R203の全てがアリール基でもよいし、R201~R203の一部がアリール基であり、残りがアルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。
また、R201~R203のうちの1つがアリール基であり、R201~R203のうちの残りの2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、1つ以上のメチレン基が酸素原子、硫黄原子、エステル基、アミド基、及び/又はカルボニル基で置換されていてもよいアルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基、又は-CH-CH-O-CH-CH-)が挙げられる。
アリールスルホニウムカチオンとしては、例えば、トリアリールスルホニウムカチオン、ジアリールアルキルスルホニウムカチオン、アリールジアルキルスルホニウムカチオン、ジアリールシクロアルキルスルホニウムカチオン、及びアリールジシクロアルキルスルホニウムカチオンが挙げられる。
アリールスルホニウムカチオンに含まれるアリール基としては、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有するヘテロ環構造を有するアリール基であってもよい。ヘテロ環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、及びベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウムカチオンが2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウムカチオンが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1~15の直鎖状アルキル基、炭素数3~15の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数3~15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びシクロヘキシル基等がより好ましい。
201~R203のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、各々独立に、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~14)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキルアルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子(例えばフッ素、ヨウ素)、水酸基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、アルキルチオ基、及びフェニルチオ基等が好ましい。
上記置換基は可能な場合さらに置換基を有していてもよく、例えば、上記アルキル基が置換基としてハロゲン原子を有して、トリフルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基となっていることも好ましい。
次に、カチオン(ZaI-2)について説明する。
カチオン(ZaI-2)は、式(ZaI)におけるR201~R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表すカチオンである。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含む芳香族環も包含する。
201~R203としての芳香環を有さない有機基は、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
201~R203は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、又はアルコキシカルボニルメチル基がより好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の2-オキソアルキル基が更に好ましい。
201~R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基)、並びに、炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びノルボルニル基)が挙げられる。
201~R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1~5)、水酸基、シアノ基、又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、カチオン(ZaI-3b)について説明する。
カチオン(ZaI-3b)は、下記式(ZaI-3b)で表されるカチオンである。
Figure 2024090877000009
式(ZaI-3b)中、
1c~R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基(t-ブチル基等)、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2-オキソアルキル基、2-オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、この環は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、エステル結合、又はアミド結合を含んでいてもよい。
上記環としては、芳香族又は非芳香族の炭化水素環、芳香族又は非芳香族のヘテロ環、及びこれらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環が挙げられる。環としては、3~10員環が挙げられ、4~8員環が好ましく、5又は6員環がより好ましい。
1c~R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。このアルキレン基中のメチレン基が酸素原子等のヘテロ原子で置換されていてもよい。
5cとR6c、及びR5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、メチレン基及びエチレン基等が挙げられる。
1c~R5c、R6c、R7c、R、R、並びに、R1c~R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及び、RとRがそれぞれ互いに結合して形成する環は、置換基を有していてもよい。
次に、カチオン(ZaI-4b)について説明する。
カチオン(ZaI-4b)は、下記式(ZaI-4b)で表されるカチオンである。
Figure 2024090877000010
式(ZaI-4b)中、
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
13は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、ア
ルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基、
ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水酸基等の上記基を表す。
15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又はナフチル基を表す。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成するのが好ましい。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、及び上記ナフチル基、並びに、2つのR15が互いに結合して形成する環は置換基を有してもよい。
式(ZaI-4b)において、R13、R14、及びR15のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であるのが好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、又はt-ブチル基等がより好ましい。
次に、式(ZaII)について説明する。
式(ZaII)中、R204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204及びR205のアリール基としてはフェニル基、又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R204及びR205のアリール基は、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等を有するヘテロ環を有するアリール基であってもよい。ヘテロ環を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、及びベンゾチオフェン等が挙げられる。
204及びR205のアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基又は炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はペンチル基)、又は炭素数3~10のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、又はノルボルニル基)が好ましい。
204及びR205のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基は、各々独立に、置換基を有していてもよい。R204及びR205のアリール基、アルキル基、及びシクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1~15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3~15)、アリール基(例えば炭素数6~15)、アルコキシ基(例えば炭素数1~15)、ハロゲン原子、水酸基、及びフェニルチオ基等が挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、特に限定されないが、例えば、N(R301で表されるアンモニウムカチオンが挙げられる。
301は、各々独立に、アルキル基(例えば炭素数1~15)を表す。アルキル基は置換基を有していても良い。
光分解型オニウム塩化合物PG1中のXで表される有機アニオンとしては、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)であるのが好ましい。
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、及び、カンファースルホン酸アニオン等)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、及び、アラルキルカルボン酸アニオン等)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等が挙げられる。
上記有機アニオンとしては、例えば、下記式(DA)で表される有機アニオンであるのも好ましい。
Figure 2024090877000011
式(DA)中、A31 は、アニオン性基を表す。Ra1は、水素原子又は1価の有機基を表す。La1は、単結合、又は2価の連結基を表す。
31 はアニオン性基を表す。A31 で表されるアニオン性基としては、特に制限されないが、例えば、式(B-1)~(B-14)で表される基からなる群から選択される基であるのが好ましく、なかでも、式(B-1)、式(B-2)、式(B-3)、式(B-4)、式(B-5)、式(B-6)、式(B-10)、式(B-12)、式(B-13)、又は式(B-14)がより好ましい。
Figure 2024090877000012
*-O 式(B-14)
式(B-1)~(B-14)中、*は結合位置を表す。
式(B-1)~(B-5)及び式(B-12)中、RX1は、各々独立に、1価の有機基を表す。
式(B-7)及び式(B-11)中、RX2は、各々独立に、水素原子、又は、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基以外の置換基を表す。式(B-7)における2個のRX2は、同一であっても異なっていてもよい。
式(B-8)中、RXF1は、水素原子、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基を表す。但し、2個のRXF1のうち、少なくとも1つはフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。式(B-8)における2個のRXF1は、同一であっても異なっていてもよい。
式(B-9)中、RX3は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。n1は、0~4の整数を表す。n1が2~4の整数を表す場合、複数のRX3は同一であっても異なっていてもよい。
式(B-10)中、RXF2は、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
式(B-14)の*で表される結合位置と結合する相手は、置換基を有していてもよいフェニレン基であるのが好ましい。上記フェニレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
式(B-1)~(B-5)、及び式(B-12)中、RX1は、各々独立に、1価の有機基を表す。
X1としては、アルキル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよい。炭素数は1~15が好ましい。)、シクロアルキル基(単環でも多環でもよい。炭素数は3~20が好ましい。)、又はアリール基(単環でも多環でもよい。炭素数は6~20が好ましい。)が好ましい。また、RX1で表される上記基は、置換基を有していてもよい。
なお、式(B-5)においてRX1中の、N-と直接結合する原子は、-CO-における炭素原子、及び-SO-における硫黄原子のいずれでもないのも好ましい。
X1におけるシクロアルキル基は単環でも多環でもよい。
X1におけるシクロアルキル基としては、例えば、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
X1におけるシクロアルキル基が有してもよい置換基は、特に制限されないが、アルキル基(直鎖状でも分岐鎖状でもよい。好ましくは炭素数1~5)が好ましい。RX1におけるシクロアルキル基の環員原子である炭素原子のうちの1個以上が、カルボニル炭素原子で置き換わっていてもよい。
X1におけるアルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
X1におけるアルキル基が有してもよい置換基は、特に制限されないが、例えば、シクロアルキル基、フッ素原子、又はシアノ基が好ましい。
上記置換基としてのシクロアルキル基の例としては、RX1がシクロアルキル基である場合において説明したシクロアルキル基が同様に挙げられる。
X1におけるアルキル基が、上記置換基としてのフッ素原子を有する場合、上記アルキル基は、パーフルオロアルキル基となっていてもよい。
また、RX1におけるアルキル基は、1つ以上の-CH-がカルボニル基で置換されていてもよい。
X1におけるアリール基としては、ベンゼン環基が好ましい。
X1におけるアリール基が有してもよい置換基は、特に制限されないが、アルキル基、フッ素原子、又はシアノ基が好ましい。上記置換基としてのアルキル基の例としては、RX1がアルキル基である場合において説明したアルキル基が同様に挙げられる。
式(B-7)及び(B-11)中、RX2は、各々独立に、水素原子、又はフッ素原子及びパーフルオロアルキル基以外の置換基(例えば、フッ素原子を含まないアルキル基及びフッ素原子を含まないシクロアルキル基が挙げられる。)を表す。式(B-7)における2個のRX2は、同一であっても異なっていてもよい。
式(B-8)中、RXF1は、水素原子、フッ素原子、又はパーフルオロアルキル基を表す。但し、複数のRXF1のうち、少なくとも1つはフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。式(B-8)における2個のRXF1は、同一であっても異なっていてもよい。RXF1で表されるパーフルオロアルキル基の炭素数は、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
式(B-9)中、RX3は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。RX3としてのハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
X3としての1価の有機基は、RX1として記載した1価の有機基と同様である。
n1は、0~4の整数を表す。
n1は、0~2の整数が好ましく、0又は1が好ましい。n1が2~4の整数を表す場合、複数のRX3は同一であっても異なっていてもよい。
式(B-10)中、RXF2は、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基を表す。
XF2で表されるパーフルオロアルキル基の炭素数は、1~15が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
式(DA)中、Ra1の1価の有機基は、特に制限されないが、一般的に炭素数1~30であり、炭素数1~20が好ましい。
a1は、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましい。
アルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数1~15のアルキル基がより好ましく、炭素数1~10のアルキル基が更に好ましい。
シクロアルキル基としては、単環でも多環でもよく、炭素数3~20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数3~15のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数3~10のシクロアルキル基が更に好ましい。
アリール基としては、単環でも多環でもよく、炭素数6~20のアリール基が好ましく、炭素数6~15のアリール基がより好ましく、炭素数6~10のアリール基が更に好ましい。
シクロアルキル基は、環員原子として、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
ヘテロ原子としては、特に制限されないが、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。
また、シクロアルキル基は、環員原子として、カルボニル結合(>C=O)を含んでいてもよい。
上記アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基は、更に置換基を有してもよい。
また、A31-とRa1は、互いに結合して、環を形成してもよい。
a1としての2価の連結基は、特に制限されないが、アルキレン基、シクロアルキレン基、芳香族基、-O-、-CO-、-COO-、及びこれらを2つ以上組み合わせてなる基を表す。
アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状でもよく、炭素数1~20であるのが好ましく、炭素数1~10であるのがより好ましい。
シクロアルキレン基は、単環でも多環でもよく、炭素数3~20であるのが好ましく、炭素数3~10であるのがより好ましい。
芳香族基は、2価の芳香族基であり、炭素数6~20の芳香族基が好ましく、6~15の芳香族基がより好ましい。
芳香族基を構成する芳香環は、特に制限されないが、例えば、炭素数6~20の芳香環が挙げられ、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及びチオフェン環等が挙げられる。芳香族基を構成する芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
アルキレン基、シクロアルキレン基、及び芳香族基は、更に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。
a1としては、単結合を表すのが好ましい。
光分解型オニウム塩化合物PG1としては、例えば、国際公開2018/193954号の段落[0135]~[0171]、国際公開2020/066824号の段落[0077]~[0116]、国際公開2017/154345号の段落[0018]~[0075]及び[0334]~[0335]に開示された光酸発生剤等を使用するのも好ましい。
光分解型オニウム塩化合物PG1の分子量としては、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。
(光分解型オニウム塩化合物PG2)
また、光分解型オニウム塩化合物の好適態様の他の一例として、下記化合物(I)及び化合物(II)(以下、「化合物(I)及び化合物(II)」を「光分解型オニウム塩化合物PG2」ともいう。)が挙げられる。光分解型オニウム塩化合物PG2は、上述の塩構造部位を2つ以上有し、露光により多価の有機酸を発生する化合物である。
以下、光分解型オニウム塩化合物PG2について説明する。
<<化合物(I)>>
化合物(I)は、1つ以上の下記構造部位X及び1つ以上の下記構造部位Yを有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、下記構造部位Xに由来する下記第1の酸性部位と下記構造部位Yに由来する下記第2の酸性部位とを含む酸を発生する化合物である。
構造部位X:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、且つ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第1の酸性部位を形成する構造部位
構造部位Y:アニオン部位A とカチオン部位M とからなり、且つ活性光線又は放射線の照射によってHAで表される第2の酸性部位を形成する構造部位
但し、化合物(I)は、下記条件Iを満たす。
条件I:上記化合物(I)において上記構造部位X中の上記カチオン部位M 及び上記構造部位Y中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなる化合物PIが、上記構造部位X中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a1と、上記構造部位Y中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位に由来する酸解離定数a2を有し、且つ、上記酸解離定数a1よりも上記酸解離定数a2の方が大きい。
上記化合物PIとは、化合物(I)に活性光線又は放射線を照射した場合に、発生する酸に該当する。
化合物(I)が2つ以上の構造部位Xを有する場合、構造部位Xは、各々同一であっても異なっていてもよい。また、2つ以上の上記A 、及び、2つ以上の上記M は、各々同一であっても異なっていてもよい。
また、化合物(I)中、上記A 及び上記A 、並びに、上記M 及び上記M は、各々同一であっても異なっていてもよいが、上記A 及び上記A は、各々異なっているのが好ましい。
アニオン部位A 及びアニオン部位A は、負電荷を帯びた原子又は原子団を含む構造部位であり、例えば、以下に示す式(AA-1)~(AA-3)及び式(BB-1)~(BB-6)からなる群から選ばれる構造部位が挙げられる。なお、以下の式(AA-1)~(AA-3)及び式(BB-1)~(BB-6)中、*は、結合位置を表す。また、Rは、1価の有機基を表す。Rで表される1価の有機基としては、シアノ基、トリフルオロメチル基、及びメタンスルホニル基等が挙げられる。
Figure 2024090877000013
また、カチオン部位M 及びカチオン部位M は、正電荷を帯びた原子又は原子団を含む構造部位であり、例えば、電荷が1価の有機カチオンが挙げられる。なお、有機カチオンとしては特に制限されないが、上述した式(ZaI)で表される有機カチオン(カチオン(ZaI))又は式(ZaII)で表される有機カチオン(カチオン(ZaII))が好ましい。
<<化合物(II)>>
化合物(II)は、2つ以上の上記構造部位X及び1つ以上の下記構造部位Zを有する化合物であって、活性光線又は放射線の照射によって、上記構造部位Xに由来する上記第1の酸性部位を2つ以上と上記構造部位Zとを含む酸を発生する化合物である。
構造部位Z:酸を中和可能な非イオン性の部位
上記化合物(II)は、活性光線又は放射線を照射によって、上記構造部位X中の上記カチオン部位M をHに置き換えてなるHAで表される酸性部位を有する化合物PII(酸)を発生し得る。つまり、化合物PIIは、上記HAで表される酸性部位と、酸を中和可能な非イオン性の部位である構造部位Zと、を有する化合物を表す。
なお、化合物(II)中、構造部位Xの定義、並びに、A 及びM の定義は、上述した化合物(I)中の構造部位Xの定義、並びに、A 及びM の定義と同義であり、好適態様も同じである。
また、上記2つ以上の構造部位Xは、各々同一であっても異なっていてもよい。また、2つ以上の上記A 、及び、2つ以上の上記M は、各々同一であっても異なっていてもよい。
構造部位Z中の酸を中和可能な非イオン性の部位としては特に制限されず、例えば、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基を含む部位であるのが好ましい。
プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基としては、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又はπ共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基等が挙げられる。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
Figure 2024090877000014
プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基の部分構造としては、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及びピラジン構造等が挙げられ、なかでも、1~3級アミン構造が好ましい。
光分解型オニウム塩化合物PG2の分子量は100~10000が好ましく、100~2500がより好ましく、100~1500が更に好ましい。
光分解型オニウム塩化合物PG2としては、国際公開第2020/158313号段落[0023]~[0095]に例示された化合物を引用できる。
以下、光分解型オニウム塩化合物PG2が有し得る、カチオン以外の部位の一例を示す。
Figure 2024090877000015
Figure 2024090877000016
好ましい一態様として、上記感光性樹脂組成物A、B、及びCがイオン性化合物を含有し、上記露光により主鎖が分解する樹脂の1つ以上における少なくとも1つの樹脂が、イオン性化合物と相互作用する基を含むことが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、イオン性化合物の含有量は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。含有量の下限値としては、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、2.0質量%以上が特に好ましい。含有量の上限値としては、10.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下がさらに好ましい。
イオン性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記好適含有量の範囲内であるのが好ましい。
〔溶剤〕
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
溶剤は、(M1)プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、並びに、(M2)プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、及びアルキレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つの少なくとも一方を含んでいるのが好ましい。なお、この溶剤は、成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含んでいてもよい。
このような溶剤と上記の露光により主鎖が分解する樹脂とを組み合わせて用いた場合、感光性樹脂組成物の塗布性が向上すると共に、現像欠陥数の少ないパターンが形成し易い。この理由として、これら溶剤は、上記の露光により主鎖が分解する樹脂の溶解性、沸点、及び粘度のバランスに優れるため、感光性樹脂組成物の組成物膜である感光性樹脂膜の膜厚のムラ及びスピンコート中の析出物の発生等を抑制できることに起因していると推測される。
成分(M1)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:propylene glycol monomethylether acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、及び、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群より選択される少なくとも1つが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)がより好ましい。
成分(M2)としては、以下のものが好ましい。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:propylene glycol monomethylether)、及び、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE:propylene glycol monoethylether)が好ましい。
乳酸エステルとしては、乳酸エチル、乳酸ブチル、又は、乳酸プロピルが好ましい。
酢酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、又は、酢酸3-メトキシブチルが好ましい。
また、酪酸ブチルも好ましい。
アルコキシプロピオン酸エステルとしては、3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP:methyl 3-Methoxypropionate)、又は、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP:ethyl 3-ethoxypropionate)が好ましい。
鎖状ケトンとしては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、又は、メチルアミルケトンが好ましい。
環状ケトンとしては、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、シクロペンタノン、又は、シクロヘキサノンが好ましい。
ラクトンとしては、γ-ブチロラクトンが好ましい。
アルキレンカーボネートとしては、プロピレンカーボネートが好ましい。
成分(M2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、γ-ブチロラクトン、又は、プロピレンカーボネートがより好ましい。
溶剤としては、上述の成分の他、炭素数が7以上(7~14が好ましく、7~12がより好ましく、7~10が更に好ましい)、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を含むのも好ましい。
炭素数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤としては、酢酸アミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ヘプチル、又は、ブタン酸ブチルが好ましく、酢酸イソアミルがより好ましい。
成分(M2)としては、引火点(以下、fpともいう)が37℃以上であるものが好ましい。このような成分(M2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(fp:47℃)、乳酸エチル(fp:53℃)、3-エトキシプロピオン酸エチル(fp:49℃)、メチルアミルケトン(fp:42℃)、シクロヘキサノン(fp:44℃)、酢酸ペンチル(fp:45℃)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(fp:45℃)、γ-ブチロラクトン(fp:101℃)、又は、プロピレンカーボネート(fp:132℃)が好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、酢酸ペンチル、又は、シクロヘキサノンがより好ましく、プロピレングリコールモノエチルエーテル、又は、乳酸エチルが更に好ましい。
なお、ここで「引火点」とは、東京化成工業株式会社又はシグマアルドリッチ社の試薬カタログに記載されている値を意味している。
溶剤は、成分(M1)を含んでいることが好ましい。溶剤は、実質的に成分(M1)のみからなるか、又は、成分(M1)と他の成分との混合溶剤であることがより好ましい。後者の場合、溶剤は、成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでいることが更に好ましい。
成分(M1)と成分(M2)との質量比(M1/M2)は、「100/0」~「15/85」の範囲内にあることが好ましく、「100/0」~「40/60」の範囲内にあることがより好ましく、「100/0」~「60/40」の範囲内にあることが更に好ましい。つまり、溶剤は、成分(M1)のみからなるか、又は、成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでおり、かつ、それらの質量比が以下の通りであることが好ましい。即ち、後者の場合、成分(M2)に対する成分(M1)の質量比は、15/85以上であることが好ましく、40/60以上であることよりが好ましく、60/40以上であることが更に好ましい。このような構成を採用すると、現像欠陥数を更に減少させることが可能となる。
なお、溶剤が成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでいる場合、成分(M2)に対する成分(M1)の質量比は、例えば、99/1以下とする。
溶剤が成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含む場合、成分(M1)及び(M2)以外の成分の含有量は、溶剤の全量に対して、5~30質量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、塗布性がより優れる点で、固形分濃度が0.5~30質量%となるように定めるのが好ましく、1~20質量%となるように定めるのがより好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含むと、密着性により優れ、現像欠陥のより少ないパターンを形成できる。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、国際公開第2018/193954号の段落[0218]及び[0219]に開示された界面活性剤が挙げられる。
これら界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
[感光性樹脂膜、パターン形成方法]
本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いて形成された、感光性樹脂膜(好ましくは、レジスト膜)にも関する。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を用いて、基板上に感光性樹脂膜を形成する工程と、上記感光性樹脂膜を露光する工程と、露光された感光性樹脂膜を現像液を用いて現像する工程と、を有する、パターン形成方法にも関する。
上記感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法の手順は特に制限されないが、以下の工程を有するのが好ましい。
工程1:感光性樹脂組成物を用いて、基板上に感光性樹脂膜を形成する工程
工程2:感光性樹脂膜を露光する工程
工程3:露光された感光性樹脂膜を現像液を用いて現像する工程
以下、上記それぞれの工程の手順について詳述する。
<工程1:感光性樹脂膜形成工程>
工程1は、感光性樹脂組成物を用いて、基板上に感光性樹脂膜を形成する工程である。
感光性樹脂組成物を用いて基板上に感光性樹脂膜を形成する方法としては、例えば、感光性樹脂組成物を基板上に塗布する方法が挙げられる。
なお、塗布前に感光性樹脂組成物を必要に応じてフィルター濾過するのが好ましい。フィルターのポアサイズは、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、フィルターは、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製が好ましい。
感光性樹脂組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコンで被覆されたシリコン)上に、スピナー又はコーター等の適当な塗布方法により塗布できる。塗布方法は、スピナーを用いたスピン塗布が好ましい。スピナーを用いたスピン塗布をする際の回転数は、1000~3000rpmが好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布後、基板を乾燥し、感光性樹脂膜を形成してもよい。なお、必要により、感光性樹脂膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
乾燥方法としては、例えば、加熱して乾燥する方法が挙げられる。加熱は通常の露光機、及び/又は、現像機に備わっている手段で実施でき、ホットプレート等を用いて実施してもよい。加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。加熱時間は30~1000秒が好ましく、60~800秒がより好ましく、60~600秒が更に好ましい。
感光性樹脂膜の膜厚は特に制限されないが、より高精度な微細パターンを形成できる点から、10~120nmが好ましい。なかでも、EUV露光及びEB露光とする場合、感光性樹脂膜の膜厚としては、10~65nmがより好ましく、15~50nmが更に好ましい。また、ArF液浸露光とする場合、レジスト膜の膜厚としては、10~120nmがより好ましく、15~90nmが更に好ましい。
なお、感光性樹脂膜の上層にトップコート組成物を用いてトップコートを形成してもよい。
トップコート組成物は、感光性樹脂膜と混合せず、更に感光性樹脂膜上層に均一に塗布できるのが好ましい。トップコートは、特に限定されず、従来公知のトップコートを、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014-059543号公報の段落[0072]~[0082]の記載に基づいてトップコートを形成できる。
例えば、特開2013-061648号公報に記載されたような塩基性化合物を含むトップコートを、感光性樹脂膜上に形成するのが好ましい。トップコートが含み得る塩基性化合物の具体的な例は、感光性樹脂組成物が含んでいてもよい塩基性化合物が挙げられる。
また、トップコートは、エーテル結合、チオエーテル結合、水酸基、チオール基、カルボニル結合、及びエステル結合からなる群より選択される基又は結合を少なくとも一つ含む化合物を含むのも好ましい。
<工程2:露光工程>
工程2は、感光性樹脂膜を露光する工程である。
露光の方法としては、形成した感光性樹脂膜に所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する方法が挙げられる。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極端紫外線、X線、及び電子線が挙げられ、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1~200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、EUV(13nm)、X線、及び電子ビームが挙げられる。
露光後、現像を行う前に露光後加熱処理(露光後ベークともいう。)を行うのが好ましい。露光後加熱処理により露光部の反応が促進され、感度及びパターン形状がより良好となる。
加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は10~1000秒が好ましく、10~180秒がより好ましく、30~120秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光機及び/又は現像機に備わっている手段で実施でき、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
<工程3:現像工程>
工程3は、現像液を用いて、露光された感光性樹脂膜を現像し、パターンを形成する工程である。
現像液は、有機溶剤を含む現像液(以下、有機系現像液ともいう)であることが好ましい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止して現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)が挙げられる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間は未露光部の樹脂が十分に溶解する時間であれば特に制限はなく、10~300秒が好ましく、20~120秒がより好ましい。
現像液の温度は0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満が更に好ましく、実質的に水分を含有しないのが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が更に好ましく、95質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
<他の工程>
上記パターン形成方法は、工程3の後に、リンス液を用いて洗浄する工程を含むのが好ましい。
有機系現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、パターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液は、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有するリンス液を用いるのが好ましい。
リンス工程の方法は特に限定されず、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
また、本発明のパターン形成方法は、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含んでいてもよい。本工程により、ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。また、本工程により、レジストパターンがなまされ、パターンの表面荒れが改善される効果もある。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~250℃(好ましくは90~200℃)で、通常10秒間~3分間(好ましくは30秒間~120秒間)行う。
また、形成されたパターンをマスクとして、基板のエッチング処理を実施してもよい。つまり、工程3にて形成されたパターンをマスクとして、基板(又は、下層膜及び基板)を加工して、基板にパターンを形成してもよい。
基板(又は、下層膜及び基板)の加工方法は特に限定されないが、工程3で形成されたパターンをマスクとして、基板(又は、下層膜及び基板)に対してドライエッチングを行うことにより、基板にパターンを形成する方法が好ましい。ドライエッチングは、酸素プラズマエッチングが好ましい。
感光性樹脂組成物、及び本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、トップコート形成用組成物等)は、金属等の不純物を含まないのが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量は、1質量ppm以下が好ましく、10質量ppb以下がより好ましく、100質量ppt以下が更に好ましく、10質量ppt以下が特に好ましく、1質量ppt以下が最も好ましい。ここで、金属不純物としては、例えば、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Al、Li、Cr、Ni、Sn、Ag、As、Au、Ba、Cd、Co、Pb、Ti、V、W、及びZn等が挙げられる。
各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルターを用いた濾過の詳細は、国際公開第2020/004306号公報の段落[0321]に記載される。
また、各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、例えば、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する方法、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う方法、及び装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う方法等が挙げられる。
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材とを組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル及びゼオライト等の無機系吸着材、並びに、活性炭等の有機系吸着材を使用できる。上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止する必要がある。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定して確認できる。使用後の洗浄液に含まれる金属成分の含有量は、100質量ppt(parts per trillion)以下が好ましく、10質量ppt以下がより好ましく、1質量ppt以下が更に好ましい。
また、感光性樹脂組成物は、不純物として水を含む場合もある。不純物として水を含む場合、水の含有量としては、少ない程好ましいが、感光性樹脂組成物全体に対して、1~30000質量ppm含まれていてもよい。
また、感光性樹脂組成物は、不純物として残存モノマー(例えば、特定樹脂の合成に使用された原料モノマーに由来するモノマー(単量体))を含む場合もある。不純物として残存モノマーを含む場合、残存モノマーの含有量としては、少ない程好ましいが、レジスト組成物の全固形分に対して、1~30000質量ppm含まれていてもよい。
リンス液等の有機系処理液には、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う、薬液配管及び各種パーツ(フィルター、O-リング、チューブ等)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加してもよい。導電性の化合物は特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、好ましい現像特性又はリンス特性を維持する点で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
薬液配管としては、例えば、SUS(ステンレス鋼)、又は、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、若しくは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、又は、パーフロオロアルコキシ樹脂等)で被膜された各種配管を使用できる。フィルター及びO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、又は、パーフロオロアルコキシ樹脂等)を使用できる。
[電子デバイスの製造方法]
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及びこの製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA(Office Automation)、メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[感光性樹脂組成物の各種成分]
〔樹脂(特定樹脂)〕
表2に示される樹脂(E-1~E-34、E’-1~E’-34)を以下に示す。
E-3は、後述する合成方法(合成例1)により合成したものを用いた。E-1、E-2、E-4~E-34、及びE’-1~E’-34は、合成例1に準じて、若しくは、既知の方法にて合成したものを用いた。
表1に、樹脂E-1~E-34、及びE’-1~E’-34の組成(繰り返し単位の種類、繰り返し単位の組成比(モル%比、左から順に記載)、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn))を示す。
なお、樹脂E-1~E-34、及びE’-1~E’-34の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、GPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算量である)。また、重合体の組成比(モル%比)は、13C-NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により測定した。
Figure 2024090877000017
Figure 2024090877000018
Figure 2024090877000019
Figure 2024090877000020
<合成例1:樹脂E-3の合成>
Figure 2024090877000021
<モノマー合成>
窒素気流下ミレックスPM(三井化学社製)60g、及び、無水酢酸175gを3つ口フラスコに入れ、これを加熱還流下で12時間反応させた。得られた反応液をエバポレータで濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル=9/1(質量比)でカラムクロマトグラフィーを行い、目的物であるモノマーM-1を77g(濃度84.1質量%)得た。
<重合工程>
窒素気流下にて、シクロヘキサノン3.86gを3つ口フラスコに入れ、これを85℃に加熱した。次いで、上記3つ口フラスコ内に、モノマーM-1を14.13gと、α-クロロアクリル酸メチルを8.12gと、重合開始剤V-601の20質量%シクロヘキサノン溶液を0.78gと、シクロヘキサノンを13.13gとの混合溶液を4時間かけて滴下し、滴下終了後、更に85℃にて2時間反応させた。反応終了後、反応液を放冷した。次いで、放冷後の反応液を、攪拌したメタノール280g中に滴下し、滴下により析出した粉体をろ取して乾燥することで、樹脂E-3’(10.7g)を得た。
<脱Ac工程>
窒素気流下、得られた樹脂E-3’ 10.7g、及び、シクロヘキサノン20gを3つ口フラスコに入れ、これを50℃に加熱した。次いで、上記3つ口フラスコ内に、メタノール30g及びトリエチルアミン10gからなる混合液を滴下し、滴下終了後、外温90℃(内温68~72℃)で12時間反応させた。得られた反応液を放冷した後、反応液に1規定塩酸を800mlと酢酸エチルを320g添加し、分液操作を行った。次いで得られた酢酸エチル溶液に、1規定塩酸を再度800ml添加し、分液後、500mlの水で5回分液操作を行い、水溶性不純物を除去した。そして、得られた反応液をヘプタン/酢酸エチル=9/1(質量比)からなる液2000gに滴下し、滴下により析出した粉体をろ取して乾燥することで、樹脂E-3(8.5g)を得た。
上記樹脂E-3について、NMR(核磁気共鳴)法から求めた繰り返し単位の組成比(モル比)は、モノマーM-1の脱Ac体(OH体)に由来する繰り返し単位/αークロロアクリル酸メチルに由来する繰り返し単位=48/52であった。また、得られた樹脂P-2についてGPCにて測定された重量平均分子量は、ポリスチレン換算で54,000であり、分散度(Mw/Mn)は1.82であった。
〔イオン性化合物〕
表2に示されるイオン性化合物(P-1~P-18)の構造を以下に示す。なお、オニウム塩化合物(P-1~P-18)は、いずれも光分解型オニウム塩化合物に該当する。
Figure 2024090877000022
Figure 2024090877000023
〔溶剤〕
表2に示される溶剤を以下に示す。
G-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
G-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
G-3:プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)
G-4:シクロヘキサノン
G-5:シクロペンタノン
G-6:2-ヘプタノン
G-7:乳酸エチル
G-8:γ-ブチロラクトン
G-9:プロピレンカーボネート
G-10:ジアセトンアルコール
[感光性樹脂組成物Aの調製]
表2に示す溶剤以外の各成分を固形分濃度が1.3質量%となるように混合した。次いで、得られた混合液を0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して感光性樹脂組成物A(A-1~A-25)を調製した。ここで、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。得られた感光性樹脂組成物Aを、実施例及び比較例で使用した。
表2における樹脂、イオン性化合物の含有率(質量%)は、組成物の全固形分中の含有率を示す。
[パターン形成及び評価]
感光性樹脂組成物Aをシリコンウエハ上に塗布し、その後、120℃、60秒ベークして感光性樹脂膜Aを形成した。この際の感光性樹脂膜Aの膜厚は40nmに調整した。
上述の手順により得られた感光性樹脂膜Aを有するシリコンウエハに対して、EUV露光装置(Exitech社製、Micro Exposure Tool、NA0.3、Quadrupol、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用いてパターン照射を行った。なお、レチクルとしては、ライン:スペース=1:1であるマスクを用いた。
露光後の感光性樹脂膜Aを90℃で60秒間ベークした後、表3に記載の現像液で30秒間現像し、記載がある場合に限り、1000rpmの回転数でウエハを回転させながら表3に記載のリンス液を10秒間かけ流してリンスを行い、これをスピン乾燥して、ピッチ40nmのラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を得た。
<感度>
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-9380II)を用いて観察した。線幅20nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの最適露光量を感度(Eopt)(mJ/cm)とした。
Figure 2024090877000024
<実施例1~25>
[感光性樹脂組成物Bの調製]
感光性樹脂組成物Aに含まれる樹脂を表3の記載の樹脂に変更した以外は、感光性樹脂組成物Aと同様にして、感光性樹脂組成物B(B-1~B-25)を調製した。
上記の感光性樹脂組成物Aと同様にして、感光性樹脂組成物Bについても感光性樹脂膜B、及びピッチ40nmのラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を得た。
得られたパターンについて上記と同様に感度を求めた。
上記感光性樹脂組成物Aに基づき得られたパターンについての感度(Eopt)(mJ/cm)をEopt-A(感度の基準値)とし、上記感光性樹脂組成物Bに基づき得られたパターンについての感度(Eopt)(mJ/cm)をEopt-B(感度の測定値)とする。
下記の式(1)を満たす場合を、感光性樹脂組成物Bについての測定値が、上記感度の基準値に対して、感度の許容基準を満たすものとする。
-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-B - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%) (1)
式(1)における「100 x (Eopt-B - Eopt-A)/Eopt-A 」値を表3において「式(1)の値」として記載する。
[感光性樹脂組成物Cの調製]
式(1)を満たさない場合は、感光性樹脂組成物Bに含まれる樹脂、及び樹脂の含有率をそれぞれ表3の記載の樹脂、樹脂含有率に変更した以外は、感光性樹脂組成物Bと同様にして、感光性樹脂組成物C(C-1~C-25)を調製した。
なお、実施例3、6、11、15~16については、組成物Cにおける樹脂の含有率は、組成物Bにおける樹脂の含有率と異なるが、組成物Cに含まれる他の成分(イオン性化合物)の含有率を樹脂の含有率と合わせて100質量%となるように変更した。
上記の感光性樹脂組成物Aと同様にして、感光性樹脂組成物Cについても感光性樹脂膜C、ピッチ40nmのラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を得た。
ここで、感光性樹脂組成物Cにおける評価項目を1つ設定する。評価項目を表3に記載する。
評価項目として、「現像液に対する溶解速度」、又は「感光性樹脂膜のガラス転移温度」を記載する。以下、各項目について説明する。
<現像液に対する溶解速度>
感光性樹脂膜の現像液に対する溶解速度は、感光性樹脂膜の膜厚の変化量を処理に要した時間で除することで求めた。ウエハ上に感光性樹脂組成物を塗布し、120℃で60秒間ベークして、膜厚40nmの感光性樹脂膜を形成する。このウエハを現像液で30秒間現像後、現像後の膜厚を測定し、処理前の感光性樹脂膜の膜厚(40nm)から現像後の膜厚を引いた値を現像時間(30秒)で除することで、感光性樹脂膜の溶解速度(nm/秒)を算出した。
感光性樹脂膜Cについて、上記方法に基づき、溶解速度(S1C)を算出した。
また、上記感光性樹脂膜Aについても、上記方法に基づき、溶解速度(S1A)を基準値として算出した。
現像液は、表3に記載のものを使用した。
下記の式(2)を満たす場合を、感光性樹脂組成物Cについての測定値が、上記基準値に対して、現像液に対する溶解速度の設定基準を満たすものとする。
-2.0(%)≦ 100 x (S1C - S1A)/S1A ≦ 2.0(%)
(2)
表3において、組成物Cにおいて設定した評価項目を「現像液に対する溶解速度」とする場合(表3では「溶解速度」と記載)、「組成物Cについて設定した評価項目に対応する各式の値」とは、上記式(2)における「100 x (S1C - S1A)/S1A」の値を表す。
<感光性樹脂膜のガラス転移温度>
感光性樹脂膜のガラス転移温度(Tg)は、「樹脂のTg」と「感光性樹脂組成物の固形分中の樹脂の含有率(質量%)」の積として算出した。「樹脂のTg」は示差熱熱量測定機(DSC)により評価した。示差熱熱量測定機(DSC)としては、島津製作所社製の示差走査熱量計 DSC―60 Plus測定システムを使用した。
感光性樹脂膜Cについて、上記方法に基づき求めたガラス転移温度を、感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の測定値S3Cとした。
また、上記感光性樹脂膜Aについても、上記方法に基づき求めたガラス転移温度を、感光性樹脂膜Aの感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の基準値S3Aとした。
下記の式(5)を満たす場合を、感光性樹脂膜Cについての測定値が、上記基準値に対して、感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の設定基準を満たすものとする。
-0.5(%) ≦ 100 x (S3C - S3A)/S3A ≦ 0.5(%)
(5)
表3において、組成物Cにおいて設定した評価項目を「感光性樹脂膜のガラス転移温度」とする場合(表3では「レジスト膜Tg」と記載)、「組成物Cについて設定した評価項目に対応する各式の値」とは、上記式(5)における「100 x (S3C - S3A)/S3A」の値を表す。
組成物Cは、組成物Cについて設定した評価項目について、取得した測定値が、それぞれ組成物Aについて取得した基準値に基づいて設定した許容範囲を満たすものとなる。
上述の通り、上記の感光性樹脂組成物Aと同様にして、感光性樹脂組成物Cについても感光性樹脂膜C、ピッチ40nmのラインアンドスペースパターン(ライン:スペース=1:1)を得た。
得られたパターンについて上記と同様に感度、LWRを求めた。
上記感光性樹脂組成物Aに基づき得られたパターンについての感度(Eopt)(mJ/cm)をEopt-A(感度の基準値)とし、上記感光性樹脂組成物Cに基づき得られたパターンについての感度(Eopt)(mJ/cm)をEopt-C(感度の測定値)とする。
下記の式(6)を満たす場合を、感光性樹脂組成物Cについての測定値が、上記感度の基準値に対して、感度の許容基準を満たすものとする。
-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-C - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%) (6)
式(6)における「100 x (Eopt-C - Eopt-A)/Eopt-A 」値を表3において「式(6)の値」として記載する。
<組成物Cの組成物Aとの感度の差>
以下のように評価基準を設けるものとする。
上記式(6)における「100 x (Eopt-C - Eopt-A)/Eopt-A」を「X」とすると、
A: -0.5(%)≦ X≦ 0.5(%)
B: -0.5(%)> X ≧-1.0(%)、0.5(%)< X ≦1.0(%)
C: -1.0(%)> X、1.0(%)< X
Eopt-C、Eopt-Aはそれぞれ上述の通りである。
「A」のみが許容範囲である。
また、組成物Cに基づいて得られたパターンについて以下のように、LWRを求めた。
<LWR(line width roughness)性能>
上記感度(Eopt-C)を示す露光量にて解像した20nm(1:1)のラインアンドスペースのパターンに対して、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所製S-9380II))を使用してパターン上部から観察した。パターンの線幅を任意の100箇所のポイントで観測し、その標準偏差(σ)を求め、線幅の測定ばらつきを3σ(nm)で評価した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
表3を以下に記載する。
Figure 2024090877000025
Figure 2024090877000026
表3における現像液、リンス液を以下に記載する。
F-1: 酢酸ブチル
F-2: 酢酸イソプロピル
F-3: 酢酸ブチル:n-ウンデカン=90:10(質量比)
F-4: イソプロパノール
F-5: テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)
実施例1~25によれば、感光性樹脂組成物Bに対して、1つの評価項目を許容基準内とする感光性樹脂組成物Cを作成するものである。感光性樹脂組成物Cは、感光性樹脂組成物Bに含まれる特定樹脂の種類又は含有比率等を調製している(上記(i)、(ii))。感光性樹脂組成物A、感光性樹脂組成物Bに含まれる特定樹脂は、いわゆる主鎖分解ポリマーであり、樹脂の種類を調製することにより、感度が許容基準となるように調整することが可能となる。
表3に示す結果から、実施例にかかる感光性樹脂組成物の製造方法によれば、露光により主鎖が分解する樹脂を含む感光性樹脂組成物の製造において、感光性樹脂組成物の各製造単位間での感度変動を極めて抑制できることが明らかである。
また、表3に示す結果から、感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合、LWRにも優れることが分かる。

Claims (10)

  1. (1)露光により主鎖が分解する樹脂を1つ以上含む感光性樹脂組成物Aを用いて感光性樹脂膜Aを形成し、前記感光性樹脂膜Aに対して露光、現像を行うことによりパターンを形成する場合において、感度を含む1つ以上の評価項目について基準値を取得する工程と、
    (2)前記感光性樹脂組成物Aに含まれる成分と同じ化合物を含む測定用感光性樹脂組成物Bを用いて感光性樹脂膜Bを形成し、前記感光性樹脂膜Bに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、感度の測定値を取得する工程と、
    (3)前記工程(2)で取得した感度の測定値が、前記工程(1)で取得した感度の基準値に基づいて設定した感度の許容基準を満たすか否かを判定する工程と、
    (4)前記工程(3)で取得した感度の測定値が、前記感度の許容基準を満たさない場合に、下記(i)又は(ii)に基づき調整後感光性樹脂組成物Cを作成し、前記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、前記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、前記工程(1)における前記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目について測定値を取得し、取得した測定値が、上記選択された1つの評価項目について前記工程(1)において取得した基準値に基づいて設定した許容基準を満たすようにする工程と、
    (i)前記組成物Bに含有される前記露光により主鎖が分解する樹脂が1つである場合、前記組成物Bに含有される樹脂と、前記組成物Bに含有される樹脂とは異なる樹脂の1つ以上と、を含む調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
    (ii)前記組成物Bに含有される前記露光により主鎖が分解する樹脂が2つ以上である場合、下記(a)及び(b)のいずれかを満たす調整後感光性樹脂組成物Cを作成する。
    (a) 露光により主鎖が分解する樹脂として、前記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂と、前記2つ以上の樹脂のいずれとも異なる樹脂の1つ以上とを含む調整後感光性樹脂組成物C
    (b) 露光により主鎖が分解する樹脂として、前記組成物Bに含有される2つ以上の樹脂のみを含むが、樹脂の含有比率が、前記組成物Bにおける樹脂の含有比率とは異なる調整後感光性樹脂組成物C
    (5)前記組成物Cを用いて感光性樹脂膜Cを形成し、前記感光性樹脂膜Cに対して露光、現像処理を行うことにより、パターンを形成する場合において、前記工程(1)における感度について測定値を取得し、取得した感度の測定値が、前記工程(1)において取得した感度の基準値に基づいて設定した許容基準を満たすことを判定する工程
    を有する感光性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記工程(1)で取得した感度の基準値をEopt-A、前記工程(2)で取得した感度の測定値をEopt-Bとしたとき、-0.5(%)≦ 100 x (Eopt-B - Eopt-A)/Eopt-A ≦ 0.5(%)である場合を、前記工程(3)における感度の許容基準を満たすものとして判定する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記工程(1)における前記感度を含む1つ以上の評価項目が、現像液に対する溶解速度を含み、
    前記工程(4)において、前記工程(1)における上記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、現像液に対する溶解速度であり、
    前記工程(4)において取得した現像液に対する溶解速度についての測定値が、前記工程(1)において取得した現像液に対する溶解速度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、前記感光性樹脂膜Aの現像液に対する溶解速度S1Aと、前記感光性樹脂膜Cの現像液に対する溶解速度S1Cについて、100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内であることである、
    請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  4. 上記「100 x (S1C - S1A)/S1Aが設定範囲内である」が、-2.0(%)≦ 100 x (S1C - S1A)/S1A ≦ 2.0(%)を満たす、請求項3に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記工程(1)における前記感度を含む1つ以上の評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度を含み、
    前記工程(4)において、前記工程(1)における前記1つ以上の評価項目から選択された1つの評価項目が、感光性樹脂膜のガラス転移温度であり、
    前記工程(4)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての測定値が、前記工程(1)において取得した感光性樹脂膜のガラス転移温度についての基準値に基づいて設定した許容基準を満たすとは、前記感光性樹脂膜Aのガラス転移温度の基準値S3Aと、感光性樹脂膜Cのガラス転移温度の測定値S3Cについて、100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である、
    請求項1に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  6. 上記「100 x (S3C - S3A)/S3Aが設定範囲内である」が、-0.5(%) ≦ 100 x (S3C - S3A)/S3A ≦ 0.5(%)を満たす、
    請求項5に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記工程(3)において前記感度の許容基準を満たさない場合、前記工程(4)に記載の上記(i)及び(ii)(a)において、前記組成物Cが下記(C1)又は(C2)を満たす、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
    (C1) 前記工程(2)で取得した感度の測定値が、前記工程(1)で取得した感度の基準値よりも小さい場合、前記組成物Cは、露光により主鎖が分解する樹脂として、前記組成物Bに含まれる前記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも大きい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
    (C2) 前記工程(2)で取得した感度の測定値が、前記工程(1)で取得した感度の基準値よりも大きい場合、前記組成物Cは、露光により主鎖が分解する樹脂として、前記組成物Bに含まれる前記露光により主鎖が分解する樹脂のいずれか1つの数平均分子量よりも小さい数平均分子量を有する樹脂を含有する。
  8. 調整後組成物Cの全固形分中の前記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%が組成物Aの全固形分中の前記露光により主鎖が分解する樹脂の質量%に対して、差が±0.3質量%以内である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記感光性樹脂組成物A、B、及びCがイオン性化合物を含有し、前記露光により主鎖が分解する樹脂の少なくとも1つの樹脂が、イオン性化合物と相互作用する基を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
  10. 露光光源がEUV光である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の製造方法。
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