JP2024088210A - 常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び磁気光学デバイス - Google Patents

常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び磁気光学デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】LuTAG系のレーザー損傷閾値の高い常磁性ガーネット型透明セラミックス、その製造方法、磁気光学材料及び磁気光学デバイスを提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるガーネット型複合酸化物の焼結体を加圧焼結し、加圧焼結体を加圧焼結での処理温度を超える温度に加熱して再焼結し、再焼結体を1400℃以上の酸化雰囲気で酸化アニール処理を行うことで、焼結体に含まれるTb(III)イオンの5D4→7F5遷移に由来する発光の寿命が370μs以上である常磁性ガーネット型透明セラミックスを得ることができる。(Tb1-xLux)3Al5O12(1)(式中、0.05≦x≦0.80である。)磁気光学デバイス100は、上記常磁性ガーネット型透明セラミックスからなるファラデー回転子110と、偏光材料120、130とを備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである。【選択図】図1

Description

本発明は、常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び磁気光学デバイスに関し、より詳細には、可視及び/又は近赤外域において透光性を有する常磁性ガーネット型透明セラミックス、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な上記常磁性ガーネット型透明セラミックスからなる磁気光学材料、並びにそれを用いた磁気光学デバイスに関する。
産業用レーザー加工機には反射光などの光の逆戻りを防ぐ目的で光アイソレータが設けられており、その内部はテルビウム添加ガラスやテルビウムガリウムガーネット結晶(TGG結晶)がファラデー回転子として搭載されている(例えば、特開2011-213552号公報(特許文献1))。ファラデー効果の大きさはベルデ定数で定量化され、TGG結晶のベルデ定数は40rad/(T・m)(0.13min/(Oe・cm))、テルビウム添加ガラスでは0.098min/(Oe・cm)であり、TGG結晶のベルデ定数は比較的大きいことから、標準的なファラデー回転子として広く使用されている。その他に、テルビウムアルミニウムガーネット結晶(TAG結晶)があり、TAG結晶のベルデ定数はTGG結晶の1.3倍程度であることから、ファラデー回転子の長さを短くできるため、ファイバーレーザーに使用可能かつ良好な結晶である(例えば、特開2002-293693号公報(特許文献2)、特開第2004-539464号公報(特許文献3))。
近年、TAGを透明セラミックスで作製する方法が開示されている(例えば、国際公開第2017/033618号(特許文献4)、“High Verdet constant of Ti-doped terbium aluminum garnet (TAG) ceramics”(非特許文献1))。またテルビウムの一部をイットリウムで置換した(Tb1-xAl12(0.2≦x≦0.8、又は0.5≦x≦1.0)(YTAG)の透明セラミックスの作製方法も報告されている(例えば、“Fabrication and properties of (TbxY1-x)3Al5O12 transparent ceramics by hot isostatic pressing”(非特許文献2)、“Development of optical grade (TbxY1-x)3Al5O12 ceramics as Faraday rotator material”(非特許文献3))。さらにテルビウムの一部をルテチウムで置換した単結晶の作製方法も報告されている(例えば、“Magneto-optical performance of (LuTb)3Al5O12single crystal by SSCG method”(非特許文献4)、“Magneto-optical property of terbium-lutetium-aluminum garnet crystals”(非特許文献5))。TAGセラミックスやYTAGセラミックスはTGG単結晶比較で、熱レンズ効果が小さいために、ハイパワー用途に適している材料と言われている。ここで、熱レンズ効果はファラデー素子が透過光を吸収して発熱することで屈折率の変化が生じ、レンズ状になる現象である。熱レンズ効果によりレーザー加工機の焦点位置が移動すると、加工点でデフォーカスされたビームになってしまい加工精度が低下するため好ましくない。そのためファラデー素子の熱レンズ効果を極力小さくする試みが日々行われている。この熱レンズ効果を小さくするためには吸収係数を小さくすることや熱伝導率を高くすることが必要である。
熱伝導率は、材料固有の値であり、結晶構造、組成、欠陥、粒界などに影響される。透明セラミックスの場合、粒界は1nm以下と非常に薄いため、粒界による熱伝導率の影響は小さく、また着色等のない高度に透明なセラミックスの場合では、欠陥は非常に少ないと考えられ、実際に室温においては単結晶と同等レベルの熱伝導率が得られる。そのため、熱伝導率を決めているのは、結晶構造や組成となる。組成による熱伝導率への影響を調べた例として、“Effects of rare-earth doping on thermal conductivity in Y3Al5O12crystals” (非特許文献6)や“Crystal growth and properties of (Lu,Y)3Al5O12” (非特許文献7)がある。これらの非特許文献によると、例えばイットリウムアルミニウムガーネットに他の希土類をドープすると急激に熱伝導率が低下することが示されている。このように、高い熱伝導率を得るためには、なるべく単一組成であることが好ましく、固溶体のような所謂混ぜ物をしてしまうと熱伝導率が低下する恐れがあることを示唆している。一方、熱伝導率が原子量差に影響しているのならば、原子量差が小さいほど熱伝導率の低下が小さいことが考えられる。“Thermal and laser properties of Yb:LuAG for kW thin disk lasers” (非特許文献8)には、ルテチウムアルミニウムガーネットにイッテルビウムを添加した際の熱伝導率が示されている。ルテチウムとイッテルビウムは、原子量差が2と小さいため、熱伝導率の低下は最小限に抑えられていることがわかる。
ところで、近年のパルスレーザーのハイパワー化及び短パルス化により、高いパワー密度のレーザー光が透過することでファラデー回転子が損傷する問題がしばしば発生している。“Optical properties and Faraday effect of ceramic terbium gallium garnet for a room temperature Faraday rotator”(非特許文献9)ではTGG単結晶及びTGG透明セラミックスの波長1,064nmのパルスレーザー光によるレーザー損傷閾値に関する情報が示されている。ファラデー回転子が損傷すると透過率やアイソレーション、ビーム品質が悪くなり、最悪の場合には光アイソレータが故障してしまう。パルスレーザーによる光学損傷は多光子吸収による電離、電子なだれ崩壊、そして不純物による吸収などが考えられる。特に吸収係数が大きい材料ほどレーザー損傷耐力は高い傾向があるため、高いレーザー損傷閾値をもつファラデー回転子を提供するためには吸収の管理が重要である。
吸収量を測定する最も簡便な方法は透過率の測定であるが、透明セラミックスの透過率は吸収と散乱(及び反射)を反映した値となる。透明セラミックスは多くの散乱源を含むため、透過率から微量の吸収量を正確に決定することが困難となる場合がある。
特開2011-213552号公報 特開2002-293693号公報 特開2004-539464号公報 国際公開第2017/033618号 特開2020-67523号公報
以上のように、パルスレーザー加工機のハイパワー化及び短パルス化に伴い、熱レンズ効果が小さくかつ高いレーザー損傷閾値のファラデー回転子が求められている。この課題を解決すべく、発明者らは熱伝導率の向上を目的としてYTAG系のYを、原子量がTbとより近いLuに置換した(Tb1-xLuAl12(式中、0.05≦x≦0.80である。以下、LuTAG)を発明するに至った。しかしながら上記のように熱伝導率が高く、熱レンズ効果が小さいことが期待されるLuTAG透明セラミックスであるが、ファラデー回転子として搭載した光アイソレータの試験を行ったところ、ある一定のハイパワーのパルスレーザーを照射するとファラデー回転子が損傷してしまう問題が発生した。
ところで、Tb(III)イオンを構成元素にもつTb含有希土類アルミニウムガーネットは、励起させるとテルビウムイオン(III)イオンによる緑色の発光を示すものでもある。Tb含有希土類アルミニウムガーネットを発光材料として用いる場合、その発光効率を高める手段として、発光波長に他の元素に由来する吸収帯が重ならないことが重要である。例えば、第1遷移金属のイオンはd-d遷移吸収や酸化物イオンとの電荷移動吸収帯が可視域にあることが多いため、Tb含有希土類アルミニウムガーネット中に不純物として含まれると、Tbイオンの発光が不純物イオンにより再吸収されるため、発光が阻害されてしまう。また金属酸化物は高温で低酸素分圧下にさらされると酸素が脱雛して欠陥を生じる。このような酸化物イオン欠陥をもつ金属酸化物は灰色から黒色を呈することが多く、これもまたTbイオンの発光を阻害してしまう。以上のように、有色の不純物イオンや、Tb含有希土類アルミニウムガーネット自身の格子欠陥が少ないものが発光材料として優れている。
発光効率(即ち発光量子収率)は、物質が強く光るかどうかを表す指標であり、最低励起状態から発光を伴う輻射遷移の速度定数と発光を伴わない無輻射遷移速度定数の割合でその値が決定する。具体的には励起状態が輻射遷移によって基底状態に戻る確率と定義される。励起状態の寿命(励起状態の数が1/eに減少するまでの時間)をτとすると、発光量子収率との間には比例の関係が成り立つ。言い換えれば、同じ組成を持つTb含有希土類アルミニウムガーネットであれば、励起状態の寿命を測定することで消光(無輻射遷移)の原因となる不純物イオンや欠陥量を間接的に見積もることができる。また発光は母材の結晶内でおこる現象のため、セラミックス特有の散乱の影響を受けにくい。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、LuTAG系のレーザー損傷閾値の高い常磁性ガーネット型透明セラミックス、磁気光学材料及び磁気光学デバイスを提供することを目的とする。
上述したように、これまで透明セラミックスを用いたファラデー回転子の光損失において、散乱と原因である吸収を切り分けることが困難であった。またレーザー損傷の試験は試料の破壊を伴うため、非破壊で間接的に評価する方法が求められていた。そこで本来、発光体の発光強度とファラデー回転子のレーザー損傷は全く関連しない現象であるが、本発明者らがTb含有希土類アルミニウムガーネット(LuTAG系)に対して、Tb(III)イオンの遷移に由来する発光寿命とファラデー回転子としてのレーザー損傷閾値を鋭意調査したところ、発光寿命が長いTb含有希土類アルミニウムガーネット(常磁性ガーネット型透明セラミックス)はレーザー損傷閾値が高く、発光寿命が短いTb含有希土類アルミニウムガーネット(常磁性ガーネット型透明セラミックス)はレーザー損傷閾値が低いこと、即ち常磁性ガーネット型透明セラミックスにおいてTb(III)イオンの遷移に由来する発光寿命とレーザー損傷閾値との間に相関があることを発見した。また発光寿命の測定は非破壊で行われるため、簡便にファラデー回転子のレーザー損傷耐力を評価できることを発見した。本発明者らは、これらの知見を基に鋭意検討を行い、本発明を成したものである。
即ち、本発明は、その一態様として、常磁性ガーネット型透明セラミックスであって、下記式(1)で表されるテルビウム、ルテチウム及びアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物の焼結体を含み、
(Tb1-xLuAl12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.80である。)
上記焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命は370μs以上である。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスは、波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm以上であることが好ましい。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスは、波長350nmの励起光による発光の最大強度が波長500~600nmの間にあることが好ましい。
上記常磁性ガーネット型透明セラミックスは、更にScを添加剤として10質量ppmより多く1,000質量ppm以下含むことが好ましい。
上記常磁性ガーネット型透明セラミックスは、更にSiを焼結助剤として100質量ppm以上1,000質量ppm以下含むことが好ましい。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスは、室温における熱伝導率が4.0W/(m・K)以上であることが好ましい。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスは、波長1,064nmでのベルデ定数が10Rad/Tm以上であることが好ましい。
本発明は、また別の態様として、磁気光学材料であって、上記常磁性ガーネット型透明セラミックスからなる。
本発明は、更に別の態様として、磁気光学デバイスであって、上記磁気光学材料を用いて構成されるものである。
上記磁気光学デバイスは、上記常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータであってもよい。
本発明は、また更に別の態様として、常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法であって、
下記式(1)で表されるテルビウム、ルテチウム及びアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物の焼結体を加圧焼結する工程と、
(Tb1-xLuAl12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.80である。)
得られた加圧焼結体を、上記加圧焼結での処理温度を超える温度に加熱して再焼結する工程と、得られた再焼結体を1,400℃以上の酸化雰囲気で酸化アニール処理を行う工程とを含む。
本発明によれば、波長1,064nm、パルス幅5nsにおいて10J/cm以上のレーザー損傷閾値をもつ常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供でき、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適なものを提供できる。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として用いた光アイソレータの構成例を示す断面模式図である。
[1.常磁性ガーネット型透明セラミックス]
先ず、本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスの一実施形態について説明する。本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、下記式(1)で表されるガーネット型複合酸化物の焼結体を含み、
(Tb1-xLuAl12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.80である。)
この焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命が370μs以上であることを特徴とするものである。
なお、式(1)で表されるガーネット結晶構造においてTbが主として占有するサイト、即ち式(1)の前半の括弧をAサイト、Alが主として占有するサイトをBサイトと称する。
式(1)のAサイトにおいて、テルビウム(Tb)は、3価の希土類イオンの中で最大のベルデ定数を有する元素であり、ファイバーレーザーで使用する1,070nm領域(波長帯0.9μm以上1.1μm以下)で吸収が極めて小さいため、この波長域の光アイソレータ用材料に用いるには好適な最も適している元素である。ただし、Tb(III)イオンは容易に酸化されTb(IV)イオンが生じる。金属酸化物中にTb(IV)イオンが生じると紫外から近赤外域にかけて広範囲の波長で光を吸収するため、できる限り排除することが望ましい。Tb(IV)イオンを発生させない1つのストラテジーとしてTb(IV)イオンが不安定な結晶構造、つまりガーネット構造を採用することが有効である。
ルテチウム(Lu)は、アルミニウムと化合して複合酸化物を形成する場合に、ペロブスカイト相よりもガーネット相を安定して形成するため、本特許においては好ましく利用することのできる元素である。また、他の希土類元素と比較して、可視~近赤外領域に特性吸収(f-f遷移)を持たず、さらにテルビウムとの原子量差は16と小さいため、熱伝導率の高いファラデー回転子を開発するのに添加するには最適な元素である。
式(1)のBサイトにおいて、アルミニウム(Al)はガーネット構造を有する酸化物中で安定に存在できる3価のイオンの中で最小のイオン半径を有する材料であり、Tb含有の常磁性ガーネット型酸化物の格子定数を最も小さくすることのできる元素である。Tbの含有量を変えることなくガーネット構造の格子定数を小さくすることができると、単位長さあたりのベルデ定数を大きくすることができるため好ましい。更にアルミニウムは軽金属であるためガリウムと比較すると反磁性が弱く、ファラデー回転子内部に生じる磁束密度を相対的に高める効果が期待され、こちらも単位長さあたりのベルデ定数を大きくすることができるため好ましい。実際TAGセラミックスのベルデ定数はTGGのそれの1.25~1.5倍に向上する。そのためテルビウムイオンの一部をルテチウムイオンで置換することでテルビウムの相対濃度を低下させた場合でも、単位長さ当りのベルデ定数をTGG同等以上、ないしは若干下回る程度にとどめることが可能となるため、本発明においては好適な構成元素である。
式(1)中、xの範囲は0.05≦x≦0.80であり、0.05≦x≦0.45がより好ましい。xがこの範囲にあると、常温(23±15℃)、波長1,064nmでのベルデ定数が10rad/(T・m)以上となり、ファラデー回転子として使用することができる。波長1,064nmでのベルデ定数は好ましくは10rad/(T・m)以上であり、より好ましくは30rad/(T・m)以上であり、特に好ましくは36rad/(T・m)以上である。ベルデ定数が36rad/(T・m)以上であると、既存材料であるTGG単結晶との置き換えを、部品の設計変更無しにおこなえるため簡便で特に好ましい。
式(1)中のxの範囲において、xが大きいほど熱レンズ効果が小さくなる傾向があるため好ましい。しかしながら、xが大きいほどTbの相対濃度が薄ってしまい、一般的な磁石を使用した場合において、波長1,064nmのレーザー光を45度回転させるのに必要な全長が長くなり、製造が難しくなるため好ましくない。即ち熱レンズ効果が小さく、波長1,064nmのレーザー光を45度回転させるのに必要な全長が短くなる範囲である0.05≦x≦0.45がより好ましい。xが0.80より大きい場合、一般的な磁石を使用すると、波長1,064nmのレーザー光を45度回転させるのに必要な全長が90mmを越えて長くなり、製造が難しく、光アイソレータのサイズが大きくなるため、好ましくない。
本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、上記式(1)で表される複合酸化物を主成分として含有する。更に副成分として、焼結助剤としての役割をはたすSiO及びガーネット構造を安定化させる添加剤としてのScをそれぞれ金属換算で1,000質量ppm以下の範囲で添加することが好ましい。
SiOを微量添加すると、1,400℃以上での焼結中にガラス化して液相焼結効果をもたらし、ガーネット型セラミック焼結体の緻密化を促進することができるため好ましい。ただし、100質量ppm未満では上記効果が十分に得られないため、好ましくない。また、Siの含有量が1,000質量ppm超では過剰に含まれるSiによる結晶欠陥により微量な光吸収が発生するおそれがあるため、好ましくない。よって100質量ppm以上、1,000質量ppm以下になるよう、添加量を調整することが好ましい。
なお、添加するSi源はSiOに限らず、テトラエトキシシラン(TEOS)のような分子性Siも可能である。その際、Si換算で1,000質量ppm以下になるよう、添加量を調整することが好ましい。
Scは、ガーネットのAサイトとBサイトの両方に固溶することができる元素であるので、添加量が多いほどペロブスカイト型の異相析出が抑制され、透明セラミックスの製造は容易となる。そのため、Scが添加されていなくても本発明における常磁性ガーネット型透明セラミックスは作製できるため問題はないが、製造を安定させるためには、その添加量は0ppmより多いのが好ましく、5ppm以上入れるのがより好ましく、10ppm以上入れるのがさらに好ましい。また、Scの添加量が多いほどTb及びLuがBサイトに、AlがAサイトに入るアンチサイト欠陥吸収が発生するリスクが高まるため好ましくない。またScは原料代が高額なため、Scを不必要に過剰ドープすることは製造コスト上からも好ましくない。そのため、Scを金属Sc換算で1,000質量ppm以下の範囲で添加することが好ましい。
本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、Tbの発光を示す。詳しくは、焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命が370μs以上であり、好ましくは500μs以上である。なお、「焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命」の測定方法としては、対象の常磁性ガーネット型透明セラミックスに波長350nmの励起光を照射し、その発光における波長545nmの成分の発光寿命を蛍光分光光度計で測定する。詳しくは、波長545nmの発光成分の発光減衰の時間依存を測定し、これが単一の発光寿命であると仮定して発光開始の発光強度の1/e(約37%)になる時間を上記発光寿命とする。また、波長350nmの励起光による発光の最強強度は、波長500~600nmの間にあることが好ましい。
本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm以上であることが好ましい。本発明の常磁性ガーネット型透明セラミックスはファラデー回転子として利用することを想定しているため、パルスレーザーによる損傷を負わない(レーザー損傷耐力を有する)ことが好ましい。その損傷閾値は極力高い方が好ましく、波長λ=1,064nm、パルス幅5nsの場合、10J/cm以上が好ましく、15J/cm以上がより好ましい。なお、「波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm以上である」か否かの判定方法は、対象の常磁性ガーネット型透明セラミックスの任意の複数個所(5か所以上、好ましくは10か所以上)にエネルギー密度10J/cmの波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー光を照射し、対象の領域を光学(偏光)顕微鏡等で観察して、その領域がすべて損傷を受けていない場合を「レーザー損傷閾値が10J/cm以上」であるとし、1か所でも損傷を受けている場合を「レーザー損傷閾値が10J/cm以上」ではないと判定する。
ところで、レーザー損傷閾値(LIDT)は、照射レーザー光の波長、パルス幅及びビームスポット径に依存する。そのため、波長1,064nm、波長5ns、照射ビーム径100μm(ガウス分布1/e強度)でのレーザー損傷試験が実施できない場合は、LIDTのスケーリングを用いて波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値としてもよい。ここで、“Wavelength Dependence of Laser-Induced Damage: Determining the Damage Initiation Mechanisms”(非特許文献10)によれば、初期条件の波長(λ1)、パルス幅(τ1)、照射ビーム径(φ1)から新たな波長(λ2)、パルス幅(τ2)、照射ビーム径(φ2)へスケーリング(変換)する一般則として、式(S1)を適用することができる。
LIDT(λ2,τ2,φ2)=LIDT(λ1,τ1,φ1)×(λ1/λ2)×(τ2/τ1)1/2×(φ1/φ2) (S1)
したがって、下記式(S2)により、波長1,064nm、波長5ns、照射ビーム径100μm(ガウス分布1/e強度)とは異なる条件の波長(λ1(nm))、パルス幅(τ1(ns))、照射ビーム径(φ1(μm))で測定されたレーザー損傷閾値(LIDT)から波長1,064nm、パルス幅5ns(照射ビーム径100μm)のレーザー損傷閾値を換算することができる。
LIDT(1064,5,100)=LIDT(λ1,τ1,φ1)×(λ1/1064)×(5/τ1)1/2×(φ1/100) (S2)
なお、上記式(1)で表されるガーネット型複合酸化物の焼結体を含む常磁性ガーネット型透明セラミックスにおいて、この焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命を測定し、その発光寿命が370μs以上であれば、波長1,064nmのレーザー損傷閾値が10J/cm以上であると判定可能である。
本実施形態の常磁性ガーネット型セラミックスの熱伝導率は4.0W/(m・K)以上である。熱伝導率の測定方法は、定常法と非定常法に大別され、定常法は熱流計法、非定常法はレーザーフラッシュ法、周期加熱法、熱線法が挙げられるが、本発明においては何れの測定方法で測定しても良い。中でもレーザーフラッシュ法は、他の測定方法よりもサンプルサイズが小さくてもよく、真に透明なセラミックスを作りやすい観点から、最も好ましい測定方法である。
また、本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、後述するように、上記ガーネット型複合酸化物の予備焼結体を加圧焼結(HIP)し、この加圧焼結体を加圧焼結の処理温度を超える温度に加熱して再焼結し、更に酸化雰囲気でアニール処理されて得られるものが好ましい。
[2.常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法]
次に、本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスを製造する方法の一実施形態について説明する。本実施形態の製造方法は、上述した式(1)で表されるガーネット型複合酸化物粉末(セラミックス粉末)を含有する焼結用原料粉末を作製し、この焼結用原料粉末を用いて、所定形状にプレス成形した後に、脱脂を行い、次いで予備焼結して緻密化した焼結体を作製する。その後工程として加圧焼結としてHIP処理を行うことが好ましい。さらにHIP処理温度より高い温度で再焼結を行う。そして最終的に酸化囲気でアニール処理を施すことにより、酸素欠損を回復させる。これにより、欠陥吸収および光散乱の極めて少ない透明なガーネット型酸化物セラミックスを得ることができる。以下、焼結用原料粉末および各工程について説明する。
(2-1.焼結用原料粉末の作製)
ガーネット型複合酸化物の焼結用原料粉末の作製方法は、特に限定されるものではないが、共沈法、粉砕法、噴霧熱分解法、ゾルゲル法、アルコキシド加水分解法、その他あらゆる合成方法を用いてもよい。場合によって、得られた希土類複合酸化物のセラミックス原料を所望の粒径とするために適宜湿式ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、乾式ジェットミル、ハンマーミル等によって処理してもよい。例えば、複数種の酸化物粒子を混ぜて焼成し、イオンの熱拡散によって均一性を生みだす固相反応法や、酸化物粒子を溶解させたイオン含有溶液から水酸化物、炭酸塩などを析出させ、焼成によって酸化物にすることで均一性を生みだす共沈法を用いて焼結用原料粉末とするとよい。
複数種の酸化物粒子を混ぜて焼成し、イオンの熱拡散によって均一性を生みだす固相反応法の場合、出発原料としては、テルビウム、ルテチウム、スカンジウム、アルミニウムの各金属粉末、ないしは前記金属粉末を硝酸、硫酸、尿酸等の水溶液で溶解したもの、あるいは上記金属の酸化物粉末等が好適に利用できる。また、上記原料の純度は99.9質量%以上が好ましく、99.99質量%以上が特に好ましい。それらの出発原料を式(1)に対応する組成となるように所定量秤量し、混合してから焼成して所望の金属酸化物の仮焼原料を得、これを粉砕して焼結用原料粉末とする。ただし、このときの仮焼温度は900℃以上1,100℃未満が好ましく、900℃以上1,050℃以下がより好ましく、1,000℃がさらに好ましい。仮焼温度が900℃未満の場合、熱拡散による焼結原料粉末の均一性が不十分となり、焼結工程において酸化テルビウムの相変化による体積変化が大きく焼結体が割れるリスクが高まる。焼成時間は1時間以上行えばよく、そのときの昇温速度は100℃/h以上500℃/h以下が好ましい。焼成の雰囲気は特に限定はされないが、大気、酸素及び酸素含有雰囲気が特に好ましい。また、焼成装置は縦型マッフル炉、横型管状炉、ロータリーキルン等が例示され、目標の温度に到達及び酸素フローができれば特に限定されない。なお、ここでいう「主成分とする」とは、焼成原料の粉末X線回折結果から得られる主ピークがガーネット構造由来の回折ピークからなることを指す。なお、ペロブスカイト型の異相のガーネット母相に対する存在割合が1ppm以下である場合、実質的に粉末X線回折パターンはガーネット単相パターンしか検知されない。
また、焼結用原料粉末は焼結助剤を含むことが好ましい。例えば、上記出発原料と共に焼結助剤としてテトラエトキシシラン(TEOS)をSi換算で原料粉末全体(ガーネット型複合酸化物粉末+焼結助剤)において100質量ppm以上1,000質量ppm以下添加し、又はSiO粉末を原料粉末全体(ガーネット型複合酸化物粉末+焼結助剤)において100質量ppm以上1,000質量ppm以下添加し、混合し焼成して焼成原料とするとよい。なお、その純度は99.9質量%以上が好ましく、99.99質量%以上が特に好ましい。焼結助剤は後述する原料粉末スラリーの調製時に添加してもよい。また、焼結助剤を添加しない場合には、使用する焼結用原料粉末(即ち、上記複合酸化物粉末)についてその一次粒子の粒径がナノサイズであって焼結活性が極めて高いものを選定するとよい。こうした選択は適宜なされてよい。
次いで、得られた焼成原料を粉砕して焼結用原料粉末とする。粉砕方法は乾式、湿式のどちらでも選択できるが、目的のセラミックスが高度に透明になるように粉砕する必要がある。例えば湿式粉砕の場合、焼成原料をボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ジェットミル、超音波照射等の各種粉砕(分散)方法によってスラリー化し一次粒子まで粉砕(分散)する。この湿式スラリーの分散媒としては最終的に得られるセラミックスの高度の透明化が可能であれば特に制限されず、例えば炭素数1~4の低級アルコール等のアルコール類、純水が挙げられる。またこの湿式スラリーはその後のセラミックス製造工程での品質安定性や歩留り向上の目的で、各種の有機添加剤が添加される場合がある。本発明においては、これらについても特に限定されない。即ち、各種の分散剤、結合剤、潤滑剤、可塑剤等が好適に利用できる。ただし、これらの有機添加剤としては、不要な金属イオンが含有されない、高純度のタイプを選定することが好ましい。湿式粉砕の場合、最終的にスラリーの分散媒を除去することで焼結用原料粉末とする。
(2-2.成形工程)
本実施形態の製造方法においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Pressing)工程やWIP(Warm Isostatic Pressing)工程が好適に利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば市販のCIP装置で対応可能な300MPa以下程度の圧力範囲で管理すると製造コストが抑えられてよい。あるいはまた、成形時に成形工程のみでなく一気に焼結まで実施してしまうホットプレス工程や放電プラズマ焼結工程、マイクロ波加熱工程なども好適に利用できる。更にプレス成形法ではなく、鋳込み成形法による成形体の作製も可能である。加圧鋳込み成形や遠心鋳込み成形、押出し成形等の成形法も、出発原料である酸化物粉末の形状やサイズと各種の有機添加剤との組合せを最適化することで、採用可能である。
(2-3.脱脂工程)
本実施形態の製造方法においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の雰囲気ガスの種類も特に制限はなく、空気、酸素、水素等が好適に利用できる。脱脂温度も特に制限はないが、もしも有機添加剤が混合されている原料を用いる場合には、その有機成分が分解消去できる温度まで昇温することが好ましい。
(2-4.予備焼結工程)
本実施形態の製造方法において加圧焼結前の焼結体として、好ましくは相対密度94%以上に緻密化され、また好ましくは平均焼結粒径5μm以下の予備焼結体を作製する。この際、焼結粒径が所望の範囲内に収まるように温度と保持時間の条件を詰める必要がある。
ここでは、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。このときの雰囲気は特に制限されず、大気、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス等の各種雰囲気が好適に利用できるが、より好ましくは減圧下(真空中)での焼結が利用できる。予備焼結の真空度は1×10-1Pa未満が好ましく、1×10-2Pa未満がより好ましい。
予備焼結工程における焼結温度は、1,450~1,650℃が好ましく、1,500~1,600℃が特に好ましい。焼結温度がこの範囲にあると、異相析出並びに粒成長を抑制しつつ緻密化が促進されるため好ましい。本発明の予備焼結工程における焼結保持時間は数時間程度で十分だが、予備焼結体の相対密度は94%以上に緻密化させることが好ましい。なお、予備焼結体の相対密度が99%を超えて高くなると、その後の加圧焼結(HIP)で焼結体内部粒子塑性変形が起こりにくくなり、焼結体内に残留した気泡の除去が困難となる。そのため予備焼結体の相対密度は最高でも99%以下が好ましく、98%以下が更に好ましい。
予備焼結体の結晶粒の平均焼結粒径は5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2.5μm以下が更に好ましく、1μm以下が特に好ましい。焼結粒の平均焼結粒径は原料種、雰囲気、焼結温度、保持時間との兼ね合いで調整可能である。焼結粒径が5μmより大きいと、続く加圧焼結(HIP)で塑性変形が起こりにくくなり、予備焼結体内に残留した気泡の除去が困難となるおそれがある。
(2-5.加圧焼結工程)
本実施形態の製造方法においては、予備焼結工程を経た後に更に加圧焼結工程として、熱間等方圧プレス(HIP(Hot Isostatic Pressing))処理を行うことができる。なお、このときの加圧ガス媒体種類は、アルゴン、窒素等の不活性ガス、又はAr-Oが好適に利用できる。加圧ガス媒体により加圧する圧力は、50~300MPaが好ましく、100~300MPaがより好ましい。圧力50MPa未満では透明性改善効果が得られない場合があり、300MPa超では圧力を増加させてもそれ以上の透明性改善が得られず、装置への負荷が過多となり装置を損傷するおそれがある。印加圧力は市販のHIP装置で処理できる196MPa以下であると簡便で好ましい。
HIP処理での処理温度は、1000℃未満では焼結体の透明性改善効果がほとんど得られないおそれがあるため、1000℃以上でとすることが好ましく、1100℃以上とすることがより好ましい。また、HIP処理での処理温度はHIP処理中に粒成長が生じると気泡の除去が困難となるため、1780℃以下とすることが好ましく、1700℃以下とすることがより好ましい。
なお、HIP処理するヒーター材、断熱材、処理容器は特に制限されないが、グラファイト、ないしはモリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)が好適に利用でき、処理容器として更に酸化イットリウム、酸化ガドリニウムも好適に利用できる。特に処理温度が1,500℃以下である場合、ヒーター材、断熱材、処理容器として白金(Pt)が使用でき、かつ加圧ガス媒体をAr-O2とすることができるため、HIP処理中の酸素欠損の発生を防止できるため好ましい。処理温度が1,500℃を超える場合にはヒーター材、断熱材としてグラファイトが好ましいが、この場合は処理容器としてグラファイト、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のいずれかを選定し、更にその内側に二重容器として酸化イットリウム、酸化ガドリニウムのいずれかを選定したうえで、容器内に酸素放出材を充填しておくと、HIP処理中の酸素欠損発生量を極力少なく抑えられるため好ましい。
(2-6.再焼結工程)
本実施形態の製造方法においては、加圧焼結(HIP)工程を終えた後に、得られた透明セラミックスを粒成長させる目的で再焼結を行うことができる。再焼結の温度は、加圧焼結での処理温度を超える温度とし、具体的には、1,650℃以上が好ましく、1,700℃以上がさらに好ましい。1,650℃未満では粒成長が生じないため好ましくない。再焼結による結晶粒の平均粒径は10μm以上が好ましく、15μm以上がさらに好ましく、20μm以上が特に好ましい。
再焼結工程の保持時間は特に制限されないが5時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましい。再焼結工程の温度と保持時間は平均粒径を確認して適宜調整してよい。ただし、一般的には焼結温度を上げ過ぎると予期せぬ異常粒成長が起こってしまい、均質な焼結体が得にくくなる。そこで再焼結する温度にはある程度の余裕を持たせ、再焼結体の平均粒径のサイズ調整は保持時間を延ばすことにより調整することが好ましい。また、その際の処理温度(所定保持温度)は1,000~1,780℃、好ましくは1,100~1,730℃の範囲で設定される。処理温度が1,780℃超では酸素欠損発生リスクが増大するため好ましくない。また、処理温度が1,000℃未満では焼結体の透明性改善効果がほとんど得られない。なお、処理温度の保持時間については特に制限されないが、あまり長時間保持すると酸素欠損発生リスクが増大するため好ましくない。典型的には1~3時間の範囲で好ましく設定される。
(2-7.酸化アニール処理工程)
以上の一連の処理を経た再焼結体は、特に加圧焼結(HIP)工程などにおいて還元されるため、若干の酸素欠損を生じてしまい、灰色~濃紺の外観を呈する場合がある。そのため、大気中などの酸化雰囲気(含酸素雰囲気)下で酸化アニール処理(酸素欠損回復処理)を施す。アニール処理温度は1,400℃以上であり、好ましくは1,450℃以上である。また、1,500℃以下であることが好ましい。この場合の保持時間は特に制限されないが、酸素欠損が回復するのに十分な時間以上行えばよく、10時間以上が好ましく、20時間以上がより好ましい。また、酸化アニール処理に加えて微酸化HIP処理を施してもよい。これらの処理により、たとえ着色してしまった再焼結体であっても、酸素欠損を回復させることができることから散乱源(散乱コントラスト源)のサイズや数量を規定の範囲内に管理でき、且つ酸素欠陥由来の吸収の少ない常磁性ガーネット型透明セラミックス体とすることができる。勿論、機能を付与するためのドーパントや不純物等の有色の元素が添加されたことによる材料の本質的な着色(吸収)は除去することができない。
(2-8.光学研磨)
本実施形態の製造方法においては、上記一連の製造工程を経た常磁性ガーネット型透明セラミックスについて、その光学的に利用する軸上にある両端面を光学研磨することが好ましい。このときの光学面精度は測定波長λ=633nmの場合、λ/2以下が好ましく、λ/8以下が特に好ましい。なお、光学研磨された面に適宜反射防止膜を成膜することで光学損失を更に低減させることも可能である。
以上のようにして、上記式(1)で表されるテルビウムを含有した常磁性ガーネット型複合酸化物の焼結体であって、該焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命が370μs以上である常磁性ガーネット型透明セラミックスを提供することができる。また、好ましくは波長1,064nm、パルス幅5nsでのレーザー損傷閾値が10J/cm以上あるものとすることができる。
[3.磁気光学デバイス]
更に、本発明に係る磁気光学デバイスの一実施形態について説明する。本実施形態の磁気光学デバイスは、上記の常磁性ガーネット型透明セラミックスを用いて構成されるものである。上記の常磁性ガーネット型透明セラミックスは磁気光学材料として利用することができ、具体的には、この常磁性ガーネット型透明セラミックスにその光学軸と平行に磁場を印加したうえで、偏光子、検光子とを互いにその光軸が45度ずれるようにセットして磁気光学デバイスを構成、利用することが好ましい。特に、本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスは、磁気光学デバイスとして、特に波長0.9~1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
図1は、本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスからなるファラデー回転子を光学素子として備える磁気光学デバイスである光アイソレータの一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、光アイソレータ100は、その筐体150の内部に、上記の常磁性ガーネット型透明セラミックスからなるファラデー回転子110と、偏光材料からなる偏光子120及び検光子130とを備える。これらは、ファラデー回転子の光学軸112に沿って、偏光子120、ファラデー回転子110、検光子130の順序で配置されている。偏光子120の偏光振動面と検光子130の偏光振動面は、相対角度が45°になるよう配置される。また、光アイソレータ100は、筐体150内のファラデー回転子110の側面のうちの少なくとも1面に、ファラデー回転子110に磁界を印加するための磁石140を備える。
このような光アイソレータ100は産業用ファイバーレーザー装置(図示省略)に好適に利用できる。レーザー光源から発したレーザー光の反射光が光源に戻り、発振が不安定になるのを光アイソレータによって防止することができる。
[4.常磁性ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷耐力判定方法]
更に、本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷耐力判定方法の一実施形態について説明する。本実施形態の常磁性ガーネット型透明セラミックスのレーザー損傷耐力判定方法は、下記式(1)で表されるガーネット型複合酸化物の焼結体を含む常磁性ガーネット型透明セラミックスについて、焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命でレーザー損傷耐力を判定する。
(Tb1-xLuAl12 (1)
(式中、0.05≦x≦0.80である。)
ここで、上記Tb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命が370μs以上であるときに、波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm以上のレーザー損傷耐力を有すると判定することが好ましい。発光寿命の測定方法については、上述していることから、ここでの説明は省略する。
以下に、実施例、参考例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として式(1)中のxの値を0.05≦x≦0.80とした場合について示す。信越化学工業(株)製の酸化ルテチウム粉末、酸化テルビウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び関東化学(株)製のポリビニルアルコールを入手した。純度は粉末原料がいずれも99.9質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。上記原料を用いて、以下のように混合比率を調整して表1に示す最終組成となる計7種類の原料粉末を作製した。
(実施例1-1用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-2用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.55:0.45:5.00となるよう秤量した(Tb0.85Lu0.15Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-3用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.10:0.90:5.00となるよう秤量した(Tb0.70Lu0.30Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-4用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=1.80:1.20:5.00となるよう秤量した(Tb0.60Lu0.40Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-5用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=1.29:1.71:5.00となるよう秤量した(Tb0.43Lu0.57Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-6用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=1.05:1.95:5.00となるよう秤量した(Tb0.35Lu0.65Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例1-7用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=0.60:2.40:5.00となるよう秤量した(Tb0.20Lu0.80Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
次に、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらポリエチレン製のポットに入れ、それぞれエタノール中でボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。結合剤としてポリビニルアルコールを酸化物粉末に対して1.0質量%になるように添加した。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
続いて、これらの顆粒状原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。
実施例として当該脱脂成形体を真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,600℃、2時間予備焼結処理して計7種の予備焼結体を得た。このとき、サンプルの焼結相対密度はいずれも94%以上であった。得られた各予備焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、196MPa、1,600℃、3時間の条件で加圧焼結(HIP)処理した。続いて加圧焼結体を再度真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,700℃、20時間再焼結処理して再焼結体を得た。最後に、再焼結体を大気下1,450℃で30時間酸化アニール処理した。
参考例1-1としてノースロップグラマン社製のTGG単結晶を用意した。
こうして得られた各透明セラミックスおよびTGG単結晶は直径10mmに円筒研削し、長さ10mmとなるように研削及び研磨処理してサンプルを作製した。
上記サンプルについて、加工歪を除去するため大気下1,300℃でそれぞれ8時間、応力除去焼なましを行った。
更にそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
以上のようにして得られた各サンプルについて以下のようにして熱伝導率測定、ベルデ定数算出、発光寿命測定、レーザー損傷試験を行った。
(熱伝導率測定)
熱伝導率はJIS R 1611-1997(ファインセラミックスのレーザーフラッシュ法による熱拡散率、比熱、熱伝導率試験法)に則り、測定した。それぞれのサンプルについて、直径10mm、厚さ2mmの円盤状の透明セラミックス焼結体を準備し、片面へレーザー照射を実施した。レーザー照射面とその反対面との温度上昇の差を測定し、ハーフタイム法にて熱拡散率αを決定した。密度ρはアルキメデス法で測定し、比熱Cは示差走査熱重量法にて測定した。熱伝導率は、熱拡散率α、密度ρ、比熱Cの積で決定した。
(ベルデ定数算出)
先ず、図1に示す光アイソレータにセラミックスサンプルを搭載した。即ち、得られた各サンプルを外径32mm、内径6mm、長さ40mmのネオジム-鉄-ボロン磁石の中心に挿入し、その両端に偏光子を挿入した。そして、IPGフォトニクスジャパン(株)製ハイパワーレーザー(ビーム径1.6mm)を用いて、両端面から、波長1,064nmのハイパワーレーザー光線を入射して、ファラデー回転角θを決定した。ファラデー回転角θは出射側の偏光子を回転させた時に、最大の透過率を示す角度とした。以下の式に基づき、ベルデ定数を算出した。なお、サンプルに印加される磁界の大きさ(H)は、上記測定系の寸法、残留磁束密度(Br)及び保持力(Hc)からシミュレーションにより算出した値を用いた。
θ=V×H×L
(式中、θはファラデー回転角(Rad)、Vはベルデ定数(Rad/T ・m)、Hは磁界の大きさ(T)、Lはファラデー回転子の長さ(この場合、0.020m)である。)
(発光寿命測定)
発光寿命測定は、モジュール型蛍光分光光度計Fluorolog-3(HORIBA製作所製)を用いて測定した。測定場所は円筒研削した粗面とした。励起光は350nmとし、波長545nmの発光成分について寿命を測定した。励起光を当てると、測定試料は励起状態となり、最低励起状態54を経由してエネルギーを放出しながら基底状態へと戻る。このとき発光が起きる。なお、いずれのサンプルにおいても波長500~600nmの間で最大強度を示す発光が認められた。
このとき、発光強度の時間変化F(t)は下記式で与えられる。
F(t)=F0×exp(-t/τ)
(式中、F0はt=0における発光強度であり、τが発光寿命(μs)である。)
つまり、F(t)=1/eF0(約37%)になる時間が発光寿命となる。
発光寿命τは発光減衰の時間依存を測定し、単一の発光寿命と仮定して上記式を用いて最小二乗法により決定した。
(レーザー損傷試験)
レーザー損傷閾値の測定は、波長1,064nm、パルス幅5nsのNd:YAGレーザーを用いて測定した。照射角度を研磨面(サンプルの光学端面)に対して垂直、照射サイズをビーム径100μm(ガウス分布1/e2強度)とし、エネルギー密度が10~11J/cm2となるように照射した。サンプルの光学端面の光学有効領域内で位置を変えながら10ショット照射し、損傷した数を偏光顕微鏡でカウントした。具体的には倍率12.5倍の偏光顕微鏡を用いて光学端面方向から光学有効領域全体のクロスニコル像を観察し、Hv(Horizontal-vertical)光散乱が確認された場合、これがレーザー損傷歪により生じたものでありその位置でレーザー損傷したものと判定した。なお、レーザー損傷した位置(材料内部、出射端面など)は問わないものとした。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 2024088210000002
上記結果から、実施例1-1~1-7の透明セラミックスの発光寿命は383μsから1080μsであった。また、このときの透明セラミックスのレーザー損傷数は全て0であった。対してTGG単結晶の発光寿命は182μsであり、このときのレーザー損傷数は10であった。即ち、発光寿命が383μs以上の透明セラミックスはレーザー損傷閾値が10J/cm以上であることが確認された。また、ルテチウムを含む透明セラミックス(実施例1-1~1-7)はTGG単結晶(参考例1-1)よりも熱伝導率が高く、ベルデ定数が10Rad/T・m以上であることが確認された。
[実施例2]
実施例2として、SiとScの添加量を変化させた場合について示す。信越化学工業(株)製の酸化ルテチウム粉末、酸化テルビウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び関東化学(株)製のポリビニルアルコールを入手した。純度は粉末原料がいずれも99.9質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。上記原料を用いて、以下のように混合比率を調整して表2に示す最終組成となる計7種類の原料粉末を作製した。
(実施例2-1用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で100ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-2用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で100ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で500ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-3用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で100ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で1,000ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-4用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-5用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で500ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-6用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で700ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例2-7用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で1,000ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(比較例2-1用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を原料とした。
(比較例2-2用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で1,000ppmになるように秤量して加え、原料とした。
次に、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらポリエチレン製のポットに入れ、それぞれエタノール中でボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。結合剤としてポリビニルアルコールを酸化物粉末に対して1.0質量%になるように添加した。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
続いて、これらの顆粒状原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。
当該脱脂成形体を真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,600℃、2時間予備焼結処理して計7種の予備焼結体を得た。このとき、サンプルの焼結相対密度はいずれも94%以上であった。得られた各予備焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、196MPa、1,600℃、3時間の条件で加圧焼結(HIP)処理した。続いて加圧焼結体を再度真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,700℃、20時間再焼結処理して再焼結体を得た。最後に、再焼結体を大気下1,450℃で30時間酸化アニール処理した。
こうして得られた各透明セラミックスは直径10mmに円筒研削し、長さ10mmとなるように研削及び研磨処理した。
上記サンプルについて、加工歪を除去するため大気下1,300℃でそれぞれ8時間、応力除去焼なましを行った。
更にそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
以上のようにして得られた各サンプルについて実施例1と同様に熱伝導率測定、発光寿命測定、レーザー損傷試験を行った。以上の結果を表2にまとめて示す。
Figure 2024088210000003
上記結果から、Si添加量が100質量ppm以上1,000質量ppm以下かつSc添加量が100質量ppm(実施例2-1~2-3)の透明セラミックスの発光寿命は全て370μs以上であり、このときの透明セラミックスのレーザー損傷数は全て0であった。またSi添加量が100質量ppmかつSc添加量が0質量ppm以上1,000質量ppm以下(実施例2-4~2-7)の透明セラミックスの発光寿命は全て374μs以上であった。また、このときの透明セラミックスのレーザー損傷数は全て0であった。これに対して比較例2-1~2-2は透明化せず、測定を行うことができなかった。即ち、透明セラミックスの発光寿命は全て370μs以上かつSiの添加量が100質量ppm以上1,000質量ppm以下の透明セラミックスはレーザー損傷閾値が10J/cm以上であることが確認された。また、透明セラミックスの発光寿命は全て374μs以上かつScの添加量が0質量ppm以上1,000質量ppm以下の透明セラミックスはレーザー損傷閾値が10J/cm以上であることが確認された。
[実施例3]
実施例3として、大気下1,450℃で30時間酸化アニール処理を行った場合と酸化アニール処理を行わなかった場合について示す。信越化学工業(株)製の酸化ルテチウム粉末、酸化テルビウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び関東化学(株)製のポリビニルアルコールを入手した。純度は粉末原料がいずれも99.9質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。上記原料を用いて、以下のように混合比率を調整して表3に示す最終組成となる計2種類の原料粉末を作製した。
(実施例3-1及び比較例3-1用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.85:0.15:5となるよう秤量した(Tb0.95Lu0.05Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
(実施例3-2及び比較例3-2用原料)
テルビウム、ルテチウム、アルミニウムのモル数がそれぞれTb:Lu:Al=2.10:0.90:5.00となるよう秤量した(Tb0.70Lu0.30Al12用混合粉末を用意した。続いて添加剤としてScを、その添加量がSc換算で400ppmになるように秤量して加えた。更に焼結助剤としてTEOSを、その添加量がSi換算で100ppmになるように秤量して加え、原料とした。
次に、それぞれ互いの混入を防止するよう注意しながらポリエチレン製のポットに入れ、それぞれエタノール中でボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は24時間であった。結合剤としてポリビニルアルコールを酸化物粉末に対して1.0質量%になるように添加した。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
続いて、これらの顆粒状原料につき、それぞれ一軸プレス成形、198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理した。
実施例として、当該脱脂成形体を真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,600℃、2時間予備焼結処理して計2種の予備焼結体を得た。このとき、サンプルの焼結相対密度はいずれも94%以上であった。得られた各予備焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、196MPa、1,600℃、3時間の条件で加圧焼結(HIP)処理した。続いて加圧焼結体を再度真空炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,700℃、20時間再焼結処理して再焼結体を得た。最後に、再焼結体を大気下1,450℃で30時間酸化アニール処理した。
比較例として、当該脱脂成形体を真空加熱炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,600℃、2時間処理して計2種の予備焼結体を得た。このとき、サンプルの焼結相対密度はいずれも94%以上、99%以下であった。得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、196MPa、1,600℃、3時間の条件でHIP処理して透明体を得た。続いてHIP処理した焼結体を再び真空加熱炉に仕込み、1.0×10-2Pa未満の減圧下で1,700℃、20時間処理した。焼結体の酸化アニール処理は行わなかった。
こうして得られた各透明セラミックスは実施例1と同様に直径10mmに円筒研削し、長さ10mmとなるように研削及び研磨処理した。更にそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨した。
以上のようにして得られた各サンプルについて実施例1と同様に熱伝導率測定、発光寿命測定、レーザー損傷試験を行った。以上の結果を表3に示す
Figure 2024088210000004
上記結果から、大気下1,450℃で30時間アニール処理した透明セラミックス(実施例3-1~3-2)の発光寿命は378μs以上であり、このときのレーザー損傷数は0であった。これに対して、酸化アニール処理をしなかった透明セラミックス(比較例3-1~3-2)の発光寿命は221μs以下であり、このときのレーザー損傷数は10であった。即ち、HIP処理後に酸化アニール処理を施すことにより発光寿命が378μs以上となり、レーザー損傷閾値が10J/cm以上の透明セラミックスが得られることが確認された。
[実施例4]
実施例3-1において、酸化アニールの温度を1,300℃(比較例4-1)、1,400℃(実施例4-1)、1,500℃(実施例4-2)で30時間処理を行い、それ以外は実施例3-1と同じ条件として常磁性ガーネット型透明セラミックスのサンプルを作製した。その評価結果を表4に示す。
Figure 2024088210000005
上記結果から、酸化アニール温度が1,400℃及び1,500℃(実施例4-1、4-2)の常磁性ガーネット型透明セラミックスの発光寿命は371~388μsであり、レーザー損傷数は0であった。これに対して酸化アニール温度が1,300℃(比較例4-1)の常磁性ガーネット型透明セラミックスの発光寿命は264μsであり、レーザー損傷数は10であった。即ち、酸化アニール温度が1,400℃以上の常磁性ガーネット型透明セラミックスの発光寿命は371μs以上であり、このときレーザー損傷閾値が10J/cm以上となることが確認された。
[実施例5]
磁気光学デバイスの一例として、実施例5としてレーザー損傷数が0であった常磁性ガーネット型透明セラミックス(実施例2-1)、比較例5としてレーザー損傷数が10であった常磁性ガーネット型透明セラミックス(比較例2-1)をそれぞれ使用して光アイソレータを構築した例について示す。それぞれの透明セラミックスをファラデー回転子として特許文献5と同様の構成の光アイソレータを作製した。
(光アイソレータの耐久性試験)
光アイソレータの耐久性試験は、波長1,030nm、パルス幅14ps、平均パワー150W、繰り返し周波数600kHzのパルスレーザー光を、光アイソレータを透過させることで評価した。ビーム径は1.0mmφ(ガウス分布1/e2強度)の略平行光とした。透過光をエキスパンダーで拡大し、パワーメータで透過光強度の時間依存を観測することで光アイソレータの耐久性を評価した。
レーザー損傷数が0であった常磁性ガーネット型透明セラミックス(実施例2-1)を搭載した光アイソレータ(実施例5)は、100時間以上耐久性試験を行っても透過光の強度が初期値に対して2%未満の変化率であった。これに対して、レーザー損傷数が10であった常磁性ガーネット型透明セラミックス(比較例2-1)を搭載した光アイソレータ(比較例5)では、試験開始とほぼ同時に透過光の強度が入射光の強度に対して50%以下の値に低下したため試験を中止した。以上のように、レーザー損傷数が0場合、言い換えれば、レーザー損傷閾値が10J/cm以上の場合、100時間以上連続運転しても透過率が低下しない耐久性の高い光アイソレータが得られることが確認された。
なお、これまで本発明を、上記実施形態をもって説明してきたが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
100 光アイソレータ
110 ファラデー回転子
112 光学軸
120 偏光子
130 検光子
140 磁石
150 筐体

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるテルビウム、ルテチウム及びアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物の焼結体を含む常磁性ガーネット型透明セラミックスであって、
    (Tb1-xLuAl12 (1)
    (式中、0.05≦x≦0.80である。)
    上記焼結体に含まれるTb(III)イオンの遷移に由来する発光の寿命が370μs以上である常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  2. 波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm以上である請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  3. 波長350nmの励起光による発光の最大強度が波長500~600nmの間にある請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  4. 上記常磁性ガーネット型透明セラミックスが、更にScを添加剤として10質量ppmより多く1,000質量ppm以下含む請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  5. 上記常磁性ガーネット型透明セラミックスが、更にSiを焼結助剤として100質量ppm以上1,000質量ppm以下含む請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  6. 室温における熱伝導率が4.0W/(m・K)以上である請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  7. 波長1,064nmでのベルデ定数が10Rad/Tm以上である請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックス。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスからなる磁気光学材料。
  9. 請求項8に記載の磁気光学材料を用いて構成される磁気光学デバイス。
  10. 上記常磁性ガーネット型透明セラミックスをファラデー回転子として備え、該ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである請求項9に記載の磁気光学デバイス。
  11. 下記式(1)で表されるテルビウム、ルテチウム及びアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物の焼結体を加圧焼結する工程と、
    (Tb1-xLuAl12 (1)
    (式中、0.05≦x≦0.80である。)
    得られた加圧焼結体を、上記加圧焼結での処理温度を超える温度に加熱して再焼結する工程と、
    得られた再焼結体を1,400℃以上の酸化雰囲気で酸化アニール処理を行う工程と
    を含む常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。

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