JP2024090695A - ウエーハの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエーハの破損を抑制しつつ裏面研削時の研削砥石の消耗量を抑制することができるウエーハの加工方法を提供すること。
【解決手段】ウエーハの加工方法は、ウエーハの外周縁よりも所定距離内側の領域に沿ってレーザービームを環状に照射することで、ウエーハの内部に表面に対して垂直な、または所定の傾斜を有する第一の剥離層を形成する第一の剥離層形成ステップ2と、第一の剥離層よりも内側の領域においてウエーハの内部に集光点を位置づけて、裏面側からレーザービームを照射することで、表面と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層と繋がる第二の剥離層を形成する第二の剥離層形成ステップ3と、第一の剥離層および第二の剥離層に液体または高湿度気体を浸入させる浸入ステップ5と、液体または高湿度気体が浸入した状態でウエーハを加熱または冷却した後、第一の剥離層および第二の剥離層を起点として分割する分割ステップ6と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】ウエーハの加工方法は、ウエーハの外周縁よりも所定距離内側の領域に沿ってレーザービームを環状に照射することで、ウエーハの内部に表面に対して垂直な、または所定の傾斜を有する第一の剥離層を形成する第一の剥離層形成ステップ2と、第一の剥離層よりも内側の領域においてウエーハの内部に集光点を位置づけて、裏面側からレーザービームを照射することで、表面と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層と繋がる第二の剥離層を形成する第二の剥離層形成ステップ3と、第一の剥離層および第二の剥離層に液体または高湿度気体を浸入させる浸入ステップ5と、液体または高湿度気体が浸入した状態でウエーハを加熱または冷却した後、第一の剥離層および第二の剥離層を起点として分割する分割ステップ6と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、ウエーハの加工方法に関する。
近年のデバイスチップの低背化や高集積化に伴い、3次元積層された半導体ウエーハの開発が進んでいる。例えばTSV(Through-Silicon Via)ウエーハは、貫通電極によって2つのチップ同士の貼り合わせによる両チップの電極の接続を可能にしている。
こうしたウエーハは、基台となる支持ウエーハ(シリコンやガラス、セラミックス等)に貼り合わされた状態で研削して薄化される。通常、ウエーハは、外周縁が面取りされているため、極薄に研削されると外周縁が所謂ナイフエッジとなり、研削中にエッジの欠けが発生しやすい。これにより、デバイスにまで欠けが延長してデバイスの破損に繋がる可能性がある。
ナイフエッジの対策として、ウエーハの表面側の外周縁を環状に切削する所謂エッジトリミング技術が開発された(特許文献1参照)。また、ウエーハを貼り合わせてから、デバイスの外周縁に沿ってレーザービームを照射して環状の改質層を形成することで、その研削中に発生するウエーハのエッジ欠けがデバイスに伸展することを抑制するエッジトリミング方法も考案された(特許文献2参照)。
これらのエッジトリミングによりナイフエッジは解決されるが、研削時の砥石の消耗量が多いためにコストがかかることや、研削加工に時間がかかることが課題として残存していた。そこで、ウエーハに内部加工を施すことで分割予定面を形成し、分割予定面からウエーハを分割することで砥石の消耗量を抑制する方法が提案された(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3の方法は、分割予定面に沿った剥離が難しく、また、剥離時に分割されるウエーハ同士や、ウエーハから除去される破片とウエーハとがぶつかって破損してしまう可能性があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエーハの破損を抑制しつつ裏面研削時の研削砥石の消耗量を抑制することができるウエーハの加工方法を提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウエーハの加工方法は、表面に複数のデバイスが形成され、かつ、外周縁が面取りされたウエーハに対して該ウエーハを透過する波長のレーザービームを照射することによって該ウエーハの内部に剥離層を形成した後、該剥離層を分割起点として該ウエーハを分割するウエーハの加工方法であって、該ウエーハの該外周縁よりも所定距離内側の領域に沿って該レーザービームを環状に照射することによって、該ウエーハの内部に該ウエーハの該表面に対して垂直な、または所定の傾斜を有する第一の剥離層を形成する第一の剥離層形成ステップと、該第一の剥離層が形成される領域よりも内側の領域において該ウエーハの内部に該レーザービームの集光点を位置づけて、該ウエーハの裏面側から該レーザービームを照射することによって、該ウエーハの該表面と平行な平面に沿い、かつ該第一の剥離層と繋がる第二の剥離層を形成する第二の剥離層形成ステップと、該第一の剥離層および該第二の剥離層に液体または高湿度気体を浸入させる浸入ステップと、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体または該高湿度気体が浸入した状態で、該液体または該高湿度気体に体積変化を生じさせるよう、該ウエーハを加熱または冷却し、該第一の剥離層および該第二の剥離層を起点として該ウエーハを分割する分割ステップと、を備えることを特徴とする。
また、本発明のウエーハの加工方法は、該浸入ステップを実施する前に、該ウエーハの裏面側から該第二の剥離層に至る穴を形成する穴形成ステップを備え、該浸入ステップでは、該ウエーハを、該液体に浸漬するかもしくは該高湿度気体が充満した筐体内に載置した状態で、該穴から負圧を作用させることで、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体または該高湿度気体を浸入させてもよい。
また、本発明のウエーハの加工方法において、該浸入ステップでは、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体として水を浸入させ、該分割ステップでは、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該水が浸入した状態で該ウエーハを冷却することによって該水を凍結させて体積を膨張させ、該ウエーハを分割してもよい。
また、本発明のウエーハの加工方法において、該浸入ステップでは、第一の剥離層および第二の剥離層に該液体を浸入させ、該液体は、表面張力を低下させる処理が施されていてもよい。
また、本発明のウエーハの加工方法は、該第一の剥離層形成ステップおよび該第二の剥離層形成ステップを実施する前に、該ウエーハの該表面を、該ウエーハとは異なる第二のウエーハの表面に貼り合わせる貼り合わせステップを備えてもよい。
本願発明は、ウエーハの破損を抑制しつつ裏面研削時の研削砥石の消耗量を抑制することができる。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係るウエーハ10の加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係るウエーハ10の加工方法の加工対象のウエーハ10の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。
本発明の実施形態に係るウエーハ10の加工方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係るウエーハ10の加工方法の加工対象のウエーハ10の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図1および図2に示すウエーハ10は、シリコン(Si)、サファイア(Al2O3)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板11とする円板状の半導体ウエーハ、光デバイスウエーハ等のウエーハであり、実施形態において、シリコンウエーハである。ウエーハ10は、図2に示すように、厚さ方向の中央が最も外周側に突出して、基板11の表面13から裏面14に亘って断面円弧状になるように、外周縁12が面取りされている。
ウエーハ10は、図1に示すように、基板11の表面13側にデバイス領域15と、デバイス領域15を囲繞する外周余剰領域16と、を含む。デバイス領域15は、基板11の表面13に格子状に設定された複数の分割予定ライン17と、分割予定ライン17によって区画された各領域に形成されたデバイス18と、を有している。外周余剰領域16は、全周に亘ってデバイス領域15を囲繞し、かつデバイス18が形成されていない領域である。
デバイス18は、実施形態において、3DNANDフラッシュメモリを構成し、電極パッドと、電極パッドに接続した貫通電極とを備える。貫通電極は、基板11が薄化されてデバイス18がウエーハ10から個々に分割された際に、基板11の裏面14側に貫通する。すなわち、実施形態のウエーハ10は、個々に分割されたデバイス18が貫通電極を有する所謂TSVウエーハである。なお、本発明のウエーハ10は、実施形態のような貫通電極を有するTSVウエーハに限定されず、貫通電極のないデバイスウエーハであってもよい。
図3は、実施形態に係るウエーハ10の加工方法の流れを示すフローチャートである。図3に示すように、実施形態のウエーハ10の加工方法は、貼り合わせステップ1と、第一の剥離層形成ステップ2と、第二の剥離層形成ステップ3と、穴形成ステップ4と、浸入ステップ5と、分割ステップ6と、を備える。ウエーハ10の加工方法は、ウエーハ10の内部に剥離層を形成した後、剥離層を分割起点として当該ウエーハ10を分割する方法である。
なお、実施形態のウエーハ10の加工方法では、一対のウエーハ10の一方の面(実施形態では、表面13)側を互いに貼り合わせた貼り合わせウエーハ20(図5等参照)において、一方のウエーハ10を分割するが、本発明で分割するウエーハ10は、必ずしも貼り合わせウエーハ20を構成するウエーハ10に限定されず、単独のウエーハ10を分割してもよい。
以降の説明において、一対のウエーハ10のウエーハ10同士を区別する際には、一方のウエーハ10を第一のウエーハ10-1と記し、他方のウエーハ10を第二のウエーハ10-2(図4参照)と記し、区別しない場合には、単にウエーハ10と記す。分割しない他方の第二のウエーハ10-2は、実施形態では第一のウエーハ10-1と同様のTSVウエーハであるものとして説明するが、本発明ではパターンの無い単なるサブストレートウエーハでもよい。
(貼り合わせステップ1)
図4は、図3に示す貼り合わせステップ1の一状態を示す斜視図である。貼り合わせステップ1は、第一の剥離層形成ステップ2および第二の剥離層形成ステップ3を実施する前に実施される。貼り合わせステップ1は、ウエーハ10(第一のウエーハ10-1)の表面13側を、第一のウエーハ10-1とは異なる第二のウエーハ10-2の表面13側に貼り合わせるステップである。
図4は、図3に示す貼り合わせステップ1の一状態を示す斜視図である。貼り合わせステップ1は、第一の剥離層形成ステップ2および第二の剥離層形成ステップ3を実施する前に実施される。貼り合わせステップ1は、ウエーハ10(第一のウエーハ10-1)の表面13側を、第一のウエーハ10-1とは異なる第二のウエーハ10-2の表面13側に貼り合わせるステップである。
貼り合わせステップ1では、まず、図4に示すように、第一のウエーハ10-1の表面13と、第二のウエーハ10-2の表面13とを、間隔をあけて対向させる。次に、第一のウエーハ10-1の表面13と第二のウエーハ10-2の表面13とを、貼り合わせる。これにより、貼り合わせウエーハ20を形成する。
この際、第一のウエーハ10-1と第二のウエーハ10-2との間に接合層を設ける場合は、第一のウエーハ10-1の表面13と第二のウエーハ10-2の表面13とののうちの一方に接合層を積層してから、第一のウエーハ10-1の表面13と第二のウエーハ10-2の表面13とを、接合層を介して貼り合わせる。なお、接合層は、基材層の表裏面に粘着材層が積層された両面テープであってもよいし、酸化膜でもよいし、樹脂等を含む接着剤が塗布されることにより形成されるものでもよい。
(第一の剥離層形成ステップ2)
図5は、図3に示す第一の剥離層形成ステップ2の一状態を示す斜視図である。図6は、図3に示す第一の剥離層形成ステップ2後の貼り合わせウエーハ20の一部を拡大して示す断面図である。第一の剥離層形成ステップ2は、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の外周縁12よりも所定距離内側の領域に沿って、第一の剥離層21を形成するステップである。実施形態の第一の剥離層形成ステップ2は、レーザー加工装置30によるステルスダイシングによって、第一のウエーハ10-1の内部に、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な第一の剥離層21を形成する。
図5は、図3に示す第一の剥離層形成ステップ2の一状態を示す斜視図である。図6は、図3に示す第一の剥離層形成ステップ2後の貼り合わせウエーハ20の一部を拡大して示す断面図である。第一の剥離層形成ステップ2は、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の外周縁12よりも所定距離内側の領域に沿って、第一の剥離層21を形成するステップである。実施形態の第一の剥離層形成ステップ2は、レーザー加工装置30によるステルスダイシングによって、第一のウエーハ10-1の内部に、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な第一の剥離層21を形成する。
レーザー加工装置30は、チャックテーブル31と、レーザービーム照射ユニット32と、を備える。チャックテーブル31は、ウエーハ10を保持面に保持し、垂直な軸心回りに回動可能である。レーザービーム照射ユニット32は、チャックテーブル31に保持されたウエーハ10に対してレーザービーム33を照射する。レーザー加工装置30は、更に、チャックテーブル31とレーザービーム照射ユニット32とを相対的に移動させる不図示の移動ユニット、およびチャックテーブル31に保持されたウエーハ10を撮像する撮像ユニット35等を備える。
第一の剥離層形成ステップ2では、外周縁12よりも所定距離内側の領域、具体的には、第一のウエーハ10-1のデバイス領域15と外周余剰領域16との境界に沿ってレーザービーム33を照射することで、環状の第一の改質層22と、第一の改質層22から第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な方向へ伸展する第一のクラック23と、を含む第一の剥離層21を形成する。なお、レーザービーム33は、第一のウエーハ10-1に対して透過性を有する波長のレーザービームであり、例えば、赤外線(Infrared rays;IR)である。
第一の剥離層形成ステップ2では、レーザービーム33の集光点34の高さを、第一のウエーハ10-1の厚さ方向に変更して複数回レーザービーム33を照射する、または、第一のウエーハ10-1の厚さ方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を照射することで、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な方向に複数の第一の改質層22を形成する。そして、それぞれの第一の改質層22から伸展した第一のクラック23が繋がることにより、円筒形の側面に沿う形状の第一の剥離層21が形成される。
ここで、剥離層とは、レーザービーム33が照射されることによって、密度、屈折率、機械的強度またはその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味する。剥離層は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、およびこれらの領域が混在した領域等である。剥離層は、第一のウエーハ10-1の他の部分よりも機械的な強度等が低い。
第一の剥離層形成ステップ2では、まず、第二のウエーハ10-2の裏面14側をチャックテーブル31の保持面(上面)に吸引保持する。次に、第一のウエーハ10-1とレーザービーム照射ユニット32の集光器との位置合わせを行う。具体的には、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル31をレーザービーム照射ユニット32の下方の照射領域まで移動させる。次に、撮像ユニット35で第一のウエーハ10-1を撮影しアライメントすることで、レーザービーム照射ユニット32の照射部を第一のウエーハ10-1の外周縁12から所定距離内側の領域に向けて鉛直方向に対向させた後、レーザービーム33の集光点34を、第一のウエーハ10-1の内部に設定する。
第一の剥離層形成ステップ2では、次に、チャックテーブル31を垂直な軸心回りに回転させながら、レーザービーム照射ユニット32からレーザービーム33を、第一のウエーハ10-1の裏面14側から照射する。この際、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を照射する。このように、垂直な方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を第一のウエーハ10-1の外周縁12から所定距離内側の領域に沿って照射して、環状、かつ第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な方向に複数の第一の改質層22を形成する。
なお、一つの集光点34を有するレーザービーム33を第一のウエーハ10-1の外周縁12から所定距離内側の領域に沿って一周照射した後、集光点34の高さを、第一のウエーハ10-1の厚さ方向に変更して、複数回同様にレーザービーム33を照射することで、環状、かつ第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な方向に複数の第一の改質層22を形成してもよい。
レーザービーム33の照射によって形成された第一の改質層22からは、第一のクラック23が伸展し、第一の改質層22と第一のクラック23との連結によって、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直な側面を有する円筒形状の分割起点となる第一の剥離層21が形成される。なお、第一の剥離層形成ステップ2では、第一の改質層22から伸展した第一のクラック23が、表面13に表出するように、レーザービーム33を照射することが好ましい。なお、第一のウエーハ10-1の表面13に対して垂直とは、伸展した第一のクラック23全体を平面に近似した近似平面の垂直面に対する傾きが、±5度以内、好ましくは±2度以内であることを示す。
図7は、変形例における第一の剥離層形成ステップ2後の貼り合わせウエーハ20の一部を拡大して示す断面図である。変形例の第一の剥離層形成ステップ2では、レーザー加工装置30によるステルスダイシングによって、第一のウエーハ10-1の内部に第一のウエーハ10-1の表面13に対して所定の傾斜を有する第一の剥離層21-1を形成する。所定の傾斜を有する第一の剥離層21-1とは、具体的には、第一のウエーハ10-1の表面13側から裏面14側に向かって傾斜を有する円錐台の側面に沿う形状の第一の剥離層21-1である。
変形例の第一の剥離層形成ステップ2では、第一のウエーハ10-1の外周縁12よりも所定距離内側の領域に対して、レーザービーム33の集光点34が外周縁12に近いほど表面13に近い位置に位置づけられるようにレーザービーム33を照射することによって、第一のウエーハ10-1の表面13側から裏面14側に向かって傾斜を有する円錐台の側面に沿う形状の第一の剥離層21を形成する。
変形例の第一の剥離層形成ステップ2では、まず、実施形態と同様に、第一のウエーハ10-1とレーザービーム照射ユニット32の集光器との位置合わせを行う。変形例では、レーザービーム照射ユニット32の照射部を第一のウエーハ10-1の外周縁12よりも所定距離内側の位置に向けて鉛直方向に対向させた後、レーザービーム33の集光点34を、第一のウエーハ10-1の内部に設定する。
変形例の第一の剥離層形成ステップ2では、次に、チャックテーブル31を垂直な軸心回りに回転させながら、レーザービーム照射ユニット32からレーザービーム33を、第一のウエーハ10-1の裏面14側から照射する。この際、第一のウエーハ10-1の表面13に対して所定の傾斜を有する方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を照射する。このように、所定の傾斜を有する方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を第一のウエーハ10-1の外周縁12よりも所定距離内側の位置に沿って照射して、環状、かつ第一のウエーハ10-1の表面13に対して所定の傾斜を有する方向に沿って複数の第一の改質層22-1を形成する。
なお、一つの集光点34を有するレーザービーム33を第一のウエーハ10-1の外周縁12から所定距離内側の領域に沿って一周照射した後、集光点34の位置を、外周縁12に近いほど表面13に近い位置に位置づけられるように変更して、複数回同様にレーザービーム33を照射することで、環状、かつ第一のウエーハ10-1の表面13に対して所定の傾斜を有する方向に沿って複数の第一の改質層22-1を形成してもよい。
レーザービーム33の照射によって形成された第一の改質層22-1からは、第一のクラック23-1が伸展し、第一の改質層22-1と第一のクラック23-1との連結によって、表面13側から裏面14側に向かって所定の傾斜を有する円錐台の側面に沿う形状の分割起点となる第一の剥離層21-1が形成される。
(第二の剥離層形成ステップ3)
図8は、図3に示す第二の剥離層形成ステップ3の一状態を一部断面で示す斜視図である。図9は、図3に示す第二の剥離層形成ステップ3の一状態を一部断面で示す側面図である。第二の剥離層形成ステップ3は、第一の剥離層21が形成される領域よりも内側の領域において、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の内部の表面13と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層21と繋がる第二の剥離層24を形成するステップである。実施形態の第二の剥離層形成ステップ3は、レーザー加工装置30によるステルスダイシングによって、第一のウエーハ10-1の内部に、表面13と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層21と繋がる第二の剥離層24を形成する。
図8は、図3に示す第二の剥離層形成ステップ3の一状態を一部断面で示す斜視図である。図9は、図3に示す第二の剥離層形成ステップ3の一状態を一部断面で示す側面図である。第二の剥離層形成ステップ3は、第一の剥離層21が形成される領域よりも内側の領域において、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の内部の表面13と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層21と繋がる第二の剥離層24を形成するステップである。実施形態の第二の剥離層形成ステップ3は、レーザー加工装置30によるステルスダイシングによって、第一のウエーハ10-1の内部に、表面13と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層21と繋がる第二の剥離層24を形成する。
第二の剥離層形成ステップ3では、第一のウエーハ10-1の第一の剥離層21が形成される領域よりも内側の領域において、表面13と平行な平面に沿ってレーザービーム33を照射することで、表面13と平行な平面に沿い、かつ第一の剥離層21と繋がる第二の剥離層24を形成する。ここで、内側とは、外周余剰領域16に対して、デバイス領域15側、すなわち、径方向内側を示す。
第二の剥離層形成ステップ3では、まず、第一の剥離層形成ステップ2と同様に、第一のウエーハ10-1とレーザービーム照射ユニット32の集光器との位置合わせを行う。第二の剥離層形成ステップ3では、レーザービーム照射ユニット32の照射部を、第一のウエーハ10-1の裏面14側から、第一の剥離層21が形成された位置より内側の位置に向けて鉛直方向に対向させた後、レーザービーム33の集光点34を、第一のウエーハ10-1の内部に設定する。
第二の剥離層形成ステップ3では、次に、集光点34を、第一のウエーハ10-1の内部に位置づけた状態で、レーザービーム照射ユニット32の集光器とチャックテーブル31とを相対的に移動させる。すなわち、集光点34を第一のウエーハ10-1の表面13と平行な加工送り方向に相対的に移動させながら、レーザービーム33を第一のウエーハ10-1に向けて照射する。この際、割り出し送り方向に離れた複数の集光点34を有するレーザービーム33を照射してもよい。これにより、第一のウエーハ10-1の内部に、加工送り方向に沿った第二の改質層25が形成される。
第二の改質層25からは、第二のクラック26が割り出し送り方向に伸展し、第二の改質層25と第二のクラック26との連結によって、第一のウエーハ10-1の内部に、表面13と平行な平面に沿う分割起点となる第二の剥離層24が形成される。なお、平行な平面とは、伸展した第二のクラック26全体を平面に近似した近似平面の水平面に対する傾きが、±5度以内、好ましくは±2度以内であることを示す。第二の改質層25が第一の剥離層21に繋がる位置までレーザービーム33を照射した後、レーザービーム33の集光点34を、割り出し送り方向に所定距離移動させ、再び、加工送り方向に沿って、第一のウエーハ10-1の内部にレーザービーム33を照射する。これを繰り返して、直線状の第二の改質層25を複数形成し、第一の剥離層21より内側の領域全域に第二の剥離層24を形成する。
(穴形成ステップ4)
図10は、図3に示す穴形成ステップ4の一状態を一部断面で示す側面図である。図11は、図3に示す穴形成ステップ4後の貼り合わせウエーハ20を示す斜視図である。本発明では、穴形成ステップ4を必ずしも実施しなくてもよいが、浸入ステップ5を実施する前に実施されることが好ましい。穴形成ステップ4は、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の裏面14側から第二の剥離層24に至る穴27を形成するステップである。実施形態の穴形成ステップ4は、レーザー加工装置30によるアブレーション加工によって、第一のウエーハ10-1の裏面14側から第二の剥離層24に至る穴27を形成する。
図10は、図3に示す穴形成ステップ4の一状態を一部断面で示す側面図である。図11は、図3に示す穴形成ステップ4後の貼り合わせウエーハ20を示す斜視図である。本発明では、穴形成ステップ4を必ずしも実施しなくてもよいが、浸入ステップ5を実施する前に実施されることが好ましい。穴形成ステップ4は、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の裏面14側から第二の剥離層24に至る穴27を形成するステップである。実施形態の穴形成ステップ4は、レーザー加工装置30によるアブレーション加工によって、第一のウエーハ10-1の裏面14側から第二の剥離層24に至る穴27を形成する。
穴形成ステップ4では、まず、第一の剥離層形成ステップ2および第二の剥離層形成ステップ3と同様に、第一のウエーハ10-1とレーザービーム照射ユニット32の集光器との位置合わせを行う。穴形成ステップ4では、レーザービーム照射ユニット32の照射部を、第一のウエーハ10-1の裏面14側の穴27を形成する位置に対向させた後、レーザービーム33の集光点34を、第一のウエーハ10-1の裏面14近傍に設定する。
穴形成ステップ4では、次に、第一のウエーハ10-1の裏面14に向けて、レーザービーム33を照射する。なお、穴形成ステップ4で照射するレーザービーム33は、第一のウエーハ10-1に対して吸収性を有する波長のレーザービームである。レーザービーム33の照射により、裏面14側に穴27が形成される。穴形成ステップ4では、穴27の底面が第二の剥離層24に至るまで、レーザービーム33を照射することで、裏面14側から第二の剥離層24に至る穴27が形成される。
この際、レーザービーム33の集光点34の高さを、穴27の深さ方向に変更して、複数回レーザービーム33を照射してもよいし、集光点34の高さを変更せずにレーザービーム33を照射してもよい。また、穴形成ステップ4では、第一のウエーハ10-1に対して吸収性を有する波長のレーザービーム33によるレーザー加工に限定されず、周知の機械加工によって穴27を形成してもよいし、複数の穴27を形成してもよい。
(浸入ステップ5)
図12は、図3に示す浸入ステップ5の一例を一部断面で示す側面図である。浸入ステップ5は、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40または高湿度50気体を浸入させるステップである。図12に示す一例では、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40を浸入させる。液体40は、例えば、水(純水)等の、凝固時に体積が膨張する液体である。
図12は、図3に示す浸入ステップ5の一例を一部断面で示す側面図である。浸入ステップ5は、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40または高湿度50気体を浸入させるステップである。図12に示す一例では、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40を浸入させる。液体40は、例えば、水(純水)等の、凝固時に体積が膨張する液体である。
具体的には、液体40で満たされた槽41に、ウエーハ10(実施形態では、貼り合わせウエーハ20)を浸漬することで、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40を浸入させる。槽41の底面には、保持テーブル42が配置される。保持テーブル42は、保持面で貼り合わせウエーハ20を保持する。なお、貼り合わせウエーハ20ではないウエーハ10である場合は、穴27が形成された裏面14とは反対側の表面13側を保持テーブル42の保持面に保持し、貼り合わせウエーハ20である場合は、第二のウエーハ10-2の裏面14側を保持テーブル42の保持面に保持する。
これにより、液体40は、第一のウエーハ10-1の裏面14に形成した穴27を介して、第二の剥離層24に浸入する。液体40は、更に、第二の剥離層24から繋がる第一の剥離層21に浸入する。また、液体40は、貼り合わせウエーハ20の外周から、貼り合わせ面を介して第一の剥離層21に浸入する。あるいは、第一の剥離層21が貼り合わせ面より外周縁12側に形成されている場合、液体40は、貼り合わせウエーハ20の外周から、第一のウエーハ10-1と第二のウエーハ10-2との間を通り、第一の剥離層21に浸入する。液体40は、更に、第一の剥離層21から繋がる第二の剥離層24に浸入する。
浸入ステップ5において、液体40は、表面張力を低下させる処理が施されていることが好ましい。表面張力を低下させる処理とは、例えば、界面活性剤の添加等を含む。液体40の表面張力を低下させることにより、浸入ステップ5における液体40の第一の剥離層21および第二の剥離層24への浸入を促進させる。
図13は、図3に示す浸入ステップ5の別の一例を一部断面で示す側面図である。図13に示す一例では、第一の剥離層21および第二の剥離層24に高湿度気体50を浸入させる。高湿度気体50は、ウエーハ10の温度で露点以下になる状態の水蒸気を含む空気である。
具体的には、高湿度気体50が充満したチャンバ51の内部に、ウエーハ10(実施形態では、貼り合わせウエーハ20)を載置することで、第一の剥離層21および第二の剥離層24に高湿度気体50を浸入させる。ここで、高湿度気体50の露点は、チャンバ51の内部の温度より低く、チャンバ51の内部に載置されたウエーハ10の温度より高い。すなわち、高湿度気体50は、ウエーハ10により結露する。チャンバ51の底面には、保持テーブル52が配置される。保持テーブル52は、保持面で貼り合わせウエーハ20を保持する。なお、貼り合わせウエーハ20ではないウエーハ10である場合は、穴27が形成された裏面14とは反対側の表面13側を保持テーブル52の保持面に保持し、貼り合わせウエーハ20である場合は、第二のウエーハ10-2の裏面14側を保持テーブル52の保持面に保持する。
これにより、高湿度気体50は、第一のウエーハ10-1の裏面14に形成した穴27を介して、第二の剥離層24に浸入する。高湿度気体50は、更に、第二の剥離層24から繋がる第一の剥離層21に浸入する。また、高湿度気体50は、貼り合わせウエーハ20の外周から、貼り合わせ面を介して第一の剥離層21に浸入する。あるいは、第一の剥離層21が貼り合わせ面より外周縁12側に形成されている場合、高湿度気体50は、貼り合わせウエーハ20の外周から、第一のウエーハ10-1と第二のウエーハ10-2との間を通り、第一の剥離層21に浸入する。高湿度気体50は、更に、第一の剥離層21から繋がる第二の剥離層24に浸入する。
図14は、図3に示す浸入ステップ5の別の一例を一部断面で示す側面図である。図14に示す一例では、第一のウエーハ10-1の裏面14に形成した穴27から負圧を作用させることで、第一の剥離層21および第二の剥離層24に高湿度気体50を浸入させる。
具体的には、高湿度気体50が充満したチャンバ51の内部に、ウエーハ10(実施形態では、貼り合わせウエーハ20)を載置した状態において、第一のウエーハ10-1の裏面14に形成した穴27から負圧を作用させる。チャンバ51の上部には、バキュームパッド60が配置される。バキュームパッド60は、保持テーブル52の保持面に対向する吸着面61を有する。バキュームパッド60の内部には、一端が吸着面61に開口し、他端が図示せぬ吸引源に連通する吸引通路が設けられる。
図14に示す浸入ステップ5では、まず、高湿度気体50が充満したチャンバ51内部の保持テーブル52の保持面に第二のウエーハ10-2の裏面14側を保持する。なお、貼り合わせウエーハ20ではないウエーハ10である場合は、穴27が形成された裏面14とは反対側の表面13側を保持テーブル52の保持面に保持する。次に、穴27が形成された裏面14側にバキュームパッド60の吸着面61を吸着させる。この際、吸引通路62の開口を、穴27の開口に位置合わせする。次に、図示せぬ吸引源により負圧を作用させ、吸引通路62を介して穴27から吸引する。
これにより、貼り合わせウエーハ20の外周から、貼り合わせ面を介して第一の剥離層21、第二の剥離層24、穴27へ向かって負圧が作用する。すると、高湿度気体50は、貼り合わせウエーハ20の外周から、貼り合わせ面を介して第一の剥離層21に浸入する。高湿度気体50は、更に、第一の剥離層21から繋がる第二の剥離層24に浸入する。
なお、図14に示す浸入ステップ5では、高湿度気体50が充満したチャンバ51の内部に、ウエーハ10を載置した状態において、穴27から負圧を作用させたが、液体40で満たされた槽41に、ウエーハ10を浸漬した状態において、穴27から負圧を作用させてもよい。なお、高湿度気体50の第一の剥離層21への浸入は、高湿度気体50が穴27や第二の剥離層24、第一の剥離層21に浸入する前または間に、凝縮して液体となっている場合も含む。
(分割ステップ6)
図15は、図3に示す分割ステップ6の一状態を一部断面で示す側面図である。図16は、図3に示す分割ステップ6の図15の後の一状態を一部断面で示す側面図である。分割ステップ6は、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40または高湿度気体50が浸入した状態で、ウエーハ10(実施形態では、少なくとも第一のウエーハ10-1)を加熱または冷却し、第一の剥離層21および第二の剥離層24を起点としてウエーハ10を分割するステップである。
図15は、図3に示す分割ステップ6の一状態を一部断面で示す側面図である。図16は、図3に示す分割ステップ6の図15の後の一状態を一部断面で示す側面図である。分割ステップ6は、第一の剥離層21および第二の剥離層24に液体40または高湿度気体50が浸入した状態で、ウエーハ10(実施形態では、少なくとも第一のウエーハ10-1)を加熱または冷却し、第一の剥離層21および第二の剥離層24を起点としてウエーハ10を分割するステップである。
分割ステップ6では、例えば、図15に示す冷却ユニット70を用いて、第一のウエーハ10-1を冷却し、第一の剥離層21および第二の剥離層24を起点として第一のウエーハ10-1を分割する。
図15に示す冷却ユニット70は、例えば、冷却面を有する冷却部と、放熱部と、ペルチェ素子と、を含む。冷却部および放熱部は、それぞれ、金属等の熱伝導性を有する材料により構成される。ペルチェ素子は、電圧が印加されることにより、冷却部から吸熱して冷却し、放熱部に発熱して加熱する。冷却ユニット70の冷却部は、保持テーブル71の保持面に対向する平面に冷却面を有する。また、冷却ユニット70は、保持テーブル71に対して上下方向に移動可能である。
分割ステップ6では、まず、保持テーブル71の保持面に第二のウエーハ10-2の裏面14側を保持する。なお、貼り合わせウエーハ20ではないウエーハ10である場合は、穴27が形成された裏面14とは反対側の表面13側を保持テーブル71の保持面に保持する。次に、電圧を印加して冷却部を冷却させた冷却ユニット70を下降させ、冷却面を裏面14に当接させる。冷却ユニット70は、冷却面を介して、第一のウエーハ10-1を裏面14側から冷却する。
第一のウエーハ10-1が冷却されることにより、第一の剥離層21および第二の剥離層24に浸入した液体40または高湿度気体50に体積変化が生じる。この体積変化により、第一のウエーハ10-1は、第一の剥離層21および第二の剥離層24を境界として剥離する。例えば、浸入ステップ5で、液体40として凝固によって体積が増加する水等を浸入させた場合、冷却により水を凍結させて体積を膨張させることにより、第一の剥離層21および第二の剥離層24を境界として剥離する。
分割ステップ6において、ウエーハ10を冷却する方法は、冷却ユニット70の冷却面を当接させることに限定されず、例えば、冷却槽内にウエーハ10を収容することでもよい。また、分割ステップ6では、冷却する代わりに加熱をしてもよい。ウエーハ10を加熱する方法は、例えば、加熱面を有する加熱部と、冷却部と、ペルチェ素子と、を含む加熱ユニットの加熱面を、ウエーハ10に当接させることでもよいし、電圧が印加されると加熱されて赤外線を照射する等の熱源を有する加熱器内にウエーハ10を収容することでもよい。また、保持テーブル71に冷却源または加熱源を有していてもよい。
加熱または冷却によって第一の剥離層21および第二の剥離層24を境界として剥離させた後は、例えば、図16に示す剥離ユニット80を用いて、ウエーハ10(実施形態では、第一のウエーハ10-1)の裏面14側を回収して、ウエーハ10を分割する。
図16に示す剥離ユニット80は、剥離ユニット80は、下面側に一対以上の把持部材81を有する。把持部材81は、剥離ユニット80の下面から下方に突出し、かつ先端が内側に向く楔形状を有する。一対の把持部材81は、平面視において、径方向に移動可能である。また、剥離ユニット80は、ウエーハ10を保持面に保持する保持テーブル82に対して上下方向に移動可能である。なお、保持テーブル82は、図15に示す保持テーブル71と共通のものであってもよい。この場合、保持テーブル71は、冷却ユニット70に対向する位置と、剥離ユニット80に対向する位置と、の間で移動可能に設けられる。
まず、第二のウエーハ10-2の裏面14側を保持テーブル82の保持面に吸引保持する。次に、第一のウエーハ10-1と剥離ユニット80の把持部材81との位置合わせを行う。具体的には、不図示の移動ユニットによって、保持テーブル82を剥離ユニット80の下方まで移動させ、把持部材81の先端を第一のウエーハ10-1の外周縁12より径方向外側に開かせる。
次に、剥離ユニット80を下方に降下させ、把持部材81の先端を第一のウエーハ10-1と第二のウエーハ10-2との境界に向くように高さを合わせる。次に、把持部材81を径方向内側に移動させ、把持部材81の先端を第一のウエーハ10-1と第二のウエーハ10-2との間に打ち込む。次に、剥離ユニット80を上方に上昇させると、把持部材81の先端の上面側が、第一のウエーハ10-1の外周余剰領域16の部分を第二のウエーハ10-2側から持ち上げる。これにより、第一の剥離層21および第二の剥離層24より裏面14側を含む部分が回収される。この際、加熱または冷却によって第一の剥離層21および第二の剥離層24を境界として完全に剥離されていなかった場合であっても、外周余剰領域16に対して上方向の外力が付与され、第一の剥離層21および第二の剥離層24を起点として、第一のウエーハ10-1が分割される。
なお、剥離ユニット80は、図16に示す把持部材81を有するものに限定されず、例えば、保持テーブル82に対向する吸着面を有して吸引保持によって第一のウエーハ10-1の裏面14側を回収してもよいし、冷却ユニット70または加熱ユニットと剥離ユニット80とが兼用されていてもよい。
以上説明したように、実施形態のウエーハ10の加工方法は、ウエーハ10を分割する予定の分割予定面に第一の剥離層21および第二の剥離層24を形成し、第一の剥離層21および第二の剥離層24に浸入させた液体40または高湿度気体50を、温度変化により膨張させることで分割予定面を起点として分割させる。これにより、分割予定面に沿った剥離が容易にできるので、貼り合わせウエーハ20等のウエーハ10から裏面14側の不要な部分を分割することが容易にでき、ウエーハ10の破損を抑制しつつ裏面14研削時の研削砥石の消耗量を抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態および変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
10 ウエーハ
10-1 第一のウエーハ
10-2 第二のウエーハ
11 基板
12 外周縁
13 表面
14 裏面
15 デバイス領域
16 外周余剰領域
17 分割予定ライン
18 デバイス
20 貼り合わせウエーハ
21、21-1 第一の剥離層
22、22-1 第一の改質層
23、23-1 第一のクラック
24 第二の剥離層
25 第二の改質層
26 第二のクラック
27 穴
33 レーザービーム
34 集光点
40 液体
50 高湿度気体
10-1 第一のウエーハ
10-2 第二のウエーハ
11 基板
12 外周縁
13 表面
14 裏面
15 デバイス領域
16 外周余剰領域
17 分割予定ライン
18 デバイス
20 貼り合わせウエーハ
21、21-1 第一の剥離層
22、22-1 第一の改質層
23、23-1 第一のクラック
24 第二の剥離層
25 第二の改質層
26 第二のクラック
27 穴
33 レーザービーム
34 集光点
40 液体
50 高湿度気体
Claims (5)
- 表面に複数のデバイスが形成され、かつ、外周縁が面取りされたウエーハに対して該ウエーハを透過する波長のレーザービームを照射することによって該ウエーハの内部に剥離層を形成した後、該剥離層を分割起点として該ウエーハを分割するウエーハの加工方法であって、
該ウエーハの該外周縁よりも所定距離内側の領域に沿って該レーザービームを環状に照射することによって、該ウエーハの内部に該ウエーハの該表面に対して垂直な、または所定の傾斜を有する第一の剥離層を形成する第一の剥離層形成ステップと、
該第一の剥離層が形成される領域よりも内側の領域において該ウエーハの内部に該レーザービームの集光点を位置づけて、該ウエーハの裏面側から該レーザービームを照射することによって、該ウエーハの該表面と平行な平面に沿い、かつ該第一の剥離層と繋がる第二の剥離層を形成する第二の剥離層形成ステップと、
該第一の剥離層および該第二の剥離層に液体または高湿度気体を浸入させる浸入ステップと、
該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体または該高湿度気体が浸入した状態で、該液体または該高湿度気体に体積変化を生じさせるよう、該ウエーハを加熱または冷却し、該第一の剥離層および該第二の剥離層を起点として該ウエーハを分割する分割ステップと、を備える
ことを特徴とする、ウエーハの加工方法。 - 該浸入ステップを実施する前に、該ウエーハの裏面側から該第二の剥離層に至る穴を形成する穴形成ステップを備え、
該浸入ステップでは、該ウエーハを、該液体に浸漬するかもしくは該高湿度気体が充満した筐体内に載置した状態で、該穴から負圧を作用させることで、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体または該高湿度気体を浸入させる
ことを特徴とする、請求項1に記載のウエーハの加工方法。 - 該浸入ステップでは、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該液体として水を浸入させ、
該分割ステップでは、該第一の剥離層および該第二の剥離層に該水が浸入した状態で該ウエーハを冷却することによって該水を凍結させて体積を膨張させ、該ウエーハを分割する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のウエーハの加工方法。 - 該浸入ステップでは、第一の剥離層および第二の剥離層に該液体を浸入させ、
該液体は、表面張力を低下させる処理が施されている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のウエーハの加工方法。 - 該第一の剥離層形成ステップおよび該第二の剥離層形成ステップを実施する前に、
該ウエーハの該表面を、該ウエーハとは異なる第二のウエーハの表面に貼り合わせる貼り合わせステップを備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のウエーハの加工方法。
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024090695A true JP2024090695A (ja) | 2024-07-04 |
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