JP2024090209A - 近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、プラスチック成形品、および光導波路 - Google Patents

近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、プラスチック成形品、および光導波路 Download PDF

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隆広 山口
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Abstract

【課題】特定の近赤外領域(700nm~1900nm)の隠蔽性、耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、異物発生の少ない近赤外線吸収性樹脂組成物、それを用いた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、該光学フィルタを具備する赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、およびプラスチック成形品を提供することを目的とする。また、光ファイバへの接続性の高い光導波路を提供することを目的とする。
【解決手段】波長700nmを超え1900nm以下の範囲に極大吸収波長を有する近赤外線吸収性化合物(I)と、樹脂(II)(ただし、近赤外線吸収性化合物(I)を除く)とを含むことを特徴とする近赤外線吸収性樹脂組成物によって解決される。前記近赤外線吸収性化合物(I)として、例えば下記化合物(1-1)が示される。

【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、プラスチック成形品、および光導波路に関する。
近赤外線吸収材料は、例えば、熱線を遮断する近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用する農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用近赤外線カットフィルタ、写真用近赤外線フィルタ、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー融着等幅広い用途で使用されている。
中でも、デジタルカメラ、スマートフォン等の固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)は、近赤外線に検出感度がある受光部に外光が入り込むことで、ノイズとして検出されることがあるため、特定の近赤外線を光学フィルタでカットし、感度補正を行うことがある。
また、近年カメラモジュールに近赤外線を利用したセンシング機能(モーションキャプチャ、空間認識、生体認証等)を付与する試みが行われており、例えば検出光として900nmや940nmの近赤外LEDを使用する場合は、前記光学フィルタにこれら検出波長の透過性を求められることもある。
このように、従来のような近赤外線を一律にカットするのではなく、可視光と一部の近赤外線を選択的に透過する近赤外線吸収材料が必要とされている。
また、近赤外線吸収材料は、光ファイバ間を接続するための光導波路の一部として用いることができる。光通信システム用の光伝送モジュールの一部では、一組の光ファイバ間の接続が求められるが、接続部における相互の光軸のズレを数μm以内におさえる必要があり、接続作業が手作業もしくは高精度な調芯設備により行われているため、接続コストが上昇するという問題がある。
非特許文献1では、一組の光ファイバ等のデバイス間を光接続する際に、感光性樹脂に対し両側より光を入射させることで接続可能となる「自己形成光導波路」を形成する例が述べられている。両側より光を入射させたとき、光の重なりあう領域は光強度が大きくなる。このとき、光の重なりあう領域の光強度以上でのみ光硬化できる硬化性組成物を選ぶと、光を入射させた一組の光デバイスの両端を結ぶような光導波路が自己形成できることになる。このように異なる光ファイバのそれぞれの一端から他方の光ファイバの一端へ向けて光を照射して光導波路を形成する方法では、一方向入射による自己形成光導波形成時のように異なる光ファイバの一端が著しく離れている場合だけでなく、異なる光ファイバの光軸がずれている場合でもより確実に光接続部を形成できる。
特に、近年の光通信システムでは、シリコン基板に電気素子と光素子とが形成されたシリコンフォトニクス素子(シリコンチップ) は、光通信速度の飛躍的な増大に加え、益々小型化、精密化が進行している。それに伴い、シリコンチップと光ファイバや光モジュールとの接続に精密アライメント技術が必要となり困難さが増大している。
そこで、シリコンフォトニクスにおいて小型化されるシリコンチップの接続手段として自己形成光導波路技術の適用が想定される。しかし、シリコンチップを構成するシリコンは、波長1,000n m 以上の近赤外線領域において光透過性を有するため、UV光等の照射による光硬化性樹脂の重合によって光導波路を形成している技術は適用が困難である。
また、波長1,310nmや1,550nmの波長域の光が用いられており、簡便な光接続、省コスト、省スペース化のためにも、自己形成光導波路には、同波長域に吸収を有する近赤外線吸収材料が強く望まれている。
近赤外線吸収性色素としては、フタロシアニン色素、シアニン色素、ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、インディゴ色素などが知られている。これらの中でも特に代表的な色素として、フタロシアニン色素とシアニン色素が挙げられる。それぞれ、顕著な特徴を有しており、フタロシアニン色素は比較的堅牢な構造を有しているため、各種耐性が良好であるが、可視光領域にsoret帯と呼ばれる構造由来の吸収があるため透明性・不可視性が劣っている。一方でシアニン色素は、一般に染料として溶解状態で使用されるため、非常に高い透明性・不可視性を有しているが、各種耐性、特に耐光性が著しく悪い。ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、及びクロコニウム色素もシアニン色素に類似した特徴を有している。
インディゴ色素系の化合物としては、特許文献1には、ホウ素化合物が開示されている。また、特許文献2には、パラジウム錯体が開示されている。しかし、これらの化合物は、近赤外線領域の吸収と高い耐熱性を両立できていなかった。
特許文献3には、ベンゾジフラノン系色材を用いた高濃度な顔料分散体と感光性着色組成物が記載されている。しかし、当該化合物は、重量吸光係数が低く、近赤外線領域の遮光性が小さい。
特許文献4には、チオフェン系のオリゴマー化合物が開示されている。しかし、これらの化合物は、近赤外線領域の重量吸光係数が低く、耐熱性も低かった。
特許文献5、6には共役化合物が開示されている。しかし、これらの化合物を含む近赤外吸収組成物は、光起電力素子に使用され、熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや固体撮像素子での用途、樹脂組成物としての安定性に関する記載はない。
特許文献7で示された自己形成光導波路では、600nm~700nmの波長にて光伝送モジュールが作製されているが、前述の通り、シリコンチップを活用した光通信システムだと、基材であるシリコンが1,000nm未満の波長域全ての光を吸収するため、高精度に光ファイバ間を接続することが困難となってしまう。
特開2012-224593号公報 特開2013-87233号公報 特開2017-61688号公報 特開2007-211174号公報 特開2016-65218号公報 特開2017-45976号公報 特開2005-257741号公報 エレクトロニクス実装学会誌 vol.3 No.6 (2000), p.481-485
本発明は、特定の近赤外領域(700nm~1900nm)の隠蔽性、耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、異物発生の少ない近赤外線吸収性樹脂組成物、それを用いた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、該光学フィルタを具備する赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、およびプラスチック成形品を提供することを目的とする。また、光ファイバへの接続性の高い光導波路を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、近赤外線吸収性化合物(I)と樹脂(II)を含む近赤外線吸収性樹脂組成物が、特定領域の近赤外線(700nm~1900nm)の近赤外線の隠蔽性に優れ、耐光性と耐熱性が良好であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)~(4)で表される構造を有し、波長700nmを超え1900nm 以下の範囲に極大吸収波長を有する近赤外線吸収性化合物(I)と、樹脂(II)(ただし、近赤外線吸収性化合物(I)を除く)とを含むことを特徴とする近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。

[一般式(1)~(4)中、R~R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
AおよびBは、それぞれ独立に、下記に示すいずれかの構造を表す。
~nはそれぞれ独立に、1以上1000以下の整数を表す。]





[式中、X~X20はそれぞれ独立に、S、O、NR11、SiR1213、Seを表す。
11~R33はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子、水素原子を表す。]
また、本発明は、さらに、溶剤を含むことを特徴とする近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに、400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含むことを特徴とする前記近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記近赤外線吸収性樹脂組成物と、光重合性単量体および/または光重合開始剤とを含むことを特徴とする感光性近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記近赤外線吸収性樹脂組成物、または前記感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする膜に関する。
また、本発明は、基材上に、前記膜を有することを特徴とする光学フィルタに関する。
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線カメラに関する。
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする固体撮像素子に関する。
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線センサに関する。
また、本発明は、波長400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含む層と、前記膜とを有することを特徴とする積層体に関する。
また、本発明は、前記感光性近赤外線吸収性樹脂組成を用いてなることを特徴とする光導波路に関する。
また、本発明は、前記近赤外線吸収性樹脂組成を含むことを特徴とするプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物を含むことを特徴とするプラスチック成形品に関する。
本発明は、特定の近赤外領域(700nm~1900nm)の隠蔽性、耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、異物発生の少ない近赤外線吸収性樹脂組成物、それを用いた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、該光学フィルタを具備する赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、およびプラスチック成形品を提供することができる。また、光ファイバへの接続性の高い光導波路を提供することができる。
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。着色剤は、顔料および染料を含む。
<色素>
本願明細書において、色素とは、近赤外線吸収性化合物(I)、波長400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物、後述するその他の近赤外線吸収性色素を意味する。
<近赤外線吸収性化合物(I)>
本発明における近赤外線吸収性化合物(I)について説明する。
近赤外線吸収性化合物(I)は、一般式(1)~(4)で表される構造を有し、波長700nmを超え1900nm 以下の範囲に極大吸収波長を有する。
一般式(1)~(4)

[一般式(1)~(4)中、R~R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
AおよびBは、それぞれ独立に、下記に示すいずれかの構造を表す。
~nはそれぞれ独立に、1以上1000以下の整数を表す。]





[式中、X~X20はそれぞれ独立に、S、O、NR11、SiR1213、Seを表す。
11~R33はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子、水素原子を表す。]
近赤外領域の遮光性、耐熱性、耐光性の観点から一般式(1)、一般式(3)、一般式(4)が好ましく、一般式(1)が特に好ましい。
また、近赤外領域の遮光性、耐熱性、耐光性の観点から、Aとしては芳香族性を有する構造、複素環を有する構造が好ましく、複素環を有する構造がより好ましく、芳香族複素環を有する構造が特に好ましい
また、近赤外領域の遮光性、耐熱性、耐光性の観点から、Bとしては、ベンゼン環を有する構造が好ましい。
置換基を有してもよいアルキル基(-R)の「アルキル基」は、直鎖構造、分岐構造、単環構造、又は縮合多環構造のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘキシルドデシル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、又は4-デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基は、2以上のアルキル基(但し、一方はアルキレン基となる)が連結基を介して互いに結合した構造を有してもよい。連結基の具体例として、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-〇-)、スルフィド結合(-S-)が挙げられる。すなわち、本明細書において、アルキル基は、例えば、「-R’-O-R」で表される基が挙げられる(R’は上記アルキル基(-R)から水素原子を1つ除いた原子団を表す)。具体例として、-C-O-Cが挙げられる。
また、上記アルキル基中の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、エステル基、スルホ基、スルフアニル基、スルフアモイル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基などの置換基で置換されてもよい。また、置換基は複数有していてもよい。なお、置換基は上記に限定されるものではない。
例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
炭素数が4以上のアルキル基が好ましい。
置換基を有してもよいアルコキシル基は、上述のアルキル基(-R)に酸素原子が結合した基(-OR)である。
炭素数が4以上のアルコキシ基が好ましい。
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、上記アリール基中の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、エステル基、スルホ基、スルフアニル基、スルフアモイル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基などの置換基で置換されてもよい。また、置換基は複数有していてもよい。なお、置換基は上記に限定されるものではない。例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
フッ素原子が好ましい。
保存安定性の観点から、R~R35のうち、少なくとも1つ以上が、炭素数4以上のアルキル基または炭素数4以上のアルコキシ基であることが好ましく、少なくとも2つ以上が、炭素数4以上のアルキル基または炭素数4以上のアルコキシ基であることがより好ましい。
本発明における、近赤外線吸収性化合物(I)は、例えば、以下の構造を有する化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
<近赤外線吸収性色素>
本発明における近赤外線吸収性化合物(I)は、近赤外線吸収性色素として機能することができる。
<その他の近赤外線吸収性色素>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、近赤外線吸収性化合物(I)以外に、他の近赤外線吸収性色素を含有できる。これにより適宜分光を調整できる。他の近赤外線吸収性色素は、例えば、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、アミニウム化合物、ジインモニウム化合物、インディゴ化合物、クロコニウム化合物、アゾ化合物、キノイド型錯体化合物、ジチオール金属錯体化合物等が挙げられる。
本発明における近赤外線吸収性化合物(I)の含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物の全重量を基準(100質量%)として、2~70質量%の範囲であることが好ましい。また、近赤外線吸収性色素として、その他の近赤外線吸収性色素を併用する場合には、その他の近赤外線吸収性色素/近赤外線吸収性化合物(I)の重量比が5/95~50/50の範囲が好ましい。
<400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、近赤外線吸収性化合物(I)、その他の近赤外線吸収性色素以外の400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含むことができる。センシングのための光源の波長に合わせて、400nm以上700nm未満の特定領域に極大吸収を持つ化合物を含むことで、外部の不正な光を遮断し、センシング精度を高める近赤外線吸収性樹脂組成物として使用することができる。
当該400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物は、例えば、青色色素、緑色色素、黄色色素、紫色色素、赤色色素等が挙げられる。
該化合物は、有機顔料を用いても良く、例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、又はポリアゾ等のアゾ系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、又はビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、フタロシアニン顔料、スレン系顔料または金属錯体系顔料等が挙げられる。
また、該化合物として、染料を用いても良く、例えば、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料、オキサジン系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、トリフェニルメタン系染料等が挙げられる。染料を用いる際には。アニオン性染料、カチオン性染料の極性基を用いて樹脂中に取り込み有機溶剤への溶解性を付与する方法が有効となる。
(青色色素)
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
青色染料としては、C.I.アシッドブルー1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、13、14、15、17、19、21、22、23、24、25、26、27、29、34、35、37、40、41、41:1、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、62、62:1、63、64、65、68、69、70、73、75、78、79、80、81、83、8485、86、88、89、90、90:1、91、92、93、95、96、99、100、103、104、108、109、110、111、112、113、114、116、117、118、119、120、123、124、127、127:1、128、129、135、137、138、143、145、147、150、155、159、169、174、175、176、183、198、203、204、205、206、208、213、227、230、231、232、233、235、239、245、247、253、257、258、260、261、262、264、266、269、271、272、273、274、277、278、280等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトブルー1、2、3、4、6、7、8、8:1、9、10、12、14、15、16、19、20、21、21:1、22、23、25、27、29、31、35、36、37、40、42、45、48、49、50、53、54、55、58、60、61、64、65、67、79、96、97、98:1、101、106、107、108、109、111、116、122、123、124、128、129130、130:1、132、136、138、140、145、146、149、152、153、154、156、158、158:1、164、165、166、167、168、169、170、174、177、181、184、185、188、190、192、193、206、207、209、213、215、225、226、229、230、231、242、243、244、253、254、260、263等も挙げられる。
(緑色色素)
緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59、C.I.ピグメントグリーン62、C.I.ピグメントグリーン63等が挙げられる。
緑色染料としては、C.I.ソルベントグリーン3、20、28、C.I.アシッドグリーン25、27、36、37、38、41、42、44、C.I.バットグリーン3、6、8等が挙げられる。
(黄色色素)
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、231、233、234等が挙げられる
黄色染料としては、C.I.アシッドイエロー2,3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトイエロー1、2、4、5、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134等も挙げられる。
(紫色色素)
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等が挙げられる。
紫色染料としては、C.I.アシッドバイオレット1、2、3、4、5、5:1、6、7、7:1、9、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、25、27、29、30、31、33、34、36、38、39、41、42、43、47、49、51、63、67、72、76、96、97、102、103、109等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、51、52、54、57、58、61、62、63、64、71、72、77、78、79、80、81、82、83、85、86、87、88、93、97等も挙げられる。
(赤色色素)
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、291、295、296等が挙げられる。
赤色顔料と同様にはたらくオレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、73等のオレンジ色顔料を用いることができる。
赤色染料としては、C.I.アシッドレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、39、40、41、42、43、44、45、47、50、52、53、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、67、68、70、71、73、74、76、76:1、80、81、82、83、85、86、87、88、89、91、92、93、97、99、102、104、106、107、108、110、111、113、114、115、116、120、123、125、127、128、131、132、133、134、135、137、138、141、142、143、144、148、150、151、152、154、155、157、158、160、161、163、164、167、170、171、172、173、175、176、177、181、229、231、237、239、240、241、242、249、252、253、255、257、260、263、264、266、267、274、276、280、286、289、299、306、309、311、323、333、324、325、326、334、335、336、337、340、343、344、347、348、350、351、353、354、356、388等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトレッド1、2、2:1、4、5、6、7、8、10、10:1、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、26:1、28、29、31、33、33:1、34、35、36、37、39、42、43、43:1、44、46、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、67、67:1、68、72、72:1、73、74、75、77、78、79、81、81:1、85、86、88、89、90、97、100、101、101:1、107、108、110、114、116、117、120、121、122、122:1、124、125、127、127:1、127:2、128、129、130、132、134、135、136、137、138、140、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、186、189、204、211、213、214、217、222、224、225、226、227、228、232、236、237、238等も挙げられる。
また、C.I.ソルベントレッド52、135、146、149、168、179、207等も挙げられる。
上記の染料は、良好な分光特性を有し、発色性に優れるものの、耐光性、耐熱性に問題があり、光学フィルタに用いるには、その特性は十分なものではない場合がある。
そのため、これらの欠点を改善するために、塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化して用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、アニオン基を有する樹脂と造塩化して用いることが好ましく、ベタイン構造を有する樹脂と有機酸とともに造塩して用いることも好ましい。
また、酸性染料、直接染料を含むアニオン性染料の場合は、カチオン性基を有する化合物やカチオン性基を有する樹脂をカウンターイオンとして用いた造塩化合物として用いることが耐熱性、耐光性、耐溶剤性の面で好ましい。
また、カチオン基を有する樹脂と造塩化して用いることが好ましく、側鎖にカチオン基を有する樹脂と有機酸とともに造塩して用いることもより好ましい。
また、アニオン性染料はスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることでも、耐性の面で好ましい。
塗工用途で、青色色素はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー139、紫色色素はC.I.ピグメントバイオレット23を用いることが好ましい。またプラスチック用途で、青色色素はC.I.ピグメントブルー15:3もしくはピグメントブルー15:6、黄色色素はC.I.ピグメントイエロー147、赤色色素はC.I.ソルベントレッド52が好ましい。
<色素誘導体>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、必要に応じて色素誘導体を含むことができる。色素誘導体は、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する化合物である。色素誘導体は、例えば、スルホ基、カルボキシ基、またはリン酸基などの酸性置換基を有する化合物、ならびにこれらのアミン塩、スルホンアミド基、または末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素は、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料等が挙げられる。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体は、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体は、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体は、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体は、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体は、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体は、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体は、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体は、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体は、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体は、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体は、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基は、特開2004-307854号公報、塩基性置換基は、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報に記載された色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
色素誘導体は、色素100質量部に対し、1~100質量部添加することが好ましく、3~70質量部添加することがより好ましく、5~50質量部添加することがさらに好ましい。
前記色素が顔料である場合には、色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
顔料に色素誘導体を添加し二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、色素誘導体、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、近赤外線吸収性樹脂組成物の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで近赤外線吸収性樹脂組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、近赤外線吸収性樹脂組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。また顔料表面が色素誘導体および樹脂型分散剤で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
<樹脂(II)>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、樹脂(II)(ただし、近赤外線吸収性化合物(I)を除く)を含む。樹脂(II)は近赤外線吸収性化合物(I)の分散に寄与する樹脂型分散剤、塗膜の硬化性などに寄与するバインダ樹脂、プラスチック成型用途に用いられる樹脂等が含まれる。
樹脂(II)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
樹脂型分散剤、バインダ樹脂として使用する樹脂(II)の含有量は、色素100質量部に対して、20~400質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましい。適量含有すると被膜を容易に形成できる上、良好な色特性が得やすい。
(樹脂型分散剤)
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、樹脂(II)として、公知の樹脂型分散剤を用いることができる。樹脂型分散剤としては、添加色素に吸着する性質を有する色素親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、添加色素に吸着して色素担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、具体的には、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
酸性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、芳香族カルボン酸構造を有する樹脂型分散剤が挙げられ、それらはWO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等の公知の方法で製造することができる。
塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(樹脂型分散剤の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
樹脂型分散剤は、色素全量に対して3~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5~100質量%程度使用することがより好ましい。
樹脂型分散剤は、保存安定性の観点からアミン価が60以上の塩基性分散剤が好ましい。一方で、現像性の観点からは酸性分散剤が好ましい。
(バインダ樹脂)
近赤外線吸収性樹脂組成物には、樹脂(II)として、公知のバインダ樹脂を用いることができる。バインダ樹脂は主に硬化性を付与し、硬化性の面でいうと、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂、または熱硬化樹脂に活性エネルギー線反応性官能基を有しても良い。また、バインダ樹脂は、物性面でいうと、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性は、光学フィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸性基が必要である。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
[活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂]
活性エネルギー線硬化性アルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、例えば以下に示す(i)、(ii)の方法で導入できる。活性エネルギー線による効果で樹脂は、3次元架橋されることで架橋密度が上がり、耐薬品性が向上する。
<<方法(i)>>
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合して得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させる。次いで、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることで、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
多塩基酸無水物は、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。
他の単量体としては、以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合で得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法である。
<<方法(ii)>>
方法(ii)は、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法である。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられる。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも挙げられる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂を構成できるその他単量体は、既に説明したその他のエチレン性不飽和単量体に加え、N-置換マレイミド類、アルキレンオキシ基含有単量体、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
N-置換マレイミド類は、例えば、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等が挙げられる。アルキレンオキシ基含有単量体は、例えば、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、既に説明した単量体を使用できる。
リン酸エステル基含有エチレン性不飽和単量体は、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和単量体の水酸基に、たとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた化合物である。
[エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂]
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、被膜の硬化度を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂を含有できる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、4,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が4,000未満であると基板に対する密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。100,000を超えるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上200以下(KOHmg/g)であり、20~300以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50未満であるとアルカリ現像溶解性が低下し、残渣が発生しパターンの直線性が悪化する。過度に酸価を有すると基板への密着性が低下し、露光パターンが残りにくくなる。
樹脂(II)の合成に使用する各原料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
[熱硬化性化合物]
本発明においては、熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含むことができる。例えば、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物を用いて光学フィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の色素凝集が抑えられる。
熱硬化性化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられる。
熱硬化性化合物の含有量は、色素100質量部に対し、0.5~300質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。適量使用すると適度な耐熱性が得られる。
近赤外線吸収性樹脂組成物は、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、硬化剤、硬化促進剤を含有できる。硬化剤は、例えば、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。硬化促進剤は、例えば、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
硬化剤、硬化促進剤の含有量は、例えば、熱硬化性化合物100質量部に対し、それぞれ0.01~15質量部が好ましい。
<光重合性単量体>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含むことによって感光性近赤外線吸収性樹脂組成物とすることができる。光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
光重合性単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
(酸基を有する光重合性単量体)
光重合性単量体は、酸基を有する光重合性単量体を含有できる。酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
酸基を有する光重合性単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
(ウレタン結合を有する光重合性単量体)
光重合性単量体は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を有する単量体を含有できる。前記単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
光重合性単量体は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
光重合性単量体の配合量は、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~50質量%が好ましく、2~40質量部がより好ましい。適量配合すると硬化性及び現像性がより向上する。
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
光重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の色素濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
オキシムエステル系化合物は、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、色素100質量部に対し、2~50質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性及び現像性がより向上する。
<増感剤>
さらに、本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
増感剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると硬化性、現像性がより向上する。
<チオール系連鎖移動剤>
本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は高感度となる。
また、チオール基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。より好ましくは、チオール基が4個以上ある多官能脂肪族チオールである。官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
チオール系連鎖移動剤の含有量は、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。適量含有すると光感度、テーパー形状が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
<重合禁止剤>
本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を抑制できるため、所望の形状のパターンが得やすくなる。
重合禁止剤としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の不揮発分100質量部中、0.01~0.4質量部が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
<紫外線吸収剤>
発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。適量含有すると現像後の解像性がより向上する。
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましい。適量含有すると基板と被膜の密着性がより向上し、良好な解像性が得られる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート等が挙げられる。その他ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
トリアジン系化合物としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
サリチル酸エステル系化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サリチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
<酸化防止剤>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤によって、近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって分解することを防ぐことができる。
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本発明で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
ここれらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
また酸化防止剤の含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物の固形分100質量%中、0.5~5.0質量%の場合、分解防止、及び感度が良好であるためより好ましい。
<アミン系化合物>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、溶存している酸素を還元するためアミン系化合物を含有することができる。
アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<レベリング剤>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。この範囲内であることで、近赤外線吸収性樹脂組成物の塗布性とパターン密着性のバランスが良好となる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<貯蔵安定剤>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、色素の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
<密着向上剤>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、近赤外線吸収性樹脂組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
<有機溶剤>
近赤外線吸収性樹脂組成物は、有機溶剤を含有することができる。これにより組成物の粘度調整が容易になる。
有機溶剤は、例えば、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、ベンジルアルコール、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N-メチルピロリドン、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
上記の有機溶剤のうち、塗工用途の場合は、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
<近赤外線吸収性樹脂組成物の製造方法>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、色素を、分散剤、バインダ樹脂などの色素担体及び/又は有機溶剤中に、好ましくは分散助剤(色素誘導体や界面活性剤)と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(色素分散体)。このとき、2種以上の色素等を同時に色素担体に分散しても良いし、別々に色素担体に分散したものを混合しても良い。染料等、色素の溶解性が高い場合、具体的には使用する有機溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
また、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型近赤外線吸収性樹脂組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型近赤外線吸収性樹脂組成物は、前記色素分散体と、光重合性単量体及び/又は光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、近赤外線吸収性樹脂組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した近赤外線吸収性樹脂組成物に後から加えてもよい。
<粗大粒子の除去>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、重力加速度3000~25000Gの遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは3μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは1.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように近赤外線吸収性樹脂組成物は、実質的に3μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは1.5μm以下であることが好ましい。
<近赤外線吸収性樹脂組成物中の水分量>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、水の含有量が近赤外線吸収性樹脂組成物全体に対して0.1~2.0質量%であることが好ましい。
水の含有量が上記範囲内であると、近赤外線吸収性樹脂組成物を経時保存した後でも分散安定性・感度に優れる。
水の含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物全量に対して1.8質量%以下が好ましく、1.6質量%以下がより好ましい。この範囲の十分少ない水分量であれば、経時保存後でも近赤外線吸収性樹脂組成物の分散安定性・感度に問題が起こりにくい。
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。例えば、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、近赤外線吸収性樹脂組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブスを投入し脱水する方法等が挙げられる。その中でも、乾燥した不活性ガスを吹き込みながら、製造する方法が好ましい。
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
<近赤外線吸収性樹脂組成物中の特定金属元素量>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、近赤外線吸収性化合物(I)、その他の近赤外線吸収性色素、400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物の構成成分以外に少量のLi、Na、Mg、K、Cs、Co、Ca、Fe、SiおよびZr(以下、特定金属原子ともいう)を含む金属成分が存在する場合がある。これら特定金属原子を含む金属成分が多く存在すると、保存安定性が阻害される場合、耐熱性が低下する場合、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の形態で調製した際の感度低下を引き起こす場合がある。
また、このような特定金属原子を含む金属成分が多く存在する近赤外線吸収性樹脂組成物を用いて作成した光学フィルタは、異物が発生する場合があり、結果として透過率低下を引き起こしやすい。本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる該金属成分中の特定金属原子の合計含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物全体に対し、1~1000質量ppmであることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる特定金属原子の合計量は、近赤外線吸収性樹脂組成物全体に対し、300質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属原子の合計量の下限は、特に限定されないが、近赤外線吸収性樹脂組成物全体に対し、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、透過率低下が少ない光学フィルタを形成できる近赤外線吸収性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる各特定金属原子の含有量は、近赤外線吸収性樹脂組成物全体に対し、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
また、近赤外線吸収性化合物(I)、その他の近赤外線吸収性色素、400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する有機色素の一部にNi、Zn、Cu、Al、Fe、Pt、およびCo等の金属原子が含まれる場合には、該化合物や有機色素構造の一部を構成していないこれら金属原子が存在する場合がある。このような金属原子も少ない方がよく、以下の方法で特定金属原子と同様に取り除くことが出来る。さらに、Mn、Cs、Ti、Si、Pd等、近赤外線吸収性樹脂組成物の各種原料の製造工程で用いる材料(たとえば触媒)等により混入してしまうものも、低濃度であることが好ましい。
近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる各種原料あるいは製造過程において装置から混入した金属原子を除去する方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
特定金属原子の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
<近赤外線吸収性樹脂組成物中のトルエン量>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、トルエンを含んでいても良く、含む場合はトルエンの含有量が0.1~10質量ppmであることが好ましい。トルエンの含有量の上限は、9質量ppm以下であることが好ましく、8質量ppm以下であることがより好ましく、7質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、0.2質量ppm以上であることが好ましく、0.3質量ppm以上であることがより好ましく、0.4質量ppm以上であることが更に好ましい。
<膜>
本発明の膜は、上述した近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を用いて形成されたものである。膜は、基材上に積層した状態で用いてもよく、膜を基材から剥離してもよい。また、膜は、平坦膜であってもパターンを形成した膜のいずれでもよいが、パターンを形成した膜が好ましい。
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を基材上に塗工する工程を経て製造できる。
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の材質で構成された基板が挙げられる。これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥する。
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、必要に応じてパターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
〔ポストベーク工程〕
現像後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、光源として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
<光学フィルタ>
本発明の膜は、光学フィルタに使用できる。光学フィルタは、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、有機EL表示装置などの構成部材であるカラーフィルタ、赤外線センサ等などの構成部材である赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ等として使用することが出来る。
<赤外線カメラ、赤外線センサ>
本発明の赤外線カメラおよび赤外線センサは、本発明の光学フィルタを有する。赤外線カメラの種類としては、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、などが挙げられ、赤外線センサの種類としては、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどが挙げられる。赤外線カメラおよび赤外線センサの構成としては、本発明の光学フィルタを有する構成であり、赤外線カメラ、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明の光学フィルタを有する。固体撮像素子の形態は、特に制限されないが、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
<積層体>
本発明の積層体は、波長400nm以上700nm未満の範囲に吸収極大波長を有する化合物を含む層と、本発明の膜を有する積層体であり、赤外線透過フィルタとして用いることができる。
積層体の厚みは1~5μmが好ましく、1つの層の厚みは0.5~4μmが好ましい。
積層体における各層の積層順序は特に限定はない。
積層体における各層の積層順序は特に限定はない。支持体側から、第1の層、第2の層
の順に配置してもよく、第2の層、第1の層の順に配置してもよい。第3の層をさらに有してもよい。
<光導波路>
本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、光接続用の光導波路として好適に使用することができる。光接続部は、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物であるコア部と、コア部より屈折率の小さなクラッド部で構成される。コア部を構成する感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物に光照射することで製造される。一方で、クラッド部は、コア部同様に感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を光硬化させることで得ることもできるが、コア部形成後に残存物を除去し、その上でクラッド部としてコア部より屈折率の小さな材料を充填しても良い。また、残存物を除去した上で空気、もしくはそれに近いガス雰囲気下、もしくは真空下の場合でも、これら気体もしくは、真空の屈折率はコア部より小さくなるのでクラッド部として機能させることができる。すなわち、本発明では、コア部形成のために光照射を必須とするが、クラッド部は形成する手段があれば光照射は必須ではない。
また、本発明の光導波路の製造方法では、照射した近赤外光の経路に応じて、光導波路側からコア部が順次形成されていく。そのため感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、硬化後に、その屈折率が硬化前よりも高くなるものが望ましい。これは、硬化後に屈折率が高くなることにより、光配線を介して照射した光が形成されたコア部に閉じ込められつつ、先端から集中的に照射されることとなり、光の経路に応じた光導波路をより確実に形成することができるからである。このように本発明の光導波路の製造方法では、前記した屈折率の条件を満たす感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を選択して使用することが望ましい。
光導波路の構造(すなわちコア部、クラッド部の大きさ)はおのおのの光伝送モジュールによって異なっている。したがって、近赤外線吸収性樹脂組成物と、光重合性単量体、光重合開始剤との混合比は、光照射が行われる領域においてコア部とクラッド部の体積比とほぼ等しくなるようにするのが好ましい。光が全く照射されない領域は、最終的に溶液除去ないしクラッド部となるが、この領域のクラッド部まで混合比に考慮すると、コア部を構成する成分が光重合時に不足する恐れがある。
<光学レンズ>
本発明の膜は、700~1900nmの波長領域において高屈折率となり、赤外線通信機器用の光学レンズとして好適である。
なお、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、ドーム状、シート状等、任意の形状に成形し、膜を作製することができる。
例えば、次のようにして成形することができる。ガラス等の透明基板上に、本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物をポッティングし、その上から所望の成形加工型を押し当てることにより、上記成形加工型内へ感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を充填させ、そこへ光照射を行うことにより硬化させることができる。そして、その後、上記成形加工型を取り外すことにより、透明基板上で一体化された感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の硬化物を得ることができる。あるいは、光を透過する透明型内へ感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を充填し光硬化させることも可能である。このような製法により、例えばハイブリッドレンズを作製することができる。また、本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物は、成形加工型内でそれ自身単独で硬化させて光学レンズ等の光学部品とすることもできる。
また、マイクロレンズとして成形することもできる。マイクロレンズの製造方法の1つとして、エッチバック法が知られている。本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物の塗膜上にレジストパターンを形成し、熱処理によってこのレジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレジストパターンをリフローして形成したレンズパターンをエッチングマスクとして、下層の本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物の塗膜をエッチバックし、レンズパターン形状を本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物の膜に転写することによってマイクロレンズを作製する。また、マイクロレンズの別の製造方法として、本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を露光・現像することによりレジストパターンを形成し、熱処理によりリフローすることにより、マイクロレンズを作製する方法もある。
<プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物>
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物として好適に使用することができる。プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物には、例えば、300℃の高温での加熱後でも変色しない耐久性が要求される。これに対し、本発明のプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物によれば、優れた耐熱性を容易に得ることができる。
上記プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物において、樹脂(II)として使用する樹脂は、特に限定されないが、部分的に結晶性を有する樹脂が好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレン等をモノマー成分として用いたホモポリマー又はコポリマー等であってよい。より具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。その他の有用な樹脂の具体例として、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性アイオノマー樹脂等が挙げられる。
上記樹脂は、ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。上記樹脂は、少なくともポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン樹脂を使用した場合、着色組成物における分散性、耐候性、及び耐熱性の特性向上において、より顕著な効果が得られる傾向がある。
プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物としては、色素として機能する近赤外線吸収性化合物(I)を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチ、又はカラーチップと称されるペレット状の形態(以下、プラスチック用近赤外線吸収剤ともいう)が挙げられる。
プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物は、所望とする効果を阻害せず、かつ衛生上問題ない範囲で、他の添加成分を更に含んでもよい。
添加成分としては、ワックス又その誘導体;重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん;ハイドロタルサイト;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、 アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤;エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤;酸化防止剤や紫外線吸収剤;加工助剤;充填剤;公知のポリマー用の各種添加剤等が挙げられる。また、色調を調整することを目的として、必要に応じて、無機顔料、近赤外線吸収性化合物(I)以外のその他の近赤外線吸収性色素を添加してもよい。
<プラスチック成形品>
本発明のプラスチック成形品は、本発明のプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物を含むことを特徴とする。
カラーチップ等のプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、及びプラスチック成形材料からなるプラスチック成形品を得るための成形方法は特に限定されない。成形方法として、ブロー成形、インフレーション成形、押出し成形、エンゲル成形、真空成形等が挙げられる。プラスチック用着色剤、及びプラスチック成形材料に含まれる近赤外線吸収性化合物(I)の分散性、耐熱性の向上によって、成形時に高温で加熱した後でも、変色が起こらず、所望とる色相を良好に維持したプラスチック成形品を得ることができる。
(光記録媒体)
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、光記録媒体として使用できる。近赤外線吸収性樹脂組成物から形成した被膜または成形体に近赤外線を照射すると、色素の結晶状態が変化し、被膜または成形体の屈折率が変わる。この原理は、光ディスクなどの記録媒体に用いられている。
(レーザー溶着材・レーザーマーキング材)
本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、レーザー溶着材またはレーザーマーキング材として使用できる。近赤外線吸収性樹脂組成物から形成した被膜または成形体に、近赤外線吸収性色素近赤外線吸収性化合物(I)が吸収する波長のレーザーを照射すると、近赤外線吸収性化合物(I)がレーザー光を吸収し発熱することで樹脂が溶融・炭化する。溶融する場合に、他の樹脂と溶着させることができるため、マーキングが可能となる。
以下に、本発明を製造例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」とは「質量部」を意味する。また、「PGMAC」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
(化合物の同定方法)
本発明に用いた化合物の同定には、赤外吸収スペクトル、およびMALDI TOF-MSスペクトルを用いた。MALDI TOF-MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたポジティブモードにおけるマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。また、組成は、得られたマススペクトラムにおいて、全分子イオンピーク強度の総和に対する各分子イオンピーク強度(相対強度)を算出し、それらの相対強度比をモル比とみなした。赤外吸収スペクトルは、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)社製のNicolet is5 FT/IR-410を使用して、分解能2cm-1、ATR法にて測定した。
(近赤外線吸収性樹脂組成物の水分量の測定方法)
カールフィッシャー滴定装置(三菱化学社製の容量滴定式水分測定装置KF-06型)を用いて水分量(mg)を測定し、下記式により水分量(%)を算出した。
水分量(%)=〔水分量(mg)/測定サンプル量(mg)〕×100
(近赤外線吸収性樹脂組成物の特定金属原子の測定方法)
近赤外線吸収性樹脂組成物の特定金属原子の量は、近赤外線吸収性樹脂組成物を180℃で乾燥させた粉末を、マイク波にて分解した後、アジレントテクノロジー製ICP発光分析装置Varian720-ESにより測定した。
(樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価)
樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価は、0.1Nの水酸化カリウム・エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって求めた。樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の酸価は、不揮発分の酸価を示す。
(酸性樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw))
酸性樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(塩基性樹脂型分散剤の重量平均分子量(Mw))
塩基性樹脂型分散剤の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒に3mMトリエチルアミン及び10mMLiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(合成例の重量平均分子量(Mw))
合成例の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8320GPC)で、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
(樹脂型分散剤のアミン価)
樹脂型分散剤のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。樹脂型分散剤のアミン価は、不揮発分のアミン価を示す。
(樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価)
樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、不揮発分の4級アンモニウム塩価を示す。
(合成例1-1)

(A-1)10g、(A-2)を6.99g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを211mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを140mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)13,500で重合度nは18の化合物(1-1)を2.94g得た。
(合成例1-2)

(A-3)を10g、(A-4)を11.11g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを243mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを161mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)27,400で重合度nは32の化合物(1-2)を4.76g得た。
(合成例1-3)

(A-5)を10g、(A-6)を6.08g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム226mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを174mg、テトラメチルエチレンジアミンを143mg、炭酸セシウムを12.1g、ピバル酸を1.3g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)17,100は重合度nは15の化合物(1-3)5.08g得た。
(合成例1-4)

(A-7)を10g、(A-8)を10.99g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを220mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを147mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)41,200で重合度nは41の化合物(1-4)を8.71g得た。
(合成例1-5)

(A-9)を10g、(A-10)を6.44g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを143mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを95mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)62,600で重合度nは45の化合物(1-5)を6.63g得た。
(合成例1-6)

(A-7)を10g、(A-11)を12.05g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを220mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを147mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)35,000で重合度nは32の化合物(1-6)を9.74g得た。
(合成例1-7)

(A-9)を10g、(A-12)を5.58g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを143mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを95mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)45,200で重合度nは36の化合物(1-7)を5.99g得た。
(合成例1-8)

(A-13)を10g、(A-14)を8.72g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを199mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを133mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)29,400で重合度nは30の化合物(1-8)を6.20g得た。
(合成例1-9)

(A-15)を10g、(A-16)を10.72g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを236mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを157mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)26,900で重合度nは31の化合物(1-9)を7.84g得た。
(合成例1-10)

化合物(A-17)を10g、化合物(A-18)を7.18g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを150mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを100mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)54,500で重合度nは40の化合物(1-10)を6.02g得た。
(合成例1-11)

(A-19)を10g、(A-2)を6.08g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを184mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを122mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)22,500で重合度nは26の化合物(1-11)を5.64g得た。
(合成例2-1)

(A-20)を10g、(A-21)を8.14g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム284mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを219mg、テトラメチルエチレンジアミンを180mg、炭酸セシウムを15.2g、ピバル酸を1.6g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)22,200で重合度nは22の化合物(2-1)6.42g得た。
(合成例2-2)

(A-22)を10g、(A-23)を10.54g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを250mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを166mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)39,900で重合度nは52の化合物(2-2)を6.49g得た。
(合成例2-3)

(A-24)を10g、(A-25)を13.43g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを261mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを174mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)28,000で重合度nは31の化合物(2-3)を8.25g得た。
(合成例2-4)

(A-26)を10g、(A-27)を7.85g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを168mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを111mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)40,100で重合度nは33の化合物(2-4)を5.66g得た。
(合成例2-5)

(A-28)を10g、(A-16)を14.12g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを311mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを207mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)29,300で重合度nは43の化合物(2-5)を8.57g得た。
(合成例2-6)

(A-29)を10g、(A-30)を15.57g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを327mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを217mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)28,900で重合度nは40の化合物(2-6)を7.23g得た。
(合成例3-1)

(A-31)を10g、(A-10)を13.36g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを297mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを198mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)18,300で重合度nは26の化合物(3-1)5.47g得た。
(合成例3-2)

(A-32)を10g、(A-18)を11.61g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを242mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを161mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)26,900で重合度nは30の化合物(3-2)6.40g得た。
(合成例3-3)

(A-33)を10g、(A-21)を8.14g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム284mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを219mg、テトラメチルエチレンジアミンを180mg、炭酸セシウムを15.2g、ピバル酸を1.6g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)24,200で重合度nは24の化合物(3-3)5.95g得た。
(合成例3-4)

(A-34)を10g、(A-35)を8.92g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム261mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを201mg、テトラメチルエチレンジアミンを166mg、炭酸セシウムを14g、ピバル酸を1.5g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)30,300で重合度nは26の化合物(3-4)6.66g得た。
(合成例3-5)

(A-36)を10g、(A-37)を11.4g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを211mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを140mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)42,600で重合度nは38の化合物(3-5)6.71g得た。
(合成例3-6)

(A-38)を10g、(A-39)を6.86g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを168mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを111mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)28,700で重合度nは26の化合物(3-6)4.96g得た。
(合成例3-7)

(A-38)を10g、(A-40)を7.23g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを168mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを111mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)31,600で重合度nは29の化合物(3-7)4.78g得た。
(合成例4-1)

(A-41)を10g、(A-42)を7.59g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム230mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを177mg、テトラメチルエチレンジアミンを146mg、炭酸セシウムを12.3g、ピバル酸を1.3g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)24,800で重合度nは20の化合物(4-1)4.98g得た。
(合成例4-2)

(A-43)を10g、(A-44)を6.38g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム183mg、トリ(o-アシニル)ホスフィンを141mg、テトラメチルエチレンジアミンを116mg、炭酸セシウムを9.78g、ピバル酸を1.0g、脱水トルエン250mlを加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)33,300で重合度nは23の化合物(4-2)4.35g得た。
(合成例4-3)

(A-45)を10g、(A-11)を11.39g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを208mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを139mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)46,800で重合度nは41の化合物(4-3)7.74g得た。
(合成例4-4)

(A-46)を10g、(A-25)を9.77g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを190mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを126mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)51,300で重合度nは44の化合物(4-4)5.57g得た。
(合成例4-5)

(A-47)を10g、(A-48)を7.63g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを169mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを112mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)42,200で重合度nは36の化合物(4-5)4.33g得た。
(合成例4-6)

(A-49)を10g、(A-50)を6.11g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを140mg、トリ(o-トリル)ホスフィンを93mg、脱水トルエンを250ml加え、窒素雰囲気下、110℃で18時間撹拌した。撹拌終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール500mlに注いだ。析出した固体をろ取し、メタノール、水、アセトンの順に洗浄した。ソックスレー抽出装置を用い、得られた固体をメタノール、アセトン、ヘキサンで洗浄し、重量平均分子量(Mw)47,700で重合度nは35の化合物(4-6)4.08g得た。
比較化合物として、下記構造式で表される化合物を用いた。
(比較化合物1)
(比較化合物2:BASF社製 Irgaphor Black S 0100 CF)
(比較化合物3:特開2007-211174号公報 化合物5
(比較化合物例4:特開2016-65218号公報 化合物(A-1)

重量平均分子量(Mw)12,800で重合度nは18
<バインダ樹脂溶液の製造方法>
(バインダ樹脂(B-1)溶液の製造)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0gを仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4g、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加してバインダ樹脂(B-1)溶液を調製した。
(バインダ樹脂(B-2)溶液の製造)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370gを仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート18g、ベンジルメタクリレート10g、グリシジルメタクリレート18.2g、メタクリル酸メチル25g、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0gをシクロヘキサノン50gで溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3g(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5g及びハイドロキノン0.1gを上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5g(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5gを加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(B-2)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
(バインダ樹脂(B-3)溶液の製造)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc207gを仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20g、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックス(登録商標)M110」)20g、メタクリル酸メチル45g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5g、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製「カレンズ(登録商標)MOI」)6.5g、ラウリン酸ジブチル錫0.08g、PGMAc26gの混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加してバインダ樹脂(B-3)溶液を調製した。重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
<樹脂型分散剤溶液の製造方法>
(塩基性樹脂型分散剤(C-1)溶液の製造)
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、N,N-ジメチルプロパンジアミン41g、クロロホルム120gを仕込み、室温で撹拌し、メタクリル酸クロリド50gを1時間かけて滴下した。室温で3時間撹拌後、H-NMRで反応が完結していることを確認したのち、反応溶液を、イオン交換水300g、飽和食塩水200gで順次洗浄後、有機層に硫酸マグネシウム20gを加え、撹拌後、ろ過を行った。得られた溶液中の溶媒をロータリーエバポレーターで留去し、淡黄色透明の液体として、下記式(5)で表される化合物[B]を58g得た(収率85%)。得られた化合物の同定は、H-NMRで実施した。
式(5)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート15.7g、n-ブチルメタクリレート47.2g、テトラメチルエチレンジアミン13.2gを仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6g、塩化第一銅5.6g、PGMAc100gを仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc25g、第二ブロックモノマーとして、上記化合物[B]30.3gを投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。上記式(5)で表される化合物[B]投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。
さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド6.8gを投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が70mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の塩基性樹脂型分散剤(C-1)溶液を得た。
(塩基性樹脂型分散剤(C-2)溶液の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60g、n-ブチルメタクリレート20g、テトラメチルエチレンジアミン13.2gを仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3g、塩化第一銅5.6g、PGMAc133gを仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61g、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20g(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量9,900(Mw)、不揮発分が40質量%の塩基性樹脂型分散剤(C-2)溶液を得た。
(塩基性樹脂型分散剤(C-3)溶液の製造)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60g、n-ブチルメタクリレート20g、テトラメチルエチレンジアミン13.2gを仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3g、塩化第一銅5.6g、PGMAc133gを仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61g、第二ブロックモノマーとしてメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.6g(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC78」)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量9,800(Mw)、不揮発分が40質量%の塩基性樹脂型分散剤(C-3)溶液を得た。
(酸性樹脂型分散剤(C-4)溶液の製造)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート90g、エチルアクリレート50g、tert-ブチルアクリレート50g、PGMAc50gを仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12gを添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1gをPGMAc90gに加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19g、PGMAc50g、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4gを追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようPGMAcを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500(Mw)の酸性樹脂型分散剤(C-4)溶液を得た。
(樹脂型分散剤(C-5)溶液の製造)
DISPER-BYK111(ビックケミー・ジャパン製;酸価129 mg KOH/g、固形分95%)を樹脂型分散剤1溶液と同様にして希釈して、樹脂型分散剤(C-5)溶液を調製した。
<近赤外吸収性組成物の製造>
[実施例1]
(近赤外線吸収性樹脂組成物(D-1))
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、1.5μmのフィルタで濾過し、近赤外線吸収性樹脂組成物を作製した。
化合物(1-1) :12部
樹脂型分散剤(C-1)溶液 :20部
PGMAc :68部
[実施例2~77、比較例1~4]
(近赤外線吸収性樹脂組成物(D-2)~(D-81))
以下、化合物、樹脂型分散剤溶液、バインダ樹脂溶液、PGMAcを表5-1、5-2に示す組成、量に変更した以外は近赤外線吸収性樹脂組成物(D-1)と同様にして、近赤外線吸収性樹脂組成物(D-2)~(D-81)を調整した。
<近赤外線吸収性樹脂組成物の評価>
実施例および比較例で得られた近赤外線吸収性樹脂組成物(D-1~81)について、保存安定性、近赤外領域の遮光性、耐熱性、耐光性に関する評価試験を下記の方法で行った。結果を表6-1、6-2に示す。
(保存安定性の評価)
得られた近赤外線吸収性樹脂組成物(D)の翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数20rpmという条件で測定した。この初期粘度、および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、保存安定性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
経時粘度変化率=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100

5:変化率5%未満
4:変化率5%以上、10%未満
3:変化率10%以上、15%未満
2:変化率15%以上、20%未満
1:変化率20%以上
(近赤外領域の遮光性の評価)
得られた近赤外線吸収性樹脂組成物(D)を、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターの回転数を調節し塗布した。塗布後、60℃のホットプレートで1分間プリベーク後、230℃で20分ポストベーク加熱し、基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、作製した基板の極大吸収波長(700~1900nm)における透過率を算出することで近赤外領域の遮光性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。

5:極大吸収波長における透過率が2.0%未満
4:極大吸収波長における透過率が2.0%以上、4.0%未満
3:極大吸収波長における透過率が4.0%以上、5.5%未満
2:極大吸収波長における透過率が5.5%以上、7.0%未満
1:極大吸収波長における透過率が7.0%以上
(耐熱性試験)
近赤外領域の遮光性の評価と同じ手順で試験用基板を作製し、次いで、耐熱性試験として230℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定した。この追加加熱前分光、および追加加熱後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐熱性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満
(耐光性試験)
近赤外領域の遮光性の評価と同じ手順で試験用基板を作製し、次いで、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、光照射前後の吸光度を測定した。この照射前分光、および照射後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐光性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満

表6-1、6-2の結果より、本発明の近赤外線吸収性樹脂組成物は、保存安定性が良好で、近赤外領域の遮光性に優れ、更には耐熱性、耐光性に優れている。
<感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の製造>
[実施例78]
(感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-1))
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-1)を得た。
近赤外線吸収性樹脂組成物(D-1) :56.25質量部
バインダ樹脂(B-1)溶液 :9.12質量部
光重合開始剤(E) :0.225質量部
光重合性単量体(F) :1.50質量部
エポキシ化合物(G) :0.02質量部
オキセタン化合物(H) :0.02質量部
増感剤(I) :0.02質量部
チオール系連鎖移動剤(J) :0.02質量部
重合禁止剤(K) :0.02質量部
紫外線吸収剤(L) :0.02質量部
酸化防止剤(M) :0.02質量部
レベリング剤(N) :0.67質量部
貯蔵安定剤(O) :0.02質量部
シランカップリング剤(P) :0.02質量部
有機溶剤(Q) :32.05質量部
[実施例79~161、比較例5~8]
以下、近赤外線吸収性樹脂組成物、バインダ樹脂、光重合開始剤、光重合性単量体、有機溶剤を表7-1、7-2に示す組成、量に変更した以外は感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-1)と同様にして、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-2~R-88)を調整した。

なお、それぞれの原料については、以下の通りである。
(光重合開始剤(E))
(E-1)2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン
[イルガキュア379(BASFジャパン社製)]
(E-2)エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)
[イルガキュアOXE02(BASFジャパン社製)]
(E-3)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド
[イルガキュア819(BASFジャパン社製)]
(E-4)イルガキュアOXE04(BASFジャパン社製)
(E-5)アデカアークルズNCI-831(株式会社ADEKA社製)
(E-6)TR-PBG-345(常州強力新材料社製)
(E-7)
化学式(6)
Figure 2024090209000052

(E-8)
化学式(7)
Figure 2024090209000053

(E-9)
化学式(8)
Figure 2024090209000054

(E-10)
化学式(9)
Figure 2024090209000055

以上、(E-1)~(E-10)をそれぞれ同量にて混合し、光重合開始剤(E)とした。
(光重合性単量体(F))
(F-1)トリメチロールプロパントリアクリレート
[アロニックスM309(東亞合成社製)] 平均官能基数3~4
(F-2)ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート
[アロニックスM402(東亞合成社製)] 平均官能基数5~6
(F-3)多塩基酸性アクリルオリゴマー
[アロニックスM510(東亞合成社製)]
(F-4)多塩基酸性アクリルオリゴマー
[アロニックスM520(東亞合成社製)]
(F-5)カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[KAYARAD DPCA-30(日本化薬社製)] 平均官能基数5~6
以上、(F-1)~(F-5)をそれぞれ同量にて混合し、光重合性単量体(F)とした。
(エポキシ化合物(G-1))
(G-1)2,2’-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-
エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物
[EHPE-3150(ダイセル社製)]、
(G-2)ソルビトールのグリシジルエーテル化エポキシ化合物
[デナコールEX611(ナガセケムテックス社製)]、
(G-3)イソシアヌル酸トリグリシジル
以上、(G-1)~(G-3)をそれぞれ同量混合し、エポキシ化合物(G)とした。
(オキセタン化合物(H))
3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン
[アロンオキセタンOXT-221(東亞合成社製)]
(増感剤(I))
(I-1)2,4-ジエチルチオキサントン
[カヤキュアDETX-S(日本化薬社製)]
(I-2)4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
[CHEMARK DEABP(Chemark Chemical社製)]
以上、(I-1)、(I-2)をそれぞれ同量にて混合し、増感剤(I)とした。
(チオール系連鎖移動剤(J))
(J-1)トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)
[TEMB(昭和電工社製)]
(J-2)トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
[TPMB(昭和電工社製)]
(J-3)ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
[PEMP(堺化学工業社製)]
(J-4)トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
[TMMP(堺化学工業社製)]
(J-5)トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
[TEMPIC(堺化学工業社製)]
以上、(J-1)~(J-5)をそれぞれ同量にて混合し、チオール系連鎖移動剤(J)とした。
(重合禁止剤(K))
(K-1)3-メチルカテコ-ル
(K-2)メチルヒドロキノン
(K-3)t-ブチルヒドロキノン
以上、(K-1)~(K-3)をそれぞれ同量にて混合し、重合禁止剤(K)とした。
(紫外線吸収剤(L))
(L-1)2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン
[TINUVIN400(BASFジャパン社製)]
(L-2)2-(2H-ベンゾトリアゾ-ル-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール
[TINUVIN900(BASFジャパン社製)]
以上、(L-1)、(L-2)をそれぞれ同量にて混合し、紫外線吸収剤(L)とした。
(酸化防止剤(M))
(M-1)ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(M-2)3,3'-チオジプロパン酸ジオクタデシル
(M-3)トリス[2,4-ジ-(t)-ブチルフェニル]ホスフィン
(M-4)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
(M-5)サリチル酸p-オクチルフェニル
以上、(M-1)~(M-5)をそれぞれ同量にて混合し、酸化防止剤(M)とした。
(レベリング剤(N))
(N-1)ビックケミー社製「BYK-330 」
(N-2)DIC社製「メガファックF-551」
(N-3)花王社製「エマルゲン103」
以上、(N-1)~(N-3)をそれぞれ1部混合し、PGMAc97部に溶解させた混合溶液をレベリング剤(N)とした。
(貯蔵安定剤(O))
(O-1)2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール
(本州化学工業社製「BHT」)
(O-2)トリフェニルホスフィン
(北興化学工業社製「TPP」)
以上、(O-1)、(O-2)をそれぞれ同量にて混合し、貯蔵安定剤(O)とした。
(シランカップリング剤(P))
(P-1)3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-403(信越化学工業社製)]
(P-2)3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBE-503(信越化学工業社製)]
(P-3)N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-603(信越化学工業社製)]
(P-4)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[信越シリコーン シランカップリング剤KBM-803(信越化学工業社製)]
以上、(P-1)~(P-4)をそれぞれ同量にて混合し、シランカップリング剤(P)とした。
(有機溶剤(Q))
(Q-1)PGMAc 30部
(Q-2)シクロヘキサノン 30部
(Q-3)3-メトキシブタノール 10部
(Q-4)プロピレングリコールモノメチルエーテル 10部
(Q-5)シクロヘキサノールアセテート 10部
(Q-6)ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート 10部
以上、(Q-1)~(Q-6)をそれぞれ上記質量部にて混合し、溶剤(Q)とした。
<感光性近赤外線吸収性樹脂組成物の評価>
実施例および比較例で得られた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-1)~(R-88)について、保存安定性、近赤外領域の遮光性、耐熱性、耐光性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表8-1、8-2に示す。
(保存安定性の評価)
得られた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R)の翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。この初期粘度、および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、保存安定性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
経時粘度変化率=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100

5:変化率5%未満
4:変化率5%以上、10%未満
3:変化率10%以上、15%未満
2:変化率15%以上、20%未満
1:変化率20%以上
(近赤外領域の遮光性の評価)
得られた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R)を、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターの回転数を調節し塗布した。塗布後、60℃のホットプレートで1分間プリベーク後、超高圧水銀灯USH-200DP(ウシオ電機(株)製)を用いて100mJ/cmの紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分ポストベーク加熱し、基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、作製した基板の極大吸収波長(700~1900nm)における透過率を算出することで近赤外領域の遮光性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。

5:極大吸収波長における透過率が2.0%未満
4:極大吸収波長における透過率が2.0%以上、4.0%未満
3:極大吸収波長における透過率が4.0%以上、5.5%未満
2:極大吸収波長における透過率が5.5%以上、7.0%未満
1:極大吸収波長における透過率が7.0%以上
(耐熱性試験)
近赤外領域の遮光性の評価と同じ手順で試験用基板を作製し、次いで、耐熱性試験として230℃で20分追加加熱した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定した。この追加加熱前分光、および追加加熱後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐熱性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満
(耐光性試験)
近赤外領域の遮光性の評価と同じ手順で試験用基板を作製し、次いで、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。近赤外線吸収膜の分光極大吸収波長における吸光度を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、光照射前後の吸光度を測定した。この照射前分光、および照射後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐光性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満
表8-1、8-2の結果より、本発明の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R)は、近赤外線吸収性樹脂組成物(D)と同様に、保存安定性が良好で、近赤外領域の遮光性に優れ、更には耐熱性、耐光性に優れている。
<近赤外線カットフィルタの製造>
[実施例162]
(近赤外線吸収性カットフィルタ(S-1))
得られた感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-4)を、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターの回転数を調節し塗布した。塗布後、100℃のホットプレートで1分間プリベーク後、超高圧水銀灯USH-200DP(ウシオ電機(株)製)を用いて100μm四方の近赤外吸収カットフィルタを形成するためフォトマスクを通して露光量1000mJ/cmにてパターン露光を行った。0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、被膜の未硬化部分を除去して400μm×400μmのパターンを形成させた。その後100℃で120分ポストベーク加熱し、基板を作製した。
[実施例163~169]
(近赤外線吸収性カットフィルタ(S-2)~(S-8))
以下、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-4)を表9に示す感光性近赤外線吸収性樹脂組成物に変更した以外は近赤外線吸収性カットフィルタ(S-1)と同様にして、近赤外線吸収性カットフィルタ(S-2~S-8)を調整した。
<近赤外線カットフィルタの評価>
近赤外線吸収性カットフィルタ(S-1)~(S-8)について、近赤外領域の遮光性に関する試験を感光性近赤外線吸収性樹脂組成物評価と同様な方法で行った。結果を表9に示す。
表9の結果から、実施例162~169は、近赤外領域の遮光性に優れていた。
<400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含有する近赤外線吸収性樹脂組成物(可視光・近赤外領域吸収性組成物)の製造>
(青色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、1.5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントブルー PB15:6 :10.0部
樹脂型分散剤(C-1)溶液 : 7.5部
バインダ樹脂(B-1)溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
(紫色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、1.5μmのフィルタで濾過し、紫色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントバイオレット PV23 :10.0部
樹脂型分散剤(C-1)溶液 : 7.5部
バインダ樹脂(B-1)溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
(黄色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、1.5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントイエロー PY139 :10.0部
樹脂型分散剤(C-1)溶液 : 7.5部
バインダ樹脂(B-1)溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
[実施例170]
(可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-1)を得た。

近赤外線吸収性樹脂組成物(D-4) :10.0部
青色着色組成物 :20.0部
紫色着色組成物 :10.0部
黄色着色組成物 :10.0部
バインダ樹脂(B-1)溶液 : 7.5部
光重合開始剤(E) : 2.5部
光重合性単量体(F) : 1.0部
PGMAc :39.0部
[実施例171~177、比較例9、10]
(可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-2)~(T-10))
以下、近赤外線吸収性樹脂組成物を表10に示す近赤外線吸収性樹脂組成物の種類に変更した以外は可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-1)と同様にして可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-2)~(T-10)を得た。
<可視光・近赤外領域吸収性組成物の評価>
得られた可視光・近赤外領域吸収性組成物(T-1)~(T-10)について、下記の通り、400~700nmおよび700~1900nmにおける遮光性、保存安定性、凝集異物の評価を行った。結果を表10に示す。
(400~700nmおよび700~1900nmにおける遮光性の評価)
得られた可視光・近赤外領域吸収性組成物(T)を、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターの回転数を調節し塗布した。塗布後、60℃のホットプレートで1分間プリベーク後、超高圧水銀灯USH-200DP(ウシオ電機(株)製)を用いて100mJ/cmの紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分ポストベーク加熱し、基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、作製した基板の400~700nm、および700~1900nmにおける透過スペクトルを測定し、近赤外領域の遮光性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。

(400~700nmの遮光性)
5:400~700nm全領域において、透過率が3%未満
3:400~700nm全領域において、透過率が3%以上、7%未満
1:400~700nm全領域において、透過率が7%以上

(700~1900nmの遮光性)
5:700~1900nmの領域において、最小透過率が5%未満
3:700~1900nmの領域において、最小透過率が5%以上、10%未満
1:700~1900nmの領域において、最小透過率が10%以上
(保存安定性)
得られた可視光・近赤外領域吸収性組成物(T)の翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数20rpmという条件で測定した。この初期粘度、および経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、保存安定性を評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。
経時粘度変化率=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100

5:変化率5%未満
4:変化率5%以上、10%未満
3:変化率10%以上、15%未満
2:変化率15%以上、20%未満
1:変化率20%以上
(凝集異物の評価)
400~700nmにおける遮光性の評価と同じ手順で試験用基板を作製し、評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。3以上が実用上問題なく使用できる。

5:異物の数が5個以上、10個未満
4:異物の数が10個以上、20個未満
3:異物の数が20個以上、40個未満
2:異物の数が40個以上、60個未満
1:異物の数が60個以上
表10の結果から実施例170~177は、近赤外線吸収性樹脂組成物と400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を共に含むことで、400~1900nm領域の光を吸収している。更に、保存安定性、凝集異物が優れている。
<プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、およびプラスチック成形品の製造>
(熱可塑性樹脂(U))
(U-1)ポリエステルMA-2101M(ポリエステル樹脂、ユニチカ社製、結晶性樹脂、融点264℃)
(U-2)アミランCM3001-N(ポリアミド樹脂、東レ社製、結晶性樹脂、融点265℃)
(U-3)ユーピロンS-3000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度145℃)
(U-4)トパス(シクロオレフィン樹脂、ポリプラスチックス社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度78℃)
(U-5)アペル(シクロオレフィン樹脂、三井化学社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度135℃)
(U-6)ULTEM(ポリエーテルイミド樹脂、サウジ基礎産業公社製、非晶性樹脂、ガラス転移温度217℃)
[実施例178]
(マスターバッチの製造)
化合物(1-1)を1部と、熱可塑性樹脂(U-1)99部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(V-1)を作製した。
(フィルム成形)
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(U-1)95部に対して、得られたマスターバッチ(V-1)5部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(W-1)を成形した。
[実施例179~196、比較例11~14]
実施例178と同様に、表11記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(W-2)~(W-23)を成形した。
<フィルムの評価>
得られたフィルム(W)について、下記の通り、700~1900nmにおける遮光性、、均一性、耐光性の評価を行った。結果を表11に示す。
(遮光性評価)
得られたフィルム(W)について、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、作製したフィルムの極大吸収波長(700~1900nm)における透過率を算出することで近赤外領域の遮光性を評価した。2以上が実用上問題なく使用できる。

5:極大吸収波長の透過率が5.0%未満
4:極大吸収波長の透過率が5.0%以上、6.5%未満
3:極大吸収波長の透過率が6.5%以上、8.5%未満
2:極大吸収波長の透過率が8.5%以上、10.0%未満
1:極大吸収波長の透過率が10.0%以上
(フィルムの均一性)
得られたフィルム(W)の均一性を目視で評価した。

5:フィルムに色むら、偏りがない
3:フィルムの色むら、偏りが1箇所以上、3箇所未満
1:フィルムに色むら、偏りが3箇所以上
(耐光性)
得られたフィルム(W)に対し、次いで、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。フィルムの分光極大吸収波長における吸光度を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、光照射前後の吸光度を測定した。この照射前分光、および照射後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐光性を評価した。2以上が実用上問題なく使用できる。

残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満
表11の結果から、実施例178~196は、近赤外線の遮光性とフィルムの均一性に優れ、更には耐光性に優れている
<プラスチック用可視光・近赤外線吸収性樹脂組成物の製造>
[実施例197]
(マスターバッチの製造)
化合物(1-1)を1部、ピグメントブルー15:3を1部、ピグメントイエロー147を1部、ソルベントレッド52を1部、熱可塑性樹脂(U-1)96部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、300℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチ(VP-1)を作製した。
(フィルム成形)
希釈樹脂の熱可塑性樹脂(U-1)95部に対して、得られたマスターバッチ(VP-1)5部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度300℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルム(WP-1)を成形した。
[実施例198~215、比較例15~18]
実施例197と同様に、表12記載の材料を用いて、厚さ250μmのフィルム(WP-2)~(WP-23)を成形した。
<フィルムの評価>
得られたフィルム(WP)について、下記の通り、400~700nm、ならびに700~1900nmにおける遮光性、フィルムの均一性、耐光性の評価を行った。結果を表13に示す。
(遮光性評価)
得られたフィルム(WP)に対し、400~700nm、ならびに700~1900nmの波長域の遮光性を評価した。
(400~700nm遮光性)
得られたフィルム(VP)に対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて400~700nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。

5:400~700nm全領域において、透過率が2%未満
3:400~700nm全領域において、透過率が2%以上、4%未満
1:400~700nm全領域において、透過率が4%以上
(700~1900nm遮光性)
得られたフィルム(WP)に対し、分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて700~1900nmの波長範囲の透過スペクトルを測定した。

5:700~1900nmの領域において、最小透過率が5%未満
3:700~1900nmの領域において、最小透過率が5%以上、10%未満
1:700~1900nmの領域において、最小透過率が10%以上
(フィルムの均一性)
得られたフィルム(WP)の均一性を目視で評価した。

5:フィルムに色むら、偏りがない
3:フィルムの色むら、偏りが1箇所以上、3箇所未満
1:フィルムに色むら、偏りが3箇所以上
(耐光性)
得られたフィルム(WP)に対し、次いで、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。フィルムの分光極大吸収波長における吸光度を分光光度計(U-4100 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、光照射前後の吸光度を測定した。この照射前分光、および照射後分光の値から、下記式で残存率を算出し、耐光性を評価した。2以上が実用上問題なく使用できる。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100

5:残存率 が97%以上
4:残存率 が94%以上、97%未満
3:残存率 が90%以上、94%未満
2:残存率 が85%以上、90%未満
1:残存率 が85%未満
表13の結果から実施例197~215は、近赤外線吸収性化合物(I)と400~700nmに極大吸収波長を有する化合物を共に含むことで、700~1900nmの近赤外線領域に加え、400~700nm全領域の光を吸収し、更に、フィルムの均一性と耐光性に優れている。
<光導波路の製造>
[実施例216]
(光ファイバ接続用光導波路(X-1))
(1)ファイバカッタを用い、2 本の長さ約1 m の石英シングルモードモード光ファイ(駿河精機社製、コア径10μm) を2本用意した。また、これら2本の光ファイバの端面を研磨した。
(2)次に、2本の光ファイバの向き合う端面の空隙( 以後、ギャップと称する) を100μm となるように、光ファイバ用V 溝基板( モリテックス社製、石英V 溝)に付き合わせて配置した。
(3)光ファイバが配置された系全体に、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-4)を充填した。その後、透明ガラスをV溝押さえ板として充填部に蓋をする形で、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物及び、光ファイバをV溝上で動かないように挟持した。
(4)一方の光ファイバのつき合わせられていない端面に、波長1,310nmまたは1,550nmで、出射側の端面での光強度が1.25μWとなる光を所定時間で入射した。その後、照度70mW/cm2 となる高圧水銀ランプで90秒照射することで感光性近赤外線吸収性樹脂組成物全体を硬化させた。顕微鏡(キーエンス社製VH-7000) を用いて感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を観察したところ、NFP像から光導波路が形成されていることを確認した。
なお、近赤外線レーザー光源は、(a)中心波長(λ)1,310n m(プレサイスゲージ株式会社製LDS1003シリーズ、(b)波長(λ)1,550n m(キーサイト・テクノロジ社製N7711A-210)を使用する。
[実施例217~223、比較例19~22]
(光ファイバ接続用光導波路(X-2~12))
以下、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物(R-4)を表14に示す感光性近赤外線吸収性樹脂組成物に変更した以外は光ファイバ接続用光導波路(X-1)と同様にして、光ファイバ接続用光導波路(X-2~X-12)を調整した。
<光導波路の評価>
得られた光ファイバ接続用光導波路(X-1)~(X-12)について、下記の通り、近赤外線レーザー光1,310nmおよび1,550nmにおける光ファイバ接続に必要とされる近赤外線レーザー光照射時間を評価した。結果を表14に示す。3以上が実用上問題なく使用できる。

5:近赤外線レーザー光照射時間が、20秒未満
4:近赤外線レーザー光接続照射時間が20秒以上、30秒未満
3:近赤外線レーザー光照射時間が30秒以上、40秒未満
2:近赤外線レーザー光照射時間が40秒以上、60秒未満
1:近赤外線レーザー光照射時間が60秒以上
表14の結果から実施例216~223は、近赤外線吸収性樹脂組成物が光通信波長である1,310nmや1,550nmに吸収特性を保有するため。光ファイバへの接続性の高い自己形成光導波路を作製できる。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)~(4)で表される構造を有し、波長700nmを超え1900nm 以下の範囲に極大吸収波長を有する近赤外線吸収性化合物(I)と、樹脂(II)(ただし、近赤外線吸収性化合物(I)を除く)とを含むことを特徴とする近赤外線吸収性樹脂組成物。


    [一般式(1)~(4)中、R~R10はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリ-ル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。
    AおよびBは、それぞれ独立に、下記に示すいずれかの構造を表す。
    ~nはそれぞれ独立に、1以上1000以下の整数を表す。]








    [式中、X~X20はそれぞれ独立に、S、O、NR11、SiR1213、Seを表す。
    11~R33はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子、水素原子を表す。]
  2. さらに、溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収性樹脂組成物。
  3. さらに、波長400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収性樹脂組成物。
  4. 請求項2に記載の近赤外線吸収性樹脂組成物と、光重合性単量体および/または光重合開始剤とを含むことを特徴とする感光性近赤外線吸収性樹脂組成物。
  5. 請求項1~3いずれか1項に記載の近赤外線吸収性樹脂組成物、または請求項4に記載の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする膜。
  6. 基材上に、請求項5に記載の膜を有することを特徴とする光学フィルタ。
  7. 請求項6に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線カメラ。
  8. 請求項6に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする固体撮像素子。
  9. 請求項6に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線センサ。
  10. 波長400nm以上700nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物を含む層と、請求項5に記載の膜とを含む層とを有することを特徴とする積層体。
  11. 請求項1記載の近赤外線吸収性樹脂組成物を含むことを特徴とするプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物。
  12. 請求項11に記載のプラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物を含むことを特徴とするプラスチック成形品。
  13. 請求項4記載の感光性近赤外線吸収性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする光導波路。

JP2022205945A 2022-12-22 近赤外線吸収性樹脂組成物、感光性近赤外線吸収性樹脂組成物、膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、積層体、プラスチック用近赤外線吸収性樹脂組成物、プラスチック成形品、および光導波路 Pending JP2024090209A (ja)

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